JP2024021625A - 車両用ドア装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な構成にて、効率よく、ドアの開閉動作位置を保持する。【解決手段】ドア装置10は、互いに螺合するスピンドルスクリュ51及びスピンドルナット52を備えて車両のバックドアと車体との間に介在される。更に、ドア装置10は、バックドアの開閉動作に連動して、そのスピンドルスクリュ51に対するスピンドルナット52の螺合位置Jが移動する。そして、ドア装置10は、その螺合位置Jに応じて、スピンドルスクリュ51とスピンドルナット52との間の摩擦抵抗が変化する。【選択図】図5

Description

本発明は、車両用ドア装置に関するものである。
従来、伸縮可能に構成された軸形状を有して車体とドアとの間に介在される車両用のドア装置がある。即ち、このようなドア装置は、軸方向長さの伸縮に基づいて、そのドア開口部に支持する車両のドアが開閉動作する。例えば、特許文献1に記載のドア装置は、互いに螺合するスピンドルスクリュ及びスピンドルナットと、そのスピンドルスクリュに対するスピンドルナットの螺合位置を移動させながら軸方向に相対変位する第1及び第2の構成要素と、を備えている。そして、このドア装置は、これら第1及び第2の構成要素間の相対変位に基づいて、その軸方向長さが伸縮する構成となっている。
また、上記従来例のドア装置は、スピンドルスクリュを回転駆動する駆動機構を有している。即ち、スピンドルナットに螺合したスピンドルスクリュが回転することで、そのスピンドルスクリュに対するスピンドルナットの螺合位置が移動する。そして、このドア装置は、これにより、第1及び第2の構成要素が軸方向に変位することで、その軸方向長さの伸縮に基づいて、車両のドアが開閉動作する構成になっている。
更に、この従来例のドア装置は、バネ部材の弾性力に基づいて、その第1及び第2の構成要素間の相対変位を規制するブレーキ機構を有している。そして、このブレーキ機構の作動によって、その軸方向長さを維持、つまりは、このドア装置を介して車体に支持されたドアの開閉動作位置を保持することが可能となっている。
特表2016-504536号公報
しかしながら、上記従来技術の構成では、スピンドルスクリュの回転駆動時、そのバネ部材の弾性力に基づいた制動力の付与を解除するための付加的な駆動力が必要となる。そして、これに加え、ブレーキ機構を設けることによる部品点数の増加やサイズの大型化、伸縮ストロークの減少等といった問題がある。
上記課題を解決する車両用ドア装置の各態様を記載する。
態様1の車両用ドア装置は、互いに螺合するスピンドルスクリュ及びスピンドルナットを備えて車両のドアと車体との間に介在されることにより前記ドアの開閉動作に連動して前記スピンドルスクリュに対する前記スピンドルナットの螺合位置が移動するとともに、前記螺合位置に応じて前記スピンドルスクリュと前記スピンドルナットとの間の摩擦抵抗が変化する。
上記構成によれば、ドアの開閉動作時、螺合状態にあるスピンドルスクリュ及びスピンドルナットが相対回転しつつ、その螺合位置がスピンドルスクリュの軸方向に移動する。そして、このとき、スピンドルスクリュとスピンドルナットとの間の摩擦抵抗が大きい場合には、これらの摩擦抵抗が小さい場合よりも、そのスピンドルスクリュに対するスピンドルナットの螺合位置が移動し難くなる。つまりは、そのドアが開閉動作させるために、より大きな力が必要となる。
これを利用して、開閉動作位置を保持することなくドアを開閉動作させることが多い領域については、その螺合位置に応じたスピンドルスクリュとスピンドルナットとの摩擦抵抗が小さくなるように設定する。更に、ドアの開閉動作位置を保持することの多い領域に対応する螺合位置においては、そのスピンドルスクリュとスピンドルナットとの間の摩擦抵抗が大きくなるように設定する。そして、これにより、簡素な構成にて、効率よく、ドアの開閉動作位置を保持することができる。
即ち、ドアの保持位置に対応する螺合位置においては、この螺合位置に設定されたスピンドルスクリュとスピンドルナットとの間の摩擦抵抗に基づいて、安定的に、そのドアの開閉動作位置を保持することができる。そして、その位置保持の必要性が低い開閉動作位置においては、より小さな操作力で、円滑に、このドアを開閉動作させることができる。
態様2の車両用ドア装置は、態様1に記載の車両用ドア装置において、前記螺合位置の移動範囲において前記スピンドルナットが螺合する前記スピンドルスクリュの表面に設定された低摩擦抵抗区間及び高摩擦抵抗区間を有する。
上記構成によれば、容易且つ高精度に、その螺合位置に応じたスピンドルスクリュとスピンドルナットとの間の摩擦抵抗を設定することができる。即ち、高摩擦抵抗区間においては、そのスピンドルスクリュとスピンドルナットとの間の摩擦抵抗により、スピンドルスクリュに対するスピンドルナットの螺合位置が移動し難くなる。従って、上記構成によれば、スピンドルスクリュに対するスピンドルナットの螺合位置が高摩擦抵抗区間にある状態で、安定的に、そのドアの開閉動作位置を保持することができる。そして、その螺合位置が低摩擦抵抗区間にある状態においては、より小さな操作力で、円滑に、このドアを開閉動作させることができる。
態様3の車両用ドア装置は、態様2に記載の車両用ドア装置において、前記高摩擦抵抗区間の方が、前記低摩擦抵抗区間よりも前記スピンドルスクリュの表面粗さが大きい。
上記構成によれば、簡素な構成にて、容易に、そのスピンドルスクリュの表面に低摩擦抵抗区間及び高摩擦抵抗区間を設定することができる。
態様4の車両用ドア装置は、態様2又は態様3に記載の車両用ドア装置において、前記高摩擦抵抗区間は、前記スピンドルナットの表面に形成された微細な凹凸を有する。
上記構成によれば、簡素な構成にて、容易に、そのスピンドルスクリュの表面に、高摩擦抵抗区間を設定することができる。
態様5の車両用ドア装置は、態様2~態様4の何れか一つに記載の車両用ドア装置において、前記ドアの全開状態に対応する全開動作領域に設けられた前記高摩擦抵抗区間を有する。
即ち、車両のドアは、全開状態で保持される機会が多い。従って、上記構成によれば、簡素な構成にて、効率よく、ドアの開閉動作位置を保持することができる。
態様6の車両用ドア装置は、態様2~態様5の何れか一つに記載の車両用ドア装置において、複数の前記高摩擦抵抗区間を有する。
上記構成によれば、その各高摩擦抵抗区間に対応する複数の開閉動作位置において、効率よく、そのドアの開閉動作位置を保持することができる。
態様7の車両用ドア装置は、態様2~態様6の何れか一つに記載の車両用ドア装置において、前記高摩擦抵抗区間と前記低摩擦抵抗区間との間に、前記高摩擦抵抗区間よりも前記摩擦抵抗が小さく前記低摩擦抵抗区間よりも前記摩擦抵抗が大きい境界区間を有する。
上記構成によれば、高摩擦抵抗区間及び低摩擦抵抗区間に跨る螺合位置の移動によって、そのスピンドルスクリュとスピンドルナットとの間の摩擦抵抗が急変しないようにすることができる。そして、これにより、円滑なドアの開閉動作を担保することができる。
態様8の車両用ドア装置は、態様1~態様7の何れか一つに記載の車両用ドア装置において、前記ドアは、上下方向に前記開閉動作する跳ね上げドアである。
即ち、上下方向に開閉動作する跳ね上げドアには、自重により、このドアを下方移動、つまりは閉動作させる力が働くことになる。従って、上記構成に適用することで、より顕著な効果を得ることができる。
態様9の車両用ドア装置は、態様8に記載の車両用ドア装置において、前記螺合位置の移動範囲において前記スピンドルナットが螺合する前記スピンドルスクリュの表面に設定された高摩擦抵抗区間を有するとともに、前記高摩擦抵抗区間は、前記螺合位置に応じた前記スピンドルスクリュと前記スピンドルナットとの間の摩擦抵抗に基づき自重による前記ドアの閉動作を規制可能に構成される。
上記構成によれば、自重によりドアを閉動作させる力に抗して、安定的に、そのドアの開閉動作位置を保持することができる。
態様10の車両用ドア装置は、態様1~態様9の何れか一つに記載の車両用ドア装置において、前記スピンドルスクリュを回転駆動する駆動機構を備える。
即ち、スピンドルスクリュを回転駆動する駆動機構を有してドアを開閉動作させるパワードア装置においては、その駆動機構の小型化が重要な課題の一つとなる。
この点、上記構成によれば、簡素な構成にて、効率よく、ドアの開閉動作位置を保持することが可能になることで、その駆動機構を小型化することができる。例えば、従来技術に見られるようなブレーキ機構等、ドアの位置保持機構を廃止することができる。そして、これにより、ドアの開閉動作に必要な駆動力が低減することで、その駆動機構の小型化を図ることができる。その結果、車両に対する搭載性が向上する。また、その螺合位置の移動による軸方向長さの伸縮ストロークを延長することができる。そして、その効率的なドアの開閉駆動によって、省エネルギー化を図ることができる。
本発明によれば、簡素な構成にて、効率よく、ドアの開閉動作位置を保持することができる。
ドア装置が設けられた車両の側面図である。 ドア装置の側面図である。 ドア装置の断面図である。 互いに螺合するスピンドルスクリュ及びスピンドルナットの斜視図である。 スピンドルスクリュに対するスピンドルナットの螺合位置、螺合位置の移動範囲、並びに低摩擦抵抗区間及び高摩擦抵抗区間の説明図である。 スピンドルスクリュの表面に形成された微細な凹凸を模試的に示す断面図である。 別例のドア装置の説明図である。 別例のドア装置の説明図である。
以下、車両用ドア装置に関する一実施形態を図面に従って説明する。
(バックドア)
図1に示すように、車両1の後端に形成されたドア開口部2には、その上端部に回動支点X0を有して上下方向(図1中、左右方向)に開閉動作する跳ね上げドア4としての構成を有したバックドア5が設けられている。そして、このドア開口部2の幅方向両端部には、それぞれ、伸縮可能に構成された軸形状を有してバックドア5と車体7の間に介在された一対のドア装置10が設けられている。
(ドア装置)
詳述すると、図2及び図3に示すように、本実施形態のドア装置10は、同心状に配置された第1筒状部材21及び第2筒状部材22を備えている。また、このドア装置10は、これら第1筒状部材21及び第2筒状部材22の相対的な軸方向変位を許容する。そして、本実施形態のドア装置10は、これにより、その軸方向長さLが伸縮する構成になっている。
具体的には、本実施形態のドア装置10において、第1筒状部材21は、カバーチューブ31と、このカバーチューブ31の筒内に同軸配置されたガイドチューブ32と、を備えている。また、第2筒状部材22は、アウターチューブ33と、このアウターチューブ33の筒内に同軸配置されたインナーチューブ34と、を備えている。そして、これらの第1筒状部材21及び第2筒状部材22は、そのアウターチューブ33がカバーチューブ31よりも小径に形成されるとともに、そのインナーチューブ34がガイドチューブ32よりも小径に形成された構成となっている。
即ち、本実施形態のドア装置10においては、第1筒状部材21及び第2筒状部材22を組み付ける際、第2筒状部材22の第1端部22a側が、その第1筒状部材21の筒内に挿入される。具体的には、第2筒状部材22は、そのアウターチューブ33の第1端部33a側が、第1筒状部材21のカバーチューブ31内に挿入されるとともに、インナーチューブ34の第1端部34a側が、同じく第1筒状部材21のガイドチューブ32内に挿入される。そして、本実施形態のドア装置10は、これにより、これらの第1筒状部材21及び第2筒状部材22が、その軸方向の相対変位を許容する状態で同心状に配置される構成となっている。
尚、図2は、ドア装置10の軸方向長さLが伸長する方向に、その第1筒状部材21及び第2筒状部材22が相対変位することで、第1筒状部材21の第2端部21bから第2筒状部材22の第2端部22b側が突出した状態を示している。そして、図3は、ドア装置10の軸方向長さLが短縮する方向に、第1筒状部材21及び第2筒状部材22が相対変位することで、その第1筒状部材21の筒内に、その第2筒状部材22の略全体が没入した状態を示すものとなっている。
また、本実施形態のドア装置10は、その第1筒状部材21と第2筒状部材22との間に介在された圧縮コイルバネ40を備えている。本実施形態のドア装置10において、この圧縮コイルバネ40は、ガイドチューブ32とアウターチューブ33との間の隙間において、その第1筒状部材21及び第2筒状部材22と同軸に配置されている。また、本実施形態の圧縮コイルバネ40は、この状態で、その第1端部40aが、カバーチューブ31の第1端部31aに設けられた第1筒状部材21側の受圧面41に当接する。更に、この圧縮コイルバネ40は、その第2端部40bが、アウターチューブ33の第2端部33bに設けられた第2筒状部材22側の受圧面42に当接する。そして、これにより、本実施形態のドア装置10は、この圧縮コイルバネ40の弾性力に基づいて、その第1筒状部材21及び第2筒状部材22を、互いに相反する方向に付勢する。つまりは、その軸方向長さLが伸長する方向に付勢された構成となっている。
また、本実施形態のドア装置10は、第1筒状部材21を軸方向に延長する態様で、その第1端部21aに対して同軸に固定された略円筒状の第3筒状部材43を備えている。更に、本実施形態のドア装置10は、その軸方向両端に位置する第3筒状部材43の第1端部43a及び第2筒状部材22の第2端部22bに設けられた連結部材45,45を備えている。具体的には、本実施形態のドア装置10において、これら各連結部材45,45は、ボールジョイントの「ソケット」としての構成を有している。また、本実施形態の車両1においては、そのバックドア5及びドア開口部2に対し、それぞれ、これらの各連結部材45,45とともに、そのボールジョイントを形成する図示しない球状嵌合部材が設けられている。そして、本実施形態のドア装置10は、これにより、これらの各連結部材45,45が、車体7に対する回動連結点X1及びバックドア5に対する回動連結点X2を形成する状態で、そのバックドア5と車体7の間に介在される構成になっている(図1参照)。
即ち、図1に示すように、本実施形態のドア装置10は、車体7に対する回動連結点X1周りの回動及びバックドア5に対する回動連結点X2周りの回動を伴いながら、その第1筒状部材21及び第2筒状部材22の相対的な軸方向変位に基づき伸縮する。そして、本実施形態のドア装置10は、これにより、その車両後端のドア開口部2に設けられたバックドア5の開閉動作を許容する構成となっている。
尚、本実施形態の車両1において、ドア装置10は、バックドア5が全閉状態にある場合に、そのバックドア5に対する回動連結点X2が、車体7に対する回動連結点X1よりも下方に位置するように構成されている。また、このドア装置10は、バックドア5が全開状態にある場合に、そのバックドア5に対する回動連結点X2が、車体7に対する回動連結点X1よりも上方に位置するように構成されている。そして、本実施形態のドア装置10は、上記のように、その軸方向長さLが伸長する方向に第1筒状部材21及び第2筒状部材22を付勢する圧縮コイルバネ40の弾性力が、その開閉動作したバックドア5の自重を支える方向に働く構成となっている。
(スピンドルスクリュ、スピンドルナット、及び駆動機構)
また、図3及び図4に示すように、本実施形態のドア装置10は、第3筒状部材43に収容されたモータ50を駆動源として回転駆動されるスピンドルスクリュ51と、このスピンドルスクリュ51に螺合するスピンドルナット52と、を備えている。
本実施形態のドア装置10において、スピンドルスクリュ51は、第3筒状部材43の第2端部43bに設けられた軸受53によって回転可能に軸支されている。また、このスピンドルスクリュ51は、ガイドチューブ32の第1端部32aを介して当該ガイドチューブ32の筒内に挿入されることにより、このガイドチューブ32と同軸に配置されている。尚、本実施形態のガイドチューブ32は、軸受53に対して、その第1端部32aが固定されている。そして、スピンドルナット52は、上記のようにガイドチューブ32の第2端部32bを介して当該ガイドチューブ32の筒内に挿入されたインナーチューブ34の第1端部34aに対して同軸に固定されている。
つまり、本実施形態のスピンドルスクリュ51は、第1筒状部材21に対して相対回転可能且つ軸方向変位不能に支持されている。また、このスピンドルスクリュ51に螺合するスピンドルナット52は、第2筒状部材22に対して相対回転不能且つ軸方向変位不能に固定されている。更に、本実施形態のドア装置10において、そのモータケースとなる第3筒状部材43に収容されたモータ50の回転は、このモータ50と同軸に併置された減速機54を介してスピンドルスクリュ51に伝達される。そして、本実施形態のドア装置10は、これにより、そのモータ50を駆動源とした駆動機構55の作動により、バックドア5を開閉することのできるパワーバックドア装置60としての機能を有している。
即ち、本実施形態のドア装置10は、モータ駆動によりスピンドルスクリュ51が回転することで、このスピンドルスクリュ51に対するスピンドルナット52の螺合位置が、その軸方向に移動する。更に、この螺合位置の移動に基づいて、そのスピンドルスクリュ51を支持する第1筒状部材21とスピンドルナット52を支持する第2筒状部材22とが軸方向に相対変位する。そして、本実施形態のドア装置10は、これにより、その軸方向長さLが伸縮することで、バックドア5を開閉動作させることが可能となっている。
更に、本実施形態のドア装置10は、外部入力に基づいた軸方向長さLの伸縮によっても、そのスピンドルスクリュ51の回転を伴いつつ、その第1筒状部材21及び第2筒状部材22が軸方向に相対移動する。そして、これにより、その利用者が手動によりバックドア5の開閉操作を行うことが可能になっている。
尚、図4に示すように、本実施形態のスピンドルスクリュ51は、断面略台形状の螺子山を有した所謂「台形螺子」としての構成を有している。そして、本実施形態のドア装置10は、これにより、このスピンドルスクリュ51及びスピンドルナット52に対する軸力の入力によっても、円滑に、これらのスピンドルスクリュ51及びスピンドルナット52が相対回転することのできる構成となっている。
(スピンドルスクリュの摩擦抵抗設定)
次に、本実施形態のドア装置10に実装されたスピンドルスクリュ51の摩擦抵抗設定について説明する。
図5に示すように、本実施形態のドア装置10においては、バックドア5の開閉動作時、螺合状態にあるスピンドルスクリュ51及びスピンドルナット52が相対回転しつつ、その螺合位置Jがスピンドルスクリュ51の軸方向に沿って移動する。そして、本実施形態のドア装置10は、このバックドア5の開閉動作に連動して移動するスピンドルスクリュ51に対するスピンドルナット52の螺合位置Jに応じて、そのスピンドルスクリュ51とスピンドルナット52との摩擦抵抗が変化する構成になっている。
詳述すると、本実施形態のドア装置10は、バックドア5の開閉動作に連動した螺合位置Jの移動範囲αにおいて、そのスピンドルナット52が螺合するスピンドルスクリュ51の表面51sに設定された低摩擦抵抗区間αL及び高摩擦抵抗区間αHを有している。即ち、本実施形態のドア装置10において、高摩擦抵抗区間αHは、スピンドルスクリュ51に対するスピンドルナット52の螺合位置Jが移動する際の摩擦抵抗が、低摩擦抵抗区間αLよりも高くなっている。そして、本実施形態のドア装置10は、これにより、スピンドルスクリュ51に対するスピンドルナット52の螺合位置Jが高摩擦抵抗区間αHにある場合、その螺合位置Jが移動し難い。つまりは、バックドア5を開閉動作させる際、低摩擦抵抗区間αLよりも大きな力を必要とする構成になっている。
さらに詳述すると、本実施形態のドア装置10において、スピンドルスクリュ51は、スピンドルナット52との螺子対偶に基づいて、その軸方向に延在する螺合位置Jの移動範囲αを有している。更に、本実施形態のスピンドルスクリュ51は、この螺合位置Jの移動範囲αにおける一端側、即ちバックドア5の全開位置P1に対応する全開螺合位置J1を含む一方の軸方向端部51a近傍が、バックドア5の全開状態に対応した全開動作領域α1となっている。そして、本実施形態のドア装置10は、この全開動作領域α1に設けられた高摩擦抵抗区間αHを有している。
即ち、本実施形態の車両1においては、この全開動作領域α1にスピンドルスクリュ51に対するスピンドルナット52の螺合位置Jがある場合に、そのドア装置10に支持されたバックドア5が、略全開状態となる。また、本実施形態のドア装置10においては、そのスピンドルスクリュ51の軸方向に沿った螺合位置Jの移動範囲αにおける全開動作領域α1を除いた部分が低摩擦抵抗区間αLとなっている。換言すると、スピンドルスクリュ51は、その全開動作領域α1を形成する一方の軸方向端部51a近傍を除いたバックドア5の閉動作側が低摩擦抵抗区間αLとなる。つまりは、バックドア5の全閉位置P0に対応する全閉螺合位置J0を有した他方の軸方向端部51b側が低摩擦抵抗区間αLを形成する。そして、本実施形態のドア装置10は、これにより、その支持するバックドア5の円滑な開閉動作を担保しつつ、このバックドア5が全開状態にある場合に、その自重によるバックドア5の下方移動を規制可能に構成されている。つまりは、その螺合位置Jが高摩擦抵抗区間αHに位置するスピンドルスクリュ51とスピンドルナット52との摩擦抵抗に基づいて、その車両後端のドア開口部2に支持するバックドア5を全開状態に保持することが可能となっている。
(高摩擦抵抗区間の表面処理)
図6に示すように、本実施形態のスピンドルスクリュ51は、高摩擦抵抗区間αHにおいて、その表面51s、詳しくはスピンドルスクリュ51に螺着されたスピンドルナット52が相対回転する際の摺動面Sとなる部分に形成された微細な凹凸70を有している。
具体的には、本実施形態のドア装置10において、この微細な凹凸70は、スピンドルスクリュ51の表面51sに対し、図示しない粒状の投射材を吹き付けるショットブラスト加工により形成されている。尚、図6中には、その微細な凹凸70として、このショットブラスト加工によりスピンドルスクリュ51の表面51sに形成される凹部70xを模式的に図示する。また、ショットブラスト加工の投射材としては、例えば、ステンレス等の鋼材やガラス、或いはセラミックス等を用いることができる。そして、本実施形態のドア装置10は、これにより、その高摩擦抵抗区間αHを設定する部分について、低摩擦抵抗区間αLとなる部分よりも、スピンドルスクリュ51の表面粗さを大きくする構成となっている。
即ち、本実施形態のドア装置10においては、ショットブラスト加工によりスピンドルスクリュ51の表面粗さを大きくすることで、スピンドルナット52の摺動面Sとなる表面51sの摩擦係数が大きくなる。そして、本実施形態のドア装置10は、これにより、そのスピンドルスクリュ51に対するスピンドルナット52の螺合位置Jが移動する際の摩擦抵抗を大きくする構成となっている。
尚、本実施形態のドア装置10において、低摩擦抵抗区間αLについては、このようなショットブラスト加工が実行されない。即ち、本実施形態のドア装置10は、その低摩擦抵抗区間αLに設定されたスピンドルスクリュ51の表面51sに、上記のような微細な凹凸70を有していない。そして、本実施形態のドア装置10は、これにより、この低摩擦抵抗区間αLを形成するスピンドルスクリュ51の表面51sについて、その摩擦係数が小さい状態を維持する構成となっている。
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
スピンドルスクリュ51に対するスピンドルナット52の螺合位置Jが高摩擦抵抗区間αHにある場合には、そのスピンドルスクリュ51とスピンドルナット52との間の摩擦抵抗によって、これらの螺合位置Jが移動し難い。そして、これにより、その螺合位置Jに応じたバックドア5の開閉動作位置が安定的に保持される。
(効果)
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)ドア装置10は、互いに螺合するスピンドルスクリュ51及びスピンドルナット52を備えて車両1のバックドア5と車体7との間に介在される。更に、ドア装置10は、バックドア5の開閉動作に連動して、そのスピンドルスクリュ51に対するスピンドルナット52の螺合位置Jが移動する。そして、ドア装置10は、その螺合位置Jに応じて、スピンドルスクリュ51とスピンドルナット52との間の摩擦抵抗が変化する。
上記構成によれば、バックドア5の開閉動作時、螺合状態にあるスピンドルスクリュ51及びスピンドルナット52が相対回転しつつ、その螺合位置Jがスピンドルスクリュ51の軸方向に移動する。そして、このとき、スピンドルスクリュ51とスピンドルナット52との間の摩擦抵抗が大きい場合には、これらの摩擦抵抗が小さい場合よりも、そのスピンドルスクリュ51に対するスピンドルナット52の螺合位置Jが移動し難くなる。つまりは、そのバックドア5が開閉動作させるために、より大きな力が必要となる。
これを利用して、開閉動作位置を保持することなくバックドア5を開閉動作させることが多い領域については、その螺合位置Jに応じたスピンドルスクリュ51とスピンドルナット52との摩擦抵抗が小さくなるように設定する。更に、バックドア5の開閉動作位置を保持することの多い領域に対応する螺合位置Jにおいては、そのスピンドルスクリュ51とスピンドルナット52との間の摩擦抵抗が大きくなるように設定する。そして、これにより、簡素な構成にて、効率よく、バックドア5の開閉動作位置を保持することができる。
即ち、バックドア5の保持位置に対応する螺合位置Jにおいては、この螺合位置Jに設定されたスピンドルスクリュ51とスピンドルナット52との間の摩擦抵抗に基づいて、安定的に、バックドア5の開閉動作位置を保持することができる。そして、その位置保持の必要性が低い開閉動作位置においては、より小さな操作力で、円滑に、このバックドア5を開閉動作させることができる。
特に、上下方向に開閉動作する跳ね上げドア4としての構成を有するバックドア5においては、自重により、このバックドア5を下方移動、つまりは閉動作させる力が働くことになる。このため、その高摩擦抵抗区間αHにおいては、自重によるバックドア5の閉動作が規制されるように構成する。そして、これにより、より効率よく、バックドア5の開閉動作位置を保持することができる。
また、スピンドルスクリュ51を回転駆動する駆動機構55を有してバックドア5を開閉動作させるパワーバックドア装置60としての構成を有するドア装置10においては、その駆動機構55の小型化が重要な課題の一つとなる。
この点、上記構成によれば、簡素な構成にて、効率よく、バックドア5の開閉動作位置を保持することが可能になることで、その駆動機構55を小型化することができる。例えば、従来技術に見られるようなブレーキ機構等、バックドア5の位置保持機構を廃止することができる。そして、これにより、バックドア5の開閉動作に必要な駆動力を低減することで、その駆動源となるモータ50を含め、駆動機構55の小型化を図ることができる。その結果、車両1に対する搭載性が向上する。また、軸方向長さLの伸縮ストロークを延長することができる。そして、その効率的なバックドア5の開閉駆動によって、省エネルギー化を図ることができる。
(2)ドア装置10は、スピンドルスクリュ51の軸方向に沿った螺合位置Jの移動範囲αにおいて、そのスピンドルナット52が螺合するスピンドルスクリュ51の表面51sに設定された低摩擦抵抗区間αL及び高摩擦抵抗区間αHを有する。
上記構成によれば、容易且つ高精度に、その螺合位置Jに応じたスピンドルスクリュ51とスピンドルナット52との間の摩擦抵抗を設定することができる。即ち、高摩擦抵抗区間αHにおいては、そのスピンドルスクリュ51とスピンドルナット52との間の摩擦抵抗により、スピンドルスクリュ51に対するスピンドルナット52の螺合位置Jが移動し難くなる。従って、上記構成によれば、スピンドルスクリュ51に対するスピンドルナット52の螺合位置Jが高摩擦抵抗区間αHにある状態で、安定的に、そのバックドア5の開閉動作位置を保持することができる。そして、その螺合位置Jが低摩擦抵抗区間αLにある状態においては、より小さな操作力で、円滑に、このバックドア5を開閉動作させることができる。
(3)高摩擦抵抗区間αHの方が、低摩擦抵抗区間αLよりも、そのスピンドルスクリュ51の表面粗さが大きい。これにより、簡素な構成にて、容易に、そのスピンドルスクリュ51の表面51sに低摩擦抵抗区間αL及び高摩擦抵抗区間αHを設定することができる。
(4)高摩擦抵抗区間αHは、スピンドルスクリュ51の表面51sに形成された微細な凹凸70を有する。これにより、簡素な構成にて、容易に、そのスピンドルスクリュ51の表面51sに、高摩擦抵抗区間αHを設定することができる。
(5)ドア装置10は、バックドア5の全開状態に対応する全開動作領域α1において、その螺合位置Jの移動範囲αに設けられた高摩擦抵抗区間αHを有する。
即ち、車両1のバックドア5は、全開状態で保持される機会が多い。従って、上記構成によれば、簡素な構成にて、効率よく、そのバックドア5の開閉動作位置を保持することができる。
(6)ショットブラスト加工を用いてスピンドルスクリュ51の表面51sに微細な凹凸70を形成する。
このような構成を採用することで、螺合位置Jの移動範囲αにおける任意の螺合位置Jについて、その微細な凹凸70の形成によるスピンドルスクリュ51の表面粗さを制御することができる。そして、これにより、精度よく、スピンドルスクリュ51の表面51sに対し、そのスピンドルナット52の螺合位置Jに応じた摩擦係数を設定する。即ち、これらのスピンドルスクリュ51とスピンドルナット52との間の摩擦抵抗を自在に設定することができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、バックドア5の全開状態に対応する全開動作領域α1において、その螺合位置Jの移動範囲αに設けられた高摩擦抵抗区間αHを有することとした。しかし、これに限らず、高摩擦抵抗区間αHを設定する位置については、その螺合位置Jの移動範囲αにおいて、任意に変更してもよい。例えば、バックドア5の姿勢が横向きとなる中間の開閉動作位置に対応して、その高摩擦抵抗区間αHを設定してもよい。即ち、バックドア5を支持するドア装置10の負荷は、多くの場合、このような中間の開閉動作位置にバックドア5がある場合に最大となる。従って、このような構成を採用しても、効率よく、バックドア5の開閉動作位置を保持することができる。そして、例えば、バックドア5の全閉位置P0に対応する全閉螺合位置J0近傍に高摩擦抵抗区間αHを有する構成であってもよい。
・また、図7に示す別例のドア装置10Bのように、複数の高摩擦抵抗区間αHを有する構成としてもよい。このような構成を採用することで、その各高摩擦抵抗区間αHに対応する複数の開閉動作位置において、効率よく、そのバックドア5の開閉動作位置を保持することができる。
・更に、図8に示す別例のドア装置10Cのように、高摩擦抵抗区間αHと低摩擦抵抗区間αLとの間に、高摩擦抵抗区間αHよりも摩擦抵抗が小さく低摩擦抵抗区間αLよりも摩擦抵抗が大きい境界区間αMを設定してもよい。
上記構成によれば、高摩擦抵抗区間αH及び低摩擦抵抗区間αLに跨る螺合位置Jの移動によって、そのスピンドルスクリュ51とスピンドルナット52との間の摩擦抵抗が急変しないようにすることができる。そして、これにより、円滑なバックドア5の開閉動作を担保することができる。
特に、パワーバックドア装置60としての構成を有するドア装置10においては、そのスピンドルスクリュ51とスピンドルナット52との間の摩擦抵抗が大きく変化することで、バックドア5の開閉動作速度もまた大きく変化することになる。しかしながら、上記のような境界区間αMを設けることで、このような不連続な開閉動作速度の変化を抑制することができる。そして、これにより、高い質感を確保することができる。
・更に、螺合位置Jに応じて、そのスピンドルスクリュ51とスピンドルナット52との間の摩擦抵抗が徐々に変化する構成であってもよい。このような構成を採用することで、より円滑にバックドア5を開閉動作させることができる。
・上記実施形態では、ショットブラスト加工を用いてスピンドルスクリュ51の表面51sに微細な凹凸70を形成する。そして、これにより、スピンドルスクリュ51の表面粗さを大きくして、その摩擦係数を大きくすることで、その高摩擦抵抗区間αHを設定することとした。しかし、これに限らず、例えば、ディンプル加工やライン加工等、その他の加工方法を用いてスピンドルスクリュ51の表面51sに微細な凹凸70を形成する構成としてよい。また、薬品を用いた化学処理によって、スピンドルスクリュ51の表面51sを荒らす、つまりは表面粗さを大きくすることで、その摩擦係数を大きくしてもよい。そして、例えば、研磨や化学処理等により、表面粗さを小さくして、摩擦係数を小さくすることにより、その低摩擦抵抗区間αLを形成してもよい。このような構成を採用しても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
・上記実施形態では、駆動機構55を有して跳ね上げ式のバックドア5を開閉動作させるパワーバックドア装置60としての構成を有するドア装置10に具体化した。しかし、これに限らず、駆動機構55を有しない手動式の構成に適用してもよい。また、バックドア5以外の車両1のドアに適用してもよい。そして、ドアの型式についてもまた、例えば、スイングドア等、必ずしも跳ね上げドア4でなくともよい。
1…車両
5…バックドア(ドア)
7…車体
10…ドア装置
51…スピンドルスクリュ
52…スピンドルナット
J…螺合位置

Claims (10)

  1. 互いに螺合するスピンドルスクリュ及びスピンドルナットを備えて車両のドアと車体との間に介在されることにより前記ドアの開閉動作に連動して前記スピンドルスクリュに対する前記スピンドルナットの螺合位置が移動するとともに、
    前記螺合位置に応じて前記スピンドルスクリュと前記スピンドルナットとの間の摩擦抵抗が変化する車両用ドア装置。
  2. 請求項1に記載の車両用ドア装置において、
    前記螺合位置の移動範囲において前記スピンドルナットが螺合する前記スピンドルスクリュの表面に設定された低摩擦抵抗区間及び高摩擦抵抗区間を有すること、
    を特徴とする車両用ドア装置。
  3. 請求項2に記載の車両用ドア装置において、
    前記高摩擦抵抗区間の方が、前記低摩擦抵抗区間よりも前記スピンドルスクリュの表面粗さが大きいこと、を特徴とする車両用ドア装置。
  4. 請求項2に記載の車両用ドア装置において、
    前記高摩擦抵抗区間は、前記スピンドルナットの表面に形成された微細な凹凸を有すること、を特徴とする車両用ドア装置。
  5. 請求項2に記載の車両用ドア装置において、
    前記ドアの全開状態に対応する全開動作領域に設けられた前記高摩擦抵抗区間を有すること、を特徴とする車両用ドア装置。
  6. 請求項2に記載の車両用ドア装置において、
    複数の前記高摩擦抵抗区間を有すること、を特徴とする車両用ドア装置。
  7. 請求項2に記載の車両用ドア装置において、
    前記高摩擦抵抗区間と前記低摩擦抵抗区間との間に、前記高摩擦抵抗区間よりも前記摩擦抵抗が小さく前記低摩擦抵抗区間よりも前記摩擦抵抗が大きい境界区間を有すること、
    を特徴とする車両用ドア装置。
  8. 請求項1~請求項7の何れか一項に記載の車両用ドア装置において、
    前記ドアは、上下方向に前記開閉動作する跳ね上げドアであること、
    を特徴とする車両用ドア装置。
  9. 請求項8に記載の車両用ドア装置において、
    前記螺合位置の移動範囲において前記スピンドルナットが螺合する前記スピンドルスクリュの表面に設定された高摩擦抵抗区間を有するとともに、
    前記高摩擦抵抗区間は、前記螺合位置に応じた前記スピンドルスクリュと前記スピンドルナットとの間の摩擦抵抗に基づき自重による前記ドアの閉動作を規制可能に構成されること、を特徴とする車両用ドア装置。
  10. 請求項1~請求項7の何れか一項に記載の車両用ドア装置において、
    前記スピンドルスクリュを回転駆動する駆動機構を備えること、
    を特徴とする車両用ドア装置。
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