JP2024013973A - 塔状構造物の制震構造及び制震構造付き塔状構造物の構築方法 - Google Patents

塔状構造物の制震構造及び制震構造付き塔状構造物の構築方法 Download PDF

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成久 三浦
明善 黒坂
亮 木村
陽介 肥後
慎一郎 音田
康生 澤村
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Abstract

【課題】洋上風力発電設備等の塔状構造物全体の制震性を高め、地震動等による洋上風力発電設備等の基礎である基礎用筒状体への負担を軽減することができる塔状構造物の制震構造及び制震構造付き塔状構造物の構築方法の提供。【解決手段】この塔状構造物の制震構造7は、マウンド10の中央部に形成された基礎用筒状体4が貫通する縁切り孔12の内周面と基礎用筒状体4の外周面との間に縁切り用間隙13が形成され、貫通孔18の内周面と基礎用筒状体4の外周面との間に小振動吸収用間隙19が形成され、制震用重量体11がマウンド10上に摺動可能に載置されている。【選択図】図2

Description

本発明は、洋上風力発電装置等の塔状構造物の制震構造及び制震構造付き塔状構造物の構築方法に関する。
洋上風力発電設備の一態様には、水底地盤に貫入させた基礎用筒状体からなるモノパイル式基礎と、基礎用筒状体に下端が支持された塔本体部とを備え、塔本体部の上端部に風車(ナセル・ロータ)等からなる風力発電用装置を支持させたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
地震が多発する日本においては、供給可能電力が10MW以上の洋上風力発電設備になると、その基礎となるモノパイル式基礎への地震動の影響が大きく、特に大水深の水域に設置する場合、地震動によってモノパイル式基礎に大きな変形が生じるおそれがあることから、この種の塔状構造物の設計は厳格に行われている。
即ち、この種の塔状構造物では、下部が地盤に貫入・支持されており、地震発生時等に大きな曲げモーメントやせん断力が作用することから、安全性を確保するため、当該曲げモーメントやせん断力に対抗できるように予め塔状構造物の基礎部分であるモノパイルの外径や肉厚を大きくする必要がある。
特開2006-37397号公報
しかしながら、上述の如き従来の技術では、塔状構造物の基礎部分であるモノパイルの外径や肉厚が大きくなると、当該モノパイルの製造コスト及びその建設コストが増大するという問題がある。
また、モノパイルが大型化すると、モノパイルの取り回しや打設に特殊な作業船を使用する必要があるとともに、モノパイルを打設する際に時間を要するため、モノパイル式基礎の施工におけるコストの増加、工期の長期化及び安全上のリスクが高まるという問題があった。
よって、モノパイルの大型化に伴うモノパイル式基礎の施工に要するコスト増加、工期の長期化及び安全上のリスクを軽減するためには、地震動等による塔状構造物への負担を軽減し、モノパイルの外径や肉厚を小さくすることが望まれる。
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、洋上風力発電設備等の塔状構造物全体の制震性を高め、地震動等による洋上風力発電設備等のモノパイル式基礎等の基礎用筒状体への負担を軽減することができる塔状構造物の制震構造及び制震構造付き塔状構造物の構築方法の提供を目的としてなされたものである。
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、地盤に貫入された状態で前記地盤に立設されてなる基礎用筒状体を有する塔状構造物の制震構造において、前記基礎用筒状体の周囲の地盤上に形成されたマウンドと、中央部に前記基礎用筒状体が貫通される貫通孔を有する制震用重量体とを備え、前記マウンドの中央部に形成された前記基礎用筒状体が貫通する縁切り孔の内周面と前記基礎用筒状体の外周面との間に縁切り用間隙が形成され、前記貫通孔の内周面と前記基礎用筒状体の外周面との間に小振動吸収用間隙が形成され、前記制震用重量体が前記マウンド上に摺動可能に載置されていることにある。
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記制震用重量体は、外周面にテーパ部を有する円錐台筒状に形成されていることにある。
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記貫通孔の内周面及び/又は前記貫通孔の内周面と対向する前記基礎用筒状体の外周面に緩衝体を備えていることにある。
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記小振動吸収用間隙内に応力伝達用部材が充填されていることにある。
請求項5に記載の発明の特徴は、請求項4の構成に加え、前記マウンドは、前記縁切り用間隙内に充填材が充填されていることにある。
請求項6に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記マウンドは、外周面が型枠兼用の鋼製枠体で囲まれていることにある。
請求項7に記載の発明の特徴は、請求項3の構成に加え、前記マウンドは、外周面が型枠兼用の鋼製枠体で囲まれていることにある。
請求項8に記載の発明の特徴は、請求項4の構成に加え、前記マウンドは、外周面が型枠兼用の鋼製枠体で囲まれていることにある。
請求項9に記載の発明の特徴は、請求項5の構成に加え、前記マウンドは、外周面が型枠兼用の鋼製枠体で囲まれていることにある。
請求項10に記載の発明の特徴は、地盤に貫入された状態で前記地盤に立設されてなる基礎用筒状体を有する制震構造付き塔状構造物の構築方法において、地盤に貫入された状態に前記地盤に前記基礎用筒状体を立設する工程と、前記地盤上に前記基礎用筒状体の外側に筒状の縁切り孔形成用型枠を該縁切り孔形成用型枠の内周面と前記基礎用筒状体の外周面との間に間隔をおいて載置するとともに、前記地盤上に該縁切り孔形成用型枠の外側にマウンド形成用型枠を載置する工程と、該マウンド形成用型枠内にマウンド部材を充填し、前記基礎用筒状体の周囲の地盤上に前記基礎用筒状体が貫通する縁切り孔の内周面と前記基礎用筒状体の外周面との間に縁切り用間隙を有するマウンドを形成する工程と、中央部に貫通孔を有する制震用重量体を該貫通孔の内周面と前記基礎用筒状体の外周面との間に小振動吸収用間隙を設けた状態で前記マウンド上に載置する工程とを有し、前記制震用重量体を前記マウンド上に摺動可能に載置することにある。
請求項11に記載の発明の特徴は、請求項10の構成に加え、前記縁切り孔形成用型枠と前記マウンド形成用型枠とを一体化した型枠ユニットを形成しておくことにある。
請求項12に記載の発明の特徴は、請求項10の構成に加え、前記制震用重量体を前記マウンド上に載置した後、前記小振動吸収用間隙内に応力伝達用部材を充填する工程を有することにある。
請求項13に記載の発明の特徴は、請求項11の構成に加え、前記制震用重量体を前記マウンド上に載置した後、前記小振動吸収用間隙内に応力伝達用部材を充填する工程を有することにある。
請求項14に記載の発明の特徴は、請求項12又は13の構成に加え、前記マウンドを形成した後、前記縁切り用間隙内に充填材を充填する工程を有することにある。
本発明に係る塔状構造物の制震構造は、請求項1に記載の構成を具備することによって、日常的に生じる小さな振動の影響を受けず、極稀地震等の大きな外力が作用した場合に制震用重量体がマウンド上を摺動することにより、地震動によるエネルギを摩擦による熱エネルギに変換して吸収し、塔状構造物全体への負担を軽減することができる。また、塔状構造物全体への負担が軽減されることによって、地震時の塔状構造物へ作用する断面力を軽減することができ、その分、モノパイル等の基礎用筒状体の外径や肉厚を小さくすることができる。
また、本発明において、請求項2に記載の構成を具備することによって、地震動によるエネルギを効率的に摩擦による熱エネルギに変換して吸収できるように一定の厚み(高さ)を確保した場合に、制震用重量体を円錐台筒状としたことで、制震用重量体が安定し、浮き上がりや転倒を防止し、マウンド上で摺動し易くすることができる。
さらに、本発明において、請求項3に記載の構成を具備することによって、緩衝体によって日常的に生じる小さな振動を吸収できるとともに、極稀地震等の大きな外力が作用した場合における塔状構造物と制震用重量体との間に生ずる摺動に伴う衝撃を和らげ、塔状構造物及び制震用重量体の破損等を防止することができる。
さらにまた、本発明において、請求項4に記載の構成を具備することによって、制震用重量体と基礎用筒状体とを一体化させ、地震動等による負担を制震用構造体に分散又は吸収させることができる。
また、本発明において、請求項5に記載の構成を具備することによって、基礎用筒状体及び制震用重量体がマウンドと一体化しないようにし、極稀地震等の大きな外力が作用した場合の制震用重量体の摺動を阻害しないようにすることができる。
さらに、本発明において、請求項6乃至9に記載の構成を具備することによって、型枠を撤去する工程を省略して工期の短縮を図ることができ、且つ、マウンドを構造的に補強することができる。
さらに、本発明において、請求項10乃至11に記載の構成を具備することによって、地震動により制震用重量体がマウンド上を摺動することにより、地震動によるエネルギを摩擦力に変換して吸収し、基礎用筒状体への負担を軽減することができる制震構造付き塔状構造物を効率的に構築することができる。
また、本発明において、請求項12乃至13に記載の構成を具備することによって、基礎用筒状体と制震用重量体との隙間を埋め、基礎用筒状体と制震用重量体とを一体化することができ、日常的に生じる小さな振動や小規模の地震動によって基礎用筒状体に作用する応力を制震用重量体に分散又は吸収させることができる。
また、本発明において、請求項14に記載の構成を具備することによって、マウンドと制震用重量体とが一体化することを防止することができる。
本発明に係る塔状構造物の制震構造の実施態様を示す正面図である。 同上の制震構造部分を示す部分拡大断面図である。 同上の拡大平面図である。 同上の制震構造部分の他の一例を示す部分拡大断面図である。 同上の制震構造部分のさらに他の一例を示す部分拡大断面図である 本発明に係る制震構造付き塔状構造物の構築方法の基礎用筒状体立設工程の状態を示す部分拡大断面図である。 同上の型枠設置工程の状態を示す部分拡大断面図である。 同上のマウンド形成工程の状態を示す部分拡大断面図である。 同上の制震用重量体設置工程の状態を示す部分拡大断面図である。 同上の応力伝達用部材充填工程の状態を示す部分拡大断面図である。 図10における平面図であって、(a)はマウンドに対し制震用重量体の位置が偏心している状態の図、(b)は応力伝達用部材充填後の状態を示す図である。 本願発明に係る塔状構造物の制震構造の作用を説明するための図であって、日常的な外力を受けた場合の制震構造部分の部分拡大断面図である。 同上の極稀地震動等による大きな外力を受けた場合の制震構造部分の部分拡大断面図である。
次に、本発明に係る塔状構造物の制震構造の実施態様を図1~図5に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1は岩盤等の地盤、符号2は水面である。また、本実施例は、塔状構造物としてモノパイル式洋上風力発電設備3を例に説明する。
洋上風力発電設備3は、図1に示すように、水底地盤1に貫入された状態で水底地盤1に立設されてなる基礎用筒状体4(モノパイル式基礎)と、基礎用筒状体4に支持された中空筒状の塔本体部5と、塔本体部5の上端部に支持された風車設備6(ナセル・ロータ)とを備え、基礎用筒状体4と塔本体部5とで塔型を成している。
基礎用筒状体4は、鋼管等によって構成され、上下端が開口した円筒状等の筒状に形成されている。尚、基礎用筒状体4の態様は、円筒状に限定されず、例えば、多角形筒状等であってもよい。
この基礎用筒状体4は、図1、図2に示すように、下側が所定の深さまで水底地盤1に貫入され、上側が所定の高さ分だけ水面2より突出した状態で打設されている。尚、地盤1は、重量物が載置されても沈下が生じない岩盤等の強固な地盤となっている。
また、この塔状構造物は、制震構造7を具備し、地震動等の外力による負担が軽減されるようになっている。
この制震構造7は、塔状構造物(基礎用筒状体4)の周囲の地盤1上に形成されたマウンド10と、マウンド10上に摺動可能に載置された制震用重量体11とを備え、制震用重量体11が塔型構造物(基礎用筒状体4)と接触してマウンド10上を摺動することにより地震動等による外力をマウンド10と制震用重量体11との間に生じる摩擦の熱エネルギに変換して吸収し、基礎用筒状体4への負担を軽減するようになっている。
マウンド10は、図2に示すように、水中コンクリート等のマウンド材によって一定の厚みを有する上面が平坦な矩形版状に構成され、水底地盤1上に強固に固着されている。
このマウンド10には、中央部に厚み方向に貫通した縁切り孔12を有し、塔状構造物を構成する基礎用筒状体4の周囲の地盤1上に形成されたマウンド10に対し縁切り孔12を通して塔状構造物(基礎用筒状体4)が貫通している。
縁切り孔12は、塔状構造物(基礎用筒状体4)の外径よりも内径が大きく形成され、縁切り孔12の内周面と塔状構造物(基礎用筒状体4)の外周面との間に全周に亘って一定幅の縁切り用間隙13が形成されている。
尚、縁切り用間隙13内には、図5に示すように、必要に応じて砂等の一定の流動性を有する充填材14を充填してもよい。
このマウンド10は、外周面がマウンド10の形成時に使用する型枠(以下、マウンド形成用型枠15という)と兼用の鋼製枠体で囲まれ、構造的に補強されている。尚、図中符号16は縁切り孔形成用型枠である。
制震用重量体11は、コンクリートによって外周にテーパ部17を有する円錐台筒状に形成され、下面にマウンド10との一定の接触面を有する安定した形状となっている。 尚、制震用重量体11の態様は、円錐台筒状に限定されず、例えば、円筒状、矩形枠状、多角形枠状等であってもよい。
この制震用重量体11は、中央部に貫通孔18を有し、貫通孔18を塔状構造物(基礎用筒状体4)が貫通した状態でマウンド10上に載置されている。
貫通孔18は、塔状構造物(基礎用筒状体4)の外径よりも若干大きく、貫通孔18の内周面と塔状構造物(基礎用筒状体4)の外周面との間に全周に亘って一定幅の小振動吸収用間隙19が形成されている。
尚、貫通孔18は、塔状構造物(基礎用筒状体4)の外径よりもやや大きく形成し、貫通孔18の内側(内周面)にゴム等からなる緩衝体20を備え、日常で生じる振動や小規模な地震動等によって基礎用筒状体4に作用する応力を制震用重量体11に分散又は吸収させるようにしてもよい。尚、緩衝体20は、貫通孔18と対向する基礎用筒状体4の外周面に備えてもよく、当該基礎用筒状体4の外周面及び貫通孔18の内側の双方に備えてもよい。
また、緩衝体20は、強度に応じて緩衝効果以外の追加的な効果が変化する。
例えば、スポンジ等のように強度が低い部材を用いた場合には、後述する小振動吸収用間隙19の効果と同様に日常的に作用する小さな振動が制震用重量体11に伝達されず、極稀地震動等によって大きな外力が作用した場合にのみ塔状構造物と制震用重量体11とが接触するように機能し、ゴム等の強度が高い部材を用いた場合には、基礎用筒状体4に作用する応力を制震用重量体11に伝達し、当該応力を制震用重量体11に分散又は吸収(エネルギー消費)させることができる。
この小振動吸収用間隙19は、直径8.5m級の基礎用筒状体4において1cm~3cm程度の間隔で形成され、日常的に作用する小さな振動が制震用重量体11に伝達されず、極稀地震動等によって大きな外力が作用した場合にのみ塔状構造物と制震用重量体11とが接触し、制震用重量体11がマウンド10上を摺動するようにしている。尚、小振動吸収用間隙19は、縁切り用間隙13よりも小さく、塔状構造物(基礎用筒状体4)が極稀地震動等の大きな外力を受けて揺動した際、塔状構造物(基礎用筒状体4)がマウンド10より先に必ず制震用重量体11と接触するようになっている。尚、小振動吸収用間隙19の間隙幅は、対象とする基礎用筒状体4のサイズ、荷重による変位量と常時の変位量とを考慮し、設定する。
また、小振動吸収用間隙19に、図4に示すように、構造上必ずしも必要ではないが、グラウト等からなる応力伝達用部材21を充填し、塔状構造物(基礎用筒状体4)と制震用重量体11とを一体化するようにしてもよい。尚、小振動吸収用間隙19内に緩衝材20と応力伝達用部材21とが併存していてもよい。
次に、この制震構造付き塔型構造物の構築方法について図6~図11に基づいて説明する。尚、上述の実施例と同様の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
先ず、既存の工法に基づいて基礎用筒状体4を地盤1に貫入させた状態で立設する。
具体的には、特に図示しないが、先ず、陸上の工場や製作ヤードで製作されたモノパイル等の基礎用筒状体4を基地港に移送し、当該基地港において昇降式作業船(以下、SEP船という)のクレーンを用いてSEP船上に積込む。
次に、基礎用筒状体4を積み込んだSEP船で設置海域まで海上輸送した後、設置海域にてSEP船のレグを降下して着底させ、レグに支持されたSEP船本体を水上に上昇させ、SEP船本体を波浪等に対し安定した状態とする。
次に、SEP船のクレーンを用いてSEP船上に積載された基礎用筒状体4を吊り上げて起立させ、その状態で水底地盤1まで吊り下ろし着底させる。
そして、水底地盤1に着底させた基礎用筒状体4の頭部をハンマ等で打ち込み、図6に示すように、基礎用筒状体4を水底地盤1に貫入させて設置する(基礎用筒状体立設工程)。
次に、図7に示すように、水底地盤1上に基礎用筒状体4の外周面から所定の間隔をおいて筒状の縁切り孔形成用型枠16を載置するとともに、縁切り孔形成用型枠16より外側の地盤1上にマウンド形成用型枠15を載置する(型枠設置工程)。
縁切り孔形成用型枠16には、縁切り孔12の形状に合わせて基礎用筒状体4の外径より内径の大きな鋼管等を使用し、基礎用筒状体4の上方より同心配置で基礎用筒状体4の外側に吊り下ろされるようになっている。
マウンド形成用型枠15は、図3に示すように、形成するマウンド10の外周に合わせて四方に配置された型枠板15a,15a…によって構成され、周方向で隣り合う型枠板15a,15a…の側縁同士が接合され、矩形枠状を成している。
尚、縁切り孔形成用型枠16とマウンド形成用型枠15とは、地上の製作ヤード又は作業台船上において型枠ユニット22として一体化して製作しておくことが望ましい。
この型枠ユニット22は、図7、図8に示すように、中央部に縁切り孔形成用型枠16を配置し、縁切り孔形成用型枠16が支持部材23,23…を介してマウンド形成用型枠15の内側に支持されている。尚、マウンド形成用型枠15として鉄筋コンクリート壁材(RC壁材)を用いるようにしてもよい。
そして、型枠ユニット22を台船等によって施工水域に運搬し、図7に示すように、型枠ユニット22をクレーンで吊り上げ、基礎用筒状体4の上方において、縁切り孔形成用型枠16と基礎用筒状体4とが同心配置となるように位置調整するとともに、マウンド形成用型枠15の水平方向(回転方向)の位置を調整した後、その位置で型枠ユニット22を水底地盤1に着底するまで降下させる。尚、図中符号24は吊りワイヤである。
そして、必要に応じて、型枠ユニット22の位置を最終調整し、具体的には、縁切り孔形成用型枠16の内周と基礎用筒状体4の外周との間に全周に亘って所定の間隙ができるように位置調整し、水底地盤1上に縁切り孔形成用型枠16及びマウンド形成用型枠15を載置する。
次に、図8に示すように、水上の作業船25よりコンクリート投入管26を通して縁切り孔形成用型枠16とマウンド形成用型枠15との間にマウンド材として水中コンクリート10aを打設し、基礎用筒状体4の周囲の水底地盤1上にマウンド10を形成する(マウンド形成工程)。
その際、マウンド形成用型枠15の下面が開放された状態にあり、打設された水中コンクリート10aは、水底地盤1の上面に直接打設されるので、水中コンクリート10aが固化することによってマウンド10と岩盤等の地盤である水底地盤1とが強固に固着される。
尚、マウンド形成工程においては、マウンド形成用型枠15の上面部まで打設されたら、固化する前に必要に応じて水中コンクリート10aの上面を均し、マウンド10の上面に平坦な面を形成する。
このように構築されたマウンド10は、縁切り孔形成用型枠16の内径が基礎用筒状体4の外径より大きいので、中央部に基礎用筒状体4が貫通する縁切り孔12が形成されるとともに、縁切り孔12の内周面と基礎用筒状体4の外周面との間に縁切り用間隙13が形成される。
次に、マウンド10が形成されたら、図9に示すように、クレーンで制震用重量体11を基礎用筒状体4の上方に移動させ、制震用重量体11の中央部に形成された貫通孔18と基礎用筒状体4とが同心配置となるように位置調整し、その位置で制震用重量体11を吊り下ろし、制震用重量体11をマウンド10上に載置する。
その際、貫通孔18の内径が基礎用筒状体4の外径より大きい為、貫通孔18の内周面と基礎用筒状体4の外周面との間に小振動吸収用間隙19が形成される。なお、事前に制震用重量体11の貫通孔18内周面にスポンジ材やゴム材等からなる緩衝体20を配置しておくようにしてもよい。
次に、図10、図11に示すように、必要に応じて、小振動吸収用間隙19の下端をグラウトシール(図示せず)で閉鎖し、水上の作業船27よりグラウト投入管28を通して小振動吸収用間隙19内にグラウト等からなる応力伝達用部材21を充填する(応力伝達用部材充填工程)。その際、グラウトシールと制震用重量体11との間には、小振動吸収用間隙19の代用となるスポンジ材等からなる緩衝体20を設けるとよい。
また、図11(a)に示すように、基礎用筒状体4に対し偏心した状態で制震用重量体11がマウンド10上に載置された場合であっても、図11(b)に示すように、小振動吸収用間隙19内に応力伝達用部材21が充填されることにより、基礎用筒状体4と制震用重量体11とを一体化させ、基礎用筒状体4に作用する応力を制震用重量体11に伝達し、当該応力を制震用重量体11に分散又は吸収(エネルギー消費)させることができる。
尚、マウンド10の形成後、図5に示すように、縁切り用間隙13内に砂等の一定の流動性を有する充填材14を充填しておけば、充填材14によって小振動吸収用間隙19の底側が閉鎖され、応力伝達部材21が縁切り用間隙13内に流入することを防止できるので、グラウトシールを用いずに応力伝達部材21を充填することができる。
そして、応力伝達部材21を養生・固化させることにより制震構造7が構築される。
尚、応力伝達用部材21は、必ずしも設ける必要はなく、応力伝達用部材21を設けない場合には、マウンド10上に制震用重量体11を載置した後、貫通孔18の内周面と基礎用筒状体4の外周面との間の小振動吸収用間隙19が全周に亘って所定の範囲幅(直径8.5m級の基礎用筒状体4において1cm~3cm程度)となるよう位置を微調整する。
次に、制震構造7の構築が完了したら、上端部に風車設備6(ナセル・ロータ)が固定された塔本体部5を施工水域に移送し、上端部に風車設備6(ナセル・ロータ)が固定された塔本体部5を起重機船等によって吊り上げ、塔本体部5の下端を基礎用筒状体4に連結し、洋上風力発電設備3を構築する。
このように構成された塔状構造物の制震構造7は、図12に示すように、風や波浪等によって日常的に生じる比較的小さな外力が塔状構造物に作用し、塔状構造物が微小に揺動(振動)しても、小振動吸収用間隙19又は緩衝体20によって吸収され、制震用重量体11が動作せず、塔状構造物と制震用重量体11が互いに影響を与えないようになっている。
一方、極稀地震等によって大きな外力が塔状構造物に作用し、大きく揺動しようとする場合には、図13に示すように、大きく揺動する塔状構造物(基礎用筒状体4)の外周面が制震用重量体11の貫通孔18の内周面を押圧し、制震用重量体11がマウンド10上を摺動する。
その際、縁切り用間隙13の幅が小振動吸収用間隙19の幅より大きいため、揺動した塔状構造物は、初めに制震用重量体11と接触し、制震用重量体11を押圧するので、制震用重量体11がマウンド10上を摺動できるようになっている。
この制震用重量体11の摺動によって、制震用重量体11とマウンド10との間に摩擦が生じ、塔状構造物に作用した外力による運動エネルギが摩擦による熱エネルギに変換されて吸収され、塔状構造物の揺動を抑制することができる。
よって、この制震構造7を具備する塔状構造物では、塔状構造物への負担を軽減することができる。また、塔状構造物への負担が軽減されることによって、地震時の塔状構造物へ作用する断面力を軽減することができ、その分、塔状構造物の外径や肉厚を小さくすることができる。
尚、この制震構造7では、制震用重量体11を円錐台筒状としたことによって、制震用重量体11がマウンド10上を安定して摺動することができ、効率的に塔状構造物に作用した外力による運動エネルギを摩擦による熱エネルギに変換して吸収することができる。
制震用重量体11は、高さ(厚み)が高い程、基礎用筒状体4が揺動した際に制震用筒状体11を押圧する位置が高くなり、それに伴い摺動量(ストローク)が大きくなり、効率的に摺動による運動エネルギを摩擦による熱エネルギに変換することができる。
一方、制震用重量体11が高くなると、重心が高くなり、転倒や浮き上がりが生じるおそれがあることから、制震用重量体11を円錐台筒状とすることによって、必要な重量及び高さを確保しつつ、重心の位置を下げ、転倒や浮き上がりを防止し、安定してマウンド10上を摺動できるようにしている。
尚、本実施例は、当該制震構造7の作用を説明するために小振動吸収用間隙19の幅、縁切り用間隙13の幅及び塔状構造物の揺動を誇張して描画したものであり、実際には、小振動吸収用間隙19の幅は、直径8.5m級の基礎用筒状体4において1cm~3cm程度のものであり、縁切り用間隙13の幅及び塔状構造物の揺動の振れ幅もそれと整合したものとなっている。
尚、上述の実施例では、塔状構造物として洋上風力発電装置を例に挙げて説明したが、本願発明は、その他の塔状構造物、例えば、陸上に設置された風力発電装置に適用することもできる。
1 地盤
2 水面
3 洋上風力発電設備
4 基礎用筒状体
5 塔本体部
6 風車設備
7 制震構造
10 マウンド
11 制震用重量体
12 縁切り孔
13 縁切り用間隙
14 充填材
15 マウンド形成用型枠
16 縁切り孔形成用型枠
17 テーパ部
18 貫通孔
19 小振動吸収用間隙
20 緩衝体
21 応力伝達用部材
22 型枠ユニット
23 支持部材
24 吊りワイヤ
25 作業船
26 コンクリート投入管
27 作業船
28 グラウト投入管

Claims (14)

  1. 地盤に貫入された状態で前記地盤に立設されてなる基礎用筒状体を有する塔状構造物の制震構造において、
    前記基礎用筒状体の周囲の地盤上に形成されたマウンドと、中央部に前記基礎用筒状体が貫通される貫通孔を有する制震用重量体とを備え、
    前記マウンドの中央部に形成された前記基礎用筒状体が貫通する縁切り孔の内周面と前記基礎用筒状体の外周面との間に縁切り用間隙が形成され、
    前記貫通孔の内周面と前記基礎用筒状体の外周面との間に小振動吸収用間隙が形成され、前記制震用重量体が前記マウンド上に摺動可能に載置されていることを特徴とする塔状構造物の制震構造。
  2. 前記制震用重量体は、外周面にテーパ部を有する円錐台筒状に形成されている請求項1に記載の塔状構造物の制震構造。
  3. 前記貫通孔の内周面及び/又は前記貫通孔の内周面と対向する前記基礎用筒状体の外周面に緩衝体を備えている請求項1又は2に記載の塔状構造物の制震構造。
  4. 前記小振動吸収用間隙内に応力伝達用部材が充填されている請求項1又は2に記載の塔状構造物の制震構造。
  5. 前記マウンドは、前記縁切り用間隙内に充填材が充填されている請求項4に記載の塔状構造物の制震構造。
  6. 前記マウンドは、外周面が型枠兼用の鋼製枠体で囲まれている請求項1又は2に記載の塔状構造物の制震構造。
  7. 前記マウンドは、外周面が型枠兼用の鋼製枠体で囲まれている請求項3に記載の塔状構造物の制震構造。
  8. 前記マウンドは、外周面が型枠兼用の鋼製枠体で囲まれている請求項4に記載の塔状構造物の制震構造。
  9. 前記マウンドは、外周面が型枠兼用の鋼製枠体で囲まれている請求項5に記載の塔状構造物の制震構造。
  10. 地盤に貫入された状態で前記地盤に立設されてなる基礎用筒状体を有する制震構造付き塔状構造物の構築方法において、
    地盤に貫入された状態に前記地盤に前記基礎用筒状体を立設する工程と、
    前記地盤上に前記基礎用筒状体の外側に筒状の縁切り孔形成用型枠を該縁切り孔形成用型枠の内周面と前記基礎用筒状体の外周面との間に間隔をおいて載置するとともに、前記地盤上に該縁切り孔形成用型枠の外側にマウンド形成用型枠を載置する工程と、
    該マウンド形成用型枠内にマウンド部材を充填し、前記基礎用筒状体の周囲の地盤上に前記基礎用筒状体が貫通する縁切り孔の内周面と前記基礎用筒状体の外周面との間に縁切り用間隙を有するマウンドを形成する工程と、
    中央部に貫通孔を有する制震用重量体を該貫通孔の内周面と前記基礎用筒状体の外周面との間に小振動吸収用間隙を設けた状態で前記マウンド上に載置する工程とを有し、
    前記制震用重量体を前記マウンド上に摺動可能に載置することを特徴とする制震構造付き塔状構造物の構築方法。
  11. 前記縁切り孔形成用型枠と前記マウンド形成用型枠とを一体化した型枠ユニットを形成しておく請求項10に記載の制震構造付き塔状構造物の構築方法。
  12. 前記制震用重量体を前記マウンド上に載置した後、前記小振動吸収用間隙内に応力伝達用部材を充填する工程を有する請求項10に記載の震構造付き塔状構造物の構築方法。
  13. 前記制震用重量体を前記マウンド上に載置した後、前記小振動吸収用間隙内に応力伝達用部材を充填する工程を有する請求項11に記載の震構造付き塔状構造物の構築方法。
  14. 前記マウンドを形成した後、前記縁切り用間隙内に充填材を充填する工程を有する請求項12又は13に記載の制震構造付き塔状構造物の構築方法。
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