JP2024016307A - アンテナ基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】伝送特性および強度を両立可能なアンテナ基板を提供する。【解決手段】アンテナ基板は、アンテナと、前記アンテナに電気的に接続された給電パターンと、第1強化材および第1基材を含み、第1面および前記第1面とは反対側の第2面を有するコア層と、第2強化材および第2基材を含み、前記第1面側に配置された補強層と、前記コア層と前記補強層との間に配置され、強化材を含まない少なくとも1つの非強化層を有する上側ビルドアップ部と、前記第2面側に配置された、強化材を含まない少なくとも1つの非強化層を有する下側ビルドアップ部と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、アンテナ基板に関する。
特許文献1には、コア層と、コア層に積層されたビルドアップ層と、を備えたアンテナ基板が開示されている。このようなアンテナ基板においては、補強のために、一部の層にガラスクロスを含ませる場合がある。
ミリ波帯などの高周波信号を扱うアンテナ基板では、ビルドアップ層にガラスクロスが含まれると、ガラスクロスの粗密が伝送特性のバラつきを引き起こす。このため、ビルドアップ層にはガラスクロスが含まれない方が伝送特性の観点からは有利である。しかしながら、ビルドアップ層にガラスクロスが含まれない場合、アンテナ基板の強度が低下するという課題があった。
本発明はこのような事情を考慮してなされ、伝送特性および強度を両立可能なアンテナ基板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るアンテナ基板は、アンテナと、前記アンテナに電気的に接続された給電パターンと、第1強化材および第1基材を含み、第1面および前記第1面とは反対側の第2面を有するコア層と、第2強化材および第2基材を含み、前記第1面側に配置された補強層と、前記コア層と前記補強層との間に配置され、強化材を含まない少なくとも1つの非強化層を有する上側ビルドアップ部と、前記第2面側に配置された、強化材を含まない少なくとも1つの非強化層を有する下側ビルドアップ部と、を備える。
上記態様によれば、上側ビルドアップ部に非強化層が含まれている。この非強化層の表面にアンテナを配置することで、ガラスクロスなどの強化材を含む層の表面にアンテナを配置する場合と比較して、良好な伝送特性が得られる。また、第1強化材を含むコア層に加えて、第2強化材を含む補強層を備えていることで、アンテナ基板の強度を確保することができる。以上より、伝送特性および強度を両立したアンテナ基板を提供できる。
ここで、前記上側ビルドアップ部と前記補強層とが接着層によって接着固定されていてもよい。
また、前記補強層は前記コア層よりも厚くてもよい。
また、前記第1強化材と前記第2強化材とが同一の材質であり、前記第1基材と前記第2基材とが同一の材質であってもよい。
また、前記上側ビルドアップ部または前記下側ビルドアップ部の一部の層に強化材が含まれていてもよい。
また、前記上側ビルドアップ部の前記非強化層または前記下側ビルドアップ部の前記非強化層には、めっきによって内部が充填されたフィルドビアが形成されていてもよい。
また、前記上側ビルドアップ部または前記下側ビルドアップ部には、強化材を含まない2つの非強化層が隣接して設けられ、前記給電パターンの少なくとも一部が、前記2つの非強化層の間に位置するとともに前記2つの非強化層に接していてもよい。
また、前記補強層は前記アンテナよりも前記コア層から離れた位置に配置されていてもよい。
本発明の上記態様によれば、伝送特性および強度を両立可能なアンテナ基板を提供することができる。
以下、本実施形態のアンテナ基板について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、アンテナ基板1は、コア層10と、上側ビルドアップ部20と、下側ビルドアップ部30と、接着層40と、補強層50と、を備えている。コア層10は、第1面11と、第1面11とは反対側の第2面12と、を有する。
図1に示すように、アンテナ基板1は、コア層10と、上側ビルドアップ部20と、下側ビルドアップ部30と、接着層40と、補強層50と、を備えている。コア層10は、第1面11と、第1面11とは反対側の第2面12と、を有する。
(方向定義)
本明細書では、各層が積層された方向を「積層方向」という。積層方向において、コア層10から見た補強層50側を上側といい、その反対側を下側という。コア層10の第1面11側が上側であり、第2面12側が下側である。図1は、積層方向に沿ったアンテナ基板1の断面図である。積層方向から見ることを「平面視」という。
下側ビルドアップ部30、コア層10、上側ビルドアップ部20、接着層40、および補強層50は、下側から上側に向けて、この順に積層されている。
本明細書では、各層が積層された方向を「積層方向」という。積層方向において、コア層10から見た補強層50側を上側といい、その反対側を下側という。コア層10の第1面11側が上側であり、第2面12側が下側である。図1は、積層方向に沿ったアンテナ基板1の断面図である。積層方向から見ることを「平面視」という。
下側ビルドアップ部30、コア層10、上側ビルドアップ部20、接着層40、および補強層50は、下側から上側に向けて、この順に積層されている。
(アンテナ)
アンテナ基板1は、アンテナAと、給電経路60と、パッドPと、を備えている。アンテナAは、導体によって形成されたパターン(例えばパッチアンテナ)であり、高周波の無線信号(例えば60GHz帯)を送受信するように構成されている。アンテナAは、コア層10よりも上側(補強層50側)に配置されている。アンテナAの位置は適宜変更可能であるが、例えば図1のように、上側ビルドアップ部20と接着層40との間に形成されてもよい。パッドPは、アンテナ基板1の表面に形成される。図1の例では、下側ビルドアップ部30の下面(第3下側ビルドアップ層33の下面)にパッドPが形成されている。パッドPには、電子部品の端子等がはんだ付けされる。パッドPの周囲に、不図示のソルダーレジストが設けられてもよい。給電経路60は、アンテナAとパッドPとを電気的に接続している。
アンテナ基板1は、アンテナAと、給電経路60と、パッドPと、を備えている。アンテナAは、導体によって形成されたパターン(例えばパッチアンテナ)であり、高周波の無線信号(例えば60GHz帯)を送受信するように構成されている。アンテナAは、コア層10よりも上側(補強層50側)に配置されている。アンテナAの位置は適宜変更可能であるが、例えば図1のように、上側ビルドアップ部20と接着層40との間に形成されてもよい。パッドPは、アンテナ基板1の表面に形成される。図1の例では、下側ビルドアップ部30の下面(第3下側ビルドアップ層33の下面)にパッドPが形成されている。パッドPには、電子部品の端子等がはんだ付けされる。パッドPの周囲に、不図示のソルダーレジストが設けられてもよい。給電経路60は、アンテナAとパッドPとを電気的に接続している。
図1に示す給電経路60は、給電ビア61、62、64、65、66、68、69と、給電パターン63、67と、を含んでいる。給電ビア61はアンテナAから下側に延びており、給電ビア62に接続されている。給電パターン63は第1上側ビルドアップ層21の上面に形成されており、給電ビア62と給電ビア64とを接続している。給電ビア65はコア層10に形成されており、給電ビア64と給電ビア66とを接続している。給電パターン67は第1下側ビルドアップ層31の下面に形成されており、給電ビア66と給電ビア68とを接続している。給電ビア69は給電ビア68とパッドPとを接続している。ただし、給電経路60の構成は適宜変更可能であり、アンテナAとパッドPとを電気的に接続できればよい。
給電パターン63,67の特性インピーダンスは、例えば50Ωに整合されている。給電パターン63、67は、伝送特性向上の観点から、ガラスクロスが含まれていない層の表面に配置されることが望ましい。また、インピーダンス整合の観点から、給電パターン63、67の厚みは100μm程度であることが望ましい。図1に示すように、アンテナ基板1の一部の層間には接地パターンGが配置されている。積層方向において給電パターン63,67を間に挟むように、複数の接地パターンGを配置してもよい。また、給電ビア61等を取り囲むように、接地パターンGに電気的に接続された複数の接地ビア(不図示)を配置してもよい。同様に、平面視において給電パターン63,67を取り囲むように、複数の接地ビア(不図示)を配置してもよい。
(基材および強化材)
コア層10および補強層50には、基材および強化材が含まれている。本明細書では、コア層10に含まれる基材を特に「第1基材」といい、補強層50に含まれる基材を特に「第2基材」という場合がある。また、コア層10に含まれる強化材を特に「第1強化材」といい、補強層50に含まれる強化材を特に「第2強化材」という場合がある。以下では、強化材としてガラスクロスを用いる場合について説明するが、ガラスクロス以外の強化材を採用してもよい。また、第1強化材および第2強化材が互いに同一の材質でなくてもよい。
コア層10および補強層50には、基材および強化材が含まれている。本明細書では、コア層10に含まれる基材を特に「第1基材」といい、補強層50に含まれる基材を特に「第2基材」という場合がある。また、コア層10に含まれる強化材を特に「第1強化材」といい、補強層50に含まれる強化材を特に「第2強化材」という場合がある。以下では、強化材としてガラスクロスを用いる場合について説明するが、ガラスクロス以外の強化材を採用してもよい。また、第1強化材および第2強化材が互いに同一の材質でなくてもよい。
コア層10の第1基材および補強層50の第2基材としては、エポキシあるいはPPEを採用できる。すなわち、コア層10、補強層50は、強化材(ガラスクロス等)に基材(エポキシやPPE等)を含浸させることで形成された層である。コア層10、補強層50はいわゆるプリプレグ材(Pre-Impregnated Material)であってもよい。コア層10、補強層50の厚さは、強度を考慮すると100μm以上であることが望ましい。高周波設計(特性インピーダンスの整合、アンテナの広帯域化)の面でも、コア層10および補強層50がある程度厚いほうが望ましい。ただし、コア層10が厚すぎると不具合が生じる場合があるため、適切な値を選択する。
(コア層)
コア層10は、第1基材および第1強化材を含んでいる。コア層10には、給電ビア65が設けられている。給電ビア65は、例えばコア層10をドリルなどで加工して貫通孔を形成し、貫通孔の内側に金属を充填して形成される。給電ビア65の直径(貫通孔の内径)は、0.15mm以下であることが好ましい。これにより、アンテナ基板1の強度に大きく寄与するコア層10の強度低下を抑制できる。
コア層10は、第1基材および第1強化材を含んでいる。コア層10には、給電ビア65が設けられている。給電ビア65は、例えばコア層10をドリルなどで加工して貫通孔を形成し、貫通孔の内側に金属を充填して形成される。給電ビア65の直径(貫通孔の内径)は、0.15mm以下であることが好ましい。これにより、アンテナ基板1の強度に大きく寄与するコア層10の強度低下を抑制できる。
積層方向に直交する方向(コア層10が延在する方向)におけるコア層10の線膨張係数は、配線の材質である銅(Cu)に合わせて、10~20ppm/℃であることが好ましい。これにより、温度変化に伴う膨張量または収縮量が配線とコア層10との間で同等になり、熱的信頼性を向上させることができる。
(上側ビルドアップ部および下側ビルドアップ部)
上側ビルドアップ部20はコア層10の上面に積層され、下側ビルドアップ部30はコア層10の下面に積層されている。各ビルドアップ部20、30に含まれる層の数は、適宜変更可能であるが、2つ以上であることが好ましい。また、上側ビルドアップ部20および下側ビルドアップ部30に含まれる層の数は同じであることが好ましい。例えば図1では、上側ビルドアップ部20および下側ビルドアップ部30にはそれぞれ3つの層が含まれている。これにより、製造途中におけるアンテナ基板1の構造が、コア層10を中心として上下に対称となり、アンテナ基板1に反りが生じることを抑制できる。
上側ビルドアップ部20はコア層10の上面に積層され、下側ビルドアップ部30はコア層10の下面に積層されている。各ビルドアップ部20、30に含まれる層の数は、適宜変更可能であるが、2つ以上であることが好ましい。また、上側ビルドアップ部20および下側ビルドアップ部30に含まれる層の数は同じであることが好ましい。例えば図1では、上側ビルドアップ部20および下側ビルドアップ部30にはそれぞれ3つの層が含まれている。これにより、製造途中におけるアンテナ基板1の構造が、コア層10を中心として上下に対称となり、アンテナ基板1に反りが生じることを抑制できる。
図1において上側ビルドアップ部20に含まれる3つの層を、コア層10に近い側から順に、第1上側ビルドアップ層21、第2上側ビルドアップ層22、および第3上側ビルドアップ層23という。同様に、下側ビルドアップ部30に含まれる3つの層を、コア層10に近い側から順に、第1下側ビルドアップ層31、第2下側ビルドアップ層32、および第3下側ビルドアップ層33という。上側ビルドアップ部20および下側ビルドアップ部30をビルドアップ工法で形成する場合、第1上側ビルドアップ層21と第1下側ビルドアップ層31が同時に形成され、第2上側ビルドアップ層22と第2下側ビルドアップ層32が同時に形成され、第3上側ビルドアップ層23と第3下側ビルドアップ層33が同時に形成される。
上側ビルドアップ層21~23および下側ビルドアップ層31~33は、いずれも、強化材(ガラスクロス等)を含まない非強化層である。非強化層については、線膨張係数の制御が容易ではない。このため、線膨張係数が小さい材質(例えば50ppm/℃以下)を、特に非強化層の材質として選択することが好ましい。
上側ビルドアップ層21~23、下側ビルドアップ層31~33には、無機フィラーなどを含ませることで線膨張係数を調整し、線膨張係数を他の層と整合させてもよい。この場合、温度変化が生じたときの膨張量あるいは収縮量の層間の差が小さくなり、信頼性向上が期待できる。
上側ビルドアップ層21~23、下側ビルドアップ層31~33には、無機フィラーなどを含ませることで線膨張係数を調整し、線膨張係数を他の層と整合させてもよい。この場合、温度変化が生じたときの膨張量あるいは収縮量の層間の差が小さくなり、信頼性向上が期待できる。
上側ビルドアップ層21~23、下側ビルドアップ層31~33を形成する材質としては、60GHzにおける特性が、例えば比誘電率:2~4程度、誘電正接:0.01以下である材質が好適である。上側ビルドアップ層21~23、下側ビルドアップ層31~33を形成する材質としては、60GHzにおける特性が、比誘電率:3程度、誘電正接:0.005以下である材質が、さらに好適である。
上側ビルドアップ層21~23および下側ビルドアップ層31~33を形成する材質の具体例としては、エポキシやPPEなどの樹脂が挙げられる。
上側ビルドアップ層21~23および下側ビルドアップ層31~33を形成する材質の具体例としては、エポキシやPPEなどの樹脂が挙げられる。
上側ビルドアップ部20に含まれる上側ビルドアップ層21~23、および下側ビルドアップ部30に含まれる下側ビルドアップ層31~33の厚みは、強度を考慮して、100μm以上であることが好ましい。高周波設計(特性インピーダンスの整合、アンテナの広帯域化)の面でも、上側ビルドアップ層21~23、下側ビルドアップ層31~33がある程度厚いほうが望ましい。ただし、これらの層が厚すぎると不具合が生じる場合があるため、適切な値を選択する。
上側ビルドアップ層21~23にはそれぞれ給電ビア64、62、61が形成されている。下側ビルドアップ層31~33にはそれぞれ給電ビア66、68、69が形成されている。これらの給電ビアは、LVH(Laser Via Hole)であることが好ましい。より詳しくは、レーザ加工によって、直径が0.15mm以下となるように各層に貫通孔を形成し、貫通孔の内側をめっきによって充填した構造であることが好ましい。言い換えると、ビルドアップ部20、30に形成されるビアは、めっきによって内部が充填されたフィルドビアであることが好ましい。貫通孔の直径が0.15mm以下であることで、上側ビルドアップ層21~23または下側ビルドアップ層31~33に大きな給電ビアを形成することによるアンテナ基板1の強度低下を抑制できる。
また、上側ビルドアップ層21~23および下側ビルドアップ層31~33は、ガラスクロス等の強化材を含まない非強化層である。したがって、レーザ加工の際にガラスクロス等が削れ残ることによる貫通孔のくびれ発生が抑制され、微細径でも良好な給電ビアの形状が得られる。さらに、貫通孔の内側をめっきによって充填することで、強度をより高めることができる。貫通孔の内側をめっきで充填する際に、気泡などが生じないように、上側ビルドアップ層21~23、下側ビルドアップ層31~33の厚みは150μm以下とすることが好ましい。なお、上記の給電ビアの構造や形成方法は一例であり、例えば貫通孔の内周面をコンフォーマルめっきした後で貫通孔を樹脂で埋め、めっきで蓋を形成してもよい。
(補強層)
補強層50は、上側ビルドアップ部20よりも上側に位置している。図1では、接着層40によって補強層50が上側ビルドアップ部20に接着固定されている。接着層40としては、例えばガラスクロス等の強化材を含まない樹脂(エポキシやPPE等)を採用できる。あるいは、接着層40は、コア層10と同様のプリプレグ材であってもよいし、その他の接着剤であってもよい。
補強層50は、上側ビルドアップ部20よりも上側に位置している。図1では、接着層40によって補強層50が上側ビルドアップ部20に接着固定されている。接着層40としては、例えばガラスクロス等の強化材を含まない樹脂(エポキシやPPE等)を採用できる。あるいは、接着層40は、コア層10と同様のプリプレグ材であってもよいし、その他の接着剤であってもよい。
なお、例えば第3上側ビルドアップ層23が熱可塑性樹脂により形成されており、補強層50を第3上側ビルドアップ層23の表面に積層した状態で補強層50および第3上側ビルドアップ層23を熱圧着できる場合は、接着層40が無くても補強層50を上側ビルドアップ部20に接着固定できる。したがって、接着層40は必須ではない。
補強層50はコア層10よりも厚いことが好ましい。コア層10の厚みは、高周波基板としての特性を確保する観点から一定以下とされる。一方、補強層50の厚みはコア層10のような制限が少ないため、コア層10よりも容易に大きくできる。膨張係数差を考慮すると、補強層50はコア層10と同一材質であることが望ましい。すなわち、補強層50に含まれる第2強化材および第2基材は、コア層10に含まれる第1強化材および第1基材と、それぞれ同じ材質であるとよい。
(製造方法)
次に、以上のように構成されたアンテナ基板1の製造方法の一例を説明する。ただし、他の製造方法によってアンテナ基板1を製造してもよい。
まず、コア層10となるプリプレグ材を用意する。次いで、給電ビア65を形成する。具体的には、例えば直径0.1mm等の微細なドリルを用いて、コア層10に貫通孔を形成し、貫通孔の内側を金属で充填する。また、コア層10の上面および下面に接地パターンGを形成する。
次に、以上のように構成されたアンテナ基板1の製造方法の一例を説明する。ただし、他の製造方法によってアンテナ基板1を製造してもよい。
まず、コア層10となるプリプレグ材を用意する。次いで、給電ビア65を形成する。具体的には、例えば直径0.1mm等の微細なドリルを用いて、コア層10に貫通孔を形成し、貫通孔の内側を金属で充填する。また、コア層10の上面および下面に接地パターンGを形成する。
次に、コア層10の積層方向における両側(上側および下側)に、ビルドアップ材を順次貼り付け、上下対象な構造とする。反りを防止する観点から、各ビルドアップ材の厚みは、互いに同じであることが、より好ましい。必要に応じて、ビルドアップ材の表面に配線パターンを形成したり、ビルドアップ材にビアを形成したりする。
図1の例では、第1上側ビルドアップ層21および第1下側ビルドアップ層31をコア層10の両側に同時に貼り付ける。また、レーザ加工およびめっきフィルによって、給電ビア64、66を形成する。また、第1上側ビルドアップ層21の上面および第1下側ビルドアップ層31の下面に、給電パターン63、67をそれぞれ形成する。
図1の例では、第1上側ビルドアップ層21および第1下側ビルドアップ層31をコア層10の両側に同時に貼り付ける。また、レーザ加工およびめっきフィルによって、給電ビア64、66を形成する。また、第1上側ビルドアップ層21の上面および第1下側ビルドアップ層31の下面に、給電パターン63、67をそれぞれ形成する。
次に、第2上側ビルドアップ層22および第2下側ビルドアップ層32を、第1上側ビルドアップ層21の上面および第1下側ビルドアップ層31の下面に、それぞれ同時に貼り付ける。以下同様に、ビルドアップ層22、23へのビア加工、接地パターンGの形成、ビルドアップ層23、33の貼り付け、等を順次行う。
次に、接着層40によって補強層50を上側ビルドアップ部20に貼り付ける。最後にルータ加工等によって、アンテナ基板1を所定の大きさに切断する。この際、強化材を含む補強層50が設けられていることで、クラックの発生が抑制される。
以上説明したように、本実施形態のアンテナ基板1は、アンテナAと、アンテナAに電気的に接続された給電パターン63、67と、第1強化材および第1基材を含み、第1面11および第1面11とは反対側の第2面12を有するコア層10と、第2強化材および第2基材を含み、第1面11側に配置された補強層50と、コア層10と補強層50との間に配置され、強化材を含まない少なくとも1つの非強化層を有する上側ビルドアップ部20と、第2面12側に配置された、強化材を含まない少なくとも1つの非強化層を有する下側ビルドアップ部30と、を備える。この構成によれば、上側ビルドアップ部20に非強化層が含まれているため、この非強化層の表面にアンテナを配置することで、ガラスクロスなどの強化材を含む層の表面にアンテナを配置する場合と比較して、良好な伝送特性が得られる。また、第1強化材を含むコア層10に加えて、第2強化材を含む補強層50を備えていることで、アンテナ基板1の強度を確保することができる。以上より、伝送特性および強度を両立したアンテナ基板1を提供できる。
また、上側ビルドアップ部20と補強層50とが接着層40によって接着固定されている。この構成によれば、上側ビルドアップ部20のうち最も外側の層(図1では第3上側ビルドアップ層23)が熱圧着された後に補強層50を接着固定することができる。
また、補強層50がコア層10よりも厚いことで、アンテナ基板1の強度をより確実に高めることができる。補強層50はコア層10よりも伝送特性上の制限が少ないため、補強層50の厚みを大きくすることは容易である。
また、コア層10に含まれる第1強化材と補強層50に含まれる第2強化材とが同一の材質であり、コア層10に含まれる第1基材と補強層50に含まれる第2基材とが同一の材質であってもよい。この場合、コア層10と補強層50との線膨張係数が実質的に同じになり、温度変化に伴ってアンテナ基板1に反りが生じることを抑制できる。
また、上側ビルドアップ部20の非強化層(上側ビルドアップ層21~23)または下側ビルドアップ部30の非強化層(下側ビルドアップ層31~33)には、めっきによって内部が充填されたフィルドビア(給電ビア61等)が形成されていてもよい。この構成によれば、アンテナ基板1の強度をより高めることができる。
また、上側ビルドアップ部20または下側ビルドアップ部30には、強化材を含まない2つの非強化層(例えば上側ビルドアップ層21、22。あるいは、下側ビルドアップ層31、32。)が隣接して設けられていてもよい。さらに、給電パターン63、67の少なくとも一部が、前記2つの非強化層の間に位置するとともに前記2つの非強化層に接していてもよい。この構成によれば、給電パターン63、67がガラスクロスの粗密によって影響を受け、高周波信号の伝送特性が低下することを抑制できる。
また、本実施形態のアンテナ基板1は、補強層50はアンテナAよりもコア層10から離れた位置に配置されている。この構成によれば、強化材を含む2つの層(コア層10および補強層50)の間にアンテナAが位置することとなる。強化材を含む2つの層の間の部分は、曲げ変形などが影響しにくい。したがって、アンテナAに曲げ変形等が作用することが抑制され、送受信特性を安定させることができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、上側ビルドアップ層21~23、下側ビルドアップ層31~33が、強化材を含まない非強化層であると説明した。しかしながら、上側ビルドアップ部20の一部の層または下側ビルドアップ部30の一部の層が、強化材(ガラスクロス等)を含んでもよい。この場合も、上側ビルドアップ部20に含まれる少なくとも1つの層、および下側ビルドアップ部30に含まれる少なくとも1つの層は非強化層とする。
上側ビルドアップ部20および下側ビルドアップ部30における強化層および非強化層の位置は、コア層10を中心として上下対称であることが好ましい。例えば、上側ビルドアップ層23が強化層で上側ビルドアップ層21、22が非強化層である場合、下側ビルドアップ層33が強化層であり下側ビルドアップ層31、32が非強化層であることが好ましい。これにより、製造途中におけるアンテナ基板1の構造を、コア層10を中心として上下対称にすることができ、反り等の発生を抑制できる。
このように、上側ビルドアップ部20または下側ビルドアップ部30の一部の層に強化材が含まれている場合、アンテナ基板1の更なる強度向上を図ることができる。また、上側ビルドアップ部20および下側ビルドアップ部30のうち非強化層の表面にアンテナAを配置すれば、伝送特性および強度を両立可能である。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
1…アンテナ基板 10…コア層 11…第1面 12…第2面 20…上側ビルドアップ部 30…下側ビルドアップ部 40…接着層 50…補強層 63、67…給電パターン A…アンテナ
Claims (8)
- アンテナと、
前記アンテナに電気的に接続された給電パターンと、
第1強化材および第1基材を含み、第1面および前記第1面とは反対側の第2面を有するコア層と、
第2強化材および第2基材を含み、前記第1面側に配置された補強層と、
前記コア層と前記補強層との間に配置され、強化材を含まない少なくとも1つの非強化層を有する上側ビルドアップ部と、
前記第2面側に配置された、強化材を含まない少なくとも1つの非強化層を有する下側ビルドアップ部と、を備える、アンテナ基板。 - 前記上側ビルドアップ部と前記補強層とが接着層によって接着固定されている、請求項1に記載のアンテナ基板。
- 前記補強層は前記コア層よりも厚い、請求項1または2に記載のアンテナ基板。
- 前記第1強化材と前記第2強化材とが同一の材質であり、
前記第1基材と前記第2基材とが同一の材質である、請求項1から3のいずれか1項に記載のアンテナ基板。 - 前記上側ビルドアップ部または前記下側ビルドアップ部の一部の層に強化材が含まれている、請求項1から4のいずれか1項に記載のアンテナ基板。
- 前記上側ビルドアップ部の前記非強化層または前記下側ビルドアップ部の前記非強化層には、めっきによって内部が充填されたフィルドビアが形成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のアンテナ基板。
- 前記上側ビルドアップ部または前記下側ビルドアップ部には、強化材を含まない2つの非強化層が隣接して設けられ、
前記給電パターンの少なくとも一部が、前記2つの非強化層の間に位置するとともに前記2つの非強化層に接している、請求項1から6のいずれか1項に記載のアンテナ基板。 - 前記補強層は前記アンテナよりも前記コア層から離れた位置に配置されている、請求項1から7のいずれか1項に記載のアンテナ基板。
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