JP2024001960A - 具入り調味料及び具入り調味料の製造方法 - Google Patents

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Kazushi Kondo
雅史 川村
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Abstract

【課題】背脂を、任意の食品と組み合わせて用いる調味料に利用したときでも、他の調味料原料や組み合わせる食品に対して、違和感なく、なじみ、適用した食品を引き立てることができるようにした、具入り調味料を提供する。【解決手段】背脂を含有する乾燥多孔質状具材と、少なくとも1種の調味材とを含有してなる具入り調味料であって、前記具入り調味料は、更に液状油及びショートニングを含み、前記乾燥多孔質状具材の該多孔質構造には前記調味材による調味成分が含侵されており、前記調味成分が含侵された背脂を含有する多孔質状具材の粒片同士を、それらの粒感が残るように、前記液状油と前記ショートニングとを含む粘性媒質によって集合させてなる、該具入り調味料である。【選択図】なし

Description

新規性喪失の例外適用申請有り
本発明は、具入り調味料及び具入り調味料の製造方法に関する。
背脂は、食肉のなかでも動物の背中側の部位にあたる脂身のことをいう。一般に、くせのない甘味や香りが豊富であり、ラーメンなどにトッピングするとスープとなじんで濃厚でトロっとした食べ応えを与えることができる。よって、既存のラーメン店などでは、豚の背脂を別鍋で軟らかくなるまで加熱しておき、仕上がったラーメンをどんぶりに盛りつけてから振りかけて、コクや旨味を付与することなどが行われることもある。
背脂を利用した調味料について、例えば、特許文献1においては、背脂をボイルして軟化させた後、チョッパー、フードミキサー等で、大きさ1mm~5mm程度に粉砕したうえ、中国料理の調味料であるラージャンと混合することにより、背脂ベースの旨味調味料が調製されている。そして、その背脂ベースの旨味調味料によれば、チェーン店であってもセントラルキッチン等で一括して都度一定の味を再現でき、各店舗で背脂ベースの味を統一することができるなどとされている。
特開2010-268698号公報
しかしながら、本発明者らの研究によると、背脂を利用した調味料は、脂身を口にしたときのインパクトが勝ってしまって、他の調味料原料や組み合わせる食品との相性に乏しい場合が少なくなかった。
よって、本発明の目的は、背脂を、任意の食品と組み合わせて用いる調味料に利用したときでも、他の調味料原料や組み合わせる食品に対して、違和感なく、なじみ、適用した食品を引き立てることができるようにした、具入り調味料を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究した結果、背脂の素材として乾燥多孔質状の具材を利用することにより、その課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、その第1の観点においては、背脂を含有する乾燥多孔質状具材と、少なくとも1種の調味材とを含有してなる具入り調味料であって、前記具入り調味料は、更に液状油及びショートニングを含み、前記乾燥多孔質状具材の該多孔質構造には前記調味材による調味成分が含侵されており、前記調味成分が含侵された背脂を含有する多孔質状具材の粒片同士を、それらの粒感が残るように、前記液状油と前記ショートニングとを含む粘性媒質によって集合させてなる、該具入り調味料を提供するものである。
本発明により提供される具入り調味料によれば、背脂の素材として乾燥多孔質状の具材を利用したので、その多孔質構造に調味材による調味成分が含侵されることで、背油の旨味をより引き立て他の調味料原料や組み合わせる食品に対して、違和感なく、なじみ、適用した食品を引き立てることができる。また、液状油及びショートニングを含み、これにより適度な粘性が形成されるので、調味料全体としても一定の流動性や保形性が保たれる。よって、例えば、調製時に背脂を含有する乾燥多孔質状具材を含む原料を混合して容器に充填等する場合にも、均一に混ぜにくい、といったようなことがない。また、任意の食品にトッピング等した場合でも、背脂を含有する具材の粒片の個々が流れ出し、まとまりがなくなってしまって、形状が大きく崩れてしまう、といったようなことがない。更に、背脂の素材として含有せしめた乾燥多孔質状の具材による粒感や、その他調味材として細片状等の所定の形態を有する具材を配合した場合でも、その粒感等の形態を残しつつ、そのような一定の流動性や保形性を確保することができる。
上記具入り調味料においては、前記調味材は、にんにく及び豚骨エキスを含むことが好ましい。これによれば、ラーメンによく合う具入り調味料を提供することができる。
また、上記具入り調味料においては、密封容器に充填され、加熱処理されていることが好ましい。これによれば、密封容器に充填された状態で、その上層部分に、溶融・固化したショートニングが白い層をなし、更に一般的な常温、例えば15~30℃で市場に流通させる場合であっても、作られた白い層を安定維持することができので、背油の旨味やこってりした味わい等を見た目としても表現して、需要者に対する認知可能性を高めることができる。また、調味料を使用する際には、ショートニングにてなされた白い層は、液状油があることで、調味料全体として適度に混合させることができる。
一方、本発明は、その第2の観点では、背脂を含有する乾燥多孔質状具材と、少なくとも1種の調味材とを含有してなる具入り調味料の製造方法であって、前記乾燥多孔質状具材と、前記調味材と、液状油と、ショートニングと、水とを混合する原料混合工程を含む、該具入り調味料の製造方法を提供するものである。
本発明により提供される具入り調味料の製造方法によれば、背脂の素材として乾燥多孔質状の具材を利用し、これに調味材と水とが混合されるので、調味材による調味成分が水を媒体として具材の多孔質構造に含侵される。これにより、背油の旨味をより引き立て他の調味料原料や組み合わせる食品に対して、違和感なく、なじみ、適用した食品を引き立てることができる。また、加えて、液状油及びショートニングが混合されるので、これにより適度な粘性が形成されるので、調味料全体としても一定の流動性や保形性が保たれる。よって、例えば、調製時に背脂を含有する乾燥多孔質状具材を含む原料を混合して容器に充填等する場合にも、均一に混ぜにくい、といったようなことがない。また、任意の食品にトッピング等する場合でも、背脂を含有する具材の粒片の個々が流れ出し、まとまりがなくなってしまって、形状が大きく崩れてしまう、といったようなことがない。更に、背脂の素材として含有せしめた乾燥多孔質状の具材による粒感や、その他調味材として細片状等の所定の形態を有する具材を配合した場合でも、その粒感等の形態を残しつつ、そのような一定の流動性や保形性を確保することができる。
上記具入り調味料の製造方法においては、前記原料混合工程で、前記調味材としてにんにく及び豚骨エキスとを含有させることが好ましい。これによれば、ラーメンによく合う具入り調味料が得られる。
また、上記具入り調味料の製造方法においては、前記原料混合工程の後に、更に、前記具入り調味料を容器に充填する充填工程と前記具入り調味料を充填した容器を密封し加熱処理する密封加熱工程とを含むことが好ましい。これによれば、得られた具入り調味料を密封容器に充填された状態で、その上層部分に、溶融・固化したショートニングが白い層をなし、更に一般的な常温、例えば15~30℃で市場に流通させる場合であっても、作られた白い層を安定維持するので、背油の旨味やこってりした味わい等を見た目としても表現して、需要者に対する認知可能性を高めることができる。また、調味料を使用する際には、ショートニングにてなされた白い層は、液状油があることで、調味料全体として適度に混合させることができる。
本発明により提供される具入り調味料によれば、背脂を、任意の食品と組み合わせて用いる調味料に利用したときでも、背脂の見た目や旨味感を維持しつつ、他の調味料原料や組み合わせる食品と、違和感なく、なじみ、適用した食品を引き立てることができる。
本発明により提供される具入り調味料は、背脂を含有する乾燥多孔質状具材を含有してなるものである。以下、説明の便宜のため、本発明に用いる「背脂を含有する乾燥多孔質状具材」のことを、単に「背脂乾燥具材」と称する場合がある。
本発明に用いる背脂を含有する乾燥多孔質状具材としては、背脂を含有し、多孔質構造を有するものであればよく、その多孔質構造に調味材による調味成分を含侵させることができるものであればよい。限定されないが、例えば、国際公開第2015/141763号に記載の方法により調製され得る。
より具体的には、本発明に用いる背脂乾燥具材は、例えば、次のようにして調製することができる。蛋白質を含有する水溶液に背脂を含む油脂を添加し、ホモジナイザー等による攪拌処理によって、その油脂を液滴状に分散させて、好ましくは水性媒質からなる連続相に油滴が分散してなる水中油型分散液となし、これを乾燥させて水分を取り除く。このように調製すると、添加した油脂が液滴状のままで、水分が取り除かれた後に残る蛋白質を主体として形成される基材構造によって封止されるとともに、その水分が抜けた空隙部分によって、その蛋白質を主体として形成される基材構造が多孔質の構造体となる。乾燥後には、所定大きさにカットしたり、解砕装置にかけた後に篩分けしたり、所定目開きのスクリーンを設置したオシレータ式整粒装置にかけたりすることによって、任意の粒度を備える多孔質状乾燥物が得られる。
上記多孔質状乾燥物の調製の際、その乾燥の手段に特に制限はないが、マイクロ波加熱によることが好ましい。これによれば、背脂を含む油脂が液滴状に分散している状態で、その蛋白質含有溶液(水中油型分散液)の水分に対してマイクロ波エネルギーが直接作用するので、背脂を含む油脂の油滴の分散状態をよく保ちつつ乾燥させることができる。一方で、水分が取り除かれた後に残る蛋白質を主体として形成される基材構造によって囲われる空隙部分を、適度に膨化させつつ乾燥させることができる。よって、調味材による調味成分を含侵せしめるのに必要な多孔質構造を有する多孔質状乾燥物を調製しやすい。
上記多孔質状乾燥物の調製の際、その蛋白質含有溶液に含有せしめる水の割合は、使用する蛋白質やその他の油脂等の原料の種類によって、適宜に割合を設定すればよい。限定されないが、例えば、乾燥前の蛋白質含有溶液の全量中に20質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
上記多孔質状乾燥物の調製の際、その蛋白質含有溶液に含有せしめる蛋白質の割合は、使用する蛋白質やその他の油脂等の原料の種類によって、適宜に割合を設定すればよい。限定されないが、例えば、乾燥前の蛋白質含有溶液中に20質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
上記多孔質状乾燥物の調製の際、その蛋白質含有溶液中に液滴状に分散せしめる背脂を含む油脂の割合は、使用する蛋白質やその他の油脂等の原料の種類によって、適宜に割合を設定すればよい。限定されないが、例えば、乾燥前の蛋白質含有溶液の全量中に20質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
上記多孔質状乾燥物の調製の際、使用する蛋白質の種類としては、限定されないが、例えば、豚、牛、鶏、魚の皮又は骨由来のコラーゲン又はゼラチンなどであり得る。あるいは、分離大豆蛋白、濃縮大豆蛋白等の大豆蛋白、カゼイン、乳清蛋白等の乳蛋白、鶏卵蛋白、魚肉蛋白などであってもよい。蛋白質は、1種を単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
上記多孔質状乾燥物の調製の際、使用する油脂の種類としては、少なくとも背脂を含むようにすればよく、あるいは背脂以外にも任意にその他の油脂を含んでいてもよい。背油とは、ロース肉の上部にある脂身部分であり、背脂としては、豚、牛、猪、等の畜産動物由来のものが好ましく例示し得るが、なかでも豚の背脂が、純度の高い背油がたかく、融点も低く旨味が強いので好ましい。その他の油脂としては、限定されないが、例えば、豚脂(ラード)、牛脂(ヘット)、鶏油、魚油、バターオイル、米油、オリーブ油、コーン油、菜種油、ひまわり油、グレープシードオイル、ごま油、パーム油、などが挙げられ、さらに、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、精製ラード、精製ヘットや、各種油脂を加工した硬化油、極度硬化油などが挙げられる。油脂は、1種を単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。ただし、少なくとも背脂を実質的に含む必要があり、使用する全油脂中に背脂が5質量%以上100質量%以下を占めることが好ましく、20質量%以上70質量%以下を占めることがより好ましく、30質量%以上60質量%以下を占めることが更により好ましい。
なお、上記した蛋白質や油脂としては、例えば、チーズ、バター、牛乳、全卵、卵黄など、蛋白質及び油脂が含まれる素材を用いてもよい。この場合、それぞれの素材に含有されている蛋白質と油脂の含有量による割り付けに基づき、上記した好ましい範囲に当てはまるかどうかを確認することができる。
上記多孔質状乾燥物の調製の際、その蛋白質含有溶液には、必要に応じて、上記以外の素材を含有せしめてもよい。例えば、増粘多糖類、澱粉、澱粉分解物、還元水あめ、小麦粉、脱脂粉乳、馬鈴薯澱粉等が挙げられる。なかでも、増粘多糖類は、乾燥前の蛋白質含有溶液の粘度や油滴の安定化の目的で適宜併用され得る。例えば、キサンタンガム、ジェランガム、タマリンドガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、タラガム、カラギナン、マンナン、カードラン、カルボキシメチルセルロース、ペクチン、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。増粘多糖類は、1種を単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
本発明に用いる背脂乾燥具材の乾燥状態での粒径は、限定されないが、例えば、最大長が1.0mm以上のものが50数%以上であることが好ましく、60数%以上であることがより好ましく、70%数以上であることが更により好ましい。また、形状は顆粒状やダイス状などの大きな形態とすることができる。これにより、口にしたときに粒状感が得やすく、ひいては具入り調味料に調製した後にも、背脂乾燥具材による粒状の食感が得やすくなる。
本発明により提供される具入り調味料は、上記した背脂乾燥具材に加えて、少なくとも1種の調味材を含有してなるものである。その調味材の種類は任意であり、限定されないが、例えば、にんにく、しょうが、ねぎ、玉ねぎ、キャベツ、紫蘇、ニラ、パセリ、みょうが等の香味野菜や、唐辛子、こしょう、わさび、山椒、梅、ごま等の香辛料などであって、これを細片状にしてなる具材であり得る。細片状とは、その大きさが具入り調味料として違和感なく使用できる程度に調整されている意味であって、限定されないが、例えば、最大長が0.5mm以上10mm以下であることが好ましく、1mm以上8mm以下であることがより好ましい。また、形状としては、形状としては、通常の調理加工の形態であってよく、例えば、刻み状、千切り状、輪切り状、みじん切り状、破砕状、粗おろし状、ペースト状などであり得る。ただし、ペースト状にまで細かくしてしまうと、他の具材の口あたりによる食感がなくなってしまうので、望まれない場合がある。これらの細片状具材としては、1種を単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
一方、調味材としては、塩、醤油、グルタミン酸ナトリウム、酵母エキス、豚骨エキス、香料、砂糖、野菜エキス、チキンエキス、ビーフエキス、コハク酸ナトリウム、糖アルコール、酸味料など水性溶媒に良好に溶解又は分散し得る性状のものを用いてもよい。これによれば、これらに由来する調味成分が水を媒体として、背脂乾燥具材の該多孔質構造に含侵させやすく、ひいては調味材による風味や呈味を、背脂を含有する多孔質状具材になじませやすい。
本発明により提供される具入り調味料は、上記した背脂乾燥具材及び調味材に加えて、更に液状油及びショートニングを含むものである。
本発明に用いる液状油としては、室温、例えば25℃で液状である物性(融点としては、例えば30℃)を有していればよく、限定されないが、例えば、コーン油、菜種油、パーム油、オリーブ油、ごま油、米油、ひまわり油などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。その含有量は、得られる具入り調味料、性状とすることに応じて、適宜に設定すればよく、例えば、全量中に3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、6質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。この範囲を超えると、上記した背脂乾燥具材や調味材などを混合する際に、液状の油分が分離して均一に混ぜることができない性状となってしまう場合がある。この範囲未満であると、得られる具入り調味料の物性が、例えばスプーンで容易に混ぜることができないほど固くなってしまう場合がある。
本発明に用いるショートニングとしては、室温で固形状あるいは半固形状(ペースト状)であるもので、日本農林規格の平成3年8月1日農林水産省告示第989号に適合していればよい。これらは、1種を単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。その含有量は、得られる具入り調味料、性状とすることに応じて、適宜に設定すればよく、例えば、全量中に5質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、8質量%以上17.5質量%以下であることがより好ましい。この範囲未満であると、上記した背脂乾燥具材や調味材などを混合する際に、液状の油分が分離して均一に混ぜることができない性状となってしまう場合がある。この範囲を超えると、得られる具入り調味料の物性が、例えばスプーンで容易に混ぜることができないほど粘性が強くなるなど、固くなってしまう場合がある。
本発明により提供される具入り調味料においては、上記したような液状油やショートニングにより、適度な粘性を有する粘性媒質が形成され、背脂乾燥具材の粒片同士を集合させている。なお、この粘性媒質を構成する成分としては、背脂乾燥具材の粒片同士を集合させる目的を害しない限り、液状油やショートニングとともに、調味成分、水分、その他の成分が含まれてもよい。
以下、本発明により提供される具入り調味料を製造する方法について説明する。
本発明により提供される製造方法においては、上記した背脂乾燥具材と調味材と液状油とショートニングを混合する。ただし、このとき水を加えたうえで混合するようにしている。これにより、調味材による調味成分が水を媒体として、背脂乾燥具材の該多孔質構造に含侵させやすく、ひいては調味材による風味や呈味を、背脂を含有する多孔質状具材になじませやすい。
本発明における限定されない任意の態様においては、上記混合の際、先に水系のものを混合し、その後に、上記した液状油やショートニングを混合することが好ましい。これによれば、調味材による調味成分が水を媒体として、背脂乾燥具材の該多孔質構造により含侵させやすくすることができる。
なお、必要に応じて、他の素材を原料混合物に含有せしめることも、任意である。例えば、酸味料(グルクロン酸、発酵乳酸など)によれば、味をマイルドにしたり、pHを調整したりすることができる。また、ソルビトール、トレハロース等の糖アルコールや非還元性の糖類は、水分活性をおさえて微生物発生を防ぎ、ひいては製品の保存安定性を高めることができる。また、セルロース、シトラスファイバー等の食物繊維、及び加工デンプン等の食物繊維は、具入り調味料に適度な粘度を付与することができる。
上記以外、好ましい素材としては、例えば、発酵調味料、醸造酢、デキストリン、環状オリゴ糖、アミノ酸、乳化剤、香辛料抽出物、酸化防止剤、各種野菜素材などが挙げられる。
本発明により提供される具入り調味料は、必要に応じて、瓶、金属缶、プラスチックボトル、プラスチックのパウチ等の加熱耐性容器に充填したうえ(充填工程)、これを密封し加熱処理する(密封加熱工程)ようにしてもよい。加熱温度は、用いるショートニングの融点以上であれば問題なく、50℃以上が好ましく、85℃以上であればさらに好ましい。例えば、50℃以上であれば、充填されたショートニングが容器内で溶解し分離し、室温保管を行う際に、一部の乾燥多孔質上具材を含んでペースト状に固まった白い層をなし、背油の旨味やこってりした味わい等を見た目としても表現することができる。また、85℃以上であれば、大腸菌群を減少させることができ、ひいては、常温で市場に流通させる場合であっても、その保存安定性をより一層高めることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。ただし、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
<試験例1>
表1に示す原料を使用して、具入り調味料を製造した。
Figure 2024001960000001
具体的には、背脂を含有する乾燥多孔質状具材を水その他の原料とともに混合して、その具材の多孔質構造に調味材の調味成分を含侵させるようにし、更に、液状のコーン油、30℃下でペースト状のショートニングを添加し、30℃の温度環境下に混合した。
その結果、得られた調味料は、調味材による調味成分がしみ込んだ、背脂を含有する多孔質状具材の粒片同士が、コーン油とショートニングを含む適度な粘性によって集合している形状をなし、その粒片同士の粒感が残る、トロっとした半固形状の具入り調味料であった。また、にんにくの持つ強い香りと辛みを有しつつ、背脂のコクのある風味を有する調味料であった。
以下の基準に従い、具入り調味料の製造の際の製造適性、得られた具入り調味料の使用時の物性及び風味について評価した。
(製造適性)
○:問題なし
△:油分と水分とが分離してやや均一に混ざりにくい
×:油分と水分とが分離して均一に混ぜられない
(使用時の物性)
○:問題なし
△:やや固く混ぜにくい物性
×:固く容易に混ぜられない物性
(風味)
○:問題なし
△:背脂とにんにくの風味のバランスがやや悪い
×:背脂とにんにくの風味のバランスが悪い
その評価結果を、具入り調味料に配合した油脂の配合量(質量%)とともに、表2に示す。なお、製造適正以外の評価は、訓練された5人の評価者により3人以上が共通であった結果を記したものである。
Figure 2024001960000002
その結果、表2に示されるように、液状油であるコーン油の配合割合が少なく、ショートニングの配合量が多いと、製造時に30℃の温度環境下で混合する際、油分と水分が分離してやや均一に混ぜにくくなる傾向があった。また、液状油であるコーン油の配合割合が多く、ショートニングの配合量が少ないと、調味料の使用時の物性といてはやや固く混ぜにくくなる傾向があった。
<試験例2>
表3に示す原料を使用して、試験例1と同様にして、具入り調味料を製造した。
Figure 2024001960000003
その結果、得られた調味料は、調味材による調味成分がしみ込んだ、背脂を含有する多孔質状具材の粒片同士が、コーン油とショートニングを含む適度な粘性によって集合している形状をなし、その粒片同士の粒感が残る、トロっとした半固形状の具入り調味料であった。また、にんにくの持つ強い香りと辛みを有しつつ、背脂のコクのある風味を有する調味料であった。
以下の基準に従い、具入り調味料の製造の際の製造適性、得られた具入り調味料の使用時の物性及び風味について評価した。
(製造適性)
○:問題なし
△:油分と水分とが分離してやや均一に混ざりにくい
×:油分と水分とが分離して均一に混ぜられない
(使用時の物性)
○:問題なし
△:やや固く混ぜにくい物性
×:固く容易に混ぜられない物性
(風味)
○:問題なし
△:背脂とにんにくの風味のバランスがやや悪い
×:背脂とにんにくの風味のバランスが悪い
その評価結果を、具入り調味料に配合した具材等の配合量(質量%)とともに、表4に示す。なお、製造適正以外の評価は、訓練された5人の評価者により3人以上が共通であった結果を記したものである。
Figure 2024001960000004
その結果、表4に示されるように、背脂乾燥具材の配合割合が少なく、ガーリックフレークの配合量が多いと、にんにく風味がやや強くなり、背脂のコクのある風味が感じられなくなる傾向があった。また、背脂乾燥具材の配合割合が多く、ガーリックフレークの配合量が少ないと、にんにく風味が感じられなくなる傾向があった。
<試験例3>
表1に示す原料を使用して、試験例1と同様にして、具入り調味料を製造し、製造した調味料100gを容器(ガラス瓶)に充填し密封した容器入り調味料を、65~75℃のお湯ににつけて60分加熱処理し、その後25度の室内で12時間静置して、加熱処理済容器入り具入り調味料を製造した。
その結果、加熱処理済容器理入り具入り調味料は、厚みの違いはあるが上部に白い層を設けることができていた。
以下の基準に従い、25℃の室内で具入り調味料の白い層と白い層より下の部分との混合適正について評価した。
(開封後の白い層と白い層より下の部分との混合適性 ―スプーンで15回かき混ぜ―)
○:容易に混合可能(白い層と白い層より下の部分と容易に均一混合できる)
△:混合可能(白い層が白い層の下の部分と均一に混ざりにくく白い層が小さく残っている様にみえる)
×:混合不可(白い層が大きく残り均一に混ぜられない)
Figure 2024001960000005
その結果、表5に示されるように、液状油であるコーン油の配合割合が多く、ショートニングの配合量が少ないと、容器充填後の白い層が少なめで、背脂感を感じにくくなる傾向があった。そして、使用時を想定したとき、白い層と白い層より下の部分との混合も、白い層が多くあるほう背脂感も感じやすくなり、色や状態の均一性が容易になる傾向があった。これに対して、液状油であるコーン油の配合割合が少なく、ショートニングの配合量が多いと、容器充填後の白い層が多くなり、背脂感を感じやすくなる傾向があった。さらに、使用時を想定したとき、白い層と白い層より下の部分との混合適正においては、白い層が全体に均一に分散しにくく、ムラができやすい等の影響がでる傾向があった。
なお、調製例3-3、3-4、及び3-5を開封前に冷蔵庫(8℃)で24時間静置したあと、開封し、スプーンで混ぜると、調製例3-3に比べ、調製例3-4や調製例3-5ではやや重く感じられる状態であった。
その結果、表5に示されるように、液状油であるコーン油の配合割合が多く、ショートニングの配合量が少ないと、容器充填後の白い層が少なめで、背脂感を感じにくくなる傾向があった。そして、使用時を想定したとき、白い層と白い層より下の部分との混合も、白い層が全体に均一に分散しにくく、ムラができやすい等の影響がでる傾向があった。これに対して、液状油であるコーン油の配合割合が少なく、ショートニングの配合量が多いと、容器充填後の白い層が多くなり、背脂感を感じやすくなる傾向があった。さらに、使用時を想定したとき、白い層と白い層より下の部分との混合適正においては、白い層が多くあるほうが背脂感も感じやすくなり、色や状態の均一性が容易になる傾向があった

Claims (6)

  1. 背脂を含有する乾燥多孔質状具材と、少なくとも1種の調味材とを含有してなる具入り調味料であって、前記具入り調味料は、更に液状油及びショートニングを含み、前記乾燥多孔質状具材の該多孔質構造には前記調味材による調味成分が含侵されており、前記調味成分が含侵された背脂を含有する多孔質状具材の粒片同士を、それらの粒感が残るように、前記液状油と前記ショートニングとを含む粘性媒質によって集合させてなる、該具入り調味料。
  2. 前記調味材は、にんにく及び豚骨エキスを含む、請求項1記載の具入り調味料。
  3. 密封容器に充填され、加熱処理されている、請求項1又は2記載の具入り調味料。
  4. 背脂を含有する乾燥多孔質状具材と、少なくとも1種の調味材とを含有してなる具入り調味料の製造方法であって、前記乾燥多孔質状具材と、前記調味材と、液状油と、ショートニングと、水とを混合する原料混合工程を含む、該具入り調味料の製造方法。
  5. 前記原料混合工程で、前記調味材としてにんにく及び豚骨エキスとを含有させる、請求項4記載の具入り調味料の製造方法。
  6. 前記原料混合工程の後に、更に、前記具入り調味料を容器に充填する充填工程と、前記具入り調味料を充填した容器を密封し加熱処理する密封加熱工程とを含む、請求項4又は5記載の具入り調味料の製造方法。
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