JP2024018450A - 電線及びケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】電食を抑制可能な電線及びケーブルを提供する。【解決手段】電線1は、導体2と、導体2の周囲を覆うように設けられた絶縁体3と、を備え、導体2は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1素線211を用いた第1導体部2aと、銅または銅合金からなる第2素線221を用いた第2導体部2bと、を有し、第1導体部2aと第2導体部2bとの間に介在するように設けられ、第1導体部2aと第2導体部2bとの間で電気化学的腐食が生じることを抑制する電食抑制部材4を備えた。【選択図】図1

Description

本発明は、電線及びケーブルに関する。
従来、導体と、導体の周囲を覆うように設けられた絶縁体と、を備えた絶縁電線が広く用いられている。特許文献1では、導体に用いる素線として、アルミニウムまたはアルミニウム合金から構成される芯部と、芯部の外周を覆う銅または銅合金から構成される金属層とを備える金属被覆線を用いた電線が提案されている。
特開2018-56101号公報
電線やケーブルの導体として、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる素線と、銅または銅合金からなる素線とを併用する場合、例えば湿気が多い環境においては、電気化学的腐食(以下、電食)が発生してしまうおそれがあり、対策が望まれる。
そこで、本発明は、電食を抑制可能な電線及びケーブルを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決することを目的として、導体と、前記導体の周囲を覆うように設けられた絶縁体と、を備え、前記導体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1素線を用いた第1導体部と、銅または銅合金からなる第2素線を用いた第2導体部と、を有し、前記第1導体部と前記第2導体部との間に介在するように設けられ、前記第1導体部と前記第2導体部との間で電気化学的腐食が生じることを抑制する電食抑制部材を備えた、電線を提供する。
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、前記電線を複数本含むケーブルコアと、前記ケーブルコアの周囲を一括して覆うように設けられたシースと、を備えたケーブルを提供する。
本発明によれば、電食を抑制可能な電線及びケーブルを提供できる。
本発明の一実施の形態に係る電線を示す図であり、(a)は長手方向に垂直な断面を示す断面図、(b)は電食抑制部材の重ね巻きを説明する図である。 図1(a)の一部を拡大した図である。 (a)は電蝕抑制部材を示す断面図であり、(b)~(d)はその変形例を示す図である。 (a),(b)は、導体の変形例を示す断面図である。 (a),(b)は、導体の変形例を示す断面図である。 本発明の一実施の形態に係るケーブルの長手方向に垂直な断面を示す断面図である。
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本実施の形態に係る電線1を示す図であり、(a)は長手方向に垂直な断面を示す断面図、(b)は電食抑制部材4の重ね巻きを説明する図である。なお、図1(b)は、電線1の長手方向に平行な断面を模式的に示している。
図1(a),(b)に示すように、電線1は、導体2と、導体2の周囲を覆うように設けられた絶縁体3と、を備えている。電線1は、例えば電源供給用の電源線として用いられる場合、その導体断面積は、0.75mm(0.75SQ)以上350mm(350SQ)以下である。本実施の形態に係る電線1は、特に、その外径(絶縁体3の外径)が10mm以上であるといった比較的外径が大きいものである場合に、銅の使用量を低減するとの効果を奏することに有効であり、その導体断面積は、60mm(60SQ)以上、より好ましくは80mm(80SQ)以上である。本実施の形態では、導体断面積を約100mm(100SQ)とした。なお、電線1は、電源供給用の電源線として用いられる場合に限定されず、例えば信号伝送用の信号線として用いてもよい。信号線として用いられる場合では、電線1の外径は、0.8mm以上2.0mm以下であり、このときの導体断面積は、0.10mm(0.10SQ)以上1mm(1SQ)以下である。
(導体2)
導体2は、電線1の中心部(長手方向に垂直な断面における中心部)に位置する第1導体部2aと、第1導体部2aの周囲を覆うように設けられた第2導体部2bと、を有している。
第1導体部2aは、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1素線211を撚り合わせた複数本の第1子撚線21を用い、当該複数本の第1子撚線21を撚り合わせて構成されている。第1素線211として用いるアルミニウム合金としては、例えば、Al-Zr合金、Al-Ni-Zr合金、Al-Co-Zr合金、Al-Fe-Zr合金などが挙げられる。なお、第1素線211は、製造上不可避の不純物を含んでいてもよい。第1素線211の引張強度は200MPa以下であり、破断伸びは5%以上17%以下である。第1素線211の引張強度及び破断伸びは、後述する第2素線221よりも小さい。ここでは、外径0.45mmのアルミニウムからなる第1素線211を用いた。第1素線211の外径は、例えば0.10mm以上0.50mm以下である。第1素線211の外径は、第2素線221の外径と同じか、それよりも小さいことがよい。例えば、第1素線211の外径は、第2素線221の外径の90%以上100%以下であるとよい。これにより、導体2に使用される銅の使用量を低減しながら導体2の外径を小さくするとの効果が得られやすくなる。
第1導体部2aを構成する各第1子撚線21は、複数本の第1素線211を集合撚りして構成されている。つまり、各第1子撚線21は、複数本の第1素線211が集合撚りされた集合撚線からなる。複数本の第1素線211を集合撚りして第1子撚線21を構成することで、第1子撚線21内で第1素線211が動きやすくなり、外力によって第1子撚線21の形状が変化しやすくなる。そのため、後述する第2子撚線22を撚り合わせる際の力等によって、第1子撚線21間や、第1子撚線21と第2子撚線22(後述する)との間の隙間を小さくし、導体2の外径を小さくすることが可能になる。本実施の形態では、16本の第1素線211を集合撚りした集合撚線で第1子撚線21を構成した。なお、第1子撚線21を構成する第1素線211の本数は16本に限定されない。つまり、第1子撚線21を構成する第1素線211の本数は、16本より少なくてもよいし、16本より多くてもよい。
また、図1に示す本実施の形態では、第1導体部2aを構成する第1子撚線21の本数を19本としたが、これに限定されない。第1導体部2aを構成する第1子撚線21の本数は、後述する第1子撚線21の本数と第2子撚線22の本数との割合(第1子撚線21の本数/第2子撚線22の本数)が40/60以上60/40以下となる範囲で適宜変更が可能である。さらに、第1子撚線21の外径は、後述する第2子撚線22の外径と同じか、それよりも小さいことがよい。これにより、銅または銅合金からなる第2子撚線22よりも変形しやすいアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1子撚線21が第2子撚線22側から受ける力によって変形しやすくなる。そのため、導体2に使用される銅の使用量を低減しながら導体2の外径を小さくするとの効果が得られやすくなる。
第1導体部2aは、複数本の第1子撚線21を同心撚りして構成されている。本実施の形態では、電線1の中心に1本、その周囲に6本、さらにその周囲に12本と、合計19本の第1子撚線21を同心撚りして第1導体部2aを構成した。なお、第1導体部2aの同心撚り構成は、これに限定されない。たとえば、第1導体部2aは、中心に1本、その周囲に6本の第1子撚線21を同心撚りした構成などであってもよい。また、第1導体部2aは、中心に1本、その周囲に6本、その周囲に12本、さらにその周囲に複数本の第1子撚線21を配置させて同心撚りした構成であってもよい。第1導体部2aを同心撚りにより構成することで、導体断面積を高めつつも外径を小さくすることが可能になり、導体2全体を小径とし、電線1全体の小径化につながる。なお、第1導体部2aに用いる第1子撚線21の本数は19本に限定されず、例えば最外層の12本の第1子撚線21を省略して7本としてもよいし、また最外層にさらに18本の第1子撚線21を追加して37本としてもよい。
第2導体部2bは、銅または銅合金からなる第2素線221を撚り合わせた複数本の第2子撚線22を用い、当該複数本の第2子撚線22を第1導体部2aの周囲に撚り合わせて構成されている。第2素線221には、その表面にZn(例えば、アモルファス構造のZn)やNi、Sn等のめっきが施されていてもよい。第2素線221の引張強度は220MPa以上であり、破断伸びは10%以上である。第2素線221の引張強度及び破断伸びは、第1素線211よりも大きい。ここでは、第1素線211と同じ外径である外径0.45mmのSnめっき軟銅線からなる第2素線221を用いた。第2素線221の外径は、例えば0.10mm以上0.50mm以下である。第2素線221の外径は、第1素線211の外径と同じか、それよりも大きいことがよい。これにより、導体2に使用される銅の使用量を低減しながら導体2の外径を小さくするとの効果が得られやすくなる。
第2導体部2bを構成する各第2子撚線22は、複数本の第2素線221を集合撚りして構成されている。複数本の第2素線221を集合撚りして第2子撚線22を構成することで、第2子撚線22内で第2素線221が動きやすくなり、外力によって第2子撚線22の形状が変化しやすくなる。そのため、第2子撚線22を撚り合わせる際の力等によって、第2子撚線22間や、第1子撚線21と第2子撚線22との間の隙間を小さくし、導体2の外径を小さくすることが可能になる。本実施の形態では、上述の第1子撚線21と同様に、16本の第2素線221を集合撚りして第2子撚線22を構成した。なお、第2子撚線22を構成する第2素線221の本数は16本に限定されない。第2子撚線22を構成する第2素線221の本数は、16本より少なくてもよいし、16本より多くてもよい。
また、図1に示す本実施の形態では、第2導体部2bを構成する第2子撚線22の本数を18本としたが、これに限定されない。第2導体部2bを構成する第2子撚線22の本数は、第1子撚線21の本数と第2子撚線22の本数との割合(第1子撚線21の本数/第2子撚線22の本数)が40/60以上60/40以下となる範囲で適宜変更が可能である。さらに、第2子撚線22の外径は、第1子撚線21の外径と同じか、それよりも大きいことがよい。これにより、銅または銅合金からなる第2子撚線22よりも変形しやすいアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1子撚線21が第2子撚線22側から受ける力によって変形しやすくなる(つまり、第1子撚線21よりも硬い第2子撚線22によって第1子撚線21を変形させやすくすることができる)。そのため、導体2に使用される銅の使用量を低減しながら導体2の外径を小さくするとの効果が得られやすくなる。
本実施の形態では、第1素線211と第2素線221として外径が同じものを用いており、第1子撚線21を構成する第1素線211の本数と、第2子撚線22を構成する第2素線221の本数とを、同じ本数にしている。そのため、第1子撚線21と第2子撚線22の外径は、ほぼ同じ外径となっている。これにより、同心撚りにより子撚線21,22間に隙間が生じにくくなっている。
第2導体部2bは、18本の第2子撚線22を第1導体部2aの周囲に撚り合わせて構成されており、これにより、導体2の全体が同心撚りにて構成されている。すなわち、導体2は、複数本(ここでは19本)の第1子撚線21及び複数本(ここでは18本)の第2子撚線22を同心撚りして構成されている。これにより、導体断面積を高めつつも外径を小さくすることが可能になり、導体2全体を小径とし、電線1全体の小径化につながる。
導体2に用いる第1子撚線21の本数と第2子撚線22の本数との割合(第1子撚線21の本数/第2子撚線22の本数)は、40/60以上60/40以下であるとよい。また、導体2は、第1導体部2aの断面積(=各第1子撚線21の断面積を合計した値)と第2導体部2bの断面積(=各第2子撚線22の断面積を合計した値)との割合が、40/60以上60/40以下であるとよい。これにより、導体2の抵抗値上昇を抑えて発熱量を抑制しつつも、銅の使用量を低減し、小径な電線1とすることができ、軽量で曲げやすい電線1を実現できる。例えば、導体2に使用される銅の使用量を低減しながら小径な電線1としつつ、導体2の抵抗値(=導体抵抗)を小さくして導体2の導電率をより高める場合は、第1導体部2aの断面積と第2導体部2bの断面積との割合が40/50以上50/50以下(より好ましくは40/50以上45/55以下)にするとよい。一方、導体2に使用される銅の使用量を低減しながら小径な電線1としつつ、電線1をより軽量で曲げやすくする場合は、第1導体部2aの断面積と第2導体部2bの断面積との割合が50/50以上60/40以下(より好ましくは55/45以上60/40以下)にするとよい。なお、導体2に用いる第1子撚線21の本数と第2子撚線22の本数との割合についても、40/60以上60/40以下の範囲で変更することで、上述した断面積の割合を変更させた場合と同様の効果を得ることが可能である。
ところで、導体2を形成する際には、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1導体部2aの周囲に、銅または銅合金からなる第2子撚線22を撚り合わせて第2導体部2bを形成する。このとき、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1導体部2aは、比較的柔らかく変形しやすいため、第1子撚線21と比較して剛性が高い銅または銅合金からなる第2子撚線22が第1導体部2aの周囲に撚り合わされると、当該撚り合わせの際にかかる力によって、第1導体部2aが内方(ケーブル中心側)に押し込まれる(圧縮される)。その結果、第1導体部2aを構成する第1子撚線21が押しつぶされて第1導体部2a内の隙間が小さくなり、第1導体部2aの外径が小さくなる(つまり、第2子撚線22を撚り合わせる前の状態に比べて第1導体部2aの外径が小さく)なる。それにより、導体2全体の外径を小さくすることができ、電線1全体の小径化が可能になる。
つまり、第1導体部2aをアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成することで、導体断面積を維持しつつも、導体2の外径を小さくし、電線1全体の外径を小さくすることが可能になる。例えば、本実施の形態では導体断面積を100mm(100SQ)としているが、従来の銅素線のみを用いた導体における80mm(80SQ)相当の外径まで、導体2の外径を小さくすることが可能になる。
また、第1導体部2aをアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成することで、導体2全体を銅または銅合金で構成した場合と比較して、電線1の軽量化が可能になる。さらにまた、アルミニウムまたはアルミニウム合金は銅または銅合金と比較して変形しやすいため、第1導体部2aをアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成することで、電線1を曲げやすくなり、配線作業の際の作業性を向上できる。
ところで、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1素線211は、外傷に弱く、傷がつくと容易に断線してしまうおそれがあるが、第1導体部2aの周囲を覆うように銅または銅合金からなる第2導体部2bを設けることで、第1導体部2aを構成する第1素線211を第2導体部2bにより外傷から保護し、第1素線211の断線を抑制可能になる。
さらに、屈曲時に負荷が集中する第2導体部2bを、比較的強度が高い銅または銅合金で構成することで、耐屈曲性を向上できる。また、第2導体部2bを銅または銅合金で構成することで、導体2の抵抗値が大きくなりすぎることを抑制でき、銅または銅合金のみで構成された導体を用いた従来の電線と略同等の電気特性を維持することが可能になる。
さらに、第2導体部2bを銅または銅合金で構成することで、導体2全体をアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成した場合と比較して、導体2の端子等への接続が容易になる。例えば、導体2全体をアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成した場合、接続部の強度を維持するためには特殊な構造の端子を用いる必要があったが、第2導体部2bを銅または銅合金で構成することで、従来一般的に使用されている端子(例えば、導体2の端部に加締め固定される端子)が使用可能となり、また従来通りの半田付け等による接続も可能になるなど、汎用性が向上する。
また、従来の銅または銅合金のみを導体に用いた電線では、浮かせて配線した場合に自重で垂れ下がってしまう場合があったが、本実施の形態に係る電線1では、第1導体部2aにアルミニウムまたはアルミニウム合金を用いることで軽量化がなされており、かつ、第2導体部2bに銅または銅合金を用いることで電線1の剛性を確保できるため、電線1を浮かせて(例えばU字状に曲げた状態で)配線した場合であっても、自重で垂れ下がってしまうことが抑制可能になる。
(電食抑制部材4)
上述のように、本実施の形態では、第1導体部2aがアルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、第2導体部2bが銅または銅合金からなる。アルミニウムと銅とは標準電極電位差が大きいため、例えば湿気の多い環境など、使用される環境下によっては、電気化学的腐食(以下、電食)が発生してしまうおそれがある。そこで、本実施の形態では、第1導体部2aと第2導体部2bとの間に介在するように、第1導体部2aと第2導体部2b間で電食が生じることを抑制する電食抑制部材4を設けている。
本実施の形態では、電食抑制部材4は、第1導体部2aの周囲にらせん状に巻きつけられた1つ以上の導電性のテープ部材からなる。本実施の形態では、電食抑制部材4が、1つのテープ部材41からなる場合について説明する。テープ部材41の詳細については後述する。この電食抑制部材4の周囲に、複数の第2子撚線22をらせん状に撚り合わせることで、第2導体部2bが構成されている。
図1(b)に示すように、電食抑制部材4であるテープ部材41は、その幅方向における一部が重なり合うように(ラップするように)、第1導体部2aに巻き付けられている。巻きつける際のラップ長(重なり幅)は、テープ部材41の幅の1/3以上1/2以下であるとよい。テープ部材41の幅としては、例えば、10mm以上50mm以下である。ラップ長がテープ部材の幅の1/3以上であることで、電線1を曲げた際等においても、テープ部材間に隙間が生じることが抑制される。また、ラップ長がテープ部材の幅の1/2以下であることで、テープ部材が3枚以上重なってしまうことが抑制され、ラップ部分での隙間の発生を抑えて導体2の電気特性を安定させることが可能になると共に、導体2の大径化を抑制できる。
本実施の形態では、第1導体部2aの撚り方向と、電食抑制部材4の巻き方向とが逆方向となっている。これにより、第1導体部2aの撚りが緩まないよう電食抑制部材4でしっかりと締め付けることが可能となり、撚りの緩みによる接触抵抗の増加やそれによる導体2の電気特性の劣化を抑制できる。なお、第1導体部2aの撚り方向とは、電線1の一端からみたときに、一端から他端にかけて第1子撚線21が回転している方向である。また、電食抑制部材4の巻き方向とは、電線1の一端からみたときに、一端から他端にかけてテープ部材41が回転している方向である。
また、本実施の形態では、電食抑制部材4の巻き方向と、第2導体部2aの撚り方向とが同方向となっている。つまり、第1導体部2aの撚り方向と、第2導体部2aの撚り方向とは逆方向となる。これにより、第2導体部2aを撚り合わせることにより第1導体部2aをより締め付けて撚りの緩みを抑制し、第1導体部2aを内方に圧縮して導体2全体の外径を小さくすることができる。なお、第2導体部2bの撚り方向とは、電線1の一端からみたときに、一端から他端にかけて第2子撚線22が回転している方向である。
さらに、電食抑制部材4の巻き方向と、第2導体部2aの撚り方向とを同方向とすることで、図2に示すように、電食抑制部材4を内方に押し込んで、電食抑制部材4の周囲に生じる隙間5をより小さくすることが可能になる。すなわち、電食抑制部材4が第2導体部2b側から第1導体部2a側に押し込まれるようになり、電食抑制部材4が隣り合う第1子撚線21同士の間に入り込んで、電食抑制部材4の周囲の隙間5が小さくなる。その結果、第1導体部2aや第2導体部2bと電食抑制部材4との接触面積を増やすことができるため、第1導体部2aや第2導体部2bと電食抑制部材4との接触抵抗を小さくでき、導体2の電気特性をより向上できる。また、導体2の端部に加締めにより端子を接続する際においても、撚りが緩みにくいために、電食抑制部材4の周囲に空隙が生じにくく、導体2と端子との接続部分における抵抗を小さくすることができる。
図3(a)に示すように、本実施の形態で電食抑制部材4として用いているテープ部材41は、一方の面に形成されたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1金属層411と、他方の面に形成された銅または銅合金からなる第2金属層412と、第1金属層411と第2金属層412との間に設けられ、両者を接着しかつ電気的に導通させる導電性接着層413と、第2金属層412の表面に電気めっきにより形成された錫からなるめっき層414と、を一体に有している。テープ部材41は、第1金属層411を第1導体部2a側、第2金属層412を第2導体部2b側として、第1導体部2aの周囲に巻き付けられている(図1(b)参照)。
アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1金属層411の厚さ、及び、銅または銅合金からなる第2金属層412の厚さは、7μm以上25μm以下であるとよい。第1金属層411及び第2金属層412の厚さを7μm以上とすることで、例えば端部で加締めにより端子を固定するような場合においても、テープ部材41が破断することを抑制できる。また、第1金属層411及び第2金属層412の厚さを25μm以下とすることで、テープ部材41の剛性が高くなり過ぎて電線1を曲げにくくなったり、導体2が大径化してしまったりすることを抑制可能になる。さらに、第1金属層411及び第2金属層412の厚さを25μmより大きくすると、テープ部材41が硬くなるために、らせん状に巻いたテープ部材41のエッジ部分(ラップ部分に生じる段差)が導体部2a,2bと擦れて導体部2a,2bにダメージを与えてしまうおそれが生じるが、本実施の形態のように、第1金属層411及び第2金属層412の厚さを25μmより小さくすることで、このような不具合を抑制することが可能である。
導電性接着層413としては、ホットメルト型の接着剤に、導電性の粒子を分散させたものを用いることができる。ホットメルト型の接着剤としては、例えば、アクリル系の接着剤を用いることができる。導電性の粒子としては、例えば、Ni粒子を用いることができる。導電性接着層413の厚さは、使用する導電性の粒子の粒径を考慮して決定するとよく、導電性の粒子の粒径の1倍以上2倍以下とするとよい。本実施の形態では、導電性の粒子として粒径約6μm程度のNi粒子を用いたが、この場合、導電性接着層413の厚さは、6μm以上12μm以下とするとよい。
図1(b)に示したように、テープ部材41は、その幅方向における一部が重なり合うよう巻き付けられるため、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1金属層411と、銅または銅合金からなる第2金属層412とが接触する部分が生じ、この接触部分で電食が生じてしまうおそれがある。そこで、第1金属層411と第2金属層412の接触部分での電食を抑制するために、第2金属層412の表面に、錫からなるめっき層414を設けている。
Figure 2024018450000002
表1に示すように、アルミニウム(Al)と銅(Cu)の標準電極電位差は2V以上と大きく、実使用環境に近い自然電位(0.1MNaCl水溶液中での自然電位)においても0.5V以上の電位差があるため、電食が生じやすい。これに対して、錫(Sn)の標準電極電位は銅と比べてアルミニウムに近く、実使用環境に近い自然電位(0.1MNaCl水溶液中での自然電位)においては、アルミニウムと銅のほぼ中間の電位となる。よって、銅とアルミニウムとの間に錫を介在させることで、隣接する金属間の電位差を小さくし、電食を抑制することが可能になる。よって、第2金属層412の表面に、錫からなるめっき層414を設けることで、ラップ部分における電食を抑制することが可能になる。
なお、めっき層414としては、溶融めっきにより形成されたものを用いることは好ましくなく、電気めっきにより形成されたものを用いることが望まれる。これは、溶融めっきでは、錫の溶湯中に銅の一部が溶融してしまい、めっき中に銅が含まれてしまうためである。さらには、溶融めっきでは、銅の溶け出しを抑制するために、錫の溶湯中に意図的に少量の銅を含ませるといったことも行われており、めっき中に多くの銅が含まれてしまう場合がある。そして、めっき中に銅が含まれると、当該銅とアルミニウムとの電位差に起因して電食が生じやすくなってしまう。さらに、溶融めっきでは、電気めっきと比較して、めっき厚さが不均一になりやすく、めっきが薄い部分で剥離が生じる等の不具合が生じやすい。よって、製造過程でめっき中に銅が含まれず、また厚さが均一となり易い電気メッキによりめっき層414を形成することが望ましい。
ところで、本実施の形態では、第2素線221として、錫めっき軟銅線を用いている。この第2素線221に用いる錫めっきとしては、製造コストが低く量産が容易な溶融めっきを用いることが望ましい。上述のように、錫めっきが溶融めっきである場合には、めっき層に銅が多く含まれるため、アルミニウムやアルミニウム合金と直接接触すると電食が生じやすい。よって、第2素線として錫めっきを施したものを用いる場合であっても、電食抑制部材4を設け、第1及び第2導体部2a,2b間での電食を抑制する必要がある。
(電食抑制部材4の変形例)
本実施の形態では、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1金属層411と、銅または銅合金からなる第2金属層412とを、導電性接着層413により接合したが、これに限らず、図3(b)に示すように、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1金属層411と、銅または銅合金からなる第2金属層412とを直接接合したクラッド材からなるテープ部材41aを電食抑制部材4として用いてもよい。
また、図3(c)に示すように、電食抑制部材4として、銅または銅合金からなる金属層421の両面に電気めっきにより錫からなるめっき層422,423を形成した銅テープ42で構成されるテープ部材を用いてもよい。この場合、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1導体部2aと、銅または銅合金からなる金属層421との間に、錫からなるめっき層422(または423)が介在し、電食が抑制されることになる。なお、第1導体部2aと反対側(つまり第2導体部2b側)のめっき層423(または422)は省略することもできるが、金属層421の変色防止等のために、金属層421の両面にめっき層422,423を形成することがより望ましい。電食抑制部材4として、図3(b)や図3(c)に示すようなテープ部材41aや銅テープ42で構成されるテープ部材を用いることにより、第1金属層411と第2金属層412との間に導電性接着剤413を配置させたテープ部材41と比べて、電食抑制部材4の導電性を高めることができる。そのため、導体2の内部に電食抑制部材4を配置させた場合に、導体2の導電性が低下しにくくなる。
ただし、銅テープ42は比較的硬いため、エッジ部分(ラップ部分に生じる段差)で第1導体部2aに摩耗が生じてしまうことも考えられる。また、導体2の端部を加締めて端子を設ける際等に、第1導体部2a側のめっき層422(または423)が剥離して電食が生じやすくなってしまう場合も考えられる。そこで、図3(d)に示すように、電食抑制部材4は、銅テープ42の第1導体部2a側に、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミテープ43をさらに有してもよい。このとき、アルミテープ43と銅テープ42とは、接着部材を介さずに直接接触するように配置されている。すなわち、第1導体部2aの周囲にアルミテープ43をらせん状に巻き付けた後、アルミテープ43上に銅テープ42を螺旋状に巻き付けて電食抑制部材4を構成してもよい。アルミテープ43の巻き方向は、銅テープ42の巻き方向と同じであるとよい。
これにより、アルミテープ43が緩衝層としての役割を果たし、銅テープ42との擦れによる第1導体部2aの摩耗を抑制できる。また、導体2の端部に固定される端子の加締めなど何らかの理由で、めっき層422,423が剥離してしまった場合であっても、金属層421が第1導体部2aに直接接触してしまうことが抑制され、第1導体部2aに電食が生じてしまうことを抑制可能になる。なお、例えば、図3(a)のテープ部材41や、図3(b)のテープ部材41aに加えて、第1導体部2a側にアルミテープ43を設けるように構成することもできる。
(導体2の変形例)
本実施の形態では、第1導体部2a及び第2導体部2bを、子撚線21,22を撚り合わせた複合撚線で構成したが、これに限らず、第1導体部2a及び第2導体部2bは、単線の金属素線を撚り合わせた撚線であってもよい。つまり、第1導体部2aは、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる複数の第1素線211を撚り合わせて構成されてもよく、第2導体部2bは、銅または銅合金からなる複数の第2素線221を電食抑制部材4の周囲にらせん状に撚り合わせて構成されてもよい。
また、図4(a)に示すように、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1導体部2aが、圧縮された圧縮導体であってもよい。例えば、第1素線211を複数本(図示例では7本)撚り合わせた後に伸線ダイスに通して圧縮することで、圧縮導体からなる第1導体部2aを形成することができる。電食抑制部材4は、圧縮導体からなる第1導体部2aの周囲に設けられており、電食抑制部材4の周囲に銅または銅合金からなる第2素線221を複数本撚り合わせることで、第2導体部2bが形成されている。なお、第2導体部2bは、圧縮されたものであってもよい。
また、図4(b)に示すように、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1導体部2aが、環状からなる外周面を有する単線で構成されてもよい。この場合、第1導体部2aを構成する第1素線211の外径は、第2導体部2bを構成する複数の第2素線221の外径よりも大きいことがよい。また、この場合も、第2導体部2bは、圧縮されたものであってもよい。
第1導体部2aが、図4(a)や図4(b)に示すような構造であることにより、第1導体部2aと電食抑制部材4との間の隙間がより小さくなり、第1導体部2aや第2導体部2bと電食抑制部材4との接触面積をさらに増やすことができる。そのため、第1導体部2aや第2導体部2bと電食抑制部材4との接触抵抗が、図1(a)に示す導体2の場合と比べて、より小さくなり、導体2の電気特性がより向上できる。
さらに、本実施の形態では、第1導体部2a及び第2導体部2bが撚線導体である場合について説明したが、これに限らず、第1導体部2a及び第2導体部2bは、編組導体であってもよい。より具体的には、図5(a)に示すように、第1導体部2aが、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる複数の第1素線211を編み合わせて構成された帯状の第1編組導体であり、第2導体部2bが、銅または銅合金からなる複数の第2素線221を編み合わせて構成された第2編組導体であってもよい。
図5(a)の例では、第1導体部2aは、環状の編組導体を潰して平坦にすることで形成されている。例えば、同軸線を製造する際には、導体の周囲に絶縁体を被覆したコアの周囲に編組導体を設けるが、本実施の形態ではコアを通さない状態で環状の編組導体を形成し、その後プレス等で編組導体を平坦にすることで、第1導体部2aを形成している。第1導体部2aの周囲には、電食抑制部材4としてテープ部材41がらせん状に巻き付けられている。
第2導体部2bは、第1導体部2aの周囲全体を覆うように筒状に形成されている。第2導体部2bは、第1導体部2aを芯材として、その周囲を覆うように環状に第2素線を編み組みすることで形成されている。このように、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1導体部2aと、その周囲に配置された銅または銅合金からなる第2導体部2bとのそれぞれが編組導体からなり、それらの編組導体の間に電食抑制部材4が配置された構造とすることにより、装置間の狭い配線箇所の形状に合わせた配線がしやすく、かつ電食による寿命の低下や電気特性の低下を抑制可能な平型電線とすることができる。また、電線1と装置との接続において、銅または銅合金のみからなる導体を装置へ接続する際に使用していたコネクタや端子を、導体2の端部に加締め固定などの所定の固定方法で固定することができる。そのため、特殊なコネクタや端子を用いることなく、電線1と装置をと接続させることができる。
図5(a)の例では、第1導体部2aの周囲全体を覆うように第2導体部2bを設ける場合について説明したが、これに限らず、図5(b)に示すように、帯状に形成された一対の第2導体部2bを用い、導体2の厚さ方向において、第1導体部2aを一対の第2導体部2bで挟み込むように導体2を構成してもよい。図5(b)では、第1導体部2aの周囲にテープ部材41を巻き付けて電食抑制部材4を構成しているが、これに限らず、シート状の一対の電食抑制部材4を、第1導体部2aと第2導体部2b間にそれぞれ介在させるよう配置してもよいし、第2導体部2bにそれぞれテープ部材41を巻きつけて電食抑制部材4を構成してもよい。図5(b)の例においても、図5(a)の例と同様の効果が得られる。
(ケーブル10)
次に、電線1を用いたケーブル10について説明する。図6は、本実施の形態に係るケーブル10の長手方向に垂直な断面を示す断面図である。図6に示すように、ケーブル10は、複数本の電線1を含むケーブルコア11と、ケーブルコア11の周囲を一括して覆うように設けられたシース12と、を備えている。
ケーブルコア11は、ケーブル周方向に隣り合う電線1同士が互いに接触するように撚り合わせられている。また、本実施の形態では、ケーブルコア11は、3本の電線1と、複数本の糸状の介在14とを撚り合わせて構成されている。介在14は、ケーブル10の外形を円形状に近づけるべく、電線1の周囲の隙間(ケーブル中心を含む3本の電線1同士で囲まれた領域及び隣り合う電線1同士とシース12とで囲まれる領域)を埋めるように配置されている。本実施の形態では、介在14として、ジュートを用いた。ただし、介在14はジュートに限定されず、例えばスフ(ステープルファイバー)など、他の材質からなるものを用いてもよい。
また、ケーブル10は、ケーブルコア11の周囲にらせん状に巻きつけられた押さえ巻きテープ13をさらに備えている。押さえ巻きテープ13は、ケーブルコア11の撚りがほどけないよう保持する役割を果たす。押さえ巻きテープ13としては、例えば、不織布テープや紙テープ等を用いることができる。本実施の形態では、押さえ巻きテープ13として、スフ(ステープルファイバー)からなる不織布テープ(スフテープ)を用いた。
シース12は、押さえ巻きテープ13の周囲を覆うように設けられている。より具体的には、シース12は、チューブ押出により形成された横断面(ケーブル長手方向に対して垂直な断面)が円環状であり、隣り合う電線1同士の間に入り込んでいない状態で設けられている。シース12は、例えば、電子線照射により照射架橋された照射架橋樹脂組成物からなる。具体的には、シース12は、例えば、耐熱温度が125℃以上である照射架橋された難燃性ポリエチレン(FRPE)からなるものを用いることができる。
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る電線1では、導体2は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1素線211を用いた第1導体部2aと、銅または銅合金からなる第2素線221を用いた第2導体部2bと、を有し、第1導体部2aと第2導体部2bとの間に介在するように設けられ、第1導体部2aと第2導体部2bとの間で電気化学的腐食が生じることを抑制する電食抑制部材4を備えている。
導体2がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1導体部2aを有することにより、コストの高い銅の使用量を低減し、低コストで軽量、かつ曲げやすい電線1を実現できる。その結果、配線時の取り扱い性を向上したり、配送時にコンパクトにまとめて輸送コストを低減したりすることも可能となる。本発明は、導体2の全体を銅または銅合金で構成した場合に銅の使用量が多くなる大径の電線1、特に導体断面積が60mm(60SQ)以上、外径10mm以上の電線1において、特に有効である。
さらに、本実施の形態では、電食抑制部材4を備えているために、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1導体部2aと、銅または銅合金からなる第2導体部2bとが接触することによる電食の発生を抑制することが可能である。よって、例えば湿気が多い環境下であっても、電食による寿命の低下や電気特性の低下を抑制可能である。
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
[1]導体(2)と、前記導体(2)の周囲を覆うように設けられた絶縁体(3)と、を備え、前記導体(2)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1素線(211)を用いた第1導体部(2a)と、銅または銅合金からなる第2素線(221)を用いた第2導体部(2b)と、を有し、前記第1導体部(2a)と前記第2導体部(2b)との間に介在するように設けられ、前記第1導体部(2a)と前記第2導体部(2b)との間で電気化学的腐食が生じることを抑制する電食抑制部材(4)を備えた、電線(1)。
[2]前記第1導体部(2a)は、複数の前記第1素線(211)、または、複数の前記第1素線(211)を撚り合わせた複数の第1子撚線(21)を、撚り合わせて構成され、前記電食抑制部材(4)は、重ね巻きによって前記第1導体部(2a)の周囲にらせん状に巻きつけられた1つ以上のテープ部材(41~43)からなり、前記第2導体部(2b)は、複数の前記第2素線(221)、または、複数の前記第2素線(221)を撚り合わせた第2子撚線を(22)、前記電食抑制部材(4)の周囲にらせん状に撚り合わせて構成されている、[1]に記載の電線(1)。
[3]前記第1導体部(2a)の撚り方向と、前記電食抑制部材(4)の巻き方向とが逆方向であり、前記電食抑制部材(4)の巻き方向と、前記第2導体部(2b)の撚り方向とが同方向である、[2]に記載の電線(2)。
[4]前記第1導体部(2a)は、複数の前記第1素線(211)を編み合わせて構成された第1編組導体であり、前記第2導体部(2b)は、複数の前記第2素線(221)を編み合わせて構成された第2編組導体である、[1]に記載の電線(1)。
[5]前記電食抑制部材(4)は、一方の面に形成されたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1金属層(411)と、他方の面に形成された銅または銅合金からなる第2金属層(412)と、前記第2金属層の表面に形成された錫からなるめっき層(414)と、を一体に有するテープ部材(41,41a)を有し、前記第1金属層(411)を前記第1導体部(2a)側、前記第2金属層(412)を前記第2導体部(2b)側として設けられている、[1]に記載の電線(1)。
[6]前記電食抑制部材(4)は、銅または銅合金からなる金属層(421)の両面に錫からなるめっき層(422,423)を形成した銅テープ(42)を有する、[1]に記載の電線(1)。
[7]前記電食抑制部材(4)は、前記銅テープ(42)の前記第1導体部(2a)側に設けられ、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミテープ(43)をさらに有する、[6]に記載の電線(1)。
[8]前記第1導体部(2a)は、圧縮導体からなる、[1]に記載の電線(1)。
[9][1]乃至[8]の何れか1項に記載の電線(1)を複数本含むケーブルコア(11)と、前記ケーブルコア(11)の周囲を一括して覆うように設けられたシース(12)と、を備えたケーブル(10)。
(付記)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
1…電線
2…導体
2a…第1導体部
2b…第2導体部
21…第1子撚線
211…第1素線
22…第2子撚線
221…第2素線
3…絶縁体
4…電食抑制部材
41…テープ部材
411…第1金属層
412…第2金属層
413…導電性接着層
414…めっき層
42…銅テープ
421…金属層
422,423…めっき層
43…アルミテープ
10…ケーブル
11…ケーブルコア
12…シース

Claims (9)

  1. 導体と、
    前記導体の周囲を覆うように設けられた絶縁体と、を備え、
    前記導体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1素線を用いた第1導体部と、銅または銅合金からなる第2素線を用いた第2導体部と、を有し、
    前記第1導体部と前記第2導体部との間に介在するように設けられ、前記第1導体部と前記第2導体部との間で電気化学的腐食が生じることを抑制する電食抑制部材を備えた、
    電線。
  2. 前記第1導体部は、複数の前記第1素線、または、複数の前記第1素線を撚り合わせた複数の第1子撚線を、撚り合わせて構成され、
    前記電食抑制部材は、重ね巻きによって前記第1導体部の周囲にらせん状に巻きつけられた1つ以上のテープ部材からなり、
    前記第2導体部は、複数の前記第2素線、または、複数の前記第2素線を撚り合わせた第2子撚線を、前記電食抑制部材の周囲にらせん状に撚り合わせて構成されている、
    請求項1に記載の電線。
  3. 前記第1導体部の撚り方向と、前記電食抑制部材の巻き方向とが逆方向であり、
    前記電食抑制部材の巻き方向と、前記第2導体部の撚り方向とが同方向である、
    請求項2に記載の電線。
  4. 前記第1導体部は、複数の前記第1素線を編み合わせて構成された第1編組導体であり、
    前記第2導体部は、複数の前記第2素線を編み合わせて構成された第2編組導体である、
    請求項1に記載の電線。
  5. 前記電食抑制部材は、一方の面に形成されたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1金属層と、他方の面に形成された銅または銅合金からなる第2金属層と、前記第2金属層の表面に形成された錫からなるめっき層と、を一体に有するテープ部材を有し、
    前記第1金属層を前記第1導体部側、前記第2金属層を前記第2導体部側として設けられている、
    請求項1に記載の電線。
  6. 前記電食抑制部材は、銅または銅合金からなる金属層の両面に錫からなるめっき層を形成した銅テープを有する、
    請求項1に記載の電線。
  7. 前記電食抑制部材は、前記銅テープの前記第1導体部側に設けられ、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミテープをさらに有する、
    請求項6に記載の電線。
  8. 前記第1導体部は、圧縮導体からなる、
    請求項1に記載の電線。
  9. 請求項1乃至8の何れか1項に記載の電線を複数本含むケーブルコアと、
    前記ケーブルコアの周囲を一括して覆うように設けられたシースと、
    を備えたケーブル。
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