JP2024017543A - 導電膜の形成方法と光焼成用導電性インク - Google Patents

導電膜の形成方法と光焼成用導電性インク Download PDF

Info

Publication number
JP2024017543A
JP2024017543A JP2022120257A JP2022120257A JP2024017543A JP 2024017543 A JP2024017543 A JP 2024017543A JP 2022120257 A JP2022120257 A JP 2022120257A JP 2022120257 A JP2022120257 A JP 2022120257A JP 2024017543 A JP2024017543 A JP 2024017543A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photo
film
resin
baking
conductive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022120257A
Other languages
English (en)
Inventor
秀晴 大上
Hideharu Ogami
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2022120257A priority Critical patent/JP2024017543A/ja
Publication of JP2024017543A publication Critical patent/JP2024017543A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)
  • Manufacturing Of Electric Cables (AREA)
  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

【課題】粒径20nm~80nmの銅粒子を用い、ガラス転移温度の低い樹脂基板や樹脂フィルム基板が適用された場合においても上記基板の熱劣化が起こり難い導電膜の形成方法と光焼成用導電性インクを提供する。【解決手段】ナノサイズの金属粒子と溶剤2を含有する光焼成用導電性インク3を基材4上に塗布して塗布膜5を形成する塗布工程と、塗布膜の溶剤を除去して乾燥膜6を形成する乾燥工程と、乾燥膜に向けて光を照射し、乾燥膜内の金属粒子を光焼成して導電膜8を形成する光焼成工程を具備する導電膜の形成方法において、ナノサイズの金属粒子が粒径20nm~80nmの銅粒子で構成され、乾燥膜に向けて波長500nm~620nmのレーザ光7を照射し、乾燥膜内の銅粒子1を光焼成して導電膜を形成することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ナノサイズの金属粒子と溶剤を含有する光焼成用導電性インクを基材上に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、該塗布膜の溶剤を除去して乾燥膜を形成する乾燥工程と、該乾燥膜に向けて光を照射し乾燥膜内の金属粒子を光焼成して導電膜を形成する光焼成工程を具備する導電膜の形成方法に係り、特に、上記ナノサイズの金属粒子が粒径20nm~80nmの銅粒子で構成される導電膜の形成方法に関するものである。
近年、印刷技術を用いた「プリンテッドエレクトロニクス」は環境に優しいプロセスとして注目を浴びている。「プロンテッドエレクトロニクス」では電極配線等の形成が主であるが、電極配線以外にも、絶縁層、半導体層、誘電体層等の形成も可能であり、その印刷方法には、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷等が採用される。
この「プリンテッドエレクトロニクス」に用いられる電極配線等を目的とした導電性インクには、サブミクロンからナノサイズの金属粒子が有機溶剤に混合されたインクや金属錯体インクがあり、このインクには、金属粒子と有機溶剤以外に、還元剤、樹脂、分散剤等が配合されることもある。
ところで、特許文献1には、有機保護剤で表面を被覆した表面修飾金属ナノ粒子と、アルコール系溶剤およびポリビニルアセタール樹脂が含まれる導電性インクをガラス基板上に塗布して塗布膜を形成し、ホットプレート(段落0152参照)等の加熱手段を用いて塗布膜の乾燥工程と金属ナノ粒子の熱焼成工程を同時に行う導電膜の形成方法が開示されている。この方法によれば、導電性インクの塗布性と金属ナノ粒子の分散性を低下させることなく導電膜の導電性と基板密着性を付与できるとされている(段落0011参照)。
しかし、特許文献1に記載の方法は、例えば温度120℃で30分間の熱焼成処理を要するため、ガラス転移温度の低い樹脂基板や樹脂フィルム基板が用いられた場合に基板が熱劣化する問題があり、更に、この方法では、金属ナノ粒子として主に銀ナノ粒子が適用されるため、銀イオンに起因した「マイグレーション」と呼ばれる電極間の短絡を生じ易い問題が存在した。
一方、特許文献2には、銀に較べ「マイグレーション」が極僅かな銅ナノ粒子を用い、かつ、特許文献1に記載の熱焼成より処理時間が短い光焼成で導電膜を形成する方法が開示されている。すなわち、特許文献2には、粒径が約40nmの銅ナノ粒子と、分散媒および分散剤が含まれる銅微粒子分散液(光焼成用導電性インク)をポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム基板上に塗布して塗布膜を形成し、塗布膜を乾燥させて分散媒を除去した後、塗布膜に向けてキセノンフラッシュランプを照射(照射時間は例えば1.0ms)し、塗布膜内の銅ナノ粒子を光焼成して導電膜を形成する方法が開示されている(段落0088と段落0121参照)。
しかし、特許文献2に記載の方法は、銅ナノ粒子を光焼成する前に、塗布膜に含まれる分散剤を除去する前処理工程(分散剤を溶解するクエン酸溶液等に乾燥させた塗布膜を浸漬する処理)が必要なため、導電膜の形成工程が煩雑となる問題を有している。更に、特許文献2に記載の方法では、後述する局在表面プラズモンにより銅ナノ粒子が吸収しない波長を含んだキセノンフラッシュランプが使用されるため、銅ナノ粒子が吸収しない波長を樹脂フィルム基板が吸収してしまう結果、特許文献1と同様、樹脂フィルム基板が熱劣化する問題も有していた。
国際公開番号WO2022/009837公報 特開2021-044308号公報
Mie, G. Beitrage zur Optik truberMedien, speziell kolloidaler Metallosungen. Ann. Phys. 330, 377-445 (1908). Bohren, C. F. & Huffman, D. R. Absorption and Scattering of Light by Small Particles. (Wiley-VCH Verlag, 1983).
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、銀に較べ「マイグレーション」が極僅かな銅ナノ粒子を用い、かつ、銅ナノ粒子を光焼成して導電膜を形成する方法を前提とし、ガラス転移温度の低い樹脂基板や樹脂フィルム基板を適用した場合においても樹脂基板や樹脂フィルム基板が熱劣化し難い導電膜の形成方法を提供することにある。より具体的には、粒径20nm~80nmの銅粒子を用い、ガラス転移温度の低い樹脂基板や樹脂フィルム基板が適用された場合においても樹脂基板や樹脂フィルム基板の熱劣化が起こり難い導電膜の形成方法とこの方法に用いられる光焼成用導電性インクを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明者が、粒径20nm~80nmの銅粒子を効率的に光焼成できかつ樹脂基板や樹脂フィルム基板等の熱劣化を防止できる条件を見出すため鋭意研究を行った結果、後述する計算に基づき本発明者が作成した図2~図4に示すグラフ図から、粒径20nm~80nmにおける銅粒子の局在表面プラズモンによる吸収ピークが波長500nm~620nmに存在することを発見するに至った。
本発明は本発明者の上記発見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
ナノサイズの金属粒子と溶剤を含有する光焼成用導電性インクを基材上に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、
上記塗布膜の溶剤を除去して乾燥膜を形成する乾燥工程と、
上記乾燥膜に向けて光を照射し、乾燥膜内の金属粒子を光焼成して導電膜を形成する光焼成工程、
を具備する導電膜の形成方法において、
上記ナノサイズの金属粒子が粒径20nm~80nmの銅粒子で構成され、かつ、
上記乾燥膜に向けて波長500nm~620nmのレーザ光を照射し、乾燥膜内の銅粒子を光焼成して導電膜を形成することを特徴とする。
また、第2の発明は、
第1の発明に記載の導電膜の形成方法において、
上記光焼成用導電性インクが、波長600nmにおける屈折率が1.4~1.6の樹脂を含むことを特徴とし、
第3の発明は、
第2の発明に記載の導電膜の形成方法において、
上記波長600nmにおける屈折率が1.4~1.6の樹脂が、水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方の官能基を有することを特徴とし、
第4の発明は、
第3の発明に記載の導電膜の形成方法において、
上記水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方の官能基を有する波長600nmにおける屈折率が1.4~1.6の樹脂が、セルロース系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、または、アクリル樹脂のいずれかであることを特徴とし、
第5の発明は、
第2の発明~第4の発明のいずれかに記載の導電膜の形成方法において、
上記波長600nmにおける屈折率が1.4~1.6の樹脂含有割合が、銅粒子100質量部に対し3質量部以下であることを特徴とし、
第6の発明は、
第1の発明に記載の導電膜の形成方法において、
上記塗布工程において、塗布直前の光焼成用導電性インクに対し超音波を照射して銅粒子の分散状態を保持することを特徴とする。
次に、第7の発明は、
第1の発明に記載の導電膜の形成方法に用いられる光焼成用導電性インクにおいて、
粒径20nm~80nmの銅粒子と溶剤を含有することを特徴し、
第8の発明は、
第7の発明に記載の光焼成用導電性インクにおいて、
波長600nmにおける屈折率が1.4~1.6の樹脂を含むことを特徴とし、
第9の発明は、
第8の発明に記載の光焼成用導電性インクにおいて、
上記波長600nmにおける屈折率が1.4~1.6の樹脂が、水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方の官能基を有することを特徴とし、
第10の発明は、
第9の発明に記載の光焼成用導電性インクにおいて、
上記水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方の官能基を有する波長600nmにおける屈折率が1.4~1.6の樹脂が、セルロース系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、または、アクリル樹脂のいずれかであることを特徴とし、
第11の発明は、
第8の発明~第10の発明のいずれかに記載の光焼成用導電性インクにおいて、
上記波長600nmにおける屈折率が1.4~1.6の樹脂含有割合が、銅粒子100質量部に対し3質量部以下であることを特徴とする。
本発明に係る導電膜の形成方法によれば、
基材上に設けられた乾燥膜に向けて波長500nm~620nmのレーザ光を照射し、乾燥膜内の粒径20nm~80nmの銅粒子を光焼成して導電膜を形成している。
そして、粒径20nm~80nmの銅粒子においては、波長500nm~620nmに局在表面プラズモンによる吸収ピークがあるため、照射されたレーザ光は粒径20nm~80nmの銅粒子に吸収されて効率的な光焼成が可能となり、かつ、照射されたレーザ光の大半は銅粒子に吸収されて樹脂基板や樹脂フィルム基板等に吸収されるレーザ光が少ないため樹脂基板や樹脂フィルム基板等の熱劣化を防止することが可能となる。
図1(A)~(D)は本発明に係る導電膜の形成方法の工程説明図。 粒径10nm~200nmの銅粒子の周囲に存在する媒体の屈折率Nが1.4(N=1.4)である場合の照射波長(300nm~1000nm)による粒径10nm~200nmの銅粒子における吸収断面積の計算結果を示すグラフ図。 粒径10nm~200nmの銅粒子の周囲に存在する媒体の屈折率Nが1.5(N=1.5)である場合の照射波長(300nm~1000nm)による粒径10nm~200nmの銅粒子における吸収断面積の計算結果を示すグラフ図。 粒径10nm~200nmの銅粒子の周囲に存在する媒体の屈折率Nが1.6(N=1.6)である場合の照射波長(300nm~1000nm)による粒径10nm~200nmの銅粒子における吸収断面積の計算結果を示すグラフ図。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
1.金属粒子
(1)金属粒子の粒子径
一般に金属粒子を粒子径100nm以下にすると、該金属粒子のネッキング(粒子間結合)温度は低下する。特許文献1では、ガラス基板上に形成した塗布膜の溶媒を乾燥除去する温度で銀微粒子のネッキング(粒子間結合)が起こり電極を形成している。このようなネッキング(粒子間結合)温度の低下は、銀微粒子の他、銅微粒子でも確認されている。
更に、粒子径10nm~100nmの金属微粒子では、光を吸収し、発色することが知られている。例えば、銀コロイドを含むガラスは黄色く着色し、金コロイド液は、金微粒子の粒径により赤から青味を呈した紫の色をもつ。これは、金属微粒子の局在表面プラズモン(Localized Surface Plasmon LSP)に基づく光学特性によるものである。金属微粒子の局在表面プラズモンによる光の吸収は、金属元素特有のプラズマ周波数、金属微粒子の粒子径、媒体の屈折率(誘電率)が影響する。金属微粒子の粒子径が大きくなると吸収する光の波長は長波長側にシフトし、金属微粒子の周囲に存在する媒体の屈折率(誘電率)が大きくなると、吸収する光の波長は長波長側にシフトする。そして、金属微粒子の局在表面プラズモンに基づく光の吸収により金属微粒子は発熱する。
そこで、本発明においては、銅微粒子の粒径をナノサイズにすることで銅ナノ粒子の局在表面プラズモンに基づく光吸収による発熱、および、銅ナノ粒子のネッキング(粒子間結合)温度が低下する現象を利用して電極配線等の導電膜を形成している。
(2)粒径20nm~80nmの銅粒子
ところで、本発明において局在表面プラズモンによる光吸収を行う金属微粒子は銅微粒子であり、銅微粒子の平均粒子径は20~80nm、より望ましくは30~70nmであり、更に望ましくは40~60nmである。
銅微粒子の平均粒子径が80nmを超えると、粒子が大き過ぎて微粒子同士のネッキング(粒子間結合)が進まず、電極配線等の導電膜を形成することができない。また、本発明者が作成した図2~図4のグラフ図に示されているように、粒子径が80nmを超えると局在表面プラズモンによる光の吸収は期待できない。
一方、粒子径が20nm未満の場合、銅微粒子の局在表面プラズモンによる光吸収が短波長側の光となり、波長500nm~620nmのレーザ光の吸収に適さなくなる。
また、電極配線等の導電膜が形成される基材に樹脂基板や樹脂フィルム基板等を用いる場合、レーザ光の波長が400nmより短波長側になると樹脂フィルム基板等の基材を劣化させることがある。
(3)吸収断面積(σabs
銅微粒子の局在表面プラズモンによる光吸収の指標として吸収断面積(σabs)があり、該吸収断面積(σabs)は1つの銅微粒子の光吸収を表す。
該吸収断面積を考えるためには銅微粒子と入射する光の関係を考える必要がある。銅微粒子に光が入射すると、銅微粒子内の電子は光の電場によって振動する。光の波長に対して粒子が十分に小さいとき、銅微粒子内には双極子のみが誘起される。このときの消失断面積σext、散乱断面積σsca、吸収断面積σabsは、近似的に以下の式で計算できる。
Figure 2024017543000002
上記式中、aは銅微粒子の半径、ε1は粒子の複素誘電率、εは媒体の複素誘電率、Nは媒体の屈折率、λは光の波長である。また、Im{z}は複素数zの虚部を表す。尚、上記Im{z}のzは、z=(ε1-ε)/(ε1+2ε)である。
ところで、吸収断面積(σabs)を銅微粒子の粒子径(直径)dの3乗で割り規格化した指標σabs/d3は、単位体積あたりの吸収の目安となる。
吸収断面積(σabs)を銅微粒子の直径dの3乗で割った上記指数σabs/d3が、単位体積当たりの吸収の目安となることを説明する。
光焼成用導電性インク(以下、導電性インク)として考えた場合、光により銅微粒子がネッキング(粒子間結合)するため、導電性インクが塗布された塗布膜や乾燥膜に含まれる全ての銅微粒子が吸収する光の合計量が重要になる。銅微粒子が球形で、かつ、粒子径が均一と仮定した場合、同じ質量含有率の銅微粒子を含む導電性インクの単位体積に含まれる銅微粒子の個数は下記(I)式で表される。
単位体積の導電性インクに含まれる銅微粒子の個数
=Dink×A/[4/3×π×(1/2×d)3×DCu] (I)
A:導電性インクに含まれる銅微粒子の質量含有率
d:銅微粒子の粒子径(直径)
ink:導電性インクの比重
Cu:銅の比重
π:円周率
因みに、上記(I)式の[Dink×A]は導電性インクに含まれる銅微粒子の全質量、および、[4/3×π×(1/2×d)3×DCu]は銅微粒子1個の質量である。
ここで、銅微粒子の粒子径dが変わっても導電性インクの比重Dinkや銅の比重DCuは変わらない。また、導電性インクに含まれる銅微粒子の質量含有率Aが同じなら、導電性インクに含まれる銅微粒子の粒子径dが変わっても、導電性インクを同じ膜厚で塗布した塗布膜や乾燥膜に含まれる銅微粒子の質量も変わらない。
単位体積の導電性インクの質量は導電性インクの比重Dinkと同じであり、単位体積に含まれる全銅微粒子の質量の総和はDink×Aと同じである。単位体積に含まれる全銅微粒子の質量の総和を1つの銅微粒子の質量で割れば、上述したように単位体積に含まれる銅微粒子の個数が算出できる。
そして、単位体積の導電性インクに含まれる銅微粒子の質量含有率Aが同じである場合、上記(I)式における銅微粒子の粒子径(直径)d以外のDink、DCu、πは全て定数であるため、上記(I)式は下記(I’)式で表される。
単位体積の導電性インクに含まれる銅微粒子の個数
=Dink×A/[4/3×π×(1/2×d)3×DCu
=Dink×A/[4/3×π×DCu×(1/2×d)3
=Dink×A/[4/3×π×DCu×(1/2)3×d3
={Dink×A/[4/3×π×DCu×(1/2)3}×1/d3
そして、{Dink×A/[4/3×π×DCu×(1/2)3}=k(定数)とすると、
単位体積の導電性インクに含まれる銅微粒子の個数=k×1/d3となり、
式を簡略化するため「k=1」とすると上記式は下記(I’)式となる。
単位体積の導電性インクに含まれる銅微粒子の個数=1/d3 (I’)
そして、吸収断面積「σabs」は1つの銅微粒子の吸収であるため、単位体積あたりの吸収は、「単位体積の導電性インクに含まれる銅微粒子の個数」×「σabs」となり、上記(I’)から、単位体積あたりの吸収は、1/d3×「σabs」=(σabs/d3)となる。
すなわち、吸収断面積σabsを銅微粒子の直径dの3乗で割る(σabs/d3)ことは、「単位体積に含まれる銅微粒子の個数」(1/d3)を「σabs」に乗じたことと同じとなるので、上記指標σabs/d3は、単位体積あたりの吸収の目安となる。
但し、粒子が光の波長に対して同程度以上になると、四重極子など高次の振動モードや、粒子表面での屈折や反射なども発生し、上記の近似は成立しなくなる。粒子が球状と仮定し、G. Mieの理論(非特許文献1)を用いてマクスウェル方程式を厳密に解くことで、任意の粒径の粒子に対してσabsおよびσabs/d3を求めることができる。
図2~4における各波長のσabs/d3は、C. F. BohrenとD. R. Huffmanによって開発されたソフトウェアBHMIE(非特許文献2)を用いて、σabsおよびσabs/d3を計算した。
尚、図2~図4では、銅微粒子の周囲に存在する媒体(溶剤および樹脂)の屈折率(誘電率)を1.4~1.6として計算している。
(4)波長500nm~620nm
図2~図4のグラフ図から、粒径20nm~80nmの銅粒子において波長500nm~620nmに局在表面プラズモンによる吸収ピークが存在することが確認され、また、粒径が80nmを超えた粒径100nmの銅粒子においては局在表面プラズモンによる吸収ピークが小さいことが確認される。更に、銅粒子の粒径50nm近傍が、波長500nm~620nmでの局在表面プラズモンによる吸収ピークが最も高いことが分かる。
ところで、図2~図4は、銅微粒子を均一の粒子径、球状の形状として近似しているが、実際の銅微粒子は、粒子径には分布を持ち、形状も形が揃っていない不定形である。すなわち、実際の銅微粒子は、粒子径にも粒度としてばらつきの分布を示し、形状にもばらつきがある。しかし、実際の銅微粒子にばらつきがあっても、そのばらつきは、際限なく広がっているのではなく範囲を定めることができるので、平均粒子径が20~80nmの範囲にあるのならば、図2~図4の傾向を満たすことができる。
銅微粒子は、平均粒子径が20nm~80nmの粉末が得られればよく、銅粒子の製造方法は限定されず、公知の湿式還元法、気相法等が挙げられる。湿式還元法としては、銅の酸化物、水酸化物または塩を溶液中で還元すればよく、ポリオール法が公知である。気相法は、例えばプラズマ中に銅微粒子の原料を供給し、溶融した銅を経て冷却し銅微粒子を得ることができる。
本発明においては、銅微粒子の局在表面プラズモンに基づく光吸収による発熱効果を発揮させるため、平均粒径が20nm~80nmの銅微粒子のみを銅成分として使用することが望ましい。
2.光焼成用導電性インク(以下、導電性インク)
本発明に係る導電性インクは、粒径20nm~80nmの銅粒子と溶剤を含有する。
(1)溶剤
溶剤は、導電性インクの粘性を調整する。
溶剤としては、アルコール系、ケトン系、炭化水素系、グリコール系、テルペン系溶剤、水系等、種々のものを適用することができ、使用する基材により適宜選択すればよい。具体的には、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤;3-メチル-メトキシ-プロピオネート等のエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体;ターピネオールやジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネオールアセテート等のテルペン系溶剤;フォルムアミド、N-メチルフォルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;エチレンクロライド、クロルベンゼン等が適用できる。
基材に樹脂基板や樹脂フィルム基板が適用される場合、テルペン系溶剤、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール誘導体を用いることが、溶剤による基材の溶解等の不具合を避けるため好ましい。更に、粘性調整のためエチレングリコールやジエチレングリコール等を併用することができる。
これらの溶剤は、ポリイミドフィルムから成る基材に導電性インクを塗布(印刷)して形成した塗布膜(印刷膜)を80℃~150℃の温度に加熱し、塗布膜(印刷膜)から溶剤を揮発させて乾燥除去し、乾燥膜を形成できる溶剤である。また、これら溶剤の屈折率(誘電率)は1.4~1.6である。
(2)屈折率(誘電率)1.4~1.6の樹脂
(2-1)導電性インクは、屈折率(誘電率)1.4~1.6の樹脂を含むことができる。
導電性インクが樹脂を含む場合、上記乾燥膜では、樹脂が銅微粒子の周囲に存在し、媒体となる。その結果、媒体となった樹脂の屈折率が、乾燥膜に照射された光に対し作用すると共に銅微粒子の局在表面プラズモンによる光吸収に作用する。そして、銅微粒子に吸収された光は熱に変換され、銅微粒子間のネッキング(粒子間結合)に関与する。
屈折率(誘電率)1.4~1.6の樹脂には、メチルセルロースやエチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、アクリル樹脂を用いることができる。これらの樹脂の内、分子に水酸基やカルボキシル基等の官能基を有するものが望ましい。これらの官能基は、銅微粒子表面に吸着し、分散剤として機能する。
(2-2)メチルセルロースやエチルセルロースを構成するグルコース環は、その水酸基の全てがエーテル化されているのではなく、一部が水酸基として残っている。グルコース環には3個の水酸基が存在する。メチルセルロース分子でみると、構成するグルコース環は平均で1個の水酸基がエーテル化し、エチルセルロース分子でみると、構成するグルコース環は平均で2.5個の水酸基がエーテル化されている。
ポリビニルアセタール樹脂でも、アセタール化する前のポリビニルアルコールの全ての水酸基がアセタール化されるのではない。ポリビニルアセタール樹脂でもビニールアルコールの単位でみると20%~40%の水酸基が存在する。
アクリル樹脂は、メタクリレート樹脂も含み、アクリル酸やメタクリル酸の一部のカルボキシル基の一部がエステル化されずにカルボキシル基として存在する。このようなアクリル樹脂は酸価として示される。また、アクリル樹脂の主鎖に水酸基やカルボキシル基を導入した樹脂も存在する。
(2-3)樹脂に、メチルセルロースやアクリル樹脂を用いる場合、溶剤を水系にすることができ、環境負荷にも資する。
導電性インクに添加された樹脂は、銅微粒子の局在表面プラズモンによる光吸収での発熱により分解され、除去される。このため、銅微粒子100質量部に対し、樹脂は3質量部以下が望ましい。銅微粒子100質量部に対し3質量部を超えて樹脂を含むと、樹脂が過剰となり、乾燥膜にレーザ光を照射しても、樹脂が炭素として残留し、銅微粒子間のネッキング(粒子間結合)を阻害することがある。
また、導電性インクに含まれる溶剤の含有率は、導電性インクの塗布性を考慮して適宜調整すればよい。導電性インク中に溶剤は10質量%から60質量%加えることができる。溶剤が60質量%を超えた場合、乾燥時における塗布膜の収縮が大きくなる。
導電性インクは、ペイントシェーカー、媒体撹拌ミル、自公転ミキサー、三本ロール、超音波による分散等各種の撹拌機を用いて製造することができる。
3.導電膜の形成方法
(1)本発明に係る導電膜の形成方法
まず、図1(A)に示すように粒径20nm~80nmの銅粒子1と溶剤2を含有する光焼成用導電性インク3を用意し、この光焼成用導電性インク3を基材4上に塗布して図1(B)に示す塗布膜5を形成する(塗布工程)。
次いで、上記塗布膜5を80℃~150℃の温度で加熱し、塗布膜5から溶剤2を揮発させて乾燥除去し、図1(C)に示す乾燥膜6を形成する(乾燥工程)。
次いで、上記乾燥膜6に向けて波長500nm~620nmのレーザ光7を照射し、図1(D)に示す導電膜8を形成する。この際、乾燥膜6内の銅粒子1は、波長500nm~620nmのレーザ光7の照射を受けて、局在表面プラズモンによる発熱と、レーザ光7による加熱によりネッキング(粒子間結合)し光焼成される(光焼成工程)。
尚、光焼成用導電性インク3を塗布して形成された図1(B)に示す塗布膜5にレーザ光を照射して銅粒子1の光焼成をしようとすると、塗布膜5に含まれる溶剤2の突沸により塗布膜5のパターンが崩れてしまい、目的とする形状の配線電極を形成することはできない。このため、塗布膜5を80℃~150℃の温度で加熱し、塗布膜5から溶剤2を揮発させて乾燥除去し、図1(C)に示す乾燥膜6を形成している。
(2)基材と導電性インク
導電膜が形成される基材としては、アルミナやジルコニア等絶縁性のセラミック基板および板ガラスに加え、樹脂基板、樹脂フィルム基板を用いることができる。
本発明では、波長500nm~620nmに局在表面プラズモンによる吸収ピークがある粒径20nm~80nmの銅粒子を使用することから、光焼成工程の際、照射される波長500nm~620nmのレーザ光の大半が銅粒子に吸収され、基材に吸収されるレーザ光が少ないため基材として樹脂基板や樹脂フィルム基板を用いることが可能となる。
また、光焼成用導電性インクの溶剤や樹脂を選択して光焼成用導電性インクの粘性を適宜調整することにより、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット等公知の印刷パターン形成技術を活用することが可能となる。塗布工程の際、塗布膜パターンの形成により、所望形状の導電膜(配線電極)を形成することができる。
(3)光源
(3-1)キセノンランプ
特許文献2においては、上述したように、局在表面プラズモンにより銅ナノ粒子が吸収しない波長領域、具体的には、紫外線領域の波長200nmから外線領域の波長1000nmまで含まれるキセノンランプを光源として使用している。
そして、光源としてキセノンランプが使用された場合、雰囲気自体の温度が上昇し、基材自体の温度も上昇させてしまうので、基材の選択を狭くする問題がある。更に、局在表面プラズモンにより銅ナノ粒子が吸収しない波長領域を含んでいるため、基材として樹脂基板や樹脂フィルム基板を選択した場合、銅ナノ粒子が吸収しない波長を樹脂基板や樹脂フィルム基板が吸収してしまう結果、基材が熱劣化する問題を有していた。
(3-2)波長500nm~620nmのレーザ光
本発明においては、粒径20nm~80nmの銅粒子の局在表面プラズモンによる光吸収に最適な波長500nm~620nmのレーザ光を光源として使用している。
そして、光源として波長500nm~620nmのレーザ光が使用された場合、レーザ光は乾燥膜の内部まで届き、かつ、レーザ光は粒径20nm~80nmの銅粒子に吸収されてその局在表面プラズモンによる発熱とレーザ光による加熱によりネッキング(粒子間結合)して効率的な光焼成が可能となり、更に、照射されたレーザ光の大半が銅粒子に吸収されて基材に吸収されるレーザ光が少ないため、基材として樹脂基板や樹脂フィルム基板を選択してもその熱劣化を防止できる利点を有する。
尚、上記レーザ光の光源としては、YAGレーザの第2高調波(波長532nm)をはじめとして公知の光源を使用することができる。
(4)樹脂フィルム基板としてのポリイミドフィルム
基材に樹脂基板や樹脂フィルム基板が用いられる場合、粒径20nm~80nmの銅粒子の局在表面プラズモンによる光吸収がない波長の光は、その分、樹脂基板や樹脂フィルム基板等の基材が吸収するため基材に熱的ダメージを与える恐れがある。
例えば、基材として一般的に公知の「透明な黄色のポリイミドフィルム」および公知の「透明ポリイミドフィルム」を用いた場合、波長400nm以下の光はこれらのフィルムが吸収し、熱に変換される。一般的に公知の「透明な黄色のポリイミドフィルム」では、波長500nm以下の光を吸収する。
そして、基材として上記ポリイミドフィルムを用いた場合、光源がキセノンランプであれば、波長400nm以下の光をポリイミドフィルムが吸収し、熱に変換される。基材が一般的に公知の「透明な黄色のポリイミドフィルム」であれば、波長500nm以下の光を「透明な黄色のポリイミドフィルム」が吸収し、熱に変換される。
他方、本発明に係る波長500nm~620nmのレーザ光を光源として用いた場合、当該波長域(波長500nm~620nm)の光をポリイミドフィルムは透過し易いため、基材への熱的ダメージが少ないことは明らかである。
以下、本発明の実施例について比較例も挙げて具体的に説明する。
[実施例1~3、比較例1~2]
平均粒子径が21nm(実施例1)、53nm(実施例2)、79nm(実施例3)、99nm(比較例1)、および、205nm(比較例2)の銅微粒子粉末を用意した。
(1)導電性インクの調製
まず、各銅微粒子粉末50質量%、ビヒクル30質量%、溶媒のジヒドロターピネオールアセテート18質量%とエチレングリコール2質量%を混合し、得られた混合物に超音波を照射し、銅微粒子粉末が溶媒中に均一分散された実施例1~3、および、比較例1~2に係る導電性インクを調製した。
尚、上記ビヒクルは、樹脂のエチルセルロース10質量%と溶媒のジヒドロターピネオールアセテート90質量%を混合し、樹脂のエチルセルロースを溶解して得た。
また、各銅微粒子粉末は、公知のポリオール法で合成し、平均粒子径は透過型電子顕微鏡像を画像処理して算出した。
(2)塗布(印刷)工程
次に、基材として厚さ50μm、100mm四方の正方形ポリイミドフィルムを適用し、かつ、スクリーン印刷法により実施例と比較例に係る各導電性インクを各基材上に印刷して、幅1mm、長さ30mmの直線状電極パターン塗布膜(印刷膜)を形成した。
尚、上記直線状電極パターン塗布膜(印刷膜)は、基材である正方形ポリイミドフィルム一辺に対し平行に並べて複数形成している。
また、下記乾燥工程で得られる乾燥膜の膜厚が3μmとなるように、スクリーン印刷時におけるスクリーン印刷版と基材である正方形ポリイミドフィルム間の距離を調整して直線状電極パターン塗布膜(印刷膜)の膜厚を設定している。
尚、実施例と比較例に係る各導電性インクを用いて基材上に直線状電極パターン塗布膜(印刷膜)を形成する際、スクリーン印刷する直前にも各導電性インクに対し超音波を照射して銅微粒子粉末の分散状態を保持している。
(3)乾燥工程
次に、上記直線状電極パターン塗布膜(印刷膜)が形成された正方形ポリイミドフィルムを100℃に保たれたボックス型乾燥機に収容し、窒素雰囲気下、1時間保持して、直線状電極パターン塗布膜(印刷膜)の溶媒等を揮発させ、乾燥膜を得た。
(4)光焼成工程
次に、得られた乾燥膜に向けてライン状のレーザ光を走査させながら照射し、乾燥膜内の銅微粒子を光焼成させて直線状電極(導電膜)を形成した。
尚、レーザ光の走査速度については「200mm/秒」と「100mm/秒」の2条件でそれぞれ実施し、かつ、レーザ光を走査させる光焼成の雰囲気は窒素である。
また、上記ライン状のレーザ光におけるスリットの方向は直線状電極の長手方向に対し垂直な方向であり、直線状電極の長手方向に「200mm/秒」と「100mm/秒」の各条件でレーザ光を1回走査させている。
また、光源として、Nd:YAGレーザの第2高調波(波長532nm)を用い、かつ、シリンドリカルレンズを用いてレーザ光をライン状にビーム整形している。
[評価方法]
1.適用した銅微粒子粉末の平均粒子径(21nm、53nm、79nm、99nm、205nm)、および、レーザ光の走査速度「200mm/秒」と「100mm/秒」をパラメータとし、光焼成の程度を下記(1)(2)(3)の項目で評価した。
(1)光焼成後における電極間の抵抗値
評価基準は、30Ω未満:◎、30Ω以上100Ω未満:〇、
100Ω以上1000Ω未満:×
(2)SEM観察による銅粒子間のネッキング(粒子間結合)程度
評価基準は、粒子間結合が多:◎、粒子間結合が少:〇、粒子間結合が無:×
(3)光焼成による基材の焼け、反り、うねり等熱負荷ダメージの有無
評価基準は、熱負荷ダメージが無:◎、熱負荷ダメージが有り:×
2.上記抵抗値は、デジタルマルチメーター(KEITHLEY社製、2001番)を用いて測定した。
3.また、導電性インクのサンプル数は、実施例1~3および比較例1~2の5個であり、光焼成工程で得られた直線状電極(導電膜)のサンプル数は、走査速度「200mm/秒」と「100mm/秒」のそれぞれについて実施例1~3および比較例1~2の5個である。
4.結果を下記表1に示す。
Figure 2024017543000003
[確 認]
1.実施例1~3
(1)実施例1、走査速度「100mm/秒」の実施例2、および、走査速度「100mm/秒」の実施例3では、「光焼成の程度」を評価する項目(1)光焼成後における電極間の抵抗値が「30Ω未満」、項目(2)銅粒子間のネッキング(粒子間結合)程度が「多」、および、項目(3)熱負荷ダメージが「無」で、銅粒子の光焼成に問題がないことが確認される。
(2)他方、走査速度「200mm/秒」の実施例2、および、走査速度「200mm/秒」の実施例3では、項目(1)光焼成後における電極間の抵抗値が「30Ω以上100Ω未満」、および、項目(2)銅粒子間のネッキング(粒子間結合)程度が「少」の評価で、光焼成処理が、若干、不十分であることが確認されるが、熱負荷ダメージについては「無」の評価で問題がないことも確認される。
(3)尚、平均粒子径が20nm(実施例1の変形例)の銅微粒子粉末を用い、実施例1と同様に実施したところ、走査速度「100mm/秒」の場合、光焼成して形成された電極の一部分に酸化と思われる変色が確認された。
このため、平均粒子径が20nmの銅微粒子粉末を用いる場合、光焼成工程におけるレーザ光の走査速度は「200mm/秒」が望ましいことも確認された。
2.比較例1~2
(1)比較例1~2では、「光焼成の程度」を評価する項目(1)光焼成後における電極間の抵抗値が「100Ω以上1000Ω未満」、および、項目(2)銅粒子間のネッキング(粒子間結合)程度が「無」の評価で、銅粒子の光焼成が進行していないことが確認されたが、熱負荷ダメージについては「無」の評価であった。
(2)基材として適用したポリイミドフィルムにおいては、Nd:YAGレーザの第2高調波(波長532nm)の吸収が少ないため、熱負荷ダメージの評価が「無」になったと考えられる。
樹脂基板上に形成した乾燥膜に向け波長500nm~620nmのレーザ光を照射し、乾燥膜内の粒径20nm~80nmの銅粒子を光焼成して電極配線等を形成する本発明方法によれば、上記粒径の銅粒子は上記波長に局在表面プラズモンによる吸収ピークがあるため効率的な光焼成が可能となり、かつ、大半のレーザ光が銅粒子に吸収されて樹脂基板の熱劣化が防止される。このため、樹脂基板に印刷法で電極配線が形成される「プリンテッドエレクトロニクス」分野に利用される産業上の利用可能性を有している。
1 銅粒子
2 溶剤
3 光焼成用導電性インク
4 基材
5 塗布膜
6 乾燥膜
7 レーザ光
8 導電膜

Claims (11)

  1. ナノサイズの金属粒子と溶剤を含有する光焼成用導電性インクを基材上に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、
    上記塗布膜の溶剤を除去して乾燥膜を形成する乾燥工程と、
    上記乾燥膜に向けて光を照射し、乾燥膜内の金属粒子を光焼成して導電膜を形成する光焼成工程、
    を具備する導電膜の形成方法において、
    上記ナノサイズの金属粒子が粒径20nm~80nmの銅粒子で構成され、かつ、
    上記乾燥膜に向けて波長500nm~620nmのレーザ光を照射し、乾燥膜内の銅粒子を光焼成して導電膜を形成することを特徴とする導電膜の形成方法。
  2. 上記光焼成用導電性インクが、波長600nmにおける屈折率が1.4~1.6の樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の導電膜の形成方法。
  3. 上記波長600nmにおける屈折率が1.4~1.6の樹脂が、水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方の官能基を有することを特徴とする請求項2に記載の導電膜の形成方法。
  4. 上記水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方の官能基を有する波長600nmにおける屈折率が1.4~1.6の樹脂が、セルロース系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、または、アクリル樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の導電膜の形成方法。
  5. 上記波長600nmにおける屈折率が1.4~1.6の樹脂含有割合が、銅粒子100質量部に対し3質量部以下であることを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の導電膜の形成方法。
  6. 上記塗布工程において、塗布直前の光焼成用導電性インクに対し超音波を照射して銅粒子の分散状態を保持することを特徴とする請求項1に記載の導電膜の形成方法。
  7. 請求項1に記載の導電膜の形成方法に用いられる光焼成用導電性インクにおいて、
    粒径20nm~80nmの銅粒子と溶剤を含有することを特徴とする光焼成用導電性インク。
  8. 波長600nmにおける屈折率が1.4~1.6の樹脂を含むことを特徴とする請求項7に記載の光焼成用導電性インク。
  9. 上記波長600nmにおける屈折率が1.4~1.6の樹脂が、水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方の官能基を有することを特徴とする請求項8に記載の光焼成用導電性インク。
  10. 上記水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方の官能基を有する波長600nmにおける屈折率が1.4~1.6の樹脂が、セルロース系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、または、アクリル樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項9に記載の光焼成用導電性インク。
  11. 上記波長600nmにおける屈折率が1.4~1.6の樹脂含有割合が、銅粒子100質量部に対し3質量部以下であることを特徴とする請求項8~10のいずれかに記載の光焼成用導電性インク。
JP2022120257A 2022-07-28 2022-07-28 導電膜の形成方法と光焼成用導電性インク Pending JP2024017543A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022120257A JP2024017543A (ja) 2022-07-28 2022-07-28 導電膜の形成方法と光焼成用導電性インク

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022120257A JP2024017543A (ja) 2022-07-28 2022-07-28 導電膜の形成方法と光焼成用導電性インク

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024017543A true JP2024017543A (ja) 2024-02-08

Family

ID=89808116

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022120257A Pending JP2024017543A (ja) 2022-07-28 2022-07-28 導電膜の形成方法と光焼成用導電性インク

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024017543A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5009907B2 (ja) 向上透明導電性被膜及びそれらを作製する方法
US7736693B2 (en) Nano-powder-based coating and ink compositions
US8404160B2 (en) Metallic ink
US7601406B2 (en) Nano-powder-based coating and ink compositions
TWI425893B (zh) 銅配線圖案形成方法以及該方法所使用的氧化銅粒子分散液
JP2014116315A (ja) 金属インク
Cho et al. Monolithically Programmed Stretchable Conductor by Laser‐Induced Entanglement of Liquid Metal and Metallic Nanowire Backbone
Rahman et al. Green laser sintering of copper oxide (CuO) nano particle (NP) film to form Cu conductive lines
Qin et al. Conductive network structure formed by laser sintering of silver nanoparticles
WO2014050466A1 (ja) 導電膜の製造方法および導電膜形成用組成物
Aminuzzaman et al. Fabrication of conductive silver micropatterns on an organic–inorganic hybrid film by laser direct writing
JP2024017543A (ja) 導電膜の形成方法と光焼成用導電性インク
WO2020153101A1 (ja) 導電性ペースト、導電膜付き基材、および導電膜付き基材の製造方法
JP5286846B2 (ja) 導電性基板及びその製造方法、並びに銅配線基板及びその製造方法
JP2014175240A (ja) 導電膜形成用組成物及びこれを用いる導電膜の製造方法
KR102632821B1 (ko) 금속 패턴의 형성 방법
Watanabe et al. Submicron writing by laser irradiation on metal nano-particle dispersed films toward flexible electronics
Rahman et al. Realization of thick copper conductive patterns using highly viscous copper oxide (CuO) nanoparticle ink and green laser sintering
JP7120890B2 (ja) 金属配線を備える導電基板及び該導電基板の製造方法、並びに金属配線形成用の金属インク
Li et al. Laser-induced forward transferred silver nanomembrane with controllable light absorption
KR20180004964A (ko) 그래핀 내산화 코팅된 나노구리 전극 제조방법
TW201703901A (zh) 處理奈米粒子的方法
Watanabe et al. Laser direct writing of conductive micropatterns using copper nanoparticle ink toward 3D interconnection
Jose et al. Study on the Conventional Versus Photonic (IPL) Sintering of Copper Nanoparticle (Cu NPs) Inks on Different Flexible Substrates
Aminuzzaman et al. Laser Direct Drawing of Silver Microwiring on a Double-Decker-Shaped Polysilsesquioxane Film using Silver Nanoparticle Ink