JP2024015839A - 樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体チップ、樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板、及び半導体装置 - Google Patents

樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体チップ、樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板、及び半導体装置 Download PDF

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源希 杉山
Genki Sugiyama
孝幸 亀井
Takayuki Kamei
鉱平 東口
Kohei Higashiguchi
勝利 猪原
Katsutoshi Inohara
和之 東田
Kazuyuki Higashida
航平 菊田
Kohei Kikuta
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Abstract

【課題】低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に優れる、樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体チップ、樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板、及び半導体装置を提供することにある。【解決手段】マレイミド化合物(AA)及びシトラコンイミド化合物(AB)からなる群より選択される1種以上の化合物(A)と、アリルフェノール化合物(B)と、無機充填材(C)と、を含み、少なくとも、下記(i)及び/又は(ii)を満たす、樹脂組成物。(i)レオメータを用いて、測定開始温度40℃、昇温温度10℃/分、周波数10.0rad/秒、及び歪0.1%の条件で40~260℃の範囲における溶融粘度を測定し、その際に得られる最低溶融粘度が、100Pa・s以下である。(ii)レオメータを用いて、測定開始温度40℃、昇温温度10℃/分、周波数10.0rad/秒、及び歪0.1%の条件で測定した際の200℃における粘度が、400Pa・s以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体チップ、樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板、及び半導体装置に関する。詳しくは、本発明は、アンダーフィル材として有用な樹脂組成物に関する。
近年、半導体装置の小型化、及び高性能化に伴い、半導体チップ(以下、「チップ」と略す場合がある。)を半導体チップ搭載用基板(以下、「基板」と略す場合がある。)に搭載する方法として、フリップチップ実装が注目されている。フリップチップ実装においては、チップと基板とを接合した後、チップと基板との間隙にアンダーフィル材を充填し、硬化させる工法が一般的である。また、チップ又は基板にアンダーフィル材(プリアプライドアンダーフィル材ともいう)を充填した後、チップと、アンダーフィル材と、基板とを接合させる工法もある。
アンダーフィル材は、通常、フリップチップ実装後に行われるポストキュア工程にて更に硬化されて、半導体装置に組み込まれる。
フリップチップ実装及びポストキュア工程において、アンダーフィル材に求められる重要な特性としては、絶縁信頼性を保持することが挙げられる。そのためには、半導体装置を製造する工程において、アンダーフィル材と、チップ及び基板との間にボイド(気泡)が生じることなく、また、チップ及び基板からのアンダーフィル材硬化物の剥離を抑制する必要がある。
また、半導体装置が製造された後、通常、半導体装置に、はんだボール等を介してマザーボード等が更に接合される。該工程では、通常、はんだボールを溶融させるためのリフロー工程を有する。リフロー工程は、通常、240℃以上の高温で行われる。
特許文献1には、主樹脂にラジカル重合性モノマーを使用したアンダーフィル材が記載されている。この特許文献1には、チップとの接着性向上を目的にしたシランカップリング剤の配合についての記載がある。
特表2015-503220号公報
しかし、一般的にラジカル重合性モノマーは硬化が速いため、シランカップリング剤の反応部位とチップ表面のシラノール基との間の結合形成が十分な量となる前に硬化する。そのため、特許文献1に記載のアンダーフィル材では、樹脂組成物と、チップ及び基板との間に、十分な密着性及び接着性が得られず、結果としてボイドが生ずる傾向にある。また、樹脂組成物がチップ及び基板の表面に存在する凹凸を埋める前に硬化するため、特許文献1に記載のアンダーフィル材では、接着性に寄与するアンカー効果が十分に得られない、という問題もある。
また、揮発性成分がアンダーフィル材に多く含まれると、フリップチップ実装後や、ポストキュア工程後に、ボイドが多く発生するとの問題がある。
更に、半導体装置はリフロー工程において高温にさらされるため、アンダーフィル材の吸湿耐熱性が悪いと、半導体装置内の吸湿水の揮発、高温によるアンダーフィル材の膨張や変形により、半導体装置内にボイドが発生する、チップとアンダーフィル材との界面やアンダーフィル材と基板との界面において剥離が発生する、といった問題も有する。したがって、非常に高い絶縁信頼性が必要とされる電子材料分野では、優れた吸湿耐熱性を有するアンダーフィル材が要求される。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に優れる、樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体チップ、樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板、及び半導体装置を提供することにある。
本発明者らは、従来技術が有する上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の樹脂組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1]マレイミド化合物(AA)及びシトラコンイミド化合物(AB)からなる群より選択される1種以上の化合物(A)と、アリルフェノール化合物(B)と、無機充填材(C)と、を含み、少なくとも、下記(i)及び/又は(ii)を満たす、樹脂組成物。
(i)レオメータを用いて、測定開始温度40℃、昇温温度10℃/分、周波数10.0rad/秒、及び歪0.1%の条件で40~260℃の範囲における溶融粘度を測定し、その際に得られる最低溶融粘度が、100Pa・s以下である。
(ii)レオメータを用いて、測定開始温度40℃、昇温温度10℃/分、周波数10.0rad/秒、及び歪0.1%の条件で測定した際の200℃における粘度が、400Pa・s以下である。
[2]前記マレイミド化合物(AA)が、2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,2-ビス(マレイミド)エタン、1,4-ビス(マレイミド)ブタン、1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、下記式(1)で表されるマレイミド化合物、下記式(2)で表されるマレイミド化合物、下記式(3)で表されるマレイミド化合物、下記式(4)で表される構成単位と分子鎖の両末端にマレイミド基とを含むビスマレイミド化合物、下記式(5)で表されるマレイミド化合物、及び下記式(6)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される1種以上を含む、[1]に記載の樹脂組成物。
(式(1)中、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。Rは、各々独立に、水素原子、又はメチル基を示す。)
(式(2)中、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。Rは、各々独立に、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、-COOR基(Rは炭素数1~6のアルキル基を示す)、又は水素原子を示す。nは、1以上の整数を示す。)
(式(3)中、nは、1~30の整数を示す。)
(式(4)中、R11は炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を示す。R12は炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を示す。R13は、各々独立に、水素原子、炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を示す。nは、1~10の整数を示す。)
(式(5)中、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。nは、1~10の整数を示す。)
(式(6)中、R10は、各々独立に、水素原子、又はメチル基を示す。nは、1以上の整数を示す。)。
[3]前記マレイミド化合物(AA)が、分子内の末端に下記式(7)で表される構成単位を含むマレイミド化合物を含む、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
(式(7)中、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示し、少なくとも1つのRは、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基である。Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。-*は水素原子、又は結合手を示す。)。
[4]前記マレイミド化合物(AA)が、前記式(1)で表されるマレイミド化合物、及び前記式(3)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される1種以上を含む、[2]に記載の樹脂組成物。
[5]前記化合物(A)が、化合物(A1)と、化合物(A2)と、を含み、前記化合物(A1)が、重量平均分子量が3,000以上9,500以下のマレイミド化合物(AA-1)及び重量平均分子量が3,000以上9,500以下のシトラコンイミド化合物(AB-1)からなる群より選択される1種以上であり、前記化合物(A2)が、重量平均分子量が300以上3,000未満のマレイミド化合物(AA-2)及び重量平均分子量が300以上3,000未満のシトラコンイミド化合物(AB-2)からなる群より選択される1種以上であり、各前記重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により求められる標準ポリスチレン換算の値である。[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]前記アリルフェノール化合物(B)が、下記式(8)で表されるアリルフェノール化合物(B1)を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
(式(8)中、Wは、置換基を有していてもよい炭素数1~15の2価の有機基を示す。Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、アルデヒド基、又はカルボキシ基を示す。nは、1以上の整数を示す。)。
[7]前記アリルフェノール化合物(B1)が、下記式(9)で表されるアリルフェノール化合物(B2)を含む、[6]に記載の樹脂組成物。
(式(9)中、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又はフェニル基を示す。nは、1以上の整数を示す。)。
[8]前記化合物(A)と、前記アリルフェノール化合物(B)との官能基当量比((化合物(A)のマレイミド基の当量+化合物(A)のシトラコンイミド基の当量)/アリルフェノール化合物(B)のアリル基の当量)が、1~4である、[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9]前記無機充填材(C)が、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ベーマイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される1種以上を含む、[1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10]前記無機充填材(C)の平均粒子径が、3μm以下である、[1]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[11]前記無機充填材(C)の含有量が、前記化合物(A)と前記アリルフェノール化合物(B)との合計100質量部に対して、10~500質量部である、[1]~[10]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[12]フラックス活性剤(D)を更に含む、[1]~[11]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[13]前記フラックス活性剤(D)が、ロジン系樹脂を含む、[12]に記載の樹脂組成物。
[14]アンダーフィル材用である、[1]~[13]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[15]支持基材と、前記支持基材上に積層された、[1]~[14]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む層と、を備える、積層体。
[16]前記樹脂組成物を含む層の厚さが、5~500μmである、[15]に記載の積層体。
[17]半導体チップと、前記半導体チップに積層された、[1]~[14]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む層と、を備える、樹脂組成物層付き半導体チップ。
[18]半導体チップ搭載用基板と、前記半導体チップ搭載用基板に積層された、[1]~[14]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む層と、を備える、樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板。
[19][17]に記載の樹脂組成物層付き半導体チップ及び/又は[18]に記載の樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板を備える半導体装置。
本発明によれば、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に優れる、樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体チップ、樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板、及び半導体装置を提供することができる。
図1は、実施例1で得られた樹脂組成物層を用いて測定したレオメータのチャートである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本実施形態において、「(メタ)アクリロキシ」とは「アクリロキシ」及びそれに対応する「メタクリロキシ」の両方を意味し、「(メタ)アクリロニトリル」とは「アクリロニトリル」及びそれに対応する「メタアクリロニトリル」の両方を意味し、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」の両方を意味する。
本実施形態において、「樹脂固形分」又は「樹脂組成物中の樹脂固形分」とは、特に断りのない限り、樹脂組成物における、無機充填材(C)、硬化触媒、シランカップリング剤、湿潤分散剤、添加剤、及び溶剤を除いた成分をいい、「樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部」とは、樹脂組成物における、無機充填材(C)、硬化触媒、シランカップリング剤、湿潤分散剤、添加剤、及び溶剤を除いた成分の合計が100質量部であることをいう。
[樹脂組成物]
本実施形態の樹脂組成物は、マレイミド化合物(AA)(以下、単に「化合物(AA)」とも称する)及びシトラコンイミド化合物(AB)(以下、単に「化合物(AB)」とも称する)からなる群より選択される1種以上の化合物(A)(以下、単に「化合物(A)」とも称する)と、アリルフェノール化合物(B)(以下、単に「化合物(B)」とも称する)と、無機充填材(C)と、を含み、少なくとも、下記(i)及び/又は(ii)を満たす、樹脂組成物(本実施形態では、硬化性樹脂組成物とも称する)である。
(i)レオメータを用いて、測定開始温度40℃、昇温温度10℃/分、周波数10.0rad/秒、及び歪0.1%の条件で40~260℃の範囲における溶融粘度を測定し、その際に得られる最低溶融粘度が、100Pa・s以下である。
(ii)レオメータを用いて、測定開始温度40℃、昇温温度10℃/分、周波数10.0rad/秒、及び歪0.1%の条件で測定した際の200℃における粘度が、400Pa・s以下である。
本実施形態の樹脂組成物は、このように構成されているため、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に優れるものとなる。本実施形態の樹脂組成物は、このような性能を有するため、フリップチップ実装に使用されるアンダーフィル材として好適に用いられる。
本実施形態の樹脂組成物は、フラックス活性剤(D)を更に含んでもよい。
本実施形態において、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に優れる樹脂組成物が得られる理由について定かではないが、本発明者らは次のように推定している。
通常、マレイミド化合物及び/又はシトラコンイミド化合物のみの重合では250℃以上の高温が必要であり、ポストキュア工程では十分な架橋構造を得ることが難しい。そこで、マレイミド化合物及び/又はシトラコンイミド化合物を主成分とした樹脂組成物の反応性を高めるため、有機過酸化物等の熱ラジカル開始剤や、イミダゾール等のアニオン重合触媒を配合することが、通常行われている。しかし、これらの重合触媒を含む場合、フリップチップ実装時の熱による重合触媒の作用により、樹脂組成物の硬化反応が過度に進行し、増粘する傾向にあることが多い。そのため、フリップチップ実装中に発生したボイドを系外に排出することが出来ず、更にフリップチップ実装後に残存するボイドをポストキュア工程で十分に除去することが難しい。
更にマレイミド化合物及び/又はシトラコンイミド化合物には極性官能基が少ないため、十分なチップ接着性が得られない。そのため、リフロー時に発生する吸湿水の揮発等によるボイドや、熱によるチップ及び基板からの樹脂組成物の剥離を抑制することが難しい。
これに対して、本実施形態の樹脂組成物は、マレイミド化合物(AA)及びシトラコンイミド化合物(AB)からなる群より選択される1種以上の化合物(A)と、アリルフェノール化合物(B)と、無機充填材(C)と、を含み、40~260℃における最低溶融粘度が100Pa・s以下であるか、200℃における粘度が400Pa・s以下であるか、又は両方を満たすものである。
ここで、アリルフェノール化合物(B)に含まれるアリル基と、化合物(A)に含まれるマレイミド基及び/又はシトラコンイミド基とは、エン(Ene)反応を開始反応として、ディールス・アルダー(Diels-Alder)反応が、180℃程度の比較的低温でも良好に進行する。そのため、得られる硬化物は、高い架橋密度を有することが可能となり、高いガラス転移点(Tg)を有し、耐熱性に優れる傾向にある。なお、この反応は、アリルフェノール化合物(B)よりも化合物(A)が多く含まれる系において、より良好に進行する。
上述したとおり、エン(Ene)反応及びディールス・アルダー(Diels-Alder)反応は180℃程度の比較的低温から反応が開始する。しかし、これらの反応は逐次反応であるため、反応速度は比較的遅く、フリップチップ実装時の短時間の加熱では、樹脂組成物はほとんど硬化が進行しないため、増粘しない傾向にある。
また、本実施形態の樹脂組成物では、最低溶融粘度及び/又は粘度が特定の範囲にあるため、フリップチップ実装中において、低粘度を維持することができ、フリップチップ実装時の熱により発生する樹脂組成物や基板からの揮発成分に起因するボイドを系外に排出しながら、樹脂組成物をチップや基板と密着させることが可能となる。そのため、実装後のボイドを少なくすることができると推定している。
更に、本実施形態の樹脂組成物では、最低溶融粘度及び/又は粘度が特定の範囲にあるため、フリップチップ実装後においても低粘度であり、ポストキュア工程の熱で樹脂組成物が再度溶融流動することが可能となる。そのため、加圧キュア等を用いることで、フリップチップ実装後に残存するボイドを効率的に除去することができると推定している。また、例えば、200℃及び2時間といったポストキュア工程での長時間加熱をすることでも、上記エン(Ene)反応及びディールス・アルダー(Diels-Alder)反応を十分に進行させることができる。これにより、得られる硬化物は、より高い架橋密度を有することが可能となり、より高いガラス転移点(Tg)を有し、より耐熱性に優れる傾向にある。
また、本実施形態の樹脂組成物は、アリルフェノール化合物(B)由来のフェノール性ヒドロキシ基等の極性基を有しており、硬化後においても、極性基が硬化物中に多く含まれる。そのため、硬化後においても、これらの極性基と、チップ表面のシラノール基とにおいて良好な化学結合を生じ、半導体チップと基板に対して、優れたアンカー効果を有する。
更に、本実施形態の樹脂組成物は、無機充填材(C)を含み、これにより、優れた耐燃性及び熱伝導率が得られ、熱膨張率及び吸湿性を低減させることができ、並びに高い吸湿耐熱性が得られる傾向にある。これに加え、上記のとおり、得られる硬化物は、高い架橋密度を有するため、吸湿耐熱性にも優れる傾向にある。また、硬化後においても、極性基が硬化物中に多く含まれるため、半導体チップと基板に対して、優れたアンカー効果を有する。
以上のような理由により、本実施形態の樹脂組成物は、優れた低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性を有し、このような樹脂組成物を用いることにより、フリップチップ実装後、ポストキュア工程後、そして、リフロー工程後においても、樹脂組成物と、チップ及び基板との間の密着性が低下することなく、ボイドが発生しにくい。そして、チップ及び基板からの硬化物の剥離を効果的に抑制することができると推定している。ただし、理由はこれに限定されない。
次に、本実施形態の樹脂組成物における最低溶融粘度及び粘度ついて説明し、各成分及び樹脂組成物の製造方法については後述する。
[樹脂組成物]
本実施形態の樹脂組成物(硬化性樹脂組成物)は、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に優れる。このため、本実施形態の樹脂組成物を、積層体の形態で使用するアンダーフィル材、好適にはプリアプライドアンダーフィル材として用いた場合、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に優れ、加えて、接合性及び絶縁信頼性にも優れる。本実施形態の樹脂組成物は、各種の優れた特徴を有することから、アンダーフィル材としてより有用であり、プリアプライドアンダーフィル材として更に有用である。なお、積層体については、後述する。
本実施形態の樹脂組成物は、アンダーフィル材用として好適であり、プリアプライドアンダーフィル材用としてより好適であることから、樹脂組成物を用いて得られるシート、及び樹脂組成物を含む層(以下、単に「樹脂組成物層」とも称する)は、半硬化状態(Bステージ)であることが好ましい。なお、シート及び樹脂組成物層の詳細については、後述する。シート及び樹脂組成物層が半硬化状態であることにより、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性により優れる。本実施形態において、半硬化状態(Bステージ)とは、シート又は樹脂組成物層中に含まれる各成分が、積極的に反応(硬化)を始めてはいないが、シート又は樹脂組成物層が乾燥状態、すなわち、粘着性がない程度まで、加熱して溶媒を揮発させている状態を称し、加熱しなくても硬化せずに溶媒が揮発したのみの状態も含まれる。
本実施形態の樹脂組成物は、少なくとも、上記(i)及び/又は(ii)を満たす。
<最低溶融粘度>
樹脂組成物の最低溶融粘度は、100Pa・s以下であることが好ましい。本実施形態において、最低溶融粘度は上記(i)で求められる。具体的には、最低溶融粘度は次の方法にて測定される。
即ち、レオメータにより、樹脂組成物の最低溶融粘度を測定する。
なお、レオメータには、通常、加熱装置が設置されている。加熱装置としては、電気ヒーター式温調モジュールを用いることが好ましい。電気ヒーター式温調モジュールとしては、例えば、HAAKE MARS TM-EL-H(商品名)とElectrical Temperature Module TM-EL-P(商品名)とが組み合わされた電気ヒーター式温調モジュールが挙げられる。また、レオメータには、通常、上部パラレルプレート及び測定台が設置されている。上部パラレルプレートとしては、アルミニウム製の上部パラレルプレートを用いることが好ましい。上部パラレルプレートは、通常、アダプターに取り付けられている。このようなアダプターとしては、例えば、ディスポーザブルプレート用セラミックシャフト AdapterP3(商品名)に、アルミニウム製ディスポーザブル上部パラレルプレートD/PB Al(商品名、プレートの直径:8.0mm)を取り付けたものが挙げられる。測定台としては、例えば、アルミニウム製ディスポーザブル下部パラレルプレートTMP25 Al(商品名、25.0mm)が挙げられる。測定台は、通常、電気ヒーター式温調モジュールに取り付けられる。
また、最低溶融粘度の測定は、上部パラレルプレートと下部パラレルプレートの間に樹脂組成物を挟み込んだ状態にて行われる。
測定に際しては、まず、樹脂組成物をレオメータに配置後、レオメータにおいて、測定温度40℃、圧力2N、及び測定時間1分間にて樹脂組成物を保持することが好ましい。その後、測定開始温度を40℃として、昇温速度10℃/分、周波数10.0rad/秒、及び歪0.1%の条件下で、40℃~260℃の範囲における溶融粘度を測定し、その温度範囲において、粘度が最も下がったときの粘度を、樹脂組成物の最低溶融粘度(単位:Pa・s)とする。なお、測定中において、上部パラレルプレートと下部パラレルプレートとの間のギャップ(間隙)は一定とすることが好ましい。また、測定台に配置する樹脂組成物は、10mm(縦)×10mm(横)×0.4~0.6mm(厚さ)を有し、Bステージ化されていることが好ましい。Bステージ化の方法については、後述する。また、具体的な測定方法については、実施例を参照してもよい。なお、本実施形態において、最低溶融粘度とは、40~260℃の範囲において、溶融粘度が最も下がった時の粘度を意味する。
最低溶融粘度は、低ボイド性、及びチップ接着性に一層優れた樹脂組成物が得られる点から、85Pa・s以下であることがより好ましく、75Pa・s以下であることが更に好ましい。下限値は、特に限定されないが、アンダーフィル材としての用途を考慮すると、通常、1Pa・s以上であり、5Pa・s以上であることが好ましく、10Pa・s以上であることがより好ましい。
本実施形態において、樹脂組成物の最低溶融粘度が上記範囲にあることで、フリップチップ実装時、及びポストキュア工程における硬化開始時においても低粘度を維持することが可能となり、各工程での樹脂組成物の流動性を制御することができる傾向にある。
樹脂組成物の最低溶融粘度は、例えば、化合物(A)、化合物(B)の構造及び分子量、並びに無機充填材(C)の粒径の少なくとも1つを制御することで、上記範囲にすることができる。また、樹脂組成物の最低溶融粘度は、例えば、化合物(A)と、化合物(B)と、無機充填材(C)とにおけるそれぞれの配合量を制御することで、より好ましく制御することができる。
本実施形態において、最低溶融粘度の測定に用いる樹脂組成物は、Bステージ化されていることが好ましい。樹脂組成物をBステージ化する方法としては、例えば、次の方法が挙げられる。即ち、化合物(A)と、化合物(B)と、無機充填材(C)とを含む樹脂組成物に、固形分濃度が40~80質量%、好ましくは60質量%となるように有機溶媒、好ましくはメチルエチルケトン(MEK)を添加し、20~80℃、好ましくは70℃の湯浴中で10~120分間、好ましくは40分間撹拌し、固形分濃度が40~80質量%、好ましくは60質量%のワニスを得る。なお、攪拌に用いる装置としては、公知の装置を用いることができるが、高速攪拌装置を用いることが好ましい。その後、このワニスを基材上に塗布し、0.5~2気圧下、好ましくは1気圧下にて、60~160℃で、好ましくは100℃で、1~60分間、好ましくは5分間加熱乾燥することで、樹脂組成物をBステージ化することができる。なお、この方法では、Bステージ化された樹脂組成物を層として有する積層体が得られる。積層体における樹脂組成物層の厚さは、特に限定されないが、例えば、5~500μmであることが好ましい。また、基材としては、表面に離型剤がコートされた厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムなどの公知の基材を用いることができる。Bステージ化された樹脂組成物については、実施例を参照してもよい。
<200℃における粘度>
樹脂組成物の200℃における粘度は、400Pa・s以下であることが好ましい。本実施形態において、200℃における粘度は上記(ii)で求められる。具体的には、200℃における粘度は次の方法にて測定される。
即ち、レオメータにより、樹脂組成物の200℃における粘度を測定する。
なお、レオメータには、通常、加熱装置が設置されている。加熱装置としては、電気ヒーター式温調モジュールを用いることが好ましい。電気ヒーター式温調モジュールとしては、例えば、HAAKE MARS TM-EL-H(商品名)とElectrical Temperature Module TM-EL-P(商品名)とが組み合わされた電気ヒーター式温調モジュールが挙げられる。また、レオメータには、通常、上部パラレルプレート及び測定台が設置されている。上部パラレルプレートとしては、アルミニウム製の上部パラレルプレートを用いることが好ましい。上部パラレルプレートは、通常、アダプターに取り付けられている。このようなアダプターとしては、例えば、ディスポーザブルプレート用セラミックシャフト AdapterP3(商品名)に、アルミニウム製ディスポーザブル上部パラレルプレートD/PB Al(商品名、プレートの直径:8.0mm)を取り付けたものが挙げられる。測定台としては、例えば、アルミニウム製ディスポーザブル下部パラレルプレートTMP25 Al(商品名、25.0mm)が挙げられる。測定台は、通常、電気ヒーター式温調モジュールに取り付けられる。
また、200℃における粘度の測定は、上部パラレルプレートと下部パラレルプレートの間に樹脂組成物を挟み込んだ状態にて行われる。
測定に際しては、まず、樹脂組成物をレオメータに配置後、レオメータにおいて、測定温度40℃、圧力2N、及び測定時間1分間にて樹脂組成物を保持することが好ましい。その後、測定開始温度を40℃として、昇温速度10℃/分、周波数10.0rad/秒、及び歪0.1%の条件下で、200℃における粘度を測定し、その時の値を樹脂組成物の粘度(単位:Pa・s)とする。なお、測定中において、上部パラレルプレートと下部パラレルプレートとの間のギャップ(間隙)は一定とすることが好ましい。また、測定台に配置する樹脂組成物は、10mm(縦)×10mm(横)×0.4~0.6mm(厚さ)を有し、Bステージ化されていることが好ましい。Bステージ化の方法については、上記を参照してもよい。また、具体的な測定方法については、実施例を参照してもよい。
200℃における粘度は、低ボイド性、及びチップ接着性に一層優れた樹脂組成物が得られる点から、300Pa・s以下であることがより好ましく、200Pa・s以下であることが更に好ましく、150Pa・s以下であることが一層好ましい。下限値は、特に限定されないが、アンダーフィル材としての用途を考慮すると、通常、1Pa・s以上であり、5Pa・s以上であることが好ましく、10Pa・s以上であることがより好ましい。
本実施形態において、樹脂組成物の200℃における粘度が上記範囲にあることで、フリップチップ実装時、及びポストキュア工程における硬化開始時においても低粘度を維持することが可能となり、各工程での樹脂組成物の流動性を制御することができる傾向にある。
また、樹脂組成物の200℃における粘度は、例えば、化合物(A)、化合物(B)の構造及び分子量、並びに無機充填材(C)の粒径の少なくとも1つを制御することで、上記範囲にすることができる。また、樹脂組成物の200℃における粘度は、例えば、化合物(A)と、化合物(B)と、無機充填材(C)とにおけるそれぞれの配合量を制御することで、より好ましく制御することができる。
また、本実施形態において、200℃における粘度の測定に用いる樹脂組成物は、Bステージ化されていることが好ましい。樹脂組成物をBステージ化する方法としては、上記の樹脂組成物の最低溶融粘度に用いる樹脂組成物における方法、及び実施例を参照してもよい。
樹脂組成物は、低ボイド性、及びチップ接着性に更に優れることから、少なくとも、上記(ii)を満たすことが好ましく、上記(i)及び(ii)の両方を満たすことがより好ましい。
次に、樹脂組成物に含まれる各成分について説明する。
〔化合物(A)〕
本実施形態の樹脂組成物は、アリルフェノール化合物(B)と優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に優れた樹脂組成物が得られる点から、マレイミド化合物(AA)及びシトラコンイミド化合物(AB)からなる群より選択される1種以上の化合物(B)を含む。化合物(A)は、分子内に、マレイミド基及びシトラコンイミド基からなる群より選択される1種以上を含むものであれば特に限定されない。化合物(A)としては、後述のフラックス活性剤(D)と反応性を示さないことが好ましい。化合物(A)は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
化合物(A)としては、化合物(B)とより優れた反応性が得られ、より優れた低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に優れた樹脂組成物が得られる傾向にある点から、マレイミド化合物(AA)を含むことが好ましい。また、マレイミド化合物(AA)は、エポキシ化合物と比較して、保管時や加熱処理によるフラックス活性剤との反応が著しく進行しにくく、フラックスの活性剤の失活が発生しにくい。
化合物(B)との反応性が更に優れ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に更に優れた樹脂組成物が得られる傾向にあることから、化合物(A)は、化合物(A1)と、化合物(A2)と、を含み、化合物(A1)が、重量平均分子量が3,000以上9,500以下のマレイミド化合物(AA-1)及び重量平均分子量が3,000以上9,500以下のシトラコンイミド化合物(AB-1)からなる群より選択される1種以上であり、化合物(A2)が、重量平均分子量が300以上3,000未満のマレイミド化合物(AA-2)及び重量平均分子量が300以上3,000未満のシトラコンイミド化合物(AB-2)からなる群より選択される1種以上であることが、好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により求められる標準ポリスチレン換算の値である。
本実施形態の樹脂組成物は、化合物(A)として、化合物(A1)及び(A2)を含むことで、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性により一層優れるものとなる。この理由について定かではないが、本発明者らは次のように推定している。
即ち、樹脂組成物が、比較的高分子量である化合物(A1)を含むことにより、フリップチップ実装時及び/又はポストキュア時の硬化収縮の際、並びにリフロー時の膨張、及び収縮の際に発生する応力が緩和される傾向にある。そのため、ボイドがより少なくなり、チップ接着性、及び吸湿耐熱性の効果がより一層促進される。また、樹脂組成物は、比較的低分子量である化合物(A2)も含むことにより、フリップチップ実装時及び/又はポストキュア時に架橋密度を向上させることができる傾向にある。それにより、ボイドがより少なくなり、応力緩和が発生し、応力緩和に伴って発現するチップ接着性、及び吸湿耐熱性を一層促進させることができると推定している。ただし、理由はこれに限定されない。
化合物(A1)としては、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に一層優れた樹脂組成物が得られる傾向にあることから、マレイミド化合物(AA-1)を含むことが好ましい。
化合物(A2)としては、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に一層優れた樹脂組成物が得られる傾向にあることから、マレイミド化合物(AA-2)を含むことが好ましい。
マレイミド化合物(AA-1)としては、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に一層優れた樹脂組成物が得られる傾向にあることから、その重量平均分子量は、3,200以上8,000以下であることが好ましく、3,300以上6,000以下であることがより好ましい。
シトラコンイミド化合物(AB-1)としては、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に一層優れた樹脂組成物が得られる傾向にあることから、その重量平均分子量は、3,200以上8,000以下であることが好ましく、3,300以上6,000以下であることがより好ましい。
マレイミド化合物(AA-2)としては、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に一層優れた樹脂組成物が得られる傾向にあることから、その重量平均分子量は、350以上2,800以下であることが好ましく、400以上2,500以下であることがより好ましい。
シトラコンイミド化合物(AB-2)としては、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に一層優れた樹脂組成物が得られる傾向にあることから、その重量平均分子量は、350以上2,800以下であることが好ましく、400以上2,500以下であることがより好ましい。
(マレイミド化合物(AA))
マレイミド化合物(AA)としては、分子中に1個以上のマレイミド基を有する樹脂又は化合物であれば、特に限定されない。マレイミド化合物(AA)は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
このようなマレイミド化合物(AA)としては、例えば、N-フェニルマレイミド、N-ヒドロキシフェニルマレイミド、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(3,5-ジメチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジエチル-4-マレイミドフェニル)メタン、フェニルメタンマレイミド、o-フェニレンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、p-フェニレンビスマレイミド、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、4,4-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4-ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ポリフェニルメタンマレイミド、ノボラック型マレイミド化合物、ビフェニルアラルキル型マレイミド化合物、2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,2-ビス(マレイミド)エタン、1,4-ビス(マレイミド)ブタン、1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、式(1)で表されるマレイミド化合物、式(2)で表されるマレイミド化合物、式(3)で表されるマレイミド化合物、式(4)で表される構成単位と分子鎖の両末端にマレイミド基とを含むビスマレイミド化合物、式(5)で表されるマレイミド化合物、及び式(6)で表されるマレイミド化合物が挙げられる。化合物(A)としては、マレイミド化合物を重合して得られるプレポリマー、及びマレイミド化合物をアミン化合物等の他の化合物と重合して得られるプレポリマー等の形で、本実施形態に係る樹脂組成物に含有させることもできる。
式(1)中、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。Rは、各々独立に、水素原子、又はメチル基を示す。
において、炭素数1~6のアルキル基としては、下記を参照してもよい。粘度や反応性を更に好適に制御できることから、炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、及びイソプロピル基からなる群より選択される1種以上が好ましく、メチル基、及び/又はエチル基がより好ましい。
において、炭素数2~6のアルケニル基は、下記を参照してもよい。更に好適に硬化し、更に高い架橋密度を有する硬化物が得られることから、炭素数2~6のアルケニル基としては、ビニル基、及び/又はアリル基が好ましい。
において、置換基を有してもよいフェニル基としては、例えば、フェニル基、p-メチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-クロロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、及び3-カルバモイルフェニル基が挙げられる。粘度や反応性を更に好適に制御できることから、置換基を有してもよいフェニル基としては、フェニル基、及び/又はp-メチルフェニル基が好ましい。
低ボイド性、及びチップ接着性に一層優れた樹脂組成物が得られる傾向にあることから、Rの少なくとも1つの基は、メチル基、又はエチル基であることがより好ましい。
低ボイド性、及びチップ接着性に一層優れた樹脂組成物が得られる傾向にあることから、Rは、水素原子であることがより好ましい。
式(1)で表される化合物としては、市販品を用いてもよく、例えば、ケイ・アイ化成(株)製BMI-70(商品名、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、マレイミド基(官能基)当量:221g/eq、重量平均分子量:550)が挙げられる。
式(2)中、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。Rは、各々独立に、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、-COOR基(Rは炭素数1~6のアルキル基を示す)、又は水素原子を示す。nは、1以上の整数を示す。
において、炭素数1~6のアルキル基としては、下記を参照してもよい。粘度や反応性を更に好適に制御できることから、炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、及びイソプロピル基からなる群より選択される1種以上が好ましく、メチル基、及び/又はエチル基がより好ましい。
において、炭素数2~6のアルケニル基としては、下記を参照してもよい。更に好適に硬化し、更に高い架橋密度を有する硬化物が得られることから、炭素数2~6のアルケニル基としては、ビニル基、及び/又はアリル基が好ましい。
において、置換基を有してもよいフェニル基としては、例えば、フェニル基、p-メチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-クロロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、及び3-カルバモイルフェニル基が挙げられる。粘度や反応性を更に好適に制御できることから、置換基を有してもよいフェニル基としては、フェニル基、及び/又はp-メチルフェニル基が好ましい。
低ボイド性、及びチップ接着性に一層優れた樹脂組成物が得られる傾向にあることから、Rの少なくとも1つの基は、メチル基、又はエチル基であることがより好ましい。
において、炭素数1~6のアルキル基は、直鎖状又は分岐状であってもよい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、2-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、tert-ペンチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、及び2-メチルペンタン-3-イル基が挙げられる。
において、炭素数1~10のアルコキシ基は、直鎖状又は分岐状であってもよい。このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ヘキサノキシ基、及び2-メチルプロポキシ基等が挙げられる。
において、-COOR基における炭素数1~6のアルキル基としては、上記を参照してもよい。
は、1~10の整数であることが好ましく、1~6の整数であることがより好ましい。
式(2)で表される化合物としては、市販品を用いてもよく、例えば、式(11)で表される化合物(群栄化学工業(株)製BCPH01(商品名、Mw/Mn:1.0~1.8)、及び群栄化学工業(株)製BCPH13(商品名、Mw/Mn:1.0~1.6))、並びに式(12)で表される化合物(群栄化学工業(株)製BMCX426(商品名))が挙げられる。
式(11)中、n21は、1~5の整数である。
式(12)中、n22は、1~10の整数である。
式(3)中、nは、1~30の整数を示す。
式(3)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を用いてもよく、例えば、ケイ・アイ化成(株)製BMI-1000P(商品名、式(3)中のn3=14(平均値)、マレイミド基(官能基)当量:702g/eq、重量平均分子量:3700)、ケイ・アイ化成(株)製BMI-650P(商品名、式(3)中のn3=9(平均値))、ケイ・アイ化成(株)製BMI-250P(商品名、式(3)中のn3=3~8(平均値))、ケイ・アイ化成(株)製CUA-4(商品名、式(3)中のn3=1)が挙げられる。
式(4)中、R11は炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を示す。R12は炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を示す。R13は、各々独立に、水素原子、炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を示す。nは、1~10の整数を示す。
なお、式(4)で表される構成単位の詳細については、後述する。
式(4)で表される構成単位と分子鎖の両末端にマレイミド基とを含むビスマレイミド化合物としては、市販品を用いてもよく、例えば、日本化薬(株)製MIZ-001(商品名、式(13)で表されるマレイミド化合物を含む、マレイミド基(官能基)当量:800g/eq、重量平均分子量:3900)が挙げられる。
式(13)中、aは、1~10の整数を示す。式(13)で表されるマレイミド化合物は、aが異なる化合物の混合物であってもよい。
式(5)中、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。nは、1~10の整数を示す。
において、炭素数1~6のアルキル基としては、上記を参照してもよい。粘度や反応性を更に好適に制御できることから、炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、及びイソプロピル基からなる群より選択される1種以上が好ましく、メチル基、及び/又はエチル基がより好ましい。
において、炭素数2~6のアルケニル基は、下記を参照してもよい。更に好適に硬化し、更に高い架橋密度を有する硬化物が得られることから、炭素数2~6のアルケニル基としては、ビニル基、及び/又はアリル基が好ましい。
において、置換基を有してもよいフェニル基としては、例えば、フェニル基、p-メチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-クロロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、及び3-カルバモイルフェニル基が挙げられる。粘度や反応性を更に好適に制御できることから、置換基を有してもよいフェニル基としては、フェニル基、及び/又はp-メチルフェニル基が好ましい。
低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に一層優れた樹脂組成物が得られる傾向にあることから、Rは、水素原子であることが好ましい。
式(5)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を用いてもよく、例えば、日本化薬(株)製MIR-3000-70MT(商品名、式(5)中のR7が全て水素原子であり、n4が1~10の混合物である、マレイミド基(官能基)当量:275g/eq、重量平均分子量:1050)が挙げられる。
式(6)中、R10は、各々独立に、水素原子、又はメチル基を示す。nは、1以上の整数を示す。nは、1~10の整数であることが好ましい。nは、2以上の整数であってもよい。
式(6)で表されるマレイミド化合物としては、例えば、大和化成工業(株)製BMI-2300(商品名、マレイミド基(官能基)当量:186g/eq、重量平均分子量:500)が挙げられる。
2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンとしては、市販品を用いてもよく、例えば、ケイ・アイ化成(株)製BMI-80(商品名、マレイミド基(官能基)当量:285g/eq、分子量:570.6)が挙げられる。
次いで、式(4)で表される構成単位と分子鎖の両末端にマレイミド基とを含むビスマレイミド化合物の構造について説明する。
ビスマレイミド化合物は、複数の式(4)で表される構成単位を有していてもよく、この場合、複数の式(4)で表される構成単位中のR11、R12、及びR13は、それぞれ同一であっても、異なっていてよい。また、ビスマレイミド化合物は、式(4)で表される構成単位中のR11、R12、及びR13、並びにビスマレイミド化合物中の式(4)の構成単位の数のうちの少なくとも1つが異なる化合物の混合物であってもよい。
式(4)で表される構成単位において、R11は、炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を示す。R11としては、チップ又は基板に対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物が好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇が好適に制御できる点から、直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であることが好ましく、直鎖状のアルキレン基であることがより好ましい。
アルキレン基の炭素数としては、チップ又は基板に対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物がより好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇がより好適に制御できる点から、2~14であることが好ましく、4~12であることがより好ましい。
直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、2,2-ジメチルプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、ウンデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ネオペンチレン基、ジメチルブチレン基、メチルヘキシレン基、エチルヘキシレン基、ジメチルヘキシレン基、トリメチルヘキシレン基、メチルヘプチレン基、ジメチルヘプチレン基、トリメチルヘプチレン基、テトラメチルヘプチレン基、エチルヘプチレン基、メチルオクチレン基、メチルノニレン基、メチルデシレン基、メチルドデシレン基、メチルウンデシレン基、メチルトリデシレン基、メチルテトラデシレン基、及びメチルペンタデシレン基が挙げられる。
アルケニレン基の炭素数としては、チップ又は基板に対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物がより好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇がより好適に制御できる点から、2~14であることが好ましく、4~12であることがより好ましい。
直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、1-メチルビニレン基、プロペニレン基、イソプロペニレン基、1-ブテニレン基、2-ブテニレン基、1-ペンテニレン基、2-ペンテニレン基、イソペンチレン基、シクロペンテニレン基、シクロヘキセニレン基、及びジシクロペンタジエニレン基等が挙げられる。
式(4)で表される構成単位において、R12は、炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を示す。R12としては、チップ又は基板に対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物が好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇が好適に制御できる点から、直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であることが好ましく、直鎖状のアルキレン基であることがより好ましい。
アルキレン基の炭素数としては、チップ又は基板に対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物がより好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇がより好適に制御できる点から、2~14であることが好ましく、4~12であることがより好ましい。
直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基としては、上記のR11を参照してもよい。
アルケニレン基の炭素数としては、チップ又は基板に対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物がより好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇がより好適に制御できる点から、2~14であることが好ましく、4~12であることがより好ましい。
直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基としては、上記のR11を参照してもよい。
式(4)で表される構成単位において、R11と、R12とは、同一であっても異なっていてもよいが、ビスマレイミド化合物をより容易に合成できる点から、同一であることが好ましい。
式(4)で表される構成単位において、R13は、各々独立に、水素原子、炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を示す。R13は、チップ又は基板に対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物が好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇が好適に制御できる点から、各々独立に、水素原子、又は炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であることが好ましく、R13のうち、1~5個の基(R13)が炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であり、残りの基(R13)が水素原子であることがより好ましく、R13のうち、1~3個の基(R13)が炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であり、残りの基(R13)が水素原子であることが更に好ましい。
アルキル基の炭素数としては、チップ又は基板に対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物がより好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇がより好適に制御できる点から、2~14であることが好ましく、4~12であることがより好ましい。
直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、1-エチルプロピル基、n-ブチル基、2-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、tert-ペンチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、2-メチルペンタン-3-イル基、及びn-ノニル基が挙げられる。
アルケニル基の炭素数としては、チップ又は基板に対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物がより好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇がより好適に制御できる点から、2~14であることが好ましく、4~12であることがより好ましい。
直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、4-ペンテニル基、イソプロペニル基、イソペンテニル基、2-ヘプテニル基、2-オクテニル基、及び2-ノネニル基が挙げられる。
式(4)で表される構成単位において、n5は、1~10の整数を示す。
ビスマレイミド化合物は、分子鎖の両末端にマレイミド基を有する。両末端とは、ビスマレイミド化合物の分子鎖において両方の末端を意味し、例えば、式(4)で表される構成単位が、ビスマレイミド化合物の分子鎖の末端にある場合には、マレイミド基は、R11の分子鎖の末端に有するか、マレイミド環のN原子における分子鎖の末端に有するか、又は両方の末端に有することを意味する。ビスマレイミド化合物は、分子鎖の両末端以外に、マレイミド基を有していてもよい。
マレイミド基は、式(14)で表され、N原子がビスマレイミド化合物の分子鎖に結合している。また、ビスマレイミド化合物に結合されるマレイミド基は、全て同一であっても異なっていてもよいが、分子鎖の両末端のマレイミド基は同一であることが好ましい。
式(14)中、R11は、各々独立に、水素原子、又は炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。R11は、より好適に化合物(B)と反応できる点から、両方ともに水素原子であることが好ましい。
アルキル基の炭素数としては、より好適に化合物(B)と反応できる点から、1~3であることが好ましく、1~2であることがより好ましい。
直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、上記のR13を参照してもよい。
化合物(B)との反応性が更に優れ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に更に優れた樹脂組成物が得られる点から、マレイミド化合物(AA)は、上記の中でも、2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,2-ビス(マレイミド)エタン、1,4-ビス(マレイミド)ブタン、1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、式(1)で表されるマレイミド化合物、式(2)で表されるマレイミド化合物、式(3)で表されるマレイミド化合物、式(4)で表される構成単位と分子鎖の両末端にマレイミド基とを含むビスマレイミド化合物、式(5)で表されるマレイミド化合物、及び式(6)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましく、2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、式(1)で表されるマレイミド化合物、式(3)で表されるマレイミド化合物、式(5)で表されるマレイミド化合物、及び式(6)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される1種以上を含むことがより好ましい。
化合物(B)との反応性が一層優れ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に一層優れた樹脂組成物が得られる点から、マレイミド化合物(AA)は、式(1)で表されるマレイミド化合物、及び式(3)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましく、式(1)で表されるマレイミド化合物、及び式(3)で表されるマレイミド化合物の両方を含むことがより好ましい。
マレイミド化合物(AA-1)としては、化合物(B)との反応性がより一層優れ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性により一層優れた樹脂組成物が得られる点から、式(3)で表されるマレイミド化合物(式(3)中のn3=14(平均値)、マレイミド基(官能基)当量:702g/eq、重量平均分子量:3700)を含むことが好ましい。
マレイミド化合物(AA-2)としては、化合物(B)との反応性がより一層優れ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性により一層優れた樹脂組成物が得られる点から、2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、式(1)で表されるマレイミド化合物、式(5)で表されるマレイミド化合物、及び式(6)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される1種以上を含むことが更に好ましく、式(1)で表されるマレイミド化合物を含むことが一層好ましい。
マレイミド化合物(AA)は、分子内の末端に式(7)で表される構成単位を含むマレイミド化合物を含むことが好ましい。
式(7)中、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示し、少なくとも1つのRは、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基である。Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。-*は水素原子、又は結合手を示す。
本実施形態において、樹脂組成物が分子内の末端に式(7)で表される構成単位を含むマレイミド化合物を含むと、最低溶融粘度及び200℃における粘度が一層低くなる傾向にある。即ち、フリップチップ実装時において、アリルフェノール化合物(B)に含まれるアリル基とのエン反応及びディールス・アルダー反応による硬化反応が過度に進みにくく、低粘度を一層維持することが可能となる傾向にある。そのため、フリップチップ実装中において、より好適に低粘度を維持することができ、実装時の熱によって発生する樹脂組成物や基板からの揮発成分に起因するボイドを系外に排出しながら、樹脂組成物をチップや基板と一層密着させることが可能となる。このことから、実装後のボイドを少なくすることができる傾向にある。
更に、フリップチップ実装後においてもより好適に低粘度を維持することができるため、ポストキュア工程の熱で樹脂組成物が再度溶融流動することが一層可能となる。そのため、加圧キュア等を用いることで、フリップチップ実装時に発生したボイドを一層効率的に除去することができる。また、例えば、200℃及び2時間といったポストキュア工程での長時間加熱をすることでも、エン反応及びディールス・アルダー反応を一層十分に進行させることができる。これにより、得られる硬化物は、より一層高い架橋密度を有することが可能となり、より一層高いガラス転移点(Tg)を有し、より一層耐熱性に優れる傾向にある。この理由について定かではないが、本発明者らは次のように推定している。
即ち、分子内の末端に式(7)で表される構成単位を含むマレイミド化合物は、少なくとも1つのR(マレイミドのオルト位)に、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を有する。このようにオルト位に置換基を有するマレイミド化合物は、その立体障害によりマレイミド基の運動が制限され、マレイミド化合物と化合物(B)との反応性が低下する。そのため、樹脂組成物の最低溶融粘度及び粘度が一層低くなり、フリップチップ実装時、及びポストキュア工程における硬化開始時においても低粘度を一層維持することができると推定している。そのため、上記の効果が得られると推定している。ただし、理由はこれに限定されない。
式(7)中、-*が結合手を示す場合、-*は、例えば、有機基、及び重合体の主鎖と結合する。有機基としては、1個以上の炭素原子を含有する基、又は有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基が挙げられる。
において、炭素数1~6のアルキル基は、上記を参照してもよい。粘度や反応性を更に好適に制御できることから、炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、及びイソプロピル基からなる群より選択される1種以上が好ましく、メチル基、及び/又はエチル基がより好ましい。
において、炭素数2~6のアルケニル基は、上記を参照してもよい。更に好適に硬化し、更に高い架橋密度を有する硬化物が得られることから、炭素数2~6のアルケニル基としては、ビニル基、及び/又はアリル基が好ましい。
において、置換基を有してもよいフェニル基としては、例えば、フェニル基、p-メチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-クロロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、及び3-カルバモイルフェニル基が挙げられる。粘度や反応性を更に好適に制御できることから、置換基を有してもよいフェニル基としては、フェニル基、及び/又はp-メチルフェニル基が好ましい。
において、炭素数1~6のアルキル基は、上記を参照してもよい。
において、炭素数2~6のアルケニル基は、上記を参照してもよい。
において、置換基を有してもよいフェニル基は、上記を参照してもよい。
更に好適に硬化し、更に高い架橋密度を有する硬化物が得られることから、Rとしては、水素原子が好ましい。
一層好適に硬化し、一層高い架橋密度を有する硬化物が得られることから、分子内の末端に式(7)で表される構成単位を含むマレイミド化合物としては、式(1)で表されるマレイミド化合物、及び式(2)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましく、式(1)で表されるマレイミド化合物を含むことがより好ましい。
(シトラコンイミド化合物(AB))
シトラコンイミド化合物(AB)としては、例えば、o-フェニレンビスシトラコンイミド、m-フェニレンビスシトラコンイミド、p-フェニレンビスシトラコンイミド、4,4-ジフェニルメタンビスシトラコンイミド、2,2-ビス[4-(4-シトラコンイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(3,5-ジメチル-4-シトラコンイミドフェニル)メタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-シトラコンイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジエチル-4-シトラコンイミドフェニル)メタン、1,3-キシリレンビス(シトラコンイミド)、N-[3-ビス(トリメチルシリル)アミノ-1-プロピル]シトラコンイミド、N-[3-ビス(トリエチルシリル)アミノ-1-プロピル]シトラコンイミド、N-[3-ビス(トリフェニルシリル)アミノ-1-プロピル]シトラコンイミド、N,N’-(m-フェニレンジメチレン)ジシトラコンイミド、及びN-[3-(メチリデンスクシンイミドメチル)ベンジル]シトラコンイミド、式(15)で表されるシトラコンイミド化合物、式(4)で表される構成単位と分子鎖の両末端にシトラコンイミド基とを含むビスシトラコンイミド化合物、下記式(16)で表されるシトラコンイミド化合物、下記式(17)で表されるシトラコンイミド化合物、及び下記式(18)で表されるシトラコンイミド化合物が挙げられる。なお、ビスシトラコンイミド化合物は、上記のビスマレイミド化合物を参照できる。式(4)で表される構成単位の詳細については上記のとおりであり、シトラコンイミド基については、上記式(14)において、R11の少なくとも1つの基がメチル基であること以外、式(14)の構造を参照できる。シトラコンイミド化合物(AB)は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
化合物(B)との反応性がより一層優れ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性により一層優れた樹脂組成物が得られる点から、シトラコンイミド化合物(AB)は、上記の中でも、式(15)で表されるシトラコンイミド化合物、式(4)で表される構成単位と分子鎖の両末端にシトラコンイミド基とを含むビスシトラコンイミド化合物、下記式(16)で表されるシトラコンイミド化合物、下記式(17)で表されるシトラコンイミド化合物、及び下記式(18)で表されるシトラコンイミド化合物からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。
シトラコンイミド化合物(AB-1)としては、化合物(B)との反応性がより一層優れ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性により一層優れた樹脂組成物が得られる点から、式(15)で表されるシトラコンイミド化合物を含むことが好ましい。
式(15)中、nは、1~30の整数を示す。
シトラコンイミド化合物(AB-2)としては、化合物(B)との反応性がより一層優れ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性により一層優れた樹脂組成物が得られる点から、式(16)で表されるシトラコンイミド化合物、下記式(17)で表されるシトラコンイミド化合物、及び下記式(18)で表されるシトラコンイミド化合物からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。
式(16)中、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。Rは、各々独立に、水素原子、又はメチル基を示す。炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、及び置換基を有してもよいフェニル基については、上記を参照してもよい。
式(17)中、R10は、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。nは、1以上の整数を示し、好ましくは1~10の整数を示す。炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、及び置換基を有してもよいフェニル基については、上記を参照してもよい。R10は、水素原子であることが好ましい。
式(18)中、R10は、各々独立に、水素原子、又はメチル基を示す。nは、1以上の整数を示す。nは、1~10の整数であることが好ましい。nは、2以上の整数であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物において、化合物(A)の含有量は、化合物(B)とより一層優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性により一層優れた樹脂組成物が得られる点から、化合物(A)と、化合物(B)との合計100質量部に対して、50~95質量部であることが好ましく、60~90質量部であることがより好ましく、70~85質量部が更に好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、化合物(A)の含有量は、化合物(B)とより一層優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性により一層優れた樹脂組成物が得られる点から、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、40~95質量部であることが好ましく、50~90質量部であることがより好ましく、55~85質量部であることが更に好ましい。
化合物(A)として、化合物(A1)と化合物(A2)とを含む場合、化合物(B)とより一層優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性により一層優れた樹脂組成物が得られる点から、化合物(A1)の含有量は、化合物(A1)と化合物(A2)との合計100質量部に対して、1~30質量部であることが好ましく、5~20質量部であることがより好ましく、7~15質量部であることが更に好ましい。また、化合物(A2)の含有量は、化合物(A1)と化合物(A2)との合計100質量部に対して、70~99質量部であることが好ましく、80~95質量部であることがより好ましく、85~93質量部であることが更に好ましい。
化合物(A)として、化合物(AA-1)と化合物(AA-2)とを含む場合、化合物(B)とより一層優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性により一層優れた樹脂組成物が得られる点から、化合物(AA-1)の含有量は、化合物(AA-1)と化合物(AA-2)との合計100質量部に対して、1~30質量部であることが好ましく、5~20質量部であることがより好ましく、7~15質量部であることが更に好ましい。また、化合物(AA-2)の含有量は、化合物(AA-1)と化合物(AA-2)との合計100質量部に対して、70~99質量部であることが好ましく、80~95質量部であることがより好ましく、85~93質量部であることが更に好ましい。
化合物(A)として、シトラコンイミド化合物(AB-1)とシトラコンイミド化合物(AB-2)とを含む場合、化合物(B)とより一層優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性により一層優れた樹脂組成物が得られる点から、シトラコンイミド化合物(AB-1)の含有量は、化合物(AB-1)と化合物(AB-2)との合計100質量部に対して、1~30質量部であることが好ましく、5~20質量部であることがより好ましく、7~15質量部であることが更に好ましい。また、シトラコンイミド化合物(AB-2)の含有量は、化合物(AB-1)と化合物(AB-2)との合計100質量部に対して、70~99質量部であることが好ましく、80~95質量部であることがより好ましく、85~93質量部であることが更に好ましい。
化合物(A)として、分子内の末端に式(7)で表される構成単位を含むマレイミド化合物を含む場合、最低溶融粘度及び粘度を好適に制御でき、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性により一層優れた樹脂組成物が得られる点から、化合物(A)の合計100質量部に対して、10~100質量部であることが好ましく、15~95質量部であることがより好ましく、20~90質量部であることが更に好ましい。
〔アリルフェノール化合物(B)〕
本実施形態の樹脂組成物は、化合物(A)と優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に優れた樹脂組成物が得られる点から、アリルフェノール化合物(B)を含む。アリルフェノール化合物(B)としては、1分子中に、1つ以上のアリル基を有するフェノール化合物又は樹脂であればよく、公知の化合物又は樹脂を用いることができる。本明細書において、アリルフェノール化合物(B)におけるアリル基とは、主鎖の芳香環に結合した官能基のうち、芳香環-CH-CH=CHの構造をもつ官能基を称する。また、フェノール化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノール、及びナフトールが挙げられ、アリル基以外の置換基を有していてもよい。アリルフェノール化合物(B)は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
アリルフェノール化合物(B)としては、化合物(A)とより優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性により優れた樹脂組成物が得られる点から、そのの重量平均分子量は、300~10000であることが好ましく、500~5000であることがより好ましく、750~3000であることが更に好ましい。
アリルフェノール化合物(B)としては、化合物(A)と更に優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に更に優れた樹脂組成物が得られる点から、そのアリル当量は50~1200g/eq.であることが好ましく、100~600g/eq.であることがより好ましく、110~300g/eq.であることが更に好ましく、120~200g/eq.であることが最も好ましい。なお、本明細書において、アリル基当量は、1当量のアリル基を含むアリルフェノール化合物の質量である。アリル基当量は、例えば、13C-NMRによって測定される。
アリルフェノール化合物(B)としては、化合物(A)と一層優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に一層優れた樹脂組成物が得られる点から、下記式(8)で表されるアリルフェノール化合物(B1)を含むことが好ましい。
式(8)中、Wは、置換基を有していてもよい炭素数1~15の2価の有機基を示す。Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、アルデヒド基、又はカルボキシ基を示す。nは、1以上の整数を示す。
置換基を有していてもよい炭素数1~15の2価の有機基としては、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1~15の、直鎖状、分岐状、又は環状の2価の炭化水素基が挙げられる。2価の炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、又はこれらが組み合わされた2価の連結基が挙げられる。2価の有機基中の水素原子は、ハロゲン原子、メトキシ基、及びフェノキシ基等のアルコキシ基、並びにシアノ基等で置換されていてもよい。また、2価の有機基中に、炭素原子及び水素原子と共に、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子を含んでもよい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
炭素数1~15の2価の有機基の炭素数としては、化合物(A)とより優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性により優れた樹脂組成物が得られる点から、1~14であることが好ましく、1~10であることがより好ましい。
アルキレン基は、直鎖状又は分岐状であってもよい。このようなアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、プロピレン基、トリメチレン基、イソプロピリデン基、2,2-ジメチルプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、ウンデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ネオペンチレン基、ジメチルブチレン基、メチルヘキシレン基、エチルヘキシレン基、ジメチルヘキシレン基、トリメチルヘキシレン基、メチルヘプチレン基、ジメチルヘプチレン基、トリメチルヘプチレン基、テトラメチルヘプチレン基、エチルヘプチレン基、メチルオクチレン基、メチルノニレン基、メチルデシレン基、メチルドデシレン基、メチルウンデシレン基、メチルトリデシレン基、メチルテトラデシレン基、及びメチルペンタデシレン基のアルキレン基が挙げられる。これらの中でも、化合物(A)と更に優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に更に優れた樹脂組成物が得られる点から、炭素数1~12のアルキレン基が好ましく、炭素数1~6のアルキレン基がより好ましく、メチレン基、エチレン基、及びイソプロピリデン基からなる群より選択される1種以上が更に好ましく、メチレン基が一層好ましい。
アルケニレン基は、直鎖状又は分岐状であってもよい。このようなアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、1-メチルビニレン基、プロペニレン基、イソプロペニレン基、1-ブテニレン基、2-ブテニレン基、1-ペンテニレン基、2-ペンテニレン基、イソペンチレン基、シクロペンテニレン基、シクロヘキセニレン基、及びジシクロペンタジエニレン基が挙げられる。
アルキニレン基は、直鎖状又は分岐状であってもよい。このようなアルケニレン基としては、例えば、エチニレン基、プロピニレン基、及びブチニレン基が挙げられる。
シクロアルキレン基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、ジシクロヘキシレン基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、及びシクロオクタンジイル基が挙げられる。
アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、及びビフェニルジイル基が挙げられる。
炭素数1~6のアルキル基は、直鎖状又は分岐状であってもよい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、及びn-ヘキシル基が挙げられる。これらの中でも、化合物(A)と更に優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に更に優れた樹脂組成物が得られる点から、メチル基、エチル基、及びn-プロピル基からなる群より選択される1種以上が好ましい。
化合物(A)と更に優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に更に優れた樹脂組成物が得られる点から、Rとしては、各々独立に、水素原子、又は炭素数1~6のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、又はエチル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
化合物(A)と更に優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に更に優れた樹脂組成物が得られる点から、nは、1~20の整数であることが好ましく、2~15の整数であることがより好ましく、2~10の整数であることが更に好ましい。
アリルフェノール化合物(B1)としては、化合物(A)とより一層優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性により一層優れた樹脂組成物が得られる点から、下記式(9)で表されるアリルフェノール化合物(B2)を含むことが好ましい。
式(9)中、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又はフェニル基を示す。nは、1以上の整数を示す。
炭素1~6のアルキル基としては、上記を参照してもよい。
化合物(A)と更に一層優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に更に一層優れた樹脂組成物が得られる点から、R2としては、各々独立に、水素原子、又は炭素数1~6のアルキル基であることが好ましく、水素原子、又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
化合物(A)と更に優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に更に優れた樹脂組成物が得られる点から、nは、1~20の整数であることが好ましく、2~15の整数であることがより好ましく、2~10の整数であることが更に好ましい。
アリルフェノール化合物(B)は、公知の方法により製造できる。製造方法としては、例えば、アリルフェノールと、架橋基剤とを反応させることで得られる。架橋基剤としては、例えば、ホルムアルデヒド、及びアセトアルデヒドが挙げられる。また、他の製造方法としては、例えば、多価ヒドロキシ樹脂とハロゲン化アリルとを反応させ、多価ヒドロキシ樹脂の少なくとも一部の水酸基をアリルエーテル化し、次いで、クライゼン転移反応により、アリルエーテル基におけるアリル基を転移させることで得られる方法が挙げられる。多価ヒドロキシ樹脂として、例えば、フェノールノボラック樹脂、及びビスフェノールA型ノボラック樹脂が挙げられる。ハロゲン化アリルとしては、例えば、塩化アリル、臭化アリル、フッ化アリル、及びヨウ化アリルが挙げられる。具体的には、例えば、特許第6319703号に記載の製造方法を参照することができる。
また、アリルフェノール化合物(B)としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、群栄化学工業(株)製のAPGシリーズ(低粘度アリルフェノール樹脂)、LVAシリーズ(低揮発性アリルフェノール樹脂)、SBAシリーズ(高耐熱・低誘電特性ビフェニレン樹脂)、及びFATCシリーズ(低極性多官能アリルフェノール樹脂)が挙げられる。LVAシリーズとしては、LVA01EK(商品名、式(9)において、Rは全て水素原子であり、nが異なるアリルフェノール化合物の混合物、n=3(平均値)、アリル基(官能基)当量:154g/eq、重量平均分子量:1000)が挙げられる。
化合物(A)とより一層優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性により一層優れた樹脂組成物が得られる点から、本実施形態の樹脂組成物において、化合物(A)と、アリルフェノール化合物(B)との官能基当量比は、1~4であることが好ましく、1.5~3.5であることがより好ましく、2~3であることがさらに好ましい。
本実施形態において、官能基当量比は、樹脂組成物中に含まれる化合物(A)におけるマレイミド基の当量と化合物(A)のシトラコンイミド基の当量との合計と、樹脂組成物に含まれるアリルフェノール化合物(B)のアリル基の当量との比であり、下記式(1)により算出される。本実施形態では、化合物(A)及びアリルフェノール化合物(B)のいずれかを2種類以上用いることも可能であるが、その場合の官能基当量比の算出方法は、化合物(A)及びアリルフェノール化合物(B)のそれぞれにおいて、成分毎に、官能基数(すなわち、マレイミド基の当量、シトラコンイミド基の当量、及びアリル基の当量)を算出し、それらの値をそれぞれ合計することで、全マレイミド基の当量、全シトラコンイミド基の当量、及び全アリル基の当量を算出する。そして、官能基当量比は、全マレイミド基の当量と全シトラコンイミド基の当量との合計を全アリル基の当量で除した値とする。なお、官能基数は、成分の質量部数を、その成分の官能基当量で除した値である。
式(1):官能基当量比
=((化合物(A)のマレイミド基の当量+化合物(A)のシトラコンイミド基の当量)/アリルフェノール化合物(B)のアリル基の当量)
=((樹脂組成物中におけるマレイミド化合物(AA)の質量部数/マレイミド化合物(AA)の官能基当量)+(樹脂組成物中におけるシトラコンイミド化合物(AB)の質量部数/シトラコンイミド化合物(AB)の官能基当量))/(樹脂組成物中におけるアリルフェノール化合物(B)の質量部数/アリルフェノール化合物(B)の官能基当量)
本実施形態の樹脂組成物において、アリルフェノール化合物(B)の含有量は、化合物(A)とより一層優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性により一層優れた樹脂組成物が得られる点から、化合物(A)と、化合物(B)との合計100質量部に対して、5~50質量部であることが好ましく、10~40質量部であることがより好ましく、15~30質量部であることが更に好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、アリルフェノール化合物(B)の含有量は、化合物(A)とより一層優れた反応性が得られ、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性により一層優れた樹脂組成物が得られる点から、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、3~50質量部であることが好ましく、7~45質量部であることがより好ましく、10~40質量部であることが更に好ましい。
〔その他の熱硬化性の樹脂又は化合物〕
本実施形態の樹脂組成物には、本実施形態の効果を奏する限り、化合物(A)、及び化合物(B)と異なる、その他の熱硬化性の樹脂又は化合物(以下、単に「その他の熱硬化性樹脂」とも称する)を含んでもよい。このようなその他の熱硬化性樹脂としては、例えば、シアン酸エステル化合物、ベンゾオキサジン化合物、エポキシ化合物、化合物(B)以外のフェノール化合物、アミノトリアジンノボラック樹脂、ポリフェニレンエーテル化合物、アルケニル置換ナジイミド化合物、オキセタン樹脂、及び重合可能な不飽和基を有する化合物が挙げられる。これらのその他の熱硬化性樹脂は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
本実施形態の樹脂組成物において、その他の熱硬化性樹脂の含有量は、化合物(A)と、化合物(B)との合計100質量部に対して、それぞれ、通常0.1~50質量部であり、0.5~30質量部であることが好ましく、1~20質量部であってもよい。
〔無機充填材(C)〕
優れた耐燃性及び熱伝導率が得られ、熱膨張率及び吸湿性を低減させることができ、並びに高い吸湿耐熱性が得られることから、本実施形態の樹脂組成物は、無機充填材(C)を含む。無機充填材(C)を使用することにより、本実施形態の樹脂組成物を用いて形成される硬化物の耐燃性、及び熱伝導率を向上させ、並びに熱膨張率及び吸湿性を低減することができる。そのため、樹脂組成物は、高い吸湿耐熱性を有することができる。本実施形態の樹脂組成物をアンダーフィル材として用いることで、リフロー時において樹脂組成物にかかる応力を低減し、吸湿性が低いことで揮発性も低減させることができるため、非常に高い絶縁信頼性を確保することができる。
無機充填材(C)の平均粒子径は、本実施形態の樹脂組成物をアンダーフィル材として用いる場合、チップに配列される電極の狭ピッチ化や電極間の狭ギャップ化に対応する点からは、3μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.5μm以下であってもよい。その平均粒子径の下限値は、例えば、10nm以上である。なお、本実施形態において、無機充填材(C)の「平均粒子径」とは、無機充填材(C)のメジアン径を意味するものとする。ここでメジアン径とは、ある粒径を基準として粉体の粒度分布を2つに分けた場合に、より粒径が大きい側の粒子の体積と、より粒径が小さい側の粒子の体積とが、全粉体の夫々50%を占めるような粒径を意味する。無機充填材(C)の平均粒子径(メジアン径)は、湿式レーザー回折・散乱法により測定される。
無機充填材(C)としては、例えば、天然シリカ、溶融シリカ、アモルファスシリカ、及び中空シリカ等のシリカ;ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、及び窒化アルミニウム等のアルミニウム化合物;酸化マグネシウム、及び水酸化マグネシウム等のマグネシウム化合物;炭酸カルシウム、及び硫酸カルシウム等のカルシウム化合物;酸化モリブデン、及びモリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物;窒化ホウ素;硫酸バリウム;天然タルク、及び焼成タルク等のタルク;マイカ;短繊維状ガラス、球状ガラス、及び微粉末ガラス(例えば、Eガラス、Tガラス、Dガラス)等のガラスが挙げられる。また、本実施形態の樹脂組成物に導電性又は異方導電性を付与したい場合には、無機充填材(C)として、例えば、金、銀、ニッケル、銅、錫合金、パラジウム等の金属粒子を使用してもよい。
これらの中でも、より優れた耐燃性及び熱伝導率が得られ、熱膨張率及び吸湿性をより低減させることができ、更に、より高い吸湿耐熱性が得られることから、無機充填材(C)としては、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ベーマイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される1種以上を含むことが好ましく、シリカ、アルミナ、及び窒化ホウ素からなる群より選択される1種以上がより好ましく、その中でもシリカが更に好ましい。
これらの無機充填材(C)は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
無機充填材(C)は、シランカップリング剤で表面処理されたものを用いてもよい。無機充填材(C)の表面処理に用いられるシランカップリング剤としては、一般に無機物の表面処理に使用されているシランカップリング剤であれば、特に限定されない。例えば、ビニルトリメトキシシラン及びγ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン系シランカップリング剤;N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のフェニルアミノシラン系シランカップリング剤;トリメトキシフェニルシラン等のフェニルシラン系シランカップリング剤;イミダゾールシラン系シランカップリング剤が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
シランカップリング剤としては、化合物(A)及びアリルフェノール化合物(B)と良好に反応し、更に優れた耐燃性及び熱伝導率が得られ、熱膨張率及び吸湿性を更に低減させることができ、更に高い吸湿耐熱性が得られることから、ビニルシラン系シランカップリング剤、フェニルアミノシラン系シランカップリング剤、及びフェニルシラン系シランカップリング剤からなる群より選択される1種以上が好ましく、ビニルシラン系シランカップリング剤がより好ましい。ビニルシラン系シランカップリング剤の中では、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
シリカ若しくはシランカップリング剤で表面処理されたシリカとしては、例えば、デンカ(株)製のSFP-120MC(商品名)、及びSFP-130MC(商品名);(株)アドマテックス製の3SM-CM4(商品名)、5SM-CM2(商品名)、0.3μmSX-CM1(商品名)、0.3μmSX-EM1(商品名)、0.3μmSV-EM1(商品名)、SC1050-MLQ(商品名)、SC2050-MNU(商品名)、SC2050-MTX(商品名)、2.2μmSC6103-SQ(商品名)、SE2053-SQ(商品名)、Y50SZ-AM1(商品名)、YA050C-MJE(商品名)、YA050C-MJM(商品名)、YA050C-MJF(商品名)、及びYA050C-MJA(商品名)が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物において、無機充填材(C)の含有量は、一層優れた耐燃性及び熱伝導率が得られ、熱膨張率及び吸湿性を一層低減させることができ、更に一層高い吸湿耐熱性が得られることから、化合物(A)と、アリルフェノール化合物(B)との合計100質量部に対して、10~500質量部であることが好ましく、20~300質量部であることがより好ましく、30~200質量部であることが更に好ましい。無機充填材(C)の含有量の上限は、100質量部であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物において、無機充填材(C)の含有量は、一層優れた耐燃性及び熱伝導率が得られ、熱膨張率及び吸湿性を一層低減させることができ、更に一層高い吸湿耐熱性が得られることから、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、5~500質量部であることが好ましく、15~300質量部であることがより好ましく、25~200質量部であることが更に好ましい。無機充填材(C)の含有量の上限は、100質量部であってもよい。
〔フラックス活性剤(D)〕
本実施形態の樹脂組成物は、フリップチップ実装においてフラックス活性を発現させる点から、フラックス活性剤(D)を更に含むことが好ましい。フラックス活性剤(D)は、分子中に1個以上の酸性部位を有する有機化合物であれば、特に限定されない。酸性部位としては、例えば、リン酸基、フェノール性水酸基、カルボキシ基、及びスルホン酸基が好ましく、本実施形態の樹脂組成物をアンダーフィル材として用いた半導体装置において、接合部を構成するはんだや銅等の金属のマイグレーション、及び腐食をより有効に防止する点から、フェノール性水酸基又はカルボキシ基がより好ましい。フラックス活性剤(D)は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
フラックス活性剤(D)は、接合部の酸化膜の除去を十分行う点から、酸解離定数pKaが、3.8以上15.0以下であることが好ましく、ワニスの保存安定性、及び樹脂組成物の層を備えた積層体(支持基材付きアンダーフィル材)の保存安定性とフラックス活性の両立の点から、4.0以上14.0以下であることがより好ましい。
フラックス活性剤(D)の重量平均分子量又は分子量は、フリップチップ実装においてフラックス活性が発現する前に揮発してしまうこと、すなわち接合部の酸化膜を除去する前にフラックス活性剤(D)が揮発してしまうことを防ぐ点から、重量平均分子量又は分子量は200以上であることが好ましく、250以上であることがより好ましい。フラックス活性剤としての運動性を有し、十分なフラックス活性を得る点から、フラックス活性剤(D)の重量平均分子量又は分子量は、8000以下であることが好ましく、4000以下であることがより好ましく、1000以下であることが更に好ましく、600以下であることが一層好ましい。
フラックス活性剤(D)としては、例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、パラストリン酸、ジフェノール酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、水添ロジンエステル、及びロジン変性マレイン酸樹脂等のロジン系樹脂;N,N’-ビス(サリチリデン)-1,2-プロパンジアミン、及びN,N’-ビス(サリチリデン)-1,3-プロパンジアミン等のジアミン系;フェノールフタリンが挙げられる。これらの中で、フラックス活性剤(D)としては、ロジン系樹脂を含むことが好ましい。これらのフラックス活性剤(D)は、溶媒への溶解性、ワニスの保存安定性、吸湿耐熱性、絶縁信頼性、並びに樹脂組成物を含む層を備えた積層体の保存安定性及びフラックス活性に優れる点から、好ましい。
これらの中でも、化合物(A)による失活を防ぐ点から、フラックス活性剤(D)は、デヒドロアビエチン酸、ジフェノール酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、水添ロジンエステル、ロジン変性マレイン酸樹脂、N,N’-ビス(サリチリデン)-1,2-プロパンジアミン、及びN,N’-ビス(サリチリデン)-1,3-プロパンジアミンからなる群より選択される1種以上がより好ましい。また、これらのフラックス活性剤は、比較的反応性が低いことから、化合物(A)及び化合物(B)との反応がほとんど起こらず、酸化膜の除去に必要となる十分なフラックス活性が維持される点から更に好ましい。さらに、より一層優れたフラックス活性が得られる点から、フラックス活性剤(D)は、水添ロジンエステルであることが、より更に好ましい。
フラックス活性剤(D)は、市販品を用いることができる。ロジン系樹脂としては、例えば、パインクリスタル(登録商標、以下同じ)シリーズのKR-85(商品名、以下同じ)、KR-612、KR-614、KE-100、KE-311、PE-590、KE-359、KE-604、KR-120、KR-140、KR-614、D-6011、及びKR-50M;マルキードNo32(以上、荒川化学工業株式会製)等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物において、フラックス活性剤(D)の含有量は、溶媒への溶解性、ワニスの保存安定性、絶縁信頼性、並びに樹脂組成物を含む層を備えた積層体の保存安定性と共に、フリップチップ実装時に十分なフラックス活性を確保できる点から、化合物(A)と化合物(B)との合計100質量部に対して、1~50質量部であることが好ましく、3~40質量部であることがより好ましく、5~30質量部であることが更に好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、フラックス活性剤(D)の含有量は、溶媒への溶解性、ワニスの保存安定性、絶縁信頼性、並びに樹脂組成物を含む層を備えた積層体の保存安定性と共に、フリップチップ実装時に十分なフラックス活性を確保できる点から、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、0.5~40質量部であることが好ましく、1~30質量部であることがより好ましく、3~25質量部であることが更に好ましい。
〔その他の成分〕
本実施形態の樹脂組成物では、本実施形態の樹脂組成物における効果を阻害しない限り、その他の成分として、化合物(A)、化合物(B)、その他の熱硬化性の樹脂又は化合物、無機充填材(C)、及びフラックス活性剤(D)以外の成分を1種又は2種以上を含んでもよい。その他の成分としては、特に限定されないが、例えば、硬化触媒、可撓性付与成分、シランカップリング剤、湿潤分散剤、及び添加剤が挙げられる。その他の成分は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
(硬化触媒)
本実施形態の樹脂組成物は、本実施形態の樹脂組成物における効果を阻害しない限り、硬化触媒を含んでもよい。樹脂組成物が硬化触媒を含むことにより、化合物(A)と化合物(B)との反応速度、及び化合物(A)の重合速度をより好適に制御できることから、樹脂組成物の硬化速度を好適に制御でき、また、適度な成形性を有する樹脂組成物が得られる傾向にある。硬化触媒は、化合物(A)と化合物(B)との反応、及び化合物(A)の重合反応を促進できる化合物であれば、特に限定されない。硬化触媒は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
本実施形態の硬化触媒としては、例えば、有機過酸化物、イミダゾール化合物、アゾ化合物、並びにトリエチルアミン及びトリブチルアミン等の第三級アミン並びにそれらの誘導体が挙げられる。これらの中でも、反応速度、重合速度、及び硬化速度をより好適に制御できることから、硬化触媒は、有機過酸化物及びイミダゾール化合物からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましく、有機過酸化物及びイミダゾール化合物の両方を含むことがより好ましい。
本実施形態において、硬化触媒の含有量は、反応速度、重合速度、及び硬化速度を一層好適に制御できることから、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましい。
・有機過酸化物
本実施形態に係る有機過酸化物は、熱により、化合物と化合物(B)との反応、及び化合物(A)の重合反応を促進させることができる活性物質(ラジカル)を放出する化合物であれば特に限定されず、公知の有機過酸化物を用いることができる。有機過酸化物は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
本実施形態において、有機過酸化物の10時間半減期温度は、100℃以上であることが好ましく、製造性の点から、110℃以上であることがより好ましい。製造時の溶媒除去工程の高温化を図ることができるため、有機過酸化物は、上記の範囲の10時間半減期温度を満たすことが好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ(2-tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキサイド、及びシクロヘキサノンパーオキサイドのケトンパーオキサイド;1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、及び2,2-ジ(4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパンのパーオキシケタール;tert―ブチルハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、及びt-ブチルハイドロパーオキサイドのハイドロパーオキサイド;ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-へキシルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、α,α’-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、及びジ-t-ブチルパーオキサイドのジアルキルパーオキサイド;ジベンゾイルパーオキサイド、及びジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイドのジアシルパーオキサイド;ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、及びジイソプロピルパーオキシジカーボネートのパーオキシジカーボネート;2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-へキシルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、及びt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノネートのパーオキシエステル等が挙げられる。反応速度、重合速度、及び硬化速度をより好適に制御できることから、ジクミルパーオキサイド、ジ(2-tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、α,α’-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、及びtert―ブチルハイドロパーオキサイドからなる群より選択される1種以上が好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、有機過酸化物の含有量は、反応速度、重合速度、及び硬化速度を一層好適に制御できることから、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、0.01~10質量部含むことが好ましい。
・イミダゾール化合物
イミダゾール化合物は、化合物(A)と化合物(B)との反応、及び化合物(A)の重合反応を促進できれば、特に限定されず、公知のイミダゾール化合物を用いることができる。イミダゾール化合物は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
イミダゾール化合物としては、例えば、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、及び2,4,5-トリフェニルイミダゾールが挙げられる。これらの中でも、反応速度、重合速度、及び硬化速度をより好適に制御できることから、2-エチル-4-メチルイミダゾールが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、イミダゾール化合物の含有量は、反応速度、重合速度、及び硬化速度を一層好適に制御できることから、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、0.01質量部~10質量部であることが好ましい。
・アゾ化合物
アゾ化合物は、化合物(A)と化合物(B)との反応、及び化合物(A)の重合反応を促進できれば、特に限定されず、公知のアゾ化合物を用いることができる。アゾ化合物は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2'-アゾビスブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、及び2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物において、アゾ化合物の含有量は、反応速度、重合速度、及び硬化速度を一層好適に制御できることから、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、0.01~10質量部含むことが好ましい。
(可撓性付与成分)
本実施形態の樹脂組成物は、本実施形態の樹脂組成物における効果を阻害しない限り、可撓性付与成分を含んでもよい。可撓性付与成分は、樹脂組成物を含む層に対して可撓性を付与できるような成分であれば、特に限定されない。このような成分としては、例えば、化合物(A)、化合物(B)、その他の熱硬化性の樹脂又は化合物、無機充填材(C)、フラックス活性剤(D)、及び硬化触媒以外の、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、(メタ)アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ポリウレタン、ポリプロピレン、(メタ)アクリルオリゴマー、(メタ)アクリルポリマー、及びシリコーン樹脂等の熱可塑性の高分子化合物が挙げられる。これらの可撓性付与成分は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
本実施形態の樹脂組成物において、可撓性付与成分の含有量は、樹脂組成物の靭性及び応力緩和性能を向上できることから、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、0.1~50質量部含むことが好ましい。
(シランカップリング剤)
本実施形態の樹脂組成物は、本実施形態の樹脂組成物における効果を阻害しない限り、化合物(A)及び化合物(B)等の樹脂成分と、無機充填材(C)との界面の接着性、及び吸湿耐熱性をより向上させることを目的として、シランカップリング剤を含んでもよい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン及びγ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン系シランカップリング剤;N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のフェニルアミノシラン系シランカップリング剤;トリメトキシフェニルシラン等のフェニルシラン系シランカップリング剤;イミダゾールシラン系シランカップリング剤が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
シランカップリング剤を使用する場合、その含有量は、吸湿耐熱性が一層向上し、フリップチップ実装時、ポストキュア時、及びリフロー時において揮発量を一層低減できる点から、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、0.01~20質量部であることが好ましい。
(湿潤分散剤)
本実施形態の樹脂組成物には、本実施形態の樹脂組成物における効果を阻害しない限り、積層体の製造性の一層の向上及び無機充填材の一層の分散性向上等の目的として、湿潤分散剤を含んでもよい。湿潤分散剤としては、一般に塗料等に使用されている湿潤分散剤であれば、特に限定されない。例えば、ビックケミー・ジャパン(株)製のDISPERBYK(登録商標)-110(商品名)、同-111(商品名)、同-180(商品名)、同-161(商品名)、BYK-W996(商品名)、同-W9010(商品名)、及び同-W903(商品名)が挙げられる。これらの湿潤分散剤は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
湿潤分散剤を使用する場合、その含有量は、積層体の製造性の一層向上の点からは、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、0.01~5質量部とすることが好ましく、0.05~3質量部とすることがより好ましい。なお、2種以上の湿潤分散剤を併用する場合には、これらの合計量が上記比率を満たすことが好ましい。
(添加剤)
本実施形態の樹脂組成物には、本実施形態の樹脂組成物における効果を阻害しない限り、種々の目的により、各種の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、化合物(A)、化合物(B)、その他の熱硬化性の樹脂又は化合物、無機充填材(C)、フラックス活性剤(D)、硬化触媒、可撓性付与成分、シランカップリング剤、及び湿潤分散剤以外の成分が挙げられる。このような成分としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、レベリング剤、光沢剤、難燃剤、及びイオントラップ剤が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
本実施形態の樹脂組成物において、その他の添加剤の含有量は、通常、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、それぞれ0.01~10質量部である。
〔樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態の樹脂組成物は、前述した組成を有するものが得られる限り、製造方法は特に限定されない。樹脂組成物は、例えば、化合物(A)と、化合物(B)と、その他の熱硬化性の樹脂又は化合物と、無機充填材(C)と、必要に応じて、フラックス活性剤(D)と、その他の成分とを、適宜混合することにより調製できる。必要に応じて、これらの成分を有機溶媒に溶解又は分散させたワニスの形態としてもよい。ワニスは、積層体を作製する際に好適に使用することができる。具体的な製造方法については、後述の積層体の製造方法、及び実施例を参照してもよい。
有機溶媒は、本実施形態の樹脂組成物における各成分を好適に溶解又は分散させることができ、かつ、本実施形態の樹脂組成物の効果を損なわないものであれば特に限定されない。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、及びプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と略す場合がある。)、及びメチルイソブチルケトン等のケトン類;ジメチルアセトアミド、及びジメチルホルムアミド等のアミド類;トルエン、及びキシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
[樹脂シート]
樹脂シートは、本実施形態の樹脂組成物を含む。具体的には、樹脂シートは、支持基材と、支持基材の片面又は両面に配された樹脂層と、を有し、樹脂層が、本実施形態の樹脂組成物を含む。この樹脂シートを積層樹脂シートとも称する。樹脂シートに係る樹脂層は、未硬化状態(Aステージ)の樹脂組成物を支持基材に塗布後、半硬化状態(Bステージ)にさせたものであることが好ましい。このような樹脂シートの製造方法としては、一般にBステージ化の樹脂層及び支持基材の複合体を製造する方法が好ましい。具体的には、未硬化状態(Aステージ)の樹脂組成物をワニスの形態として、バーコーターなど公知の方法を用いて、このワニスを銅箔などの支持基材に塗布した後、60~200℃の乾燥機中で、1~60分で加熱させる方法などにより半硬化(Bステージ化)させ、樹脂シートを製造する方法などが挙げられる。
なお、本実施形態において、未硬化状態(Aステージ)とは、樹脂組成物がほぼ硬化しておらず、ゲル化していない状態を称する。樹脂シートに係る支持基材に塗布する前の樹脂組成物は、例えば、樹脂組成物の構成成分の混合物(溶媒を含んでも含まなくてもよい)、又は該混合物を溶媒に溶解又は分散させたワニスの形態であり、未硬化状態(Aステージ)である。
支持基材としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、及びエチレンテトラフルオロエチレン共重合体フィルム、並びにポリイミドフィルム等の有機系のフィルム;これらのフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルム;銅箔、及びアルミニウム箔等の導体箔;ガラス板、SUS板、及びFRP等の板状のものが挙げられる。
塗布方法としては、例えば、樹脂組成物を溶媒に溶解させた溶液を、バーコーター、ダイコーター、ドクターブレード、及びベーカーアプリケーター等で支持基材上に塗布する方法が挙げられる。
樹脂シートのうち、単層樹脂シートは、樹脂組成物をシート状に成形して得られる。単層樹脂シートの製造方法は、常法に従って行うことができ、特に限定されない。例えば、樹脂シートの製法において、樹脂組成物を溶媒に溶解させた溶液を支持基材上に塗布して乾燥させた後に、樹脂シートから支持基材を剥離又はエッチングする方法が挙げられる。なお、樹脂組成物を溶媒に溶解させた溶液を、シート状のキャビティを有する金型内に供給し乾燥する等してシート状に成形することで、支持基材を用いることなく単層樹脂シートを得ることもできる。
樹脂シート又は単層樹脂シートの作製において、溶媒を除去する際の乾燥条件は、低温であると樹脂組成物中に溶媒が残り易く、高温であると樹脂組成物の硬化が進行することから、60~200℃の温度で1~60分間が好ましい。
樹脂シート又は単層樹脂シートの樹脂層の厚みは、樹脂組成物の溶液の濃度と塗布の厚みにより調整することができ、特に限定されないが、一般的には塗布の厚みが厚くなると乾燥時に溶媒が残り易くなることから、0.1~500μmが好ましい。
樹脂シート又は単層樹脂シートは、例えば、半導体ウェハ及び半導体チップ搭載用基板における配線回路形成の際の材料として使用することができる。
[積層体]
本実施形態の樹脂組成物を支持基材上に塗布することにより、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に優れる、樹脂組成物を含む層を有する積層体を得ることができる。本実施形態の積層体は、支持基材と、支持基材上に積層された本実施形態の樹脂組成物を含む層と、を備える。このような積層体は、本実施形態の樹脂組成物が、支持基材に添着されて得られる。支持基材としては、特に限定されないが、高分子フィルムを使用することができる。高分子フィルムの材質としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びエチレン-ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂等が挙げられる。支持基材としては、これらの樹脂等を含有するフィルム、並びにこれらのフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルムが挙げられる。これらの中でも、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、及びポリアミド系樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含有するフィルム、並びにこれらのフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルムが好ましく、ポリエステル系樹脂の一種である、ポリエチレンテレフタレートを含有するフィルム、又はポリエチレンテレフタレートを含有するフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルムがより好ましい。
支持基材の厚さは、積層体の製造がより容易である点、例えば、支持基材に樹脂組成物を塗布する場合の塗布厚のより良好な安定性と、積層体のより良好な搬送性の点から、10~100μmであることが好ましい。支持基材の厚さの下限としては、積層体を製造する際の歩留りをより確保できる点から、10μm以上であることがより好ましくは、20μm以上であることが更に好ましく、25μm以上であることが更により好ましい。支持基材の厚さの上限としては、支持基材が最終的に半導体装置の構成部材として存在することなく、工程の途中で剥離される点と、積層体の製造コストの点から、80μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。
支持基材上に、本実施形態の樹脂組成物を含む層(樹脂組成物層)を形成して本実施形態の積層体を製造する方法としては、特に限定されない。そのような製造方法としては、例えば、本実施形態の樹脂組成物を有機溶媒に溶解又は分散させたワニスを、支持基材の表面に塗布し、加熱、及び/又は減圧下で乾燥し、溶媒を除去して本実施形態の樹脂組成物を固化させ、樹脂組成物層を形成する手法が挙げられる。乾燥条件は、特に限定されないが、樹脂組成物層に対する有機溶媒の含有比率が、樹脂組成物層の総質量(100質量部)に対して、通常10質量部以下、好ましくは5質量部以下となるように乾燥させる。かかる乾燥を達成する条件は、ワニス中の有機溶媒の種類と配合量によっても異なる。例えば、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、10~200質量部のメチルエチルケトンを含むワニスの場合、通常、0.5~2気圧下、60~160℃の加熱条件下で1~60分の乾燥が目安となる。本実施形態の積層体における樹脂組成物層の厚さは、樹脂組成物層の乾燥時に、比較的低分子量の揮発分をより良好に除去する点、及び積層体としての機能をより有効かつ確実に奏する点から、5~500μmの範囲が好適であり、10~100μmの範囲がより好ましい。本実施形態の積層体の製造を行った後、保管等の目的で、別途、保護フィルムを積層体の支持基材のある面とは反対側の面に積層してもよい。
[樹脂組成物層付き半導体チップ、及び樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板]
本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップは、半導体チップと、その半導体チップに積層された本実施形態の樹脂組成物を含む層とを備える。また、本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板は、半導体チップ搭載用基板と、その半導体チップ搭載用基板に積層された本実施形態の樹脂組成物を含む層とを備える。
本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップを作製する方法は、例えば、半導体ウェハの電極が形成された面、すなわち基板との接合が行われる面に、本実施形態の積層体の樹脂組成物層が対向するように貼り合わせ、積層体における支持基材を剥離し、その後、ダイシングソー等による個片化を行うことで、樹脂組成物層付き半導体チップを得ることができる。また、本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板を作製する方法は、例えば、半導体チップ搭載用基板のチップ搭載側の面に、本実施形態の積層体の樹脂組成物層が対向するよう貼り合わせ、積層体における支持基材を剥離することで得られる。
本実施形態の積層体を半導体ウェハ又は半導体チップ搭載用基板に貼り合わせる方法としては、特に限定されないが、真空加圧式ラミネータを好適に使用することができる。この場合、本実施形態の積層体に対してゴム等の弾性体を介して加圧し、貼り合わせる方法が好ましい。ラミネート条件としては、当業界で一般に使用されている条件であれば、例えば、50~140℃の温度、1~11kgf/cm2の範囲の接触圧力、並びに20hPa以下の雰囲気減圧下で行われる。ラミネート工程の後に、金属板による熱プレスにより、貼り合わされた積層体の平滑化を行ってもよい。ラミネート工程、及び平滑化工程は、市販されている真空加圧式ラミネータによって連続的に行うことができる。半導体ウェハ又は半導体搭チップ載用基板に貼り付けられた積層体は、いずれの場合もチップのフリップチップ実装前までに支持基材の除去が行われる。
[半導体装置]
本実施形態の半導体装置は、本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップ及び/又は本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板を備える。本実施形態の半導体装置は、本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップを備える。本実施形態の半導体装置は、本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板を備える。本実施形態の半導体装置は、本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップ、及び本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板を備える。
本実施形態の半導体装置を製造する方法は、例えば、本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップを半導体チップ搭載用基板に搭載する手法が挙げられる。また、本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板に、半導体チップを搭載してもよい。樹脂組成物層付き半導体チップを半導体チップ搭載用基板に搭載する方法、及び半導体チップを樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板に搭載する方法では、熱圧着工法に対応したフリップチップボンダを好適に使用することができる。また、本実施形態では半導体チップを半導体チップ搭載用基板にフリップチップ実装する場合を便宜的に説明しているが、半導体チップをフリップチップ実装しつつ、本実施形態の樹脂組成物を適用する対象は、半導体チップ搭載用基板以外とすることも可能である。例えば、本実施形態の樹脂組成物は、半導体ウェハ上へ半導体チップを搭載する際の半導体ウェハと半導体チップとの接合部や、TSV(Through Silicon Via)等を経由して半導体チップ間接続を行うチップ積層体の、各半導体チップ間の接合部に使用することも可能であり、いずれの場合も本実施形態の効果を得ることができる。フリップチップ実装により、チップとアンダーフィル材としての樹脂組成物と基板とが接合し、半導体装置が得られる。フリップチップ実装は、例えば、加熱温度が220℃以上、好ましくは240~300℃の範囲で加熱時間は、特に限定されないが、通常1~20秒の範囲で行われる。本実施形態の樹脂組成物によれば、フリップチップ実装後において、ボイドの発生を好適に抑制することができる。
フリップチップ実装後に行われるポストキュア工程での加熱により、半導体装置におけるアンダーフィル材が硬化される。ポストキュア工程では、乾燥機等を用いて温度をかけてアンダーフィル材を硬化させるキュア工程や、温度と圧力をかけてアンダーフィル材を硬化させる加圧キュア工程を用いることができる。実装時に発生したアンダーフィル材由来のボイドを効率的に除去するために、加圧キュア工程を用いることが好ましい。加圧キュア工程では、温度と圧力をかけてアンダーフィル材を溶融流動させることで、ボイドにアンダーフィル材を再充填させることができる。本実施形態の樹脂組成物は、加圧キュア工程における加熱温度においても、好適な粘度を有するため、ボイドが発生しても、樹脂組成物がボイドを埋めつくすように再充填される。そのため、ボイドを効率的に除去することができる。なお、加圧キュア工程は、例えば、加熱温度が120℃以上、好ましくは180~220℃の範囲で、圧力が0.1MPa以上、好ましくは0.2~1.0MPaの範囲で、加熱時間は、特に限定されないが、通常0.5~4時間の範囲で行われる。また、アンダーフィル材の溶融粘度を制御し、効率的にボイドを除去するため、加熱温度は2段階以上としても良い。例えば、1段階目として140℃にて0.2~2時間処理し、その後200℃にて2時間処理する方法が挙げられる。
半導体装置が製造された後、通常、半導体装置に、はんだボール等を介してマザーボード等が更に接合される。該工程では、通常、はんだボールを溶融させるためのリフロー工程を有する。リフロー工程はリフロー炉にて行われ、例えば、はんだボールを溶融させるため、通常240℃以上、好ましくは250~300℃の高温にて、加熱時間は、特に限定されないが、通常30秒~30分間の範囲で行われる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本実施形態は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[樹脂組成物及び積層体の作製]
(実施例1)
化合物(A)としてビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:221g/eq、分子量:550)35質量部と、化合物(A)として式(5)で表されるマレイミド化合物(MIR-3000-70MT(商品名)、日本化薬(株)、マレイミド基(官能基)当量:275g/eq、重量平均分子量:1050)のMEK(メチルエチルケトン)溶液(不揮発分70%)50質量部(不揮発分換算で35質量部)と、化合物(A)として式(3)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:702g/eq、重量平均分子量:3700)10質量部と、化合物(B)としてアリルフェノール化合物(LVA01EK(商品名)、式(9)において、Rは全て水素原子であり、nが異なるアリルフェノール化合物の混合物、n=3(平均値)、群栄化学工業(株)、アリル基(官能基)当量:154g/eq、重量平均分子量:1000)のMEK溶液(不揮発分85%)23.5質量部(不揮発分換算で20質量部)と、無機充填材(C)としてスラリーシリカ(3SM-CM4(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリルシラン表面処理シリカ、固形分60質量%、平均粒子径:300nm)のMEK溶液(不揮発分60%)83.3質量部(不揮発分換算で50質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)10質量部と、を混合し、固形分濃度が60質量%となるようにMEKを添加し、70℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、固形分濃度が60質量%のワニスを得た。化合物(A)と、アリルフェノール化合物(B)との官能基当量比は、2.3であった。
このワニスを、表面に離型剤がコートされた厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(TR1-38(商品名、支持基材)、ユニチカ(株))に塗布し、1気圧下、100℃で5分間加熱乾燥して、Bステージ化された樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体を得た。
(実施例2)
化合物(A)としてビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:221g/eq、分子量:550)23質量部と、化合物(A)として式(5)で表されるマレイミド化合物(MIR-3000-70MT(商品名)、日本化薬(株)、マレイミド基(官能基)当量:275g/eq、重量平均分子量:1050)のMEK溶液(不揮発分70%)47.1質量部(不揮発分換算で33質量部)と、化合物(A)として式(6)で表されるマレイミド化合物(BMI-2300(商品名)、大和化成工業(株)、マレイミド基(官能基)当量:186g/eq、重量平均分子量:500)14質量部と、化合物(A)として式(3)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:702g/eq、重量平均分子量:3700)10質量部と、化合物(B)としてアリルフェノール化合物(LVA01EK(商品名)、式(9)において、Rは全て水素原子であり、nが異なるアリルフェノール化合物の混合物、n=3(平均値)、群栄化学工業(株)、アリル基(官能基)当量:154g/eq、重量平均分子量:1000)のMEK溶液(不揮発分85%)23.5質量部(不揮発分換算で20質量部)と、無機充填材(C)としてスラリーシリカ(3SM-CM4(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリルシラン表面処理シリカ、固形分60質量%、平均粒子径:300nm)のMEK溶液(不揮発分60%)83.3質量部(不揮発分換算で50質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)10質量部と、を混合し、固形分濃度が60質量%となるようにMEKを添加し、70℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、固形分濃度が60質量%のワニスを得た。化合物(A)と、アリルフェノール化合物(B)との官能基当量比は、2.4であった。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、Bステージ化された樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体を得た。
(実施例3)
化合物(A)としてビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:221g/eq、分子量:550)37質量部と、化合物(A)として式(5)で表されるマレイミド化合物(MIR-3000-70MT(商品名)、日本化薬(株)、マレイミド基(官能基)当量:275g/eq、重量平均分子量:1050)のMEK溶液(不揮発分70%)1.4質量部(不揮発分換算で1質量部)と、化合物(A)として式(6)で表されるマレイミド化合物(BMI-2300(商品名)、大和化成工業(株)、マレイミド基(官能基)当量:186g/eq、重量平均分子量:500)32質量部と、化合物(A)として式(3)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:702g/eq、重量平均分子量:3700)10質量部と、化合物(B)としてアリルフェノール化合物(LVA01EK(商品名)、式(9)において、Rは全て水素原子であり、nが異なるアリルフェノール化合物の混合物、n=3(平均値)、群栄化学工業(株)、アリル基(官能基)当量:154g/eq、重量平均分子量:1000)のMEK溶液(不揮発分85%)23.5質量部(不揮発分換算で20質量部)と、無機充填材(C)としてスラリーシリカ(3SM-CM4(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリルシラン表面処理シリカ、固形分60質量%、平均粒子径:300nm)のMEK溶液(不揮発分60%)83.3質量部(不揮発分換算で50質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)10質量部と、を混合し、固形分濃度が60質量%となるようにMEKを添加し、70℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、固形分濃度が60質量%のワニスを得た。化合物(A)と、アリルフェノール化合物(B)との官能基当量比は、3.0であった。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、Bステージ化された樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体を得た。
(実施例4)
化合物(A)としてビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:221g/eq、分子量:550)25.5質量部と、化合物(A)として式(5)で表されるマレイミド化合物(MIR-3000-70MT(商品名)、日本化薬(株)、マレイミド基(官能基)当量:275g/eq、重量平均分子量:1050)のMEK溶液(不揮発分70%)0.7質量部(不揮発分換算で0.5質量部)と、化合物(A)として式(6)で表されるマレイミド化合物(BMI-2300(商品名)、大和化成工業(株)、マレイミド基(官能基)当量:186g/eq、重量平均分子量:500)44質量部と、化合物(A)として式(3)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:702g/eq、重量平均分子量:3700)10質量部と、化合物(B)としてアリルフェノール化合物(LVA01EK(商品名)、式(9)において、Rは全て水素原子であり、nが異なるアリルフェノール化合物の混合物、n=3(平均値)、群栄化学工業(株)、アリル基(官能基)当量:154g/eq、重量平均分子量:1000)のMEK溶液(不揮発分85%)23.5質量部(不揮発分換算で20質量部)と、無機充填材(C)としてスラリーシリカ(3SM-CM4(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリルシラン表面処理シリカ、固形分60質量%、平均粒子径:300nm)のMEK溶液(不揮発分60%)83.3質量部(不揮発分換算で50質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)10質量部と、を混合し、固形分濃度が60質量%となるようにMEKを添加し、70℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、固形分濃度が60質量%のワニスを得た。化合物(A)と、アリルフェノール化合物(B)との官能基当量比は、2.8であった。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、Bステージ化された樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体を得た。
(実施例5)
化合物(A)としてビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:221g/eq、分子量:550)28質量部と、化合物(A)として式(6)で表されるマレイミド化合物(BMI-2300(商品名)、大和化成工業(株)、マレイミド基(官能基)当量:186g/eq、重量平均分子量:500)14質量部と、化合物(A)として2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(BMI-80(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:285g/eq、分子量:570.6)28質量部と、化合物(A)として式(3)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:702g/eq、重量平均分子量:3700)10質量部と、化合物(B)としてアリルフェノール化合物(LVA01EK(商品名)、式(9)において、Rは全て水素原子であり、nが異なるアリルフェノール化合物の混合物、n=3(平均値)、群栄化学工業(株)、アリル基(官能基)当量:154g/eq、重量平均分子量:1000)のMEK溶液(不揮発分85%)23.5質量部(不揮発分換算で20質量部)と、無機充填材(C)としてスラリーシリカ(3SM-CM4(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリルシラン表面処理シリカ、固形分60質量%、平均粒子径:300nm)のMEK溶液(不揮発分60%)83.3質量部(不揮発分換算で50質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)10質量部と、を混合し、固形分濃度が60質量%となるようにMEKを添加し、70℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、固形分濃度が60質量%のワニスを得た。化合物(A)と、アリルフェノール化合物(B)との官能基当量比は、2.4であった。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、Bステージ化された樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体を得た。
(実施例6)
化合物(A)としてビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:221g/eq、分子量:550)21質量部と、化合物(A)として式(6)で表されるマレイミド化合物(BMI-2300(商品名)、大和化成工業(株)、マレイミド基(官能基)当量:186g/eq、重量平均分子量:500)21質量部と、化合物(A)として2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(BMI-80(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:285g/eq、分子量:570.6)28質量部と、化合物(A)として式(3)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:702g/eq、重量平均分子量:3700)10質量部と、化合物(B)としてアリルフェノール化合物(LVA01EK(商品名)、式(9)において、Rは全て水素原子であり、nが異なるアリルフェノール化合物の混合物、n=3(平均値)、群栄化学工業(株)、アリル基(官能基)当量:154g/eq、重量平均分子量:1000)のMEK溶液(不揮発分85%)23.5質量部(不揮発分換算で20質量部)と、無機充填材(C)としてスラリーシリカ(3SM-CM4(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリルシラン表面処理シリカ、固形分60質量%、平均粒子径:300nm)のMEK溶液(不揮発分60%)83.3質量部(不揮発分換算で50質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)10質量部と、を混合し、固形分濃度が60質量%となるようにMEKを添加し、70℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、固形分濃度が60質量%のワニスを得た。化合物(A)と、アリルフェノール化合物(B)との官能基当量比は、2.5であった。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、Bステージ化された樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体を得た。
(実施例7)
化合物(A)としてビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:221g/eq、分子量:550)17.5質量部と、化合物(A)として式(6)で表されるマレイミド化合物(BMI-2300(商品名)、大和化成工業(株)、マレイミド基(官能基)当量:186g/eq、重量平均分子量:500)17.5質量部と、化合物(A)として2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(BMI-80(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:285g/eq、分子量:570.6)35質量部と、化合物(A)として式(3)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:702g/eq、重量平均分子量:3700)10質量部と、化合物(B)としてアリルフェノール化合物(LVA01EK(商品名)、式(9)において、Rは全て水素原子であり、nが異なるアリルフェノール化合物の混合物、n=3(平均値)、群栄化学工業(株)、アリル基(官能基)当量:154g/eq、重量平均分子量:1000)のMEK溶液(不揮発分85%)23.5質量部(不揮発分換算で20質量部)と、無機充填材(C)としてスラリーシリカ(3SM-CM4(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリルシラン表面処理シリカ、固形分60質量%、平均粒子径:300nm)のMEK溶液(不揮発分60%)83.3質量部(不揮発分換算で50質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)10質量部と、を混合し、固形分濃度が60質量%となるようにMEKを添加し、70℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、固形分濃度が60質量%のワニスを得た。化合物(A)と、アリルフェノール化合物(B)との官能基当量比は、2.4であった。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、Bステージ化された樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体を得た。
(実施例8)
化合物(A)としてビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:221g/eq、分子量:550)17質量部と、化合物(A)として式(6)で表されるマレイミド化合物(BMI-2300(商品名)、大和化成工業(株)、マレイミド基(官能基)当量:186g/eq、重量平均分子量:500)31質量部と、化合物(A)として2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(BMI-80(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:285g/eq、分子量:570.6)22質量部と、化合物(A)として式(3)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:702g/eq、重量平均分子量:3700)10質量部と、化合物(B)としてアリルフェノール化合物(LVA01EK(商品名)、式(9)において、Rは全て水素原子であり、nが異なるアリルフェノール化合物の混合物、n=3(平均値)、群栄化学工業(株)、アリル基(官能基)当量:154g/eq、重量平均分子量:1000)のMEK溶液(不揮発分85%)23.5質量部(不揮発分換算で20質量部)と、無機充填材(C)としてスラリーシリカ(3SM-CM4(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリルシラン表面処理シリカ、固形分60質量%、平均粒子径:300nm)のMEK溶液(不揮発分60%)83.3質量部(不揮発分換算で50質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)10質量部と、を混合し、固形分濃度が60質量%となるようにMEKを添加し、70℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、固形分濃度が60質量%のワニスを得た。化合物(A)と、アリルフェノール化合物(B)との官能基当量比は、2.6であった。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、Bステージ化された樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体を得た。
(実施例9)
化合物(A)としてビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:221g/eq、分子量:550)70質量部と、化合物(A)として式(3)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:702g/eq、重量平均分子量:3700)10質量部と、化合物(B)としてアリルフェノール化合物(LVA01EK(商品名)、群栄化学工業(株)、式(9)において、Rは全て水素原子であり、nが異なるアリルフェノール化合物の混合物、n=3(平均値)、アリル基(官能基)当量:154g/eq、重量平均分子量:1000)のMEK溶液(不揮発分85%)23.5質量部(不揮発分換算で20質量部)と、無機充填材(C)としてスラリーシリカ(3SM-CM4(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリルシラン表面処理シリカ、固形分60質量%、平均粒子径:300nm)のMEK溶液(不揮発分60%)83.3質量部(不揮発分換算で50質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)10質量部と、を混合し、固形分濃度が60質量%となるようにMEKを添加し、70℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、固形分濃度が60質量%のワニスを得た。化合物(A)と、アリルフェノール化合物(B)との官能基当量比は、2.6であった。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、Bステージ化された樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体を得た。
(実施例10)
化合物(A)として式(6)で表されるマレイミド化合物(BMI-2300(商品名)、大和化成工業(株)、マレイミド基(官能基)当量:186g/eq、重量平均分子量:500)35質量部と、化合物(A)として2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(BMI-80(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:285g/eq、分子量:570.6)35質量部と、化合物(A)として式(3)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:702g/eq、重量平均分子量:3700)10質量部と、化合物(B)としてアリルフェノール化合物(LVA01EK(商品名)、式(9)において、Rは全て水素原子であり、nが異なるアリルフェノール化合物の混合物、n=3(平均値)、群栄化学工業(株)、アリル基(官能基)当量:154g/eq、重量平均分子量:1000)のMEK溶液(不揮発分85%)23.5質量部(不揮発分換算で20質量部)と、無機充填材(C)としてスラリーシリカ(3SM-CM4(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリルシラン表面処理シリカ、固形分60質量%、平均粒子径:300nm)のMEK溶液(不揮発分60%)83.3質量部(不揮発分換算で50質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)10質量部と、を混合し、固形分濃度が60質量%となるようにMEKを添加し、70℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、固形分濃度が60質量%のワニスを得た。化合物(A)と、アリルフェノール化合物(B)との官能基当量比は、2.5であった。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、Bステージ化された樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体を得た。
(比較例1)
化合物(A)として式(6)で表されるマレイミド化合物(BMI-2300(商品名)、大和化成工業(株)、マレイミド基(官能基)当量:186g/eq、重量平均分子量:500)70質量部と、化合物(A)として式(3)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:702g/eq、重量平均分子量:3700)10質量部と、化合物(B)としてアリルフェノール化合物(LVA01EK(商品名)、式(9)において、Rは全て水素原子であり、nが異なるアリルフェノール化合物の混合物、n=3(平均値)、群栄化学工業(株)、アリル基(官能基)当量:154g/eq、重量平均分子量:1000)のMEK溶液(不揮発分85%)23.5質量部(不揮発分換算で20質量部)と、無機充填材(C)としてスラリーシリカ(3SM-CM4(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリルシラン表面処理シリカ、固形分60質量%、平均粒子径:300nm)のMEK溶液(不揮発分60%)83.3質量部(不揮発分換算で50質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)10質量部と、を混合し、固形分濃度が60質量%となるようにMEKを添加し、70℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、固形分濃度が60質量%のワニスを得た。化合物(A)と、アリルフェノール化合物(B)との官能基当量比は、3.0であった。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、Bステージ化された樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体を得た。
(比較例2)
化合物(A)として式(5)で表されるマレイミド化合物(MIR-3000-70MT(商品名)、日本化薬(株)、マレイミド基(官能基)当量:275g/eq、重量平均分子量:1050)のMEK溶液(不揮発分70%)100質量部(不揮発分換算で70質量部)と、化合物(A)として式(3)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:702g/eq、重量平均分子量:3700)10質量部と、化合物(B)としてアリルフェノール化合物(LVA01EK(商品名)、式(9)において、Rは全て水素原子であり、nが異なるアリルフェノール化合物の混合物、n=3(平均値)、群栄化学工業(株)、アリル基(官能基)当量:154g/eq、重量平均分子量:1000)のMEK溶液(不揮発分85%)23.5質量部(不揮発分換算で20質量部)と、無機充填材(C)としてスラリーシリカ(3SM-CM4(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリルシラン表面処理シリカ、固形分60質量%、平均粒子径:300nm)のMEK溶液(不揮発分60%)83.3質量部(不揮発分換算で50質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)10質量部と、を混合し、固形分濃度が60質量%となるようにMEKを添加し、70℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、固形分濃度が60質量%のワニスを得た。化合物(A)と、アリルフェノール化合物(B)との官能基当量比は、2.1であった。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、Bステージ化された樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体を得た。
(比較例3)
化合物(A)として式(5)で表されるマレイミド化合物(MIR-3000-70MT(商品名)、日本化薬(株)、マレイミド基(官能基)当量:275g/eq、重量平均分子量:1050)のMEK溶液(不揮発分70%)50質量部(不揮発分換算で35質量部)と、化合物(A)として式(6)で表されるマレイミド化合物(BMI-2300(商品名)、大和化成工業(株)、マレイミド基(官能基)当量:186g/eq、重量平均分子量:500)35質量部と、化合物(A)として式(3)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:702g/eq、重量平均分子量:3700)10質量部と、化合物(B)としてアリルフェノール化合物(LVA01EK(商品名)、式(9)において、Rは全て水素原子であり、nが異なるアリルフェノール化合物の混合物、n=3(平均値)、群栄化学工業(株)、アリル基(官能基)当量:154g/eq、重量平均分子量:1000)のMEK溶液(不揮発分85%)23.5質量部(不揮発分換算で20質量部)と、無機充填材(C)としてスラリーシリカ(3SM-CM4(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリルシラン表面処理シリカ、固形分60質量%、平均粒子径:300nm)のMEK溶液(不揮発分60%)83.3質量部(不揮発分換算で50質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)10質量部と、を混合し、固形分濃度が60質量%となるようにMEKを添加し、70℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、固形分濃度が60質量%のワニスを得た。化合物(A)と、アリルフェノール化合物(B)との官能基当量比は、2.5であった。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、Bステージ化された樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体を得た。
(比較例4)
化合物(A)としてビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:221g/eq、分子量:550)35質量部と、化合物(A)として式(5)で表されるマレイミド化合物(MIR-3000-70MT(商品名)、日本化薬(株)、マレイミド基(官能基)当量:275g/eq、重量平均分子量:1050)のMEK溶液(不揮発分70%)50質量部(不揮発分換算で35質量部)と、化合物(A)として式(3)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:702g/eq、重量平均分子量:3700)10質量部と、フェノールノボラック樹脂(フェノライト(登録商標)TD-2090-60M(商品名)、DIC(株)、重量平均分子量:8,500、窒素含有量:0質量%、ヒドロキシ基(官能基)当量:105g/eq.)のMEK溶液(不揮発分60質量%)33.3質量部(不揮発分換算で20質量部)と、無機充填材(C)としてスラリーシリカ(3SM-CM4(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリルシラン表面処理シリカ、固形分60質量%、平均粒子径:300nm)のMEK溶液(不揮発分60%)83.3質量部(不揮発分換算で50質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)10質量部と、を混合し、固形分濃度が60質量%となるようにMEKを添加し、70℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、固形分濃度が60質量%のワニスを得た。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、Bステージ化された樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体を得た。
(比較例5)
化合物(A)としてビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:221g/eq、分子量:550)35質量部と、化合物(A)として式(5)で表されるマレイミド化合物(MIR-3000-70MT(商品名)、日本化薬(株)、マレイミド基(官能基)当量:275g/eq、重量平均分子量:1050)のMEK溶液(不揮発分70%)50質量部(不揮発分換算で35質量部)と、化合物(A)として式(3)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、マレイミド基(官能基)当量:702g/eq、重量平均分子量:3700)10質量部と、化合物(B)としてアリルフェノール化合物(LVA01EK(商品名)、群栄化学工業(株)、式(9)において、Rは全て水素原子であり、nが異なるアリルフェノール化合物の混合物、n=3(平均値)、アリル基(官能基)当量:154g/eq、重量平均分子量:1000)のMEK溶液(不揮発分85%)23.5質量部(不揮発分換算で20質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)10質量部と、を混合し、固形分濃度が60質量%となるようにMEKを添加し、70℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、固形分濃度が60質量%のワニスを得た。化合物(A)と、アリルフェノール化合物(B)との官能基当量比は、2.3であった。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、Bステージ化された樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体を得た。
[測定及び評価]
実施例1~10、及び比較例1~5で得られた積層体を用いて、次の測定及び評価を行った。それらの結果を表1及び2に示す。
(1)最低溶融粘度の測定
実施例1~10、及び比較例1~5で得られた樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体1をそれぞれ所定の枚数用意した。
まず、積層体1を2枚用意し、積層体1における樹脂組成物層同士が接するように配置し、ダイヤフラム式真空ラミネータ(V-130(商品名)、ニッコー・マテリアルズ(株)製)を用いて、真空引き時間30秒間、温度60℃、圧力0.5MPa、及び加圧時間60秒間の条件で積層した。得られた積層体2の片面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。その後、積層体2における剥離面の樹脂組成物層と、同じ実施例又は比較例で得られた他の積層体3における樹脂組成物層とが接するように配置し、上記条件にて積層した。この操作を樹脂組成物層の厚さが0.4~0.6mmとなるまで繰り返し、両面にポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された積層体4を得た。得られた樹脂組成物層の厚さが0.4~0.6mmである積層体4を10mm×10mmの正方形に切断し、切断した積層体4の両面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。得られた樹脂組成物層を使用し、レオメータ(HAAKE MARS60(商品名)、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)により、最低溶融粘度を測定した。なお、レオメータに付属する加熱装置として、電気ヒーター式温調モジュール(HAAKE MARS TM-EL-H(商品名)、及びElectrical Temperature Module TM-EL-P(商品名))を用いた。また、アダプターとして、ディスポーザブルプレート用セラミックシャフト AdapterP3(商品名)に、アルミニウム製ディスポーザブル上部パラレルプレートD/PB Al(商品名、プレートの直径:8.0mm)を取り付けたものを用い、このアダプターをレオメータHAAKE MARS60(商品名)に取り付けた。測定台として、アルミニウム製ディスポーザブル下部パラレルプレートTMP25 Al(商品名、25.0mm)を用い、この測定台を電気ヒーター式温調モジュールのElectrical Temperature Module TM-EL-P(商品名)に取り付けた。その後、レオメータにおいて、測定台に上記で得られた10mm×10mm×0.4~0.6mmtの樹脂組成物層を配置して、アダプター(上部パラレルプレート)を配置した樹脂組成物層に接するまで下降させ、測定温度40℃、圧力2N、及び測定時間1分間にて保持しながら樹脂組成物層を上下のディスポーザブルパラレルプレートに密着させた。そして、測定開始温度を40℃として、昇温速度10℃/分、周波数10.0rad/秒、及び歪0.1%の条件下で、40℃~260℃の範囲における溶融粘度を測定し、その温度範囲において、粘度が最も下がったときの粘度を、樹脂組成物の最低溶融粘度(単位:Pa・s)とした。なお、測定中において、上部パラレルプレートと下部パラレルプレートとの間のギャップ(間隙)は一定とした。また、実施例1で得られた積層体を用いて作成した樹脂組成物層を用いて測定したレオメータのチャートを図1に示した。図1に示すとおり、粘度が最も下がったときの粘度、即ち、樹脂組成物の最低溶融粘度は22(Pa・s)であった。
(2)200℃における粘度の測定
実施例1~10、及び比較例1~5で得られた樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体1をそれぞれ所定の枚数用意した。
まず、積層体1を2枚用意し、積層体1における樹脂組成物層同士が接するように配置し、ダイヤフラム式真空ラミネータ(V-130(商品名)、ニッコー・マテリアルズ(株)製)を用いて、真空引き時間30秒間、温度60℃、圧力0.5MPa、及び加圧時間60秒間の条件で積層した。得られた積層体2の片面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。その後、積層体2における剥離面の樹脂組成物層と、同じ実施例又は比較例で得られた他の積層体3における樹脂組成物層とが接するように配置し、上記条件にて積層した。この操作を樹脂組成物層の厚さが0.4~0.6mmとなるまで繰り返し、両面にポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された積層体4を得た。得られた樹脂組成物層の厚さが0.4~0.6mmである積層体4を10mm×10mmの正方形に切断し、切断した積層体4の両面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。得られた樹脂組成物層を使用し、レオメータ(HAAKE MARS60(商品名)、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)により、200℃における粘度を測定した。なお、レオメータに付属する加熱装置として、電気ヒーター式温調モジュール(HAAKE MARS TM-EL-H(商品名)、及びElectrical Temperature Module TM-EL-P(商品名))を用いた。また、アダプターとして、ディスポーザブルプレート用セラミックシャフト AdapterP3(商品名)にアルミニウム製ディスポーザブル上部パラレルプレートD/PB Al(商品名、プレートの直径:8.0mm)を取り付けたものを用い、このアダプターをレオメータHAAKE MARS60(商品名)に取り付けた。測定台として、アルミニウム製ディスポーザブル下部パラレルプレートTMP25 Al(商品名、25.0mm)を用い、この測定台を電気ヒーター式温調モジュールのElectrical Temperature Module TM-EL-P(商品名)に取り付けた。その後、レオメータにおいて、測定台に上記で得られた10mm×10mm×0.4~0.6mmtの樹脂組成物層を配置して、アダプター(上部パラレルプレート)を配置した樹脂組成物層に接するまで下降させ、測定温度40℃、圧力2N、及び測定時間1分間にて保持しながら樹脂組成物層を上下のディスポーザブルパラレルプレートに密着させた。そして、測定開始温度を40℃として、昇温速度10℃/分、周波数10.0rad/秒、及び歪0.1%の条件下で、200℃における粘度を測定し、その時の値を樹脂組成物の粘度(単位:Pa・s)とした。なお、測定中において、上部パラレルプレートと下部パラレルプレートとの間のギャップ(間隙)は一定とした。また、実施例1で得られた積層体を用いて作成した樹脂組成物層を用いて測定したレオメータのチャートを図1に示した。図1に示すとおり、200℃における粘度は23(Pa・s)であった。
(3)フリップチップ実装後のボイドの評価
実施例1~10、及び比較例1~5で得られた樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体を8mm×8mmの正方形に切断した。その後、半導体チップ搭載用基板((株)ウォルツ製WALTS-KIT CC80(W)-0105JY(商品名))のパッド部分における15μmの銅回路面に対して、切断後の積層体における樹脂組成物層が接するように配置し、ダイヤフラム式真空ラミネータ(V-130(商品名)、ニッコー・マテリアルズ(株)製)を用いて、真空引き時間30秒間、温度60℃、圧力0.5MPa、及び加圧時間60秒間の条件で積層した。その後、半導体チップ搭載用基板と樹脂組成物層が積層された積層体におけるポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。次いで、フリップチップボンダ(LFB-2301(商品名)、(株)新川)を用いて、ステージ温度85℃、ボンドヘッド温度120℃、荷重30N、及び時間1秒の条件で、銅とはんだで構成されるCuピラーを電極に持つ半導体チップ上に、樹脂組成物層の剥離面が接するように半導体チップ搭載用基板と樹脂組成物層が積層された積層体を配置して熱圧着した後、ボンドヘッド温度260℃、荷重30N、及び時間4秒の条件で更に熱圧着して実装を行った。実装後のサンプル(半導体チップ/樹脂組成物層/半導体チップ搭載用基板)を超音波精密探傷画像処理装置(μ-SDS(商品名)、(株)KJTD製)を用いて画像データを取得し、半導体チップ実装部の範囲における樹脂組成物層のボイドの有無を該画像データから確認した。ボイドが確認できた部分が占める面積の割合が、半導体チップ実装部の範囲における樹脂組成物層が占める面積の全体に対して、5%未満の場合をAとし、5%以上10%未満の場合をBとし、10%以上20%未満をCとし、20%以上の場合をDとして評価した。なお、ボイドが確認できた部分が占める面積の割合が20%未満であると、比較的高い絶縁信頼性を有する積層体と評価される。
(4)ポストキュア後のボイドの評価
実施例1~10、及び比較例1~5で得られた樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体を8mm×8mmの正方形に切断した。その後、半導体チップ搭載用基板((株)ウォルツ製WALTS-KIT CC80(W)-0105JY(商品名))のパッド部分における15μmの銅回路面に対して、切断後の積層体における樹脂組成物層が接するように配置し、ダイヤフラム式真空ラミネータ(V-130(商品名)、ニッコー・マテリアルズ(株)製)を用いて、真空引き時間30秒間、温度60℃、圧力0.5MPa、及び加圧時間60秒間の条件で積層した。その後、半導体チップ搭載用基板と樹脂組成物層が積層された積層体におけるポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。次いで、フリップチップボンダ(LFB-2301(商品名)、(株)新川)を用いて、ステージ温度85℃、ボンドヘッド温度120℃、荷重30N、及び時間1秒の条件で、銅とはんだで構成されるCuピラーを電極に持つ半導体チップ上に、樹脂組成物層の剥離面が接するように半導体チップ搭載用基板と樹脂組成物層が積層された積層体を配置して熱圧着した後に、ボンドヘッド温度260℃、荷重30N、及び時間4秒の条件で更に熱圧着して実装を行った。実装後、真空加圧オーブン(ELT-PIS(商品名)、KeyLink製)を用いて、圧力8kgf/cmの下で、6℃/分にて140℃まで昇温し、140℃で30分保持したのち、6℃/分にて200℃まで昇温し、温度200℃にて2時間加熱処理して、硬化させた。硬化後のサンプル(半導体チップ/樹脂組成物層/半導体チップ搭載用基板)を超音波精密探傷画像処理装置(μ-SDS(商品名)、(株)KJTD製)を用いて画像データを取得し、半導体チップ実装部の範囲における樹脂組成物層のボイドの有無を該画像データから確認した。ボイドが確認できた部分が占める面積の割合が、半導体チップ実装部の範囲における樹脂組成物層が占める面積の全体に対して、5%未満の場合をAとし、5%以上10%未満の場合をBとし、10%以上の場合をCとして評価した。なお、ボイドが確認できた部分が占める面積の割合が10%未満であると、比較的高い絶縁信頼性を有する積層体と評価される。
(5)吸湿リフロー処理後のチップ接着性の評価
実施例1~10、及び比較例1~5で得られた樹脂組成物層の厚さが35μmである積層体を8mm×8mmの正方形に切断した。その後、半導体チップ搭載用基板((株)ウォルツ製WALTS-KIT CC80(W)-0105JY(商品名))のパッド部分における15μmの銅回路面に対して、切断後の積層体における樹脂組成物層が接するように配置し、ダイヤフラム式真空ラミネータ(V-130(商品名)、ニッコー・マテリアルズ(株)製)を用いて、真空引き時間30秒間、温度60℃、圧力0.5MPa、及び加圧時間60秒間の条件で積層した。その後、半導体チップ搭載用基板と樹脂組成物層が積層された積層体におけるポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。次いで、フリップチップボンダ(LFB-2301(商品名)、(株)新川)を用いて、ステージ温度85℃、ボンドヘッド温度120℃、荷重30N、及び時間1秒の条件で、銅とはんだで構成されるCuピラーを電極に持つ半導体チップ上に、樹脂組成物層の剥離面が接するように半導体チップ搭載用基板と樹脂組成物層が積層された積層体を配置して熱圧着した後に、ボンドヘッド温度260℃、荷重30N、及び時間4秒の条件で更に熱圧着して実装を行った。実装後、真空加圧オーブン(ELT-PIS(商品名)、KeyLink製)を用いて、圧力8kgf/cmの下で、6℃/分にて140℃まで昇温し、140℃で30分保持したのち、6℃/分にて200℃まで昇温し、温度200℃にて2時間加熱処理して、硬化させた。硬化後のサンプル(半導体チップ/樹脂組成物層/半導体チップ搭載用基板)を、乾燥機(ESPEC製SPHH-201(商品名))を用いて、温度125℃にて24時間加熱処理し、乾燥させた。乾燥させたサンプルを、恒温恒湿槽(FX224C(商品名)、楠本化成(株)製)を用いて、温度85℃、相対湿度60%、及び加湿時間168時間の条件にて加湿処理した。その後、加湿処理したサンプルに対して、リフロー装置(TNV50-568EM-P(商品名)、(株)タムラ製作所製)を用いて、加熱処理を行い、吸湿リフロー処理を行った。なお、吸湿リフロー処理における温度プロファイルは、IPC/JEDEC J-STD-020に準拠した。吸湿リフロー処理後のサンプルにおける半導体チップのみを、回転式研磨装置(MetaServ(登録商標)3000(商品名)、ビューラー製)を用いて除去し、樹脂組成物層と半導体チップ搭載用基板とを含む積層体(A)を得た。この積層体(A)において、樹脂組成物層の表面を目視にて観察し、半導体チップ由来の配線層が該樹脂組成物層の表面に付着されているか否かで、剥離の状況を確認した。樹脂組成物層の全面に配線層が付着されている場合、剥離が発生していないとして、Aとして評価した。樹脂組成物層の一部のみに配線層が付着されている場合(即ち、樹脂組成物層に配線層が付着されていない部分が存在する場合)、剥離が少し発生しているとして、Bとして評価した。半導体チップの除去作業中に、半導体チップ由来の配線層が樹脂組成物層から欠落した場合、剥離が発生しているとして、Cとして評価した。なお、評価がAの場合、半導体チップ由来の配線層が樹脂組成物層から欠落せず、チップ接着性が非常に優れていることから、樹脂組成物層は高い吸湿耐熱性を有し、積層体は非常に高い絶縁信頼性を有すると評価される。
本実施形態の樹脂組成物は、低ボイド性、チップ接着性、及び吸湿耐熱性に優れることから、積層体、樹脂組成物層付き半導体チップ、樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板、及び半導体装置の材料として好適に用いられる。樹脂組成物は、アンダーフィル材として好適であり、プリアプライドアンダーフィル材としてより好適である。

Claims (19)

  1. マレイミド化合物(AA)及びシトラコンイミド化合物(AB)からなる群より選択される1種以上の化合物(A)と、
    アリルフェノール化合物(B)と、
    無機充填材(C)と、
    を含み、
    少なくとも、下記(i)及び/又は(ii)を満たす、樹脂組成物。
    (i)レオメータを用いて、測定開始温度40℃、昇温温度10℃/分、周波数10.0rad/秒、及び歪0.1%の条件で40~260℃の範囲における溶融粘度を測定し、その際に得られる最低溶融粘度が、100Pa・s以下である。
    (ii)レオメータを用いて、測定開始温度40℃、昇温温度10℃/分、周波数10.0rad/秒、及び歪0.1%の条件で測定した際の200℃における粘度が、400Pa・s以下である。
  2. 前記マレイミド化合物(AA)が、2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,2-ビス(マレイミド)エタン、1,4-ビス(マレイミド)ブタン、1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、下記式(1)で表されるマレイミド化合物、下記式(2)で表されるマレイミド化合物、下記式(3)で表されるマレイミド化合物、下記式(4)で表される構成単位と分子鎖の両末端にマレイミド基とを含むビスマレイミド化合物、下記式(5)で表されるマレイミド化合物、及び下記式(6)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
    (式(1)中、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。Rは、各々独立に、水素原子、又はメチル基を示す。)
    (式(2)中、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。Rは、各々独立に、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、-COOR基(Rは炭素数1~6のアルキル基を示す)、又は水素原子を示す。nは、1以上の整数を示す。)
    (式(3)中、nは、1~30の整数を示す。)
    (式(4)中、R11は炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を示す。R12は炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を示す。R13は、各々独立に、水素原子、炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を示す。nは、1~10の整数を示す。)
    (式(5)中、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。nは、1~10の整数を示す。)
    (式(6)中、R10は、各々独立に、水素原子、又はメチル基を示す。nは、1以上の整数を示す。)。
  3. 前記マレイミド化合物(AA)が、分子内の末端に下記式(7)で表される構成単位を含むマレイミド化合物を含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
    (式(7)中、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示し、少なくとも1つのRは、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基である。Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。-*は水素原子、又は結合手を示す。)。
  4. 前記マレイミド化合物(AA)が、前記式(1)で表されるマレイミド化合物、及び前記式(3)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される1種以上を含む、請求項2に記載の樹脂組成物。
  5. 前記化合物(A)が、化合物(A1)と、化合物(A2)と、を含み、
    前記化合物(A1)が、重量平均分子量が3,000以上9,500以下のマレイミド化合物(AA-1)及び重量平均分子量が3,000以上9,500以下のシトラコンイミド化合物(AB-1)からなる群より選択される1種以上であり、
    前記化合物(A2)が、重量平均分子量が300以上3,000未満のマレイミド化合物(AA-2)及び重量平均分子量が300以上3,000未満のシトラコンイミド化合物(AB-2)からなる群より選択される1種以上であり、
    各前記重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により求められる標準ポリスチレン換算の値である。
    請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  6. 前記アリルフェノール化合物(B)が、下記式(8)で表されるアリルフェノール化合物(B1)を含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
    (式(8)中、Wは、置換基を有していてもよい炭素数1~15の2価の有機基を示す。Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、アルデヒド基、又はカルボキシ基を示す。nは、1以上の整数を示す。)。
  7. 前記アリルフェノール化合物(B1)が、下記式(9)で表されるアリルフェノール化合物(B2)を含む、請求項6に記載の樹脂組成物。
    (式(9)中、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又はフェニル基を示す。nは、1以上の整数を示す。)。
  8. 前記化合物(A)と、前記アリルフェノール化合物(B)との官能基当量比((化合物(A)のマレイミド基の当量+化合物(A)のシトラコンイミド基の当量)/アリルフェノール化合物(B)のアリル基の当量)が、1~4である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  9. 前記無機充填材(C)が、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ベーマイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  10. 前記無機充填材(C)の平均粒子径が、3μm以下である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  11. 前記無機充填材(C)の含有量が、前記化合物(A)と前記アリルフェノール化合物(B)との合計100質量部に対して、10~500質量部である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  12. フラックス活性剤(D)を更に含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  13. 前記フラックス活性剤(D)が、ロジン系樹脂を含む、請求項12に記載の樹脂組成物。
  14. アンダーフィル材用である、請求項1又2に記載の樹脂組成物。
  15. 支持基材と、
    前記支持基材上に積層された、請求項1又は2に記載の樹脂組成物を含む層と、
    を備える、積層体。
  16. 前記樹脂組成物を含む層の厚さが、5~500μmである、請求項15に記載の積層体。
  17. 半導体チップと、
    前記半導体チップに積層された、請求項1又は2に記載の樹脂組成物を含む層と、
    を備える、樹脂組成物層付き半導体チップ。
  18. 半導体チップ搭載用基板と、
    前記半導体チップ搭載用基板に積層された、請求項1又は2に記載の樹脂組成物を含む層と、
    を備える、樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板。
  19. 請求項17に記載の樹脂組成物層付き半導体チップ及び/又は請求項18に記載の樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板を備える半導体装置。
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