JP7293821B2 - 仮焼体 - Google Patents

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Description

本開示は主としてジルコニアからなる仮焼体及びその製造方法に関する。
主としてジルコニアからなり、透光性を有する焼結体は歯科用補綴物として適用されている。このような歯科用補綴物は、その前駆体である仮焼体を、患者から採取された歯科データを反映した形状に加工し、これを焼結することで作製される。典型的な焼結方法では、大気雰囲気下、昇温速度300℃/時間以下で室温から最高到達温度まで昇温して、1450℃以上の最高到達温度で2時間程度保持した後、室温付近まで降温する焼結プロセスが適用されている。そのため、典型的な焼結方法では5時間以上の時間を要する。これに対し、治療における患者の時間的負荷の軽減を目的として、歯科用補綴物の作製期間の短縮、具体的には仮焼体の焼結に要する時間の短縮、が検討されている。
短縮された焼結方法として、最高到達温度での保持時間を短縮化した焼結や、昇温速度を高速化した焼結、等が検討されている。例えば、特許文献1では、最高到達温度が1500℃以上で、保持時間を30分とする焼結方法が開示されている。この焼結方法によって、市販の原料からであっても、典型的な焼結方法で得られる焼結体の80%程度の透光性を有する焼結体が得られることが開示されている。また、特許文献1には、6mol%のイットリアを含み、なおかつその5%程度がジルコニアに固溶していない状態の原料を焼結することで、保持時間を短縮した場合の透光性の維持率が高くなること、が併せて開示されている。また、特許文献2では、イットリア及びエルビアを含むジルコニアであって相対密度が54~70%のジルコニアブランクを、昇温速度300℃/分、最高到達温度1450℃、保持時間30分で焼結することにより、典型的な焼結方法と同様な色調を有する焼結体が得られることが開示されている。
国際公開2018/056330号 特開2018-080160号
本開示は、短縮された焼結方法であっても、歯科用補綴物として許容され得る透光性を有する焼結体が得られる仮焼体及びその製造方法の少なくともいずれかを提供することを目的とする。
本発明者らは、歯科用補綴物として使用される焼結体の透光性及び物性、仮焼体の物性、並びに焼結時の仮焼体の変化について検討した。その結果、仮焼体の結晶子に着目することで、本開示に係る仮焼体が見出された。
すなわち、本開示の要旨は以下の通りである。
[1] 安定化剤を含有するジルコニアを含み、実測密度が3.15g/cm以上4.30g/cm以下であり、なおかつ、大気中、昇温速度600℃/時間、最高到達温度1300℃、保持時間1時間及び降温速度600℃/時間の焼成プログラムで処理した後の結晶子径に対する、大気中、昇温速度600℃/時間、最高到達温度1300℃、保持時間1時間及び降温速度600℃/時間の焼成プログラムで処理した後の結晶子径の割合が110%以上150%以下であること、を特徴とする仮焼体。
[2] JIS Z 8830に準じて測定されるBET比表面積が10m/g以下である上記[1]に記載の仮焼体。
[3] 結晶子径が450nm以上650nm以下である上記[1]又は[2]に記載の仮焼体。
[4] 前記安定化剤が、イットリア、カルシア及びマグネシアの群から選ばれる少なくともいずれかである上記[1]乃至[3]のいずれかひとつに記載の仮焼体。
[5] 安定化剤の含有量が2.5mol%以上6.0mol%以下である上記[1]乃至[4]のいずれかひとつに記載の仮焼体。
[6] アルミナを含む上記[1]乃至[5]のいずれかひとつに記載の仮焼体。
[7] アルミナの含有量が0質量%以上0.6質量%以下である上記[6]に記載の仮焼体。
[8] 上記[1]乃至[7]のいずれかひとつに記載の仮焼体を使用することを特徴とする焼結体の製造方法。
本開示により、短縮された焼結方法であっても、歯科用補綴物として許容され得る透光性を有する焼結体が得られる仮焼体及びその製造方法の少なくともいずれかを提供することができる。
以下、本開示の仮焼体について、実施形態の一例を示しながら説明する。
本実施形態に係る仮焼体は、安定化剤を含有するジルコニアを含み、実測密度が3.15g/cm以上4.30g/cm以下であり、なおかつ、大気中、昇温速度600℃/時間、最高到達温度1150℃、保持時間1時間及び降温速度600℃/時間の焼成プログラムで処理した後の結晶子径に対する、大気中、昇温速度600℃/時間、最高到達温度1300℃、保持時間1時間及び降温速度600℃/時間の焼成プログラムで処理した後の結晶子径の割合が110%以上150%以下であること、を特徴とする仮焼体、である。
本実施形態の仮焼体は、ネッキング構造を有する組織、いわゆる仮焼粒子、からなる。仮焼体は、必要に応じて加工され、焼結体の前駆体として供することができ、本実施形態の仮焼体は、特に高速焼結用の仮焼体として適している。
ネッキング構造は、焼結温度未満で熱処理されたジルコニアが有する構造であり、ジルコニア粒子が相互に化学的に癒着した構造である。本実施形態において、ネッキング構造を有する組織は、焼結初期段階のジルコニアからなる構造である。これは、焼結組織、すなわち焼結後期段階のジルコニア結晶粒子からなる構造とは異なる。
本実施形態の仮焼体は、実測密度が3.15g/cm以上4.30g/cm以下である。実測密度が3.15g/cm未満である仮焼体は、これを短縮された焼結方法(以下、「高速焼結」ともいう。)に供した場合に、歯科用補綴物として許容され得る透光性を有する焼結体が得られない。一方、実測密度が4.30g/cmを超える仮焼体は、これを典型的な焼結方法(以下、「通常焼結」ともいう。)に供した場合でさえも、歯科用補綴物として許容され得る透光性を有する焼結体が得られない。本実施形態の仮焼体の実測密度は3.16g/cm以上4.20g/cm以下であることが好ましく、3.20g/cm以上4.10g/cm以下であることがより好ましい。
本実施形態において、仮焼体の実測密度(以下、「仮焼体密度」ともいう。)は、仮焼体の質量に対する体積の割合(g/cm)として求めることができる。体積は寸法測定により得られる寸法から求められる値であり、質量は質量測定により求められる値である。
本実施形態の仮焼体は、大気中、昇温速度600℃/時間、最高到達温度1150℃、保持時間1時間及び降温速度600℃/時間の焼成プログラムで処理した後の結晶子径(以下、「D1150」ともいう。)に対する、大気中、昇温速度600℃/時間、最高到達温度1300℃、保持時間1時間及び降温速度600℃/時間の焼成プログラムで処理した後の結晶子径(以下、「D1300」ともいう。)の割合が110%以上150%以下である。D1150に対するD1300の割合(以下、「結晶子径比」ともいう。)がこの範囲外である場合、高速焼結時に効率的な気孔排除が生じにくく、得られる焼結体の透光性が歯科用補綴物として許容され得る値を下回る。高速焼結時の気孔排除がより効率的になる傾向があるため、結晶子径比は120%以上140%以下であることが好ましい。
本実施形態において、結晶子径は、仮焼体における正方晶の(111)面及び立方晶の(111)面のXRDピーク(以下、「メインXRDピーク」ともいう。)から、以下の式を用いて求めることができる値である。
D=κλ/βcosθ (式1)
上式において、Dは結晶子径(nm)、κはシェーラー定数(κ=1)、λは測定X線の波長(CuKα線を線源とした場合、λ=1.541862Å)、βはメインXRDピークの半値幅(°)、及びθはメインXRDピークのブラッグ角である。なお、βは内部標準粉末(NIST Standared Reference Material 640d)を使用して機械的広がりを補正した値である。
メインXRDピークは、以下のXRD測定により得られる仮焼体のXRDパターンにおける、2θ=30.5±0.5°にピークトップを有するピークである。
線源 : CuKα線(λ=0.1541862nm)
測定モード : 連続スキャン
スキャンスピード : 1°/分
ステップ幅 : 0.02°
発散スリット : 0.5deg
散乱スリット : 0.5deg
受光スリット : 0.3mm
測定範囲 : 2θ=10°~140°
測定試料 :厚みが1mm以上20mm以下であり、円板状、円柱状、直方体状又は立方体状の形状を有する仮焼体
焼結体は緻密体であるのに対し、仮焼体は多孔体である。焼結体を構成するジルコニア結晶粒子と異なり、仮焼体を構成するジルコニア粒子は、仮焼体の表面及び内部の何れに存在するものも、焼結が同様に進行しやすくなる。そのため、上述のメインXRDピークから求まる結晶子径が、仮焼体に存在するジルコニア粒子全体の結晶子の状態を示す指標のひとつになり得ると考えられる。
結晶子径比は、各結晶子径から以下の式によって求めればよい。
結晶子径比(%) = (D1300/D1150)×100 (式2)
本実施形態の仮焼体は、結晶子径が420nm以上650nm以下であることが好ましい。さらに、D1500が450nm以上650nm以下、好ましくは480nm以上620nm以下であること、及び、D1300が620nmを超え900nm以下、好ましくは650nm以上860nm以下であること、が例示できる。
本実施形態の仮焼体は、JIS Z 8830に準じて測定されるBET比表面積が10m/g以下であることが好ましい。BETが10cm/g以下であることで、仮焼体の表面と内部の焼結ムラがより緩和される傾向があり、仮焼体を高速焼結に供した場合に、歯科用補綴物に適した透光性を有する焼結体がより得られやすくなる。BET比表面積は1m/g以上9.5m/g以下であることがより好ましく、3m/g以上8.5m/g以下であることがさらに好ましい。別の実施形態においては、BET比表面積は2m/g以上5m/g以下であることが好ましい。
本実施形態において、BET比表面積は、吸着ガスに窒素を使用し、JIS Z 8830に準じたBET1点法により測定すればよい。
本実施形態の仮焼体は、安定化剤を含有するジルコニア(以下、「安定化剤含有ジルコニア」ともいう。)を含み、主としてジルコニアからなる仮焼体である。別の実施形態において、本実施形態の仮焼体はジルコニア仮焼体である。
本実施形態の仮焼体に含まれるジルコニアは、ジルコニアゾルが熱処理されたジルコニアが焼結温度未満で熱処理された状態であることが好ましく、ジルコニウム化合物の加水分解で得られたジルコニアゾルが熱処理されたジルコニアが焼結温度未満で熱処理された状態であることがより好ましく、オキシ塩化ジルコニウムが加水分解したジルコニアゾルが熱処理されたジルコニアが焼結温度未満で熱処理された状態であることが更に好ましい。
安定化剤はジルコニアの相転移を抑制する機能を有するものであればよい。安定化剤は、ジルコニアを着色する機能を有する元素を含まず、相転移を抑制する機能を有する安定化剤であることが好ましい。安定化剤はジルコニアに含有された状態であり、ジルコニアに固溶した状態である。
具体的な安定化剤として、イットリア(Y)、カルシア(CaO)、マグネシア(MgO)、セリア(CeO)、酸化プラセオジム(Pr11)、酸化ネオジム(Nd)、酸化テルビウム(Tb)、酸化エルビウム(Er)及び酸化イッテルビウム(Yb)の群から選ばれる1種以上が例示でき、イットリア、カルシア、マグネシア及びエルビアの群から選ばれる1種以上が好ましく、イットリア及びエルビアの少なくともいずれかであることがより好ましく、イットリアであることが更に好ましい。
安定化剤は、仮焼体に含まれるジルコニアの結晶相の主相が正方晶となるようにジルコニアを安定化する量であればよい。本実施形態において、安定化剤の含有量はジルコニア(ZrO)及び安定化剤の合計に対する安定化剤の割合(mol%)である。例えば、安定化剤がイットリアである場合、安定化剤の含有量(イットリア含有量)は、ZrO及びYの合計に対するYの割合(mol%)であり、2.5mol%以上6.0mol%以下であることが挙げられ、2.9mol%以上5.5mol%以下であることが好ましい。また、安定化剤が酸化エルビウムである場合、安定化剤の含有量(エルビア含有量はZrO及びErの合計に対するErの割合(mol%)であり、0.01mol%以上0.5mol%以下であることが挙げられ、0.02mol%以上0.4mol%以下であることが好ましい。
本実施形態の仮焼体はアルミナを含んでいてもよい。本実施形態の仮焼体のアルミナ含有量は0質量%以上であればよく、0質量%以上0.3質量%以下であることが挙げられる。アルミナを含有する場合、アルミナ含有量は0質量%を超え0.3質量%以下であり、0.1質量%を超え0.26質量%以下であることが好ましい。別の実施形態において、アルミナ含有量は0.005質量%以上0.1質量%以下であり、好ましくは0.01質量%以上0.07質量%以下である。
本実施形態において、仮焼体のアルミナ含有量は、仮焼体質量に対するアルミナ(Al)の質量割合である。
任意の呈色の焼結体を得るため、本実施形態の仮焼体は、ジルコニアを着色する機能を有する元素(以下、「着色剤」ともいう。)を含んでいてもよい。本実施形態の仮焼体に含まれる着色剤は、ジルコニアを着色する機能を有する元素であって、相転移を抑制する機能を有する元素であってもよい。具体的な着色剤として、遷移金属元素及びランタノイド系希土類元素の少なくともいずれかが例示でき、好ましくは、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、ユーロピウム(Eu)、ガドリウム(Gd)、テルビウム(Tb)、エルビウム(Er)及びイッテルビウム(Tb)の群から選ばれる1種以上、より好ましくは、鉄、コバルト、マンガン、プラセオジム、ガドリウム、テルビウム及びエルビウムの群から選ばれる1種以上、更に好ましくは鉄、コバルト、及びエルビウムの群から選ばれる1種以上が挙げられる。
着色剤の含有量は、仮焼体の質量に対する酸化物換算した各着色剤の質量割合として、それぞれ、0質量%以上0.3質量%以下、好ましくは0質量%以上0.2質量%以下が例示できる。
本実施形態の仮焼体に含まれる着色剤の状態は任意であり、酸化物の状態、及びジルコニアに固溶した状態の少なくともいずれか、が例示できる。
本実施形態の仮焼体は、ハフニア(HfO)等の不可避不純物を含んでいてもよいが、実質的に、シリカ及びチタニアの少なくともいずれかを含まないことが好ましく、仮焼体の質量に対する、それぞれの質量割合が0.05質量%以下であることが好ましい。
本実施形態の仮焼体の組成は、イットリア含有ジルコニアであることが好ましく、アルミナを含み、残部がイットリア含有ジルコニアであることがより好ましく、着色剤及びアルミナを含み、残部がイットリア含有ジルコニアであることが更に好ましい。
本実施形態の仮焼体は、焼結体の製造方法に使用することができ、また、焼結体の前駆体、特に歯科用補綴物用焼結体の前駆体、例えば歯科用ブランクやディスク等、として供することができる。
本実施形態の仮焼体を典型的な焼結方法、例えば、大気雰囲気下、昇温速度300℃/時間以下で室温から最高到達温度まで昇温して、1450℃以上の最高到達温度で2時間程度保持した後、室温付近まで降温するプロセスを適用した常圧焼結、に供した場合であっても、JIS K 7361の方法に準じた方法によって測定されるD65光源に対する試料厚み1mmとした場合の全光線透過率(以下、単に「全光線透過率」ともいう。)が35%以上、好ましくは37.5%以上、より好ましくは40%以上である焼結体、が得られる。
D65光源は、白色光に相当し、複数の波長の光を含む光源である。本実施形態における全光線透過率は、D65光源を入射光とし、当該入射光に対する、直線透過光と拡散透過光との合計値の割合となる。
本実施形態の仮焼体は、高速焼結、特に常圧焼結による高速焼結に適している。本実施形態において、高速焼結とは、典型的な焼結方法と比べ、より短時間で焼結する焼結方法、特に常圧焼結による焼結方法である。別の実施形態として、高速焼結は、昇温、最高到達温度での保持及び降温に要する時間が10時間以下、好ましくは1時間以下、より好ましくは30分以下である焼結方法を意味する。本実施形態おいて、常圧焼結とは、焼結時に被焼結物に外的な力を加えず、単に加熱することによる焼結である。
本実施形態の仮焼体は、このような高速焼結に供した場合であっても、30%以上、好ましくは32%以上、より好ましくは36%以上、更に好ましくは40%以上の全光線透過率である焼結体を得ることができる。
高速焼結は、典型的な焼結方法と比べて短時間となる焼結方法であればよいが、好ましい高速焼結の条件として、以下の条件が例示できる。
すなわち、高速焼結における昇温速度は10℃/分以上、好ましくは50℃/分以上で最高到達温度まで昇温する。昇温速度の上限は使用する焼結炉の性能に依存するが、例えば、300℃/分以下、更には150℃/分以下が例示できる。
高速焼結における最高到達温度は1400℃以上1650℃以下、好ましくは1450℃以上1600℃以下が例示できる。
高速焼結における最高到達温度での保持時間は3分以上1時間以下、好ましくは5分以上30分以下が例示できる。
また、高速焼結においては仮焼体を室温から昇温してもよく、室温を超えた温度から昇温してもよい。焼結炉を予熱できることで、焼結炉の予熱と仮焼体の前処理とが同時に行うことができ、これにより焼結工程の短縮もなされる。仮焼体は1000℃以上1450℃以下から昇温することが好ましく、1200℃以上1400℃以下から昇温することがより好ましい。
次に、本実施形態の仮焼体の製造方法について説明する。
歯科用補綴材の前駆体として使用される仮焼体は、成形体を焼結温度未満の保持温度で熱処理、いわゆる仮焼、することで製造されている。該熱処理は、得られる仮焼体の強度を形状加工に耐えうるものにすること、又は、成形体に含まれる結合剤を除去することを目的として行われていた。仮焼体の強度は主として保持温度に依存し、また、結合剤は500℃程度で成形体から除去される。そのため、従来の仮焼では、保持温度と仮焼体物性との関係が検討されている。これに対し、本実施形態では、高速焼結に供する仮焼体の製造方法における保持温度以外の仮焼条件の仮焼体物性への影響に着目した。
すなわち、本実施形態の仮焼体の製造方法は、高速焼結用の仮焼体の製造方法であり、好ましい製造方法の一例として、
実測密度が3.10g/cm以上、JIS Z 8830に準じて測定されるBET比表面積が12m/g以下であり、なおかつ、安定化剤を含有するジルコニアを含む成形体を昇温速度100℃/時間以下、保持温度800℃以上で熱処理する工程、及び、
実測密度が3.10g/cm以上、JIS Z 8830に準じて測定されるBET比表面積が12m/gを超え、なおかつ、安定化剤を含有するジルコニアを含む成形体を昇温速度100℃/時間以下、保持温度850℃以上で熱処理する工程、のいずれか、を有することを特徴とする仮焼体の製造方法、が挙げられる。成形体を熱処理する工程(以下、「仮焼工程」ともいう。)により、成形体が、高速焼結であっても気孔排除が促進されやすい構造を有する仮焼体となる。
仮焼工程に供する成形体は、実測密度が3.10g/cm以上、JIS Z 8830に準じて測定されるBET比表面積が12m/g以下であり、なおかつ、安定化剤を含有するジルコニアを含む成形体(以下、「低BET成形体」ともいう。)、及び、実測密度が3.10g/cm以上、JIS Z 8830に準じて測定されるBET比表面積が12m/gを超え、なおかつ、安定化剤を含有するジルコニアを含む成形体(以下、「高BET成形体」ともいう。)のいずれかである。
低BET成形体及び高BET成形体のいずれか(以下、「低BET成形体等」ともいう。)は、実測密度が3.10g/cm以上であり、3.12g/cm以上3.40g/cm以下であることが好ましい。高速焼結に供した場合に、より全光線透過率が高い焼結体が得られやすくなるため、実測密度は3.18g/cm以上3.30g/cm以下であることが特に好ましい。
本実施形態において、成形体の実測密度(以下、「成形体密度」ともいう。)は、成形体の質量に対する体積の割合(g/cm)として求めることがでる。体積は寸法測定により得られる寸法から求められる値であり、質量は質量測定により求められる値である。
低BET成形体のBET比表面積は12m/g以下であり、5m/g以上12m/g以下であることが好ましい。高BET成形体のBET比表面積は12m/gを超え、12m/gを超え以上20m/g以下であることが好ましく、12m/gを超え15m/g以下であることがより好ましい。
低BET成形体等は、安定化剤を含有するジルコニア(安定化剤含有ジルコニア)を含み、その組成は、所望とする本実施形態の仮焼体と同様な組成であればよい。
低BET成形体等は、イットリア含有ジルコニアであることが好ましく、アルミナを含み、残部がイットリア含有ジルコニアであることがより好ましく、着色剤及びアルミナを含み、残部がイットリア含有ジルコニアであることが更に好ましい。
低BET成形体等の具体的な好ましい組成として、Al換算で0質量%を超え0.3質量%以下、好ましく0.01質量%以上0.07質量%以下のアルミナを含み、残部がイットリア含有量が2.5mol%以上6.0mol%以下、好ましくは2.9mol%以上5.5mol%以下であるイットリア含有ジルコニア、を挙げることができる。
低BET成形体等に含まれるイットリア含有ジルコニアは、イットリウム(Y)を含む化合物と、ジルコニウム(Zr)を含む化合物との混合物であってもよいが、イットリアが固溶したジルコニアであることが好ましい。また、イットリアが固溶したジルコニアに加え、塩化イットリウム及びイットリアの少なくともいずれか、等のイットリウムを含む化合物を含んでいてもよい。
低BET成形体等に含まれるアルミナは、アルミニウム(Al)を含む化合物として含まれていてもよく、該化合物として、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、アルミナ(Al)及び塩化アルミニウムの群から選ばれる1種以上が挙げられる。
低BET成形体等に含まれる着色剤は、着色剤を含む化合物として含まれていてもよく、該化合物として、着色剤を含む酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、硫化物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩及び酢酸塩の群から選ばれる1種以上が挙げられ、着色剤を含む酸化物、水酸化物及びオキシ水酸化物の群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
低BET成形体等は結合剤を含んでいてもよい。結合剤は、セラミックスの成形に使用される公知のものを使用することができ、有機結合剤であることが好ましい。有機結合剤として、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラート、ワックス及びアクリル系樹脂の群から選ばれる1種以上、好ましくはポリビニルアルコール及びアクリル系樹脂の1種以上であり、より好ましくはアクリル系樹脂である。本実施形態において、アクリル系樹脂は、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの少なくともいずれかを含む重合体である。アクリル系樹脂は、セラミックスの結合剤として使用されるものであればよい。具体的なアクリル系樹脂として、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸共重合体及びメタクリル酸共重合体の群から選ばれる1種以上、並びに、これらの誘導体、が例示できる。
低BET成形体等の製造方法は任意である。低BET成形体等の製造方法として、安定化剤含有ジルコニア、必要に応じてアルミナ及び着色剤の少なくともいずれか、を含む粉末を成形する工程(以下、「成形工程」ともいう。)、を有する製造方法、が例示できる。成形体のBET比表面積は、成形工程に供する粉末のBET比表面積の影響を受け、粉末のBET比表面積が大きいほど、成形体のBET比表面積も大きくなる傾向がある。また、成形工程に供する粉末は、これを粉砕すること及び該粉砕時間の長期化によってBET比表面積が大きくなる傾向がある。
成形工程における成形方法は任意であり、一軸プレス、冷間静水圧プレス、スリップキャスティング及び射出成形の群から選ばれる1種以上が例示でき、簡便であるため、一軸プレス及び冷間静水圧プレスの少なくともいずれかであることが好ましい。例えば、一軸プレスの圧力は15MPa以上150MPa以下、及び、冷間静水圧プレスの圧力は90MPa以上400MPa以下を挙げることができ、成形における圧力が高くなるほど得られる成形体密度が高くなりやすい。
仮焼工程における熱処理の昇温速度は100℃/時間以下、好ましくは80℃/時間以下、より好ましくは60℃/時間以下である。昇温速度は仮焼における保持温度、に至る速度である。低BET成形体等を昇温速度100℃/時間以下で昇温することで、保持温度に至るまでに成形体の表面及び内部が均一に加熱されやすくなる。これにより、得られる仮焼体の表面及び内部で同程度のネッキング構造が形成され得る。仮焼工程を短縮させる観点から、昇温速度は5℃/時間以上、好ましくは10℃/時間以上であればよい。
仮焼工程において、低BET成形体を保持温度800℃以上で熱処理、又は、高BET成形体を保持温度850℃以上で熱処理する。低BET成形体に比べ、高BET成形体は、仮焼体のネッキング構造を構成するネック、すなわちルコニア粒子同士の接点、の数が多く形成されやすいが、その一方で、個々のネックの接触面積が小さくなりやすい。高BET成形体の熱処理においては、低BET成形体の熱処理よりも保持温度を高くすることで、ネックの接触面積が適度に大きくなると考えられる。これが、低BET成形体及び高BET成形体のいずれからも、高速焼結に適した仮焼体が得られる理由のひとつとして考えられる。保持温度は、ネッキング構造が形成され得る温度であればよく、例えば、1200℃未満、好ましくは1175℃以下が挙げられる。
保持温度が高くなるとより緻密な仮焼体が得られやすくなる一方、上述の保持温度における熱処理では、保持時間の長時間化による仮焼体の緻密化の進行はほとんど生じない。そのため、保持温度における保持時間は必要以上に長い必要はなく、例えば、30分以上2時間以下が挙げられる。
仮焼工程の熱処理雰囲気は酸化雰囲気が挙げられ、大気雰囲気下であることが好ましい。
以下、本開示に係る仮焼体等を実施例により説明する。しかし、本開示はこれら実施例に限定されるものではない。
(結晶子径、D1300、D1150及び結晶子径比)
一般的なX線回折装置(装置名:MiniFlex、RIGAKU社製)を用いてXRDパターンを測定した。測定条件を以下に示す。
線源 : CuKα線(λ=0.1541862nm)
測定モード : 連続スキャン
スキャンスピード : 1°/分
ステップ幅 : 0.02°
発散スリット : 0.5deg
散乱スリット : 0.5deg
受光スリット : 0.3mm
測定範囲 : 2θ=10°~140°
測定試料 : 直径25mm及び厚み2mmの円板状仮焼体
得られたXRDパターンにおける2θ=30.5±0.5°にピークトップを有するメインXRDピークと見なし、上述の(式1)より測定試料の結晶子径(D)を求めた。
1150の測定は、大気中、昇温速度600℃/時間、最高到達温度1150℃、保持時間1時間及び降温速度600℃/時間の焼成プログラムで処理した測定試料についての結晶子径を測定することで行った。一方、D1300は、D1150の測定を行った後の測定試料を、大気中、昇温速度600℃/時間、最高到達温度1300℃、保持時間1時間及び降温速度600℃/時間の焼成プログラムで処理した測定試料について結晶子径を測定することで行った。得られたD1150及びD1300から上述の(式2)により結晶子径比を求めた。
(BET比表面積)
一般的なBET比表面積測定装置(装置名:トライスターII3020、島津製作所社製)及び吸着ガスとして窒素ガスを使用し、JIS Z 8830に準じたBET1点法により、試料のBET比表面積を測定した。試料の前処理は、大気中、250℃で30分間の脱気処理を行った。
(実測密度)
仮焼体密度及び成形体密度は、それぞれ、寸法測定及び質量測定により行った。
寸法はノギスを使用して測定し、一方、質量は電子天秤を使用して測定した。得られた寸法から求まる体積(cm)に対する質量(g)をもって、試料の実測密度(g/cm)とした。
(全光線透過率)
JIS K 7361に準じた方法によって、試料の全光線透過率を測定した。標準光D65を試料に照射し、当該試料を透過した光束を積分球によって検出することによって、全光線透過率を測定した。測定には一般的なヘーズメーター(装置名:ヘーズメーターNDH2000、NIPPON DENSOKU製)を使用した。
測定試料として円板形状の焼結体試料を使用し、測定に先立ち、当該当該試料の両面を鏡面研磨し、試料厚み1mm及び表面粗さ(Ra)が0.02μm以下とした。
実施例1
3mol%イットリア含有ジルコニア粉末とアルミナ粉末を混合し、アルミナ含有量が0.25質量%であり、残部が3mol%イットリア含有ジルコニアである粉末を得た。なお、3mol%イットリア含有ジルコニアは、加水分解法により得られたものであり、オキシ塩化ジルコニウムを加水分解したジルコニアゾルを熱処理して製造されたものである。
当該粉末に純水を混合してスラリーを得、これをボールミルで処理した。処理中のスラリーを抜き出し、BET比表面積が8m/gとなった時点で処理を止め、スラリーにアクリル系樹脂を混合した後、これを乾燥して原料粉末とした。
原料粉末を一軸プレスした後、CIP処理して成形体を得た。当該成形体は、BET比表面積が8m/g、成形体密度が3.15g/cmであった。
当該成形体を、昇温速度50℃/時間、保持温度1150℃及び保持時間1時間で熱処理し、アルミナ含有量が0.25質量%であり、残部が3mol%イットリア含有ジルコニアである仮焼体を得た。当該仮焼体は、仮焼体密度が3.45g/cm、BET比表面積が3.5m/g及び結晶子径が498nmであった。また、結晶子径比は134%であった。
実施例2
アルミナ含有量が0.05質量%となるように、3mol%イットリア含有ジルコニア粉末とアルミナ粉末を混合したこと以外は実施例1と同様な方法でスラリーを得、これをBET比表面積が13m/gとなるまでボールミルで処理した。ボールミル処理後、得られたスラリーにアクリル系樹脂を混合した後、これを乾燥して原料粉末とした。
原料粉末を一軸プレスした後、CIP処理して成形体を得た。当該成形体は、BET比表面積が13m/g、成形体密度が3.20g/cmであった。
当該成形体を、昇温速度50℃/時間、保持温度1000℃及び保持時間1時間で熱処理し、アルミナ含有量が0.05質量%であり、残部が3mol%イットリア含有ジルコニアである仮焼体を得た。当該仮焼体は仮焼体密度が3.19g/cm及びBET比表面積が9.1m/gであった。また、結晶子径比は138%であった。
実施例3
保持温度を1150℃としたこと以外は実施例2と同様な方法で、原料粉末、成形体及び仮焼体を得た。
得られた仮焼体はアルミナ含有量が0.05質量%であり、残部が3mol%イットリア含有ジルコニアであり、仮焼体密度が4.02g/cm及びBET比表面積が4.4m/gであった。また、結晶子径比は138%であった。
実施例4
アルミナ含有量が0.05質量%となるように、4mol%イットリア含有ジルコニア粉末とアルミナ粉末を混合したこと以外は実施例1と同様な方法でスラリーを得、これをBET比表面積が10m/gとなるまでボールミルで処理した。ボールミル処理後、得られたスラリーにアクリル系樹脂を混合した後、これを乾燥して原料粉末とした。
原料粉末を一軸プレスした後、CIP処理して成形体を得た。当該成形体は、BET比表面積が10m/g、成形体密度が3.28g/cmであった。
当該成形体を、昇温速度50℃/時間、保持温度800℃及び保持時間1時間で熱処理し、アルミナ含有量が0.05質量%であり、残部が4mol%イットリア含有ジルコニアである仮焼体を得た。当該仮焼体は、仮焼体密度が3.24g/cm、BET比表面積が8.2m/g及び結晶子径は437nmあった。また、結晶子径比は127%であった。
実施例5
保持温度を1150℃としたこと以外は実施例4と同様な方法で、原料粉末、成形体及び仮焼体を得た。
得られた仮焼体はアルミナ含有量が0.05質量%であり、残部が4mol%イットリア含有ジルコニアであり、仮焼体密度が3.86g/cm及びBET比表面積が4.1m/gであった。また、結晶子径比は138%であった。
実施例6
アルミナ含有量が0.05質量%となるように、4mol%イットリア含有ジルコニア粉末とアルミナ粉末を混合したこと以外は実施例1と同様な方法でスラリーを得、これをBET比表面積が11m/gとなるまでボールミルで処理した。ボールミル処理後、得られたスラリーにアクリル系樹脂を混合した後、これを乾燥して原料粉末とした。
原料粉末を一軸プレスした後、CIP処理して成形体を得た。当該成形体は、BET比表面積が11m/g、成形体密度が3.26g/cmであった。
当該成形体を、昇温速度50℃/時間、保持温度1000℃及び保持時間1時間で熱処理し、アルミナ含有量が0.05質量%であり、残部が4mol%イットリア含有ジルコニアである仮焼体を得た。当該仮焼体は、仮焼体密度が3.63g/cm、BET比表面積が4.4m/g及び結晶子径は461nmあった。また、結晶子径比は129%であった。
比較例1
3mol%イットリア含有ジルコニア粉末とアルミナ粉末を混合し、アルミナ含有量が0.25質量%であり、残部が3mol%イットリア含有ジルコニアである粉末を得た。
当該粉末に純水を混合してスラリーを得、これをボールミルで処理した。処理中のスラリーを抜き出し、BET比表面積が15m/gとなった時点で処理を止め、スラリーにアクリル系樹脂を混合した後、これを乾燥して原料粉末とした。
原料粉末を一軸プレスした後、CIP処理して成形体を得た。当該成形体は、BET比表面積が15m/g、成形体密度が3.04g/cmであった。
当該成形体を、昇温速度50℃/時間、保持温度1150℃及び保持時間1時間で熱処理し、アルミナ含有量が0.25質量%であり、残部が3mol%イットリア含有ジルコニアである仮焼体を得た。当該仮焼体は、仮焼体密度が4.33g/cm及びBET比表面積が2.9m/gであった。また、結晶子径比は134%であった。
比較例2
保持温度を800℃としたこと以外は実施例2と同様な方法で、原料粉末、成形体及び仮焼体を得た。
得られた仮焼体はアルミナ含有量が0.05質量%であり、残部が3mol%イットリア含有ジルコニアであり、仮焼体密度が3.13g/cm及びBET比表面積が10.5m/gであった。また、結晶子径比は138%であった。
比較例3
3mol%イットリア含有ジルコニア粉末に純水を混合してスラリーを得、これをボールミルで処理した。処理中のスラリーを抜き出し、BET比表面積が15m/gとなった時点で処理を止め、スラリーにアクリル系樹脂を混合した後、これを乾燥して原料粉末とした。
原料粉末を一軸プレスした後、CIP処理して成形体を得た。当該成形体は、BET比表面積が15m/g、成形体密度が3.05g/cmであった。
当該成形体を、昇温速度50℃/時間、保持温度1150℃及び保持時間1時間で熱処理し、3mol%イットリア含有ジルコニアからなる仮焼体を得た。当該仮焼体は、仮焼体密度が3.62g/cm、BET比表面積が5.1m/g及び結晶子径が572nmであった。また、結晶子径比は107%であった。
測定例及び比較測定例
実施例及び比較例の仮焼体を高速焼結又は通常焼結で処理して焼結体とし、その全光線透過率を測定した。焼結条件は、以下の通りである。なお、高速焼結においては、加熱した焼結炉に仮焼体を配置し、仮焼体を1350℃から昇温した。一方、通常焼結においては室温の焼結炉に仮焼体を配置し、仮焼体を室温から昇温した。
(高速焼結)
焼結雰囲気 :大気雰囲気
昇温速度 :67℃/分
最高到達温度:1580℃
保持時間 :5分
合計焼結時間:12分
(通常焼結)
焼結雰囲気 :大気雰囲気
昇温速度 :600℃/時間
最高到達温度:1500℃
保持時間 :2時間
合計焼結時間:7時間
結果を下表に示す。
Figure 0007293821000001
上表より、実施例の仮焼体からは、通常焼結では全光線透過率が35%以上である焼結体が得られること、及び、高速焼結によって全光線透過率が30%以上である焼結体が得られることが確認できた。これに対し、比較例1の仮焼体からは、通常焼結及び高速焼結のいずれも全光線透過率が30%未満の焼結体しか得られなかった。比較例2の仮焼体は、実施例2と同じ成形体を使用しているが、仮焼体密度が異なる。この違いにより、比較例2の仮焼体は高速焼結では歯科用補綴物として許容され得る透光性を有する焼結体が得られなかった。また、比較例3の仮焼体は、結晶子比が実施例の仮焼体と異なる。これにより、通常焼結では30%以上の全光線透過率を有する焼結体が得られるが、高速焼結では全光線透過率が著しく低い焼結体しか得られなかった。

Claims (8)

  1. 安定化剤を含有するジルコニアを含み、実測密度が3.15g/cm以上4.30g/cm以下の仮焼体であって、大気中、昇温速度600℃/時間、最高到達温度1150℃、保持時間1時間及び降温速度600℃/時間の焼成プログラムで処理した後の結晶子径に対する、大気中、昇温速度600℃/時間、最高到達温度1300℃、保持時間1時間及び降温速度600℃/時間の焼成プログラムで処理した後の結晶子径の割合が110%以上150%以下であること、を特徴とする仮焼体。
  2. JIS Z 8830に準じて測定されるBET比表面積が10m2/g以下である請求項1に記載の仮焼体。
  3. 結晶子径が450nm以上650nm以下である請求項1又は2に記載の仮焼体。
  4. 前記安定化剤が、イットリア、カルシア及びマグネシアの群から選ばれる少なくともいずれかである請求項1乃至3のいずれか一項に記載の仮焼体。
  5. 安定化剤の含有量が2.5mol%以上6.0mol%以下である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の仮焼体。
  6. アルミナを含む請求項1乃至5のいずれか一項に記載の仮焼体。
  7. アルミナの含有量が0質量%以上0.6質量%以下である請求項6に記載の仮焼体。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の仮焼体を使用することを特徴とする焼結体の製造方法。
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