JP2024002939A - 細胞培養容器用シーラントフィルム - Google Patents

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正直 折原
Masanao Orihara
正道 大山
Masamichi Oyama
俊輔 江浪
Shunsuke Enami
美紀 木村
Yoshinori Kimura
博紀 多田
Hironori Tada
芳綱 村田
Yoshitsuna Murata
健二郎 黒田
Kenjiro Kuroda
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Okura Industrial Co Ltd
Toppan Holdings Inc
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Abstract

【課題】撥水性に優れるとともに、ヒートシール性に優れる細胞培養容器用シーラントフィルムを提供する。【解決手段】本発明の一態様に係る細胞培養容器用シーラントフィルムは、全重量を基準とすると、エチレン共重合体(a-1)およびエチレン共重合体(a-2)を主成分とする、細胞培養容器用シーラントフィルムであって;エチレン共重合体(a-1)は、密度が、0.890~0.915g/cm3、且つ結晶化エネルギーが30~100mJ/mgであり;エチレン共重合体(a-2)は、密度が、0.940~0.970g/cm3、且つMFRが0.4~10g/10minであり;エチレン共重合体(a-1)と上記エチレン共重合体(a-2)との組成比は、(99重量%:1重量%)~(40重量%:60重量%)である。【選択図】なし

Description

本発明は、細胞培養容器用シーラントフィルムに関する。
近年、ワクチンなどの医薬品の生産や、遺伝子治療、再生医療、免疫療法などの分野において、細胞、組織、微生物などを人工的な環境下で効率良く、大量に培養することが求められている。細胞を大量に培養する場合には、軟包材からなる袋状の培養容器を用いると、容量の大きい培養容器を容易に製造可能であるため有益である。リンパ球や樹状細胞など培地中に浮遊させて培養が行われる浮遊性細胞を培養する場合、細胞が培養容器の培養部(内面)に接触しないように培養部が疎水性であることが望ましい。このため、浮遊性細胞の浮遊培養に用いる容器の内面には、表面に細胞が接着しないように、特殊なフィルムが用いられている。例えば、特許文献1は、細胞培養用袋状容器を開示しており、当該容器の細胞培養液と接する表面は、撥水剤および熱可塑性樹脂を含んでなる撥水材料からなる。特許文献2は、培養容器の製造方法を開示しており、当該容器は、コーティング剤として細胞低接着性ポリマーを塗工した表面を培養面とする。
特開2018-143180号公報 特開2020-137438号公報
しかしながら、上述のような従来技術は、フィルムのヒートシール性が悪化する懸念があり、シール不良により培養細胞や培地が漏れる恐れがあった。
本発明の一態様は、撥水性(水接触角及び水切り角度)に優れるとともに、ヒートシール性に優れる細胞培養容器用シーラントフィルムを提供することを目的とする。
本発明は、下記の態様を含んでいる。
<1>
全重量を基準とすると、エチレン共重合体(a-1)およびエチレン共重合体(a-2)を主成分とする細胞培養容器用シーラントフィルムであって、
上記エチレン共重合体(a-1)は、密度が0.890~0.915g/cm、且つ結晶化エネルギーが30~100mJ/mgであり、
上記エチレン共重合体(a-2)の密度は、0.940~0.970g/cm、且つMFRが0.4~10g/10minであり、
上記エチレン共重合体(a-1)と上記エチレン共重合体(a-2)との組成比は、(99重量%:1重量%)~(40重量%:60重量%)であることを特徴とする、シーラントフィルム。
<2>
エタノールに10秒間浸漬した前後における水接触角の変化率が、4.5%以下であることを特徴とする、<1>に記載のシーラントフィルム。
<3>
上記シーラントフィルムの水切り角度は、13度以下であることを特徴とする、<1>または<2>に記載のシーラントフィルム。
<4>
上記シーラントフィルムの水接触角は、100度以上であることを特徴とする、<1>~<3>のいずれかに記載のシーラントフィルム。
<5>
上記シーラントフィルムのヒートシール強度は、15N/15mm以上であることを特徴とする、<1>~<4>のいずれかに記載のシーラントフィルム。
<6>
上記シーラントフィルムの内部ヘーズは、10%以下であることを特徴とする、<1>~<5>のいずれかに記載のシーラントフィルム。
<7>
上記シーラントフィルムは、ASTM F392-93に準拠して屈曲試験を500回行った後に生じるピンホールの数が5個以下であることを特徴とする、<1>~<6>のいずれかに記載のシーラントフィルム。
<8>
上記エチレン共重合体(a-1)と上記エチレン共重合体(a-2)との組成比は、(97重量%:3重量%)~(50重量%:50重量%)であることを特徴とする、<1>~<7>のいずれかに記載のシーラントフィルム。
<9>
上記シーラントフィルムは、細胞培養液との接触面として用いられることを特徴とする、<11>~<8>のいずれかに記載のシーラントフィルム。
<10>
<1>~<9>のいずれかに記載のシーラントフィルムと、他の樹脂層とが積層されていることを特徴とする、細胞培養容器用積層フィルム。
<11>
<10>に記載の積層フィルムを含んでいることを特徴とする、細胞培養用バッグ。
<12>
<1>~<9>のいずれかに記載のシーラントフィルムと、第1接着層と、バリア層と、第2接着層と、外層とがこの順で積層されていることを特徴とする、細胞培養容器用積層フィルム。
<13>
<12>に記載の積層フィルムを含んでいることを特徴とする、細胞培養用バッグ。
本発明の一態様によれば、撥水性(水接触角及び水切り角度)に優れるとともに、ヒートシール性に優れる細胞培養容器用シーラントフィルムが提供される。また、上記シーラントフィルムを用いた細胞培養用バッグは、培養細胞の剥離性向上や、細胞培養用バッグ内の培養細胞や細胞培養液などの回収性向上などの効果が得られる。
実施例で採用したヒートシール強度の測定方法で使用する試験片の作製手順を表す模式図である。 実施例で採用したヒートシール強度の測定方法を表す模式図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変更が可能である。異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組合せた実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
本明細書において、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。
〔1.シーラントフィルム〕
本発明の一態様に係る細胞培養容器用シーラントフィルムは、エチレン共重合体(a-1)およびエチレン共重合体(a-2)を主成分としている。本明細書において、「主成分とする」とは、シーラントフィルムを構成する成分のうち、構成比率が50重量%以上であることを意味する。エチレン共重合体(a-1)およびエチレン共重合体(a-2)が占める割合は、60重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、95重量%以上が特に好ましい。一実施形態において、シーラントフィルムは、エチレン共重合体(a-1)およびエチレン共重合体(a-2)のみからなる。
[1.1.エチレン共重合体(a-1)および(a-2)]
エチレン共重合体(a-1)は、エチレンに基づく構成単位とα-オレフィンに基づく構成単位とが共重合された重合体である。エチレン共重合体(a-1)において、エチレンに基づく構成単位の含有量は、全重量(100重量%)に対して50重量%以上である。α-オレフィンの例としては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどが挙げられる。製膜の安定性の観点からは、1-ヘキセンおよび1-オクテンからなる群より選択される1つ以上が望ましい。エチレン共重合体(a-1)の例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)などが挙げられる。エチレン共重合体(a-1)として、1種類のポリマーのみを用いてもよいし、2種類以上のポリマーを組合せて用いてもよい。
エチレン共重合体(a-1)の密度の下限は、0.890g/cm以上であり、0.895g/cm以上が好ましく、0.900g/cm以上がより好ましい。エチレン共重合体(a-1)の密度の上限は、0.915g/cm以下であり、0.910g/cm以下が好ましく、0.905g/cm以下がより好ましい。密度が上記範囲のエチレン共重合体(a-1)は、透明性、柔軟性、機械的強度(引張破断強度、引張弾性率、伸び、引裂荷重、ヒートシール部の耐衝撃性)に優れるとともに、ヒートシール性に優れる。なお、エチレン共重合体(a-1)の密度の測定は、ASTM-D792に基づく。
エチレン共重重合体(a-1)の結晶化エネルギーの下限は、30mJ/mg以上であり、40mJ/mg以上が好ましく、50mJ/mg以上がより好ましく、60mJ/mg以上がさらに好ましい。エチレン共重重合体(a-1)の結晶化エネルギーの上限は100mJ/mg以下であり、95mJ/mg以下が好ましく、90mJ/mg以下がより好ましく、85mJ/mg以下がさらに好ましい。結晶化エネルギーが上記範囲のエチレン共重合体(a-1)は、透明性、柔軟性、機械的強度、ヒートシール性に優れるとともに、撥水性(特に、水切り角度)に優れる。
エチレン共重合体(a-1)の結晶化温度の下限は、80℃以上であることが好ましく、82℃以上であることがより好ましく、85℃以上であることがさらに好ましい。エチレン共重合体(a-1)の結晶化温度の上限は、100℃以下であることが好ましく、95℃以下であることがより好ましく、90℃以下であることがさらに好ましい。結晶化温度が上記範囲のエチレン共重合体(a-1)は、透明性、柔軟性、機械的強度に優れるとともに、ヒートシール性に優れる。
結晶化温度の測定は、JIS K7121-1987に準拠すればよく、結晶化エネルギーの測定は、JIS K7122-1987に準拠すればよい。なお、本発明においては、測定するサンプルを約10mg秤量し、アルミニウム製パン、パンカバーを用いて封入し、示差走査熱量計(X-DSC7000、日立ハイテクサイエンス社製)によって測定した。測定においては、窒素雰囲気中で10℃/minの昇温速度で220℃まで昇温(1st)し、5分間保持した後、10℃/minの降温速度で30℃まで冷却し、10℃/minで降温したときに観察される結晶化に由来するピークから結晶化温度及び結晶化エネルギーを算出した。
エチレン共重合体(a-2)は、エチレン単独重合体であるか、または、エチレンに基づく構成単位とα-オレフィンに基づく構成単位とが共重合された重合体である。エチレン共重合体(a-2)の例としては、高密度ポリエチレン(HDPE)などが挙げられる。α-オレフィンの例としては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどが挙げられる。エチレン共重合体(a-2)として、1種類のポリマーのみを用いてもよいし、2種類以上のポリマーを組合せて用いてもよい。
エチレン共重合体(a-2)の密度の下限は、0.940g/cm以上であり、0.945g/cm以上が好ましく、0.950g/cm以上がより好ましい。エチレン共重合体(a-1)の密度の上限は、0.970g/cm以下であり、0.965g/cm以下が好ましく、0.960g/cm以下がより好ましい。密度が上記範囲のエチレン共重合体(a-2)は、シーラントフィルムの水接触角及び水切り角度を向上させるため、撥水性に優れるシーラントフィルムが得られる。なお、エチレン共重合体(a-2)の密度の測定は、ASTM-D792に基づく。
エチレン共重合体(a-2)のMFRの下限は、0.4g/10min以上であり、1.0g/10min以上が好ましく、1.5g/10min以上がより好ましい。エチレン共重合体(a-2)のMFRの上限は、10g/min以下であり、7g/10min以下が好ましく、5g/10min以下がより好ましい。MFRが上記範囲のエチレン共重合体(a-2)は、シーラントフィルムの水接触角及び水切り角度を向上させるため、撥水性に優れるシーラントフィルムが得られる。なお、エチレン共重合体(a-2)のMFRの測定値は、JIS-K7210-1に基づく。
シーラントフィルムに含まれているエチレン共重合体(a-1)とエチレン共重合体(a-2)との組成比は、(99重量%:1重量%)~(40重量%:60重量%)であり、(97重量%:3重量%)~(50重量%:50重量%)が好ましく、(97重量%:3重量%)~(60重量%:40重量%)がより好ましく、(97重量%:3重量%)~(70重量%:30重量%)がさらに好ましい。すなわち、エチレン共重合体(a-1)およびエチレン共重合体(a-2)の合計重量を100重量%とすると、エチレン共重合体(a-1)の含有量の下限は、40重量%以上であり、50重量%以上が好ましく、60重量%以上がさらに好ましく、70重量%以上が特に好ましい。エチレン共重合体(a-1)およびエチレン共重合体(a-2)の合計重量を100重量%とすると、エチレン共重合体(a-1)の含有量の上限は、99重量%以下であり、97重量%以下が好ましく、95重量%以下がさらに好ましく、90重量%以下が特に好ましい。組成比が上記の範囲であれば、撥水性に優れるとともに、ヒートシール性に優れるシーラントフィルムが得られる。また、組成比が上記の範囲であれば、シーラントフィルムのタックが高くなりすぎず、シーラントフィルム同士が貼り付くブロッキングの発生を回避しやすい。
[1.2.その他の成分]
シーラントフィルムは、エチレン共重合体(a-1)およびエチレン共重合体(a-2)以外の樹脂成分を含んでいてもよい。他の樹脂成分の例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレンまたはプロピレンと他のα-オレフィンとの共重合体などが挙げられる。他の樹脂成分は、これらの中から選ばれる1種類のみを用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。他の樹脂成分を含む場合、他の樹脂成分の含有量は、シーラントフィルムを基準として、30重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下がさらに好ましい。また、本発明の一態様の目的を損なわない範囲において、例えば、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤などの添加物を配合することができる。
本発明の一実施形態に係るシーラントフィルムは、それ自体として撥水性が高いので、撥水剤および/または細胞接着抑制剤を使用しなくとも、浮遊性細胞の培養に適している。そのため、一実施形態において、シーラントフィルムは、撥水剤および/または細胞接着抑制剤を含んでいないか、またはごく微量含んでいる。例えば、撥水剤および/または細胞接着抑制剤の含有量は、シーラントフィルムの重量を基準として、1重量%以下が好ましく、0.5重量%以下がより好ましく、0.1重量%以下がさらに好ましく、0.01重量%以下が特に好ましい。このような構成とすれば、ヒートシール性が悪化する恐れがなく、さらにシーラントフィルムの製造に係る製造・材料コストを低減できる。
撥水剤の例としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。フッ素樹脂の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、フッ素含有アクリル共重合体が挙げられる。シリコーン樹脂の例としては、ポリオルガノシロキサン基含有アクリル共重合体、シリコーンオイルが挙げられる。
細胞接着抑制剤の例としては、リン脂質ポリマー、ポリビニルアルコール誘導体、リン脂質・高分子複合体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、アガロース、キトサン、ポリエチレングリコール、アルブミンが挙げられる。
撥水剤および/または細胞接着抑制剤は、エチレン共重合体(a-1)およびエチレン共重合体(a-2)と混合してシーラントフィルムに成形される場合もあるし、シーラントフィルムの表面に塗工される場合もある。
[1.3.シーラントフィルムの物性]
シーラントフィルムは、ヒートシール性に優れる。具体的には、シーラントフィルムのヒートシール強度が、5N/15mm以上であることが好ましく、10N/15mm以上であることがより好ましく、15N/15mm以上であることがさらに好ましい。ヒートシール強度が上記の範囲であれば、細胞培養容器の材料として充分なヒートシール強度を有していると言える。
本明細書において、ヒートシール強度の測定方法は、下記の手順による。より具体的な例は、実施例を参照。
1. 2枚のシーラントフィルムを重ねて、その一部をシールする。
2. シール部が長手方向に対して垂直に位置するように、15mm幅にフィルムを打ち抜く。打抜いたフィルムを試験片とする。
3. 試験片をT字状に引張試験機にセットする。引張速度:300mm/minで試験片を引っ張り、シール部の破壊強度をヒートシール強度とする。
シーラントフィルムの水接触角は、100度以上が好ましく、100.5度以上がより好ましく、101度以上がさらに好ましく、102度以上が特に好ましい。水接触角が上記の範囲であれば、細胞培養容器の材料として充分な撥水性を有している。そのため、培養細胞の剥離性向上や、細胞培養用バッグ内の培養細胞や細胞培養液などの回収性向上などの効果が得られる。
シーラントフィルムをエタノールに浸漬した前後における水接触角の変化率は、4.5%以下が好ましく、3.5%以下がより好ましく、2.5%がさらに好ましく、2.0%以下が特に好ましい。変化率が上記の範囲であれば、エタノール消毒を経た後においても、細胞培養容器の材料として充分な撥水性を有していると言える。
本明細書において、シーラントフィルムをエタノールに浸漬した前後における水接触角の変化率の測定方法は、下記の手順による。より具体的な例は、実施例を参照のこと。
1. シーラントフィルムの水接触角R1(度)を測定する。
2. シーラントフィルムをエタノールに10秒間浸漬した後、乾燥させてエタノールを除去する。
3. エタノールに浸漬後のシーラントフィルムの水接触角R2(度)を測定する。
4. {(R1-R2)÷R1}×100の値を、水接触角の変化率(%)とする。
シーラントフィルムの水切り角度は、13度以下が好ましく、12.5度以下がより好ましく、12度以下がさらに好ましい。水切り角度が上記の範囲であれば、細胞培養容器の材料として充分な撥水性を有していると言える。水切り角度は、シーラントフィルムの表面における水性液体の流れやすさを反映している。そのため、水切り角度の小さいシーラントフィルムは、培養細胞の剥離性向上や、細胞培養用バッグ内の細胞培養液や培養細胞などの回収率を向上できる。
本明細書において、水切り角度の測定方法は、下記の手順による。より具体的な例は、実施例を参照のこと。
1. シーラントフィルムを水平な平面上に載置する。
2. シーラントフィルムに純水を滴下する。滴下してすぐに平面を水平から傾け、純水が動き始めた角度を水切り角度とする。
シーラントフィルムの内部ヘーズは、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましい。シーラントフィルムの全ヘーズは、15%以下が好ましく、13%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。ヘーズが上記の範囲であれば、細胞培養容器の材料として充分な透明性を有していると言える。特に、シーラントフィルムを細胞培養用バッグに使用したときに、バッグの内容物を充分に目視確認できる透明性を有していると言え、目視にて細胞培養の状況を視認することができることから好ましい。
本明細書において、ヘーズの測定方法は、JIS K7136に基づく。内部ヘーズの測定は、流動パラフィン(1級)(純正化学株式会社製、製品コード:83640-1230)中にシーラントフィルムを配置した状態で行う。より具体的な例は、実施例を参照のこと。
シーラントフィルムの全光線透過率は、85%以上が好ましく、87%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。全光線透過率が上記の範囲であれば、細胞培養容器の材料として充分な透明性を有していると言える。
本明細書において、全光線透過率の測定方法は、JIS K7361に基づく。より具体的な例は、実施例を参照のこと。
シーラントフィルムに屈曲試験を500回課した後に生じるピンホールの数は、5個以下が好ましく、3個以下がより好ましく、0個が特に好ましい。このようなシーラントフィルムは、細胞培養容器の材料として充分な機械強度を有していると言える。
本明細書において、屈曲試験の実施方法は、ASTM F392-93に準拠する。より具体的な例は、実施例を参照のこと。
シーラントフィルムの引張強さは、25MPa以上が好ましく、30MPa以上がより好ましく、35MPa以上がさらに好ましい。シーラントフィルムの破断伸びは、550%以上が好ましく、600%以上がより好ましく、620%以上がさらに好ましい。これらの条件の少なくとも一方を満たすシーラントフィルムは、細胞培養容器の材料として充分な機械強度および柔軟性を有していると言える。
本明細書において、引張強さおよび破断伸びは、ASTM D882に基づく引張試験により求める。より具体的な例は、実施例を参照。一実施形態において、引張強さはMD方向の引張強さである。一実施形態において、破断伸びはMD方向の破断伸びである。
シーラントフィルムの厚さの下限は、5μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、100μm以上がさらに好ましい。シーラントフィルムの厚さの上限は、1000μm以下が好ましく、600μm以下がより好ましく、400μm以下がさらに好ましい。
[1.4.シーラントフィルムの製造方法]
シーラントフィルムの製造方法は、特に限定されず、一般的なフィルムの成形方法が採用できる。フィルムの成形方法の例としては、Tダイ-キャスト成形、インフレーション成形、カレンダー成形、ブロー成形が挙げられる。また、シーラントフィルムの材料とシーラントフィルム以外のフィルムの材料とを共押出しして、積層フィルムの形態に製造してもよい。
〔2.積層フィルム〕
本発明の一態様に係る細胞培養容器用積層フィルムは、上述のいずれかの実施形態に係るシーラントフィルムと、他の樹脂層とが積層されている。他の樹脂層は、1つの層であってもよいし、2つ以上の層であってもよい。他の樹脂層を構成する材料の例としては、ポリオレフィン(直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレンまたはプロピレンと他のα-オレフィンとの共重合体など)、不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフト重合させて極性基を導入した変性ポリオレフィン、ポリシクロオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートなど)などが挙げられる。
一実施形態において、積層フィルムは、上述のいずれかの実施形態に係るシーラントフィルムと、第1接着層と、バリア層と、第2接着層と、外層とがこの順で積層されている。バリア層は、ガスバリア性を有する層である。バリア層を構成する材料の例としては、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。これらの中でも、ガスバリア性に優れるエチレン-ビニルアルコール共重合体が好ましい。外層は、細胞培養容器の外側に位置し、容器を保護する機能を有する層である。外層を構成する材料の例としては、ポリオレフィン、ポリシクロオレフィン、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。第1接着層は、シーラントフィルムとバリア層とを接着する層であり、シーラントフィルムおよびバリア層の両方に接着性のある材料から適宜選択できる。第2接着層は、バリア層と外層とを接着する層であり、バリア層および外層の両方に接着性のある材料から適宜選択できる。第1接着層および第2接着層を構成する材料の例としては、不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフト重合させて極性基を導入した変性ポリオレフィンなどが挙げられる。
積層フィルムの製造方法は、特に限定されない。一実施形態においては、シーラントフィルムとそれ以外の層とを同時に製造する。この実施形態は、例えば、共押出成形により実施できる。一実施形態においては、シーラントフィルムとそれ以外の層とをそれぞれ製造した後で、シーラントフィルムとそれ以外の層とを貼り合せる。これらの中で好ましい製造方法は、共押出成形による製造方法である。
〔3.細胞培養用バッグ〕
本発明の一態様に係る細胞培養用バッグは、上述のいずれかの実施形態に係る積層フィルムを含んでいる。細胞培養用バッグとは、柔軟性のある材料から主に構成されている袋状の容器である。細胞培養用バッグには、通常、細胞培養液および細胞が格納される。ここで、細胞培養用バッグの内面の少なくとも一部には、上述のいずれかの実施形態に係るシーラントフィルムが配置されている。したがって、本発明の一実施形態において、シーラントフィルムは、細胞培養液との接触面として使用される。
細胞培養用バッグには、通常、1つ以上のポートが設けられている。ポートにはチューブが接続されており、チューブにはポンプなどの送液手段が配設されている。このような構成により、培養バッグ内へと培養液を注入したり、培養バッグ外へと培養液を排出したりすることができる。ポートを構成する材料の例としては、熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリスチレン系エラストマー、FEPなど)が挙げられる。
細胞培養用バッグを使用した細胞培養は、常法に則って実施できる。一実施形態において、細胞培養は、浮遊培養である。浮遊培養で培養される細胞の例としては、臍帯血細胞、造血幹細胞、リンパ球細胞、ハイブリドーマなどが挙げられる。また、臓器を形成する足場非依存性細胞(肝細胞など)も、浮遊培養できる。
以下に、本発明の一実施形態を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔材料〕
シーラントフィルムの材料として、下記のエチレン共重合体を使用した。
●エチレン共重合体(1):密度が0.902g/cm、結晶化温度が86.6℃、結晶化エネルギーが67mJ/mgの超低密度ポリエチレン
●エチレン共重合体(2):密度が0.910g/cm、結晶化温度が88.9℃、結晶化エネルギーが78.1mJ/mgの直鎖状低密度ポリエチレン
●エチレン共重合体(3):密度が0.895g/cm、結晶化温度が88.5℃、結晶化エネルギーが22.7mJ/mgの超低密度ポリエチレン
●エチレン共重合体(4):密度が0.920g/cm、結晶化温度が96.5℃、結晶化エネルギーが81.3mJ/mgの低密度ポリエチレン
●エチレン共重合体(5):密度が0.952g/cm、MFRが3g/10min、結晶化温度が117.5℃、結晶化エネルギーが183mJ/mgの高密度ポリエチレン
●エチレン共重合体(6):密度が0.952g/cm、MFRが0.04g/10min、結晶化温度が115.4℃、結晶化エネルギーが164mJ/mgの高密度ポリエチレン
〔測定方法〕
(1)ヒートシール強度
下記の手順により、ヒートシール強度を測定した(図1、2を参照)。シール装置には、卓上型ヒートシールテスター(テスター産業株式会社製、型番:TP-701S)を使用した。測定装置には、オートグラフ(株式会社島津製作所製、型番:AG-IS)を使用した。各実施例または各比較例における測定数はn=4であり、平均値を測定値とした。
1. 80mm×100mmのフィルムを2枚切り出した。2枚のフィルムを重ねた。
2. 23℃、50%RHにて、ヒートシールバーを使用して重ねられた2枚のフィルムをシールした(図1の領域A)。シール条件は、130℃-0.5秒間-0.3MPa(ゲージ圧)を1セットとした。合計で2セット分シールした。
3. シール部が長手方向に対して垂直に位置するように、15mm幅にフィルムを打ち抜いて試験片とした(図1の領域B)。このとき、打ち抜く前のシールされたフィルムにおける80mmの方向が長手方向となるように打ち抜いた。シールされたフィルム1組から、2枚の試験片を作製した。
4. 試験片をT字状に引張試験機にセットした。上チャックを引張速度:300mm/minで上昇させ、シール部の破壊強度を測定した。
(2)撥水性
撥水性を評価するために、水接触角および水切り角度を測定した。水接触角は、表面の濡れ性を表す指標である。水接触角が大きいほど、フィルムの濡れ性が小さく、撥水性が大きい。水切り角度は、水性液体の回収しやすさを評価する指標である。水切り角度が小さいほど、フィルムの撥水性が大きく、水性液体を回収しやすい。
(2.1)水接触角
下記の手順により、接触角を測定した。測定装置には、固液界面合解析装置(共和界面化学株式会社製、型番:DropMaster300)を使用した。各実施例または各比較例における測定数はn=25であり、平均値を測定値とした。
1. フィルムを約50mm×約100mmに切り出し、測定装置にセットした。
2. 23℃、50%RHにて、純水を1μL滴下した。滴下から15秒後に接触角を測定した。
また、下記の手順により、エタノールへの浸漬後における水接触角を測定した。エタノールへの浸漬後における水接触角は、エタノール消毒の後における水接触角を評価する指標である。測定装置には、固液界面合解析装置(共和界面化学株式会社製、型番:DropMaster300)を使用した。各実施例または各比較例における測定数はn=25であり、平均値を測定値とした。
1. フィルムを約50mm×約100mmに切り出した。
2. 23℃、50%RHにて、100mLのエタノール(1級)にフィルムを浸漬した。その後、振盪しながら10秒間洗浄した。
3. 23℃、50%RHにて1時間フィルムを乾燥させた。その後、フィルムを測定装置にセットした。
4. 23℃、50%RHにて、純水を1μL滴下した。滴下から15秒後に接触角を測定した。
エタノールへの浸漬前後における水接触角の変化率(%)は、下記式により求めた。
エタノールへの浸漬前後における水接触角の変化率(%)={(R1-R2)÷R1}×100
式中、R1は、エタノールに浸漬する前のフィルムの水接触角である。R2は、エタノールに浸漬した後のフィルムの水接触角である。
(2.2)水切り角度
下記の手順により、接触角を測定した。測定装置には、傾斜式摩擦測定器(株式会社東洋精機製作所製)を使用した。各実施例または各比較例における測定数はn=15であり、平均値を測定値とした。
1. フィルムを約25mm×約50mmに切り出した。このフィルムを、水平になるように調節した測定装置の可動台にセットした。
2. 23℃、50%RHにて、純水を1mL滴下した。滴下してすぐに可動台を傾け、純水が動き始めた角度を測定した。
(3)透明性
透明性を評価するために、ヘーズおよび全光線透過率を測定した。
(3.1)ヘーズ
下記手順により、全ヘーズを測定した。測定装置には、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、型番:NDH-7000II)を使用した。各実施例または各比較例における測定数はn=3であり、平均値を測定値とした。
1. フィルムを約50mm×約50mmに切り出して、測定装置にセットした。
2. JIS K7136に基づいて、全ヘーズを測定した。
また、下記手順により、内部ヘーズを測定した。測定装置には、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、型番:NDH-7000II)を使用した。各実施例または各比較例における測定数はn=3であり、平均値を測定値とした。
1. フィルムを約50mm×約50mmに切り出した。
2. 2枚のガラス板に、流動パラフィン(1級)(純正化学株式会社製、製品コード:83640-1230)を滴下した。このガラス板にフィルムを挟み、ガラス板/流動パラフィン/フィルム/流動パラフィン/ガラス板の積層構造を取らせた。
3. ガラス板に挟まれたフィルムを、測定装置にセットした。
3. JIS K7136に基づいて、内部ヘーズを測定した。
さらに、全ヘーズから内部ヘーズを引いた値を、外部ヘーズとした。
(3.2)全光線透過率
下記手順により、全光線透過率を測定した。測定装置には、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製)を使用した。各実施例または各比較例における測定数はn=3であり、平均値を測定値とした。
1. フィルムを約50mm×約50mmに切り出して、測定装置にセットした。
2. JIS K7361に基づいて、全光線透過率を測定した。
(4)機械強度
機械強度を評価するために、屈曲試験および引張試験を実施した。
(4.1)屈曲試験
ASTM F392-93に準拠して、屈曲試験を実施した。具体的な手順は、下記の通りであった。試験装置には、ゲルボフレックステスター(理化学工業株式会社製)を使用した。赤色浸透液には、日本レッドチェック(太洋物産株式会社製)を使用した。各実施例または各比較例における測定数はn=3であり、平均値を測定値とした。
1. フィルムを200mm×280mmに切り出して、試験装置にセットした。
2. 23℃、50%RHにて屈曲試験を実施した。具体的には、3.5インチ前進しながら440°回転→2.5インチ前進→2.5インチ後退→3.5インチ後退しながら440°回転を1サイクルとして、500サイクル繰返した(45サイクル/min)。
3. フィルムのシワを伸ばして紙の上に重ね、四隅を紙に貼り付けた。
4. フィルムの表面に、綿棒を用いて赤色浸透液を塗布した。
5. 紙からフィルムを剥がして、赤色浸透液が浸透してできたドットの数を数えた。
(4.2)引張試験
ASTM D882に基づいて、引張試験を実施した。評価項目は、MD方向における引張強さおよびMD方向における破断伸びとした。試験装置には、オートグラフ(株式会社島津製作所製、型番:AG-IS)を使用した。各実施例または各比較例における測定数はn=6であり、平均値を測定値とした。
〔実施例1~10、比較例1~13〕
表1に記載の材料から、Tダイ-キャスト製膜により、幅:120mm、厚さ:100μmのシーラントフィルムを得た。得られたシーラントフィルムの物性を、上述の方法により測定した。結果を表1に示す。
Figure 2024002939000001
Figure 2024002939000002
〔結果〕
表1に示すように、実施例1~10に係るシーラントフィルムは、密度が0.890~0.915g/cm、且つ結晶化エネルギーが30~100mJ/mgのエチレン共重合体(a-1)に密度が0.940~0.970g/cm、且つMFRが0.4~10g/10minのエチレン共重合体(a-2)を一定量配合することにより、水接触角及び水切り角度が向上し、撥水性に優れる結果を示した。また、実施例1~10に係るシーラントフィルムは、ヒートシール性、透明性および機械強度においても、細胞培養容器用途として良好な性質を有していた。
比較例1、4、5に係るシーラントフィルムは、タックが大きく、シーラントフィルム間でブロッキングが生じた。一方、実施例1に係るシーラントフィルムでは、シーラントフィルム間でブロッキングが生じなかった。この結果が示唆するところによると、一定割合で密度が0.940~0.970g/cm、且つMFRが0.4~10g/10minのエチレン共重合体(a-2)を配合することが、ブロッキングの防止に重要である(例えば、1重量%以上または3重量%以上)。
比較例2、3に係るシーラントフィルムは、シールしても溶着されず、屈曲試験においてピンホールが多数発生した。この結果が示唆するところによると、一定割合で密度が0.890~0.915g/cm、且つ結晶化エネルギーが30~100mJ/mgのエチレン共重合体(a-2)を配合することが、低温におけるヒートシール性および耐ピンホール性に重要である(例えば、3重量%以上50重量%以下)。また、実施例1~5に係るシーラントフィルムは、実施例6に係るシーラントフィルムよりも、特に優れたヒートシール強度を示した。この結果が示唆するところによると、ある特定の割合で密度が0.940~0.970g/cm、且つMFRが0.4~10g/10minのエチレン共重合体(a-2)を配合することが、低温におけるヒートシール性に特に重要である(例えば、3重量%以上30重量%以下)。
比較例6~9に係るシーラントフィルムは、実施例に係るシーラントフィルムよりも水切り角度が大きかった。この結果が示唆するところによると、結晶化エネルギーが小さいエチレン共重合体は、非晶性であることから表面がべたつく為、結晶性の密度が0.940~0.970g/cm、且つMFRが0.4~10g/10minのエチレン共重合体(a-2)を配合しても撥水性における水切り角度を向上させる効果には乏しいと考えられる。
比較例10、11に係るシーラントフィルムは、実施例に係るシーラントフィルムよりも水切り角度が大きかった。この結果が示唆するところによると、水切り角度を低くするためには密度が0.940~0.970g/cm、且つMFRが0.4~10g/10minのエチレン共重合体(a-2)の配合が重要であり、エチレン共重合体(a-2)を結晶化エネルギーが小さい低密度ポリエチレンに変更すると水切り角度を向上させる効果に乏しいと考えられる。
比較例12、13に係るシーラントフィルムは、シールしても溶着されず、屈曲試験においてピンホールが多数発生した。また、実施例に係るシーラントフィルムよりもヘーズが高く、透明性に劣るとともに、水切り角度が大きかった。この結果が示唆するところによると、MFRが小さいエチレン共重合体は分子量が大きい為、分子量が大きいエチレン共重合体は、フィルムの透明性を悪化させるとともに、撥水性における水切り角度を向上させる効果には乏しいと考えられる。
本発明は、細胞培養容器や、細胞培養に用いる培養液の保存容器などに好適に利用できる。

Claims (13)

  1. 全重量を基準とすると、エチレン共重合体(a-1)およびエチレン共重合体(a-2)を主成分とする細胞培養容器用シーラントフィルムであって、
    上記エチレン共重合体(a-1)は、密度が0.890~0.915g/cm、且つ結晶化エネルギーが30~100mJ/mgであり、
    上記エチレン共重合体(a-2)は、密度が0.940~0.970g/cm、且つMFRが0.4~10g/10minであり、
    上記エチレン共重合体(a-1)と上記エチレン共重合体(a-2)との組成比は、(99重量%:1重量%)~(40重量%:60重量%)であることを特徴とする、シーラントフィルム。
  2. エタノールに10秒間浸漬した前後における水接触角の変化率が、4.5%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のシーラントフィルム。
  3. 上記シーラントフィルムの水切り角度は、13度以下であることを特徴とする、請求項1に記載のシーラントフィルム。
  4. 上記シーラントフィルムの水接触角は、100度以上であることを特徴とする、請求項1に記載のシーラントフィルム。
  5. 上記シーラントフィルムのヒートシール強度は、15N/15mm以上であることを特徴とする、請求項1に記載のシーラントフィルム。
  6. 上記シーラントフィルムの内部ヘーズは、10%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のシーラントフィルム。
  7. 上記シーラントフィルムは、ASTM F392-93に準拠して屈曲試験を500回行った後に生じるピンホールの数が5個以下であることを特徴とする、請求項1に記載のシーラントフィルム。
  8. 上記エチレン共重合体(a-1)と上記エチレン共重合体(a-2)との組成比は、(97重量%:3重量%)~(50重量%:50重量%)であることを特徴とする、請求項1に記載のシーラントフィルム。
  9. 上記シーラントフィルムは、細胞培養液との接触面として用いられることを特徴とする、請求項1に記載のシーラントフィルム。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載のシーラントフィルムと、他の樹脂層とが積層されていることを特徴とする、細胞培養容器用積層フィルム。
  11. 請求項10に記載の積層フィルムを含んでいることを特徴とする、細胞培養用バッグ。
  12. 請求項1~9のいずれか1項に記載のシーラントフィルムと、第1接着層と、バリア層と、第2接着層と、外層とがこの順で積層されていることを特徴とする、細胞培養容器用積層フィルム。
  13. 請求項12に記載の積層フィルムを含んでいることを特徴とする、細胞培養用バッグ。
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