JP2023550785A - 複数のベータコロナウイルスに結合する抗体 - Google Patents

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Abstract

本開示は、複数のベータコロナウイルスのSタンパク質に結合することができる抗体及びその抗原結合断片を提供し、特定の実施形態では、複数のベータコロナウイルスによる感染を中和することができる。

Description

配列表に関する陳述書
本出願に関連する配列表は、紙コピーの代わりにテキスト形式で提供され、本明細書に参照により組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名前は、930585 420WO SEQUENCE LISTING.txtである。テキストファイルは206KBで、2021年11月22日に作成され、EFS-Web経由で電子的に提出されている。
新しいベータコロナウイルスが、2019年後半に中国武漢で出現した。2021年5月8日現在、世界中で約1億5,700万人(SARS-CoV-2と呼ばれる)の感染が確認され、約327.5万人が死亡しました。SARS-CoV、MERS、OC43、及びHKU1などの他のベータコロナウイルスも、ヒト及び他の種に健康リスクをもたらす。ベータコロナウイルス感染を予防又は治療するための治療、及びベータコロナウイルス感染を診断するための診断試薬が必要である。
特許又は出願ファイルは、色彩を付して作成された少なくとも1の図面を含む。この特許又は特許出願公開の写し及び色彩図面は、請求及び必要な手数料の納付があったときは、特許商標庁により提供される。
図1A及び図1Bは、配列番号36のVH(それぞれ、配列番号37-39のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3)及び配列番号40のVL(それぞれ、配列番号41-43のCDRL1、CDRL2、及びCDRL3)(図1A)及び抗体420 1(本明細書では抗体S2P6とも呼ばれる)を含むモノクローナル抗体420 2(本明細書では抗体S2S8とも呼ばれる)の結合を示し、配列番号26のVH(それぞれ、配列番号27~29のCDRH1、CDRH2、CDRH3)及び配列番号30のVL(それぞれ、配列番号31~33のCDRL1、CDRL2、及びCDRL3)(図1B)を含み、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により測定した異なるヒトβ-コロナウイルスのスパイク(S)タンパク質である。SARS-CoV(Urbani株、AAP13441)、SARS-CoV-2(BetaCoV/Wuhan-Hu-1/2019)、MERS(London1/2012)、OC43及びHKU1からの融合前安定化Sタンパク質を1μg/mlで被覆した。陰性対照としてPBSのみを用いた。最大有効濃度の半分(EC50)はng/mlと報告されている。特に断らない限り、本実施例において試験された全ての抗体は、ヒトIgG1として組換え的に発現された。 図1A及び図1Bは、配列番号36のVH(それぞれ、配列番号37-39のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3)及び配列番号40のVL(それぞれ、配列番号41-43のCDRL1、CDRL2、及びCDRL3)(図1A)及び抗体420 1(本明細書では抗体S2P6とも呼ばれる)を含むモノクローナル抗体420 2(本明細書では抗体S2S8とも呼ばれる)の結合を示し、配列番号26のVH(それぞれ、配列番号27~29のCDRH1、CDRH2、CDRH3)及び配列番号30のVL(それぞれ、配列番号31~33のCDRL1、CDRL2、及びCDRL3)(図1B)を含み、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により測定した異なるヒトβ-コロナウイルスのスパイク(S)タンパク質である。SARS-CoV(Urbani株、AAP13441)、SARS-CoV-2(BetaCoV/Wuhan-Hu-1/2019)、MERS(London1/2012)、OC43及びHKU1からの融合前安定化Sタンパク質を1μg/mlで被覆した。陰性対照としてPBSのみを用いた。最大有効濃度の半分(EC50)はng/mlと報告されている。特に断らない限り、本実施例において試験された全ての抗体は、ヒトIgG1として組換え的に発現された。 図2A~図2Dは、モノクローナル抗体420 2及び抗体420 1の、Expi-CHO細胞において発現される異なるヒトβ-コロナウイルスのSタンパク質への結合を示す。抗体は、M428L/N434S Fc突然変異(「MLNS」)を有する組換えIgG1として発現させた。SARS-CoV-2(BetaCoV/Wuhan-Hu-1/2019;図2A)、SARS-CoV(Urbani株、AAP13441;図2B)、OC43(図2C)及びMERS-CoV(London1/2012;図2D)からのSタンパク質への結合をフローサイトメトリーにより測定した。 図2A~図2Dは、モノクローナル抗体420 2及び抗体420 1の、Expi-CHO細胞において発現される異なるヒトβ-コロナウイルスのSタンパク質への結合を示す。 図2A~図2Dは、モノクローナル抗体420 2及び抗体420 1の、Expi-CHO細胞において発現される異なるヒトβ-コロナウイルスのSタンパク質への結合を示す。 図2A~図2Dは、モノクローナル抗体420 2及び抗体420 1の、Expi-CHO細胞において発現される異なるヒトβ-コロナウイルスのSタンパク質への結合を示す。 図3A及び3Bは、測定されたELISAとして、SARS-CoV-2(BetaCoV/Wuhan-Hu-1/2019)Sからのモノクローナル抗体420 1(図3A)及び抗体420 2(図3B)のS1サブユニット、S2サブユニット、及び受容体結合ドメイン(RBD)への結合を示す。タンパク質を1μg/mlでコ-ティングした。 図3A及び3Bは、測定されたELISAとして、SARS-CoV-2(BetaCoV/Wuhan-Hu-1/2019)Sからのモノクローナル抗体420 1(図3A)及び抗体420 2(図3B)のS1サブユニット、S2サブユニット、及び受容体結合ドメイン(RBD)への結合を示す。タンパク質を1μg/mlでコ-ティングした。 図4は、SARS-CoV-2-ルシフェラーゼレポーターウイルスアッセイを用いたVeroE6細胞におけるng/mlでのIC50として報告された生SARS-CoV-2に対する抗体420 1の中和活性を示す。抗体「S309」(Pintoら、ヒトモノクローナルSARS-CoV抗体によるSARS-CoV-2の交差中和、Nature 583:290-295(2020年7月)を参照)による中和も試験した。データは3つのウェルからのものである。 図5A及び5Bは、抗体420 1(μg/mlとして報告されている)によるVero E6細胞中のHuh7細胞中のMERS-CoVシュードタイプ化ウイルス感染(図5A)及びSARS-CoV-2シュードタイプ化ウイルス(図5B)のインビトロ中和を示す。比較抗体LCA60(抗MERS;Cortiら、PNAS 122(33):10473-10478(2015))及びS309による中和も試験した。 図5A及び5Bは、抗体420 1(μg/mlとして報告されている)によるVero E6細胞中のHuh7細胞中のMERS-CoVシュードタイプ化ウイルス感染(図5A)及びSARS-CoV-2シュードタイプ化ウイルス(図5B)のインビトロ中和を示す。比較抗体LCA60(抗MERS;Cortiら、PNAS 122(33):10473-10478(2015))及びS309による中和も試験した。 図6A及び6Bは、抗体420 2によるVero E6細胞におけるHuh7細胞(図6A)及びSARS-CoV-2シュードタイプ化ウイルス(図6B)におけるMERS-CoVシュードタイプ化ウイルス感染のインビトロ中和を示す。比較抗体LCA60及びS309による中和も試験した。 図6A及び6Bは、抗体420 2によるVero E6細胞におけるHuh7細胞(図6A)及びSARS-CoV-2シュードタイプ化ウイルス(図6B)におけるMERS-CoVシュードタイプ化ウイルス感染のインビトロ中和を示す。比較抗体LCA60及びS309による中和も試験した。 図7は、ヒトベータコロナウイルススパイクタンパク質由来の部分的S2セグメントのアラインメントを示す。融合前外部ドメインのC末端部分のリンカー領域を赤い四角で示す。 図8A~8Cは、ヒトベータコロナウイルススパイクタンパク質の融合前外部ドメインのC末端部分における部分的に保存されたリンカー領域を示す。図8Aは、異なるヒトβ-コロナウイルス由来の部分的スパイクタンパク質アミノ酸配列のアラインメントを示す。 図8BはSARS-CoV-2スパイクタンパク質を示し、リンカー領域(N1158グリカンを含む正方形の内側領域)を同定する。 図8Cは、図8Bに示されるリンカー領域の詳細な図を示し、特定のアミノ酸残基を示す(番号付けは、融合前立体配座に従っている)。 図9A~9Cは、SARS-CoV-2 Sタンパク質の構造(図9A)、及び保存リンカー領域及び特定のアミノ酸残基及びN1158グリカンの詳細図(図9B)を示す。図9Cでは、融合前(下)及び融合後(上)の立体配座の残基が示されている。融合後の画像における残基の番号付けは、シグナルペプチドを説明しない。 図9A~9Cは、SARS-CoV-2 Sタンパク質の構造(図9A)、及び保存リンカー領域及び特定のアミノ酸残基及びN1158グリカンの詳細図(図9B)を示す。図9Cでは、融合前(下)及び融合後(上)の立体配座の残基が示されている。融合後の画像における残基の番号付けは、シグナルペプチドを説明しない。 図9A~9Cは、SARS-CoV-2 Sタンパク質の構造(図9A)、及び保存リンカー領域及び特定のアミノ酸残基及びN1158グリカンの詳細図(図9B)を示す。図9Cでは、融合前(下)及び融合後(上)の立体配座の残基が示されている。融合後の画像における残基の番号付けは、シグナルペプチドを説明しない。 図10は、ACE2を過剰発現するためにトランスフェクトされたHEK293T細胞の感染、又はVSV-SARS-CoV-2偽ウイルスによる選択されたレクチン及び受容体候補のパネルの1つの感染を示す。 図11は、真正のSARS-CoV-2(MOI0.1)に感染したDC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC1、又はACE2を過剰発現した安定なHEK293T細胞株の顕微鏡写真を示し、次に、固定し、SARS-CoV-2核タンパク質(赤)について24時間免疫染色した。 図12は、SARS-CoV-2-Nluc感染24時間後に測定した、DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC1、又はACE2を過剰発現する安定したHEK293T細胞株におけるルシフェラーゼレベルの定量化を示す。 図13は、異なる濃度の抗SIGLEC1モノクローナル抗体(クローン7-239)及びSARS-CoV-2-Nluc感染とインキュベートした後の、DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC1、又はACE2を過剰発現する安定したHEK293T細胞株におけるルシフェラーゼレベルの定量化を示す。 図14は、VSV-SARS-CoV-2偽ウイルスによるDC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC1、又はACE2を過剰発現するために一過性に形質導入された細胞の感染を示す。HEK293T細胞(左図),HeLa細胞(中央図),MRC5細胞(右図)の結果を示した。 図15は、ACE2 siRNAで処理した後、VSV-SARS-CoV-2偽ウイルスに感染させた後の、DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC1、又はACE2を過剰発現する安定したHEK293T細胞株の感染を示す。 図16は、異なる濃度の抗ACE2抗体(ポリクローナル血清)で処理した後、VSV-SARS-CoV-2偽ウイルスに感染させた後の、DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC1、又はACE2を過剰発現する安定したHEK293T細胞株の感染を示す。 図17Aは、ヒト肺細胞地図におけるACE2、DC-SIGN(CD209)、L-SIGN(CLEC4M)、及びSIGLEC1の分布及び発現を示す。 図17Bは、重症COVID-19患者の気管支肺胞洗浄液又は喀痰中に検出可能なSARS-CoV-2ゲノムを有する主要な細胞型の分析を示す。単一細胞遺伝子発現プロファイルは、細胞タイプ別に色分けされ、ウイルス負荷によりサイズ決定された、t-SNE(t分布確率的隣接包埋)プロットとして示される。 図18は、重症COVID-19患者の気管支肺胞洗浄液又は痰中のSARS-CoV-2ゲノムが検出可能な主要細胞型の分析を示す。細胞あたりのウイルスRNAが検出され、対応するlogCPM(log(カウント/百万);x軸)までの細胞の累積割合(y軸)を、示された細胞型のそれぞれについて示す。 図19は、x軸に示した受容体遺伝子の転写産物が検出された細胞及びy軸に示したSARS-CoV-2+細胞型の細胞数のヒートマップを示す。8人の対象からの合計n=3,085細胞。Ren,X.etal.COVID-19免疫学的特徴は、大規模単一細胞トランスクリプト-ムアトラスによって明らかにされている。細胞、doi:10.1016/j.cell.2021.01.053(2021)。 図20は、マクロファージ及び分泌細胞における受容体転写物数(各プロットのy軸)とSARS-CoV-2 RNA数(各プロットのx軸)との相関を示す。相関は、Renらのlog変換前のカウントに基づいている。 図21は、VSV-SARS-CoV-2によるトランス感染の結果を示す。トランス感染プロセスの概略を左の図に示す。DC-SIGN、L-SIGN、又はSIGLEC1で形質導入したHeLa細胞をVSV-SARS-CoV-2とインキュベートし、広範囲に洗浄し、Vero-E6-TMPRSS2感受性標的細胞と共培養した。標的細胞の有無の結果を右のパネルに示す。 図22は、VSV-SARS-CoV-2ウイルス吸着を抗SIGLEC1ブロッキング抗体の存在下又は非存在下で行ったトランス感染の結果を示す。 図23は、フローサイトメトリーにより測定した、精製され、蛍光標識されたSARS-CoV-2スパイクタンパク質又はRBDの指示された細胞株への結合の定量化を示す。「A」はACE2を過剰発現する細胞株を示し、「T」はTMPRSS2を過剰発現する細胞株を示す。 図24は、RT-qPCRによって測定した、示された細胞株における細胞性ACE2及びTMPRSS2転写物の定量化を示す。「A」はACE2を過剰発現する細胞株を示し、「T」はTMPRSS2を過剰発現する細胞株を示す。 図25は、15μg/mlの指示された抗体によるCHO-S細胞の抗体S2E12誘導細胞融合の阻害を示す。 図26は、ACE2の非存在下で蛍光標識したS-陰性CHO細胞を有するS-陽性CHO-S細胞の抗体S2E12誘導単方向融合(輸血とも呼ばれる)を示す。核をHoechst色素で染色し、細胞質をCellTracker Greenで染色した。 図27は、フローサイトメトリーにより測定されるように、それぞれの付着受容体を安定に過剰発現するHEK293T細胞上のDC/L-SIGN、DC-SIGN、SIGLEC1、又はACE2を標的とする抗体の結合の分析を示す。 図28は、免疫蛍光によって測定されるように、それぞれの付着受容体を安定に過剰発現するHEK293T細胞上のDC/L-SIGN、DC-SIGN、SIGLEC1、又はACE2を標的とする抗体の結合の分析を示す。 図29は、野生型スパイクタンパク質(灰色バー)で偽型化したVSV-SARS-CoV-2、又はB1.1.7系統の突然変異を有するスパイクタンパク質で偽型化したVSV-SARS-CoV-2による、示された付着受容体を安定に過剰発現するHEK293T細胞の感染を示す。発光を感染1日後に分析した。 図30は、フローサイトメトリーにより測定した、精製され、蛍光標識されたSARS-CoV-2スパイクタンパク質(左パネル)又はRBD(右パネル)の指示された細胞株への結合の定量化を示す。 図31は、フローサイトメトリーにより測定した、精製され、蛍光標識されたSARS-CoV-2スパイクタンパク質(左パネル)又はRBD(右パネル)の指示された細胞株への結合の定量化を示す。 図32は、ハムスター脾細胞への免疫複合体の結合を示す。Alexa-488蛍光免疫複合体(IC)を滴定(0~200nM範囲)し、全ナイ-ブハムスター脾細胞とインキュベートした。死細胞/アポト-シス細胞を排除し、真の単球集団を物理的にゲートすると、サイトメ-タ-で結合が明らかになった。左の図は、ハムスター又はヒトFc抗体(ヒトS309は緑色、GH-S309は濃灰色、GH-S309-N297Aは青色)で作製したICのハムスター細胞に関連する蛍光強度を示している。2つの複製を1つ示す。右側のパネルは、単球集団全体で測定された複製の相対的Alexa-488平均蛍光強度を示す。 図33は、SARS-CoV-2負荷における宿主エフェクタ-機能の役割の分析を示す。シリアンハムスターに、表示量(mg/kg)のハムスターIgG2a S309を、wt又はFcサイレンシング(S309-N297A)のいずれかで注射した。上の図は、感染4日後の肺におけるウイルスRNAの定量化を示している。中央のパネルは、感染4日後の肺における複製ウイルスの定量化を示している。下の図は感染4日後の肺の組織病理学的スコアを示している。対照動物(白色記号)に4mg/kgの無関係な対照アイソタイプ抗体を注射した。Mann-Whitney検定を用い、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.0001、****p<0.0001、対照動物と比較した。 図34は、ベータコロナウイルスSARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、OC43、及びHKU1由来のスパイクタンパク質に対する抗体S2S43の結合を示す。算出されたEC50値をグラフの右側に示す。抗体S2S43は、配列番号47のVH(それぞれ、配列番号48~50のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3)及び配列番号51のVL(それぞれ、配列番号52~54のCDRL1、CDRL2、及びCDRL3)を含む。 図35は、抗体S2S43及びS2P6についてSARS-CoV-2スパイクタンパク質でシュードタイプ化したMLVによる感染の中和を示す。計算されたIC50値をグラフの右側に示す。 図36A及び36Bは、ベータコロナウイルスMERS、HKU1、OC43、SARS-CoV及びSARS-CoV-2の融合前スパイクタンパク質に対する抗体S2P6(図36A)及びS2S8(図36B)の結合を示す。算出されたEC50値は各グラフの右側に示されている。 図36A及び36Bは、ベータコロナウイルスMERS、HKU1、OC43、SARS-CoV及びSARS-CoV-2の融合前スパイクタンパク質に対する抗体S2P6(図36A)及びS2S8(図36B)の結合を示す。算出されたEC50値は各グラフの右側に示されている。 図37は、アルファコロナウイルスNL63-CoV(左パネル)及びss9E-CoV(右パネル)のスパイクタンパク質に対する抗体S2S8及びS2P6の結合を示す。算出されたS2S8結合のEC50値を示す。 図38A~38Eは、BLIにより測定したベータコロナウイルスSARS-CoV-2(図37A)、SARS(図37B)、OC43(図37C)、HKU1(図37D)及びMERS(図37E)の融合前スパイクタンパク質に対する抗体S2P6の結合を示す。S2P6はKDが<1.0E-12M、Konが4.53E+05 1/Ms、Kdisが<1.0E-07 1/sのSARS-CoV-2スパイクに結合した。S2P6はKDが<1.0E-12 M、Konが2.32E+05 1/Ms、Kdisが<1.0E-07 1/sのSARS-CoVスパイクに結合した。S2P6はKDが3.72E-10 M、Konが1.08E+05 1/Ms、Kdisが6.70E-05 1/sのOC43スパイクに結合した。S2P6はKDが2.44E-09 M、Konが2.32E+05 1/Ms、Kdisが5.66E-04 1/sのHKU1スパイクに結合した。S2P6はKDが1.14E-09 M、Konが3.06E+05 1/Ms、Kdisが3.48E-04 1/sのMERSスパイクに結合した。抗体S2S8は、BLIを用いてこれらのベータコロナウイルスの融合前スパイクタンパク質に結合することは観察されなかった(データは示さず)。 SARS(図37B)である。 OC43(図37C)である。 HKU1(図37D)である。 MERS(図37E)である。 図39A~39Dは、抗体S2P6を用いた4つの異なるベータコロナウイルスによる感染の中和を示す。図39Aは、Vero E6細胞のSARS-CoV-2偽ウイルス感染の中和を示す。抗体S309を参照として含めた。S309は、配列番号85に示されるVHアミノ酸配列、及び配列番号89に示されるVLアミノ酸配列(それぞれ、配列番号86-88及び90-92に示されるようなCDRH1-H3及びL1-L3)を含み、SARS-CoV-1感染から回復した患者から単離された抗体であった。図39Bは、Vero E6細胞のSARS-CoV偽ウイルス感染の中和を示す。図39Cは、Huh 7細胞のMERSシュードイルス感染の中和を示す。抗体LCA60を参照として含めた。図39Dは、Vero E6細胞のPangGD19偽ウイルス感染の中和を示す。計算されたIC50値は、図39A、39C、及び39Dのグラフの右側に示されている。 図39Bは、Vero E6細胞のSARS-CoV偽ウイルス感染の中和を示す。 図39Cは、Huh 7細胞のMERSシュードイルス感染の中和を示す。 図39Dは、Vero E6細胞のPangGD19偽ウイルス感染の中和を示す。 図40は、抗体S2S8を用いたMERS偽ウイルス(左図)及びSARS-CoV-2偽ウイルス(右図)による感染の中和を示す。比較抗体LCA60はMERSシュードイルスの中和のために示され、比較抗体S309はSARS-CoV-2の中和のために示されている。 図41A及び41Bは、抗体S2P6及び比較抗体S309を用いた真正のSARS-CoV-2ウイルスによる感染の中和を示す。図41Aは、MOIが0.01のSARS-CoV-2-lucによるVeroE6細胞の感染の24時間での中和を示す。3つのウェルからの結果が示されている。S2P6の推定EC50は3.4μg/mLである。図41Bは、MOI0.01でのSARS-CoV-2によるVeroE6-TMPRSS2細胞の感染の24時間での中和を示す。S2P6の推定EC50は1.9μg/mLである。 図41Bは、MOI0.01でのSARS-CoV-2によるVeroE6-TMPRSS2細胞の感染の24時間での中和を示す。 図42A及び42Bは、比較抗体S309と共に、抗体S2P6及びS2S8によるFcγRIIIa(H131対立遺伝子)(図42A)及びFcγRIIIa(V158対立遺伝子)(図42B)の活性化を示す。 図42A及び42Bは、比較抗体S309と共に、抗体S2P6及びS2S8によるFcγRIIIa(H131対立遺伝子)(図42A)及びFcγRIIIa(V158対立遺伝子)(図42B)の活性化を示す。 図43は、PEPperCHIP(登録商標)Pan-Corona Spike Protein Microarrayを用いて、7つのコロナウイルススパイクタンパク質の各々内の抗体S2P6(M428L及びN434S Fc突然変異を有する組換えIgG1として発現される)によって結合されたコロナウイルススパイクタンパク質モチーフを同定するためのペプチドスキャニングの結果を示す。マイクロアレイには、SARS-CoV-2(UniProt ID P0DTC2)、SARS-CoV(UniProt ID P59594)、MERS-CoV(UniProt ID A014A0AYZ5)、HCoV-OC43(UniProt ID P3634)、HCoV-HKU1(UniProt ID U3NAII)、HCoV-NL63(UniProt ID Q6Q1S2)、及びHCoV-229E(UniProt ID P15423)のスパイクタンパク質が含まれる。各々のスパイクタンパク質配列は、13アミノ酸のペプチド-ペプチドオーバーラップを有する15アミノ酸ペプチドに変換される。アレイは、4,564個の異なるペプチドを二重に印刷したものである。M428L及びN434S(「MLNS」)Fc突然変異を有する組換えIgG1として発現される抗体S2P6を、10μg/mlの濃度でアレイとインキュベートした。コンセンサスモチーフEELDYF(SARS-CoV-2及びSARS-CoVに見出される;配列番号57)及び類似モチーフGIDDELDFFK(MERS-CoVに見出される;配列番号58)及びDFKEELDWFK(HCoV-OC43に見出される;配列番号59)を有する隣接ペプチドについて応答が観察された。これらのモチーフは、融合前外部ドメインの尾部の表面露出リンカー領域に位置する。 図44は、上述のPEPperCHIP(登録商標)Pan-Corona Spikeタンパク質マイクロアレイを用いて、7つのコロナウイルススパイクタンパク質の各々について、抗体S2S8(MLNS Fc突然変異を有する組換えIgG1として発現される)によって結合されたコロナウイルススパイクタンパク質モチーフを同定するためのペプチドスキャニングの結果を示す。コンセンサスモチーフであるKFIRSEDLLFN(配列番号60)(SARS-CoV-2及びSARS-CoVに見出される)、ARIEDLLFD(配列番号61)(MERS-CoVに見出される)、SRSAIELLEDFD(配列番号62)(HCoV-OC43に見出される)、RSFFEDLF(配列番号63)(HCoV-HKU1に見出される)、RSALEDLFSK(配列番号64)(HCoV-NL63に見出される)、及びGRIEDILFS(配列番号65)(HCoV-229Eに見出される)を有する隣接ペプチドに対して応答が観察された。これらのモチーフは、融合に必要なS2’切断部位に位置し、アルファコロナウイルス及びベータコロナウイルスの両方において高度に保存されている。 図45は、SARS-CoV-2 Wuhan Hu-1を鼻腔内投与する前に、シリアンハムスターに抗体S2P6(ハムスターIgG2aとして発現)を予防投与した結果を示す。感染後の肺のウイルスRNA(左のパネル)及びウイルス力価(右のパネル)を測定した。 図46は、SARS-CoV-2、SARS-CoV、HKU1、OC43、及びMERSからのスパイクタンパク質に対する抗体S2X529の結合を示す。 図47は、ELISAにより測定した、前融合SARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する抗体S2P6及び抗体S2S43の結合活性(EC50)を示す。 図48は、データが図47に要約されているアッセイにおける代表的な抗体S2P6結合を示す。 図49は、最尤解析によって推定される代表的なα-及びβ-コロナウイルスS糖タンパク質アミノ酸配列の分岐図を示す。ベータコロナウイルスは赤色で強調されている。 図50は、抗体S2P6結合(10~0.22μg/ml)のフローサイトメトリー分析の結果を、対数幾何MFI(幾何平均蛍光強度)のヒートマップとして示される、全サルベコウイルスクレード(左)及び8つのSARS-CoV-2バリアント(右)を代表する26のS糖タンパク質のパネルに示す。 図51は、S-活性化プロテア-ゼTMPRSS2(VeroE6-TMPRSS2)陽性又はTMPRSS2陰性(Vero E6)のVeroE6細胞を用いて測定した真正のSARS-CoV-2のS2P6による中和を示す。RBD部位IVに結合するモノクローナル抗体S309(Pinto et al.2020)を比較のために含める。平均値±s.d.1つの実験から4つの重複が示されている。3つのうち1つの代表的な実験を示す。VeroE6-TMPRSS2に対する抗体S2P6のIC50は1.87μg/mlであった。VeroE6-TMPRSS2に対する抗体S309のIC50は0.09μg/mlであった。VeroE6に対する抗体S2P6のIC50は3.68μg/mlであった。VeroE6に対する抗体S309のIC50は0.02μg/mlであった。 図52は、上図のSARS-CoV-2 B.1.1.7 S、B.1.351 S及びP.1 S水疱性口内炎ウイルス(VSV)シュードタイプ及び野生型(D614G)S VSVシュードタイプの抗体S2P6を介した中和を示す。下のグラフは、野生型(D614G)S VSVシュードタイプに対するIC50倍の変化として表されるB1.1.7、B.1.351及びP.1シュードタイプの中和を示す。赤色の上の線は、効力の低下に用いたカットオフ値を示す。 図53は、SARS-CoV/SARS-CoV-2 S、OC43 S及びMERS-CoV S配列にまたがる直鎖ペプチド(13残基重複する15量体ペプチド)への抗体S2P6の結合を示す。 図54は、複数のβ-コロナウイルスに対するβ-コロナウイルスステムヘリックス領域と抗体S2P6エピトープ領域との配列を示す。残基番号はSARS-CoV-2 Sに準じて表示し、N-結合グリコシル化セクオンは青色で強調表示する。 図55は、ELISAで分析したように、パンデミック前(P、n=88)、COVID-19回復期(C、n=72)、ワクチン免疫(VI、n=9)及びワクチン未投与(VN、n=37)血漿希釈1:10の種々のβ-コロナウイルスステムヘリックスペプチドへの結合を示す。-ンデミック前の試料のシグナル及び被覆されていないELISAプレートへの結合に基づいて、カットオフ値0.7を決定した。 図56は、21のCOVID-19回復期個体由来のβ-コロナウイルス幹ヘリックスペプチドに対する記憶B細胞結合の分析を示す。各ドットは、ELISAにおいて幹ヘリックスペプチドに対してスクリ-ニングされたオリゴクローナルB細胞を含む個々の培養物を表す(左のパネル)。カットオフ値(0.4)は点線で示す。SARS-CoV/-2及びOC43(中央のパネル)ならびにSARS-CoV/-2及びHKU1(右のパネル)の反応性の対比較を示す。 図57は、16のワクチン由来のβ-コロナウイルス幹ヘリックスペプチドへの記憶B細胞結合の分析を示す。各ドットは、ELISAにおいて幹ヘリックスペプチドに対してスクリ-ニングされたオリゴクローナルB細胞を含む個々の培養物を表す(左のパネル)。カットオフ値(0.4)は点線で示す。SARS-CoV/-2及びOC43(中央のパネル)ならびにSARS-CoV/-2及びHKU1(右のパネル)の反応性の対比較を示す。 図58は、β-コロナウイルスステムヘリックスペプチドに結合するワクチン血漿抗体の縦断的分析を示す。 図59は、ステムヘリックスペプチドに対する図76に示されるS2P6抗体のステムヘリックスペプチド結合を示す。(突然変異SH/SK)、完全生殖細胞系復帰変異(UCA/UCA)、成熟軽鎖と対合した生殖細胞系復帰重鎖(UCA/SK)、生殖細胞系復帰軽鎖と対合した成熟重鎖(SH/UCA)。 図59は、ステムヘリックスペプチドに対する図76に示されるS2P6抗体のステムヘリックスペプチド結合を示す。(突然変異SH/SK)、完全生殖細胞系復帰変異(UCA/UCA)、成熟軽鎖と対合した生殖細胞系復帰重鎖(UCA/SK)、生殖細胞系復帰軽鎖と対合した成熟重鎖(SH/UCA)。 図60は、ELISAにより分析した抗体S2P6の存在下でのACE2へのSARS-CoV-2 Sの結合を示す。S2E12(Tortoriciら、Science 370(6519):950-957(2020))を陽性対照として含めた。 図61は、SARS-CoV-2 SでトランスフェクトしたVero-E6細胞を用いた抗体S2P6による細胞-細胞融合の阻害を示す。S2M11(トルトリシら、Science 370(6519):950-957(2020)))を陽性対照として含めた。融合値の阻害は、mAbを含まない融合のパーセンテージ(100%)及び非トランスフェクト細胞の融合のパーセンテージ(0%)に正常化された。 図62は、ExpiCHO標的細胞の表面で発現された完全長野生型SARS-CoV-2 Sに抗体S2P6が結合すると、FcγRIIIa(V158、左)又はFcγRIIIa(V131、右)を安定して発現するJurkat細胞において誘導されるNFAT駆動ルシフェラーゼシグナルを示す。S309は陽性対照として含まれる。RLUは相対ルミネセンス単位を表す。 図63は、細胞エフェクタ-機能の抗体S2P6活性化を示す。標的細胞としてSARS-CoV-2 CHO-K1細胞(HaloTag-HiBit-taggedを安定に発現するように遺伝子操作された)及びエフェクタ-細胞としてPBMCを用いた抗体媒介ADCC(抗体依存性細胞傷害性)アッセイのアッセイ結果を左のグラフに示す。NK細胞媒介性殺傷の大きさは、特異的溶解のパーセンテージで表される。食細胞(単球)の供給源としてCell-Trace-Violet標識PBMC及び標的細胞としてPKH67蛍光標識S-発現CHO細胞を用いる抗体媒介ADCP(抗体依存性細胞貪食)アッセイのアッセイ結果を中央のグラフに示す。y軸は、抗CD14(単球)マーカー及びPKH67に対して二重陽性の単球のパーセンテージを示す。補体(CDCアッセイ)存在下でのmAbによるSARS-CoV-2 S安定的にトランスフェクトされたCHO細胞の溶解に関するアッセイ結果を右のグラフに示す。抗体プロットは図62のとおりである。 図64は、プロトタイプSARS-CoV-2(Wuhan-1関連)を鼻腔内投与する前に、ハムスター(Hm)又はヒト(Hu)定常領域のいずれかを有する抗体S2P6を投与したシリアンハムスターにおける試験結果を示す。 ウイルスRNA量を左のグラフに、複製中のウイルス力価を右のグラフに示す。*P<0.05、Mann-Whitney検定。 図65は、20mg/kgのヒト抗体S2P6の予防的投与後のシリアンハムスターにおける結果を示す。SARS-CoV-2 B.1.351 VOCを抗体投与した後、ハムスターを攻撃感染させた。ウイルスRNA量を左のグラフに、複製中のウイルス力価を右のグラフに示す。 図66は、ELISAによる融合β-コロナウイルスS外部ドメイン三量体への抗体S2P6(左図)及び抗体S2S43(右図)の結合を示す。 図67A~67Cは、全てのサルベコウイルスクレード及び8つのSARS-CoV-2バリアントを表す26のS糖タンパク質のパネルに結合する抗体S2P6についてフローサイトメトリーで測定した場合の幾何平均蛍光強度を示す。 図67A~67Cは、全てのサルベコウイルスクレード及び8つのSARS-CoV-2バリアントを表す26のS糖タンパク質のパネルに結合する抗体S2P6についてフローサイトメトリーで測定した場合の幾何平均蛍光強度を示す。 図67A~67Cは、全てのサルベコウイルスクレード及び8つのSARS-CoV-2バリアントを表す26のS糖タンパク質のパネルに結合する抗体S2P6についてフローサイトメトリーで測定した場合の幾何平均蛍光強度を示す。 図68は、スパイクアミノ酸配列の最尤分析を介して推定されるサルベコウイルスの系統樹を示す。 図69は、固定化前融合β-コロナウイルスS三量体への抗体S2P6 Fab結合のSPR(表面プラスモン共鳴)分析を示す。 図70は、pH7.4及びpH5.4における固定化前融合SARS-CoV-2 S外部ドメイン三量体への抗体S2P6 Fab及びIgGの結合のSPR分析を示す。 図71は、示されたステムヘリックスペプチドアミノ酸位置における(ヒートマップの左側に沿った)各可能なアミノ酸置換を有するステムヘリックスペプチド(ヒートマップの下部のアミノ酸配列)への抗体S2P6の結合(蛍光強度)のヒートマップを示す。右側の目盛りの勾配は、交差した正方形として示されている天然残基(白と定義)と比較した場合の結合の喪失の程度を示す。緑/点線の四角は、天然残基と比較して結合を増強する置換を示す。アスタリスクは、抗体S2P6ウイルスの逃避において見出される置換を強調する。 図72は、GISAIDから回収されたヒト及び動物宿主とβ-コロナウイルス配列間のエピトープ保存を示す。SARS-CoV-2のコンセンサス配列はx軸に報告されており、主な置換は太字で示す。 図73A~73Fは、試験された各個体について、回復期の個体由来のIgG記憶B細胞のβ-コロナウイルス幹ヘリックスペプチドへの結合を示す。カットオフ値(OD=0.4)は点線で示し、各抗原について陽性培養の頻度を報告する。 図73A~73Fは、試験された各個体について、回復期の個体由来のIgG記憶B細胞のβ-コロナウイルス幹ヘリックスペプチドへの結合を示す。カットオフ値(OD=0.4)は点線で示し、各抗原について陽性培養の頻度を報告する。 図73A~73Fは、試験された各個体について、回復期の個体由来のIgG記憶B細胞のβ-コロナウイルス幹ヘリックスペプチドへの結合を示す。カットオフ値(OD=0.4)は点線で示し、各抗原について陽性培養の頻度を報告する。 図73A~73Fは、試験された各個体について、回復期の個体由来のIgG記憶B細胞のβ-コロナウイルス幹ヘリックスペプチドへの結合を示す。カットオフ値(OD=0.4)は点線で示し、各抗原について陽性培養の頻度を報告する。 図73A~73Fは、試験された各個体について、回復期の個体由来のIgG記憶B細胞のβ-コロナウイルス幹ヘリックスペプチドへの結合を示す。カットオフ値(OD=0.4)は点線で示し、各抗原について陽性培養の頻度を報告する。 図73A~73Fは、試験された各個体について、回復期の個体由来のIgG記憶B細胞のβ-コロナウイルス幹ヘリックスペプチドへの結合を示す。カットオフ値(OD=0.4)は点線で示し、各抗原について陽性培養の頻度を報告する。 図74A~74Dは、試験された各個体に対するワクチン由来のIgG記憶B細胞のβ-コロナウイルス幹ヘリックスペプチドへの結合を示す。カットオフ値(OD=0.4)は点線で示し、各抗原について陽性培養の頻度を報告する。 図74A~74Dは、試験された各個体に対するワクチン由来のIgG記憶B細胞のβ-コロナウイルス幹ヘリックスペプチドへの結合を示す。カットオフ値(OD=0.4)は点線で示し、各抗原について陽性培養の頻度を報告する。 図74A~74Dは、試験された各個体に対するワクチン由来のIgG記憶B細胞のβ-コロナウイルス幹ヘリックスペプチドへの結合を示す。カットオフ値(OD=0.4)は点線で示し、各抗原について陽性培養の頻度を報告する。 図74A~74Dは、試験された各個体に対するワクチン由来のIgG記憶B細胞のβ-コロナウイルス幹ヘリックスペプチドへの結合を示す。カットオフ値(OD=0.4)は点線で示し、各抗原について陽性培養の頻度を報告する。 図75は、SARS-CoV2に対する高い反応(左上のグラフ)及びパンデミック前の2人の個人(右上と下のグラフ)を示す最初のワクチン投与後の免疫個体由来のIgG記憶B細胞のベータコロナウイルス幹ヘリックスペプチドへの結合を示している。 図76は、抗体S2P6未突然変異共通祖先(UCA)(上部)、S2P6野生型、及びS2P6完全生殖細胞系復帰バリアントの可変領域アミノ酸配列のアラインメントを示す。CDR領域は灰色で強調表示されます。 図77は、種々のβ-コロナウイルスのステムヘリックスペプチドに対する図76のS2P6抗体の結合を示す。 図78は、抗体S2S43 UCA及び野生型S2S43のVH及びVLアミノ酸配列のアラインメントを示す。 図79は、抗体S2P6及びS2S43の遺伝子使用及びその他の特性を示す表を提供する。
本明細書で提供される抗体及び抗原結合断片は、ベータコロナウイルス(例えば、本明細書に記載されているように、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、OC43、又はHKUの表面糖タンパク質)に結合することができる抗体及び抗原結合断片である。ある実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、2以上(例えば、2、3、4、5又はそれ以上)のベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができる。ある実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、ベータコロナウイルスビリオンの表面糖タンパク質及び/又はベータコロナウイルスに感染した細胞の表面上に発現される表面糖タンパク質に結合することができる。ある実施形態において、現在開示されている抗体及び抗原結合断片は、感染のインビトロモデル及び/又はヒト対象において、2、3、4、又は5種類のベータコロナウイルスによる感染を中和することができる。特定のさらなる実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、アルファコロナウイルス表面糖タンパク質に結合することができる。また、抗体及び抗原結合断片、ベクター、宿主細胞、及び関連組成物をコードするポリヌクレオチド、ならびに対象中の任意の2、3、4、又は5種類のベータコロナウイルスによる感染を治療する(例えば、減少させる、遅延させる、除去する、又は予防する)ための抗体、核酸、ベクター、宿主細胞、及び関連組成物の使用方法、及び/又は任意の2、3、4、又は5種類のベータコロナウイルスによる対象中の感染を治療するための医薬の製造においても提供される。
本開示をより詳細に記載する前に、本明細書で使用される特定の用語の定義を提供することは、その理解に役立つことがある。さらなる定義は、本開示全体を通して記載される。
本明細書中で使用される場合、「SARS-CoV-2」は、本明細書中では「武漢海産食品市場フェノミアウイルス」、又は「武漢コロナウイルス」もしくは「武漢コロナウイルス」、又は「新規CoV」、もしくは「nCoV」、もしくは「2019 nCoV」、もしくは「Wuhan nCoV」とも呼ばれ、又は「Wuhan nCoV」は、系統B(サルベコウイルス)であると考えられるベータコロナウイルスである。SARS-CoV-2は、中国の湖北省武漢で2019年後半に初めて同定され、2020年初頭までに中国国内及び世界の他の地域に広がった。SARS-CoV-2感染の症状には、発熱、乾性咳嗽、呼吸困難などがある。
SARS-CoV-2分離株Wuhan-Hu-1のゲノム配列は配列番号1(GenBank MN908947.3、2020年1月23日)に提供され、ゲノムのアミノ酸翻訳は配列番号2(GenBank QHD43416.1、2020年1月23日)に提供される。他のコロナウイルス(例えば、SARSCoV-1)と同様に、SARS-CoV-2は、受容体結合ドメイン(RBD)を含む「スパイク」又は表面(「S」)I型膜貫通糖タンパク質を含む。RBDは、細胞表面受容体アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合することによって、系統B型SARSコロナウイルスの呼吸上皮細胞への侵入を媒介すると考えられている。特に、ウイルスRBDにおける受容体結合モチーフ(RBM)はACE2と相互作用すると考えられている。
Wuhan-Hu-1表面糖タンパク質のアミノ酸配列を配列番号3に示す。Wuhan-Hu-1 RBDのアミノ酸配列は、配列番号4に提供される。Wuhan-Hu-1 Sタンパク質は、SARS-CoV Sタンパク質と約73%のアミノ酸配列同一性を有する。Wuhan-Hu-1 RBMのアミノ酸配列は、配列番号5に提供される。Wuhan-Hu-1 RBDはSARS-CoV RBDと約75~77%のアミノ酸配列類似性を有し、SARS-CoV-2 RBMはSARS-CoV RBMと約50%のアミノ酸配列類似性を有する。本明細書中で別段の指示がない限り、「Wuhan-Hu-1」は、配列番号2、3、4、及び5のいずれか1つ以上に記載されるアミノ酸配列を、場合により配列番号1に記載されるゲノム配列と共に含むウイルスを指す。
新興のSARS-CoV-2変異株が多数存在する。いくつかのSARS-CoV-2バリアントは、ヒトACE2受容体に対する増強された結合親和性を有するN439K突然変異を含む(Thomson,E.C.,et al.,循環SARS-CoV-2スパイクバリアントN439Kは、抗体媒介性免疫を回避しながら適応性を維持する)。bioRxiv,2020.いくつかのSARS-CoV-2バリアントは、伝播性の増加と関連するN501Y変異(20I/501Y.V1及びVOC 202012/01としても知られる)及びB.1.351(20H/501Y.V2としても知られる)(L18F、D80A、D215G、R246I、K417N、E484K、N501Y、D614G、及びA701V変異としても知られる)を含み、それぞれ英国及び南アフリカで発見された(Tegally,H.,et al.,Emergence及び南アフリカにおける新しい重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス2(SARS-CoV-2)系統)。medRxiv,2020:p.2020.21.20248640;Leung,K.ら、英国におけるSARS-CoV-2のN501Y突然変異株の初期の経験的評価、2020年10月~11月。medRxiv,2020:p.2020.12.20.20248581.B.1.351はまた、SARS-CoV2スパイクタンパク質のRBDドメインにおける2つの他の突然変異、K417N及びE484K(Tegally,H.,et al.,Emergence及び南アフリカにおける複数のスパイク突然変異を伴う新しい重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス2(SARS-CoV-2)系統の急速な拡大)も含む。medRxiv,2020:p.2020.12.21.20248640。他のSARS-CoV-2バリアントには、ブラジルで初めて報告された系統B.1.1.28、日本で初めて報告された系統P.1(20J/501Y.V3としても知られる)、米国カリフォルニア州で初めて報告された系統L452R(Pan American Health Organia,Epidemiological update:Americas,2021年1月20日、reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/2021-jan-20-phe-epi-update-SARS-CoV-2.pdfで入手可能)がある。他のSARS-CoV-2バリアントには、クレード19AのSARS CoV-2;クレード19BのSARS CoV-2;クレード20AのSARS CoV-2;クレード20BのSARS CoV-2;クレード20CのSARS CoV-2;クレード20EのSARS CoV-2;クレード20FのSARS CoV-2;クレード20GのSARS CoV-2;クレード20GのSARS CoV-2;及びクレード20GのSARS CoV-2 B1.1.207;及びRambaut,Aら、ゲノム疫学を支援するためのSARS-CoV-2系統の動的命名法案に記載されている他のSARS CoV-2系統がある。Nat Microbiol 5,14032-1407(2020).D614G突然変異を含むバリアントは、A23.1、B.1.429、B.1.258、B.1.1.318、R.2、B.1.528、B.1.526、及びB.1.617を含む。前述のSARS-CoV-2バリアント、及びそのアミノ酸及びヌクレオチド配列は、参照により本明細書に組み込まれる。従って、SARS-CoV-2は、Wuhan Hu-1及び現在開示されているバリアントを含むそのバリアントを含むことが理解されるであろう。
SARS-CoVは、感染者の呼吸器症状を引き起こす別のベータコロナウイルスである。SARS-CoV Urbani株のゲノム配列はGenBank受託番号AAP13441.1である。SARS-CoV表面糖タンパク質(「Sタンパク質」)のアミノ酸配列は、配列番号22に提供される。
ヒトコロナウイルスOC43もベータコロナウイルスである。OC43表面糖タンパク質(「Sタンパク質」)のアミノ酸配列は、配列番号23(GenBank AY585229.1も参照のこと)に提供される。
MERS-CoVもまた別のベータコロナウイルスである。MERS-CoV株London 1/2012表面糖タンパク質(「Sタンパク質」)のアミノ酸配列は、配列番号24(GenBank KC164505も参照のこと)に提供される。
ヒトコロナウイルスHKU1は別のベータコロナウイルスである。HKU1表面糖タンパク質(「Sタンパク質」)のアミノ酸配列は配列番号25に示されている(GenBank YP 173238も参照)。SARS-CoV及びSARS-CoV-2はACE2に結合するが、他のベータコロナウイルスは他の受容体に結合することによって細胞に侵入すると考えられている。例えば、MERS-CoVはジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)に結合すると考えられており、OC43及びHKU1は9-O-アセチル化シアル酸(9-O-Ac-Sia)受容体に結合すると考えられている。
本明細書では、特に断らない限り、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、又は整数範囲は、列挙された範囲内の任意の整数の値、及び、適宜、それらの分数(整数の10分の1及び100分の1など)を含むと理解されるべきである。また、特に断らない限り、ポリマーサブユニット、サイズ又は厚さのような任意の物理的特徴に関して本明細書に記載される任意の数の範囲は、列挙された範囲内の任意の整数を含むと理解されるべきである。本明細書中で使用される場合、用語「約」は、特に断らない限り、示された範囲、値、又は構造の±20%を意味する。本明細書で使用される用語「a」及び「an」は、列挙された成分の「1つ以上」を指すことが理解されるべきである。選択肢(例えば、「又は」)の使用は、選択肢の1つ、両方、又はそれらの任意の組み合わせのいずれかを意味するものと理解されるべきである。本明細書中で使用される場合、用語「含む」、「有する」、及び「含む」は同義的に使用され、その用語及び変種は、非限定的として解釈されることを意図される。
「任意の」又は「任意に」とは、後に説明される要素、構成要素、事象、又は状況が発生し得るか、又は発生し得ないこと、及び説明には、要素、構成要素、事象、又は状況が発生するインスタンス、及びそれらが発生しないインスタンスが含まれることを意味する。
さらに、本明細書に記載される構造及びサブユニットの種々の組み合わせから誘導される個々の構築物又は構築物のグループは、各構築物又は構築物のグループが個別に記載された場合と同じ程度に、本出願により開示されることが理解されるべきである。したがって、特定の構造又は特定のサブユニットの選択は、本開示の範囲内である。
「本質的になる」という用語は、「含む」と同等ではなく、クレームの特定の材料若しくは工程、又はクレームされた主題事項の基本的特徴に実質的な影響を及ぼさないものを指す。例えばードメイン、領域、モジュール、又はタンパク質のアミノ酸配列がードメイン、領域、モジュール、又はタンパク質の長さの最大20%(例えば、最大15%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%)に寄与するードメイン、領域、又はモジュールの伸長、欠失、突然変異、又はそれらの組み合わせ(例えば、アミノオ-ルカルボキシ末端又はドメイン間のアミノ酸)を含む場合、タンパク質ドメイン、領域、又はモジュール(例えば、結合ドメイン)又はモジュール(例えば、結合ドメイン)又はモジュール(例えば、結合ドメイン)は、「本質的に」特定のアミノ酸配列からなる。又はタンパク質であってードメイン、領域、モジュール、又はタンパク質(例えば結合タンパク質の標的結合親和性)の活性に実質的な影響を及ぼさず(すなわち、活性が50%を超えないように、例えば、40%、30%、25%、20%、15%、10%、5%又は1%を超えないように)、実質的には低下しない。
本明細書中で使用される場合、「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝暗号によりコードされるもの、ならびに後に修飾されるアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、及びO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体とは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造を有する化合物、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合するα炭素、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。このような類似体は修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)又は修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持する。「アミノ酸模倣薬」とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様に機能する化合物をいう。
本明細書中で用いる場合、「突然変異」とは、それぞれ、参照又は野生型核酸分子又はポリペプチド分子と比較した、核酸分子又はポリペプチド分子の配列の変化を指す。突然変異は、ヌクレオチド又はアミノ酸の置換、挿入又は欠失を含む、配列におけるいくつかの異なるタイプの変化をもたらすことができる。
「保存的置換」とは、特定のタンパク質の結合特性に大きな影響を与えたり、変化させたりしないアミノ酸置換を指す。一般に、保存的置換とは、置換されたアミノ酸残基を、同様の側鎖を有するアミノ酸残基に置き換えることである。保存的置換には、次のグループのいずれかに見られる置換が含まれます。グループ1:アラニン(AlaまたはA)、グリシン(GlyまたはG)、セリン(SerまたはS)、スレオニン(ThrまたはT)。グループ2:アスパラギン酸(AspまたはD)、グルタミン酸(GluまたはZ)。グループ3:アスパラギン(AsnまたはN)、グルタミン(GlnまたはQ)。グループ4:アルギニン(ArgまたはR)、リジン(LysまたはK)、ヒスチジン(HisまたはH)。グループ5:イソロイシン(IleまたはI)、ロイシン(LeuまたはL)、メチオニン(MetまたはM)、バリン(ValまたはV)。グループ6:フェニルアラニン(PheまたはF)、チロシン(TyrまたはY)、トリプトファン(TrpまたはW)。さらに、または代わりに、アミノ酸は、同様の機能、化学構造、または組成(例えば、酸性、塩基性、脂肪族、芳香族、または硫黄含有)によって保存的置換グループに分類することができます。例えば、脂肪族グループには、置換の目的で、Gly、Ala、Val、Leu、およびIleが含まれ得る。他の保存的置換グループには以下が含まれます。硫黄含有:Metおよびシステイン(CysまたはC);酸性:Asp、Glu、Asn、Gln。小さな脂肪族、非極性またはわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro、およびGly。極性の負に帯電した残基とそのアミド:Asp、Asn、Glu、Gln。極性、正に荷電した残基:His、Arg、およびLys。大きな脂肪族、非極性残基:Met、Leu、Ile、Val、Cys。大きな芳香族残基:Phe、Tyr、Trp。追加情報は、Creighton(1984)Proteins,W.H.フリーマン・アンド・カンパニーに記載されている。
本明細書中で使用される場合、「タンパク質」又は「ポリペプチド」とは、アミノ酸残基のポリマーを指す。タンパク質は、天然に存在するアミノ酸ポリマー、ならびに1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸、及び非天然に存在するアミノ酸ポリマーの人工化学的模倣物であるアミノ酸ポリマーに適用される。本開示のタンパク質、ペプチド、及びポリペプチドの変種もまた意図される。ある実施形態において、変異型タンパク質、ペプチド、及びポリペプチドは、本明細書に記載される定義又は参照アミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は99.9%同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
「核酸分子」又は「ポリヌクレオチド」又は「ポリ核酸」とは、天然サブユニット(例えば、プリン又はピリミジン塩基)又は非天然サブユニット(例えば、モルホリン環)から構成され得る共有結合ヌクレオチドを含むポリマー化合物を指す。プリン塩基にはアデニン、グアニン、ヒポキサンチン、及びキサンチンが含まれ、ピリミジン塩基にはウラシル、チミン、及びシトシンが含まれる。核酸分子には、mRNA、マイクロRNA、siRNA、ウイルスゲノムRNA、及び合成RNAを含むポリリボ核酸、及びcDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAを含むポリデオキシリボ核酸が含まれ、これらは一本鎖又は二本鎖であってもよい。一本鎖の場合、核酸分子はコード鎖又は非コード(アンチセンス)鎖であり得る。アミノ酸配列をコードする核酸分子は、同じアミノ酸配列をコードするすべてのヌクレオチド配列を含む。ヌクレオチド配列のいくつかのバージョンはまた、イントロンが転写後クーラー機構を介して除去される程度までイントロンを含み得る。言い換えると、異なるヌクレオチド配列は、遺伝暗号の重複又は縮重の結果として、又はスプライシングによって、同じアミノ酸配列をコードし得る。
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオシド、cap-1構造、cap-2構造、又はそれらの任意の組合せを含む。ある実施形態において、ポリヌクレオチドは、プソイドウリジン、N6-メチルアデノンシン、5-メチルシチジン、2-チオウリジン、又はそれらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態において、プソイドウリジンは、N1-メチルプソイドウリジンを含む。これらの特徴は、当技術分野で公知であり、例えば、Zhang et al.Front、Immunol.,DOI=10.3389/fimmu.2019.00594 (2019);Eyler et al.PNAS 116(46):23068-23071;DOI:10.1073/pnas.1821754116(2019);Nance and Meier,ACS Cent.Science,2021、7、5、748-756;doi.org/10.1021/acscentsci.1c00197(2021)、及びvan Hoecke and Roose,J.Translational Med 17:54(2019);修飾されたヌクレオシド及びmRNA特徴を本明細書に参考として援用する。
本開示の核酸分子のバリアントもまた意図される。変異型核酸分子は、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%であり、好ましくは、95%、96%、97%、98%、99%、99%、99%、又は99.9%同一であるか、又は約42℃で0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウム、及び50%ホルムアミドのストリンジェントハイブリダイゼーション条件下でポリヌクレオチドにハイブリダイズする。核酸分子バリアントは、標的分子の結合など、本明細書に記載の機能性を有するその結合ドメインをコードする能力を保持する。
「パーセント配列同一性」とは、配列を比較することによって決定される、2つ以上の配列間の関係を指す。配列同一性を決定するための好ましい方法は、比較される配列間の最良の一致を与えるように設計される。例えば、配列は、最適な比較目的のためにアラインメントされる(例えば、ギャップは、最適なアラインメントのために、第1及び第2のアミノ酸又は核酸配列の一方又は両方に導入され得る)。さらに、非相同配列は、比較目的のために無視することができる。本明細書中で参照されるパーセント配列同一性は、特に断らない限り、参照配列の長さにわたって計算される。配列の同一性及び類似性を決定する方法は、公に入手可能なコンピュータ・プログラムに見出すことができる。配列アラインメント及びパーセント同一性の計算は、BLASTプログラム(例えば、BLAST 2.0、BLASTP、BLASTN、又はBLASTX)を使用して行うことができる。BLASTプログラムで使用される数学的アルゴリズムは、Altschul et al., Nucleic Acids Res 25:3389-3402,1997にみられる。本開示の文脈において、配列分析ソフトウェアが分析に使用される場合、分析の結果は、参照されるプログラムの「デフォルト値」に基づくことが理解されるであろう。「デフォルト値」とは、最初に初期化されたときにソフトウェアに最初にロードされた値又はパラメータのセットを意味する。
用語「単離された」は、物質がその元の環境(例えば、自然に存在する場合、自然環境)から除去されることを意味する。例えば、生きている動物中に存在する天然に存在する核酸又はポリペプチドは単離されないが、天然系中の共存物質の一部又は全部から分離された同一の核酸又はポリペプチドが単離される。そのような核酸はベクターの一部であり得、及び/又はそのような核酸又はポリペプチドは組成物(例えば、細胞溶解物)の一部であり得、そのようなベクター又は組成物が核酸又はポリペプチドの天然環境の一部ではないという点で依然として単離され得る。「単離された」とは、いくつかの実施形態において、ヒトの体外にある抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、又は組成物も記載することができる。
用語「遺伝子」は、ポリペプチド鎖の生成に関与するDNA又はRNAのセグメントを意味し、ある状況では、コード領域(例えば、5’非翻訳領域(UTR)及び3’UTR)の前後の領域、ならびに個々のコードセグメント(エキソン)間の介在配列(イントロン)を含む。
「機能性バリアント」とは、本開示の親化合物又は参照化合物と構造的に類似しているか又は実質的に類似しているが、組成がわずかに異なる(例えば、1つの塩基、原子又は官能基が異なる、付加される、又は除去される)ポリペプチド又はコードされるポリペプチドが、親ポリペプチドの少なくとも50%の効率、好ましくは少なくとも55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、99%、99%、99.9%、又は100%の活性レベルで親ポリペプチドの少なくとも1つの機能を実施することができるようなポリペプチド又はポリヌクレオチドを指す。換言すれば、本開示のポリペプチド又はコード化されたポリペプチドの機能的バリアントは、結合親和性を測定するためのアッセイ(例えば、結合(Ka)又は解離(K)定数を測定するBiacore(登録商標)又は四量体染色)など、選択されたアッセイにおいて、親ポリペプチド又は参照ポリペプチドと比較して性能が50%以下である場合、「類似の結合」、「類似の親和性」又は「類似の活性」を有する。
本明細書中で用いる「機能的部分」又は「機能的断片」とは、親又は参照化合物のドメイン、部分又は断片のみを含むポリペプチド又はポリヌクレオチドを指し、ポリペプチド又はコード化されたポリペプチドは、親又は参照化合物のドメイン、部分又は断片、好ましくは親又は参照化合物の少なくとも55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、99%、99%、99%、又は100%の活性レベルに関連する少なくとも50%の活性を保持し、又は生物学的利益(例えば、エフェクタ-機能)を提供する。本開示のポリペプチド又はコードされたポリペプチドの「機能的部分」又は「機能的断片」は、機能的部分又は断片が、親ポリペプチド又は参照ポリペプチドと比較して選択されたアッセイにおける性能の50%以下の低下(好ましくは親和性に関して親ポリペプチド又は参照ポリペプチドと比較して20%以下もしくは10%以下、又は対数以下の差)を示す場合、「類似の結合」又は「類似の活性」を有する。
本明細書中で使用される場合、用語「操作された」、「組換え体」、又は「非天然」は、少なくとも1つの遺伝子改変を含む、又は外因性又は異種性核酸分子の導入によって改変された、生物、微生物、細胞、核酸分子、又はベクターを指し、ここで、かかる改変又は改変は、遺伝子工学(すなわち、ヒト介入)によって導入される。遺伝子改変には、例えば、機能性RNA、タンパク質、融合タンパク質もしくは酵素、又は他の核酸分子の付加、欠失、置換、又は細胞の遺伝物質の他の機能的破壊をコードする発現可能な核酸分子を導入する改変が含まれる。さらなる修飾には、例えば、修飾がポリヌクレオチド、遺伝子又はオペロンの発現を変化させる非コード調節領域が含まれる。
本明細書中で使用される場合、「異種性」又は「非内因性」又は「外因性」とは、宿主細胞又は対象に対して天然ではない任意の遺伝子、タンパク質、化合物、核酸分子、又は活性、又は改変された宿主細胞又は対象に対して天然ではない任意の遺伝子、タンパク質、化合物、核酸分子、又は活性を指す。異種性、非内因性、又は外因性には、構造、活性、又は両方が、天然の遺伝子、タンパク質、化合物、又は核酸分子と変化した遺伝子、タンパク質、化合物、又は核酸分子と同様に異なるように突然変異させられた、又は他の方法で改変された遺伝子、タンパク質、化合物、又は核酸分子が含まれる。ある実施形態において、異種性、非内因性、又は外因性の遺伝子、タンパク質、又は核酸分子(例えば、受容体、リガンドなど)は、宿主細胞又は対象に対して内因性でなくてもよく、代わりに、そのような遺伝子、タンパク質、又は核酸分子をコードする核酸を、接合、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーションなどによって宿主細胞に加えてもよく、ここで、付加された核酸分子は、宿主細胞ゲノムに組み込まれ得るか、又は染色体外遺伝物質(例えば、プラスミド又は他の自己複製ベクターとして)として存在し得る。用語「相同」又は「相同」とは、宿主細胞、種又は株において見出されるか又はそれに由来する遺伝子、タンパク質、化合物、核酸分子、又は活性を指す。例えば、ポリペプチドをコードする異種又は外因性のポリヌクレオチド又は遺伝子は、天然のポリヌクレオチド又は遺伝子と相同であり得、相同なポリペプチド又は活性をコードし得るが、ポリヌクレオチド又はポリペプチドは、改変された構造、配列、発現レベル、又はそれらの任意の組み合わせを有し得る。非内因性のポリヌクレオチド又は遺伝子、ならびにコードされたポリペプチド又は活性は、同じ種、異なる種、又はそれらの組み合わせからであり得る。
ある実施形態において、宿主細胞に固有の核酸分子又はその一部は、それが改変又は突然変異されている場合、宿主細胞に対して異種性であると考えられ、又は、宿主細胞に固有の核酸分子は、異種発現制御配列で改変されているか、又は宿主細胞に固有の核酸分子と通常は関連しない内因性発現制御配列で改変されている場合、異種性であると考えられ得る。さらに、用語「異種性」は、宿主細胞に対して異なる、改変された、又は内因性ではない生物学的活性を指すことができる。本明細書に記載されるように、複数の異種性核酸分子は、別個の核酸分子として、複数の個別に制御される遺伝子として、ポリシストロン性核酸分子として、融合タンパク質をコードする単一の核酸分子として、又はそれらの任意の組み合わせとして、宿主細胞に導入することができる。
本明細書中で使用される場合、用語「内因性」又は「天然」は、宿主細胞又は対象中に通常存在するポリヌクレオチド、遺伝子、タンパク質、化合物、分子、又は活性を指す。
用語「発現」は、本明細書中で使用される場合、遺伝子のような核酸分子のコード配列に基づいてポリペプチドが生成されるプロセスを指す。プロセスは、転写、転写後制御、転写後修飾、翻訳、翻訳後制御、翻訳後修飾、又はそれらの任意の組合せを含み得る。発現された核酸分子は、典型的には、発現制御配列(例えば、プロモーター)に機能的に連結される。
用語「機能的に連結された」は、1つの核酸断片上の2つ以上の核酸分子の結合を指し、その結果、1つの機能が他の核酸断片によって影響を受ける。例えば、プロモーターは、コード配列の発現に影響を与えることができる場合(すなわち、コード配列はプロモーターの転写制御下にある場合)、コード配列と機能的に連結される。「連結していない」とは、関連する遺伝的要素が互いに密接に関連しておらず、一方の機能が他方に影響を及ぼさないことを意味する。
本明細書に記載されるように、複数の異種性核酸分子は、別個の核酸分子として、複数の個別に制御される遺伝子として、ポリシストロン性核酸分子として、タンパク質(例えば、抗体の重鎖)をコードする単一の核酸分子として、又はそれらの任意の組み合わせとして、宿主細胞に導入することができる。2つ以上の異種性核酸分子が宿主細胞に導入される場合、2つ以上の異種性核酸分子は、単一の核酸分子(例えば、単一のベクター上)として、別々のベクター上に導入され、単一の部位もしくは複数の部位で宿主染色体に組み込まれ、又はそれらの任意の組み合わせとして導入され得ることが理解される。参照される異種核酸分子又はタンパク質活性の数は、宿主細胞に導入された別個の核酸分子の数ではなく、コードされる核酸分子の数又はタンパク質活性の数を指す。
用語「構築物」とは、組換え核酸分子を含有する任意のポリヌクレオチドを指す。(ポリヌクレオチド)構築物は、ベクター(例えば、細菌ベクター、ウイルスベクター)中に存在してもよく、又はゲノム中に組み込まれてもよい。「ベクター」は、別の核酸分子を輸送することができる核酸分子である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス、RNAベクター、又は染色体、非染色体、半合成又は合成核酸分子を含み得る線状又は環状DNA又はRNA分子であり得る。本開示のベクターはまた、トランスポゾンシステム(例えば、睡眠美、例えば、Geurts et al.、Mol 8:108,2003:Mates et al.,Nat.Gent.41:753,2009)。例示的なベクターは、自律的複製(エピソームベクター)が可能であり、ポリヌクレオチドを細胞ゲノム(例えば、ウイルスベクター)に送達することが可能であり、又はそれらが連結された核酸分子(発現ベクター)を発現することが可能であるベクターである。
本明細書中で用いる「発現ベクター」又は「ベクター」とは、適切な宿主中で核酸分子の発現を行うことができる適切な制御配列に機能的に連結された核酸分子を含むDNA構築物をいう。そのような制御配列には、転写を行うプロモーター、そのような転写を制御するための任意のオペレーター配列、適切なmRNAリボソ-ム結合部位をコードする配列、及び転写及び翻訳の終結を制御する配列が含まれる。ベクターは、プラスミド、ファージ粒子、ウイルス、又は単に潜在的なゲノム挿入物であり得る。一旦適切な宿主に形質転換されると、ベクターは、宿主ゲノムとは独立して複製し、機能し得るか、又は場合によっては、ゲノム自体に組み込まれ得るか、又はベクター配列なしで、ベクターに含まれるポリヌクレオチドをゲノムに送達し得る。本明細書では、「プラスミド」、「発現プラスミド」、「ウイルス」及び「ベクター」は、しばしば互換的に使用される。
核酸分子を細胞に挿入する文脈で「導入される」という用語は、「トランスフェクション」、「形質転換」、又は「形質導入」を意味し、核酸分子を真核細胞又は原核細胞に取り込むことへの言及を含み、ここで、核酸分子は、細胞(例えば、染色体、プラスミド、色素体、又はミトコンドリアDNA)のゲノムに取り込まれ、自律的レプリコンに変換され、又は一時的に発現され得る(例えば、トランスフェクトされたmRNA)。
ある実施形態において、本開示のポリヌクレオチドは、ベクターの特定のエレメントに機能的に連結され得る。例えば、それらが連結されるコード配列の発現及びプロセシングを行うために必要なポリヌクレオチド配列は、機能的に連結され得る。発現制御配列には、適切な転写開始、終結、プロモーター及びエンハンサ-配列;スプライシング及びポリアデニル化シグナルのような効率的なRNAプロセシングシグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を高める配列(すなわち、Kozakコンセンサス配列);タンパク質の安定性を増強する配列;及びおそらくタンパク質分泌を増強する配列が含まれ得る。発現制御配列は、それらが関心対象の遺伝子と隣接している場合、及びトランスで作用するか、又は関心対象の遺伝子を制御するための距離で作用する発現制御配列であれば、機能的に連結され得る。
ある実施形態において、ベクターは、プラスミドベクター又はウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター又はγ-レトロウイルスベクター)を含む。ウイルスベクターには、レトロウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス)、コロナウイルス、オルト-ミクソウイルスのようなネガティブ鎖RNAウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、ラブドウイルス(例えば、狂犬病及び水疱性口内炎ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、麻疹及びセンダイ)、ピコルナウイルス及びアルファウイルスのようなプラス鎖RNAウイルス、及びアデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス1型及び2型、エプスタイン-バーウイルス、サイトメガロウイルス)、及びポックスウイルス(例えば、ワクシニア、家禽痘及びカナリポックス)を含む二本鎖DNAウイルスが含まれる。他のウイルスとしては、例えば、ノーウォークウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、レオウイルス、パポバウイルス、ヘパドナウイルス、及び肝炎ウイルスが挙げられる。レトロウイルスの例としては、トリ白血病-肉腫、哺乳動物C型ウイルス、B型ウイルス、D型ウイルス、HTLV-BLV群、レンチウイルス、スパマウイルス(コフィン、J.M.、レトロウイルス科:ウイルス及びそれらの複製、In Fundamental Virology、Third Edition、B.N.Fields et al.、Eds.、Lippincott-Raven Publishers、Philadelphia、1996)が挙げられる。
「レトロウイルス」とは、RNAゲノムを有するウイルスであって、逆転写酵素を用いてDNAに逆転写された後、逆転写されたDNAが宿主細胞ゲノムに取り込まれるものをいう。「ガンマレトロウイルス」とは、レトロウイルス科の属をいう。ガンマレトロウイルスの例には、マウス幹細胞ウイルス、マウス白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、及びトリ細網内皮症ウイルスが含まれる。
「レンチウイルスベクター」には、遺伝子送達のためのHIVベースのレンチウイルスベクターが含まれ、これは、統合的であっても非統合的であってもよく、比較的大きなパッケ-ジング能力を有し、一連の異なる細胞型を形質導入することができる。レンチウイルスベクターは、通常、3つ(パッケ-ジング、エンベロ-プ、及び移入)又は複数のプラスミドをプロデューサー細胞に一時的にトランスフェクションした後に生成される。HIVと同様に、レンチウイルスベクターはウイルス表面の糖タンパク質と細胞表面の受容体との相互作用を介して標的細胞に入る。ウイルスRNAは侵入すると逆転写され、ウイルスの逆転写酵素複合体によって媒介される。逆転写の産物は二本鎖の線状ウイルスDNAであり、ウイルスが感染細胞のDNAに組み込まれるための基質である。
ある実施形態において、ウイルスベクターは、ガマレトロウイルス、例えば、モロニ-マウス白血病ウイルス(MLV)由来ベクターであり得る。他の実施形態において、ウイルスベクターは、より複雑なレトロウイルス由来ベクター、例えばレンチウイルス由来ベクターであり得る。HIV-1由来ベクターはこのカテゴリ-に属する。他の例としては、HIV-2、FIV、馬感染性貧血ウイルス、SIV、及びマエディ-ビスナウイルス(ヒツジレンチウイルス)に由来するレンチウイルスベクターが挙げられる。導入遺伝子を含むウイルス粒子を用いて哺乳動物宿主細胞を形質導入するためにレトロウイルス及びレンチウイルスベクター及びパッケ-ジング細胞を用いる方法は、当該分野で公知であり、例えば、米国特許第8,119,772号;Walchliら、PLoS One 6:327930,2011;Zhaoら、J.Immunolに記載されている。 174:4415,2005;Engels et al.,Hum.Gene 14:1155,2003;Frecha et al., Mol.18:1748, 2010;及びVerhoeyen et al., Methods Mol.Biol 506:97,2009。レトロウイルス及びレンチウイルスベクター構築物及び発現系も市販されている。他のウイルスベクターも、例えばアデノウイルスベースのベクター及びアデノ随伴ウイルスベースのベクターを含むDNAウイルスベクター;アンプリコンベクター、複製欠損HSV及び弱毒化HSVを含む単純ヘルペスウイルス(HSV)由来のベクターを含む、ポリヌクレオチド送達のために使用することができる。
本開示の組成物及び方法と共に使用できる他のベクターには、バキュロウイルス及びαウイルス由来のものが含まれる。(Jolly、D J. 1999)新興ウイルスベクター Friedmann T.ed.の209-40ページ ヒト遺伝子治療の開発 ニューヨーク:コールド・スプリング・ハーバー・ラボ、あるいはプラスミドベクター(睡眠の美しさや他のトランスポゾンベクターなど)。
ウイルスベクターゲノムが、別々の転写物として宿主細胞中で発現される複数のポリヌクレオチドを含む場合、ウイルスベクターは、ビシストロン性又は多シストロン性発現を可能にする2つの(又はそれ以上の)転写物間の追加の配列を含み得る。ウイルスベクターで使用されるこのような配列の例には、内部リボソ-ム侵入部位、フリン切断部位、ウイルス2Aペプチド、又はそれらの任意の組合せが含まれる。
対象への直接投与のためのDNAベースの抗体又は抗原結合断片コード化プラスミドベクターを含むプラスミドベクターが、本明細書にさらに記載される。
本明細書中で使用される場合、用語「宿主」は、対象のポリペプチド(例えば、本開示の抗体)を生成するための異種核酸分子を用いた遺伝子改変の標的とされる細胞又は微生物を指す。
宿主細胞は、ベクター、又は核酸の取り込み、又はタンパク質を発現し得る任意の個体細胞又は細胞培養を含み得る。この用語はまた、宿主細胞の子孫を包含し、これは遺伝的にも表現型的にも同じであっても異なっていてもよい。適切な宿主細胞はベクターに依存し得、哺乳動物細胞、動物細胞、ヒト細胞、サル細胞、昆虫細胞、酵母細胞、及び細菌細胞を含み得る。これらの細胞は、ウイルスベクターの使用、リン酸カルシウム沈殿による形質転換、DEAE-デキストラン、エレクトロポレ-ション、マイクロインジェクション、又は他の方法によって、ベクター又は他の物質を取り込むように誘導され得る。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2d ed(コールドスプリングハーバー研究所、1989年)を参照されたい。
ベータコロナウイルス感染の文脈において、「宿主」とは、ベータコロナウイルスに感染した細胞又は対象をいう。
本明細書中で使用される「抗原」又は「Ag」とは、免疫応答を引き起こす免疫原性分子を指す。この免疫応答は、抗体産生、特異的免疫学的にコンピテントな細胞の活性化、補体の活性化、抗体依存性細胞毒性、又はそれらの任意の組合せを含み得る。抗原(免疫原性分子)は、例えば、ペプチド、グリコペプチド、ポリペプチド、グリコポリペプチド、ポリヌクレオチド、多糖類、脂質などであり得る。抗原が合成され、組換え的に産生され、又は生物学的試料から誘導され得ることは容易に明らかである。1以上の抗原を含有することができる例示的な生物学的試料は、組織試料、糞便試料、細胞、生物学的流体、又はそれらの組み合わせを含む。抗原は、改変された細胞によって、又は抗原を発現するように遺伝子操作された細胞によって産生され得る。抗原はまた、ビリオン中に存在するようなベータコロナウイルス(例えば、表面糖タンパク質又はその一部)中に存在し得るか、又はベータコロナウイルスに感染した細胞の表面上に発現又は提示され得る。
用語「エピトープ」又は「抗原エピトープ」は、同族結合分子、例えば免疫グロブリン、又は他の結合分子ドメイン、又はタンパク質によって認識され、特異的に結合される任意の分子、構造、アミノ酸配列、又はタンパク質決定基を含む。エピトープ決定基は、一般に、アミノ酸又は糖側鎖のような分子の化学的に活性な表面グル-ピングを含み、特異的な三次元構造特性ならびに特異的な電荷特性を有することができる。抗原がペプチド又はタンパク質であるか又はそれを含む場合、エピトープは、連続アミノ酸(例えば、線状エピトープ)から構成され得るか、又はタンパク質折り畳み(例えば、不連続エピトープ又はコンホメ-ションエピトープ)によって近接に導かれるタンパク質の異なる部分又は領域由来のアミノ酸、又はタンパク質折り畳みに関係なく近接している非隣接アミノ酸から構成され得る。
抗体、抗原結合断片、及び組成物
1つの実施形態において、本開示は、CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、ならびにCDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、かつベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができる、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。いくつかの実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、2以上のベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができる。いくつかの実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、任意の2、3、4、又は5種類のベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができる。いくつかの実施形態において、その抗体又は抗原結合断片は、SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、OC43、及びHKUの表面糖タンパク質に結合することができる。
ある実施形態において、本開示の抗体又は抗原結合断片は、エピトープを含むベータコロナウイルス表面糖タンパク質エピトープ又は抗原と会合するか、又はそれと結合するが、試料中の他の分子又は成分と有意に会合又は結合しない。ある実施形態において、エピトープは、スパイク(S)タンパク質のS2サブユニットに含まれる。さらなる実施形態において、エピトープは、S1サブユニット又はSタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)に含まれない。ある実施形態において、エピトープは、立体配座エピトープ又は線状エピトープである。ある実施形態において、エピトープは、Sタンパク質の融合後コンホメ-ション、Sタンパク質の融合前コンホメ-ション、又はその両方で存在する。ある実施形態において、エピトープは、HR2領域とSタンパク質の中心ヘリックス(CH)領域との間に配置された連結ドメイン又はリンカードメインに含まれる。ある実施形態において、エピトープは、Sタンパク質アミノ酸配列FXELXFKNX1011121314(配列番号46)の1つ又は複数を含み、ここで、Xは、K、E、またはQであり;Xは、E、S、またはDであり;Xは、DまたはSであり;Xは、K、Q、H、またはEであり;Xは、Y、W、またはFであり;Xは、H、Q、またはVであり;Xは、TまたはSであり;Xは、S、L、またはTであり;Xは、P、V、L、またはSであり;X10は、D、A、P、またはIであり;X11は、VまたはPであり;X12は、DまたはNであり;X13は、LまたはFであり;X14は、G、S、またはTである。特定の実施形態では、配列番号46の11位のNはグリコシル化される。
ある実施形態において、本開示の抗体又は抗原結合断片は、第1のベータコロナウイルス表面糖タンパク質エピトープに関連するか、又は第1のベータコロナウイルス表面糖タンパク質エピトープに結合(例えば、結合)し、また、試料中に存在する別のベータコロナウイルス由来のエピトープと結合又は結合することができるが、試料中の任意の他の分子又は成分と有意に結合又は結合することはできない。換言すれば、ある実施形態において、本開示の抗体又は抗原結合断片は、2、3、4、又はそれ以上のベータコロナウイルスに対して交差反応性であり、かつ特異的である。ある実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、ELISA(例えば、1μg/mL抗原で)によって測定されるように、アルファコロナウイルスに結合しない。
ある実施形態において、本開示の抗体又は抗原結合断片は、ベータコロナウイルス表面糖タンパク質に特異的に結合する。本明細書中で使用される場合、「特異的に結合する」とは、10-1(この会合反応についてのオンレ-ト[Kon]とオフレ-ト[Koff]の比率に等しい)以上の親和性又はK(すなわち、1/Mの単位との特定の結合相互作用の平衡会合定数)を有する抗原に対する抗体又は抗原結合断片の会合又は結合を指し、一方、試料中の任意の他の分子又は成分と有意に会合又は融合しない。あるいは、親和性は、Mの単位(例えば、10-5Mから10-13M)との特定の結合相互作用の平衡解離定数(K)として定義され得る。抗体は、「高親和性」抗体又は「低親和性」抗体として分類され得る。「高親和性」抗体とは、少なくとも10-1、少なくとも10-1、少なくとも10-1、少なくとも1010-1、少なくとも1011-1、少なくとも1012M-1、又は少なくとも1013M-1のKを有する抗体をいう。「低親和性」抗体とは、10-1までのK、最大10-1、最大10-1を有する抗体を指す。あるいは、親和性は、Mの単位(例えば、10-5Mから10-13M)との特定の結合相互作用の平衡解離定数(K)として定義され得る。
特定の標的に結合する本開示の抗体を同定するため、ならびに結合ドメイン又は結合タンパク質親和性、例えばウエスタンブロット、ELISA(例えば、直接、間接、又はサンドイッチ)、分析用超遠心分離、分光法、生物層干渉法、及び表面プラズモン共鳴(Biacore(登録商標))分析である(例えば、Scatchard et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 51:660, 1949; Wilson, Science 295:2103, 2002; Wolff et al., Cancer Res. 53:2560, 1993; and U.S. Patent Nos. 5,283,173, 5,468,614, または同等物を参照)。親和性又は見かけの親和性又は相対的親和性を評価するためのアッセイも公知である。
ある実施形態において、本開示の抗体又は抗原結合断片は、MERS、HKU1、OC43、SARS-CoV、及びSARS-CoV-2の各々からのスパイク(S)タンパク質に、約7~約75μg/mLの範囲のEC50で結合する。ある実施形態において、本開示の抗体又は抗原結合断片は、ELISAにより決定されるように(例えば、1μg/mLスパイクタンパク質でコ-ティングされたウェルを有する予備融合安定化スパイクタンパク質を使用する)、約5~約9μg/mLの範囲のEC50、又は約6~約8.5μg/mLの範囲の、又は約7、7.5、8、又は8.5μg/mLの範囲で、MERS、OC43、SARS-CoV、及びSARS-CoV-2の各々に結合する。いくつかの実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、ELISAにより決定されるように、約72μg/mLのEC50でHKU1のSタンパク質に結合する。
ある実施形態において、本開示の抗体又は抗原結合断片は、約200~約4300μg/mLの範囲のEC50でMERS、HKU1、及びOC43の各々に結合する。ある実施形態において、本開示の抗体又は抗原結合断片は、ELISA(例えば、1μg/mLのスパイクタンパク質でコ-ティングされたウェルを有する予備融合安定化スパイクタンパク質を用いる)により決定されるように、EC50が約200~約800μg/mL、又は約230~約730μg/mL、又は約230又は約730μg/mLの範囲で、MERS及びOC432の各々に結合する。
ある例では、結合は、宿主細胞中でベータコロナウイルス抗原を組換え発現させること(例えば、トランスフェクション)、及び抗体で宿主細胞を免疫染色すること、及びフローサイトメトリー(例えば、ZE5 Cell Analyzer(BioRad(登録商標))及びFlowJoソフトウェア(TreeStar)を用いて結合を分析することによって決定することができる。いくつかの実施形態において、陽性結合は、対照(例えば、模擬)細胞に対するベータコロナウイルス発現細胞の抗体による差次染色によって定義することができる。
いくつかの実施形態において、本開示の抗体又は抗原結合断片は、フローサイトメトリーにより決定されるように、宿主細胞(例えば、Expi-CHO細胞)の表面上に発現されるベータコロナウイルススパイクタンパク質(すなわち、SARS-CoV-2、SARS-CoV-2、OC43、及びMERSのうちの2つ、3つ、4つ、又は5つすべてから)に結合する。
ある実施形態において、本開示の抗体又は抗原結合断片は、バイオレイヤ-干渉測定法を用いて測定されるように、ベータコロナウイルスSタンパク質に結合する。
ある実施形態において、本開示の抗体は、ベータコロナウイルスによる感染を中和することができる。ある実施形態において、本開示の抗体は、2、3、4、又は5種類のベータコロナウイルスによる感染を中和することができる。本明細書中で使用される「中和抗体」とは、病原体が宿主において感染を開始及び/又は持続させる能力を中和する、すなわち予防する、抑制する、減少させる、妨げる、又は妨げることができるものである。用語「中和抗体」及び「中和する抗体」又は「中和する抗体」は、本明細書において互換的に使用される。現在開示されている実施形態のいずれにおいても、抗体又は抗原結合断片は、感染のインビトロモデル及び/又は感染のインビボ動物モデル及び/又はヒトにおける2、3、4、又は5種類のベータコロナウイルスによる感染を予防及び/又は中和することができる。
いくつかの実施形態において、本開示の抗体又は抗原結合断片は、約3,300μg/mL~約3,900μg/mLの範囲、約3,400μg/mL~約3,800μg/mLの範囲、又は約3,500μg/mL~約3,700μg/mLの範囲、又は約3,600μg/mL、約3,650μg/mL、又は約3,700μg/mLの範囲で、生SARS-CoV-2により感染を中和することができる。いくつかの実施形態において、感染の中和は、VeroE6細胞上で24時間、0.01の多重感染(MOI)を有するSARS-CoV-2/ルシフェラーゼを用いて決定される。
いくつかの実施形態において、本開示の抗体又は抗原結合断片は、MERS-CoVシュードイルス(例えば、MLV-pp)及びSARS-CoV-2シュードイルス(例えば、MLV-pp)による感染を、約4μg/mL~約7μg/mLの範囲で、又は約4.5μg/mL~約6.5μg/mLの範囲で、IC50で中和することができる。いくつかの実施形態において、本開示の抗体又は抗原結合断片は、約6.3μg/mLのIC50でMERS-CoVシュードイルス(例えば、MLV-pp)による感染を中和することができ、及び/又は約4.7μg/mLのIC50でSARS-CoV-2シュードイルス(例えば、MLV-pp)による感染を中和することができる。ある実施形態において、感染の中和は、Huh7細胞上のMERS-CoVを用いて決定される。いくつかの実施形態において、感染の中和は、Vero E6細胞上のSARS-CoV-2を用いて決定される。
いくつかの実施形態において、本開示の抗体又は抗原結合断片は、ベータコロナウイルス感染(例えば、1、2、3、4、又は5種類のベータコロナウイルス)又はベータコロナウイルスシュードタイプ化ウイルスを、約1~約10μg/mlの範囲でIC50で中和することができる。いくつかの実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、ベータコロナウイルス感染又はベータコロナウイルスシュードタイプ化ウイルスを、約3~約6μg/mlの範囲のIC50で中和することができる。
ある実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、(i)2、3、4、5、又はそれ以上のベータコロナウイルスのスパイクタンパク質中のエピトープを認識し;(ii)1又はそれ以上のベータコロナウイルスのスパイクタンパク質と細胞表面受容体との間の相互作用をブロックし;(iii)2、3、4、5、又はそれ以上のベータコロナウイルスのスパイクタンパク質中に保存されているエピトープを認識し;(iv)2、3、4、5、又はそれ以上のベータコロナウイルスに対して交差反応性である;又は(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせである。
抗体技術分野の当業者によって理解される用語は、それぞれ、本明細書において明確に定義されない限り、当該技術分野で獲得された意味を与えられる。例えば、用語「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2つの重い(H)鎖及び2つの軽い(L)鎖を含む無傷の抗体、ならびにscFv、Fab、又はFab’2断片のような無傷の抗体によって認識される抗原標的分子に結合する能力を有するか又は保持する無傷の抗体の任意の抗原結合部分又は断片を指す。従って、本明細書中の用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を含み、それらの機能的(抗原結合)抗体断片は、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab’)2断片、Fab’断片、Fv断片、組換えIgG(rIgG)断片、一本鎖可変断片(scFv)を含む一本鎖抗体断片、及び単一ドメイン抗体(例えば、sdAb、sdFv、ナノボディ)断片を含む。用語は、体内免疫グロブリン、ペプチボディ-、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、及びヘテロコンジュゲート抗体、多特異性抗体、例えば、二重特異性抗体、ジアボディ-、三重体、テトラボディ-、タンデムジ-scFv、及びタンデムトリ-scFvのような、遺伝子操作及び/又は他の方法で修飾された形態の免疫グロブリンを包含する。特に断らない限り、用語「抗体」は、その機能性抗体断片を包含すると理解されるべきである。用語はまた、IgG及びそのサブクラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、IgM、IgE、IgA、及びIgDを含む任意のクラス又はサブクラスの抗体を含む、無傷又は全長抗体を包含する。
用語「V」又は「VL」及び「V」又は「VH」は、それぞれ、抗体軽鎖及び抗体重鎖由来の可変結合領域を指す。特定の実施形態では、VLはκ(κ)クラス(本明細書では「VK」でもある)である。ある実施形態において、VLはλ(λ)クラスである。可変結合領域は、「相補性決定領域」(CDR)及び「フレームワーク領域」(FR)として知られる、離散的でよく定義されたサブ領域を含む。用語「相補性決定領域」及び「CDR」は、「超可変領域」又は「HVR」と同義であり、抗体可変領域内のアミノ酸の配列を指し、これらは、一般に、一緒になって、抗体の抗原特異性及び/又は結合親和性を付与し、ここで、連続するCDR(すなわち、CDR1及びCDR2、CDR2及びCDR3)は、フレームワーク領域によって一次構造において互いに分離される。各可変領域には3つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3;LCDR1、LCDR2、LCDR3;それぞれCDRH及びCDRLとも呼ばれる)がある。ある実施形態において、抗体VHは、以下の4つのFR及び3つのCDRを含む:FR1-HCDR1-FR2-HCDR2-FR3-HCDR3-FR4;及び抗体VLは、FR1-LCDR1-FR2-FLCDR2-FR3-LCDR3-FR4の4つのFR及び3つのCDRを含む。一般に、VHとVLは共に、それぞれのCDRを介して抗原結合部位を形成する。
本明細書中で使用される場合、CDRの「バリアント」とは、1~3個までのアミノ酸置換(例えば、保存的又は非保存的置換)、欠失、又はそれらの組み合わせを有するCDR配列の機能的バリアントをいう。
CDR及びフレームワーク領域の番号付けは、任意の公知の方法またはスキームにしたがってもよい。例えば、Kabat, Chothia, EU, IMGT, Contact, North, Martin, and AHo numbering schemes (see, e.g., Kabat et al., "Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept. Health and Human Services, Public Health Service National Institutes of Health, 1991, 5th ed.; Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987)); Lefranc et al., Dev. Comp. Immunol. 27:55, 2003; Honegger and Pluckthun, J. Mol. Bio. 309:657-670 (2001); North et al. J Mol Biol. (2011) 406:228-56; doi:10.1016/j.jmb.2010.10.030; Abhinandan and Martin, Mol Immunol. (2008) 45:3832-9. 10.1016/j.molimm.2008.05.022)である。等価な残基位置を注釈し、抗原受容体番号及び受容体分類(ANARCI)ソフトウェアツ-ル(2016,Bioinformatics 15:298-300)を用いて異なる分子について比較することができる。従って、1つのナンバリングスキ-ムに従って本明細書に提供される例示的な可変ドメイン(VH又はVL)配列のCDRの同定は、異なるナンバリングスキ-ムを用いて決定されるように、同じ可変ドメインのCDRを含む抗体を排除しない。ある実施形態において、Kabat、Chothia、EU、IMGT、Martin(強化Chothia)、Contact、North、及びAHoナンバリング方法を含む任意の既知のCDRナンバリング方法を用いて決定されるように、配列番号30、40、51、69、75、77、又は82のいずれか1つに従うVL配列の26、36、47、66、71、72、73、又は79のいずれか1つに従うVH配列のCDR及びVL配列のCDRを含む抗体又は抗原結合断片が提供される。ある実施形態において、CDRは、IMGT番号付け方法に従う。ある実施形態において、CDRは、化学計算グループ(CCG)によって開発された抗体番号付け方法に従っており;例えば、分子動作環境(MOE)ソフトウェア(www.chemcomp.com)を使用する。
ある実施形態において、CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、ならびにCDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体又は抗原結合断片が提供され、ここで、(i)CDRH1は、配列番号27、37、48、67、又は80のいずれか1つに従うアミノ酸配列を含み、又はそれからなる、1つ、2つ、又は3つの酸置換を含む配列バリアント、置換が任意に保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である1つ以上の置換である;(ii)CDRH2は、配列番号28、38、49、49、68、又は81のいずれか1項に従うアミノ酸配列、又はそれらの1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む配列バリアントを含み、又はそれからなり、それらの1つ以上の置換は、任意に保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である;(iii)CDRH3は、配列番号29、39、50のいずれか1項に従うアミノ酸配列を含み、又はそれからなる;1個、2個、若しくは3個のアミノ酸置換を含むそれらの配列バリアント、又はその1個若しくは複数の置換が任意で保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である;(iv)CDRL1は、配列番号31、41、52、70、76、78、若しくは83の何れか1つに従うアミノ酸配列、又はそれらの1個、2個、若しくは3個のアミノ酸置換を含むそれらの配列バリアントを含み、それらの1個若しくは複数の置換が任意で保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である;(v)CDRL2は、配列番号32、42、もしくは53のいずれか1つに従うアミノ酸配列、又はそれらの1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む配列バリアントを含み、もしくはそれからなり、そのうちの1以上の置換は任意に保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である;及び/又は(vi)CDRL3は、配列番号33、43、もしくは54のいずれか1つに従うアミノ酸配列、又はそれらの1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含む配列バリアントを含み、もしくはそれからなる。そのうちの1つ以上の置換は、任意に保存的置換であり、及び/又は生殖細胞にコードされたアミノ酸への置換であり、ここで、抗体又は抗原結合断片は、宿主細胞の細胞表面上及び/又はビリオン上に発現されているベータコロナウイルス又はベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができる。
ある実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、感染のインビトロモデル及び/又は感染のインビボ動物モデル及び/又はヒトにおけるベータコロナウイルスの感染を中和することができる。ある実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、感染のインビトロモデル及び/又は感染のインビボ動物モデル及び/又はヒトにおける1、2、3、4、又は5種類のベータコロナウイルスによる感染を中和することができる。
現在開示されている実施形態のいずれかにおいて、抗体又は抗原結合断片は、配列番号(i)それぞれ27~29及び31~33;(ii)それぞれ37~39及び41~43;(iii)それぞれ48~50及び52~54;(iv)それぞれ67、68及び29ならびに70、32及び33;(v)それぞれ、26、27、及び74ならびに31~33;(vi)それぞれ27~29ならびに76、32及び33;(vii)それぞれ27~29ならびに78、32および33;(viii)それぞれ80、81および50ならびに83、53および54によるCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3ミノ酸配列を含む。
ある実施形態において、本開示の抗体又は抗原結合断片は、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含み、ここで、各CDRは、表1に提供されるように、抗体420 1(抗体S2P6とも呼ばれる)、抗体420 2(抗体S2S8とも呼ばれる)、又は抗体S2S43の対応するCDR、又はその改変体抗体から独立して選択される。すなわち、表1に提供されるベータコロナウイルス抗体由来のCDRの全ての組合せ及びそのバリアント配列が意図される。
ある実施形態において、本開示の抗体又はその抗原結合断片は、配列番号26、36、47、66、71、72、73又は79のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号30、40、51、69、75、77又は82のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
ある実施形態において、本開示の抗体又は抗原結合断片は、配列番号26、36、47、66、71、72、73又は79のアミノ酸配列を含む2つの重鎖、及び配列番号30、40、51、69、75、77又は82のアミノ酸配列を含む2つの軽鎖を含む。
用語「CL」は、「免疫グロブリン軽鎖定常領域」又は「軽鎖定常領域」、すなわち抗体軽鎖由来の定常領域を指す。用語「CH」は、「免疫グロブリン重鎖定常領域」又は「重鎖定常領域」を指し、抗体アイソタイプに応じて、CH1、CH2、及びCH3(IgA、IgD、IgG)、又はCH1、CH2、CH3、及びCH4ドメイン(IgE、IgM)にさらに分割可能である。抗体重鎖のFc領域は、本明細書にさらに記載される。現在開示されている実施形態のいずれにおいても、本開示の抗体又は抗原結合断片は、CL、CH1、CH2、及びCH3のいずれか1つ以上を含む。ある実施形態において、CLは、配列番号8又は配列番号9のアミノ酸配列と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、CH1-CH2-CH3は、配列番号6又は配列番号7のアミノ酸配列と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一性を有するアミノ酸配列を含む。
例えば、哺乳動物細胞株における生産は、抗体重鎖の1以上のC末端リジンを除去することができることが理解されるであろう(例えば、LiuらのmAbs 6(5):1145-1154(2014)を参照されたい)。従って、本開示の抗体又は抗原結合断片は、C末端リジン残基が存在するか又は存在しない重鎖、CH1-CH3、CH3、又はFcポリペプチドを含むことができ、換言すれば、重鎖、CH1-CH3、又はFcポリペプチドのC末端残基がリジンでない実施形態、及びリジンがC末端残基である実施形態を包含する。ある実施形態において、組成物は、本開示の複数の抗体及び/又は抗原結合断片を含み、ここで、1以上の抗体又は抗原結合断片は、重鎖、CH1-CH3、又はFcポリペプチドのC末端におけるリジン残基を含まず、1以上の抗体又は抗原結合断片は、重鎖、CH1-CH3、又はFcポリペプチドのC末端におけるリジン残基を含む。
「Fab」(断片抗原結合)は、抗原に結合する抗体の一部であり、鎖間ジスルフィド結合を介して軽鎖に連結された重鎖の可変領域及びCH1を含む。各Fab断片は、抗原結合に関して一価である、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理は、2価の抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合Fab断片にほぼ対応し、抗原を架橋することができる単一の大きなF(ab’)2断片を生じる。Fab及びF(ab’)2はいずれも、「抗原結合断片」の例である。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端にさらなる少数の残基を有することによって、Fab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオ-ル基を有するFab’についての本明細書中の呼称である。F(ab’)2抗体断片は、元来、それらの間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生された。抗体断片の他の化学的カップリングもまた公知である。
Fab断片は、例えば、ペプチドリンカーによって連結されて、本明細書において「scFab」とも呼ばれる単一鎖Fabを形成することができる。これらの実施形態において、天然Fabに存在する鎖間ジスルフィド結合は存在し得ず、リンカーは、全部又は一部が、単一のポリペプチド鎖中のFab断片を連結又は連結するために役立つ。重鎖由来Fab断片(例えば、VH+CH1、又は「Fd」からなる、又は本質的にVH+CH1、又は「Fd」からなる、又はそれからなる)及び軽鎖由来Fab断片(例えば、VL+CLからなる、又は本質的にVL+CLからなる、又はそれからなる)を、任意の配置で連結して、scFabを形成することができる。例えば、scFabは、(重鎖Fab断片-リンカー-軽鎖Fab断片)又は(軽鎖Fab断片-リンカー-重鎖Fab断片)に従って、N末端からC末端方向に配列され得る。scFabで使用するためのペプチドリンカー及び例示的リンカー配列は、本明細書においてさらに詳細に議論される。
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含む小さな抗体断片である。この断片は、一般に、1つの重鎖及び1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなり、強固で非共有結合的に結合している。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、抗原を認識し、結合する能力を有するが、典型的には、結合部位全体よりも低い親和性である。
「一本鎖Fv」は、「sFv」又は「scFv」とも略されるが、単一のポリペプチド鎖に連結されたV及びV抗体ドメインを含む抗体断片である。いくつかの実施形態において、scFvポリペプチドは、VドメインとVドメインの間に配置され、Vドメインを連結するポリペプチドリンカーを含み、これにより、scFvが抗原結合のための所望の構造を保持又は形成することが可能となる。このようなペプチドリンカーは、当技術分野で周知の標準技術を用いて融合ポリペプチドに組み込むことができる。scFvのレビュ-については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994); Borrebaeck 1995を参照されたい。ある実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、VHドメイン、VLドメイン、及びVHドメインをVLドメインにリンキングするペプチドリンカーを含むscFvを含む。特定の実施形態では、scFvは、VH-リンカー-VL配向又はVL-リンカー-VH配向であり得るペプチドリンカーによってVLドメインに連結されたVHドメインを含む。本開示の任意のscFvは、VLドメインのC末端が短いペプチド配列によりVHドメインのN末端に連結されるように、又はその逆(すなわち、(N)VL(C)-リンカー-(N)VH(C)又は(N)VH(C)-リンカー-(N)VL(C))に連結されるように操作することができる。あるいは、いくつかの実施形態において、リンカーは、VHドメイン、VLドメイン、又はその両方のN末端部分又は末端に連結されてもよい。
ペプチドリンカー配列は、例えば、(1)可撓性伸長コンホメ-ションを採用するそれらの能力;(2)第1及び第2のポリペプチド上の機能的エピトープ及び/又は標的分子上の機能的エピトープと相互作用し得る二次構造を採用する能力の欠如又は欠如;及び/又は(3)ポリペプチド及び/又は標的分子と反応し得る疎水性残基又は荷電残基の欠如又は相対的欠如に基づいて選択され得る。リンカー設計に関する他の考慮事項(例えば、長さ)は、VH及びVLが機能的抗原結合部位を形成し得るコンホメ-ション又はコンホメ-ションの範囲を含み得る。ある実施形態において、ペプチドリンカー配列は、例えば、Gly、Asn及びSer残基を含む。Thr及びAlaのような他の中性に近いアミノ酸もリンカー配列に含まれ得る。リンカーとして有用に使用され得る他のアミノ酸配列には、Maratea et al., Gene 40:39 46 (1985); Murphy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8258 8262 (1986); U.S. Pat. No. 4,935,233, and U.S. Pat. No. 4,751,180に開示されているものが含まれる。リンカーの他の例示的及び非限定的な例としては、例えば、Glu-Gly-Lys-Ser-Ser-Gly-Ser-Gly-Ser-Glu-Ser-Lys-Val-Asp(配列番号19)(Chaudhary et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1066-1070 (1990))、およびLys-Glu-Ser-Gly-Ser-Val-Ser-Ser-Glu-Gln-Leu-Ala-Gln-Phe-Arg-Ser-Leu-Asp(配列番号20)(Bird et al., Science 242:423-426 (1988))および五量体Gly-Gly-Gly-Gly-Ser(配列番号21)(1回の繰り返し又は1~5回以上の繰り返しで存在する場合)、例えば、配列番号17を参照されたい。任意の適切なリンカーを使用することができ、一般的には、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、21、22、15、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、70、90、100アミノ酸長、又は約200アミノ酸長未満であり得、可撓性構造(リンカーによって連結された2つの領域ードメイン、モチーフ、断片、又はモジュール間のコンホメ-ション移動のための柔軟性及び余地を提供し得る)を含むことができ、好ましくは、生物学的に不活性であり、及び/又はヒトにおける免疫原性のリスクが低いであろう。例示的なリンカーは、配列番号10~21のいずれか1つ以上に記載されるアミノ酸配列を含むもの、又はそれからなるものを含む。ある実施形態において、リンカーは、配列番号10-21のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも75%(すなわち、少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
scFvは、VH及びVL配列の任意の組合せ、又は本明細書に開示されているCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3配列の任意の組合せを用いて構築することができる。
ある実施形態において、リンカー配列は必要ではない;例えば、第1及び第2のポリペプチドが、機能ドメインを分離し、立体障害を防止するために使用することができる非必須のN末端アミノ酸領域を有する場合。
抗体の発達中に、生殖細胞系列変数(V)、連結(J)、及び多様性(D)遺伝子座のDNAが再編成され、コード配列中のヌクレオチドの挿入及び/又は欠失が起こり得る。体細胞突然変異は、得られた配列によってコードされ得、対応する既知の生殖細胞系配列を参照することによって同定され得る。いくつかの文脈において、抗体の所望の特性(例えば、SARS-CoV-2抗原への結合)に重要ではない体細胞突然変異、又は抗体に望ましくない特性(例えば、抗体を投与された対象において免疫原性のリスクの増大)を与える体細胞突然変異、又はその両方は、対応する生殖細胞系にコードされたアミノ酸、又は異なるアミノ酸で置き換えられ得、その結果、抗体の望ましい特性が改良又は維持され、抗体の望ましくない特性が減少又は抑制される。従って、いくつかの実施形態において、本開示の抗体又は抗原結合断片は、親抗体又は抗原結合断片と比較して、可変領域において、親抗体又は抗原結合断片が1つ以上の体細胞突然変異を含む場合、少なくとも1つ以上の生殖細胞系にコードされたアミノ酸を含む。本開示の例示的な抗ベータコロナウイルス抗体の可変領域及びCDRアミノ酸配列は、本明細書の表1に提供される。
ある実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、酸化、脱アミド化、及び/又は異性化の望ましくないリスクを除去するためのアミノ酸修飾(例えば、置換突然変異)を含む。
また、本明細書では、現在開示されている(「親」)抗体と比較して、可変領域(例えば、VH、VL、フレームワーク又はCDR)における1以上のアミノ酸改変を含む改変体抗体も提供され、ここで、改変体抗体はSARS-CoV-2抗原に結合することができる。
ある実施形態において、VHは、配列番号26、36、47、66、71、72、73、及び79のいずれか1つに従うアミノ酸配列と少なくとも85%(すなわち、85%、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%)同一性を有するアミノ酸配列を含み、又はそれからなり、ここで、変異は、任意に、1以上のフレームワーク領域に限定され、及び/又は変異は、生殖細胞系にコードされるアミノ酸への1以上の置換を含む。及び/又は(ii)VLは、配列番号30、40、51、69、75、77、及び82のいずれか1つに従うアミノ酸配列と少なくとも85%(すなわち、85%、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%)同一性を有するアミノ酸配列を含み、又はそれからなり、ここで、変異は、場合により、1以上のフレームワーク領域に限定され、及び/又は変異は、生殖細胞系にコードされるアミノ酸への1以上の置換を含む。
ある実施形態において、VHは、表1に示される任意のVHアミノ酸配列を含み、又はそれからなり、VLは、表1に示される任意のVLアミノ酸配列を含み、又はそれからなる。特定の実施形態では、VH及びVLは、配列番号(i)それぞれ26及び30;(ii)それぞれ26及び69;(iii)それぞれ26及び75;(iv)それぞれ26及び77;(v)それぞれ66及び69;(vi)それぞれ66及び30;(vii)それぞれ66及び75;(viii)それぞれ66及び77;(ix)それぞれ71及び30;(x)それぞれ71及び69;(xi)それぞれ71及び75;(xii)それぞれ71及び77;(xiii)それぞれ72及び30;(xiv)それぞれ72及び69;(xv)それぞれ72及び75;(xvi)それぞれ72及び77;(xvii)それぞれ73及び30;(xviii)それぞれ73及び69;(xix)それぞれ73及び75;(xx)それぞれ73及び77;(xxi)それぞれ36及び40;(xxii)それぞれ47及び51;(xxiii)それぞれ47及び82;(xiv)それぞれ79及び82、または(xv)それぞれ79及び51によるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
特定の実施形態では、VH及びVLは、配列番号(i)それぞれ26及び30;(ii)それぞれ26及び69;(iii)それぞれ26及び75;(iv)それぞれ26及び77;(v)それぞれ66及び69;(vi)それぞれ66及び30;(vii)それぞれ66及び75;(viii)それぞれ66及び77;(ix)それぞれ71及び30;(x)それぞれ71及び69;(xi)それぞれ71及び75;(xii)それぞれ71及び77;(xiii)それぞれ72及び30;(xiv)それぞれ72及び69;(xv)それぞれ72及び75;(xvi)それぞれ72及び77;(xvii)それぞれ73及び30;(xviii)それぞれ73及び69;(xix)それぞれ73及び75;(xx)それぞれ73及び77;(xxi)それぞれ36及び40;(xxii)それぞれ47及び51;(xxiii)それぞれ47及び82;(xiv)それぞれ79及び82、または(xv)それぞれ79及び51と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
いくつかの実施形態において、(1)CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含むVH、ならびに(2)CDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含むVLを含む抗体又は抗原結合断片が提供され、ここで、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、配列番号(i)それぞれ26および30;(ii)それぞれ36および40;(iii)それぞれ47および50;(iv)それぞれ66および69;(v)それぞれ71および30;(vii)それぞれ72および30;(viii)それぞれ73および30;(ix)それぞれ26および69;(x)それぞれ71および69;(xi)それぞれ72および69;(xii)それぞれ73および69;(xiii)それぞれ26および75;(xiv)それぞれ26および77;(xv)それぞれ66および75;(xvi)それぞれ66および77;(xvii)それぞれ73および75;(xviii)それぞれ73および77,respectively;(xix)それぞれ72および75;(xx)それぞれ72および77;(xxi)それぞれ36および40;(xxii)それぞれ47および51;(xxiii)それぞれ47および82;(xxiv)それぞれ47および82;(xxv)それぞれ79および51;または(xxvi)それぞれ79および82に示されるVHおよびVLアミノ酸配列に従う。
いくつかの実施形態において、CDRは、IMGT番号付けシステムに従う。いくつかの実施形態において、CDRは、Kabat番号付けシステムに従う。いくつかの実施形態において、CDRは、チョッチア番号付けシステムに従う。いくつかの実施形態において、CDRは、AHoナンバリングシステムに従う。いくつかの実施形態において、CDRは、ノ-スナンバリングシステムに従う。いくつかの実施形態において、CDRは、マーチンナンバリングシステムに従う。
ある実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、IgG、IgA、IgM、IgE、又はIgDアイソタイプである。いくつかの実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、ヒト、ヒト化、又はキメラである。
いくつかの実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、ヒト抗体、モノクローナル抗体、精製抗体、単鎖抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、又はscFabを含む。
ある実施形態において、本開示の抗体又は抗原結合断片は、単特異的(例えば、単一のエピトープに結合する)であるか、又は多特異的(例えば、複数のエピトープ及び/又は標的分子に結合する)である。抗体及び抗原結合断片は、種々のフォーマットで構築することができる。例示的な抗体フォーマットがSpiess et al., Mol. Immunol. 67(2):95 (2015)、およびBrinkmann and Kontermann, mAbs 9(2):182-212 (2017)に開示され、これを作製するフォーマット及び方法は、参照により本明細書に援用され、例えば、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、DART、Knobs-Into-Holes(KIH)アセンブリ、scFv-CH3-KIHアセンブリ、KIH共通軽鎖抗体、TandAb、トリプルボディ、TriBiミニボディ、Fab-scFv、scFv-CH-CL-scFv、F(ab’)2-scFv2、四価HCab、イントラボディ、クロスマブ、デュアル クションFab(DAF)(ツーインワンまたはフォーインワン)、DutaMab、DT-IgG、チャージペア、Fabアーム交換、SEEDボディ、Triomab、LUZ-Yアセンブリ、Fcab、κλボディ、直交Fab、DVD-Ig(例えば、米国特許第8,258,268号、このフォーマットはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、IgG(H)-scFv、scFv-(H)IgG、IgG(L)-scFv、scFv-(L)IgG、IgG(L,H)-Fv、IgG(H)-V、V(H)-IgG、IgG(L)-V、V(L)-IgG、KIH IgG-scFab、2scFv-IgG、IgG-2scFv、scFv4-Ig、Zybody、およびDVI-IgG(フォーインワン)、ならびにいわゆるFIT-Ig(例えば、PCT公開番号WO2015/103072、これらのフォーマットはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、いわゆるWuxiBodyフォーマット(例えば、PCT公開番号WO2019/057122、このフォーマットはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、いわゆるIn-Elbow-Insert Igフォーマット(IEI-Ig;例えば、PCT公開番号WO2019/024979およびWO2019/025391、これらのフォーマットはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を含む。
ある実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、2つ以上のVHドメイン、2つ以上のVLドメイン、又は両方(すなわち、2つ以上のVHドメイン及び2つ以上のVLドメイン)を含む。特定の実施形態では、抗原結合断片は、フォ-マット(N末端からC末端方向)VH-リンカー-VL-リンカー-VH-リンカー-VLを含み、ここで、2つのVH配列は同一又は異なることができ、2つのVL配列は同一又は異なることができる。そのような連結scFvは、所定の標的に結合するように配列されたVH及びVLドメインの任意の組み合わせを含み得、2つ以上のVH及び/又は2つ以上のVL、1つ、2つ、又は複数の異なるペプチド又は抗原を含むフォ-マットで結合され得る。複数の抗原結合ドメインを組み込んだフォ-マットは、任意の組み合わせ又は方向のVH及び/又はVL配列を含み得ることが理解されるであろう。例えば、抗原結合断片は、フォ-マットVL-リンカー-VH-リンカー-VL-リンカー-VH、VH-リンカー-VL-リンカー-VH、又はVL-リンカー-VH-リンカー-VH-リンカー-VLを含むことができる。
構築された本開示の単特異的又は多特異的抗体又は抗原結合断片は、本明細書に開示されたVH及びVL配列、及び/又はCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3配列の任意の組合せを含む。二特異的又は多特異的抗体又は抗原結合断片は、いくつかの実施形態において、本開示の1つ、2つ、又はそれ以上の抗原結合ドメイン(例えば、VH及びVL)を含むことができる。同一又は異なるベータコロナウイルスエピトープに結合する2つ以上の結合ドメイン、及び本明細書に提供される二特異的又は多特異的抗体又は抗原結合断片は、いくつかの実施形態において、さらなるSARS-CoV-2結合ドメインを含むことができ、及び/又は異なる抗原又は病原体に完全に結合する結合ドメインを含むことができる。
現在開示されている実施形態のいずれにおいても、抗体又は抗原結合断片は、多特異的、例えば、二重特異的、三重特異的などであり得る。
ある実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、(i)第1のVH及び第1のVL;ならびに(ii)第2のVH及び第2のVHが異なり、かつ各々が配列番号26、36、47、66、71、72のいずれかに記載されるアミノ酸配列との少なくとも85%(すなわち、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、99%、又は100%)同一性を有するアミノ酸配列を独立して含む、第1のVH及び第2のVLを含む。第1のVL及び第2のVLは異なるが、第1のVL及び第2のVLは、配列番号30、40、51、69、75、77及び82のいずれかに記載されるアミノ酸配列と少なくとも85%(すなわち、85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、99%、又は100%)同一性を有し、第1のVH及び第1のVLは共に第1の抗原結合部位を形成し、第2のVH及び第2のVLは共に第2の抗原結合部位を形成するアミノ酸配列をそれぞれ独立して含む。
ある実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、Fcポリペプチド、又はその断片を含む。Fcポリペプチド、Fc二量体、又はFcの断片は、Fc部分とも呼ばれ得る。「Fc」断片又はFcポリペプチドは、ジスルフィドによって一緒に保持された両方の抗体H鎖のカルボキシ末端部分(すなわち、IgGのCH2及びCH3ドメイン)を含む。抗体「エフェクタ-機能」とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異型Fc領域)に起因する生物学的活性を指し、抗体アイソタイプによって変化する。抗体エフェクタ-機能の例には、C1q結合及び補体依存性細胞傷害性;Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレ-ション;及びB細胞活性化が含まれる。本明細書中で議論されるように、Fc含有ポリペプチド(例えば、本開示の抗体)の1以上の機能性を修飾(例えば、改良、還元、又は除去)するために、改変(例えば、アミノ酸置換)をFcドメインに行うことができる。そのような機能には、例えば、Fc受容体(FcR)結合、抗体半減期調節(例えば、FcRnへの結合による)、ADCC機能、プロテインA結合、プロテインG結合、及び補体結合が含まれる。Fc官能基を修飾するアミノ酸修飾(例えば、改良、還元、又は除去)としては、例えば、
T250Q/M428L、M252Y/S254T/T256E、H433K/N434F、M428L/N434S、E233P/L234V/L235A/G236+A327G/A330S/P331S、E333A、S239D/A330L/I332E、P257I/Q311、K326W/E333S、S239D/I332E/G236A、N297Q、K322A、S228P、L235E+E318A/K320A/K322A、L234A/L235A(本明細書では「LALA」とも呼ばれる)、およびL234A/L235A/P329G突然変異が含まれ、これらの突然変異は、InvivoGen(2011)によって出版され、オンラインでinvivogen.com/PDF/review/review-Engineered-Fc-Regions-invivogen.pdf?utm_source=review&utm_medium=pdf&utm_ campaign=review&utm_content=Engineered-Fc-Regions(参照により本明細書に援用される)で利用可能である「Engineered Fc Regionals」に要約および注釈が付けられている。
例えば、補体カスケードを活性化するために、C1qタンパク質複合体は、免疫グロブリン分子が抗原標的に結合する場合、少なくとも2分子のIgG1又は1分子のIgMに結合することができる(Ward, E. S., and Ghetie, V., Ther. Immunol. 2 (1995) 77-94)。Burton,D.R.は、アミノ酸残基318~337を含む重鎖領域が補体結合に関与していることを報告した(Mol. Immunol. 22 (1985) 161-206)。Duncan,A.R.およびWinter,G.(Nature 332 (1988) 738-740)は、部位特異的突然変異誘発を用いて、Glu318、Lys320及びLys322がC1qへの結合部位を形成することを報告した。C1qの結合におけるGlu318、Lys320及びLys 322残基の役割は、これらの残基を含む短い合成ペプチドが補体媒介溶解を阻害する能力によって確認された。
例えば、FcR結合は、Fc部分(抗体の)と、造血細胞を含む細胞上の特殊化した細胞表面受容体であるFc受容体(FcR)との相互作用によって媒介され得る。Fc受容体は免疫グロブリンスーパーファミリーに属し、抗体依存性細胞傷害性(ADCC; Van de Winkel, J. G., and Anderson, C. L., J. Leukoc. Biol. 49 (1991) 511-524)を介して、免疫複合体の食作用による抗体被覆病原体の除去、及び対応する抗体で被覆された赤血球及び種々の他の細胞標的(例えば、腫瘍細胞)の溶解の両方を媒介することが示されている。FcRは免疫グロブリンクラスに対する特異性によって定義され、IgG抗体に対するFc受容体はFcγR、IgEはFcεR、IgAはFcαRなどと呼ばれ、新生児Fc受容体はFcRnと呼ばれる。Fc受容体結合は、例えば、Ravetch, J. V., and Kinet, J. P., Annu. Rev. Immunol. 9 (1991) 457-492; Capel, P. J., et al., Immunomethods 4 (1994) 25-34; de Haas, M., et al., J Lab. Clin. Med. 126 (1995) 330-341; and Gessner, J. E., et al., Ann. Hematol. 76 (1998) 231-248に記載されている。
天然IgG抗体(FcγR)のFcドメインによる受容体の架橋は、食作用、抗体依存性細胞傷害、及び炎症性メディエ-タ-の放出、ならびに免疫複合体クリアランス及び抗体産生の調節を含む広範なエフェクタ-機能を誘発する。受容体(例えば、FcγR)の架橋を提供するFc部分は、本明細書において意図される。ヒトにおいて、3つのクラスのFcγRが現在までに特徴付けられている:(i)高親和性で単量体IgGに結合し、マクロファージ、単球、好中球及び好酸球上に発現されるFcγRI(CD64);(ii)中程度から低親和性で複合体化IgGに結合するFcγRII(CD32)は、特に白血球上で広く発現され、抗体媒介性免疫の中心的役割を果たすと考えられ、免疫系において異なる機能を果たすがIgG-Fcに類似した低親和性で結合するFcγRIIA、FcγRIIB及びFcγRIICに分けることができるが、(iii)FcγRIII(CD16);IgGは中~低親和性で結合し、NK細胞、マクロファージ、好酸球、一部の単球及びT細胞上に見出され、ADCCを媒介すると考えられているFcγRIIIA、及び好中球上に高度に発現するFcγRIIIBの2つの形態で見出されている。
FcγRIIAは、殺傷に関与する多くの細胞(例えば、マクロファージ、単球、好中球)に見出され、殺傷プロセスを活性化することができるようである。FcγRIIBは抑制過程に関与しているようであり、B細胞、マクロファージ、肥満細胞及び好酸球にみられる。重要なことに、全てのFcγRIIBの75%が肝臓に見出されることが示されている(Ganesan, L. P. et al., 2012: “FcγRIIb on liver sinusoidal endothelium clears small immune complexes,” Journal of Immunology 189: 4981-4988)。FcγRIIBは、LSECと呼ばれる肝類洞内皮上に豊富に発現され、肝臓及びLSEC中のクッパ-細胞においては、小さな免疫複合体クリアランスの主要部位である(Ganesan, L. P. et al., 2012: FcγRIIb on liver sinusoidal endothelium clears small immune complexes. Journal of Immunology 189: 4981-4988)。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示された抗体及びその抗原結合断片は、FcγRIIb、特にFc領域、例えばIgG型抗体に結合するためのFcポリペプチド又はその断片を含む。さらに、Chu, S. Y. et al., 2008: Inhibition of B cell receptor-mediated activation of primary human B cells by coengagement of CD19 and FcgammaRIIb with Fc-engineered antibodies. Molecular Immunology 45, 3926-3333に記載されるように、突然変異S267E及びL328Fを導入することによって、Fc部分を操作してFcγRIIB結合を増強することが可能である。そこで、免疫複合体のクリアランスを増強することができる(Chu, S., et al., 2014: Accelerated Clearance of IgE In Chimpanzees Is Mediated By Xmab7195, An Fc-Engineered Antibody With Enhanced Affinity For Inhibitory Receptor FcγRIIb. Am J Respir Crit, American Thoracic Society International Conference Abstracts)。いくつかの実施形態において、本開示の抗体又はその抗原結合断片は、特にChu, S. Y. et al., 2008: Inhibition of B cell receptor-mediated activation of primary human B cells by coengagement of CD19 and FcgammaRIIb with Fc-engineered antibodies. Molecular Immunology 45, 3926-3933に記載されるように、突然変異S267E及びL328Fを有する操作されたFc部分を含む。
B細胞において、FcγRIIBは、さらなる免疫グロブリン産生及び例えばIgEクラスへのイソタイプスイッチを抑制するために機能し得る。マクロファージでは、FcγRIIBは、FcγRIIAを介した食作用を阻害すると考えられている。好酸球及び肥満細胞では、B型は、IgEが別の受容体に結合することによって、これらの細胞の活性化を抑制するのを助けている可能性がある。
FcγRI結合に関しては、E233-G236、P238、D265、N297、A327及びP329の少なくとも1つの天然IgGにおける修飾は、FcγRIへの結合を減少させる。位置233~236にあるIgG2残基は、対応する位置IgG1及びIgG4に置換され、10-foldによるIgG1及びIgG4のFcγRIへの結合を減少させ、抗体感作赤血球に対するヒト単球反応を排除した(Armour, K. L., et al. Eur. J. Immunol. 29 (1999) 2613-2624)。
FcγRII結合に関しては、FcγRIIAに対する減少した結合が、例えば、E233-G236、P238、D265、N297、A327、P329、D270、Q295、A327、R292及びK414の少なくとも1つのIgG突然変異について見出される。
ヒトFcγRIIAの2つの対立遺伝子型は、高親和性でIgG1 Fcに結合する「H131」バリアントと、低親和性でIgG1 Fcに結合する「R131」バリアントである。例えば、Bruhns et al., Blood 113:3716-3725 (2009)を参照されたい。
FcγRIII結合に関して、FcγRIIIAへの減少した結合は、例えば、E233-G236、P238、D265、N297、A327、P329、D270、Q295、A327、S239、E269、E293、Y296、V303、A327、K338及びD376の少なくとも1つの突然変異について見出される。ヒトIgG1上のFc受容体に対する結合部位、上述の突然変異部位、及びFcγRI及びFcγRIIAへの結合を測定する方法のマッピングは、Shields, R. L., et al., J. Biol. Chem. 276 (2001) 6591-6604に記載されている。
ヒトFcγRIIIAの2つの対立遺伝子型は、低親和性でIgG1 Fcに結合する「F158」バリアント及び高親和性でIgG1 Fcに結合する「V158」バリアントである。例えば、Bruhns et al., Blood 113:3716-3725 (2009)を参照されたい。
FcγRIIへの結合に関して、天然IgG Fcの2つの領域、すなわち、(i)IgG Fcの下部ヒンジ部位、特にアミノ酸残基L、L、G、G(EU番号付け234~237)、および(ii)IgG FcのCH2ドメインの隣接領域、特に下部ヒンジ領域に隣接する上部CH2ドメインのループおよび鎖、例えば、P331の領域内(Wines, B.D., et al., J. Immunol. 2000; 164: 5313 - 5318)である。さらに、FcγRIはIgG Fc上の同じ部位に結合するようであり、一方、FcRn及びプロテインAはIgG Fc上の異なる部位に結合し、これはCH2-CH3界面にあるようである(Wines, B.D., et al., J. Immunol. 2000; 164: 5313 - 5318)。
また、本開示のFcポリペプチド又はその断片の(すなわち、1以上の)Fcγ受容体に対する結合親和性を増大させる突然変異(例えば、参照Fcポリペプチド又はその断片と比較した場合、又は突然変異を含まないものを含有する突然変異)も意図される。例えば、Delillo and Ravetch, Cell 161(5):1035-1045 (2015) and Ahmed et al., J. Struc. Biol. 194(1):78 (2016)を参照されたい。Fc突然変異及び技術は、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、抗体又は抗原結合断片は、G236A;S239D;A330L;及びI32Eから選択される突然変異を含むFcポリペプチド又はその断片;又はそれらのいずれかの2つ以上を含む組み合わせ;例えば、S239D/I32E;S239D/A330L/I32E;G236A/S239D/I32E;G236A/A330L/I32E(本明細書では「GAALIE」とも言う);又はG236A/S239D/A330L/I32Eを含む組み合わせを含むことができる。ある実施形態において、Fcポリペプチド又はその断片は、S239Dを含まない。
ある実施形態において、Fcポリペプチド又はその断片は、FcRn結合に関与するFcポリペプチド又はその断片の少なくとも一部を含んでもよく、又はそれからなってもよい。ある実施形態において、Fcポリペプチド又はその断片は、FcRnに対する結合親和性を改善する(例えば、約6.0のpHで)1以上のアミノ酸修飾を含み、それにより、いくつかの実施形態において、Fcポリペプチド又はその断片を含む分子のインビボ半減期を延長する(例えば、参照Fcポリペプチド又はその断片と比較して、さもなければ同じであるが修飾を含まない)。ある実施形態において、Fcポリペプチド又はその断片は、IgG Fcを含み、又はIgG Fcから誘導され、半減期延長突然変異は、M428L;N434S;N434H;N434A;N434S;M252Y;S254T;T256E;T250Q;P257I;Q311I;D376V;T307A;E380A(EU番号)のいずれか1つ以上を含む。ある実施形態において、半減期延長突然変異は、M428L/N434S(本明細書では「MLNS」とも呼ばれる)を含む。ある実施形態において、半減期延長突然変異は、M252Y/S254T/T256Eを含む。ある実施形態において、半減期延長突然変異は、T250Q/M428Lを含む。ある実施形態において、半減期延長突然変異は、P257I/Q311Iを含む。ある実施形態において、半減期延長突然変異は、P257I/N434Hを含む。ある実施形態において、半減期延長突然変異は、D376V/N434Hを含む。ある実施形態において、半減期延長突然変異は、T307A/E380A/N434Aを含む。
ある実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、置換突然変異M428L/N434Sを含むFc部分を含む。いくつかの実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、置換mtug G236A/A330L/I32Eを含むFcポリペプチド又はその断片を含む。ある実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、G236A突然変異、A330L突然変異、及びI32E突然変異(GAALIE)を含む(例えば、IgG)Fc部分を含み、S239D突然変異を含まない(例えば、位置239における天然Sを含む)。特定の実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、置換変異:M428L/N434S及びG236A/A330L/I32Eを含み、任意選択的にS239Dを含まないFcポリペプチド又はその断片を含む。ある実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、置換突然変異:M428L/N434S及びG236A/S239D/A330L/I32Eを含むFcポリペプチド又はその断片を含む。
ある実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、グリコシル化を変化させる突然変異を含み、ここで、グリコシル化を変化させる突然変異は、N297A、N297Q、又はN297Gを含み、及び/又は抗体又は抗原結合断片は、部分的又は完全にアグリコシル化され、及び/又は部分的又は完全にアフコシル化される。宿主細胞株及び部分的又は完全にアグリコシル化された、又は部分的又は完全にアフコシル化された抗体及び抗原結合断片を作製する方法が公知である(例えば、PCT公開番号WO 2016/181357; Suzuki et al. Clin. Cancer Res. 13(6):1875-82 (2007); Huang et al. MAbs 6:1-12 (2018)を参照されたい)。
ある実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、抗体又は抗原結合断片の検出可能なレベルが対象中に見出されない場合(すなわち、抗体又は抗原結合断片が投与後に対象から除去された場合)であっても、対象においてインビボで継続的な保護を引き出すことができる。このような防御は、本明細書ではワクチン効果と呼ばれる。理論に拘束されることを望まないが、樹状細胞は、抗体及び抗原の複合体を内部化し、その後、抗原に対する内因性免疫応答を誘導又は寄与することができると考えられる。ある実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、例えば、抗原に対するT細胞免疫を誘導し得る樹状細胞を活性化することができる、G236A、A330L、及びI32Eを含むFcにおける突然変異などの1以上の修飾を含む。
現在開示されている実施形態のいずれかにおいて、抗体又は抗原結合断片は、CH2(又はその断片、CH3(又はその断片)、又はCH2及びCH3を含む、Fcポリペプチド又はその断片を含み、ここで、CH2、CH3、又はその両方は、任意のアイソタイプであり得、対応する野生型CH2又はCH3と比較して、それぞれアミノ酸置換又は他の修飾を含み得る。ある実施形態において、本開示のFcポリペプチドは、二量体を形成するために会合する2つのCH2-CH3ポリペプチドを含む。
現在開示されている実施形態のいずれにおいても、抗体又は抗原結合断片はモノクローナルであり得る。用語「モノクローナル抗体」(mAb)は、本明細書中で使用される場合、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体、すなわち、集団を含む個々の抗体は、ある場合には少量で存在し得る可能性のある天然に存在する突然変異を除いて、同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に対して指向される。さらに、異なるエピトープに対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原の単一のエピトープに対して向けられる。モノクローナル抗体は、その特異性に加えて、他の抗体によって汚染されずに合成され得るという点で有利である。用語「モノクローナル」は、いかなる特定の方法によっても抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明において有用なモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature 256:495 (1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって調製することができ、または細菌、真核動物、または植物細胞における組換えDNA法を使用して作製することができる(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)。モノクローナル抗体はまた、Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991)およびMarks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991)に記載される技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離してもよい。モノクローナル抗体は、PCT公開番号WO2004/076677A2に開示されている方法を使用して得ることもできる。
本開示の抗体および抗原結合断片には、所望の生物活性を示す限り、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来する抗体、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同である一方、鎖の残りの部分は、別の種に由来する抗体、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、ならびにそのような抗体の断片の対応する配列と同一または相同である「キメラ抗体」が含まれる(U.S. Pat. Nos. 4,816,567; 5,530,101 and 7,498,415; and Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984)参照)。例えば、キメラ抗体は、ヒト残基および非ヒト残基を含み得る。さらに、キメラ抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体には見出されない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体の性能をさらに改良するために行われます。さらなる詳細については、Jones et al., Nature 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988); and Presta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照されたい。キメラ抗体には、霊長類化抗体およびヒト化抗体も含まれる。
「ヒト化抗体」は、一般に、ヒト以外の供給源から導入された1つ以上のアミノ酸残基を有するヒト抗体であると考えられる。これらの非ヒトアミノ酸残基は、典型的には可変ドメインから取られる。ヒト化は、ヒト抗体の対応する配列に対して非ヒト可変配列を置換することによって、Winter及び共同研究者(Jones et al., Nature, 321:522-525 (1986); Reichmann et al., Nature, 332:323-327 (1988); Verhoeyen et al., Science, 239:1534-1536 (1988))の方法に従って行うことができる。したがって、そのような「ヒト化」抗体は、無傷のヒト可変ドメインより実質的に少ない部分が非ヒト種由来の対応する配列によって置換されているキメラ抗体(米国特許第4,816,567号、第5,530,101号および第7,498,415号)である。場合によっては、「ヒト化」抗体は、非ヒト細胞または動物によって産生され、ヒト配列、例えば、HCドメインを含む抗体である。
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生される抗体中に存在する配列のみを含む抗体である。しかしながら、本明細書中で使用する場合、ヒト抗体は、天然に存在するヒト抗体(例えば、ヒトから単離された抗体)中に見出されない残基又は修飾を含み得、それらの修飾及び本明細書中に記載される改変体配列を含む。これらは、典型的には、抗体性能をさらに改良又は増強するために作られる。場合によっては、ヒト抗体はトランスジェニック動物によって産生される。例えば、米国特許第5,770,429号、第6,596,541号及び第7,049,426号を参照されたい。
ある実施形態において、本開示の抗体又は抗原結合断片は、キメラ、ヒト化、又はヒトである。
ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞
別の実施形態では、本開示は、現在開示されている抗体のいずれか、又はその抗原結合断片、又はその一部(例えば、CDR、VH、VL、重鎖、又は軽鎖)をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
ある実施形態において、ポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸又はリボ核酸を含み、ここで、RNAは、任意にメッセンジャ-RNAを含む。
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオシド、cap-1構造、cap-2構造、又はそれらの任意の組合せを含む。ある実施形態において、ポリヌクレオチドは、プソイドウリジン、N6-メチルアデノンシン、5-メチルシチジン、2-チオウリジン、又はそれらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態において、プソイドウリジンは、N1-メチルプソイドウリジンを含む。
ある実施形態において、ポリヌクレオチドは、宿主細胞における発現のためにコドンを最適化される。コード配列が既知又は同定されると、例えば、GenScript(登録商標)OptimiumGene(商標)ツ-ルを用いて、公知の技術及びツ-ルを用いてコドン最適化を実施することができる;Scholten et al., Clin. Immunol. 119:135, 2006も参照されたい。コドンを最適化された配列は、部分的にコドンを最適化された配列(すなわち、1つ以上のコドンが宿主細胞における発現のために最適化される)及び完全にコドンを最適化された配列を含む。
また、本開示の抗体及び抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドは、例えば、遺伝暗号、スプライシングなどの縮重のために、同一の抗体又は抗原結合断片を依然としてコードしているが、異なるヌクレオチド配列を有していてもよいことも理解されよう。
ある実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号34、35、44、45、55、及び56のいずれか1つ以上に従うポリヌクレオチド配列に対して少なくとも50%(すなわち、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%)同一性を有するポリヌクレオチドを含む。
ある実施形態において、抗体重鎖をコードするポリヌクレオチドは、配列番号34、44、又は55のポリヌクレオチド配列を含む。
ある実施形態において、抗体軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、配列番号35、45、又は56のポリヌクレオチド配列を含む。
ある実施形態において、抗体重鎖をコードするポリヌクレオチドは、配列番号34、44、又は55のポリヌクレオチド配列を含み、抗体軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、配列番号34、44、又は55のポリヌクレオチド配列を含み、又はそれからなる。
現在開示されている実施形態のいずれにおいても、ポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)を含むことができる。いくつかの実施形態において、RNAはメッセンジャ-RNA(mRNA)を含む。
ベクターもまた提供され、ここで、ベクターは、本明細書に開示されたポリヌクレオチド(例えば、任意の2、3、4、又は5のベータコロナウイルスに結合する抗体又は抗原結合断片をコードするポリヌクレオチド)を含むか、又は含む。ベクターは、本明細書に開示されたベクターのいずれか1つ以上を含むことができる。特定の実施形態では、抗体又は抗原結合断片、又はその一部(例えば、いわゆる「DMAb」;Muthumani et al., J Infect Dis. 214(3):369-378 (2016); Muthumani et al., Hum Vaccin Immunother 9:2253-2262 (2013)); Flingai et al., Sci Rep. 5:12616 (2015); and Elliott et al., NPJ Vaccines 18 (2017)は、抗体コードDNA構築物及びそれの投与を含む使用の関連方法を、参照により本明細書に組み入れる。ある実施形態において、DNAプラスミド構築物は、抗体又は抗原結合断片の重鎖及び軽鎖(又はVH及びVL)をコードする単一のオ-プンリ-ディングフレ-ムを含み、ここで、重鎖をコードする配列及び軽鎖をコードする配列は、プロテア-ゼ切断部位をコードするポリヌクレオチドにより、及び/又は自己切断ペプチドをコードするポリヌクレオチドにより任意に分離される。いくつかの実施形態において、抗体又は抗原結合断片の置換基成分は、単一プラスミド中に含まれるポリヌクレオチドによってコードされる。他の実施形態では、抗体又は抗原結合断片の置換基成分は、2つ以上のプラスミド(例えば、第1のプラスミドは、重鎖、VH、又はVH+CHをコードするポリヌクレオチドを含み、第2のプラスミドは、同族軽鎖、VL、又はVL+CLをコードするポリヌクレオチドを含む)に含まれるポリヌクレオチドによってコードされる。ある実施形態において、単一プラスミドは、本開示の2以上の抗体又は抗原結合断片からの重鎖及び/又は軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。例示的な発現ベクターは、Invitrogen(登録商標)から入手可能なpVax1である。本開示のDNAプラスミドは、例えば、エレクトロポレ-ション(例えば、筋肉内エレクトロポレ-ション)、又は適切な製剤(例えば、ヒアルロニダ-ゼ)を用いて対象に送達することができる。
ある実施形態において、抗体重鎖、VH、又はFd(VH+CH1)をコードする第1のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を対象に投与する工程、及び同族抗体軽鎖、VL、又はVL+CLをコードする第2のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を対象に投与する工程を含む方法が提供される。
ある実施形態において、抗体又はその抗原結合断片の重鎖及び軽鎖をコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)が提供される。ある実施形態において、抗体又はその抗原結合断片の2つの重鎖及び2つの軽鎖をコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)が提供される。例えば、Li, JQ., Zhang, ZR., Zhang, HQ. et al. Intranasal delivery of replicating mRNA encoding neutralizing antibody against SARS-CoV-2 infection in mice. Sig Transduct Target Ther 6, 369 (2021). https://doi.org/10.1038/s41392-021-00783-1を参照されたい。抗体をコードするmRNA構築物、ベクター、及び関連技術は、参照により本明細書に援用される。ある実施形態において、ポリヌクレオチドは、アルファウイルスレプリコン粒子(VRP)送達システムを介して対象に送達される。ある実施形態において、レプリコンは、2つのサブゲノムプロモーターを含む修飾されたVEEVレプリコンを含む。ある実施形態において、ポリヌクレオチド又はレプリコンは、抗体又はその抗原結合断片の重鎖(又はVH、又はVH+1)及び軽鎖(又はVL、又はVL+CL)を同時に翻訳することができる。ある実施形態において、そのようなポリヌクレオチド又はレプリコンを対象に送達することを含む方法が提供される。
さらなる実施形態において、本開示はまた、本開示による抗体又は抗原結合断片を発現する;又は本開示によるベクター又はポリヌクレオチドを含むか又は含む宿主細胞を提供する。
そのような細胞の例としては、真核細胞、例えば、酵母細胞、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞;及び大腸菌を含む原核細胞が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、細胞は、哺乳動物細胞である。特定のそのような実施形態において、細胞は、CHO細胞(例えば、DHFRCHO細胞(Urlaub et al., PNAS 77:4216 (1980))、ヒト胚性腎細胞(例えば、HEK293T細胞)、PER.C6細胞、Y0細胞、Sp2/0細胞)のような哺乳動物細胞株である。NS0細胞、ヒト肝細胞、例えば、Hepa RG細胞、骨髄腫細胞又はハイブリド-マ細胞。哺乳動物宿主細胞株の他の例としては、マウスセルトリ細胞(例えば、TM4細胞);SV40(COS-7)によって形質転換されたサル腎臓CV1株;ベビ-ハムスター腎細胞(BHK);アフリカミドリザル腎細胞(VERO-76);サル腎細胞(CV1);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);イヌ腎細胞(MDCK;バッファロ-ラット肝細胞(BRL 3A);マウス乳房腫瘍(MMT 060562);TRI細胞; MRC 5細胞;及びFS4細胞が挙げられる。抗体産生に適した哺乳動物宿主細胞株には、例えば、YYazaki and Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B. K. C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, N.J.), pp. 255-268 (2003)に記載されているものも含まれる。
ある実施形態において、宿主細胞は、大腸菌のような原核細胞である。大腸菌のような原核細胞におけるペプチドの発現は十分に確立されている(例えば、Pluckthun, A. Bio/Technology 9:545-551 (1991).参照)。例えば、抗体は、細菌において、特にグリコシル化及びFcエフェクタ-機能が必要でない場合に産生され得る。細菌における抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、第5,789,199号、第5,840,523号を参照されたい。
特定の実施形態において、細胞は、発現ベクターを用いて本明細書に従うベクターでトランスフェクトされ得る。用語「トランスフェクション」は、DNA又はRNA(例えば、mRNA)分子などの核酸分子を、真核細胞などの細胞に導入することを指す。本明細書の文脈において、用語「トランスフェクション」は、哺乳動物細胞を含む、真核細胞などの細胞に核酸分子を導入するための、当業者に公知の任意の方法を包含する。そのような方法は、例えば、カチオン性脂質及び/又はリポソ-ムに基づくエレクトロポレ-ション、リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ナノ粒子に基づくトランスフェクション、ウイルスに基づくトランスフェクション、又はDEAE-デキストラン又はポリエチレンイミンなどのカチオン性ポリマーに基づくトランスフェクションを包含する。ある実施形態において、導入は、非ウイルス性である。
さらに、本開示の宿主細胞は、本開示に従って、例えば抗体又はその抗原結合断片を発現するために、本開示のベクターで安定的又は一時的にトランスフェクトされ得る。そのような実施形態において、細胞は、本明細書に記載されるように、ベクターで安定にトランスフェクトされ得る。あるいは、細胞を、本明細書に開示されているような抗体又は抗原結合断片をコードする本開示によるベクターで一時的にトランスフェクトしてもよい。現在開示されている実施形態のいずれにおいても、ポリヌクレオチドは宿主細胞に対して異種性であってもよい。
従って、本開示はまた、本開示の抗体又は抗原結合断片を異種的に発現する組換え宿主細胞を提供する。例えば、細胞は、抗体が完全に又は部分的に得られた種とは異なる種(例えば、ヒト抗体を発現するCHO細胞又は操作されたヒト抗体)のものであってもよい。ある実施形態において、宿主細胞の細胞型は、本質的に抗体又は抗原結合断片を発現しない。さらに、宿主細胞は、抗体又は抗原結合断片の天然状態(又は抗体又は抗原結合断片が操作又は誘導された親抗体の天然状態)に存在しない抗体又は抗原結合断片上に、翻訳後修飾(PTM;例えば、グリソシル化又はフコシル化)を付与することができる。そのようなPTMは、機能的差異(例えば、免疫原性の低下)をもたらす可能性がある。従って、本明細書に開示されているように宿主細胞によって産生される本開示の抗体又は抗原結合断片は、その天然状態(例えば、CHO細胞によって産生されたヒト抗体)における抗体(又は親抗体)とは異なる1つ以上の翻訳後修飾を含むことができ、これは、ヒトから単離された場合、及び/又は天然のヒトB細胞又は形質細胞によって産生された場合、抗体とは異なる、より多くの翻訳後修飾を含むことができる。
本開示の結合タンパク質を発現するのに有用な昆虫細胞は、当技術分野で公知であり、例えば、Spodoptera frugipera Sf9細胞、Trichoplusia ni BTI-TN5B1-4細胞、及びSpodoptera frugipera SfSWT01「模倣(商標)」細胞を含む。例えば、Palmberger et al., J. Biotechnol. 153(3-4):160-166 (2011).を参照されたい。昆虫細胞と組み合わせて、特にSpodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションに用いることができる多数のバキュロウイルス株が同定されている。
糸状菌又は酵母などの真核微生物も、タンパク質コードベクターをクロ-ニング又は発現するのに適した宿主であり、「ヒト化」グリコシル化経路を有する真菌及び酵母株を含み、その結果、部分的又は完全なヒトグリコシル化パタ-ンを有する抗体の産生がもたらされる。Gerngross, Nat. Biotech. 22:1409-1414 (2004); Li et al., Nat. Biotech. 24:210-215 (2006)を参照されたい。
植物細胞はまた、本開示の結合タンパク質を発現するための宿主として利用することもできる。例えば、PLANTIBODIES(商標)技術(例えば、米国特許第5,959,177号、第6,040,498号、第6,420,548号、第7,125,978号、及び第6,417,429号に記載される)は、抗体を産生するためにトランスジェニック植物を使用する。
ある実施形態において、宿主細胞は、哺乳動物細胞を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、CHO細胞、HEK293細胞、PER.C6細胞、Y0細胞、Sp2/0細胞、NS0細胞、ヒト肝細胞、骨髄腫細胞、又はハイブリド-マ細胞である。
関連する実施形態において、本開示は、抗体又は抗原結合断片を産生する方法を提供し、ここで、該方法は、抗体又は抗原結合断片を産生するのに十分な条件下及び時間、本開示の宿主細胞を培養することを含む。組換えにより産生された抗体を、例えば、単離及び精製するのに有用な方法は、組換え抗体を培養培地中に分泌する適切な宿主細胞/ベクター系から上清を得ること、次に市販のフィルタ-を用いて培地を濃縮することを含み得る。濃縮後、濃縮物を単一の適切な精製マトリックス又はアフィニティ-マトリックス又はイオン交換樹脂のような一連の適切なマトリックスに塗布することができる。1以上の逆相HPLC工程を用いて、組換えポリペプチドをさらに精製することができる。これらの精製方法は、自然環境から免疫原を単離する場合にも使用することができる。本明細書に記載される1つ以上の単離/組換え抗体の大規模生産のための方法は、適切な培養条件を維持するためにモニタ-及び制御されるバッチ細胞培養を含む。可溶性抗体の精製は、本明細書に記載され、当技術分野で公知であり、国内及び外国の規制当局の法律及びガイドラインに適合する方法に従って行うことができる。
組成物
本明細書には、現在開示されている抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、又は宿主細胞のいずれか1つ以上を単独で又は任意の組み合わせで含む組成物も提供され、さらに、薬学的に許容される担体、賦形剤、又は希釈剤を含むことができる。担体、賦形剤、及び希釈剤は、本明細書においてさらに詳細に議論される。
ある実施形態において、組成物は、本開示による2つ以上の異なる抗体又は抗原結合断片を含む。ある実施形態において、組み合わせにおいて使用される抗体又は抗原結合断片は、それぞれ独立して、以下の特徴の1つ又は複数を有する:1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は複数の天然ベータコロナウイルスバリアントを中和する;スパイクタンパク質結合について互いに競合しない;別個のベータコロナウイルススパイクタンパク質エピトープに結合する;ベータコロナウイルスに対する抵抗性の形成が減少する;組み合わせにおいて、ベータコロナウイルスに対する抵抗性の形成が減少する;1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は複数の生ベータコロナウイルスを強力に中和する;1つ、2つ、3つ、5つ又は複数の生ベータコロナウイルスの中和に対して相加的又は相乗的効果を示す。5種類以上の生ベータコロナウイルスを組み合わせて使用した場合、エフェクタ-機能を示し、適切な感染動物モデルにおいて防御的であり、大規模生産に十分な量を生産することができる。
ある実施形態において、組成物は、本開示による2つ以上の異なる抗体又は抗原結合断片を含む。ある実施形態において、組成物は、配列番号26、66、71、72、又は73に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるVHと、配列番号30、69、75、又は77に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるVLとを含む第1の抗体または抗原結合断片;ならびに配列番号36に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるVHと、配列番号40に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるVLとを含む第2の抗体または抗原結合断片を含む。
ある実施形態において、組成物は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む第1の抗体または抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、配列番号(i)それぞれ27~29、(ii)それぞれ67、68、および29、または(iii)それぞれ27、27、および74に記載のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、配列番号(i)それぞれ31~33、(ii)それぞれ70、32、および33、(iii)それぞれ76、32、および33、(iv)それぞれ78、32、および33に記載のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる、第1の抗体または抗原結合断片;ならびにCDRH21、CDRH2、及びCDRL3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む第2の抗体または抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号37~39に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号41~43に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、第2の抗体または抗原結合断片を含む。
ある実施形態において、組成物は、本開示による2つ以上の異なる抗体又は抗原結合断片を含む。ある実施形態において、組成物は、配列番号26、66、71、72、又は73に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるVHと、配列番号30、69、75、又は77に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるVLとを含む第1の抗体または抗原結合断片と、配列番号47または79に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるVHと、配列番号51または82に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるVLとを含む第2の抗体又は抗原結合断片を含む。
ある実施形態において、組成物は、CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む第1の抗体又は抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、及びCDRL3は、配列番号(i)それぞれ27~29、(ii)それぞれ67、68、及び29、又は(iii)それぞれ27、27、及び74に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、配列番号(i)それぞれ31~33、(ii)それぞれ70、32、および33、(iii)それぞれ76、32、および33、(iv)それぞれ78、32、および33、(iv)それぞれ78、32、および33に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、第1の抗体又は抗原結合断片と、CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む第2の抗体又は抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号48~50またはそれぞれ配列番号80、81、もしくは50に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号52~54またはそれぞれ配列番号83、83、もしくは54に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、第2の抗体又は抗原結合断片とを含む。
ある実施形態において、組成物は、本開示による2つ以上の異なる抗体又は抗原結合断片を含む。ある実施形態において、組成物は、配列番号26、66、71、72、又は73に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるVHと配列番号30、69、75、又は77に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるVLとを含む第1の抗体または抗原結合断片;ならびに配列番号47又は79に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるVHと配列番号51又は82に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるVLとを含む第2の抗体または抗原結合断片を含む。
ある実施形態において、組成物は、CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む第1の抗体又は抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、及びCDRL3は、配列番号(i)それぞれ27~29、(ii)それぞれ67、68、及び29、又は(iii)それぞれ27、27、及び74に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、配列番号(i)それぞれ31~33、(ii)それぞれ70、32、および33、(iii)それぞれ76、32、および33、(iv)それぞれ78、32、および33、(iv)それぞれ78、32、および33に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、第1の抗体又は抗原結合断片と、CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む第2の抗体又は抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号48~50またはそれぞれ配列番号80、81、もしくは50に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号52~54またはそれぞれ配列番号83、83、もしくは54に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、第2の抗体又は抗原結合断片とを含む。
特定の実施形態では、組成物は、第1のプラスミドを含む第1のベクター、及び第2のプラスミドを含む第2のベクターを含み、第1のプラスミドは、重鎖、VH、又はVH+CHをコードするポリヌクレオチドを含み、第2のプラスミドは、抗体又はその抗原結合断片の同族軽鎖、VL、又はVL+CLをコードするポリヌクレオチドを含む。ある実施形態において、組成物は、適切な送達ビヒクル又は担体にカップリングされたポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を含む。ヒト対象に投与するための例示的なビヒクル又は担体は、リポソ-ム、固体脂質ナノ粒子、油性懸濁液、サブミクロン脂質エマルジョン、脂質ミクロバブル、逆脂質ミセル、か牛リポソーム、脂質微小管、脂質微小円筒、又は脂質ナノ粒子(LNP)又はナノスケールプラットフォーム(例えば、Li et al. Wilery Interdiscip Rev. Nanomed Nanobiotechnol. 11(2):e1530 (2019)参照)のような脂質又は脂質由来送達ベヒクルを含む。適切なmRNAを設計し、mRNA-LNPを設計し、及びそれらを送達するための原理、試薬、及び技術は、例えば、Pardi et al. (J Control Release 217345-351 (2015)); Thess et al. (Mol Ther 23: 1456-1464 (2015)); Thran et al. (EMBO Mol Med 9(10):1434-1448 (2017); Kose et al. (Sci. Immunol. 4 eaaw6647 (2019); and Sabnis et al. (Mol. Ther. 26:1509-1519 (2018))に記載され、技術は、キャッピング、コドン最適化、ヌクレオシド修飾、mRNAの精製、安定な脂質ナノ粒子へのmRNAの取込み(例えば、イオン化可能なカチオン性脂質/ホスファチジルコリン/コレステロ-ル/PEG-脂質;イオン化可能な脂質:ジステアロイルPC:コレステロ-ル:ポリエチレングリコ-ル脂質)、及び同じものの皮下、筋肉内、皮内、静脈内、腹腔内、及び気管内投与を含む)を含む。
方法及び用途
また、本明細書には、ベータコロナウイルス感染(例えば、ヒト対象、又はヒト対象から得られた試料)の診断において、本開示の抗体又は抗原結合断片、核酸、ベクター、細胞、又は組成物を使用するための方法も提供される。
診断方法(例えば、インビトロ、エクスビボ)は、抗体、抗体断片(例えば、抗原結合断片)を試料と接触させることを含み得る。そのような試料は、例えば、鼻腔、副鼻腔、唾液腺、肺、肝臓、膵臓、腎臓、耳、眼、胎盤、消化管、心臓、卵巣、下垂体、副腎、甲状腺、脳、皮膚又は血液から採取された単離された組織試料から単離することができる。診断方法はまた、抗原/抗体複合体の検出、特に抗体又は抗体断片の試料との接触後の検出を含み得る。このような検出工程は、ベンチにおいて、すなわち、人体又は動物の体に何ら接触することなく実施することができる。検出方法の例は、当業者に周知であり、例えば、ELISA(直接、間接、及びサンドイッチELISAを含む)を含む。
また、本明細書には、本開示の抗体又は抗原結合断片、又はそれを含む組成物を用いて対象を処置する方法が提供され、ここで、対象は、ベータコロナウイルスによる感染を有する、有すると考えられる、又は有するリスクがある。「治療する」、「治療」、又は「改善する」とは、対象(例えば、霊長類、ウマ、ネコ、イヌ、ヤギ、マウス又はラットのようなヒト又は非ヒト哺乳動物)の疾患、障害、又は状態の医学的管理を指す。一般に、本開示の抗体又は組成物を含む適切な投与量又は治療レジメンは、治療的又は予防的利益を引き出すのに十分な量で投与される。治療又は予防的/予防的利益には、臨床転帰の改善;疾患に関連する症状の軽減又は軽減;症状の発生の減少;QOLの改善;無病状態の延長;疾患の範囲の縮小、疾患状態の安定化;疾患進行の遅延又は予防;寛解;生存;延命;又はそれらの任意の組み合わせが含まれる。ある実施形態において、治療的又は予防的/予防的利益は、ベータコロナウイルス感染の治療のための入院の減少又は予防を含む(すなわち、統計的に有意な方法で)。ある実施形態において、治療的又は予防的/予防的利益は、ベータコロナウイルス感染の治療のための入院期間の短縮(すなわち、統計的に有意な方法)を含む。ある実施形態において、治療的又は予防的/予防的利益は、挿管及び/又は呼吸保護具の使用のような呼吸介入の必要性の減少又は停止を含む。ある実施形態において、治療的又は予防的/予防的利益は、後期疾患病理を逆転させること、及び/又は死亡率を低下させることを含む。
本開示の抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、又は組成物の「治療有効量」又は「有効量」とは、治療効果をもたらすのに十分な組成物又は分子の量を指し、これには、改善された臨床転帰;疾患に関連する症状の軽減又は軽減;症状の発生の減少;改善されたQOL;より長い無病状態;疾患の広がりの減少;疾患状態の安定化;疾患進行の遅延;寛解;生存;又は統計的に有意な様式での延長が含まれる。単独で投与される個々の活性成分を指す場合、治療上有効量は、その成分又はその成分を単独で発現する細胞の効果を指す。組み合わせを指す場合、治療有効量とは、活性成分又は組み合わされた補助活性成分と、治療効果をもたらす活性成分を発現する細胞との組み合わされた量を指し、連続的に、連続的に、又は同時に投与されるかにかかわらない。組み合わせは、例えば、ベータコロナウイルス抗原に特異的に結合する2つの異なる抗体を含み得る。これらの抗体は、特定の実施形態では、同一又は異なるベータコロナウイルス抗原であり得、及び/又は同一又は異なるエピトープを含み得る。
従って、特定の実施形態では、対象におけるベータコロナウイルス感染を治療するための方法が提供され、ここで、方法は、本明細書に開示されているように、有効量の抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、又は組成物を対象に投与することを含む。
本開示により治療することができる対象は、一般に、獣医学目的のサル及び類人猿のようなヒト及び他の霊長類対象である。マウス及びラットのような他のモデル生物も、本開示に従って処理することができる。前述の実施形態のいずれにおいても、対象はヒト対象であってもよい。対象は、男性であっても女性であってもよく、乳児、幼児、青年、成人、及び老年対象を含む任意の適切な年齢であってもよい。
多くの基準が、ベータコロナウイルス感染に関連する重度の症状又は死亡の高リスクの一因であると考えられている。これらには、年齢、職業、一般的健康、既存の健康状態、及び生活習慣が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本開示に従って治療される対象は、1つ以上の危険因子を含む。
ある実施形態において、本開示に従って治療されるヒト対象は、乳児、小児、若年成人、中年成人、又は高齢者である。ある実施形態において、本開示に従って治療されるヒト対象は、1歳未満であるか、1~5歳であるか、又は5~125歳である(例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、又は125歳であり、その中のあらゆる年齢及びその間を含む)。ある実施形態において、本開示に従って処置されるヒト対象は、0~19歳、20~44歳、45~54歳、55~64歳、65~74歳、75~84歳、又は85歳以上である。中年者、特に高齢者は特にリスクが高いと考えられている。特定の実施形態では、ヒト対象は、45~54歳、55~64歳、65~74歳、75~84歳、又は85歳以上である。いくつかの実施形態において、ヒト対象は男性である。ある実施形態において、ヒト対象は女性である。
特定の実施形態では、本開示に従って治療されるヒト対象は、ナーシングホーム又は介護施設の居住者であり、ホスピスケアワーカーであり、医療提供者又は医療従事者であり、最初の対応者であり、ベータコロナウイルス感染症と診断されたか又はベータコロナウイルス感染症を有すると診断されたか又はその疑いのある対象の家族又は他の密接な接触者であり、過体重又は臨床的に肥満であり、喫煙者であるか又は喫煙者であったか、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息であるか(例えば、中等度から重度の喘息を有する)、自己免疫疾患又は状態(例えば、糖尿病)を有し、及び/又は免疫系(例えば、エイズ/HIV感染、癌などの癌、化学療法、骨髄又は臓器移植などのリンパ球除去療法、又は遺伝的免疫状態)の低下又は枯渇、慢性肝疾患、心血管疾患、肺又は心臓の欠陥を有する、作用する、又は工場、出荷センタ-、病院などのような他のものと非常に近接して時間を過ごす。
ある実施形態において、本開示に従って治療された対象は、ベータコロナウイルスのためのワクチンを受けており、ワクチンは、例えば、臨床診断又は科学的又は規制上の基準により、対象におけるワクチン感染後又は症状によって、無効であると決定される。
ある実施形態において、治療は、曝露周囲予防として投与される。ある実施形態において、治療は、外来であってもよい軽度から中等度の疾患を有する対象に投与される。ある実施形態において、治療は、入院を必要とするような中等度から重度の疾患を有する対象に投与される。
従って、本開示の組成物を投与する典型的な経路には、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、口腔、直腸、膣、及び鼻腔内が含まれるが、これらに限定されない。本明細書中で使用される用語「非経口」は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射又は注入技術を含む。ある実施形態において、投与は、経口、静脈内、非経口、胃内、胸膜内、肺内、直腸内、皮内、腹腔内、腫瘍内、皮下、局所、経皮、槽内、髄腔内、鼻腔内、及び筋肉内から選択される経路によって投与することを含む 特定の実施形態では、方法は、抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、又は組成物を対象に経口投与することを含む。
本発明のある実施形態による医薬組成物は、その中に含まれる活性成分が患者への組成物の投与時に生物学的に利用可能であるように製剤化される。対象又は患者に投与される組成物は、1つ又は複数の投与単位の形態をとることができ、ここで、例えば、錠剤は、単一の投与単位であってもよく、本明細書中に記載された抗体又は抗原結合の容器は、エ-ロゾル形態で複数の投与単位を保持することができる。このような剤形を調製する実際の方法は、当業者に知られており、又は明らかであろう。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition (Philadelphia College of Pharmacy and Science, 2000)を参照されたい。投与される組成物は、いずれにせよ、本明細書の教示に従った疾患又は対象の状態の治療のために、有効量の本開示の抗体又は抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、又は組成物を含有するであろう。
組成物は、固体又は液体の形態であってもよい。いくつかの実施形態において、担体は、組成物が、例えば、錠剤又は粉末形態であるように、粒子である。担体は液体であり得、組成物は、例えば、吸入投与に有用な、経口油、注射用液体又はエアゾ-ルであり得る。経口投与を意図する場合、医薬組成物は、好ましくは、固体又は液体形態であり、ここに、半固体、半液体、懸濁液及びゲル形態が、本明細書中で固体又は液体として考えられる形態に含まれる。
経口投与のための固体組成物として、医薬組成物は、粉末、顆粒、圧縮錠剤、丸剤、カプセル、チュ-インガム、ウエハ-等に製剤化することができる。このような固体組成物は、典型的には、1以上の不活性希釈剤又は食用担体を含有するであろう。さらに、カルボキシメチルセルロ-ス、エチルセルロ-ス、微結晶セルロ-ス、トラガカントゴム又はゼラチンのような結合剤;澱粉、ラクト-ス又はデキストリンのような賦形剤;アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プリモゲル、トウモロコシ澱粉などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム又はステロテックスのような潤滑剤;二酸化ケイ素コロイドのようなグリダント;スクロ-ス又はサッカリンのような甘味剤;ペパ-ミント、サリチル酸メチル又はオレンジ香味料のような香味剤;及び着色剤が存在し得る。組成物がカプセル、例えばゼラチンカプセルの形態である場合、それは、上記タイプの材料に加えて、ポリエチレングリコ-ル又は油のような液体担体を含んでもよい。
組成物は、液体、例えばエリキシル、シロップ、溶液、エマルジョン又は懸濁液の形態であってもよい。液体は、2つの例として、経口投与のため、又は注射による送達のためであってもよい。経口投与を意図する場合、好ましい組成物は、本化合物に加えて、甘味剤、防腐剤、染料/着色剤及び香味増強剤の1つ以上を含有する。注射によって投与されることを意図した組成物には、界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定剤及び等張剤のうちの1つ以上が含まれてもよい。
液体医薬組成物は、溶液、懸濁液又は他の類似の形態であるか否かにかかわらず、以下のアジュバントの1つ以上を含み得る:注射用水、生理食塩水、好ましくは生理食塩水、リンゲル溶液、生理食塩水、等張塩化ナトリウム、溶媒又は懸濁媒体として役立つ合成モノ又はジグリセリドのような固定油、ポリエチレングリコ-ル、グリセリン、プロピレングリコ-ル又は他の溶媒;ベンジルアルコ-ル又はメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウムのような酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレ-ト化剤;酢酸塩のような緩衝剤。クエン酸塩又はリン酸塩、及び塩化ナトリウム又はデキストロ-スのような浸透圧調整剤。非経口製剤は、ガラス又はプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器又は多回投与バイアルに封入することができる。生理食塩水が好ましいアジュバントである。注射可能な医薬組成物は、好ましくは無菌である。
非経口投与又は経口投与のいずれかを意図した液体組成物は、適切な投与量が得られるように、本明細書に開示された抗体又は抗原結合断片の量を含むべきである。典型的には、この量は、組成物中の抗体又は抗原結合断片の少なくとも0.01%である。経口投与を意図する場合、この量は組成物の重量の0.1~約70%の間で変化させることができる。ある種の経口医薬組成物は、抗体又は抗原結合断片を約4%から約75%の間で含有する。ある実施形態において、本発明による医薬組成物及び製剤は、非経口投与単位が希釈前に0.01~10重量%の抗体又は抗原結合断片を含有するように調製される。
組成物は局所投与を意図することができ、その場合、担体は、溶液、エマルジョン、軟膏又はゲル基剤を適切に含むことができる。基剤は、例えば、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコ-ル、ミツバチろう、鉱油、水及びアルコ-ルのような希釈剤、ならびに乳化剤及び安定剤のうちの1つ又は複数を含むことができる。増粘剤は、局所投与のための組成物中に存在し得る。経皮投与を意図する場合、組成物は、経皮パッチ又はイオン導入デバイスを含み得る。医薬組成物は、直腸内で溶融し、薬物を放出する座薬の形態での直腸投与を意図することができる。直腸投与用組成物は、適切な非刺激性賦形剤として油性塩基を含有することができる。そのような塩基には、ラノリン、カカオバタ-及びポリエチレングリコ-ルが含まれるが、これらに限定されない。
組成物は、固体又は液体投与単位の物理的形態を修飾する種々の材料を含み得る。例えば、組成物は、活性成分の周囲にコ-ティングシェルを形成する材料を含んでもよい。コ-ティングシェルを形成する材料は、典型的には不活性であり、例えば、糖、シェラック、及び他の腸溶性コ-ティング剤から選択することができる。あるいは、活性成分をゼラチンカプセルに入れてもよい。固体又は液体形態の組成物は、本開示の抗体又は抗原結合断片に結合し、それによって化合物の送達を支援する物質を含み得る。この能力で作用し得る適切な薬剤には、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体、1つ以上のタンパク質又はリポソ-ムが含まれる。組成物は、本質的に、エ-ロゾルとして投与され得る投与単位からなり得る。用語「エ-ロゾル」は、コロイド性のものから加圧されたパッケ-ジからなるシステムまでの範囲の種々のシステムを示すために使用される。送達は、液化ガス又は圧縮ガスによって、又は活性成分を分配する適切なポンプシステムによって行うことができる。エアロゾルは、活性成分を送達するために、単相、二相、又は三相系で送達され得る。エアロゾルの送達には、必要な容器、アクティベータ-、バルブ、サブコンデンサ-などが含まれ、これらは共にキットを形成することができる。当業者は、過度の実験なしに、好ましいエアロゾルを決定することができる。
本開示の組成物はまた、本明細書に記載されるように、ポリヌクレオチドのための担体分子(例えば、脂質ナノ粒子、ナノスケ-ル送達プラットフォ-ムなど)を包含することが理解されるであろう。
医薬組成物は、医薬分野で周知の方法論によって調製することができ、例えば、注射によって投与されることが意図された組成物は、本明細書に記載されているような抗体、その抗原結合断片、又は抗体結合体を含む組成物、及び場合により、1種以上の塩、緩衝剤及び/又は安定剤を、滅菌蒸留水と組み合わせて溶液を形成することによって調製することができる。均一な溶液又は懸濁液の形成を容易にするために、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は、水性送達システムにおける抗体又はその抗原結合断片の溶解又は均一懸濁を容易にするように、ペプチド組成物と非共有結合的に相互作用する化合物である。
一般に、適切な用量及び治療レジメンは、治療的及び/又は予防的利益(例えば、改善された臨床転帰(例えば、下痢又は関連する脱水又は炎症の頻度、持続期間、又は重症度の低下、又はより長い無病及び/又は全生存、又は症状の重症度の低下)を提供するのに十分な量の組成物を提供する。予防的使用のためには、疾患又は障害に関連する疾患の発症を予防し、発症を遅らせ、又は重症度を軽減するのに十分な用量が必要である。本明細書に記載される方法に従って投与される組成物の予防的利益は、前臨床(インビトロ及びインビボ動物研究を含む)及び臨床研究を実施し、適切な統計学的、生物学的、及び臨床的方法及び技術によって得られたデータを分析することによって決定することができ、これらのすべては当業者によって容易に実施することができる。
組成物は有効量(例えば、ベータコロナウイルス感染を治療するため)で投与され、これは、使用される特定の化合物の活性;化合物の代謝安定性及び作用の長さ;対象の年齢、体重、一般健康、性別及び食事;投与の様式及び時間;排泄速度;薬物の組み合わせ;特定の障害又は状態の重症度;及び治療を受ける対象を含む種々の要因に依存して変化する。特定の実施形態では、本開示の製剤及び方法による治療の低用量投与は、プラセボ処置又は他の適切な対照対象と比較して、治療される疾患又は障害に関連する1つ又は複数の症状の約10%~約99%の減少を示すであろう。
一般に、抗体又は抗原結合断片の治療上有効な1日用量は、(70kgの哺乳動物では)約0.001mg/kg(すなわち、0.07mg)から約100mg/kg(すなわち、7.0g)であり、好ましくは、治療上有効な用量は、約0.01mg/kg(すなわち、0.7mg)から約50mg/kg(すなわち、3.5g)であり、より好ましくは、治療上有効な用量は、(70kgの哺乳動物では)約1mg/kg(すなわち、70mg)から約25mg/kg(すなわち、1.75g)である。本開示のポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、及び関連組成物については、治療的に有効な用量は、抗体又は抗原結合断片とは異なることができる。
ある実施形態において、方法は、抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、又は組成物を、2、3、4、5、6、7、8、9、10倍以上で対象に投与することを含む。
ある実施形態において、方法は、抗体、抗原結合断片、又は組成物を対象に複数回投与することを含み、第2又は連続投与は、それぞれ、第1又は事前投与後に、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約24、約48、約74、約96時間又はそれ以上で実施される。
ある実施形態において、方法は、ベータコロナウイルスに感染される前に、抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、又は組成物を少なくとも1回投与することを含む。
本開示の抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、又は組成物を含む組成物もまた、1種以上の他の治療剤と同時に、1種以上の他の治療剤の投与前又は投与後に投与することができる。このような組み合わせ療法は、本発明の化合物及び1以上のさらなる活性剤を含有する単一の医薬投与製剤の投与、ならびに本開示の抗体又は抗原結合断片及び各活性剤をそれ自身の別々の投与製剤中に含有する組成物の投与を含み得る。例えば、本明細書に記載された抗体又はその抗原結合断片及び他の活性剤を、錠剤又はカプセルのような単一の経口投与組成物、又は別々の経口投与処方で投与される各剤中で一緒に患者に投与することができる。同様に、本明細書に記載される抗体又は抗原結合断片及び他の活性剤は、生理食塩水又は他の生理学的に許容される溶液中のような単一の非経口投与組成物中で、又は別々の非経口投与処方で投与される各剤中で、一緒に対象に投与され得る。別々の投薬処方が使用される場合、抗体又は抗原結合断片を含む組成物及び1種以上の追加の活性剤は、本質的に同時に、すなわち、同時に、又は別々にずれた時間で、すなわち、連続的に、及び任意の順序で投与することができ;併用療法は、これらのレジメンをすべて含むことが理解される。
ある実施形態において、本開示の1以上の抗ベータコロナウイルス抗体(又は1以上の核酸、宿主細胞、ベクター、又は組成物)及び1以上の抗炎症剤及び/又は1以上の抗ウイルス剤を含む併用療法が提供される。特定の実施形態では、1種以上の抗炎症剤は、例えば、デキサメタゾン、プレドニゾンなどのコルチコステロイドを含む。ある実施形態において、1以上の抗炎症剤は、例えば、IL6(シルツキシマブなど)、又はIL-6R(トシリズマブなど)、又はIL-1β、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、FGF、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IP-10、MCP-1、MIP-1A、MIP-1B、PDGR、TNF-α、又はVEGFに結合する抗体などのサイトカインアンタゴニストを含む。ある実施形態において、レロノリマブ、ルキソリチニブ及び/又はアナキンラのような抗炎症剤が使用される。ある実施形態において、1以上の抗ウイルス剤は、ヌクレオチド類似体又はヌセロチド類似体プロドラッグ、例えば、レムデシビル、ソホスブビル、アシクロビル、及びジドブジンを含む。特定の実施形態では、抗ウイルス剤はロピナビル、リトナビル、ファビピラビル、又はそれらの任意の組み合わせを含む。本開示の併用療法に使用するための他の抗炎症剤には、非ステロイド性抗炎症薬が含まれる。このような組み合わせ療法において、1以上の抗体(又は1以上の核酸、宿主細胞、ベクター、又は組成物)及び1以上の抗炎症剤及び/又は1以上の抗ウイルス剤を、任意の順序及び任意の順序で、又は一緒に投与することができることが理解されるであろう。
ある実施形態において、抗体(又は1以上の核酸、宿主細胞、ベクター、又は組成物)は、1以上の抗炎症剤及び/又は1以上の抗ウイルス剤を事前に受け取った対象に投与される。ある実施形態において、1以上の抗炎症剤及び/又は1以上の抗ウイルス剤を、以前に抗体(又は1以上の核酸、宿主細胞、ベクター、又は組成物)を受け取った対象に投与する。
ある実施形態において、本開示の2以上の抗ベータコロナウイルス抗体を含む併用療法が提供される。方法は、第1の抗体を、第2の抗体を受け取った対象に投与することを含むことができ、又は2つ以上の抗体を一緒に投与することを含むことができる。例えば、特定の実施形態では、(a)対象が第2の抗体又は抗原結合断片を受け取った場合に、第1の抗体又は抗原結合断片;(b)対象が第1の抗体又は抗原結合断片を受け取った場合に、第2の抗体又は抗原結合断片;又は(c)第1の抗体又は抗原結合断片;及び第2の抗体又は抗原結合断片を対象に投与することを含む方法が提供される。
関連する実施形態において、本開示の抗体、抗原結合断片、ベクター、宿主細胞、及び組成物の使用が提供される。
ある実施形態において、抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、又は組成物は、対象におけるベータコロナウイルス感染を治療する方法における使用のために提供される。
ある実施形態において、抗体、抗原結合断片、又は組成物は、対象におけるベータコロナウイルス感染を治療するための医薬の製造又は調製の方法における使用のために提供される。
別段の指定がない限り、S2P6 Q32Yなどの任意の所与のバリアント抗体のVH、CDRH1、CDRH2、CDRH3、V1、CDRL1、CDRL2、又はCDRL3は、表1に別段の指示がない限り、S2P6などの標記抗体におけるものと同じである。
特定の実施形態によれば、本開示はまた、他の実施形態において番号で参照され得る、以下の番号付き実施形態を提供する。
1.CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、ならびにCDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、抗体又はその抗原結合断片であって、
(i)CDRH1は、配列番号27、37、48、67、もしくは80に従うアミノ酸配列、又は1、2もしくは3つのアミノ酸置換を含むそれらの機能性バリアントを含むか又はそれからなり、1以上の置換が任意に保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である;
(ii)CDRH2は、配列番号28、38、49、68、もしくは81に従うアミノ酸配列、又は1、2もしくは3つのアミノ酸置換を含むそれらの機能性バリアントを含むか又はそれからなり、1以上の置換が任意に保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である;
(iii)CDRH3は、配列番号29、39、もしくは50に従うアミノ酸配列、又は1、2もしくは3つのアミノ酸置換を含むそれらの機能性バリアントを含むか又はそれからなり、1以上の置換が任意に保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である;
(iv)CDRL1は、配列番号31、41、52、70、76、78、もしくは83に従うアミノ酸配列、又は1、2もしくは3つのアミノ酸置換を含むそれらの機能性バリアントを含むか又はそれからなり、1以上の置換が任意に保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である;
(v)CDRL2は、配列番号32、42、もしくは53に従うアミノ酸配列、又はそれらの機能性バリアントであって、1つ以上のアミノ酸置換が任意で保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である、1つ、2つ、又は3つのアミノ酸置換を含むか、又はそれからなる;及び/又は;
(vi)CDRL3は、配列番号33、43、もしくは54に従うアミノ酸配列、又は1、2もしくは3つのアミノ酸置換を含むそれらの機能性バリアントを含むか又はそれからなり、1以上の置換が任意に保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換であり、
ここで、抗体又は抗原結合断片は、ベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができる。
2.2以上のベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができる1の抗体又は抗原結合断片。
3.2、3、4、又は5種のベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができる2の抗体又は抗原結合断片。
4.SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、OC43、及びHKU1に結合することができる1~3のいずれか1つの抗体又は抗原結合断片。
5.宿主細胞の表面及び/又はビリオン上に発現されたベータコロナウイルス又はベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができる、1~4のいずれか1つの抗体又は抗原結合断片。
6.感染のインビトロモデル及び/又は感染のインビボ動物モデル及び/又はヒトにおけるベータコロナウイルスによる感染を中和することができる、1~5のいずれか1つの記載の抗体又は抗原結合断片。
7.感染のインビトロモデル及び/又は感染のインビボ動物モデル及び/又はヒトにおいて、1、2、3、4、又は5つのベータコロナウイルスによって感染を中和することができる、1~5のいずれか1つの抗体又は抗原結合断片。
8.感染のインビトロモデル及び/又は感染のインビボ動物モデル及び/又はヒトにおけるいずれか1、2、3、4、又は5種類のベータコロナウイルスによる感染を中和することができる、1~7のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
9.以下に記載するCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3アミノ酸配列を含む、1~8のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片:
(i)それぞれ配列番号27、28、29、31、32、33;
(ii)それぞれ配列番号27、28、29、70、32、33;
(iii)それぞれ配列番号27、28、74、31、32、33;
(iv)それぞれ配列番号27、28、74、70、32、33;
(v)それぞれ配列番号27、28、29、76、32、33;
(vi)それぞれ配列番号27、28、29、78、32、33;
(vii)それぞれ配列番号27、28、74、76、32、33;
(viii)それぞれ配列番号27、28、74、78、32、33;
(ix)それぞれ配列番号27、68、29、31、32、33;
(x)それぞれ配列番号27、68、29、70、32、33;
(xi)それぞれ配列番号27、68、74、31、32、33;
(xii)それぞれ配列番号27、68、74、70、32、33;
(xiii)それぞれ配列番号27、68、29、76、32、33;
(xiv)それぞれ配列番号27、68、29、78、32、33;
(xv)それぞれ配列番号27、68、74、76、32、33;
(xvi)それぞれ配列番号27、68、74、78、32、33;
(xvii)それぞれ配列番号67、28、29、31、32、33;
(xviii)それぞれ配列番号67、28、74、31、32、33;
(xix)それぞれ配列番号67、28、74、70、32、33;
(xx)それぞれ配列番号67、28、29、76、32、33;
(xxi)それぞれ配列番号67、28、29、78、32、33;
(xxii)それぞれ配列番号67、28、74、76、32、33;
(xxiii)それぞれ配列番号67、28、74、78、32、33;
(xxiv)それぞれ配列番号67、68、29、31、32、33;
(xxv)それぞれ配列番号67、68、29、70、32、33;
(xxvi)それぞれ配列番号67、68、74、31、32、33;
(xxvii)それぞれ配列番号67、68、74、70、32、33;
(xxviii)それぞれ配列番号67、68、29、76、32、33;
(xxix)それぞれ配列番号67、68、29、78、32、33;
(xxx)それぞれ配列番号67、68、74、76、32、33;
(xxxi)それぞれ配列番号48、49、50、52、53、54;
(xxxii)それぞれ配列番号48、49、50、83、53、54;
(xxxiii)それぞれ配列番号48、81、50、52、53、54;
(xxxiv)それぞれ配列番号48、81、50、83、53、54;
(xxxv)それぞれ配列番号80、49、50、52、53、54;
(xxxvi)それぞれ配列番号80、49、50、83、53、54;
(xxxvii)それぞれ配列番号80、81、50、52、53、54;
(xxxviiii)それぞれ配列番号80、81、50、83、53、54;又は
(xxxix)それぞれ配列番号37、38、39、41、42、43。
10.(i)配列番号27又は配列番号67に記載のCDRH1アミノ酸配列;(iii)配列番号28又は配列番号68に記載のCDRH2アミノ酸配列;(iii)配列番号29に記載のCDRH3アミノ酸配列;(iv)配列番号31、配列番号70、配列番号76、又は配列番号78に記載のCDRL1アミノ酸配列;(v)配列番号32に記載のCDRL2アミノ酸配列;及び(vi)配列番号33に記載のCDRL3アミノ酸配列を含む、1~9のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
11.(i)それぞれ配列番号27、28、29、70、32、及び33;(ii)それぞれ配列番号27、28、29、76、32、及び33;(iii)それぞれ配列番号27、28、29、78、32、及び33;(iv)それぞれ配列番号27、68、29、31、32、及び33;(v)それぞれ配列番号27、68、29、70、32、及び33;(vi)それぞれ配列番号27、68、29、76、32、及び33;(vii)それぞれ配列番号27、68、29、78、32、及び33;(viii)それぞれ配列番号67、28、29、30、32、及び33;(ix)それぞれ配列番号67、28、29、70、32、及び33;(x)それぞれ配列番号67、28、29、76、32、及び33;(xi)それぞれ配列番号67、28、29、78、32、及び33;(xii)それぞれ配列番号67、68、29、31、32、及び33;(xiii)それぞれ配列番号67、68、29、70、32、及び33;(xiv)それぞれ配列番号67、68、29、76、32、及び33;または(vii)それぞれ配列番号67、68、29、78、32、及び33に記載されるCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む、1~8又は9のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
12.(i)配列番号48又は配列番号80に記載のCDRH1アミノ酸配列;(ii)配列番号49又は配列番号81に記載のCDRH2アミノ酸配列;(iii)配列番号50に記載のCDRH3アミノ酸配列;(iv)配列番号52又は配列番号83に記載のCDRL1アミノ酸配列;(v)配列番号53に記載のCDRL2アミノ酸配列;及び(vi)配列番号54に記載のCDRL3アミノ酸配列を含む、1~11に記載の抗体又は抗原結合断片。
13.(i)それぞれ配列番号48、49、50、52、53、及び54;(ii)それぞれ配列番号48、49、50、83、53、及び54;(iii)それぞれ配列番号48、81、50、52、53、及び54;又は(iv)それぞれ配列番号48、81、50、83、53、53、及び54に記載されるCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3アミノ酸配列を含む、12に抗体又は抗原結合断片。
14.(i)配列番号26、66、71、72、及び73のいずれか1つに記載のVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3;ならびに(ii)配列番号30に記載のVLアミノ酸配列のCDRL1、CDLR2又は1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含むそのバリアント(その置換の1つ以上は、場合により保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である)、およびCDRL3を含む抗体又は抗原結合断片であって、CDRは、IMGTにより、抗体又は抗原結合断片はベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができ、場合により、ベータコロナウイルスは、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを含む、抗体又は抗原結合断片。
15.(i)配列番号26、66、71、72、及び73のいずれか1つに記載のVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3;ならびに(ii)配列番号30に記載のVLアミノ酸配列のCDRL1、CDLR2又は1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含むそのバリアント(その置換の1つ以上は、場合により保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である)、およびCDRL3を含む抗体又は抗原結合断片であって、CDRは、Kabatにより、抗体又は抗原結合断片はベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができ、場合により、ベータコロナウイルスは、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを含む、抗体又は抗原結合断片。
16.(i)配列番号26、66、71、72、及び73のいずれか1つに記載のVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3;ならびに(ii)配列番号69に記載のVLアミノ酸配列のCDRL1、CDLR2又は1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含むそのバリアント(その置換の1つ以上は、場合により保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である)、およびCDRL3を含む抗体又は抗原結合断片であって、CDRは、IMGTにより、抗体又は抗原結合断片はベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができ、場合により、ベータコロナウイルスは、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを含む、抗体又は抗原結合断片。
17.(i)配列番号26、66、71、72、及び73のいずれか1つに記載のVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3;ならびに(ii)配列番号69に記載のVLアミノ酸配列のCDRL1、CDLR2又は1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含むそのバリアント(その置換の1つ以上は、場合により保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である)、およびCDRL3を含む抗体又は抗原結合断片であって、CDRは、Kabatにより、抗体又は抗原結合断片はベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができ、場合により、ベータコロナウイルスは、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを含む、抗体又は抗原結合断片。
18.(i)配列番号26、66、71、72、及び73のいずれか1つに記載のVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3;ならびに(ii)配列番号75に記載のVLアミノ酸配列のCDRL1、CDLR2又は1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含むそのバリアント(その置換の1つ以上は、場合により保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である)、およびCDRL3を含む抗体又は抗原結合断片であって、CDRは、IMGTにより、抗体又は抗原結合断片はベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができ、場合により、ベータコロナウイルスは、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを含む、抗体又は抗原結合断片。
19.(i)配列番号26、66、71、72、及び73のいずれか1つに記載のVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3;ならびに(ii)配列番号75に記載のVLアミノ酸配列のCDRL1、CDLR2又は1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含むそのバリアント(その置換の1つ以上は、場合により保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である)、およびCDRL3を含む抗体又は抗原結合断片であって、CDRは、Kabatにより、抗体又は抗原結合断片はベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができ、場合により、ベータコロナウイルスは、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを含む、抗体又は抗原結合断片。
20.(i)配列番号26、66、71、72、及び73のいずれか1つに記載のVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3;ならびに
(ii)配列番号75に記載のVLアミノ酸配列のCDRL1、CDLR2又は1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含むそのバリアント(その置換の1つ以上は、場合により保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である)、およびCDRL3を含む抗体又は抗原結合断片であって、
CDRは、IMGTにより、
抗体又は抗原結合断片はベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができ、場合により、ベータコロナウイルスは、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを含む、抗体又は抗原結合断片。
21.(i)配列番号26、66、71、72、及び73のいずれか1つに記載のVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3;ならびに
(ii)配列番号75に記載のVLアミノ酸配列のCDRL1、CDLR2又は1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含むそのバリアント(その置換の1つ以上は、場合により保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である)、およびCDRL3を含む抗体又は抗原結合断片であって、
CDRは、Kabatにより、
抗体又は抗原結合断片はベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができ、場合により、ベータコロナウイルスは、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを含む、抗体又は抗原結合断片。
22.(i)配列番号26、66、71、72、及び73のいずれか1つに記載のVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3;ならびに(ii)配列番号77に記載のVLアミノ酸配列のCDRL1、CDLR2又は1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含むそのバリアント(その置換の1つ以上は、場合により保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である)、およびCDRL3を含む抗体又は抗原結合断片であって、CDRは、IMGTにより、抗体又は抗原結合断片はベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができ、場合により、ベータコロナウイルスは、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを含む、抗体又は抗原結合断片。
22.(i)配列番号26、66、71、72、及び73のいずれか1つに記載のVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3;ならびに(ii)配列番号77に記載のVLアミノ酸配列のCDRL1、CDLR2又は1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含むそのバリアント(その置換の1つ以上は、場合により保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である)、およびCDRL3を含む抗体又は抗原結合断片であって、CDRは、Kabatにより、抗体又は抗原結合断片はベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができ、場合により、ベータコロナウイルスは、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを含む、抗体又は抗原結合断片。
24.(i)配列番号36に記載のVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3;ならびに(ii)配列番号40に記載のVLアミノ酸配列のCDRL1、CDLR2又は1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含むそのバリアント(その置換の1つ以上は、場合により保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である)、およびCDRL3を含む抗体又は抗原結合断片であって、CDRは、IMGTにより、抗体又は抗原結合断片はベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができ、場合により、ベータコロナウイルスは、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを含む、抗体又は抗原結合断片。
25.(i)配列番号36に記載のVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3;ならびに(ii)配列番号40に記載のVLアミノ酸配列のCDRL1、CDLR2又は1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含むそのバリアント(その置換の1つ以上は、場合により保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である)、およびCDRL3を含む抗体又は抗原結合断片であって、CDRは、Kabatにより、抗体又は抗原結合断片はベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができ、場合により、ベータコロナウイルスは、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを含む、抗体又は抗原結合断片。
26.(i)配列番号47又は79に記載のVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3;ならびに(ii)配列番号51に記載のVLアミノ酸配列のCDRL1、CDLR2又は1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含むそのバリアント(その置換の1つ以上は、場合により保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である)、およびCDRL3を含む抗体又は抗原結合断片であって、CDRは、IMGTにより、抗体又は抗原結合断片はベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができ、場合により、ベータコロナウイルスは、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを含む、抗体又は抗原結合断片。
27.(i)配列番号47又は79に記載のVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3;ならびに(ii)配列番号51に記載のVLアミノ酸配列のCDRL1、CDLR2又は1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含むそのバリアント(その置換の1つ以上は、場合により保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である)、およびCDRL3を含む抗体又は抗原結合断片であって、CDRは、Kabatにより、抗体又は抗原結合断片はベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができ、場合により、ベータコロナウイルスは、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを含む、抗体又は抗原結合断片。
28.(i)配列番号47又は79に記載のVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3;ならびに(ii)配列番号82に記載のVLアミノ酸配列のCDRL1、CDLR2又は1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含むそのバリアント(その置換の1つ以上は、場合により保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である)、およびCDRL3を含む抗体又は抗原結合断片であって、CDRは、IMGTにより、抗体又は抗原結合断片はベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができ、場合により、ベータコロナウイルスは、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを含む、抗体又は抗原結合断片。
29.(i)配列番号47又は79に記載のVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、及びCDRH3;ならびに(ii)配列番号82に記載のVLアミノ酸配列のCDRL1、CDLR2又は1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含むそのバリアント(その置換の1つ以上は、場合により保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である)、およびCDRL3を含む抗体又は抗原結合断片であって、CDRは、Kabatにより、抗体又は抗原結合断片はベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができ、場合により、ベータコロナウイルスは、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを含む、抗体又は抗原結合断片。
30.(i)VHが、配列番号26、36、47、66、71、72、又は81によるアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、変異が、場合により、1つ以上のフレームワーク領域に限定され、及び/又は変異が、生殖細胞系にコードされるアミノ酸への1つ以上の置換を含み;及び/又は(ii)VLが、配列番号30、40、51、69、75、77、又は84によるアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、変異が、場合により、1つ以上のフレームワーク領域に限定され、及び/又は変異が、生殖細胞系にコードされるアミノ酸への1つ以上の置換を含む、1~29のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
31.VH及びVLが、配列番号(i)それぞれ26及び30;(ii)それぞれ26及び69;(iii)それぞれ26及び75;(iv)それぞれ26及び77;(v)それぞれ66及び69;(vi)それぞれ66及び30;(vii)それぞれ66及び75;(viii)それぞれ66及び77;(ix)それぞれ71及び30;(x)それぞれ71及び69;(xi)それぞれ71及び75;(xii)それぞれ71及び77;(xiii)それぞれ72及び30;(xiv)それぞれ72及び69;(xv)それぞれ72及び75;(xvi)それぞれ72及び77;(xvii)それぞれ73及び30;(xviii)それぞれ73及び69;(xix)それぞれ73及び75;(xx)それぞれ73及び77;(xxi)それぞれ36及び40;(xxii)それぞれ47及び51;(xxiii)それぞれ47及び82;(xxiv)それぞれ79及び82;又は(xxv)それぞれ79及び51によるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項1~30のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
32.VH及びVLが、配列番号(i)それぞれ26及び30;(ii)それぞれ26及び69;(iii)それぞれ26及び75;(iv)それぞれ26及び77;(v)それぞれ66及び69;(vi)それぞれ66及び30;(vii)それぞれ66及び75;(viii)それぞれ66及び77;(ix)それぞれ71及び30;(x)それぞれ71及び69;(xi)それぞれ71及び75;(xii)それぞれ71及び77;(xiii)それぞれ72及び30;(xiv)それぞれ72及び69;(xv)それぞれ72及び75;(xvi)それぞれ72及び77;(xvii)それぞれ73及び30;(xviii)それぞれ73及び69;(xix)それぞれ73及び75;(xx)それぞれ73及び77;(xxi)それぞれ36及び40;(xxii)それぞれ47及び51;(xxiii)それぞれ47及び82;(xxiv)それぞれ79及び82;又は(xxv)それぞれ79及び51に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%を有するか、または上記アミノ酸配列を含むかもしくはそれからなる、1~31のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
33.重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体又はその抗原結合断片であって、VHは配列番号26に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、VLは配列番号30に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、抗体又は抗原結合断片は、場合により2以上のベータコロナウイルスのベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができる、抗体又はその抗原結合断片。
34.重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体又はその抗原結合断片であって、VHは配列番号26に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、VLは配列番号77に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、抗体又は抗原結合断片は、場合により2以上のベータコロナウイルスのベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができる、抗体又はその抗原結合断片。
35.重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体又はその抗原結合断片であって、VHは配列番号72に示されるアミノ酸配列を含み、又はそれからなり、VLは配列番号30に示されるアミノ酸配列を含み、又はそれからなり、抗体又は抗原結合断片は、場合により2以上のベータコロナウイルスのベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができる、抗体又はその抗原結合断片。
36.重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体又はその抗原結合断片であって、VHは配列番号26に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、VLは配列番号75に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、抗体又は抗原結合断片は、場合により2以上のベータコロナウイルスのベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができる、抗体又はその抗原結合断片。
37.CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、ならびにCDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体又はその抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号27~29に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号31~33に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、抗体又は抗原結合断片は、ベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に、場合により2種以上のベータコロナウイルスの表面糖タンパク質結合し得る、抗体又は抗原結合断片。
38.CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、ならびにCDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体又はその抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号27~29に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号78、32、及び33に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、抗体又は抗原結合断片は、ベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に、場合により2種以上のベータコロナウイルスの表面糖タンパク質結合し得る、抗体又は抗原結合断片。
39.CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、ならびにCDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体又はその抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号27、68、及び29に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号31~33に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、抗体又は抗原結合断片は、ベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に、場合により2種以上のベータコロナウイルスの表面糖タンパク質結合し得る、抗体又は抗原結合断片。
40.CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、ならびにCDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体又はその抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号27~29に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号76、32、および33に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、抗体又は抗原結合断片は、ベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に、場合により2種以上のベータコロナウイルスの表面糖タンパク質結合し得る、抗体又は抗原結合断片。
41.重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体又はその抗原結合断片であって、VHが配列番号36に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、VLが配列番号40に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、抗体又は抗原結合断片が、ベータコロナウイルスの表面糖タンパク質、場合により2種以上のベータコロナウイルス、及び/又はアルファコロナウイルスの表面糖タンパク質、場合によりNL63-CoV及び/又は229E-CoVに結合することができる抗体又はその抗原結合断片。
42.CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、ならびにCDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体又はその抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号37~39に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号41~43に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、抗体又は抗原結合断片は、ベータコロナウイルスの表面糖タンパク質、場合により2種以上のベータコロナウイルス、及び/又はアルファコロナウイルス、場合によりNL63-CoV及び/又は229E-CoVの表面糖タンパク質に結合することができる抗体又はその抗原結合断片。
43.重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体又はその抗原結合断片であって、VHは配列番号47に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、VLは配列番号51に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、抗体又は抗原結合断片は、ベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に、場合により2種以上のベータコロナウイルスの表面糖タンパク質結合し得る、抗体又は抗原結合断片。
44.重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体又はその抗原結合断片であって、VHは配列番号79に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、VLは配列番号82に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、抗体又は抗原結合断片は、ベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に、場合により2種以上のベータコロナウイルスの表面糖タンパク質結合し得る、抗体又は抗原結合断片。
45.CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、ならびにCDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体又はその抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号48~50に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号52~54に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、抗体又は抗原結合断片は、ベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に、場合により2種以上のベータコロナウイルスの表面糖タンパク質結合し得る、抗体又は抗原結合断片。
46.CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、ならびにCDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体又はその抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号80、81、及び50に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号83及び53~54に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、抗体又は抗原結合断片は、ベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に、場合により2種以上のベータコロナウイルスの表面糖タンパク質結合し得る、抗体又は抗原結合断片。
47.VH及びVLが、配列番号(i)それぞれ26及び30;(ii)それぞれ26及び69;(iii)それぞれ26及び75;(iv)それぞれ26及び77;(v)それぞれ66及び69;(vi)それぞれ66及び30;(vii)それぞれ66及び75;(viii)それぞれ66及び77;(ix)それぞれ71及び30;(x)それぞれ71及び69;(xi)それぞれ71及び75;(xii)それぞれ71及び77;(xiii)それぞれ72及び30;(xiv)それぞれ72及び69;(xv)それぞれ72及び75;(xvi)それぞれ72及び77;(xvii)それぞれ73及び30;(xviii)それぞれ73及び69;(xix)それぞれ73及び75;(xx)それぞれ73及び77;(xxi)それぞれ36及び40;(xxii)それぞれ47及び51;(xxiii)それぞれ47及び82;(xxiv)それぞれ79及び51;または(xxv)それぞれ47及び82に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%を有するか、又は上記アミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項1~46のいずれかに記載の抗体又は抗原結合断片。
48.抗体又は抗原結合断片が、KDとの予備融合立体配座でヒトベータコロナウイルス表面糖タンパク質に結合することができ、KDが(i)表面糖タンパク質がSARS-CoV-2由来である1.0E-12M未満;(ii)表面糖タンパク質がSARS-CoV由来である1.0E-12M未満;(iii)表面糖タンパク質がOC43由来であ約3.72E-10M;(iv)表面糖タンパク質がHKU-1由来である約2.44E-09M;及び/又は(v)、表面糖タンパク質がMERS由来である約1.14E-09Mであり、ここで、任意選択的に、KDが、バイオレイヤ-干渉法(BLI)を用いて決定される、請求項1~47のいずれかに記載の抗体又は抗原結合断片。
49.(i)~(iii):(i)FKEELDKYF[配列番号57];(ii)GIDFQDELDEFFK[配列番号58];および/または(iii)DFKEELDQWFK[配列番号59]のいずれか1つを含む、ベータコロナウイルス表面糖タンパク質アミノ酸配列又はペプチドに結合することができる抗体又は抗原結合断片。
50.(i)~(vi);(i)KRSFIEDLLFN[配列番号60];(ii)ARSAIEDLLFD[配列番号61];(iii)SRSAIEDLLFD[配列番号62];(iv)RSFFEDLLF[配列番号63];(v)RSALEDLLFSK[配列番号64];および/または(vi)GRSAIEDILFS[配列番号65] のいずれか1つを含む、ベータコロナウイルス表面糖タンパク質アミノ酸配列又はペプチドに結合することができる抗体又は抗原結合断片。
51.ベータコロナウイルス表面糖タンパク質のステムヘリックス中のエピトープを認識する抗体又はその抗原結合断片であって、エピトープが2、3、4、5又はそれ以上のベータコロナウイルス中に保存されている、抗体又はその抗原結合断片。
52.2、3、4、5、又はそれ以上のベータコロナウイルスが、SARS-CoV-2、SARS-CoV、OC43、MERS-CoV、HKU1、又はそれらの任意の組合せを含む、51に記載の抗体又は抗原結合断片。
53.VHにおいて、V1-46*01によってコードされるアミノ酸配列及び/又はD5-12*01によってコードされるアミノ酸配列を含む、1~52のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
54.以下:(i)VHにおいて、J4*03又はJ*602によりコードされるアミノ酸配列;(ii)VLにおいて、KV3-20*01によりコードされるアミノ酸配列、及び/又はK3*01によりコードされるアミノ酸配列;(iii)VLにおいて、LV1-51*02によりコードされるアミノ酸配列、及び/又はJ1*01によりコードされるアミノ酸配列のいずれか1つ以上をさらに含む、53に記載の抗体又は抗原結合断片。
55.クレード1aのサルベコウイルス、クレード1bのサルベコウイルス、クレード2のサルベコウイルス、及びクレード3のサルベコウイルスの表面糖タンパク質に結合することができる、1~54のいずれか1つに帰記載の抗体又は抗原結合断片。
56.アミノ酸配列XFXELDXYF(配列番号84)を含むペプチドに結合することができる、1~55のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
57.アミノ酸配列XFXELDXYF(配列番号84)を含むペプチドに結合することができる抗体又は抗原結合断片。
58.SARS-CoV-2に結合することができ、SARS-CoV-2がD614G突然変異を含むか、又はA23.1、B.1.429、B.1.258、B.1.1.318、R.2、B.1.528、B.1.526、及びB.1.617から選択される、1~57のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
59.SARS-CoV-2 B.1.1.7、B.1.351、B.1.1.28、B.1.1.207及び/又はP.1によって感染を中和することができる、1~58のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
60.(i)2、3、4、又は5種ベータコロナウイルスのスパイクタンパク質中のエピトープを認識し;(ii)2、3、4、又は5種のベータコロナウイルスのスパイクタンパク質とそれぞれの細胞表面受容体との相互作用をブロックすることができ;(iii)2、3、4、又は5種のベータコロナウイルスのスパイクタンパク質中に保存されているエピトープを認識し;(iv)2、3、4、又は5種のベータコロナウイルスに対して交差反応性であり;(v)SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のいずれかの3つに対して交差反応性であり;(vii)SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のうちのいずれか4つに対して交差反応性であり;(vii)SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のうちのいずれか4つに対して交差反応性であり;(viii)インビトロ感染モデル及び/又はインビボ動物感染モデル及び/又はヒトにおいて、1、2、3、4、5又はそれ以上の異なるヒトベータコロナウイルスによる感染を中和することができ;(ix)抗体又は抗原結合断片がベータコロナウイルス及び/又はアルファコロナウイルス表面糖タンパク質に結合している場合、ヒトFcγRIIIa(随意にV131)、ヒトFcγRIIIa(随意にV158)又はその両方を活性化することができ;(x)ベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合した場合、表面糖タンパク質とヒトACE2の結合を阻害しない;(xi)SARS-CoV-2 S糖タンパク質に感染又はトランスフェクトされた第1の細胞と第2の細胞との間の細胞-細胞融合を阻害することができ;(xii)ベータコロナウイルスに感染した標的細胞に対して、ADCC、ADCP、CDC、又はそれらの任意の組合せを媒介することができ;(xiii)哺乳動物におけるベータコロナウイルス感染を予防し、又はその重症度の進行を防止することができ;又は(xiv)(i)~(xii)の任意の組合せである、1~59のいずれか1つの抗体又は抗原結合断片。
61.(i)抗体又は抗原結合断片のFabは、表面プラズモン共鳴を用いて測定すると、約7.3nMのKdを有する固定化前融合SARS-CoVタンパク質三量体、約16nMのKdを有する固定化前融合OC43 Sタンパク質三量体、約12nMのKdを有する固定化前融合MERSタンパク質三量体、及び/又は約120nMのKdを有する固定化前融合HKU1タンパク質三量体に結合することができ;及び/又は(ii)抗体又は抗原結合断片のFabは、表面プラズモン共鳴を用いて測定すると、約6.8nMのKdを有し、pH7.4でおよび/または約44nMのKdを有し、pH5.4で固定化前融合SARS-CoV-2 Sタンパク質エクトドメイン三量体に結合することができ;及び/又は(iii)抗体は、表面プラズモン共鳴を用いて測定すると、約0.4nMのKdを有し、pH7.4でおよび/または約2.3nMのKdを有し、pH5.4で固定化前融合SARS-CoV-2 Sタンパク質エクトドメイン三量体に結合することができる、1~60のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
62.アミノ酸配列DSFKEELDKYFKNH(配列番号95)を含むか又はそれからなるペプチドに結合することができる、1~61のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
63.アミノ酸配列DSFKEELDKYFKNH(配列番号95)を含むか又はそれからなるSARS-CoV-2表面糖タンパク質のエピトープに結合することができる、1~62のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
64.配列番号95が、アミノ酸配列QPELDSFKEELDKYFKNHTSP(配列番号96)内に含まれる、1~63のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
65.IgG、IgA、IgM、IgE、又はIgDアイソタイプである、64のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
66.IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4から選択されるIgGアイソタイプである、1~65のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
67.ヒト、ヒト化、又はキメラである、1~66のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
68.抗体又は抗原結合断片が、ヒト抗体、モノクローナル抗体、精製抗体、一本鎖抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、又はscFabを含む、1~67のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
69.scFvが1を超えるVHドメイン及び1を超えるVLドメインを含む、68に記載の抗体又は抗原結合断片。
70.抗体又は抗原結合断片が多特異的抗体又は抗原結合断片である、1~69のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
71.抗体又は抗原結合断片が二重特異的抗体又は抗原結合断片である、70に記載の抗体又は抗原結合断片。
72.(i)第1のVH及び第1のVL;ならびに(ii)第2のVH及び第2のVLを含み、第1のVH及び第2のVHは異なるが、各々独立して、配列番号26、36、47、66、71、72又は79に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;第1のVL及び第2のVLは異なるが、各々独立して、配列番号30、40、51、69、75、77、又は82に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;第1のVH及び第1のVLは共に第1の抗原結合部位を形成し、第2のVH及び第2のVLは共に第2の抗原結合部位を形成する、70又は71に記載の抗体又は抗原結合断片。
73.抗体又は抗原結合断片がFcポリペプチド又はその断片をさらに含む、1~72のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
74.Fcポリペプチド又はその断片が、(i)突然変異を含まない参照Fcポリペプチドと比較してFcRnへの結合を増強する突然変異;及び/又は(ii)突然変異を含まない参照Fcポリペプチドと比較してFcγRへの結合を増強する突然変異を含む、73に記載の抗体又は抗原結合断片。
75.FcRnへの結合を増強する突然変異が、M428L;N434S;N434H;N434A;N434S;M252Y;S254T;T256E;T250Q;P257I;Q311I;D376V;T307A;E380A;又はそれらの任意の組合せを含む、74に記載の抗体又は抗原結合断片。
76.FcRnへの結合を増強する突然変異が、(i)M428L/N434S;(ii)M252Y/S254T/T256E;(iii)T250Q/M428L;(iv)P257I/Q311I;(v)P257I/N434H;(vi)D376V/N434H;(vii)T307A/E380A/N434A;または(viii)(i)~(vii)のいずれかの組み合わせを含む、74に記載の抗体又は抗原結合断片。
77.FcRnへの結合を増強する突然変異がM428L/N434Sを含む、74に記載の抗体又は抗原結合断片。
78.FcγRへの結合を増強する突然変異が、S239D;I332E;A330L;G236A;又はそれらの任意の組み合わせを含む、74に記載の抗体又は抗原結合断片。
79. FcγRへの結合を増強する突然変異が、(i)S239D/I32E;(ii)S239D/A330L/I32E;(iii)G236A/S239D/I32E;又は(iv)G236A/A330L/I32Eを含む、74に記載の抗体又は抗原結合断片。
80.グリコシル化を変化させる突然変異を含み、グリコシル化を変化させる突然変異がN297A、N297Q、又はN297Gを含み、及び/又はアグリコシル化及び/又はアフコシル化される、1~79のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
81.FcポリペプチドがL234A突然変異及びL235A突然変異を含む、1~80のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
82.抗体又は抗原結合断片が、生物層干渉測定法を用いて測定した場合、2、3、4、又は5つのベータコロナウイルスSタンパク質に結合する、1~81のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
83.抗体又は抗原結合断片が、ベータコロナウイルス感染を中和すること、及び/又は標的細胞の感染を約1~約10μg/mlのIC50で中和することができる、1~82に記載の抗体又は抗原結合断片。
84.抗体又は抗原結合断片が、ベータコロナウイルスに感染した標的細胞に対して抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)及び/又は抗体依存性細胞貪食(ADCP)を誘導することができる、1~83のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片。
85.1~84のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片とベータコロナウイルス表面糖タンパク質との結合について競合する抗体又はその抗原結合断片。
86.抗体が、等価な位置にある対応するUCAからのアミノ酸で置換された野生型配列の少なくとも1つのアミノ酸を含む、1~85のいずれか1つに記載の抗体。
87.1~86のいずれか1つに記載の抗体もしくは抗原結合断片をコードするか、または抗体又は抗体断片のVH、重鎖、VL、及び/もしくは軽鎖をコードする、単離されたポリヌクレオチド。
88.ポリヌクレオチドがデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)を含み、RNAが場合によりメッセンジャ-RNA(mRNA)を含む、87に記載のポリヌクレオチド。
89.修飾ヌクレオシド、キャップ-1構造、キャップ-2構造、又はそれらの任意の組合せを含む、87又は88に記載のポリヌクレオチド。
90.ポリヌクレオチドが、プソイドウリジン、N6-メチルアデノンシン、5-メチルシチジン、2-チオウリジン、又はそれらの任意の組合せを含む、89に記載のポリヌクレオチド。
91.プソイドウリジンがN1-メチルプソイドウリジンを含む、90に記載のポリヌクレオチド。
92.宿主細胞における発現のためにコドンが最適化されている、87~91のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
93.配列番号34、35、44、又は45によるポリヌクレオチド配列と少なくとも50%の同一性を有するポリヌクレオチドを含む、87~92のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
94.VH及び/又はVLにおいて、同等の位置にある対応するUCAからのアミノ酸で置換された野生型配列の少なくとも1つのアミノ酸を含む抗体をコードするポリヌクレオチドを含む、87~93のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
95.87~94のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
96.ポリヌクレオチドが宿主細胞に対して異種性である、87~94のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド及び/又は95に記載のベクターを含む宿主細胞。
97.ポリヌクレオチドがヒトB細胞に対して異種性であり、及び/又はヒトB細胞が不死化されている、87~94のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドを含むヒトB細胞。
98.(i)1~86のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片;(ii)87~94のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド;(iii)95に記載の組換えベクター;(iv)96に記載の宿主細胞;及び/又は(v)97に記載のヒトB細胞、及び薬学的に許容される賦形剤、担体、又は希釈剤を含む組成物。
99.1~86のいずれか1つに記載の2つ以上の抗体又は抗原結合断片を含む、98に記載の組成物。
100.第1の抗体又は抗原結合断片及び第2の抗体又は抗原結合断片を含む組成物であって、(i)第1の抗体又は抗原結合断片は、1~86のいずれか1つのものであり;(ii)第2の抗体又は抗原結合断片は、(ii)(a)CDRH1アミノ酸配列GYPFTSYG(配列番号86)、CDRH2アミノ酸配列ISTYQGNT(配列番号94)又はISTYNGNT(配列番号87)、CDRH3アミノ酸配列ARDYTRGAWFGESLIGGFDN(配列番号88)、CDRL1アミノ酸配列QTVSSTS(配列番号90)、CDRL2アミノ酸配列GAS(配列番号91)、及びCDRL3アミノ酸配列QQHDTSLT(配列番号92)を含み、場合により(ii)(a)(1)VHアミノ酸配列:QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYPFTSYGISWVRQAPGQGLEWMGWISTYQGNTNYAQKFQGRVTMTTDTSTTTGYMELRRLRSDDTAVYYCARDYTRGAWFGESLIGGFDNWGQGTLVTVSS(配列番号93)、又はQVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYPFTSYGISWVRQAPGQGLEWMGWISTYNGNTNYAQKFQGRVTMTTDTSTTTGYMELRRLRSDDTAVYYCARDYTRGAWFGESLIGGFDNWGQGTLVTVSS(配列番号85)、および(ii)(a)(2)VLアミノ酸配列:EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQTVSSTSLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQHDTSLTFGGGTKVEIK(配列番号89)を含む組成物。
101.第1の抗体又は抗原結合断片及び/又は前記第2の抗体又は抗原結合断片が、(i)M428L及びN434S突然変異;(ii)G236A、A330L及びI32E突然変異;又は(iii)M428L、N434S、G236A、A330L及びI32E突然変異を含むFcポリペプチドを含む、100に記載の組成物。
102.(i)1~86のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片;及び(ii)ステムヘリックスの外側にあり、場合により受容体結合ドメイン(RBD)に含まれるベータコロナウイルス表面糖タンパク質エピトープに結合することができる抗体又は抗原結合断片を含む組合せ。
103.(ii)の抗体又は抗原結合断片が、そのエピトープに結合した場合、ベータコロナウイルス表面糖タンパク質と、ACE2、DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC-1、ジペプチジルペプチダ-ゼ-4(DPP4)、及び9-O-アセチル化シアル酸(9-O-Ac-Sia)受容体から選択される細胞表面受容体との間の相互作用を阻害する、102に記載の組み合わせ。
104.担体分子に封入された87~94のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドを含む組成物であって、担体分子は、脂質、脂質由来送達ベヒクル、例えば、リポソ-ム、固体脂質ナノ粒子、油性懸濁液、サブミクロン脂質エマルジョン、脂質マイクロバブル、逆脂質ミセル、か牛リポソ-ム、脂質微小管、脂質マイクロシリンダ-、脂質ナノ粒子(LNP)、又はナノスケールプラットフォームを任意に含む、組成物。
対象におけるベータコロナウイルス感染を治療する方法であって、有効量の(i)1~86のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片;(ii)87~94のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド;(iii)95に記載の組換えベクター;(iv)96に記載の宿主細胞;(v)97に記載のヒトB細胞;(vi)98~101又は104のいずれか1つに記載の組成物;及び/又は(vii)102又は103に記載の組合せを対象に投与することを含む方法。
106.有効量の組み合わせを投与する工程が、(i)の抗体又は抗原結合断片の有効量を投与する工程、及び任意に同時に又は連続して(ii)のポリヌクレオチドの有効量を投与する工程を含む、102又は103に記載の組み合わせの有効量を投与する工程を含む、105に記載の方法。
107.有効量の組合せを投与する工程が、(i)の抗体又は抗原結合断片の有効量を投与する工程、及び(ii)のポリヌクレオチドの有効量を投与する工程を含む、102又は103に記載の組合せの有効量を投与する工程を含む、105に記載の方法。
108.有効量の組み合わせを投与する工程が、(ii)のポリヌクレオチドの有効量を投与する工程、及び(i)の抗体又は抗原結合断片の有効量を投与する工程を含む、102又は103の組み合わせの有効量を投与する工程を含む、105に記載の方法。
109.対象におけるベータコロナウイルス感染を処置する方法における使用のための、1~86のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片、87~94のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド、95に記載の組換えベクター、96に記載の宿主細胞、97に記載のヒトB細胞、98~101又は104のいずれか1つに記載の組成物、及び/又は102又は103に記載の組み合わせ。
110.対象におけるベータコロナウイルス感染の治療のための薬剤の調製における使用のための1~86のいずれか1つに記載の抗体又は抗原結合断片、87~94のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド、95に記載の組換えベクター、96に記載の宿主細胞、97に記載のヒトB細胞、98~101又は104のいずれか1つに記載の組成物、及び/又は、102又は103に記載の組み合わせ。
111.ベータコロナウイルスが、(i)SARS-CoV;(ii)SARS-CoV-2;(iii)MERS-CoV;(iv)OC43;(v)HKU1;又は(vi)(i)~(iiii)のいずれかの組み合わせを含む、109又は110の使用のための抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、組換えベクター、宿主細胞、ヒトB細胞、組成物、及び/又は組み合わせ。
112.ベータコロナウイルスを治療する方法が、有効量の抗体又は抗原結合断片を投与することを含み、任意選択的には同時に又は配列で、有効量のポリヌクレオチドを投与することを含む、109又は110に記載の使用のための抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、組換えベクター、宿主細胞、ヒトB細胞、組成物、及び/又は組合せ。
113.有効量の組み合わせを投与することは、有効量の抗体又は抗原結合断片を投与し、次に有効量のポリヌクレオチドを投与することを含む、112に記載の抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、組換えベクター、宿主細胞、ヒトB細胞、組成物、及び/又は組み合わせ。
114.有効量の組み合わせを投与することが、有効量のポリヌクレオチドを投与することと、その後、有効量の抗体又は抗原結合断片を投与することとを含む、112の使用するための記載の抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、組換えベクター、宿主細胞、ヒトB細胞、組成物、及び/又は組み合わせ。
115.使用が、対象におけるベータコロナウイルス感染を治療する方法における、抗体又は抗原結合断片の第1の使用及びポリヌクレオチドの第2の使用を同時に又は連続して含む、109又は110の使用するための抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、組換えベクター、宿主細胞、ヒトB細胞、組成物、及び/又は組み合わせ。
116.使用が、対象におけるベータコロナウイルス感染を治療する方法における、抗体又は抗原結合断片の第1の使用及びポリヌクレオチドの第2の使用を含む、115の使用するための抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、組換えベクター、宿主細胞、ヒトB細胞、組成物、及び/又は組み合わせ。
117.使用が、対象におけるベータコロナウイルス感染を処置する方法における、ポリヌクレオチドの第1の使用及び配列における抗体又は抗原結合断片の第2の使用を含む、115に記載の抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、組換えベクター、宿主細胞、ヒトB細胞、組成物、及び/又は組み合わせ。
118.ベータコロナウイルス感染のインビトロ診断方法であって、(i)対象由来の試料を1~86のいずれか1つの抗体又は抗原結合断片と接触させる工程;及び(ii)抗原及び抗体を含む複合体、又は抗原及び抗原結合断片を含む複合体を検出する工程を含む方法。
119.試料が、対象から単離された血液を含む、118に記載の方法。
120.ベータコロナウイルスが、(i)SARS-CoV;(ii)SARS-CoV-2;(iii)MERS-CoV;(iv)OC43;(v)HKU1;又は(vi)(i)~(iiii)の任意の組合せを含む、118又は119に記載の方法。
実施例1:複数のベータコロナウイルスに対する抗体の検査
ヒトモノクローナル抗体420 2(図1A)及び抗体420 1(図1B)の異なるヒトベータコロナウイルスのスパイクタンパク質への結合を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により測定した。抗体420 2は、本明細書ではS2S8とも呼ばれ、配列番号36で提供される配列を含むVH及び配列番号40で提供される配列を含むVLを含む。抗体420 1は、本明細書ではS2P6とも呼ばれ、配列番号26で提供される配列を含むVH及び配列番号30で提供される配列を含むVLを含む。SARS-CoV(Urbani株、GenBank:AAP13441;ncbi.nlm.nih.gov/protein/30027620)、配列番号22、SARS-CoV-2(BetaCoV/Wuhan-Hu-1/2019、GenBank:MN908947)、配列番号3、MERS(London1/2012;GenBank:KC164505)、配列番号24、OC43(GenBank AAT84362.1)、配列番号23及びHKU1(GenBank YP 173238.1)からの融合前安定化スパイクタンパク質を、1μg/mlで被覆し、PBSのみを陰性対照として使用した。最大有効濃度の半分(EC50)を測定し、ng/mlと報告した。α-コロナウイルスに対するこれらの抗体の結合もELISAによって測定されたが、結合は観察されなかった(データは示されていない)。さらなるELISA研究は、抗体S2S8がアルファコロナウイルスNL63-CoV及び229E-CoVのスパイクタンパク質に結合することを示した。
モノクローナル抗体S2S40、S2S41、S2S42、S2S43、及びS2X529を、上記のように、異なるヒトβ-コロナウイルスのスパイクタンパク質及びSARS-CoV-2のスパイクタンパク質サブユニットS2への結合について試験した。結果を表2に示す。
モノクローナル抗体420 2(S2S8としても知られる)及び抗体420 1(S2P6としても知られる)(両方ともM428L/N434S Fc突然変異を有する組換えIgG1として発現される抗体;「MLNS」)による、哺乳動物細胞の表面に発現される異なるヒトβ-コロナウイルスのスパイクタンパク質への結合を、フローサイトメトリーにより測定した。簡単に述べると、Expi-CHO細胞を、ヒトβ-コロナウイルス由来の完全長スパイクタンパク質をコードするphCMV1発現プラスミドで一過性にトランスフェクトした。SARS-CoV-2(BetaCoV/Wuhan-Hu-1/2019;図2A)、SARS-CoV(Urbani株、AAP13441;図2B)、OC43(図2C)、及びMERS-CoV(London1/2012;図2D)からのスパイクタンパク質への結合を測定した。
さらに、SARS-CoV-2(BetaCoV/Wuhan-Hu-1/2019)Sタンパク質由来のS1、S2、及び受容体結合ドメイン(RBD)への抗体420 1(S2P6としても知られる)(図3A)及び抗体420 2(S2S8としても知られる)(図3B)による結合をELISAにより測定した。 タンパク質を1μg/mlでコ-ティングした。これらのデータは、抗体420 1及び420 2がS2において結合することを示す。
SARS-CoV-2ウイルス感染に対する抗体420 1の中和活性を、ルシフェラーゼレポーターアッセイを用いて評価した。VeroE6細胞を、SARS-CoV-2-ルシフェラーゼレポーターウイルスに0.01の多重感染(MOI)で24時間感染させた。図4には、計算されたIC50値(ng/ml)と共に、抗体濃度を増加させたときの中和率を示す曲線を示す。比較抗体「S309」(Pintoら、ヒトモノクローナルSARS-CoV抗体によるSARS-CoV-2の交差中和、Nature 583:290-295(2020年7月)を参照)による中和も試験した。
抗体420 1及び抗体420 2によるシュードタイプウイルスの中和をルシフェラーゼレポーターアッセイにより評価した。Huh7細胞におけるMERS-CoVの抗体420 1中和(図5A)及びVero E6細胞におけるSARS-CoV-2の抗体420 1中和(図5B)を検討した。Huh7細胞におけるMERS-CoV感染の抗体420 2による中和(図6A)及びVero E6細胞におけるSARS-CoV-2の中和(図6B)も評価した。抗体濃度の上昇(ng/ml)時の中和率を示す曲線を示し、IC50値をμg/mlで報告する。比較抗体LCA60(抗MERS;Cortiら、PNAS 122(33):10473-10478(2015))及びS309による中和も測定した。
さらなるヒト抗体S2S43を単離した。S2S43は、配列番号47(それぞれ、配列番号48~50のCDRH1~H3)に示されるVHアミノ酸配列、及び配列番号51(それぞれ、配列番号52~54のCDRL1~L3)に示されるVLアミノ酸配列を含む。
S2P6及びS2S43のV領域の生殖細胞系列配列を評価した。S2P6及びS2S43の各々について、変異していない共通祖先(UCA)V領域配列を含む抗体を作製した。1つ以上のCDR(IMGT)アミノ酸残基が生殖細胞系アミノ酸に復帰するS2P6抗体も作製した。図76及び78を参照のこと。
図34-75及び77に示すデータを用いて、さらなる研究を実施した。現在開示されている抗体は、異なるヒトβ-コロナウイルスに結合し、中和することができる。S2S8はα-コロナウイルスに対して交差反応性を示すが、S2P6に対しては交差反応性を示さない(図37)。S2P6は、ヒトFcγRIIIa(H131対立遺伝子)及びFcγRIIIa(V158対立遺伝子)を活性化し(図42A、42B、及び62)、エフェクタ-機能を誘導し(図63)、シリアンハムスターモデルにおいてSARS-CoV-2感染から保護することができる(図45、64、及び65)。S2P6結合は、SARS-CoV-2 RBDのヒトACE2への結合を阻害しなかった(図60)。S2P6は、SARS-CoV-2 SをトランスフェクトしたVero-E6細胞を用いて細胞-細胞融合を阻害した(図61)。
ペプチドマッピング研究を行い、エピトープ領域を同定した。図43、44、53、及び54を参照のこと。これらの研究から、S2P6はβ-コロナウイルスステムヘリックス領域に保存されたエピトープに結合する(図54;ヒトβ-コロナウイルスの間で高度に保存されているS2サブユニット内のステムヘリックスに位置するSARS-CoV-2モチーフF1148KEELDKYF1156)。
S2P6は、試験した全長SARS-CoV-2 Sバリアント及びExpiCHO細胞表面に一過性に発現した全サルベコウイルスクレードを代表する24のS糖タンパク質に結合することが示された(図50、67A-67C、及び68)。S2P6は、ヒトに感染する5種類のβ-コロナウイルス(HKU1はオフレ-トが速いが)、ならびにMERS-CoV関連コウモリウイルス(HKU4及びHKU5)及びマウス肝炎ウイルス(MHV)のステムヘリックスペプチド(データは示していない)と同程度に結合する。S2P6はまた、融合後のSARS-CoV-2スパイクタンパク質への結合を示したが、そのエピトープは標的プロトマーの界面にスパイクタンパク質のロッド形三量体の他の2つのプロトマーと埋め込まれているようであり、従って完全にアクセス可能であるとは期待できない(データは示されていない)。
生殖細胞系CDRアミノ酸を有するS2P6抗体の大部分はまた、少なくとも1つのベータコロナウイルスに結合するのに効果的であることが見出された。CDRH3の残基103にグリシンの代わりにバリンを含むバリアントは、試験したウイルスへの結合を欠いていた(図59、及び76-77)。
さらなる考察
S2P6はインビトロで免疫細胞依存性エフェクタ-機能を活性化し、SARS-CoV-2 Wuhan-1及びB.1.351株で攻撃したハムスターを保護する。
回復期SARS-CoV-2暴露個体からの広範に中和するβ-コロナウイルスmAbの単離
S糖タンパク質の高度に保存された領域を標的とするmAbを同定するために、COVID-19回復期ドナ-由来のヒトIgG記憶B細胞を調べた。mAbは、3種類のヒト感染性ベータコロナウイルス亜属、すなわちサルベコウイルス(SARS-CoV及びSARS-CoV-2)、メルベコウイルス(MERS-CoV)及びエンベコウイルス(OC43及びHKU1)に属するウイルスの融合前安定化S外部ドメイン三量体に結合するが、ヒトアルファコロナウイルス(229E及びNL63)には結合しないことが同定された。 S2P6及びS2S43mAbは2つのドナ-に由来し、VH1-46*01及びD5-12*01遺伝子を使用する。全体として、可変領域におけるこれらのmAbの体細胞突然変異のレベルは限られていた。融合前及び融合後の両方のSARS-CoV-2 Sに結合したmAbは、見かけ上同等の活性を有し、それらの同族エピトープがS糖タンパク質の両方の立体構造状態でアクセス可能であることを示す。
S2P6をさらに特徴付けるために選択し、ExpiCHO細胞の表面に一過性に発現するすべてのサルベコウイルスクレードを代表する24種類のS糖タンパク質に対して試験した全長SARS-CoV-2 Sバリアントに結合することを示した。表面プラズモン共鳴(SPR)を用いて、S2P6 Fab断片は、SARS-CoV-2S及びSARS-CoV Sに対して最も高い親和性を有し、次にMERS-CoV S及びOC43 Sに対してそれぞれ7、7、12及び16 nMの平衡解離定数(K)を有することが分かった。S2P6はHKU1 Sにも結合したが、親和性は低下した(Kは約120nM)。このmAbによる前融合SARS-CoV-2 Sの認識は、IgG及びFabの両方のフォ-マットにおいて、pH5と比較してpH7でより高い結合親和性でpH依存性である。これらのデータは、すべてのヒト感染性ベータコロナウイルスに対するS2P6の独特かつ効率的な交差反応性を示している。
S2P6の中和能力及び広さを評価するために、S-活性化プロテア-ゼTMPRSS2の存在下又は非存在下で、Vero-E6細胞への真正のSARS-CoV-2の侵入を阻害するその能力を調べた。S2P6はTMPRSS2陽性Vero-E6細胞の感染を完全に中和したが、Vero-E6細胞の中和感染にはあまり効果がなかった。 以前の研究は、培養肺細胞へのSARS-CoV-2の主な侵入経路が、TMPRSS2活性化融合を介して細胞質膜と融合することを明らかにした。(Hoffmann, Mosbauer, et al. 2020; Hoffmann, Kleine-Weber, et al. 2020; Hoffmann, Kleine-Weber, and Pohlmann 2020)。このプロテア-ゼを欠損した細胞と比較して、TMPRSS2を発現するVero-E6細胞へのSARS-CoV-2侵入のより効率的なS2P6媒介中和は、エンドソ-ムpHでの緩和された結合と一致しており、S2P6が肺細胞感染に関連するウイルス侵入経路に向けて最大限効率的であることを示唆している。B.1.1.7、B.1.351及びP.1を含むいくつかの懸念されるバリアント(VOC)を有するSARS-CoV-2 Sでシュードタイプ化した水疱性口内炎ウイルス(VSV)のS2P6媒介中和(Kaname et al. 2010)を評価した。親のSARS-CoV-2 D614G Sに対して同様の効力が認められ、さらにS2P6はSARS-CoV S、Pangolin Guangdong 2019(P-GD)S、MERS-CoV S及びOCS VSVシュードタイプを阻害し、IC50値は0.02~17μg/mLであった。従って、S2P6はSARS-CoV-2及び循環VOCを含む前例のない広範なβ-コロナウイルス中和活性を特徴とする。
同定されたmAbによって認識されるエピトープを定義するために、ペプチドマッピング実験を15量体直鎖重複ペプチドを用いて行った。すべてのmAbはSサブユニット内のステムらせんに位置するSARS-CoV-2モチーフF1148KEELDKYF1156を含むペプチドに結合することがわかった。この領域はベータコロナウイルスの間で高度に保存されている。S2P6は、ヒトに感染する5種類のベータコロナウイルス(HKU1のオフレ-トは速いが)、ならびにMERS-CoV関連コウモリウイルス(HKU4及びHKU5)及びマウス肝炎ウイルス(MHV)のステムヘリックスペプチドと同程度の大きさで結合した。S2S43は、HKU1、HKU4及びHKU5ペプチドに対して著しく弱い反応性でS2P6と同様の全体的結合を示した。
ウイルスエスケ-プバリアントの選択は、複製可能なVSV-SARS-CoV-2 Sキメラウイルスを用いて、S2P6の存在下でインビトロで行った(Case et al. 2020)。2継代後、S2P6によるウイルス中和は完全に停止し、ディープシークエンシング解析により、L1152F、D1153N/G/A及びF1156Lという5つの異なる耐性突然変異の出現が明らかになった。これらの突然変異は、置換スキャン分析においてS2P6による結合の減少と一致する。これらの突然変異の累積頻度は、2回目の継代後に90%を超え、準種として生じた(すなわち、それらは、同一の配列決定読み取り内では見られなかった)。主要な界面残基における中和エスケ-プ突然変異体の単離は、S2P6 mAb結合について同定された相互作用の重要な役割を強調する。 しかしながら、これらの突然変異は、循環血中のSARS-CoV-2分離株において非常に低い有病率で検出されている(2021年4月30日現在、1,217,814の配列のうち146%、0.01%)。
S2P6媒介広域コロナウイルス中和の推定メカニズムを検証するために、S2P6結合はELISAを用いたACE2によるSARS-CoV-2 Sの結合を遮断しないことが初めて示された。しかし、S2P6は、完全長SARS-CoV-2 SをトランスフェクトしたVero-E6細胞間の細胞間融合を、閉鎖状態でSARS-CoV-2 Sを固定するS2M11 mAbと同程度に効果的に阻害した M. A. Tortorici et al. 2020)。RBD抗原部位Iaを標的とするmAb(例)が報告されている。S2E12及びIIa(例)S2X259又はS2X35)は、受容体への結合を模倣し、紡錘体Sのコンホメ-ション変化を早期に誘発することができる。( A. C. Walls et al. 2019; Lempp et al. 2021; Piccoli et al. 2020)。従って、S2P6は1ng/mlという低濃度でS2E12を介したシンシチウムの形成を抑制した。まとめると、これらの結果は、S2P6中和の主なメカニズムが、S融合遺伝子再編成の妨害に起因する膜融合の阻害を介したウイルス侵入を阻止することであることを示唆している。
S2P6を介したSARS-CoV-2攻撃に対する防御は、ハムスターにおけるFcを介したエフェクタ-機能によって増強される
Fcを介したエフェクタ-機能は、ウイルスクリアランス及び抗ウイルス免疫応答を促進することにより、インビボ保護に寄与することができる Schafer et al. 2021; Bournazos, Wang, and Ravetch 2016; Bournazos et al. 2020; Winkler et al. 2020)。S2P6がFcγRIIa及びFcγRIIIaの活性化を誘発し、インビトロでFcエフェクタ-機能を発揮する可能性を分析した。S2P6は、ルシフェラーゼレポーターアッセイを用いて、中等度の用量依存性FcγRIIa及びFcγRIIIa媒介シグナル伝達を促進した。S2P6は、ヒトNK細胞とExpiCHO標的細胞(CHO-S)を発現するSARS-CoV-2 Sをインキュベートした後、S309 mAbで観察されるレベルに匹敵するAb依存性細胞細胞傷害性(ADCC)のロバストな活性化を促進した(Pinto et al. 2020)。S2P6はまた、食細胞としてのCell-Trace-Violet標識末梢血単核細胞(PBMC)とCHO-S細胞を用いて、Ab依存性細胞食作用(ADCP)活性を示した。最後に、S2P6は補体依存性細胞毒性(CDC)を促進しなかったことから、S2P6 Fc媒介エフェクタ-機能はインビボでのウイルス制御に関与するが、補体活性化には関与しないことが示唆された。
シリアンハムスターモデル(Boudewijns et al. 2020)における原型(Wuhan-1関連)SARS-CoV-2の攻撃に対するS2P6(完全ヒトIgG1又はハムスターIgG2a定常領域のいずれかを有する)の予防活性を評価した。以前の知見は、ヒトIgG1 mAbがハムスターFcgRを認識できないことを示した(Lempp et al. 2021);従って、S2P6はハムスターFcgRとの最適な相互作用を提供するためにハムスターIgG2フォ-マットでも産生された。2種類の異なる用量のヒトIgG1(Hu-S2P6)又はハムスターIgG2(Hm-S2P6)をSARS-CoV-2の鼻腔内投与の24時間前に投与し、感染4日後にウイルスRNA量及び複製ウイルスについて動物の肺を評価した。20mg/kgで投与したHm-S2P6は、対照(無関係な)mAbと比較して、ハムスターの肺におけるウイルスRNAコピー及びウイルス力価を2桁減少させた。さらに、20mg/kgのHm-S2P6は、Hu-S2P6で観察されたレベルよりも有意に低いレベルまで肺で検出されたウイルスRNAコピーを減少させ、インビボでのS2P6エフェクタ-機能の有益な効果を示唆した。インビトロで観察されたSARS-CoV-2 VOCに対する同等のS2P6中和効力に基づき、SARS-CoV-2 B.1.351を投与したハムスターにおけるS2P6の防御効果を評価した。20mg/kgのHu-S2P6の予防投与は、これまでに同定されたすべてのVOCにおけるステムヘリックスエピトープの厳格な保存と一致して、対照群と比較して、肺における複製ウイルス力価を約1.5桁減少させた(RNAコピー数は減少させなかった)。
まとめると、これらの知見は、S融合装置において高度に保存されたエピトープを標的とする抗体が、インビトロでFc媒介性ADCC及びADCPを誘発し、インビボでの中和及びエフェクタ-機能の両方を介してSARS-CoV-2誘発に対して保護し得ることを示す。
自然感染又はワクチン接種は、狭い特異性のステムヘリックス指向性抗体を主に誘発する
ステムヘリックス特異的抗体がどのくらいの頻度で誘発されるかを理解するために、パンデミック前、回復期、及びワクチン接種された個人からの血漿試料を用いた血清学的分析を行った。SARS-CoV-2/SARS-CoV(SARS-CoV/-2)、OC43、MERS-CoV、HKU1、HKU4及びHKU5のステムヘリックスペプチドへの血漿IgG結合力価を測定した。全体として、HKU1を除いて、ステムヘリックスペプチドに結合する血漿抗体はパンデミック前の試料では認められなかったが、これはおそらくこのコホ-トにおけるこのウイルスへの以前の感染を反映していると思われる。逆に、以前にSARS-CoV-2に感染した人や2回のmRNAワクチン接種を受けた人では、ステムヘリックス特異的抗体が低頻度で認められた。全体として、これらのデータは、ステムヘリックスに対する血漿Ab応答がSARS-CoV-2感染又はワクチン接種時に誘発されるが、比較的まれであることを示している。
回復期患者21例及びワクチン接種患者17例の記憶B細胞レパートリーにおける幹へリックス特異的抗体の頻度を、インビトロポリクローナル刺激(ここでは抗原特異的B細胞記憶レパートリー分析(AMBRA)と呼ぶ)に基づくクローン分析を用いて調べた(Pinna et al. 2009)。両コホ-トにおいて、0.1~2.5%の範囲のステムヘリックス特異的IgGの頻度が観察されたが、SARS-CoV/-2特異的抗体の頻度が97%であった1人の個体(感染させ、mRNAワクチンを単回接種)を除いては観察されなかった。ほとんどのSARS-CoV-2ステムヘリックス特異的AbはOC43と交差反応性を示し、これら2つのウイルスのステムヘリックスの高い配列同一性と一致した。HKU1 Sステムヘリックスに特異的な抗体がいくつかの個体で認められたが、他のb-コロナウイルスとの交差反応性はなかった。この分析は、試験したすべてのステムヘリックスb-コロナウイルスペプチドに対する交差反応性の単一例を明らかにした。
これらの知見は、ステムヘリックスAbがSARS-CoV-2感染又はワクチン接種によって誘導されることはまれであり、b-コロナウイルス間の交差反応性は限られているようであることを示している。
広範な反応性をもつb-コロナウイルス抗体は、体細胞突然変異を介して親和性と幅を獲得する
S2P6の個体発生を定義するために、生殖細胞系変異のパネルを作成した。生殖細胞系に関連して突然変異した7つのS2P6重鎖残基のうち2つはエピトープ認識(Q32及びH57)に寄与するが、5つの軽鎖突然変異残基のいずれもS結合に関与しない。VH及びVK体細胞突然変異の役割に対処するために、重鎖又は軽鎖、又は両方の可変領域(VH及びVK)のS2P6生殖細胞系変異のパネルを作成した。完全生殖系列S2P6(UCA)はOC43及びMERS-CoVステムヘリックスペプチドに結合したが(変異mAbと比較して約1桁高いEC50で)、SARS-CoV/-2又はHKU1ペプチドには結合しなかった。VHにおける体細胞突然変異はSARSCoV/-2への高い結合活性に十分であったが、HKU1への最適結合にはVH及びVK突然変異の両方が必要であった。CDRH3中の残基G103の存在は、全てのb-コロナウイルスへの結合に必須であることが見出された。まとめると、これらの知見は、S2P6 mAbがOC43感染に応答して発生した可能性が高く、その特異性は、これらのβ-コロナウイルスの一方又は両方による自然感染時に選択された体細胞突然変異を介して、SARS-CoV-2及びHKU1に向けて拡大されたことを示す。
コロナウイルスのSサブユニット(いわゆる融合装置)は、融合ペプチド及びヘプタッド-リピート2領域を含むいくつかの重要な抗原部位を含み、Sサブユニットよりも保存されている(Daniel et al. 1993; Zhang et al. 2004; Poh et al. 2020; Elshabrawy et al. 2012; Zheng et al. 2020)。その結果、これは広範なコロナウイルス検出及び中和のための魅力的な標的である(A. C. Walls et al. 2016)。ステムヘリックスを標的とする3つの交差反応性mAbの最近の同定は、β-コロナウイルスS糖タンパク質の間で保存されているこの未知のSサブユニットエピトープを明らかにしたが、いずれも3つのβ-コロナウイルス亜属(系統)のメンバーを阻害しなかった(Sauer et al. 2020; C. Wang et al. 2021; Song et al. 2020)。本稿では、Sステムヘリックスの重複エピトープを標的とし、ヒト及び動物のb-コロナウイルスと交差反応するmAbを同定する。S2P6は、膜融合の阻害を介して評価されたすべてのサルベコウイルス、メルベコウイルス及びエンベコウイルスを広範に中和し、Sサブユニット指向性mAbがSARS-CoV-2負荷(SARS-CoV-2 B.1.351 VOCを含む)からハムスターを保護し、Fc媒介性エフェクタ-機能の有益な効果を示す証拠を提供する。これらのデータは、エフェクタ-機能の関与を、SARS-CoV-2 RBD特異的mAb((Schafer et al. 2021; Winkler et al. 2020)、ならびにインフルエンザA血球凝集素幹特異的広範中和mAbのインビボでの有効性にまで記述したこれまでの研究を拡張したものである((Corti et al. 2011; DiLillo et al. 2014)。この所見は、インフルエンザ血球凝集素のステム上の高度に保存されたエピトープに対するmAbの同様の所見を思い起こさせ、交差反応性とエフェクター機能の組み合わせが、これらの感染に対する抗体に対して特別な効力を提供することを示す。
S2P6の例外的に広い交差反応性及び中和幅は、b-コロナウイルス間のステムヘリックスの保存された性質によって説明できると思われる。SARS-CoV-2内では0.01%未満の配列がGISAID(日付)に蓄積された130万以上のゲノムのうちS残基1146と1159の間で変異しており、この領域内にSARS-CoV-2のVOC残基置換は存在しないことが報告されている。
ステムヘリックスは、SARS-CoV-2 Sの融合前に3-ヘリックス束を形成すると考えられており、そうでなければ埋め込まれた疎水性エピトープを露出させるためには、動的なコンホメ-ション変化が必要であると思われる。このエピトープは、保存されたグリカンに囲まれており、この保存された部位をさらに遮蔽する可能性がある。本稿で示した結果は、ステムヘリックス標的抗体が、風土病性(OC43又はHKU1)又はパンデミック(SARS-CoV-2)コロナウイルス、ならびにCOVID-19 mRNAワクチンによる自然感染で誘発されるという証拠を提供する。しかし、幹へリックス特異的抗体は、回復期又はワクチン接種した患者では血漿試料中に低力価で存在し、記憶B細胞レパートリー中に低頻度で存在するが、これはおそらくエピトープ曝露が限られているためであろう。
ステムヘリックス標的抗体は主に狭い特異性を有し、体細胞突然変異の蓄積を介して広範なベータコロナウイルス中和と保護を媒介するものはほとんどない。
実施例2:ヒトベータコロナウイルススパイクタンパク質の分析
ヒトベータコロナウイルススパイクタンパク質由来の部分S2セグメントを図7に示す。融合前外部ドメインのC末端部分の領域(図8A)は、ある程度保存されていることが明らかにされた。融合前外部ドメインの尾部における表面露出リンカー領域の螺旋構造を示すモデルを図8Bに示す。図8Cは、表面に露出したリンカー領域のより詳細な図を示し、特定のアミノ酸残基を示す。構造解析の結果、次のことがわかった。
融合後スパイクタンパク質の構造も調べた(図9A)。リンカー領域の詳細な図(図9B及び9C(比較のために9Cの下部に示される融合前立体構造))は、残基1148~1158の部分的再配列及び露出を示す。融合後の図9A~図9Cにおける残基の番号付けは、さらなる18残基の位置を付加するシグナルペプチドを説明しない。
実施例3:材料及び方法
図1~46に示すデータには、以下の材料及び方法を用いた。
安定な過剰発現細胞株の生成
レンチウイルスを、DC-SIGN(CD209)、L-SIGN(CLEC4M)、SIGLEC1、TMPRSS2又はACE2(すべてGenecopoeiaから入手)及びそれぞれのレンチウイルスヘルパ-プラスミドをコードするレンチウイルス発現プラスミドとLenti-X 293T細胞(Takara)を共トランスフェクションすることにより生成した。トランスフェクションから48時間後、上清中のレンチウイルスを回収し、20,000rpmで2時間超遠心分離により濃縮した。Lenti-X 93T(Takara)、Vero E6(ATCC)、MRC5(Sigma-Aldrich)、A549(ATCC)を6ug/mLポリブレン(Millipore)の存在下で24時間形質導入した。2つのトランスジ-ンを過剰発現する細胞株をその後に形質導入した。ピュ-ロマイシン及び/又はブラスチシジン(Gibco)による選択は、形質導入の2日後に開始し、選択試薬をその後のすべての培養のために増殖培地中に維持した。単一細胞クローンは、A549-ACE2-TMPRSS2細胞株に由来し、他のすべての細胞株は、細胞プールを表す。
SARS-CoV-2中和
10%FBS(VWR)及び1xペニシリン/ストレプトマイシン(Thermo Fisher Scientific)を添加したDMEM中で培養したVero E6又はVero E6-TMPRSS2細胞を、黒色96ウェルプレートに20,000細胞/ウェルで播種した。モノクローナル抗体の一連の1:4希釈物を、200pfuのSARS-CoV-2(分離株USA-WA1/2020、継代3、Vero E6細胞中で継代)と共に、BSL-3施設において37℃で30分間インキュベートした。細胞上清を除去し、ウイルス-抗体混合物を細胞に添加した。感染24時間後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで30分間固定し、続いて2回のPBS(pH7.4)洗浄及びPBS中0.25%Triton X-100による30分間の透過処理を行った。5%ミルク粉末/PBS中で30分間ブロッキングした後、細胞をSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質を標的とする一次抗体(Sino Biological,cat 40143-R001)と、1:2000希釈で1時間インキュベートした。1ug/mlのHoechst33342と混合した二次Alexa647標識抗体で1時間洗浄インキュベートした後、プレートを自動細胞イメージングリーダー(Cytation 5、Biotek)上でイメ-ジングし、ヌクレオカプシド陽性細胞を製造者の供給するソフトウェアを用いて計数した。
SARS-CoV-2-Nluc中和
ウイルスORF7の代わりにナノルシフェラーゼをコードするSARS-CoV-2-Nluc(株2019-nCoV/USA WA1/2020に基づく)の感染性クローンであるSARS-CoV-2-Nlucを用いて中和を決定し、野生型ウイルス(Xieら、Nat Comm、2020、https://doi.org/10.1038/s41467-020-19055-7).)と同等の増殖動態を示した。細胞を、20,000細胞/ウェルの黒壁透明底96ウェルプレートに播種し(293T細胞を、35,000細胞/ウェルのポリ-L-リジン被覆ウェルに播種し)、37℃で一晩培養し、翌日、感染培地(DMEM+10%FBS)中で抗体の9ポイント4倍連続希釈液を調製した。SARS-CoV-2-Nlucを、指示されたMOIで感染培地中で希釈し、抗体希釈物に加え、37℃で30分間インキュベートし、培地を細胞から除去し、mAb-ウイルス複合体を添加し、細胞を37℃で24時間インキュベートした。培地を細胞から除去し、製造業者の推奨に従ってNano-Gloルシフェラーゼ基質(Promega)を添加し、室温で10分間インキュベートし、ルシフェラーゼシグナルをVICTOR Nivoプレートリーダー(Perkin Elmer)で定量した。
SARS-CoV-2シュードタイプVSV産生及び中和
SARS-CoV-2シュードタイプ水疱性口内炎ウイルスを作製するために、Lenti-X 293T細胞(TaKaRa)を10cm皿に入れ、翌日の集密状態を80%調べた。翌日、製造業者の指示に従って、Transit-Lenti(Mirus Bio)を用いて、C末端19aa切断を有するSARS-CoV-2 S-糖タンパク質(YP 009724390.1)をコードするプラスミドで細胞をトランスフェクトした。トランスフェクションの1日後、細胞を3感染単位/細胞のMOIでVSV(G*ΔG-ルシフェラーゼ)(Kerafast)に感染させた。ウイルス接種物を1時間後に洗浄し、細胞を37℃で別の日間インキュベートし、SARS-CoV-2偽型VSVを含む細胞上清を、トランスフェクション後2日目に採取し、1000×gで5分間遠心分離し、細胞残渣を除去し、アリコートし、-80℃で凍結した。
ウイルス中和のため、細胞を黒壁透明底96ウェルプレートに20,000細胞/ウェルで播種し(293T細胞を35,000細胞/ウェルでポリ-L-リジン被覆ウェルに播種)、37℃で一晩培養し、翌日、抗体の9ポイント4倍連続希釈液を培地中で調製した。SARS-CoV-2シュードタイプVSVを、100ng/mL抗VSV-G抗体(クローン8G5F11、絶対抗体)の存在下で培地中で1:30に希釈し、各抗体希釈物に1:1を加えた。ウイルス:抗体混合物を37℃で1時間インキュベートし、培地を細胞から除去し、50μLのウイルス:抗体混合物を細胞に添加した。感染1時間後、100μLの培地を全ウェルに加え、37℃で17~20時間インキュベートし、培地を除去し、50μLのBio-Glo試薬(Promega)を各ウェルに添加した。プレートを300RPMのプレート振盪機上で室温で15分間振盪し、RLUをEnSightプレートリーダー(Perkin-Elmer)上で読み取った。
トランスフェクションに基づく接着受容体スクリ-ニング
Lenti-X 293T細胞(Takara)を、以下の受容体候補をコードするプラスミド(全てGenecopoeiaから購入)、ACE2(NM 021804)、DC-SIGN(NM 021155)、L-SIGN(BC110614)、LGALS3(NM 0002306)、SIGLEC1(NM 023068)、SIGLEC3(XM 05057602)、SIGLEC9(BC035365)、SIGLEC10(NM 033130)、MGL(NM 182906)、MINCLE(NM 014358)、CD147(NM 1985)、ASGR1(NM 001671.4)、ASGR2(NM 080913)、NRP1(NM 003873)でトランスフェクトした。トランスフェクションの1日後、SARS-CoV-2シュードタイプVSVを100ng/mL抗VSV-G抗体(クローン8G5F11、Absolute Antibody)存在下、37℃で1:20希釈し、感染1時間後、100μLの培地を全ウェルに加え、37℃で17~20時間インキュベートし、培地を除去し、50μLのBio-Glo試薬(Promega)を各ウェルに添加した。プレートを300RPMのプレート振盪機上で室温で15分間振盪し、RLUをEnSightプレートリーダー(Perkin-Elmer)上で読み取った。
トランス感染
DC-SIGN、L-SIGN又はSIGLEC1を安定に発現する親HeLa細胞又はHeLa細胞を、黒壁透明底96ウェルプレート中でウェル当たり5,000細胞で播種した。1日後、細胞は約50%コンフルエントに達し、抗VSV-G抗体(クローン8G5F11、絶対抗体)100ng/mLの存在下、37℃で2時間、1:10希釈のSARS-CoV-2シュードタイプVSVを接種した。トランス感染の抗体媒介阻害のために、細胞を10ug/mL抗SIGLEC1抗体(Biolegend、クローン7-239)で30分間前インキュベートした。2時間の接種後、細胞を完全培地で4回洗浄し、ウェル当たり10,000個のVeroE6-TMPRSS2細胞を添加し、トランス感染について37℃で17~20時間インキュベートした。培地を除去し、50μLのBio-Glo試薬(Promega)を各ウェルに添加した。プレートを300RPMのプレート振盪機上で室温で15分間振盪し、RLUをEnSightプレートリーダー(Perkin-Elmer)上で読み取った。
CHO-S細胞の細胞間融合
SARS-CoV-2 S-糖タンパク質を安定に発現するCHO細胞を、12,500細胞/ウェルで顕微鏡観察用の96ウェルプレート(Thermo Fisher Scientific)に播種し、翌日、種々の濃度のmAbs及び核マーカーHoechst(最終希釈1:1000)を細胞に添加し、さらに24時間インキュベートした。融合度はCytation 5 Imager(BioTek)を用いて確立し、物体としての核を検出し、それらのサイズを測定するために物体検出プロトコルを用いた。融合した細胞(すなわちシンシチウム)の核はシンシチウムの中心に集合しており、その大きさに従ってゲート化された独特の大きな物体として認識される。融合細胞中の物体の面積を全物体の総面積で除し、100を掛けたものは、融合細胞のパーセンテージを提供する
免疫蛍光分析
HEK 293T 細胞をポリ-D-リジンでコーティングした96ウェルプレート(Sigma-Aldrich)に播種し、播種の24時間後に4%パラホルムアルデヒドで30分間固定し、続いてPBS(pH7.4)で2回洗浄し、PBS中の0.25%Triton X-100で30分間透過処理しました。細胞は、3%スキムミルク/PBSに希釈した一次抗体抗DC-SIGN/L-SIGN(Biolegend、カタログ845002、1:500希釈)、抗DC-SIGN(Cell Signaling、カタログ13193S、1:500希釈)、抗SIGLEC1(Biolegend、カタログ346002、1:500希釈)、または抗ACE2(R&D Systems、カタログAF933、1:200)とともにお2時間室温でインキュベートした。洗浄し、1μg/mlのHoechst33342と混合したAlexa647標識二次抗体で1時間インキュベートした後、プレートを倒立蛍光顕微鏡(Echo Revolve)で画像化した。
ACE2/TMPRSS2 RT-qPCR
RNAは、NucleoSpin RNA Plusキット(Macherey-Nagel)を用いて、製造業者のプロトコ-ルに従って細胞から抽出した。RNAは、製造業者の指示に従って、High Capacity cDNA Reverse Transcription kit(Applied Biosystems)を用いて逆転写した。ACE2(前方プライマー:CAAGAGCAAACGGTTGAACAC(配列番号99)、逆プライマー:CCAGAGCCTCTCATTGTAGTCT(配列番号100)、HPRT(前方プライマー:CCTGGCGTCGTGATTAGTG)(配列番号102)、逆プライマー:ACACCCTTTCCAAATCCTCAG(配列番号103)、及びTMPRS2(前方プライマー:CAAGTGCTCCRACTCTGGGAT(配列番号104)、逆プライマー:AACACACCGRTTCTCGTCCTC(配列番号105))の細胞内レベルを、製造業者のプロトコルに従って、Luna Universal qPCR Master Mix(ニュ-イングランドバイオラブ)を用いて定量した。ACE2及びTMPRSS2のレベルはHPRTに正規化した。 Hela細胞を参照試料として用いた。すべてのqPCRを、QuantStudio 3リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)上で実行した。
SARS2 D614Gスパイク製造及びビオチン化
C末端TEV切断部位、T4バクテリオファージフィブリチンフォールドン、8x His-、Aviand EPEA-tagを有する前融合安定化SARSD614Gスパイク(アミノ酸配列Q14~K1211を含む)を、トランスフェクション試薬として293フェクチンを用いてHEK293 Freestyle細胞にトランスフェクトした。細胞を37℃で3日間タンパク質を生成させた後、細胞を500×gで30分間遠心分離し、次に4000×gで30分間回転させ、上清を回収した。細胞培養上清を0.2umフィルタ-を通して濾過し、5mLのC-タグアフィニティ-マトリックスカラム上にロードし、50mM Tris pH8及び200mM NaClで予め平衡化した。SARS2 D614Gスパイクを、10カラム容量の100mMトリス、200mM NaCl及び3.8mM SEPEAペプチドを用いて溶出させた。溶出ピ-クを濃縮し、ランニング緩衝液として50mM Tris pH8及び200mM NaClを用いて、スーパーオース6増加10/300GLゲル濾過カラム上に注入した。単分散SARSD2 D61Gスパイクに対応するSEC画分を回収し、液体窒素中でフラッシュ凍結して-80℃で保存し、精製SARS2 D614Gスパイクタンパク質をAvidity社のBirA500ビオチン化キットを用いてビオチン化した。50ugのスパイクタンパク質、5ugのBirA、及び11uLのBiomixA及びBiomixBを添加した。ビオチン化反応中の最終スパイクタンパク質濃度は約1uMであった。反応を4℃で16時間進行させた後、1xPBSp7.4で予め平衡化したゼバスピンカラム2本を用いてタンパク質を脱塩した。
DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC1及びACE-2のためのフローサイトメトリー分析
DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC1又はACE2を発現するHEK 293T細胞を4×10細胞/mLで再懸濁し、ウェル当たり100μLをV底96ウェルプレート(Corning、3894)に播種した。プレートを2,000rpmで5分間遠心分離し、PBS(pH7.4)で洗浄した。
細胞を、Ghostバイオレット510生存色素(Cell Signaling, cat.13-0870-T100,1:1,000希釈)を含有する200μLのPBSに再懸濁した。13-0870-T100、1:1,000希釈、氷上で15分間インキュベートし、次に洗浄した。細胞を、一次抗体を含有するPBS中の0.5%BSA(Sigma-Aldrich)で調製した100μLのFACS緩衝液中に、1:100希釈:マウス抗DC/L-SIGN(Biolegend、cat.845002)、ウサギ抗DC-SIGN(細胞シグナル伝達、cat.13193)、マウス抗SIGLEC1(Biologend、cat.346002ネコ)またはヤギ抗ACE2(R&Dシステムズ、cat.Af933)で再懸濁した。氷上で1時間インキュベートした後、細胞を2回洗浄し、1:200希釈のAlexa Fluor-488標識二次抗体:ヤギ抗マウス(Invitrogen カタログ A11001)、ヤギ抗ウサギ(Invitrogen カタログ A11008)またはロバ抗ヤギ(Invitrogen カタログ A11055)を含むFACSバッファーに再懸濁した。氷上で45分間インキュベートした後、細胞を200μLのFACS緩衝液で3回洗浄し、200μLの4%PFA(Alfa Aesar)で室温で15分間固定した。細胞を3回洗浄し、200μLのFACS緩衝液に再懸濁し、CytoFLEXフローサイトメーター(Beckman Coulter)を使用するフローサイトメトリーによって分析した。
SARS-CoV-2スパイク及びRBDの細胞への結合のフローサイトメトリー
ビオチン化SARS-CoV-2 Spike D614Gタンパク質(スパイクビオチン、自社生成)又はビオチン化SARS-CoV-2 Spike受容体結合ドメイン(RBDビオチン、Sino Biologic、40592-V08B)を、Alexa Fluor(登録商標)647ストレプトアビジン(AF647-strep、Invitrogen、S21374)と共に、1:20の割合で、室温で20分間インキュベートした。次に、標識されたタンパク質をさらに使用するまで4℃で保存した。細胞をTrpLE Express(Gibco,12605-010)で解離し、10細胞を96ウェルV底板(Corning,3894)の各ウェルに移した。細胞をフローサイトメトリー緩衝液(PBS中2%FBS(w/o Ca/Mg))中で2回洗浄し、氷上で7.5μg/mlの最終濃度で20μg/ml又はRBDビオチン-AF647-strepの最終濃度でSpikebiotin-AF647-strepで1時間染色した。染色細胞をフローサイトメトリー緩衝液で2回洗浄し、1%PFA(電子顕微鏡科学、15714-S)に再懸濁し、Cytoflex LX(Beckman Coulter)で分析した。
SARS-CoV-2特異的mAbの組換え発現
ヒトモノクローナル抗体は、前述のように、SARS-CoV-2免疫ドナ-の形質細胞又は記憶B細胞から単離された。組換え抗体を37℃及び8%COでExpiCHO細胞中で発現させた。ExpiFectamineを用いて細胞をトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を、ExpiCHO Feed及びExpiFectamine CHO Enhancerでのトランスフェクションの1日後に補充した。細胞培養上清を、トランスフェクションの8日後に収集し、0.2μmフィルタ-を通して濾過した。組換え抗体を、HiPrep 26/10脱塩カラムを用いて、5mL HiTrap(商標)MabSelect(商標)Prisma カラムを用いて、KTA xpress FPLCデバイス上でアフィニティ-精製し、次に、HiPrep 26/10脱塩カラムを用いて、ヒスチジン緩衝液(20mMヒスチジン、8%ショ糖、pH6)へ緩衝液を交換した。
ハムスターのSARS-CoV-2感染モデル
ウイルス製剤
本研究で使用したSARS-CoV-2株、BetaCov/Belgium/GHB-03021/2020(EPI ISL 109 407976|2020-02-03)は、2020年2月に中国武漢から帰還した無症候性であることが確認されたRT-qPCR患者から採取した鼻咽頭スワブから回収された。系統解析により、原型Wuhan-Hu-1 2019-nCoV(GenBank系統112番号MN908947.3)株との密接な関係を確認した。 感染性ウイルスを、HuH7及びVero E6細胞上で連続継代することにより単離し、継代6ウイルスを本明細書に記載した研究に使用した。 ウイルスストックの力価は、Reed and Muench法によりVero E6細胞上でのエンドポイント希釈により決定した。
細胞
Vero E6細胞(アフリカミドリザル腎、ATCC CRL-1586)を、10%ウシ胎児血清(Integro)、1%Lグルタミン(Gibco)及び1%重炭酸塩(Gibco)を補充した最小必須培地(Gibco)中で培養した。エンドポイント滴定は、10%ではなく2%ウシ胎児血清を含む培地を用いて行った。
ハムスターのSARS-CoV-2感染モデル
SARS-CoV-2のハムスター感染モデルは以前に記載されている。具体的な試験デザインを以下の模式図に示す。簡単に説明すると、野生型シリアンゴールデンハムスター(Mesocricetus auratus)をJanvier Laboratoriesから購入し、換気された隔離ケ-ジ(IsoCage N Biocontainment System,Tecniplast)2個に収容し、食物及び水に自由にアクセスできるようにした。動物を試験開始前4日間馴化した。飼育条件及び実験手順は、KU Leuvenの動物実験倫理委員会(ライセンスP065-2020)により承認された。6~8週齢の雌ハムスターにケタミン/キシラジン/アトロピンを麻酔し、2×10 TCID50 SARS-CoV-2を含む50μLを鼻腔内接種した(0日目)。
治療レジメン
動物を感染48時間前に腹腔内投与(i.p.)で予防的に処置し、外観、行動、及び体重をモニタ-した。感染後4日目(p.i.)に、ハムスターを500μLの致死性(ペントバルビタ-ルナトリウム200mg/mL、ベトキノ-ルSA)の腹腔内注射により安楽死させた。肺を採取し、ウイルスRNA及び感染性ウイルスをそれぞれRT-qPCR及びエンドポイントウイルス滴定により定量した。PK分析のために感染前に血液試料を採取した。
SARS-CoV-2 RT-qPCR
収集された肺組織を、350μLのRLT緩衝液(RNeasyMinikit、Qiagen)中のビーズ破壊(Precellys)を用いてホモジナイズし、遠心分離(10,000rpm、5分)して、細胞残渣をペレット化した。RNAは製造業者の指示に従って抽出した。50μLの溶出液のうち、4μLをRT-qPCR反応における鋳型として使用した。RT-qPCRは、iTaq Universal Probes One-Step RT-qPCRキット(BioRad)とN2プライマー及びヌクレオカプシドを標的とするプロ-ブを用いて、LightCycler96プラットフォ-ム(Roche)上で実施した。SARS-CoV-2 cDNA(IDT)の基準を用いて、組織1mgあたり又は血清1mLあたりのウイルスゲノムコピーを発現させた。
エンドポイントウイルス力
肺組織を、350μL最小必須培地中のビーズ破壊(プレセリ-)を用いてホモジナイズし、遠心分離(10,000rpm、5分、4℃)して、細胞残渣をペレット化した。感染性SARS-CoV-2粒子を定量するために、96ウェルプレート中のコンフルエントVero E6細胞でエンドポイント滴定を行った。ウイルス力価は、Lindenbach計算器を用いてReed and Muench法により算出し、50%組織培養感染量(TCID50)/mg組織で表した。
組織学
組織学的検査のために、肺を4%ホルムアルデヒド中で一晩固定し、パラフィン中に包埋した。組織切片(5μm)を、ヘマトキシリン及びエオシンで染色後に分析し、専門病理学者により肺損傷について盲検的にスコア化した。スコアが1~3の累積スコアになったパラメータは、うっ血、肺胞内出血、気管支壁のアポト-シス小体、壊死性細気管支炎、血管周囲浮腫、気管支肺炎、血管周囲炎症、気管支周囲炎症、気管支周囲炎症、血管炎であった。
ハムスター単球への免疫複合体の結合
免疫複合体(IC)は、正確なモル比(それぞれ4:8:1)を用いて、ビオチン化抗イディオタイプfab断片及びAlexa-488-ストレプトアビジンとS309 mAb(ハムスターIgG、wt又はN297Aのいずれか)を錯体形成することによって作製した。予め生成された蛍光ICを、ナイ-ブ動物から得られた新鮮に再活性化されたハムスター脾細胞と共に4℃で3時間連続的に希釈した。次に、細胞結合を、死細胞の排除及び単球集団に対する物理的ゲ-ティングの際に、サイトメトリ-により評価した。結果は、全単球集団のAlexa-488平均蛍光強度として表される。
バイオインフォマティクス解析
処理ヒト肺細胞アトラス(HLCA)データ及び細胞型アノテ-ションをGithub(github.com/krasnowlab/HLCA)からダウンロードした。SARS-CoV-2感染個体からの処理された単一細胞トランスクリプト-ムデータ及び肺上皮細胞及び免疫細胞の注釈を、NCBI GEOデータベース(ID:GSE158055)及びGithub(github.com/zhangzlab/covid balf)からダウンロードした。Liaoらによる2番目の単一細胞トランスクリプトミクス研究からの利用可能な配列データを、ウイルスRNAに対応する読み取りの検査のために、NCBI SRA(ID:PRJNA608742)からダウンロードした。ゲノムRNAに対するsgRNAの割合は、リ-ダ--TRS結合を支持するTRS含有読み取りを計数することによって推定した。リ-ダ--TRSジャンクションリードの検出基準及び方法は、Alexandersenらに適合させ、ウイルスゲノム参照及びTRSアノテ-ションは、Wuhan-Hu-1 NC 045512.2/MN908947に基づいた49。重度のCOVID-19を有する個体からのわずか2つの試料のみが、検出可能なリ-ダ--TRS接合読み取りを有した(SRR11181958、SRR11181959)。
図47~79に示すデータについては、以下の材料及び方法を使用した。
細胞株
本研究で使用した細胞株は、ATCC(HEK293T及びVero-E6)又はThermoFisher Scientific(Expi CHO細胞、FreeStyle(商標)293-F細胞及びExpi293F(商標)細胞)から入手した。
試料ドナー
試料は、2019年6月以前(パンデミック前)、SARS-CoV-2感染者、又はModerna又はPfizer/BioNTech BNT162b2ワクチンを接種した患者のコホ-トから採取し、地域の施設内審査委員会(Canton Ticino Ethics Committee、スイス、Luigi Sacco Hospitalの倫理委員会、ミラノ、イタリア、及びWCG North America、Princeton、NJ、米国)により承認された試験プロトコ-ルに従った。全ドナ-は、血液及び血液成分(PBMC、血清又は血漿など)の使用について書面によるインフォ-ムドコンセントを提供し、病院又は外来患者として募集した。PBMCを、フィコ-ル密度勾配遠心分離により血液から単離し、新しく使用するか、又は後の使用のために液体窒素中に貯蔵した。血餅活性化剤を含有するチュ-ブを用いて採取した血液から血清を得た後、遠心分離し、-80℃で保存した。
IgG抗体のAMBRA(抗原特異的記憶B細胞レパートリー分析)
PBMCの複製培養物を96U底プレート(Corning)に播種し、2.5μg/mlのR848(3M)及び1000 U/mlのヒト組換えIL-2で10日間、37℃5%CO2で刺激した。細胞培養上清を、さらなる分析のために収集した。
抗体の発見と発現
抗原特異的IgG+記憶B細胞を分離し、回復期の個体の全PBMCからクローン化した。抗体VH及びVL配列は逆転写PCR(RT-PCR)により得られ、mAbは組換えヒトIgG1として発現され、Fc領域又はFab断片における半減期延長M428L/N434S(LS)突然変異を有した。ExpiCHO細胞を、以前に記載したように、重鎖及び軽鎖発現ベクターで一過性にトランスフェクトした(Pinto et al.,2020)。Syrianハムスターを用いたインビボ試験では、S2P6をシリアンハムスターIgG2 Fcで作製した。UCA配列は、体細胞突然変異を横臥位で産生したIMGT/V-QUEST及びVH及びVLを用いて構築した。MAbs親和性精製は、UNICORNソフトウェアバージョン5.11(Build 407)が操作するKTA Xpress FPLC(Cytiva)上で、完全長ヒト及びハムスターmAbs用のHiTrap Protein Aカラム(Cytiva)及びFab断片用のCaptureSelect CH1-XL MiniChromカラム(ThermoFisher Scientific)を用いて、PBSを移動相として用いて行った。HiTrap Fast脱塩カラム(Cytiva)を用いて、適切な製剤緩衝液への緩衝液交換を行った。最終製品を0.22μmフィルタ-でろ過滅菌し、4℃で保存した。
ExpiCHO-S細胞を発現するスパイクタンパク質上の抗体のフローサイトメトリー
Expi-CHO細胞の一過性トランスフェクションのために、Sプラスミド(Pinto et al. 2020; M. Alejandra Tortorici et al. 2021)を、冷OptiPRO SFM中で希釈し、ExpiFectamine CHO試薬(Life Technologies,A29130)と混合し、50mlバイオリアクタ-中5ml容積中6×106細胞/mlで播種した細胞に添加した。トランスフェクトした細胞を、209rpm(軌道直径25mm)の軌道振盪速度で37℃、8%COで42時間インキュベートした。mAb結合を試験するために、トランスフェクトしたExpiCHO細胞を回収し、洗浄緩衝液(PBS中のウシ血清アルブミン(BSA;Sigma)の1%w/v溶液、2mM EDTA)中で2回洗浄し、6万細胞/ウェルで96 U底プレート(Corning)に分配した。10μg/mlからのmAb系列希釈物を氷上で30分間細胞上に添加し、2回洗浄した後、Alexa Fluot647標識ヤギ抗ヒトIgG二次抗体(Jackson Immunoresearch,109-606-098)を検出に使用した。氷上で15分間インキュベートした後、細胞を2回洗浄し、ZE5 Cell Analyzer(Biorard)を用いたフローサイトメトリーによりmAb結合を分析した。
酵素免疫測定法(ELISA)
高タンパク質結合処理(Perkin Elmer)又は96ウェルプレート(Corning)を用いたスペクトルプレート-384を、組換え安定化前融合スパイク三量体又はS2サブユニットで1μg/ml、又はコロナウイルスステムヘリックスペプチドで8μg/ml、すべてリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈し、4℃で一晩コ-ティングした。プレートを、PBS中のウシ血清アルブミン(BSA;Sigma)の1%w/v溶液、又は血漿とのELISAのために、0.05%Tween 20を補充したPBS(Thermo Fisher Scientific)中のBlocker Casein(1%w/v)でブロックした。mAb又は血漿の連続希釈物を室温で1時間添加した。さらなる洗浄後、アルカリホスファタ-ゼに結合した抗ヒトIgG(Jackson Immunoresearch)を用いて1時間インキュベートし、結合したmAbを明らかにした。基質(p-NPP、Sigma)をカラ-現像に使用し、マイクロプレートリーダー(Biotek)により405nmで読み取ったプレートを使用した。データはGraph Prismソフトウェアでプロットされる。
SARS-CoV-2スパイクのACE2への遮断
SARS-CoV-2 S前融合(最終濃度300ng/ml)を、1μg/mlのS309マウスFc標識mAb(S309-mFc)と共に37℃で30分間インキュベートし、その後、連続希釈S2P6(20μg/mlから)を添加し、さらに37℃で30分間インキュベートし、複合スパイク:S309:S2P6を、予めコ-ティングしたhACE2(PBS中2μg/ml)96ウェルプレートMaxisorp(Nunc)に添加し、室温で1時間インキュベートした。その後、プレートを洗浄し、SARS-CoV-2スパイク:S309-mFc結合を検出するために二次抗体ヤギ抗マウスIgG(Southern Biotech)を添加した。さらなる洗浄後、基質(p-NPP、Sigma)を添加し、マイクロプレートリーダー(Biotek)を用いて405nmでプレートを読み取った。阻害のパーセンテージは以下のように計算した:(1-((OD試料OD neg ctr)/(OD post.ctr-OD neg.ctr)*100。
エピトープ同定及び置換スキャン
PEPperMAP Epitope Mapping(PEPperPRINT GmbH,Heidelberg,Germany)を行って、全ベータコロナウイルスのスパイクタンパク質をカバーするPan-corona Spike Protein Microarrayを介してmAbsエピトープを測定した。簡単に説明すると、15量体ペプチドを含むマイクロアレイ(13-merの重複)を、10μg/mlのmAbと共に140rpmで振盪しながら16時間インキュベートし、続いて二次抗体及び対照抗体で室温で45分間染色した。マイクロアレイ読み出しは、走査強度7/7(赤/緑)でLI-COR Odysseyイメ-ジングシステムを用いて行った。エピトープ置換スキャンは、すべてのアミノ酸位置における段階的な単一アミノ酸交換に基づいて、同定されたエピトープについて実施した。生成したマイクロアレイに結合したmAbsを上記のようにして行った。
SPR結合測定
SPR結合測定は、Cytiva Biotin CAPtureキットを用いてビオチン化OC43 S ECDを捕捉した以外は、CM5チップ上に共有結合的に固定化された抗AviTag pAbを用いてBiacore T200装置を用いて行い、S ECDを捕捉した。流動緩衝液は、中性又は酸性pH実験のために、それぞれ、Cytiva HBS-EP+(pH7.4)又は20mMリン酸塩pH5.4、150mM NaCl、0.05%P-20であった。測定はすべて25℃で行い、S2P6 Fab又はIgG濃度は、単一サイクル速度論として11、33、100及び300nMであった。Biacore Evaluationソフトウェアを用いて、二重参照減算データを結合モデルに適合させた。SARS-CoV-2 S、SARS-CoV S、及びOC43 Sに関するすべてのデータは、1:1結合モデルに適合した。MERS Sのデータは、ア-チファクトと推定される非常に遅い解離を伴う動態相のため、不均一リガンド結合モデルに適合した;適合によって戻された2つのKDのより低い親和性は、S2P6:MERS S相互作用のKDとして報告され、近似であることが示された(より高い親和性動態相に関連するRmaxは、ベースラインを超える最終シグナルの大きさに比例する)。HKU1 Sのデータは、各会合相内の低信号と高速平衡へのアプロ-チのため、定常状態結合モデルに適合し、報告されたKDは近似であることを示した。IgG結合データは、結合活性により「見かけ上のKD」を生じる。
真正のSARS-CoV-2ウイルスの中和
SARS-CoV-2中和実験のために、10%FBS(VWR 97068-085ロット#345K19)及び100U/mlペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco 15140-122)を添加したDMEM(Gibco 11995-040)中で細胞を培養した。細胞を、黒色、96ウェルガラス底板(Cellvis P96-1.5H-N)中に、20,000細胞/ウェルの密度で播種した。BSL3施設では、真性SARS-CoV-2(分離株USA-WA1/2020、継代3、Vero-E6細胞)の200個のPFU(プラ-ク形成単位、0.01の感染多重度に相当する)のmAbs(1:4)の連続希釈液を用いて37℃で30分間インキュベートし、細胞培養上清を除去した後、ウイルス:抗体混合物に感染させ、37℃で20時間インキュベートし、次に、PBS(Gibco 10010-031)中の4%パラホルムアルデヒド(Electron Microscopy Sciences、15714-S)で30分間固定し、0.1%Triton X-100(Sigma、X100-500ML)で30分間透過処理し、ヒトSARSコロナウイルス核タンパク質/NP抗体で染色した。ウサギMab(Sino Biological,40143-R001)を2%牛乳(RPI,M17200-500.0)で1:2000希釈、1時間。続いて、細胞をヤギ抗ウサギIgG(H+L)AF647(Invitrogen、Cat)で染色した。A21245ロット 223 2862)2%ミルク中で1:1000及び2ug/mlのHoechst 33342の希釈液で1時間。プレートを自動顕微鏡(Cytation5、Biotek)で画像化し、供給されたGen5ソフトウェアを用いてSARS-CoV-2核タンパク質陽性の核及び細胞を定量した。
SARS-CoV-2 Nlucウイルスの中和
細胞を、10%FBS(VWR 97068-085ロット#345K19)及び100U/mlペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco 15140-122)を補充したDMEM(Gibco 11995-040)中で培養した。中和実験のために、細胞を、20,000細胞/ウェルで黒色、96ウェルガラス底板(Corning、3904)に播種し、BSL3施設に移した。一連の1:4希釈系列のmAbを、SARS-CoV-2の感染性クローン(株2019-nCoV/USA WA1/2020)であるSARS-CoV-2 Nlucの200 PFUとインキュベートし、そこでウイルスORF7遺伝子をナノルシフェラーゼレポーター(Xieら、2020)で置換した。37℃で30分間インキュベートした後、ウイルス:抗体混合物を用いて、0.01の感染の多重度で標的細胞に感染させた。感染後20時間で、細胞を室温まで平衡化させ、細胞培養上清を吸引した。Nano-Glo(登録商標)Live Cell Assay System(Promega N2012)試薬とDPBS(Ca/Mgを含む)(Gibco 14040-133)の1:1混合物を細胞に添加した。室温で10分間インキュベートした後、ルシフェラーゼシグナルをルミネッセンスプレートリーダー(PerkinElmer VICTOR Nivo(商標))で読み取った。
VSVシュードタイプウイルスの産生と中和
19個のアミノ酸(D19)のC末端欠失を有するサ-ベコウイルススパイクカセット(pcDNA3.1(+)又はpTwist-CMV)を合成し、SARS-CoV-2(受入QOU99296.1)、SARS-CoV-1(受入AAP13441.1)、hCoV-19/パンゴリン/広東/1/2019(GD19、受入QLR06867.1)、及び中東呼吸器症候群関連コロナウイルス(MERS、受入YP 009047204)について哺乳動物発現構築物(pcDNA3.1(+)又はpTwist-CMV)にクローン化した。シュードタイプVSVを生成するために、293T Lenti-Xパッケ-ジング細胞(TaKaRa,632180)を、細胞が翌日に80%コンフルエントになるように、15cm皿に播種した。次に、TransIT-Lentiトランスフェクション試薬(Mirus,6600)を用いて、製造者の指示に従って、培養物を種々のスパイク発現プラスミドでトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、パッケ-ジング細胞をVSV-G*ΔG-ルシフェラーゼ(Kerafast,EH1020-PM)で感染させた。感染48時間後、SarbecovirusシュードタイプVSV-lucを含む上清を採取し、1000×gで5分間遠心分離し、アリコートし、-80℃で凍結した。偽ウイルス中和アッセイを実施するために、以下の頑強な偽ウイルスを支持する細胞を使用した:VeroE6-TMPRSS2細胞をVSV-SARS-CoV-2、VSV-SARS-CoV-1、VSV-GD19及びHuh7細胞をVSV-MERSに使用した。細胞を、20,000細胞/ウェルで、透明底白色壁96ウェルプレートに播種した。翌日、Abの1:3系列希釈物を、3回の基礎DMEM中で調製した。偽型VSVを基礎DMEMで希釈し、各Ab希釈液に加えて、偽ウイルスの最終希釈液が1:20になるようにした。偽ウイルス:抗体混合物を37℃で1時間インキュベートし、前日播種した細胞から培地を取り出し、50μlの偽ウイルス:Ab混合物で置き換え、37℃でインキュベートし、感染後1時間、50μlの完全培養培地を各ウェルに添加し、37℃で一晩インキュベートした後、感染細胞からの培地を取り出し、100μlの1:1希釈PBS:Bio-Glo(Promega,G7940)ルシフェラーゼ基質を各ウェルに添加した。 プレートを室温で300rpmで10分間振盪し、次にEnSightマイクロプレートリーダー(Perkin Elmer)上で相対光ユニット(RLU)を読み取った。 中和率は、全データ点からプレート当たり6ウェルの平均バックグラウンド(ルシフェラーゼ基質のみを有する非感染細胞)値を差し引くことにより決定した。各抗体濃度の中和率を、各プレートについて抗体を受け取らない対照ウェルに対して計算した。Prism(GraphPad,v9.0.1)を用いて中和率データを分析した。絶対EC50値は、可変傾き4パラメータの非線形回帰モデルを用いて曲線を適合させることにより計算し、値はy=50で曲線から内挿した。
VSV-SARS-CoV-2 mAbエスケ-プ突然変異体の選択
耐性ウイルスの選択:
細胞を、10%FBS(VWR 97068-085ロット#345K19)及び100U/mlペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco 15140-122)を補充したDMEM(Gibco 11995-040)中で培養した。感染の前日に、250,000個のVeroE6-TMPRSS2細胞を、10%FBS(VWR 97068-085ロット#345K19)及び100U/mlペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco 15140-122)を補充した2mlのDMEM(Gibco 11995-040)中の12ウェルプレートに播種し、37Cで一晩インキュベートした。翌日、S2P6を、感染培地(2%FBS及び20mM HEPES(Gibco、15630-080)を添加したDMEM)中で80ug/mlから開始して1:4に連続希釈し、MOIで2時間、37℃で複製可能なVSV-SARS-CoV-2(Caseら、2020)とインキュベートした。mAb-ウイルス複合体を37℃で1時間、手動で15分ごとに揺動させて細胞に吸着させた。吸着後、細胞をPBSで洗浄し、最初の感染に用いたのと同量のS2P6を含む感染培地で覆った。感染は、感染後1日目及び3日目に細胞のGFP発現及び細胞変性効果(CPE)について顕微鏡により視覚的にモニタ-した。感染後3日目に、mAb対照ウェルが50%を超えるCPEに達した場合、最高のAb濃度が20%を超えるCPE(この場合、80ug/mlウェル)を示すウェルを継代のために選択した。細胞上清を遠心分離して、細胞残渣を除去し、感染培地中で1:10に希釈し、同じS2P6濃度範囲で新鮮なVeroE6-TMPRS2細胞に添加し、初期継代のために処理した。試験した最高濃度でウイルス中和が観察されなかった後、2継代後に選択を中止した。
S遺伝子の配列決定:
ウイルスRNAを、キャリアRNAを添加することなく、製造業者の指示に従って、QIAamp Viral RNA Mini Kit(Qiagen,52904)を用いてウイルス継代の上清から抽出した。 メ-カ-の指示に従って、6μlの精製RNA及びランダムプライマーを用いて、NEB ProtoScript II First Strand cDNA Synthesis Kit(NEB, E6560S)を用いて逆転写反応を行った。得られたcDNAを、プライマー5’-CGAAAAAAGGCATCTGGGAG-3’(配列番号106)及び5’-CATTGAACTCGTCGTC-3’(配列番号107)を有するKapaBiosystemsポリメラ-ゼ(KAPA HiFi HotStart Ready PCR Kit K2601)を用いて、スパイク遺伝子のPCR増幅のための鋳型として使用した。増幅条件は、95℃での初期3分、続いて98℃での20秒、59℃での15秒及び72℃での2分間の28サイクルを含み、72℃での最終4分間であった。PCR産物を、製造業者の指示に従って、AMPure XPビーズ(Beckman Coulter, A63881)を用いて精製した。Agilent D5000 ScreenTape System(Agilent D5000 ScreenTape,5067-5588,Agilent D5000,Reagents 5067-5589)を用いて2μlのPCR産物を分析することにより、アンプリコンのサイズを確認した。2μlをQuant-iT dsDNA高感度アッセイキット(Thermo Fisher,Q331120)で分析し、製品を定量した。NEBNext Ultra II FS DNA Library Prep Kit NEB,E6177S)を用いて、製造業者の指示に従って、20ngの精製PCR産物をライブラリ-構築のためのインプットとして使用した。DNA断片化を13分間行った。 NEBNext Multiplex Oligos for Illumina Dual Index Primer Set 1 (NEB,E7600S)をライブラリ-構築に使用し、合計6サイクルのPCRサイクルを行った。ライブラリ-サイズは、Agilent D1000スクリーンテープシステム(Agilent D1000スクリーンテープ、5067-5582、Agilent D5000試薬、5067-5583)を用いて決定し、Quant-iT dsDNA高感度アッセイキットで定量した。各ライブラリ-の等量を、多重化のために一緒にプールし、Illuminaライブラリ-調製ガイドの「プロトコ-ルA:標準正規化方法」を用いて、配列決定のために1%PhiXスパイクインを有する8pM最終多重化ライブラリ-を調製した。Illumina MiSeq Reagent Kit v3 (600-cycle)(Illumina,MS-102-300)を用いて、Illumina MiSeqプラットフォ-ム上のライブラリの配列決定を行い、Read 1は300サイクル、Read 2は300サイクル、Index 1は8サイクル、Index 2は8サイクルとした。
バイオインフォマティクス解析:
IlluminaのBcl2fastqコマンドを実行した後の平均リード長は、試料当たりの平均で149~188bpの範囲であった。試料間の一貫性を確保するために、ペアエンドリードを最初に2×150bpにトリミングし、さらにIlluminaアダプタ-及び低品質のベースを除去するために、Trimmomatic(Bolger、Lohse、及びUsadel 2014)を用いて洗浄した。 カスタム基準シ-ケンスを用いてBurrowsWheeler Aligner(BWA(Li 2013))を用いて読み出しアラインメントを行った。Variantsは、周波数しきい値1%を用いて、LoFreqを用いてインデル再配置及びベース品質再較正を行った(Wilmら、2012)。アライメントと異型呼び出しの2つの連続したラウンドが実行され、アレル頻度>50%で第1ラウンド中に呼び出されたバリアントは、アライメント速度と異型呼び出し精度を合わせるために第2ラウンドの基準に統合された。バリアントにはSnpEff(Cingolani et al.,2012)を注釈した。参照配列座標は、参照配列命名法と一致させるために、SARS-CoV-2 Wuhan-Hu-1配列(NCBI: NC 045512.2)にマッピングした。FastQC、samtools、picard、mosdepth(Pedersen及びQuinlan 2018)、bcftools(Danecek et al.2021)、MultiQC(Ewels et al.2016)、及びインハウススクリプトを用いて、広範なQCを読み取り、位置合わせ及び変異レベルで実施した。特に、読み取り中の静的位置で一貫して呼び出されたバリアント(読み取り中にランダムに分布するのではなく、読み取りの開始又は終了など)を除去するためである。エンドツーエンドワークフローは、NextFlow(Di Tommaso et al.2017)を用いて自動化された。すべてのプログラムは、Bioconda Initiative(Gruning et al.2018)(bioconda.github.io)を通じて入手可能である。
ヒトFcγRIIIa及びFcγRIIIaのMAb依存性活性化
完全長野生型SARS-CoV-2スパイク(S)(標的細胞)を安定的に発現するExpiCHO細胞を用いて、ヒトFcγRIIIa及びFcγRIIIaのmAb依存性活性化の測定を行った。FcγRIIIa受容体(V158バリアント)又はFcγRIIa受容体(H131バリアント)及びNFAT駆動ルシフェラーゼ遺伝子(エフェクタ-細胞)を安定に発現するJurkat細胞とインキュベートする前に、細胞を異なる量のmAbと10分間インキュベートした。エフェクタ-対標的比は、FcγRIIIaで6:1、FcγRIIaで5:1であった。ヒトFcγRの活性化は、NFAT経路の活性化の結果として生成されるルシフェラーゼシグナルによって定量化された。発光は、製造業者の指示に従って、Bio-Glo-TMルシフェラーゼアッセイ試薬を用いて、ルミノメ-タ-を用いて37℃で5%COで21時間インキュベートした後に測定した(Promega,Cat.。Nr.:G7018及びG9995)。
抗体依存性細胞傷害性(ADCC)
ADCCアッセイは、標的細胞としてのSARS-CoV2 CHO-K1細胞(HaloTag-Hit-taggedを安定に発現するように遺伝子操作された)及びエフェクタ-細胞としてのPBMCをE:T比33:1で用いて実施した。HiBit細胞を3,000細胞/ウェルで播種し、37℃で16時間インキュベートし、一方、新鮮血液(VVドナ-)から単離したPBMCを5ng/mlのIL-2の存在下で37℃のインキュベータ-中で一晩培養した。翌日、培地を除去し、100,000細胞/ウェルでPBMCを添加する前にmAb濃度を滴定した。100%特異的溶解として、100ug/mlのデジトニンを使用した。37℃で4時間インキュベートした後、ADCCは、ルミノメーター(積分時間00:30)を使用して、Nano-Glo HiBiT細胞外検出システム(Promega;Cat.Nr.:N2421)により測定された。
抗体依存性細胞貪食(ADCP)
ADCPは、PKH67蛍光細胞リンカーキット(Sigma Aldrich;Cat.Nr.:MINI67)で蛍光標識した完全長野生型SARS-CoV-2 S糖タンパク質(標的細胞)を安定に発現するCHO細胞を用いて行われた。標的細胞は、滴定濃度のmAbと共に10分間インキュベートし、次に、Cell Trace Violet(Invitrogen、cat.no.C34557)で蛍光標識したPBMCとインキュベートしたが、その前に、5ng/mlのIL-2(組換えヒトインタ-ロイキン-2;ImmunoTools GmbH; Cat Nr.:11340027)中で一晩インキュベートした。エフェクタ-:標的比20:1を用いた。37℃で一晩インキュベートした後、細胞を抗ヒトCD14-APC抗体(BD Pharmingen、cat No.561708、クローンM5E2)で染色し、単球を染色した。ADCPは、フローサイトメトリーにより測定し、細胞トレ-スバイオレット及びPKH67に対して二重陽性であったCD14+細胞をゲートした。
補体依存性細胞毒性(CDC)
SARS-CoV-2 S糖タンパク質(標的細胞)を安定に発現するCHO細胞上でCDCを実施し、mAbの連続希釈液で10分間インキュベートし、次に予め吸着したLow-Tox Mウサギ補体(Cederlane Laboratories Limited; Cat Nr.:CL3051)と最終希釈液1:12でインキュベートした。CDCは、製造者の指示に従って、CytoTox-Glo細胞毒性アッセイ(Promega;Cat Nr.:G9291)により、ルミノメーターを用いて37℃、5%CO2で3時間インキュベートした後に測定した。
種々の合成コロナウイルスSステムペプチドに対するS2P6結合及びS2P6/B6競合実験
全てのビオチン化コロナウイルスSステムヘリックスペプチド結合実験を、0.005%Tween20(PBST)を添加したPBS中、30℃及び1,000rpmで行った。Octet Red装置(Fortebio)上で振とうした。異なるステムヘリックスペプチドへのS2P6結合のために、1μg/mlLビオチン化ステムペプチド(Genscriptから合成された15残基又は16残基長ステムペプチド-PEG6-Lys-ビオチン)をSAバイオセンサ-上に0.5nmの閾値まで装填した。次に、300秒間緩衝液中で解離する前に、センサをそれぞれ0.1μM S2P6 mAb中に300秒間浸漬する前に、システムを300秒間PBST中で平衡化した。S2P6-B6競合については、SARS CoV-2ペプチドにビオチン化した1μg/mlをSAバイオセンサ-上に0.5nmの閾値まで負荷した。システムを180秒間PBST中で平衡化し、その後の各段階を900秒間モニタ-した。試料バイオセンサを0.1μM mAb S2P6及びB6の溶液に浸漬する前に、最初の試料バイオセンサを0.1μM mAb S2P6に浸漬した。第2の試料バイオセンサ-をPBSTに浸漬し、続いて0.1μM mAb B6に浸漬した。非特異的結合をモニタ-するために、ステムペプチドをバイオセンサ-に負荷することなく同一の実験を行った。
融合阻害アッセイ
スパイク媒介細胞融合の阻害を試験するために、VeroE6細胞を、高グルコ-ス及び2.4%FBS(Hyclone)を含む70μlのDMEM中、20,000細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種した。16時間後、細胞を以下のようにSARS-CoV-2-S-D19 pcDNA3.1でトランスフェクトした:10ウェルについて、0.57μgのプラスミドSARS-CoV-2-S-D19 pcDNA3.1を、30μlのOPTIMEM中で1.68μlのX-tremeGENE HPと混合した。15分間インキュベートした後、混合物をDMEM培地中で1:10に希釈し、ウェル当たり30μlを添加した。4倍系列希釈mAbを調製し、20μg/mlの開始濃度で細胞に添加した。翌日、DMEM中の5X濃縮DRAQ530μlをウェル当たり添加し、37℃で2時間インキュベートし、各ウェルの9枚の画像をCytation 5装置を用いて分析した。
シリアンハムスターモデルを用いたインビボ mAb試験
KU LEUVEN R&Dは、SARS-CoV-2シリアンゴ-ルデンハムスター感染モデル(Boudewijns et al. 2020)を開発し、検証した。
SARS-CoV-2ウイルス産生
本研究で使用したwt SARS-CoV-2株、BetaCov/Belgium/GHB-03021/2020(EPI ISL 109 407976|2020-02-03)は、2020年2月初めに中国武漢から帰還した無症候性であることが確認されたRT-qPCR患者から採取した鼻咽頭スワブから回収された。系統解析により、原型Wuhan-Hu-1 2019-nCoV(GenBank系統112番号MN908947.3)株との密接な関係を確認した。感染性ウイルスを、HuH7及びVeroE6細胞上で連続継代することにより単離した(Boudewijnsら、2020);継代6ウイルスを、本明細書に記載の研究に使用した。ウイルスストックの力価は、Reed and Muench法(Reed and Muench 1938)によりVero-E6細胞上でのエンドポイント希釈により決定した。変異株B.1.351(hCoV-19/ベルギ-/rega-1920/2021; EPI ISL 896474、2021-01-11)は、ベルギ-に戻り呼吸器症状を発症した旅行者から採取した鼻咽頭スワブから分離された。患者の鼻咽頭スワブを、ミニオンプラットフォ-ム(オックスフォードナノポア)(Abdelnabiらのhttps://www.biorxiv.org/content/10.1101/2021.02.26.433062v1)上で直接配列決定に供した。
KU Leuven Rega Institute(3CAPS)の高封じ込めA3及びBSL3+施設において、施設のガイドラインに従い、AMV 3011308 SBB 219 2018 0892及びAMV 23102017 SBB 219 20170589のライセンスに基づき、ライブウイルス関連作業を実施した。
ハムスターのSARS-CoV-2感染モデル
野生型Syrianハムスター(Mesocricetus auratus)をJanvier Laboratoriesから購入し、換気された隔離ケ-ジ(IsoCage N Biocontainment System、Tecniplast)2個に1個ずつ収容し、食物及び水に自由にアクセスし、ケ-ジを濃縮した(ウッドブロック)。飼育条件及び実験手順は、KU Leuvenの動物実験倫理委員会(ライセンスP065-2020)により承認された。6~10週齢の雌ハムスターにケタミン/キシラジン/アトロピンを麻酔し、2×10又は1×10TCID50を含有する50μlをそれぞれwt又はB.1.351バリアントについて鼻腔内接種した。モノクローナル抗体処置(ヒト又はハムスターS2P6(2~20mg/kg))を、腹腔内注射による感染の24時間前又は48時間前に開始した。ハムスターの外観、行動、体重をモニタ-した。感染後4日目に、ハムスターを500μlの致死性(ペントバルビタ-ルナトリウム200mg/mL、ベトキノ-ルSA)の腹腔内注射により安楽死させた。肺を採取し、ウイルスRNA及び感染性ウイルスをそれぞれRT-qPCR及びエンドポイントウイルス滴定により定量した。感染前に血液検体を採取し、薬物動態解析を行った。
SARS-CoV-2 RT-qPCR:
屠殺後にハムスター組織を採取し、350μlのRLT緩衝液(RNeasy Mini kit,Qiagen)中でビーズ破壊(Precellys)を用いてホモジナイズし、遠心分離(10,000rpm,5分)して細胞残渣をペレット化した。RNAは製造業者の指示に従って抽出した。血清からRNAを抽出するために、NucleoSpinキット(Macherey-Nagel)を使用した。50μlの溶出液のうち4μlを、RT-qPCR反応における鋳型として使用した。RT-qPCRは、N2プライマー及びヌクレオカプシドを標的とするプロ-ブを用いたiTaq Universal Probes One-Step RTqPCRキット(BioRad)を用いてLightCycler96プラットフォ-ム(Roche)上で実施した(Boudewijns et al.2020)。SARS-CoV-2 cDNA(IDT)の基準を用いて、組織1mgあたり又は血清1mlあたりのウイルスゲノムコピーを発現させた。
エンドポイントウイルス力価
肺組織を、350μlの最小必須培地中でビーズ破壊(プレセリ-)を用いて均質化し、遠心分離(10,000rpm、5分、4℃)して、細胞残渣をペレット化した。 感染性SARS-CoV-2粒子を定量するために、96ウェルプレート中のコンフルエントVero-E6細胞でエンドポイント滴定を行った。Lindenbach計算機を用いてReed and Muench法(Reed and Muench 1938)によりウイルス力価を算出し、50%組織培養感染量(TCID50)/mg組織で表した。
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上述の様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。
2020年11月25日出願の米国仮出願第63/118,474号、2021年4月21日出願の米国仮出願第63/170,342号、2021年4月21日出願の米国仮出願第63/177,724号、及び2021年5月10日出願の米国仮出願第63/186,779号を含む、本明細書に言及され、及び/又は出願データシ-トに列挙された米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許出願及び非特許刊行物の全ては、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。実施形態の実施形態は、必要に応じて、種々の特許、出願、及び刊行物の概念を使用して、さらに別の実施形態を提供するように修正することができる。
これら及び他の変更は、上記の詳細な説明に照らして実施形態に対して行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を、明細書及び特許請求の範囲で開示される特定の実施形態に限定すると解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲と共に、すべての可能な実施形態を含むと解釈されるべきである。従って、クレームは開示によって限定されない。

Claims (42)

  1. CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、ならびにCDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、抗体又はその抗原結合断片であって、
    (i)CDRH1は、配列番号27、37、48、67、もしくは80に従うアミノ酸配列、又は1、2もしくは3つのアミノ酸置換を含むそれらの機能性バリアントを含むか又はそれからなり、1以上の置換が任意に保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である;
    (ii)CDRH2は、配列番号28、38、49、68、もしくは81に従うアミノ酸配列、又は1、2もしくは3つのアミノ酸置換を含むそれらの機能性バリアントを含むか又はそれからなり、1以上の置換が任意に保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である;
    (iii)CDRH3は、配列番号29、39、もしくは50に従うアミノ酸配列、又は1、2もしくは3つのアミノ酸置換を含むそれらの機能性バリアントを含むか又はそれからなり、1以上の置換が任意に保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である;
    (iv)CDRL1は、配列番号31、41、52、70、76、78、もしくは83に従うアミノ酸配列、又は1、2もしくは3つのアミノ酸置換を含むそれらの機能性バリアントを含むか又はそれからなり、1以上の置換が任意に保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である;
    (v)CDRL2は、配列番号32、42、もしくは53に従うアミノ酸配列、又はそれらの機能性バリアントであって、1つ以上のアミノ酸置換が任意で保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換である、1つ、2つ、又は3つのアミノ酸置換を含むか、又はそれからなる;及び/又は;
    (vi)CDRL3は、配列番号33、43、もしくは54に従うアミノ酸配列、又は1、2もしくは3つのアミノ酸置換を含むそれらの機能性バリアントを含むか又はそれからなり、1以上の置換が任意に保存的置換であり、及び/又は生殖細胞系にコードされるアミノ酸への置換であり、
    ここで、抗体又は抗原結合断片は、ベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができる、上記抗体又はその抗原結合断片。
  2. 2以上のベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができる、請求項1に記載の抗体又は抗原結合断片。
  3. 2、3、4、又は5種のベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができる、請求項2に記載の抗体又は抗原結合断片。
  4. SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、OC43、及びHKU1に結合することができる、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片。
  5. 宿主細胞の表面及び/又はビリオン上に発現されたベータコロナウイルス又はベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合することができる、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片。
  6. 感染のインビトロモデル及び/又は感染のインビボ動物モデル及び/又はヒトにおけるベータコロナウイルスによる感染を中和することができる、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片。
  7. 感染のインビトロモデル及び/又は感染のインビボ動物モデル及び/又はヒトにおいて、1、2、3、4、又は5つのベータコロナウイルスによって感染を中和することができる、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片。
  8. 感染のインビトロモデル及び/又は感染のインビボ動物モデル及び/又はヒトにおけるいずれか1、2、3、4、又は5種類のベータコロナウイルスによる感染を中和することができる、請求項1~7のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片。
  9. 以下に記載するCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3アミノ酸配列を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片:
    (i)それぞれ配列番号27、28、29、31、32、33;
    (ii)それぞれ配列番号27、28、29、70、32、33;
    (iii)それぞれ配列番号27、28、74、31、32、33;
    (iv)それぞれ配列番号27、28、74、70、32、33;
    (v)それぞれ配列番号27、28、29、76、32、33;
    (vi)それぞれ配列番号27、28、29、78、32、33;
    (vii)それぞれ配列番号27、28、74、76、32、33;
    (viii)それぞれ配列番号27、28、74、78、32、33;
    (ix)それぞれ配列番号27、68、29、31、32、33;
    (x)それぞれ配列番号27、68、29、70、32、33;
    (xi)それぞれ配列番号27、68、74、31、32、33;
    (xii)それぞれ配列番号27、68、74、70、32、33;
    (xiii)それぞれ配列番号27、68、29、76、32、33;
    (xiv)それぞれ配列番号27、68、29、78、32、33;
    (xv)それぞれ配列番号27、68、74、76、32、33;
    (xvi)それぞれ配列番号27、68、74、78、32、33;
    (xvii)それぞれ配列番号67、28、29、31、32、33;
    (xviii)それぞれ配列番号67、28、74、31、32、33;
    (xix)それぞれ配列番号67、28、74、70、32、33;
    (xx)それぞれ配列番号67、28、29、76、32、33;
    (xxi)それぞれ配列番号67、28、29、78、32、33;
    (xxii)それぞれ配列番号67、28、74、76、32、33;
    (xxiii)それぞれ配列番号67、28、74、78、32、33;
    (xxiv)それぞれ配列番号67、68、29、31、32、33;
    (xxv)それぞれ配列番号67、68、29、70、32、33;
    (xxvi)それぞれ配列番号67、68、74、31、32、33;
    (xxvii)それぞれ配列番号67、68、74、70、32、33;
    (xxviii)それぞれ配列番号67、68、29、76、32、33;
    (xxix)それぞれ配列番号67、68、29、78、32、33;
    (xxx)それぞれ配列番号67、68、74、76、32、33;
    (xxxi)それぞれ配列番号48、49、50、52、53、54;
    (xxxii)それぞれ配列番号48、49、50、83、53、54;
    (xxxiii)それぞれ配列番号48、81、50、52、53、54;
    (xxxiv)それぞれ配列番号48、81、50、83、53、54;
    (xxxv)それぞれ配列番号80、49、50、52、53、54;
    (xxxvi)それぞれ配列番号80、49、50、83、53、54;
    (xxxvii)それぞれ配列番号80、81、50、52、53、54;
    (xxxviiii)それぞれ配列番号80、81、50、83、53、54;又は
    (xxxix)それぞれ配列番号37、38、39、41、42、43。
  10. (i)VHは、配列番号26、36、47、66、71、72、又は79に従うアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、変異は、任意に、1以上のフレームワーク領域に限定され、及び/又は変異は、生殖細胞系にコードされるアミノ酸への1以上の置換を含む;及び/又は;
    (ii)VLは、配列番号30、40、51、69、75、77、又は82に従うアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、変異は、任意に、1以上のフレームワーク領域に限定され、及び/又は変異は、生殖細胞系にコードされるアミノ酸への1以上の置換を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片。
  11. VH及びVLが、配列番号(i)それぞれ26及び30;(ii)それぞれ26及び69;(iii)それぞれ26及び75;(iv)それぞれ26及び77;(v)それぞれ66及び69;(vi)それぞれ66及び30;(vii)それぞれ66及び75;(viii)それぞれ66及び77;(ix)それぞれ71及び30;(x)それぞれ71及び69;(xi)それぞれ71及び75;(xii)それぞれ71及び77;(xiii)それぞれ72及び30;(xiv)それぞれ72及び69;(xv)それぞれ72及び75;(xvi)それぞれ72及び77;(xvii)それぞれ73及び30;(xviii)それぞれ73及び69;(xix)それぞれ73及び75;(xx)それぞれ73及び77;(xxi)それぞれ36及び40;(xxii)それぞれ47及び51;(xxiii)それぞれ47及び82;(xxiv)それぞれ79及び82;又は(xxv)それぞれ79及び51によるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項1~10のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片。
  12. VH及びVLが、配列番号(i)それぞれ26及び30;(ii)それぞれ26及び69;(iii)それぞれ26及び75;(iv)それぞれ26及び77;(v)それぞれ66及び69;(vi)それぞれ66及び30;(vii)それぞれ66及び75;(viii)それぞれ66及び77;(ix)それぞれ71及び30;(x)それぞれ71及び69;(xi)それぞれ71及び75;(xii)それぞれ71及び77;(xiii)それぞれ72及び30;(xiv)それぞれ72及び69;(xv)それぞれ72及び75;(xvi)それぞれ72及び77;(xvii)それぞれ73及び30;(xviii)それぞれ73及び69;(xix)それぞれ73及び75;(xx)それぞれ73及び77;(xxi)それぞれ36及び40;(xxii)それぞれ47及び51;(xxiii)それぞれ47及び82;(xxiv)それぞれ79及び82;又は(xxv)それぞれ79及び51に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%を有するか、又は上記アミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項1~10のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片。
  13. (i)~(iii):
    (i)FKEELDKYF[配列番号57];
    (ii)GIDFQDELDEFFK[配列番号58];及び/又は
    (iii)DFKEELDQWFK[配列番号59]
    のいずれか1つを含むベータコロナウイルス表面糖タンパク質アミノ酸配列又はペプチドに結合することができる抗体又はその抗原結合断片。
  14. (i)~(vi):
    (i)KRSFIEDLLFN[配列番号60];
    (ii)ARSAIEDLLFD[配列番号61];
    (iii)SRSAIEDLLFD[配列番号62];
    (iv)RSFFEDLLF[配列番号63];
    (v)RSALEDLLFSK[配列番号64];及び/又は
    (vi)GRSAIEDILFS[配列番号65]
    のいずれか1つを含むベータコロナウイルス表面糖タンパク質アミノ酸配列又はペプチドに結合することができる抗体又はその抗原結合断片。
  15. ベータコロナウイルス表面糖タンパク質のステムヘリックス中のエピトープを認識する抗体又はその抗原結合断片であって、エピトープが2、3、4、5又はそれ以上のベータコロナウイルス中に保存されている、抗体又はその抗原結合断片。
  16. アミノ酸配列XFXELDXYF(配列番号84)を含むペプチドに結合することができる抗体又は抗原結合断片。
  17. (i)2、3、4、又は5種のベータコロナウイルスのスパイクタンパク質のエピトープを認識し;
    (ii)2、3、4、又は5種のベータコロナウイルスのスパイクタンパク質とそれぞれの細胞表面受容体の相互作用を阻害することができ;
    (iii)2、3、4、又は5種のベータコロナウイルスのスパイクタンパク質に保存されているエピトープを認識し;
    (iv)2、3、4、又は5種のベータコロナウイルスに対して交差反応性を示し;
    (v)SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のいずれかの3種に対しても交差反応性を示し;
    (vi)SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、OC43、及びHKU1のいずれかの4種に対して交差反応性を示し;
    (vii)SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、OC43、及びHKU1に対して交差反応性を示し;
    (viii)感染のインビトロモデル及び/又は感染のインビボ動物モデル及び/又はヒトにおける1種、2種、3種、4種、5種又はそれ以上の異なるヒトベータコロナウイルスによる感染を中和することができ;
    (ix)抗体又は抗原結合断片がベータコロナウイルス及び/又はアルファコロナウイルス表面糖タンパク質に結合している場合、ヒトFcγRIIIa(随意にV131)、ヒトFcγRIIIa(随意にV158)、又はその両方を活性化することができ;
    (x)ベータコロナウイルスの表面糖タンパク質に結合しても、表面糖タンパク質とヒトACE2との結合を阻害せず;
    (xi)SARS-CoV-2 S糖タンパク質に感染又はトランスフェクトされた第1の細胞と第2の細胞との間の細胞-細胞融合を阻害することができ;
    (xii)ベータコロナウイルスに感染した標的細胞に対して、ADCC、ADCP、CDC、又はそれらの任意の組み合わせを媒介することができ;
    (xiii)哺乳動物におけるベータコロナウイルス感染を予防し、又はその重症度の進行を防ぐことができ;又は
    (xiv)(i)~(xii))の任意の組い合わせである、請求項1~16のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片。
  18. 抗体又は抗原結合断片が多特異的抗体又は抗原結合断片である、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片。
  19. 抗体又は抗原結合断片が二重特異的抗体又は抗原結合断片である、請求項18に記載の抗体又は抗原結合断片。
  20. Fcポリペプチド又はその断片が、
    (i)突然変異を含まない参照Fcポリペプチドと比較してFcRnへの結合を増強する突然変異;及び/又は
    (ii)突然変異を含まない参照Fcポリペプチドと比較して、FcγRへの結合を増強する突然変異
    を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片。
  21. FcRnへの結合を増強する突然変異が、M428L;N434S;N434H;N434S;N434S;M252Y;S254T;T256E;T250Q;P250Q;P257I;Q311I;D376V;T307A;E380A;又はそれらの任意の組合せ、M428L/N43434S;S239D;I32E;A330L;又はそれらの任意の組合せ;あるいはS239D/I32E;S239D/A330L/I32E;G236A/S239D/I32E;又はG236A/A330L/I32Eを含む、請求項20に記載の抗体又は抗原結合断片。
  22. 請求項1~21のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片とベータコロナウイルス表面糖タンパク質との結合について競合する抗体又はその抗原結合断片。
  23. 抗体が、等価な位置にある対応するUCAからのアミノ酸で置換された野生型配列の少なくとも1つのアミノ酸を含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の抗体。
  24. 請求項1~23のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片をコードするか、又は抗体もしくは抗原結合断片のVH、重鎖、VL、及び/又は軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチド。
  25. ポリヌクレオチドがデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)を含み、RNAがメッセンジャ-RNA(mRNA)を任意に含む、請求項24に記載のポリヌクレオチド。
  26. 宿主細胞における発現のためにコドンを最適化されている、請求項24又は25に記載のポリヌクレオチド。
  27. 配列番号34、35、44、又は45に従ってポリヌクレオチド配列と少なくとも50%の同一性を有するポリヌクレオチドを含む、請求項24~26のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
  28. 請求項24~27のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
  29. ポリヌクレオチドが宿主細胞に対して異種性である、請求項24~27のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド及び/又は請求項28記載のベクターを含む宿主細胞。
  30. ポリヌクレオチドがヒトB細胞に対して異種性であり、及び/又はヒトB細胞が不死化されている、請求項24~27のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含むヒトB細胞。
  31. (i)請求項1~23のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片;
    (ii)請求項24~27のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド;
    (iii)請求項28に記載の組換えベクター;
    (iv)請求項29に記載の宿主細胞;及び/又は
    (v)請求項30記載のヒトB細胞
    ならびに薬学的に許容される賦形剤、担体、又は希釈剤を含む組成物。
  32. 請求項1~23のいずれか1つの2以上の抗体又は抗原結合断片を含む、請求項31に記載の組成物。
  33. (i)請求項1~23のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片;
    (ii)ステムヘリックスの外側にあり、任意で受容体結合ドメイン(RBD)に含まれるベータコロナウイルス表面糖タンパク質エピトープに結合することができる抗体又は抗原結合断片を含む組合せ。
  34. 担体分子に封入されている、請求項24~27のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む組成物であって、担体分子は、脂質、リポソ-ムなどの脂質由来送達ビヒクル、固体脂質ナノ粒子、油性懸濁液、サブミクロン脂質エマルジョン、脂質マイクロバブル、逆脂質ミセル、蝸牛リポソ-ム、脂質微小管、脂質マイクロシリンダ-、脂質ナノ粒子(LNP)、又はナノスケールプラットフォームを任意に含む、上記組成物。
  35. (i)請求項1~23のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片;
    (ii)請求項24~27のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド;
    (iii)請求項28に記載の組換えベクター;
    (iv)請求項29記載の宿主細胞;
    (v)請求項30記載のヒトB細胞;
    (vi)請求項31~32又は34のいずれか1項に記載の組成物、及び/又は
    (vii)請求項33の組み合わせ
    の有効量を対象に投与することを含む、対象におけるベータコロナウイルス感染を治療する方法。
  36. 有効量の前記組み合わせを投与する工程が、(i)の抗体又は抗原結合断片の有効量を投与する工程、及び任意に同時に又は配列で、(ii)のポリヌクレオチドの有効量を投与する工程を含む、請求項32に記載の組み合わせの有効量を投与する工程を包含する、請求項35に記載の方法。
  37. 請求項1~23のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片、請求項24~27のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、請求項28に記載の組換えベクター、請求項29に記載の宿主細胞、請求項30に記載のヒトB細胞、請求項31~32又は34のいずれか1項に記載の組成物、及び/又は対象におけるベータコロナウイルス感染を治療する方法における使用のための請求項33に記載の組み合わせ。
  38. 請求項1~23のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片、請求項24~27のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、請求項28に記載の組換えベクター、請求項29に記載の宿主細胞、請求項30に記載のヒトB細胞、請求項31~32又は34のいずれか1項に記載の組成物、及び/又は対象におけるベータコロナウイルス感染の治療のための薬剤の調製に使用するための請求項33に記載の組み合わせ。
  39. ベータコロナウイルスが、
    (i)SARS-CoV;
    (ii)SARS-CoV-2;
    (iii)MERS-CoV;
    (iv)OC43;
    (v)HKU1;又は
    (vi)(i)~(iii)の任意の組み合わせ
    を含む、請求項37又は38に記載の使用のための抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、組換えベクター、宿主細胞、ヒトB細胞、組成物、及び/又は組み合わせ。
  40. ベータコロナウイルスを治療する方法が、有効量の前記抗体又は抗原結合断片を投与することを含み、任意選択的に同時又は配列で、有効量の前記ポリヌクレオチドを投与することを含む、請求項37又は38に記載の使用のための抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、組換えベクター、宿主細胞、ヒトB細胞、組成物、及び/又は組み合わせ。
  41. 抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、組換えベクター、宿主細胞、ヒトB細胞、組成物、及び/又は請求項37又は38の使用のための組み合わせであって、前記使用が、対象におけるベータコロナウイルス感染を治療する方法において、抗体又は抗原結合断片の第1の使用、及びポリヌクレオチドの第2の使用を同時又は配列で含む、前記抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、組換えベクター、宿主細胞、ヒトB細胞、組成物、及び/又は組み合わせ。
  42. ベータコロナウイルス感染のインビトロ診断方法であって、
    (i)対象由来の試料を、請求項1~23のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片と接触させる工程;
    (ii)抗原及び抗体を含む複合体、又は抗原及び抗原結合断片を含む複合体を検出する工程
    を含む上記方法。
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