JP2023537316A - 抗コネキシン抗体製剤 - Google Patents

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Abstract

本開示は、星状膠細胞または骨細胞中のCx43ヘミチャネルの開口に関連する疾患または状態を処置するための、好ましくは炎症性疾患もしくは状態または脊髄損傷などの神経変性疾患を処置するための医薬組成物および方法に関する。抗体(Ab)は、標的認識の特異性の故に、様々な疾患および状態の処置において使用されており、それによって全身投与後に高度に選択的な結果をもたらす。抗体が有効性を保つためには、抗体は抗体の生産、精製、輸送および保存中にそれらの生物学的活性を維持しなければならない。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月31日に出願された米国仮特許出願第63/059,502号の優先権および恩典を主張し、その開示全体は参照により本明細書に組み入れられる。
配列表
2021年7月30日に作成された「020602SequenceListing.txt」という表題のEFS-Webを介して本明細書とともに提出された41,780バイトのサイズを有するASCIIテキストファイルは、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
分野
本開示は、一般に、抗コネキシン(Cx)43抗体を含む安定な水性医薬組成物に関する。
背景
抗体(Ab)は、標的認識の特異性の故に、様々な疾患および状態の処置において使用されており、それによって全身投与後に高度に選択的な結果をもたらす。抗体が有効性を保つためには、抗体は抗体の生産、精製、輸送および保存中にそれらの生物学的活性を維持しなければならない。大量の高度に精製されたモノクローナル抗体を生産するための新しい生産および精製技術が開発されている。しかしながら、輸送および保存のためにこれらの抗体を安定化させるための課題が依然として存在し、投与に適した剤形で抗体を提供するためにはさらに多くの課題が存在する。
変性、凝集、汚染および粒子形成は、抗体の製剤化および保存において重大な障害となり得る。抗体の多様性故に、全ての抗体の保存に適した普遍的な製剤化または条件は存在しない。1つの抗体の保存に適した最適な製剤化および条件は、その抗体に特異的であることが多い。したがって、抗体保存の製剤化および方法は、市販の抗体にとって研究開発過程の重要な一部であることが多い。
抗体安定性に関連する課題を克服するための様々な方法が提案されている。例えば、いくつかの例では、抗体はしばしば凍結乾燥され、次いで投与直前に再構成される。しかしながら、再構成は、投与過程にさらなるステップを追加し、製剤に汚染物質を導入する可能性があるので、一般に理想的ではない。さらに、再構成された抗体でさえ、凝集および粒子形成を被ることがあり得る。したがって、輸送および保存に関連する課題を克服することができる安定な水性抗体製剤、特に抗Cx43抗体製剤を提供する必要性が存在する。
概要
本開示は、一局面において、医薬製剤であって、
抗Cx43抗体(Ab)またはその抗原結合断片と、
バッファーと、
界面活性剤と、
安定剤と
を含み、
前記医薬製剤は約5~約6のpHを有し、
前記抗Cx43抗体またはその抗原結合断片は、
それぞれ配列番号1、2および3のアミノ酸配列を有する第1、第2および第3の重鎖相補性決定領域(CDR)配列と、
それぞれ配列番号4、5および6のアミノ酸配列を有する第1、第2および第3の軽鎖CDR配列と
を含む、医薬製剤を提供する。
いくつかの態様において、抗Cx43抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインとを含む。
ある特定の態様において、抗Cx43抗体またはその抗原結合断片は、配列番号9~17からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む。
ある特定の実施態様において、抗Cx43抗体またはその抗原結合断片は、FLSRPTEKTI(配列番号19)のアミノ酸配列内に位置するエピトープに結合する。いくつかの実施態様において、エピトープは、配列番号19のR4、P5、E7、K8およびI10からなる群から選択される1またはそれを超えるアミノ酸を含む。いくつかの実施態様において、エピトープは、配列番号19のR4、P5、E7、K8およびI10からなる。いくつかの実施態様において、エピトープは、配列番号19の10個の全てのアミノ酸を含む。いくつかの実施態様において、エピトープは、配列番号19の10個の全てのアミノ酸からなる。
いくつかの実施態様において、抗Cx43抗体またはその抗原結合断片は、約5~約100mg/mL、好ましくは20~80、より好ましくは約40~60mg/mLの濃度で存在する。
いくつかのある特定の態様において、バッファーは、酢酸/酢酸ナトリウム、ヒスチジン/アスパラギン酸、クエン酸/クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム/リン酸二水素ナトリウムおよびヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩から選択される。ある特定の態様において、バッファーは、ヒスチジン/アスパラギン酸またはヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩である。ある特定の態様において、バッファーは、ヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩である。
いくつかの態様において、界面活性剤は、ポリソルベート80(PS80)である。
ある特定の態様において、安定剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、塩化ナトリウム、ソルビトール、グリシンおよびスクロースから選択される。ある特定の態様において、安定剤はスクロースである。
ある特定の態様において、製剤のpHは、約5.4~約5.6である。
いくつかの態様において、製剤は水性製剤である。いくつかの態様において、製剤は安定な水性製剤である。
別の局面は、医薬製剤であって、
約40~60mg/mL、好ましくは約50mg/mLの抗Cx43抗体またはその抗原結合断片と、
約10~40mM、好ましくは約20mMヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩バッファーと、
約0.005%~0.05%、好ましくは約0.02%w/vのポリソルベート80と、
約1%~20%w/v、好ましくは約8%w/vのスクロース
を含み、
前記製剤は約5.4~約5.6、好ましくは約5.5のpHを有する、医薬製剤に関する。
さらなる局面は、医薬製剤であって、
配列番号9~17からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、および配列番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む約50mg/mLの抗Cx43抗体またはその抗原結合断片と、
約20mMヒスチジン/アスパラギン酸バッファーと、
約0.02%w/vのポリソルベート80と、
約8%w/vのスクロースと
を含み、
前記製剤は約5.4~約5.6、好ましくは約5.5のpHを有する、医薬製剤に関する。
本明細書に開示される医薬製剤の任意の1つを含むキットおよび/または単位投与量も提供される。
星状膠細胞または骨細胞中のCx43ヘミチャネルの開口を阻害するための、好ましくは炎症性疾患もしくは状態または脊髄損傷などの神経変性疾患を処置するための、本明細書に開示される医薬製剤の任意の1つの使用も本明細書において提供される。
細胞中のCx43ヘミチャネルの開口を阻害する方法であって、細胞中のCx43ヘミチャネルの開口を阻害することを必要とする対象に本明細書に開示される医薬製剤の任意の1つを投与することを含む方法が本明細書でさらに提供される。いくつかの実施態様において、方法は、炎症性疾患もしくは状態または脊髄損傷などの神経変性疾患を処置するために使用することができる。
本特許または出願書類は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。申し込みおよび必要な手数料の支払いを行えば、カラーの図面(複数可)を有する本特許または特許出願公開のコピーが特許庁によって提供される。
抗Cx43AbのpH/バッファースクリーニング研究からのMicroCal DSCサーモグラムオーバーレイ。 pH/バッファースクリーニング研究からの25±2℃(左)および40±2℃(右)でのSEC-主ピーク%の比較。 pH/バッファースクリーニング研究からの25±2℃(左)および40±2℃(右)でのcIEF主ピーク%の比較。 25±2℃(左)および40±2℃(右)でのpH/バッファースクリーニング研究からの非還元SDS-キャリパー純度%の比較。 25±2℃(左)および40±2℃(右)でのpH/バッファースクリーニング研究からの還元SDS-キャリパー純度%の比較。 凍結/解凍研究からのSEC-HPLC主ピーク%の比較。 凍結/解凍研究からのcIEF主ピーク%の比較。 非還元SDS-キャリパー(左)および還元SDS-キャリパー(右)における凍結/解凍研究からの純度%の比較。 撹拌研究からのSEC-HPLC主ピーク%の比較。 撹拌研究からのcIEF主ピーク%の比較。 非還元SDS-キャリパー(左)および還元SDS-キャリパー(右)における撹拌研究からの純度%の比較。 2~8℃(左)、25±2℃(中央)および40±2℃(右)でのSEC-主ピーク%の比較。 2~8℃(左)、25±2℃(中央)および40±2℃(右)でのcIEF主ピーク%の比較。 2~8℃(左)、25±2℃(中央)および40±2℃(右)での非還元SDS-キャリパー純度%の比較。 2~8℃(左)、25±2℃(中央)および40±2℃(右)での還元SDS-キャリパー純度%の比較。 抗Cx43Ab製剤確認研究からのMicroCal DSCサーモグラムオーバーレイ。
詳細な説明
いくつかの態様において、抗Cx43抗体の安定な水性医薬製剤が本明細書で開示される。このような製剤は、抗Cx43抗体またはその抗原結合断片と、バッファーと、界面活性剤と、安定剤とを含むことができる。医薬製剤は、約5~約6、または約5.4~5.6、または約5.5のpHを有することができる。
いくつかの態様において、抗Cx43抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号1、2および3のアミノ酸配列を有する第1、第2および第3の重鎖相補性決定領域(CDR)配列と、ならびに/またはそれぞれ配列番号4、5および6のアミノ酸配列を有する第1、第2および第3の軽鎖CDR配列とを有することができる。
いくつかの態様において、抗Cx43抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインとを有することができる。
ある特定の態様において、抗Cx43抗体またはその抗原結合断片は、配列番号9~17からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む。
ある特定の態様において、抗Cx43抗体またはその抗原結合断片は、FLSRPTEKTI(配列番号19)のアミノ酸配列内に位置するエピトープに結合する。
様々な実施態様において、本明細書に開示される製剤は、一定期間、例えば少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも1年間、または最長3年間、所定の温度(例えば、-40℃または-20℃または2~8℃の冷蔵温度)で観察される有意な変化(外観、抗体濃度、pH、抗体凝集および抗体純度など)を示さないように、改善された安定性を有することができる。
定義
別段の定義がなければ、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。以下の参考文献は、当業者に、本開示で使用される用語の多くの一般的な定義を提供する:Academic Press Dictionary of Science and Technology,Morris(Ed.),Academic Press(1st ed.,1992);Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology,Smithら、(Eds.),Oxford University Press(revised ed.,2000);Encyclopaedic Dictionary of Chemistry,Kumar(Ed.),Anmol Publications Pvt.Ltd(2002);Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,Singletonら、(Eds.),John Wiley&Sons(3rd ed.,2002);Dictionary of Chemistry,Hunt(Ed.),Routledge(1st ed.,1999);Dictionary of Pharmaceutical Medicine,Nahler(Ed.),Springer-Verlag Telos(1994);Dictionary of Organic Chemistry,Kumar and Anandand(Eds.),Anmol Publications Pvt.Ltd.(2002);およびA Dictionary of Biology(Oxford Paperback Reference),Martin and Hine(Eds.),Oxford University Press(4th ed.,2000)。本開示に具体的に適用されるこれらの用語のいくつかのさらなる明確化が、本明細書に提供される。
本明細書で使用される場合、冠詞「a」および「an」は、冠詞の文法的目的語の1つまたは1つを超える、例えば、少なくとも1つを表す。本明細書において「含む(comprising)」という用語と組み合わせて使用される場合の「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語の使用は、「1つの(one)」を意味し得るが、「1またはそれを超える(one or more)」、「少なくとも1つの(at least one)」および「1つまたは1つを超える(one or more than one)」の意味とも一致する。
本明細書で使用される場合、「約(about)」および「およそ(approximately)」は、一般に、測定の性質または精度を考慮して、測定された量に対する許容され得る程度の誤差を意味する。例示的な誤差の程度は、所与の値の範囲の20パーセント(%)以内、典型的には10%以内、より典型的には5%以内である。「実質的に」という用語は、50%を超える、好ましくは80%を超える、最も好ましくは90%または95%を超えることを意味する。
本明細書で使用される場合、「含んでいる(comprising)」または「含む(comprises)」という用語は、所与の態様中に存在するが、特定されていない要素を含む余地がある組成物、方法およびそれらのそれぞれの構成要素(複数可)に関して使用される。
本明細書で使用される場合、「から本質的になる」という用語は、所与の態様に対して必要とされる要素を指す。この用語は、本開示のその態様の基本的および新規なまたは機能的な特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼさない追加の要素の存在を許容する。
「からなる」という用語は、本明細書に記載の組成物、方法およびそれらのそれぞれの構成要素を指し、態様のその記述中に記載されていない一切の要素を除外する。
「抗Cx43抗体」とは、Cx43(例えば、その細胞外ドメイン)に免疫特異的に結合する抗体である。抗体は、単離された抗体であり得る。Cx43へのこのような結合は、例えば、1μM以下、100nM以下または50nM以下の値を有するKを示す。Kは、表面プラズモン共鳴アッセイまたは細胞結合アッセイなどの当業者に公知の任意の方法によって測定することができる。抗Cx43抗体は、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であり得る。いくつかの実施態様において、抗体は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2020年2月4日に出願されたPCT出願第PCT/US2020/016606号に開示されているものであり得る。
本明細書で使用される「抗体」は、標的エピトープに結合する結合ドメインを含むタンパク質である。抗体という用語には、免疫グロブリン重鎖分子と軽鎖分子とを含むモノクローナル抗体、単一重鎖可変ドメイン抗体、ならびにモノクローナルおよび単一重鎖可変ドメイン抗体のキメラバリアントを含むこれらのバリアントおよび誘導体が含まれる。結合ドメインは、免疫グロブリン遺伝子または免疫グロブリン遺伝子の断片によって実質的にコードされ、このタンパク質は抗原に免疫特異的に結合する。認識されている免疫グロブリン遺伝子には、κ、λ、α、γ、δ、εおよびμ定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。軽鎖は、κまたはλのいずれかとして分類される。重鎖は、γ、μ、α、δまたはεとして分類され、これらは、次いで、免疫グロブリンクラス、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEをそれぞれ定義する。ヒトおよびマウス種を含むほとんどの脊椎動物の場合、典型的な免疫グロブリン構造単位は、2つの同一のポリペプチド鎖の対から構成される四量体を含み、各対は1つの「軽」鎖(約25kD)および1つの「重」鎖(約50~70kD)を有する。「V」および「V」は、それぞれこれらの軽鎖および重鎖の可変ドメインを指す。「C」および「C」は、軽鎖および重鎖の定常ドメインを指す。3つがそれぞれVおよびV上にあるβ鎖のループは、抗原への結合を担い、「相補性決定領域」または「CDR」と呼ばれる。「Fab」(断片、抗原結合)領域は、抗体の各重鎖および軽鎖由来の1つの定常ドメインおよび1つの可変ドメイン、すなわちV、C、VおよびC1を含む。
抗体には、完全な免疫グロブリンの他にその抗原結合断片が含まれる。「抗原結合断片」という用語は、抗原を結合するか、または抗原結合(すなわち、特異的結合)について完全な抗体と(すなわち、その抗原結合断片が由来する完全な抗体と)競合する、抗体のポリペプチド断片を指す。抗原結合断片は、当技術分野で周知の組換えまたは生化学的方法によって生産することができる。例示的な抗原結合断片には、Fv、Fab、Fab’、(Fab’)、CDR、パラトープおよびV鎖とV鎖が(直接またはペプチドリンカーを介して)一緒に結合して連続するポリペプチドを形成する一本鎖Fv抗体(scFv)が含まれる。
抗体には、バリアント、キメラ抗体およびヒト化抗体も含まれる。本明細書で使用される「抗体バリアント」という用語は、重鎖および/または軽鎖中に単一または複数の変異を有する抗体を指す。いくつかの態様において、変異は可変領域中に存在する。いくつかの態様において、変異は定常領域中に存在する。「キメラ抗体」は、重鎖および軽鎖のアミノ酸配列のそれぞれの1つの部分が、特定の種に由来するまたは特定のクラスに属する抗体中の対応する配列に相同であるが、これらの鎖の残りのセグメントが別のものの対応する配列に相同である抗体を指す。典型的には、これらのキメラ抗体において、軽鎖および重鎖の両方の可変領域は、哺乳動物のある種に由来する抗体の可変領域を模倣するが、定常部分は、別の種に由来する抗体中の配列と相同である。このようなキメラ形態の1つの明確な利点は、例えば、例えばヒト細胞調製物に由来する定常領域と組み合わせて、非ヒト宿主生物由来の容易に入手可能なハイブリドーマまたはB細胞を使用して、可変領域を、現在公知の供給源から都合よく得ることができることである。可変領域は調製が容易であるという利点を有し、特異性はその供給源によって影響を受けないが、定常領域はヒトであるため、抗体を注射した場合、非ヒト供給源由来の定常領域よりも、ヒト対象から免疫応答を誘発する可能性がより低い。しかしながら、定義はこの特定の例に限定されない。「ヒト化」抗体は、非ヒト種からの免疫グロブリンに実質的に由来する抗原結合部位とヒト免疫グロブリンの構造および/または配列に基づく当該分子の残りの免疫グロブリン構造とを有する分子を指す。抗原結合部位は、定常ドメイン上に融合された完全な可変ドメイン、または可変ドメイン中の適切なフレームワーク領域上に移植された相補性決定領域(CDR)のみのいずれかを含み得る。抗原結合部位は、野生型であり得、または1もしくはそれを超えるアミノ酸置換によって改変され得る、例えば、ヒト免疫グロブリンによりよく類似するように改変され得る。ヒト化抗体のいくつかの形態は、全てのCDR配列を保存する(例えば、マウス抗体由来のCDRの6つすべてを含有するヒト化マウス抗体)。他の形態のヒト化抗体は、元の抗体に対して変化した1またはそれを超えるCDR(1、2、3、4、5、または6)を有し、これらは1またはそれを超えるCDR「に由来する」1またはそれを超えるCDRとも呼ばれる。
本明細書に記載されるように、抗体のアミノ酸残基は、Kabatの一般的な付番(Kabatら、(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th edition.Public Health Service,NIH,Bethesda,MD)に従って付番することができる。
抗体と標的としてのCx43のエピトープとの間での結合に関連して本明細書で使用される「結合」という用語は、分子間での非共有結合的相互作用の過程を指す。好ましくは、前記結合は特異的である。抗体の特異性は、親和性に基づいて決定することができる。特異的抗体は、10-7M未満、好ましくは10-8M未満の、そのエピトープに対する結合親和性または解離定数Kを有することができる。
「抗原」という用語は、抗体などの選択的結合剤によって結合されることができ、さらにその抗原のエピトープに結合することができる抗体を産生するために動物において使用することができる分子または分子の一部を指す。抗原は、1またはそれを超えるエピトープを有し得る。
「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体への特異的結合が可能な任意の決定基、好ましくはポリペプチド決定基を含む。ある特定の態様において、エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリルまたはスルホニルなどの分子の化学的に活性な表面基を含み、ある特定の態様において、特定の三次元構造特性および/または特定の電荷特性を有し得る。一態様において、エピトープは、抗体によって結合される抗原の領域である。ある特定の態様において、抗体がタンパク質および/または高分子の複雑な混合物中でその標的抗原を優先的に認識する場合、抗体は抗原を特異的に結合すると言われる。エピトープマッピングのための方法は、X線共結晶学、アレイベースのオリゴペプチドスキャニング、部位特異的変異誘発、ハイスループット変異誘発マッピングおよび水素-重水素交換など、当技術分野で周知である。エピトープは、隣接するアミノ酸またはタンパク質の三次折り畳みによって並置された隣接しないアミノ酸の両方から形成され得る。隣接するアミノ酸から形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒へ曝露されても保持されるのに対して、三次折り畳みによって形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒で処理すると失われる。エピトープは、典型的には、特有の空間的立体配置で少なくとも3個、より一般的には少なくとも5個または8~10個のアミノ酸を含む。
「対象」または「患者」という用語は、予防処置または治療的処置のいずれかを受けるヒトまたは他の哺乳動物を含む。
本明細書で使用される「処置する」、「処置している」および「処置」という用語は、本明細書に記載されるものなどの治療的または予防的措置を指す。「処置」の方法は、炎症性疾患もしくは状態または神経変性疾患の1またはそれを超える症状を予防し、治癒させ、遅延させ、その重症度を低下させるために、もしくは改善するために、またはこのような処置の非存在下で予想される生存を超えて患者の生存を延長するために、患者、例えば炎症性疾患もしくは状態または神経変性疾患を有する患者への、本明細書で提供されるCx43リガンドの投与を用いる。「処置」の方法は、このような処置の非存在下で予想されるものを超えて患者での治療を提供するために、患者への、本明細書で提供されるCx43リガンド(例えば、抗体)の投与も用いる。
「炎症性疾患」という用語は、炎症を特徴とする広範囲の障害および状態を広く指す。例としては、関節炎、アレルギー、喘息、自己免疫疾患、セリアック病、糸球体腎炎、肝炎、炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎を含む)、再灌流傷害および移植拒絶が挙げられる。
「自己免疫疾患」という用語は、免疫系がそれ自身のタンパク質、細胞および組織を攻撃する疾患、または免疫エフェクターT細胞が内因性自己ペプチドに対して自己反応性であり、組織の破壊を引き起こす疾患を広く指す。自己免疫疾患には、関節リウマチ、クローン病、1型糖尿病、脱毛症、多発性硬化症、狼瘡、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫性脳脊髄炎、重症筋無力症(MG)、橋本甲状腺炎、グッドパスチャー症候群、天疱瘡(例えば、尋常性天疱瘡)、グレーブス病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、抗コラーゲン抗体による強皮症、混合性結合組織疾患、多発性筋炎、悪性貧血、特発性アジソン病、自己免疫関連不妊、糸球体腎炎(例えば、半月体形成性糸球体腎炎、増殖性糸球体腎炎)、水疱性類天疱瘡、シェーグレン症候群、インスリン抵抗性および自己免疫性糖尿病が含まれるが、これらに限定されない。
「神経変性疾患」という用語は、ニューロンの構造および/または機能の進行性喪失を特徴とする疾患を広く指す。神経変性疾患には、アルツハイマー病(AD)、リソソーム蓄積症、細菌性髄膜炎、筋萎縮性側索硬化症、低酸素症、虚血、緑内障、統合失調症、大うつ病、双極性障害、てんかん、外傷性脳損傷、外傷後ストレス障害、パーキンソン病、ダウン症候群、脊髄小脳失調症、ハンチントン病、放射線療法誘発神経変性、慢性ストレス誘発神経変性、および正常な老化または神経活性薬物(アルコール、オピエート、メタンフェタミン、フェンサイクリジンおよびコカインなど)の乱用に関連する神経変性が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「有効量」という用語は、患者に投与された場合に、疾患の処置、予後または診断を行うのに十分である、Cx43リガンド、例えば抗Cx43抗体などの作用物質の量を指す。治療有効量は、処置されている患者および疾患状態、患者の体重および年齢、疾患状態の重症度、投与の様式などに応じて変動し、これらは当業者によって容易に決定され得る。投与のための投与量は、本明細書に記載されているように、例えば、約1ng~約10,000mg、約5ng~約9,500mg、約10ng~約9,000mg、約20ng~約8,500mg、約30ng~約7,500mg、約40ng~約7,000mg、約50ng~約6,500mg、約100ng~約6,000mg、約200ng~約5,500mg、約300ng~約5,000mg、約400ng~約4,500mg、約500ng~約4,000mg、約1μg~約3,500mg、約5μg~約3,000mg、約10μg~約2,600mg、約20μg~約2,575mg、約30μg~約2,550mg、約40μg~約2,500mg、約50μg~約2,475mg、約100μg~約2,450mg、約200μg~約2,425mg、約300μg~約2,000、約400μg~約1,175mg、約500μg~約1,150mg、約0.5mg~約1,125mg、約1mg~約1,100mg、約1.25mg~約1,075mg、約1.5mg~約1,050mg、約2.0mg~約1,025mg、約2.5mg~約1,000mg、約3.0mg~約975mg、約3.5mg~約950mg、約4.0mg~約925mg、約4.5mg~約900mg、約5mg~約875mg、約10mg~約850mg、約20mg~約825mg、約30mg~約800mg、約40mg~約775mg、約50mg~約750mg、約100mg~約725mg、約200mg~約700mg、約300mg~約675mg、約400mg~約650mg、約500mgまたは約525mg~約625mgの抗体またはその抗原結合部分の範囲とすることができる。投与は、例えば、毎週、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごとまたは6週間ごとであり得る。投与レジメンは、最適な治療応答を提供するように調整され得る。有効量は、作用物質の任意の毒性または有害効果(副作用)が最小化され、および/または有益な効果によって上回られる量でもある。投与は、正確にまたは約6mg/kgもしくは12mg/kgで毎週、または12mg/kgもしくは24mg/kgで隔週で静脈内投与され得る。さらなる投与レジメンは、以下に記載されている。
本明細書で使用される場合、「製剤」とは、生物学的に活性なタンパク質(例えば、抗体)などの薬学的に活性な薬物の組成物であって、これを必要とする患者への非経口投与(静脈内、筋肉内または皮下を含むがこれらに限定されない)のために適しており、薬学的に許容され得る賦形剤、希釈剤、および米国食品医薬品局または他の外国の国家当局によって安全と見なされる他の添加剤のみを含む、組成物である。
本明細書で使用される場合、「液体製剤」および「水性製剤」という語句は、適切な溶媒中に溶解された1またはそれを超える賦形剤(例えば、化学添加剤)と組み合わせて生物製剤を含有する液剤または液体調製物を指すために互換的に使用される。
「安定な」製剤は、所定の温度(例えば、-40℃または-20℃または2~8℃の冷蔵温度)で一定期間、例えば少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも1年間、または最長3年間、有意な変化が観察されない医薬製剤である。本明細書に開示される製剤の安定性は、以下の基準の1またはそれより多くを使用して評価することができる:1)水性製剤が無色であるか、または視覚分析によって透明からわずかに乳白色である;2)タンパク質含有量が当初濃度から+/-5mg/mL以内に維持される;3)pHが目標pHから+/-0.5pH単位以内に維持される;4)SECによるモノマーのパーセントが95%以上である;5)CE-SDSによって測定した純度が90%以上であり、ELISAに基づく相対効力が60~150%内にある。
本明細書で使用される場合、「賦形剤」という用語は、治療的に不活性な物質を意味することを意図している。賦形剤は、例えば、バッファー、安定剤、等張化剤、界面活性剤、酸化防止剤、凍結保護剤または希釈剤として、多種多様な目的のために製剤中に含まれる。
適切な賦形剤には、マンニトールまたはソルビトールなどのポリオール(糖アルコールとしても知られる)、スクロース、ラクトースまたはデキストロースなどの糖、NaCl、KClまたはリン酸カルシウムなどの塩、アミノ酸、例えばヒスチジン、リジン、アスパラギン酸またはグルタミン酸、界面活性剤、および水が含まれるが、これらに限定されない。賦形剤の純度は、公定基準(例えば、米国薬局方、欧州薬局方、日本薬局方)を満たし、ヒトへの皮下、筋肉内または静脈内注射のために十分な純度であるべきである。
本明細書で使用される「バッファー」または「緩衝剤」という用語は、薬学的調製物のpHを安定化する薬学的に許容され得る賦形剤を指す。適切なバッファーは当技術分野で周知であり、文献に見出すことができる。例えば、クエン酸塩、酢酸塩、ヒスチジン塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、リン酸塩もしくは乳酸塩、および/またはこれらのそれぞれの遊離酸もしくは塩基、ならびにこれらの様々な塩および/または酸および塩基の混合物を使用することができる。特定の態様において、薬学的に許容され得るバッファーは、ヒスチジンバッファー、クエン酸バッファー、コハク酸バッファー、酢酸バッファーおよびリン酸バッファーを含むが、これらに限定されない。特定の態様において、バッファーは酢酸バッファー、例えば酢酸ナトリウムバッファーである。他の特定のバッファーは、ヒスチジンバッファー、すなわち、緩衝剤としてヒスチジン、一般的にはL-ヒスチジンを有するバッファーである。特定のバッファーは、L-ヒスチジンまたはL-ヒスチジンとL-ヒスチジン塩酸塩の混合物を含むL-ヒスチジン/HClバッファーであり、塩酸でpH調整が達成される。別段示されない限り、「L-ヒスチジン」という用語は、緩衝剤を記述するために本明細書で使用される場合、L-ヒスチジン/HClバッファーを指す。L-ヒスチジン/HClバッファーは、適切な量のL-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸塩を水に溶解することによって、または適切な量のL-ヒスチジンを水に溶解し、塩酸の添加によってpHを所望の値に調整することによって調製することができる。上記のバッファーは、一般に、約1mM~約100mM、約10mM~約50mM、約15~30mMまたは20mMの濃度で使用される。使用されるバッファーにかかわらず、pHは、当技術分野で公知の酸または塩基、例えば塩酸、酢酸、リン酸、硫酸およびクエン酸、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを用いて、約4.0~約7.0、約5.0~約6.0、約5.4~約5.6または約5.5の範囲の値に調整することができる。
本明細書で使用される「界面活性剤」という用語は、薬学的に許容され得る表面活性剤を示す。特定の態様において、非イオン性界面活性剤が使用される。薬学的に許容され得る界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン-ソルビタン脂肪酸エステル(Tween(登録商標))、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij(登録商標))、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(Triton(登録商標)X)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー(Poloxamer、Pluronic(登録商標))およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の態様において、ポリオキシエチレン-ソルビタン脂肪酸エステルは、ポリソルベート20(Tween(登録商標)20(商標)の商標で販売されているポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート(monolaureate))およびポリソルベート80(Tween(登録商標)80(商標)の商標で販売されているポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)である。特定の態様において、ポリエチレン-ポリプロピレンコポリマーは、Pluronic(登録商標)F68またはPoloxamer188(商標)の名称で販売されているものである。特定の態様において、ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、Brij(商標)の商標で販売されているものである。特定の態様において、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテルは、商品名TritonXで販売されており、例えば、p-tert-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(商品名TritonX-100(商標)で販売されている)である。ポリソルベート20(Tween(登録商標)20(商標))およびポリソルベート80(Tween(登録商標)80(商標))が使用される場合、それらは一般に、約0.001~約1%、約0.01~約0.1%または約0.02%~約0.05%の濃度範囲で使用される。本開示の製剤において、界面活性剤の濃度は、重量/体積(w/v)で表される百分率として記載される。
本明細書で使用される「安定剤」という用語は、製造、保存および適用中の化学的および/または物理的分解から活性医薬成分および/または製剤を保護する薬学的に許容され得る賦形剤を表す。安定剤としては、糖類、アミノ酸、ポリオール、例えばマンニトール、ソルビトール、キシリトール、デキストラン、グリセロール、アラビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロデキストリン、例えばヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエチル-β-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、例えばPEG3000、PEG3350、PEG4000、PEG6000、アルブミン、例えばヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、塩、例えば塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、キレート剤、例えば以下に定義されるEDTAが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に上記されているように、安定剤は、製剤中に約1~約500mMの量、約10~約300mMの量または約120mM~約300mMの量で存在することができる。同一のまたは異なる群から選択される1を超える安定剤が製剤中に存在することができる。
本明細書で使用される「糖類」という用語は、単糖およびオリゴ糖を含む。単糖(monosaccharide)は、単糖(simple sugar)およびその誘導体、例えばアミノ糖を含む、酸によって加水分解可能でない単量体炭水化物である。糖類は、通常、それらのD立体構造である。単糖の例としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、リボース、デオキシリボース、ノイラミン酸が挙げられる。オリゴ糖は、分枝状または直鎖状のいずれかの、グリコシド結合(複数可)を介して接続された1を超える単量体糖単位からなる炭水化物である。オリゴ糖内の単量体糖単位は、同一であることができ、または異なることができる。単量体糖単位の数に応じて、オリゴ糖は二糖、三糖、四糖、五糖などである。多糖とは対照的に、単糖およびオリゴ糖は水溶性である。オリゴ糖の例には、スクロース、トレハロース、ラクトース、マルトースおよびラフィノースが含まれる。特定の態様において、糖類はスクロースおよびトレハロース(すなわち、α,α-D-トレハロース)、例えばスクロースである。トレハロースは、トレハロース二水和物として入手可能である。糖類は、製剤中に約100~約500mMの量で、約200~約300mMの量で、または約240mMの量で存在することができる。
安定剤内のサブグループは、凍結保護剤である。「凍結保護剤」という用語は、凍結乾燥過程、その後の保存および再構成中の不安定化条件から不安定な活性成分(例えば、タンパク質)を保護する薬学的に許容され得る賦形剤を表す。凍結保護剤は、糖類、ポリオール(例えば、糖アルコールなど)およびアミノ酸からなる群を含むが、これらに限定されない。特定の態様において、凍結保護剤は、糖類、例えばスクロース、トレハロース、ラクトース、グルコース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラフィノース、ノイラミン酸、アミノ糖、例えばグルコサミン、ガラクトサミン、N-メチルグルコサミン(「Meglumine」)、ポリオール、例えばマンニトールおよびソルビトール、ならびにアミノ酸、例えばアルギニンおよびグリシンまたはこれらの混合物からなる群から選択することができる。凍結保護剤は、一般に、約10~500mMの量で、約10~約300mMの量で、または約100~約300mMの量で使用される。
安定剤内の別のサブグループは、酸化防止剤である。「酸化防止剤」という用語は、活性医薬成分の酸化を防止する薬学的に許容され得る賦形剤を表す。酸化防止剤は、アスコルビン酸、グルタチオン、システイン、メチオニン、クエン酸、EDTAを含むが、これらに限定されない。酸化防止剤は、約0.01~約100mMの量で、約5~約50mMの量で、または約5~約25mMの量で使用することができる。
本開示による製剤は、1またはそれを超える等張化剤も含み得る。「等張化剤」という用語は、製剤の等張性をモジュレートするために使用される薬学的に許容され得る賦形剤を表す。製剤は、低張性、等張性または高張性であり得る。等張性は、一般に、通常はヒト血清の浸透圧(約250~350mOsmol/kg)に対する溶液の浸透圧に関連する。本開示による製剤は、低張性、等張性または高張性であり得る。特定の態様において、製剤は等張性である。等張性製剤は、液体または固体形態から、例えば凍結乾燥された形態から再構成された液体であり、生理学的塩溶液および血清など、それが比較される他の一部の溶液と同じ張性を有する溶液を表す。適切な等張化剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、およびアミノ酸または糖、特にグルコースの群からの任意の構成成分を含むが、これらに限定されない。等張化剤は、一般に、約5mM~約500mMの量で使用される。
安定剤および等張化剤の中には、両方の様式で機能することができる化合物の群が存在する、すなわち、それらは同時に安定剤かつ等張化剤であり得る。その例は、糖、アミノ酸、ポリオール、シクロデキストリン、ポリエチレングリコールおよび塩の群に見出すことができる。同時に安定剤かつ等張化剤であり得る糖の例は、トレハロースである。
タンパク質の「等電点」または「pI」は、タンパク質が0に等しい正味の総電荷を有するpH、すなわちタンパク質が等しい数の正電荷および負電荷を有するpHである。任意の所与のタンパク質についてのpIの決定は、例えば等電点電気泳動などの十分に確立された技術に従って行うことができる。等電点電気泳動は、等電点(pI)の差によって異なる分子を分離するための技術である。これは、関心対象の分子上の総電荷がその周囲のpHの関数であるという事実を利用する、通常、ゲル中のタンパク質に対して行われるゾーン電気泳動の一種である。
本開示の様々な局面が、以下でさらに詳述されている。追加の定義は、本明細書全体を通じて記載されている。
医薬製剤
いくつかの態様において、本開示は、本明細書中に記載される抗Cx43抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物を提供する。抗Cx43抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号1、2および3のアミノ酸配列を有する第1、第2および第3の重鎖相補性決定領域(CDR)配列と、それぞれ配列番号4、5および6のアミノ酸配列を有する第1、第2および第3の軽鎖CDR配列とを有することができる。
いくつかの態様において、抗Cx43抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインとを含むことができる。
ある特定の態様において、抗Cx43抗体またはその抗原結合断片は、配列番号9~17からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む。
ある特定の態様において、抗Cx43抗体またはその抗原結合断片は、FLSRPTEKTI(配列番号19)のアミノ酸配列内に位置するエピトープに結合する。
様々な態様において、抗Cx43抗体またはその抗原結合断片は、薬学的に許容され得る量および薬学的に許容され得る組成で製剤化することができる。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る」とは、一般に安全で、非毒性であり、生物学的にも他の点でも望ましくないものではない医薬組成物を調製する上で有用であるものを指すものとし、獣医学的使用およびヒトの薬学的使用に関して許容され得るものを含む。「薬学的に許容され得る液体担体」の例には、水および有機溶媒が含まれる。好ましい薬学的に許容され得る水性液体としては、PBS、食塩水およびデキストロース溶液などが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る塩」という用語は、本明細書に開示される化合物の任意の薬学的に許容され得る塩を意味する。例えば、本明細書に記載されている任意の化合物の「薬学的に許容され得る塩」には、確かな医学的判断の範疇内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー性応答なしに、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに適しており、合理的な便益/リスク比に相応している塩が含まれる。薬学的に許容され得る塩は、本分野において周知である。例えば、薬学的に許容され得る塩は、Bergeら、J.Pharmaceutical Sciences 66:1-19,1977およびPharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,(Eds.P.H.Stahl and C.G.Wermuth),Wiley-VCH,2008に記載されている。塩は、本明細書に記載されている化合物の最終的な単離および精製中にインサイチュで、または遊離の塩基基を適切な有機酸と反応させることによって別個に調製することができる。
薬学的に許容され得る担体または賦形剤の選択を容易にするために、様々な参考文献が利用可能である。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences and U.S.Pharmacopeia:National Formulary,Mack Publishing Company,Easton,Pa.(1984);Hardmanら、(2001)Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,McGraw-Hill,New York,N.Y.;Gennaro(2000)Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Lippincott,Williams,and Wilkins,New York,N.Y.;Avisら、(eds.)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications,Marcel Dekker,NY;Liebermanら、(eds.)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Marcel Dekker,NY;Liebermanら、(eds.)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems,Marcel Dekker,NY;Weiner,Wang,W.,Int.J.Pharm.185:129-188(1999)およびWang,W.,Int.J.Pharm.203:1-60(2000)、およびKotkoskie(2000)Excipient Toxicity and Safety,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Yを参照されたい。
いくつかの態様において、抗体製剤は、バッファー(例えば、ヒスチジン、酢酸、リン酸またはクエン酸バッファー)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)、および/または安定剤(例えば、スクロース)などを含むことができる。いくつかのある特定の実施態様において、バッファーは、酢酸/酢酸ナトリウム、ヒスチジン/アスパラギン酸、クエン酸/クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム/リン酸二水素ナトリウムおよびヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩から選択することができる。ある特定の実施態様において、バッファーは、ヒスチジン/アスパラギン酸またはヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩である。ある特定の実施態様において、バッファーは、ヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩である。いくつかの実施態様において、界面活性剤は、ポリソルベート80(PS80)である。ある特定の実施態様において、安定剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、塩化ナトリウム、ソルビトール、グリシンおよびスクロースから選択される。ある特定の実施態様において、安定剤はスクロースである。
いくつかの態様において、抗体製剤は、例えば、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばホスファート、スクロース、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、プロタミン硫酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリラート、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマーおよびポリエチレングリコールを含む薬学的に許容され得る担体を含むことができる。いくつかの態様において、抗体製剤は、界面活性剤をさらに含む。いくつかの態様において、界面活性剤は、ポリソルベート、ドデシル硫酸ナトリウム、および非イオン性界面活性剤からなる群から選択される。
本開示による製剤は、液体形態で、凍結乾燥された形態で、または凍結乾燥された形態から再構成された液体形態であり得る。ある特定の態様において、製剤は液体形態である。本開示による製剤に関連して本明細書で使用される「液体」という用語は、大気圧下において、少なくとも約2~約8℃の温度で液体である製剤を表す。本開示による製剤に関連して本明細書で使用される「凍結乾燥された」という用語は、それ自体当技術分野で公知の凍結乾燥方法によって製造される製剤を表す。凍結、続いて真空下で氷を昇華させ、高温で残留水を脱着させることによって、溶媒(例えば、水)を除去する。凍結乾燥物は、通常、約0.1~5%(w/w)の残留水分を有し、粉末または物理的に安定なケーキとして存在する。凍結乾燥物は、再構成媒体の添加後の迅速な溶解を特徴とする。
本開示による製剤に関連して本明細書で使用される「再構成された形態」という用語は、凍結乾燥され、再構成媒体の添加によって再溶解される製剤を表す。適切な再構成媒体は、注射用水(WFI)、注射用静菌水(BWFI)、塩化ナトリウム溶液(例えば、0.9%(w/v)NaCl)、グルコース溶液(例えば、5%グルコース)、界面活性剤含有溶液(例えば、0.02%ポリソルベート80)、pH緩衝溶液(例えば、リン酸緩衝溶液)を含むが、これらに限定されない。
本開示による製剤は、生理学的に忍容性が良好であり、容易に調製することができ、正確に分注することができ、保存の期間にわたって、反復凍結融解サイクルおよび機械的ストレスの間、分解生成物および凝集物に対して安定である。それは、保存温度(例えば、-40℃または-20℃または2~8℃)で1年を超える期間にわたって安定である。
本開示の抗体製剤は水溶液であり得る。いくつかの態様において、抗体製剤は凍結温度に供されていない、および/または凍結されていない、すなわち、それらは液体状態のままであった。いくつかの態様において、抗体製剤中の抗体は凍結乾燥に供されていない。
いくつかの実施態様において、抗体製剤は、改善された安定性を有することができる。本明細書で使用される場合、「安定性」という用語は、一般に、完全性を維持すること、またはタンパク質、ペプチドもしくは別の生物活性高分子などの生物活性剤の分解、変性、凝集もしくはアンフォールディングを最小限に抑えることに関する。本明細書で使用される場合、「改善された安定性」は、一般に、分解、変性、凝集またはアンフォールディングをもたらすことが知られている条件下で、関心対象のタンパク質(例えば、抗Cx43Abなどの抗体)、ペプチドまたは別の生物活性高分子が、対照タンパク質、ペプチドまたは別の生物活性高分子と比較してより大きな安定性を維持することを意味する。
いくつかの実施態様において、安定性は、低レベルから検出不能レベルの粒子形成を有する抗体製剤を指す。本明細書で使用される「低レベルから検出不能レベルの粒子形成」という語句は、HIAC分析または視覚分析によって判定して、30粒子/mL未満、20粒子/mL未満、20粒子/mL未満、15粒子/mL未満、10粒子/mL未満、5粒子/mL未満、2粒子/mL未満または1粒子/mL未満を含有する試料を指す。いくつかの実施態様において、HIAC分析または視覚分析のいずれかによって、抗体製剤中の粒子は検出されない。
いくつかの態様において、安定性は、抗体の低下した断片化を指す。本明細書で使用される「低レベルから検出不能レベルの断片化」という用語は、例えば、HPSECによって決定される単一のピーク中に、または還元キャピラリーゲル電気泳動(rCGE)による2つのピーク(例えば、重鎖および軽鎖)(またはサブユニットが存在するのと同数のピーク)中に、総タンパク質の80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%と等しいまたは80%超、85%超、90%超、95%超、98%超もしくは99%超を含有し、分解されていない抗体またはその分解されていない断片に相当し、それぞれの中に総タンパク質の5%超、4%超、3%超、2%超、1%超または0.5%超を有する他の単一のピークを含有しない試料を指す。本明細書で使用される「還元キャピラリーゲル電気泳動」という用語は、抗体中のジスルフィド結合を還元するのに十分な還元条件下でのキャピラリーゲル電気泳動を指す。
当業者は、タンパク質の安定性が製剤の組成に加えて他の特徴に依存することを理解する。例えば、安定性は、温度、圧力、湿度、pH、および外部形態の放射線によって影響され得る。したがって、特に明記しない限り、本明細書で言及される安定性は、-20℃、一気圧、50%相対湿度、5.5のpH、および通常のバックグラウンドレベルの放射線において測定されると考えられる。抗体製剤中の抗体の安定性は、様々な手段によって決定することができる。いくつかの態様において、抗体安定性はサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定される。SECは、流体力学的サイズ、拡散係数および表面特性の組み合わせに基づいて分析物(例えば、タンパク質および抗体などの高分子)を分離する。したがって、例えば、SECは、様々な変性状態の抗体および/または分解された抗体から、それらの天然の三次元立体構造の抗体を分離することができる。SECでは、固定相は、一般に、ガラスまたは鋼鉄カラム内の高密度三次元マトリックスへと充填された不活性粒子から構成される。移動相は、純水、水性バッファー、有機溶媒、これらの混合物、または他の溶媒であり得る。固定相粒子は、ある特定のサイズを下回る種のみが入ることを可能にする小さな細孔および/またはチャネルを有する。したがって、大きな粒子はこれらの細孔およびチャネルから排除されるが、より小さな粒子は流動する移動相から除去される。粒子が固定相の細孔内での固定化に費やす時間は、部分的には、粒子が細孔内にどこまでけ浸透できるかに依存する。移動相の流れからの粒子の除去により、粒子はカラムから溶出するのにより長い時間を要し、粒子のサイズの差に基づいて粒子間の分離がもたらされる。
いくつかの態様において、タンパク質またはその断片を同定または性質決定するために、SECは同定技術と組み合わされる。タンパク質の同定および性質決定は、クロマトグラフィー技術、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、イムノアッセイ、電気泳動、紫外/可視/赤外分光法、ラマン分光法、表面増強ラマン分光法、質量分析、ガスクロマトグラフィー、静的光散乱(SLS)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、円二色性(CD)、尿素誘導性タンパク質アンフォールディング技術、内因性トリプトファン蛍光、示差走査熱量測定、および/またはANSタンパク質結合を含むが、これらに限定されない様々な技術によって達成することができる。
いくつかの態様において、タンパク質同定は、高圧液体クロマトグラフィーによって達成される。HPLCを実施するための様々な機器および装置が当業者に公知である。一般に、HPLCは、関心対象のタンパク質を含有する液体溶媒を、分離が行われる分離カラムにロードすることを含む。HPLC分離カラムは固体粒子(例えば、シリカ、ポリマー、または吸着剤)で満たされ、試料混合物がカラム粒子と相互作用するにつれて試料混合物は化合物に分離される。HPLC分離は、液体溶媒の条件(例えば、圧力、温度)、試料混合物と液体溶媒間の化学的相互作用(例えば、疎水性、プロトン化など)、および試料混合物と分離カラムの内部に充填された固体粒子との間の化学的相互作用(例えば、リガンド親和性、イオン交換など)によって影響を受ける。
いくつかの態様において、SECおよびタンパク質同定は、同じ装置内で、または同時に行われる。例えば、SECとHPLCを組み合わせることができ、しばしばSE-HPLCと呼ばれる。
いくつかの態様において、水性製剤は、約2mg/mL~約100mg/mLの抗体を含み、抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号1~3のKabatで定義されたCDR1、CDR2およびCDR3配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号4~6のKabatで定義されたCDR1、CDR2およびCDR3配列を含み、前記製剤は、約40℃で少なくとも1ヶ月間保存されたときに安定である。いくつかの態様において、製剤は、約25℃で少なくとも3ヶ月間保存されたときに安定である。いくつかの態様において、製剤は、約5℃で少なくとも6ヶ月間保存されたときに安定である。いくつかの態様において、製剤は、約5℃で少なくとも12ヶ月間保存されたときに安定である。いくつかの態様において、製剤は、約5℃で少なくとも18ヶ月間保存されたときに安定である。いくつかの態様において、製剤は、約5℃で少なくとも24ヶ月または36ヶ月間保存されたときに安定である。
「安定」という用語は、相対的であって、絶対的でなくてもよい。したがって、いくつかの態様において、抗体が-20℃で6ヶ月間保存されたときに、SEC HPLCによって測定して、抗体の20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満が分解され、変性し、凝集し、またはアンフォールドすれば、抗体は安定である。いくつかの態様において、抗体が-20℃で12ヶ月間保存されたときに、SEC HPLCによって測定して、抗体の20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満が分解され、変性し、凝集し、またはアンフォールドすれば、抗体は安定である。いくつかの態様において、抗体製剤中の抗体が-20℃で18ヶ月間保存されたときに、SEC HPLCによって測定して、抗体の20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満が分解され、変性し、凝集し、またはアンフォールドすれば、抗体は安定である。いくつかの態様において、抗体製剤中の抗体が-20℃で24ヶ月間保存されたときに、SEC HPLCによって測定して、抗体の20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満が分解され、変性し、凝集し、またはアンフォールドすれば、抗体は安定である。
いくつかの実施態様において、抗体が23℃~27℃で3ヶ月間保存されたときに、SEC HPLCによって測定して、抗体の20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満が分解し、変性し、凝集し、またはアンフォールディングすれば、抗体は安定である。いくつかの実施態様において、抗体が23℃~27℃で6ヶ月間保存されたときに、SEC HPLCによって測定して、抗体の20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満が分解し、変性し、凝集し、またはアンフォールディングすれば、抗体は安定である。いくつかの実施態様において、抗体が23℃~27℃で12ヶ月間保存されたときに、SEC HPLCによって測定して、抗体の20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満が分解し、変性し、凝集し、またはアンフォールディングすれば、抗体は安定である。いくつかの実施態様において、抗体が23℃~27℃で24ヶ月間保存されたときに、SEC HPLCによって測定して、抗体の20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満が分解し、変性し、凝集し、またはアンフォールディングすれば、抗体は安定である。
いくつかの態様において、抗体が40℃で保存されたときに、SEC HPLCによって測定して、1月あたり、抗体の6%未満、4%未満、3%未満、2%未満または1%未満が分解され、変性し、凝集し、またはアンフォールドすれば、抗体は安定である。いくつかの態様において、抗体が5℃で保存されたときに、SEC HPLCによって測定して、1月あたり、抗体の6%未満、4%未満、3%未満、2%未満または1%未満が分解され、変性し、凝集し、またはアンフォールドすれば、抗体は安定である。
いくつかの態様において、例えば、ELISAなどの当業者に公知の抗体結合アッセイによって測定された場合に、8週間、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月または24ヶ月の期間にわたって、抗体が、参照抗体と比較して、製剤の抗体(その抗体断片を含む)の結合活性の喪失をほとんどないしは全く示さなければ、本開示の抗体製剤は安定であると考えることができる。いくつかの態様において、約40℃で少なくとも1ヶ月間保存された抗体は、保存されていない参照抗体と比較して、Cx43への結合能の少なくとも60%、少なくとも80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を保持する。いくつかの態様において、約5℃で少なくとも6ヶ月間保存された抗体は、保存されていない参照抗体と比較して、Cx43への結合能の少なくとも80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を保持する。いくつかの態様において、約40℃で少なくとも1ヶ月間保存された抗体は、保存されていない参照抗体と比較して、Cx43への結合能の少なくとも95%を保持する。いくつかの態様において、約5℃で少なくとも6ヶ月間保存された抗体は、保存されていない参照抗体と比較して、Cx43への結合能の少なくとも95%を保持する。
抗体製剤は、低レベルから検出不能レベルの抗体の凝集をもたらし得る。本明細書で使用される「低レベルから検出不能レベルの凝集」という語句は、高速サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)または静的光散乱(SLS)技術によって測定された場合に、タンパク質の重量で、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下および約0.5%以下の凝集を含有する試料を指す。いくつかの態様において、HPSECによって測定された場合に、約40℃で少なくとも4週間保存されたときに、抗体の2%未満が凝集体を形成する。いくつかの態様において、HPSECによって測定された場合に、約5°で少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも15ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、または少なくとも36ヶ月間保存されたときに、抗体の2%未満が凝集体を形成する。
本明細書で提供される抗体製剤は、目視検査、マイクロフローイメージング(micro-flowing imaging)(MFI)またはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定された場合に、大幅に低下した粒子形成をもたらすことが本明細書において発見された。いくつかの態様において、製剤は、目視検査によって判定された場合に、約40℃で少なくとも1ヶ月間保存されたときに、粒子を実質的に含まない。いくつかの態様において、製剤は、目視検査によって判定された場合に、約5℃で少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも15ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、または少なくとも36ヶ月間保存されたときに、粒子を実質的に含まない。
製剤は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などの補助剤も含有し得る。微生物の存在の防止は、滅菌手順によって、ならびに様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などを含めることによって確実にされ得る。防腐剤は、一般に、約0.001~約2%(w/v)の量で使用される。防腐剤は、エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、p-クロロ-m-クレゾール、メチルまたはプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウムを含むが、これらに限定されない。
本明細書に記載の抗体製剤は、様々な粘度を有することができる。抗体製剤の粘度を測定する方法は当業者に公知であり、例えば、レオメータ(例えば、50mm、40mmまたは20mmのいずれかのプレートアクセサリを備えたAnton Paar MCR301 Rheometer)を含むことができる。本開示のいくつかの態様において、粘度は、1000/秒の剪断速度の高剪断限界で報告された。いくつかの態様において、抗体製剤は、20センチポアズ(cP)未満、18cP未満、15cP未満、13cP未満または11cP未満の粘度を有する。いくつかの態様において、抗体製剤は、13cP未満の粘度を有する。当業者は、粘度が温度に依存し、したがって、別段の指定がない限り、本明細書で提供される粘度は、別段の指定がない限り、25℃で測定されることを理解する。
抗体製剤は、異なる容量オスモル濃度を有することができる。抗体製剤の容量オスモル濃度を測定する方法は当業者に公知であり、例えば、浸透圧計(例えば、Advanced Instrument Inc 2020の凝固点降下浸透圧計)を含むことができる。いくつかの態様において、製剤は、200~600mosm/kg、260~500mosm/kgまたは300~450mosm/kgの容量オスモル濃度を有する。
本開示の抗体製剤は、様々なpHレベルを有することができる。いくつかの実施態様において、抗体製剤のpHは、4~7、4.5~6.5、5~6、または5.4~5.6である。いくつかの実施態様において、抗体製剤のpHは5.5である。いくつかの実施態様において、抗体製剤のpHは6.0である。いくつかの実施態様において、抗体製剤のpHは7.0以上である。所望のpHレベルを達成する上で、限定するものではないが、適切なバッファーの添加を含む様々な手段が利用され得る。
いくつかの実施態様において、抗体製剤は、約40~60mg/mL、好ましくは約50mg/mLの抗Cx43抗体またはその抗原結合断片と、約10~40mM、好ましくは約20mMヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩バッファーと、約0.005%~0.05%、好ましくは約0.02%w/vのポリソルベート80と、約1%~20%w/v、好ましくは約8%w/vのスクロースとを含むことができ、前記製剤が、約5.4~約5.6、好ましくは約5.5のpHを有する。
いくつかの実施態様において、抗体製剤は、配列番号9~17からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、および配列番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む約50mg/mLの抗Cx43抗体またはその抗原結合断片と、約20mMヒスチジン/アスパラギン酸バッファーと、約0.02%w/vのポリソルベート80と、約8%w/vのスクロースと、を含むことができ、前記製剤は、約5.4~約5.6、好ましくは約5.5のpHを有する。
一実施態様において、抗体製剤は、配列番号9のアミノ酸配列を有する重鎖と配列番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む約50mg/mLの抗Cx43抗体またはその抗原結合断片と、約20mMヒスチジン/アスパラギン酸バッファーと、約0.02%w/vのポリソルベート80と、約8%w/vのスクロースと、を含むことができ、前記製剤は、約5.4~約5.6、好ましくは約5.5のpHを有する。
一実施態様において、抗体製剤は、配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖と配列番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む約50mg/mLの抗Cx43抗体またはその抗原結合断片と、約20mMヒスチジン/アスパラギン酸バッファーと、約0.02%w/vのポリソルベート80と、約8%w/vのスクロースと、を含むことができ、前記製剤は、約5.4~約5.6、好ましくは約5.5のpHを有する。
一実施態様において、抗体製剤は、配列番号11のアミノ酸配列を有する重鎖と配列番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む約50mg/mLの抗Cx43抗体またはその抗原結合断片と、約20mMヒスチジン/アスパラギン酸バッファーと、約0.02%w/vのポリソルベート80と、約8%w/vのスクロースと、を含むことができ、前記製剤は、約5.4~約5.6、好ましくは約5.5のpHを有する。
一実施態様において、抗体製剤は、配列番号12のアミノ酸配列を有する重鎖と配列番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む約50mg/mLの抗Cx43抗体またはその抗原結合断片と、約20mMヒスチジン/アスパラギン酸バッファーと、約0.02%w/vのポリソルベート80と、約8%w/vのスクロースと、を含むことができ、前記製剤は、約5.4~約5.6、好ましくは約5.5のpHを有する。
一実施態様において、抗体製剤は、配列番号13のアミノ酸配列を有する重鎖と配列番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む約50mg/mLの抗Cx43抗体またはその抗原結合断片と、約20mMヒスチジン/アスパラギン酸バッファーと、約0.02%w/vのポリソルベート80と、約8%w/vのスクロースと、を含むことができ、前記製剤は、約5.4~約5.6、好ましくは約5.5のpHを有する。
一実施態様において、抗体製剤は、配列番号14のアミノ酸配列を有する重鎖と配列番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む約50mg/mLの抗Cx43抗体またはその抗原結合断片と、約20mMヒスチジン/アスパラギン酸バッファーと、約0.02%w/vのポリソルベート80と、約8%w/vのスクロースと、を含むことができ、前記製剤は、約5.4~約5.6、好ましくは約5.5のpHを有する。
一実施態様において、抗体製剤は、配列番号15のアミノ酸配列を有する重鎖と配列番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む約50mg/mLの抗Cx43抗体またはその抗原結合断片と、約20mMヒスチジン/アスパラギン酸バッファーと、約0.02%w/vのポリソルベート80と、約8%w/vのスクロースと、を含むことができ、前記製剤は、約5.4~約5.6、好ましくは約5.5のpHを有する。
一実施態様において、抗体製剤は、配列番号16のアミノ酸配列を有する重鎖と配列番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む約50mg/mLの抗Cx43抗体またはその抗原結合断片と、約20mMヒスチジン/アスパラギン酸バッファーと、約0.02%w/vのポリソルベート80と、約8%w/vのスクロースと、を含むことができ、前記製剤は、約5.4~約5.6、好ましくは約5.5のpHを有する。
一実施態様において、抗体製剤は、配列番号17のアミノ酸配列を有する重鎖と配列番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む約50mg/mLの抗Cx43抗体またはその抗原結合断片と、約20mMヒスチジン/アスパラギン酸バッファーと、約0.02%w/vのポリソルベート80と、約8%w/vのスクロースと、を含むことができ、前記製剤は、約5.4~約5.6、好ましくは約5.5のpHを有する。
いくつかの態様において、本開示は、本明細書に記載の抗体製剤、本明細書に記載の容器、本明細書に記載の単位剤形、または本明細書に記載の予め充填されたシリンジのいずれかを含むキットを提供する。
治療用途
いくつかの態様において、本開示の抗体製剤は医薬目的のために使用することができる。医薬用途において使用される抗体は、一般に、特に細胞タンパク質夾雑物、細胞DNA夾雑物、ウイルスおよび他の伝染性因子を含む、細胞培養からの夾雑物に関して、高レベルの純度を有さなければならない。’’WHO Requirements for the use of animal cells as in vitro substrates for the production of biologicals:Requirements for Biological Substances No.50.’’No.878.Annex 1,1998を参照されたい。夾雑物に関する懸念に応じて、世界保健機関(WHO)は、様々な夾雑物のレベルに制限を設けた。例えば、WHOは、タンパク質産物について用量あたり10ng未満のDNA限界を推奨した。同様に、米国食品医薬品局(FDA)は、0.5pg/mgタンパク質未満またはこれに等しいDNA限界を設定した。したがって、いくつかの態様において、本開示は、1またはそれを超える政府機関、例えば米国食品医薬品局および/または世界保健機関によって定義される夾雑物限界を満たすまたはそれに優る抗体製剤に関する。
本開示の抗体製剤は、様々な手段を介して対象に投与することができる。いくつかの態様において、抗体製剤は、非経口投与、例えば吸入(例えば、粉末またはエアロゾルスプレー)、経粘膜、静脈内、皮下または筋肉内投与に適している。いくつかの態様において、製剤は注入可能な製剤である。いくつかの態様において、本開示は、本明細書に記載される抗体製剤のいずれかを含む密封された容器に関する。
いくつかの局面において、本開示は、様々な医薬剤形に関する。様々な剤形が、本明細書中に提供される製剤に対して適用可能であり得る。例えば、Pharmaceutical Dosage Form:Parenteral Medications,Volume 1,2ndEditionを参照されたい。一態様において、本開示の医薬単位投与量は、適切な容器、例えばバイアルまたはシリンジ中に抗体製剤を含む。一態様において、本開示の医薬単位投与量は、静脈内、皮下または筋肉内に送達される抗体製剤を含む。別の態様において、本開示の医薬単位投与量は、エアロゾル送達される抗体製剤を含む。特定の態様において、本開示の医薬単位投与量は、皮下に送達される抗体製剤を含む。別の態様において、本開示の医薬単位投与量は、エアロゾル送達される抗体製剤を含む。さらなる態様において、本開示の医薬単位投与量は、鼻腔内投与される抗体製剤を含む。
本開示の組成物は、当技術分野において公知の様々な方法によって投与することができる。当業者によって理解されるように、投与の経路および/または様式は、所望の結果に応じて変化する。
ある特定の投与経路によって本開示の組成物を投与するために、希釈剤中で組成物を希釈することが必要であることがある。薬学的に許容され得る希釈剤には、食塩水、グルコース、リンガーおよび水性緩衝溶液が含まれる。
特定の態様において、本開示による製剤は、静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)または薬学分野で公知のものなどの任意の他の親(parental)投与手段によって投与される。
本明細書で使用される「非経口投与」および「非経口的に投与される」という語句は、通常は注射による、経腸および局所投与以外の投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内の注射および注入が含まれるが、これらに限定されない。
組成物は、組成物がシリンジまたは注入システムによって送達可能な程度まで無菌であり、流動性でなければならない。水の他に、担体は、等張緩衝食塩水溶液、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物であり得る。
本開示による製剤は、当技術分野で公知の方法、例えば限外濾過-透析濾過、透析、添加および混合、凍結乾燥、再構成ならびにこれらの組み合わせによって調製することができる。本開示による製剤の調製の例は、以下に見出すことができる。
本明細書に記載される医薬組成物は、炎症性肺疾患、変形性関節症および脊髄損傷などの、無菌性および感染性炎症を含む炎症性障害の処置において使用され得る。
無菌性炎症は、物理的、化学的または代謝的な害によって引き起こされる一般的な事象である。様々な害が、細胞ストレス、したがってストレス応答を引き起こす。多くの種類のストレス応答が存在し(例えば、アンフォールディングタンパク質応答、統合ストレス応答、酸化ストレス)、しばしば互いに絡み合っている。ストレス応答は炎症を引き起こす。害が持続すると、炎症は消散せず、がん、代謝性および遺伝性疾患を含む多くのヒト障害の病態生理において重要な役割を果たす悪循環が生じる。
無菌性炎症から生じる急性状態には、虚血再灌流傷害(IRI)、外傷(例えば、脊髄損傷、外傷性脳損傷、末梢神経損傷)、結晶誘発性炎症および毒素曝露が含まれる。急性心筋梗塞、脳梗塞、急性腎障害および実質臓器移植はすべて、IRIが起こる状態である。関節内の結晶沈着は痛風性関節炎をもたらし、発赤、疼痛、熱、腫脹および機能喪失を含む炎症の古典的な臨床徴候を誘発する。アセトアミノフェンまたはコブラ毒などの毒素は、それぞれ肝損傷および筋損傷を誘発する。挫滅傷を含む外傷は、急激な炎症反応を誘発し、(細菌曝露からの)内因性および微生物性の引き金は、この文脈において炎症に寄与し得る。
無菌性炎症を引き起こすまたは無菌性炎症から生じる慢性状態には、石綿症および珪肺症などの粒子誘発性肺疾患、嚢胞性線維症および特発性肺線維症などの慢性肺疾患、アテローム性動脈硬化症などの心血管疾患、慢性心不全のいくつかの原因、腫瘍の特定の症例、関節炎(例えば、変形性関節症および関節リウマチ(RA))、ならびに自己免疫状態が含まれる。
感染性炎症は、多くの組織において、細菌および真菌などの様々な病原体によって引き起こされ得る。
本明細書で使用される炎症性疾患は、炎症を特徴とする膨大な一連の障害および状態を指す。例としては、関節炎、アレルギー、喘息、自己免疫疾患、セリアック病、糸球体腎炎、肝炎、炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎を含む)、再灌流傷害および移植拒絶が挙げられる。
自己免疫疾患は、免疫系がそれ自身のタンパク質、細胞および組織を攻撃する疾患、または免疫エフェクターT細胞が内因性自己ペプチドに対して自己反応性であり、組織の破壊を引き起こす疾患である。したがって、免疫応答は、自己抗原と呼ばれる対象自身の抗原に対して開始される。自己免疫疾患の包括的なリストおよび総説は、The Autoimmune Diseases(Rose and Mackay,2014,Academic Press)に見出すことができる。自己免疫疾患には、関節リウマチ、クローン病、1型糖尿病、脱毛症、多発性硬化症、狼瘡、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫性脳脊髄炎、重症筋無力症(MG)、橋本甲状腺炎、グッドパスチャー症候群、天疱瘡(例えば、尋常性天疱瘡)、グレーブス病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、抗コラーゲン抗体による強皮症、混合性結合組織疾患、多発性筋炎、悪性貧血、特発性アジソン病、自己免疫関連不妊、糸球体腎炎(例えば、半月体形成性糸球体腎炎、増殖性糸球体腎炎)、水疱性類天疱瘡、シェーグレン症候群、インスリン抵抗性および自己免疫性糖尿病が含まれるが、これらに限定されない。
神経変性疾患は、アルツハイマー病(AD)、リソソーム蓄積症、細菌性髄膜炎、筋萎縮性側索硬化症、低酸素症、虚血、緑内障、統合失調症、大うつ病、双極性障害、てんかん、外傷性脳損傷、外傷後ストレス障害、パーキンソン病、ダウン症候群、脊髄小脳失調症、ハンチントン病、放射線療法誘発神経変性、慢性ストレス誘発神経変性、および正常な老化または神経活性薬物(アルコール、オピエート、メタンフェタミン、フェンサイクリジンおよびコカインなど)の乱用に関連する神経変性などの疾患である。
変形性関節症は、関節軟骨およびその下の骨の破壊に起因する関節疾患の一種である。最も一般的な症状は関節痛および硬直であり、数年にわたってゆっくりと進行し得る。変形性関節症は、関節に対する機械的ストレスおよび低グレードの炎症過程によって引き起こされると考えられている。関節による自己修復が不十分な機械的ストレスによる損傷は、変形性関節症の主な原因であると考えられている。
脊髄損傷は、脊髄の機能に一時的または永続的な変化を引き起こす脊髄への損傷である。症状には、損傷のレベルより下の脊髄によって担われる身体の部分における筋機能、感覚または自律神経機能の喪失が含まれ得る。損傷は脊髄の任意のレベルで起こり得、完全な損傷であり得、感覚および筋機能の完全な喪失を伴うか、または不完全であり得、いくつかの神経信号が脊髄の損傷された領域を通過することができることを意味する。損傷の位置および重症度に応じて、症状は、しびれから麻痺、失禁まで様々である。長期の結果はまた、完全な回復から恒久的な四肢麻痺(tetraplegia)(四肢麻痺(quadriplegia)とも呼ばれる)または対麻痺まで広い範囲に及ぶ。合併症には、筋萎縮、褥瘡、感染症および呼吸障害が含まれ得る。
脊髄損傷は外傷性または非外傷性であり得、原因に基づいて、機械的力、毒性および虚血性(血流の欠如による)という3つのタイプに分類され得る。損傷はまた、一次損傷と二次損傷、すなわち元の損傷で直ちに起こる細胞死と、元の傷害によって開始され、さらなる組織損傷を引き起こす生化学的カスケードとに分けることができる。これらの二次損傷経路には、虚血カスケード、炎症、腫脹、細胞自殺および神経伝達物質の不均衡が含まれる。それらは、損傷後数分または数週間起こり得る。
以下の実施例は、組成物および方法を作製および使用する方法の完全な開示および説明を当業者に提供するために提示されており、本発明者らが本発明と見なすものの範囲を限定することを意図するものではない。
[実施例1]材料および方法
Figure 2023537316000002
Figure 2023537316000003
Figure 2023537316000004
Figure 2023537316000005
Figure 2023537316000006
Figure 2023537316000007
これらの抗Cx43Ab製剤開発研究は、安定剤、界面活性剤および安定なpH/バッファー系における重量オスモル濃度調節剤を含む、抗Cx43Ab医薬品の長期保存を支える安定な液体製剤を開発することを目的とした。研究には、pH/バッファースクリーニング、賦形剤およびPS80強度スクリーニングが含まれた。凍結/融解、撹拌および熱ストレス条件下で、生成物の安定性に対するバッファー系、pH、賦形剤およびPS80の影響を評価した。
抗Cx43Abの目標濃度は50mg/mLであり、これらの製剤研究のために使用した。pH/バッファースクリーニング研究の結果に基づいて、pH5.5の20mMヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩バッファーが、さらなる製剤研究のための適切なpH/バッファー系であると考えられた。
賦形剤およびPS80強度スクリーニング研究は、スクロースを含むヒスチジンバッファー中の抗Cx43Abが塩化ナトリウム、ソルビトールまたはグリシンを含むものより比較的安定であることを示した。PS80の添加は、0.02%の最適濃度で抗Cx43Abの安定性を有意に改善したが、EDTAおよびタンパク質濃度研究は、それらが抗Cx43Abの安定性に有意な効果を与えないことを示した。
8%スクロースおよび0.02%(w/v)PS80を含むpH5.5の20mMヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩中50mg/mLの抗Cx43Abを製剤確認研究のために選択した。
試料番号管理ルール
試料番号:PPP-YYYYMMNN-X-CC-TT
PPPは、プロジェクト名の数字部分を表す(本プロジェクトは2144である)。YYYY、MMおよびNNは、それぞれ、この月における試料調製の年、月およびシリアル番号を表す。
Xは試験条件を表す。例えば、FTおよびAは、それぞれ凍結融解および撹拌を表す。
CCは試験温度を表す。例えば、05、25および40は、それぞれ2~8°C、25°Cおよび40°Cを表す。
TTは試験時間を表す。例えば、T0、7D、4Wおよび1Mは、それぞれ開始時間、7日、4週および1ヶ月を表す。
Fは製剤番号を表す。例えば、F1およびF2は、それぞれ製剤1および製剤2を表す。
例えば、2144-20180601-25-4Wは、2018年6月に調製されたプロジェクト抗Cx43Abの最初の試料を表す。25℃で4週間、試料を直立で保存した。
分析方法
外観
YB-2ライトボックスを使用して、透明度、色、および目に見える粒子を含む試料の外観を黒および白の背景に対して検査した。
pH
pHは、Mettler Toledo S40 pH Meterを用いて測定した。使用前にpHメータを較正した。
重量オスモル濃度
重量オスモル濃度は、20μLの試料を使用して、Advanced 2020 Multi-Sample Osmometerを使用して測定した。浸透圧計の試験精度は、290mOsmol/kg基準を用いて確認された。
MFI
サブビジブル粒子の分析のために、マイクロフローイメージング(MFI)システムを使用した。ユーザマニュアルに従って、1.3mL超の試料を用いてMFI試験を実施した。MVASソフトウェアでMFIデータを分析した。最終データは、異なるサイズ範囲での総粒子数として報告した。
タンパク質濃度
タンパク質溶液の紫外吸光度は、タンパク質分子の芳香族アミノ酸残基の吸収特性に依存する。ランベルト・ベールの法則によれば、タンパク質溶液の濃度は、所与の波長におけるその吸光度、キュベットセル経路長および吸光係数値に基づいて計算することができる。DropSense 96は、0.1mmおよび0.7mmの2つの経路長を有し、適切な経路長を自動的に選択する。装置は、適切な経路長を計算に入れて、280nmでの抗Cx43Abの吸光度値を得た。したがって、吸光度値を抗Cx43Abの吸光係数である1.420で割ったものとして、タンパク質濃度が計算された。特定の紫外波長におけるタンパク質溶液の吸光度値(A)、タンパク質濃度(c)、光路(b)および吸光係数(ε)の関係は、以下の式:A=ε*b*c(Aは吸光度値であり、εは吸光度係数であり、bは光路であり、cは濃度である。)に従った。抗Cx43Abの吸光係数は1.420AU*mL*mg-1*cm-1であった。Nanodrop 2000分光光度計を使用して、280nmでのUV吸収を測定した。
DSC
示差走査熱量測定(DSC)を利用して、熱流中の試料の熱容量を検出することによってタンパク質の熱安定性を測定した。具体的には、DSCを使用して、溶液中のタンパク質の相対安定性の指標である熱転移中点(Tm)および融解の開始(Tmonset)を測定した。試料を参照バッファーで1mg/mLに希釈した。参照バッファーの400μLの一定分量を96ウェルプレートの各奇数番号のウェルに添加し、各試料の400μLの一定分量を対応する偶数番号のウェルに添加した。走査温度は20℃~100℃の範囲であり、走査速度は200℃/時間であった。MicroCal VP Capillary DSC Automated data analysis software 2.0を用いてデータ解析を行った。
cIEF
画像化キャピラリー等電点電気泳動(iCIEF)の方法は、pH勾配中での電荷差に基づいてタンパク質を分離する。外部電場の下では、モノクローナル抗体のチャージバリアントは、両性電解質添加剤によって形成される連続的なpH勾配に沿って移動する。チャージバリアントは、pHがそのpIに等しいところで停止する。分割されたピークのpI値および相対存在量は、ソフトウェアを用いて同定および定量することができる。(1試料の量に対して)以下の割合でマスターミックスを調製した:0.5μLのpI7.40マーカー;0.5μLのpI9.46マーカー;1μLのPharmalyte3-10;3μLのPharmalyte8-10;35μLの1%メチルセルロース;40μLのHO。一回の試料注入のための溶液は、20μLの1.0mg/mLの希釈された試料および80μLのマスターミックスから構成された。
SDS-キャリパー(還元および非還元)
SDS-キャリパーは、主にタンパク質の分子サイズによってタンパク質を分離するハイスループットチップをベースとした方法である。各試料を試験する前に、試料バッファー、SDSおよびN-エチルマレイミド(非還元の場合)またはジチオスレイトール(還元の場合)と70℃で10分間インキュベートするなどの前処理が必要であった。次いで、42μLの最小体積(0.045mg/mLの最終タンパク質濃度)のローディングミックスを、LabChip GXII Touchによって635nmおよび700nmの励起/発光波長で試験した。Empowerソフトウェアによって最終結果を分析した。
SEC-HPLC
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、タンパク質のサイズに基づいてタンパク質を分離する純度分析方法である。分離後、HMW種、モノマーおよびLMW種の相対的パーセンテージをUV検出によって定量する。SECは以下のように行った:試料が10mg/mLを超える場合、SEC分析の前に移動相で10mg/mLに希釈した。TSKgel G3000SWXLカラム(7.8×300mm、粒径5μm)およびUV検出器(検出波長:280nm)を備えたAgilent1260HPLCシステムに、100μgの試料を注入した。移動相は、300mM塩化ナトリウム(pH6.8±0.1)を含む50mMリン酸バッファーであった。イソクラティックグラジエントを1mL/分の流速で20分間適用した。
mDSC
変調示差走査熱量測定(mDSC)は、DSC-Q2000システム(TA instruments-Waters LLC)を使用して行った。すべてTA instrumentsからのTzeroアルミニウムるつぼおよびTzeroアルミニウム蓋を使用して、測定すべき試料を収容し、Tzeroプレスによってるつぼを密封した。空のTzeroるつぼを同様に調製し、参照として使用した。約10μLのDSを加え、Tzeroプレスによって、平らに押しつぶし、Tzero蓋で密封したTzeroるつぼに移した。較正走査プログラムを-60.00℃で5分間平衡化し、次いで5.00℃/分~10.00℃の一定の温度速度で実行した。データの取得および処理は、Universal Analysis Softwareパッケージの助けを借りて行った。
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)
CEXは、緩衝溶液中での正味の電荷数の差に従ってタンパク質を分離することによって、モノクローナル抗体溶液の電荷不均一性を測定する。等電点を下回るpHの低塩バッファー中の試料は、正味の正電荷を有し、負に帯電したクロマトグラフィー樹脂に吸着する。pH勾配を使用して、電荷不均一性に基づいて異なるタンパク質種を溶出し、最も正に帯電した種が最も強く結合し、したがってより高いpHを必要とする。280nmでの紫外吸光度によって、異なる溶出された帯電した種を検出する。試料の主ピーク、酸性ピーク(acid peak)および塩基性ピークのパーセンテージは、ピーク面積正規化の方法によって決定される。CEXは、Agilent 1260シリーズInfinityシステムおよびProPac WCX-10カラムで行った。ここで用いた移動相Aは、16mM 2-メチルピペラジン、16mM イミダゾール、16mM Tris、pH5.0±0.1であった。移動相Bは、16mM 2-メチルピペラジン、16mMイミダゾール、16mM Tris、80mM NaCl、pH=10.9±0.1であった。流速を1mL/分に設定した。試料を移動相Aで1mg/mLに希釈し、移動相Bの量を増加させる勾配によって100μLの試料を溶出した。検出波長は280nmに設定した。運転時間は60分であった。
CE-SDS(還元)
還元キャピラリー電気泳動-ドデシル硫酸ナトリウム(CE-SDS)は、タンパク質の電気泳動移動度に基づいてタンパク質を分離する純度分析方法であり、より小さなサイズのタンパク質はより速く動き、より大きなサイズのタンパク質はより遅く動く。この方法では、希釈されたタンパク質試料は、まずSDSで変性され、次いでβ-メルカプトエタノール(BME)で還元された後、粘性のあるSDSゲル溶液で満たされた被覆されていないキャピラリー中に注入される。タンパク質試料中の異なる分子サイズの成分は、220nmのPDA検出器を備えたキャピラリーを通過したときに検出された。
CE-SDS(非還元)
非還元キャピラリー電気泳動-ドデシル硫酸ナトリウム(CE-SDS)は、タンパク質の電気泳動移動度に基づいてタンパク質を分離する純度分析方法であり、より小さなサイズのタンパク質はより速く動き、より大きなサイズのタンパク質はより遅く動く。この方法では、希釈されたタンパク質試料は、熱によって誘発される断片化を防止するために、まずN-エチルマレイミド(NEM)によってアルキル化され、次いでSDSで変性された後、粘性のあるSDSゲル溶液で満たされた被覆されていないキャピラリー中に注入される。タンパク質試料中の異なる分子サイズの成分は、220nmのPDA検出器を備えたキャピラリーを通過したときに検出された。
効力結合抗原
抗Cx43Ab ELISA効力アッセイは、抗Cx43Ab生成物が、ストレプトアビジンでコーティングした96ウェルプレートにコーティングしたビオチン-ペプチドに結合する酵素結合免疫吸着アッセイである。段階希釈された抗Cx43Ab試料および参照標準を、プレート上のビオチンペプチドに結合させる。洗浄後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)が結合されたヤギ抗ヒトIgGをウェルに添加して、前工程中に捕捉された抗Cx43Ab生成物と相互作用させる。最終洗浄工程の後、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)基質溶液をウェルに添加する。TMBはペルオキシダーゼの存在下で過酸化物と特異的に反応し、ウェルに結合した抗Cx43Ab生成物の量に比例する比色シグナルを生じる。4PLモデルを用いて用量反応曲線をフィッティングし、参照標準(RS)対試料のEC50値を用いて、結果を相対効力として報告する。
[実施例2] pH/バッファースクリーニング
pH/バッファースクリーニング研究は、抗Cx43Ab医薬品製剤に対する最適なpH/バッファー系を決定することであった。この研究の目標は、さらなる製剤開発研究のために抗Cx43Ab医薬品に対して最大の安定化能力を有する1つのpH/バッファー系を選択することであった。
タンパク質分子およびバッファー系の適用に基づいて9つのpH/バッファー系を設計した。限外濾過遠心分離デバイスを使用して、抗Cx43Ab DS(ロット:2144SD180528K01Y01D01)のバッファー交換を行った。pH5.5の20mMヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩バッファー中に製剤化されたDSを50Lプールから生成した。本研究における抗Cx43Ab濃度は50mg/mLであった。すべての製剤を濾過し、次いで、2Rバイアルに分配した。各製剤のバイアルを25±2℃および40±2℃の両方で最長4週間保存した。試料を各時点で適時に取り出し、分析前に2~8℃に保った。本研究のために、外観、pH、Conc-UV280、SEC-HPLC、cIEF、キャリパー-SDS(R&NR)、DSCを含む試験項目を実施した。サンプリング計画を表1に列挙する。
Figure 2023537316000008
限外濾過遠心分離デバイス(30,000MWCO PES、VIVASPIN20)を使用して、抗Cx43Ab DSのバッファー交換を行った。各最終目標製剤の成分を表1に示す。交換割合が98%を超えるまで、複数回の限外濾過を行った。次いで、対応する製剤バッファーによってタンパク質濃度を50mg/mLに調整した。0.22μmフィルター(Millipore Express PES Membrane)を通して各製剤を濾過し、次いで1mL/バイアル充填容量で2Rバイアル中に分配した。充填後直ちにバイアルに栓をし、密封した。全ての濾過、充填および密封操作は、バイオセーフティフード内で行った。各製剤についての適切な数のバイアルをそれぞれ25℃および40℃の安定チャンバー内に配置した。試料を採取し、所定の時点で分析した。
異なるバッファー系における抗Cx43Abのサーモグラムを図1に示す。Abがアンフォールディングを開始する温度であるTm開始値を、製剤の全体的な熱安定性の指標とみなす。表2に示すように、B8およびB9試料は、他の試料よりも低いTm開始を有していた。これは、抗Cx43Abの熱安定性がB8およびB9を除き他のpH/バッファー系によって有意に影響を受けないことを示した。
Figure 2023537316000009
異なるバッファー系における抗Cx43Abの外観、タンパク質濃度およびpHの結果を表3および表4に要約する。
9つの試料の濃度は約50mg/mLであり、pH値は目標pH付近であった。全ての試料はT0において無色で、わずかに乳白色であり、目に見える粒子を含まなかったが、B4、B5およびB9試料の乳白レベルは他の試料よりも濃かった。PS80が存在しないために、25±2℃および40±2℃で2週間保存した後に、全ての試料でわずかに目に見える粒子が見られた。
このデータは、抗Cx43Abが他の候補よりもB1、B2、B3、B6、B7およびB8のpH/バッファー系において比較的安定であることを示唆した。
Figure 2023537316000010
Figure 2023537316000011
全試料に対するSEC-HPLC結果を表5および図2に示す。全ての試料は、T0において、約99.0%の主ピークを有する同等のSEC純度を有していた。25℃で4週間インキュベートした後、0.8%~1.9%の範囲のSEC主ピークのわずかな低下が観察された。リン酸バッファーを含む試料B9は、1.9%でわずかにより高い減少を示した。40℃でインキュベートされた試料では、2週間の保存後に主ピークの有意な減少が観察された。40℃で4週間のインキュベーション後、主ピークの低下は2.1%~4.2%の範囲であった。B4、B5およびB9試料を除いて、試料間の区別は明らかではなかった。B4、B5およびB9試料の純度低下は、それぞれ2.8%、2.7%および4.2%であった。SECデータは、抗Cx43AbがB2、B3およびB6において比較的より安定であることを示した。
Figure 2023537316000012
cIEFを使用して、抗Cx43Abの等電点(pI)およびチャージバリアント分布を決定した。全試料に対するcIEF結果を表6および図3に示す。試料の全てについてpIの有意な変化は存在しなかった。全ての試料のpI値は8.7であった。25±2℃で4週間の保存後に、試料B2を除き、ほぼ全ての試料の主ピークがわずかに低下した。試料B9の主ピーク低下は7.7%であった。40±2℃での4週間の保存後に、酸性ピークの有意な増加とともに、各製剤の主ピークは有意に低下した。製剤B5、B8およびB9の主ピークは、それぞれ23.0%、22.0%および7.9%に減少した。対照的に、B2、B3およびB6の主ピークの低下は、他の試料の低下より相対的に軽度であった。cIEFデータは、抗Cx43AbがB2、B3およびB6において相対的により安定であることを示した。
Figure 2023537316000013
全ての製剤に対するSDS-キャリパーの結果を表7、図4および図5に示す。25±2℃で4週間の保存後、全ての試料について、非還元SDS-キャリパー純度および還元SDS-キャリパー純度に有意な変化は存在しなかった。40±2℃で4週間の保存後、試料B5およびB9の非還元SDS-キャリパー純度は、それぞれ66.7%および60.5%に低下し、これらは他の製剤より大きかった。試料B2、B3およびB6の主ピークの低下は、他の試料の低下より相対的に軽度であった。全ての試料の還元SDS-キャリパー純度は、B5およびB9を除いてわずかに低下した。SDS-キャリパーデータは、抗Cx43AbがB2、B3およびB6において相対的により安定であることを示した。
Figure 2023537316000014
本研究では、様々なpH/バッファー中の9つの試料を設計し、25±2℃および40±2℃でインキュベートした。全ての結果に基づいて、製剤B6(pH5.5の20mMヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩バッファー)およびB2(pH5.0の20mMヒスチジン/アスパラギン酸バッファー)の性能は、他の製剤より優れていた。結論として、さらなる研究のために、pH5.5の20mMヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩バッファー(B6)を最有力の製剤として使用し、pH5.0の20mMヒスチジン/アスパラギン酸バッファー(B2)をバックアップ製剤として使用する。
[実施例3] 賦形剤およびPS80強度スクリーニング
賦形剤およびPS80スクリーニング研究の目的は、最も安定化させる賦形剤を同定し、候補バッファー系における抗Cx43Abに対するPS80の最適強度を評価することであった。
pH5.5の20mMヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩バッファー(B6)をバッファー系として選択し、研究計画に従って、塩化ナトリウム、ソルビトール、グリシン、スクロース、PS80およびEDTAと組み合わせた。pH5.0の20mMヒスチジン/アスパラギン酸バッファー(B2)を賦形剤およびPS80強度スクリーニング研究のためのバックアップバッファーとして使用した。9つの製剤を表8に示されるように設計した。
製剤を5サイクル凍結/融解(-40±5℃/RT)し、25℃で7日間、300rpmで撹拌し、2~8℃、25±2℃および40±2℃で4週間保存した。試料を各時点で適時に取り出し、分析前に2~8℃に保った。本研究のために、外観、pH、Conc-UV280、重量オスモル濃度、SEC-HPLC、cIEF、キャリパー-SDS(R&NR)およびMFIを含む試験項目を実施した。表9は、賦形剤およびPS80強度スクリーニング研究のためのサンプリング条件を示す。
Figure 2023537316000015
Figure 2023537316000016
pH5.5の20mMヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩バッファー中に製剤化された抗Cx43AbDS(ロット:2144SD180528K01Y01D01)を50Lプールから生成した。限外濾過遠心分離デバイス(30,000MWCO PES、VIVASPIN20)を使用して、抗Cx43Ab DSのバッファー交換を行った。表1に記載のように、各最終目標製剤の成分を計算した。交換割合が98%を超えるまで、複数回の限外濾過を行った。次いで、対応する製剤バッファーを使用してタンパク質濃度を25mg/mL(B8)および50mg/mL(B8を除く)に調整した。0.22μmフィルター(Millipore Express PES Membrane)を通して各製剤を濾過し、次いで4mL/バイアル充填容量で6Rバイアル中に分配した。充填後直ちにバイアルに栓をし、密封した。全ての濾過、充填および密封操作は、バイオセーフティフード内で行った。各製剤の適切な数のバイアルをそれぞれ2~8℃、25℃および40℃の安定チャンバー内に配置した。製剤を5サイクル凍結/融解(-40±5℃/RT)し、25℃で7日間、300rpmで撹拌した。試料を採取し、所定の時点で分析した。
凍結/融解研究の外観、タンパク質濃度、重量オスモル濃度およびpH値の結果を表10に要約する。タンパク質濃度および重量オスモル濃度は、すべてT0において目標値付近にあった。9つの試料のpH値は、5回の凍結/融解サイクル(-40±5℃/RT)後にすべて目標値付近にあった。試料は、T0において、すべて無色であり、わずかに乳白色であり、目に見える粒子を含まなかった。5回の凍結/融解サイクル(-40±5℃/RT)後に、F1およびF3試料の乳白色レベルは他の試料よりも深く、PS80が存在しないために、F7試料中には多数の目に見える粒子が見られた。このデータは、抗Cx43AbがF2、F4、F5、F6、F8およびF9において相対的により安定であることを示唆した。
Figure 2023537316000017
凍結/融解のMFI結果を表11に要約する。PS80を含まないF7の粒子数は、T0において他のものよりわずかに多かった。5回の凍結/融解サイクル(-40±5℃/RT)後、全ての製剤について増加傾向(growth trend)は見られなかった。
Figure 2023537316000018
全ての製剤に対するSEC-HPLC結果を表12および図6に列挙する。T0において、全ての製剤は、同様のSEC純度を有し、主ピークは約99.5%であった。5回の凍結/融解サイクル(-40±5℃/RT)後、F3試料を除いて、全ての製剤は、99%を超える同等のSEC主ピーク純度を有していた。F3試料における主ピーク純度の低下は、2.7%でわずかにより高い減少を示した。
Figure 2023537316000019
全ての製剤に対するcIEF結果を表13および図7に列挙する。pIに有意な変化は存在しなかった。試料F1、F7およびF9の主ピークは、他の製剤よりもわずかに低かった。T0と比較して、主ピーク、酸性ピークおよび塩基性ピークの割合も、5回の凍結/融解サイクル(-40±5℃/RT)を通して全ての試料について有意な変化を示さなかった。
Figure 2023537316000020
全ての製剤に対するSDS-キャリパーのデータを表14および図8に列挙する。
全ての製剤は、5回の凍結/融解サイクル(-40±5℃/RT)後に、非還元SDS-キャリパーまたは還元SDS-キャリパーのいずれにおいても安定した純度を示した。
Figure 2023537316000021
撹拌研究の外観、タンパク質濃度、重量オスモル濃度およびpH値の結果を表15に要約する。タンパク質濃度および重量オスモル濃度は、すべてT0において目標値付近にあった。F7を除いて、全ての製剤は、25℃での7日間の撹拌後、pH値および外観が安定したままであった。F1およびF3試料の乳白色レベルは他の試料よりも深く、25℃で7日間の撹拌後のF7試料には多数の目に見える粒子が見られた。
Figure 2023537316000022
全ての試料に対するMFIデータを表16に列挙する。F7の粒子数は、T0において、他のものよりわずかに多かった。PS80が存在しないために、25℃で7日間の撹拌後に、F7の粒子数のわずかな増加傾向が存在した。F7を除いて、他の全ての試料は同様の粒状物数を有し、増加傾向は見られなかった。
Figure 2023537316000023
全ての製剤に対するSEC-HPLCの結果を表17および図9に列挙する。25℃での7日間の撹拌後、全ての製剤は、99%を超える同様のSEC主ピーク純度を有していた。
Figure 2023537316000024
全ての製剤に対するcIEF結果を表18および図10に列挙する。25℃で7日間の撹拌後、全ての試料についてpIの変化は存在しなかった。F7を除き、25℃での7日間の撹拌後、全ての製剤の主ピーク純度は安定したままであった。製剤F7の主ピーク純度は、1.2%低下した。
Figure 2023537316000025
全ての製剤に対するSDS-キャリパーの結果を表19および図11に列挙する。全ての製剤は、25℃での7日間の撹拌後に、非還元SDS-キャリパーまたは還元SDS-キャリパーのいずれにおいても安定した純度を示した。
Figure 2023537316000026
加速安定性研究についての外観、タンパク質濃度、重量オスモル濃度およびpH値の結果を表20および表21に要約する。タンパク質濃度および重量オスモル濃度は、すべてT0において目標値付近にあった。2~8℃、25±2℃または40±2℃で4週間の保存後、pH値は変化しないままであったが、PS80が存在しないためにわずかに目に見える粒子がF7中に見られた。
Figure 2023537316000027
Figure 2023537316000028
全ての試料に対するMFIデータを表22に列挙する。2~8℃および25±2℃での4週間の保存後、全ての製剤中のサブビジブル粒子数の明らかな変化は存在しなかった。40±2℃で4週間の保存後、F7中のサブビジブル粒子数(ECD≧10μmおよびECD≧25μm)の増加は、他の製剤での増加よりもはるかに高く、F7における粒子数のわずかな増加傾向が存在した。
Figure 2023537316000029
全ての試料に対するSEC-HPLCデータを表23および図12に列挙する。2~8℃または25±2℃で4週間の保存後、全ての製剤において主ピーク純度の明らかな変化は存在しなかった。40±2℃で2週間の保存後、主ピークの有意な減少が観察された。40±2℃で4週間の保存後、主ピークの低下は2.2%~4.9%の範囲内であった。F1、F3およびF6試料における主ピーク純度の低下は、それぞれ4.9%、4.1%および4.6%であった。対照的に、F5およびF8の主ピークの低下は、他の製剤よりも相対的に軽度であった。
Figure 2023537316000030
全ての試料に対するcIEFデータを表24および図13に列挙する。2~8℃、25±2℃または40±2℃で保存された全ての試料についてpIの変化は存在しなかった。2~8℃または25±2℃での4週間の保存後、全ての試料の主ピーク純度はわずかに低下し、全ての製剤の主ピーク純度に有意な変化は存在しなかった。40±2℃での4週間の保存後に、酸性ピークの有意な増加とともに、全ての試料についての主ピークパーセンテージは有意に低下した。全ての試料についての主ピークのパーセンテージに有意差は存在せず、主ピークの低下は20.6%~23.9%の範囲内であった。
Figure 2023537316000031
全ての試料に対するSDS-キャリパーのデータを表25、図14および図15に列挙する。2~8℃または25±2℃で4週間の保存後、全ての製剤は、非還元SDS-キャリパーおよび還元SDS-キャリパーにおいて安定した純度を示した。40±2℃で4週間の保存後、全ての製剤の純度は、非還元SDS-キャリパーおよび還元SDS-キャリパーにおいて有意に低下した。F3における非還元純度低下は23.2%であり、これはすべての製剤における最大の低下であった。F1およびF3における純度低下は、それぞれ6.0%および6.1%であった。F5およびF9の純度は、非還元SDS-キャリパーデータによると他よりもわずかに高かったが、F2およびF9の純度は、還元SDS-キャリパーデータによると他よりもわずかに高かった。
Figure 2023537316000032
5回の凍結/融解サイクル(-40±5℃/RT)後、全ての製剤中の抗Cx43Abは、タンパク質濃度、pH値、重量オスモル濃度および純度に有意差はなかった(SDS-キャリパー還元および非還元)。F1およびF3試料の乳白色レベルは、他の試料よりも深かった。界面活性剤を含まない試料F7中の目に見える粒子およびサブビジブル粒子数(MFI)は、他の製剤におけるよりもはるかに多かったが、5回の凍結/融解サイクル後に増加傾向は見られなかった。F3試料のSEC主ピークは、2.7%でわずかにより高い減少を示した。cIEF主ピークはすべての製剤間でほとんど変化しなかった。
25℃での7日間の撹拌後、全ての製剤中の抗Cx43Abは、タンパク質濃度、pH値、重量オスモル濃度および純度に有意差はなかった(SEC-HPLC、cIEF、SDS-キャリパー還元および非還元)。さらに、F1およびF3試料の乳白色レベルは、他の試料よりも深かった。界面活性剤なしの試料F7中の目に見える粒子およびサブビジブル粒子数(MFI)は、他の製剤よりはるかに多かった。
2~8℃で4週間の保存後、全ての製剤中の抗Cx43Abは、タンパク質濃度、pH値、重量オスモル濃度、サブビジブル粒子および純度に有意差はなかった(SEC-HPLC、cIEF、SDS-キャリパー還元および非還元)。2~8℃で4週間の保存後、わずかに目に見える粒子のみが製剤F7中に見られた。
25±2℃で4週間の保存後、全ての製剤中の抗Cx43Abは、タンパク質濃度、pH値、重量オスモル濃度、サブビジブル粒子および純度に有意差はなかった(SEC-HPLC、SDS-キャリパー還元型および非還元型)。さらに、PS80の添加が存在しなかったので、製剤F7中にはわずかに目に見える粒子が見られた。全ての試料のcIEF主ピークは有意に低下したが、25±2℃で4週間の保存後、9つの製剤に有意差は見られなかった。
40±2℃で4週間の保存後、全ての製剤中の抗Cx43Abは、タンパク質濃度、pH値および重量オスモル濃度に有意差はなかった。PS80の添加が存在しなかったので、製剤F7中にはわずかに目に見える粒子が見られた。F7におけるサブビジブル粒子数(ECD≧10μmおよびECD≧25μm)の増加は、他の製剤における増加よりはるかに高かった。全ての試料の純度(SEC-HPLC、cIEF、SDS-キャリパー還元および非還元)は有意に低下した。F1、F3およびF6のSEC主ピークは、他の製剤よりも有意に低下した。全試料のcIEF主ピークは有意差を示さなかった。F3における非還元純度低下は、すべての製剤において最大であった。F1およびF3における純度低下は他よりも高かった。
要約すると、pH/バッファースクリーニング、賦形剤およびPS80強度スクリーニングを含む製剤開発研究を実施して、最有力の製剤を決定した。
pH/バッファースクリーニングでは、ヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩バッファー系がタンパク質を安定化するためのより良好な能力を示した。
賦形剤およびPS80強度スクリーニングでは、塩化ナトリウム、ソルビトール、グリシンおよびスクロース(F1、F2、F3およびF4)を選択して、抗Cx43Abの安定性を調査した。結果は、抗Cx43Abが、賦形剤としてスクロースを含むヒスチジンバッファー中で相対的により安定であることを示唆した。異なる濃度のPS80を有する試料(F4、F6およびF7)の安定性データは、0.02%のPS80が0%または0.05%のPS80よりも良好に抗Cx43Abを安定化したことを示した。
pH/バッファースクリーニングからのSDS-キャリパーデータ(表7)は、抗Cx43Abが40±2℃で2または4週間の保存後に切断されることを示し、これはSEC-HPLCデータにおけるLMWピークの生成によって確認された。しかしながら、賦形剤およびPS80強度スクリーニングからのデータは、賦形剤の添加がタンパク質切断を緩和しないことを示した。ペプチドマッピングによる分析は、タンパク質が重鎖の相補性決定領域(CDR)のAsn-Pro部位において切断されたことを示した。さらに、いくつかの研究は、Asn-Proの切断が水の存在に起因して起こる加水分解反応であり、塩基性環境またはより高い温度条件下で加速されることを示している。pH/バッファースクリーニングからのSDS-キャリパーデータは、最低純度試料がB9であることを示し、これは最も高いpH値でもあった(表7)。賦形剤スクリーニングのために選択されたpH/バッファー系は酸性であったが、タンパク質切断を防ぐことはできなかった。切断を最小限に抑えるための解決策は、凍結されたDP形態のAbを開発することであった。
F5(50mg/mL)およびF8(25mg/mL)を含有するタンパク質濃度研究は、濃度が抗Cx43Abの安定性に対してほとんど影響を及ぼさないことを示した。40±2℃でのSEC-HPLC、キャリパー-SDSおよびcIEF試験により、F5(EDTAあり)の性能はF4(EDTAなし)よりもわずかに優れていたが、これらの2つの製剤間の差は、25±2℃および2~8℃の低温条件下では無視できるものであった。
要約すると、8%スクロースおよび0.02%(w/v)PS80を含むpH5.5の20mMヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩中の50mg/mLの抗Cx43Abを確認研究のための最有力の製剤と考えた。
[実施例4] 製剤確認研究
選択された製剤の安定性を確認するために抗Cx43Ab製剤の確認研究を行った。確認研究において評価される条件は、保存条件、ストレス条件、凍結/融解および撹拌を含む。製剤スクリーニング研究から選択された製剤は、8%(w/v)スクロースおよび0.02%(w/v)PS80を含むpH5.5の20mMヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩バッファー中50mg/mLの抗Cx43Abであった。
最初の15Lプールから生成された、pH5.5の20mMヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩バッファー、8%(w/v)スクロース、0.02%(w/v)PS80であった選択された最有力の製剤(ロット:2144SD181129K01X01D01)に対して安定性試験を行った。本研究における抗Cx43Ab濃度は50mg/mLであった。製剤をそれぞれ-40℃、-20℃、2~8℃および25℃で3ヶ月間保存し、40℃で4週間保存した。製剤を5サイクル凍結/融解(-40±5℃/RT)し、25℃で7日間、100rpmで撹拌した。試料を各時点で適時に採取し、分析前に2~8℃に保った。本研究のために、外観、pH、重量オスモル濃度、Conc-UV280、SEC-HPLC、CEX-HPLC、CE-SDS(R&NR)、MFI、mDSCおよび効力を含む試験項目を実施した。サンプリング計画を表26に示す。
Figure 2023537316000033
0.22μmフィルター(Millipore Express PVDF Membrane)を通して抗Cx43Ab DSを濾過し、次いで3mL/バイアル充填容量で6Rバイアル中に分配した。充填後直ちにバイアルに栓をし、密封した。全ての濾過、充填および密封操作は、バイオセーフティフード内で行った。適切な数のバイアルを-40℃、-20℃および2~8℃の冷蔵庫に入れ、それぞれ25℃および40℃の安定チャンバーに入れた。一方、それぞれ、5サイクルにわたって、-40℃の冷凍庫中で瓶を凍結させ、室温で融解し、100rpmのサーモスタットシェーカーに25℃で7日間固定した。試料を採取し、所定の時点で分析した。
8%スクロースおよび0.02%(w/v)PS80を含むpH5.5の20mMヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩中の抗Cx43Abのサーモグラムを表27および図16に示す。試料がガラス転移を開始する温度であるTg’開始値は、試料の保存条件の指標と考えられた。抗Cx43AbのTg’開始は-29.22℃であった。
Figure 2023537316000034
凍結/融解および撹拌研究の外観、タンパク質濃度、pHおよび重量オスモル濃度の結果を表28に要約する。5回の凍結/融解サイクル(-40±5℃/RT)および7日間の撹拌後、外観、タンパク質濃度、pHおよび重量オスモル濃度に明らかな変化は存在しなかった。全ての試料は、無色で、わずかに乳白色であり、目に見える粒子を含まないように見えた。タンパク質濃度に明らかな変化は観察されず、全ての結果は50.0±5.0mg/mLの仕様内であった。T0と比較して、pHおよび重量オスモル濃度において明らかな変化は観察されなかった。より低い重量オスモル濃度は、DS調製中のスクロースの不十分な添加によって引き起こされた。確認試験におけるスクロースの最終濃度は6.7%であった。理論的には、8.0%スクロースを用いて製剤化されたタンパク質は、6.7%スクロースを用いて製剤化されたタンパク質よりも安定であろう。スクロース濃度の上昇に伴ってTmが増大することが報告されている。スクロースの安定化効果は、水とスクロース間の強い相互作用に起因する溶媒の高い凝集力の結果であり、系からタンパク質を排除し、折り畳まれたタンパク質の安定化をもたらす。したがって、スクロース濃度に伴うTmの増加は、タンパク質分子を収容するための水-スクロース混合物中に空洞を形成するためにより高いエネルギーが必要であることを反映する。
凍結/融解および撹拌研究のMFIの結果を表29に要約する。5回の凍結/融解サイクル(-40±5℃/RT)および25℃で7日間の撹拌後に、粒子数(ECD≧10μmおよびECD≧25μm)の増加傾向は観察されなかった。
凍結/融解および撹拌研究のSEC-HPLC結果を表30に要約する。5回の凍結/融解サイクルおよび7日の撹拌後に明らかな変化は観察されなかった。全ての試料は、SECの主ピーク純度を99.6%または99.7%に維持した。
凍結/融解および撹拌研究のCE-SDS結果を表31に要約する。5回の凍結/融解サイクルおよび7日間の撹拌後に明らかな変化は観察されなかった。
凍結/融解および撹拌研究からのCEX-HPLC結果を表32に要約する。T0と比較して、主ピーク、酸性ピークおよび塩基性ピークの割合は、5回の凍結/融解サイクル(-40±5℃/RT)および7日の撹拌を通して有意な変化を有さなかった。
異なる保存条件の外観、タンパク質濃度、pHおよび重量オスモル濃度の結果を表33に要約する。偶発的にいくつかの目に見える粒子を含むように見受けられた25±2℃で1ヶ月間保存された1つの試料を除いて、すべての試料は無色でわずかに乳白色であり、目に見える粒子を含まなかった。T0と比較して、タンパク質濃度、pHおよび重量オスモル濃度に明らかな変化は観察されず、すべての結果は仕様の範囲内であった。
異なる保存条件のMFI結果を表34に要約する。-40℃、-20℃、2~8℃および25℃で、サブビジブル粒子数に明らかな変化は存在しなかった。サブビジブル粒子の量は、40±2℃で2週間の保存後に有意に増加したが、40±2℃で4週間の保存後に増加傾向は見られなかった。目に見える粒子が生成したため、25±2℃で1ヶ月間のデータは参考とした。
異なる保存条件下での試料のSEC-HPLC結果を表35に要約する。-40±5℃、-20±5℃および2~8℃での3ヶ月間の保存後、明らかな変化は観察されなかった。全ての試料は、SECの主ピーク純度を99.6%または99.7%に維持した。25℃でインキュベートされた試料では、3ヶ月の保存後に主ピークのわずかな低下(主ピークの低下は2.0%に等しかった)が観察された。40℃でインキュベートされた試料では、4週間の保存後に主ピークの有意な減少(主ピークの低下は4.2%に等しかった)が観察された。
異なる保存条件に対するCE-SDSの結果を表36に示す。-40±5℃、-20±5℃および2~8℃での3ヶ月間の保存後、明らかな変化は観察されなかった。すべての試料が、それぞれ98.6%~99.3%および97.0%~98.1%の範囲でCE-RおよびCE-NRの主ピーク純度を維持した。25℃でインキュベートされた試料では、1ヶ月の保存後に主ピークのわずかな低下が観察され、3ヶ月の保存後に主ピークの有意な減少(CE-R主ピークの低下は4.4%に等しく、CE-NR主ピークの低下は10.5%に等しかった)が観察された。40℃でインキュベートされた試料では、4週間の保存後に主ピークの有意な減少(CE-R主ピークの低下は7.7%に等しく、CE-NR主ピークの低下は22.8%に等しかった)が観察された。
異なる保存条件に対するCEX-HPLCの結果を表37に示す。-40±5℃、-20±5℃および2~8℃での3ヶ月間の保存後、明らかな変化は観察されなかった。すべての試料が、70.4%~73.8%の範囲にCEX主ピークを維持した。25℃でインキュベートされた試料では、1ヶ月の保存後に主ピークのわずかな低下が観察され、3ヶ月の保存後に主ピークの有意な減少(CEX主ピークの低下は10.9%に等しかった)が観察された。40℃でインキュベートされた試料では、4週間の保存後に主ピークの有意な減少(CEX主ピークの低下は25.9%に等しかった)が観察された。
異なる保存条件に対する効力の結果を表38に示す。異なる保存条件に対する効力は60~140%の範囲のままであった。-40±5℃、-20±5℃、2~8℃および25±2℃での3ヶ月間の保存後、研究中に製剤の効力低下は観察されなかった。40℃で4週間の保存後、効力の有意な低下が観察された。
5回の凍結/融解サイクル(-40±5℃/RT)および25℃での7日の撹拌後に、選択された製剤中の抗Cx43Abは、外観、タンパク質濃度、pH値、重量オスモル濃度および純度に有意差を有さなかった(SEC-HPLC、CEX-HPLC、CE-SDS還元および非還元)。-40±5℃、-20±5℃および2~8℃での3ヶ月間の保存後、選択した製剤中の抗Cx43Abは、外観、タンパク質濃度、pH値、重量オスモル濃度、純度(SEC-HPLC、CEX-HPLC、CE-SDS還元および非還元)および効力に有意差を有さなかった。25±2℃で3ヶ月間の保存後、選択された製剤中の抗Cx43Abは、外観、タンパク質濃度、pH値、重量オスモル濃度および効力に有意差を有さなかった。選択された製剤の純度(SEC-HPLC、CEX-HPLC、CE-SDS還元および非還元)は、25±2℃で1ヶ月間の保存後にわずかに低下し、25±2℃で3ヶ月間の保存後に有意に低下した。40±2℃で4週間の保存後、選択された製剤中の抗Cx43Abは、外観、タンパク質濃度、pH値および重量オスモル濃度に有意差を有さなかった。サブビジブル粒子の量は、40±2℃で2週間の保存後に有意に増加したが、40±2℃で4週間の保存後に増加傾向は見られなかった。選択された製剤の純度(SEC-HPLC、CEX-HPLC、CE-SDS還元および非還元)および効力はすべて有意に低下した。
要約すると、8%スクロースおよび0.02%(w/v)PS80を含むpH5.5の20mMヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩中の50mg/mLの抗Cx43Abを確認研究のための最有力の製剤として選択した。試験した全ての項目は、-20±5℃が長期保存温度である場合に有意な変化を示さず、抗Cx43Abがこの製剤中で安定であることを示した。
Figure 2023537316000040
Figure 2023537316000041
Figure 2023537316000042
Figure 2023537316000043
Figure 2023537316000044
Figure 2023537316000045
改変
本開示の記載された方法および組成物の改変および変形が、本開示の範囲および精神から逸脱することなく、当業者には明らかである。本開示は具体的な態様に関連して説明されてきたが、権利が請求されている本開示はそのような具体的な態様に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際に、本開示を実施するための記載された様式の様々な改変が意図されており、以下の特許請求の範囲によって表されるように、本開示の範囲内であることが、本開示が属する関連の分野の当業者によって理解される。
参照による組み入れ
本明細書に掲記されている全ての特許および刊行物は、それぞれの独立した特許および刊行物が参照により組み込まれることが具体的かつ個別的に示されている場合と同程度に、参照により本明細書に組み入れられる。

Claims (20)

  1. 医薬製剤であって、
    抗Cx43抗体またはその抗原結合断片と、
    バッファーと、
    界面活性剤と、
    安定剤と
    を含み、
    前記医薬製剤は約5~約6のpHを有し、
    前記抗Cx43抗体またはその抗原結合断片は、
    それぞれ配列番号1、2および3のアミノ酸配列を有する第1、第2および第3の重鎖相補性決定領域(CDR)配列と、
    それぞれ配列番号4、5および6のアミノ酸配列を有する第1、第2および第3の軽鎖CDR配列と
    を含む、医薬製剤。
  2. 前記抗Cx43抗体またはその抗原結合断片が、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインとを含む、請求項1に記載の医薬製剤。
  3. 前記抗Cx43抗体またはその抗原結合断片が、配列番号9~17からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、請求項2に記載の医薬製剤。
  4. 前記抗Cx43抗体またはその抗原結合断片が、FLSRPTEKTI(配列番号19)のアミノ酸配列内に位置するエピトープに結合する、請求項1に記載の医薬製剤。
  5. 前記エピトープが、配列番号19のR4、P5、E7、K8およびI10からなる群から選択される1またはそれを超えるアミノ酸を含む、請求項4に記載の医薬製剤。
  6. 前記エピトープが、配列番号19のR4、P5、E7、K8およびI10からなる、請求項4に記載の医薬製剤。
  7. 前記エピトープが、配列番号19の10個全てのアミノ酸を含む、請求項4に記載の医薬製剤。
  8. 前記エピトープが、配列番号19の10個全てのアミノ酸からなる、請求項4に記載の医薬製剤。
  9. 前記抗Cx43抗体またはその抗原結合断片が、約5~約100mg/mL、好ましくは20~80、より好ましくは40~60mg/mLの濃度で存在する、請求項1に記載の医薬製剤。
  10. 前記バッファーが、酢酸/酢酸ナトリウム、ヒスチジン/アスパラギン酸、クエン酸/クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム/リン酸二水素ナトリウムおよびヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩から選択される、請求項1に記載の医薬製剤。
  11. 前記バッファーが、ヒスチジン/アスパラギン酸またはヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩である、請求項10に記載の医薬製剤。
  12. 前記バッファーがヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩である、請求項11に記載の医薬製剤。
  13. 前記界面活性剤がポリソルベート80(PS80)である、請求項1に記載の医薬製剤。
  14. 前記安定剤が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、塩化ナトリウム、ソルビトール、グリシンおよびスクロースから選択される、請求項1に記載の医薬製剤。
  15. 前記安定剤がスクロースである、請求項14に記載の医薬製剤。
  16. 前記pHが約5.4~約5.6である、請求項1に記載の医薬製剤。
  17. 前記製剤が水性製剤である、請求項1に記載の医薬製剤。
  18. 医薬製剤であって、
    約40~60mg/mL、好ましくは約50mg/mLの抗Cx43抗体またはその抗原結合断片と、
    約10~40mM、好ましくは約20mMヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩バッファーと、
    約0.005%~0.05%、好ましくは約0.02%w/vのポリソルベート80と、
    約1%~20%w/v、好ましくは約8%w/vのスクロースと
    を含み、
    前記製剤が、約5.4~約5.6、好ましくは約5.5のpHを有する、医薬製剤。
  19. 医薬製剤であって、
    配列番号9~17からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、および配列番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む約50mg/mLの抗Cx43抗体またはその抗原結合断片と、
    約20mMヒスチジン/アスパラギン酸バッファーと、
    約0.02%w/vのポリソルベート80と、
    約8%w/vのスクロースと
    を含み、
    前記製剤が、約5.4~約5.6、好ましくは約5.5のpHを有する、医薬製剤。
  20. 細胞中のCx43ヘミチャネルの開口を阻害するための、好ましくは炎症性疾患もしくは状態または脊髄損傷などの神経変性疾患を処置するための、請求項1~19のいずれか一項に記載の医薬製剤の使用。
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