JP2023553642A - 鎮痛効果を誘導するためのジカルボン酸エステル - Google Patents

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Abstract

本開示は、鎮痛効果を誘導する組成物及び方法を提供する。特に、方法は、必要とする対象にジカルボン酸エステルを含む医薬組成物を投与するステップを含む。【選択図】図1

Description

[002]本開示は、鎮痛効果を誘導するための、方法及びジカルボン酸エステルを含む医薬組成物に関する。
[序論]
[003]麻酔及び鎮痛薬は、疼痛の治療に広く利用されている。
[004]近年、Pavil等は、一般的な麻酔剤が、麻酔剤の薬理効果を発揮する、生化学的機序を詳細に記載している。Pavilは、吸入麻酔が、脂質ラフトの秩序を破壊し、脂質ラフトの秩序の破壊によって麻酔を誘導することを示している。最もよく研究されている脂質ラフトは、コレステロール及びコレラ毒素B(CT×B)を結合するスフィンゴミエリン(例えばモノシアロテトラヘキソシルガングリオシド1「GM1」)に富む膜ドメインである。GM1脂質ラフトは、ホスホリパーゼD2(PLD2)を含有する。吸入麻酔は、GM1脂質ラフトの流動性を高め、それによりGM1脂質ラフトを破壊することで、脂質ラフトからPLD2を離れさせ、TR EK1の近位に移動させる。次いで、PLD2は、ホスファチジルコリン(PC)を加水分解して、ホスファチジン酸(PA)及びコリンを生成する。次いで、PAはTREK1に結合し、TREK1を活性化する。TREK1が活性化されると、結果として生じるカリウム流入は、意識消失及び鎮痛を誘発する。Pavil等は、PLD2の移動がまた、TREK1の麻酔非感受性ホモログであるTRAAKと呼ばれる第2の種類のチャネルを活性化することも示している[M.A.Pavel等、PNAS、(2020)117(24):13757~66]。
[005]本発明者等は、一実施形態において、アゼライン酸ジエチル(DEA)もGM1脂質ラフトの流動性を高め、したがってコレラ毒素Bサブユニット(CT×B)と炭疽毒素防御抗原(PA)の両方による膜侵襲複合体の形成を阻止することを示すデータにより、本開示のジカルボン酸エステルが、局所適用された場合、疼痛の緩和に有効であることを発見した。したがって、本発明者等は、DEAが吸入麻酔と類似の手段で神経伝達を調節することを主張する。したがって、DEAに代表されるジカルボン酸エステルは、膜流動性を撹乱するため、吸入麻酔と類似の鎮痛効果を有する。
[006]最も根本的レベルで、心因性疼痛以外のあらゆる種類の疼痛は、求心性神経を介した中枢神経系に対する有害又は侵害刺激の伝達が関わる。発生する神経インパルスの伝達は、一連のシグナル伝達における複数の地点で細胞原形質膜を横断しなければならない[A.Basbaum等、Cell.(2009)139(2):267~84]。疼痛の機序における原形質膜の役割は、シクロデキストリンによるコレステロールの枯渇を介して脂質ラフトの流動性を高めることにより神経シグナル伝達を破壊することで、プロスタグランジンE2(PGE2)によって誘発される痛覚過敏を可逆的に減少させることがインビボで実証された[Ferrari、L等、J.Pain(2015)16(1):60~6]。
[007]疼痛の生化学的メディエーターとしては、サイトカイン、神経ペプチド、脂質、成長因子及び神経伝達物質が挙げられる。疼痛管理に重要である更なる細胞シグナル及びセンサーとしては、コロニー刺激因子(CSF)及びレプチンが挙げられる。
[008]CSFスーパーファミリーの一部のメンバーは、疼痛緩和において有益な役割を果たす。初期の全身性顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)治療は、末梢神経損傷後の神経障害性疼痛を減弱する[P.Chao等、PLoS ONE(2012)7(8):e43680]。G-CSFは、好中性顆粒球をプライミングして宿主防衛を改善し、炎症促進性サイトカインの放出を低減する[T.Hartung等、Blood.(1995)85(9):2482~9]。中枢神経系におけるGM-CSFの作用は、食物摂取及び体重を減少させる[J.Reed等、J.Clin.Invest.(2005)115(11):3035~44]。しかし、上記の報告では、CSFは、生物学的製剤として外因的に投与された。G-CSFの内因性産生の増加が、新しい治療戦略として提案された[S.Von Aulock等、Curr.Opin.Investig.Drugs(2004)5(11):1148~52]が、CSFを誘導するこれまでに唯一知られている方法は、細菌又はウイルス抗原刺激によるものである。分泌促進物質としても知られるCSFの小分子誘導因子は、今まで同定されていなかった。
[009]レプチンは、慢性神経損傷によって誘発される神経障害性疼痛を軽減することが示された[X.Li等、Mol.Pain(2013)9:65]。
[010]本発明者等は、ジカルボン酸エステルが、細胞及び生物のシグナル伝達における多数の変化を誘導し、これが治療上有用であることも実証した。ジカルボン酸エステルの他の薬理活性に加えて、ジカルボン酸エステルは、鎮痛特性を有するシグナル伝達分子の細胞放出及び/又は生成を誘導する。応答性細胞分子としては、レプチン、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)が挙げられる。加えて、本発明者等は、ジカルボン酸エステルによる哺乳動物細胞及び組織の処理が、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)[Y.Kwok等、PLoS One.2012;7(8):e44232]、細胞タンパク質中のS-ニトロシル化システイン残基[J.Zhang等、Int.Anesthesiol.Clin.(2007)45(2):27~37]、プロスタグランジンE2(PGE2)[A.Ahlawat等、Eur.J.Pharmacol.(2018)818:419~28]及びアデノシン三リン酸(ATP)[Mense、Dtsch Arztebl Int 2008;105(12):214~9]を含む、疼痛に関連するマーカーの産生を抑制できることを発見した。
[発明の概要]
[011]本開示の態様は、対象において鎮痛効果を誘導するための、方法及び式I:ROOC-(CH-COOR(式中、nは4~10であり、各R及びRは、独立的に低級アルキルである)のジカルボン酸エステルを含む医薬組成物を提供する。本明細書のある特定の実施形態は、対象において鎮痛効果を誘導し、それによりToll様受容体(TLR)、ヌクレオチドオリゴマー化ドメイン(NOD)受容体及び/又はデクチン受容体を含むパターン認識受容体(PRR)の活性化により疼痛を阻害することに関する。
[012]本明細書のある特定の実施形態は、レプチン、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)及び/又は顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の分泌を促進することにより、鎮痛効果を誘導し、それにより対象の局所的な疼痛を阻害することに関する。
[013]一部の態様において、本明細書の実施形態は、プロスタグランジンE2(PGE2)及び/又は誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)及び/又はアデノシン三リン酸(ATP)の発現及び分泌を抑制することにより、鎮痛効果を誘導し、それにより対象の局所的な疼痛を阻害するための、方法及び式Iのジカルボン酸エステルを含む医薬組成物に関する。
[014]一部の態様において、本明細書の実施形態は、鎮痛効果を誘導し、それにより対象の局所的な疼痛を阻害する方法であって、方法が式Iのジカルボン酸エステルを必要とする対象に投与するステップを含み、投与が疼痛状態に関連する症状の低減をもたらす、方法に関する。
[015]一部の態様において、本明細書の実施形態は、鎮痛効果を誘導し、それにより対象の局所的な疼痛を阻害するための、医薬の製造における式Iのジカルボン酸エステルの使用に関する。
[016]一部の態様において、本明細書の実施形態は、鎮痛効果を誘導し、それにより対象の局所的な疼痛を阻害するための、式Iのジカルボン酸エステルの使用に関する。
[017]一部の態様において、本明細書の実施形態は、対象において鎮痛効果を誘導し、それにより対象の局所的な疼痛、例えば急性疼痛、慢性疼痛、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛又は痛覚変調性疼痛を阻害するための、医薬の製造における式Iのジカルボン酸エステルの使用に関する。
[018]一部の態様において、本明細書の実施形態は、対象において鎮痛効果を誘導し、それによりiNOS、ATP並びにToll様、NOD及びデクチン受容体を含むパターン認識受容体(PRR)から選択される、必要とする対象の1つ又は複数の受容体の調節に応答する局所的な疼痛を阻害するための、医薬の製造における式Iのジカルボン酸エステルの使用に関する。
[019]一部の態様において、本明細書の実施形態は、レプチン、M-CSF、G-CSF及びGM-CSFのうちの1つ又は複数の活性及び/又は発現をアップレギュレートするか、或いはATP、iNOS及びPGE2のうちの少なくとも1つの活性及び/若しくは発現又は放出をダウンレギュレートすることにより、鎮痛効果を誘導し、それにより対象の局所的な疼痛を阻害するための、医薬の製造における式Iのジカルボン酸エステルの使用に関する。
[020]以下の図面は、本開示のある特定の態様を実証する。本開示は、本明細書に提示された特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせてこれらの図面のうちの1つ又は複数を参照することにより良く理解することができる。
本開示のある特定の実施形態による、ヒト形質細胞様樹状細胞におけるPRRアゴニスト単独による及びアゼライン酸ジエチル(DEA)の存在下でのATP放出の調節を示す棒グラフである。 本開示のある特定の実施形態による、インビボでのホットプレート試験における後肢応答潜時に対する局所DEAの効果を示すグラフである。 本開示のある特定の実施形態による、DEAによる処理なし(左欄)及びDEAによる処理あり(右欄)での蛍光標識コレラ毒素Bサブユニットに共曝露したヒト末梢血単核細胞を示す画像である。
[024]本明細書で引用される全ての出願、刊行物、特許及び他の参考文献は、その全体が参照により援用される。
[025]本明細書で使用する単数形「1つの(a、an)」及び「その(the)」は、別段文脈が明らかに指示しない限り、複数の指示対象を含む。用語「又は」は、別段文脈が明らかに示さない限り、言及された代替的な要素の単一の要素又は2つ以上の要素の組合せを指す。本明細書で使用する「含む(comprises)」は、「挙げられる(includes)」を意味する。したがって、「A又はBを含む」は、追加の要素を除外することなく、「A、B、又はA及びBが挙げられる」を意味する。
[026]範囲は、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして本明細書で表すことがある。本明細書で使用する用語「約」は、それが修飾する数値に条件を付けることが意図され、このような値は誤差の範囲内の変数として表される。特定の誤差の範囲、例えばデータのチャート又は表に提供される平均値に対する標準偏差が列挙されない場合、用語「約」は、有効数字を考慮して、列挙された値を包含する範囲、及びその数値の切り上げ又は切り捨てによって含まれる範囲も同様に意味すると理解されるべきである。
[027]本明細書で使用する全ての数値又は数値範囲は、別段文脈が明らかに示さない限り、このような範囲内の整数、及び範囲内の値又は整数の分数を含む。加えて、このような範囲は、数字自体及び数字の間の任意のサブ範囲を含むことも意図される。この範囲は、両端値を含む両端値間の積分範囲であっても、連続範囲であってもよい。したがって、例えば、約3時間~約10時間の範囲についての言及は、3時間、4時間、5時間等、並びに3時間1分、3時間2分、3時間4分等、4時間1分、4時間2分、4時間4分等及びその他を含む。90~100%の範囲についての言及は、92.2%~97.5%、91.5~94.5%等を含む。1~25日の範囲についての言及は、1日~5日又は3日~7日又は5日~25日のサブ範囲を含む。
[028]本明細書で使用する用語「含む(comprising)」は、医薬組成物(又は組成物)及び方法が、列挙された要素を含むが、その他を除外しないことを意味することが意図される。本実施形態の組成物に適用される用語「から本質的になる」は、追加の要素が組成物を実質的に変化させない限り、組成物が追加の要素を含有することができることを意味する。組成物に適用される用語「実質的に変化させる」は、列挙された要素からなる組成物の有効性と比較した組成物の治療有効性の増加又は低下を指す。言い換えれば、「から本質的になる」は、組成物を定義するために用いられる場合、組成物に何らかの本質的な意義を与える他の成分を除外することを意味するものである。したがって、本明細書に定義される成分から本質的になる組成物は、単離及び精製方法からの微量の汚染物、並びに薬学的に許容できる担体を除外しない。「からなる」は、他の成分の微量を上回る要素及び本発明の組成物を投与するための実質的な方法工程を除外することを意味するものである。これらの移行部の用語のそれぞれにより定義される実施形態は本発明の範囲内である。
[029]本明細書で使用する用語「任意選択の」又は「任意選択で」は、その後記載される事象又は状況が起こる場合も、起こらない場合もあり、記載が、前記事象又は状況が起こる事例及び起こらない事例を含むことを意味する。
[030]本明細書で使用する「対象」は、哺乳動物、例えば霊長類、一実施形態においてはヒトを指す。非ヒト霊長類としては、数例を挙げると、マーモセット、サル、チンパンジー、ゴリラ、オランウータン及びテナガザルが挙げられる。用語「対象」は、ネコ、イヌ、フェレット、チンチラ、マウス、ウサギ、ラット、スナネズミ、モルモット、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、キジ、ハト、コバト、オウム、バタンインコ、ガチョウ等を含む。
[031]本明細書で使用する、本開示の方法の「必要とする対象」は、疼痛状態を患う対象であり得る。
[032]本明細書で使用する用語「治療有効」量は、対象において局所的な鎮痛効果を誘導するのに十分な活性成分の量を指す。本開示の医薬組成物の治療有効量は、脂質ラフトを破壊するのに有効であり得る。本開示の医薬組成物の治療有効量は、対象の細胞からのレプチン、M-CSF、G-CSF、GM-CSF等の発現及び/又は分泌をアップレギュレートする(例えば刺激する)のに有効であり得る。本開示の医薬組成物の治療有効量は、対象の細胞からのATP、iNOS、PGE2等の発現及び/又は分泌をダウンレギュレートする(例えば抑制する)のにも有効であり得る。代替的に言えば、「治療有効」量は、対象の少なくとも1つの臨床症状の何らかの軽減、緩和、減少又は安定化を提供する量である。当業者は、治療効果は、何らかの利益が対象に付与される限り、完全又は根治的である必要がないことを理解するであろう。有効量は、因子、例えば創傷部若しくは患部、又は治療される疾患若しくは状態、投与される特定の標的構築物、対象のサイズ又は疾患若しくは状態の重症度に応じて変動し得る。当業者は、特定の組成物の有効量を、過度の実験を必要とすることなく、経験的に決定することができる。
[033]本明細書で使用する用語「活性成分」は、生物学的活性物質を指す。実施形態において、本開示のジカルボン酸エステルは、医薬組成物の活性成分である。実施形態において、本開示のジカルボン酸エステルは、医薬組成物の唯一の活性成分である。実施形態において、本開示のアゼライン酸エステルは、医薬組成物の活性成分である。実施形態において、アゼライン酸ジエチルは、医薬組成物の活性成分である。
[034]本明細書で使用する用語「薬学的に許容できる担体」は、任意の好適なアジュバント、担体、賦形剤又は安定剤を指し、固体又は液体形態、例えば錠剤、カプセル、粉末、溶液、懸濁液又はエマルジョンであり得、これは対象に対して著しい刺激を引き起こさず、投与された活性成分の生物活性及び特性を抑止しない。
[035]本明細書で使用する用語「疾患」は、用語「障害」及び「状態」(医学的状態と同様)と一般に同義であることが意図され、これらと交換可能に用いられ、ここで、これらは全て、正常な機能を損なうヒト若しくは動物の身体の又はヒト若しくは動物の身体の一部の1つの異常な状態を反映し、際立った徴候及び症状によって典型的には顕在化され、ヒト又は動物の寿命又は生活の質の低下を引き起こす。
[036]本明細書で使用する疾患若しくは状態を「治療すること(treating)」又は疾患若しくは状態の「治療(treatment)」は、疾患若しくは状態を予防すること、疾患若しくは状態の発症若しくは進行速度を遅延させること、疾患若しくは状態が進行するリスクを低減すること、疾患若しくは状態に関連する症状の進行を予防するか若しくは遅延させること、疾患若しくは状態に関連する症状を低減するか若しくは終わらせること、疾患若しくは状態の完全若しくは部分的後退をもたらすこと、又はこれらの一部の組合せを指すことができる。治療は、疾患又は状態の防止的又は予防的治療も意味することができる。
[037]本明細書で使用する用語「阻害すること」は、特定の作用、機能、相互作用、症状の出現の減少、低減、制限及び/又は遮断を指す。用語「阻害すること」、「減少させること(decreasing)」及び「低減すること(reducing)」は、本明細書で交換可能に用いられる。実施形態において、該用語は、対象においてある特定の作用、機能、相互作用、ある特定の症状の出現のレベル(例えば組織及び体液のタンパク質又は非タンパク質分子を含むが、これらに限定されないバイオマーカーのレベル)を、対応する対照における量の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%又はそれ未満の量まで低減するか、又は抑えることを指す。例えば、疼痛の指標、例えばプロスタグランジンPGE2の血中濃度が少なくとも約10%、20%、30%、50%、80%又は100%低減される場合、疼痛は減少するか、低減されるか、又は阻害される。実施形態において、疼痛は、本開示のジカルボン酸エステルの投与前の疼痛と比較して、少なくとも約1倍、2倍、3倍、4倍又はそれ以上減少するか、低減されるか又は阻害される。測定可能な変化は、客観的(例えば何らかの試験又はマーカーによって、例えばインビトロ若しくはインビボアッセイ又は試験又は観察で測定可能である)であっても、主観的(例えば対象が効果の徴候を示すか、又は効果を感じる)であってもよい。
[038]本明細書で使用する用語「疼痛」は、実際の若しくは潜在的な組織損傷に関連するか、又はこのような損傷に関して記載される不快な感覚的及び情緒的経験を指し、分化した神経末端の刺激に起因する不快感、苦痛又は苦しみのほぼ局所的な感覚を含む。急性又は慢性にかかわらず、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛又は痛覚変調性疼痛を含むが、これらに限定されない、様々な種類の疼痛がある。対象において鎮痛効果を誘導する目的は、対象によって知覚された疼痛の程度又は重症度を低減することである。
[039]本明細書で使用する語句「局所的な疼痛」は、対象の身体の特定の部分の特定の位置又は領域で経験される非全身性疼痛を指す。実施形態において、疼痛の領域は、原発巣と関係がある。
[040]実施形態において、本開示は、鎮痛効果を誘導し、それにより対象の疼痛を阻害するための方法及び医薬組成物であって、式I:ROOC-(CH-COORを有するジカルボン酸エステルを含む医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法及び医薬組成物を提供する。実施形態において、nは4~10、6~9又は7~8である。実施形態において、各R及びRは独立的に低級アルキルである。本明細書で使用する用語「低級アルキル」は、C1~C6飽和直鎖又は分岐アルキル基を指す。式Iの好適な低級アルキル基(R及びR)の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、t-ブチル及び同様の基が挙げられる。実施形態において、R及びRは同じである。実施形態において、R及びRは同じである。実施形態において、R及びRは異なる。
[041]実施形態において、ジカルボン酸エステルはアゼライン酸エステルである。実施形態において、アゼライン酸エステルはアゼライン酸ジエチル、アゼライン酸ジメチル又はこれらの混合物である。実施形態において、アゼライン酸エステルはアゼライン酸ジエチルである。
[042]実施形態において、本開示は、鎮痛効果を誘導し、それにより対象の疼痛を阻害する方法であって、アゼライン酸エステルを含む医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法を提供する。実施形態において、本開示は、鎮痛効果を誘導し、それにより対象の疼痛を阻害する方法であって、アゼライン酸ジエチルを含む医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
[043]局所的な鎮痛効果を誘導することは、脂質ラフトの流動性を破壊するか、又は増加することによって達成できる。脂質ラフト(脂質ミクロドメインとしても知られる)は、原形質膜の外部リーフレットに存在する個別の脂質ドメインである。脂質ラフトは、コレステロール、スフィンゴミエリン、ガングリオシド及びスフィンゴ脂質、例えばモノシアロテトラヘキソシルガングリオシド1(GM1)に富む。脂質ラフトは、膜流動性及び膜タンパク質輸送に影響を与え、それにより神経伝達及び受容体輸送を制御する。Z.Korade等、Neuropharmacology(2008)55(8):1265~73。
[044]実施形態において、鎮痛効果は、式Iのジカルボン酸エステルを脂質ラフトと接触させることによって生じる脂質ラフトの破壊によって誘導される。式Iのジカルボン酸エステルが対象に局所適用される場合(例えば開放創、創傷の周りの領域、健康な皮膚、粘膜、口腔粘膜の創傷)、ジカルボン酸エステルは、対象の原形質膜に位置する脂質ラフトと接触し、脂質ラフトを破壊する。実施形態において、脂質ラフトはGM1を含有する。
[045]実施形態において、脂質ラフトは、ホスホリパーゼD2(PLD2)を含有する。
[046]実施形態において、式Iのジカルボン酸エステルは、GM1を含有する脂質ラフトを破壊する。
[047]実施形態において、式Iのジカルボン酸エステルによる脂質ラフトの破壊は、PLD2に脂質ラフトを出発させ、それによりTREK-1を活性化し、その後シグナル伝達脂質ホスファチジン酸(PA)の生成を促進した。
[048]実施形態において、式Iのジカルボン酸エステルによる脂質ラフトの破壊は、脂質ラフトの膜流動性を調節する。
[049]実施形態において、式Iのジカルボン酸エステルによる脂質ラフトの破壊は、脂質ラフトの原形質膜の流動性の増加によるものである。
[050]疼痛は、様々な方法で種類別に細分化することができる。時間に基づき、疼痛は、慢性又は急性として分類することができる。慢性疼痛は、正常な治癒時間を過ぎて、通常3カ月を超えて持続する疼痛として認識される。慢性疼痛は、世界中で約20%の人に影響を及ぼし、受診の約20%を占める。[R.Treede等、Pain(2015)156(6):1003~7]。機序に基づき、疼痛は、侵害受容性、神経障害性又は痛覚変調性であり得る。侵害受容性疼痛は、機械、化学又は熱刺激による組織損傷に対する疼痛受容体(侵害受容器)の刺激に起因する。神経障害性疼痛は、神経系の構成要素に対する損傷に起因する。痛覚変調性疼痛は、侵害受容性知覚の変化から生じる。
[051]実施形態において、対象は疼痛を患っている。実施形態において、疼痛は急性又は慢性である。実施形態において、疼痛は侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛又は痛覚変調性疼痛である。
[052]実施形態において、疼痛は急性である。実施形態において、対象は急性疼痛の治療を必要とし得る。急性疼痛の例としては、外傷痛、手技(手術、歯科、皮膚科等)による疼痛、創傷痛、筋骨格痛(例えば背痛、頸部痛)、歯の痛み、感染(例えば創傷感染)及び毒素(昆虫、動物、細菌、真菌等)が挙げられるが、これらに限定されない。
[053]実施形態において、疼痛は慢性である。一部の実施形態において、対象は、慢性疼痛の治療を必要とし得る。慢性疼痛の例としては、線維筋痛、関節痛、腸脛靭帯症候群による疼痛、テニス肘痛、癌性疼痛、筋骨格痛(例えば背痛、頸部痛)、顎関節障害、三叉神経痛、慢性頭痛、神経疾患(MS、糖尿病性神経障害等)に関連する疼痛、神経種、骨盤内炎症性疾患、子宮内膜症、帯状疱疹及びヘルペス後神経痛、及び感染症(例えばHIV)関連慢性神経障害、化学療法誘発性神経障害性疼痛、手術誘発性神経障害性疼痛、外傷誘発性神経障害性疼痛、外陰部痛、非定型頭蓋顔面痛、坐骨神経痛、幻肢、歯痛並びに口腔灼熱症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
[054]実施形態において、疼痛は侵害受容性疼痛である。実施形態において、対象は、侵害受容性疼痛の治療を必要とし得る。侵害受容性疼痛は通常急性であり、特定の状況に応答して進行する。侵害受容性疼痛の例としては、捻挫、熱傷、挫傷、手術手技及び骨折による疼痛が挙げられるが、これらに限定されない。慢性侵害受容性疼痛は、疼痛が6か月を越える場合、何らかの状態に起因する。慢性侵害受容性疼痛の例としては、癌、関節リウマチ、変形性関節症、筋骨格状態(例えば背痛)による疼痛が挙げられる。
[055]実施形態において、疼痛は神経障害性疼痛である。実施形態において、対象は、神経障害性疼痛の治療を必要とし得る。神経障害性疼痛は、神経系の構成要素に対する損傷に起因する。ある特定の疾患状態が、神経障害性疼痛の根本的原因であり得る。例えば、対象は、代謝性疾患(例えば糖尿病性神経障害)、自己免疫疾患(例えば多発性硬化症)、ウイルス感染(例えば帯状疱疹後遺症、ヘルペス後神経痛)、血管疾患(例えば脳卒中)、外傷及び/又は癌を患い得る。Campbell等、Neuron(2006)52(1):77~92;Dworkin等、Arch Neurol(2003)60;1524~34。実施形態において、神経障害性疼痛は、代謝性疾患、外傷、虚血又は出血、炎症、神経毒性、神経変性、傍腫瘍、ビタミン欠乏症又は癌から生じる神経損傷によるものである。神経障害性疼痛の例としては、ヘルペス後(又は帯状疱疹後)神経痛、反射性交換神経性ジストロフィー/カウザルギー(神経外傷)、癌性疼痛の構成要素、幻肢痛、絞扼性神経障害(例えば手根管症候群)及び末梢性神経障害(広範な神経損傷)が挙げられるが、これらに限定されない。
[056]実施形態において、疼痛は痛覚変調性疼痛である。実施形態において、対象は、痛覚変調性疼痛の治療を必要とし得る。痛覚変調性疼痛は、末梢侵害受容器の活性化を引き起こす実際の若しくはそのおそれのある組織損傷の明白な証拠、又は疼痛を引き起こす体性感覚系の疾患若しくは病変の証拠がないにもかかわらず、傷害受容の変化によって生じる疼痛である。Chimenti等、Phys Ther.(2018)98(5):302~314。
[057]実施形態において、疼痛は、急性疼痛、慢性疼痛、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、痛覚変調性疼痛、外傷痛、化学的疼痛、熱傷疼痛、虚血性疼痛、昆虫刺咬による疼痛、刺すような痛み、筋骨格痛(例えば背痛、頸部痛)、関節リウマチ痛、手術後の疼痛、骨痛(例えば変形性関節症)、様々な皮膚状態(例えばざ瘡、乾癬、乾癬膿瘍、湿疹、酒さ)による疼痛から選択される。
[058]実施形態において、式Iのジカルボン酸エステルは、疼痛応答を低減するように、対象において鎮痛効果を誘導するのに十分な量で投与される。実施形態において、式Iのジカルボン酸エステルは、疼痛応答を例えば少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%低減するのに十分な量で投与される。実施形態において、式Iのジカルボン酸エステルは、疼痛応答を例えば約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%又は約50%~約70%の範囲で低減するように、対象において鎮痛効果を誘導するのに十分な量で投与される。
[059]実施形態において、式Iのジカルボン酸エステルは、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛又は痛覚変調性疼痛によって媒介される疼痛応答を低減するように、対象において鎮痛効果を誘導するのに十分な量で投与される。実施形態において、式Iのジカルボン酸エステルは、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛又は痛覚変調性疼痛によって媒介される疼痛応答を例えば少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%低減するのに十分な量で投与される。実施形態において、式Iのジカルボン酸エステルは、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛又は痛覚変調性疼痛によって媒介される疼痛応答を例えば約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%又は約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%又は約50%~約70%の範囲で低減するように、対象において鎮痛効果を誘導するのに十分な量で投与される。
[060]実施形態において、本開示は、必要とする対象において1つ又は複数のパターン認識受容体シグナル伝達、例えばヌクレオチドオリゴマー化ドメイン(NOD)受容体及びデクチン受容体を含むパターン認識受容体を調節する方法であって、式Iのジカルボン酸エステルの治療有効量を対象に投与するステップを含む、方法を提供する。実施形態において、疼痛の低減(又は疼痛応答の低減)は、PRR関連疼痛活性の調節によるものである。
[061]実施形態において、疼痛の低減(又は疼痛応答の低減)は、PRR活性の調節によるものである。
[062]実施形態において、疼痛応答の低減(すなわち疼痛応答の低減)は、NOD受容体活性の調節によるものである。
[063]実施形態において、疼痛応答の低減(すなわち疼痛応答の低減)は、デクチン受容体活性の調節によるものである。
[064]実施形態において、本開示は、式Iのジカルボン酸エステルの治療有効量を含む医薬組成物を対象に投与して、レプチン、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)のうちの1つ又は複数の合成若しくは放出を促進するか、又はこれらをアップレギュレートすることにより、鎮痛効果を誘導し、それにより必要とする対象の疼痛を調節する方法を提供する。
[065]実施形態において、本開示は、式Iのジカルボン酸エステルの治療有効量を含む医薬組成物を対象に投与して、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)、アデノシン三リン酸(ATP)及びプロスタグランジンE2(PGE2)のうちの少なくとも1つの合成若しくは放出を阻害するか、又はこれらの活性及び/若しくは発現をダウンレギュレートすることにより、鎮痛効果を誘導し、それにより必要とする対象の疼痛を調節する方法を提供する。
[066]実施形態において、本開示は、対象において、投与部位でのレプチン、M-CSF、G-CSF、GM-CSFのうちの1つ若しくは複数の局所的な増加、又はiNOS、ATP及びPGE2の減少を促進することにより、鎮痛効果を誘導し、それにより疼痛を患う対象を治療する方法であって、式Iのジカルボン酸エステルを含む医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
[067]実施形態において、式Iのジカルボン酸エステルは、レプチン、M-CSF、G-CSF及びGM-CSFのうちの1つ若しくは複数の放出を誘導するか、又はこれらの活性及び/若しくは発現をアップレギュレートするのに十分な量で必要とする対象に投与される。
[068]実施形態において、式Iのジカルボン酸エステルは、iNOS、ATP及びPGE2のうちの少なくとも1つの放出を抑制するか、又はこれらの活性及び/若しくは発現をダウンレギュレートするのに十分な量で必要とする対象に投与される。
ジカルボン酸エステルの合成
[069]式Iのジカルボン酸エステルは、商業的に得られてもよく、当技術分野で知られる様々な方法によって調製されてもよい。実施形態において、ジカルボン酸エステルは、必須酸及びアルコールからのエステルの直接的な形成を介して調製することができる。この縮合は、好適な剤を用いた反応混合物の脱水によって、又は酸及びアルコールの混合物の加熱によって達成できる。実施形態において、ジカルボン酸エステルは、アルコールを活性型の酸と反応させることによって調製することができる。活性型の酸としては、酸ハロゲン化物、ホモとヘテロ無水物の両方を含む酸無水物、親の酸の内部無水物と必須アルコールとの反応、酸とアルコール両方のエステル及び無水物が挙げられ、これらは必須酸又はアルコールと塩化p-トルエンスルホニルとの反応によって形成されて、トシル無水物又はエステルを生成し、その後アルコール又は酸各々と反応して、所望の最終エステルを生成する。同様に、塩化p-トルエンスルホニルの代わりに単純な有機酸無水物、例えば酢酸無水物を用いてもよい。加えて、所望の物質組成物の中から選択された1つのエステルから開始してもよく、適切な酸性又は塩基性触媒の存在下で所望のアルコール中のエステルの溶液を用いて、酸の出発物質であるエステルを、アルコールが反応を起こすものになるエステルに変換させる。この方法は当技術分野でエステル交換としても知られている。
[070]例えば、酸のジメチルエステルから開始してもよく、酸又は塩基の存在下でエタノール中のエステル溶液によって、酸のジエチルエステルを手軽に形成することができる。加えて、酸の混合エステルが所望される場合、本明細書に記載される方法のいずれかで2種以上の所望のアルコールの適当な複合溶液を利用してもよい。
[071]ハロゲン化中間体又は成分の使用を用いて、必要なエステルを形成してもよい。例えば、塩化チオニルは、酸とアルコールの両方を塩素化し、それにより塩化アシル及びアルキルをもたらす。次いで、これらの塩化アシル及びアルキルは、各々所望のアルコール又は酸と更に反応して、所望のエステル生成物を生成することができる。他の一般的なハロゲン化剤は、例えば塩化オキサリル並びにリンの塩化物及び臭化物、例えば五塩化若しくは三塩化リン及び五臭化若しくは三臭化リン又は酸塩化リンを含む。
[072]酸及びアルコールの混合物に対する強塩基の作用によるエステルの形成が一般に行われる。強塩基の例としては、水素化リチウムアルミニウム及び他の水素化金属、アルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムエトキシド、並びに水素化ジイソブチルアルミニウム等が挙げられる。
投与方法
[073]本開示の医薬組成物は、様々な方法で対象に投与することができる。例えば、医薬組成物は、局所、経皮、静脈内、皮下、筋肉内又は経口投与することができる。医薬組成物は、標的領域又は治療が所望される領域に及び/又はその周りに局所適用することができる。
[074]治療計画は、典型的には当業者によって考慮される様々な因子に応じて変動し得る。これらの因子としては、投与経路、製剤の性質、患者の疾病の性質、対象のサイズ、体重、表面積、年齢、性別、患者に投与される他の薬物及び主治医の判断が挙げられる。医薬組成物は、炎症状態又は疼痛の低減のための他の治療と同時に又はそれに加えて投与することができる。
[075]医薬組成物は、疼痛及び/又は炎症の治療のための1種又は複数の追加の治療剤と組み合わせて投与することができる。1種又は複数の追加の治療剤は、同じ又は異なる投与経路で投与することができる。1種又は複数の追加の治療剤としては、疼痛緩和剤、抗炎症剤、麻酔剤、抗生物質及び抗真菌剤を挙げることができる。
[076]実施形態において、医薬組成物は、対象の皮膚に、例えば治療が所望される領域に又は少なくとも治療が所望される領域の近くに位置する領域に局所投与される。実施形態において、医薬組成物は、皮膚に対して局所的に擦り込み、組成物(又は少なくともジカルボン酸エステル)を皮膚に吸収させることによって対象に投与される。
[077]実施形態において、防止的治療のために、医薬組成物は、対象に96時間から手技(又は手術)の直前まで、72時間から手技(又は手術)の直前まで、48時間から手技(又は手術)の直前まで、24時間から手技(又は手術)の直前まで、12時間から手技(又は手術)の直前まで、8時間から手技(又は手術)の直前まで、4時間から手技(又は手術)の直前まで、2時間から手技(又は手術)の直前まで、1時間から手技(又は手術)の直前まで若しくは0.5時間から手技(又は手術)の直前までの期間で、又は手技の直前の対象に送達可能な任意の範囲で投与することができる。医薬組成物は、健康な皮膚領域に、いつでも、例えば、一実施形態においてはハイキング前に局所適用することができる。
[078]実施形態において、防止的治療のために、医薬組成物は、手技、例えば静脈穿刺、注射、切開、除毛、入れ墨の適用及び除去前に対象に局在又は局所投与される。
[079]実施形態において、医薬組成物は、手技、例えば静脈穿刺、注射、切開、除毛、入れ墨の適用及び除去の間又は後に対象に局在又は局所投与される。
[080]実施形態において、医薬組成物は、対象に1回又は2回以上適用される。例えば、医薬組成物は、所定の間隔で投与することができる。実施形態において、例えば、医薬組成物は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回若しくは1日4回を超えて、又は1日おき、3日に1回、4日に1回等適用することができる。
[081]実施形態において、医薬組成物は、治療有効用量で対象に投与される。対象に投与される場合、治療有効量は、治療される特定の状態及び所望のアウトカムに依存する。
[082]医薬組成物は、必要とする対象に約1~約24時間ごと、約1~約12時間ごと、約2~約8時間ごと、約2~約6時間ごと、約4~約6時間ごと、約4~約8時間ごと、約12時間ごと、約24時間ごと、約48時間ごと又はより頻繁に投与することができる。実施形態において、医薬組成物は、1日1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回若しくはより頻繁に、又はこれらの任意の組合せで投与することができる。実施形態において、医薬組成物はまた、毎日、1日おき、2日に1回、3日に1回、4日に1回若しくはより少ない頻度で、又はこれらの任意の組合せで投与することができる。実施形態において、医薬組成物は、必要とする対象に1日~30日、1日~25日、1日~20日、1日~15日又は1日~10日の持続期間投与することができる。
製剤
[083]実施形態において、本開示の医薬組成物は、局所、経皮、静脈内、皮下、筋肉内又は経口投与を含むが、これらに限定されない、当技術分野で知られる任意の投与経路による送達のために製剤化することができる。
[084]適切な製剤は、選択された投与経路に依存する。当技術分野で理解されるように、よく知られた技術、担体及び賦形剤のいずれか、例えば参照により本明細書で援用されるRemington’s Pharmaceutical Sciences、第18編、(Mack Publishing Company:Easton、Pa.、1990)に開示されるものが使用できる。本明細書に開示される医薬組成物は、当技術分野で知られる任意の手段、例えば従来の混合、溶解、顆粒化、水簸、乳化、カプセル化、封入又は圧縮方法によって製造することができる。
[085]医薬組成物は、局所、経皮、静脈内、皮下、筋肉内又は経口投与に好適なものを含むが、最も好適な経路は、例えばレシピエントの状態及び障害に依存し得る。
[086]実施形態において、医薬組成物は、局所及び経皮投与に好適である。本開示のアゼライン酸エステルの局所及び経皮投与は、処理されたゲル、クリーム、ローション、溶液、軟膏、懸濁液又はエマルジョンの形態であり得る。これらの医薬組成物は、本明細書に開示される1種又は複数の好適な賦形剤を更に含むことができる。
[087]式Iのジカルボン酸エステルの非経口投与、例えば静脈内、皮下、筋肉内投与は、溶液、懸濁液又はエマルジョンの形態であり得る。一実施形態において、これらの製剤は、生理食塩水中で調製される。これらの医薬組成物は、本明細書に開示される1種又は複数の好適な賦形剤を更に含むことができる。
[088]実施形態において、医薬組成物は、経口投与に好適である。医薬組成物は、単位剤形で好都合に提示することができ、薬学の分野でよく知られる方法のいずれかによって調製することができる。典型的には、これらの方法は、式Iのジカルボン酸エステル、及び任意選択で任意の共投与される活性成分を、1種又は複数の副成分を構成する担体と混合するステップを含む。一般に、医薬組成物は、活性成分を液体担体若しくは微粉砕固体担体又は両方と均一及び完全に混合し、次いで必要に応じて生成物を所望の組成物に成形することによって調製される。経口投与に好適な医薬組成物及び任意の任意選択の第2の活性成分は、個別の単位、例えばカプセル、カシェ剤又は錠剤として提示することができ、各々が、所定量の活性成分(複数可)を;粉末若しくは顆粒として;水性液体若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液として;又は水中油型液体エマルジョン若しくは油中水型液体エマルジョンとして含有する。活性成分(複数可)は、ボーラス剤、舐剤又はペースト剤として提示することができる。これらの医薬組成物は、本明細書に開示される1種又は複数の好適な賦形剤を更に含むことができる。
賦形剤
[089]実施形態において、本開示の医薬組成物は、1種又は複数の賦形剤を更に含むことができる。賦形剤は、担体、例えば不溶性多糖又はオリゴ糖を含むことができる。担体の例としては、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、キトサン、β-シクロデキストリン、エチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、結晶セルロース、デンプン及びこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
[090]賦形剤は、増粘剤、例えば水溶性多糖を含むことができる。増粘剤の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アカシア、アルギン酸、コロイド状二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース(ヒプロメロース)、メチルセルロース、ショ糖、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
[091]実施形態において、本開示の医薬組成物は、1種又は複数の医薬賦形剤、例えばアスコルビン酸、EDTA二水和物、グリセリン、クエン酸一水和物、クエン酸ナトリウム二水和物、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、70%ソルビトール液、スクラロース、FD&C Yellow #6、人工香料(例えば人工ペパーミント香料、人工果実香料)、精製水又はこれらの任意の組合せを更に含むことができる。
[092]実施形態において、本開示の医薬組成物は、防腐剤を含むことができる。好適な防腐剤としては、水銀含有物質、例えばフェニル水銀塩(例えば酢酸、ホウ酸及び硝酸フェニル水銀)及びチメロサール;安定化二酸化塩素;第4級アンモニア化合物、例えば塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム及び塩化セチルピリジニウム;イミダゾリジニル尿素;パラベン、例えばメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン及びブチルパラベン並びにこれらの塩;フェノキシエタノール;クロロフェノキシエタノール;フェノキシプロパノール;クロロブタノール;クロロクレゾール;フェニルエチルアルコール;EDTA二ナトリウム;安息香酸、ベンジルアルコール及びソルビン酸並びにこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。
[093]実施形態において、本開示の医薬組成物は、酸、例えば酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸及び塩酸;塩基、例えば水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム及びトリスヒドロキシメチルアミノメタン;並びに緩衝剤、例えばクエン酸/ブドウ糖、重炭酸ナトリウム及び塩化アンモニウムを含む、1種又は複数の許容できるpH調整剤及び/又は緩衝化剤を含むことができる。このような酸、塩基及び緩衝剤は、薬学的に許容できる範囲に組成物のpHを維持するために必要とされる量で含まれる。実施形態において、本開示の医薬組成物のpHは、pH4~pH7.5であり得る。
[094]実施形態において、本開示の医薬組成物は、糖アルコールを含むことができる。糖アルコールの例としては、マンニトール、グリセロール、ガラクチトール、フシトール、イノシトール、ボレミトール、マルトトリイトール、マルトエテトレイトール、ポリグリシトール、エリスリトール、トレイトール、リビトール、アラビトール、キシリトール、アリトール、ズルシトール、グルシトール、ソルビトール、アルトリトール、イジトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト及びこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
[095]実施形態において、本開示の医薬組成物は、添加剤を含むことができる。添加剤の例としては、希釈剤、結合剤、界面活性剤、潤沢剤、滑剤、コーティング材料、可塑剤、着色剤、香味剤又は薬学的に不活性な材料が挙げられるが、これらに限定されない。希釈剤の例としては、例えばセルロース;セルロース誘導体、例えば結晶セルロース等;デンプン;デンプン誘導体、例えばトウモロコシデンプン、シクロデキストリン等;糖;糖アルコール、例えば乳糖、D-マンニトール等;無機希釈剤、例えば乾燥水酸化アルミニウムゲル、沈降炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム等が挙げられる。結合剤の例としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポビドン、デキストリン、プルラン、ヒドロキプロピルデンプン、ポリビニルアルコール、アカシア、寒天、ゼラチン、トラガカント、マクロゴール等が挙げられる。界面活性剤の例としては、例えば脂肪酸のショ糖エステル、ステアリン酸ポリオキシル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリソルベート、モノステアリン酸グリセリル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴール、第4級アンモニウム塩(例えば塩化ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム水和物、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンジルセチルジメチルアンモニウム水和物、塩化ベンジルジメチルステアリルアンモニウム水和物、塩化ベンジルドデシルジメチルアンモニウム水和物、臭化ベンジルドデシルジメチルアンモニウム)等が挙げられる。潤沢剤の例としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク等が挙げられる。滑剤の例としては、例えば乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。コーティング材料の例としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ジエチルアミノ酢酸ポリビニルアセタール、マクロゴール6000、酸化チタン等が挙げられる。可塑剤の例としては、例えばクエン酸トリエチル、トリアセチン、マクロゴール6000等が挙げられる。
[096]実施形態において、本開示の医薬組成物は、式Iのジカルボン酸エステル及び薬学的に許容できる担体の治療有効量を含む。実施形態において、医薬組成物は、製剤の総重量に対して少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の式Iのジカルボン酸エステルの治療有効量を含む。実施形態において、医薬組成物は、製剤の総重量に対して約5重量%~約100重量%、約5重量%~約95重量%、約5重量%~約90重量%、約5重量%~約85重量%、約5重量%~約80重量%、約5重量%~約75重量%、約5重量%~約70重量%、約10重量%~約100重量%、約10重量%~約95重量%、約10重量%~約90重量%、約10重量%~約85重量%、約10重量%~約80重量%、約10重量%~約75重量%、約10重量%~約70重量%、約15重量%~約100重量%、約15重量%~約95重量%、約15重量%~約90重量%、約15重量%~約85重量%、約15重量%~約80重量%、約15重量%~約75重量%、約15重量%~約70重量%、約20重量%~約100重量%、約20重量%~約95重量%、約20重量%~約90重量%、約20重量%~約85重量%、約20重量%~約80重量%、約20重量%~約75重量%、約20重量%~約70重量%、約25重量%~約100重量%、約25重量%~約95重量%、約25重量%~約90重量%、約25重量%~約85重量%、約25重量%~約80重量%、約25重量%~約75重量%、約25重量%~約70重量%、約30重量%~約100重量%、約30重量%~約95重量%、約30重量%~約90重量%、約30重量%~約85重量%、約30重量%~約80重量%、約30重量%~約75重量%、約30重量%~約70重量%、約35重量%~約100重量%、約35重量%~約95重量%、約35重量%~約90重量%、約35重量%~約85重量%、約35重量%~約80重量%、約35重量%~約75重量%、約35重量%~約70重量%、約40重量%~約100重量%、約40重量%~約95重量%、約40重量%~約90重量%、約40重量%~約85重量%、約40重量%~約80重量%、約40重量%~約75重量%、約40重量%~約70重量%、約45重量%~約100重量%、約45重量%~約95重量%、約45重量%~約90重量%、約45重量%~約85重量%、約45重量%~約80重量%、約45重量%~約75重量%、約45重量%~約70重量%、約50重量%~約100重量%、約50重量%~約95重量%、約50重量%~約90重量%、約50重量%~約85重量%、約50重量%~約80重量%、約50重量%~約75重量%、約50重量%~約70重量%、約55重量%~約100重量%、約55重量%~約95重量%、約55重量%~約90重量%、約55重量%~約85重量%、約55重量%~約80重量%、約55重量%~約75重量%、約55重量%~約70重量%、約60重量%~約100重量%、約60重量%~約95重量%、約60重量%~約90重量%、約60重量%~約85重量%、約60重量%~約80重量%、約60重量%~約75重量%、約60重量%~約70重量%の式Iのジカルボン酸エステルの治療有効量を含む。
[097]実施形態において、本開示の医薬組成物は、当業者に公知の全ての医薬剤形に製剤化され、配合され得る式Iのジカルボン酸エステルを含む。このような医薬組成物は、治療及び広範囲の用量にわたる投与を必要とする対象の細胞、組織及び器官で使用できる。実施形態において、本開示のジカルボン酸エステルは、1日あたり0.001mg/kg~1000mg/kg体重の1日投与量で対象に経口、非経口、局所及び局在投与することができる。
キット
[098]実施形態において、本開示は、とりわけ局所投与のための本開示の医薬組成物、部位を洗浄するためのワイプ、適用される材料を広げるためのスワブ又はブラシ、部位を覆う粘着ドレッシング材を含むキットも提供する;任意選択で、キットは汚物処理袋又は容器を含むことができる;任意選択で、キットは吸収要素を含むことができる;任意選択で、キットは一対の手袋(例えば滅菌ニトリル又はラテックス手袋)を含むことができる。
材料及び方法
[099]化学物質:アゼライン酸ジエチル(純度>99%)を、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)によって決定した99%の純度に、酸触媒エステル化、続いて分留を用いてアゼライン酸及びエチルアルコールから合成した。別段示されない限り、化学物質を、Sigma Chemical(St.Louis、MO、USA)及びThermo Fisher Scientific(Waltham、MA)から調達した。
[0100]細胞増殖及び細胞毒性アッセイ:セルタイター(CellTiter)96非放射活性細胞増殖アッセイ(MTT)、セルタイター96水性一溶液細胞増殖アッセイ(MTS)及びセルタイターグロ(CellTiter-Glo)発光細胞生存率(ATP)キットをPromega(Madison、WI)から購入した。タンパク質濃度をマイクロ(Micro)BCAタンパク質アッセイキット(Pierce Biotechnology、Rockford、IL)を用いて測定した。
[0101]ヒト末梢血単核細胞の単離:新鮮なヒト末梢血単核細胞(PBMC)検体を健康なボランティアから得た。血液をBDバキュテイナ(Vacutainer)CPT細胞調製チューブ(Beckton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)に採取し、1500×gで室温で遠心分離し、PBMCを供給業者のプロトコルに従って単離した。トリパンブルー排除法を用いた細胞数及び生存率評価を、血球計を用いて測定した。
[0102]膜流動性測定:膜流動性を、膜流動性キット(PN M0271、Marker Gene Technologies、Eugene、OR)を用いて測定した。PBMCを洗浄し、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むフェノールレッド不含RPMI細胞培養培地中7×10細胞/mLに調整した。1ウェルあたり60000個のPBMCを96ウェルアクロウェル(Acrowell)フィルタープレート(Pall Corporation、Port Washington、NY)に三重に撒き、暗所で20分間穏やかに混合しながら、1μMピレンデカン酸単独で又は被験物質(100μM~0.1μM又は10μMのコレステロールからのDEA)の存在下で治療した。エキシマの蛍光(355nmでの励起、460nmでの放射)を、モノマー(355nmでの励起、400nmでの放射)に対して補正した。
[0103]マルチプレックスイムノアッセイ:ヒト及びマウスサイトカイン、ケモカイン及び成長因子パネル(レプチン及びコロニー刺激因子G-CSF、GM-CSF及びM-CSFを含む)をAffymetrix、Fremont、CAから得た。検体を、マウスアッセイ[R.Streeper等、Current Topics in Nutraceutical Research(2011)9:1~12]及びヒトアッセイ[E.Izbicka等、Cancer Genomics Proteomics(2012)9(1):27~35]について記載されるように二重又は三重にアッセイした。マルチプレックスイムノアッセイをルミネックス(Luminex)100 ISシステム(Luminex Corporation、Austin、TX)を用いて実施した。分析物濃度を、バイオ-プレックスマネジャー(Bio-Plex Manager)4.1.1(Bio-Rad Laboratories、Hercules、CA)を用いて標準曲線から計算した。
[0104]病原体関連分子パターン受容体アゴニスト研究:PRRアゴニストキット;ヒトToll様受容体(TLR1-9;n=9アゴニスト)、ヌクレオチドオリゴマー化ドメイン(NOD)NOD1/NOD2(n=10アゴニスト、n1、n2、…、n10で表される)及びデクチン-1(単一のアゴニスト)をInvivoGen、San Diego、CAから購入した。ヒト形質細胞様樹状細胞(MatTek Corporation、Ashland、MA)を1.6×10細胞/mLに希釈し、DEAの不在下又は0.5%DEAで供給業者により推奨された中程度の範囲の濃度でアゴニストと共に24時間インキュベートした。測定した分析物のレベルを、生存細胞数に対して正規化した。
結果
実施例1
[0105]この実験は、DEAがヒトエピダーム(EpiDerm)組織における疼痛シグナル伝達のバイオマーカーを調節することを実証する。
[0106]エピダームバイオアッセイ:エピダーム(商標)3次元皮膚モデルをMatTek Corporation(Ashland、MA)から購入した。被験物質:25%DEA、25%アゼライン酸ナトリウム塩、1%サリチル酸ナトリウム塩、1%緑茶抽出物、1μg/mLドキシサイクリンハイクレート(ドキソルビシン)、1%4-エトキシベンゼンアルデヒド及び0.025%全トランス型レチノイン酸を、単独又は刺激物として使用した0.1%クロトン油と組み合わせて、24時間、三連で試験した。条件培地を回収し、残りの細胞を氷上で、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤の存在下で均質化し、可溶化液を遠心分離によって浄化した。培地及び細胞可溶化液を-70℃で急速凍結した。タンパク質をゲル電気泳動によって分解し、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)、S-ニトロソシステイン及びスーパーオキシドジスムターゼ2(全てAbcam、Cambridge、MAから)に対するヒト特異的抗体による免疫ブロットで可視化した。
[0107]エピダームは、ヒト曝露経路を模倣する組織の表面に局所適用できるインビボ様形態学的特性及び成長特性を示す非形質転換ヒトケラチノサイトの3次元ヒト組織構築物である。
[0108]エピダーム組織を、化学刺激物として用いた0.1%クロトン油に曝露した場合、25%DEAによる処理は、増殖及び生存率アッセイにおけるクロトン油刺激毒性を無効にし、顕微鏡検査で評価された組織の完全性を保護した。細胞シグナル伝達実験は、DEA並びに局所製剤で一般に用いられる他の化合物:アゼライン酸、サリチル酸、緑茶抽出物、ドキソルビシン、4-エトキシベンゼンアルデヒド及び全トランス型レチノイン酸の効果を比較した。57個の被験サイトカイン、ケモカイン及び成長因子の中で、DEAは、炎症促進性マーカーのほとんどをダウンレギュレートした。クロトン油(化学刺激物)を対照として使用した。結果を、被験物質で処理した組織及びクロトン油単独で処理した組織におけるマーカーレベルのパーセント差として示す。(表1)。表1に示すように、DEAは、抗炎症性サイトカインIL-4、IL-10、IL-13及びIL-1raを同時にアップレギュレートした。更に、DEAはまた、PGE2を阻害し、レプチン、GM-CSF及びG-CSFのレベルを増加した。PGE2のダウンレギュレーションと協調した被験マーカーのタンデムアップレギュレーションのこのパターンは、DEAに特有であり、任意の他の被験物質で観察されなかった。
表1:DEAは抗炎症性マーカーであるレプチン及びコロニー刺激因子を同時にアップレギュレートし、クロトン油侵襲に曝露されたエピダーム組織(対照)のPGE2をダウンレギュレートする。結果を対照のパーセンテージとして表す。
Figure 2023553642000002
実施例2
[0109]この実験は、DEAがパターン認識受容体からの細胞シグナル伝達を調節することを実証する。
[0110]本開示の発明者等は、U字型用量応答を用いて膜タンパク質機能の変化を示した。0.5%の濃度で、DEAは、膜流動性をコレステロール管理レベルを上回り18%増加させた。DEAによる膜の流動活性の生理学的結果を、TLR、NOD及びデクチン-1受容体を含む複数のPRRを発現するヒト形質細胞様樹状細胞で更に調査した。ヒト形質細胞様樹状細胞を、受容体アゴニスト単独で、又は0.5%DEAと組み合わせて刺激した。
[0111]ヒト形質細胞様樹状細胞(1.6×10/ml)を、20個の異なるPRRアゴニストに単独で各アゴニストの生理学的範囲内の濃度で又は0.5%DEAの存在下で24時間曝露した。結果を、PRR受容体アゴニスト及びDEAで処理した細胞(処理群)から分泌されたATPの、アゴニスト単独で処理した細胞(対照群)によって分泌されたATPのレベルに対する比として表す。アゴニストは、細胞表面又は細胞内部でのアゴニストの各受容体の局在化に従って配置される。細胞外レベルを測定し、結果を、細胞+受容体アゴニスト+DEAから放出されたATPの、細胞+受容体アゴニスト単独からのATPに対する比として表した。図1に示すように、ATP比は、2つのNOD受容体リガンド(n9及びn10)を除いて、あらゆる場合において<1であり、そこでDEAはATPシグナル伝達に対して明確な効果を示さなかったが、DEAの存在下及び不在下で異なるサイトカインパターンに基づき2つのNODリガンドと効果的に競合した。
[0112]図1を参照すると、DEAは全ての被験PRRアゴニストと競合した。DEAの効果は、細胞内部に位置する受容体より細胞表面の受容体に対して大きく、また単量体NOD受容体と比較して多量体受容体(TLR及びデクチン-1)に対して大きかった。DEAが、各被験受容体アゴニストに特有及び特徴的なパターンで全ての被験PRRからの細胞シグナル伝達をダウンレギュレートすることが更に実証された。
[0113]本明細書に開示されるように、細胞シグナル伝達に対する絶大な効果と共に全ての被験PRRアゴニストと競合するDEAの能力の知見は、予想外であり、前例がない。
実施例3
[0114]この実験は、局所DEAが、インビボでの侵害受容性熱刺激に対する応答潜時を増加させることを実証する。
[0115]インビボ研究:動物研究及び全ての手技を、動物福祉法施行規則(9 CFR 3)及び実験動物の愛護と使用に関するNIHガイドラインに準拠してNew Frontier Labs LLC、San Antonio、Texasで実施した。生後8~10週、体重約25gの雄と雌両方のBalb/cマウスを、Taconic Farms(Hudson、NY)から購入した。動物を、送達後少なくとも72時間気候順化させた。実験前に、動物を投与群及び対照群に無作為化した。雄のマウスのみを、DEAの侵害受容性効果の評価に使用した(1群あたりn=8)。参照により本明細書に組み込まれるS.Hunskaar等、Eur.J.Pharmacol.1985;111(2):221~6に記載されるように、ホットプレート試験を42℃の一定温度で実施した。DEAを、純粋なまま(100%)又はエタノール(ビヒクル)中で希釈して後肢に投与した。投与を熱試験の5分前に施した。熱曝露から動物が最初に後肢をなめるまでの時間を、ストップウォッチで測定した。
[0116]統計分析:統計分析を、スチューデントのt統計量を用いて行った;p値<0.05を有意と考えた。全ての試料/データが分析に含まれた。連続分布アウトカムを、平均及び標準偏差で要約した。全ての統計試験は、SASバージョン9.2を用いて実験ワイズ5%有意水準で両側であった。
[0117]侵害受容性熱刺激は、疼痛を誘発することができ、S.Hunskaar等、Eur J Pharmacol.(1985)111(2):221~6に記載されるように、40℃以上の閾値が、齧歯類における治療用鎮痛剤の効果を試験する上で用いられる。図2は、マウスの熱感受性に対するDEAの効果の結果を要約する。応答潜時の増加によって実証されるように、DEAの防御効果において明確な用量応答があった。100%の最高濃度で、DEAは、熱感受性を33%減少させ、100%の濃度のDEAと未投与対照との間の違いは統計的に有意であった(p=0.03)。局所DEAにより誘導される疼痛防御の程度は、腹腔内に適用されたアセチルサリチル酸及びパラセタモールに匹敵するHunskaar等、Behav.Brain Res.(1986)21(2):101~8。
[0118]局所鎮痛剤の経皮吸着はしばしばその有効性を制限するE.Beetge等、Int J Pharm.(2000)193(2):261~4。非常に優れた安全性及び有効性プロファイルと組み合わせたDEAの物理化学的特性は、局所疼痛管理におけるその使用に有利に働く。
実施例4
[0119]この実験は、DEAがPBMC原形質膜でのコレラ毒素サブユニットの組み立てを消失させることを実証する。
[0120]脂質ラフトの可視化:ヒトPBMC中の脂質ラフトの蛍光標識を、ビブラントアレクサフルーラ(Vybrant Alexa Fluor)488脂質ラフト標識キット(PN V-34403、Life Technologies、Grand Island、NY)を用いて行った。PBMC(0.5%DEAの不在下又は存在下で10%FBSを含む0.2mL RPMI培地中1×10細胞、四重反復)を蛍光コレラ毒素サブユニットB(CT-B)複合体で4℃で10分間標識し、ポリリジンでコーティングしたカバースリップに移し、冷リン酸緩衝食塩水で洗浄し、供給業者の指示に従って抗CT-B抗体で架橋した。細胞を、4%ホルムアルデヒドに固定し、0.1%ウシ血清アルブミンを含む冷リン酸緩衝食塩水で洗浄し、乾燥ベクタシールド(Vectashield)に載せた。画像を、共焦点顕微鏡によって得、蛍光撮像を、アルゴンレーザー照射を用いて行い、イメージJソフトウェア(ImageJ software)バージョン1.53e(ImageJ.nih.gov)を用いて分析した。
[0121]DEAによる脂質ラフト関連タンパク質の調節を、コレラ毒素であるビブリオコレレ(Vibrio Cholerae)によって産生される多量体AB毒素を用いて調査した。毒素のBサブユニットは、細胞表面のGM1ガングリオシド受容体に結合する。受容体結合Bサブユニットは、脂質ラフトと称される膜ミクロドメインに局在化され、そこでこれらは五量体の膜侵襲複合体を形成する。毒素のAサブユニットは、膜受容体結合Bサブユニットの五量体に結合し、複合体は、毒素Aサブユニットを原形質に放出するエンドサイトーシスを介して内部移行される。脂質ラフトの完全性は、コレラ毒素がコレラ毒素の毒素活性を発揮するのに必要である(S.Ray等、J.Biol.Chem.2012;287(36):30395~405)。
[0122]膜侵襲複合体の形成に対するDEAの効果を調べるために、ヒトPBMCを、(1)DEAによる処理あり及び(2)DEAによる処理なしで蛍光標識コレラ毒素Bサブユニットに曝露した。位相コントラスト顕微鏡を使用して、個々の細胞を可視化し、蛍光顕微鏡で、細胞結合コレラ毒素Bサブユニットを可視化させた。図3は、DEA処理なし(左欄)の対照細胞及びDEA処理あり(右欄)の細胞の代表的な画像を示す。位相コントラスト及び対応する蛍光画像を、上段及び下段に各々示す。対照細胞のほとんど(77%)が、増強された蛍光焦点と共に蛍光焦点の周囲に蛍光リングを示した。対照的に、DEAで処理したPBMCは、原形質膜の表面にわたって均一に広がった拡散蛍光をかすかに示し、増強された蛍光焦点は検出されなかった。
[0123]これらの結果は、DEAがBサブユニット五量体形成及び/又はBサブユニットとGM1受容体の結合を破壊し、DEAが原形質膜ミクロドメインの構造化を妨害することを示唆する。
本明細書で使用した略語は以下の意味を有する(別段具体的に示されない限り、ここに示さなかった略語は、一般に用いられる意味を有する):
Figure 2023553642000003
[関連出願]
[001]本特許出願は、発明者Robert T.STREEPER及びElzbieta IZBICKAの名で2020年12月16日に出願された「DICARBOXYLIC ACID ESTERS FOR INDUCING AN ANALGESIC EFFECT」という表題の米国仮特許出願第63/126,387号に対する優先権を主張する。前述の特許出願の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (20)

  1. 対象において局所的な鎮痛効果を誘導する方法であって、
    式:ROOC-(CH-COOR
    (式中、
    各R及びRは、独立的に低級アルキルであり、
    nは4~10である)
    を有するジカルボン酸エステルの治療有効量を前記対象に局所投与するステップを含む、方法。
  2. ジカルボン酸エステルがアゼライン酸エステルである、請求項1に記載の方法。
  3. アゼライン酸エステルがアゼライン酸ジエチルである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記対象が、急性疼痛、慢性疼痛、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛及び痛覚変調性疼痛からなる群から選択される疼痛を患う、請求項1に記載の方法。
  5. 前記疼痛が、外傷痛、化学的疼痛、熱傷疼痛、虚血性疼痛、昆虫刺咬による疼痛、刺すような痛み、筋骨格痛、リウマチ又は変形性関節症による疼痛、手術後の疼痛、骨痛及び皮膚関連痛からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記局所的な鎮痛効果を誘導することが、ジカルボン酸エステルによって前記対象の脂質ラフトを破壊することによって達成される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記脂質ラフトがモノシアロテトラヘキソシルガングリオシド1(GM1)を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記脂質ラフトがホスホリパーゼD2(PLD2)を含む、請求項6に記載の方法。
  9. 前記脂質ラフト膜の破壊が、原形質膜流動性の増加に起因する、請求項6に記載の方法。
  10. 前記局所的な鎮痛効果を誘導し、それにより前記対象の疼痛を阻害することが、パターン認識受容体(PRR)、ヌクレオチドオリゴマー化ドメイン(NOD)受容体及びデクチン受容体からなる群から選択される1つ又は複数の受容体を活性化することを含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記鎮痛効果を誘導し、それにより前記対象の疼痛を阻害することが、レプチン、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)のうちの1つ又は複数の合成若しくは放出又は活性及び/若しくは発現を促進することを含む、請求項1に記載の方法。
  12. 前記局所的な鎮痛効果を誘導し、それにより前記対象の疼痛を阻害することが、アデノシン三リン酸(ATP)、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)及びプロスタグランジンE2(PGE2)のうちの少なくとも1つの合成若しくは放出又は活性及び/若しくは発現を阻害することを含む、請求項1に記載の方法。
  13. 前記投与が約4~約8時間ごとに実施される、請求項1に記載の方法。
  14. 前記投与が1日~30日の期間である、請求項1に記載の方法。
  15. 前記対象がヒトである、請求項1に記載の方法。
  16. 対象において局所的な鎮痛効果を誘導するための製剤であって、
    式ROOC-(CH-COOR(式中、各R及びRは、独立的に低級アルキルであり、nは4~10である)を有するジカルボン酸エステル、及び
    薬学的に許容できる担体
    の治療有効量を前記対象に投与するステップを含む、製剤。
  17. ジカルボン酸エステルがアゼライン酸エステルである、請求項16に記載の製剤。
  18. アゼライン酸エステルがアゼライン酸ジエチルである、請求項17に記載の製剤。
  19. ジカルボン酸エステルが前記製剤の活性成分である、請求項16に記載の製剤。
  20. ジカルボン酸エステルが、前記製剤の総重量に対して約5重量%~約100重量%の治療有効量で存在する、請求項16に記載の製剤。
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