JP2024013535A - 中空糸膜および血漿分離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】中空糸膜を用いて血漿分離を実施する際に、中空糸膜の目詰まりの発生を抑制すること。【解決手段】ポリエーテルスルホンを含む中空糸膜であって、厚み方向に不均一な構造を有し、前記中空糸膜の断面の外表面側の平均孔径に対する内表面側の平均孔径の比率である傾斜指数が2.00以上である、中空糸膜。【選択図】図1

Description

本発明は、中空糸膜および血漿分離方法に関する。
近年、患者の血液や体腔液中から、病院物質や余分な水分を透析、ろ過、吸着等の原理を利用して取り除き、患者の体内へ戻すアフェレーシス治療用のデバイスが開発されている。特に、肝不全、血液疾患、自己免疫疾患等の患者に対して、中空糸膜を用いて血液を血球、血小板等と血漿とに分離して、病因物質(IgG、サイトカイン等)を含む血漿を廃棄し、新鮮凍結血漿等を補填する、血漿交換療法が知られている。
例えば、特許文献1(特許第5290168号公報)および特許文献2(国際公開第2020/203716号)には、上記のような血液からの血漿の分離(血漿分離)などに用いられる中空糸膜(例えば、ポリエーテルスルホン製の中空糸膜)が開示されている。なお、血漿分離等に用いる中空糸膜に適した他の材料としては、ポリエチレン等が知られている。
特許第5290168号公報 国際公開第2020/203716号
このような中空糸膜(ポリエーテルスルホン製の中空糸膜)を用いて血漿分離を実施する際に中空糸膜の目詰まりが発生しやすいため、目詰まりの発生を抑制し持続的に安定して使用可能な中空糸膜の提供が望まれていた。
したがって、本発明は、中空糸膜を用いて血漿分離を実施する際に、中空糸膜の目詰まりの発生を抑制することを目的とする。
(1) ポリエーテルスルホンを含む中空糸膜であって、
厚み方向に不均一な構造を有し、
前記中空糸膜の断面の外表面側の平均孔径に対する内表面側の平均孔径の比率である傾斜指数が2.00以上である、中空糸膜。
(2) 前記中空糸膜の断面の細孔集中径が0.090μm以上である、(1)に記載の中空糸膜。
(3) さらに、ビニルピロリドン系ポリマーを含む、(1)または(2)に記載の中空糸膜。
(4) 血漿分離用である、(1)~(3)のいずれかに記載の中空糸膜。
(5) (1)~(4)のいずれかに記載の中空糸膜を用いる、血漿分離方法。
本発明によれば、ポリエーテルスルホン製の中空糸膜を用いて血漿分離を実施する際に、中空糸膜の目詰まりの発生を抑制することができる。
中空糸膜の製造方法の一例を説明するための模式図である。 デプスろ過を説明するための模式図である。 表層ろ過(スクリーンろ過)を説明するための模式図である。 実施例1の中空糸膜の断面(a)、(a)の内表面側(b)、および、(a)の外表面側(c)のSEM像である。 プラズマフロー(参考品)の中空糸膜の断面のSEM像である。 比較例1の中空糸膜の断面のSEM像である。 細孔集中径の測定方法を説明するためのグラフである。 ループ型ミニモジュールの模式図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<中空糸膜>
(ポリエーテルスルホン)
本実施形態の中空糸膜は、ポリエーテルスルホンを含む。中空糸膜を構成する材料中のポリエーテルスルホンの比率は好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは93質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。中空糸膜は、ポリエーテルスルホンのみから構成されていてもよい。
ポリエーテルスルホンは、下記式(1)で示される構造単位を含む化合物である。
Figure 2024013535000002
ポリエーテルスルホンとしては、例えば、BASF社製ウルトラゾーン(登録商標)E2020P,E6020P、または、住友化学社製スミカエクセル(登録商標)3600P,4100P,4800P,5200P,7600Pなどが挙げられ、好ましくはE6020P、4800Pまたは5200Pである。これらを単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
(ビニルピロリドン系ポリマー)
本実施形態の中空糸膜は、さらに、ビニルピロリドン系ポリマーを含んでいてもよい。ビニルピロリドン系ポリマーによって、血小板、タンパク等の血液中の成分の中空糸膜への吸着が抑制され得る。
ビニルピロリドン系ポリマーとは、少なくともN-ビニルピロリドンを含むモノマーの重合体である。
ビニルピロリドン系ポリマーは、下記式(2)で示される構造単位を含むことが好ましい。ビニルピロリドン系ポリマーとしては、BASF社より市販されているKollidon(登録商標)30,90、または、Luvitec(登録商標)K30,K80,K85,K90,VA64が挙げられる。これらを単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
Figure 2024013535000003
中空糸膜の全体におけるビニルピロリドン系ポリマーの含有率は、好ましくは1~10質量%であり、より好ましくは1.5~5質量%である。
(中空糸膜の構造等)
本実施形態の中空糸膜は、厚み方向に不均一な構造(非対称構造)を有する。なお、非対称構造を有する中空糸膜としては、例えば、厚み方向で密度、空孔率、断面開孔率などが異なる中空糸膜が挙げられる。
本実施形態の非対称構造を有する中空糸膜では、その断面(横断面:厚み方向の断面)の内表面側の平均孔径が外表面側の平均孔径より大きい。本実施形態の中空糸膜は、例えば、内表面側が疎で外表面側が密であるような構造を有する。
本実施形態において、中空糸膜の傾斜指数は、2.00以上である。傾斜指数とは、中空糸膜の断面の外表面側の平均孔径に対する内表面側の平均孔径の比率である。なお、平均孔径および傾斜指数は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
図2を参照して、中空糸膜3による血漿分離では、押し出し側(図2の上側:中空糸膜の内表面側)から血液中の血漿が中空糸膜3を透過する。この血漿中に含まれる成分(アルブミン、フィブリノーゲン、または、自己免疫抗体のIgGやIgM、病因物質となり得るサイトカイン等)のうち、比較的サイズが小さい成分51,52(サイトカイン等)は中空糸膜の細孔を通過しやすいが、例えば比較的サイズが大きい成分4(IgG、IgM等)は中空糸膜の細孔に目詰まりする場合がある。ここで、図2に示されるように、非対称構造を有する中空糸膜3によるろ過(デプスろ過)では、分子量が大きい成分4が中空糸膜3の厚み方向に分散して付着する(膜厚方向に順次目詰まりする)。このため、目詰まりが生じにくい。
一方、図3に示されるように、厚み方向に均一な構造を有する中空糸膜3によるろ過(表層ろ過:スクリーンろ過)の場合には、中空糸膜3の押し出し側(図3の上側:中空糸膜の内表面側)の最表面付近に血漿中に含まれる分子量が大きい成分4が集中して堆積しやすいため、目詰まりが生じやすい。
本実施形態の中空糸膜の断面の細孔集中径は、0.090μm以上であることが好ましい。また、前記細孔集中径は、0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましい。
なお、細孔集中径は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
中空糸膜の内径は、好ましくは150μm以上400μm以下であり、より好ましくは200μm以上350μm以下である。
中空糸膜の厚みは、好ましくは50~200μmであり、より好ましくは60~150μmである。なお、膜厚は「(外径-内径)/2」より算出できる。
中空糸膜(中空糸型の膜)は、半透膜から構成されることが好ましい。
中空糸膜の中空率は、好ましくは15~60%であり、より好ましくは20~50%である。なお、中空率は、中空糸膜の横断面における中空部の面積の割合であり、「中空部断面積/(膜部断面積+中空部断面積)×100(%)」で表される。
(用途)
本実施形態の中空糸膜は、例えば、目詰まりが生じやすい生体材料等の分離(血漿分離など)に好適に用いることができる。
なお、血漿分離においては、血液から血漿が分離される。血漿は、血液から血球(白血球および赤血球)、血小板等の細胞成分を除いた液体成分である。血漿には、水分、および、たんぱく質、無機塩類、糖分、脂肪、窒素化合物などが含まれ、アルブミン、フィブリノーゲン、IgG、サイトカイン等も含まれる。
<中空糸膜の製造方法>
以下、上記の中空糸膜の製造方法の一形態について説明する。
本実施形態の中空糸膜の製造方法は、例えば、以下の方法である。
上記の中空糸膜の製造方法であって、
紡糸原液および内液を二重管状のノズルから空中走行部を経て凝固液中に吐出して、前記紡糸原液を前記凝固液中で凝固させ、前記紡糸原液の凝固物を前記凝固液中から曳き出すことにより、中空糸膜を得る、紡糸工程を含み、
前記紡糸原液は、ポリエーテルスルホンを含む樹脂原料、溶剤および非溶剤を含み、
前記内液は水を含み、
前記内液中の水以外の成分の総濃度(内液濃度)が70~90質量%であり、
ノズルドラフト比が1.5~6.5である、製造方法。
〔紡糸工程〕
図1を参照して、紡糸工程では、紡糸原液(spinning dope)10aおよび内液10bを二重管状のノズル11から空中走行部(エアギャップ)20を経て凝固液21中に吐出して、紡糸原液を凝固液21中で凝固させ、紡糸原液の凝固物を凝固液21中から曳き出すことにより、中空糸膜3が得られる。中空糸膜の曳き出し等は、例えば、液中ガイド12,13およびローラー14,15,16により行われる。なお、凝固液21中から曳き出された中空糸膜3は、例えば、水洗浴22に浸漬された後に、巻取機23によって巻き取られる。
ノズル11は、二重管状であり、外管と、外管の内部に設けられた内管と、を備える。外管と内管との間の空隙(スリット)から紡糸原液が吐出され、内管の内部から内液が吐出される。外管の内直径は、好ましくは500~1500μmであり、より好ましくは600~1200μmである。内管の外直径は、好ましくは150~700μmであり、より好ましくは150~600μmである。なお、内管の外直径は、中空糸膜の内直径と同程度であることが好ましい。
このようなノズルを採用することによって、紡糸原液の吐出線速度と引取り速度を同程度にできるため、吐出された紡糸原液と内液との界面摩擦を低減することが可能となり、中空糸膜内面の荒れを防ぐことが可能となる。
なお、紡糸原液の吐出線速度は、紡糸原液の吐出量を外管の内直径(a)と内管の外直径(b)から求められるスリット断面積〔π(a/2)-π(b/2)〕で除して求められる(下記式参照)。
紡糸原液の吐出線速度[m/分]=紡糸原液の吐出量/スリット断面積
紡糸原液の吐出量は、好ましくは1.0~5.0cc/分であり、より好ましくは1.5~4.0cc/分である。
引取り速度は、凝固浴の出口に設けられたローラー14の回転速度(表面速度)である(図1参照)。
引き取り速度に対する吐出線速度の比率(引取り速度/吐出線速度)であるノズルドラフト比は、好ましくは1.5~6.5であり、より好ましくは2.0~6.0である。このように、紡糸原液の引き取り速度に対して吐出線速度を早くすることにより、本発明の中空糸の特徴的な膜構造を得ることができる。
前記空中走行部20の直線距離(ノズル11の先端と凝固液21の液面との間の距離)は、好ましくは10~200mmであり、より好ましくは10~100mmである。
なお、紡糸工程によって得られた中空糸膜は、さらに純水による洗浄工程(水洗工程)に付されてもよい。水洗工程での、水の流れは中空糸膜の移動方向と反対方向の流れ(向流)であることが好ましいが、中空糸膜の移動方向と同じ方向の流れ(並流)であってもよい。
(紡糸原液)
紡糸原液10aは、例えば、上記ポリエーテルスルホンを含む樹脂原料、溶剤および非溶剤を含む。
ノズル11での紡糸原液の温度(設定温度)は、好ましくは50~110℃であり、より好ましくは60~100℃である。
前記紡糸原液中のポリエーテルスルホンの濃度は、好ましくは10~30質量%であり、より好ましくは10~25質量%である。ポリエーテルスルホンの濃度が低すぎると、中空糸膜の強度が低くなることがある。一方、ポリエーテルスルホンの濃度が高すぎると、紡糸原液の粘度が高くなり過ぎて、紡糸の実施が困難になる場合がある。
前記紡糸原液にビニルピロリドン系ポリマーを添加する場合、紡糸原液中のビニルピロリドン系ポリマーの濃度は、好ましくは3~20質量%であり、より好ましくは5~15質量%である。ビニルピロリドン系ポリマーの濃度が低すぎると、血漿分離に用いた際に血液中のタンパク質等が堆積して目詰まりしやすくなり経時的な性能低下が早くなることがある。一方、ビニルピロリドン系ポリマーの濃度が高すぎると、紡糸原液の粘度が高くなり過ぎて、紡糸の実施が困難になることがある。
溶剤は、ポリエーテルスルホンを溶解可能な液体である。溶剤は、極性溶剤であることが好ましく、水に可溶であることが好ましい。極性溶剤は、非プロトン性極性溶剤であることが好ましい。非プロトン性極性溶剤としては、例えば、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル等が挙げられる。
非溶剤は、ポリエーテルスルホンを溶解しない液体(水を除く)である。非溶剤としては、例えば、グリコールエステル、グリセリン、アルコール類などが挙げられるが、好ましくはグリコールエステルである。グリコールエステルとしては、例えば、エチレングリコール、トリエチレングリコール(TEG)、ポリエチレングリコール(ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400など)、プロピレングリコールなどが挙げられる。
前記紡糸原液において、非溶剤(NS)に対する溶剤(S)の量の比率(S/NS比)は、好ましくは35/65~55/45であり、より好ましくは40/60~50/50である。紡糸原液中のS/NS比が小さくなりすぎると、ポリエーテルスルホンの溶解が不安定になるため、紡糸安定性が低下するとか、本発明の用途に適した非対称構造を得られないことがある。S/NS比が大きくなると、非対称構造の中空糸膜が得られないとか、紡糸安定性が低下することがある。
なお、紡糸原液は、溶剤と非溶剤に加えて、さらに水を含んでいてもよい。
中空糸膜の構成材料となるポリエーテルスルホンを含む樹脂原料、溶剤および非溶剤を混合する際の材料の添加順序や混合方法は、特に限定されない。
(内液)
内液は、水を含む。内液中の水の含有率は、好ましくは10~30質量%であり、より好ましくは15~25質量%である。
内液は、水以外に溶剤、非溶剤等を含有し得る。非溶剤としては、エチレングリコール、トリエチレングリコール(TEG)、ポリエチレングリコール200または400、グリセリン、プロピレングリコールなどが挙げられる。溶剤としては、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
内表面側の平均孔径が大きく、外表面側の平均孔径が小さいなるような非対称構造をする本実施形態の中空糸膜を得るためには、凝固液の濃度に対して、内液中に含まれる水以外の成分(溶剤、非溶剤など)の濃度(内液濃度率)を高めることが好ましい。内液濃度は、好ましくは70~90質量%であり、より好ましくは75~85質量%である。
また、本実施形態の中空糸膜を得るためには、上記ノズルドラフト比を特定の範囲に調整することが好ましい。ノズルドラフト比は、好ましくは1.5~6.5であり、より好ましくは2.0~6.0である。
紡糸原液10aと内液10bを二重管状のノズル11より吐出する際、紡糸原液と内液との間に温度差を設けてもよい。
(凝固液)
凝固液は、好ましくは溶剤と非溶剤(水を除く)とを含む。なお、この場合、凝固液は、溶剤と非溶剤に加えて、さらに水を含んでいてもよい。
凝固液中の溶剤および非溶剤の総量の比率(凝固液の濃度:BC濃度)は、好ましくは60~90質量%であり、より好ましくは65~90質量%である。
凝固液中の非溶剤に対する溶剤の量の比率は、例えば、40/60~50/50である。
また、凝固液の温度は、好ましくは30~80℃であり、より好ましくは40~70℃である。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
実施形態で説明した中空糸膜の製造方法と基本的に同様の方法により、実施例1の中空糸膜が製造された。具体的な条件等は以下の通りである。
(紡糸原液の調製)
PES(BASF社製、6020P)17.0質量%、PVP(BASF社製、コリドン(登録商標)K30)10.0質量%、N-メチルピロリドン(NMP、三菱化学社製、溶剤)32.85質量%、および、トリエチレングリコール(TEG、三菱化学社製、非溶剤)40.15質量%を混合して溶解することより、紡糸原液を得た。
(内液の組成)
NMP(溶剤)37.8質量%、TEG(非溶剤)46.2質量%、および、逆浸透(RO)水16.0質量%の混合液。なお、内液(IL)中の溶剤および非溶剤の合計の濃度(内液濃度:IL濃度)は、84質量%である。
(凝固液の組成)
NMP(溶剤)26.1質量%、TEG(非溶剤)31.9質量%、および、RO水42.0質量%の混合液。なお、凝固液(CB)中の溶剤および非溶剤の合計の濃度(CB濃度)は、58質量%である。
(紡糸工程の条件)
紡糸原液の吐出温度(設定温度):67℃
空中走行部の距離(エアギャップ長:AG長):30mm
曳き出し速度(紡糸速度):15m/分(綛(巻取機23)に捲き上げた)
ノズルドラフト比:4.05
(水洗工程の条件)
水洗槽(水洗浴)の流れ:向流
温度:30℃
上記の工程によって得られた中空糸膜の束を一定の長さに切断し、ガーゼを巻いた後、80℃のRO水で水洗し、熱風乾燥機にて60℃で乾燥させた。
このようにして、乾燥された中空糸膜を得た。得られた中空糸膜の内径(膜内径)は300μm、厚み(膜厚)は75μmであった。
(中空糸膜の内径および膜厚の測定)
なお、膜内径および膜厚は、以下の方法で測定された。
中空糸膜をスライドグラスの中央に開けられた直径3mmの孔に中空糸膜が抜け落ちない程度に適当本数通し、スライドグラスの上下面に沿ってカミソリにより中空糸膜をカットし、中空糸膜断面サンプルを得る。得られた中空糸膜断面サンプルについて、投影機(Nikon PROFILE PROJECTOR V-12)を用いて中空糸膜の内径および外径を測定する。
具体的には、中空糸膜断面1個につき中空糸膜外表面のX-X方向とY-Y方向(断面上の直交する2方向)の寸法を測定し、それらの値の算術平均値を中空糸膜断面1個の外径とした。また、中空糸膜断面1個につき中空部のX-X方向とY-Y方向(断面上の直交する2方向)の寸法を測定し、算術平均値を中空糸膜断面1個の内径とした。なお、10断面について同様に測定を行い、平均値を内径および外径とした。
膜厚(平均値)は、中空糸膜の内径および内径の測定結果(平均値)に基づいて、「(外径-内径)/2」の式により算出される。
〔実施例2~5、比較例1〕
表1に示されるように、中空糸膜の製造条件等が変更された。それ以外の点は実施例1と同様にして、実施例2~5および比較例1の中空糸膜が製造された。表1中の「%」は「質量%」を示す。
なお、図6に、比較例1の中空糸膜の断面SEM像を示す。
<中空糸膜の性能評価>
上記実施例および比較例の中空糸膜の各々について、以下の測定を行った。測定結果を表2に示す。また、実施例1の中空糸膜の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図4に示す。
(モジュールの作製)
約30cmの長さに切断された複数の中空糸膜の束をポリエチレンフィルムで巻いて中空糸膜束とした。この中空糸膜束を円筒型のポリカーボネート製筒状容器に挿入し、両末端をウレタンポッティング剤で固めた。端部を切断して、両末端が開口したモジュールを得た。中空糸膜の本数は、適宜設定した。なお、円筒状の筒状容器の円筒面2箇所にポートを設け、中空糸膜の外面を流体が灌流できるようにし、筒状容器の両末端にはヘッダーを装着して、中空糸膜の内面を流体が灌流できるようにした。
(ループ型ミニモジュールの作製)
約40cmの長さに切断された複数の中空糸膜の束を曲げて端部を重ね合わせ、該端部をパイプ(スリーブ)に挿入し、ウレタンポッティング剤で固めた。接着固定部の一部を切断して、中空糸膜の中空部が開口されたループ型ミニモジュールを得た(図8)。中空糸膜の本数は、適宜設定した。
なお、参考のために、中空糸膜を用いた市販の膜型血漿分離器であるプラズマフロー(旭化成メディカル株式会社製)についても同様の測定を行った。測定結果を表2に併せて示す。なお、プラズマフローに用いられる中空糸膜は、疎水性のポリエチレンから構成される中空糸膜であり、表面(外表面)にエチレンビニルアルコール共重合体のコーティングが施されている。該中空糸膜の内径は250μmであり、厚みは50μmである。プラズマフローに用いられる中空糸膜の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図5に示す。
[傾斜指数の測定]
まず、中空糸膜の断面(図4(a)参照)について、10000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮像を得る。得られた断面画像において、中空糸膜の内表面側(図4(b)参照)および外表面側(図4(c)参照)の各々について、膜厚方向に(内表面から)5μm、および、膜厚方向と垂直な方向に10μmの範囲を測定範囲とした。この測定範囲に対して、画像解析ソフトを使用して、白/黒に画像を二値化し、該断面の中空糸膜の内表面側および外表面側の各々における細孔の孔径分布を測定し、円相当直径を計測した。得られた円相当直径の平均値を平均孔径とした。
なお、閾値を5ポイントずつ大きくしていき、各閾値の場合における細孔の判定個数を測定する。その結果に基づいて、細孔の判定個数が極大となる場合の閾値を採用する。このようにして採用された閾値に基づいて、上記の二値化を行った。
傾斜指数は、中空糸膜の断面(図4(a)参照)の内表面側(図4(b)参照)および外表面側(図4(c)参照)の平均孔径の値から、下記式に基づいて算出される。
傾斜指数=(中空糸膜の断面の内表面側の平均孔径)/(中空糸膜の断面の外表面側の平均孔径)
[細孔集中径の測定]
ループ型ミニモジュールを用い、PMI製のパームポロメーター(貫通細孔径分布測定装置)で平均孔径(平均細孔径)を測定した。なお、パームポロメーター用の溶媒としてパーフルオロポリエステル(商品名:Galwick)を使用した。このようにして得られた平均孔径の測定結果から、図7に示されるような平均孔径の分布を求め、最も分布数が多い(細孔分布密度が高い)平均孔径の値を細孔集中径とした(図7参照)。
[最大孔径の測定]
ループ型ミニモジュールの全体を十分な量の2-プロパノール(以下iPAと略記する)に3分間浸漬して、内腔、膜壁部分にiPAを行き渡らせた。ループ型ミニモジュールの中空糸膜部分全体がiPAに浸った状態で、スリーブに圧力計を装着して加圧圧力がモニターできるようにした窒素ラインに接続し、加圧した。中空糸膜の膜壁部分からコンスタントに気泡が出始めたポイントをバブルポイントP[Pa]として記録した。1サンプルにつき3回の測定を実施し、バブルポイントの測定値の平均値をそのサンプルのバブルポイントとした。さらに、下記式により、iPAで測定したバブルポイント(P[bar])から算出される最大孔径を得た。
最大孔径[μm]=4γCOSθ/P
γは溶媒の表面張力(N/m)、θは膜素材と溶媒との接触角(°)、Pはバブルポイント圧力(Pa)を示す。iPAの表面張力γ=20.8、接触角0°よりCOSθ=1で計算される。
[膜間圧力差(TMP)の測定]
クエン酸を添加して凝固を抑制し、ヘマトクリット40±2%、タンパク濃度6~7g/dLに調製した牛血液を使用し、血液流量(Qb)100mL分、ろ過流量(Qf)30mL/分の条件で180分間循環した。循環開始30分後および循環開始180分後における入口側圧力、出口側圧力、ろ液側圧力をそれぞれ測定した。得られた圧力の測定値から下記式により膜間圧力差(TMP)を求めた。
TMP=([入口側圧力]+[出口側圧力])/2-[ろ液側圧力]
[フィブリノーゲンふるい係数(SCFib)の測定]
上記TMPと同様の試験を行い、循環開始30分後および循環開始180分後における入口側、出口側、ろ液側の液をサンプリングし、それぞれELISA-KIT(コスモ・バイオ社製Fibrinogen ELISA Kit 96test (Cloud-Clone Corp.))を用いて濃度を求めた。得られた測定値から、下記式によって、フィブリノーゲンふるい係数(SCFib)を算出した。
SCFib=2×[ろ液濃度]/([入口濃度]+[出口濃度])
なお、フィブリノーゲンふるい係数(SCFib)の保持率とは、循環開始30分後と循環開始180分後がどのくらい変化しているかを表す指標であり、循環開始30分後のSCFib/循環開始180分後のSCFibにより算出することができる。なお、例えば、フィブリノーゲンが100%膜を透過する場合、フィブリノーゲンふるい係数は1である。
Figure 2024013535000004
Figure 2024013535000005
表2に示される結果から、傾斜指数が2.00以上である実施例1~5の中空糸膜では、傾斜指数が2.00未満である比較例1の中空糸膜に比べて、膜間圧力差(TMP)の上昇が50mmHg以下に抑制されていることが分かる。なお、TMPが50mmHgを超えると、血漿分離において溶血が生じ易くなることが知られており、TMPを50mmHg以下に維持することは、血漿分離を用いる治療などにおいて重要である。
TMPの上昇抑制は、主に中空糸膜の目詰まりによって生じるため、実施例1~5の中空糸膜では目詰まりが抑制されていると考えられる。このため、目詰まりが生じやすいと考えられる比較例1の中空糸膜では、フィブリノーゲンふるい係数(SCFib)の保持率が低いのに対して、実施例1~5の中空糸膜ではSCFibの保持率が高くなっている。
また、傾斜指数が2.00以上であり、かつ細孔集中径が0.090μm未満である実施例5の中空糸膜では、開始時からフィブリノーゲンふるい係数が大幅に低下することが分かる。一方、傾斜指数が2.00以上であり、かつ細孔集中径が0.090μm以上である実施例1~4の中空糸膜では、フィブリノーゲンふるい係数の低下は特にみられなかった。なお、傾斜指数が2.00未満であり、かつ細孔集中径が0.090μm未満である比較例1の中空糸膜でも、開始時においてはフィブリノーゲンふるい係数の低下は見られなかった。これらの結果から、傾斜指数が高い(2.00以上)中空糸膜においては、細孔集中径が0.090μm未満になるとフィブリノーゲンふるい係数が大幅に低下する傾向があり、本発明の中空糸膜においてフィブリノーゲンふるい係数を維持する観点からは、細孔集中径を0.090μm以上に維持することが望ましいと考えられる。
10a 紡糸原液、10b 内液、11 ノズル、12,13 液中ガイド、14,15,16 ローラー、20 空中走行部、21 凝固液、22 水洗浴、23 巻取機、3 中空糸膜、4 サイズが大きい成分、51,52 サイズが小さい成分。

Claims (5)

  1. ポリエーテルスルホンを含む中空糸膜であって、
    厚み方向に不均一な構造を有し、
    前記中空糸膜の断面の外表面側の平均孔径に対する内表面側の平均孔径の比率である傾斜指数が2.00以上である、中空糸膜。
  2. 前記中空糸膜の断面の細孔集中径が0.090μm以上である、請求項1に記載の中空糸膜。
  3. さらに、ビニルピロリドン系ポリマーを含む、請求項1に記載の中空糸膜。
  4. 血漿分離用である、請求項1~3のいずれか1項に記載の中空糸膜。
  5. 請求項1に記載の中空糸膜を用いる、血漿分離方法。
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