JP2024019049A - 移動式クレーンのための非常動作バルブブロック - Google Patents

Abstract

【課題】非常動作バルブブロックを提供する。【解決手段】非常動作バルブブロック（１）は、バルブブロックを移動式クレーンの非常駆動部に液圧接続する駆動ポート（２）と、バルブブロックを移動式クレーンの１つの駆動機構にそれぞれ液圧接続する少なくとも２つの駆動機構ポート（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）と、駆動機構ポートの１つにそれぞれ割り当てられ、前記駆動ポートと当該駆動ポートにそれぞれ割り当てられた前記駆動機構ポートとの間の液圧接続を選択的に開放又は閉鎖するように設計された少なくとも２つの閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）と、駆動ポートの圧力側（２Ａ）及び戻り側（２Ｂ）と、駆動機構ポートの対応する側との間の液圧接続を選択的に逆転させるように設計された作動バルブ（５）とを備える。また、本発明は、当該非常動作バルブブロックを備える移動式クレーンに関する。【選択図】図１

Description

本発明は、クレーン駆動機構への主な動力の供給が行われなくなったときに、独立した非常動力源による供給によって、液圧液（hydraulic fluid）をクレーン駆動機構により確実に供給することができるバルブブロックに関する。また、本発明は、このようなバルブブロックを備え、当該バルブブロックを用いて、非常動力源による供給を介してクレーン駆動機構に液圧液を供給することができる移動式クレーンに関する。

クレーンの機能には、例えば、吊りケーブルに接する荷の上げ下げ、クレーンのブームの上下（luffing in or out）、クレーンの車台に対するクレーンの上部構造の回転などがある。通常、クレーンの機能は、例えば、移動式クレーンにある液圧モータ又は液圧シリンダなどの液圧ユニットによって行われる。後者の液圧シリンダは、液圧液の体積流（volume flow）を供給するために、液圧導管を介して液圧シリンダに接続された液圧ポンプによって順番に駆動される。損傷時にクレーンの必須の機能を続行できるようにするために、主駆動システムとは独立した駆動システムを設けることが望まれ、法的な要件になっていることさえある。

いわゆる「トランスフォーマ」は、このような独立した動力源の一例であり、本質的には、外部の液圧源によって駆動されて、液圧ギアポンプに駆動出力を供給するギアモータとポンプとの組合せによって構成されている。外部の液圧源は、例えば、他のクレーンによって設けられるか、又は「パワーパック」と呼ばれる液圧ユニットによって設けられ得る。ギアポンプは、例えば、受けクレーン（receiving crane）の上部構造のタンクから液圧液を回収し、供給されるべき駆動機構に液圧及び体積流を供給することができる。これは液圧式の主駆動システムと関連しないので、駆動機構は、低減された出力で駆動される。

従来の非常駆動システムは、多数のバルブを備えている。当該多数のバルブは、望まれる駆動機構を望まれる方法で動作させるために、手動且つ正確に定められた方法で操作される必要がある。また、従来、これらのシステムは、クレーンに個別に適合し、多数の液圧部品から構築されている。当該多数の液圧部品は、しばしば作業員には不明確な方式で、パイプと共に取り付けられている。そのため、これらのシステムは、通常、望ましくない漏れを示しがちであり、少なくない設置スペースを占める。これらのシステムの不明確な配置は、しばしば誤操作につながる。

本発明の目的は、これを改善することにあって、作業員が容易に理解でき、コンパクトで手入れが少なく済む装置を提供することにある。この装置によって、個々のクレーン駆動機構を非常駆動部に接続し、当該非常駆動部によって駆動させることができる。

当該目的は、本発明に係るバルブブロックによって達成される。
当該バルブブロックは、
バルブブロックを移動式クレーンの非常駆動部に液圧接続する駆動ポートと、
バルブブロックを移動式クレーンの１つの駆動機構にそれぞれ液圧接続する少なくとも２つの駆動機構ポートと、
駆動機構ポートの１つにそれぞれ割り当てられ、駆動ポートと、当該駆動ポートにそれぞれ割り当てられた駆動機構ポートとの間の液圧接続を選択的に開放又は閉鎖するように設計された少なくとも２つの閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）と、
駆動ポートの圧力側及び戻り側と、駆動機構ポートの対応する側との間の液圧接続を選択的に逆転させるように設計された作動バルブと、
を備える。

本発明によれば、個々のバルブは、コンパクトなユニットに統合される。したがって、従来技術の対応する装置のように、個々のバルブの間に管を設けること、又はチューブを設けることさえも省くことができる。代替として、個々のバルブ、及び他の液圧部品もまた、バルブブロックの本体内に形成された流路によって液圧接続される。これにより、バルブ間に管又はチューブが設けられる既知のシステムと比較して、維持コストのみならず、バルブシステムが占める設置体積も大幅に減少させることができる。

個々のバルブを収容するバルブブロックは、単一の本体として実現する必要はなく、代わりにモジュール式に構成され、互いに液圧接続された複数のモジュール本体を備えることもできる。このとき、異なる設置状況、例えば、異なる種類及び数のクレーン駆動機構を有する異なる種類のクレーンに、バルブブロックを適合させるために、例えば、本発明に係るバルブブロックを改造することができる。また、個々の液圧部品を、メンテナンスや修理のためにバルブブロックの残りの部分から外すことだけでなく、新しい部品と交換することもできる。

一実施形態によれば、バルブブロックは、以下のクレーン駆動機構のうちの少なくとも２つの各々のための駆動機構ポートを備える。
－クレーンの上部構造をクレーンの車台に対して回転させる旋回機構
－クレーンのブームを上下させるラッフィング機構
－吊りケーブルに吊られた荷を上げ下げする引き上げ機構

本発明に係るバルブブロックは、任意のクレーン駆動機構を非常駆動部に接続するために、当該任意のクレーン駆動機構のための駆動機構ポートを提供することができる。

別の実施形態によれば、閉鎖バルブ及び／又は作動バルブは、ハンドレバーによって操作されるように設計されている。閉鎖バルブの操作は、特に、複数の閉鎖バルブの同時開放を抑制するようにされている。

各バルブは、ハンドレバーを有することができる。当該ハンドレバーによって、作業員は、バルブを望まれる位置に動かすことができる。誤操作を防ぐために、レバーは、関連するバルブが開放される位置、すなわち、対応するクレーン駆動機構が非常駆動部に接続される位置に、作業員によって動かされると、１つのレバーが他の各レバーの操作を物理的に妨げるように設計されることができる。

したがって、非常駆動部と１つのクレーン駆動機構との間にのみ、液圧接続が存在することができる。その結果、他のクレーン駆動機構による制御不能な位置移動は、起こり得ない。

また、閉鎖バルブに共通のハンドレバーを設けることもできる。閉鎖バルブの各々は、ハンドレバーが取り外し可能に結合可能なツールインターフェースを有する。この方法においても、複数のバルブが同時に開放され、複数のクレーン駆動機構と非常駆動部との間に液圧接続が存在する状況を回避することができる。レバーは、開放されるバルブに接続される前に、まずその前に操作されたバルブから取り外される必要がある。このことは、前に操作されたバルブをまず閉鎖するということを作業員に指示する別の指示を提供する。

別の方法として、共に設けられたハンドレバーと個々のバルブとの結合は、バルブが閉鎖位置にあるときにのみ、レバーがバルブから取り外せるようにされることもできる。

バルブブロックの操作は、ハンドレバー又は閉鎖バルブのツールインターフェースが、バルブブロック上に、特に隣り合って、同様に配置及び／又は整列されることにより、更に簡易にされ得る。この方法により、作業員は、利用可能な全てのバルブ及び／又はその操作レバーを同時に識別することができる。バルブが同様に配置されている場合、全てのバルブの各々の作動位置も、同時に識別され得る。例えば、バルブは、ハンドレバー及び／又はツールインターフェースの特定の空間方向が、全てのバルブにおいて、同じ作動位置、例えば「開放」又は「閉鎖」を示すように、配置されることができる。

ハンドレバー又は閉鎖バルブのツールインターフェースは、ハンドレバー又はツールインターフェースの位置に、特に駆動ポートと、当該駆動ポートに割り当てられている各駆動機構ポートとの間の液圧接続を閉鎖する位置に、機械的に固定されることもできる。これにより、個々のバルブが制御不能に開放されるのを抑えることができる。

バルブの作動位置を容易に明らかにするために、閉鎖バルブ、特に当該閉鎖バルブのツールインターフェース又はハンドレバーは、ツールインターフェース又はハンドレバー上に、特に凹形状又は突出形状の位置表示器を表すことができる。特に、全てのバルブが同様に配置及び／又は整列されている場合、全てのバルブの位置がすぐに分かる。

駆動ポートと各駆動機構ポートとの間の液圧接続を開放及び／又は閉鎖するために、バルブの任意の適切な設計が考えられる。本発明において、回転滑り弁（rotary slide valves）は、コンパクトな設計であるので、閉鎖バルブの好適な実施形態である。閉鎖バルブは、６つの液圧ポートを２つの異なるバルブ位置にそれぞれ接続可能な６／２方弁（6/2-way valves）として形成されることもできる。作動バルブにも、原則として、任意の適切な実施形態が考えられる。しかしながら、作動バルブにおいても、回転滑り弁は、コンパクトであり、好適な実施形態である。また、作動バルブは、５つの液圧ポートを３つの異なる位置に相互に接続する５／３方弁（5/3-way valve）として形成されることもできる。

駆動機構ポートの１つにそれぞれ割り当てられた閉鎖バルブの機能は、駆動ポートと各駆動機構ポートとの間の液圧接続の開放及び／又は閉鎖である。したがって、非常駆動部によって駆動されるべきクレーン駆動機構は、閉鎖バルブによって予め選択されることができる。ここで、作動バルブは、駆動される各クレーン駆動機構の移動方向又は回転方向を定める役割だけでなく、駆動ポートと各駆動機構ポートとの間の液圧接続を閉鎖する追加の方法を提供する役割にも割り当てられ得る。すなわち、駆動されるべきクレーン駆動機構が閉鎖バルブによって選択されると、液圧接続は、対応するクレーン駆動機構を非常駆動部によって直接駆動するために、クレーン駆動機構の望まれる動作方向に対応する方向への作動バルブの開放によって、最終的に開放され得る。

クレーン駆動機構の動作方向は、どの駆動機構の液圧供給導管が、作動バルブを介して駆動ポートの圧力側及び／又は戻り側に接続されるかに応じて決まる。全ての駆動機構ポートにおいて作動バルブの機能を利用するために、駆動ポートと駆動機構ポートとの間の液圧接続において、駆動ポートと閉鎖バルブとの間には、作動バルブが配置され得る。または、各駆動機構ポートに、個別の作動バルブを設けることもできる。当該作動バルブは、対応する閉鎖バルブと、当該閉鎖バルブに割り当てられた駆動ポートとの間に配置される。

他の実施形態において、作動バルブは、
基本位置において、閉鎖バルブの少なくとも１つに供給圧を供給し、特に、駆動ポートの圧力側から戻り側への液圧液の循環を可能にすること、
開放位置において、閉鎖バルブに作動圧を供給すること、
特に、基本位置と、開放位置の１つとの間に位置する中間位置において、閉鎖バルブの少なくとも１つに供給圧を供給し、特に、駆動ポートの圧力側から戻り側への液圧液の循環を妨げること、
を行うように設計されることができる。

また、作動バルブは、基本位置にあるとき、少なくとも１つの閉鎖バルブに供給圧を供給しないように設計されることもできる。

個々のクレーンの機能のために、バルブブロックは、重力によるクレーン駆動機構の戻り動作を抑える、１つ以上の下降ブレーキバルブを備えることができる。バルブブロックは、対応する駆動機構ポートの戻り側と駆動ポートとの間の液圧接続を選択的に開放又は閉鎖するように設計された少なくとも１つの下降ブレーキバルブを備えることができる。作動バルブは、下降ブレーキバルブ又は複数の下降ブレーキバルブに作動圧を供給することもできる。

一実施形態のバルブブロックは、回転滑り弁として設計可能なバルブからの漏れを回収するために、少なくとも１つの液圧接続を備える。当該液圧接続は、閉鎖バルブの少なくとも１つ及び／又は作動バルブから漏れ出た液圧液を、駆動ポートに戻すのに役立つ。

本発明に係る別の態様は、非常駆動部と、特に上部構造に割り当てられた少なくとも２つのクレーン駆動機構と、前述の実施形態のうちの１つの非常動作バルブブロックとを備える移動式クレーンに関する。

以下、本発明の好適な実施形態を、添付図面を参照しながら更に詳細に説明する。本発明は、本明細書に記載された任意の特徴を、個別に又は任意の便利な組合せで備えることができる。

図１は、本発明に係る非常動作バルブブロックの斜視図である。 図２は、図１のバルブブロックの液圧回路を示す概略図である。

図１には、本発明に係るバルブブロック１が示されている。バルブブロック１は、ベース本体１０を備えている。ベース本体１０には、３つの閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃと、作動バルブ５と、下降ブレーキバルブ９とが取り付けられ、それらの内部流体路がベース本体１０の内部流体路と流体接続している。そのため、本発明に係るバルブブロック１の個々の液圧部品の間に、管又はチューブを設ける必要はない。その代わりに、この場合には、液圧液は、シール接触面を介して互いに接続された個々の部品の間で「直接」移送される。

図１に示すバルブブロックは、３つの同様の閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃを備えている。各閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃは、クレーン駆動機構、例えば、移動式クレーンの旋回機構、ラッフィング機構、及び引き上げ機構に割り当てられている。この目的のために、各閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃは、対応する駆動機構ポート３Ａ，３Ｂ，３Ｃに液圧接続されている。図１には、駆動機構ポート３Ａ，３Ｂ，３Ｃのうち、ベース本体１０の前側に配置された３つのみが示されている。駆動機構ポート３Ａ，３Ｂ，３Ｃは、クレーンの個々の駆動機構に同様に接続されている。

閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃは、同様に設計されて、ベース本体１０上で同一の列に配置されている。閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃは、各ツールインターフェース７に着脱可能に結合されたハンドレバー（図示せず）によって、操作されることができる。

各バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃの位置は、ツールインターフェース７の端面に加工されたスロット８によって示される。ここで、ベース本体１０に添付（affixed）された説明（legend）は、スロット８の位置を理解するのに役立つ。スロット８が縦であり、設置位置にあるとき、クレーンの正常動作のための通常位置が表され、駆動機構ポート３Ａ，３Ｂ，３Ｃへの液圧接続は閉鎖されている。スロット８が横であるとき、対応する閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃは開放されており、非常動作モードにおいて、対応する駆動機構ポート３Ａ，３Ｂ，３Ｃに接続されたクレーン駆動機構に液圧液が供給されるようになっている。

液圧液が駆動機構ポート３Ａ，３Ｂ，３Ｃを介してクレーン駆動機構に制御不能に供給されることを防止するために、個々のツールインターフェース７は、バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃが閉鎖位置にあるとき、例えば、図１に示す折り曲げられたピンによって、機械的に定位置に固定され得る。

また、バルブブロック１は、作動バルブ５を備えている。作動バルブ５は、一方において各閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃに接続され、他方において駆動ポート２に接続されている。閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃと駆動ポート２との間の液圧接続は、ハンドレバー６の位置に応じて、閉鎖又は開放される。また、駆動ポート２の圧力側２Ａ及び戻り側２Ｂは、クレーン駆動機構の移動方向を予め決定するように、作動バルブ５を介して、駆動機構ポート３Ａ，３Ｂ，３Ｃのそれぞれの側に割り当てられている。

重力によって引き起こされる、クレーン駆動機構による意図しない位置移動を抑制するために、バルブブロック１は、対応する駆動機構ポート３Ａ，３Ｂ，３Ｃのための下降ブレーキバルブ９を備えている。

図１に見られるように、閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃ、作動バルブ５、及び下降ブレーキバルブ９は、ベース本体１０にねじ止めされ、それらの各々の接触面は、各モジュール本体を通じて延びる流体路を封じている。バルブブロック１の当該モジュール構造によって、個々の部品を迅速に交換することだけではなく、異なる部品を、バルブブロック１の個別の設置状況に応じて、例えば、種類の異なるクレーンにおいて、選択的に取り付けることも可能になる。

図２は、図１に示すバルブブロック１の液圧回路図である。図２を参照しながら、バルブブロック１の機能と動作について説明する。

基本位置
液圧液の体積流は、トランスフォーマによって、駆動ポート２の圧力側２Ａを介して供給される。図２に示す作動バルブ５の基本位置において、液圧液は、圧力側２Ａを循環する。ここで、圧力制限バルブＤＢＶ２は、約３０バールで開放し、供給圧を制限する。作動バルブ５が基本位置にあるとき、供給圧は、全ての閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃに加えられる。

旋回機構の機能の説明
閉鎖バルブ４Ａが開放されると、供給圧は、閉鎖バルブ４Ａを介して、旋回機構のブレーキＢＲに接続するためのバルブ（図示せず）に加えられる。

作動バルブ５が最上位置に動かされて開放されると、作動圧は、すぐに全ての閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃに加わる。液圧液は、開放された閉鎖バルブ４Ａを通過し、ポートＨ５を介して旋回機構モータに至り、上部構造を旋回させる。モータから戻る液圧液は、ポートＨ４、閉鎖バルブ４Ａ、作動バルブ５、圧力制限バルブＤＢＶ２、及び駆動ポート２の戻り側２Ｂを介して液圧液タンクに戻される。作動圧は、圧力制限バルブＤＢＶ１によって１９５バールに制限される。

昇降機構の機能の説明
作動バルブ５が閉鎖されているときに閉鎖バルブ４Ｂが開放されると、液圧液は、供給圧でポートＨ２に流れ、ポートＨ２に接続された吊り上げ機構ブレーキが開放される。

作動バルブ５が開放（最上位置）されると、液圧液が高圧で吊り上げ機構モータに送られる。これにより、荷が吊り上げられる。モータから戻る液圧液は、閉鎖バルブ４Ｂ、作動バルブ５、及び圧力制限バルブＤＢＶ２を通じて流れ、タンクに戻る。作動圧は、圧力制限バルブＤＢＶ１によって１９５バールに制限される。

荷を下降させるために、作動バルブ５は、その最下位置まで動かされる。これにより、モータから戻る液圧液は、下降ブレーキバルブ９Ａに加えられる。下降ブレーキバルブ９Ａには、圧力側２Ａを介して作動圧が追加で加えられる。下降ブレーキバルブ９Ａは、この追加の圧力によって開放される。そのため、荷を吊り上げる液圧液は、作動バルブ５及び圧力制限バルブＤＢＶ２を介して、タンクに向かって流出し得る。荷は、下降する。モータから戻る液圧液は、閉鎖バルブ４Ｂ、作動バルブ５、及び圧力制限バルブＤＢＶ２を通じ、タンクに戻る。

ラッフィング機構の機能の説明
クレーンのブームを上昇させるとき、液圧液は、開放された作動バルブ５（最上位置）を高圧で通過し、開放された閉鎖バルブ４Ｃを通り、ポートＨ８及び当該ポートＨ８に接続されたラッフィングシリンダに至る。これにより、ラッフィングシリンダが伸び、ブームは上昇する。シリンダからの戻る液圧液は、クレーンのバルブマニホールド（図示せず）を介して流れ、タンクに戻る。

クレーンのブームを下降させるとき、作動バルブ５は、その最下位置に動かされる。これにより、液圧液は、オリフィスＮ２を通過し、減圧バルブ９Ｂに至る。ラッフィングシリンダがゆっくりと引き込まれ、ブームは下降する。シリンダから戻る液圧液は、クレーンのバルブマニホールド（図示せず）を介して流れ、タンクに戻る。

本発明は、クレーン駆動機構への主な動力の供給が行われなくなったときに、独立した非常動力源による供給によって、液圧液（hydraulic fluid）をクレーン駆動機構により確実に供給することができるバルブブロックに関する。また、本発明は、このようなバルブブロックを備え、当該バルブブロックを用いて、非常動力源による供給を介してクレーン駆動機構に液圧液を供給することができる移動式クレーンに関する。

クレーンの機能には、例えば、吊りケーブルに接する荷の上げ下げ、クレーンのブームの上下（luffing in or out）、クレーンの車台に対するクレーンの上部構造の回転などがある。通常、クレーンの機能は、例えば、移動式クレーンにある液圧モータ又は液圧シリンダなどの液圧ユニットによって行われる。後者の液圧シリンダは、液圧液の体積流（volume flow）を供給するために、液圧導管を介して液圧シリンダに接続された液圧ポンプによって順番に駆動される。損傷時にクレーンの必須の機能を続行できるようにするために、主駆動システムとは独立した駆動システムを設けることが望まれ、法的な要件になっていることさえある。

いわゆる「トランスフォーマ」は、このような独立した動力源の一例であり、本質的には、外部の液圧源によって駆動されて、液圧ギアポンプに駆動出力を供給するギアモータとポンプとの組合せによって構成されている。外部の液圧源は、例えば、他のクレーンによって設けられるか、又は「パワーパック」と呼ばれる液圧ユニットによって設けられ得る。ギアポンプは、例えば、受けクレーン（receiving crane）の上部構造のタンクから液圧液を回収し、供給されるべき駆動機構に液圧及び体積流を供給することができる。これは液圧式の主駆動システムと関連しないので、駆動機構は、低減された出力で駆動される。

従来の非常駆動システムは、多数のバルブを備えている。当該多数のバルブは、望まれる駆動機構を望まれる方法で動作させるために、手動且つ正確に定められた方法で操作される必要がある。また、従来、これらのシステムは、クレーンに個別に適合し、多数の液圧部品から構築されている。当該多数の液圧部品は、しばしば作業員には不明確な方式で、パイプと共に取り付けられている。そのため、これらのシステムは、通常、望ましくない漏れを示しがちであり、少なくない設置スペースを占める。これらのシステムの不明確な配置は、しばしば誤操作につながる。

本発明の目的は、これを改善することにあって、作業員が容易に理解でき、コンパクトで手入れが少なく済む装置を提供することにある。この装置によって、個々のクレーン駆動機構を非常駆動部に接続し、当該非常駆動部によって駆動させることができる。

当該目的は、本発明に係るバルブブロックによって達成される。
当該バルブブロックは、
バルブブロックを移動式クレーンの非常駆動部に液圧接続する駆動ポートと、
バルブブロックを移動式クレーンの１つの駆動機構にそれぞれ液圧接続する少なくとも２つの駆動機構ポートと、
駆動機構ポートの１つにそれぞれ割り当てられ、駆動ポートと、当該駆動ポートにそれぞれ割り当てられた駆動機構ポートとの間の液圧接続を選択的に開放又は閉鎖するように設計された少なくとも２つの閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）と、
駆動ポートの圧力側及び戻り側と、駆動機構ポートの対応する側との間の液圧接続を選択的に逆転させるように設計された作動バルブと、
を備える。

本発明によれば、個々のバルブは、コンパクトなユニットに統合される。したがって、従来技術の対応する装置のように、個々のバルブの間に管を設けること、又はチューブを設けることさえも省くことができる。代替として、個々のバルブ、及び他の液圧部品もまた、バルブブロックの本体内に形成された流路によって液圧接続される。これにより、バルブ間に管又はチューブが設けられる既知のシステムと比較して、維持コストのみならず、バルブシステムが占める設置体積も大幅に減少させることができる。

個々のバルブを収容するバルブブロックは、単一の本体として実現する必要はなく、代わりにモジュール式に構成され、互いに液圧接続された複数のモジュール本体を備えることもできる。このとき、異なる設置状況、例えば、異なる種類及び数のクレーン駆動機構を有する異なる種類のクレーンに、バルブブロックを適合させるために、例えば、本発明に係るバルブブロックを改造することができる。また、個々の液圧部品を、メンテナンスや修理のためにバルブブロックの残りの部分から外すことだけでなく、新しい部品と交換することもできる。

一実施形態によれば、バルブブロックは、以下のクレーン駆動機構のうちの少なくとも２つの各々のための駆動機構ポートを備える。
－クレーンの上部構造をクレーンの車台に対して回転させる旋回機構
－クレーンのブームを上下させるラッフィング機構
－吊りケーブルに吊られた荷を上げ下げする引き上げ機構

本発明に係るバルブブロックは、任意のクレーン駆動機構を非常駆動部に接続するために、当該任意のクレーン駆動機構のための駆動機構ポートを提供することができる。

別の実施形態によれば、閉鎖バルブ及び／又は作動バルブは、ハンドレバーによって操作されるように設計されている。閉鎖バルブの操作は、特に、複数の閉鎖バルブの同時開放を抑制するようにされている。

各バルブは、ハンドレバーを有することができる。当該ハンドレバーによって、作業員は、バルブを望まれる位置に動かすことができる。誤操作を防ぐために、レバーは、関連するバルブが開放される位置、すなわち、対応するクレーン駆動機構が非常駆動部に接続される位置に、作業員によって動かされると、１つのレバーが他の各レバーの操作を物理的に妨げるように設計されることができる。

したがって、非常駆動部と１つのクレーン駆動機構との間にのみ、液圧接続が存在することができる。その結果、他のクレーン駆動機構による制御不能な位置移動は、起こり得ない。

また、閉鎖バルブに共通のハンドレバーを設けることもできる。閉鎖バルブの各々は、ハンドレバーが取り外し可能に結合可能なツールインターフェースを有する。この方法においても、複数のバルブが同時に開放され、複数のクレーン駆動機構と非常駆動部との間に液圧接続が存在する状況を回避することができる。レバーは、開放されるバルブに接続される前に、まずその前に操作されたバルブから取り外される必要がある。このことは、前に操作されたバルブをまず閉鎖するということを作業員に指示する別の指示を提供する。

別の方法として、共に設けられたハンドレバーと個々のバルブとの結合は、バルブが閉鎖位置にあるときにのみ、レバーがバルブから取り外せるようにされることもできる。

バルブブロックの操作は、ハンドレバー又は閉鎖バルブのツールインターフェースが、バルブブロック上に、特に隣り合って、同様に配置及び／又は整列されることにより、更に簡易にされ得る。この方法により、作業員は、利用可能な全てのバルブ及び／又はその操作レバーを同時に識別することができる。バルブが同様に配置されている場合、全てのバルブの各々の作動位置も、同時に識別され得る。例えば、バルブは、ハンドレバー及び／又はツールインターフェースの特定の空間方向が、全てのバルブにおいて、同じ作動位置、例えば「開放」又は「閉鎖」を示すように、配置されることができる。

ハンドレバー又は閉鎖バルブのツールインターフェースは、ハンドレバー又はツールインターフェースの位置に、特に駆動ポートと、当該駆動ポートに割り当てられている各駆動機構ポートとの間の液圧接続を閉鎖する位置に、機械的に固定されることもできる。これにより、個々のバルブが制御不能に開放されるのを抑えることができる。

バルブの作動位置を容易に明らかにするために、閉鎖バルブ、特に当該閉鎖バルブのツールインターフェース又はハンドレバーは、ツールインターフェース又はハンドレバー上に、特に凹形状又は突出形状の位置表示器を表すことができる。特に、全てのバルブが同様に配置及び／又は整列されている場合、全てのバルブの位置がすぐに分かる。

駆動ポートと各駆動機構ポートとの間の液圧接続を開放及び／又は閉鎖するために、バルブの任意の適切な設計が考えられる。本発明において、回転滑り弁（rotary slide valves）は、コンパクトな設計であるので、閉鎖バルブの好適な実施形態である。閉鎖バルブは、６つの液圧ポートを２つの異なるバルブ位置にそれぞれ接続可能な６／２方弁（6/2-way valves）として形成されることもできる。作動バルブにも、原則として、任意の適切な実施形態が考えられる。しかしながら、作動バルブにおいても、回転滑り弁は、コンパクトであり、好適な実施形態である。また、作動バルブは、５つの液圧ポートを３つの異なる位置に相互に接続する５／３方弁（5/3-way valve）として形成されることもできる。

駆動機構ポートの１つにそれぞれ割り当てられた閉鎖バルブの機能は、駆動ポートと各駆動機構ポートとの間の液圧接続の開放及び／又は閉鎖である。したがって、非常駆動部によって駆動されるべきクレーン駆動機構は、閉鎖バルブによって予め選択されることができる。ここで、作動バルブは、駆動される各クレーン駆動機構の移動方向又は回転方向を定める役割だけでなく、駆動ポートと各駆動機構ポートとの間の液圧接続を閉鎖する追加の方法を提供する役割にも割り当てられ得る。すなわち、駆動されるべきクレーン駆動機構が閉鎖バルブによって選択されると、液圧接続は、対応するクレーン駆動機構を非常駆動部によって直接駆動するために、クレーン駆動機構の望まれる動作方向に対応する方向への作動バルブの開放によって、最終的に開放され得る。

クレーン駆動機構の動作方向は、どの駆動機構の液圧供給導管が、作動バルブを介して駆動ポートの圧力側及び／又は戻り側に接続されるかに応じて決まる。全ての駆動機構ポートにおいて作動バルブの機能を利用するために、駆動ポートと駆動機構ポートとの間の液圧接続において、駆動ポートと閉鎖バルブとの間には、作動バルブが配置され得る。または、各駆動機構ポートに、個別の作動バルブを設けることもできる。当該作動バルブは、対応する閉鎖バルブと、当該閉鎖バルブに割り当てられた駆動ポートとの間に配置される。

他の実施形態において、作動バルブは、
基本位置において、閉鎖バルブの少なくとも１つに供給圧を供給し、特に、駆動ポートの圧力側から戻り側への液圧液の循環を可能にすること、
開放位置において、閉鎖バルブに作動圧を供給すること、
特に、基本位置と、開放位置の１つとの間に位置する中間位置において、閉鎖バルブの少なくとも１つに供給圧を供給し、特に、駆動ポートの圧力側から戻り側への液圧液の循環を妨げること、
を行うように設計されることができる。

また、作動バルブは、基本位置にあるとき、少なくとも１つの閉鎖バルブに供給圧を供給しないように設計されることもできる。

個々のクレーンの機能のために、バルブブロックは、重力によるクレーン駆動機構の戻り動作を抑える、１つ以上の下降ブレーキバルブを備えることができる。バルブブロックは、対応する駆動機構ポートの戻り側と駆動ポートとの間の液圧接続を選択的に開放又は閉鎖するように設計された少なくとも１つの下降ブレーキバルブを備えることができる。作動バルブは、下降ブレーキバルブ又は複数の下降ブレーキバルブに作動圧を供給することもできる。

一実施形態のバルブブロックは、回転滑り弁として設計可能なバルブからの漏れを回収するために、少なくとも１つの液圧接続を備える。当該液圧接続は、閉鎖バルブの少なくとも１つ及び／又は作動バルブから漏れ出た液圧液を、駆動ポートに戻すのに役立つ。

本発明に係る別の態様は、非常駆動部と、特に上部構造に割り当てられた少なくとも２つのクレーン駆動機構と、前述の実施形態のうちの１つの非常動作バルブブロックとを備える移動式クレーンに関する。

以下、本発明の好適な実施形態を、添付図面を参照しながら更に詳細に説明する。本発明は、本明細書に記載された任意の特徴を、個別に又は任意の便利な組合せで備えることができる。

図１は、本発明に係る非常動作バルブブロックの斜視図である。 図２は、図１のバルブブロックの液圧回路を示す概略図である。

図１には、本発明に係るバルブブロック１が示されている。バルブブロック１は、ベース本体１０を備えている。ベース本体１０には、３つの閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃと、作動バルブ５と、下降ブレーキバルブ９とが取り付けられ、それらの内部流体路がベース本体１０の内部流体路と流体接続している。そのため、本発明に係るバルブブロック１の個々の液圧部品の間に、管又はチューブを設ける必要はない。その代わりに、この場合には、液圧液は、シール接触面を介して互いに接続された個々の部品の間で「直接」移送される。

図１に示すバルブブロックは、３つの同様の閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃを備えている。各閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃは、クレーン駆動機構、例えば、移動式クレーンの旋回機構、ラッフィング機構、及び引き上げ機構に割り当てられている。この目的のために、各閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃは、対応する駆動機構ポート３Ａ，３Ｂ，３Ｃに液圧接続されている。図１には、駆動機構ポート３Ａ，３Ｂ，３Ｃのうち、ベース本体１０の前側に配置された３つのみが示されている。駆動機構ポート３Ａ，３Ｂ，３Ｃは、クレーンの個々の駆動機構に同様に接続されている。

閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃは、同様に設計されて、ベース本体１０上で同一の列に配置されている。閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃは、各ツールインターフェース７に着脱可能に結合されたハンドレバー（図示せず）によって、操作されることができる。

各バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃの位置は、ツールインターフェース７の端面に加工されたスロット８によって示される。ここで、ベース本体１０に添付（affixed）された説明（legend）は、スロット８の位置を理解するのに役立つ。スロット８が縦であり、設置位置にあるとき、クレーンの正常動作のための通常位置が表され、駆動機構ポート３Ａ，３Ｂ，３Ｃへの液圧接続は閉鎖されている。スロット８が横であるとき、対応する閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃは開放されており、非常動作モードにおいて、対応する駆動機構ポート３Ａ，３Ｂ，３Ｃに接続されたクレーン駆動機構に液圧液が供給されるようになっている。

液圧液が駆動機構ポート３Ａ，３Ｂ，３Ｃを介してクレーン駆動機構に制御不能に供給されることを防止するために、個々のツールインターフェース７は、バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃが閉鎖位置にあるとき、例えば、図１に示す折り曲げられたピンによって、機械的に定位置に固定され得る。

また、バルブブロック１は、作動バルブ５を備えている。作動バルブ５は、一方において各閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃに接続され、他方において駆動ポート２に接続されている。閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃと駆動ポート２との間の液圧接続は、ハンドレバー６の位置に応じて、閉鎖又は開放される。また、駆動ポート２の圧力側２Ａ及び戻り側２Ｂは、クレーン駆動機構の移動方向を予め決定するように、作動バルブ５を介して、駆動機構ポート３Ａ，３Ｂ，３Ｃのそれぞれの側に割り当てられている。

重力によって引き起こされる、クレーン駆動機構による意図しない位置移動を抑制するために、バルブブロック１は、対応する駆動機構ポート３Ａ，３Ｂ，３Ｃのための下降ブレーキバルブ９を備えている。

図１に見られるように、閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃ、作動バルブ５、及び下降ブレーキバルブ９は、ベース本体１０にねじ止めされ、それらの各々の接触面は、各モジュール本体を通じて延びる流体路を封じている。バルブブロック１の当該モジュール構造によって、個々の部品を迅速に交換することだけではなく、異なる部品を、バルブブロック１の個別の設置状況に応じて、例えば、種類の異なるクレーンにおいて、選択的に取り付けることも可能になる。

図２は、図１に示すバルブブロック１の液圧回路図である。図２を参照しながら、バルブブロック１の機能と動作について説明する。

基本位置
液圧液の体積流は、トランスフォーマによって、駆動ポート２の圧力側２Ａを介して供給される。図２に示す作動バルブ５の基本位置において、液圧液は、圧力側２Ａを循環する。ここで、圧力制限バルブＤＢＶ２は、約３０バールで開放し、供給圧を制限する。作動バルブ５が基本位置にあるとき、供給圧は、全ての閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃに加えられる。

旋回機構の機能の説明
閉鎖バルブ４Ａが開放されると、供給圧は、閉鎖バルブ４Ａを介して、旋回機構のブレーキＢＲに接続するためのバルブ（図示せず）に加えられる。

作動バルブ５が最上位置に動かされて開放されると、作動圧は、すぐに全ての閉鎖バルブ４Ａ，４Ｂ，４Ｃに加わる。液圧液は、開放された閉鎖バルブ４Ａを通過し、ポートＨ５を介して旋回機構モータに至り、上部構造を旋回させる。モータから戻る液圧液は、ポートＨ４、閉鎖バルブ４Ａ、作動バルブ５、圧力制限バルブＤＢＶ２、及び駆動ポート２の戻り側２Ｂを介して液圧液タンクに戻される。作動圧は、圧力制限バルブＤＢＶ１によって１９５バールに制限される。

昇降機構の機能の説明
作動バルブ５が閉鎖されているときに閉鎖バルブ４Ｂが開放されると、液圧液は、供給圧でポートＨ２に流れ、ポートＨ２に接続された吊り上げ機構ブレーキが開放される。

作動バルブ５が開放（最上位置）されると、液圧液が高圧で吊り上げ機構モータに送られる。これにより、荷が吊り上げられる。モータから戻る液圧液は、閉鎖バルブ４Ｂ、作動バルブ５、及び圧力制限バルブＤＢＶ２を通じて流れ、タンクに戻る。作動圧は、圧力制限バルブＤＢＶ１によって１９５バールに制限される。

荷を下降させるために、作動バルブ５は、その最下位置まで動かされる。これにより、モータから戻る液圧液は、下降ブレーキバルブ９Ａに加えられる。下降ブレーキバルブ９Ａには、圧力側２Ａを介して作動圧が追加で加えられる。下降ブレーキバルブ９Ａは、この追加の圧力によって開放される。そのため、荷を吊り上げる液圧液は、作動バルブ５及び圧力制限バルブＤＢＶ２を介して、タンクに向かって流出し得る。荷は、下降する。モータから戻る液圧液は、閉鎖バルブ４Ｂ、作動バルブ５、及び圧力制限バルブＤＢＶ２を通じ、タンクに戻る。

ラッフィング機構の機能の説明
クレーンのブームを上昇させるとき、液圧液は、開放された作動バルブ５（最上位置）を高圧で通過し、開放された閉鎖バルブ４Ｃを通り、ポートＨ８及び当該ポートＨ８に接続されたラッフィングシリンダに至る。これにより、ラッフィングシリンダが伸び、ブームは上昇する。シリンダからの戻る液圧液は、クレーンのバルブマニホールド（図示せず）を介して流れ、タンクに戻る。

クレーンのブームを下降させるとき、作動バルブ５は、その最下位置に動かされる。これにより、液圧液は、オリフィスＮ２を通過し、減圧バルブ９Ｂに至る。ラッフィングシリンダがゆっくりと引き込まれ、ブームは下降する。シリンダから戻る液圧液は、クレーンのバルブマニホールド（図示せず）を介して流れ、タンクに戻る。

本発明の第１態様によれば、
非常動作バルブブロック（１）であって、
前記バルブブロック（１）を移動式クレーンの非常駆動部に液圧接続する駆動ポート（２）と、
前記バルブブロック（１）を移動式クレーンの１つの駆動機構にそれぞれ液圧接続する少なくとも２つの駆動機構ポート（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）と、
前記駆動機構ポート（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）の１つにそれぞれ割り当てられ、前記駆動ポート（２）と当該駆動ポートにそれぞれ割り当てられた前記駆動機構ポート（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）との間の液圧接続を選択的に開放又は閉鎖するように設計された少なくとも２つの閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）と、
前記駆動ポート（２）の圧力側（２Ａ）及び戻り側（２Ｂ）と、前記駆動機構ポート（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）の対応する側との間の液圧接続を選択的に逆転させるように設計された作動バルブ（５）と、
を備える、非常動作バルブブロックを提供する。

本発明の第２態様によれば、前記駆動機構ポート（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）は、前記クレーンの上部構造を前記クレーンの車台に対して回転させる旋回機構と、前記クレーンのブームを上下させるラッフィング機構と、吊りケーブルに吊られた荷を上げ下げする引き上げ機構との駆動機構のうち、少なくとも２つにそれぞれ設けられている、第１態様に記載の非常動作バルブブロックを提供する。

本発明の第３態様によれば、
前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）及び／又は前記作動バルブ（５）は、ハンドレバー（６）によって操作されるように設計され、
前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）の操作は、特に、複数の前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）の同時開放を抑制するようにされている、
第１又は第２態様に記載の非常動作バルブブロックを提供する。

本発明の第４態様によれば、
前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）に共に設けられたハンドレバーを更に備え、
前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）の各々は、前記ハンドレバーが取り外し可能に結合可能なツールインターフェース（７）を有する、
第３態様に記載の非常動作バルブブロックを提供する。

本発明の第５態様によれば、前記ハンドレバー又は前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）のツールインターフェース（７）は、前記バルブブロック（１）上に、特に隣り合って、同様に配置及び／又は整列する、第３又は第４態様に記載の非常動作バルブブロックを提供する。

本発明の第６態様によれば、前記ハンドレバー又は前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）のツールインターフェース（７）は、前記ハンドレバー又は前記ツールインターフェースの位置において機械的に固定可能であり、特に、前記駆動ポート（２）と前記駆動ポートにそれぞれ割り当てられた前記駆動機構ポート（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）との間の液圧接続を閉鎖する前記ハンドレバー又は前記ツールインターフェースの位置において、機械的に固定可能である、第３～第５態様のいずれか１つに記載の非常動作バルブブロックを提供する。

本発明の第７態様によれば、前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）、特に、前記閉鎖バルブのツールインターフェース（７）又はハンドレバーは、前記ツールインターフェース（７）上又は前記ハンドレバー上に、特に凹形状又は突出形状の位置表示器（８）を表す、第１～第６態様のいずれか１つに記載の非常動作バルブブロックを提供する。

本発明の第８態様によれば、前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）の少なくとも１つ、特に、前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）の全部は、回転滑り弁及び／又は６／２方弁として形成されている、第１～第７態様のいずれか１つに記載の非常動作バルブブロックを提供する。

本発明の第９態様によれば、前記作動バルブ（５）は、回転滑り弁及び／又は５／３方弁として形成されている、第１～第８態様のいずれか１つに記載の非常動作バルブブロックを提供する。

本発明の第１０態様によれば、前記作動バルブ（５）は、前記駆動ポート（２）と前記駆動機構ポート（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）との間の液圧接続において、前記駆動ポート（２）と前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）との間に位置する、第１～第９態様のいずれか１つに記載の非常動作バルブブロックを提供する。

本発明の第１１態様によれば、
前記作動バルブ（５）は、
基本位置において、前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）の少なくとも１つに供給圧を供給し、特に、前記駆動ポート（２）の圧力側（２Ａ）から戻り側（２Ｂ）への液圧液の循環を可能にすること、及び／又は、
開放位置において、前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）に作動圧を供給すること、及び／又は、
特に、前記基本位置と、前記開放位置の１つとの間に位置する中間位置において、前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）の少なくとも１つに供給圧を供給し、特に、前記駆動ポート（２）の圧力側（２Ａ）から戻り側（２Ｂ）への液圧液の循環を妨げること、
を行うように設計されている、
第１～第１０態様のいずれか１つに記載の非常動作バルブブロックを提供する。

本発明の第１２態様によれば、前記作動バルブ（５）が前記基本位置にあるとき、供給圧は、前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）の少なくとも１つには供給されない、第１１態様に記載の非常動作バルブブロックを提供する。

本発明の第１３態様によれば、
前記駆動機構ポート（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）の１つに割り当てられた少なくとも１つの下降ブレーキバルブ（９）を更に備え、
前記下降ブレーキバルブ（９）は、前記駆動機構ポート（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）の戻り側（２Ｂ）と、前記駆動ポート（２）との間の液圧接続を選択的に開放又は閉鎖するように設計され、
特に、前記作動バルブ（５）は、前記下降ブレーキバルブ（９）に作動圧を供給する、
第１～第１２態様のいずれか１つに記載の非常動作バルブブロックを提供する。

本発明の第１４態様によれば、前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）の少なくとも１つ及び／又は前記作動バルブ（５）から漏れた液圧液を前記駆動ポート（２）に戻すための液圧接続を更に備える、第１～第１３態様のいずれか１つに記載の非常動作バルブブロックを提供する。

本発明の第１５態様によれば、
非常駆動部と、
特に上部構造に割り当てられた少なくとも２つのクレーン駆動機構と、
第１～第１４態様のいずれか１つに記載の非常動作バルブブロック（１）と、
を備える、移動式クレーンを提供する。

Claims (15)

1. 非常動作バルブブロック（１）であって、
   前記バルブブロック（１）を移動式クレーンの非常駆動部に液圧接続する駆動ポート（２）と、
   前記バルブブロック（１）を移動式クレーンの１つの駆動機構にそれぞれ液圧接続する少なくとも２つの駆動機構ポート（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）と、
   前記駆動機構ポート（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）の１つにそれぞれ割り当てられ、前記駆動ポート（２）と当該駆動ポートにそれぞれ割り当てられた前記駆動機構ポート（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）との間の液圧接続を選択的に開放又は閉鎖するように設計された少なくとも２つの閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）と、
   前記駆動ポート（２）の圧力側（２Ａ）及び戻り側（２Ｂ）と、前記駆動機構ポート（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）の対応する側との間の液圧接続を選択的に逆転させるように設計された作動バルブ（５）と、
   を備える、非常動作バルブブロック。
2. 前記駆動機構ポート（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）は、前記クレーンの上部構造を前記クレーンの車台に対して回転させる旋回機構と、前記クレーンのブームを上下させるラッフィング機構と、吊りケーブルに吊られた荷を上げ下げする引き上げ機構との駆動機構のうち、少なくとも２つにそれぞれ設けられている、請求項１に記載の非常動作バルブブロック。
3. 前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）及び／又は前記作動バルブ（５）は、ハンドレバー（６）によって操作されるように設計され、
   前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）の操作は、特に、複数の前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）の同時開放を抑制するようにされている、
   請求項１又は２に記載の非常動作バルブブロック。
4. 前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）に共に設けられたハンドレバーを更に備え、
   前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）の各々は、前記ハンドレバーが取り外し可能に結合可能なツールインターフェース（７）を有する、
   請求項３に記載の非常動作バルブブロック。
5. 前記ハンドレバー又は前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）のツールインターフェース（７）は、前記バルブブロック（１）上に、特に隣り合って、同様に配置及び／又は整列する、請求項３又は４に記載の非常動作バルブブロック。
6. 前記ハンドレバー又は前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）のツールインターフェース（７）は、前記ハンドレバー又は前記ツールインターフェースの位置において機械的に固定可能であり、特に、前記駆動ポート（２）と前記駆動ポートにそれぞれ割り当てられた前記駆動機構ポート（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）との間の液圧接続を閉鎖する前記ハンドレバー又は前記ツールインターフェースの位置において、機械的に固定可能である、請求項３～５のいずれか１つに記載の非常動作バルブブロック。
7. 前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）、特に、前記閉鎖バルブのツールインターフェース（７）又はハンドレバーは、前記ツールインターフェース（７）上又は前記ハンドレバー上に、特に凹形状又は突出形状の位置表示器（８）を表す、請求項１～６のいずれか１つに記載の非常動作バルブブロック。
8. 前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）の少なくとも１つ、特に、前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）の全部は、回転滑り弁及び／又は６／２方弁として形成されている、請求項１～７のいずれか１つに記載の非常動作バルブブロック。
9. 前記作動バルブ（５）は、回転滑り弁及び／又は５／３方弁として形成されている、請求項１～８のいずれか１つに記載の非常動作バルブブロック。
10. 前記作動バルブ（５）は、前記駆動ポート（２）と前記駆動機構ポート（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）との間の液圧接続において、前記駆動ポート（２）と前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）との間に位置する、請求項１～９のいずれか１つに記載の非常動作バルブブロック。
11. 前記作動バルブ（５）は、
    基本位置において、前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）の少なくとも１つに供給圧を供給し、特に、前記駆動ポート（２）の圧力側（２Ａ）から戻り側（２Ｂ）への液圧液の循環を可能にすること、及び／又は、
    開放位置において、前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）に作動圧を供給すること、及び／又は、
    特に、前記基本位置と、前記開放位置の１つとの間に位置する中間位置において、前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）の少なくとも１つに供給圧を供給し、特に、前記駆動ポート（２）の圧力側（２Ａ）から戻り側（２Ｂ）への液圧液の循環を妨げること、
    を行うように設計されている、
    請求項１～１０のいずれか１つに記載の非常動作バルブブロック。
12. 前記作動バルブ（５）が前記基本位置にあるとき、供給圧は、前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）の少なくとも１つには供給されない、請求項１１に記載の非常動作バルブブロック。
13. 前記駆動機構ポート（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）の１つに割り当てられた少なくとも１つの下降ブレーキバルブ（９）を更に備え、
    前記下降ブレーキバルブ（９）は、前記駆動機構ポート（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）の戻り側（２Ｂ）と、前記駆動ポート（２）との間の液圧接続を選択的に開放又は閉鎖するように設計され、
    特に、前記作動バルブ（５）は、前記下降ブレーキバルブ（９）に作動圧を供給する、
    請求項１～１２のいずれか１つに記載の非常動作バルブブロック。
14. 前記閉鎖バルブ（４Ａ，４Ｂ，４Ｃ）の少なくとも１つ及び／又は前記作動バルブ（５）から漏れた液圧液を前記駆動ポート（２）に戻すための液圧接続を更に備える、請求項１～１３のいずれか１つに記載の非常動作バルブブロック。
15. 非常駆動部と、
    特に上部構造に割り当てられた少なくとも２つのクレーン駆動機構と、
    請求項１～１４のいずれか１つに記載の非常動作バルブブロック（１）と、
    を備える、移動式クレーン。