JP2024012770A - 端子付電線 - Google Patents
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Abstract
【課題】電線と端子とを適正に接合することができる端子付電線を提供する。【解決手段】端子付電線1は、外周が被覆部W2で覆われ先端において導体部W1が露出した電線Wと、導体部W1に電気的に接続される端子2と、被覆部W2と端子2との間に介在するシート状のエラストマ部材10とを備える。端子2は、電線Wの延在方向に沿って形成され、導体部W1に当接する基部3を有する。基部3は、導体部W1と接合される第一接合部4と、被覆部W2とエラストマ部材10を介して接合される第二接合部5とを有する。エラストマ部材10は、被覆部W2と第二接合部5との間に介在した状態で加熱によって溶融して固化した溶融固化部11を構成し、第二接合部5に対して、延在方向Xに沿って電線Wの後端側への被覆部W2の移動を規制する。【選択図】図1
Description
本発明は、端子付電線に関する。
端子付電線には、端子に接合された導体の接合部が当該端子から剥がれることを防止するために、被覆支持部が形成された端子がある。被覆支持部は、電線が挿通される貫通孔を有し、電線の被覆部を貫通孔の内壁に接触させることで、付勢力により電線の被覆部を支持するものである(例えば、特許文献1参照)。
ところで、端子に導体をレーザ溶接した場合、電線の被覆部が導体の接合部から当該電線の延在方向の一方に向けて引っ張られると、当該接合部から被覆部が離間し導体の露出部分が増える場合がある。この場合、被覆部から露出した導体の一部に過剰な応力が加わる可能性があることから、改善の余地がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、電線と端子とを適正に接合することができる端子付電線を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る端子付電線は、外周が被覆部で覆われ先端において導体部が露出した電線と、前記導体部に電気的に接続される端子と、前記被覆部と前記端子との間に介在するシート状のエラストマ部材と、を備え、前記端子は、前記電線の延在方向に沿って形成され、前記導体部に当接する基部を有し、前記基部は、前記導体部と接合される第一接合部と、前記被覆部と前記エラストマ部材を介して接合される第二接合部と、を有し、前記エラストマ部材は、前記被覆部と前記第二接合部との間に介在した状態で加熱によって溶融して固化した溶融固化部を構成し、前記第二接合部に対して、少なくとも前記延在方向に沿って前記電線の後端側への前記被覆部の移動を規制する、ことを特徴とする。
本発明に係る端子付電線は、電線と端子とを適正に接合することができる、という効果を奏する。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[第1実施形態]
実施形態の端子付電線1は、車両等に配索されるワイヤハーネスに適用されるものである。ここで、ワイヤハーネスは、例えば、車両に搭載される各機器間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の電線Wを各機器に接続するようにしたものである。実施形態の端子付電線1は、電線Wと、端子2と、エラストマ部材10とを備え、電線Wの先端に端子2を接合したものである。
実施形態の端子付電線1は、車両等に配索されるワイヤハーネスに適用されるものである。ここで、ワイヤハーネスは、例えば、車両に搭載される各機器間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の電線Wを各機器に接続するようにしたものである。実施形態の端子付電線1は、電線Wと、端子2と、エラストマ部材10とを備え、電線Wの先端に端子2を接合したものである。
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「延在方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「上下方向Z」という。ここでは、延在方向Xと幅方向Yと上下方向Zとは、相互に略直交する。延在方向Xは、端子2が接続される電線Wの延在する方向に相当し、一方(X1)が正面側(先端側)、他方(X2)が背面側(後端側)という。幅方向Yと上下方向Zとは、延在方向Xと交差する交差方向に相当し、上下方向Zにおいて一方を上側、他方を下側という。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。
電線Wは、図1から図3に示すように、導電性を有する線状の導体部W1と、当該導体部W1の外側を覆う絶縁性の被覆部W2と、を含んで構成される。電線Wは、被覆部W2で導体部W1を被覆した絶縁電線である。導体部W1は、導電性の金属である、銅や、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の素線を複数束ねた芯線や、複数の素線を撚り合わせた撚り芯線として構成される。被覆部W2は、導体部W1の外周側を被覆する電線被覆である。被覆部W2は、絶縁性の樹脂材料である、PP(Polypropylene)や、PVC(polyvinyl chloride)、架橋PE(polyethylene)等を押出成形することによって形成される。被覆部W2を構成する絶縁性の樹脂材料は、耐摩耗性や、耐薬品性、耐熱性等に配慮して適宜選定される。電線Wは、その先端において、被覆部W2が剥ぎ取られて導体部W1の先端部が被覆部W2の先端から露出して形成される。端子付電線1は、この導体部W1が露出している電線Wの先端に端子2が接合される。実施形態の電線Wは、図3に示すように、延在方向Xと交差する方向の断面形状において導体部W1が略円形状、被覆部W2が略円環形状となっており全体として略円形状に形成され、延在方向Xで略同径に形成される。
端子2は、導電性の金属である、銅や、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等で一体に形成され、その表面にすずメッキ等が施された端子金具である。端子2は、導電性の金属が各構成部に対応した形状に打ち抜かれた一枚の板金を、プレス加工、及び、折り曲げ加工によって成形して立体的に一体で形成される。端子2は、電線Wの延在方向Xに沿って形成され、導体部W1に当接する基部3を有する。なお、端子2は、基部3に加えて、導電性部材と電気的に接続される接続部を有するが、本実施形態ではその説明を省略する。この導電性部材は、相手側端子(不図示)であってもよい。この場合、接続部は、相手側端子に対して電気的に接続される雄型、または、雌型の端子接続部として構成される。
基部3は、電線Wの延在方向Xに沿って形成され、導体部W1と被覆部W2とに当接する部分である。基部3は、第一接合部4と、第二接合部5とを含む。基部3は、第一接合部4と、第二接合部5と、がこの順で延在方向Xに沿って連続し、延在方向X、及び、幅方向Yにおいて板面を展開する板形状に形成される。ここで、延在方向Xにおいて第一接合部4に向く側を正面側とし、第二接合部5に向く側を背面側とする。
第一接合部4は、導体部W1の先端が当接して当該導体部W1と接合される部分(被接合部分)である。第一接合部4は、例えば上述した接続部の延在方向Xの背面側に連続して形成される。第一接合部4は、図2及び図3に示すように、導体部W1が当該第一接合部4に当接された当接状態において、導体部W1がレーザ溶接等の熱によって溶融し、溶融後に固化することで溶融固化部W1a(図1)を形成して導体部W1と接合される。溶融固化部W1aは、第一接合部4の板厚方向(ここでは上下方向Z)の上側(Z1方向)に位置する。
第二接合部5は、エラストマ部材10が当接して当該エラストマ部材10を介して被覆部W2と接合される部分(被接合部分)である。第二接合部5は、第一接合部4の延在方向Xの背面側に連続して形成される。第二接合部5は、図2に示すように、被覆部W2がエラストマ部材10を挟んで当該第二接合部5に当接された当接状態において、エラストマ部材10がレーザ光等の熱によって溶融し、溶融後に固化することで被覆部W2と接合される。
エラストマ部材10は、例えば、弾性、熱可塑性を有し、エラストマである。このエラストマは、一般的にポリプロピレン(PP)の中に、エチレン‐プロピレンゴム(EPDM,EPM)を微分散させたものである。エラストマ部材10は、シート状に形成され、かつ板厚方向の上側から見た形状が矩形に形成される。エラストマ部材10は、例えば100μm程度の厚みを有する。エラストマ部材10は、図2に示すように、第二接合部5の当接面5a上に載置された載置状態で、延在方向Xの一方(X2方向)の末端が第二接合部5の延在方向Xの一方(X2方向)の末端と延在方向Xにおける同一の位置にある。ここで第二接合部5の当接面5aは、例えば被覆部W2が直接接触する部分だけでなく、第二接合部5の上側(Z1方向)の面を意味する。また、エラストマ部材10は、上記載置状態で、延在方向Xの他方(X1方向)の末端が第二接合部5の延在方向Xの他方(X1方向)の末端と延在方向Xにおける同一の位置にある。エラストマ部材10は、延在方向Xに長さMを有し、被覆部W2と第二接合部5との重複する部分に配置される。本実施形態のエラストマ部材10は、図3に示すように、幅方向Yの幅が電線Wの電線径、つまり被覆部W2の外径と略同一であることが好ましいが、これに限定されるものではない。エラストマ部材10は、電線Wの被覆部W2と第二接合部5との間に介在した状態で加熱によって溶融し、固化した溶融固化部11を構成する。エラストマ部材10は、溶融固化部11を構成する状態において、第二接合部5に対して、少なくとも延在方向Xに沿って電線Wの後端側(X2方向)への被覆部W2の移動を規制する。
上述した端子付電線1を製造する製造方法は、図2及び図3に示すように、まず、電線Wが基部3の上側の板面に載置される。このとき、電線Wは、導体部W1が基部3の第一接合部4の当接面4aに当接し、かつ被覆部W2が基部3の第二接合部5の当接面5aにエラストマ部材10を介して当接するように載置される。次に、導体部W1にレーザ光Lを照射して導体部W1及び第一接合部4を加熱することにより第一接合部4に対して導体部W1を固定する。導体部W1は、レーザ光Lの照射により加熱されて溶融した後、固化して溶融固化部W1aを形成する。
次に、被覆部W2は、エラストマ部材10が第二接合部5との間に介在した状態において、導体部W1及び第一接合部に加わる熱が被覆部W2及び第二接合部5を介してエラストマ部材10に伝わる。エラストマ部材10は、加熱によって溶融して固化し、溶融固化部11を構成する。このとき、エラストマ部材10は、当該エラストマ部材10と当該エラストマ部材10に当接する被覆部W2の一部とが相互に溶融して相溶的に結合され、かつ当該エラストマ部材10と当該エラストマ部材10に当接する第二接合部5の表面(当接面5a)とが化学的に結合されることにより、被覆部W2と第二接合部5とを接合する。ここでいう相溶的とは、合成樹脂等で構成される被覆部W2の一部とエラストマ部材10とが互いに溶融して分離せずに混ざり合うことを意味する。また、化学的とは、エラストマ部材10が加熱されることで第二接合部5における金属と反応して分子レベルで結合することを意味する。本実施形態のエラストマ部材10は、加熱しないと被覆部W2や端子2と反応しないため、非加熱状態における各部材の取り回しが簡素化することができる。
このような製造方法により形成された端子付電線1は、エラストマ部材10が加熱により溶融固化部11を構成することで、第二接合部5に対して、延在方向Xに沿って電線Wの後端側への被覆部W2の移動を規制する。
第1実施形態の端子付電線1は、エラストマ部材10が、被覆部W2と第二接合部5との間に介在した状態で加熱によって溶融して固化し、第二接合部に対して、延在方向Xに沿って電線Wの後端側への被覆部W2の移動を規制する。このため、第1実施形態の端子付電線1によれば、エラストマ部材10が被覆部W2と第二接合部5とを接合して電線Wの後端側への被覆部W2の移動を規制するので、電線Wの被覆部W2が第二接合部5から延在方向Xの一方に向けて引っ張られても、第二接合部5から被覆部W2が離間することなく、電線Wと端子2とを適正に接合することができる。この結果、端子付電線1は、導体部W1の露出部分の増加を防止することができる。また、従来技術に比べて、電線Wの被覆部W2と端子2とをより強固に接合することができる。また、端子2の一部を加工して貫通孔を設けたりすることなく、端子2を単純な形状とすることができる。
また、第1実施形態の端子付電線1は、エラストマ部材10が、当該エラストマ部材10と被覆部W2の一部とが相互に溶融して相溶的に結合され、かつエラストマ部材10と第二接合部5の当接面5aとが化学的に結合されることにより、被覆部W2と第二接合部5とを接合する。第1実施形態の端子付電線1によれば、被覆部W2と端子2とを当接した状態で加熱によって被覆部W2を溶融して固化する場合と比べて、被覆部W2と端子2とをより強固に接合することができる。また、金属製の端子2と樹脂製の被覆部W2とを加熱して接合した場合、互いの線膨張係数が異なるため、温度変化により発生するひずみの量が異なり、それが原因で破断することがある。一方、端子2と被覆部W2との間にエラストマ部材10が介在することで緩衝材となるため、温度変化の激しい部分にもエラストマを使用することができる。
また、第1実施形態の端子付電線1は、エラストマ部材10が、導体部W1と第一接合部4との溶接により生じた熱によって溶融して固化した状態である。この端子付電線1によれば、導体部W1と第一接合部4とを加熱により接合すると共に、被覆部W2と第二接合部5とを接合することが可能となる。
図4から図6は、第1実施形態の第1~第3変形例に係る端子付電線の部分側断面図である。図4から図6に示す端子付電線1A,1B,1C(図7、図8に示す端子付電線1D,図9に示す端子付電線1E、図10、図11に示す端子付電線1Fを含む)は、上述した端子付電線1に対して端子2A,2B,2C(端子2D,2E,2Fを含む)の構成が異なる。具体的には、端子2A,2B,2Cは、上述した端子2に対して第二接合部5A,5B,5C(第二接合部5D,5E,5Fを含む)の構成が異なる。従って、端子付電線1A~1C(1D~1Fを含む)の説明において、上述した端子付電線1、及び、端子2と同等部分には、同一の符号を付して説明を省略する。
図4に示す第1実施形態の第1変形例に係る端子付電線1Aの端子2Aにおいて、第二接合部5Aは、エラストマ部材10と当接する当接面5aに複数の凹部6が形成される。各凹部6は、基部3の板厚方向に凹むものであり、当接面5aに設けられた開口6aから裏面5bに向けて内径が細くなるように形成される。各凹部6は、例えば、断面形状が略V字状に形成される。各凹部6の開口6aの大きさ及び板厚方向の長さ(深さ)は、例えば、加熱により溶融した状態にあるエラストマ部材10の一部が内側に入り込んで膨出部10aを形成することが好ましい。複数の凹部6は、例えば、各凹部6が一定または不定の間隔を空けて形成される。複数の凹部6は、例えば、当接面5aの全面に設けられるが、これに限定されるものではない。また、各凹部6は、上下方向Zから見た平面形状が円形の凹みであるが、これに限定されず、例えば幅方向に延在する溝であってもよい。
端子付電線1Aを製造する製造方法は、上述した端子付電線1の製造方法と同様であるが、エラストマ部材10は、加熱によって溶融した際に、その一部が当接面5aにおける複数の凹部6のいくつかに流れ込んで固化する。このとき、エラストマ部材10は、当該エラストマ部材10と当接面5aの少なくとも一部とが化学的に結合され、かつ、膨出部10aが固化することで当該エラストマ部材10と当接面5aの少なくとも一部とが物理的に結合される。第1変形例に係る端子付電線1Aによれば、端子付電線1に比して、当接面5aの各凹部6に対するエラストマ部材10の膨出部10aの形成及び固化により、端子2Aに対して、電線Wの後端側への被覆部W2の移動をより規制することができる。
図5に示す第1実施形態の第2変形例に係る端子付電線1Bの端子2Bにおいて、第二接合部5Bは、エラストマ部材10と当接する当接面5aに複数の凹部6Aが形成される。各凹部6Aは、基部3の板厚方向に凹むものであり、当接面5aに設けられた開口6Aaから裏面5bに向けて内径が一定になるように形成される。各凹部6Aは、例えば、断面形状が略U字状に形成される。各凹部6Aの開口6Aaの大きさ及び板厚方向の長さ(深さ)は、例えば、加熱により溶融した状態にあるエラストマ部材10の一部が内側に入り込んで膨出部10aを形成することが好ましい。複数の凹部6Aは、例えば、当接面5aの全面に設けられるが、これに限定されるものではない。また、各凹部6Aは、上下方向Zから見た平面形状が円形の凹みであるが、これに限定されず、例えば幅方向に延在する溝であってもよい。
端子付電線1Bを製造する製造方法は、上述した端子付電線1の製造方法と同様であるが、エラストマ部材10は、加熱によって溶融した際に、その一部が当接面5aにおける複数の凹部6Aのいくつかに流れ込んで固化する。このとき、エラストマ部材10は、当該エラストマ部材10と当接面5aの少なくとも一部とが化学的に結合され、かつ、膨出部10aが固化することで当該エラストマ部材10と当接面5aの少なくとも一部とが物理的に結合される。第2変形例に係る端子付電線1Bによれば、端子付電線1に比して、当接面5aの各凹部6Aに対するエラストマ部材10の膨出部10aの形成及び固化により、端子2Bに対して、電線Wの後端側への被覆部W2の移動をより規制することができる。
図6に示す第1実施形態の第3変形例に係る端子付電線1Cの端子2Cにおいて、第二接合部5Cは、エラストマ部材10と当接する当接面5aから裏面5bに板厚方向に貫通する貫通孔7が形成される。貫通孔7は、当接面5aに設けられた開口7aから裏面5bに向けて内径が一定になるように形成される。貫通孔7の開口7aの大きさは、例えば、加熱により溶融した状態にあるエラストマ部材10の一部が内側に入り込んで膨出部10aを形成することが好ましい。エラストマ部材10は、溶融した状態で貫通孔7の内部空間7bの少なくとも一部を充填する。
端子付電線1Cを製造する製造方法は、上述した端子付電線1の製造方法と同様であるが、エラストマ部材10は、加熱によって溶融した際に、その一部が貫通孔7に流れ込んで固化する。このとき、エラストマ部材10は、当該エラストマ部材10と当接面5aの少なくとも一部とが化学的に結合され、かつ、貫通孔7に流れ込んで固化することで当該エラストマ部材10と当接面5aの少なくとも一部とが物理的に結合される。第3変形例に係る端子付電線1Cによれば、端子付電線1に比して、貫通孔7に対する膨出部10aの形成及び固化により、端子2Bに対して、電線Wの後端側への被覆部W2の移動をより規制することができる。
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態に係る端子付電線の側面図である。図8は、第2実施形態に係る端子付電線の断面図である。
図7は、第2実施形態に係る端子付電線の側面図である。図8は、第2実施形態に係る端子付電線の断面図である。
図7及び図8に示す第2実施形態に係る端子付電線1Dの端子2Dにおいて、第二接合部5Dは、一対の固定片20と、一対の固定片20を連結する固定部21とを有する。
各固定片20は、固定部21の幅方向Yの両端に形成される。各固定片20は、固定部21から折り曲げ加工によって各図で示す上下方向Zの上側の立ち上がり方向に立ち上がって形成される板片として構成される。各固定片20は、上下方向Zの高さ寸法が電線Wの被覆部W2の直径の半分を超えて形成される。各固定片20は、固定部21の延在方向Xに沿って形成されている。従って、各固定片20は、それぞれが電線Wの被覆部W2の周面の一部に対向して配置され、相互の間にエラストマ部材10Aを介して被覆部W2を挟んで支持する。各固定片20は、エラストマ部材10Aと当接する当接面5aから裏面5bに板厚方向に貫通する貫通孔7Aが形成される。
固定部21は、第一接合部4の延在方向Xの背面側(X2方向)に連続して形成される。固定部21は、電線Wの被覆部W2がエラストマ部材10Aを挟んで上下方向Zの上側の板面に沿って配置される。
貫通孔7Aは、幅方向Yから見た側面(平面)形状が矩形状に形成されており、当接面5aに設けられた開口7Aaから裏面5bに向けて上下方向Z及び延在方向Xの各内幅が一定になるように形成される。開口7Aaの大きさは、例えば、加熱により溶融した状態にあるエラストマ部材10Aの一部が内側に入り込んで膨出部10aを形成することが好ましい。エラストマ部材10Aは、溶融した状態で貫通孔7Aの内部空間7Abの少なくとも一部を充填する。
エラストマ部材10Aは、上記エラストマ部材10に対して、幅方向Yの幅が相対的に長く形成されている。エラストマ部材10Aは、被覆部W2と第二接合部5Dとの間に介在した状態において、図8に示すように、被覆部W2と固定部21との間だけでなく、被覆部W2と各固定片20との間にあって、被覆部W2の幅方向Yの両側に回り込むように配置される。
端子付電線1Dを製造する製造方法は、上述した端子付電線1の製造方法と同様であるが、エラストマ部材10Aは、加熱によって溶融した際に、その一部が各貫通孔7Aに流れ込んで固化する。このとき、エラストマ部材10Aは、当該エラストマ部材10Aと当接面5aの少なくとも一部とが化学的に結合され、かつ、膨出部10aが固化することで当該エラストマ部材10Aと当接面5aの少なくとも一部とが物理的に結合される。第2実施形態に係る端子付電線1Dによれば、端子付電線1に比して、エラストマ部材10Aにおける膨出部10aの形成及び固化により当該膨出部10aが貫通孔7Aの開口7Aaに当接することで、端子2Dに対して、電線Wの後端側への被覆部W2の移動をより規制することができる。
また、端子付電線1Dによれば、一対の固定片20が、エラストマ部材10Aを介して被覆部W2を幅方向Yの両側から挟んで支持するので、端子2Dに対して電線Wの位置決めを行うことが可能となる。この結果、端子2Dの第一接合部4に対する導体部W1の接合時の位置ずれ、及び、第二接合部5Dに対する被覆部W2の接合時の位置ずれを容易に防止することができる。
図9は、第2実施形態の変形例に係る端子付電線の側面図である。
図9に示す第2実施形態の変形例に係る端子付電線1Eの端子2Eにおいて、各固定片20Aは、エラストマ部材10Aと当接する当接面5aから裏面5bに板厚方向に貫通し、かつ各固定片20Aの正面側(X1方向)の端部から背面側(X2方向)に向けて切り欠かれた切り欠き部8が形成される。切り欠き部8は、幅方向Yから見た側面(平面)形状が矩形状に形成されている。切り欠き部8の大きさは、例えば、加熱により溶融した状態にあるエラストマ部材10Aの一部が内側に入り込んで膨出部10aを形成することが好ましい。エラストマ部材10は、溶融した状態で切り欠き部8の内側の少なくとも一部を充填する。
端子付電線1Eを製造する製造方法は、上述した端子付電線1Dの製造方法と同様であるが、エラストマ部材10Aは、加熱によって溶融した際に、その一部が各切り欠き部8に流れ込んで固化する。このとき、エラストマ部材10Aは、当該エラストマ部材10Aと当接面5aの少なくとも一部とが化学的に結合され、かつ、膨出部10aが固化することで当該エラストマ部材10Aと当接面5aの少なくとも一部とが物理的に結合される。変形例に係る端子付電線1Eによれば、端子付電線1に比して、エラストマ部材10Aにおける膨出部10aの形成及び固化により当該膨出部10aが切り欠き部8に当接することで、端子2Eに対して、電線Wの後端側への被覆部W2の移動をより規制することができる。
また、端子付電線1Eによれば、一対の固定片20Aが、エラストマ部材10Aを介して被覆部W2を幅方向Yの両側から挟んで支持するので、端子2Eに対して電線Wの位置決めを行うことが可能となる。この結果、端子2Eの第一接合部4に対する導体部W1の接合時の位置ずれ、及び、第二接合部5Eに対する被覆部W2の接合時の位置ずれを容易に防止することができる。
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態に係る端子付電線の側面図である。図11は、第3実施形態に係る端子付電線の断面図である。
図10は、第3実施形態に係る端子付電線の側面図である。図11は、第3実施形態に係る端子付電線の断面図である。
図10及び図11に示す第3実施形態に係る端子付電線1Fの端子2Fにおいて、第二接合部5Fは、延在方向Xを軸方向として、当該延在方向Xに延在する円筒状に形成される。第二接合部5Fは、図11に示すように、延在方向Xから見た断面形状が略円環状に形成されており、周方向両端が幅方向Yに対向して形成される。
エラストマ部材10Bは、図11に示すように、被覆部W2と第二接合部5Fとの間に介在した状態において、円筒状に形成される。エラストマ部材10Bは、上記エラストマ部材10Aに対して、幅方向Yの幅が相対的に長く形成されている。エラストマ部材10Bは、電線Wが第二接合部5Fの内周面である当接面5a側に延在方向に沿って挿入された状態で、第二接合部5Fと被覆部W2との間に同軸上で介在する。また、エラストマ部材10Aは、被覆部W2と第二接合部5Fとの間に介在した状態で、電線Wの被覆部W2の外周面に接触して配置され、かつ第二接合部5Fの内周面に接触して配置される。
端子付電線1Fを製造する製造方法は、上述した端子付電線1の製造方法と同様であるが、エラストマ部材10Bは、加熱によって溶融して固化し、溶融固化部11を構成する。このとき、エラストマ部材10Bは、当該エラストマ部材10Bと被覆部W2の外周面とが相互に溶融して相溶的に結合され、かつ当該エラストマ部材10Bと第二接合部5Fの内周面(当接面5a)とが化学的に結合されることにより、被覆部W2と第二接合部5Fとを接合する。第3実施形態に係る端子付電線1Fによれば、端子付電線1に比して、被覆部W2及び第二接合部5Fのそれぞれに対するエラストマ部材10Bの接触面積が増加すると共に、接合する部分が広くなることから、端子2Fと被覆部W2との接合をより強固にすることができる。また、端子付電線1Fによれば、エラストマ部材10Bは、電線Wが第二接合部5Fの内周面である当接面5a側に延在方向に沿って挿入された状態で、第二接合部5Fと被覆部W2との間に同軸上で介在するので、端子2Fに対して電線Wの位置決めを行うことが容易となる。この結果、端子2Fの第一接合部4に対する導体部W1の接合時の位置ずれ、及び、第二接合部5Fに対する被覆部W2の接合時の位置ずれを容易に防止することができる。
上述した第1及び第2実施形態及びそれらの変形例に係る端子付電線1,1A~1Fは、レーザ光Lの照射による溶接で導体部W1と端子2,2A~2Fが接合される。この端子付電線1,1A~1Fによれば、例えば、従来のはんだ付け溶接と比べて、レーザ光により、溶かしたくない部位を極力溶かさずに溶接することができる。また、導体部W1と端子2,2A~2Fは、加締めにより接続する場合に比べて、レーザ溶接に接合されることで電気的特性が優れる。
上述した第1及び第2実施形態及びそれらの変形例に係る端子付電線1,1A~1Fは、エラストマ部材10,10A,10Bが、導体部W1と第一接合部4との接合時に照射されたレーザ光Lにより生じた熱によって溶融して固化した状態となるが、これに限定されるものではない。例えば、エラストマ部材10,10A,10Bは、図2、図3に示すように、第二接合部5,5A~5Fに対して照射されたレーザ光Lを用いた加熱によって溶融して固化した状態となるように構成してもよい。この場合、端子付電線1,1A~1Fは、導体部W1と第一接合部4との接合時に照射されたレーザ光Lにより生じた熱、及び、第二接合部5,5A~5Fに対して照射されたレーザ光Lにより生じた熱のそれぞれにより、エラストマ部材10,10A,10Bが加熱される。なお、エラストマ部材10,10A,10Bは、第二接合部5,5A~5Fに対してヒータを用いた加熱によって溶融して固化した状態となるように構成してもよい。
上述した第1及び第2実施形態及びそれらの変形例に係る端子付電線1,1A~1Fは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。また、本実施形態に係る端子付電線1,1A~1Fは、上述した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
1 端子付電線
2 端子
3 基部
4 第一接合部
5 第二接合部
10 エラストマ部材
W 電線
W1 導体部
W2 被覆部
2 端子
3 基部
4 第一接合部
5 第二接合部
10 エラストマ部材
W 電線
W1 導体部
W2 被覆部
Claims (6)
- 外周が被覆部で覆われ先端において導体部が露出した電線と、
前記導体部に電気的に接続される端子と、
前記被覆部と前記端子との間に介在するシート状のエラストマ部材と、を備え、
前記端子は、
前記電線の延在方向に沿って形成され、前記導体部に当接する基部を有し、
前記基部は、
前記導体部と接合される第一接合部と、
前記被覆部と前記エラストマ部材を介して接合される第二接合部と、を有し、
前記エラストマ部材は、
前記被覆部と前記第二接合部との間に介在した状態で加熱によって溶融して固化した溶融固化部を構成し、前記第二接合部に対して、少なくとも前記延在方向に沿って前記電線の後端側への前記被覆部の移動を規制する、
ことを特徴とする端子付電線。 - 前記被覆部は、
絶縁性を有する樹脂材料であり、
前記端子は、
導電性を有する金属材料であり、
前記エラストマ部材は、
当該エラストマ部材と当該エラストマ部材に当接する前記被覆部の一部とが相互に溶融して相溶的に結合され、かつ当該エラストマ部材と当該エラストマ部材に当接する前記第二接合部の表面とが化学的に結合されることにより、前記被覆部と前記第二接合部とを接合する、
請求項1に記載の端子付電線。 - 前記エラストマ部材は、
前記第二接合部に対して照射されたレーザ光を用いた加熱によって溶融して固化した状態である、
請求項1または2に記載の端子付電線。 - 前記エラストマ部材は、
前記導体部と前記第一接合部との接合時に照射されたレーザ光により生じた熱によって溶融して固化した状態である、
請求項1または2に記載の端子付電線。 - 前記第二接合部は、
前記エラストマ部材と当接する当接面に設けられ前記基部の板厚方向に凹む凹部、前記当接面から前記板厚方向に貫通する貫通孔、又は、前記第二接合部の端部から前記板厚方向と直交する方向に切り欠かれた切り欠き部のいずれが少なくとも1つ設けられる、
請求項1または2に記載の端子付電線。 - 前記第二接合部及び前記エラストマ部材は、
いずれも円筒状に形成されており、
前記エラストマ部材は、
前記電線が前記第二接合部の内周面側に前記延在方向に沿って挿入された状態で、前記第二接合部と前記被覆部との間に同軸上で介在する、
請求項1または2に記載の端子付電線。
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JP2022114488A JP2024012770A (ja) | 2022-07-19 | 2022-07-19 | 端子付電線 |
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Family Applications (1)
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JP2022114488A Pending JP2024012770A (ja) | 2022-07-19 | 2022-07-19 | 端子付電線 |
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Country | Link |
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-
2022
- 2022-07-19 JP JP2022114488A patent/JP2024012770A/ja active Pending
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