JP2024014396A - 有価物質の回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】回収率の高い有価物質の回収方法を提供する。【解決手段】二次電池から得られ、Ni、CoおよびCを含む有価物質含有材から、Cの一部を物理選別により分離する物理選別工程と、前記物理選別工程よりも後に、前記有価物質含有材を加熱して還元処理する還元工程と、を含む、有価物質の回収方法。【選択図】図1

Description

本開示は、有価物質を回収する方法に関し、特に、二次電池の回収物から有価物質を回収する方法に関する。
近年、携帯電話およびコンピューターの需要増加、自動車の電動化などに伴い、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などの二次電池の需要が急激に増加している。これらの二次電池は、正極にコバルト、ニッケル、マンガンなどの有価金属、負極にグラファイトを含んでおり、使用済みの二次電池から有価金属を回収することは、資源の有効活用の観点から極めて重要である。
また、二次電池の需要増加に伴い、製造工程で発生する二次電池の不良品の数量も増加傾向にあり、当該不良品からの有価金属の回収も、同様に極めて重要である。
そこで、使用済みの二次電池および二次電池の不良品(これらを「二次電池廃棄物」と称する)から、有価金属を回収する方法が検討されている。
例えば、二次電池に含まれるコバルト酸リチウムまたはマンガン酸リチウムを、還元剤(水素または炭素)を用いて還元焙焼した後、焙焼物を水で浸出することにより、焙焼物中のリチウム分を溶出させ、有価金属(コバルト、マンガン)を残渣中へ分配させて、それぞれ回収する方法が知られている(例えば特許文献1および2)。
特開2004-11010号公報 特開2011-094227号公報
従来の回収方法では、有価金属および有価金属化合物(これらをまとめて「有価物質」と称する)の回収率が十分ではなく、回収率のさらなる向上が求められている。
そこで、本発明の実施形態では、高い回収率を実現できる有価物質の回収方法を提供することを目的とする。
本発明の態様1は、
二次電池から得られ、Ni、CoおよびCを含む有価物質含有材から、Cの一部を物理選別により分離する物理選別工程と、
前記物理選別工程よりも後に、前記有価物質含有材を加熱して還元処理する還元工程と、を含む、有価物質の回収方法である。
本発明の態様2は、
前記物理選別工程後の有価物質含有材に含まれるC含有量が1.5~10.0質量%である、態様1に記載の有価物質の回収方法である。
本発明の態様3は、
物理選別は、湿式サイクロン装置を用いる選別法、浮選法、乾式サイクロン装置を用いる選別法、および気流分級法からなる群から選択される1つにより行われる、態様1または2に記載の有価物質の回収方法である。
本発明の態様4は、
前記湿式サイクロン装置を用いる前記物理選別工程は、
水を含有する液体に前記有価物質含有材を混合して、固体濃度が20質量%以下のスラリーを調製するスラリー調製工程と、
前記湿式サイクロン装置により、前記スラリーからCの一部を分離するスラリー処理工程と、を含む、態様3に記載の有価物質の回収方法である。
本発明の態様5は、
前記スラリー調製工程では、固体濃度が10質量%以下の前記スラリーを調製する、態様4に記載の有価物質の回収方法である。
本発明の実施形態の有価物質の回収方法によれば、高い回収率を達成することができる。
図1は、実施形態に係る有価物質の回収方法を説明するためのフローチャートである。
二次電池廃棄物からNi、Co等の有価物質を回収するとき、二次電池廃棄物を粉砕して得た有価物質含有材を、還元剤と共に焙焼する(還元処理)。有価物質含有材に含まれる有価金属化合物が還元されて有価金属が得られるが、このとき、有価金属が凝集することにより他の物質との分離が容易になり、有価金属を効率よく回収することができる。しかしながら、二次電池廃棄物の種類によっては、還元処理後の有価金属が凝集せず、有価金属の回収率を低下させる原因となっていた。
発明者らは、有価物質(特に有価金属)の回収率を向上すべく鋭意研究を行ったところ、負極材料にグラファイトを使用した二次電池の有価物質含有材では、還元処理後の有価金属が凝集していないことを発見した。さらに研究を行った結果、有価物質含有材中のグラファイト(C成分)の含有量が、還元処理で還元剤として消費される量を大きく上回ると、還元処理後の有価金属が凝集せず、粉末状金属になることを初めて見いだした。発明者らは、この知見に基づいて、有価物質の回収率の高い新たな有価物質の回収方法を完成した。
本発明の実施形態に係る有価物質の回収方法は、
二次電池から得られ、Ni、CoおよびCを含む有価物質含有材から、Cの一部を物理選別により分離する物理選別工程と、
前記物理選別工程よりも後に、前記有価物質含有材を加熱して還元処理する還元工程と、を含んでいる。
回収方法は任意で、
物理選別工程よりも前に、二次電池廃棄物から、有価物質含有材を準備する工程、および
物理選別工程よりも後で、還元工程よりも前に、有価物質含有材にフラックスを混合する工程
の1つ以上をさらに含んでもよい。
以下に、図1を参照しながら各工程について説明する。
[有価物質含有材を準備する工程S110]
有価物質含有材の準備工程S110では、二次電池廃棄物を、例えば加熱、破砕、篩別、磁選等の処理を行って、有価物質を含む粉末状の材料(有価物質含有材)を準備する。
有価物質含有材を準備する手順は、二次電池廃棄物を破砕して粉末状にすることを含む。得られた二次電池廃棄物の粉末は、Co,Ni,Mn,Liなどの有価金属の酸化物と、C(グラファイト)とを含んでおり、さらに、LiおよびFの少なくとも一方を含む化合物(例えばLiF,AlFなど)を含み得る。なお、必要に応じて、破砕前に二次電池廃棄物を加熱して、二次電池廃棄物に含まれるセパレータなどの可燃材料を燃焼させてもよい。その場合は、セパレータの燃焼が完了した時点で加熱を停止することが望ましい。これにより、C(グラファイト)までもが燃焼して除去されることを抑制できる。また、必要に応じて、破砕後に磁選や風選などの選別法により、二次電池廃棄物の粉末から、粉末状の単体金属(例えばCu,Fe,Alなど)を分離してもよい。
このようにして、粉末状の有価物質含有材を準備する。
[物理選別工程S120]
物理選別工程S120では、有価物質含有材からCの一部を物理選別により分離する。これにより、有価物質含有材中のCの含有量が減少するので、還元工程S140で形成される金属Niおよび金属Coを、凝集した状態で得ることができる。凝集した金属Niおよび金属Coは効率よく回収できるため、有価金属の回収率を向上することができる。
また、物理選別工程によって有価物質含有材中のCの含有量が減少するので、物理選別工程後の有価物質含有材中のNiおよびCoの濃度は、物理選別工程前に比べて上昇する(言い換えると、Ni成分およびCo成分が濃縮される)。つまり、物理選別工程を行うことにより、有価物質含有材を還元処理して得られる有価金属(金属Niおよび金属Co)の量は、物理選別工程を行っていない、同量の有価物質含有材から得られる有価金属の量よりも多くすることができる。
Ni成分およびCo成分の濃縮の程度は、有価物質含有材から分離されるC量に依存するが、例えば1.1~1.4倍に濃縮され得る。
物理選別工程では、有価物質含有材から全てのCを分離除去する必要はない。有価物質含有材中に残ったCは、還元工程S140において還元剤として機能する。ここで「還元剤」とは、有価物質含有材中の有価金属の酸化物(特に、CoおよびNiの酸化物)から酸素を取り除くための還元剤のことを指す。
前記物理選別工程後の有価物質含有材に残っているC含有量(これを「残存C量」と称する)は、有価物質含有材に含まれるCoおよびNiの酸化物を全て還元できる量(これを「還元C量」と称する)以上であることが好ましい。
また、還元処理後に、還元反応で消費されずに残ったC量が、金属Niおよび金属Coの凝集を妨げない量(これを「凝集可能C量」と称する)であることが望ましい。
つまり、(残存C量)は、(還元C量)以上、(還元C量+凝集可能C量)以下に調節されることが望ましい。
(還元C量)は、有価物質含有材に含まれるCoおよびNiの酸化物の量によって変動する。そのため、最適な(残存C量)は、有価物質含有材に含まれるCoおよびNiの酸化物の量によって異なるが、一般的な二次電池から得られる有価物質含有材であれば、例えば1.5~10.0質量%とすることができる。
これまでの有価物質の回収方法(例えば特許文献1、2)では、還元工程より前に、有価物質含有材に還元剤を混合するか、または還元ガス雰囲気下で還元工程を行っていた。
これに対して、実施形態に係る有価物質の回収方法では、有価物質含有材が含んでいる還元剤(グラファイト)を利用することにより、有価物質含有材に還元剤を混合する必要も、還元ガス雰囲気下で還元工程を行う必要もない。
物理選別工程に使用する選別法は、有価物質含有材中に有価物質(金属状のNi、Coおよびぞれらの化合物)を残しつつ、Cを分離除去できる選別法であれば特に限定されない。選別法として、湿式および乾式の選別法のいずれも採用できる。
以下に、実施形態に係る発明に特に適した選別法について説明する。
(1.湿式選別法)
湿式の選別法としては、例えば湿式サイクロン装置を用いる選別法、および浮選が挙げられる。
(1-1.湿式サイクロン装置を用いた湿式選別法)
湿式サイクロン装置を用いる物理選別工程では、
水を含有する液体(含水液体)に前記有価物質含有材を混合して、固体濃度が20質量%以下のスラリーを調製するスラリー調製工程と、
前記湿式サイクロン装置により、前記スラリーからCの一部を分離するスラリー処理工程と、を含む。
・スラリー調製工程
スラリー調製工程では、湿式サイクロン装置で処理するのに適したスラリーを調製する。スラリーは、含水液体に有価物質含有材を混合して調製する。スラリーの固体濃度は20質量%以下であることが好ましい。スラリーの粘度が高くなり過ぎず、ポンプで湿式サイクロン装置に供給するのに適した粘度のスラリーが得られる。
スラリーの固体濃度は10質量%以下であることが特に好ましく、分離したグラファイト粉末と共に廃棄される有価物質の量を低減することができる。この点については、スラリー処理工程の説明において詳述する。
スラリーの固体濃度(質量%)は以下の式(1)で計算する。

固体濃度=WSOL/(WSOL+WLIQ)×100 (1)

ここで、
SOL:スラリー中に含まれる有価物質含有材の質量(kg)、
LIQ:スラリー中に含まれる水を含有する液体(含水液体)の質量(kg)
である。

SOLおよびWLIQは、それぞれ、スラリー作成時に混合した有価物質含有材の質量および含水液体の質量として、固体濃度を計算してもよい。
なお、LiおよびFを含む有価物質含有材を還元処理すると、有毒な白煙が発生することがある。ここで、スラリー調製工程では、有価物質含有材と含水液体とを混合しているため、有価物質含有材に含まれるLiおよびFを、水に溶解させて除去することができる。つまり、還元工程より前に行う物理選別工程によってLiおよびFを除去できるので、還元工程で白煙が発生することを抑制できる。
また、含水液体を用いた湿式の物理選別工程によって有価物質含有材中のLiおよびFが除去されると、物理選別工程後の有価物質含有材中のNiおよびCoの濃度は、物理選別工程前に比べて上昇する(言い換えると、Ni成分およびCo成分が濃縮される)。つまり、物理選別工程を行うことにより、有価物質含有材を還元処理して得られる有価金属(金属Niおよび金属Co)の量は、物理選別工程を行っていない、同量の有価物質含有材から得られる有価金属の量よりも多くすることができる。
スラリー調製工程で使用される含水液体は、特に限定されず、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、および中性水溶液のいずれでもよい。特に好ましいのは水である。
・スラリー処理工程
スラリー処理工程では、湿式サイクロン装置により、スラリーに含まれる微粒(グラファイト粒子)と粗粒(有価物質含有材)とを分離する。
湿式サイクロン装置は、下向きに縮径したサイクロン本体を備え、スラリーは、サイクロン本体上部のスラリー供給口から、水平かつサイクロン本体の内壁(水平断面では円形形状)の接線方向に向かって高速で供給される。スラリーはサイクロン本体内を高速回転しながら降下し、その間に、スラリー中の微粒は、サイクロン本体内に発生する上昇気流によって上側出口(TOP)から排出され、粗粒は下側出口(BOT)から排出される。グラファイト粉末は微粒であるため上側出口から、有価物質含有材は下側出口から、それぞれ回収することができる。
回収されたグラファイト粉末は廃棄され、有価物質含有材は、次の工程(還元工程S140)でさらに処理される。
上側出口と下側出口とにそれぞれ分離される粒子のサイズは、スラリー粘度、サイクロン本体内でのスラリーの流速、サイクロン本体の傾斜角によって変更することができる。そのため、基本的には、上側出口からグラファイト粒子(粒径が数十μm以下)、下側出口から有価物質含有材を回収できるように、スラリー粘度等を調節する。
ただし、有価物質含有材中に、還元剤としてのグラファイトが含まれた状態にするために、下側出口から回収される有価物質含有材にグラファイトの一部が残るように、スラリー粘度を調節する。
なお、上側出口から回収されるグラファイト粉末に含まれる有価物質は、グラファイト粉末と共に廃棄されるため、そのような有価物質の量はできるだけ少ない方が好ましい。ここで、スラリーの固体濃度を10質量%以下にすることが好ましく、グラファイト粉末と共に上側出口から回収される有価物質(つまり、廃棄される有価物質)の量が減らすことができるので、有価物質の回収率を改善することができる。
(1-2.浮選法による湿式選別法)
浮選法による物理選別工程では、一般的に知られている浮選法の技術を用いて、微粒(グラファイト粒子)と粗粒(有価物質含有材)とを分離する。浮選法としては、泡沫浮選が特に好ましい。泡沫浮選は、水を含む液体(含水液体)を用いて行うことができる。泡沫浮選に含水液体を用いると、上述したように、有価物質含有材に含まれるLiおよびFが水に溶解して除去できるため、還元工程で白煙が発生することを抑制する効果、および有価金属(金属Niおよび金属Co)の回収量を増加する効果もある。
泡沫浮選で使用される含水液体は、特に限定されず、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、および中性水溶液のいずれでもよい。特に好ましいのは水である。
(2.乾式選別法)
乾式の選別法としては、例えば乾式サイクロン装置を用いる選別法、および気流分級法が挙げられる。
(2-1.乾式サイクロン装置を用いた乾式選別法)
乾式サイクロン装置としては、湿式サイクロン装置と同様の構造を有するものを使用できる。
乾式サイクロン装置は、下向きに縮径したサイクロン本体を備え、粉末は、サイクロン本体上部の粉末供給口から、サイクロン本体の内壁(水平断面では円形形状)の接線方向に向かって高速で供給される。この場合供給するガスキャリアは空気を用いても良いし、窒素、アルゴンを含む不活性ガスを用いても良い。粉末はサイクロン本体内を高速回転しながら降下し、その間に、粉末の微粒は、サイクロン本体内に発生する上昇気流によって上側出口(TOP)から排出され、粗粒は下側出口(BOT)から排出される。グラファイト粉末は微粒であるため上側出口から、有価物質含有材は下側出口から、それぞれ回収することができる。
回収されたグラファイト粉末は廃棄され、有価物質含有材は、次の工程(還元工程S140)でさらに処理される。
上側出口と下側出口とにそれぞれ分離される粒子のサイズは、ガス/粉末の単位時間当たりに投入する重量比率重量比率、サイクロン本体内での流速、サイクロン本体の傾斜角によって変更することができる。そのため、基本的には、上側出口からグラファイト粒子(粒径が数十μm以下)、下側出口から有価物質含有材を回収できるように、ガス/粉末の単位時間当たりに投入する重量比率や速度等を調節する。
ただし、有価物質含有材中に、還元剤としてのグラファイトが含まれた状態にするために、下側出口から回収される有価物質含有材にグラファイトの一部が残るように、ガス/粉末の単位時間当たりに投入する重量比率や速度等を調整する。
(2-2.気流分級法による乾式選別法)
気流分級装置は、流路内部への粉末供給装置、ガス供給装置、ガスと粉末を混合し粉末を流動化させる混合室(また、粗粉の回収室)、微粉末の捕集部であるサイクロンまたはバグフィルタが備えられた装置で、混合室とサイクロン/バグフィルタのガス流路として、孔の空いた回転ローターが備えられた装置である。
粉末はガスと混合され、ガスと同時に運動し、前述の回転ローターに侵入し、ローター後部のサイクロン/バグフィルタで微粉が回収される。ここで、ローターは回転しているため、ローターの孔近傍に到達した粒子には、ローター内に押し込まれるガスからの粘性力と、ローター回転で発生する遠心力が発生する。より遠心力が強くかかる粗粉はローターを通過できず、混合室に戻り、混合室下に設けられた排出口より排出される。一方微粉は、ローター通過後にサイクロンまたはバグフィルタにより回収される。有価物質は、粗粉側に排出されるが、ここにグラファイトの一部が残るように、ローターの回転数/ガス流速等を調整する。
[フラックス混合工程S130]
任意で、物理選別後の有価物質含有材にフラックスを混合するフラックス混合工程S130を行う。フラックス混合工程S130では、回収物を熔融させるためのフラックスを混合する。フラックスとしては、本技術分野で知られているものを利用でき、例えばCaO、SiO、FeO, MgO、鉄鋼スラグ、CaCo(例えば石灰石)、ドロマイト、珪砂等が挙げられる。
[還元工程S140]
還元工程S140では、物理選別工程後(または、任意で行ったフラックス混合工程後)の有価物質含有材を加熱して熔融することで、有価物質含有材に含まれる有価金属の酸化物を還元する(還元処理)。還元処理の加熱温度は、有価物質含有材が熔融し、かつ還元剤が有価金属の酸化物と還元反応を生じる温度であればよく、還元剤の種類、対象となる酸化物の種類などによって適宜設定できる。加熱時間は、所定の加熱温度において還元剤と有価金属の酸化物との還元反応が十分に進行する時間であればよく、加熱温度、還元剤の種類、対象となる酸化物の種類などによって適宜設定できる。典型的な例として、炭素質還元剤を用いてCoおよびNiの酸化物を還元する場合、加熱温度は1400℃以上1650℃以下、加熱時間は60分以下とすることができる。なお加熱温度は、坩堝(発熱体)の温度である。坩堝温度は坩堝表面に張り付けた熱電対で測定する。
実施形態に係る有価物質の回収方法によれば、有価物質含有材に含まれる過剰なC(グラファイト粉末)の一部を物理選別で除去した後に還元処理を行うことにより、有価物質含有材に残存するCを還元処理のための還元剤として利用するだけでなく、還元処理で得られる金属Niおよび金属Coの凝集を可能にする。これにより、有価物質含有材に還元剤を添加する工程を省略して回収にかかるコストを削減し、さらに、金属Niおよび金属Coの回収率を向上することができる。
[実施例No.1~6]
有価物質含有材を物理選別することの効果を調べるために、物理選別による各種元素の除去率および残存率を調べた。
(スラリーの調製)
リチウムイオンバッテリーを加熱し、破砕して得た粉末を、有価物質含有材として実施例No.1~6に使用した。
表1の固体濃度となるように、有価物質含有材と水を各々秤量して容器に投入後、ミキサーで撹拌してスラリーを調製した。
(物理選別)
湿式サイクロン装置(SC-150型スーパークロン:村田製作所製)を用いて、スラリーを物理選別した。湿式サイクロン装置の上側出口(TOP)の口径は20~30mm、下側出口(BOT)の口径は5~20mmであった。湿式サイクロン装置に供給するスラリーの流量は70~130L/分、スラリー供給口における入口圧力は0.05~0.10MPa、上側および下側出口における出口圧力は0.00~0.07MPaであった。
湿式サイクロン装置の上側出口(TOP)と下側出口(BOT)の各々からスラリーを回収し、ろ過により水を除去した。上側出口からの回収物の濾過後質量(WTOP[kg])および下側出口からの回収物の濾過後質量(WBOT[kg])をそれぞれ測定した。また、回収物の成分分析を行い、上側出口からの回収物中における測定対象元素の含有量(XTOP[質量%])および下側出口からの回収物中における測定対象元素の含有量(XBOT[質量%])を測定した。また、湿式サイクロン装置で物理選別する前のスラリーについても、ろ過により水を除去した後に、測定対象元素の含有量(XBEF[質量%])を測定した。成分分析には、ICP発光分光分析装置SPS3500DD(SII社製)を用いた。
測定対象元素は、C、Ni、Co、LiおよびFとした。C、Li、およびFについては、以下の式(2)を用いて除去率(%)を算出した。Ni、およびCoについては、式(3)を用いて残存率(%)を算出した。

除去率=100-XBOT×WBOT/{XBEF×(WBOT+WTOP)}×100 (2)

残存率=XBOT×WBOT/(XBOT×WBOT+XTOP×WTOP)×100 (3)
式(2)で規定した除去率は、物理選別前の有価物質含有材に含まれる測定対象元素の量[kg]を100%としたときの、物理選別で下側出口から回収された有価物質含有材中に含まれる測定対象元素の量[kg]の比率(RBOT[%])を求めた後、100[%]からRBOTを引いた値である。
式(3)で規定した残存率は、物理選別後に上側出口から回収されたグラファイト粉末中に含まれる測定対象元素の量[kg]と、下側出口から回収された有価物質含有材中に含まれる測定対象元素の量[kg]との合計を100%としたときの、有価物質含有材中の測定対象元素の量[kg]の比率のことである。
計算結果を表1に記載する。なお、C、LiおよびFは除去率が高いほど良く、NiおよびCoは残存率が高いほど良い。
また、下側出口からの回収物中におけるCの含有量(XBOT[質量%])を表2に示す。これは、物理選別工程後の有価物質含有材に含まれるC含有量(質量%)に相当する。
Figure 2024014396000002
Figure 2024014396000003
実施例No.1~6いずれも、Cの除去率が高く、また、LiおよびFについても一部除去できていた。よって、有価物質含有材の物理選別工程に、湿式サイクロン装置が適していることが確認できた。
さらに、固体濃度が10%以下の実施例No.1~4は、NiおよびCoの残存率が高く、グラファイト粉末と共に廃棄されるNiおよびCoの量を少なく出来ることが分かった。
このような結果になった理由は以下のように推察できる。
実施例No.5、6でNiとCoの残存率が低かったのは、スラリーの粘度が高かったため、比重の大きいNiおよびCoが下側出口に到達せずに、グラファイト粉末と共に上側出口から排出されたためと考えられる。
実施例No.2~4は、固体濃度が同一であるにも拘わらず、C、LiおよびFの除去率が異なっているが、これらは有価物質含有材を作成したリチウムイオンバッテリーに含まれる各成分のばらつき、試験状態(特に、水に溶出するLiおよびFでは、水との接触状態のばらつき)によるものであると考えられる。実施例No.2~4における除去率の差(ばらつき)に比べて、実施例No.2~4の除去率と、固体濃度が異なる実施例No.1、5および6における除去率との差は有意に大きいことから、スラリーの固体濃度が、C、LiおよびFの除去率に影響を及ぼしていることは明らかである。
表2に示すように、物理選別工程後の有価物質含有材に含まれるC含有量は、いずれも1.5~10.0質量%の範囲内であった。
[実施例No.7~10]
物理選別後のC含有量と、還元処理後の凝集の有無との関係を調べた。
(物理選別後(還元工程前)の有価物質含有材)
実施例No.10では、実施例No.2と同一条件で準備したスラリーを、同一条件で物理選別し、下側出口からの回収物を乾燥して得られた有価物質含有材を用いた。実施例No.7~9では、実施例No.10で得た有価物質含有材に、炭素源(富士フイルム和光純薬(株)製、和光特級グラファイト試薬)を所定量混合して得られた有価物質含有材を用いた。実施例No.7~9で混合した炭素源の量は、有価物質含有材中のC含有量が、表3に示すC含有量と近い値になるように調節した。
実施例No.7~10の有価物質含有材に含まれるC含有量を、ICP発光分光分析装置SPS3500DD(SII社製)を用いて測定した。なお、表2の実施例No.2のC含有量と、表3の実施例No.10のC含有量とは僅かに異なっているが、誤差範囲である。
(還元工程)
実施例No.7~10の有価物質含有材をグラファイト坩堝内に50g入れ、N雰囲気下において加熱して還元工程を行った。加熱炉はSKメディカル社製のMU αIVを用い、昇温速度100℃/分で加熱し、1450℃に到達後10分間保持した後、炉冷した。得られた有価物質は、充分冷えたのちに坩堝ごと回収した。
回収した有価物質を、坩堝に入ったまま、東芝ITコントロールシステム株式会社製のμフォーカスCTスキャナTXS-33000FDで非破壊評価(X線CT観察)した。X線CT観察で金属粒子(白く映る)を特定し、3次元画像解析により、金属粒子の粒径(球相当径)を求め、粒径毎の体積分布を得た。
還元工程後の有価物質に含まれる金属(全量)を100体積%としたとき、直径1mm以上の金属粒子(これを「凝集物」とみなす)の含有量を求めた。凝集物の含有量が10体積%以上であった場合は、凝集したと判断し、表3に「凝集」と記載した。一方、有価物質中に凝集物が存在しなかった場合(凝集物の含有量が0体積%)、または直径1mm以上の凝集物は存在するが、凝集物の含有量が10体積%未満であった場合は、表3に「凝集せず」と記載した。
X線CT観察後に、実施例No.8~10の有価物質を坩堝から回収し、凝集物(金属光沢のある塊状物)をピンセットで分別し、磁石を近づけた。実施例No.8~10の有価物質のいずれにおいても、凝集物が磁着することを確認した。このことから、凝集物が、目的元素であるNiを含むことが分かった。
Figure 2024014396000004
表3の結果から、還元工程を行う前にC含有量を低減することにより、還元工程後に、有価金属を凝集させ得ることが確認された。

Claims (5)

  1. 二次電池から得られ、Ni、CoおよびCを含む有価物質含有材から、Cの一部を物理選別により分離する物理選別工程と、
    前記物理選別工程よりも後に、前記有価物質含有材を加熱して還元処理する還元工程と、を含む、有価物質の回収方法。
  2. 前記物理選別工程後の有価物質含有材に含まれるC含有量が1.5~10.0質量%である、請求項1に記載の有価物質の回収方法。
  3. 物理選別は、湿式サイクロン装置を用いる選別法、浮選法、乾式サイクロン装置を用いる選別法、および気流分級法からなる群から選択される1つにより行われる、請求項1または2に記載の有価物質の回収方法。
  4. 前記湿式サイクロン装置を用いる前記物理選別工程は、
    水を含有する液体に前記有価物質含有材を混合して、固体濃度が20質量%以下のスラリーを調製するスラリー調製工程と、
    前記湿式サイクロン装置により、前記スラリーからCの一部を分離するスラリー処理工程と、を含む、請求項3に記載の有価物質の回収方法。
  5. 前記スラリー調製工程では、固体濃度が10質量%以下の前記スラリーを調製する、請求項4に記載の有価物質の回収方法。
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