JP2024001587A - 船外機用シリンダブロックの製造方法 - Google Patents

船外機用シリンダブロックの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 鋳鉄製のシリンダスリーブがアルミニウム合金に鋳包まれた船外機用シリンダブロック本体に対して、シリンダスリーブの鋳鉄が溶解することなく、陽極酸化処理および封孔処理を施すことができる船外機用シリンダブロックの製造方法を提供する。【解決手段】 シリンダスリーブ20Aと一体的にシリンダブロック本体10Aを鋳造する鋳包み工程では、円筒状シリンダスリーブは、クランクシャフト側の端部において肉抜き部21が形成されており、シリンダスリーブの内周面23に位置決めピン30Aを嵌め込んだ状態で鋳造を行い、肉抜き部の内周面22にもシリンダブロック本体の母材のアルミニウム合金を形成し、そしてシリンダボアの内周面において、シリンダスリーブの鋳鉄と母材のアルミニウム合金との境界11B、11Dを包含する領域を弾性治具40で押圧した状態で陽極酸化処理、封孔処理をして、その後、肉抜き部の内周面に形成されたアルミニウム合金を除去する。【選択図】 図7B

Description

本発明は、船外機用シリンダブロックの製造方法に関する。
産業用内燃機関では、性能を維持するために冷却水を循環して、内燃機関の温度を制御している。一般的に使用される自動車用冷却水には、エチレングリコールなどが添加された水が利用され、減少した場合、その不足分を補充する必要がある。一方、船外機等のエンジンでは、使用環境下で容易に入手できる海水(塩水)等を冷却水として取り入れて利用している。
しかしながら、船外機の各部材は多くの種類の金属材料から構成されていることから、海水に接する各部材の金属材料の違いによって電位差を生じ、自然電位が低い金属材料は海水中に溶け出してしまうため、腐食の発生原因となり得る。特に、船外機のシリンダブロックなどに用いられるアルミニウム合金は、他の材料に比べると、腐食が発生しやすい金属である。
このような腐食の発生を防ぐために、例えば、特許文献1には、アルミニウム合金よりもさらに電位の低い亜鉛などの金属を犠牲陽極としてシリンダブロックの海水接触部分、例えば、ウォータジャケットと呼ばれる冷却水流路に設けることが記載されている。
一方で、一般に、アルミニウム合金の耐食性を向上させる方法として、アルミニウム合金の表面に陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化処理が従来から知られている。陽極酸化処理では、アルミニウムが酸化されて多孔質の陽極酸化皮膜が形成されるが、この多孔質性は耐食性の低下の一因となることから、耐食性を改善するため、陽極酸化処理の後に、孔を塞ぐ封孔処理が行われている。
特開2004-232614号公報
シリンダブロックのある船外機の燃焼室付近は、非常に高温となることから腐食に対して厳しい状況下に置かれる。よって、シリンダブロックのウォータジャケットの内周面に陽極酸化皮膜を形成するだけではなく、このシリンダヘッドとの接合面にも陽極酸化皮膜を形成することが望まれる。
しかしながら、船外機用シリンダブロックは、シリンダボアの内周面に鋳鉄製の円筒状シリンダスリーブが母材であるアルミニウム合金に鋳包まれた構成となっている。このような構成のシリンダブロックを陽極酸化処理するためにシリンダブロック全体を陽極酸化処理の処理液に浸漬すると、シリンダスリーブの鋳鉄が溶解し、孔食が発生してしまうという問題がある。そのため、本発明者らは、シリンダボアの内周面全面にマスキング剤によるマスキングを施して陽極酸化処理を行ったが、マスキング剤が一部剥離してしまい、その下の鋳鉄が溶解するという問題の解決には至らなかった。
そこで本発明は、上記の問題に鑑み、鋳鉄製の円筒状シリンダスリーブがアルミニウム合金に鋳包まれた構成の船外機用シリンダブロック本体に対して、シリンダスリーブの鋳鉄が溶解することなく、陽極酸化処理およびその後の封孔処理を施すことができる船外機用シリンダブロックの製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る船外機用シリンダブロックの製造方法は、その一態様として、鋳鉄製の円筒状シリンダスリーブと一体的にシリンダブロック本体を鋳造する鋳包み工程であって、前記シリンダブロック本体が、シリンダヘッドと接合される接合面において、シリンダボアと、前記シリンダボアの周囲にウォータジャケットが形成され、前記シリンダボアの内周面に前記円筒状シリンダスリーブが鋳包みされ、前記円筒状シリンダスリーブは、クランクシャフト側の端部において、シリンダスリーブ内周面から半径方向に外側へ向けて凹んだ肉抜き部が形成されており、前記円筒状シリンダスリーブの内周面に位置決めピンを嵌め込んだ状態で鋳造を行うことで、前記肉抜き部の内周面にもシリンダブロック本体の母材であるアルミニウム合金が形成される、鋳包み工程と、前記シリンダボアの内周面において、前記円筒状シリンダスリーブの鋳鉄と前記シリンダブロック本体の母材であるアルミニウム合金とのシリンダヘッド側の境界を包含する領域と、前記肉抜き部の内周面に形成されたアルミニウム合金の表面の少なくとも一部の環状部分を包含する領域を弾性治具で押圧する工程と、前記領域を押圧した状態で陽極酸化処理をして、前記シリンダブロック本体の前記アルミニウム合金の部分の表面に陽極酸化皮膜を形成する工程と、封孔処理をして、前記陽極酸化皮膜の表面を封孔する工程と、前記肉抜き部の内周面に形成されたアルミニウム合金を除去する加工工程とを含む。
また、本発明に係る船外機用シリンダブロックの製造方法は、また別の態様として、鋳鉄製の円筒状シリンダスリーブと一体的にシリンダブロック本体を鋳造する鋳包み工程であって、前記シリンダブロック本体が、シリンダヘッドと接合される接合面において、シリンダボアと、前記シリンダボアの周囲にウォータジャケットが形成され、前記シリンダボアの内周面に前記円筒状シリンダスリーブが鋳包みされ、前記円筒状シリンダスリーブの内周面に嵌め込まれる位置決めピンは、クランクシャフト側の端部において、位置決めピン外周面から半径方向に内側へ向けて凹んだ肉抜き部が形成されており、前記円筒状シリンダスリーブの内周面に位置決めピンを嵌め込んだ状態で鋳造を行うことで、前記肉抜き部の外周面にもシリンダブロック本体の母材であるアルミニウム合金が形成される、鋳包み工程と、前記シリンダボアの内周面において、前記円筒状シリンダスリーブの鋳鉄と前記シリンダブロック本体の母材であるアルミニウム合金とのシリンダヘッド側の境界を包含する領域と、前記肉抜き部の外周面に形成されたアルミニウム合金の表面の少なくとも一部の環状部分を包含する領域を弾性治具で押圧する工程と、前記領域を押圧した状態で陽極酸化処理をして、前記シリンダブロック本体の前記アルミニウム合金の部分の表面に陽極酸化皮膜を形成する工程と、封孔処理をして、前記陽極酸化皮膜の表面を封孔する工程と、前記肉抜き部の外周面に形成されたアルミニウム合金を除去する加工工程とを含む。
このように本発明によれば、シリンダスリーブの鋳鉄とシリンダブロック本体の母材であるアルミニウム合金とのシリンダヘッド側の境界を包含する領域および前記肉抜き部に形成されたアルミニウム合金の表面の少なくとも一部の環状部分を包含する領域を弾性治具で押圧することから、シリンダスリーブの鋳鉄が溶解することなく、陽極酸化処理およびその後の封孔処理を施すことができる。
本発明に係る船外機用シリンダブロックの製造方法によって製造される船外機用シリンダブロックの一例を示すシリンダヘッド側の斜視図である。 図1の船外機用シリンダブロックにおいて、シリンダボアの内周面に生じた剥離を示す拡大画像である。 図1の船外機用シリンダブロックのクランクシャフト側の斜視図である。 図3の船外機用シリンダブロックにおいて、シリンダボア付近の角部を示す拡大斜視図である。 図1の船外機用シリンダブロックのシリンダボアの内部を示す断面斜視図である。 図1の船外機用シリンダブロックのシリンダボアの内部を示す断面正面図である。 本発明に係る船外機用シリンダブロックの製造方法の一実施形態を説明する船外機用シリンダブロック本体の一部断面正面である。 本発明に係る船外機用シリンダブロックの製造方法の一実施形態を説明する船外機用シリンダブロック本体の一部断面正面である。 本発明に係る船外機用シリンダブロックの製造方法の一実施形態を説明する船外機用シリンダブロック本体の一部断面正面である。 図7A~図7Cに示す船外機用シリンダブロックの製造方法の変形例を説明する船外機用シリンダブロック本体の一部断面正面である。 本発明に係る船外機用シリンダブロックの製造方法の別の実施形態を説明する船外機用シリンダブロック本体の一部断面正面である。 本発明に係る船外機用シリンダブロックの製造方法の別の実施形態を説明する船外機用シリンダブロック本体の一部断面正面である。 本発明に係る船外機用シリンダブロックの製造方法の別の実施形態を説明する船外機用シリンダブロック本体の一部断面正面である。 図9A~図9Cに示す船外機用シリンダブロックの製造方法の変形例を説明する船外機用シリンダブロック本体の一部断面正面である。 実施例の船外機用シリンダブロック本体のシリンダボアの内部を示す拡大画像である。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る船外機用シリンダブロック及びその製造方法の一実施の形態について説明する。
本実施の形態の船外機用シリンダブロックの製造方法は、鋳鉄製の円筒状シリンダスリーブと一体的にシリンダブロック本体を鋳造する鋳包み工程と、船外機用シリンダブロック本体のシリンダボアの内周面の鋳鉄とアルミニウム合金との境界を包含する領域を弾性治具で押圧する押圧工程と、当該領域を押圧した状態で陽極酸化処理をして、船外機用シリンダブロック本体のアルミニウム合金の部分の表面に陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化処理工程と、当該領域を押圧した状態で封孔処理をして、陽極酸化皮膜を封孔する封孔処理工程とを含む。
先ず、本方法において製造される船外機用シリンダブロックについて説明する。図1~図6に示すように、船外機用のシリンダブロック10は、シリンダヘッド(図示省略)と接合される接合面10Tにおいて、複数のシリンダボア11と、これらシリンダボア11の周囲にウォータジャケット13が形成されている。なお、これら図では、3つのシリンダボア11が水平方向に並んだ状態でシリンダブロック10を示しているが、実際の船外機(図示省略)には、シリンダブロック10はシリンダボア11が鉛直方向に並んだ状態で搭載される。また、シリンダボア11の数は単気筒エンジン用に1つであってもよい。
特に、図5、図6に示すように、シリンダボア11の各内周面には、鋳鉄製の円筒状のシリンダスリーブ20が、母材であるアルミニウム合金に鋳包まれている。このような鋳包みによる方法では、通常、シリンダボア11の内周面全面がシリンダスリーブ20にはならず、接合面10T側の端部11Aにおいて、母材であるアルミニウム合金が内周面に露出することとなる。よって、シリンダボア11の内周面には、アルミニウム合金と鋳鉄という異なる金属材料の境界11Bが存在することとなる。
このようなシリンダブロック10は腐食を防ぐために表面全体に陽極酸化皮膜が形成されているが、陽極酸化処理を行うためシリンダブロック10全体を処理液に浸漬すると、鋳鉄製のシリンダスリーブ20が溶解してしまうため、シリンダボア11の内周面のシリンダスリーブ20の部分にマスキング剤を塗布し、アルミニウム合金の部分のみに陽極酸化皮膜を形成する必要がある。しかしながら、マスキング剤で覆って陽極酸化処理しても、図2の写真に示すように、シリンダスリーブ20とアルミニウム合金との境界11Bにおいて、処理液が浸入してマスキング剤の剥離Bが生じてしまう。このようなマスキング剤が剥離したシリンダスリーブ20の部分では、鋳鉄が溶解していることが確認されている。
そのため、マスキング剤ではなく、弾性治具をシリンダボア11内に配置し、シリンダスリーブ20の表面のみならず、シリンダスリーブ20とアルミニウム合金と境界11Bを包含する領域を押圧することで、マスキング剤で生じたような処理液の浸入を防止できることを本発明者らは考え出した。しかしながら、シリンダブロック10は、図1に示すシリンダヘッド側よりも、その裏側である図3に示すクランクシャフト側の周辺構造の方が複雑な形状となっている。シリンダボア11のクランクシャフト側端部11C付近には、図4に示すように、補強リブが突設されている等して、角部14が多く存在し、このような角部14と弾性治具が当たることから、シリンダボア11のクランクシャフト側では弾性治具が摩耗するおそれがあった。
このようなシリンダブロック10において、シリンダスリーブ20の鋳鉄が溶解することなく陽極酸化処理を行うにあたって、本実施の形態では、先ず、シリンダブロック本体10Aをシリンダスリーブ20と一体的に鋳造する鋳包み工程から行う。
鋳包み工程は、図7Aに示すように、シリンダブロック本体の鋳造用金型(図示省略)内に、位置決めピン30Aを介して鋳包み用シリンダスリーブ20Aを配置する。鋳包み用シリンダスリーブ20Aは、クランクシャフト側において、シリンダヘッド側の厚さよりも厚さが薄い肉抜き部21を有する。この肉抜き部21の内周面22は、シリンダヘッド側の内周面23よりも半径方向に外側へ向けて凹んでおり、シリンダヘッド側の内周面23と平行となっている。
また、位置決めピン30Aは円筒形状を有しており、鋳包み用シリンダスリーブ20A内に嵌め込まれている。よって、鋳包み用シリンダスリーブ20Aのシリンダヘッド側の内周面23は、位置決めピン30Aの外周面31と密着しているが、肉抜き部21の内周面22は、位置決めピン30Aの外周面31との間に空間が形成される。そして、このように位置決めピン30Aを鋳包み用シリンダスリーブ20A内に嵌め込んだ状態で、アルミニウム合金の溶湯が金型内に注入され、シリンダブロック本体10Aが鋳造される。
なお、鋳包み用シリンダスリーブ20Aの肉抜き部21の厚さは、最終的なシリンダスリーブ20の厚さと同じか又はそれよりも厚い。鋳包み用シリンダスリーブ20Aのシリンダヘッド側の厚さと肉抜き部21の厚さとの差は、溶湯が流れ込むのに十分な空間ができればよく、例えば、0.5mm以上が好ましく、0.8mm以上がより好ましい。
これによりシリンダブロック本体10Aは、鋳包み用シリンダスリーブ20Aを鋳包んだ状態で鋳造される。また、鋳包み用シリンダスリーブ20Aの肉抜き部21の内周面22と位置決めピン30Aの外周面31との間に形成された空間にも溶湯が流れることから、鋳包み用シリンダスリーブ20Aの肉抜き部21の内周面22にもアルミニウム合金が存在することなる。よって、シリンダボア内のアルミニウム合金と鋳鉄との境界は、シリンダヘッド側の境界11Bとクランクシャフト側の境界11Dとの2つの境界が形成される。クランクシャフト側の境界11Dは、後述する陽極酸化処理工程において弾性治具によって内周が押圧されることになるが、この時に弾性治具がシリンダボアのクランクシャフト側にある角部によって摩耗することを避けるために、クランクシャフト側の境界11Dは、シリンダボアのクランクシャフト側端面11Cから十分に離れた距離に形成されるようにする。すなわち、この距離は、シリンダボアの長手軸線に沿った鋳包み用シリンダスリーブ20Aの肉抜き部21の長さに相当する。肉抜き部21の長さは、製造するシリンダブロックの大きさに左右されるため、これに限定されるものではないが、例えば、15mm以上が好ましく、18mm以上がより好ましい。一方、肉抜き部21の長さが長いほど、溶湯の鋳込み量の管理が難しくなることから、材料コストおよび作業効率の面から、肉抜き部21の長さは、25mm以下が好ましく、22mm以下がより好ましい。
次に、図7Bに示すように、シリンダボア11の内周面における鋳鉄とアルミニウム合金とのs11B、11Dを包含する領域を、弾性治具40で押圧する押圧工程を行う。このように境界11B、11Dを包含する領域を押圧し、その状態で次工程の陽極酸化処理をすることで、鋳鉄とアルミニウム合金との境界11B、11Dにまで処理液が浸み込むのを防ぐことができる。
鋳鉄とアルミニウム合金との境界11B、11Dを包含する領域としては、例えば、シリンダヘッド側においては、シリンダボア11の内周面の接合面10T側の端からの領域としてもよい。また、クランクシャフト側では、鋳包み用シリンダスリーブ20Aの肉抜き部21の内周面22に形成されたアルミニウム合金の表面の一部までの領域としてよい。具体的には、これに限定されないが、例えば、鋳鉄とアルミニウム合金との境界11Dからクランクシャフト側へ5mmの位置、好ましくは10mmの位置までの領域としてもよい。
弾性治具40の素材としては、シリンダボア11の内周面の全周にわたり均一に押圧できる程度の弾性を有する素材であればよく、例えば、ゴムや熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。ゴムとしては、例えば、シリコーンゴムや、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、フッ素ゴム(FKM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴムなどが挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリエステル系(TPC)、ポリウレタン系(TPU)、ポリ塩化ビニル系(TPVC)などが挙げられる。特に弾性治具は、次工程の陽極酸化処理で処理液と接することから、耐薬品性に優れたものが好ましく、例えば、シリコーンゴムを用いることがより好ましい。
弾性治具40の寸法として、外径は、例えば、シリンダボア11の内径よりも大きい外径のものが好ましく、また、シリンダボア11の内周面に着脱可能な外径とすることが好ましい。また、長さは、鋳鉄とアルミニウム合金との境界11B、11Dを包含する領域を覆う長さのものが好ましいが、弾性治具40は、図7Bに示すような1つの治具に限られず、2つの治具を組み合わせて用いてもよい。例えば、図8に示すように、シリンダボア11のシリンダヘッド側から第1の弾性治具40Aを挿入して、シリンダボア11の内周面のうち、シリンダヘッド側の鋳鉄とアルミニウム合金との境界11Bを包含する領域を押圧し、次に、シリンダボア11のクランクシャフト側から第2の弾性治具40Bを挿入して、鋳包み用シリンダスリーブ20Aの肉抜き部21の内周面22に形成されたアルミニウム合金の表面を押圧してもよい。第2の弾性治具40Bは、クランクシャフト側のアルミニウム合金と鋳鉄との境界11Dを押圧していなくてもよく、肉抜き部21の内周面22に形成されたアルミニウム合金の表面のうち、少なくとも一部の環状部分を包含する領域を押圧していればよい。具体的には、これに限定されないが、例えば、クランクシャフト側の鋳鉄とアルミニウム合金との境界11Dからクランクシャフト側へ5mmの位置から20mmの位置までの領域としてもよい。
なお、弾性治具40で押圧する前に、シリンダボア11の内周面にマスキング剤を塗布しておいてもよい。マスキング剤としては、市販されている金属表面処理用のマスキング剤を用いることができる。
押圧工程では、弾性治具40として、例えば、ガス供給部(図示省略)を備えた膨縮可能な弾性袋体または風船体を用いることが好ましい。先ず、この弾性袋体をシリンダボア11内に配置し、ガス供給部からガスを供給して弾性袋体を膨らますことで、鋳鉄とアルミニウム合金との境界11B、11Dを包含する領域を押圧することができる。このような弾性袋体としては、例えば、エアピッカーという名称で市販されている、ガス圧によって弾性の袋部が膨縮可能な治具を用いることができる。なお、図8のように2つの治具を組み合わせる場合は、第1の弾性治具40Aと第2の弾性治具40Bをガス供給管(図示省略)で連結してもよく、これにより2つの弾性袋体を一度に膨らますことができる。
そして、図7Bに示すように、このように弾性治具40をシリンダボア11内に配置した状態でシリンダブロック本体10を処理液に浸漬して電解処理を行い、シリンダブロック本体10の表面に多孔質の陽極酸化皮膜50を形成する陽極酸化処理工程を行う。電解処理により、シリンダブロック本体10の母材であるアルミニウム合金が溶解し、溶解したアルミニウムが処理液中の酸素と結合して、シリンダブロック本体10のアルミニウム合金部分の表面に酸化アルミニウムの陽極酸化皮膜50が形成される。
陽極酸化処理の処理液としては、硫酸、シュウ酸、リン酸、クロム酸等の酸性浴、又は水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム等の塩基性浴のいずれを用いてもよい。電解処理は、シリンダブロック本体10を陽極とし、チタンやカーボンなどの電極板(図示省略)を陰極とし、電圧を印加することで行う。
陽極酸化処理工程で形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、特に限定されないが、例えば、1~60μmが好ましく、3~20μmがより好ましい。
陽極酸化処理では、シリンダブロック本体10の母材中のアルミニウムが酸化されて皮膜が形成される際に、アルミニウムが酸化アルミニウムに変化することで体積の膨張が生じる。すなわち、形成される陽極酸化皮膜は、膜厚の約半分が、アルミニウム合金の母材表面に対して奥へ浸透した浸透皮膜であり、膜厚の残りの約半分が、母材表面から成長した成長皮膜となる。
一方、シリンダボア11の内周面は、弾性治具40によって覆われていることから、処理液に接することなく、シリンダスリーブ20の鋳鉄の溶解を防ぐことができる。また、処理液が弾性治具40とシリンダボア11の内周面との間から浸み込み、アルミニウム合金との電解反応が生じても、上述したように陽極酸化皮膜は弾性治具40側に成長することから、弾性治具とのわずかな隙間も無くなり、処理液の浸み込みをより抑制することができる。よって、アルミニウム合金と鋳鉄との境界11B、11Dを超えて処理液がシリンダスリーブ20にまで浸み込んでも、シリンダスリーブ20の鋳鉄が溶解することを防ぐことができる。なお、クランクシャフト側では弾性治具40が必ずしもアルミニウム合金と鋳鉄との境界11Dを押圧していなくてもよく、例えば、図8に示すように、2つの治具を組み合わせて用いる際、第2の弾性治具40Bは鋳包み用シリンダスリーブ20Aの肉抜き部21の内周面22に形成されたアルミニウム合金の表面の一部の環状部分を押圧していれば、処理液の浸み込みによるシリンダスリーブ20の鋳鉄の溶解を防ぐことができる。
陽極酸化処理工程について、更に説明すると、電解法としては、直流電解法や、交直重畳電解法を用いることができる。どちらの電解法であっても形成される陽極酸化皮膜は、上述したように、浸透皮膜と成長皮膜とを備える陽極酸化反応であるが、得られる陽極酸化皮膜の性状が異なる。
直流電解法で形成した陽極酸化皮膜は、母材面に対して垂直方向に侵食しながら直線的に成長したセルを有するものとなる。アルミニウム合金中に不純物または添加物(シリコンなど)が多く存在する場合、表面近くの不純物または添加物周辺ではセルが成長せず、不純物または添加物が析出している箇所では表面に凹部が発生し、表面粗さの大きい陽極酸化皮膜が形成される。また、膜厚のばらつきが大きい陽極酸化皮膜が形成される。
交直重畳電解法で形成した陽極酸化皮膜は、セルがセル径の2倍に満たない高さで球又は楕円形状をほぼ連続的に作り、そのセルがより集まってぶどうの房状を形成した構造を有する。よって、交直重畳電解法で形成した陽極酸化皮膜は、セルの壁に対するセルが内包する孔の体積の割合が低い。これに対し、直流電解法で形成した陽極酸化皮膜は、セルが連続した筒状に形成されることから、セルの壁に対するセルが内包する孔の体積の割合は高い。
また、交直重畳電解法で形成した陽極酸化皮膜は、セルが成長する過程で、セルの成長の阻害となる不純物または添加物が存在しても、不純物または添加物を回避し、包含しながらセルが成長するため、不純物または添加物によりセルの成長が阻害されることなく、母材の表面にほぼ均等な膜厚を有する。このように交直重畳電解法で形成した陽極酸化皮膜は、セルの成長方向が母材の表面に対してランダムな方向に微細に折れ曲がっているため、方向が変わる箇所においては、侵入してきた水に対する抵抗が生じ、母材にまで水が進行するのを防ぐことができる。よって、直流電解法で形成した陽極酸化皮膜よりも耐食性が高い。
次に、このように陽極酸化皮膜50を表面に形成したシリンダブロック本体10を、弾性治具40が配置された状態のまま封孔処理液に浸漬する、又は封孔処理液を塗布することによって封孔処理工程を行う。これにより多孔質の陽極酸化皮膜50の孔が塞がれて、陽極酸化皮膜50の耐食性を向上させることができる。なお、封孔処理を行う前に、付着した陽極酸化処理の処理液が封孔処理液に混入することを防止するため、また、陽極酸化皮膜50の孔内に残存する処理液を除去するため、水洗浄等の前処理を行うことが好ましい。
封孔処理工程は、例えば、水熱法、沸騰水法、酢酸ニッケル法、水酸化リチウム法などの公知の方法を採用することができる。例として、自己修復機能を発現する水酸化リチウム法について説明する。封孔処理液としては、リチウムイオンを含む水溶液を用いる。リチウムイオン又はリチウムイオン源となる薬品としては、水酸化リチウム、硫酸リチウム、塩化リチウム、ケイ酸リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、リン酸リチウム、水酸化リチウムなどを使用することができる。その内、水溶液が塩基性を示すものとして水酸化リチウム、炭酸リチウム、ケイ酸リチウムが好ましい。但し、ケイ酸リチウムは毒性が強く、水に溶け難いので実用的でなく、よって、水酸化リチウム、炭酸リチウムがより好適である。なお、上述のように封孔処理は各種あり、陽極酸化処理時には電解を印加することにより鋳鉄スリーブの孔食が発生するが、封孔処理では軽度の表面錆が発生するため、その表面錆が許容される場合、弾性治具40を取り外して封孔処理工程を行うことが可能である。
水酸化リチウム法では、封孔処理液によって陽極酸化皮膜50の表面および細孔内部がごくわずかに溶解した後、溶けた皮膜成分と封孔処理液成分が反応し、封孔生成物として析出する。この封孔生成物によって、皮膜の細孔内部が塞がれるとともに、皮膜表層が緻密な封孔生成物層へ変化することで完全に皮膜の細孔は塞がれる。よって、陽極酸化皮膜50の表面および細孔内には、リチウムとアルミニウムと酸素の封孔生成物が存在している。
そして、このように封孔処理工程を行った後、シリンダボア11内から弾性治具40を取り外し、図7Cに示すように、鋳包み用シリンダスリーブ20Aの肉抜き部21の内面に形成されたアルミニウム合金を除去する加工工程を行う。肉抜き部21のアルミニウム合金の除去は、例えば、最初に、切削加工によって概ねのアルミニウム合金を除去し、次に、ホーニング加工によって、アルミニウ合金の下の鋳包み用シリンダスリーブ20Aの肉抜き部21が完全に露出するまでアルミニウム合金を除去することが好ましい。
なお、肉抜き部21のアルミニウム合金の除去とともに、鋳包み用シリンダスリーブ20Aのシリンダブロック側の内周面23も、同様に切削加工、ホーニング加工を行う。これにより、シリンダブロック側の鋳包み用シリンダスリーブ20Aの厚さを、肉抜き部21の厚さと同一にする。よって、シリンダボア11の内面において、シリンダブロック側からクランクシャフト側端部11Cまで、内周面が平滑なシリンダスリーブ20を得ることができる。
このように鋳包み工程、押圧工程、陽極酸化処理工程、封孔処理工程、加工工程を行うことで、シリンダスリーブ20の鋳鉄が溶解することなく、シリンダブロックのアルミニウム合金部分に、封孔された陽極酸化皮膜を備える船外機用シリンダブロック10を製造することができる。特に、シリンダブロックの接合面10Tおよびウォータジャケット13の内周面は、燃焼室に近く、高温の状況下に置かれ、且つ冷却水(海水)と接触する又はその可能性が高く、腐食が発生し易い箇所であるから、封孔された陽極酸化皮膜を形成することで、船外機用シリンダブロックに腐食が生じるのを防ぐことができる。特にアルミニウム合金として安価なADC材やAC材を用いる場合、耐食性が懸念させることから、封孔された陽極酸化皮膜を形成するメリットが高い。
なお、図7A~図7Cに示した船外機用シリンダブロックの製造方法の実施形態では、鋳包み用シリンダスリーブ20Aに肉抜き部21を形成し、加工工程で、シリンダブロック側の鋳包み用シリンダスリーブ20Aの厚さを、肉抜き部21の厚さと同一になるまで切削加工、ホーニング加工したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図9A~図9Cに示す船外機用シリンダブロックの製造方法の実施形態も採用することができる。
図9Aに示すように、位置決めピンは、クランクシャフト側に肉抜き部33を設けた位置決めピン30Bを用いるとともに、鋳包み用シリンダスリーブは、厚さがシリンダヘッド側からクランクシャフト側まで均一の鋳包み用シリンダスリーブ20Bを用いる。位置決めピン30Bは、クランクシャフト側において、シリンダヘッド側の直径よりも徐々に小さくなる直径を有する円錐台形状の肉抜き部33を有する。すなわち、この肉抜き部33の外周面34は、シリンダヘッド側の外周面35よりも半径方向に内側へ向けて凹んでおり、シリンダヘッド側の外周面35に対して傾いている。
また、位置決めピン30Bは、鋳包み用シリンダスリーブ20B内に嵌め込まれており、これによって、鋳包み用シリンダスリーブ20Bの内周面24は、位置決めピン30Bのシリンダヘッド側の外周面35と密着しているが、肉抜き部33の外周面34との間に空間が形成される。そして、このように位置決めピン30Bを鋳包み用シリンダスリーブ20B内に嵌め込んだ状態で、アルミニウム合金の溶湯が金型内に注入され、シリンダブロック本体10Bが鋳造される。
なお、位置決めピン30Bの肉抜き部33の寸法は、鋳包み用シリンダスリーブ20Bとの間の空間が、溶湯が流れ込むのに十分な大きさになればよい。よって、位置決めピン30Bのシリンダヘッド側の直径と肉抜き部33の最小の直径との差は、図7A~図7Cの実施形態で説明した鋳包み用シリンダスリーブ20Aの厚さの差と同様の数値範囲とすることが好ましい。なお、肉抜き部33の形状は、円錐台形状に限定されず、直径がシリンダヘッド側よりも小さい円筒形状にしてもよい。同様に、図7Aにおいて、鋳包み用シリンダスリーブ20Aの肉抜き部21も、厚さが均一な形状に限定されず、シリンダヘッド側に徐々に厚くなるような形状にしてもよい。
このような鋳包み用シリンダスリーブ20Bおよび位置決めピン30Bを用いることで、シリンダブロック本体10Bは、鋳包み用シリンダスリーブ20Bを鋳包んだ状態で鋳造される。また、位置決めピン30Bの肉抜き部33の内周面34と鋳包み用シリンダスリーブ20Bの外周面24との間に形成された空間にも溶湯が流れることから、鋳包み用シリンダスリーブ20Bの内周面24のクランクシャフト側にもアルミニウム合金が存在することなる。よって、本実施の形態でも、シリンダボア内のアルミニウム合金と鋳鉄との境界は、シリンダヘッド側の境界11Bとクランクシャフト側の境界11Dとの2つの境界が形成される。クランクシャフト側の境界11Dは、シリンダボアのクランクシャフト側端面11Cから十分に離れた距離に形成されることとなる。すなわち、この距離は、シリンダボアの長手軸線に沿った位置決めピン30Bの肉抜き部33の長さに相当する。肉抜き部33の長さは、図7A~図7Cの実施形態で説明した鋳包み用シリンダスリーブ20Aの肉抜き部21の長さと同様の数値範囲とすることが好ましい。
次に、図9Bに示すように、シリンダボア11の内周面における鋳鉄とアルミニウム合金との境界11B、11Dを包含する領域を、弾性治具40で押圧する押圧工程を行う。押圧工程は、図7A~図7Cの実施形態と同様であることから、ここでの詳しい説明は書略する。
そして、図9Bに示すように、弾性治具40をシリンダボア11内に配置した状態でシリンダブロック本体10Bを処理液に浸漬して電解処理を行い、シリンダブロック本体10Bの表面に多孔質の陽極酸化皮膜50を形成する陽極酸化処理工程を行う。更に、陽極酸化皮膜50を表面に形成したシリンダブロック本体10Bを、弾性治具40が配置された状態のまま封孔処理工程を行う。陽極酸化処理工程および封孔処理工程も、図7A~図7Cの実施形態と同様であることから、ここでの詳しい説明は書略する。
そして、シリンダボア11内から弾性治具40を取り外し、図9Cに示すように、位置決めピン30Bの肉抜き部33の内面に形成されたアルミニウム合金を除去する加工工程を行う。肉抜き部23のアルミニウム合金の除去は、例えば、最初に、切削加工によって概ねのアルミニウム合金を除去し、次に、ホーニング加工によって、アルミニウ合金の下の鋳包み用シリンダスリーブ20Bが完全に露出するまでアルミニウム合金を除去することが好ましい。
この実施形態では、鋳包み用シリンダスリーブ20Bの厚さが、最終的なシリンダスリーブ20の厚さと同じ又は若干厚い程度であることから、加工工程は、図7A~図7Cの実施形態よりも、除去する範囲が大幅に小さいことから、製造効率を向上することができる。なお、図9A~図9Cに示した実施形態でも、弾性治具40は2つの治具を組み合わせて用いてもよい。例えば、図10に示すように、シリンダボア11のシリンダヘッド側から第1の弾性治具40Aを挿入して、クランクシャフト側の鋳鉄とアルミニウム合金との境界11Dを包含する領域を押圧するとともに、シリンダヘッド側から第2の弾性治具40Bを挿入して、位置決めピン30Bの肉抜き部33の外周面に形成されたアルミニウム合金の表面のうち、少なくとも一部の環状部分を包含する領域を押圧しても、上記と同様に処理液の浸み込みによるシリンダスリーブ20の鋳鉄の溶解を防ぐことができる。
20mmの長さの肉抜き部を有する鋳鉄製の鋳包み用シリンダスリーブを準備し、アルミニウム合金ADC12材を使用して、この鋳包み用シリンダスリーブを鋳包んだシリンダブロックを作製した。そして、このシリンダブロックのシリンダボアの内周面において、鋳鉄とアルミニウム合金のクランクシャフト側の境界が、シリンダボアのクランクシャフト側端部から20mmの位置に形成されたことを確認した。
そして、弾性治具として、エアピッカーをシリンダボア内に挿入し、鋳鉄とアルミニウム合金との境界を包含する領域が十分に押圧されるようにエアピッカーを膨らませた。そして、このシリンダブロックに陽極酸化処理を施した。陽極酸化処理は、直流電解法により行い、温度20℃、濃度200g/Lの硫酸浴中にシリンダブロックを浸漬し、電流密度1.5A/dmで20分間電圧を印加した。その結果、シリンダボア以外の部分に5~15μmの陽極酸化皮膜を形成した。エアピッカーのエア圧を下げてシリンダボアから取り除き、このシリンダブロックのシリンダボアのクランクシャフト側内面を観察した。その時の写真を図11に示す。
図11に示すように、シリンダボアの内面において、鋳鉄製のシリンダスリーブ20のアルミニウム合金10との境界から離れた位置に陽極酸化皮膜50が形成された。また、鋳鉄製のシリンダスリーブ20には、陽極酸化処理による鋳鉄の溶解は確認されなかった。
10 船外機用シリンダブロック
10A、10B シリンダブロック本体
10T シリンダヘッドとの接合面
11 シリンダボア
11B、11D アルミニウム合金と鋳鉄との境界
13 ウォータジャケット
20 シリンダスリーブ
20A、20C 鋳包み用シリンダスリーブ
21 肉抜き部
30A、30B 位置決めピン
33 肉抜き部
40 弾性治具

Claims (3)

  1. 船外機用シリンダブロックの製造方法であって、
    鋳鉄製の円筒状シリンダスリーブと一体的にシリンダブロック本体を鋳造する鋳包み工程であって、前記シリンダブロック本体が、シリンダヘッドと接合される接合面において、シリンダボアと、前記シリンダボアの周囲にウォータジャケットが形成され、前記シリンダボアの内周面に前記円筒状シリンダスリーブが鋳包みされ、前記円筒状シリンダスリーブは、クランクシャフト側の端部において、シリンダスリーブ内周面から半径方向に外側へ向けて凹んだ肉抜き部が形成されており、前記円筒状シリンダスリーブの内周面に位置決めピンを嵌め込んだ状態で鋳造を行うことで、前記肉抜き部の内周面にもシリンダブロック本体の母材であるアルミニウム合金が形成される、鋳包み工程と、
    前記シリンダボアの内周面において、前記円筒状シリンダスリーブの鋳鉄と前記シリンダブロック本体の母材であるアルミニウム合金とのシリンダヘッド側の境界を包含する領域と、前記肉抜き部の内周面に形成されたアルミニウム合金の表面の少なくとも一部の環状部分を包含する領域を弾性治具で押圧する工程と、
    前記領域を押圧した状態で陽極酸化処理をして、前記シリンダブロック本体の前記アルミニウム合金の部分の表面に陽極酸化皮膜を形成する工程と、
    封孔処理をして、前記陽極酸化皮膜の表面を封孔する工程と、
    前記肉抜き部の内周面に形成されたアルミニウム合金を除去する加工工程と
    を含む、船外機用シリンダブロックの製造方法。
  2. 船外機用シリンダブロックの製造方法であって、
    鋳鉄製の円筒状シリンダスリーブと一体的にシリンダブロック本体を鋳造する鋳包み工程であって、前記シリンダブロック本体が、シリンダヘッドと接合される接合面において、シリンダボアと、前記シリンダボアの周囲にウォータジャケットが形成され、前記シリンダボアの内周面に前記円筒状シリンダスリーブが鋳包みされ、前記円筒状シリンダスリーブの内周面に嵌め込まれる位置決めピンは、クランクシャフト側の端部において、位置決めピン外周面から半径方向に内側へ向けて凹んだ肉抜き部が形成されており、前記円筒状シリンダスリーブの内周面に位置決めピンを嵌め込んだ状態で鋳造を行うことで、前記肉抜き部の外周面にもシリンダブロック本体の母材であるアルミニウム合金が形成される、鋳包み工程と、
    前記シリンダボアの内周面において、前記円筒状シリンダスリーブの鋳鉄と前記シリンダブロック本体の母材であるアルミニウム合金とのシリンダヘッド側の境界を包含する領域と、前記肉抜き部の外周面に形成されたアルミニウム合金の表面の少なくとも一部の環状部分を包含する領域を弾性治具で押圧する工程と、
    前記領域を押圧した状態で陽極酸化処理をして、前記シリンダブロック本体の前記アルミニウム合金の部分の表面に陽極酸化皮膜を形成する工程と、
    封孔処理をして、前記陽極酸化皮膜の表面を封孔する工程と、
    前記肉抜き部の外周面に形成されたアルミニウム合金を除去する加工工程と
    を含む、船外機用シリンダブロックの製造方法。
  3. 前記弾性治具で押圧する工程において、前記弾性治具が、ガス供給部を備えた弾性袋体であり、前記弾性袋体を前記シリンダボア内に配置し、前記ガス供給部からガスを供給して前記弾性袋体を膨らますことで、前記境界を包含する領域および前記環状部分を包含する領域を前記弾性袋体で押圧する、請求項1又は2に記載の船外機用シリンダブロックの製造方法。
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