JP2024015703A - 焼結鉱の品質予測方法及び焼結鉱の歩留予測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】焼結鉱の品質や歩留をより精度よく予測する。
【解決手段】少なくとも焼結鉱製造時の原料銘柄毎の配合諸元、焼成諸元、熱源配合率、生石灰の配合率、焼結鉱の成分値を入力変数とし、焼結鉱の品質値を出力変数としてLasso回帰を行い、入力変数それぞれに与えられる係数が所定の値以上の入力変数を選択する変数選択工程と、変数選択工程で選択された変数を入力変数、焼結鉱の品質値を出力変数として、統計モデルを学習させる統計モデル学習工程と、学習させた統計モデルを用いて、変数選択工程で選択された変数の予測対象データから焼結鉱の品質値を予測する品質予測工程と、を含む、焼結鉱の品質予測方法が提供される。
【選択図】図2
【解決手段】少なくとも焼結鉱製造時の原料銘柄毎の配合諸元、焼成諸元、熱源配合率、生石灰の配合率、焼結鉱の成分値を入力変数とし、焼結鉱の品質値を出力変数としてLasso回帰を行い、入力変数それぞれに与えられる係数が所定の値以上の入力変数を選択する変数選択工程と、変数選択工程で選択された変数を入力変数、焼結鉱の品質値を出力変数として、統計モデルを学習させる統計モデル学習工程と、学習させた統計モデルを用いて、変数選択工程で選択された変数の予測対象データから焼結鉱の品質値を予測する品質予測工程と、を含む、焼結鉱の品質予測方法が提供される。
【選択図】図2
Description
本発明は、高炉の原料として用いられる焼結鉱の品質予測方法、及び、焼結鉱製造時の歩留予測方法に関する。
焼結鉱は高炉の原料として広く利用されている。高炉の安定操業のためには焼結鉱は高炉原料としての品質(強度、還元粉化性、被還元性等)を満足することが重要であり、かつ製造コストを低減するため歩留を所定の値以上に保つ必要がある。例えば、焼結鉱は高炉の炉頂400~600℃の低温部で還元粉化するが、粉化が著しい場合は高炉の通気性を阻害し、ひいては炉況不調や溶銑品質の悪化をもたらす。高炉の安定操業のため、還元粉化性を適正に制御することは重要である。そこで、焼結鉱製造工程では、焼結鉱の品質や歩留を事前に推定し、推定された値を参考にして操業アクションを行うことにより、品質や歩留を適正に制御する操業が行われている。焼結鉱の品質、歩留の予測精度は、品質管理、製造コスト管理において重要である。
焼結鉱の品質予測方法として、還元粉化指数(RDI:Reduction Disintegration Index)については、焼結鉱中のFeOから予測する方法、焼結原料中の微粉部分のAl2O3/SiO2から予測する方法等がある。例えば特許文献1には、焼結鉱のスラグ成分量(SiO2%+CaO%+MgO%-Al2O3%)と焼結原料中の鉄鉱石毎に設定されたRDIをもってスラグ量と鉄鉱石配合比からRDIを予測し、予測RDIと設定RDIの差分に基づき鉄鉱石配合比を調整する技術が開示されている。特許文献2には、RDI測定用焼結鉱試料を画像解析して各組織を判別し、組織の破壊に至る臨界クラック長さを超えるクラック数からRDIを予測する技術が開示されており、特許文献3には、焼結機ベッド通過風量に基づきRDIを予測する技術が開示されている。
また、焼結鉱の強度については、例えば特許文献4には、焼結鉱のカルシウムフェライト含有率、スラグ含有率から焼結鉱の基質強度を計算し、焼結鉱の基質強度と気孔率から焼結鉱引張強度を計算し、引張強度からシャッター強度指数(SI)を推定する技術が開示されている。焼結鉱の被還元率については、例えば特許文献5には、焼結鉱粒子の粒子密度および嵩密度を測定し、これらの値から粒子形状を数量化して被還元性を予測する技術が開示されている。
焼結鉱の歩留については、例えば特許文献6には、焼結鉱を破砕した際の破砕エネルギーから焼結鉱の歩留を推定する技術が開示されている。
しかしながら、焼結鉱の品質や歩留は、FeO等焼結鉱成分値や配合原料の品種、焼結鉱の気孔率及びスラグ含有率だけでなく、焼結機それぞれに特有の条件や設備の更新条件、焼成条件等によっても変化する。このため、従来の手法では、焼結鉱の品質や歩留の予測精度に課題が残る。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、焼結鉱の品質や歩留をより精度よく予測することが可能な、焼結鉱の品質予測方法及び焼結鉱の歩留予測方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、少なくとも焼結鉱製造時の原料銘柄毎の配合諸元、焼成諸元、熱源配合率、生石灰の配合率、焼結鉱の成分値を入力変数とし、焼結鉱の品質値を出力変数としてLasso回帰を行い、入力変数それぞれに与えられる係数が所定の値以上の入力変数を選択する変数選択工程と、変数選択工程で選択された変数を入力変数、焼結鉱の品質値を出力変数として、統計モデルを学習させる統計モデル学習工程と、学習させた統計モデルを用いて、変数選択工程で選択された変数の予測対象データから焼結鉱の品質値を予測する品質予測工程と、を含む、焼結鉱の品質予測方法が提供される。
焼結鉱の品質予測方法は、変数選択工程で選択されなかった変数のうち、過去の実績から焼結鉱の品質に影響すると推定される変数を抽出する変数抽出工程を含み、統計モデル学習工程では、変数選択工程で選択された変数、及び、変数抽出工程で抽出された変数を入力変数として、統計モデルを学習させてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、少なくとも焼結鉱製造時の原料銘柄毎の配合諸元、焼成諸元、熱源配合率、生石灰の配合率、焼結鉱の実測成分値を入力変数とし、焼結鉱製造時の歩留実測値を出力変数としてLasso回帰を行い、入力変数それぞれに与えられる定数が所定の値以上の入力変数を選択する変数選択工程と、変数選択工程で選択された変数を入力変数、焼結鉱製造時の歩留実測値を出力変数として、統計モデルを学習させる統計モデル学習工程と、学習させた統計モデルを用いて、変数選択工程で選択された変数の予測対象データから焼結鉱の歩留を予測する歩留予測工程と、を含む、焼結鉱の歩留予測方法が提供される。
焼結鉱の歩留予測方法変数選択工程で選択されなかった変数のうち、過去の実績から焼結鉱の歩留に影響すると推定される変数を抽出する変数抽出工程を含み、統計モデル学習工程では、変数選択工程で選択された変数、及び、変数抽出工程で抽出された変数を入力変数として、統計モデルを学習させてもよい。
統計モデルは、Ridge回帰モデルであってもよい。
以上説明したように本発明によれば、焼結鉱の品質や歩留をより精度よく予測することが可能となる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本発明では、Lasso回帰により焼結鉱の品質や歩留に影響を及ぼしている多数の変数の中から重要な変数のみを選択し、Lasso回帰で選択された変数を用いて焼結鉱の品質や歩留を予測するための統計モデルを構築する。これにより、焼結鉱成分値や配合原料の品種、焼結鉱の気孔率及びスラグ含有率、焼結機それぞれに特有の条件、設備の更新条件、焼成条件等の、多数の変数の中から重要な変数を効率的に選択し、予測精度の高い統計モデルを構築することができる。以下、本発明の一実施形態として、焼結鉱の品質予測方法と、焼結鉱の歩留予測方法とについて、詳細に説明する。
[1.第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態として、焼結鉱の品質を予測する品質予測方法について説明する。
本発明の第1の実施形態として、焼結鉱の品質を予測する品質予測方法について説明する。
[1-1.予測装置]
図1は、本実施形態に係る品質予測方法を実行する予測装置100の一構成例を示すブロック図である。本実施形態に係る予測装置100は、図1に示すように、変数選択部110と、モデル構築部120と、予測部130とを有する。
図1は、本実施形態に係る品質予測方法を実行する予測装置100の一構成例を示すブロック図である。本実施形態に係る予測装置100は、図1に示すように、変数選択部110と、モデル構築部120と、予測部130とを有する。
(変数選択部)
変数選択部110は、焼結鉱製造プロセスにおいて得られる各種変数のデータセットから、焼結鉱の品質を予測するための統計モデルの構築に用いる変数を選択する。データセットは、取得日時毎に、焼結鉱製造プロセスにおいて得られる各種変数を格納するデータベース(図示せず。)に格納されている。データセットの各種変数には、例えば、焼結鉱製造時の原料銘柄毎の配合諸元や、焼成諸元、熱源配合率、生石灰の配合率、成品焼結鉱の実測成分値、成品焼結鉱のRDI等が含まれる。ここで、原料銘柄毎の配合諸元とは、使用する原料の配合状態を表す情報であり、少なくとも配合率を含む。また、焼成諸元とは、焼結機での焼成時の条件に関する情報であり、少なくとも焼結機の機長方向に配置される風箱の温度、メインブロワ吸引圧力、メインブロワ風量を含む。また、熱源配合率とは、焼結鉱製造に用いられる熱源である粉コークス等の配合率である。
変数選択部110は、焼結鉱製造プロセスにおいて得られる各種変数のデータセットから、焼結鉱の品質を予測するための統計モデルの構築に用いる変数を選択する。データセットは、取得日時毎に、焼結鉱製造プロセスにおいて得られる各種変数を格納するデータベース(図示せず。)に格納されている。データセットの各種変数には、例えば、焼結鉱製造時の原料銘柄毎の配合諸元や、焼成諸元、熱源配合率、生石灰の配合率、成品焼結鉱の実測成分値、成品焼結鉱のRDI等が含まれる。ここで、原料銘柄毎の配合諸元とは、使用する原料の配合状態を表す情報であり、少なくとも配合率を含む。また、焼成諸元とは、焼結機での焼成時の条件に関する情報であり、少なくとも焼結機の機長方向に配置される風箱の温度、メインブロワ吸引圧力、メインブロワ風量を含む。また、熱源配合率とは、焼結鉱製造に用いられる熱源である粉コークス等の配合率である。
変数選択部110は、データセットに含まれる各種変数から、焼結鉱の品質値以外の変数を入力変数とし、焼結鉱の品質値を出力変数として、Lasso回帰を行う。例えば、焼結鉱の品質値としてRDIを予測する場合、焼結鉱の品質値以外の変数を入力変数とし、RDIを出力変数として、Lasso回帰が行われる。Lasso回帰は、重回帰分析の一種であり、外れ値に強く、目的変数に対して相関の低い説明変数を排除することで多重共線性を小さくする手法である。Lasso回帰を用いることで、データセットに含まれる多数の変数から、焼結鉱の品質値(例えばRDI)に影響の高い変数を特定することができる。
なお、Lasso回帰を行う前に、変数選択部110は、データセットの変数それぞれに対して、スケーリング処理を実施する。例えば、変数選択部110は、スケーリング処理として、センタリング(平均を0とする処理)、スケーリング(標準偏差を1とする処理)、外れ値除去を実施する。スケーリング処理は、後述する統計モデルの予測精度を向上させるために実施される。
変数選択部110は、スケーリング処理後のデータセットを用いてLasso回帰を行い、入力変数それぞれに与えられる係数(偏回帰係数)が所定の値以上の入力変数を選択する。Lasso回帰において、焼結鉱の品質値との相関が小さい入力変数の係数は0となり、焼結鉱の品質値との相関が大きくなるほど入力変数の係数の絶対値は大きくなる。このようなLasso回帰の特性に基づき、変数選択部110は、係数の絶対値が所定の値よりも大きい入力変数を選択する。選択基準とする係数の所定の値は、通常0とするが、0より大きい値に設定してもよい。選択基準とする係数の所定の値を大きくするほど、変数選択部110により選択される変数を絞り込むことができる。
(モデル構築部)
モデル構築部120は、変数選択部110により選択された変数を入力変数とし、焼結鉱の品質値を出力とする統計モデルを構築する。統計モデルは、例えば、Ridge回帰、重回帰分析、サポートベクターマシン、決定木、ランダムフォレスト等を用いて構築し得る。このうち、Ridge回帰は、重回帰分析の一種であり、外れ値に強く、影響係数の大きさに制限を設けることで多重共線性を小さくする手法である。統計モデルとしてRidge回帰により構築したRidge回帰モデルを用いることで、各変数の傾き(定数)が明確に現れ、構築される統計モデルの精度をより高めることができる。
モデル構築部120は、変数選択部110により選択された変数を入力変数とし、焼結鉱の品質値を出力とする統計モデルを構築する。統計モデルは、例えば、Ridge回帰、重回帰分析、サポートベクターマシン、決定木、ランダムフォレスト等を用いて構築し得る。このうち、Ridge回帰は、重回帰分析の一種であり、外れ値に強く、影響係数の大きさに制限を設けることで多重共線性を小さくする手法である。統計モデルとしてRidge回帰により構築したRidge回帰モデルを用いることで、各変数の傾き(定数)が明確に現れ、構築される統計モデルの精度をより高めることができる。
(予測部)
予測部130は、モデル構築部120により構築された統計モデルを用いて、焼結鉱の品質値を予測する。例えば、予測部130は、予測対象データとして、焼結鉱の品質値を予測したい期間に焼結鉱製造プロセスにおいて取得されたデータを用いて、当該期間において製造された焼結鉱の品質値を予測する。また、予測部130は、予測対象データとして、予定されている操業計画の計画値に基づくデータを用いて、これから製造される焼結鉱の品質値を予測することもできる。予測部130は、変数選択部110により選択された変数を入力変数として、入力変数の予測対象データについてスケーリング処理を行った後、統計モデルに入力する。予測部130は、統計モデルの出力値を、予測された焼結鉱の品質値として出力する。
予測部130は、モデル構築部120により構築された統計モデルを用いて、焼結鉱の品質値を予測する。例えば、予測部130は、予測対象データとして、焼結鉱の品質値を予測したい期間に焼結鉱製造プロセスにおいて取得されたデータを用いて、当該期間において製造された焼結鉱の品質値を予測する。また、予測部130は、予測対象データとして、予定されている操業計画の計画値に基づくデータを用いて、これから製造される焼結鉱の品質値を予測することもできる。予測部130は、変数選択部110により選択された変数を入力変数として、入力変数の予測対象データについてスケーリング処理を行った後、統計モデルに入力する。予測部130は、統計モデルの出力値を、予測された焼結鉱の品質値として出力する。
予測装置100は、CPU、ROM、RAM等を備えるコンピュータ等の情報処理装置により構成され得る。また、予測装置100には、入力装置10及び出力装置20が接続されている。入力装置10は、焼結鉱の品質予測を行う作業者が予測装置100に対して情報を入力するための装置であり、例えばキーボードやマウス等である。出力装置20は、予測装置100が実施した処理の結果を作業者に提示するための装置であり、例えばディスプレイ等の表示装置である。
[1-2.焼結鉱の品質予測方法]
次に、図2及び図3に基づいて、本実施形態に係る焼結鉱の品質予測方法を説明する。図2は、本実施形態に係る焼結鉱の品質予測方法を示すフローチャートである。図3は、データセットの一例を示す説明図である。
次に、図2及び図3に基づいて、本実施形態に係る焼結鉱の品質予測方法を説明する。図2は、本実施形態に係る焼結鉱の品質予測方法を示すフローチャートである。図3は、データセットの一例を示す説明図である。
(S100:データセット取得)
まず、変数選択部110は、焼結鉱製造プロセスにおいて得られる各種変数のデータセットを取得する(S100)。データセットの各種変数には、例えば、焼結鉱製造時の原料銘柄毎の配合諸元や、焼成諸元、熱源配合率、生石灰の配合率、成品焼結鉱の実測成分値、成品焼結鉱のRDI等が含まれる。データセットは、焼結鉱製造プロセスにおいて得られる各種変数を格納するデータベース(図示せず。)に、取得日時毎に格納されている。例えば図3に示すように、データベースには、RDI、生石灰の配合率、銘柄Aの配合率、銘柄Bの配合率、紛コークスの配合率、焼成温度の平均値、等の変数が、取得日時毎に格納されている。変数選択部110は、所定期間または所定数のデータセットを、データベースから取得する。
まず、変数選択部110は、焼結鉱製造プロセスにおいて得られる各種変数のデータセットを取得する(S100)。データセットの各種変数には、例えば、焼結鉱製造時の原料銘柄毎の配合諸元や、焼成諸元、熱源配合率、生石灰の配合率、成品焼結鉱の実測成分値、成品焼結鉱のRDI等が含まれる。データセットは、焼結鉱製造プロセスにおいて得られる各種変数を格納するデータベース(図示せず。)に、取得日時毎に格納されている。例えば図3に示すように、データベースには、RDI、生石灰の配合率、銘柄Aの配合率、銘柄Bの配合率、紛コークスの配合率、焼成温度の平均値、等の変数が、取得日時毎に格納されている。変数選択部110は、所定期間または所定数のデータセットを、データベースから取得する。
(S110:スケーリング処理)
次いで、変数選択部110は、ステップS100にて取得したデータセットの変数それぞれに対して、スケーリング処理を実施する(S110)。スケーリング処理を実施することにより後述する統計モデルの予測精度を向上させることができる。例えば、変数選択部110は、スケーリング処理として、センタリング(平均を0とする処理)、スケーリング(標準偏差を1とする処理)、外れ値除去を実施する。それぞれの変数Xに対するセンタリング及びスケーリングは、下記式(1)により行うことができる。なお、μはデータセット全体における変数Xの平均値、σはデータセット全体における変数Xの標準偏差、X’は処理後の変数である。
次いで、変数選択部110は、ステップS100にて取得したデータセットの変数それぞれに対して、スケーリング処理を実施する(S110)。スケーリング処理を実施することにより後述する統計モデルの予測精度を向上させることができる。例えば、変数選択部110は、スケーリング処理として、センタリング(平均を0とする処理)、スケーリング(標準偏差を1とする処理)、外れ値除去を実施する。それぞれの変数Xに対するセンタリング及びスケーリングは、下記式(1)により行うことができる。なお、μはデータセット全体における変数Xの平均値、σはデータセット全体における変数Xの標準偏差、X’は処理後の変数である。
(S120:変数選択処理)
変数選択部110は、スケーリング処理後のデータセットを用いてLasso回帰を行い、焼結鉱の品質値との相関が大きい変数を選択する(S120)。Lasso回帰では、データセットに含まれる各種変数から、焼結鉱の品質値以外の変数を入力変数とし、焼結鉱の品質値を出力変数とする。例えば、焼結鉱の品質値としてRDIを予測する場合、焼結鉱の品質値以外の変数を入力変数とし、RDIを出力変数として、Lasso回帰が行われる。なお、入力変数には、少なくとも焼結鉱製造時の原料銘柄毎の配合諸元、焼成諸元、熱源配合率、生石灰の配合率、焼結鉱の成分値を含むものとする。
変数選択部110は、スケーリング処理後のデータセットを用いてLasso回帰を行い、焼結鉱の品質値との相関が大きい変数を選択する(S120)。Lasso回帰では、データセットに含まれる各種変数から、焼結鉱の品質値以外の変数を入力変数とし、焼結鉱の品質値を出力変数とする。例えば、焼結鉱の品質値としてRDIを予測する場合、焼結鉱の品質値以外の変数を入力変数とし、RDIを出力変数として、Lasso回帰が行われる。なお、入力変数には、少なくとも焼結鉱製造時の原料銘柄毎の配合諸元、焼成諸元、熱源配合率、生石灰の配合率、焼結鉱の成分値を含むものとする。
Lasso回帰では、焼結鉱の品質値との相関が小さい入力変数の係数は0となり、焼結鉱の品質値との相関が大きくなるほど入力変数の係数は大きくなる。そこで、変数選択部110は、係数の絶対値が所定の値よりも大きい入力変数を、焼結鉱の品質値との相関が大きい変数として選択する。選択基準とする係数の所定の値は、0以上の値に設定される。変数選択部110によるLasso回帰により、統計モデルの構築に用いる入力変数を自動的に選択することができる。
ここで、変数選択部110は、変数選択精度を向上させるために、Lasso回帰を複数回行い、それぞれのLasso回帰で得られる入力変数毎の係数の平均値が所定の値以上の変数を入力変数として選択してもよい。Lasso回帰では、予測精度を高めるために、焼結鉱の品質値との相関の小さい変数の係数を0にすることで変数の選択を行うが、この係数が0となる変数は係数の初期値によって異なる場合がある。かかる係数の初期値の影響を小さくするため、Lasso回帰を複数回実施し、入力変数とする変数を選択してもよい。Lasso回帰は、例えば100回程度実施してもよい。
また、Lasso回帰に入力する変数は、入力変数を集約し、集約後の変数を入力変数としてもよい。例えば、変数選択部110は、スケーリング処理後のデータセットに含まれる各種変数から、複数の変数を新たな変数に集約する。入力変数の集約には、主成分分析を用いる方法や例えば性状の類似した複数の銘柄の配合諸元を集約する方法を用いる。集約後の変数に集約された複数の変数の特徴を反映させつつ、入力変数としての選択候補となる変数の数を低減させることができ、入力変数の係数をより正確に算出できる。
なお、変数選択部110によるLasso回帰で選択されなかった変数の中には、焼結鉱の品質値に大きな影響を及ぼすことが知見として得られている変数が含まれることもあり得る。この場合、品質予測を行う作業者が、Lasso回帰で選択されなかった変数を確認し、過去の実績に基づく従来知見より焼結鉱の品質値に大きく影響する変数を抽出し、Lasso回帰で選択された変数とともに、入力変数としてもよい。例えば、データセットの取得期間によっては、焼結鉱の品質値に影響すると分かっていても当該取得期間での変動が小さかったためにLasso回帰で選択されない変数もあり得る。このような変数を抽出し、入力変数に加えることで、構築される統計モデルの予測精度をさらに向上させることができる。
作業者は、出力装置20を介して、予測装置100の変数選択部110によるLasso回帰で入力変数として選択されなかった変数を確認する。そして、入力変数として追加すべき変数がある場合には、作業者は、入力装置10を用いて、入力変数に追加する変数を予測装置100に指示する。これにより、Lasso回帰で選択された変数と、作業者により抽出された変数とが、統計モデルの入力変数として採用される。
(S130:統計モデル構築)
ステップS120にて入力変数が選択されると、モデル構築部120は、選択された変数を入力変数とし、焼結鉱の品質値を出力変数とする統計モデルを構築する(S130)。モデル構築部120は、入力変数と出力変数とのデータセットを学習データとして、例えば、Ridge回帰、重回帰分析、サポートベクターマシン、決定木、ランダムフォレスト等の手法を用いて、統計モデルを学習により構築する。
ステップS120にて入力変数が選択されると、モデル構築部120は、選択された変数を入力変数とし、焼結鉱の品質値を出力変数とする統計モデルを構築する(S130)。モデル構築部120は、入力変数と出力変数とのデータセットを学習データとして、例えば、Ridge回帰、重回帰分析、サポートベクターマシン、決定木、ランダムフォレスト等の手法を用いて、統計モデルを学習により構築する。
(S140:品質予測)
その後、予測部130は、ステップS130にて構築された統計モデルを用いて、焼結鉱の品質値を予測する(S140)。予測部130は、焼結鉱の品質値を予測したい期間に焼結鉱製造プロセスにおいて取得されたデータを用いて、当該期間において製造された焼結鉱の品質値を予測したり、予定されている操業計画の計画値に基づくデータを用いて、これから製造される焼結鉱の品質値を予測したりすることができる。予測対象データは、作業者が入力装置10を用いて指定することができる。
その後、予測部130は、ステップS130にて構築された統計モデルを用いて、焼結鉱の品質値を予測する(S140)。予測部130は、焼結鉱の品質値を予測したい期間に焼結鉱製造プロセスにおいて取得されたデータを用いて、当該期間において製造された焼結鉱の品質値を予測したり、予定されている操業計画の計画値に基づくデータを用いて、これから製造される焼結鉱の品質値を予測したりすることができる。予測対象データは、作業者が入力装置10を用いて指定することができる。
予測部130は、統計モデルの構築に用いた変数(すなわち、ステップS120にて選択された変数)を入力変数として、まず、ステップS110と同様に、入力変数の予測対象データについてスケーリング処理を実施する。このときスケーリング処理に使用する変数毎のμ、σはステップS110で使用したものと同じ値を使用する。そして、予測部130は、スケーリング処理後の入力変数を統計モデルに入力し、焼結鉱の品質値を得る。
なお、統計モデルの出力値はスケーリング処理後の値であるため、予測部130は、統計モデルの出力値を元の値に変換する。例えば、上記式(1)により変数Xのスケーリング処理を実施したとき、下記式(2)により元の値を得ることができる。
予測部130は、統計モデルを用いて得られた焼結鉱の品質値を、出力装置20へ出力し、作業者に提示してもよい。
以上、本実施形態に係る焼結鉱の品質予測方法について説明した。本実施形態によれば、Lasso回帰により焼結鉱の品質に影響を及ぼしている多数の変数の中から重要な変数のみを選択し、Lasso回帰で選択された変数を用いて焼結鉱の品質を予測するための統計モデルを構築する。これにより、多数の変数の中から重要な変数を効率的に選択し、予測精度の高い統計モデルを構築することができ、当該統計モデルを用いて、高精度に焼結鉱の品質を予測することができる。
[2.第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態として、焼結鉱製造時の焼結鉱の歩留を予測する歩留予測方法について説明する。焼結鉱製造時の焼結鉱の歩留の予測も、第1の実施形態にて説明した予測装置100により同様に実施し得る。予測装置100の構成及び機能は、第1の実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。以下、本実施形態に係る焼結鉱の歩留予測方法について、図4に基づき説明する。図4は、本実施形態に係る焼結鉱の歩留予測方法を示すフローチャートである。
本発明の第2の実施形態として、焼結鉱製造時の焼結鉱の歩留を予測する歩留予測方法について説明する。焼結鉱製造時の焼結鉱の歩留の予測も、第1の実施形態にて説明した予測装置100により同様に実施し得る。予測装置100の構成及び機能は、第1の実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。以下、本実施形態に係る焼結鉱の歩留予測方法について、図4に基づき説明する。図4は、本実施形態に係る焼結鉱の歩留予測方法を示すフローチャートである。
(S200:データセット取得)
まず、変数選択部110は、焼結鉱製造プロセスにおいて得られる各種変数のデータセットを取得する(S200)。ステップS200の処理は、図2のステップS100と同様に実施すればよい。なお、データセットの各種変数には、上述した焼結鉱製造時の原料銘柄毎の配合諸元や、焼成諸元、熱源配合率、生石灰の配合率、成品焼結鉱の実測成分値、焼結鉱製造時の歩留実測値が含まれる。変数選択部110は、所定期間または所定数のデータセットを、データベースから取得する。
まず、変数選択部110は、焼結鉱製造プロセスにおいて得られる各種変数のデータセットを取得する(S200)。ステップS200の処理は、図2のステップS100と同様に実施すればよい。なお、データセットの各種変数には、上述した焼結鉱製造時の原料銘柄毎の配合諸元や、焼成諸元、熱源配合率、生石灰の配合率、成品焼結鉱の実測成分値、焼結鉱製造時の歩留実測値が含まれる。変数選択部110は、所定期間または所定数のデータセットを、データベースから取得する。
(S210:スケーリング処理)
次いで、変数選択部110は、ステップS200にて取得したデータセットの変数それぞれに対して、スケーリング処理を実施する(S210)。ステップS210の処理は、図2のステップS110と同様に実施すればよい。スケーリング処理を実施することにより後述する統計モデルの予測精度を向上させることができる。
次いで、変数選択部110は、ステップS200にて取得したデータセットの変数それぞれに対して、スケーリング処理を実施する(S210)。ステップS210の処理は、図2のステップS110と同様に実施すればよい。スケーリング処理を実施することにより後述する統計モデルの予測精度を向上させることができる。
(S220:変数選択処理)
変数選択部110は、スケーリング処理後のデータセットを用いてLasso回帰を行い、焼結鉱の歩留との相関が大きい変数を選択する(S220)。ステップS220の処理は、図2のステップS120と同様に実施すればよい。本実施形態では、データセットに含まれる各種変数から、予測する焼結鉱の歩留実測値以外の変数を入力変数とし、焼結鉱の歩留実測値を出力変数としてLasso回帰を実施すればよい。なお、入力変数には、少なくとも焼結鉱製造時の原料銘柄毎の配合諸元、焼成諸元、熱源配合率、生石灰の配合率、焼結鉱の実測成分値を含むものとする。
変数選択部110は、スケーリング処理後のデータセットを用いてLasso回帰を行い、焼結鉱の歩留との相関が大きい変数を選択する(S220)。ステップS220の処理は、図2のステップS120と同様に実施すればよい。本実施形態では、データセットに含まれる各種変数から、予測する焼結鉱の歩留実測値以外の変数を入力変数とし、焼結鉱の歩留実測値を出力変数としてLasso回帰を実施すればよい。なお、入力変数には、少なくとも焼結鉱製造時の原料銘柄毎の配合諸元、焼成諸元、熱源配合率、生石灰の配合率、焼結鉱の実測成分値を含むものとする。
変数選択部110は、係数の絶対値が所定の値よりも大きい入力変数を、焼結鉱の歩留実測値との相関が大きい変数として選択する。選択基準とする係数の所定の値は、0以上の値に設定される。変数選択部110によるLasso回帰により、統計モデルの構築に用いる入力変数を自動的に選択することができる。
なお、第1の実施形態と同様、Lasso回帰を複数回行い、それぞれのLasso回帰で得られる入力変数毎の係数の平均値が所定の値以上の変数を入力変数として選択してもよい。また、Lasso回帰に入力する変数は、主成分分析等の手法により、入力変数を集約し、集約後の入力変数としてもよい。さらに、品質予測を行う作業者が、Lasso回帰で選択されなかった変数の中から、過去の実績に基づく従来知見より焼結鉱の歩留に大きく影響する変数を抽出し、Lasso回帰で選択された変数とともに、入力変数としてもよい。
(S230:統計モデル構築)
ステップS220にて入力変数が選択されると、モデル構築部120は、選択された変数を入力変数とし、焼結鉱の歩留予測値を出力変数とする統計モデルを構築する(S230)。ステップS230の処理は、図2のステップS130と同様に実施すればよい。
ステップS220にて入力変数が選択されると、モデル構築部120は、選択された変数を入力変数とし、焼結鉱の歩留予測値を出力変数とする統計モデルを構築する(S230)。ステップS230の処理は、図2のステップS130と同様に実施すればよい。
(S240:品質予測)
その後、予測部130は、ステップS230にて構築された統計モデルを用いて、焼結鉱の歩留を予測する(S240)。予測部130は、焼結鉱の歩留を予測したい期間に焼結鉱製造プロセスにおいて取得されたデータを用いて、当該期間における焼結鉱の歩留を予測したり、予定されている操業計画の計画値に基づくデータを用いて、これから行われる焼結鉱製造時の焼結鉱の歩留を予測したりすることができる。予測対象データは、作業者が入力装置10を用いて指定することができる。
その後、予測部130は、ステップS230にて構築された統計モデルを用いて、焼結鉱の歩留を予測する(S240)。予測部130は、焼結鉱の歩留を予測したい期間に焼結鉱製造プロセスにおいて取得されたデータを用いて、当該期間における焼結鉱の歩留を予測したり、予定されている操業計画の計画値に基づくデータを用いて、これから行われる焼結鉱製造時の焼結鉱の歩留を予測したりすることができる。予測対象データは、作業者が入力装置10を用いて指定することができる。
ステップS240の処理は、図2のステップS140と同様に実施すればよい。予測部130は、統計モデルの構築に用いた変数(すなわち、ステップS220にて選択された変数)を入力変数として、入力変数の予測対象データについてスケーリング処理を実施する。そして、予測部130は、スケーリング処理後の入力変数を統計モデルに入力し、焼結鉱の歩留予測値を得る。この際、予測部130は、ステップS210にて上記式(1)により変数Xのスケーリング処理を実施したとき、統計モデルの出力値を上記式(2)により元の値に変換する。予測部130は、統計モデルを用いて得られた焼結鉱の歩留予測値を、出力装置20へ出力し、作業者に提示してもよい。
以上、本実施形態に係る焼結鉱の歩留予測方法について説明した。本実施形態によれば、Lasso回帰により焼結鉱の歩留に影響を及ぼしている多数の変数の中から重要な変数のみを選択し、Lasso回帰で選択された変数を用いて焼結鉱の歩留を予測するための統計モデルを構築する。これにより、多数の変数の中から重要な変数を効率的に選択し、予測精度の高い統計モデルを構築することができ、当該統計モデルを用いて、高精度に焼結鉱の歩留を予測することができる。
本発明の効果を検証するため、成品焼結鉱のRDIの予測(実施例A)、TI(Tumbler Index)の予測(実施例B)、及び、焼結鉱の歩留予測(実施例C)を実施した。
[実施例A]
実施例Aでは、実施例A1、A2として、上述の第1の実施形態に係る焼結鉱の品質予測方法に基づき、成品焼結鉱のRDIを予測した。
実施例Aでは、実施例A1、A2として、上述の第1の実施形態に係る焼結鉱の品質予測方法に基づき、成品焼結鉱のRDIを予測した。
実施例A1、A2では、まず、焼結鉱製造プロセスにおいて取得されたデータセットを、1年分(日集約データで365レコード)取得した。データセットの変数には、焼結鉱製造時の原料銘柄毎の配合諸元(配合率、成分)、焼成諸元(温度、圧力、風量)、熱源配合率、生石灰の配合率、成品焼結鉱の実測成分値、成品焼結鉱のRDIが含まれていた。そして、取得したデータセットの全変数に対してスケーリング処理を行った。
次いで、スケーリング処理後のデータセットを用いて、入力変数をRDI以外の変数、出力変数をRDIとしてLasso回帰を行い、入力変数とした変数のうち、係数の絶対値が0より大きい変数を入力変数として選択した。図5に、Lasso回帰による変数の係数の絶対値と、実施例A1、A2における変数選択判定結果を示す。
実施例A1では、図5に示すように、Lasso回帰の係数の絶対値が0より大きい変数を入力変数とした。すなわち、実施例A1では、焼成温度平均、焼成温度分散、銘柄Aの配合率、銘柄Bの配合率、粉コークス配合率、及び、生石灰配合率が選択された。実施例A2では、実施例A1で選択された変数に加え、選択されなかった入力変数の中から従来知見に基づきRDIに大きな影響を及ぼす銘柄Cの配合率が作業者によって抽出され、入力変数として選択された。
その後、実施例A1、A2それぞれについて、Ridge回帰により、選択された変数を入力変数、RDIを出力変数として学習し、統計モデルとしてRidge回帰モデルを構築した。そして、Ridge回帰モデルを用いてRDIを予測した。
比較例では、特許文献3に記載の焼結機ベッド通過風量とRDとIの関係式を用いてRDIを予測した。
実施例A1、A2及び比較例におけるRDIの予測値と実測値との関係を図6に示す。RDIの予測値と実測値とが一致する回帰式に対する決定係数R2は、実施例A1は0.93、実施例A2は0.96、比較例は0.16となった。すなわち、実施例A1、A2の予測精度は比較例の予測精度に比べてはるかに高く、実施例A2の方が実施例A1よりも予測精度が高い結果となった。
[実施例B]
実施例Bでは、上述の第1の実施形態に係る焼結鉱の品質予測方法に基づき、成品焼結鉱のTIを予測した。実施例Bでは、実施例Aの成品焼結鉱のRDIをTIに置き換えたデータセットを用いて、スケーリング処理の後、入力変数をTI以外の変数、出力変数をTIとしてLasso回帰を行い、係数の絶対値が0より大きい変数を入力変数として選択した。実施例Bでは、焼成温度平均、焼成温度、焼成温度分散、銘柄Cの配合率、銘柄Dの配合率、及び、生石灰配合率が選択された。その後、Ridge回帰により、選択された変数を入力変数、TIを出力変数として学習し、統計モデルとしてRidge回帰モデルを構築した。そして、Ridge回帰モデルを用いてTIを予測した。
実施例Bでは、上述の第1の実施形態に係る焼結鉱の品質予測方法に基づき、成品焼結鉱のTIを予測した。実施例Bでは、実施例Aの成品焼結鉱のRDIをTIに置き換えたデータセットを用いて、スケーリング処理の後、入力変数をTI以外の変数、出力変数をTIとしてLasso回帰を行い、係数の絶対値が0より大きい変数を入力変数として選択した。実施例Bでは、焼成温度平均、焼成温度、焼成温度分散、銘柄Cの配合率、銘柄Dの配合率、及び、生石灰配合率が選択された。その後、Ridge回帰により、選択された変数を入力変数、TIを出力変数として学習し、統計モデルとしてRidge回帰モデルを構築した。そして、Ridge回帰モデルを用いてTIを予測した。
図7に、TIの予測値と実測値との関係を示す。TIの予測値と実測値とが一致する回帰式に対する決定係数R2は0.94と高い値となり、実施例Bにおいても、高い予測精度が得られることが示された。
[実施例C]
実施例Cでは、上述の第1の実施形態に係る焼結鉱の歩留予測方法に基づき、焼結鉱の歩留を予測した。実施例Cでは、実施例Aの成品焼結鉱のRDIを歩留に置き換えたデータセットを用いて、スケーリング処理の後、入力変数を歩留以外の変数、出力変数を歩留としてLasso回帰を行い、係数の絶対値が0より大きい変数を入力変数として選択した。実施例Cでは、焼成温度平均、焼成温度、焼成温度分散、銘柄Cの配合率、銘柄Dの配合率、及び、生石灰配合率が選択された。その後、Ridge回帰により、選択された変数を入力変数、歩留を出力変数として学習し、統計モデルとしてRidge回帰モデルを構築した。そして、Ridge回帰モデルを用いて歩留を予測した。
実施例Cでは、上述の第1の実施形態に係る焼結鉱の歩留予測方法に基づき、焼結鉱の歩留を予測した。実施例Cでは、実施例Aの成品焼結鉱のRDIを歩留に置き換えたデータセットを用いて、スケーリング処理の後、入力変数を歩留以外の変数、出力変数を歩留としてLasso回帰を行い、係数の絶対値が0より大きい変数を入力変数として選択した。実施例Cでは、焼成温度平均、焼成温度、焼成温度分散、銘柄Cの配合率、銘柄Dの配合率、及び、生石灰配合率が選択された。その後、Ridge回帰により、選択された変数を入力変数、歩留を出力変数として学習し、統計モデルとしてRidge回帰モデルを構築した。そして、Ridge回帰モデルを用いて歩留を予測した。
図8に、歩留の予測値と実測値との関係を示す。歩留の予測値と実測値とが一致する回帰式に対する決定係数R2は0.76と高い値となり、実施例Cにおいても、高い予測精度が得られることが示された。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 入力装置
20 出力装置
100 予測装置
110 変数選択部
120 モデル構築部
130 予測部
20 出力装置
100 予測装置
110 変数選択部
120 モデル構築部
130 予測部
Claims (6)
- 少なくとも焼結鉱製造時の原料銘柄毎の配合諸元、焼成諸元、熱源配合率、生石灰の配合率、焼結鉱の成分値を入力変数とし、焼結鉱の品質値を出力変数としてLasso回帰を行い、前記入力変数それぞれに与えられる係数が所定の値以上の入力変数を選択する変数選択工程と、
前記変数選択工程で選択された変数を入力変数、焼結鉱の品質値を出力変数として、統計モデルを学習させる統計モデル学習工程と、
学習させた前記統計モデルを用いて、前記変数選択工程で選択された変数の予測対象データから焼結鉱の品質値を予測する品質予測工程と、
を含む、焼結鉱の品質予測方法。 - 前記変数選択工程で選択されなかった変数のうち、過去の実績から焼結鉱の品質に影響すると推定される変数を抽出する変数抽出工程を含み、
前記統計モデル学習工程では、前記変数選択工程で選択された変数、及び、前記変数抽出工程で抽出された変数を前記入力変数として、前記統計モデルを学習させる、請求項1に記載の焼結鉱の品質予測方法。 - 前記統計モデルは、Ridge回帰モデルである、請求項1または2に記載の焼結鉱の品質予測方法。
- 少なくとも焼結鉱製造時の原料銘柄毎の配合諸元、焼成諸元、熱源配合率、生石灰の配合率、焼結鉱の実測成分値を入力変数とし、焼結鉱製造時の歩留実測値を出力変数としてLasso回帰を行い、前記入力変数それぞれに与えられる定数が所定の値以上の入力変数を選択する変数選択工程と、
前記変数選択工程で選択された変数を入力変数、焼結鉱製造時の歩留実測値を出力変数として、統計モデルを学習させる統計モデル学習工程と、
学習させた前記統計モデルを用いて、前記変数選択工程で選択された変数の予測対象データから焼結鉱の歩留を予測する歩留予測工程と、
を含む、焼結鉱の歩留予測方法。 - 前記変数選択工程で選択されなかった変数のうち、過去の実績から焼結鉱の歩留に影響すると推定される変数を抽出する変数抽出工程を含み、
前記統計モデル学習工程では、前記変数選択工程で選択された変数、及び、前記変数抽出工程で抽出された変数を前記入力変数として、前記統計モデルを学習させる、請求項4に記載の焼結鉱の歩留予測方法。 - 前記統計モデルは、Ridge回帰モデルである、請求項4または5に記載の焼結鉱の歩留予測方法。
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