JP2023542079A - 多重特異性抗体の精製 - Google Patents

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Abstract

本開示は、マルチモードクロマトグラフィーを実施することにより、誤対合バリアントから多重特異性抗体を精製するための方法を提供する。【選択図】図4

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年9月21日に出願された米国仮特許出願第63/080,950号に対する優先権を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が援用されており、それに対して優先権が主張される。
多重特異性抗体と、少なくとも1つの産物特異的不純物を含む少なくとも1つの不純物とを含む組成物から、多重特異性抗体を精製するための方法が提供される。いくつかの実施態様では、産物特異的不純物は、例えば、多重特異性抗体の誤対合バリアントである。また、本方法に従って精製された多重特異性抗体、並びにそのような多重特異性抗体を含む組成物及び製剤も提供される。
ヒト患者への投与に許容される組換え生物薬剤学的タンパク質の場合、製造及び精製プロセスによって生じる残留不純物が最終生物学的産物から除去されることが重要である。これらのプロセス成分としては、培養培地タンパク質、免疫グロブリン親和性リガンド、ウイルス、内毒素、DNA、及び宿主細胞タンパク質が挙げられる。多重特異性抗体などの新しい抗体フォーマットの開発では、従来の製造及び精製プロセスでは、対になっていない抗体アーム及び誤って組み立てられた抗体を含む産物特異的不純物を十分に除去することができないため、新たな課題がある。
標準的な抗体の精製と比較して、生産培地からの多重特異性抗体の精製は、独自の課題を提起する。標準的な単一特異性の二価抗体は、同一の重鎖/軽鎖サブユニットの二量化によって生じるが、多重特異性抗体を生成するには、それぞれが異なる重鎖と異なる軽鎖とを含む少なくとも2つの重鎖/軽鎖サブユニットの二量化が必要である。最終的に、誤対合の分子、誤って組み立てられた分子、又は不完全な分子を最小限に抑えた、正しく完全な多重特異性抗体を生成及び精製することには、さまざまな課題がある。鎖の誤対合(例えば、同一の重鎖ペプチドのホモ二量化、又は重鎖/軽鎖の不適切な会合)がしばしば観察される。一般的に観察される産物特異的不純物には、半(1/2)抗体(単一の重鎖/軽鎖のペアを含む)、スリークォーター(3/4)抗体(単一の軽鎖を欠く完全な抗体を含む)、及びホモ二量体が含まれる。使用する多重特異性フォーマットに応じて、産物特異的不純物が追加で観察される場合がある。例えば、多重特異性抗体の1つの可変ドメインが単鎖Fab(scFab)として構築される場合、5/4抗体副産物(追加の重鎖又は軽鎖可変ドメインを含む)が観察される場合がある。このような対応する産物特異的不純物は、標準的な抗体生成では発生しないであろう。
HCP、DNA、エンドトキシン、及び抗体とは全く異なる特性や性質を有する他の材料などのプロセス関連不純物を除去するために設計された従来の精製技術は、多重特異性抗体により近い不純物を除去するために実施すると、不十分な場合があり得る。そのため、産物特異的不純物及び軽鎖の誤対合抗体を効果的に除去し、十分な量の正しく完全な多重特異性抗体を得るための製造及び精製スキームの開発が必要とされる。
特許出願及び刊行物を含め、本明細書に引用される参考文献は全て、あらゆる目的のために、参照によりそれらの全体が援用される。
本開示は、多重特異性抗体を精製するための方法であって、a)多重特異性抗体及びその誤対合バリアントを含む組成物を、誤対合バリアントが多重特異性抗体と比べてマルチモードクロマトグラフィー材料に優先的に結合する条件下で、マルチモードクロマトグラフィー材料と接触させることであって、多重特異性抗体が、第1の抗原に特異的に結合する第1の抗原結合領域であって、第1の抗原に結合する抗体の軽鎖及び重鎖を含む、第1の抗原結合領域と、第2の抗原に特異的に結合する第2の抗原結合領域であって、第2の抗原に結合する抗体の軽鎖及び重鎖を含み、第2の抗原結合領域において可変ドメインVL及びVHが互いに置き換えられている、第2の抗原結合領域とを含み;その誤対合バリアントが、第1の抗原に結合する抗体の重鎖と、第2の抗原に結合する抗体の重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖定常ドメイン(CL)を含むペプチドとを含む、第1の抗原結合領域と、第2の抗原に結合する抗体の軽鎖及び重鎖を含む第2の抗原結合領域であって、第2の抗原結合領域において可変ドメインVL及びVHが互いに置き換えられている、第2の抗原結合領域とを含み;マルチモードクロマトグラフィー材料が、アニオン交換が可能な官能基と、疎水性相互作用が可能な官能基とを含む、組成物をマルチモードクロマトグラフィー材料と接触させることと;b)多重特異性抗体及び減少した量のその誤対合バリアントを含む溶出物を回収することとを含む、方法を提供する。
特定の実施態様では、疎水性相互作用が可能な官能基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基、ベンジル基、又はそれらの任意の組み合わせを含む。特定の実施態様では、官能基はベンジル基を含む。特定の実施態様では、アニオン交換が可能な官能基は、正に帯電した基を含む。特定の実施態様では、正に帯電した基は、四級アンモニウムイオンである。特定の実施態様では、マルチモードクロマトグラフィー材料は、N-ベンジル-N-メチルエタノールアミンを含む。特定の実施態様では、マルチモードクロマトグラフィー材料は、CaptoTMAdhere樹脂を含む。特定の実施態様では、マルチモードクロマトグラフィー材料は、CaptoTMAdhere ImpRes樹脂を含む。
特定の実施態様では、マルチモードクロマトグラフィーの溶出は、勾配溶出である。特定の実施態様では、勾配溶出はpH勾配を含む。
特定の実施態様では、本方法は、捕捉クロマトグラフィー工程を含む。特定の実施態様では、捕捉クロマトグラフィー工程は、アフィニティークロマトグラフィー工程である。特定の実施態様では、アフィニティークロマトグラフィー工程は、プロテインAクロマトグラフィー工程、プロテインLクロマトグラフィー工程、プロテインGクロマトグラフィー工程、及びプロテインA/Gクロマトグラフィー工程である。特定の実施態様では、アフィニティークロマトグラフィー工程は、プロテインAクロマトグラフィー工程である。特定の実施態様では、プロテインAクロマトグラフィー材料は、アガロースに結合したプロテインAを含む。
特定の実施態様では、捕捉クロマトグラフィー工程及びマルチモードクロマトグラフィー工程は連続する。特定の実施態様では、本方法は、マルチモードクロマトグラフィーの後に精製工程をさらに含む。特定の実施態様では、本方法は、多重特異性抗体の濃縮を含む。
特定の実施態様では、多重特異性抗体は、ノブ・イン・ホール修飾を含む。
特定の実施態様では、多重特異性抗体及びその誤対合バリアントは、同一の宿主細胞で生成される。特定の実施態様では、宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞である。特定の実施態様では、宿主細胞は真核細胞である。特定の実施態様では、真核細胞は、酵母細胞、昆虫細胞、又は哺乳動物細胞である。特定の実施態様では、真核細胞はCHO細胞である。
本開示は、本明細書に開示される方法によって精製された多重特異性抗体を含む組成物を提供する。特定の実施態様では、組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
本開示は、本明細書に開示される方法によって精製された多重特異性抗体を含む製造物品を提供する。本開示はまた、本明細書に開示される組成物を含む製造物品を提供する。
多重特異性抗体を産生するための方法の概略図を示す。図1Aは、2細胞アプローチを使用することによる多重特異性抗体の産生の概要を示す。図1Bは、単一細胞アプローチを使用することによる多重特異性抗体産生の概要を示す。 多重特異性抗体のバリアントを表す。図2Aは、異なる共有結合二量体と軽鎖誤対合バリアントの概略的な表を示す。図2Bは、正しく形成された二重特異性抗体(左図)と、交差した軽鎖誤対合バリアント(右図)を示す。 二重特異性抗体の結合が最小となる条件下で、共通の交差したLC誤対合バリアントが樹脂によく結合することを示した等高線図を示す。 pH、UV吸光度、溶出混合勾配、及び導電率を示すクロマトグラムを示す。 ロード原料組成物と多重特異性抗体及びLC誤対合バリアントを表す画分を比較した質量分析データである。 回収及び測定した画分の組成と濃度とを示す疑似クロマトグラムを示す。メインピークが主に二重特異性抗体を含むことを示す。 回収及び測定した画分の組成と濃度とを示す疑似クロマトグラムを示す。二重特異性及びLC誤対合バリアントの正規化された疑似クロマトグラムを示す。 正しい対の多重特異性抗体及びLC誤対合バリアントのin silico構造分析を示す。
本開示は、少なくとも部分的には、マルチモードクロマトグラフィーを実施することにより、同一細胞によって産生される多重特異性抗体の誤対合バリアントを除去することが可能であるという知見に基づいている。本開示は、驚くべきことに、マルチモードクロマトグラフィーが、所望の多重特異性CrossMab抗体をその不要なバリアントから分離できることを示す。
別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。Singleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2nd ed., J. Wiley & Sons (New York, N.Y. 1994)、及びMarch, Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms and Structure 4th ed., John Wiley & Sons (New York, N.Y. 1992)は、本出願で使用される用語の多くに関する一般的指針を当業者に提供する。
定義
本明細書を解釈する目的で、以下の定義が適用され、適切な場合にはいつでも、単数形で使用される用語は、複数形も含み、その逆に、複数形で使用される用語は、単数形も含む。以下に記載されるいずれかの定義が、参照により本明細書に援用されるいずれかの文献と矛盾する場合には、以下に記載される定義が優先するものとする。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される、「a」、「an」、及び「the」という単数形は、文脈による別段の明確な指示がない限り、複数形の参照対象を含む。したがって、例えば、「a protein(タンパク質)」又はan 「antibody(抗体)」への言及は、複数のタンパク質又は抗体を含み、「a cell(細胞)」への言及は、細胞の混合物を含み、その他も同様である。
本明細書で使用される場合、「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容され得る誤差範囲内を意味し、これは、その値がどのように測定又は決定されるか、即ち、測定システムの限界に部分的に依存する。例えば、「約」は、当技術分野の慣行に従って、3以内又は3を超える標準偏差を意味し得る。あるいは、「約」は、所与の値の20%まで、好ましくは10%まで、さらに好ましくは5%まで、さらになお好ましくは1%までの範囲を意味し得る。あるいは、特に生物学的システム又はプロセスに関して、この用語は、値の1桁違い以内、好ましくは5倍以内、さらに好ましくは2倍以内を意味し得る。本明細書における「約」値又はパラメータへの言及は、その値又はパラメータ自体を対象とする実施態様を含む(かつ説明する)。例えば、「約X」について言及する記述は、「X」の記述を含む。
「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために本明細書で同義に使用される。ポリマーは、直鎖状又は分岐状であってもよく、修飾アミノ酸を含んでいてもよく、また非アミノ酸によって中断されていてもよい。これらの用語は、自然に、又は介入、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、若しくは任意の他の操作又は改変、例えば、標識成分とのコンジュゲートにより改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。また、例えば、アミノ酸の1つ又は複数の類似体(例えば、非天然アミノ酸などを含む)、並びに当該技術分野において既知の他の修飾を含有するポリペプチドも、この定義の範囲内に含まれる。本明細書で使用される「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、抗体を具体的に包含する。
「精製された」ポリペプチド(例えば、抗体又はイムノアドヘシン)とは、ポリペプチドがその天然環境下で存在するよりもさらに純粋な形態で存在するように、並びに/又は実験室条件下で最初に合成及び/若しくは増幅されたときにポリペプチドの純度が増加することを意味する。純度は相対的な用語であり、必ずしも絶対的な純度を意味するわけではない。本明細書で互換的に使用される「精製」、「分離」又は「単離」という用語は、所望の分子(多重特異性抗体など、例えば二重特異性抗体など)及び1つ又は複数の不純物を含む組成物又はサンプルから所望の分子の純度の程度を高めることを指す。典型的には、組成物から少なくとも1つの不純物を(完全に又は部分的に)除去することによって、所望の分子の純度の程度が高められる。
「目的の抗原と結合する」多重特異性抗体は、タンパク質又はタンパク質を発現する細胞若しくは組織を標的とする診断薬及び/又は治療薬として有用であるように、抗原、例えばタンパク質と十分な親和性をもって結合し、他のタンパク質と有意に交差反応しないものである。そのような実施態様では、「非標的」タンパク質への多重特異性抗体の結合の程度は、例えば、蛍光活性化細胞分類(FACS)分析、放射性免疫沈降法(RIA)、又はELISAなどによって決定される、その特定の標的タンパク質への多重特異性抗体の結合の約10%未満となる。多重特異性抗体の標的分子への結合に関して、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド標的上のエピトープに「特異的に結合する」又は「特異的である」という用語は、非特異的相互作用(例えば、非特異的相互作用はウシ血清アルブミン又はカゼインへの結合であり得る)と明らかに異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、分子の結合を対照分子の結合と比較して判定することによって測定され得る。例えば、特異的結合は、標的に類似している対照分子、例えば、過剰な非標識標的との競合によって決定し得る。この場合、標識した標的のプローブに対する結合が、過剰な非標識標的によって競合的に阻害される場合に、特異的結合が示される。本明細書で使用される、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド標的上のエピトープに「特異的(な)結合」又は「特異的に結合する」又は「特異的」という用語は、例えば、標的に対するKdが少なくとも約200nm、あるいは少なくとも約150nm、あるいは少なくとも約100nm、あるいは少なくとも約60nm、あるいは少なくとも約50nm、あるいは少なくとも約40nm、あるいは少なくとも約30nm、あるいは少なくとも約20nm、あるいは少なくとも約10nm、あるいは少なくとも約8nm、あるいは少なくとも約6nm、あるいは少なくとも約4nm、あるいは少なくとも約2nm、あるいは少なくとも約1nm、又はそれを超える親和性を有する分子によって、示され得る。一実施態様では、「特異的結合」という用語は、多重特異性抗原結合タンパク質が、いずれの他のポリペプチド又はポリペプチドエピトープにも実質的に結合することなく、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド上のエピトープに結合する場合の結合を指す。
「結合親和性」は、概して、分子(例えば、多重特異性抗体)の単一の結合部位と、その結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有相互作用の合計の強度を指す。別段の指示がない限り、本明細書で使用される「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体と抗原)の間の1:1の相互作用を反映する、固有結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(Kd)によって表され得る。例えば、Kdは、約200nM以下、約150nM以下、約100nM以下、約60nM以下、約50nM以下、約40nM以下、約30nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約8nM以下、約6nM以下、約4nM以下、約2nM以下、又は約1nM以下であり得る。親和性は、本明細書に記載される方法を含む、当該技術分野で既知の一般的な方法によって測定することができる。低親和性抗体は、一般に、抗原とゆっくり結合し、容易に解離する傾向にあるが、高親和性抗体は、一般に、抗原と迅速に結合し、より長く結合したままの傾向にある。結合親和性を測定する様々な方法が当該技術分野で知られており、これらのいずれも、本明細書で提供される方法及び組成物の目的に使用することができる。
本明細書の目的についての「活性な」又は「活性」とは、天然の又は天然に存在するポリペプチドの生物学的及び/又は免疫学的活性を保持するポリペプチド(多重特異性抗体など)の形態(複数可)を指し、「生物学的」活性とは、天然の又は天然に存在するポリペプチドが有する抗原エピトープに対する抗体の産生を誘導する能力以外の天然の又は天然に存在するポリペプチドによって引き起こされる生物学的機能(阻害又は刺激のいずれか)を指し、「免疫学的」活性とは、天然の又は天然に存在するポリペプチドが有する抗原エピトープに対する抗体の産生を誘導する能力を指す。
抗体、断片、又はその誘導体など、本明細書で提供される多重特異性抗原結合タンパク質に関する「生物学的に活性な」及び「生物学的活性」及び「生物学的特性」は、他に規定される場合を除き、生体分子に結合する能力を有することを意味する。
本明細書における「抗体」という用語は、最も広義に使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成された多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を具体的に包含するが、これは、それらが所望の生物学的活性を示す場合に限る。「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書で抗体と交換可能に使用される。
抗体は、種々の構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子であり、それらの構造は全て免疫グロブリン折り畳みに基づく。例えば、IgG抗体は、ジスルフィド結合して機能的抗体を形成する2つの「重」鎖及び2つの「軽」鎖を有する。各重鎖及び軽鎖はそれ自体、「定常」(C)領域及び「可変」(V)領域を含む。V領域が抗体の抗原結合特異性を決定する一方で、C領域は、構造的支持を提供し、免疫エフェクタとの非抗原特異的相互作用において機能する。抗体又は抗体の抗原結合断片の抗原結合特異性は、抗体が特定の抗原に特異的に結合する能力である。
抗体の抗原結合特異性は、V領域の構造的特徴によって決定される。可変性は、可変ドメインの110アミノ酸長にわたって均等に分布していない。代わりに、V領域は、各々9~12アミノ酸長である「超可変領域」と呼ばれる極端に可変性の短い領域によって分離されている、15~30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変の伸長部からなる。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、主にβシート構成を採用する4つのFRを含み、これらは、3つの超可変領域により連結され、これらは、βシート構造を連結し、いくつかの場合にはその一部を形成するループを形成する。各鎖内の超可変領域は、FRによって共に近接近して保持されており、他方の鎖からの超可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)を参照)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、抗体の抗体依存性細胞傷害性(ADCC)への寄与等の種々のエフェクタ機能を呈する。
各V領域は、典型的には、3つの相補性決定領域(各々が「超可変ループ」を含む「CDR」)、及び4つのフレームワーク領域を含む。したがって、特定の所望の抗原に対して実質的な親和性で結合するために必要とされる最小の構造単位である抗体結合部位は、典型的には、3つのCDRと、適切な立体構造でCDRを保持及び提示するためにそれらの間に散在する少なくとも3つ、好ましくは4つのフレームワーク領域とを含む。古典的な4鎖抗体は、VHドメイン及びVLドメインによって協働して決定される抗原結合部位を有する。ラクダ抗体及びサメ抗体等の特定の抗体は、軽鎖を欠き、重鎖のみによって形成される結合部位に依存する。単一ドメイン操作免疫グロブリンは、VHとVLとの間に協働がない場合、結合部位が重鎖又は軽鎖のみによって形成されるように調製され得る。
「可変」という用語は、可変ドメインのある特定の部分の配列が抗体間で大きく異なり、各特定の抗体のその特定の抗原に対する結合及び特異性において使用されるという事実を指す。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメイン全体にわたって均等に分布していない。これは、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインの両方において超可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、主にβ3シート構成を採用する4つのFRを含み、これらは、3つの超可変領域により連結され、これらは、βシート構造を連結し、いくつかの場合にはその一部を形成するループを形成する。各鎖内の超可変領域は、FRによって共に近接近して保持されており、他方の鎖からの超可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)を参照)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、抗体の抗体依存性細胞傷害性(ADCC)への寄与等の種々のエフェクタ機能を呈する。
「超可変領域」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」からのアミノ酸残基(例えば、VLのおよそ24~34(L1)、50~56(L2)及び89~97(L3)残基の周辺、並びにVHのおよそ31~35B(H1)、50~65(H2)、及び95~102(H3)残基の周辺(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991))、及び/又は「超可変ループ」からのそれらの残基(例えば、VLの残基26~32(L1)、50~52(L2)及び91~96(L3)、並びにVHの26~32(H1)、52A~55(H2)及び96~101(H3)(Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))を含み得る。
「フレームワーク」又は「FR」残基は、本明細書に定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
抗体又は半抗体との関連での「ヒンジ領域」は、概して、ヒトIgG1のGlu216からPro230までの伸長と定義される(Burton, Molec. Immunol.22:161-206 (1985))。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、重鎖内S-S結合を形成する最初及び最後のシステイン残基を同じ位置に入れることによってIgG1配列と整列し得る。
Fc領域の「下部ヒンジ領域」は、通常、ヒンジ領域のすぐC末端にある残基の伸長、すなわち、Fc領域の残基233~239と定義される。本出願の前は、FcγR結合は、概して、IgG Fc領域の下部ヒンジ領域におけるアミノ酸残基に起因するものであった。
ヒトIgG Fc領域の「CH2ドメイン」は、通常、IgGの残基約231から約340まで延びる。CH2ドメインは、他のドメインと密接に対になっていないという点で特有である。むしろ、2つのN結合分岐状炭水化物鎖がインタクトな天然IgG分子の2つのCH2ドメイン間に介在する。炭水化物がドメイン-ドメイン対合の代替を提供し、CH2ドメインを安定させるのに役立ち得ることが推測されている。Burton, Molec. Immunol.22:161-206 (1985)。
「CH3ドメイン」は、Fc領域におけるC末端からCH2ドメインまで(すなわち、IgGのアミノ酸残基約341からアミノ酸残基約447)の残基の伸長を含む。
「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部分を含み、好ましくはその抗原結合領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ;タンデムダイアボディ(taDb)、直鎖状抗体(例えば、米国特許第5641870号、実施例2;Zapata et al., Protein Eng. 8(10):1057-1062 (1995));1アーム抗体、単一可変ドメイン抗体、ミニボディ、一本鎖抗体分子;抗体断片から形成される多重特異性抗体(例えば、限定されるものではないが、Db-Fc、taDb-Fc、taDb-CH3、(scFV)4-Fc、di-scFv、bi-scFv又はタンデム(di、tri)-scFv);及び二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)が挙げられる。
抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、容易に結晶化する能力を反映して名付けられた残留「Fc」断片とが生じる。Fab断片は、H鎖の可変領域ドメイン(VH)とともに全L鎖、及び1つの重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)からなる。抗体のペプシン処理により、単一の大きなF(ab’)2断片が生じ、これは、二価の抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合Fab断片にほぼ対応し、依然として抗原に架橋することができる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1つ又は複数のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端に追加のいくつかの残基を有している点でFab断片とは異なる。Fab’-SHとは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を持つFab’の本明細書における名称である。F(ab’)2抗体断片は、元々、間にヒンジシステインを有するFab’断片のペアとして産生されたものであった。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも公知である。
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含む最小抗体断片である。この領域は、緊密な非共有結合にある1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。各可変ドメインの3つの超可変領域が相互作用してVH-VL二量体の表面上の抗原結合部位を規定するのは、この構成においてである。まとめると、6つの超可変領域は、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つの超可変領域のみを含むFvの半分)でさえも、抗原を認識してそれに結合する能力を有するが、全結合部位よりも親和性が低い。
Fab断片は、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)も含む。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の一又は複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に数個の残基が付加されているという点でFab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が少なくとも1つの遊離チオール基を有するFab’に対する、本明細書における表記である。F(ab’)2抗体断片は、元来、間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生された。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも公知である。
任意の脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(K)及びラムダ(2)と呼ばれる2つの明らかに異なる型のうちの1つに割り当てられ得る。
抗体は、その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、異なるクラスに割り当て得る。インタクトな抗体には5つの主要なクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、これらのうちのいくつかは、さらに「サブクラス」(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA及びIgA2に分けることができる。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれ、a、6、c、y、及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元配置は周知である。
「一本鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖内に存在する。いくつかの実施態様では、Fvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、これにより、scFvが抗原結合に望ましい構造を形成することが可能になる。scFvに関する概説については、例えば、Pliickthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照のこと。
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片を指し、これらの断片は、同じポリペプチド鎖(VH-VL)内の軽鎖可変ドメイン(VL)に接続した重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同一鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを使用することにより、これらのドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対合させられ、2つの抗原結合部位を生成する。ダイアボディは、例えば、EP第404097号; 国際公開第93/11161号;及びHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)にさらに詳細に記載されている。
本明細書で使用される「半抗体」又は「ヘミマー」という用語は、一価の抗原結合ポリペプチドを指す。特定の実施態様では、半抗体又はヘミマーは、VH/VL単位及び任意選択的に免疫グロブリン定常ドメインの少なくとも一部を含む。特定の実施態様では、半抗体又はヘミマーは、1つの免疫グロブリン軽鎖に関連する1つの免疫グロブリン重鎖、又はその抗原結合断片を含む。特定の実施態様では、半抗体又はヘミマーは、単一特異的であり、すなわち、単一の抗原又はエピトープに結合する。当業者であれば、半抗体が、例えばラクダ科に由来する単一の可変ドメインからなる抗原結合ドメインを有し得ることを容易に理解するであろう。
「VH/VL単位」という用語は、少なくとも1つのVH HVRと少なくとも1つのVL HVRとを含む抗体の抗原結合領域を指す。特定の実施態様では、VH/VL単位は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つすべてのVH HVRと、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つすべてのVL HVRとを含む。特定の実施態様では、VH/VL単位は、フレームワーク領域(FR)の少なくとも一部をさらに含む。いくつかの実施態様では、VH/VL単位は、3つのVH HVRと3つのVL HVRとを含む。いくつかの実施態様では、VH/VL単位は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は4つすべてのVH HVRと、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は4つすべてのVL HVRとを含む。
「多重特異性抗体」という用語は、最も広義に使用され、多重エピトープ特異性を有する(すなわち、1つの生物学的分子上の2つ若しくはそれ以上の異なるエピトープに特異的に結合することができるか、又は2つ若しくはそれ以上の異なる生物学的分子上のエピトープに特異的に結合することができる)抗原結合ドメインを含む抗体を具体的に網羅する。いくつかの実施態様では、多重特異性抗体(二重特異性抗体又は二価F(ab’)2など)の抗原結合ドメインは、2つのVH/VL単位を含み、第1のVH/VL単位は、第1のエピトープに特異的に結合し、第2のVH/VL単位は、第2のエピトープに特異的に結合し、各VH/VL単位は、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。そのような多重特異性抗体としては、完全長抗体、2つ以上のVL及びVHドメインを有する抗体、抗体断片(Fab、Fv、dsFv、scFv、ダイアボディ、二重特異性ダイアボディ、及びトリアボディなど)、共有結合又は非共有結合で連結されている抗体断片が挙げられるが、これらに限定されない。重鎖定常領域の少なくとも一部及び/又は軽鎖定常領域の少なくとも一部をさらに含むVH/VL単位は、「ヘミマー」又は「半抗体」とも称され得る。いくつかの実施態様では、半抗体は、単一の重鎖可変領域の少なくとも一部及び単一の軽鎖可変領域の少なくとも一部を含む。いくつかのそのような実施態様では、2つの半抗体を含み、かつ2つの抗原に結合する二重特異性抗体は、第1の抗原又は第1のエピトープに結合するが、第2の抗原又は第2のエピトープには結合しない第1の半抗体、及び第2の抗原又は第2のエピトープに結合するが、第1の抗原又は第1のエピトープには結合しない第2の半抗体を含む。いくつかの実施態様によれば、多重特異性抗体は、5M~0.001pM、3M~0.001pM、1M~0.001pM、0.5M~0.001pM、又は0.1M~0.001pMの親和性で各抗原又はエピトープに結合するIgG抗体である。いくつかの実施態様において、ヘミマーは、第2のヘミマーとの分子内ジスルフィド結合が形成されることを可能にするのに十分な重鎖可変領域の一部分を含む。いくつかの実施態様において、ヘミマーは、例えば、相補的ホール変異又はノブ変異を含む第2のヘミマー又は半抗体とのヘテロ二量体化を可能にする、ノブ変異又はホール変異を含む。ノブ変異及びホール変異は、以下でさらに論じられる。
「二重特異性抗体」は、1つの生物学的分子上の2つの異なるエピトープに特異的に結合することができるか、又は2つの異なる生物学的分子上のエピトープに特異的に結合することができる抗原結合ドメインを含む多重特異性抗体である。二重特異性抗体は、本明細書において「二重特異性(dual specificity)」を有する、又は「二重特異性(dual specific)」であると呼ばれることがある。別途指示されない限り、二重特異性抗体によって結合される抗原が二重特異性抗体名で列記される順序は無作為である。いくつかの実施態様では、二重特異性抗体は、2つの半抗体を含み、各半抗体は、単一の重鎖可変領域及び任意選択的に重鎖定常領域の少なくとも一部、並びに単一の軽鎖可変領域及び任意選択的に軽鎖定常領域の少なくとも一部を含む。ある特定の実施態様では、二重特異性抗体は、2つの半抗体を含み、各半抗体は、単一の重鎖可変領域及び単一の軽鎖可変領域を含み、1つよりも多くの単一の重鎖可変領域を含まず、1つよりも多くの単一の軽鎖可変領域を含まない。いくつかの実施態様では、二重特異性抗体は、2つの半抗体を含み、各半抗体は、単一の重鎖可変領域及び単一の軽鎖可変領域を含み、第1の半抗体は、第1の抗原に結合し、第2の抗原には結合せず、第2の半抗体は、第2の抗原に結合し、第1の抗原には結合しない。
本明細書で使用される場合、「ノブ・イントゥ・ホール」又は「KiH」技術という用語は、2つのポリペプチドを、それらが相互作用する接触面で一方のポリペプチド中に隆起(ノブ)を導入し、他方のポリペプチド中に空洞(ホール)を導入することによって、インビトロ又はインビボでの対合を指向する技術を指す。例えば、KiHは、抗体のFc:Fc結合接触面、CL:CH1接触面、又はVH/VL接触面に導入されている(例えば、米国特許出願公開第2011/0287009号、同第2007/0178552号、国際公開第96/027011号、国際公開第98/050431号、及びZhu et al.,1997,Protein Science6:781-788を参照)。いくつかの実施態様では、KiHにより、多重特異性抗体の製造中に2つの異なる重鎖の対合が一緒にもたらされる。例えば、それらのFc領域内にKiHを有する多重特異性抗体は、各Fc領域に連結された単一可変ドメインをさらに含み得るか、又は類似の若しくは異なる軽鎖可変ドメインと対合する異なる重鎖可変ドメインをさらに含み得る。KiH技術を使用して、2つの異なる受容体細胞外ドメインを一緒に、又は異なる標的認識配列(例えば、アフィボディ(affibody)、ペプチボディ(peptibody)、及び他のFc融合物を含む)を含む任意の他のポリペプチド配列を対合することもできる。
本明細書で使用される「ノブ変異」という用語は、ポリペプチドが別のポリペプチドと相互作用する接触面で隆起(ノブ)をポリペプチド中に導入する変異を指す。いくつかの実施態様では、他方のポリペプチドは、ホール変異を有する(例えば、米国特許第5,731,168号、同第5,807,706号、同第5,821,333号、同第7,695,936号、同第8,216,805号を参照。これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に援用される)。
本明細書で使用される「ホール変異」という用語は、ポリペプチドが別のポリペプチドと相互作用する接触面で空洞(ホール)をポリペプチド中に導入する変異を指す。いくつかの実施態様では、他方のポリペプチドは、ノブ変異を有する(例えば、米国特許第5,731,168号、同第5,807,706号、同第5,821,333号、同第7,695,936号、同第8,216,805号を参照。これらのそれぞれは参照によりその全体が本明細書に援用される)。
「単一ドメイン抗体」(sdAb)又は「単一可変ドメイン(SVD)抗体」という表現は、概して、単一可変ドメイン(VH又はVL)が抗原結合を付与し得る抗体を指す。言い換えれば、単一可変ドメインは、標的抗原を認識するために他の可変ドメインと相互作用する必要はない。単一ドメイン抗体の例としては、ラクダ科動物(ラマ及びラクダ)並びに軟骨魚類(例えば、テンジクザメ)由来の抗体、並びにヒト及びマウス抗体由来の組換え方法から得られる抗体が挙げられる(Nature (1989) 341:544-546; Dev Comp Immunol (2006) 30:43-56; Trend Biochem Sci (2001) 26:230-235; Trends Biotechnol (2003):21:484-490;国際公開第2005/035572号;同第03/035694号; FEBS Lett (1994) 339:285-290;国際公開第00/29004号;同第02/051870号)。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、その集団を含む個々の抗体は、同一であり、かつ/又は同じエピトープに結合するが、モノクローナル抗体の産生中に生じ得る想定されるバリアントは除外され、そのようなバリアントは、概して、少量で存在する。異なる決定基(エピトープ)に対して指向される異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向される。モノクローナル抗体は、その特異性に加えて、他の免疫グロブリンによって汚染されない点でも有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体の集団から得られるという抗体の特徴を示すものであり、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものとして解釈すべきではない。例えば、本明細書で提供される方法に従って使用されるモノクローナル抗体は、最初にKohler et al., Nature 256:495(1975)によって記載されたハイブリドーマ法によって作製されてもよく、又は組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)によって作製されてもよい。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson et al., Nature 352:624-628 (1991)及びMarks et al., J. Mol. Biol. 222:581-597 (1991)に記載の技術を用いてファージ抗体ライブラリから単離され得る。
本明細書におけるモノクローナル抗体には、具体的には、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が、特定の種に由来するか又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一又は相同である一方で、鎖(複数可)の残りが、別の種に由来するか又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一又は相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、並びにそれらが所望の生物学的活性を呈する限りはそのような抗体の断片が含まれる(米国特許第4,816,567号; Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855 (1984))。本明細書における目的のキメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、ヒヒ、アカゲザル、又はカニクイザルなどの旧世界ザル)に由来する可変ドメイン抗原結合配列と、ヒト定常領域配列とを含む、「霊長類化」抗体が含まれる(米国特許第5,693,780号)。
「ヒト化」型の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含有するキメラ抗体である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域からの残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有する、マウス、ラット、ウサギ、若しくは非ヒト霊長類等の非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域由来の残基で置換されている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの場合において、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基に置換されている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見られない残基を含んでいてもよい。これらの改変は、抗体の性能をさらに改良するために行われる。一般的に、ヒト化抗体は、上述のFR置換(複数可)を除いて、超可変ループの全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、かつFRの全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFRである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、任意選択的に、免疫グロブリンの定常領域、典型的には、ヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部分を含む。さらなる詳細については、Jones et al., Nature 321:522¬525 (1986);Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照のこと。
本明細書において「インタクトな抗体」は、重及び軽可変ドメイン、並びにFc領域を含むものである。定常ドメインは、天然配列の定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列の定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列バリアントであり得る。好ましくは、インタクトな抗体は、1つ又は複数のエフェクタ機能を有する。
「天然抗体」とは、通常、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖から構成される約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖が1つのジスルフィド共有結合により重鎖に連結される一方で、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。各重鎖及び軽鎖はまた、規則的に離間した鎖間ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は、一方の端に可変ドメイン(VH)を有し、その後いくつかの定常ドメインが続く。各軽鎖は、一方の端に可変ドメイン(VL)を有し、その他方の端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと整列し、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列する。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられている。
「ネイキッド抗体」は、細胞傷害性部分又は放射性標識などの異種分子とコンジュゲートされない、(本明細書において定義する)抗体である。
本明細書において使用される用語「イムノアドヘシン」は、異種タンパク質(「アドへシン」)の結合特異性と免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能とを組合わせる分子を意味する。構造的に、イムノアドヘシンは、所望の結合特異性を有するアミノ酸配列(このアミノ酸配列は、抗体の抗原認識及び結合部位以外である(すなわち、抗体の定常領域と比較して「異種」である))と、免疫グロブリン定常ドメイン配列(例えば、IgGのCH2及び/又はCH3配列)との融合を含む。例示的アドヘシン配列には、対象のタンパク質に結合する受容体又はリガンドの一部を含む近接するアミノ酸配列が含まれる。アドヘシン配列は、対象のタンパク質に結合するが、受容体又はリガンド配列(例えば、ペプチボディ中のアドヘシン配列)には結合しない配列でもあり得る。このようなポリペプチド配列は、ファージディスプレイ技術及びハイッスループット選別方法を含む様々な方法により選択又は同定することができる。イムノアドヘシンにおける免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG-1、IgG-2、IgG-3、又はIgG-4サブタイプ、IgA(IgA-1及びIgA-2を含む)、IgE、IgD、又はIgM等の任意の免疫グロブリンから得ることができる。
「Fc受容体」又は「FcR」という用語は、抗体のFc領域に結合する受容体を記述するために使用される。いくつかの実施態様では、FcRは、天然配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体に結合するもの(ガンマ受容体)であり、これらの受容体の対立遺伝子及び選択的スプライシング形態を含む、FcyRI、FcyRII、及びFcyRIIIサブクラスの受容体を含む。FcyRII受容体には、FcyRIIA(「活性化受容体」)及びFcyRIIB(「阻害受容体」)が含まれ、これらは、主にその細胞質ドメインが異なる類似のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcyRIIAは、その細胞質ドメイン内に免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を含有する。阻害受容体FcyRIIBは、その細胞質ドメイン内に免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)を含有する(Daeron, Annu. Rev. Immunol. 15:203-234 (1997)を参照のこと)。FcRは、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991); Capel et al., Immunomethods 4:25¬34 (1994);及びde Haas et al., J. Lab. Chn. Med. 126:330-41 (1995)に概説されている。今後同定されるものを含む他のFcRは、本明細書において「FcR」という用語に包含される。この用語には、胎児への母親のIgGの移行を担う新生児の受容体FcRnも含まれる(Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976) and Kim et al., J. Immunol. 24:249 (1994))。
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、及び「宿主細胞培養物」という用語は、交換可能に使用され、外因性核酸が導入された細胞を指し、かかる細胞の子孫を含む。宿主細胞は「形質転換体」及び「形質転換細胞」を含み、それには初代形質転換細胞及び、継代の数に関係なく、それに由来する子孫が含まれる。子孫は、親細胞と完全に同一の核酸含量でない場合があるが、変異を含んでもよい。本明細書では、最初に形質転換された細胞においてスクリーニング又は選択されたものと同じ機能又は生物学的活性を有する変異体の子孫が、含まれる。
「不純物」とは、所望のポリペプチド産物とは異なる物質を指す。不純物は、ワンアーム抗体及び誤って組み立てられた抗体などの産物特異的なポリペプチド、塩基性バリアント及び酸性バリアントを含む抗体バリアント、並びに凝集体を指し得る。その他の不純物には、宿主細胞タンパク質(HCP)などの宿主細胞物質;浸出プロテインA;核酸;別のポリペプチド;エンドトキシン;ウイルス混入物;細胞培地成分等が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例においては、不純物は、細菌細胞、例えば、大腸菌細胞、昆虫細胞、原核細胞、真核細胞、酵母細胞、哺乳動物細胞、鳥類細胞、真菌細胞からのHCPであり得るが、これらに限定されない。いくつかの例では、不純物は、CHO細胞などの哺乳類細胞からのHCP、すなわち、CHO細胞タンパク質(CHOP)であり得る。不純物は、多重特異性抗体の発現、折り畳み、又は組み立てを促進するために使用されるアクセサリータンパク質;例えば、FkpA、DsbA及びDsbCなどの原核生物シャペロンなどを指す場合がある。
本明細書で使用される「複合体」又は「複合した」は、ペプチド結合でない結合及び/又は力(例えば、ファンデルワールス、疎水性、親水性の力)により互いに相互作用する2つ以上の分子の会合を指す。一実施態様では、複合体はヘテロ多量体である。本明細書において使用される「タンパク質複合体」又は「ポリペプチド複合体」という用語は、タンパク質複合体中のタンパク質にコンジュゲートした非タンパク質物(例えば、限定しないが、毒素又は検出剤といった化学分子を含む)を有する複合体を含むことを理解されたい。
「単離された」核酸は、その天然環境の構成要素から分離された核酸分子を指す。単離された核酸には、通常核酸分子を含有する細胞内に含有される核酸分子が含まれるが、核酸分子は、染色体外、又は天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
参照ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入した後、いかなる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした場合の、参照ポリペプチドのアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のための整列は、当該技術分野における技術の範囲内にある種々の方法において、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを用いて達成され得る。当業者であれば、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列のアラインメントのための適切なパラメータを決定することができる。ある特定の実施態様では、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.が作成したものであり、ソースコードは、使用者用書類と共に、米国著作権局、Washington D.C.、20559に提出され、米国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.(South San Francisco,California)から公的に入手可能であり、又はそのソースコードからコンパイルし得る。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含め、UNIXオペレーティングシステムで使用するためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2 プログラムによって設定され、変化しない。
ALIGN-2がアミノ酸配列比較に用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Bへの、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bに対する、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bに対する、ある特定のアミノ酸配列同一性%を有する又は含む、所与のアミノ酸配列Aとして記述され得る)は、以下のように計算される:
100×分数X/Y
[式中、Xは、配列アラインメントプログラムALIGN-2によってそのプログラムのAとBとのアラインメントにおいて完全な一致としてスコア化されたアミノ酸残基の数であり、Yは、Bにおけるアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBに対するアミノ酸配列同一性%は、BのAに対するアミノ酸配列同一性%とは等しくないことが理解される。別途具体的に示されない限り、本明細書で使用される全てのアミノ酸配列同一性%値は、直前の段落に記載されるようにALIGN-2コンピュータプログラムを使用して得られる]。
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗原への抗体の結合に関与する抗体重鎖又は抗体軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれVH、VL)は一般に、各ドメインが4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と3つの超可変領域(HVR)とを含んでいる、類似の構造を有する。(例えば、Kindt et al., Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., 91頁 (2007)を参照のこと。)単一のVH又はVLドメインは、抗原結合特異性を付与するために充分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、抗原に結合する抗体のVH又はVLドメインを使用し、それぞれ、相補的VL又はVHドメインのライブラリをスクリーニングして、単離してもよい。例えば、Portolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993); Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991)を参照のこと。
「ベクター」という用語は、本明細書で使用される場合、それが連結している別の核酸を増殖させることができる核酸分子を指す。この用語には、自己複製核酸構造体としてのベクター、及びそれが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターが含まれる。ある特定のベクターは、作用可能に連結された核酸の発現を指示することができる。そのようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と称される。
クロマトグラフィーに関して本明細書で使用される「逐次的」という用語は、特定の順序でのクロマトグラフィー工程を指す;例えば、第1のクロマトグラフィー工程に続いて第2のクロマトグラフィー工程があり、それに続いて第3のクロマトグラフィー工程がある、等である。逐次的なクロマトグラフィー工程間に追加の工程が含まれてもよい。
クロマトグラフィーに関して本明細書で使用される「継続的」という用語は、直接接続されているか、又は2つのクロマトグラフィー材料の間の継続流を可能にする何らかの他の機構を介して接続された第1のクロマトグラフィー材料と第2のクロマトグラフィーとを有することを指す。
「ローディング密度」は、クロマトグラフィー材料の体積(例えば、リットル)と接触した組成物の量(例えば、グラム)を指す。いくつかの例では、ローディング密度は、g/Lで表される。
「試料」とは、より大量の材料のわずか一部を指す。一般に、本明細書に記載の方法による試験は、試料に対して実行される。試料は、典型的には、例えば、培養された組換えポリペプチド発現細胞株(本明細書で「産物細胞株」とも称される)から、又は培養された宿主細胞から得られる組換えポリペプチド調製物から得られる。本明細書で使用される場合、「宿主細胞」は、目的とする組換えポリペプチド又は産物の発現のための遺伝子を含有しない。試料は、例えば限定されないが、採取された細胞培養液から、精製方法の特定の工程の工程中プールから、又は最終的な精製産物から得られる。試料は、希釈剤、緩衝剤、洗浄剤、及び所望の分子(多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体など)と混合して見出される汚染種、残屑などを含み得る。
「薬学的製剤」という用語は、活性成分の生物学的活性が有効になるような形態であり、かつ製剤が投与される対象に許容できないほどに有毒な更なる成分を含有しない調製物を指す。そのような製剤は無菌である。「薬学的に許容され得る」賦形剤(ビヒクル、添加物)は、対象哺乳動物に適度に投与されて、用いられる有効用量の活性成分を提供することができるものである。
多重特異性抗体の精製方法
抗体製造プロセスの信頼性は、「ノブ・イントゥ・ホール」多重特異性抗体の発現及びCrossMab抗体の開発など、さまざまな戦略によって向上してきた。しかし、このような戦略を用いて単一細胞内で多重特異性抗体を製造する場合、誤対合ポリペプチドを含む抗体バリアントを排除するために、下流の精製工程に依存することになる。
ある特定の非限定的な実施態様では、本開示は、多重特異性抗体を精製するための方法を提供する。ある特定の実施態様では、多重特異性抗体は、CrossMab抗体である。ある特定の実施態様では、多重特異性抗体は、二重特異性抗体である。ある特定の実施態様では、多重特異性抗体は、第1の標的と結合する第1のF(ab)と、第2の標的と結合する第2のF(ab)と、を含む二価のF(ab’)である。ある特定の実施態様では、多重特異性抗体は、二重特異性抗体、すなわち、アミノ酸配列が同一である2つの抗原結合アームを有する抗体であり、各Fabアームが2つの抗原を認識することができる(二重作用Fab抗体など)。
ある特定の実施態様では、多重特異性抗体の精製は、マルチモードクロマトグラフィーを含む。いくつかの実施態様では、多重特異性抗体は、捕捉クロマトグラフィーの前に組み立てられる。いくつかの実施態様では、多重特異性抗体は、捕捉クロマトグラフィーの前に組み立てられる。
特定の実施態様では、多重特異性抗体(二重特異性抗体又は二価のF(ab’)など)は、異なる抗体アームが異なるエピトープを結合する、2つ以上の抗体アームを含む。特定の実施態様では、異なるエピトープが同じ抗原上にある。特定の実施態様では、異なるエピトープが異なる抗原上にある。特定の実施態様では、抗体アームは、VH/VL単位を含む。特定の実施態様では、抗体アームは、半抗体としても知られるヘミマーを含む。特定の実施態様では、1つの抗体アームの重鎖は「ノブ」を含むように修飾され、別の抗体アームの重鎖は「ホール」を含み、第1の重鎖のノブが第2の重鎖のホールに適合するようになっている。
特定の実施態様では、多重特異性抗体は、同一の宿主細胞内で産生される。例えば、以下のリストは、多重特異性抗体が同じ宿主細胞で産生され、収穫物がプロテインAアフィニティークロマトグラフィーによって精製される、CrossMab二特異性抗体培養収穫物中で同定された産物関連バリアントを含む。
Figure 2023542079000002
自動液体処理システムを使用して、さまざまなpH及びバッファー強度の条件下で、5つの異なるクロマトグラフィー樹脂への原料の結合を試験した。インキュベーション後、未結合画分を分析したところ、驚くべきことに、図3に示したアニオン交換挙動(高pH)及び疎水性結合(高塩濃度)を同時に促進する条件下でのみ、LC誤対合バリアント(図2A及び2Bに記載)の枯渇が生じることが確認された。
特定の実施態様では、細胞培地は回収され、抗体はマルチモードクロマトグラフィーに供される。特定の実施態様では、マルチモード材料は、以下の機能性:アニオン交換、カチオン交換、水素結合、π-π結合相互作用、親水性相互作用、チオフィリック相互作用、及び疎水性相互作用のうちの1つ又は複数が可能な官能基を含む。いくつかの実施態様では、マルチモード材料は、アニオン交換及び疎水性相互作用が可能な官能基を含む。
特定の実施態様では、マルチモード材料は、正に帯電した基と芳香環構造体とを含む。特定の実施態様では、正に帯電した基は、アミン又は四級アンモニウムイオンである。特定の実施態様では、芳香環構造体はベンジル基である。特定の実施態様では、マルチモード材料は、N-ベンジル-N-メチルエタノールアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メルカプト-エチル-ピリジン、2-ベンズアミド-4-メルカプトブタン酸、ヘキシルアミン、フェニルプロピルアミン、架橋ポリアリルアミン、又はそれらの組み合わせを含む。例えば、限定されないが、マルチモード材料には、CaptoTMAdhere樹脂、CaptoTMMMC樹脂、MEP HyperCelTM樹脂、HEA HyperCelTM樹脂、PPA HyperCelTM樹脂、Eshmuno(登録商標)HCX、CaptoTMAdhere ImpRes、CaptoTMMMC Impres、NuviaTMcPrimeTM膜が含まれる。特定の実施態様では、マルチモード材料は、CaptoTMAdhere樹脂である。特定の実施態様では、マルチモード材料は、CaptoTMMMCである。特定の実施態様では、マルチモード材料は、カラム内にある。特定の実施態様では、マルチモード材料は、膜内にある。特定の実施態様では、マルチモードクロマトグラフィーは、「結合及び溶出」モードで実施される。特定の実施態様では、マルチモードクロマトグラフィーは、「フロースルー」モードで実施される。
特定の実施態様では、溶出は段階溶出である。特定の実施態様では、溶出は勾配溶出である。
特定の実施態様では、本明細書で開示される方法は、捕捉クロマトグラフィーをさらに含む。特定の実施態様では、捕捉クロマトグラフィーは、アフィニティークロマトグラフィーである。特定の実施態様では、アフィニティークロマトグラフィーは、プロテインAクロマトグラフィーである。特定の実施態様では、アフィニティークロマトグラフィーは、プロテインGクロマトグラフィーである。特定の実施態様では、アフィニティークロマトグラフィーは、プロテインA/Gクロマトグラフィーである。特定の実施態様では、アフィニティークロマトグラフィーは、プロテインLクロマトグラフィーである。捕捉クロマトグラフィーに続いて、精製された抗体アームが、例えば、SDS-PAGE、SECクロマトグラフィー、質量分析などによって、分析され得る。
特定の実施態様では、細胞培地は回収され、捕捉クロマトグラフィーに供される。特定の実施態様では、アフィニティークロマトグラフィー工程からの溶出物は、その後、本明細書に開示されるマルチモードクロマトグラフィーに適用される。特定の実施態様では、アフィニティークロマトグラフィーは、例えば、プロテインAクロマトグラフィー、プロテインGクロマトグラフィー、プロテインA/Gクロマトグラフィー、又はプロテインLクロマトグラフィーを含むが、これらに限定されない。特定の実施態様では、アフィニティークロマトグラフィー材料は、例えば、ProSep(登録商標)-vA、ProSep(登録商標)Ultra Plus、Protein A SepharoseTMFast Flow、ToyopearlTMAF-rProtein A、MabSelectTM、MabSelect SuReTM、MabSelect SuReTMLX、KappaSelect、CaptureSelectTM、及びCaptureSelectTMFcXLを含むが、これらに限定されない。特定の実施態様では、アフィニティークロマトグラフィー材料は、カラム内にある。特定の実施態様では、アフィニティークロマトグラフィーは、「結合及び溶出モード」(あるいは、「結合及び溶出プロセス」と称される)で実施される。「結合及び溶出モード」は、試料中の産物(多重特異性抗体など)がアフィニティークロマトグラフィー材料に結合し、その後アフィニティークロマトグラフィー材料から溶出される、産物分離技術である。特定の実施態様では、溶出は、溶出プロセス中に、1回又は数回の機会に、移動相の組成を段階的に変化させる、段階溶出である。特定の実施態様では、溶出は、溶出プロセス中に移動相の組成を継続的に変化させる、勾配溶出である。特定の実施態様では、アフィニティークロマトグラフィー材料は、膜内にある。特定の実施態様では、アフィニティークロマトグラフィーはプロテインAクロマトグラフィーである。特定の実施態様では、プロテインAクロマトグラフィーは、MAbSelectTMSuReクロマトグラフィーである。特定の実施態様では、アフィニティークロマトグラフィーは、CaptureSelectTMクロマトグラフィーである。特定の実施態様では、アフィニティークロマトグラフィーは、CaptureSelectTMFcXLクロマトグラフィーである。
特定の実施態様では、捕捉クロマトグラフィー及びマルチモードクロマトグラフィーは継続的であり、例えば、捕捉クロマトグラフィー材料及びマルチモード材料は、直接接続されているか、又は捕捉クロマトグラフィー材料とマルチモード材料との間の継続的な流れを可能にする何らかの他の機構により接続されている。特定の実施態様では、捕捉クロマトグラフィー及びマルチモードクロマトグラフィーは連続的であり、マルチモードクロマトグラフィーは捕捉クロマトグラフィーの後に直接実施される。
特定の実施態様では、捕捉クロマトグラフィーからの溶出物は、マルチモード樹脂に適用される前に、1つ又は複数の追加のクロマトグラフィー工程に供される。特定の非限定的な実施態様では、例えば、捕捉クロマトグラフィーからの溶出物は、マルチモードクロマトグラフィーに供される前に、任意の順序及び/又は任意の組み合わせで、以下:疎水性相互作用(HIC)クロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT)クロマトグラフィー、親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)などのクロマトグラフィー工程のうちの任意の1つ又は複数に供することができる。
疎水性相互作用クロマトグラフィーは、疎水性に応じて生体分子を分離する液体クロマトグラフィー技術である。例えば、限定されないが、HICクロマトグラフィー材料は、ToyopearlTMHexyl-650、ToyopearlTMButyl-650、ToyopearlTMPhenyl-650、ToyopearlTMEther-650、HiTrap(登録商標)Sepharose、Octyl Sepharose(登録商標)、Phenyl SepharoseTM、又はButyl SepharoseTMを含む。特定の実施態様では、HICクロマトグラフィー材料は、フェニルセファロースを含む。特定の実施態様では、HICクロマトグラフィーは、「結合及び溶出」モードで実施される。特定の実施態様では、HICクロマトグラフィーは、「フロースルー」モードで実施される。特定の実施態様では、HICクロマトグラフィー材料は、カラム内にある。特定の実施態様では、HICクロマトグラフィー材料は、膜内にある。
アニオン交換クロマトグラフィー材料は、正に帯電した固体相であり、この固体相の上方又は中を通過する水溶液(多重特異性抗体及び不純物を含む組成物など)中のアニオンと交換される遊離アニオンを有する。特定の実施態様では、アニオン交換材料は、膜、モノリス、又は樹脂であり得る。特定の実施態様では、アニオン交換材料は、樹脂であり得る。いくつかの実施態様では、アニオン交換材料は、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、若しくは第四級アンモニウムイオン官能基、ポリアミン官能基、又はジエチルアミノエチル官能基を含み得る。例えば、限定されないが、アニオン交換材料は、PorosTMHQ 50、PorosTMPI 50、PorosTMD、MustangTMQ、Q SepharoseTMFast Flow(QSFF)、AccellTM Plus Quaternary Methyl Amine(QMA)樹脂、Sartobind STIC(登録商標)、及びDEAE-SepharoseTMを含む。特定の実施態様では、アニオン交換クロマトグラフィーは、「結合及び溶出」モードで実施される。特定の実施態様では、アニオン交換クロマトグラフィーは、「フロースルー」モードで実施される。特定の実施態様では、アニオン交換クロマトグラフィー材料は、カラム内にある。特定の実施態様では、アニオン交換クロマトグラフィー材料は、膜内にある。
カチオン交換クロマトグラフィー材料は、負に帯電した固体相であり、この固体相の上方又は中を通過する水溶液(多重特異性抗体及び不純物を含む組成物など)中のカチオンと交換される遊離カチオンを有する。特定の実施態様では、カチオン交換材料は、膜、モノリス、又は樹脂であり得る。いくつかの実施態様では、カチオン交換材料は、樹脂であり得る。カチオン交換材料は、カルボン酸官能基又はスルホン酸官能基を含み得る。例えば、限定するものではないが、カチオン交換材料は、スルホン酸塩、カルボン酸、カルボキシメチルスルホン酸、スルホイソブチル、スルホエチル、カルボキシル、スルホプロピル、スルホニル、スルホキシエチル、又はオルトリン酸塩を含み得る。いくつかの実施態様では、カチオン交換クロマトグラフィー材料は、カチオン交換クロマトグラフィーカラムである。上述の特定の実施態様では、カチオン交換クロマトグラフィー材料は、カチオン交換クロマトグラフィー膜である。例えば、限定されないが、カチオン交換材料は、MustangTMS、Sartobind(登録商標)S、SO3 Monolith(例えば、CIM(登録商標)、ClMmultus(登録商標)及びCIMac(登録商標)SO3など)、S Ceramic HyperD(登録商標)、PorosTMXS、PorosTMHS 50、PorosTMHS 20、スルホプロピル-Sepharose(登録商標) Fast Flow (SPSFF)、SP-Sepharose(登録商標) XL (SPXL)、CM SepharoseTMFast Flow、CaptoTMS、FractogelTMEMD Se Hicap、FractogelTMEMD S03、又はFractogelTMEMD COOを含む。特定の実施態様では、カチオン交換クロマトグラフィーは、「結合及び溶出」モードで実施される。特定の実施態様では、カチオン交換クロマトグラフィーは、「フロースルー」モードで実施される。上述の特定の実施態様では、カチオン交換クロマトグラフィー材料は、カラム内にある。上述の特定の実施態様では、カチオン交換クロマトグラフィー材料は、膜内にある。
特定の実施態様では、本開示は、多重特異性抗体、すなわち、二重特異性抗体を、前記多重特異性抗体及び不純物を含む組成物から分離する方法を提供し、この方法は、組成物をマルチモードクロマトグラフィーに供することと、多重特異性抗体を含む画分を回収することとを含み、多重特異性抗体は、同じ宿主細胞によって産生される。特定の実施態様では、マルチモードクロマトグラフィーは、「結合及び溶出」モードで実施される。
特定の実施態様では、本方法は、組成物を捕捉クロマトグラフィーに供して第1の溶出物を生成することと、第1の溶出物をマルチモードクロマトグラフィーに供することと、多特異性抗体を含む画分を回収することとを含む。特定の実施態様では、捕捉クロマトグラフィーは、プロテインAクロマトグラフィーである。
特定の実施態様では、マルチモードクロマトグラフィーからの溶出物は、1つ又は複数の追加のクロマトグラフィー工程に供される。例えば、限定されないが、マルチモードクロマトグラフィーからの溶出物は、任意の順序及び/又は任意の組み合わせで、以下:疎水性相互作用(HIC)クロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT)クロマトグラフィー、親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)、マルチモードクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー工程のうちの任意の1つ又は複数に供することができる。
特定の実施態様では、方法は、バッファーを使用することを含む。多重特異性抗体の精製中に、様々なバッファーが用いられ得る。例えば、バッファーは、多重特異性抗体の特性に基づいて、異なるpH及び/又は導電性を有し得る。特定の実施態様では、バッファーは、ローディングバッファー、平衡バッファー、又は洗浄バッファーであり得る。特定の実施態様では、ローディングバッファー、平衡バッファー、及び/又は洗浄バッファーのうちの1つ又は複数は同じである。特定の実施態様では、ローディングバッファー、平衡バッファー、及び/又は洗浄バッファーは異なる。特定の実施態様では、バッファーは塩を含む。特定の実施態様では、バッファーは、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、Tris HC1、Trisアセテート、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、MES、CHES、MOPS、BisTris、アルギニン、アルギニンHC1、又はそれらの混合物を含む。特定の実施態様では、バッファーは塩化ナトリウムバッファーである。いくつかの実施態様では、バッファーは酢酸ナトリウムバッファーである。特定の実施態様では、バッファーは、Tris、アルギニン、リン酸塩、MES、CHES、又はMOPSバッファーである。
「ロード」とは、組成物がクロマトグラフィー材料に担持されることを指す。ローディングバッファーは、組成物(例えば、多重特異性抗体及び不純物を含む組成物)をクロマトグラフィー材料(本明細書に記載のクロマトグラフィー材料のうちのいずれか1つなど)にロードするために使用されるバッファーである。クロマトグラフィー材料は、精製される組成物のロード前に平衡バッファーを用いて平衡化され得る。洗浄バッファーは、組成物をクロマトグラフィー材料にロードした後に使用される。溶出バッファーは、目的のポリペプチドを固体相から溶出するために使用される。
本明細書に記載のいずれかのクロマトグラフィー材料への多重特異性抗体を含む組成物(多重特異性抗体及び不純物を含む組成物など)のローディングは、多重特異性抗体と不純物の分離のために最適化され得る。特定の実施態様では、クロマトグラフィーが結合及び溶出モード(例えばマルチモードクロマトグラフィー)で実施される場合、多重特異性抗体を含む組成物(多重特異性抗体及び不純物を含む組成物など)のクロマトグラフィー材料へのローディングは、多重特異性抗体のクロマトグラフィー材料への結合のために最適化されている。
伝導度とは、2つの電極間に電流を伝導する水溶液の能力を指す。溶液中で、電流は、イオン輸送により流れる。したがって、水溶液中に存在するイオンの量が増加すると、溶液は、より高い伝導度を有するようになる。伝導度の尺度の基本単位は、ジーメンス(Siemen)(mS/cm)又はオーム(mho)であり、様々なモデルのOrion伝導度計などの伝導度計を使用して測定され得る。電解質伝導度は溶液中のイオンの電流を流す能力であるため、溶液の伝導度は、その中のイオンの濃度を変化させることによって変更され得る。特定の非限定的な実施態様では、、例えば、溶液中のバッファー剤の濃度及び/又は塩(例えば、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、又は塩化カリウム)の濃度は、所望の伝導度を達成するために変更され得る。特定の実施態様では、様々なバッファーの塩濃度は、所望の伝導度を達成するために改変される。
特定の非限定的な実施態様では、例えば、多重特異性抗体を含む組成物(多重特異性抗体及び不純物を含む組成物など)は、ローディングバッファーの伝導度が一定である間、多くの異なるpH値でローディングバッファー中でクロマトグラフィー材料にロードされる。特定の実施態様では、多重特異性抗体を含む溶液は、ローディングバッファーのpHが一定である間、多くの異なる伝導度でローディングバッファー中でクロマトグラフィー材料にロードされる。多重特異性抗体を含む組成物(多重特異性抗体及び不純物を含む組成物など)のクロマトグラフィー材料へのローディングと、クロマトグラフィー材料からの多重特異性抗体のプール画分への溶出とが完了した時点で、プール画分中に残存する不純物の量は、所与のpH又は伝導度での不純物からの多重特異性抗体の分離に関する情報を提供する。同様に、多重特異性抗体がクロマトグラフィー材料中を流れるクロマトグラフィーでは、多重特異性抗体がクロマトグラフィー中を流れるのに対して、不純物はクロマトグラフィー材料によって保持されるか又は多重特異性抗体とは異なる速度でクロマトグラフィー材料中を流れるように、ローディングバッファーは、pH及び伝導度が最適化される。
特定の実施態様では、多重特異性を含む溶液のローディング密度は、アフィニティークロマトグラフィー材料の約1g/L、約5g/L、約10g/L、約20g/L、約30g/L、約40g/L、約50g/L、約60g/L、約70g/L、約80g/L、約90g/L、約100g/L、約110g/L、約120g/L、約130g/L、約140g/L、又は約150g/Lのうちのいずれかよりも大きい。特定の実施態様では、多重特異性抗体を含む溶液のローディング密度は、捕捉クロマトグラフィー材料の約1g/Lと5g/Lの間、約5g/Lと10g/Lの間、約10g/Lと20g/Lの間、約20g/Lと30g/Lの間、約30g/Lと40g/Lの間、約40g/Lと50g/Lの間、約50g/Lと60g/Lの間、約60g/Lと70g/Lの間、約70g/Lと80g/Lの間、約80g/Lと90g/Lの間、約90g/Lと100g/Lの間のうちのいずれかである。
特定の実施態様では、捕捉クロマトグラフィーの後に得られる溶出物は、マルチモードクロマトグラフィー材料(例えば、CaptoTMAdhere)にロードされる。特定の実施態様では、捕捉クロマトグラフィーの後に得られる溶出物は、マルチモードクロマトグラフィー材料の約10g/L、約20g/L、約30g/L、40g/L、約50g/L、約60g/L、約70g/L、約80g/L、約90g/L、約100g/L、約110g/L、約120g/L、約130g/L、約140g/L、又は約150g/Lのうちのいずれかよりも大きい多重特異性抗体のローディング密度でマルチモードクロマトグラフィー材料にロードされる。特定の実施態様では、捕捉クロマトグラフィーの後に得られる溶出物は、マルチモードクロマトグラフィー材料の約1g/Lと約5g/Lの間、約5g/Lと約10g/Lの間、約10g/Lと約20g/Lの間、約20g/Lと約30g/Lの間、約30g/Lと約40g/Lの間、約40g/Lと約50g/Lの間、約50g/Lと約60g/Lの間、約60g/Lと約70g/Lの間、約70g/Lと約80g/Lの間、約80g/Lと約90g/Lの間、約90g/Lと約100g/Lの間のうちのいずれかの多重特異性抗体のローディング密度でマルチモードクロマトグラフィー材料にロードされる。
特定の実施態様では、マルチモードクロマトグラフィーの後に得られる溶出物は、後続のクロマトグラフィー材料(疎水性相互作用(HIC)クロマトグラフィー材料、アニオン交換クロマトグラフィー材料、カチオン交換クロマトグラフィー材料、サイズ排除クロマトグラフィー材料、アフィニティークロマトグラフィー材料、又は追加のマルチモードクロマトグラフィー材料など)の約30g/L、約40g/L、約50g/L、約60g/L、約70g/L、約80g/L、約90g/L、約100g/L、約110g/L、約120g/L、約130g/L、約140g/L、又は約150g/Lのうちのいずれかよりも大きい多重特異的抗体のローディング密度で、後続のクロマトグラフィー材料にロードされる。いくつかの実施態様では、マルチモードクロマトグラフィーの後に得られる溶出物は、後続のクロマトグラフィー材料(疎水性相互作用(HIC)クロマトグラフィー材料、アニオン交換クロマトグラフィー材料、カチオン交換クロマトグラフィー材料、サイズ排除クロマトグラフィー材料、アフィニティークロマトグラフィー材料、又は追加のマルチモードクロマトグラフィー材料など)の約10g/Lと20g/Lの間、約20g/Lと30g/Lの間、約30g/Lと40g/Lの間、約40g/Lと50g/Lの間、約50g/Lと60g/Lの間、約60g/Lと70g/Lの間、約70g/Lと80g/Lの間、約80g/Lと90g/Lの間、約90g/Lと100g/Lの間のいずれかの多重特異性抗体のローディング密度で、後続のクロマトグラフィー材料にロードされる。
本明細書で使用される溶出は、クロマトグラフィー材料からの産物、例えば多重特異性抗体、の除去である。溶出バッファーは、クロマトグラフィー材料から多重特異性抗体を溶出するために使用されるバッファーである。特定の実施態様では、溶出バッファーは、ローディングバッファーよりも低い伝導度を有する。特定の実施態様では、溶出バッファーは、ローディングバッファーよりも高い伝導度を有する。特定の実施態様では、溶出バッファーは、ローディングバッファーよりも低いpHを有する。特定の実施態様では、溶出バッファーは、ローディングバッファーよりも高いpHを有する。特定の実施態様では、溶出バッファーは、ローディングバッファーとは異なる伝導度及び異なるpHを有する。
特定の実施態様では、クロマトグラフィー材料からの多重特異性抗体の溶出は、不純物を最小限に抑え、最小限の溶出量又はプール量で、生成物の収量が得られるように最適化される。特定の非限定的な実施態様では、例えば、多重特異性抗体を含む組成物は、ローディングバッファー中でクロマトグラフィー材料にロードされ得る。ローディングが完了した時点で、多重特異性抗体は、溶出バッファーの伝導度が一定である間に、多くの異なるpH値のバッファーを用いて溶出される。あるいは、多重特異性抗体は、溶出バッファーのpHが一定である間に、多くの異なる伝導度の溶出バッファー中のクロマトグラフィー材料から溶出され得る。クロマトグラフィー材料からの多重特異性抗体の溶出が完了した時点で、プール画分中の不純物の量は、所与のpH又は伝導度についての不純物からの多重特異性抗体又は抗体アームの分離に関する情報を提供する。大きなカラム容積(例えば、8カラム容積)における多重特異性抗体の溶出は、溶出プロファイルの「テーリング」を示す。
特定の実施態様では、本明細書で開示される方法は、バッファーの使用を含む。バッファーの所望のpH、バッファーの所望の伝導度、目的のタンパク質の特性、クロマトグラフィー材料、及び精製プロセス(例えば、「結合及び溶出」モード又は「フロースルー」モード)に基づいて、様々なバッファーが用いられ得る。特定の実施態様では、方法は、少なくとも1つのバッファーの使用を含む。特定の実施態様では、バッファーは、ローディングバッファー、平衡バッファー、溶出バッファー、又は洗浄バッファーであり得る。特定の実施態様では、ローディングバッファー、平衡バッファー、溶出バッファー、及び/又は洗浄バッファーのうちの1つ又は複数は同じである。特定の実施態様では、ローディングバッファー、平衡バッファー、及び/又は洗浄バッファーは異なる。特定の実施態様では、バッファーは塩を含む。特定の実施態様では、ローディングバッファーは、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、Tris、アルギニン、リン酸塩、MOPS、MES、CHES、BisTris、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、クエン酸塩、コハク酸塩、又はそれらの混合物を含み得る。特定の実施態様では、バッファーは塩化ナトリウムバッファーである。特定の実施態様では、バッファーは酢酸ナトリウムバッファーである。特定の実施態様では、バッファーは、Tris、アルギニン、リン酸塩、MES、CHES、又はMOPSバッファーである。特定の実施態様では、バッファーはTrisを含む。特定の実施態様では、バッファーはアルギニンを含む。
特定の実施態様では、ローディングバッファーは、約1.0mS/cm、約1.5mS/cm、約2.0mS/cm、約2.5mS/cm、約3.0mS/cm、約3.5mS/cm、約4.0mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cm、約9.0mS/cm、約9.5mS/cm、約10mS/cm、又は約20mS/cmのいずれかよりも大きい伝導度を有する。特定の実施態様では、伝導度は、約1mS/cmと約20mS/cmの間、約4mS/cmと約10mS/cmの間、約4mS/cmと約7mS/cmの間、約5mS/cmと約17mS/cmの間、約5mS/cmと約10mS/cmの間、又は約5mS/cmと約7mS/cmの間のいずれかであり得る。いくつかの実施態様では、伝導度は、約1.0mS/cm、約1.5mS/cm、約2.0mS/cm、約2.5mS/cm、約3.0mS/cm、約3.5mS/cm、約4mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cm、約9.0mS/cm、約9.5mS/cm、約10mS/cm、又は約20mS/cmのいずれかである。特定の実施態様では、伝導度は、ローディングバッファー、平衡バッファー、及び/又は洗浄バッファーの伝導度である。特定の実施態様では、ローディングバッファー、平衡バッファー、及び洗浄バッファーのうちの1つ又は複数の伝導度は同じである。いくつかの実施態様では、ローディングバッファーの伝導度は、洗浄バッファー及び/又は平衡バッファーの伝導度とは異なる。
いくつかの実施態様では、溶出バッファーは、ローディングバッファーの伝導度よりも小さい伝導度を有する。特定の実施態様では、溶出バッファーは、約0mS/cm、約0.5mS/cm、約1.0mS/cm、約1.5mS/cm、約2.0mS/cm、約2.5mS/cm、約3.0mS/cm、約3.5mS/cm、約4.0mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、又は7.0mS/cmのいずれかよりも小さい伝導度を有する。いくつかの実施態様では、伝導度は、約0mS/cmと約7mS/cmの間、約1mS/cmと約7mS/cmの間、約2mS/cmと約7mS/cmの間、約3mS/cmと約7mS/cmの間、又は4mS/cmと約7mS/cmの間、約0mS/cmと約5.0mS/cmの間、約1mS/cmと約5mS/cmの間、約2mS/cmと約5mS/cmの間、約3mS/cmと約5mS/cmの間、又は約4mS/cmと約5mS/cmの間のいずれかであり得る。いくつかの実施態様では、溶出バッファーの伝導度は、約0mS/cm、約0.5mS/cm、約1.0mS/cm、約1.5mS/cm、約2.0mS/cm、約2.5mS/cm、約3.0mS/cm、約3.5mS/cm、約4mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、又は約7.0mS/cmのいずれかである。
いくつかの実施態様では、溶出バッファーは、ローディングバッファーの伝導度よりも大きい伝導度を有する。特定の実施態様では、溶出バッファーは、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cm、約9.0mS/cm、約9.5mS/cm、約10mS/cm、約11mS/cm、約12mS/cm、約13mS/cm、約14mS/cm、約15mS/cm、約16mS/cm、約17.0mS/cm、約18.0mS/cm、約19.0mS/cm、約20.0mS/cm、約21.0mS/cm、約22.0mS/cm、約23.0mS/cm、約24.0mS/cm、約25.0mS/cm、約26.0mS/cm、約27.0mS/cm、約28.0mS/cm、約29.0mS/cm、又は約30.0mS/cmのいずれかよりも大きい伝導度を有する。特定の実施態様では、伝導度は、約5.5mS/cmと約30mS/cmの間、約6.0mS/cmと約30mS/cmの間、約7mS/cmと約30mS/cmの間、約8mS/cmと約30mS/cmの間、約9mS/cmと約30mS/cmの間、又は約10mS/cmと約30mS/cmの間のいずれかであり得る。特定の実施態様では、溶出バッファーの伝導度は、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cm、約9.0mS/cm、約9.5mS/cm、約10mS/cm、約11mS/cm、約12mS/cm、約13mS/cm、約14mS/cm、約15mS/cm、約16mS/cm、約17.0mS/cm、18.0mS/cm、約19.0mS/cm、約20.0mS/cm、約21.0mS/cm、約22.0mS/cm、約23.0mS/cm、約24.0mS/cm、約25.0mS/cm、約26.0mS/cm、約27.0mS/cm、約28.0mS/cm、約29.0mS/cm、又は約30.0mS/cmのいずれかである。特定の実施態様では、溶出バッファーの伝導度は、段階勾配又は線形勾配によって、ローディングバッファー及び/又は洗浄バッファーから変化する。
特定の実施態様では、多重特異性抗体を含む組成物は、約100mS/cm未満の伝導度を有するローディングバッファー中でマルチモードクロマトグラフィー材料にロードされ、ポリペプチドは、約100mS/cm未満の伝導度を有する溶出バッファー中で混合クロマトグラフィー材料から溶出される。特定の実施態様では、ローディングバッファーは約100mS/cm未満の伝導度を有し、溶出バッファーは、約100mS/cm未満の伝導度を有する。特定の実施態様では、ローディングバッファーは約100mS/cm未満の伝導度を有し、溶出バッファーは、約100mS/cm未満の伝導度を有する。特定の実施態様では、ローディングバッファーは約100mS/cm未満の伝導度を有し、溶出バッファーは、約xxxmS/cmの伝導度を有する。特定の実施態様では、マルチモードクロマトグラフィー材料は、CaptoTMAdhere樹脂である。特定の実施態様では、マルチモードクロマトグラフィー材料は、CaptoTMMMC樹脂である。
特定の実施態様では、溶出バッファーの伝導度は、段階勾配又は線形勾配によって、ローディングバッファー及び/又は洗浄バッファーから変化する。
特定の実施態様では、ローディングバッファーは、約10、約9、約8、約7、約6、又は約5のいずれかよりも小さいpHを有し、これらの値の間の任意の範囲を含む。特定の実施態様では、ローディングバッファーは、約4、約5、約6、約7、約8、又は約9のいずれかよりも大きいpHを有し、これらの値の間の任意の範囲を含む。特定の実施態様では、ローディングバッファーは、約4と約9、約4と約8、約4と約7、約5と約9、約5と約8、約5と約7、約5と約6の間のいずれかのpHを有し、これらの値の間の任意の範囲を含む。特定の実施態様では、ローディングバッファーのpHは、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、又は約8.5のいずれかのpHを有し、これらの値の間の任意の範囲を含む。
いくつかの実施態様では、溶出は、ローディングバッファーのpHよりも小さいpHを有する。特定の実施態様では、溶出バッファーは、約8、約7、約6、約5、約4、約3、又は約2のいずれかよりも小さいpHを有し、これらの値の間の任意の範囲を含む。特定の実施態様では、溶出バッファーのpHは、約4と約9、約4と約8、約4と約7、約4と約6、約4と約5、約5と約9、約5と約8、約5と約7、約5と約6、約6と約9、約6と約8、約6と約7の間のいずれかであってよく、これらの値の間の任意の範囲を含む。特定の実施態様では、溶出バッファーのpHは、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、又は約9.0のいずれかであり、これらの値の間の任意の範囲を含む。
いくつかの実施態様では、溶出バッファーは、ローディングバッファーのpHよりも大きいpHを有する。特定の実施態様では、溶出バッファーは、約5、約6、約7、約8、又は約9のいずれかよりも大きいpHを有し、これらの値の間の任意の範囲を含む。特定の実施態様では、溶出バッファーは、約2、約4、又は約4のいずれかよりも大きいpHを有し、これらの値の間の任意の範囲を含む。特定の実施態様では、溶出バッファーのpHは、約2と約9、約3と約9、約4と約9、約2と約8、約3と約8、約4と約8、約2と約7、約3と約7、約4と約7、約2と約6、約3と約6、約4と約6の間のいずれかであり得、これらの値の間の任意の範囲を含む。いくつかの実施態様では、溶出バッファーのpHは、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0のいずれかであり、これらの値の間の任意の範囲を含む。
特定の実施態様では、多重特異性抗体を含む溶液は、約pH7でアフィニティークロマトグラフィー(例えば、プロテインAクロマトグラフィー)にロードされ、多重特異性抗体又は抗体アームは、約2.9のpHへの段階勾配によってアフィニティークロマトグラフィーから溶出される。
特定の実施態様では、溶出バッファーのpHは、段階勾配又は線形勾配によって、ローディングバッファー及び/又は洗浄バッファーから変化する。
特定の実施態様では、流量は、約50CV/時間未満、約40CV/時間未満、又は約30CV/時間未満である。流量は、約5CV/時間と50CV/時間の間、約10CV/時間と40CV/時間の間、又は18CV/時間と36CV/時間の間であり得る。特定の実施態様では、流量は、約9CV/時間、約18CV/時間、約25CV/時間、約30CV/時間、約36CV/時間、又は約40CV/時間のいずれかである。特定の実施態様では、流量は、約100cm/時間未満、約75cm/時間未満、又は約50cm/時間未満のいずれかである。特定の実施態様では、流量は、約25cm/時間と約150cm/時間の間、約25cm/時間と約100cm/時間の間、約50cm/時間と約100cm/時間の間、又は約65cm/時間と約85cm/時間の間のうちのいずれかであり得る。
床高さとは、使用されるクロマトグラフィー材料の高さである。特定の実施態様では、床高さは、約5cm、約10cm、約15cm、約20cm、約25cm、約30cm、約35cm、約40cm、約45cm、又は約50cmのうちのいずれかよりも大きい。特定の実施態様では、床高さは、約5cmと約50cmの間である。特定の実施態様では、床高さは、ロード中のポリペプチド又は汚染物質の量に基づいて決定される。
特定の実施態様では、クロマトグラフィーは、約1mL、約2mL、約3mL、約4mL、約5mL、約6mL、約7mL、約8mL、約9mL、約10mL、約15mL、約20mL、約25mL、約30mL、約40mL、約50mL、約75mL、約100mL、約200mL、約300mL、約400mL、約500mL、約600mL、約700mL、約800mL、約900mL、約1L、約2L、約3L、約4L、約5L、約6L、約7L、約8L、約9L、約10L、約25L、約50L、約100L、約200L、約300L、約400L、約500L、約600L、約700L、約800L、約900L、又は約1000Lよりも大きい容量を有するカラム又は容器内にある。
特定の実施態様では、画分がクロマトグラフィーから回収される。特定の実施態様では、回収される画分は、約0.01CV、約0.02CV、約0.03CV、約0.04CV、約0.05CV、約0.06CV、約0.07CV、約0.08CV、約0.09CV、約0.1CV、約0.2CV、約0.3CV、約0.4CV、約0.5CV、約0.6CV、約0.7CV、約0.8CV、0.9CV、約1.0CV、2.0CV、約3.0CV、約4.0CV、5.0CV、約6.0CV、約7.0CV、約8.0CV、約9.0CV、又は10.0CVよりも大きい。
特定の実施態様では、精製物、例えば、多重特異性抗体(二重特異性抗体など)を含有する画分は、プールされる、特定の非限定的な実施態様では、画分中のポリペプチドの量は、当業者によって決定することができる。例えば、限定されるものではないが、画分中のポリペプチドの量は、UV分光法によって決定することができる。特定の実施態様では、OD280が、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9及び約1.0のいずれかよりも大きいときに画分が回収される。特定の実施態様では、OD280が、約0.5と約1.0の間、約0.6と約1.0の間、約0.7と約1.0の間、約0.8と約1.0の間、又は約0.9と約1.0の間であるときに画分が回収される。特定の実施態様では、検出可能な多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)を含む画分がプールされる。
特定の実施態様では、不純物は産物特異的不純物である。例えば、限定するものではないが、産物特異的不純物には、対になっていない半抗体、対になっていない抗体軽鎖、対になっていない重鎖、誤対合抗体、抗体断片、ホモ二量体(例えば、同じ重鎖及び軽鎖を含む、二重特異性抗体の対になった半二量体)、凝集体、高分子量種(MHWS)(超高分子量種(vHMWS)等)、誤対合ジスルフィドを有する多重特異性抗体、軽鎖二量体、重鎖二量体、低分子量種(LMWS)、及び他のバリアントが含まれる。図2A及び2Bは、産物特異的不純物の図式的な例を示す。
特定の実施態様では、本開示は、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)及び不純物を含む組成物から、軽鎖誤対合多重特異性抗体のレベルを除去又は低減するための方法を提供する。特定の実施態様では、本開示は、組成物中の軽鎖誤対合抗体の存在又はレベルを測定する方法を提供する。例えば、限定するものではないが、軽鎖誤対合抗体は、質量分析、CE-SDS、逆相HPLC、HIC HPLCによって測定することができる。特定の実施態様では、1つ又は複数の精製工程から回収された組成物中の軽鎖誤対合抗体の量は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約99%(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれかよりも低減される。特定の実施態様では、1つ又は複数の精製工程から回収された組成物中の軽鎖誤対合抗体の量は、約10と約95%の間;約10%と約99%の間;約20%と約95%の間;約20%と約99%の間;約30%と約95%の間;約30%と約99%の間;約40%と約95%の間;約40%と約99%の間;約50%と約95%の間;約50%と約99%の間;約60%と約95%の間;約60%と約99%の間;約70%と約95%の間;約70%と約99%の間;約80%と約95%の間;約80%と約99%の間;約90%と約95%の間;又は約90%と約99%の間のいずれか低減される。
特定の実施態様では、多重特異性抗体は、クロマトグラフィーの後(例えば、マルチモードクロマトグラフィーの後)に濃縮される。特定の非限定的な実施態様では、例えば、濃縮方法は、限外ろ過及び透析ろ過(UFDF)を含む。特定の実施態様では、濃縮後の多重特異性抗体の濃度は、約10mg/mL、約20mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約110mg/mL、約120mg/mL、約130mg/mL、約140mg/mL、約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、約180mg/mL、約190mg/mL、約200mg/mL、又は約300mg/mLのいずれかである。特定の実施態様では、多重特異性抗体の濃度は、約10mg/mLと約20mg/mLの間、約20mg/mLと約30mg/mLの間、約30mg/mLと約40mg/mLの間、約40mg/mLと約50mg/mLの間、約50mg/mLと約60mg/mLの間、約60mg/mLと約70mg/mLの間、約70mg/mLと約80mg/mLの間、約80mg/mLと約90mg/mLの間、約90mg/mLと約100mg/mLの間、約100mg/mLと約110mg/mLの間、約110mg/mLと約120mg/mLの間、約120mg/mLと約130mg/mLの間、約130mg/mLと約140mg/mLの間、約140mg/mLと約150mg/mLの間、約150mg/mLと約160mg/mLの間、約160mg/mLと約170mg/mLの間、約170mg/mLと約180mg/mLの間、約180mg/mLと約190mg/mLの間、約190mg/mLと約200mg/mLの間、約200mg/mL、又は300mg/mLの間のいずれかである。
特定の実施態様では、本明細書に記載の方法は、精製されたポリペプチドと薬学的に許容される担体を組み合わせることをさらに含む。特定の実施態様では、多重特異性抗体は、限外濾過/透析濾過によって医薬製剤に製剤化される。
特定の実施態様では、本明細書で提供される方法は、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%のいずれかの純度を超える多重特異性抗体を含む組成物を生成する。特定の実施態様では、組成物中の多重特異性抗体は、約96%、約97%、約98%、又は約99%のいずれかの純度より高い。
特定の実施態様では、本明細書で提供される方法は、約0.1%以下、約0.2%以下、約0.3%以下、約0.4%以下、約0.5%以下、約0.6%以下、約0.7%以下、約0.8%以下、約0.9%以下、約1%以下、約1.5%以下、約2%以下、約2.5%以下、約3%以下、約3.5%以下、約4%以下、約4.5%以下、約5%以下、約5.5%以下、約6%以下、約6.5%以下、約7%以下、約7.5%以下、約8%以下、約8.5%以下、約9%以下、約9.5%以下、又は約10%以下のいずれかの誤対合抗体を含有する多重特異性抗体を含む組成物を生成する。
特定の実施態様では、本開示は、本明細書で開示される方法のいずれか1つによって精製された多重特異性抗体を含む組成物を提供する。特定の実施態様では、組成物中の多重特異性抗体は、約50%、約55%、約60%、約65%、70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%のいずれかの純度より高い。特定の実施態様では、組成物中の多重特異性抗体は、約96%、約97%、約98%、又は約99%のいずれかの純度より高い。特定の実施態様では、多重特異性抗体を含む組成物は、約0.1%、約0.2%、約0.3%, 0.4%、約0.5%以下、約0.6%以下、約0.7%以下、約0.8%以下、約0.9%以下、約1%以下、約1.5%以下、約2%以下、約2.5%以下、約3%以下、約3.5%以下、約4%以下、約4.5%以下、約5%以下、約5.5%以下、約6%以下、約6.5%以下、約7%以下、約7.5%以下、約8%以下、約8.5%以下、約9%以下、約9.5%以下、約10%以下のいずれかの誤対合抗体を含有する。
特定の実施態様では、本開示は、本明細書で開示される方法のいずれか1つによって精製された多重特異性抗体を含む組成物を提供する。特定の実施態様では、多重特異性抗体は、二重特異性抗体であり、ノブ・イン・ホール(KiH)抗体、例えば、KiH二重特異性抗体である。特定の実施態様では、多重特異性抗体は、多重特異性CrossMab抗体、例えば二重特異性CrossMab抗体である。
特定の実施態様では、本明細書で開示される方法は、組成物中の、宿主細胞タンパク質、浸出プロテインA、核酸、細胞培地成分、又はウイルス不純物の除去を含む。
多重特異性抗体
特定の非限定的な実施態様では、本開示は、多重特異性抗体、例えば多重特異性CrossMab抗体を精製するための方法を提供する。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。特定の実施態様では、多重特異性抗体は、同じ宿主細胞によって産生される。
特定の実施態様では、本開示は、多重特異性抗体を作製するための方法を含む。例えば、限定されないが、これらの技術は、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え共発現(Milstein and Cuello, Nature 305: 537 (1983)、国際公開第93/08829号、及びTraunecker et al., EMBO J. 10: 3655 (1991)を参照)、「ノブ・イン・ホール」操作(例えば、米国特許第5,731,168号)、及び「CrossMab」抗体(例えば、欧州特許第3126395B1号)を含む。多重特異抗体は、抗体のFc-ヘテロ二量体分子を作製するための静電ステアリング効果を操作すること(国際公開第2009/089004A1号);2つ以上の抗体又は断片を架橋すること(例えば米国特許第4676980号、及びBrennan et al., Science, 229: 81 (1985)を参照);二重特異性抗体を産生するためにロイシンジッパーを使用すること(例えば、Kostelny et al., J. Immunol., 148(5):1547-1553 (1992)を参照);二重特異性抗体断片を作製するために 「ダイアボディ」技術を使用すること(例えば、Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)を参照);及び一本鎖Fv(sFv)二量体を使用すること(例えば、Gruber et al., J. Immunol., 152:5368 (1994)を参照);及び三重特異性抗体を調製すること(例えば、Tutt et al., J. Immunol. 147: 60 (1991)を参照)によって作製することができる。
特定の実施態様では、多重特異性抗体は、国際公開第2009/080251号、同第2009/080252号、同第2009/080253号、同第2009/080254号、同第2010/112193号、同第2010/115589号、同第2010/136172号、同第2010/145792号、同第2010/145793号に記載されている。特定の実施態様では、多重特異性抗体は、「オクトパス抗体」(例えば、米国特許公開第2006/0025576A1号を参照)などの3つ以上の機能的抗原結合部位を含む。特定の実施態様では、多重特異性抗体は、第1のエピトープ(例えば、第1の抗原上)だけでなく、別の異なるエピトープ(例えば、第1の抗原上又は第2の異なる抗原上)に結合する抗原結合部位を含む「Dual Acting Fab」又は「Dual Action Fab」(DAF)である(例えば、米国特許公開第2008/0069820号;Bostrom et al. (2009) Science, 5921, 1610-1614を参照)。
従来、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)の組換え産生は、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現に基づいていてもよく、その場合、2つ以上の重鎖は異なる特異性を有する(Milstein and Cuello, Nature, 305: 537 (1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖のランダムな分類のために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、少なくとも10個の異なる抗体分子の混合物を産生する可能性があり、これらのうちの1つのみが正しい二重特異性構造を有する。通常はアフィニティークロマトグラフィー工程により行われる正しい分子の精製は面倒であり、生成物収率は低い。同様の手順が、1993年5月13日公開の国際公開第93/08829号、及びTraunecker et al., EMBO J., 10: 3655 (1991)に開示されている。
さらに、多重特異性抗体の産生には特有の課題がある。例えば、二重特異性抗体の産生には、それぞれ異なる重鎖及び異なる軽鎖を含む、2つの異なる重鎖/軽鎖サブユニットの二量体化が必要である。このように、二重特異性抗体の産生には、最大4本のペプチド鎖が適切に相互作用することが必要である。したがって、鎖の誤対合(例えば、同一の重鎖ペプチドのホモ二量化、又は重鎖/軽鎖の不適切な会合)がしばしば観察される。多重特異性抗体の誤対合バリアントは、誤った重鎖同士の対合、及び軽鎖と誤った対応部分の重鎖との対合、又は軽鎖の望ましくない対合を含む。
CrossMab抗体
本開示は、多重特異性CrossMab抗体を精製するための方法を提供する。CrossMab抗体は、軽鎖とその同種の重鎖の正しい会合が多重特異性抗体の少なくとも1つの抗原結合領域(Fab)のFab内の重鎖ドメイン及び軽鎖ドメインの交換によって達成される多重特異性(すなわち、少なくとも二重特異性)抗体であり、これらの少なくとも2つのFab断片において誤対合が回避されるように、少なくとも1つの他のFab断片においてそのような交換は行われない。二重特異性CrossMab抗体の場合、軽鎖とその同種の重鎖との正しい会合は、二重特異性抗体の一方の半分のFab断片内で重鎖と軽鎖のドメインを交換し、他方の半分は未結合のままであるか又は異なる交換を行うことにより達成される。
本明細書では、「CrossMab抗体」という用語は、重鎖及び軽鎖の可変領域及び/又は定常領域のいずれかが交換された多重特異性抗体(又はその適切な多重特異性断片)を指す。例えば、CrossMab抗体は、国際公開第2009/080252号、同第2009/080253号、同第2009/080251号、同第2009/080254号、同第2010/136172号、同第2010/145792号、及び同第2013/026831号で記載又は特許請求されているCrossMab抗体のうちのいずれかであり得る。「CrossMab」抗体という用語は、一般的に、当該技術分野で認識されている。例えば、Brinkmann, U. & Kontennann, R., MAbs 9(2): 182-212 (2017); Kontermann, R. & Brinkmann, U., Drug Discovery Today 20(7):838-846 (2015); Schaefer, W. et a , PNAS, 108 (201 1) 11187-1 191; Klein, C. et al., MAbs 8(6):10l0-l020 (2016); Klein, C. et al., MAbs 4(6):653-663 (2012)を参照のこと。
特定の実施態様では、多重特異性CrossMab抗体は、二重特異性二価CrossMab抗体である。二重特異性二価CrossMab抗体は、3つの異なる鎖組成のクロスオーバー抗体を含む。第1の組成では、抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメインが交換される。すなわち、抗体は、1つのFab領域に、軽鎖可変ドメイン(VL)及び重鎖定常ドメイン(CH1)で構成されるペプチド鎖と、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖定常ドメイン(CL)で構成されるペプチド鎖とを含む。第2の組成では、1つのFab領域における抗体の重鎖及び軽鎖の定常ドメインが交換され、抗体は、このFab領域に、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖定常ドメイン(CL)で構成されるペプチド鎖と、軽鎖可変ドメイン(VL)及び重鎖定常ドメイン(CH1)で構成されるペプチド鎖とを含む。第3の組成では、定常ドメイン及び可変ドメインを含む抗体の重鎖と、定数ドメイン及び可変ドメインを含む抗体の軽鎖とが交換されている。すなわち、抗体は、軽鎖可変ドメイン(VH)及び重鎖定数ドメイン(VL)で構成されるペプチド鎖と、重鎖可変ドメイン(VL)及び軽鎖定数ドメイン(CH1)で構成されるペプチド鎖とを含む。
特定の実施態様では、CrossMab抗体はモノクローナル抗体である。特定の実施態様では、CrossMab抗体は、その機能的断片、すなわちその多重特異性を保持する断片を含む。
特定の実施態様では、本開示は、多重特異性CrossMab抗体をその誤対合バリアントから精製するための方法を提供する。本明細書で使用する場合、「その誤対合バリアント」という用語は、CrossMab抗体に関して上述したように、ドメインを交換した重鎖と少なくとも1つの誤った軽鎖が対合している多重特異性CrossMab抗体を指す。例えば、限定されないが、前記バリアントの少なくとも1つの軽鎖は、その相補的な重鎖と対合しない。例えば、CL及びVLを含む「非修飾」軽鎖は、CH1及びVLを有する「非修飾」重鎖と誤対合するか、又はCH1及びVLを含む「非修飾」軽鎖は、CH1及びVHを有する「非修飾」重鎖と誤対合する、などである。CrossMab抗体に関して使用される場合、「相補的」ドメインとは、通常対になっている重鎖ドメイン及び軽鎖ドメインのことである。また「非相補的」ドメインとは、重鎖ドメインと軽鎖ドメインとが誤って対になっていることである。例えば、限定されないが、重鎖ドメインと軽鎖のドメインの対の誤った軽鎖は、軽鎖の可変ドメイン及び/又は定常ドメインが交換されているのに対して重鎖では重鎖の可変ドメイン及び/又は定常が交換されていない軽鎖を指す場合がある。別の例として、重鎖ドメインと軽鎖ドメインの誤対合は、軽鎖の可変ドメイン及び/又は定常ドメインが交換されておらず、重鎖の可変ドメイン及び/又は定常ドメインが交換されている状況を指す場合がある。本明細書で使用する場合、「非相補的」という用語は、1つの軽鎖又はその断片が欠落している抗体など(これに限定されない)、不完全に組み立てられた抗体を意味しない。特定の非限定的な実施態様では、例えば、その誤対合バリアントは、1つ又は複数の軽鎖が非相補的な重鎖と対合している、多重特異性CrossMab抗体のバリアントである。
特定の実施態様では、多重特異性CrossMab抗体は、二重特異性、三重特異性、又は四重特異性抗体である。特定の実施態様では、多重特異性CrossMab抗体は、2つ、3つ、又は4つの特異的抗原結合部位を有する。特定の実施態様では、多重特異性CrossMab抗体は一価である。特定の実施態様では、多重特異性CrossMab抗体は二価である。
特定の実施態様では、多重特異性CrossMab抗体は、Fc断片を含む。Fc断片の存在は、限定されるものではないが、プロテインA、プロテインG、又はプロテインA/GなどのFc結合部位を使用して、多重特異性抗体の精製を可能にする。特定の実施態様では、多重特異性CrossMab抗体は、IgG、IgE、IgM、IgA、又はIgYであり得る。特定の実施態様では、多重特異性CrossMab抗体はIgGである。特定の実施態様では、多重特異性抗体のFc断片は、第1のFc断片サブユニットと第2のFc断片サブユニットの会合を促進する修飾を含む。特定の実施態様では、修飾は、第1のFc断片サブユニットにおけるものである。特定の実施態様では、修飾は、第2のFc断片サブユニットにおけるものである。特定の実施態様では、修飾は、第1のFc断片サブユニット及び第2のFc断片サブユニットにおけるものである。特定の実施態様では、修飾は、Fc断片のCH3ドメインにおけるものである。特定の非限定的な実施態様では、第1及び第2のCH3ドメインの修飾は、Fc断片の正しいヘテロ二量化を可能にする。特定の実施態様では、修飾された第1のCH3ドメインは、立体的相補性によって、修飾された第2のCH3ドメインとヘテロ二量化する。
特定の実施態様では、修飾は、「ノブ・イントゥ・ホール」修飾である。特定の実施態様では、第1のFc断片はノブ変異を含み、第2のFc断片はホール変異を含む。特定の実施態様では、第1のFc断片はホール変異を含み、第2のFc断片はノブ変異を含む。
宿主細胞
本開示は、宿主細胞で発現した多重特異性抗体を精製するための方法を提供する。特定の実施態様では、宿主細胞は、細菌、酵母、若しくは他の真菌細胞、昆虫細胞、植物細胞、又は哺乳動物細胞である。特定の実施態様では、宿主細胞は、多重特異性抗体を産生するように遺伝的に改変された。
特定の実施態様では、宿主細胞は、原核生物(例えば、グラム陰性又はグラム陽性微生物)である。例えば、限定されるものではないが、宿主細胞は、大腸菌、枯草菌、バチルス・リケニフォルミス(B. licheniformis)、又は緑膿菌である。特定の実施態様では、宿主細胞は最小量のタンパク質分解酵素を分泌する。特定の実施態様では、宿主細胞(例えば、大腸菌宿主細胞)は、抗体の折り畳み及び組み立てを促進するために、1つ又は複数のシャペロンを発現する。特定の実施態様では、シャペロンは、FkpA、DsbA、又はDsbCのうちの1つ又は複数である。特定の実施態様では、シャペロンは、内因性シャペロン遺伝子から発現する。特定の実施態様では、シャペロンは、外来性シャペロン遺伝子から発現する。特定の実施態様では、シャペロン遺伝子は、大腸菌シャペロン遺伝子(例えば、大腸菌FkpA遺伝子、大腸菌DsbA遺伝子及び/又は大腸菌DsbC遺伝子)である。
特定の実施態様では、原核生物宿主細胞は、発現ベクターで形質転換され、多重特異性抗体の発現を促進するために培養される。
特定の実施態様では、宿主細胞は真核生物である。例えば、限定されないが、宿主細胞は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、アカパンカビ(Neurospora crassa)、又はクロコウジカビ(A. niger)である。特定の実施態様では、真核宿主細胞は、哺乳動物細胞である。特定の非限定的な実施態様では、哺乳動物宿主細胞は、CHO細胞、COS-7細胞、HEK 293細胞、BHK細胞、VERO-76細胞、HELA細胞、HepG2細胞、又はW138細胞である。特定の実施態様では、真核生物宿主細胞は、発現ベクターで形質転換され、多重特異性抗体の発現を促進するために培養される。特定の非限定的な実施態様では、本開示は、多重特異性抗体を産生及び精製するための方法を提供する。特定の実施態様では、多重特異性抗体は、半抗体を別々に産生することによって産生され、各半抗体は、特定のエピトープ(例えば、単一の標的上の異なるエピトープ、又は2つ以上の標的上の異なるエピトープ)を結合するVH/VL単位を含む。特定の実施態様では、各半抗体は、宿主細胞中で別々に産生される。特定の実施態様では、半抗体のそれぞれは、同じ宿主細胞中で産生される。特定の実施態様では、半抗体のそれぞれは、同じ宿主細胞中で一緒に産生される。
抗原/標的分子
本開示は、様々な分子を標的とすることができる多重特異性抗体を精製するための方法を提供する。特定の実施態様では、本明細書に開示される方法によって精製された多重特異性抗体は、サイトカイン、サイトカイン関連タンパク質、又はサイトカイン受容体を標的化することができる。例えば、限定されないが、多重特異性抗体は、8MPI、8MP2、8MP38(GDFIO)、8MP4、8MP6、8MP8、CSFI(M-CSF)、CSF2(GM-CSF)、CSF3(G-CSF)、EPO、FGF1(aFGF)、FGF2((FGF)、FGF3(int-2)、FGF4(HST)、FGFS、FGF6(HST-2)、FGF7(KGF)、FGF9、FGF1 0、FGF11、FGF12、FGF12B、FGF14、FGF16、FGF17、FGF19、FGF20、FGF21、FGF23、IGF1、IGF2、IFNA1、IFNA2、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFN81、IFNG、IFNWI、FEL1、FEL1(EPSELON)、FEL1(ZETA)、IL1A、IL1B、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL1 0、IL 11、IL 12A、IL 12B、IL 13、IL 14、IL 15、IL 16、IL 17、IL 17B、IL 18、IL 19、IL20、IL22、IL23、IL24、IL25、IL26、IL27、IL28A、IL28B、IL29、IL30、IL33、PDGFA、PDGFB、TGFA、TGFB1、TGFB2、TGFBb3、LTA(TNF-()、LTB、TNF(TNF-a)、TNFSF4(0X40リガンド)、TNFSF5(CD40リガンド)、TNFSF6(FasL)、TNFSF7(CD27リガンド)、TNFSF8(CD30リガンド)、TNFSF9(4-1 BBリガンド)、TNFSF10(TRAIL)、TNFSF11(TRANCE)、TNFSF12(APO3L)、TNFSF13(April)、TNFSF13B、TNFSF14(HVEM-L)、TNFSF15(VEGI)、TNFSF18、HGF(VEGFD)、VEGF、VEGFB、VEGFC、IL1R1、IL1R2、IL1RL1、IL1RL2、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3RA、IL4R、IL5RA、IL6R、IL7R、IL8RA、IL8RB、IL9R、IL10RA、IL10RB、IL 11RA、IL12RB1、IL12RB2、IL13RA1、IL13RA2、IL15RA, IL17R、IL18R1、IL20RA、IL21R、IL22R、IL1HY1、IL1RAP、IL1RAPL1、IL1RAPL2、IL1RN、IL6ST、IL18BP、IL18RAP、IL22RA2、AIF1、HGF、LEP(レプチン)、PTN、及びTHPOを標的化することができる。
特定の実施態様では、本明細書に開示される方法によって精製された多重特異性抗体は、ケモカイン、ケモカイン受容体、又はケモカイン関連タンパク質を標的化することができる。例えば、限定されないが、多重特異性抗体は、CCL1(1-309)、CCL2(MCP -1/MCAF)、CCL3(MIP-1a)、CCL4(MIP-1(3)、CCLS(RANTES)、CCL7(MCP-3)、CCL8(mcp-2)、CCL11(エオタキシン)、CCL13(MCP-4)、CCL15(MIP-IS)、CCL16(HCC-4)、CCL17(TARC)、CCL18(PARC)、CCL19(MDP-3b)、CCL20(MIP-3a)、CCL21(SLC/エクソダス-2)、CCL22(MDC/STC-1)、CCL23(MPIF-1)、CCL24(MPIF-2 /エオタキシン-2)、CCL25(TECK)、CCL26(エオタキシン-3)、CCL2?(CTACK/ILC)、CCL28、CXCLI(GROI)、CXCL2(GR02)、CXCL3(GR03)、CXCLS(ENA-78)、CXCL6(GCP-2)、CXCL9(MIG)、CXCL10(IP 10)、CXCL11(1-TAC)、CXCL12(SDFI)、CXCL13、CXCL14、CXCL16、PF4(CXCL4)、PPBP(CXCL7)、CX3CL1(SCYDI)、SCYEI、XCLI(リンホタクチン)、XCL2(SCM-I(3)、BLRI(MDR15)、CCBP2(D6/JAB61 )、CCR1(CKRI/HM145)、CCR2(mcp-IRB IRA)、CCR3(CKR3/CMKBR3)、CCR4、CCRS(CMKBR5/ChemR13)、CCR6(CMKBR6/CKR-L3/STRL22/DRY6)、CCRI(CKR7/EBII)、CCR8(CMKBR8/TERUCKR- L1)、CCR9(GPR-9-6)、CCRL1(VSHK1)、CCRL2(L-CCR)、XCR1(GPR5/CCXCR1)、CMKLR1、CMKOR1(RDC1)、CX3CR1(V28)、CXCR4、GPR2(CCR10)、GPR31、GPR81(FKSG80)、CXCR3(GPR9/CKR-L2)、CXCR6(TYMSTR/STRL33/Bonzo)、HM74、IL8RA(IL8Ra)、IL8RB(IL8R()、LTB4R(GPR16)、TCP10、CKLFSF2、CKLFSF3、CKLFSF4、CKLFSFS、CKLFSF6、CKLFSF7、CKLFSF8、BDNF、C5R1、CSF3、GRCC10(C10)、EPO、FY(DARC)、GDFS、HDF1、HDFla、DL8、PRL、RGS3、RGS13、SDF2、SLIT2、TLR2、TLR4、TREM1、TREM2、及びVHLを標的化することができる。
特定の非限定的な実施態様では、例えば、本明細書で開示される方法によって精製された多重特異性抗体は、ABCF1、ACVR1、ACVR1B、ACVR2、ACVR2B、ACVRL1、ADORA2A、Aggrecan、AGR2、AICDA、AIF1、AIG1、AKAP1、AKAP2、AMH、AMHR2、ANGPTL、ANGPT2、ANGPTL3、ANGPTL4、ANPEP、APC、APOC1、AR、AZGP1(亜鉛-a-糖タンパク質)、B7.1、B7.2、BAD、BAFF(BLys)、BAG1、BAIl、BCL2、BCL6、BDNF、BLNK、BLRI(MDR15)、BMP1、BMP2、BMP3B(GDF10)、BMP4、BMP6、BMP8、BMPR1A、BMPR1B、BMPR2、BPAG1(プレクチン)、BRCAl、Cl9orf10(IL27w)、C3、C4A、C5、C5R1、CA125、CA15-3、CA19-9、CANT1、CASP1、CASP4、CAV1、CCBP2(D6/JAB61)、CCL1(1-309)、CCL11(エオタキシン)、CCL13(MCP-4)、CCL15(MIP18)、CCL16(HCC-4)、CCL17(TARC)、CCL18(PARC)、CCL19(MIP-3(3)、CCL2(MCP-1)、MCAF、CCL20(MIP-3a)、CCL21(MTP-2)、SLC、エクソダス-2、CCL22(MDC/STC-1)、CCL23(MPIF-1)、CCL24(MPIF-2/エオタキシン-2)、CCL25(TECK)、CCL26(エオタキシン-3)、CCL2?(CTACK/ILC)、CCL28、CCL3(MTP-Ia)、CCL4(MDP-I(3)、CCL5(RANTES)、CCL7(MCP-3)、CCL8(mcp-2)、CCNAl、CCNA2、CCND1、CCNE1、CCNE2、CCR1(CKRI /HM145)、CCR2(mcp-IR(3/RA)、CCR3(CKR/ CMKBR3)、CCR4、CCR5(CMKBR5/ChemR13)、CCR6(CMKBR6/CKR-L3/STRL22/DRY6)、CCR7(CKBR7/EBI1)、CCR8(CMKBR8/TERUCKR-L1)、CCR9(GPR-9-6)、CCRL1(VSHK1)、CCRL2(L-CCR)、CD11a、CD13、CD164、CD19、CD1C、CD20、CD200、CD22、CD23、CD24、CD28、CD3、CD30、CD31、CD33、CD34、CD35、CD37、CD38、CD39、CD3E、CD3G、CD3Z、CD4、CD40、CD40L、CD41、CD44、LCA/CD45、CD45RA、CD45RB、CD45RO、CD5、CD52、CD69、CD7、CD71、CD72、CD74、CD79A、CD79B、CD8、CD80、CD81、CD83、CD86、CD95/Fas、CD99、CD100、CD106、CDH1(E-カドヘリン)、CD9/p24、CDH10、CD11a、CD11c、CD13、CD14、CD19、CD20、CDH12、CDH13、CDH18、CDH19、CDH2O、CDH5、CDH7、CDH8、CDH9、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK9、CDKN1A(p21/WAF1/Cipl)、CDKN1B(p27/Kipl)、CDKN1C、CDKN2A(P16INK4a)、CDKN2B、CDKN2C、CDKN3、CEA、CEBPB、CER1、CHGA、CHGB、Chitinase、CHST10、CKLFSF2、CKLFSF3、CKLFSF4、CKLFSF5、CKLFSF6、CKLFSF7、CKLFSF8、CLDN3、CLDN7(クローディン-7)、CLN3、CLU(クラステリン)、C-MET、CMKLR1、CMKOR1(RDC1)、CNR1、COL 18A1、COL1A1、COL4A3、COL6A1、CR2、CRP、CSFI(M-CSF)、CSF2(GM-CSF)、CSF3(GCSF)、CTLA4、CTNNB1(b-カテニン)、CTSB(カテプシンB)、CTSD(カテプシンD)、CX3CL1(SCYDI)、CX3CR1(V28)、CXCL1(GRO1)、CXCL10(IP-10)、CXCL11(I-TAC/IP-9)、CXCL12(SDF1)、CXCL13、CXCL14、CXCL16、CXCL2(GRO2)、CXCL3(GRO3)、CXCL5(ENA-78/LIX)、CXCL6(GCP-2)、CXCL9(MIG)、CXCR3(GPR9/CKR-L2)、CXCR4、CXCR6(TYMSTR/STRL33/Bonzo)、CYB5、CYCl、CYSLTR1、サイトケラチン、DAB2IP、DES、DKFZp451J0118、DNCLI、DPP4、E2F1、ECGF1、EDG1、EFNAl、EFNA3、EFNB2、EGF、EGFR、ELAC2、ENG、ENO1、ENO2、ENO3、EPHB4、EPO、ERBB2(Her-2)、EREG、ERK8、ESR1、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、ESR2、F3(TF)、FADD、FasL、FASN、FCER1A、FCER2、FCGR3A、FGF、FGF1(aFGF)、FGF10、FGF11、FGF12、FGF12B、FGF13、FGF14、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF2(bFGF)、FGF20、FGF21、FGF22、FGF23、FGF3(int-2)、FGF4(HST)、FGF5、FGF6(HST-2)、FGF7(KGF)、FGF8、FGF9、FGFR1、FGFR3、FIGF(VEGFD)、FELL(EPSILON)、フィブリン、FIL1(ZETA)、FLJ12584、FLJ25530、FLRTI(フィブロネクチン)、FLT1、FOS、FOSL1(FRA-1)、FY(DARC)、GABRP(GABAa)、GAGEB1、GAGEC1、GALNAC4S-6ST、GATA3、GDF5、GFIl、GGT1、GM-CSF、GNASI、GNRHI、GPR2(CCR10)、GPR31、GPR44、GPR81(FKSG80)、GRCCIO(C10)、GRP、GSN(ゲルソリン)、GSTP1、HAVCR2、HDAC4、HDAC5、HDAC7A、HDAC9、HGF、HIF1A、HOPI、ヒスタミン及びヒスタミン受容体、HLA-A、HLA-DRA、HM74、HMOXI、HPVタンパク質、HUMCYT2A、ICEBERG、ICOSL、1D2、IFN-a、IFNA1、IFNA2、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNB1、IFNガンマ、ITGB7、DFNW1、IGBP1、IGF1、IGF1R、IGF2、IGFBP2、IGFBP3、IGFBP6、IL-1、IL1O、IL1ORA、IL1ORB、IL11、IL11RA、IL-12、IL12A、IL12B、IL12RB1、IL12RB2、IL13、IL13RAl、IL13RA2、IL14、IL15、IL15RA、IL16、IL17、IL17B、IL17C、IL17R、IL18、IL18BP、IL18R1、IL18RAP、IL19、ILIA、IL1B、IL1F1O、IL1F5、IL1F6、IL1F7、IL1F8、IL1F9、IL1HY1、IL1R1、IL1R2、IL1RAP、IL1RAPL1、IL1RAPL2、IL1RL1、IL1RL2、ILIRN、IL2、IL20、IL20RA、IL21 R、IL22、IL22R、IL22RA2、IL23、IL24、IL25、IL26、IL27、IL28A、IL28B、IL29、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3、IL30、IL3RA、IL33、IL4、IL4R、IL5、IL5RA、IL6、IL6R、IL6ST(糖タンパク質130)、P-糖タンパク質、EL7、EL7R、EL8、IL8RA、DL8RB、IL8RB、DL9、DL9R、DLK、INHA、INHBA、INSL3、INSL4、IRAK1、ERAK2、ITGA1、ITGA2、ITGA3、ITGA6(a6インテグリン)、ITGAV、ITGB3、ITGB4(b4インテグリン)、JAG1、JAK1、JAK3、JUN、K6HF、KAII、KDR、ケラチン、KITLG、KLF5(GC Box BP)、KLF6、KLKIO、KLK12、KLK13、KLK14、KLK15、KLK3、KLK4、KLK5、KLK6、KLK9、KRT1、KRT19(Keratin 19)、KRT2A、KHTHB6(毛髪特異型Hケラチン)、カッパ軽鎖、ラムダ軽鎖、LAMAS、LEP(レプチン)、Lingo-p75、Lingo-Troy、LPS、LTA(TNF-b)、LTB、LTB4R(GPR16)、LTB4R2、LTBR、LEWIS-xMACMARCKS、MAG又はOmgp、MAP2K7(c-Jun)、MDK、MIB1、メラノソームタンパク質、ミッドカイン、MEF、MIP-2、MKI67、(Ki-67)、MMP2、MMP9、MS4A1、MSMB、MT3(メタロチオネクチン-111)、MTSS1、MUC1(ムチン)、MYC、MY088、NCK2、ニューロカン、NFKB1、NFKB2、NGFB(NGF)、NGFR、NgR-Lingo、NgR- Nogo66(Nogo)、NgR-p75、NgR-Troy、NME1(NM23A)、NOX5、NPPB、NR0B1、NROB2、NR1D1、NR1D2、NR1H2、NR1H3、NR1H4、NR112、NR113、NR2C1、NR2C2、NR2E1、NR2E3、NR2F1、NR2F2、NR2F6、NR3C1、NR3C2、NR4A1、NR4A2、NR4A3、NR5A1、NR5A2、NR6A1、NRP1、NRP2、NT5E、NTN4、ODZI、OPRD1、P2RX7、PAP、PART1、PATE、PAWR、PCA3、PCNA、POGFA、POGFB、PECAM1、PF4(CXCL4)、PGF、PGR、ホスファカン、PIAS2、PIK3CG、PLAU(uPA)、PLG、PLXDC1、PPBP(CXCL7)、PPID、PRI、PRKCQ、PRKDI、PRL、PROC、PROK2、PSA、PSAP、PSCA、PTAFR、PTEN、PTGS2(COX-2)、PTN、p53、RAC2(p21 Rac2)、RAS、Rb、RARB、RGSI、RGS13、RGS3、RNF110(ZNF144)、ROBO2、S100A2、SCGB1D2(リポフィリンB)、SCGB2A1(マンマグロビン2)、SCGB2A2(マンマグロビン1)、SCYEI(内皮性単球活性化サイトカイン)、S-100 SDF2、SERPINAl、SERPINA3、SERP1NB5(マスピン)、SERPINE1(PAI-1)、SERPDMF1、SHBG、SLA2、SLC2A2、SLC33A1、SLC43A1、SLIT2、SPPI、SPRR1B(Sprl)、ST6GAL1、STABI、STATE、STEAP、STEAP2、TB4R2、TBX21、TCPIO、TOGFI、TEK、TGFA、TGFBI、膜貫通又は細胞表面腫瘍特異的抗原(TAA)、例えば、米国特許第7,521,541号に記載のTAA、TAU、TGFB1II、TGFB2、TGFB3、TGFBI、TGFBRI、TGFBR2、TGFBR3、THIL、THBSI(トロンボスポンジン-1 )、THBS2、THBS4、THPO、TIE(Tie-1 )、TMP3、組織因子、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、Tn抗原TNF、TNF-a、TNFAEP2(B94 )、TNFAIP3、TNFRSFIIA、TNFRSF1A、TNFRSF1B、TNFRSF21、TNFRSF5、TNFRSF6(Fas)、
TNFRSF7、TNFRSF8、TNFRSF9、TNFSF10(TRAIL)、TNFSF11(TRANCE)、TNFSF12(AP03L)、TNFSF13(April)、TNFSF13B、TNFSF14(HVEM-L)、TNFSF15(VEGI)、TNFSF18、TNFSF4(0X40リガンド)、TNFSF5(CD40リガンド)、TNFSF6(Fast)、TNFSF7(CD27リガンド)、TNFSFS(CD30リガンド)、TNFSF9(4-1 BBリガンド)、TOLLIP、Toll様受容体、TOP2A(トポイソメラーゼEa)、TP53、TPM1、TPM2、TRADD、TRAF1、TRAF2、TRAF3、TRAF4、TRAFS、TRAF6、TREM1、TREM2、TRPC6、TSLP、TWEAK、ユビキチン、VEGF、VEGFB、VEGFC、ベルシカン、VHL C5、ビメンチン、VLA-4、XCL1(リンホタクチン)、XCL2(SCM-1b)、XCRI(GPRS/ CCXCRI)、Yy1、及びZFPM2を標的化することができる。
特定の非限定的な実施態様では、例えば、本明細書で開示される方法によって精製された多重特異性抗体は、CDタンパク質、例えば、EGF受容体、HER2、HER3又はHER4受容体などのErbB受容体ファミリーのCD3、CD4、CD8、CD16、CD19、CD20、CD34、CD64、CD200メンバー、細胞接着分子、例えば、LFA-1、Macl、p150.95、VLA-4、ICAM-1、VCAM、アルファ4/ベータ7インテグリン、及びアルファv/ベータ3インテグリン(それらのアルファ又はベータサブユニットを含む)(例えば、抗CD11、抗CD18、又は抗CD11b抗体)、増殖因子、例えば、VEGF(VEGF-A)、FGFR、Angl、KLB、VEGF-C、組織因子(TF)、アルファインターフェロン(アルファIFN)、TNFアルファ、インターロイキン、例えば、IL-1ベータ、IL-3、IL-4、IL-5、IL-S、IL-9、IL-13、IL 17 AF、IL-1S、IL13、IL-13Rアルファl、IL13Rアルファ2、IL14 IL-4R、IL-5R、IL-9R、IgE、血液型抗原、flk2/flt3受容体、肥満(OB)受容体、mpl受容体、CTLA-4、RANKL、RANK、RSV Fタンパク質、プロテインC、BR3等を標的化することができる。
特定の非限定的な実施態様では、例えば、本明細書で開示される方法によって精製された多重特異性抗体は、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質(LRP)-1又はLRP-8又はトランスフェリン受容体、及び1) ベータ-セクレターゼ(BACE1又はBACE2)、2) アルファ-セクレターゼ、3) ガンマ-セクレターゼ、4) タウ-セクレターゼ、5) アミロイド前駆体タンパク質(APP)、6) デスレセプター6(DR6)、7) アミロイドベータペプチド、8) α-シヌクレイン、9) パーキン、10) ハンチンチン、11)p75 NTR、及び12) カスパーゼ-6からなる群より選択される少なくとも一つの標的を標的化することができる。
特定の非限定的な実施態様では、例えば、本明細書で開示される方法によって精製された多重特異性抗体は、以下からなる群より選択される少なくとも2つの標的分子を標的化することができる:IL-1アルファ及びIL- 1ベータ、IL-12及びIL-1S、IL-13及びIL-9、IL-13及びIL-4、IL-13及びIL-5、IL-5及びIL-4、IL-13及びIL-lベータ、IL-13及びIL- 25、IL-13及びTARC、IL-13及びMDC、IL-13及びMEF、IL-13及びTGF、IL-13及びLHRアゴニスト、IL-12及びTWEAK、IL-13及びCL25、IL-13及びSPRR2a、IL-13及びSPRR2b、IL-13及びADAMS、IL-13及びPED2、IL13及びIL17、IL13及びIL4、IL13及びIL33、IL17A及びIL 17F、CD3及びCD19、CD138及びCD20、CD138及びCD40、CD19及びCD20、CD20及びCD3、CD3S及びCD13S、CD3S及びCD20、CD3S及びCD40、CD40及びCD20、CD-S及びIL-6、CD20及びBR3、TNFアルファ及びTGF-ベータ、TNFアルファ及びIL-1ベータ、TNFアルファ及びIL-2、TNFアルファ及びIL-3、TNFアルファ及びIL-4、TNFアルファ及びIL-5、TNFアルファ及びIL6、TNFアルファ及びIL8、TNFアルファ及びIL-9、TNFアルファ及びIL-10、TNFアルファ及びIL-11、TNFアルファ及びIL-12、TNFアルファ及びIL-13、TNFアルファ及びIL-14、TNFアルファ及びIL-15、TNFアルファ及びIL-16、TNFアルファ及びIL-17、TNFアルファ及びIL-18、TNFアルファ及びIL-19、TNFアルファ及びIL-20、TNFアルファ及びIL-23、TNFアルファ及びIFNアルファ、TNFアルファ及びCD4、TNFアルファ及びVEGF、TNFアルファ及びMIF、TNFアルファ及びICAM-1、TNFアルファ及びPGE4、TNFアルファ及びPEG2、TNFアルファ及びRANKリガンド、TNFアルファ及びTe38、TNFアルファ及びBAFF、TNFアルファ及びCD22、TNFアルファ及びCTLA-4、TNFアルファ及びGP130、TNF a及びIL-12p40、FGFR1及びKLB,VEGF及びHER2、VEGF-A及びHER2、VEGF-A及びPDGF、HER1及びHER2、VEGFA及びANG2、VEGF-A及びVEGF-C、VEGF-C及びVEGF-D、HER2及びDRS、VEGF及びIL-8、VEGF及びMET、VEGFR及びMET受容体、EGFR及びMET、VEGFR及びEGFR、HER2及びCD64、HER2及びCD3、HER2及びCD16、HER2及びHER3、EGFR(HER1)及びHER2、EGFR及びHER3、EGFR及びHER4、IL-14及びIL-13、IL-13及びCD40L、IL4及びCD40L、TNFR1及びIL-1 R、TNFR1及びIL-6R及びTNFR1及びIL-18R、EpCAM及びCD3、MAPG及びCD28、EGFR及びCD64、CSPGs及びRGM A、CTLA-4及びBTN02、IGF1及びIGF2、IGF1/2及びErb2B、MAG及びRGM A、NgR及びRGM A、NogoA及びRGM A、OMGp及びRGM A、POL-1及びCTLA-4、及びRGM A及びRGM B。
製剤及び製剤の作製方法
本開示は、本明細書に記載される方法によって精製された多重特異性抗体を含む製剤、及びその製剤の製造方法を作製する方法を提供する。例えば、精製されたポリペプチド(例えば、多重特異性抗体)は、薬学的に許容される担体と組み合わせることができる。
いくつかの実施態様では、ポリペプチド製剤は、所望の純度を有するポリペプチドを、任意の薬学的に許容される担体、添加物、又は安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition、Osol、A.Ed.(1980))と混合することによって、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で保存用に調製され得る。
本明細書で使用される「担体」には、薬学的に許容可される担体、添加物、又は安定剤が含まれ、それらは、用いられる投与量及び濃度でそれらに曝露されている細胞又は哺乳動物にとって無毒である。多くの場合、生理学的に許容される担体は、pH緩衝水溶液である。
許容される担体、添加物、又は安定剤には、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに対して無毒であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルバラベンなどのアルキルパラべン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン若しくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース若しくはデキストリンを含むその他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース若しくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);並びに/又はTWEENTM、PLURONICSTM若しくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。
いくつかの実施態様では、ポリペプチド製剤中のポリペプチドは、機能的活性を維持する。
インビボ投与のために使用される製剤は、滅菌性である必要がある。これは、滅菌濾過膜による濾過によって容易に達成される。
本明細書の製剤は、治療されている特定の適応症に対して必要な2つ以上の活性化合物、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有する活性化合物を含有してもよい。例えば、ポリペプチドに加えて、一つの製剤に別のポリペプチド(例えば、抗体)を含めることが望ましい。代替的に、又は追加的に、組成物は、化学治療剤、細胞傷害性薬剤、サイトカイン、成長阻害剤、抗ホルモン剤、及び/又は心臓保護剤をさらに含み得る。そのような分子は、意図される目的に有効な量で組み合わせて適切に存在する。
製造品
本開示は、本明細書に記載される方法によって精製された多重特異性抗体及び/又は本明細書に記載される方法によって精製されたポリペプチドを含む製剤を含む製造品を提供する。製品は、ポリペプチド及び/又はポリペプチド製剤を含む容器を含み得る。特定の実施態様では、製造品は、(a)本明細書に記載のポリペプチド及び/又はポリペプチド製剤を含む組成物を容器内に含む容器と、(b)対象に製剤を投与するための指示を有する添付文書と含む。
特定の実施態様では、製造品は、容器、及び容器についての又は容器に関連するラベル又は添付文書を含む。適切な容器は、例えばボトル、バイアル、シリンジなどを含む。容器はガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。容器は、製剤を保持又は収容し、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能なストッパーを有する静脈用溶液袋又はバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性物質はポリペプチドである。ラベル又は添付文書は、提供されているポリペプチド及び任意の他の薬物の投与量及び間隔についての具体的な指示により、本組成物が対象において使用されることを示す。製品は、他のバッファー、希釈剤、フィルタ、針、及びシリンジを含む、商業的観点及び使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含み得る。いくつかの実施態様では、容器は、シリンジである。いくつかの実施態様では、シリンジは、注入デバイス内にさらに収容される。いくつかの実施態様では、注入デバイスは、自己注入器である。
「添付文書」は、治療薬の市販のパッケージに通例含まれる指示書を指すように使用され、指示書には、適応症、使用法、投薬量、投与、禁忌、パッケージ製品と組み合わされる他の治療薬、及び/又はそのような治療薬の使用に関する警告についての情報が含まれる。
本書で開示される主題の例示的な実施態様
特定の実施態様では、本開示は、多重特異性抗体を精製するための方法であって:多重特異性抗体及びその誤対合バリアントを含む組成物を、誤対合バリアントが多重特異性抗体と比べてマルチモードクロマトグラフィー材料に優先的に結合する条件下で、マルチモードクロマトグラフィー材料と接触させることであって、多重特異性抗体が:第1の抗原に特異的に結合する第1の抗原結合領域であって、第1の抗原に結合する抗体の軽鎖及び重鎖を含む、第1の抗原結合領域と、第2の抗原に特異的に結合する第2の抗原結合領域であって、第2の抗原に結合する抗体の軽鎖及び重鎖を含み、第2の抗原結合領域において可変ドメインVL及びVHが互いに置き換えられている、第2の抗原結合領域とを含み;その誤対合バリアントが:第1の抗原に結合する抗体の重鎖と、第2の抗原に結合する抗体の重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖定常ドメイン(CL)を含むペプチドとを含む、第1の抗原結合領域と、第2の抗原に結合する抗体の軽鎖及び重鎖を含む第2の抗原結合領域であって、第2の抗原結合領域において可変ドメインVL及びVHが互いに置き換えられている、第2の抗原結合領域とを含み;マルチモードクロマトグラフィー材料が:アニオン交換が可能な官能基と、疎水性相互作用が可能な官能基とを含む、組成物をマルチモードクロマトグラフィー材料と接触させることと;多重特異性抗体及び減少した量のその誤対合バリアントを含む溶出物を回収することとを含む、方法を対象とする。
本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、疎水性相互作用が可能な官能基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基、ベンジル基、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、疎水性相互作用が可能な官能基はベンジル基を含む。
本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、アニオン交換が可能な官能基は、正に帯電した基を含む。本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、正に帯電した基は、四級アンモニウムイオンである。
本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、マルチモードクロマトグラフィー材料は、N-ベンジル-N-メチルエタノールアミンを含む。
本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、マルチモードクロマトグラフィー材料は、CaptoTMAdhere樹脂を含む。
本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、マルチモードクロマトグラフィー材料は、CaptoTMAdhere ImpRes樹脂を含む。
本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、マルチモードクロマトグラフィーの溶出は、勾配溶出である。本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、勾配溶出はpH勾配を含む。
本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、方法は、捕捉クロマトグラフィー工程を含む。本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、捕捉クロマトグラフィー工程は、アフィニティークロマトグラフィー工程である。本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、アフィニティークロマトグラフィー工程は、プロテインAクロマトグラフィー工程、プロテインLクロマトグラフィー工程、プロテインGクロマトグラフィー工程、及びプロテインA/Gクロマトグラフィー工程である。本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、アフィニティークロマトグラフィー工程は、プロテインAクロマトグラフィー工程である。本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、プロテインAクロマトグラフィー工程は、アガロースに結合したプロテインAを含むクロマトグラフィー材料を含む。本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、捕捉クロマトグラフィー工程及びマルチモードクロマトグラフィー工程は連続する。本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、方法は、マルチモードクロマトグラフィー工程の後に精製工程を含む。本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、多重特異性抗体が濃縮される濃縮工程。
本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、多重特異性抗体は、ノブ・イン・ホール修飾を含む。
本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、多重特異性抗体及びその誤対合バリアントは、同じ宿主細胞培養物中で産生される。本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、宿主細胞培養物の宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞である。本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、宿主細胞は真核細胞である。本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、真核細胞は、酵母細胞、昆虫細胞、又は哺乳動物細胞である。本明細書に記載される方法の特定の実施態様では、真核細胞はCHO細胞である。
特定の実施態様では、本開示は、本明細書に開示される方法によって精製された多重特異性抗体を含む組成物を対象とする。本明細書に記載される組成物の特定の実施態様では、多重特異性抗体を含む組成物は、薬学的に許容される担体を含む。
特定の実施態様では、本開示は、本明細書に開示される方法によって精製された多重特異性抗体を含む製造品に関する。
上記の説明から、ここで開示されている主題に対して、様々な用途や条件に採用するための変形や修正がなされ得ることが明らかであろう。このような実施態様も以下の特許請求の範囲内である。
本明細書における変数の任意の定義における要素の列挙の記載は、任意の単一要素又は列挙された要素の組み合わせ(又はサブコンビネーション)としてのその変数の定義を含む。本明細書における実施態様の記載は、任意の単一の実施態様としての実施態様、又は任意の他の実施態様若しくはその一部と組み合わせた実施態様を含む。
本明細書で言及される全ての特許出願及び刊行物は、それぞれの独立した特許出願及び刊行物が参照により援用されることが具体的且つ個別に示されるかのように同程度に参照により本明細書に援用される。
本明細書に開示される特徴は全て、任意の組み合わせで組み合わせられてもよい。本明細書に開示される各特徴は、同じ、同等、又は同様の目的を果たす代替の特徴に置き換えられてもよい。したがって、別途明確に示されない限り、開示される各特徴は、一般的な一連の同等又は同様の特徴の一例にすぎない。
上述の説明は、当業者が本明細書に記載される方法を実施すること及び/又は本明細書に記載される組成物を得ることを可能にするのに十分であると考えられる。以下の実施例及び詳細な説明は、限定するものではなく、例証として提供されている。
本明細書における全ての参考文献の開示は、参照により本明細書に明示的に援用される。
上記の実施例は、説明を目的として提供されているものにすぎず、いかなる点においても本発明の範囲を限定するように意図されていない。実際、本明細書において提示及び記述された変更形態以外の様々な変更形態は上記の記述から当業者には明らかとなり、添付した特許請求の範囲に含まれる。
先に与えた一般的な説明を考慮すると、種々の他の実施態様が実施されてもよいことは理解される。
実施例1
単細胞二重特異性設計の一種は「CrossMab v2」であり、これは、Fabドメインのクロスオーバーを使用した設計により、軽鎖と重鎖の対合を改善する。軽鎖(LC)誤対合の可能性の1つは、2つの可変重鎖(VH)ドメインが近接していることにある。一般的に、抗体ではVHドメインは可変軽(VL)とのみ対合すると理解されているが、このLC誤対合における2つのVHドメインは変性し、LC誤対合に構造歪みを生じさせる場合がある。さらに、重鎖上の3つの負電荷変異(HC、K147E、K213E)及びLC(Q124E)の共位置は、このLC誤対合Fabに負電荷パッチを付与する場合がある。
本実施例では、アニオン交換成分が定常ドメインの負電荷パッチと相互作用し、疎水性相互作用成分が可変ドメインの構造変性により明らかになった疎水性残基と結合するため、マルチモードクロマトグラフィー樹脂(例えば、アニオン交換及び疎水性相互作用クロマトグラフィー(MMAEX))がこのLC誤対合種と結合して下流のプロセスでそれをクリアできることを説明する。全体として、このマルチモードクロマトグラフィーは、多重特異性抗体の精製を向上させる。
原料
抗抗原A/抗原B二重特異性抗体(aAgA/aAgB)を、aAgBアームにドメインクロスオーバーを有するCrossMab v2として、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で発現させた。得られた収穫細胞培養液をプロテインAアフィニティークロマトグラフィーで精製し、二重特異性抗体及びその産物関連バリアント(例えば、組み立てられていない半抗体、ホモ二量体、及びLC誤対合)を捕捉した。混合物の組成を逆相HPLC及び質量分析により分析し、下表に示すように決定した。
Figure 2023542079000003
ハイスループット・スクリーニング
自動液体処理システムを使用して、さまざまなpH及びバッファー強度の条件下で、5つの異なるクロマトグラフィー樹脂(Capto Adhere(MMAEX樹脂)を含む)への原料の結合を試験した。インキュベーション後、未結合画分を分析したところ、図3に示したアニオン交換挙動(高pH)及び疎水性結合(高塩濃度)を促進する条件下で、LC誤対合バリアントの枯渇を確認した。驚くべきことに、アニオン交換樹脂及び疎水性相互作用マルチモードクロマトグラフィー樹脂のみが、このLC誤対合種を結合することができた。
確認用カラムクロマトグラフィーの実行
Capto Adhere樹脂の充填ベッドを有するクロマトグラフィーカラムに接続したAektaクロマトグラフィーシステムを使用して、pH調整した原料を強結合条件下で樹脂にロードし、その後、高pH(pH8.6)から低pH(pH5.5)までpH勾配を使用して溶出させた。タンパク質の溶出は、ロングテールを有するメインピークとして観察された(図4)。ピーク及びテールを画分として回収し、組成を分析した。
回収した画分の組成を分析したところ、メイン溶出ピークでは二重特異性抗体に富み、ポストピークテールではLC誤対合に富んでいることが明らかになった。図5は、ロード原料組成(ロード)と、二重特異性に富むメインピークを表す画分(画分3)及びLC誤対合に富むポストピークテールを表す画分(画分9)とを比較するマススペクトルを示している。
本明細書で開示される方法の役割をさらに評価するために、回収及び測定した画分の組成及び濃度を示す疑似クロマトグラムを分析した。図6Aに示すように、メインピークは主に二重特異性抗体を含んでいたが、ポストピークテールは主にLC誤対合バリアントを含んでいた。その他の産物関連バリアントがマイナーレベルで存在した。二重特異性及びLC誤対合の擬似クロマトグラムを正規化(例えば、同じ高さにスケーリング)して重ね合わせると、本明細書に開示される方法は、二重特異性抗体とLC誤対合バリアントを分離することがより明らかになった(図6B)。
分子構造研究
次に、実験結果を裏付けるために、この分子のFabの3D相同性モデルを、正しく対合したHCとLCの組み合わせと、誤って対合したHCとLCの組み合わせの両方について作成した。LC誤対合Fabは、(VHドメインは他のVHドメインと親和性を有しないとされているため)緩く変性した可変ドメイン構造を示していることが確認された。さらに、3つの負に帯電したアミノ酸はタンパク質の表面に位置しているため、定常ドメインでタンパク質の表面上に負電荷のパッチを作成することができる。
正しく対合した種(図7A及び7B)とLC誤対合種(図7C及び7D)のシミュレーション構造。最も高い構造歪み及び負電荷クラスターを示すLC誤対合種を除去した(図7C)。
結論
単細胞の二重特異性設計では、ある程度のLC誤対合は避けられない。LC誤対合を正しく形成された二重特異性から除去することは非常に困難であるが、LCとHCの特定の組み合わせにより、リスク(例えば、患者へのリスク)を示すことが疑われる産物関連バリアントが生じる場合、特定のLC誤対合の除去能力を向上させる方法で単細胞二重特異性を設計することが可能である。本明細書に開示される方法は、誤対合が交差したLCと交差していないHCとの間にある限り、Crossmab v2二重特異性からLC誤対合を除去することができる。

Claims (27)

  1. 多重特異性抗体を精製するための方法であって、
    a)多重特異性抗体及びその誤対合バリアントを含む組成物を、誤対合バリアントが多重特異性抗体と比べてマルチモードクロマトグラフィー材料に優先的に結合する条件下で、マルチモードクロマトグラフィー材料と接触させることであって、
    i)多重特異性抗体が、
    1)第1の抗原に特異的に結合する第1の抗原結合領域であって、第1の抗原に結合する抗体の軽鎖及び重鎖を含む、第1の抗原結合領域と、
    2)第2の抗原に特異的に結合する第2の抗原結合領域であって、第2の抗原に結合する抗体の軽鎖及び重鎖を含み、第2の抗原結合領域において可変ドメインVL及びVHが互いに置き換えられている、第2の抗原結合領域と
    を含み、
    ii)その誤対合バリアントが、
    1)第1の抗原に結合する抗体の重鎖と、第2の抗原に結合する抗体の重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖定常ドメイン(CL)を含むペプチドとを含む、第1の抗原結合領域と、
    2)第2の抗原に結合する抗体の軽鎖及び重鎖を含む第2の抗原結合領域であって、第2の抗原結合領域において可変ドメインVL及びVHが互いに置き換えられている、第2の抗原結合領域と
    を含み、
    iii)マルチモードクロマトグラフィー材料が、
    1)アニオン交換が可能な官能基と、
    2)疎水性相互作用が可能な官能基と
    を含む、
    組成物をマルチモードクロマトグラフィー材料と接触させることと、
    b)多重特異性抗体及び減少した量のその誤対合バリアントを含む溶出物を回収することと
    を含む、方法。
  2. 疎水性相互作用が可能な官能基が、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基、ベンジル基、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 疎水性相互作用が可能な官能基が、ベンジル基を含む、請求項2に記載の方法。
  4. アニオン交換が可能な官能基が正に帯電した基を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 正に帯電した基が四級アンモニウムイオンである、請求項4に記載の方法。
  6. マルチモードクロマトグラフィー材料が、N-ベンジル-N-メチルエタノールアミンを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. マルチモードクロマトグラフィー材料が、CaptoTMAdhere樹脂を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. マルチモードクロマトグラフィー材料が、CaptoTMAdhere ImpRes樹脂を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  9. マルチモードクロマトグラフィーの溶出が勾配溶出である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 勾配溶出がpH勾配を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 捕捉クロマトグラフィー工程を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 捕捉クロマトグラフィー工程が、アフィニティークロマトグラフィー工程である、請求項11に記載の方法。
  13. アフィニティークロマトグラフィー工程が、プロテインAクロマトグラフィー工程、プロテインLクロマトグラフィー工程、プロテインGクロマトグラフィー工程、及びプロテインA/Gクロマトグラフィー工程である、請求項12に記載の方法。
  14. アフィニティークロマトグラフィー工程が、プロテインAクロマトグラフィーで工程である、請求項12又は13に記載の方法。
  15. プロテインAクロマトグラフィー工程が、アガロースに結合したプロテインAを含むクロマトグラフィー材料を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 捕捉クロマトグラフィー工程及びマルチモードクロマトグラフィー工程が連続的である、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. マルチモードクロマトグラフィー工程の後に精製工程を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 多重特異性抗体の濃縮を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 多重特異性抗体が、ノブ・イントゥ・ホール修飾を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 多重特異性抗体及びその誤対合バリアントが、同じ宿主細胞培養物中で産生される、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 宿主細胞培養物の宿主細胞が、原核細胞又は真核細胞である、請求項20に記載の方法。
  22. 宿主細胞が真核細胞である、請求項20又は21に記載の方法。
  23. 真核細胞が、酵母細胞、昆虫細胞、又は哺乳動物細胞である、請求項22に記載の方法。
  24. 真核細胞がCHO細胞である、請求項22又は23に記載の方法。
  25. 請求項1から24のいずれか一項に記載の方法によって精製された多重特異性抗体を含む組成物。
  26. 薬学的に許容される担体を含む、請求項25に記載の組成物。
  27. 請求項1から24のいずれか一項に記載の方法によって精製された多重特異性抗体、又は請求項25若しくは26に記載の組成物を含む、製造品。
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