JP2023540869A - 導電性エポキシ樹脂コーティング及び静電気散逸性フロア - Google Patents

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Abstract

本発明は、導電性エポキシ樹脂コーティングを製造するためのカーボンナノチューブと式(I)の少なくとも1種のアミンとの組合せの使用、並びにその導電性エポキシ樹脂コーティングを含む静電気散逸性フロアシステムに関する。本発明は、ほぼ一定の電気抵抗を有する、容易に作業可能で、堅牢な、静電気散逸性のエポキシ樹脂フロアシステムであって、高度に審美的で、脱気が十分で、平坦な表面を有するフロアシステムを提供する。

Description

本発明は、導電性エポキシ樹脂コーティング及び静電気散逸性フロアにおけるそれらの使用に関する。
静電気散逸性フロア(ESDフロアとも呼ばれる)は、公知である。それらは、たとえば、歩行又は車両の運行の結果として、大地に対して履物及びフロアを介して室内で発生する静電荷を散逸させるのに役立つ。これが、自発的な静電放電を妨げて、静電気の影響を受けやすい製品又は機器の製造又は取扱いにおいて、欠陥や故障をもたらす可能性がある。
静電気散逸性フロアは、電荷が確実に散逸される、十分に低い接地電気抵抗を有していなければならないが、電流と接触した場合に、人間の健康に危害を及ぼさない程度の散逸性だけは有していなければならない。静電的及び電気的特性についての試験方法を記載した、そのようなフロアについての基準は存在する。DIN EN 61340-4-1には、フロアの仕上げ材及び置敷きフロア(laid floor)の電気抵抗を測定するための試験方法が記載されており、そしてDIN EN 61340-4-5は、電気抵抗に関する静電的安全性、並びに人間、履物、及びフロアの仕上げ材が組み合わさって荷電されるようになる可能性について評価している。
エポキシ樹脂ベースのフロアは、機械的応力及び多くの物質に対する安定性に関連しては、特に堅牢である。したがって、それらは、要求の厳しい産業用の製造室には特に適している。エポキシ樹脂ベースの静電気散逸性フロアシステムは、一連の性能を達成しなければならない。それは、各種の基材に対して信頼のおける接着性を形成すること、及び最小の複雑度で設置可能であることである。そのフロアによる静電荷吸収剤は、確実に下方へ散逸させるべきである。この目的のためには、接地された銅製のリボン又は銅線を含む導電システムと呼ばれているものを、そのコーティングの下に敷く。そのエポキシ樹脂コーティングは、容易に設置可能で、そしてその下にある導電システムと併存しうるべきであり、硬化させた後では、見た目に快い均質な表面を有し、高硬度と低脆性とを併せ持つべきである。この目的のためには、そのエポキシ樹脂コーティングは、良好なレベリング性及び良好な脱気性を伴う低粘度並びに周囲温度での長いオープンタイムを有しているべきであるが、それにも関わらず、極めて急速に硬化するべきであり、そして、たとえば残存タック、斑点、又は曇りのような、いかなる硬化欠陥もあってはならない。高いスリップ抵抗性を目的として、その表面に砂を撒き、シール材で覆ってもよい。硬化させた後では、そのコーティングされたフロアは、約10~10オームの範囲の電気抵抗を有しているべきであり、そして堅牢で耐久性を有しているべきである。
エポキシ樹脂のような合成樹脂で作られたフロアは絶縁体である。電気伝導性を達成するには、各種の方法が存在する。公知の方法は、その合成樹脂マトリックスに可溶性であるイオン性の液体又は有機塩を使用するものであり、それらが、電気伝導性を付与する。しかし、これは、硬化を遅らせ、そして、そのフロアの機械的及び化学的耐久性を大幅に低減させ、そして電気抵抗は、その時々の湿度に大きく影響される。それに加えて、導電性の固体の粒子状物質を添加してもよい。この目的に適した例は金属であるが、それらは固有の強い色を有しており、また、それらの比重が高いために、まだ液状の(still-liquid)組成物で貯蔵している間に、その容器の底にまでも沈降してしまい、均一な撹拌及びコーティングの中への分散が困難である。これにより、電気抵抗が不均質となり、電気伝導率が低すぎるゾーンが発生する。同様に知られているのが、導電性のカーボンブラック又はグラファイトの添加であり、それは信頼性のある電気伝導率を達成するが、それらの物質が強い黒色であるために、得られるコーティングが、極めて強い灰色~黒色となり、このことは、通常、製造業用フロアとしては、望ましくない。同様に知られているのは、カーボンから作られた微細繊維、カーボン繊維と呼ばれているものである。しかしこれらも、やはり、均一の混合の点では困難を示し、且つ凝集する傾向があるが、それは、硬化させた後でも、目に見えるように残り、抵抗性が不均一で、魅力の無い表面を与える。最近になって、カーボンナノチューブ(CNT)が公知となったが、これらも、導電性充填剤として使用することが可能である。これらは、カーボンから作られたナノチューブであり、その壁面は、グラフェンと呼ばれる、個別のグラファイト層からなっている。カーボンナノチューブは、極めて少量を使用した場合であっても、それでもなお、広い面積にわたって均質な抵抗性を有する、良好な電気伝導率を可能とし、湿度の影響もほとんど受けない。しかしながら、それらが高い表面積を有しているために、それらは顕著な増粘効果を有している。塗布する際に、このことがレベリング性を低下させ、且つ上昇気泡の形態にあるトラップされた空気が逃げ出して表面で破裂する脱気を、より困難とする。したがって、カーボンナノチューブをベースとする導電性コーティングは、塗布の際に、より大きい注意と時間を必要とし、そして硬化させた後では、脱気が完全でないという理由で、やや平坦さに欠ける表面を示す。
エポキシ樹脂ベースの静電気散逸性フロアは、たとえば、欧州特許第1,437,182号明細書に記載さされているが、そこでは、カーボン繊維が、導電性充填剤として使用されている。
たとえば、欧州特許第3,180,383号明細書又は欧州特許第3,344,677号明細書には、エポキシ樹脂のための硬化剤として、式(I)のアミンが記載されている。
したがって、本発明の目的は、湿度にはほとんど左右されない電気抵抗性を有する、導電性エポキシ樹脂コーティングを提供することであり、そのものは、非混和性のシンナーを全く使用しないか、又はほんのわずかのレベルで使用して作業した場合でも、良好な脱気性と共に良好なレベリング性を示し、急速に硬化し、そして最終的には、平坦で、見た目に快い表面を有し、静電気散逸性フロアシステムの一要素として適している。
驚くべきことには、この目的は、カーボンナノチューブと、請求項1に記載の式(I)の少なくとも1種のアミンとを組み合わせて使用することによって達成される。カーボンナノチューブを含むエポキシ樹脂コーティングは、信頼のおける電気伝導率を有し、電気抵抗は、湿度にほとんど影響されない。しかしながら、超微細なカーボンナノチューブは、レベリング性及び脱気性を、かなりの程度、より困難とする。特に、充填した顔料着色コーティングの場合においては、脱気がよりいっそう困難となり、スパイク付きのローラー又はスパイク付きの履物を用いてまだ液状のコーティングを処理した後でさえも、その結果としては、破裂していない微細な気泡を有する、やや平坦でない表面が得られる。式(I)のアミンと組み合わせると、驚くべきことには、明らかに改良されたレベリング性と顕著に改良された脱気性とが可能となり、それにより、作業が、より容易となり、且つ、魅力的で、特に平坦な表面が得られるようになる。本発明を使用することにより、高い色強度の顔料着色コーティング、並びに驚くべきことには、式(I)のアミンが特に高い透明性を可能とした透明なコーティングが可能となる。本発明を使用して得られた硬化されたコーティングは、見た目に快い、平坦な表面、高硬度と低脆性との組合せ、機械的及び化学的ストレスに対する高い堅牢性、並びに、表面全体に均等に分配され、湿度にほとんど影響されない電気伝導性を有している。本発明を使用することにより、特に、硬化させた後での有機物質の放出が特に少ない、導電性コーティングが可能となり、このものは、病院又はクリーンルームで使用するのに適している。
本発明を使用して得られたエポキシ樹脂コーティングにより、良好且つ簡単な施工性を有し、特に低い放出性をもたらし、最高の美的要求を満たす、静電気散逸性フロアシステムが可能となる。それにより、着色された、特にフラットな表面を有するフロアシステム、並びに、スリップ抵抗性があり、透明にシールされた砂を散布した表面を有するフロアシステムが可能となる。
本発明のさらなる態様が、さらなる独立請求項の主題である。本発明の特に好ましい実施態様が、従属請求項の主題である。
本発明は、導電性エポキシ樹脂コーティングを製造するための、カーボンナノチューブと下記式(I)の少なくとも1種のアミンとの組合せの使用を提供する:
Z-NH-A-NH-CH-Y (I)
(式中、
Aは、任意に1つ若しくは複数の窒素原子又はエーテル基を含む、二価のC~C15のアルキレン、シクロアルキレン、又はアリールアルキレン基であり、
Zは、H、又は-CH-Yであり、そして
Yは、H、又はC~C12のアルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、又はアリール基である)、
ここで、式(I)のアミンが、合計で少なくとも8個の炭素原子を含む。
「カーボンナノチューブ」は、ナノメーター範囲、特には1~50nmの範囲の直径、並びに1プライ又は数プライのグラフェン(すなわち、環状に配置された炭素原子を有するカーボン)からなる壁を有する、カーボンチューブを指している。
組成物が、「貯蔵安定性な(storage-stable)」と呼ばれるのは、適切な容器の中で、室温で長期間、典型的には少なくとも3ヶ月から最高6ヶ月又はそれ以上貯蔵することが可能で、この貯蔵でも、その塗布又は使用性能に、その使用に差し支える程度の変化がまったく起きなかった場合である。
「シンナー」は、エポキシ樹脂の中に可溶性であり、その粘度を低下させ、そして硬化過程で、そのエポキシ樹脂ポリマーの中に化学的に組みこまれることのない、物質を指している。
「液状エポキシ樹脂」は、25℃未満のガラス転移温度を有する、産業用ポリエポキシドを指している。
「分子量」は、分子のモル質量(1モルあたりのグラム数)を指している。「平均分子量」は、オリゴマー性又はポリマー性分子の多分散性混合物の数平均のMを指している。それは、標準としてのポリスチレンと対比させた、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求められる。
「ポットライフ」は、エポキシ樹脂組成物の複数の成分を混合してから、その組成物を、ロスすることなく加工可能である間の時間を指している。
「ゲル化時間」とは、エポキシ樹脂組成物の複数の成分を混合してから、それがゲル化するまでの時間間隔である。
「第一級アミノ基」は、単一の有機基に結合され、2個の水素原子を担持しているアミノ基を指しており、「第二級アミノ基」は、2個の有機基(それらが、共に結合して、1個の環の一部となっていてもよい)に結合され、1個の水素原子を担持しているアミノ基を指しており、そして「第三級アミノ基」は、3個の有機基(その内の2個又は3個が、1個又は複数の環の一部となっていてもよい)に結合され、そして水素原子をまったく担持していないアミノ基を指している。
「アミン水素」は、第一級及び第二級アミノ基の水素原子を指している。
「脂肪族」アミン水素は、脂肪族炭素原子に結合されたアミノ基を指している。
「アミン水素当量」は、1モル当量のアミン水素を含む、アミン又はアミン含有組成物の質量を指している。
ポリアミン又はポリエポキシドのように、「ポリ」で始まる物質名は、1分子あたり、それらの名前で表される官能基を、形式上、2個以上含んでいる物質をさしている。
「室温」は、23℃の温度を指している。
wt%と略した重量パーセント(重量%)は、特に断らない限り、ある組成物又はある分子の構成成分の、その組成物全体又はその分子全体を基準にした、質量比を指している。「質量(mass)」と「重量(weight)」とは、本明細書においては、同義語として使用されている。
本明細書に記載のすべての業界標準及び基準は、最初の出願日に有効となっている版に関連する。
カーボンナノチューブは、工業的に製造されており、各種の品質で市販されている。それらは、広く各種の用途で関心を寄せられる性質を有している。特には、それらは導電性である。
好適なカーボンナノチューブは、特には、単層カーボンナノチューブと呼ばれているものである。
それらは、液状キャリヤー物質、特にエポキシ樹脂組成物との良好な相容性を有する液体、特にはアルキルグリシジルエーテル、脂肪酸エステル、又はエトキシル化アルコールの中の分散体の形態で使用するのが好ましい。
好ましいのは、エポキシ樹脂のための反応性希釈剤としても使用される、特にアルキルグリシジルエーテル、特にC12~C14アルキルグリシジルエーテルの中に、10重量%のカーボンナノチューブを含む分散体である。そのような分散体は、たとえば、Tuball(登録商標)Matrix207(OCSiAl製)として市販されている。
重量で極めて少量のカーボンナノチューブであってさえも、良好な電気伝導率を可能とするが、粘度、レベリング性、及びコーティングのある程度の暗色化における顕著な増大も、もたらされる。
そのエポキシ樹脂コーティングが、明色の顔料添着色した着色コーティングとして、又は透明なシール材として十分に使用可能な薄い色であるような量で、カーボンナノチューブを使用するのが好ましい。
エポキシ樹脂コーティング全体を基準にして、0.001重量%~0.1重量%の範囲の量が好ましい。
エポキシ樹脂コーティング全体を基準にして、0.001重量%~0.05重量%の範囲の量が特に好ましい。
したがって、10重量%のカーボンナノチューブを含む分散体を、エポキシ樹脂コーティング全体を基準にして、好ましくは0.01重量%~1重量%、特には0.01重量%~0.5重量%の範囲で使用する。
この範囲内であれば、所望の電気伝導率及び過剰ではない暗色化が達成される。
顔料着色コーティングには、好ましくは0.01重量%~0.1重量%、特には0.01重量%~0.05重量%の範囲の量が含まれる。
透明なコーティングには、好ましくは0.001重量%~0.01重量%、特には0.001重量%~0.005重量%の範囲の量が含まれる。
式(I)のアミンにおいて、Aは、好ましくは、以下のものからなる群より選択される:1,2-エチレン、1,2-プロピレン、1,3-プロピレン、1,4-ブチレン、1,3-ブチレン、2-メチル-1,2-プロピレン、1,3-ペンチレン、1,5-ペンチレン、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン、1,6-ヘキシレン、2-メチル-1,5-ペンチレン、1,7-ヘプチレン、1,8-オクチレン、2,5-ジメチル-1,6-ヘキシレン、1,9-ノニレン、2,2(4),4-トリメチル-1,6-ヘキシレン、1,10-デシレン、1,11-ウンデシレン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンチレン、1,12-ドデシレン、1,2-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレン、(1,5,5-トリメチルシクロヘキサン-1-イル)メタン-1,3、4(2)-メチル-1,3-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘキシレンビス(メチレン)、1,4-シクロヘキシレンビス(メチレン)、1,3-フェニレンビス(メチレン)、1,4-フェニレンビス(メチレン)、3-オキサ-1,5-ペンチレン、3,6-ジオキサ-1,8-オクチレン、4,7-ジオキサ-1,10-デシレン、3-アザ-1,5-ペンチレン、3,6-ジアザ-1,8-オクチレン、4,7-ジアザ-1,11-デシレン、及び3-アザ-1,6-ヘキシレン。
Aは、好ましくは窒素原子を含まず、そしてエーテル基を含まない。
Aは、好ましくは、C~Cアルキレン基、特には、1,2-エチレン、1,2-プロピレン、1,3-プロピレン、1,4-ブチレン、1,3-ブチレン、1,5-ペンチレン、1,6-ヘキシレン、2-メチル-1,5-ペンチレン、1,7-ヘプチレン、又は1,8-オクチレンである。これらの式(I)のアミンは、特に良好なレベリング性を可能とする。
Aは、より好ましくは、1,2-エチレンである。それらの式(I)のアミンは、特に良好なレベリング性、特に良好な脱気性、及び特に急速な硬化を可能とする。
Zは、好ましくはHである。
式(I)のアミンにおいて、Yは、好ましくは、以下のものからなる群より選択される:H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘプチル、ヘプチ-2-イル、フェニル、ナフチル、及びシクロヘキシル。
より好ましくは、Yが、フェニル又はシクロヘキシル、特にはフェニルである。そのような式(I)のアミンは、特に急速な硬化、及び高光沢を有する特に魅力的な表面を可能とする。
最も好ましいのは、その中で、Aが1,2-エチレンであり、ZがHであり、そしてYがフェニルである、式(I)のアミンである。
その式(I)のアミンは、N-ベンジルエタン-1,2-ジアミンである。それは、カーボンナノチューブを含み、特に良好なレベリング性、特には平坦で、よく脱泡された表面、及び極めて特に急速な硬化性を有するエポキシ樹脂コーティングを可能とする。
その中でZがHである式(I)のアミンが、ある程度の量のジアルキル化アミン、すなわちその中でZが---CH-Yである相当するアミンを含んでいてもよい。それは、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、特には15重量%以下のジアルキル化アミンを含む。その中でZがHである式(I)のアミンが、少なくとも95重量%の純度で使用されるのが、最も好ましい。
式(I)のアミン、式HN-A-NHの少なくとも1種のアミンを、少なくとも1種のアルキル化剤を用いて部分アルキル化させることによって、調製するのが好ましい。
そのアルキル化が、アルキル化剤としてのアルデヒド及び水素を使用した還元的アルキル化であるのが好ましい。
その還元的アルキル化は、適切な触媒の存在下に実施するのが好ましい。好適な触媒は、パラジウム/カーボン(Pd/C)、白金/カーボン(Pt/C)、アダムズ触媒、又はラネーニッケル、特には、パラジウム/カーボン又はラネーニッケルである。
分子状水素を使用する場合には、その還元的アルキル化は、圧力装置中、5~150bar、特には10~100barの水素圧力で実施するのが好ましい。これは、バッチ式プロセス、又は好ましくは連続式プロセスで実施することができる。
その還元的アルキル化は、好ましくは40~120℃、特には60~100℃の範囲内の温度で実施する。
少量の揮発性アミンたとえば特にエタン-1,2-ジアミンを使用する場合には、それを、アルデヒドに対して化学量論的に過剰量で使用するのが好ましく、そして、アルキル化の後で、特には蒸留又はストリッピングによって、未反応のアミンの一部又は全部をその反応混合物から除去する。所望により、その反応混合物を次いで、特に、そのようにして得られた、その中でZがHである式(I)のモノアルキル化アミンを、蒸留の手段によって、その中でZが---CH-Yであるジアルキル化アミンを部分的又は全面的に除去することによって、さらに精製してもよい。
式(I)のアミンは、遊離の形態であってもよいし、或いは、以下のものとのアダクトの形態であってもよい:少なくとも1種のエポキシ樹脂、特に110~200g/mol、好ましくは150~200g/molの範囲のエポキシ当量重量を有する少なくとも1種の芳香族ジエポキシド、特にビスフェノールAジグリシジルエーテル、及び/又はビスフェノールFジグリシジルエーテル。このアダクトは、特には、エポキシ基1モルあたり、少なくとも1.3molの式(I)のアミンを使用して、アミン過剰となるようにして調製する。
式(I)のアミンは、エポキシ樹脂コーティングの中に存在する全部のアミン水素の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%が、式(I)のアミンから来るような量で使用するのが好ましい。存在する全部のアミン水素の、特には5%~70%、好ましくは5%~50%が、式(I)のアミンから来る。これには、アダクトされた式(I)のアミンからのアミン水素も同様に含まれる。
本発明はさらに、以下のものを含み、記載された使用から得られる、導電性エポキシ樹脂コーティングも提供する:
- 少なくとも1種の液状エポキシ樹脂、
- 式(I)の少なくとも1種のアミン、
- カーボンナノチューブ、並びに
- さらなるアミン、促進剤、充填剤、シンナー、表面活性添加剤、及び安定剤からなる群より選択される、少なくとも1種のさらなる成分。
好適な液状エポキシ樹脂は、特に芳香族エポキシ樹脂、特には、以下のもののグリシジルエーテルである:
- ビスフェノールA、ビスフェノールF、又はビスフェノールA/F(ここで、これらのビスフェノールの製造において、反応剤として使用される、Aは、アセトンを表し、Fはホルムアルデヒドを表す。ビスフェノールFの場合、位置異性体、より特には2,4’ -若しくは2,2’-ヒドロキシフェニルメタンから誘導されるものが存在していてもよい);
- ジヒドロキシベンゼン誘導体、たとえばレソルシノール、ヒドロキノン、又はカテコール;
- さらなるビスフェノール又はポリフェノール、たとえばビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、2,4-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,4-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(ビスフェノールP)、1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(ビスフェノールM)、4,4’-ジヒドロキシジフェニル(DOD)、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2-ヒドロキシナフチ-1-イル)メタン、ビス(4-ヒドロキシナフチ-1-イル)メタン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、又はビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン;
- ノボラック(これは、特に、フェノール又はクレゾールとホルムアルデヒドとの縮合物である);
- 芳香族アミン、たとえばアニリン、トルイジン、4-アミノフェノール、4,4’-メチレンジフェニルジアミン、4,4’-メチレンジフェニルジ(N-メチル)アミン、4,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン(ビスアニリンP)、又は4,4’-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン(ビスアニリンM)。
さらなる好適なエポキシ樹脂は、脂肪族又は脂環族のポリエポキシド、特には以下のものである:
- 飽和若しくは不飽和、分岐若しくは非分岐状、環状若しくは開環の二官能、三官能若しくは四官能のC~C30アルコール、特にはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ポリプロピレングリコール、ジメチロールシクロヘキサン、ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、ヒマシ油、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール若しくはグリセロール、又はアルコキシル化グリセロール若しくはアルコキシル化トリメチロールプロパンのグリシジルエーテル;
- 水素化ビスフェノールA、F、若しくはA/Fの液状樹脂、又は水素化ビスフェノールA、F、若しくはA/Fのグリシジル化反応生成物;
- アミド又はヘテロサイクリック窒素塩基のN-グリシジル誘導体、たとえば、トリグリシジルシアヌレート又はトリグリシジルイソシアヌレート、又はエピクロロヒドリンとヒダントインとの反応生成物。
特に好ましいのは、室温で液体であり、そして110~200g/mol、好ましくは150~200g/molの範囲のエポキシ当量重量を有する芳香族ジエポキシド、特には、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、及び/又はビスフェノールFジグリシジルエーテル(たとえば、Olin、Huntsman、又はMomentiveから市販されている)。これらの液状樹脂では、急速硬化及び高硬度が可能である。
液状エポキシ樹脂と共に、そのコーティングには、ある程度の割合で、固体のビスフェノールA樹脂、又はノボラックグリシジルエーテル、又は反応性希釈剤が含まれていてもよい。
好適な反応性希釈剤としては、特に以下のものが挙げられる:ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのジグリシジルエーテル若しくはトリグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、グアイアコールグリシジルエーテル、4-メトキシフェニルグリシジルエーテル、p-n-ブチルフェニルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、4-ノニルフェニルグリシジルエーテル、4-ドデシルフェニルグリシジルエーテル、カルダノールグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、又は天然アルコールのグリシジルエーテル、たとえば、特にはC~C10若しくはC12~C14若しくはC13~C15のアルキルグリシジルエーテル。
そのエポキシ樹脂コーティングには、好ましくは、先に述べた式(I)のアミン及び先に述べたカーボンナノチューブが、先に述べた量で含まれている。
そのエポキシ樹脂コーティングには、式(I)の少なくとも1種のアミンに加えて、少なくとも1種のさらなるアミン、特には少なくとも1種の、少なくとも4個の脂肪族アミン水素を有するさらなるアミンが含まれているのが好ましい。
少なくとも4個の脂肪族アミン水素を有する好適なアミンとしては、特には、以下のものが挙げられる:2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン、ペンタン-1,3-ジアミン(DAMP)、ペンタン-1,5-ジアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、2-ブチル-2-エチルペンタン-1,5-ジアミン(C11-ネオジアミン)、ヘキサン-1,6-ジアミン、2,5-ジメチルヘキサン-1,6-ジアミン、2,2(4),4-トリメチルヘキサン-1,6-ジアミン(TMD)、ヘプタン-1,7-ジアミン、オクタン-1,8-ジアミン、ノナン-1,9-ジアミン、デカン-1,10-ジアミン、ウンデカン-1,11-ジアミン、ドデカン-1,12-ジアミン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(IPDA)、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチル-5-メチルシクロヘキシル)メタン、2(4)-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン、2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDA)、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、メンタン-1,8-ジアミン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン(MXDA)、1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼン、ビス(2-アミノエチル)エーテル、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-2,9-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、5,8-ジオキサドデカン-3,10-ジアミン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン若しくはこれらのジアミンの高級オリゴマー、ビス(3-アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン若しくはその他のポリテトラヒドロフランジアミン、ポリオキシアルキレンジアミン若しくはトリアミン、特にはポリオキシプロピレンジアミン若しくはポリオキシプロピレントリアミンたとえば、Jeffamine(登録商標)D-230、Jeffamine(登録商標)D-400、若しくはJeffamine(登録商標)T-403(いずれも(Huntsman製)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、ジプロピレントリアミン(DPTA)、N-(2-アミノエチル)プロパン-1,3-ジアミン(N3アミン)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン(N4アミン)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)-1,4-ジアミノブタン、N5-(3-アミノプロピル)-2-メチルペンタン-1,5-ジアミン、N3-(3-アミノペンチル)ペンタン-1,3-ジアミン、N5-(3-アミノ-1-エチルプロピル)-2-メチルペンタン-1,5-ジアミン、N,N’-ビス(3-アミノ-1-エチルプロピル)-2-メチルペンタン-1,5-ジアミン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン(BHMT)、並びにこれらのアミンとエポキシ樹脂とのアダクト。
さらにアミンが、好ましくは、以下のものからなる群より選択される:TMD、IPDA、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2(4)-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン、MXDA、200~500g/molの範囲内の平均分子量Mを有するポリオキシプロピレンジアミン、300~500g/molの範囲内の平均分子量Mを有するポリオキシプロピレントリアミン、BHMT、DETA、TETA、TEPA、PEHA、DPTA、N3アミン、N4アミン、IPDA、MXDA、DETA、TETA若しくはTEPAとエポキシ樹脂とのアダクト、並びに2種以上の上記のアミンの混合物。
特に好ましいのは、以下のものである:TMD、IPDA、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、MXDA、200~500g/molの範囲内の平均分子量Mを有するポリオキシプロピレンジアミン、IPDA及び/又はMXDAと芳香族ジエポキシドとのアダクト、又は上述のアミンの2種以上の混合物。
さらなる好適なアミンは、以下のものである:N-アミノエチルピペラジン、3-ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)、3-(3-(ジメチルアミノ)プロピルアミノ)プロピルアミン(DMAPAPA)、モノアミン、ポリアミドアミン、特にモノ-若しくはポリ-塩基性カルボン酸若しくはそれらのエステル若しくは無水物、特にダイマー脂肪酸と、化学量論的に過剰に使用したポリアミンとの反応生成物、特にDETA若しくはTETA、マンニッヒ塩基、特にフェンアルカミン、すなわち、フェノール、特にカルダノールと、アルデヒド、特にホルムアルデヒドとの反応生成物、並びにポリアミン、又は芳香族ポリアミンたとえば、特には、4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジアミノジフェニルメタン、2,4(6)-トリレンジアミン、3,5-ジメチルチオ-2,4(6)-トリレンジアミン、若しくは3,5-ジエチル-2,4(6)-トリレンジアミン。
エポキシ樹脂コーティングの中に存在している全部のアミン水素の5%~50%が、式(I)のアミン由来であり、そして少なくとも1種の、少なくとも4個の脂肪族アミン水素を有するさらなるアミンが存在しているのが好ましい。
この少なくとも4個の脂肪族アミン水素を有するさらなるアミンは、好ましくは、TMD、IPDA、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、MXDA、200~500g/molの範囲内平均分子量Mを有するポリオキシプロピレンジアミンからなる群より選択される。特に好ましいのは、それらさらなるアミンの2種以上の組合せである。
好適な促進剤は、以下のものである:特に酸又は加水分解して酸となることが可能な化合物、特に有機カルボン酸たとえば、酢酸、安息香酸、サリチル酸、2-ニトロ安息香酸、乳酸、有機スルホン酸たとえばメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、若しくは4-ドデシルベンゼンスルホン酸、スルホン酸エステル、その他の有機若しくは無機の酸、たとえば特にはリン酸、又は上述の酸及び酸エステルの混合物;硝酸塩たとえば、特には硝酸カルシウム;第三級アミンたとえば、特には、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ベンジルジメチルアミン、α-メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、イミダゾールたとえば、特にはN-メチルイミダゾール、N-ビニルイミダゾール若しくは1,2-ジメチルイミダゾール、そのような第三級アミンの塩、第四級アンモニウム塩たとえば、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、特にはアミジンたとえば、特には1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス-7-エン、グアニジンたとえば、特には1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、フェノール、特にはビスフェノール、フェノール樹脂若しくはマンニッヒ塩基たとえば、特には2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール若しくはフェノール、ホルムアルデヒド及びN,N-ジメチルプロパン-1,3-ジアミンから製造したポリマー、ホスファイトたとえば、特にはジ-若しくはトリ-フェニルホスファイト、又は、メルカプト基を有する化合物。
好ましいのは、酸、硝酸塩、第三級アミン、又はマンニッヒ塩基、特には、サリチル酸、硝酸カルシウム、若しくは2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、又はこれらの促進剤の組合せである。
好適な充填剤としては、特には、以下のものが挙げられる:摩砕若しくは沈降炭酸カルシウム(任意に、脂肪酸、特にステアレートを用いてコーティングされたもの)、バライト(重晶石)、タルク、石英粉、けい砂、炭化ケイ素、鉄雲母、ドロマイト、ウォラストナイト、カオリン、マイカ(ケイ酸アルミニウムカリウム)、モレキュラーシーブ、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、アルミニウムドープされた酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、セメント、セッコウ、フライアッシュ、カーボンブラック、グラファイト、金属粉たとえば、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、銀、又はスチールの粉、PVCの粉体若しくは中空ビーズ。
顔料着色エポキシ樹脂コーティングに特に好ましい充填剤は、炭酸カルシウム、タルク、石英粉、けい砂、ドロマイト、ウォラストナイト、又はカオリン、特には、炭酸カルシウム、石英粉、けい砂、又はそれらの組合せである。そのような充填剤は、高すぎるような比重は有していないので、塗布時及び硬化時に沈降することは滅多になく、そのため、特に均質な電気伝導率を有する、大いに均一に硬化されたコーティングを得ることが可能となる。
透明なエポキシ樹脂コーティングのために好ましい充填剤は、特にエポキシ樹脂コーティング全体を基準にして0.5重量%~5重量%、好ましくは1重量%~3重量%の範囲の少量での、酸化亜鉛、特にはアルミニウムドープされた酸化亜鉛である。そのような量の酸化亜鉛は、いくぶん明るくし、少量のカーボンナノチューブのやや暗い灰色の色相を打ち消すことが可能であるが、それでもなお、良好な電気伝導率を維持しているので、暗色化がほとんどなく、バックグラウンドの淡色化も必要とせずに、高い透明度を達成する。そのような透明なエポキシ樹脂コーティングは、あらゆるタイプの静電気散逸性フロア上での透明なシール材としても好適である。特には、それは、その上に導電性のけい砂を散布した表面の上での透明なシール材としても適しており、その透明なシール材を通して、けい砂及びその下のコーティングが良好な視認性を有している。そのような表面は、特にスリップ防止性があり、高い美的要求も満たす。
透明なエポキシ樹脂コーティングは、好ましくは、カーボンナノチューブ及び酸化亜鉛以外の充填剤又は顔料を0.1重量%未満でしか含まないのが好ましく、特には、それは、そのような充填剤又は顔料をまったく含まない。
好適なシンナーとしては、特に、以下のものが挙げられる:キシレン、2-メトキシエタノール、ジメトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-イソプロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジフェニルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、そのジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジ-n-ブチルエーテル、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオールモノイソブチレート、ジフェニルメタン、diイソプロピルナフタレン、鉱油留分、たとえばSolvesso(登録商標)グレード(Exxon製)、アルキルフェノールたとえば、tert-ブチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、カルダノール(カシューナッツシェル油から、3-(8,11-ペンタデカジエニル)フェノールを含む)、スチレン化フェノール、ビスフェノール、芳香族炭化水素樹脂、特にフェノール基を含むタイプ、アルコキシル化フェノール、特にエトキシル化若しくはプロポキシル化フェノール、特に2-フェノキシエタノール、アジペート、セバケート、フタレート、ベンゾエート、有機リン酸若しくはスルホン酸エステル、又はスルホンアミド。
好ましいシンナーは、200℃より高い沸点を有している。
特に好ましいのは、ベンジルアルコールである。
そのエポキシ樹脂コーティングは、特に、200℃未満の沸点を有するシンナーを、低含量、特に1重量%未満でしか含んでいないのが好ましい。
そのエポキシ樹脂コーティングは、200℃を超える沸点を有するシンナーを、低含量、特には20重量%未満、好ましくは15重量%未満でしか含んでいないのが好ましい。
好適な表面-添加剤は、特には、消泡剤、脱泡剤、湿潤剤、分散剤、レベリング剤、又は分散させたパラフィンワックスである。そのエポキシ樹脂コーティングが、そのような添加剤の組合せを含むのが好ましい。
好適な安定剤は、特に、UV光又は熱に対する安定剤である。
エポキシ樹脂コーティングには、任意に、特に以下のような、さらなる助剤及び添加剤が含まれる:
- 顔料、特に二酸化チタン、酸化鉄、又は酸化クロム(III)、
- メルカプト基を有する化合物、特に、液状のメルカプタン末端のポリスルフィドポリマー、メルカプタン末端のポリオキシアルキレンエーテル、メルカプタン末端のポリオキシアルキレン誘導体、チオカルボン酸のポリエステル、2,4,6-トリメルカプト-1,3,5-トリアジン、トリエチレングリコールジメルカプタン、又はエタンジチオール、
- さらなる反応性希釈剤、特にエポキシ化ダイズ油若しくはアマニ油、アセトアセテート基を含む化合物、特には、アセトアセチル化ポリオール、ブチロラクトン、カーボネート、アルデヒド、イソシアネート、又は反応性基を有するシリコーン、
- ポリマー、特には、ポリアミド、ポリスルフィド、ポリビニルホルマール(PVF)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリウレタン(PUR)、カルボキシル基を有するポリマー、ポリアミド、ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、ブタジエン-スチレンコポリマー、不飽和モノマーのホモポリマー若しくはコポリマー、たとえば、特には、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニル、又は(メタ)アクリル酸アルキル、又はクロロスルホン化ポリエチレン、フッ素含有ポリマー、又はスルホンアミド-変性メラミン、
- レオロジー調節剤、特に沈降防止剤、
- 接着性向上剤、特にオルガノアルコキシシラン、
- 難燃剤物質、特にポリ臭素化ジフェニルオキシド若しくはジフェニルエーテル、ホスフェートたとえば、特には、ジフェニルクレジルホスフェート、レソルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レソルシノールジホスフェートオリゴマー、テトラフェニルレソルシノールジホスファイト、エチレンジアミンジホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロイソプロピル)ホスフェート、トリス[3-ブロモ-2,2-ビス(ブロモメチル)プロピル]ホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノールAのビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、臭素化エポキシ樹脂、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、エチレンビス(ジブロモノルボルナンジカルボキシイミド)、1,2-ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート、トリブロモフェノール、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(ヘキサクロロシクロペンタジエノ)シクロオクタン、又はクロロパラフィン、
- さらなる導電性物質、特に、ドープされた鉱物質充填剤、金属粉、カーボン繊維、カーボンブラック、グラファイト、又はイオン性の液体、又は
- さらなる添加剤、特に成膜性助剤、又は殺虫剤。
そのエポキシ樹脂コーティングは、好ましくは、少なくとも二つの成分で構成されていて、それらは別々の容器に保存され、塗布の直前に相互に混合される。
その樹脂成分には、少なくとも、液状エポキシ樹脂、及びエポキシ基を含む各種のさらなる化合物が含まれる。
その硬化剤成分には、式(I)のアミン、及びエポキシ基と反応性がある各種その他の化合物が含まれる。
そのさらなる成分、特にカーボンナノチューブは、樹脂成分の成分として、及び/又は硬化剤成分の成分として存在させることができる。エポキシ基を含む液体の中に分散されたカーボンナノチューブが、樹脂成分の好ましい成分である。
以下のものを含むエポキシ樹脂コーティングが好ましい:
- 少なくとも1種の液状エポキシ樹脂、カーボンナノチューブ、少なくとも1種の消泡剤、任意に顔料及び充填剤、そして任意に少なくとも1種のシンナー、特にベンジルアルコールを含む樹脂成分、並びに
- 式(I)の少なくとも1種のアミン、任意にさらなるアミン、任意に少なくとも1種のシンナー、特にベンジルアルコール、及び任意に少なくとも1種の促進剤を含む硬化剤成分。
そのエポキシ樹脂組成物は、好ましくは、水ベースではなく、そして極めて少ない含量の水、好ましくは5重量%未満、特には1重量%未満の水しか含まない。そのようなコーティングは、湿分に関しては特に堅牢である。
しかしながら、そのエポキシ樹脂コーティングが、もっと多量の水を含むということもまた可能である。特には、その樹脂成分、又は硬化剤成分、又はその両方が水ベースであってもよい。
そのコーティング全体を基準にして、以下のものを含むエポキシ樹脂コーティングが特に好ましい:
- 0.001重量%~0.05重量%のカーボンナノチューブ、
- 1重量%未満の、200℃未満の沸点を有するシンナー、及び
- 5重量%未満の水。
そのようなコーティングは、良好な塗布性を有していて、放出性物質をほとんど出さず、そして特に高い耐湿性と良好な電気伝導率を有するフロアコーティングを可能とする。
好ましい実施態様においては、そのエポキシ樹脂コーティングが顔料着色され、そしてそのコーティング全体を基準にして、20重量%~70重量%、特には30重量%~60重量%の炭酸カルシウム、摩砕石英、けい砂、又はそれらの組合せを含んでいる。
そのようなコーティングは、特に、装飾色の堅牢なフロアコーティングを可能とし、そこでは、塗布及び硬化の際に充填剤が沈降するということは滅多になく、その結果、そのコーティングにむらが生じること滅多にない。
さらなる好ましい実施態様においては、そのエポキシ樹脂コーティングが透明であって、その組成物全体を基準にして、以下のものを含んでいる:
- 0.001重量%~0.01重量%のカーボンナノチューブ、
- 1重量%~3重量%の酸化亜鉛、特にアルミニウムドープされた酸化亜鉛、及び
- 特に、0.1重量%未満の、カーボンナノチューブ及び酸化亜鉛以外の、充填剤又は顔料。
そのようなコーティングは、高い透明性を可能とし、そして特には、特に導電性の装飾用けい砂との組合せで、美的効果を達成させる。
そのエポキシ樹脂コーティングにおいては、エポキシ基との反応性を有する基の数の、エポキシ基の数に対する比率は、好ましくは0.5~1.5、特には0.7~1.2の範囲内である。
そのエポキシ樹脂組成物の樹脂成分と硬化剤成分とは、別々の容器で保存する。その樹脂成分又は硬化剤成分を貯蔵するのに適した容器は、特には、バケツ、ホボック、ドラム、パウチ、又はカートリッジである。「それらの成分が貯蔵安定性である」ということは、それらが、使用するまでの数ヶ月から1年又はそれ以上の間、それらの使用に関連するレベルでは、それらそれぞれの性質に何の変化も起こすことなく、貯蔵可能であるということを意味している。そのエポキシ樹脂コーティングを使用するには、それらの成分を、 塗布直前又は塗布時に相互に混合する。その樹脂成分とその硬化剤成分との間の混合比は、好ましくは、先にも述べたように、エポキシ基に対する反応性を有する硬化剤成分の基が、その樹脂成分のエポキシ基に対して適切な比率となるように選択する。その樹脂成分とその硬化剤成分との間の混合比は、重量部で、典型的には(1:10)~(10:1)、好ましくは(1:1)~(10:1)の範囲である。
それらの成分を、適切な方法により混合するが、その混合は、連続式であっても、或いはバッチ式であってもよい。その混合の直後に塗布をしない場合には、成分の混合とそれの塗布との間にあまり時間を置かないように、そしてそのポットライフの時間内に塗布をするよう気をつけなければならない。混合は、特には周囲温度(典型的には約5~40℃、好ましくは約10~35℃の範囲内)で実施する。
それら二つの成分を混合すると同時に、化学反応による硬化が始まる。第一級及び第二級アミノ基、並びに存在している、エポキシ基に対する反応性を有するさらなる基がすべて、エポキシ基と反応して、その結果、開環(付加反応)が起きる。この反応の結果として、主としてエポキシ樹脂コーティングが重合し、それにより硬化する。
その硬化は、好ましくは、周囲温度で進行し、典型的には、数時間~数日にわたる。その期間は、温度、その成分の反応性、それらの化学量論比、及び促進剤の存在を含めた因子に依存する。
フレッシュに混合した状態では、そのエポキシ樹脂コーティングは、低粘度を有している。20℃で、成分を混合してから5分後での粘度は、コーン-プレート粘度計を使用し、剪断速度10s-1で測定して、好ましくは100~4000mPas、好ましくは200~3000mPas、特には300~2000mPa・sの範囲内である。
そのエポキシ樹脂コーティングは、少なくとも1種の基材に塗布するが、以下の基材が特に適している:
- コンクリート、モルタル、セメントスクリード(cement screed)、繊維セメント、れんが、タイル、セッコウ、天然の岩石たとえば花こう岩若しくは大理石、又は砂、特に導電性けい砂;
- PCC(ポリマー変性セメントモルタル)又はECC(エポキシ樹脂変性セメントモルタル)をベースとする修理用コンパウンド物又は平坦化用コンパウンド物;
- 金属又は合金たとえば、アルミニウム、鉄、鋼、銅、その他の非鉄金属(表面仕上げ金属又は合金たとえば、亜鉛メッキ若しくはクロムメッキした金属を含む);
- アスファルト又はビチューメン;
- プラスチックたとえば、硬質及び軟質のPVC、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、PMMA、ABS、SAN、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、PUR、POM、TPO、PE、PP、EPM、又はEPDM(いずれの場合においても、表面処理されていなくても、或いは、プラズマ、コロナ、若しくは火炎の手段により表面処理されていてもよい);
- 繊維強化プラスチック、たとえばカーボン繊維強化プラスチック(CFRP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、及びシートモールディングコンパウンド(SMC);
- コーティング又はペイントされた基材、特には、ペインテッドタイル、コーテッドコンクリート、粉体塗装した金属若しくは合金;
- コーティング、ペイント、又はニス剤、特にさらなるフロアの仕上げ材層を用いてオーバーコートされた、コーティングされたフロア。
必要があれば、適用する前に、特には、物理的及び/若しくは化学的クリーニング方法によるか、又は活性化剤若しくはプライマーを塗布することによって、基材を前処理しておいてもよい。
フレッシュに混合したエポキシ樹脂コーティングを、典型的には周囲温度で、そのポットライフの間に、基材の表面に、約0.1~約5mmの層厚で塗布する。それを、コーティング対象の基材の上に流し、次いでたとえばドクターブレード又はゴム製のスキージーを使用して、それを拡げて平坦にする。ブラシ又はローラーを用いて、塗布してもよい。硬化させると、典型的には、均一で、平坦で、光沢のある、非粘着性で、顔料着色若しくは透明な、高硬度で堅牢なフィルムが得られ、そのフィルムは、広く各種の基材に対する良好な接着性を有している。
本発明はさらに、その混合したエポキシ樹脂コーティングから得られる、硬化された導電性エポキシ樹脂コーティングも提供する。
硬化させた後では、そのエポキシ樹脂コーティングは、静電気散逸性フロアシステムの要素に好適な範囲内の電気伝導率を有している。
特には、0.3~3mmの範囲の層厚で硬化させた後の、そのエポキシ樹脂コーティングは、DIN EN 61340-4-1に従って測定して、5×10オームを超えかつ10オームより小さい範囲の接地電気抵抗を有している。
その硬化されたエポキシ樹脂コーティングが、透明で、ガラス上で0.5mmの層厚である場合、それは、UV-vis分光法により測定して、665nmで、好ましくは0.7以下、好ましくは0.6以下、特には0.5以下の吸収を有している。そのようなコーティングは、特に静電気散逸性フロアで、特にはその上に導電性けい砂を散布したフロアでの透明なシール材にも好適で、良好な色の視認性及び砂の構造及び高度に美的な表面の達成が保持される。
本発明のエポキシ樹脂コーティングは、静電気散逸性フロアシステムの要素として使用するのが好ましい。そのようなフロアシステムは、特に、静電放電を制御しないと問題が起きる、製造ホール又はルームに施工される。それらは、特に、電子部品を製造、貯蔵又は使用したり、或いは、高度に感度の高い測定系を操作したり、或いは可燃性の液体又は火薬類を取扱ったり保存したりする部屋、特に低湿度と特に空気中の微粒子を少なくしている温湿度調節した部屋、たとえばクリーンルーム、放射線施設又は手術室である。
したがって、本発明はさらに、下層から上層へ順に、以下のものを備えた静電気散逸性フロアシステムも提供する:
(i)少なくとも1種の基材、
(ii)任意に、少なくとも1種のエポキシ樹脂プライマー、
(iii)少なくとも1種の接地した導電システム、
(iv)少なくとも1種の導電性エポキシ樹脂コーティング(上で説明したもの)、
(v)任意に、少なくとも1種の分散した充填剤、及び
(vi)任意に、少なくとも1種のシール材。
その静電気散逸性フロアシステムは、好ましくは、DIN EN 61340-4-1に従って測定して、5×10オームを超えかつ10オームより小さい範囲の総合接地電気抵抗を有している。
適切な基材(i)は、特にはコンクリート(任意に摩砕、サンドブラスティング若しくはショットブラスティングの手段によって前処理されたもの)、又はモルタル、セメントスクリード、繊維セメント、れんが、タイル、セッコウ、天然の岩石たとえば、花こう岩若しくは大理石、アスファルト、又はPCC(ポリマー-変性セメントモルタル)又はECC(エポキシ樹脂-変性セメントモルタル)をベースとする、補修用コンパウンド物若しくはレベリング性用コンパウンド物である。好ましいのは、コンクリート、モルタル、又はセメントスクリードである。
その基材が、好ましくは、少なくとも1種のエポキシ樹脂プライマー(ii)を用いてコーティングされる。このものは、好ましくは、低粘度で、且つ充填剤をほとんど含まない。それは、特に、その基材を固化させるのに役立ち、すべての細孔を閉じさせ、その基材とさらなる層との間の良好な接着性を確保する。そのプライマーは、典型的には、ブラシ、ローラー、又はゴム製のスキージーを用いて、基材に分配する。塗布は、典型的には0.2~0.5kg/mの範囲の量で、1層又は複数層で実施する。この目的に適した、市販の製品としては、たとえば、以下のものが挙げられる:Sikafloor(登録商標)-150、Sikafloor(登録商標)-151、Sikafloor(登録商標)-160、又はSikafloor(登録商標)-161(すべて、Sika製)。
その基材が平坦でない場合には、プライマー処理をした後で、砂を充填したエポキシ樹脂組成物を用いてその表面をこて塗りすることにより、平坦化することができる。
接地された導電システム(iii)を、任意にプライマー処理し、任意に平坦化処理した基材の上に設置する。接地のためには、フロアにドリル穴を開け、その中に金属ねじをしっかりと突き立てるのが好ましい。好ましくは、銅線のメッシュ又は銅製のリボンをそのねじの上に置き、たとえばその上に置いた金属のワッシャを用いて、それらをねじと接触状態とする。この目的のための装置、及び取付のための的確な説明は、たとえば、市販されているSikafloor(登録商標)導電セット(Sika製)から入手できる。
銅線又は銅リボンと接地ねじとの間の分離に関しては、コーティング(iv)のタイプのもの(導電性フィルムと呼ばれる)をこの設備にさらに適用して、銅線又は銅リボンの間の導電性を確保する。好適な導電性フィルムは、特に高導電性エポキシ樹脂コーティング、たとえばSikafloor(登録商標)-220W Conductive(Sika製)である。
その導電システムは、好ましくは、少なくとも接地した銅線又は接地した銅製のリボンを含み、かつ任意に、それらと接触状態にありかつ10オーム未満の電気抵抗を有する少なくとも1種の導電性フォイルを含む。
次いで、少なくとも、カーボンナノチューブ及び式(I)の少なくとも1種のアミンを含む導電性エポキシ樹脂コーティング(iv)をその導電システムに塗布し、上述のようにして硬化させる。そのエポキシ樹脂コーティング(iv)は、上述のように、透明であっても、顔料着色されていてもよい。それは、1層又は複数層で、特に0.1~5mm、好ましくは0.2~3mmの範囲の層厚でその導電システムに塗布する。それは、0.2~3kg/m、好ましくは0.3~2.5kg/mの範囲の量で、1層だけで塗布するのが好ましい。
その導電性エポキシ樹脂コーティングは、充填剤(v)を用いて充填されていてよく、その充填剤はポットライフの間に散布され、好適な充填剤は、摩砕石英及び/又は特にはけい砂である。その充填剤の性質は、その大部分がコーティングの中に沈み込んで、エポキシ樹脂コーティングを固化させるようなものであってもよいし、或いは、過剰の砂をその上に散布して、硬化させて過剰の砂を除去した後に、砂を散布した粗い表面が得られるようなものがよい。
砂を散布した粗い表面を作成するために、少なくとも1種の導電性けい砂を使用するのが好ましい。
適切な導電性けい砂は、導電性合成樹脂を用いてコーティングされ、特には、0.1~1.3mmの範囲の粒径を有するけい砂である。そのようなけい砂は、たとえば、Granucol(登録商標)Conduct 2.0(Dorfner製)として市販されている。
少なくとも1種のシール材(vi)が、任意に、次いで、任意にその上に充填剤がすでに散布されている導電性エポキシ樹脂コーティングに塗布される。この目的で特に好適なのが、特にカーボンナノチューブ及び式(I)の少なくとも1種のアミン、並びに好ましくはそれに加えて、酸化亜鉛、特にはアルミニウムドープされた酸化亜鉛を含む、透明で導電性のエポキシ樹脂コーティングである。
特に0.1~1kg/m、好ましくは0.2~0.7kg/mの範囲の量で、シール材を塗布する。
フロアシステムの好ましい実施態様においては、その導電性エポキシ樹脂コーティング(iv)が、顔料着色され、0.1~5mm、特には0.2~3mmの範囲の層厚を有している。この場合においては、そのフロアシステムでは、その表面上に、過剰に散布された充填剤或いはシール材が一切残っていないのが好ましい。したがって、その顔料着色エポキシ樹脂コーティング(iv)が、そのフロアシステムの最上層を形成しているのが好ましい。高度な美的要求に適合させるために、この表面が良好な脱気性を有し、そのため、特に平坦であるということが、この場合特に重要である。
この実施態様においては、エポキシ樹脂コーティング(iv)の電気伝導率は、十分に信頼をおくことができ、良好であるので、その接地された導電システム(iii)において、導電性フィルムと呼ばれたもの、たとえばSikafloor(登録商標)-220W Conductive(Sika製)は無しですますことが可能である。このことは、導電性フィルムの硬化のための待ち時間も含めた操作全体を無しですますということを意味していて、これは、特に有利である。
この実施態様においては、その顔料着色された導電性エポキシ樹脂コーティング(iv)を、少なくとも1種の接地された銅線又は少なくとも1種の接地された銅製のリボンに直接塗布するのが好ましく、その間に導電性フィルムは存在させない。
本発明のさらなる好ましい実施態様においては、過剰の導電性けい砂を、導電性エポキシ樹脂コーティング(iv)の上に散布し、透明なシール材で覆う。この場合、エポキシ樹脂コーティング(iv)は、0.3~1mmの範囲の層厚で存在させるのが好ましい。それが透明であるのが好ましくは、そして酸化亜鉛、特にアルミニウムドープされた酸化亜鉛を含んでいるのが好ましい。その透明なシール材が、導電性エポキシ樹脂コーティングと同様であるのが好ましく、そしてカーボンナノチューブ及び少なくとも1種の酸化亜鉛を含んでいるのが好ましい。
本発明のフロアシステムは、ビルディングの一部、又はビルディングの中の部屋であるのが好ましい。特には、そのフロアシステムは、制御されない放電が損害を招くおそれがあるような場所ならどこにでも存在させることができる。それらは、特に、電子部品を製造、貯蔵又は使用したり、或いは、高度に感度の高い測定系を操作したり、或いは可燃性の液体又は火薬類を取扱ったり保存したりする部屋、特に低湿度と特に空気中の微粒子を少なくしている温湿度調節した部屋、たとえばクリーンルーム、放射線施設又は手術室である。
以下において、作業実施例を示すが、それらは、記述された本発明をさらに説明するためのものである。言うまでもないことであるが、本発明は、それら記述された作業実施例の実施態様に限定されることはない。
「AHEW」は、アミン水素当量を表す。
「EEW」は、エポキシ当量重量を表す。
「標準的気象条件(standard climatic conditions=SCC)」は、23±1℃の温度及び50±5%の相対大気湿度を指している。
使用した化学薬品は、特に断らない限り、Sigma-Aldrich Chemie GmbHからのものである。
使用した物質及び略称:
CNT Dispersion 10%:アルキルグリシジルエーテル(EEW=266g/mol)の中、10重量%の単層カーボンナノチューブの分散体(Tuball(登録商標)Matrix Beta 207、OCSiAl製)
Araldite(登録商標)GY 250:ビスフェノールAジグリシジルエーテル、EEW=187g/mol(Huntsman製)
Araldite(登録商標)DY-P:p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、EEW=225g/mol(Huntsman製)
Araldite(登録商標)DY-H:ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、EEW=147g/mol(Huntsman製)
チョーク:Omyacarb(登録商標)10 GU(Omya製)
Al-doped ZnO:アルミニウムドープされた酸化亜鉛(ZnO-23K、Itochu製)
B-EDA:N-ベンジルエタン-1,2-ジアミン、AHEW=50.1g/eq、下記により調製
IPDA:1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、AHEW=42.6g/eq(Vestamin(登録商標)IPD、Evonik製)
MXDA:1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、AHEW=34g/equiv.(三菱ガス化学製)
TMD:2,2(4),4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、AHEW=39.6g/equiv.(Vestamin(登録商標)TMD、Evonik製)
D-230:ポリオキシプロピレンジアミン、平均分子量=230g/mol、AHEW=60g/mol(Jeffamine(登録商標)D-230、(Huntsman製)
アダクトA1:IPDA、MXDAとAraldite(登録商標)GY 250とのアダクト、ベンジルアルコール中、AHEW=231g/eq、下記により調製
アダクトB1:B-EDAとAraldite(登録商標)GY 250とのアダクト、AHEW=116.3g/eq、下記により調製
Ancamine(登録商標)K54:2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(Air Products製)
Sikafloor(登録商標)-150:2成分エポキシ樹脂プライマー(Sika製)
Sikafloor(登録商標)-151:2成分エポキシ樹脂プライマー(Sika製)
Sikafloor(登録商標)-220W Conductive:2成分、水ベース、高導電性、黒色エポキシ樹脂コーティング
導電性けい砂:合成樹脂-コーティングされた導電性けい砂、0.3~0.8mm(Granucol(登録商標)Conduct 2.0、Dorfner製)
N-ベンジルエタン-1,2-ジアミン(B-EDA):
180.3g(3mol)のエタン-1,2-ジアミンの初期仕込みを、室温で、イソプロパノール1200mL中106.0g(1mol)のベンズアルデヒドの溶液と混合し、そして2時間撹拌し、次いで固定層Pd/C触媒を含む連続式水素化装置の中で、80℃、水素圧力80bar、5mL/minの流量で水素化し、そしてその水素化溶液を、ロータリーエバポレーター上、65℃で濃縮して、未反応のエタン-1,2-ジアミン、水、及びイソプロパノールを除去した。そのようにして得られた反応混合物を、減圧下、80℃で蒸留することにより、精製した。これにより、N-ベンジルエタン-1,2-ジアミン(GCにより測定した含量97%超)を含む無色の液状物が得られた。
アダクトA1:
57.3gのIPDA、42.5gのMXDA、及び318.8gのベンジルアルコールを加熱して80℃とし、81.3gのAraldite(登録商標)GY 250を、良好な撹拌をしながら徐々に添加し、その反応混合物の温度を70℃~90℃の間に保った。20℃で45mPa・sの粘度を有する、透明で淡黄色の液状物が得られた。
アダクトB1:
55.0gのN-ベンジルエタン-1,2-ジアミン(B-EDA)を加熱して80℃とし、45.0gのAraldite(登録商標)GY 250を、良好な撹拌をしながら徐々に添加し、その反応混合物の温度を70℃~90℃の間に保った。20℃で262mPa・sの粘度を有する、透明で淡黄色の液状物が得られた。
それらのアダクトの粘度は、実施例1に記載したようにして測定した。
導電性エポキシ樹脂コーティングの作成:
実施例1~3(淡灰色の顔料着色コーティング):
これらの実施例のためには、遠心ミキサー(SpeedMixer(商標)DAC 150、FlackTek Inc.製)の手段により下記の成分を混合することにより、樹脂成分を作成し、湿分を避けて保存した。
125.9重量部のAraldite(登録商標)GY 250、
25.2重量部のAraldite(登録商標)DY-P、
11.5重量部のAraldite(登録商標)DY-H、
0.27重量部のCNT Dispersion 10%、
231.0重量部のチョーク、
12.7重量部のベンジルアルコール、
5.6重量部の添加剤/消泡剤、
45.8重量部の淡灰色の顔料ペースト。
それぞれの実施例において、表1に示された硬化剤成分の成分を、遠心ミキサーの手段により示された量(単位、重量部)で混合し、湿分を避けて保存した。
次いで、それら二つの成分を、遠心ミキサーを使用して加工して、均一な液体とし、直ちにそれを、下記の方法で試験した:
粘度は、樹脂成分と硬化剤成分とを混合してから5分後に、コーン-プレート粘度計の手段により、剪断速度10s-1、温度20℃で測定した。
ゲル化時間は、標準気候条件下で、フレッシュに混合した約3gの量を、一定時間の間隔を空けて、スパーテルで動かして、その物質がゲル化するまでの時間を求めた。
ショアーD硬度は、DIN 53505に従い、2個の円筒状試験片(直径:20mm、厚み:5mm)を、8℃、相対湿度80%の標準気候条件下で保存して、測定した。硬度は、1日後、2日後、そして7日後に測定した。
パーティクルボードを、0.3kg/mのSikafloor(登録商標)-150を用いてプライマー処理し、標準気候条件下で24時間保存し、次いで、0.1kg/mのSikafloor(登録商標)-220W Conductiveを塗布し、そのボードを、標準気候条件下で、さらに24時間保存した。それぞれ1.3kg/mのエポキシ樹脂コーティングを、そのようにコーティングされたボートに塗布し、スキージーを用いて分配し、まだ液体の状態にあるうちに、スパイク付きのローラーを用いてロール掛けして、脱気した。そこで、レベリング性と脱気性を観察した。その液体コーティングが、スキージーを数回往復させるだけで、速やかに平坦化され、コーナーへもうまく流せたときには、レベリングが「極めて良好」と表現された。その液体コーティングをコーナーへ分配させるのに、分配のためのスキージーの往復回数を明らかに多くする必要があり、それから徐々に平坦化するときには、レベリングが「OK」と表現された。スパイク付きのローラーを用いてロール掛けした際に、微細に分散されていた空気が連通して、より大きな気泡となり、それらが表面で確実に破裂し、そしてスパイク付きのローラーを用いてロール掛けした後では、さらなる気泡が、ほとんどか又は全く上がってこないときには、脱気が「良好」又は「極めて良好」と表現された。スパイク付きのローラーを用いてロール掛けした後でさえも、さらなる微細に分散された空気が上がってきて、硬化中のコーティングの表面に留まり、そのまま粘度が上昇し、ついにはゲル化し、そのために、わずかに乱れのある、完全に平坦とは言えない表面が生じたときには、脱気が「不完全」と表現された。
外観は、コーティングされたパーティクルボードについて、7日間の硬化時間の後で、評価した。「良好な」表面とは、光沢があり、非粘着性で、縞模様や曇りがないものである。「平坦な」表面とは、むらやクレーターのない、滑らかな表面である。
接地電気抵抗は、DIN EN 61340-4-1に従い、標準気候条件下で7日間の硬化時間の後の、実施例1からのコーティングされたパーティクルボードについて、8点で測定した。
それらの結果は、表1に記載されている。
(Ref.)と表記されているのは、比較例である。
Figure 2023540869000001
実施例4及び5(透明なコーティング又はシーリング):
これらの実施例のためには、遠心ミキサーの手段により下記の成分を混合することにより、樹脂成分を作成し、湿分を避けて保存した。
185.6重量部のAraldite(登録商標)GY 250、
0.04重量部のCNT Dispersion 10%、
4.2重量部のAlドープされたZnO、
4.8重量部の添加剤/消泡剤、
15.4重量部のベンジルアルコール。
それぞれの実施例において、表2に示された硬化剤成分の成分を、遠心ミキサーの手段により示された量(単位、重量部)で混合し、湿分を避けて保存した。
次いで、それら二つの成分を、遠心ミキサーを使用して加工して、均一な液体とし、それを、下記の方法で試験した:
粘度、ゲル化時間、及びショアーDは、実施例1に記述したようにして、試験した。
パーティクルボードを、0.3kg/mのSikafloor(登録商標)-150を用いてプライマー処理し、標準気候条件下で24時間保存し、次いで、0.1kg/mのSikafloor(登録商標)-220W Conductiveを塗布し、そのボードを、標準気候条件下で、さらに24時間保存した。0.5kg/mのそれぞれのサンプルを、そのようにコーティングされたボートに塗布し、スキージーを用いて分配し、まだ液体の状態にあるうちに、ナイロンローラーを用いてロール掛けした。そこで、レベリング性及び脱気性を、実施例1の記載のようにして評価した。
透明性は、ガラスプレートに500μmの層厚でフィルムを塗布し、それを、標準気候条件下で7日間保存することにより評価した。次いで、そのガラスプレートを印刷された新聞紙の上に置き、そのコーティングされたガラスプレートを通して、新聞紙の印字の視認性がどの程度良好かで、評価を行った。その印字が明確且つ鮮明に読み取れるとき、透明性が「高」と表現された。その印字が、良好ではあるが、ぼやけて見えるとき、透明性が「平均」と表現された。
透明性のさらなる尺度として、UV-vis分光法による吸収を測定した。この目的のためには、UV-vis系(Cary 60、Agilent Technologies製)における透明性を評価するために、そのコーティングされたガラスプレートについて、665nm(赤色)での吸収を測定した。
外観及び電気抵抗は、実施例1の記載のようにして、コーティングされたパーティクルボードについて求めた。
それらの結果は、表2に記載されている。
(Ref.)と表記されているのは、比較例である。
Figure 2023540869000002
静電気散逸性フロアシステムの製造:
実施例6:
面積55mの、磨いた(polished)屋内コンクリートフロアに、静電気散逸性フロアシステムを施工した。その施工の間、気温は25℃~30℃、湿度は35%~40%であった。
最初に、プライマーとしてのSikafloor(登録商標)-151の層を、0.4kg/mの量でロール掛けし、24時間放置して硬化させた。
次いで、Sikafloor(登録商標)導電セットからの接地ポイント及び銅製のリボンを、フロアに取付け、使用説明書に従って準備した。
次いで、実施例1からの導電性エポキシ樹脂コーティングを2.0kg/mの割合で塗布し、ゴム製のスキージーの手段により分配し、スパイク付きのローラーを用いて,ロール掛けした。そのエポキシ樹脂コーティングは、優れたレベリング性及び極めて良好な脱気性を示した。そのようにして得られた灰色の顔料着色表面は、平坦、高硬度、高光沢で、非粘着性であり、そして縞模様や曇りは無かった。
仕上がったフロアシステムの接地電気抵抗を、DIN EN 61340-4-1に従い、30ポイントで測定した。測定した値の範囲を、表3に示す。
実施例7:
面積55mの、磨いた屋内コンクリートフロアに、静電気散逸性フロアシステムを施工した。その設置の間、その基材の温度は、14~17℃、気温は13℃~19℃、そして湿度は49%~66%であった。
最初に、プライマーとしてのSikafloor(登録商標)-151の層を、0.4kg/mの量でロール掛けし、24時間放置して硬化させた。
次いで、Sikafloor(登録商標)導電セットからの接地ポイント及び銅製のリボンを、フロアに取付け、使用説明書に従って準備し、それに続けて、Sikafloor(登録商標)-220W Conductiveコーティングを、導電性フィルムとして0.1kg/mの量でロール掛けした。
24時間の硬化時間の後で、実施例4からの透明で導電性のエポキシ樹脂コーティングを、0.5kg/mの量で塗布した。この目的のためには、原料を注ぎ、ゴム製のスキージーを用いて分配し、そしてローラーを用いてロール掛けした。
塗布してから30分以内に、3kg/mの量で導電性けい砂を、この層の上に過剰に散布した。24時間の硬化時間の後で、ブラシ及び真空クリーナーの手段により、過剰の砂を除去した。
次いで、その砂処理した表面を、実施例4からの導電性エポキシ樹脂コーティングを用い、ゴム製のスキージーによってそれを0.4kg/mの量で分配し、次いで、構造付きローラーを用いてロール掛けすることにより、透明シール材とした。
そのシール材は、砂処理した表面の上での良好な分配性を有しており、それに続けてロール掛けをすると、縞模様、気泡、クレーター、又はその他のむらがない、平坦な表面を示した。硬化させた後では、そのフロアシステムは、高度に美的で、平坦で、淡灰色のきらめきがあり、硬く、タックフリーの、透明な表面を有しており、それによって、その砂の色が良好な視認性を有していた。
仕上がったフロアシステムの接地電気抵抗を、DIN EN 61340-4-1に従い、30ポイントで測定した。測定した値の範囲を、表3に示す。
Figure 2023540869000003

Claims (17)

  1. 導電性エポキシ樹脂コーティングを製造するための、カーボンナノチューブと下記式(I)の少なくとも1種のアミンとの組合せの使用であって:
    Z-NH-A-NH-CH-Y (I)
    (式中、
    Aは、任意に1つ若しくは複数の窒素原子又はエーテル基を含む、二価のC~C15のアルキレン、シクロアルキレン、又はアリールアルキレン基であり、
    Zは、H、又は-CH-Yであり、
    Yは、H、又はC~C12のアルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、又はアリール基である)、
    ここで、前記式(I)のアミンが、合計で少なくとも8個の炭素原子を含む、
    使用。
  2. 前記カーボンナノチューブが、前記エポキシ樹脂コーティング全体を基準にして、0.001重量%~0.1重量%、特に0.001重量%~0.05重量%の範囲の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
  3. Aが1,2-エチレンであり、ZがHであり、Yがフェニルであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用。
  4. 前記式(I)のアミンが、前記エポキシ樹脂コーティングの中に存在するすべてのアミン水素の少なくとも5%が、前記式(I)のアミン由来であるような量で存在していることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の使用から得られる、下記を含む導電性エポキシ樹脂コーティング:
    - 少なくとも1種の液状エポキシ樹脂、
    - 前記式(I)の少なくとも1種のアミン、
    - カーボンナノチューブ、並びに
    - さらなるアミン、促進剤、充填剤、シンナー、表面活性添加剤、及び安定剤からなる群より選択される、少なくとも1種のさらなる成分。
  6. 存在しているすべてのアミン水素の5%~50%が、前記式(I)のアミン由来であり、かつ少なくとも4個の脂肪族アミン水素を有する少なくとも1種のさらなるアミンが存在していることを特徴とする、請求項5に記載のエポキシ樹脂コーティング。
  7. 前記コーティング全体を基準として、5重量%未満の水しか含まないことを特徴とする、請求項5又は6に記載のエポキシ樹脂コーティング。
  8. 前記コーティング全体を基準にして、下記を含むことを特徴とする、請求項5~7のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂コーティング:
    - 0.001重量%~0.05重量%のカーボンナノチューブ、
    - 200℃未満の沸点を有する1重量%未満のシンナー、及び
    - 5重量%未満の水。
  9. 顔料着色されており、かつ前記コーティング全体を基準にして、20重量%~70重量%の炭酸カルシウム、摩砕石英、けい砂、又はそれらの組合せを含むことを特徴とする、請求項5~8のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂コーティング。
  10. 透明であり、かつ前記コーティング全体を基準にして、下記を含むことを特徴とする、請求項5~8のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂コーティング:
    - 0.001重量%~0.01重量%のカーボンナノチューブ、
    - 1重量%~3重量%の酸化亜鉛、特にアルミニウムドープされた酸化亜鉛、及び
    - 特に、0.1重量%未満の、カーボンナノチューブ及び酸化亜鉛以外の、充填剤又は顔料。
  11. 請求項5~10のいずれか一項に記載の混合したエポキシ樹脂コーティングから得られる、硬化した導電性エポキシ樹脂コーティング。
  12. 静電気散逸性フロアシステムであって、下層から上層に向けて下記を含む、静電気散逸性フロアシステム:
    (i)少なくとも1種の基材、
    (ii)任意に、少なくとも1種のエポキシ樹脂プライマー、
    (iii)少なくとも1種の接地した導電システム、
    (iv)請求項11に記載の、少なくとも1種の導電性エポキシ樹脂コーティング、
    (v)任意に、少なくとも1種の分散した充填剤、及び
    (vi)任意に、少なくとも1種のシール材。
  13. DIN EN 61340-4-1に従って求めた接地電気抵抗が、5×10オームを超えかつ10オームより小さい範囲である、ことを特徴とする、請求項12に記載のフロアシステム。
  14. 前記導電システムが、少なくとも接地した銅線又は接地した銅製のリボンを含み、かつそれらと接触状態にありかつ10オーム未満の電気抵抗を有する少なくとも1種の導電性フォイルを任意に含むことを特徴とする、請求項12又は13に記載のフロアシステム。
  15. 前記導電性エポキシ樹脂コーティングが、顔料着色されており、かつ0.1~5mm、特には0.2~3mmの範囲の層厚を有することを特徴とする、請求項12~14のいずれか一項に記載のフロアシステム。
  16. 前記導電性エポキシ樹脂コーティングが、少なくとも1種の接地した銅線、又は少なくとも1種の接地した銅製のリボンに直接塗布され、かつそれらの間に、導電性フォイルが存在しないことを特徴とする、請求項15に記載のフロアシステム。
  17. 過剰な導電性けい砂が、前記導電性エポキシ樹脂コーティングの上に散布され、かつ透明なシール材で被覆されていることを特徴とする、請求項12~14のいずれか一項に記載のフロアシステム。
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