JPH0525696A - Ａｌ合金製部材及びその製造方法 - Google Patents
Ａｌ合金製部材及びその製造方法Info
- Publication number
- JPH0525696A JPH0525696A JP17649491A JP17649491A JPH0525696A JP H0525696 A JPH0525696 A JP H0525696A JP 17649491 A JP17649491 A JP 17649491A JP 17649491 A JP17649491 A JP 17649491A JP H0525696 A JPH0525696 A JP H0525696A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- alumite treatment
- solid lubricant
- treatment layer
- piston
- ring groove
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
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Classifications
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F05—INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
- F05C—INDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
- F05C2201/00—Metals
- F05C2201/02—Light metals
- F05C2201/021—Aluminium
Landscapes
- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 アルマイト処理層表面の摩擦抵抗を低減させ
て摺動面部の耐摩耗性を向上させる。 【構成】 ピストン素材のピストンリング溝となる箇所
に、内側が緻密で表側が多数の孔部５を有する多孔質な
アルマイト処理層７を形成した後、該アルマイト処理層
７の各孔部５に固体潤滑剤９を含浸させる。
て摺動面部の耐摩耗性を向上させる。 【構成】 ピストン素材のピストンリング溝となる箇所
に、内側が緻密で表側が多数の孔部５を有する多孔質な
アルマイト処理層７を形成した後、該アルマイト処理層
７の各孔部５に固体潤滑剤９を含浸させる。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、Ａｌ合金製部材及びそ
の製造方法に関し、特に摩耗対策に関するものである。
の製造方法に関し、特に摩耗対策に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】近年、自動車等の内燃機関は出力の増大
及び高速回転化の傾向にある。このため、ピストンの熱
負荷が高くなり、特にピストンリング溝が高温であれば
ピストンがＡｌ合金製である場合には、ピストンリング
溝側面にＡｌが凝着してピストンリング溝の摩耗が増加
したり、あるいはピストンリング溝上下面がへたってシ
ール性が阻害される。
及び高速回転化の傾向にある。このため、ピストンの熱
負荷が高くなり、特にピストンリング溝が高温であれば
ピストンがＡｌ合金製である場合には、ピストンリング
溝側面にＡｌが凝着してピストンリング溝の摩耗が増加
したり、あるいはピストンリング溝上下面がへたってシ
ール性が阻害される。
【０００３】そこで、例えば実開昭５９―８１７５６号
公報に開示されているように、ピストンリング溝の周辺
にセラミックファイバを鋳ぐるむことにより、ピストン
リング溝の耐摩耗性等を向上させてシール性を確保する
ようにしたピストンが知られている。
公報に開示されているように、ピストンリング溝の周辺
にセラミックファイバを鋳ぐるむことにより、ピストン
リング溝の耐摩耗性等を向上させてシール性を確保する
ようにしたピストンが知られている。
【０００４】また、例えば特開平１―１９０９５１号公
報や特開平２―７８７５２号公報に開示されているよう
に、ピストンリング溝にアルマイト処理層を形成してシ
ール性を確保するようにしたピストンも提案されてい
る。
報や特開平２―７８７５２号公報に開示されているよう
に、ピストンリング溝にアルマイト処理層を形成してシ
ール性を確保するようにしたピストンも提案されてい
る。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の前者
のようにピストンリング溝の周辺にセラミックファイバ
を鋳ぐるむことは製造上非常に困難であり、しかも信頼
性が必ずしも十分であるとはいえない。また、後者のも
のでは、アルマイト処理層の表面粗さが大きいため、早
期に摩耗してブローバイガス量の増大化を招く。
のようにピストンリング溝の周辺にセラミックファイバ
を鋳ぐるむことは製造上非常に困難であり、しかも信頼
性が必ずしも十分であるとはいえない。また、後者のも
のでは、アルマイト処理層の表面粗さが大きいため、早
期に摩耗してブローバイガス量の増大化を招く。
【０００６】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、上記の後者のやり方を
採用し、この場合において、アルマイト処理層表面の摩
擦抵抗を低減し得る適切な手段を講ずることにより、摺
動面部の耐摩耗性を向上させんとすることにある。
あり、その目的とするところは、上記の後者のやり方を
採用し、この場合において、アルマイト処理層表面の摩
擦抵抗を低減し得る適切な手段を講ずることにより、摺
動面部の耐摩耗性を向上させんとすることにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項１に係る本発明の第１の解決手段は、Ａｌ合
金製素材にて形成し、摺動面部に内側が緻密で表側が多
数の孔部を有する多孔質なアルマイト処理層を形成し、
かつ該アルマイト処理層の各孔部に固体潤滑剤を含浸さ
せたことである。
め、請求項１に係る本発明の第１の解決手段は、Ａｌ合
金製素材にて形成し、摺動面部に内側が緻密で表側が多
数の孔部を有する多孔質なアルマイト処理層を形成し、
かつ該アルマイト処理層の各孔部に固体潤滑剤を含浸さ
せたことである。
【０００８】請求項２に係る本発明の第２の解決手段
は、第１の解決手段において、内燃機関用ピストンを対
象とし、かつ摺動面部をピストンリング溝としたことで
ある。
は、第１の解決手段において、内燃機関用ピストンを対
象とし、かつ摺動面部をピストンリング溝としたことで
ある。
【０００９】請求項３に係る本発明の第３の解決手段
は、第１の解決手段において、固体潤滑剤を非晶性フッ
素樹脂としたことである。
は、第１の解決手段において、固体潤滑剤を非晶性フッ
素樹脂としたことである。
【００１０】請求項４に係る本発明の第４の解決手段
は、Ａｌ合金製素材の摺動面部となる箇所に内側が緻密
で表側が多数の孔部を有する多孔質なアルマイト処理層
を形成した後、該アルマイト処理層の各孔部に固体潤滑
剤を含浸させることによりＡｌ合金製部材を得るように
したことである。
は、Ａｌ合金製素材の摺動面部となる箇所に内側が緻密
で表側が多数の孔部を有する多孔質なアルマイト処理層
を形成した後、該アルマイト処理層の各孔部に固体潤滑
剤を含浸させることによりＡｌ合金製部材を得るように
したことである。
【００１１】
【作用】上記の構成により、請求項１〜４に係る本発明
では、Ａｌ合金製素材の摺動面部となる箇所に内側が緻
密で表側が多数の孔部を有する多孔質なアルマイト処理
層が形成された後、該アルマイト処理層の各孔部に固体
潤滑剤が含浸せしめられることから、摺動時、介在する
固体潤滑剤によってアルマイト処理層表面の摩擦抵抗が
低減され、摺動面部の耐摩耗性が十分に向上する。
では、Ａｌ合金製素材の摺動面部となる箇所に内側が緻
密で表側が多数の孔部を有する多孔質なアルマイト処理
層が形成された後、該アルマイト処理層の各孔部に固体
潤滑剤が含浸せしめられることから、摺動時、介在する
固体潤滑剤によってアルマイト処理層表面の摩擦抵抗が
低減され、摺動面部の耐摩耗性が十分に向上する。
【００１２】
【実施例】以下、本発明の実施例に係るＡｌ合金製部材
及びその製造方法を図面に基づいて説明する。
及びその製造方法を図面に基づいて説明する。
【００１３】図２はＡｌ合金製部材としての内燃機関用
ピストン１を示し、該ピストン１上部の外周には摺動面
部としての３本のピストンリング溝３，３，３が形成さ
れている。上記ピストン１は、Ａｌ合金製素材としての
ピストン素材にて形成され、図１および図３に示すよう
に、上記各ピストンリング溝３の母材３ａ上には、例え
ば硫酸、クロム酸、リン酸及びシュウ酸等の電解液中で
アルマイト処理されることにより、内側が緻密で表側が
多数の孔部５，５，…を有する多孔質なアルマイト処理
層７が形成され、かつ該アルマイト処理層７の各孔部５
には固体潤滑剤９が含浸せしめられている。
ピストン１を示し、該ピストン１上部の外周には摺動面
部としての３本のピストンリング溝３，３，３が形成さ
れている。上記ピストン１は、Ａｌ合金製素材としての
ピストン素材にて形成され、図１および図３に示すよう
に、上記各ピストンリング溝３の母材３ａ上には、例え
ば硫酸、クロム酸、リン酸及びシュウ酸等の電解液中で
アルマイト処理されることにより、内側が緻密で表側が
多数の孔部５，５，…を有する多孔質なアルマイト処理
層７が形成され、かつ該アルマイト処理層７の各孔部５
には固体潤滑剤９が含浸せしめられている。
【００１４】なお、アルマイト処理層７を緻密な層と多
孔質な層との二層構造にするには電解浴温を調整すれば
よく、アルマイト処理層７は電解浴温が低いとよく成長
しかつ硬くなって緻密になる一方、電解浴温が高いと逆
に多孔質になる。また、多孔質層の厚さは、電解時間、
電流密度及び電解浴温等によって決定され、電解時間が
長くかつ電流密度が大きいほど厚くなる。すなわち、電
気量（電解時間と電流密度の積）が大きいほど多孔質層
が厚くなる。一例を挙げると、下記のように設定するの
が好ましい。
孔質な層との二層構造にするには電解浴温を調整すれば
よく、アルマイト処理層７は電解浴温が低いとよく成長
しかつ硬くなって緻密になる一方、電解浴温が高いと逆
に多孔質になる。また、多孔質層の厚さは、電解時間、
電流密度及び電解浴温等によって決定され、電解時間が
長くかつ電流密度が大きいほど厚くなる。すなわち、電
気量（電解時間と電流密度の積）が大きいほど多孔質層
が厚くなる。一例を挙げると、下記のように設定するの
が好ましい。
【００１５】＜緻密なアルマイト処理層を得る条件＞
電解液の種類：２５％硫酸電解液
浴温：０〜５℃
電流の種類：直流
電流密度：１〜３Ａ／dm2
電圧：２０〜３５Ｖ
＜多孔質なアルマイト処理層を得る条件＞
電解液の種類：２５％硫酸電解液
浴温：６〜１５℃
電流の種類：直流
電流密度：１〜３Ａ／dm2
電圧：２０〜３５Ｖ
アルマイト処理層７を緻密にする場合に浴温を０〜５℃
に設定したのは、５℃を超えると孔部５の数が多くなっ
て緻密な金属組織を得ることができないからであり、上
記の条件では平均孔径５０オングストローム、多孔度１
０％未満であった。一方、アルマイト処理層７を多孔質
にする場合に浴温を６〜１５℃に設定したのは、１５℃
を超えると孔部５の数が多くなり過ぎ、固体潤滑剤９を
コーティングしても基地強度を確保することができず、
耐摩耗性が低下するからであり、上記の条件では平均孔
径１２０オングストローム、多孔度１０〜２０％であっ
た。
に設定したのは、５℃を超えると孔部５の数が多くなっ
て緻密な金属組織を得ることができないからであり、上
記の条件では平均孔径５０オングストローム、多孔度１
０％未満であった。一方、アルマイト処理層７を多孔質
にする場合に浴温を６〜１５℃に設定したのは、１５℃
を超えると孔部５の数が多くなり過ぎ、固体潤滑剤９を
コーティングしても基地強度を確保することができず、
耐摩耗性が低下するからであり、上記の条件では平均孔
径１２０オングストローム、多孔度１０〜２０％であっ
た。
【００１６】電流密度を１〜３Ａ／dm2 に設定したの
は、３Ａ／dm2 を超えると反応速度が遅くなり過ぎて膜
厚のばらつきが生じ易くなる一方、１／dm2 未満では皮
膜生成速度が遅くなるからである。例えば１０μｍのア
ルマイト処理層７を形成するために長時間の電解をする
と、アルマイト処理層７の孔壁が電解液で化学溶解され
て薄くなり、耐食性及び耐摩耗性が低下する。
は、３Ａ／dm2 を超えると反応速度が遅くなり過ぎて膜
厚のばらつきが生じ易くなる一方、１／dm2 未満では皮
膜生成速度が遅くなるからである。例えば１０μｍのア
ルマイト処理層７を形成するために長時間の電解をする
と、アルマイト処理層７の孔壁が電解液で化学溶解され
て薄くなり、耐食性及び耐摩耗性が低下する。
【００１７】固体潤滑剤９としては、例えば非晶性フッ
素樹脂、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、黒鉛
及びフッ化カーボン等があり、要はアルマイト処理層７
の各孔部５に含浸できるものであればよい。一例を挙げ
ると、下記の化学式で示される通常のフッ素樹脂は、分
子レベルで板形の層状構造を示し、その表面には溶剤に
溶けないフッ素が存在するため、アルマイト処理層７の
各孔部５に含浸しない。
素樹脂、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、黒鉛
及びフッ化カーボン等があり、要はアルマイト処理層７
の各孔部５に含浸できるものであればよい。一例を挙げ
ると、下記の化学式で示される通常のフッ素樹脂は、分
子レベルで板形の層状構造を示し、その表面には溶剤に
溶けないフッ素が存在するため、アルマイト処理層７の
各孔部５に含浸しない。
【００１８】
【化１】
【００１９】しかし、下記の化学式で示される非晶性フ
ッ素樹脂は、酸素及び炭素等が溶剤に溶けて液相化する
ため、アルマイト処理層７の各孔部５に含浸するのであ
る。
ッ素樹脂は、酸素及び炭素等が溶剤に溶けて液相化する
ため、アルマイト処理層７の各孔部５に含浸するのであ
る。
【００２０】
【化２】
【００２１】また、固体潤滑剤９を各孔部５に含浸させ
る要領は以下の如くである。
る要領は以下の如くである。
【００２２】まず、ボールミル、ハンマーミル、振動ボ
ールミル、ジェットミル等により粉砕した固体潤滑剤９
を分粒してその粒度を調整する。次いで、この固体潤滑
剤９を低蒸気圧な物性をもつ脂肪酸に分散させ、溶液状
にしたものをアルマイト処理層７上に塗布する。その
後、この固体潤滑剤９を塗布したものを容器内に入れて
減圧するか、あるいは加熱して脂肪酸を蒸発させる。こ
れにより、アルマイト処理層７の各孔部５内に浸入した
溶液中の脂肪酸のみが選択的に蒸発し、各孔部５内に固
体潤滑剤９が充填される。なお、上記脂肪酸としては、
例えばステアリン酸、ラウリル酸等であり、また、脂肪
酸に対する固体潤滑剤９の分散量としては２〜１０重量
％が好ましい。この範囲を超えると溶液の粘度が高くな
って固体潤滑剤９が各孔部５に浸入し難くなる一方、こ
れ未満では固体潤滑剤９の各孔部５内に残留する量が少
なくなるからである。
ールミル、ジェットミル等により粉砕した固体潤滑剤９
を分粒してその粒度を調整する。次いで、この固体潤滑
剤９を低蒸気圧な物性をもつ脂肪酸に分散させ、溶液状
にしたものをアルマイト処理層７上に塗布する。その
後、この固体潤滑剤９を塗布したものを容器内に入れて
減圧するか、あるいは加熱して脂肪酸を蒸発させる。こ
れにより、アルマイト処理層７の各孔部５内に浸入した
溶液中の脂肪酸のみが選択的に蒸発し、各孔部５内に固
体潤滑剤９が充填される。なお、上記脂肪酸としては、
例えばステアリン酸、ラウリル酸等であり、また、脂肪
酸に対する固体潤滑剤９の分散量としては２〜１０重量
％が好ましい。この範囲を超えると溶液の粘度が高くな
って固体潤滑剤９が各孔部５に浸入し難くなる一方、こ
れ未満では固体潤滑剤９の各孔部５内に残留する量が少
なくなるからである。
【００２３】次に、本実施例に係るピストン１の製造要
領を比較例と共に説明する。
領を比較例と共に説明する。
【００２４】＜本実施例＞まず、重力鋳造により得られ
たJIS ＡＣ８Ａ製のピストン素材を用意し、このピスト
ン素材をＴ6 処理した後、機械加工してピストンリング
溝３となるリング溝を形成し、その後、アセトンにて洗
浄脱脂した。
たJIS ＡＣ８Ａ製のピストン素材を用意し、このピスト
ン素材をＴ6 処理した後、機械加工してピストンリング
溝３となるリング溝を形成し、その後、アセトンにて洗
浄脱脂した。
【００２５】次いで、上記ピストン素材を１℃の２５％
硫酸電解液（Ａｌイオン０．３％）中に浸漬し、直流電
流、電圧２０〜３５Ｖ、電流密度２Ａ／dm2 、処理時間
２０分でアルマイト処理する。これによりアルマイト処
理層７の金属組織が緻密となる。
硫酸電解液（Ａｌイオン０．３％）中に浸漬し、直流電
流、電圧２０〜３５Ｖ、電流密度２Ａ／dm2 、処理時間
２０分でアルマイト処理する。これによりアルマイト処
理層７の金属組織が緻密となる。
【００２６】その後、浴温を１℃から１０℃に昇温し、
電流密度３Ａ／dm2 、処理時間１０分でアルマイト処理
する。これによりアルマイト処理層７の金属組織が多孔
質になり、内側が緻密で表側が多数の孔部５，５，…を
有する多孔質な二層構造のアルマイト処理層７が形成さ
れる。このアルマイト処理層７の厚さは１０〜２６μｍ
であった。
電流密度３Ａ／dm2 、処理時間１０分でアルマイト処理
する。これによりアルマイト処理層７の金属組織が多孔
質になり、内側が緻密で表側が多数の孔部５，５，…を
有する多孔質な二層構造のアルマイト処理層７が形成さ
れる。このアルマイト処理層７の厚さは１０〜２６μｍ
であった。
【００２７】しかる後、過フッ化物溶剤（スリーエム社
製のフロリネートＦＣ７５）で希釈した５％非晶性フッ
素樹脂（デュポンジャパンリミテッド社製のテフロンＡ
Ｆ）からなる固体潤滑剤９を上記アルマイト処理後のピ
ストン素材１´のリング溝表面にコーティングし、１８
０℃×３０分の条件で焼成した。これにより、アルマイ
ト処理層７の各孔部５に固体潤滑剤９が含浸したピスト
ン１を得た。このピストン１の各ピストンリング溝３表
面は粗さがコーティング前のＲｍａｘ８〜２８μｍに比
べてＲｍａｘ６〜１３μｍと小さく、低摩耗なピストン
１が得られた。
製のフロリネートＦＣ７５）で希釈した５％非晶性フッ
素樹脂（デュポンジャパンリミテッド社製のテフロンＡ
Ｆ）からなる固体潤滑剤９を上記アルマイト処理後のピ
ストン素材１´のリング溝表面にコーティングし、１８
０℃×３０分の条件で焼成した。これにより、アルマイ
ト処理層７の各孔部５に固体潤滑剤９が含浸したピスト
ン１を得た。このピストン１の各ピストンリング溝３表
面は粗さがコーティング前のＲｍａｘ８〜２８μｍに比
べてＲｍａｘ６〜１３μｍと小さく、低摩耗なピストン
１が得られた。
【００２８】＜比較例＞固体潤滑剤９をコーティングし
ないほかは、本実施例と同じ条件にて機械加工及びアル
マイト処理を行い、その後、温水中にて封孔処理した。
このピストン１の各ピストンリング溝３表面の粗さはＲ
ｍａｘ８〜２４μｍと大きく、アルマイト処理層７の厚
さは７〜２７μｍとばらついていた。
ないほかは、本実施例と同じ条件にて機械加工及びアル
マイト処理を行い、その後、温水中にて封孔処理した。
このピストン１の各ピストンリング溝３表面の粗さはＲ
ｍａｘ８〜２４μｍと大きく、アルマイト処理層７の厚
さは７〜２７μｍとばらついていた。
【００２９】そして、上述の如くして得られた本実施例
及び比較例に係るピストン１を下記の条件にてテスト
し、ピストンリング溝（トップリング溝）３の摩耗量を
測定した。
及び比較例に係るピストン１を下記の条件にてテスト
し、ピストンリング溝（トップリング溝）３の摩耗量を
測定した。
【００３０】＜テスト条件＞
エンジン回転数：６０００ｒｐｍ
テスト時間：１５３Ｈｒ
油温：１３５℃
水温：１０８℃
エンジン排気量：１．５リットル
ピストントップリングの仕様：ステンレス鋼（ＳＵＳ４
４０相当）をガス窒化処理した後、硬質クロムメッキを
施し、さらにリン酸亜鉛処理した。
４０相当）をガス窒化処理した後、硬質クロムメッキを
施し、さらにリン酸亜鉛処理した。
【００３１】その結果を図４に示す。図４から明らかな
ように、本実施例では摩耗量が２０μｍ未満と低かった
が、比較例では最低でも約７５μｍと非常に多かった。
ように、本実施例では摩耗量が２０μｍ未満と低かった
が、比較例では最低でも約７５μｍと非常に多かった。
【００３２】このことは、本実施例では、アルマイト処
理層７の各孔部５に含浸する固体潤滑剤９によってアル
マイト処理層７表面の摩擦抵抗が低減していることを物
語るものであり、これによりピストンリング溝（トップ
リング溝）３の耐摩耗性を十分に向上させることができ
るのである。
理層７の各孔部５に含浸する固体潤滑剤９によってアル
マイト処理層７表面の摩擦抵抗が低減していることを物
語るものであり、これによりピストンリング溝（トップ
リング溝）３の耐摩耗性を十分に向上させることができ
るのである。
【００３３】
【発明の効果】以上説明したように、請求項１〜４に係
る本発明によれば、Ａｌ合金製素材の摺動面部となる箇
所に内側が緻密で表側が多数の孔部を有する多孔質なア
ルマイト処理層を形成した後、該アルマイト処理層の各
孔部に固体潤滑剤を含浸させるので、摺動時、介在する
固体潤滑剤によってアルマイト処理層表面の摩擦抵抗を
低減し得て摺動面部の耐摩耗性を十分に向上させること
ができる。
る本発明によれば、Ａｌ合金製素材の摺動面部となる箇
所に内側が緻密で表側が多数の孔部を有する多孔質なア
ルマイト処理層を形成した後、該アルマイト処理層の各
孔部に固体潤滑剤を含浸させるので、摺動時、介在する
固体潤滑剤によってアルマイト処理層表面の摩擦抵抗を
低減し得て摺動面部の耐摩耗性を十分に向上させること
ができる。
【図１】ピストンリング溝の金属組織を模式的に示す断
面図である。
面図である。
【図２】ピストンの正面図である。
【図３】ピストンリング溝のアルマイト処理後の金属組
織を模式的に示す斜視図である。
織を模式的に示す斜視図である。
【図４】ピストンリング溝の摩耗量のデータを示す図で
ある。
ある。
１…ピストン（Ａｌ合金製部材）
３…ピストンリング溝（摺動面部）
５…孔部
７…アルマイト処理層
９…固体潤滑剤
Claims (4)
- 【請求項１】 Ａｌ合金製素材にて形成され、摺動面部
には内側が緻密で表側が多数の孔部を有する多孔質なア
ルマイト処理層が形成され、かつ該アルマイト処理層の
各孔部には固体潤滑剤が含浸せしめられていることを特
徴とするＡｌ合金製部材。 - 【請求項２】 内燃機関用ピストンであり、かつ摺動面
部がピストンリング溝であることを特徴とする請求項１
記載のＡｌ合金製部材。 - 【請求項３】 固体潤滑剤が非晶性フッ素樹脂であるこ
とを特徴とする請求項１記載のＡｌ合金製部材。 - 【請求項４】 Ａｌ合金製素材の摺動面部となる箇所
に、内側が緻密で表側が多数の孔部を有する多孔質なア
ルマイト処理層を形成した後、該アルマイト処理層の各
孔部に固体潤滑剤を含浸させることによりＡｌ合金製部
材を得ることを特徴とするＡｌ合金製部材の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17649491A JPH0525696A (ja) | 1991-07-17 | 1991-07-17 | Ａｌ合金製部材及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17649491A JPH0525696A (ja) | 1991-07-17 | 1991-07-17 | Ａｌ合金製部材及びその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0525696A true JPH0525696A (ja) | 1993-02-02 |
Family
ID=16014647
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP17649491A Withdrawn JPH0525696A (ja) | 1991-07-17 | 1991-07-17 | Ａｌ合金製部材及びその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0525696A (ja) |
Cited By (8)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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