本願は電池技術分野に関し、特に、電池の筐体、電池、電力消費装置、電池の製造方法及び電池の製造装置に関する。
省エネルギーと排出削減は、自動車産業の持続可能な発展におけるキーポイントである。このような状況において、電動車両は省エネルギーで環境に優しいというその利点から、自動車産業の持続可能な発展における重要な構成部分となっている。電動車両にとって、電池技術はその発展に関わる重要な要素である。
電池技術の発展において、電池の性能を向上させる以外に、安全上の問題も無視できない課題である。電池の安全上の問題を保証できない場合、該電池を使用することはできない。従って、電池の安全性をどのように向上させるかは、電池技術における早急に解決すべき技術的課題である。
本願は電池の安全性を向上させることができる電池の筐体、電池、電力消費装置、電池の製造方法及び電池の製造装置を提供する。
第1態様によれば、電気キャビティと、収集キャビティと、隔離部材と、仕切構造と、流路仕切板と、を含み、前記電気キャビティは、複数の電池セルを収容するために用いられ、前記複数の電池セルのうちの少なくとも1つの電池セルは減圧機構を含み、前記減圧機構は前記減圧機構が設けられた電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を解放するために用いられ、前記収集キャビティは、前記減圧機構が作動する時に前記減圧機構が設けられた前記電池セルからの排出物を収集するために用いられ、前記隔離部材は、前記電気キャビティと前記収集キャビティを隔離し、前記電気キャビティと前記収集キャビティを前記隔離部材の両側に設置するために用いられ、前記仕切構造は、前記収集キャビティを第1キャビティと第2キャビティに仕切るために用いられ、前記仕切構造に第1排気孔が設置され、前記第1排気孔は前記第1キャビティ内の前記排出物を前記第2キャビティに導入するために用いられ、前記流路仕切板は、前記第2キャビティ内に設置され且つ前記排出物をガイドする流路を形成するために用いられる、電池の筐体を提供する。
本願の実施例において、隔離部材により電池セルを収容する電気キャビティと排出物を収集する収集キャビティを分離し、減圧機構が作動する時、電池セルの排出物は収集キャビティに入り、電気キャビティに入らず又は少量が入るだけで、電気キャビティ内の電気接続部材が導通して短絡することがなく、それにより電池の安全性を向上させることができる。同時に、本願において、仕切構造により収集キャビティをさらに2つのキャビティに分け、且つ第2キャビティにおいて流路仕切板により排出物をガイドする流路を形成することにより、排出物の排出経路を延長して、排出物の温度をさらに下げることができ、排出物の燃焼の可能性を低下させ、排出物が外部環境に及ぼす影響を削減して、電池の安全性を向上させる。
いくつかの実施例において、前記筐体はさらに、圧力平衡機構を含み、前記圧力平衡機構は、前記筐体内外の圧力を平衡するために用いられ、前記圧力平衡機構は、前記流路を通して前記排出物を前記圧力平衡機構にガイドし且つ前記筐体の外部に排出するように構成される。
圧力平衡機構を設置することにより、電池セルの排出物を筐体の外部に排出することができ、筐体内外の圧力の平衡を保持し、電池の安全を保証する。
いくつかの実施例において、前記第1排気孔は前記圧力平衡機構から離れた前記仕切構造の端部に設置され、又は、前記第1排気孔は前記仕切構造の中央に設置される。
第1排気孔を仕切構造の異なる位置に設置することにより、電池の構造強度とマッチングさせて、電池筐体の構造設計をより柔軟にすることができる。
いくつかの実施例において、前記流路はS字形の流路であり、前記流路の入口は前記第1排気孔と連通する。
本願の実施例において、迂回するS字形流路を設置することにより、流路の長さを最大限に延長することができ、それにより排出物の排出経路を延長して、排出物に対する十分な流動緩衝を行うことができ、排出物の温度を低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させることができ、同時に、S字形流路の入口は第1排気孔と連通することができ、これにより第1キャビティから第2キャビティに入る排出物の排出経路をいずれも大幅に延長して、排出物の温度を可能な限り低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させて、電池の安全を保証することができる。
いくつかの実施例において、前記収集キャビティ内に酸化剤又は冷却材料が設置される。
電池セルが熱暴走することで生成される排出物は、H2、CO等の可燃性ガスを含む可能性があり、本願の実施例において、さらに筐体内に排出物中の可燃性ガスと反応させることができる材料を設置し、それにより排出物の燃焼の可能性をさらに低下させることができ、排出物に点火されにくくなり、電池の安全性を向上させ、電池及び外部環境の安全を保証する。
いくつかの実施例において、前記酸化剤又は前記冷却材料は前記仕切構造の表面に設置され、及び/又は、前記酸化剤又は前記冷却材料は、前記流路仕切板の表面に設置される。
上記酸化剤又は冷却材料のうちの少なくとも1つを排出物の排出経路に設置することにより、排出物に対して更なる処理を行うことができ、排出物の燃焼の可能性を低下させ、電池及び外部環境の安全を保証する。
いくつかの実施例において、前記筐体はさらに、保護部材を含み、前記保護部材は前記隔離部材を保護するために用いられ、前記保護部材と前記隔離部材は前記収集キャビティを形成し、前記酸化剤又は前記冷却材料は前記保護部材の前記隔離部材に面する表面に設置される。
保護部材の表面に酸化剤又は冷却材料を設置することにより、排出物の排出経路において排出物に対して更なる反応又は処理を行うことができ、それにより排出物の温度を更に低下させ、その燃焼の可能性を低下させ、電池及び外部環境の安全を保証する。
いくつかの実施例において、前記仕切構造の前記保護部材に面する表面は、前記酸化剤又は前記冷却材料を収容するように構成された凹部を有する。
本願の実施例において、凹凸表面構造を有する凹部を設置することによりキャビティと排出物との接触面積を顕著に増大させ、同時に、より多くの酸化剤又は冷却材料を載置することができ、それにより排出経路において排出物に対するさらに十分且つ効果的な反応を実施することができ、排出物の温度及び燃焼の可能性を低下させ、電池及び外部環境に与える排出物の影響を削減し、電池の安全を保証する。
いくつかの実施例において、前記電気キャビティは第1サブキャビティ及び第2サブキャビティを含み、前記第1サブキャビティは前記複数の電池セルを収容するために用いられ、前記第2サブキャビティは前記第1サブキャビティに隣接して設置される。前記第2サブキャビティの外壁に前記圧力平衡機構が設置され、前記第2サブキャビティは前記第2キャビティと連通するように配置されて、前記流路を通して前記排出物を前記第2サブキャビティ内に誘導し、且つ前記圧力平衡機構を通して前記筐体の外部に排出する。
本願の実施例において、第1サブキャビティ内の電池セルが生成した排出物は、第2キャビティを通って第2サブキャビティに入り、且つ第2サブキャビティにある圧力平衡機構を通して排出することができ、一方では、排出物を収集するキャビティと電池セルを収容する第1サブキャビティを分離し、排出物が第1サブキャビティ内の電気接続部材に影響を与えることを回避して、電池の安全性を向上させることができる。他方では、第2キャビティ及び第2サブキャビティを設置することにより、排出物の排出経路を大幅に延長して、排出物の温度をさらに下げることができ、排出物の燃焼の可能性を低下させ、電池及び外部環境の安全性を向上させる。
いくつかの実施例において、前記隔離部材に第2排気孔が設けられ、前記仕切構造にはさらに前記第2排気孔に対応する第3排気孔が設けられ、前記第2サブキャビティと前記第2キャビティは前記第2排気孔及び前記第3排気孔を介して連通する。
第2態様によれば、複数の電池セルと、第1態様に記載の筐体と、を含み、前記複数の電池セルのうちの少なくとも1つの電池セルは減圧機構を含み、前記減圧機構は前記減圧機構が設けられた電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を解放するために用いられ、前記複数の電池セルは前記筐体内に収容される電池を提供する。
第3態様によれば、電気エネルギーを提供するために用いられる第2態様に記載の電池を含む電力消費装置を提供する。
いくつかの実施例において、前記電力消費装置は車両、船舶又は宇宙船である。
第4態様によれば、複数の電池セルを提供するステップと、筐体を提供するステップと、を含み、前記複数の電池セルのうちの少なくとも1つの電池セルは減圧機構を含み、前記減圧機構は前記減圧機構が設けられた電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を解放するために用いられ、前記筐体は電気キャビティと、収集キャビティと、隔離部材と、仕切構造と、流路仕切板と、を含み、前記電気キャビティは、前記複数の電池セルを収容するために用いられ、前記収集キャビティは、前記減圧機構が作動する時に前記減圧機構が設けられた前記電池セルからの排出物を収集するために用いられ、前記隔離部材は、前記電気キャビティと前記収集キャビティを隔離し、前記電気キャビティと前記収集キャビティを前記隔離部材の両側に設置するために用いられ、前記仕切構造は、前記収集キャビティを第1キャビティと第2キャビティに仕切るために用いられ、前記仕切構造に第1排気孔が設置され、前記第1排気孔は前記第1キャビティ内の排出物を前記第2キャビティに導入するために用いられ、前記流路仕切板は、前記第2キャビティ内に設置され且つ前記排出物をガイドする流路を形成するために用いられる、電池の製造方法を提供する。
第5態様によれば、第1提供モジュールと、第2提供モジュールと、設置モジュールと、を含み、前記第1提供モジュールは複数の電池セルを提供するために用いられ、前記複数の電池セルのうちの少なくとも1つの電池セルは減圧機構を含み、前記減圧機構は前記減圧機構が設けられた電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を解放するために用いられ、前記第2提供モジュールは筐体を提供するために用いられ、前記筐体は電気キャビティと、収集キャビティと、隔離部材と、仕切構造と、流路仕切板と、を含み、前記電気キャビティは、前記複数の電池セルを収容するために用いられ、前記収集キャビティは、前記減圧機構が作動する時に前記減圧機構が設けられた前記電池セルからの排出物を収集するために用いられ、前記隔離部材は、前記電気キャビティと前記収集キャビティを隔離し、前記電気キャビティと前記収集キャビティを前記隔離部材の両側に設置するために用いられ、前記仕切構造は、前記収集キャビティを第1キャビティと第2キャビティに仕切るために用いられ、前記流路仕切板は、前記第2キャビティ内に設置され且つ前記排出物をガイドする流路を形成するために用いられ、前記設置モジュールは、前記仕切構造に第1排気孔を設置するために用いられ、前記第1排気孔は前記第1キャビティ内の排出物を前記第2キャビティに導入するために用いられる、電池の製造装置を提供する。
本願の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するめに、以下に本願の実施例に必要な図面を簡単に説明し、理解すべきことは、以下に示された図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、図面に基づいて他の図面をさらに取得することができる。
本願の一実施例に係る車両の構造概略図である。
本願の一実施例に係る電池の構造概略図である。
本願の一実施例に係る電池セルモジュールの部分構造概略図である。
本願の一実施例に係る電池セルの分解図である。
本願の別の実施例に係る電池セルの分解図である。
本願の一実施例に係る電池の構造概略図である。
本願の一実施例に係る筐体の概略図である。
図7の筐体に対応する分解図である。
図7及び図8の筐体に対応する平面概略図である。
~
図9の筐体に対応するそれぞれ軸線A-A、B-B、C-Cを基準とする断面概略図である。
本願の一実施例に係る第1排気孔の設置方式の概略図である。
図13aにおける第1排気孔の設置方式に対応する底面図である。
図13aにおける第1排気孔の設置方式に対応する平面図である。
本願の一実施例に係る別の第1排気孔の設置方式の概略図である。
図14aにおける第1排気孔の設置方式に対応する底面図である。
図14aにおける第1排気孔の設置方式に対応する平面図である。
、
本願の一実施例に係る凹部が設置された構造概略図である。
本願の一実施例に係る電池の分解図である。
本願の一実施例に係る電池の製造方法の概略フローチャートである。
本願の一実施例に係る電池の製造装置の概略ブロック図である。
図面において、図面は実際の比率に従って描かれたものではない。
以下に図面及び実施例を参照しながら本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は本願の原理を例示的に説明するために用いられるが、本願の範囲を限定するものではなく、本願は記載された実施例に限定されない。
本願の記載において説明すべきことは、別途説明されない限り、「複数」は、2つ以上(2つを含む)という意味であり、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等の用語が指示する方位又は位置関係は、本願の説明を容易にして、説明を簡略化するものであるに過ぎず、対象の装置や素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成され及び操作されるべきであることを示す又は暗示するものではなく、従って本願を限定するものと理解すべきではない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、説明する目的で用いられるに過ぎず、相対的な重要性を示す又は暗示するものと理解すべきではない。「垂直」は、厳密な意味での垂直ではなく、誤差の許容範囲内にあるものである。「平行」は、厳密な意味での平行ではなく、誤差の許容範囲内にあるものである。
以下の説明に出現する方位表現はいずれも図に示す方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の記載においてさらに説明すべきことは、別途明確に規定及び限定されない限り、「取り付ける」、「つながっている」、「接続」という用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体接続であってもよい。直接つながっていてもよく、中間媒体を介して間接的につながっていてもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
本願において、電池セルは一次電池、二次電池を含むことができ、例えばリチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等であってもよく、本願の実施例はこれに限定されない。電池セルは円筒、扁平体、直方体、又は他の形状等であってもよく、本願の実施例はこれにも限定されない。電池セルは一般的にパッケージの方式により円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルの3種類に分けられ、本願の実施例はこれにも限定されない。
本願の実施例で言及される電池は、より高い電圧及び容量を提供するために1つ以上の電池セルを含む単一の物理的モジュールを指す。例えば、本願で言及される電池は、電池セルモジュール又は電池パックなどを含むことができる。電池パックは、一般的に1つ又は複数の電池セルをパッケージ化するための筐体を含む。筐体は液体又は他の異物が電池セルの充放電に影響を及ぼすことを防止することができる。
電池セルは電極アセンブリ及び電解液を含み、電極アセンブリは正極シート、負極シート及びセパレータを含む。電池セルは、主に金属イオンが正極シートと負極シートとの間を移動することによって動作する。正極シートは正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極活物質層が塗布された集電体から突出し、正極活物質層が塗布されていない集電体を正極タブとする。リチウムイオン電池を例とすると、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元系リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極シートは負極集電体及び負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布された集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体を負極タブとする。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は炭素又はシリコン等であってもよい。大電流によって溶断が発生しないことを保証するために、正極タブの数は複数であり且つ一体に積層され、負極タブの数は複数であり且つ一体に積層される。セパレータの材質は、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)等であってもよい。また、電極アセンブリは巻回式構造であってもよく、又は積層式構造であってもよく、本願の実施例はこれに限定されない。電池技術の発展には多方面の設計要素、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電効率等の性能パラメータを同時に考慮する必要があり、また、電池の安全性を考慮する必要がある。
電池にとって、安全上の主な危険性は充電及び放電プロセスに由来し、電池の安全性を向上させるために、電池セルには一般的に減圧機構が設置される。減圧機構とは、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達した時に作動して、内部圧力又は温度を解放する素子又は部品である。該所定の閾値は設計要件に応じて調整することができる。前記所定の閾値は電池セルにおける正極シート、負極シート、電解液及びセパレータのうちの1つ又は複数の材料に依存する可能性がある。減圧機構は感圧又は感温の素子又は部材を用いることができ、即ち、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達すると、減圧機構が作動し、それにより内部圧力又は温度を解放することができる流路を形成する。
本願において言及する「作動」とは、減圧機構が動作し、それにより電池セルの内部圧力及び温度を解放することである。減圧機構が生成する動作は、減圧機構の少なくとも一部が破裂する、引き裂かれる又は溶融する等を含むがこれらに限定されない。減圧機構が作動すると、電池セルの内部の高温高圧物質が排出物として減圧機構から外に排出される。この方式により、制御可能な圧力又は温度の状況下で電池セルから圧力を逃がすことができ、潜在的でより深刻な事故の発生を回避する。
本願で言及する電池セルからの排出物は、電解液、溶解又は断裂した正負極シート、セパレータの破片、反応により生成された高温高圧ガス、火炎等を含むがこれらに限定されない。
電池セルにおける減圧機構は、電池の安全性に重要な影響を与える。例えば、電池セルに短絡、過充電などの現象が発生すると、電池セル内部の熱暴走が発生して圧力又は温度が急激に上昇することがある。その場合、減圧機構を作動させることにより電池セルの内部圧力及び温度を外部に逃がして、電池セルの爆発、発火を防止することができる。
現在の減圧機構の設計手段は、主に電池セル内部の高圧及び高熱を逃がすこと、つまり前記排出物を電池セルの外部に排出することに注目している。しかしながら、熱暴走した電池セルの内部から排出された排出物は残りの電池セルの短絡現象を引き起こす可能性があり、さらに、電池外部に排出された排出物が依然として高い温度を有し、火災、爆発などの二次災害を引き起こす可能性がある。
これに鑑みて、本願の実施例は技術的解決手段を提供し、隔離部材を利用して電池セルを収容する電気キャビティと排出物を収集する収集キャビティを分離し、減圧機構が作動する時、電池セルの排出物は収集キャビティに入り、電気キャビティに入らず又は少量が入るだけで、電気キャビティ内の電気接続部材が導通して短絡することがなく、それにより電池の安全性を向上させることができる。同時に、本願において、仕切構造を利用して収集キャビティをさらに2つのキャビティに分け、且つ第2キャビティにおいて流路仕切板を利用して排出物をガイドする流路を形成することにより、排出物の排出経路を延長して、排出物の温度をさらに下げることができ、排出物の燃焼の可能性を低下させ、排出物が外部環境に及ぼす影響を軽減して、電池の安全性を向上させる。
本願における隔離部材は電気キャビティと収集キャビティを隔離するために用いられ、それにより電気キャビティと収集キャビティは隔離部材の両側に設置される。好ましくは、本願の実施例における隔離部材は熱管理部材とすることができ、すなわち該隔離部材は流体を収容して複数の電池セルの温度を調節することができる。ここでの流体は液体又は気体であってもよく、温度調節とは複数の電池セルを加熱又は冷却することを指す。電池セルを冷却し又はその温度を下げる場合、該隔離部材は冷却流体を収容して複数の電池セルの温度を低下させることに用いられ、また隔離部材は加熱して複数の電池セルを昇温することに用いられてもよく、本願の実施例はこれに限定されない。好ましくは、前記流体は、より良好な温度調節効果を達成するために、循環流であってもよい。好ましくは、流体は水、水とエチレングリコールの混合液又は空気等であってもよい。
本願で言及する電気キャビティは複数の電池セル及びバス部品を収容するために用いられる。電気キャビティは、封止されていても、封止されていなくてもよい。電気キャビティは電池セル及びバス部品の取り付け空間を提供する。いくつかの実施例において、電気キャビティ内に電池セルを固定するための構造をさらに設置することができる。電気キャビティの形状は、収容される電池セル及びバス部材の数及び形状に応じて決定することができる。いくつかの実施例において、電気キャビティは6つの壁を有する方形であってもよい。本願で言及するバス部材は、複数の電池セルの間の電気的接続、例えば並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現するために用いられる。バス部材は、電池セルの電極端子を接続することによって電池セルの間の電気的接続を実現することができる。いくつかの実施例において、バス部材は、溶接によって電池セルの電極端子に固定されてもよい。
本願で言及する収集キャビティは、排出物を収集するために用いられ、封止されていても、封止されていなくてもよい。いくつかの実施例において、前記収集キャビティ内に空気、又はその他の気体が含まれていてもよい。好ましくは、前記収集キャビティは、冷却媒体などの液体を含んでもよく、又は収集キャビティに入る排出物の温度をさらに下げるために、該液体を収容する部材が設置されてもよい。さらに好ましくは、収集キャビティ内の気体又は液体は循環し流動している。
本願の実施例に記載の技術的解決手段はいずれも電池を使用する様々な装置に適用され、例えば、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、電気自動車、電動玩具、電動工具、電動車両、船舶及び宇宙船等であり、宇宙船は航空機、ロケット、スペースシャトル及びスペースシップ等を含む。
なお、本願の実施例に記載の技術的解決手段は上記の機器に適用できるだけではなく、電池を使用する全ての機器にも適用できるが、説明を簡潔にするために、下記実施例はいずれも電動車両を例として説明する。
例えば、図1は本願の実施例に係る車両1の構造概略図を示し、車両1はガソリン自動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車等であってもよい。車両1の内部にモータ40、コントローラ30及び電池10を設置することができ、コントローラ30は電池10を制御してモータ40に給電するために用いられる。例えば、車両1の底部又は前側又は後側に電池10を設置することができる。電池10は車両1への給電に用いられ、例えば、電池10は車両1の動作電源として、車両1の回路システムに用いることができ、例えば、車両1の起動、ナビゲーション及び走行時の動作電力の必要を賄う。本願の別の実施例において、電池10は車両1の動作電源としてだけでなく、車両1の駆動電源として、燃料又は天然ガスを代替又は部分的に代替して車両1に駆動動力を提供することができる。
異なる使用電力需要を満たすために、本願の電池は複数の電池セルを含むことができ、複数の電池セルの間は直列接続又は並列接続又は直並列接続することができ、直並列接続は直列接続及び並列接続の混合を指す。電池は電池パックとも呼ばれる。好ましくは、複数の電池セルがまず直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールがさらに直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池を構成してもよい。すなわち、複数の電池セルが電池を直接構成してもよく、又はまず電池モジュールを構成し、さらに電池モジュールが電池を構成してもよい。
例えば、図2は、本願の一実施例に係る電池10の構造概略図を示し、電池10は複数の電池セル20を含むことができる。電池10はさらに筐体を含むことができ、筐体の内部は中空構造であり、複数の電池セル20は筐体内に収容される。図2に示すように、筐体は2つの部分を含むことができ、ここではそれぞれ第1部分101及び第2部分102と呼ばれ、第1部分101及び第2部分102は一体に係合される。第1部分101及び第2部分102の形状は、電池セル20が組み合わされた形状によって決定されてもよく、第1部分101及び第2部分102は、いずれも1つの開口を有してもよい。例えば、第1部分101と第2部分102はいずれも中空の直方体であって且つそれぞれ1つの面のみが開口面であってもよく、第1部分101の開口と第2部分102の開口は対向して設置され、且つ第1部分101と第2部分102は互いに係合して密閉キャビティを有する筐体を形成する。複数の電池セル20を互いに並列接続又は直列接続又は直並列接続して組み合わせた後、第1部分101と第2部分102が係合して形成された筐体内に配置する。
好ましくは、電池10はさらに他の構造を含むことができ、ここで一つ一つ説明することはしない。例えば、該電池10はさらにバス部材を含むことができ、バス部材は複数の電池セル20の間の電気的接続、例えば並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現するために用いられる。具体的には、バス部材は電池セル20の電極端子を接続することによって電池セル20の間の電気的接続を実現することができる。さらに、バス部材は溶接によって電池セル20の電極端子に固定されてもよい。複数の電池セル20の電気エネルギーは、さらに導電機構が筐体を貫通することで引き出されてもよい。
電池セルの数は、電力の需要に応じて任意の数に設定することができる。複数の電池セルは、より大きな容量又は出力を実現するために、直列接続、並列接続、又は直並列接続の方式で接続されてもよい。各電池10に含まれる電池セルの数が多いため、取り付けやすくするために、電池セルをモジュール化して設置することができ、各モジュールの電池セルは電池セルモジュール200を構成する。電池セルモジュール200に含まれる電池セルの数は限定されず、必要に応じて設定することができる。例えば、図3は、電池セルモジュールの一例である。電池は複数の電池セルモジュールを含むことができ、これらの電池セルモジュールは直列接続、並列接続又は直並列接続の方式で接続することができる。
図4は、本願の一実施例に係る電池セル20の構造概略図を示し、電池セル20は1つ又は複数の電極アセンブリ22と、ハウジング211と、カバープレート212と、を含む。ハウジング211とカバープレート212は外ケース21を構成する。ハウジング211の壁及びカバープレート212は、いずれも電池セル20の壁と称される。ハウジング211は1つ又は複数の電極アセンブリ22を組み合わせた後の形状に応じて決定され、例えば、ハウジング211は中空の直方体又は立方体又は円柱体であってもよく、且つハウジング211の一面は開口を有しており、1つ又は複数の電極アセンブリ22をハウジング211内に配置することができる。例えば、ハウジング211が中空の直方体又は立方体である場合、ハウジング211のうちの1つの平面は開口面であり、該平面は壁体を有さずハウジング211の内外を連通させる。ハウジング211は中空の円柱体であってもよく、その場合ハウジング211の端面は開口面であり、該端面は壁体を有さずハウジング211の内外を連通させる。カバープレート212は開口を覆い、且つハウジング211と連結されて、電極アセンブリ22が配置される密閉キャビティを形成する。ハウジング211の中には電解質、例えば電解液が充填される。
該電池セル20は、カバープレート212に設置される2つの電極端子214をさらに含むことができる。カバープレート212は一般的に平板形状であり、2つの電極端子214はカバープレート212の平板面に固定され、2つの電極端子214はそれぞれ正極端子214a及び負極端子214bである。各電極端子214にそれぞれ1つの連結部材23が対応して設置され、連結部材23はカバープレート212と電極アセンブリ22との間に位置し、電極アセンブリ22と電極端子214を電気的に接続するために用いられる。
図4に示すように、各電極アセンブリ22は、第1タブ221a及び第2タブ222aを有する。第1タブ221aと第2タブ222aの極性は反対である。例えば、第1タブ221aが正極タブである場合、第2タブ222aは負極タブである。1つ又は複数の電極アセンブリ22の第1タブ221aは、1つの連結部材23を介して1つの電極端子に接続され、1つ又は複数の電極アセンブリ22の第2タブ222aは、別の連結部材23を介して別の電極端子に接続される。例えば、正極端子214aは1つの連結部材23を介して正極タブに接続され、負極端子214bは別の連結部材23を介して負極タブに接続される。
該電池セル20において、実際の使用ニーズに応じて、電極アセンブリ22は1つ又は複数設置することができ、図4は、電池セル20内に4つの独立した電極アセンブリ22が設置されることを示す。
図5は、本願の別の実施例に係る減圧機構213を含む電池セル20の構造概略図を示す。
図5におけるハウジング211、カバープレート212、電極アセンブリ22及び連結部材23は図4におけるハウジング211、カバープレート212、電極アセンブリ22及び連結部材23と同じであり、簡略化するために、ここでは説明を省略する。
図5において、減圧機構213は電池セル20の底壁、すなわち図5における壁21aに設置され、該減圧機構213は壁21aの一部であってもよいし、壁21aとは別体の構造であって、例えば溶接する方法で壁21aに固定されていてもよい。減圧機構213が壁21aの一部である場合、例えば、減圧機構213は、壁21aに浅い溝を設ける方法で形成することができ、該浅い溝に対応する壁21aの厚みは、減圧機構213の浅い溝以外の他の領域の厚みより薄い。浅い溝の箇所は、減圧機構213における最も脆弱な位置である。電池セル20が生成する気体が多すぎてハウジング211の内部圧力が上昇し且つ閾値に達するか、又は電池セル20の内部反応により熱が発生して電池セル20の内部温度が上昇し且つ閾値に達した場合、減圧機構213は浅い溝の箇所で破裂してハウジング211の内外を連通させ、ガスの圧力及び温度は減圧機構213の破裂により外へ放出されて、電池セル20の爆発を防止することができる。
図5において、減圧機構213が電池セル20の底壁に位置することを例として説明したが、理解すべきことは、本願の実施例における減圧機構213はハウジング211の側壁に位置してもよく、又はカバープレート212に位置してもよく、又は、ハウジング211の2つの壁が交差する位置に位置してもよく、本願の実施例はこれに限定されない。
減圧機構213は様々な可能な減圧構造であってもよく、本願の実施例はこれに限定されない。例えば、減圧機構213は、減圧機構213が設置された電池セル20の内部温度が閾値に達した時に溶融するように構成された感温減圧機構であってもよい。及び/又は、減圧機構213は、感圧減圧機構は減圧機構213が設置された電池セル20の内部気圧が閾値に達した時に破裂するように構成された感圧減圧機構であってもよい。
図6は本願の実施例に係る電池10の構造概略図を示す。図6に示すように、電池10は、複数の電池セル20及び筐体11を含むことができる。
筐体11は、電気キャビティ11a、収集キャビティ11b、隔離部材13、仕切構造131及び流路仕切板132を含むことができる。
電気キャビティ11aは、複数の電池セル20を収容するために用いられ、前記複数の電池セル20のうちの少なくとも1つの電池セル20は減圧機構213を含み、前記減圧機構213は前記減圧機構213が設けられた電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を解放するために用いられ、収集キャビティ11bは、前記減圧機構213が作動する時に前記減圧機構213が設けられた前記電池セル20からの排出物を収集するために用いられ、隔離部材13は、前記電気キャビティ11aと前記収集キャビティ11bを隔離し、前記電気キャビティ11aと前記収集キャビティ11bを前記隔離部材13の両側に設置するために用いられ、仕切構造131は、前記収集キャビティ11bを第1キャビティ111と第2キャビティ112に仕切るために用いられ、前記仕切構造131に第1排気孔1311が設置され、前記第1排気孔1311は前記第1キャビティ111内の前記排出物を前記第2キャビティ112に導入するために用いられ、流路仕切板132は、前記第2キャビティ112内に設置され且つ前記排出物をガイドする流路1321を形成するために用いられる。
本願の実施例において、一方では、隔離部材13を利用して電池セル20を収容する電気キャビティ11aと排出物を収集する収集キャビティ11bを分離し、減圧機構213が作動する時、電池セル20の排出物は収集キャビティ11bに入り、電気キャビティ11aに入らず又は少量が入るだけで、電気キャビティ11a内の電気接続部材が導通して短絡することがなく、それにより電池10の安全性を向上させることができる。他方では、仕切構造131によって収集キャビティ11bを第1キャビティ111と第2キャビティ112に仕切り、且つ第2キャビティ112内に流路仕切板132によって排出物をガイドする流路1321を形成し、電池セル20が熱暴走して排出された排出物は第1キャビティ111に入り、且つ仕切り構造131における第1排気孔1311を通して第2キャビティ112に入り、次いで第2キャビティ112内の流路1321を通すことができ、これにより、排出物の排出経路を大幅に延長して、排出物に対する十分な流動緩衝を行うことができ、排出物の温度を低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させることができ、外部環境に対する排出物の影響を削減し、電池の安全を保証する。
好ましくは、本願の実施例における仕切構造131は、隔離部材13と平行に設置されてもよく、収集キャビティ11bを垂直方向に上キャビティと下キャビティに仕切ることができる。好ましくは、本願の実施例における仕切構造131は他の形式で、例えば隔離部材13に垂直に設置されてもよく、本願はこれを限定しない。
好ましくは、本願の実施例における電気キャビティ11aはさらにバス部材を収容するために用いられ、バス部材は複数の電池セル20の電気的接続を実現するために用いられる。バス部材は電池セル20の電極端子214を接続することによって電池セル20間の電気的接続を実現することができる。
説明の便宜上、以下の減圧機構213に関する説明で言及される電池セル20は、減圧機構213が設けられた電池セル20を指す。例えば、電池セル20は、図4又は図5の電池セル20であってもよい。
実現可能な形態として、本願の実施例における筐体11はさらに圧力平衡機構12を含むことができ、前記圧力平衡機構12は前記筐体11の内外の圧力を平衡するために用いられ、前記圧力平衡機構12は、前記流路1321を通して前記排出物を前記圧力平衡機構12にガイドし且つ前記筐体11の外部に排出するように構成される。
電池セル20が熱暴走すると、排出物は減圧機構213を通って収集キャビティ11b内の第1キャビティ111に入り、且つ仕切構造131に設置された第1排気孔1311を通って第2キャビティ112に入り、第2キャビティ112内の流路1321を通過した後、さらに圧力平衡機構12を通って排出され、この過程で排出物の排出経路が大幅に延長されるため、排出物に対する十分な流動緩衝を行うことができ、これにより排出物の温度をさらに低下させることができる。従って、本願の実施例において、筐体11から排出される排出物の温度は低く、燃焼の可能性も小さく、電池の外部環境に対する排出物の影響を軽減し、電池の安全性を向上させることができる。
実現可能な形態として、本願の実施例における電気キャビティ11aは第1サブキャビティ111a及び第2サブキャビティ112aを含むことができ、前記第1サブキャビティ111aは前記複数の電池セル20を収容するために用いられ、前記第2サブキャビティ112aは前記第1サブキャビティ111aに隣接して設置される。前記第2サブキャビティ112aの外壁に前記圧力平衡機構12が設置され、前記第2サブキャビティ112aは前記第2キャビティ112と連通するように配置されて、前記流路1321を通して前記排出物を前記第2サブキャビティ112a内に誘導し、且つ前記圧力平衡機構12を通して前記筐体11の外部に排出する。
本願の実施例において、第1サブキャビティ111a内の電池セル20が生成した排出物は、第2キャビティ112を通って第2サブキャビティ112aに入り、且つ第2サブキャビティ112aにある圧力平衡機構12を通して排出することができ、一方では、電池セル20の排出物を、電池セル20を収容する第1サブキャビティ111aから分離し、排出物が第1サブキャビティ111a内の電気接続部材に影響を与えることを回避して、電池10の安全性を向上させることができ、他方では、第2キャビティ112及び第2サブキャビティ112aを設置することにより、排出物の排出経路を大幅に延長して、排出物の温度をさらに下げることができ、排出物の燃焼の可能性を低下させ、電池及び外部環境の安全性を向上させる。
なお、上記第1サブキャビティ111a及び第2サブキャビティ112aは電気キャビティ11aの1つの実現形態に過ぎない。任意選択的に、本願の実施例における電気キャビティ11aは他のサブキャビティを含まない単独のキャビティであってもよく、その場合、圧力平衡機構12は収集キャビティ11bのうちの1つの壁に設置することができる。又は、電気キャビティ11aに複数のサブキャビティが含まれてよく、その場合、圧力平衡機構12は複数のサブキャビティのうちの1つのサブキャビティの外壁に設置することができる。本願の実施例において、電池セル20の排出物を筐体11の外部に排出することを実現できればよく、本願の実施例はキャビティの具体的な設置方式を限定しない。
好ましくは、本願の一実施例において、隔離部材13は、電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bに共通の壁を有する。図6に示すように、隔離部材13は同時に電気キャビティ11aの1つの壁及び収集キャビティ11bの1つの壁であってもよい。すなわち、隔離部材13(又はその一部)をそのまま電気キャビティ11aと収集キャビティ11bの共用壁とすることができ、これにより、電池セル20の排出物は隔離部材13を通過して収集キャビティ11bに入り、同時に、隔離部材13が存在するため、該排出物を電気キャビティ11aからできるだけ隔離することができ、排出物の危険性を低下させ、電池10の安全性を向上させる。
理解を容易にするために、図7に本願の実施例に係る筐体11の概略図を示し、図8は図7における筐体11に対応する分解概略図である。図7及び図8に示すように、該筐体11は隔離部材13及び仕切構造131を含み、隔離部材13に電池セル20の減圧機構213に対応する減圧領域213aが設置され、仕切構造131に第1排気孔1311及び流路仕切板132が設置され、さらに、本願の実施例における筐体11はさらに保護部材133を含むことができ、前記保護部材133は前記隔離部材13を保護するために用いられ、前記保護部材133と前記隔離部材13は前記収集キャビティ11bを形成する。
好ましくは、上記流路仕切板132が保護部材133に設置されてもよく、本願の実施例はこれに限定されない。
さらに、本願の実施例における隔離部材13に第2排気孔1301が設置されてもよく、前記仕切構造131にさらに前記第2排気孔1301に対応する第3排気孔1312が設置され、前記第2サブキャビティ112aと前記第2キャビティ112は前記第2排気孔1301及び前記第3排気孔1312を介して連通する。なお、上記第2排気孔1301及び第3排気孔1312の設置方式及び形状は、実際の必要に応じて設定することができ、本願の実施例はこれに限定されない。
なお、排出物を第2キャビティ112から圧力平衡機構12を通して筐体11の外部に排出するために、排出物は上記実施例に記載の経路に基づいて排出することができ、すなわち減圧領域213aから第1キャビティ111に入り、次いで仕切構造131の第1排気孔1311を通って第2キャビティ112に入ってから、第2キャビティ112内の流路1321を通過し、第3排気孔1312及び第2排気孔1301を順に通って第2サブキャビティ112aに入り、その後第2サブキャビティ112aの外壁に設置された圧力平衡機構12を通って筐体11の外部に排出される。
又は選択的に、本願の実施例における流路1321を通過する排出物は、他の方式によって圧力平衡機構12を通過して排出されてもよく、例えば、隔離部材13の第2排気孔1301が設置された位置において、仕切構造131に遮蔽されない場合、すなわち、仕切構造131が、隔離部材13の減圧領域213aが設けられた部分のみに設置される場合、流路1321を通過する排出物は第2排気孔1301を通って第2サブキャビティ112aに直接入り、且つ圧力平衡機構12を通して筐体11の外部に排出されてもよく、又は、実際の状況に応じて排出経路を設置して、排出物が圧力平衡機構12を通って排出されるようにしてもよく、本願の実施例はこれを限定しない。
好ましくは、本願の実施例における筐体11はさらに筐体上カバーのような上筐体(図示せず)を含むことができ、それにより隔離部材13と共に電気キャビティ11aを囲んで形成する。
図9は本願の実施例の図7及び図8における筐体11に対応する平面概略図を示し、図10から図12はそれぞれ図9における3つの軸線A-A、B-B、C-Cを基準とする筐体11の断面概略図を示す。図10から図12に示すように、該筐体11は電気キャビティ11a、及び収集キャビティ11bを含むことができる。収集キャビティ11bは仕切構造131によって第1キャビティ111と第2キャビティ112に仕切られ、仕切構造131に設置された流路仕切板132は、第2キャビティ112内に排出物をガイドする流路1321を形成するために用いられる。
電池セル20が熱暴走すると、その排出物は減圧機構213を介して収集キャビティ11b内に排出され、より具体的には、排出物は減圧機構213を通って第1キャビティ111に入り、且つ仕切構造131に設置された第1排気孔1311を通過して第2キャビティ112内にガイドされ、且つ流路1321内に入る。
本願の実施例における電池セル20の排出物は減圧領域213aを通過した後、まず第1キャビティ111に入り、次いで第2キャビティ112内の流路1321を通過するため、どの位置にある減圧領域213aから排出された排出物の排出経路であっても大幅に延長されて、排出物に対する十分な流動緩衝を行うことができ、排出物の温度を十分に低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させることができ、電池の安全性を向上させる。
さらに、流路1321内の排出物は、仕切構造131に設けられた第3排気孔1312と、隔離部材13に設けられた第2排気孔1301とを順に通過して第2サブキャビティ112aに入り、且つ第2サブキャビティ112aの外壁に設置された圧力平衡機構12を通って電池筐体11の外部に排出される。
本願における電池セル20の排出物は、電池筐体11の外部に排出される前に経路が長い流路1321を通過して十分に流動緩衝が行われ、排出物の温度を大幅に低下させることができ、従って、本願の実施例における筐体11は排出物の温度を低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させることができ、それにより外部環境に対する排出物の影響を軽減し、電池の安全性を向上させる。
実現可能な形態として、本願の実施例における第1排気孔1311は前記仕切構造131の前記圧力平衡機構12から離れた端部に設置されてもよく、又は、前記第1排気孔1311は前記仕切構造131の中央に設置されてもよい。
第1排気孔1311を仕切構造131の異なる位置に設置することにより、電池10の構造強度とマッチングさせて、電池筐体11の構造設計をより柔軟にすることができる。
さらに、本願の実施例における前記流路1321はS字形の流路であってもよく、前記流路1321の入口は前記第1排気孔1311と連通する。
迂回するS字形流路を設置することにより、流路の長さを最大限に延長することができ、それにより排出物の排出経路を延長して、排出物に対する十分な流動緩衝を行うことができ、排出物の温度を低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させることができ、同時に、S字形流路の入口は第1排気孔1311と連通することができ、これにより第1キャビティ111から第2キャビティ112に入る排出物の排出経路をいずれも大幅に延長して、排出物の温度を可能な限り低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させることができる。
理解を容易にするために、上述した第1排気孔1311の設置位置及びその対応する流路1321の設置形態の実施例を以下に示す。
実現可能な形態として、図13aは本願の実施例に係る第1排気孔1311の設置方式の概略図を示す。図13aに示すように、第1排気孔1311は仕切構造131の端部に設置され、さらに、仕切構造131の圧力平衡機構12から離れた一端に設置されてもよく、これによりいずれの減圧機構213から排出された排出物の排出経路であっても大幅に延長することができる。図13aにおいて、第1排気孔1311は3つの方形貫通孔を例とするが、実際の状況においては、実際の要件に応じて排気孔の形状及び数を設計することができ、本願はこれを限定しない。
それに対応して、仕切構造131に設置された流路仕切板132は、仕切り構造131の端部に設置された第1排気孔1311に対応させることができ、図b及び図13cは、第1排気孔131が仕切構造131の端部に設置される流路仕切板の設置形態に対応する底面図及び平面図を示す。図13aから図13cに示すように、仕切構造131に設置された流路仕切板132によって形成された流路1321の入口は、端部の第1排気孔1311と連通させることができ、且つ、流路仕切板132で形成された流路はS字形の迂回形状を呈し、排出物が流動する単一の流路を形成し、第1排気孔1311を通って第2キャビティ112内に入った排出物は設計されたS字形流路のみに沿って流動させることができ、第2キャビティ112の空間全体を十分に利用して、流路1321に入った排出物の排出経路を大幅に延長させ、それにより排出物の温度を十分に低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させて、電池の安全性を向上させる。
なお、流路1321を通過した後の排出物は、例えば第3排気孔1312及び第2排気孔1301を通って他のキャビティ、例えば前記実施例における第2サブキャビティ112aに排出され、且つ筐体11の圧力平衡機構12を通って排出することができ、具体的な過程はこれまでの実施例を参照することができ、繰り返して説明することはしない。
好ましくは、本願の実施例における排出物は流路1321を通過した後に圧力平衡機構12を通して筐体11の外部に排出することができ、この時、圧力平衡機構12に近接して設置される流路仕切板132には、排出物のための一定の排出空間を予め残すことができ、それにより排出物は流路を通過した後に他のキャビティに入り、且つ筐体11の外部に排出される。具体的には、例えば、図13b及び図13cに示す流路仕切板132aに一定の切り欠きを予め残して、排出物に排出流路の経路を提供することができる。
別の実現可能な形態として、図14aは本願の実施例に係る別の第1排気孔1311の設置方式の概略図を示す。図14aに示すように、第1排気孔1311は、仕切構造131の中央に設置されてもよい。
これに対応して、仕切構造131に設けられた流路仕切板132は、仕切構造131の端部に設けられた第1排気孔1311に対応させることができ、図14b及び図14cは、第1排気孔1311が流路仕切板131の中央に設置される形態に対応する底面図及び上面図を示す。図14aから図14cに示すように、仕切構造131に設置された流路仕切板132により形成された流路1321の入口は、第1排気孔1311と連通させることができ、且つ、該複数の流路仕切板で形成された流路はS字形の迂回形状を呈し、排出物が流動する単一の通路を形成し、流路に入った排出物の排出経路を大幅に延長させ、それにより排出物の温度を十分に低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させて、電池の安全性を向上させる。
本願の実施例は第1排気孔1311の設置位置をS字形流路1321の設置形態と対応させて、収集キャビティ11b内に入る排出物の排出経路を最大限に延長することができ、排出物に対して十分な流動緩衝を行い、それにより排出物の温度を十分に低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させ、外部環境に対する排出物の影響を軽減し、電池の安全性を向上させる。
電池セル20の熱暴走することで生成される排出物はH2、CO等の可燃性ガスを含む可能性があり、排出物が燃焼する可能性をさらに低下させ、排出物に点火されにくくするために、さらに筐体11内に排出物中の可燃性ガスと反応させることができる材料を設置してもよい。
好ましくは、本願の実施例における収集キャビティ11b内に酸化剤又は冷却材料を設置することができる。好ましくは、酸化剤を使用する実施形態では、反応の進行を加速するために触媒を追加することができる。選択可能な触媒は貴金属を担持する多孔質炭化ケイ素セラミックスなどである。
より具体的には、酸化剤又は冷却材料は前記仕切構造131の表面に設置され、及び/又は、酸化剤又は冷却材料は前記流路仕切板132の表面に設置される。
電池セル20が熱暴走した後に排出される排出物は、本願の実施例における筐体11を通過した後、延長された排気経路を通り、排出物の温度低下を実現し、排出物の燃焼の可能性を低下させることができ、本願の実施例はこれを基に、さらに収集キャビティ11b内に酸化剤又は冷却材料を設置することができ、それにより排出物中の可燃性ガスに対して反応又は処理を行い、排出物の温度をさらに低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させることができる。
実現可能な形態として、本願の実施例における酸化剤又は冷却材料は、前記保護部材133の前記隔離部材13に面する表面に設置される。
保護部材133の表面に酸化剤又は冷却材料を設置することにより、排出物の排出経路において排出物に対して更なる反応又は処理を行うことができ、それにより排出物の温度を更に低下させ、その燃焼の可能性を低下させ、電池及び外部環境の安全を保証する。
実現可能な形態として、本願の実施例における仕切構造131の保護部材133に面する表面は、酸化剤又は冷却材料を収容するように構成された凹部を有する。
凹凸設計によりキャビティと可燃性ガス排出物との接触面積を顕著に増大させることができ、同時により多くの酸化剤又は冷却材料を載置することができ、それにより排出物をより効果的に反応させて、排出物の温度及び燃焼の可能性を低下させ、電池及び外部環境に対する排出物の影響を軽減し、電池の安全を保証する。
具体的には、図15a及び図15bは本願の実施例に係る凹部134が設置された仕切構造131の概略図を示す。図15a及び図15bに示すように、仕切構造131の流路仕切板132が設けられた表面は、凹部134を有することができる。
好ましくは、本願の実施例に用いられる酸化剤は酸化銅粉末、過酸化ナトリウム、過マンガン酸カリウムのうち少なくとも1つを含むことができ、及び/又は、冷却材料は、相変化材料を含むことができる。
なお、上記はいくつかの一般的な材料を例として挙げたに過ぎず、実際の応用においては、実際の状況に応じて適切な酸化剤及び/又は冷却材料を選択することができ、本願はこれを限定しない。
好ましくは、本願の実施例における酸化剤及び/又は冷却材料は接着剤で接着する方式で固定することができる。又は、コーティングする形態で固定してもよく、本願はこれに限定されない。
図16は本願の一実施例に係る電池10の分解図を示し、該電池10は複数の電池セル20と、上記実施例における筐体11を含むことができる。
電池10における各部材に関する説明は前記各実施例を参照することができ、簡略化するために、ここでは説明を省略する。
好ましくは、該電池10はさらに筐体上カバー14を含むことができ、該上カバー14は隔離部材13と共に電気キャビティ11aを形成することができる。理解すべきこととして、本願の実施例における上カバー14は電池10を説明する一例に過ぎず、図2における第1部分101に関する説明のように、電池10における上カバー14は他の形態を採用してもよく、本願の実施例はこれを限定しない。
本願の一実施例は、さらに、電気エネルギーを提供するために用いられる上記各実施例における電池10を含む電力消費装置を提供する。
好ましくは、電力消費装置は車両1、船舶又は宇宙船であってもよい。
以上は本願の実施例の電池の筐体、電池及び電力消費装置を説明し、以下では本願の実施例の電池の製造方法及び装置を説明し、ここで詳細に説明しない部分は上記各実施例を参照することができる。
図17は本願の一実施例に係る電池の製造方法300の概略フローチャートを示す。図17に示すように、該方法300は、S310と、S320とを含む。
S310では、複数の電池セル20を提供する。
実現可能な形態として、前記複数の電池セル20のうちの少なくとも1つの電池セル20は減圧機構213を含み、前記減圧機構213は前記減圧機構213が設けられた電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を解放するために用いられる。
S320では、筐体11を提供する。
実現可能な形態として、前記筐体11は、前記複数の電池セル20を収容するために用いられる電気キャビティ11aと、前記減圧機構213が作動する時に前記減圧機構213が設けられた前記電池セル20からの排出物を収集するために用いられる収集キャビティ11bと、前記電気キャビティ11aと前記収集キャビティ11bを隔離し、前記電気キャビティ11aと前記収集キャビティ11bを前記隔離部材13の両側に設置するために用いられる隔離部材13と、前記収集キャビティ11bを第1キャビティ111と第2キャビティ112に仕切るために用いられ、前記第1キャビティ111内の排出物を前記第2キャビティ112に導入するための第1排気孔1311が設置される仕切構造131と、前記第2キャビティ112内に設置され且つ前記排出物をガイドする流路1321を形成するために用いられる流路仕切板132と、を含む。
図18は、本願の一実施例に係る電池の製造装置400の概略ブロック図を示す。図18に示すように、電池の製造装置400は第1提供モジュール410と、第2提供モジュール420と、設置モジュール430と、を含むことができる。
前記第1提供モジュール410は複数の電池セル20を提供するために用いられ、前記複数の電池セル20のうちの少なくとも1つの電池セル20は減圧機構213を含み、前記減圧機構213は前記減圧機構213が設けられた電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を解放するために用いられる。
前記第2提供モジュール420は筐体11を提供するために用いられ、前記筐体11は、前記複数の電池セル20を収容するために用いられる電気キャビティ11aと、前記減圧機構213が作動する時に前記減圧機構213が設けられた前記電池セル20からの排出物を収集するために用いられる収集キャビティ11bと、前記電気キャビティ11aと前記収集キャビティ11bを隔離し、前記電気キャビティ11aと前記収集キャビティ11bを前記隔離部材13の両側に設置するために用いられる隔離部材13と、前記収集キャビティ11bを第1キャビティ111と第2キャビティ112に仕切るために用いられる仕切構造131と、前記第2キャビティ112内に設置され且つ前記排出物をガイドする流路1321を形成するために用いられる流路仕切板132と、を含む。
前記設置モジュール430は前記仕切り構造131に第1排気孔1311を設置することに用いられ、前記第1排気孔1311は前記第1キャビティ111内の排出物を前記第2キャビティ112に導入することに用いられる。
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲を逸脱することなく、種々の改良を行い、その構成要素を等価物に置換することができる。特に、各実施例で言及した各技術的特徴は、構造的な矛盾がない限り、いずれも任意の方法で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲に含まれる全ての技術的解決手段を含む。
本願は電池技術分野に関し、特に、電池の筐体、電池、電力消費装置、電池の製造方法及び電池の製造装置に関する。
省エネルギーと排出削減は、自動車産業の持続可能な発展におけるキーポイントである。このような状況において、電動車両は省エネルギーで環境に優しいというその利点から、自動車産業の持続可能な発展における重要な構成部分となっている。電動車両にとって、電池技術はその発展に関わる重要な要素である。
電池技術の発展において、電池の性能を向上させる以外に、安全上の問題も無視できない課題である。電池の安全上の問題を保証できない場合、該電池を使用することはできない。従って、電池の安全性をどのように向上させるかは、電池技術における早急に解決すべき技術的課題である。
本願は電池の安全性を向上させることができる電池の筐体、電池、電力消費装置、電池の製造方法及び電池の製造装置を提供する。
第1態様によれば、電気キャビティと、収集キャビティと、隔離部材と、仕切構造と、流路仕切板と、を含み、前記電気キャビティは、複数の電池セルを収容するために用いられ、前記複数の電池セルのうちの少なくとも1つの電池セルは減圧機構を含み、前記減圧機構は前記減圧機構が設けられた電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を解放するために用いられ、前記収集キャビティは、前記減圧機構が作動する時に前記減圧機構が設けられた前記電池セルからの排出物を収集するために用いられ、前記隔離部材は、前記電気キャビティと前記収集キャビティを隔離し、前記電気キャビティと前記収集キャビティを前記隔離部材の両側に設置するために用いられ、前記仕切構造は、前記収集キャビティを第1キャビティと第2キャビティに仕切るために用いられ、前記仕切構造に第1排気孔が設置され、前記第1排気孔は前記第1キャビティ内の前記排出物を前記第2キャビティに導入するために用いられ、前記流路仕切板は、前記第2キャビティ内に設置され且つ前記排出物をガイドする流路を形成するために用いられる、電池の筐体を提供する。
本願の実施例において、隔離部材により電池セルを収容する電気キャビティと排出物を収集する収集キャビティを分離し、減圧機構が作動する時、電池セルの排出物は収集キャビティに入り、電気キャビティに入らず又は少量が入るだけで、電気キャビティ内の電気接続部材が導通して短絡することがなく、それにより電池の安全性を向上させることができる。同時に、本願において、仕切構造により収集キャビティをさらに2つのキャビティに分け、且つ第2キャビティにおいて流路仕切板により排出物をガイドする流路を形成することにより、排出物の排出経路を延長して、排出物の温度をさらに下げることができ、排出物の燃焼の可能性を低下させ、排出物が外部環境に及ぼす影響を削減して、電池の安全性を向上させる。
いくつかの実施例において、前記筐体はさらに、圧力平衡機構を含み、前記圧力平衡機構は、前記筐体内外の圧力を平衡するために用いられ、前記圧力平衡機構は、前記流路を通して前記排出物を前記圧力平衡機構にガイドし且つ前記筐体の外部に排出するように構成される。
圧力平衡機構を設置することにより、電池セルの排出物を筐体の外部に排出することができ、筐体内外の圧力の平衡を保持し、電池の安全を保証する。
いくつかの実施例において、前記第1排気孔は前記圧力平衡機構から離れた前記仕切構造の端部に設置され、又は、前記第1排気孔は前記仕切構造の中央に設置される。
第1排気孔を仕切構造の異なる位置に設置することにより、電池の構造強度とマッチングさせて、電池筐体の構造設計をより柔軟にすることができる。
いくつかの実施例において、前記流路はS字形の流路であり、前記流路の入口は前記第1排気孔と連通する。
本願の実施例において、迂回するS字形流路を設置することにより、流路の長さを最大限に延長することができ、それにより排出物の排出経路を延長して、排出物に対する十分な流動緩衝を行うことができ、排出物の温度を低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させることができ、同時に、S字形流路の入口は第1排気孔と連通することができ、これにより第1キャビティから第2キャビティに入る排出物の排出経路をいずれも大幅に延長して、排出物の温度を可能な限り低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させて、電池の安全を保証することができる。
いくつかの実施例において、前記収集キャビティ内に酸化剤又は冷却材料が設置される。
電池セルが熱暴走することで生成される排出物は、H2、CO等の可燃性ガスを含む可能性があり、本願の実施例において、さらに筐体内に排出物中の可燃性ガスと反応させることができる材料を設置し、それにより排出物の燃焼の可能性をさらに低下させることができ、排出物に点火されにくくなり、電池の安全性を向上させ、電池及び外部環境の安全を保証する。
いくつかの実施例において、前記酸化剤又は前記冷却材料は前記仕切構造の表面に設置され、及び/又は、前記酸化剤又は前記冷却材料は、前記流路仕切板の表面に設置される。
上記酸化剤又は冷却材料のうちの少なくとも1つを排出物の排出経路に設置することにより、排出物に対して更なる処理を行うことができ、排出物の燃焼の可能性を低下させ、電池及び外部環境の安全を保証する。
いくつかの実施例において、前記筐体はさらに、保護部材を含み、前記保護部材は前記隔離部材を保護するために用いられ、前記保護部材と前記隔離部材は前記収集キャビティを形成し、前記酸化剤又は前記冷却材料は前記保護部材の前記隔離部材に面する表面に設置される。
保護部材の表面に酸化剤又は冷却材料を設置することにより、排出物の排出経路において排出物に対して更なる反応又は処理を行うことができ、それにより排出物の温度を更に低下させ、その燃焼の可能性を低下させ、電池及び外部環境の安全を保証する。
いくつかの実施例において、前記仕切構造の前記保護部材に面する表面は、前記酸化剤又は前記冷却材料を収容するように構成された凹部を有する。
本願の実施例において、凹凸表面構造を有する凹部を設置することによりキャビティと排出物との接触面積を顕著に増大させ、同時に、より多くの酸化剤又は冷却材料を載置することができ、それにより排出経路において排出物に対するさらに十分且つ効果的な反応を実施することができ、排出物の温度及び燃焼の可能性を低下させ、電池及び外部環境に与える排出物の影響を削減し、電池の安全を保証する。
いくつかの実施例において、前記電気キャビティは第1サブキャビティ及び第2サブキャビティを含み、前記第1サブキャビティは前記複数の電池セルを収容するために用いられ、前記第2サブキャビティは前記第1サブキャビティに隣接して設置される。前記第2サブキャビティの外壁に前記圧力平衡機構が設置され、前記第2サブキャビティは前記第2キャビティと連通するように配置されて、前記流路を通して前記排出物を前記第2サブキャビティ内に誘導し、且つ前記圧力平衡機構を通して前記筐体の外部に排出する。
本願の実施例において、第1サブキャビティ内の電池セルが生成した排出物は、第2キャビティを通って第2サブキャビティに入り、且つ第2サブキャビティにある圧力平衡機構を通して排出することができ、一方では、排出物を収集するキャビティと電池セルを収容する第1サブキャビティを分離し、排出物が第1サブキャビティ内の電気接続部材に影響を与えることを回避して、電池の安全性を向上させることができる。他方では、第2キャビティ及び第2サブキャビティを設置することにより、排出物の排出経路を大幅に延長して、排出物の温度をさらに下げることができ、排出物の燃焼の可能性を低下させ、電池及び外部環境の安全性を向上させる。
いくつかの実施例において、前記隔離部材に第2排気孔が設けられ、前記仕切構造にはさらに前記第2排気孔に対応する第3排気孔が設けられ、前記第2サブキャビティと前記第2キャビティは前記第2排気孔及び前記第3排気孔を介して連通する。
第2態様によれば、複数の電池セルと、第1態様に記載の筐体と、を含み、前記複数の電池セルのうちの少なくとも1つの電池セルは減圧機構を含み、前記減圧機構は前記減圧機構が設けられた電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を解放するために用いられ、前記複数の電池セルは前記筐体内に収容される電池を提供する。
第3態様によれば、電気エネルギーを提供するために用いられる第2態様に記載の電池を含む電力消費装置を提供する。
いくつかの実施例において、前記電力消費装置は車両、船舶又は宇宙船である。
第4態様によれば、複数の電池セルを提供するステップと、筐体を提供するステップと、を含み、前記複数の電池セルのうちの少なくとも1つの電池セルは減圧機構を含み、前記減圧機構は前記減圧機構が設けられた電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を解放するために用いられ、前記筐体は電気キャビティと、収集キャビティと、隔離部材と、仕切構造と、流路仕切板と、を含み、前記電気キャビティは、前記複数の電池セルを収容するために用いられ、前記収集キャビティは、前記減圧機構が作動する時に前記減圧機構が設けられた前記電池セルからの排出物を収集するために用いられ、前記隔離部材は、前記電気キャビティと前記収集キャビティを隔離し、前記電気キャビティと前記収集キャビティを前記隔離部材の両側に設置するために用いられ、前記仕切構造は、前記収集キャビティを第1キャビティと第2キャビティに仕切るために用いられ、前記仕切構造に第1排気孔が設置され、前記第1排気孔は前記第1キャビティ内の排出物を前記第2キャビティに導入するために用いられ、前記流路仕切板は、前記第2キャビティ内に設置され且つ前記排出物をガイドする流路を形成するために用いられる、電池の製造方法を提供する。
第5態様によれば、第1提供モジュールと、第2提供モジュールと、設置モジュールと、を含み、前記第1提供モジュールは複数の電池セルを提供するために用いられ、前記複数の電池セルのうちの少なくとも1つの電池セルは減圧機構を含み、前記減圧機構は前記減圧機構が設けられた電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を解放するために用いられ、前記第2提供モジュールは筐体を提供するために用いられ、前記筐体は電気キャビティと、収集キャビティと、隔離部材と、仕切構造と、流路仕切板と、を含み、前記電気キャビティは、前記複数の電池セルを収容するために用いられ、前記収集キャビティは、前記減圧機構が作動する時に前記減圧機構が設けられた前記電池セルからの排出物を収集するために用いられ、前記隔離部材は、前記電気キャビティと前記収集キャビティを隔離し、前記電気キャビティと前記収集キャビティを前記隔離部材の両側に設置するために用いられ、前記仕切構造は、前記収集キャビティを第1キャビティと第2キャビティに仕切るために用いられ、前記流路仕切板は、前記第2キャビティ内に設置され且つ前記排出物をガイドする流路を形成するために用いられ、前記設置モジュールは、前記仕切構造に第1排気孔を設置するために用いられ、前記第1排気孔は前記第1キャビティ内の排出物を前記第2キャビティに導入するために用いられる、電池の製造装置を提供する。
本願の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するめに、以下に本願の実施例に必要な図面を簡単に説明し、理解すべきことは、以下に示された図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、図面に基づいて他の図面をさらに取得することができる。
本願の一実施例に係る車両の構造概略図である。
本願の一実施例に係る電池の構造概略図である。
本願の一実施例に係る電池セルモジュールの部分構造概略図である。
本願の一実施例に係る電池セルの分解図である。
本願の別の実施例に係る電池セルの分解図である。
本願の一実施例に係る電池の構造概略図である。
本願の一実施例に係る筐体の概略図である。
図7の筐体に対応する分解図である。
図7及び図8の筐体に対応する平面概略図である。
~
図9の筐体に対応するそれぞれ軸線A-A、B-B、C-Cを基準とする断面概略図である。
本願の一実施例に係る第1排気孔の設置方式の概略図である。
図13aにおける第1排気孔の設置方式に対応する底面図である。
図13aにおける第1排気孔の設置方式に対応する平面図である。
本願の一実施例に係る別の第1排気孔の設置方式の概略図である。
図14aにおける第1排気孔の設置方式に対応する底面図である。
図14aにおける第1排気孔の設置方式に対応する平面図である。
、
本願の一実施例に係る凹部が設置された構造概略図である。
本願の一実施例に係る電池の分解図である。
本願の一実施例に係る電池の製造方法の概略フローチャートである。
本願の一実施例に係る電池の製造装置の概略ブロック図である。
図面において、図面は実際の比率に従って描かれたものではない。
以下に図面及び実施例を参照しながら本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は本願の原理を例示的に説明するために用いられるが、本願の範囲を限定するものではなく、本願は記載された実施例に限定されない。
本願の記載において説明すべきことは、別途説明されない限り、「複数」は、2つ以上(2つを含む)という意味であり、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等の用語が指示する方位又は位置関係は、本願の説明を容易にして、説明を簡略化するものであるに過ぎず、対象の装置や素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成され及び操作されるべきであることを示す又は暗示するものではなく、従って本願を限定するものと理解すべきではない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、説明する目的で用いられるに過ぎず、相対的な重要性を示す又は暗示するものと理解すべきではない。「垂直」は、厳密な意味での垂直ではなく、誤差の許容範囲内にあるものである。「平行」は、厳密な意味での平行ではなく、誤差の許容範囲内にあるものである。
以下の説明に出現する方位表現はいずれも図に示す方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の記載においてさらに説明すべきことは、別途明確に規定及び限定されない限り、「取り付ける」、「つながっている」、「接続」という用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体接続であってもよい。直接つながっていてもよく、中間媒体を介して間接的につながっていてもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
本願において、電池セルは一次電池、二次電池を含むことができ、例えばリチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等であってもよく、本願の実施例はこれに限定されない。電池セルは円筒、扁平体、直方体、又は他の形状等であってもよく、本願の実施例はこれにも限定されない。電池セルは一般的にパッケージの方式により円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルの3種類に分けられ、本願の実施例はこれにも限定されない。
本願の実施例で言及される電池は、より高い電圧及び容量を提供するために1つ以上の電池セルを含む単一の物理的モジュールを指す。例えば、本願で言及される電池は、電池セルモジュール又は電池パックなどを含むことができる。電池パックは、一般的に1つ又は複数の電池セルをパッケージ化するための筐体を含む。筐体は液体又は他の異物が電池セルの充放電に影響を及ぼすことを防止することができる。
電池セルは電極アセンブリ及び電解液を含み、電極アセンブリは正極シート、負極シート及びセパレータを含む。電池セルは、主に金属イオンが正極シートと負極シートとの間を移動することによって動作する。正極シートは正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極活物質層が塗布された集電体から突出し、正極活物質層が塗布されていない集電体を正極タブとする。リチウムイオン電池を例とすると、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元系リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極シートは負極集電体及び負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布された集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体を負極タブとする。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は炭素又はシリコン等であってもよい。大電流によって溶断が発生しないことを保証するために、正極タブの数は複数であり且つ一体に積層され、負極タブの数は複数であり且つ一体に積層される。セパレータの材質は、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)等であってもよい。また、電極アセンブリは巻回式構造であってもよく、又は積層式構造であってもよく、本願の実施例はこれに限定されない。電池技術の発展には多方面の設計要素、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電効率等の性能パラメータを同時に考慮する必要があり、また、電池の安全性を考慮する必要がある。
電池にとって、安全上の主な危険性は充電及び放電プロセスに由来し、電池の安全性を向上させるために、電池セルには一般的に減圧機構が設置される。減圧機構とは、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達した時に作動して、内部圧力又は温度を解放する素子又は部品である。該所定の閾値は設計要件に応じて調整することができる。前記所定の閾値は電池セルにおける正極シート、負極シート、電解液及びセパレータのうちの1つ又は複数の材料に依存する可能性がある。減圧機構は感圧又は感温の素子又は部材を用いることができ、即ち、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達すると、減圧機構が作動し、それにより内部圧力又は温度を解放することができる流路を形成する。
本願において言及する「作動」とは、減圧機構が動作し、それにより電池セルの内部圧力及び温度を解放することである。減圧機構が生成する動作は、減圧機構の少なくとも一部が破裂する、引き裂かれる又は溶融する等を含むがこれらに限定されない。減圧機構が作動すると、電池セルの内部の高温高圧物質が排出物として減圧機構から外に排出される。この方式により、制御可能な圧力又は温度の状況下で電池セルから圧力を逃がすことができ、潜在的でより深刻な事故の発生を回避する。
本願で言及する電池セルからの排出物は、電解液、溶解又は断裂した正負極シート、セパレータの破片、反応により生成された高温高圧ガス、火炎等を含むがこれらに限定されない。
電池セルにおける減圧機構は、電池の安全性に重要な影響を与える。例えば、電池セルに短絡、過充電などの現象が発生すると、電池セル内部の熱暴走が発生して圧力又は温度が急激に上昇することがある。その場合、減圧機構を作動させることにより電池セルの内部圧力及び温度を外部に逃がして、電池セルの爆発、発火を防止することができる。
現在の減圧機構の設計手段は、主に電池セル内部の高圧及び高熱を逃がすこと、つまり前記排出物を電池セルの外部に排出することに注目している。しかしながら、熱暴走した電池セルの内部から排出された排出物は残りの電池セルの短絡現象を引き起こす可能性があり、さらに、電池外部に排出された排出物が依然として高い温度を有し、火災、爆発などの二次災害を引き起こす可能性がある。
これに鑑みて、本願の実施例は技術的解決手段を提供し、隔離部材を利用して電池セルを収容する電気キャビティと排出物を収集する収集キャビティを分離し、減圧機構が作動する時、電池セルの排出物は収集キャビティに入り、電気キャビティに入らず又は少量が入るだけで、電気キャビティ内の電気接続部材が導通して短絡することがなく、それにより電池の安全性を向上させることができる。同時に、本願において、仕切構造を利用して収集キャビティをさらに2つのキャビティに分け、且つ第2キャビティにおいて流路仕切板を利用して排出物をガイドする流路を形成することにより、排出物の排出経路を延長して、排出物の温度をさらに下げることができ、排出物の燃焼の可能性を低下させ、排出物が外部環境に及ぼす影響を軽減して、電池の安全性を向上させる。
本願における隔離部材は電気キャビティと収集キャビティを隔離するために用いられ、それにより電気キャビティと収集キャビティは隔離部材の両側に設置される。好ましくは、本願の実施例における隔離部材は熱管理部材とすることができ、すなわち該隔離部材は流体を収容して複数の電池セルの温度を調節することができる。ここでの流体は液体又は気体であってもよく、温度調節とは複数の電池セルを加熱又は冷却することを指す。電池セルを冷却し又はその温度を下げる場合、該隔離部材は冷却流体を収容して複数の電池セルの温度を低下させることに用いられ、また隔離部材は加熱して複数の電池セルを昇温することに用いられてもよく、本願の実施例はこれに限定されない。好ましくは、前記流体は、より良好な温度調節効果を達成するために、循環流であってもよい。好ましくは、流体は水、水とエチレングリコールの混合液又は空気等であってもよい。
本願で言及する電気キャビティは複数の電池セル及びバス部品を収容するために用いられる。電気キャビティは、封止されていても、封止されていなくてもよい。電気キャビティは電池セル及びバス部品の取り付け空間を提供する。いくつかの実施例において、電気キャビティ内に電池セルを固定するための構造をさらに設置することができる。電気キャビティの形状は、収容される電池セル及びバス部材の数及び形状に応じて決定することができる。いくつかの実施例において、電気キャビティは6つの壁を有する方形であってもよい。本願で言及するバス部材は、複数の電池セルの間の電気的接続、例えば並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現するために用いられる。バス部材は、電池セルの電極端子を接続することによって電池セルの間の電気的接続を実現することができる。いくつかの実施例において、バス部材は、溶接によって電池セルの電極端子に固定されてもよい。
本願で言及する収集キャビティは、排出物を収集するために用いられ、封止されていても、封止されていなくてもよい。いくつかの実施例において、前記収集キャビティ内に空気、又はその他の気体が含まれていてもよい。好ましくは、前記収集キャビティは、冷却媒体などの液体を含んでもよく、又は収集キャビティに入る排出物の温度をさらに下げるために、該液体を収容する部材が設置されてもよい。さらに好ましくは、収集キャビティ内の気体又は液体は循環し流動している。
本願の実施例に記載の技術的解決手段はいずれも電池を使用する様々な装置に適用され、例えば、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、電気自動車、電動玩具、電動工具、電動車両、船舶及び宇宙船等であり、宇宙船は航空機、ロケット、スペースシャトル及びスペースシップ等を含む。
なお、本願の実施例に記載の技術的解決手段は上記の機器に適用できるだけではなく、電池を使用する全ての機器にも適用できるが、説明を簡潔にするために、下記実施例はいずれも電動車両を例として説明する。
例えば、図1は本願の実施例に係る車両1の構造概略図を示し、車両1はガソリン自動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車等であってもよい。車両1の内部にモータ40、コントローラ30及び電池10を設置することができ、コントローラ30は電池10を制御してモータ40に給電するために用いられる。例えば、車両1の底部又は前側又は後側に電池10を設置することができる。電池10は車両1への給電に用いられ、例えば、電池10は車両1の動作電源として、車両1の回路システムに用いることができ、例えば、車両1の起動、ナビゲーション及び走行時の動作電力の必要を賄う。本願の別の実施例において、電池10は車両1の動作電源としてだけでなく、車両1の駆動電源として、燃料又は天然ガスを代替又は部分的に代替して車両1に駆動動力を提供することができる。
異なる使用電力需要を満たすために、本願の電池は複数の電池セルを含むことができ、複数の電池セルの間は直列接続又は並列接続又は直並列接続することができ、直並列接続は直列接続及び並列接続の混合を指す。電池は電池パックとも呼ばれる。好ましくは、複数の電池セルがまず直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールがさらに直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池を構成してもよい。すなわち、複数の電池セルが電池を直接構成してもよく、又はまず電池モジュールを構成し、さらに電池モジュールが電池を構成してもよい。
例えば、図2は、本願の一実施例に係る電池10の構造概略図を示し、電池10は複数の電池セル20を含むことができる。電池10はさらに筐体を含むことができ、筐体の内部は中空構造であり、複数の電池セル20は筐体内に収容される。図2に示すように、筐体は2つの部分を含むことができ、ここではそれぞれ第1部分101及び第2部分102と呼ばれ、第1部分101及び第2部分102は一体に係合される。第1部分101及び第2部分102の形状は、電池セル20が組み合わされた形状によって決定されてもよく、第1部分101及び第2部分102は、いずれも1つの開口を有してもよい。例えば、第1部分101と第2部分102はいずれも中空の直方体であって且つそれぞれ1つの面のみが開口面であってもよく、第1部分101の開口と第2部分102の開口は対向して設置され、且つ第1部分101と第2部分102は互いに係合して密閉キャビティを有する筐体を形成する。複数の電池セル20を互いに並列接続又は直列接続又は直並列接続して組み合わせた後、第1部分101と第2部分102が係合して形成された筐体内に配置する。
好ましくは、電池10はさらに他の構造を含むことができ、ここで一つ一つ説明することはしない。例えば、該電池10はさらにバス部材を含むことができ、バス部材は複数の電池セル20の間の電気的接続、例えば並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現するために用いられる。具体的には、バス部材は電池セル20の電極端子を接続することによって電池セル20の間の電気的接続を実現することができる。さらに、バス部材は溶接によって電池セル20の電極端子に固定されてもよい。複数の電池セル20の電気エネルギーは、さらに導電機構が筐体を貫通することで引き出されてもよい。
電池セルの数は、電力の需要に応じて任意の数に設定することができる。複数の電池セルは、より大きな容量又は出力を実現するために、直列接続、並列接続、又は直並列接続の方式で接続されてもよい。各電池10に含まれる電池セルの数が多いため、取り付けやすくするために、電池セルをモジュール化して設置することができ、各モジュールの電池セルは電池セルモジュール200を構成する。電池セルモジュール200に含まれる電池セルの数は限定されず、必要に応じて設定することができる。例えば、図3は、電池セルモジュールの一例である。電池は複数の電池セルモジュールを含むことができ、これらの電池セルモジュールは直列接続、並列接続又は直並列接続の方式で接続することができる。
図4は、本願の一実施例に係る電池セル20の構造概略図を示し、電池セル20は1つ又は複数の電極アセンブリ22と、ハウジング211と、カバープレート212と、を含む。ハウジング211とカバープレート212は外ケース21を構成する。ハウジング211の壁及びカバープレート212は、いずれも電池セル20の壁と称される。ハウジング211は1つ又は複数の電極アセンブリ22を組み合わせた後の形状に応じて決定され、例えば、ハウジング211は中空の直方体又は立方体又は円柱体であってもよく、且つハウジング211の一面は開口を有しており、1つ又は複数の電極アセンブリ22をハウジング211内に配置することができる。例えば、ハウジング211が中空の直方体又は立方体である場合、ハウジング211のうちの1つの平面は開口面であり、該平面は壁体を有さずハウジング211の内外を連通させる。ハウジング211は中空の円柱体であってもよく、その場合ハウジング211の端面は開口面であり、該端面は壁体を有さずハウジング211の内外を連通させる。カバープレート212は開口を覆い、且つハウジング211と連結されて、電極アセンブリ22が配置される密閉キャビティを形成する。ハウジング211の中には電解質、例えば電解液が充填される。
該電池セル20は、カバープレート212に設置される2つの電極端子214をさらに含むことができる。カバープレート212は一般的に平板形状であり、2つの電極端子214はカバープレート212の平板面に固定され、2つの電極端子214はそれぞれ正極端子214a及び負極端子214bである。各電極端子214にそれぞれ1つの連結部材23が対応して設置され、連結部材23はカバープレート212と電極アセンブリ22との間に位置し、電極アセンブリ22と電極端子214を電気的に接続するために用いられる。
図4に示すように、各電極アセンブリ22は、第1タブ221a及び第2タブ222aを有する。第1タブ221aと第2タブ222aの極性は反対である。例えば、第1タブ221aが正極タブである場合、第2タブ222aは負極タブである。1つ又は複数の電極アセンブリ22の第1タブ221aは、1つの連結部材23を介して1つの電極端子に接続され、1つ又は複数の電極アセンブリ22の第2タブ222aは、別の連結部材23を介して別の電極端子に接続される。例えば、正極端子214aは1つの連結部材23を介して正極タブに接続され、負極端子214bは別の連結部材23を介して負極タブに接続される。
該電池セル20において、実際の使用ニーズに応じて、電極アセンブリ22は1つ又は複数設置することができ、図4は、電池セル20内に4つの独立した電極アセンブリ22が設置されることを示す。
図5は、本願の別の実施例に係る減圧機構213を含む電池セル20の構造概略図を示す。
図5におけるハウジング211、カバープレート212、電極アセンブリ22及び連結部材23は図4におけるハウジング211、カバープレート212、電極アセンブリ22及び連結部材23と同じであり、簡略化するために、ここでは説明を省略する。
図5において、減圧機構213は電池セル20の底壁、すなわち図5における壁21aに設置され、該減圧機構213は壁21aの一部であってもよいし、壁21aとは別体の構造であって、例えば溶接する方法で壁21aに固定されていてもよい。減圧機構213が壁21aの一部である場合、例えば、減圧機構213は、壁21aに浅い溝を設ける方法で形成することができ、該浅い溝に対応する壁21aの厚みは、減圧機構213の浅い溝以外の他の領域の厚みより薄い。浅い溝の箇所は、減圧機構213における最も脆弱な位置である。電池セル20が生成する気体が多すぎてハウジング211の内部圧力が上昇し且つ閾値に達するか、又は電池セル20の内部反応により熱が発生して電池セル20の内部温度が上昇し且つ閾値に達した場合、減圧機構213は浅い溝の箇所で破裂してハウジング211の内外を連通させ、ガスの圧力及び温度は減圧機構213の破裂により外へ放出されて、電池セル20の爆発を防止することができる。
図5において、減圧機構213が電池セル20の底壁に位置することを例として説明したが、理解すべきことは、本願の実施例における減圧機構213はハウジング211の側壁に位置してもよく、又はカバープレート212に位置してもよく、又は、ハウジング211の2つの壁が交差する位置に位置してもよく、本願の実施例はこれに限定されない。
減圧機構213は様々な可能な減圧構造であってもよく、本願の実施例はこれに限定されない。例えば、減圧機構213は、減圧機構213が設置された電池セル20の内部温度が閾値に達した時に溶融するように構成された感温減圧機構であってもよい。及び/又は、減圧機構213は、感圧減圧機構は減圧機構213が設置された電池セル20の内部気圧が閾値に達した時に破裂するように構成された感圧減圧機構であってもよい。
図6は本願の実施例に係る電池10の構造概略図を示す。図6に示すように、電池10は、複数の電池セル20及び筐体11を含むことができる。
筐体11は、電気キャビティ11a、収集キャビティ11b、隔離部材13、仕切構造131及び流路仕切板132を含むことができる。
電気キャビティ11aは、複数の電池セル20を収容するために用いられ、前記複数の電池セル20のうちの少なくとも1つの電池セル20は減圧機構213を含み、前記減圧機構213は前記減圧機構213が設けられた電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を解放するために用いられ、収集キャビティ11bは、前記減圧機構213が作動する時に前記減圧機構213が設けられた前記電池セル20からの排出物を収集するために用いられ、隔離部材13は、前記電気キャビティ11aと前記収集キャビティ11bを隔離し、前記電気キャビティ11aと前記収集キャビティ11bを前記隔離部材13の両側に設置するために用いられ、仕切構造131は、前記収集キャビティ11bを第1キャビティ111と第2キャビティ112に仕切るために用いられ、前記仕切構造131に第1排気孔1311が設置され、前記第1排気孔1311は前記第1キャビティ111内の前記排出物を前記第2キャビティ112に導入するために用いられ、流路仕切板132は、前記第2キャビティ112内に設置され且つ前記排出物をガイドする流路1321を形成するために用いられる。
本願の実施例において、一方では、隔離部材13を利用して電池セル20を収容する電気キャビティ11aと排出物を収集する収集キャビティ11bを分離し、減圧機構213が作動する時、電池セル20の排出物は収集キャビティ11bに入り、電気キャビティ11aに入らず又は少量が入るだけで、電気キャビティ11a内の電気接続部材が導通して短絡することがなく、それにより電池10の安全性を向上させることができる。他方では、仕切構造131によって収集キャビティ11bを第1キャビティ111と第2キャビティ112に仕切り、且つ第2キャビティ112内に流路仕切板132によって排出物をガイドする流路1321を形成し、電池セル20が熱暴走して排出された排出物は第1キャビティ111に入り、且つ仕切り構造131における第1排気孔1311を通して第2キャビティ112に入り、次いで第2キャビティ112内の流路1321を通すことができ、これにより、排出物の排出経路を大幅に延長して、排出物に対する十分な流動緩衝を行うことができ、排出物の温度を低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させることができ、外部環境に対する排出物の影響を削減し、電池の安全を保証する。
好ましくは、本願の実施例における仕切構造131は、隔離部材13と平行に設置されてもよく、収集キャビティ11bを垂直方向に上キャビティと下キャビティに仕切ることができる。好ましくは、本願の実施例における仕切構造131は他の形式で、例えば隔離部材13に垂直に設置されてもよく、本願はこれを限定しない。
好ましくは、本願の実施例における電気キャビティ11aはさらにバス部材を収容するために用いられ、バス部材は複数の電池セル20の電気的接続を実現するために用いられる。バス部材は電池セル20の電極端子214を接続することによって電池セル20間の電気的接続を実現することができる。
説明の便宜上、以下の減圧機構213に関する説明で言及される電池セル20は、減圧機構213が設けられた電池セル20を指す。例えば、電池セル20は、図4又は図5の電池セル20であってもよい。
実現可能な形態として、本願の実施例における筐体11はさらに圧力平衡機構12を含むことができ、前記圧力平衡機構12は前記筐体11の内外の圧力を平衡するために用いられ、前記圧力平衡機構12は、前記流路1321を通して前記排出物を前記圧力平衡機構12にガイドし且つ前記筐体11の外部に排出するように構成される。
電池セル20が熱暴走すると、排出物は減圧機構213を通って収集キャビティ11b内の第1キャビティ111に入り、且つ仕切構造131に設置された第1排気孔1311を通って第2キャビティ112に入り、第2キャビティ112内の流路1321を通過した後、さらに圧力平衡機構12を通って排出され、この過程で排出物の排出経路が大幅に延長されるため、排出物に対する十分な流動緩衝を行うことができ、これにより排出物の温度をさらに低下させることができる。従って、本願の実施例において、筐体11から排出される排出物の温度は低く、燃焼の可能性も小さく、電池の外部環境に対する排出物の影響を軽減し、電池の安全性を向上させることができる。
実現可能な形態として、本願の実施例における電気キャビティ11aは第1サブキャビティ111a及び第2サブキャビティ112aを含むことができ、前記第1サブキャビティ111aは前記複数の電池セル20を収容するために用いられ、前記第2サブキャビティ112aは前記第1サブキャビティ111aに隣接して設置される。前記第2サブキャビティ112aの外壁に前記圧力平衡機構12が設置され、前記第2サブキャビティ112aは前記第2キャビティ112と連通するように配置されて、前記流路1321を通して前記排出物を前記第2サブキャビティ112a内に誘導し、且つ前記圧力平衡機構12を通して前記筐体11の外部に排出する。
本願の実施例において、第1サブキャビティ111a内の電池セル20が生成した排出物は、第2キャビティ112を通って第2サブキャビティ112aに入り、且つ第2サブキャビティ112aにある圧力平衡機構12を通して排出することができ、一方では、電池セル20の排出物を、電池セル20を収容する第1サブキャビティ111aから分離し、排出物が第1サブキャビティ111a内の電気接続部材に影響を与えることを回避して、電池10の安全性を向上させることができ、他方では、第2キャビティ112及び第2サブキャビティ112aを設置することにより、排出物の排出経路を大幅に延長して、排出物の温度をさらに下げることができ、排出物の燃焼の可能性を低下させ、電池及び外部環境の安全性を向上させる。
なお、上記第1サブキャビティ111a及び第2サブキャビティ112aは電気キャビティ11aの1つの実現形態に過ぎない。任意選択的に、本願の実施例における電気キャビティ11aは他のサブキャビティを含まない単独のキャビティであってもよく、その場合、圧力平衡機構12は収集キャビティ11bのうちの1つの壁に設置することができる。又は、電気キャビティ11aに複数のサブキャビティが含まれてよく、その場合、圧力平衡機構12は複数のサブキャビティのうちの1つのサブキャビティの外壁に設置することができる。本願の実施例において、電池セル20の排出物を筐体11の外部に排出することを実現できればよく、本願の実施例はキャビティの具体的な設置方式を限定しない。
好ましくは、本願の一実施例において、隔離部材13は、電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bに共通の壁を有する。図6に示すように、隔離部材13は同時に電気キャビティ11aの1つの壁及び収集キャビティ11bの1つの壁であってもよい。すなわち、隔離部材13(又はその一部)をそのまま電気キャビティ11aと収集キャビティ11bの共用壁とすることができ、これにより、電池セル20の排出物は隔離部材13を通過して収集キャビティ11bに入り、同時に、隔離部材13が存在するため、該排出物を電気キャビティ11aからできるだけ隔離することができ、排出物の危険性を低下させ、電池10の安全性を向上させる。
理解を容易にするために、図7に本願の実施例に係る筐体11の概略図を示し、図8は図7における筐体11に対応する分解概略図である。図7及び図8に示すように、該筐体11は隔離部材13及び仕切構造131を含み、隔離部材13に電池セル20の減圧機構213に対応する減圧領域213aが設置され、仕切構造131に第1排気孔1311及び流路仕切板132が設置され、さらに、本願の実施例における筐体11はさらに保護部材133を含むことができ、前記保護部材133は前記隔離部材13を保護するために用いられ、前記保護部材133と前記隔離部材13は前記収集キャビティ11bを形成する。
好ましくは、上記流路仕切板132が保護部材133に設置されてもよく、本願の実施例はこれに限定されない。
さらに、本願の実施例における隔離部材13に第2排気孔1301が設置されてもよく、前記仕切構造131にさらに前記第2排気孔1301に対応する第3排気孔1312が設置され、前記第2サブキャビティ112aと前記第2キャビティ112は前記第2排気孔1301及び前記第3排気孔1312を介して連通する。なお、上記第2排気孔1301及び第3排気孔1312の設置方式及び形状は、実際の必要に応じて設定することができ、本願の実施例はこれに限定されない。
なお、排出物を第2キャビティ112から圧力平衡機構12を通して筐体11の外部に排出するために、排出物は上記実施例に記載の経路に基づいて排出することができ、すなわち減圧領域213aから第1キャビティ111に入り、次いで仕切構造131の第1排気孔1311を通って第2キャビティ112に入ってから、第2キャビティ112内の流路1321を通過し、第3排気孔1312及び第2排気孔1301を順に通って第2サブキャビティ112aに入り、その後第2サブキャビティ112aの外壁に設置された圧力平衡機構12を通って筐体11の外部に排出される。
又は選択的に、本願の実施例における流路1321を通過する排出物は、他の方式によって圧力平衡機構12を通過して排出されてもよく、例えば、隔離部材13の第2排気孔1301が設置された位置において、仕切構造131に遮蔽されない場合、すなわち、仕切構造131が、隔離部材13の減圧領域213aが設けられた部分のみに設置される場合、流路1321を通過する排出物は第2排気孔1301を通って第2サブキャビティ112aに直接入り、且つ圧力平衡機構12を通して筐体11の外部に排出されてもよく、又は、実際の状況に応じて排出経路を設置して、排出物が圧力平衡機構12を通って排出されるようにしてもよく、本願の実施例はこれを限定しない。
好ましくは、本願の実施例における筐体11はさらに筐体上カバーのような上筐体(図示せず)を含むことができ、それにより隔離部材13と共に電気キャビティ11aを囲んで形成する。
図9は本願の実施例の図7及び図8における筐体11に対応する平面概略図を示し、図10から図12はそれぞれ図9における3つの軸線A-A、B-B、C-Cを基準とする筐体11の断面概略図を示す。図10から図12に示すように、該筐体11は電気キャビティ11a、及び収集キャビティ11bを含むことができる。収集キャビティ11bは仕切構造131によって第1キャビティ111と第2キャビティ112に仕切られ、仕切構造131に設置された流路仕切板132は、第2キャビティ112内に排出物をガイドする流路1321を形成するために用いられる。
電池セル20が熱暴走すると、その排出物は減圧機構213を介して収集キャビティ11b内に排出され、より具体的には、排出物は減圧機構213を通って第1キャビティ111に入り、且つ仕切構造131に設置された第1排気孔1311を通過して第2キャビティ112内にガイドされ、且つ流路1321内に入る。
本願の実施例における電池セル20の排出物は減圧領域213aを通過した後、まず第1キャビティ111に入り、次いで第2キャビティ112内の流路1321を通過するため、どの位置にある減圧領域213aから排出された排出物の排出経路であっても大幅に延長されて、排出物に対する十分な流動緩衝を行うことができ、排出物の温度を十分に低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させることができ、電池の安全性を向上させる。
さらに、流路1321内の排出物は、仕切構造131に設けられた第3排気孔1312と、隔離部材13に設けられた第2排気孔1301とを順に通過して第2サブキャビティ112aに入り、且つ第2サブキャビティ112aの外壁に設置された圧力平衡機構12を通って電池筐体11の外部に排出される。
本願における電池セル20の排出物は、電池筐体11の外部に排出される前に経路が長い流路1321を通過して十分に流動緩衝が行われ、排出物の温度を大幅に低下させることができ、従って、本願の実施例における筐体11は排出物の温度を低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させることができ、それにより外部環境に対する排出物の影響を軽減し、電池の安全性を向上させる。
実現可能な形態として、本願の実施例における第1排気孔1311は前記仕切構造131の前記圧力平衡機構12から離れた端部に設置されてもよく、又は、前記第1排気孔1311は前記仕切構造131の中央に設置されてもよい。
第1排気孔1311を仕切構造131の異なる位置に設置することにより、電池10の構造強度とマッチングさせて、電池筐体11の構造設計をより柔軟にすることができる。
さらに、本願の実施例における前記流路1321はS字形の流路であってもよく、前記流路1321の入口は前記第1排気孔1311と連通する。
迂回するS字形流路を設置することにより、流路の長さを最大限に延長することができ、それにより排出物の排出経路を延長して、排出物に対する十分な流動緩衝を行うことができ、排出物の温度を低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させることができ、同時に、S字形流路の入口は第1排気孔1311と連通することができ、これにより第1キャビティ111から第2キャビティ112に入る排出物の排出経路をいずれも大幅に延長して、排出物の温度を可能な限り低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させることができる。
理解を容易にするために、上述した第1排気孔1311の設置位置及びその対応する流路1321の設置形態の実施例を以下に示す。
実現可能な形態として、図13aは本願の実施例に係る第1排気孔1311の設置方式の概略図を示す。図13aに示すように、第1排気孔1311は仕切構造131の端部に設置され、さらに、仕切構造131の圧力平衡機構12から離れた一端に設置されてもよく、これによりいずれの減圧機構213から排出された排出物の排出経路であっても大幅に延長することができる。図13aにおいて、第1排気孔1311は3つの方形貫通孔を例とするが、実際の状況においては、実際の要件に応じて排気孔の形状及び数を設計することができ、本願はこれを限定しない。
それに対応して、仕切構造131に設置された流路仕切板132は、仕切り構造131の端部に設置された第1排気孔1311に対応させることができ、図13b及び図13cは、第1排気孔131が仕切構造1311の端部に設置される流路仕切板の設置形態に対応する底面図及び平面図を示す。図13aから図13cに示すように、仕切構造131に設置された流路仕切板132によって形成された流路1321の入口は、端部の第1排気孔1311と連通させることができ、且つ、流路仕切板132で形成された流路はS字形の迂回形状を呈し、排出物が流動する単一の流路を形成し、第1排気孔1311を通って第2キャビティ112内に入った排出物は設計されたS字形流路のみに沿って流動させることができ、第2キャビティ112の空間全体を十分に利用して、流路1321に入った排出物の排出経路を大幅に延長させ、それにより排出物の温度を十分に低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させて、電池の安全性を向上させる。
なお、流路1321を通過した後の排出物は、例えば第3排気孔1312及び第2排気孔1301を通って他のキャビティ、例えば前記実施例における第2サブキャビティ112aに排出され、且つ筐体11の圧力平衡機構12を通って排出することができ、具体的な過程はこれまでの実施例を参照することができ、繰り返して説明することはしない。
好ましくは、本願の実施例における排出物は流路1321を通過した後に圧力平衡機構12を通して筐体11の外部に排出することができ、この時、圧力平衡機構12に近接して設置される流路仕切板132には、排出物のための一定の排出空間を予め残すことができ、それにより排出物は流路を通過した後に他のキャビティに入り、且つ筐体11の外部に排出される。具体的には、例えば、図13b及び図13cに示す流路仕切板132aに一定の切り欠きを予め残して、排出物に排出流路の経路を提供することができる。
別の実現可能な形態として、図14aは本願の実施例に係る別の第1排気孔1311の設置方式の概略図を示す。図14aに示すように、第1排気孔1311は、仕切構造131の中央に設置されてもよい。
これに対応して、仕切構造131に設けられた流路仕切板132は、仕切構造131の端部に設けられた第1排気孔1311に対応させることができ、図14b及び図14cは、第1排気孔1311が仕切構造131の中央に設置される形態に対応する底面図及び上面図を示す。図14aから図14cに示すように、仕切構造131に設置された流路仕切板132により形成された流路1321の入口は、第1排気孔1311と連通させることができ、且つ、該複数の流路仕切板で形成された流路はS字形の迂回形状を呈し、排出物が流動する単一の通路を形成し、流路に入った排出物の排出経路を大幅に延長させ、それにより排出物の温度を十分に低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させて、電池の安全性を向上させる。
本願の実施例は第1排気孔1311の設置位置をS字形流路1321の設置形態と対応させて、収集キャビティ11b内に入る排出物の排出経路を最大限に延長することができ、排出物に対して十分な流動緩衝を行い、それにより排出物の温度を十分に低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させ、外部環境に対する排出物の影響を軽減し、電池の安全性を向上させる。
電池セル20の熱暴走することで生成される排出物はH2、CO等の可燃性ガスを含む可能性があり、排出物が燃焼する可能性をさらに低下させ、排出物に点火されにくくするために、さらに筐体11内に排出物中の可燃性ガスと反応させることができる材料を設置してもよい。
好ましくは、本願の実施例における収集キャビティ11b内に酸化剤又は冷却材料を設置することができる。好ましくは、酸化剤を使用する実施形態では、反応の進行を加速するために触媒を追加することができる。選択可能な触媒は貴金属を担持する多孔質炭化ケイ素セラミックスなどである。
より具体的には、酸化剤又は冷却材料は前記仕切構造131の表面に設置され、及び/又は、酸化剤又は冷却材料は前記流路仕切板132の表面に設置される。
電池セル20が熱暴走した後に排出される排出物は、本願の実施例における筐体11を通過した後、延長された排気経路を通り、排出物の温度低下を実現し、排出物の燃焼の可能性を低下させることができ、本願の実施例はこれを基に、さらに収集キャビティ11b内に酸化剤又は冷却材料を設置することができ、それにより排出物中の可燃性ガスに対して反応又は処理を行い、排出物の温度をさらに低下させ、排出物の燃焼の可能性を低下させることができる。
実現可能な形態として、本願の実施例における酸化剤又は冷却材料は、前記保護部材133の前記隔離部材13に面する表面に設置される。
保護部材133の表面に酸化剤又は冷却材料を設置することにより、排出物の排出経路において排出物に対して更なる反応又は処理を行うことができ、それにより排出物の温度を更に低下させ、その燃焼の可能性を低下させ、電池及び外部環境の安全を保証する。
実現可能な形態として、本願の実施例における仕切構造131の保護部材133に面する表面は、酸化剤又は冷却材料を収容するように構成された凹部を有する。
凹凸設計によりキャビティと可燃性ガス排出物との接触面積を顕著に増大させることができ、同時により多くの酸化剤又は冷却材料を載置することができ、それにより排出物をより効果的に反応させて、排出物の温度及び燃焼の可能性を低下させ、電池及び外部環境に対する排出物の影響を軽減し、電池の安全を保証する。
具体的には、図15a及び図15bは本願の実施例に係る凹部134が設置された仕切構造131の概略図を示す。図15a及び図15bに示すように、仕切構造131の流路仕切板132が設けられた表面は、凹部134を有することができる。
好ましくは、本願の実施例に用いられる酸化剤は酸化銅粉末、過酸化ナトリウム、過マンガン酸カリウムのうち少なくとも1つを含むことができ、及び/又は、冷却材料は、相変化材料を含むことができる。
なお、上記はいくつかの一般的な材料を例として挙げたに過ぎず、実際の応用においては、実際の状況に応じて適切な酸化剤及び/又は冷却材料を選択することができ、本願はこれを限定しない。
好ましくは、本願の実施例における酸化剤及び/又は冷却材料は接着剤で接着する方式で固定することができる。又は、コーティングする形態で固定してもよく、本願はこれに限定されない。
図16は本願の一実施例に係る電池10の分解図を示し、該電池10は複数の電池セル20と、上記実施例における筐体11を含むことができる。
電池10における各部材に関する説明は前記各実施例を参照することができ、簡略化するために、ここでは説明を省略する。
好ましくは、該電池10はさらに筐体上カバー14を含むことができ、該上カバー14は隔離部材13と共に電気キャビティ11aを形成することができる。理解すべきこととして、本願の実施例における上カバー14は電池10を説明する一例に過ぎず、図2における第1部分101に関する説明のように、電池10における上カバー14は他の形態を採用してもよく、本願の実施例はこれを限定しない。
本願の一実施例は、さらに、電気エネルギーを提供するために用いられる上記各実施例における電池10を含む電力消費装置を提供する。
好ましくは、電力消費装置は車両1、船舶又は宇宙船であってもよい。
以上は本願の実施例の電池の筐体、電池及び電力消費装置を説明し、以下では本願の実施例の電池の製造方法及び装置を説明し、ここで詳細に説明しない部分は上記各実施例を参照することができる。
図17は本願の一実施例に係る電池の製造方法300の概略フローチャートを示す。図17に示すように、該方法300は、S310と、S320とを含む。
S310では、複数の電池セル20を提供する。
実現可能な形態として、前記複数の電池セル20のうちの少なくとも1つの電池セル20は減圧機構213を含み、前記減圧機構213は前記減圧機構213が設けられた電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を解放するために用いられる。
S320では、筐体11を提供する。
実現可能な形態として、前記筐体11は、前記複数の電池セル20を収容するために用いられる電気キャビティ11aと、前記減圧機構213が作動する時に前記減圧機構213が設けられた前記電池セル20からの排出物を収集するために用いられる収集キャビティ11bと、前記電気キャビティ11aと前記収集キャビティ11bを隔離し、前記電気キャビティ11aと前記収集キャビティ11bを前記隔離部材13の両側に設置するために用いられる隔離部材13と、前記収集キャビティ11bを第1キャビティ111と第2キャビティ112に仕切るために用いられ、前記第1キャビティ111内の排出物を前記第2キャビティ112に導入するための第1排気孔1311が設置される仕切構造131と、前記第2キャビティ112内に設置され且つ前記排出物をガイドする流路1321を形成するために用いられる流路仕切板132と、を含む。
図18は、本願の一実施例に係る電池の製造装置400の概略ブロック図を示す。図18に示すように、電池の製造装置400は第1提供モジュール410と、第2提供モジュール420と、設置モジュール430と、を含むことができる。
前記第1提供モジュール410は複数の電池セル20を提供するために用いられ、前記複数の電池セル20のうちの少なくとも1つの電池セル20は減圧機構213を含み、前記減圧機構213は前記減圧機構213が設けられた電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記内部圧力を解放するために用いられる。
前記第2提供モジュール420は筐体11を提供するために用いられ、前記筐体11は、前記複数の電池セル20を収容するために用いられる電気キャビティ11aと、前記減圧機構213が作動する時に前記減圧機構213が設けられた前記電池セル20からの排出物を収集するために用いられる収集キャビティ11bと、前記電気キャビティ11aと前記収集キャビティ11bを隔離し、前記電気キャビティ11aと前記収集キャビティ11bを前記隔離部材13の両側に設置するために用いられる隔離部材13と、前記収集キャビティ11bを第1キャビティ111と第2キャビティ112に仕切るために用いられる仕切構造131と、前記第2キャビティ112内に設置され且つ前記排出物をガイドする流路1321を形成するために用いられる流路仕切板132と、を含む。
前記設置モジュール430は前記仕切り構造131に第1排気孔1311を設置することに用いられ、前記第1排気孔1311は前記第1キャビティ111内の排出物を前記第2キャビティ112に導入することに用いられる。
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲を逸脱することなく、種々の改良を行い、その構成要素を等価物に置換することができる。特に、各実施例で言及した各技術的特徴は、構造的な矛盾がない限り、いずれも任意の方法で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲に含まれる全ての技術的解決手段を含む。