JP2024006786A - 建築用部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】板材の接合部において耐力を向上させることができる建築用部材を提供する。【解決手段】建築用部材1は、複数の第1板材21が隣り合って配置された第1長尺材2と、複数の第2板材21が隣り合って配置され、第1長尺材2の板厚方向の一方側に接合された第2長尺材3と、を備え、正面視で、第2長尺材3における隣り合う第2板材21の境界部a2は、第1長尺材2における隣り合う第1板材21の境界部a1と、位置がずれている。【選択図】図2
Description
特許法第30条第2項適用申請有り (1)提出日 令和3年10月29日 提出先 国土交通大臣 (2)ウェブサイトの掲載日 令和4年3月11日 ウェブサイトのアドレス http://www.sendo-shien.jp/03/comment/
本発明は、建築用部材に関するものである。
従来から、建築物の屋根架構の梁等に木製の部材が使用されている。下記の特許文献1には、分割円弧状をなす板材を板厚方向に複数層重ね合わせて建築用部材が構成され、建築用部材を周方向に複数並べて、隣り合う建築用部材どうし連結して長尺な部材を製作する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1の長尺な部材では、隣り合う建築用部材どうしの接合部では、全ての板材の層において、隣り合う建築用部材の板材どうしを接合することになるため、接合部での耐力が低下してしまうという問題点がある。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、板材の接合部において耐力を向上させることができる建築用部材を提供する。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る建築用部材は、複数の第1板材が隣り合って配置された第1長尺材と、複数の第2板材が隣り合って配置され、前記第1長尺材の板厚方向の一方側に接合された第2長尺材と、を備え、正面視で、前記第2長尺材における隣り合う前記第2板材の境界部は、前記第1長尺材における隣り合う前記第1板材の境界部と、位置がずれている。
すなわち、本発明に係る建築用部材は、複数の第1板材が隣り合って配置された第1長尺材と、複数の第2板材が隣り合って配置され、前記第1長尺材の板厚方向の一方側に接合された第2長尺材と、を備え、正面視で、前記第2長尺材における隣り合う前記第2板材の境界部は、前記第1長尺材における隣り合う前記第1板材の境界部と、位置がずれている。
このように構成された建築用部材では、正面視で、第1長尺材の第1板材どうしの接合部が位置する境界部は、第2長尺材の第2板材どうしの接合部が位置する境界部と、位置がずれている。第1長尺材と第2長尺材とで境界部の位置をずらすことで、接合部で生じる耐力低下箇所を分散して、一箇所に応力が集中することを抑制して、建築用部材全体としての耐力を向上させることができる。
また、本発明に係る建築用部材では、正面視で、前記第1板材及び前記第2板材は矩形をしていてもよい。
このように構成された建築用部材では、正面視で、第1板材及び第2板材は矩形である。よって、第1板材及び第2板材の製作が容易であったり、汎用品を使用したりすることができる。
また、本発明に係る建築用部材では、正面視で、前記建築用部材は、上辺が膨らむアーチ状をしていてもよい。
このように構成された建築用部材では、正面視で、建築用部材は、上辺が膨らむアーチ状をしている。よって、建築用部材の外観を向上させることができる。
また、本発明に係る建築用部材は、隣り合う前記第1板材どうしの間には、正面視で下方に向かうにしたがって幅が狭くなる隙間が形成され、前記隙間には楔材が設けられていてもよい。
このように構成された建築用部材では、隣り合う第1板材どうしの間には正面視で下方に向かうにしたがって幅が狭くなる隙間が形成され、隙間には楔材が設けられている。よって、第1板材には圧縮力が生じ、第1長尺材と第2長尺材とを連結する連結具にはせん断力のみが伝達されるため、連結具を小型化することができる。
また、本発明に係る建築用部材は、複数の第3板材が隣り合って配置され、前記第2長尺材の板厚方向の一方側に接合された第3長尺材を備え、正面視で、前記第3長尺材における隣り合う前記第3板材の境界部は、前記第2長尺材における隣り合う前記第2板材の境界部と、位置がずれていてもよい。
このように構成された建築用部材では、第2長尺材の板厚方向の一方側に、さらに第3長尺材が設けられている。よって、建築用部材の断面積が大きくなり、建築用部材の構造耐力を更に向上させることができる。
また、正面視で、第3長尺材の第3板材どうしの接合部が位置する境界部は、第2長尺材の第2板材どうしの接合部が位置する境界部と、位置がずれている。第3長尺材と第2長尺材とで境界部の位置をずらすことで、接合部で生じる耐力低下箇所を分散して、一箇所に応力が集中することを抑制して、建築用部材全体としての耐力を向上させることができる。
また、正面視で、第3長尺材の第3板材どうしの接合部が位置する境界部は、第2長尺材の第2板材どうしの接合部が位置する境界部と、位置がずれている。第3長尺材と第2長尺材とで境界部の位置をずらすことで、接合部で生じる耐力低下箇所を分散して、一箇所に応力が集中することを抑制して、建築用部材全体としての耐力を向上させることができる。
本発明に係る建築用部材よれば、板材の接合部において耐力を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る建築用部材を備えた屋根架構について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る建築用部材を備えた屋根架構を示す模式的な斜視図である。
図1に示す本実施形態に係る屋根架構100は、複数の屋根梁1を備えている。屋根梁1は、水平方向に沿う第1方向(図3に示す矢印Xの方向)に長い形状をしている。屋根梁1は、水平方向に沿い第1方向と直交する第2方向(図3に示す矢印Yの方向)に間隔をあけて複数配置されている。屋根梁1の第1方向の両端部は、第2方向に延びる他の梁や柱、壁等の支持部材に支持されている。屋根梁1は、特許請求の範囲の建築用部材に対応する。
図1は、本発明の一実施形態に係る建築用部材を備えた屋根架構を示す模式的な斜視図である。
図1に示す本実施形態に係る屋根架構100は、複数の屋根梁1を備えている。屋根梁1は、水平方向に沿う第1方向(図3に示す矢印Xの方向)に長い形状をしている。屋根梁1は、水平方向に沿い第1方向と直交する第2方向(図3に示す矢印Yの方向)に間隔をあけて複数配置されている。屋根梁1の第1方向の両端部は、第2方向に延びる他の梁や柱、壁等の支持部材に支持されている。屋根梁1は、特許請求の範囲の建築用部材に対応する。
図2は、屋根梁1の分解斜視図である。
図2に示すように、屋根梁1は、第1長尺材2と、第2長尺材3と、第3長尺材4と、を有している。
図2に示すように、屋根梁1は、第1長尺材2と、第2長尺材3と、第3長尺材4と、を有している。
第1長尺材2は、複数の板材21と、複数の楔材22と、を有している。板材21及び楔材22は、木製の部材である。
板材21は、正面視である第2方向から見て、矩形をしている。板材21の長手(長辺)方向は、概ね第1方向に沿うように配置されている。板材21の短手(短辺)方向は、概ね上下方向に沿うように配置されている。第1長尺材2の板材21は、特許請求の範囲の第1板材に対応する。
図3は、屋根梁1の拡大正面図であり、第1長尺材2の板材21の境界部a1及びその近傍を示す。
図3に示すように、第1方向に隣り合う板材21の間の境界部a1には、楔材22が配置されている。板材21の短辺21aは、下方に向かうにしたがって次第に隣り合う板材21の短辺21aに近づくように上下方向に対して傾斜している。隣り合う板材21の短辺21aの下端部どうしは、当接している。これによって、隣り合う板材21の短辺21aのどうしの隙間s1は、正面視で、下方に向かうにしたがって次第に幅(第1方向の長さ)が狭くなる形状であり、下側に尖った三角形をしている。
図3に示すように、第1方向に隣り合う板材21の間の境界部a1には、楔材22が配置されている。板材21の短辺21aは、下方に向かうにしたがって次第に隣り合う板材21の短辺21aに近づくように上下方向に対して傾斜している。隣り合う板材21の短辺21aの下端部どうしは、当接している。これによって、隣り合う板材21の短辺21aのどうしの隙間s1は、正面視で、下方に向かうにしたがって次第に幅(第1方向の長さ)が狭くなる形状であり、下側に尖った三角形をしている。
境界部a1には、楔材22が配置されている。楔材22の形状は、境界部a1の形状と略同一である。楔材22を境界部a1に嵌め込むことによって、板材21には圧縮力が生じる。楔材22と板材21とは、接着剤等によって接合されている。
図2に示すように、板材21は、例えば長手方向の長さL1が2500mmであり、短辺方向の長さL2が210mmであり、厚さL3(図5参照)が40mmである。5枚の板材21が第1方向に隣り合って配置されている。なお、板材21の大きさや枚数は、適宜設定可能である。隣り合う板材21の短辺21aの下端部どうし当接するように並べられることで、正面視である第2方向から見て、上辺21cが膨らむアーチ状をしている。なお、第1長尺材2の長手方向の両端部に配置される板材21は、設置される建物の形状に合わせて切断されて、寸法が短くなっていてもよい。
第2長尺材3は、第1長尺材2の板厚方向に一方側に配置されている。第2長尺材3は、第1長尺材2と同様に、隣り合う板材21の間に楔材22が配置された構成である。第2長尺材3の構成の説明において、第1長尺材2と同様の構成については説明を省略し、第1長尺材2と異なる構成箇所の説明をする。
図4は、屋根梁1の拡大正面図であり、第2長尺材3の板材21の境界部a2及びその近傍を示す。
図4に示すように、第2長尺材3の隣り合う板材21の間の境界部a2には、楔材22が配置されているが、正面視で、境界部a2の位置は、第1長尺材2の隣り合う板材21の間の境界部a1とはずれている。
図4に示すように、第2長尺材3の隣り合う板材21の間の境界部a2には、楔材22が配置されているが、正面視で、境界部a2の位置は、第1長尺材2の隣り合う板材21の間の境界部a1とはずれている。
図1に示すように、正面視で、境界部a2は、第1長尺材2の板材21の長手方向の略中央に位置している。換言すると、境界部a2は、境界部a1に対して、板材21の長手方向の長さの略半分ずれた位置にある。第2長尺材3の板材21は、特許請求の範囲の第2板材に対応する。
第3長尺材4は、第2長尺材3の板厚方向に一方側に配置されている。第3長尺材4は、第1長尺材2と同様に、隣り合う板材21の間に楔材22が配置された構成である。第3長尺材4の構成の説明において、第1長尺材2と同様の構成については説明を省略する。
正面視で、第3長尺材4の隣り合う板材21の間の境界部a3の位置は、第2長尺材3の隣り合う板材21の境界部a2とはずれていて、第1長尺材2の隣り合う板材21の境界部a1とは揃っている。第3長尺材4の板材21は、特許請求の範囲の第3板材に対応する。
図3に示すように、境界部a1の両側では、構造用ビス25が、第1長尺材2側から第1長尺材2の板材21、第2長尺材3の板材21及び第3長尺材4の板材21にねじ込まれている。図4に示すように、境界部a2の両側では、構造用ビス25が、第1長尺材2側から第1長尺材2の板材21、第2長尺材3の板材21及び第3長尺材4の板材21にねじ込まれている。これによって、第1長尺材2、第2長尺材3及び第3長尺材4が接合されている。屋根梁1の全長は、約11000mmである。
このように構成された屋根架構100では、正面視で、第2長尺材3の隣り合う板材21の境界部a2の位置は、第1長尺材2の隣り合う板材21の間の境界部a1とはずれている。第3長尺材4の隣り合う板材21の間の境界部a3の位置は、第2長尺材3の隣り合う板材21の境界部a2とはずれている。よって、第2長尺材3の境界部a2の位置を第1長尺材2の境界部a1及び第3長尺材4の境界部a3でずらすことで、耐力低下箇所を長手方向に分散して、一箇所に応力が集中することを抑制して、屋根梁1全体としての耐力を向上させることができる。
また、正面視で、第1長尺材2、第2長尺材3及び第3長尺材4の板材21は、矩形である。よって、板材21の製作が容易であったり、汎用品を使用したりすることができる。
また、正面視で、屋根梁1は、上辺21cが膨らむアーチ状をしている。よって、屋根梁1の外観を向上させることができる。
また、隣り合う板材21どうしの間には正面視で下方に向かうにしたがって幅が狭くなる隙間s1が形成され、隙間s1には楔材22が嵌め込まれている。よって、板材21には圧縮力が生じ、第1長尺材2、第2長尺材3及び第3長尺材4を連結する構造用ビス25にはせん断力のみが伝達されるため、構造用ビス25を小型化することができる。
また、屋根梁1は、第1長尺材2、第2長尺材3及び第3長尺材4の三層構造である。よって、屋根梁1の断面積が大きくなり、屋根梁1の構造耐力を更に向上させることができる。
なお、上述した実施の形態において示した組立手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記に示す実施形態では、建築用部材の一例として屋根に使用される屋根梁1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。建築用部材は、天井や床に使用される梁等にも適用可能である。
また、上記に示す実施形態では、板材21は正面視で矩形をしているが、本発明はこれに限られない。板材21の形状は適宜設定可能であり、例えば正面視で板材21の上辺や下辺が円弧状に形成されていてもよい。
また、上記に示す実施形態では、屋根梁1は正面視で上辺が膨らむアーチ状をしているが、本発明はこれに限られない。屋根梁1の形状は適宜設定可能であり、例えば正面視で上辺が直線状に形成されていてもよい。
また、上記に示す実施形態では、隣り合う板材21の間に楔材22が嵌め込まれているが、本発明はこれに限られない。隣り合う板材21の間に楔材を設けなくてもよく、隣り合う板材21の短辺どうしの間に隙間が生じないように配置してもよい。
また、上記に示す実施形態では、板厚方向に第1長尺材2、第2長尺材3及び第3長尺材4の三層構造であるが、本発明はこれに限られない。少なくとも第1長尺材2と第2長尺材3とを備えた二層以上の構造であればよく、四層以上の構造であってもよい。
また、上記に示す実施形態では、第1長尺材2、第2長尺材3及び第3長尺材4を、構造用ビス25で一度に固定しているが、本発明はこれに限られない。第1長尺材2側から第1長尺材2及び第2長尺材3を構造用ビス25で一度に固定して、第3長尺材4側から第3長尺材4及び第2長尺材3を構造用ビス25で一度に固定する構成であってもよい。
また、上記に示す実施形態では、第1長尺材2の板材21、第2長尺材3の板材21及び第3長尺材4の板材21は、同一の形状をしているが、本発明はこれに限られない。第1長尺材の第1板材、第2長尺材の第2板材及び第3長尺材の第3板材が、それぞれ異なる形状をしていてもよい。
また、上記に示す実施形態では、第1長尺材2を構成する複数の板材21は、全て同じ形状をしているが、本発明はこれに限られない。第1長尺材を構成する複数の第1板材の形状がそれぞれ異なっていてもよい。
また、上記に示す実施形態では、正面視で、第3長尺材4の境界部a3は、第1長尺材2の境界部a1と位置が揃っているが、本発明はこれに限られない。正面視で、第3長尺材4の境界部a3は、第2長尺材3の境界部a2と位置がずれていれば、境界部a3の位置は適宜設定可能である。
また、上記に示す実施形態では、第1長尺材2、第2長尺材3及び第3長尺材4は、構造用ビス25で連結されているが、本発明はこれに限られない。第1長尺材2の板材21と第2長尺材3の板材21とを接着剤で接着し、第2長尺材3の板材21と第3長尺材4の板材21とを接着剤で接着してもよい。あるいは、構造用ビス25と接着剤とを併用してもよい。
2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」がある。本実施形態に係る屋根架構100は、このSDGsの17の目標のうち、例えば「15.陸の豊かさを守ろう」の目標などの達成に貢献し得る。
1 屋根梁(建築用部材)
2 第1長尺材
3 第2長尺材
4 第3長尺材
21 板材(第1板材、第2板材、第3板材)
21c 上辺
22 楔材
a1,a2,a3 境界部
s1 隙間
100 屋根架構
2 第1長尺材
3 第2長尺材
4 第3長尺材
21 板材(第1板材、第2板材、第3板材)
21c 上辺
22 楔材
a1,a2,a3 境界部
s1 隙間
100 屋根架構
Claims (5)
- 複数の第1板材が隣り合って配置された第1長尺材と、
複数の第2板材が隣り合って配置され、前記第1長尺材の板厚方向の一方側に接合された第2長尺材と、を備え、
正面視で、前記第2長尺材における隣り合う前記第2板材の境界部は、前記第1長尺材における隣り合う前記第1板材の境界部と、位置がずれている建築用部材。 - 正面視で、前記第1板材及び前記第2板材は、矩形をしている請求項1に記載の建築用部材。
- 正面視で、前記建築用部材は、上辺が膨らむアーチ状をしている請求項1または2に記載の建築用部材。
- 隣り合う前記第1板材どうしの間には、正面視で下方に向かうにしたがって幅が狭くなる隙間が形成され、
前記隙間には楔材が設けられている請求項1または2に記載の建築用部材。 - 複数の第3板材が隣り合って配置され、前記第2長尺材の板厚方向の一方側に接合された第3長尺材を備え、
正面視で、前記第3長尺材における隣り合う前記第3板材の境界部は、前記第2長尺材における隣り合う前記第2板材の境界部と、位置がずれている請求項1または2に記載の建築用部材。
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