JP2024011001A - 制御性能診断装置、制御パラメータ調整装置、制御パラメータ調整方法およびコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 運用中の監視制御システムの監視データから制御性能の劣化を診断することにより、制御パラメータを調整すべき適切なタイミングを検知する装置を提供する。【解決手段】 実施形態による装置11は、対象プロセス12の操作量のフィードバック制御に関わる時系列データから算出される指標を用いて評価したフィードバック制御の性能が低下しているときに、時系列データを用いて、時系列データが制御パラメータを算出するための十分な情報を含んでいるかを示す適切度を算出する機能114と、少なくとも適切度が所定の条件を満たすときに、時系列データを用いてフィードバック制御の調整すべき制御パラメータを算出する機能115と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、制御性能診断装置、制御パラメータ調整装置、制御パラメータ調整方法およびコンピュータプログラムに関する。
上下水道施設や石油・化学プラントにおける化学反応や生物反応といったプロセスは、プロセスを安定的に制御することが処理対象や生産する製品の質や量を左右することから、センシングしたプロセス内の物理量を計測量として監視し、それらデータにもとづいてプロセス内の操作量を制御する監視制御システムが備えられている。計測量(PV; Process Variable)と操作量MV(MV; Manipulated Variable)との関係を予め厳密に把握することができるのであれば、設定したい計測量PVの値に対して、計測量PVと操作量MVとの関係を逆算し、目標値(SV; Setting Variable)に対応した操作量MVを実現することで、計測量PVを目標値SVに維持することが可能である(フィードフォワード制御)。しかしながら、一般に計測量PVと操作量MVとの関係を予め厳密に把握することは困難である。
また、現実には未知の外乱がプロセスに加わることから、プロセス制御ではPID制御に代表されるフィードバック制御が多く用いられる。フィードバック制御は、計測量PVの挙動を観測しながら、目標値SVとの関係に応じて操作量MVを決定していくため、予め計測量PVと操作量MVとの関係を厳密に把握していなくとも実装することができ、実用的な場面が多いため、多く用いられている。以上の特徴から、フィードバック制御には実用的な面が多いが、計測量PVと操作量MVとの関係を全く知らないまま、フィードバック制御を実装しても制御の性能を発揮できない場合がある。
例えば、フィードバック制御の一つであるPID制御では、目標値SVと計測量PVの偏差に対して、比例(Proportional)、積分(Integral)、微分(Differential)の意味合いを持った数式によって、操作量MVの値を計算する。数式にはパラメータ(制御パラメータ)が含まれており、そのパラメータ値によって制御の性能が変化する。例えば、比例の意味を持つ式中では、目標値SVと計測量PVの偏差の何倍を操作量MVとするといった意味を持つ、比例ゲインという制御パラメータを設定することがある。比例ゲインが小さければ、目標値SVと計測量PVとに偏差が生じても操作量MVを緩慢に変化させることになるし、比例ゲインが大きければ、偏差に対して急峻に操作量MVを変化させることになる。この制御パラメータが適切でなければ、計測量PVを目標値SVに追従させるのに時間がかかったり、操作量MVを不必要に変化させて行き過ぎてしまったり、制御性能を低下させる要因となってしまう。これは、制御パラメータを適切な値にするためには、計測量PVと操作量MVとの関係を完全でなくとも、ある程度部分的に把握する必要があることと対応している。
制御パラメータを適切な値にするためには、計測量PVと操作量MVの関係、プロセスの把握をある程度必要とする一方、対象とするプロセスは時間的に一定とは限らず、時間に応じて変化することがあるため、制御パラメータを一定としてフィードバック制御を継続していては、制御性能が劣化する可能性がある。このような制御性能の劣化が発生した際は、対象プロセスの状態に応じて制御パラメータを適切な値に調整することが望ましいが、上下水道施設や石油・化学プラントなどを対象としたプロセス制御の通常運転では、外乱駆動によって生じる計測量PVの変化に対応して操作量MVを操作している場合が多く、操作量MVを能動的に変化させていないため、その変化の中から計測量PVと操作量MVとの関係を把握して制御パラメータを適切な値に調整することは容易ではない。また、さらに計測量PVと操作量MVとの変動が比較的小さいことも起因して、制御性能が劣化していることを検知することも容易ではない背景がある。
上記のように、フィードバック制御の制御パラメータは、計測量PVと操作量MVの関係をある程度部分的に把握し、対象プロセスの状態に合わせて調整する必要がある。しかしながら、対象プロセスが日変動や季節変動などで時間的に変化する中、制御性能が劣化していると判断できたとしても、通常運転時に得られる計測量PVや操作量MVなどの監視データから、調整すべき制御パラメータを算出できない場合が生じ得る。
本発明の実施形態は上記事情を鑑みてなされたもので、運用中の監視制御システムの監視データから制御性能の劣化を診断することにより、制御パラメータを調整すべき適切なタイミングを検知する制御性能診断装置、制御パラメータ調整装置、制御パラメータ調整方法およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
実施形態による制御パラメータ調整装置は、対象プロセスの操作量のフィードバック制御に関わる時系列データから算出される指標を用いて前記フィードバック制御の性能を評価するとともに、前記フィードバック制御の性能が低下しているときの前記時系列データを用いて、前記時系列データが制御パラメータを算出するための十分な情報を含んでいるかを示す適切度を算出する制御性能診断機能部と、少なくとも前記適切度が所定の条件を満たすときに、前記時系列データを用いて前記フィードバック制御の調整すべき前記制御パラメータを算出する制御パラメータ調整機能部と、を備える。
以下、実施形態の制御性能診断装置、制御パラメータ調整装置、制御パラメータ調整方法およびコンピュータプログラムについて、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る制御パラメータ調整装置の利用環境の一例を概略的に示す図である。
図1は、第1実施形態に係る制御パラメータ調整装置の利用環境の一例を概略的に示す図である。
本実施形態の制御パラメータ調整装置11は、対象プロセスにおける物理量を計測量PVとしてセンシングし、収集した計測量PVのデータにもとづいて対象プロセス12内の操作量MVを制御するコントローラの制御パラメータを調整する装置であって、例えばインターネット等の通信ネットワーク15を介して、対象プロセス12を制御するコントローラ13や、調整員14が使用する端末装置17と通信可能に接続されている。なお、端末装置17は、制御パラメータ調整装置11またはコントローラ13に統合されてもよく、コントローラ13は、制御パラメータ調整装置11を内蔵するものであってもよい。また、制御パラメータ調整装置11、コントローラ13および端末装置17の全てが統合されて一つのコンピュータ装置として構成されてもよい。
対象プロセス12は、コントローラ13によるフィードバック制御の対象となるプロセスの一例である。フィードバック制御としては、例えば、PI制御やPID制御が行われる。コントローラ13は、基本的には、対象プロセス12において計測される制御量PVが、端末装置17等から入力される目標値SVに近づくように、操作量MVを調整する。対象プロセス12には、様々な種類のものが該当し得る。
図2は、図1に示す対象プロセスの一構成例を概略的に示す図である。
図2に示す対象プロセス12は、下水処理場の一部である。対象プロセス12は、好気槽31と、沈殿池32と、汚泥返送ポンプ33と、ブロワ34と、汚泥引抜ポンプ35と、流入流量計361、362と、溶存酸素濃度計37とを含む。
図2に示す対象プロセス12は、下水処理場の一部である。対象プロセス12は、好気槽31と、沈殿池32と、汚泥返送ポンプ33と、ブロワ34と、汚泥引抜ポンプ35と、流入流量計361、362と、溶存酸素濃度計37とを含む。
好気槽31では、ブロワ34により曝気と呼ばれる空気供給が行われ、処理水中の溶存酸素濃度を一定値以上に維持し、微生物反応を利用して下水中の有機物などを分解する。好気槽31において分解処理がなされた水は、沈殿池32に送られる。
沈殿池32で沈殿した汚泥は、汚泥返送ポンプ33により好気槽31に返送されるとともに、汚泥引抜ポンプ35により排出される。
沈殿池32で沈殿した汚泥は、汚泥返送ポンプ33により好気槽31に返送されるとともに、汚泥引抜ポンプ35により排出される。
コントローラ13は、流入流量計361および溶存酸素濃度計37により計測された値を取得する。コントローラ13は、溶存酸素濃度計37により計測される溶存酸素濃度(DO濃度)を制御量PVとし、これが目標値SV(例えば1[mg/L])に近づくように、操作量MVであるブロワ34の空気供給量(曝気風量)を調整する。
上記対象プロセス12は、むだ時間の長い生物反応プロセスであり、経年変化に応じて、フィードバック制御の制御パラメータ(比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲイン(PI制御の場合は不要)、その他)を再チューニングすることが望ましい。制御パラメータが適切にチューニングされない状況になると、外乱による計測値(溶存酸素濃度)PVが変動し、分散(ばらつき)が大きくなる。このため、溶存酸素濃度を一定値以上に維持するためには、目標値SVを高く設定せざるを得ず、結果的にブロワ34の消費電力の増加を引き起こすこととなる。したがって、対象プロセス12の運転中の実データから、直接、制御パラメータを再チューニングするニーズは高い。
制御パラメータ調整装置11は、例えば、少なくとも一つのプロセッサと、プロセッサにより実行されるプログラムが記憶されたメモリと、を備えた演算装置であって、ソフトウエアにより又はソフトウエアとハードウエアとの組み合わせにより、以下に説明する種々の機能を実現することができる。
制御パラメータ調整装置11は、対象プロセス12の監視データを取得し、制御結果に基づいてフィードバック制御の良し悪しを性能値として算出し、算出した性能から制御パラメータの調整要否を判断する。制御パラメータの調整が必要な場合には、調整トリガ(第1トリガ)を発出して調整に用いる制御パラメータを算出し、端末装置17を通して調整員14に提示する。
調整員14は提示された制御パラメータを確認し、端末装置17を操作してコントローラ13に提示された制御パラメータを設定してもよいし、調整員14の確認が不要であれば、制御パラメータ調整装置11が調整に用いる制御パラメータを自動的にコントローラ13に設定するように構成されてもよい。また、制御パラメータ調整装置11は、制御パラメータだけでなく、算出した制御性能の値や調整トリガ(第1トリガ)の値を調整員14に通知するように構成されてもよい。
図3は、第1実施形態に係る制御パラメータ調整装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
本実施形態の制御パラメータ調整装置11は、信号蓄積データベース113と、制御性能診断機能部114と、制御パラメータ調整機能部115と、を含む。
本実施形態の制御パラメータ調整装置11は、信号蓄積データベース113と、制御性能診断機能部114と、制御パラメータ調整機能部115と、を含む。
信号蓄積データベース113は、通信ネットワーク15を介して、コントローラ13、対象プロセス12、および、端末装置17から送信される、目標値SV、操作量MVおよび計測量PVのデータ(監視データ)を時刻情報と関連付けて時系列データとして記憶している。すなわち、信号蓄積データベース113に蓄積された時系列データは、前記フィードバック制御に関わるデータである。信号蓄積データベース113に蓄積された時系列データは、制御パラメータ調整装置11以外の構成も利用可能であってもよく、信号蓄積データベース113は制御パラメータ調整装置11の外部の構成であってもよい。例えば、制御パラメータ調整装置11は、ネットワークを介して信号蓄積データベース113にアクセス可能に構成され得る。
制御性能診断機能部114は、信号蓄積データベース113から取得した監視データを用いて制御性能を算出し、制御性能が閾値を下回っているか(劣化しているか)判断して制御性能を評価する(ステップSA1)。
制御性能診断機能部114は、例えば、可能な限り外乱成分を制御で抑え込むことで達成できる計測量PVの値を仮想的に設定し、その計測量PVの分散と達成可能な操作量MVの分散の最小値とをもとにしたハリス指標ηを用いて、制御性能値を算出することができる。
なお、制御性能診断機能部114が制御性能値を算出する際は、上記に示されるハリス指標ηを用いてもよいし、達成可能な最小分散の導出過程で、コントローラ13にPID制御が適用されていることを考慮して、その達成可能な計測量PVの最小分散を求めるような派生した手法も存在するため、そのような導出で得られるハリス指標を指標として用いてもよい。制御性能診断機能部114は、算出した制御性能値を端末装置17へ出力する。
制御性能診断機能部114は、例えば制御性能値に対して閾値を設け、制御性能が当該閾値を下回った時点で、制御性能の劣化を検知したと判断することができる。
制御性能診断機能部114は、例えば制御性能値に対して閾値を設け、制御性能が当該閾値を下回った時点で、制御性能の劣化を検知したと判断することができる。
続いて、制御性能が劣化していると判断した場合、制御性能診断機能部114は、後述する適切度を用いて、制御性能劣化時のフィードバック制御時の時系列データ(監視データ)が制御パラメータの導出に十分であるか否かを判断する(ステップSA2)。
ここで、例えば制御性能が劣化した時点で直ちに制御パラメータを調整する場合、必ずしも制御性能劣化時の監視データを用いて調整用の制御パラメータを算出できるとは限らず、不適切な制御パラメータによる調整を実施してしまう可能性があった。
ここで、例えば制御性能が劣化した時点で直ちに制御パラメータを調整する場合、必ずしも制御性能劣化時の監視データを用いて調整用の制御パラメータを算出できるとは限らず、不適切な制御パラメータによる調整を実施してしまう可能性があった。
なお、制御性能が劣化した場合にのみ制御パラメータを調整するのは、(1)劣化時にのみ調整することで十分なことや、(2)制御パラメータの算出頻度が多くなると、想定外の監視データをもとに不適切な制御パラメータを設定するリスクがあること、(3)制御性能が劣化していない場合は、計測量PVの変化が小さく、それは対象プロセスの情報が部分的にも得づらく、調整する制御パラメータを算出することが可同定性の観点などから技術的に困難になること、などが理由として挙げられる。
例えば(2)、(3)の理由に関係して、監視データに含まれる信号の変化が小さく、対象プロセス12の情報が十分に含まれていない場合や、異常値のような想定外の信号を入力として制御パラメータを調整した場合、不適切な制御パラメータが算出されることとなる。
例えば(2)、(3)の理由に関係して、監視データに含まれる信号の変化が小さく、対象プロセス12の情報が十分に含まれていない場合や、異常値のような想定外の信号を入力として制御パラメータを調整した場合、不適切な制御パラメータが算出されることとなる。
そこで、本実施形態の制御パラメータ調整装置11では、制御性能診断機能部114において制御性能の劣化が検知されたときに、後述する適切度を指標として、制御性能劣化時の監視データに制御パラメータの算出に十分な情報が含まれているかを判断している。
制御性能診断機能部114は、制御性能劣化時の監視データに制御パラメータの算出に十分な情報が含まれている(適切度が所定の条件を満たす)と判断したときには、制御パラメータを調整する調整トリガ(第1トリガ)を制御パラメータ調整機能部115および端末装置17へ出力する。
制御性能診断機能部114は、制御性能劣化時の監視データに制御パラメータの算出に十分な情報が含まれていない(適切度が所定の条件を満たさない)と判断したときには、制御パラメータを調整する調整トリガ(第1トリガ)を出力しない。
制御性能診断機能部114は、制御性能劣化時の監視データに制御パラメータの算出に十分な情報が含まれていない(適切度が所定の条件を満たさない)と判断したときには、制御パラメータを調整する調整トリガ(第1トリガ)を出力しない。
制御パラメータ調整機能部115は、制御性能診断機能部114から制御パラメータを調整する調整トリガ(第1トリガ)を取得したときに、信号蓄積データベース113から取得した監視データを用いて制御パラメータを算出する。制御パラメータ調整機能部115は、算出した制御パラメータを端末装置17へ出力する(ステップSA3)。
制御パラメータ調整機能部115において制御パラメータを算出する方法には様々な方法があるが、例えば、計測量PVや操作量MVのデータをもとに対象プロセス12のモデルを同定し、同定モデルを用いて制御パラメータを最適化する手法を用いてもよいし、対象プロセス12の同定モデルを経由せずにデータから直接制御パラメータを算出する手法を用いてもよい。この場合、計測量PVや操作量MVだけでなく、目標値SVや外乱に関わる信号などを用いて、より適切な制御パラメータの導出を図ることもできる。
次に、本実施形態の制御パラメータ調整装置において、制御性能劣化時の監視データに制御パラメータの算出に十分な情報が含まれているかを判断する動作の一例について説明する。
不適切な制御パラメータ算出の回避にあたって留意すべき事項として、通常、算出された制御パラメータが適切であったかどうかは、コントローラに制御パラメータを設定し、フィードバック制御の結果を得るまで判断できない点が挙げられる。算出した制御パラメータの値が通常時と明らかに桁が違うといった、制御パラメータが不適切であることが自明な場合は、調整員14が適切ではないことを判断可能である。そのような場合を除くと、必ずしも調整員14が、制御パラメータが不適切か否か判断できるとは限らない。
不適切な制御パラメータ算出の回避にあたって留意すべき事項として、通常、算出された制御パラメータが適切であったかどうかは、コントローラに制御パラメータを設定し、フィードバック制御の結果を得るまで判断できない点が挙げられる。算出した制御パラメータの値が通常時と明らかに桁が違うといった、制御パラメータが不適切であることが自明な場合は、調整員14が適切ではないことを判断可能である。そのような場合を除くと、必ずしも調整員14が、制御パラメータが不適切か否か判断できるとは限らない。
本願発明者らは、制御パラメータ算出処理が予め決まっているのであれば、入力される監視データ自体から算出される値を適切度の指標として用いることで、不適切な制御パラメータの算出を回避できることを見出した。
制御パラメータを算出する場合、例えば、(2)式に示されるような入力信号Xおよび出力信号Yといった監視データから、(3)式に示されるような入力信号Xからパラメータθを通して得られる推定出力信号Y*を考え、推定出力信号Y*が出力信号Yに一致する(誤差が小さくなる)ようにパラメータを算出する処理が実施される。
上記のような問題において、例えば関係式fがパラメータθに対して線形の関係式で与えられる線形問題であれば、正規方程式XTXθ=XTYに基づいて、通常の最小二乗法を用いて求めることもできるし、関係式fのパラメータθを求める問題が非線形問題となるのであれば、ニューラルネットワークなどのモデルを用いても逆誤差伝搬法などでパラメータθを求めても構わない。
パラメータθを求める問題が線形問題であれば、その解きやすさを測る指標はいくつか知られている。例えば、入力信号列Xから得られる(4)式に示す条件数κ(XTX)は、逆行列導出のしやすさを表す尺度であり、値が高くなると悪条件で逆行列導出が困難になることが知られている。
λmax(A):行列Aの最大固有値、λmin(A):行列Aの最小固有値
(4)式に示す条件数κ(XTX)は、もともとは最小二乗法の求解で利用する逆行列問題に対して考えられたものであるが、その導出について利用する情報は入力信号列Xのみであり、パラメータθを求める処理に依存した計算を実施している訳ではない。条件数κ(XTX)の導出にパラメータθを用いていないため、単純にパラメータの良否を判断しているのではなく、問題を解く難しさ自体を示している。
また、実際に出力される値として、入力信号列Xに多重共線性がある場合や、入力信号が十分に励起されていない場合、入力信号に異常値が含まれている場合には値が大きくなる傾向があり、線形問題、非線形問題を扱っているか、逆行列計算を実施するかを問わず、入力信号列Xによってパラメータθを決定する問題が解きやすくなっているかを示す指標として扱って差し支えないものである。
つまり、制御パラメータを求める問題が線形の問題で構成されていなくても、条件数を判断の指標(適切度)として用いることで、不適切な制御パラメータの算出を回避することが可能となる。例えば、制御性能診断機能部114は、条件数が所定の閾値以上であるとき(所定の条件を満たさないとき)に、監視データが制御パラメータ導出に用いるために不十分であると判断することができる。
また、入力信号列Xと基準出力信号Yの信号列とに対して関係が認められるかどうかを判断する指標として相関係数ρXiYもよく用いられる。
相関係数ρXiYもパラメータを求める処理自体に依存せず求めることができる指標(適切度)として用いることができる。相関係数ρXiYが0に近ければ、入力信号Xiと基準出力信号Yとがほぼ無相関であることを示している。入力信号Xiと基準出力信号Yとが無相関である(若しくは相関が低い)ことは、制御パラメータを求めるにあたって、入力信号と基準出力信号との関係が認めづらいことに対応するため、不適切な制御パラメータが算出される可能性が高いことを示す。そのため、不適切な制御パラメータの算出を回避する指標として相関係数ρXiYも用いることができる。すなわち、制御性能診断機能部114は、相関係数が所定の閾値未満であるとき(所定の条件を満たさないとき)に、監視データが制御パラメータ導出に用いるために不十分であると判断することができる。
入力信号と基準出力信号との関係が非線形である場合は、両者に明確な関係があったとしても相関係数が低くなることが知られているため、非線形問題の場合は予め問題に合わせた非線形変換を信号列に作用させることで非線形の問題を扱う場合も対応することができると考えられる。さらに、入力データに多重共線性が認められる場合には、制御性能診断機能部114は、相関係数に加え、変数間の擬似相関の影響を除した偏相関係数を用いて判断してもよい。偏相関係数は0から1までの値であって、一般的に0.4程度で弱い相関があることが示される。また、制御性能診断機能部114は、各変数について、多重共線性の判断をより詳しく行いたい場合は、分散拡大係数(Variance Inflation Factor)などを用いてもよい。
以上のように、制御性能診断機能部114は、制御パラメータを求める処理や問題に依存することなく、監視データから得られる入力信号および基準出力信号から算出される条件数や相関係数、偏相関係数、分散拡大係数を、制御パラメータ算出のための適切度の指標として用い、これら適切度の指標が所定の条件を満たさないときに監視データが制御パラメータ導出に用いるために不十分であると判断することができ、不適切な制御パラメータを算出することを回避することができる。
図4は、対象プロセスをコントローラが制御した場合の制御応答のシミュレーション結果の一例を示す図である。
図4では、横軸を時間軸とし、縦軸に溶存酸素濃度の値をとって、パラメータ調整前(左側)とパラメータ調整後(右側)とにおける溶存酸素濃度のシミュレーション結果を示している。
図4では、横軸を時間軸とし、縦軸に溶存酸素濃度の値をとって、パラメータ調整前(左側)とパラメータ調整後(右側)とにおける溶存酸素濃度のシミュレーション結果を示している。
図4の左側のように、フィードバック制御が十分にうまく動作していない場合には、溶存酸素濃度の目標値SVである1[mg/L]に対し、実際には0[mg/L]となってしまっている箇所が多数見受けられる。溶存酸素濃度が0[mg/L]になることは、微生物が活動できないことを意味するので、結果として放流水質が悪化することが懸念される。さらに、左側の図では、溶存酸素濃度が2[mg/L]を超える様な場所が認められるが、ある一定以上の溶存酸素濃度を維持できれば、十分に放流水質を維持することができるため、必要以上に高い溶存酸素濃度を維持することは、曝気風量とそれに伴う電力を浪費していることになる。このようにフィードバック制御が十分に調整されていないと、放流水質を悪化させるリスクと電力浪費に関わるコスト増加を引き起こすことになる。
一方、図4の右側(実線部)には、目標値SVをラインL1で示す1[mg/L]に維持して適切な制御パラメータを調整した場合の溶存酸素濃度の変化の一例を示す。制御パラメータが十分に調整されると、溶存酸素濃度を0.8[mg/L]~1.2[mg/L]程度の変動に抑えることができるため、放流水質悪化のリスクを抑制することができる。
さらに、溶存酸素濃度の変動を抑えることができる制御状態では、目標値SVを低下させることも可能となり、電力コスト増加も抑制することが可能となる。例えば図4の右側(破線部)に、目標値SVをラインL2で示す0.5[mg/L]まで低下させた場合の溶存酸素濃度の変化の一例を示す。この例では、目標値SVを0.5[mg/L]まで低下させても、溶存酸素濃度が0[mg/L]になることは無く、放流水質悪化リスクを回避することができ、かつ、目標値SVを低下させると、曝気に必要な電力消費を低減することができる。
このように、制御パラメータを十分に調整すると、目標値SVの自由度を向上させることができる。この結果、制御結果が悪化するリスクを回避しながら電力コストを低減することも可能となる場合がある。
本実施形態の制御パラメータ調整装置11において、制御性能診断機能部114は、監視データから得られる入力信号および基準出力信号から算出される条件数や相関係数、偏相関係数、分散拡大係数を適切度の指標として用いて、適切度が所定の条件を満たすか否かにより、監視データが制御パラメータ導出に用いるために不十分であるか判断することができ、制御パラメータを十分に調整することが可能であって、目標値SVの自由度を向上させることができる。
すなわち、本実施形態によれば、運用中の監視制御システムの監視データから制御性能の劣化を診断することにより、制御パラメータを調整すべき適切なタイミングを検知する制御性能診断装置、制御パラメータ調整装置、制御パラメータ調整方法およびコンピュータプログラムを提供することができる。
また、本実施形態の制御性能診断装置、制御パラメータ調整装置、制御パラメータ調整方法およびコンピュータプログラムによれば、監視データから得られる入力信号および出力信号がパラメータ導出に十分かどうかを、監視データから得られる指標(適切度)に基づいて判断することで、不適切な制御パラメータの導出を回避することが可能である。
なお、上述の実施形態において、制御パラメータ調整装置11は、監視データが制御パラメータを導出するのに十分でない場合に、例えば、オペレータに通知するといった制御性能の劣化に対する対策を行ってもよい。
なお、上述の実施形態において、制御パラメータ調整装置11は、監視データが制御パラメータを導出するのに十分でない場合に、例えば、オペレータに通知するといった制御性能の劣化に対する対策を行ってもよい。
図5は、第1実施形態に係る制御パラメータ調整装置の他の動作例を説明するためのフローチャートである。
この場合、制御性能診断機能部114は、信号蓄積データベース113から取得した監視データを用いて制御性能を算出し、制御性能が閾値を下回っているか(劣化しているか)判断して制御性能を評価する(ステップSB1)。
この場合、制御性能診断機能部114は、信号蓄積データベース113から取得した監視データを用いて制御性能を算出し、制御性能が閾値を下回っているか(劣化しているか)判断して制御性能を評価する(ステップSB1)。
制御性能診断機能部114は、制御性能が劣化していると判断した場合、制御性能劣化をユーザ(例えば調整員)に通知する(ステップSB2)。続いて、制御性能診断機能部114は、適切度を用いて、制御性能劣化時のデータが制御パラメータの導出に十分であるか否かを判断する(ステップSB3)。
制御性能診断機能部114は、制御性能劣化時の監視データに制御パラメータの算出に十分な情報が含まれていると判断したときには、制御パラメータを調整する調整トリガ(第1トリガ)を制御パラメータ調整機能部115および端末装置17へ出力する。
制御性能診断機能部114は、制御性能劣化時の監視データに制御パラメータの算出に十分な情報が含まれていないと判断したときには、データが制御パラメータ導出に不十分であることを調整員に通知する(ステップSB4)。
制御パラメータ調整機能部115は、制御性能診断機能部114から制御パラメータを調整する調整トリガ(第1トリガ)を取得したときに、信号蓄積データベース113から取得した監視データを用いて制御パラメータを算出する。制御パラメータ調整機能部115は、算出した制御パラメータを端末装置17へ出力する(ステップSB5)。
例えば、調整員14を必要としない完全に自動化されているシステムでない場合、制御性能が劣化している状態かつ、制御パラメータの導出が困難なときに、上述の判断指標によって制御パラメータ導出に十分な情報を含む監視データが得られていない状況を調整員に通知すると、例えば、制御パラメータを導出しやすくなるように運用条件を可能な範囲で変更するといった対策を調整員14が柔軟に検討することができる。
すなわち、図5に示す動作を行う制御パラメータ調整装置、その制御パラメータ調整方法およびコンピュータプログラムによれば、運用中の監視制御システムの監視データから制御性能の劣化を診断することにより、制御パラメータを調整すべき適切なタイミングを検知することができる。また、図5に示す動作を行う制御パラメータ調整装置、その制御パラメータ調整方法およびコンピュータプログラムによれば、監視データから得られる入力信号および出力信号がパラメータ導出に十分かどうかを、監視データから得られる指標(適切度)に基づいて判断することで、不適切な制御パラメータの導出を回避することが可能であるとともに、調整員による制御パラメータの導出を補助する対策を支援することができる。
次に、第2実施形態の制御性能診断装置、制御パラメータ調整装置、制御パラメータ調整方法およびコンピュータプログラムについて図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において上述の第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の制御パラメータ調整装置11は、制御パラメータ調整機能部115の構成が上述の第1実施形態と異なっている。
なお、以下の説明において上述の第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の制御パラメータ調整装置11は、制御パラメータ調整機能部115の構成が上述の第1実施形態と異なっている。
上述の第1実施形態では、制御パラメータ調整装置11は制御パラメータの導出に使用する監視データが適切であるかを判断することができるが、監視データが適切でない状態が継続した場合、制御パラメータを導出できない状態が継続してしまう。そこで、本実施形態の制御パラメータ調整装置11では、対象プロセス12の先見情報を用いて制御パラメータが導出できない状態を部分的に回避している。
上述のパラメータ導出問題において、制御パラメータ調整装置11は、導出されるパラメータについて先見情報を有している場合がある。例えば、コントローラ13におけるフィードバック制御がPI制御であり、その制御パラメータである比例ゲインと積分ゲインとの2つのパラメータを調整することを考える。
(3)式中のθ1が比例ゲイン、θ2が積分ゲインであったとしたとき、θ1/θ2は積分時間と呼ばれ、2つのパラメータの関係性を示すパラメータとして一般に知られている。θ1、θ2、θ1/θ2はPI制御に関わる3つのパラメータであるが、これらのパラメータには関係性があるため、本質的にPI制御で求めなければいけないパラメータは2つである。例えば、θ1、θ2が求まれば、積分時間θ1/θ2は自ずと求めることができ、θ1とθ1/θ2が求まれば、自ずとθ2を求めることができる。これらのパラメータは制御パラメータの調整に際して意味づけがされていることがあり、先見情報を用いることができれば、制御パラメータを導出できない状態を回避できることがある。
例えば、積分時間θ1/θ2は対象プロセス12の時定数T程度に調整すればよいことが知られている。そのため、対象プロセス12の季節変化や運転モード切替、動作点の変更などに応じて、特定の制御パラメータでは制御性能が劣化し、制御パラメータを調整しなければならない場合でも、時定数Tは対象プロセスの変化に依らず変化しないといった先見情報があれば、制御パラメータを導出できない状態を回避できる。なぜなら、第1実施形態で示した相関係数といった指標で、比例ゲインθ1は適切な制御パラメータとして導出できるが、相関係数ρX2Yが0に近く、積分ゲインθ2が不適切な制御パラメータとなる可能性がある場合は、積分時間θ1/θ2≒Tの関係を用いて、積分ゲインθ2=θ1/(θ1/θ2)≒θ1/Tとして、比例ゲインθ1を既知の時定数Tで割ることで求められる。
他にも比例ゲインθ1はプロセスのゲインKに反比例させると良好な調整が得られるといったことも知られており、このような知見と対象プロセス12の先見情報とを組み合わせれば、第1実施形態で示したような指標によって制御パラメータの一部が不適切な制御パラメータになる場合でも、適切度を用いて不適切な制御パラメータを判別し、先見情報として予め設定されたパラメータ間の関係式により補完を行うことで制御パラメータを導出することができる。
図6は、第2実施形態に係る制御パラメータ調整装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
この場合、制御性能診断機能部114は、信号蓄積データベース113から取得した監視データを用いて制御性能を算出し、制御性能が閾値を下回っているか(劣化しているか)判断して制御性能を評価する(ステップSC1)。
この場合、制御性能診断機能部114は、信号蓄積データベース113から取得した監視データを用いて制御性能を算出し、制御性能が閾値を下回っているか(劣化しているか)判断して制御性能を評価する(ステップSC1)。
制御性能診断機能部114は、制御性能が劣化していると判断した場合、制御性能劣化をユーザ(例えば調整員)に通知する(ステップSC2)。続いて、制御性能診断機能部114は、適切度を用いて、制御性能劣化時のデータが制御パラメータの導出に十分であるか否かを判断する(ステップSC3)。
制御性能診断機能部114は、制御性能劣化時の監視データに制御パラメータの算出に十分な情報が含まれていると判断したときには、監視データを用いて制御パラメータを調整する調整トリガ(第1トリガ)を制御パラメータ調整機能部115および端末装置17へ出力する。
制御性能診断機能部114は、制御性能劣化時の監視データに制御パラメータの算出に十分な情報が含まれていないと判断したときには、監視データおよび先見情報を用いて制御パラメータを調整する調整トリガ(第2トリガ)を制御パラメータ調整機能部115および端末装置17へ出力する。
制御パラメータ調整機能部115は、制御性能診断機能部114から、監視データを用いて制御パラメータを調整する調整トリガ(第1トリガ)を取得したときに、信号蓄積データベース113から取得した監視データを用いて制御パラメータを算出する。制御パラメータ調整機能部115は、算出した制御パラメータを端末装置17へ出力する(ステップSC6)。
制御パラメータ調整機能部115は、制御性能診断機能部114から、監視データおよび先見情報を用いて制御パラメータを調整する調整トリガ(第2トリガ)を取得したときに、信号蓄積データベース113から取得した監視データを用いて制御パラメータを算出し(ステップSC4)、先見情報を用いて算出した制御パラメータを修正する。制御パラメータ調整機能部115は、算出した制御パラメータを端末装置17へ出力する(ステップSC5)。
以上のように、本実施形態の制御パラメータ調整装置11では、制御パラメータに関する先見情報による補完を実施することで、制御パラメータの一部が不適切な制御パラメータになる可能性がある場合でも、制御パラメータを導出することができる。
すなわち、本実施形態によれば、運用中の監視制御システムの監視データから制御性能の劣化を診断することにより、制御パラメータを調整すべき適切なタイミングを検知する制御性能診断装置、制御パラメータ調整装置、制御パラメータ調整方法およびコンピュータプログラムを提供することができる。
また、本実施形態の制御性能診断装置、制御パラメータ調整装置、制御パラメータ調整方法およびコンピュータプログラムによれば、監視データから得られる入力信号および出力信号がパラメータ導出に十分かどうかを、監視データから得られる指標(適切度)に基づいて判断することで、不適切な制御パラメータの導出を回避することが可能である。
なお、本実施形態の制御パラメータ調整装置において、例えば、制御性能診断機能部114において相関係数等を適切度の指標として監視データが制御パラメータ導出に十分な情報を含むか否か判断した場合は、先見情報により修正しないで制御パラメータを算出した場合と修正した場合とではパラメータ算出の処理が異なるため、相関係数を適切度の指標として判断していること、および、先見情報により修正された制御パラメータであるか否かを調整員14に通知することで、調整員14は算出された制御パラメータの処理の詳細を把握するようにしてもよい。
次に、第3実施形態の制御性能診断装置、制御パラメータ調整装置、制御パラメータ調整方法およびコンピュータプログラムについて図面を参照して詳細に説明する。
図7は、第3実施形態に係る制御パラメータ調整装置の利用環境の一例を概略的に示す図である。
本実施形態の制御パラメータ調整装置11は、算出パラメータ履歴データベース116を備えている点において、上述の第1実施形態および第2実施形態と相違している。
図7は、第3実施形態に係る制御パラメータ調整装置の利用環境の一例を概略的に示す図である。
本実施形態の制御パラメータ調整装置11は、算出パラメータ履歴データベース116を備えている点において、上述の第1実施形態および第2実施形態と相違している。
算出パラメータ履歴データベース116には、制御パラメータ調整機能部115により算出された過去の制御パラメータの値が蓄積されている。算出パラメータ履歴データベース116には、例えば、制御性能が劣化しているか否かに関わらず、制御パラメータの値と算出した時刻のタイムスタンプとが関連付けられていてもよい。この場合、制御パラメータ調整機能部115は、制御性能が劣化していない状態でも(制御性能判定に関わらず)、監視データが制御パラメータを算出するために十分な情報を含んでいる場合(適切度が所定の条件を満たす場合)に、定期的に制御パラメータを算出し、算出パラメータ履歴データベース116に記録してもよい。
また、算出パラメータ履歴データベース116には、制御性能診断機能部114において制御性能が劣化した状態で、劣化時の監視データは制御パラメータの導出に不十分である(適切度が所定の条件を満たさない)と判断されたときに、先見情報により補完せずに算出された値が少なくとも蓄積されればよく、先見情報により補完して修正された制御パラメータの値が更に蓄積されてもよい。また、算出パラメータ履歴データベース116において、制御パラメータの値と、制御性能値と、先見情報により補完された値であるか否かを識別する識別子とが関連付けられて記憶されていてもよい。なお、算出パラメータ履歴データベース116は、制御パラメータ調整装置11の外部の構成であっても構わない。例えば、制御パラメータ調整装置11は、ネットワークを介して算出パラメータ履歴データベース116にアクセス可能に構成され得る。
制御パラメータ調整機能部115は、例えば、制御性能が劣化した状態で、劣化時の監視データは制御パラメータの導出に不十分(適切度が所定の条件を満たさない)、かつ先見情報で補完して制御パラメータを修正できない場合に、算出パラメータ履歴データベース116に蓄積された過去の制御パラメータの値の中から取得した値を、調整後の制御パラメータとして出力することができる。
図8は、第3実施形態に係る制御パラメータ調整装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
本実施形態では、制御性能が劣化した状態で、劣化時の監視データは制御パラメータの導出に不十分(適切度が所定の条件を満たさない)、かつ先見情報で補完して制御パラメータを修正できない場合に、算出パラメータ履歴データベース116から過去の制御パラメータを取得し、調整するパラメータとして出力している。
本実施形態では、制御性能が劣化した状態で、劣化時の監視データは制御パラメータの導出に不十分(適切度が所定の条件を満たさない)、かつ先見情報で補完して制御パラメータを修正できない場合に、算出パラメータ履歴データベース116から過去の制御パラメータを取得し、調整するパラメータとして出力している。
制御性能劣化時のみに制御パラメータを蓄積するのでは、蓄積される制御パラメータが少なくなる場合が想定されるため、本実施形態の制御パラメータ調整装置11は、予め制御性能が劣化しない状態でも、制御パラメータを算出するのに十分な(適切度が所定の条件を満たす)監視データが揃っていれば、制御性能の判定とは別に定期的に制御パラメータを算出し、算出パラメータ履歴データベース116に記録している。
制御性能診断機能部114は、時間Tが閾値より大きくなるまで時間Tを加算し(ステップSD2)、時間Tが閾値より大きくなると(ステップSD1)、時間Tを0とする(ステップSD3)。なお、この後、制御性能診断機能部114は時間Tのカウントを再び開始する。時間Tの閾値(定期的な制御パラメータ算出周期)は、対象プロセスに依存するが、プロセスの状態が発生する頻度に基づいて時単位や日単位、月単位という具合に設定しておけばよい。ここでは、制御性能診断機能部114が時間をカウントするものとしたが、これに限定されず、予め設定された時刻、曜日、年月日に、下記ステップSD4を行うものとしてもよい。
続いて制御性能診断機能部114は、適切度を用いて、信号蓄積データベース113から取得した現在(例えばステップSD4実行時点)の監視データが制御パラメータ導出に用いる十分な情報を含んでいるか否か判断する(ステップSD4)。
現在の監視データが制御パラメータ導出に十分な情報を含んでいない(適切度が所定の条件を満たさない)場合、制御性能診断機能部114は処理を終了する。現在の監視データが制御パラメータ導出に十分な情報を含んでいる(適切度が所定の条件を満たす)場合、制御性能診断機能部114は、調整トリガ(第1トリガ)を制御パラメータ調整機能部115へ出力する。
制御パラメータ調整機能部115は、調整トリガ(第1トリガ)を受けると、信号蓄積データベース113から得られる現在の監視データを用いて、調整する制御パラメータを算出し、算出した値をタイムスタンプと関連付けて算出パラメータ履歴データベース116へ記録する(ステップSD5)。
図9は、第3実施形態に係る制御パラメータ調整装置の他の動作例を説明するためのフローチャートである。
制御性能診断機能部114は、信号蓄積データベース113から取得した監視データを用いて制御性能を算出し、制御性能が閾値を下回っているか(劣化しているか)判断して制御性能を評価する(ステップSD6)。
制御性能診断機能部114は、信号蓄積データベース113から取得した監視データを用いて制御性能を算出し、制御性能が閾値を下回っているか(劣化しているか)判断して制御性能を評価する(ステップSD6)。
制御性能診断機能部114は、制御性能が劣化していると判断した場合、制御性能劣化をユーザ(例えば調整員)に通知する(ステップSD7)。続いて、制御性能診断機能部114は、適切度を用いて、制御性能劣化時の監視データが制御パラメータの導出に十分であるか否かを判断する(ステップSD8)。
制御性能診断機能部114は、制御性能劣化時の監視データに制御パラメータの算出に十分な情報が含まれている(適切度が所定の条件を満たす)と判断したときには、監視データを用いて制御パラメータを調整する調整トリガ(第1トリガ)を制御パラメータ調整機能部115および端末装置17へ出力する。
制御性能診断機能部114は、制御性能劣化時の監視データに制御パラメータの算出に十分な情報が含まれていない(適切度が所定の条件を満たさない)と判断したときには、監視データおよび先見情報を用いて制御パラメータを調整する調整トリガ(第2トリガ)を制御パラメータ調整機能部115および端末装置17へ出力する。
制御パラメータ調整機能部115は、制御性能診断機能部114から、監視データを用いて制御パラメータを調整する調整トリガ(第1トリガ)を取得したときに、信号蓄積データベース113から取得した監視データを用いて制御パラメータを算出する(ステップSD13)。制御パラメータ調整機能部115は、算出した制御パラメータを端末装置17へ出力するとともに、タイムスタンプと関連付けて算出パラメータ履歴データベース116に記録する(ステップSD14)。
制御パラメータ調整機能部115は、制御性能診断機能部114から、監視データおよび先見情報を用いて制御パラメータを調整する調整トリガ(第2トリガ)を取得したときに、信号蓄積データベース113から取得した監視データを用いて制御パラメータを算出する(ステップSD9)。制御パラメータ調整機能部115は、先見情報によって制御パラメータを補完可能か否か判断する(ステップSD10)。
先見情報により制御パラメータを補完可能である場合に、制御パラメータ調整機能部115は、先見情報を用いて算出した制御パラメータを修正する(ステップSD12)。制御パラメータ調整機能部115は、算出した制御パラメータを端末装置17へ出力するとともに、算出した制御パラメータを端末装置17へ出力するとともに、タイムスタンプと関連付けて算出パラメータ履歴データベース116に記録する(ステップSD14)。
先見情報により制御パラメータを補完できない場合、制御パラメータ調整機能部115は、算出パラメータ履歴データベース116から制御パラメータを取得する(ステップSD11)。制御パラメータ調整機能部115は、取得した制御パラメータを端末装置17へ出力するとともに、タイムスタンプと関連付けて算出パラメータ履歴データベース116に記録する(ステップSD14)。
なお、制御パラメータ調整機能部115が算出パラメータ履歴データベース116に蓄積された制御パラメータの値の中から適切な値を取得する方法は、種々の方法の中から選択することができる。
なお、制御パラメータ調整機能部115が算出パラメータ履歴データベース116に蓄積された制御パラメータの値の中から適切な値を取得する方法は、種々の方法の中から選択することができる。
例えば、制御パラメータ調整機能部115は、現在から時系列として最も近い時点(最新の)の制御パラメータを選択してもよい。上記のように、算出パラメータ履歴データベース116に算出した時刻のタイムスタンプと制御パラメータの値とを関連付けて記録しすることにより、制御パラメータ調整機能部115は最新の制御パラメータの値を取得することができる。
また、制御パラメータ調整機能部115は、例えば、現在の対象プロセス12の状態と類似している過去の状態で算出された制御パラメータを取得するようにしてもよい。対象プロセス12の状態の類似を判断する指標としては、センサ計測値や運転モード、装置の動作点といったものが完全に一致している、もしくは、同一の範囲内にある、それらの指標をベクトルとして考えて、ユークリッド距離やコサイン類似度といった類似度の概念を用いることができる。対象プロセス12の状態の類似を判断する際には、監視データの中で制御パラメータの算出に用いるデータとは別のデータの類似を判断してもよい。この場合、これらの判断指標の値は、制御パラメータと関連付けて算出パラメータ履歴データベース116に記録されている。このようにすることで、制御パラメータ調整機能部115は、制御性能劣化時に制御パラメータを出力できない場合に、算出パラメータ履歴データベース116から過去の類似のプロセス状態の制御パラメータを取得することで制御パラメータを出力・調整することが可能となる。
以上のように、本実施形態の制御性能診断装置、制御パラメータ調整装置、制御パラメータ調整方法およびコンピュータプログラムによれば、上述の第1実施形態および第2実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、制御性能劣化時に制御パラメータを出力できない場合に、算出パラメータ履歴データベース116に蓄積した制御パラメータを活用することで、制御パラメータを導出できない状態を回避することができる。
次に、第4実施形態の制御性能診断装置、制御パラメータ調整装置、制御パラメータ調整方法およびコンピュータプログラムについて図面を参照して詳細に説明する。
上述の第1乃至第3実施形態では、制御パラメータ調整装置11は、制御パラメータの算出に入力信号Xおよび出力信号Yといった、フィードバック制御に関わる時系列信号のデータ(時系列データ)を用いており、制御パラメータ算出時の時点から、過去一定期間のデータ列を用いて制御パラメータを算出していた。これらの方法はデータ列を一括して制御パラメータを算出するため、一括処理形式のパラメータ算出法と呼ばれる。
上述の第1乃至第3実施形態では、制御パラメータ調整装置11は、制御パラメータの算出に入力信号Xおよび出力信号Yといった、フィードバック制御に関わる時系列信号のデータ(時系列データ)を用いており、制御パラメータ算出時の時点から、過去一定期間のデータ列を用いて制御パラメータを算出していた。これらの方法はデータ列を一括して制御パラメータを算出するため、一括処理形式のパラメータ算出法と呼ばれる。
本実施形態の制御パラメータ調整装置11では、オンラインで取得される信号に対して逐次的に制御パラメータを算出する逐次処理形式のパラメータ算出方法を採用している点において、上述の第1乃至第3実施形態の制御パラメータ調整装置11と相違している。
逐次処理形式の制御パラメータ算出方法は、制御パラメータを直接算出するのではなく、算出する制御パラメータの変化量を算出し、パラメータを更新する。同じモデルや問題のパラメータを求める場合でも、一括処理形式の処理として演算する方法を考えることもできるし、逐次処理形式の処理として演算する方法を考えることもできる。例えば、通常の最小二乗法も同じ問題に対して、一括処理形式の演算を逐次処理形式の演算に書き換えられることが知られている。
上述の第3実施形態では、制御パラメータ調整装置11は、制御性能が劣化していない状態であっても制御パラメータを算出しておき、不適切な制御パラメータを算出されづらい状態で求めた最新の制御パラメータを取得する例を示した。これに対し、逐次処理形式の処理として制御パラメータを算出する場合は、制御パラメータ調整装置11は、算出したパラメータにより、逐次、算出パラメータ履歴データベース116を更新するため、算出された最新の制御パラメータが保持される。制御パラメータ調整装置11は、制御性能が劣化した際に、最新の更新パラメータを出力すればよい。
図10は、第4実施形態に係る制御パラメータ調整装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
制御性能診断機能部114は、適切度を用いて、現在の監視データが制御パラメータ導出のための十分な情報を含んでいるか否かを判断する(ステップSE1)。
制御性能診断機能部114は、適切度を用いて、現在の監視データが制御パラメータ導出のための十分な情報を含んでいるか否かを判断する(ステップSE1)。
現在の監視データが制御パラメータ導出のための十分な情報を含んでいる(適切度が所定の条件を満たす)場合、制御性能診断機能部114は、算出パラメータ履歴データベース116を更新するための更新トリガ(図示せず)を制御パラメータ調整機能部115へ出力する。
制御パラメータ調整機能部115は、更新トリガを受けると、現在の監視データを用いて調整する制御パラメータを算出し、算出パラメータ履歴データベース116に記録された値をオンラインで更新する(ステップSE2)。
制御パラメータ調整機能部115は、更新トリガを受けると、現在の監視データを用いて調整する制御パラメータを算出し、算出パラメータ履歴データベース116に記録された値をオンラインで更新する(ステップSE2)。
現在の監視データが制御パラメータ導出のための十分なデータを含んでいない(適切度が所定の条件を満たさない)と判断された後、および、算出パラメータ履歴データベース116に記録された値が更新された後に、制御性能診断機能部114は制御性能の値を算出し、算出した制御性能が閾値を下回って(劣化して)いるか否か判断して、制御性能を評価する(ステップSE3)。
制御性能が閾値を下回っているときには、制御性能診断機能部114は、制御性能の値を端末装置17へ出力してユーザ(例えば調整員14)に通知し(ステップSE4)、調整トリガ(第3トリガ)を制御パラメータ調整機能部115へ出力する。
制御パラメータ調整機能部115は、調整トリガ(第3トリガ)を受けると、算出パラメータ履歴データベース116に記録された制御パラメータの値を端末装置17へ出力し(ステップSE5)、処理を終了する。
制御性能が閾値以上であるときには、制御性能診断機能部114はそのまま処理を終了する。したがって、制御性能が閾値以上である場合には、制御パラメータ調整装置11は制御パラメータを端末装置17へ出力しない。
制御性能が閾値以上であるときには、制御性能診断機能部114はそのまま処理を終了する。したがって、制御性能が閾値以上である場合には、制御パラメータ調整装置11は制御パラメータを端末装置17へ出力しない。
上記のように、本実施形態の制御パラメータ調整装置11では、不適切な制御パラメータを導出する可能性がある監視データが入力された場合、制御パラメータの更新をせず、制御パラメータが不適切な方向に更新されるのを防いでいる。制御性能診断機能部114は、上記監視データが十分な情報を含んでいるか否かの判断に上述の第1実施形態において説明した判断指標(適切度)を利用することができる。
なお、逐次処理形式でパラメータを更新していく場合、算出された制御パラメータの変化量が求められる。このため、例えば、制御性能診断機能部114は、算出された制御パラメータの変化量が極端に大きい場合に、不適切な制御パラメータに更新される可能性が高いといった補助的な判断をしてもよい。例えば、制御性能診断機能部114は、上記補助的な判断により不適切な制御パラメータに更新される可能性が所定期間継続した場合に、制御パラメータの更新を止めてもよい。
以上のように、逐次処理形式のパラメータ算出法と第1実施形態で説明した判断指標による判断を併用することで、より単純な構造で不適切な制御パラメータが算出されるのを回避することができる。
すなわち、本実施形態の制御性能診断装置、制御パラメータ調整装置、制御パラメータ調整方法およびコンピュータプログラムによれば、上述の第1乃至第3実施形態と同様の効果が得られるとともに、逐次処理形式の制御パラメータ算出法を採用した制御パラメータ調整装置11において、不適切な制御パラメータを導出する可能性がある監視データが入力された場合、制御パラメータが不適切な方向に更新されるのを防ぐことができ、信頼性の高い調整後の制御パラメータを出力することができる。
すなわち、本実施形態の制御性能診断装置、制御パラメータ調整装置、制御パラメータ調整方法およびコンピュータプログラムによれば、上述の第1乃至第3実施形態と同様の効果が得られるとともに、逐次処理形式の制御パラメータ算出法を採用した制御パラメータ調整装置11において、不適切な制御パラメータを導出する可能性がある監視データが入力された場合、制御パラメータが不適切な方向に更新されるのを防ぐことができ、信頼性の高い調整後の制御パラメータを出力することができる。
次に、第5実施形態の制御性能診断装置、制御パラメータ調整装置、制御パラメータ調整方法およびコンピュータプログラムについて図面を参照して詳細に説明する。
上述のように、制御パラメータ調整装置11は、例えば(1)式に示すような制御性能値を指標として劣化を診断することができる。例えば、(1)式の制御性能指標を用いていた場合、制御性能値を算出する際に不適切な値が算出される原因としては、達成可能な最小分散σMV 2が不適切な値となることが考えられる。最小分散σMV 2自体が対象プロセス12の状態に応じて変化するため、(1)式において達成可能な最小分散σMV 2を求めるためには、制御性能診断機能部114は、例えば対象プロセス12のモデルを制御パラメータの算出と同じようにパラメータ推定する処理を実施する。したがって、計測量PVの変化が小さいことが原因で、最小分散σMV 2の値が不適切な値となり、結果的に制御性能が不適切な値となる可能性がある。
上述のように、制御パラメータ調整装置11は、例えば(1)式に示すような制御性能値を指標として劣化を診断することができる。例えば、(1)式の制御性能指標を用いていた場合、制御性能値を算出する際に不適切な値が算出される原因としては、達成可能な最小分散σMV 2が不適切な値となることが考えられる。最小分散σMV 2自体が対象プロセス12の状態に応じて変化するため、(1)式において達成可能な最小分散σMV 2を求めるためには、制御性能診断機能部114は、例えば対象プロセス12のモデルを制御パラメータの算出と同じようにパラメータ推定する処理を実施する。したがって、計測量PVの変化が小さいことが原因で、最小分散σMV 2の値が不適切な値となり、結果的に制御性能が不適切な値となる可能性がある。
そこで、本実施形態の制御パラメータ調整装置11は、不適切な制御性能値の算出を回避する制御性能診断装置を含む。制御性能診断装置は、制御性能診断機能部114を少なくとも含む。
図11は、第5実施形態に係る制御パラメータ調整装置の利用環境の一例を概略的に示す図である。
本実施形態の制御パラメータ調整装置11は、制御性能算出用データベース117を更に備えている。
本実施形態の制御パラメータ調整装置11は、制御性能算出用データベース117を更に備えている。
制御性能算出用データベース117には、過去に達成した制御の状態(ポテンシャル情報)が記録されている。すなわち、例えば(1)式の制御性能指標を用いていた場合、制御性能診断機能部114は、達成可能な最小分散σMV
2をパラメータ推定によって得られたモデルから算出するが、実際に監視データの計測量PVから達成された分散の最小値として、算出した達成可能な最小分散σMV
2を制御性能算出用データベース117に記録・蓄積しておく。
対象プロセス12を運用する過程で、過去の計測量PVの分散最小値よりも小さい分散を達成できた場合は、制御性能診断機能部114は、制御性能算出用データベース117に記録された分散σMV
2の最小値を更新していく。
対象プロセス12の季節変化や運転モード切替、動作点の変更などの条件に応じて、達成可能な分散σMV
2の傾向が異なる場合には、それらの条件毎に、達成された分散σMV
2の最小値とその条件とが関連付けられて、制御性能算出用データベース117に記録される。なお、制御性能算出用データベース117は、制御性能診断装置の外部の構成であっても構わない。例えば、制御パラメータ調整装置11の制御性能診断機能部114は、ネットワークを介して制御性能算出用データベース117にアクセス可能に構成され得る。
制御性能診断機能部114は、制御性能算出用データベース117に記録された分散σMV
2の最小値をポテンシャル情報として参照することができ、例えば、制御性能算出用データベース117に記録された値と、算出された制御性能値とが所定の閾値以上異なる場合など、過去に達成した制御の状態と現在の制御の状態とを比較することで、不適切な制御性能値の算出を回避することができる。その結果、本実施形態の制御パラメータ調整装置11は、制御性能診断装置における適切な制御性能値による判断に基づいて、制御パラメータを調整することができる。
本実施形態の制御性能診断装置は、上述の第1乃至第4実施形態の制御パラメータ調整装置11に適用可能である。したがって、本実施形態の制御性能診断装置、制御性能診断装置、制御パラメータ調整装置、制御パラメータ調整方法およびコンピュータプログラムによれば、上述の第1乃至第4実施形態と同様の効果が得られる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
11…制御パラメータ調整装置、12…対象プロセス、13…コントローラ、14…調整員、15…通信ネットワーク、17…端末装置、113…信号蓄積データベース、114…制御性能診断機能部、115…制御パラメータ調整機能部、116…算出パラメータ履歴データベース、117…制御性能算出用データベース
Claims (11)
- 対象プロセスの操作量のフィードバック制御に関わる時系列データから算出される指標を用いて前記フィードバック制御の性能を評価するとともに、前記フィードバック制御の性能が低下しているときの前記時系列データを用いて、前記時系列データが制御パラメータを算出するための十分な情報を含んでいるかを示す適切度を算出する制御性能診断機能部と、
少なくとも前記適切度が所定の条件を満たすときに、前記時系列データを用いて前記フィードバック制御の調整すべき前記制御パラメータを算出する制御パラメータ調整機能部と、を備える制御パラメータ調整装置。 - 前記適切度は、前記時系列データから算出される条件数、相関係数、偏相関係数、又は、分散拡大係数である、請求項1記載の制御パラメータ調整装置。
- 前記制御性能診断機能部は、前記適切度が前記所定の条件を満たさないときに、前記適切度をユーザに通知する、請求項2記載の制御パラメータ調整装置。
- 前記制御パラメータ調整機能部は、前記適切度が前記所定の条件を満たさないときに、前記対象プロセスの先見情報として予め設定した前記パラメータ間の関係式を用いることで前記パラメータを算出する、請求項1記載の制御パラメータ調整装置。
- 前記制御パラメータ調整機能部は、前記先見情報を用いて前記パラメータを算出したことをユーザに通知する、請求項4記載の制御パラメータ調整装置。
- 前記制御パラメータ調整機能部は、前記適切度が前記所定の条件を満たさないときに、過去に算出された前記パラメータが記録されるデータベースに蓄積された値の中から選択した値を出力する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の制御パラメータ調整装置。
- 対象プロセスの操作量のフィードバック制御に関わる時系列データから算出される指標を用いて前記フィードバック制御の性能を評価するとともに、前記フィードバック制御の性能が低下しているときの前記時系列データを用いて、前記時系列データが制御パラメータを算出するための十分な情報を含んでいるかを示す適切度を算出する制御性能診断機能部と、
前記適切度が所定の条件を満たすときに、前記時系列データをもとに前記フィードバック制御の調整すべき前記制御パラメータを逐次処理によって更新し、前記適切度が前記所定の条件を満たさないときに前記制御パラメータを更新しない制御パラメータ調整機能部と、を備える制御パラメータ調整装置。 - 前記制御性能診断機能部は、達成可能な前記フィードバック制御の性能に関わるポテンシャル情報を用いて、前記フィードバック制御の性能を評価する、請求項1記載の制御パラメータ調整装置。
- 対象プロセスの操作量のフィードバック制御に関わる時系列データから算出される指標と、達成可能な前記フィードバック制御の性能に関わるポテンシャル情報とを用いて、前記フィードバック制御の性能を評価する制御性能診断機能部を備える制御性能診断装置。
- 対象プロセスの操作量のフィードバック制御に関わる時系列データから算出される指標を用いて前記フィードバック制御の性能を評価し、
前記フィードバック制御の性能が低下しているときの前記時系列データを用いて、前記時系列データが制御パラメータを算出するための十分な情報を含んでいるかを示す適切度を算出し、
少なくとも前記適切度が所定の条件を満たすときに、前記時系列データを用いて前記フィードバック制御の調整すべき前記制御パラメータを算出する、制御パラメータ調整方法。 - コンピュータに、請求項10に記載の方法を実行させるコンピュータプログラム。
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JP2022112648A JP2024011001A (ja) | 2022-07-13 | 2022-07-13 | 制御性能診断装置、制御パラメータ調整装置、制御パラメータ調整方法およびコンピュータプログラム |
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