JP2024006806A - コメ発酵物及びその利用 - Google Patents

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Miyuki Ogata
勉 佐藤
Tsutomu Sato
修 齊藤
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Abstract

【課題】優れたラジカル消去作用、抗酸化作用、プロスタグランジンE2産生抑制作用、抗炎症作用、I型コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、アクアポリン3 mRNA発現促進作用、抗老化作用、Tie2活性化作用、Tie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の安定化作用、並びにTie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の成熟化作用からなる群から選択される少なくとも1種を有し、かつ安全性が高い新規組成物の提供。【解決手段】コメの微生物による発酵物であって、前記微生物が、ラチラクトバチルス・サケイ(Latilactobacillus sakei)LS KAM-02株(NITE P-03598)であるコメ発酵物である。【選択図】なし

Description

本発明は、コメのラチラクトバチルス・サケイ(Latilactobacillus sakei)LS KAM-02株(NITE P-03598)による発酵物、ラジカル消去剤、抗酸化剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、抗炎症剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、抗老化剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、血管及び/又はリンパ管の成熟化剤、並びに化粧料組成物に関する。
近年、生体成分を酸化させる要因として、活性酸素が注目されており、その生体への悪影響が問題となっている。活性酸素は、生体細胞内のエネルギー代謝過程で生じるものであり、スーパーオキサイド〔即ち、酸素分子の一電子還元で生じるスーパーオキシドアニオン(・O )、過酸化水素(H)、一重項酸素()、ヒドロキシラジカル(・OH)〕などがある。このような活性酸素は食細胞の殺菌機構にとって必須であり、ウイルスや癌細胞の除去に重要な働きを果たしている。
しかし、前記活性酸素の過剰な生成は、生体内の膜及び組織を構成する生体内分子を攻撃し、各種疾患を誘発する。生体内で生産され、他の活性酸素の出発物質ともなっているスーパーオキサイドは、通常、細胞内に含まれているスーパーオキシドディスムターゼ(Superoxide dismutase;SOD)の触媒作用により逐次消去されている。
スーパーオキサイドの産生が過剰な場合、あるいはSODの作用が低下している場合には、スーパーオキサイドの消去が不十分になってスーパーオキサイド濃度が高くなる。このことが、関節リウマチ、ベーチェット病等の組織障害、心筋梗塞、脳卒中、白内障、シミ、ソバカス、しわ、糖尿病、動脈硬化、肩凝り、冷え性、皮膚の老化などを起こす原因の1つであると考えられている。
これらの中でも、皮膚は、紫外線等の環境因子の刺激を直接受けることから、スーパーオキサイドが生成し易い器官であるため、スーパーオキサイド濃度の上昇により、例えば、コラーゲン等の生体組織を分解、変性、又は架橋したり、また油脂類を酸化して細胞に障害を与える過酸化脂質を生成して、皮膚のしわを形成したり、皮膚の弾力性低下等の老化、炎症、肌の色素沈着を引き起こすという問題がある(例えば、非特許文献1参照)。したがって、活性酸素や生体内ラジカルの生成を阻害・抑制することにより、しわ形成や弾力低下等の皮膚の老化や、関節リウマチやベーチェット病等の組織障害、心筋梗塞、脳卒中、白内障、糖尿病、動脈硬化、肩凝り、冷え性等の活性酸素が関与する各種障害を予防、治療又は改善できるものと考えられる。
そこで、活性酸素消去物質、ラジカル消去物質、過酸化水素消去物質等を安全性の点で有利な天然物から得る試みがなされており、アブラナ科ブラシカ属植物の抽出物(例えば、特許文献1参照)、ベンケイソウ科リュウキュウベンケイ属植物の抽出物(例えば、特許文献2参照)、タマコチョウの抽出物(例えば、特許文献3参照)、スイオウの抽出物(例えば、特許文献4参照)などに有効性が確認されている。
炎症性疾患、例えば、接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡、アトピー性皮膚炎、その他肌荒れを伴う各種皮膚炎症性疾患などの原因及び発症機構は、多種多様である。その原因として、プロスタグランジンE(PGE)の産生量の増加によるものなどが知られている。
炎症は、発赤、浮腫、発熱、痛み、痒み、機能障害等の症状を示す複雑な反応である。例えば、皮膚においては、紫外線が曝露されたり、刺激性物質と接触したりすると、皮膚内で炎症性サイトカイン等が生成され、皮膚炎症が引き起こされる。その結果、皮膚組織がダメージを受け、肌荒れ、発赤、浮腫、色素沈着等の諸症状が生じるようになる。
炎症性サイトカインの1つとして、PGEが挙げられる。PGEは、皮膚においては例えば角化細胞(ケラチノサイト)等で産生され、皮膚炎症を誘発する原因となる。このため、皮膚炎症を治療または予防する方法として、角化細胞でのPGEの産生を抑制することが考えられる。
角化細胞に対しPGE産生抑制作用を有する成分として、ペンタエリスリトール等が知られている(例えば、特許文献5参照)。
皮膚の表皮及び真皮は、表皮細胞、線維芽細胞及びこれらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するコラーゲン等の細胞外マトリックスにより構成されている。若い皮膚においては、これら皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。
ところが、紫外線(UV-A、UV-B)の照射、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等のある種の外的因子の影響があったり、加齢が進んだりすると、細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲンの産生量が減少すると共に架橋による弾力低下を起こす。その結果、皮膚は保湿機能や弾力性が低下し、角質は異常剥離を始めるため、肌は張りや艶を失い、荒れ、シワ等の老化症状を呈するようになる。
このように皮膚の老化に伴う変化、即ち、シワ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下等には、様々な要因が挙げられているが、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン等の細胞外マトリックス成分の減少及び変性が関与している。したがって、コラーゲンやヒアルロン酸等の産生を促進することにより、皮膚の老化を防止及び改善することができると考えられる。
そこで、コラーゲン産生促進作用を有する物質を安全性の点で有利な天然物から取得しようという試みがなされている。コラーゲン産生促進作用を有するものとして、例えば、スターフルーツ葉抽出物(例えば、特許文献6参照)、クスノハガシワ抽出物(例えば、特許文献7参照)などが確認されている。
細胞外マトリックス成分のうち、ヒアルロン酸は、ムコ多糖の一種であり、細胞間の間隙に充填されることにより細胞を保持する機能を有し、さらに細胞間隙への水分の保持、組織への潤滑性や柔軟性の付与、機械的障害等の外力に対する抵抗等、数多くの機能を有している。ヒアルロン酸の産生を促進することができれば、皮膚の荒れ、しわ、くすみ、きめの変化、弾力性の低下及び保湿機能の低下等といった皮膚の老化症状を予防、治療または改善できると考えられる。
また、ヒアルロン酸は、皮膚組織の他にも、軟骨、関節液、臍帯、眼硝子体、その他の結合組織に存在する。このうち、関節液に含まれるヒアルロン酸は、関節軟骨の表面を覆い、ヒアルロン酸が有する潤滑機能、軟骨に対する被覆・保護機能等により、関節の円滑な作動に役立っている。一方、慢性関節リウマチ等の関節炎において、関節液におけるヒアルロン酸の濃度が低下していることが知られている。したがって、ヒアルロン酸の産生を促進することで、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、化膿性関節炎、痛風性関節炎、外傷性関節炎、または骨関節炎等の関節炎を予防または治療することができると考えられる。さらに、創傷または熱傷の治癒過程において、肉芽(組織)が形成するが、肉芽中にヒアルロン酸が著しく増加することが知られている。そのため、ヒアルロン酸の産生を促進することで、創傷または熱傷の治癒を促進することができると考えられる。
ヒアルロン酸産生促進作用を有するものとしては、クスノハガシワからの抽出物(例えば、上記した特許文献7参照)などが知られている。
前述したコラーゲン等の細胞外マトリックス成分は、線維芽細胞により産生される。若い皮膚においては、線維芽細胞の増殖は活発であり、線維芽細胞、コラーゲン等の皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。しかし、紫外線、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等、ある種の外的因子の影響があったり、加齢が進んだりすると、線維芽細胞の増殖が遅くなり皮膚の保湿機能や弾力性が低下する。そして、皮膚は張りや艶を失い、荒れ、シワ等の老化症状を呈するようになる。そのため、線維芽細胞の増殖を促進することは、皮膚の老化を予防、治療または改善するうえで非常に重要であると考えられる。
また、線維芽細胞は、外傷や火傷等の創傷の治癒過程において重要な役割を果たしているほか、皮膚疾患(例えば,褥瘡,熱傷潰瘍,糖尿病性潰瘍等の皮膚潰瘍)の治癒過程にも重要である。そのため、線維芽細胞の増殖を促進することにより創傷や皮膚疾患を治療することができると考えられる。さらに、再生医療の分野において、自己治癒が困難な創傷(重度の熱傷等)を負った患者の治療法として、患者自身の皮膚断片から皮膚細胞を培養・増殖させ、これを患者に移植する方法が知られているが、細胞増殖促進剤の使用により皮膚細胞の培養期間短縮が期待される。従来、線維芽細胞増殖促進作用を有するものとして、クスノハガシワからの抽出物(例えば、上記した特許文献7参照)などが知られている。
表皮は、外部刺激を緩和し、水分等の体内成分の逸失を制御する働きをしており、最下層である基底層から始まって、有棘層、顆粒層、角質層へと連なる4層構造から構成されている。各層に存在する大部分の細胞は、基底層から分化した角化細胞である。基底層で分裂、増殖した角化細胞は、有棘層、顆粒層を通過しながら分化し角質細胞となって、強固な架橋結合をもったケラチン蛋白線維で構成された角質層を構成し、最終的には垢として角質層から脱落する。
角質層は皮膚の最外殻に存在しており、外界からの刺激に対する物理的なバリアとしての役割を果たしている。皮膚ではこのバリア機能を持たせるため、角化細胞が基底層で産生されてから垢となって剥がれ落ちるまでのサイクル(角化)を通常4週間の周期で繰り返し、表皮の新陳代謝を行っている。しかしながら、この角質層も加齢によって新陳代謝機能が衰え、こじわ、くすみ、色素沈着、肌荒れ等の皮膚トラブルを発生することになる。そのため、角化細胞の増殖を促進し、肌の新陳代謝機能を回復させることにより、こじわ、くすみ、色素沈着等の皮膚の老化を改善できるものと考えられる。
従来、表皮角化細胞増殖促進作用を有するものとして、土貝母抽出物(例えば、特許文献8参照)などが知られている。
皮膚細胞では、水チャンネルとして知られるアクアポリンが、細胞膜上に発現して、細胞間隙の水をはじめとする低分子物質を細胞内へ取り込む役割を担っていることが知られている。ヒトでは、13種類のアクアポリン(AQP0~AQP12)の存在が知られている。表皮細胞においては、主としてAQP3が存在しており、水に加えて、水分保持作用に関与するグリセロールや尿素等の低分子化合物をも取り込む役割を担っていると考えられている。
しかしながら、AQP3は加齢とともに減少し、このことが水分保持機能の低下の一因であることが示唆されているため、AQP3の発現を促進することにより、加齢による水分保持能やバリア機能等を制御することが可能であると考えられる(例えば、非特許文献2参照)。
AQP3発現促進作用を有するものとして、例えば、スターフルーツの葉部からの抽出物(例えば、特許文献9参照)などが知られている。
血管は、血管内皮細胞と血管壁細胞(血管平滑筋細胞やペリサイト)とが、細胞外マトリックスを介して間接的に、又は直接的に接着する構造を有しており、酸素及び栄養素を生体組織に供給し、生体組織から老廃物を消去する機能を有している。
一般に、血管の形成は、新たに血管が形成される血管発生(Vasculogenesis)と、形成された既存の血管が伸長し、分岐することにより、新たな血管のネットワークが形成される血管新生(Angiogenesis)との2段階に分けられる。前者は、血管内皮増殖因子(Vascular endothelial growth factor:VEGF)が作用し、脈管形成とよばれる血管の初期発生からその後の血管新生に至るまで非常に広い範囲の血管形成に関与するものである。後者は、アンジオポエチン(Angiopoietin:Ang)が作用し、血管内皮細胞と血管壁細胞との接着の制御、血管の構造的安定化に関与するものである。
血管は通常の酸素状況においては、血管内皮細胞とその周囲を裏打ちする血管壁細胞とが強固に接着しており、血管構造が安定に保たれているが、組織で低酸素が生じると血管壁細胞が血管内皮細胞から脱離し、無秩序な血管が増生することがある。このような現象(血管新生)は、腫瘍、慢性関節リウマチ、糖尿病網膜症、高脂血症、高血圧などの血管病変を主体とした疾患において、しばしば観察されている。
血管新生は、血管内皮細胞に発現する受容体型チロシンキナーゼであるTie2(Tyrosine kinase with Ig and EGF homology domain2)を活性化させることにより、抑制されることが知られている(例えば、特許文献10参照)。また、血管狭小化又は血管拡大化の抑制が原因となって生じる虚血性疾患においては、Tie2の活性化により、血管腔が拡大化されることが報告されている(例えば、非特許文献3参照)。また、Tie2の活性化により、血管内皮細胞の細胞死を抑制することも報告されている(例えば、非特許文献4参照)。
このようにTie2の活性化により、血管新生が抑制されることが知られているだけでなく、血管を成熟化及び安定化させることも知られている。
例えば、血管再生医療においては、Tie2の活性化により、血管における血管内皮細胞と血管壁細胞との接着を誘導して、血管を成熟化させることが知られている。また、例えば、種々の細胞内外の血管構造を破綻させる環境因子に対しては、Tie2の活性化により、血管の不安定化を抑制し、血管を安定化させることが知られている。なお、本発明における前記血管の安定化には、例えば、腫瘍や糖尿病性網膜症などで観察される血管壁細胞が血管内皮細胞に接着しないことによる無秩序な血管が増生するような疾患において知られている、Tie2の活性化によって血管壁細胞を内皮細胞に接着させ、血管を正常化させることも含まれる。
リンパ管は、免疫細胞の輸送や、過剰な水分や不要物を排出する役割を担っている。Tie2は血管と同様に、リンパ管機能や成熟化にも寄与しており、Tie2の活性化が血管やリンパ球の安定化に重要であることも報告されている(例えば、非特許文献5参照)。
以上のように、これまでに様々な研究がなされている。しかしながら、ラジカル消去作用、プロスタグランジンE産生抑制作用、I型コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、アクアポリン3 mRNA発現促進作用、及びTie2活性化作用の少なくともいずれかの作用を有し、かつ安全性が高く、そのため、化粧料などの成分として広く利用が可能な新たな素材に対する要望は依然として強く、その速やかな開発が求められているのが現状である。
特開2003-081848号公報 特開2005-029483号公報 特開2006-321730号公報 特開2007-008902号公報 特開2015-214533号公報 特開2002-226323号公報 特開2003-146837号公報 特開2006-056854号公報 特開2009-191039号公報 特開2009-263358号公報
「フレグランスジャーナル」臨時増刊No.14、p156、1995年 「フレグランスジャーナル」,2006年,Vol.34,No.10,p.19-23 Thurston G. et al.,Science.,1999 Dec 24;286(5449):2511-4. Cho C.H.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2004 Apr 13;101(15):5553-8. J.Soc.Cosmet.Chem.Jpn、2012年、46(3)、pp. 188-196
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れたラジカル消去作用、抗酸化作用、プロスタグランジンE産生抑制作用、抗炎症作用、I型コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、アクアポリン3 mRNA発現促進作用、抗老化作用、Tie2活性化作用、Tie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の安定化作用、並びにTie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の成熟化作用からなる群から選択される少なくとも1種を有し、かつ安全性が高い新規組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れたラジカル消去作用を有し、かつ安全性が高いラジカル消去剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた抗酸化作用を有し、かつ安全性が高い抗酸化剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れたプロスタグランジンE産生抑制作用を有し、かつ安全性が高いプロスタグランジンE産生抑制剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた抗炎症作用を有し、かつ安全性が高い抗炎症剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れたI型コラーゲン産生促進作用を有し、かつ安全性が高いI型コラーゲン産生促進剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れたヒアルロン酸産生促進作用を有し、かつ安全性が高いヒアルロン酸産生促進剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた皮膚線維芽細胞増殖促進作用を有し、かつ安全性が高い皮膚線維芽細胞増殖促進剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた表皮角化細胞増殖促進作用を有し、かつ安全性が高い表皮角化細胞増殖促進剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れたアクアポリン3 mRNA発現促進作用を有し、かつ安全性が高いアクアポリン3 mRNA発現促進剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた抗老化作用を有し、かつ安全性が高い抗老化剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れたTie2活性化作用を有し、かつ安全性が高いTie2活性化剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れたTie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の安定化作用を有し、かつ安全性が高い血管及び/又はリンパ管の安定化剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れたTie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の成熟化作用を有し、かつ安全性が高い血管及び/又はリンパ管の成熟化剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れたラジカル消去作用、抗酸化作用、プロスタグランジンE産生抑制作用、抗炎症作用、I型コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、アクアポリン3 mRNA発現促進作用、抗老化作用、Tie2活性化作用、Tie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の安定化作用、並びにTie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の成熟化作用からなる群から選択される少なくとも1種を有し、かつ安全性が高い化粧料組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、コメのラチラクトバチルス・サケイ(Latilactobacillus sakei)LS KAM-02株(NITE P-03598)による発酵物が、優れたラジカル消去作用、抗酸化作用、プロスタグランジンE産生抑制作用、抗炎症作用、I型コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、アクアポリン3 mRNA発現促進作用、抗老化作用、Tie2活性化作用、Tie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の安定化作用、並びにTie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の成熟化作用を有することを知見し、本発明を完成した。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> コメの微生物による発酵物であって、
前記微生物が、ラチラクトバチルス・サケイ(Latilactobacillus sakei)LS KAM-02株(NITE P-03598)であることを特徴とするコメ発酵物である。
<2> 前記<1>に記載のコメ発酵物を含有することを特徴とするラジカル消去剤である。
<3> 前記<2>に記載のラジカル消去剤を含有することを特徴とする抗酸化剤である。
<4> 前記<1>に記載のコメ発酵物を含有することを特徴とするプロスタグランジンE産生抑制剤である。
<5> 前記<4>に記載のプロスタグランジンE産生抑制剤を含有することを特徴とする抗炎症剤である。
<6> 前記<1>に記載のコメ発酵物を含有することを特徴とするI型コラーゲン産生促進剤である。
<7> 前記<1>に記載のコメ発酵物を含有することを特徴とするヒアルロン酸産生促進剤である。
<8> 前記<1>に記載のコメ発酵物を含有することを特徴とする皮膚線維芽細胞増殖促進剤である。
<9> 前記<1>に記載のコメ発酵物を含有することを特徴とする表皮角化細胞増殖促進剤である。
<10> 前記<1>に記載のコメ発酵物を含有することを特徴とするアクアポリン3 mRNA発現促進剤である。
<11> 前記<6>に記載のI型コラーゲン産生促進剤、前記<7>に記載のヒアルロン酸産生促進剤、前記<8>に記載の皮膚線維芽細胞増殖促進剤、前記<9>に記載の表皮角化細胞増殖促進剤、及び前記<10>に記載のアクアポリン3 mRNA発現促進剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする抗老化剤である。
<12> 前記<1>に記載のコメ発酵物を含有することを特徴とするTie2活性化剤である。
<13> 前記<1>に記載のコメ発酵物を含有し、Tie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の安定化作用を有することを特徴とする血管及び/又はリンパ管の安定化剤である。
<14> 前記<1>に記載のコメ発酵物を含有し、Tie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の成熟化作用を有することを特徴とする血管及び/又はリンパ管の成熟化剤である。
<15> 前記<1>に記載のコメ発酵物、前記<2>に記載のラジカル消去剤、前記<3>に記載の抗酸化剤、前記<4>に記載のプロスタグランジンE産生抑制剤、前記<5>に記載の抗炎症剤、前記<6>に記載のI型コラーゲン産生促進剤、前記<7>に記載のヒアルロン酸産生促進剤、前記<8>に記載の皮膚線維芽細胞増殖促進剤、前記<9>に記載の表皮角化細胞増殖促進剤、前記<10>に記載のアクアポリン3 mRNA発現促進剤、前記<11>に記載の抗老化剤、前記<12>に記載のTie2活性化剤、前記<13>に記載の血管及び/又はリンパ管の安定化剤、並びに前記<14>に記載の血管及び/又はリンパ管の成熟化剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする化粧料組成物である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、優れたラジカル消去作用、抗酸化作用、プロスタグランジンE産生抑制作用、抗炎症作用、I型コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、アクアポリン3 mRNA発現促進作用、抗老化作用、Tie2活性化作用、Tie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の安定化作用、並びにTie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の成熟化作用からなる群から選択される少なくとも1種を有し、かつ安全性が高い新規組成物を提供することができる。
本発明のラジカル消去剤によると、従来における前記諸問題を解決し、優れたラジカル消去作用を有し、かつ安全性が高いラジカル消去剤を提供することができる。
本発明の抗酸化剤によると、従来における前記諸問題を解決し、優れた抗酸化作用を有し、かつ安全性が高い抗酸化剤を提供することができる。
本発明のプロスタグランジンE産生抑制剤によると、従来における前記諸問題を解決し、優れたプロスタグランジンE産生抑制作用を有し、かつ安全性が高いプロスタグランジンE産生抑制剤を提供することができる。
本発明の抗炎症剤によると、従来における前記諸問題を解決し、優れた抗炎症作用を有し、かつ安全性が高い抗炎症剤を提供することができる。
本発明のI型コラーゲン産生促進剤によると、従来における前記諸問題を解決し、優れたI型コラーゲン産生促進作用を有し、かつ安全性が高いI型コラーゲン産生促進剤を提供することができる。
本発明のヒアルロン酸産生促進剤によると、従来における前記諸問題を解決し、優れたヒアルロン酸産生促進作用を有し、かつ安全性が高いヒアルロン酸産生促進剤を提供することができる。
本発明の皮膚線維芽細胞増殖促進剤によると、従来における前記諸問題を解決し、優れた皮膚線維芽細胞増殖促進作用を有し、かつ安全性が高い皮膚線維芽細胞増殖促進剤を提供することができる。
本発明の表皮角化細胞増殖促進剤によると、従来における前記諸問題を解決し、優れた表皮角化細胞増殖促進作用を有し、かつ安全性が高い表皮角化細胞増殖促進剤を提供することができる。
本発明のアクアポリン3 mRNA発現促進剤によると、従来における前記諸問題を解決し、優れたアクアポリン3 mRNA発現促進作用を有し、かつ安全性が高いアクアポリン3 mRNA発現促進剤を提供することができる。
本発明の抗老化剤によると、従来における前記諸問題を解決し、優れた抗老化作用を有し、かつ安全性が高い抗老化剤を提供することができる。
本発明のTie2活性化剤によると、従来における前記諸問題を解決し、優れたTie2活性化作用を有し、かつ安全性が高いTie2活性化剤を提供することができる。
本発明の血管及び/又はリンパ管の安定化剤によると、従来における前記諸問題を解決し、優れたTie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の安定化作用を有し、かつ安全性が高い血管及び/又はリンパ管の安定化剤を提供することができる。
本発明の血管及び/又はリンパ管の成熟化剤によると、従来における前記諸問題を解決し、優れたTie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の成熟化作用を有し、かつ安全性が高い血管及び/又はリンパ管の成熟化剤を提供することができる。
本発明の化粧料組成物によると、従来における前記諸問題を解決し、優れたラジカル消去作用、抗酸化作用、プロスタグランジンE産生抑制作用、抗炎症作用、I型コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、アクアポリン3 mRNA発現促進作用、抗老化作用、Tie2活性化作用、Tie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の安定化作用、並びにTie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の成熟化作用からなる群から選択される少なくとも1種を有し、かつ安全性が高い化粧料組成物を提供することができる。
(コメ発酵物)
本発明のコメ発酵物は、コメのラチラクトバチルス・サケイ(Latilactobacillus sakei)LS KAM-02株(NITE P-03598)による発酵物である。
前記コメ発酵物は、コメをラチラクトバチルス・サケイ(Latilactobacillus sakei)LS KAM-02株(NITE P-03598)により発酵して得られるものである。
本明細書において、前記コメ発酵物には、別段の記載がある場合を除き、コメをラチラクトバチルス・サケイ(Latilactobacillus sakei)LS KAM-02株(NITE P-03598)により発酵させて得られる発酵液、当該発酵液の希釈液若しくは濃縮液、当該発酵液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
<コメ>
前記コメ発酵物の発酵原料となるコメは、イネ科の植物イネ(学名:Oryza sativa)から得られるものである。イネは日本各地で栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
<コメ発酵物の製造>
発酵原料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、もみ、玄米、精白米、又はこれらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、精白米が好ましい。
前記コメ発酵物は、コメをラチラクトバチルス・サケイ(Latilactobacillus sakei)LS KAM-02株(NITE P-03598)により発酵させることで得られる。
前記発酵の方法としては、前記ラチラクトバチルス・サケイLS KAM-02株を用いる限り、特に制限はなく、公知の発酵方法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コメを水で分散し、発酵を行う微生物を接種することにより行うことができる。
前記ラチラクトバチルス・サケイLS KAM-02株を接種する前に、発酵効率を高める観点から、コメに含まれるデンプンの分解処理及び/又はコメの細胞壁の分解処理を行うことが好ましい。
前記デンプンの分解処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、デンプン分解酵素を用いた処理が好ましく挙げられる。
前記デンプン分解酵素としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、イソアミラーゼ等のアミラーゼが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、発酵効率を高める観点から、α-アミラーゼ、グルコアミラーゼが好ましく、グルコアミラーゼがより好ましい。
また、前記デンプン分解酵素を用いた処理は、麹を用いて行うこともできる。
前記麹の調製に用いる麹菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アスペルギルス オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス ソーヤ(Aspergillus sojae)等の黄麹菌;アスペルギルス ルチュエンシス(Aspergillus luchuensis)等の黒麹菌;アスペルギルス カワウチ(Aspergillus kawauchii)等の白麹菌;これらの変異株などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記麹菌としては、アスペルギルス オリゼー(Aspergillus oryzae)が好ましい。
前記麹菌の入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、自然界から採取してもよいし、市販品を用いてもよい。また、前記麹菌として、米などを原料とした種麹を使用してもよいし、培地(寒天培地、液体培地など)で培養した麹菌を使用してもよい。
前記細胞壁の分解処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セルラーゼ、キシラナーゼ等の酵素を用いた処理が好ましく挙げられる。
得られた処理液は、冷却、加熱、pH調整、殺菌などの所望の手段に付すことで酵素や麹菌を不活性化させてもよいし、そのまま発酵を行う微生物を接種してもよい。
発酵を行う微生物は、ラチラクトバチルス・サケイLS KAM-02株である。
前記ラチラクトバチルス・サケイLS KAM-02株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に寄託申請され、NITE P-03598として、2022年1月28日に受託されている。
上記微生物を用いた発酵処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、発酵原料と上記微生物とを発酵槽に入れ、20~40℃、好ましくは25~35℃の温度範囲で、12~72時間、好ましくは18~48時間処理することにより、行うことができる。
また、発酵処理の開始時において、反応液のpHが5.0~7.0に、好ましくは6.0~7.0に調整されていると、発酵処理が好適に進行する。
かかる発酵処理は、発酵液を冷却、加熱殺菌、ろ過などの所望の手段に付し、発酵菌を不活性化させることで終了させる。
このようにして得られた発酵液は、そのまま発酵物として用いてもよいし、適宜希釈し若しくは濃縮して、発酵物として用いてもよい。さらには、これらをさらに乾燥してもよく、粗精製などを行ってもよい。
前記コメ発酵物は、優れたラジカル消去作用、プロスタグランジンE産生抑制作用、I型コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、アクアポリン3 mRNA発現促進作用、Tie2活性化作用、血管及び/又はリンパ管の安定化作用、並びに血管及び/又はリンパ管の成熟化作用を有するため、後述するラジカル消去剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、並びに血管及び/又はリンパ管の成熟化剤の有効成分として、又は化粧料組成物の配合成分として好適に用いることができる。
(ラジカル消去剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、並びに血管及び/又はリンパ管の成熟化剤)
本発明のラジカル消去剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、並びに血管及び/又はリンパ管の成熟化剤は、上記した本発明のコメ発酵物を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記コメ発酵物が含有する、ラジカル消去作用、プロスタグランジンE産生抑制作用、I型コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、アクアポリン3 mRNA発現促進作用、Tie2活性化作用、Tie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の安定化作用、並びにTie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の成熟化作用からなる群から選択される少なくとも1種を発揮する物質の詳細については不明であるが、前記コメ発酵物がこのような優れた作用を有し、ラジカル消去剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、並びに血管及び/又はリンパ管の成熟化剤として有用であることは、従来は全く知られておらず、本発明者らによる新たな知見である。
前記Tie2活性化剤は、Tie2をリン酸化することで、その活性体(リン酸化Tie2)に変換するTie2活性化作用を有する。前記Tie2が活性化されると、細胞内チロシンキナーゼドメインの自己リン酸化を惹起し、血管内皮細胞と血管壁細胞との接着が誘導される。血管狭小化あるいは血管拡大化の抑制が原因となって生じる虚血性疾患においては、Tie2の活性化により、血管腔が拡大化される。また、Tie2の活性化により、血管内皮細胞の細胞死が抑制される。また、加齢により血管及びリンパ管の構造が不安定化し、機能が低下するが、このメカニズムはTie2の活性化の低下に起因することが知られている。そのため、Tie2の活性化により、血管及びリンパ管の構造を安定化し、加齢による機能の低下を抑制することができる。
前記血管及び/又はリンパ管の安定化剤は、既存の血管に対する障害、血管内皮細胞同士の解離、及び血管内皮細胞と血管壁細胞の解離を抑制する作用、及び血管内皮細胞の細胞死を抑制する安定化作用を有する。また、種々の細胞内外の血管構造を破綻させる環境因子に対しては、Tie2の活性化により、血管の不安定化を抑制し、血管を安定化させることが可能である。
また、前記血管及び/又はリンパ管の安定化剤が奏する作用には、血管内皮細胞同士の接着を高め、血管壁細胞の血管内皮細胞への裏打ちを促進することにより、血管透過性の破綻した血管や血管の無秩序な増生を招くような異常な血管を、正常な状態にする正常化作用も含まれる。また、腫瘍や糖尿病性網膜症などで観察される血管壁細胞が血管内皮細胞に接着しないことによる無秩序な血管が増生するような疾患においては、Tie2の活性化により、血管壁細胞を内皮細胞に接着させ、血管を正常化させることが可能である。
また、リンパ管は、一層の内皮細胞から形成されており、自身の構造を内皮細胞同士の接着により維持している。前記血管及び/又はリンパ管の安定化剤は、リンパ管内皮細胞同士の解離を抑制する作用、リンパ管の構造を維持する作用、リンパ管機能を維持する作用などの安定化作用を有する。
前記血管及び/又はリンパ管の成熟化剤は、血管内皮細胞と血管壁細胞との接着を誘導して、血管内環境因子(細胞及び液性因子)が容易には血管外に漏出しないような血管内皮細胞間の接着斑を形成する成熟化作用を有する。また、血管再生医療においては、Tie2の活性化により、血管における血管内皮細胞と血管壁細胞との接着を誘導して、血管を成熟化させることが可能である。
また、前記血管及び/又はリンパ管の成熟化剤は、リンパ管内皮細胞の遊走や管腔形成を促進し、リンパ管を形成する成熟化作用を有する。
<コメ発酵物>
前記コメ発酵物は、上記した本発明のコメ発酵物である。
前記コメ発酵物の、ラジカル消去剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、又は血管及び/又はリンパ管の成熟化剤における含有量としては、特に制限はなく、前記コメ発酵物の生理活性等によって適宜調整することができる。
前記ラジカル消去剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、又は血管及び/又はリンパ管の成熟化剤は、前記コメ発酵物のみからなるものであってもよいし、前記コメ発酵物を製剤化したものであってもよい。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、前記ラジカル消去剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、又は血管及び/又はリンパ管の成熟化剤の利用形態に応じて適宜選択することができ、例えば、賦形剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、甘味料、酸味料、調味料、着色料、香料、美白剤、保湿剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、皮膚栄養剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分の、前記ラジカル消去剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、又は血管及び/又はリンパ管の成熟化剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ラジカル消去剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、又は血管及び/又はリンパ管の成熟化剤は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。前記ラジカル消去剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、又は血管及び/又はリンパ管の成熟化剤は、他の組成物(例えば、後述する抗酸化剤、抗炎症剤、抗老化剤、化粧料組成物等)に配合して使用することができるほか、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。
なお、前記ラジカル消去剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、又は血管及び/又はリンパ管の成熟化剤の各剤は、それぞれ必要に応じて、ラジカル消去作用、プロスタグランジンE産生抑制作用、I型コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、アクアポリン3 mRNA発現促進作用、Tie2活性化作用、血管及び/又はリンパ管の安定化作用、又は血管及び/又はリンパ管の成熟化作用を有する他の天然抽出物等を前記コメ発酵物と共に配合して有効成分として用いることもできる。
<用途>
前記ラジカル消去剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、又は血管及び/又はリンパ管の成熟化剤の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬品、医薬部外品、化粧品、飲食品などの幅広い用途が挙げられる。
前記ラジカル消去剤は、優れたラジカル消去作用を有し、安全性が高いので、例えば、後述する抗酸化剤や化粧料組成物の有効成分として好適に用いることができる。
前記プロスタグランジンE産生抑制剤は、優れたプロスタグランジンE産生抑制作用を有し、安全性が高いので、例えば、後述する抗炎症剤や化粧料組成物の有効成分として好適に用いることができる。
前記I型コラーゲン産生促進剤は、優れたI型コラーゲン産生促進作用を有し、安全性が高いので、例えば、後述する抗老化剤や化粧料組成物の有効成分として好適に用いることができる。
前記ヒアルロン酸産生促進剤は、優れたヒアルロン酸産生促進作用を有し、安全性が高いので、例えば、後述する抗老化剤や化粧料組成物の有効成分として好適に用いることができる。
前記皮膚線維芽細胞増殖促進剤は、優れた皮膚線維芽細胞増殖促進作用を有し、安全性が高いので、例えば、後述する抗老化剤や化粧料組成物の有効成分として好適に用いることができる。
前記表皮角化細胞増殖促進剤は、優れた表皮角化細胞増殖促進作用を有し、安全性が高いので、例えば、後述する抗老化剤や化粧料組成物の有効成分として好適に用いることができる。
前記アクアポリン3 mRNA発現促進剤は、優れたアクアポリン3 mRNA発現促進作用を有し、安全性が高いので、例えば、後述する抗老化剤や化粧料組成物の有効成分として好適に用いることができる。
前記Tie2活性化剤は、優れたTie2活性化作用を有し、安全性が高いので、例えば、後述する化粧料組成物の有効成分として好適に用いることができる。
前記血管及び/又はリンパ管の安定化剤は、Tie2活性化作用に基づく優れた血管及び/又はリンパ管の安定化作用を有し、安全性が高いので、例えば、後述する化粧料組成物の有効成分として好適に用いることができる。
前記血管及び/又はリンパ管の成熟化剤は、Tie2活性化作用に基づく優れた血管及び/又はリンパ管の成熟化作用を有し、安全性が高いので、例えば、後述する化粧料組成物の有効成分として好適に用いることができる。
前記ラジカル消去剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、又は血管及び/又はリンパ管の成熟化剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、その作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することもできる。
前記ラジカル消去剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、又は血管及び/又はリンパ管の成熟化剤の用法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口、非経口、外用などの用法が挙げられる。
前記ラジカル消去剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、又は血管及び/又はリンパ管の成熟化剤の剤型としては、特に制限はなく、公知の剤型を目的に応じて適宜選択することができる。
任意の剤型の前記ラジカル消去剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、又は血管及び/又はリンパ管の成熟化剤の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
前記ラジカル消去剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、又は血管及び/又はリンパ管の成熟化剤の投与方法、投与量、投与部位、投与期間、投与間隔などとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記ラジカル消去剤はラジカル消去作用、前記プロスタグランジンE産生抑制剤はプロスタグランジンE産生抑制作用、前記I型コラーゲン産生促進剤はI型コラーゲン産生促進作用、前記ヒアルロン酸産生促進剤はヒアルロン酸産生促進作用、前記皮膚線維芽細胞増殖促進剤は皮膚線維芽細胞増殖促進作用、前記表皮角化細胞増殖促進剤は表皮角化細胞増殖促進作用、前記アクアポリン3 mRNA発現促進剤はアクアポリン3 mRNA発現促進作用、前記Tie2活性化剤はTie2活性化作用、前記血管及び/又はリンパ管の安定化剤は血管及び/又はリンパ管の安定化作用、又は前記血管及び/又はリンパ管の成熟化剤は血管及び/又はリンパ管の成熟化作用の作用機構に関する研究のための試薬としても用いることができる。
(抗酸化剤、抗炎症剤、及び抗老化剤)
本発明の抗酸化剤は、上記した本発明のラジカル消去剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記抗酸化剤は、ラジカル消去作用を有する。なお、前記抗酸化剤が有する抗酸化作用は、ラジカル消去作用に基づいて発揮される抗酸化作用に限定されるものではない。
本発明の抗炎症剤は、上記した本発明のプロスタグランジンE産生抑制剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記抗炎症剤は、プロスタグランジンE産生抑制作用を有する。なお、前記抗炎症剤が有する抗炎症作用は、プロスタグランジンE産生抑制作用に基づいて発揮される抗炎症作用に限定されるものではない。
本発明の抗老化剤は、上記した本発明のI型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、及びアクアポリン3 mRNA発現促進剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記抗老化剤は、I型コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、及びアクアポリン3 mRNA発現促進作用からなる群から選択される少なくとも1種を有する。なお、前記抗老化剤が有する抗老化作用は、I型コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、及びアクアポリン3 mRNA発現促進作用からなる群から選択される少なくとも1種に基づいて発揮される抗老化作用に限定されるものではない。
<ラジカル消去剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、及びアクアポリン3 mRNA発現促進剤>
前記ラジカル消去剤は、上記した本発明のラジカル消去剤である。
前記抗酸化剤におけるラジカル消去剤の含有量としては、特に制限はなく、前記コメ発酵物の生理活性等によって適宜調整することができる。前記抗酸化剤は、前記ラジカル消去剤のみからなるものであってもよい。
前記プロスタグランジンE産生抑制剤は、上記した本発明のプロスタグランジンE産生抑制剤である。
前記抗炎症剤におけるプロスタグランジンE産生抑制剤の含有量としては、特に制限はなく、前記コメ発酵物の生理活性等によって適宜調整することができる。前記抗炎症剤は、前記プロスタグランジンE産生抑制剤のみからなるものであってもよい。
前記I型コラーゲン産生促進剤は、上記した本発明のI型コラーゲン産生促進剤である。
前記ヒアルロン酸産生促進剤は、上記した本発明のヒアルロン酸産生促進剤である。
前記皮膚線維芽細胞増殖促進剤は、上記した本発明の皮膚線維芽細胞増殖促進剤である。
前記表皮角化細胞増殖促進剤は、上記した本発明の表皮角化細胞増殖促進剤である。
前記アクアポリン3 mRNA発現促進剤は、上記した本発明のアクアポリン3 mRNA発現促進剤である。
前記抗老化剤における、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、及びアクアポリン3 mRNA発現促進からなる群から選択される少なくとも1種の合計含有量としては、特に制限はなく、前記コメ発酵物の生理活性等によって適宜調整することができる。前記抗老化剤は、前記I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、及びアクアポリン3 mRNA発現促進剤からなる群から選択される少なくとも1種のみからなるものであってもよい。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、前記抗酸化剤、抗炎症剤、又は抗老化剤の利用形態に応じて適宜選択することができ、例えば、賦形剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、甘味料、酸味料、調味料、着色料、香料、美白剤、保湿剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、皮膚栄養剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分の、前記抗酸化剤、抗炎症剤、又は抗老化剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記抗酸化剤、抗炎症剤、又は抗老化剤は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。前記抗酸化剤、抗炎症剤、又は抗老化剤は、他の組成物(例えば、後述する化粧料組成物等)に配合して使用することができるほか、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。
なお、前記抗酸化剤、抗炎症剤、又は抗老化剤の各剤は、それぞれ必要に応じて、抗酸化作用、抗炎症作用、又は抗老化作用を有する他の天然抽出物等を前記コメ発酵物と共に配合して有効成分として用いることもできる。
<用途>
前記抗酸化剤、抗炎症剤、又は抗老化剤の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬品、医薬部外品、化粧品、飲食品などの幅広い用途が挙げられる。
前記抗酸化剤は、優れた抗酸化作用を有し、安全性が高いので、例えば、後述する化粧料組成物の有効成分として好適に用いることができる。
前記抗炎症剤は、優れた抗炎症作用を有し、安全性が高いので、例えば、後述する化粧料組成物の有効成分として好適に用いることができる。
前記抗老化剤は、優れた抗老化作用を有し、安全性が高いので、例えば、後述する化粧料組成物の有効成分として好適に用いることができる。
前記抗酸化剤、抗炎症剤、又は抗老化剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、その作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することもできる。
前記抗酸化剤、抗炎症剤、又は抗老化剤の用法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口、非経口、外用などの用法が挙げられる。
前記抗酸化剤、抗炎症剤、又は抗老化剤の剤型としては、特に制限はなく、公知の剤型を目的に応じて適宜選択することができる。
任意の剤型の前記抗酸化剤、抗炎症剤、又は抗老化剤の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
前記抗酸化剤、抗炎症剤、又は抗老化剤の投与方法、投与量、投与部位、投与期間、投与間隔などとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記抗酸化剤は抗酸化作用、前記抗炎症剤は抗炎症作用、又は前記抗老化剤は抗老化作用の作用機構に関する研究のための試薬としても用いることができる。
(化粧料組成物)
本発明の化粧料組成物は、上記した本発明のコメ発酵物、ラジカル消去剤、抗酸化剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、抗炎症剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、抗老化剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、並びに血管及び/又はリンパ管の成熟化剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記化粧料組成物における、前記コメ発酵物、ラジカル消去剤、抗酸化剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、抗炎症剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、抗老化剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、並びに血管及び/又はリンパ管の成熟化剤からなる群から選択される少なくとも1種の合計含有量としては、特に制限はなく、前記コメ発酵物の生理活性等によって適宜調整することができるが、前記コメ発酵物に換算して、0.0001質量%~20質量%が好ましく、0.0001質量%~10質量%がより好ましい。前記化粧料組成物は、前記コメ発酵物、ラジカル消去剤、抗酸化剤、プロスタグランジンE産生抑制剤、抗炎症剤、I型コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、アクアポリン3 mRNA発現促進剤、抗老化剤、Tie2活性化剤、血管及び/又はリンパ管の安定化剤、並びに血管及び/又はリンパ管の成熟化剤からなる群から選択される少なくとも1種のみからなるものであってもよい。
前記化粧料組成物におけるその他の成分としては、特に制限はなく、通常の化粧料組成物の製造に用いられる主剤、助剤又はその他の成分の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、収斂剤、殺菌・抗菌剤、美白剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、消炎・抗アレルギー剤、抗酸化・活性酸素除去剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記化粧料組成物におけるその他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記化粧料組成物の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、軟膏、クリーム、乳液、化粧水、美容液、ローション、ジェル、美容オイル、パック、ファンデーション、リップクリーム、口紅、入浴剤、ヘアトニック、ヘアローション、ヘアクリーム、ヘアリキッド、ポマード、シャンプー、リンス、コンディショナー、石鹸、ボディシャンプー、アストリンゼントなどが挙げられる。
前記化粧料組成物の製造方法としては、特に制限はなく、公知の化粧料組成物の製造方法を適宜選択することができる。
本発明の化粧料組成物は、日常的に使用することが可能であり、有効成分であるコメ発酵物の働きによって、様々な生理活性作用を極めて効果的に発揮させることができるので、ラジカル消去用途、抗酸化用途、プロスタグランジンE産生抑制用途、抗炎症用途、I型コラーゲン産生促進用途、ヒアルロン酸産生促進用途、皮膚線維芽細胞増殖促進用途、表皮角化細胞増殖促進用途、アクアポリン3 mRNA発現促進用途、抗老化用途、Tie2活性化用途、血管及び/又はリンパ管の安定化用途、並びに血管及び/又はリンパ管の成熟化用途からなる群から選択される少なくとも1種の用途などに好適に用いることができる。
本発明の化粧料組成物は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することもできる。
前記化粧料組成物の使用量、使用期間、使用間隔等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上記したように、本発明のラジカル消去剤は優れたラジカル消去作用を有し、抗酸化剤は優れた抗酸化作用を有し、プロスタグランジンE産生抑制剤は優れたプロスタグランジンE産生抑制作用を有し、抗炎症剤は優れた抗炎症作用を有し、I型コラーゲン産生促進剤は優れたI型コラーゲン産生促進作用を有し、ヒアルロン酸産生促進剤は優れたヒアルロン酸産生促進作用を有し、皮膚線維芽細胞増殖促進剤は優れた皮膚線維芽細胞増殖促進作用を有し、表皮角化細胞増殖促進剤は優れた表皮角化細胞増殖促進作用を有し、アクアポリン3 mRNA発現促進剤は優れたアクアポリン3 mRNA発現促進作用を有し、抗老化剤は優れた抗老化作用を有し、Tie2活性化剤は優れたTie2活性化作用を有し、血管及び/又はリンパ管の安定化剤はTie2活性化作用に基づく優れた血管及び/又はリンパ管の安定化作用を有し、血管及び/又はリンパ管の成熟化剤はTie2活性化作用に基づく優れた血管及び/又はリンパ管の成熟化作用を有する。
したがって、本発明は、個体に前記ラジカル消去剤を投与することを特徴とするラジカル消去方法、個体に前記抗酸化剤を投与することを特徴とする抗酸化方法、個体に前記プロスタグランジンE産生抑制剤を投与することを特徴とするプロスタグランジンE産生抑制方法、個体に前記抗炎症剤を投与することを特徴とする抗炎症方法、個体に前記I型コラーゲン産生促進剤を投与することを特徴とするI型コラーゲン産生促進方法、個体に前記ヒアルロン酸産生促進剤を投与することを特徴とするヒアルロン酸産生促進方法、個体に前記皮膚線維芽細胞増殖促進剤を投与することを特徴とする皮膚線維芽細胞増殖促進方法、個体に前記表皮角化細胞増殖促進剤を投与することを特徴とする表皮角化細胞増殖促進方法、個体に前記アクアポリン3 mRNA発現促進剤を投与することを特徴とするアクアポリン3 mRNA発現促進方法、個体に前記抗老化剤を投与することを特徴とする抗老化方法、個体に前記Tie2活性化剤を投与することを特徴とするTie2活性化方法、個体に前記血管及び/又はリンパ管の安定化剤を投与することを特徴とするTie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の安定化方法、又は個体に前記血管及び/又はリンパ管の成熟化剤を投与することを特徴とするTie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の成熟化方法にも関する。
以下、本発明の製造例、試験例、配合例を説明するが、本発明は、これらの製造例、試験例、配合例に何ら限定されるものではない。
(製造例1:コメ発酵物の製造)
白精米の米粉50gに水1kgを加えて分散させ、110℃にて5分滅菌処理を行った。冷却後、グルコアミラーゼを加えて、60℃にて1時間反応させた。
その後、得られた酵素処理液にラチラクトバチルス・サケイ(Latilactobacillus sakei)LS KAM-02株(NITE P-03598)を植菌し、30℃で24時間発酵させた。
得られた発酵液を110℃にて5分滅菌処理を行った。
得られた発酵液を珪藻土で濾過し、濾液を濃縮乾固することにより、コメのラチラクトバチルス・サケイ(Latilactobacillus sakei)LS KAM-02株(NITE P-03598)による発酵物(約40g)を得た。
(試験例1:DPPHラジカル消去作用試験)
前記製造例1のコメ発酵物を被験試料として用い、下記の試験方法により、非常に安定なラジカルであるdiphenyl-p-picrylhydrazyl(DPPH)を使用してラジカル消去作用を試験した。
150μmol/LのDPPHエタノール溶液3mLに被験試料溶液3mL(最終試料濃度は下記表1を参照)を加え、容器を密栓した後、振り混ぜ、30分間放置した。放置後、波長520nmにおける吸光度を測定した。また、コントロールとして、被験試料無添加の溶媒のみ(コントロール溶液)を加えて同様の操作を行った。
得られた結果から、下記式によりDPPHラジカル消去率(DPPH消去率と称することがある。)を算出した。結果を表1に示す。
DPPH消去率(%)={A-(B-C)}/A×100
上記式中のA~Cは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料無添加(コントロール)、DPPH溶液添加時の波長520nmにおける吸光度
B : 被験試料添加、DPPH溶液添加時の波長520nmにおける吸光度
C : 被験試料添加、DPPH溶液無添加時の波長520nmにおける吸光度
表1の結果から、被験試料が、優れたラジカル消去作用を有することが確認された。
(試験例2:PGE産生抑制作用試験)
前記製造例1のコメ発酵物を被験試料として用い、下記の試験方法により、プロスタグランジンE(PGE)産生抑制作用を試験した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10細胞/mLの濃度になるようにKGMで希釈した後、コラーゲンコートした48ウェルプレートに1ウェル当たり200μLずつ播種(2.0×10細胞/ウェル)し、一晩培養した。細胞が定着したことを確認した後、培地を基礎培地(KBM)200μLに交換し、さらに24時間培養した。
培養終了後、既に存在するシクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)及び少量発現しているシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)をアセチル化し失活させるため、500μmol/Lアスピリン含有KBMを200μL加え、4時間培養した。4時間後に、細胞をPBS(-)緩衝液で3回洗浄し、100μLのPBS(-)緩衝液を加えUVB照射(60mJ/cm)を行った。その後、KBMで必要濃度に溶解した被験試料(最終試料濃度は下記表2を参照)を各ウェルに400μLずつ添加し、37℃、5% CO下で24時間培養した。なお、被験試料無添加とした場合、又は被験試料無添加、かつ紫外線未照射とした場合についても同様に培養した。
培養終了後、各ウェルの培養上清中のPGE量を、PGE EIA Kit(Cayman Chemical社製)を用いて定量した。結果を表2に示す。
表2の結果から、被験試料が、優れたPGE産生抑制作用を有することが確認された。
(試験例3:I型コラーゲン産生促進作用試験)
前記製造例1のコメ発酵物を被験試料として用い、下記の試験方法により、I型コラーゲン産生促進作用を試験した。
正常ヒト皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を、10%FBS含有ダルベッコMEMを用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.6×10細胞/mLの濃度になるように上記培地で希釈した後、96ウェルマイクロプレートに1ウェル当たり100μLずつ播種し、一晩培養した。
培養終了後、0.25%FBS含有ダルベッコMEMに溶解した被験試料(最終試料濃度は下記表3を参照)を各ウェルに100μLずつ添加し、3日間培養した。なお、被験試料無添加とした場合についても同様に培養した。
培養終了後、各ウェルの培地中のI型コラーゲン量をELISA法により測定した。
得られた結果から、下記式によりI型コラーゲン産生促進率を算出した。結果を表3に示す。
I型コラーゲン産生促進率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加時のI型コラーゲン量
B : 被験試料無添加時のI型コラーゲン量
表3の結果から、被験試料が、優れたI型コラーゲン産生促進作用を有することが確認された。
(試験例4:ヒアルロン酸産生促進作用試験(表皮角化細胞))
前記製造例1のコメ発酵物を被験試料として用い、下記の試験方法により、ヒアルロン酸産生促進作用を試験した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1×10細胞/mLの濃度になるようにKGMで希釈した後、96ウェルプレートに1ウェル当たり100μLずつ播種し、24時間培養した。
培養終了後、KGMで溶解した被験試料(最終試料濃度は下記表4を参照)を各ウェルに100μLずつ添加し、3日間培養した。なお、被験試料無添加とした場合についても同様に培養した。
培養終了後、各ウェルの培地中のヒアルロン酸量を、ヒアルロン酸結合タンパク(HABP)を用いたサンドイッチ法により測定した。
得られた結果から、下記式によりヒアルロン酸産生促進率を算出した。結果を表4に示す。
ヒアルロン酸産生促進率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加時のヒアルロン酸量
B : 被験試料無添加時のヒアルロン酸量
表4の結果から、被験試料が、優れたヒアルロン酸産生促進作用を有することが確認された。
(試験例5:皮膚線維芽細胞増殖促進作用試験)
前記製造例1のコメ発酵物を被験試料として用い、下記の試験方法により、皮膚線維芽細胞増殖促進作用を試験した。
正常ヒト皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を、10%FBS含有α-MEMを用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を7.0×10細胞/mLの濃度となるように5%FBS含有α-MEMで希釈した後、96ウェルプレートに1ウェル当たり100μLずつ播種し、一晩培養した。
培養終了後、5%FBS含有α-MEMで溶解した被験試料(最終試料濃度は下記表5を参照)を各ウェルに100μL添加し、3日間培養した。なお、被験試料無添加とした場合についても同様に培養した。
皮膚線維芽細胞増殖促進作用は、MTTアッセイ法を用いて測定した。すなわち、3日間培養後、培地を除去し、終濃度0.4mg/mLでPBS(-)緩衝液に溶解したMTTを各ウェルに100μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2-プロパノール100μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。
得られた結果から、下記式により皮膚線維芽細胞増殖促進率を算出した。結果を表5に示す。
皮膚線維芽細胞増殖促進率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加時の細胞でのブルーホルマザン生成量
B : 被験試料無添加時の細胞でのブルーホルマザン生成量
表5の結果から、被験試料が、優れた皮膚線維芽細胞増殖促進作用を有することが確認された。
(試験例6:表皮角化細胞増殖促進作用試験)
前記製造例1のコメ発酵物を被験試料として用い、下記の試験方法により、表皮角化細胞増殖促進作用を試験した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を3.0×10細胞/mLの濃度になるようにKGMで希釈した後、コラーゲンコートした96ウェルプレートに1ウェル当たり100μLずつ播種し、一晩培養した。
培養終了後、KGMで溶解した被験試料(最終試料濃度は下記表6を参照)を各ウェルに100μLずつ添加し、3日間培養した。なお、被験試料無添加とした場合についても同様に培養した。
表皮角化細胞増殖促進作用は、MTTアッセイ法を用いて測定した。すなわち、3日間培養後、培地を除去し、終濃度0.4mg/mLでPBS(-)緩衝液に溶解したMTTを各ウェルに100μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2-プロパノール100μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。
得られた結果から、下記式により表皮角化細胞増殖促進率を算出した。結果を表6に示す。
表皮角化細胞増殖促進率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加時の細胞でのブルーホルマザン生成量
B : 被験試料無添加時の細胞でのブルーホルマザン生成量
表6の結果から、被験試料が、優れた表皮角化細胞増殖促進作用を有することが確認された。
(試験例7:アクアポリン3(AQP3) mRNA発現促進作用試験)
前記製造例1のコメ発酵物を被験試料として用い、下記の試験方法により、AQP3 mRNA発現促進作用を試験した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を、KGMを用いて6ウェルプレートに30×10細胞/2mLずつ播き、37℃、5%CO下で一晩培養した。
一晩培養後、増殖因子を添加していない培地(KBM)に交換した。24時間後に培養液を捨て、KBMで必要濃度に溶解した被験試料(最終試料濃度は下記表7を参照)を各ウェルに2mLずつ添加し、37℃、5%CO下で24時間培養した。なお、被験試料無添加とした場合についても同様に培養した。
培養後、培養液を捨て、ISOGEN II(ニッポンジーン社製)にてトータルRNAを抽出し、波長260nmにおける吸光度からRNA量を計算し、200ng/μLになるようにトータルRNAを調製した。
このトータルRNAを鋳型とし、AQP3及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出は、リアルタイムPCR装置Thermal Cycler Dice(登録商標) Real Time SystemIII(Takara社製)を用いて、PrimeScriptTM RT Master Mix(Perfect Real Time)及びTB Green(登録商標) Fast qPCR Mix(Takara社製)による2ステップリアルタイムRT-PCR反応により行った。AQP3 mRNAの発現量は、GAPDH mRNAの発現量で補正し、算出した。
得られた結果から、下記式によりAQP3 mRNA発現促進率を算出した。結果を表7に示す。
AQP3 mRNA発現促進率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加時の補正値
B : 被験試料無添加時の補正値
表7の結果から、被験試料が、優れたAQP3 mRNA発現促進作用を有することが確認された。
(試験例8:Tie2活性化作用試験)
前記製造例1のコメ発酵物を被験試料として用い、下記の試験方法により、Tie2活性化作用を試験した。
マウスpro-B細胞(Ba/F3)にヒトTie2を過剰発現させた細胞(Ba/F3-human Tie2)を培養した後、遠心により細胞を回収した。回収した細胞を、FBSを含まないRPMI-1640培地を用いて4.0×10細胞/mLの濃度となるように希釈した後、FBSを含まないRPMI-1640培地で溶解した被験試料(最終試料濃度は下記表8を参照)500μL中に等量を添加して37℃で加温した。15分間後に、細胞をPBS(-)緩衝液で洗浄した後、Human Phospho-Tie-2 DuoSet IC ELISA(R&D Systems社製)のプロトコールに従い、細胞溶解液を調製し、細胞内のリン酸化型Tie2をELISA法にて評価した。なお、被験試料無添加とした場合についても同様に操作した。
得られた結果から、下記式によりTie2活性化率を算出した。結果を表8に示す。
Tie2活性化率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加時のリン酸化型Tie2の測定値
B : 被験試料無添加時のリン酸化型Tie2の測定値
表8の結果から、被験試料が、優れたTie2活性化作用を有することが確認された。
(配合例1)
常法により、以下の組成を有する乳液を製造した。
・ 製造例1のコメ発酵物 0.01g
・ ホホバオイル 4.00g
・ 1,3-ブチレングリコール 3.00g
・ アルブチン 3.00g
・ ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.50g
・ オリーブオイル 2.00g
・ スクワラン 2.00g
・ セタノール 2.00g
・ モノステアリン酸グリセリル 2.00g
・ オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 2.00g
・ パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
・ グリチルリチン酸ステアリル 0.10g
・ 黄杞エキス 0.10g
・ グリチルリチン酸ジカリウム 0.10g
・ イチョウ葉エキス 0.10g
・ コンキオリン 0.10g
・ オウバクエキス 0.10g
・ カミツレエキス 0.10g
・ 香料 0.05g
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
(配合例2)
常法により、以下の組成を有するクリームを製造した。
・ 製造例1のコメ発酵物 0.05g
・ クジンエキス 0.1g
・ オウゴンエキス 0.1g
・ 流動パラフィン 5.0g
・ サラシミツロウ 4.0g
・ スクワラン 10.0g
・ セタノール 3.0g
・ ラノリン 2.0g
・ ステアリン酸 1.0g
・ オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.5g
・ モノステアリン酸グリセリル 3.0g
・ 油溶性甘草エキス 0.1g
・ 1,3-ブチレングリコール 6.0g
・ パラオキシ安息香酸メチル 1.5g
・ 香料 0.1g
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
(配合例3)
常法により、以下の組成を有する美容液を製造した。
・ 製造例1のコメ発酵物 0.01g
・ カミツレエキス 0.1g
・ キサンタンガム 0.3g
・ ヒドロキシエチルセルロース 0.1g
・ カルボキシビニルポリマー 0.1g
・ 1,3-ブチレングリコール 4.0g
・ グリチルリチン酸ジカリウム 0.1g
・ グリセリン 2.0g
・ 水酸化カリウム 0.25g
・ 香料 0.01g
・ 防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.15g
・ エタノール 2.0g
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
(配合例4)
常法により、以下の組成を有するヘアトニックを製造した。
・ 製造例1のコメ発酵物 0.4g
・ 酢酸トコフェロール 適量
・ セファラチン 0.002g
・ イソプロピルメチルフェノール 0.1g
・ ヒアルロン酸ナトリウム 0.15g
・ グリセリン 15.0g
・ エタノール 15.0g
・ 香料 適量
・ キレート剤(エデト酸ナトリウム) 適量
・ 防腐剤(ヒノキチオール) 適量
・ 可溶化剤(ポリオキシエチレンセチルエーテル) 適量
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
(配合例5)
常法により、以下の組成を有するシャンプーを製造した。
・ 製造例1のコメ発酵物 0.5g
・ マジョラム抽出物 1.0g
・ ウメ果実部抽出物 0.2g
・ ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10.0g
・ ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 10.0g
・ ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム 20.0g
・ ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0g
・ プロピレングリコール 2.0g
・ 香料 適量
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
NITE P-03598

Claims (19)

  1. コメの微生物による発酵物であって、
    前記微生物が、ラチラクトバチルス・サケイ(Latilactobacillus sakei)LS KAM-02株(NITE P-03598)であることを特徴とするコメ発酵物。
  2. 請求項1に記載のコメ発酵物を含有することを特徴とするラジカル消去剤。
  3. 請求項2に記載のラジカル消去剤を含有することを特徴とする抗酸化剤。
  4. 請求項1に記載のコメ発酵物を含有することを特徴とするプロスタグランジンE産生抑制剤。
  5. 請求項4に記載のプロスタグランジンE産生抑制剤を含有することを特徴とする抗炎症剤。
  6. 請求項1に記載のコメ発酵物を含有することを特徴とするI型コラーゲン産生促進剤。
  7. 請求項1に記載のコメ発酵物を含有することを特徴とするヒアルロン酸産生促進剤。
  8. 請求項1に記載のコメ発酵物を含有することを特徴とする皮膚線維芽細胞増殖促進剤。
  9. 請求項1に記載のコメ発酵物を含有することを特徴とする表皮角化細胞増殖促進剤。
  10. 請求項1に記載のコメ発酵物を含有することを特徴とするアクアポリン3 mRNA発現促進剤。
  11. 請求項6に記載のI型コラーゲン産生促進剤を含有することを特徴とする抗老化剤。
  12. 請求項7に記載のヒアルロン酸産生促進剤を含有することを特徴とする抗老化剤。
  13. 請求項8に記載の皮膚線維芽細胞増殖促進剤を含有することを特徴とする抗老化剤。
  14. 請求項9に記載の表皮角化細胞増殖促進剤を含有することを特徴とする抗老化剤。
  15. 請求項10に記載のアクアポリン3 mRNA発現促進剤を含有することを特徴とする抗老化剤。
  16. 請求項1に記載のコメ発酵物を含有することを特徴とするTie2活性化剤。
  17. 請求項1に記載のコメ発酵物を含有し、Tie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の安定化作用を有することを特徴とする血管及び/又はリンパ管の安定化剤。
  18. 請求項1に記載のコメ発酵物を含有し、Tie2活性化作用に基づく血管及び/又はリンパ管の成熟化作用を有することを特徴とする血管及び/又はリンパ管の成熟化剤。
  19. 請求項1に記載のコメ発酵物、請求項2に記載のラジカル消去剤、請求項3に記載の抗酸化剤、請求項4に記載のプロスタグランジンE産生抑制剤、請求項5に記載の抗炎症剤、請求項6に記載のI型コラーゲン産生促進剤、請求項7に記載のヒアルロン酸産生促進剤、請求項8に記載の皮膚線維芽細胞増殖促進剤、請求項9に記載の表皮角化細胞増殖促進剤、請求項10に記載のアクアポリン3 mRNA発現促進剤、請求項11から15のいずれかに記載の抗老化剤、請求項16に記載のTie2活性化剤、請求項17に記載の血管及び/又はリンパ管の安定化剤、並びに請求項18に記載の血管及び/又はリンパ管の成熟化剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする化粧料組成物。
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