JP2024008587A - 沸騰冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】沸騰冷却装置の冷却性能を向上させる。【解決手段】沸騰冷却装置は、液状の冷媒と、発熱体からの熱により冷媒を沸騰させる第1伝熱面を有する第1伝熱部材と、発熱体からの熱により冷媒を沸騰させる第2伝熱面を有する第2伝熱部材と、を備え、第1伝熱面および第2伝熱面は、互いに間隔をあけて対向し、第1伝熱面は、複数の第1凹部を有し、第2伝熱面は、複数の第2凹部を有し、第1伝熱面および第2伝熱面の形状は、互いに非面対称である。【選択図】図6

Description

本開示は、沸騰冷却装置に関する。
冷媒の沸騰に伴う潜熱による熱輸送を利用して発熱体を冷却する沸騰冷却装置が知られている。
特許文献1に記載の沸騰冷却装置は、発熱体の熱を伝熱する複数のフィンを有し、複数のフィン間の隙間に冷媒を流通させる。各フィンの表面には、冷媒を沸騰させるための凹凸部を有する伝熱面が設けられる。
特開2013-044496号公報
特許文献1に記載の沸騰冷却装置では、複数のフィン間の隙間が狭隘空間である場合、当該隙間において、流動抵抗の増加により気泡が充満しやすくなる。このため、伝熱面で生成した気泡が当該隙間で接触または合体することに起因して、伝熱特性の低下を招くという課題がある。
以上の課題を解決するために、本開示の好適な態様に係る沸騰冷却装置は、液状の冷媒と、発熱体からの熱により前記冷媒を沸騰させる第1伝熱面を有する第1伝熱部材と、発熱体からの熱により前記冷媒を沸騰させる第2伝熱面を有する第2伝熱部材と、を備え、前記第1伝熱面および前記第2伝熱面は、互いに間隔をあけて対向し、前記第1伝熱面は、複数の第1凹部を有し、前記第2伝熱面は、複数の第2凹部を有し、前記第1伝熱面および第2伝熱面の形状は、互いに非面対称である。
第1実施形態に係る沸騰冷却装置の斜視図である。 第1実施形態に係る沸騰冷却装置の断面図である。 図2中のA-A線断面図である。 図2中のB-B線断面図である。 第1実施形態における第1伝熱部材および第2伝熱部材の模式的平面図である。 第1伝熱面および第2伝熱面の断面図である。 参考例の第1伝熱面および第2伝熱面の断面図である。 第2実施形態における第1伝熱部材および第2伝熱部材の模式的平面図である。 第3実施形態における第1伝熱部材および第2伝熱部材の模式的平面図である。 第4実施形態における第1伝熱部材および第2伝熱部材の模式的平面図である。 第5実施形態に係る沸騰冷却装置の断面図である。 図11中のC-C線断面図である。
以下、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法および縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示している部分もある。また、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
1.第1実施形態
1-1.沸騰冷却装置の概要
図1は、第1実施形態に係る沸騰冷却装置1の斜視図である。以下の説明は、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を適宜に用いて行う。また、以下では、X軸に沿う一方向がX1方向であり、X1方向とは反対の方向がX2方向である。Y軸に沿う一方向がY1方向であり、Y1方向とは反対の方向がY2方向である。Z軸に沿う一方向がZ1方向であり、Z1方向とは反対の方向がZ2方向である。
ここで、典型的には、Z軸が鉛直軸であり、Z1方向が鉛直上方に相当し、Z2方向が鉛直下方に相当する。なお、実空間でのZ軸の向きは、沸騰冷却装置1の設置姿勢に応じて決められる。Z軸は、鉛直線に対して45°以下の範囲内で傾斜してもよい。また、以下では、単に「上方」とは、鉛直線に沿う方向での位置を示しており、鉛直上方および鉛直斜め上方の双方を概念として含む。同様に、単に「下方」とは、鉛直線に沿う方向での位置を示しており、鉛直下方および鉛直斜め下方の双方を概念として含む。
沸騰冷却装置1は、図1中に二点鎖線で示す2個の発熱体100を冷却する。各発熱体100は、例えば、ダイオードまたはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のパワー半導体素子である。パワー半導体素子は、例えば、鉄道車両、自動車または家庭用電気機械等に搭載されるインバーターまたは整流器等のパワーエレクトロニクス製品に搭載される。
図1に示す例では、各発熱体100がXZ平面に沿って広がる扁平形状をなす。また、2個の発熱体100は、沸騰冷却装置1を挟むように、Y軸に沿う方向に並んで配置される。なお、図1では、発熱体100の外形が概略的に示される。発熱体100の形状は、図1に示す例に限定されず、任意である。また、2個の発熱体100のうちの一方が省略されてもよい。また、発熱体100は、パワー半導体素子に限定されず、冷却を必要とするのであれば、駆動または通電等により発熱する他の電気部品または電子部品でもよい。
沸騰冷却装置1は、冷媒REの沸騰で生じる潜熱を利用する冷却器である。当該潜熱を利用した冷却は、一般に、沸騰冷却と称される。冷媒REは、後に詳述するが、発熱体100を冷却させるための熱輸送に用いる媒体であり、沸騰冷却装置1内の圧力のもと常温で液状をなす。
図1に示す例では、沸騰冷却装置1は、気化した冷媒REと液化した冷媒REとの密度差を利用したループ型サーモサイフォンの冷却器である。沸騰冷却装置1は、受熱部10と凝縮部20と蒸気輸送部30と液輸送部40とを有する。
受熱部10では、冷媒REが発熱体100からの熱により加熱され、冷媒REが気化されることにより、気体状の冷媒REが生成される。当該気体状の冷媒REは、密度の減少により蒸気輸送部30を通じて上昇し、凝縮部20に輸送される。凝縮部20では、当該気体状の冷媒REが放熱により冷却され、当該気体状の冷媒REが凝縮されることにより、液体状の冷媒REが生成される。当該液体状の冷媒REは、密度の増大により液輸送部40を通じて下降することにより受熱部10に輸送される。このように、気化した冷媒REと液化した冷媒REとの密度差により受熱部10からの冷媒REを蒸気輸送部30、凝縮部20、液輸送部40および受熱部10の順に循環させながら、発熱体100の冷却が行われる。以下、沸騰冷却装置1の各部を順に説明する。
1-2.沸騰冷却装置の各部
図2は、第1実施形態に係る沸騰冷却装置1の断面図である。図3は、図2中のA-A線断面図である。図4は、図2中のB-B線断面図である。なお、図2では、沸騰冷却装置1をX軸およびZ軸を含む平面で切断した断面が示される。
受熱部10は、液状の冷媒REを収容する収容室S10を有する構造体であり、発熱体100からの熱を受ける。受熱部10では、発熱体100の熱によって冷媒REが気化されることにより気体状の冷媒REが生成される。受熱部10は、容器11と複数の伝熱部材12とを有する。
容器11は、収容室S10を内部空間として有する箱体である。図2から図4に示す例では、容器11は、XZ平面に沿って広がる扁平形状をなす。ここで、図3に示すように、容器11の外壁面のY1方向およびY2方向のそれぞれを向く部分は、発熱体100に熱的に接続される受熱面FRAである。なお、容器11の形状は、図2から図4に示す例に限定されず、任意である。
複数の伝熱部材12のそれぞれは、収容室S10に配置され、容器11に熱的に接続される熱伝導性の部材である。ここで、各伝熱部材12は、冷媒REの液面RE0よりも下方に配置される。
なお、「熱的に接続」とは、次の条件a、bまたはcのいずれかを満たすことをいう。条件a:2つの部材が物理的に直接に接する。条件b:2つの部材が50μm以下の間隙を介して配置される。条件c:2つの部材が10W・m-1・K-1以上の熱伝導率の他の部材を介して物理的に接続される。なお、各条件における2つの部材間には、半田、接着剤等の接合材が存在してもよい。
複数の伝熱部材12のそれぞれは、収容室S10のY軸に沿う方向での全域にわたって、X軸に直交するYZ平面に沿って広がる板状をなす。各伝熱部材12のY軸に沿う方向での両端は、容器11に接続される。また、複数の伝熱部材12は、X軸に沿う方向に互いに間隔をあけて並んで配置される。ここで、互いに隣り合う2個の伝熱部材12のうち、一方の伝熱部材12が「第1伝熱部材」の一例であり、他方の伝熱部材12が「第2伝熱部材」の一例である。なお、各伝熱部材12のY軸に沿う方向での一端は、容器11に接続されなくてもよい。
図2および図3に示す例では、伝熱部材12の数が10個であり、10個の伝熱部材12のうち、図中左側の5個の伝熱部材12が等間隔に配置されるとともに、図中右側の5個の伝熱部材12が等間隔に配置される。なお、複数の伝熱部材12の間は、等間隔でなくともよい。また、伝熱部材12の数は、2個以上であればよく、図2および図3に示す例に限定されず任意である。
図4に示す例では、各伝熱部材12は、X軸に沿う方向にみて、Y軸に沿う1対の辺とZ軸に沿う1対の辺とを有する四角形をなす。なお、各伝熱部材12の平面視形状は、図4に示す例に限定されず、任意である。
図2および図3に示すように、各伝熱部材12のX1方向を向く面とX2方向を向く面とのそれぞれは、伝熱面FTを構成する。ここで、互いに対向する1対の伝熱面FTのうち、第1伝熱部材の有する伝熱面FTが「第1伝熱面」の一例であり、第2伝熱部材の有する伝熱面FTが「第2伝熱面」の一例である。伝熱面FTは、複数の凹部12aを有する。図2から図4に示す例では、複数の凹部12aのそれぞれがY軸に沿う方向に直線的に延びる溝である。そして、複数の凹部12aは、互いに平行にとなるように、Z軸に沿う方向に中心間距離Pで等間隔に並んで配置される。このような伝熱面FTは、例えば、切削加工等の機械加工により形成される。なお、伝熱面FTについては、後に図5および図6に基づいて説明する。
以上の受熱部10は、熱伝導性に優れる材料で構成される。受熱部10の具体的な構成材料としては、例えば、銅、アルミニウムまたはこれらのいずれかの合金等の金属が挙げられる。なお、容器11および伝熱部材12の構成材料は、互いに同一であっても異なってもよい。また、容器11および伝熱部材12は、一体で構成されてもよい。さらに、各伝熱部材12は、1つの部材で構成されてもよいし、複数の部材で構成されてもよい。
凝縮部20は、冷媒REを気化した状態から凝縮液化させる凝縮室S20を有する構造体であり、受熱部10からの熱を放熱する。凝縮部20では、受熱部10で生成された気体状の冷媒REが凝縮されることにより液状の冷媒REが生成される。凝縮部20は、容器21と複数の放熱フィン23とを有する。
容器21は、凝縮室S20を内部空間として有する箱体である。容器21は、熱伝導性に優れる材料で構成される。容器21の具体的な材料としては、例えば、銅、アルミニウムまたはこれらのいずれかの合金等の金属が挙げられる。図2に示す例では、容器21は、Z軸に沿う方向に延びており、有底の円筒状をなす。なお、容器21の形状は、図2に示す例に限定されず、任意である。
各放熱フィン23は、容器21の外部の流体との熱交換により凝縮室S20の気体状の冷媒REを放熱するための板状の部材であり、容器21に熱的に接続される。当該外部の流体は、凝縮室S20の外部を流動する流体であればよく、特に限定されず、液体でも気体でもよいが、典型的には、例えば空気である。
複数の放熱フィン23は、互いに厚さ方向に間隔を隔てて配置される。各放熱フィン23は、熱伝導性に優れる材料で構成される。放熱フィン23の具体的な材料としては、例えば、銅、アルミニウムまたはこれらのいずれかの合金等の金属材料が挙げられる。各放熱フィン23には、容器21を挿入するための孔が設けられる。放熱フィン23は、例えば、容器21に対して拡管、圧入、接着剤、ネジ止め、ロウ付けまたは溶接等により固定される。
なお、放熱フィン23の形状は、図2に示す例に限定されず、任意である。また、放熱フィン23は、必要に応じて設ければよく、省略してもよい。ただし、凝縮部20が複数の放熱フィン23を有することにより、凝縮室S20の気体状の冷媒REを効率的に凝縮させることができる。
蒸気輸送部30は、受熱部10で生成された気体状の冷媒REを凝縮部20に輸送する第1流路S30を有する。蒸気輸送部30は、第1流路S30を内部空間として有する蒸気管31で構成される。図2に示す例では、蒸気管31は、Z軸に沿って直線状に延びる管である。なお、蒸気輸送部30を構成する蒸気管31の数は、1個に限定されず、2個以上でもよい。
第1流路S30の幅は、一定である。また、第1流路S30の横断面の形状は、円形である。なお、第1流路S30の横断面の形状は、円形に限定されず、例えば、四角形等の多角形、楕円形等でもよい。また、第1流路S30は、屈曲または湾曲する部分を有してもよい。
蒸気管31は、例えば、銅、アルミニウムまたはこれらのいずれかの合金等の金属で構成される。また、蒸気管31は、容器11および容器21のそれぞれに対してロウ付け等により固定される。なお、蒸気管31の構成材料は、金属に限定されず、例えば、セラミックスまたは樹脂等でもよい。
蒸気管31は、収容室S10に向けて開口するとともに、凝縮室S20に向けて開口する。これにより、収容室S10および凝縮室S20が第1流路S30を介して互いに連通する。図2に示す例では、蒸気管31が容器11の天板を貫通しており、蒸気管31のZ2方向での端が当該天板の内壁面と同一平面上に位置する。また、蒸気管31が容器21の底板を貫通しており、蒸気管31のZ1方向での端が当該底板よりも上方に位置する。なお、蒸気管31のZ2方向での端の位置は、収容室S10内で液状の冷媒REの液面RE0よりも上方の位置であればよく、例えば、容器11の天板から突出した位置でもよい。
液輸送部40は、凝縮部20で生成された液状の冷媒REを受熱部10に輸送する第2流路S40を有する。液輸送部40は、第2流路S40を内部空間として有する液管41で構成される。液管41は、Z軸に沿って直線状に延びる管である。なお、液輸送部40を構成する液管41の数は、1個に限定されず、2個以上でもよい。
第2流路S40の断面積は、前述の第1流路S30の断面積よりも小さい。すなわち、第1流路S30の断面積は、第2流路S40の断面積よりも大きい。このため、第1流路S30の断面積が第2流路S40の断面積以下である構成に比べて、収容室S10から第1流路S30を介して凝縮室S20に気体状の冷媒REを円滑に輸送することができる。また、第2流路S40の幅は、一定である。さらに、第2流路S40の横断面の形状は、円形である。なお、第2流路S40の横断面の形状は、円形に限定されず、例えば、四角形等の多角形、楕円形等でもよい。また、第2流路S40は、屈曲または湾曲する部分を有してもよい。さらに、第2流路S40の断面積は、第1流路S30の断面積に等しくてもよい。
液管41は、例えば、銅、アルミニウムまたはこれらのいずれかの合金等の金属で構成される。また、液管41は、容器11および容器21のそれぞれに対してロウ付け等により固定される。なお、液管41の構成材料は、金属に限定されず、例えば、セラミックスまたは樹脂等でもよい。また、液管41の構成材料は、蒸気管31の構成材料と同一であってもよいし異なってもよい。
液輸送部40は、収容室S10に向けて開口するとともに、凝縮室S20に向けて開口する。これにより、収容室S10および凝縮室S20が第2流路S40を介して互いに連通する。図2に示す例では、液管41が容器11の天板を貫通し、かつ、液管41のZ2方向での端が伝熱部材12よりも下方に位置する。また、液管41が容器21の底板を貫通しており、液管41のZ1方向での端が当該底板の内壁面と同一平面上に位置する。
なお、液管41のZ1方向での端の位置は、液管41が凝縮室S20内の液状の冷媒REを回収し得る位置であればよく、例えば、液管41が容器11の側板の内壁面に開口する位置でもよい。液管41のZ2方向での端の位置は、収容室S10内の液状の冷媒REの液面RE0よりも下方の位置であればよく、例えば、隣り合う2個の伝熱部材12の間の位置でもよい。ただし、液管41への気泡Bの混入を防止する観点から、液管41のZ2方向での端が伝熱部材12よりも下方に位置することが好ましい。
1-3.伝熱部材
図5は、第1実施形態における第1伝熱部材12_1および第2伝熱部材12_2の模式的平面図である。第1伝熱部材12_1および第2伝熱部材12_2は、前述の図2および図3に示す複数の伝熱部材12のうち互いに隣り合う2個の伝熱部材12である。図5では、X1方向にみた第1伝熱部材12_1および第2伝熱部材12_2が重ねて図示される。なお、図5では、第1伝熱部材12_1が実線で示されるとともに、第2伝熱部材12_2が二点鎖線で示される。
第1伝熱部材12_1は、第2伝熱部材12_2に対向する伝熱面FTである第1伝熱面FT_1を有する。第1伝熱面FT_1は、複数の第1凹部12a_1を有する。複数の第1凹部12a_1は、前述の図2および図4に示す複数の凹部12aに相当する。図5に示す例では、複数の第1凹部12a_1のそれぞれがY軸に沿う方向に直線的に延びる溝である。そして、複数の第1凹部12a_1は、互いに平行にとなるように、Z軸に沿う方向に中心間距離P1で等間隔に並んで配置される。なお、図5では、各第1凹部12a_1が実線で模式的に示される。
第2伝熱部材12_2は、第1伝熱部材12_1に対向する伝熱面FTである第2伝熱面FT_2を有する。第2伝熱面FT_2は、複数の第2凹部12a_2を有する。複数の第2凹部12a_2は、前述の図2および図4に示す複数の凹部12aに相当する。図5に示す例では、複数の第2凹部12a_2のそれぞれがY軸に沿う方向に直線的に延びる溝である。そして、複数の第2凹部12a_2は、互いに平行にとなるように、Z軸に沿う方向に中心間距離P2で等間隔に並んで配置される。なお、図5では、各第2凹部12a_2が二点鎖線で模式的に示される。
ここで、第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2の形状は、互いに非面対称である。すなわち、第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2の形状は、互いに鏡像関係にない。これにより、第1伝熱面FT_1の突出した部分と第2伝熱面FT_2の突出した部分とが互いに近づくことが低減される。
本実施形態では、中心間距離P1、P2は、いずれも中心間距離Pであり、互いに等しい。ただし、複数の第1凹部12a_1および複数の第2凹部12a_2は、後述の第1凸部12b_1および第2凸部12b_2の頂部同士ができるだけ離れた位置に配置されるように、互いにZ軸に沿う方向に距離Δzずれて配置される。これにより、第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2の形状を互いに非面対称とすることができる。なお、距離Δzは、複数の第1凸部12b_1および複数の第2凸部12b_2のうち、互いに最も近い位置にある第1凸部12b_1および第2凸部12b_2の頂部同士の間のZ軸に沿う方向での距離である。
距離Δzは、0でなければよいが、中心間距離Pの1/2にできる限り近いことが好ましく、具体的には、中心間距離Pに対して、0.4倍以上0.6倍以下であることが好ましく、0.45倍以上0.55倍以下であることがより好ましく、0.48倍以上0.52倍以下であることがさらに好ましい。距離Δzがこのような範囲内にあることにより、第1伝熱面FT_1と第2伝熱面FT_2との間での気泡Bの接触または合体を抑制する効果が顕著に得られる。
図6は、第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2の断面図である。図6では、第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2をXZ平面で切断した断面が示される。図6に示すように、複数の第1凹部12a_1のうち隣り合う2つの第1凹部12a_1の間には、第1凸部12b_1が設けられる。すなわち、第1伝熱面FT_1には、第1凹部12a_1および第1凸部12b_1がZ軸に沿う方向に交互に並んで複数組設けられる。同様に、第2伝熱面FT_2には、第2凹部12a_2および第2凸部12b_2がZ軸に沿う方向に交互に並んで複数組設けられる。
各第1凹部12a_1は、底部に向かうに従って幅の縮小する形状をなす。図6に示す例では、各第1凹部12a_1の断面形状がV字形状であり、各第1凹部12a_1の幅が底部に向かうに従って連続的に縮小する。同様に、各第2凹部12a_2は、底部に向かうに従って幅の縮小する形状をなす。
図6に示す例では、第1凹部12a_1および第2凹部12a_2の横断面形状が互いに等しい。すなわち、複数の第1凹部12a_1および複数の第2凹部12a_2は、Z軸に沿う方向での位置が異なること以外、同様に構成される。このため、第1凹部12a_1および第2凹部12a_2を同じ加工方法により容易に形成することができる。
なお、第1凹部12a_1および第2凹部12a_2のそれぞれの断面形状は、図6に示す例に限定されない。また、第1凹部12a_1および第2凹部12a_2の横断面形状は、互い異なってもよい。さらに、第1凹部12a_1の幅W1と第2凹部12a_2の幅W2とが互いに異なってもよいし、第1凹部12a_1の深さD1と第2凹部12a_2の深さD2とが互いに異なってもよい。また、幅W1および深さD1のそれぞれが第1凹部12a_1の長さ方向での全域にわたり一定であってもそうでなくともよいし、幅W2および深さD2のそれぞれが第2凹部12a_2の長さ方向での全域にわたり一定であってもそうでなくともよい。
第1凹部12a_1の幅W1は、隣り合う第1凹部12a_1同士の中心間距離P1以下であることが好ましい。図6に示す例では、幅W1が中心間距離P1に等しい。ここで、中心間距離P1は、平面での冷媒REの沸騰により生じる気泡Bの離脱気泡径Dbaseよりも小さいことが好ましい。この場合、後述の界面活性剤による気泡Bの合体を抑制する効果と相まって、第1凹部12a_1で生じた気泡Bを隣り合う気泡Bの影響により成長させやすくすることができる。同様に、第2凹部12a_2の幅W2は、隣り合う第2凹部12a_2同士の中心間距離P2以下であることが好ましい。
中心間距離P1および中心間距離P2のそれぞれは、離脱気泡径Dbaseよりも小さいことが好ましく、複数の第1凹部12a_1および複数の第2凹部12a_2による冷却性能の向上の効果を好適に得る観点から、離脱気泡径Dbaseに対して、0.1倍以上0.5倍以下であることが好ましく、0.1倍以上0.4倍以下であることがより好ましい。
また、複数の第1凹部12a_1のそれぞれの深さD1は、複数の第1凹部12a_1のそれぞれの幅W1に対して、0.5倍以上であることが好ましく、0.8倍以上3.0倍以下であることがより好ましく、2.0倍以上3.0倍以下であることがさらに好ましい。この場合、比較的低コストで、複数の第1凹部12a_1による効果を得ることができる。これに対し、深さD1が浅すぎると、第1凹部12a_1の形状等によっては、第1伝熱面FT_1から離脱する際に気泡Bの一部を第1凹部12a_1の底部に残存させる作用を好適に得ることが難しい。一方、深さD1が深すぎると、第1凹部12a_1の形状が複雑化したり、第1凹部12a_1の加工コストが極端に高くなったりする傾向がある。
同様の観点から、複数の第2凹部12a_2のそれぞれの深さD2は、複数の第2凹部12a_2のそれぞれの幅W2に対して、0.5倍以上であることが好ましく、0.8倍以上3.0倍以下であることがより好ましく、2.0倍以上3.0倍以下であることがさらに好ましい。
以上の第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2は、前述のように、第1凸部12b_1および第2凸部12b_2の頂部同士ができるだけ離れた位置に配置されるように、互いにZ軸に沿う方向に距離Δzずれて配置される。このため、第1凸部12b_1および第2凸部12b_2の頂部同士の間の距離Lは、第1伝熱面FT_1と第2伝熱面FT_2とのX軸に沿う方向での距離Lxよりも大きい。この結果、第1伝熱面FT_1と第2伝熱面FT_2との間の冷媒REの流路抵抗を小さくすることができる。
ここで、距離Lは、後述の離脱気泡径Dbaseに対して、5倍以下であることが好ましい。距離Lがこのような範囲内にある場合、すなわち第1伝熱面FT_1と第2伝熱面FT_2との間の流路が狭隘空間であるとみなせる場合に、前述のように第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2を互いに非面対称とすることによる距離Lの拡大の効果として、第1伝熱面FT_1と第2伝熱面FT_2との間での気泡Bの接触または合体を抑制する効果が顕著に得られる。
ここで、当該効果を好適に得る観点から、冷媒REには、界面活性剤が添加されることが好ましい。以下、冷媒REについて詳述する。
冷媒REは、溶媒を含む。当該溶媒は、冷媒REの主成分であり、典型的には所定圧力のもと常温で液状となる媒体である。当該溶媒の具体例としては、特に限定されないが、例えば、水、メタノールまたはエタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、エチレングリコール等のグリコール類、フロリナート等のフッ化炭素類、HFC134a等のフロン類、およびブタン等の炭化水素類が挙げられる。これらのうち、1種を単独でまたは2種以上を混合液等の態様で組み合わせて用いることができる。
液状の冷媒RE中で気泡Bが発生および成長するためには、気泡B内部の蒸気圧pが気泡B周囲の液状の冷媒REの圧力pよりも冷媒REの表面張力に打ち勝つだけ高くなければならない。気泡Bの内外の圧力差Δp(=p-p)は、冷媒REの表面張力γ、気泡Bの曲率半径Rを用いて、以下の式(1)で表される。
Δp=(2γ/R) ・・・(1)
圧力差Δpに対応する過熱度ΔTは、気泡Bを構成する気体の密度である蒸気密度ρ、冷媒REの液密度ρ、飽和温度Tsat、圧力差Δp、蒸発潜熱hfgを用いて、以下の式(2)で表される。
ΔT=(ρ-ρ)×Tsat×Δp/(hfg×ρ×ρ) ・・・(2)
ここで、冷媒REへの界面活性剤の添加により、冷媒REの表面張力γを小さくすることができる。このため、気泡Bの内外の圧力差Δpおよび過熱度ΔTを小さくすることができる。この結果、気泡Bが成長しやすくなる。
また、冷媒REの表面張力が小さくなることにより、伝熱面FTに対する気泡Bの付着力Fが小さくなる。このため、気泡Bが伝熱面FTから離脱するための浮力Fが小さくて済むので、伝熱面FTからの離脱時の気泡Bの体積が小さくなる。
浮力Fは、以下の式(3)で表される。
=V(ρ-ρ)g ・・・・・(3)
Vは気泡Bの体積、gは、重力加速度である。
離脱気泡径Dbaseと表面張力γとの関係は、以下の式(4)で表される。
=πDbaseγsinθ ・・・・・(4)
θは、伝熱面FTに対する気泡Bの接触角である。Fは、伝熱面FTに対する気泡Bの付着力である。離脱気泡径Dbaseは、平面から離脱する際における気泡Bの直径である。
ここで、冷媒REに添加される界面活性剤のクーロン力に基づく反発力等により、隣り合う気泡B同士の合体を抑制することができる。このため、伝熱面FTで発生した各気泡Bが小さな径のまま離脱しやすくなる。この結果、気泡Bの発生周期を短くすることができる。すなわち、単位時間あたりの気泡Bの発生数を多くすることができる。
これに対し、伝熱面FTで隣り合う気泡B同士が合体すると、1個あたりの気泡Bに接する伝熱面FTの面積が大きくなってしまう。ここで、伝熱面FTのうち大型な気泡Bが離脱した部分は、小型な気泡Bが離脱した部分に比べて、過熱された冷媒REが流れ込み難い。このため、大型な気泡Bが離脱した部分では、小型な気泡Bが離脱した部分に比べて、次の気泡Bが発生するまでにかかる時間が長くなりやすいので、気泡Bの発生周期が長期化するという弊害が生じる。また、伝熱面FTのうち気泡B同士の合体による大型な気泡Bの接する領域の大部分は、液体の冷媒REに接しない乾いた領域であるため、冷媒REへの伝熱に寄与し難い。
以上のように、冷媒REに界面活性剤が添加されることにより、単位時間あたりの気泡Bの発生数が多くなるので、沸騰冷却装置1の冷却性能を向上させることができる。
冷媒REに添加される界面活性剤は、非イオン性界面活性剤でもよいし、陰イオン界面活性剤または陽イオン界面活性剤等のイオン性界面活性剤でもよい。陰イオン界面活性剤または陽イオン界面活性剤を用いる場合、例えば界面活性剤のクーロン力に基づく反発力によって、隣り合う気泡B同士の合体が抑制される。また、非イオン性界面活性剤を用いる場合、例えば非イオン性界面活性剤の立体障害によって、隣り合う気泡B同士の合体が抑制される。
冷媒REに添加される界面活性剤の具体例としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、および炭化水素系界面活性剤等が挙げられる。冷媒REに含まれる溶媒が水である場合、水に対する溶解性に優れる炭化水素系界面活性剤を用いることが好ましい。
なお、冷媒REは、溶媒および界面活性剤以外の添加剤等の物質を含んでもよい。ただし、この場合、当該物質は、冷媒REの作用に悪影響を与えない範囲内の含有率で冷媒REに含まれる。
平面での冷媒REの沸騰により生じる気泡Bの離脱気泡径Dbaseは、例えば、減圧場での純水に対するCole and Rohsenowの式を用いた計算により求められる。当該式は、以下の式(5)で表される。
base=1.5×10-4√(σ/g(ρ-ρ))×Ja5/4 ・・・(5)
ここで、Ja=ρPLsat/ρVhfg
satは飽和温度であり、σは表面張力であり、ρは液密度であり、ρは蒸気密度であり、cPLは液比熱であり、hfgは蒸発腺熱であり、gは重力加速度である。
例えば、圧力50kPaでの純水の離脱気泡径Dbaseを求める場合、
飽和温度Tsat:355[K]
表面張力σ:62.4[mN/m]
液密度ρ:971[kg/m
蒸気密度ρ:0.309[kg/m
液比熱cPL:4.20[kJ/kg・K]
蒸発潜熱hfg:2305[kJ/kg]
重力加速度g=9.81[m/s
であり、式(5)を用いて計算すると、離脱気泡径Dbaseは、5.24[mm]である。
ここで、冷媒REへの界面活性剤の添加により冷媒REの表面張力が低下するため、例えば、表面張力σを26.5[mN/m]とすると、離脱気泡径Dbaseは、3.41[mm]となる。
前述のように、中心間距離Pは、離脱気泡径Dbaseに対して、0.1倍以上0.5倍以下であることが好ましく、0.1倍以上0.4倍以下であることがより好ましい。したがって、純水に界面活性剤を添加した冷媒REを用いる場合、前述のように離脱気泡径Dbaseが3.41[mm]であることから、中心間距離Pは、0.34mm以上1.7mm以下であることが好ましく、0.34mm以上1.4mm以下であることがより好ましい。
各気泡Bは、例えば、第1凹部12a_1および第2凹部12a_2のそれぞれの最深位置、すなわち凹部12aの最深位置を起点として発生する。そして、凹部12aの内壁面により伝熱面FTに沿う方向(図6では、Z軸に沿う方向)での各気泡Bの成長が制限される。このため、各気泡Bが伝熱面FTから離れる方向(図6では、X軸に沿う方向)に成長しやすい。なお、凹部12aの内壁面により凹部12aの幅方向での各気泡Bが制限されることにより、その影響を受けて、凹部12aの延びる方向(図6では、Y軸に沿う方向)での各気泡Bの成長も制限される。
冷媒REに界面活性剤が添加される場合、気泡Bの成長が進行すると、伝熱面FTに沿う方向(図6では、Z軸に沿う方向)での気泡Bの成長が隣り合う他の気泡Bによっても制限される。これは、前述のように、界面活性剤の作用により隣り合う気泡B同士の合体が抑制されるからである。このように、伝熱面FTに沿う方向(図6では、Z軸に沿う方向)での気泡Bの成長が制限されることにより、気泡BがX軸に沿う方向に成長しやすくなる。以上のように、気泡Bは、界面活性剤による効果と凹部12aによる効果との相乗効果により、X軸に沿う方向に成長しやすくなる。
また、冷媒REに界面活性剤が添加される場合、気泡Bは、その成長に伴って、隣り合う他の2つの気泡Bの間に挟まれた状態で浮力が作用する。ここで、図示しないが、前述のように凹部12aの中心間距離Pが平面での冷媒REの沸騰により生じる気泡Bの離脱気泡径Dbaseよりも小さいことにより、気泡Bは、その成長に伴って、くびれた形状に変形していく。
さらに、気泡Bの成長がさらに進行すると、気泡Bが伝熱面FTから離脱する。このとき、図示しないが、気泡Bの一部が凹部12a内に残留する残留気泡として伝熱面FT上に残る。当該残留気泡は、新たな気泡Bの発生のための核として機能する。このように、当該残留気泡が伝熱面FT上に残ることにより、気泡Bの発生周期を短くすることができる。この結果、単位時間あたりに離脱する気泡数を増加させることができる。
図7は、参考例の第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2の断面図である。図7では、距離Δzが0である場合の第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2が示される。図7に示すように、距離Δzが0である場合、距離Lおよび距離Lxが互いに等しい。このため、図7に示す距離Lは、図6に示す距離Lよりも小さい。これにより、図7に示す構成では、図6に示す構成に比べて、第1伝熱面FT_1と第2伝熱面FT_2との間の冷媒REの流路抵抗が高くなる。この結果、図7に示す構成では、図6に示す構成に比べて、第1伝熱面FT_1と第2伝熱面FT_2との間での気泡Bの接触または合体が生じやすくなる。
以上のように、沸騰冷却装置1は、液状の冷媒REと第1伝熱部材12_1と第2伝熱部材12_2と、を備える。第1伝熱部材12_1は、発熱体100からの熱により冷媒REを沸騰させる第1伝熱面FT_1を有する。第2伝熱部材12_2は、発熱体100からの熱により冷媒REを沸騰させる第2伝熱面FT_2を有する。第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2は、互いに間隔をあけて対向する。第1伝熱面FT_1は、複数の第1凹部12a_1を有する。第2伝熱面FT_2は、複数の第2凹部12a_2を有する。第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2の形状は、互いに非面対称である。
以上の沸騰冷却装置1では、第1伝熱面FT_1が複数の第1凹部12a_1を有するとともに第2伝熱面FT_2が複数の第2凹部12a_2を有するため、第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2のそれぞれが平坦面である構成に比べて、第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2のそれぞれから効率的に気泡Bを発生させることができる。そのうえ、第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2の形状が互いに非面対称であるため、これらの伝熱面の形状が互いに面対称である構成に比べて、これらの伝熱面間の最短距離である距離Lを大きくすることができる。このため、これらの伝熱面間の冷媒の流動抵抗を低減することにより、第1伝熱面FT_1と第2伝熱面FT_2との間での気泡Bの滞留を低減することができる。この結果、気泡B同士の接触および合体を抑制することができる。以上から、第1伝熱面FT_1と第2伝熱面FT_2との間での気泡Bの滞留に起因する冷却性能の低下を抑制することができる。
ここで、前述のように、第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2のそれぞれは、水平面に直交する平面に沿って広がる。そのうえで、第1伝熱面FT_1と第2伝熱面FT_2との間の距離Lは、離脱気泡径Dbaseに対して、5倍以下であることが好ましい。この場合、前述の冷却性能の低下を抑制するという効果が顕著に得られる。
また、前述のように、複数の第1凹部12a_1は、鉛直軸に沿う方向に並んでおり、複数の第1凹部12a_1のそれぞれは、水平方向成分を含む方向に延びる溝である。同様に、複数の第2凹部12a_2は、鉛直軸に沿う方向に並んでおり、複数の第2凹部12a_2のそれぞれは、水平方向成分を含む方向に延びる溝である。このような複数の第1凹部12a_1および複数の第2凹部12a_2の形状および配置により、第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2のそれぞれにおいて、気泡Bの鉛直方向での成長を制限することができる。また、鉛直方向に隣り合う気泡B同士の接触または合体を抑制することができる。
本実施形態では、前述のように、複数の第1凹部12a_1および複数の第2凹部12a_2は、互いに同一の横断面形状をなすとともに鉛直方向に互いにずれて配置される。このため、第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2を同じ加工方法で形成することができる。したがって、複数の第1凹部12a_1および複数の第2凹部12a_2の横断面形状が互いに異なる構成に比べて、第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2の形成が容易である。
また、前述のように、複数の第1凹部12a_1が規則的に配置されるとともに、複数の第2凹部12a_2が規則的に配置される。このため、複数の第1凹部12a_1および複数の第2凹部12a_2のうちの一方または両方がランダムに配置される構成に比べて、第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2での気泡Bの挙動を所望に制御することが容易である。
さらに、第1伝熱面FT_1は、複数の第1凹部12a_1のうちの互い隣り合う2つの第1凹部12a_1間に設けられる第1凸部12b_1を有する。同様に、第2伝熱面FT_2は、複数の第2凹部12a_2のうちの互い隣り合う2つの第2凹部12a_2間に設けられる第2凸部12b_2を有する。そのうえで、第1伝熱面FT_1と第2伝熱面FT_2とが重なる方向にみて、第1凸部12b_1の頂部と第2凸部12b_2の頂部とが互いに重ならない。このような第1凸部12b_1および第2凸部12b_2の配置により、距離Lを大きくすることができる。
また、前述のように、冷媒REに界面活性剤が添加される場合、気泡B同士の合体がさらに抑制される。
ここで、前述のように、複数の第1凹部12a_1のうちの隣り合う2つの第1凹部12a_1の中心間距離P1と、複数の第2凹部12a_2のうちの隣り合う2つの第2凹部12a_2の中心間距離P2と、のそれぞれは、平面での冷媒REの沸騰により生じる気泡Bの離脱気泡径Dbaseよりも小さいことが好ましい。この場合、後述の界面活性剤による気泡Bの合体を抑制する効果と相まって、第1凹部12a_1で生じた気泡Bを隣り合う気泡Bの影響により成長させやすくすることができる。同様に、第2凹部12a_2で生じた気泡Bを隣り合う気泡Bの影響により成長させやすくすることができる。
また、前述のように、複数の第1凹部12a_1のそれぞれの幅W1は、底部に向かうに従って連続的に縮小する。同様に、複数の第2凹部12a_2のそれぞれの幅W2は、底部に向かうに従って連続的に縮小する。このため、気泡Bが伝熱面FTから離脱する際、後続する気泡Bの発生のための核として気泡Bの一部を第1凹部12a_1および第2凹部12a_2の底部に残存させることができる。このため、気泡Bの離脱後の第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2での後続する気泡Bの発生および成長の速度を速くすることができる。この結果、気泡Bの発生周期をさらに短くすることができる。
さらに、前述のように、複数の第1凹部12a_1のそれぞれの幅W1は、中心間距離P1に対して0.9倍以上1倍以下であることが好ましい。このため、冷媒REに添加された界面活性剤による効果と第1伝熱面FT_1の複数の第1凹部12a_1による効果との両立を図りやすいという利点がある。同様に、複数の第2凹部12a_2のそれぞれの幅W2は、中心間距離P2に対して0.9倍以上1倍以下であることが好ましい。このため、冷媒REに添加された界面活性剤による効果と第2伝熱面FT_2の複数の第2凹部12a_2による効果との両立を図りやすいという利点がある。
また、前述のように、複数の第1凹部12a_1のそれぞれの深さD1は、複数の第1凹部12a_1のそれぞれの幅W1に対して0.5倍以上である場合、比較的低コストで、第1伝熱面FT_1の複数の第1凹部12a_1による効果を得ることができる。同様に、複数の第2凹部12a_2のそれぞれの深さD2は、複数の第2凹部12a_2のそれぞれの幅W2に対して0.5倍以上である場合、比較的低コストで、第2伝熱面FT_2の複数の第2凹部12a_2による効果を得ることができる。
2.第2実施形態
以下、本開示の第2実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用および機能が前述の実施形態と同様である要素については、前述の実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図8は、第2実施形態における第1伝熱部材12A_1および第2伝熱部材12A_2の模式的平面図である。図8では、X1方向にみた第1伝熱部材12A_1および第2伝熱部材12A_2が重ねて図示される。なお、図8では、第1伝熱部材12A_1が実線で示されるとともに、第2伝熱部材12A_2が二点鎖線で示される。
第1伝熱部材12A_1は、複数の第1凹部12a_1を有する第1伝熱面FT_1に代えて、複数の第1凹部12c_1を有する第1伝熱面FTA_1を備えること以外は、第1実施形態の第1伝熱部材12_1と同様に構成される。
複数の第1凹部12c_1は、X軸に沿う方向にみた姿勢が異なること以外は、第1実施形態の複数の第1凹部12a_1と同様に構成される。図8に示す例では、複数の第1凹部12c_1のそれぞれがY軸に対して傾斜角度α1で傾斜する方向に直線的に延びる溝である。そして、複数の第1凹部12c_1は、互いに平行にとなるように、Z軸に沿う方向に中心間距離P1で等間隔に並んで配置される。
第2伝熱部材12A_2は、複数の第2凹部12a_2を有する第2伝熱面FT_2に代えて、複数の第2凹部12c_2を有する第2伝熱面FTA_2を備えること以外は、第1実施形態の第2伝熱部材12_2と同様に構成される。
複数の第2凹部12c_2は、X軸に沿う方向にみた姿勢が異なること以外は、第1実施形態の複数の第2凹部12a_2と同様に構成される。図8に示す例では、複数の第2凹部12c_2のそれぞれがY軸に対して傾斜角度α2で傾斜する方向に直線的に延びる溝である。そして、複数の第2凹部12c_2は、互いに平行にとなるように、Z軸に沿う方向に中心間距離P1で等間隔に並んで配置される。
ここで、複数の第2凹部12c_2のそれぞれは、複数の第1凹部12c_1のそれぞれに対して非平行となるように、Y軸に対して複数の第1凹部12c_1のそれぞれとは逆側に傾斜する。このため、第1伝熱面FTA_1および第2伝熱面FTA_2が互いに重なる方向にみて、複数の第1凹部12c_1および複数の第2凹部12c_2は、互いに交差する。このように第1伝熱面FTA_1および第2伝熱面FTA_2の形状は、互いに非面対称である。このような第1伝熱面FTA_1および第2伝熱面FTA_2であっても、X軸に沿う方向にみて、隣り合う2つの第1凹部12c_1間に設けられる図示しない第1凸部の頂部と、隣り合う2つの第2凹部12c_2間に設けられる図示しない第2凸部の頂部と、の重なりが低減されるので、これらの伝熱面間の冷媒の流動抵抗が低減される。この結果、これらの伝熱面で発生した気泡B同士の接触および合体を抑制することができる。
傾斜角度α1および傾斜角度α2は、互いに等しくても異なってもよい。図8に示す例では、傾斜角度α1および傾斜角度α2が互いに等しい。この場合、第1伝熱面FTA_1および第2伝熱面FTA_2を同じ加工方法で容易に形成することができる。一方、傾斜角度α1および傾斜角度α2が互いに異なる場合、第1伝熱面FTA_1と第2伝熱面FTA_2との間の気泡Bの挙動を所望方向に制御しやすいという利点がある。
傾斜角度α1および傾斜角度α2のそれぞれの具体的な数値は、0°よりも大きければ特に限定されないが、45°以下であることが好ましい。この場合、前述の第1実施形態と同様に、各伝熱面での気泡Bの接触または合体を抑制する効果が好適に得られる。なお、傾斜角度α1および傾斜角度α2が互いに異なる場合、傾斜角度α1および傾斜角度α2のうちの一方が0°であってもよい。
以上の第2実施形態によっても、第1伝熱面FTA_1と第2伝熱面FTA_2との間での気泡Bの滞留に起因する冷却性能の低下を抑制することができる。本実施形態では、前述のように、第1凹部12c_1および第2凹部12c_2が互いに非平行であるため、前述の第1実施形態のような距離Δzを考慮する必要がない。このため、第1伝熱部材12A_1および第2伝熱部材12A_2の設置が容易である。
3.第3実施形態
以下、本開示の第3実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用および機能が前述の実施形態と同様である要素については、前述の実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図9は、第3実施形態における第1伝熱部材12B_1および第2伝熱部材12B_2の模式的平面図である。図9では、X1方向にみた第1伝熱部材12B_1および第2伝熱部材12B_2が重ねて図示される。なお、図9では、第1伝熱部材12B_1が実線で示されるとともに、第2伝熱部材12B_2が二点鎖線で示される。
第1伝熱部材12B_1は、複数の第1凹部12a_1を有する第1伝熱面FT_1に代えて、複数の第1凹部12d_1を有する第1伝熱面FTB_1を備えること以外は、第1実施形態の第1伝熱部材12_1と同様に構成される。
複数の第1凹部12d_1は、X軸に沿う方向にみた形状が異なること以外は、第1実施形態の複数の第1凹部12a_1と同様に構成される。図9に示す例では、複数の第1凹部12d_1のそれぞれは、溝12d_1aおよび溝12d_1bを有する。
溝12d_1aは、第1伝熱面FTB_1のY軸に沿う方向での中央よりもY1方向の領域に設けられる。図9に示す例では、溝12d_1aは、第1伝熱面FTB_1のY軸に沿う方向での中央からY1方向での端に向けて直線的に延びる第1凹部12d_1の部分である。ここで、溝12d_1aは、第1伝熱面FTB_1のY1方向での端に近づくに従いZ1方向に向かうようにY軸に対して傾斜角度α1aで傾斜する方向に延びる形状をなす。
溝12d_1bは、第1伝熱面FTB_1のY軸に沿う方向での中央よりもY2方向の領域に設けられる。図9に示す例では、溝12d_1bは、第1伝熱面FTB_1のY軸に沿う方向での中央からY2方向での端に向けて直線的に延びる第1凹部12d_1の部分である。ここで、溝12d_1bは、第1伝熱面FTB_1のY2方向での端に近づくに従いZ1方向に向かうようにY軸に対して傾斜角度α1bで傾斜する方向に延びる形状をなす。
以上の複数の第1凹部12d_1は、Z軸に沿う方向に中心間距離P1で等間隔に並んで配置される。ここで、傾斜角度α1a、α1bのそれぞれは、例えば、前述の図8に示す傾斜角度α1と同程度である。なお、傾斜角度α1aおよび傾斜角度α1bは、互いに等しくても異なってもよい。
第2伝熱部材12B_2は、複数の第2凹部12a_2を有する第2伝熱面FT_2に代えて、複数の第2凹部12d_2を有する第2伝熱面FTB_2を備えること以外は、第1実施形態の第2伝熱部材12_2と同様に構成される。
複数の第2凹部12d_2は、X軸に沿う方向にみた形状が異なること以外は、第1実施形態の複数の第1凹部12a_1と同様に構成される。図9に示す例では、複数の第2凹部12d_2は、複数の第1凹部12d_1をY軸に平行な軸まわりに180°回転させた構成と同様である。具体的には、複数の第2凹部12d_2のそれぞれは、溝12d_2aおよび溝12d_2bを有する。
溝12d_2aは、第2伝熱面FTB_2のY軸に沿う方向での中央よりもY1方向の領域に設けられる。図9に示す例では、溝12d_2aは、第2伝熱面FTB_2のY軸に沿う方向での中央からY1方向での端に向けて直線的に延びる第2凹部12d_2の部分である。ここで、溝12d_2aは、第2伝熱面FTB_2のY1方向での端に近づくに従いZ2方向に向かうようにY軸に対して傾斜角度α2aで傾斜する方向に延びる形状をなす。
溝12d_2bは、第2伝熱面FTB_2のY軸に沿う方向での中央よりもY2方向の領域に設けられる。図9に示す例では、溝12d_2bは、第2伝熱面FTB_2のY軸に沿う方向での中央からY2方向での端に向けて直線的に延びる第2凹部12d_2の部分である。ここで、溝12d_2bは、第2伝熱面FTB_2のY2方向での端に近づくに従いZ2方向に向かうようにY軸に対して傾斜角度α2bで傾斜する方向に延びる形状をなす。
以上の複数の第2凹部12d_2は、Z軸に沿う方向に中心間距離P2で等間隔に並んで配置される。ここで、傾斜角度α2a、α2bのそれぞれは、例えば、前述の図8に示す傾斜角度α2と同程度である。なお、傾斜角度α2aおよび傾斜角度α2bは、互いに等しくても異なってもよい。
ここで、第1伝熱面FTB_1および第2伝熱面FTB_2が互いに重なる方向にみて、複数の第1凹部12d_1および複数の第2凹部12d_2は、互いに交差する。このように第1伝熱面FTB_1および第2伝熱面FTB_2の形状は、互いに非面対称である。このような第1伝熱面FTB_1および第2伝熱面FTB_2であっても、X軸に沿う方向にみて、隣り合う2つの第1凹部12d_1間に設けられる図示しない第1凸部の頂部と、隣り合う2つの第2凹部12d_2間に設けられる図示しない第2凸部の頂部と、の重なりが低減されるので、これらの伝熱面間の冷媒の流動抵抗が低減される。この結果、これらの伝熱面で発生した気泡B同士の接触および合体を抑制することができる。
以上の第3実施形態によっても、第1伝熱面FTB_1と第2伝熱面FTB_2との間での気泡Bの滞留に起因する冷却性能の低下を抑制することができる。本実施形態では、前述のように、第1凹部12d_1および第2凹部12d_2が互いに非平行であるため、前述の第1実施形態の距離Δzを考慮する必要がない。このため、第1伝熱部材12B_1および第2伝熱部材12B_2の設置が容易である。
4.第4実施形態
以下、本開示の第4実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用および機能が前述の実施形態と同様である要素については、前述の実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図10は、第4実施形態における第1伝熱部材12C_1および第2伝熱部材12C_2の模式的平面図である。図10では、X1方向にみた第1伝熱部材12C_1および第2伝熱部材12C_2が重ねて図示される。なお、図10では、第1伝熱部材12C_1が実線で示されるとともに、第2伝熱部材12C_2が二点鎖線で示される。
第1伝熱部材12C_1は、複数の第1凹部12a_1を有する第1伝熱面FT_1に代えて、複数の第1凹部12e_1を有する第1伝熱面FTC_1を備えること以外は、第1実施形態の第1伝熱部材12_1と同様に構成される。
複数の第1凹部12e_1は、X軸に沿う方向にみた形状が異なること以外は、第1実施形態の複数の第1凹部12a_1と同様に構成される。図10に示す例では、複数の第1凹部12e_1は、第3実施形態の複数の第1凹部12d_1と同様に構成される。具体的には、複数の第1凹部12e_1のそれぞれは、溝12e_1aおよび溝12e_1bを有する。
溝12e_1aは、第3実施形態の溝12d_1aと同様に構成される。溝12e_1bは、第3実施形態の溝12d_1bと同様に構成される。以上の複数の第1凹部12e_1は、Z軸に沿う方向に中心間距離P1で等間隔に並んで配置される。
第2伝熱部材12C_2は、複数の第2凹部12a_2を有する第2伝熱面FT_2に代えて、複数の第2凹部12e_2を有する第2伝熱面FTC_2を備えること以外は、第1実施形態の第2伝熱部材12_2と同様に構成される。
複数の第2凹部12e_2は、X軸に沿う方向にみた形状が異なること以外は、第1実施形態の複数の第1凹部12a_1と同様に構成される。図10に示す例では、複数の第2凹部12e_2は、X軸に沿う方向にみて複数の第1凹部12e_1と同一形状をなす。具体的には、複数の第2凹部12e_2のそれぞれは、溝12e_2aおよび溝12e_2bを有する。
溝12e_2aは、溝12e_1aに対応する溝である。溝12e_2bは、溝12e_1bに対応する溝である。以上の複数の第2凹部12e_2は、Z軸に沿う方向に中心間距離P2で等間隔に並んで配置される。
ここで、複数の第1凹部12e_1および複数の第2凹部12e_2は、互いにZ軸に沿う方向に距離Δzずれて配置される。このように第1伝熱面FTC_1および第2伝熱面FTC_2の形状は、互いに非面対称である。このような第1伝熱面FTC_1および第2伝熱面FTC_2であっても、X軸に沿う方向にみて、隣り合う2つの第1凹部12e_1間に設けられる図示しない第1凸部の頂部と、隣り合う2つの第2凹部12e_2間に設けられる図示しない第2凸部の頂部と、の重なりが低減されるので、これらの伝熱面間の冷媒の流動抵抗が低減される。この結果、これらの伝熱面で発生した気泡B同士の接触および合体を抑制することができる。
以上の第4実施形態によっても、第1伝熱面FTC_1と第2伝熱面FTC_2との間での気泡Bの滞留に起因する冷却性能の低下を抑制することができる。本実施形態では、前述のように、第1凹部12e_1および第2凹部12e_2がY軸に沿う方向での両端に近づくにしたがいZ1方向に向かうように傾斜するため、これらの伝熱面間の複数の気泡BをY軸に沿う方向に好適に分散させることができる。
5.第5実施形態
以下、本開示の第5実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用および機能が前述の実施形態と同様である要素については、前述の実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図11は、第5実施形態に係る沸騰冷却装置1Dの断面図である。図12は、図11中のC-C線断面図である。沸騰冷却装置1Dは、受熱部10に代えて受熱部10Dを備えること以外は、第1実施形態の沸騰冷却装置1と同様に構成される。受熱部10Dは、複数の伝熱部材12に代えて1対の伝熱部材12Dを備えること以外は、第1実施形態の受熱部10と同様に構成される。ただし、図11に示す例では、受熱部10Dの容器11に対する蒸気輸送部30および液輸送部40の取付位置が第1実施形態と異なる。
1対の伝熱部材12Dのうち、一方の伝熱部材12Dが「第1伝熱部材」の一例であり、他方の伝熱部材12Dが「第2伝熱部材」の一例である。
1対の伝熱部材12Dのそれぞれは、収容室S10に配置され、容器11に熱的に接続される熱伝導性の部材である。1対の伝熱部材12Dのそれぞれは、ZX平面に沿う板状をなしており、容器11に溶接等により接合される。ここで、1対の伝熱部材12Dは、互いに平行となるように配置される。なお、容器11および1対の伝熱部材12Dは、一体で構成されてもよい。
1対の伝熱部材12Dのうち、図12中の下側の伝熱部材12DのY1方向を向く面と図12中の上側の伝熱部材12DのY2方向を向く面とのそれぞれは、伝熱面FTDを構成する。ここで、1対の伝熱面FTDのうち、第1伝熱部材の有する伝熱面FTDが「第1伝熱面」の一例であり、第2伝熱部材の有する伝熱面FTDが「第2伝熱面」の一例である。
伝熱面FTDは、ZX平面に沿って広がる。図11に示す例では、伝熱面FTDが第1実施形態の伝熱面FTと同様に構成される。すなわち、1対の伝熱面FTDは、第1実施形態の第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2と同様に構成される。具体的には、伝熱面FTDは、複数の凹部12fを有する。ここで、第1伝熱面としての伝熱面FTDの有する凹部12fは、第1凹部の一例である。第2伝熱面としての伝熱面FTDの有する凹部12fは、第2凹部の一例である。
以上の第5実施形態によっても、1対の伝熱面FTDの間での気泡Bの滞留に起因する冷却性能の低下を抑制することができる。なお、1対の伝熱面FTDは、第1実施形態の第1伝熱面FT_1および第2伝熱面FT_2と同様の構成に限定されず、例えば、第2実施形態の第1伝熱面FTA_1および第2伝熱面FTA_2と同様の構成であってもよいし、第3実施形態の第1伝熱面FTB_1および第2伝熱面FTB_2と同様の構成であってもよいし、第4実施形態の第1伝熱面FTC_1および第2伝熱面FTC_2と同様の構成であってもよい。
6.変形例
本開示は前述の各実施形態に限定されるものではなく、以下に述べる各種の変形が可能である。また、各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせてもよい。
6-1.変形例1
前述の各形態では、互いに隣り合う2つの第1凹部の中心間距離P1と、互いに隣り合う2つの第2凹部の中心間距離P2と、が互いに等しい態様が例示されるが、当該態様に限定されず、例えば、中心間距離P1および中心間距離P2のうち、一方が他方の整数倍であってもよいし、一方が他方の非整数倍であってもよい。
6-2.変形例2
第1伝熱面および第2伝熱面の形状が互いに非面対称の関係にあればよく、複数の第1凹部の形状および複数の第2凹部の形状は、前述の各形態に限定されない。
6-3.変形例3
前述の各形態では、第1伝熱面および第2伝熱面のそれぞれが幅方向で対称に構成される態様が例示されるが、当該態様に限定されず、第1伝熱面および第2伝熱面のそれぞれが幅方向で非対称に構成されてもよい。
1…沸騰冷却装置、1D…沸騰冷却装置、10…受熱部、10D…受熱部、11…容器、12…伝熱部材、12A_1…第1伝熱部材、12A_2…第2伝熱部材、12B_1…第1伝熱部材、12B_2…第2伝熱部材、12C_1…第1伝熱部材、12C_2…第2伝熱部材、12D…伝熱部材、12_1…第1伝熱部材、12_2…第2伝熱部材、12a…凹部、12a_1…第1凹部、12a_2…第2凹部、12b_1…第1凸部、12b_2…第2凸部、12c_1…第1凹部、12c_2…第2凹部、12d_1…第1凹部、12d_1a…溝、12d_1b…溝、12d_2…第2凹部、12d_2a…溝、12d_2b…溝、12e_1…第1凹部、12e_1a…溝、12e_1b…溝、12e_2…第2凹部、12e_2a…溝、12e_2b…溝、12f…凹部、20…凝縮部、21…容器、23…放熱フィン、30…蒸気輸送部、31…蒸気管、40…液輸送部、41…液管、100…発熱体、B…気泡、D1…深さ、D2…深さ、FRA…受熱面、FT…伝熱面、FTA_1…第1伝熱面、FTA_2…第2伝熱面、FTB_1…第1伝熱面、FTB_2…第2伝熱面、FTC_1…第1伝熱面、FTC_2…第2伝熱面、FTD…伝熱面、FT_1…第1伝熱面、FT_2…第2伝熱面、L…距離、Lx…距離、P…中心間距離、P1…中心間距離、P2…中心間距離、RE…冷媒、RE0…液面、S10…収容室、S20…凝縮室、S30…第1流路、S40…第2流路、W1…幅、W2…幅、α1…傾斜角度、α1a…傾斜角度、α1b…傾斜角度、α2…傾斜角度、α2a…傾斜角度、α2b…傾斜角度。

Claims (11)

  1. 液状の冷媒と、
    発熱体からの熱により前記冷媒を沸騰させる第1伝熱面を有する第1伝熱部材と、
    発熱体からの熱により前記冷媒を沸騰させる第2伝熱面を有する第2伝熱部材と、を備え、
    前記第1伝熱面および前記第2伝熱面は、互いに間隔をあけて対向し、
    前記第1伝熱面は、複数の第1凹部を有し、
    前記第2伝熱面は、複数の第2凹部を有し、
    前記第1伝熱面および前記第2伝熱面の形状は、互いに非面対称である、
    ことを特徴とする沸騰冷却装置。
  2. 前記第1伝熱面および前記第2伝熱面のそれぞれは、水平面に直交する平面に沿って広がり、
    前記第1伝熱面と前記第2伝熱面との間の距離は、離脱気泡径Dbaseに対して、5倍以下である、
    請求項1に記載の沸騰冷却装置。
  3. 前記複数の第1凹部は、鉛直軸に沿う方向に並んでおり、
    前記複数の第1凹部のそれぞれは、水平方向成分を含む方向に延びる溝であり、
    前記複数の第2凹部は、鉛直軸に沿う方向に並んでおり、
    前記複数の第2凹部のそれぞれは、水平方向成分を含む方向に延びる溝である、
    請求項2に記載の沸騰冷却装置。
  4. 前記複数の第1凹部および前記複数の第2凹部は、互いに同一の横断面形状をなすとともに鉛直方向に互いにずれて配置される、
    請求項1に記載の沸騰冷却装置。
  5. 前記複数の第1凹部が規則的に配置されるとともに、前記複数の第2凹部が規則的に配置される、
    請求項4に記載の沸騰冷却装置。
  6. 前記第1伝熱面は、前記複数の第1凹部のうちの互い隣り合う2つの第1凹部間に設けられる第1凸部を有し、
    前記第2伝熱面は、前記複数の第2凹部のうちの互い隣り合う2つの第2凹部間に設けられる第2凸部を有し、
    前記第1伝熱面と前記第2伝熱面とが重なる方向にみて、前記第1凸部の頂部と前記第2凸部の頂部とが互いに重ならない、
    請求項1に記載の沸騰冷却装置。
  7. 前記冷媒には、界面活性剤が添加される、
    請求項1に記載の沸騰冷却装置。
  8. 前記複数の第1凹部のうちの隣り合う2つの第1凹部の中心間距離と、前記複数の第2凹部のうちの隣り合う2つの第2凹部の中心間距離と、のそれぞれは、平面での前記冷媒の沸騰により生じる気泡の離脱気泡径よりも小さい、
    請求項7に記載の沸騰冷却装置。
  9. 前記複数の第1凹部のそれぞれの幅は、底部に向かうに従って連続的に縮小し、
    前記複数の第2凹部のそれぞれの幅は、底部に向かうに従って連続的に縮小する、
    請求項7に記載の沸騰冷却装置。
  10. 前記複数の第1凹部のそれぞれの幅は、前記複数の第1凹部のうちの隣り合う2つの第1凹部の中心間距離に対して0.9倍以上1倍以下であり、
    前記複数の第2凹部のそれぞれの幅は、前記複数の第2凹部のうちの隣り合う2つの第2凹部の中心間距離に対して0.9倍以上1倍以下である、
    請求項7に記載の沸騰冷却装置。
  11. 前記複数の第1凹部のそれぞれの深さは、前記複数の第1凹部のそれぞれの幅に対して0.5倍以上であり、
    前記複数の第2凹部のそれぞれの深さは、前記複数の第2凹部のそれぞれの幅に対して0.5倍以上である、
    請求項10に記載の沸騰冷却装置。
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