JP2024005053A - 生分解性積層体、その製造方法、および成形体 - Google Patents

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Kensuke Murashima
徹雄 大倉
Tetsuo Okura
康則 岡田
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Abstract

【課題】製造時の冷却ロール剥離性に優れ、十分な層間接着強度を有し、TD方向の反りがない、紙基材層と熱可塑性樹脂層からなる生分解性積層体の提供。【解決手段】紙基材(A)層、PHBHを主成分とする第1の熱可塑性樹脂(B)層および第2の熱可塑性樹脂(C)層がこの順序で積層してなる生分解性積層体であって、B層とC層は下記要件1および2を同時に満たす、生分解性積層体。(要件1)B層は3-ヒドロキシヘキサノエート(3HH)成分の割合が10mol%以上30mol%未満である低結晶性PHBH成分を少なくとも1種類以上含み、かつB層のPHBH成分全量に対する低結晶性PHBH成分の割合が50wt%以上(要件2)C層は3HH成分の割合が2mol%以上8mol%未満である高結晶性PHBH成分を少なくとも1種類以上含み、かつC層のPHBH成分全量に対する高結晶性PHBH成分の割合が50wt%以上90%未満【選択図】図1

Description

本発明は、紙基材(A)層と、その片面に3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を主成分とする第1の熱可塑性樹脂(B)層と、3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を主成分とする第2の熱可塑性樹脂(C)層とがこの順序で積層した、生分解性積層体、その製造方法、および成形体に関する。
近年、廃棄プラスチックによる環境問題がクローズアップされている。中でも、廃棄プラスチックによる海洋汚染は深刻であり、自然環境下で分解する生分解性樹脂の普及が期待されている。
そのような生分解性樹脂としては、種々のものが知られているが、中でも、3-ヒドロキシブチレート(以下、「3HB」と称することがある。)と3-ヒドロキシヘキサノエート(以下、「3HH」と称することがある。)との共重合体(以下、「PHBH」と称することがある。)は、多くの微生物種の細胞内にエネルギー貯蔵物質として生産、蓄積される熱可塑性ポリエステルであり、土中だけでなく、海水中でも生分解が進行しうる材料であるため、上記の問題を解決する素材として注目されている。その中でも紙等の基材と一体化させたPHBH/紙複合材は環境負荷の小さい食品接触容器等に応用できることから、社会的な関心が特に高い。
PHBHと紙とを一体化させる手段としては押出ラミネート法や水系スラリーのコーティング法などが挙げられるが、コーティング法では樹脂層の機械強度が十分には得られにくいことなどから、押出ラミネート法が好ましく用いられている。特許文献1では、基材との接着性、ネックイン特性および冷却ロールからのラミネート層の剥離性の観点で優れる生分解性積層体およびその利用技術が開示されている。
国際公開第WO2021/100733号
しかしながら、特許文献1に開示されている製造方法では、PHBHは押出ラミネート法により紙と積層した後、時間が経過するに従って徐々に結晶化が進行し、それに伴ってラミネート層が収縮していくため、得られるラミネート紙がラミネート層側に大きく反ることがあるため、改善が求められていた。特に連続生産時の流れ方向(以降、MD方向と称することがある)と直交する方向(以降、TD方向と称することがある)のラミネート紙の反りは、二次加工のカップ成形時における紙の搬送不良や成形不良が起こりやすい等の課題があった。
そこで本発明は上記現状に鑑み、紙基材層と、3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂層からなる生分解性積層体において、積層体の製造時の熱可塑性樹脂層の冷却ロール剥離性に優れ、紙基材層と熱可塑性樹脂層の間に十分な接着強度を有し、カップ成形時に搬送不良や成形不良を生じさせるようなTD方向の反りがない、生分解性積層体およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、紙基材(A)層と、その片面に3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を主成分とする第1の熱可塑性樹脂(B)層と、3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を主成分とする第2の熱可塑性樹脂(C)層とがこの順序で積層してなる生分解性積層体であって、第1の熱可塑性樹脂(B)および第2の熱可塑性樹脂(C)に含まれる3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体における3-ヒドロキシヘキサノエートの共重合モル比率がそれぞれ特定の範囲にある場合において上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、紙基材(A)層と、その片面に3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を主成分とする第1の熱可塑性樹脂(B)層と、3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を主成分とする第2の熱可塑性樹脂(C)層とがこの順序で積層してなる生分解性積層体であって、第1の熱可塑性樹脂(B)層と第2の熱可塑性樹脂(C)層は下記要件1および2を同時に満たす、生分解性積層体およびその製造方法に関する。
(要件1)第1の熱可塑性樹脂(B)層は3-ヒドロキシヘキサノエート成分の割合が10mol%以上30mol%未満である、低結晶性PHBH成分を少なくとも1種類以上含み、かつB層のPHBH成分全量に対する低結晶性PHBH成分の割合が50wt%以上である。
(要件2)第2の熱可塑性樹脂(C)層は3-ヒドロキシヘキサノエート成分の割合が2mol%以上8mol%未満である、高結晶性PHBH成分を少なくとも1種類以上含み、かつC層のPHBH成分量に対する高結晶性PHBH成分の割合が50wt%以上90%未満である。
また、第1の熱可塑性樹脂(B)層に含まれる3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体の樹脂温度が180℃になるように加熱融解させた後、10℃/分の速度で冷却したときの再結晶化温度が、50℃以上90℃未満である、生分解性積層体およびその製造方法に関する。
また、下記(a)~(c)を同時に満たす、生分解性積層体およびその製造方法に関する。
(a)前記第1の熱可塑性樹脂(B)層の平均厚み(tB)が5μm以上
(b)前記第2の熱可塑性樹脂(C)層の平均厚み(tC)が5μm以上
(c)tBとtCの総和が10μm以上100μm未満
(d)tCをtBで除した値が1以上10未満
また、本発明は、前記生分解性積層体を含む、成形体にも関する。
本発明によれば、紙基材(A)層と、その片面に3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を主成分とする第1の熱可塑性樹脂(B)層と、3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を主成分とする第2の熱可塑性樹脂(C)層がこの順序で積層した生分解性積層体において、積層体の製造時の根雨可塑性樹脂層の冷却ロールからの剥離性が優れ、紙基材層と熱可塑性樹脂層との間に十分な接着強度を有し、カップ成形時に搬送不良や成形不良を生じさせるようなTD方向の反りがない、生分解性積層体およびその製造方法を提供することができる。本発明の生分解性積層体により、成形体の生産効率や品質を改善することが可能である。
本発明の一態様に係る生分解性積層体の模式断面図である。
以下に、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[生分解性積層体]
本発明に係る生分解性積層体は、紙基材(A)層と、その片面に3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を主成分とする第1の熱可塑性樹脂(B)層と、3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を主成分とする第2の熱可塑性樹脂(C)層とがこの順序で積層している。ここで、第1の熱可塑性樹脂(B)層は紙基材(A)層の上に直接的に積層されていても良いし、接着性を阻害しない範囲であれば中間層としてさらに他の樹脂層を間に含んでいてもよい。また紙基材(A)層の、第1の熱可塑性樹脂(B)と第2の熱可塑性樹脂(C)層が積層した面の裏面に接着性樹脂(D)層が積層していてもよい。また、耐水性や光沢性を付与するなどの目的で第2の熱可塑性樹脂(C)層の上にさらに別の樹脂層が積層されていてもよい。
[紙基材(A)層]
本発明に係る紙基材層としては紙を主成分とするものであれば特に限定されないが、生分解性であることが望ましい。また、紙(主成分がセルロース)のほかに、セロハン、セルロースエステル;ポリビニルアルコール、ポリアミノ酸、ポリグリコール酸、プルランを混合した紙基材や、またはこれらの紙基材にアルミ、シリカ等の無機物を蒸着したもの等が挙げられる。紙の種類は、特に限定されず、カップ原紙、クラフト紙、上質紙、コート紙、薄葉紙、グラシン紙、板紙等が挙げられる。紙の種類は、本生分解性積層体の用途に応じて適宜選択することができる。紙には、必要に応じて、耐水剤、撥水剤、無機物等を添加してもよく、酸素バリア層コーティング、水蒸気バリアコーティング等の表面処理が施されたものであってもよい。また、基材層表面に、コロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、フレーム処理、アンカーコート処理、酸素バリア層コーティング、水蒸気バリアコーティング等の表面処理が施されたものであってもよく、これらの表面処理は、単独で行ってもよいし、複数の表面処理を併用してもよい。
前記紙基材(A)層の坪量は30g/m以上300g/m未満であることが好ましく、60g/m以上250g/m未満であることがより好ましく、90g/m以上200g/m未満であることがさらに好ましい。前記紙基材(A)層の坪量が30g/m未満である場合、紙基材の弾性が小さいために押出ラミネート加工された第2の熱可塑性樹脂(C)層の冷却ロールからの剥離性が悪化する場合があり、また300g/m以上である場合には生分解性積層体の総厚みが大きくなりすぎるためにラミネート加工時の搬送や巻取が困難になるだけでなく、その後の成形体への加工も困難になる場合がある。
前記紙基材(A)層の王研式透気抵抗度は10秒以上400秒未満であることが好ましく、30秒以上350秒未満であることがより好ましく、50秒以上300秒未満であることがさらに好ましい。王研式透気抵抗度は10秒未満であると紙としての強度が低く紙器等の成形体には向かない場合があるだけでなく、搬送時に強度が低く断紙してしまう恐れがある。400秒以上であると表面平滑性が高く、第1の熱可塑性樹脂(B)層との接着またはラミネート強度が不十分となる可能性がある。
[第1の熱可塑性樹脂(B)層]
本発明に係る第1の熱可塑性樹脂(B)層は、3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサのエートからなる共重合体(以下、「PHBH」、「ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)」と称することがある。)を50wt%以上含み、かつ3-ヒドロキシヘキサノエート成分の割合が10mol%以上30mol%未満である、低結晶性PHBH成分を少なくとも1種類以上を、全PHBHの合計重量に対して、50wt%以上含んでいる。第1の熱可塑性樹脂(B)としては、PHBHを単独で用いても良いし、副成分としては例えば、ポリ3-ヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバリレート)(PHB3HV)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-4-ヒドロキシブチレート)(PHB4HB)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシオクタノエート)(PHB3HO)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシオクタデカノエート)(PHB3HOD)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシデカノエート)(PHB3HD)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバリレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)(PHB3HV3HH)の他、本発明の効果を損なわない範囲であればポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル系樹脂や、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンアゼレートテレフタレート等の脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂等、P3HA以外の生分解性樹脂を1種または2種以上含んでいてもよい。また、前記第1の熱可塑性樹脂(B)には、本発明の効果を阻害しない範囲で、樹脂材料に通常添加される他の添加剤、例えば、無機充填剤、顔料、染料などの着色剤、活性炭、ゼオライト等の臭気吸収剤、バニリン、デキストリン等の香料、可塑剤、酸化防止剤、抗酸化剤、耐候性改良剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、滑剤、離型剤、撥水剤、抗菌剤、摺動性改良剤、その他の副次的添加剤を1種または2種以上添加してもよい。ただしこれらは任意の成分であり、前記第1の熱可塑性樹脂(B)はもちろん、これらの成分を含有しないものであってもよい。任意成分としては、前記第1の熱可塑性樹脂(B)のラミネートの際に冷却ロールなどの圧着面からの剥離性をさらに改善することができるという観点から、滑剤、無機充填剤の使用が好ましい。
前記滑剤としては、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の飽和または不飽和の脂肪酸アミドや、メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等のアルキレン脂肪酸アミド等の脂肪族アミド化合物やペンタエリスリトールなどが挙げられる。
前記第1の熱可塑性樹脂(B)における滑剤の配合量は、前記第1の熱可塑性樹脂(B)100重量部に対して0.1~2重量部であることが好ましく、0.2~1重量部がさらに好ましい。配合量を0.1重量部以上とすることにより、滑剤配合による剥離性改善効果を得ることができる。逆に配合量が2重量部を超えると、圧着時に滑剤がブリードして冷却ロール等の圧着面に付着し、長時間の連続加工が困難になる問題がある。
前記無機充填材としては、例えば、平均粒子径が0.5μm以上の、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、クレイ、カオリン、酸化チタン、アルミナ、ゼオライト等が挙げられる。
前記第1の熱可塑性樹脂(B)における無機充填剤の配合量は、前記第1の熱可塑性樹脂(B)100重量部に対して0.5~5重量部であることが好ましく、1~3重量部がさらに好ましい。配合量を0.5重量部以上とすることにより、無機充填剤配合による剥離性改善効果を得ることができる。逆に配合量が5重量部を超えると、前記第1の熱可塑性樹脂(B)層に割れが生じ易くなる場合がある。
PHBHは繰り返し単位の組成比を変えることで、融点、結晶化度を変化させ、結果として、ヤング率、耐熱性等の物性を容易に調整することができ、かつ、ポリプロピレンとポリエチレンとの間の物性を付与することが可能であることから、工業的に特に有用なプラスチックである。
PHBHの具体的な製造方法は、例えば、国際公開第2010/013483号に記載されている。また、PHBHの市販品としては、株式会社カネカ「カネカ生分解性ポリマーGreen Planet」(登録商標)などが挙げられる。
前記低結晶性PHBH中の3-ヒドロキシヘキサノエート(3HH)の割合は、3HH=10mol%以上30mol%未満であるが、3HB/3HH=15mol%以上20mol%以下であることがより好ましい。第1の熱可塑性樹脂(B)層に含まれる低結晶性PHBH中の3HHの割合が10mol%以上であると後述する高結晶性PHBHに比べて結晶化が十分遅いため、ラミネート後の生分解性積層体の反りを抑制することができる。また、3HHの割合が30mol%未満%であるPHBHは、結晶化速度が遅くなりすぎず、PHBHを含むペレット状のコンパウンドの製造が比較的容易である。3HHの割合は、低結晶性PHBHを構成する全モノマーに対する3HHのモノマー比率であり、当業者に公知の方法、例えば国際公開2013/147139号の段落[0047]に記載の方法やNMR測定することにより求めることができる。尚、低結晶性PHBHが複数含まれる場合は、低結晶性PHBHの全成分に含まれる構成モノマー全量に対する割合である。尚、低結晶性PHBHとその他のPHBH混合物の場合は、全PHBHの構成モノマー全量に対する3HH成分の比率を平均含有率と称する。
第1の熱可塑性樹脂(B)層に含まれる3HHの平均含有比率は、10mol%~30mol%が好ましく、15mol%~20mol%がより好ましい。3HHの平均含有比率が10~30モル%であるPHBHは、上述の通り、構成モノマーの含有割合が互いに異なる少なくとも2種類のPHBHを含むこと特に好ましく、少なくとも1種類のPHBHと、PHBを含むことも好ましい。
前記第1の熱可塑性樹脂(B)層に含まれるPHBHの樹脂温度を180℃になるように加熱融解させた後、10℃/分の速度で冷却したときの再結晶化温度(以下、「Tcc」と称することがある)は、50℃以上90℃未満であることが好ましく、60℃以上80℃未満であることがより好ましく、65℃以上75℃未満であることがさらに好ましい。前述のTccが50℃未満である場合、PHBHの粉体原料からペレットを作製する際の固化が遅すぎて良質なコンパウンドを製造することが難しく、90℃以上である場合、例えば押出ラミネート時の固化が早く、得られる生分解性積層体が反ってしまい発明の効果が得られにくくなる場合がある。
本発明における第1の熱可塑性樹脂(B)層に含まれるPHBHの重量平均分子量(以下、Mwと称することがある)は、紙基材(A)層へ接着性またはラミネート強度を良くする観点から10万以上75万未満であれば好ましく、20万以上65万未満がより好ましく、30万以上55万未満がさらに好ましい。なお、重量平均分子量が10万未満では、加温時の溶出物が多くなる可能性があり、食品容器としては使用できない場合があるだけでなく、押出加工時にも分解物の寄与が大きくなり、紙基材(A)層とのラミネート強度が低下する可能性がある。また75万を超えると、溶融粘度が高くなるために、紙基材(A)への接着性またはラミネート強度が低下する場合がある。なお、本願において、PHBHの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(昭和電工社製「Shodex GPC-101」)によって、カラムにポリスチレンゲル(昭和電工社製「Shodex K-804」)を用い、クロロホルムを移動相とし、ポリスチレン換算した場合の分子量として求めることができる。
本発明の一実施形態において、第1の熱可塑性樹脂(B)層には重量平均分子量の異なる複数種のPHBHを混合して用いることが出来る。
尚、複数種のPHBHを混合して用いる場合、あるいは、他の樹脂成分を混合する場合における、第1の熱可塑性樹脂(B)層の樹脂成分の重量平均分子量とは、PHBH成分全体の重量平均分子量を指す。
[第2の熱可塑性樹脂(C)層]
本発明に係る第2の熱可塑性樹脂(C)層に含まれる高結晶性PHBH中の3HHモノマーの割合は、2mol%以上8mol%未満であるが、4mol以上6mol%未満(モル%/モル%)であることが好ましい。第2の熱可塑性樹脂(C)層に含まれる高結晶性PHBH中の3HHの割合が2モル%以上であると分解温度と融点との間に十分な温度を担保することができ、PHBHの熱分解を抑制しつつ、容易に押出加工する事ができる。また、3HHの平均含有比率が8モル%未満であると、結晶化が十分に速く、ラミネート後の冷却ロールからの剥離性に優れる。また、第2の熱可塑性樹脂(C)層は前述の高結晶性PHBH成分を少なくとも1種類以上含み、かつPHBH成分全体に含まれる高結晶性PHBH成分全体の割合が50wt%以上90wt%未満であれば特に制限されず、またPHBH以外の副成分としては前記第1の熱可塑性樹脂(B)層と同様のものを用いることができる。
[接着性樹脂(D)]
本発明における接着性樹脂(D)層に含有される樹脂成分としては、塗工紙分野または樹脂フィルム分野で一般的に使用されているものであれば特に限定されないが、紙基材およびPHBHとの親和性が高いものが少なくとも1種類以上含まれていることが望ましく、エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン-アクリル系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、スチレン-イソプレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、尿素樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ウレタン系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、イミン系樹脂などを挙げることができる。これらは1種類で用いることもできるし、必要に応じて2種類以上の樹脂を任意の割合で混合して用いることもできる。
また各々の樹脂は水溶性のものであっても有機溶媒に溶けるものであってもよいが、例えば水に不溶の樹脂である場合、水中での分散性と塗工性を改良するために他の添加剤を加えることもできる。水系の分散エマルジョンまたは分散スラリーまたは水溶性樹脂をコーティングする場合、樹脂の固形分濃度は特に制限されないが、乾燥に必要な熱量を低く抑えるために30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。また、分散した樹脂の沈降によって塗工性に悪影響が出る場合があることから、60%以下であることが好ましい。
〔積層体の製造方法〕
本発明に係る積層体の製造方法は、紙基材(A)層と、その片面に3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を主成分とする第1の熱可塑性樹脂(B)層と、3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を主成分とする第2の熱可塑性樹脂(C)層とがこの順序で積層される方法であれば特に限定されないが、カップ成形時のヒートシール性を良くするという観点から、紙基材(A)層の、第1の熱可塑性樹脂(B)層と第2の熱可塑性樹脂(C)層が積層した面の裏面に接着性樹脂(D)層を積層する工程を含むことが好ましい。このとき接着性樹脂(D)層は、紙基材(A)層の上に第1の熱可塑性樹脂(B)層と第2の熱可塑性樹脂(C)層とが積層された後にもう一方の面に積層しても良いし、予め、紙基材(A)層の片面に積層した後、引き続きもう一方の面に第1の熱可塑性樹脂(B)層と第2の熱可塑性樹脂(C)層を積層しても良い。
尚、本発明に係る溶液や水性分散液を基材に塗布する方法は、実質的に基材上に所望のコーティング層が形成されれば特に制限されない。例えば、吹付法、散布法、スリットコーター法、エアーナイフコーター法、ロールコーター法、バーコーター法、コンマコーター法、ブレードコーター法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法等の公知の方法を、単独でまたは組み合わせて使用することができる。溶液あるいは水分散液を塗布する前に、基材に対し、上述したコロナ処理等の表面処理を施す工程を実施してもよい。
乾燥時の加熱処理は、公知の加熱方式を用いて実施することができ、例えば、熱風加熱、赤外線加熱、マイクロウェーブ加熱、ロール加熱、熱板加熱などが挙げられ、これらは単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
紙基材(A)層と第1の熱可塑性樹脂(B)層、あるいは第1の熱可塑性樹脂(B)層と第2の熱可塑性樹脂(C)層との間のラミネート強度を高くするという観点から、第1の熱可塑性樹脂(B)層と第2の熱可塑性樹脂(C)層の少なくともいずれか一方が押出ラミネート法によって形成されることが好ましい。また、第1の熱可塑性樹脂(B)層と第2の熱可塑性樹脂(C)層との間のラミネート強度をさらに高くしつつ、得られる生分解性積層体のTD方向の反りを抑制するという観点からは、紙基材(A)層上に、第1の熱可塑性樹脂(B)層と第2の熱可塑性樹脂(C)層が共押出ラミネート法によって同時に形成されることが好ましい。また、溶融押出加工と接着加工とを別工程で行うことで、任意の構成からなる生分解性積層体を作りやすくなるという観点から、第1の熱可塑性樹脂(B)層をコーティング法あるいは押出ラミネート法によって紙基材(A)層上に形成した後、第2の熱可塑性樹脂(C)層を熱ラミネート法によって形成されることも好ましい。尚、第1の熱可塑性樹脂(B)層が形成された紙基材(A)との接着性を改善するなどの目的で、コーティング層または押出ラミネート層の表面に対してコロナ処理等を行うこともできる。
第1の熱可塑性樹脂(B)層の平均厚み(tB)は5μm以上であることが好ましい。tBが5μm未満である場合、第2の熱可塑性樹脂(C)層の結晶化に伴い発生するTD方向の反りを十分に緩衝することができず、生分解性積層体全体の反りを抑制できない場合がある。
第2の熱可塑性樹脂(C)層の平均厚み(tC)は5μm以上であることが好ましい。tCが5μm未満である場合、カップ成形時に曲げ加工などをしたときに樹脂層にクラックが発生する恐れがある。
第1の熱可塑性樹脂(B)層の平均厚み(tB)と第2の熱可塑性樹脂(C)層の平均厚み(tC)の総和(tB+tC)は、10μm以上100μm未満であり、さらにtCをtBで除した値(tC/tB)が1以上10未満であることが好ましい。tB+tCが100μm以上であると、紙基材(A)に反りが発生してしまい、カップなどの成形体の成形性が悪化する場合がある。
尚、第1の熱可塑性樹脂(B)層、第2の熱可塑性樹脂(C)層の平均厚みは、下記(a)~(d)を同時に満たすことがより好ましい。
(a)前記第1の熱可塑性樹脂(B)層の平均厚み(tB)が5μm以上
(b)前記第2の熱可塑性樹脂(C)層の平均厚み(tC)が5μm以上
(c)tBとtCの総和が10μm以上100μm未満
(d)tCをtBで除した値が1以上10未満
〔成形体〕
本発明の一実施形態に係る成形体(以下、「本成形体」と称することがある。)は、本発明の生分解性積層体(以下、「本積層体」と称することがある。)を含む。本成形体は、PHBHを含むラミネート層の表面状態が良好である積層体から形成されているため、種々の用途において有利である。
本成形体は、本積層体を含むものであれば特に限定されないが、例えば、紙、フィルム、シート、チューブ、板、棒、容器(例えば、ボトル容器)、袋、部品等が挙げられる。本成形体は、海洋汚染の対策の観点から、好ましくは、袋またはボトル容器である。
本発明の一実施形態において、本成形体は、本積層体それ自体であってもよいし、本積層体を用いた2次加工されたものであってもよい。
本積層体が2次加工されていることにより、それを含む本成形体は、ショッピングバッグ、各種製袋、食品・菓子包装材、カップ、トレー、カートン等の各種包装容器資材として(換言すれば、食品、化粧品、電子、医療、薬品等の各種分野で)、好適に利用することができる。本積層体は、基材への高い接着性および良好な耐熱性を有する樹脂組成物を含むために、液体を入れる容器、特に、即席麺、即席スープ、コーヒー等の飲食品カップ、総菜、弁当、電子レンジ食品等に用いるトレー等、温かい内容物を入れる容器として、より好ましい。
上記の各種2次加工は、従来の樹脂ラミネート紙またはコート紙と同じ方法、すなわち、各種製袋機、充填包装機等を用いて行うことができる。また、紙カップ成型機、打抜き機、函機等の装置を用いて加工することもできる。これらの加工機において、本生分解性積層体の接着方法は公知の技術を使用することができ、例えば、ヒートシール法、インパルスシール法、超音波シール法、高周波シール法、ホットエアシール法、フレームシール法等が使用できる。
本積層体のヒートシール温度は、接着法により異なるが、例えば、本積層体のヒートシール温度は、シールバーを有する加熱式ヒートシール試験機を使用した場合、通常は樹脂温度が180℃以下、好ましくは170℃以下、より好ましくは160℃以下となるように設定する。上記範囲内であると、シール部近傍の樹脂の溶け出しを回避し、適当な樹脂層の膜厚の確保およびシール強度の確保を行うことができる。また、シールバーを有する加熱式ヒートシール試験機を使用した場合の下限値は、通常は100℃以上、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上である。上記範囲内であると、シール部における適当な接着を確保することができる。
本積層体のヒートシール圧力は、接着法により異なるが、例えば本積層体のヒートシール圧力は、シールバーを有する加熱式ヒートシール試験機を使用した場合、通常は0.1MPa以上、好ましくは0.5MPa以上である。上記範囲内であると、シール部における適当な接着を確保することができる。また、シールバーを有する加熱式ヒートシール試験機を使用した場合の上限値は、通常は1.0MPa以下、好ましくは0.75MPa以下である。上記範囲内であると、シール端部の膜厚の薄肉化を回避し、シール強度を確保することができる。
また、本成形体は、その物性を改善するために、本成形体とは異なる材料から構成される成形体(例えば、繊維、糸、ロープ、織物、編物、不織布、紙、フィルム、シート、チューブ、板、棒、容器、袋、部品、発泡体等)と複合化することもできる。これらの材料も、生分解性であることが好ましい。
以下の各項目では、本開示における好ましい態様を列挙するが、本発明は以下の項目に限定されるものではない。
[項目1] 紙基材(A)層と、その片面に3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を主成分とする第1の熱可塑性樹脂(B)層と、3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を主成分とする第2の熱可塑性樹脂(C)層とがこの順序で積層してなる生分解性積層体であって、第1の熱可塑性樹脂(B)と第2の熱可塑性樹脂(C)は下記要件1~2を同時に満たす、生分解性積層体。
(要件1)第1の熱可塑性樹脂(B)は3-ヒドロキシヘキサノエート成分の割合が10mol%以上30mol%未満である、低結晶性PHBH成分を少なくとも1種類以上含み、かつ第1の熱可塑性樹脂(B)層を構成するPHBH成分全量に対する低結晶性PHBH成分の割合が50wt%以上である。
(要件2)第2の熱可塑性樹脂(C)は3-ヒドロキシヘキサノエート成分の割合が2mol%以上8mol%未満である、高結晶性PHBH成分を少なくとも1種類以上含み、かつ第2の熱可塑性樹脂(C)層を構成するPHBH成分全量に対する高結晶性PHBH成分の割合が50wt%以上90%未満である
[項目2]
第1の熱可塑性樹脂(B)層に含まれる3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体の樹脂温度が180℃になるように加熱融解させた後、10℃/分の速度で冷却したときの再結晶化温度が、50℃以上90℃未満である、項目1に記載の生分解性積層体。
[項目3]
下記(a)~(d)を同時に満たす、項目1~3のいずれかに記載の生分解性積層体。
(a)前記第1の熱可塑性樹脂(B)層の平均厚み(tB)が5μm以上である
(b)前記第2の熱可塑性樹脂(C)層の平均厚み(tC)が5μm以上である
(c)tBとtCの総和が10μm以上100μm未満である
(d)tCをtBで除した値が1以上10未満である
[項目4]
紙基材(A)層の坪量が30g/m以上300g/m未満である、項目1~3のいずれかに記載の生分解性積層体。
[項目5]
紙基材(A)層の王研式透気抵抗度が10秒以上400秒未満である、項目1~4のいずれかに記載の生分解性積層体。
[項目6]
項目1~5のいずれかに記載の生分解性積層体の製造方法であって、前記紙基材(A)層上に、前記第1の熱可塑性樹脂(B)層と前記第2の熱可塑性樹脂(C)層が共押出ラミネート法によって同時に形成される、生分解性積層体の製造方法。
[項目7]
項目1~5のいずれかに記載の生分解性積層体を含む、成形体。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によりその技術的範囲を限定されるものではない。
〔製造例〕
(PHBHを主成分とする樹脂パウダーの製造方法)
実施例および比較例で使用したPHBH粉体はいずれも国際公開公報WO2019-142845に記載の方法に準拠して製造した。具体的な処方を以下に示す。
PHBHパウダー1:重量平均分子量40万、PHBH中の3HBと3HHの合計に対する3HHの割合が11モル%である低結晶性PHBHパウダー
PHBHパウダー2:重量平均分子量40万、PHBH中の3HBと3HHの合計に対する3HHの割合が16モル%である低結晶性PHBHパウダー
PHBHパウダー3:重量平均分子量40万、PHBH中の3HBと3HHの合計に対する3HHの割合が1.5モル%である高結晶性PHBHパウダー
PHBHパウダー4:重量平均分子量40万、PHBH中の3HBと3HHの合計に対する3HHの割合が3モル%である高結晶性PHBHパウダー
PHBHパウダー5:重量平均分子量40万、PHBH中の3HBと3HHの合計に対する3HHの割合が6モル%である高結晶性PHBHパウダー
(PHBHを主成分とする樹脂ペレットの製造方法)
実施例および比較例で使用したPHBHペレットを各PHBHパウダー、添加剤を表1に示した配合量でブレンドし製造した。以下に、具体的な製造方法を示す。
PHBHペレット1:上記低結晶性PHBHパウダー1(100重量部)に対し、ベヘン酸アミド(0.5重量部)をドライブレンドし、2軸押出機を用いて、設定温度150℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練してストランド状に押出し、40℃の温水に通して固化させてペレット状にカットした。示差熱分析法によりTccを求めたところ、71℃であった。
PHBHペレット2:上記低結晶性PHBHパウダー2(100重量部)に対し、ベヘン酸アミド(0.5重量部)をドライブレンドし、2軸押出機を用いて、設定温度150℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練してストランド状に押出し、40℃の温水に通して固化させてペレット状にカットした。示差熱分析法によりTccを求めたところ、60℃であった。
PHBHペレット3:上記低結晶性PHBHパウダー1(75重量部)に対し、上記高結晶性PHBHパウダー5(25重量部)、ベヘン酸アミド(0.5重量部)をドライブレンドし、2軸押出機を用いて、設定温度150℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練してストランド状に押出し、40℃の温水に通して固化させてペレット状にカットした。示差熱分析法によりTccを求めたところ、85℃であった。
PHBHペレット4:上記低結晶性PHBHパウダー1(25重量部)に対し、上記高結晶性PHBHパウダー5(75重量部)、ベヘン酸アミド(0.5重量部)をドライブレンドし、2軸押出機を用いて、設定温度150℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練してストランド状に押出し、40℃の温水に通して固化させてペレット状にカットした。示差熱分析法によりTccを求めたところ、95℃であった。
PHBHペレット5:上記低結晶性PHBHパウダー1(40重量部)に対し、上記高結晶性PHBHパウダー5(60重量部)ベヘン酸アミド(0.5重量部)をドライブレンドし、2軸押出機を用いて、設定温度150℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練してストランド状に押出し、40℃の温水に通して固化させてペレット状にカットした。示差熱分析法によりTccを求めたところ、105℃であった。
PHBHペレット6:上記低結晶性PHBHパウダー1(20重量部)に対し、上記高結晶性PHBHパウダー5(80重量部)ベヘン酸アミド(0.5重量部)をドライブレンドし、2軸押出機を用いて、設定温度150℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練してストランド状に押出し、40℃の温水に通して固化させてペレット状にカットした。
PHBHペレット7:上記低結晶性PHBHパウダー1(40重量部)に対し、上記高結晶性PHBHパウダー4(60重量部)ベヘン酸アミド(0.5重量部)をドライブレンドし、2軸押出機を用いて、設定温度150℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練してストランド状に押出し、40℃の温水に通して固化させてペレット状にカットした。
PHBHペレット8:上記低結晶性PHBHパウダー1(40重量部)に対し、上記高結晶性PHBHパウダー3(60重量部)ベヘン酸アミド(0.5重量部)をドライブレンドし、2軸押出機を用いて、設定温度150℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練してストランド状に押出し、40℃の温水に通して固化させてペレット状にカットした。
<共押出ラミネート法による積層体の製造>
(実施例1)
PHBHペレット1とPHBHペレット5について、2層式T型ダイスを装着した単軸押出機を用いて、ダイス直下の樹脂温度がそれぞれ175℃になるように条件を調整して押出し、坪量200g/m、王研式平滑度が35秒の紙基材(A)の表面に対し、紙基材(A)層、PHBHペレット1からなる第一の熱可塑性樹脂(B)層、PHBHペレット5からなる第二の熱可塑性樹脂(C)層とがこの順序となるように積層された積層体(S)を得た。このとき、第一の熱可塑性樹脂(B)層の厚さは10μm、第二の熱可塑性樹脂(C)層の厚さは30μmとした。得られた生分解性積層体の構成を表2に示した。
(実施例2)
第二の熱可塑性樹脂(C)層の厚さが60μmとなるように調整した以外は実施例1に記載の方法と同様にして、生分解性積層体を得た。得られた生分解性積層体の構成を表2に示した。
(実施例3)
第二の熱可塑性樹脂(C)層の厚さが90μmとなるように調整した以外は実施例1に記載の方法と同様にして、生分解性積層体を得た。得られた生分解性積層体の構成を表2に示した。
(実施例4)
PHBHペレット1に代わってPHBHペレット3を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして、生分解性積層体を得た。得られた生分解性積層体の構成を表2に示した。
(実施例5)
第一の熱可塑性樹脂(B)層の厚さが5μmとなるように調整した以外は実施例1に記載の方法と同様にして、生分解性積層体を得た。得られた生分解性積層体の構成を表2に示した。
(実施例6)
第一の熱可塑性樹脂(B)層の厚さが20μmとなるように調整した以外は実施例1に記載の方法と同様にして、生分解性積層体を得た。得られた生分解性積層体の構成を表2に示した。
(実施例7)
第一の熱可塑性樹脂(B)層の厚さが20μm、第二の熱可塑性樹脂(C)層の厚さが60μmとなるように調整した以外は実施例1に記載の方法と同様にして、生分解性積層体を得た。得られた生分解性積層体の構成を表2に示した。
(実施例8)
PHBHペレット1に代わってPHBHペレット2を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして、生分解性積層体を得た。得られた生分解性積層体の構成を表2に示した。
(実施例9)
PHBHペレット5に代わってPHBHペレット6を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして、生分解性積層体を得た。得られた生分解性積層体の構成を表2に示した。
(実施例10)
PHBHペレット5に代わってPHBHペレット7を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして、生分解性積層体を得た。得られた生分解性積層体の構成を表2に示した。
(実施例11)
王研式平滑度が200秒の紙基材(A)を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして、生分解性積層体を得た。得られた生分解性積層体の構成を表2に示した。
(実施例12)
坪量が50g/mの紙基材(A)を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして、生分解性積層体を得た。得られた生分解性積層体の構成を表2に示した。
(比較例1)
第1の熱可塑性樹脂(B)層としてPHBHペレット4を用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、生分解性積層体を得た。得られた生分解性積層体の構成を表2に示した。
(比較例2)
第1の熱可塑性樹脂(B)層としてPHBHペレット5を用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、生分解性積層体を得た。得られた生分解性積層体の構成を表2に示した。
(比較例3)
第2の熱可塑性樹脂(C)層としてPHBHペレット3を用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、生分解性積層体を得た。得られた生分解性積層体の構成を表2に示した。
(比較例4)
第2の熱可塑性樹脂(C)層としてPHBHペレット8を用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、生分解性積層体を得た。得られた生分解性積層体の構成を表2に示した。
(比較例5)
第2の熱可塑性樹脂(C)層としてPHBHペレット1を用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、生分解性積層体を得た。得られた生分解性積層体の構成を表2に示した。
〔評価方法〕
実施例および比較例において得られた生分解性積層体についてラミネート強度、冷却ロール剥離性評価、TD方向の反り評価および、耐屈曲性評価を行い、結果を表3に示した。尚、評価は、以下の方法で行った。
(ラミネート強度の評価)
ラミネート強度の評価として、紙基材(A)とラミネートされた樹脂との接着(ピール強度)を評価した。
ラミネート強度試験は、押出ラミネートを行った翌日以降に行った。具体的には、押出ラミネート加工された熱可塑性樹脂面にカッターの刃で薄くクロスカットをいれ、切込みの部分にニチバンNo.CT-17のテープをしっかりと貼り合わせた後、軽く手で剥がしてきっかけを入れた。その後、幅15mmになるように調整して切り出し、剥がれたラミネート層と紙とをそれぞれ180°の角度となるように冶具で掴み、ピール強度試験を行った。引張速度は200mm/分で行った。ピール試験機は、島津オートグラフ EZ-LX(株式会社島津製作所製)を用いた。
<評価基準>
◎:3.5N/15mm以上
〇:2.5N/15mm以上3.5N/15mm未満
△:1.5N/15mm以上2.5N/15mm未満
×:1.5N/15mm未満
上記評価結果が◎または○または△であれば、十分なラミネート強度がある。
(冷却ロール剥離性の評価)
ラミネート加工速度が20m/分、冷却ロールの温度が40℃となるように調整した後、押出ラミネート機の冷却ロールからのラミネート面の剥離性を目視で評価した。
<評価基準>
◎:ラミネート面が冷却ロールに貼り付くことなく、スムーズに引き取りされている
〇:ラミネート面が冷却ロールに貼り付きかけているが、スムーズに引き取りされている
△:ラミネート面が冷却ロールに貼り付きかけているが、問題なく引き取りされている
×:ラミネート面が冷却ロールに貼り付き、正常に引き取りができない
上記評価結果が◎または○または△であれば、十分な冷却ロール剥離性がある。
(TD方向の反りの評価)
生分解性積層体の作製を行った翌日以降にTD方向の反りの評価を行った。具体的には、生分解性積層体のTD方向の長さが300mm、MD方向の長さが100mmの矩形になるようにはさみで切り出し、紙基材(A)層が下向きになるように平らな机の上に置いた後、TD方向に反った端部と平らな机との距離を測定した。
<評価基準>
◎:TD方向の端部と平らな机との距離が1mm未満である
〇:TD方向の端部と平らな机との距離が1mm以上5mm未満である
△:TD方向の端部と平らな机との距離が5mm以上10mm未満である
×:TD方向の端部と平らな机との距離が10mm以上である
前記評価結果が◎または○または△である場合は、TD方向の反りが抑制されていると言える。
(屈曲耐性の評価)
生分解性積層体の作製を行った翌日以降に屈曲耐性の評価を行った。具体的には、生分解性積層体のPHBHフィルム面が外向きとなるように90°の角度に折り曲げた後、屈曲部を走査型電子顕微鏡で500倍にて観察し、樹脂表面に筋状のクラックが発生しているか確認を行った。また屈曲部に対し、固形分濃度が10%となるように調整された食紅水を塗布して1分間静置した後、布地で拭き取り、屈曲部が紅色に染色したかどうか確認を行った。
<評価基準>
◎:筋状のクラックがなく、食紅水による染色も見られない
〇:筋状のクラックは少しあるが、食紅水の染色は見られない
△:筋状のクラックははっきりとあるが、食紅水の染色は見られない
×:筋状のクラックがあり、食紅水の染色も見られる
前記評価結果が◎または○または△である場合は、屈曲耐性が良好であると言える。
<結果>
表1および表2より、実施例では紙基材(A)層と第1の熱可塑性樹脂(B)層との間に十分なラミネート強度があり、冷却ロールからの剥離性に優れ、TD方向の反りが抑制されており、また曲げ加工に耐えるだけの高い機械強度を持つ生分解性積層体が得られていることがわかる。
一方、比較例では紙基材(A)層と第1の熱可塑性樹脂(B)層との間の十分なラミネート強度と、冷却ロールからの剥離性と、TD方向の反りの抑制と、また曲げ加工に耐えるだけの高い機械強度を兼ね備えることができない。したがって、本発明によれば、紙基材(A)層と、その片面に3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を主成分とする第1の熱可塑性樹脂(B)層と、3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を主成分とする第2の熱可塑性樹脂(C)層がこの順序で積層した生分解性積層体において、紙基材(A)層と第1の熱可塑性樹脂(B)層との間に十分なラミネート強度があり、冷却ロールからの剥離性に優れ、TD方向の反りが抑制されており、また曲げ加工に耐えるだけの高い機械強度を持つ生分解性積層体およびその製造方法を提供することができる。
1 生分解性積層体
2.紙基材(A)層
3.第1の熱可塑性樹脂(B)層
4.第2の熱可塑性樹脂(C)層








Claims (7)

  1. 紙基材(A)層と、その片面に3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を主成分とする第1の熱可塑性樹脂(B)層と、3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体を主成分とする第2の熱可塑性樹脂(C)層とがこの順序で積層してなる生分解性積層体であって、第1の熱可塑性樹脂(B)層と第2の熱可塑性樹脂(C)層は下記要件1および2を同時に満たす、生分解性積層体。
    (要件1)第1の熱可塑性樹脂(B)層は3-ヒドロキシヘキサノエート成分の割合が10mol%以上30mol%未満である、低結晶性PHBH成分を少なくとも1種類以上含み、かつ第1の熱可塑性樹脂(B)層を構成するPHBH成分全量に対する低結晶性PHBH成分の割合が50wt%以上である。
    (要件2)第2の熱可塑性樹脂(C)層は3-ヒドロキシヘキサノエート成分の割合が2mol%以上8mol%未満である、高結晶性PHBH成分を少なくとも1種類以上含み、かつ第2の熱可塑性樹脂(C)層を構成するPHBH成分全量に対する高結晶性PHBH成分の割合が50wt%以上90%未満である
  2. 第1の熱可塑性樹脂(B)層に含まれる3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体の樹脂温度が180℃になるように加熱融解させた後、10℃/分の速度で冷却したときの再結晶化温度が、50℃以上90℃未満である、請求項1に記載の生分解性積層体。
  3. 下記(a)~(d)を同時に満たす、請求項1または2に記載の生分解性積層体。
    (a)前記第1の熱可塑性樹脂(B)層の平均厚み(tB)が5μm以上である
    (b)前記第2の熱可塑性樹脂(C)層の平均厚み(tC)が5μm以上である
    (c)tBとtCの総和が10μm以上100μm未満である
    (d)tCをtBで除した値が1以上10未満である
  4. 紙基材(A)層の坪量が30g/m以上300g/m未満である、請求項1または2に記載の生分解性積層体。
  5. 紙基材(A)層の王研式透気抵抗度が10秒以上400秒未満である、請求項1または2に記載の生分解性積層体。
  6. 請求項1または2に記載の生分解性積層体の製造方法であって、前記紙基材(A)層上に、前記第1の熱可塑性樹脂(B)層と前記第2の熱可塑性樹脂(C)層が共押出ラミネート法によって同時に形成される、生分解性積層体の製造方法。
  7. 請求項1または2に記載の生分解性積層体を含む、成形体。
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