JP2024015202A - 水性インクジェットインク及びインクセット - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェット印刷プロセスに有用であり、個々に又はインクジェットインクセットの一部として使用することができる水性インクジェットインク組成物を提供する。【解決手段】各水性インクジェットインク組成物は、25℃で5センチポアズ(5mPa-秒)以下の動的粘度を有し、(a)0.9~6質量%のポリマー分散型顔料着色剤、(b)0.5~2質量%の、構造(I)(式中、Rは置換若しくは非置換フェニル基又は置換若しくは非置換フェノキシ基である)によって表される化合物からなる組成物、(c)20質量%以下の、水溶性保水剤、共溶媒、又はその両方から本質的になる。各ポリマー分散型顔料着色剤は、動的光散乱粒径分析器を使用して測定して、70nm未満の50パーセンタイル粒子直径及び150nm未満の95パーセンタイル粒子直径を有する。そのような水性インクジェットインク組成物は、インクジェット印刷、特に連続インクジェット印刷の方法及びシステムに使用することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、水性インクジェットインク組成物及びインクジェットインクセット、並びにそのような水性インクジェットインク組成物及びインクジェットインクセットを使用することができる連続インクジェット印刷プロセス等のインクジェット印刷プロセスに関する。本発明の水性インクジェットインク組成物は、微生物の増殖を防止する防腐剤の固有のセットを含有する。
食品又は皮膚との直接接触を意図した基材のインクジェット印刷は、インクジェットインクに含有される化学物質へのヒトの曝露による毒性及び意図されない副作用の可能性を慎重に考慮する必要がある。水性インクジェットインク組成物中のほとんどの毒性化学物質は、細菌、酵母及びカビの病原菌の増殖を防ぎ、組成物の貯蔵寿命を延長するために使用される工業用殺生物剤である傾向がある。例えば、前駆体又は供与体から放出されるイソチアゾリノン類及びホルムアルデヒドは一般的に安全であり、それらの既定の使用レベルの範囲内で高い抗菌効力を有する。それにもかかわらず、そのような化合物は、皮膚接触を意図した特定の製品において好ましくないことが近年になって見出されており、これは敏感な使用者が、微量レベルへの曝露後であっても皮膚の刺激及び皮膚炎を経験する可能性があるためである。規制機関及び擁護団体は、そのような消費者製品にどのような化学物質が使用されるかに関して影響力を増している。更に、消費者集団は、種々の製品における一般的な防腐剤の使用に関する意識が向上しており、それらを含有しない製品を好む傾向が高まっている。
顔料若しくは色素ベースの着色剤を不安定化することなく、又は何らかの他の様式で高品質の印刷プロセスを損なうことなく、水性インクジェットインク組成物における病原菌汚染物質の増殖を抑制するのに有効な、皮膚接触用途での安全性及び許容性が証明された代替的な防腐剤(又は静生物剤及び殺生物剤)を提供する必要性が依然として存在する。
米国特許出願公開2017/0073535A1(Kusukame et al.)には、選択された従来的及び非従来的な成分を使用した圧電ドロップオンデマンド(DOD)インクジェットインクが開示されている。
米国特許6,071,334(Wider et al.)には、水性色素ベース及び顔料ベースのインクを使用した連続インクジェット印刷(CIJ)プロセスにおける2-フェノキシエタノール(エチレングリコールフェニルエーテルと特定される)の使用が開示されている。
米国特許5,749,952(Tsang et al.)に開示されているように、エチレングリコールフェニルエーテルは、自己分散型カーボンブラック顔料から構成されるサーマルDODブラックインクジェットインク中約3質量%の、実質的に水不溶性の油と説明される。
米国特許6,726,757B2(Sarkisian et al.)に記載されているように、自己分散型ブラック顔料及びアクリレートポリマーバインダーを使用した顔料系サーマルDODインクジェットインク組成物は、エチレングリコールフェニルエーテルを含む材料の群から選択される減速緩和成分がインクに組み込まれた場合、「減速」(長期のノズル吐出期間中の液滴速度の減少)の低減を経験する。
米国特許6,123,757(Yang et al.)には、バラの香りを与えることを意図した芳香性の水性インクジェットインク組成物における2-フェニルエタノール(β-フェニルエチルアルコールと特定される)の使用が開示されている。
米国特許出願公開2017/0073535A1(Kusukame et al.) 米国特許6,071,334(Wider et al.) 米国特許5,749,952(Tsang et al.) 米国特許6,726,757B2(Sarkisian et al.) 米国特許6,123,757(Yang et al.) 米国特許5,026,427(Mitchell et al.) 米国特許5,141,556(Matrick) 米国特許5,160,370(Suga et al.) 米国特許5,169,436(Matrick) 米国特許8,173,215(Sowinski et al.) 米国特許出願公開2007/0043144(House et al.) 米国特許9,828,513(Lussier et al.) 米国特許8,430,492(Falkner et al.) 米国特許出願公開2008/0207811(Brust et al.) 米国特許8,455,570B2(Lindstrom et al.) 米国特許出願公開2014/231674(Cook) 米国特許7,219,989(Uerz et al.) 米国特許出願公開2018/0051184(Lussier et al.) 米国出願第2005/0075415号(Harz et al.) 米国特許6,045,917(Missell et al.) 米国特許5,605,750(Romano et al.) 米国特許5,723,211(Romano et al.) 米国特許5,789,070(Shaw-Klein et al.) 米国特許9,067,448(Dannhauser et al.) 米国特許5,526,026(Bowers) EP 0597628B1(Loyd et al.) 米国特許7,221,440(McCann et al.) EP 0571784B1(McCann et al.) EP 1,013,450B1(Woolard et al.) 米国特許6,588,888(Jeanmaire et al.)、 米国特許6,554,410(Jeanmaire et al.) 米国特許6,682,182(Jeanmaire et al.) 米国特許6,793,328(Jeanmaire et al.) 米国特許6,866,370(Jeanmaire et al.) 米国特許6,575,566(Jeanmaire et al.) 米国特許6,517,197 (Hawkins et al.) 米国特許出願公開2002/0202054(Jeanmaire et al.) 米国特許6,079,821(Chwalek et al.) 米国特許6,505,921(Chwalek) 米国特許6,817,705(Crockett et al.) 米国特許9,010,909(Nelson et al.) 米国特許8,585,189(Marcus et al.) 米国特許8,651,632(Marcus et al.) 米国特許8,696,094(Marcus et al.) 米国特許8,888,256(Marcus) 米国特許9,969,178(Roberts et al.)
A Method for Determining Surface and Interfacial Tension Using a Wilhelmy Plate, Colloid and Polymer Science, 255 (7), pages 675-681 Glossary of Basic Terms in Polymer Science, the International Union of Pure and Applied Chemistry ("IUPAC"), Pure Appl. Chem. 68, 2287-2311 (1996) Particle Size Characterization", the National Institute of Standards and Technology ("NIST"), Special Publication 960-1, 93-139 (2001)
これらの種々の技術革新にもかかわらず、一般的な防腐剤又は殺生物剤を実質的に含まないが、所望の連続インクジェット印刷(CIJ)の特色及び高品質の画像を保持する水性インクジェットインク組成物及び粒子不含流体に対する満たされていない必要性が存在する。
本発明は、落球式粘度計を使用して測定して25℃で5センチポアズ(5mPa-秒)以下の動的粘度を有する水性インクジェットインク組成物であって、
(a)水性インクジェットインク組成物の総質量に対して少なくとも0.9質量%かつ6質量%以下(その値を含む)の総量の1種又は複数のポリマー分散型顔料着色剤、
(b)水性インクジェットインク組成物の総質量に対して少なくとも0.5質量%かつ2質量%以下(その値を含む)の総量の、以下の構造(I):
HO-CH2-CH2-R (I)
(式中、Rは、置換若しくは非置換フェニル基、又は置換若しくは非置換フェノキシ基である)
によって表される1種又は複数の化合物からなる組成物、
(c)水性インクジェット組成物の総質量に対して20質量%以下の量で、水溶性保水剤、共溶媒並びに水溶性保水剤及び共溶媒の両方から選択される1種又は複数の化合物
から本質的になり、
1種又は複数のポリマー分散型顔料着色剤のそれぞれが、70nm未満の50パーセンタイル粒子直径及び150nm未満の95パーセンタイル粒子直径を有し、すべての粒子直径が動的光散乱粒径分析器を使用して測定される、水性インクジェットインク組成物を提供する。
本発明はまた、それぞれが本明細書に記載される本発明の実施形態である、2種以上の異なる水性インクジェットインク組成物を含むインクセットを提供する。
本発明は更に、それぞれが独立して25℃で5センチポアズ(5mPa-秒)以下の動的粘度を有する2種以上の水性粒子不含流体を含む流体セットであって、2種以上の異なる水性粒子不含流体のそれぞれが独立して、
(b)水性インクジェットインク組成物の総質量に対して少なくとも0.5質量%かつ2質量%以下(その値を含む)の総量の、以下の構造(I):
HO-CH2-CH2-R (I)
(式中、Rは、置換若しくは非置換フェニル基、又は置換若しくは非置換フェノキシ基である)
によって表される1種又は複数の化合物からなる組成物
から本質的になる、流体セットを提供する。
更に、本発明の水性粒子不含流体は、25℃で5センチポアズ(5mPa-秒)以下の動的粘度を有し、
(b)少なくとも0.5質量%かつ2質量%以下(その値を含む)の総量の、以下の構造(I):
HO-CH2-CH2-R (I)
(式中、Rは、置換若しくは非置換フェニル基、又は置換若しくは非置換フェノキシ基である)
によって表される1種又は複数の化合物からなる組成物、及び
少なくとも0.1質量%かつ20質量%以下(その値を含む)の量のソルボ界面活性剤
を含み、すべての量は水性粒子不含流体の総質量に基づく。
本発明のインクジェット印刷の方法は、
基材を準備する工程、
第1の水性インクジェットインク組成物を、制御された様式でプリントヘッドから基材の表面にインクジェット印刷し、基材の表面にインクジェット印刷された画像を付与する工程
を含み、水性インクジェットインク組成物は、本発明の任意の実施形態である。
一部の実施形態では、本発明の方法は、
第1の水性インクジェットインク組成物のインクジェット印刷を停止する工程、
水性粒子不含流体を保守流体配給部からプリントヘッドに送達する工程、及び
プリントヘッドから水性粒子不含流体を射出し、プリントヘッドから第1の水性インクジェットインク組成物をパージする工程
を更に含み、
水性粒子不含流体は、25℃で5センチポアズ(5mPa-秒)以下の動的粘度を有し、
第1の水性インクジェットインク組成物に存在するものと同じ又は異なる(b)組成物、及び
水性粒子不含流体の総質量に対して少なくとも0.1質量%かつ20質量%以下(その値を含む)の量のソルボ界面活性剤
から本質的になる。
更に、本発明は、連続インクジェットプリンタシステムを使用して画像を印刷する方法であって、
基材を準備する工程、
第1の水性インクジェットインク組成物を含有する主要流体配給部と流体連通したノズルを含む、複数のノズルを有する噴射モジュールを準備する工程、
時間的に変化する電気信号に応答した液滴刺激により、主要流体配給部と流体連通したノズルから第1の水性インクジェットインク組成物が噴射される間に、第1の水性インクジェットインク組成物の液滴を形成させる工程、
液滴接触面を含む捕捉部を準備する工程、
偏向機構を使用して、第1の水性インクジェットインク組成物の液滴の少なくとも一部を捕捉部の液滴接触面に偏向させると同時に、第1の水性インクジェットインク組成物の他の液滴が捕捉部を通り過ぎ、基材の表面に堆積することを可能にする工程、及び
液滴接触面と接触する水性インクジェットインク組成物の液滴を液滴接触面に沿って流動させる工程
を含み、第1の水性インクジェットインク組成物が、本発明で記載される任意の実施形態である方法を提供する。
更に、本発明の連続インクジェット印刷の方法は、
連続インクジェットプリンタの主要流体配給部に、本発明で記載される任意の実施形態である第1の水性インクジェットインク組成物を配給する工程、
第1の水性インクジェットインク組成物の液滴の連続ストリームを液滴生成機構から射出する工程、
制御機構から受信された電気信号に応答して、基材に画像形成するための印刷用液滴と、収集されて主要流体配給部に戻される非印刷用液滴とを選別(select between)する工程であって、いずれの種類の液滴も第1の水性インクジェットインク組成物からのものである、工程、及び
主要流体配給部中の第1の水性インクジェットインク組成物の抵抗率の関数として、(b)組成物を含む水性粒子不含流体を主要流体配給部に補充する工程
を含む。
本発明による安定した水性顔料分散体及びインクジェットインク組成物は、イソチアゾリノン誘導体及びホルムアルデヒド放出剤等の一般的に使用される工業用殺生物防腐剤がそのような配合物への配合が控えられたとき、2-フェノキシエタノール、2-フェニルエタノール又はそれらの組合せの存在によって、病原菌の増殖に対する向上した抵抗を示し且つ皮膚接触のために許容される。これらのエタノール誘導体は、個々に又は組合せで使用されると、インクジェットインク組成物のインビトロでの負荷試験の際、グラム陰性菌とグラム陽性菌の代表的な混合物の増殖を抑制するのに有効であった。適切な補足抗菌化合物と組み合わせると、長期の負荷試験の間、組成物中の非常に広範な病原菌生物の増殖に対する感受性を十分に最小限に抑えることができる。本発明による連続インクジェット(CIJ)印刷の方法は、水性インクジェットインク組成物がCIJプリンタ流体システムに使用され補充される場合に、2-フェノキシエタノール、2-フェニルエタノール又は他の代替的な防腐剤を含有する水性粒子不含流体を使用してインクを再循環させるために提供される。本発明によって得られる印刷された基材は、事前処理又は事前コーティングされて、印刷される媒体又は物品への印刷されるインクジェットインクの受容及び結合が向上されている、多孔質のマットな媒体(例えば、紙)、織布媒体(例えば、織物)及び多孔質、又は非多孔質フィルム(例えば、ポリマーシート)であってもよい。
本発明のさらなる詳細及び利点は、以下に提供される教示から理解することができる。
以下の考察は本発明の種々の実施形態を対象とし、かつ一部の実施形態は特定の使用に望ましい場合があるが、開示される実施形態は、以下で特許請求される本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではなく、あるいはみなされるべきではない。更に、当業者であれば、以下の開示は、任意の実施形態の考察に明示的に記載されるものより広範な用途を有することを理解する。
定義
水性有機顔料分散体、水性インクジェットインク組成物、及び本発明の実施に使用される他の材料の種々の成分を定義するために本明細書で使用される場合、別段指示されない限り単数形「a」、「an」及び「the」は、成分の1種又は複数を含む(つまり、複数の指示対象を含む)ことを意図する。
本出願で明示的に定義されない各用語は、当業者によって一般的に受け入れられる意味を有すると理解されるべきである。用語が、その構成のためにその文脈において無意味になる又は本質的に無意味になる場合、用語は標準的な辞書の意味を有すると解釈されるべきである。
本明細書で指定される種々の範囲における数値の使用は、別段明示的に別様に示されない限り、述べられた範囲内の最小値及び最大値がいずれも「約」という用語によって先行されているかのように近似値であるとみなされる。このようにして、記述した範囲を上回る又は下回るわずかな変動は、範囲内の値と実質的に同じ結果を達成するのに有用でありうる。更に、これらの範囲の開示は、最小値と最大値の間のすべての値及びその範囲の端点を含む連続的な範囲を意図する。
本明細書で使用される場合、「酸価(acid number)」(酸価(acid value)としても公知)というパラメータは、1gの酸性ポリマーを中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム(mg)と定義される。
本発明による水性有機顔料分散体及び水性インクジェットインク組成物における「水性」という用語は、含水量が溶媒の総量に対して60質量%より多いことを意味する。したがって、水は水性媒体中で優勢な溶媒である。
インク及び流体の動的粘度は、周知の技術のいずれかによって測定することができる。好ましい方法は、毛細管粘度計におけるような毛細管を通る質量流量の時間の測定、又は例えば落球式粘度計を使用した、流体を通る球の落下速度の測定を含む。毛細管流量粘度計と、落球法を用いる市販のAnton Paar Automated MicroViscometer(AMVn)のいずれも本明細書で報告される動的粘度を測定するために使用することができる。本明細書に開示されるすべてのインクの動的粘度値は、重力によって誘導された剪断下でおよそ24℃~26℃において測定された。言及される値は、センチポアズ(cP)又はミリパスカル秒(mPa-秒)で報告され、1cP=10-3パスカル-秒(Pa-s)=10-2ダイン-s/cm2であることが認識される。粘度は高精度で測定することができるが、本明細書における粘度値は少数第1又は2位のみまで報告され、これらは通常丸め値であり、切り捨て値ではない。インク粘度を列挙するすべての請求項は、通常小数点第1位に丸められたmPa-秒の値の意味で解釈されることが意図される。したがって、種々の水性インクジェットインク組成物は、10センチポアズ(10mPa-秒)以下(その値を含む)の粘度を有してもよい。
固体界面における液体インク又は供給流体の静的表面張力の測定に関しては、Wilhelmyプレート法が周知の技術である。この技術は、天秤から吊るされた、典型的には粗面化された白金合金から選択される既知の寸法のプレートを利用する。プレートを目的の溶液と接触させ、プレートに垂直の力を印加すると、溶液とプレートの間に液体のメニスカスが形成される。得られる表面張力は、式(1):
(1)σ=F/L cos(θ)
〔式中、σは液体の表面張力であり、Fは天秤に作用する力であり(ミリ-ニュートン/メートル)、Lはミリメートル単位のプレートの湿潤長さであり、θはプレートと溶液の間の接触角である〕
によって与えられる。
典型的に、粗面化された白金はゼロに非常に近い接触角をもたらし、θのコサインは1になる。方法の完全な理論的処理は、例えば"A Method for Determining Surface and Interfacial Tension Using a Wilhelmy Plate," Colloid and Polymer Science, 255 (7), pages 675-681に見出すことができる。表面張力の測定に関して多数の市販の器具が公知であるが、本発明で表面張力値を報告するために使用される器具は、Kruss Model K10ST張力計である。
本発明の種々の実施形態で使用される顔料着色剤は、一般的に自己分散型ではなく、つまり水性媒体に懸濁し続けるために、顔料粒子の表面の一部に結合された1種又は複数の有機ポリマー顔料分散剤の存在を必要とする。
「水溶性」及び「水可溶性」という用語は、1質量部の溶質材料が、1質量部未満ほど少量の(すなわち、比較的可溶性の)溶質、及び1,000質量部ほど多量の(つまり、あまり可溶性でない溶質)蒸留水に25℃で溶解し、均質かつ可視的に透明な溶液をもたらすことができることを意味する。
「ソルボ界面活性剤」という用語は、乾燥した「インク」に有効な溶媒であり、かつ200℃未満の海抜ゼロでの沸点を有し、流体の表面張力及び自己凝集を低減させることができる揮発性溶媒である化合物又は化合物の組合せを指す。そのような化合物のさらなる詳細は以下に提示される。
ポリマーに関連する任意の用語の定義を明確にするために、International Union of Pure and Applied Chemistry ("IUPAC")発行の"Glossary of Basic Terms in Polymer Science", Pure Appl. Chem. 68, 2287-2311 (1996)が参照されるべきである。しかし、本明細書に明示的に記載される任意の定義が優先するとみなされるべきである。ポリマーは、フリーラジカル重合若しくは酸接触重合プロセスを使用してエチレン性不飽和重合性モノマーから、又は公知の縮合重合プロセスを使用して適切な縮合モノマー(例えばジオールとジイソシアネート)の反応によって調製することができる。
別段指示されない限り、「ポリマー」及び「ポリマー性」という用語は、ゲル浸透クロマトグラフィー(ポリスチレン標準)を使用して測定して、述べられる質量分布平均分子量(Mw)又は数分布平均分子量(Mn)をそれぞれ有するホモポリマー及びコポリマーの両方を指す。
「コポリマー」という用語は、ポリマー骨格に沿ってランダムな順序又は所定の順序(例えば、ブロック)の2種以上の異なるモノマーに由来するポリマーを指す。つまり、各コポリマーは、異なる化学構造を有する少なくとも2つの繰り返し単位を含む。
「骨格」という用語は、複数のペンダント基が結合することができるポリマー中の原子の鎖を指す。そのような骨格の例は、1種又は複数のエチレン性不飽和重合性モノマーの重合から得られる「全炭素」骨格である。しかし、他の骨格はヘテロ原子を含むことができ、この場合ポリマーは、縮合反応又は何らかの他の手段によって形成される。
水性有機顔料分散体
本発明の実施に有用な(a)ポリマー分散型顔料着色剤は、単独で又は2種以上の異なるポリマー分散型顔料着色剤の組合せで使用され、任意の所望の色又は色合いをもたらすことができる。例えば、ポリマー分散型カーボンブラック顔料は、同じ水性顔料分散体又は水性インクジェットインク組成物中で、異なる着色されたポリマー分散型有機顔料と組み合わされてもよい。ポリマー分散型顔料着色剤の正確な選択は、所望される特定の用途、性能、色の再現及び画像の安定性に依存する。有用なポリマー分散型顔料着色剤は、例えば米国特許5,026,427(Mitchell et al.)、5,141,556(Matrick)、5,160,370(Suga et al.)及び5,169,436(Matrick)に記載される。
有機ポリマーによって分散することができる有用な顔料着色剤は、これらに限定されないが、アゾ顔料、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アゾ含金属有機顔料、β-ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジスアゾ縮合顔料、金属錯体顔料、イソインドリノン及びイソインドリン顔料、キナクリドン顔料、多環式顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラピリミドン顔料、フラバントロン顔料、アンタントロン顔料、ジオキサジン顔料、トリアリールカルボニウム顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、二酸化チタン、酸化鉄及びカーボンブラックを含む。代表的な有用なイエロー、ブラック、グリーン、ブラウン、レッド、マゼンタ、シアン、ブルー、オレンジ及びパープル顔料着色剤は、米国特許8,173,215(Sowinski et al.)の第7欄(第48行)~第8欄(第5行)に記載される。
有用な顔料着色剤は、当技術分野で周知の好適なポリマー分散剤(上記で言及されたような)を伴ってもよく、又はそれを使用して分散されてもよい。代表的な有用な有機ポリマー分散剤は、例えば米国特許出願公開2007/0043144(House et al.)に記載される、アクリル酸若しくはメタクリル酸モノマー等の少なくとも1種のアニオン性親水性モノマー又はこれらの組合せ、及び例えば、12個以上の炭素原子を有する脂肪族鎖を有する疎水性メタクリレート又はアクリレートモノマーから構成される少なくとも1種のモノマーから調製することができる。有用なモノマー繰り返し単位、モノマー量及びMwを含む有用な有機ポリマー分散剤のさらなる詳細は、米国特許8,173,215(上述)の第5欄(第45行)~第6欄(第31行)に提示される。
多くの有用な有機ポリマー分散剤は、少なくとも500ダルトンかつ100,000ダルトン未満、より適切には15,000ダルトン以下(その値を含む)又は10,000ダルトン以下(その値を含む)の質量平均(Mw)分子量を有する、上記に記載された少なくとも1種のアニオン性親水性モノマーから形成されるアニオン性アクリル系ポリマーである。
顔料着色剤のための1種又は複数の有機ポリマー分散剤は、水性媒体、選択される有機顔料及び水性インクジェットインク組成物の他の成分に応じて、当業者に容易に明白である量で存在してもよい。
ポリマー分散剤に加え、当技術分野で公知のような非イオン性又はアニオン性界面活性剤が顔料着色剤とともに存在してもよい。この種類の代表的な材料は、これらに限定されないが、例えば米国特許8,173,215(上述)の第7欄(第15~23行)に記載されるドデシル硫酸ナトリウム又はオレイルメチルタウリン酸ナトリウムを含む。
それぞれの有用なポリマー分散型顔料着色剤の粒径は、以下の通りである。
種々のポリマー分散型顔料着色剤の粒径は、略球状の顔料粒子のおおよその直径、又は非球状粒子のおおよその最大特性寸法を指す。より詳細には、実際は粒子と同じ体積を有する球の直径が決定される(つまり、等価球直径)。本発明によって使用される顔料系着色剤のそれぞれの所望の中央粒子直径(又は50パーセンタイル粒子直径)は、粒子の体積の50%が指定される直径より小さい直径を有する粒子から構成されるように、300nm未満、150nm未満、70nm未満又は更には60nm未満であってもよい。更に、本発明によって使用される各ポリマー分散型顔料着色剤の全一次粒子の少なくとも95%が、500nm未満、300nm未満、150nm未満、又は更には110nm未満の粒子直径を有する。これは、有機顔料粒子の体積の95%が、指定される直径より小さい直径を有する粒子によってもたらされるような分級粒径分布である95パーセンタイル粒子直径を指す。粒径(又は粒子体積)は、従来の動的レーザー光散乱粒径分析器を使用して容易に測定することができる。ナノ粒径を分析及び報告するための器具技術は、National Institute of Standards and Technology("NIST")発行の"Particle Size Characterization", Special Publication 960-1, 93-139 (2001)に有用に記載される。
本発明の実施に使用される(b)組成物は、以下の構造(I):
HO-CH2-CH2-R (I)
(式中、Rは置換若しくは非置換フェニル基又は置換若しくは非置換フェノキシ基である)
によって表される1種又は複数の化合物からなる。例えば、Rは非置換フェニル基又は非置換フェノキシ基のいずれかであってもよい。構造(I)によって表される化合物の混合物も使用することができる。
したがって、2-フェノキシエタノール及び2-フェニルエタノールのいずれか又は両方を、上記に記載された利点のために本発明の実施において有利に使用することができる。2-フェノキシエタノールは、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル及び1-ヒドロキシ-2-フェノキシエタンとしても公知であり、種々の商業的供給源からDOWANOL PhE、DOWANOL EPh又はDOWANOL EPとして入手可能である。2-フェニルエタノールは、フェニルエタノール、2-フェニルエタン-1-オール、フェネチルアルコール、β-ヒドロキシエチルベンゼン、フェニルエチルアルコール、β-フェニルエタノール及びベンジルカルビノールとしても公知であり、種々の商業的供給源から入手可能である。
水及び任意の水混和性有機溶媒等の水性媒体は、水性顔料分散体の保管又は水性インクジェットインク組成物を作製するためのその使用に所望される粘度及び他の物理的特性をもたらす任意の所望の量で存在してもよい。
本発明による水性顔料分散体は、当技術分野で一般的に使用される任意の方法によって調製することができ、典型的には2つの工程を含む:(a)1種又は複数の顔料着色剤の凝集物を一次粒子へとばらばらにするための分散又は粉砕工程、ここで一次粒子は粒子状物質系において最小の特定可能な区分と定義される、及び(b)工程(a)からの顔料着色剤分散体を、水性媒体及び任意の他の添加剤の添加によって希釈する希釈工程。粉砕の詳細は、例えば米国特許8,173,215(上述)の第6欄(第58行)~第7欄(23)に記載される。
水性インクジェットインク組成物
本発明による水性インクジェットインク組成物は、一般的にすべて落球式粘度計又は毛細管粘度計及び公知の手順を使用して25℃で測定して、概して5センチポアズ(5mPa-秒)以下又は少なくとも1センチポアズ(1mPa-秒)かつ3センチポアズ(3mPa-秒)以下(その値を含む)の動的粘度を有する。パラメータは、種々の水性インクジェットインク組成物の間で異なってもよい。
水性インクジェットインク組成物はまた、典型的に少なくとも7.5かつ11以下(その値を含む)、又はより適切には少なくとも8かつ9以下(その値を含む)のpHを有する。水性インクジェットインク組成物がニッケル又はニッケルめっきされた装置部品を有するハードウェアに使用される場合、2-又は5-メチル-1-H-ベンゾトリアゾールのナトリウム塩等の防食剤が添加されてもよく、pHは少なくとも10かつ11以下(その値を含む)に調整されてもよい。シリコンから作られたプリントヘッドがインクジェット印刷に使用される場合、水性インクジェットインク組成物のpHは、少なくとも7.5かつ10以下(その値を含む)、又は少なくとも8かつ9.5以下(その値を含む)に調整されてもよい。
本発明による水性インクジェットインク組成物は、水性インクジェットインク組成物の総質量に対して少なくとも0.9質量%かつ6質量%以下(その値を含む)、又は少なくとも1.5質量%かつ5質量%以下(その値を含む)の総量の同じ又は異なる(a)ポリマー分散型顔料着色剤の1種又は複数を含む。有用なポリマー分散型顔料着色剤及び有用な粒径パラメータは、上記に記載される。所望であれば、2種以上のポリマー分散型顔料着色剤を使用して、得られるインクジェット印刷された画像に所望の色合い又は色を付与することができる。
構造(I)によって表される1種又は複数の化合物からなる上述の(b)組成物は、水性インクジェットインク組成物の総質量に対して少なくとも0.5質量%かつ2質量%以下(その値を含む)、又は更には少なくとも1質量%かつ1.8質量%以下(その値を含む)の総量で水性インクジェットインク組成物に存在する。(b)組成物は、種々の水性インクジェットインク組成物と同じであっても異なってもよい。
本発明による各水性インクジェットインク組成物は、(c)水溶性保水剤、共溶媒並びに水溶性保水剤及び共溶媒の両方から選択される1種又は複数の化合物を含む。共溶媒は一般的に、25℃で標準的な落球式、毛細管又はスピニングプレート粘度計を使用して測定したとき、1センチポアズ(1mPa-秒)より大きい、更には40センチポアズ(40mPa-秒)を超えうる粘度を有する水溶性又は水混和性有機溶媒である。本発明の他の要件と適合性がある、インクジェット技術において公知の任意の水溶性保水剤又は共溶媒を使用することができる。個々の保水剤が用いられてもよいが、それぞれが有用な特性を与える2種以上の保水剤の混合物が使用されてもよい。代表的な保水剤は、例えば米国特許9,828,513(Lussier et al.)に記載されており、(1)モノアルコール、(2)多価アルコール、(3)多価アルコールに由来する低級モノ及びジアルキルエーテル、(4)尿素、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン及び1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等の窒素含有化合物、並びに(5)2,2'-チオジエタノール、ジメチルスルホキシド及びテトラメチレンスルホン等の硫黄含有化合物等の化合物のクラスを含む。有用な共溶媒もそのような化合物のクラスの範囲内に含まれる。同じ又は異なる(c)化合物が種々の水性インクジェットインク組成物に使用されてもよい。
1種又は複数の(c)保水剤、共溶媒又は保水剤及び共溶媒の両方は、すべて水性インクジェットインク組成物の総質量に対して20質量%未満、又は少なくとも0.5質量%、又は少なくとも1質量%かつ15質量%以下(その値を含む)又は少なくとも3質量%かつ10質量%以下(その値を含む)の量で存在してもよい。1種又は複数の(c)保水剤、共溶媒又は保水剤及び共溶媒の両方の非常に好ましいレベルは、少なくとも4質量%かつ最大8質量%である。
同じ又は異なる1種又は複数の(d)補足抗菌剤が水性インクジェットインク組成物に存在してもよく、そのような材料は、上記に記載され、かつ構造(I)によって表される(b)組成物とは異なる。代表的な材料は、これらに限定されないが、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル(CAS 55406-53-6)、ピロクトンオラミン(CAS 68890-66-4)、2,4-ジクロロベンジルアルコール(CAS 1777-82-8)、ホウ酸(CAS 10043-35-3)並びにホウ酸に由来する一価及び二価の金属イオン塩、並びにこれらの材料の組合せを含む。1種又は複数の補足抗菌剤の有用な量は、水性インクジェットインク組成物の総質量に対して少なくとも0.01質量%かつ3質量%以下(その値を含む)である。
本発明による各水性インクジェットインク組成物は、それぞれが少なくとも50、又は少なくとも60かつ150以下(その値を含む)、又は更には少なくとも55かつ90以下(その値を含む)の酸価を有する1種又は複数のアニオン性ポリウレタンを更に含んでもよく、これらの酸性ポリマーは以下により詳細に記載される。アニオン性ポリウレタンは、種々の水性インクジェットインク組成物と同じであっても異なってもよい。
代替的に又はアニオン性ポリウレタンに加え、水性インクジェットインク組成物は、それぞれが少なくとも50、又は少なくとも120かつ240以下(その値を含む)、又は更には少なくとも160かつ220以下(その値を含む)の酸価を有する、同じ又は異なる1種又は複数のアニオン性非芳香族アクリル系又はアニオン性スチレンアクリル系ポリマーを含むことができ、これらの酸性ポリマーは以下により詳細に記載される。所望であれば、そのような材料の2種以上の混合物が使用されてもよい。
両方の種類のアニオン性ポリマーの代表的な例は、例えば米国特許8,430,492(Falkner et al.)及び9,783,553(上述)に記載される。特に有用なアニオン性ポリウレタンは、ポリエーテルジオール単位を含有し、ポリエーテルポリウレタンと特定されてもよい。そのようなアニオン性ポリエーテルポリウレタンは、一般的に少なくとも10,000ダルトンかつ30,000ダルトン以下(その値を含む)、又は少なくとも15,000ダルトンかつ25,000ダルトン以下(その値を含む)の分子量(Mw)を有しうる。例えば、特定の有用なポリエーテルポリウレタンは、米国特許9,783,553(上述)の構造(I)によって個々に表される。
有用な水溶性又は水分散性アニオン性ポリエーテルポリウレタンは、例えば米国特許出願公開2008/0207811(Brust et al.)の[0045]~[0049]に記載されるように調製することができる。アニオン性ポリエーテルポリウレタンの酸性基は、アルカリ金属水酸化物等の一価の無機塩基又はジメチルエタノールアミン等の有機アミンを使用して、少なくとも部分的かつ最大100%中和(塩に変換)されてもよい。
本発明に有用な代表的なアニオン性非芳香族アクリル系ポリマー及びアニオン性スチレンアクリル系ポリマーはまた、例えば米国特許出願公開2008/0207811(上述)の[0061]に記載される。有用なアニオン性スチレンアクリル系ポリマーの例は、商標JONCRYL(登録商標)(BASF Corp.社)、TRUDOT(登録商標)(以前はMead Westvaco Co.社から入手可能)及びVANCRYL(登録商標)(Allnex USA, Inc.社)で市販されるものを含む。
そのようなアニオン性ポリマーの有用な量は当技術分野で容易に公知であり、すべて水性インクジェットインク組成物の総質量に対して15質量%以下(その値を含む)、又は10質量%以下(その値を含む)でありうる。アニオン性ポリマーの特に有用な量の範囲は、顔料分散剤として使用されるアニオン性非芳香族アクリル系ポリマー及びアニオン性スチレンアクリル系ポリマーを含め、少なくとも1質量%かつ5質量%以下(その値を含む)である。
更に、変性ポリシロキサンが水性インクジェットインク組成物に存在してもよい。そのような材料の例は、商標SILWET(登録商標)(CL Witco社)及びBYK(登録商標)348及び381等のBYK(登録商標)(Byk Chemie社)、並びにDow Corning DC67、DC57、DC28、DC500W及びDC51で商業的に入手可能なエトキシル化又はプロポキシル化シリコーンベースの「界面活性剤」を含む。これらに限定されないが、SURFYNOL(登録商標)440及び465アルキンジオール界面活性剤を含む、SURFYNOL(登録商標)界面活性剤(Evonik Corp.社)として市販のもの等のアニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性界面活性剤を含む非シリコーン界面活性剤も使用可能である。そのような材料の有用な量は、当業者に容易に明白である。選択される界面活性剤の特に有用な量は、米国特許8,455,570B2(Lindstrom et al.)に記載される。
同じ又は異なる「促進剤」の1種又は複数を水性インクジェットインク組成物に含み、(b)組成物の構造(I)によって表される化合物の有効性を潜在的に増強することが有用でありうる。そのような材料は一般的に、それぞれが少なくとも7個の炭素原子かつ12個以下(その値を含む)の炭素原子を有する、特に少なくとも7個の炭素原子かつ10個以下(その値を含む)の炭素原子を有するアルカンジオールである。促進剤として単独で又は組合せで使用されてもよい代表的な有用な化合物は、これらに限定されないが、1,7-ヘプタンジオール、1,2-ヘプタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、3,6-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,2-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール及び当業者に容易に明白である他のものを含む。1,2-オクタンジオールがこの点に関して特に有用である。
1種又は複数の促進剤は、水性インクジェットインク組成物の総質量に対して1.5質量%以下又は1.25質量%以下の総量で水性インクジェットインク組成物に存在してもよい。最小量は少なくとも0.3質量%でありうる。
無色の蛍光着色剤(色素又は顔料)もまた、当業者に容易に明白な量で水性インクジェットインク組成物に存在してもよく、そのような化合物の例は、米国特許出願公開2014/231674(Cook)に記載される。
当業者に容易に明白な量で水性インクジェットインク組成物に存在してもよい他の添加剤は、これらに限定されないが、TERGITOL(登録商標)15-S及びTMNシリーズの非イオン性界面活性剤、BRIJ(登録商標)シリーズの非イオン性界面活性剤、TRITON(登録商標)シリーズの非イオン性界面活性剤、ZONYL(登録商標)フルオロ界面活性剤、PLURONIC(登録商標)非イオン性界面活性剤、TETRONIC(登録商標)非イオン性界面活性剤、SILWET(登録商標)非イオン性界面活性剤、及びSURFYNOL(登録商標)非イオン性界面活性剤を含む、組成物の表面張力を調整するための上述のもの以外の界面活性剤、並びに米国特許8,173,215(上述)の第10欄、第64行~第11欄、第14行に言及される種々のアニオン性及びカチオン性界面活性剤、増粘剤、伝導性増強剤、乾燥剤、耐水剤、粘度改質剤、pH緩衝剤、抑泡剤、湿潤剤、防食剤、抑泡剤及び消泡剤(SURFYNOL(登録商標)DF-110L、PC、MD-20及びDF-70等)、UV照射吸収剤、酸化防止剤並びに商標TINUVIN(登録商標)(BASF Corp.社)及びIRGANOX(登録商標)(BASF Corp.社)で入手可能な光安定化剤、並びに米国特許8,455,570(上述)の第17欄(第11~36行)に記載される他の添加剤を含む。そのような材料の有用な量は、日常的な実験を使用して当業者に容易に明白である。
水は一般的に、水性インクジェットインク組成物の総質量に対して少なくとも75質量%、又は少なくとも80質量%、一般的には90質量%以下等の好適な量で、主要な水性媒体として各水性インクジェットインク中に存在する。
本明細書に記載される各水性インクジェットインク組成物は、好適なポリマー分散型顔料着色剤を水に分散し、構造(I)によって表される(b)化合物、(c)保水剤又は共溶媒、並びに任意の補助剤、促進剤、補足抗菌剤及び好適な量の追加材料等の、他の記述される材料に混合することによって調製することができる。
インクセット
本発明によってインクセットを提供することができ、これらは、それぞれが所望の色又は色合いを付与するための少なくとも1種の視認可能なポリマー分散型顔料着色剤(上記に記載された)を含む、2種以上の異なる水性インクジェットインク組成物を含んでもよい。例えば、各インクセットは、オレンジ、レッド、パープル、グリーン、シアン、イエロー、ブラック、マゼンタ、ブラウン、ピンク及びブルーの種々の色調等の異なる色合い又は「色」を有し、したがって所望の色合いを付与するのに好適な1種又は複数の好適なポリマー分散型顔料着色剤を含有しうる、有用な様々な水性インクジェットインク組成物を含んでもよい。好適なポリマー分散型顔料着色剤の適正な使用及び配合により、例えば公知のa*及びb*CIELAB値を使用して定義される任意の望ましい色合いを付与することができる。水性「ホワイト」インクジェットインク組成物も特定の状況で有用であり、インクセットに含まれてもよい。上記に記載されたように、広範な種々の有機及び無機顔料が、個々に又は組合せでそのような水性インクジェットインク組成物に使用されてもよく、これらは上記に記載されたように所望の顔料粒径を有してもよい。ポリマー分散型顔料着色剤は、本発明による水性インクジェットインク組成物に関して上記に記載された好適な量で存在してもよい。
ポリマー分散型顔料着色剤に加え、インクセット中の水性カラーインクジェットインク組成物の1種又は複数は、例えば米国特許8,455,570(上述)の第12欄(第4~55行)に記載される、当技術分野で周知の1種又は複数の水可溶性色素を含んでもよい。
インクセット中の水性インクジェットインク組成物は、上記に記載されるものと同じように又は異なって配合されてもよい。
インクセット中の各水性カラーインクジェットインク組成物は、好適な塩基及び緩衝系を使用して、上記に記載されたように少なくとも7.5かつ11以下(その値を含む)、又は少なくとも8かつ10以下(その値を含む)の望ましいpHを有してもよい。
更に、各水性カラーインクジェットインク組成物は、25℃で測定して少なくとも1センチポアズ(1mPa-秒)かつ5センチポアズ(5mPa-秒)未満の好適な動的粘度を有してもよい。
インクセット中の水性インクジェットインク組成物のそれぞれは、すべて上記に記載される通りであり、上記に記載される量の、(a)水性インクジェットインク組成物の総質量に対して少なくとも0.9質量%かつ6質量%以下(その値を含む)の量のポリマー分散型顔料着色剤(上記に記載される)、(b)構造(I)によって表される化合物からなる組成物、及び(c)少なくとも1種の水溶性保水剤、共溶媒又は水溶性保水剤と共溶媒の組合せを独立して含む(同じ又は異なるものを有する)。
例えば、本発明によるインクセットは、以下の特定の種類の水性インクジェットインク組成物の2種以上を有してもよい:
(i)ポリマー分散型シアン顔料着色剤を含む水性インクジェットインク組成物、
(ii)ポリマー分散型マゼンタ顔料着色剤を含む水性インクジェットインク組成物、
(iii)ポリマー分散型イエロー顔料着色剤を含む水性インクジェットインク組成物、及び
(iv)ポリマー分散型ブラック顔料着色剤を含む水性インクジェットインク組成物。
多くのインクセットには、(i)から(iv)の水性インクジェットインク組成物の4つすべてが存在する。
一部の実施形態では、本発明によるインクセットは、例えば米国特許8,764,161(上述)に記載される粒子不含無色インクジェット組成物(又は水性粒子不含流体)を更に含みうる。そのような組成物は、当技術分野で「流体」として公知である場合があり、プリントヘッドの保守、貯留、フラッシング若しくはクリーニング、又は補充流体としての使用等の種々の目的又は機能を有してもよい。そのような流体の詳細は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、言及される特許に提供される。「粒子不含」は、そのような組成物が、無色又は着色された任意の種類の粒子状物質又は顔料を意図的に含有しないことを意味する。有用なそのような流体のさらなる詳細は、個々の水性粒子不含「流体セット」の考察において以下に提供される。
そのような粒子不含無色インクジェット組成物は、上記に記載される構造(I)によって表される化合物からなる(b)組成物も含んでもよく、この化合物は、ポリマー分散型顔料着色剤を含有するインクセット中の2種以上の水性インクジェットインク組成物に使用されるものと同じであっても異なってもよい。例えば、そのような粒子不含無色インクジェット組成物は、2-フェノキシエタノール、2-フェニルエタノール又は2-フェノキシエタノール及び2-フェニルエタノールの両方[構造(I)においてRが2-フェニル又は2-フェノキシである場合のような]を、粒子不含無色インクジェット組成物の総質量に対して少なくとも0.5質量%かつ2質量%以下(その値を含む)の量で含有してもよい。
本発明による水性粒子不含インクジェット組成物とみなされてもよい無色のポリマーオーバーコート組成物を塗布することにより、インクジェット印刷された画像の耐久性、光沢及び他の特性を向上させることができる。そのような組成物の例は、米国特許7,219,989(Uerz et al.)に提供される。CIJ印刷に伴う高いインクジェット印刷速度及びスループットを達成するために、「着色された」水性インクジェットインク組成物を分配する液滴形成ノズルの1つ又は複数のプリントヘッドに沿って続くCIJプリントヘッドを使用してそのようなオーバーコート組成物を塗布することができる。そのような塗布に関するさらなる詳細は、米国特許8,173,215(上述)の第17欄(第16~48行)に提供される。
インクセットの一部であってもよいさらなる水性粒子不含インクジェット組成物(又はインク)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開2018/0051184(Lussier et al.)に記載されるものを含み、これは、インクジェット印刷されて無色又は着色されたコーティングをもたらすものである。このような組成物は、少なくとも上記に記載される1種又は複数のアニオン性ポリエーテルポリウレタン又はアニオン性アクリル系若しくはスチレンアクリル系ポリマー、及び発泡傾向を低減させるための好適な抑泡剤又は消泡剤を含んでもよい。そのような水性粒子不含インクジェット組成物は、上記に記載される構造(I)によって定義される化合物を有する(b)組成物を更に含んでもよい。
インクセット中に存在する各成分又は組成物は、着色されているか無色であるかにかかわらず、当業者に容易に明白である種々の他の添加剤(消泡剤、界面活性剤、伝導性増強剤、乾燥剤、耐水剤、キレート剤、増粘剤、抗コゲーション剤、安定化剤及び緩衝剤等)を含有してもよい。
水性粒子不含流体
水性粒子不含流体は、種々の目的のために設計され、本発明の実施に使用されてもよい。これらの水性粒子不含流体のそれぞれは一般的に、例えば落球式粘度計又は毛細管粘度計及び標準的な手順を使用して測定して、25℃で5センチポアズ(5mPa-秒)以下の動的粘度を独立して有する。これらの水性粒子不含流体のそれぞれは、無色又は別様の粒子を意図的に含有せず、以下に記載されるように、インクジェット印刷の方法において種々の目的又は機能のために使用することができる。
所望であれば、異なる目的及び組成物を有する異なる水性粒子不含流体の2種以上を、商業化のために「流体セット」に組み込むことができる。代替的に、水性粒子不含流体の1種又は複数は、上記に記載されるインクセット内に含まれてもよい。
各水性粒子不含流体は、上記に記載される水性インクジェットインク組成物とほぼ同様の、つまり少なくとも5かつ11以下(その値を含む)のpHを独立して有してもよい。pHは、米国特許8,764,161(上述)の第11欄(第58行)~第12欄(第26行)の教示を使用して各水性粒子不含流体に応じて管理されてもよい。一部の実施形態では、pHは少なくとも10かつ11以下(その値を含む)であり、以下に記載される1種又は複数の塩基の存在によって管理されてもよい。
本発明による水性粒子不含流体のそれぞれは、独立して上記に記載される構造(I)によって表される1種又は複数の化合物からなる(b)組成物から本質的になる。流体セット中の個々の水性粒子不含流体は、同じ又は異なる(b)組成物を有してもよい。(b)組成物の1種又は複数の化合物、例えばRが2-フェニル又は2-フェノキシであるものは、水性粒子不含流体の総質量に対して少なくとも0.5質量%かつ2質量%以下(その値を含む)の量で水性粒子不含流体に存在してもよい。
特定の実施形態では、水性粒子不含流体は、それらの(b)組成物の他に異なる一般的な組成物を有することができ、2種以上の異なる印刷供給機能に好適である。例えば、「補充液」水性粒子不含流体を使用して、インクタンク内の水性インクジェットインク組成物から蒸発した溶媒を回復し、その組成物を以前の着色剤濃度に戻すことができる。そのような水性粒子不含流体は、一般的に上記に記載される(b)組成物のみから本質的になる。しかし、そのような水性粒子不含流体は、以下により詳細に記載されるように、保水剤、共溶媒、補足抗菌剤、界面活性剤、促進剤又はこれらの任意の組合せを更に含むことも可能である。例えば、そのような水性粒子不含流体は、望ましくはインクの再利用の際に蒸発して失われる揮発性有機溶媒、又は二酸化炭素の取込みから生じる炭酸形成によるpHの変動を軽減するための弱有機塩基(例えば、アルカノールアミン)も含有してもよい。インクタンク内のインクの相対濃度を決定する連続インクジェットプリンタの流体システムの方法は、インクのイオン伝導性(又は代替的にはその抵抗率)を測定するためのものであるため、回復されたインクの流体特性及びイオンの総量を、繰り返しの補充液の添加から積み重なる寄与によって顕著に変更することは望ましくない。したがって、例えば有機溶媒、保水剤、pH及びイオン伝導性改質添加剤、ポリマー化合物、界面活性剤及び抑泡剤の補充液水性粒子不含流体の含有量を最低限に抑えることが所望される。
「保守」水性粒子不含流体であるプリントヘッドクリーナー及び貯留流体を使用して、ノズルプレートのノズル上及びその周囲に形成し、インクジェットの真直度及びインクジェットの安定性に干渉する乾燥したインク堆積物を再溶解、再分散又は可溶化してもよい。この場合、流体を使用してプリントヘッドのインク流路及び外面をパージし、インクをフラッシングして除去することができる。水性粒子不含流体は、湿潤部分を長期の貯留期間後の効率的なスタートアップのための準備ができた状態に保つためにも好適であるが、フラッシング、クリーニング及び貯留の種々のプリントヘッド及び流体システム保守機能が、所望される特化した個々の水性粒子不含流体によって達成されてもよい。
(b)組成物に加え、本発明によるプリントヘッドクリーナー及び貯留水性粒子不含流体は、望ましくは流体ビヒクル(水)の、乾燥した水性インクジェットインク組成物の堆積物中の乾燥した顔料粒子に浸透及び溶媒和する有効性を向上させる有機溶媒から構成されてもよい。流体は、これらに限定されないが、可溶化剤、共溶媒、粘度改質剤、塩基、酸、pH緩衝剤、キレート剤、分散剤、水溶性又は水分散性ポリマー、防食剤、粘度改質剤、浸透剤、湿潤剤、抑泡剤及び消泡剤を含む任意選択の添加剤を更に含有してもよい。乾燥した水性インクジェットインク組成物に有効な溶媒は、当技術分野において浸透剤としても公知である動的表面張力を低減する共溶媒のクラスから選択されてもよく、動的表面張力を低減する極性共溶媒剤も、機能的な表面張力改質剤とみなされる(つまり、流体の表面張力を低減させることができ、自己凝集が可能な両親媒性組成物を含む低分子量の揮発性溶媒である「ソルボ界面活性剤」と適切に称される)。モル及び質量分率基準では、そのようなソルボ溶媒は、平衡表面張力の低減に関して従来の界面活性剤より有効でない表面改質剤である。乾燥した水性インクジェットインク組成物の除去に用いられるソルボ界面活性剤は、望ましくは非対称多価アルコール又は多価アルコールに由来するモノアルキルエーテルを含む。多価アルコールから生じる低級(C1~C4)モノアルキルエーテル及び誘導体の特定の例は、これらに限定されないが、とりわけ、すべてDow Chemical Co.社によるDOWANOL、CELLUSOLVE(登録商標)及びCARBITOL(登録商標)シリーズとして配給されるエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを含む。そのようなソルボ界面活性剤は、すべて水性粒子不含流体の総質量に対して少なくとも0.1質量%かつ20質量%以下(その値を含む)の量、又は更には少なくとも3質量%かつ6質量%以下(その値を含む)の量で、単独又は組合せで使用されてもよい。
流体pHの増加は、乾燥した水性インクジェットインク組成物の除去に有益である場合があり、水性粒子不含のプリントヘッドクリーナーのpHは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、N-メチルエタノールアミン、N-ベンジル-N-メチルエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、N,N-ジメチル-2-(2-アミノエトキシ)エタノール、N-メチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン及びトリエタノールアミンを含む、ヒドロキシル基によって置換された脂肪族アミン(例えば、アルカノールアミン)等の有機塩基によって必要に応じて上昇される。高いpHの水性粒子不含流体は、少なくとも10かつ11以下(その値を含む)のpHを有してもよい。
首尾よいクリーニングには、汚染されたプリントヘッドパーツの湿潤が重要である。十分なソルボ界面活性剤が用いられる場合、さらなる動的又は静的表面張力改質剤は必要とされない可能性がある。そうでなければ、界面活性剤が含まれてもよい。これらの種類の代表的な化合物は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許8,764,161(上述)の第12欄(第27~62行)に記載される。アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性の性質でありうる1種又は複数の界面活性剤が、水性粒子不含流体の総質量に対して少なくとも0.01質量%かつ10質量%以下(その値を含む)の量で水性粒子不含流体に存在してもよい。長い表面年代において表面張力を制御するように働く任意の薬剤が有用に用いられてもよいが、界面活性剤は、望ましくは約1,000ダルトン未満の質量で正規化された分子量を有する。荷電した界面活性剤は、それらの結合塊を有効に増加させる水和水の凝集のために水性流体に比較的緩徐に拡散する場合があるが、有用な非イオン性界面活性剤は、望ましくは約350ダルトンを超える、約400ダルトンを超える、又は更には約500ダルトンを超える分子量を有し、これによりバルクのインクにおける緩徐な拡散を確実にして、静的又は平衡表面張力の明確な制御を可能にする。好適な非イオン性界面活性剤の例は、これらに限定されないが、直鎖状又は第二級アルコールエトキシレート(Dow Chemical Company社から入手可能なTERGITOL(登録商標)15-S及びTERGITOL(登録商標)TMNシリーズの化合物、並びにCroda International Plc.社のBRIJ(登録商標)シリーズの化合物等)、エトキシル化アルキルフェノール(Dow Chemical Company社のTRITON(登録商標)シリーズの化合物等)、フルオロ界面活性剤(DuPont社のZONYL(登録商標)化合物及び3M社のFLUORAD(登録商標)化合物等)、脂肪酸エトキシレート、脂肪酸アミドエトキシレート、エトキシル化及びプロポキシル化ブロックコポリマー(BASF Corp.社のPLURONIC(登録商標)及びTETRONIC(登録商標)シリーズの化合物等)、エトキシル化及びプロポキシル化シリコーンベースの界面活性剤(Momentive社のSILWET(登録商標)シリーズの化合物等)、アルキルポリグリコシド(BASF Corp.社のGLUCOPONS化合物等)並びにアセチレン系ジオールポリエチレンオキシド界面活性剤(Evonik Corp.社のSURFYNOL(登録商標)ファミリーの化合物等)を含む。ポリマー界面活性剤は、それらの凝集する傾向に部分的に依存して水溶性又は水分散性でありうる。顔料を分散し、乾燥した水性インクジェットインク化合物を再分散させるのに好適な有用な界面活性剤ブレンドは、ZETASPERSE(登録商標)1600(Evonik Corp.社)である。
更に、スチレンアクリル系ポリマーをプリントヘッドクリーナー及び貯留流体に使用することができる。水溶性又は水分散性ポリマー成分は、顔料着色剤用のポリマー分散剤として使用される上記に記載されたポリマー、又は水性インクジェットインク組成物に組み込まれるアニオン性ポリマーと同じ又は同様であってもよい。そのような材料は、インクジェット印刷された画像の物理的耐久性を向上させるため、又はギアポンプによって媒介される再循環濾過に対するコロイドの安定性等の組成物の他の特徴を向上させるために水性インクジェットインク組成物に存在する。例えば、そのような水溶性又は水分散性ポリマー成分は、対応するエチレン性不飽和重合性モノマーに由来する親水性及び疎水性の両方の繰り返し単位を有するランダム又はブロックコポリマーであってもよい。これらは、主にスチレンモノマー及び(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリレートエステルモノマーに由来する「アクリル系」及び「スチレンアクリル系」でありうる。一部の有用な水溶性又は水分散性ポリマー成分は、米国特許8,764,161(上述)の第7欄(第24行)~第8欄(第55行)に提供される種々のモノマー及び教示に由来してもよい。他の有用な(3)水溶性又は水分散性ポリマー化合物は、例えば米国特許8,764,161(上述)の第10欄(第24~46行)に記載されるポリ(エチレン-オキシド)セグメントを有する水溶性ポリマー及び水分散性ポリウレタンであってもよい。所望であれば、これらの材料の同じ又は異なるクラスの2種以上の混合物が使用されてもよい。
1種若しくは複数の水溶性又は水分散性ポリマー成分は、すべて水性粒子不含流体の総質量に対して20質量%以下(その値を含む)、若しくは少なくとも0.2質量%かつ10質量%以下(その値を含む)、若しくは更には少なくとも0.5質量%かつ8質量%以下(その値を含む)の量、又はより適切には少なくとも2質量%かつ5質量%以下(その値を含む)の量で各水性粒子不含流体に独立して存在してもよい。
プリントヘッドクリーニング及び貯留供給に使用される水性粒子不含流体は、望ましくは保水剤、共溶媒又は両方を含有し、長期の印刷のない期間後のインクジェット印刷のスタートアップを容易にする。インクジェット技術において公知の、かつ本発明の他の要件と適合性がある任意の水溶性保水剤又は共溶媒が用いられてもよい。水溶性とは、用いられる保水剤又は共溶媒と水の混合物が十分に均質であり、自発的に相分離しないことを意味する。個々の保水剤又は共溶媒が用いられてもよいが、有用な水性粒子不含流体組成物は、それぞれが有用な特性を与える2、3以上の保水剤と共溶媒の混合物を用いてもよい。水性ベースのインク組成物に使用される保水剤及び共溶媒の代表的な例は、(1)メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、フルフリルアルコール及びテトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール、(2)エチレングリコール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、プロピレングリコール、ジ(プロピレングリコール)、200~約5000ダルトンの範囲の平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(特にポリ(エチレングリコール)-400(約400の平均Mn、本明細書で便宜上PEG-400と称される))、200~約5000ダルトンの範囲の平均分子量を有するポリプロピレングリコール(特にポリ(プロピレングリコール)-425(約425の平均Mn))、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2,4-ブタントリオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,8-オクタンジオール、グリセロール、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-2-ヒドロキシメチル-プロパンジオール、2-メチル-2-ヒドロキシメチル-プロパンジオール、糖類及び糖アルコール及びチオグリコール等の多価アルコール、(3)ポリ酸化ポリオール及びジグリセロール、ポリグリセロール、グリセロールエトキシド、グリセロールプロポキシド、グリセリス、アルキル化及びアセチル化グリセリス等のそれらの誘導体、ソルビトール又はフルクトース、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールエトキシド及びペンタエリスリトールプロポキシド等の糖類並びにそれらのアルキル化及びアセチル化誘導体を含む。主に保水剤として働き、水性粒子不含流体の乾燥を遅らせ、水性インクジェットインク組成物の再分散性を補助するための特に望ましい原料は、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、関連するポリオール、及び望ましいこれらの多価アルコール誘導体を含む。トリエチレングリコールが特に有用である。流体又はインクの保水剤と共溶媒の全レベルは、保水剤又は混和性の極性有機共溶媒、DST-改質共溶媒(ソルボ界面活性剤)、及び任意の他の共溶媒原料の個々の寄与の合計であり、任意の他の共溶媒原料は、水性粒子不含流体の全体又はインクの配合中に直接又は偶発的に添加される保水剤又は有機共溶媒(例えば、商業的な殺生物剤調製物に補足原料として、又は米国出願第2005/0075415号(Harz et al.)に記載されるように、ボトルキャップの周囲に形成する乾燥した顔料ケーキのいわゆる「塗料フレーク」を防ぐために存在しうる、商業的な顔料分散体調製物に付随する共溶媒)を含んでもよい。1種又は複数の(c)保水剤、共溶媒又は保水剤及び共溶媒の両方は、すべて水性粒子不含流体の総質量に対して20質量%未満、又は少なくとも0.5質量%、又は少なくとも1質量%かつ15質量%以下(その値を含む)、又は少なくとも3質量%かつ10質量%以下(その値を含む)の量で水性粒子不含流体に存在してもよい。より望ましくは、保水剤と共溶媒の全レベルは10質量%以下である。
各水性粒子不含流体は、構造(I)によって表される化合物の有効性を潜在的に増強するために、(b)組成物中の1種又は複数の化合物のための1種又は複数の促進剤を更に含有してもよい。上記に記載されたように、そのような促進剤は一般的に、それぞれが少なくとも7個の炭素原子かつ12個以下(その値を含む)の炭素原子を有し、特に少なくとも7個の炭素原子かつ10個以下(その値を含む)の炭素原子を有するアルカンジオールである。促進剤として単独又は組合せで使用されてもよい代表的な有用な化合物は、上記に記載される。これに関して、1,2-オクタンジオールが促進剤として特に有用である。
1種又は複数の促進剤は、水性インクジェットインク組成物の総質量に対して1.5質量%以下又は1.25質量%以下の総量で各水性粒子不含流体に存在してもよい。最小量は、少なくとも0.3質量%でありうる。
また、1種又は複数の(d)補足抗菌化合物が独立して流体セットの各水性粒子不含流体に存在してもよく、そのような材料は、上記に記載された(b)組成物とは異なる。代表的な材料は、これらに限定されないが、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル(CAS 55406-53-6)、ピロクトンオラミン(CAS 68890-66-4)、2,4-ジクロロベンジルアルコール(CAS 1777-82-8)、ホウ酸(CAS 10043-35-3)並びにホウ酸に由来する一価及び二価の金属イオン塩、並びにこれらの材料のいずれかの組合せを含む。1種又は複数の補足抗菌剤の有用な量は、水性粒子不含流体の総質量に対して少なくとも0.01質量%かつ3質量%以下(その値を含む)である。
インクジェット印刷の方法
インクジェット印刷に有用な種々の方法及び装置に関する詳細が多数の公開に提供されるが、それらの技術のいずれも、上記に定義される構造(I)によって表される化合物を有する(b)組成物を使用して実行されるような方法、又は本発明によって達成される利点について記載していない。
本発明による方法は、まず好適な基材(当技術分野で「受容体」又は「受容体要素」としても公知)を準備する工程によって実行される。任意の個々の基材は、好適な機器及びプロセスを使用してその上に水性インクジェットインク組成物がインク噴射されうる「印刷可能」領域をもつ、少なくとも1つの表面を有すると理解されるものを有する。
好適な基材は、典型的に本質的に平面状であり、2つの対向する表面又は支持側面を有し、それらの1つ又は両方がインクジェット印刷され、同じ又は異なる画像を付与する。基材は、単一の「層」若しくは階層を有してもよく、又は同じ若しくは異なる材料から構成される複数の層若しくは階層から構成されてもよい。ほとんどの場合、基材は、ポリマーコーティング等の1種又は複数の他の種類の材料でコーティングされた、又はそれと層状になったセルロース材料等の主要な材料を有する。
例えば、代表的な基材は、これらに限定されないが、種々の商業的供給源から市販の高輝度ホワイトインクジェット紙等のフォト光沢受容体又は平面紙受容体(例えば、米国特許8,187,371(上述)の第13欄、第28~34行に記載されるような)を含みうる。フォト光沢受容体(膨張性媒体又は微多孔質媒体としても公知)は、下層の紙支持体上のコート層を用いて製造することができ、また印画品質のインクジェット印刷された画像を付与するために有用である。そのような基材の一部の詳細は、米国特許8,187,371(上述)の第13欄、第37~51行に提供される。平面紙は、当技術分野において周知のように、製造中又は後に多価塩によって処理されてもよい。他の有用な基材は、米国特許6,045,917(Missell et al.)、5,605,750(Romano et al.)、5,723,211 (Romano et al.)及び5,789,070(Shaw-Klein et al.)に記載される。
有用な紙基材は、平面ボンド紙、表面処理紙、コーティングされた又はカレンダー処理された業務用光沢紙、樹脂コート紙、紙層及びポリエステルフィルム層等のポリマーフィルム層の両方を含む積層基材及び厚紙原紙を含む。布地、ボール紙又は板紙材料、有機若しくは無機ポリマー材料、微多孔質材料、不織布合成品及びインクジェット印刷可能基材を形成するために当技術分野において公知の任意の他の基材材料を使用することもできる。基材は、透明、半透明、又は不透明であってもよく、剛性若しくは半剛性シート、切断若しくは連続フィルム若しくはウェブ、又は巻取ロールの形態でインクジェット印刷のために準備されてもよい。
インクジェット印刷されたカラー画像の耐久性及び他の特性は、得られる画像の品質を増強させるための組成物によって事前処理された基材を使用することによって向上させることができる。この事前処理は典型的に、基材をインクジェット印刷装置(連続インクジェット印刷装置等)に組み込む前に行われるが、一部の場合では、基材は、1種又は複数の水性インクジェットインク組成物により、インクジェット印刷前に装置内で事前処理されてもよい。基材の1つ又は両方の対向する表面(平面状側面)が事前処理されてもよく、又は1つの支持表面が事前処理され、反対側の支持表面は処理されないままであってもよい。
例えば、基材は、これらに限定されないが、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛及びアルミニウムカチオンを含み、カルシウム及びマグネシウムカチオンが特に有用である1種又は複数の多価カチオンを含む塩等の水溶性多価金属イオン塩を含む事前処理組成物によって事前処理されてもよい。有用な塩が当業者によって決定されうるように、そのようなカチオンをもたらすための有用な多価金属カチオン塩の例は当技術分野において公知である。そのような事前処理の手順及び組成物の詳細は、例えば米国特許9,067,448(Dannhauser et al.)に提供される。
本発明による各水性インクジェットインク組成物[上記に記載されたように、要求される粘度、並びに(a)ポリマー分散型顔料着色剤、(b)構造(I)の化合物からなる組成物、及び(c)化合物のすべてを有する]は、制御された様式で好適なプリントヘッドから基材の少なくとも1つの表面にインクジェット印刷され、基材のその表面にインクジェット印刷された画像を付与することができる。
本発明による水性インクジェットインク組成物は、1種又は複数のDOD印刷システムで有用である場合があるが、利点は、本発明がCIJ印刷プロセス及び機器を使用して実行される場合に特に明白である。当技術分野において公知の複数のCIJ印刷プロセスが存在し、本発明は1つのCIJプロセスに限定されないが、本発明を実行する上で他のものより有用な特定のCIJプロセスが存在する可能性がある。一般的に、そのようなCIJプロセスは、1種又は複数のプリントヘッド(ノズルを含有する)から射出される1種又は複数の水性インクジェットインク組成物を使用し、印刷されない水性インクジェットインク組成物は、使い切られるまで印刷システムによって複数回収集され、再利用される。更に、CIJ印刷システムは、組み込まれた補充液システムを有してもよい。そのようなCIJプロセス及び機器の詳細は、例えば米国特許8,173,215(上述)に提供される。
したがって、ほとんどのCIJインクジェット印刷プロセスでは、本発明による各水性インクジェットインク組成物は、それのみに特化した主要流体配給部から、印刷用液滴及び非印刷用液滴の両方へと分けられる水性インクジェットインク組成物の連続ストリームとして射出又は印刷される。各水性インクジェットインク組成物の非印刷用液滴は、「捕捉部」等の好適な収集手段を使用して収集され、そのそれぞれの主要流体配給部に戻されてもよい。この状況全体は、単一の(第1の)水性インクジェットインク組成物を単独で、又は第1の水性インクジェットインク組成物と同じ若しくは異なる「色」若しくは色合いを有する1種若しくは複数の「追加の」水性インクジェットインク組成物と組み合わせて使用して実行されてもよい。この場合、複数の水性インクジェットインク組成物が、特定のソフトウェア及びデジタル入力によって制御することができる選択された順序で、制御された様式でインクジェット印刷され、基材の表面に多色インクジェット印刷された画像を付与する。
更に、水性「無色」若しくは水性粒子不含組成物又は流体(上記に記載されるような)のインクジェット印刷が、「着色された」水性インクジェットインク組成物のインクジェット印刷と同時又は順番に実行されてもよい。例えば、米国特許出願公開2018/0051184(Lussier et al.)によると、単色又は多色インクジェット印刷された画像の上に無色ラッカー又は保護コーティングが塗布されてもよい。
本明細書で示されるように、そのようなプロセスで使用される各水性インクジェットインク組成物、流体の水性無色組成物又は水性粒子不含組成物は、記載される(a)1種又は複数のポリマー分散型顔料着色剤(水性インクジェットインク組成物の場合のみ)、記載される(b)構造(I)によって定義される化合物からなる組成物、及び記載される(c)化合物を含むように本明細書によって設計されてもよい。しかし、本発明による方法に使用されるそのような水性組成物すべては、すべて(b)組成物とは異なる1種又は複数の(d)補足抗菌化合物を更に含んでもよい。
有用なCIJ印刷プロセス及び機器は、インクの電気抵抗率を測定し、かつ例えば米国特許5,526,026(Bowers)及びEP 0597628B1(Loyd et al.)に記載される補充システムを含んでもよい。インク濃度の検出のための他の手段を用いる有用なCIJ印刷プロセス及び機器が、米国特許7,221,440(McCann et al.)及びEP 0571784B1(McCann et al.)及びEP 1,013,450B1(Woolard et al.)に開示される。
一実施形態では、基本的な補充は以下のように実行される:流体システムがインク抵抗率測定セルを含有し、水性インクジェットインク組成物が、プリントヘッドを含むシステムのインク取扱部分の中を再循環する際に測定セルの中を通る。循環手段がインク抵抗率セルの抵抗を決定する。循環手段に応答性の論理及び制御ユニットが、補足「インク」配給部からの水性インクジェットインク組成物の移動、及び補充キャリア流体配給部からシステムの主要流体配給部への水性粒子不含流体(「キャリア流体」)の移動を制御し、水性インクジェットインク組成物の所望の抵抗率を維持する。水性インクジェットインク組成物の体積がフロート弁位置によってモニタリングされ、所定の体積が枯渇したとき、所定の体積が補足「インク」配給部からの水性インクジェットインク組成物によって、又は補充キャリア流体配給部からのキャリア流体によってのいずれかで置き換えられる。
したがって、第1及び任意の追加の水性インクジェットインク組成物は、それぞれが上記に記載された同じ又は異なる(a)、(b)及び(c)成分、特に上記に記述された同じ又は異なる構造(I)によって定義される化合物からなる(b)組成物から本質的になる第1及び任意の追加の水性インクジェットインク組成物によってそれぞれ補充されてもよい。
他の例では、本発明による方法は、主要流体配給部を、25℃で5センチポアズ(5mPa-秒)以下の動的粘度を有する水性粒子不含流体によって補充する工程を更に含んでもよく、水性粒子不含流体は、
上記に記載された第1の水性インクジェットインク組成物に存在するものと同じ又は異なる(b)組成物
から本質的になる。
そのような水性粒子不含流体は、(b)組成物とは異なる、上記に記載された(d)補足抗菌化合物を更に含んでもよい。例えば、(d)補足抗菌化合物は、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、ピロクトンオラミン、2,4-ジクロロベンジルアルコール、ホウ酸又はこれらの化合物の組合せでありうる。
補充に使用される水性粒子不含流体は、1種又は複数の(b)化合物のための1種又は複数の促進剤も含有してもよく、促進剤のそれぞれは、水性インクジェットインク組成物の総質量に対して1.5質量%以下の量の、少なくとも7個の炭素原子かつ12個以下(その値を含む)の炭素原子を有するアルカンジオールである。例えば、促進剤は1,2-オクタンジオールでありうる。
一部の実施形態では、本発明による方法は、連続流体ストリームから形成される複数の印刷用液滴を使用して実行され、印刷用液滴と異なる体積の非印刷用液滴は、液滴偏向手段によって収集及び再循環のための「ガター」へと方向転換される。そのようなCIJ印刷システム及び機器に関する詳細は、例えば米国特許6,588,888 (Jeanmaire et al.)、6,554,410(Jeanmaire et al.)、6,682,182 (Jeanmaire et al.)、6,793,328(Jeanmaire et al.)、6,866,370(Jeanmaire et al.)、6,575,566(Jeanmaire et al.)及び6,517,197 (Hawkins et al.)並びに米国特許出願公開2002/0202054(Jeanmaire et al.)に提供される。
他の実施形態では、水性インクジェットインク組成物は、例えば米国特許6,079,821(Chwalek et al.)及び6,505,921(Chwalek)に記載されるように、流体ストリームに非対称的に熱を加え、これが液滴の分割を開始させ、生じた液滴を導くように作用することにより、形成された印刷用液滴及び非印刷用液滴の方向を制御することができる装置を使用して印刷されてもよい。CIJ印刷のための有用な撹拌、加熱配給、プリントヘッド及び流体濾過手段は、例えばその開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許6,817,705(Crockett et al.)に記載される。
CIJ印刷システムの簡略な概略図は、米国特許8,764,161(上述)の図1に提供される。
更に、一部の実施形態では、本発明による方法は、
第1の水性インクジェットインク組成物のインクジェット印刷を停止する工程、
水性粒子不含流体(上記に記載される)を保守流体配給部からプリントヘッドに送達する工程、及び
プリントヘッドから水性粒子不含流体を射出し、プリントヘッドから第1の水性インクジェットインク組成物をパージする工程
を更に含み、水性粒子不含流体は、落球式粘度計を使用して測定して25℃で5センチポアズ(5mPa-秒)以下の動的粘度を有し、
上記に記載される、第1の水性インクジェットインク組成物に存在するものと同じ又は異なる(b)組成物
から本質的になる。
そのような水性粒子不含流体は、水性粒子不含流体の総質量に対して15質量%以下の、水溶性保水剤、共溶媒並びに水溶性保水剤及び共溶媒の両方から選択される1種又は複数の化合物を更に含有してもよい。
更に、水性粒子不含流体は、(b)組成物のための1種又は複数の促進剤を更に含有してもよく、促進剤のそれぞれは、水性粒子不含流体の総質量に対して1.5質量%以下の量の、少なくとも7個の炭素原子かつ12個以下(その値を含む)の炭素原子を有するアルカンジオールである。
この一連の工程で使用される水性粒子不含流体は、選択された間隔で、又は印刷ジョブが完了した若しくは何らかの理由で中断したときにプリントヘッドをクリーニングするために使用される「保守流体」とみなされてもよい。保守流体は、プリントヘッドに一定期間貯留されてもよく、新たな印刷手順のために、主要及び任意の他のそれぞれの流体配給部からそれぞれのプリントヘッドへの第1又は追加の水性インクジェットインク組成物の送達がその後再開されてもよい。
この様式での保守流体としての水性粒子不含組成物の使用に関するさらなる詳細は、米国特許8,764,161(上述)に提供される。
本発明の一部の実施形態によると、連続インクジェットプリンタシステムを使用して画像を印刷する方法は、
基材を準備する工程(上記に記載される通り)、
第1の水性インクジェットインク組成物を含有する主要流体配給部と流体連通したノズルを含む、複数のノズルを有する噴射モジュールを準備する工程[そのような機器は、米国特許9,010,909(Nelson et al.)の教示を考慮して当業者に容易に公知である]、
時間的に変化する電気信号に応答した液滴刺激により、主要流体配給部と流体連通したノズルから第1の水性インクジェットインク組成物が噴射される間に、第1の水性インクジェットインク組成物の液滴を形成させる工程[この機能を実施するために使用される機器は、米国特許9,010,909(Nelson et al.)の教示を考慮して当業者に容易に明白である]、
液滴接触面を含む捕捉部を準備する工程[米国特許9,010,909(上述)の教示を考慮して当業者に公知である]、
偏向機構を使用して、第1の水性インクジェットインク組成物の液滴の少なくとも一部を捕捉部の液滴接触面に偏向させると同時に、第1の水性インクジェットインク組成物の他の液滴が捕捉部を通り過ぎ、基材の表面に堆積することを可能にする工程[米国特許9,010,909(上述)の教示を考慮して当業者に公知である]、及び
液滴接触面と接触する水性インクジェットインク組成物の液滴を液滴接触面に沿って流動させる工程[米国特許9,010,909(上述)の教示を考慮して当業者に公知である]
を含んでもよく、第1の水性インクジェットインク組成物は、25℃で5センチポアズ(5mPa-秒)以下の動的粘度を有し、
(a)水性インクジェットインク組成物の総質量に対して少なくとも0.9質量%かつ6質量%以下(その値を含む)の総量の1種又は複数のポリマー分散型顔料着色剤(上記に記載される)、
(b)水性インクジェットインク組成物の総質量に対して少なくとも0.5質量%かつ2質量%以下(その値を含む)の総量の、以下の構造(I):
HO-CH2-CH2-R (I)
(式中、Rは、置換若しくは非置換フェニル基、又は置換若しくは非置換フェノキシ基である)
によって表される1種又は複数の化合物からなる組成物(上記に記載される)、
(c)水性インクジェット組成物の総質量に対して15質量%以下の、水溶性保水剤、共溶媒、並びに水溶性保水剤及び共溶媒の両方から選択される1種又は複数の化合物(上記に記載される)
から本質的になり、
1種又は複数のポリマー分散型顔料着色剤のそれぞれは、70nm未満の50パーセンタイル粒子直径及び150nm未満の95パーセンタイル粒子直径を有し、すべての粒子直径は動的光散乱粒径分析器を使用して測定される。
一部の実施形態では、記述される方法に使用される第1の水性インクジェットインク組成物の液滴の少なくとも一部(偏向される液滴)は、第1の水性インクジェットインク組成物の他の液滴(偏向されない、及び堆積した液滴)より小さい。
更に他の実施形態では、第1の水性インクジェットインク組成物の液滴の少なくとも一部(偏向される液滴)は、第1の水性インクジェットインク組成物の他の液滴(偏向されない、及び堆積した液滴)より大きい。
更に、連続インクジェット(CIJ)印刷のための本発明による方法は、
連続インクジェットプリンタ(当技術分野において公知のような)の主要流体配給部に、25℃で5センチポアズ(5mPa-秒)以下の動的粘度を有し、
(a)水性インクジェットインク組成物の総質量に対して少なくとも0.9質量%かつ6質量%以下(その値を含む)の総量の1種又は複数のポリマー分散型顔料着色剤(上記に記載される)、
(b)水性インクジェットインク組成物の総質量に対して少なくとも0.5質量%かつ2質量%以下(その値を含む)の総量の、以下の構造(I):
HO-CH2-CH2-R (I)
(式中、Rは、置換若しくは非置換フェニル基、又は置換若しくは非置換フェノキシ基である)
によって表される1種又は複数の化合物からなる組成物(上記に記載される)、
(c)水性インクジェット組成物の総質量に対して15質量%以下の、水溶性保水剤、共溶媒、並びに水溶性保水剤及び共溶媒の両方から選択される1種又は複数の化合物(上記に記載される)
から本質的になる第1の水性インクジェットインク組成物(上記に記載される)を配給する工程であり、
1種又は複数のポリマー分散型顔料着色剤のそれぞれが、70nm未満の50パーセンタイル粒子直径及び150nm未満の95パーセンタイル粒子直径を有し、すべての粒子直径が動的光散乱粒径分析器を使用して測定される工程、
第1の水性インクジェットインク組成物の液滴の連続ストリームを液滴生成機構から射出する工程(当技術分野において公知のように)、
制御機構から受信された電気信号に応答して、基材に画像形成するための印刷用液滴と、収集されて主要流体配給部に戻される非印刷用液滴とを選別する工程であり、いずれの種類の液滴も第1の水性インクジェットインク組成物からのものである工程、及び
主要流体配給部中の第1の水性インクジェットインク組成物の抵抗率の関数として主要流体配給部に補充する工程
を含んでもよい。補充は、上記に記載される第1の水性インクジェットインク組成物を補充すること、又は水性粒子不含流体を補充することを使用して達成されてもよい。
さらなるCIJ印刷プロセス及び有用なCIJ装置の詳細は、例えば米国特許8,585,189(Marcus et al.)、8,651,632(Marcus et al.)、8,696,094(Marcus et al.)、8,888,256(Marcus)及び9,969,178(Roberts et al.)に記載される。
印刷物
生じたインクジェット印刷物(又は印刷された受容要素)は、文書、紙幣、郵便切手、包装材料、布帛、ポリマーフィルム若しくはシート、不織布ウェブ又はシート、衣類、香料のためのラベル、又はワインボトルのラベル、抽選券、パスポート、運転免許証、及び本明細書中で提供される教示を使用して当業者には容易に明らかであると思われる他の物品又は書類を含むがこれらに限定されない物品の少なくとも1つの支持表面における単色又は多色画像を有することができる。
以下の実施例を、本発明の1つ又は複数の態様及び実施形態の実施を例示するために提示する。
以下の調製及び例において、顔料分散体の報告された顔料含有率は、最終の分散体で受けたままの着色剤の質量パーセントに基づく。
水性インクジェットインク及び供給流体組成物の調製
ポリマー分散剤及び添加剤の調製:
ポリマー分散剤P-1
代表的手順では、機械的撹拌機、還流凝縮器、及びガス導入口を備えた5リットルの、3ツ口丸底フラスコに、225gの1-メトキシ-2-プロパノールを装填し、窒素でパージした。Akzo-Nobel Chemicals,Inc.社の、開始剤PERKADOX(登録商標)AMBN-GR(1.9g)を撹拌しながら加えた。反応物貯蔵器に225gの1-メトキシ-2-プロパノール、23.4gの1-ドデカンチオール、203.5gのベンジルメタクリレート、165.0gのステアリルメタクリレート、及び181.5gのメタクリル酸を装填し、溶液を窒素スパージングで脱気した。溶液に、PERKADOX(登録商標)AMBN-GR(7.7g)を加え、混合した。反応装置の温度を77℃に上げ、反応物を貯蔵器から約2.3ml/分で360分間かけてポンプで輸送した。次に、反応混合物を少なくとも12時間約77℃で撹拌した。生じたポリマーに、N,N-ジメチルエタノールアミンで完全に中和し、45分間撹拌した。反応混合物を2,580gの水で希釈し、Pall Corp.社のULTIPLEAT(登録商標)ポリプロピレンカートリッジフィルターを通して濾過した。ポリマー分散剤P-1の最終ポリマー溶液は、約20質量%固体の濃度を有し、そのpHは8.6であった。ポリマーの質量平均分子量は9,070ダルトンであった。
ポリマー分散剤P-2
ポリマー分散剤P-2を、中和工程中に1当量のN,N-ジメチルエタノールアミンを用いる代わりに、酸の90%を水酸化カリウムと反応させたこと以外は、P-1と同様な様式で調製した。ポリマー分散剤P-2の最終ポリマー溶液は、約17質量%固体の濃度を有した。
ポリマー添加剤P-3
モノマー質量比77: 23及び約137の酸価を有するベンジルメタクリレート-メタクリル酸コポリマーを、水酸化カリウムで90%中和して水溶液を得た。ポリマー添加剤P-3の最終ポリマー溶液は、約25質量%固体の濃度を有した。
ポリマー添加剤P-4
16,000ダルトンの質量平均分子量Mwを有するスチレンアクリルコポリマーであるBASF Dispersions & Pigments North America社のJONCRYL(登録商標)HPD696を、水酸化カリウムで90%中和して水溶液を得た。ポリマー添加剤P-4の最終ポリマー溶液は、約20質量%固体の濃度を有した。
ポリマー添加剤P-5
温度計、撹拌機、水凝縮器、窒素導入口、及び真空排出口を備えた50リットルの丸底フラスコに、1,454.4gのTERATHANE(登録商標)2000ポリエーテルグリコール、670.5gの2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、313.2gの1,4-ブタンジオール、及び3,771gの酢酸エチルを入れた。温度を65℃に調節して、均一溶液が得られたときに、1,840.9gのイソホロンジイソシアネート、続いて184gの酢酸エチルを加えた。温度を78℃に上げ、22時間維持して反応を完結させた。次に、反応混合物を86gの2-プロパノールで希釈した後、467.9gのN,N-ジメチルエタノールアミンで中和した。高剪断力下で、18kgの蒸留水を加え、その後、有機溶媒を真空下の蒸留により除去した。その結果生じた水性分散体を濾過し、約25質量%の非揮発性固体濃度及び約8.0のpH値を有することを決定した。ポリウレタン分散体の質量平均分子量(Mw)は、サイズ排除クロマトグラフィーにより約19,800であることが見出された。
顔料分散体の調製:
顔料分散体KD-1
2.5-ガロン(9.46リットル)、直径9インチ(22.9cm)及び深さ12インチ(30.5cm)の、4枚のじゃま板を含有する二重壁ステンレス鋼の混合容器に、水(1,000g)及びポリマー分散剤P-1の溶液(1,000gの19.9質量%溶液)を加えた。Charles Ross & Son Co.社のモデルHSM-100LH-2高剪断ミキサーによって駆動される、名目4インチ(10.2cm)の、環式分散機インペラ(Hockmeyer Equipment Corp.社のDブレード)を、混合容器の底の上2インチ(5.1cm)で中心に置き、撹拌を開始した。Cabot Corp.社のBLACK PEARLS(登録商標)900のカーボンブラック顔料(500g)を、ゆっくり流体中に混入させた。インペラ速度を増大させながら、平均粒子直径50μmのポリスチレン樹脂(スチレン及びジビニルベンゼン/エチルビニルベンゼン混合物に由来するコポリマー)のビーズを含む粉砕媒体(3,000g)をゆっくり加えた。混合物を、約19m/秒のインペラブレードの先端速度で約20時間、内部温度25~35℃で粉砕した。試料を周期的に取り出し希釈し、Microtrac Inc.社のNANOTRAC(登録商標)NPA150動的光散乱粒径分析器による粒径決定のために濾過した。粉砕が完了したら、分散体/媒体粉砕混合物を、水溶液(1,667g)で更に希釈して、約12質量%の最終顔料濃度、対イオンを含む約4.8質量%のポリマー分散剤濃度、及び約4,167gの理論的分散体バッチサイズにした。インペラを除去し、粉砕媒体を濾過により分散体から分離した。0.3μm除去有効度のPall Corp.社のPROFILE II(登録商標)デプスフィルターを通す最終濾過により、大ざっぱに4kgの分散体を、およそ80%の収率で得た。NANOTRAC(登録商標)NPA150動的光散乱分粒器により特徴付けられるように、体積加重粒50パーセンタイル粒径分布直径は約55nmであり、95パーセンタイル粒径分布直径は約99nmであった。
顔料分散体MD-1
マゼンタ顔料分散体MD-1を、BASF Dispersions & Pigments North America社のCINQUASIA(登録商標)マゼンタD4500Jを、カーボンブラック顔料の代わりに使用したこと以外は、顔料分散体KD-1と同様な様式で調製した。生じた分散体は、およそ12質量%の顔料及び対イオンを含む6.1質量%のポリマー分散剤を有した。NANOTRAC(登録商標)NPA150動的光散乱粒子分粒器により特徴付けられるように、体積加重中央粒径は約16nmであり、95パーセンタイル粒径分布直径は約59nmであった。
顔料分散体CD-1
シアン顔料分散体CD-1を、Lubrizol Corp.社のSOLSPERSE(登録商標)12000及びポリマー添加剤P-3の存在下で、ピグメントブルー15: 4及びピグメントグリーン7を3.75: 1の比でカーボンブラック顔料の代わりに使用し、ポリマー分散剤P-2をP-1の代わりに使用した以外は、顔料分散体KD-1と同様な様式で調製した。生じた分散体は、およそ12質量%の顔料及び対イオンを含む8.5質量%のポリマー分散剤を有した。NANOTRAC(登録商標)NPA150動的光散乱粒子分粒器により特徴付けられるように、体積加重50パーセンタイル粒径分布直径は約28nmであり、95パーセンタイル粒径分布直径は約86nmである。
顔料分散体YD-1
4枚のじゃま板を含有する、10ガロン(37.85リットル)、直径13インチ(33cm)及び深さ17インチ(43.2cm)、二重壁ステンレス鋼の混合容器に、2,560gの水及び2,400gのポリマー分散剤P-2の15%溶液を加えた。Hockmeyer社のモデルHBI-7.5-11-99高剪断ミキサーによって駆動される名目6インチ(15.2cm)の環式分散インペラ(Hockmeyer Equipment Corp.社のD-ブレード)を、混合容器の底の上3インチ(7.6cm)で中心に置き、撹拌を開始した。Sun Chemical Co.社のピグメントイエロー74(1,200g)をゆっくり流体に加えた。インペラ速度を増大させながら、スチレン及びジビニルベンゼン/エチルビニルベンゼン混合物に由来する平均粒子直径が50μmのポリマービーズ(7,200g)を含む粉砕媒体をゆっくり加えた。混合物を、約20メートル/秒のインペラブレード先端速度で約20時間、25~30℃の内部温度で粉砕した。分散体/媒体混合物を水(6,000g)で更に希釈して、最終顔料濃度を約12質量%、及びポリマー添加剤P-2濃度を約4.1質量%にした。インペラを除去し、分散体を濾過により粉砕媒体から分離した。0.3μm粒子除去等級のPall Corp.社のPROFILE II(登録商標)デプスフィルターを通す最終濾過により、大ざっぱに10.6kgの分散体を得た。分散体の体積加重50パーセンタイル粒径分布直径は、NANOTRAC(登録商標)NPA150動的光散乱分粒器により決定されたように、約11nmであり、95パーセンタイル粒径分布直径は約16nmであった。
連続インクジェットインク及び供給流体組成物の調製:
水性ブラックインクジェットインク組成物
ブラック顔料系CIJ水性インクジェットインク組成物K-A(E)を、顔料分散体KD-1を使用して、成分を以下のTABLE I(表1)で報告された相対比率で組み合わせることにより調製した。代表的手順では、15.0kgの水性インクジェットインク組成物は、約1,000rpmで回転する2インチ(5.1cm)インペラを使用して良好な混合を提供する30リットルの架橋高密度ポリエチレンの平底のタンクに、成分を個別に加えることにより混合した。成分は(そのように指示されれば)、以下の機能性成分の順で加えた:水、酸又は酸溶液、アミン酸塩溶液、保水剤及び有機共溶媒、アミン塩基、金属腐蝕防止剤、防腐剤又は殺生物剤、ソルボ界面活性剤、可溶性アゾ染料、顔料分散体、界面活性剤、及び消泡剤。水性インクジェットインク組成物を、成分添加の間に約2分間混合し、次に界面活性剤又は消泡剤の最終添加後、それを1時間撹拌した。水性インクジェットインク組成物を、Pall Corp.社の有効細孔サイズ0.2μmのULTIPOR(登録商標)N66カートリッジフィルター媒体に、媒体の約0.5リットル/分/インチ(0.2リットル/分/cm)速度で通して濾過した。生じた水性インクジェットインク組成物中の顔料粒子は、53nmの体積加重50パーセンタイル粒径及び79nmの95パーセンタイル粒径、約8.6のpH、1.14mS/cmの電気伝導性、25℃で1.60mPa-秒の動的粘度、25℃で1.035g/cm3の密度、及び25℃で37.2mN/mの静的表面張力を有した。
水性シアンインクジェットインク組成物
水性シアンCIJインクジェットインク組成物C-AからC-Cまでを、顔料分散体CD-1から、成分を下のTABLE II(表2)に示した相対比率で、水性インクジェットインク組成物K-Aについて記載したものと同様な様式で組み合わせることにより調製した。これらのインクジェットインク組成物は、下のTABLE III(表3)で報告した物理的特性を示した。
水性マゼンタインクジェットインク組成物
水性マゼンタCIJインクジェットインク組成物M-AからM-Cまでを、顔料分散体MD-1から、成分を、下のTABLE IV(表4)で報告した相対比率で、水性ブラックインクジェットインクK-Aについて記載したものと同様な様式で組み合わせることにより調製した。これらの水性マゼンタインクジェットインク組成物は、下のTABLE V(表5)で報告した物理的特性を示した。
水性イエローインクジェットインク組成物
水性イエローCIJインクジェットインク組成物Y-A(E)を、顔料分散体YD-1から、成分を、下のTABLE VI(表6)で報告した相対比率で、水性インクジェットインク組成物K-Aについて記載したものと同様な様式で組み合わせることにより調製した。
この水性インクジェットインク組成物中の顔料粒子は、NANOTRAC(登録商標)NPA150動的光散乱分粒器により特徴付けられるように、12nmの体積加重50パーセンタイル粒径及び31nmの95パーセンタイル粒径を有した。それは、約8.4のpH、2.26mS/cmの電気伝導性、25℃で1.62mPa-秒の動的粘度、25℃で1.020g/cm3の密度、及び25℃で36.3mN/mの静的表面張力も有した。
連続インクジェット印刷(CIJ)の補充流体
CIJ補充流体R-A(E)及びR-B(E)を、下のTABLE VII(表7)に示した成分を相対比率で、組み合わせることにより、水性ブラックインクジェットインク組成物K-Aについて記載したものと同様な様式で調製した。これらの水性粒子不含流体は、下のTABLE VIII(表8)に示した物理的特性を示した。
連続インクジェット印刷(CIJ)のプリントヘッドクリーナー及び貯留流体
CIJプリントヘッドクリーナー及び貯留流体S-A(C)及びS-B(E)を、下のTABLE IX(表9)に示した成分を相対比率で組み合わせることにより、水性ブラックインクジェットインク組成物K-Aについて記載したものと同様な様式で調製した。これらの水性粒子不含流体は、下のTABLE X(表10)に示す物理的特性を示した。
微生物増殖感受性試験:
上で記載した水性インクジェットインク組成物を、特定の微生物の培養株を用いて10通りの負荷防腐剤効力試験にかけた。試験生物体は、個別に既知の濃度のコロニー形成単位(CFU)に培養し、次にそれらを一緒に混合して、50グラムの水性インクジェットインク組成物の試験試料に接種した。特化された時間間隔で、接種された試料を試験した。接種材料の生存集団を、トリプチカーゼソイ寒天プレートに10μlの十分に混合された試料をストリークし、インキュベートすることにより評価した。微生物の存在は、以下のTABLE XI(表11)に示した増殖の等級付けを使用して記録した。各試料を再接種し、研究の間に最大10回評価し、その間に、試料の物理的外見における如何なる変化も観察した。
以下のTABLE XII(表訳12)は、前に記載した水性インクジェットインク組成物(「インク」)についての10通りの負荷増殖等級付け試験の結果を報告するが、ここで、受け取ったままの組成物における微生物についての初期ベースライン増殖の等級を、「1」であると決定した。「R-OH」で特定される欄は、試料中におけるソルボ界面活性剤2-フェノキシエタノール(PhE)又は2-フェニルエタノール(PEA)の非存在又は存在を表す。
TABLE XII(表12)に示した結果は、かなりの微生物増殖(高いコロニーカウント)が最初の少しの接種後に比較の組成物(「インク」)C-A(C)及びM-A(C)で観察されたことを示す。TABLE XII(表12)におけるデータも、本発明の組成物(「インク」)C-B(E)及びM-B(E)中における2-フェノキシエタノール(PhE)、又は本発明の組成物(「インク」)C-C(E)、M-C(E)、Y-A(E)、及びK-A(E)中における2-フェニルエタノール(PEA)の存在が、10通りすべての負荷を通じて最小の又は検出できない微生物増殖しか生じなかったことを明らかにしている。
水性インクジェットインク組成物と同一の様式で、水性粒子不含流体を、特定の微生物の同じ培養株を用いて、10通りの負荷防腐剤効力試験にかけた。以下のTABLE XIII(表13)は、これらの流体について10通りの負荷増殖等級付け試験の結果を示すが、ここで、受け取ったままの流体における微生物についての初期ベースライン増殖の等級を、「1」であると決定した。「R-OH」で特定される欄は、流体中におけるソルボ界面活性剤2-フェノキシエタノール(PhE)又は2-フェニルエタノール(PEA)の非存在又は存在を表す。
TABLE XIII(表13)で報告される結果は、顕著な微生物増殖(増大したコロニーのカウント)が、本発明の補充流体R-A(E)及びR-B(E)で、最初の少しの接種後に観察されたが、その結果は、如何なるソルボ界面活性剤も含まない純粋な水を含む補充流体よりも優れていると期待されることを示す。TABLE XIII(表13)における結果は、比較のプリントヘッドクリーニング及びソルボ界面活性剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルを乾燥インククリーニング剤として含有する貯留流体S-A(C)では、実質的に、微生物増殖は観察されず、負荷No.7のみが、顕著な増殖等級3を生じたことも示す。しかしながら、本発明のプリントヘッドクリーニング及び貯留流体S-B(E)中における2-フェノキシエタノール(PhE)の存在は、すべての10通りの負荷を通じて検出できない微生物増殖しか生じなかった。
本発明による水性インクジェットインク組成物及び水性粒子不含流体の実施形態は、汚染微生物の増殖に適当に耐性であり得、一般的に使用される防腐剤、例えば、イソチアゾリノン化合物及びホルムアルデヒド放出化合物(例えば、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール及びヘキサメチレンテトラミンクロロアリルクロリド)並びにEuropean Chemical Agency(ECHA)(ヨーロッパ連合の役所)により発行された承認された活性物質のリスト(第95条のリスト)にリストとして現在挙げられている殺生物剤の如何なる実質的量も含有しない、すなわち、実質的にそれらを含まないことが認識されるであろう。
水性インクジェットインク組成物の連続インクジェット印刷:
代表的手順では、連続インクジェット印刷試験スタンド設備のインク貯蔵器に、本発明の水性シアンインクジェットインク組成物C-C(E)を装填した。インク貯蔵器及び流体ラインのC-C(E)を用いる排出、フラッシング、及び充填の反復サイクルを実施して、新しい組成物が装置中の先行のインクにより汚染されないことを確実にした。設備は、以下の要素からなった: (1)(a)組成物(「インク」)を60psig(0.41MPa)を超えて加圧することにより最大約2リットル/分のインク体積流速を生じさせること; (b)加圧されたインクを連続インクジェットプリントヘッドの液滴発生器に送達すること; (c)印刷されなかったインクを真空下で流体システムのインク貯蔵器に戻すこと; (d)インク貯蔵器のインク濃度を電気抵抗率測定により検出し、水の蒸発により濃縮されていれば、本発明の補充流体R-B(E)でインクを補充し、反対に印刷に使用することによりインクが消耗しているが正しい濃度であれば、より多くの水性インクジェットインク組成物C-C(E)をインク貯蔵器に追加すること; (e)乾燥されたインクの蓄積による汚れの後に正確な印刷を回復させるために、プリントヘッドに本発明のプリントヘッドクリーニング及び貯留流体S-B(E)を提供してノズル及びダクトシステムをフラッシュして、大幅持続時間にわたる安全な貯留のためにシステムをシャットダウンすることができる、流体システム; (2)多孔性媒体のシート(例えば、コーティングされていないフリーシート紙)又は非多孔性媒体(例えば、コーティングされた又はコーティングされていないポリマーフィルム)を支持すること、及びそれを制御ユニットで同期された精密な速度でそれを連続的に紡糸して巻物形態における印刷基材のウェブ輸送を模擬的に再現することができる真空ドラム; (3) (a)インクの液滴を形成するMEMSシリコンベースの液滴発生器及びプリンタが画像ファイルを印刷していないとき又はそれが像ファイルを印刷しているときでも、それが所与の画素を印刷していないときに、非印刷用液滴を捕捉するCoandaガッターを有するKODAK PROSPER Press Jetting Module; (b)正及び負のエアダクトアセンブリーにより提供される液滴カーテンと交差するゾーンを創り出して、それらの液滴をCoandaガッターに向ける非印刷用液滴偏向装置、及び(c)インク貯蔵器へのインク返却ライン、を含む連続インクジェットプリントヘッドPICボックスアセンブリー、並びに(4) (a)印刷ドラム速度を制御して、噴射モジュールへのデータ供給と一致するドラム位置を同期させる、更に(b)電気信号を、最適化された波形によりノズルプレートヒーターのパルスパターンを使用して、ラスター処理された画像を画素ごとのインクストリーム刺激指示にして、要求されるように、印刷基材表面の画素位置に送達されるインクの非印刷用捕捉液滴及び印刷用液滴を発生させる噴射モジュールのCMOS回路網に伝達する印刷制御装置。
流体システムは、Micropump Inc.社のMICROPUMP(登録商標)シリーズGJ-N23DB380Aギアポンプを使用して、インクを名目有効細孔サイズ0.45μmのULTIPOR(登録商標)GF-HVガラス繊維媒体を含有するPall Corp.社の使い捨てフィルターアセンブリーのカプセルフィルターDFA4201ZU0045を通して、ノズルプレートにおいて約65psid(0.45MPa)の圧力降下で送達し、これによりノズルプレートで、約20m/sの均一な液滴速度が発生した。流体システムのギアポンプ速度設定は連続的に調節して、噴射モジュールにおける一定の流体圧力を提供及び維持して、システムの仕様により所望の液滴速度が均一に発生した。適当な噴射及び正確なインク補充のために必要とされるシステムパラメータの設定を決定し、「inkdex」と称されるコンピュータファイルに記録して、他のシステム、例えば、製造と適合されたツーアップウェブ印刷機KODAK(登録商標)PROSPER S10 Imprinting Systemsにおける印刷を可能にした。偏向された非印刷用インク液滴は、Coandaガッターに捕捉され、真空下で流体システムインクタンクに戻された。非印刷用液滴の捕捉様式におけるプリンタの持続する操業は、水性インク溶媒ビヒクルを徐々に蒸発させた。インク濃度は、インクの電気抵抗率の決定に基づいて約5%を超えて濃縮されたら、水性顔料不含補充流体のインクへの添加により元のインク濃度の約5%以内維持した。試験標的は、試験基材の適当な輸送速度で、最大約1,000FPMの速度に対して1インチ当たり600×600画素(ppi)(1センチメートル当たり236×236画素(ppcm))のアドレス指定能力で、各画素位置についてデジタル印刷信号指示を生成するように処理されたラスター画像であった。NewPage STERLING(登録商標)Ultra Gloss紙及び/又はコーティングされていない、未処理のフリーシート紙(例えば、International Paper 20-lb(75g/m2)DATASPEED(登録商標)Laser MOCR)を、印刷データ制御装置と同期された定常速度の回転ドラム上に搭載した。種々の試験画像を、製造間近のプリントヘッドアセンブリー配置で1インチ当たり600ノズルのPROSPER PressJetting Moduleを使用して、システム機能性印刷速度能力をプロファイルした異なる基材輸送速度で印刷し、それは4.25インチ(10.8cm)のジェットカーテン印刷幅を生じた。操業安定性及びスタートアップ堅牢性(「実行可能性」)も、捕捉皿に印刷して、時間依存性ジェットの直線性及び長期印刷のラジッドネスを評価することにより、並びに複数のシャットダウン及びスタートアップの連続を実施して最初の許容される印刷を達成するための時間及び任意の必要とされた介入[サービスの清浄化(インクを用いるクロスフラッシュ)、ダクトの清浄化(貯留流体を用いるフラッシュ)、及びノズルプレートの清拭]を評価することにより調べた。水性インクジェットインク組成物C-C(E)は、実行可能であることが見出され、長期試験のために、製造と適合されたツーアップウェブ印刷機KODAK PROSPER S10 Imprinting Systemsに搭載した。
本発明を、ガス流動液滴偏向機構、熱的液滴刺激デバイス、及びシリコンから製造されたノズルプレートを用いる連続インクジェットプリンタシステムにおける使用について、上で具体的に示した。しかしながら、本発明は、静電的液滴偏向機構、圧力調整又は振動身体刺激デバイス、及び他のタイプの材料から製造されたノズルプレートを使用する連続インクジェットプリンタシステムにおいても用いることができる。静電的偏向は、別個の液滴帯電及び液滴偏向電極を含むタイプのものであることもでき、又は両方の機能を単一の電極に組み込むタイプのものであることもできる。

Claims (45)

  1. 25℃で5センチポアズ(5mPa-秒)以下の動的粘度を有する水性インクジェットインク組成物であって、
    (a)水性インクジェットインク組成物の総質量に対して少なくとも0.9質量%かつ6質量%以下(その値を含む)の総量の、1種又は複数のポリマー分散型顔料着色剤、
    (b)水性インクジェット組成物の総質量に対して少なくとも0.5質量%かつ2質量%以下(その値を含む)の総量の、以下の構造(I):
    HO-CH2-CH2-R (I)
    (式中、Rは、置換若しくは非置換フェニル基、又は置換若しくは非置換フェノキシ基である)
    によって表される1種又は複数の化合物からなる組成物、
    (c)水性インクジェット組成物の総質量に対して20質量%以下の量の、水溶性保水剤、共溶媒、並びに水溶性保水剤及び共溶媒の両方から選択される1種又は複数の化合物
    から本質的になり、
    1種又は複数のポリマー分散型顔料着色剤のそれぞれが、全ての粒子直径を動的光散乱粒径分析器を使用して測定して、70nm未満の50パーセンタイル粒子直径及び150nm未満の95パーセンタイル粒子直径を有する、水性インクジェットインク組成物。
  2. (b)の組成物とは異なる(d)補足抗菌剤を更に含む、請求項1に記載の水性インクジェットインク組成物。
  3. (d)の補足抗菌剤が、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、ピロクトンオラミン、2,4-ジクロロベンジルアルコール、ホウ酸若しくはホウ酸に由来する金属イオン塩、又はこれらの化合物の組合せである、請求項2に記載の水性インクジェットインク組成物。
  4. 1種又は複数の(c)の化合物が、水性インクジェットインク組成物の総質量に対して少なくとも0.5質量%かつ15質量%以下(その値を含む)の量で存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の水性インクジェットインク組成物。
  5. アニオン性ポリウレタン、アニオン性非芳香族アクリル系ポリマー、アニオン性スチレンアクリル系ポリマー、又はこれらの材料の2種以上の組合せを更に含有し、これらの材料のそれぞれが少なくとも50の酸価を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の水性インクジェットインク組成物。
  6. 1種又は複数のポリマー分散型顔料着色剤のそれぞれが、60nm未満の50パーセンタイル粒子直径及び110nm未満の95パーセンタイル粒子直径を有し、すべての粒子直径が動的レーザー光散乱粒径分析器を使用して測定される、請求項1から5のいずれか一項に記載の水性インクジェットインク組成物。
  7. 少なくとも7.5かつ11以下(その値を含む)のpHを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の水性インクジェットインク組成物。
  8. (b)の組成物中の1種又は複数の構造(I)の化合物のための1種又は複数の促進剤を更に含有し、促進剤のそれぞれが、水性インクジェットインク組成物の総質量に対して1.5質量%以下の量の、少なくとも7個の炭素原子かつ12個以下(その値を含む)の炭素原子を有するアルカンジオールである、請求項1から7のいずれか一項に記載の水性インクジェットインク組成物。
  9. 促進剤が1,2-オクタンジオールである、請求項8に記載の水性インクジェットインク組成物。
  10. Rが非置換フェニル基又は非置換フェノキシ基のいずれかである、請求項1から9のいずれか一項に記載の水性インクジェットインク組成物。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載の水性インクジェットインク組成物の異なる2種以上を含むインクセット。
  12. 以下:
    (i)ポリマー分散型シアン顔料着色剤を含む水性インクジェットインク組成物、
    (ii)ポリマー分散型マゼンタ顔料着色剤を含む水性インクジェットインク組成物、
    (iii)ポリマー分散型イエロー顔料着色剤を含む水性インクジェットインク組成物、及び
    (iv)ポリマー分散型ブラック顔料着色剤を含む水性インクジェットインク組成物
    の2種以上を含む、請求項11に記載のインクセット。
  13. 2種以上の異なる水性インクジェットインク組成物のそれぞれに存在するものと同じか又は異なる(b)の組成物を含む、粒子不含無色インクジェット組成物を更に含む、請求項11又は12に記載のインクセット。
  14. それぞれが独立して25℃で5センチポアズ(5mPa-秒)以下の動的粘度を有する2種以上の水性粒子不含流体を含む流体セットであって、
    前記2種以上の異なる水性粒子不含流体のそれぞれが独立して、
    (b)水性インクジェットインク組成物の総質量に対して少なくとも0.5質量%かつ2質量%以下(その値を含む)の総量の、以下の構造(I):
    HO-CH2-CH2-R (I)
    (式中、Rは、置換若しくは非置換フェニル基、又は置換若しくは非置換フェノキシ基である)
    によって表される1種又は複数の化合物からなる組成物
    から本質的になる、流体セット。
  15. 2種以上の異なる水性粒子不含流体のそれぞれが、(b)の組成物の1種又は複数の構造(I)の化合物のための1種又は複数の促進剤を更に含有し、促進剤のそれぞれが、水性インクジェットインク組成物の総質量に対して1.5質量%以下の量の、少なくとも7個の炭素原子かつ12個以下(その値を含む)の炭素原子を有するアルカンジオールである、請求項14に記載の流体セット。
  16. 促進剤が1,2-オクタンジオールである、請求項15に記載の流体セット。
  17. Rが非置換フェニル基又は非置換フェノキシ基のいずれかである、請求項14から16のいずれか一項に記載の流体セット。
  18. 2種以上の異なる水性粒子不含流体の少なくとも1種が、アクリル系ポリマー、スチレンアクリル系ポリマー、ポリ(エチレンオキシド)セグメントを有する水溶性ポリマー、水分散性ポリウレタン、又はこれらの材料の2種以上である少なくとも1種の水溶性又は水分散性ポリマー成分を、水性粒子不含流体の総質量に対して20質量%以下(その値を含む)の量で更に含む、請求項14から17のいずれか一項に記載の流体セット。
  19. 2種以上の異なる水性粒子不含流体の少なくとも1種が、少なくとも8かつ11以下(その値を含む)のpHを有する、請求項14から18のいずれか一項に記載の流体セット。
  20. 2種以上の異なる水性粒子不含流体の少なくとも1種が、水性粒子不含流体の総質量に対して少なくとも0.01質量%かつ5質量%以下(その値を含む)の量の、アニオン性、非イオン性、カチオン性、又は両性の界面活性剤を含む、請求項14から19のいずれか一項に記載の流体セット。
  21. 2種以上の異なる水性粒子不含流体の少なくとも1種が、(b)の組成物とは異なる(d)補足抗菌剤を含む、請求項14から20のいずれか一項に記載の流体セット。
  22. (d)の補足抗菌剤が、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、ピロクトンオラミン、2,4-ジクロロベンジルアルコール、ホウ酸若しくはホウ酸に由来する金属イオン塩、又はこれらの化合物の組合せである、請求項21に記載の流体セット。
  23. 25℃で5センチポアズ(5mPa-秒)以下の動的粘度を有する水性粒子不含流体であって、
    水性粒子不含流体の総質量に基づいて、
    (b)少なくとも0.5質量%かつ2質量%以下(その値を含む)の総量の、以下の構造(I):
    HO-CH2-CH2-R (I)
    (式中、Rは、置換若しくは非置換フェニル基、又は置換若しくは非置換フェノキシ基である)
    によって表される1種又は複数の化合物からなる組成物、及び
    少なくとも0.1質量%かつ20質量%以下(その値を含む)の量の、ソルボ界面活性剤
    を含む、水性粒子不含流体。
  24. ソルボ界面活性剤が、非対称多価アルコール又は多価アルコールに由来するモノアルキルエーテルである、請求項23に記載の水性粒子不含流体。
  25. ソルボ界面活性剤が、多価アルコールに由来するC1~C4モノアルキルエーテルである、請求項23又は24に記載の水性粒子不含流体。
  26. ソルボ界面活性剤が、水性粒子不含流体の総質量に対して少なくとも3質量%かつ6質量%以下(その値を含む)の量で存在する、請求項23から25のいずれか一項に記載の水性粒子不含流体。
  27. 少なくとも8かつ11以下(その値を含む)のpHを有し、脂肪族アミンを更に含む、請求項23から26のいずれか一項に記載の水性粒子不含流体。
  28. ソルボ界面活性剤とは異なる界面活性剤を更に含み、その界面活性剤が、水性粒子不含流体の総質量に対して少なくとも0.01質量%かつ最大10質量%の量で存在する、請求項23から27のいずれか一項に記載の水性粒子不含流体。
  29. ソルボ界面活性剤とは異なる保水剤又は共溶媒を更に含む、請求項23から28のいずれか一項に記載の水性粒子不含流体。
  30. 基材を準備する工程、
    第1の水性インクジェットインク組成物を、制御された様式でプリントヘッドから基材の表面にインクジェット印刷し、基材の表面にインクジェット印刷された画像を付与する工程
    を含み、
    第1の水性インクジェットインク組成物が請求項1から4のいずれか一項に記載の水性インクジェットインク組成物である、インクジェット印刷の方法。
  31. 水性インクジェットインク組成物を、主要流体配給部から、印刷用液滴及び非印刷用液滴の両方へと分けられる水性インクジェットインク組成物の連続ストリームとして、インクジェット印刷する工程を含む、請求項30に記載の方法。
  32. 非印刷用液滴を収集し、主要流体配給部に戻す工程を更に含む、請求項31に記載の方法。
  33. 1種又は複数の追加の水性インクジェットインク組成物を、第1の水性インクジェットインク組成物のインクジェット印刷と並列した順番及び制御された様式でインクジェット印刷して、基材の表面に多色インクジェット印刷された画像を付与する工程を更に含む、請求項30から32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 第1の水性インクジェットインク組成物に存在するものと同じ又は異なる、(a)の1種又は複数のポリマー分散型顔料着色剤、(b)の組成物、及び(c)の1種又は複数の化合物から本質的になる、補充用の第1の水性インクジェットインク組成物を補充することによって、主要流体配給部を補充する工程を更に含む、請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 25℃で5センチポアズ(5mPa-秒)以下の動的粘度を有し、
    第1の水性インクジェットインク組成物に存在するものと同じ又は異なる(b)の組成物から本質的になる、
    水性粒子不含流体を、主要流体配給部に補充する工程を更に含む、請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。
  36. 水性粒子不含流体が、(b)の組成物とは異なる(d)補足抗菌剤を更に含む、請求項35に記載の方法。
  37. 水性粒子不含流体が、(b)の組成物のための1種又は複数の促進剤を更に含有し、促進剤のそれぞれが、水性インクジェットインク組成物の総質量に対して1.5質量%以下の量の、少なくとも7個の炭素原子かつ12個以下(その値を含む)の炭素原子を有するアルカンジオールである、請求項35又は36に記載の方法。
  38. 第1の水性インクジェットインク組成物のインクジェット印刷を停止する工程、
    水性粒子不含流体を保守流体配給部からプリントヘッドに送達する工程、及び
    プリントヘッドから水性粒子不含流体を射出して、プリントヘッドから第1の水性インクジェットインク組成物をパージする工程
    を更に含み、
    水性粒子不含流体が、
    25℃で5センチポアズ(5mPa-秒)以下の動的粘度を有し、
    第1の水性インクジェットインク組成物に存在するものと同じ又は異なる(b)の組成物、及び
    水性粒子不含流体の総質量に対して少なくとも0.1質量%かつ20質量%以下(その値を含む)の量のソルボ界面活性剤
    から本質的になる、請求項30から37のいずれか一項に記載の方法。
  39. ソルボ界面活性剤が、非対称多価アルコール又は多価アルコールに由来するモノアルキルエーテルである、請求項38に記載の方法。
  40. ソルボ界面活性剤が、水性粒子不含流体の総質量に対して少なくとも3質量%かつ6質量%以下(その値を含む)の量で水性粒子不含流体に存在する、請求項38又は39に記載の方法。
  41. 水性粒子不含流体が、ソルボ界面活性剤とは異なる保水剤、共溶媒、又はその両方を更に含む、請求項38から40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 水性粒子不含流体が、(b)の組成物のための1種又は複数の促進剤を更に含有し、促進剤のそれぞれが、水性粒子不含流体の総質量に対して1.5質量%以下の量の、少なくとも7個の炭素原子かつ12個以下(その値を含む)の炭素原子を有するアルカンジオールである、請求項38から41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 水性粒子不含流体をプリントヘッドに一定期間貯留し、その後、第1の水性インクジェットインク組成物を用いる主要流体配給部からプリントヘッドへの印刷を再開して、新たな印刷手順を開始する工程を更に含む、請求項38から42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 連続インクジェットプリンタシステムを使用して画像を印刷する方法であって、
    基材を準備する工程、
    第1の水性インクジェットインク組成物を含有する主要流体配給部と流体連通したノズルを含む、複数のノズルを有する噴射モジュールを準備する工程、
    時間的に変化する電気信号に応答した液滴刺激によって、主要流体配給部と流体連通したノズルから第1の水性インクジェットインク組成物が噴射されるのと同時に、第1の水性インクジェットインク組成物の液滴を形成させる工程、
    液滴接触面を含む捕捉部を準備する工程、
    偏向機構を使用して、第1の水性インクジェットインク組成物の液滴の少なくとも一部を捕捉部の液滴接触面に偏向させるのと同時に、第1の水性インクジェットインク組成物の他の液滴が捕捉部を通り過ぎ、基材の表面に堆積することを可能にする工程、及び
    液滴接触面と接触する水性インクジェットインク組成物の液滴を液滴接触面に沿って流動させる工程
    を含み、
    第1の水性インクジェットインク組成物が請求項1から10のいずれか一項に記載の水性インクジェットインク組成物である、方法。
  45. 連続インクジェットプリンタの主要流体配給部に、請求項1から10のいずれか一項に記載の水性インクジェットインク組成物である第1の水性インクジェットインク組成物を配給する工程、
    第1の水性インクジェットインク組成物の液滴の連続ストリームを液滴生成機構から射出する工程、
    制御機構から受信された電気信号に応答して、いずれの種類の液滴も第1の水性インクジェットインク組成物からのものである、基材に画像形成するための印刷用液滴及び収集されて主要流体配給部に戻される非印刷用液滴を選別する工程、並びに、
    主要流体配給部中の第1の水性インクジェットインク組成物の抵抗率の関数として、主要流体配給部に(b)の組成物を含む水性粒子不含流体を補充する工程、
    を含む、連続インクジェット印刷の方法。
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