JP2024013518A - 貼り治具、ワーク貼り付け方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被貼付面に対してワークを容易に貼り付け可能な技術を提供する。【解決手段】ワークを被貼付面に対向させると共に、該被貼付面から離間させて保持する吸着プレート30と、吸着プレート30を上下方向周りに回転可能に且つ上下方向に沿って移動可能に支持する4軸移動ステージ20とを備えた。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、被貼付面に対して、ワーク、特にシート状のワークを貼り付ける貼り治具及びワーク貼り付け方法に関する。
近年、自律型の移動ロボットとしてAGV(Automatic Guided Vehicle:以後、無人搬送車と称する)を用いて搬送物を自動で搬送するシステムが知られている。無人搬送車の自律走行には、複数の方式があり、中でも施設の床面に敷設された磁気テープや光反射テープ、2次元コード等の誘導体に沿って移動を行う誘導方式が広く用いられている。
図16は、従来の無人搬送車における2次元コードを用いた誘導方式を説明するための図である。図16に示されるように、この誘導方式では、施設の床面Fにそれぞれ固有の2次元コードが印字されたシート状のワークWを一定間隔でグリッド状に敷設する。無人搬送車90は、これら敷設されたワークWを読み取りながら走行することにより目標値となるワークWまでの移動が可能となる。このような2次元コードをグリッド状に付設する誘導方式は、床面全体を無人搬送車90の走行経路とすることができるため、多数の無人搬送車90を同時に走行させる場合等に適していることから、物流センターや生産工場等の大規模施設で取り入れられている。
ところでワークWは、床面Fとの当接面である下面に粘着剤が塗布されたものであり、その表面に位置合わせ用の基準マークが付されている。ワークWの床面Fへの敷設の際には、この基準マークを床面Fに予め描かれた墨出し線(ケガキ線)Lに合わせて貼り付ける作業が生じる。隣接するワークWが互いに位置ずれして貼り付けられた場合、無人搬送車90の停止精度や直進性の悪化、誤動作等が生じ、無人搬送車90がワークWを巡ることができなくなる可能性があるため、ワークWの貼り付け作業は慎重に行う必要がある。
貼付物の被貼付面への貼り付けに関し、下端を貼付材の押圧面とした略筒状の本体と、下端部に設けた前記貼付材を吸着する吸着材を前記押圧面から下方へ露出入自在にして前記本体内に上下動自在に内装されている作動体と、この作動体を無負荷時に上方に押圧して前記吸着材を前記押圧面より本体内側に保持させるスプリングとを有することを特徴とする貼付材貼付器が知られている(下記特許文献1参照)。
しかしながら、正確性を要するワークWの基準マークと墨出し線Lとを合わせて貼り付ける作業は、複数の作業者がワークWを把持した状態で基準マークと墨出し線Lとを正確に合わせる必要があるため、極めて作業性が悪く、膨大な時間を要するという問題があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、貼付物を被貼付面に正確に且つ簡単に貼り付け可能な技術を提供することを目的とする
上述した課題を解決するため、本発明の実施形態は、ワークを被貼付面に対向させると共に、該被貼付面から離間させて保持する保持部と、前記保持部を上下方向周りに回転可能に且つ上下方向に沿って移動可能に支持する支持部とを備えることを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、貼付物を被貼付面に正確に且つ簡単に貼り付け可能な技術を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(装置構成)
図1~図4は、それぞれ本実施形態に係る貼り治具を示す概略正面図、概略側面図、概略平面図、図1に示されるA-A線断面図である。なお、図2は、本実施形態に係る貼り治具1の右側面が模式的に示されている。また、説明上、図1および図2においては、4つの撮影ユニット40のうち正面側の撮影ユニット40が図示されておらず、図3においては、筐体10のみが示されている。
図1~図4は、それぞれ本実施形態に係る貼り治具を示す概略正面図、概略側面図、概略平面図、図1に示されるA-A線断面図である。なお、図2は、本実施形態に係る貼り治具1の右側面が模式的に示されている。また、説明上、図1および図2においては、4つの撮影ユニット40のうち正面側の撮影ユニット40が図示されておらず、図3においては、筐体10のみが示されている。
本実施形態に係る貼り治具1は、2次元コードが付されたシート状物を貼付物(ワークW:無人搬送車の目標値)とし、これを被貼付面である施設の床面Fに対して貼り付けるものである。図1~図3に示されるように、貼り治具1は、筐体10と、4軸移動ステージ20と、吸着プレート30と、4つの撮影ユニット40とを備える。
(筐体10)
筐体10は、それぞれ長尺に形成された4つの垂直フレーム110、4つの上部フレーム120、及び4つの下部フレーム130が略格子状に組まれることにより構成される。4つの垂直フレーム110は、上下方向に延在しており、平面視で四角形の頂点に位置するように互いに離間して立設されている。各垂直フレーム110の下端部には、L字状の連結具111(図2参照)が連結されている。連結具111には、脚部112が床面Fと吸着プレート30との水平を保つよう、上下方向に移動可能に連結されている。
筐体10は、それぞれ長尺に形成された4つの垂直フレーム110、4つの上部フレーム120、及び4つの下部フレーム130が略格子状に組まれることにより構成される。4つの垂直フレーム110は、上下方向に延在しており、平面視で四角形の頂点に位置するように互いに離間して立設されている。各垂直フレーム110の下端部には、L字状の連結具111(図2参照)が連結されている。連結具111には、脚部112が床面Fと吸着プレート30との水平を保つよう、上下方向に移動可能に連結されている。
4つの上部フレーム120は、図3に示されるように一対が前後方向、他の一対が左右方向に延在して平面視で四角形の辺に位置するように配置されて両端部が近接する垂直フレーム110の上端部に連結されている。前後方向に延在する一対の上部フレーム120の間には、左右方向に延在する天板121が設けられている。天板121は、左右方向に延在する4つの上部フレームが前後方向に連接されることで形成されており、その下面には、平面視略四角形の平板である支持プレート122が連結されている。
4つの下部フレーム130は、一対の下部フレーム130aが左右方向、一対の下部フレーム130bが前後方向にそれぞれ延在して平面視で四角形を形成するように互いに連結されている。一対の下部フレーム130bは、一対の下部フレーム130aよりも短く形成されることで一対の下部フレーム130a間に位置しており、これにより4つの下部フレーム130で形成される四角形は、平面視で上部フレーム120の内方側に位置するサイズとなっている。一対の下部フレーム130aの両端部近傍における外方側の側面には、L字プレート141がそれぞれ連結されている。当該L字プレート141は、垂直フレーム110における内方側の側面にも連結されており、これにより4つの下部フレーム130は、4つの垂直フレーム110に対して固定される。
各垂直フレーム110におけるL字プレート141と接する面には、上下方向に延在する溝113(図4参照)が形成されており、L字プレート141を貫通するようにボルト142(図1及び図4参照)が溝113に螺合することで垂直フレーム110に対してL字プレート141が締結される。したがって、各ボルト142が溝113に挿入された状態において、該ボルト142を緩めることにより、四角形を形成するように一体となった下部フレーム130の上下方向位置を、任意に調節することができる。各下部フレーム130の上面における延在方向略中央には、後に詳述する撮影ユニット40がそれぞれ連結されている。したがって、一体となった下部フレーム130と共に各撮影ユニット40の上下方向位置を調節することができる。
なお、上述した各フレームの連結は、ネジ山が形成されたボルト等の締結部材、箇所によってはナットやワッシャ、L字プレート等を用いることでなされている。フレームに限らず、以降に説明する各種部材の連結(固着)についても、特に言及されていない場合は上記締結部材が用いられる。
(4軸移動ステージ20)
4軸移動ステージ20は、図1~図3に示されるように、下端に位置する吸着プレート30を、前後左右方向及び上下方向に沿って移動可能に支持するものであり、上部に位置するX-Y軸ステージ210と、X-Y軸ステージ210の下面に連結されたZ軸ステージ220と、Z軸ステージ220の下面に連結された回動ステージ230とを備える。
4軸移動ステージ20は、図1~図3に示されるように、下端に位置する吸着プレート30を、前後左右方向及び上下方向に沿って移動可能に支持するものであり、上部に位置するX-Y軸ステージ210と、X-Y軸ステージ210の下面に連結されたZ軸ステージ220と、Z軸ステージ220の下面に連結された回動ステージ230とを備える。
X-Y軸ステージ210は、直方体状に形成され、天板121下面に連結された支持プレート122の下面四隅にそれぞれ連結された4つの支柱123の下端に連結されることにより支持プレート122に支持される。X-Y軸ステージ210は、X軸方向、つまり前後方向に延在するX軸送りつまみ211が右側面に設けられると共に、Y軸方向、つまり左右方向に延在するY軸送りつまみ212が背面に設けられている。X-Y軸ステージ210は、X軸送りつまみ211の回転方向及び回転量に応じて、Z軸ステージ220をX軸方向に沿って進退移動させると共に、Y軸送りつまみ212の回転方向及び回転量に応じて、Z軸ステージ220をY軸方向に沿って進退移動させることができる。X-Y軸ステージ210は、その各軸方向への移動可能距離が10mm~20mm程度あることが好ましく、また10μm単位での移動が可能であることが好ましい。
Z軸ステージ220は、直方体状に形成されており、X軸方向に延在するZ軸送りつまみ221が正面に設けられている。Z軸ステージ220は、このZ軸送りつまみ221の回転方向及び回転量に応じて、回動ステージ230をZ軸方向、つまり上下方向に沿って進退移動させることができる。Z軸ステージ220のZ軸方向への移動可能距離は、10mm程度あることが好ましい。
回動ステージ230は、直方体状に形成されており、その下面には円盤状の支持プレート240が連結されている。回動ステージ230は、Y軸方向に延在するθ軸送りつまみ231が背面に設けられており、このθ軸送りつまみ231の回転方向及び回転量に応じて、支持プレート240をZ軸周りに回動させることができる。
支持プレート240の下面には、それぞれ上下方向に延在し、平面視で四角形の頂点に位置するように互いに離間して立設された4つの支柱250が連結されており、4つの支柱250の下端に吸着プレート30が連結されている。したがって、X-Y軸ステージ210、Z軸ステージ220、及び回動ステージ230により、吸着プレート30のX、Y、Z軸への移動とZ軸周りの回動とを実現することができる。このようなX-Y軸ステージ210、Z軸ステージ220、及び回動ステージ230は、例えばシグマ光機社製の手動ステージやMachifit社製の手動リニアステージ等を用いることができる。
なお、支持プレート240には、左右方向両端部に平板状の補助プレート241がそれぞれ連結されている。この2つの補助プレート241の外方側端部には、付勢部材50の下端に形成されたフック510が挿通される不図示の挿通孔がそれぞれ穿設されている。付勢部材50は、上下方向に延在する所謂コイルスプリングであり、上端に形成されたフック520が上下方向に延在する支柱124に穿設された挿通孔125(図2参照)に挿通されている。支柱124は、上端部が天板121の下面に連結されており、付勢部材50を吊り下げ支持する。これにより付勢部材50は、支柱124を介して天板121により支持されると共に、補助プレート241を介して支持プレート240を上方に常時付勢することができる。付勢部材50により支持プレート240が上方に付勢されることにより、4軸移動ステージ20に加わる荷重、即ち装置への負荷を軽減することができる。
(吸着プレート30)
図5は、本実施形態に係る吸着プレートと撮影ユニットとを示す部分拡大正面図である。図6は、吸着プレートの概略底面図である。なお、図5においては、吸着プレート30が縦断面で示されており、4つの撮影ユニット40のうちの正面側に位置する撮影ユニット40が説明上、図示されていない。
図5は、本実施形態に係る吸着プレートと撮影ユニットとを示す部分拡大正面図である。図6は、吸着プレートの概略底面図である。なお、図5においては、吸着プレート30が縦断面で示されており、4つの撮影ユニット40のうちの正面側に位置する撮影ユニット40が説明上、図示されていない。
図4~図6に示されるように、吸着プレート30は、平面視で四角形をなす直方体であり、下方に載置されるワークWを吸着してこれを保持し、4軸移動ステージ20による下降に応じて、床面Fの目標位置にワークWを押圧して貼り付けるものである。吸着プレート30は、下部プレート310と、上部プレート320とを備える。
下部プレート310は、上下方向に延在してプレート内を貫通する吸気孔311が複数穿設されている。上部プレート320は、図6において仮想線(二点鎖線)で示される吸気孔311が設けられた範囲(以後、吸気面ARと称する)よりも広い範囲で下面が一様に窪んでおり、これにより下部プレート310上面との間で内部空間Sが画成される。また、上部プレート320は、平面視略中央に内部空間Sに連通する貫通孔321が形成されており、上面に後に詳述する真空ポンプ60の接続部材61(図10参照)が気密に接続可能な中空円筒状の継ぎ管322が設けられている。これら吸気孔311、内部空間S、貫通孔321、及び継ぎ管322は、流体的に連通する。なお、上部プレート320の下面には、内部空間Sを囲繞するように環状の溝323が形成されており、当該溝323に環状のパッキン(不図示)が配設されることで内部空間Sの気密性が保たれる。
本実施形態における吸着プレート30の下面(下部プレート310の下面)の各辺の辺長は、該各辺のそれぞれに対応するワークWの辺の辺長に対して、50%以上、95%未満のサイズとすることが好ましく、60%以上、90%未満のサイズとすることがより好ましい。ここでの「該各辺のそれぞれに対応するワークWの辺」とは、吸着プレート30にワークWが吸着した状態において、吸着プレート30の下面を形成する4つの辺のそれぞれに略平行に近接するワークWの4つの辺であると理解されたい。また、吸気面ARは、方形状に形成されており、その各辺の辺長は、該各辺に対応する吸着プレート30の下面の辺の辺長に対して、20%以上、95%未満のサイズとすることが好ましく、40%以上、70%未満のサイズとすることがより好ましい。ここでの「該各辺に対応する吸着プレート30の下面の辺」とは、吸気面ARを形成する4つの辺のそれぞれに略平行に近接する、吸着プレート30の下面を形成する4つの辺であると理解されたい。吸着プレート30をこのようなサイズに形成することにより、ワークWをその端部が撓むことなく良好に吸着でき、また、ワークWをその基準マークM(図7参照)が吸着プレート30に隠れることなく視認可能な状態で吸着することができる。さらに、端部が撓むことなくワークWを吸着できることから、ワークWを正確に床面Fの目標位置に貼り付けることができる。
また、4軸移動ステージ20を操作していない基準状態(原点復帰直後の状態)において、吸着プレート30の下面、つまり下部プレート310の下面と施設の床面等のワークWの貼り付け面との離間距離は、2mmより長く、30mm未満となるように設定することが好ましい。これは、離間距離が2mm以下では、貼り付け面に付着するごみや、貼り付け面のうねり等の影響を受け、30mm以上では床面FにおけるワークWの貼り付けの目標位置とワークWの基準マークM(図7参照)との深度が合わなくなり、いずれも正確な貼り付けが実施できない可能性があるためである。
また、下部プレート310の下面は、床面Fの表面に対して平行となっていることが好ましい。平行とすることで吸着したワークWも平行状態を維持させることができるため、床面Fの貼り付ける場合も平行状態のままワークWを下降させることができ、ワークWの下面を一様に床面Fの表面に押圧することができる。
(撮影ユニット40)
図4及び図5に示されるように、4つの撮影ユニット40は、床面Fに対してワークWを貼り付ける際に、ワークWと共に床面Fを撮影する。4つの撮影ユニット40は、一端部が1つの下部フレーム130上面の延在方向における略中央にそれぞれ連結されており、他端部が互いに近接するように内方側に位置して配置されることで、平面視略十字状に配設される。撮影ユニット40は、L字プレート410,420がクランク状に連結されており、L字プレート420の内方側下面には、平面視で四角形の頂点に位置するように4つの支柱430が連結されており、4つの支柱430の下端に支持プレート440が連結され、当該支持プレート440の下面にカメラ450が設けられている。
図4及び図5に示されるように、4つの撮影ユニット40は、床面Fに対してワークWを貼り付ける際に、ワークWと共に床面Fを撮影する。4つの撮影ユニット40は、一端部が1つの下部フレーム130上面の延在方向における略中央にそれぞれ連結されており、他端部が互いに近接するように内方側に位置して配置されることで、平面視略十字状に配設される。撮影ユニット40は、L字プレート410,420がクランク状に連結されており、L字プレート420の内方側下面には、平面視で四角形の頂点に位置するように4つの支柱430が連結されており、4つの支柱430の下端に支持プレート440が連結され、当該支持プレート440の下面にカメラ450が設けられている。
カメラ450は、対向する床面Fと共に吸着プレート30により吸着された状態にあるワークWを撮影するものであり、本実施形態においてはその画角内に吸着プレート30が写り込むように配置されている。カメラ450としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを搭載したカメラなどを用いればよい。なお、映像を伝送する観点からUSB(Universal Serial Bus)カメラを用いることが好ましい。なお、L字プレート420には、カメラ450の配線を挿通するための開口421及び切り欠き部422が形成されることが好ましい。
以下、当該カメラ450により撮影される撮影領域Pと、ワークWとについて詳細に説明する。図7は本実施形態に係るワークを示す平面図であり、図8は本実施形態に係るカメラの撮影領域を説明するための図である。図8においては、床面Fに対して貼り治具1を設置した状態における撮影領域が平面図として示されている。
図7に示されるように、ワークWは表面にQRコード(登録商標)などの2次元コードCが複数描画された略正四角形のシート状物であり、その4辺の中央にはそれぞれ貼り合わせ位置調節用の基準マークMが付されている。ワークWの下面は粘着剤が塗布された粘着面となっており、その粘着面は貼付け時まで剥離紙により被覆される。吸着プレート30は、このワークWの表面に当接した状態において吸気孔311内が負圧となることでワークWを吸着する。
図8に示されるように、床面Fには、墨出し線Lが交差する交点L1があり、この交点L1上にワークWが位置付けられ、且つワークWの4つの基準マークMがそれぞれ墨出し線Lと一致する位置がワークWの貼り付けの目標位置となる。ワークWが目標位置に位置付けられた場合、ワークWの中心と交点L1とが一致することとなる。
ワークWを吸着した状態において貼り治具1を床面Fにおける目標位置に合わせて設置すると、4つのカメラ450の撮影領域Pに、それぞれワークWにおける基準マークMが付された部分と墨出し線Lが付された床面Fの部分とが含まれる。換言すれば、目標位置にワークWが位置付けられた際に、各撮影領域Pに、それぞれワークWにおける基準マークMが付された部分と墨出し線Lが付された床面Fの部分とが含まれるようカメラ450が位置付けられている。貼り治具1の使用者は、この4つの撮影領域Pの映像を確認することで、ワークWを目標位置、つまり4つ全ての基準マークMをそれぞれ墨出し線Lに正確に合わせることができる。
(使用方法)
次に、本実施形態に係る貼り治具1を用いたワーク貼り付け方法について詳細に説明する。図9は、本実施形態に係るワーク貼り付け方法を示すフローチャートである。図10は、本実施形態に係る貼り治具の接続および吸着プレートの下降を説明するための図である。図10では、貼り治具1の正面が模式的に示されており、撮影ユニット40については説明上、左右両側に配設されたもののみが示されている。
次に、本実施形態に係る貼り治具1を用いたワーク貼り付け方法について詳細に説明する。図9は、本実施形態に係るワーク貼り付け方法を示すフローチャートである。図10は、本実施形態に係る貼り治具の接続および吸着プレートの下降を説明するための図である。図10では、貼り治具1の正面が模式的に示されており、撮影ユニット40については説明上、左右両側に配設されたもののみが示されている。
図9に示されるように、先ず、貼り治具1を使用するに先立って、貼り治具1と各種装置とを接続する(S101)。ここでの各種装置は、図10に示されるように、真空ポンプ60及びディスプレイ701を有するPC(Personal Computer)やタブレット端末等の情報処理装置70である。
具体的には、真空ポンプ60をホースなどの中空の接続部材61を用いてバッファタンク(アキュムレータ)62と接続し、バッファタンク62と吸着プレート30の継ぎ管322とを接続部材61を用いて接続する。これにより真空ポンプ60が真空引きを行うことでバッファタンク62、継ぎ管322,貫通孔621、及び内部空間Sを介して吸気孔311内を負圧とすることができ、下面に当接するワークWを吸着させることができる。なお、真空ポンプ60は真空引きを行うことができるものであれば、どのような装置を用いてもよいが、例えば備え付けのハンドバルブを繰り返し操作することにより手動にて真空引きが可能な手動式真空ポンプを用いることが過度の負圧が生じることの抑制、作業性、及び費用面から見て好ましい。
また、撮影ユニット40の各カメラ450を、データ伝送用のケーブル71等を用いて情報処理装置70に通信可能に接続する。なお、本実施形態においては、有線接続させているが、カメラ450の種類に応じてWifi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の無線接続をさせてもよい。これにより各カメラ450で撮影された複数の撮影領域Pそれぞれの映像を、拡大し且つリアルタイムでディスプレイ701に表示させることができる。この時、複数の撮影領域Pは同時にディスプレイ701に表示させることが好ましい。この複数の撮影領域Pのディスプレイ701での同時表示は、専用のアプリケーションソフトウェアが予め情報処理装置70の記憶装置に格納され、貼り治具1の使用時に読み出されることで実現される。
吸着プレート30と真空ポンプ60との接続、及び、撮影ユニット40の各カメラ450と情報処理装置70との接続後、使用者は剥離紙を剥したワークWを吸着プレート30の下面に当接させ、真空ポンプ60を操作することにより吸着させる(S102)。この時、過度に吸着させるとワークWにシワが形成される可能性がある。ワークWにシワ、即ち2次元コードCにシワが入ると無人搬送車が正しく読み取ることができず、誤動作の原因となる。したがって、ワークWにシワが形成されない程度吸着させることが好ましい。ワークWの吸着プレート30への吸着がなされると、真空ポンプ60を操作せずともバッファタンク62の作用により真空状態が維持されることとなる。バッファタンク62を用いることにより、重い真空ポンプ60を持ち運ぶ必要はなく、負圧を維持する時間を長く確保することができる。このことから、ワークWの目標位置への位置合わせ(基準マークMと墨出し線Lとの位置合わせ)の時間中、ワークWの吸着状態を維持させることができる。
ワークWの吸着後、貼り治具1を床面Fの目標位置に設置する(S103)。この時、ワークWの基準マークMと床面Fの墨出し線Lとが一致することは先ずなく、ある程度位置ズレした状態となることが多い。したがって、設置後に4軸移動ステージ20により、吸着プレート30を移動させてワークWの位置を調節する(S104)。
図11は、本実施形態に係る吸着プレートに対してワークが理想的な位置で吸着された状態を説明するための図であり、図12は、その状態において情報処理装置のディスプレイに表示される撮影領域の映像を説明するための図である。また、図13は、本実施形態に係る吸着プレートに対してワークが理想的な位置からズレて吸着された状態を説明するための図であり、図14は、その状態においてディスプレイに表示される撮影領域の映像を説明するための図である。
図11に示されるように、吸着プレート30に対してワークWが理想的な位置、具体的には、ワークWの中央が吸着プレート30の中央に一致し、双方の各辺が互いに平行する位置で吸着された場合、図12(a)に示されるように、ディスプレイ701に表示される撮影領域Pの映像は、同一映像が角度違いで表示された様な映像となる。これは、カメラ450がワークWのサイズに応じて、つまり基準マークMの真上に位置付けられるように予め設置されているためである。このような場合、貼り治具1を床面Fの目標位置に設置し、2つの撮影領域Pにおける基準マークMと墨出し線Lとを合わせれば、図12(b)に示されるように4つの基準マークMと墨出し線Lとが正確に一致することとなる。そのため、ステップS104の4軸移動ステージ20を用いたワークWの位置調節を行わなくてもよい。
なお、本実施形態においては、ディスプレイ701に表示される撮影領域Pの映像は、図中下方の映像が貼り治具1の正面側に位置するカメラ450の映像であり、上方の映像が背面側、右側の映像が右側面側、左側の映像が左側面側にそれぞれ位置するカメラ450の映像となり、映し出される映像と貼り治具1との位置関係を使用者が直感的に認識できるようにされている。
一方、使用者が目視でワークWを吸着プレート30に吸着させるため、吸着プレート30に対してワークWが理想的な位置で吸着されることもあれば、例えば図13に示されるように、吸着プレート30に対して角度及び前後左右方向位置がズレて吸着されることもある。この場合、当然図14(a)に示されるように、ディスプレイ701に表示される映像は、それぞれが類似した映像とはならない。この状態において吸着したワークWが床面Fの目標位置上方に位置するように貼り治具1を設置すると、図14(b)に示されるように一部の基準マークMと墨出し線Lとが一致するものの、一部の基準マークMと墨出し線Lとが一致しない状態となる。この場合、ステップS104の4軸移動ステージ20を用いたワークWの位置調節を行うことにより、図14(c)に示されるように、各基準マークMをそれぞれの墨出し線Lに一致させることが可能となる。ここでの位置調節は、主にθ軸送りつまみ231、X軸送りつまみ211、及びY軸送りつまみ212が操作される。
各基準マークMが墨出し線Lと一致した後、図10に示されるように、Z軸送りつまみ221を回転させることにより、吸着プレート30を下降させて、ワークWの接着面を床面Fに当接させることで目標位置に貼り付ける(S105)。貼り付け後、真空ポンプ60またはバッファタンク62を操作して吸着プレート30の真空破壊を行うことにより、吸着プレート30からワークWを分離させる(S106)。分離後、4軸移動ステージ20を原点復帰させ、全てのワークWの貼り付けを終えていれば(S107,YES)、本フローは終了となる。一方、全てのワークWの貼り付けを終えていなければ(S107,NO)、ワークWが貼り付けられていない別の目標位置にワークWを貼り付けるため、再度ステップS103に移行してワークWを吸着プレート30に貼り付ける。
以上に説明した本実施形態によれば、ワークWを吸着した状態で保持することができ、さらに4軸移動ステージ20によりワークWの位置調節を行うことができるため、床面Fの目標位置へのワークWの合わせも極めて高精度且つ短時間で簡単に行うことができる。
本実施形態に係る貼り治具1を用いずにワークWを床面Fの目標位置に貼り付ける場合、例えば1フロアに100枚ワークWを貼り付けるとすると、2人の作業者でワークWの4箇所の角隅を持ち、浮かせた状態で目標位置に合わせる。その後、ワークWが目標位置に一致したときに2人とは別の作業者がワークWのセンターを抑えて目標位置に押さえつける形で貼り付ける。したがって、最低3人の作業者が必要となる。1枚貼るのに平均5分程度の時間を要し、その他の目標位置への移動時間、ワークWの用意等を考慮すると100枚で10時間程度の作業時間を要することとなる。また、ワークWに描かれている2次元コードは、1枚のワークW毎に固有のものであるため、誤って目標位置から大幅に位置ズレして貼り付けてしまうなどが生じた場合、剥す際にシワが形成されることを考慮すると貼り直しは困難であり、貼り直しも容易ではない。一方、別のワークWを代わりに貼る場合には、ソフトウェアでの経路変更を行う必要があり現実的ではない。
しかしながら、本実施形態によれば、使用者1人で上記のワーク貼り付け方法を実施することができるため、作業効率の向上と共に人員削減による低コスト化も実現できる。さらに、ワークWを吸着した状態で保持することができるため、ワークWの貼り付け時にワークWにシワやヨレが生じることがなく、且つ上述したように高精度での位置合わせが可能であることから、ワークWの貼り直しや作り直し、別のワークWの貼り付けといった事態を回避することができる。
また、本実施形態によれば、4軸移動ステージ20の位置調節は、ディスプレイ701を見ながら行うことができ、さらに複数の撮影領域Pが一括で且つ拡大されて表示されるため、各基準マークMの墨出し線Lへの位置合わせをより容易に且つ確実に行うことができる。また、筐体10は各フレームをアルミ製とすることができ、これにより軽量化を図れて持ち運びも容易となる。
なお、図15に示されるように、ディスプレイ701上には、墨出し線Lの位置合わせ用の補助線702と、基準マークMの位置合わせ用のバツ印などのマーク703とが表示されることが好ましい。また、貼り治具1の天板121上面中心に、床面Fの目標位置に貼り治具1を位置付けるための目印、例えば中心から前後左右方向に延在する十字ラインを形成してもよい。当該ラインは、筐体10における他のフレームや、撮影ユニット40の各種プレートに形成するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、カメラ450を情報処理装置70に接続させたが、これに限定するものではなく、スマートフォンなどのタブレット端末に接続するようにしてもよい。この場合、カメラ450の映像は無線通信により伝送されることが好ましい。また、本実施形態においては、カメラ450を4つ設けたが、これに限定するものではなく、3つでも同様の効果を奏することができる。当然、より多い5つ以上でもよい。
また、本実施形態においては、床面Fの目標位置へのワークWの貼り付けに貼り治具1を用いると説明したが、これに限定するものではなく、吸着プレート30により吸着し保持可能なものであれば、どのようなものでも貼付物として被貼付面に貼り付け可能である。また、本実施形態においてはワークWの目標位置への位置合わせを4軸移動ステージ20を操作することにより手動で行うと説明した。しかしながら、カメラ450から得られる映像に基づいて、情報処理装置70により4軸移動ステージ20を駆動制御させ、自動でワークWの目標位置への位置合わせを行うようにしてもよい。
本発明は、その要旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の各実施形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
1 貼り治具
20 4軸移動ステージ(支持部)
30 吸着プレート(保持部,吸着部)
310 下部プレート(吸着部)
311 吸気孔
450 カメラ
60 真空ポンプ(減圧装置)
62 バッファタンク
701 ディスプレイ
R1 リング(取付対象物)
F 床面(被貼付面)
M 基準マーク
W ワーク
20 4軸移動ステージ(支持部)
30 吸着プレート(保持部,吸着部)
310 下部プレート(吸着部)
311 吸気孔
450 カメラ
60 真空ポンプ(減圧装置)
62 バッファタンク
701 ディスプレイ
R1 リング(取付対象物)
F 床面(被貼付面)
M 基準マーク
W ワーク
Claims (10)
- ワークを被貼付面に対向させると共に、該被貼付面から離間させて保持する保持部と、
前記保持部を上下方向周りに回転可能に且つ上下方向に沿って移動可能に支持する支持部と
を備えることを特徴とする貼り治具。 - 前記支持部は、さらに前記保持部を上下方向に直交する方向に移動可能に支持する
ことを特徴とする請求項1記載の貼り治具。 - 前記保持部は、ワークを解放可能に吸着する吸着部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の貼り治具。 - 前記吸着部は、ワークが当接する下面が略方形状に形成されており、該下面を形成する各辺のそれぞれの辺長は、該各辺のそれぞれに対応するワークの辺の辺長に対して50%以上、95%以下のサイズに形成される
ことを特徴とする請求項3記載の貼り治具。 - 前記吸着部の下面には、ワークを吸着するための複数の吸気孔からなる吸着面が略方形状に形成されており、
前記吸着面の各辺の辺長は、該各辺のそれぞれに対応する前記吸着部の下面における辺の辺長に対して20%以上、95%未満のサイズに形成される
ことを特徴とする請求項4記載の貼り治具。 - 前記保持部は、
前記吸着部の下面に穿設された複数の吸気孔内を減圧する減圧装置と、
前記複数の吸気孔と前記減圧装置との間に介在されて前記減圧装置による減圧を維持させるバッファタンクとを有し、
前記減圧装置による前記バッファタンクを介した前記複数の吸気孔内の減圧により、前記保持部は前記吸着部に当接したワークを吸着して保持する
ことを特徴とする請求項3記載の貼り治具。 - 前記保持部に保持された状態にあるワークを撮影し、得られた映像をディスプレイにリアルタイムに表示可能なカメラを更に備える
ことを特徴とする請求項1記載の貼り治具。 - 前記カメラは、前記ワークに複数設けられた被貼付面に対する位置合わせ用のマークにそれぞれ個別に対応するように複数備えられ、
前記複数のカメラは、それぞれ前記マークを含む被貼付面の映像を前記ディスプレイに一括表示可能に撮影する
ことを特徴とする請求項7記載の貼り治具。 - 前記カメラと通信可能に接続され、前記ディスプレイを有する情報処理装置を更に備える
ことを特徴とする請求項8記載の貼り治具。 - ワークを被貼付面に対向させると共に、該被貼付面から離間させて保持し、
ワークを保持した状態において、ワークを回転させると共に、下方向に移動させることにより前記ワークを前記被貼付面に貼り付ける
ことを特徴とするワーク貼り付け方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022115665A JP2024013518A (ja) | 2022-07-20 | 2022-07-20 | 貼り治具、ワーク貼り付け方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022115665A JP2024013518A (ja) | 2022-07-20 | 2022-07-20 | 貼り治具、ワーク貼り付け方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2024013518A true JP2024013518A (ja) | 2024-02-01 |
Family
ID=89718937
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2022115665A Pending JP2024013518A (ja) | 2022-07-20 | 2022-07-20 | 貼り治具、ワーク貼り付け方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2024013518A (ja) |
-
2022
- 2022-07-20 JP JP2022115665A patent/JP2024013518A/ja active Pending
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