JP2023122840A - 樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体チップ、樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板、及び半導体装置 - Google Patents

樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体チップ、樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板、及び半導体装置 Download PDF

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Genki Sugiyama
直也 岡本
Naoya Okamoto
航平 菊田
Kohei Kikuta
孝幸 亀井
Takayuki Kamei
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Abstract

【課題】低ボイド性、及びチップ接着性に優れる、樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体チップ、樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板、及び半導体装置を提供することにある。【解決手段】本発明の樹脂組成物は、シアン酸エステル化合物、ベンゾオキサジン化合物、及び芳香族第一級アミン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物(A)と、マレイミド化合物(BA)及びシトラコンイミド化合物(BB)からなる群より選択される1種以上の化合物(B)と、アミノトリアジンノボラック樹脂(C)と、を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体チップ、樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板、及び半導体装置に関する。詳しくは、本発明は、アンダーフィル材として有用な樹脂組成物に関する。
近年、半導体装置の小型化、及び高性能化に伴い、半導体チップ(以下、「チップ」と略す場合がある。)を半導体チップ搭載用基板(以下、「基板」と略す場合がある。)に搭載する方法として、フリップチップ実装が注目されている。フリップチップ実装においては、チップと基板とを接合した後、チップと基板との間隙にアンダーフィル材を充填し、硬化させる工法が一般的である。また、チップ又は基板にアンダーフィル材(プリアプライドアンダーフィル材ともいう)を充填した後、チップと、アンダーフィル材と、基板とを接合させる工法もある。
フリップチップ実装において、アンダーフィル材に求められる重要な特性としては、絶縁信頼性を保持することが挙げられる。そのためには、半導体装置を製造する工程において、アンダーフィル材と、チップ及び基板との間にボイド(気泡)が生じることなく、また、チップ及び基板からのアンダーフィル材硬化物の剥離を抑制する必要がある。
特許文献1には、主樹脂にラジカル重合性モノマーを使用したアンダーフィル材が記載されている。この特許文献1には、チップとの接着性向上を目的にしたシランカップリング剤の配合についての記載がある。
特表2015-503220号公報
しかし、一般的にラジカル重合性モノマーは硬化が速いため、シランカップリング剤の反応部位とチップ表面のシラノール基との間の結合形成が十分な量となる前に硬化する。そのため、特許文献1に記載のアンダーフィル材では、樹脂組成物と、チップ及びプリント配線板などの基板との間に、十分な密着性及び接着性が得られず、結果としてボイドが生ずる傾向にある。また、樹脂組成物がチップ及び基板の表面に存在する凹凸を埋める前に硬化するため、特許文献1に記載のアンダーフィル材では、接着性に寄与するアンカー効果が十分に得られない、という問題もある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、低ボイド性及びチップ接着性に優れる、樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体チップ、樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板、及び半導体装置を提供することにある。
本発明者らは、従来技術が有する上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の樹脂組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1]シアン酸エステル化合物、ベンゾオキサジン化合物、及び芳香族第一級アミン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物(A)と、マレイミド化合物(BA)及びシトラコンイミド化合物(BB)からなる群より選択される1種以上の化合物(B)と、アミノトリアジンノボラック樹脂(C)と、を含む、樹脂組成物。
[2]前記シアン酸エステル化合物が、フェノールノボラック型シアン酸エステル化合物、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、ナフチレンエーテル型シアン酸エステル化合物、キシレン樹脂型シアン酸エステル化合物、ビスフェノールM型シアン酸エステル化合物、ビスフェノールA型シアン酸エステル化合物、ジアリルビスフェノールA型シアン酸エステル化合物、ビスフェノールE型シアン酸エステル化合物、ビスフェノールF型シアン酸エステル化合物、及びビフェニルアラルキル型シアン酸エステル化合物、並びにこれらのシアン酸エステル化合物のプレポリマー、又はポリマーからなる群より選択される1種以上を含む、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記ベンゾオキサジン化合物が、下記式(6)で表される化合物及び下記式(7)で表される化合物からなる群より選択される1種以上を含む、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
(式(6)中、R7は、各々独立に、水素原子、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、又はシクロアルキル基を示し、R8は、各々独立に、水素原子、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、又はシクロアルキル基を示し、X1は、アルキレン基、下記式(8)で表される基、式「-SO2-」で表される基、式「-CO-」で表される基、酸素原子、又は単結合を示す。)。
(式(7)中、R9は、各々独立に、水素原子、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、又はシクロアルキル基を示し、R10は、各々独立に、水素原子、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、又はシクロアルキル基を示し、X2は、アルキレン基、下記式(8)で表される基、式「-SO2-」で表される基、式「-CO-」で表される基、酸素原子、又は単結合を示す。)。
(式(8)中、Yは、アルキレン基又は芳香環を有する炭素数6以上30以下の2価の炭化水素基であり、n3は、1以上5以下の整数を示す。)。
[4]前記芳香族第一級アミン化合物が、下記式(15)で表される化合物を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
(式(15)中、Ar5は、各々独立に、芳香環を示し、複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。Rzは、各々独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数1~10のアルコキシ基、又は炭素数1~10のアルキル基と炭素数6~12のアリール基とが結合された基を示す。gは、各々独立に、1~3の整数を示す。hは、Ar5の置換可能基数から(g+2)を引いた数を示す。iは、0~50の整数を示す。X3は、各々独立に、単結合、炭素数1~50の2価の有機基、窒素数1~10の2価の有機基、カルボニル基、カルボキシ基、カルボニルジオキサイド基、スルホニル基、2価の硫黄原子、又は2価の酸素原子を示す。前記式(15)で表される化合物は、iが異なる化合物の混合物であってもよい。)。
[5]前記式(15)で表される化合物が、下記式(16)で表される化合物を含む、[4]に記載の樹脂組成物。
(式(16)中、X4は、各々独立に、炭素数6~18の芳香族炭化水素基を示す。R1は、各々独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、又は炭素数6~12のアリール基を示す。R2は、各々独立に、炭素数1~10のアルキレン基を示す。mは、各々独立に、1~3の整数を示す。nは、1~10の整数を示す。前記式(16)で表される化合物は、nが異なる化合物の混合物であってもよい。)。
[6]前記化合物(B)が、化合物(B1)と、化合物(B2)と、を含み、前記化合物(B1)が、重量平均分子量が3,000以上9,500以下のマレイミド化合物(BA-1)及び重量平均分子量が3,000以上9,500以下のシトラコンイミド化合物(BB-1)からなる群より選択される1種以上であり、前記化合物(B2)が、重量平均分子量が300以上3,000未満のマレイミド化合物(BA-2)及び重量平均分子量が300以上3,000未満のシトラコンイミド化合物(BB-2)からなる群より選択される1種以上であり、各前記重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により求められる標準ポリスチレン換算の値である、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]前記化合物(B1)の含有量が、前記化合物(B1)と前記化合物(B2)との合計100質量部に対して、45~90質量部であり、前記化合物(B2)の含有量が、前記化合物(B1)と前記化合物(B2)との合計100質量部に対して、10~55質量部である、[6]に記載の樹脂組成物。
[8]前記アミノトリアジンノボラック樹脂(C)が、下記式(30)で表される化合物及び下記式(31)で表される化合物からなる群より選択される1種以上を含む、[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
(式(30)中、R1は、各々独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を示し、l、m、及びnは、各々独立に、0~10の整数を示し、(l+m+n)は、1~20の整数を示す。)
(式(31)中、R2は、各々独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を示し、o、p、q、r、及びsは、各々独立に、0~10の整数を示し、(o+p+q+r+s)は、1~20の整数を示す。)。
[9]前記化合物(A)の含有量が、前記化合物(A)と、前記化合物(B)と、前記アミノトリアジンノボラック樹脂(C)との合計100質量部に対して、1~40質量部である、[1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10]前記化合物(B)の含有量が、前記化合物(A)と、前記化合物(B)と、前記アミノトリアジンノボラック樹脂(C)との合計100質量部に対して、40~95質量部である、[1]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[11]前記アミノトリアジンノボラック樹脂(C)の含有量が、前記化合物(A)と、前記化合物(B)と、前記アミノトリアジンノボラック樹脂(C)との合計100質量部に対して、1~50質量部である、[1]~[10]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[12]フラックス活性剤(D)を更に含む、[1]~[11]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[13]前記フラックス活性剤(D)が、ロジン系樹脂を含む、[12]に記載の樹脂組成物。
[14]無機充填材(E)を更に含む、[1]~[13]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[15]前記無機充填材(E)が、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ベーマイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される1種以上を含む、[14]に記載の樹脂組成物。
[16]前記無機充填材(E)の平均粒子径が、3μm以下である、[14]又は[15]に記載の樹脂組成物。
[17]前記無機充填材(E)の含有量が、前記化合物(A)と、前記化合物(B)と、前記アミノトリアジンノボラック樹脂(C)との合計100質量部に対して、20~500質量部である、[14]~[16]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[18]硬化触媒(F)を更に含む、[1]~[17]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[19]
前記硬化触媒(F)が、有機過酸化物及びイミダゾール化合物からなる群より選択される1種以上を含む、[18]に記載の樹脂組成物。
[20]アンダーフィル材用である、[1]~[19]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[21]支持基材と、前記支持基材上に積層された、[1]~[20]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む層と、を備える、積層体。
[22]前記樹脂組成物を含む層の厚さが、5~500μmである、[21]に記載の積層体。
[23]半導体チップと、前記半導体チップに積層された、[1]~[20]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む層と、を備える、樹脂組成物層付き半導体チップ。
[24]半導体チップ搭載用基板と、前記半導体チップ搭載用基板に積層された、[1]~[20]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む層と、を備える、樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板。
[25][23]に記載の樹脂組成物層付き半導体チップ及び/又は[24]に記載の樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板を備える、半導体装置。
本発明によれば、低ボイド性及びチップ接着性に優れる、樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体チップ、樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板、及び半導体装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本実施形態において、「(メタ)アクリロキシ」とは「アクリロキシ」及びそれに対応する「メタクリロキシ」の両方を意味し、「(メタ)アクリロニトリル」とは「アクリロニトリル」及びそれに対応する「メタアクリロニトリル」の両方を意味し、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」の両方を意味する。
また、本実施形態において、「樹脂固形分」又は「樹脂組成物中の樹脂固形分」とは、特に断りのない限り、樹脂組成物における、無機充填材(E)、硬化触媒(F)、及び溶剤を除いた成分をいい、「樹脂固形分100質量部」とは、樹脂組成物における、無機充填材(E)、硬化触媒(F)、及び溶剤を除いた成分の合計が100質量部であることをいう。
[樹脂組成物]
本実施形態の樹脂組成物は、シアン酸エステル化合物、ベンゾオキサジン化合物、及び芳香族第一級アミン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物(A)(以下、単に「化合物(A)」とも称する)と、マレイミド化合物(BA)(以下、単に「化合物(BA)」とも称する)及びシトラコンイミド化合物(BB)(以下、単に「化合物(BB)」とも称する)からなる群より選択される1種以上の化合物(B)(以下、単に「化合物(B)」とも称する)と、アミノトリアジンノボラック樹脂(C)(以下、単に「樹脂(C)」とも称する)と、を含む。このように構成されているため、本実施形態の樹脂組成物は、低ボイド性及びチップ接着性に優れるものとなる。本実施形態の樹脂組成物は、このような性能を有するため、フリップチップ実装に使用されるアンダーフィル材として好適に用いられる。
本実施形態の樹脂組成物は、フラックス活性剤(D)、無機充填材(E)、及び硬化触媒(F)からなる群より選択される1種以上を更に含んでいてもよい。
本実施形態において、低ボイド性及びチップ接着性に優れる樹脂組成物が得られる理由について定かではないが、本発明者らは次のように推定している。
通常、マレイミド化合物及び/又はシトラコンイミド化合物を主成分とした樹脂組成物では、十分なチップ接着性が得られず、半導体チップ実装時や熱硬化時(ポストキュア時)の熱によって発生するボイドや、硬化後におけるチップ及び基板からの剥離を抑制することが難しい。
しかし、化合物(A)に含まれる、シアネート基、オキサジン環、及びアミノ基は、化合物(B)に含まれるマレイミド基及びシトラコンイミド基と良好に反応することができる。加えて、アミノトリアジンノボラック樹脂(C)は、トリアジン骨格を有することから、樹脂(C)においてもマレイミド基及びシトラコンイミド基と良好に反応する。そのため、化合物(A)及び樹脂(C)は、化合物(B)のラジカル重合反応の速度を好適に制御でき、化合物(A)と化合物(B)と樹脂(C)とを含む樹脂組成物は、チップ及び基板の表面に存在する凹凸に追従しながら硬化することができる。そのため、当該樹脂組成物は半導体チップ及び基板に対して優れたアンカー効果を有することが可能となり、半導体チップ及び基板に対して低ボイド性に優れ、良好なチップ接着性を発現することができる。
また、樹脂(C)は、化合物(A)における、シアネート基、オキサジン環、及びアミノ基とも良好に反応することができ、硬化物中において強固な架橋構造を形成できる。加えて、化合物(A)は、シアネート基、架橋反応時にベンゾオキサジンが開環することで発生するフェノール性ヒドロキシ基及び第三級アミノ基、又はアミノ基のような極性基を有しており、硬化後においても、上記の極性基が硬化物中に多く含まれる。更に、樹脂(C)は、トリアジン骨格にノボラック骨格が結合しており、硬化後においても、樹脂(C)に含まれるヒドロキシ基及びアミノ基のような極性基が硬化物中に多く含まれる。そのため、硬化後においても、これらの極性基と、チップ表面のシラノール基とにおいて良好な化学結合を生じるため、上記のアンカー効果と、これらの化学結合の効果により、より一層優れたチップ接着性を発現することが可能となる。このような効果は、トリアジン骨格のないノボラック樹脂では実用性の点から十分ではない。
以上のような理由により、化合物(A)と化合物(B)と樹脂(C)とを含む樹脂組成物は、優れたチップ接着性を有し、このような樹脂組成物を用いることにより、半導体チップ実装時や熱硬化時(ポストキュア時)の熱によって発生しやすいボイドを好適に抑制できる。また、半導体チップ実装後及びポストキュア後においても、チップ及び基板からの硬化物の剥離を効果的に抑制することができると推定している。ただし、理由はこれに限定されない。
〔化合物(A)〕
化合物(B)と優れた反応性が得られ、低ボイド性及びチップ接着性に優れ、樹脂組成物の硬化速度を制御できる点から、本実施形態の樹脂組成物は、シアン酸エステル化合物、ベンゾオキサジン化合物、及び芳香族第一級アミン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物(A)を含む。化合物(A)としては、後述のフラックス活性剤(D)と反応性を示さないことが好ましい。化合物(A)は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
化合物(B)とより優れた反応性が得られ、優れたチップ接着性と共に、より優れた低ボイド性が得られ、樹脂組成物の硬化速度をより制御できる点から、本実施形態の樹脂組成物は、シアン酸エステル化合物、及びベンゾオキサジン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物(A)を含むことが好ましく、ベンゾオキサジン化合物を含むことがより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、化合物(A)の含有量は、特に限定されないが、より一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られる点から、化合物(A)と、化合物(B)と、樹脂(C)との合計100質量部に対して、1~40質量部であることが好ましく、2~30質量部であることがより好ましく、3~25質量部が更に好ましく、4~20質量部であることがより一層好ましい。
(シアン酸エステル化合物)
低ボイド性及びチップ接着性により優れ、更に耐熱性に優れ、優れた溶媒溶解性を有し、硬化速度をより好適に制御できることから、樹脂組成物は、シアン酸エステル化合物を含むことが好ましい。シアン酸エステル化合物としては、1分子中に2つ以上の芳香環に直接結合したシアナト基(本明細書において、「シアン酸エステル基」、又は「シアネート基」と称することもある)を有する化合物であれば特に限定されない。
シアン酸エステル化合物は、加熱により揮発性の副生成物を発生し難い。また、シアン酸エステル化合物は、シアネート基を有するため、後述の化合物(B)に含まれるマレイミド基及びシトラコンイミド基と良好に反応することができる。更に、シアネート基は、硬化後においても、硬化物中に多く含まれ、チップ表面のシラノール基と良好な化学結合を生じる傾向にある。そのため、より優れた低ボイド性及びチップ接着性が期待できる。
シアン酸エステル化合物は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
このようなシアン酸エステル化合物としては、例えば、フェノールノボラック型シアン酸エステル化合物、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、ナフチレンエーテル型シアン酸エステル化合物、キシレン樹脂型シアン酸エステル化合物、ビスフェノールM型シアン酸エステル化合物、ビスフェノールA型シアン酸エステル化合物、ジアリルビスフェノールA型シアン酸エステル化合物、ビスフェノールE型シアン酸エステル化合物、ビスフェノールF型シアン酸エステル化合物、ビフェニルアラルキル型シアン酸エステル化合物、ビス(3,3-ジメチル-4-シアナトフェニル)メタン、1,3-ジシアナトベンゼン、1,4-ジシアナトベンゼン、1,3,5-トリシアナトベンゼン、1,3-ジシアナトナフタレン、1,4-ジシアナトナフタレン、1,6-ジシアナトナフタレン、1,8-ジシアナトナフタレン、2,6-ジシアナトナフタレン、2、7-ジシアナトナフタレン、1,3,6-トリシアナトナフタレン、4、4’-ジシアナトビフェニル、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアナトフェニル)スルホンが挙げられる。また、これらのシアン酸エステル化合物は、シアン酸エステル化合物のプレポリマー、又はポリマーであってもよい。
低ボイド性及びチップ接着性に更に優れ、耐熱性により優れ、より優れた溶媒溶解性を有し、硬化速度を更に好適に制御できることから、シアン酸エステル化合物は、フェノールノボラック型シアン酸エステル化合物、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、ナフチレンエーテル型シアン酸エステル化合物、キシレン樹脂型シアン酸エステル化合物、ビスフェノールM型シアン酸エステル化合物、ビスフェノールA型シアン酸エステル化合物、ジアリルビスフェノールA型シアン酸エステル化合物、ビスフェノールE型シアン酸エステル化合物、ビスフェノールF型シアン酸エステル化合物、及びビフェニルアラルキル型シアン酸エステル化合物、並びにこれらのシアン酸エステル化合物のプレポリマー、又はポリマーからなる群より選択される1種以上を含むことが好ましく、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物及びビスフェノールA型シアン酸エステル化合物からなる群より選択される1種以上を含むことがより好ましく、ビスフェノールA型シアン酸エステル化合物が更に好ましい。
ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物としては、式(1)で表される化合物が更に好ましい。
式(1)中、R3は、各々独立して、水素原子又はメチル基を示し、この中でも水素原子が好ましい。また、式(1)中、n3は、1以上の整数であり、1~20の整数であることが好ましく、1~10の整数であることがより好ましい。式(1)で表される化合物は、n3が異なる化合物の混合物であってもよい。
優れたチップ接着性と共に、より優れた低ボイド性が得られ、更に耐熱性に優れ、優れた溶媒溶解性を有し、硬化速度をより好適に制御できることから、ビスフェノールA型シアン酸エステル化合物としては、2、2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン及び2、2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパンのプレポリマーからなる群より選択される1種以上を含むことが更に好ましい。
このようなビスフェノールA型シアン酸エステル化合物としては、市販品を用いてもよく、例えば、Primaset(登録商標)BADCy(商品名、ロンザ(株)、2、2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、シアン酸エステル基当量:139g/eq.)、及びCA210(商品名、三菱ガス化学(株)、2、2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパンのプレポリマー、シアン酸エステル基当量:139g/eq.)が挙げられる。
これらのシアン酸エステル化合物は、公知の方法に準じて製造してもよい。具体的な製造方法としては、例えば、特開2017-195334号公報(特に段落0052~0057)等に記載の方法が挙げられる。
(ベンゾオキサジン化合物)
低ボイド性及びチップ接着性により優れ、更に、耐熱性、耐水性、及び難燃性に優れ、優れた溶媒溶解性を有し、硬化速度をより好適に制御できることから、樹脂組成物は、ベンゾオキサジン化合物を含むことが好ましい。ベンゾオキサジン化合物は、1分子中に2個以上のジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物であれば特に限定されず、一般に公知のものを用いることができる。本実施形態において、ベンゾオキサジン化合物には、ナフトオキサジン化合物などの多環オキサジン骨格を有する化合物も含まれる。
ベンゾオキサジン化合物は、加熱により揮発性の副生成物を発生し難い。また、ベンゾオキサジン化合物はオキサジン環を有するため、後述の化合物(B)に含まれるマレイミド基及びシトラコンイミド基と良好に反応することができる。更に、反応時に、ベンゾオキサジンが開環することで発生するフェノール性ヒドロキシ基及び第三級アミノ基は、硬化後においても、硬化物中に多く含まれ、チップ表面のシラノール基と良好な化学結合を生じる傾向にある。そのため、より優れた低ボイド性及びチップ接着性が期待できる。
ベンゾオキサジン化合物は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
ベンゾオキサジン化合物は、フリップチップ実装中において、ベンゾオキサジン化合物の揮発によるボイドを防ぐ点から、ベンゾオキサジン化合物の分子量は、400以上であることが好ましい。一方、硬化速度及び溶融粘度の制御がより容易になる点から、ベンゾオキサジン化合物の分子量は、3000以下であることが好ましい。
低ボイド性及びチップ接着性に更に優れ、耐熱性、耐水性、及び難燃性に一層優れ、より優れた溶媒溶解性を有し、硬化速度を更に好適に制御できることから、ベンゾオキサジン化合物としては、下記式(2)で表される化合物、下記式(3)で表される化合物、下記式(4)で表される化合物、及び下記式(5)で表される化合物からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。なお、本実施形態において、ベンゾオキサジン化合物中には、モノマーが重合して生成したオリゴマーなどを含んでいてもよい。
式(2)中、R1は、各々独立に、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、又はシクロアルキル基を示す。R2は、各々独立に、水素原子、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、シクロアルキル基、又は下記一般式(a)~(t)で表される1~4価の有機基を示す。n1は1~4の整数を示す。
1及びR2共に、アリール基は、好ましくは、炭素数6~18のアリール基であり、このようなアリール基として、例えば、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、ビフェニル基、アントリル基などを挙げることができる。これらの中でも、フェニル基がより好ましい。これらのアリール基は、炭素数1~4の低級アルキル基を1個以上、好ましくは、1~3個の範囲で有していてもよい。そのような低級アルキル基を有するアリール基としては、例えば、トリル基、キシリル基、及びメチルナフチル基などを挙げることができる。
1及びR2共に、アラルキル基は、好ましくは、ベンジル基又はフェネチル基であり、これらの基におけるベンゼン環は、炭素数1から4の低級アルキル基を1個以上、好ましくは、1~3個の範囲で有していてもよい。
1及びR2共に、アルケニル基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、プロペニル基、ブテニル基、及びヘキセニル基が挙げられる。これらの中でも、ビニル基、アリル基、及びプロペニル基が好ましく、アリル基がより好ましい。
1及びR2共に、アルキル基としては、炭素数1~20のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1~10のアルキル基である。炭素数3以上のアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-エチルヘキシル基、n-ノニル基、及びn-デシル基が挙げられる。
1及びR2共に、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基が挙げられる。好ましくは、シクロヘキシル基である。
式(3)中、R3は、各々独立に、水素原子、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、又はシクロアルキル基を示す。R4は、各々独立に、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、シクロアルキル基、又は下記一般式(a)~(t)で表される1~4価の有機基を示す。n2は1~4の整数を示す。
3及びR4共に、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、及びシクロアルキル基には、上記R1及びR2における基と同様である。
式(4)中、R5は、アルキル基、シクロアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
5における、アルキル基及びシクロアルキル基には、上記R1及びR2における基と同様である。
5における置換基を有していてもよいフェニル基としては、例えば、無置換フェニル基;4-メチルフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-シクロヘキシルフェニル基、及び4-メトキシフェニル基の一置換フェニル基;3,5-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、及び3,5-ジメトキシフェニル基の二置換フェニル基;3,4,5-トリメチルフェニル基の三置換フェニル基;2-ナフチル基、3-メチル-2-ナフチル基、及び4-メチル-2-ナフチル基の置換基を有していてもよい2-ナフチル基が挙げられる。
式(5)中、R6は、アルキル基、シクロアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
6における、アルキル基、シクロアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基は、上記R1、R2及びR5における基と同様である。
一般式(a)~(t)中、Raは、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、又はシクロアルキル基を示す。Rbは、水素原子、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、又はシクロアルキル基を示す。
a及びRb共に、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、及びシクロアルキル基は、上記R1及びR2における基と同様である。
低ボイド性及びチップ接着性に更により優れ、耐熱性、耐水性、及び難燃性により一層優れ、より一層優れた溶媒溶解性を有し、硬化速度を更により好適に制御できることから、ベンゾオキサジン化合物としては、下記式(6)で表される化合物及び下記式(7)で表される化合物からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。
式(6)中、R7は、各々独立に、水素原子、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、又はシクロアルキル基を示す。R8は、各々独立に、水素原子、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、又はシクロアルキル基を示す。X1は、アルキレン基、下記式(8)で表される基、式「-SO2-」で表される基、式「-CO-」で表される基、酸素原子、又は単結合を示す。
7及びR8共に、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、及びシクロアルキル基は、上記R1及びR2における基と同様である。
1におけるアルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。直鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デカニレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、及びヘキサメチレン基が挙げられる。分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、-C(CH32-、-CH(CH3)-、-CH(CH2CH3)-、-C(CH3)(CH2CH3)-、-C(CH3)(CH2CH2CH3)-、及び-C(CH2CH32-のアルキルメチレン基;-CH(CH3)CH2-、-CH(CH3)CH(CH3)-、-C(CH32CH2-、-CH(CH2CH3)CH2-、及び-C(CH2CH32-CH2-のアルキルエチレン基が挙げられる。
式(7)中、R9は、各々独立に、水素原子、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、又はシクロアルキル基を示す。R10は、各々独立に、水素原子、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、又はシクロアルキル基を示す。X2はアルキレン基、下記式(8)で表される基、式「-SO2-」で表される基、式「-CO-」で表される基、酸素原子、又は単結合を示す。
9及びR10共に、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、及びシクロアルキル基は上記R1及びR2における基と同様である。X2におけるアルキレン基は、上記X1におけるアルキレン基と同様である。
式(8)中、Yは、アルキレン基又は芳香環を有する炭素数6以上30以下の2価の炭化水素基である。n3は、1以上5以下の整数を示す。n3は、1以上3以下の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。
Yにおけるアルキレン基は、上記X1におけるアルキレン基と同様である。
芳香環を有する炭素数6以上30以下の2価の炭化水素基としては、例えば、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、インダセン、ターフェニル、アセナフチレン、及びフェナレン骨格を有する芳香族性化合物の芳香環から水素原子を2つ除いた2価の基(アリーレンジイル基)、並びに、これらの芳香族性化合物の芳香環に置換した2つのアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、及びプロピル基)からそれぞれ1つの水素原子を除いた2価の基が挙げられる。
低ボイド性及びチップ接着性に更に一層優れ、耐熱性、耐水性、及び難燃性に更に一層優れ、更に一層優れた溶媒溶解性を有し、硬化速度を更に一層好適に制御できることから、ベンゾオキサジン化合物としては、下記式(9)で表される化合物、下記式(10)で表される化合物、下記式(11)で表される化合物、下記式(12)で表される化合物、下記式(13)で表される化合物、及び下記式(14)で表される化合物からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。
式(11)中、Rは、各々独立に、水素原子又は炭素数1~4の炭化水素基を示す。
これらのベンゾオキサジン化合物は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
ベンゾオキサジン化合物の製造方法は、特に限定されず公知の方法で製造できる。製造方法としては、例えば、1級アミン類、アルデヒド類、及びフェノール類を溶媒中で反応させて、生成物であるベンゾオキサジン化合物が溶解又は一部懸濁した反応液を調製する第1の工程と、上記反応液にアルコール系溶媒を添加して、ベンゾオキサジン化合物を析出させる第2の工程とを含有する方法が挙げられる。
第1の工程においては、主生成物としてベンゾオキサジン化合物のモノマーを含有する反応液が得られるが、このベンゾオキサジン化合物のモノマーは、1級アミン類、アルデヒド類、及びフェノール類が脱水縮合することにより生成する。
ベンゾオキサジン化合物は、市販のものを使用してもよく、例えば、ビスフェノールA型ベンゾオキサジンBA-BXZ、ビスフェノールF型ベンゾオキサジンBF-BXZ、及びビスフェノールS型ベンゾオキサジンBS-BXZ(以上、商品名、小西化学工業(株));P-d型ベンゾオキサジン(3,3'-(メチレン-1,4-ジフェニレン)ビス(3,4-ジヒドロ-2H-1,3-ベンゾオキサジン)、式(9)で表される化合物、ヒドロキシ基当量:217、分子量:434)、及びF-a型ベンゾオキサジン(2,2-ビス(3,4-ジヒドロ-2H-3-フェニル-1,3-ベンゾオキサジニル)メタン、式(12)で表される化合物、ヒドロキシ基当量:217、分子量:434)(以上、商品名、四国化成工業製)が挙げられる。
(芳香族第一級アミン化合物)
低ボイド性及びチップ接着性により優れ、更に硬化物の低弾性化が図れ、硬化速度をより好適に制御できることから、樹脂組成物は、芳香族第一級アミン化合物を含むことが好ましい。芳香族第一級アミン化合物は、少なくとも一つの水素原子がアミノ基に置換された芳香環を分子内に有する化合物であれば特に限定されない。
芳香族第一級アミン化合物は、加熱により揮発性の副生成物を発生し難い。また、芳香族第一級アミン化合物は、アミノ基を有するため、後述の化合物(B)に含まれるマレイミド基及びシトラコンイミド基と良好に反応することができる。更に、アミノ基は、硬化後においても、硬化物中に多く含まれ、チップ表面のシラノール基と良好な化学結合を生じる傾向にある。そのため、より優れた低ボイド性及びチップ接着性が期待できる。
芳香族第一級アミン化合物は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
フリップチップ実装中において、芳香族第一級アミン化合物の揮発によるボイドを防ぐ点から、芳香族第一級アミン化合物の分子量は、350以上であることが好ましい。一方、より硬化速度及び溶融粘度の制御がより容易になる点から、芳香族第一級アミン化合物の分子量は、3000以下であることが好ましい。
低ボイド性及びチップ接着性に更に優れ、硬化物の低弾性化がより図れ、硬化速度を更に好適に制御できることから、芳香族第一級アミン化合物は、下記式(15)で表される化合物を含むことが好ましい。
式(15)中、Ar5は、各々独立に、芳香環を示し、複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。Rzは、各々独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数1~10のアルコキシ基、又は炭素数1~10のアルキル基と炭素数6~12のアリール基とが結合された基を示す。gは、各々独立に、1~3の整数を示す。hは、Ar5の置換可能基数から(g+2)を引いた数を示す。iは、0~50の整数を示す。X3は、各々独立に、単結合、炭素数1~50の2価の有機基、窒素数1~10の2価の有機基、カルボニル基(-CO-)、カルボキシ基(-C(=O)O-)、カルボニルジオキサイド基(-OC(=O)O-)、スルホニル基(-SO2-)、2価の硫黄原子、又は2価の酸素原子を示す。式(15)で表される化合物は、iが異なる化合物の混合物であってもよい。
Ar5は、芳香環を示し、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、及び2つのベンゼン環が単結合したものが挙げられる。Ar5が複数ある場合には、互いに同一であっても異なっていてもよい。
Rzにおける炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-エチルヘキシル基、n-ノニル基、及びn-デシル基が挙げられる。
Rzにおける炭素数6~12のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、及びメチルナフチル基が挙げられる。
Rzにおける炭素数1~10のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ヘキサノキシ基、2-メチルプロポキシ基、フェノキシ基、及びp-トリルオキシ基が挙げられる。
Rzにおける、炭素数1~10のアルキル基と炭素数6~12のアリール基とが結合された基としては、例えば、ベンジル基、トリル基、及びキシリル基が挙げられる。
3における、炭素数1~50の2価の有機基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、プロピレン基、及び2,2-プロピリデン基等のアルキレン基;メチル基、エチル基等のアルキル基を有していてもよい、ベンゼンジイル基(フェニレン基)、ナフタレンジイル基(ナフチレン基)、及びビフェニルジイル基(ビフェニレン基)等のアリーレン基;並びにこれらのアリーレン基の両側に上述のアルキレン基が置換した基が挙げられる。また、有機基に含まれる炭素原子は、酸素原子及び窒素原子などのヘテロ原子に置換されていてもよい。
3における窒素数1~10の2価の有機基としては、例えば、-N-R-N-が挙げられる。Rは、炭素数1~50の2価の有機基を示す。該有機基は、上記X3における基と同様である。
低ボイド性及びチップ接着性に更に一層優れ、硬化物の低弾性化が更に図れ、硬化速度を一層好適に制御できることから、下記式(15)で表される化合物は、下記式(16)で表される化合物を含むことがより好ましい。
式(16)中、X4は、各々独立に、炭素数6~18の芳香族炭化水素基を示す。R1は、各々独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、又は炭素数6~12のアリール基を示す。R2は、各々独立に、炭素数1~10のアルキレン基を示す。mは、各々独立に、1~3の整数を示す。nは、1~10の整数を示す。式(16)で表される化合物は、nが異なる化合物の混合物であってもよい。
炭素数6~18の芳香族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基を有していてもよい、ベンゼンジイル基(フェニレン基)、ナフタレンジイル基(ナフチレン基)、及びビフェニルジイル基(ビフェニレン基)が挙げられる。また、芳香族炭化水素基に含まれる炭素原子は、酸素原子及び窒素原子などのヘテロ原子に置換されていてもよい。
1における、炭素数1~10のアルキル基、及び炭素数6~12のアリール基は、上記Rzにおける基と同様である。
2における炭素数1~10のアルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~10のアルキレン基が挙げられる。直鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、及びデカニレン基が挙げられる。分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、-C(CH32-、-CH(CH3)-(エチリデン基)、-C(CH32-(2,2'-プロピリデン基)、-CH(CH2CH3)-、-C(CH3)(CH2CH3)-、-C(CH3)(CH2CH2CH3)-、及び-C(CH2CH32-のアルキルメチレン基;-CH(CH3)CH2-、-CH(CH3)CH(CH3)-、-C(CH32CH2-、-CH(CH2CH3)CH2-、及び-C(CH2CH32-CH2-のアルキルエチレン基が挙げられる。チップに対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物がより好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇がより好適に制御できる点から、炭素数1~10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、-CH(CH3)-(エチリデン基)、及び-C(CH32-(2,2'-プロピリデン基)が好ましい。
低ボイド性及びチップ接着性に更により一層優れ、硬化物の低弾性化が更に一層図れ、硬化速度を更に一層好適に制御できることから、下記式(16)で表される化合物は、下記式(17)で表される化合物及び下記式(18)で表される化合物からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましく、下記式(18)で表される化合物を含むことがより好ましい。下記式(18)で表される化合物は、下記式(19)で表される化合物を含むことが更に好ましい。
式(17)中、R1は、各々独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、又は炭素数6~12のアリール基を示す。mは、各々独立に、1~3の整数を示す。nは、1~10の整数を示す。式(17)で表される化合物は、nが異なる化合物の混合物であってもよい。R1は、上記式(16)のR1における基と同様である。
式(18)中、R1は、各々独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、又は炭素数6~12のアリール基を示す。mは、各々独立に、1~3の整数を示す。nは、1~10の整数を示す。式(18)で表される化合物は、nが異なる化合物の混合物であってもよい。R1は、上記式(16)のR1における基と同様である。
式(19)中、nは、1~10の整数を示す。式(19)で表される化合物は、nが異なる化合物の混合物であってもよい。
式(16)で表される化合物、式(17)で表される化合物、式(18)で表される化合物、及び式(19)で表される化合物は、例えば、特公平8-16151号公報及び特開2009-1783号公報に記載の方法を参照して、アニリン化合物(例えば、無置換のアニリン、芳香環に置換基を有してもよいアニリン)と、ビスハロゲノメチルアラルキル誘導体又はアラルキルアルコール誘導体とを反応させることにより得ることができる。
ビスハロゲノメチルアラルキル誘導体又はアラルキルアルコール誘導体としては、例えば、1,4-ビスクロロメチルベンゼン、1,3-ビスクロロメチルベンゼン、1,2-ビスクロロメチルベンゼン、1,4-ビスブロモメチルベンゼン、1,3-ビスブロモメチルベンゼン、1,2-ビスブロモメチルベンゼン、1,4-ジメトキシメチルベンゼン、1,3-ジメトキシメチルベンゼン、1,2-ジメトキシメチルベンゼン、1,4-ジエトキシメチルベンゼン、1,3-ジエトキシメチルベンゼン、1,2-ジエトキシメチルベンゼン、1,4-ジヒドロキシメチルベンゼン、1,3-ジヒドロキシメチルベンゼン、1,2-ジヒドロキシメチルベンゼン、2,6-ジヒドロキシメチルナフタレン、1,5-ジヒドロキシメチルナフタレン、2,6-ジメトキシメチルナフタレン、1,5-ジメトキシメチルナフタレン、4,4'-ビス(クロロメチル)ビフェニル、4,4'-ビス(ブロモメチル)ビフェニル、4,4'-ビス(フルオロメチル)ビフェニル、4,4'-ビス(ヨードメチル)ビフェニル、4,4'-ジメトキシメチルビフェニル、4,4'-ジエトキシメチルビフェニル、4,4'-ジプロポキシメチルビフェニル、4,4'-ジイソプロポキシメチルビフェニル、4,4'-ジイソブトキシメチルビフェニル、4,4'-ジブトキシメチルビフェニル、4,4'-ジ-tert-ブトキシメチルビフェニル、及び4,4'-ジヒドロキシメチルビフェニルが挙げられる。これらの誘導体は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
ビスハロゲノメチルアラルキル誘導体又はアラルキルアルコール誘導体の使用量は、使用されるアニリン化合物1モルに対して、通常0.05~0.8モルであり、好ましくは0.1~0.6モルである。
反応の際、必要に応じて、塩酸、燐酸、硫酸、蟻酸、塩化亜鉛、塩化第二鉄、塩化アルミニウム、p-トルエンスルホン酸、及びメタンスルホン酸等の酸性触媒を使用してもよい。これらの酸性触媒は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
酸性触媒の使用量は、使用されるアニリン化合物1モルに対して、通常0.1~0.8モルであり、好ましくは0.2~0.7モルである。
反応の際、無溶媒で行ってもよいが、必要に応じて、トルエン、及びキシレンなどの有機溶媒を使用してもよい。例えば、アニリン化合物と有機溶媒の混合溶液に酸性触媒の水溶液を添加する場合、添加後に、系内に含まれる水を共沸により系外に除き、有機溶媒を系内に戻す脱水処理を行うことが好ましい。
有機溶媒と酸性触媒を使用する場合、アニリン化合物と酸性触媒とを含む有機溶媒、又は脱水処理後のアニリン化合物と酸性触媒とを含む有機溶媒に、通常40~100℃、好ましくは50~80℃にて、ビスハロゲノメチルアラルキル誘導体又はアラルキルアルコール誘導体を1~5時間、好ましくは2~4時間かけて添加し、同温度にて反応を行い。その後、有機溶媒を系内から除きながら昇温して180~240℃、好ましくは190~220℃にて、5~30時間、好ましくは5~20時間かけて、更に反応を行う。反応終了後、アルカリ水溶液で酸性触媒を中和した後、油層に非水溶性有機溶媒を加えて廃水が中性になるまで水洗を繰り返す。
〔化合物(B)〕
本実施形態の樹脂組成物は、化合物(A)及び樹脂(C)と優れた反応性が得られ、低ボイド性及びチップ接着性に優れた樹脂組成物が得られる点から、マレイミド化合物(BA)及びシトラコンイミド化合物(BB)からなる群より選択される1種以上の化合物(B)を含む。化合物(B)は、分子内に、マレイミド基及びシトラコンイミド基からなる群より選択される1種以上を含むものであれば特に限定されない。化合物(B)としては、後述のフラックス活性剤(D)と反応性を示さないことが好ましい。化合物(B)は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
本実施形態に係る化合物(B)としては、化合物(A)及び樹脂(C)とより優れた反応性が得られ、より優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られる傾向にある点から、マレイミド化合物(BA)を含むことが好ましい。また、マレイミド化合物(BA)は、エポキシ化合物と比較して、保管時や加熱処理によるフラックス活性剤との反応が著しく進行しにくく、フラックスの活性剤の失活が発生しにくい。
化合物(A)及び樹脂(C)とより優れた反応性が得られ、より優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られる傾向にあることから、化合物(B)は、化合物(B1)と、化合物(B2)と、を含み、化合物(B1)が、重量平均分子量が3,000以上9,500以下のマレイミド化合物(BA-1)及び重量平均分子量が3,000以上9,500以下のシトラコンイミド化合物(BB-1)からなる群より選択される1種以上であり、化合物(B2)が、重量平均分子量が300以上3,000未満のマレイミド化合物(BA-2)及び重量平均分子量が300以上3,000未満のシトラコンイミド化合物(BB-2)からなる群より選択される1種以上であることが、好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により求められる標準ポリスチレン換算の値である。
本実施形態の樹脂組成物は、化合物(B)として、化合物(B1)及び(B2)を含むことで、低ボイド性及びチップ接着性により一層優れるものとなる。この理由について定かではないが、本発明者らは次のように推定している。
即ち、樹脂組成物が、比較的高分子量である化合物(B1)を含むことにより、半導体チップ実装時又は熱硬化時(ポストキュア時)の硬化収縮の際に発生する応力が緩和される。そのため、化合物(A)及び樹脂(C)を用いることによる接着性向上の効果がより一層促進される。また、樹脂組成物は、比較的低分子量である化合物(B2)も含む。そのため、半導体チップ実装時又は熱硬化時(ポストキュア時)に架橋密度を向上させることができる。それにより、応力緩和が発生し、応力緩和に伴って発現する接着性を一層促進させることができると推定している。ただし、理由はこれに限定されない。
化合物(B1)としては、より一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られる傾向にあることから、マレイミド化合物(BA-1)を含むことが好ましい。
化合物(B2)としては、より一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られる傾向にあることから、マレイミド化合物(BA-2)を含むことが好ましい。
マレイミド化合物(BA-1)としては、更により一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られる傾向にあることから、その重量平均分子量は、3,200以上8,000以下であることが好ましく、3,300以上6,000以下であることがより好ましい。
シトラコンイミド化合物(BB-1)としては、更により一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られる傾向にあることから、その重量平均分子量は、3,200以上8,000以下であることが好ましく、3,300以上6,000以下であることがより好ましい。
マレイミド化合物(BA-2)としては、更により一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られる傾向にあることから、その重量平均分子量は、350以上2,800以下であることが好ましく、400以上2,500以下であることがより好ましい。
シトラコンイミド化合物(BB-2)としては、更により一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られる傾向にあることから、その重量平均分子量は、350以上2,800以下であることが好ましく、400以上2,500以下であることがより好ましい。
(マレイミド化合物(BA))
マレイミド化合物(BA)としては、分子中に1個以上のマレイミド基を有する樹脂又は化合物であれば、特に限定されない。マレイミド化合物(BA)は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
このようなマレイミド化合物(BA)としては、例えば、N-フェニルマレイミド、N-ヒドロキシフェニルマレイミド、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(3,5-ジメチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジエチル-4-マレイミドフェニル)メタン、フェニルメタンマレイミド、o-フェニレンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、p-フェニレンビスマレイミド、2,2-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、4,4-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4-ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ポリフェニルメタンマレイミド、ノボラック型マレイミド化合物、ビフェニルアラルキル型マレイミド化合物、2,2-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,2-ビス(マレイミド)エタン、1,4-ビス(マレイミド)ブタン、1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-フェニルマレイミド、下記式(20)で表されるマレイミド化合物、下記式(21)で表される構成単位と分子鎖の両末端にマレイミド基とを含むビスマレイミド化合物、下記式(22)で表されるマレイミド化合物、下記式(23)で表されるマレイミド化合物、及び下記式(24)で表されるマレイミド化合物などが挙げられる。化合物(B)としては、マレイミド化合物を重合して得られるプレポリマー、及びマレイミド化合物をアミン化合物等の他の化合物と重合して得られるプレポリマー等の形で、本実施形態に係る樹脂組成物に含有させることもできる。
式(20)中、n3は、1~30の整数を示す。
式(21)中、R11は炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を示す。R12は炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を示す。R13は、各々独立に、水素原子、炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を示す。n5は、1~10の整数を示す。
なお、式(21)で表される構成単位の詳細については、後述する。
式(22)中、R8は、各々独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を示す。R9は、各々独立に、水素原子又はメチル基を示す。
式(23)中、R10は、各々独立に、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、又はフェニル基を示す。n4は、1~10の整数を示す。R10は、水素原子であることが好ましい。
式(24)中、R10は、各々独立に、水素原子又はメチル基を示し、n2は、1以上の整数を示し、好ましくは1~10の整数を示す。
次いで、式(21)で表される構成単位と分子鎖の両末端にマレイミド基とを含むビスマレイミド化合物の構造について説明する。
ビスマレイミド化合物は、複数の式(21)で表される構成単位を有していてもよく、この場合、複数の式(21)で表される構成単位中のR11、R12、及びR13は、それぞれ同一であっても、異なっていてよい。また、ビスマレイミド化合物は、式(21)で表される構成単位中のR11、R12、及びR13、並びにビスマレイミド化合物中の式(21)の構成単位の数のうちの少なくとも1つが異なる化合物の混合物であってもよい。
式(21)で表される構成単位において、R11は、炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を示す。R11としては、チップに対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物が好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇が好適に制御できる点から、直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であることが好ましく、直鎖状のアルキレン基であることがより好ましい。
アルキレン基の炭素数としては、チップに対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物がより好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇がより好適に制御できる点から、2~14であることが好ましく、4~12であることがより好ましい。
直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、2,2-ジメチルプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、ウンデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ネオペンチレン基、ジメチルブチレン基、メチルヘキシレン基、エチルヘキシレン基、ジメチルヘキシレン基、トリメチルヘキシレン基、メチルヘプチレン基、ジメチルヘプチレン基、トリメチルヘプチレン基、テトラメチルヘプチレン基、エチルヘプチレン基、メチルオクチレン基、メチルノニレン基、メチルデシレン基、メチルドデシレン基、メチルウンデシレン基、メチルトリデシレン基、メチルテトラデシレン基、及びメチルペンタデシレン基が挙げられる。
アルケニレン基の炭素数としては、チップに対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物がより好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇がより好適に制御できる点から、2~14であることが好ましく、4~12であることがより好ましい。
直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、1-メチルビニレン基、アリレン基、プロペニレン基、イソプロペニレン基、1-ブテニレン基、2-ブテニレン基、1-ペンテニレン基、2-ペンテニレン基、イソペンチレン基、シクロペンテニレン基、シクロヘキセニレン基、及びジシクロペンタジエニレン基等が挙げられる。
式(21)で表される構成単位において、R12は、炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を示す。R12としては、チップに対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物が好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇が好適に制御できる点から、直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であることが好ましく、直鎖状のアルキレン基であることがより好ましい。
アルキレン基の炭素数としては、チップに対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物がより好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇がより好適に制御できる点から、2~14であることが好ましく、4~12であることがより好ましい。
直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基としては、上記のR11を参照してもよい。
アルケニレン基の炭素数としては、チップに対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物がより好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇がより好適に制御できる点から、2~14であることが好ましく、4~12であることがより好ましい。
直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基としては、上記のR11を参照してもよい。
式(21)で表される構成単位において、R11と、R12とは、同一であっても異なっていてもよいが、ビスマレイミド化合物をより容易に合成できる点から、同一であることが好ましい。
式(21)で表される構成単位において、R13は、各々独立に、水素原子、炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数2~16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を示す。R13は、チップに対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物が好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇が好適に制御できる点から、各々独立に、水素原子、又は炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であることが好ましく、R13のうち、1~5個の基(R13)が炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であり、残りの基(R13)が水素原子であることがより好ましく、R13のうち、1~3個の基(R13)が炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であり、残りの基(R13)が水素原子であることが更に好ましい。
アルキル基の炭素数としては、チップに対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物がより好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇がより好適に制御できる点から、2~14であることが好ましく、4~12であることがより好ましい。
直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、1-エチルプロピル基、n-ブチル基、2-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、tert-ペンチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、2-メチルペンタン-3-イル基、及びn-ノニル基が挙げられる。
アルケニル基の炭素数としては、チップに対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物がより好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇がより好適に制御できる点から、2~14であることが好ましく、4~12であることがより好ましい。
直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、4-ペンテニル基、イソプロペニル基、イソペンテニル基、2-ヘプテニル基、2-オクテニル基、及び2-ノネニル基が挙げられる。
式(21)で表される構成単位において、n5は、1~10の整数を示す。
ビスマレイミド化合物は、分子鎖の両末端にマレイミド基を有する。両末端とは、ビスマレイミド化合物の分子鎖において両方の末端を意味し、例えば、式(21)で表される構成単位が、ビスマレイミド化合物の分子鎖の末端にある場合には、マレイミド基は、R11の分子鎖の末端に有するか、マレイミド環のN原子における分子鎖の末端に有するか、又は両方の末端に有することを意味する。ビスマレイミド化合物は、分子鎖の両末端以外に、マレイミド基を有していてもよい。
マレイミド基は、式(25)で表され、N原子がビスマレイミド化合物の分子鎖に結合している。また、ビスマレイミド化合物に結合されるマレイミド基は、全て同一であっても異なっていてもよいが、分子鎖の両末端のマレイミド基は同一であることが好ましい。
式(25)中、R11は、各々独立に、水素原子、又は炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。R11は、より好適に化合物(A)及び樹脂(C)と反応できる点から、両方ともに水素原子であることが好ましい。
アルキル基の炭素数としては、より好適に化合物(A)及び樹脂(C)と反応できる点から、1~3であることが好ましく、1~2であることがより好ましい。
直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、上記のR13を参照してもよい。
このようなビスマレイミド化合物としては、例えば、式(26)で表されるマレイミド化合物が挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは式(26)中のaの繰り返し数が異なる2種以上の化合物を適宜混合して使用することも可能である。
式(26)中、aは、1~10の整数を示す。aは、チップに対する樹脂組成物層の実装時において、樹脂組成物がより好適な粘度を有し、実装時における溶融粘度の上昇がより好適に制御できる点から、1~6の整数であることが好ましい。式(26)で表されるマレイミド化合物は、aが異なる化合物の混合物であってもよい。
化合物(A)及び樹脂(C)と更に優れた反応性が得られ、低ボイド性及びチップ接着性に一層優れ、溶媒溶解性に優れる樹脂組成物が得られる点から、マレイミド化合物(BA)は、上述した中でも、2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,2-ビス(マレイミド)エタン、1,4-ビス(マレイミド)ブタン、1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-フェニルマレイミド、上記式(20)で表されるマレイミド化合物、上記式(21)で表される構成単位と分子鎖の両末端にマレイミド基とを含むビスマレイミド化合物、上記式(22)で表されるマレイミド化合物、上記式(23)で表されるマレイミド化合物、及び上記式(24)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される1種以上を含有することが好ましく、2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、上記式(20)で表されるマレイミド化合物、上記式(21)で表される構成単位と分子鎖の両末端にマレイミド基とを含むビスマレイミド化合物、上記式(22)で表されるマレイミド化合物、上記式(23)で表されるマレイミド化合物、及び上記式(24)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される1種以上を含有することがより好ましい。更に、マレイミド化合物(BA)は、化合物(A)及び樹脂(C)と一層優れた反応性が得られ、一層優れた低ボイド性、チップ接着性、及び溶媒溶解性が得られる傾向にある点から、上記式(20)で表されるマレイミド化合物、上記式(21)で表される構成単位と分子鎖の両末端にマレイミド基とを含むビスマレイミド化合物、上記式(22)で表されるマレイミド化合物、及び上記式(23)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される1種以上を含むことがより更に好ましく、上記式(20)で表されるマレイミド化合物、上記式(22)で表されるマレイミド化合物、及び上記式(23)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される1種以上を含むことがより一層更に好ましい。
マレイミド化合物(BA-1)としては、化合物(A)及び樹脂(C)とより一層優れた反応性が得られ、より一層優れた低ボイド性、チップ接着性、及び溶媒溶解性が得られる傾向にあることから、上記式(20)で表されるマレイミド化合物及び/又は上記式(21)で表される構成単位と分子鎖の両末端にマレイミド基とを含むビスマレイミド化合物であることが好ましく、上記式(20)で表されるマレイミド化合物であることがより好ましい。
マレイミド化合物(BA-2)としては、化合物(A)及び樹脂(C)とより一層優れた反応性が得られ、より一層優れた低ボイド性、チップ接着性、及び溶媒溶解性が得られる傾向にあることから、上記式(22)で表されるマレイミド化合物及び/又は上記式(23)で表されるマレイミド化合物であることが好ましい。
マレイミド化合物(BA)としては、市販品を用いてもよく、2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、ケイ・アイ化成(株)製BMI-80(商品名)が挙げられる。式(20)で表されるマレイミド化合物としては、例えば、ケイ・アイ化成(株)製BMI-1000P(商品名、式(20)中のn3=14(平均値)、重量平均分子量:3,700)、ケイ・アイ化成(株)製BMI-650P(商品名、式(20)中のn3=9(平均値))、ケイ・アイ化成(株)製BMI-250P(商品名、式(20)中のn3=3~8(平均値))、ケイ・アイ化成(株)製CUA-4(商品名、式(20)中のn3=1)等が挙げられる。式(21)で表される構成単位と分子鎖の両末端にマレイミド基とを含むビスマレイミド化合物としては、日本化薬(株)製MIZ-001(商品名、式(26)で表されるマレイミド化合物を含む、重量平均分子量:3,900)が挙げられる。式(22)で表されるマレイミド化合物としては、例えば、ケイ・アイ化成(株)製BMI-70(商品名;ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、重量平均分子量:550)が挙げられる。式(23)で表されるマレイミド化合物としては、例えば、日本化薬(株)製MIR-3000-70MT(商品名、式(23)中のR10が全て水素原子であり、n4が1~10の混合物である、重量平均分子量:1,050)が挙げられる。式(24)で表されるマレイミド化合物としては、例えば、大和化成工業(株)製BMI-2300(商品名)が挙げられる。
(シトラコンイミド化合物(BB))
シトラコンイミド化合物(BB)としては、特に限定されないが、例えば、o-フェニレンビスシトラコンイミド、m-フェニレンビスシトラコンイミド、p-フェニレンビスシトラコンイミド、4,4-ジフェニルメタンビスシトラコンイミド、2,2-ビス[4-(4-シトラコンイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(3,5-ジメチル-4-シトラコンイミドフェニル)メタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-シトラコンイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジエチル-4-シトラコンイミドフェニル)メタン、1,3-キシリレンビス(シトラコンイミド)、N-[3-ビス(トリメチルシリル)アミノ-1-プロピル]シトラコンイミド、N-[3-ビス(トリエチルシリル)アミノ-1-プロピル]シトラコンイミド、N-[3-ビス(トリフェニルシリル)アミノ-1-プロピル]シトラコンイミド、N,N’-(m-フェニレンジメチレン)ジシトラコンイミド、及びN-[3-(メチリデンスクシンイミドメチル)ベンジル]シトラコンイミド、下記式(27)で表されるシトラコンイミド化合物、上記式(21)で表される構成単位と分子鎖の両末端にシトラコンイミド基とを含むビスシトラコンイミド化合物、下記式(28)で表されるシトラコンイミド化合物、及び下記式(29)で表されるシトラコンイミド化合物が挙げられる。なお、ビスシトラコンイミド化合物は、上記のビスマレイミド化合物を参照できる。式(21)で表される構成単位の詳細については上記のとおりであり、シトラコンイミド基については、上記式(25)において、R11の少なくとも1つの基がメチル基であること以外、式(25)の構造を参照できる。シトラコンイミド化合物(BB)は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
化合物(A)及び樹脂(C)と更に優れた反応性が得られ、低ボイド性及びチップ接着性に一層優れ、溶媒溶解性に優れる樹脂組成物が得られる点から、シトラコンイミド化合物(BB)は、上述した中でも、下記式(27)で表されるシトラコンイミド化合物、上記式(21)で表される構成単位と分子鎖の両末端にシトラコンイミド基とを含むビスシトラコンイミド化合物、下記式(28)で表されるシトラコンイミド化合物、及び下記式(29)で表されるシトラコンイミド化合物からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。
シトラコンイミド化合物(BB-1)としては、化合物(A)及び樹脂(C)とより一層優れた反応性が得られ、より一層優れた低ボイド性、チップ接着性、及び溶媒溶解性が得られる傾向にあることから、下記式(27)で表されるシトラコンイミド化合物及び/又は上記式(21)で表される構成単位と分子鎖の両末端にシトラコンイミド基とを含むビスシトラコンイミド化合物であることが好ましい。
式(27)中、n6は、1~30の整数を示す。
シトラコンイミド化合物(BB-2)としては、化合物(A)及び樹脂(C)とより一層優れた反応性が得られ、より一層優れた低ボイド性、チップ接着性、及び溶媒溶解性が得られる傾向にあることから、下記式(28)で表されるシトラコンイミド化合物及び/又は下記式(29)で表されるシトラコンイミド化合物であることが好ましい。
式(28)中、R8は、各々独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を示す。R9は、各々独立に、水素原子又はメチル基を示す。
式(29)中、R10は、各々独立に、水素原子又はメチル基を示し、n4は、1以上の整数を示し、好ましくは1~10の整数を示す。R10は、水素原子であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、化合物(B)の含有量は、特に限定されないが、より一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られる点から、化合物(A)と、化合物(B)と、樹脂(C)との合計100質量部に対して、40~95質量部であることが好ましく、50~90質量部であることがより好ましく、60~85質量部が更に好ましく、65~83質量部であることがより一層好ましい。
化合物(B)として、化合物(B1)と化合物(B2)とを含む場合、化合物(A)及び樹脂(C)とより一層優れた反応性が得られ、より一層優れた低ボイド性、チップ接着性、及び溶媒溶解性が得られる傾向にあることから、化合物(B1)の含有量は、化合物(B1)と化合物(B2)との合計100質量部に対して、45~90質量部であることが好ましく、45~85質量部であることがより好ましく、45~78質量部であることが更に好ましい。また、化合物(B2)の含有量は、化合物(B1)と化合物(B2)との合計100質量部に対して、10~55質量部であることが好ましく、15~55質量部であることがより好ましく、22~55質量部であることが更に好ましい。
化合物(B)として、マレイミド化合物(BA-1)とマレイミド化合物(BA-2)とを含む場合、化合物(A)及び樹脂(C)と更に一層優れた反応性が得られ、更に一層優れた低ボイド性、チップ接着性、及び溶媒溶解性が得られる傾向にあることから、マレイミド化合物(BA-1)の含有量は、化合物(BA-1)と化合物(BA-2)との合計100質量部に対して、45~90質量部であることが好ましく、45~85質量部であることがより好ましく、45~78質量部であることが更に好ましい。また、マレイミド化合物(BA-2)の含有量は、化合物(BA-1)と化合物(BA-2)との合計100質量部に対して、10~55質量部であることが好ましく、15~55質量部であることがより好ましく、22~55質量部であることが更に好ましい。
化合物(B)として、シトラコンイミド化合物(BB-1)とシトラコンイミド化合物(BB-2)とを含む場合、化合物(A)及び樹脂(C)と更に一層優れた反応性が得られ、更に一層優れた低ボイド性、チップ接着性、及び溶媒溶解性が得られる傾向にあることから、シトラコンイミド化合物(BB-1)の含有量は、化合物(BB-1)と化合物(BB-2)との合計100質量部に対して、45~90質量部であることが好ましく、45~85質量部であることがより好ましく、45~78質量部であることが更に好ましい。また、シトラコンイミド化合物(BB-2)の含有量は、化合物(BB-1)と化合物(BB-2)との合計100質量部に対して、10~55質量部であることが好ましく、15~55質量部であることがより好ましく、22~55質量部であることが更に好ましい。
〔アミノトリアジンノボラック樹脂(C)〕
本実施形態の樹脂組成物は、化合物(B)と優れた反応性が得られ、低ボイド性及びチップ接着性に優れた樹脂組成物が得られる点から、アミノトリアジンノボラック樹脂(C)を含む。アミノトリアジンノボラック樹脂としては、分子内にトリアジン環を有するフェノールホルムアルデヒド樹脂(フェノール樹脂)であればよく、公知の樹脂を用いることもできる。このようなアミノトリアジンノボラック樹脂(C)は、公知の方法により製造でき、例えば、フェノール樹脂をメラミン等の窒素化合物で変性することで得られる。アミノトリアジンノボラック樹脂(C)は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
アミノトリアジンノボラック樹脂(C)としては、化合物(B)とより優れた反応性が得られ、より一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られる傾向にあることから、その重量平均分子量は、300~9,500であることが好ましく、500~5,000であることがより好ましい。
アミノトリアジンノボラック樹脂(C)としては、化合物(B)とより優れた反応性が得られ、より一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られる点から、その窒素含有量は、アミノトリアジンノボラック樹脂100質量%中に、10~25質量%であることが好ましく、より一層優れた低ボイド性と共に、更に一層優れたチップ接着性が得られることから、15~20質量%であることがより好ましい。
アミノトリアジンノボラック樹脂(C)としては、化合物(B)とより優れた反応性が得られ、より一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られる点から、そのヒドロキシ基当量は、80~200g/eq.であることが好ましく、100~180g/eq.であることがより好ましく、化合物(B)とのより一層優れた反応性、及びより一層優れた低ボイド性と共に、更に一層優れたチップ接着性が得られることから、130~170g/eq.であることがさらに好ましい。なお、本実施形態において、ヒドロキシ基当量とは、アミノトリアジンノボラック樹脂1g中に含まれるヒドロキシ基をアセチル化するために要する水酸化カリウムのmg数を示す。具体的には、JIS K 0070に従って測定される。
アミノトリアジンノボラック樹脂(C)としては、化合物(B)と更に優れた反応性が得られ、更に一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られる傾向にあることから、下記式(30)で表される化合物及び下記式(31)で表される化合物からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。
式(30)中、R1は、各々独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を示す。化合物(B)と一層優れた反応性が得られ、より一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られることから、R1は、各々独立に、水素原子又はメチル基であることが好ましい。l、m、及びnは、各々独立に、0~10の整数を示す。化合物(B)と一層優れた反応性が得られ、より一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られることから、l、m、及びnは、各々独立に、1~6の整数であることが好ましい。(l+m+n)は、1~20の整数を示す。化合物(B)と一層優れた反応性が得られ、より一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られることから、(l+m+n)は、3~18の整数であることが好ましい。なお、式(30)で表される化合物は、例えば、式(30)において、R1の基やその数が異なる化合物、l、m、及びnの数が異なる化合物、(l+m+n)の数が異なる化合物などを含む混合物であってもよい。
式(31)中、R2は、各々独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を示す。化合物(B)と一層優れた反応性が得られ、より一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られることから、R2は、各々独立に、水素原子、又はメチル基であることが好ましい。o、p、q、r、及びsは、各々独立に、0~10の整数を示す。化合物(B)と一層優れた反応性が得られ、より一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られることから、o、p、q、r、及びsは、各々独立に、1~4の整数であることが好ましい。(o+p+q+r+s)は、1~20の整数を示す。化合物(B)と一層優れた反応性が得られ、より一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られることから、(o+p+q+r+s)は、5~20の整数であることが好ましい。なお、式(31)で表される化合物は、例えば、式(31)において、R2の基やその数が異なる化合物、o、p、q、r、及びsの数が異なる化合物、(o+p+q+r+s)の数が異なる化合物などを含む混合物であってもよい。
化合物(B)とより一層優れた反応性が得られ、更により一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られる傾向にあることから、アミノトリアジンノボラック樹脂としては、式(30)で表される化合物と式(31)で表される化合物との混合物であることがより好ましい。このような混合物としては、化合物(B)とより一層優れた反応性が得られ、更に一層優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られることから、式(30)で表される化合物と式(31)で表される化合物との質量比(式(30)で表される化合物(質量部):式(31)で表される化合物(質量部))が、50:50~90:10であることが好ましく、60:40~85:15であることがより好ましい。
アミノトリアジンノボラック樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、DIC(株)製のLA-1356(商品名)、LA-3018-50P(商品名)、LA-7052(商品名)、LA-7054(商品名)、及びLA-7751(商品名)が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物において、化合物(B)とより一層優れた反応性が得られ、より優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られる点から、樹脂(C)の含有量は、化合物(A)と、化合物(B)と、樹脂(C)との合計100質量部に対して、1~50質量部であることが好ましく、3~35質量部であることがより好ましく、5~30質量部であることが更に好ましく、7~27質量部であることが一層好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、より優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られる点から、化合物(A)、化合物(B)、及び樹脂(C)の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、30質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましく、70質量部以上であることが更に好ましく、80質量部以上であってもよい。化合物(A)、化合物(B)、及び樹脂(C)の含有量の上限値は、樹脂固形分100質量部に対して、100質量部以下であってもよく、95質量部以下であってもよい。
〔その他の熱硬化性の樹脂又は化合物〕
本実施形態の樹脂組成物には、本実施形態の効果を奏する限り、化合物(A)、化合物(B)、及び樹脂(C)と異なる、その他の熱硬化性の樹脂又は化合物(以下、単に「その他の熱硬化性樹脂」とも称する)を含んでいてもよい。このようなその他の熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物、フェノール化合物、変性ポリフェニレンエーテル化合物、アルケニル置換ナジイミド化合物、オキセタン樹脂、及び重合可能な不飽和基を有する化合物が挙げられる。これらのその他の熱硬化性樹脂は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
その他の熱硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、化合物(A)と、化合物(B)と、樹脂(C)との合計100質量部に対して、それぞれ、通常0.1~50質量部である。
〔フラックス活性剤(D)〕
本実施形態の樹脂組成物は、フリップチップ実装においてフラックス活性を発現させる点から、フラックス活性剤(D)を更に含むことが好ましい。フラックス活性剤(D)は、分子中に1個以上の酸性部位を有する有機化合物であれば、特に限定されない。酸性部位としては、例えば、リン酸基、フェノール性水酸基、カルボキシ基、及びスルホン酸基が好ましく、本実施形態の樹脂組成物をアンダーフィル材として用いた半導体装置において、接合部を構成するはんだや銅等の金属のマイグレーション、及び腐食をより有効に防止する点から、フェノール性水酸基又はカルボキシ基がより好ましい。フラックス活性剤(D)は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
フラックス活性剤(D)は、特に限定されないが、接合部の酸化膜の除去を十分行う点から、酸解離定数pKaが、3.8以上15.0以下であることが好ましく、ワニスの保存安定性、及び樹脂組成物の層を備えた積層体(支持基材付きアンダーフィル材)の保存安定性とフラックス活性の両立の点から、4.0以上14.0以下であることがより好ましい。
フラックス活性剤(D)の重量平均分子量又は分子量は、特に限定されないが、フリップチップ実装においてフラックス活性が発現する前に揮発してしまうこと、すなわち接合部の酸化膜を除去する前にフラックス活性剤(D)が揮発してしまうことを防ぐ点から、重量平均分子量又は分子量は200以上であることが好ましく、250以上であることがより好ましい。フラックス活性剤としての運動性を有し、十分なフラックス活性を得る点から、フラックス活性剤(D)の重量平均分子量又は分子量は、8000以下であることが好ましく、1000以下であることがより好ましく、600以下であることが更に好ましい。
フラックス活性剤(D)としては、特に限定されないが、例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、パラストリン酸、ジフェノール酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、水添ロジンエステル、及びロジン変性マレイン酸樹脂等のロジン系樹脂;N,N’-ビス(サリチリデン)-1,2-プロパンジアミン、及びN,N’-ビス(サリチリデン)-1,3-プロパンジアミン等のジアミン系;フェノールフタリンが挙げられる。これらの中で、フラックス活性剤(D)としては、ロジン系樹脂を含むことが好ましい。これらのフラックス活性剤(D)は、溶媒への溶解性、ワニスの保存安定性、並びに樹脂組成物を含む層を備えた積層体の保存安定性及びフラックス活性に優れる点から、好ましい。
これらの中でも、化合物(B)による失活を防ぐ点から、フラックス活性剤(D)は、デヒドロアビエチン酸、ジフェノール酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、水添ロジンエステル、ロジン変性マレイン酸樹脂、N,N’-ビス(サリチリデン)-1,2-プロパンジアミン、及びN,N’-ビス(サリチリデン)-1,3-プロパンジアミンからなる群より選択される1種以上がより好ましい。また、これらのフラックス活性剤は、比較的反応性が低いことから、化合物(A)、化合物(B)、及び樹脂(C)との反応がほとんど起こらず、酸化膜の除去に必要となる十分なフラックス活性が維持される点から更に好ましい。さらに、より一層優れたフラックス活性が得られる点から、フラックス活性剤(D)は、水添ロジンエステルであることが、より更に好ましい。
フラックス活性剤(D)は、市販品を用いることができる。ロジン系樹脂としては、例えば、パインクリスタル(登録商標、以下同じ)シリーズのKR-85(商品名、以下同じ)、KR-612、KR-614、KE-100、KE-311、PE-590、KE-359、KE-604、KR-120、KR-140、KR-614、D-6011、及びKR-50M;マルキードNo32(以上、荒川化学工業株式会製)等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物において、フラックス活性剤(D)の含有量は、特に限定されないが、絶縁信頼性、及び実装時に十分なフラックス活性を確保する点から、化合物(A)と、化合物(B)と、樹脂(C)との合計100質量部に対して、5~70質量部であることが好ましく、10~50質量部であることがより好ましく、15~40質量部であることが更に好ましい。
〔無機充填材(E)〕
本実施形態の樹脂組成物は、耐燃性の向上、熱伝導率の向上、及び熱膨張率の低減のため、無機充填材(E)を更に含むことが好ましい。無機充填材(E)を使用することにより、本実施形態の樹脂組成物を用いて形成されるフィルム等の硬化物の耐燃性、及び熱伝導率を向上させ、熱膨張率を低減することができる。更に、樹脂組成物の最低溶融粘度を好適にコントロールすることができる。アンダーフィル材用として好適であることから、樹脂組成物の最低溶融粘度は、200Pa・s以上30,000Pa・s以下であることが好ましい。
無機充填材(E)の平均粒子径は、特に限定されないが、本実施形態の樹脂組成物をアンダーフィル材として用いる場合、チップに配列される電極の狭ピッチ化や電極間の狭ギャップ化に対応する点からは、3μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.1μm以下であってもよい。その平均粒子径の下限値は、特に限定されないが、例えば、10nm以上である。なお、本実施形態において、無機充填材(E)の「平均粒子径」とは、無機充填材(E)のメジアン径を意味するものとする。ここでメジアン径とは、ある粒径を基準として粉体の粒度分布を2つに分けた場合に、より粒径が大きい側の粒子の体積と、より粒径が小さい側の粒子の体積とが、全粉体の夫々50%を占めるような粒径を意味する。無機充填材(E)の平均粒子径(メジアン径)は、湿式レーザー回折・散乱法により測定される。
無機充填材(E)としては、特に限定されないが、例えば、天然シリカ、溶融シリカ、アモルファスシリカ、及び中空シリカ等のシリカ;ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、及び窒化アルミニウム等のアルミニウム化合物;酸化マグネシウム、及び水酸化マグネシウム等のマグネシウム化合物;炭酸カルシウム、及び硫酸カルシウム等のカルシウム化合物;酸化モリブデン、及びモリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物;窒化ホウ素;硫酸バリウム;天然タルク、及び焼成タルク等のタルク;マイカ;短繊維状ガラス、球状ガラス、及び微粉末ガラス(例えば、Eガラス、Tガラス、Dガラス)等のガラスが挙げられる。また、本実施形態の樹脂組成物に導電性又は異方導電性を付与したい場合には、無機充填材(E)として、例えば、金、銀、ニッケル、銅、錫合金、パラジウム等の金属粒子を使用してもよい。
これらの中でも、樹脂組成物の耐燃性の向上及び熱膨張率の低減の点から、無機充填材(E)としては、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ベーマイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される1種以上を含むことが好ましく、シリカ、アルミナ、及び窒化ホウ素からなる群より選択される1種以上がより好ましく、その中でもシリカが更に好ましい。
これらの無機充填材(E)は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
無機充填材(E)は、シランカップリング剤で表面処理されたものを用いてもよい。無機充填材(E)の表面処理に用いられるシランカップリング剤としては、一般に無機物の表面処理に使用されているシランカップリング剤であれば、特に限定されない。例えば、ビニルトリメトキシシラン及びγ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン系シランカップリング剤;N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のフェニルアミノシラン系シランカップリング剤;トリメトキシフェニルシラン等のフェニルシラン系シランカップリング剤;イミダゾールシラン系シランカップリング剤が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
シランカップリング剤としては、より優れた低ボイド性及びチップ接着性が得られる傾向にあることから、ビニルシラン系シランカップリング剤及びフェニルシラン系シランカップリング剤からなる群より選択される1種以上が好ましく、ビニルシラン系シランカップリング剤が好ましい。
シリカ若しくはシランカップリング剤で表面処理されたシリカとしては、例えば、デンカ(株)製のSFP-120MC(商品名)、及びSFP-130MC(商品名);(株)アドマテックス製の0.3μmSX-CM1(商品名)、0.3μmSX-EM1(商品名)、0.3μmSV-EM1(商品名)、SC1050-MLQ(商品名)、SC2050-MNU(商品名)、SC2050-MTX(商品名)、2.2μmSC6103-SQ(商品名)、SE2053-SQ(商品名)、Y50SZ-AM1(商品名)、YA050C-MJE(商品名)、YA050C-MJM(商品名)、YA050C-MJF(商品名)、及びYA050C-MJA(商品名)が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物において、無機充填材(E)の含有量は、特に限定されないが、絶縁信頼性、及び実装時に十分なフラックス活性を確保する点から、化合物(A)と、化合物(B)と、樹脂(C)との合計100質量部に対して、20~500質量部であることが好ましく、50~400質量部であることがより好ましく、70~300質量部であることが更に好ましい。無機充填材(E)の含有量の上限は、250質量部であってもよい。
〔硬化触媒(F)〕
本実施形態の樹脂組成物は、硬化触媒(F)を更に含むことが好ましい。樹脂組成物が硬化触媒(F)を含むことにより、化合物(A)と化合物(B)との反応速度、化合物(B)と樹脂(C)との反応速度、及び化合物(B)の重合速度をより好適に制御でき、また、適度な成形性を有する樹脂組成物が得られる傾向にある。硬化触媒(F)は、化合物(A)と化合物(B)との反応、化合物(B)と樹脂(C)との反応、及び化合物(B)の重合反応を促進できる化合物であれば、特に限定されない。硬化触媒(F)は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
本実施形態の硬化触媒(F)としては、特に限定されないが、例えば、有機過酸化物、イミダゾール化合物、アゾ化合物、並びにトリエチルアミン及びトリブチルアミン等の第三級アミン並びにそれらの誘導体が挙げられる。これらの中でも、良好な反応速度及び重合速度が得られ、良好な硬化速度が得られる点から、硬化触媒(F)は、有機過酸化物及びイミダゾール化合物からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましく、有機過酸化物及びイミダゾール化合物の両方を含むことがより好ましい。
本実施形態において、硬化触媒(F)の含有量は、特に限定されないが、良好な硬化速度が得られる点から、化合物(A)と、化合物(B)と、樹脂(C)との合計100質量部に対して、0.05~10質量部であることが好ましく、0.05~8質量部であることがより好ましい。
(有機過酸化物)
本実施形態に係る有機過酸化物は、熱により、化合物(A)と化合物(B)との反応、化合物(B)と樹脂(C)との反応、及び化合物(B)の重合反応を促進させることができる活性物質(ラジカル)を放出する化合物であれば特に限定されず、公知の有機過酸化物を用いることができる。有機過酸化物は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
本実施形態において、有機過酸化物の10時間半減期温度は、特に限定されないが、100℃以上であることが好ましく、製造性の点から、110℃以上であることがより好ましい。製造時の溶媒除去工程の高温化を図ることができるため、有機過酸化物は、上記の範囲の10時間半減期温度を満たすことが好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ(2-tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキサイド、及びシクロヘキサノンパーオキサイドのケトンパーオキサイド;1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、及び2,2-ジ(4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパンのパーオキシケタール;tert―ブチルハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、及びt-ブチルハイドロパーオキサイドのハイドロパーオキサイド;ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-へキシルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、α,α'-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、及びジ-t-ブチルパーオキサイドのジアルキルパーオキサイド;ジベンゾイルパーオキサイド、及びジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイドのジアシルパーオキサイド;ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、及びジイソプロピルパーオキシジカーボネートのパーオキシジカーボネート;2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-へキシルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、及びt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノネートのパーオキシエステル等が挙げられる。より良好な反応速度及び硬化速度が得られる点から、ジクミルパーオキサイド、ジ(2-tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、α,α'-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、及びtert―ブチルハイドロパーオキサイドからなる群より選択される1種以上が好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、有機過酸化物の含有量は、特に限定されないが、より一層良好な反応速度及び硬化速度が得られる点から、化合物(A)と、化合物(B)と、樹脂(C)との合計100質量部に対して、0.05~10質量部含むことが好ましく、0.05~8質量部含むことがより好ましい。
(イミダゾール化合物)
イミダゾール化合物は、化合物(A)と化合物(B)との反応、化合物(B)と樹脂(C)との反応、及び化合物(B)の重合反応を促進できれば、特に限定されず、公知のイミダゾール化合物を用いることができる。イミダゾール化合物は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
イミダゾール化合物としては、例えば、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、及び2,4,5-トリフェニルイミダゾールが挙げられる。中でも、反応速度及び硬化速度の調整がより容易である点から、2-エチル-4-メチルイミダゾールが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、イミダゾール化合物の含有量は、特に限定されないが、反応速度及び硬化速度の調整がより一層容易になる点から、化合物(A)と、化合物(B)と、樹脂(C)との合計100質量部に対して、0.05質量部~10質量部であることが好ましく、0.05質量部~8質量部であることがより好ましい。
(アゾ化合物)
アゾ化合物は、化合物(A)と化合物(B)との反応、化合物(B)と樹脂(C)との反応、及び化合物(B)の重合反応を促進できれば、特に限定されず、公知のアゾ化合物を用いることができる。アゾ化合物は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2'-アゾビスブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、及び2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物において、アゾ化合物の含有量は、特に限定されないが、より一層良好な反応速度及び硬化速度が得られる点から、化合物(A)と、化合物(B)と、樹脂(C)との合計100質量部に対して、0.05~10質量部含むことが好ましく、0.05~8質量部含むことがより好ましい。
〔その他の成分〕
本実施形態の樹脂組成物では、その他の成分として、化合物(A)、化合物(B)、樹脂(C)、フラックス活性剤(D)、無機充填材(E)、及び硬化触媒(F)以外の成分を1種又は2種以上含んでいてもよい。
その他の成分としては、特に限定されないが、例えば、可撓性付与成分が挙げられる。可撓性付与成分は、樹脂組成物を含む層に対して可撓性を付与できるような成分であれば、特に限定されない。このような成分としては、例えば、化合物(A)、化合物(B)、樹脂(C)、フラックス活性剤(D)、無機充填材(E)、及び硬化触媒(F)以外の、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、(メタ)アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ポリウレタン、ポリプロピレン、(メタ)アクリルオリゴマー、(メタ)アクリルポリマー、及びシリコーン樹脂等の熱可塑性の高分子化合物が挙げられる。これらの可撓性付与成分は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
本実施形態の樹脂組成物は、その他の成分として、化合物(A)、化合物(B)、及び樹脂(C)等の樹脂成分と、無機充填材(E)との界面の接着性、及び吸湿耐熱性をより向上させることを目的として、シランカップリング剤を含むこともできる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン及びγ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン系シランカップリング剤;N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のフェニルアミノシラン系シランカップリング剤;トリメトキシフェニルシラン等のフェニルシラン系シランカップリング剤;イミダゾールシラン系シランカップリング剤が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
シランカップリング剤を使用する場合、その含有量は、特に限定されないが、吸湿耐熱性の一層の向上、及びフリップチップ実装時の揮発量の一層低減できる点から、化合物(A)と、化合物(B)と、樹脂(C)との合計100質量部に対して、0.05~20質量部であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物には、その他の成分として、積層体の製造性の一層の向上及び充填材の一層の分散性向上等の目的として、湿潤分散剤を含んでもよい。湿潤分散剤としては、一般に塗料等に使用されている湿潤分散剤であれば、特に限定されない。例えば、ビックケミー・ジャパン(株)製のDISPERBYK(登録商標)-110(商品名)、同-111(商品名)、同-180(商品名)、同-161(商品名)、BYK-W996(商品名)、同-W9010(商品名)、及び同-W903(商品名)が挙げられる。これらの湿潤分散剤は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
湿潤分散剤を使用する場合、その含有量は、特に限定されないが、積層体の製造性の一層向上の点からは、無機充填材(E)100質量部に対して、0.1~5質量部とすることが好ましく、0.5~3質量部とすることがより好ましい。なお、2種以上の湿潤分散剤を併用する場合には、これらの合計量が上記比率を満たすことが好ましい。
その他の成分として、本実施形態の樹脂組成物には、所期の特性が損なわれない範囲において、種々の目的により、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、レベリング剤、光沢剤、難燃剤、及びイオントラップ剤が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
本実施形態の樹脂組成物において、その他の添加剤の含有量は、特に限定されないが、通常、化合物(A)と、化合物(B)と、樹脂(C)との合計100質量部に対して、それぞれ0.01~10質量部である。
〔樹脂組成物〕
本実施形態の樹脂組成物は、低ボイド性及びチップ接着性に優れる。本実施形態の樹脂組成物を、積層体の形態で使用するアンダーフィル材、好適にはプリアプライドアンダーフィル材として用いた場合、低ボイド性及びチップ接着性に優れ、加えて、接合性及び絶縁信頼性にも優れる。本実施形態の樹脂組成物は、各種の優れた特徴を有することから、アンダーフィル材としてより有用であり、プリアプライドアンダーフィル材として更に有用である。なお、積層体については、後述する。
本実施形態の樹脂組成物は、アンダーフィル材として好適であり、プリアプライドアンダーフィル材用としてより好適であることから、樹脂組成物を用いて得られるシート、及び樹脂組成物を含む層(以下、単に「樹脂組成物層」とも称する)は、半硬化状態(Bステージ)であることが好ましい。なお、シート及び樹脂組成物層の詳細については、後述する。シート及び樹脂組成物層が半硬化状態であることにより、より一層優れた、低ボイド性及びチップ接着性を得ることができる。本実施形態において、半硬化状態(Bステージ)とは、シート又は樹脂組成物層中に含まれる各成分が、積極的に反応(硬化)を始めてはいないが、シート又は樹脂組成物層が乾燥状態、すなわち、粘着性がない程度まで、加熱して溶媒を揮発させている状態を称し、加熱しなくても硬化せずに溶媒が揮発したのみの状態も含まれる。本実施形態において、半硬化状態(Bステージ)の最低溶融粘度は、通常、50,000Pa・s以下である。最低溶融粘度の下限は、例えば、10Pa・s以上である。アンダーフィル材用として好適であることから、半硬化状態(Bステージ)の最低溶融粘度は、200Pa・s以上30,000Pa・s以下であることが好ましい。なお、本実施形態において、溶融粘度は、次の方法で測定される。すなわち、ラミネータを用いて、樹脂組成物層を支持基材等に積層することにより厚み0.4~0.6mm程度の樹脂片を得て、この樹脂片をサンプルとして使用し、レオメータ(サーモフィッシャーサイエンティフィック製HAAKE MARS60(商品名))により、溶融粘度を測定する。測定には、プレート径8mmのディスポーサブルパラレルプレートを使用し、40℃から300℃までの範囲において、昇温速度10℃/分、周波数10.0rad/秒、及び歪0.1%の条件下で、樹脂片の溶融粘度を測定する。最低溶融粘度は、40℃から300℃までの範囲において、粘度が最も下がった時の粘度を意味する。
〔樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態の樹脂組成物は、前述した組成を有するものが得られる限り、製造方法は特に限定されない。樹脂組成物は、例えば、化合物(A)と、化合物(B)と、樹脂(C)と、必要に応じて、フラックス活性剤(D)と、無機充填材(E)と、硬化触媒(F)と、その他の成分とを、適宜混合することにより調製できる。必要に応じて、これらの成分を有機溶媒に溶解又は分散させたワニスの形態としてもよい。ワニスは、積層体を作製する際に好適に使用することができる。具体的な製造方法については、後述の積層体の製造方法、及び実施例を参考にできる。
有機溶媒は、本実施形態の樹脂組成物における各成分を好適に溶解又は分散させることができ、かつ、本実施形態の樹脂組成物の効果を損なわないものであれば特に限定されない。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、及びプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と略す場合がある。)、及びメチルイソブチルケトン等のケトン類;ジメチルアセトアミド、及びジメチルホルムアミド等のアミド類;トルエン、及びキシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
[樹脂シート]
樹脂シートは、本実施形態の樹脂組成物を含む。具体的には、樹脂シートは、支持基材と、支持基材の片面又は両面に配された樹脂層と、を有し、樹脂層が、本実施形態の樹脂組成物を含む。この樹脂シートを積層樹脂シートとも称する。樹脂シートに係る樹脂層は、未硬化状態(Aステージ)の樹脂組成物を支持基材に塗布後、半硬化状態(Bステージ)にさせたものであることが好ましい。このような樹脂シートの製造方法としては、一般にBステージ化の樹脂層及び支持基材の複合体を製造する方法が好ましい。具体的には、未硬化状態(Aステージ)の樹脂組成物をワニスの形態として、バーコーターなど公知の方法を用いて、このワニスを銅箔などの支持基材に塗布した後、100~200℃の乾燥機中で、1~60分で加熱させる方法などにより半硬化(Bステージ化)させ、樹脂シートを製造する方法などが挙げられる。
なお、本実施形態において、未硬化状態(Aステージ)とは、樹脂組成物がほぼ硬化しておらず、ゲル化していない状態を称する。樹脂シートに係る支持基材に塗布する前の樹脂組成物は、例えば、樹脂組成物の構成成分の混合物(溶媒を含んでも含まなくてもよい)、又は該混合物を溶媒に溶解又は分散させたワニスの形態であり、未硬化状態(Aステージ)である。
支持基材としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、及びエチレンテトラフルオロエチレン共重合体フィルム、並びにポリイミドフィルム等の有機系のフィルム;これらのフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルム;銅箔、及びアルミニウム箔等の導体箔;ガラス板、SUS板、及びFRP等の板状のものが挙げられる。
塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、樹脂組成物を溶媒に溶解させた溶液を、バーコーター、ダイコーター、ドクターブレード、及びベーカーアプリケーター等で支持基材上に塗布する方法が挙げられる。
樹脂シートのうち、単層樹脂シートは、樹脂組成物をシート状に成形して得られる。単層樹脂シートの製造方法は、常法に従って行うことができ、特に限定されない。例えば、樹脂シートの製法において、樹脂組成物を溶媒に溶解させた溶液を支持基材上に塗布して乾燥させた後に、樹脂シートから支持基材を剥離又はエッチングする方法が挙げられる。なお、樹脂組成物を溶媒に溶解させた溶液を、シート状のキャビティを有する金型内に供給し乾燥する等してシート状に成形することで、支持基材を用いることなく単層樹脂シートを得ることもできる。
樹脂シート又は単層樹脂シートの作製において、溶媒を除去する際の乾燥条件は、特に限定されないが、低温であると樹脂組成物中に溶媒が残り易く、高温であると樹脂組成物の硬化が進行することから、20~170℃の温度で1~90分間が好ましい。
樹脂シート又は単層樹脂シートの樹脂層の厚みは、樹脂組成物の溶液の濃度と塗布の厚みにより調整することができ、特に限定されないが、一般的には塗布の厚みが厚くなると乾燥時に溶媒が残り易くなることから、0.1~500μmが好ましい。
樹脂シート又は単層樹脂シートは、例えば、半導体ウェハ及び半導体チップ搭載用基板における配線回路形成の際の材料として使用することができる。
[積層体]
本実施形態の樹脂組成物を支持基材上に塗布することにより、低ボイド性及びチップ接着性に優れる、樹脂組成物を含む層を有する積層体を得ることができる。本実施形態の積層体は、支持基材と、支持基材上に積層された本実施形態の樹脂組成物を含む層と、を備える。このような積層体は、本実施形態の樹脂組成物が、支持基材に添着されて得られる。支持基材としては、特に限定されないが、高分子フィルムを使用することができる。高分子フィルムの材質としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びエチレン-ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂等が挙げられる。支持基材としては、これらの樹脂等を含有するフィルム、並びにこれらのフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルムが挙げられる。これらの中でも、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、及びポリアミド系樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含有するフィルム、並びにこれらのフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルムが好ましく、ポリエステル系樹脂の一種である、ポリエチレンテレフタレートを含有するフィルム、又はポリエチレンテレフタレートを含有するフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルムがより好ましい。
支持基材の厚さは、特に限定されないが、積層体の製造がより容易である点、例えば、支持基材に樹脂組成物を塗布する場合の塗布厚のより良好な安定性と、積層体のより良好な搬送性の点から、10~100μmであることが好ましい。支持基材の厚さの下限としては、積層体を製造する際の歩留りをより確保できる点から、10μm以上であることがより好ましくは、20μm以上であることが更に好ましく、25μm以上であることが更により好ましい。支持基材の厚さの上限としては、支持基材が最終的に半導体装置の構成部材として存在することなく、工程の途中で剥離される点と、積層体の製造コストの点から、80μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。
支持基材上に、本実施形態の樹脂組成物を含む層(樹脂組成物層)を形成して本実施形態の積層体を製造する方法としては、特に限定されない。そのような製造方法としては、例えば、本実施形態の樹脂組成物を有機溶媒に溶解又は分散させたワニスを、支持基材の表面に塗布し、加熱、及び/又は減圧下で乾燥し、溶媒を除去して本実施形態の樹脂組成物を固化させ、樹脂組成物層を形成する手法が挙げられる。乾燥条件は、特に限定されないが、樹脂組成物層に対する有機溶媒の含有比率が、樹脂組成物層の総質量(100質量部)に対して、通常10質量部以下、好ましくは5質量部以下となるように乾燥させる。かかる乾燥を達成する条件は、ワニス中の有機溶媒の種類と配合量によっても異なる。例えば、化合物(A)と、化合物(B)と、樹脂(C)との合計100質量部に対して、10~200質量部のメチルエチルケトンを含むワニスの場合、1気圧下で90~160℃の加熱条件下で2~15分の乾燥が目安となる。本実施形態の積層体における樹脂組成物層の厚さは、特に限定されないが、樹脂組成物層の乾燥時に、比較的低分子量の揮発分をより良好に除去する点、及び積層体としての機能をより有効かつ確実に奏する点から、5~500μmの範囲が好適であり、10~100μmの範囲がより好ましい。本実施形態の積層体の製造を行ったあと、保管等の目的で、別途、保護フィルムを積層体の支持基材のある面とは反対側の面に積層してもよい。
[樹脂組成物層付き半導体チップ、及び樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板]
本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップは、半導体チップと、その半導体チップに積層された本実施形態の樹脂組成物を含む層とを備える。また、本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板は、半導体チップ搭載用基板と、その半導体チップ搭載用基板に積層された本実施形態の樹脂組成物を含む層とを備える。
本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップを作製する方法は、特に限定されないが、例えば、半導体ウェハの電極が形成された面、すなわち基板との接合が行われる面に、本実施形態の積層体の樹脂組成物層が対向するように貼り合わせ、積層体における支持基材を剥離し、その後、ダイシングソー等による個片化を行うことで、樹脂組成物層付き半導体チップを得ることができる。また、本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板を作製する方法は、特に限定されないが、例えば、半導体チップ搭載用基板のチップ搭載側の面に、本実施形態の積層体の樹脂組成物層が対向するよう貼り合わせ、積層体における支持基材を剥離することで得られる。
本実施形態の積層体を半導体ウェハ又は半導体チップ搭載用基板に貼り合わせる方法としては、特に限定されないが、真空加圧式ラミネータを好適に使用することができる。この場合、本実施形態の積層体に対してゴム等の弾性体を介して加圧し、貼り合わせる方法が好ましい。ラミネート条件としては、当業界で一般に使用されている条件であれば、特に限定されないが、例えば、50~140℃の温度、1~11kgf/cm2の範囲の接触圧力、並びに20hPa以下の雰囲気減圧下で行われる。ラミネート工程の後に、金属板による熱プレスにより、貼り合わされた積層体の平滑化を行ってもよい。ラミネート工程、及び平滑化工程は、市販されている真空加圧式ラミネータによって連続的に行うことができる。半導体ウェハ又は半導体搭チップ載用基板に貼り付けられた積層体は、いずれの場合もチップのフリップチップ実装前までに支持基材の除去が行われる。
[半導体装置]
本実施形態の半導体装置は、本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップ及び/又は本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板を備える。本実施形態の半導体装置を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップを半導体チップ搭載用基板に搭載する手法が挙げられる。また、本実施形態の樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板に、半導体チップを搭載してもよい。樹脂組成物層付き半導体チップを半導体チップ搭載用基板に搭載する方法、及び半導体チップを樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板に搭載する方法では、熱圧着工法に対応したフリップチップボンダを好適に使用することができる。また、本実施形態では半導体チップを半導体チップ搭載用基板にフリップチップ実装する場合を便宜的に説明しているが、半導体チップをフリップチップ実装しつつ、本実施形態の樹脂組成物を適用する対象は、半導体チップ搭載用基板以外とすることも可能である。例えば、本実施形態の樹脂組成物は、半導体ウェハ上へ半導体チップを搭載する際の半導体ウェハと半導体チップとの接合部や、TSV(Through Silicon Via)等を経由して半導体チップ間接続を行うチップ積層体の、各半導体チップ間の接合部に使用することも可能であり、いずれの場合も本実施形態の効果を得ることができる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本実施形態は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
〔合成例1〕ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物(SN495V-CN)の合成
ナフトールアラルキル型フェノール樹脂(SN495V(商品名)、OH基(ヒドロキシ基)当量:236g/eq.、新日鐵化学(株)製)300g(OH基換算1.28mol)及びトリエチルアミン194.6g(1.92mol)(ヒドロキシ基1molに対して1.5mol)をジクロロメタン1800gに溶解させ、これを溶液1とした。塩化シアン125.9g(2.05mol)(ヒドロキシ基1molに対して1.6mol)、ジクロロメタン293.8g、36%塩酸194.5g(1.92mol)(ヒドロキシ基1molに対して1.5mol)、水1205.9gを、撹拌下、液温-2~-0.5℃に保ちながら、溶液1を30分かけて注下した。溶液1注下終了後、同温度にて30分間撹拌した後、トリエチルアミン65g(0.64mol)(ヒドロキシ基1molに対して0.5mol)をジクロロメタン65gに溶解させた溶液(溶液2)を10分かけて注下した。溶液2注下終了後、同温度にて30分間撹拌して反応を完結させた。その後、反応液を静置して有機相と水相を分離し、得られた有機相を水1300gで5回洗浄した。水洗5回目の廃水の電気伝導度は5μS/cmであり、水による洗浄により除けるイオン性化合物は十分に除かれていることを確認した。水洗後の有機相を減圧下で濃縮し、最終的に90℃で1時間濃縮乾固させて目的とするナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物(SN495V-CN、シアン酸エステル基当量:261g/eq.、上記式(1)におけるR3が全て水素原子であり、n3が1~10の整数であり、n3が異なる化合物の混合物であった)(橙色粘性物)331gを得た。得られたSN495V-CNの赤外吸収スペクトルは2250cm-1(シアン酸エステル基)の吸収を示し、且つ、ヒドロキシ基の吸収は示さなかった。
〔合成例2〕式(19)で表される芳香族第一級アミン化合物の合成
温度計、冷却管、及びディーンスターク共沸蒸留トラップ、並びに撹拌機を取り付けたフラスコに、アニリン372gとトルエン200gを仕込み、室温で35%塩酸146gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、加熱して共沸してくる水とトルエンを冷却・分液した後、有機層であるトルエンだけを系内に戻して脱水を行った。次いで、4,4'-ビス(クロロメチル)ビフェニル125gを60~70℃に保ちながら1時間かけて添加し、更に同温度で2時間反応を行った。反応終了後、昇温をしながらトルエンを留去して系内を195~200℃とし、この温度で15時間反応をした。その後、冷却しながら30%水酸化ナトリウム水溶液330gを系内が激しく還流しないようにゆっくりと滴下し、80℃以下で昇温時に留去したトルエンを系内に戻し、70℃~80℃で静置した。分離した下層の水層を除去し、反応液の水洗を洗浄液が中性になるまで繰り返した。次いでロータリーエバポレーターを用いて、油層から加熱減圧下(200℃、0.6KPa)において過剰のアニリンとトルエンを留去することにより、式(19)で表される芳香族第一級アミン化合物(式(19)におけるnは1~10の整数であり、nが異なる化合物の混合物であった)173gを得た。
[樹脂組成物及び積層体の作製]
(実施例1)
化合物(A)として合成例1で得られたナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物(SN495V-CN、シアン酸エステル基当量:261g/eq.)5質量部と、化合物(B)として式(20)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、式(20)中、n3=14(平均値)、重量平均分子量:3,700)40.5質量部と、化合物(B)としてビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、分子量:550)27.3質量部と、化合物(B)として式(23)で表されるマレイミド化合物(MIR-3000-70MT(商品名)、日本化薬(株))17.4質量部(不揮発分換算で12.2質量部)と、アミノトリアジンノボラック樹脂(C)としてフェノライト(登録商標)LA-1356(商品名、DIC(株)、重量平均分子量:1,500、窒素含有量:19質量%、ヒドロキシ基当量:146g/eq.、不揮発分:60質量%)25質量部(不揮発分換算で15質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)25質量部と、無機充填材(E)としてスラリーシリカ(YA050C-MJE(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリル表面処理シリカ、固形分50質量%、分散媒:MEK(メチルエチルケトン)、平均粒子径:50nm)200質量部(不揮発分換算で100質量部)と、硬化触媒(F)として有機過酸化物であるα,α'-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチル(登録商標)P、日本油脂(株)、10時間半減期温度:119.20℃)4.0質量部、硬化触媒(F)としてイミダゾール化合物である2-エチル-4-メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成工業(株))1.0質量部と、を混合し、60℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、その後、MEKを添加することで固形分濃度が60質量%のワニスを得た。
このワニスを、表面に離型剤がコートされた厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(TR1-38(商品名、支持基材)、ユニチカ(株))に塗布し、1気圧下、100℃で5分間加熱乾燥して、樹脂組成物層の厚さが30μmである積層体を得た。
なお、アミノトリアジンノボラック樹脂(C)であるLA-1356(商品名、DIC製)は、式(30)で表される化合物(式(30)で表される化合物の混合物であり、その混合物中には、R1が、各々独立に、水素原子又はメチル基であり、l、m、nが、各々独立に、1~6の整数であり、(l+m+n)が3~18の整数である化合物群が含まれる)と、式(31)で表される化合物(式(31)で表される化合物の混合物であり、その混合物中には、R2が、各々独立に、水素原子又はメチル基であり、o、p、q、r、及びsが、各々独立に、1~4の整数であり、(o+p+q+r+s)が5~20の整数である化合物群が含まれる)と、の混合物であり、混合物中、式(30)で表される化合物(混合物)と式(31)で表される化合物(混合物)との質量比(式(30):式(31))は、65(質量部):35(質量部)である。
(実施例2)
化合物(A)として合成例1で得られたナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物の配合量を5質量部から10質量部に変更し、アミノトリアジンノボラック樹脂(C)としてフェノライト(登録商標)LA-1356(商品名、DIC(株))の配合量を25質量部(不揮発分換算で15質量部)から16.7質量部(不揮発分換算で10質量部)に変更した以外は、実施例1と同様にしてワニスを調製した。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、樹脂組成物層の厚さが30μmである積層体を得た。
(実施例3)
化合物(A)としてP-d型ベンゾオキサジン(商品名、四国化成工業、3,3'-(メチレン-1,4-ジフェニレン)ビス(3,4-ジヒドロ-2H-1,3-ベンゾオキサジン)、式(9)で表される化合物、ヒドロキシ基当量:217、分子量:434)5質量部と、化合物(B)として式(20)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、式(20)中、n3=14(平均値)、重量平均分子量:3,700)40.5質量部と、化合物(B)としてビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、分子量:550)27.3質量部と、化合物(B)として式(23)で表されるマレイミド化合物(MIR-3000-70MT(商品名)、日本化薬(株))17.4質量部(不揮発分換算で12.2質量部)と、アミノトリアジンノボラック樹脂(C)としてフェノライト(登録商標)LA-1356(商品名、DIC(株)、重量平均分子量:1,500、窒素含有量:19質量%、ヒドロキシ基当量:146g/eq.、不揮発分:60質量%)25質量部(不揮発分換算で15質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)25質量部と、無機充填材(E)としてスラリーシリカ(YA050C-MJE(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリル表面処理シリカ、固形分50質量%、分散媒:MEK(メチルエチルケトン)、平均粒子径:50nm)200質量部(不揮発分換算で100質量部)と、硬化触媒(F)として有機過酸化物であるα,α'-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチル(登録商標)P、日本油脂(株)、10時間半減期温度:119.20℃)4.0質量部、硬化触媒(F)としてイミダゾール化合物である2-エチル-4-メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成工業(株))1.0質量部と、を混合し、60℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、その後、MEKを添加することで固形分濃度が60質量%のワニスを得た。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、樹脂組成物層の厚さが30μmである積層体を得た。
(実施例4)
化合物(A)としてP-d型ベンゾオキサジン(商品名、四国化成工業、3,3'-(メチレン-1,4-ジフェニレン)ビス(3,4-ジヒドロ-2H-1,3-ベンゾオキサジン)、式(9)で表される化合物、ヒドロキシ基当量:217、分子量:434)の配合量を5質量部から10質量部に変更し、アミノトリアジンノボラック樹脂(C)としてフェノライト(登録商標)LA-1356(商品名、DIC(株))の配合量を25質量部(不揮発分換算で15質量部)から16.7質量部(不揮発分換算で10質量部)に変更した以外は、実施例3と同様にしてワニスを調製した。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、樹脂組成物層の厚さが30μmである積層体を得た。
(実施例5)
化合物(A)としてビスフェノールA型シアン酸エステル化合物(Primaset(登録商標)BADCy(商品名)、ロンザ(株)、2、2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、シアン酸エステル基当量:139g/eq.)4.8質量部と、化合物(B)として式(20)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、式(20)中、n3=14(平均値)、重量平均分子量:3,700)38.6質量部と、化合物(B)としてビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、分子量:550)21.4質量部と、化合物(B)として式(23)で表されるマレイミド化合物(MIR-3000-70MT(商品名)、日本化薬(株))13.6質量部(不揮発分換算で9.5質量部)と、アミノトリアジンノボラック樹脂(C)としてフェノライト(登録商標)LA-1356(商品名、DIC(株)、重量平均分子量:1,500、窒素含有量:19質量%、ヒドロキシ基当量:146g/eq.、不揮発分:60質量%)42.8質量部(不揮発分換算で25.7質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)23.8質量部と、無機充填材(E)としてスラリーシリカ(YA050C-MJE(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリル表面処理シリカ、固形分50質量%、分散媒:MEK(メチルエチルケトン)、平均粒子径:50nm)190.4質量部(不揮発分換算で95.2質量部)と、硬化触媒(F)として有機過酸化物であるα,α'-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチル(登録商標)P、日本油脂(株)、10時間半減期温度:119.20℃)1.07質量部、硬化触媒(F)としてイミダゾール化合物である2-エチル-4-メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成工業(株))0.95質量部と、を混合し、60℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、その後、MEKを添加することで固形分濃度が60質量%のワニスを得た。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、樹脂組成物層の厚さが30μmである積層体を得た。
(実施例6)
化合物(A)としてビスフェノールA型シアン酸エステル化合物(CA210(商品名)、三菱ガス化学(株)、2、2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパンのプレポリマー、シアン酸エステル基当量:139g/eq.)4.8質量部と、化合物(B)として式(20)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、式(20)中、n3=14(平均値)、重量平均分子量:3,700)38.6質量部と、化合物(B)としてビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、分子量:550)21.4質量部と、化合物(B)として式(23)で表されるマレイミド化合物(MIR-3000-70MT(商品名)、日本化薬(株))13.6質量部(不揮発分換算で9.5質量部)と、アミノトリアジンノボラック樹脂(C)としてフェノライト(登録商標)LA-1356(商品名、DIC(株)、重量平均分子量:1,500、窒素含有量:19質量%、ヒドロキシ基当量:146g/eq.、不揮発分:60質量%)42.8質量部(不揮発分換算で25.7質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)23.8質量部と、無機充填材(E)としてスラリーシリカ(YA050C-MJE(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリル表面処理シリカ、固形分50質量%、分散媒:MEK(メチルエチルケトン)、平均粒子径:50nm)190.4質量部(不揮発分換算で95.2質量部)と、硬化触媒(F)として有機過酸化物であるα,α'-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチル(登録商標)P、日本油脂(株)、10時間半減期温度:119.20℃)1.07質量部、硬化触媒(F)としてイミダゾール化合物である2-エチル-4-メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成工業(株))0.95質量部と、を混合し、60℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、その後、MEKを添加することで固形分濃度が60質量%のワニスを得た。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、樹脂組成物層の厚さが30μmである積層体を得た。
(実施例7)
化合物(A)として合成例1で得られたナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物(SN495V-CN、シアン酸エステル基当量:261g/eq.)4.8質量部と、化合物(B)として式(20)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、式(20)中、n3=14(平均値)、重量平均分子量:3,700)38.6質量部と、化合物(B)としてビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、分子量:550)21.4質量部と、化合物(B)として式(23)で表されるマレイミド化合物(MIR-3000-70MT(商品名)、日本化薬(株))13.6質量部(不揮発分換算で9.5質量部)と、アミノトリアジンノボラック樹脂(C)としてフェノライト(登録商標)LA-1356(商品名、DIC(株)、重量平均分子量:1,500、窒素含有量:19質量%、ヒドロキシ基当量:146g/eq.、不揮発分:60質量%)42.8質量部(不揮発分換算で25.7質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)23.8質量部と、無機充填材(E)としてスラリーシリカ(YA050C-MJE(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリル表面処理シリカ、固形分50質量%、分散媒:MEK(メチルエチルケトン)、平均粒子径:50nm)190.4質量部(不揮発分換算で95.2質量部)と、硬化触媒(F)として有機過酸化物であるα,α'-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチル(登録商標)P、日本油脂(株)、10時間半減期温度:119.20℃)1.07質量部、硬化触媒(F)としてイミダゾール化合物である2-エチル-4-メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成工業(株))0.95質量部と、を混合し、60℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、その後、MEKを添加することで固形分濃度が60質量%のワニスを得た。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、樹脂組成物層の厚さが30μmである積層体を得た。
(実施例8)
化合物(A)として合成例2で得られた式(19)で表される芳香族第一級アミン化合物4.8質量部と、化合物(B)として式(20)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、式(20)中、n3=14(平均値)、重量平均分子量:3,700)38.6質量部と、化合物(B)としてビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、分子量:550)21.4質量部と、化合物(B)として式(23)で表されるマレイミド化合物(MIR-3000-70MT(商品名)、日本化薬(株))13.6質量部(不揮発分換算で9.5質量部)と、アミノトリアジンノボラック樹脂(C)としてフェノライト(登録商標)LA-1356(商品名、DIC(株)、重量平均分子量:1,500、窒素含有量:19質量%、ヒドロキシ基当量:146g/eq.、不揮発分:60質量%)42.8質量部(不揮発分換算で25.7質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)23.8質量部と、無機充填材(E)としてスラリーシリカ(YA050C-MJE(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリル表面処理シリカ、固形分50質量%、分散媒:MEK(メチルエチルケトン)、平均粒子径:50nm)190.4質量部(不揮発分換算で95.2質量部)と、硬化触媒(F)として有機過酸化物であるα,α'-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチル(登録商標)P、日本油脂(株)、10時間半減期温度:119.20℃)1.07質量部、硬化触媒(F)としてイミダゾール化合物である2-エチル-4-メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成工業(株))0.95質量部と、を混合し、60℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、その後、MEKを添加することで固形分濃度が60質量%のワニスを得た。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、樹脂組成物層の厚さが30μmである積層体を得た。
(実施例9)
化合物(A)としてP-d型ベンゾオキサジン(商品名、四国化成工業、3,3'-(メチレン-1,4-ジフェニレン)ビス(3,4-ジヒドロ-2H-1,3-ベンゾオキサジン)、式(9)で表される化合物、ヒドロキシ基当量:217、分子量:434)4.8質量部と、化合物(B)として式(20)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、式(20)中、n3=14(平均値)、重量平均分子量:3,700)38.6質量部と、化合物(B)としてビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、分子量:550)21.4質量部と、化合物(B)として式(23)で表されるマレイミド化合物(MIR-3000-70MT(商品名)、日本化薬(株))13.6質量部(不揮発分換算で9.5質量部)と、アミノトリアジンノボラック樹脂(C)としてフェノライト(登録商標)LA-1356(商品名、DIC(株)、重量平均分子量:1,500、窒素含有量:19質量%、ヒドロキシ基当量:146g/eq.、不揮発分:60質量%)42.8質量部(不揮発分換算で25.7質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)23.8質量部と、無機充填材(E)としてスラリーシリカ(YA050C-MJE(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリル表面処理シリカ、固形分50質量%、分散媒:MEK(メチルエチルケトン)、平均粒子径:50nm)190.4質量部(不揮発分換算で95.2質量部)と、硬化触媒(F)として有機過酸化物であるα,α'-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチル(登録商標)P、日本油脂(株)、10時間半減期温度:119.20℃)1.07質量部、硬化触媒(F)としてイミダゾール化合物である2-エチル-4-メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成工業(株))0.95質量部と、を混合し、60℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、その後、MEKを添加することで固形分濃度が60質量%のワニスを得た。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、樹脂組成物層の厚さが30μmである積層体を得た。
(比較例1)
化合物(B)として式(20)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、式(20)中、n3=14(平均値)、重量平均分子量:3,700)40.5質量部と、化合物(B)としてビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70(商品名)、ケイ・アイ化成(株)、分子量:550)34.3質量部と、化合物(B)として式(23)で表されるマレイミド化合物(MIR-3000-70MT(商品名)、日本化薬(株))21.7質量部(不揮発分換算で15.2質量部)と、アミノトリアジンノボラック樹脂(C)としてフェノライト(登録商標)LA-1356(商品名、DIC(株)、重量平均分子量:1,500、窒素含有量:19質量%、ヒドロキシ基当量:146g/eq.、不揮発分:60質量%)16.7質量部(不揮発分換算で10質量部)と、フラックス活性剤(D)として水添ロジンエステル(パインクリスタル(登録商標)KR-140(商品名)、荒川化学工業(株)、酸解離定数pKa:4.7、重量平均分子量:521)25質量部と、無機充填材(E)としてスラリーシリカ(YA050C-MJE(商品名)、(株)アドマテックス、メタクリル表面処理シリカ、固形分50質量%、分散媒:MEK(メチルエチルケトン)、平均粒子径:50nm)200質量部(不揮発分換算で100質量部)と、硬化触媒(F)として有機過酸化物であるα,α'-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチル(登録商標)P、日本油脂(株)、10時間半減期温度:119.20℃)4.0質量部、硬化触媒(F)としてイミダゾール化合物である2-エチル-4-メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成工業(株))1.0質量部と、を混合し、60℃の湯浴中で高速攪拌装置を用いて40分間撹拌し、その後、MEKを添加することで固形分濃度が60質量%のワニスを得た。
このワニスを用いて、実施例1と同様にして、樹脂組成物層の厚さが30μmである積層体を得た。
[積層体の評価]
実施例1~9、及び比較例1で得られた積層体を用いて、次の評価を行った。それらの結果を表1に示す。
(1)半導体チップ実装後のボイドの評価
得られた積層体を8mm×8mmの正方形に切断した。切断された積層体は、半導体チップ搭載用基板((株)ウォルツ製WALTS-KIT CC80(W)-0105JY(商品名))のパッド部分における15μmの銅回路面に対して、切断後の積層体における樹脂組成物層が接するように積層した。その後、積層体におけるポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。次いで、フリップチップボンダ(LFB-2301(商品名)、(株)新川)を用いて、ステージ温度85℃、ボンドヘッド温度120℃、荷重100N、及び時間1秒の条件で、銅とはんだで構成されるCuピラーを電極に持つ半導体チップ上に、樹脂組成物層の剥離面が接するように配置して熱圧着した後に、ボンドヘッド温度260℃、荷重50N、及び時間4秒の条件で更に熱圧着して実装を行った。実装後のサンプル(半導体チップ/樹脂組成物層/半導体チップ搭載用基板)を超音波精密探傷画像処理装置(μ-SDS(商品名)、(株)KJTD製)を用いて画像データを取得し、半導体チップ実装部の範囲における樹脂組成物層のボイドの有無を該画像データから確認した。ボイドが確認できた部分が占める面積の割合が、半導体チップ実装部の範囲における樹脂組成物層が占める面積の全体に対して、10%未満の場合をAとし、10%以上20%未満の場合をBとし、20%以上の場合をCとして評価した。なお、ボイドが確認できた部分が占める面積の割合が20%未満であると、絶縁信頼性が高い積層体が得られると評価される。
(2)熱硬化後のボイドの評価
得られた積層体を8mm×8mmの正方形に切断した。切断された積層体は、半導体チップ搭載用基板((株)ウォルツ製WALTS-KIT CC80(W)-0105JY(商品名))のパッド部分における15μmの銅回路面に対して、切断後の積層体における樹脂組成物層が接するように積層した。その後、積層体におけるポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。次いで、フリップチップボンダ(LFB-2301(商品名)、(株)新川)を用いて、ステージ温度85℃、ボンドヘッド温度120℃、荷重100N、及び時間1秒の条件で、銅とはんだで構成されるCuピラーを電極に持つ半導体チップ上に、樹脂組成物層の剥離面が接するように配置して熱圧着した後に、ボンドヘッド温度260℃、荷重50N、及び時間4秒の条件で更に熱圧着して実装を行った。実装後、乾燥機(ESPEC製SPHH-201(商品名))を用いて、温度180℃にて2時間加熱処理して、硬化させた。硬化後のサンプル(半導体チップ/樹脂組成物層/半導体チップ搭載用基板)を超音波精密探傷画像処理装置(μ-SDS(商品名)、(株)KJTD製)を用いて画像データを取得し、半導体チップ実装部の範囲における樹脂組成物層のボイドの有無を該画像データから確認した。ボイドが確認できた部分が占める面積の割合が、半導体チップ実装部の範囲における樹脂組成物層が占める面積の全体に対して、10%未満の場合をAとし、10%以上20%未満の場合をBとし、20%以上の場合をCとして評価した。なお、ボイドが確認できた部分が占める面積の割合が20%未満であると、絶縁信頼性が高い積層体が得られると評価される。
(3)チップ接着性の評価
得られた積層体を8mm×8mmの正方形に切断した。切断された積層体は、半導体チップ搭載用基板((株)ウォルツ製WALTS-KIT CC80(W)-0105JY(商品名))のパッド部分における15μmの銅回路面に対して、切断後の積層体における樹脂組成物層が接するように積層した。その後、積層体におけるポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。次いで、フリップチップボンダ(LFB-2301(商品名)、(株)新川)を用いて、ステージ温度85℃、ボンドヘッド温度120℃、荷重100N、及び時間1秒の条件で、銅とはんだで構成されるCuピラーを電極に持つ半導体チップ上に、樹脂組成物層の剥離面が接するように配置して熱圧着した後に、ボンドヘッド温度260℃、荷重50N、及び時間4秒の条件で更に熱圧着して実装を行った。実装後、乾燥機(ESPEC製SPHH-201(商品名))を用いて、温度180℃にて2時間加熱処理して、硬化させた。硬化後のサンプル(半導体チップ/樹脂組成物層/半導体チップ搭載用基板)を回転式研磨装置(装置名:MetaServ(登録商標)3000(商品名)、ビューラー製)を用いて半導体チップのみを除去し、樹脂組成物層と半導体チップ搭載用基板との積層体(A)を得た。積層体(A)において、樹脂組成物層の表面を目視にて観察し、半導体チップ由来の配線層が該樹脂組成物層の表面に付着されているか否かで、剥離の状況を確認した。樹脂組成物層の全面に配線層が付着されている場合、剥離が発生していないとして、Aとして評価した。樹脂組成物層の一部のみに配線層が付着されている場合(即ち、樹脂組成物層に配線層が付着されていない部分が存在する場合)、及び、半導体チップの除去作業中に、半導体チップが樹脂組成物層から欠落した場合、剥離が発生しているとして、Cとして評価した。なお、評価がAの場合、半導体チップが樹脂組成物層から欠落せず、チップ接着性が非常に優れていることから、絶縁信頼性が非常に高い積層体と評価される。
本実施形態の樹脂組成物は、低ボイド性及びチップ接着性に優れることから、積層体、樹脂組成物層付き半導体チップ、樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板、及び半導体装置の材料として好適に用いられる。樹脂組成物は、アンダーフィル材として好適であり、プリアプライドアンダーフィル材としてより好適である。

Claims (25)

  1. シアン酸エステル化合物、ベンゾオキサジン化合物、及び芳香族第一級アミン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物(A)と、
    マレイミド化合物(BA)及びシトラコンイミド化合物(BB)からなる群より選択される1種以上の化合物(B)と、
    アミノトリアジンノボラック樹脂(C)と、
    を含む、樹脂組成物。
  2. 前記シアン酸エステル化合物が、フェノールノボラック型シアン酸エステル化合物、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、ナフチレンエーテル型シアン酸エステル化合物、キシレン樹脂型シアン酸エステル化合物、ビスフェノールM型シアン酸エステル化合物、ビスフェノールA型シアン酸エステル化合物、ジアリルビスフェノールA型シアン酸エステル化合物、ビスフェノールE型シアン酸エステル化合物、ビスフェノールF型シアン酸エステル化合物、及びビフェニルアラルキル型シアン酸エステル化合物、並びにこれらのシアン酸エステル化合物のプレポリマー、又はポリマーからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ベンゾオキサジン化合物が、下記式(6)で表される化合物及び下記式(7)で表される化合物からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
    (式(6)中、R7は、各々独立に、水素原子、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、又はシクロアルキル基を示し、R8は、各々独立に、水素原子、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、又はシクロアルキル基を示し、X1は、アルキレン基、下記式(8)で表される基、式「-SO2-」で表される基、式「-CO-」で表される基、酸素原子、又は単結合を示す。)。
    (式(7)中、R9は、各々独立に、水素原子、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、又はシクロアルキル基を示し、R10は、各々独立に、水素原子、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキル基、又はシクロアルキル基を示し、X2は、アルキレン基、下記式(8)で表される基、式「-SO2-」で表される基、式「-CO-」で表される基、酸素原子、又は単結合を示す。)。
    (式(8)中、Yは、アルキレン基又は芳香環を有する炭素数6以上30以下の2価の炭化水素基であり、n3は、1以上5以下の整数を示す。)。
  4. 前記芳香族第一級アミン化合物が、下記式(15)で表される化合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
    (式(15)中、Ar5は、各々独立に、芳香環を示し、複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。Rzは、各々独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数1~10のアルコキシ基、又は炭素数1~10のアルキル基と炭素数6~12のアリール基とが結合された基を示す。gは、各々独立に、1~3の整数を示す。hは、Ar5の置換可能基数から(g+2)を引いた数を示す。iは、0~50の整数を示す。X3は、各々独立に、単結合、炭素数1~50の2価の有機基、窒素数1~10の2価の有機基、カルボニル基、カルボキシ基、カルボニルジオキサイド基、スルホニル基、2価の硫黄原子、又は2価の酸素原子を示す。前記式(15)で表される化合物は、iが異なる化合物の混合物であってもよい。)。
  5. 前記式(15)で表される化合物が、下記式(16)で表される化合物を含む、請求項4に記載の樹脂組成物。
    (式(16)中、X4は、各々独立に、炭素数6~18の芳香族炭化水素基を示す。R1は、各々独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、又は炭素数6~12のアリール基を示す。R2は、各々独立に、炭素数1~10のアルキレン基を示す。mは、各々独立に、1~3の整数を示す。nは、1~10の整数を示す。前記式(16)で表される化合物は、nが異なる化合物の混合物であってもよい。)。
  6. 前記化合物(B)が、化合物(B1)と、化合物(B2)と、を含み、
    前記化合物(B1)が、重量平均分子量が3,000以上9,500以下のマレイミド化合物(BA-1)及び重量平均分子量が3,000以上9,500以下のシトラコンイミド化合物(BB-1)からなる群より選択される1種以上であり、
    前記化合物(B2)が、重量平均分子量が300以上3,000未満のマレイミド化合物(BA-2)及び重量平均分子量が300以上3,000未満のシトラコンイミド化合物(BB-2)からなる群より選択される1種以上であり、
    各前記重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により求められる標準ポリスチレン換算の値である、
    請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記化合物(B1)の含有量が、前記化合物(B1)と前記化合物(B2)との合計100質量部に対して、45~90質量部であり、
    前記化合物(B2)の含有量が、前記化合物(B1)と前記化合物(B2)との合計100質量部に対して、10~55質量部である、
    請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 前記アミノトリアジンノボラック樹脂(C)が、下記式(30)で表される化合物及び下記式(31)で表される化合物からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
    (式(30)中、R1は、各々独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を示し、l、m、及びnは、各々独立に、0~10の整数を示し、(l+m+n)は、1~20の整数を示す。)
    (式(31)中、R2は、各々独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を示し、o、p、q、r、及びsは、各々独立に、0~10の整数を示し、(o+p+q+r+s)は、1~20の整数を示す。)。
  9. 前記化合物(A)の含有量が、前記化合物(A)と、前記化合物(B)と、前記アミノトリアジンノボラック樹脂(C)との合計100質量部に対して、1~40質量部である、請求項1~8のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  10. 前記化合物(B)の含有量が、前記化合物(A)と、前記化合物(B)と、前記アミノトリアジンノボラック樹脂(C)との合計100質量部に対して、40~95質量部である、請求項1~9のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  11. 前記アミノトリアジンノボラック樹脂(C)の含有量が、前記化合物(A)と、前記化合物(B)と、前記アミノトリアジンノボラック樹脂(C)との合計100質量部に対して、1~50質量部である、請求項1~10のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  12. フラックス活性剤(D)を更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  13. 前記フラックス活性剤(D)が、ロジン系樹脂を含む、請求項12に記載の樹脂組成物。
  14. 無機充填材(E)を更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  15. 前記無機充填材(E)が、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ベーマイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される1種以上を含む、請求項14に記載の樹脂組成物。
  16. 前記無機充填材(E)の平均粒子径が、3μm以下である、請求項14又は15に記載の樹脂組成物。
  17. 前記無機充填材(E)の含有量が、前記化合物(A)と、前記化合物(B)と、前記アミノトリアジンノボラック樹脂(C)との合計100質量部に対して、20~500質量部である、請求項14~16のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  18. 硬化触媒(F)を更に含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  19. 前記硬化触媒(F)が、有機過酸化物及びイミダゾール化合物からなる群より選択される1種以上を含む、請求項18に記載の樹脂組成物。
  20. アンダーフィル材用である、請求項1~19のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  21. 支持基材と、
    前記支持基材上に積層された、請求項1~20のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む層と、
    を備える、積層体。
  22. 前記樹脂組成物を含む層の厚さが、5~500μmである、請求項21に記載の積層体。
  23. 半導体チップと、
    前記半導体チップに積層された、請求項1~20のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む層と、
    を備える、樹脂組成物層付き半導体チップ。
  24. 半導体チップ搭載用基板と、
    前記半導体チップ搭載用基板に積層された、請求項1~20のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む層と、
    を備える、樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板。
  25. 請求項23に記載の樹脂組成物層付き半導体チップ及び/又は請求項24に記載の樹脂組成物層付き半導体チップ搭載用基板を備える、半導体装置。
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