JP2024014431A - 電気化学反応セルスタックおよび導電性部材 - Google Patents

電気化学反応セルスタックおよび導電性部材 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化被膜の成長を抑制しつつ、角部への応力集中に伴うコートの剥離の発生を抑制する。【解決手段】電気化学反応セルスタックは、電気化学反応単セルと、電気化学反応単セルの空気極側に配置され、空気極に電気的に接続される集電部材と、を備える複数の電気化学反応単位を備える。複数の電気化学反応単位の少なくとも1つに備えられる集電部材は、電気化学反応単セルから離間して配置され、電気化学反応単セルと対向するベース表面を有するベース部と、ベース表面から電気化学反応単セル側に突出するとともに角部を含む突出部であって、空気極に電気的に接続される突出部と、を有し、かつ、Crを含む導電性の基材と、基材のうち、少なくとも、ベース部のベース表面と突出部の角部とを覆う導電性のコートと、を備える導電性部材である。コートのうち、ベース表面を覆う第1のコート部分の厚さは、突出部の角部を覆う第2のコート部分の厚さよりも厚い。【選択図】図6

Description

本明細書によって開示される技術は、電気化学反応セルスタックに関する。
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の種類の1つとして、固体酸化物を含む電解質層を備える固体酸化物形の燃料電池(以下、「SOFC」という)が知られている。SOFCの構成単位である燃料電池単セル(以下、単に「単セル」という)は、電解質層と、電解質層を挟んで所定の方向(以下、「第1の方向」という)に互いに対向する空気極および燃料極とを含む。SOFCは、一般に、単セルと、単セルの空気極側に配置され、空気極に電気的に接続される集電部材とを含む発電単位が、第1の方向に複数並べて配置された燃料電池スタックの形態で利用される。(例えば、特許文献1参照)。
集電部材は、Crを含む導電性の基材と、導電性のコートとを備える。基材は、単セルから離間して配置され、単セルと対向するベース表面を有するベース部と、ベース表面から単セル側に突出するとともに角部を含む突出部であって、空気極に電気的に接続される突出部と、を有している。コートは、基材のうち、ベース部のベース表面と突出部とを覆っている。
特開2019-139894号公報
従来の構成では、コートの厚さは、全体にわたって均一であった。このため、コートの厚さが相対的に薄いと、酸化雰囲気に向けられるベース表面とコート部分との界面に熱伝導性の低い酸化被膜(クロミア被膜)が成長し、その結果、例えば、ベース部と突出部との温度差に起因して集電部材が変形しやすくなる。一方、コートの厚さが相対的に厚いと、ベース部での酸化被膜の成長は抑制されるが、突出部の角部に応力が集中し、その結果、例えばコートの剥離が発生しやすくなる。
なお、このような課題は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(以下、「SOEC」という。)の構成単位である電解単セルを含む電解セル単位を複数備える電解セルスタックにも共通の課題である。なお、本明細書では、燃料電池単セルと電解単セルとをまとめて電気化学反応単セルと呼び、燃料電池発電単位と電解セル単位とをまとめて電気化学反応単位と呼び、燃料電池スタックと電解セルスタックとをまとめて電気化学反応セルスタックと呼ぶ。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示される電気化学反応セルスタックは、固体酸化物を含む電解質層と前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極とを含む電気化学反応単セルと、前記電気化学反応単セルの前記空気極側に配置され、前記空気極に電気的に接続される集電部材と、を備える複数の電気化学反応単位を備える電気化学反応セルスタックにおいて、前記複数の電気化学反応単位の少なくとも1つに備えられる前記集電部材は、前記電気化学反応単セルから離間して配置され、前記電気化学反応単セルと対向するベース表面を有するベース部と、前記ベース表面から前記電気化学反応単セル側に突出するとともに角部を含む突出部であって、前記空気極に電気的に接続される突出部と、を有し、かつ、Crを含む導電性の基材と、前記基材のうち、少なくとも、前記ベース部の前記ベース表面と前記突出部の前記角部とを覆う導電性のコートと、を備える導電性部材であって、前記コートのうち、前記ベース表面を覆う第1のコート部分の厚さは、前記突出部の前記角部を覆う第2のコート部分の厚さよりも厚い。
本電気化学反応セルスタックでは、酸化雰囲気に向けられるベース表面を覆う第1のコート部分の厚さが相対的に厚いため、例えば第1のコート部分の厚さが相対的に薄い構成に比べて、ベース表面と第1のコート部分との界面における酸化被膜(クロミア被膜)の成長を抑制することができる。また、応力集中しやすい突出部の角部を覆う第2のコート部分の厚さが相対的に薄いため、例えば第2のコート部分の厚さが相対的に厚い構成に比べて、角部への応力集中に伴うコートの剥離の発生を抑制することができる。すなわち、本電気化学反応セルスタックによれば、酸化被膜の成長を抑制しつつ、角部への応力集中に伴うコートの剥離の発生を抑制することができる。
(2)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記基材の前記突出部は、さらに、前記空気極に電気的に接続される先端面を含み、前記角部は、前記先端面に隣接しており、前記コートのうち、前記先端面を覆う第3のコート部分の厚さは、前記第2のコート部分の厚さよりも厚い構成としてもよい。本電気化学反応セルスタックによれば、突出部の先端面を覆う第3のコート部分の厚さが第2のコート部分の厚さ以下である構成に比べて、突出部の先端面に酸化被膜が形成されることに起因して導電性部材と電気化学反応単セルとの間の導電性が低下することを抑制することができる。
(3)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記第2のコート部分の厚さは、1μm以上、15μm以下である構成としてもよい。本電気化学反応セルスタックによれば、第2のコート部分の厚さが1μm未満である構成に比べて、基材からのCrの拡散や酸化被膜の成長を抑制することができる。また、第2のコート部分の厚さが15μmを超える構成に比べて、角部への応力集中に伴うコートの剥離の発生を効果的に抑制することができる。
(4)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記第1のコート部分は、その一部に多孔質部を有している構成としてもよい。本電気化学反応セルスタックによれば、第1のコート部分全体が緻密体である構成に比べて、Crの拡散や酸化被膜の成長を抑制しつつ、ベース部への応力発生に伴うコートの剥離の発生を抑制することができる。
(5)本明細書に開示される導電性部材は、ベース表面を有するベース部と、前記ベース表面から突出するとともに角部を有する突出部と、を含む導電性の基材と、前記基材のうち、少なくとも、前記ベース部の前記ベース表面と前記突出部の前記角部とを覆う導電性のコートと、を備える導電性部材において、前記コートのうち、前記ベース表面を覆う第1のコート部分の厚さは、前記突出部の前記角部を覆う第2のコート部分の厚さよりも厚い。本導電性部材によれば、酸化被膜の成長を抑制しつつ、角部への応力集中に伴うコートの剥離の発生を抑制することができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、導電性部材(集電部材)、電気化学反応単セルと集電部材とを備える複合体、電気化学反応単位(燃料電池発電単位または電解セル単位)、複数の電気化学反応単位を備える電気化学反応セルスタック、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図 図1のII-IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図 図1のIII-IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図 図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図 図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図 図4におけるX1部分のXZ断面構成を拡大して示す説明図
A.実施形態:
A-1.構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図である。図2は、図1のII-IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図3は、図1のIII-IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図4以降についても同様である。
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)燃料電池発電単位(以下、単に「発電単位」という。)102と、一対のターミナルプレート70,80と、一対の絶縁シート92,96と、一対のエンドプレート104,106とを備える。7つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向)に並べて配置されている。一対のターミナルプレート70,80のうちの一方(以下、「上側ターミナルプレート70」という。)は、7つの発電単位102から構成される集合体(以下、「発電ブロック103」という。)の上側に配置されており、一対の絶縁シート92,96のうちの一方(以下、「上側絶縁シート92」という。)は、上側ターミナルプレート70の上側に配置されており、一対のエンドプレート104,106のうちの一方(以下、「上側エンドプレート104」という。)は、上側絶縁シート92の上側に配置されている。また、一対のターミナルプレート70,80のうちの他方(以下、「下側ターミナルプレート80」という。)は、発電ブロック103の下側に配置されており、一対の絶縁シート92,96のうちの他方(以下、「下側絶縁シート96」という。)は、下側ターミナルプレート80の下側に配置されており、一対のエンドプレート104,106のうちの他方(以下、「下側エンドプレート106」という。)は、下側絶縁シート96の下側に配置されている。一対のターミナルプレート70,80は、発電ブロック103を上下から挟むように配置されている。なお、上記配列方向(Z軸方向、上下方向)は、特許請求の範囲における第1の方向の一例である。
燃料電池スタック100を構成する各層(発電単位102、ターミナルプレート70,80、エンドプレート104,106)のZ軸方向回りの周縁部には、上下方向に貫通する複数の(本実施形態では8つの)孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、上側エンドプレート104から下側エンドプレート106にわたって上下方向に延びる連通孔108を構成している。以下の説明では、連通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、連通孔108と呼ぶ場合がある。
各連通孔108には上下方向に延びるボルト22が挿通されており、ボルト22とボルト22の両側に嵌められたナット24とによる上下方向の圧縮力によって、燃料電池スタック100は締結されている。なお、図2および図3に示すように、ボルト22の一方の側(上側)に嵌められたナット24と上側エンドプレート104の上側表面との間、および、ボルト22の他方の側(下側)に嵌められたナット24と下側エンドプレート106の下側表面との間には、絶縁シート26が介在している。ただし、後述のガス通路部材27が設けられた箇所では、ナット24と下側エンドプレート106の表面との間に、ガス通路部材27とガス通路部材27の上側および下側のそれぞれに配置された絶縁シート26とが介在している。絶縁シート26は、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等により構成されている。
各ボルト22の軸部の外径は各連通孔108の内径より小さい。そのため、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間には、空間が確保されている。図1および図2に示すように、燃料電池スタック100のZ軸方向回りの外周における1つの辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22A)と、そのボルト22Aが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOGが導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102に供給するガス流路である酸化剤ガス供給マニホールド161として機能し、該辺の反対側の辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22B)と、そのボルト22Bが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する酸化剤ガス排出マニホールド162として機能する。なお、本実施形態では、酸化剤ガスOGとして、例えば空気が使用される。
また、図1および図3に示すように、燃料電池スタック100のZ軸方向回りの外周における1つの辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22D)と、そのボルト22Dが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFGが導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102に供給する燃料ガス供給マニホールド171として機能し、該辺の反対側の辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22E)と、そのボルト22Eが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する燃料ガス排出マニホールド172として機能する。なお、本実施形態では、燃料ガスFGとして、例えば都市ガスを改質した水素リッチなガスが使用される。
燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の分岐部29には、ガス配管(図示せず)が接続される。また、図2に示すように、酸化剤ガス供給マニホールド161を形成するボルト22Aの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス供給マニホールド161に連通しており、酸化剤ガス排出マニホールド162を形成するボルト22Bの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス排出マニホールド162に連通している。また、図3に示すように、燃料ガス供給マニホールド171を形成するボルト22Dの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス供給マニホールド171に連通しており、燃料ガス排出マニホールド172を形成するボルト22Eの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス排出マニホールド172に連通している。
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、Z軸方向視での外形が略矩形の平板状の部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一対のエンドプレート104,106の中央付近には、それぞれ、Z軸方向に貫通する孔32,34が形成されている。Z軸方向視で、一対のエンドプレート104,106のそれぞれに形成された孔32,34の内周線は、後述する各単セル110を内包している。そのため、各ボルト22およびナット24によるZ軸方向の圧縮力は、主として各発電単位102の周縁部(後述する各単セル110より外周側の部分)に作用する。
(絶縁シート92,96の構成)
一対の絶縁シート92,96は、Z軸方向視での外形が略矩形の平板状の部材であり、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等の絶縁性材料により構成されている。上側絶縁シート92の中央付近には、上側エンドプレート104の孔32に連通し、かつ、Z軸方向に貫通する孔が形成されている。
(ターミナルプレート70,80の構成)
一対のターミナルプレート70,80は、Z軸方向視での外形が略矩形の平板状の部材であり、例えばステンレスにより形成されている。上側ターミナルプレート70の中央付近には、Z軸方向に貫通する孔71が形成されている。Z軸方向視で、上側ターミナルプレート70に形成された孔71の内周線は、後述する各単セル110を内包している。なお、本実施形態では、Z軸方向視で、上側ターミナルプレート70に形成された孔71の内周線は、上側エンドプレート104に形成された孔32の内周線と略一致している。上側ターミナルプレート70は、Z軸方向視で、上側エンドプレート104の外周線から外側に突出した端子部78を備えており、該端子部78は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能する。また、下側ターミナルプレート80は、Z軸方向視で、下側エンドプレート106の外周線から外側に突出した端子部88を備えており、該端子部88は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
(発電単位102の構成)
図4は、図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図5は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。
図4および図5に示すように、発電単位102は、燃料電池単セル(以下、「単セル」という。)110と、単セル用セパレータ120と、空気極側フレーム130と、燃料極側フレーム140と、燃料極側集電部材148と、発電単位102の最上層および最下層を構成する一対のインターコネクタ190とを備えている。単セル用セパレータ120、空気極側フレーム130、燃料極側フレーム140、インターコネクタ190(より詳細には、後述するIC用セパレータ180)におけるZ軸方向回りの周縁部には、上述したボルト22が挿通される連通孔108に対応する孔が形成されている。
単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んでZ軸方向に互いに対向する空気極114および燃料極116とを備える。なお、本実施形態の単セル110は、燃料極116で単セル110を構成する他の層(電解質層112、空気極114)を支持する燃料極支持形の単セルである。
電解質層112は、Z軸方向視で略矩形の平板形状部材であり、固体酸化物(例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア))を含むように構成されている。すなわち、本実施形態の単セル110は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。空気極114は、Z軸方向視で電解質層112より小さい略矩形の平板形状部材であり、例えばペロブスカイト型酸化物(例えば、LSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物))を含むように構成されている。燃料極116は、Z軸方向視で電解質層112と略同じ大きさの略矩形の平板形状部材であり、例えば、Ni(ニッケル)、Niとセラミック粒子からなるサーメット、Ni基合金等により形成されている。
単セル用セパレータ120は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の貫通孔121が形成されたフレーム状の導電性部材であり、例えば、金属により形成されている。単セル用セパレータ120の板厚は、比較的薄く、例えば0.05mm以上、0.2mm以下程度である。単セル用セパレータ120における貫通孔121を取り囲む部分(以下、「貫通孔周囲部」という。)は、単セル110(電解質層112)の周縁部における上側の表面に対向している。単セル用セパレータ120は、その対向した部分に配置されたロウ材(例えばAgロウ)により形成された接合部124により、単セル110(電解質層112)と接合されている。従って、単セル用セパレータ120は、接合部124を介して単セル110に接続されていると言える。単セル用セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画され、単セル110の周縁部における一方の電極側から他方の電極側へのガスのリーク(クロスリーク)が抑制される。
インターコネクタ190は、空気極側集電部150と、IC用セパレータ180とを有する導電性の部材である。空気極側集電部150の構成については後述する。インターコネクタ190は、燃料極116が面する燃料室176(の一部)を画定している。なお、また、空気極側集電部150とIC用セパレータ180とが一体の部材として形成されていてもよい。
図4に示すように、インターコネクタ190(の空気極側集電部150)のうち、燃料室176を画定する表面S1には、Z軸負方向(Z軸方向の燃料極116に対して空気極114とは反対の方向)に凹む溝部191が複数形成されている。各溝部191は、空気極側集電部150のうち、Z軸正方向側の部分により形成されている。
各発電単位102において、上側のインターコネクタ190(の空気極側集電部150)は、単セル110に対して上側に配置されている。上側のインターコネクタ190(の各空気極側集電部150)は、例えばスピネル型酸化物により構成された導電性接合材196を介して、単セル110の空気極114に接合されており、これにより単セル110の空気極114に電気的に接続されている。また、各発電単位102において、下側のインターコネクタ190は、単セル110に対して燃料室176を挟んで下側に配置されており、後述する燃料極側集電部材148を介して、単セル110の燃料極116に電気的に接続されている。インターコネクタ190は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を抑制する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ190は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ190は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ190と同一部材である。発電単位102を構成する各インターコネクタ190は、燃料極116に対してZ軸方向の空気極114とは反対側に位置している。また、燃料電池スタック100はターミナルプレート80を備えているため、燃料電池スタック100において最も下側に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ190を備えていない(図2および図3参照)。
IC用セパレータ180は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の貫通孔181が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。IC用セパレータ180の板厚は、比較的薄く、例えば0.05mm以上、0.2mm以下程度である。IC用セパレータ180は、Z軸方向において単セル用セパレータ120と対向している。IC用セパレータ180における貫通孔181を取り囲む部分(以下、「貫通孔周囲部」という。)は、インターコネクタ190の空気極側集電部150の周縁部における上側の表面に例えば溶接により接合されている。ある発電単位102に含まれる一対のIC用セパレータ180のうち、上側のIC用セパレータ180は、該発電単位102の空気室166と、該発電単位102に対して上側に隣り合う他の発電単位102の燃料室176とを区画する。また、ある発電単位102に含まれる一対のIC用セパレータ180のうち、下側のIC用セパレータ180は、該発電単位102の燃料室176と、該発電単位102に対して下側に隣り合う他の発電単位102の空気室166とを区画する。このように、IC用セパレータ180により、発電単位102の周縁部における発電単位102間のガスのリークが抑制される。なお、燃料電池スタック100において最も上側に位置する発電単位102の上側のインターコネクタ190のIC用セパレータ180は、ターミナルプレート70に電気的に接続されている。
図4および図5に示すように、空気極側フレーム130は、中央付近にZ軸方向に貫通する略矩形の孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、マイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム130の孔131は、空気極114に面する空気室166(の一部)を構成する。空気極側フレーム130は、単セル用セパレータ120の周縁部における上側の表面と、上側のIC用セパレータ180の周縁部における下側の表面とに接触しており、両者の間のガスシール性(すなわち、空気室166のガスシール性)を確保するシール部材として機能する。また、空気極側フレーム130によって、発電単位102に含まれる一対のIC用セパレータ180間(すなわち、一対のインターコネクタ190間)間が電気的に絶縁される。また、空気極側フレーム130には、酸化剤ガス供給マニホールド161と空気室166とを連通する酸化剤ガス供給連通流路132と、空気室166と酸化剤ガス排出マニホールド162とを連通する酸化剤ガス排出連通流路133とが形成されている。
燃料極側フレーム140は、中央付近にZ軸方向に貫通する略矩形の孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。燃料極側フレーム140の孔141は、燃料極116に面する燃料室176(の一部)を構成する。燃料極側フレーム140は、単セル用セパレータ120の周縁部における下側の表面と、下側のIC用セパレータ180の周縁部における上側の表面とに接触している。また、燃料極側フレーム140には、燃料ガス供給マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通流路142と、燃料室176と燃料ガス排出マニホールド172とを連通する燃料ガス排出連通流路143とが形成されている。
燃料極側集電部材148は、燃料室176内に配置されている。燃料極側集電部材148は、導電性部144と弾性部149とを有する。導電性部144は、燃料極116とインターコネクタ190とを電気的に接続する部分であり、例えば、ニッケルやニッケル合金、ステンレス等により形成されている。導電性部144は、燃料極116の下側の表面に接触した電極対向部145と、インターコネクタ190の上側の表面に接触したインターコネクタ対向部146と、電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ連接部147とを有している。また、弾性部149は、燃料極側集電部材148の弾性を確保するための部分であり、例えば、マイカ等により形成されている。導電性部144のうちのインターコネクタ対向部146は、Z軸方向においてインターコネクタ190と弾性部149との間に配置され、導電性部144のうちの電極対向部145は、Z軸方向において燃料極116と弾性部149との間に配置されている。これにより、燃料極側集電部材148が温度サイクルや反応ガス圧力変動による発電単位102の変形に追随し、燃料極側集電部材148を介した燃料極116とインターコネクタ190との電気的接続が良好に維持される。
A-2.燃料電池スタック100の動作:
図2および図4に示すように、酸化剤ガス供給マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して酸化剤ガス供給マニホールド161に供給され、酸化剤ガス供給マニホールド161から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通流路132を介して、空気室166に供給される。また、図3および図5に示すように、燃料ガス供給マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料ガス供給マニホールド171に供給され、燃料ガス供給マニホールド171から各発電単位102の燃料ガス供給連通流路142を介して、燃料室176に供給される。
各発電単位102の空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、燃料室176に燃料ガスFGが供給されると、単セル110において酸化剤ガスOGおよび燃料ガスFGの電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は上側のインターコネクタ190に電気的に接続され、燃料極116は燃料極側集電部材148を介して下側のインターコネクタ190(または、ターミナルプレート80)に電気的に接続されている。すなわち、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。また、最も上側に位置する発電単位102の上側のインターコネクタ190は、ターミナルプレート70に電気的に接続されており、最も下側に位置する発電単位102は、燃料極側集電部材148を介してターミナルプレート80に電気的に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するターミナルプレート70,80から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
図2および図4に示すように、各発電単位102の空気室166から酸化剤ガス排出連通流路133を介して酸化剤ガス排出マニホールド162に排出された酸化剤オフガスOOGは、酸化剤ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。また、図3および図5に示すように、各発電単位102の燃料室176から燃料ガス排出連通流路143を介して燃料ガス排出マニホールド172に排出された燃料オフガスFOGは、燃料ガス排出マニホールド172の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。
なお、本実施形態におけるガスフロー方式は、Z軸方向視で、酸化剤ガス供給連通流路132から酸化剤ガス排出連通流路133に向かう酸化剤ガスOGの流れ方向と、燃料ガス供給連通流路142から燃料ガス排出連通流路143に向かう燃料ガスFGの流れ方向とが略直交する、いわゆるクロスフロー方式である。
A-3.空気極側集電部150の構成:
図6は、図4におけるX1部分(空気極側集電部150)のXZ断面構成を拡大して示す説明図である。図6に示すように、空気極側集電部150は、導電性の基材152と、導電性のコート194とを有する導電性部材である。
基材152は、例えばフェライト系ステンレス等のCr(クロム)を含む金属により形成されている。基材152は、略平板形状のベース部154と、ベース部154から空気極114側に突出した複数の略柱状の突出部134とを有している。ベース部154は、単セル110(空気極114)から離間して配置され、単セル110(空気極114)と対向するベース表面153を有している。複数の突出部134は、上下方向(Z方向)に直交する面方向(X方向、Y方向)において互いに間隔を空けつつ、ベース表面153から突出するように形成されている。以下、突出部134における空気極114側の表面のうち、空気極114に電気的に接続される平坦状の先端面を、突出部134の先端面134Cといい、先端面134Cの両側に位置する一対の角部の表面を、突出部134の角表面134Bといい、角表面134Bとベース表面153とをつなぐ側面を、突出部134の側面134Dという。
コート194は、例えばスピネル型酸化物により構成された導電性の被覆層である。図4から図6に示すように、コート194は、突出部134における空気極114側の表面全体を覆っている。具体的には、コート194は、ベースコート部分194Aと、角コート部分194Bと、先端コート部分194Cと、側面コート部分194Dとを有している。ベースコート部分194Aは、ベース部154のベース表面153を覆っている。角コート部分194Bは、突出部134の角表面134Bを覆っている。先端コート部分194Cは、突出部134の先端面134Cを覆っている。側面コート部分194Dは、突出部134の側面134Dを覆っている。ベースコート部分194Aは、特許請求の範囲における第1のコート部分の一例であり、角コート部分194Bは、特許請求の範囲における第2のコート部分の一例であり、先端コート部分194Cは、特許請求の範囲における第3のコート部分の一例である。
コート194は、厚さに関して、次の第1の要件を満たしている。
<第1の要件>
「ベースコート部分194Aの厚さD1は、角コート部分194Bの厚さD2よりも厚い。」
ベースコート部分194Aの厚さD1と角コート部分194Bの厚さD2との差は、例えば1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがさらに好ましい。なお、コート194における各部分の厚さの大小比較の方法は、次の通りである。空気極側集電部150の複数のXZ断面について、各部分(少なくとも一箇所)の厚さを測定し、それら複数のXZ断面における各部分の厚さの平均値を算出する。そして、各部分の平均値同士を大小比較することで、各部分の厚さを大小比較する。
コート194は、厚さに関して、さらに、次の第2の要件を満たしていることが好ましい。
<第2の要件>
「先端コート部分194Cの厚さD3は、角コート部分194Bの厚さD2よりも厚い。」
先端コート部分194Cの厚さD3と角コート部分194Bの厚さD2との差は、例えば1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがさらに好ましい。
コート194は、厚さに関して、さらに、次の第3の要件を満たしていることが好ましい。
<第3の要件>
「角コート部分194Bの厚さD2は、1μm以上、15μm以下である。」
コート194は、さらに、次の第4の要件を満たしていることが好ましい。
<第4の要件>
「ベースコート部分194Aは、その一部に多孔質部200を有している。」
すなわち、ベースコート部分194Aの一部は、多孔質部200で構成されている。図6の例では、ベースコート部分194Aは、ベース表面153上に形成された緻密部210と、その緻密部210の表面に形成された多孔質部200とを有している。多孔質部200の気孔率は、緻密部210の気孔率よりも高く、例えば、10%以上、40%以下である。なお、緻密部210の気孔率は、側面コート部分194D等の気孔率と同じである。
コート194は、厚さに関して、さらに、次の第5の要件を満たしていることが好ましい。
<第5の要件>
「側面コート部分194Dの厚さD4は、角コート部分194Bの厚さD2よりも厚い。」
側面コート部分194Dの厚さD4と角コート部分194Bの厚さD2との差は、例えば1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがさらに好ましい。
コート194は、厚さに関して、さらに、次の第6の要件を満たしていることが好ましい。
<第6の要件>
「先端コート部分194Cの厚さD3は、側面コート部分194Dの厚さD4よりも厚い。」
先端コート部分194Cの厚さD3と側面コート部分194Dの厚さD4との差は、例えば1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがさらに好ましい。
空気極側集電部150の製造方法は次の通りである。例えばフェライト系ステンレス製の基材152を準備し、スピネル型結晶構造を有する酸化物(例えばMnCo)のペーストを基材152の表面に塗布し、焼成する。ペーストを塗布する際、152の各箇所に塗布されたペーストの重量を確認しながら塗布量を調整することにより、各コート部分の厚さに差が生じるようにする。これにより、上記第1~第3、第5、第6の要件を満たす空気極側集電部150を作製することができる。また、第4の要件の多孔質部200については、上記ペーストに造孔材を添加することにより形成することができる。
A-4.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態に係る燃料電池スタック100では、ベースコート部分194Aの厚さD1は、角コート部分194Bの厚さD2よりも厚い(第1の要件)。すなわち、酸化雰囲気に向けられるベース表面153を覆うベースコート部分194Aの厚さD1が相対的に厚いため、例えばベースコート部分194Aの厚さD1が相対的に薄い構成に比べて、ベース表面153とベースコート部分194Aとの界面における酸化被膜(クロミア被膜)の成長を抑制することができる。また、応力(熱応力)集中しやすい突出部134の角部(角表面134B)を覆う角コート部分194Bの厚さD2が相対的に薄いため、例えば角コート部分194Bの厚さD2が相対的に厚い構成に比べて、角部への応力集中に伴うコートの剥離の発生を抑制することができる。すなわち、本実施形態によれば、酸化被膜の成長を抑制しつつ、突出部134の角部への応力集中に伴うコート194の剥離の発生を抑制することができる。
本実施形態では、先端コート部分194Cの厚さD3は、角コート部分194Bの厚さD2よりも厚い(第2の要件)。このため、本実施形態によれば、先端コート部分194Cの厚さD3が角コート部分194Bの厚さD2以下である構成に比べて、突出部134の先端面134Cに酸化被膜が形成されることに起因して空気極側集電部150と単セル110との間の導電性が低下することを抑制することができる。
本実施形態では、角コート部分194Bの厚さD2は、1μm以上、15μm以下である(第3の要件)。このため、本実施形態によれば、角コート部分194Bの厚さD2が1μm未満である構成に比べて、基材152からのCrの拡散や酸化被膜の成長を抑制することができる。また、角コート部分194Bの厚さD2が15μmを超える構成に比べて、突出部134の角部への応力集中に伴うコート194の剥離の発生を効果的に抑制することができる。
本実施形態では、ベースコート部分194Aは、その一部に多孔質部200を有している(第4の要件)。このため、本実施形態によれば、ベースコート部分194A全体が緻密体である構成に比べて、コート194の厚さによるCrの拡散や酸化被膜の成長を抑制しつつ、ベース部154への応力発生に伴うコート194の剥離の発生を抑制することができる。特に本実施形態ではベースコート部分194Aの表面側が多孔質(多孔質部200)であり、界面側が緻密(緻密部210)であるため、基材152との密着性が高く剥がれにくい。
本実施形態では、側面コート部分194Dの厚さD4は、角コート部分194Bの厚さD2よりも厚い(第5の条件)。このため、本実施形態によれば、突出部134の側面134Dでの酸化被膜の成長を抑制しつつ、突出部134の角部への応力集中に伴うコート194の剥離の発生を抑制することができる。
本実施形態では、先端コート部分194Cの厚さD3は、側面コート部分194Dの厚さD4よりも厚い(第6の要件)。このため、本実施形態によれば、突出部134の先端面134Cに酸化被膜が形成されることに起因して空気極側集電部150と単セル110との間の導電性が低下することを抑制することができる。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態における燃料電池スタック100の構成や燃料電池スタック100を構成する各部分の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、空気極側集電部150(インターコネクタ190)の形状やサイズも特に限定されるものではない。例えば、空気極側集電部150は、溝部191が形成されていない構成でもよい。また、インターコネクタ190は、空気極側集電部150とIC用セパレータ180とが一体形成された構成でもよい。空気極側集電部150の突出部134の角部は、面取りされた形状であってもよい。
空気極側集電部150は、上記第2の要件から第6の要件のうちの少なくとも1つを満たさなくてもよい。また、上記実施形態において、ベースコート部分194Aは、ベース表面153上に多孔質部200が形成され、多孔質部200の表面に緻密部210が形成された構成でもよい。また、ベースコート部分194Aは、三層以上の構成でもよい。
上記実施形態において、燃料電池スタック100に含まれる単セル110の個数(発電単位102の個数)は、あくまで一例であり、単セル110の個数は燃料電池スタック100に要求される出力電圧等に応じて適宜決められる。また、上記実施形態における各部材を構成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により構成されていてもよい。例えばコート194の形成材料は、スピネル型酸化物に限らず、少なくとも酸化被膜(クロミア被膜)よりも導電性が高く、かつ、酸化被膜の成長を抑制する効果を奏する材料であればよい。
また、上記実施形態の燃料電池スタック100は、クロスフロータイプのSOFCであるが、本明細書に開示される技術は、コフロータイプのSOFCにも同様に適用可能である。また、本明細書に開示される技術は、カウンターフロータイプのSOFCにも同様に適用可能である。
また、本発明を、特開2018-195414号公報に記載されているような、金属支持型(メタルサポート型)の単セル110を備える構成に適用してもよい。この構成においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
また、上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池スタック100を対象としているが、本明細書に開示される技術は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形電解セル(SOEC)の構成単位である電解単セルを複数備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの基本的な構成は、例えば特開2016-81813号公報に記載されているように公知であるが、おおよそ以下の通りである。すなわち、電解セルスタックの構成は、上述した実施形態の燃料電池スタック100の構成において、「発電単位」を「電解セル単位」と読み替え、「単セル」を「電解単セル」と読み替え、「酸化剤ガス供給マニホールド」を「空気排出マニホールド」と読み替え、「酸化剤ガス排出マニホールド」を「空気供給マニホールド」と読み替え、「燃料ガス供給マニホールド」を「水素排出マニホールド」と読み替え、「燃料ガス排出マニホールド」を「水蒸気供給マニホールド」と読み替え、「酸化剤ガス供給連通流路」を「空気排出連通流路」と読み替え、「酸化剤ガス排出連通流路」を「空気供給連通流路」と読み替え、「燃料ガス供給連通流路」を「水素排出連通流路」と読み替え、「燃料ガス排出連通流路」を「水蒸気供給連通流路」と読み替えた構成である。
電解セルスタックの運転の際には、空気極114がプラス(陽極)で燃料極(水素極)116がマイナス(陰極)となるように、電解セルスタックに電圧が印加される。また、ガス通路部材27を介して水蒸気供給マニホールドに原料ガスとしての水蒸気が供給される。なお、供給される水蒸気に、水素ガスが含まれていてもよい。水蒸気供給マニホールドに供給された水蒸気は、水蒸気供給マニホールドから各電解セル単位の水蒸気供給連通流路を介して燃料室176に供給され、各電解単セルにおける水の電気分解反応に供される。各電解単セルにおける水の電気分解反応により燃料室176で発生した水素ガスは、余った水蒸気と共に水素排出連通流路を介して水素排出マニホールドに排出され、水素排出マニホールドからガス通路部材27を経て電解セルスタックの外部に取り出される。
また、電解セルスタックの運転の際には、電解セルスタックの温度の制御等のために、必要により空気が電解セルスタックの内部に供給される。この場合には、ガス通路部材27を介して空気供給マニホールドに供給された空気が、空気供給マニホールドから各電解セル単位の空気供給連通流路を介して、空気室166に供給される。空気室166に供給された空気は、空気極114で生成される酸素とともに空気排出連通流路を介して空気排出マニホールドに排出され、空気排出マニホールドからガス通路部材27を経て電解セルスタックの外部に排出される。
このような構成の電解セルスタックにおいても、上記実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成を採用することにより、上記実施形態における燃料電池スタック100の作用効果と同様の作用効果を奏する。
また、上記実施形態では、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を例に説明したが、本明細書に開示される技術は、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)といった他のタイプの燃料電池(または電解セル)にも適用可能である。さらに、電気化学反応セルスタックに用いられる集電部材に限らず、ベース部と突出部とを含む導電性の基材と、少なくともベース部のベース表面と突出部の角部とを覆う導電性のコートと、を備える導電性部材に対して本発明を適用してもよい。
22:ボルト 24:ナット 26,92,96:絶縁シート 27:ガス通路部材 28:本体部 29:分岐部 32,34:孔 70,80:ターミナルプレート 71,131,141:孔 78,88:端子部 80:ターミナルプレート 100:燃料電池スタック 102:発電単位 103:発電ブロック 104,106:エンドプレート 108:連通孔 110:単セル 112:電解質層 114:空気極 116:燃料極 120:単セル用セパレータ 121,181:貫通孔 124:接合部 130:空気極側フレーム 132:酸化剤ガス供給連通流路 133:酸化剤ガス排出連通流路 134:突出部 134B:角表面 134C:先端面 134D:側面 140:燃料極側フレーム 142:燃料ガス供給連通流路 143:燃料ガス排出連通流路 144:導電性部 145:電極対向部 146:インターコネクタ対向部 147:連接部 148:燃料極側集電部材 149:弾性部 150:空気極側集電部 152:基材 153:ベース表面 154:ベース部 161:酸化剤ガス供給マニホールド 162:酸化剤ガス排出マニホールド 166:空気室 171:燃料ガス供給マニホールド 172:燃料ガス排出マニホールド 176:燃料室 180:IC用セパレータ 190:インターコネクタ 191:溝部 194:コート 194A:ベースコート部分 194B:角コート部分 194C:先端コート部分 194D:側面コート部分 196:導電性接合材 200:多孔質部 210:緻密部

Claims (5)

  1. 固体酸化物を含む電解質層と前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極とを含む電気化学反応単セルと、前記電気化学反応単セルの前記空気極側に配置され、前記空気極に電気的に接続される集電部材と、を備える複数の電気化学反応単位を備える電気化学反応セルスタックにおいて、
    前記複数の電気化学反応単位の少なくとも1つに備えられる前記集電部材は、
    前記電気化学反応単セルから離間して配置され、前記電気化学反応単セルと対向するベース表面を有するベース部と、前記ベース表面から前記電気化学反応単セル側に突出するとともに角部を含む突出部であって、前記空気極に電気的に接続される突出部と、を有し、かつ、Crを含む導電性の基材と、
    前記基材のうち、少なくとも、前記ベース部の前記ベース表面と前記突出部の前記角部とを覆う導電性のコートと、を備える導電性部材であって、
    前記コートのうち、前記ベース表面を覆う第1のコート部分の厚さは、前記突出部の前記角部を覆う第2のコート部分の厚さよりも厚い、
    ことを特徴とする電気化学反応セルスタック。
  2. 請求項1に記載の電気化学反応セルスタックにおいて、
    前記基材の前記突出部は、さらに、前記空気極に電気的に接続される先端面を含み、前記角部は、前記先端面に隣接しており、
    前記コートのうち、前記先端面を覆う第3のコート部分の厚さは、前記第2のコート部分の厚さよりも厚い、
    ことを特徴とする電気化学反応セルスタック。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電気化学反応セルスタックにおいて、
    前記第2のコート部分の厚さは、1μm以上、15μm以下である、
    ことを特徴とする電気化学反応セルスタック。
  4. 請求項1または請求項2に記載の電気化学反応セルスタックであって、
    前記第1のコート部分は、その一部に多孔質部を有している、
    ことを特徴とする電気化学反応セルスタック。
  5. ベース表面を有するベース部と、前記ベース表面から突出するとともに角部を有する突出部と、を含む導電性の基材と、
    前記基材のうち、少なくとも、前記ベース部の前記ベース表面と前記突出部の前記角部とを覆う導電性のコートと、を備える導電性部材において、
    前記コートのうち、前記ベース表面を覆う第1のコート部分の厚さは、前記突出部の前記角部を覆う第2のコート部分の厚さよりも厚い、
    ことを特徴とする導電性部材。
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