JP2024011721A - 電磁ブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヨークを軽量化するためのバネ孔部材において、熱膨張による問題の発生を抑制する。【解決手段】電磁ブレーキ装置1は、可動板4を軸方向に付勢する複数のバネ6と、内筒部53及び外筒部54を有するヨーク51と、コイル52と、バネ孔部材70とを備える。外筒部54は、バネ孔部材70を収容する部材収容部60を有する。部材収容部60は、内面61、62、63を有する。バネ孔部材70は、内面61、62、63とそれぞれ接触する外面71、72、73と、スリット79とを有する。スリット79は、外面73のうち所定方向においてバネ孔78と内面63との間に挟まれるように配置された部分に設けられ、外面73の軸方向における全域に亘って延びるように配置されている。【選択図】図8

Description

本発明は、電磁ブレーキ装置に関する。
特許文献1には、所定の軸方向を回転軸方向として回転する円板(以下、回転部材)を制動する電磁ブレーキ装置が開示されている。電磁ブレーキ装置は、軸方向において回転部材と隣接配置された可動板(以下、可動部材)と、可動部材を軸方向において回転部材側に付勢する複数のバネと、可動部材を軸方向において回転部材から離隔させるための電磁石とを備える。可動部材は磁性材料からなる。電磁石は、軸方向において可動部材を隔てて回転部材と反対側に配置されたヨークと、ヨークに収容されたコイルとを有する。より詳細には、ヨークは、磁性材料で形成され且つ軸方向に延びた筒状の内筒部と、磁性材料で形成され且つ内筒部の径方向における外側に配置された外筒部とを有する。コイルが通電されているときに磁束が生成され、当該磁束は内筒部と可動部材と外筒部とを通る。これにより、可動部材とヨークとの間に磁気吸引力(以下、単に磁力)が発生して可動部材がヨークに引き寄せられ、回転部材から離隔する。コイルへの通電が切られたとき、磁力が短時間で弱まる。バネによる付勢力が磁力よりも相対的に強くなったとき、可動部材がバネによって回転部材に接触させられる。この結果、摩擦力によるブレーキが作動する。
特開昭61-88032号公報
一般的に、外筒部の軸方向と直交する断面の面積は、内筒部の軸方向と直交する断面の面積よりも大きい。言い換えると、外筒部においては、上述した磁束が通る磁路の断面積が大きい。このため、外筒部の断面積を小さくすることにより、外筒部に磁束を十分に通しつつ外筒部の軽量化を図ることができる。但し、外筒部においては、一般的に、上述した複数のバネをそれぞれ収容するための複数の孔(以下、複数のバネ孔)が形成される領域が必要となる。そこで、外筒部のうちバネ孔が形成される部分及びその周辺部を、磁性材料よりも低密度の樹脂材料などからなる部材に置き換える検討が行われている。以下、説明の便宜上、このような部材をバネ孔部材と呼ぶ。
電磁ブレーキにおいては、コイルに電流が流れているときに、コイル(及びヨーク)においてジュール熱が発生する。これに伴い、熱伝導によってバネ孔部材も加熱される。その際、バネ孔部材の材料がヨークの材料(すなわち、磁性材料)と比べて熱膨張しやすいことに起因し、バネ孔の変形及び/又はバネ孔部材におけるクラックの発生等の様々な問題が発生することが分かった。
本発明の目的は、ヨークを軽量化するためのバネ孔部材において、熱膨張による問題の発生を抑制することである。
第1の発明の電磁ブレーキ装置は、所定の軸方向を回転軸方向として回転する回転部材を制動する電磁ブレーキ装置であって、前記軸方向において前記回転部材の一方側に隣接配置され、前記軸方向に移動可能に構成され、前記回転部材に接触しているときに前記回転部材の回転を制動する可動部材と、前記可動部材を前記軸方向における他方側へ付勢する複数のバネ部材と、前記軸方向に延び且つ磁性材料で形成された筒状の内筒部と、前記内筒部の径方向において前記内筒部の外側に配置され且つ磁性材料で形成された筒状の外筒部と、を有し、前記可動部材の前記軸方向における前記一方側に配置されたヨークと、前記ヨークの径方向において前記内筒部の外側且つ前記外筒部の内側に配置され、電流が流れているときに前記可動部材と前記ヨークとの間に磁力を発生させるコイルと、前記外筒部に収容され、前記軸方向に延びるように配置され、前記複数のバネ部材のうち少なくとも1つを収容するように構成された、前記ヨークの材料よりも熱膨張率が大きく且つ密度が低い材料からなるバネ孔部材と、を備え、前記外筒部は、前記バネ孔部材を収容する収容空間が形成された部材収容部を有し、前記部材収容部は、前記軸方向から見たときに、前記収容空間を通る所定の仮想直線が延びる所定方向に対して傾いた第1方向に延び、前記所定方向と直交する直交方向において前記仮想直線の一方側に配置された第1内面と、前記軸方向から見たときに、前記所定方向に対して前記第1方向とは逆側に傾いた第2方向に延び、前記直交方向において前記仮想直線の他方側に配置された第2内面と、前記軸方向から見たときに、前記第1方向及び前記第2方向の両方と交差する方向に延び、且つ前記仮想直線と交わるように配置された第3内面と、を有し、前記第1内面は、前記直交方向において前記第2内面側を向き且つ前記所定方向において前記第3内面側を向き、前記第2内面は、前記直交方向において前記第1内面側を向き且つ前記所定方向において前記第3内面側を向き、前記バネ孔部材は、前記バネ孔部材を前記軸方向に貫通しており前記複数のバネ部材のうち1つを収容可能に構成されたバネ孔と、前記第1内面と接触するように配置された第1外面と、前記第2内面と接触するように配置された第2外面と、前記第3内面と接触するように配置された第3外面と、前記第3外面のうち前記所定方向において前記バネ孔と前記第3内面との間に挟まれるように配置された部分に設けられ、前記第3外面の前記軸方向における全域に亘って延びるように配置されたスリットと、を有することを特徴とする。
本発明では、バネ孔部材の第1外面、第2外面及び第3外面が部材収容部の第1内面、第2内面及び第3内面とそれぞれ接触するように、バネ孔部材を部材収容部に圧入できる。さらに、本発明では、コイルが通電されている時にジュール熱によってバネ孔部材が熱膨張する際、バネ孔部材の第3外面が部材収容部の第3内面によって押し返される。その際、第3外面の近傍及びバネ孔の近傍において内部応力が発生するが、スリットが設けられていることにより内部応力の逃げ場が形成されているため、当該内部応力を緩和できる。したがって、外筒部を軽量化するためのバネ孔部材において、熱膨張による問題の発生を抑制できる。
第2の発明の電磁ブレーキ装置は、前記第1の発明において、前記第3内面は、少なくとも、前記径方向における内側を向くように配置され、前記部材収容部は、前記第1内面及び前記第2内面が前記外筒部の前記径方向における内側の端まで延びていることにより、前記外筒部の前記径方向における内側に開口し、前記ヨークは、前記コイルが収容されるコイル収容溝を有し、絶縁性の硬化材料が前記コイル収容溝に充填されていることを特徴とする。
本発明では、バネ孔部材が部材収容部に収容され且つコイルが収容溝に収容された状態で、収容溝に液状の硬化材料が流し込まれることにより、硬化材料の一部がバネ孔部材と接する。その後、硬化材料が硬化されたとき、バネ孔部材を硬化材料によって固定することができる。したがって、バネ孔部材をさらに安定的に取り付けることができる。
第3の発明の電磁ブレーキ装置は、前記第2の発明において、前記部材収容部は、前記軸方向における前記他方側を向いた第1底面を有し、前記コイル収容溝は、前記軸方向における前記他方側を向き、且つ前記軸方向において前記第1底面よりも前記一方側に配置された第2底面、を有し、前記バネ孔部材は、前記軸方向及び前記径方向の両方において前記第1底面と前記第2底面との間に配置され、少なくとも前記軸方向における前記一方側へ突出した突出部、を有することを特徴とする。
収容溝に液状の硬化材料が流し込まれる際、第2底面に到達した硬化材料の一部が、バネ孔部材と第1底面との隙間から部材収容部に浸入するおそれがある。本発明では、突出部によって、当該隙間に硬化材料が流れ込むことを抑制できる。
第4の発明の電磁ブレーキ装置は、前記第2又は第3の発明において、前記バネ孔部材の前記径方向における内側の端部に設けられた、液状の前記硬化材料を前記コイル収容溝へ注入するための注入部を有することを特徴とする。
従来、液状の硬化材料が収容溝に注入されるための構成として、外筒部に注入口が形成される。このため、外筒部の加工の手間が生じている。本発明では、外筒部に注入口を形成する必要がないので、外筒部の加工の手間を削減できる。
第5の発明の電磁ブレーキ装置は、前記第1~第4のいずれかの発明において、前記バネ孔部材は、絶縁性の材料で形成され、前記径方向において前記外筒部の内周面よりも内側へ延びた延在部、を有することを特徴とする。
本発明では、例えば電磁ブレーキ装置の製造工程においてコイルが外筒部の内周面と接触しそうになった場合でも、コイルを延在部で受け止めることにより、コイルと外筒部の内周面との接触を防止できる。したがって、コイルと外筒部との絶縁状態を効果的に維持できる。
本実施形態に係る電磁ブレーキ装置を軸方向から見た図である。 (a)、(b)は、図1のII-II線断面図である。 (a)は、ヨークを軸方向から見た図であり、(b)は、ヨークの一部を切り欠いた断面図を含むヨークの斜視図である。 図3(a)の一部の拡大図である。 ヨーク及び複数のバネ孔部材を軸方向から見た図である。 (a)~(d)は、バネ孔部材を様々な方向から見た図である。 (a)は、ヨークの一部及び複数のバネ孔部材の一部を切り欠いた断面図を含む、ヨーク及びバネ孔部材の斜視図であり、(b)は、(a)の一部の拡大図である。 図5の一部の拡大図である。 (a)~(c)は、3つの変形例をそれぞれ示す説明図である。 (a)~(c)は、別の3つの変形例をそれぞれ示す説明図である。 (a)、(b)は、さらに別の3つの変形例をそれぞれ示す説明図である。
次に、本発明の実施形態に係る電磁ブレーキ装置1について説明する。説明の便宜上、図1の紙面垂直方向及び図2の紙面上下方向を軸方向と呼ぶ。軸方向は、後述する回転軸RS(図2参照)の回転軸方向である。回転軸RSの径方向を単に径方向と呼ぶ。径方向は、電磁ブレーキ装置1全体の径方向と等しい。回転軸RSの周方向を単に周方向と呼ぶ。周方向は、電磁ブレーキ装置1全体の周方向と等しい。
(電磁ブレーキ装置の概要)
電磁ブレーキ装置1の概要について、図1~図2(b)を参照しつつ説明する。図1は、軸方向において後述の固定板3側から電磁ブレーキ装置1を見た図である。図2(a)は、図1のII-II線断面図である。より具体的には、図2(a)は、後述するコイル52が通電されているとき(すなわち、コイル52に電流が流れているとき)の電磁ブレーキ装置1の状態を示す図である。図2(b)は、図2(a)と同様に、図1のII-II線断面図である。より具体的には、図2(b)は、コイル52に電流が流れていないときの電磁ブレーキ装置1の状態を示す図である。
電磁ブレーキ装置1は、回転軸RS(図2参照)の回転を制動することにより、回転軸RSが接続された機器(不図示)の動作を停止させるための装置である。図1~図2(a)に示すように、電磁ブレーキ装置1は、回転部材2と、固定板3と、可動板4(本発明の可動部材)と、電磁石ユニット5と、複数のバネ6(本発明のバネ部材)とを備える。電磁ブレーキ装置1は、回転軸RSに取り付けられた回転部材2を固定板3と可動板4とによって挟み込むことによりブレーキを作動させるように構成されている。より具体的には、電磁石ユニット5が可動板4を引き寄せて回転部材2から離隔させることにより、回転部材2の回転が可能となる。また、電磁石ユニット5が可動板4を引き寄せている状態が解除される(以下、「電磁石ユニット5が可動板4を釈放する」と称する)ことにより、可動板4が複数のバネ6によって回転部材2に押し付けられる(図2(b)参照)。これにより、ブレーキが作動する。
(各構成要素)
次に、電磁ブレーキ装置1の各構成要素のより詳細について、図1~図2(b)を参照しつつ説明する。
回転部材2は、ハブ21と、ディスク22とを有する。ハブ21は、回転軸RSの先端部RS1に固定された略筒状の部分である。ハブ21は、例えば公知のスプラインカラーである。ハブ21は、例えばディスク22の内周部と嵌合する嵌合部21aを有する。ディスク22は、径方向においてハブ21の外側に配置された略円板状の部材である。ディスク22の内周部は、ハブ21の嵌合部21a(図1参照)と嵌合している。これにより、ディスク22はハブ21と一体回転可能となっている。或いは、ハブ21及びディスク22は、1つの部材によって形成されていても良い。
以下、説明の便宜上、図2(a)に示すように、軸方向における一方側及び他方側を定義する。図2(a)の紙面下側が、軸方向における一方側である。図2(a)の紙面上側が、軸方向における他方側である。図2(b)において図示を省略するが、軸方向における一方側及び他方側の定義は、図2(a)と図2(b)とで同じである。図2(a)、図2(b)に示すように、ディスク22の軸方向における一方側の端に、端面22aが形成されている。ディスク22の軸方向における他方側の端に、端面22bが形成されている。端面22aは、可動板4の端面4b(後述)と接触可能に配置された面である。端面22bは、固定板3の端面3a(後述)と接触可能に配置された面である。
固定板3は、例えば略円板状の部材である。図2(a)、図2(b)に示すように、固定板3は、ディスク22の軸方向における他方側に隣接配置されている。固定板3の軸方向における一方側の端に、端面3aが形成されている。端面3aは、ディスク22の端面22bと接触可能に配置された面である。図3に示すように、固定板3は、複数のボルトBの軸がそれぞれ挿通される複数の挿通孔3bを有する。固定板3は、複数のボルトBによって電磁石ユニット5に固定されている。
可動板4は、略円板状の部材である。可動板4は、鉄などの磁性材料によって形成されている。図2(a)、図2(b)に示すように、可動板4は、ディスク22の軸方向における一方側に隣接配置されている。可動板4は、電磁石ユニット5の軸方向における他方側に隣接配置されている。可動板4は、回転軸RSの径方向における外側に配置されている。可動板4の軸方向における一方側の端に、端面4aが形成されている。端面4aは、後述するヨーク51に形成された端面54bと接触可能に配置された面である。可動板4の軸方向における他方側の端に、端面4bが形成されている。端面4bは、ディスク22の端面22aと接触可能に配置された面である。端面4aと端面4bは略平行である。
図2(a)、図2(b)に示すように、可動板4は、複数のカラーCがそれぞれ挿通される複数の挿通孔4cを有する。各挿通孔4cは、可動板4を軸方向に貫通している。複数のカラーCの各々は、軸方向に延びている。複数のカラーCは、複数のボルトBによって、固定板3と電磁石ユニット5との間にそれぞれ固定されている。可動板4は、複数のカラーCによって軸方向に案内される。これにより、可動板4は、軸方向に移動可能である。より具体的には、可動板4は、ブレーキ解除位置(図2(a)参照)と、ブレーキ作動位置(図2(b)参照)との間で移動可能である。ブレーキ解除位置は、可動板4が軸方向において電磁石ユニット5側に引き寄せられて吸着したときの可動板4の位置である。ブレーキ作動位置は、可動板4が電磁石ユニット5から釈放されてディスク22に完全に押し当てられたときの可動板4の位置である。
電磁石ユニット5は、可動板4を吸着させたり釈放したりするためのユニットである。図2(a)、図2(b)に示すように、電磁石ユニット5は、軸方向において可動板4の一方側に隣接配置されている。電磁石ユニット5は、ヨーク51と、コイル52とを有する。
ヨーク51は、軸方向に沿って延びた概ね筒状の部材である。ヨーク51は、鉄などの磁性材料によって形成されている。ヨーク51は、回転軸RSの径方向における外側に配置されている。ヨーク51は、内筒部53と、外筒部54と、円板部55とを有する。内筒部53、外筒部54及び円板部55によって、コイル52が収容されるコイル収容溝56が形成されている。本実施形態では、内筒部53、外筒部54及び円板部55は1つの部材によって一体的に形成されている。但し、これには限られない。
内筒部53は、回転軸RSの径方向におけるすぐ外側に配置された略円筒状の部分である。説明の便宜上、内筒部53の軸方向における一方側の端は、図2(a)、図2(b)において二点鎖線で示されている。内筒部53は、径方向における外側の端に形成された外周面53aを有する。外周面53aは、径方向において後述の内周面54aと対向するように配置されている。
外筒部54は、内筒部53の径方向における外側に配置された略円筒状の部分である。説明の便宜上、外筒部54の軸方向における一方側の端は、図2(a)、図2(b)において二点鎖線で示されている。外筒部54は、径方向における内側の端に形成された内周面54aを有する。内周面54aは、径方向において、内筒部53の外周面53aと離隔して配置され且つ外周面53aと対向するように配置されている。外筒部54の軸方向における他方側の端には、端面54bが形成されている。端面54bは、可動板4の端面4aと接触可能に配置されている。外筒部54は、軸方向にそれぞれ延びた複数の螺合孔54cを有する。複数の螺合孔54cには、複数のボルトBがそれぞれ螺合されている。外筒部54は、軸方向にそれぞれ延びた複数の取付孔54d(図3(a)、図3(b)参照)を有する。複数の取付孔54dは、電磁ブレーキ装置1を他の装置(すなわち、電磁ブレーキ装置1によって制動される装置)に取り付けるための孔である。外筒部54は、軸方向にそれぞれ延びた複数のバネ孔57を有する。複数のバネ孔57の各々には、バネ6が収容されている。
円板部55は、略円板状の部分である。円板部55は、内筒部53及び外筒部54の軸方向における一方側に配置されている。説明の便宜上、円板部55と内筒部53との境界及び円板部55と外筒部54との境界は、図2(a)、図2(b)において二点鎖線で示されている。円板部55の上端には、上面55a(本発明の第2底面)が形成されている。上面55aは、径方向において内筒部53の外周面53aと外筒部54の内周面54aとの間に配置されている。上面55aは、外周面53a及び内周面54aと接続されている。外周面53a、内周面54a及び上面55aによって、上述したコイル収容溝56が形成されている。
コイル収容溝56には、コイル52が収容されており、さらに、例えば硬化部材58が充填されている(図2(a)、図2(b)参照)。硬化部材58は、絶縁性の材料によって形成された、ヨーク51とコイル52とを確実に絶縁するための部材である。以下、硬化部材58の材料を硬化材料と呼ぶ。硬化材料は、例えばエポキシ樹脂などの熱硬化性の樹脂材料(モールド樹脂とも呼ばれる)であるが、これには限られない。本実施形態では、外筒部54の内周面54aに注入口54e(図3(a)、図3(b)参照)が形成されている。注入口54eは、電磁ブレーキ装置1が製造される製造工程において、液状の硬化材料をコイル収容溝56に注入するためのものである。電磁ブレーキ装置1の製造工程において、液状の硬化材料が注入口54eを通って、コイル52が収容されたコイル収容溝56に流し込まれる。その後、硬化材料が熱硬化されることにより、硬化部材58が形成される。
コイル52は、電流が流れているときに、可動板4及びヨーク51を通る磁束を生成するように構成されている。コイル52は、コイル収容溝56内に配置されている。コイル52は、周方向に巻かれている(図2(a)等における、コイル52を示す記号を参照)。コイル52を形成する線条部材の、長手方向における両端部は、外筒部54を径方向に貫通している貫通孔54f(図3(a)参照)を通ってヨーク51の外側に配置され、不図示の電源に接続されている。コイル52に電流が流れることによって生成される磁束は、例えば、内筒部53、可動板4、外筒部54及び円板部55をこの順に通る(図示は省略する)。このように、磁束が通る磁路が、電磁石ユニット5の全周に亘って形成されている。
複数のバネ6は、可動板4を軸方向における他方側へ付勢するための付勢部材である。複数のバネ6の各々は、例えば公知の圧縮コイルバネである。複数のバネ6は、複数のバネ孔57にそれぞれ収容されている。複数のバネ6は、例えば、周方向において略等間隔に配置されている。本実施形態では、6つのバネ6が6つのバネ孔57(図1参照)に収容されている。
(電磁ブレーキ装置の動作の概略)
以上の構成を有する電磁ブレーキ装置1の動作の概略について説明する。コイル52が通電されたとき、上記磁束によって可動板4とヨーク51との間に磁力(磁気吸引力)が発生する。磁力が複数のバネ6による付勢力(すなわち、弾性復元力。バネ荷重とも呼ばれる)よりも強くなったとき、可動板4が付勢力に抗って軸方向における一方側へ移動し、ヨーク51に吸着される(図2(a)参照)。このとき、可動板4はブレーキ解除位置へ移動する。可動板4がブレーキ解除位置に位置しているとき、回転部材2は、軸方向において固定板3及び可動板4からわずかに離隔している。これにより、回転部材2及び回転軸RSが回転可能となる。
一方、コイル52への通電が切られたとき、上記磁力が短時間で弱まる。バネ6による付勢力が磁力よりも相対的に強くなったとき、可動板4がヨーク51から離隔する(すなわち、電磁石ユニット5から釈放される)。このとき、可動板4は付勢力によってブレーキ作動位置へ移動する。可動板4が回転部材2に押し付けられると、回転部材2が固定板3と可動板4とによって挟み込まれる。これにより、ディスク22の端面22aと可動板4の端面4bとの間に摩擦力が作用し、且つ、ディスク22の端面22bと固定板3の端面3aとの間に摩擦力が作用する。これにより、回転部材2及び回転軸RSの回転が制動される(すなわち、ブレーキが作動する)。
ここで、外筒部54のうちバネ孔57が形成される部分及びその周辺部を、磁性材料よりも軽い樹脂材料などからなる部材に置き換える検討が行われている。以下、説明の便宜上、このような部材をバネ孔部材と呼ぶ。ここで、電磁ブレーキ装置1においては、コイル52に電流が流れているときに、コイル52(及びヨーク51)においてジュール熱が発生する。これに伴い、熱伝導によってバネ孔部材も加熱される。その際、バネ孔部材の材料がヨーク51の材料(すなわち、磁性材料)と比べて熱膨張しやすいことに起因し、バネ孔57の変形及び/又はバネ孔部材におけるクラックの発生等の様々な問題が発生することが分かった。そこで、ヨーク51を軽量化するためのバネ孔部材70(後述)において、熱膨張による問題の発生を抑制するため、電磁ブレーキ装置1は、以下のように構成されている。
(電磁ブレーキ装置の詳細構成)
電磁ブレーキ装置1の詳細構成について説明する。電磁ブレーキ装置1は、ヨーク51に形成された複数の部材収容部60(図3(a)等参照)と、複数の部材収容部60にそれぞれ収容された複数のバネ孔部材70(図5等参照)と、を有する。
部材収容部60について、図3(a)~図4を参照しつつ説明する。図3(a)は、ヨーク51を軸方向から見た図である。図3(b)は、ヨーク51の一部を切り欠いた断面図を含む、ヨーク51の斜視図である。言い換えると、図3(b)は、ヨーク51の斜視図の一部に、ヨーク51の中心軸と平行な2つの断面図を加えた図である。図4は、図3(a)の一部の拡大図である。より具体的には、図4は、複数の部材収容部60の1つ(部材収容部60A)及びその周辺部の拡大図である。図3(a)、図3(b)及び図4においては、ヨーク51以外の部材の図示を省略している。
複数の部材収容部60の1つである部材収容部60Aに関する方向を定義する。まず、図4に示すように、径方向と平行な方向のうち所定の1つの方向を所定方向と定義する。説明の便宜上、所定方向において、ヨーク51の中心軸に近い側(すなわち、径方向における内側)を一方側と定義し、その反対側を他方側と定義する。所定方向に延びる所定の仮想的な直線を仮想直線LAと呼ぶ。所定方向及び軸方向の両方と直交する方向を直交方向と定義する。説明の便宜上、図4の紙面左側を直交方向における一方側と定義する。図4の紙面右側を直交方向における他方側と定義する。
以下、複数の部材収容部60のうち、代表として部材収容部60Aに関する説明を進める。部材収容部60Aは、複数のバネ孔部材70のうち1つを収容するための収容空間S(図3(a)~図4参照)が形成された部分である。部材収容部60Aは、ヨーク51の外筒部54に形成されている。図3(a)~図4に示すように、部材収容部60Aは、内面61、62、63、64及び65と、底面66(本発明の第1底面)と、2つの位置決め孔67と、底面68と、段差面69とを有する。部材収容部60Aのこれらの構成要素は、収容空間Sを形成している構成要素である。
内面61(本発明の第1内面。図4の太線参照)は、少なくとも軸方向に沿って延びた面である。内面61は、バネ孔部材70を収容空間S内に圧入するための面の1つである。内面61は、軸方向において、端面54bが形成された位置から、底面66が形成された位置まで延びている。図4に示すように、軸方向から見たとき、内面61は、直交方向において仮想直線LAの一方側に配置されている。軸方向から見たとき、内面61は、例えば第1方向に略直線状に延びている。第1方向とは、所定方向の成分を有し且つ所定方向に対して傾いた方向である。
内面62(本発明の第2内面。図4の太線参照)は、少なくとも軸方向に沿って延びた面である。内面62は、バネ孔部材70を収容空間S内に圧入するための面の1つである。内面62は、軸方向において、端面54bが形成された位置から、底面66が形成された位置まで延びている。図4に示すように、軸方向から見たとき、内面62は、直交方向において仮想直線LAの他方側に配置されている。言い換えると、内面62は、直交方向において仮想直線LAを隔てて内面61と反対側に配置されている。軸方向から見たとき、内面62は、例えば第2方向に略直線状に延びている。第2方向とは、所定方向の成分を有し且つ所定方向に対して第1方向とは逆側に傾いた方向である。
本実施形態では、内面61及び内面62の両方が、外筒部54の径方向における内側の端まで延びている。これにより、部材収容部60は、外筒部54の径方向における内側に開口している。つまり、収容空間Sが径方向においてコイル収容溝56に面している。
内面63(本発明の第3内面。図4の太線参照)は、少なくとも軸方向に沿って延びた面である。内面63は、バネ孔部材70を収容空間S内に圧入するための面の1つである。内面63は、軸方向において、端面54bが形成された位置から、底面66が形成された位置まで延びている。図4に示すように、軸方向から見たとき、内面63は、少なくとも直交方向に延びている。内面63は、少なくとも所定方向における一方側(径方向における内側)を向いている。軸方向から見たとき、内面63は、例えば、外筒部54の周方向に沿って湾曲している。内面63は、仮想直線LAと交わっている(すなわち、仮想直線LAを横切っている)。
図4に示すように、内面61は、直交方向において仮想直線LA側を向き、且つ、所定方向において他方側(内面63側)を向いている。内面62も、直交方向において仮想直線LA側を向き、且つ、所定方向において他方側(内面63側)を向いている。より厳密な定義は以下のとおりである。軸方向から見たとき、内面61のうち、所定方向における所定の第1位置に位置している点を点61Aと呼ぶ。内面62のうち、所定方向における第1位置に位置している点を点62Aと呼ぶ。所定方向の第1位置において、内面61と内面62との直交方向における距離(すなわち、点61Aと点62Aとの最短距離)を距離D1と定義する。同様に、軸方向から見たとき、内面61のうち、所定方向における所定の第2位置に位置している点を点61Bと呼ぶ。第2位置は、所定方向において第1位置よりも他方側の(内面63側の)位置である。また、内面62のうち、所定方向における第2位置に位置している点を点62Bと呼ぶ。所定方向の第2位置において、内面61と内面62との直交方向における距離(すなわち、点61Bと点62Bとの最短距離)を距離D2と定義する。このとき、距離D2は距離D1よりも長い。
内面64は、内面61と内面63との間に配置され、内面61と内面63とを接続する面である。内面64は、内面61及び内面63と同様に、軸方向に沿って延びている。内面64は、例えば径方向における外側に凸になるように湾曲していても良い。内面65は、内面62と内面63との間に配置され、内面62と内面63とを接続する面である。内面65は、内面62及び内面63と同様に、軸方向に沿って延びている。内面65は、例えば径方向における外側に凸になるように湾曲していても良い。
底面66は、バネ孔部材70の端面80(後述)と接触する面である。底面66は、軸方向における他方側を向いている。底面66は、内面61~65の軸方向における一方側の端と接続されている。2つの位置決め孔67は、バネ孔部材70の2つの位置決め突起81(後述)がそれぞれ挿通される孔である。底面68は、底面66の所定方向における一方側且つ軸方向における一方側に配置された面である。段差面69は、軸方向に延び、底面66と底面68とを接続する面である(図3(a)~図4参照)。
他の部材収容部60(部材収容部60B及び60C。図3(a)参照)は、配置された向きを除き、部材収容部60Aと同じ構造を有する。部材収容部60Bにおいては、軸方向から見たとき、仮想直線LBによって所定方向及び直交方向が定義される。部材収容部60Cにおいては、軸方向から見たとき、仮想直線LCによって所定方向及び直交方向が定義される。仮想直線LB及び仮想直線LCのいずれも、径方向と平行な方向に延びている。
次に、バネ孔部材70の構造について図5~図8を参照しつつ説明する。図5は、ヨーク51及び複数のバネ孔部材70を軸方向から見た図である。図6(a)は、バネ孔部材70を少なくとも軸方向における他方側から見た斜視図である。図6(b)は、バネ孔部材70を軸方向における他方側から見た図である。図6(c)は、バネ孔部材70を少なくとも軸方向における一方側から見た斜視図である。図6(d)は、バネ孔部材70を軸方向における一方側から見た図である。図7(a)は、ヨーク51の一部及び複数のバネ孔部材70の一部を切り欠いた断面図を含む、ヨーク51及び複数のバネ孔部材70の斜視図である。図7(b)は、図7(a)の一部(領域R)の拡大図である。図8は、図5の一部の拡大図である。
図5に示すように、バネ孔部材70は、部材収容部60によって形成された収容空間S内に配置された部材である。バネ孔部材70の材料の密度は、ヨーク51の材料の密度よりも低い。バネ孔部材70の材料は、例えば樹脂材料である。図6(a)~図8に示すように、バネ孔部材70は、外面71、72、73、74、75、76と、端面77と、2つのバネ孔78と、2つのスリット79と、端面80と、2つの位置決め突起81と、突出部82と、を有する。
外面71~76は、軸方向に沿って延びた面である。図8に示すように、外面71(本発明の第1外面)は、部材収容部60の内面61と接触するように配置されている。外面71は、内面61と略平行に配置されている。外面72(本発明の第2外面)は、部材収容部60の内面62と接触するように配置されている。外面72は、内面62と略平行に配置されている。外面73(本発明の第3外面)は、部材収容部60の内面63と接触するように配置されている。外面73は、2つのスリット79によって、外面73M、73L及び73Rに分割されている。外面73Mは、直交方向において外面73Lと外面73Rとの間に配置されている。外面74は、部材収容部60の内面64と対向する位置に配置されている。外面74は、例えば内面64と離隔している。外面75は、部材収容部60の内面65と対向する位置に配置されている。外面75は、例えば内面65と離隔している。外面76は、径方向において外筒部54の内周面54aと略同じ位置に配置された湾曲面である。外面76は、コイル収容溝56に面している。
図6(a)、図6(b)に示すように、端面77は、バネ孔部材70の軸方向における他方側の端に配置された面である。端面77は、軸方向において外筒部54の端面54bと略同じ位置に配置されている。2つのバネ孔78の各々は、上述したバネ孔57と同一の孔である。説明の便宜上、2つのバネ孔78をそれぞれバネ孔78L、78Rと呼ぶ。2つのスリット79の各々は、外面73にそれぞれ形成されたスリットである。2つのスリット79の各々は、外面73の軸方向における全域に亘って延びるように配置されている。2つのスリット79をそれぞれスリット79L、79Rと呼ぶ。スリット79Lは、所定方向においてバネ孔78Lと部材収容部60の内面63との間に挟まれるように配置されている。挟まれるように配置されているとは、所定方向において、スリット79Lがバネ孔78L及び内面63の両方と少なくとも部分的に重なっていることを意味する。同様に、スリット79Rは、所定方向においてバネ孔78Rと部材収容部60の内面63との間に挟まれるように配置されている。
図6(c)、図6(d)に示すように、端面80は、バネ孔部材70の軸方向における一方側の端部に配置された面である。端面80は、部材収容部60の底面66と接触している。2つの位置決め突起81は、端面80から軸方向における一方側へ突出した部分である。2つの位置決め突起81は、軸方向から見たときに2つのバネ孔78をそれぞれ囲む形状を有している。2つの位置決め突起81は、2つの位置決め孔67にそれぞれ挿通されている。突出部82は、端面80よりも軸方向における一方側へ突出した部分である。突出部82は、バネ孔部材70の所定方向における他方側の端部に配置されている。突出部82は、部材収容部60の底面68及び段差面69と接触するように配置されている。言い換えると、突出部82は、軸方向及び径方向の両方において、部材収容部60の底面66と、円板部55の上面55aとの間に配置されている。
以上の構成を有するバネ孔部材70が、部材収容部60に圧入されている(収容されている)。図8に示すように、部材収容部60に圧入されたバネ孔部材70の外面71が、部材収容部60の内面61に接触している。同様に、外面72が内面62に接触している。外面73(外面73M、73L、及び73R)が内面63に接触している。また、電磁ブレーキ装置1の製造工程において、バネ孔部材70が部材収容部60に圧入され且つコイル52がコイル収容溝56に収容された状態で、液状の硬化材料がコイル収容溝56に充填される。その際、硬化材料は、コイル収容溝56に面した外面76にも接する。なお、このとき、外面71、72が内面61、62にそれぞれ接触しているとともに、突出部82が部材収容部60の底面68及び段差面69と接触している(図7(b)参照)。これにより、部材収容部60の開口が塞がれている。したがって、液状の硬化材料が収容空間Sに浸入することが抑制される。その後、硬化材料が加熱されて硬化されることにより、バネ孔部材70が外面76を介して硬化部材58に固定される。
(バネ孔部材に加えられる力)
次に、バネ孔部材70が昇温されたときにバネ孔部材70に加えられる力について、図8を参照しつつ説明する。
コイル52に電流が流れているとき、コイル52(及びヨーク51)の温度がジュール熱によって上昇する。ジュール熱が熱伝導でバネ孔部材70に伝わることにより、バネ孔部材70の温度も上昇する。このとき、バネ孔部材70は熱膨張する。バネ孔部材70の熱膨張率はヨーク51の熱膨張率よりも大きい。このため、バネ孔部材70の熱膨張が部材収容部60によって抑制される。より具体的には、作用反作用の法則により、図8に記載の矢印に示されたように、バネ孔部材70の外面71が、部材収容部60の内面61によって押し返される。同様に、外面72が、内面62によって押し返される。外面73が、内面63によって押し返される。バネ孔部材70に対してこのような力が加えられることにより、バネ孔部材70の外面73の近傍部分において内部応力が発生する。
ここで、外面73にスリット79が形成されていない場合、外面73の近傍及びバネ孔78の近傍において内部応力が集中しやすくなる。これにより、バネ孔78にクラックが発生する等の問題が生じる。一方、本実施形態では、スリット79によって内部応力の逃げ場が形成されているため、外面73の近傍及びバネ孔78の近傍における内部応力が緩和される。これにより、クラックの発生等が抑制される。
以上のように、バネ孔部材70の外面71が部材収容部60の内面61と接触し、バネ孔部材70の外面72が部材収容部60の内面62と接触するように、バネ孔部材70を部材収容部60に圧入することができる。さらに、本実施形態では、コイル52が通電されている時にジュール熱によってバネ孔部材70が熱膨張する際、バネ孔部材70の外面73が部材収容部60の内面63によって押し返される。その際、外面73の近傍及びバネ孔78の近傍において内部応力が発生するが、スリット79が設けられていることにより内部応力の逃げ場が形成されているため、当該内部応力を緩和できる。したがって、外筒部54を軽量化するためのバネ孔部材70において、熱膨張による問題の発生を抑制できる。
また、バネ孔部材70が部材収容部60に収容され且つコイル52がコイル収容溝56に収容された状態で、コイル収容溝56に硬化材料が流し込まれることにより、硬化材料の一部がバネ孔部材70と接する。その後、硬化材料が硬化されたとき、バネ孔部材70を硬化材料によって固定することができる。したがって、バネ孔部材70をさらに安定的に取り付けることができる。
また、突出部82によって、部材収容部60とバネ孔部材70との隙間に硬化材料が流れ込むことを抑制できる。
次に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
図9(a)~図11(c)を必要に応じて参照しつつ、各変形例について説明する。図9(a)~図11(b)は、図5等と同様に、各変形例に係るヨーク及び複数のバネ孔部材(ここでは符号を省略する)を軸方向から見た図である。図11(c)は、図7(b)と同様の断面図である。
(1)軸方向から見たときに、スリット79は、外面73からバネ孔78の内周面まで到達していても良い。
(2)前記実施形態において、バネ孔部材70の外面73(外面73M、73L、及び73R)が部材収容部60の内面63に接触しているものとした。しかしながら、これには限られない。外面73M、73L、及び73Rの一部のみが内面63に接触していても良い。例えば、図9(a)に示すように、バネ孔部材70の代わりにバネ孔部材70Aが設けられていても良い。バネ孔部材70Aにおいて、外面73Mの代わりに外面73AMが設けられていても良い。外面73AMは、内面63から離隔していても良い。
また、例えば図9(b)に示すように、バネ孔部材70の代わりにバネ孔部材70Bが設けられていても良い。バネ孔部材70Bにおいて、外面73L及び73Rの代わりに外面73BL及び73BRが設けられていても良い。外面73BL及び73BRは、内面63から離隔していても良い。さらに、例えば図9(c)に示すように、バネ孔部材70Bの代わりにバネ孔部材70B2が設けられていても良い。バネ孔部材70B2において、外面74及び75の代わりに外面74B2及び75B2が設けられていても良い。外面74B2は、バネ孔部材70B2の軸方向における全域に亘って延びたスリット83Lによって分割されていても良い。外面75B2は、スリット83Lと同様のスリット83Rによって分割されていても良い。
(3)前記までの実施形態において、コイル収容溝56に液状の硬化材料を注入するための注入口54eが外筒部54に設けられているものとした。しかしながら、これには限られない。注入口54eは必ずしも設けられていなくても良い。或いは、例えば図10(a)に示すように、バネ孔部材70の代わりにバネ孔部材70Cが設けられていても良い。バネ孔部材70Cは、外面76の代わりに外面76Cを有していても良い。外面76Cには、所定方向における他方側(すなわち、径方向における外側)に凹んだ凹部84(本発明の注入部)が形成されていても良い。凹部84は、液状の硬化材料をコイル収容溝56へ案内可能であっても良い。これにより、外筒部54に注入口54eを形成しなくても硬化材料をコイル収容溝56に注入できる。したがって、外筒部54の加工の手間を低減できる。
(4)前記までの実施形態において、バネ孔部材70の外面76は、径方向において外筒部54の内周面54aと略同じ位置に配置されているものとした。しかしながら、これには限られない。例えば図10(b)に示すように、バネ孔部材70の代わりにバネ孔部材70Dが設けられていても良い。バネ孔部材70Dは、外面76の代わりに外面76Dを有していても良い。外面76Dは、径方向において外筒部54の内周面54aよりも内側に位置していても良い。つまり、バネ孔部材70Dは、径方向において外筒部54の内周面54aよりも内側へ延びた延在部85を有していても良い。これにより、例えば電磁ブレーキ装置1の製造工程においてコイル52が外筒部54の内周面54aと接触しそうになった場合でも、コイル52をバネ孔部材70Dの延在部85で受け止めることができる。このため、コイル52と内周面54aとの接触を防止できる。したがって、コイル52と外筒部54との絶縁状態を効果的に維持できる。また、この場合、部材収容部60が底面68を有していなくても良い。底面66が、部材収容部60の径方向における内側の端まで延びていても良い。突出部82は、底面66よりも径方向における内側且つ軸方向における一方側へ延びていても良い。
(5)前記までの実施形態において、バネ孔部材70の外面76がコイル収容溝56に面しているものとした。しかしながら、これには限られない。例えば図10(c)に示すように、部材収容部60の代わりに部材収容部60Eが設けられていても良い。より具体的には、外筒部54の代わりに外筒部54Eが設けられていても良い。外筒部54Eは、内周面54aの代わりに内周面54Eaを有していても良い。部材収容部60Eは、内面61、62の代わりに内面61E、62Eを有していても良い。内面61E、62Eは、径方向において内周面54Eaよりも外側に配置されていても良い。これにより、部材収容部60Eは、径方向における内側の端部に配置された内端壁86を有していても良い。また、バネ孔部材70の代わりにバネ孔部材70Eが設けられていても良い。バネ孔部材70Eは、外面71、72及び76の代わりに外面71E、72E及び76Eを有していても良い。外面71E、72E及び76Eは、径方向において内周面54Eaよりも外側に配置されていても良い。すなわち、バネ孔部材70Eは、径方向において外筒部54Eの外端と内端との間に完全に収まるように配置されていても良い。この場合、電磁ブレーキ装置1の製造工程において、液状の硬化材料は内端壁86によってせき止められる。したがって、硬化材料の収容空間S内への浸入を回避できる。
(6)前記までの実施形態において、所定方向における一方側は径方向における内側に対応し、所定方向における他方側は径方向における外側に対応するものとした。しかしながら、これには限られない。すなわち、所定方向における一方側が径方向における外側に対応し、所定方向における他方側が径方向における内側に対応しても良い。具体例として、図11(a)に示すように、部材収容部60の代わりに部材収容部60Fが設けられていても良い。所定方向及び直交方向を定義するために、仮想直線LAの代わりに仮想直線LA2を想定しても良い。仮想直線LA2は、径方向と平行な方向に延びていても良い。部材収容部60Fは、大まかに言って、径方向における向きが部材収容部60と逆向きでも良い。内面61の代わりに、径方向において内面61と逆側を向いた内面61Fが設けられていても良い。同様に、内面62、63の代わりに内面62F、63Fがそれぞれ設けられていても良い。外筒部54の代わりに外筒部54Fが設けられていても良い。外筒部54Fは、内周面54aの代わりに内周面54Faを有していても良い。外筒部54Fは、外筒部54Fの径方向における外側の端に形成された外周面54Fgを有していても良い。部材収容部60Fは、外筒部54Fにおいて径方向における外側に開口していても良い。また、バネ孔部材70の代わりにバネ孔部材70Fが設けられていても良い。バネ孔部材70Fは、外面71、72及び73の代わりに外面71F、72F及び73Fを有していても良い。バネ孔部材70Fは、外面76の代わりに外面76Fを有していても良い。外面76Fは、径方向において外周面54Fgと略同じ位置に配置されていても良い。バネ孔部材70Fは、スリット79の代わりに、スリット79Fを有していても良い。スリット79Fは、所定方向においてバネ孔78と内面63Fとの間に挟まれるように配置されていても良い。
(7)所定方向は、径方向と平行でない方向として定義されても良い。具体例として、図11(b)に示すように、部材収容部60の代わりに部材収容部60Gが設けられていても良い。所定方向及び直交方向を定義するために、仮想直線LAの代わりに仮想直線LA3を想定しても良い。仮想直線LA3の延びる方向は、上述した仮想直線LA及びLA2と直交する方向であっても良い。勿論、仮想直線LA3の延びる方向はこれに限られない。所定方向は、仮想直線LA3と平行な方向である。内面61、62及び63の代わりに、内面61G、62G及び63Gがそれぞれ設けられていても良い。外筒部54の代わりに外筒部54Gが設けられていても良い。外筒部54Gは、内周面54aの代わりに内周面54Gaを有していても良い。外筒部54Gは、外筒部54Gの径方向における外側の端に形成された外周面54Ggを有していても良い。また、バネ孔部材70の代わりにバネ孔部材70Gが設けられていても良い。バネ孔部材70Gは、外面71、72及び73の代わりに外面71G、72G及び73Gを有していても良い。バネ孔部材70Gは、外面76の代わりに外面76Gを有していても良い。バネ孔部材70Gは、バネ孔78を1つのみ有していても良い。バネ孔部材70Gは、スリット79の代わりに、スリット79Gを有していても良い。スリット79Gは、所定方向においてバネ孔78と内面63Gとの間に挟まれるように配置されていても良い。
(8)前記までの実施形態において、部材収容部60は底面68と段差面69とを有するものとした。また、バネ孔部材70は突出部82を有するものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、図11(c)に示すように、部材収容部60の代わりに部材収容部60Hが設けられていても良い。外筒部54の代わりに外筒部54Hが設けられていても良い。外筒部54Hにおいて、底面68及び段差面69の代わりに、傾斜面68Hが設けられていても良い。傾斜面68Hは、軸方向における他方側且つ径方向における内側を向いていても良い。また、バネ孔部材70の代わりにバネ孔部材70Hが設けられていても良い。バネ孔部材70Hは、突出部82の代わりに突出部82Hを有していても良い。突出部82Hは、軸方向及び径方向の両方において、底面66と上面55aとの間に配置されている。突出部82Hは、傾斜面68Hに接触している。このような構成においても、電磁ブレーキ装置1の製造工程において、液状の硬化材料が収容空間Sに浸入することが抑制される。
(9)前記までの実施形態において、硬化部材58は、熱硬化性の樹脂材料である硬化材料からなるものとした。しかしながら、これには限られない。硬化材料は、コイル52とヨーク51との絶縁性を確保できるものであれば、熱硬化性の樹脂材料以外の材料であっても良い。また、前記までの実施形態において、コイル収容溝56に硬化部材58が充填されているものとした。しかしながら、これには限られない。コイル収容溝56に硬化部材58が充填されていなくても良い。
(10)各部材収容部(60等)に形成されたバネ孔78の数は、上述したものに限られない。部材収容部60等は、バネ孔78を1つのみ有していても良い。或いは、部材収容部60等は、3つ以上のバネ孔78を有していても良い。各バネ孔78に対応して1つ以上のスリット79が設けられていることが好ましい。
(11)バネ孔部材70その他のバネ孔部材(以下、バネ孔部材70等)は、着色されていても良い。バネ孔部材70等とバネ6の色とを互いに大きく異ならせることにより、電磁ブレーキ装置1の製造時に、バネ6をバネ孔78に入れ忘れることを抑制できる。色の具体例として、バネ孔部材70等が赤く着色され、バネ6が緑に着色されているなど、バネ孔部材70の色がバネ6の色の反対色であると好ましい。
(12)電磁ブレーキ装置1が備えるバネ6の数及びボルトBの数は、上述したものに限られない。バネ6の数及びボルトBの数は、電磁ブレーキ装置1の仕様に応じて適切に設定される。
1 電磁ブレーキ装置
2 回転部材
4 可動板(可動部材)
5 電磁石ユニット
6 バネ(バネ部材)
51 ヨーク
52 コイル
53 内筒部
54 外筒部
54a 内周面
55a 上面(第2底面)
56 コイル収容溝
60 部材収容部
61 内面(第1内面)
62 内面(第2内面)
63 内面(第3内面)
66 底面(第1底面)
70 バネ孔部材
71 外面(第1外面)
72 外面(第2外面)
73 外面(第3外面)
78 バネ孔
79 スリット
82 突出部
84 凹部(注入部)
85 延在部
LA 仮想直線

Claims (5)

  1. 所定の軸方向を回転軸方向として回転する回転部材を制動する電磁ブレーキ装置であって、
    前記軸方向において前記回転部材の一方側に隣接配置され、前記軸方向に移動可能に構成され、前記回転部材に接触しているときに前記回転部材の回転を制動する可動部材と、
    前記可動部材を前記軸方向における他方側へ付勢する複数のバネ部材と、
    前記軸方向に延び且つ磁性材料で形成された筒状の内筒部と、前記内筒部の径方向において前記内筒部の外側に配置され且つ磁性材料で形成された筒状の外筒部と、を有し、前記可動部材の前記軸方向における前記一方側に配置されたヨークと、
    前記ヨークの径方向において前記内筒部の外側且つ前記外筒部の内側に配置され、電流が流れているときに前記可動部材と前記ヨークとの間に磁力を発生させるコイルと、
    前記外筒部に収容され、前記軸方向に延びるように配置され、前記複数のバネ部材のうち少なくとも1つを収容するように構成された、前記ヨークの材料よりも熱膨張率が大きく且つ密度が低い材料からなるバネ孔部材と、を備え、
    前記外筒部は、前記バネ孔部材を収容する収容空間が形成された部材収容部を有し、
    前記部材収容部は、
    前記軸方向から見たときに、前記収容空間を通る所定の仮想直線が延びる所定方向に対して傾いた第1方向に延び、前記所定方向と直交する直交方向において前記仮想直線の一方側に配置された第1内面と、
    前記軸方向から見たときに、前記所定方向に対して前記第1方向とは逆側に傾いた第2方向に延び、前記直交方向において前記仮想直線の他方側に配置された第2内面と、
    前記軸方向から見たときに、前記第1方向及び前記第2方向の両方と交差する方向に延び、且つ前記仮想直線と交わるように配置された第3内面と、を有し、
    前記第1内面は、前記直交方向において前記第2内面側を向き且つ前記所定方向において前記第3内面側を向き、
    前記第2内面は、前記直交方向において前記第1内面側を向き且つ前記所定方向において前記第3内面側を向き、
    前記バネ孔部材は、
    前記バネ孔部材を前記軸方向に貫通しており前記複数のバネ部材のうち1つを収容可能に構成されたバネ孔と、前記第1内面と接触するように配置された第1外面と、前記第2内面と接触するように配置された第2外面と、前記第3内面と接触するように配置された第3外面と、前記第3外面のうち前記所定方向において前記バネ孔と前記第3内面との間に挟まれるように配置された部分に設けられ、前記第3外面の前記軸方向における全域に亘って延びるように配置されたスリットと、を有することを特徴とする電磁ブレーキ装置。
  2. 前記第3内面は、少なくとも、前記径方向における内側を向くように配置され、
    前記部材収容部は、前記第1内面及び前記第2内面が前記外筒部の前記径方向における内側の端まで延びていることにより、前記外筒部の前記径方向における内側に開口し、
    前記ヨークは、前記コイルが収容されるコイル収容溝を有し、
    絶縁性の硬化材料が前記コイル収容溝に充填されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁ブレーキ装置。
  3. 前記部材収容部は、前記軸方向における前記他方側を向いた第1底面を有し、
    前記コイル収容溝は、
    前記軸方向における前記他方側を向き、且つ前記軸方向において前記第1底面よりも前記一方側に配置された第2底面、を有し、
    前記バネ孔部材は、
    前記軸方向及び前記径方向の両方において前記第1底面と前記第2底面との間に配置され、少なくとも前記軸方向における前記一方側へ突出した突出部、を有することを特徴とする請求項2に記載の電磁ブレーキ装置。
  4. 前記バネ孔部材の前記径方向における内側の端部に設けられた、液状の前記硬化材料を前記コイル収容溝へ注入するための注入部を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の電磁ブレーキ装置。
  5. 前記バネ孔部材は、
    絶縁性の材料で形成され、前記径方向において前記外筒部の内周面よりも内側へ延びた延在部、を有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の電磁ブレーキ装置。
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