JP2024000326A - 端子付電線 - Google Patents

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Kazuo Nakajima
太郎 藤田
Taro Fujita
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Nariyuki Tanaka
遼太 福本
Ryota Fukumoto
安隆 江本
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守 関口
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Abstract

【課題】液状の接着剤を用いることなく、端子金具と絶縁電線の間の電気接続部を被覆する樹脂被覆部の止水性を高めることができる端子付電線を提供する。【解決手段】端子金具5と、導体3の外周を絶縁被覆4で被覆した絶縁電線2とが、電気接続部6aにおいて電気的に接続された電線部6と、前記絶縁電線2の軸線方向に沿って一部の箇所において、前記絶縁被覆4の外周を被覆するチューブ材7と、前記電線部6の前記電気接続部6aを含む箇所を被覆し、かつ前記チューブ材7の外周面の少なくとも一部に接触して形成された樹脂被覆部8と、を有し、前記チューブ材7は、架橋ポリオレフィン系樹脂と、樹脂成分のうち5質量%以上40質量%以下の酸変性樹脂、および樹脂成分のうち20質量%以上40質量%以下の熱可塑性エラストマーの少なくとも一方と、を含んだ単層の筒状部材として構成されている、端子付電線1とする。【選択図】図1

Description

本開示は、端子付電線に関する。
自動車等の車両に配索される絶縁電線においては、端末部において、導体に端子金具が接続されることが多い。端子金具と電線導体とが電気的に接続された電気接続部に水等の電解質液体が接触すると、短絡等の電気的な問題や、金属材料の腐食が発生する可能性がある。これら電気的な問題や腐食を防止するために、電気接続部に止水を施すことが求められる。
電気接続部に対して止水を行うために、モールド材等の樹脂被覆部で電気接続部を被覆することが公知である。樹脂被覆部は、電気接続部から、絶縁電線の端末の一部にわたる領域に形成される。しかし、樹脂被覆部と絶縁電線との間に隙間が生じると、その隙間から水等の液体が侵入し、電気接続部において、短絡等の電気的な問題や、金属材料の腐食を引き起こす可能性がある。そのような隙間からの液体の侵入を抑制する手段として、絶縁電線と樹脂被覆部の間に、接着剤の層を介在させる方法が用いられる場合がある。例えば、特許文献1に、絶縁電線の端部における絶縁被覆の表面に接着層を形成し、その接着層が形成された部位を含んで、防水樹脂部(樹脂被覆部)を形成する形態が開示されている。また、接着剤の代わりに、熱収縮チューブ等のチューブ材が用いられる場合もある。例えば、特許文献2に、絶縁電線の絶縁材の端部を被覆する接着性チューブを設けたうえで、その接着性チューブの一部を被覆する領域を含んで、モールド部(樹脂被覆部)を形成する形態が開示されている。特許文献2の接着性チューブは、架橋構造を有する熱可塑性樹脂で構成されており、熱収縮性を有する。
特開2013-187041号公報 特開2019-091639号公報
特許文献1に開示されるように、液状の接着剤を用いて、樹脂被覆部の止水性を補う場合には、液状接着剤の膜厚にばらつきが生じやすいことや、液状接着剤に含まれる溶剤の乾燥に長い時間を要すること等、不都合が起こりうる。また、絶縁電線の絶縁被覆と樹脂被覆部の熱膨張の差に追随する観点から、接着剤の層を厚く形成することが求められるが、液状接着剤を用いて厚い層を形成することは、困難である。これに対し、特許文献2に開示されるように、接着剤の代わりに熱収縮チューブ等のチューブ材を用いれば、十分な厚みを有し、厚みの均一性にも優れた層を、樹脂被覆部と絶縁電線の間の箇所に、簡便に配置することができる。
特許文献2では、接着性チューブの構成材料として、架橋構造を有する熱可塑性樹脂、特に架橋ポリエチレンや架橋ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を主成分とする合成樹脂が挙げられている。この接着性チューブの外周面がモールド部の内周面に接着されることで、液体の侵入を抑制できるとされている。しかし、自動車等において、端子付電線の用途や端子付電線が配策される箇所によっては、特に高い水準の止水性が求められる場合もある。接着性チューブの構成材料を、特許文献2に記載されているものから、さらに検討することで、より高い水準の止水性を実現できる可能性がある。
以上に鑑み、液状の接着剤を用いることなく、端子金具と絶縁電線の間の電気接続部を被覆する樹脂被覆部の止水性を高めることができる端子付電線を提供することを課題とする。
本開示の端子付電線は、端子金具と、導体の外周を絶縁被覆で被覆した絶縁電線とが、電気接続部において電気的に接続された電線部と、前記絶縁電線の軸線方向に沿って一部の箇所において、前記絶縁被覆の外周を被覆するチューブ材と、前記電線部の前記電気接続部を含む箇所を被覆し、かつ前記チューブ材の外周面の少なくとも一部に接触して形成された樹脂被覆部と、を有し、前記チューブ材は、架橋ポリオレフィン系樹脂と、樹脂成分のうち5質量%以上40質量%以下の酸変性樹脂、および樹脂成分のうち20質量%以上40質量%以下の熱可塑性エラストマーの少なくとも一方と、を含んだ単層の筒状部材として構成されている。
本開示にかかる端子付電線は、液状の接着剤を用いることなく、端子金具と絶縁電線の間の電気接続部を被覆する樹脂被覆部の止水性を高めることができる端子付電線となる。
図1は、本開示の一実施形態にかかる端子付電線を示す透視側面図である。ここでは、チューブ材を破線で表示している。 図2は、上記端子付電線において、チューブ材および樹脂被覆部を切断して表示する部分断面図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施態様を説明する。
(1)本開示の端子付電線は、端子金具と、導体の外周を絶縁被覆で被覆した絶縁電線とが、電気接続部において電気的に接続された電線部と、前記絶縁電線の軸線方向に沿って一部の箇所において、前記絶縁被覆の外周を被覆するチューブ材と、前記電線部の前記電気接続部を含む箇所を被覆し、かつ前記チューブ材の外周面の少なくとも一部に接触して形成された樹脂被覆部と、を有し、前記チューブ材は、架橋ポリオレフィン系樹脂と、樹脂成分のうち5質量%以上40質量%以下の酸変性樹脂、および樹脂成分のうち20質量%以上40質量%以下の熱可塑性エラストマーの少なくとも一方と、を含んだ単層の筒状部材として構成されている。
上記端子付電線においては、端子金具と絶縁電線の間の電気接続部を被覆する樹脂被覆部と、絶縁電線との間に、チューブ材が介在されている。チューブ材が、架橋ポリオレフィン系樹脂に加えて、上記所定量の酸変性樹脂および熱可塑性エラストマーの少なくとも一方を含んでいることにより、絶縁被覆および樹脂被覆部に対して、高い接着性を示す。そのため、樹脂被覆部が、チューブ材を介して絶縁電線に強固に接着され、樹脂被覆部と絶縁電線の間の箇所から水等の液体が侵入する事態が、起こりにくくなる。その結果、端子付電線において、樹脂被覆部によって付与される止水性が、チューブ材によって効果的に向上される。チューブ材は、製造性にも優れたものとなる。
(2)上記(1)の態様において、前記チューブ材は、前記酸変性樹脂と前記熱可塑性エラストマーをともに含むとよい。すると、チューブ材と、絶縁被覆および樹脂被覆部との間の接着性が特に高くなり、止水性向上効果が高くなる。
(3)上記(1)または(2)の態様において、前記熱可塑性エラストマーと、前記樹脂被覆部を構成する樹脂材料は、同種の骨格を有しているとよい。すると、樹脂被覆部に対するチューブ材の接着性が特に高くなり、止水性の向上に高い効果が得られる。
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つの態様において、前記熱可塑性エラストマーは、ポリエステル系エラストマーおよびポリアミド系エラストマーの少なくとも一方を含むとよい。すると、チューブ材が、絶縁被覆および樹脂被覆部に対して高い接着性を示すものとなる。端子付電線に設けられるモールド材の構成材料としては、ポリエステル系樹脂やポリアミド系樹脂が用いられることが多い。樹脂被覆部をそれらの樹脂材料よりなるモールド材として構成する場合に、チューブ材が上記エラストマーを含有していれば、チューブ材がモールド材に対して特に高い接着性を示し、樹脂被覆部と絶縁電線の間の箇所からの液体の侵入を、効果的に抑制することができる。
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つの態様において、前記酸変性樹脂は、酸変性ポリオレフィン樹脂を含むとよい。すると、絶縁被覆および樹脂被覆部に対して高い接着性を示すチューブ材を、架橋ポリオレフィン系樹脂とともに構成しやすくなる。
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つの態様において、前記樹脂被覆部は、前記チューブ材の外周面の全域を被覆しているとよい。すると、チューブ材の全域が、樹脂被覆材と絶縁電線の間の箇所に配置されることになり、樹脂被覆部と絶縁電線の間の接着性を高めるのに寄与することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、図面を用いて、本開示の一実施形態にかかる端子付電線について、詳細に説明する。以下、各種特性については、特記しないかぎり、室温、大気中にて測定される値とする。
<全体の構成>
まず、本開示の一実施形態にかかる端子付電線1の全体の構成を、図1,2を参照しながら説明する。端子付電線1は、電線部6と、チューブ材7と、樹脂被覆部8と、を有している。図1では、端子付電線1を透視側面図にて示している。ここでは、チューブ材7を破線にて表示している。図2では、端子付電線1を、チューブ材7と樹脂被覆部8のみを切断した部分断面図にて表示している。
電線部6においては、導体3が絶縁被覆4により被覆された絶縁電線2と、端子金具5が、電気接続部6aにて電気的に接続されている。端子金具5は、端子接続部51を有するとともに、端子接続部51の後端側に一体に延設形成されて、第一のバレル部52と第二のバレル部53とからなるバレル部を有する。端子接続部51は、ボルト締結型の接続部として構成されており、ボルト挿通孔51aに挿通したボルトを用いて、相手方の導電部材と電気接続可能となっている。
電気接続部6aでは、絶縁電線2の端末の絶縁被覆4が除去され、導体3が露出されている。この導体3が露出された絶縁電線2の端末部が、端子金具5のバレル部52,53の片面側(図1,2の上面側)にかしめ固定されて、絶縁電線2と端子金具5が接続されている。具体的には、第一のバレル部52が、導体3と端子金具5を電気的に接続するとともに、端子金具5に導体3を物理的に固定している。一方、第二のバレル部53が、第一のバレル部52よりも後方において、絶縁電線2を固定し、端子金具5への絶縁電線2の物理的な固定を補助している。本明細書においては、端子付電線1の軸線方向(長手方向)に沿って、端子金具5が配置された側を前方、絶縁電線2が配置された側を後方とする。
チューブ材7は、後に説明する所定の材料より構成された単層の筒状部材として構成されている。チューブ材7は、絶縁電線2の軸線方向に沿って、一部の箇所において、絶縁被覆4の外周を被覆している。図示した形態においては、チューブ材7は、絶縁電線2の端部近傍の領域を、全周にわたって被覆している。
樹脂被覆部8は、モールド材等、樹脂材料よりなる被覆層として構成されており、電線部6のうち、電気接続部6aを含む箇所を被覆している。樹脂被覆部8は、チューブ材7の外周面の少なくとも一部に接触している。図示した形態では、樹脂被覆部8は、チューブ材7の外周面の全域を被覆している。樹脂被覆部8は、端子付電線1の軸線方向に沿って、絶縁電線2の端末で露出された導体3の先端3aよりも前方の位置から、絶縁電線2の絶縁被覆4の先端よりも後方までの領域にわたって形成されており、電気接続部6aの全域、および絶縁電線2の絶縁被覆4が残された領域の一部を、全周にわたって被覆している。樹脂被覆部8が絶縁電線2の絶縁被覆4を被覆する領域には、チューブ材7が設けられた領域も含まれている。
このように、チューブ材7は、絶縁電線2の絶縁被覆4の外周を被覆して配置され、さらにその外周を樹脂被覆部8に被覆されている。チューブ材7は、単層の材料より構成されており、チューブ材7と絶縁被覆4の間、またチューブ材7と樹脂被覆部8の間には、接着剤等、他の材料が介在されない。チューブ材7は、内周面において、絶縁被覆4の表面に接着されるとともに、外周面において、樹脂被覆部8の内周面に接着されている。ここで、チューブ材7の内外の面における絶縁被覆4および樹脂被覆部8への接着は、溶着(融着)によって起こっている。つまり、単層のチューブ材7を構成する材料が、内周面および外周面およびそれらの近傍の深さ領域において、溶融したうえで再凝固することで、全周にわたって、それぞれ絶縁被覆4および樹脂被覆部8に接着されている。
本実施形態にかかる端子付電線1においては、電線部6の電気接続部6aの全域を、樹脂被覆部8が被覆している。そのため、電気接続部6aが、樹脂被覆部8によって、水等の液体との接触から保護される。さらに、樹脂被覆部8と絶縁電線2の間に、チューブ材7が介在しており、そのチューブ材7が、樹脂被覆部8と絶縁電線2の両方に接着されている。そのため、樹脂被覆部8が、チューブ材7を介して絶縁被覆4の外周に隙間なく密着しており、樹脂被覆部8と絶縁被覆4の間の箇所から、電気接続部6aへと水等の液体が侵入するのが、チューブ材7の存在によって抑制される。つまり、チューブ材7は、端子付電線1の止水性を高める役割を果たしている。特に、チューブ材7が、後に説明する所定の材料より構成されることで、絶縁被覆4および樹脂被覆部8に対して優れた接着性を示し、止水性向上において高い効果を有する。樹脂被覆部8とチューブ材7によって、電気接続部6aに水等の電解質が侵入するのが抑制されることで、電気接続部6aにおいて、短絡等の電気的な問題や、金属材料の腐食が生じにくくなる。
<各部の構成>
以下、端子付電線1を構成する電線部6、樹脂被覆部8、チューブ材7の具体的構成について、順に説明する。
(電線部)
上記のように、電線部6は、絶縁電線2の端末部に、電気接続部6aを介して端子金具5が接続された構造を有している。
絶縁電線2を構成する導体3は、単一の金属線よりなってもよいが、複数の素線が撚り合わせられた撚線よりなることが好ましい。この場合、撚線は、1種の金属素線より構成されていても、2種以上の金属素線より構成されていてもよい。導体3を構成する金属素線の材料としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、もしくはこれらの材料に各種めっきが施された材料などを例示することができる。
絶縁電線2を構成する絶縁被覆4の材料としては、例えば、ゴム、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)等のハロゲン系ポリマー、熱可塑性エラストマーなどを挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。樹脂材料は、架橋されてもよい。絶縁被覆4の構成材料中には、適宜、各種添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、難燃剤、充填剤、着色剤等を挙げることができる。
端子金具5の材料(母材の材料)としては、一般的に用いられる黄銅の他、各種銅合金、銅などを挙げることができる。端子金具5の表面の一部(例えば接点)もしくは全体には、スズ、ニッケル、金またはそれらを含む合金など、各種金属によりめっきが施されていてもよい。
以上のように、導体3および端子金具5は、いかなる金属材料よりなってもよいが、端子金具5が、銅または銅合金よりなる母材にスズめっきを施された一般的な端子材料よりなり、導体3がアルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる素線を含んでいる場合のように、電気接続部6aにおいて異種金属が接触している場合には、水分等の電解質との接触によって、電気接続部6aに特に腐食が発生しやすい。しかし、本実施形態にかかる端子付電線1においては、樹脂被覆部8が電気接続部6aを被覆し、さらにその樹脂被覆部8と絶縁電線2の間にチューブ材7が介在する止水構造を有していることで、そのような異種金属間腐食等の腐食も、抑制することができる。
(樹脂被覆部)
上記のように、樹脂被覆部8は、端子金具5と導体3の間の電気接続部6aを被覆することで、外部から電気接続部6aへの水等の液体の侵入を防止することができる。樹脂被覆部8は、図1,2に示すように、前方側の部位において、端子金具5の表面に接触し、後方側の部位において、絶縁電線2の絶縁被覆4、およびチューブ材7に接触して、電気接続部6aの全域を含む領域を被覆している。
樹脂被覆部8は、電線部6の軸線方向に沿って、電気接続部6aの全域を被覆するとともに、チューブ材7の外周面の少なくとも一部に接触して配置されていれば、具体的に配置される範囲を特に指定されるものではない。つまり、樹脂被覆部8は、前後方向に沿って、チューブ材7のうち、前方側の一部の領域の外周面のみを被覆するものであっても、あるいは、チューブ材7の外周面の全域を被覆するものであってもよい。しかし、図示した形態のように、樹脂被覆部8は、前後方向に沿って、また周方向に沿って、チューブ材7の外周面の全域を被覆していることが好ましい。すると、チューブ材7が、外周面の全域で、樹脂被覆部8に接触し、樹脂被覆部8に接着されることになるので、樹脂被覆部8と絶縁電線2の間の接着性を高め、それらの間の箇所からの液体の侵入をチューブ材7によって抑制する効果が、高く得られる。
樹脂被覆部8の構成材料は特に限定されるものではなく、各種の樹脂材料を適用することができるが、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、芳香族ナイロン等のポリアミド系樹脂を好適に用いることができる。これらの樹脂は、水等の液体の侵入を強固に抑制できるとともに、高い機械的強度を示す。樹脂被覆部8を構成する樹脂材料は、1種のみであっても、2種以上が混合されていてもよい。樹脂被覆部8の構成材料中には、適宜、各種添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、難燃剤、充填剤、着色剤等を挙げることができる。
ポリエステル系樹脂やポリアミド系樹脂より構成された樹脂被覆部8は、端子金具5や電線導体3のような金属材料の表面に対して、高い接着性を示す。よって、電気接続部6aにおいては、樹脂被覆部8がそれら金属材料の表面に直接密着することで、外部からの液体の侵入を強固に抑制することができる。一方、それらの樹脂より構成された樹脂被覆部8は、ポリオレフィンやPVC等より構成された絶縁被覆4に対しては、高い接着性を示さないことが多い。しかし、本実施形態にかかる端子付電線1においては、樹脂被覆部8の後方部分において、絶縁被覆4と樹脂被覆部8の両方に対して接着性を示すチューブ材7が、絶縁被覆4と樹脂被覆部8との間に介在され、絶縁被覆4と樹脂被覆部8が、チューブ材7を介して、相互に接着されている。
樹脂被覆部8は、溶融樹脂の塗布、成形等、どのような方法によって所定の位置に配置されてもよい。しかし、樹脂被覆部8を、溶融樹脂をモールド成形したモールド材として構成することが好ましい。ポリエステル系樹脂やポリアミド系樹脂を含む樹脂被覆部8は、モールド材として好適に形成することができる。
(チューブ材)
チューブ材7は、絶縁電線2の外周に配置される前の状態において予め筒状に成形された、絶縁性の樹脂部材として構成されている。チューブ材7は、単層の筒状部材として構成されており、内周面および外周面に、液状接着剤の層など、筒状部材以外の層を備えていない。
チューブ材7の構成材料は、架橋ポリオレフィン系樹脂を含んでおり、さらに、酸変性樹脂と熱可塑性エラストマーの少なくとも一方を含んでいる。好ましくは、チューブ材7は、架橋ポリオレフィン系樹脂に加えて、少なくとも酸変性樹脂を含んでいるとよい。さらに好ましくは、チューブ材7は、架橋ポリオレフィン系樹脂に加えて、酸変性樹脂と熱可塑性エラストマーの両方を含んでいるとよい。上記のように、チューブ材7は単層より構成されており、各樹脂は、均一に混合されて、成形されている。
架橋ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂のポリマー鎖の間に、架橋構造が形成されたものである。架橋ポリオレフィン系樹脂を構成するポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のホモポリオレフィン、エチレン-プロピレン共重合体等のブロックポリオレフィン、エチレン系共重合体等を挙げることができる。特に、PEをはじめとするポリオレフィンを用いることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、1種のみを用いても、2種以上を混合して用いてもよい。ポリオレフィン系樹脂は、次に説明する酸変性樹脂とは異なり、酸変性を受けていない。架橋ポリオレフィン系樹脂は、溶着により、絶縁被覆4および樹脂被覆部8に対して、ある程度の接着性を示す。
ポリオレフィン系樹脂の架橋は、電離放射線、特に電子線の照射によって行われることが好ましい。ただし、シラン架橋等、電離放射線による架橋以外の架橋法を用いてもよい。なお、チューブ材7において、上記のようなポリオレフィン系樹脂と、酸変性樹脂および/または熱可塑性エラストマーを混合した状態に対して架橋が行われていてもよい。
チューブ材7が架橋ポリオレフィン系樹脂を含むことで、チューブ材7を熱収縮性チューブとして構成することができる。つまり、オレフィン系樹脂を含む樹脂組成物を小径のチューブ状に押出成形して、電子線照射等によって架橋を行った後、その小径のチューブを加熱しながら拡径することで、チューブ材7に熱収縮性を付与することができる。熱収縮性チューブとして構成されたチューブ材7を絶縁電線2の所定の位置に配置し、加熱して収縮させれば、チューブ材7を絶縁電線2の外周面に密着させて配置することができる。この加熱の過程で、同時に、チューブ材7の内周面を絶縁被覆4の表面に溶着させることができる。
チューブ材7において、架橋ポリオレフィン系樹脂の含有量は、特に限定されるものではない。しかし、チューブ材7の製造性を確保する等の観点から、チューブ材7を構成する樹脂成分の主成分を占めるとよい。つまり、架橋ポリオレフィン系樹脂が、チューブ材7の樹脂成分のうち50質量%以上を占めるとよい。特に、チューブ材7を構成する樹脂成分のうち60質量%以上、また95質量%以下を、架橋ポリオレフィン系樹脂が占めるとよい。また、チューブ材7を構成する樹脂成分のうち、酸変性樹脂および熱可塑性エラストマーを除いた残部を、架橋ポリオレフィン系樹脂が占めるとよい。なお、本明細書において、チューブ材7を構成する各成分について、質量%を単位として示す含有量は、チューブ材7の構成材料のうち、樹脂成分(ポリマー成分)に占める量を指すものとする。
上記のとおり、チューブ材7の構成材料は、酸変性樹脂を含有していることが好ましい。酸変性樹脂を構成する樹脂種は、特に限定されるものではなく、ポリオレフィン系樹脂、または他の熱可塑性樹脂を好適に用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のホモポリオレフィン、エチレン-プロピレン共重合体等のブロックポリオレフィン、エチレン系共重合体等を挙げることができる。ポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)等のスチレン系樹脂を好適に用いることができる。特に、架橋ポリオレフィン系樹脂との親和性等の観点から、PPをはじめとするポリオレフィンを用いることが好ましい。酸変性樹脂は、1種のみを用いても、2種以上を混合してもよい。
チューブ材7の構成材料が、架橋ポリオレフィン系樹脂に加えて、酸変性樹脂を含有することで、絶縁被覆4および樹脂被覆部8に対するチューブ材7の接着性が高くなる。特に、樹脂被覆部8が、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等、極性を有する構造を含む場合に、それら極性を有する構造と酸変性樹脂の酸変性部との間の相互作用により、樹脂被覆部8に対してチューブ材7が高い接着性を示す。
チューブ材7の構成材料における酸変性樹脂の含有量は、接着性向上効果を十分に得る観点から、5質量%以上であることが好ましい。さらには、10質量%以上、また20質量%以上であるとよい。一方、酸変性樹脂の含有量が多すぎると、チューブ材7の構成材料が脆くなり、押出成形、拡径等の製造工程において、ちぎれ等の損傷が発生し、チューブ材7の製造が困難となる可能性がある。チューブ材7の製造性を確保する観点から、酸変性樹脂の含有量は、40質量%以下、さらには30質量%以下に抑えておくとよい。
また、チューブ材7の構成材料は、酸変性樹脂に加えて、あるいは酸変性樹脂の代わりに、熱可塑性エラストマーを含有しているとよい。熱可塑性エラストマーは、エラストマーであれば、つまりハードセグメントとソフトセグメントを有するポリマー種であれば、具体的な種類を特に限定されるものではない。熱可塑性エラストマーに含まれる主にソフトセグメントの寄与により、絶縁被覆4および樹脂被覆部8に対するチューブ材7の接着性が向上する。熱可塑性エラストマーは、上記酸変性樹脂とは異なり、酸変性を受けていない。
特に、熱可塑性エラストマーが、ハードセグメントがポリエステル単位よりなるポリエステル系エラストマー、およびハードセグメントがポリアミド単位よりなるポリアミド系エラストマーの少なくとも一方を含有することが好ましい。これらの熱可塑性エラストマーは、チューブ材7の接着性の向上に、高い効果を示す。特に、熱可塑性エラストマーが、樹脂被覆部8を構成する樹脂材料と、同種の骨格を有していることが好ましい。例えば、樹脂被覆部8がPBT等のポリエステル系樹脂を含む場合に、チューブ材7にポリエステル系エラストマーを用いればよい。また、樹脂被覆部8が芳香族ナイロン等のポリアミド系樹脂を含む場合に、チューブ材7にポリアミド系エラストマーを用いればよい。これらのように、チューブ材7に含有される熱可塑性エラストマーと樹脂被覆部8を構成する樹脂材料が同種の骨格を有する場合には、樹脂被覆部8に対するチューブ材7の接着性を特に効果的に向上させることができる。
チューブ材7の構成材料における熱可塑性エラストマーの含有量は、接着性向上効果を十分に得る観点から、20質量%以上であることが好ましい。さらには、30質量%以上であるとよい。一方、チューブ材7の製造性を確保する観点から、熱可塑性エラストマーの含有量は、40質量%以下に抑えておくとよい。
酸変性樹脂と熱可塑性エラストマーは、ともに、絶縁被覆4および樹脂被覆部8、特に樹脂被覆部8に対するチューブ材7の接着性を高める効果を示し、チューブ材7の構成材料に少なくとも一方が含まれていれば、接着性向上の効果が発揮される。しかし、それらのうち、少なくとも酸変性樹脂が含まれていれば、比較的少量の含有であっても、チューブ材7の接着性向上に高い効果が得られる点で好ましい。さらに、酸変性樹脂と熱可塑性エラストマーの両方が、チューブ材7に含まれている形態が、最も好ましい。この場合には、酸変性樹脂と熱可塑性エラストマーの両方の寄与により、チューブ材7の接着性の向上に、特に高い効果が得られる。チューブ材7の構成材料において、酸変性樹脂と熱可塑性樹脂の合計の含有量が、30質量%以上、また45質量%以下であると、特に好ましい。
チューブ材7の構成材料は、上記の架橋ポリオレフィン系樹脂、酸変性樹脂、熱可塑性エラストマーの各樹脂以外のポリマー成分を含有してもよいが、それらの樹脂の特性を損なわないように、それら各樹脂よりも含有量を少なく抑えることが好ましい。好ましくは、チューブ材7を構成するポリマー材料が、架橋ポリオレフィン系樹脂、酸変性樹脂、熱可塑性エラストマー以外のポリマー成分を含まないとよい。また、チューブ材7の構成材料は、ポリマー材料に加えて、適宜添加剤を含有してもよい。添加剤としては、難燃剤、充填剤、着色剤等を挙げることができる。
チューブ材7の肉厚は、特に限定されるものではないが、止水性向上の効果を高める観点、また絶縁被覆4と樹脂被覆部8との間の熱膨張の差に十分に追随させる観点から、50μm以上、さらには100μm以上とするとよい。一方、端子付電線1の止水箇所が過度に大型化するのを抑制する等の観点から、チューブ材7の肉厚は、2mm以下、さらには1mm以下に抑えておくとよい。なお、ここに記載した肉厚は、チューブ材を熱収縮させた後の肉厚を指す。
以上に説明したように、本実施形態にかかる端子付電線1においては、電気接続部6aを含む領域を被覆する樹脂被覆部8と、絶縁電線2の絶縁被覆4との間に、チューブ材7が配置されており、そのチューブ材7が、絶縁被覆4および樹脂被覆部8に対して接着性を示す。よって、樹脂被覆部8が、チューブ材7を介して、絶縁電線2に接着される。チューブ材7の構成材料が、架橋ポリオレフィン系樹脂に加えて、酸変性樹脂と熱可塑性エラストマーの少なくとも一方を含有することで、チューブ材7の接着性が向上されており、特に樹脂被覆部8に対して高い接着性を示す。チューブ材7が高い接着性を有することで、樹脂被覆部8と絶縁被覆4の間の箇所から、電気接続部6aに向かって、水等の液体が侵入するのが抑制される。電気接続部6aが、水等の電解質との接触から保護されることで、電気接続部6aにおいて、短絡等の電気的な問題や、金属材料の腐食が抑制され、電気接続部6aにおいて、長期にわたって、良好な電気的接続が維持される。チューブ材7が高い接着性を有する単層の筒状部材として構成されていることで、止水性の向上を目的として、液状接着剤を用いることは必要ない。チューブ材7を用いることで、液状接着剤とは異なり、端子付電線1の所定の箇所に、十分な厚さの樹脂材料を、均一性高く配置する操作を、簡便に行うことができる。
また、チューブ材7においては、上記のとおり、押出成形や拡径を伴う製造工程における製造性の確保の観点から、酸変性樹脂および熱可塑性エラストマーの含有量が、それぞれ40質量%以下に抑えられることが好ましい。チューブ材7の製造性の指標として、チューブ材7の構成材料の破断伸びを用いることができる。具体的には、チューブ材7の構成材料は、150%以上、さらには300%以上の破断伸びを有していることが好ましい。破断伸びは、JIS K 7161に準拠した引張試験によって評価することができる。
<端子付電線の製造方法>
最後に、本実施形態にかかる端子付電線1の製造方法について説明する。まず、チューブ材7の製造方法を説明する。チューブ材7を作製するに際し、最初に、ポリオレフィン系樹脂、酸変性樹脂と熱可塑性樹脂の少なくとも一方、さらに必要に応じて各種添加物を混練し、樹脂組成物を準備する。そして、樹脂組成物を筒状に押出成形する。得られた筒状体に対して、電子線照射等によって架橋を施すことで、チューブ材7が得られる。チューブ材7を熱収縮性チューブとして構成する場合には、小径に押出成形し、電子線照射等による架橋を施したうえで、加熱しながら拡径を行い、その後冷却すればよい。これにより、拡径前の形状が記憶され、チューブ材7が熱収縮性を獲得する。熱収縮チューブの内径は、拡径前の状態で、絶縁電線2の外径よりも小さくし、拡径により、絶縁電線2の外径よりも大きく広げておけばよい。
端子付電線1を製造するに際し、まず、電線部6を製造する。つまり、絶縁被覆4を皮剥した絶縁電線2の端末に、端子金具5のバレル部52,53をかしめて固定すればよい。これにより、電気接続部6aにて電線導体3と端子金具5が接続された構造が得られる。なお、端子金具5の具体的な構成に応じて、かしめ固定の代わりに、超音波溶着やはんだ付け等により、電線導体3と端子金具5の接続を行ってもよい。いずれの場合にも、端子金具5を絶縁電線2に固定する前または後に、必要な長さに切り出したチューブ材7の中空部に、絶縁電線2を挿通することで、絶縁電線2の外周にチューブ材7を配置しておく。
次に、チューブ材7を、絶縁電線2の端部近傍の所定の位置に位置決めした状態で、チューブ材7を加熱する。加熱により、熱収縮チューブとして構成されたチューブ材7が収縮し、絶縁電線2の外周に密着する。同時に、加熱によって、チューブ材7の内周面の構成材料が、絶縁被覆4に対して溶着を起こし、これによってチューブ材7が絶縁被覆4に接着される。チューブ材7の加熱は、超音波溶着、振動溶着、高周波溶着、レーザ溶着、赤外線溶着、摩擦溶着、熱板溶着、熱風溶着などにより行うことができる。
さらに、チューブ材7を取り付けた電線部6に対して、電気接続部6aを含む所定の箇所を被覆して、樹脂被覆部8を形成する。樹脂被覆部8の形成は、溶融させた樹脂材料を所定の箇所に配置し、凝固させることで行えばよい。樹脂材料の配置は、モールド成形によって好適に実施することができる。つまり、形成すべき樹脂被覆部8の形状に合わせたキャビティを有する金型に、電線部6のうち、電気接続部6a、およびチューブ材7を取り付けた箇所を含む領域を収容したうえで、金型内に溶融させた樹脂材料を注入する。樹脂材料を凝固させることで、モールド材として構成された樹脂被覆部8を得ることができる。樹脂被覆部8を形成する際に、高温の溶融樹脂がチューブ材7の外周面に接することになり、この熱により、チューブ材7の外周面の構成材料が樹脂被覆部8の内周面に対して溶着を起こして、チューブ材7が樹脂被覆部8に接着される。
以下に実施例を示す。ここでは、チューブ材の構成材料を変化させながら、端子付電線の止水性等の特性の評価を行った。なお、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。本実施例において、特性の評価は、室温、大気中において行っている。
[試料の作製]
試料A1~A27,B1~B9のそれぞれについて、表1~3に挙げた成分を含有する熱収縮性のチューブ材を作製した。チューブ材の作製に際しては、表1の各成分を混練した樹脂組成物を小径の筒状に押出成形し、電子線照射による架橋を行った後、加熱しながら拡径を行った。拡径後の状態で、熱収縮チューブの外径は6.4mm、肉厚は0.5mmとした。なお、a群の材料として、非架橋PEを用いている試料については、電子線照射を行わずに、直接上記の寸法に樹脂組成物を押出成形した。また、シラン架橋PEを用いている試料についても、上記の寸法に樹脂組成物を押出成形したうえで、シラン架橋を実施した。電子線架橋PE1と、電子線架橋PE2は、ともに電子線架橋ポリエチレンであるが、架橋度が相互に異なっており、電子線架橋PE2の方が、架橋度が低くなっている。
絶縁電線として、架橋ポリエチレン樹脂よりなる絶縁被覆を、銅合金の撚線よりなる導体の外周に形成した電線を準備した。絶縁電線の外径は5.3mmであった。この絶縁電線の端末の絶縁被覆を除去し、電線導体を露出させた後、自動車用として汎用されているスズめっきされた黄銅よりなるオス形状の圧着端子金具を、電線の端末に圧着固定し、電線部を得た。さらに、電線部を構成する絶縁電線の端末近傍の外周部に、長さ10mmのチューブ材を配置しておいた。
次に、試料を恒温槽に投入することで、チューブ材を加熱した。この際、チューブ材が熱収縮性を有するものについては、チューブ材が熱収縮を起こし、絶縁電線の外周に密着した。熱収縮後の状態で、チューブ材の肉厚は、0.6mmとなった。
最後に、モールド成形によって、樹脂被覆部を形成した。樹脂被覆部の構成材料としては、PBTまたはナイロン6T(PA6T)を用いた。樹脂被覆部は、図1,2に示したとおり、絶縁電線と端子金具の間の電気接続部の全域を被覆し、かつチューブ材の外周面の全域を被覆するように、形成した。
[特性の評価]
(1)止水性
上記で各種のチューブ材を用いて作製した端子付電線に対して、エアリーク試験によって止水性を評価した。つまり、端子付電線の樹脂被覆部が設けられた部位全体を水に浸漬し、端子金具が接続されていない側の電線端部から、所定の圧力で空気圧を印加した。空気圧の印加時に、電線被覆と樹脂被覆部の間の界面より、気泡の発生が視認されるか否かにより、空気の漏れが起こっているかを確認した。この試験を、印加する空気圧を変化させながら行い、空気の漏れが起こらない空気圧の上限値により、止水性を評価した。
止水性の評価は、以下の基準にて行った。
・止水性が非常に高い(A+):上限の空気圧が200kPa以上の場合
・止水性が高い(A):上限の空気圧が100kPa以上200kPa未満の場合
・止水性が低い(B):上限の空気圧が50kPa以上100kPa未満の場合
・止水性が非常に低い(B-):上限の空気圧が50kPa未満の場合
(2)チューブ材の熱収縮性
端子付電線の製造工程において、絶縁電線の外周に配置したチューブ材を加熱した際に、チューブ材の熱収縮が起こるか否かにより、チューブ材が熱収縮性を有するか(A)、有さないか(B)を判定した。
(3)チューブ材の製造性
チューブ材の製造性を示す指標として、チューブ材の構成材料の破断伸びを計測した。チューブ材の構成材料が脆く、破断伸びが小さいと、押出成形時、また拡径時に、ちぎれ等の損傷が発生し、チューブ材の製造性が低くなるためである。破断伸びの計測は、JIS K 7161に準拠した引張試験によって行った。
計測された破断伸びの値によって、チューブ材の製造性を以下のように評価した。
・製造性が非常に高い(A+):破断伸びが300%以上
・製造性が高い(A):破断伸びが150%以上300%未満
・製造性が低い(B):破断伸びが150%未満
[評価方法]
下の表1~3に、試料A1~A27,B1~B9のそれぞれについて、チューブ材の成分組成、樹脂被覆部の構成材料とともに、各特性の評価結果を示す。チューブ材の成分組成については、樹脂成分のうちの各成分の含有量を、質量%を単位として表示している。樹脂被覆部については、PBTとPA6Tのうち、構成材料として使用した方に、黒丸を表示している。
Figure 2024000326000002
Figure 2024000326000003
Figure 2024000326000004
上記表1,2に掲載した試料A1~A27のチューブ材はいずれも、架橋ポリオレフィン系樹脂(a群)に加え、樹脂成分のうち5質量%以上40質量%以下の酸変性樹脂(b群)、および樹脂成分のうち20質量%以上40質量%以下の熱可塑性エラストマー(c群)の少なくとも一方を含有している。チューブ材が架橋ポリオレフィン系樹脂を含有していることにより、いずれの試料も、チューブ材が熱収縮性を有している(A)。また、上記所定量の酸変性樹脂および熱可塑性エラストマーの少なくとも一方を含有することと対応して、高い止水性(AまたはA+)と、高いチューブ材の製造性(AまたはA+)が得られている。
一方、表3に掲載した試料B1~B9においては、チューブ材が、架橋ポリオレフィン系樹脂と、上記所定量の酸変性樹脂および熱可塑性エラストマーの少なくとも一方とを含む成分組成を有さないことにより、止水性、チューブ材の熱収縮性、チューブ材の製造性の少なくとも1つの特性を、十分に満たしていない。試料B3,B6では、a群の樹脂として非架橋樹脂を用いており、チューブ材が架橋樹脂を含んでいないため、チューブ材が熱収縮性を有さない(B)。試料B7では、架橋樹脂として、ポリオレフィン系架橋樹脂ではなく、架橋シリコーン樹脂を用いており、チューブ材が熱収縮性を示してはいるが(A)、止水性は非常に低いという評価結果になっている(B-)。これは、架橋シリコーン樹脂が、絶縁電線の絶縁被覆に対して高い接着性を示さないためであると考えられる。
試料B1~B5では、チューブ材が、酸変性樹脂および熱可塑性エラストマーをいずれも含まないことと対応して、止水性が非常に低いという評価結果となっている(B-)。また、試料B8では、チューブ材が酸変性樹脂を含んでいるが、その量が10質量%未満となっており、止水性が低くなっている(B)。試料B9では、チューブ材が40質量%を超える酸変性樹脂を含んでおり、チューブ材の製造性が低くなっている(B)。
ここで、試料A1~A27を相互に比較する。まず、a群の架橋ポリオレフィン系樹脂に関して、試料A3と試料A4の対比から、電子線架橋とシラン架橋のいずれによって架橋されていても、同等の止水性(A)およびチューブ材の製造性(A+)が得られることが確認される。また、試料A2と試料A7の対比によると、架橋密度が高い樹脂である電子線架橋PE1を用いている試料A2の方で、特に高い製造性が得られている。
試料A1~A11では、チューブ材が酸変性樹脂および熱可塑性エラストマーのいずれか一方のみを含有しているのに対し、試料A12~A27では、それらを両方とも含有している。試料A1~A11ではいずれも、止水性が、高いとの評価に留まっているのに対し(A)、試料A12~A27の大部分では、非常に高い止水性が得られている(A+)。このことから、チューブ材において、酸変性樹脂と熱可塑性エラストマーを併用することが、止水性の向上に高い効果を示すと言える。
試料A1と試料A2の対比から、酸変性樹脂として、酸変性SEBSと酸変性PPのいずれを用いても、止水性の向上に効果が得られることが確認される。熱可塑性エラストマーについても、各試料の止水性の評価結果から、ポリエステル系とポリアミド系のいずれを用いても、止水性の向上に効果が得られることが確認される。しかし、チューブ材に含有される熱可塑性エラストマーと樹脂被覆部を構成する樹脂材料がともにポリエステル骨格を有する試料A12~A15、およびそれらがともにポリアミド骨格を有する試料A24~A27において、チューブ材に含有される熱可塑性エラストマーと樹脂被覆部を構成する樹脂材料の骨格種が相違している試料A16~A23よりも、おおむね、高い止水性が得られる傾向が見て取れる。このことから、チューブ材に添加する熱可塑性エラストマーとして、樹脂被覆部を構成する樹脂材料と同種の骨格を有するものを用いることで、止水性の向上に高い効果が得られると言える。
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 端子付電線
2 電線
3 導体
3a 導体の先端
4 絶縁被覆
5 端子金具
51 端子接続部
51a ボルト挿通孔
52 第一のバレル部
53 第二のバレル部
6 電線部
6a 電気接続部
7 チューブ材
8 樹脂被覆部

Claims (6)

  1. 端子金具と、導体の外周を絶縁被覆で被覆した絶縁電線とが、電気接続部において電気的に接続された電線部と、
    前記絶縁電線の軸線方向に沿って一部の箇所において、前記絶縁被覆の外周を被覆するチューブ材と、
    前記電線部の前記電気接続部を含む箇所を被覆し、かつ前記チューブ材の外周面の少なくとも一部に接触して形成された樹脂被覆部と、を有し、
    前記チューブ材は、
    架橋ポリオレフィン系樹脂と、
    樹脂成分のうち5質量%以上40質量%以下の酸変性樹脂、および樹脂成分のうち20質量%以上40質量%以下の熱可塑性エラストマーの少なくとも一方と、
    を含んだ単層の筒状部材として構成されている、端子付電線。
  2. 前記チューブ材は、前記酸変性樹脂と前記熱可塑性エラストマーをともに含む、請求項1に記載の端子付電線。
  3. 前記熱可塑性エラストマーと、前記樹脂被覆部を構成する樹脂材料は、同種の骨格を有している、請求項1に記載の端子付電線。
  4. 前記熱可塑性エラストマーは、ポリエステル系エラストマーおよびポリアミド系エラストマーの少なくとも一方を含む、請求項1または請求項3に記載の端子付電線。
  5. 前記酸変性樹脂は、酸変性ポリオレフィン樹脂を含む、請求項1または請求項2に記載の端子付電線。
  6. 前記樹脂被覆部は、前記チューブ材の外周面の全域を被覆している、請求項1または請求項2に記載の端子付電線。
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