JP2024007519A - 焼結体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温領域での精密な温度制御を必須とすることなく、なおかつ、ジルコニアの組成物の安定化元素の含有量によらず、歯科補綴材として要求される透光性を満たす焼結体が得られる、短時間焼結による焼結体の製造方法、を提供することを目的とする。【解決手段】安定化元素を含有するジルコニアの組成物を昇温開始温度から800℃以上1400℃未満のいずれかの第一到達温度まで昇温速度150℃/分以上で昇温する第一昇温工程、前記第一到達温度から1400℃以上1580℃未満のいずれかの第二到達温度まで昇温速度30℃/分超200℃/分未満で昇温する第二昇温工程、及び、該第二到達温度で保持する保持工程、を有する安定化元素を含有するジルコニアの焼結体の製造方法。【選択図】 なし

Description

本開示は、ジルコニアの焼結体の製造方法、特に短時間でジルコニアの焼結体を製造する方法に関する。
ジルコニアを主成分とする焼結体は、クラウンやブリッジ等の歯科補綴材用途に適用されている。焼結体は、室温から最高到達温度までの昇温、最高到達温度での保持及び最高到達温度からの降温を含み、最高到達温度での保持に2時間以上、かつ、合計で7時間以上を要する焼結(以下、「通常焼結」ともいう。)により、自然歯と同等な審美性を得ていた。そのため、これらの焼結体の製造には長い焼結時間が必要であった。
これに対し、近年、通常焼結と比べて焼結に要する時間が短い焼結方法(以下、「短時間焼結」ともいう。)であっても、通常焼結で得られる焼結体(以下、「通常焼結体」ともいう。)と同等の審美性を有する焼結体が得られる短時間焼結の方法が検討されている。
短時間焼結では、主として昇温速度を改良することで、最高温度での保持時間を短縮し、焼結に要する時間の短縮が検討されている。例えば、特許文献1では、3段階の昇温工程を含む、短時間焼結が開示されている。また、特許文献2では、最高温度の75%から90%までの温度域に達するまでの昇温速度を速くする昇温工程を含み、その後の昇温速度を遅くすることで最高温度での保持時間を短縮した、短時間焼結が開示されている。
国際公開第2021/048674号 国際公開第2019/166938号
特許文献1の短時間焼結は、1200℃を超えた高温領域での昇温速度の切り替えを必須とし、なおかつ、1200℃を超えた高温領域では焼結による緻密化挙動が急激に進行しているため、精密な温度制御を必要とする。しかしながら、高温領域における昇温速度の切り替えは、焼結炉のヒーターが昇温プログラムに追随しきれず、精密な温度制御が困難であり、なおかつ、このような制御に対応できる焼結炉は特殊な焼成炉に限られている。また、特許文献2の短時間焼結で得られる焼結体は、通常焼結体と比べて透光性が低く、歯科補綴材として要求される透光性を有していない。更には、特許文献2の方法では、イットリウム含有量が高い安定化ジルコニアの焼結体の透光性が、通常焼結体と比べて特に低下する。
本開示は、高温領域での精密な温度制御を必須とすることなく、なおかつ、ジルコニアの組成物の安定化元素の含有量によらず、歯科補綴材として要求される透光性を有する焼結体を得ることができる、短時間焼結によるジルコニアの焼結体の製造方法、を提供することを目的とする。
本発明者らは、短時間焼結における昇温工程に着目した。その結果、特定の昇温速度及び到達温度によって最高到達温度まで昇温することによって、高温領域での精密な温度制御を必須とすることなく、なおかつ、通常焼結体と同様な審美性を呈する焼結体が得られることを見出した。さらに、このような製造方法は、ジルコニアの組成物の安定化元素の含有量によらず、歯科補綴材として要求される透光性を有するジルコニアの焼結体が得られることを見出した。
すなわち、本発明は特許請求の範囲のとおりであり、また、本開示の要旨は以下のとおりである。
[1] 安定化元素を含有するジルコニアの組成物を昇温開始温度から800℃以上1400℃未満のいずれかの第一到達温度まで昇温速度150℃/分以上で昇温する第一昇温工程、前記第一到達温度から1400℃以上1580℃未満のいずれかの第二到達温度まで昇温速度30℃/分超200℃/分未満で昇温する第二昇温工程、及び、該第二到達温度で保持する保持工程、を有する安定化元素を含有するジルコニアの焼結体の製造方法。
[2] 前記保持工程における保持時間が20分未満である、上記[1]に記載の製造方法。
[3] 前記第二到達温度と前記第一到達温度の差が300℃以上600℃以下である上記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] 第一到達温度まで昇温速度に対する第二到達温度まで昇温速度が0.15以上1.0以下である、上記[1]乃至[3]のいずれかひとつに記載の製造方法。
[5] 前記昇温開始温度が室温から500℃のいずれかの温度である上記[1]乃至[4のいずれかひとつに記載の製造方法。
[6] 前記第二到達温度から、800℃以上1200℃以下のいずれかの降温温度まで降温して焼結体を焼結炉から取出す降温工程、を有する上記[1]乃至[5]のいずれかひとつに記載の製造方法。
[7] 前記取出した焼結体を大気雰囲気で、自然放冷及び冷却ガスの吹き付けの少なくともいずれかにより降温する、上記[6]に記載の製造方法。
[8] 前記冷却ガスが空気、アルゴン、窒素及びヘリウムの群から選ばれる1以上である上記[6]又は[7]に記載の製造方法。
[9] 二珪化モリブデン、炭化ケイ素、ランタンクロマイト及びカーボンの群から選ばれる1以上からなるヒーターを備えた焼結炉を使用して焼結する、上記[1]乃至[8]のいずれかひとつに記載の製造方法。
[10] 前記組成物がジルコニアの成形体又は仮焼体である上記[1]乃至[9]のいずれかひとつに記載の製造方法。
[11] 前記安定化元素がイットリウム、カルシウム、セリウム、マグネシウム、プラセオジウム、イッテルビウム、エルビウム及びテルビウムの群から選ばれる1以上である、上記[1]乃至[10]のいずれかひとつに記載の製造方法。
[12] 前記安定化元素の含有量が2.5mol%以上8mol%以下である、上記[1]乃至[11]のいずれかひとつに記載の製造方法。
[13] 前記組成物のT+C相率が65%以上である、上記[1]乃至[12]のいずれかひとつに記載の製造方法。
[14] 前記組成物が、ジルコニウム及びハフニウム以外の遷移金属元素、並びに、ランタノイド系希土類元素の少なくともいずれかの着色元素を含む、上記[1]乃至[13]のいずれかひとつに記載の製造方法。
本開示により、高温領域での精密な温度制御を必須とすることなく、なおかつ、ジルコニアの組成物の安定化元素の含有量によらず、歯科補綴材として要求される透光性を満たす焼結体が得られる、短時間焼結による焼結体の製造方法、を提供するという目的を達する。
本開示の焼結体の製造方法について、実施形態の一例を示して説明する。本実施形態における用語は以下に示すとおりである。本明細書で開示した各構成及びパラメータは任意の組合せとすることができ、また、本明細書で開示した値の上限及び下限は任意の組合せとすることができる。
「組成物」とは、一定の組成を有する物質であり、例えば、粉末、成形体、仮焼体及び焼結体の群から選ばれる1以上が挙げられる。「ジルコニア組成物」とは、ジルコニアを主成分とする組成物であり、更には本質的にジルコニアからなる組成物である。
「粉末」とは、粉末粒子(一次粒子及び二次粒子の少なくともいずれかの粒子)の集合体で、なおかつ、流動性を有する組成物である。「ジルコニア粉末」とは、ジルコニアを主成分とする粉末であり、本質的にジルコニアからなる粉末である。また、「粉末組成物」とは、特徴の異なる粉末から構成される組成物であり、特に、組成の異なる粉末を含む組成物である。
「顆粒粉末」とは、粉末粒子の凝集物(顆粒粒子)の集合体で、なおかつ、流動性を有する組成物であり、特に粉末粒子が緩慢凝集した状態の組成物である。「ジルコニア顆粒粉末」とは、ジルコニアを主成分とする顆粒粉末であり、本質的にジルコニアからなる顆粒粉末である。
「成形体」とは、物理的な力で凝集した粉末粒子から構成される一定の形状を有する組成物であり、特に、該形状の付与後(例えば成形後)に熱処理が施されていない状態の組成物である。「ジルコニア成形体」とは、ジルコニアを主成分とする成形体であり、本質的にジルコニアからなる成形体である。また、成形体は「圧粉体」と互換的に使用される。
「仮焼体」とは、融着粒子から構成される一定の形状を有する組成物であり、焼結温度未満の温度で熱処理された状態の組成物である。「ジルコニア仮焼体」とは、ジルコニアを主成分とする仮焼体であり、本質的にジルコニアからなる仮焼体である。
「焼結体」とは、結晶粒子から構成される一定の形状を有する組成物であり、焼結温度以上の温度で熱処理された状態の組成物である。「ジルコニア焼結体」とは、ジルコニアを主成分とする焼結体であり、本質的にジルコニアからなる焼結体である。
「主成分」とは、組成物の組成における主相(マトリックス、母材、母相)となる成分であり、好ましくは組成物に占める質量割合が75質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上又は99質量%以上であり、また、100質量%以下又は100質量%未満となる成分である。
「安定化元素」とは、ジルコニアに固溶することでジルコニアの結晶相を安定化する元素である。
組成物における安定化元素の含有量(mol%;以下、「安定化元素量」ともいう)は、組成物中のZrO換算したジルコニウム及び酸化物換算した安定化元素の合計に対する、酸化物換算した安定化元素のモル割合である。
「BET比表面積」は、JIS R 1626に準じ、吸着ガスに窒素を使用したBET多点法(5点)により測定される比表面積[m/g]であり、特に以下の条件で測定されるBET比表面積である。
吸着媒体 :N
吸着温度 :-196℃
前処理条件 :大気雰囲気、250℃で1時間以上の脱気処理
BET比表面積は、一般的な比表面積測定装置(例えば、トライスターII 3020、島津製作所社製)を使用して測定することができる。仮焼体は、5mm×5mm×16mmの直方体形状に加工した後、該直方体の全ての表面をJIS R 6001-2に準じた粒度#400のサンドペーパーを用いて研磨したものを測定試料とすればよい。
「平均粒子径」は、湿式法で測定される粉末の体積粒子径分布におけるD50であり、一般的な装置(例えば、MT3300EXII、マイクロトラック・ベル社製)を使用して測定することができる。測定試料は、超音波処理などの分散処理により緩慢凝集を除去した粉末を純水に分散させ、スラリーとしたものを使用すればよい。湿式法による体積粒子径分布の測定は、スラリーをpH=3~6にして測定することが好ましい。
「平均顆粒径」は、乾式法で測定される顆粒粉末の体積粒子径分布におけるD50であり、一般的な装置(例えば、MT3100II、マイクロトラック・ベル社製)を使用して測定することができる。測定試料は、超音波処理などの分散処理を施さず、緩慢凝集の状態の顆粒粉末をそのまま使用すればよい。
「粉末X線回折パターン」とは、以下の条件の粉末X線回折(以下、「XRD」ともいう。)測定により得られる組成物のXRDパターンを、X線回折装置付属の解析プログラム(例えば、統合粉末X線解析ソフトウェアPDXL Ver.2.2、RIGAKU社製)で平滑化処理及びバックグラウンド除去処理して得られるXRDパターンである。
線源 : CuKα線(λ=0.15418nm)
測定モード : 連続スキャン
スキャンスピード : 2°/分
測定範囲 : 2θ=26°~33°
2θ=72°~76°
加速電圧・電流 : 40mA・40kV
発散縦制限スリット: 10mm
発散/入射スリット: 1°
受光スリット : open
検出器 : 半導体検出器(D/teX Ultra)
フィルター : Niフィルター
ゴニオメータ半径 : 185mm
XRD測定は、一般的なX線回折装置(例えば、Ultima IV、RIGAKU社製)を使用して行うことができる。仮焼体は、JIS R 6001-2に準じた粒度#400のサンドペーパーを用いて表面を研磨した後、粒度3μmのダイヤモンド研磨剤を用いてラップ研磨したものを測定試料とし、ラップ研磨後の表面をXRD測定すればよい。
「XRDピーク」とは、上述のXRD測定において得られるXRDパターンにおいて検出される2θにピークトップを有するピーク、である。本実施形態において「XRDピークを有さない」とは、上述のXRD測定において、該XRDピークが検出されないことである。
ジルコニアの各結晶面に相当するXRDピークとして、以下の2θにピークトップを有するXRDピークであることが挙げられる。
単斜晶(111)面に相当するXRDピーク : 2θ=31±0.5°
単斜晶(11-1)面に相当するXRDピーク: 2θ=28±0.5°
正方晶(111)面に相当するXRDピーク : 2θ=30±0.5°
立方晶(111)面に相当するXRDピーク : 2θ=30±0.5°
正方晶(111)面に相当するXRDピーク、及び、立方晶(111)面に相当するXRDピークは、重複したひとつのピークとして測定される。
「T+C相率」とは、ジルコニアの結晶相に占める正方晶及び立方晶の割合であり、上述のXRD測定において得られるXRDパターンにおける、正方晶、立方晶及び単斜晶のジルコニアのXRDピークの合計面積強度に対する、正方晶及び立方晶のジルコニアのXRDピークの面積強度の割合であり、以下の式から求められる。
T+C=[I(111)+I(111)]
/[I(111)+I(11-1)+I(111)+I(111)]
上式において、fT+Cは正方晶及び立方晶率、I(111)は正方晶(111)面の面積強度、I(111)は立方晶(111)面の面積強度、I(111)は単斜晶(111)面の面積強度、I(11-1)は単斜晶(11-1)面の面積強度であり、I(111)+I(111)は、2θ=30±0.5°にピークトップを有するXRDピークの面積強度に相当する。
各XRDピークの面積強度は、X線回折装置付属の解析プログラム(例えば、統合粉末X線解析ソフトウェアPDXL Ver.2.2、RIGAKU社製)を使用してXRDパターンを解析することで得られる値である。
「成形体密度」は、成形体の実測密度[g/cm]であり、体積をノギスで測定して寸法から求められる成形体の体積[cm]に対する、天秤を使用した質量測定で得られる該成形体の質量[g]である。
「仮焼体密度」は、仮焼体の実測密度[g/cm]であり、体積をノギスで測定して寸法から求められる仮焼体の体積[cm]に対する、天秤を使用した質量測定で得られる該仮焼体の質量[g]である。
「ビッカース硬度」は、ダイヤモンド製の正四角錘の圧子を備えた一般的なビッカース試験機(例えば、Q30A、Qness社製)を使用して測定される値である。測定は、圧子を静的に測定試料表面に押し込み、測定試料表面に形成した押込み痕の対角長さを計測する。得られた対角長さを使用して、以下の式からビッカース硬度を求めればよい。
Hv=F/{d/2sin(α/2)}
上の式において、Hvはビッカース硬度(HV)、Fは測定荷重(1kgf)、dは押込み痕の対角長さ(mm)、及び、αは圧子の対面角(136°)である。
ビッカース硬度の測定条件として、以下の条件が挙げられる。
測定試料 : 厚み3.0±0.5mmの円板状
測定荷重 : 1kgf
測定に先立ち、測定試料は#800の耐水研磨紙で測定面を研磨し0.1mmを超える凹凸を除去し、前処理とすればよい。
「全光線透過率」は、試料厚さ1.0±0.1mmの測定試料について、JIS K 7361-1に準じて測定される、入射光に対する透過光(直線透過光及び拡散透過光の合計)の割合[%]である。測定試料は、試料厚さ1.0±0.1mm、かつ、両面の表面粗さRa≦0.02μmである円板状の焼結体を使用し、測定装置は、光源にD65光源を備えたヘーズメータ(例えば、ヘーズメータ NDH4000、日本電色社製)を使用すればよい。
「二軸曲げ強度」は、JIS T 6526に準じた二点曲げ試験により求められる値である。二軸曲げ強度の測定は、直径14.5mm±0.5、厚さ1.25mm±0.05mmの円状の焼結体を測定試料として使用し、支持円半径6mm、圧子半径0.7mmとして10回測定した平均値をもって焼結体の二軸曲げ強度とすればよい。
「常圧焼結」とは、焼結時に被焼結物(成形体や仮焼体など)に対して外的な力を加えずに、ジルコニアの焼結が進行する温度(以下、「焼結温度」ともいう。)以上で加熱することにより該被焼結物を焼結する方法である。
「常圧焼成」とは、熱処理時に被処理物に対して外的な力を加えずに加熱する方法であり、特に、仮焼工程における熱処理時に被処理物に対して外的な力を加えずに焼結温度未満の温度で加熱する方法である。
[焼結体の製造方法]
本実施形態の製造方法は、安定化元素を含有するジルコニアの組成物を昇温開始温度から800℃以上1400℃未満のいずれかの第一到達温度まで昇温速度150℃/分以上で昇温する第一昇温工程、前記第一到達温度から1400℃以上1580℃未満のいずれかの第二到達温度まで昇温速度30℃/分超200℃/分未満で昇温する第二昇温工程、及び、該第二到達温度で保持する保持工程、を有する安定化元素を含有するジルコニアの焼結体の製造方法、である。このような製造方法により、通常焼結に要する保持時間と比べ、第二到達温度での保持時間を短縮しながら、安定化元素量の影響をほとんど受けず、通常焼結体と同等な透光性を有する焼結体を得ることができる。特に、安定化元素量が多いジルコニアにおいてこのような効果を奏する。本実施形態の製造方法により得られる焼結体の透光性が安定化元素量の影響をほとんど受けない理由の一つとして、第一昇温工程及び第二昇温工程を経ることによって、安定化元素量の違いに由来する焼結時の粒成長速度の違いの影響が抑制される。その結果、ジルコニアの組成物内部の気孔排除が促進されやすくなり、更には焼結時の粒成長速度が速い安定化元素量が多い組成物であっても組成物内部の気孔排除が促進されることが考えられる。
本実施形態において、第一昇温工程は、安定化元素を含有するジルコニアの組成物を昇温開始温度から800℃以上1400℃未満のいずれかの第一到達温度まで昇温速度150℃/分以上で昇温する(以下、第一到達温度を「T1」ともいい、昇温開始温度からT1に至るまでの昇温速度を「HR1」ともいう。)。HR1がこれ未満であると焼結が顕著に進行する温度に至るまでの時間がかかりすぎる。これに加え、HR1がこの速度を満たすことで、組成物が均一に加熱され、組成物の内部と表面での温度ムラが小さくなる。これにより、後述の第二昇温工程における焼結の進行及びこれに伴う気孔排除が促進されやすくなる。また、昇温に要する時間を短縮することができる。これにより、通常焼結の最高到達温度における保持時間と比べて短い保持時間、安定化元素量によらず、通常焼結体と同等な透光性を有する焼結体を得ることができる。第一昇温工程は、組成物を焼結炉に配置し、これを行えばよい。
昇温開始温度は、組成物の焼結収縮開始前の温度であればよく、室温(20±20℃)から500℃のいずれかの温度、好ましくは室温から100℃のいずれかの温度、である。温度制御を簡便にし、また、第二昇温工程開始時における組成物の表面と内部の温度ムラをより抑制するため、第一昇温工程の昇温開始温度は室温であることが好ましい。
第一昇温工程に要する時間をより短縮する観点から、HR1は、180℃/分以上、200℃/分以上又は230℃/分以上であまた、HR1の上限が500℃/分以下、400℃/分以下、300℃/分以下又は280℃/分以下であることが例示できる。HR1は、180℃/分以上500℃/分以下、200℃/分以上400℃/分以下、230℃/分以上300℃/分以下、又は、230℃/分以上280℃/分以下が好ましい。昇温開始温度からT1に至るまでの昇温は昇温速度(HR1)が変動しない(±2℃/min、好ましくは±1℃/min)ことが好ましい。
T1は800℃以上1400℃未満のいずれかの温度である。T1は1400℃未満であり、1300℃以下、1200℃以下、1170℃以下、1150℃以下、1100℃以下又は1050℃以下、のいずれかの温度であることが好ましい。T1が1400℃以上であると、安定化元素量が多い場合に、通常焼結体と比べて透光性が低い焼結体が得られる。
また、T1が850℃以上、好ましくは950℃以上又は1000℃以上であることで、焼結に過度な時間を要することなく、焼結体を製造することができる。好ましいT1として、850℃以上1300℃以下、950℃以上1200℃以下、又は、1000℃以上1050℃以下が挙げられる。T1がこの範囲であることで、組成物に粗大な気孔が取り込まれにくくなり、第二昇温工程において効率的に気孔が排除される。
T1は、HR1からHR2への切替え温度であるため、T1で保持しなくてもよい。しかしながら、本実施形態の製造方法の効果が損なわれない範囲においては、T1で保持してもよい。T1で保持する場合、0分以上5分以下、又は、0分以上15秒以下が例示できる。
第二昇温工程は、T1から1400℃以上1580℃未満のいずれかの第二到達温度まで昇温速度30℃/分超200℃/分未満で昇温する(以下、第二到達温度を「T2」といい、T1からT2に至るまでの昇温速度を「HR2」ともいう。)。第二昇温工程は、T1超からT2まで昇温速度の切替えを必須としない。高温領域での精密な温度制御(昇温速度の制御)を必要としないことにより、本実施形態の製造方法は、汎用のヒーターを備えた焼結炉を使用する製造方法として適用できる。1400℃以上の温度領域ではジルコニアの焼結が急激に進行し、また、組成物の組成や物性等により、焼結挙動が相違する。そのため、組成物の特性に応じた1400℃以上の温度領域での昇温速度を切替えすることは困難である。本実施形態の製造方法では、1400℃以上からT2に至るまでの昇温中の昇温速度の切替えがないだけはなく、T1からT2に至るまでの昇温中の昇温速度の切替えがない。そのため、1200℃を超えT2に至るまでの昇温速度が変化せず、簡便な昇温プログラムで透光性の高い焼結体を得ることができる。
第二昇温工程において組成物内部から気孔が徐々に排除され、気孔が主として表面近傍に存在する形状となる。そのため、HR2は、150℃/分以下、100℃/分以下、80℃/分以下又は60℃/分以下であることが挙げられる。一方、焼結時間を短縮する観点からHR2は33℃/分以上、35℃/分以上又は40℃/分以上であればよく、33℃/分以上150℃/分以下、又は、35℃/分以上80℃/分以下が好ましい。これらの範囲のHR2では、昇温速度が速くなるほど安定化元素量が少ない組成物においてはより高い透光性を有する焼結体が得られる。その一方他方、昇温速度が遅くなるほど安定化元素量が組成物においては、より高い透光性を有する焼結体が得られる。安定化元素量によらず、高い透光性を有する焼結体がより得られやすくなるため、HR2は、40℃/分以上180℃/分以下、更には45℃/分以上120℃以下が好ましい。T1からT2に至るまでの昇温は、昇温速度(HR2)が変動しない(±2℃/min、好ましくは±1℃/min)ことが好ましい。
HR1及びHR2は、HR1>HR2であることが好ましく、HR1に対するHR2(以下、「HR2/HR1」ともいう。)が0.15以上1.0以下、更には0.2以上0.5以下であることがより好ましい。
T2は本実施形態の製造方法における最高到達温度であり、1400℃以上1580℃未満である。T2がこの範囲であることでジルコニアの結晶粒子の粒成長による気孔排除が進行する。これにより、短時間焼結でありながら、安定化元素量によらず、歯科補綴材として要求される透光性を満たす焼結体が得られる。これに加え、最高到達温度が1580℃未満であることで、珪化モリブデン(MoSi)ヒーターや炭化ケイ素(SiC)ヒーターなど、汎用のヒーターを備えた焼結炉の劣化が抑制される。例えば、炭化ケイ素は1580℃以上で劣化が生じる。そのため、T2がこの範囲であることで、炭化ケイ素ヒーターの劣化を抑制した上で、通常焼結体と同様な透光性を有する焼結体を製造することができる。
歯科補綴材として要求される機械的強度を満たす焼結体が得られやすくなるため、T2は1450℃以上、1480℃以上又は1500℃以上であり、また、1570℃以下、1565℃以下、1560℃以下又は1560℃未満であることが挙げられる。本実施形態の製造方法ではT2に到達するまでに組成物の気孔が表面近傍に存在するようにすることが好ましい。この観点からT2は1500℃以上、更には1510℃以上が好ましい。これにより、T2での保持時間が15分以下、更には10分以下と短時間であっても通常焼結体と同等の透光性を有する焼結体が得られる。T2は、1500℃以上1565℃以下、又は、1500℃以上1560℃未満であることが好ましい。
T2とT1の差は、T2>T1であり、なおかつ、150℃以上780℃未満、200℃以上780℃未満、更には300℃以上600℃以下、また更には500℃以上600℃以下が挙げられる。
これにより、第一昇温工程及び第二昇温工程がT2への昇温のみを目的とした工程だけではなく、被焼結物の構造を気孔排除が促進されやすい構造とする、気孔排除工程としても機能すると考えられる。
これに加え、本実施形態の製造方法は、特定の密度に至るまでの温度や焼結速度など組成物の焼結収縮挙動の詳細を焼結に先立ち把握することを必須とせず、焼結の温度プログラムを制御することで組成物の焼結ができる。そのため、患者毎の個人差が非常に大きい歯科補綴材をはじめとする、多品種の焼結体を製造するための製造方法として適している。
本実施形態の製造方法は、T2で保持する保持工程を有する。本実施形態の製造方法は、第一昇温工程及び第二昇温工程の二段階の昇温工程を有する焼結方法である。これにより、組成物内部の気孔が表面に移動し、T2に至った時点では気孔が表面近傍に存在する状態になると考えられる。そのため、T2での保持時間が短くとも、組成物表面近傍の気孔が排除され、通常焼結体と同等な透光性を有する焼結体が得られる。
保持工程における保持時間は1分以上、3分以上又は5分以上であればよい。本実施形態の製造方法に要する時間を短縮し及び本実施形態の製造方法に要するエネルギー消費を削減するため、保持時間は短い方が好ましい。保持時間は、上限が30分以下、20分以下、20分未満又は15分以下であることが例示できる。最高到達温度での保持時間は短いことが好ましく、また、T2が1500℃以上、更には1510℃以上であることで、T2における保持時間が短くしても得られる焼結体の透光性が低下しにくくなる。そのため、T2での保持時間は1分以上20分未満であることが好ましい。また、これらの範囲の保持時間では、保持時間が短くなるほど安定化元素量が少ない組成物においてはより高い透光性を有する焼結体が得られる。一方、保持時間が長くなるほど安定化元素量が多い組成物においてはより高い透光性を有する焼結体が得られやすくなる。安定化元素量によらず、高い透光性を有する焼結体がより得られやすくなるため、保持時間は、1分以上15分以下であることが好ましく、5分以上15分以下であることがより好ましい。
本実施形態の製造方法においては保持工程を経ることで焼結体が得られる。保持工程後の焼結体は目的とする焼結体が得られ得る任意の方法で降温し、焼結体を焼結炉から回収すればよい。本実施形態の製造方法は、T2から、800℃以上1200℃以下のいずれかの降温温度(以下、「T3」ともいう。)まで降温する降温工程を有することが好ましく、T2からT3まで降温して焼結体を焼結炉から取出す降温工程を有することがより好ましく、T2からT3まで降温して焼結体を焼結炉から取出し、取出した焼結体を大気雰囲気で、自然放冷及び冷却ガスの吹き付けの少なくともいずれかにより降温する降温工程を有することが更により好ましい。
降温時間をより短縮するため、T2からT3までの降温速度(以下、「CR1」ともいう。)は、30℃/分以上、40℃/分以上、45℃/分以上又は50℃/分以上である。また、CR1は200℃/分以下、150℃/分以下、100℃/分以下又は80℃/分以下であること例示でき、これにより降温中に割れ等の欠陥が生じにくくなる。CR1は30℃/分以上200℃/分以下、又は、45℃/分以上80℃/分以下が好ましく、T2からT3に至るまでの降温は降温速度(CR1)が変動しない(±2℃/min、好ましくは±1℃/min)ことが好ましい。
焼結体はT3まで降温して焼結炉から取出せばよい。T3まで降温することで、焼結炉から焼結体を取出して室温下の大気雰囲気に曝露した場合であっても、ヒートショックによる欠陥の発生が抑制され、また、着色元素を含む焼結体の降温時における色調変化が抑制される。T3は、800℃以上又は850℃以上であり、また、1200℃以下、1100℃以下、1050℃以下又は950℃以下のいずれかの温度であることが挙げられ、800℃以上1100℃以下が好ましい。得られる焼結体の色調変化がより生じにくくなるため、T3は、800℃以上1000℃未満がより好ましく、850℃以上950℃以下であることがさらに好ましい。
取出した焼結体は更に降温する。焼結体はこれが取り扱える温度(例えば、100℃以下、更には室温)まで降温すればよい。得られる焼結体の強度の焼結ロット間のばらつきが小さくなりやすいため、焼結炉から取出した焼結体は、T3から400℃に至るまでの平均降温速度(以下、「CR2(AVE)」ともいう。)が、300℃/分以上、350℃/分以上又は400℃/分以上となるように冷却することがより好ましい。また、CR2(AVE)は800℃/分以下、700℃/分以下、600℃/分以下又は500℃/分以下であることが挙げられる。CR2(AVE)が300℃/分以上800℃/分以下、350℃/分以上600℃/分以下、又は、400℃/分以上600℃/分以下となるように冷却することがさらに好ましい。T3に400℃に至るまでの降温は焼成炉の焼結プログラムが使用しないため、降温速度が変動してもよい。
CR2(AVE)は、一般的な熱電対温度計(例えば、testo735-1、Testo社製)を焼結体の表面に接触させてT3から400℃に至るまでの時間を計測し、{(T3-400)[℃]/T3から400℃に至るまでの時間[分]}により求めればよい。
このようなCR2(AVE)とするため、焼結炉から取出した焼結体は、そのまま自然放冷してもよいが、冷却ガスを吹き付けて冷却することが好ましい。冷却ガスは、例えば、空気、アルゴン(Ar)、窒素(N)及びヘリウム(He)の群から選ばれる1以上、更には空気、が挙げられる。
400℃まで降温された焼結体は、自然放冷及び冷却ガスの吹き付けの少なくともいずれか、など任意の方法で任意の温度まで冷却すればよい。
急冷工程に要する時間は、30秒以上、1分以上、2分以上又は3分以上であり、また、10分以下、8分以下又は5分以下であることが例示でき、30秒以上10分以下、1分以上8分以下、又は、3分以上5分以下が好ましい。
このように、安定化元素を含有するジルコニアの組成物を昇温開始温度からT1まで昇温速度150℃/分以上で昇温する第一昇温工程、T1からT2まで昇温速度30℃/分超200℃/分未満で昇温する第二昇温工程、及び、T2で保持する保持工程、を有するジルコニアの焼結体の製造方法であり、焼結炉を使用して組成物を焼結することで焼結体が得られる。
なお、第一昇温工程、第二昇温工程、保持工程、及び、T2からT3まで降温における温度制御は、焼結に使用する焼結炉の焼結プログラムにより行えばよい。
本実施形態の製造方法において適用し得る焼結方法は真空焼結、加圧焼結及び常圧焼結の群から選ばれる1以上、更には加圧焼結及び常圧焼結の少なくともいずれかが挙げられる。しかしながら、本実施形態の製造方法における焼結方法は常圧焼結、更には常圧焼結のみ、が好ましい。
本実施形態の製造方法の雰囲気、すなわち第一昇温工程、第二昇温工程、保持工程及び降温工程における雰囲気は、酸化雰囲気、更には大気雰囲気であることが好ましい。
本実施形態の製造方法において使用し得る焼結炉は任意であるが、抵抗加熱炉、誘導加熱炉、高周波炉及びIH炉の群から選ばれる1以上、更に抵抗加熱炉、誘導加熱炉及びIH炉の群から選ばれる1以上が挙げられる。本実施形態の製造方法は、抵抗加熱炉及び誘導加熱炉の少なくともいずれかの焼成炉により焼結する製造方法であることがより好ましい。
焼結に供する焼結炉は、汎用のヒーター(発熱体)を備えた焼結炉、更には二珪化モリブデン(MoSi)、炭化ケイ素(SiC)、ランタンクロマイト(LaCrO)及びカーボン(C)の群から選ばれる1以上からなるヒーターを備えた焼結炉、また更には二珪化モリブデン及び炭化ケイ素の少なくともいずれかからなるヒーターを備えた焼結炉であることが好ましい。歯科用補綴材用の焼成炉に汎用されているため、本実施形態の製造方法は、二珪化モリブデン、炭化ケイ素、ランタンクロマイト及びカーボンの群から選ばれる1以上からなるヒーターを備えた焼結炉を使用して焼結する製造方法であることが好ましく、炭化ケイ素ヒーターを備えた焼結炉を使用して焼結する製造方法であることがより好ましい。
本実施形態の製造方法(特に第一昇温工程から急冷工程まで)に要する時間は、15分以上、20分以上、25分以上、30分以上又は35分以上であり、また、55分以下、50分以下、45分以下又は40分以下であることが例示でき、15分以上55分以下、25分以上50分以下、30分以上45分以下、又は、35分以上40分以下であることが好ましい。
本実施形態の製造方法は、ジルコニウムの焼結体の製造方法、更には歯科補綴材用ジルコニアの焼結体の製造方法として適している。また、更には本実施形態の製造方法は、イットリウムを含有するジルコニアの焼結体の製造方法であって、特にイットリウムの含有量が2.8mol%以上6mol%以下であるイットリウムを含有するジルコニアの焼結体の製造方法、更にはイットリウムの含有量が4mol%以上6mol%以下であるイットリウムを含有するジルコニアの焼結体の製造方法、また更にはイットリウムの含有量が4.5mol%以上6mol%以下であるイットリウムを含有するジルコニアの焼結体の製造方法として適している。
さらに、本実施形態は、安定化元素を含有するジルコニアの組成物を焼結するプログラムにおいて、焼結開始温度から800℃以上1400℃未満のいずれかの第一到達温度まで昇温速度150℃/分以上で昇温する第一昇温、前記第一到達温度から1400℃以上1580℃未満のいずれかの第二到達温度まで昇温速度30℃/分超200℃/分未満で昇温する第二昇温、及び、該第二到達温度で保持する保持、を含む焼結プログラム、とみなしてもよい。
さらに、本実施形態は、安定化元素を含有するジルコニアの組成物を焼結するプログラムにおいて、焼結開始温度から800℃以上1400℃未満のいずれかの第一到達温度まで昇温速度150℃/分以上で昇温する第一昇温、前記第一到達温度から1400℃以上1580℃未満のいずれかの第二到達温度まで昇温速度30℃/分超200℃/分未満で昇温する第二昇温、及び、該第二到達温度で保持する保持、を含む焼結方法、とみなしてもよい。
[組成物]
本実施形態の製造方法に供する組成物は、ジルコニアを主成分とする組成物である。
ジルコニアはハフニア(HfO)等の不可避不純物を含んでいてもよい。不可避不純物としてのハフニアの含有量は、原料鉱石や製造方法により大きく異なるが、2.0質量%以下が例示できる。本実施形態における組成や密度等、組成に基づく値の算出において、ハフニアはジルコニア(ZrO)とみなして計算すればよい。
ジルコニアは、安定化元素を含むことが好ましく、安定化元素が固溶したジルコニア(以下、「安定化元素固溶ジルコニア」ともいう。)であることがより好ましい。安定化元素は、少なくともイットリウムを含むことが好ましく、イットリウム、カルシウム、セリウム、マグネシウム、プラセオジウム、イッテルビウム、エルビウム及びテルビウムの群から選ばれる1以上が例示でき、イットリウム、セリウム、エルビウム及びテルビウムの群から選ばれる1以上が好ましく、イットリウム、エルビウム及びテルビウムの群から選ばれる1以上を含むことがより好ましく、イットリウムであることが更に好ましい。
組成物における安定化元素量は、ジルコニアの結晶相が安定化する量であればよく、例えば、0.1mol%以上10mol%以下であることが挙げられる。安定化元素がイットリウムである場合、安定化元素量(安定化元素がイットリウム等である場合は、それぞれ「イットリウム量」等ともいう。)は、2.5mol%以上、3mol%以上、3.5mol%以上、4mol%以上又は4.5mol%以上であり、また、8mol%以下、7mol%以下、6mol%以下又は5.5mol%以下であることが挙げられ、2.5mol%以上8mol%以下、3mol%以上又は6mol%以下、3.5mol%以上6mol%以下、又は、4.5mol%以上5.5mol%以下が好ましい。本実施形態の方法は安定化元素量が4.5mol%以上6mol%以下、更には5.1mol%以上5.8mol%以下の組成物など、安定化元素量の多い組成物を焼結した場合であっても、通常焼結体と同等な透光性を有する焼結体が得られる。
本実施形態の組成物は、未固溶の安定化元素、更には安定化元素の酸化物を含まないことが好ましく、未固溶のイットリア(Y)を含有しないことがより好ましい。組成物に未固溶の安定化元素が含まれているか否かは、そのXRDパターンにより確認することができる。すなわち、組成物のXRDパターンが安定化元素の酸化物(例えば、Y)のXRDピークを含まないことをもって、未固溶の安定化元素を含まない、とみなせばよい。
組成物は、アルミニウム、ゲルマニウム、ケイ素及びランタンの群から選ばれる1以上、更にはアルミニウム、ゲルマニウム及びケイ素の群から選ばれる1以上(以下、「添加元素」ともいう。)、更にはアルミニウム及びゲルマニウムの少なくともいずれか、また更にアルミニウム、を含んでいてもよい。なお、組成物は、添加元素を含まなくてもよい。
添加元素の含有量(以下、「添加元素量」ともいい、添加元素がアルミニウム等である場合の添加元素量を「アルミニウム量」等ともいう。)は、0質量%以上、0質量%超、0.02質量%以上又は0.05質量%以上であり、かつ、0.2質量%未満、0.15質量%以下、0.1質量%以下又は0.07質量%以下であることが例示でき、0質量%超0.2質量%以下、又は、0.05質量%以上0.07質量%以下が好ましい。
組成物における添加元素の形態は任意である。アルミニウムはアルミナ(Al)、ゲルマニウムはゲルマニア(Ge)、ケイ素はシリカ(SiO)など、酸化物として含まれていることが例示できる。また、ランタンはジルコニアへの固溶及び酸化物(La)の少なくともいずれかの形態の形態で含まれていることが例示できる。
組成物は、ジルコニアを着色する機能を有する元素(以下、「着色元素」ともいう。)を含んでいてもよい。着色元素は、遷移金属元素及びランタノイド系希土類元素の少なくともいずれか、更にはジルコニウム(Zr)及びハフニウム(Hf)以外の遷移金属元素、並びに、ランタノイド系希土類元素の少なくともいずれか、が挙げられる。好ましい着色元素として、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、エルビウム(Er)、テルビウム(Tb)及びイッテルビウム(Yb)の群から選ばれる1以上、更には鉄、コバルト、マンガン、ニッケル、銅、チタン、クロム及びネオジムの群から選ばれる1以上、また更には鉄、コバルト、チタン、マンガン、プラセオジウム、エルビウム及びテルビウムの群から選ばれる1以上、また更には鉄、コバルト、チタン、エルビウム及びテルビウムの群から選ばれる1以上、また更には鉄、コバルト、チタン及びエルビウムの群から選ばれる1以上、が例示でき、少なくとも鉄又はテルビウムを含むことが好ましく、少なくとも鉄を含むことがより好ましい。なお、プラセオジウム、イッテルビウム、エルビウム及びテルビウムは、それぞれ、着色元素及び安定化元素として機能する。
特に好ましい着色元素として、鉄、コバルト、チタン及びエルビウムの群から選ばれる2以上、更にはコバルト、チタン及びエルビウムの群から選ばれる1以上と、鉄と、が挙げられる。
着色元素は、目的とする焼結体の色調に応じて任意の種類及び含有量であればよい。着色元素の種類により、その含有量(以下、「着色元素量」ともいい、着色元素等が鉄の場合、それぞれ「鉄量」等ともいう。)は異なるが、各着色元素の含有量として、例えば、0質量%以上、0質量%超、0.002質量%以上又は0.02質量%以上であり、また、0.5質量%以下、0.2質量%以下又は0.1質量%以下が挙げられ、0質量%以上0.5質量%以下、0質量%超0.5質量%以下、0.002質量%以上0.2質量%以下が好ましい。
また、着色元素の合計量は、0質量%以上0.5質量%以下、0質量%超0.5質量%以下、0.05質量%以上0.5質量%以下、又は、0.1質量%以上0.45質量%以下、が例示できる。
組成物に含まれる着色元素の形態は任意である。着色元素は、イオン及び化合物の少なくともいずれかとして含有されること、が挙げられる。また、着色元素はジルコニアに固溶することで、これに含有されていてもよい。
組成物は結合剤を含んでいてもよい。結合剤は、セラミックスの成形に使用される公知のものを使用することができ、有機結合剤であることが好ましい。有機結合剤として、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラート、ワックス及びアクリル樹脂の群から選ばれる1種以上、好ましくはポリビニルアルコール及びアクリル樹脂の1種以上であり、より好ましくはアクリル樹脂である。本実施形態において、アクリル樹脂は、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの少なくともいずれかを含む重合体である。具体的なアクリル樹脂として、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸共重合体及びメタクリル酸共重合体の群から選ばれる1種以上、並びに、これらの誘導体、が例示できる。具体的な結合剤として、例えば、AS-1100,AS-1800及びAS-2000の群から選ばれる1以上(いずれも製品名。東亜合成社製)が挙げられる。
組成物における、安定化元素量は、酸化物換算したジルコニウム及び安定化元素の合計に対する、酸化物換算した安定化元素のモル割合[mol%]として、添加元素量は酸化物換算した組成物に対する、酸化物換算した添加元素の質量割合[質量%]として、及び、着色元素量は酸化物換算した組成物に対する、酸化物換算した添加元素の質量割合[質量%]として求めればよい。例えば、安定化元素としてイットリウム及びエルビウム、添加元素としてアルミニウム、並びに、着色元素として鉄及びチタンを含むジルコニアを主成分とする組成物の組成は以下から求められる。
組成物の質量
=(ZrO+Y+Al+Er+Fe+TiO)[g]
安定化元素量(合計)
{(Er+Y)[mol]/(ZrO+Y+Er)[mol]}×100
イットリウム量
{Y[mol]/(ZrO+Y+Er)[mol]}×100
エルビウム量(安定化元素として)
{(Er)[mol]/(ZrO+Y+Er)[mol]}×100
添加元素量(アルミニウム量)
{Al[g]/(ZrO+Y+Al+Er+Fe+TiO)[g]}×100
着色元素量
{(Er+Fe+TiO)[g]/(ZrO+Y+Al+Er+Fe+TiO)[g]}×100
鉄量
{Fe[g]/(ZrO+Y+Al+Er+Fe+TiO)[g]}×100
チタン量
{TiO[g]/(ZrO+Y+Al+Er+Fe+TiO)[g]}×100
エルビウム量(着色元素として)
{Er[g]/(ZrO+Y+Al+Er+Fe+TiO)[g]}×100
各種元素の酸化物換算は、それぞれ、ジルコニウムがZrO、イットリウムがY、カルシウムがCaO、セリウムがCeO、マグネシウムがMgO、プラセオジウムがPr11、イッテルビウムがYb、エルビウムがEr、テルビウムがTb11、アルミニウムがAl、ゲルマニウムがGe、ケイ素がSiO、ランタンがLa、鉄がFe、コバルトがCo、マンガンがMnO、ニッケルがNiO、銅がCuO、チタンがTiO、クロムがCr、及び、ネオジムがNdであることが挙げられる。
組成物は、焼結体の前駆体となり得る組成物であればよく、ジルコニアの粉末、顆粒粉末、成形体及び仮焼体の群から選ばれる1以上、更にはジルコニアの成形体及び仮焼体の少なくともいずれかが例示でき、成形体又は仮焼体であることが好ましく、仮焼体であることがより好ましい。
なお、組成物が仮焼体である場合、本実施形態の製造方法は、第一昇温工程に先立ち、本実施形態の成形体を仮焼する工程(以下、「仮焼工程」ともいう。)を有していてもよい。
仮焼は、ジルコニアの粉末粒子が融着粒子となる条件で熱処理であればよく、例えば、ジルコニアの焼結温度未満の温度での熱処理、が挙げられる。仮焼条件として、以下の条件が挙げられる。
仮焼雰囲気 :酸化雰囲気、好ましくは大気雰囲気
仮焼温度 :800℃以上、900℃以上又は950℃以上、また、
1200℃未満、1150℃以下又は1100℃以下
仮焼時間 :0.5時間以上又は1時間以上、かつ、
5時間以下又は3時間以下
なお、仮焼雰囲気は、焼結の雰囲気と同じ雰囲気であってもよいが、これと異なる雰囲気であってもよい。
組成物が粉末である場合、組成物に含まれるジルコニアは、ジルコニアゾルが熱処理された状態のジルコニアであることが好ましく、ジルコニウム化合物の加水分解で得られたジルコニアゾルが熱処理された状態のジルコニアであることがよりより好ましく、オキシ塩化ジルコニウムが加水分解されたジルコニアゾルが熱処理された状態のジルコニアであることが更に好ましい。
粉末のBET比表面積は、下限が5m/g以上、6m/g以上、8m/g以上、9m/g以上又は10m/g以上であること、また、上限が、15m/g以下、13m/g以下又は11m/g以下であることが挙げられ、5m/g以上15m/g以下が好ましい。
粉末の平均粒子径は、0.35μm以上又は0.40μm以上であり、また、0.55μm以下又は0.50μm以下が例示でき、0.35μm以上0.55μm以下が好ましいる。
粉末の結晶相は、立方晶及び正方晶の少なくともいずれかを主相とすること、更には立方晶及び正方晶を主相とすることが好ましく、T+C相率は、65%以上、70%以上又は75%以上であり、また、T+C相率は100%以下、99%以下、98%以下、95%以下又は93%以下であることが挙げられ、65%以上100%以下、又は、75%以上93%以下が好ましい。
流れ性が高くなるため、粉末は顆粒粉末であってもよい。顆粒粉末の平均顆粒径は、30μm以上、40μm以上又は50μm以上であり、また、80μm以下又は60μm以下が例示でき、30μm以上80μm以下、又は、50μm以上60μm以下が好ましい。
顆粒粉末の軽装嵩密度は、1.0g/cm以上又は1.1g/cm以上であり、また、1.4g/cm以下又は1.3g/cm以下が挙げられ、1.0g/cm以上1.4g/cm以下、又は、1.1g/cm以上1.3g/cm以下が好ましい。
組成物が成形体である場合、成形体の形状は、立方体状、直方体状、多面体状、柱状、円柱状、円板状及び略球状の群から選ばれる少なくとも1つが例示でき、また、焼結による熱収縮を考慮した上で、目的とする焼結体と同様な形状であればよい。
成形体密度は、2.8g/cm以上、2.9g/cm以上又は3.0g/cm以上であり、また、3.5g/cm以下、3.4g/cm以下、3.3g/cm以下、3.2g/cm以下又は3.1g/cm以下であることが挙げられ、2.8g/cm以上3.5g/cm以下、又は、3.0g/cm以上3.1g/cm以下が好ましい。
組成物が仮焼体である場合、仮焼体の形状は、立方体状、直方体状、多面体状、柱状、円柱状、円板状及び略球状の群から選ばれる少なくとも1つが例示でき、また、焼結による熱収縮を考慮した上で、目的とする焼結体と同様な形状であればよい。
仮焼体の結晶相は、立方晶及び正方晶の少なくともいずれかを主相とすること、更には立方晶及び正方晶を主相とすることが好ましく、T+C相率は、75%以上、80%以上、90%以上、95%以上又は98%以上であり、また、100%以下又は99%以下であることが例示でき、75%以上100%以下、又は、98%以上100%以下が好ましい。
仮焼体のBET比表面積は、5m/g以上又は6m/g以上であり、また、11m/g以下、10m/g以下又は9m/g以下であることが例示でき、5m/g以上11m/g以下、6m/g以上10m/g以下、又は、7m/g以上9m/gが好ましい。
仮焼体密度は、2.9g/cm以上、3.0g/cm以上又は3.1g/cm以上であり、かつ、3.5g/cm以下、3.3g/cm以下又は3.2g/cm以下であることが挙げられ、2.9g/cm以上3.5g/cm以下、3.0g/cm以上3.3g/cm以下、又は、3.1g/cm以上3.2g/cm以下が好ましい。
CAM加工等、形状加工における欠陥が生じにくくなるため、本実施形態の仮焼体のビッカース硬度は、35kgf/mm以上又は40kgf/mm以上であり、また、100kgf/mm以下、80kgf/mm以下、70kgf/mm以下、55kgf/mm以下又は50kgf/mm以下であることが挙げられる。
焼結に先立ち、CAD/CAM加工などの加工手段で仮焼体を任意の形状に加工すればよい。このように、本実施形態の製造方法に供する仮焼体は、加工された状態の仮焼体であってもよい。
[組成物の製造方法]
本実施形態の製造方法に供する組成物は、公知の製造方法により得られる粉末、顆粒粉末、成形体及び仮焼体の群から選ばれる1以上であればよい。
組成物が粉末である場合、共沈法、加水分解法及びゾルゲル法の群から選ばれる1以上、好ましくは中和共沈法及び加水分解法の少なくともいずれか、より好ましくは加水分解法により、ジルコニア又は安定化元素含有ジルコニアの粉末を得ればよい。必要に応じ、添加元素等を得られた粉末に混合し、本実施形態の製造方法に供する組成物とすればよい。
組成物は安定化元素量が異なる2以上の安定化元素固溶ジルコニアを含んでいてもよく、安定化元素量が異なる2以上の安定化元素固溶ジルコニアを含む粉末組成物であってもよい。安定化元素量が異なる2以上の安定化元素固溶ジルコニアを含む粉末組成物は、安定化元素量が異なる2以上の安定化元素固溶ジルコニアの粉末を混合することによって得られる。混合方法は、粉末が均一な組成となる任意の方法であればよく、乾式混合及び湿式混合の少なくともいずれか、更には湿式混合、また更には水溶媒中での混合が挙げられ、安定化元素固溶ジルコニアの粉末を含むスラリーの混合が挙げられる。
組成物が成形体である場合、成形体の製造方法は任意であり、公知のセラミックスの成形方法で粉末組成物を成形すればよい。成形方法として、例えば、一軸プレス、冷間静水圧プレス、スリップキャスティング及び射出成形の群から選ばれる1以上が例示でき、少なくともスリップキャスティング以外の成形方法であることが好ましく、一軸プレス及び冷間静水圧プレスの少なくともいずれかであることがより好ましく、一軸プレス後、冷間静水圧プレスを行う成形方法が更により好ましい。一軸プレスの圧力は15MPa以上150MPa以下、及び、冷間静水圧プレスの圧力は90MPa以上400MPa以下が例示でき、成形における圧力が高くなるほど成形体密度は平衡に達するまで高くなる。
成形体が結合剤を含む場合、仮焼に先立ち、結合剤を除去する工程、いわゆる脱バインダー工程、を有していてもよい。結合剤の除去方法は任意であるが、大気雰囲気、400℃以上800℃未満、の熱処理が例示できる。
組成物が仮焼体である場合、上述の仮焼工程と同様な方法で成形体を仮焼することで仮焼体を得ればよい。
[ジルコニアの焼結体]
本実施形態の製造方法により得られる焼結体(以下、「本実施形態の焼結体」ともいう。)について説明する。
本実施形態の焼結体の組成は、上述の組成物や仮焼体と同様な組成であればよい。
本実施形態の焼結体の全光線透過率は、25%以上、30%以上又は35%以上であり、また、55%以下、53%以下又は51%以下であることが例示でき、25%以上55%以下、30%以上53%以下、又は、35%以上51%以下であることが好ましい。
本実施形態の焼結体は、該焼結体の前駆体と同様な前駆体を通常焼結体と同様な視認性を与える透光性を有することが好ましい。このような透光性として、例えば、通常焼結体の全光線透過率に対する、本実施形態の焼結体の全光線透過率の割合(以下、「透過率比」ともいう。)が0.95以上又は0.96以上であり、また、1.05以下又は1.00以下であることが例示でき、0.95以上1.05以下、又は、0.96以上1.00以下であることが挙げられる。
なお、本実施形態における通常焼結体として、大気雰囲気、室温から1500℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、1500℃で120分保持した後、1500℃から室温まで降温速度10℃/分の焼結パターンで焼結して得られる焼結体が挙げられる。
本実施形態の焼結体の二軸曲げ強度は800MPa以上1400MPa以下であることが例示できる。本実施形態の焼結体は、二軸曲げ強度が800MPa以上であることで、JIS T 6526に基づく4歯以上の連結ブリッジにも適応可能となる。二軸曲げ強度は、830MPa以上又は900MPa以上であり、また、1300MPa以下、1200MPa以下又は1100MPa以下であることが挙げられ、830MPa以上1300MPa以下、又は、900MPa以上1100MPa以下であることが好ましい。
本実施形態の焼結体の形状は、立方体状、直方体状、多面体状、柱状、円柱状、円板状及び略球状の群から選ばれる少なくとも1つが例示でき、歯科材料、更には歯科補綴材として使用し得る形状であることが好ましい。
本実施形態の焼結体は、歯科用材料、更には歯科補綴材料として使用し得る焼結体であることが好ましい。
以下、実施例により本実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
(組成分析)
組成物の組成はICP分析で測定した。
(BET比表面積)
BET比表面積は、自動比表面積測定装置(装置名:トライスターII 3020、島津製作所製)を使用し、JIS R 1626に準じ、以下の条件による、BET多点法(5点)により測定した。
吸着媒体 :N
吸着温度 :-196℃
前処理条件 :大気雰囲気、250℃で1時間以上の脱気処理
測定試料が仮焼体の場合、測定に先立ち、仮焼体を、5mm×5mm×16mmの直方体形状に加工した後、該直方体の全ての表面をJIS R 6001-2に準じた粒度#400のサンドペーパーを用いて研磨した。
(平均顆粒径)
平均顆粒径は、マイクロトラック粒度分布計(装置名:MT3100II、マイクロトラック・ベル社製)に、顆粒粉末試料を投入して測定した。累積体積が50%となる粒子径を平均顆粒径とした。
(結晶相及びT+C相率)
結晶相は、X線回折装置(装置名:Ultima IV、RIGAKU社製)を使用し、以下の条件によるXRD測定により同定した。
線源 : CuKα線(λ=0.15418nm)
測定モード : 連続スキャン
スキャンスピード : 2°/分
測定範囲 : 2θ=26°~33°
2θ=72°~76°
加速電圧・電流 : 40mA・40kV
発散縦制限スリット: 10mm
発散/入射スリット: 1°
受光スリット : open
検出器 : 半導体検出器(D/teX Ultra)
フィルター : Niフィルター
ゴニオメータ半径 : 185mm
測定に先立ち、仮焼体の表面をJIS R 6001-2に準じた粒度#400のサンドペーパーを用いて研磨した後、粒度3μmのダイヤモンド研磨剤を用いてラップ研磨を行った。
結晶相の同定及び各結晶面の面積強度の算出は、X線回折装置付属の解析プログラム(プログラム名:統合粉末X線解析ソフトウェアPDXL Ver.2.2、RIGAKU社製)を使用して平滑化処理及びバックグラウンド除去処理し、当該処理後のXRDパターンを、分割擬Voigt関数によりプロファイルフィッティングすることで行った。
T+C相率は、本実施形態の仮焼体のXRDパターンから、上述の式により求めた。
(平均降温速度)
急冷工程において、熱電対温度計(装置名:testo735-1、Testo社製)焼結体の表面に接触させ、降温温度から400℃に至るまでの時間を計測し、{(降温温度-400)[℃]/降温温度から400℃に至るまでの時間[分]}を用いて得られる値を、平均降温速度とした。
(仮焼体密度)
仮焼体試料の質量を天秤で測定し、また、体積をノギスで測定した寸法から求めた。得られた質量及び体積から仮焼体密度を求めた。
(全光線透過率)
JIS K 7361の方法に準じた方法によって、試料の全光線透過率を測定した。標準光源D65を測定試料に照射し、測定試料を透過した光束を積分球により検出することによって、全光線透過率を測定した。測定にはヘーズメータ(装置名:ヘーズメータNDH4000、日本電色社製)を使用した。
測定試料は、直径20mm、試料厚さ1.0±0.1mm、かつ、両面の表面粗さRa≦0.02μmとなるまで鏡面研磨した円板状の焼結体を使用した。
(二軸曲げ強度)
二軸曲げ強度は、JIS T 6526に準じた方法によって測定した。測定は10回行い、その平均値を求めた。測定は、直径14.5mm±0.5、厚さ1.25mm±0.05mmの円状の焼結体試料について行い、支持円半径6mm、圧子半径0.7mmとして実施した。クロスヘッドスピードは0.5mm/分とした。
合成例1
市販のジルコニア粉末(製品名:Zpex、東ソー社製)3gを内径25mmの金型に充填した後、圧力49MPaで一軸加圧プレス成形を行った。成形の後、圧力196MPaでCIP処理して直径25mmの円板状の成形体を得た。
得られた成形体を、昇温速度50℃/時間で1000℃まで昇温し、1000℃で1時間保持し、イットリウム含有量が3.0mol%及びアルミニウム量が0.05質量%である、アルミナを含有するイットリウム安定化ジルコニアからなる仮焼体を得、これを本合成例の仮焼体とした。本合成例1の仮焼体のBET比表面積は9.1m/gであった。
合成例2
市販のジルコニア粉末(製品名:Zpex4、東ソー社製)を使用したこと以外は合成例1と同様な方法で、アルミニウム量が0.05質量%である、アルミナを含有し、残部がイットリウム量4.0mol%である、イットリウム安定化ジルコニアからなる仮焼体を得、これを本合成例の仮焼体とした。本合成例の仮焼体のBET比表面積は7.4m/gであった。
合成例3
市販のジルコニア粉末(Zpex4、Zpex4-Yellow及びZpex-Gray、いずれも東ソー社製)を、質量比でZpex4:Zpex4-Yellow:Zpex-Gray=30:60:10となるように混合して混合粉末を得た。得られた粉末を使用したこと以外は合成例1と同様な方法で、イットリウム量が4.0mol%、アルミニウム量が0.05質量%、鉄量が0.095質量%及びコバルト量が0.0045質量%である、アルミナ、酸化鉄及び酸化コバルトを含有するイットリウム安定化ジルコニアからなる仮焼体を得、これを本合成例の仮焼体とした。本合成例の仮焼体のBET比表面積は7.5m/gであった。
合成例4
イットリウム量が2.5mol%であるイットリウム安定化ジルコニアの粉末(BET比表面積:14.1m/g)のスラリー(以下、「2.5Yスラリー」ともいう。)、及び、イットリウム量が5.5mol%であるイットリウム安定化ジルコニアの粉末(BET比表面積:10.9m/g)のスラリー(以下、「5.5Yスラリー」ともいう。)を、イットリウム量が5.2mol%となるように混合して混合スラリーを得た。混合スラリーを180℃で噴霧乾燥し、イットリウム量が5.2mol%であるイットリウム安定化ジルコニアの顆粒粉末を得た。得られた顆粒粉末のBET比表面積は11.2m/g、及び、平均顆粒径は46μmであった。
得られた顆粒粉末を使用したこと以外は合成例1と同様な方法で、イットリウム量が5.2mol%である、イットリウム安定化ジルコニアの仮焼体を得、これを本合成例の仮焼体とした。
合成例5
2.5Yスラリー及び5.5Yスラリーに加え、酸化鉄(Fe)の粉末を10質量%含むスラリー、及び、エルビウム量が11.7質量%(4.1mol%)であるエルビウム安定化ジルコニアの粉末を45質量%含むスラリーを、イットリウム量が5.0mol%、鉄量が0.072質量%、エルビウム量が0.34質量%(0.12mol%)となるように混合し、混合スラリーを得た。得られた混合スラリーを使用したこと以外は合成例4と同様な方法で、イットリウム量が5.0mol%、鉄量が0.072質量%、エルビウム量が0.34質量%(0.12mol%)であり、酸化鉄、エルビウム安定化ジルコニア及びイットリア安定化ジルコニアを含む顆粒粉末を得た。得られた顆粒粉末のBET比表面積は11.4m/g及び平均顆粒径が47μmであった。
得られた顆粒粉末を使用したこと以外は合成例1と同様な方法で、イットリウム量が5.0mol%、鉄量が0.072質量%、エルビウム量が0.34質量%(0.12mol%)であり、酸化鉄、エルビウム安定化ジルコニア及びイットリウム安定化ジルコニアを含む仮焼体を得、これを本合成例の仮焼体とした。
合成例6
2.5Yスラリー及び5.5Yスラリーに加え、酸化鉄の粉末を10質量%含むスラリー、酸化コバルト(Co)の粉末を10質量%含むスラリー、及び、酸化チタン(TiO)を10質量%含むスラリーを、イットリウム量が5.2mol%、鉄量が0.105質量%、コバルト量が0.0063質量%、チタニア量が0.0314質量%となるように混合し、混合スラリーを得た。得られた混合スラリーを使用したこと以外は合成例4と同様な方法で、イットリウム量が5.2mol%、鉄量が0.105質量%、コバルト量が0.0063質量%、チタン量が0.0314質量%であり、酸化鉄、酸化コバルト及び酸化チタンを含むイットリア安定化ジルコニアの顆粒粉末を得た。得られた顆粒粉末のBET比表面積は11.0m/g及び平均顆粒径は48μmであった。
得られた顆粒粉末を使用したこと以外は合成例1と同様な方法で、イットリウム量が5.2mol%、鉄量が0.105質量%、コバルト量が0.0063質量%及びチタン量が0.0314質量%であり、酸化鉄、酸化コバルト及び酸化チタンを含むイットリウム安定化ジルコニアの仮焼体を得、これを本合成例の仮焼体とした。
各合成例で得られた仮焼体の評価結果を下表に示す。
<焼結パターン>
炭化ケイ素ヒーターを備えた焼結炉を使用し、大気雰囲気、下表の焼結パターンで室温から昇温し、各合成例で得られた仮焼体を常圧焼結した。T3まで降温後、焼結後の焼結体を焼結炉から取り出し、大気雰囲気で、焼結体に空気を吹き付けることで400℃まで降温した。
参考例
合成例1乃至6の仮焼体を焼結パターン(P16)の通常焼結により焼結して通常焼結体を得、それぞれ、参考例1乃至6の焼結体とした。結果を示す。
参考例1、2及び4より、イットリウム含有量が多くなると全光線透過率が高く、透光性が向上することが確認できた。また、着色元素を含有しない焼結体に対し、着色元素を含有する焼結体は全光線透過率が低いことが確認できる。
実施例1乃至6
合成例1乃至6の仮焼体をそれぞれ焼結パターン(P1)で焼結し、焼結体を得た。結果を示す。
3mol%以上5.2mol%以下のイットリウムを含有する実施例の焼結体は、透過率比が0.97以上1.03以下であり、通常焼結体と同程度の透光性を有していた。これより、実施例の製造方法によって、イットリウム含有量によらず、更にはイットリウム含有量が4.5mol%以上であっても、通常焼結体と同程度の透光性を有する焼結体が製造できることが確認できた。
なお、実施例4のイットリウム量が5.2mol%の焼結体の三点曲げ強度は836MPaであり、JIS T 6526で規定される、4歯以上連結補綴物用のセラミックスとして求められる強度を有していることが確認できた。
実施例7乃至10、及び、比較例1乃至4
合成例2又は4の仮焼体をそれぞれ以下の焼結パターンで焼結して焼結体を得た。結果を下表に示す。
HR2が200℃/分である場合、イットリウム量が4mol%の場合は通常焼結体と同等の透光性を有する焼結体が得られるのに対し、イットリウム量が5.2mol%の場合は、通常焼結体に対して著しく透光性が低下することが確認できた(比較例2及び4)。反対に、HR2を30℃/分とした場合、イットリウム量が5.2mol%の場合は通常焼結体と同等の透光性を有する焼結体が得られるのに対し、イットリウム量が4mol%の場合は、通常焼結体に対して著しく透光性が低下することが確認できた(比較例1及び3)。さらに、イットリウム量が4mol%の組成物はHR2が高速化に伴い得られる焼結体の透光性が高くなるのに対し、イットリウム量が5.2mol%の組成物はHR2が高速化に伴い得られる焼結体の透光性が低くなっており、イットリウム量により、HR2と透光性の関係が異なることが確認できた。
実施例11乃至16、並びに、比較例5及び6
合成例2又は4の仮焼体をそれぞれ以下の焼結パターンで焼結して焼結体を得た。結果を下表に示す。
イットリウム量によらず、T2での保持をしないと、通常焼結体と比べ透光性が大きく低下することが確認できた(比較例5及び6)。また、イットリウム量が4mol%の組成物は保持時間の短縮に伴い得られる焼結体の透光性が高くなるのに対し、イットリウム量が5.2mol%の組成物は保持時間の長時間化に伴い得られる焼結体の透光性が高くなっており、イットリウム量により保持時間による透光性への影響が異なることが確認された。
実施例17乃至20、及び、比較例7及び8
合成例2又は4の仮焼体をそれぞれ以下の焼結パターンで焼結して焼結体を得た。結果を下表に示す。
T1が1400℃とした場合、イットリウムの含有量が4mol%の場合は通常焼結体と同等の透光性を有する焼結体が得られるのに対し、イットリウムの含有量が5.2mol%の場合は、通常焼結体に対して著しく透光性が低下することが確認できた。
実施例21乃至26
合成例2又は4の仮焼体をそれぞれ以下の焼結パターンで焼結して焼結体を得た。結果を下表に示す。
T2が1530℃以上1560℃以下の範囲において、イットリウムの含有量によらず、通常焼結体と同様な透光性が得られることが確認できた。
なお、実施例24のイットリウム量が5.2mol%の焼結体の三点曲げ強度は955MPaであり、JIS T 6526:2018で規定される、4歯以上連結補綴物用のセラミックスとして求められる強度を有していることが確認できた。
実施例26乃至31
合成例2又は4の仮焼体をそれぞれ以下の焼結パターンで焼結して焼結体を得た。結果を下表に示す。
HRが150℃/分以上300℃/分以下の範囲においては、イットリウムの含有量によらず、通常焼結体と同等の透光性を有する焼結体が得られることが確認できた。

Claims (14)

  1. 安定化元素を含有するジルコニアの組成物を昇温開始温度から800℃以上1400℃未満のいずれかの第一到達温度まで昇温速度150℃/分以上で昇温する第一昇温工程、前記第一到達温度から1400℃以上1580℃未満のいずれかの第二到達温度まで昇温速度30℃/分超200℃/分未満で昇温する第二昇温工程、及び、該第二到達温度で保持する保持工程、を有する安定化元素を含有するジルコニアの焼結体の製造方法。
  2. 前記保持工程における保持時間が20分未満である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記第二到達温度と前記第一到達温度の差が300℃以上600℃以下である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 第一到達温度まで昇温速度に対する第二到達温度まで昇温速度が0.15以上1.0以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  5. 前記昇温開始温度が室温から500℃のいずれかの温度である上請求項1又は2に記載の製造方法。
  6. 前記第二到達温度から、800℃以上1200℃以下のいずれかの降温温度まで降温して焼結体を焼結炉から取出す降温工程、を有する請求項1又は2に記載の製造方法。
  7. 前記取出した焼結体を大気雰囲気で、自然放冷及び冷却ガスの吹き付けの少なくともいずれかにより降温する、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記冷却ガスが空気、アルゴン、窒素及びヘリウムの群から選ばれる1以上である請求項7に記載の製造方法。
  9. 二珪化モリブデン、炭化ケイ素、ランタンクロマイト及びカーボンの群から選ばれる1以上からなるヒーターを備えた焼結炉を使用して焼結する、請求項1又は2に記載の製造方法。
  10. 前記組成物がジルコニアの成形体又は仮焼体である請求項1又は2に記載の製造方法。
  11. 前記安定化元素がイットリウム、カルシウム、セリウム、マグネシウム、プラセオジウム、イッテルビウム、エルビウム及びテルビウムの群から選ばれる1以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  12. 前記安定化元素の含有量が2.5mol%以上8mol%以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  13. 前記組成物のT+C相率が65%以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  14. 前記組成物が、ジルコニウム及びハフニウム以外の遷移金属元素、並びに、ランタノイド系希土類元素の少なくともいずれかの着色元素を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
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