JP2024013976A - 塔状構造物の制震構造及び制震構造付き塔状構造物の構築方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】洋上風力発電設備等の塔状構造物全体の制震性を高め、地震動等による洋上風力発電設備等のモノパイル式基礎等の基礎用筒状体への負担を軽減することができる塔状構造物の制震構造及び制震構造付き塔状構造物の構築方法の提供。【解決手段】塔状構造物3の制震構造8は、基礎用筒状体4内の水底地盤1に貫入された所定の固有振動数を有する筒状の制震用杭体10を備え、制震用杭体10の外周面と基礎用筒状体4の内周面との間に水底地盤1からなる地盤ばね部11が形成されている。【選択図】図3
Description
本発明は、洋上風力発電装置等の塔状構造物の制震構造及び制震構造付き塔状構造物の構築方法に関する。
洋上風力発電設備の一態様には、水底地盤に貫入させた基礎用筒状体からなるモノパイル式基礎と、基礎用筒状体に下端が支持された塔本体部とを備え、塔本体部の上端部に風車(ナセル・ロータ)等からなる風力発電用装置を支持させたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
モノパイル式基礎は、一般的且つコストが安いことから着床式洋上風力発電装置の基礎として欧州等で広く用いられているが、地震が多発する日本においては、その基礎となるモノパイル式基礎への地震動の影響が大きく、特に大水深の水域に設置する場合、地震動によってモノパイル式基礎に大きな変形が生じるおそれがあることから、この種の塔状構造物の設計は厳格に行われている。
即ち、この種の塔状構造物では、下部が地盤に貫入・支持されており、地震発生時等に大きな曲げモーメントやせん断力が作用することから、安全性を確保するため、当該曲げモーメントやせん断力に対抗できるように予め塔状構造物の基礎部分であるモノパイルの外径や肉厚を大きくする必要がある。
しかしながら、上述の如き従来の技術では、塔状構造物の基礎部分であるモノパイルの外径や肉厚が大きくなると、当該モノパイルの製造コスト及びその建設コストが増大するという問題がある。
また、モノパイルが大型化すると、モノパイルの取り回しや打設に特殊な作業船を使用する必要があるとともに、モノパイルを打設する際に時間を要するため、モノパイル式基礎の施工におけるコストの増加、工期の長期化及び安全上のリスクが高まるという問題があった。
特に、モノパイル式基礎は、1本杭の基礎であり、地盤によっては地盤との共振により過大な荷重が生じても、構造・形状が単純であるがゆえに、形状の修正などの設計的な工夫による地震荷重の低減が困難であり、過大な設計強度や基礎形状となるリスクがあった。
よって、モノパイルの大型化に伴うモノパイル式基礎の施工に要するコスト増加、工期の長期化及び安全上のリスクを軽減するためには、地震動等による塔状構造物への応力負担を軽減し、モノパイルの外径や肉厚を小さくすることが望まれる。
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、洋上風力発電設備等の塔状構造物全体の制震性を高め、地震動等による洋上風力発電設備等のモノパイル式基礎等の基礎用筒状体への負担を軽減することができる塔状構造物の制震構造及び制震構造付き塔状構造物の構築方法の提供を目的としてなされたものである。
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、水底地盤に貫入された状態で前記水底地盤に立設されてなる中空筒状の基礎用筒状体を有する塔状構造物の制震構造において、前記基礎用筒状体内の前記水底地盤に貫入された所定の固有振動数を有する筒状の制震用杭体を備え、該制震用杭体の外周面と前記基礎用筒状体の内周面との間に前記水底地盤からなる地盤ばね部が形成されていることにある。
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記制震用杭体は、内部に固有振動数調整用充填材が所定の高さまで充填されていることにある。
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記制震用杭体は、内周面及び/又は外周面の前記水底地盤から所定の高さの位置に固有振動数調整用重量体が固定されていることにある。
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記水底地盤から所定の高さ位置に、前記塔状構造物の内周面と前記制震用杭体の外周面とを連結する制震用連結部材を備えていることにある。
請求項5に記載の発明の特徴は、請求項4の構成に加え、前記塔状構造物の内周面及び前記制震用杭の外周面に、前記制震用連結部材の端部が着脱可能に連結される連結具が固定され、前記制震用連結部材の両端がそれぞれ前記連結具に連結されていることにある。
請求項6に記載の発明の特徴は、水底地盤に貫入された状態で前記水底地盤に立設されてなる中空筒状の基礎用筒状体を有する制震構造付き塔状構造物の構築方法において、前記基礎用筒状体を前記水底地盤に貫入させた状態に立設する基礎用筒状体立設工程と、前記基礎用筒状体の上端開口部より該基礎用筒状体内に筒状の制震用杭体を挿入し、前記基礎用筒状体内の前記水底地盤に貫入させた状態に打設する制震用杭体打設工程とを有し、所定の固有振動数を有する前記制震用杭体の外周面と前記基礎用筒状体の内周面との間に前記水底地盤からなる地盤ばね部を形成することにある。
請求項7に記載の発明の特徴は、請求項6の構成に加え、前記制震用杭体を前記水底地盤に打設した後、
前記制震用杭体内に固有振動数調整用充填材を所定の高さまで充填し、前記制震用杭体の固有振動数を調整することにある。
前記制震用杭体内に固有振動数調整用充填材を所定の高さまで充填し、前記制震用杭体の固有振動数を調整することにある。
請求項8に記載の発明の特徴は、請求項6又は7の構成に加え、前記制震用杭体の内周面及び/又は外周面の所定の位置に固有振動数調整用重量体が固定された制震用杭体を該固有振動数調整用重量体が前記水底地盤から所定の高さに位置するように打設することにある。
請求項9に記載の発明の特徴は、請求項6又は7の構成に加え、前記制震用杭体を前記水底地盤に打設した後、前記水底地盤から所定の高さ位置において、前記塔状構造物の内周面と前記制震用杭体の外周面とを制震用連結部材で連結することにある。
請求項10に記載の発明の特徴は、請求項9の構成に加え、前記筒状構造物の内周面及び前記制震用杭の外周面に前記制震用連結部材の端部が着脱可能に連結される連結具を固定しておき、前記制震用連結部材の両端をそれぞれ前記連結具に連結することにある。
本発明に係る塔状構造物の制震構造は、請求項1に記載の構成を具備することによって、制震用杭体の地盤ばね部を介した相互作用による制震効果によって塔状構造物全体への負担を軽減することができる。また、塔状構造物全体への負担が軽減されることによって、地震時の塔状構造物へ作用する断面力を軽減することができ、その分、モノパイル等の基礎用筒状体の外径や肉厚を小さくすることができる。
また、本発明において、請求項2乃至3に記載の構成を具備することによって、制震用杭体を制震に適した固有振動数に調節することができる。
さらに、本発明において、請求項4に記載の構成を具備することによって、制震用杭体の地盤ばね部を介した相互作用による制震効果に加え、制震用連結部材によって塔状構造物に生じた地震動等によるエネルギを吸収させ、制震効果を高めることができる。
さらにまた、本発明において、請求項5に記載の構成を具備することによって、塔状構造物と杭支持構造物とを容易且つ効率的に連結することができる。
本発明において、請求項6に記載の構成を具備することによって、制震用杭体の地盤ばね部を介した相互作用による制震効果によって塔状構造物全体への負担を軽減するように制震構造を構築することができる。
また、本発明において、請求項7乃至8に記載の構成を具備することによって、制震用杭体を制震に適した固有振動数に調節することができる。
さらに、本発明において、請求項9乃至10に記載の構成を具備することによって、塔状構造物と制震用杭体とを容易且つ効率的に連結し、制震用連結部材によって制震効果の向上を図ることができる。
次に、本発明に係る塔状構造物の制震構造の実施態様を図1~図7に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1は岩盤等の地盤、符号2は水面である。また、本実施例は、塔状構造物としてモノパイル式洋上風力発電設備3を例に説明する。
洋上風力発電設備3は、図1に示すように、水底地盤1に貫入された状態で水底地盤1に立設されてなる基礎用筒状体4(モノパイル式基礎)と、基礎用筒状体4の上端に連結用筒状体5(トラジッションピース)を介して連結された中空筒状の塔本体部6と、塔本体部6の上端部に支持された風車設備7(ナセル・ロータ)とを備え、基礎用筒状体4、連結用筒状体5及び塔本体部6とで塔型を成している。
基礎用筒状体4は、鋼管等によって構成され、上下端が開口した円筒状等の筒状の本体部4aと、本体部4aの上端部に一体に形成された上方が先細りとなる円錐台筒状の連結部4bとを備え、連結部4bの外側に連結用筒状体5のスカート部5aが嵌合されている。
尚、基礎用筒状体4の態様は、円筒状に限定されず、例えば、多角形筒状等であってもよい。
基礎用筒状体4は、図1、図2に示すように、下側が所定の深さまで水底地盤1に貫入され、上側が所定の高さ分だけ水面2より突出した状態で打設され、水面上で連結用筒状体5が連結されている。尚、基礎用筒状体4の水底地盤1からの突出高さは、上述の実施例に限定されず、例えば、基礎用筒状体4の上端が水中に没した状態で連結用筒状体5と連結されていてもよい。
また、この塔状構造物である洋上風力発電設備3(以下、塔状構造物3という)は、制震構造8を具備し、地震動等の外力による負担が軽減されるようになっている。
この制震構造8は、基礎用筒状体4内の水底地盤1に貫入された所定の固有振動数を有する筒状の制震用杭体10を備え、制震用杭体10の外周面と基礎用筒状体4の内周面との間に水底地盤1からなる地盤ばね部11が形成され、制震用杭体10が地盤ばね部11を介した相互作用によって制震効果を発揮し、塔状構造物3に作用する地震動等による外力を軽減するようになっている。
制震用杭体10は、鋼管等によって基礎用筒状体4の上部開口径より小さい形の円筒状等の筒状に構成され、下側が所定の深さまで水底地盤1に貫入され、上側が所定の高さ分だけ水底地盤1より突出するように打設されている。
尚、制震用杭体10の態様は、上述の実施例に示す円筒状に限定されず、例えば、多角形筒状等であってもよい。
制震用杭体10の水底地盤1への貫入深さは、事前の解析結果に基づいて設定され、少なくとも制震用杭体10が水底地盤1上で自立できる長さまで貫入する。また、地盤の状態や固有振動数等の状況によって、基礎用筒状体4の貫入深さより深くなってもよく、短くなってもよい。
そして、基礎用筒状体4内の水底地盤1に制震用杭体10が打設されることによって、図2に示すように、水底地盤1に貫入された基礎用筒状体4の内周面と制震用杭体10の外周面との間に、一定の幅及び深さを有する水底地盤1を構成する土砂によって地盤ばね部11が形成される。
地盤ばね部11は、水底地盤1を構成する土砂が基礎用筒状体4の内周面と制震用杭体10の外周面とに挟まれることによって弾性を発揮し、基礎用筒状体4の内周面と制震用杭体10の外周面との間に介在されたバネ体のような挙動となり、基礎用筒状体4と制震用杭体10とが相互作用する構造を形成している。
なお、所定の地盤ばねの効果を得るために、制震用杭体10の打設前に基礎用筒状体4内の原地盤を地盤改良するようにしてもよい。地盤改良の方法は、特に限定されないが、例えば、原地盤を構成する土砂にセメントや製綱スラグ等の地盤改良材を混合してもよく、原地盤を構成する土砂を別材料に置換してもよい。
また、制震用杭体10は、制震に適した固有振動数に調節するため、図2に示すように、制震用杭体10の内部に固有振動数調整用充填材12を所定の高さまで充填してもよく、図3に示すように、制震用杭体10の内周面及び/又は外周面の水底地盤1から所定の高さの位置に固有振動数調整用重量体13を固定してもよい。尚、固有振動数調整用充填材12と固有振動数調整用重量体13と併用してもよい。
固有振動数調整用充填材12は、コンクリートやモルタル等によって構成され、その充填量によって、制震用杭体10の重量や重心位置が変動し、固有振動数が調節できるようになっている。尚、固有振動数調整用充填材12は、コンクリートやモルタルに限定されず、例えば、砂、土砂、改良土、製鋼スラグ等を用いてもよい。また、固有振動数調整用充填材12の充填量は、固有振動数調整用充填材12として用いる材料に応じて設定することが望ましい。
固有振動数調整用重量体13の態様は、特に限定されないが、例えば、鋼板のように一定の重量を有する材料を使用し、その取り付け位置及び重量によって、制震用杭体10に作用するモーメントが変動し、固有振動数が調節できるようになっている。
また、この制震構造8は、図4~図7に示すように、制震用杭体10の水底面1からの突出長を十分に確保し、水底地盤1から所定の高さ位置に、塔状構造物3の内周面と制震用杭体10の外周面とを連結する制震用連結部材14,14…を備えることによって、更に制震効果の向上を図ることができる。
制震用連結部材14,14の取り付け位置については、塔状構造物3の内周面の何れか位置が適宜選択され、図4、図5に示すように、基礎用筒状体4の内周面と制震用杭体10の外周面とを連結してもよく、図6、図7に示すように、連結用筒状体5の内周面と制震用杭10の外周面とを連結してもよい。また、制震用連結部材14,14を上下に複数段配置し、制震用杭体10と、基礎用筒状体4及び連結用筒状体5の双方とを制震用連結部材14,14によって連結してもよい。
図5に示すように、制震用連結部材14,14…は、オイルダンパー、エアダンパー等の伸縮により衝撃を吸収するダンパーによって構成され、両端部がそれぞれ制震用杭体10の外周面及び塔状構造物3(図4、図5の実施例では基礎用筒状体4、図6、図7の実施例では連結用筒状体5)の内周面に連結されている。
尚、制震用連結部材14の態様は、上述の実施例に限定されず、例えば、ダンパーに替えてバネ材や積層ゴムのような免震ゴムを用いるようにしてもよい。
また、制震用杭体10の外周面及び塔状構造物3(図4、図5の実施例では基礎用筒状体4、図6、図7の実施例では連結用筒状体5)の内周面には、連結具15,15…が固定され、制震用連結部材12,12…の端部が連結具15,15…に着脱可能に連結されている。
連結具15,15…の態様は、特に限定されないが、例えば、互いに上下方向で対向する一対の軸受け板と、両軸受け板間に貫通される枢支軸部材とを備え、両軸受け板に制震用連結部材の端部を枢支軸部材を介して回動可能な状態に枢支させるようにすることが好ましい。
各制震用連結部材14,14…は、図5に示すように、それぞれ基礎用筒状体4の直径方向と所定の角度を成すように水平方向に傾けて配置され、ダンパーのストロークを確保している。
次に、本発明に係る制震構造付き塔状構造物3の構築方法について図8~12に基づいて説明する。尚、上述の実施例と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。
先ず、既存の工法に基づいて基礎用筒状体4を地盤1に貫入させた状態で立設する。
具体的には、特に図示しないが、先ず、陸上の工場や製作ヤードで製作されたモノパイル等の基礎用筒状体4を基地港に移送し、当該基地港において昇降式作業船(以下、SEP船という)のクレーンを用いてSEP船上に積込む。
次に、基礎用筒状体4を積み込んだSEP船で設置海域まで海上輸送した後、設置海域にてSEP船のレグを降下して着底させ、レグに支持されたSEP船本体を水上に上昇させ、SEP船本体を波浪等に対し安定した状態とする。
次に、SEP船のクレーンを用いてSEP船上に積載された基礎用筒状体4を吊り上げて起立させ、基礎用筒状体4をパイルグリッパー等で上下方向にスライド可能な状態で把持し、その状態で水底地盤1まで吊り下ろし着底させる。
そして、水底地盤1に着底させた基礎用筒状体4の頭部をハンマ等で打ち込み、図8に示すように、基礎用筒状体4を水底地盤1に貫入させて設置する(基礎用筒状体4立設工程)。
次に、図9に示すように、基礎用筒状体4の上端開口部から制震用杭体10を挿入し、その下端を水底地盤1に着底させ、必要に応じて制震用杭体10が基礎用筒状体4と同心配置となるように位置を調整する。
尚、固有振動数調整用重量体13を使用する場合には、基礎用筒状体4内に挿入した後に制震用杭体10の鉛直方向又は縁周方向の所定の位置に固有振動数調整用重量体13を取り付けることが望ましい。
次に、図9~図10に示すように、水底地盤1に着底させた制震用杭体10の上面部をヤットコ16等によって打突し、基礎用筒状体4内の地盤に制震用杭体10を所定の貫入深さまで貫入させて打設する。
その際、基礎用筒状体4内の地盤に制震用杭体10を所定の貫入深さまで貫入させることによって、制震用杭体10の内部及び制震用杭体10と基礎用筒状体4との間に土砂が取り込まれ、制震用杭体10の水底地盤1に貫入された部分及び水底地盤1に貫入された制震用杭体10と基礎用筒状体4との間に土砂が充填された状態となる。
そして、必要に応じて地盤ばね部11を成す水底地盤1の上面を押し固め、制震用杭体10と基礎用筒状体4との間に地盤ばね部11を形成する。
そして、図11に示すように、必要に応じて制震用杭体10内の所定の位置まで固有振動数調整用充填材12を充填し、制震用杭体10の固有振動数を調節する。
尚、特に図示しないが、基礎用筒状体4と制震用杭体10とを制震用連結部材14,14…で連結する場合には、制震用杭体10を打設した後、基礎用筒状体4の内周面と制震用杭体10の外周面とに制震用連結部材14,14…の両端部を連結する。
その際、基礎用筒状体4の内周面及び制震用杭体10の外周面の所定の高さ位置にそれぞれ連結具15,15…を取り付けておき、制震用連結部材14,14…の両端部を着脱可能に取り付けるようにする。
次に、図12に示すように、基礎用筒状体4の連結部4bに連結用筒状体5のスカート部5aを嵌合させ、周方向の位置を調節した上で基礎用筒状体4の外周面と連結用筒状体5の内周面との間隙にグラウトを下部より注入する等して固定する。
尚、特に図示しないが、連結用筒状体5と制震用杭体10とを制震用連結部材14,14…で連結する場合には、制震用杭体10を打設した後、基礎用筒状体4に連結用筒状体5を固定し、しかる後、連結用筒状体5の内周面と制震用杭体10の外周面とに制震用連結部材14,14…の両端部を連結する。
その際、連結用筒状体5の内周面及び制震用杭体10の外周面の所定の高さ位置にそれぞれ連結具15,15…を取り付けて置き、制震用連結部材14,14…の両端部を着脱可能に取り付けるようにする。
次に、制震構造8の構築が完了したら、塔本体部6及び風車設備7(ナセル・ロータ等)を施工水域に移送し、塔本体部6を起重機船等によって吊り上げ、塔本体部6の下端を、連結用筒状体5を介して基礎用筒状体4に連結した後、風車設備7を取り付け、塔状構造物3を構築する。尚、風車設備7は、予め塔本体部6に取り付けておいてもよい。
このように構成された塔状構造物3の制震構造は、互いに固有振動数が異なる塔状構造物3と制震用杭体10とが水底地盤1からなる地盤ばね部11を介して相互作用により互いに振動を制御し、塔状構造物3全体の負担を軽減することができる。
さらに、制震用連結部材14,14…にダンパーやゴム等の弾性体を用いることにより、制震用連結部材14,14…で地震動等による外力を吸収し、高い制震効果を発揮することができる。
また、塔状構造物3への負担が軽減されることによって、地震時の塔状構造物3へ作用する断面力を軽減することができ、その分、基礎用筒状体4の外径や肉厚を小さくすることができる。
1 水底地盤
2 水面
3 洋上風力発電装置(塔状構造物)
4 基礎用筒状体
5 連結用筒状体
6 塔本体部
7 風車設備
8 制震構造
10 制震用杭体
11 地盤ばね部
12 固有振動数調整用充填材
13 固有振動数調整用重量体
14 制震用連結部材
15 連結具
16 ヤットコ
2 水面
3 洋上風力発電装置(塔状構造物)
4 基礎用筒状体
5 連結用筒状体
6 塔本体部
7 風車設備
8 制震構造
10 制震用杭体
11 地盤ばね部
12 固有振動数調整用充填材
13 固有振動数調整用重量体
14 制震用連結部材
15 連結具
16 ヤットコ
Claims (10)
- 水底地盤に貫入された状態で前記水底地盤に立設されてなる中空筒状の基礎用筒状体を有する塔状構造物の制震構造において、
前記基礎用筒状体内の前記水底地盤に貫入された所定の固有振動数を有する筒状の制震用杭体を備え、
該制震用杭体の外周面と前記基礎用筒状体の内周面との間に前記水底地盤からなる地盤ばね部が形成されていることを特徴とする塔状構造物の制震構造。 - 前記制震用杭体は、内部に固有振動数調整用充填材が所定の高さまで充填されている請求項1に記載の塔状構造物の制震構造。
- 前記制震用杭体は、内周面及び/又は外周面の前記水底地盤から所定の高さの位置に固有振動数調整用重量体が固定されている請求項1又は2に記載の塔状構造物の制震構造。
- 前記水底地盤から所定の高さ位置に、前記塔状構造物の内周面と前記制震用杭体の外周面とを連結する制震用連結部材を備えている請求項1又は2に記載の塔状構造物の制震構造。
- 前記塔状構造物の内周面及び前記制震用杭の外周面に、前記制震用連結部材の端部が着脱可能に連結される連結具が固定され、前記制震用連結部材の両端がそれぞれ前記連結具に連結されている請求項4に記載の塔状構造物の制震構造。
- 水底地盤に貫入された状態で前記水底地盤に立設されてなる中空筒状の基礎用筒状体を有する制震構造付き塔状構造物の構築方法において、
前記基礎用筒状体を前記水底地盤に貫入させた状態に立設する基礎用筒状体立設工程と、
前記基礎用筒状体の上端開口部より該基礎用筒状体内に筒状の制震用杭体を挿入し、前記基礎用筒状体内の前記水底地盤に貫入させた状態に打設する制震用杭体打設工程とを有し、
所定の固有振動数を有する前記制震用杭体の外周面と前記基礎用筒状体の内周面との間に前記水底地盤からなる地盤ばね部を形成することを特徴とする制震構造付き塔状構造物の構築方法。 - 前記制震用杭体を前記水底地盤に打設した後、
前記制震用杭体内に固有振動数調整用充填材を所定の高さまで充填し、前記制震用杭体の固有振動数を調整する請求項6に記載の制震構造付き塔状構造物の構築方法。 - 前記制震用杭体の内周面及び/又は外周面の所定の位置に固有振動数調整用重量体が固定された制震用杭体を該固有振動数調整用重量体が前記水底地盤から所定の高さに位置するように打設する請求項6又は7に記載の制震構造付き塔状構造物の構築方法。
- 前記制震用杭体を前記水底地盤に打設した後、
前記水底地盤から所定の高さ位置において、前記塔状構造物の内周面と前記制震用杭体の外周面とを制震用連結部材で連結する請求項6又は7に記載の塔状構造物の制震構造。 - 前記筒状構造物の内周面及び前記制震用杭の外周面に前記制震用連結部材の端部が着脱可能に連結される連結具を固定しておき、前記制震用連結部材の両端をそれぞれ前記連結具に連結する請求項9に記載の制震構造付き塔状構造物の構築方法。
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