JP2023538496A - 心不全治療のためのmiRNAのコンビナトリアル阻害 - Google Patents
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Abstract
本発明は、心不全の治療のためのmiRNAの組み合わせを標的とする阻害性核酸剤の組み合わせに関するものである。阻害されるmiRNAの組み合わせは、miR-1a及びmiR-15b、又はmiR-1a、miR-15b及びmiR-27b、又はmiR-1a、miR-27b及びmiR-34aから選択される群のうちの1つを含む。これらのmiRNAのコンビナトリアル阻害(combinatorial inhibition)は、心筋細胞の増殖を増加することが示されている。【選択図】なし
Description
本発明は、心不全の治療のためのmiRNAの組み合わせを対象とする(標的とする)阻害性核酸剤の組み合わせに関するものである。阻害されるmiRNAの組み合わせは、miR-1a及びmiR-15b、又はmiR-1a、miR-15b及びmiR-27b、又はmiR-1a、miR-27b及びmiR-34aから選択される群のうちの1つを含む。これらのmiRNAのコンビナトリアル阻害(combinatorial inhibition)は、心筋細胞の増殖を増大することが示されている。
心血管疾患は、世界の主要な死因となっている。特に心不全は、心血管疾患の罹患率及び死亡率の主な要因となる。心不全は、心筋梗塞、慢性高血圧、心筋線維化、及び炎症によって引き起こされる心臓の不適応なリモデリングに起因する。心筋細胞の喪失は心不全の主な特徴である。しかしながら、成人の心臓や不全のヒト心臓では、心筋細胞の増殖能に限界がある。したがって、心臓の収縮能力を回復させるためには、失われた心筋細胞を補充するような再生アプローチが必要である。このように、心筋細胞の増殖を目的とすることは、心筋の再生及び修復のための可能な新たな治療戦略の1つである。
調節性低分子マイクロRNA(miRNA)は、約22ヌクレオチドの小さな非コードRNAであり、遺伝子発現を抑制し、標的タンパク質をコードするmRNAの分解又は崩壊を促進する。miRNAは、標的mRNAの3’-非翻訳領域に結合することにより転写後レベルで遺伝子発現を調節する。心筋症では多くのmiRNAが制御されていることが示されており、単一のmiRNAの過剰発現又は阻害は、炎症、代謝、及び心機能に関わる重要な遺伝子を標的することにより心不全の発症を干渉する可能性があることがわかっている。miRNAは、健康状態及び病気の状態における遺伝子発現の調節に中心的な役割を果たすことから、様々な病気の可能な治療ターゲットとして浮上している。
上述の技術水準に基づいて、本発明の目的は、心不全を治療するための手段及び方法を提供することである。
この目的は、本明細書の独立請求項の主題によって達成される。
発明の概要
本発明の第1の態様は、心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせに関するものである。各核酸剤は、標的マイクロRNAを標的とし、かつそれを特異的に阻害及び/又は分解することが可能である。核酸薬剤の組み合わせは、細胞内のマイクロRNAの組み合わせを阻害及び/又は分解することが可能である。阻害される、あるいは分解されるマイクロRNAの組み合わせは、
a. miR-1a、及び
b. miR-15b、又は
miR-15b及びmiR-27b、又は
miR-27b及びmiR-34a、
である。
本発明の第1の態様は、心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせに関するものである。各核酸剤は、標的マイクロRNAを標的とし、かつそれを特異的に阻害及び/又は分解することが可能である。核酸薬剤の組み合わせは、細胞内のマイクロRNAの組み合わせを阻害及び/又は分解することが可能である。阻害される、あるいは分解されるマイクロRNAの組み合わせは、
a. miR-1a、及び
b. miR-15b、又は
miR-15b及びmiR-27b、又は
miR-27b及びmiR-34a、
である。
本発明の第2の態様は、ヒト心筋細胞において作動可能なプロモーターの制御下で、心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせをコードする、発現コンストラクト、又は複数の発現コンストラクトに関する。各核酸剤は、標的マイクロRNAを標的とし、かつそれを特異的に阻害及び/又は分解することができ、それによりマイクロRNAの組み合わせを阻害及び/又は分解することができる。マイクロRNAの組み合わせは、
a. miR-1a、及び
b. miR-15b、又は
miR-15b及びmiR-27b、又は
miR-27b及びmiR-34a、
である。
a. miR-1a、及び
b. miR-15b、又は
miR-15b及びmiR-27b、又は
miR-27b及びmiR-34a、
である。
本発明の第3の態様は、第1の態様による核酸剤の組み合わせ、又は第2の態様による複数の発現コンストラクトを含む、心臓病の治療又は予防における使用のための医薬組成物に関するものである。
別の実施形態では、本発明は、本発明の化合物の少なくとも1つ又はその薬学的に許容される塩と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物に関するものである。
発明の詳細な説明
用語と定義
本明細書を解釈する目的で、以下の定義が適用され、適切な場合、単数形で使用される用語は複数形も含み、その逆も同様である。以下に記載されているいずれの定義が、参照により本明細書に組み込まれている文書と矛盾する場合は、この記載されている定義が優先されるものとする。
用語と定義
本明細書を解釈する目的で、以下の定義が適用され、適切な場合、単数形で使用される用語は複数形も含み、その逆も同様である。以下に記載されているいずれの定義が、参照により本明細書に組み込まれている文書と矛盾する場合は、この記載されている定義が優先されるものとする。
本明細書で使用される用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(including)」、及び他の同様の形態、並びにそれらの文法的に同等な用語は、意味において同等であること、及びこれらの単語のいずれか1つに続く1つ又は複数の項目が、係る1つ又は複数の項目を網羅的にリストするものではない、又はリストした1つ又は複数の項目のみに限定するものではないことにおいてオープンエンドとすることを意図している。例えば、成分A、B及びCを「含む(comprising)」品目は、成分A、B及びCからなる(すなわち、成分A、B及びCのみを含有する)こともでき、又は成分A、B及びCのみならず、1つ又は複数の他の成分を含むこともできる。そのため、「含む(comprise)」及びその同様の形態、並びにその文法的に同等な用語には、「から本質的になる(consisting essentially of)」又は「からなる(consisting of)」の実施形態の開示が含まれることが意図及び理解されている。
値の範囲が与えられている場合、文脈上明確に別段の指示がない限り、その範囲の上限と下限の間の下限の単位の10分の1までの介在値、及びその記載の範囲内のいずれの他の記載値又は介在値のそれぞれは、記載の範囲内で具体的に除外される限界に従って、本開示内に包含されると理解される。記載された範囲が限界値の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界値の一方又は両方を除いた範囲もまた開示に含まれる。
本明細書において、ある値又はパラメータに関する「約」の言及は、その値又はパラメータそれ自体を対象とする変化形を含む(及び記述する)。例えば、「約X」に言及する記述は、「X」の記述を含む。
添付の特許請求の範囲を含み、本明細書で使用されるとおり、単数形の「a」、「又は(or)」及び「the」は、文脈によって明らかに指示されない限り、複数の参照を含む。
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、当業者(例えば、細胞培養、分子遺伝学、核酸化学、ハイブリダイゼーション技術及び生化学)により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。分子、遺伝、生化学的手法(一般に、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第4編.(2012)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.及びAusubelら,Short Protocols in Molecular Biology(2002)第5編,John Wiley & Sons,Inc.)及び化学的手法には、標準的な技術を使用する。
本明細書の文脈における「ハイブリッド又はハイブリダイズ配列を形成することができる」という用語は、哺乳類細胞のサイトゾル内に存在する条件の下で、標的配列に選択的に結合することができる配列に関するものである。このようなハイブリダイズ配列は、標的配列と連続的に逆相補的であってもよいし、又はギャップ、ミスマッチ、又はさらにノンマッチングのヌクレオチドを含んでいてもよい。ハイブリッドを形成可能な配列の最小長は、骨格化学及びその組成に依存し、C又はGのヌクレオチドはA又はT/Uのヌクレオチドよりも多く結合エネルギーに寄与する。
本明細書の文脈における「ヌクレオチド」という用語は、核酸又は核酸アナログの構成単位に関するもので、それらのオリゴマーは、塩基対形成に基づいてRNAオリゴマー又はDNAオリゴマーと選択的ハイブリッドを形成することが可能である。この文脈での「ヌクレオチド」という用語は、古典的なリボヌクレオチドの構成単位であるアデノシン、グアノシン、ウリジン(及びリボシルチミン)、シチジン、古典的なデオキシリボヌクレオチドであるデオキシアデノシン、デオキシグアノシン、チミジン、デオキシウリジン、及びデオキシシチジンが含まれる。さらに、ホスホチオエート(phosphotioate)、2’O-メチルホスホチオエート、ペプチド核酸(PNA;N-(2-アミノエチル)-グリシン単位をペプチド結合でつなぎ、グリシンのα炭素に核酸塩基が結合したもの)又はロック核酸(LNA;2’O,4’Cメチレン架橋RNA構成単位)などの核酸のアナログが含まれる。本明細書において、「ハイブリダイズ配列」に言及する場合、係るハイブリダイズ配列は、上記のヌクレオチドのいずれか、又はそれらの混合物から構成することができる。
本明細書の文脈における「miRNA(マイクロRNA(microRNA))」という用語は、RNAサイレンシング及び遺伝子発現の転写後調節で機能する低分子非コードRNA(約22ヌクレオチド含有)に関するものである。
本明細書の文脈における「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、RNAと実質的に相補的で、かつRNAとハイブリダイズすることができる配列を有するオリゴヌクレオチドに関するものである。このようなRNAに対するアンチセンス作用により、RNAの生物学的作用が調節され、特に阻害又は抑制されることになる。このRNAがmRNAである場合、得られる遺伝子産物の発現が阻害又は抑制される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、DNA、RNA、ヌクレオチドアナログ及び/又はそれらの混合物からなることが可能である。当業者は、所与の標的に対する理論的に最適なアンチセンス配列を計算処理するための様々な商業的及び非商業的な供給元を知っている。最適化は、核酸塩基配列と骨格(リボ、デオキシリボ、アナログ)組成との両方の観点から行うことができる。実際の物理的なオリゴヌクレオチドを送達する供給元は多数存在し、これらは一般的には固体合成によって合成される。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの例としては、DNAからできるアンチセンスオリゴマー、骨格にホスホロチオエート修飾結合を有するDNA、リボヌクレオチドオリゴマー、架橋ヌクレオチド又はロックヌクレオチドを含むRNA(特に、リボース環が2’-O原子と4’-C原子との間のメチレン架橋によって連結されるもの)、骨格にホスホロチオエート修飾結合を有するRNA、又はオリゴマーとしてのデオキシリボヌクレオチド塩基とリボヌクレオチド塩基との任意の混合物が挙げられる。
特定の実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホチオエート、2’O-メチルホスホチオエート、ペプチド核酸(PNA;N-(2-アミノエチル)-グリシン単位がペプチド結合によって連結され、核酸塩基がグリシンのα炭素に結合しているもの)又はロック核酸(LNA;2’O,4’Cメチレン架橋RNA構成単位)などの核酸のアナログを含む。アンチセンス配列は、上記の核酸アナログのいずれかで部分的に構成され、残りのヌクレオチドは自然界に存在する「天然」リボヌクレオチドであってもよいし、又は異なるアナログの混合物であってもよいし、又は1種類のアナログで完全に構成されてもよい。
本明細書の文脈における「核酸発現ベクター」という用語は、プラスミド又はウイルスゲノムに関し、プラスミド又はウイルスゲノムは目的の特定の遺伝子を標的細胞に導入(トランスフェクト)(プラスミドの場合)又は形質導入(ウイルスゲノムの場合)するために使用される。目的の遺伝子はプロモーター配列の制御下にあり、プロモーター配列は標的細胞内で作動可能なため、目的の遺伝子は構成的に、あるいは刺激に応答して、あるいは細胞の状態に依存してのいずれかで転写される。特定の実施形態では、ウイルスゲノムはカプシドに封入され、ウイルスベクターとなり、標的細胞に形質導入することができる。
本明細書に開示される配列と類似又は相同(例えば、少なくとも約70%の配列同一性)の配列もまた、本発明の一部である。核酸レベルでは、配列同一性は約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上とすることができる。あるいは、核酸セグメントが選択的なハイブリダイゼーション条件(例えば、非常に高いストリンジェンシーなハイブリダイゼーション条件)下で、鎖の相補体にハイブリダイズする場合には、実質的な同一性が存在する。核酸は、全細胞、細胞溶解物、又は部分的に精製された若しくは実質的に純粋な形態で存在することができる。
本明細書の文脈において、「配列同一性」及び「配列同一性の割合(パーセンテージ)」という用語は、整列した2つの配列を位置ごとに比較して決定される配列比較の結果を表す1つの定量的パラメータを意味する。比較用の配列アラインメント方法は、当該技術分野でよく知られている。比較用の配列アラインメントは、Smith及びWatermanのローカルホモロジーアルゴリズム,Adv.Appl.Math.2:482(1981)、Needleman及びWunschのグローバルアライメントアルゴリズム、J.Mol.Biol.48:443(1970)、Pearson及びLipmanの類似性検索法、Proc.Nat.Acad.Sci.85:2444(1988)、又はこれらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装によって実行され、CLUSTAL、GAP、BESTFIT、BLAST、FASTA及びTFASTAを含むが、これらに限定されない。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、例えば、アメリカ国立生物工学情報センター(http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて公的に入手可能である。
核酸配列の比較についての一例としては、BLASTNアルゴリズムがあり、デフォルト設定を使用する:Expect threshold10;Word size:28;Max matches in a query range:0;Match/Mismatch Scores:1.-2;Gap costs:Linear。他に記載がない限り、本明細書で提供される配列同一性の値は、BLAST一連のプログラム(Altschulら、J.Mol.Biol.215:403-410(1990))を用いて、それぞれタンパク質及び核酸の比較のために上記で特定されるデフォルトパラメータを使用して得られた値を指す。
パーセンテージの値の指定なしに同一配列に言及する場合、100%同一の配列(つまり、同じ配列)を意味する。
本明細書の文脈において、「ハイブリダイズ配列」という用語は、RNA(リボヌクレオチド)、DNA(デオキシリボヌクレオチド)、ホスホチオエート(phosphotioate)デオキシリボヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ホスホチオエートリボヌクレオチド、LNA及び/又はPNAヌクレオチドアナログを含むか、又はそれから本質的になるポリヌクレオチド配列を包含する。
本明細書で使用されるとおり、「医薬組成物」という用語は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体を伴う、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を指す。特定の実施形態では、本発明による医薬組成物は、局所、非経口又は注入投与に適した形態で提供される。
本明細書で使用されるとおり、「薬学的に許容される担体」という用語には、当業者に知られているとおり、任意の溶媒、分散媒質、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬物、薬物安定剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、染料など、並びにそれらの組み合わせが含まれる(例えば、Remington:the Science and Practice of Pharmacy、ISBN 0857110624を参照)。
本明細書で使用されるとおり、任意の疾患又は障害(例えば、がん)を「治療する」又はその「治療」という用語は、一実施形態では、疾患又は障害を改善すること(例えば、疾患又はその臨床症状の少なくとも1つの発生を遅らせること、停止させること、又は低減させること)を指す。別の実施形態では、「治療する」又は「治療」は、患者が識別できない可能性のあるものを含む少なくとも1つの身体的パラメータを緩和すること又は改善することを指す。さらに別の実施形態では、「治療する」又は「治療」は、身体的に(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理学的に(例えば、身体的パラメータの安定化)、又はその両方のいずれかで、疾患又は障害を調節することを指す。疾患の治療及び/又は予防を評価する方法は、以下に特に記載しない限り、当該技術分野において一般的に知られているものである。
本発明の第1の態様は、心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせに関するものである。各核酸剤は、標的マイクロRNAを標的とし、かつそれを特異的に阻害及び/又は分解することが可能である。核酸薬剤の組み合わせは、細胞内のマイクロRNAの組み合わせを阻害及び/又は分解することが可能である。阻害される、あるいは分解されるマイクロRNAの組み合わせは、
a. miR-1a、及び
b. miR-15b、又は
miR-15b及びmiR-27b、又は
miR-27b及びmiR-34a、
である。
a. miR-1a、及び
b. miR-15b、又は
miR-15b及びmiR-27b、又は
miR-27b及びmiR-34a、
である。
特定の実施形態では、マイクロRNAの組み合わせは、miR-1a及びmiR-15bを含む。
核酸剤の組み合わせは、細胞分裂が停止したP7ラットの心筋細胞で試験した(図3)。この状況は、心不全の治療状況に最も似ており、なぜなら、心不全の治療状況でも、心筋細胞の細胞分裂が停止しているからである。本発明者らは、miR-1aとmiR-15bとの組み合わせが、分裂終期の心筋細胞のパーセンテージとして測定される最も高い細胞分裂率を誘導することを発見した(図3)。
特定の実施形態では、本核酸薬剤はアンチセンスヌクレオチドである。
特定の実施形態では、各核酸剤は、ヌクレオチドのハイブリダイズ配列を含む。特定の実施形態では、各核酸剤は、ヌクレオチドのハイブリダイズ配列から本質的になる。ヌクレオチドのハイブリダイズ配列は、それぞれの標的マイクロRNAとハイブリッドを形成することが可能である。
特定の実施形態では、各核酸剤は、配列番号001~004の配列から選択される(異なる)配列を含む。特定の実施形態では、各核酸剤は、配列番号001~004の配列から選択される(異なる)配列から本質的になる。
特定の実施形態では、各核酸剤は、配列番号001~002の配列から選択される(異なる)配列を含む。特定の実施形態では、各核酸剤は、配列番号001~002の配列から選択される(異なる)配列から本質的になる。
特定の実施形態では、前記核酸剤のうちの1つは、1つ又は複数のロック核酸(LNA)部分及び/又はペプチド核酸(PNA)部分を含むか、又はそれから本質的になる。特定の実施形態では、前記核酸剤のうちのすべては、1つ又は複数のロック核酸(LNA)部分及び/又はペプチド核酸(PNA)部分を含むか、又はそれから本質的になる。特定の実施形態では、核酸剤は、ロック核酸(LNA)部分から本質的になる。
特定の実施形態では、核酸剤のうちの1つは、隣接する(デオキシ)リボヌクレオシド部分又は隣接するリボヌクレオチドアナログ部分を接続する1つ又は複数のチオリン酸結合を含む。特定の実施形態では、核酸剤のいくつか又はすべては、隣接する(デオキシ)リボヌクレオシド部分又はリボヌクレオチドアナログ部分を接続する1つ又は複数のチオリン酸結合を含む。
特定の実施形態では、核酸剤のうちの1つは、チオリン酸結合によって隣接するリボヌクレオシド部分又は隣接するリボヌクレオチドアナログ部分に接続されるLNA部分を含む。特定の実施形態では、核酸剤のうちの1つは、核酸剤のいずれかの末端にチオリン酸結合で接続された2、3又は4個のLNA部分を含む。
特定の実施形態では、前記核酸剤のうちの1つは、ヒト心筋細胞において作動可能なプロモーターの制御下でヌクレオチドのハイブリダイズ配列をコードする配列を含む外来性(導入遺伝子)発現コンストラクトから細胞内で発現する。
特定の実施形態では、前記核酸剤のいくつか又はすべては、ヒト心筋細胞において作動可能なプロモーターの制御下でヌクレオチドのハイブリダイズ配列をコードする配列を含む外来性(導入遺伝子)発現コンストラクトから細胞内で発現する。
本発明の第2の態様は、ヒト心筋細胞において作動可能なプロモーターの制御下で、心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせをコードする、発現コンストラクト、又は複数の発現コンストラクトに関する。各核酸剤は、標的マイクロRNAを標的とし、かつそれを特異的に阻害及び/又は分解することができ、それによりマイクロRNAの組み合わせを阻害及び/又は分解することができる。マイクロRNAの組み合わせは、
a. miR-1a、及び
b. miR-15b、又は
miR-15b及びmiR-27b、又は
miR-27b及びmiR-34a、
である。
a. miR-1a、及び
b. miR-15b、又は
miR-15b及びmiR-27b、又は
miR-27b及びmiR-34a、
である。
特定の実施形態では、マイクロRNAの組み合わせは、miR-1a及びmiR-15bを含む。
特定の実施形態では、発現コンストラクトの各々及びすべては、単一の核酸分子内に含まれる。
特定の実施形態では、すべての発現コンストラクトを含む単一の核酸分子は多シストロン性コンストラクトであり、これは本発明の核酸剤の組み合わせのそれぞれ1つずつに、複数のオープンリーディングフレームを有するものである。
特定の実施形態では、核酸剤又は発現コンストラクトは、ナノ粒子に結合しているか、又はウイルス及びリポソームから選択される粒子構造体によってカプセル化されている。
リポソームは、少なくとも1つの脂質二重層を持つ球状の小胞である。リポソームは、生体膜を破壊すること(超音波処理など)により調製することができる。リポソームの主な種類には、多層膜小胞(MLV(multilamellar vesicle)、複数のラメラ相脂質二重層を含む)、小型単層リポソーム小胞(SUV(small unilamellar liposome vesicle)、1層の脂質二重層を含む)、大型単層小胞(LUV(large unilamellar vesicle))、及び渦巻状小胞がある。
ナノ粒子は、直径1~100ナノメートル(nm)の間の粒子状物質である。特定の実施形態では、ナノ粒子は、銀、金、ヒドロキシアパタイト、クレイ、二酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、炭素、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、及び三フッ化イッテルビウム(ytterbium trifluoride)から選択される材料から構成されている。
特定の実施形態では、ウイルスは、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス、又は前述のもののハイブリッドから選択される。特定の実施形態では、ウイルスは、心筋細胞を選択的に形質導入する。
特定の実施形態では、ナノ粒子、又は粒子構造体は、心筋細胞へのナノ粒子又は粒子構造体の送達又は進入を促進するリガンドを含む。特定の実施形態では、リガンドは、抗CD71 Fab断片及び抗cTnI Fab断片から選択される。これらのリガンドは、標的送達を行うために、心筋細胞に特異的な細胞表面受容体を標的することによって機能する。
特定の実施形態では、プロモーターは、前記核酸剤の心臓特異的な発現を可能にする。特定の実施形態では、プロモーターは、心臓組織特異的RNAポリメラーゼ2プロモーターである。特定の実施形態では、プロモーターは、ミオシン軽鎖2v(Myosin Light Chain 2v)(MLC2v)プロモーター、心臓トロポニンT(cardiac Troponin T)(cTnT)プロモーター、ミオシン重鎖α(Myosin Heavy Chain alpha)(MHCa)プロモーター、及びタイチン(Titin)(Ttn)プロモーターから選択される。
特定の実施形態では、心臓病は、心筋細胞の損失によって特徴付けられる。特定の実施形態では、心臓病は、心筋細胞の損失によって特徴付けられる心不全である。特定の実施形態では、心不全は、心筋の梗塞、狭窄、先天性疾患、炎症及び/又は敗血症の結果である。
特定の実施形態では、心臓病は、心筋細胞の低酸素状態(低酸素症)によって特徴付けられる。
心不全(HF:Heart failure)は、心臓が身体の必要量を満たす血流を維持するのに十分なポンプ機能を果たせない場合に発生し、治療しなければ死に至る。心不全(HF)は、冠動脈疾患、虚血性心疾患、大動脈弁狭窄症、高血圧症、及び代謝性疾患などの症状における疾患進行の結末にある。心不全は、心筋細胞の損失によって引き起こされ得る。心筋細胞は、酸素の供給不足(低酸素症(状態))により失われることが多い。本発明の核酸剤の組み合わせを使用することで、残った心筋細胞が分裂し、失われた心筋細胞の置き換えが引き起こされる。
本発明の第3の態様は、第1の態様による核酸剤の組み合わせ、又は第2の態様による複数の発現コンストラクトを含む、心臓病の治療又は予防における使用のための医薬組成物に関するものである。
特定の実施形態では、医薬組成物は、心臓へ投与される。
医療、剤形、及び塩
同様に、本発明の範囲内には、上記の核酸配列を患者に投与することを含む、それを必要とする患者の心臓病を治療すること、又はその方法が含まれる。
同様に、本発明の範囲内には、上記の核酸配列を患者に投与することを含む、それを必要とする患者の心臓病を治療すること、又はその方法が含まれる。
同様に、本発明の上記いずれかの態様又は実施形態によるアンチセンス分子を含む、心臓病の予防又は治療のための剤形が提供される。
当業者は、いずれの具体的に言及された薬物が、該薬物の薬学的に許容される塩として存在し得ることを認識している。薬学的に許容される塩には、イオン化された薬物及び逆荷電の対イオンが含まれる。薬学的に許容されるアニオン性塩形態の非限定的な例としては、酢酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、酒石酸水素塩(bitatrate)、臭化物、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エンボン酸塩、エストール酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化物、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硫酸メチル、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、サリチル酸塩、ジサリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド、及び吉草酸塩が挙げられる。薬学的に許容されるカチオン塩形態の非限定的な例としては、アルミニウム、ベンザチン、カルシウム、エチレンジアミン、リジン、マグネシウム、メグルミン、カリウム、プロカイン、ナトリウム、トロメタミン、及び亜鉛が挙げられる。
剤形は、鼻腔、口腔、直腸、経皮、若しくは経口投与などの経腸投与用、又は吸入剤若しくは坐剤とすることができる。あるいは、皮下、静脈内、肝内、若しくは筋肉内の注入形態などの非経口投与が用いられてもよい。任意に、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤が存在してもよい。
局所投与もまた、本発明の有利な使用の範囲内である。当業者は、以下の内容によって例示されるとおり局所製剤を提供するための可能な広い範囲の処方について理解している:Benson及びWatkinson(編),Topical and Transdermal Drug Delivery:Principles and Practice(第1編,Wiley 2011,ISBN-13:978-0470450291);及びGuy及びHandcraft:Transdermal Drug Delivery Systems:Revised and Expanded(第2編,CRC Press 2002,ISBN-13:978-0824708610);Osborne及びAmann(編):Topical Drug Delivery Formulations(第1編,CRC Press 1989;ISBN-13:978-0824781835)。
医薬組成物及び投与
本発明の別の態様は、本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。さらなる実施形態では、該組成物は、本明細書に記載されるものなどの少なくとも2つの薬学的に許容される担体を含む。
本発明の別の態様は、本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。さらなる実施形態では、該組成物は、本明細書に記載されるものなどの少なくとも2つの薬学的に許容される担体を含む。
本発明の特定の実施形態では、本発明の化合物は、典型的には、薬物の容易に制御可能な投与量を提供し、かつ患者に簡潔かつ容易に取り扱い可能な製品を付与するような薬学的剤形に製剤化される。
本発明の化合物の局所的使用に関する本発明の実施形態では、医薬組成物は、水溶液、懸濁液、軟膏、クリーム、ゲル又は噴霧可能な製剤、例えばエアゾール等による送達用のものなど、局所投与に適した方法で製剤化され、活性成分を当業者に知られている1つ又は複数の可溶化剤、安定剤、等張化増強剤、緩衝液及び防腐剤と共に含んでいる。
医薬組成物は、経口投与、非経口投与、又は直腸投与用に製剤化することができる。さらに、本発明の医薬組成物は、固体形態(限定されないが、カプセル、錠剤、丸薬、顆粒、粉末又は坐剤を含む)、又は液体形態(限定されないが、溶液、懸濁液又は乳濁液を含む)において構成することができる。
本発明の化合物の投与レジメンは、特定の薬剤の薬力学的特性及びその投与の様式及び経路などの既知の要因:レシピエントの種、年齢、性別、健康状態、病状、及び体重;症状の性質と程度;同時治療の種類;治療の頻度;投与経路、患者の腎機能及び肝機能、並びに所望の効果、に応じて変化するであろう。特定の実施形態では、本発明の化合物は、1日1回の用量で投与されてもよいし、又は1日の総用量が、1日2回、3回、又は4回に分割した用量で投与されてもよい。
特定の実施形態では、本発明の医薬組成物又は組み合わせは、約50~70kgの対象に対して約1~1000mgの活性成分(複数可)の単位用量であり得る。化合物、医薬組成物、又はそれらの組み合わせの治療上有効な投与量は、対象の種、体重、年齢及び個人の状態、治療される障害又は疾患又はその重篤度に依存する。通常の技術を有する医師、臨床医又は獣医師であれば、障害又は疾患の予防、治療又は進行抑制に必要な各有効成分の有効量を容易に決定することができる。
本発明の医薬組成物は、滅菌などの従来の医薬操作にかけることができ、及び/又は従来の不活性希釈剤、潤滑剤、又は緩衝剤、並びに保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤及び緩衝剤などのアジュバントを含有することができる。これらは、標準的なプロセス、例えば、従来の混合、造粒、溶解又は凍結乾燥プロセスによって製造することができる。医薬組成物を調製するための多くのそのような手順及び方法は、当技術分野で知られており、例えば、L.Lachmanら、The Theory and Practice of Industrial Pharmacy,第4編,2013(ISBN 8123922892)を参照されたい。
本発明は、さらに以下の項目を包含する。
項目
項目1. 心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせであって、前記核酸剤の各々は、標的マイクロRNAを標的とし、かつそれを特異的に阻害及び/又は分解することができ、それによって前記核酸剤の組み合わせは、細胞内のマイクロRNAの組み合わせを阻害及び/又は分解することができ、前記マイクロRNAの組み合わせは、
a. miR-1a、及び
b. miR-15b、又は
miR-15b及びmiR-27b、又は
miR-27b及びmiR-34a、
である、前記核酸剤の組み合わせ。
項目2. 前記マイクロRNAの組み合わせは、miR-1a及びmiR-15bを含む、項目1に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。
項目3. 各核酸剤は、ヌクレオチドのハイブリダイズ配列を含むか、又はそれから本質的になり、前記ヌクレオチドのハイブリダイズ配列は、標的マイクロRNAとハイブリッドを形成することができる、項目1又は2に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。
項目4. 各核酸剤は、配列番号001~004の配列から選択される配列を含むか、又はそれから本質的になる、項目1~3のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。
項目5. 前記核酸剤のうちの1つは、
1つ又は複数のロック核酸(LNA)部分及び/又はペプチド核酸(PNA)部分、
を含むか、又はそれから本質的になり、
特に、前記核酸剤のすべては、
1つ又は複数のロック核酸(LNA)部分及び/又はペプチド核酸(PNA)部分、
を含むか、又はそれから本質的になり、
特に、前記核酸剤は、ロック核酸(LNA)部分から本質的になる、
項目1~4のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。
項目6. 前記核酸剤のうちの1つは、
1つ又は複数のチオリン酸結合を含み、
特に、前記核酸剤のすべては、
1つ又は複数のチオリン酸結合を含む、
項目1~5のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。
項目7. 前記核酸剤のうちの1つは、チオリン酸結合により隣接物に接続されたLNA部分を含み、
特に、前記核酸剤のうちの1つは、前記核酸剤のいずれかの末端でチオリン酸結合により接続された2、3又は4個のLNA部分を含む、
項目5又は6に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。
項目8. 前記核酸剤のうちの1つは、
ヒト心筋細胞において作動可能なプロモーターの制御下でヌクレオチドのハイブリダイズ配列をコードする配列を含む外来性(導入遺伝子)発現コンストラクトにより細胞内で発現し、
特に、前記核酸剤のすべては、
ヒト心筋細胞において作動可能なプロモーターの制御下でヌクレオチドのハイブリダイズ配列をコードする配列を含む外来性(導入遺伝子)発現コンストラクトにより細胞内で発現する、
項目1~7のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。
項目9. ヒト心筋細胞において作動可能なプロモーターの制御下で、核酸剤の組み合わせをコードする、心臓病の治療又は予防における使用のための、発現コンストラクト、又は複数の発現コンストラクトであって、前記核酸剤の各々は、標的マイクロRNAを標的とし、かつそれを特異的に阻害及び/又は分解することができ、それによってマイクロRNAの組み合わせを阻害及び/又は分解することができ、前記マイクロRNAの組み合わせは、
a. miR-1a、及び
b. miR-15b、又は
miR-15b及びmiR-27b、又は
miR-27b及びmiR-34a、
を含み、特に、前記マイクロRNAの組み合わせは、miR-1a及びmiR-15bを含む、前記発現コンストラクト、又は前記複数の発現コンストラクト。
項目10. 前記発現コンストラクトの各々及びすべては、単一の核酸分子内に含まれる、項目9に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための複数の発現コンストラクト。
項目11. 前記核酸剤又は前記発現コンストラクトは、ナノ粒子に結合しているか、又はウイルス及びリポソームから選択される粒子構造体によってカプセル化されている、項目1~10のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための、核酸剤の組み合わせ、又は発現コンストラクト。
項目12. 前記ナノ粒子、又は前記粒子構造体は、心筋細胞への前記ナノ粒子又は前記粒子構造体の送達又は侵入を促進するリガンドを含む、項目11に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための、核酸剤の組み合わせ、又は発現コンストラクト。
項目13. 前記プロモーターは、前記核酸剤の心臓特異的発現を可能にし、特に前記プロモーターは、心臓組織特異的RNAポリメラーゼ2プロモーターであり、特にミオシン軽鎖2v(MLC2v)プロモーター、心臓トロポニンT(cTnT)プロモーター、ミオシン重鎖α(MHCa)プロモーター、及びタイチン(Ttn)プロモーターから選択されるプロモーターである、項目9~12のいずれか1項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための、発現コンストラクト、又は複数の発現コンストラクト。
項目14. 前記心臓病は、心筋細胞の損失によって特徴付けられ、特に前記心臓病は、心筋細胞の損失によって特徴付けられる心不全であり、より特に前記心不全は、心筋の梗塞、狭窄、先天性疾患、炎症及び/又は敗血症の結果である、項目1~13のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための、核酸剤の組み合わせ、又は複数の発現コンストラクト。
項目15. 前記心臓病は、心筋細胞の低酸素状態によって特徴付けられる、項目1~14のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための、核酸剤の組み合わせ、又は複数の発現コンストラクト。
項目16. 項目1~15のいずれか一項に記載の前記核酸剤の組み合わせ、又は前記複数の発現コンストラクトを含む、心臓病の治療又は予防における使用のための医薬組成物。
項目17. 前記医薬組成物は、心臓へ投与される、項目16に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための医薬組成物。
項目
項目1. 心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせであって、前記核酸剤の各々は、標的マイクロRNAを標的とし、かつそれを特異的に阻害及び/又は分解することができ、それによって前記核酸剤の組み合わせは、細胞内のマイクロRNAの組み合わせを阻害及び/又は分解することができ、前記マイクロRNAの組み合わせは、
a. miR-1a、及び
b. miR-15b、又は
miR-15b及びmiR-27b、又は
miR-27b及びmiR-34a、
である、前記核酸剤の組み合わせ。
項目2. 前記マイクロRNAの組み合わせは、miR-1a及びmiR-15bを含む、項目1に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。
項目3. 各核酸剤は、ヌクレオチドのハイブリダイズ配列を含むか、又はそれから本質的になり、前記ヌクレオチドのハイブリダイズ配列は、標的マイクロRNAとハイブリッドを形成することができる、項目1又は2に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。
項目4. 各核酸剤は、配列番号001~004の配列から選択される配列を含むか、又はそれから本質的になる、項目1~3のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。
項目5. 前記核酸剤のうちの1つは、
1つ又は複数のロック核酸(LNA)部分及び/又はペプチド核酸(PNA)部分、
を含むか、又はそれから本質的になり、
特に、前記核酸剤のすべては、
1つ又は複数のロック核酸(LNA)部分及び/又はペプチド核酸(PNA)部分、
を含むか、又はそれから本質的になり、
特に、前記核酸剤は、ロック核酸(LNA)部分から本質的になる、
項目1~4のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。
項目6. 前記核酸剤のうちの1つは、
1つ又は複数のチオリン酸結合を含み、
特に、前記核酸剤のすべては、
1つ又は複数のチオリン酸結合を含む、
項目1~5のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。
項目7. 前記核酸剤のうちの1つは、チオリン酸結合により隣接物に接続されたLNA部分を含み、
特に、前記核酸剤のうちの1つは、前記核酸剤のいずれかの末端でチオリン酸結合により接続された2、3又は4個のLNA部分を含む、
項目5又は6に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。
項目8. 前記核酸剤のうちの1つは、
ヒト心筋細胞において作動可能なプロモーターの制御下でヌクレオチドのハイブリダイズ配列をコードする配列を含む外来性(導入遺伝子)発現コンストラクトにより細胞内で発現し、
特に、前記核酸剤のすべては、
ヒト心筋細胞において作動可能なプロモーターの制御下でヌクレオチドのハイブリダイズ配列をコードする配列を含む外来性(導入遺伝子)発現コンストラクトにより細胞内で発現する、
項目1~7のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。
項目9. ヒト心筋細胞において作動可能なプロモーターの制御下で、核酸剤の組み合わせをコードする、心臓病の治療又は予防における使用のための、発現コンストラクト、又は複数の発現コンストラクトであって、前記核酸剤の各々は、標的マイクロRNAを標的とし、かつそれを特異的に阻害及び/又は分解することができ、それによってマイクロRNAの組み合わせを阻害及び/又は分解することができ、前記マイクロRNAの組み合わせは、
a. miR-1a、及び
b. miR-15b、又は
miR-15b及びmiR-27b、又は
miR-27b及びmiR-34a、
を含み、特に、前記マイクロRNAの組み合わせは、miR-1a及びmiR-15bを含む、前記発現コンストラクト、又は前記複数の発現コンストラクト。
項目10. 前記発現コンストラクトの各々及びすべては、単一の核酸分子内に含まれる、項目9に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための複数の発現コンストラクト。
項目11. 前記核酸剤又は前記発現コンストラクトは、ナノ粒子に結合しているか、又はウイルス及びリポソームから選択される粒子構造体によってカプセル化されている、項目1~10のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための、核酸剤の組み合わせ、又は発現コンストラクト。
項目12. 前記ナノ粒子、又は前記粒子構造体は、心筋細胞への前記ナノ粒子又は前記粒子構造体の送達又は侵入を促進するリガンドを含む、項目11に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための、核酸剤の組み合わせ、又は発現コンストラクト。
項目13. 前記プロモーターは、前記核酸剤の心臓特異的発現を可能にし、特に前記プロモーターは、心臓組織特異的RNAポリメラーゼ2プロモーターであり、特にミオシン軽鎖2v(MLC2v)プロモーター、心臓トロポニンT(cTnT)プロモーター、ミオシン重鎖α(MHCa)プロモーター、及びタイチン(Ttn)プロモーターから選択されるプロモーターである、項目9~12のいずれか1項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための、発現コンストラクト、又は複数の発現コンストラクト。
項目14. 前記心臓病は、心筋細胞の損失によって特徴付けられ、特に前記心臓病は、心筋細胞の損失によって特徴付けられる心不全であり、より特に前記心不全は、心筋の梗塞、狭窄、先天性疾患、炎症及び/又は敗血症の結果である、項目1~13のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための、核酸剤の組み合わせ、又は複数の発現コンストラクト。
項目15. 前記心臓病は、心筋細胞の低酸素状態によって特徴付けられる、項目1~14のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための、核酸剤の組み合わせ、又は複数の発現コンストラクト。
項目16. 項目1~15のいずれか一項に記載の前記核酸剤の組み合わせ、又は前記複数の発現コンストラクトを含む、心臓病の治療又は予防における使用のための医薬組成物。
項目17. 前記医薬組成物は、心臓へ投与される、項目16に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための医薬組成物。
本発明は、以下の実施例及び図によってさらに説明され、そこからさらなる実施形態及び利点を引き出すことができる。これらの実施例は、本発明を説明するためのものであり、その範囲を限定するものではない。
実施例1:心筋細胞増殖を促進するmiRNAの阻害剤のスクリーニング
本発明者らは、心筋細胞の増殖を誘導する候補として17種のmiRNAを選択した。これら17の候補miRNAを評価するために、これらをin vitroにてラット心筋細胞において、ロック核酸(LNA)ベースのantimiR(LNA-miRNA)で阻害した。本発明者らは、心筋細胞における増殖を検出するためのコンビナトリアルなアプローチを開発した。本発明者らは、17種の候補LNAのうちのどれが重要であるかを決定するために、新生児ラット心筋細胞(NRC:neonatal rat cardiomyocyte、P1)をすべての17種のLNAを対照として一緒に用いて治療し、17種のLNAのプールから個々のLNAを取り除いた場合の心筋細胞の増殖を、EdU(5-エチニル-2’-デオキシウリジン(5-Ethynyl-2’-deoxyuridine))取り込み法により調査した(図1A、1B及び1C)。EdUの初期評価はLNA治療後48時間以内に行い、ラット心筋細胞はサルコメアα-アクチニンで標識した。miR-1a、miR-15a、miR-15b、miR-27b、又はmiR-34cを標的とする個々のLNAを除去することは、図1B及び1Cに示すとおり、S期の心筋細胞数の減少をもたらした。残りのLNAを除去しても、心筋細胞の増殖に有意な影響を与えなかった。miRNAの発現量を、定量的リアルタイムPCRによって検出した(図1D)。これらの結果は、miR-1a、miR-15a、miR-15b、miR-27b、及びmiR-34cがラット心筋細胞におけるDNA合成に重要な役割を担っていることを示唆している。
本発明者らは、心筋細胞の増殖を誘導する候補として17種のmiRNAを選択した。これら17の候補miRNAを評価するために、これらをin vitroにてラット心筋細胞において、ロック核酸(LNA)ベースのantimiR(LNA-miRNA)で阻害した。本発明者らは、心筋細胞における増殖を検出するためのコンビナトリアルなアプローチを開発した。本発明者らは、17種の候補LNAのうちのどれが重要であるかを決定するために、新生児ラット心筋細胞(NRC:neonatal rat cardiomyocyte、P1)をすべての17種のLNAを対照として一緒に用いて治療し、17種のLNAのプールから個々のLNAを取り除いた場合の心筋細胞の増殖を、EdU(5-エチニル-2’-デオキシウリジン(5-Ethynyl-2’-deoxyuridine))取り込み法により調査した(図1A、1B及び1C)。EdUの初期評価はLNA治療後48時間以内に行い、ラット心筋細胞はサルコメアα-アクチニンで標識した。miR-1a、miR-15a、miR-15b、miR-27b、又はmiR-34cを標的とする個々のLNAを除去することは、図1B及び1Cに示すとおり、S期の心筋細胞数の減少をもたらした。残りのLNAを除去しても、心筋細胞の増殖に有意な影響を与えなかった。miRNAの発現量を、定量的リアルタイムPCRによって検出した(図1D)。これらの結果は、miR-1a、miR-15a、miR-15b、miR-27b、及びmiR-34cがラット心筋細胞におけるDNA合成に重要な役割を担っていることを示唆している。
実施例2:miR-1a及びmiR-15bの組み合わせの阻害は心筋細胞増殖を誘導する
EdUは、S期におけるde novo DNA合成及び取り込みの重要なマーカーとしての役割を果たす一方で、細胞周期の完了及び娘細胞の形成の判定は除外される。このmiRNAが細胞質分裂及び細胞周期の完了を駆動することを確認するために、本発明者らはオーロラBをマーカーとして利用した。オーロラBは、有糸分裂期において、内側セントロメアタンパク質及びサバイビンと物理的に会合する。有糸分裂の初期にセントロメアヘテロクロマチンと会合し、中心紡錘体に移行し、最終的に収縮環と中心体に局在する。このように、収縮環と中心体とでのオーロラBの染色及び局在は、細胞質分裂及び細胞周期完了のマーカーとして機能している。
EdUは、S期におけるde novo DNA合成及び取り込みの重要なマーカーとしての役割を果たす一方で、細胞周期の完了及び娘細胞の形成の判定は除外される。このmiRNAが細胞質分裂及び細胞周期の完了を駆動することを確認するために、本発明者らはオーロラBをマーカーとして利用した。オーロラBは、有糸分裂期において、内側セントロメアタンパク質及びサバイビンと物理的に会合する。有糸分裂の初期にセントロメアヘテロクロマチンと会合し、中心紡錘体に移行し、最終的に収縮環と中心体に局在する。このように、収縮環と中心体とでのオーロラBの染色及び局在は、細胞質分裂及び細胞周期完了のマーカーとして機能している。
どの組み合わせが細胞質分裂を増強できるかを調べるため、miR-1a、miR-15a、miR-15b、miR-27b、及びmiR-34cを標的とする5種の候補LNAの組み合わせに相当する31条件を1日齢のラット心筋細胞で試験した。心筋細胞の増殖は、収縮環と中心体のオーロラB染色とサルコメアα-アクチニンの共局在化により、細胞質分裂中の細胞を標識して評価した(図2A及び2B)。これらの結果から、2つの組み合わせ(LNA-1a及びLNA-15b;LNA-1a、LNA-15b、及びLNA-27b)は、他の組み合わせに比べて、分裂終期の心筋細胞数が多いことがわかった(図2B、2C、及び2E)。miRNAの発現量を図2D及び図2Fに示した。
さらに、miR-1a、miR-15a、miR-15b、及びmiR-27bを標的とするLNAによるすべての組み合わせを、細胞分裂が停止した7日齢のラット心筋細胞(P7)でスクリーニングした。48時間後、心筋細胞の増殖をオーロラB染色で評価した。LNA-1aとLNA-15bとの組み合わせは、7日齢のラット心筋細胞の分裂終期におけるオーロラBをさらに増強させる結果となった(図3A及び3B)。miR-1a及びmiR-15bの発現量を図2D及び図2Fに示した。これらのデータから、miR-1aとmiR-15bとの組み合わせ阻害は、in vitroのP1及びP7の両方のラット心筋細胞において、心筋細胞の増殖を効果的かつ効能的に増強することが示唆された。
実施例3:miR-1a及びmiR-15bの阻害は、in vivoでの心筋梗塞後の心機能を向上させる
in vivoでmiR-1a及びmiR-15bをノックダウンするために、LNAベースのantimiR(LNA-1a、LNA-15b)を腹腔内注入により投与した(図4A)。12週齢のマウスにおいて単一及びコンビナトリアルなLNAを試験し、注入後7日目に心臓を採取した。定量的リアルタイムPCRにより、LNA対照と比較して、いずれか一方又は両方のLNAの送達が成功したことが確認された(図4B、4C及び4D)。心筋細胞増殖に対するLNAのいずれか一方又は両方の効果を調べるために、本発明者らはpHH3の発現を調べ、LNA-1a/15b注入後のマウス心臓でLNA-対照と比較してpHH3シグナルが増加していることを見出した(図4E及び図4F)。
in vivoでmiR-1a及びmiR-15bをノックダウンするために、LNAベースのantimiR(LNA-1a、LNA-15b)を腹腔内注入により投与した(図4A)。12週齢のマウスにおいて単一及びコンビナトリアルなLNAを試験し、注入後7日目に心臓を採取した。定量的リアルタイムPCRにより、LNA対照と比較して、いずれか一方又は両方のLNAの送達が成功したことが確認された(図4B、4C及び4D)。心筋細胞増殖に対するLNAのいずれか一方又は両方の効果を調べるために、本発明者らはpHH3の発現を調べ、LNA-1a/15b注入後のマウス心臓でLNA-対照と比較してpHH3シグナルが増加していることを見出した(図4E及び図4F)。
傷害後の心筋細胞増殖及び心機能に対するmiR-1a及びmiR-15b阻害の効果を調べるため、12週齢のマウスに心筋梗塞(MI)後4時間の腹腔内注入によりmiR-1a及びmiR-15bを阻害し(図5A)、28日目に心臓を摘出した(図5B)。心エコー検査を0、7、14、21、及び28日目に実施した。28日後、心臓を摘出し、3つの部分に分けた:遠隔部、境界部、梗塞部。LNA-1a/15b治療マウスでは、遠隔部、境界部、及び梗塞部においてmiR-1a及びmiR-15bのmiRNA量が対照群に比べ有意に減少した(図5C及び5D)。
心機能を心エコー法で測定したところ、LNA-1a/LNA-15bを注入したマウスは、心収縮機能の指標である駆出率(EF)が対照と比較して劇的な増加を示すことが本発明者らによって見出された(図5E)。本発明者らは、さらに病的肥大の分子マーカーの発現を調べたところ、脳性ナトリウム利尿ペプチド(NPPA:brain natriuretic peptide)とβミオシン重鎖(Myh7)とが、対照のLNA注入と比較して、境界部と梗塞部の両方でLNA-1a/15b注入後に減少することを発見した(図5F及び図5G)。MIによって誘導されるMyh7:Myh6比率を、miR-1aとmiR-15bとをコンビナトリアル阻害することによって有意に減少させた(図5H)。さらに、線維化関連遺伝子(TGFβ2、Col3a1、及びThbs1)の発現量を、MI後の境界部と梗塞部との両方でLNA-1a/15b注入により抑制した(図5I、5J、及び5K)。これらの結果は、LNA-1a/15bのコンビナトリアル治療により、MIにおいて有意に優れた保護効果がもたらされることを示している。
実施例4:miR-1a及びmiR-15bの阻害は、in vivoでの心筋梗塞後の心筋細胞増殖を増加させる
本発明者らは、miR-1a及びmiR-15bのコンビナトリアル阻害が、P1及びP7のラット心筋細胞において心筋細胞増殖を駆動することを実証した。したがって、本発明者らは、miR-1a及びmiR-15bの阻害が、MI応答での心筋細胞増殖を同様に増大し得るかどうかを調査した。本発明者らは、成体マウス心臓においてLNA-1a及びLNA-15bが心筋細胞の増殖を増強することができるかどうかを調べるために、LNA-1a及びLNA-15b又は対照LNAの注入及びMI後のマウス心臓の心筋細胞におけるKi67を調査した。対照マウスとMIマウスの両方において、LNA-1a及びLNA-15b注入後に、対照LNAと比較して心筋細胞でKi67シグナルの増加を検出した(図6A及び図6B)。さらに、本発明者らは、pHH3の発現を調べたところ、LNA-1a/15b注入後及びMI後のマウス心臓において、pHH3シグナルが同様に増加することを見出した(図6C及び図6D)。さらに、本発明者らは、細胞質分裂マーカーであるオーロラBを調べたところ、LNA-1a/15bは、対照及びMIにおけるマウス心筋細胞でオーロラBの発現を誘導することを見出した(図6E及び図6F)。これらのデータは、LNA-1a/15bがin vivoでのマウスのMIに応答して心筋細胞の増殖を誘導できたことを示すものである。
本発明者らは、miR-1a及びmiR-15bのコンビナトリアル阻害が、P1及びP7のラット心筋細胞において心筋細胞増殖を駆動することを実証した。したがって、本発明者らは、miR-1a及びmiR-15bの阻害が、MI応答での心筋細胞増殖を同様に増大し得るかどうかを調査した。本発明者らは、成体マウス心臓においてLNA-1a及びLNA-15bが心筋細胞の増殖を増強することができるかどうかを調べるために、LNA-1a及びLNA-15b又は対照LNAの注入及びMI後のマウス心臓の心筋細胞におけるKi67を調査した。対照マウスとMIマウスの両方において、LNA-1a及びLNA-15b注入後に、対照LNAと比較して心筋細胞でKi67シグナルの増加を検出した(図6A及び図6B)。さらに、本発明者らは、pHH3の発現を調べたところ、LNA-1a/15b注入後及びMI後のマウス心臓において、pHH3シグナルが同様に増加することを見出した(図6C及び図6D)。さらに、本発明者らは、細胞質分裂マーカーであるオーロラBを調べたところ、LNA-1a/15bは、対照及びMIにおけるマウス心筋細胞でオーロラBの発現を誘導することを見出した(図6E及び図6F)。これらのデータは、LNA-1a/15bがin vivoでのマウスのMIに応答して心筋細胞の増殖を誘導できたことを示すものである。
実施例5:miR-1a及びmiR-15bの阻害は、hiPSC-CMの心筋細胞増殖を増強する
ヒト心筋細胞での組み合わせを試験するために、本発明者らは、組み合わせLNA(LNA-1a、LNA-15b)又は陰性対照LNA(LNA-対照)のいずれかで、有糸分裂後40日齢のヒト人工多能性幹細胞由来心筋細胞(hiPSC-CMs)を治療した。本発明者らは、LNA-1a及びLNA-15bが、酸素正常状態及び低酸素状態の両方の条件下で心筋細胞の増殖を増大させることを観察した(図7A及び図7B)。miRNAの発現量は、定量的リアルタイムPCRで検出した(図7C及び図7D)。
ヒト心筋細胞での組み合わせを試験するために、本発明者らは、組み合わせLNA(LNA-1a、LNA-15b)又は陰性対照LNA(LNA-対照)のいずれかで、有糸分裂後40日齢のヒト人工多能性幹細胞由来心筋細胞(hiPSC-CMs)を治療した。本発明者らは、LNA-1a及びLNA-15bが、酸素正常状態及び低酸素状態の両方の条件下で心筋細胞の増殖を増大させることを観察した(図7A及び図7B)。miRNAの発現量は、定量的リアルタイムPCRで検出した(図7C及び図7D)。
実施例6:miR-1aとmiR-15bとの組み合わせ阻害は、ヒト模倣組織において心筋細胞増殖を増強し、心機能を改善する
次に、本発明者らは、miR-1aとmiR-15bとの組み合わせが、ヒト単培養心筋オルガノイドにおける心筋細胞の増殖及び心筋収縮力に影響を与えるかどうかを調査した(図8A)。本発明者らは、ヒト心筋オルガノイドにおいて、LNA-1aとLNA-15bとの組み合わせ、又はLNA-対照で治療し、酸素正常状態と低酸素状態で3日間培養した。定量的リアルタイムPCRにより、単培養心筋オルガノイドでのLNA治療によりmiR-1及びmiR-15bの発現量が有意にダウンレギュレートされることが示された(図8B及び図8C)。心筋細胞の増殖は、EdU取り込み及びpHH3によって決定した。図8D及び図8Eに示すとおり、本発明者らは、組み合わせLNA(miR-1a、miR-15b)が、EdU取り込み量の増加に基づき、低酸素状態における心筋細胞の増殖を増大させることを見出した。さらに、pHH3は、LNA-1a/15bの組み合わせ治療が低酸素条件下で心筋細胞の増殖を増強することを示したが、酸素正常条件下では認められなかった(図8F及び図8G)。さらに、低酸素による収縮力の低下は、miR-1a及びmiR-15bの阻害によって回復した(図8H)。これらのデータを総合すると、miR-1aとmiR-15bとの組み合わせ阻害は、ヒト心筋模型において心筋細胞の増殖を増大させ、収縮力を高めることができたことが示された。
次に、本発明者らは、miR-1aとmiR-15bとの組み合わせが、ヒト単培養心筋オルガノイドにおける心筋細胞の増殖及び心筋収縮力に影響を与えるかどうかを調査した(図8A)。本発明者らは、ヒト心筋オルガノイドにおいて、LNA-1aとLNA-15bとの組み合わせ、又はLNA-対照で治療し、酸素正常状態と低酸素状態で3日間培養した。定量的リアルタイムPCRにより、単培養心筋オルガノイドでのLNA治療によりmiR-1及びmiR-15bの発現量が有意にダウンレギュレートされることが示された(図8B及び図8C)。心筋細胞の増殖は、EdU取り込み及びpHH3によって決定した。図8D及び図8Eに示すとおり、本発明者らは、組み合わせLNA(miR-1a、miR-15b)が、EdU取り込み量の増加に基づき、低酸素状態における心筋細胞の増殖を増大させることを見出した。さらに、pHH3は、LNA-1a/15bの組み合わせ治療が低酸素条件下で心筋細胞の増殖を増強することを示したが、酸素正常条件下では認められなかった(図8F及び図8G)。さらに、低酸素による収縮力の低下は、miR-1a及びmiR-15bの阻害によって回復した(図8H)。これらのデータを総合すると、miR-1aとmiR-15bとの組み合わせ阻害は、ヒト心筋模型において心筋細胞の増殖を増大させ、収縮力を高めることができたことが示された。
実施例7:miR-1a、miR-27b、及びmiR-34aの組み合わせ阻害は、心筋細胞増殖を誘導する
さらに、Dimmelerは、miR-34aの阻害が心筋細胞の増殖を誘導することができ、心機能を改善することを示してきた。本発明者らのデータは、miR-1aとmiR-27bとが心筋細胞における細胞分裂に重要であることを示した。それ故、本発明者らは、miR-1a、miR-27b及びmiR-34aの組み合わせ阻害が、in vitro、及びin vivoで心筋細胞の増殖を駆動することができるかどうかを検出することを試みた。最初に、単離した新生児ラット心筋細胞をLNA-1a、LNA-27b、及びLNA-34aの組み合わせ、又はLNA-対照で2日間治療し、この細胞をオーロラB、αアクチニン、及びDAPIで染色した。LNA-1a、LNA-27b及びLNA-34aの組み合わせ治療は、新生児ラット心筋細胞において、分裂終期のオーロラB陽性心筋細胞を有意に増加させて心筋細胞の増殖を著しく増大させた(図9A及び図9B)。次いで本発明者らは、miR-1a、miR-27b及びmiR-34aを組み合わせ阻害によってもまた心筋細胞の増殖を促進できるのではないかと考え、12週齢のマウスにLNA-1a、LNA-27b及びLNA-34aの組み合わせ又はLNA-対照のいずれかを1週間注入した。図9C及び図9Dに示すとおり、LNA-1a、LNA-27b及びLNA-34aの組み合わせは、Ki67陽性心筋細胞の増加により心筋細胞の増殖を増大させた。LNA-1a、LNA-27b、及びLNA-34aの組み合わせは、in vitro及びin vivoで心筋細胞の増殖を駆動することができることが示された。
さらに、Dimmelerは、miR-34aの阻害が心筋細胞の増殖を誘導することができ、心機能を改善することを示してきた。本発明者らのデータは、miR-1aとmiR-27bとが心筋細胞における細胞分裂に重要であることを示した。それ故、本発明者らは、miR-1a、miR-27b及びmiR-34aの組み合わせ阻害が、in vitro、及びin vivoで心筋細胞の増殖を駆動することができるかどうかを検出することを試みた。最初に、単離した新生児ラット心筋細胞をLNA-1a、LNA-27b、及びLNA-34aの組み合わせ、又はLNA-対照で2日間治療し、この細胞をオーロラB、αアクチニン、及びDAPIで染色した。LNA-1a、LNA-27b及びLNA-34aの組み合わせ治療は、新生児ラット心筋細胞において、分裂終期のオーロラB陽性心筋細胞を有意に増加させて心筋細胞の増殖を著しく増大させた(図9A及び図9B)。次いで本発明者らは、miR-1a、miR-27b及びmiR-34aを組み合わせ阻害によってもまた心筋細胞の増殖を促進できるのではないかと考え、12週齢のマウスにLNA-1a、LNA-27b及びLNA-34aの組み合わせ又はLNA-対照のいずれかを1週間注入した。図9C及び図9Dに示すとおり、LNA-1a、LNA-27b及びLNA-34aの組み合わせは、Ki67陽性心筋細胞の増加により心筋細胞の増殖を増大させた。LNA-1a、LNA-27b、及びLNA-34aの組み合わせは、in vitro及びin vivoで心筋細胞の増殖を駆動することができることが示された。
材料と方法
動物
すべての動物はJanvier社(ル・ジュネスト=サン=ティスル、フランス)から入手した。この実験に使用したすべての動物は、NIH動物飼育ガイドライン、§8ドイツ動物保護法、ドイツ動物福祉法、実験動物学会(GV-SOLAS)及び欧州実験動物学会連合(FELASA)のガイドラインのとおり、12時間明暗サイクルの温度制御された部屋に収容し、餌及び水を自由に摂取できるようにした。
動物
すべての動物はJanvier社(ル・ジュネスト=サン=ティスル、フランス)から入手した。この実験に使用したすべての動物は、NIH動物飼育ガイドライン、§8ドイツ動物保護法、ドイツ動物福祉法、実験動物学会(GV-SOLAS)及び欧州実験動物学会連合(FELASA)のガイドラインのとおり、12時間明暗サイクルの温度制御された部屋に収容し、餌及び水を自由に摂取できるようにした。
心筋梗塞(MI)
心筋梗塞(MI)は12週齢の雄C57BL/6Jマウスにて実施し、左冠動脈前下降枝(left anterior descending coronary artery)(LAD)の永久結紮によりこれを誘発させた。術後28日までマウスをモニターし、0、7、14、21、及び28日目に心エコーで心臓の寸法及び心機能を測定した。MIから4時間後、in vivo miRCURY LNA Power Inhibitorを10mg/kgの用量でマウスに腹腔内(i.p.:intraperitoneally)に注入した。以下のin vivo miRCURY LNA Power InhibitorはQIAGEN社から購入した:miR-1a-3p(339203 YCI0200659-FZA)、miR-15b-5p(339203 YCI0200641-FZA)。陰性対照:LNA(339203 YCI0200578-FZA)。
心筋梗塞(MI)は12週齢の雄C57BL/6Jマウスにて実施し、左冠動脈前下降枝(left anterior descending coronary artery)(LAD)の永久結紮によりこれを誘発させた。術後28日までマウスをモニターし、0、7、14、21、及び28日目に心エコーで心臓の寸法及び心機能を測定した。MIから4時間後、in vivo miRCURY LNA Power Inhibitorを10mg/kgの用量でマウスに腹腔内(i.p.:intraperitoneally)に注入した。以下のin vivo miRCURY LNA Power InhibitorはQIAGEN社から購入した:miR-1a-3p(339203 YCI0200659-FZA)、miR-15b-5p(339203 YCI0200641-FZA)。陰性対照:LNA(339203 YCI0200578-FZA)。
新生児ラット初代心筋細胞の単離と維持
Sprague Dawleyの雌の交配ラットはJanvier社(ル・ジュネスト=サン=ティスル、フランス)から入手した。製造元の指示に従って、新生児心臓解離キット(Miltenyi Biotec)及びgentleMACS解離装置を使用して、初代新生児ラット心筋細胞(NRC:Primary neonatal rat cardiomyocyte)をP1及びP7の仔ラットから分離した。単離した細胞を、以前の記載のとおり線維芽細胞を除くために加湿雰囲気で37℃及び5% CO2で10cmの細胞培養ディッシュ(Nunc)において1.5時間、プレーティング培地(DMEM 高グルコース、M199 EBS(BioConcept)、10% ウマ血清、5% ウシ胎児血清、2% L-グルタミン及び1% ペニシリン/ストレプトマイシン)に事前にプレーティングした。NRCを、プレーティング培地中のディッシュ、又はI型ウシコラーゲンコーティング(Advanced Biomatrix)プレートにプレーティングした。NRCの分離後24時間にて、プレーティング培地を維持培地(DMEM 高グルコース、M199 EBS、1% ウマ血清、2% L-グルタミン、及び1% ペニシリン/ストレプトマイシン)に変更した。
Sprague Dawleyの雌の交配ラットはJanvier社(ル・ジュネスト=サン=ティスル、フランス)から入手した。製造元の指示に従って、新生児心臓解離キット(Miltenyi Biotec)及びgentleMACS解離装置を使用して、初代新生児ラット心筋細胞(NRC:Primary neonatal rat cardiomyocyte)をP1及びP7の仔ラットから分離した。単離した細胞を、以前の記載のとおり線維芽細胞を除くために加湿雰囲気で37℃及び5% CO2で10cmの細胞培養ディッシュ(Nunc)において1.5時間、プレーティング培地(DMEM 高グルコース、M199 EBS(BioConcept)、10% ウマ血清、5% ウシ胎児血清、2% L-グルタミン及び1% ペニシリン/ストレプトマイシン)に事前にプレーティングした。NRCを、プレーティング培地中のディッシュ、又はI型ウシコラーゲンコーティング(Advanced Biomatrix)プレートにプレーティングした。NRCの分離後24時間にて、プレーティング培地を維持培地(DMEM 高グルコース、M199 EBS、1% ウマ血清、2% L-グルタミン、及び1% ペニシリン/ストレプトマイシン)に変更した。
ロック核酸(LNA)のin vitro投与
miRCURY LNA Power Inhibitorを、最終濃度50nMで細胞培養液に直接添加した。すべてのmiRCURY LNA Power Inhibitorと陰性対照LNAはQIAGEN社から購入した。miR-1a-3p(1999990-801)、miR-15a-5p(339146 YCI0200640-FDA)、miR-15b-5p(339146 YCI0200641-FDA)、miR-16(339146 YCI0200647-FDA)、miR-27b-5p(339146 YCI0200648-FDA)、miR-29a-3p(339146 YCI0200644-FDA)、miR-34a-5p(339146(YCI0200649-FDA)、miR-34b-5p(339146 YCI0200645-FDA)、miR-34c-5p(339146 YCI0200650-FDA)、miR-92a-3p(339146 YCI0200646-FDA)、miR-132-3p(1999990-801)、miR-133a-3p(1999990-801)、miR-155-3p(1999990-801)、miR-195a-5p(339146 YCI0200642-FDA)、miR-208a-3p(1999990-801)、miR-497a-5p(339146 YCI0200643-FDA)、mR-873a-5p(1999990-801)、及び陰性対照 LNA CEL-CONTROL-INH(339147 YCI0199066-FFA)。
miRCURY LNA Power Inhibitorを、最終濃度50nMで細胞培養液に直接添加した。すべてのmiRCURY LNA Power Inhibitorと陰性対照LNAはQIAGEN社から購入した。miR-1a-3p(1999990-801)、miR-15a-5p(339146 YCI0200640-FDA)、miR-15b-5p(339146 YCI0200641-FDA)、miR-16(339146 YCI0200647-FDA)、miR-27b-5p(339146 YCI0200648-FDA)、miR-29a-3p(339146 YCI0200644-FDA)、miR-34a-5p(339146(YCI0200649-FDA)、miR-34b-5p(339146 YCI0200645-FDA)、miR-34c-5p(339146 YCI0200650-FDA)、miR-92a-3p(339146 YCI0200646-FDA)、miR-132-3p(1999990-801)、miR-133a-3p(1999990-801)、miR-155-3p(1999990-801)、miR-195a-5p(339146 YCI0200642-FDA)、miR-208a-3p(1999990-801)、miR-497a-5p(339146 YCI0200643-FDA)、mR-873a-5p(1999990-801)、及び陰性対照 LNA CEL-CONTROL-INH(339147 YCI0199066-FFA)。
RNAの単離、逆転写及びqRT-PCR
試料はQIAzol Lysis試薬(QIAGEN)で採取し、miRNA mini キット(QIAGEN)を用いて製造元のプロトコルに従って総miRNA及び総mRNAを単離した。200ngの総RNAをQuantiTect逆転写キット(QIAGEN)を用いて、製造元のプロトコルに従ってcDNAに逆転写した。Fast SYBR(登録商標)Greenマスターミックス(Thermo Fisher Scientific)を使用したApplied Biosystems社のStepOnePlusリアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems、カリフォルニア州、米国)を分析に使用した。以下を対象とするTaqManTM Advanced miRNAアッセイ:mmu-miR-1a-3p(ID:mmu482914_mir)、has-miR-1-3p(ID:mmu482914_mir)、rno-miR-15a-5p(ID:rno483022_mir)、mmu-miR-15b-5p(ID:mmu482957_mir)、rno-miR-16-5p(ID:rno481312_mir)、rno-miR-27b-5p(ID:rno481016_mir)、hsa-miR-27b-sp(ID:478789_mir)、hsa-miR-29a-3p(ID:478587_mir)、hsa-miR-34a-5p(ID:rno481304_mir)、hsa-miR_34c-5p(ID:478052_mir)、rno-miR-132-3p(ID:rno480919_mir)、rno-miR-133a-3p(ID:rno481491_mir)、mmu-miR-155-3p(ID:mmu481328_mir)、mmu-miR-195a-5p(ID:mmu482953_mir)、mmu-miR-497a-5p(ID:mmu482607_mir)、miR-873a-5p(ID:rno481425_mir)、及びhsa-miR-26a-5p(ID:477995_mir)。
試料はQIAzol Lysis試薬(QIAGEN)で採取し、miRNA mini キット(QIAGEN)を用いて製造元のプロトコルに従って総miRNA及び総mRNAを単離した。200ngの総RNAをQuantiTect逆転写キット(QIAGEN)を用いて、製造元のプロトコルに従ってcDNAに逆転写した。Fast SYBR(登録商標)Greenマスターミックス(Thermo Fisher Scientific)を使用したApplied Biosystems社のStepOnePlusリアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems、カリフォルニア州、米国)を分析に使用した。以下を対象とするTaqManTM Advanced miRNAアッセイ:mmu-miR-1a-3p(ID:mmu482914_mir)、has-miR-1-3p(ID:mmu482914_mir)、rno-miR-15a-5p(ID:rno483022_mir)、mmu-miR-15b-5p(ID:mmu482957_mir)、rno-miR-16-5p(ID:rno481312_mir)、rno-miR-27b-5p(ID:rno481016_mir)、hsa-miR-27b-sp(ID:478789_mir)、hsa-miR-29a-3p(ID:478587_mir)、hsa-miR-34a-5p(ID:rno481304_mir)、hsa-miR_34c-5p(ID:478052_mir)、rno-miR-132-3p(ID:rno480919_mir)、rno-miR-133a-3p(ID:rno481491_mir)、mmu-miR-155-3p(ID:mmu481328_mir)、mmu-miR-195a-5p(ID:mmu482953_mir)、mmu-miR-497a-5p(ID:mmu482607_mir)、miR-873a-5p(ID:rno481425_mir)、及びhsa-miR-26a-5p(ID:477995_mir)。
ヒトiPSC-CMの調製と維持
ヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)はCellular Dynamics International社(CMC-100-010-001)から購入し、製造元の推奨の方法で培養した。ヒトiPSC由来心筋細胞(hiPSC-CM)を、STEMdiff(商標)心筋細胞分化キット(STEMCELL Technologies)を用いて、製造元のプロトコルに従って再プログラム化した。簡潔には、5uM ROCK阻害剤(Y-27632、STEMCELL Technologies)添加のmTeSR(商標)培地を用いて、ヒトiPS細胞をマトリゲルコーティングした12ウェルプレートに3.5×105細胞/ウェルの細胞密度で24時間プレートした。1日後(-1)、この培地を新しいTeSR(商標)培地に交換した。心筋分化を誘導するため、TeSR(商標)培地を0日目に培地A(サプリメントAを含有するSTEMdiff(商標)心筋細胞分化基礎培地)、2日目に培地B(サプリメントBを含有するSTEMdiff(商標)心筋細胞分化基礎培地)、4日目及び6日目に培地C(サプリメントCを含有するSTEMdiff(商標)心筋細胞分化基礎培地)に交換した。8日目に培地をSTEMdiff(商標)心筋細胞維持培地に切り替え、2日ごとに培地を全量交換し、成熟心筋細胞への分化をさらに促進させた。すべての実験は、40日目のhiPSC-CMにおいて実施した。低酸素チャンバーを用いて低酸素状態を作り出し、hiPSC-CMを3% O2下で2日間培養した。
ヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)はCellular Dynamics International社(CMC-100-010-001)から購入し、製造元の推奨の方法で培養した。ヒトiPSC由来心筋細胞(hiPSC-CM)を、STEMdiff(商標)心筋細胞分化キット(STEMCELL Technologies)を用いて、製造元のプロトコルに従って再プログラム化した。簡潔には、5uM ROCK阻害剤(Y-27632、STEMCELL Technologies)添加のmTeSR(商標)培地を用いて、ヒトiPS細胞をマトリゲルコーティングした12ウェルプレートに3.5×105細胞/ウェルの細胞密度で24時間プレートした。1日後(-1)、この培地を新しいTeSR(商標)培地に交換した。心筋分化を誘導するため、TeSR(商標)培地を0日目に培地A(サプリメントAを含有するSTEMdiff(商標)心筋細胞分化基礎培地)、2日目に培地B(サプリメントBを含有するSTEMdiff(商標)心筋細胞分化基礎培地)、4日目及び6日目に培地C(サプリメントCを含有するSTEMdiff(商標)心筋細胞分化基礎培地)に交換した。8日目に培地をSTEMdiff(商標)心筋細胞維持培地に切り替え、2日ごとに培地を全量交換し、成熟心筋細胞への分化をさらに促進させた。すべての実験は、40日目のhiPSC-CMにおいて実施した。低酸素チャンバーを用いて低酸素状態を作り出し、hiPSC-CMを3% O2下で2日間培養した。
単培養心筋オルガノイド形成手法
トリカルチャーのオルガノイドをhiPSC-CMによって作成した。Aggrewell(商標)800マイクロウェル培養プレートを用いて、STEMdiff(商標)心筋細胞支持培地(STEMCELL Technologies)中で単培養心筋オルガノイドを作製した。2mlの細胞懸濁液で約900,000ウェルを各ウェルにピペッティングした。2日間の培養後、培地をSTEMdiff(商標)心筋細胞維持培地に切り替え、長期培養を行った。
トリカルチャーのオルガノイドをhiPSC-CMによって作成した。Aggrewell(商標)800マイクロウェル培養プレートを用いて、STEMdiff(商標)心筋細胞支持培地(STEMCELL Technologies)中で単培養心筋オルガノイドを作製した。2mlの細胞懸濁液で約900,000ウェルを各ウェルにピペッティングした。2日間の培養後、培地をSTEMdiff(商標)心筋細胞維持培地に切り替え、長期培養を行った。
収縮力測定
単培養した心臓オルガノイドを1つずつ96ウェルプレートに移し、LNA-1a、及びLNA-15b、又はLNA-NCのいずれかで治療した。低酸素チャンバーを用いて低酸素状態を作り出し、1%のO2で3日間培養した後、IonOptixシステムで収縮力を解析した。単位/画素は、マイクロメータを用いてシステムを校正することで決定した。
単培養した心臓オルガノイドを1つずつ96ウェルプレートに移し、LNA-1a、及びLNA-15b、又はLNA-NCのいずれかで治療した。低酸素チャンバーを用いて低酸素状態を作り出し、1%のO2で3日間培養した後、IonOptixシステムで収縮力を解析した。単位/画素は、マイクロメータを用いてシステムを校正することで決定した。
免疫蛍光染色
NRCを4% パラホルムアルデヒド(PFA)/PBSで固定し、細胞を透過処理し、サルコメアα-アクチニン(Sigma Aldrich)、オーロラB(Abcam)、又はKi67(Abcam)に対する一次抗体を2%(v/v)HS/PBSで希釈したもので、4℃で一晩インキュベートした。5分間PBSで3回洗浄後、細胞を4’,6-ジアミノ-2-フェニルインドール(DAPI;Thermo Fisher Scientific)、AlexaFluor 555抗マウス(Thermo Fisher Scientific)及びAlexaFluor 488抗ウサギ(Thermo Fisher Scientific)二次抗体と室温にて1時間インキュベートした。ディッシュをProLong褪色防止剤(Thermo Fisher Scientific)を滴下し、スライドグラス(Fisher Scientific)に取り付けた。蛍光画像はSP5共焦点顕微鏡(Leica)を用い、40倍の倍率で取得した。
NRCを4% パラホルムアルデヒド(PFA)/PBSで固定し、細胞を透過処理し、サルコメアα-アクチニン(Sigma Aldrich)、オーロラB(Abcam)、又はKi67(Abcam)に対する一次抗体を2%(v/v)HS/PBSで希釈したもので、4℃で一晩インキュベートした。5分間PBSで3回洗浄後、細胞を4’,6-ジアミノ-2-フェニルインドール(DAPI;Thermo Fisher Scientific)、AlexaFluor 555抗マウス(Thermo Fisher Scientific)及びAlexaFluor 488抗ウサギ(Thermo Fisher Scientific)二次抗体と室温にて1時間インキュベートした。ディッシュをProLong褪色防止剤(Thermo Fisher Scientific)を滴下し、スライドグラス(Fisher Scientific)に取り付けた。蛍光画像はSP5共焦点顕微鏡(Leica)を用い、40倍の倍率で取得した。
統計解析
データは平均値で表し、エラーバーは平均値の標準誤差(SEM)を示す。両側の対応のないスチューデントのt検定(Excel)又は一元配置分散分析に続いてDunnettの多重比較後検定(単一対照との多重比較)又はBonferroni補正(異なる群間の多重比較)のいずれかを、それぞれの図の凡例に示されるとおり使用した。n.s.=有意ではない;*p<0.05;**p<0.01。
データは平均値で表し、エラーバーは平均値の標準誤差(SEM)を示す。両側の対応のないスチューデントのt検定(Excel)又は一元配置分散分析に続いてDunnettの多重比較後検定(単一対照との多重比較)又はBonferroni補正(異なる群間の多重比較)のいずれかを、それぞれの図の凡例に示されるとおり使用した。n.s.=有意ではない;*p<0.05;**p<0.01。
Claims (17)
- 心臓病の治療又は予防における使用のための核酸薬剤の組み合わせであって、前記核酸薬剤の各々は、標的マイクロRNAを標的とし、かつそれを特異的に阻害及び/又は分解することができ、それによって前記核酸薬剤の組み合わせは、細胞内のマイクロRNAの組み合わせを阻害及び/又は分解することができ、前記マイクロRNAの組み合わせは、
c. miR-1a、及び
d. miR-15b、又は
miR-15b及びmiR-27b、
である、前記核酸剤の組み合わせ。 - 前記マイクロRNAの組み合わせは、miR-1a及びmiR-15bを含む、請求項1に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。
- 前記各核酸剤は、ヌクレオチドのハイブリダイズ配列を含むか、又はそれから本質的になり、前記ヌクレオチドのハイブリダイズ配列は、標的マイクロRNAとハイブリッドを形成することができる、請求項1又は2に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。
- 前記各核酸剤は、配列番号001~004の配列から選択される配列を含むか、又はそれから本質的になる、請求項1~3のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。
- 前記核酸剤のうちの1つは、
1つ又は複数のロック核酸(LNA)部分及び/又はペプチド核酸(PNA)部分、
を含むか、又はそれから本質的になり、
特に、前記核酸剤のすべては、
1つ又は複数のロック核酸(LNA)部分及び/又はペプチド核酸(PNA)部分、
を含むか、又はそれから本質的になり、
特に、前記核酸剤は、ロック核酸(LNA)部分から本質的になる、
請求項1~4のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。 - 前記核酸剤のうちの1つは、
1つ又は複数のチオリン酸結合を含み、
特に、前記核酸剤のすべては、
1つ又は複数のチオリン酸結合を含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。 - 前記核酸剤のうちの1つは、チオリン酸結合により隣接物に接続されたLNA部分を含み、
特に、前記核酸剤のうちの1つは、前記核酸剤のいずれかの末端でチオリン酸結合により接続された2、3又は4個のLNA部分を含む、
請求項5又は6に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。 - 前記核酸剤のうちの1つは、
ヒト心筋細胞において作動可能なプロモーターの制御下でヌクレオチドのハイブリダイズ配列をコードする配列を含む外来性(導入遺伝子)発現コンストラクトにより細胞内で発現し、
特に、前記核酸剤のすべては、
ヒト心筋細胞において作動可能なプロモーターの制御下でヌクレオチドのハイブリダイズ配列をコードする配列を含む外来性(導入遺伝子)発現コンストラクトにより細胞内で発現する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための核酸剤の組み合わせ。 - ヒト心筋細胞において作動可能なプロモーターの制御下で、核酸剤の組み合わせをコードする、心臓病の治療又は予防における使用のための、発現コンストラクト、又は複数の発現コンストラクトであって、前記核酸剤の各々は、標的マイクロRNAを標的とし、かつそれを特異的に阻害及び/又は分解することができ、それによってマイクロRNAの組み合わせを阻害及び/又は分解することができ、前記マイクロRNAの組み合わせは、
c. miR-1a、及び
d. miR-15b、又は
miR-15b及びmiR-27b、
を含み、特に、前記マイクロRNAの組み合わせは、miR-1a及びmiR-15bを含む、前記発現コンストラクト、又は前記複数の発現コンストラクト。 - 前記発現コンストラクトの各々及びすべては、単一の核酸分子内に含まれる、請求項9に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための複数の発現コンストラクト。
- 前記核酸剤又は前記発現コンストラクトは、ナノ粒子に結合しているか、又はウイルス及びリポソームから選択される粒子構造体によってカプセル化されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための、核酸剤の組み合わせ、又は発現コンストラクト。
- 前記ナノ粒子、又は前記粒子構造体は、心筋細胞への前記ナノ粒子又は前記粒子構造体の送達又は侵入を促進するリガンドを含む、請求項11に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための、核酸剤の組み合わせ、又は発現コンストラクト。
- 前記プロモーターは、前記核酸剤の心臓特異的発現を可能にし、特に前記プロモーターは、心臓組織特異的RNAポリメラーゼ2プロモーターであり、特にミオシン軽鎖2v(MLC2v)プロモーター、心臓トロポニンT(cTnT)プロモーター、ミオシン重鎖α(MHCa)プロモーター、及びタイチン(Ttn)プロモーターから選択されるプロモーターである、請求項9~12のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための、発現コンストラクト、又は複数の発現コンストラクト。
- 前記心臓病は、心筋細胞の損失によって特徴付けられ、特に前記心臓病は、心筋細胞の損失によって特徴付けられる心不全であり、より特に前記心不全は、心筋の梗塞、狭窄、先天性疾患、炎症及び/又は敗血症の結果である、請求項1~13のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための、核酸剤の組み合わせ、又は複数の発現コンストラクト。
- 前記心臓病は、心筋細胞の低酸素状態(低酸素症)によって特徴付けられる、請求項1~14のいずれか一項に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための、核酸剤の組み合わせ、又は複数の発現コンストラクト。
- 請求項1~15のいずれか一項に記載の前記核酸剤の組み合わせ、又は前記複数の発現コンストラクトを含む、心臓病の治療又は予防における使用のための医薬組成物。
- 前記医薬組成物は、心臓へ投与される、請求項16に記載の心臓病の治療又は予防における使用のための医薬組成物。
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EP20187308 | 2020-07-23 | ||
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EP21152755 | 2021-01-21 | ||
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