JP2024008084A - 階段の構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】温度ストレスを軽減できるとともに、リビング階段の解放感を確保でき、少ない設置スペースで、イニシャルコストとランニングコストを安価なものとする。【解決手段】隣接する下段部13と上段部15下段部13と上段部15とは、それぞれが踏板31と蹴込板33とにより構成され、上段部15における踏板31の後端から蹴込板33と平行に垂下する背壁47と、下段部13における蹴込板33の下端から踏板31と平行に延在して背壁47の下端と直交する床板材49と、両側を塞いで背壁47および床板材49とで階段裏空間51を密閉するとともに下段部13の両側から上階へと続く一対の側壁27と、を有し、下段部13の踏板31には吹出口37が段鼻32に沿って穿設され、吹出口37よりも後方の床板材49には熱源器53が設置され、熱源器53よりも後方の側壁27には外からの空気57を階段裏空間51に供給する送風機が設けられる。【選択図】 図4

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 住宅産業新聞社が、住宅産業新聞の令和4年4月5日付第1面にて、福代昇一が発明したコールドドラフト対策にかかわる階段の構造について公開した。
本発明は、階段の構造に関する。
階段付きリビングでは、暖房時に、上階の冷気が階段を伝って流れ込むコールドドラフトが生じる。これにより流れ込んできた冷気は、人体に触れると不快感を与える。そこで、リビングの階段室側開口に仕切材としてのロールスクリーンを配置することで、リビングとこのリビングに連通する階段室との間を仕切ることができるようにした建物内の仕切り構造が提案されている(例えば特許文献1参照)。この建物内の仕切り構造は、ロールスクリーンが、中空角形断面をなす長尺状の収納ボックス内にロール状の状態で収納してあり、階段室開口の上縁に配置した収納ボックスからロールスクリーンを巻き戻して収納ボックスから下方に展開し、階段室開口を閉塞する。
この建物内の仕切り構造によれば、暖房時において、ロールスクリーンを収納ボックスから下方に展開し、リビングの階段室側開口を閉塞するように配置すると、リビングと階段室が仕切り材(ロールスクリーン)で仕切られることとなり、リビング内の暖気が階段室側開口を介して階段室に逃げる、すなわち、上の階にある冷気が階段を伝って下降しリビング内に流れ込む、特に床面に沿って広がるように冷気が流れ込んでくることを抑制することができる。
特開2010-31520号公報
しかしながら、従来の建物内の仕切り構造は、リビングと階段室をロールスクリーンで仕切ることにより、上階の冷気が階段から下降するのを抑制できるが、以下の問題が発生する。
すなわち、
・リビング階段の解放感がなくなる。
・ロールスクリーンと階段の隙間から冷気が落ちてくる。
・階段を使う際に、ロールスクリーンを上げると、ロールスクリーン奥(ロールスクリーンよりも上階側)に溜まっていた冷気が急に落ちてくる。
つまり、リビングに上階へ続く空間を構築して、リビングを広く見せ、動線とコミュニケーションを得られるものであるが、冬季などの暖房使用時に上記のようなデメリットが発生する。
また、ロールスクリーンを使用せずに、階段裏空間に大きなダクト構造を構築したり、空調機などを設置して冷気の下降を抑制したりすれば、イニシャルコストと、ランニングコストとが共に増大した。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、コールドドラフトによって生じるリビング内の温度ストレスを軽減できるとともに、ロールスクリーンなどの仕切材を使用せずにリビング階段の解放感を確保でき、しかも、少ない設置スペースでの構築を可能にして、イニシャルコストとランニングコストを安価にできる階段の構造を提供することにある。
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の階段の構造は、下階と上階とに渡って設けられ、少なくとも隣接する下段部13と上段部15とを有する階段の構造であって、
前記下段部13と前記上段部15とは、それぞれが踏板31と蹴込板33とにより構成されるとともに、前記上段部15における前記踏板31の後端から前記蹴込板33と平行に垂下する背壁47と、前記下段部13における前記蹴込板33の下端から前記踏板31と平行に延在して前記背壁47の下端と直交する板材75(または床板材49)と、両側を塞いで前記背壁47および前記板材75(または床板材49)とで階段裏空間51を密閉するとともに前記下段部13の両側から上階へと続く一対の側壁27と、を有し、
前記下段部13の前記踏板31には複数の孔35よりなる吹出口37が段鼻32に沿って穿設され、
前記吹出口37よりも後方の前記板材75(または床板材49)には、熱源器53が設置され、
前記熱源器53よりも後方の前記側壁27または前記背壁47には外からの空気57を前記階段裏空間51に供給する送風機59が設けられることを特徴とする。
この階段の構造では、下階と上階とに渡って設けられた階段における複数の段部のうち、少なくとも隣接する下段部13と上段部15との2つの段部に、密閉された階段裏空間51が形成される。階段裏空間51は、背壁47と、板材75(または床板材49)と、一対の側壁27とにより階段裏の一部分が密閉されて成る。階段裏空間51は、送風機59が駆動され、外からの空気57が内部に供給されると正圧となり、吹出口37から上向きに空気57が吹き出される。階段の構造では、踏板31から垂直上方向に上昇暖気流77が吹き出されることにより、仮に水平方向に暖気が吹き出される場合のように、吹き出した暖気流の上部を冷気が通って下階に落ちることを防ぐことができる。
階段裏空間51は、送風機59と吹出口37との間の床板材49または板材75に、熱源器53が設置されている。送風機59によって外から取り込まれた空気57は、熱源器53で加熱されて、高温となって吹出口37より吹き出される。この際の吹き出し温度は、少なくとも階段を下降する冷気よりも高温に設定される。このため、吹出口37からの高温空気は、送風機59の駆動によって生じた階段裏空間51の正圧力と、暖気による浮力との双方の作用により、少ないエネルギーで上昇暖気流77を発生させることができる。すなわち、送風機59の出力を抑え、消費電力の省力化を図ることができる。
また、吹出口37よりも熱源器53、送風機59を順に奥側に設置するので、電源OFF時に吹出口37から落ちた埃を、始動時の送風により生じる空気57の流れで、前面に押し出し、熱源器53への接触を抑えつつ、内部の清掃をしやすくできる。
また、段鼻32に沿って吹き出される上昇暖気流77は、一対の側壁27の間に渡って面状となって上昇する。この面状の上昇暖気流77には、上階より階段を落ちる下降冷気65が当たる。上昇暖気流77に当たった下降冷気65は、一部が上昇暖気流77と混ざり合い、上昇暖気流77に加熱されながら上昇する。これにより、階段の構造では、上階から階段を落ちる下降冷気65が、下階の床面19に直接的に到達することを抑制できる。
その結果、この階段の構造によれば、下降冷気65が人体に直接当たることによる不快感、すなわち、コールドドラフトによって生じる温度ストレスを軽減できる。
また、ロールスクリーンなどの仕切材を使用しないので、リビング階段17の解放感を損ねることがない。そして、ロールスクリーンを上げることによってロールスクリーン奥に溜まっていた冷気が急に落ちてくることもない。
また、複数の段部のうち、隣接する下段部13と上段部15の2つの段部のみを使用すればよいので、階段裏空間51の殆どを使用するようなダクト構造等に比べ、省スペースで構成することができる。
さらに、階段裏空間51に、熱源器53と送風機59のみを設ければよいので、高価な空調機などを設置する構成に比べ、イニシャルコストと、ランニングコストとを安価にできる。
本発明の請求項2記載の階段の構造は、請求項1に記載の階段の構造であって、
前記複数の孔35のそれぞれが、前記段鼻32に沿う方向に長いスリット形状で形成され、
前記吹出口37は、前記孔35と非穿孔部41とを交互に配置した直線状の一列が、平行な複数列で形成され、かつ隣接する列の前記孔35と前記非穿孔部41とが互い違いに配置されることを特徴とする。
この階段の構造では、吹出口37が、複数の孔35からなる。それぞれの孔35は、段鼻32に沿う方向に長いスリット形状で形成される。吹出口37は、スリット形状の孔35と非穿孔部41とを交互に配置した直線状の一列が、平行な複数列で形成される。そして、吹出口37は、複数の孔35が互い違い(千鳥状)に配置される。仮に1本のスリットを一方の側壁27から他方の壁に流すと、踏板31の強度が下がってしまう。これに対し、この階段の構造によれば、スリット形状を長くしつつ互い違いにすることで、孔同士の間に木部を残して、踏板31の強度を保つことができる。
これに加え、吹出口37は、スリット形状の孔35と非穿孔部41とを交互に配置した直線状の一列が、平行な複数列で形成されるので、蹴込板33とほぼ平行となる面状の上昇暖気流77を両側の側壁27に渡ってエアカーテン状に吹き出すことができる。そして、上昇暖気流77は、エアカーテンの厚み方向に複数層(孔35の列数分の層)で重ねられるので、整流作用が働いてより面状にちかづけることができ、上階からの下降冷気65を堰き止めやすくできる。
本発明の請求項3記載の階段の構造は、請求項1または2に記載の階段の構造であって、
前記下段部13が、前記下階の床面19から1段目であり、前記板材75が、床板材49であることを特徴とする。
この階段の構造では、階段裏空間51を構成する下段部13と上段部15のうち、下段部13が床面19からの1段目となる。このため、上段部15における踏板31の後端から蹴込板33と平行に垂下する背壁47は、下端が床板材49に当接する。この階段の構造では、下段部13が1段目以外である場合に必要であった板材75が不要となり、その代わりに床板材49が階段裏空間51の底面を塞ぐことができる。つまり、板材75を省略できる。
この階段の構造では、階段室側開口が、床面19から起立する壁面に開口することになる。このため、床面19から1段目の踏板31に吹出口37が設けられる階段の構造では、上昇暖気流77が階段の最下段からエアカーテン状となって吹き上げられる。これにより、下階の床面近傍に溜まろうとする最も温度の低い下降冷気65を、上昇暖気流77によって加熱しながら上昇させることができ、コールドドラフトをより効果的に抑制することができる。
また、階段としての1段目と2段目は、床面19に近く、階段裏空間51の全高が低すぎるとともに、スペース(空間)としては小さく、この空間を使用するには屈まなくてはならないため、収納には不向きとなる。そのため、デッドスペースとなることが多い。本発明の階段の構造では、このような小さなデッドスペースを有効利用することで、他のスペースにも有用なスペースを侵食することもなく、階段下収納の設置を妨げることもない。
本発明の請求項4記載の階段の構造は、請求項1または2に記載の階段の構造であって、
前記下段部13の前記蹴込板33が、脱着自在に取り付けられていることを特徴とする。
この階段の構造では、下段部13の前面となる蹴込板33が、脱着自在となって取り付けられる。例えば下段部13が、下階の床面19から1段目である場合、蹴込板33が取り外されれば、階段裏空間51へ向かって延出する床板材49の床面19が目視可能となる。この下段部13における踏板31の下には、奥側に熱源器53が設置される。これにより、清掃やメンテナンスの際に、熱源器53への容易なアクセスが可能となる。
この蹴込板33は、例えばマグネット71の吸着力により脱着自在に取り付けることができる。このため、この階段の構造によれば、意匠的に目立たせることなく、メンテナンスや清掃用の点検口を簡便に設けることができる。
本発明の請求項5記載の階段の構造は、請求項3に記載の階段の構造であって、
前記下段部13の前記蹴込板33が、脱着自在に取り付けられていることを特徴とする。
この階段の構造では、下段部前面となる蹴込板33を開閉可能にすることで、意匠的に目立たせることなく、熱源器53のメンテナンスや、階段裏空間51の清掃を可能にすることができる。
本発明に係る請求項1記載の階段の構造によれば、コールドドラフトによって生じるリビング内における温度ストレスを軽減できるとともに、ロールスクリーンなどの仕切材を使用せずにリビング階段の解放感を確保でき、しかも、複数の段部のうち、隣接する下段部と上段部の2つの段部のみを使用するという少ない設置スペースでの構築を可能にして、イニシャルコストとランニングコストを安価にできる。
本発明に係る請求項2記載の階段の構造によれば、踏板の強度を保ちながら、上階からの下降冷気を効率よく堰き止めるための上昇暖気流を発生させることができる。
本発明に係る請求項3記載の階段の構造によれば、下段部を床面から1段目とすることにより、階段裏空間の底部を床板材で塞ぐことができ、板材を省略して材料費を安価にできる。
本発明に係る請求項4記載の階段の構造によれば、下段部の蹴込板を取り外すことにより、階段下の掃除や熱源器のメンテナンスを容易に行ったり、吹出口から落とした物等を取り出したりできる。
本発明に係る請求項5記載の階段の構造によれば、下段部の蹴込板を取り外すことにより、階段下の掃除や熱源器のメンテナンスを容易に行ったり、吹出口から落とした物等を取り出したりできる。
本実施形態に係る階段の構造を備えるリビングの斜視図である。 図1に示したリビング階段の要部拡大図である。 (a)は下段部における踏板の平面図、(b)は下段部における踏板の側面図である。 本実施形態に係る階段の構造の要部側断面図である。 下段部における蹴込板が取り外された階段の構造の要部分解斜視図である。 変形例に係る階段の構造を表す側断面図である。 他の変形例に係る階段の構造を表す斜視図である。 本実施形態に係る階段の構造における作用図である。 上階(2F)温度が15.6℃における下階(1F)のコールドドラフト抑制状況を実験したときの実測温度値を示す説明図である。
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る階段の構造を備えるリビング11の斜視図である。
本実施形態に係る階段の構造は、下階と上階とに渡って設けられ、少なくとも隣接する下段部13と上段部15とからなる2つの段部を有する。本実施形態において、下階を1階、上階を2階とし、下階はリビング11であるので、階段はリビング階段17と称す。なお、本発明に係る階段の構造は、下階がリビング11に限定されず、階段もリビング階段17に限定されない。すなわち、本発明に係る階段の構造は、メゾネットや一般的な階段など上階から下階に渡って設けられて下降するコールドドラフトの生ずる階段であれば好適に用いることができ、効果を奏するものである。
リビング階段17は、リビング11の床面19から起立する壁部21に、階段室開口23が開口する。階段室25は、リビング階段17の両側が一対の側壁27となり、上階へと続いている。側壁27の階段室側には、手摺29が取り付けられていてもよい。リビング階段17は、リビング11に解放感が出る、階段の昇り降りの動線にリビング11を通ることを含ませるので家族の動きが確認しやすい、家族間のコミュニケーションが増える、階段が明るく快適になる、などのメリットから近年、多く採用される傾向にある。
本実施形態に係る階段の構造において、下段部13と上段部15とは、それぞれが踏板31と蹴込板33とにより構成される。
図2は、図1に示したリビング階段17の要部拡大図である。
本実施形態に係る階段の構造は、下段部13が、下階であるリビング11の床面19から1段目となっている。なお、後述するように、下段部13は、リビング階段17の1段目に限定されない。下段部13における踏板31の手前下面からは、蹴込板33が垂下する。この下段部13の蹴込板33は、リビング11の床面19に下端が接する。上段部15における踏板31の手前下面からは、蹴込板33が垂下する。この上段部15の蹴込板33は、下段部13における踏板31の奥側上面と交わる。下段部13と上段部15の両側は、一対の側壁27により挟まれることで塞がれる。
下段部13の踏板31には、複数の孔35よりなる吹出口37が段鼻32に沿って穿設される。一方の側壁27には、後述する階段裏空間に通じる吸入口39が設けられている。この吸入口39には、送風機が取り付けられる。
図3(a)は下段部13における踏板31の平面図、(b)は下段部13における踏板31の側面図である。
吹出口37は、複数の孔35のそれぞれが、段鼻32に沿う方向に長いスリット形状で形成される。スリット形状の幅は、幼児の指が挟まらないような最小限の幅が好ましく、例えば6mm程度することができる。また、スリット形状の長さは、短く設定されることが好ましく、段鼻32に沿って連続する1つの長尺なスリットではなく、所定の長さの孔35と非穿孔部41とが交互に直線状に形成され、例えば、スリット形状の孔35の長さを200mm程度、非穿孔部41の長さは70mm程度とすることができ、非穿孔部41である木部分を残すことで、踏板31歩行時の感触を和らげることが可能となる。
吹出口37は、孔35と非穿孔部41とを交互に配置した直線状の一列が、平行な複数列で形成される。列同士の間隔は、例えば30mm程度とすることができる。本実施形態に係る階段の構造において、吹出口37は二列で形成される。吹出口37は、隣接する列の孔35と非穿孔部41とが互い違いに配置される。つまり、隣接する列の孔35は、交互(千鳥)に配置される。踏板31の上面手前には、例えば両側の側壁27に渡って、滑り止めとなる複数の平行な凹溝43が形成されていてもよい。吹出口37のそれぞれの孔35は、踏板31を上下に貫通する。また、踏板31の下面手前には、蹴込板33の上縁が挿入される挿着溝45が形成されている。
図4は、本実施形態に係る階段の構造の要部側断面図である。
この階段の構造は、上段部15における踏板31の後端から背壁47が蹴込板33と平行に垂下する。垂下した背壁47の下端は、床板材49の床面19に当接する。階段の構造は、下段部13における蹴込板33の下端から踏板31と平行に延在して背壁47の下端と直交する板材を有する。本実施形態に係る階段の構造において、この板材は、床板材49となる。
これにより、階段の構造は、階段裏空間51が、一対の側壁27と、背壁47と、床板材49と、によって密閉されることになる。階段の構造は、吹出口37よりも後方の床板材49に、熱源器53が設置される。熱源器53は、吹出口37の直下から離すことで埃がかかりづらくすることができる。熱源器53は、両端に脚部を備えており、これら脚部が一対の木台55に載置されることにより、床面19から離間して支持される。脚部には木台55にとめつける金具があり、正面から木台55への固定が容易に可能となっている。
熱源器53は、所謂ヒーターであり、特に温度設定が行える機能は無くても良いが、階段裏空間51の温度が上がりすぎないように、一定の温度、例えば約60℃を超えないような過熱停止装置を備えることが好ましい。
熱源器53よりも後方の側壁27、または背壁47には階段裏空間51外からの空気57を階段裏空間51内に供給する送風機59が設けられる。本実施形態に係る階段の構造では、熱源器53よりも後方の側壁27に形成された吸入口39に送風機59(図示略)が設けられている。より具体的に送風機59は、水平位置が上段部15の踏板31の間で、一方の側壁27において床面19から踏板31の間の高さに配置される。送風機59は、例えばプロペラファンなどより構成される。背壁47の内面には、電源用のコンセント61が取り付けられる。コンセント61には、例えば熱源器53の電源配線63に取り付けられた電源プラグが接続される。
本実施形態の階段の構造は、吸入口39の送風機59を駆動して外の空気57、例えばリビング11内の空気57を階段裏空間51に供給すると、取り込まれた空気57が熱源器53を通過して下段部13における踏板31の吹出口37から垂直上方に吹き出される。この際、空気57は、熱源器53を通過することから、この熱源器53により加熱されており、リビング階段17を上階から落ちてくる下降冷気65よりも高温となる。
吹出口37からの風は、階段裏空間51の温度が一定の範囲になりつつ、物が飛ばない風速で設定されることが好ましい。また、階段裏空間51の温度は、踏板歩行時に人体に害を与えないよう踏板表面温度が高温になりすぎない範囲を想定する。なお、熱源器53と送風機59とには、OFFタイマーを設け、消し忘れ防止機能付きとすることがランニングコスト抑制のためにも好ましい。
なお、熱源器53自体に空気57の取込みや吹き出しを行うようなファンが設けられる構成としてもよく、また吹出口37近傍にファンを設け、熱源器53を通過する暖められた空気を吹き出すような構成としてもよい。
図5は、下段部13における蹴込板33が取り外された階段の構造の要部分解斜視図である。
階段の構造は、下段部13の蹴込板33が、脱着自在に取り付けられている。下段部13の蹴込板取付開口67には、縁材69が左右と上部とに設けられる。この縁材69と蹴込板33の背面とには、互いが着脱可能となる固定具が設けられる。例えば、マグネット71と磁性板73の組み合わせなどであり、縁材69に複数のマグネット71を固定し、蹴込板33の背面にこれらマグネット71に吸着する磁性板73が固定されるような構成である。また、固定具に替えて締結金具などで構成し、蹴込板33を脱着自在にすることとしてもよい。これにより、下段部13の蹴込板33は、蹴込板取付開口67に対して容易に脱着が可能となっている。下段部13の蹴込板33が取り外された階段の構造は、階段裏空間51に対する清掃や熱源器53などのメンテナンスのための容易なアクセスが可能となる。
図6は、変形例に係る階段の構造を表す側断面図である。
本発明に係る階段の構造は、下段部13がリビング階段17の1段目以外であってもよい。この場合、下段部13は、一対の側壁27に挟まれる階段室開口23の位置の段部となる。階段裏空間51は、背壁47と、板材75と、一対の側壁27とにより階段裏の一部分が密閉される。図6に示す階段の構造では、リビング階段17がリビング11の床面19から3段目で階段室開口23に入る。したがって、この3段目が、下段部13となり、吹出口37が位置する。
図7は、他の変形例に係る階段の構造を表す斜視図である。
本発明に係る階段の構造は、一方の側壁27がリビング階段17の途中から階段室25を開放する構造であってもよい。この場合、下段部13は、一対の側壁27に挟まれる階段室開口23の位置の段部となる。図7に示す階段の構造では、リビング階段17がリビング11の床面19から4段目で階段室開口23に入る。したがって、この4段目が、下段部13となり、吹出口37が位置する。
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係る階段の構造では、下階と上階とに渡って設けられた階段における複数の段部のうち、少なくとも隣接する下段部13と上段部15との2つの段部に、密閉された階段裏空間51が形成される。階段裏空間51は、背壁47と、床板材49または板材75と、一対の側壁27とにより階段裏の一部分が密閉されて成る。階段裏空間51は、送風機59(図9参照)が駆動され、外からの空気57が内部に供給されると正圧となり、吹出口37から上向きに空気57が吹き出される。階段の構造では、踏板31からほぼ垂直上方向に上昇暖気流77(図4参照)が吹き出されることにより、仮に水平方向に暖気が吹き出される場合のように、吹き出した暖気流の上部を冷気が通って下階に落ちることを抑制することができる。
図8は、本実施形態に係る階段の構造における作用図である。
階段裏空間51は、送風機59と吹出口37との間の床板材49または板材75に、熱源器53が設置されている。送風機59によって外から取り込まれた空気57は、熱源器53で加熱されて、高温となって吹出口37より吹き出される。この際の吹き出し温度は、少なくともリビング階段17を下降する冷気よりも高温に設定される。このため、吹出口37からの高温空気は、送風機59の駆動によって生じた階段裏空間51の正圧力と、暖気による浮力との双方の作用により、少ないエネルギーで上昇暖気流77を発生させることができる。すなわち、送風機59の出力を抑え、消費電力の省力化を図ることができる。
また、階段の構造では、吹出口37よりも熱源器53、送風機59を順に奥側に設置するので、電源OFF時に吹出口37から落ちた埃を、始動時における送風からの空気57の流れで、前面に押し出し、熱源器53への接触を抑えつつ、内部の清掃をしやすくできる。
また、段鼻32に沿って吹き出される上昇暖気流77は、一対の側壁27の間に渡って面状となって上昇する。この面状の上昇暖気流77には、上階よりリビング階段17を落ちる下降冷気65が当たる。上昇暖気流77に当たった下降冷気65は、一部が上昇暖気流77と混ざり合い、上昇暖気流77に加熱されながら上昇する。これにより、階段の構造では、上階(2階)からリビング階段17を落ちる下降冷気65が、下階(リビング11)の床面19に直接的に到達することを抑制できる。
図9は、上階(2F)温度が15.6℃における下階(1F)のコールドドラフト抑制状況を実験したときの実測温度値を示す説明図である。
図9の左図は、実施形態の構成である階段の構造を採用しない、すなわち無対策の場合である。リビング階段17からリビング11に冷気が落ちてきて、冷気が床面近傍での低い位置で広がっていた。なお、実験では、上階で緑色の煙をだし、その流れ方を可視化によっても確認した。
図9の右図は、実施形態の構成である階段の構造を採用した場合である。
ここで、熱源器53と送風機59の出力を階段裏空間51の温度が30℃程度になるように調整し、各部の温度を実測した。
送風機59および熱源器53をONにすると、床面19にはリビング階段17からの下降冷気65(可視化実験による緑色の煙)がほとんど落ちてこなくなることが視覚的に確認できた。無対策の場合と同様に上階である2Fの温度が15.6℃のとき、リビング階段17からの冷気が減り、下階(1F)のリビング11における床面近傍での低い位置の温度が下がらなくなっていることが確認できた。下段部13の踏板31直上では、無対策の17.8℃から21.7℃の温度上昇があった(図9中四角枠内)。また、床面19から1段目の踏板31の高さ位置でも17.8℃から20.9℃の温度上昇があった(図9中破線長丸内上段)。また、床面19からほぼ3段目の踏板31の高さ位置でも18.8℃から20.2℃の温度上昇があった(同破線長丸内下段)。
その結果、この階段の構造では、下降冷気65が人体に直接当たることによる不快感、すなわち、コールドドラフトによって生じる温度ストレスを軽減できる。
また、ロールスクリーンなどの仕切材を使用しないので、リビング階段17の解放感を損ねることがない。そして、ロールスクリーンを上げる(開ける)ことによってロールスクリーン奥に溜まっていた冷気が急に落ちてくることもない。
また、複数の段部のうち、隣接する下段部13と上段部15の2つの段部のみを使用すればよいので、階段裏空間51の殆どを使用するようなダクト構造等に比べ、省スペースで構成することができる。
さらに、階段裏空間51に、熱源器53と送風機59のみを設ければよいので、高価な空調機などを設置する構成に比べ、イニシャルコストと、ランニングコストとを安価にできる。
そして、この階段の構造では、吹出口37が、複数の孔35からなる。それぞれの孔35は、段鼻32に沿う方向に長いスリット形状で形成される。吹出口37は、スリット形状の孔35と非穿孔部41とを交互に配置した直線状の一列が、平行な複数列で形成される。そして、吹出口37は、複数の孔35が互い違い(千鳥状)に配置される。仮に1本のスリットを一方の側壁27から他方の壁に流すと、踏板31の強度が下がってしまう。これに対し、この階段の構造では、スリット形状を長くしつつ互い違いにすることで、孔同士の間に木部を残して、踏板31の強度を保つことができる。
これに加え、吹出口37は、スリット形状の孔35と非穿孔部41とを交互に配置した直線状の一列が、平行な複数列で形成されるので、蹴込板33とほぼ平行となる面状の上昇暖気流77を両側の側壁27に渡ってエアカーテン状に吹き出すことができる。この上昇暖気流77は、エアカーテンの厚み方向に複数層(孔35の列数分の層)で重ねられるので、整流作用が働いてより面状にちかづけることができ、上階からの下降冷気65を堰き止めやすくできる。その結果、踏板31の強度を保ちながら、上階からの下降冷気65を効率よく堰き止めるための上昇暖気流77を効率的に発生させることができる。
また、本実施形態に係る階段の構造では、階段裏空間51を構成する下段部13と上段部15のうち、下段部13が床面19からの1段目となる。このため、上段部15における踏板31の後端から蹴込板33と平行に垂下する背壁47は、下端が床板材49に当接する。この階段の構造では、下段部13が1段目以外である場合に必要であった板材75が不要となり、その代わりに床板材49が階段裏空間51の底面を塞ぐことができる。つまり、板材75を省略できる。すなわち、イニシャルコストを一層安価にできる。
この階段の構造では、階段室側開口23が、床面19から起立する壁部21に開口することになる。このため、床面19から1段目に吹出口37が設けられる階段の構造では、上昇暖気流77がリビング階段17の最下段からエアカーテン状となって吹き上げられる。これにより、下階であるリビング11の床面近傍に溜まろうとする最も温度の低い下降冷気65を、上昇暖気流77によって加熱しながら上昇させることができ、コールドドラフトをより効果的に抑制することができる。
また、リビング階段17の1段目と2段目は、床面19に近く、階段裏空間51の全高が低すぎるとともに、スペース(空間)としては小さく、この空間を使用するには屈まなくてはならないため、収納には不向きとなる。そのため、デッドスペースとなることが多い。この階段の構造では、このような小さなデッドスペースを有効利用することで、他の有用なスペースを侵食することなく、階段下収納の設置を妨げることもない。その結果、下段部13を床面19から1段目とすることにより、階段裏空間51の底部を床板材49で塞ぐことができ、板材75を省略して材料費を安価にでき、しかも、階段下収納の確保も可能となる。
また、この階段の構造では、下段部13の前面となる蹴込板33が、脱着自在となって取り付けられる。例えば下段部13が、下階の床面19から1段目である場合、蹴込板33が取り外されれば、階段裏空間51へ向かって延出する床板材49の床面19が目視可能となる。この下段部13には、奥側に熱源器53が設置される。これにより、清掃やメンテナンスの際に、熱源器53への容易なアクセスが可能となる。
そして、蹴込板33は、例えばマグネット71の吸着力により脱着自在に取り付けることができる。このため、本実施形態の階段の構造では、意匠的に目立たせることなく、メンテナンスや清掃用の点検口を簡便に設けることができる。その結果、下段部13の蹴込板33を取り外すことにより、吸入口39から吸い込まれてしまう粉塵や吹出口37から落下する粉塵など階段裏空間51内の掃除や熱源器53のメンテナンスを容易に行ったり、吹出口37から落とした物等を取り出したりできる。
したがって、本実施形態に係る階段の構造によれば、コールドドラフトによって生じる温度ストレスを軽減できるとともに、ロールスクリーンなどの仕切材を使用せずにリビング階段17の解放感を確保でき、しかも、少ない設置スペースでの構築を可能にして、イニシャルコストとランニングコストを安価にできる。
13…下段部
15…上段部
17…階段(リビング階段)
19…床面
27…側壁
31…踏板
32…段鼻
33…蹴込板
35…孔
37…吹出口
41…非穿孔部
47…背壁
49…床板材
51…階段裏空間
53…熱源器
57…空気
59…送風機
75…板材
本発明は、階段の構造に関する。
階段付きリビングでは、暖房時に、上階の冷気が階段を伝って流れ込むコールドドラフトが生じる。これにより流れ込んできた冷気は、人体に触れると不快感を与える。そこで、リビングの階段室側開口に仕切材としてのロールスクリーンを配置することで、リビングとこのリビングに連通する階段室との間を仕切ることができるようにした建物内の仕切り構造が提案されている(例えば特許文献1参照)。この建物内の仕切り構造は、ロールスクリーンが、中空角形断面をなす長尺状の収納ボックス内にロール状の状態で収納してあり、階段室開口の上縁に配置した収納ボックスからロールスクリーンを巻き戻して収納ボックスから下方に展開し、階段室開口を閉塞する。
この建物内の仕切り構造によれば、暖房時において、ロールスクリーンを収納ボックスから下方に展開し、リビングの階段室側開口を閉塞するように配置すると、リビングと階段室が仕切り材(ロールスクリーン)で仕切られることとなり、リビング内の暖気が階段室側開口を介して階段室に逃げる、すなわち、上の階にある冷気が階段を伝って下降しリビング内に流れ込む、特に床面に沿って広がるように冷気が流れ込んでくることを抑制することができる。
特開2010-31520号公報
しかしながら、従来の建物内の仕切り構造は、リビングと階段室をロールスクリーンで仕切ることにより、上階の冷気が階段から下降するのを抑制できるが、以下の問題が発生する。
すなわち、
・リビング階段の解放感がなくなる。
・ロールスクリーンと階段の隙間から冷気が落ちてくる。
・階段を使う際に、ロールスクリーンを上げると、ロールスクリーン奥(ロールスクリーンよりも上階側)に溜まっていた冷気が急に落ちてくる。
つまり、リビングに上階へ続く空間を構築して、リビングを広く見せ、動線とコミュニケーションを得られるものであるが、冬季などの暖房使用時に上記のようなデメリットが発生する。
また、ロールスクリーンを使用せずに、階段裏空間に大きなダクト構造を構築したり、空調機などを設置して冷気の下降を抑制したりすれば、イニシャルコストと、ランニングコストとが共に増大した。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、コールドドラフトによって生じるリビング内の温度ストレスを軽減できるとともに、ロールスクリーンなどの仕切材を使用せずにリビング階段の解放感を確保でき、しかも、少ない設置スペースでの構築を可能にして、イニシャルコストとランニングコストを安価にできる階段の構造を提供することにある。
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明に係る階段の構造は、下階と上階とに渡って設けられ、少なくとも隣接する下段部13と上段部15とを有する階段の構造であって、
前記下段部13と前記上段部15とは、それぞれが踏板31と蹴込板33とにより構成されるとともに、前記上段部15における前記踏板31の後端から前記蹴込板33と平行に垂下する背壁47と、前記下段部13における前記蹴込板33の下端から前記踏板31と平行に延在して前記背壁47の下端と直交する板材75(または床板材49)と、両側を塞いで前記背壁47および前記板材75(または床板材49)とで階段裏空間51を密閉するとともに前記下段部13の両側から上階へと続く一対の側壁27と、を有し、
前記下段部13の前記踏板31には、スリット孔35の途中に非穿孔部41を有するスリット形状の吹出口37が段鼻に沿って穿設され、
密閉された前記階段裏空間の内部における前記吹出口37よりも後方の前記板材75(または床板材49)の上部には、熱源器53が設置され、
前記熱源器53よりも後方の前記側壁47または前記背壁47には外からの空気を密閉された前記階段裏空間に供給する吸入口が設けられ、この吸入口には送風機59が設けられることを特徴とする。
この階段の構造では、下階と上階とに渡って設けられた階段における複数の段部のうち、少なくとも隣接する下段部13と上段部15との2つの段部に、密閉された階段裏空間51が形成される。階段裏空間51は、背壁47と、板材75(または床板材49)と、一対の側壁27とにより階段裏の一部分が密閉されて成る。階段裏空間51は、送風機59が駆動され、外からの空気57が内部に供給されると正圧となり、吹出口37から上向きに空気57が吹き出される。階段の構造では、踏板31から垂直上方向に上昇暖気流77が吹き出されることにより、仮に水平方向に暖気が吹き出される場合のように、吹き出した暖気流の上部を冷気が通って下階に落ちることを防ぐことができる。
階段裏空間51は、送風機59と吹出口37との間の床板材49または板材75に、熱源器53が設置されている。送風機59によって外から取り込まれた空気57は、熱源器53で加熱されて、高温となって吹出口37より吹き出される。この際の吹き出し温度は、少なくとも階段を下降する冷気よりも高温に設定される。このため、吹出口37からの高温空気は、送風機59の駆動によって生じた階段裏空間51の正圧力と、暖気による浮力との双方の作用により、少ないエネルギーで上昇暖気流77を発生させることができる。すなわち、送風機59の出力を抑え、消費電力の省力化を図ることができる。
また、吹出口37よりも熱源器53、送風機59を順に奥側に設置するので、電源OFF時に吹出口37から落ちた埃を、始動時の送風により生じる空気57の流れで、前面に押し出し、熱源器53への接触を抑えつつ、内部の清掃をしやすくできる。
また、段鼻32に沿って吹き出される上昇暖気流77は、一対の側壁27の間に渡って面状となって上昇する。この面状の上昇暖気流77には、上階より階段を落ちる下降冷気65が当たる。上昇暖気流77に当たった下降冷気65は、一部が上昇暖気流77と混ざり合い、上昇暖気流77に加熱されながら上昇する。これにより、階段の構造では、上階から階段を落ちる下降冷気65が、下階の床面19に直接的に到達することを抑制できる。
その結果、この階段の構造によれば、下降冷気65が人体に直接当たることによる不快感、すなわち、コールドドラフトによって生じる温度ストレスを軽減できる。
また、ロールスクリーンなどの仕切材を使用しないので、リビング階段17の解放感を損ねることがない。そして、ロールスクリーンを上げることによってロールスクリーン奥に溜まっていた冷気が急に落ちてくることもない。
また、複数の段部のうち、隣接する下段部13と上段部15の2つの段部のみを使用すればよいので、階段裏空間51の殆どを使用するようなダクト構造等に比べ、省スペースで構成することができる。
さらに、階段裏空間51に、熱源器53と送風機59のみを設ければよいので、高価な空調機などを設置する構成に比べ、イニシャルコストと、ランニングコストとを安価にできる。
本発明の階段の構造は、上記の階段の構造であって、
前記複数の孔35のそれぞれが、前記段鼻32に沿う方向に長いスリット形状で形成され、
前記吹出口37は、前記孔35と非穿孔部41とを交互に配置した直線状の一列が、平行な複数列で形成され、かつ隣接する列の前記孔35と前記非穿孔部41とが前後左右にずれた位置に互い違いに配置されることを特徴とする。
この階段の構造では、吹出口37が、複数の孔35からなる。それぞれの孔35は、段鼻32に沿う方向に長いスリット形状で形成される。吹出口37は、スリット形状の孔35と非穿孔部41とを交互に配置した直線状の一列が、平行な複数列で形成される。そして、吹出口37は、複数の孔35が互い違い(千鳥状)に配置される。仮に1本のスリットを一方の側壁27から他方の壁に流すと、踏板31の強度が下がってしまう。これに対し、この階段の構造によれば、スリット形状を長くしつつ互い違いにすることで、孔同士の間に木部を残して、踏板31の強度を保つことができる。
これに加え、吹出口37は、スリット形状の孔35と非穿孔部41とを交互に配置した直線状の一列が、平行な複数列で形成されるので、蹴込板33とほぼ平行となる面状の上昇暖気流77を両側の側壁27に渡ってエアカーテン状に吹き出すことができる。そして、上昇暖気流77は、エアカーテンの厚み方向に複数層(孔35の列数分の層)で重ねられるので、整流作用が働いてより面状にちかづけることができ、上階からの下降冷気65を堰き止めやすくできる。
本発明の階段の構造は、上記の階段の構造であって、
前記下段部13が、前記下階の床面19から1段目であり、前記板材75が、床板材49であることを特徴とする。
この階段の構造では、階段裏空間51を構成する下段部13と上段部15のうち、下段部13が床面19からの1段目となる。このため、上段部15における踏板31の後端から蹴込板33と平行に垂下する背壁47は、下端が床板材49に当接する。この階段の構造では、下段部13が1段目以外である場合に必要であった板材75が不要となり、その代わりに床板材49が階段裏空間51の底面を塞ぐことができる。つまり、板材75を省略できる。
この階段の構造では、階段室側開口が、床面19から起立する壁面に開口することになる。このため、床面19から1段目の踏板31に吹出口37が設けられる階段の構造では、上昇暖気流77が階段の最下段からエアカーテン状となって吹き上げられる。これにより、下階の床面近傍に溜まろうとする最も温度の低い下降冷気65を、上昇暖気流77によって加熱しながら上昇させることができ、コールドドラフトをより効果的に抑制することができる。
また、階段としての1段目と2段目は、床面19に近く、階段裏空間51の全高が低すぎるとともに、スペース(空間)としては小さく、この空間を使用するには屈まなくてはならないため、収納には不向きとなる。そのため、デッドスペースとなることが多い。本発明の階段の構造では、このような小さなデッドスペースを有効利用することで、他のスペースにも有用なスペースを侵食することもなく、階段下収納の設置を妨げることもない。
本発明の階段の構造は、上記の階段の構造であって、
前記下段部13の前記蹴込板33が、脱着自在に取り付けられていることを特徴とする。
この階段の構造では、下段部13の前面となる蹴込板33が、脱着自在となって取り付けられる。例えば下段部13が、下階の床面19から1段目である場合、蹴込板33が取り外されれば、階段裏空間51へ向かって延出する床板材49の床面19が目視可能となる。この下段部13における踏板31の下には、奥側に熱源器53が設置される。これにより、清掃やメンテナンスの際に、熱源器53への容易なアクセスが可能となる。
この蹴込板33は、例えばマグネット71の吸着力により脱着自在に取り付けることができる。このため、この階段の構造によれば、意匠的に目立たせることなく、メンテナンスや清掃用の点検口を簡便に設けることができる。
本発明の階段の構造は、上記の階段の構造であって、
前記下段部13の前記蹴込板33が、脱着自在に取り付けられていることを特徴とする。
この階段の構造では、下段部前面となる蹴込板33を開閉可能にすることで、意匠的に目立たせることなく、熱源器53のメンテナンスや、階段裏空間51の清掃を可能にすることができる。
本発明に係る階段の構造によれば、コールドドラフトによって生じるリビング内における温度ストレスを軽減できるとともに、ロールスクリーンなどの仕切材を使用せずにリビング階段の解放感を確保でき、しかも、複数の段部のうち、隣接する下段部と上段部の2つの段部のみを使用するという少ない設置スペースでの構築を可能にして、イニシャルコストとランニングコストを安価にできる。
本発明に係る階段の構造によれば、踏板の強度を保ちながら、上階からの下降冷気を効率よく堰き止めるための上昇暖気流を発生させることができる。
本発明に係る階段の構造によれば、下段部を床面から1段目とすることにより、階段裏空間の底部を床板材で塞ぐことができ、板材を省略して材料費を安価にできる。
本発明に係る階段の構造によれば、下段部の蹴込板を取り外すことにより、階段下の掃除や熱源器のメンテナンスを容易に行ったり、吹出口から落とした物等を取り出したりできる。
本実施形態に係る階段の構造を備えるリビングの斜視図である。 図1に示したリビング階段の要部拡大図である。 (a)は下段部における踏板の平面図、(b)は下段部における踏板の側面図である。 本実施形態に係る階段の構造の要部側断面図である。 下段部における蹴込板が取り外された階段の構造の要部分解斜視図である。 変形例に係る階段の構造を表す側断面図である。 他の変形例に係る階段の構造を表す斜視図である。 本実施形態に係る階段の構造における作用図である。 上階(2F)温度が15.6℃における下階(1F)のコールドドラフト抑制状況を実験したときの実測温度値を示す説明図である。
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る階段の構造を備えるリビング11の斜視図である。
本実施形態に係る階段の構造は、下階と上階とに渡って設けられ、少なくとも隣接する下段部13と上段部15とからなる2つの段部を有する。本実施形態において、下階を1階、上階を2階とし、下階はリビング11であるので、階段はリビング階段17と称す。なお、本発明に係る階段の構造は、下階がリビング11に限定されず、階段もリビング階段17に限定されない。すなわち、本発明に係る階段の構造は、メゾネットや一般的な階段など上階から下階に渡って設けられて下降するコールドドラフトの生ずる階段であれば好適に用いることができ、効果を奏するものである。
リビング階段17は、リビング11の床面19から起立する壁部21に、階段室開口23が開口する。階段室25は、リビング階段17の両側が一対の側壁27となり、上階へと続いている。側壁27の階段室側には、手摺29が取り付けられていてもよい。リビング階段17は、リビング11に解放感が出る、階段の昇り降りの動線にリビング11を通ることを含ませるので家族の動きが確認しやすい、家族間のコミュニケーションが増える、階段が明るく快適になる、などのメリットから近年、多く採用される傾向にある。
本実施形態に係る階段の構造において、下段部13と上段部15とは、それぞれが踏板31と蹴込板33とにより構成される。
図2は、図1に示したリビング階段17の要部拡大図である。
本実施形態に係る階段の構造は、下段部13が、下階であるリビング11の床面19から1段目となっている。なお、後述するように、下段部13は、リビング階段17の1段目に限定されない。下段部13における踏板31の手前下面からは、蹴込板33が垂下する。この下段部13の蹴込板33は、リビング11の床面19に下端が接する。上段部15における踏板31の手前下面からは、蹴込板33が垂下する。この上段部15の蹴込板33は、下段部13における踏板31の奥側上面と交わる。下段部13と上段部15の両側は、一対の側壁27により挟まれることで塞がれる。
下段部13の踏板31には、複数の孔35よりなる吹出口37が段鼻32に沿って穿設される。一方の側壁27には、後述する階段裏空間に通じる吸入口39が設けられている。この吸入口39には、送風機が取り付けられる。
図3(a)は下段部13における踏板31の平面図、(b)は下段部13における踏板31の側面図である。
吹出口37は、複数の孔35のそれぞれが、段鼻32に沿う方向に長いスリット形状で形成される。スリット形状の幅は、幼児の指が挟まらないような最小限の幅が好ましく、例えば6mm程度することができる。また、スリット形状の長さは、短く設定されることが好ましく、段鼻32に沿って連続する1つの長尺なスリットではなく、所定の長さの孔35と非穿孔部41とが交互に直線状に形成され、例えば、スリット形状の孔35の長さを200mm程度、非穿孔部41の長さは70mm程度とすることができ、非穿孔部41である木部分を残すことで、踏板31歩行時の感触を和らげることが可能となる。
吹出口37は、孔35と非穿孔部41とを交互に配置した直線状の一列が、平行な複数列で形成される。列同士の間隔は、例えば30mm程度とすることができる。本実施形態に係る階段の構造において、吹出口37は二列で形成される。吹出口37は、隣接する列の孔35と非穿孔部41とが互い違いに配置される。つまり、隣接する列の孔35は、交互(千鳥)に配置される。踏板31の上面手前には、例えば両側の側壁27に渡って、滑り止めとなる複数の平行な凹溝43が形成されていてもよい。吹出口37のそれぞれの孔35は、踏板31を上下に貫通する。また、踏板31の下面手前には、蹴込板33の上縁が挿入される挿着溝45が形成されている。
図4は、本実施形態に係る階段の構造の要部側断面図である。
この階段の構造は、上段部15における踏板31の後端から背壁47が蹴込板33と平行に垂下する。垂下した背壁47の下端は、床板材49の床面19に当接する。階段の構造は、下段部13における蹴込板33の下端から踏板31と平行に延在して背壁47の下端と直交する板材を有する。本実施形態に係る階段の構造において、この板材は、床板材49となる。
これにより、階段の構造は、階段裏空間51が、一対の側壁27と、背壁47と、床板材49と、によって密閉されることになる。階段の構造は、吹出口37よりも後方の床板材49に、熱源器53が設置される。熱源器53は、吹出口37の直下から離すことで埃がかかりづらくすることができる。熱源器53は、両端に脚部を備えており、これら脚部が一対の木台55に載置されることにより、床面19から離間して支持される。脚部には木台55にとめつける金具があり、正面から木台55への固定が容易に可能となっている。
熱源器53は、所謂ヒーターであり、特に温度設定が行える機能は無くても良いが、階段裏空間51の温度が上がりすぎないように、一定の温度、例えば約60℃を超えないような過熱停止装置を備えることが好ましい。
熱源器53よりも後方の側壁27、または背壁47には階段裏空間51外からの空気57を階段裏空間51内に供給する送風機59が設けられる。本実施形態に係る階段の構造では、熱源器53よりも後方の側壁27に形成された吸入口39に送風機59(図示略)が設けられている。より具体的に送風機59は、水平位置が上段部15の踏板31の間で、一方の側壁27において床面19から踏板31の間の高さに配置される。送風機59は、例えばプロペラファンなどより構成される。背壁47の内面には、電源用のコンセント61が取り付けられる。コンセント61には、例えば熱源器53の電源配線63に取り付けられた電源プラグが接続される。
本実施形態の階段の構造は、吸入口39の送風機59を駆動して外の空気57、例えばリビング11内の空気57を階段裏空間51に供給すると、取り込まれた空気57が熱源器53を通過して下段部13における踏板31の吹出口37から垂直上方に吹き出される。この際、空気57は、熱源器53を通過することから、この熱源器53により加熱されており、リビング階段17を上階から落ちてくる下降冷気65よりも高温となる。
吹出口37からの風は、階段裏空間51の温度が一定の範囲になりつつ、物が飛ばない風速で設定されることが好ましい。また、階段裏空間51の温度は、踏板歩行時に人体に害を与えないよう踏板表面温度が高温になりすぎない範囲を想定する。なお、熱源器53と送風機59とには、OFFタイマーを設け、消し忘れ防止機能付きとすることがランニングコスト抑制のためにも好ましい。
なお、熱源器53自体に空気57の取込みや吹き出しを行うようなファンが設けられる構成としてもよく、また吹出口37近傍にファンを設け、熱源器53を通過する暖められた空気を吹き出すような構成としてもよい。
図5は、下段部13における蹴込板33が取り外された階段の構造の要部分解斜視図である。
階段の構造は、下段部13の蹴込板33が、脱着自在に取り付けられている。下段部13の蹴込板取付開口67には、縁材69が左右と上部とに設けられる。この縁材69と蹴込板33の背面とには、互いが着脱可能となる固定具が設けられる。例えば、マグネット71と磁性板73の組み合わせなどであり、縁材69に複数のマグネット71を固定し、蹴込板33の背面にこれらマグネット71に吸着する磁性板73が固定されるような構成である。また、固定具に替えて締結金具などで構成し、蹴込板33を脱着自在にすることとしてもよい。これにより、下段部13の蹴込板33は、蹴込板取付開口67に対して容易に脱着が可能となっている。下段部13の蹴込板33が取り外された階段の構造は、階段裏空間51に対する清掃や熱源器53などのメンテナンスのための容易なアクセスが可能となる。
図6は、変形例に係る階段の構造を表す側断面図である。
本発明に係る階段の構造は、下段部13がリビング階段17の1段目以外であってもよい。この場合、下段部13は、一対の側壁27に挟まれる階段室開口23の位置の段部となる。階段裏空間51は、背壁47と、板材75と、一対の側壁27とにより階段裏の一部分が密閉される。図6に示す階段の構造では、リビング階段17がリビング11の床面19から3段目で階段室開口23に入る。したがって、この3段目が、下段部13となり、吹出口37が位置する。
図7は、他の変形例に係る階段の構造を表す斜視図である。
本発明に係る階段の構造は、一方の側壁27がリビング階段17の途中から階段室25を開放する構造であってもよい。この場合、下段部13は、一対の側壁27に挟まれる階段室開口23の位置の段部となる。図7に示す階段の構造では、リビング階段17がリビング11の床面19から4段目で階段室開口23に入る。したがって、この4段目が、下段部13となり、吹出口37が位置する。
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係る階段の構造では、下階と上階とに渡って設けられた階段における複数の段部のうち、少なくとも隣接する下段部13と上段部15との2つの段部に、密閉された階段裏空間51が形成される。階段裏空間51は、背壁47と、床板材49または板材75と、一対の側壁27とにより階段裏の一部分が密閉されて成る。階段裏空間51は、送風機59(図9参照)が駆動され、外からの空気57が内部に供給されると正圧となり、吹出口37から上向きに空気57が吹き出される。階段の構造では、踏板31からほぼ垂直上方向に上昇暖気流77(図4参照)が吹き出されることにより、仮に水平方向に暖気が吹き出される場合のように、吹き出した暖気流の上部を冷気が通って下階に落ちることを抑制することができる。
図8は、本実施形態に係る階段の構造における作用図である。
階段裏空間51は、送風機59と吹出口37との間の床板材49または板材75に、熱源器53が設置されている。送風機59によって外から取り込まれた空気57は、熱源器53で加熱されて、高温となって吹出口37より吹き出される。この際の吹き出し温度は、少なくともリビング階段17を下降する冷気よりも高温に設定される。このため、吹出口37からの高温空気は、送風機59の駆動によって生じた階段裏空間51の正圧力と、暖気による浮力との双方の作用により、少ないエネルギーで上昇暖気流77を発生させることができる。すなわち、送風機59の出力を抑え、消費電力の省力化を図ることができる。
また、階段の構造では、吹出口37よりも熱源器53、送風機59を順に奥側に設置するので、電源OFF時に吹出口37から落ちた埃を、始動時における送風からの空気57の流れで、前面に押し出し、熱源器53への接触を抑えつつ、内部の清掃をしやすくできる。
また、段鼻32に沿って吹き出される上昇暖気流77は、一対の側壁27の間に渡って面状となって上昇する。この面状の上昇暖気流77には、上階よりリビング階段17を落ちる下降冷気65が当たる。上昇暖気流77に当たった下降冷気65は、一部が上昇暖気流77と混ざり合い、上昇暖気流77に加熱されながら上昇する。これにより、階段の構造では、上階(2階)からリビング階段17を落ちる下降冷気65が、下階(リビング11)の床面19に直接的に到達することを抑制できる。
図9は、上階(2F)温度が15.6℃における下階(1F)のコールドドラフト抑制状況を実験したときの実測温度値を示す説明図である。
図9の左図は、実施形態の構成である階段の構造を採用しない、すなわち無対策の場合である。リビング階段17からリビング11に冷気が落ちてきて、冷気が床面近傍での低い位置で広がっていた。なお、実験では、上階で緑色の煙をだし、その流れ方を可視化によっても確認した。
図9の右図は、実施形態の構成である階段の構造を採用した場合である。
ここで、熱源器53と送風機59の出力を階段裏空間51の温度が30℃程度になるように調整し、各部の温度を実測した。
送風機59および熱源器53をONにすると、床面19にはリビング階段17からの下降冷気65(可視化実験による緑色の煙)がほとんど落ちてこなくなることが視覚的に確認できた。無対策の場合と同様に上階である2Fの温度が15.6℃のとき、リビング階段17からの冷気が減り、下階(1F)のリビング11における床面近傍での低い位置の温度が下がらなくなっていることが確認できた。下段部13の踏板31直上では、無対策の17.8℃から21.7℃の温度上昇があった(図9中四角枠内)。また、床面19から1段目の踏板31の高さ位置でも17.8℃から20.9℃の温度上昇があった(図9中破線長丸内上段)。また、床面19からほぼ3段目の踏板31の高さ位置でも18.8℃から20.2℃の温度上昇があった(同破線長丸内下段)。
その結果、この階段の構造では、下降冷気65が人体に直接当たることによる不快感、すなわち、コールドドラフトによって生じる温度ストレスを軽減できる。
また、ロールスクリーンなどの仕切材を使用しないので、リビング階段17の解放感を損ねることがない。そして、ロールスクリーンを上げる(開ける)ことによってロールスクリーン奥に溜まっていた冷気が急に落ちてくることもない。
また、複数の段部のうち、隣接する下段部13と上段部15の2つの段部のみを使用すればよいので、階段裏空間51の殆どを使用するようなダクト構造等に比べ、省スペースで構成することができる。
さらに、階段裏空間51に、熱源器53と送風機59のみを設ければよいので、高価な空調機などを設置する構成に比べ、イニシャルコストと、ランニングコストとを安価にできる。
そして、この階段の構造では、吹出口37が、複数の孔35からなる。それぞれの孔35は、段鼻32に沿う方向に長いスリット形状で形成される。吹出口37は、スリット形状の孔35と非穿孔部41とを交互に配置した直線状の一列が、平行な複数列で形成される。そして、吹出口37は、複数の孔35が互い違い(千鳥状)に配置される。仮に1本のスリットを一方の側壁27から他方の壁に流すと、踏板31の強度が下がってしまう。これに対し、この階段の構造では、スリット形状を長くしつつ互い違いにすることで、孔同士の間に木部を残して、踏板31の強度を保つことができる。
これに加え、吹出口37は、スリット形状の孔35と非穿孔部41とを交互に配置した直線状の一列が、平行な複数列で形成されるので、蹴込板33とほぼ平行となる面状の上昇暖気流77を両側の側壁27に渡ってエアカーテン状に吹き出すことができる。この上昇暖気流77は、エアカーテンの厚み方向に複数層(孔35の列数分の層)で重ねられるので、整流作用が働いてより面状にちかづけることができ、上階からの下降冷気65を堰き止めやすくできる。その結果、踏板31の強度を保ちながら、上階からの下降冷気65を効率よく堰き止めるための上昇暖気流77を効率的に発生させることができる。
また、本実施形態に係る階段の構造では、階段裏空間51を構成する下段部13と上段部15のうち、下段部13が床面19からの1段目となる。このため、上段部15における踏板31の後端から蹴込板33と平行に垂下する背壁47は、下端が床板材49に当接する。この階段の構造では、下段部13が1段目以外である場合に必要であった板材75が不要となり、その代わりに床板材49が階段裏空間51の底面を塞ぐことができる。つまり、板材75を省略できる。すなわち、イニシャルコストを一層安価にできる。
この階段の構造では、階段室側開口23が、床面19から起立する壁部21に開口することになる。このため、床面19から1段目に吹出口37が設けられる階段の構造では、上昇暖気流77がリビング階段17の最下段からエアカーテン状となって吹き上げられる。これにより、下階であるリビング11の床面近傍に溜まろうとする最も温度の低い下降冷気65を、上昇暖気流77によって加熱しながら上昇させることができ、コールドドラフトをより効果的に抑制することができる。
また、リビング階段17の1段目と2段目は、床面19に近く、階段裏空間51の全高が低すぎるとともに、スペース(空間)としては小さく、この空間を使用するには屈まなくてはならないため、収納には不向きとなる。そのため、デッドスペースとなることが多い。この階段の構造では、このような小さなデッドスペースを有効利用することで、他の有用なスペースを侵食することなく、階段下収納の設置を妨げることもない。その結果、下段部13を床面19から1段目とすることにより、階段裏空間51の底部を床板材49で塞ぐことができ、板材75を省略して材料費を安価にでき、しかも、階段下収納の確保も可能となる。
また、この階段の構造では、下段部13の前面となる蹴込板33が、脱着自在となって取り付けられる。例えば下段部13が、下階の床面19から1段目である場合、蹴込板33が取り外されれば、階段裏空間51へ向かって延出する床板材49の床面19が目視可能となる。この下段部13には、奥側に熱源器53が設置される。これにより、清掃やメンテナンスの際に、熱源器53への容易なアクセスが可能となる。
そして、蹴込板33は、例えばマグネット71の吸着力により脱着自在に取り付けることができる。このため、本実施形態の階段の構造では、意匠的に目立たせることなく、メンテナンスや清掃用の点検口を簡便に設けることができる。その結果、下段部13の蹴込板33を取り外すことにより、吸入口39から吸い込まれてしまう粉塵や吹出口37から落下する粉塵など階段裏空間51内の掃除や熱源器53のメンテナンスを容易に行ったり、吹出口37から落とした物等を取り出したりできる。
したがって、本実施形態に係る階段の構造によれば、コールドドラフトによって生じる温度ストレスを軽減できるとともに、ロールスクリーンなどの仕切材を使用せずにリビング階段17の解放感を確保でき、しかも、少ない設置スペースでの構築を可能にして、イニシャルコストとランニングコストを安価にできる。
13…下段部
15…上段部
17…階段(リビング階段)
19…床面
27…側壁
31…踏板
32…段鼻
33…蹴込板
35…孔
37…吹出口
41…非穿孔部
47…背壁
49…床板材
51…階段裏空間
53…熱源器
57…空気
59…送風機
75…板材

Claims (5)

  1. 下階と上階とに渡って設けられ、少なくとも隣接する下段部と上段部とを有する階段の構造であって、
    前記下段部と前記上段部とは、それぞれが踏板と蹴込板とにより構成されるとともに、前記上段部における前記踏板の後端から前記蹴込板と平行に垂下する背壁と、前記下段部における前記蹴込板の下端から前記踏板と平行に延在して前記背壁の下端と直交する板材と、両側を塞いで前記背壁および前記板材とで階段裏空間を密閉するとともに前記下段部の両側から上階へと続く一対の側壁と、を有し、
    前記下段部の前記踏板には複数の孔よりなる吹出口が段鼻に沿って穿設され、
    前記吹出口よりも後方の前記板材には、熱源器が設置され、
    前記熱源器よりも後方の前記側壁または前記背壁には外からの空気を前記階段裏空間に供給する送風機が設けられることを特徴とする階段の構造。
  2. 前記複数の孔のそれぞれが、前記段鼻に沿う方向に長いスリット形状で形成され、
    前記吹出口は、前記孔と非穿孔部とを交互に配置した直線状の一列が、平行な複数列で形成され、かつ隣接する列の前記孔と前記非穿孔部とが互い違いに配置されることを特徴とする請求項1に記載の階段の構造。
  3. 前記下段部が、前記下階の床面から1段目であり、前記板材が、床板材であることを特徴とする請求項1または2に記載の階段の構造。
  4. 前記下段部の前記蹴込板が、脱着自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の階段の構造。
  5. 前記下段部の前記蹴込板が、脱着自在に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の階段の構造。
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