JP2024002485A - 含セメント組成物、セメント硬化体、含セメント組成物の製造方法及びセメント硬化体の製造方法 - Google Patents

含セメント組成物、セメント硬化体、含セメント組成物の製造方法及びセメント硬化体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2024002485A
JP2024002485A JP2022101689A JP2022101689A JP2024002485A JP 2024002485 A JP2024002485 A JP 2024002485A JP 2022101689 A JP2022101689 A JP 2022101689A JP 2022101689 A JP2022101689 A JP 2022101689A JP 2024002485 A JP2024002485 A JP 2024002485A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cement
containing composition
pulp
mass
content
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022101689A
Other languages
English (en)
Inventor
敏之 北清
Toshiyuki Kitasei
裕明 八木
Hiroaki Yagi
満輝 山口
Mitsuteru Yamaguchi
大輔 青木
Daisuke Aoki
克章 関原
Katsuaki Sekihara
志浩 相臺
Yukihiro Sodai
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissin Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Nissin Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissin Kogyo Co Ltd filed Critical Nissin Kogyo Co Ltd
Priority to JP2022101689A priority Critical patent/JP2024002485A/ja
Publication of JP2024002485A publication Critical patent/JP2024002485A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Abstract

【課題】従来、繊維を含む含セメント組成物の硬化体(繊維強化セメント複合材料)が知られている。繊維強化セメント複合材料によれば、セメント硬化体の物理強度の向上が図られている。ところで、セメント硬化体には、従来の繊維強化セメント複合材料にはない機能が求められている。そこで、本発明は、新たな機能を付与できる含セメント組成物、セメント硬化体、含セメント組成物の製造方法及びセメント硬化体の製造方法を目的とする。【解決手段】セメントと、骨材と、パルプと、繊維と、水と、を含有する、含セメント組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、含セメント組成物、セメント硬化体、含セメント組成物の製造方法及びセメント硬化体の製造方法に関する。
従来、繊維を含む含セメント組成物の硬化体(繊維強化セメント複合材料)が知られている。繊維強化セメント複合材料によれば、セメント硬化体の物理強度の向上が図られている。
例えば、特許文献1には、表面強化パルプ繊維を含むセルロース繊維材料とセメントとをブレンドした繊維強化セメント複合材料が提案されている。特許文献1の発明は、建築用途として、屋根材、サイディング材等に使用される。
特開2019-31435号公報
ところで、セメント硬化体には、従来の繊維強化セメント複合材料にはない機能が求められている。
そこで、本発明は、新たな機能を付与できる含セメント組成物、セメント硬化体、含セメント組成物の製造方法及びセメント硬化体の製造方法を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を有する。
[1]セメントと、骨材と、パルプと、繊維と、水と、を含有する、含セメント組成物。
[2]前記パルプが古紙であり、前記繊維が故繊維である、[1]に記載の含セメント組成物。
[3]前記パルプの含有量が、総質量に対して0.1~8質量%である、[1]又は[2]に記載の含セメント組成物。
[4]前記繊維の含有量が、総質量に対して0.1~8質量%である、[1]~[3]のいずれかに記載の含セメント組成物。
[5](前記パルプの含有量):(前記繊維の含有量)で表される質量比が、2:8~8:2である、[1]~[4]のいずれかに記載の含セメント組成物。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の含セメント組成物の硬化物である、セメント硬化体。
[7]セメントと、骨材と、パルプと、繊維と、水と、を混合し、前記パルプと前記繊維の含有量の合計が総質量に対して0.5~10質量%である含セメント組成物を得る、含セメント組成物の製造方法。
[8](前記パルプの含有量):(前記繊維の含有量)で表される質量比が、2:8~8:2であるラグ原紙の叩解物を水に分散させてスラリーを得るスラリー調製工程を有し、前記スラリーと前記セメントと前記骨材とを混合し、前記含セメント組成物を得る、[7]に記載の含セメント組成物の製造方法。
[9]前記ラグ原紙の坪量が150~500g/mである、[8]に記載の含セメント組成物の製造方法。
[10]前記ラグ原紙の含有量が、前記水100質量部に対して、0.1~3質量部である、[8]又は[9]に記載の含セメント組成物の製造方法。
[11][1]~[5]のいずれかに記載の含セメント組成物を硬化させてセメント硬化体を得る、セメント硬化体の製造方法。
本発明の含セメント組成物、セメント硬化体、含セメント組成物の製造方法及びセメント硬化体の製造方法によれば、新たな機能を付与できる。
実施例1に係るセメント硬化体の断面を拡大した顕微鏡写真である。 実施例2に係るセメント硬化体の断面を拡大した顕微鏡写真である。 実施例3に係るセメント硬化体の断面を拡大した顕微鏡写真である。 実施例4に係るセメント硬化体の断面を拡大した顕微鏡写真である。 実施例5に係るセメント硬化体の断面を拡大した顕微鏡写真である。 実施例6に係るセメント硬化体の断面を拡大した顕微鏡写真である。 実施例8に係るセメント硬化体の断面を拡大した顕微鏡写真である。 比較例1に係るセメント硬化体の断面を拡大した顕微鏡写真である。
[セメント硬化体]
本発明のセメント硬化体は、本発明の含セメント組成物の硬化物である。セメント硬化体は、含セメント組成物におけるセメントが、水と化学反応して硬化したものである。本発明の含セメント組成物は、セメントと、骨材と、パルプと、繊維と、を含有する。
本明細書において、「硬化物」とは、指で押しても変形しない程度に硬化した状態のものをいう。
≪含セメント組成物≫
本発明の含セメント組成物は、セメントと、骨材と、パルプと、繊維と、水と、を含有する。
含セメント組成物としては、例えば、パルプと繊維とを含有するコンクリート、パルプと繊維とを含有するモルタル等が挙げられる。
本明細書において、骨材とは、細骨材(砂)及び粗骨材(砂利(砕石))から選ばれる1種以上をいう。
本明細書において、細骨材とは、直径5mm以下の砂をいう。
本明細書において、粗骨材とは、直径5mm超の砂利(砕石)をいい、粗骨材の直径は、25mm以下が好ましい。
本明細書において、コンクリートとは、セメントと細骨材と粗骨材とを混合し、水で練ったものをいう。
本明細書において、モルタルとは、セメントと細骨材とを混合し、水で練ったものをいう。
本明細書において、セメントとは、石灰石、粘土、珪石、酸化鉄原料等を主原料とした、水による化学反応で硬化する粉体のことをいう。
含セメント組成物におけるセメントの含有量は、含セメント組成物の総質量に対して、例えば、5~35質量%が好ましく、10~30質量%がより好ましく、15~25質量%がさらに好ましい。含セメント組成物におけるセメントの含有量が上記下限値以上であると、セメント硬化体の物理強度をより高められる。含セメント組成物におけるセメントの含有量が上記上限値以下であると、含セメント組成物の流動性を維持でき、取扱い性の低下を抑制できる。
含セメント組成物における骨材の含有量は、含セメント組成物の総質量に対して、例えば、40~85質量%が好ましく、45~80質量%がより好ましく、50~75質量%がさらに好ましい。含セメント組成物における骨材の含有量が上記下限値以上であると、セメント硬化体の物理強度をより高められる。含セメント組成物における骨材の含有量が上記上限値以下であると、含セメント組成物の流動性を維持でき、取扱い性の低下を抑制できる。
コンクリートにおけるセメントと細骨材と粗骨材との混合割合は、コンクリートに求める強度に応じて適宜決定できる。セメントと細骨材と粗骨材との混合割合は、質量比で、例えば、セメント1に対して、細骨材2~4、粗骨材1~2が好ましい。
モルタルにおけるセメントと細骨材との混合割合は、モルタルに求める強度に応じて適宜決定できる。セメントと細骨材との混合割合は、質量比で、例えば、セメント1に対して、細骨材2~4が好ましい。
本発明の含セメント組成物は、パルプを含有する。含セメント組成物は、パルプを含有することで、セメント硬化体に新たな機能を付与できる。新たな機能としては、セメント硬化体を軽量にできること(軽量化)、セメント硬化体の吸水性を高めること(吸水性の付与)、セメント硬化体の打撃音を低減すること(防音性の付与)、セメント硬化体に釘を打てるようにすること(柔軟性の付与)等が挙げられる。これらは、含セメント組成物がパルプを含有することにより、セメント硬化体の密度を低減できるためであると考えられる。
本明細書において、パルプとは、木材又は非木材の植物から得られるセルロースを主成分とする繊維をいう。木材パルプとしては、例えば、針葉樹又は広葉樹のクラフトパルプ、針葉樹又は広葉樹の砕木パルプ等が挙げられる。非木材の植物由来としては、例えば、綿、麻、ケナフ、藁、葦、桑、木綿、サトウキビ等が挙げられる。
パルプとしては、容易に入手できることから、一般的な紙の原料である木材パルプが好ましく、針葉樹又は広葉樹のクラフトパルプがより好ましい。
これらのパルプは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
パルプとしては、例えば、SDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標):2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標)の「12.つくる責任 つかう責任」や「15.陸の豊かさも守ろう」の達成に貢献し得る観点から、古紙が好ましい。
古紙とは、一度市場に流通し使われた紙のことをいい、市中回収古紙と産業古紙の総称をいう。古紙としては、例えば、リサイクルされるための新聞紙、雑誌、板紙(いわゆる段ボール)等が挙げられる。
含セメント組成物におけるパルプの含有量は、含セメント組成物の総質量に対して、例えば、0.1~8質量%が好ましく、0.2~6質量%がより好ましく、0.4~4質量%がさらに好ましい。含セメント組成物におけるパルプの含有量が上記下限値以上であると、セメント硬化体に新たな機能をより充分に付与できる。含セメント組成物におけるパルプの含有量が上記上限値以下であると、含セメント組成物の流動性を維持でき、取扱い性の低下を抑制できる。加えて、含セメント組成物におけるパルプの含有量が上記上限値以下であると、セメント硬化体の物理強度の低下を抑制できる。
本発明の含セメント組成物は、繊維を含有する。含セメント組成物は、繊維を含有することで、セメント硬化体に新たな機能を付与できる。新たな機能としては、セメント硬化体の軽量化、セメント硬化体に対する吸水性の付与、セメント硬化体に対する防音性の付与、セメント硬化体に対する柔軟性の付与等が挙げられる。これらは、含セメント組成物が硬化する際に、セメント硬化体に繊維による空隙が形成されるためであると考えられる。
本明細書において、繊維とは、天然繊維、化学繊維等の合成繊維や、ガラス繊維や炭素繊維等の無機繊維をいい、パルプを除くものをいう。
天然繊維としては、例えば、羊毛、コットン等が挙げられ、パルプを除くものをいう。
合成繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、レーヨン、アセテート等が挙げられる。
これらの繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
繊維としては、例えば、SDGsの「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」や「12.つくる責任 つかう責任」の達成に貢献し得る観点から、故繊維が好ましい。
故繊維とは、不要になった中古衣類を含む廃繊維製品類をいう。故繊維としては、例えば、産業くずと呼ばれる製造工程から発生する加工くずや、家庭や事業所等から回収される使用済み製品である市中くず(ぼろ)が挙げられる。市中くずとしては、例えば、各種衣料品、シーツ、毛布、カーテン、カーペット等の繊維製品の廃棄物が挙げられる。
含セメント組成物における繊維の含有量は、含セメント組成物の総質量に対して、例えば、0.1~8質量%が好ましく、0.2~6質量%がより好ましく、0.4~4質量%がさらに好ましい。含セメント組成物における繊維の含有量が上記下限値以上であると、セメント硬化体に新たな機能をより充分に付与できる。含セメント組成物における繊維の含有量が上記上限値以下であると、セメント硬化体の物理強度の低下を抑制できる。
含セメント組成物において、(パルプの含有量):(繊維の含有量)で表される質量比(以下、「パルプ/繊維比」ともいう。)は、2:8~8:2が好ましく、3:7~7:3がより好ましく、4:6~6:4がさらに好ましい。パルプ/繊維比が上記下限値以上であると、セメント硬化体に新たな機能をより充分に付与できる。パルプ/繊維比が上記上限値以下であると、含セメント組成物の流動性を維持でき、取扱い性の低下を抑制できる。
含セメント組成物における水の含有量は、含セメント組成物の総質量に対して、例えば、2~60質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、10~40質量%がさらに好ましい。含セメント組成物における水の含有量が上記下限値以上であると、含セメント組成物の取扱い性の低下を抑制できる。含セメント組成物における水の含有量が上記上限値以下であると、セメント硬化体の硬化性(硬化しやすさ)をより高められる。
含セメント組成物は、セメント、骨材、パルプ及び繊維以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、含セメント組成物に一般に添加される添加剤が挙げられる。
添加剤としては、例えば、減水剤、空気連行剤(AE剤)、アルカリ調整剤、接着増強剤、合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルション等が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
含セメント組成物が添加剤を含有する場合、添加剤の含有量は、含セメント組成物の総質量に対して、例えば、0.1~20質量%が好ましい。
含セメント組成物が添加剤としてAE剤を含有する場合、AE剤の含有量は、含セメント組成物の総質量に対して、例えば、0.1~0.2質量%が好ましい。
含セメント組成物が添加剤として合成ゴム(SBR)ラテックスを含有する場合、合成ゴム(SBR)ラテックスの含有量は、含セメント組成物の総質量に対して、例えば、5~20質量%が好ましい。
[セメント硬化体の製造方法]
本発明のセメント硬化体は、本発明の含セメント組成物を硬化させることで得られる。含セメント組成物を硬化させる方法は特に限定されず、従来公知の方法を適用できる。含セメント組成物を硬化させる方法としては、例えば、含セメント組成物を打設し、一定期間養生する方法が挙げられる。含セメント組成物を打設する際は、型枠を用いてもよく、用いなくてもよい。
≪含セメント組成物の製造方法≫
本発明の含セメント組成物の製造方法は、セメントと、骨材と、パルプと、繊維と、を混合し、前記パルプと前記繊維の含有量の合計が総質量に対して0.5~10質量%である含セメント組成物を得る方法である。
パルプと繊維の含有量の合計は、含セメント組成物の総質量に対して、例えば、0.5~10質量%であり、0.8~8質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。パルプと繊維の含有量の合計が上記下限値以上であると、セメント硬化体に新たな機能をより充分に付与できる。パルプと繊維の含有量の合計が上記上限値以下であると、セメント硬化体の物理強度の低下を抑制できる。
含セメント組成物の製造方法は、ラグ原紙の叩解物を水に分散させてスラリーを得る、スラリー調製工程を有することが好ましい。本明細書において、「ラグ原紙」とは、パルプと繊維とを水に分散させ、湿式法により紙として製造されるものをいう。通常の紙と異なり、繊維が混合されることにより、嵩高なものを得ることができる。ラグ原紙を用いることで、パルプ及び繊維にセメントが浸透しやすくなる。なお、ラグ原紙の製造工程中から、スラリーを取り出してもよい。
ラグ原紙において、パルプとして古紙を用い、かつ、繊維として故繊維を用いることで、地球環境の負荷をより低減でき、SDGsの達成により貢献し得る。このため、パルプとして古紙を用い、かつ、繊維として故繊維を用いることが好ましい。
ラグ原紙において、(パルプの含有量):(繊維の含有量)で表される質量比(パルプ/繊維比)は、2:8~8:2が好ましく、3:7~7:3がより好ましく、4:6~6:4がさらに好ましい。パルプ/繊維比が上記下限値以上であると、セメント硬化体に新たな機能をより充分に付与できる。パルプ/繊維比が上記上限値以下であると、含セメント組成物の流動性を維持でき、取扱い性の低下を抑制できる。
ラグ原紙は、パルプ、繊維及び水以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、バインダー樹脂等が挙げられる。
他の成分の含有量は、ラグ原紙の総質量に対して、例えば、10質量%以下が好ましい。
ラグ原紙の坪量は、150~500g/mが好ましく、200~450g/mがより好ましく、250~400g/mがさらに好ましい。ラグ原紙の坪量が上記下限値以上であると、セメント硬化体に新たな機能をより充分に付与できる。ラグ原紙の坪量が上記上限値以下であると、スラリーの流動性を維持でき、取扱い性の低下を抑制できる。
ラグ原紙の坪量は、ラグ原紙の単位面積当たりの質量を測定することにより求められる。
ラグ原紙の坪量は、水に分散させるパルプの種類、パルプの質量、繊維の種類、繊維の質量、及びこれらの組合せにより調整できる。
スラリー調製工程におけるラグ原紙の含有量(ラグ原紙の濃度)は、水100質量部に対して、例えば、0.1~3質量部が好ましく、0.2~2.5質量部がより好ましく、0.3~2質量部がさらに好ましい。スラリー調製工程におけるラグ原紙の濃度が上記下限値以上であると、セメント硬化体に新たな機能をより充分に付与できる。スラリー調製工程におけるラグ原紙の濃度が上記上限値以下であると、スラリーの粘度の上昇を抑制でき、分散効率の低下を抑制できる。加えて、スラリー調製工程におけるラグ原紙の濃度が上記上限値以下であると、均一なスラリーが得られるまでの時間を短縮できる。
スラリー調製工程において、ラグ原紙を叩解する方法は特に限定されず、例えば、水にラグ原紙を投入し、撹拌機でラグ原紙が細かくなるまで高速撹拌する方法が挙げられる。
ラグ原紙を撹拌する際の回転速度は、例えば、500~2000rpmが好ましく、1000~1500rpmがより好ましい。ラグ原紙を撹拌する際の回転速度が上記下限値以上であると、ラグ原紙を充分に叩解でき、均一なスラリーが得られる。ラグ原紙を撹拌する際の回転速度が上記上限値以下であると、スラリーの流動性を維持でき、取扱い性の低下を抑制できる。
スラリー調製工程において、ラグ原紙の叩解物を水に分散させてスラリーを得る場合、水の含有量が多いと、後述する水/セメント比が大きくなり、好ましくない。このため、スラリー中のパルプと繊維の含有量の合計(「パルプ及び繊維のスラリー中の濃度」ともいう。)が、スラリーの総質量に対して、5~20質量%になるように脱水を行うことが好ましい。脱水の方法は特に限定されず、例えば、スラリーをプレスして脱水する方法(脱水プレス)が挙げられる。
スラリー調製工程で得られたスラリーを用いて、含セメント組成物を製造する場合、スラリーの配合量は、セメントと骨材との合計量100質量部に対して、例えば、5~50質量部が好ましく、10~45質量部がより好ましく、20~40質量部がさらに好ましい。スラリーの配合量が上記下限値以上であると、セメント硬化体に新たな機能をより充分に付与できる。スラリーの配合量が上記上限値以下であると、含セメント組成物の流動性を維持でき、取扱い性の低下を抑制できる。
セメントの質量に対する水の質量の百分率(以下、「水/セメント比」ともいう。)は、例えば、25~65%が好ましく、30~60%がより好ましく、35~50%がさらに好ましい。水/セメント比が上記下限値以上であると、含セメント組成物の取扱い性をより高められる。水/セメント比が上記上限値以下であると、セメント硬化体の物理強度の低下を抑制できる。
スラリーと、セメント及び骨材との混合方法は、例えば、スラリーと細骨材(砂)、セメント及び水とを高速撹拌機を用いて分散させてから、粗骨材を加え、常用のミキサーを用いて撹拌し、混合する方法が挙げられる。
スラリーを、高速撹拌機を用いて撹拌する際の回転速度は、例えば、500~2000rpmが好ましく、1000~1500rpmがより好ましい。スラリーを、高速撹拌機を用いて撹拌する際の回転速度が上記下限値以上であると、均一な含セメント組成物が得られ、セメント硬化体の物理強度の低下を抑制できる。スラリーを、高速撹拌機を用いて撹拌する際の回転速度が上記上限値以下であると、含セメント組成物の流動性を維持でき、取扱い性の低下を抑制できる。
≪セメント硬化体の製造方法≫
本発明のセメント硬化体は、本発明の含セメント組成物を硬化させることにより得られる。
含セメント組成物を硬化させる方法は、特に限定されず、従来公知の方法が挙げられる。含セメント組成物を硬化させる方法としては、例えば、含セメント組成物を型枠に充填し、任意の期間養生し、脱型後、さらに任意の期間養生する方法が挙げられる。
なお、含セメント組成物を硬化させる際は、型枠を用いずに、打設した含セメント組成物を大気中に曝露して養生してもよい。
含セメント組成物を型枠に充填した後の養生期間としては、例えば、1~3日間が挙げられる。
脱型後の養生期間としては、例えば、3~28日間が挙げられる。
打設後の含セメント組成物は、通常、大気中に放置して硬化させる(養生する)。含セメント組成物をより確実に硬化させるために、含セメント組成物の表面に水を散布してもよい。また、一部が硬化した含セメント組成物を水中に入れて養生してもよい。含セメント組成物を水中で養生した場合は、その後、大気中で養生することが好ましい。
本実施形態の含セメント組成物は、セメント及び骨材に加え、パルプ及び繊維を含有する。このため、セメント硬化体を軽量化でき、セメント硬化体に新たな機能を付与できる。
本実施形態の含セメント組成物が、古紙又は故繊維を含有する場合、廃棄される材料を有効活用できる。このため、地球環境負荷を低減でき、SDGsの達成に貢献し得る。
以上、本発明の含セメント組成物及びセメント硬化体について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、含セメント組成物は、パルプのみが古紙であってもよく、繊維のみが故繊維であってもよい。しかし、SDGsの達成により貢献し得ることから、含セメント組成物は、古紙及び故繊維を含有することが好ましい。
セメント硬化体の厚さや大きさは特に限定されず、設置する場所や目的に応じて適宜決定できる。
以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1~6、比較例1:セメントモルタルの試験]
古紙を60質量%、故繊維を40質量%含有するラグ原紙を用意し、水100質量部に対して、ラグ原紙3質量部を投入し、高速撹拌機を用いて1500rpmで5分間、次いで1000rpmで5分間撹拌し、叩解物を得た。この叩解物を脱水プレスし、古紙及び故繊維の含有量の合計が総質量に対して10質量%又は15質量%となるようなスラリー(それぞれ、10%スラリー、15%スラリーともいう。)を調製した(スラリー調製工程)。
続いて、セメントとして、ポルトランドセメントを用い、骨材として細骨材(川砂)を用い、表1に示す配合量で、上述のスラリーとセメント、骨材及び水とを高速撹拌機を用いて1500rpmで5分間、次いで1000rpmで5分間撹拌し、水/セメント比60%の含セメント組成物(セメントモルタル)を得た。得られた含セメント組成物を、寸法40mm×40mm×160mmの供試体用型枠に充填し、温度20±2℃、相対湿度90%以上で48時間経過した後、脱型した。その後、温度20±2℃の水中で5日間養生し、さらに、温度23℃、相対湿度55%の一般養生室で21日間養生して、各例の供試体を得た。表1中、各成分の配合量の単位は、「質量部」である。表1中、「-」は、その成分を含有しないことを示す。また、表1における「水」は、10%スラリー又は15%スラリーに含まれる水とは別に添加される水の配合量を示す。
得られた供試体を用いて、以下の各試験を行った。
<密度>
各例の供試体の体積及び質量を測定し、密度を算出した。密度は、3個の供試体の算術平均値とした。結果を表1に示す。
<曲げ強さ>
各例の供試体について、JIS A1171:2016「ポリマーセメントモルタルの試験方法」の「7.3 曲げ強さ及び圧縮強さ試験」に記載の方法に準拠して、曲げ強さを測定した。曲げ強さの値は、3個の供試体の算術平均値とした。結果を表1に示す。
<断面測定>
曲げ強さ試験後の各例の供試体の断面を光学顕微鏡(倍率100倍)で観察した。結果を図1~7に示す。各例とも、スラリー中の故繊維が均一に分散していることが確認できた。なお、図8は、パルプ及び繊維を含有しない比較例1の供試体の断面である。
<吸水率>
各例の供試体について、JIS A1171:2016「ポリマーセメントモルタルの試験方法」の「7.6 吸水率試験」に記載の方法に準拠して、吸水率を測定した。吸水率の値は、3個の供試体の算術平均値とした。結果を表1に示す。
<釘の打込み性>
各例の供試体に、長さ65mm、胴部径3.05mmの鉄丸釘(N釘)を金槌で打込んだ。鉄丸釘の打込み深さを測定し、下記評価基準に基づいて、釘の打込み性を評価した。鉄丸釘の打込み深さは、3個の供試体の算術平均値とした。結果を表1に示す。
《評価基準》
◎:鉄丸釘の打込み深さが30mm以上。
○:鉄丸釘の打込み深さが20mm以上30mm未満。
△:鉄丸釘の打込み深さが5mm以上20mm未満。
×:鉄丸釘の打込み深さが5mm未満。
<比較例の質量との比率>
比較例1の供試体3個の質量の平均値と、各例の供試体3個の質量の平均値とから、下記式に従って、質量の比率を算出した。結果を表1に示す。
質量の比率(%)=(各例の質量の平均値)/(比較例1の質量の平均値)×100
[実施例7~9、比較例2:セメントコンクリートの試験]
粗骨材として粒径5~10mmの玉砂利を用い、表2に示す配合量で含セメント組成物(セメントコンクリート)を調製した以外は、実施例1~6と同様に供試体を作製し、実施例1~6と同様の各試験を行った。結果を表2に示す。表2中、各成分の配合量の単位は、「質量部」である。表2中、「-」は、その成分を含有しないことを示す。また、表2における「水」は、10%スラリー又は15%スラリーに含まれる水とは別に添加される水の配合量を示す。
Figure 2024002485000001
Figure 2024002485000002
表1に示すように、本発明を適用した実施例1~6は、パルプ及び繊維を含有しない比較例1に比べて、質量の比率が低減しており、軽量化できていることが確認できた。また、実施例1~6は、比較例1に比べて吸水率を向上できていることが確認できた。さらに、実施例1~6は、比較例1に比べて釘の打込み性が良好であることが確認できた。
表2に示すように、本発明を適用した実施例7~9は、パルプ及び繊維を含有しない比較例2に比べて、質量の比率が低減しており、軽量化できていることが確認できた。また、実施例7~9は、比較例2に比べて吸水率を向上できていることが確認できた。さらに、実施例7~9は、比較例2に比べて釘の打込み性が良好であることが確認できた。
以上の結果から、本発明の含セメント組成物によれば、セメント硬化体に新たな機能を付与できることが分かった。

Claims (11)

  1. セメントと、骨材と、パルプと、繊維と、水と、を含有する、含セメント組成物。
  2. 前記パルプが古紙であり、前記繊維が故繊維である、請求項1に記載の含セメント組成物。
  3. 前記パルプの含有量が、総質量に対して0.1~8質量%である、請求項1又は2に記載の含セメント組成物。
  4. 前記繊維の含有量が、総質量に対して0.1~8質量%である、請求項1又は2に記載の含セメント組成物。
  5. (前記パルプの含有量):(前記繊維の含有量)で表される質量比が、2:8~8:2である、請求項1又は2に記載の含セメント組成物。
  6. 請求項1又は2に記載の含セメント組成物の硬化物である、セメント硬化体。
  7. セメントと、骨材と、パルプと、繊維と、水と、を混合し、前記パルプと前記繊維の含有量の合計が総質量に対して0.5~10質量%である含セメント組成物を得る、含セメント組成物の製造方法。
  8. (前記パルプの含有量):(前記繊維の含有量)で表される質量比が、2:8~8:2であるラグ原紙の叩解物を水に分散させてスラリーを得るスラリー調製工程を有し、前記スラリーと前記セメントと前記骨材とを混合し、前記含セメント組成物を得る、請求項7に記載の含セメント組成物の製造方法。
  9. 前記ラグ原紙の坪量が150~500g/mである、請求項8に記載の含セメント組成物の製造方法。
  10. 前記ラグ原紙の含有量が、前記水100質量部に対して、0.1~3質量部である、請求項8又は9に記載の含セメント組成物の製造方法。
  11. 請求項1又は2に記載の含セメント組成物を硬化させてセメント硬化体を得る、セメント硬化体の製造方法。
JP2022101689A 2022-06-24 2022-06-24 含セメント組成物、セメント硬化体、含セメント組成物の製造方法及びセメント硬化体の製造方法 Pending JP2024002485A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022101689A JP2024002485A (ja) 2022-06-24 2022-06-24 含セメント組成物、セメント硬化体、含セメント組成物の製造方法及びセメント硬化体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022101689A JP2024002485A (ja) 2022-06-24 2022-06-24 含セメント組成物、セメント硬化体、含セメント組成物の製造方法及びセメント硬化体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024002485A true JP2024002485A (ja) 2024-01-11

Family

ID=89472795

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022101689A Pending JP2024002485A (ja) 2022-06-24 2022-06-24 含セメント組成物、セメント硬化体、含セメント組成物の製造方法及びセメント硬化体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024002485A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9174873B2 (en) Material to be used as a concrete additive
RU2036886C1 (ru) Способ приготовления смеси для получения композиционного материала и изделия из композиционного материала
US5643359A (en) Dispersion of plant pulp in concrete and use thereof
CN100577599C (zh) 石粉干粉砂浆
JP6715270B2 (ja) セメント組成物及びその硬化体
US20100234491A1 (en) Method and material for manufacturing fiber cement board
CN115028410A (zh) 一种绿色环保型隔音橡胶砂浆及其制备方法
JPWO2018003612A1 (ja) 繊維補強炭酸化セメント成形物およびその製造方法
JP2004360136A (ja) 解繊性に優れた補強用短繊維
JP2024002485A (ja) 含セメント組成物、セメント硬化体、含セメント組成物の製造方法及びセメント硬化体の製造方法
Lima et al. Evaluation of the effect of nanosilica and recycled fine aggregate in Portland cement rendering mortars
Wang et al. Effect of waste paper fiber on properties of cement-based mortar and relative mechanism
Soydan et al. Characterization of fiber-cement composites reinforced with alternate cellulosic fibers
Akturk Fracture behavior of alkali-activated basalt powder/slag systems reinforced with basalt and hybrid fibers
US5958130A (en) Biological fiber containing construction compound
Page et al. Using alternative binders for the development of flax fibre reinforced mortars
Stevulova et al. Cellulose fibres used in building materials
WO2016195603A1 (en) Modified fiber cement material
JP2839724B2 (ja) セメント組成物
Arnaud et al. Characterization of cementitious mortar with addition of fibers from waste paper
Maghfirah et al. Utilization Of Pahae Natural Zeolite In The Production Of Polymer Concrete Using Corn Shell Fiber And Polyurethane Resin As Adhesive
Subburaj et al. Study on mechanical and thermal properties of sisal fiber/cloisite 30B nanoclay reinforced cement nano concrete
dos Santos Limaa et al. Evaluation of the effect of nanosilica and recycled fine aggregate in Portland cement rendering mortars
JPH08333152A (ja) セメント組成物およびセメント組成物の押出成形用助剤
Hospodarova et al. Cement materials based on cellulosic fibers for plasters