JP2024010825A - アウター端子付き同軸ケーブル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】同軸ケーブルにおける編組とアウター端子との接続箇所で伝送特性が低下することを抑制する。【解決手段】アウター端子付き同軸ケーブル5は、通信用の同軸ケーブル2の端末にアウター端子3が取り付けられたものである。アウター端子3の編組加締め部32は、一対の加締め片32bの先端同士が対向した状態で同軸ケーブル2の編組23が露出した部分を加締めている。また、一対の加締め片32bの先端側と編組23とが溶融接合されて接合部4が形成されている。接合部4の形成範囲は、同軸ケーブル2の径方向においては、編組23の厚み方向の中間までであって誘電体22には及んでいない。また、接合部4の形成範囲は、同軸ケーブル2の軸方向においては、一対の加締め片32bの幅方向全長に亘っている。【選択図】図1
Description
本発明は、同軸ケーブルの端末にアウター端子が取り付けられたアウター端子付き同軸ケーブル及びその製造方法に関するものである。
同軸ケーブルの端末にアウター端子が取り付けられたものとして、例えば図7,8に示すものが公知である(特許文献1を参照)。図7は、従来のコネクタ付き同軸ケーブルの斜視図である。図8は、図7のコネクタ付き同軸ケーブルの分解図である。
図7,8に示す同軸ケーブルWは、中心導体Waと、絶縁体(誘電体)Wbと、シールド編組Wdと、シースWeと、で構成されている。同軸ケーブルWの端末は、シースWeが剥ぎ取られてシールド編組Wdが露出している。
図7,8に示すシールドコネクタ200は、中心導体Waと接続された導体接続部221を備えたインナー端子220と、インナー端子220を収容した誘電体210と、誘電体210の後端に装着された金属体230と、アウター端子240と、を備えている。
アウター端子240は、誘電体210及び金属体230を収容した本体筒部240Aと、シールド編組Wdの露出部分を加締めた編組加締め部240Bと、シースWeを加締めたシース加締め部240Eと、を備えている。編組加締め部240Bは、一対の加締め片の先端同士が突き合わされるようにシールド編組Wdを加締めている。シース加締め部240Eも同様に、一対の加締め片の先端同士が突き合わされるようにシースWeを加締めている。
上記従来技術においては、図9~11に示すように編組加締め部240Bの加締め工程を行う。まず、図9に示すように断面U字状の編組加締め部240Bに同軸ケーブルWの端末をセットする。そして、この編組加締め部240Bを図10に示すアンビル501及びクリンパ502で加締める。この際、スプリングバックを見込んで編組加締め部240Bを過剰に加締める必要があった。この結果、加締め後の同軸ケーブルWの絶縁体Wbが図11に示すように断面楕円形状に潰れた状態となり、伝送経路のインピーダンスが不整合となって伝送性能が低下してしまうという問題があった。
そこで、本発明は、同軸ケーブルにおける編組とアウター端子との接続箇所で伝送特性が低下するのを抑制することを目的とする。
本発明は、中心導体が、誘電体、編組、シースで覆われた同軸ケーブルと、前記同軸ケーブルの端末に取り付けられたアウター端子と、を備え、前記同軸ケーブルの端末は、前記シースが剥ぎ取られて前記編組が露出しており、前記アウター端子は、前記編組の露出部分を加締めた編組加締め部を備え、前記編組加締め部は、基部と、該基部の両側から延びた一対の加締め片と、を備え、前記一対の加締め片の先端同士が対向した状態で前記編組を加締めており、前記一対の加締め片の先端側と前記編組とが溶融接合されて接合部が形成されていることを特徴とするアウター端子付き同軸ケーブルである。
本発明は、上記アウター端子付き同軸ケーブルの製造方法であって、前記編組加締め部の前記基部に前記同軸ケーブルの前記編組の露出部分を重ね、前記一対の加締め片をその先端同士が間隔をあけて対向した状態に加締める加締め工程と、前記一対の加締め片をその先端同士が近付く方向に加圧しながら、前記一対の加締め片の先端側と前記編組とを溶融接合して前記接合部を形成する接合部形成工程と、を順次有することを特徴とするものである。
本発明によれば、同軸ケーブルにおける編組とアウター端子との接続箇所で伝送特性が低下することを抑制できる。
本発明の一実施形態にかかる「アウター端子付き同軸ケーブル」及び「アウター端子付き同軸ケーブルの製造方法」について、図1~6を参照して説明する。
図1に示すアウター端子付き同軸ケーブル5は、通信用の同軸ケーブル2の端末にアウター端子3が取り付けられたものである。このアウター端子付き同軸ケーブル5は、後述するインナー端子6及び絶縁体7が取り付けられることでコネクタ付き同軸ケーブル1となる。
同軸ケーブル2は、図2に示すように、中心導体21が、誘電体22、編組23、シース24で覆われたものである。中心導体21は、断面が円形状である。中心導体21を覆った誘電体22は、絶縁性の合成樹脂を発泡成形した発泡体で構成されており、断面が円筒形状である。誘電体22を覆った編組23は、複数の導電性素線が編みこまれて円筒状に形成されたものである。編組23を覆ったシース24は、絶縁性の合成樹脂で構成されており、断面が円筒形状である。この同軸ケーブル2の端末は、シース24が剥ぎ取られて編組23が露出している。
アウター端子3は、導電性金属板にプレス加工等が施されて形成されており、筒部31と、同軸ケーブル2の編組23の露出部分を加締めた編組加締め部32と、同軸ケーブル2のシース24で覆われた部分を加締めたシース加締め部33と、を備えている。
筒部31は、図1に示すように、中心導体21と接続されたインナー端子6と、絶縁体7と、を収容している。絶縁体7は、インナー端子6と筒部31との間に介在してこれらを絶縁した部品である。
編組加締め部32は、図2,3に示すように、基部32aと、該基部32aの両側から帯状に延びた一対の加締め片32bと、を備えている。編組加締め部32は、一対の加締め片32bの先端同士が対向した状態で編組23を加締めている。また、一対の加締め片32bの先端側と編組23とが溶融接合され、一対の加締め片32bと編組23の接触界面が溶融一体化して接合部4が形成されている。接合部4の形成範囲は、同軸ケーブル2の径方向においては、編組23の厚み方向の中間までであって誘電体22には及んでいない。また、接合部4の形成範囲は、同軸ケーブル2の軸方向においては、一対の加締め片32bの幅方向全長に亘っている。
シース加締め部33は、図2に示すように、基部33aと、該基部33aの両側から帯状に延びた一対の加締め片33bと、を備えている。シース加締め部33は、一対の加締め片33bの先端同士が突き合わされるようにシース24を加締めている。
続いて、上記アウター端子付き同軸ケーブル5の製造方法を説明する。まず、図4に示すように断面U字状の編組加締め部32の基部32aに同軸ケーブル2の編組23の露出部分を重ねる。次に、この編組加締め部32を図5に示すアンビル501及びクリンパ502で加締める。この際、一対の加締め片32bをその先端同士が間隔gをあけて対向した状態に加締めるとともに編組23と誘電体22が非圧縮状態となるように加締める(加締め工程)。
このように編組23及び誘電体22が非圧縮状態で加締め片32bの先端同士が間隔gをあけた状態となるために、加締め工程前の状態で編組加締め部32の内周長とアウター端子3の板厚との和が編組23の外周長よりも大きくなるよう、各部位の寸法が設定されている。
次に、編組加締め部32が取り付けられた同軸ケーブル2をアンビル501とクリンパ502の間から取り出して、図6に示すように、一対の加圧治具503間にセットする。次に、一対の加圧治具503によって一対の加締め片32bをその先端同士が近付く方向に加圧しながら、一対の加締め片32bの先端側と編組23とを溶融接合して接合部4を形成する。また、溶融接合は、一対の加締め片32bの先端側にレーザー光を当てることによって行う(接合部形成工程)。
このようにして同軸ケーブル2の編組23の露出部分に編組加締め部32を接続する。そして、同軸ケーブル2のシースで覆われた部分をシース加締め部33で加締める。これもアンビル及びクリンパを用いて行う。これらを経てアウター端子付き同軸ケーブル5が得られる。
上記工程を経て得られたアウター端子付き同軸ケーブル5は、図3に示すように、編組加締め部32が編組23を周方向に均等な圧力で圧縮している(図3中の矢印は圧力を表している)。よって、編組加締め部32の内側の誘電体22は、断面の輪郭が真円に近くなり、インピーダンス不整合が起こり難くなっている。また、接合部4を形成することで加締め工程時に編組加締め部32のスプリングバックを見込む必要がないので、編組加締め部32の内側の誘電体22の変形が抑制されて真円に近くなり、インピーダンス不整合が起こり難くなっている。上記接合部形成工程を経た状態で、編組加締め部32の内側の編組23の圧縮率は10%以下である。
また、上記工程を経て得られたアウター端子付き同軸ケーブル5は、接合部4が形成されているので、導通信頼性が高く、引張強度も高い。さらに、この接合部4は、必要最小限の範囲に形成されており、誘電体22には及んでいないので、熱影響を最小限にでき、インピーダンス不整合が起こり難くなっている。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
1 コネクタ付き同軸ケーブル
2 同軸ケーブル
3 アウター端子
4 接合部
5 アウター端子付き同軸ケーブル
21 中心導体
22 誘電体
23 編組
24 シース
32 編組加締め部
32a 基部
32b 加締め片
2 同軸ケーブル
3 アウター端子
4 接合部
5 アウター端子付き同軸ケーブル
21 中心導体
22 誘電体
23 編組
24 シース
32 編組加締め部
32a 基部
32b 加締め片
Claims (5)
- 中心導体が、誘電体、編組、シースで覆われた同軸ケーブルと、
前記同軸ケーブルの端末に取り付けられたアウター端子と、を備え、
前記同軸ケーブルの端末は、前記シースが剥ぎ取られて前記編組が露出しており、
前記アウター端子は、前記編組の露出部分を加締めた編組加締め部を備え、
前記編組加締め部は、基部と、該基部の両側から延びた一対の加締め片と、を備え、前記一対の加締め片の先端同士が対向した状態で前記編組を加締めており、
前記一対の加締め片の先端側と前記編組とが溶融接合されて接合部が形成されている
ことを特徴とするアウター端子付き同軸ケーブル。 - 前記接合部の形成範囲が前記編組の厚み方向の中間までであって前記誘電体には及んでいない
ことを特徴とする請求項1に記載のアウター端子付き同軸ケーブル。 - 請求項1に記載のアウター端子付き同軸ケーブルの製造方法であって、
前記編組加締め部の前記基部に前記同軸ケーブルの前記編組の露出部分を重ね、前記一対の加締め片をその先端同士が間隔をあけて対向した状態に加締める加締め工程と、
前記一対の加締め片をその先端同士が近付く方向に加圧しながら、前記一対の加締め片の先端側と前記編組とを溶融接合して前記接合部を形成する接合部形成工程と、
を順次有することを特徴とするアウター端子付き同軸ケーブルの製造方法。 - 前記加締め工程においては、前記編組と前記誘電体が非圧縮状態となるように前記編組加締め部を加締める
ことを特徴とする請求項3に記載のアウター端子付き同軸ケーブルの製造方法。 - 前記接合部形成工程を経た前記編組の圧縮率が10%以下である
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のアウター端子付き同軸ケーブルの製造方法。
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