JP2024012848A - 貨幣処理機および貨幣処理方法 - Google Patents

貨幣処理機および貨幣処理方法 Download PDF

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佑達 岩井
Yutatsu Iwai
磨 上原
Migaku Uehara
竜一 田畑
Ryuichi Tabata
広志 信原
Hiroshi Nobuhara
孝之 織戸
Takayuki Orito
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Abstract

Figure 2024012848000001
【課題】複数の特定金種について貨幣の収納量を増やすとともに特定の金種の貨幣が収納される第1収納繰出部に貨幣をできるだけ残すことができる貨幣処理機および貨幣処理方法を提供する。
【解決手段】制御部90は、金種毎の貨幣の出金枚数を含む出金指令を受け付けると、記憶部94に記憶されている情報に基づいて、出金されるべき金種の貨幣が第1収納繰出部(収納繰出部40A、40B、40C、40D、40F、40G)および第2収納繰出部(収納繰出部40E)にそれぞれ収納されている場合に第2収納繰出部から優先して貨幣を繰り出させるよう第1収納繰出部および第2収納繰出部を制御する。
【選択図】図3

Description

本発明は、貨幣処理機および貨幣処理方法に関する。
硬貨を集積して収納する筒型収納部を備えた硬貨処理機として例えば特許文献1等に開示されるものが知られている。特許文献1に開示される硬貨処理機では、各筒型収納部に硬貨の金種が割り当てられており、硬貨の入金処理時には硬貨は識別部により金種等の識別が行われた後に当該硬貨の金種に対応する筒型収納部に収納されるようになっている。
硬貨処理機において複数の特定金種(例えば、10円および100円)について収納量を増やしたいという要望があるが、特許文献1に開示される硬貨処理機ではサイズには限りがあるため特定の金種について筒型収納部を増やすことが難しいという問題があった。
特開2015-141587号公報
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、複数の金種の貨幣を一列で収納するとともに収納されている貨幣を繰り出し可能な第2収納繰出部を設け、出金指令を受け付けると第2収納繰出部から優先して貨幣を繰り出させことにより、複数の特定金種について貨幣の収納量を増やすとともに特定の金種の貨幣が収納される第1収納繰出部に貨幣をできるだけ残すことができる貨幣処理機および貨幣処理方法を提供することを目的とする。
本発明の貨幣処理機は、
予め設定されている一の金種の貨幣を一列で収納するとともに収納されている貨幣を繰り出し可能な第1収納繰出部と、
複数の金種の貨幣を一列で収納するとともに収納されている貨幣を繰り出し可能な第2収納繰出部と、
前記第1収納繰出部および前記第2収納繰出部を制御する制御部と、
前記第1収納繰出部に設定されている貨幣の金種および当該第1収納繰出部に収納されている貨幣の量を記憶するとともに、前記第2収納繰出部に収納されている各々の貨幣の金種を収納順に記憶する記憶部と、
を備え、
前記制御部は、金種毎の貨幣の出金枚数を含む出金指令を受け付けると、前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、出金されるべき金種の貨幣が前記第1収納繰出部および前記第2収納繰出部にそれぞれ収納されている場合に前記第2収納繰出部から優先して貨幣を繰り出させるよう前記第1収納繰出部および前記第2収納繰出部を制御することを特徴とする。
本発明の貨幣処理機においては、
前記制御部は、貨幣の出金処理が行われている間、前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記第2収納繰出部から繰り出された貨幣のうち出金されるべき貨幣ではない貨幣を出金させないよう制御してもよい。
また、前記制御部は、貨幣の出金処理が行われている間、前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記第2収納繰出部から出金されるべき貨幣を繰り出すまでに所定枚数以上出金されるべき貨幣に含まれない金種の貨幣を繰り出す必要がある場合には、出金されるべき貨幣の金種に対応する前記第1収納繰出部から貨幣を繰り出させるよう前記第1収納繰出部を制御してもよい。
また、前記制御部は、貨幣の出金処理が行われている間、前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記第2収納繰出部から連続して所定枚数出金されるべき貨幣に含まれない金種を繰り出す必要がある場合には、出金されるべき貨幣の金種に対応する前記第1収納繰出部から貨幣を繰り出させるよう前記第1収納繰出部を制御してもよい。
また、前記制御部は、貨幣の出金処理が行われている間、前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記第2収納繰出部から次に繰り出されるべき貨幣の金種が、出金されるべき貨幣の金種に含まれない場合には出金されるべき貨幣の金種に対応する前記第1収納繰出部から貨幣を繰り出させるよう前記第1収納繰出部を制御してもよい「。
また、前記制御部は、前記第2収納繰出部に収納されている貨幣を前記第2収納繰出部から繰り出して前記第1収納繰出部に収納させる再振り分け処理を実行可能となっていてもよい。
また、前記制御部は、前記再振り分け処理が行われる際に、前記第2収納繰出部から繰り出された貨幣のうち出金されるべき貨幣ではない貨幣を当該貨幣の金種に対応する前記第1収納繰出部に収納させてもよい。
また、前記制御部は、前記再振り分け処理が行われる際に、前記第2収納繰出部から繰り出された貨幣のうち出金されるべき貨幣ではない貨幣を一時保留部に送り、その後、前記一時保留部から繰り出された出金されるべき貨幣ではない貨幣を当該貨幣の金種に対応する前記第1収納繰出部に収納させてもよい。
また、前記制御部は、前記第1収納繰出部に収納されている貨幣の枚数に基づいて前記再振り分け処理を行うか否かの切り替えを行うようになっており、
前記制御部は、前記第1収納繰出部に収納されている貨幣の枚数が所定の枚数以上である場合は前記再振り分け処理を実行せず、前記第1収納繰出部に収納されている貨幣の枚数が所定の枚数より少ない場合は前記再振り分け処理を実行してもよい。
本発明の貨幣処理方法は、
予め設定されている一の金種の貨幣を一列で収納するとともに収納されている貨幣を繰り出し可能な第1収納繰出部と、複数の金種の貨幣を一列で収納するとともに収納されている貨幣を繰り出し可能な第2収納繰出部と、前記第1収納繰出部に設定されている貨幣の金種および当該第1収納繰出部に収納されている貨幣の量を記憶するとともに、前記第2収納繰出部に収納されている各々の貨幣の金種を収納順に記憶する記憶部とを備えた貨幣処理機による貨幣処理方法であって、
金種毎の貨幣の出金枚数を含む出金指令を前記貨幣処理機が受け付ける工程と、
前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、出金されるべき金種の貨幣が前記第1収納繰出部および前記第2収納繰出部にそれぞれ収納されている場合に前記第2収納繰出部から優先して貨幣を繰り出させる工程と、
を備えたことを特徴とする。
本発明の貨幣処理機および貨幣処理方法によれば、複数の特定金種について貨幣の収納量を増やすとともに特定の金種の貨幣が収納される第1収納繰出部に貨幣をできるだけ残すことができる。
本実施の形態による硬貨処理機および紙幣処理機を備えた貨幣処理機の外観を示す斜視図である。 図1に示す硬貨処理機の内部構成を概略的に示す斜視図である。 図1に示す硬貨処理機の内部を上方から見たときの構成を概略的に示す構成図である。 図1等に示す硬貨処理機において周回搬送部に設けられている分岐部の構成を示す斜視図である。 図1等に示す硬貨処理機における投入部の構成を概略的に示す側面図である。 (a)は、図1等に示す硬貨処理機の外観の一部を示す斜視図であり、(b)は、上面扉を開いたときの構成を示す斜視図である。 図1等に示す硬貨処理機のトレイおよび出金シュート等の構成を示す斜視図である。 図7に示すトレイを硬貨処理機の正面側から見たときの構成を示す斜視図である。 図7に示す硬貨処理機のトレイ、出金シュートおよびリジェクトシュートを硬貨処理機の正面側から見たときの構成を示す構成図である。 図7に示すトレイおよび出金シュートの内部構成を示す縦断面図である。 図1等に示す硬貨処理機の各収納繰出部の構成を示す斜視図である。 図11に示す収納繰出部を拡大して示す拡大斜視図である。 図11に示す各収納繰出部の側面図である。 図11に示す各収納繰出部の各構成要素を概略的に示す斜視図である。 図14に示す収納繰出部の断面の構成を示す縦断面図である。 図14に示す収納繰出部のカムおよび案内部材を下側から見たときの構成を示す斜視図である。 図16に示すカムおよび案内部材の構成を概略的に示す断面図である。 図16に示すカムおよび案内部材の構成を概略的に示す断面図である。 図14に示す収納繰出部の断面の構成を示す横断面図である。 図19に示す収納繰出部の開閉扉が開いたときの状態を示す横断面図である。 図1等に示す硬貨処理機の制御系の構成を示すブロック図である。 図1等に示す硬貨処理機において硬貨の入金処理が行われるときの硬貨の動きを概略的に示す説明図である。 図1等に示す硬貨処理機において硬貨の出金処理が行われるときの硬貨の動きを概略的に示す説明図である。 図1等に示す硬貨処理機において硬貨の精査処理が行われるときの硬貨の動きを概略的に示す説明図である。 図1等に示す硬貨処理機において硬貨の精査処理が行われるときの硬貨の動きを概略的に示す説明図である。 図1等に示す硬貨処理機において硬貨の精査処理が行われるときの処理の流れを示すフローチャートである。 図1等に示す硬貨処理機において硬貨の出金処理が行われるときの処理の流れを示すフローチャートである。 変形例に係る硬貨処理機の概略的な構成を示す斜視図である。 別の変形例に係る硬貨処理機の概略的な構成を示す上面図である。 本実施の形態による紙幣処理機の外観を概略的に示す斜視図である。 図30に示す紙幣処理機の内部構成を概略的に示す側面図である。 図30等に示す紙幣処理機の制御系の構成を示すブロック図である。 従来の硬貨処理機の内部を上方から見たときの構成を概略的に示す構成図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図27は、本実施の形態に係る硬貨処理機10および硬貨処理方法を示す図である。なお、図1乃至図27において、硬貨を参照符号Cで示している。
まず、本実施の形態による硬貨処理機10の全体構成について図1乃至図3等を用いて説明する。図1は、本実施の形態による硬貨処理機10および紙幣処理機200を備えた貨幣処理機の外観を示す斜視図であり、図2は、図1に示す硬貨処理機10の内部構成を概略的に示す斜視図であり、図3は、図1に示す硬貨処理機10の内部を上方から見たときの構成を概略的に示す構成図である。図1に示す貨幣処理機は、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗において商品棚が配置されているフロント領域の精算所に設置される貨幣釣銭機として用いられる。
図1乃至図3に示すように、本実施の形態の硬貨処理機10は、略直方体形状の筐体12と、筐体12の上部に設けられている投入部20と、筐体12内の上部において水平面に沿って配置されている周回搬送部30と、硬貨を金種別に収納する複数の収納繰出部40と、周回搬送部30により搬送される硬貨の識別を行う識別部50と、出金硬貨やリジェクト硬貨が筐体12の外部から取り出し可能となるよう払い出されるトレイ60と、出金硬貨を周回搬送部30からトレイ60に落下させる出金シュート80と、外部にリジェクトされるべきリジェクト硬貨を周回搬送部30からトレイ60に落下させるリジェクトシュート70と、硬貨処理機10の各構成要素の制御を行う制御部90とを備えている。このような硬貨処理機10の各構成要素について以下に詳述する。
投入部20の構成について図2、図3および図5等を用いて説明する。図5は、図1等に示す硬貨処理機10における投入部20の構成を概略的に示す側面図である。図5に示すように、投入部20は、複数のプーリに張架されている循環ベルト22と、循環ベルト22が張架されている複数のプーリのうちある一つのプーリを回転駆動させる駆動モータ21(図21参照)と、逆転ローラ24と、繰出検知センサ26と、残留検知センサ28(図21参照)とを有している。投入部20に投入された硬貨は循環ベルト22上に集積されるようになっている。また、駆動モータ21がプーリを回転駆動させることにより、循環ベルト22が図5における反時計回りの方向に循環移動するようになっている。このようにして、循環ベルト22上に集積された硬貨は図5における左方向(図3における上方向)に向かって移動し、後述する周回搬送部30に繰り出されるようになっている。
また、逆転ローラ24は循環ベルト22に対して硬貨1枚分の厚さよりも大きく硬貨2枚分の厚さよりも小さい隙間を隔てて当該循環ベルト22の上方に配置されている。駆動モータ21がプーリを回転駆動させると、図示しない歯車等を介して回転駆動力が逆転ローラ24に伝達され、逆転ローラ24は図5における反時計回りの方向に回転するようになっている。このことにより、2枚以上の硬貨が重なった状態で循環ベルト22と逆転ローラ24との間の隙間を通過することが防止されるため、循環ベルト22により硬貨を1枚ずつ繰り出すことができるようになる。また、循環ベルト22の移動方向における逆転ローラ24の下流側には例えば光学センサ等から構成される繰出検知センサ26が設けられている。このような繰出検知センサ26により、循環ベルト22により後述する周回搬送部30に繰り出される硬貨を検知することができる。また、投入部20において循環ベルト22上に存在する硬貨は残留検知センサ28により検知されるようになっている。残留検知センサ28は例えば磁気センサから構成されている。本実施の形態では、残留検知センサ28により硬貨が検知されると駆動モータ21がプーリを回転駆動させることにより循環ベルト22を循環移動させ、残留検知センサ28により硬貨が検知されなくなると駆動モータ21がプーリを停止させるようになっている。
図6に示すように、筐体12の上面において投入部20の上方の位置には上面扉14が設けられている。図6(a)は、図1等に示す硬貨処理機10の外観の一部を示す斜視図であり、図6(b)は、図6(a)に示す硬貨処理機10の上面扉14を開いたときの構成を示す斜視図である。上面扉14は軸15を中心として回転するようになっている。このことにより、図6(b)に示すように軸15を中心として上面扉14を回転させることにより当該上面扉14を開くことができるようになる。上面扉14が開かれると、操作者は大量の硬貨を一度に投入部20に投入することができるようになる。すなわち、操作者は大量の硬貨を一度に循環ベルト22上に集積させることができるようになる。また、上面扉14には処理されるべき硬貨のうち最もサイズが大きな1枚の硬貨が通過するような形状の開口16が形成されている。上面扉14が閉じているときには操作者は開口16に硬貨を1枚ずつ投入することにより投入された硬貨が投入部20の循環ベルト22上に集積されるようになる。また、上面扉14の裏側において、光学センサ等の投入検知センサ18(図21参照)が投入部20の上部近傍に設けられており、開口16を通過する硬貨が投入検知センサ18により検知されるようになっている。また、上面扉14の開閉を検知する扉開閉検知センサ19(図21参照)が設けられている。
ここで、上面扉14が閉じられているときには、操作者は筐体12の外部から投入部20の内部が見えないため、制御部90によって硬貨の投入を確実に検知し、硬貨の投入が検知されると循環ベルト22を駆動させる必要がある。これに対し、本実施の形態では、上面扉14が閉じられていることが扉開閉検知センサ19により検知されているときに、投入検知センサ18により開口16に投入された硬貨を検知するか、残留検知センサ28により硬貨が検知されると、駆動モータ21がプーリを回転駆動させることにより循環ベルト22を循環移動させるようになっている。このため、筐体12の外部から投入部20の内部が見えなくても、制御部90によって硬貨の投入を確実に検知し、硬貨の投入が検知されると循環ベルト22を駆動させることができる。
また、扉開閉検知センサ19により上面扉14が開いていることが検知された場合には、投入部20の上部近傍に設けられている投入検知センサ18により検知が行われた場合でも、駆動モータ21がプーリを回転駆動させないようになっている。上面扉14が開いている場合には、操作者は筐体12の外部から投入部20の内部を見ることができる。このため、循環ベルト22上に硬貨が残留している場合には操作者はこのことを認識することができる。また、操作者が投入部20に硬貨を投入する際に指を投入部20の中に入れてしまい、投入検知センサ18により操作者の指が検知された場合でも、駆動モータ21がプーリを回転駆動させないようになっている。このため、操作者の指が循環ベルト22の循環移動に巻き込まれてしまい指が挟まれてしまう等のトラブルが発生することを抑制することができる。また、扉開閉検知センサ19により上面扉14が開いていることが検知された場合に、投入検知センサ18による検知がオフになってもよい。
上述したように、周回搬送部30は、筐体12内の上部において水平面に沿って配置されており、所定の環状経路に沿って硬貨を搬送するようになっている。環状経路は略長方形形状となっている。なお、環状経路は略長方形形状のものに限定されることはなく、環状経路が略正方形形状となっていてもよい。また、上述した投入部20は略長方形形状または略正方形形状の環状経路の内側に設けられている。周回搬送部30は、無端状の循環ベルト32と、循環ベルト32が張架される複数のプーリ34と、循環ベルト32の張力を調整するためのテンション機構36と、複数のプーリ34のうちある一つのプーリ34を回転駆動させる駆動モータ30aとを有している。駆動モータ30aがプーリ34を回転駆動させることにより、循環ベルト32は図3における時計回りの方向および反時計回りの方向の両方向に循環移動することができるようになっている。投入部20の循環ベルト22により図3に矢印方向に沿って繰り出されて周回搬送部30に送られた硬貨は循環ベルト32により1枚ずつ環状経路に沿って搬送されるようになっている。より詳細には、循環ベルト32にはピンが等間隔で設けられており、周回搬送部30において略水平面に沿って延びる搬送面上で硬貨が各ピンにより押されることにより環状経路に沿って搬送される。
また、周回搬送部30における投入部20の近傍の位置(図3における投入部20の下方の位置)には、周回搬送部30により搬送される硬貨を投入部20に送る分岐機構38が設けられている。このような分岐機構38の構成の詳細について図4を用いて説明する。図4に示すように、分岐機構38には分岐部材39が設けられており、循環ベルト32により搬送面に沿って搬送される硬貨は分岐機構38において分岐部材39により投入部20に選択的に送られるようになっている。図4に示すように、分岐部材39は軸39aを中心として回転する一対の揺動部分39b、39cと、これらの揺動部分39b、39cの間に設けられている空隙39dとを有しており、循環ベルト32は空隙39dを通過するようになっている。また、分岐部材39にはソレノイド30b(図21参照)が設けられており、ソレノイド30bが駆動されると軸39aを中心として一対の揺動部分39b、39cが図4に示すように硬貨の搬送面から上方に突出することにより揺動部分39bのガイド面39eに沿って周回搬送部30から投入部20に硬貨が送られるようになる。また、分岐機構38は、周回搬送部30の循環ベルト32により搬送される硬貨の搬送方向を分岐部材39のガイド面39eにより90°変えて投入口38aより投入部20に送るようになっている。このため、図5に示すように分岐機構38により周回搬送部30から分岐させられた硬貨は投入部20において参照符号Cで示す方向に放出される。このことにより、投入部20の循環ベルト32の下流側端部の近傍ではなく循環ベルト32の中央位置の近傍に硬貨が集積されるため、投入部20からの硬貨の繰出動作をスムーズに行うことができる。もし仮に、分岐機構38において、周回搬送部30の循環ベルト32により搬送される硬貨を真下に落下させる分岐部材が設けられていた場合には、図5において分岐機構38により周回搬送部30から分岐させられた硬貨は投入部20において参照符号Cで示す方向に(すなわち、真下に)放出され、循環ベルト32の下流側端部に硬貨が集積される。この場合には、投入部20からの硬貨の繰出動作をスムーズに行うことができない。
また、図3等に示すように、搬送面には各収納繰出部40に対応して分岐部材31が設けられており、循環ベルト32により搬送面に沿って搬送される硬貨は分岐部材31により各収納繰出部40に選択的に送られるようになっている。分岐部材31の構成は上述した分岐機構38の分岐部材39の構成と略同一となっている。具体的には、分岐部材31にはソレノイド30b(図21参照)が設けられており、ソレノイド30bが駆動されることにより分岐部材31が搬送面から上方に突出することにより周回搬送部30から各収納繰出部40に硬貨が送られるようになる。
また、周回搬送部30の搬送面における出金シュート80に対応する位置には分岐部材33が設けられており、循環ベルト32により搬送面に沿って図3における時計回りの方向に搬送される硬貨は分岐部材33により出金シュート80に選択的に送られるようになっている。分岐部材33の構成は上述した分岐機構38の分岐部材39の構成と略同一となっている。具体的には、分岐部材33にはソレノイド30b(図21参照)が設けられており、ソレノイド30bが駆動されることにより分岐部材33が搬送面から上方に突出することにより周回搬送部30から出金シュート80に硬貨が送られるようになる。
また、周回搬送部30の搬送面におけるリジェクトシュート70に対応する位置には分岐部材35が設けられており、循環ベルト32により搬送面に沿って図3における反時計回りの方向に搬送される硬貨は分岐部材35によりリジェクトシュート70に選択的に送られるようになっている。分岐部材35の構成は上述した分岐機構38の分岐部材39の構成と略同一となっている。具体的には、分岐部材35にはソレノイド30b(図21参照)が設けられており、ソレノイド30bが駆動されることにより分岐部材35が搬送面から上方に突出することにより周回搬送部30からリジェクトシュート70に硬貨が送られるようになる。
なお、後述するように、周回搬送部30により搬送される硬貨が分岐部材33により分岐させられて出金シュート80に送られるときの周回搬送部30による硬貨の搬送方向(時計回りの方向、図23参照)と、周回搬送部30により搬送される硬貨が分岐部材35により分岐させられてリジェクトシュート70に送られるときの周回搬送部30による硬貨の搬送方向(反時計回りの方向、図22参照)とが逆になっている。また、出金シュート80およびリジェクトシュート70から硬貨が同じトレイ60に送られるようになっている。
また、本実施の形態では、周回搬送部30の循環ベルト32は複数のプーリ34およびテンション機構36により張架されているが、テンション機構36により循環ベルト32の張力が調整されるようになっている。具体的には、テンション機構36は図3における左右方向に移動可能となっており、テンション機構36が図3における左方向に移動すると循環ベルト32に与えられる張力が大きくなり、テンション機構36が図3における右方向に移動すると循環ベルト32に与えられる張力が小さくなる。テンション機構36はプーリと搬送路が一体となって左右方向の両方向に移動可能となっている。テンション機構36を左右方向に移動させた場合でもテンション機構36内でプーリと搬送路の関係は変わらず搬送不良を低減できるため、テンション機構36を周回搬送部30の環状経路内に設けることができ、このため筐体12内にテンション機構36を設置するためのスペースを別に設ける必要がなく、よって筐体12内の省スペース化を図ることができる。
このようなテンション機構36の配置について、図33に示すような従来の硬貨処理機400の構成と比較しながら説明する。従来の硬貨処理機400は、投入部420と、搬送部430と、硬貨の各金種が割り当てられている収納繰出部440と、左右一対の出金ボックス460、462と、回収ボックス464とを備えており、投入部420に投入された硬貨は図33における左方向に1枚ずつ繰り出されるようになっている。また、搬送部430は、複数のプーリ434およびテンション機構436に張架された循環ベルト432を有しており、当該循環ベルト432は図33における時計回りの方向に循環移動を行うようになっている。硬貨の入金処理において、投入部420に投入された硬貨は当該投入部420から図33における左方向に1枚ずつ繰り出され、循環ベルト432により図33における時計回りの方向に搬送される。具体的には、循環ベルト432により図33における上方向、右方向、下方向の順に搬送される。また、搬送部430には識別部450が設けられており、循環ベルト432により搬送される硬貨は識別部450により識別された後、搬送部430における各収納繰出部440の右側の領域431から各収納繰出部440に金種毎に送られ、これらの収納繰出部440に金種毎に収納される。また、硬貨の出金処理において、各収納繰出部440から図33における左側の領域433に繰り出された硬貨は1枚ずつ循環ベルト432により図33における時計回りの方向に搬送される。すなわち、各収納繰出部440から図33における左側の領域433に繰り出された硬貨は循環ベルト432により図33における上方向、右方向、下方向の順に搬送され、出金ボックス460または出金ボックス462に硬貨が送られる。
ここで、図33に示す硬貨処理機400でも、循環ベルト432の張力を調整するためのテンション機構436が設けられている。テンション機構436は図33における左右方向に移動可能となっており、テンション機構436が図33における左方向に移動すると循環ベルト432に与えられる張力が大きくなり、テンション機構436が図33における右方向に移動すると循環ベルト432に与えられる張力が小さくなる。しかしながら、図33に示す硬貨処理機400では、このようなテンション機構436は搬送路とは関係なくプーリを移動させるため、搬送経路にテンション機構を含む場合には搬送不良を引き起こす原因となる。このため、搬送部430による硬貨の搬送経路にテンション機構を設けることができず、硬貨を周回搬送することができない。これに対し、本実施の形態の硬貨処理機10では、テンション機構36はプーリと搬送路が一体となって左右方向の両方向に移動可能となっているためテンション機構36を移動させても搬送に影響を与えない構成になっており、周回搬送部30の環状経路内にテンション機構36を設けることができ、このため硬貨を周回搬送させることができ、かつ筐体12内にテンション機構36を設置するためのスペースを別に設ける必要がなく、よって筐体12内の省スペース化を図ることができる。
図3等に示すように、本実施の形態の硬貨処理機10では、複数(具体的には、7つ)の収納繰出部40が周回搬送部30の環状経路に沿って設けられている。各収納繰出部40は、周回搬送部30から送られた硬貨を収納するとともに収納されている硬貨を周回搬送部30に繰り出し可能となっている。また、本実施の形態では、硬貨処理機10により処理されるべき硬貨の金種の数よりも収納繰出部40の数が多くなっている。また、本実施の形態では、上述したように環状経路は略長方形形状となっているが、環状経路における筐体12の正面側に位置する経路部分(図3における下側に位置する横方向に延びる経路部分)にそれぞれ直交する一対の経路部分(図3における左右に位置する縦方向に延びる経路部分)に沿って各収納繰出部40が配置されている。このような収納繰出部40の構成について図3および図11乃至図20を用いて説明する。
図3等に示すように、収納繰出部40は、5円硬貨を収納する5円硬貨収納繰出部40Aと、50円硬貨を収納する50円硬貨収納繰出部40Bと、1円硬貨を収納する1円硬貨収納繰出部40Cと、10円硬貨を収納する10円硬貨収納繰出部40Dと、10円硬貨および100円硬貨を混合状態で収納可能な混合金種収納繰出部40Eと、100円硬貨を収納する100円硬貨収納繰出部40Fと、500円硬貨を収納する500円硬貨収納繰出部40Gとから構成されている。ここで、5円硬貨収納繰出部40Aおよび50円硬貨収納繰出部40Bは、図3における周回搬送部30の左側に配置されている。一方、1円硬貨収納繰出部40C、10円硬貨収納繰出部40D、混合金種収納繰出部40E、100円硬貨収納繰出部40Fおよび500円硬貨収納繰出部40Gは、図3における周回搬送部30の右側に配置されている。出金処理が行われる際に、硬貨処理機10が硬貨釣銭機である場合には釣銭として最大で1円硬貨4枚、10円硬貨4枚、100円硬貨4枚、5円硬貨1枚、50円硬貨1枚、500円硬貨1枚(合計で999円)の硬貨が出金され、1円硬貨、10円硬貨、100円硬貨の出金枚数が5円硬貨、50円硬貨、500円硬貨の出金枚数よりも多い。ここで、硬貨の出金処理が行われる際に周回搬送部30において硬貨が時計回りの方向に搬送されることにより、周回搬送部30の左側に配置されている収納繰出部40から硬貨が繰り出されてトレイ60に送られるまでの時間が、周回搬送部30の右側に配置されている収納繰出部40から硬貨が繰り出されてトレイ60に送られるまでの時間よりも長くなるが、出金枚数が少ない5円硬貨、50円硬貨に対応する5円硬貨収納繰出部40Aおよび50円硬貨収納繰出部40Bを周回搬送部30の左側に配置することにより、出金処理にかかる時間をできるだけ短くすることができるようになる。
図11に示すように、各収納繰出部40は筒形状となっており、周回搬送部30から送られた硬貨が上から順に1枚ずつ積層状態で内部に収納されるようになっている。また、各収納繰出部40の内部に積層状態で集積されている硬貨のうち最上層の硬貨が1枚ずつ当該収納繰出部40から周回搬送部30に繰り出されるようになっている。
図11乃至図15等に示すように、収納繰出部40は、カム41と、硬貨が積層状態で集積されるステージ42と、ステージ42を昇降させる昇降部材43と、ステージ42と昇降部材43との間に設けられたバネ42aと、一対の上ガイド部材44、45と、筒形状の収納部分46と、開閉扉47と、第1ガイド部材48と、一対の第2ガイド部材49とを有している。収納繰出部40において、筒形状の収納部分46の内部でステージ42上に硬貨が積層状態で収納されるようになっている。このような収納繰出部40の各構成要素について以下に詳述する。
カム41は鉛直方向に延びる軸を中心として正逆両方向に回転するようになっている。また、図14等に示すように、カム41には下方に延びる3つの突出部41aが形成されており、各突出部41aに硬貨が引っかけられることにより周回搬送部30において循環ベルト32により搬送される硬貨が収納部分46に送られたり当該収納部分46に収納されている複数の硬貨のうち最上層の硬貨が周回搬送部30に繰り出されたりするようになっている。また、収納繰出部40には駆動モータ41b(図21参照)が設けられており、駆動モータ41bによりカム41が正逆両方向に回転するようになっている。ここで、本実施の形態では、カム41は周回搬送部30による硬貨の搬送方向と逆の方向に回転するようになっている。このことにより、例えば、後述するように硬貨の入金処理時には周回搬送部30により硬貨は反時計回りの方向に搬送されるが(図22参照)、このときにカム41は時計回りの方向に回転する。このことにより、周回搬送部30により搬送される硬貨のうちある収納繰出部40(具体的には、金種が割り当てられている収納繰出部40)に送られるべき硬貨を、この収納繰出部40に対応する分岐部材31で周回搬送部30の搬送路から分岐させた後、分岐した硬貨をカム41の各突出部41aに引っかけながら当該カム41が回転することにより収納繰出部40に送ることができるようになる。一方、後述するように硬貨の出金処理時には周回搬送部30により硬貨は時計回りの方向に搬送されるが(図23参照)、このときにカム41は反時計回りの方向に回転する。このことにより、収納繰出部40に収納されている硬貨のうち出金されるべき硬貨をカム41の各突出部41aに引っかけながら当該カム41が回転することにより周回搬送部30に送り、周回搬送部30で引き続き硬貨の搬送を行うことができるようになる。
図14および図15等に示すように、収納繰出部40は、内部に空洞が形成されている筒状のものであり、収納部分46の内部においてステージ42の上面に硬貨が積層状態で集積されるようになっている。また、ステージ42はバネ42aにより上方向に常に押されるようになっている。昇降部材43の下部にはリニアモータ43a(図21参照)が取り付けられており、リニアモータ43aにより昇降部材43が昇降するようになっている。より詳細には、周回搬送部30から収納繰出部40に硬貨が1枚収納される度に、昇降部材43は硬貨1枚の厚さ分だけ下方に移動し、また、収納繰出部40から周回搬送部30に硬貨が1枚繰り出される度に、昇降部材43は硬貨1枚の厚さ分だけ上方に移動するよう、リニアモータ43aが昇降部材43を昇降させるようになっている。また、昇降部材43とステージ42との間にはバネ42aが設けられており、昇降部材43が昇降するとステージ42も昇降するようになっている。
一対の上ガイド部材44、45は、ステージ42上の硬貨が収納部分46から上方に飛び出さないようにするためステージ42上の硬貨を上から押さえるようになっている。一対の上ガイド部材44、45の間には隙間が形成されており、この隙間をカム41の突出部41aが通過するようになっている。図16乃至図18に示すように、各上ガイド部材44、45における硬貨に接する面には凹部44a、45aがそれぞれ形成されている。各凹部44a、45aは、カム41の回転軸を中心とした円弧状に延びるようになっている。収納部分46の内部でステージ42上に集積されている複数の硬貨のうち最上層の硬貨が折れ曲がっておらず完全に平板状である場合には、図17に示すようにこの最上層の硬貨は各凹部44a、45aの中に入らない状態でカム41の突出部41aにより周回搬送部30に繰り出される。一方、収納部分46の内部でステージ42上に集積されている複数の硬貨のうち最上層の硬貨が折れ曲がっている場合には、図18に示すようにこの最上層の硬貨の端縁は各凹部44a、45aの中に入った状態でカム41の突出部41aにより周回搬送部30に繰り出される。ここで、このような凹部44a、45aが上ガイド部材44、45に設けられていない場合には、最上層の硬貨が折れ曲がっているときにこの硬貨の端縁が上ガイド部材44、45の下面に接するようになる。この場合には、折れ曲がっている最上層の硬貨の中心部分は上ガイド部材44、45の下面から下方に離間するため、カム41の突出部41aに引っかからずに周回搬送部30に繰り出されないことがある。これに対し、各上ガイド部材44、45における硬貨に接する面に凹部44a、45aを形成することにより、最上層の硬貨が折れ曲がっていてもこの硬貨の端縁は凹部44a、45aに入るため、折れ曲がっている最上層の硬貨の中央部分は上ガイド部材44、45の下面から大きく下方に離間せず、このため折れ曲がった硬貨の中心部分がカム41の突出部41aに引っかからずに周回搬送部30に繰り出されないというトラブルの発生を防止することができる。
また、各収納繰出部40には、当該収納繰出部40に収納されている硬貨がフル状態であるときにこのことを検知するフル検知センサ40a(図21参照)、収納繰出部40に硬貨が収納されていないときにこのことを検知するエンプティ検知センサ40b(図21参照)、およびステージ42に集積された硬貨の上端を検知する上端検知センサ40c(図21参照)がそれぞれ設けられている。フル検知センサ40aおよびエンプティ検知センサ40bは、それぞれ、概してステージ42の位置に基づいて収納繰出部40に収納されている硬貨がフル状態であることや収納繰出部40に硬貨が収納されていないことを検知するようになっている。
このような収納繰出部40に周回搬送部30から硬貨を収納するときの動作について説明する。図12に示すように、周回搬送部30において搬送されているある金種の硬貨をこの金種に対応する収納繰出部40に収納させるにあたり、当該収納繰出部40に対応する分岐部材31を硬貨の搬送面から上方に突出させる。このことにより、周回搬送部30において搬送されている硬貨は、収納繰出部40に向かう方向に向きが変えられる。また、カム41が図12における時計回りの方向に120°回転する。このことにより、カム41の突出部41aに硬貨が引っかけられることにより、当該硬貨は周回搬送部30から収納繰出部40に送られ、ステージ42上に集積される。周回搬送部30から収納繰出部40に硬貨が送られると、リニアモータ43aにより昇降部材43が硬貨1枚の厚さ分だけ下方に移動する。このことにより、ステージ42上に集積されている複数の硬貨のうち最上層の硬貨の上面と、各上ガイド部材44、45との間に、硬貨の収納スペースが形成される。
次に、収納繰出部40に収納されている硬貨を周回搬送部30に繰り出すときの動作について説明する。収納繰出部40に収納されている硬貨を周回搬送部30に繰り出す際に、リニアモータ43aにより昇降部材43が硬貨1枚の厚さ分よりも大きな量だけ上方に移動する。このことにより、ステージ42がバネ42aによって昇降部材43により上方に押されることにより、ステージ42上に集積されている複数の硬貨のうち最上層の硬貨が各上ガイド部材44、45の下面に接触する。このような状態でカム41が図12における反時計回りの方向に120°回転する。このことにより、カム41の突出部41aに硬貨が引っかけられることにより、当該硬貨は収納繰出部40から周回搬送部30に送られ、当該周回搬送部30の循環ベルト32により硬貨が引き続き搬送される。
また、図19乃至図20に示すように、収納部分46には硬貨の集積方向に沿って延びる開口が形成されており、開閉扉47はこの開口の開閉を行うようになっている。具体的には、開閉扉47は、硬貨の集積方向(すなわち、鉛直方向)に沿って延びる軸47aを中心として回転するようになっている。このような開閉扉47が設けられていることにより、収納部分46の内部の清掃を行う際に開閉扉47を開くだけで収納部分46の内部にアクセスすることができるようになる。また、開閉扉47が開口を閉じているときの当該開閉扉47の内面の近傍の箇所にガイド部材48が設けられている。ガイド部材48は、硬貨の集積方向(すなわち、鉛直方向)に沿って延びるようになっている。また、ガイド部材48の周囲に形成される空隙の幅の大きさが、収納部分46に収納されるべき硬貨の直径よりも小さくなっている。このことにより、開閉扉47が開いた場合でも、図20に示すように収納部分46に集積されている硬貨が開口から収納部分46の外部に飛び出ないようになっている。なお、開閉扉47の内面には、開口を閉じているときにガイド部材48が収容される凹部47bが形成されている。また、収納部分46の近傍には一対のガイド部材49が設けられている。ここで、複数のガイド部材48、49間の空隙の幅の大きさが、収納部分46に収納されるべき硬貨の直径よりも小さくなっている。このため、ステージ42上に集積される硬貨は、各ガイド部材48、49により集積状態が大きく崩れることなく収納部分46の内部で収納される。また、図12等に示すように、収納部分46におけるカム41の近傍には、収納部分46に集積されている最上層の硬貨を当該収納部分46から取り出すための上面開口46a(図12参照)が形成されており、この上面開口46aを通ることにより周回搬送部30から収納部分46の内部に硬貨が送られたり収納部分46の内部から繰り出された硬貨が周回搬送部30に送られたりするようになる。
なお、開閉扉47は、収納部分46の略全長に亘って延びる形状のものに限定されることはない。収納部分46の長手方向において開閉扉47が複数の扉部分に分割されていてもよい。この場合は、各扉部分を開くことにより、収納部分46の内部にアクセスして当該収納部分46の内部の清掃を行うことができるようになる。このため、収納部分46の内部の一部のみにゴミが溜まっている場合には一部の扉部分のみを開くだけでよいので、メンテナンスがより容易になる。
各収納繰出部40におけるカム41の形状や大きさ、各上ガイド部材44、45の形状や大きさ、収納部分46の形状や大きさ、収納部分46に硬貨が送られたときや収納部分46から硬貨が繰り出されたときの昇降部材43の移動距離等は、当該収納繰出部40に割り当てられている硬貨の金種に基づいて予め所定の値に設定されている。また、10円硬貨および100円硬貨が混合状態で収納可能な収納繰出部40Eは、10円硬貨および100円硬貨の両方が収納可能および繰出可能となるよう、カム41の形状や大きさ、各上ガイド部材44、45の形状や大きさ、収納部分46の形状や大きさ、収納部分46に硬貨が送られたときや収納部分46から硬貨が繰り出されたときの昇降部材43の移動距離等が予め設定されている。
識別部50は、周回搬送部30において循環ベルト32により搬送される硬貨の金種、真偽、正損等の識別を行うようになっている。具体的には、識別部50は、ラインセンサおよび磁気センサを有しており、循環ベルト32により搬送される硬貨の表面の画像がラインセンサにより取得されるとともにこの硬貨の材質等が磁気センサによる検知情報に基づいて判別されるようになっている。そして、ラインセンサおよび磁気センサによる検出結果に基づいて、循環ベルト32により搬送される硬貨の金種、真偽、正損等の識別が行われる。識別部50による硬貨の識別結果は後述する制御部90に送られるようになっている。
図2に示すように、トレイ60は硬貨処理機10の筐体12の前面において周回搬送部30よりも鉛直方向下方の位置に配置されている。また、図2および図9に示すように、トレイ60の左側にはリジェクトシュート70が配置されており、トレイ60の右側には出金シュート80が配置されている。上述したように、周回搬送部30から分岐部材33、35により分岐させられた硬貨がリジェクトシュート70や出金シュート80の内部で自重により落下することによってトレイ60に送られるようになっている。
トレイ60の構成について図8および図9等を用いて説明する。図8に示すように、トレイ60の奥側および左右両側にはそれぞれ壁面66、67、68が形成されている。また、トレイ60の左右両側の壁面67、68にはそれぞれ吐出口62、64が形成されており、出金シュート80から吐出口62を介して出金硬貨がトレイ60に吐出されるとともにリジェクトシュート70から吐出口64を介してリジェクト硬貨がトレイ60に吐出されるようになっている。本実施の形態では、図9に示すように、本実施の形態では硬貨処理機10の幅方向(すなわち、図9における左右方向)に沿ってリジェクトシュート70や出金シュート80から硬貨がトレイ60に送られるようになっている。このように、硬貨処理機10の幅方向に沿ってトレイ60に硬貨が送られるため、リジェクトシュート70や出金シュート80からトレイ60に硬貨が吐出されたときにこの硬貨がトレイ60から筐体12の手前側に飛び出してしまうことを防止することができる。
また、トレイ60を挟んで出金シュート80の吐出口62の反対側に壁面68が形成されている。このため、吐出口62から吐出された硬貨は壁面68に当たり勢いが弱まることにより、吐出口62から吐出された硬貨がトレイ60から筐体12の手前側に飛び出してしまうことをより一層防止することができる。また、トレイ60を挟んでリジェクトシュート70の吐出口64の反対側に壁面67が形成されている。このため、吐出口64から吐出された硬貨は壁面67に当たり勢いが弱まることにより、吐出口64から吐出された硬貨がトレイ60から筐体12の手前側に飛び出してしまうことをより一層防止することができる。
出金シュート80の構成について図10を用いて説明する。図10は、図7に示すトレイ60および出金シュート80の内部構成を示す縦断面図である。出金シュート80は、第1シュート部分82と、第2シュート部分84と、第3シュート部分86とから構成されており、周回搬送部30から分岐部材33により分岐させられた硬貨はまず第1シュート部分82に送られるようになっている。また、第1シュート部分82の下端から第2シュート部分84および第3シュート部分86が分岐しており、この分岐箇所には分岐部材88が設けられている。このような分岐部材88により、周回搬送部30から出金シュート80に送られた硬貨の送り先を、トレイ60およびトレイ60以外の領域に振り分けることができるようになっている。具体的には、分岐部材88は軸88aを中心として図10において実線で示す位置と二点鎖線で示す位置との間で回転するようになっている。このような分岐部材88の軸88aには複数の歯車(図示せず)を介してソレノイド80a(図21参照)が接続されており、ソレノイド80aによって分岐部材88が軸88aを中心として回転するようになっている。分岐部材88が図10において実線で示す位置に位置しているときには、周回搬送部30から出金シュート80に送られた硬貨は、第1シュート部分82から第2シュート部分84に送られ、この第2シュート部分84から吐出口62によりトレイ60に吐出される。一方、分岐部材88が図10において二点鎖線で示す位置に位置しているときには、周回搬送部30から出金シュート80に送られた硬貨は、第1シュート部分82から第3シュート部分86に送られ、この第3シュート部分86の下端開口から自重により下方に落下する。ここで、硬貨処理機10において硬貨の出金処理が行われる際に顧客に硬貨が払い出されるときには、出金シュート80からトレイ60に出金硬貨が送られる。このことにより、顧客はトレイ60から出金硬貨を取り出すことができるようになる。一方、硬貨処理機10において店舗の店員が各収納繰出部40に収納されている硬貨の回収処理を行う際には、出金シュート80の第3シュート部分86の真下に、上面が開口している回収ボックスを配置する。また、分岐部材88を図10において二点鎖線で示す位置に位置させ、周回搬送部30から出金シュート80に送られた硬貨を、第1シュート部分82から第3シュート部分86に送り、この第3シュート部分86から自重により下方に落下させるようにする。このことにより、店舗の店員は、回収されるべき大量の硬貨を出金シュート80からトレイ60を経ることなく回収ボックスに直接送ることができるようになる。
また、本実施の形態では、図9および図10に示すように、第1シュート部分82は硬貨を縦向きに落下させ、第2シュート部分84は硬貨を斜め下方の向きでトレイ60に送るようになっている。このように、第2シュート部分84は硬貨を斜め下方の向きでトレイ60に送るため、硬貨の落下速度を減速させることができ、吐出口62からトレイ60に硬貨が吐出されるときの勢いを弱めることができるため、吐出口62から吐出された硬貨がトレイ60から筐体12の手前側に飛び出してしまうことをより一層防止することができる。また、出金シュート80において、硬貨の送り方向(下方向)に直交する第1シュート部分82の断面の縦方向長さ(図9の紙面に直交する方向の長さ、図10の左右方向の長さ)が、硬貨処理機10により処理されるべき硬貨の直径よりも小さくなっている。また、出金シュート80において、硬貨の送り方向(下方向)に直交する第1シュート部分82の断面の横方向長さ(図9の左右方向の長さ、図10の紙面に直交する方向の長さ)が、硬貨処理機10により処理されるべき硬貨の直径よりも大きくなっている。このことにより、出金シュート80において第1シュート部分82は硬貨を確実に縦向きで落下させることができる。第1シュート部分82で硬貨が縦向きに落下した場合には、第1シュート部分82から第2シュート部分84および第3シュート部分86への分岐箇所で硬貨が詰まってしまうことをより確実に防止することができる。
また、図9に示すように、リジェクトシュート70は、第1シュート部分72と、第2シュート部分74とから構成されており、周回搬送部30から分岐部材35により分岐させられた硬貨はまず第1シュート部分72に送られるようになっている。リジェクトシュート70では第1シュート部分72から硬貨は分岐せずに第2シュート部分74に送られ、第2シュート部分74から吐出口64によりトレイ60に吐出されるようになっている。また、本実施の形態では、図9に示すように、第1シュート部分72は硬貨を縦向きに落下させ、第2シュート部分74は硬貨を斜め下方の向きでトレイ60に送るようになっている。このように、第2シュート部分74は硬貨を斜め下方の向きでトレイ60に送るため、硬貨の落下速度を減速させることができ、吐出口64からトレイ60に硬貨が吐出されるときの勢いを弱めることができるため、吐出口64から吐出された硬貨がトレイ60から筐体12の手前側に飛び出してしまうことをより一層防止することができる。また、リジェクトシュート70において、硬貨の送り方向(下方向)に直交する第1シュート部分72の断面の縦方向長さ(図9の紙面に直交する方向の長さ)が、硬貨処理機10により処理されるべき硬貨の直径よりも小さくなっている。また、リジェクトシュート70において、硬貨の送り方向(下方向)に直交する第1シュート部分72の断面の横方向長さ(図9の左右方向の長さ)が、硬貨処理機10により処理されるべき硬貨の直径よりも大きくなっている。このことにより、リジェクトシュート70において第1シュート部分72は硬貨を確実に縦向きで落下させることができる。
また、本実施の形態では、図3および図7等に示すように、トレイ60は筐体12の内部に一部入っており、硬貨処理機10を鉛直方向に沿って見たときに、トレイ60および周回搬送部30が少なくとも一部重なるようになっている。このことにより、硬貨処理機10は筐体12の奥行き方向の長さがより小さなものとなるので、硬貨処理機10をよりコンパクトなものとすることができる。また、本実施の形態では、トレイ60が筐体12の内部に更に入っており、硬貨処理機10を鉛直方向に沿って見たときに、トレイ60および投入部20が少なくとも一部重なるようになっていてもよい。この場合は、硬貨処理機10は筐体12の奥行き方向の長さが更に小さなものとなるので、硬貨処理機10を更にコンパクトなものとすることができる。また、出金シュート80やリジェクトシュート70も筐体12の内部に一部入っており、硬貨処理機10を鉛直方向に沿って見たときに、出金シュート80やリジェクトシュート70および周回搬送部30が少なくとも一部重なるようになっている。この場合は、出金シュート80やリジェクトシュート70が筐体12の手前側に配置される場合と比較して、硬貨処理機10の筐体12の奥行き方向の長さが更に小さなものとなるので、硬貨処理機10を更にコンパクトなものとすることができる。
また、硬貨処理機10は、当該硬貨処理機10の各構成要素の制御を行う制御部90を備えている。硬貨処理機10の制御系の構成について図21を用いて説明する。図21に示すように、制御部90には、投入検知センサ18、扉開閉検知センサ19、投入部20の駆動モータ21、繰出検知センサ26、残留検知センサ28、周回搬送部30の駆動モータ30a、ソレノイド30b、識別部50、各収納繰出部40のフル検知センサ40a、エンプティ検知センサ40b、上端検知センサ40c、駆動モータ41b、リニアモータ43a、出金シュート80のソレノイド80a等がそれぞれ接続されている。ここで、投入検知センサ18、扉開閉検知センサ19、繰出検知センサ26、残留検知センサ28、各収納繰出部40のフル検知センサ40a、エンプティ検知センサ40b、上端検知センサ40c等の各々による検知情報および識別部50による識別情報は、それぞれ各センサ18、19、26、28、40a、40b、40c等や識別部50から制御部90に送られる。また、制御部90は、投入部20の駆動モータ21、周回搬送部30の駆動モータ30a、ソレノイド30b、収納繰出部40の駆動モータ41b、リニアモータ43a、出金シュート80のソレノイド80a等に指令信号を送ることによりこれらの構成要素の動作を制御する。
また、本実施の形態の硬貨処理機10には操作表示部92、記憶部94および通信部96がそれぞれ設けられており、これらの操作表示部92、記憶部94および通信部96は制御部90に接続されている。操作表示部92は例えばタッチパネル等から構成されており、制御部90から表示指令を受けることにより操作表示部92には様々な情報が表示されるとともに操作者は操作表示部92により制御部90に対して様々な情報を入力することができるようになっている。記憶部94には、各収納繰出部40に収納されている硬貨の金種や枚数、硬貨処理機10において行われた硬貨の入金処理や出金処理等の履歴等の様々な情報が記憶されるようになっている。また、本実施の形態では、記憶部94には、各収納繰出部40に収納されている各硬貨について、収納された順番および金種が記憶されるようになっている。また、制御部90は通信部96を介して外部装置に対して様々な信号の送受信を行うことができるようになっている。
次に、このような硬貨処理機10で行われる様々な処理について説明する。なお、以下に示す硬貨処理機10による様々な処理は、制御部90が硬貨処理機10の各構成要素を制御することにより行われる。
まず、硬貨処理機10により硬貨の入金処理が行われるときの動作について図22を用いて説明する。図22は、図1等に示す硬貨処理機10において硬貨の入金処理が行われるときの硬貨の動きを概略的に示す説明図である。操作者により筐体12の上面に設けられている上面扉14の開口16(図6(a)参照)に硬貨が投入されたり、操作者により上面扉14が開かれて(図6(b)参照)投入部20に硬貨が直接投入されたりすると、投入部20の循環ベルト22上に硬貨が集積される。開口16に投入された硬貨を投入検知センサ18により検知されると、または循環ベルト22上に集積された硬貨が残留検知センサ28により検知されると、駆動モータ21によって循環ベルト22が張架されているプーリが回転駆動されることにより循環ベルト22が図5における反時計回りの方向(図3における矢印方向)に循環移動する。また、開口16に投入された硬貨を投入検知センサ18により検知されると、または循環ベルト22上に集積された硬貨が残留検知センサ28により検知されると、駆動モータ30aにより循環ベルト32が張架されているプーリが回転駆動されることにより循環ベルト22が図3および図22における反時計回りの方向に循環移動する。このことにより、循環ベルト22上に集積された硬貨が1枚ずつ周回搬送部30に繰り出され、繰り出された硬貨は周回搬送部30の搬送面上で図3および図22における反時計回りの方向に1枚ずつ移動する。周回搬送部30で搬送される硬貨は識別部50によりその金種、真偽、正損等が識別される。
識別部50により正常な硬貨ではないと識別された硬貨や識別部50により識別することができなかった硬貨はリジェクト硬貨として分岐部材35により周回搬送部30の搬送面から分岐させられ、リジェクトシュート70に送られる。リジェクトシュート70に送られたリジェクト硬貨はリジェクトシュート70から吐出口64によりトレイ60に吐出される。このことにより、操作者はトレイ60からリジェクト硬貨を取り出して投入部20に再投入したり別の硬貨を投入部20に投入したりすることができるようになる。また、識別部50により正常な硬貨であると識別された硬貨は、当該硬貨の金種に対応する各収納繰出部40に送られ、収納繰出部40に収納される。具体的には、識別部50により正常な硬貨であると識別された硬貨は、その金種が割り当てられている収納繰出部40に対応する分岐部材31により周回搬送部30の搬送面から分岐させられる。また、この収納繰出部40の駆動モータ41bがカム41を時計回りの方向に回転させる。このことにより、分岐部材31により周回搬送部30の搬送面から分岐させられた硬貨はカム41の突出部41aに引っかけられることにより収納部分46の内部に送られ、ステージ42上に積層状態で集積される。このようにして、投入部20に投入された硬貨が全て各収納繰出部40またはトレイ60に送られると硬貨の入金処理が終了する。
次に、硬貨処理機10により硬貨の出金処理が行われるときの動作について図23を用いて説明する。図23は、図1等に示す硬貨処理機10において硬貨の出金処理が行われるときの硬貨の動きを概略的に示す説明図である。操作者が操作表示部92により硬貨の出金処理の指令を入力したり、外部装置から通信部96を介して制御部90に硬貨の出金処理の指令が送信されたりすることにより、制御部90に対して硬貨の出金処理の指令(具体的には、出金されるべき硬貨の金種毎の枚数または合計金額の情報を含む指令)が与えられると、制御部90においてどの金種の硬貨を何枚出金するかについての計算が行われる。また、制御部90に対して硬貨の出金処理の指令が与えられると、駆動モータ30aにより循環ベルト32が張架されているプーリが回転駆動されることにより循環ベルト22が図3および図23における時計回りの方向に循環移動する。また、出金されるべき硬貨が金種毎に各収納繰出部40から周回搬送部30に繰り出され、繰り出された硬貨は周回搬送部30の搬送面上で図3および図23における時計回りの方向に1枚ずつ移動する。具体的には、収納繰出部40のリニアモータ43aにより昇降部材43が上方に移動させられ、ステージ42上に集積されている複数の硬貨のうち最上層の硬貨が上ガイド部材44、45の下面に接触する。そしてこのような状態で駆動モータ41bによりカム41が反時計回りの方向に回転させられることによって、ステージ42上の最上層の硬貨がカム41の突出部41aに引っかかることにより当該硬貨が収納部分46から周回搬送部30の搬送面に移動させられる。収納繰出部40から周回搬送部30に繰り出され、当該周回搬送部30の搬送面上で図3および図23における時計回りの方向に移動する硬貨は分岐部材33により周回搬送部30の搬送面から分岐させられ、出金シュート80に送られる。出金シュート80に送られた出金硬貨は出金シュート80から吐出口62によりトレイ60に吐出される。なお、出金硬貨をトレイ60に送るのではなく出金シュート80の第3シュート部分86から直接下方に落下させる場合には、制御部90に対して出金シュート80から直接出金硬貨を吐出させる旨の指令を与える。この場合には、ソレノイド80aにより分岐部材88が図10における二点鎖線の位置に移動させられる。このことにより、周回搬送部30から出金シュート80に送られた硬貨は第1シュート部分82から第3シュート部分86に送られるようになる。
次に、硬貨処理機10により硬貨の精査処理が行われるときの動作について図24、図25および図26を用いて説明する。図24および図25は、図1等に示す硬貨処理機10において硬貨の精査処理が行われるときの硬貨の動きを概略的に示す説明図である。また、図26は、図1等に示す硬貨処理機10において硬貨の精査処理が行われるときの処理の流れを示すフローチャートである。
本実施の形態では、精査処理を行う際の硬貨の処理モードを、識別部50により正常な硬貨であると識別されなかった硬貨も一旦元の収納繰出部40に戻し、当該収納繰出部40を精査未完了であると判定する保留モードと、精査処理において識別部50により正常な硬貨であると識別されなかった硬貨を筐体12(機体)の外部に投出する投出モードとを切り替えることができるようになっている。このような精査処理を行う際の硬貨の処理モードは、操作者が操作表示部92により制御部90に指令を入力することにより切り替えることができる。すなわち、制御部90は、受け付けた精査の指示に基づいて処理モードを保留モードと投出モードとの間で異ならせるようにする。
操作者が操作表示部92により硬貨の精査処理の指令を入力したり、外部装置から通信部96を介して制御部90に硬貨の精査処理の指令が送信されたりすることにより、制御部90に対して硬貨の精査処理の指令が与えられると(図26のSTEP1の「YES」)、収納繰出部40毎に、当該収納繰出部40に収納されている硬貨について識別部50による識別が行われる。具体的には、制御部90に対して硬貨の精査処理の指令が与えられると、駆動モータ30aにより循環ベルト32が張架されているプーリが回転駆動されることにより循環ベルト22が図3および図24における時計回りの方向に循環移動する。また、精査処理を行う際の硬貨の処理モードが保留モードである場合には(STEP2の「YES」)、ある収納繰出部40から周回搬送部30に硬貨が繰り出され、繰り出された硬貨は周回搬送部30の搬送面上で図3および図24における時計回りの方向に1枚ずつ移動する。また、周回搬送部30の搬送面上で図3および図24における時計回りの方向に移動する硬貨は分岐機構38において分岐部材39により周回搬送部30の搬送面から分岐させられ、投入部20に送られる(STEP3)。ある収納繰出部40から硬貨が全て繰り出されて投入部20に送られると、図25に示すように、駆動モータ21により循環ベルト22が張架されているプーリが回転駆動されることにより循環ベルト22が図5における反時計回りの方向(図3における矢印方向)に循環移動する。また、駆動モータ30aにより循環ベルト32が張架されているプーリが回転駆動されることにより循環ベルト22が図3および図25における反時計回りの方向に循環移動する。このことにより、循環ベルト22上に集積された硬貨が1枚ずつ周回搬送部30に繰り出され、周回搬送部30の搬送面上で図3および図25における反時計回りの方向に1枚ずつ移動する。周回搬送部30で搬送される硬貨は識別部50によりその金種、真偽、正損等が識別される。そして、識別部50により正常な硬貨であると識別された硬貨は、元の収納繰出部40に戻される。一方、識別部50により正常な硬貨ではないと識別された硬貨も、元の収納繰出部40に送られ、この収納繰出部40に収納される(STEP4)。また、識別部50により正常な硬貨ではないと識別された硬貨が戻された収納繰出部40については制御部90により精査未完了の収納繰出部40であると判定される。
このようにして、投入部20から収納繰出部40に硬貨が全て送られると、別の収納繰出部40について同様の処理が収納繰出部40毎に行われる。そして、全ての収納繰出部40について上述した処理が行われると(STEP5の「YES」)、精査未完了と判定された収納繰出部40が存在しない場合には(STEP6の「NO」)、制御部90は硬貨の精査処理が完了したと判断する。
一方、精査未完了と判定された収納繰出部40が存在する場合には(STEP6の「YES」)、精査未完了であると判定された収納繰出部40について図24に示すように当該収納繰出部40に収納されている硬貨が全て再び周回搬送部30に繰り出され、投入部20に送られる(STEP7)。このことにより、収納繰出部40から投入部20に送られた硬貨は循環ベルト32上に集積される。そして、収納繰出部40から投入部20に硬貨が全て送られた後、図25に示すように、循環ベルト22上に集積された硬貨が1枚ずつ周回搬送部30に繰り出され、周回搬送部30の搬送面上で図3および図25における反時計回りの方向に1枚ずつ移動する。周回搬送部30で搬送される硬貨は識別部50によりその金種、真偽、正損等が識別される(STEP8)。そして、識別部50により正常な硬貨であると識別された硬貨は(STEP9の「YES」)、元の収納繰出部40に戻される(STEP10)。一方、識別部50により正常な硬貨ではないと識別された硬貨や識別部50により識別することができなかった硬貨は(STEP9の「NO」)、リジェクト硬貨として分岐部材35により周回搬送部30の搬送面から分岐させられ、リジェクトシュート70に送られる。リジェクトシュート70に送られたリジェクト硬貨はリジェクトシュート70から吐出口64によりトレイ60に吐出される(STEP11)。このことにより、操作者はトレイ60からリジェクト硬貨を取り出すことができるようになる。このようにして、投入部20から全ての硬貨が周回搬送部30に繰り出されて元の収納繰出部40またはトレイ60に送られると(STEP12の「YES」)、制御部90においてこの収納繰出部40の状態が精査未完了から精査完了に切り替えられる。このようにして、制御部90は硬貨の精査処理が完了したと判断する。なお、本実施の形態では、収納繰出部40に収納されている硬貨が全て再び周回搬送部30に繰り出されて投入部20に送られるが、記憶部94が記憶している収納された順番に基づいて収納繰出部40に収納されている正常な硬貨ではないと識別された硬貨が周回搬送部30に繰り出された時点で収納繰出部40からの硬貨の繰出動作を停止し、既に収納繰出部40から周回搬送部30に繰り出されている硬貨のみが投入部20に送られてもよい。この場合は、その後、投入部20から硬貨が1枚ずつ周回搬送部30に繰り出され、識別部50によりその金種、真偽、正損等が識別された後、識別部50により正常な硬貨であると識別された硬貨は、元の収納繰出部40に戻される。一方、識別部50により正常な硬貨ではないと識別された硬貨や識別部50により識別することができなかった硬貨はリジェクトシュート70から吐出口64によりトレイ60に吐出される。
なお、本実施の形態では、上述した保留モードのSTEP4の処理において、識別部50により正常な硬貨であると識別されなかった硬貨について再び識別部50により所定の回数だけ識別を行わせ、所定の回数だけ識別部50により識別が行われても正常な硬貨であると識別されなかった硬貨を一旦元の収納繰出部40に戻し、当該収納繰出部40を精査未完了であると判定してもよい。具体的には、識別部50により正常な硬貨であると識別されなかった硬貨を一旦投入部20に戻し、投入部20から周回搬送部30に再び繰り出させることにより硬貨の再識別を行ってもよく、あるいは、識別部50により正常な硬貨であると識別されなかった硬貨について周回搬送部30で逆方向に搬送することにより識別部50の上流側に移動させ、周回搬送部30でこの硬貨を再び順方向に搬送することにより硬貨の再識別を行ってもよい。正常な硬貨であっても1回の識別部50による識別動作だけでは誤って正常な硬貨ではないと識別されるおそれがあるが、このような硬貨について再び識別部50により識別を行わせることにより、正常な硬貨が識別部50により正常な硬貨ではないと識別されてしまいこの硬貨が収納された収納繰出部40が精査未完了であると誤って判定されてしまうことを防止することができる。
一方、精査処理を行う際の硬貨の処理モードが保留モードではなく投出モードである場合には(STEP2の「NO」)、上述したSTEP3~STEP7の処理は行われない。すなわち、ある収納繰出部40について図24に示すように当該収納繰出部40から硬貨が周回搬送部30に繰り出され、投入部20に送られる(STEP13)。このことにより、収納繰出部40から投入部20に送られた硬貨は循環ベルト32上に集積される。そして、収納繰出部40から投入部20に硬貨が全て送られた後、図25に示すように、循環ベルト22上に集積された硬貨が1枚ずつ周回搬送部30に繰り出され、周回搬送部30の搬送面上で図3および図25における反時計回りの方向に1枚ずつ移動する。周回搬送部30で搬送される硬貨は識別部50によりその金種、真偽、正損等が識別される(STEP8)。そして、識別部50により正常な硬貨であると識別された硬貨は(STEP9の「YES」)、元の収納繰出部40に戻される(STEP10)。一方、識別部50により正常な硬貨ではないと識別された硬貨や識別部50により識別することができなかった硬貨は(STEP9の「NO」)、リジェクト硬貨として分岐部材35により周回搬送部30の搬送面から分岐させられ、リジェクトシュート70に送られる。リジェクトシュート70に送られたリジェクト硬貨はリジェクトシュート70から吐出口64によりトレイ60に吐出される(STEP11)。このことにより、操作者はトレイ60からリジェクト硬貨を取り出すことができるようになる。このようにして、投入部20から収納繰出部40またはトレイ60に硬貨が全て送られると(STEP12の「YES」)、別の収納繰出部40について同様の処理が収納繰出部40毎に行われる。そして、全ての収納繰出部40について上述した処理が行われると、制御部90は硬貨の精査処理が完了したと判断する。
以上のように、本実施の形態では、精査処理を行う際の硬貨の処理モードを、識別部50により正常な硬貨であると識別されなかった硬貨も一旦元の収納繰出部40に戻し、当該収納繰出部40を精査未完了であると判定する保留モードと、精査処理において識別部50により正常な硬貨であると識別されなかった硬貨を筐体12(機体)の外部に投出する投出モードとを切り替えることができるようになっている。ここで、精査処理を行う係員が硬貨処理機10の筐体12の前に常にいるときには投出モードを行うことにより精査処理を迅速に行うことができる。一方、硬貨の精査処理を行う際に係員が硬貨処理機10の筐体12から離れるときには保留モードを行うことにより識別部50により正常な硬貨であると識別されなかった硬貨が第三者に持ち去られることを防止することができる。また、係員が操作表示部92によって制御部90に精査処理の指示を行う際にどちらの処理モードで精査を行うかを選択することができるようになっていてもよい。
また、本実施の形態では、制御部90において硬貨処理機10をセルフレジに設置する場合のセルフレジモードおよび係員がレジで硬貨処理機10の操作を行う場合の有人モードのうち何れかの設定を行うことができるようになっていてもよい。そして、制御部90においてセルフレジモードの設定が行われている場合は、精査処理を行う際の硬貨の処理モードが保留モードに設定され、制御部90において有人モードの設定が行われている場合は、精査処理を行う際の硬貨の処理モードが投出モードに設定されるようになっていてもよい。硬貨処理機10が有人のレジに設置される場合には、レジの係員が精査処理を行う際に投出モードを行うことにより精査処理を迅速に行うことができる。一方、硬貨処理機10がセルフレジに設置される場合には、硬貨処理機10の前に係員がいないときに精査処理が行われる際に保留モードを行うことにより識別部50により正常な硬貨であると識別されなかった硬貨が第三者に持ち去られることを防止することができる。また、硬貨が1枚以上収納されている収納繰出部40の数が所定の数よりも少ない場合には(例えば、1つの収納繰出部40にのみ硬貨が収納されている場合には)、精査処理を行う際の硬貨の処理モードが投出モードに設定されるようになっていてもよい。硬貨が1枚以上収納されている収納繰出部40の数が所定の数よりも少ない場合には精査処理が短時間で終了するので、係員が硬貨処理機10の筐体12の前にいてもこの係員を長時間待たせることがないので、投出モードを行っても係員にとって大きな負担ではない。
また、係員が操作表示部92により制御部90に直接精査処理の指令を入力する場合は精査処理を行う際の硬貨の処理モードが投出モードに設定され、精査処理が所定時刻に自動的に行われる場合には精査処理を行う際の硬貨の処理モードが保留モードに設定されるようになっていてもよい。精査処理が所定時刻に自動的に行われる場合には係員が硬貨処理機10の筐体12の前にいない可能性が高いが、保留モードを行うことにより識別部50により正常な硬貨であると識別されなかった硬貨が第三者に持ち去られることを防止することができる。
また、本実施の形態の硬貨処理機10では、10円硬貨および100円硬貨が混合状態で収納可能な収納繰出部40Eについて、操作者が操作表示部92により制御部90に対して収納繰出部40Eに収納される硬貨の金種を10円硬貨および100円硬貨のうち何れか一つに設定することができるようになっている。このように、収納繰出部40Eに収納される硬貨の金種が10円硬貨および100円硬貨のうち何れか一つに設定される場合には、当該金種について硬貨処理機10における硬貨の収納量を約2倍に増やすことができるようになる。
また、収納繰出部40Eについて、操作者が操作表示部92により制御部90に対して10円硬貨および100円硬貨が混合状態で収納繰出部40Eに収納されるような設定を行うことができるようになっている。この場合は、硬貨の入金処理が行われる際に、周回搬送部30により搬送される硬貨が10円硬貨または100円硬貨であることが識別部50により識別された場合は、10円硬貨または100円硬貨の金種に対応する収納繰出部40Dまたは収納繰出部40Fがフル状態であることがフル検知センサ40aにより検知されていないときには、識別部50により識別された10円硬貨または100円硬貨は対応する金種の収納繰出部40Dまたは収納繰出部40Fに送られ、これらの収納繰出部40Dまたは収納繰出部40Fに収納される。一方、硬貨の入金処理が行われる際に、周回搬送部30により搬送される硬貨が10円硬貨または100円硬貨であることが識別部50により識別された場合に、10円硬貨または100円硬貨の金種に対応する収納繰出部40Dまたは収納繰出部40Fがフル状態であることがフル検知センサ40aにより検知されているときには、この硬貨は収納繰出部40Eに送られ、この収納繰出部40Eに収納される。また、記憶部94には、収納繰出部40Eに収納されている各硬貨について、収納された順番および金種が記憶される。例えば、収納繰出部40Eに1番目に収納された硬貨(すなわち、ステージ42上で最も下に位置する硬貨)が10円硬貨であり、2番目に収納された硬貨(すなわち、ステージ42上で下から2番目に位置する硬貨)が100円硬貨であり、3番目に収納された硬貨(すなわち、ステージ42上で下から3番目に位置する硬貨)が10円硬貨であるという情報が記憶部94に記憶される。このことにより、収納繰出部40Eから周回搬送部30に硬貨が繰り出される際に、記憶部94に記憶されている情報に基づいて、繰り出された各々の硬貨の金種が制御部90で認識される。
また、10円硬貨および100円硬貨が混合状態で収納繰出部40Eに収納されるような設定が行われている場合に、硬貨の出金処理が行われる際の動作について図27に示すフローチャートを用いて説明する。出金処理の指令が制御部90に入力されたときに(図27のSTEP101の「YES」)、10円硬貨および100円硬貨を混合状態で収納繰出部40Eに収納するような設定が行われている場合には(STEP102の「YES」)、記憶部94に記憶されている情報に基づいて、10円硬貨または100円硬貨が出金される際に最初に10円硬貨および100円硬貨が混合状態で収納されている収納繰出部40Eから硬貨が周回搬送部30に繰り出され、周回搬送部30から出金シュート80を介してトレイ60に出金硬貨が送られる。すなわち、出金されるべき硬貨が収納繰出部40E(混合収納繰出部)から繰り出し可能である場合には(STEP103の「YES」)、収納繰出部40Eから硬貨が周回搬送部30に繰り出され、周回搬送部30から出金シュート80を介してトレイ60に出金硬貨が送られる(STEP104)。また、出金されるべき硬貨を、10円硬貨および100円硬貨が混合状態で収納されている収納繰出部40Eから周回搬送部30に繰り出すことができなくなったら(STEP103の「NO」)、10円硬貨または100円硬貨が割り当てられている収納繰出部40D、収納繰出部40Fから硬貨を周回搬送部30に繰り出し、繰り出された硬貨を周回搬送部30から出金シュート80を介してトレイ60に送るようにする(STEP105)。そして、出金されるべき硬貨が全てトレイ60に送られると(STEP106の「YES」)、硬貨の出金処理が完了する。このような硬貨の出金処理によれば、収納繰出部40Eから優先して硬貨を繰り出してトレイ60に送ることにより、特定の金種の硬貨が収納される収納繰出部40D、収納繰出部40Fに硬貨をできるだけ残すことができるようになる。また、10円硬貨および100円硬貨が混合状態で収納されている収納操出部40Eからは所望の金種をすぐに繰り出すことができないことがあるため、特定の金種の硬貨が収納される収納操出部40D、収納繰出部40Fに優先的に硬貨を残しておくようにすれば、特定の金種の硬貨が収納される収納操出部40D、収納繰出部40Fがエンプティ状態になったときに収納操出部40Eから硬貨をすぐに出金できなくなってしまうという事態を避けることができる。
また、硬貨の出金処理が行われている間、記憶部94に記憶されている情報に基づいて、収納繰出部40Eから繰り出された硬貨のうち出金されるべき硬貨ではない硬貨を出金させないようにする。このことにより、収納繰出部40Eから繰り出された硬貨のうち出金されるべき硬貨ではない硬貨が例えばトレイ60に送られることにより操作者にとって取り出し可能となってしまうことを防止することができる。また、硬貨の出金処理が行われている間、記憶部94に記憶されている情報に基づいて、収納繰出部40Eから次に繰り出されるべき硬貨の金種が、出金されるべき硬貨の金種に含まれない場合には、出金されるべき硬貨の金種に対応する収納繰出部40Dや収納繰出部40Fから硬貨を繰り出させるようにする。このことにより、収納繰出部40Eから不要な硬貨(すなわち、出金されるべき金種の硬貨ではない硬貨)が繰り出されてしまうことを防止することができるため、硬貨の出金処理をより迅速に行うことができるようになる。
また、硬貨の出金処理が行われている間、記憶部94に記憶されている情報に基づいて、収納繰出部40Eから出金されるべき硬貨を繰り出すまでに所定枚数以上出金されるべき硬貨に含まれない金種の硬貨を繰り出す必要がある場合には、出金されるべき硬貨の金種に対応する収納繰出部40Dや収納繰出部40Fから硬貨を繰り出してもよい。例えば、100円硬貨の出金指令を制御部90が受け付けたときに、収納繰出部40Eに10円硬貨が所定枚数(例えば、5枚)以上収納されており、出金されるべき100円硬貨を全て繰り出すために収納繰出部40Eから所定枚数以上の出金されるべき硬貨に含まれない金種の硬貨(すなわち、10円硬貨)を繰り出す必要がある場合には、収納繰出部40Eから硬貨を繰り出さずに100円硬貨に対応する収納繰出部40Fから硬貨を繰り出してトレイ60に送るようにする。このことにより、出金されるべき硬貨に含まれない金種の硬貨が収納繰出部40Eから大量に繰り出されてしまうことを防止することができるため、硬貨の出金処理をより迅速に行うことができるようになる。
また、記憶部94に記憶されている情報に基づいて、収納繰出部40Eから連続して所定枚数出金されるべき硬貨に含まれない金種の硬貨を繰り出す必要がある場合には、出金されるべき硬貨の金種に対応する収納繰出部40Dや収納繰出部40Fから硬貨を繰り出させるようにしてもよい。例えば、100円硬貨の出金指令を制御部90が受け付けたときに、収納繰出部40Eに上から順に100円硬貨が数枚と10円硬貨が所定枚数(例えば、5枚)以上収納されており、収納繰出部40Eから数枚の100円硬貨を繰り出した後に所定枚数以上の出金されるべき硬貨に含まれない金種の硬貨(すなわち、10円硬貨)を連続して繰り出す必要がある場合には、収納繰出部40Eから数枚の100円硬貨を繰り出した後に100円硬貨に対応する収納繰出部40Fから硬貨を繰り出してトレイ60に送るようにする。この場合にも、出金されるべき硬貨に含まれない金種の硬貨が収納繰出部40Eから大量に繰り出されてしまうことを防止することができるため、硬貨の出金処理をより迅速に行うことができるようになる。
また、本実施の形態の硬貨処理機10では、制御部90に対して硬貨の出金処理の指示が与えられたときに、以下に示すような収納繰出部40Eに収納されている硬貨の再振り分け処理を行うようになっていてもよい。収納繰出部40Eに収納されている硬貨の再振り分け処理には3つのパターンがある。第1のパターンでは、制御部90に対して硬貨の出金処理の指示が与えられると、まずは10円硬貨および100円硬貨が混合状態で収納されている収納繰出部40Eから硬貨が周回搬送部30に繰り出され、この繰り出された硬貨が出金されるべき硬貨である場合には当該硬貨は周回搬送部30から出金シュート80を介してトレイ60に送られる。一方、収納繰出部40Eから周回搬送部30に繰り出された硬貨が出金されるべき硬貨ではない場合は、当該硬貨は周回搬送部30の搬送路上に一旦集積される。この際に、収納繰出部40Eから周回搬送部30に連続して繰り出される硬貨の金種が同じ場合には、この同じ金種の複数の硬貨が周回搬送部30の搬送路上に集積される。その後、周回搬送部30の循環ベルト32が図3における反時計回りの方向に回転することにより、搬送路上に集積された硬貨(10円硬貨または100円硬貨)は、当該硬貨の金種が割り当てられている収納繰出部40Dまたは収納繰出部40Fに送られ、これらの収納繰出部40Dまたは収納繰出部40Fに収納される。なお、搬送路上に集積された硬貨(10円硬貨または100円硬貨)の金種に対応する収納繰出部40Dまたは収納繰出部40Fがフル状態であることがフル検知センサ40aにより検知されているときには、この硬貨は収納繰出部40Eに戻され、この収納繰出部40Eに収納される。その後、出金されるべき硬貨は収納繰出部40Eからは繰り出されず、出金されるべき硬貨の金種に対応する収納繰出部40Dまたは収納繰出部40Fから繰り出された硬貨が周回搬送部30から出金シュート80を経てトレイ60に送られるようになる。
収納繰出部40Eに収納されている硬貨の再振り分け処理の第2のパターンでは、制御部90に対して硬貨の出金処理の指示が与えられると、まずは10円硬貨および100円硬貨が混合状態で収納されている収納繰出部40Eから硬貨が周回搬送部30に繰り出され、この繰り出された硬貨は全て投入部20に送られる。そして、収納繰出部40Eに収納されている硬貨が全て投入部20に送られると、投入部20から周回搬送部30に硬貨が1枚ずつ繰り出され、繰り出された硬貨は周回搬送部30により図3における反時計回りの方向に搬送されながら識別部50によりその金種等が識別される。そして、識別部50による識別結果に基づいて、識別部50により識別された硬貨が出金されるべき硬貨である場合には、この硬貨は周回搬送部30からリジェクトシュート70を介してトレイ60に送られる。一方、識別部50により識別された硬貨が出金されるべき硬貨ではない場合には、当該硬貨は周回搬送部30により引き続き搬送され、この硬貨の金種が割り当てられている収納繰出部40Dまたは収納繰出部40Fに送られ、これらの収納繰出部40Dまたは収納繰出部40Fに収納される。また、周回搬送部30により搬送される硬貨が10円硬貨または100円硬貨であることが識別部50により識別された場合に、10円硬貨または100円硬貨の金種に対応する収納繰出部40Dまたは収納繰出部40Fがフル状態であることがフル検知センサ40aにより検知されているときには、この硬貨は収納繰出部40Eに戻され、この収納繰出部40Eに収納される。
収納繰出部40Eに収納されている硬貨の再振り分け処理の第3のパターンでは、制御部90に対して硬貨の出金処理の指示が与えられると、まずは10円硬貨および100円硬貨が混合状態で収納されている収納繰出部40Eから硬貨が周回搬送部30に繰り出され、この繰り出された硬貨が出金されるべき硬貨である場合には当該硬貨は周回搬送部30から出金シュート80を介してトレイ60に送られる。一方、収納繰出部40Eから周回搬送部30に繰り出された硬貨が出金されるべき硬貨ではない場合は、当該硬貨は投入部20に送られる。そして、出金されるべき硬貨が全てトレイ60に送られると、投入部20から周回搬送部30に硬貨が1枚ずつ繰り出され、繰り出された硬貨は周回搬送部30により図3における反時計回りの方向に搬送されながら識別部50によりその金種等が識別される。そして、識別部50による識別結果に基づいて、識別部50により識別された硬貨は周回搬送部30により引き続き搬送され、この硬貨の金種が割り当てられている収納繰出部40Dまたは収納繰出部40Fに送られ、これらの収納繰出部40Dまたは収納繰出部40Fに収納される。また、周回搬送部30により搬送される硬貨が10円硬貨または100円硬貨であることが識別部50により識別された場合に、10円硬貨または100円硬貨の金種に対応する収納繰出部40Dまたは収納繰出部40Fがフル状態であることがフル検知センサ40aにより検知されているときには、この硬貨は収納繰出部40Eに戻され、この収納繰出部40Eに収納される。
上述した収納繰出部40Eに収納されている硬貨の再振り分け処理の3つのパターンのうちどのパターンで硬貨の再振り分け処理を行うかについては硬貨処理機10の出荷時に予め設定されている。また、操作者が操作表示部92により再振り分け処理をどのパターンで行うかについて設定することができるようになっていてもよい。
また、上述した硬貨の再振り分け処理は、制御部90に硬貨の出金指令が入力されたときに行われることに限定されることはない。硬貨処理機10が設置されている店舗の営業時間外において硬貨処理機10が待機状態となっているときに、予め設定されている所定の時刻になったら上述した硬貨の再振り分け処理が行われるようになっていてもよい。
また、収納繰出部40Dや収納繰出部40Fに収納されている硬貨の枚数に基づいて再振り分け処理を行うか否かの切り替えを行うようになっていてもよい。具体的には、収納繰出部40Dや収納繰出部40Fに収納されている硬貨の枚数が所定の枚数以上である場合は再振り分け処理が実行されず、収納繰出部40Dや収納繰出部40Fに収納されている硬貨の枚数が所定の枚数より少ない場合は再振り分け処理が実行される。この場合には、特定の金種の硬貨が収納される収納繰出部40Dや収納繰出部40Fに収納される硬貨の枚数が少なくなったときに硬貨の再振り分け処理を行うことができるため、収納繰出部40Dや収納繰出部40Fに収納される硬貨の量がエンプティ状態やニアエンプティ状態になることを抑制することができる。
また、各収納繰出部40から周回搬送部30への硬貨の繰出動作において、ステージ42上に集積されている複数の硬貨のうち最上層の硬貨が上ガイド部材44、45に接触しながらバネ42aによってステージ42に対して力が加えられることによりステージ42上の硬貨に対して押圧力が加えられるが、この押圧力が大きすぎる場合には、上ガイド部材44、45と硬貨との間に働く摩擦力が大きくなるため、カム41によりステージ42上の硬貨を周回搬送部30に繰り出すことができなくなるというトラブルが発生するおそれがある。ここで、本実施の形態では、各収納繰出部40から周回搬送部30に硬貨が繰り出される度に、各収納繰出部40に割り当てられている金種の硬貨の1枚の厚さ分だけ昇降部材43を上昇させることにより、このようなトラブルが発生することを防止している。記憶部94に記憶されている情報に基づいて、収納繰出部40Eから周回搬送部30に繰り出された硬貨の金種に対応する厚さ分だけ昇降部材43を上昇させることで、10円硬貨および100円硬貨が混合状態で収納されている収納繰出部40Eにおいても適切に繰り出しを行うことができる。またエラー解除等によって収納繰出部40Eに集積された硬貨の順が不明となった場合においては収納繰出部40Eから周回搬送部30に硬貨が繰り出される度に一定の距離(具体的には、10円硬貨の厚さと100円硬貨の厚さの平均の厚さ分)だけ昇降部材43を上昇させる。しかしながら、10円硬貨および100円硬貨の厚みの平均の厚さとなる距離で昇降部材43の上昇を続けた場合、誤差が累積することでステージ42上の硬貨に対して加えられる押圧力が適切でなくなるおそれがある。
このような問題に対し、本実施の形態では、10円硬貨および100円硬貨が混合状態で収納されている収納繰出部40Eから周回搬送部30に硬貨が繰り出される際に、所定の枚数(例えば、5枚)の硬貨がカム41によって収納部分46から繰り出される度に、昇降部材43を下降させることによりステージ42も下降させ、ステージ42上に集積されている硬貨のうち最上層に位置する硬貨を上ガイド部材44、45から離間させる。その後、上端検知センサ40cによってステージ42上に集積されている硬貨のうち最上層に位置する硬貨の位置を検出する。このことにより、所定の枚数(例えば、5枚)の硬貨がカム41によって収納部分46から繰り出される度にステージ42上の硬貨の上端位置を検出してリセットされるため、ステージ42上の硬貨に対して加えられる押圧力が大きくなってしまうというトラブルを抑制することができる。
以上のような構成からなる本実施の形態の硬貨処理機10によれば、所定の環状経路に沿って硬貨を搬送する周回搬送部30と、環状経路の内側に設けられ、硬貨を機体内に投入するための投入部20と、環状経路に沿って設けられ、周回搬送部30から送られた硬貨を収納するとともに収納されている硬貨を周回搬送部30に繰り出し可能な収納繰出部40と、を備えている。このような硬貨処理機10によれば、硬貨を機体内に投入するための投入部20が周回搬送部30の環状経路の内側に設けられているため、硬貨処理機10の筐体12(機体)の奥行き方向の長さを小さくすることができる。すなわち、従来の硬貨処理機では、所定の環状経路に沿って硬貨を搬送する周回搬送部の手前側に投入部が配置されており、操作者は筐体の手前側に位置する投入部に硬貨を投入していた。しかしながら、このような従来の硬貨処理機では投入部および周回搬送部が機体の奥行き方向に沿って並ぶよう配置されるため、機体の奥行き方向の長さが大きくなるという問題があった。これに対し、本実施の形態の硬貨処理機10では、周回搬送部30の環状経路の内側に投入部20を配置することにより、硬貨処理機10の筐体12(機体)の奥行き方向の長さを小さくすることができる。
また、上述したように、周回搬送部30は、環状経路に沿って硬貨を正逆両方向に搬送可能となっている。この場合は、周回搬送部30による硬貨の搬送方向が環状経路に沿って一方向のみである場合と比較して、周回搬送部30により硬貨の搬送を行う際の移動量を少なくすることができ、よって硬貨の処理にかかる時間を短縮することができる。また、硬貨の入金処理が行われる際の周回搬送部30による硬貨の搬送方向と、硬貨の出金処理が行われる際の周回搬送部30による硬貨の搬送方向とが逆になっている。
また、上述したように、周回搬送部30から投入部20に硬貨が送られるようになっており、硬貨の精査処理が行われる際に、収納繰出部40に収納されている硬貨が当該収納繰出部40から周回搬送部30に繰り出されて当該周回搬送部30から投入部20に送られ、その後、投入部20から周回搬送部30に送られた硬貨が元の収納繰出部40に送られる。この場合には、精査処理用の収納繰出部を別に設ける必要がなくなるため、筐体12内の省スペース化を図ることができるようになる。
また、上述したように、収納繰出部40は、硬貨が積層状態で収納される収納部分46と、周回搬送部30から送られた硬貨を収納部分46に収納するとともに収納部分46に収納されている硬貨のうち最上層に位置する硬貨を周回搬送部30に繰り出すカム41とを有しており、カム41は正逆両方向に回転可能となっている。この場合には、正逆両方向に回転可能なカム41により、周回搬送部30から送られた硬貨を収納部分46に収納する動作、および収納部分46に収納されている硬貨のうち最上層に位置する硬貨を周回搬送部30に繰り出す動作の両方を行うことができるようになる。また、カム41は周回搬送部30による硬貨の搬送方向と逆の方向に回転するようになっている。
また、上述したように、本実施の形態の硬貨処理機10は、周回搬送部30により搬送される硬貨の識別を行う識別部50と、硬貨の出金処理において周回搬送部30から出金されるべき硬貨が送られる出金シュート80と、硬貨の入金処理において識別部50により収納繰出部40に収納されるべきではないと識別された硬貨または識別部50により識別されなかった硬貨が周回搬送部30から送られるリジェクトシュート70と、を備え、周回搬送部30から出金シュート80に硬貨が送られるときの周回搬送部30による硬貨の搬送方向と周回搬送部30からリジェクトシュート70に硬貨が送られるときの周回搬送部30による硬貨の搬送方向とが逆になっている。この場合には、リジェクト硬貨をリジェクトシュート70に送るときの硬貨の搬送方向、および出金硬貨を出金シュート80に送るときの硬貨の搬送方向が逆方向になるため、両者の搬送方向が同じである場合と比較して、周回搬送部30によりリジェクト硬貨や出金硬貨の搬送を行う際の移動量を少なくすることができ、よって硬貨の処理にかかる時間を短縮することができる。また、本実施の形態の硬貨処理機10は、出金されるべき硬貨が集積されるトレイ60を更に備え、出金シュート80およびリジェクトシュート70から硬貨が同じトレイ60に送られる。この場合には、リジェクトシュート70からリジェクト硬貨が送られるトレイおよび出金シュート80から出金硬貨が送られるトレイを別々に設ける場合と比較して、硬貨処理機10の構成をシンプルなものとすることができるため、硬貨処理機10の設置スペースの省スペース化を図ることができる。
また、上述したように、本実施の形態の硬貨処理機10は、硬貨の出金処理において周回搬送部30から出金されるべき硬貨が送られる出金シュート80と、出金されるべき硬貨が集積されるトレイ60とを更に備え、硬貨処理機10を鉛直方向に沿って見たときにトレイ60および周回搬送部30が少なくとも一部重なるようになっている。このことにより、硬貨処理機10は筐体12の奥行き方向の長さがより小さなものとなるので、硬貨処理機10をよりコンパクトなものとすることができる。また、硬貨処理機10を鉛直方向に沿って見たときにトレイ60および投入部20が少なくとも一部重なるようになっていてもよい。この場合は、硬貨処理機10は筐体12の奥行き方向の長さが更に小さなものとなるので、硬貨処理機10を更にコンパクトなものとすることができる。
また、上述したように、硬貨処理機10により処理されるべき硬貨の金種の数よりも収納繰出部40の数が多くなっている。この場合には、各収納繰出部40にそれぞれ処理されるべき硬貨の金種を割り当てたときに、特定の金種が割り当てられない収納繰出部40が生じるようになるため、この収納繰出部40を、複数の金種の硬貨が混合状態で収納されるものとしたり、処理量が多い硬貨の金種を割り当てたりすることにより運用の柔軟性を高めることができる。
また、上述したように、周回搬送部30は、環状経路に沿って延びる環状の循環ベルト32(搬送ベルト)を有しており、循環ベルト32のテンションを調整するためのテンション機構36が設けられている。この場合には、テンション機構36により循環ベルト32のテンションを調整することにより、循環ベルト32が緩みすぎたり張力が大きすぎたりすることを防止することができ、よって循環ベルト32により硬貨の搬送をより確実に行うことができるようになる。また、テンション機構36は搬送路と一体となって移動可能となっている。この場合は、硬貨の搬送を行うための環状経路内にテンション機構36を配置できるため、筐体12内にテンション機構36を設置するためのスペースを別に設ける必要がなく、よって筐体12内の省スペース化を図ることができる。
また、上述したように、収納繰出部40は複数設けられており、環状経路は略長方形形状または略正方形形状となっており、環状経路における機体の正面側に位置する経路部分にそれぞれ直交する一対の側面側の経路部分に沿って収納繰出部40がそれぞれ配置されている。この場合は、周回搬送部30の略長方形形状または略正方形形状の環状経路の左右の辺にそれぞれ収納繰出部40が配置されるため、搬送路に沿って収納繰出部が一列に配置される場合と比較して、硬貨処理機10の筐体12の幅方向または奥行き方向の長さが大きくなってしまうことを防止することができる。
また、本実施の形態の硬貨処理機10によれば、硬貨処理機10の硬貨投出ユニットは、周回搬送部30(搬送部)から分岐した硬貨が自重により落下する出金シュート80やリジェクトシュート70(シュート)と、出金シュート80やリジェクトシュート70から送られた硬貨が集積されるトレイ60と、を備え、硬貨処理機10の幅方向に沿って出金シュート80やリジェクトシュート70から硬貨がトレイ60に送られるようになっている。この場合には、硬貨処理機10の幅方向に沿ってトレイ60に硬貨が送られるため、リジェクトシュート70や出金シュート80からトレイ60に硬貨が吐出されたときにこの硬貨がトレイ60から筐体12の手前側に飛び出してしまうことを防止することができる。
また、上述したように、出金シュート80やリジェクトシュート70におけるトレイ60に硬貨を吐出する吐出口62、64から硬貨が硬貨処理機10の幅方向に沿ってトレイ60に吐出されるようになっており、トレイ60を挟んで吐出口62、64の反対側に壁面67、68が形成されている。この場合には、吐出口62、64から吐出された硬貨は壁面67、68に当たり勢いが弱まることにより、吐出口62、64から吐出された硬貨がトレイ60から筐体12の手前側に飛び出してしまうことをより一層防止することができる。
また、上述したように、出金シュート80には分岐部材88(分岐部)が設けられており、分岐部材88により周回搬送部30から出金シュート80に送られた硬貨の送り先をトレイ60およびトレイ60以外の領域に振り分けることができるようになっており、トレイ60以外の領域に振り分けられた硬貨は出金シュート80から落下するようになっている。この場合は、硬貨処理機10において店舗の店員が各収納繰出部40に収納されている硬貨の回収処理を行う際に、出金シュート80の第3シュート部分86の真下に、上面が開口している回収ボックスを配置し、周回搬送部30から出金シュート80に送られた硬貨を、第1シュート部分82から第3シュート部分86に送り、この第3シュート部分86から自重により下方に落下させるようにすることにより、店舗の店員は、回収されるべき大量の硬貨を出金シュート80からトレイ60を経ることなく回収ボックスに直接送ることができるようになる。
また、上述したように、トレイ60を挟んで一対のシュート(具体的には、出金シュート80およびリジェクトシュート70)が配置されている。また、一対のシュートのうち一方のシュートは、硬貨の出金処理において周回搬送部30から出金されるべき硬貨が分岐される出金シュート80を含み、他方のシュートは、硬貨の入金処理において識別部50により収納繰出部40(収納部)に収納されるべきではないと識別された硬貨または識別部50により識別されなかった硬貨が周回搬送部30から分岐されるリジェクトシュート70を含む。
また、上述したように、リジェクトシュート70や出金シュート80は、周回搬送部30から硬貨が送られる第1シュート部分72、82と、第1シュート部分72、82の下流側に配置されている第2シュート部分74、84とを有しており、第1シュート部分72、82は硬貨を縦向きに落下させ、第2シュート部分74、84は硬貨を斜め下方の向きでトレイ60に送る。この場合は、第2シュート部分74、84において硬貨が斜め下方の向きでトレイ60に送られるため、硬貨の落下速度を減速させることができ、吐出口62、64からトレイ60に硬貨が吐出されるときの勢いを弱めることができるため、吐出口62、64から吐出された硬貨がトレイ60から筐体12の手前側に飛び出してしまうことをより一層防止することができる。また、硬貨の送り方向に直交する第1シュート部分72、82の断面の縦方向長さが硬貨処理機10により処理されるべき硬貨の直径よりも小さく、断面の横方向長さが硬貨処理機10により処理されるべき硬貨の直径よりも大きくなっている。この場合は第1シュート部分72、82において硬貨を確実に縦向きに落下させることができる。
また、上述したように、硬貨処理機10を鉛直方向に沿って見たときに出金シュート80やリジェクトシュート70と周回搬送部30とが少なくとも一部重なるようになっている。この場合は、出金シュート80やリジェクトシュート70が筐体12の手前側に配置される場合と比較して、硬貨処理機10は筐体12の奥行き方向の長さが更に小さなものとなるので、硬貨処理機10を更にコンパクトなものとすることができる。
また、本実施の形態の硬貨処理機10によれば、硬貨処理機10の収納繰出部40(収納機構)は、硬貨が積層状態で収納され、硬貨の集積方向に沿って延びる開口が形成されている筒形状の収納部分46と、開口の開閉を行う開閉扉47とを有しており、開閉扉47は硬貨の集積方向に沿って延びる軸47aを中心として回転するようになっている。このような収納繰出部40によれば、開閉扉47を開くと収納部分46の内部にアクセスすることができるようになるため、収納部分46から異物を容易に除去することができる。より詳細に説明すると、従来の硬貨処理機では、硬貨が収納される収納筒に埃や塵等の異物が集積しても収納筒は密閉状態であるため当該異物を収納筒から取り除くのが容易ではないという問題があった。また、硬貨の集積方向に直交する方向に沿って延びる軸を中心として収納部の蓋体が開くような硬貨処理機では、蓋体を開くためのスペースを確保する必要があるという問題があった。これに対し、本実施の形態の硬貨処理機10の収納繰出部40では、開閉扉47は硬貨の集積方向に沿って延びる軸47aを中心として回転するため、収納部分46から異物を容易に除去することができ、また、開閉扉47を開くためのスペースを小さくすることができる。
また、収納繰出部40は、周回搬送部30(搬送部)から送られた硬貨を収納部分46に収納するカム41を更に備え、カム41は、収納部分46に収納されている硬貨のうち最上層に位置する硬貨を外部に繰り出すようになっている。このようなカム41を設けることにより、周回搬送部30から収納部分46への硬貨の移動および収納部分46から周回搬送部30への硬貨の繰り出しを1つのカム41で行うことができるようになる。
また、収納繰出部40は、収納部分46における硬貨の集積方向に沿って延びるガイド部材48、49を更に備え、ガイド部材48、49の周囲に形成される空隙の幅の大きさが収納部分46に収納されるべき硬貨の直径よりも小さくなっている。この場合は、開閉扉47を開いたときに、収納部分46に収納されている硬貨が開口から収納部分46の外部に飛び出してしまうことを防止することができる。また、開閉扉47が開口を閉じているときにガイド部材48は開閉扉47の内側に位置するようになっている。この場合には、開閉扉47の外側にガイド部材48を設置する場合と比較してガイド部材48の設置スペースを省略することができる。また、開閉扉47の内面には、開口を閉じているときにガイド部材48が収容される凹部47bが形成されている。
また、収納繰出部40において、ガイド部材48、49が複数設けられており、複数のガイド部材48、49間の空隙の幅の大きさが収納部分46に収納されるべき硬貨の直径よりも小さくなっている。この場合にも、開閉扉47を開いたときに、収納部分46に収納されている硬貨が開口から収納部分46の外部に飛び出してしまうことを防止することができる。
また、収納繰出部40において、収納部分46におけるカム41の近傍には、収納部分46に集積されている最上層の硬貨を当該収納部分46から取り出すための上面開口46a(第2開口)が形成されている。このことにより、上面開口46aを介して周回搬送部30から収納部分46に硬貨を送ったり収納部分46から硬貨を繰り出して周回搬送部30に送ったりすることができるようになる。
また、本実施の形態の硬貨処理機10は、予め設定されている一の金種の硬貨を一列で収納するとともに収納されている硬貨を繰り出し可能な第1収納繰出部(収納繰出部40A、40B、40C、40D、40F、40G)と、複数の金種の硬貨を一列で収納するとともに収納されている硬貨を繰り出し可能な第2収納繰出部(収納繰出部40E)と、第1収納繰出部および第2収納繰出部を制御する制御部90と、第1収納繰出部に設定されている硬貨の金種および当該第1収納繰出部に収納されている硬貨の量を記憶するとともに、第2収納繰出部に収納されている各々の硬貨の金種を収納順に記憶する記憶部94とを備えている。そして、制御部90は、金種毎の硬貨の出金枚数を含む出金指令を受け付けると、記憶部94に記憶されている情報に基づいて、出金されるべき金種の硬貨が第1収納繰出部および第2収納繰出部にそれぞれ収納されている場合に第2収納繰出部から優先して硬貨を繰り出させるよう第1収納繰出部および第2収納繰出部を制御する。この場合には、複数の金種の硬貨を一列で収納するとともに収納されている硬貨を繰り出し可能な第2収納繰出部(収納繰出部40E)が設けられていない場合と比較して、複数の特定金種(例えば、10円硬貨および100円硬貨)について硬貨の収納量を増やすとともに、特定の金種の硬貨が収納される第1収納繰出部に硬貨をできるだけ残すことができる。
また、制御部90は、硬貨の出金処理が行われている間、記憶部94に記憶されている情報に基づいて、第2収納繰出部(収納繰出部40E)から繰り出された硬貨のうち出金されるべき硬貨ではない硬貨を出金させないよう制御する。このことにより、第2収納繰出部から繰り出された硬貨のうち出金されるべき硬貨ではない硬貨が例えばトレイ60に送られることにより操作者にとって取り出し可能となってしまうことを防止することができる。
また、制御部90は、硬貨の出金処理が行われている間、記憶部94に記憶されている情報に基づいて、第2収納繰出部(収納繰出部40E)から出金されるべき硬貨を繰り出すまでに所定枚数以上出金されるべき硬貨に含まれない金種の硬貨を繰り出す必要がある場合には、出金されるべき硬貨の金種に対応する第1収納繰出部から硬貨を繰り出させるよう第1収納繰出部を制御する。このことにより、出金されるべき硬貨に含まれない金種の硬貨が第2収納繰出部から大量に繰り出されてしまうことを防止することができるため、硬貨の出金処理をより迅速に行うことができるようになる。
また、制御部90は、硬貨の出金処理が行われている間、記憶部94に記憶されている情報に基づいて、第2収納繰出部(収納繰出部40E)から連続して所定枚数出金されるべき硬貨に含まれない金種の硬貨を繰り出す必要がある場合には、出金されるべき硬貨の金種に対応する第1収納繰出部から硬貨を繰り出させるよう第1収納繰出部を制御してもよい。この場合にも、出金されるべき硬貨に含まれない金種の硬貨が第2収納繰出部から大量に繰り出されてしまうことを防止することができるため、硬貨の出金処理をより迅速に行うことができるようになる。
また、制御部90は、硬貨の出金処理が行われている間、記憶部94に記憶されている情報に基づいて、第2収納繰出部(収納繰出部40E)から次に繰り出されるべき硬貨の金種が、出金されるべき硬貨の金種に含まれない場合には、出金されるべき硬貨の金種に対応する第1収納繰出部から硬貨を繰り出させるよう第1収納繰出部を制御する。このことにより、第2収納繰出部から不要な硬貨(すなわち、出金されるべき金種の硬貨ではない硬貨)が繰り出されてしまうことを防止することができるため、硬貨の出金処理をより迅速に行うことができるようになる。
また、制御部90は、第2収納繰出部(収納繰出部40E)に収納されている硬貨を第2収納繰出部から繰り出して第1収納繰出部に収納させる再振り分け処理を実行可能となっている。この場合には、特定の金種の硬貨が収納される第1収納繰出部にできるだけ多くの硬貨を収納させることができるようになる。また、制御部90は、再振り分け処理が行われる際に、第2収納繰出部から繰り出された硬貨のうち出金されるべき硬貨ではない硬貨を当該硬貨の金種に対応する第1収納繰出部に収納させる。
また、制御部90は、再振り分け処理が行われる際に、第2収納繰出部から繰り出された硬貨のうち出金されるべき硬貨ではない硬貨を投入部20(一時保留部)に送り、その後、投入部20から繰り出された出金されるべき硬貨ではない硬貨を当該硬貨の金種に対応する第1収納繰出部に収納させる。この場合は、第2収納繰出部から繰り出された硬貨のうち出金されるべき硬貨ではない硬貨を投入部20に一旦送ることにより、第2収納繰出部から繰り出された硬貨のうち出金されるべき硬貨を迅速に筐体12の外部に払い出しつつ、第2収納繰出部から繰り出された硬貨のうち出金されるべき硬貨ではない硬貨を投入部20に一時的に保留することにより投入部20から第1収納繰出部に硬貨を送る動作を出金処理の後に行うことができるようになる。
また、制御部90は、第1収納繰出部に収納されている硬貨の枚数に基づいて再振り分け処理を行うか否かの切り替えを行うようになっており、制御部90は、第1収納繰出部に収納されている硬貨の枚数が所定の枚数以上である場合は再振り分け処理を実行せず、第1収納繰出部に収納されている硬貨の枚数が所定の枚数より少ない場合は再振り分け処理を実行する。この場合には、特定の金種の硬貨が収納される第1収納繰出部に収納される硬貨の枚数が少なくなったときに硬貨の再振り分け処理を行うことができるため、第1収納繰出部に収納される硬貨の量がエンプティ状態やニアエンプティ状態になることを抑制することができる。
また、本実施の形態の硬貨処理機10は、硬貨を搬送する周回搬送部30(搬送部)と、周回搬送部30から送られた硬貨を収納するとともに収納されている硬貨を周回搬送部30に繰り出し可能な収納繰出部40と、周回搬送部30により搬送される硬貨の識別を行う識別部50と、周回搬送部30および収納繰出部40の制御を行う制御部90とを備え、制御部90は、収納繰出部40に収納されている硬貨を当該収納繰出部40から周回搬送部30に繰り出して周回搬送部30により元の収納繰出部40とは別の箇所(具体的には投入部20)に送って収納させた後、別の箇所に送られた硬貨を周回搬送部30により元の収納繰出部40に戻し、その際に識別部50により硬貨の識別を行うような硬貨の精査処理を行う。また、制御部90は、精査処理において識別部50により正常な硬貨であると識別されなかった硬貨も一旦元の収納繰出部40に戻し、当該収納繰出部40を精査未完了であると判定する。この場合には、硬貨の精査処理が行われる際に正常な硬貨であると識別されなかった硬貨を収納するための収納部を別途設ける必要がなく、また硬貨の精査処理が行われる際に操作者が機体から離れていても第三者により硬貨が持ち去られてしまうことを防止することができる。より詳細に説明すると、従来の硬貨処理機では、硬貨の精査処理において識別部により正常な硬貨であると識別されなかった硬貨は予備の収納部に移動させることにより、正常な硬貨であると識別された硬貨について精査を完了させていた。しかしながら、この場合は、金種別の硬貨収納部に加え予備の収納部を別途設ける必要があるため硬貨処理機のサイズが増大することや装置構造が複雑化するなどの問題がある。また、従来の別の硬貨処理機では、硬貨の精査処理において正常に計数できない硬貨を出金口に排出していた。しかしながら、このような硬貨処理機では、係員が装置周辺にいない場合には排出された硬貨を第三者に持ち去られる可能性があるという問題があった。これに対し、本実施の形態の硬貨処理機10では、硬貨の精査処理が行われる際に、識別部50により正常な硬貨であると識別されなかった硬貨を一旦元の収納繰出部40に戻し、当該収納繰出部40を精査未完了であると判定することにより、予備の収納部を設ける必要がなく、また正常な硬貨であると識別されなかった硬貨が筐体12の外部にすぐに払い出されないためこの硬貨が第三者に持ち去られることを防止することができる。
なお、上記の説明では、別の箇所(具体的には、投入部20)に送られた硬貨を周回搬送部30により元の収納繰出部40に戻す際に識別部50により硬貨の識別を行うような態様について説明したが、本実施の形態の硬貨処理機10はこのような態様に限定されることはない。他の態様として、収納繰出部40に収納されている硬貨を当該収納繰出部40から周回搬送部30に繰り出して周回搬送部30により元の収納繰出部40とは別の箇所(具体的には、投入部20)に送る際に、識別部50により硬貨の識別を行ってもよい。
また、上述したように、収納繰出部40は複数設けられており、制御部90は、収納繰出部40毎に硬貨の精査処理を行うようになっており、この際に、ある収納繰出部40を精査未完了であると判定した場合でも次の収納繰出部40に収納されている硬貨の精査処理を行う。この場合には、複数の収納繰出部40の各々に収納されている硬貨の精査処理を連続して行うことができるようになる。
また、上述したように、制御部90は、精査処理において識別部50により正常な硬貨であると識別されなかった硬貨について再び識別部50により所定の回数だけ識別を行わせ、所定の回数だけ識別部50により識別が行われても正常な硬貨であると識別されなかった硬貨を一旦元の収納繰出部40に戻し、当該収納繰出部40を精査未完了であると判定してもよい。この場合には、正常な硬貨が識別部50により正常な硬貨ではないと識別されてしまいこの硬貨が収納された収納繰出部40が精査未完了であると誤って判定されてしまうことを防止することができる。
また、上述したように、制御部90は、所定の指令を受け付けると、精査未完了であると判定された収納繰出部40に収納されている硬貨を当該収納繰出部40から周回搬送部30に繰り出して識別部50により識別させ、識別部50により正常な硬貨であると識別された硬貨を元の収納繰出部40に戻すとともに識別部50により正常な硬貨であると識別されなかった硬貨を筐体12(機体)の外部に投出するよう周回搬送部30および収納繰出部40の制御を行う。このことにより、精査未完了であると判定された収納繰出部40に収納されている硬貨について、もう一度識別部50により識別を行い、正常な硬貨であると識別されなかった硬貨を筐体12の外部に投出しているため、より精度の高い精査処理を行うことができる。
また、上述したように、制御部90は、精査処理を行う際の硬貨の処理モードを、識別部50により正常な硬貨であると識別されなかった硬貨も一旦元の収納繰出部40に戻し、当該収納繰出部40を精査未完了であると判定する保留モードと、精査処理において識別部50により正常な硬貨であると識別されなかった硬貨を筐体12(機体)の外部に投出する投出モードとを切り替えることができるようになっている。この場合には、精査処理を行う係員が硬貨処理機10の筐体12の前に常にいるときには投出モードを行うことにより精査処理を迅速に行うことができ、また、硬貨の精査処理を行う際に係員が硬貨処理機10の筐体12から離れるときには保留モードを行うことにより識別部50により正常な硬貨であると識別されなかった硬貨が第三者に持ち去られることを防止することができる。また、制御部90は、受け付けた精査の指示に基づいて処理モードを保留モードと投出モードとの間で異ならせるようにする。
なお、本発明に係る硬貨処理機は上記の態様のものに限定されることはなく、様々な変更を行うことができる。
例えば、上記の説明では各収納繰出部40として硬貨が上端側から収納部分46に入れられるとともに収納部分46に収納されている硬貨が上端側から1枚ずつ繰り出されるタイプのものが用いられる場合について説明したが、本実施の形態はこのような態様に限定されることはない。他の態様として、収納繰出部として、硬貨が上端側から収納部分に入れられるとともに収納部分に収納されている硬貨が下端側から1枚ずつ繰り出されるタイプのものや、硬貨が下端側から収納部分に入れられるとともに収納部分に収納されている硬貨が下端側または上端側から1枚ずつ繰り出されるタイプのものが用いられてもよい。
また、変形例に係る硬貨処理機10aとして図28に示すものが用いられてもよい。図28は、変形例に係る硬貨処理機10aの概略的な構成を示す斜視図である。図28に示す硬貨処理機10aにおいて、図1乃至図27に示す硬貨処理機10の構成要素と同じ構成要素については同じ参照符号を付けてその説明を省略する。
図28に示す硬貨処理機10aでは、複数の筒状の収納繰出部40が設けられる代わりに、周回搬送部30の鉛直方向下方に複数の収納繰出部40pが設けられており、各収納繰出部40pにはそれぞれ収納される硬貨の金種が割り当てられている。また、周回搬送部30における硬貨の搬送面には各収納繰出部40pに対応する硬貨の直径に応じた開口31pまたはゲート部材(図示せず)が設けられており、開口31pやゲート部材と各収納繰出部40pとの間にはシュート41pが設けられている。周回搬送部30から開口31pやゲート部材によりシュート41pに送られた硬貨はシュート41p内で自重により落下することにより各収納繰出部40pに送られるようになっている。
各収納繰出部40pには循環ベルトが設けられており、シュート41pから各収納繰出部40pに送られた硬貨は循環ベルト上に集積されるようになっている。このようにして、硬貨の入金処理の際に投入部20から周回搬送部30に繰り出された硬貨が識別部50により識別された後に各収納繰出部40pに収納される。また、硬貨の出金処理が行われるときには、収納繰出部40pの循環ベルトが循環移動を行うことにより出金されるべき硬貨が収納繰出部40pから繰り出され、繰り出された硬貨は第1出金ベルト42pおよび第2出金ベルト44pを介してトレイ60に送られる。このことにより、出金硬貨がトレイ60に集積されるため、操作者はトレイ60から出金硬貨を取り出すことができるようになる。
図28に示すような硬貨処理機10aは、所定の環状経路に沿って硬貨を搬送する周回搬送部30と、環状経路の内側に設けられ、硬貨を機体内に投入するための投入部20と、周回搬送部30の下方に設けられ、周回搬送部30から送られた硬貨を収納するとともに収納されている硬貨を繰り出し可能な収納繰出部40pと、を備えている。このような硬貨処理機10aでも、図1乃至図27に示す硬貨処理機10と同様に、硬貨を機体内に投入するための投入部20が周回搬送部30の環状経路の内側に設けられているため、硬貨処理機10aの機体の奥行き方向の長さを小さくすることができる。
また、別の変形例に係る硬貨処理機10bとして図29に示すものが用いられてもよい。図29は、変形例に係る硬貨処理機10bの概略的な構成を示す上面図である。図29に示す硬貨処理機10bにおいて、図1乃至図27に示す硬貨処理機10の構成要素と同じ構成要素については同じ参照符号を付けてその説明を省略する。
図29に示すように、別の変形例に係る硬貨処理機10bでは、各収納繰出部40は周回搬送部30において硬貨が搬送される環状経路の内側に配置されている。ここで、硬貨処理機10bにおける各収納繰出部40の形状および数は、図1乃至図27に示す硬貨処理機10における各収納繰出部40の形状および数と同じとなっている。このような硬貨処理機10bでも、収納繰出部40は、周回搬送部30から送られた硬貨を収納するとともに収納されている硬貨を周回搬送部30に繰り出し可能となっている。
図29に示すような硬貨処理機10bは、所定の環状経路に沿って硬貨を搬送する周回搬送部30と、環状経路の内側に設けられ、硬貨を機体内に投入するための投入部20と、環状経路に沿って設けられ、周回搬送部30から送られた硬貨を収納するとともに収納されている硬貨を周回搬送部30に繰り出し可能な収納繰出部40と、を備えている。このような硬貨処理機10bでも、図1乃至図27に示す硬貨処理機10と同様に、硬貨を機体内に投入するための投入部20が周回搬送部30の環状経路の内側に設けられているため、硬貨処理機10bの機体の奥行き方向の長さを小さくすることができる。
また、本発明に係る貨幣処理機は、硬貨の処理を行う硬貨処理機に限定されることはない。本発明に係る貨幣処理機として、紙幣の処理を行う紙幣処理機が用いられてもよい。このような紙幣処理機について図30乃至図32を用いて説明する。
図1に示すように、本発明に係る紙幣処理機200は上述した硬貨処理機10に併設されるものである。図30乃至図32に示すように、紙幣処理機200は、略直方体形状の筐体212と、筐体212の前面側に設けられた紙幣受入部220と、筐体212の前面側において紙幣受入部220の下方に設けられた紙幣払出部222と、筐体212の内部で紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部230と、筐体212の内部で紙幣を収納するとともに収納されている紙幣を繰出可能な複数の収納繰出部234、236、238、240とを備えている。なお、図31において、筐体212の右側の側面が紙幣処理機200の手前側の面となっており、図31における左向きの方向が紙幣処理機200の奥行き方向となっている。図31に示すように、搬送部230は、筐体212の中央位置に配置された周回搬送部230aおよび複数の接続搬送部230bから構成されている。また、紙幣受入部220、紙幣払出部222、出金リジェクト部224、収納カセット300を着脱自在に装着可能なカセット装着部226および4つの収納繰出部234、236、238、240が、それぞれ、周回搬送部230aを取り囲むよう配置されている。また、図31に示すように、複数の接続搬送部230bの各々により、紙幣受入部220、紙幣払出部222、出金リジェクト部224、カセット装着部226および4つの収納繰出部234、236、238、240の各々と、周回搬送部230aとの間をそれぞれ接続するようになっている。また、周回搬送部230aには識別部232が設けられており、この識別部232は、周回搬送部230aにより搬送される紙幣の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行うようになっている。
周回搬送部230aは、図31における時計回りの方向および反時計回りの方向の両方向に紙幣を1枚ずつ循環経路に沿って搬送することができるようになっている。また、搬送部230において、周回搬送部230aと各接続搬送部230bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部230aに沿って配置されている。
図30および図31に示すように、筐体212の前面には、紙幣受入部220の紙幣受入口220aと、紙幣払出部222の紙幣払出口222aとがそれぞれ設けられている。また、カセット装着部226の前面側には扉226aが設けられており、この扉226aを開くことにより収納カセット300をカセット装着部226に装着させたりこのカセット装着部226から収納カセット300を取り出したりすることができるようになっている。カセット装着部226に装着される収納カセット300は、搬送部230の接続搬送部230bから送られた紙幣を積層状態で収納するとともに、収納されている紙幣を搬送部230の接続搬送部230bに1枚ずつ繰り出すことができるようになっている。
紙幣受入部220には紙幣繰出機構221が設けられており、紙幣受入口220aに1枚あるいは複数枚の紙幣が投入されたことが図示しない紙幣受入センサにより検知されると紙幣繰出機構221が駆動されることにより紙幣が接続搬送部230bを介して周回搬送部230a側へ1枚ずつ繰り出されるようになっている。
紙幣払出部222は、各収納繰出部234、236、238、240から周回搬送部230aに繰り出された紙幣を紙幣払出口222aにより筐体212の外部へ放出するようになっている。
出金リジェクト部224は、出金処理時において各収納繰出部234、236、238、240から繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により識別部232で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納するようになっている。また、紙幣受入部220から筐体212の内部に取り込まれた紙幣のうち、入金処理時において汚損等により識別部232で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部222に返却されるようになっている。
3つの収納繰出部234、236、238の各々は、識別部232の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納するようになっている。これらの収納繰出部234、236、238には、紙幣処理ユニット210に入金された売上金としての紙幣や釣銭として出金されるべき紙幣が収納されるようになっている。具体的には、例えば収納繰出部234には千円札が収納され、収納繰出部236には二千円札および五千円札が混合状態で収納され、収納繰出部238には一万円札が収納されるようになっている。また、収納繰出部240には千円札および一万円札が混合状態で収納されるようになっている。また、各収納繰出部234、236、238、240にはそれぞれ紙幣繰出機構235、237、239、241が設けられており、これらの収納繰出部234、236、238、240に収納されている紙幣は各紙幣繰出機構235、237、239、241により接続搬送部230bを介して周回搬送部230a側へ1枚ずつ繰り出されるようになっている。
次に、このような紙幣処理機200における制御系の構成について図32を用いて説明する。図32に示すように、紙幣処理機200は制御部290を備えており、制御部290には、紙幣繰出機構221、搬送部230、識別部232、各紙幣繰出機構235、237、239、241、カセット装着部226等が接続されており、識別部232による紙幣の識別情報等が紙幣制御部210aに送られるとともに、制御部290は紙幣処理ユニット210の各構成部材に指令信号を送ることによりこれらの構成部材の制御を行うようになっている。また、紙幣処理機200には操作表示部292、記憶部294および通信部296がそれぞれ設けられており、これらの操作表示部292、記憶部294および通信部296は制御部290に接続されている。操作表示部292は例えばタッチパネル等から構成されており、制御部290から表示指令を受けることにより操作表示部292には様々な情報が表示されるとともに操作者は操作表示部292により制御部290に対して様々な情報を入力することができるようになっている。記憶部294には、各収納繰出部234、236、238、240に収納されている紙幣の金種や枚数、紙幣処理機200において行われた紙幣の入金処理や出金処理等の履歴等の様々な情報が記憶されるようになっている。また、記憶部294には、収納繰出部240に収納されている各々の紙幣の金種が収納順に記憶されるようになっている。また、制御部290は通信部296を介して外部装置に対して様々な信号の送受信を行うことができるようになっている。
次に、このような紙幣処理機200で行われる様々な処理について説明する。なお、以下に示す紙幣処理機200による様々な処理は、制御部290が紙幣処理機200の各構成要素を制御することにより行われる。
まず、紙幣処理機200により紙幣の入金処理が行われるときの動作について説明する。操作者によって紙幣受入部220の紙幣受入口220aに紙幣が投入され、紙幣受入口220aに1枚あるいは複数枚の紙幣が投入されたことが紙幣受入センサ(図示せず)により検知されると、紙幣繰出機構221が駆動されることにより紙幣が接続搬送部230bを介して周回搬送部230a側へ1枚ずつ繰り出される。周回搬送部230aに繰り出された紙幣は当該周回搬送部230aにより搬送され、識別部232により識別される。そして、識別部232による識別結果に基づいて、識別部232により識別された紙幣の金種に対応する収納繰出部234、236、238に紙幣が送られる。このようにして、紙幣受入部220の紙幣受入口220aに投入された紙幣は各収納繰出部234、236、238に収納される。なお、識別部232により識別された紙幣の金種に対応する収納繰出部234、236、238がフル状態でありこの収納繰出部234、236、238に紙幣をこれ以上収納することができない場合は、識別部232により識別された紙幣は収納繰出部240に送られ、この収納繰出部240に収納される。記憶部294には、収納繰出部240に収納された紙幣の順番および金種が記憶される。
次に、紙幣処理機200により紙幣の出金処理が行われるときの動作について説明する。制御部290に対して紙幣の出金処理の指令が入力されると、記憶部294に記憶されている情報に基づいて、千円札または一万円札が出金される際に最初に千円札および一万円札が混合状態で収納されている収納繰出部240から紙幣が搬送部230に繰り出され、搬送部230から紙幣払出部222に送られる。また、出金されるべき紙幣を、千円札および一万円札が混合状態で収納されている収納繰出部240から搬送部230に繰り出すことができなくなったら、千円札、五千円札または一万円札が割り当てられている収納繰出部234、収納繰出部236、収納繰出部238からそれぞれ紙幣が搬送部230に繰り出され、搬送部230から紙幣払出部222に送られる。そして、出金されるべき紙幣が全て紙幣払出部222に送られると、紙幣払出部222は、搬送部230から送られた紙幣を紙幣払出口222aにより筐体212の外部へ放出する。このようにして紙幣の出金処理が完了する。このような紙幣の出金処理によれば、収納繰出部240から優先して紙幣を繰り出して紙幣払出部222に送ることにより、特定の金種の紙幣が収納される収納繰出部234、収納繰出部238に紙幣をできるだけ残すことができるようになる。
また、紙幣の出金処理が行われている間、記憶部294に記憶されている情報に基づいて、収納繰出部240から繰り出された紙幣のうち出金されるべき紙幣ではない紙幣を出金させないようにする。このことにより、収納繰出部240から繰り出された紙幣のうち出金されるべき紙幣ではない紙幣が例えば紙幣払出部222に送られることにより操作者にとって取り出し可能となってしまうことを防止することができる。また、紙幣の出金処理が行われている間、記憶部94に記憶されている情報に基づいて、収納繰出部240から次に繰り出されるべき紙幣の金種が、出金されるべき紙幣の金種に含まれない場合には、出金されるべき紙幣の金種に対応する収納繰出部234や収納繰出部238から紙幣を繰り出させるようにする。このことにより、収納繰出部240から不要な紙幣(すなわち、出金されるべき金種の紙幣ではない紙幣)が繰り出されてしまうことを防止することができるため、紙幣の出金処理をより迅速に行うことができるようになる。
また、紙幣の出金処理が行われている間、記憶部294に記憶されている情報に基づいて、収納繰出部240から出金されるべき紙幣を繰り出すまでに所定枚数以上出金されるべき紙幣に含まれない金種の紙幣を繰り出す必要がある場合には、出金されるべき紙幣の金種に対応する収納繰出部234や収納繰出部238から紙幣を繰り出してもよい。このことにより、出金されるべき紙幣に含まれない金種の紙幣が収納繰出部240から大量に繰り出されてしまうことを防止することができるため、紙幣の出金処理をより迅速に行うことができるようになる。また、記憶部294に記憶されている情報に基づいて、収納繰出部240から連続して所定枚数出金されるべき紙幣に含まれない金種の紙幣を繰り出す必要がある場合には、出金されるべき紙幣の金種に対応する収納繰出部234や収納繰出部238から紙幣を繰り出させるようにしてもよい。この場合にも、出金されるべき紙幣に含まれない金種の紙幣が収納繰出部240から大量に繰り出されてしまうことを防止することができるため、紙幣の出金処理をより迅速に行うことができるようになる。
また、本実施の形態の紙幣処理機200では、制御部290に対して紙幣の出金処理の指示が与えられたときに、以下に示すような収納繰出部240に収納されている紙幣の再振り分け処理を行うようになっていてもよい。収納繰出部240に収納されている紙幣の再振り分け処理には3つのパターンがある。第1のパターンでは、制御部290に対して紙幣の出金処理の指示が与えられると、まずは千円札および一万円札が混合状態で収納されている収納繰出部240から紙幣が搬送部230に繰り出され、この繰り出された紙幣が出金されるべき紙幣である場合には当該紙幣は搬送部230から紙幣払出部222に送られる。一方、収納繰出部240から搬送部230に繰り出された紙幣が出金されるべき紙幣ではない場合は、当該紙幣は搬送部230の搬送路上に一旦保留される。この際に、収納繰出部240から搬送部230に連続して繰り出される紙幣の金種が同じ場合には、この同じ金種の複数の紙幣が搬送部230の搬送路上に保留される。その後、搬送部230により、搬送路上に保留された紙幣(千円札または一万円札)は、当該紙幣の金種が割り当てられている収納繰出部234または収納繰出部238に送られ、これらの収納繰出部234または収納繰出部238に収納される。なお、搬送路上に保留された紙幣(千円札または一万円)の金種に対応する収納繰出部234または収納繰出部238がフル状態であるときには、この紙幣は収納繰出部240に戻され、この収納繰出部240に収納される。その後、出金されるべき紙幣は収納繰出部240からは繰り出されず、出金されるべき紙幣の金種に対応する収納繰出部234または収納繰出部238から繰り出された紙幣が搬送部230により紙幣払出部222に送られるようになる。
収納繰出部240に収納されている紙幣の再振り分け処理の第2のパターンでは、制御部290に対して紙幣の出金処理の指示が与えられると、まずは千円札および一万円が混合状態で収納されている収納繰出部240から紙幣が搬送部230に繰り出され、この繰り出された紙幣は全て紙幣受入部220またはカセット装着部226に装着されている空状態の収納カセット300に送られる。そして、収納繰出部240に収納されている紙幣が全て紙幣受入部220または収納カセット300に送られると、紙幣受入部220または収納カセット300から搬送部230に紙幣が1枚ずつ繰り出され、繰り出された紙幣は搬送部230により搬送されながら識別部232によりその金種等が識別される。そして、識別部232による識別結果に基づいて、識別部232により識別された紙幣が出金されるべき紙幣である場合には、この紙幣は搬送部230から紙幣払出部222に送られる。一方、識別部232により識別された紙幣が出金されるべき紙幣ではない場合には、当該紙幣は搬送部230により引き続き搬送され、この紙幣の金種が割り当てられている収納繰出部234または収納繰出部236に送られ、これらの収納繰出部234または収納繰出部236に収納される。また、搬送部230により搬送される紙幣が千円札または一万円札であることが識別部232により識別された場合に、千円札または一万円札の金種に対応する収納繰出部234または収納繰出部238がフル状態であるときには、この紙幣は収納繰出部240に戻され、この収納繰出部240に収納される。
収納繰出部240に収納されている紙幣の再振り分け処理の第3のパターンでは、制御部290に対して紙幣の出金処理の指示が与えられると、まずは千円札および一万円札が混合状態で収納されている収納繰出部240から紙幣が搬送部230に繰り出され、この繰り出された紙幣が出金されるべき紙幣である場合には当該紙幣は搬送部230から紙幣払出部222に送られる。一方、収納繰出部240から搬送部230に繰り出された紙幣が出金されるべき紙幣ではない場合は、当該紙幣は紙幣受入部220またはカセット装着部226に装着されている空状態の収納カセット300に送られる。そして、出金されるべき紙幣が全て紙幣受入部220または収納カセット300に送られると、紙幣受入部220または収納カセット300から搬送部230に紙幣が1枚ずつ繰り出され、繰り出された紙幣は搬送部230により搬送されながら識別部232によりその金種等が識別される。そして、識別部232による識別結果に基づいて、識別部232により識別された紙幣は搬送部230により引き続き搬送され、この紙幣の金種が割り当てられている収納繰出部234または収納繰出部238に送られ、これらの収納繰出部234または収納繰出部238に収納される。また、搬送部230により搬送される紙幣が千円札または一万円札であることが識別部232により識別された場合に、千円札または一万円札の金種に対応する収納繰出部234または収納繰出部238がフル状態であることが検知されているときには、この紙幣は収納繰出部240に戻され、この収納繰出部240に収納される。
上述した収納繰出部240に収納されている紙幣の再振り分け処理の3つのパターンのうちどのパターンで紙幣の再振り分け処理を行うかについては紙幣処理機200の出荷時に予め設定されている。また、操作者が操作表示部292により再振り分け処理をどのパターンで行うかについて設定することができるようになっていてもよい。
また、上述した紙幣の再振り分け処理は、制御部290に紙幣の出金指令が入力されたときに行われることに限定されることはない。紙幣処理機200が設置されている店舗の営業時間外において紙幣処理機200が待機状態となっているときに、予め設定されている所定の時刻になったら上述した紙幣の再振り分け処理が行われるようになっていてもよい。
次に、紙幣処理機200において紙幣の精査処理が行われるときの動作について説明する。
本実施の形態では、精査処理を行う際の紙幣の処理モードを、識別部232により正常な紙幣であると識別されなかった紙幣も一旦元の収納繰出部234、236、238、240に戻し、当該収納繰出部234、236、238、240を精査未完了であると判定する保留モードと、精査処理において識別部232により正常な紙幣であると識別されなかった紙幣を筐体212(機体)の外部に投出する投出モードとを切り替えることができるようになっている。このような精査処理を行う際の紙幣の処理モードは、操作者が操作表示部292により制御部290に指令を入力することにより行うことができる。すなわち、制御部290は、受け付けた精査の指示に基づいて処理モードを保留モードと投出モードとの間で異ならせるようにする。
操作者が操作表示部292により紙幣の精査処理の指令を入力したり、外部装置から通信部296を介して制御部290に紙幣の精査処理の指令が送信されたりすることにより、制御部290に対して紙幣の精査処理の指令が与えられると、収納繰出部234、236、238、240毎に、これらの収納繰出部234、236、238、240に収納されている紙幣について識別部232による識別が行われる。具体的には、制御部290に対して紙幣の精査処理の指令が与えられると、精査処理を行う際の紙幣の処理モードが保留モードである場合には、ある収納繰出部234、236、238、240から搬送部230に紙幣が繰り出され、繰り出された紙幣は搬送部230により紙幣受入部220またはカセット装着部226に装着されている空状態の収納カセット300に送られる。ある収納繰出部234、236、238、240から紙幣が全て繰り出されて紙幣受入部220または収納カセット300に送られると、紙幣受入部220または収納カセット300に収納されている紙幣が1枚ずつ搬送部230に繰り出され、当該搬送部230により1枚ずつ搬送される。搬送部230で搬送される紙幣は識別部232によりその金種、真偽、正損等が識別される。そして、識別部232により正常な紙幣であると識別された紙幣は、元の収納繰出部234、236、238、240に戻される。一方、識別部232により正常な紙幣ではないと識別された紙幣も、元の収納繰出部234、236、238、240に送られ、この収納繰出部234、236、238、240に収納される。また、識別部232により正常な紙幣ではないと識別された紙幣が戻された収納繰出部234、236、238、240については制御部290により精査未完了の収納繰出部234、236、238、240であると判定される。
このようにして、紙幣受入部220または収納カセット300から元の収納繰出部234、236、238、240に紙幣が全て送られると、別の収納繰出部234、236、238、240について同様の処理が行われる。そして、全ての収納繰出部234、236、238、240について上述した処理が行われると、精査未完了と判定された収納繰出部234、236、238、240が存在しない場合には、制御部290は紙幣の精査処理が完了したと判断する。
一方、精査未完了と判定された収納繰出部234、236、238、240が存在する場合には、精査未完了であると判定された収納繰出部234、236、238、240について当該収納繰出部234、236、238、240から紙幣が搬送部230に繰り出され、紙幣受入部220またはカセット装着部226に装着されている空状態の収納カセット300に送られる。そして、収納繰出部234、236、238、240から紙幣受入部220または収納カセット300に紙幣が全て送られた後、紙幣受入部220または収納カセット300に収納されている紙幣が1枚ずつ搬送部230に繰り出され、搬送部230により1枚ずつ搬送される。搬送部230で搬送される紙幣は識別部232によりその金種、真偽、正損等が識別される。そして、識別部232により正常な紙幣であると識別された紙幣は、元の収納繰出部234、236、238、240に戻される。一方、識別部232により正常な紙幣ではないと識別された紙幣や識別部232により識別することができなかった紙幣は、リジェクト紙幣として搬送部230から分岐させられ、紙幣払出部222に送られる。紙幣払出部222に送られた紙幣は紙幣払出口222aから筐体の外部に排出される。このことにより、操作者は紙幣払出口222aからリジェクト紙幣を取り出すことができるようになる。このようにして、紙幣受入部220または収納カセット300から全ての紙幣が搬送部230に繰り出されて元の収納繰出部234、236、238、240または紙幣払出部222に送られると、制御部290においてこの収納繰出部234、236、238、240の状態が精査未完了から精査完了に切り替えられる。このようにして、制御部290は紙幣の精査処理が完了したと判断する。
なお、本実施の形態では、上述した保留モードの処理において、識別部232により正常な紙幣であると識別されなかった紙幣について再び識別部232により所定の回数だけ識別を行わせ、所定の回数だけ識別部232により識別が行われても正常な紙幣であると識別されなかった紙幣を一旦元の収納繰出部234、236、238、240に戻し、当該収納繰出部234、236、238、240を精査未完了であると判定してもよい。正常な紙幣であっても1回の識別部232による識別動作だけでは誤って正常な紙幣ではないと識別されるおそれがあるが、このような紙幣について再び識別部232により識別を行わせることにより、正常な紙幣が識別部232により正常な紙幣ではないと識別されてしまいこの紙幣が収納された収納繰出部234、236、238、240が精査未完了であると誤って判定されてしまうことを防止することができる。
一方、精査処理を行う際の紙幣の処理モードが保留モードではなく処理モードである場合には、以下の処理が行われる。すなわち、ある収納繰出部234、236、238、240について当該収納繰出部234、236、238、240から紙幣が搬送部230に繰り出され、紙幣受入部220またはカセット装着部226に装着されている空状態の収納カセット300に送られる。そして、収納繰出部234、236、238、240から紙幣受入部220または収納カセット300に紙幣が全て送られた後、紙幣受入部220または収納カセット300に収納されている紙幣が1枚ずつ搬送部230に繰り出され、搬送部230により1枚ずつ搬送される。搬送部230で搬送される紙幣は識別部232によりその金種、真偽、正損等が識別される。そして、識別部232により正常な紙幣であると識別された紙幣は、元の収納繰出部234、236、238、240に戻される。一方、識別部232により正常な紙幣ではないと識別された紙幣や識別部232により識別することができなかった紙幣は、リジェクト紙幣として搬送部230から分岐させられ、紙幣払出部222に送られる。紙幣払出部222に送られた紙幣は紙幣払出口222aから筐体の外部に排出される。このことにより、操作者は紙幣払出口222aからリジェクト紙幣を取り出すことができるようになる。このようにして、紙幣受入部220または収納カセット300から元の収納繰出部234、236、238、240または紙幣払出部222に紙幣が全て送られると、別の収納繰出部234、236、238、240について同様の処理が行われる。そして、全ての収納繰出部234、236、238、240について上述した処理が行われると、制御部290は紙幣の精査処理が完了したと判断する。
以上のように、本実施の形態では、精査処理を行う際の紙幣の処理モードを、識別部232により正常な紙幣であると識別されなかった紙幣も一旦元の収納繰出部234、236、238、240に戻し、当該収納繰出部234、236、238、240を精査未完了であると判定する保留モードと、精査処理において識別部232により正常な紙幣であると識別されなかった紙幣を筐体212(機体)の外部に投出する投出モードとを切り替えることができるようになっている。ここで、精査処理を行う係員が紙幣処理機200の筐体212の前に常にいるときには投出モードを行うことにより精査処理を迅速に行うことができる。また、紙幣の精査処理を行う際に係員が紙幣処理機200の筐体212から離れるときには保留モードを行うことにより識別部232により正常な紙幣であると識別されなかった紙幣が第三者に持ち去られることを防止することができる。
10、10a、10b 硬貨処理機
12 筐体
14 上面扉
15 軸
16 開口
18 投入検知センサ
19 扉開閉検知センサ
20 投入部
21 駆動モータ
22 循環ベルト
24 逆転ローラ
26 繰出検知センサ
28 残留検知センサ
30 周回搬送部
30a 駆動モータ
30b ソレノイド
31 分岐部材
31p 開口
32 循環ベルト
33 分岐部材
34 プーリ
35 分岐部材
36 テンション機構
38 分岐機構
38a 投入口
39 分岐部材
39a 軸
39b、39c 揺動部分
39c 揺動部分
39d 空隙
39e ガイド面
40(40A~40G) 収納繰出部
40a フル検知センサ
40b エンプティ検知センサ
40c 上端検知センサ
40p 収納繰出部
41 カム
41a 突出部
41b 駆動モータ
41p シュート
42 ステージ
42a バネ
42p 第1出金ベルト
43 昇降部材
43a リニアモータ
44 上ガイド部材
44a 凹部
44p 第2出金ベルト
45 上ガイド部材
45a 凹部
46 収納部分
46a 上面開口
47 開閉扉
47a 軸
47b 凹部
48 第1ガイド部材
49 第2ガイド部材
50 識別部
60 トレイ
62、64 吐出口
66、67、68 壁面
70 リジェクトシュート
72 第1シュート部分
74 第2シュート部分
80 出金シュート
80a ソレノイド
82 第1シュート部分
84 第2シュート部分
86 第3シュート部分
88 分岐部材
88a 軸
90 制御部
92 操作表示部
94 記憶部
96 通信部
200 紙幣処理機
210 紙幣処理ユニット
210a 紙幣制御部
212 筐体
220 紙幣受入部
220a 紙幣受入口
221 紙幣繰出機構
222 紙幣払出部
222a 紙幣払出口
224 出金リジェクト部
226 カセット装着部
226a 扉
230 搬送部
230a 周回搬送部
230b 接続搬送部
232 識別部
234、236、238、240 収納繰出部
235、237、239、241 紙幣繰出機構
290 制御部
292 操作表示部
294 記憶部
296 通信部
300 収納カセット
400 硬貨処理機
420 投入部
430 搬送部
431 右側の領域
432 循環ベルト
433 左側の領域
434 プーリ
436 テンション機構
440 収納繰出部
450 識別部
460 出金ボックス
462 出金ボックス
464 回収ボックス

Claims (10)

  1. 予め設定されている一の金種の貨幣を一列で収納するとともに収納されている貨幣を繰り出し可能な第1収納繰出部と、
    複数の金種の貨幣を一列で収納するとともに収納されている貨幣を繰り出し可能な第2収納繰出部と、
    前記第1収納繰出部および前記第2収納繰出部を制御する制御部と、
    前記第1収納繰出部に設定されている貨幣の金種および当該第1収納繰出部に収納されている貨幣の量を記憶するとともに、前記第2収納繰出部に収納されている各々の貨幣の金種を収納順に記憶する記憶部と、
    を備え、
    前記制御部は、金種毎の貨幣の出金枚数を含む出金指令を受け付けると、前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、出金されるべき金種の貨幣が前記第1収納繰出部および前記第2収納繰出部にそれぞれ収納されている場合に前記第2収納繰出部から優先して貨幣を繰り出させるよう前記第1収納繰出部および前記第2収納繰出部を制御する、貨幣処理機。
  2. 前記制御部は、貨幣の出金処理が行われている間、前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記第2収納繰出部から繰り出された貨幣のうち出金されるべき貨幣ではない貨幣を出金させないよう制御する、請求項1記載の貨幣処理装置。
  3. 前記制御部は、貨幣の出金処理が行われている間、前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記第2収納繰出部から出金されるべき貨幣を繰り出すまでに所定枚数以上出金されるべき貨幣に含まれない金種の貨幣を繰り出す必要がある場合には、出金されるべき貨幣の金種に対応する前記第1収納繰出部から貨幣を繰り出させるよう前記第1収納繰出部を制御する、請求項1記載の貨幣処理機。
  4. 前記制御部は、貨幣の出金処理が行われている間、前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記第2収納繰出部から連続して所定枚数出金されるべき貨幣に含まれない金種を繰り出す必要がある場合には、出金されるべき貨幣の金種に対応する前記第1収納繰出部から貨幣を繰り出させるよう前記第1収納繰出部を制御する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の貨幣処理機。
  5. 前記制御部は、貨幣の出金処理が行われている間、前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記第2収納繰出部から次に繰り出されるべき貨幣の金種が、出金されるべき貨幣の金種に含まれない場合には出金されるべき貨幣の金種に対応する前記第1収納繰出部から貨幣を繰り出させるよう前記第1収納繰出部を制御する、請求項1記載の貨幣処理機。
  6. 前記制御部は、前記第2収納繰出部に収納されている貨幣を前記第2収納繰出部から繰り出して前記第1収納繰出部に収納させる再振り分け処理を実行可能となっている、請求項1、2および5のうちいずれか一項に記載の貨幣処理機。
  7. 前記制御部は、前記再振り分け処理が行われる際に、前記第2収納繰出部から繰り出された貨幣のうち出金されるべき貨幣ではない貨幣を当該貨幣の金種に対応する前記第1収納繰出部に収納させる、請求項6記載の貨幣処理機。
  8. 前記制御部は、前記再振り分け処理が行われる際に、前記第2収納繰出部から繰り出された貨幣のうち出金されるべき貨幣ではない貨幣を一時保留部に送り、その後、前記一時保留部から繰り出された出金されるべき貨幣ではない貨幣を当該貨幣の金種に対応する前記第1収納繰出部に収納させる、請求項6記載の貨幣処理機。
  9. 前記制御部は、前記第1収納繰出部に収納されている貨幣の枚数に基づいて前記再振り分け処理を行うか否かの切り替えを行うようになっており、
    前記制御部は、前記第1収納繰出部に収納されている貨幣の枚数が所定の枚数以上である場合は前記再振り分け処理を実行せず、前記第1収納繰出部に収納されている貨幣の枚数が所定の枚数より少ない場合は前記再振り分け処理を実行する、請求項6記載の貨幣処理機。
  10. 予め設定されている一の金種の貨幣を一列で収納するとともに収納されている貨幣を繰り出し可能な第1収納繰出部と、複数の金種の貨幣を一列で収納するとともに収納されている貨幣を繰り出し可能な第2収納繰出部と、前記第1収納繰出部に設定されている貨幣の金種および当該第1収納繰出部に収納されている貨幣の量を記憶するとともに、前記第2収納繰出部に収納されている各々の貨幣の金種を収納順に記憶する記憶部とを備えた貨幣処理機による貨幣処理方法であって、
    金種毎の貨幣の出金枚数を含む出金指令を前記貨幣処理機が受け付ける工程と、
    前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、出金されるべき金種の貨幣が前記第1収納繰出部および前記第2収納繰出部にそれぞれ収納されている場合に前記第2収納繰出部から優先して貨幣を繰り出させる工程と、
    を備えた、貨幣処理方法。
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