JP2023553961A - 黒色クロム層を析出させるための電気めっき浴及び黒色クロム層を基材に電気めっきする方法 - Google Patents

黒色クロム層を析出させるための電気めっき浴及び黒色クロム層を基材に電気めっきする方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、黒色クロム層を析出させるための非常に特定の電気めっき浴、及びそのような層を電気めっきするための対応する方法に関する。該電気めっき浴は、(D)及び(E)として規定される2つの特定の化合物群を含み、該化合物群は(E):(D)を基準にして、0.9~2.65の範囲の特に規定されたモル比で存在する。この黒色クロム層は、装飾用として非常に適している。

Description

本発明は、黒色クロム層を析出させるための非常に特定の電気めっき浴、及びそのような層を電気めっきするための対応する方法に関する。該電気めっき浴は、(D)及び(E)として規定される2つの特定の化合物群を含み、該化合物群は(E):(D)を基準にして、0.9~2.65の範囲の特に規定されたモル比で存在する。この黒色クロム層は、装飾用として非常に適している。
クロム被覆のごく初期から、光学用途に対する大きな魅力から黒色クロム被覆に高い関心が集まっていた。
黒色でも六価クロム被覆から始まり、現在では環境受容性(environmental acceptance)が高いことから三価クロム被覆に大きくシフトしている。数年前から、例えば装飾用自動車部品用に、暗黒色、それもニュートラルな深い暗黒色(ニュートラルブラックとも呼ばれる)の三価クロム被覆の需要がますます高まっている。しかし、このようなニュートラルブラックの色調は、場合によっては冷たすぎると感じられることがあるため、深い黒の色調そのものを損なうことなく、色調にわずかな暖かさを加えて、より暖かみのある黒の色調にする、わずかな色調変更が要求されることが多くある。基本的には、ニュートラルブラックの色調とウォームブラックの色調はよく類似しているが、どちらも業界において強い需要がある。
しかし、黒の度合いは非常にさまざまであり、析出パラメータ及び浴の成分に依存する。
三価クロム被覆により得られる黒色は、例えば自動車産業における装飾部品の要件を満たす、ニュートラルブラック又はウォームブラックの色調を満たすのに十分な黒色ではない場合が多かった。他には、暗さは満たしているが、全体的な光学的印象が十分でない場合もあった。その他には、経時的な色安定性が十分でない場合もあった。
WO2012/150198A2は、暗黒色クロム層を電着させるための方法及びめっき浴に言及している。
WO2017/053655A1は、活性炭フィルターにより明度L*を調整する方法、及びワークピース上に電気めっきされた暗黒色三価クロム層に言及している。
CN107099824Bは、黒色クロム電気めっき液、複合めっき層及びその調製方法に言及している。この黒色クロム電気めっき液によって形成された三価黒色クロム被覆は、深い黒色と強く均一な被覆性を有している。
US2020/094526A1は、3.0以下のb*値を示す黒色クロムめっき層を備える黒色めっき樹脂部品に言及している。
US2020/094526A1によれば、ニュートラルブラックの色調とウォームブラックの色調について大きな進展が見られた。しかし、これら全ての試みにおいて、工業的利用のためには更なる改善が必要である。例えば、多くの場合、自然な色のエイジングが開始されるための許容できないほど長いアイドル時間を経て、最終的に所望の色調を得ることによってのみ、所望の色調が得られる。他には、所望の色調はすぐに得られるが、ヘーズの形成、焼け、めっき未着(skip plating)等のために、形状が精緻な(geometrically sophisticated)基材では析出が不可能である場合もある。
WO2012/150198A2 WO2017/053655A1 CN107099824B US2020/094526A1
したがって、前記問題を克服するために、利用可能な方法及びめっき浴を更に改善することが強く求められている。
したがって、本発明の目的は、一方では(ニュートラルブラックの色調とウォームブラックの色調の両方について)迅速且つ安定した色調形成を可能にし、他方では、めっき欠陥なしに広範囲の基材形状への析出を可能にし、したがって、優れた光学的外観をもたらす電気めっき浴、並びに対応する電気めっき方法を提供することである。更に、両色調は、詳細且つ容易に目標とされる、したがって、得られるべきである。
この目的は、本発明である電気めっき浴、及び対応する電気めっき方法によって解決される。
したがって、本発明は、黒色クロム層を析出させるための電気めっき浴であって、
(A)三価クロムイオン;
(B)前記三価クロムイオンに対する1種又は2種以上の錯化剤;
(C)任意選択で、前記電気めっき浴用の1種又は2種以上のpH緩衝化合物;
(D)少なくとも1つの-SCN部分を含む1種又は2種以上の化合物、その塩、エステル、及び/又はイソ型;並びに
(E)少なくとも1つの-SH部分及び/又は少なくとも1つの-S-(CH2)k-CH3部分(式中、kは0~4の範囲の整数である)を含む、1種又は2種以上の有機化合物(そのスルホキシドを含む)を含み、
(E)及び(D)が、(E):(D)を基準にして、0.9~2.65の範囲のモル比で存在することを特徴とする、電気めっき浴に言及している。
上記の問題は、(D)に対する(E)のモル比に強く関係し、モル比を上で規定された範囲に維持することにより解決できることが、独自の実験により示されている(下記実施例を参照)。所望の色調(ニュートラルブラック又はウォームブラック)を迅速に形成することができる。更に、それらの色調は、精緻な形状を有する基材においてさえも形成することができ、めっき欠陥のない非常に均一な析出品質がもたらされる。しかし、このような優れた結果は、上記のように狭く規定されたモル比の範囲が維持される場合にのみ得られることが更に判明した。
非常に好ましくは、黒色クロム層は、装飾クロム層である。典型的な用途は自動車部品であり、最も好ましくは自動車の内装用である。本発明の電気めっき浴は、このような黒色クロム層、最も好ましくは、本明細書全体を通して規定されるような黒色クロム層を得るために非常に好適である。
本発明の文脈において、黒色クロム層は、特に断らない限り、L*a*b*表色系、好ましくはCommission Internationale de l'Eclairageによって1976年に導入されたものによって規定されることが非常に好ましい。
一般に好ましいのは、黒色クロム層が50以下、好ましくは49以下、より好ましくは48以下、更により好ましくは47以下、なお更により好ましくは46以下、更により好ましくは45以下、最も好ましくは43以下のL*値を有する、本発明の電気めっき浴である。L*値が50以下であれば、通常、暗黒色として十分に認識される。一般に、L*値が低いほど(好ましくは上で規定された値)、黒/暗黒の色調の印象が強い。
好ましいのは、黒色クロム層が、-1.5~+3の範囲、好ましくは-1~+2.5の範囲、最も好ましくは-0.5~+2の範囲のa*値を有する、本発明の電気めっき浴である。好ましくは、a*値は少なくとも正である。最も好ましくは、この値はニュートラルブラックの色調及びウォームブラックの色調において当てはまる。
ニュートラルブラックの色調とウォームブラックの色調の区別は、通常、わずかに異なるb*値に基づいて行われる。
場合によっては、好ましいのは、黒色クロム層がニュートラルブラッククロム層である、本発明の電気めっき浴である。これは、より好ましくは、黒色クロム層が-2.5~+2.9の範囲、好ましくは-2~+2の範囲、より好ましくは-1.5~+1.5の範囲、最も好ましくは-1~+1の範囲のb*値を有する、本発明の電気めっき浴が好ましいことを意味する。
ニュートラルブラックの色調の場合、最も好ましくはL*値が45以下、より好ましくは44以下、更により好ましくは43以下、なお更により好ましくは42以下、最も好ましくは41以下である。
他の場合、好ましいのは、黒色クロム層がウォームブラックの色調を有するクロム層である、本発明の電気めっき浴である。これは、より好ましくは、黒色クロム層が、+3~+6の範囲、好ましくは+3.5~+5.8の範囲、最も好ましくは+4~+5.5のb*値を有する、本発明の電気めっき浴が好ましいことを意味する。
本発明の文脈において、ニュートラルブラックの色調とウォームブラックの色調の両方を得ることができ、これは大きな利点である。
化合物(A)及び一般的な浴中の化合物:
本発明の電気めっき浴は、好ましくは水性であり、すなわち水を含み、好ましくは、電気めっき浴の総容量を基準にして、少なくとも55vol%以上、より好ましくは65vol%以上、更により好ましくは75vol%以上、なお更により好ましくは85vol%以上、更により好ましくは90vol%以上、最も好ましくは95vol%以上が水である。最も好ましくは、溶媒は水のみである。
好ましいのは、電気めっき浴が酸性であり、好ましくは1.5~5.0、より好ましくは2.0~4.6、更により好ましくは2.4~4.2、なおより好ましくは2.7~3.8、最も好ましくは3.0~3.5の範囲のpHを有する、本発明の電気めっき浴である。pHは、好ましくは塩酸、硫酸、アンモニア、水酸化カリウム、及び/又は水酸化ナトリウムで調整される。
本発明の電気めっき浴は、(A)三価クロムイオンを含む。
好ましいのは、三価クロムイオンの総濃度が、電気めっき浴の総容量を基準にして、5g/L~35g/L、好ましくは6g/L~32g/L、より好ましくは7g/L~29g/L、更により好ましくは8g/L~26g/L、なお更により好ましくは9g/L~23g/L、最も好ましくは10g/L~22g/Lの範囲である、本発明の電気めっき浴である。
好ましくは、三価クロムイオンは三価クロム塩に由来し、好ましくは無機クロム塩及び/又は有機クロム塩に由来し、最も好ましくは無機クロム塩に由来する。好ましい無機クロム塩は、塩化物アニオン及び/又は硫酸アニオン、好ましくは硫酸アニオンを含む。非常に好ましい無機クロム塩は、塩基性硫酸クロムである。好ましい有機クロム塩は、カルボン酸アニオン、好ましくはギ酸アニオン、酢酸アニオン、リンゴ酸アニオン、及び/又はシュウ酸アニオンを含む。
好ましいのは、電気めっき浴が、最も好ましくは三価クロム塩に由来する硫酸イオンを含む、本発明の電気めっき浴である。硫酸イオンは、電気めっき浴の導電性に大きく寄与する。
好ましいのは、電気めっき浴が、酸化数+6のクロムを含む化合物を実質的に含まない、好ましくは含まない、本発明の電気めっき浴である。したがって、電気めっき浴は、六価クロムを実質的に含まない、好ましくは含まない。
好ましいのは、電気めっき浴が、コバルトイオンを実質的に含まない、好ましくは含まない、本発明の電気めっき浴である。好ましくは、黒色クロム層は、コバルトを実質的に含まない、好ましくは含まない。非常に稀なケースでは、電気めっき浴と黒色クロム層がそれぞれコバルトを含むことも好ましいが、このケースはあまり好ましくない。しかし、コバルトが存在する場合、好ましくは、黒色クロム層には、コバルトよりも多くのクロムが存在する。後者は、好ましくは、コバルトに対するクロムの原子比(すなわち、Cr : Co)が1超、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、最も好ましくは4以上であることを意味する。これは、最も好ましくは、黒色クロム層中のクロム原子とコバルト原子の総量を基準にしている。
好ましいのは、電気めっき浴が、ニッケルイオンを実質的に含まない、好ましくは含まない、本発明の電気めっき浴である。場合によっては、最大で150ppmの典型的なNiコンタミネーションが観察されるが、これは基本的に許容され、したがって、ニッケルイオンを実質的に含まないと考えられる。したがって、場合によっては、本発明の電気めっき浴は、好ましくは、電気めっき浴の総質量を基準にして、0ppm~200ppm、好ましくは1ppm~150ppm、最も好ましくは2ppm~100ppmの範囲の濃度でニッケルイオンを含む。好ましくは、黒色クロム層は、ニッケルを実質的に含まない、好ましくは含まない。
一般に、このような環境上問題のあるニッケルイオン及びコバルトイオンは避けることが好ましい。ニッケルイオン及びコバルトイオンを避けることは、一般に、排水処理及び浴処理の煩雑さを軽減することにつながる。加えて、ニュートラルブラックの色調及びウォームブラックの色調を得るためには、ニッケルもコバルトも必要ない。
好ましいのは、電気めっき浴が、フッ化物イオンを実質的に含まない、好ましくは含まない、本発明の電気めっき浴である。好ましくは、黒色クロム層は、フッ素を実質的に含まない、好ましくは含まない。
好ましいのは、電気めっき浴がフッ素含有化合物を実質的に含まない、好ましくは含まない、本発明の電気めっき浴である。フッ素含有化合物は、最も好ましくは、フッ素含有界面活性化合物を含む。これらの化合物は、環境上の制約が増えるため、特に望ましくない。
好ましいのは、電気めっき浴が、リン酸アニオンを実質的に含まない、好ましくは含まない、より好ましくはリン含有化合物を実質的に含まない、好ましくは含まない、本発明の電気めっき浴である。好ましくは、黒色クロム層は、リンを実質的に含まない、好ましくは含まない。しかし、これは、黒色クロム層上に堆積される後続の層、例えば、パッシベーション層におけるリンを除外するものではない。
好ましいのは、ハロゲンアニオン、好ましくは塩化物アニオンを更に含む、本発明の電気めっき浴である。本発明の文脈において、塩化物アニオンが含まれることは好ましく、対応する電気めっき浴は塩化物含有浴と呼ばれる。より好ましいのは、塩化物イオン及び硫酸イオンを含む、本発明の電気めっき浴である。
好ましいのは、塩化物イオンの濃度が、電気めっき浴の総容量を基準にして、50g/L~200g/Lの範囲、好ましくは60g/L~185g/Lの範囲、より好ましくは70g/L~170g/Lの範囲、更により好ましくは80g/L~155g/Lの範囲、最も好ましくは90g/L~140g/Lの範囲である、本発明の電気めっき浴である。塩化物イオンは、好ましくは塩化物塩及び/又は塩酸に由来し、好ましくは塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化クロム(少なくとも全ての塩化物イオンの一部として)、及び/又はそれらの混合物に由来する。通常、塩化物イオンは、好ましくは前に述べたように、導電性塩のアニオンとして存在する。非常に好ましい導電性塩は、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム及び塩化カリウムであり、塩化アンモニウムが最も好ましい。
好ましいのは、臭化物アニオンを更に含む、本発明の電気めっき浴である。これにより、通常、陽極における望ましくない六価クロム種の形成が回避される。好ましくは、臭化物イオンの濃度は、電気めっき浴の総容量を基準にして、3g/L~20g/Lの範囲、好ましくは4g/L~18g/Lの範囲、より好ましくは5g/L~16g/Lの範囲、更により好ましくは6g/L~14g/Lの範囲、最も好ましくは7g/L~12g/Lの範囲である。臭化物イオンは、好ましくは臭化物塩に由来し、好ましくは臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、及び/又はそれらの混合物に由来する。
より好ましいのは、塩化物イオン、臭化物イオン、及び硫酸イオンを含む、本発明の電気めっき浴であり、最も好ましいのは、本明細書全体を通して好ましいと規定される濃度でそれらのイオンを有する、本発明の電気めっき浴である。
場合によっては、本発明の電気めっき浴は、好ましくは電気めっき浴の総容量を基準にして0.1mmol/L~10mmol/L、好ましくは0.4mmol/L~8mmol/L、より好ましくは0.6mmol/L~6mmol/L、更により好ましくは0.8mmol/L~5mmol/L、最も好ましくは1mmol/L~4mmol/Lの範囲の濃度でFe(II)イオンを更に含むことが好ましい。これは、本発明の電気めっき浴が塩化物イオンを含む場合、特に好ましい。したがって、最も好ましいのは、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、及びFe(II)イオンを含む、本発明の電気めっき浴であり、最も好ましいのは、本明細書全体を通してそれらのイオンについて好ましいと規定される濃度でそれらのイオンを含む、本発明の電気めっき浴である。Fe(II)イオンは、好ましくは対応する鉄塩に由来し、好ましくは硫酸鉄(II)塩に由来する。通常、鉄イオンは、電気めっき性能、及び本発明によって得られる析出黒色クロム層に対していくつかの有益な効果を有する。多くの場合、電気めっき速度の増加が観察され、これにより、より厚い層厚を得ることができる。好ましくは、黒色クロム層は、黒色クロム層中の全原子を基準にして好ましくは最大で15at%、より好ましくは最大で12at%、更により好ましくは最大で10at%、なお更により好ましくは最大で8at%、最も好ましくは最大で6at%の鉄を含む。
更に非常に好ましいのは、三価クロムイオン及びFe(II)イオン(存在する場合)が、めっき浴中の唯一の遷移金属であり、最も好ましくは、クロムイオン及び鉄イオン(存在する場合)が、めっき浴中の唯一の遷移金属である、本発明の電気めっき浴である。例外として、既に上述したNiコンタミネーションがあるが、これは一般に許容され、したがって好ましくは含まれる。
場合によっては、本発明の電気めっき浴は、(D)及び(E)とは異なる少なくとも1種の硫黄含有化合物を更に含むことが好ましい。
場合によっては、本発明の電気めっき浴は、更に(すなわち、(D)及び(E)に加えて)サッカリン及び/又はその塩を含むことが好ましい。
場合によっては、本発明の電気めっき浴は、更に(すなわち、(D)及び(E)に加えて)硫黄含有ジオールを、最も好ましくは上記のサッカリン及び/又はその塩に加えて含むことが好ましい。
好ましいのは、少なくとも1種の界面活性剤を更に含む、本発明の電気めっき浴である。好ましい界面活性剤には、カチオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤、好ましくはアニオン性界面活性剤が含まれる。好ましいアニオン性界面活性剤には、スルホコハク酸塩、8~20個の脂肪族炭素原子を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、8~20個の炭素原子を有するアルキル硫酸塩、及び/又はアルキルエーテル硫酸塩が含まれる。好ましくは、少なくとも1種の界面活性剤は、フッ素原子を含まない。最も好ましくは、少なくとも1種の界面活性剤は、(D)及び(E)の化合物ではない。言い換えれば、好ましくは、(D)及び(E)は、界面活性剤ではない。
好ましいスルホコハク酸塩には、ジアミルスルホコハク酸ナトリウムが含まれる。
8~20個の脂肪族炭素原子を有する好ましいアルキルベンゼンスルホン酸塩には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが含まれる。
8~20個の炭素原子を有する好ましいアルキル硫酸塩には、ラウリル硫酸ナトリウムが含まれる。
好ましいアルキルエーテル硫酸塩脂肪族アルコールには、ラウリルポリエトキシ硫酸ナトリウムが含まれる。
好ましいのは、少なくとも1種の界面活性剤の総濃度が、電気めっき浴の総容量を基準にして、0.001g/L~0.05g/L、好ましくは0.005g/L~0.01g/Lの範囲である、本発明の電気めっき浴である。
対照的に、場合によっては、電気めっき浴が、塩化物イオンを実質的に含まない、好ましくは含まない、好ましくはハロゲンアニオンを含まない、本発明の電気めっき浴が好ましい。本発明の文脈において、これはあまり好ましくなく、対応する電気めっき浴は塩化物非含有浴と呼ばれる。このような場合、本発明の電気めっき浴は、含有されない塩化物イオンを埋め合わせるために、好ましくは硫酸イオンを含む。更に好ましくは、本発明の電気めっき浴は、クロム塩に由来する硫酸イオンに加えて、最も好ましくは導電性塩に由来する硫酸イオンを含む。非常に好ましい導電性塩は、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、又はそれらの混合物である。この特定の場合、電気めっき浴は、好ましくは、場合によっては、臭化物イオンを実質的に含まない、好ましくは含まない。しかしながら、このような電気めっき浴が、鉄イオン、好ましくはFe(II)イオンを、最も好ましくは上で規定された濃度で含むことが、いくつかの稀なケースにおいて好ましい。
化合物(B):
本発明の電気めっき浴は、(B)前記三価クロムイオンに対する1種又は2種以上の錯化剤を含む。このような化合物は、三価クロムイオンを溶液中に保持する。好ましくは、1種又は2種以上の錯化剤は、(D)及び(E)の化合物ではなく、したがって、好ましくは(D)及び(E)とは異なる。
好ましいのは、1種又は2種以上の錯化剤が、有機酸及び/又はその塩、好ましくは有機カルボン酸及び/又はその塩、最も好ましくは1、2若しくは3つのカルボキシル基を含む有機カルボン酸及び/又はその塩を含む、本発明の電気めっき浴である。
有機カルボン酸及び/又はその塩(好ましくは、1、2若しくは3つのカルボキシル基を含む有機カルボン酸及び/又はその塩も)は、好ましくは置換基で置換されているか、又は非置換である。好ましい置換基には、アミノ基及び/又はヒドロキシル基が含まれる。好ましくは、置換基は、SH部分及び/又はSCN部分を含まない。
より好ましくは、有機カルボン酸及び/又はその塩(好ましくは、1、2若しくは3つのカルボキシル基を含む有機カルボン酸及び/又はその塩も)には、アミノカルボン酸(好ましくはアルファ-アミノカルボン酸)、ヒドロキシルカルボン酸及び/又はその塩が含まれる。好ましい(アルファ-)アミノカルボン酸には、グリシン、アスパラギン酸、及び/又はその塩が含まれる。好ましくは、アミノカルボン酸(好ましくは対応するアルファ-アミノカルボン酸)は、(E)に従う化合物ではなく、より好ましくは、硫黄含有アミノカルボン酸ではなく(好ましくは対応する硫黄含有アルファ-アミノカルボン酸ではなく)、最も好ましくはメチオニンではない。1種又は2種以上の錯化剤が式(E)の化合物とは別であることが、特に好ましい。
より好ましいのは、1種又は2種以上の錯化剤が、ギ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グリシン、アスパラギン酸、及び/又はその塩、好ましくはギ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、及び/又はその塩、より好ましくはギ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、及び/又はその塩、更に好ましくはギ酸、酢酸、及び/又はその塩、最も好ましくはギ酸及び/又はその塩を含む、本発明の電気めっき浴である。これは、本発明の電気めっき浴が塩化物イオンを含む場合に当てはまることが最も好ましい。対照的に、本発明の電気めっき浴が塩化物非含有である場合、好ましくは、1種又は2種以上の錯化剤は、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、及び/又はその塩、最も好ましくはリンゴ酸及び/又はその塩を含む。
好ましいのは、1種又は2種以上の錯化剤の総濃度が、電気めっき浴の総容量を基準にして、5g/L~200g/Lの範囲、好ましくは8g/L~150g/Lの範囲、より好ましくは10g/L~100g/Lの範囲、更により好ましくは12g/L~75g/L、なお更により好ましくは15g/L~50g/Lの範囲、最も好ましくは20g/L~35g/Lの範囲である、本発明の電気めっき浴である。これは、電気めっき浴が塩化物イオンを含む場合に当てはまることが最も好ましいが、一般に、塩化物非含有電気めっき浴にも当てはまる。
本発明の電気めっき浴が特に塩化物非含有である場合、1種又は2種以上の錯化剤の総濃度は、電気めっき浴の総容量を基準にして、5g/L~100g/Lの範囲、好ましくは5.5g/L~75g/Lの範囲、より好ましくは6g/L~50g/Lの範囲、更により好ましくは6.5g/L~25g/L、なお更により好ましくは7g/L~18g/Lの範囲、最も好ましくは7.5g/L~13g/Lの範囲である。該濃度は、好ましくは、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸及びその塩、最も好ましくはリンゴ酸及びその塩において当てはまる。
好ましいのは、(B)/(A)が1~1.5の範囲、好ましくは1.1~1.4の範囲、最も好ましくは1.2~1.3の範囲のモル比を形成している、本発明の電気めっき浴である。
化合物(C):
本発明の電気めっき浴は、(C)任意選択で、前記電気めっき浴用の1種又は2種以上のpH緩衝化合物を含む。最も好ましくは、本発明の電気めっき浴は1種又は2種以上のpH緩衝化合物を含む(すなわち、任意選択ではない)。後者の場合、前記電気めっき浴用の1種又は2種以上のpH緩衝化合物が(B)とは別である(すなわち、異なる)、本発明の電気めっき浴が好ましい。その場合、1種又は2種以上のpH緩衝化合物は、カルボン酸を含まず、好ましくは、有機酸を含まない。このような場合、それらの化合物は(B)として数えられる。
多くの場合、1種又は2種以上のpH緩衝化合物が、ホウ素含有化合物、好ましくはホウ酸及び/又はホウ酸塩、最も好ましくはホウ酸を含む、本発明の電気めっき浴が好ましい。好ましいホウ酸塩は、ホウ酸ナトリウムである。
非常に好ましいのは、1種又は2種以上のpH緩衝化合物の総濃度が、電気めっき浴の総容量を基準にして、30g/L~250g/Lの範囲、好ましくは35g/L~200g/Lの範囲、より好ましくは40g/L~150g/Lの範囲、更により好ましくは45g/L~100g/Lの範囲、最も好ましくは50g/L~75g/Lの範囲である、本発明の電気めっき浴である。このことは、更に好ましくは、前記ホウ素含有化合物に、更に好ましくは、前記ホウ酸塩と組み合わせた前記ホウ酸に、最も好ましくは、前記ホウ酸において当てはまる。最も好ましくは、1種又は2種以上のpH緩衝化合物は、ホウ酸を含むが、ホウ酸塩を含まない。したがって、最も好ましいのは、(C)が、電気めっき浴の総容量を基準にして、好ましくは35g/L~90g/L、好ましくは40g/L~80g/L、より好ましくは50g/L~70g/L、最も好ましくは56g/L~66g/Lの範囲の総量でホウ酸を含む、本発明の電気めっき浴である。
いくつかの他の場合、本発明の電気めっき浴は、別個のpH緩衝化合物を明示的に含まない。むしろ、前記三価クロムイオンに対する1種又は2種以上の錯化剤は、三価クロムイオンに対する錯化剤として機能するだけでなく、更にpH緩衝化合物としても機能するような量で存在し、そのように選択される。本発明の文脈において、このような錯化剤はあまり好ましくないが、可能である。
化合物(D):
本発明の電気めっき浴は、(D)少なくとも1つの-SCN部分を含む1種又は2種以上の化合物、その塩、エステル、及び/又はイソ型を含む。用語「-SCN部分」は、チオシアネート部分又は対応する基を示す。
好ましくは、前記化合物は有機及び/又は無機であり、好ましくは無機である。好ましい有機化合物には、好ましくは置換又は非置換である、そのアルキル及び/又はアリール化合物が含まれる。
好ましいのは、(D)において、前記化合物が、合計で1~30個、好ましくは2~25個、より好ましくは3~20個、更により好ましくは4~17個、最も好ましくは5~14個の炭素原子を有する、本発明の電気めっき浴である。これは、前記化合物が有機化合物である場合に当てはまることが最も好ましい。
好ましくは、(D)において、前記化合物は、合計で1~10個、より好ましくは1~8個、更により好ましくは1~6個、最も好ましくは1~4個の炭素原子を有する。
非常に好ましくは、(D)において、前記化合物は単一の炭素原子のみを有し、最も好ましくは、(D)は、少なくともチオシアン酸、イソ型、及び/又はその塩、好ましくは少なくともチオシアン酸及び/又はその塩を含む。好ましくは、塩は、チオシアン酸カリウム及び/又はチオシアン酸ナトリウムを含む。
「チオシアン酸」の「酸」という用語には、その脱プロトン化/解離型も含まれる。
チオシアン酸の好ましいイソ型は、イソチオシアン酸及び/又はその塩である。
本発明の文脈において、(D)は、電気めっき浴の総容量を基準にして、100mmol/L~750mmol/Lの範囲の総量、好ましくは100mmol/L~600mmol/L、好ましくは100mmol/L~450mmol/L、より好ましくは100mmol/L~300mmol/L、更により好ましくは115mmol/L~250mmol/L、最も好ましくは130mmol/L~200mmol/Lの範囲の総量で存在する。
しかしながら、好ましいのは、前記浴が、電気めっき浴の総容量を基準にして、20mmol/L~750mmol/L、好ましくは50mmol/L~600mmol/L、より好ましくは75mmol/L~450mmol/L、更により好ましくは100mmol/L~300mmol/L、なお更により好ましくは115mmol/L~250mmol/L、最も好ましくは130mmol/L~200mmol/Lの範囲の総量で(D)を含む、本開示による電気めっき浴である。したがって、この場合、(D)は、下限総濃度が100mmol/Lではなく、上で規定された範囲を有する。しかしながら、電気めっき浴について本明細書全体を通して規定される全ての他の特徴は、好ましくは、依然としてこの特定の開示にも当てはまる。
前述の濃度範囲は、好ましくは合計で1~10個、より好ましくは1~8個、更により好ましくは1~6個、最も好ましくは1~4個の炭素原子を有する、(D)における前記化合物において当てはまることが最も好ましい。更に最も好ましくは、チオシアン酸、イソ型、及び/又はその塩において当てはまる。
好ましくは、上記の濃度範囲はSCN-を基準にするものであり、すなわち、一塩基性チオシアネート及び対応するチオシアネート部分を基準にする。
更に、上記の濃度を自由に組み合わせて、明示的に開示されていない濃度範囲を形成することができることが、明示的に好ましい。これは、最も好ましくは、本明細書全体を通して明示されていない下限値と上限値との更なる組み合わせを含む。
化合物(E):
本発明の電気めっき浴は、(E)少なくとも1つの-SH部分及び/又は少なくとも1つの-S-(CH2)k-CH3部分(式中、kは0~4の範囲の整数である)を含む、1種又は2種以上の有機化合物(そのスルホキシドを含む)を含む。好ましくは、kは0、1、2、3、又は4であり、好ましくは0、1、又は2である。用語「-SH部分」は、チオール又は対応するスルフヒドリル部分若しくは基を示す。
本発明の文脈において、その「スルホキシド」は、硫黄原子に二重結合を介して化学的に結合した酸素を示す。すなわち、前記有機化合物は、-S(=O)-(CH2)k-CH3部分も含む。
好ましいのは、前記浴が、電気めっき浴の総容量を基準にして、1mmol/L~950mmol/L、好ましくは50mmol/L~800mmol/L、より好ましくは100mmol/L~650mmol/L、更により好ましくは140mmol/L~550mmol/L、なお更により好ましくは180mmol/L~500mmol/L、最も好ましくは195mmol/L~450mmol/Lの範囲の総量で(E)を含む、本発明の電気めっき浴である。
好ましいのは、(E)において、前記有機化合物が独立してアミノ部分を含む、本発明の電気めっき浴である。
好ましいのは、(E)において、前記有機化合物が独立してカルボン酸部分及び/又はその塩を含む、本発明の電気めっき浴である。
好ましいのは、(E)において、前記有機化合物が独立してアミノ酸及び/又はその塩、好ましくはアルファ-アミノ酸を含む、本発明の電気めっき浴である。
好ましいのは、(E)が、少なくとも式(I):
R1-S-(CH2)n-CH(NH2)-R2 (I)
(式中、
- R1は、分枝又は非分枝C1~C4アルキルであり、
- R2は、COOH、その塩、及び(CH2)m-OHからなる群から選択され、
- nは1~4の範囲の整数であり、
- mは1~4の範囲の整数である)
の化合物、その塩、及び/又はスルホキシドを含む、本発明の電気めっき浴である。
好ましいのは、R1が、メチル、エチル、n-プロピル、又はイソプロピル、好ましくはメチル又はエチル、最も好ましくはメチルである、本発明の電気めっき浴である。
好ましいのは、R2がCOOH及び/又はその塩である、本発明の電気めっき浴である。好ましくは、COOHは、その脱プロトン化/解離形態も含む。
好ましいのは、nが1又は2、好ましくは2である、本発明の電気めっき浴である。
好ましいのは、mが1又は2である、本発明の電気めっき浴である。
好ましいのは、(E)が少なくともメチオニンを含む、本発明の電気めっき浴である。
(E):(D)のモル比が0.9~2.65の範囲外である場合、十分に黒いクロム層を得られないことが、独自の実験(本明細書下記の「実施例」以下を参照)により判明した。最も重要なことは、モル比が2.65を超える場合、本発明の方法における熱処理は、最終的な色形成に大きな影響を及ぼさないということである。
更に、モル比が0.9を下回る場合、特に表面形状が精緻な基材では、めっき欠陥の数が増加する。モル比が0.9を大きく下回る場合、利用可能な電流密度の範囲が許容できないほど狭くなることが、独自のハルセル試験により判明している。しかしながら、技術的な要求を考慮すると、これは許容できない。
対照的に、本発明では、これらの問題が克服される。
好ましいのは、(E):(D)のモル比が0.95~2.6、好ましくは1~2.55、より好ましくは1.1~2.5、更により好ましくは1.2~2.45、最も好ましくは1.25~2.4の範囲である、本発明の電気めっき浴である。
場合によっては好ましいのは、(E):(D)のモル比が0.9~2.5、好ましくは0.95~2、より好ましくは1~1.8、なお更により好ましくは1.05~1.5、最も好ましくは1.1~1.3の範囲である、本発明の電気めっき浴である。これらは、場合によっては、特にウォームブラックの色調のために好ましいモル範囲である。
したがって、本発明の対応する電気めっき浴は、好ましくは、L*a*b*表色系に従って、+3~+5.5の範囲、好ましくは+3.5~+5.0の範囲のb*値を有する黒色クロム層のためのものである。
他の場合において好ましいのは、(E):(D)のモル比が1.6~2.65、好ましくは1.9~2.6、より好ましくは2.05~2.55、更により好ましくは2.1~2.5、なお更により好ましくは2.15~2.45、最も好ましくは2.2~2.4の範囲である、本発明の電気めっき浴である。これらは、場合によっては、ニュートラルブラックの色調のために特に好ましいモル範囲である。
したがって、本発明の対応する電気めっき浴は、好ましくは、L*a*b*表色系に従って、-1.5~+1.5の範囲、好ましくは-1~+1.0の範囲のb*値を有する黒色クロム層のためのものである。
電気めっき方法:
本発明は、更に、基材に黒色クロム層を電気めっきする方法であって、
(a)基材を準備する工程、
(b)基材を、本発明による電気めっき浴、好ましくは、本明細書全体を通して、又は本開示において好ましいと記載されている電気めっき浴(明細書上記を参照)と接触させる工程、
(c)黒色クロム層が基材に電気めっきされるように電流を流す工程、
(d)工程(c)で得られた基材を、30℃~100℃の範囲の温度で熱処理する工程を含む、方法に関する。
本発明の(又は本開示による)電気めっき浴に関する前述の特徴は、その好ましい変形例を含めて、本発明の電気めっき方法、特に前記方法の工程(b)にも同様に当てはまることが好ましい。更に、L*a*b*値(及び場合によっては黒色クロム層の他のパラメータ)に関して前述されたことは、工程(c)で電気めっきされた黒色クロム層において当てはまることが最も好ましい。
工程(a)では、基材が準備される。
場合によっては、基材がプラスチック基材を含み、好ましくはプラスチック基材である、本発明の方法が好ましい。他の場合、基材が金属基材を含み、好ましくは金属基材である、本発明の方法が好ましい。
多くの場合、工程(a)において、基材が熱可塑性プラスチック基材、好ましくはアモルファス熱可塑性プラスチック基材及び/又は半結晶性熱可塑性プラスチックを含む、本発明の方法が好ましい。
より好ましいのは、工程(a)において、基材がブタジエン部分、好ましくはポリブタジエンを含む、本発明の方法である。
同様に好ましいのは、工程(a)において、基材がニトリル部分を含む、本発明の方法である。
同様に好ましいのは、工程(a)において、基材がアクリル部分を含む、本発明の方法である。
非常に好ましいのは、工程(a)において、基材が重合したスチレンを含む、本発明の方法である。
最も好ましいのは、工程(a)において、基材がアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン-ポリカーボネート(ABS-PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトン(PEK)、又はそれらの混合物、好ましくはアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)及び/又はアクリロニトリルブタジエンスチレン-ポリカーボネート(ABS-PC)を含む、本発明の方法である。このようなプラスチック基材は、通常、自動車部品等の装飾用途に使用され、特にABS及びABS-PCが使用される。
好ましいのは、ポリエーテルケトン(PEK)が、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルエーテルエーテルケトン(PEEEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、及び/又はそれらの混合物、好ましくはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)及び/又はそれらの混合物を含む、本発明の方法である。
場合によっては、基材が金属基材、好ましくは鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、それらの混合物、及び/又はそれらの合金を含む金属基材である、本発明の方法が好ましい。鉄を含む非常に好ましい金属基材は、鋼である。それらの混合物は、好ましくは複合材料を含む。
好ましいのは、工程(b)の前に、少なくとも1つの金属層を析出させる少なくとも1つの金属めっき工程、最も好ましくは、少なくとも1つのニッケル層を析出させる少なくとも1つのニッケルめっき工程を更に含む、本発明の方法である。多くの場合、2つ、更には3つのそのような金属めっき工程が好ましくは含まれる。
最も好ましくは、少なくとも1つのニッケル層は、少なくとも1つの光沢ニッケル層及び/又は(好ましくは又は)少なくとも1つのサテンニッケル層を含み、最も好ましくは、少なくとも1つの光沢ニッケル層を含む。
より好ましいのは、少なくとも1つのニッケル層が、少なくとも1つの半光沢ニッケル層、好ましくは前記少なくとも1つの光沢ニッケル層及び/又は前記少なくとも1つのサテンニッケル層に加えて、少なくとも1つの半光沢ニッケル層を含む、本発明の方法である。少なくとも1つの半光沢ニッケル層は、好ましくは任意選択である。最も好ましくは(形成される場合)、少なくとも1つの半光沢ニッケル層は、前記少なくとも1つの光沢ニッケル層及び/又は前記少なくとも1つのサテンニッケル層より前に析出される。
同様に好ましいのは、少なくとも1つのニッケル層が、少なくとも1つのMPSニッケル層、好ましくは前記少なくとも1つの光沢ニッケル層及び/又は前記少なくとも1つのサテンニッケル層に加えて少なくとも1つのMPSニッケル層、最も好ましくは前記少なくとも1つの光沢ニッケル層及び/又は前記少なくとも1つのサテンニッケル層に加えて、更に前記少なくとも1つの半光沢ニッケル層に加えて少なくとも1つのMPSニッケル層を含む、本発明の方法である。本発明の文脈において、MPSは、MPSニッケル層が、後続のクロム層、好ましくは黒色クロム層にマイクロポアを生じさせる非導電性微粒子を含むことを示す。少なくとも1つのMPSニッケル層は、好ましくは任意選択である。
場合によっては、MPSニッケル層が黒色クロム層に隣接している、本発明の方法が好ましい。
他の場合、黒色クロム層が、少なくとも1つの光沢ニッケル層及び/又は少なくとも1つのサテンニッケル層に隣接している本発明の方法が好ましく、これは多くの場合好ましいが、最も好ましくは、黒色クロム層が少なくとも1つの光沢ニッケル層と組み合わされている。
好ましくは、黒色クロム層は、積層(layer stack)の一部である。
工程(b)において、基材、好ましくは少なくとも1つの(好ましくは、好ましいものとして上で規定された)ニッケル層を備える基材を、本発明の電気めっき浴と、好ましくは浸漬により接触させる。
好ましいのは、工程(c)中の接触が、1分~30分、好ましくは2分~20分、より好ましくは3分~15分、更により好ましくは4分~10分、最も好ましくは5分~8分の範囲である、本発明の方法である。
好ましいのは、工程(c)において、電気めっき浴が、25℃~60℃、好ましくは28℃~50℃、より好ましくは30℃~47℃の範囲の温度を有する、本発明の方法である。これは、電気めっき浴が塩化物イオンを含む場合に当てはまることが最も好ましい。
場合によっては、工程(c)において、本発明の電気めっき浴が、35℃~65℃、好ましくは40℃~63℃、より好ましくは45℃~61℃、最も好ましくは50℃~59℃の範囲の温度を有する、本発明の方法が好ましい。これは、電気めっき浴が塩化物非含有電気めっき浴である場合に当てはまることが最も好ましい。
工程(c)では、電流を流す。
好ましいのは、電流が直流であり、好ましくは3A/dm2~30A/dm2、より好ましくは4A/dm2~25A/dm2、更により好ましくは5A/dm2~20A/dm2、最も好ましくは6A/dm2~18A/dm2の範囲である、本発明の方法である。
場合によっては、電流が直流であり、好ましくは3A/dm2~20A/dm2、より好ましくは4A/dm2~15A/dm2、最も好ましくは5A/dm2~10A/dm2の範囲である、本発明の方法が好ましい。これは、電気めっき浴が塩化物非含有電気めっき浴である場合に当てはまることが最も好ましい。
好ましいのは、工程(c)において、少なくとも1つの陽極が利用される、本発明の方法である。少なくとも1つの陽極は、グラファイト陽極、貴金属陽極、及び混合金属酸化物陽極(MMO)からなる群から選択される。
好ましい貴金属陽極には、白金めっきチタン陽極及び/又は白金陽極が含まれる。
好ましい混合金属酸化物陽極には、酸化白金被覆チタン陽極及び/又は酸化イリジウム被覆チタン陽極が含まれる。
好ましいのは、電気めっきされた黒色クロム層が、0.05μm~1μm、好ましくは0.1μm~0.8μm、より好ましくは0.125μm~0.6μm、最も好ましくは0.15μm~0.5μmの範囲の層厚を有する、本発明の方法である。
本発明の方法の文脈において、最も重要なのは、工程(d)の熱処理である。熱処理により、所望の黒の色調を迅速且つ直接的に形成することができる。工程(d)で適用される温度は、工程(c)において電気めっき浴に利用される温度ではない。工程(c)及び(d)は別個の工程である。
好ましいのは、熱処理が、32℃~99℃の範囲、より好ましくは45℃~92℃の範囲、更により好ましくは52℃~88℃の範囲、最も好ましくは60℃~84℃の範囲の温度で行われる、本発明の方法である。
より好ましいのは、工程(d)において、熱処理が、好ましくは32℃~99℃の範囲、より好ましくは45℃~92℃の範囲、更により好ましくは52℃~88℃の範囲、最も好ましくは60℃~84℃の範囲の温度を有する水中で実施される、本発明の方法である。
前述のように、熱処理は、好ましくは水中で行われる。これは、好ましくは、この工程が、処理組成物を含む処理コンパートメントにおいて実施されることを意味する。好ましくは、処理組成物は水性であり、より好ましくは、溶媒として水のみを含み、最も好ましくは本質的に水からなる。本質的に水からなるとは、先の方法工程からの微小なコンタミネーション以外で、処理組成物の主成分が水であり、且つ水のままであることを意味する。通常、前記コンタミネーションは、この工程の目的のためには許容される。
更に好ましいのは、工程(d)において、熱処理が、最も好ましくは浸漬による、更に最も好ましくは処理組成物への浸漬による、湯洗(hot water rinse)である、本発明の方法である。
好ましいのは、工程(d)において、熱処理が電流を用いずに実施される、本発明の方法である。これは、この工程が、好ましくは無電解であることを意味する。
本発明の方法は、好ましくは、追加のすすぎ、洗浄、前処理、及び/又は後処理等の、更なる工程を除外するものではない。好ましくは、以下の実施例で規定される工程は、本明細書全体を通して説明される全体的な方法にも同様に当てはまる。好ましい後処理工程は、好ましくは無機及び/又は有機シーラーによる封止工程、及び/又は防指紋組成物との接触工程を含む。
以下、本発明を以下の非限定的な実施例により説明する。
以下では、ハルセル電気めっきを行い、電流密度分布に応じた黒色クロム層の光学的外観を評価した。
一般的な手順
基材として、銅パネル(99mm×70mm)を使用した。
第1の工程では、Uniclean(登録商標)279(Atotech Deutschland GmbH社の製品)を100g/Lで使用して、室温(RT)で電解脱脂による銅パネルの洗浄を行った。その後、基材を水ですすぎ、10体積%のH2SO4で酸洗し、水ですすいだ。
第2の工程では、洗浄した基材に光沢ニッケル層(10分、4A/dm2、UniBrite 2002、Atotech社製)を析出させ、ニッケルめっき基材を得て、水ですすいだ。
第3の工程では、以下の電気めっき浴:
(A)Cr3+イオン約20~25g/L(塩基性硫酸クロムとして供給)、
(B)ギ酸約30g/L、
(C)ホウ酸約60g/L、
(D)チオシアン酸カリウム 表1、
(E)メチオニン 表1、
臭化アンモニウム約10g/L、
塩化アンモニウム約100g/L、
塩化カリウム約100g/L、及び
FeSO4・7H2O約0.5g/L、を利用して黒色クロム層を析出させた。
電気めっき浴は、少量(最大で4g/L)のサッカリンと、S含有ジオール5g/L~50g/Lとを更に含んでいた。コバルトイオン及びニッケルイオンは存在しなかった。したがって、黒色クロム層にはコバルト及びニッケルが含まれていなかった。しかし、更なる実験により、比較的少量のコバルトは許容されることが示されている(図示せず)。
pH値を3.2に調整した。
化合物(D)及び(E)はさまざまな濃度で利用され、得られたモル比は以下の表1にまとめられた通りであった。
特に断りのない限り、各電気めっき浴は、グラファイト陽極を有し、ニッケルめっき基材を陰極として設置したハルセルで試験した。35℃~45℃の範囲の温度で、5Aの電流を3分間流した(更なる詳細は表1を参照)。
めっき後、基材を水ですすぎ、第1の測色(表1では「CM1」と略記)のために乾燥させた。「CM1」の後、基材を70℃及び80℃でそれぞれ10分間湯洗し、乾燥させ、2回目の測色(表1では「CM2」と略記)を実施した。
第1の一連の実験(表1では実施例E1.1~E1.7と略記)において、湯洗後、直ちにウォームブラックの色調(b*は約+3~+6の範囲)が生成され、第2の一連の実験(表1では実施例E2.1~E2.3と略記)において、湯洗後、直ちにニュートラルブラックの色調(b*は約0以下)が生成された。L*a*b*色空間系による測色は、比色計(コニカミノルタ社製CM-700d;測定モード:SCI;観察角度:10°;光源:D65)を用い、基材の左端から約3.5cm、下端から2cmの位置(約10A/dm2~12A/dm2の典型的な中電流密度(MCD)を示す)にて実施した。比較例は、「CE」と略記する。
上記の測色以外に、局所的に存在する電流密度(表1では「ASD範囲」と略記)に応じて、基材を光学的に検査した。その際、欠陥のない黒色クロム層の領域(すなわち、ヘーズ及び焼けのない均質な黒色クロム層を有する領域)を求め、対応する電流密度範囲(「ASD範囲」)として再計算を行った。再計算された電流密度の範囲が比較的広い方が、低電流密度から高電流密度まで、欠陥のない黒色クロム層が得られたことを示すため、より好ましいと考えられる。
「評価」では、総合的な性能を以下の通り評価した。
+は測色(すなわち、CM1及びCM2)又はASD範囲のいずれかが要件を満たしていることを示す。しかしながら、これは十分ではなく、したがって望ましくない。
++は、測色(すなわち、CM1及びCM2)とASD範囲の両方が要件を満たしていることを示す。これは望ましいことである。
+++は、測色(すなわち、CM1及びCM2)とASD範囲の両方が、優れた要件を満たしていることを示す。これは非常に望ましいことである。
- CE1は、(E)/(D)のモル比が4.1では、十分な黒/暗黒の色調(L*=53)が得られないことを示している。モル比が規定された最大値である2.65を大きく超えている。
追加の比較例CE2~CE4は、US2020/094526A1に基づいて実施された。
- CE2は、表1の試料番号5(表1の5~13全ての試料を表す)に対応し、(E)/(D)モル比が約2.7であり(Trichrome Graphite Makeup100ml/L及びTrichrome Graphite Maintenance30ml/Lにより、2.65を超えるモル比が得られる);めっき直後に、測色CM1ではL*;a*;b*=54;0.5;3.8を示し、ASD範囲は7~50を示した。ASD範囲は比較的広いものの、めっき直後に十分な黒色/暗黒色を示していない。
US2020/094526A1の表1に示されるように、所定の条件下で18日間の待機時間を含む「加速試験」(US2020/094526A1の[0064]を参照)において、L*;a*;b*=44;0.8;0.4(高電流密度で測定)の実施例番号7でのみ、真に暗黒(及びニュートラルブラック)の色調が得られている。更に、十分なウォームブラックの色調は、実施例番号6(18日間常温放置)及び実施例番号13(先と同様に18日間の「加速試験」を実施)においてのみ得られた。10分間の湯洗は、CE2においてウォームブラックの色調又はニュートラルブラックの色調を得るのに大きな効果を与えないことが、独自の実験により示されている。したがって、US2020/094526A1の実施例5~13は、少なくとも、業界の要求を考慮すると、18日又は19日のアイドル時間(又はエイジング時間とも呼ばれる)は許容できないと考えられるという欠点を有する。しかしながら、明確に規定された黒の色調(ニュートラルブラックの色調又はウォームブラックの色調のいずれか)を迅速に得ることが所望される。上に示すように、本発明では、比較的狭いモル比範囲を維持することで、これを達成することができる。
したがって、湯洗による大きな効果を得るためには、(E)/(D)を基準にして、0.9~2.65のモル比を維持する必要があることが、本発明者ら独自の実験により示されている。
- US2020/094526A1の表2の試料番号14に対応するCE3は、チオシアン酸の総量が15g/L、すなわち254mmol/Lであり、(E)/(D)モル比0.8が得られる。これはUS2020/094526A1の試料番号5よりも著しく低いモル比である。測色CM1では、約10A/dm2でのめっき直後に、L*;a*;b*=47;1.0;5.7が示された。この値は、US2020/094526A1の表2、番号14「最初」に開示されているものとよく一致している。しかし、任意の湯洗に関係なく、本発明者らの実験では、ハルセル装置において、ASD範囲が許容できないほど狭い(ASD約1のみ)ことも示された。対照的に、本発明の実施例では、(E)/(D)モル比を0.9~2.65の範囲にすることにより、所望の色調が得られるだけでなく、更にASD範囲も広くなることが明確に示されている。したがって、0.9未満のモル比は、基材上で可能な電流密度範囲に非常に悪影響を及ぼし、したがって、めっき欠陥の可能性を大きく増加させる。驚くべきことに、これは、本発明で、(E)/(D)モル比を0.9~2.65の範囲に維持することによって解決することができる。
- US2020/094526A1の表2の試料番号17に対応するCE4は、チオシアン酸の総量が40g/L(すなわち677mmol/L)であり、(E)/(D)モル比が0.4未満にさえなる。析出は可能であるが、強固で望ましくない白いヘーズがハルセル基材の大部分を覆っており、これは、許容できる電流密度範囲の範囲がCE3と比較して更に小さくなっていることを示す。このように、CE4はCE3の知見を裏付けるものであり、大幅に広い電流密度範囲を必要とする精緻な基材又は複雑な基材の電気めっきにCE4が好適ではないという結論を裏付ける。
本発明による実施例は、許容できる短時間で、ニュートラルブラックの色調又はウォームブラックの色調のいずれかを得ることができることを示す。モル比(E)/(D)は、湯洗による効果が得られるように、及び比較的広い電流密度範囲が依然として保証されるように選択される。
本発明による更なる実施例は、電気めっき浴に塩化物イオンが含まれないように変更して実施した(詳細なデータは図示せず)。これらの実験では、ハルセル試験は実施せず、同じハルセル基材を用いたビーカーでの電気めっき実験を実施したが、詳細な電流密度は10A/dm2とした。これらの実施例では、L*;a*;b*=45;1.3;3.8であるウォームブラックの色調が得られた。

Claims (15)

  1. 黒色クロム層を析出させるための電気めっき浴であって、
    (A)三価クロムイオン;
    (B)前記三価クロムイオンに対する1種又は2種以上の錯化剤;
    (C)任意選択で、前記電気めっき浴用の1種又は2種以上のpH緩衝化合物;
    (D)電気めっき浴の総容量を基準にして100mmol/L~750mmol/Lの範囲の総量の、少なくとも1つの-SCN部分を含む1種又は2種以上の化合物、その塩、エステル、及び/又はイソ型;並びに
    (E)少なくとも1つの-SH部分及び/又は少なくとも1つの-S-(CH2)k-CH3部分(式中、kは0~4の範囲の整数である)を含む、1種又は2種以上の有機化合物(そのスルホキシドを含む)を含み、
    (E)及び(D)が、(E):(D)を基準にして、0.9~2.65の範囲のモル比で存在することを特徴とする、電気めっき浴。
  2. 硫酸イオン、最も好ましくは三価クロム塩に由来する硫酸イオンを含む、請求項1に記載の電気めっき浴。
  3. ハロゲンアニオン、好ましくは塩化物アニオンを更に含む、請求項1又は2に記載の電気めっき浴。
  4. 好ましくは、電気めっき浴の総容量を基準にして0.1mmol/L~10mmol/L、好ましくは0.4mmol/L~8mmol/L、より好ましくは0.6mmol/L~6mmol/L、更により好ましくは0.8mmol/L~5mmol/L、最も好ましくは1mmol/L~4mmol/Lの範囲の濃度で、Fe(II)イオンを更に含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気めっき浴。
  5. (C)が、好ましくは、電気めっき浴の総容量を基準にして35g/L~90g/L、好ましくは40g/L~80g/L、より好ましくは50g/L~70g/L、最も好ましくは56g/L~66g/Lの範囲の総量で、ホウ酸を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気めっき浴。
  6. 電気めっき浴の総容量を基準にして、100mmol/L~600mmol/L、好ましくは100mmol/L~450mmol/L、より好ましくは100mmol/L~300mmol/L、更により好ましくは115mmol/L~250mmol/L、最も好ましくは130mmol/L~200mmol/Lの範囲の総量で(D)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気めっき浴。
  7. 電気めっき浴の総容量を基準にして、1mmol/L~950mmol/L、好ましくは50mmol/L~800mmol/L、より好ましくは100mmol/L~650mmol/L、更により好ましくは140mmol/L~550mmol/L、なお更により好ましくは180mmol/L~500mmol/L、最も好ましくは195mmol/L~450mmol/Lの範囲の総量で(E)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気めっき浴。
  8. (E)が、少なくとも式(I):
    R1-S-(CH2)n-CH(NH2)-R2 (I)
    (式中、
    - R1は、分枝又は非分枝C1~C4アルキルであり、
    - R2は、COOH、その塩、及び(CH2)m-OHからなる群から選択され、
    - nは1~4の範囲の整数であり、
    - mは1~4の範囲の整数である)
    の化合物、その塩、及び/又はスルホキシドを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気めっき浴。
  9. R1が、メチル、エチル、n-プロピル、又はイソプロピル、好ましくはメチル又はエチル、最も好ましくはメチルである、請求項8に記載の電気めっき浴。
  10. R2が、COOH及び/又はその塩である、請求項8又は9に記載の電気めっき浴。
  11. nが1又は2、好ましくは2である、請求項8から10のいずれか一項に記載の電気めっき浴。
  12. (E)が、少なくともメチオニンを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の電気めっき浴。
  13. (E):(D)のモル比が0.95~2.6、好ましくは1~2.55、より好ましくは1.1~2.5、更により好ましくは1.2~2.45、最も好ましくは1.25~2.4の範囲である、請求項1から12のいずれか一項に記載の電気めっき浴。
  14. 基材に黒色クロム層を電気めっきする方法であって、
    (a)基材を準備する工程、
    (b)前記基材を、請求項1から13のいずれか一項に記載の電気めっき浴と接触させる工程、
    (c)黒色クロム層が前記基材に電気めっきされるように電流を流す工程、
    (d)工程(c)で得られた基材を、30℃~100℃の範囲の温度で熱処理する工程を含む、方法。
  15. 工程(d)において、熱処理が、好ましくは32℃~99℃の範囲、より好ましくは45℃~92℃の範囲、更により好ましくは52℃~88℃の範囲、最も好ましくは60℃~84℃の範囲の温度を有する水中で実施される、請求項14に記載の方法。
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