JP2024008631A - 餃子及びその製造方法 - Google Patents

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萌恵 大沢
Moe Osawa
隆博 伊藤
Takahiro Ito
晋也 前津
Shinya Maetsu
洋平 井上
Yohei Inoue
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Abstract

【課題】中具と麺皮のはがれの発生が抑えられた優れた外観を有する餃子、中具と麺皮とが密着し、具詰まりが向上した優れた食感を有する餃子、並びに、それらの製造方法等の提供。【解決手段】中具、及び当該中具の少なくとも一部を被覆する麺皮を、少なくとも有し、前記中具の表面の少なくとも一部及び前記麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンが付着し、かつ前記中具の表面の少なくとも一部と前記麺皮の内表面の少なくとも一部とが、前記油脂加工デンプンを介して接触している、餃子。【選択図】なし

Description

本発明は、餃子及びその製造方法に関し、詳細には、食感及び/又は外観が向上した餃子及びその製造方法に関する。また、本発明は、餃子の食感向上方法、餃子の外観向上方法、並びに、餃子の食感及び/又は外観の向上に好適に用いられる粉粒体にも関する。
餃子は、中具(一般に「餡」又は「フィリング」等ともいう)を麺皮(一般に、単に「皮」等ともいう)で被覆する等して作製され、中具と麺皮は通常、密着している。しかし、餃子を製造時に蒸し加熱等の加熱処理に供したり、凍結状態の餃子(冷凍餃子)を家庭等において加熱解凍したりした際、麺皮が中具からはがれて、中具と麺皮との間に隙間が空くことがある。中具と麺皮との間に隙間が空いた餃子は、見栄えが良くないばかりか、そのような中具と麺皮が密着していない餃子は、喫食したときの中具が詰まっている感覚(具詰まり)が低下し、食べ応えを感じられないという問題も生じる。
一方、麺皮類を用いた包餡食品(餃子等)について、モチモチ感や透明性を所望の状態に保ちつつ、工業的な生産における作業性も向上させることを目的として、麺皮類に油脂加工デンプンを使用することが提案されている(特許文献1)。
また、餃子等の中華点心類について、加熱調理後に長時間経過したり、凍結後に解凍したりしても、外皮部と中具とが作りたての食感を維持することを目的として、中具と外皮部との間にトランスグルタミナーゼが作用したタンパク質の接着層を形成することが提案されている(特許文献2)。
また、ワンタン付即席めんについて、食味の向上を目的として、蒸し上げためん線に天然グアーガム又はα化デンプンの溶液を噴霧した後、当該めん線にえびワンタンを密着させ、油ちょう処理することが提案されている(特許文献3)。
また、焼き餃子について、調理後に長時間経過しても焼き面が焼きたてのパリパリとした食感を維持することを目的として、餃子製造の際に、ハイアミロースデンプンを含有するコーティング材を、餃子外皮部及びその周辺部に塗布することが提案されている(特許文献4)。
しかし、特許文献1~4のいずれにおいても、餃子の中具と麺皮のはがれの発生を抑えることや、中具と麺皮とを密着させ、餃子の具詰まりを向上させることは、全く検討されていない。
特開2019-115319号公報 特開2002-10760号公報 特開昭62-151151号公報 特開2002-306140号公報
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、中具と麺皮のはがれの発生が抑えられた優れた外観を有する餃子、中具と麺皮とが密着し、具詰まりが向上した優れた食感を有する餃子、並びに、それらの製造方法等を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決するべく鋭意検討した結果、餃子の中具の表面の少なくとも一部及び麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを付着させ、当該油脂加工デンプンを介して、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とを接触させることにより、中具と麺皮のはがれの発生が抑えられること、また、中具と麺皮とが密着し、具詰まりが向上することを見出し、更に研究を重ねることによって、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]中具、及び当該中具の少なくとも一部を被覆する麺皮を、少なくとも有し、
前記中具の表面の少なくとも一部及び前記麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンが付着し、かつ
前記中具の表面の少なくとも一部と前記麺皮の内表面の少なくとも一部とが、前記油脂加工デンプンを介して接触している、餃子。
[2]前記中具が、タンパク質含有素材を含有する、[1]記載の餃子。
[3]前記中具のタンパク含量が、1重量%以上である、[2]記載の餃子。
[4]前記麺皮が、デンプン含有素材を含有する、[1]~[3]のいずれか一つに記載の餃子。
[5]前記油脂加工デンプンにおける油脂の含有量が、油脂加工デンプンに対して0.005~1重量%である、[1]~[4]のいずれか一つに記載の餃子。
[6]前記油脂加工デンプンの起源デンプンのアミロース含量が、10%以上である、[1]~[5]のいずれか一つに記載の餃子。
[7]前記麺皮の内表面における油脂加工デンプンの付着量が、麺皮の内表面の単位面積当たり0.0001~0.05g/cmである、[1]~[6]のいずれか一つに記載の餃子。
[8]前記中具が、食肉及び野菜を含有し、
中具における食肉の含有量と野菜の含有量の重量比(食肉:野菜)が、9:1~1:9である、[1]~[7]のいずれか一つに記載の餃子。
[9]加熱済み餃子である、[1]~[8]のいずれか一つに記載の餃子。
[10]中具、及び当該中具の少なくとも一部を被覆する麺皮を、少なくとも有する餃子の製造方法であって、
前記中具の表面の少なくとも一部及び/又は前記麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを付着させること、並びに、
前記中具の表面の少なくとも一部と前記麺皮の内表面の少なくとも一部とを、前記油脂加工デンプンを介して接触させること
を含む、製造方法。
[11]前記中具が、タンパク質含有素材を含有する、[10]記載の製造方法。
[12]前記中具のタンパク含量が、1重量%以上である、[11]記載の製造方法。
[13]前記麺皮が、デンプン含有素材を含有する、[10]~[12]のいずれか一つに記載の製造方法。
[14]前記油脂加工デンプンにおける油脂の含有量が、油脂加工デンプンに対して0.005~1重量%である、[10]~[13]のいずれか一つに記載の製造方法。
[15]前記油脂加工デンプンの起源デンプンのアミロース含量が、10%以上である、[10]~[14]のいずれか一つに記載の製造方法。
[16]前記麺皮の内表面における油脂加工デンプンの付着量が、麺皮の内表面の単位面積当たり0.0001~0.05g/cmである、[10]~[15]のいずれか一つに記載の製造方法。
[17]前記中具が、食肉及び野菜を含有し、
中具における食肉の含有量と野菜の含有量の重量比(食肉:野菜)が、9:1~1:9である、[10]~[16]のいずれか一つに記載の製造方法。
[18]前記餃子を加熱することを含む、[10]~[17]のいずれか一つに記載の製造方法。
[19]中具、及び当該中具の少なくとも一部を被覆する麺皮を、少なくとも有する餃子の食感向上方法であって、
前記中具の表面の少なくとも一部及び/又は前記麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを付着させること、並びに、
前記中具の表面の少なくとも一部と前記麺皮の内表面の少なくとも一部とを、前記油脂加工デンプンを介して接触させること
を含む、方法。
[20]前記中具が、タンパク質含有素材を含有する、[19]記載の方法。
[21]前記中具のタンパク含量が、1重量%以上である、[20]記載の方法。
[22]前記麺皮が、デンプン含有素材を含有する、[19]~[21]のいずれか一つに記載の方法。
[23]前記油脂加工デンプンにおける油脂の含有量が、油脂加工デンプンに対して0.005~1重量%である、[19]~[22]のいずれか一つに記載の方法。
[24]前記油脂加工デンプンの起源デンプンのアミロース含量が、10%以上である、[19]~[23]のいずれか一つに記載の方法。
[25]前記麺皮の内表面における油脂加工デンプンの付着量が、麺皮の内表面の単位面積当たり0.0001~0.05g/cmである、[19]~[24]のいずれか一つに記載の方法。
[26]前記中具が、食肉及び野菜を含有し、
中具における食肉の含有量と野菜の含有量の重量比(食肉:野菜)が、9:1~1:9である、[19]~[25]のいずれか一つに記載の製造方法。
[27]前記餃子を加熱することを含む、[19]~[26]のいずれか一つに記載の方法。
[28]餃子の食感向上が、餃子の具詰まり向上である、[19]~[27]のいずれか一つに記載の方法。
[29]中具、及び当該中具の少なくとも一部を被覆する麺皮を、少なくとも有する餃子の外観向上方法であって、
前記中具の表面の少なくとも一部及び/又は前記麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを付着させること、並びに、
前記中具の表面の少なくとも一部と前記麺皮の内表面の少なくとも一部とを、前記油脂加工デンプンを介して接触させること
を含む、方法。
[30]前記中具が、タンパク質含有素材を含有する、[29]記載の方法。
[31]前記中具のタンパク含量が、1重量%以上である、[30]記載の方法。
[32]前記麺皮が、デンプン含有素材を含有する、[29]~[31]のいずれか一つに記載の方法。
[33]前記油脂加工デンプンにおける油脂の含有量が、油脂加工デンプンに対して0.005~1重量%である、[29]~[32]のいずれか一つに記載の方法。
[34]前記油脂加工デンプンの起源デンプンのアミロース含量が、10%以上である、[29]~[33]のいずれか一つに記載の方法。
[35]前記麺皮の内表面における油脂加工デンプンの付着量が、麺皮の内表面の単位面積当たり0.0001~0.05g/cmである、[29]~[34]のいずれか一つに記載の方法。
[36]前記中具が、食肉及び野菜を含有し、
中具における食肉の含有量と野菜の含有量の重量比(食肉:野菜)が、9:1~1:9である、[29]~[35]のいずれか一つに記載の製造方法。
[37]前記餃子を加熱することを含む、[29]~[36]のいずれか一つに記載の方法。
[38]餃子の外観向上が、餃子の中具と麺皮のはがれの抑制である、[29]~[37]のいずれか一つに記載の方法。
[39]油脂加工デンプンを含有する粉粒体であって、
中具、及び当該中具の少なくとも一部を被覆する麺皮を、少なくとも有する餃子の、当該中具の表面の少なくとも一部及び/又は当該麺皮の内表面の少なくとも一部に付着させるための、粉粒体。
[40]前記中具が、タンパク質含有素材を含有する、[39]記載の粉粒体。
[41]前記中具のタンパク含量が、1重量%以上である、[40]記載の粉粒体。
[42]前記麺皮が、デンプン含有素材を含有する、[39]~[41]のいずれか一つに記載の粉粒体。
[43]前記油脂加工デンプンにおける油脂の含有量が、油脂加工デンプンに対して0.005~1重量%である、[39]~[42]のいずれか一つに記載の粉粒体。
[44]前記油脂加工デンプンの起源デンプンのアミロース含量が、10%以上である、[39]~[43]のいずれか一つに記載の粉粒体。
[45]前記麺皮の内表面における油脂加工デンプンの付着量が、麺皮の内表面の単位面積当たり0.0001~0.05g/cmである、[39]~[44]のいずれか一つに記載の粉粒体。
[46]前記中具が、食肉及び野菜を含有し、
中具における食肉の含有量と野菜の含有量の重量比(食肉:野菜)が、9:1~1:9である、[39]~[45]のいずれか一つに記載の粉粒体。
[47]前記餃子が、加熱されるものである、[39]~[46]のいずれか一つに記載の粉粒体。
[48]餃子の食感及び/又は外観の向上用である、[39]~[47]のいずれか一つに記載の粉粒体。
[49]餃子の食感の向上が、餃子の具詰まりの向上である、[48]記載の粉粒体。
[50]餃子の外観の向上が、餃子の中具と麺皮のはがれの抑制である、[48]又は[49]記載の粉粒体。
本発明によれば、中具と麺皮とが密着し、具詰まりが向上した優れた食感を有する餃子及びその製造方法が提供される。また、中具と麺皮のはがれの発生が抑えられた優れた外観を有する餃子及びその製造方法も提供される。
本発明は、餃子の食感向上方法も提供する。当該方法によれば、中具と麺皮とが密着し、餃子の具詰まりが向上し得る。
本発明は、餃子の外観向上方法も提供する。当該方法によれば、中具と麺皮のはがれの発生を抑え得る。
本発明は、餃子の食感及び/又は外観の向上に好適に用いられる粉粒体も提供する。当該粉粒体を用いて得られうる餃子は、中具と麺皮のはがれの発生が抑えられた優れた外観、及び/又は、中具と麺皮とが密着し、具詰まりが向上した優れた食感を有し得る。
図1は、三日月形の餃子の断面を示す概念図である。図中の円Aは、円B内の構造を拡大して示している。
本発明の餃子は、中具の表面の少なくとも一部及び麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンが付着し、当該油脂加工デンプンを介して、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とが接触していることを、特徴の一つとする。
本発明における「餃子」は、中具(一般に「餡」又は「フィリング」等ともいう)、及び当該中具の少なくとも一部を被覆する麺皮(一般に、単に「皮」等ともいう)を、少なくとも有するものであれば、餃子の形状や製造方法等は特に制限されない。例えば、餃子の形状については、三日月形、半月形、扇形、棒状等が一般に知られているが、本発明の餃子の形状は、本発明の目的を損なわない限り、これらのいずれかの形状であってよく、又は他の形状であってもよい。また、一般に餃子は、その加熱方法によって、焼き餃子、水餃子、蒸し餃子、揚げ餃子等に分類され得るが、本発明の餃子の種類は、本発明の目的を損なわない限り、これらのいずれかであってよく、又は他の種類であってもよい。本発明において「焼き餃子」とは、餃子のうち、その加熱方法に焼き加熱を少なくとも含むものをいう。本発明において「水餃子」とは、餃子のうち、その加熱方法に茹で加熱(ボイル加熱)を含むものをいい、「茹で餃子」とも称される。本発明において「蒸し餃子」とは、その加熱方法に蒸し加熱を含むものをいう。本発明において「揚げ餃子」とは、その加熱方法に、揚げ加熱(油ちょう加熱、フライ加熱)を含むものをいう。餃子の加熱方法は、複数の種類の方法が組み合わされてよく、例えば、焼き加熱及び蒸し加熱を施されて製造された餃子は、「焼き餃子」及び「蒸し餃子」のどちらにも分類され得る。
本発明の餃子の典型的な構造を、三日月形の餃子を一例として、図1を用いて説明する。図1は、三日月形の餃子1の断面を示す概念図である。ここで、図1中の円Aは、円B内の構造を拡大して示すものである。図1において、中具2は、麺皮3に被覆されており、中具2の表面及び麺皮3の内表面に油脂加工デンプン4が付着しており、中具2の表面と麺皮3の内表面とが油脂加工デンプン4を介して接触している。尚、図1は、本発明の餃子の典型的な構造を説明するためのものであって、後述するように、麺皮による中具の被覆の態様、中具の表面及び麺皮の内表面への油脂加工デンプンの付着の態様、中具の表面と麺皮の内表面との接触の態様等は、いずれも図1に示されるものに限定されない。また、図1は概念図であるから、餃子、中具、麺皮及び油脂加工デンプンの形状、形態、サイズ、縮尺等が実際とは異なる場合がある。
本発明において「油脂加工デンプン」とは、デンプン粒子の表面の少なくとも一部に油脂を付着させ、物性を変化させた食品素材である。本発明において用いられる油脂加工デンプンの製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造されたものを用い得るが、例えば、油脂加工デンプンは、原料のデンプンに油脂を添加して混合し、必要に応じて乾燥処理、熟成処理(所定の温度で保管する処理)を施すこと等によって製造できる。
本明細書中、油脂加工デンプンの原料として用いられるデンプンを「原料デンプン」と称する場合がある。
油脂加工デンプンの原料として用いられるデンプン(原料デンプン)は、加工処理(物理的処理、化学的処理、酵素的処理)を施されていない未変性のデンプン(本明細書において「生デンプン」とも称する)であってよく、又は、油脂加工以外の加工処理が施された加工デンプンであってもよい。ここで「加工デンプン」とは、物理的処理、化学的処理及び酵素的処理からなる群より選択される少なくとも一つの加工処理を施されたデンプンをいい、物理的処理(酸処理、アルカリ処理、漂白処理等の加水分解程度の簡単な化学的処理を含む)を施されたデンプンの具体例としては、湿熱処理デンプン、酸処理デンプン、アルカリ処理デンプン、漂白デンプン等が挙げられ、化学的処理を施されたデンプンの具体例としては、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム等が挙げられ、酵素的処理を施されたデンプンの具体例としては、酵素処理デンプン等が挙げられる。油脂加工デンプンの原料デンプンは、一種を単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
油脂加工デンプンの原料デンプン(生デンプン、加工デンプン)の起源は特に制限されず、例えば、タピオカデンプン(キャッサバデンプンを含む)、とうもろこしデンプン(一般に「コーンスターチ」ともいい、例えば、デントコーンデンプン(デントコーンスターチ)、ハイアミロースコーンデンプン(ハイアミロースコーンスターチ)等を含む)、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン、米デンプン(ウルチ米デンプン)、小麦デンプン、サゴヤシデンプン、くずデンプン、緑豆デンプン、えんどう豆デンプン等が、原料デンプンの起源として用いられ得る。中でも、より優れた餃子の食感向上効果、外観向上効果が得られうることから、タピオカデンプン、デントコーンデンプン、馬鈴薯デンプンが好適に用いられ得る。
本明細書中、原料デンプンの起源となったデンプンを「起源デンプン」と称する場合がある。原料デンプンが生デンプンである場合、起源デンプンは、加工処理(物理的処理、化学的処理、酵素的処理)が施されることなくそのまま原料デンプンとして用いられ得る。また、原料デンプンが加工デンプンである場合、起源デンプンに、油脂加工以外の加工処理(物理的処理、化学的処理、酵素的処理)が施されたものが原料デンプンとして用いられ得る。
本発明において、起源デンプン(原料デンプンの起源となったデンプン)のアミロース含量は特に制限されないが、より優れた餃子の食感向上効果、外観向上効果が得られうることから、好ましくは10%以上であり、より好ましくは15%以上である。また、起源デンプンのアミロース含量は通常40%以下であり、好ましくは30%以下であり、より好ましくは26%以下である。
本発明において、デンプンのアミロース含量は、ヨウ素呈色比色法によって測定される。例として、デントコーンデンプン、ワキシーコーンデンプン、タピオカデンプン、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン、小麦デンプンのアミロース含量(「でん粉製品の知識」(第5版、株式会社 幸書房、2010年8月30日発行)から抜粋)を下表1に示すが、本発明における起源デンプンはこれらに限定されない。
本発明において、油脂加工デンプンの原料デンプンとして生デンプンが用いられる場合、より優れた餃子の食感向上効果、外観向上効果が得られうることから、タピオカデンプン、デントコーンデンプン、馬鈴薯デンプンが好適に用いられ得る。
また、本発明において、油脂加工デンプンの原料デンプンとして加工デンプンが用いられる場合、より優れた餃子の食感向上効果、外観向上効果が得られうることから、リン酸架橋デンプン(例、リン酸架橋タピオカデンプン、リン酸架橋デントコーンデンプン、リン酸架橋馬鈴薯デンプン等)、アセチル化アジピン酸架橋デンプン(例、アセチル化アジピン酸架橋タピオカデンプン、アセチル化アジピン酸架橋デントコーンデンプン、アセチル化アジピン酸架橋馬鈴薯デンプン等)、酢酸デンプン(例、酢酸タピオカデンプン、酢酸デントコーンデンプン、酢酸馬鈴薯デンプン等)、酸化デンプン(例、酸化タピオカデンプン、酸化デントコーンデンプン、酸化馬鈴薯デンプン等)、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン(例、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋タピオカデンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デントコーンデンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋馬鈴薯デンプン等)、アセチル化リン酸架橋デンプン(例、アセチル化リン酸架橋タピオカデンプン、アセチル化リン酸架橋デントコーンデンプン、アセチル化リン酸架橋馬鈴薯デンプン等)、アセチル化酸化デンプン(例、アセチル化酸化タピオカデンプン、アセチル化酸化デントコーンデンプン、アセチル化酸化馬鈴薯デンプン等)、湿熱処理デンプン(例、湿熱処理タピオカデンプン、湿熱処理デントコーンデンプン、湿熱処理馬鈴薯デンプン等)が好適に用いられ得る。
油脂加工デンプンの製造に用い得る油脂は、食品素材として用いられ得るもの(食用油脂)であれば特に制限されないが、例えば、菜種油、キャノーラ油、コーン油、大豆油、ごま油、米油、米糠油、米胚芽油、サフラワー油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、えごま油、アマニ油、オリーブ油、グレープシード油、綿実油等の食用植物油脂;牛脂、豚脂、鶏脂、羊脂、魚油、鯨油、乳脂等の食用動物油脂等が挙げられる。また、これらの油脂をエステル交換したエステル交換油や、これらの油脂に水素添加した硬化油等も用いることができる。油脂加工デンプンの製造に用いる油脂は、精製されたもの(例、サラダ油等)であってもよい。これらの油脂は、一種を単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
油脂加工デンプンの製造には、上述の原料デンプン及び油脂に加えて、乳化剤、酸化防止剤、pH調整剤等を更に用いてよく、すなわち、本発明において用いられる油脂加工デンプンは、乳化剤、酸化防止剤、pH調整剤等を含有するものであってよい。
本発明は、市販の油脂加工デンプンを用いてよい。
本発明において用いられる油脂加工デンプンにおける油脂の含有量は、油脂加工デンプンに対して、好ましくは0.005重量%以上であり、より好ましくは0.01重量%以上であり、特に好ましくは0.03重量%以上である。また、当該油脂加工デンプンにおける油脂の含有量は、油脂加工デンプンに対して、好ましくは1重量%以下であり、より好ましくは0.7重量%以下であり、特に好ましくは0.5重量%以下である。油脂加工デンプンにおける油脂の含有量が当該範囲内であることによって、本発明の餃子は、より優れた食感及び/又は外観を有し得る。
本発明において、油脂加工デンプンにおける油脂の含有量は、油脂加工デンプンの製造に用いられる油脂の重量と、油脂加工デンプンの製造に用いられる原材料の総重量(すなわち、油脂以外の原材料(例、原料デンプン等)に、油脂を加えた量)とから、下記式により算出し得る。
[油脂加工デンプンにおける油脂の含有量(重量%)]=[油脂加工デンプンの製造に用いられる油脂の重量]/[油脂加工デンプンの製造に用いられる原材料の総重量]×100
本発明において用いられる油脂加工デンプンの形態は特に制限されないが、一態様として、粉粒体であってよい。本発明において「粉粒体」とは、粉体、粒体、又はそれらの組み合わせのいずれかの形態をいう。ここで、「粉体」とは、粉末状ないし微粒状の比較的粒径の小さい粒子の集合体をいい、「粒体」とは、細粒状ないし顆粒状の比較的粒径の大きい粒子の集合体をいう。
本発明の餃子の「中具」とは、その少なくとも一部が麺皮により被覆されている(包まれている)具材をいう。
本発明の餃子の中具が含有し得る食品素材(すなわち、中具を構成し得る食品素材)は特に制限されず、餃子の中具に一般に使用され得る食品素材を適宜用い得るが、例えば、食肉、野菜、穀類(例、小麦粉等の穀物粉、パン粉、めん類、米、そば、とうもろこし等)、いも類(例、さつまいも、じゃがいも、さといも、やまのいも等)、豆類(例、大豆、いんげんまめ、そらまめ、おから、豆腐等)、海藻類(例、昆布、ひじき、わかめ、海苔等)、卵類(例、鶏卵(全卵、卵黄、卵白)、うずら卵等)、乳類(例、牛乳、クリーム、チーズ等)、果実類、キノコ類、調味料類(例、ウスターソース、オイスターソース、しょうゆ、食酢、だし、調味ソース、たれ、ドレッシング、みそ、ルウ、酒、みりん等)、食塩、甘味料類(例、砂糖、はちみつ、人工甘味料等)、香辛料類(例、こしょう、ナツメグ、ニンニク、生姜等)、デンプン(生デンプン、加工デンプン)、油脂類(例、食用植物油脂、食用動物油脂、バター、マーガリン、ショートニング等)、アミノ酸、ビタミン類、ミネラル類、エキス類、水、食品添加物(例、保存料、pH調整剤、香料、着色料、増粘多糖類等)等が挙げられる。これらの食品素材は、一種を単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の餃子の中具が含有し得る食肉は特に制限されないが、例えば、鳥獣肉、魚介類の肉、爬虫類の肉、両生類の肉等が挙げられる。鳥獣肉としては、例えば、畜肉(例、牛肉、豚肉、馬肉、めん羊肉、山羊肉、家兎肉等)、家禽肉(例、鶏肉、鴨肉、七面鳥肉、ダチョウ肉等)等が挙げられる。魚介類の肉としては、例えば、魚肉、貝類の肉、イカ肉、タコ肉、エビ肉、カニ肉、鯨肉等が挙げられる。爬虫類の肉としては、例えば、ワニ肉、ヘビ肉等が挙げられる。両生類の肉としては、例えば、カエル肉等が挙げられる。食肉は、可食部位であれば動物のどの部位の肉であってもよい。また、食肉には、動物の可食性の臓器及びその他の可食部分(例、心臓、肝臓、腎臓、肺臓、ひ臓、胃、腸、食道、耳、鼻、皮、舌、尾、横隔膜等)を用いてもよい。これらの食肉は、一種を単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の餃子の中具が含有し得る野菜は特に制限されないが、例えば、葉茎菜類(例、キャベツ、はくさい、ほうれんそう、レタス、ねぎ、たまねぎ、こまつな、アスパラガス、カリフラワー、ブロッコリー、ニラ等)、根菜類(例、だいこん、にんじん、ごぼう、れんこん等)、果菜類(例、きゅうり、かぼちゃ、なす、トマト、ピーマン等)等が挙げられる。これらの野菜は、一種を単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の餃子の中具は、一態様として、食肉及び野菜を含有するものであってよく、その場合、中具における食肉の含有量と野菜の含有量の重量比(食肉:野菜)は、より優れた餃子の食感向上効果、外観向上効果が得られうることから、好ましくは9:1~1:9であり、より好ましくは9:1~5:5であり、特に好ましくは9:1~7:3である。
本発明の餃子の中具は、タンパク質含有素材を含有することが好ましい。本発明において「タンパク質含有素材」とは、タンパク質を含有する食品素材をいう。タンパク質含有素材は動物由来及び植物由来のいずれであってもよく、例えば、上述の本発明の餃子の中具の作製に使用され得る食品素材のうち、食肉、卵類、乳類、野菜、穀類、いも類、豆類、海藻類、キノコ類が、タンパク質含有素材に該当し得るが、これらに限定されない。植物性タンパク、代替肉、グルテン等もタンパク質含有素材として使用され得る。
本発明の餃子の中具のタンパク含量は、より優れた餃子の食感向上効果、外観向上効果が得られうることから、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは3重量%以上であり、更に好ましくは8重量%以上であり、特に好ましくは12重量%以上である。また、本発明の餃子の中具のタンパク含量は、好ましくは30重量%以下であり、より好ましくは25重量%以下であり、特に好ましくは20重量%以下である。
本発明において、中具のタンパク含量は、下記式により算出される。
[中具のタンパク含量(重量%)]=[中具の原材料に含まれるタンパク質の総重量(g)]/[中具の総重量(g)]×100
ここで、中具の原材料に含まれるタンパク質の量は、「日本食品標準成分表2020年版(八訂)分析マニュアル」の「第1章 一般成分及び関連成分」における「2.たんぱく質」の「2-3.サリチル酸添加-マクロ改良ケルダール法」に記載の方法又はそれに準ずる方法により測定される。中具の原材料のうち、「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」に収載される食品素材は、食品素材に含まれるタンパク質の量の算出に、「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」に記載されている可食部100g当たりのタンパク質の量(g)を利用してもよい。
本発明の餃子の中具の製造方法は特に制限されず、本発明の餃子の中具は、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で作製し得る。例えば、本発明の餃子の中具は、原材料(例、食肉、野菜等)を、必要に応じてミンチにしたり、細断したりした上で、ミキサー等で混合すること等によって作製し得る。
本発明の餃子の「麺皮」とは、中具の少なくとも一部を被覆する、シート状の食品部材をいう。
本発明の餃子の麺皮は、デンプン含有素材を含有することが好ましい。本発明において「デンプン含有素材」とは、デンプンを含有する食品素材をいい、例えば、穀物粉(例、小麦粉、米粉、大麦粉、ライ麦粉、とうもろこし粉、大豆粉、えんどう豆粉、緑豆粉、そば粉、片栗粉、くず粉、タピオカ粉等)等の他、デンプン(生デンプン、加工デンプン)そのものも包含される。
本発明の餃子の麺皮に含有され得るデンプン(生デンプン、加工デンプン)の例としては、上述の油脂加工デンプンの原料デンプンの説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明の餃子の麺皮に含有され得る成分としては、デンプン含有素材(例、穀物粉、デンプン等)の他、例えば、植物性タンパク、グルテン、食塩、甘味料類、香辛料類、油脂類、卵類、乳類、調味料類、アミノ酸、ビタミン類、ミネラル類、エキス類、水、食品添加物等が挙げられるが、これらに制限されない。これらの成分は、一種を単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の餃子の麺皮がデンプン含有素材を含有する場合、デンプン含有素材が麺皮の原料に占める割合は、中具と麺皮の密着感がより向上し得ることから、麺皮の原料の総重量に対して、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは60重量%以上であり、特に好ましくは70重量%以上である。
本発明の餃子の麺皮は、デンプン含有素材として、油脂加工デンプンも含有し得るが、その場合、油脂加工デンプンが麺皮の原料に占める割合は、麺皮の原料の総重量に対して、好ましくは10重量%未満であり、より好ましくは5重量%以下であり、特に好ましくは1重量%以下である。本発明の餃子の麺皮は、油脂加工デンプンを実質的に含有しないものであってよい。ここで、麺皮が油脂加工デンプンを「実質的に含有しない」とは、(1)麺皮が油脂加工デンプンを全く含有しない場合、及び(2)麺皮が油脂加工デンプンを、麺皮の物性、食感に影響しない極少量(例えば、油脂加工デンプンが麺皮の原料に占める割合が、麺皮の原料の総重量に対して0.1重量%以下)で含有する場合のいずれかを意味する。
尚、本発明の餃子において、麺皮の内表面の少なくとも一部に付着している油脂加工デンプンは、麺皮に含有される油脂加工デンプンとは当然に区別され、上述の油脂加工デンプンが麺皮の原料に占める割合の計算に、麺皮の内表面の少なくとも一部に付着している油脂加工デンプンの量を含めないことは言うまでもない。
本発明の餃子の麺皮の製造方法は特に制限されず、本発明の餃子の麺皮は、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で作製し得る。例えば、本発明の餃子の麺皮は、デンプン含有素材(例、小麦粉、米粉等の穀物粉等)に水等を加えて混錬し、得られた生地を圧延機等でシート状に圧延成形して麺帯を得た後、当該麺帯を所望の形状に切断又は打ち抜くこと等によって作製し得る。本発明の餃子の麺皮の厚さは特に制限されないが、通常0.5~3mmである。
本発明の餃子において、麺皮による中具の被覆の態様は、麺皮が中具の少なくとも一部を被覆していれば特に制限されず、餃子の形状等に応じて、適宜調整してよい。
本発明の餃子において、油脂加工デンプンは、麺皮の内表面の少なくとも一部に付着していればよいが、麺皮の内表面のうち油脂加工デンプンが付着している部分の面積は、麺皮の内表面の総面積に対して、好ましくは50%以上であり、より好ましくは70%以上であり、特に好ましくは90%以上である。一態様として、油脂加工デンプンは、麺皮の内表面の全面にわたって付着してよく、すなわち、麺皮の内表面のうち油脂加工デンプンが付着している部分の面積は、麺皮の内表面の総面積に対して100%であってよい。
本発明の餃子における麺皮の内表面に付着している油脂加工デンプンの量は特に制限されないが、中具と麺皮の密着感がより向上し得ることから、麺皮の内表面における油脂加工デンプンの付着量は、麺皮の内表面の単位面積当たり、好ましくは0.0001g/cm以上であり、より好ましくは0.0005g/cm以上であり、特に好ましくは0.0007g/cm以上である。また、餃子の成形性の観点から、麺皮の内表面における油脂加工デンプンの付着量は、麺皮の内表面の単位面積当たり、好ましくは0.05g/cm以下であり、より好ましくは0.025g/cm以下であり、特に好ましくは0.01g/cm以下である。
本発明において、麺皮の内表面における油脂加工デンプンの付着量は、下記式により算出される。
[麺皮の内表面における油脂加工デンプンの付着量(g/cm)]=[麺皮の内表面に付着している油脂加工デンプンの重量(g)]/[麺皮の内表面の総面積(cm)]
本発明の餃子において、油脂加工デンプンは、中具の表面の少なくとも一部に付着していればよいが、中具の表面のうち油脂加工デンプンが付着している部分の面積は、中具の表面の総面積に対して、好ましくは50%以上であり、より好ましくは70%以上であり、特に好ましくは90%以上である。一態様として、油脂加工デンプンは、中具の表面の全面にわたって付着してよく、すなわち、中具の表面のうち油脂加工デンプンが付着している部分の面積は、中具の表面の総面積に対して100%であってよい。
本発明の餃子における中具の表面に付着している油脂加工デンプンの量は特に制限されないが、中具と麺皮の密着感がより向上し得ることから、中具の表面における油脂加工デンプンの付着量は、中具の表面の単位面積当たり、好ましくは0.001g/cm以上であり、より好ましくは0.01g/cm以上であり、特に好ましくは0.02g/cm以上である。また、餃子の成形性及び食感の観点から、中具の表面における油脂加工デンプンの付着量は、中具の表面の単位面積当たり、好ましくは0.5g/cm以下であり、より好ましくは0.25g/cm以下であり、特に好ましくは0.1g/cm以下である。
本発明において、中具の表面における油脂加工デンプンの付着量は、下記式により算出される。
[中具の表面における油脂加工デンプンの付着量(g/cm)]=[中具の表面に付着している油脂加工デンプンの重量(g)]/[中具の表面の総面積(cm)]
本発明の餃子において、中具の表面と麺皮の内表面との接触の態様は、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とが、油脂加工デンプンを介して接触していれば特に制限されない。一態様として、本発明の餃子は、中具の表面の一部と麺皮の内表面の一部とが、油脂加工デンプンを介さず、直接に接触していてよい。また、本発明の餃子は、中具の表面の一部に、麺皮と接触していない部分があってよいし、麺皮の内表面の一部に、中具と接触していない部分があってもよい。
本発明の餃子の製造は自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行い得るが、本発明の餃子の製造方法は、中具の表面の少なくとも一部及び/又は麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを付着させる工程、並びに、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とを、油脂加工デンプンを介して接触させる工程を含むことが好ましい。
本発明の餃子の製造方法において、中具の表面の少なくとも一部及び/又は麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを付着させる方法は特に制限されないが、一態様として、油脂加工デンプンの形態が粉粒体である場合に、油脂加工デンプンを中具の表面に付着させる方法としては、例えば、麺皮に被覆される前の中具の表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを振りかけたり、まぶしたりすること等が挙げられる。また、油脂加工デンプンの形態が粉粒体である場合に、油脂加工デンプンを麺皮の内表面に付着させる方法としては、中具を被覆する前の麺皮の片面(内表面となる面)の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを振りかけたり、まぶしたりすること等が挙げられる。
本発明の餃子の製造方法において、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とを、油脂加工デンプンを介して接触させる方法は特に制限されないが、一態様として、油脂加工デンプンを、中具を被覆する前の麺皮の片面(内表面となる面)の少なくとも一部に付着させた場合、麺皮で中具を被覆する際等に、麺皮の油脂加工デンプンが付着した部分を、中具の表面の少なくとも一部に接触させること等によって行い得る。他の一態様として、油脂加工デンプンを、麺皮に被覆される前の中具の表面の少なくとも一部に付着させた場合、麺皮で中具を被覆する際等に、中具の油脂加工デンプンが付着した部分を、麺皮の片面(内表面となる面)の少なくとも一部に接触させること等によって行い得る。
本発明の餃子の製造方法において、麺皮で中具を被覆する方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行い得る。麺皮による中具の被覆(及び成形)は、包餡機、モルダー等の慣用の機器を使用して行ってよく、あるいは、機器を使用せずに人手で行ってもよい。ここで、麺皮で被覆される中具の量、中具を被覆するために用いられる麺皮の量は、それぞれ餃子のサイズ等に応じて適宜調整すればよく、特に制限されない。
本発明の餃子の製造方法は、中具の表面の少なくとも一部及び/又は麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを付着させる工程、並びに、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とを、油脂加工デンプンを介して接触させる工程に加えて、そのようにして得られた餃子(すなわち、中具の表面の少なくとも一部及び麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンが付着し、かつ、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とが、油脂加工デンプンを介して接触している、餃子)を加熱する工程を含むことが好ましい。いかなる理論にも拘泥するものでないが、加熱された油脂加工デンプンは糊化(α化)して電位を持ち、そのような電位を持つ油脂加工デンプンは、中具及び麺皮中の電位を持つ成分(タンパク質、デンプン等)を引きつけ得るため、中具と麺皮のはがれの発生が抑えられると考えられる。
本発明の餃子の製造方法が、餃子を加熱することを含む場合、その加熱方法は、油脂加工デンプンが糊化(α化)し得れば特に制限されず、例えば、焼き加熱(焼成加熱、炒め加熱)、蒸し加熱、茹で加熱(ボイル加熱、煮込み加熱)、揚げ加熱(油ちょう加熱、フライ加熱)、マイクロウェーブ加熱(レンジ加熱)、オーブン加熱、過熱水蒸気加熱及びこれらの二種以上の組み合わせ(例、蒸し焼き加熱等)等が挙げられる。加熱条件(例、加熱温度、加熱時間等)は特に制限されず、加熱方法等に応じて適宜調整し得るが、加熱温度は通常60~300℃、好ましくは90~250℃であり、加熱時間は通常5~15分間、好ましくは7~11分間である。尚、加熱された餃子において、油脂加工デンプンが糊化(α化)しているが、中具や麺皮が喫食に適した状態になっていない場合は、必要に応じて加熱時間を適宜延長したり、別途加熱したりしてもよい。
本発明の餃子の製造方法が、餃子を加熱することを含む場合、餃子を加熱する時期は、中具の表面の少なくとも一部及び/又は麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを付着させる工程、並びに、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とを、油脂加工デンプンを介して接触させる工程を行った後であれば、特に制限されない。例えば、本発明の餃子の製造方法は、後述するように、餃子(中具の表面の少なくとも一部及び麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンが付着し、かつ、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とが、油脂加工デンプンを介して接触している、餃子)を凍結することを含んでよいが、その場合、餃子を加熱する時期は、餃子を凍結する前であってよく、あるいは、餃子を凍結し、これを加熱解凍(加熱調理)する際に、油脂加工デンプンが糊化(α化)するように加熱してもよい。また、凍結させた餃子を解凍した後で、別途、油脂加工デンプンが糊化(α化)するように加熱してもよい。
本発明の餃子の製造方法は、一態様として、上述の通り、餃子(中具の表面の少なくとも一部及び麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンが付着し、かつ、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とが、油脂加工デンプンを介して接触している、餃子)を加熱することを含んでよく、すなわち本発明の餃子は、一態様として、加熱済み餃子として提供され得る。ここで「加熱済み餃子」は、餃子の加熱方法(例、焼き加熱、蒸し加熱、茹で加熱、揚げ加熱等)により、例えば、焼き加熱済み餃子、蒸し加熱済み餃子、茹で加熱済み餃子、揚げ加熱済み餃子等に分類され得る。本明細書における「餃子」は、加熱済み餃子及び未加熱の餃子(一般に「生餃子」ともいう)の両方を包含する概念であり、特に断りのない限りこれらの両方又はいずれか一方を意味する。
本発明の餃子の製造方法は、中具の表面の少なくとも一部及び/又は麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを付着させる工程、並びに、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とを、油脂加工デンプンを介して接触させる工程に加えて、そのようにして得られた餃子(すなわち、中具の表面の少なくとも一部及び麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンが付着し、かつ、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とが、油脂加工デンプンを介して接触している、餃子)を凍結する工程を含んでよい。すなわち本発明の餃子は、一態様として、冷凍食品(冷凍餃子)として提供され得る。
本発明の餃子の製造方法が、餃子を凍結することを含む場合、その凍結方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行い得る。凍結条件(凍結温度等)も特に制限されず、適宜調整し得る。
本発明の餃子の製造方法が、餃子を凍結することを含む場合、餃子を凍結する時期は、中具の表面の少なくとも一部及び/又は麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを付着させる工程、並びに、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とを、油脂加工デンプンを介して接触させる工程を行った後であれば、特に制限されない。例えば、本発明の餃子の製造方法は、上述の通り、餃子(中具の表面の少なくとも一部及び麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンが付着し、かつ、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とが、油脂加工デンプンを介して接触している、餃子)を加熱することを含んでよいが、その場合、餃子を凍結する時期は、餃子を加熱した後であってよく、あるいは、餃子を加熱する前に凍結し、これを加熱解凍(加熱調理)する際に、油脂加工デンプンが糊化(α化)するように加熱してもよい。また、凍結させた餃子を解凍した後で、別途、油脂加工デンプンが糊化(α化)するように加熱してもよい。
本発明の餃子の製造方法が、餃子を凍結することを含む場合、凍結させた餃子の解凍方法(例、加熱解凍等)は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行い得る。例えば、凍結させた餃子の解凍は、解凍後の餃子が、喫食に適した状態になるように行ってよい。
本発明の餃子の製造方法は、本発明の目的を損なわない限り、中具の表面の少なくとも一部及び/又は麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを付着させる工程、並びに、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とを、油脂加工デンプンを介して接触させる工程に加えて、餃子の製造において行われ得る工程を更に含んでよい。
本発明の餃子は、中具と麺皮とが密着し、優れた食感を有し得る。具体的には、本発明の餃子は、具詰まりが向上した優れた食感を有し得る。ここで、「具詰まり」とは、餃子の中央部分を噛んだ時に顕著に感じられ得る、中具が詰まっている感覚をいう。具詰まりが向上した餃子は食べ応えが増し、好ましい。本発明において、餃子の食感(例、具詰まりの程度等)の評価は、例えば、専門パネルによる官能評価等によって行い得る。
本発明の餃子は、中具と麺皮のはがれの発生が抑えられた優れた外観を有し得る。本発明において、餃子の外観(例、中具と麺皮のはがれの有無、程度等)の評価は、例えば、専門パネルが目視で判定すること等によって行い得る。
本発明は、餃子の食感向上方法も提供する。また、本発明は、餃子の外観向上方法も提供する。
本明細書中、本発明の餃子の食感向上方法及び餃子の外観向上方法を、まとめて「本発明の方法」と称する場合がある。
本発明の方法が用いられる餃子が有する中具及び麺皮は、それぞれ上述の本発明の餃子が有する中具及び麺皮と同様のものであり、好ましい態様も同様である。
本発明の方法は、中具の表面の少なくとも一部及び/又は麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを付着させる工程、並びに、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とを、油脂加工デンプンを介して接触させる工程を含むことを、特徴の一つとする。
本発明の方法において用いられる油脂加工デンプンは、上述の本発明の餃子において用いられる油脂加工デンプンと同様のものであり、好ましい態様も同様である。
本発明の方法に含まれる、中具の表面の少なくとも一部及び/又は麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを付着させる工程、並びに、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とを、油脂加工デンプンを介して接触させる工程は、それぞれ上述の本発明の餃子の製造方法に含まれる各工程と同様に行うことができ、好ましい態様も同様である。
本発明の方法は、中具の表面の少なくとも一部及び/又は麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを付着させる工程、並びに、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とを、油脂加工デンプンを介して接触させる工程に加えて、そのようにして得られた餃子(すなわち、中具の表面の少なくとも一部及び麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンが付着し、かつ、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とが、油脂加工デンプンを介して接触している、餃子)を加熱する工程を含んでよい。
本発明の方法が、餃子を加熱することを含む場合、その加熱方法は、上述の本発明の餃子の製造方法が餃子を加熱することを含む場合の加熱方法と同様である。また、加熱条件及び餃子を加熱する時期も、それぞれ上述の本発明の餃子の製造方法と同様であり、好ましい態様も同様である。
本発明の餃子の食感向上方法によれば、中具と麺皮とが密着し、餃子の食感が向上し得る。具体的には、本発明の餃子の食感向上方法は、餃子の具詰まりを向上させ得る。したがって、本発明の餃子の食感向上方法は、好ましくは、餃子の具詰まり向上方法である。
本発明の餃子の外観向上方法は、中具と麺皮のはがれの発生を抑制して、餃子の外観を向上させ得る。したがって、本発明の餃子の外観向上方法は、好ましくは、餃子の中具と麺皮のはがれの抑制方法である。
本発明は、油脂加工デンプンを含有する粉粒体(本明細書中、「本発明の粉粒体」と称する場合がある)も提供する。
本発明の粉粒体が含有する油脂加工デンプンは、上述の本発明の餃子において用いられる油脂加工デンプンと同様のものであり、好ましい態様も同様である。
本発明の粉粒体は、油脂加工デンプンのみからなるものであってよいが、本発明の目的を損なわない限り、油脂加工デンプンに加えて、例えば、賦形剤(例、二酸化ケイ素、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、デキストリン、ステアリン酸カルシウム等)、pH調整剤、保存料、甘味料類(例、砂糖等)、香辛料類、香料、着色料等を更に含有してもよい。これらの成分の含有量は特に限定されないが、一態様として、本発明の粉粒体が賦形剤を含有する場合、賦形剤の含有量は、本発明の粉粒体の流動性が効果的に向上し得ることから、本発明の粉粒体に対して、好ましくは0.01~1重量%である。
本発明の粉粒体は、餃子の中具の表面の少なくとも一部及び/又は麺皮の内表面の少なくとも一部に付着させるために好適に用いられ得る。
本発明の粉粒体が用いられる餃子は、上述の本発明の餃子と同様のものであり、好ましい態様及び製造方法も同様である。
本発明の粉粒体を、餃子の中具の表面の少なくとも一部及び/又は麺皮の内表面の少なくとも一部に付着させる方法は、上述の本発明の餃子の製造方法において、中具の表面の少なくとも一部及び/又は麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを付着させる方法と同様に行い得る。
本発明の粉粒体を、餃子の中具の表面の少なくとも一部及び/又は麺皮の内表面の少なくとも一部に付着させた後、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とが、本発明の粉粒体を介して接触させられることが好ましい。中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とを、本発明の粉粒体を介して接触させる方法は、上述の本発明の餃子の製造方法において、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とを、油脂加工デンプンを介して接触させる方法と同様に行い得る。
本発明の粉粒体を、餃子の中具の表面の少なくとも一部及び/又は麺皮の内表面の少なくとも一部に付着させた後、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とを、本発明の粉粒体を介して接触させて得られる餃子(すなわち、中具の表面の少なくとも一部及び麺皮の内表面の少なくとも一部に、本発明の粉粒体が付着し、かつ、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とが、本発明の粉粒体を介して接触している、餃子)は、加熱されることが好ましい。当該餃子の加熱方法は、上述の本発明の餃子の製造方法が餃子を加熱することを含む場合の加熱方法と同様である。また、加熱条件及び餃子を加熱する時期も、それぞれ上述の本発明の餃子の製造方法と同様であり、好ましい態様も同様である。
本発明の粉粒体を用いて得られうる餃子(中具の表面の少なくとも一部及び麺皮の内表面の少なくとも一部に、本発明の粉粒体が付着し、かつ、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とが、本発明の粉粒体を介して接触している、餃子)は、中具と麺皮とが密着し、優れた食感を有し得る。具体的には、本発明の粉粒体を用いて得られうる餃子は、具詰まりが向上した優れた食感を有し得る。したがって、本発明の粉粒体は、一態様として、餃子の食感向上用であってよく、好ましくは、餃子の具詰まり向上用である。
本発明の粉粒体を用いて得られうる餃子(中具の表面の少なくとも一部及び麺皮の内表面の少なくとも一部に、本発明の粉粒体が付着し、かつ、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とが、本発明の粉粒体を介して接触している、餃子)は、中具と麺皮のはがれの発生が抑えられた優れた外観を有し得る。したがって、本発明の粉粒体は、一態様として、餃子の外観向上用であってよく、好ましくは、餃子の中具と麺皮のはがれの抑制用である。
本発明の粉粒体は、餃子の打ち粉として好適に用いられ得る。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
尚、以下の実施例において用いられた原料は、特にことわりのない限り、いずれも食品用として市販されているものである。
<試験区1-1>
(実施例1)
[1]中具の作製
下表2に示す原料のうち、豚ひき肉、食塩及びコショウを、下表2に示す割合で、スタンドミキサー(株式会社エフ・エム・アイ製「キッチンエイド」)に入れ、速度目盛り「1」にて3分間混合した。次いで、当該スタンドミキサーに残りの原料(キャベツ、ニラ、生姜、ニンニク、砂糖、オイスターソース、醤油、ごま油)を、下表2に示す割合で加え、速度目盛り「1」にて3分間混合して、中具を作製した。尚、キャベツ及びニラは、予めみじん切りしたものを用いた。
[2]麺皮の作製
下表3に示す原料のうち、食塩を、下表3に示す割合で水に加えて、食塩水を調製した。次いで、残りの原料(小麦粉、植物性タンパク、グルテン)を、下表3に示す割合で、スタンドミキサー(株式会社エフ・エム・アイ製「キッチンエイド」)に入れ、速度目盛り「1」にて1分間混合した後、食塩水を徐々に加えながら、速度目盛り「1」にて10分間混合して、生地を調製した。当該生地を、ロール式製麺機で厚さ0.65mmに圧延し、得られた麺帯を長径87mm×短径80mmの楕円形(片面の総面積:54.7cm)に切り抜いて、麺皮を作製した(麺皮1枚の重量:4.8g)。
[3]生餃子の作製
上記[2]で作製した麺皮の片面(内表面となる面)の全面に、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプン(株式会社サナス製、商品名:サナスバインドA、油脂含有量:0.1重量%)0.3gを振りかけて付着させた後、その上に上記[1]で作製した中具12gをのせ、モルダー(餃子を包むための手動の器具)を用いて成形し、生餃子を作製した。尚、当該生餃子は、中具の表面及び麺皮の内表面に油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンが付着し、当該油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンを介して中具の表面と麺皮の内表面とが接触しているものである。
[4]冷凍餃子の作製
上記[3]で作製した生餃子12個に、水(生餃子12個当たり4.2g)を霧吹きで噴霧した後、スチームコンベクションオーブン(スチームモード)にて96℃で9分間蒸し加熱を行った。10分間放冷した後、-32℃で急速凍結して、冷凍餃子を得た。
[5]焼き餃子の作製(調理)
直径26cmのフライパンに油(15g)を引き、上記[4]で作製した冷凍餃子12個を並べて、中火で1分間加熱した。次いで、80mL(餃子12個当たり)の水を加え、蓋をして5分間蒸し焼きにした。その後、蓋を取り、餃子の底面に焼き色がつくまでフライパンで焼き、焼き餃子を作製した(以下において「実施例1の焼き餃子」と称する)。
(実施例2)
上記実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンに代えて、油脂加工アセチル化アジピン酸架橋タピオカデンプン(株式会社サナス製、商品名:アゲハL、油脂含有量:0.1重量%)を麺皮に付着させたこと以外は、実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「実施例2の焼き餃子」と称する)。
(実施例3)
上記実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンに代えて、油脂加工酢酸タピオカデンプン(株式会社サナス製、商品名:アザミ7、油脂含有量:0.1重量%)を麺皮に付着させたこと以外は、実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「実施例3の焼き餃子」と称する)。
(実施例4)
上記実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンに代えて、油脂加工デントコーンデンプン(油脂含有量:0.1重量%)を麺皮に付着させたこと以外は、実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「実施例4の焼き餃子」と称する)。
尚、実施例4で使用した油脂加工デントコーンデンプンは、デントコーンデンプン(株式会社サナス製、商品名:コーンスターチY)100重量部に対して、サフラワー油を0.1重量部加えて均一に混合し、得られた混合物を100~105℃で9時間加熱することで作製した。
(実施例5)
上記実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンに代えて、油脂加工ワキシーコーンデンプン(油脂含有量:0.1重量%)を麺皮に付着させたこと以外は、実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「実施例5の焼き餃子」と称する)。
尚、実施例5で使用した油脂加工ワキシーコーンデンプンは、ワキシーコーンデンプン(株式会社サナス製、商品名:サナスWCS)100重量部に対して、サフラワー油を0.1重量部加えて均一に混合し、得られた混合物を100~105℃で9時間加熱することで作製した。
(実施例6)
上記実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンに代えて、油脂加工馬鈴薯デンプン(油脂含有量:0.1重量%)を麺皮に付着させたこと以外は、実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「実施例6の焼き餃子」と称する)。
尚、実施例6で使用した油脂加工馬鈴薯デンプンは、馬鈴薯デンプン(株式会社サナス販売、商品名:南十勝)100重量部に対して、サフラワー油を0.1重量部加えて均一に混合し、得られた混合物を100~105℃で9時間加熱することで作製した。
(実施例7)
上記実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンに代えて、油脂加工タピオカデンプン(油脂含有量:0.1重量%)を麺皮に付着させたこと以外は、実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「実施例7の焼き餃子」と称する)。
尚、実施例7で使用した油脂加工タピオカデンプンは、タピオカデンプン100重量部に対して、サフラワー油を0.1重量部加えて均一に混合し、得られた混合物を100~105℃で9時間加熱することで作製した。
(比較例1)
上記実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンを麺皮に付着させなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「比較例1の焼き餃子」と称する)。
(比較例2)
上記実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンに代えて、デントコーンデンプン(東海澱粉株式会社製、商品名:コーンスターチ)を麺皮に付着させたこと以外は、実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「比較例2の焼き餃子」と称する)。
(比較例3)
上記実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンに代えて、馬鈴薯デンプン(東海澱粉株式会社販売、商品名:南十勝)を麺皮に付着させたこと以外は、実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「比較例3の焼き餃子」と称する)。
(比較例4)
上記実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンに代えて、ワキシーコーンデンプン(松谷化学工業株式会社製、商品名:スタビローズY)を麺皮に付着させたこと以外は、実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「比較例3の焼き餃子」と称する)。
(比較例5)
上記実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンに代えて、タピオカデンプン(Siam Quality Starch Co., Ltd.製、商品名:タピオカ澱粉)を麺皮に付着させたこと以外は、実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「比較例5の焼き餃子」と称する)。
(評価)
実施例1~7及び比較例1~5の焼き餃子について、外観(中具と麺皮の密着感)及び食感(具詰まり)の評価を行った。
外観(中具と麺皮の密着感)の評価は、3人以上の専門パネルが、各焼き餃子における中具と麺皮のはがれの有無、程度を目視で確認して、下記の評価基準に基づいて評点付けを行い、専門パネル全員の評点の平均値を算出することにより行われた。
食感(具詰まり)の評価は、3人以上の専門パネルが各焼き餃子の中央部分を噛み、下記の評価基準に基づき0.5点刻みで評点付けを行い、専門パネル全員の評点の平均値を算出することにより行われた。尚、専門パネルは、下記の評価基準について、評点が0.5点変動するには、具詰まり(中具が詰まっている感覚)がどの程度変動すればよいのか等を専門パネル間で共通となるよう予め訓練された。
・外観(中具と麺皮の密着感)の評価基準
3点:中具と麺皮が完全にくっついている
2点:中具と麺皮のわずかなはがれが1箇所で生じている
1点:中具と麺皮のわずかなはがれが2箇所以上で生じている
0点:中具と麺皮が完全にはがれている
・食感(具詰まり)の評価基準
3点:焼き餃子の中央部分を噛んだ時に、中具が完全に詰まっているように感じる
2点:焼き餃子の中央部分を噛んだ時に、中具がほとんど詰まっているように感じる
1点:焼き餃子の中央部分を噛んだ時に、中具がやや詰まっているように感じる
0点:焼き餃子の中央部分を噛んだ時に、中具が全く詰まっていないように感じる
結果を下表4及び5に示す。下表4及び5、並びに、後掲の表6、7、10~12、14における総合評価は、外観(中具と麺皮の密着感)及び食感(具詰まり)の評点が、両方とも1点以上である場合を「◎」、いずれか一方が1点以上で他方が1点未満である場合を「〇」、両方とも1点未満である場合を「×」とした。また、下表4及び5、並びに、後掲の表6、7、10~12、14における「原料デンプン」は、油脂加工デンプン(又は、比較対象として用いた、油脂加工されていないデンプン)の原料に用いられたデンプンを示す。
表4に示されるように、実施例1~7の焼き餃子は、いずれも中具と麺皮のはがれの発生が抑えられていた。また、実施例1~7の焼き餃子は、いずれも中具と麺皮とが密着し、具詰まりが向上していた。
一方、表5に示されるように、比較例1~5の焼き餃子は、いずれも中具と麺皮とが完全にはがれていた。また、比較例1~5の焼き餃子は、いずれも具詰まりが全く向上していなかった。
<試験区1-2>
(実施例8)
試験区1-1の実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンに代えて、油脂加工酸化デントコーンデンプン(油脂含有量:0.1重量%)を麺皮に付着させたこと以外は、試験区1-1の実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「実施例8の焼き餃子」と称する)。
尚、実施例8で使用した油脂加工酸化デントコーンデンプンは、酸化デントコーンデンプン(株式会社サナス製、商品名:NDF-100)100重量部に対して、サフラワー油を0.1重量部加えて均一に混合し、得られた混合物を100~105℃で9時間加熱することで作製した。
(実施例9)
試験区1-1の実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンに代えて、油脂加工ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デントコーンデンプン(油脂含有量:0.1重量%)を麺皮に付着させたこと以外は、試験区1-1の実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「実施例9の焼き餃子」と称する)。
尚、実施例9で使用した油脂加工ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デントコーンデンプンは、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デントコーンデンプン(株式会社サナス製、商品名:サナス573)100重量部に対して、サフラワー油を0.1重量部加えて均一に混合し、得られた混合物を100~105℃で9時間加熱することで作製した。
(実施例10)
試験区1-1の実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンに代えて、油脂加工アセチル化タピオカデンプン(油脂含有量:0.1重量%)を麺皮に付着させたこと以外は、試験区1-1の実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「実施例10の焼き餃子」と称する)。
尚、実施例10で使用した油脂加工アセチル化タピオカデンプンは、アセチル化タピオカデンプン(株式会社サナス製、商品名:サナス510)100重量部に対して、サフラワー油を0.1重量部加えて均一に混合し、得られた混合物を100~105℃で9時間加熱することで作製した。
(実施例11)
試験区1-1の実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンに代えて、油脂加工湿熱処理タピオカデンプン(油脂含有量:0.1重量%)を麺皮に付着させたこと以外は、試験区1-1の実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「実施例11の焼き餃子」と称する)。
尚、実施例11で使用した油脂加工湿熱処理タピオカデンプンは、湿熱処理タピオカデンプン(TATE&LYLE社製、商品名:CLARIA BliSS 570)100重量部に対して、サフラワー油を0.1重量部加えて均一に混合し、得られた混合物を100~105℃で9時間加熱することで作製した。
(評価)
実施例8~11の焼き餃子について、外観(中具と麺皮の密着感)及び食感(具詰まり)の評価を試験区1-1と同様に行った。結果を下表6に示す。
表6に示されるように、実施例8~11の焼き餃子は、いずれも中具と麺皮のはがれの発生が抑えられていた。また、実施例8~11の焼き餃子は、いずれも中具と麺皮とが密着し、具詰まりが向上していた。
<試験区2>
(実施例12~14)
試験区1-1の実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂含有量が0.1重量%である油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンに代えて、油脂含有量が0.05重量%、0.20重量%又は0.40重量%である油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンを麺皮に付着させたこと以外は、試験区1-1の実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において、それぞれ「実施例12の焼き餃子」~「実施例14の焼き餃子」と称する)。
(評価)
実施例12~14の焼き餃子について、外観(中具と麺皮の密着感)及び食感(具詰まり)の評価を試験区1-1と同様に行った。結果を下表7に示す。
表7に示されるように、実施例12~14の焼き餃子は、いずれも中具と麺皮のはがれの発生が抑えられていた。また、実施例12~14の焼き餃子は、いずれも中具と麺皮とが密着し、具詰まりが向上していた。
<試験区3-1>
(実施例15)
試験区1-1の実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプン(株式会社サナス製、商品名:サナスバインドA、油脂含有量:0.1重量%)を麺皮の片面(内表面となる面)の中央のみに付着させたこと(油脂加工デンプンを付着させた部分の面積は、麺皮の片面の総面積に対して70%)以外は、試験区1-1の実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「実施例15の焼き餃子」と称する)。
(実施例16)
試験区1-1の実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプン(株式会社サナス製、商品名:サナスバインドA、油脂含有量:0.1重量%)を麺皮に付着させず、中具の表面の全面に直接振りかけて付着させたこと以外は、試験区1-1の実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「実施例16の焼き餃子」と称する)。
(比較例6)
試験区1-1の実施例1の[2](麺皮の作製)において、表3に示す原料に代えて、下表8に示す原料を用いたこと、並びに、実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンを麺皮に付着させなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「比較例6の焼き餃子」と称する)。
(比較例7)
試験区1-1の実施例1の[2](麺皮の作製)において、表3に示す原料に代えて、下表9に示す原料を用いたこと、並びに、実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプンを麺皮に付着させなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「比較例7の焼き餃子」と称する)。
(評価)
実施例15及び16並びに比較例6及び7の焼き餃子について、外観(中具と麺皮の密着感)及び食感(具詰まり)の評価を試験区1-1と同様に行った。結果を下表10に示す。
表10に示されるように、実施例15及び16の焼き餃子は、いずれも中具と麺皮のはがれの発生が抑えられていた。また、実施例15及び16の焼き餃子は、いずれも中具と麺皮とが密着し、具詰まりが向上していた。
一方、油脂加工デンプンを、中具の表面及び麺皮の内表面に付着させず、麺皮に含有させた比較例6及び7の焼き餃子は、いずれも中具と麺皮とが完全にはがれていた。また、比較例6及び7の焼き餃子は、いずれも具詰まりがほとんど向上していなかった。
<試験区3-2>
(実施例17)
試験区1-1の実施例1の[3](生餃子の作製)において、油脂加工リン酸架橋タピオカデンプン(株式会社サナス製、商品名:サナスバインドA、油脂含有量:0.1重量%)0.15g及び未加工のタピオカデンプン0.15gの混合物を麺皮に付着させたこと以外は、試験区1-1の実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において「実施例17の焼き餃子」と称する)。
(評価)
実施例17の焼き餃子について、外観(中具と麺皮の密着感)及び食感(具詰まり)の評価を試験区1-1と同様に行った。結果を下表11に示す。
表11に示されるように、実施例17の焼き餃子は、中具と麺皮のはがれの発生が抑えられていた。また、実施例17の焼き餃子は、中具と麺皮とが密着し、具詰まりが向上していた。
<試験区4>
(実施例18~21)
試験区1-1の実施例1の[3](生餃子の作製)において、麺皮に付着させる油脂加工リン酸架橋タピオカデンプン(株式会社サナス製、商品名:サナスバインドA、油脂含有量:0.1重量%)の量を0.3gから0.05g、0.1g、0.2g又は0.4gに変更したこと以外は、試験区1-1の実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において、それぞれ「実施例18の焼き餃子」~「実施例21の焼き餃子」と称する)。
(評価)
実施例18~21の焼き餃子について、外観(中具と麺皮の密着感)及び食感(具詰まり)の評価を試験区1-1と同様に行った。結果を下表12に示す。
表12に示されるように、実施例18~21の焼き餃子は、いずれも中具と麺皮のはがれの発生が抑えられていた。また、実施例18~21の焼き餃子は、いずれも中具と麺皮とが密着し、具詰まりが向上していた。
<試験区5>
(実施例22~24)
試験区1-1の実施例1の[1](生餃子の作製)において、豚ひき肉、キャベツ及びニラの配合割合を、それぞれ下表13に示すものに変更したこと以外は、試験区1-1の実施例1と同様の手順で、焼き餃子を得た(以下において、それぞれ「実施例22の焼き餃子」~「実施例24の焼き餃子」と称する)。
(評価)
実施例22~24の焼き餃子について、外観(中具と麺皮の密着感)及び食感(具詰まり)の評価を試験区1-1と同様に行った。結果を下表14に示す。表14における「中具のタンパク含量」は、「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」に基づき、豚ひき肉、キャベツ、ニラに含まれるタンパク質の量を、それぞれ17.7重量%、1.3重量%、1.7重量%として算出した。
表14に示されるように、実施例22~24の焼き餃子は、いずれも中具と麺皮のはがれの発生が抑えられていた。また、実施例22~24の焼き餃子は、いずれも中具と麺皮とが密着し、具詰まりが向上していた。
試験区1~5の結果から、餃子の中具の表面の少なくとも一部及び麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを付着させ、当該油脂加工デンプンを介して、中具の表面の少なくとも一部と麺皮の内表面の少なくとも一部とを接触させることにより、中具と麺皮のはがれの発生が抑えられること、また、中具と麺皮とが密着し、具詰まりが向上することが示唆された。
本発明によれば、中具と麺皮とが密着し、具詰まりが向上した優れた食感を有する餃子及びその製造方法が提供される。また、中具と麺皮のはがれの発生が抑えられた優れた外観を有する餃子及びその製造方法も提供される。
本発明は、餃子の食感向上方法も提供する。当該方法は、中具と麺皮とを密着させ、餃子の具詰まりを向上させ得る。
本発明は、餃子の外観向上方法も提供する。当該方法は、中具と麺皮のはがれの発生を抑え得る。
本発明は、餃子の食感及び/又は外観の向上に好適に用いられる粉粒体も提供する。当該粉粒体を用いて得られうる餃子は、中具と麺皮のはがれの発生が抑えられた優れた外観、及び/又は、中具と麺皮とが密着し、具詰まりが向上した優れた食感を有し得る。
1 餃子
2 中具
3 麺皮
4 油脂加工デンプン

Claims (17)

  1. 中具、及び当該中具の少なくとも一部を被覆する麺皮を、少なくとも有し、
    前記中具の表面の少なくとも一部及び前記麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンが付着し、かつ
    前記中具の表面の少なくとも一部と前記麺皮の内表面の少なくとも一部とが、前記油脂加工デンプンを介して接触している、餃子。
  2. 前記中具が、タンパク質含有素材を含有する、請求項1記載の餃子。
  3. 前記中具のタンパク含量が、1重量%以上である、請求項2記載の餃子。
  4. 前記麺皮が、デンプン含有素材を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の餃子。
  5. 前記油脂加工デンプンにおける油脂の含有量が、油脂加工デンプンに対して0.005~1重量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の餃子。
  6. 前記油脂加工デンプンの起源デンプンのアミロース含量が、10%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の餃子。
  7. 前記麺皮の内表面における油脂加工デンプンの付着量が、麺皮の内表面の単位面積当たり0.0001~0.05g/cmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の餃子。
  8. 前記中具が、食肉及び野菜を含有し、
    中具における食肉の含有量と野菜の含有量の重量比(食肉:野菜)が、9:1~1:9である、請求項1~3のいずれか一項に記載の餃子。
  9. 加熱済み餃子である、請求項1~3のいずれか一項に記載の餃子。
  10. 中具、及び当該中具の少なくとも一部を被覆する麺皮を、少なくとも有する餃子の製造方法であって、
    前記中具の表面の少なくとも一部及び/又は前記麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを付着させること、並びに、
    前記中具の表面の少なくとも一部と前記麺皮の内表面の少なくとも一部とを、前記油脂加工デンプンを介して接触させること
    を含む、製造方法。
  11. 前記餃子を加熱することを含む、請求項10記載の製造方法。
  12. 中具、及び当該中具の少なくとも一部を被覆する麺皮を、少なくとも有する餃子の食感向上方法であって、
    前記中具の表面の少なくとも一部及び/又は前記麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを付着させること、並びに、
    前記中具の表面の少なくとも一部と前記麺皮の内表面の少なくとも一部とを、前記油脂加工デンプンを介して接触させること
    を含む、方法。
  13. 前記餃子を加熱することを含む、請求項12記載の方法。
  14. 中具、及び当該中具の少なくとも一部を被覆する麺皮を、少なくとも有する餃子の外観向上方法であって、
    前記中具の表面の少なくとも一部及び/又は前記麺皮の内表面の少なくとも一部に、油脂加工デンプンを付着させること、並びに、
    前記中具の表面の少なくとも一部と前記麺皮の内表面の少なくとも一部とを、前記油脂加工デンプンを介して接触させること
    を含む、方法。
  15. 前記餃子を加熱することを含む、請求項14記載の方法。
  16. 油脂加工デンプンを含有する粉粒体であって、
    中具、及び当該中具の少なくとも一部を被覆する麺皮を、少なくとも有する餃子の、当該中具の表面の少なくとも一部及び/又は当該麺皮の内表面の少なくとも一部に付着させるための、粉粒体。
  17. 餃子の食感及び/又は外観の向上用である、請求項16記載の粉粒体。
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