JP2023534199A - 修飾木材および透明な木材複合材、ならびにそれらを形成および使用するためのシステムおよび方法 - Google Patents

修飾木材および透明な木材複合材、ならびにそれらを形成および使用するためのシステムおよび方法 Download PDF

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Abstract

一部の実施形態において、材料は、屈折率整合ポリマーが浸透した化学修飾された連続した木材ブロックを含む。連続した木材ブロックは、光に対して実質的に透明な第1のセクションと、半透明または不透明な第2のセクションと、を有する。第1のセクションは、第2のセクションよりも低いリグニン含有量を有することができる。代替的に、第1のセクションは、自然な状態の木材の発色団状態から変化した発色団状態を有することができ、第2のセクション内のリグニンは、自然な状態の木材の発色団状態を保持することができる。一部の実施形態において、材料は、化学修飾された木材のセクションを含む。これにより、自然な状態の木材内のリグニンの発色団が変化または除去されて、セクションは、自然な状態の木材のリグニンの少なくとも70%を保持する。このような材料を形成するための方法も開示されている。【選択図】図1A

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年7月10日に出願された「Patterned,Transparent Wood and Wood Composite Structures and Methods of Making and Using the Same」と題する米国仮特許出願第63/050,484号、ならびに2021年1月7日に出願された「Patterned,Transparent Wood and Wood Composite Structures and Methods of Making and Using the Same」と題する米国仮特許出願第63/134,936号の利益を主張するものであり、それらの全体が参照により本開示に組み込まれている。
本開示は、一般に、天然に存在する木材の加工に関し、より詳細には、修飾木材および/または透明な木材複合材の形成および使用に関する。
本開示の主題の実施形態は、修飾木材および透明な木材複合材、ならびにそれらを形成および使用するための方法を提供する。一部の実施形態において、連続した木材ブロックは、その中の天然部分が異なる程度のリグニン除去を受けるように化学処理に供される。例えば、連続した木材ブロックは軟材であり得、その早材部分が脱リグニンされる一方で、その晩材部分は化学処理後も相当量のリグニンを保持することができる。その後、化学処理された木材ブロックに屈折率整合ポリマーを浸透させることで、可視光スペクトルの波長に対して、脱リグニンされた部分は実質的に透明になり、その他の部分が不透明または半透明のままとなる。このようにして得られた木材複合材は、透明な早材部分と半透明または不透明な晩材部分の配置によって定義される自然なパターンを示すことができる。
一部の実施形態において、連続した木材ブロックは、UVアシスト光触媒酸化処理に供され、その中のリグニンがin situで修飾されて、木材の色が白色になる。例えば、連続した木材ブロックに過酸化水素などの液体酸化剤を浸透させ、その後、UV照射を行い、木材ブロック内のリグニンの発色団を除去し、それ以外は木材の微細構造内にリグニンを保持することができる。一部の実施形態において、木材ブロックの表面への液体酸化剤の塗布および/またはUV光への木材ブロックの曝露により、in situ修飾を木材ブロックの特定の部分に限定することができるパターンを形成することができる。その後、木材ブロックに屈折率整合ポリマーを浸透させることで、可視光スペクトルの波長に対して、in situで修飾された部分が実質的に透明になり、その他の部分が不透明または半透明のままとなる。このようにして得られた木材複合材は、酸化剤とUV光の適用によって構成された所定のパターンを示すことができ、これは、木材に内在する自然なパターンとは無関係である。
代表的な実施形態において、材料は、ポリマーを浸透させた、化学修飾された連続した木材ブロックを含む。化学修飾された木材は、木材のセルロース系微細構造をその自然な状態で保持することができる。ポリマーは、セルロースの屈折率に実質的に一致する屈折率を有することができ、微細構造内の空きスペースを埋めることができる。連続した木材ブロックは、第1のセクションと、第1のセクションに隣接する第2のセクションと、を有することができる。第1のセクションおよび第2のセクションのうちの少なくとも一方は、第1のセクションのリグニン特性が第2のセクションのリグニン特性と異なるように、化学修飾されている。第1のセクションは、600nmの波長を有する光に対して実質的に透明であることができ、第2のセクションは、600nmの波長を有する光に対して半透明または不透明であることができる。
代表的な別の実施形態において、材料は、自然な状態の木材内のリグニンの発色団が変化または除去されるように化学修飾された木材セクションを含む。このセクションは、自然な状態の木材のリグニンの少なくとも70%を保持することができる。また、このセクションは、木材のセルロース系微細構造を自然な状態で保持することができる。
代表的な別の実施形態において、該方法は、連続した木材ブロックを第1の時間化学処理に供し、木材のセルロース系微細構造を実質的に保持しながら、連続した木材ブロック内の第1のセクションおよび第2のセクションからリグニンを除去するステップを含む。第1のセクションは、第2のセクションに隣接することができる。第1の時間は、第1のセクション内の木材のリグニンの少なくとも90%が除去され、第2のセクション内のリグニンの75%未満(例えば、65%以下または50%以下)が除去されるように選択することができる。さらに、該方法は、連続した木材ブロックにポリマーを浸透させて、第1のセクションおよび第2のセクションの保持されたセルロース系微細構造内の空きスペースを埋めるステップを含む。ポリマーは、セルロースの屈折率に実質的に一致する屈折率を有することができる。浸透後に、第1のセクションは、600nmの波長を有する光に対して実質的に透明であることができ、第2のセクションは、600nmの波長を有する光に対して半透明であることができる。
代表的な別の実施形態において、該方法は、連続した木材ブロックのセクションの外面に第1の量の液体酸化剤を塗布するステップと、塗布のステップ中またはその後に、連続した木材ブロックのセクションを紫外線(UV)に曝露するステップと、を含む。セクション内のリグニンの発色団は、液体酸化剤の存在下でのUV曝露により、in situで化学的に酸化および除去され得る。曝露後に、塗布前のセクション内のリグニンの少なくとも70%が保持される。また、曝露後に、セクションは、塗布前の木材のセルロース系微細構造を保持することができる。
代表的な別の実施形態において、該方法は、連続した木材ブロックのセクションを光触媒で酸化させ、バルク芳香族骨格を維持しながら、そのセクション中の天然リグニンをin situで化学修飾し、その発色団を除去するステップを含む。
本開示の革新的技術のいずれかを組み合わせて、または個別に使用することができる。本開示は、以下の詳細な説明の中でさらに詳述する概念の選択を簡略化した形態で紹介するために提供される。本開示は、特許請求の範囲に記載の主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、また、特許請求の範囲に記載の主題の範囲を限定するために使用されることを意図したものでもない。本開示の技術の上述した目的、特徴および利点、ならびにその他の目的、特徴および利点は、添付の図面を参照して記載する以下の詳細な説明からより明確になるであろう。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。添付の図面は、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。基本的な特徴の図および説明を補助するために、一部の要素が模式的に示されているか省略されている場合がある。図において、同様の参照符号は、同様の要素を示している。
本開示の主題の1つまたは複数の実施形態による、修飾木材または透明な木材複合材を形成するための一般化された製造方法のプロセスフロー図である。 本開示の主題の1つまたは複数の実施形態による、修飾木材または透明な木材複合材を形成するための代替サブルーチンを簡略化して示すプロセスフロー図である。 本開示の主題の1つまたは複数の実施形態による、修飾木材または透明な木材複合材を形成するための代替サブルーチンを簡略化して示すプロセスフロー図である。 本開示の主題の1つまたは複数の実施形態による、修飾木材または透明な木材複合材を形成するための代替サブルーチンを簡略化して示すプロセスフロー図である。 図2Aは、本開示の主題の1つまたは複数の実施形態による、修飾木材または透明な木材複合材を形成するために使用され得る天然木材の半径方向、縦方向、および回転方向に切断した断片を示す図である。 図2Bは、セルロース系縦方向細胞を含む天然木材の微細構造を簡略化して示す断面図である。図2Cは、処理前における異なるセクションを有する天然木材の連続した断片の写真である。 図2Dは、天然木材内の異なる早材および晩材のセクションを簡略化して示す模式図である。図2Eは、天然木材内の早材および晩材のセクションの縦方向の木材成長方向に垂直な方向における断面の走査型電子顕微鏡検査(SEM)による画像である。 図3Aは、本開示の主題の1つまたは複数の実施形態による、化学的に脱リグニンした後およびポリマーを浸透させた後の木材複合材の連続した断片中の異なる早材および晩材のセクションを簡略化して示す模式図である。図3Bは、化学的に脱リグニンした後およびポリマーを浸透させた後の透明な木材複合材中の早材および晩材のセクションの縦方向の木材成長方向に垂直な方向における断面のSEMによる画像である。図3Cは、処理後における自然なパターンを有する透明な木材複合材の連続した断片の写真である。 本開示の主題の1つまたは複数の実施形態による、自然なパターンを有する透明な木材複合材を形成するための例示的なバッチ製造セットアップおよび例示的な連続製造または半連続製造セットアップを示す図である。 本開示の主題の1つまたは複数の実施形態による、自然なパターンを有する透明な木材複合材を形成するための例示的なバッチ製造セットアップおよび例示的な連続製造または半連続製造セットアップを示す図である。 本開示の主題の1つまたは複数の実施形態による、製造セットアップに採用することができる例示的な四分の一スライス切断配置の斜視図である。 木材本開示の主題の1つまたは複数の実施形態による、木材内のリグニンの光触媒化学酸化および結果として生じるin situでの構造変化を示す模式図である。 本開示の主題の1つまたは複数の実施形態による、化学酸化剤(例えば、過酸化水素)のパターンを有する塗布によって修飾木材または透明な木材複合材を形成するための例示的なバッチ製造法を示す図である。 本開示の主題の1つまたは複数の実施形態による、紫外線へのパターンを有する曝露によって修飾木材または透明な木材複合材を形成するための例示的なバッチ製造法を示す図である。 本開示の主題の1つまたは複数の実施形態による、パターンを有さない修飾木材または透明な木材複合材を形成するための例示的なバッチ製造法を示す図である。 本開示の主題の1つまたは複数の実施形態による、修飾木材または透明な木材複合材を形成するための例示的な連続製造または半連続製造セットアップを示す図である。 ダグラスファー(Douglas fir)の早材部分と晩材部分との間の境界におけるセルロース系微細構造のSEMによる画像である。 図7Aの天然ダグラスファーにおける早材部分のSEMによる拡大画像である。 図7Aの天然ダグラスファーにおける晩材部分のSEMによる拡大画像である。 図7Aのダグラスファーの仮導管の縦方向断面のSEM画像である。 天然ダグラスファーにおける早材部分の孔径分布を示す図である。 天然ダグラスファーにおける晩材部分の孔径分布を示す図である。 天然ダグラスファーと、作製した自然なパターンを有する透明な木材複合材における早材と晩材部分の細胞壁成分のラマンスペクトルをそれぞれ示す図である。 作製した自然なパターンを有する透明な木材複合材における細胞壁成分のラマンスペクトルを示す図である。 作製した自然なパターンを有する透明な木材複合材における早材部分および晩材部分の600nmにおける透過率を示すグラフである。 作製した自然なパターンを有する透明な木材複合材の連続した断片の吸収率スペクトル、透過率スペクトル、および反射率スペクトルを示すグラフである。 脱リグニン処理の期間に基づく、作製した自然なパターンを有する透明な木材複合材の連続した断片のUV遮断特性を示すグラフである。 作製した自然なパターンを有する透明な木材複合材の連続した断片に関するヘイズを示すグラフである。 カスタムパターンを形成するための自然なパターンを有する透明な木材複合材の個別の連続した断片のアセンブリを示す図である。 in situリグニン修飾木材を形成するための光触媒酸化処理後の正規化リグニン含有量の、処理の時間に対するグラフである。 天然木材および作製したin situリグニン修飾木材の連続した断片のフーリエ変換赤外線分光法(FTIR)スペクトルを示すグラフである。 天然木材および作製したin situリグニン修飾木材の連続した断片のX線回析法(XRD)スペクトルを示すグラフである。 天然木材および作製したin situリグニン修飾木材の連続した断片のX線光電子分光法(XPS)スペクトルを示すグラフである。 作製したin situリグニン修飾木材の連続した断片の異なる位置における反射率スペクトルを示すグラフである。 作製したin situリグニン修飾木材の連続した断片(例えば、フォトニック木材)と、作製した脱リグニンした木材の断片とを比較するマクロスケールおよびマイクロスケール画像である。 カスタムパターンを有する、作製したin situリグニン修飾木材の断片の連続した断片の画像である。 カスタムパターンを有する、作製したin situリグニン修飾木材の断片の連続した断片の画像である。 天然木材、作製したin situリグニン修飾木材の連続した断片、および作製した透明な木材複合材の連続した断片におけるFTIRスペクトルを示すグラフである。 天然木材、作製したin situリグニン修飾木材の連続した断片、および作製した透明な木材複合材の連続した断片におけるリグニン含有量を示すグラフである。 天然木材における横方向断面のSEMによる画像である。 作製したin situリグニン修飾木材の連続した断片における横方向断面のSEMによる画像である。 作製した透明な木材複合材の連続した断片における横方向断面のSEMによる画像である。 天然木材および透明な木材複合材の縦方向切断面(L)と半径方向切断面(T)とを比較した透過率スペクトルを示すグラフである。 天然木材および透明な木材複合材の縦方向切断面(L)と半径方向切断面(T)とを比較した吸収率スペクトルを示すグラフである。 天然木材の縦方向切断(L)および半径方向切断(T)から形成された、作製した透明な木材複合材の連続した断片のヘイズを示すグラフである。 カスタムパターンを有する、作製した透明な木材複合材の連続した断片の画像である。
[一般な注意事項]
本開示において、本発明の実施形態の特定の側面、利点および新規な特徴を説明する。開示されている方法およびシステムは、いかなる場合においても限定的であると解釈されるべきではない。本開示は、単独で、ならびに互いと様々な組み合わせおよび副組み合わせで、開示されている様々な実施形態のすべての新規且つ非自明の特徴および側面に向けられている。該方法および該システムは、特定の側面または特徴またはそれらの組み合わせに限定されるものではない。また、開示されている実施形態は、1つまたは複数の特定の利点が存在すること、または問題が解決されることを要求しない。いずれの実施形態または実施例で記載された技術と、1つまたは複数の他の実施形態または実施例で記載された技術とを組み合わせることができる。開示されている技術の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を鑑みて、図に示す実施形態が例示的なものであり、開示されている技術の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
開示されている方法の一部の操作は、便宜上、特定の連続した順序で記載されているが、これらの順序は、後述する特定の用語によって特定の順序であることが明示されない限り、並べ替えられることを包含することに留意されたい。例えば、特定の順序で記載されている操作は、並べ替えて行われてもよく、同時に行われてもよい。さらに、簡略化のために、添付の図面には、開示されている方法と他の方法とを組み合わせて使用することに関する様々な方法が示されていない場合がある。また、本開示では、開示されている方法を説明するために、「提供する」または「達成する」などの用語を使用する場合がある。これらの用語は、実際に行われる操作を大きく抽象化したものである。これらの用語に対応する実際の操作は、特定の実施形態に応じて異なる場合があり、当業者であれば容易に識別することができる。
本開示の数値範囲は、特に明示されない限り、端点を含む範囲内の離散点の各々を指すことに留意されたい。特に明示されない限り、本明細書または特許請求の範囲で使用される構成要素の数、分子量、割合、温度および時間などを表すすべての数値は、「約」という用語によって修飾されることに留意されたい。したがって、特に暗黙的または明示的に示されない限り、または文脈が当業者によってより明確な構造を有すると適切に理解されない限り、本開示の数値パラメータは、当業者に知られているように、所望の特性および/または標準的な試験条件/方法における検出限界に依存する場合がある概算値である。本開示の先行技術から本発明の実施形態を直接且つ明示的に区別する場合、「約」という用語が記載されていない限り、実施形態の数値は概算値ではない。「実質的に」、「ほぼ」、「約」または同様の用語が特定の値と組み合わせて明示的に使用される場合は、特にそうでないことが明示されない限り、その値の10%前後の数値を含むことを意図している。
方向およびその他の相対的な参照は、添付の図面および本開示の原理の説明を容易にするために使用される場合があるが、限定を意図したものではない。例えば、「内側」、「外側」、「上」、「下」、「上部」、「下部」、「内部」、「外部」、「左」、「右」、「前」、「後ろ」、「背面」などの特定の用語が使用される場合がある。これらの用語は、特に図に示す実施形態に関して相対的な関係を扱うときに、ある程度の明確さを提供するために適宜使用される。しかしながら、これらの用語は、絶対的な関係、位置および/または配向を意味することを意図していない。例えば、物体に関して、「上」部は、単に物体をひっくり返すことで「下」部になり得る。それにもかかわらず、同じ部分であることに変わりはなく、物体にも変化はない。
本開示において使用される用語「備える」(comprising)という用語は「含む」(including)を意味し、単数形の定冠詞または不定冠詞(a、an、the)は、文脈が他に明示しない限り、複数の要素も含む。「または」という用語は、文脈が他に明示しない限り、記載された代替要素のうちの単一の要素、または2つ以上の要素の組み合わせを意味する。
本開示の様々な構成要素、パラメータ、および動作条件などには代替例が存在するが、それらの代替例が必ずしも同等であることを意味するものではなく、また、同等に機能することを意味するものでもない。また、特に明示されない限り、代替例が好ましい順序で列挙されていることを意味するものでもない。特に明示されない限り、以下に定義される群のいずれかを置き換えまたはその状態から戻すことができる。
他に説明がない限り、本開示で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者に一般的に理解される用語と同じ意味を有する。本開示の方法および材料に類似する、またはそれらと同等の方法および材料は、本開示の実施または試験に使用することができるが、その適切な方法および材料は後述する。これらの材料、方法および実施例は、例にすぎず、本発明を限定することを意図していない。本開示の主題の他の特徴は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明確になるであろう。
[用語の概要]
以下の特定の用語および略語の説明は、本開示の主題の様々な側面の説明を容易にし、本開示の主題の実施において当業者を補助するために提供される。
「連続した断片」:単一の木から採取され、処理に供された単一の連続した木材断片。これは、複数の部分断片を接合または組み合わせて(例えば積層して)形成された単一の断片とは対照的である。一部の実施形態において、処理によって、連続した木材断片の中に、異なるリグニン特性を有するセクションまたは領域が形成される。
「リグニン特性」:一部の実施形態において、リグニン特性は、木材セクション中の天然に存在するリグニンまたは天然リグニンの含有量を指す。したがって、異なるリグニン特性は、特定の木材セクションの天然リグニン含有量が、処理後に隣接する木材セクションのものよりも少ないことを指す場合がある(例えば、早材領域が実質的に脱リグニンされ、隣接する晩材領域が天然リグニンの大部分または少なくとも一部を保持する場合)。代替的または追加的に、一部の実施形態において、リグニン特性は、木材セクション中のリグニンの天然に存在する形態または天然の形態を指す。したがって、異なるリグニン特性は、特定の木材セクションの天然リグニンが、リグニンを除去することなくリグニンの発色団を変更させるか除去するために(例えば、化学酸化によって)in situで修飾され、その一方で、隣接する木材セクションが、処理後にリグニンの天然の形態を保持することを指す場合がある。
「脱リグニン」:天然に存在するリグニンの少なくとも90%が除去された木材セクション。一部の実施形態において、脱リグニンした木材セクションのリグニン含有量は、3wt%以下であり、例えば、1wt%未満である。脱リグニン前後のセルロース系材料内のリグニン含有量は、当該技術分野において既知の技術を用いて評価することができる。これは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国国立再生可能エネルギー研究所(NREL)発行の「Determination of Structural Carbohydrates and Lignin in Biomass」におけるLaboratory Analytical Procedure(LAP)TP-510-42618(08-03-2012版)、およびASTMインターナショナル発行の「Standard Test Method for Determination of Carbohydrates in Biomass by High Performance Liquid Chromatography」におけるASTM E1758-01(2020)に記載されている。
「縦方向の成長方向」:根または幹から植物が成長する方向であり、植物の細胞壁を形成するセルロースナノ繊維は、一般に、縦方向の成長方向に整列している。場合によっては、縦方向の成長方向は、一般に垂直であってもよく、その水分蒸散の流れの方向に対応していてもよい。これは、植物の中心部分から外向きに延在して概ね水平でありえる半径方向の成長方向とは対照的である。
「透明」:特定の光の波長または光の波長の範囲に対して、少なくとも80%の透過率値(すなわち、入射光の強度に対する透過光の強度の比率)を有することを意味する。
「半透明」:特定の光の波長または光の波長の範囲に対して、36%~80%の透過率値を有することを意味する。
「不透明」:特定の光の波長または光の波長の範囲に対して、36%未満の透過率値を有することを意味する。
[序論]
機械的特性が改善された透明な木材複合材は、木材の出発材料中に天然に存在するリグニンの一部またはすべてを保持することで形成され得る。既存の透明な木材複合材では、高い透明性(例えば、可視波長に対して80%超)を得るために、木材の出発材料中のリグニンの大部分またはすべて(例えば、少なくとも90%)を除去する必要がある。しかしながら、このように大量のリグニンを除去すると、木材のセルロース系微細構造の完全性が損なわれて、それにより、その後の製造ステップ(例えば、ポリマー浸透のステップ)が複雑になり、このようにして得られた複合材料の機械的強度が低下する場合がある。
本開示の主題における一部の実施形態において、連続した木材ブロックは、化学処理に供され得る。これにより、その中の天然部分が異なる度合いのリグニン除去を受ける。例えば、連続した木材ブロックは、軟材であり得、その早材部分が脱リグニンされ得、その晩材部分が化学処理後に大量のリグニンを保持することができる。その後、化学処理された木材ブロックに屈折率整合ポリマーを浸透させることで、可視光スペクトルの波長に対して、脱リグニンされた部分が実質的に透明になり、その他の部分が不透明または半透明のままとなる。このようにして得られた木材複合材は、透明の早材部分と半透明または不透明の晩材部分の配置によって構成された自然なパターンを示すことができる。また、晩材部分が多量のリグニンを保持するので、完全に脱リグニンした木材複合材と比較して、材料全体の機械的強度が改善される。
代替的または追加的に、本開示の主題における一部の実施形態において、連続した木材ブロックは、UVアシスト光触媒酸化処理に供され、その中のリグニンがin situで修飾されて、木材の色が白色になる。例えば、連続した木材ブロックに過酸化水素などの液体酸化剤を浸透させ、その後、UV照射を行い、木材ブロック内のリグニンの発色団を除去し、それ以外は木材の微細構造内にリグニンを保持することができる。一部の実施形態において、木材ブロックの表面への液体酸化剤の塗布および/またはUV光への木材ブロックの曝露により、in situ修飾を木材ブロックの特定のセクションに限定することができるパターンを形成することができる。その後、木材ブロックに屈折率整合ポリマーを浸透させることで、可視光スペクトルの波長に対して、in situで修飾されたセクションが実質的に透明になり、その他のセクションが不透明または半透明のままとなる。このようにして得られた木材複合材は、酸化剤とUV光の適用によって構成された所定のパターンを示すことができ、これは、木材に内在する自然なパターンとは無関係である。光触媒酸化処理によってリグニンが全く、またはごくわずかしか除去されないので(例えば、除去対象の元の木材内のリグニンの30%未満)、完全に脱リグニンした木材複合材と比較して、材料全体の機械的強度が改善される。
また、先行技術における透明な木材複合材は、木材の脱リグニン化のために多量の化学物質および膨大な処理時間を必要とし、これは、製造可能性を阻害する場合がある。対照的に、一部の実施形態において、UVアシスト光触媒酸化処理を使用して、液体酸化剤を表面に塗布することで木材を処理して、その中のリグニンをin situで修飾することができる。したがって、先行技術における透明木材の処理と比較して、処理時間および使用する化学物質の量を低減させることができる。また、NaClOなどの有害な塩素ガスを発生する脱リグニン剤と比べて、Hは副産物として水か酸素しか発生しないため、過酸化水素(H)を液体酸化剤として使用することでより環境に優しい処理法を提供することができる。
一部の実施形態において、自然なパターンを有する透明な木材複合材(美的外観が優れた木材とも呼ぶ)が提供される。美的外観が優れた木材は、空間選択的な脱リグニン処理および屈折率整合ポリマー(例えば、エポキシ樹脂)浸透の処理に基づいて、美的外観が優れた特徴(例えば、無傷の木材パターン)、優れた光学特性(例えば、80%以下の平均透過率および93%以下のヘイズ)、良好なUV遮断能力(例えば、20%以下の透過率)、および低い熱伝導率(0.24W・m-1-1)を有することができる。また、美的外観が優れた木材の迅速な製造プロセス(例えば、2時間以下の化学処理)および機械的堅牢性(例えば、91.95MPaの高い縦方向引張強度および2.73MJ・m-3の靭性)は、従来の完全な脱リグニンプロセスと比較して時間とエネルギーを大幅に節約しながら、スケールでの製造を可能にする。例えば、ガラス天井、屋上、透明装飾物、および屋内パネルなどのエネルギー効率の高い建築用途に美的外観が優れた木材を使用することができる。
一部の実施形態において、修飾木材(in situリグニン修飾木材、リグニン修飾木材、またはフォトニック木材とも呼ぶ)が提供される。天然木材内のリグニンは、特に、液体酸化剤(例えば、過酸化水素)およびUV光(例えば、UVA帯の太陽放射または人工照明)を使用した木材内の天然リグニンの光触媒酸化によって、in situで迅速且つスケーラブルなプロセスを用いて修飾され得る。光触媒による酸化反応によって、リグニンの芳香族骨格を残したまま、リグニンの発色団を選択的に除去して、木材の光学特性を変化させることができる。このようにして得られたフォトニック木材では、元からあるリグニン含有量の80%以下が保持されるため、フォトニック木材は、強力なバインダおよび防水剤として機能し続けることができる。その結果、フォトニック木材は、木材の脱リグニン化と比較して、湿潤環境下での機械的強度が大幅に向上し(例えば、20倍の引張強度および12倍の圧縮耐性)、スケーラビリティが増大し(例えば、2メートル以下の試料)、処理時間が大幅に短縮される(例えば、4時間~14時間に対して1時間~6.5時間)。また、in-situリグニン修飾木材の構造は、光触媒酸化プロセス、特に、木材の表面への液体酸化剤またはUV照射の選択的な適用によってパターンを有することができる。この光触媒によるフォトニック木材の作製によって、エネルギー効率の高い建物、光管理、ならびに流体装置、イオン装置、電子装置および光学装置などを含む様々な用途に向けた持続可能なバイオ由来の機能性材料の大量生産が可能になる。
一部の実施形態において、透明な木材複合材(透明なin situリグニン修飾木材複合材、人工パターンを有する透明な木材複合材、または単に透明木材とも呼ぶ)が提供される。天然木材内のリグニンは、フォトニック木材と同様に、UVアシスト光触媒酸化によって修飾され得る。これにより、バインダとして機能する天然リグニンの大部分が保存されて、ポリマーを浸透させるための堅牢な木材骨格が提供されると共に、化学物質およびエネルギーの消費量、ならびに処理時間が大幅に削減される。ポリマー浸透後に、このようにして得られた透明木材(例えば、厚さ1mm以下)は、高い透過率(例えば、90%超)、高いヘイズ(例えば、60%超)、および可視光波長に対して優れた導光効果を示すことができる。また、フォトニック木材と同様に、液体酸化剤(例えば、刷毛塗りまたは印刷)またはUV照射(例えば、マスキングまたはレーザ照射)を選択的に適用することで、木材の表面にパターンを直接形成することができる。修飾リグニンが配向性の高いセルロースフィブリルと結合するので、リグニン修飾木材は、脱リグニンした木材(例えば、引張強度0.4MPa)よりも実質的に高い引張強度(例えば、20.6MPa)を有することになる。
[方法の実施例]
図1Aは、修飾木材または透明な木材複合材を形成するための例示的な方法100を示している。該方法100は、プロセスブロック102で開始することができる。ここで、天然木材の連続した断片101が準備される。例えば、プロセスブロック102の準備は、親木から木材の断片を切断、除去、または分離することを含むことができる。一部の実施形態において、切断によって、天然木材を実質的に平坦な平面構造体に成形することができる。ここで、セルロース繊維の方向は、構造体の平面(例えば、縦方向切断面または回転方向切断面)と平行な方向に延在しているか、構造体の平面(例えば、半径方向切断面)に対して垂直な方向に延在している。任意選択で、一部の実施形態において、準備は、天然木材の断片の前処理を含むことができる。例えば、その後の処理に備えて望ましくない材料または汚染を除去するための洗浄を実施すること、その後の処理に備えて天然セルロース系材料を特定の形状に成形(例えば、短冊状へのスライス)すること、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。一部の実施形態において、天然木材の連続した断片101は、軟材であり得、これは、早材(EW)領域103および隣接する晩材(LW)領域105のような異なる特性を有する、明確に定義された天然に存在するセクションを有する。代替的に、一部の実施形態において、天然木材の連続した断片101は、明確に定義された天然に存在するセクションを有さない硬材または軟材であり得る。
プロセスブロック104において、天然木材の連続した断片に1つまたは複数の化学系処理を施して、木材の断片の少なくとも1つのセクションのリグニン特性を修飾する。一部の実施形態において、リグニン特性の修飾により、少なくとも1つのセクションが、隣接するセクションのリグニン特性とは異なるリグニン特性を有するように形成される。例えば、一部の実施形態において、リグニン特性は、処理済み木材の連続した断片107のセクションのリグニン含有量であり、その化学系処理は、図1Bを参照して後述するように、1つの木材セクション109(例えば、元のEW領域103)のリグニン含有量が、隣接する木材セクション111(例えば、元のLW領域105)のリグニン含有量よりも少なくするようにすることができる。代替的に、一部の実施形態において、リグニン特性は、発色団の存在であり、図1C~図1Dを参照して後述するように、化学系処理により、1つの木材セクション109内の発色団が除去され、隣接する木材セクション111内の発色団が保持される。代替的に、一部の実施形態において、リグニン特性の修飾により、連続した断片全体がリグニン特性(例えば、リグニン含有量または発色団の存在)を有するように形成される
次いで、該方法100は、決定ブロック106へ進むことができる。ここで、透明な複合体が望ましいかどうかが判定される。例えば、フォトニック木材として透明な複合体を使用することが望ましくないと判定された場合、該方法100は、は、決定ブロック106からプロセスブロック110へ進むことができる。また、透明な複合体が望ましいと判定された場合、該方法100は、決定ブロック106からプロセスブロック108へ進むことができる。ここで、修飾木材の連続した断片に屈折率整合ポリマーを浸透させる。
一部の実施形態において、プロセスブロック108のポリマーを浸透させるステップは、例えば、液体ポリマーまたはポリマー前駆体の容器に修飾木材を浸漬し、容器を含むチャンバに真空を適用することで、または参照により本開示に組み込まれている2017年2月3日に出願された国際公開第2017/136714号に記載されているように、1回または複数回の真空アシスト浸透セッションによって達成することができる。ポリマーは、セルロース(例えば、屈折率が1.47以下)の屈折率と実質的に一致する屈折率を有し、且つ木材の微細構造に浸透することができる任意のポリマーであり得る。例えば、浸透した屈折率整合ポリマーは、任意のタイプの熱硬化性ポリマー(例えば、エポキシ樹脂)、熱可塑性ポリマー(例えば、アクリル)、セルロース誘導体(例えば、セルロースアセテート)、および/または機能的屈折率整合材料(例えば、液晶または圧電材料)を含むことができる。修飾木材に浸透され得るポリマーの非限定的な例として、参照により上記に組み込まれている国際公開第2017/136714号に記載されているものを挙げることができる。一部の実施形態において、ポリマーは、エポキシ樹脂(例えば、AeroMarine300/21エポキシ)であり得る。
一部の実施形態において、プロセスブロック110は、浸透した前駆体を乾燥または重合させるステップを含むことができる。一部の実施形態において、ポリマーが浸透した修飾木材は、乾燥または重合中に押圧される。例えば、第1のセクション109がプロセスブロック104において脱リグニンされ、第2のセクション111がリグニンを保持する場合、これらのセクションの異なる機械的強度によって、ポリマーがこれらのセクションで乾燥または重合する際の反りにつながる場合がある。したがって、乾燥または重合中に公称圧力を適用して(例えば、連続した断片の厚さを10%超変化させることなく)、反りを防止するか少なくとも低減させることができる。
このように、プロセスブロック110を介してポリマーを浸透させることで、木材セクションの一部またはそのすべてを実質的に透明にすることができる。例えば、プロセスブロック104における化学処理を介して木材セクション109が実質的に脱リグニンされたか発色団が除去された場合、浸透するポリマーがセクション109を実質的に透明なセクション115にすることができる。その一方で、プロセスブロックにおける化学処理後に木材セクション111がリグニンおよびその発色団を保持している場合、セクション111は、ポリマー浸透後に半透明または不透明セクション117のままである。代替的に、一部の実施形態において、連続した断片107全体が修飾されたリグニン特性を有するように形成された場合、断片113全体がポリマー浸透後に透明になる。
プロセスブロック108においてポリマーを浸透させた後、または決定ブロック106においてポリマーの浸透が望ましくない場合、該方法100は、プロセスブロック110へ進むことができる。ここで、修飾木材または透明な木材複合材は、特定の用途で使用されるか、特定の用途で使用されるように適合される。例えば、プロセスブロック110は、機械加工、切断、または連続した断片を特定の形状に成形するステップを含むことができる。プロセスブロック110の使用は、それ自体で修飾木材または透明な木材複合材の連続した断片を使用すること、またはそれを非木材材料(例えば、金属、金属合金、プラスチック、セラミック、複合材など)と一緒に組み立てて異種複合構造を形成することを含むことができる。一部の実施形態において、プロセスブロック108においてポリマーを浸透させた後に、透明な木材複合材の連続した断片を建物の一部(例えば、窓または天窓)として使用することができる。代替的に、一部の実施形態において、決定ブロック106において透明な複合体が望ましくない場合、修飾木材の連続した断片を断熱構造体または可視光反射体として使用することができる。具体的に上述したもの以外のその他の用途も、開示された技術に従って作製された修飾木材および透明な木材複合構造体に適用することができる。実際、当業者であれば、本明細書に開示されている修飾木材および透明な木材複合構造体が、本開示の教示に基づいてその他の用途に適合させることができることを容易に理解するであろう。
該方法100のブロック102~110を1回実施するものとして説明したが、一部の実施形態において、特定のプロセスブロックの複数回の繰り返しを、次の決定ブロックまたはプロセスブロックに進む前に採用してもよい。また、該方法100のブロック102~110を個別に図示および説明したが、一部の実施形態において、プロセスブロックを組み合わせて共に(同時または順次)実施してもよい。また、図1Aは、ブロック102~110の特定の順序を示しているが、本開示の主題の実施形態において、この順序に限定されるものではない。実際、特定の実施形態において、ブロックは、図に示すものとは異なる順序で、または他のブロックと同時に実施されてもよい。
図1Bは、図1Aの方法100のプロセスブロック104の化学系処理に使用され得る第1の例示的なサブルーチン104aを示している。例えば、サブルーチン104aは、軟材(例えば、マツ、スギ、トウヒ、カラマツ、またはモミ)において天然に存在するEWおよびLWセクションの選択的な脱リグニン化に基づいて、自然なパターンを有する透明な木材複合材を形成するために使用され得る。サブルーチン104aは、プロセスブロック112で開始することができる。ここで、天然木材の連続した断片が1つまたは複数の化学溶液に浸漬されて、木材からリグニンが除去される。LWセクション(例えば、より高い密度、より小さい内腔、より厚い細胞壁)と比較したEWセクション(例えば、より低い密度、より大きい内腔、より薄い細胞壁)の物理的特性によって、化学溶液をより容易にEWセクションに浸透および反応させることができる。これにより、リグニンがLWセクションよりもEWセクションからより迅速に除去される。プロセスブロック112の化学処理のタイミングを適切に合わせることで、EWおよびLWセクションを、異なるリグニン含有量を有するように処理することができる。特に、EWセクションが脱リグニンされた後またはその直後に化学処理を終了することで(例えば、溶液から連続した断片を除去することで)、LWセクションは多量のリグニンを保持することができる。
一部の実施形態において、プロセスブロック112の化学処理は、真空下で実施され得る。これにより、処理に関連する溶液が木材の連続した断片の細胞壁および内腔に完全に浸透するように促される。代替的に、一部の実施形態において、プロセスブロック112の化学処理は、周囲圧力条件下または昇圧条件下(例えば、6bar~8bar)で実施され得る。一部の実施形態において、プロセスブロック112の化学処理は、周囲温度(例えば、23℃以下)と、化学溶液が沸騰する高温(例えば、70℃~160℃)との間の任意の温度で実施され得る。一部の実施形態において、木材のセルロース系微細構造の破壊を回避するために、化学溶液は撹拌されない。一部の実施形態において、化学溶液は、亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を単独でまたはその他の化学物質(例えば、酢酸)と組み合わせて含むことができる。例えば、一部の実施形態において、化学溶液は、NaClOの沸騰溶液を含む。
一部の実施形態において、5時間未満であり得、例えば2時間以下であり得る。化学溶液への浸漬時間は、除去されるリグニン量、断片のサイズ、EWセクションの密度、溶液の温度、処理の圧力、および/または撹拌の関数であってもよい。例えば、より少ないリグニン除去量、より小さい断片サイズ、EWセクションのより低い密度、より高い溶液温度、より高い処理圧力、および撹拌は、より短い浸漬時間と関連していてもよく、より多いリグニン除去量、より大きい断片サイズ、EWセクションのより高い密度、より低い溶液温度、より低い処理圧力、および撹拌なしは、より長い浸漬時間と関連していてもよい。
決定ブロック114において、プロセスブロック112の処理を継続するかどうかが判定される。化学溶液を用いた処理は、EWセクションにおけるリグニン含有量が所望に減少されるまで、例えば、プロセスブロック108における屈折率整合ポリマーによる浸透後に所望の光透過率が得られるまで、継続され得る(またはその後の溶液で繰り返され得る)。一部の実施形態において、プロセスブロック112の処理は、EWセクションにおけるリグニン含有量が少なくとも90%減少するまで(例えば、EWセクションに元からあるリグニンの10%未満が保持されるまで)継続する。これは、可視光スペクトル(例えば、600nm)におけるに1つまたは複数の波長について少なくとも80%の光透過率に対応することができる。例えば、プロセスブロック112の処理後に、EWセクションは、3wt%以下のリグニン含有量、例えば1wt%以下のリグニン含有量を有することができる。一部の実施形態において、プロセスブロック112の処理は、LWセクションにおけるリグニン含有量を75%以下(例えば、LWセクションに元からあるリグニンの25%超が保持される)、例えば65%以下、またはさらに50%以下減少させるのに有効であり得る。これは、可視光スペクトル(例えば、600nm)における1つまたは複数の波長について70%未満の光透過率に対応することができる。例えば、プロセスブロック112の処理後に、LWセクションは、7.5wt%以上、例えば12.5wt%以上のリグニン含有量を有することができる。
十分なリグニンがEWセクションから除去されると、サブルーチン104aは、決定ブロック114からプロセスブロック116へ進むことができる。ここで、プロセスブロック108におけるポリマー浸透に備えて修飾木材の連続した断片が化学溶液から除去される。一部の実施形態において、プロセスブロック116は、脱リグニンプロセスから生じる残留化学物質または微粒子を除去するように、化学処理の後に任意のすすぎステップをさらに含むことができる。例えば、修飾木材の連続した木材ブロックは、1つまたは複数のすすぎ溶液に部分的にまたは完全に浸漬され得る。すすぎ溶液は、脱イオン(DI)水、アルコール(エタノール、メタノール、イソプロパノールなど)、またはこれらの任意の組み合わせなどの溶媒であり得るが、これに限定されるものではない。例えば、すすぎ溶液は、水とエタノールから形成され得る。一部の実施形態において、すすぎは、その都度新しい混合すすぎ溶液を使用しながら複数回(例えば、少なくとも3回)繰り返されてもよい。一部の実施形態において、すすぎ後に、連続した断片をアルコール(エタノールなど)中に保存することができる。一部の実施形態において、保存後に、連続した断片は、プロセスブロック108におけるポリマー浸透の前にその中のアルコールと交換するための別の溶媒(トルエンなど)中に浸漬され得る。
サブルーチン104aのブロック112~116を1回実施するものとして説明したが、一部の実施形態において、特定のプロセスブロックの複数回の繰り返しを、次の決定ブロックまたはプロセスブロックに進む前に採用してもよい。また、サブルーチン104aのブロック112~116を個別に図示および説明したが、一部の実施形態において、プロセスブロックを組み合わせて共に(同時または順次)実施してもよい。また、図1Bは、ブロック112~116の特定の順序を示しているが、本開示の主題の実施形態において、この順序に限定されるものではない。実際、特定の実施形態において、ブロックは、図に示すものとは異なる順序で、または他のブロックと同時に実施されてもよい。
図1Cは、図1Aの方法100のプロセスブロック104の化学系処理に使用され得る第2の例示的なサブルーチン104bを示している。例えば、サブルーチン104bは、パターンを有するin situリグニン修飾木材またはパターンを有する透明な木材複合材の連続した断片を形成するために使用され得る。サブルーチン104bは、任意のプロセスブロック118で開始することができる。ここで、木材内の隣接する第1のセクションと第2のセクションとを画定するように、木材の連続した断片の上部露出表面上に所定のパターンの輪郭が形成される。例えば、輪郭は、ワセリンなどの疎水性材料を用いて形成され得る。この輪郭は、上記面に塗布されたときに、液体酸化剤(例えば、過酸化水素)が第1のセクションから第2のセクション(またはその逆)へ流れるのを防止するのに有効であり得る。しかしながら、一部の実施形態において、例えば、液体酸化剤が、隣接するセクションへの横方向の広がりを回避するか少なくとも低減するように適用される場合、輪郭は省略され得る。一部の実施形態において、所定のパターンは、1つまたは複数の介在する第2のセクションによって互いに分離される複数の第1のセクションを画定することができる。
次いで、サブルーチン104bは、任意のプロセスブロック120へ進むことができる。ここで、溶液中の第1の量のアルカリが第1のセクションに対応する連続した断片の上部露出表面部分に塗布される。例えば、アルカリは、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化アンモニウム(NHOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。一部の実施形態において、溶液中のアルカリの濃度は、少なくとも10wt%である。塗布は、刷毛塗り、噴霧、圧延、印刷、または任意の他の制御された表面塗布技術を用いることができる。一部の実施形態において、第1の量は、後続のプロセスブロック122で塗布される液体酸化剤の対応する量よりもはるかに少なくすることができる。例えば、第1の量は、液体酸化剤の量の20%以下とすることができる。一部の実施形態において、第1の量は、1ml~3ml(両端含む)の範囲である。少量のアルカリを含むことで、木材からの実質的なリグニン除去を引き起こすことなく、液体酸化剤(例えば、H)の分解を促進することができる。しかしながら、一部の実施形態において、木材の連続した断片へのアルカリの塗布を省略することもできる。
次いで、サブルーチン104bは、プロセスブロック122へ進むことができる。ここで、第2の量の液体酸化剤が第1のセクションに対応する連続した断片の上部露出表面部分に塗布される。例えば、液体酸化剤は、濃度が少なくとも30wt%のHであり得る。一部の実施形態において、液体酸化剤は、第2のセクションの表面部分に塗布されることなく第1のセクションの表面部分に塗布され得る。酸化剤の塗布により、パターンが画定される。塗布は、刷毛塗り、噴霧、圧延、印刷、または任意の他の制御された表面塗布技術を用いることができる。一部の実施形態において、第2の量の一部を上部露出表面部分に塗布し、第2の量の残りを連続した断片の反対側の下部露出表面部分に同時にまたは続いて塗布することができる。
一部の実施形態において、第2の量は、液体酸化剤が塗布される木材セクションの表面積および/または厚さに基づいて決定され得る。例えば、連続した断片の(例えば、上部露出表面に対して垂直な方向における)厚さが0.6mm以下の場合、塗布される液体酸化剤の第2の量は、表面積1平方メートルあたり少なくとも800mlであり得る。連続した断片の厚さが0.8mm以下の場合塗布される液体酸化剤の第2の量は、表面積1平方メートルあたり少なくとも1200mlであり得る。連続した断片の厚さが1mm以下の場合、塗布される液体酸化剤の第2の量は、表面積1平方メートルあたり少なくとも2400mlであり得る。代替的に、塗布される液体酸化剤の第2の量は、厚さ0.1mmおよび表面積1平方メートルあたり少なくとも125mlであり得る。一部の実施形態において、塗布される液体酸化剤の第2の量は、液体酸化剤が塗布される木材セクションの体積に基づいて決定され得る。例えば、第2の量は、木材セクションの体積の体積に少なくとも等しいか、木材セクションの体積の1倍~5倍(両端含む)の範囲とすることができる。例えば、第2の量は、10ml~20ml(両端含む)であり得る。
次いで、サブルーチン104bは、プロセスブロック124へ進むことができる。ここで、連続した木材ブロックは、自然光源(例えば、5以上のUVインデックスでの日射)または人工光源(例えば、UVA帯の20W)からのUV照射に供される。一部の実施形態において、上部表面全体が、光触媒酸化を介して第1のセクションにおけるリグニンをin situで修飾するのに十分な時間、特に、リグニンから発色団を除去するのに十分な時間、UV照射に曝露され得る。プロセスブロック124における曝露は、第1のセクションにおける光触媒による酸化反応が、第1のセクションが完全に白色になる完了状態に進むまで、決定ブロック126を介して継続され得る。一部の実施形態において、曝露時間は、2時間以下であってもよく、例えば1時間~2時間であってもよい。
曝露後に、連続した木材ブロックは、白色化した第1のセクションにおいて、処理前に元からあるリグニンの少なくとも80%を保持することができる(例えば、リグニン含有量が20%以下に低減する)。また、隣接する第2のセクションが(例えば、酸化剤が塗布されていないため)光触媒酸化に供されていないので、元からあるリグニンの実質的にすべてが保持されることになる。したがって、第2のセクションは、わずかではあるが、第1のセクションよりも高いリグニン含有量を有することができる。例えば、プロセスブロック124における処理後に、第1のセクションと第2のセクションの両方は、15wt%以上のリグニン含有量を有することができる。
サブルーチン104bのブロック118~126の一部を1回実施するものとして説明したが、一部の実施形態において、特定のプロセスブロックの複数回の繰り返しを、次の決定ブロックまたはプロセスブロックに進む前に採用してもよい。例えば、プロセスブロック122における液体酸化剤の塗布は、複数の分量塗布によって(例えば、同じ表面領域を2回以上(例えば、3回~10回以上)刷毛塗りして所望の第2の量を累積的に塗布することで)効果を発揮することができる。また、サブルーチン104bのブロック118~126を個別に図示および説明したが、一部の実施形態において、プロセスブロックを組み合わせて共に(同時または順次)実施してもよい。例えば、プロセスブロック120における溶液中の第1の量のアルカリの塗布は、プロセスブロック122における第2の量の液体酸化剤の塗布と組み合わせて実施されてもよい。また、図1Cは、ブロック118~126の特定の順序を示しているが、本開示の主題の実施形態において、この順序に限定されるものではない。実際、特定の実施形態において、ブロックは、図に示すものとは異なる順序で、または他のブロックと同時に実施されてもよい。
図1Dは、図1Aの方法100のプロセスブロック104の化学系処理に使用され得る第3の例示的なサブルーチン104cを示している。例えば、サブルーチン104cは、パターンを有するin situリグニン修飾木材またはパターンを有する透明な木材複合材の連続した断片を形成するために使用され得る。サブルーチン104cは、任意のプロセスブロック128で開始することができる。ここで、溶液中の第1の量のアルカリが連続した断片の上部露出表面の一部またはすべてに塗布される。プロセスブロック128におけるその他の詳細は、サブルーチン104bについて上述したプロセスブロック120と同様であってもよい。次いで、サブルーチン104cは、プロセスブロック130へ進むことができる。ここで、第2の量の液体酸化剤(例えば、H)が連続した断片の上部露出表面の一部またはすべてに塗布される。プロセスブロック130におけるその他の詳細は、サブルーチン104cについて上述したプロセスブロック122と同様であってもよい。代替的に、一部の実施形態において、プロセスブロック130における塗布は、酸化剤の表面塗布ではなく、酸化剤浴中への木材の連続した断片の浸漬を介して実施され得る。木材の連続した断片は、酸化剤の十分な浸透後、且つプロセスブロック132におけるUVへの曝露前に、浴から除去され得る。
次いで、サブルーチン104cは、プロセスブロック132へ進むことができる。ここで、連続した木材ブロックは、自然光源または人工光源からのUV照射に供される。一部の実施形態において、UV照射は、第2のセクションの上部露出表面部分に適用されることなく、第1のセクションの上部露出表面部分に適用され得る。UVへの曝露により、パターンが画定される。例えば、光源からのUV照射は、第2のセクションを曝露から遮断するためにフォトマスクを通過することができる。代替的または追加的に、UV光源は、第1のセクションにのみ対応する上部露出表面部分を順次照射するように構成および制御されたUVレーザまたはレーザダイオード(例えば、Nd:YAGレーザ)であり得る。一部の実施形態において、第1のセクションの上部表面部分のUVへの曝露は、光触媒酸化を介して第1のセクションにおけるリグニンをin situで修飾するのに十分な時間、特に、リグニンから発色団を除去するのに十分な時間、継続してもよい。プロセスブロック132における曝露は、第1のセクションにおける光触媒による酸化反応が、第1のセクションが完全に白色になる完了状態に進むまで決定ブロック134を介して継続され得る。一部の実施形態において、曝露時間は、2時間以下であってもよく、例えば1~2時間であってもよい。
曝露後に、連続した木材ブロックは、白色化した第1のセクションにおいて、処理前に元からあるリグニンの少なくとも70%を保持することができる(例えば、リグニン含有量が30%に低減する)。また、隣接する第2のセクションが(例えば、UV照射がそれに実施されていないため)光触媒酸化に供されていないので、元からあるリグニンの実質的にすべてが保持されることになる。したがって、第2のセクションは、わずかではあるが、第1のセクションよりも高いリグニン含有量を有することができる。例えばプロセスブロック132における処理後に、第1のセクションと第2のセクションの両方は、15wt%以上のリグニン含有量を有することができる。
サブルーチン104cのブロック128~134の一部を1回実施するものとして説明したが、一部の実施形態において、特定のプロセスブロックの複数回の繰り返しを、次の決定ブロックまたはプロセスブロックに進む前に採用してもよい。例えば、プロセスブロック130における液体酸化剤の塗布は、複数の分量塗布によって(例えば、同じ表面領域を2回以上(例えば、3回~10回以上)刷毛塗りして所望の第2の量を累積的に塗布することで)効果を発揮することができる。また、サブルーチン104cのブロック128~134を個別に図示および説明したが、一部の実施形態において、プロセスブロックを組み合わせて共に(同時または順次)実施してもよい。例えば、プロセスブロック128における溶液中の第1の量のアルカリの塗布は、プロセスブロック130における第2の量の液体酸化剤の塗布と組み合わせて実施されてもよい。また、図1Dは、ブロック128~132の特定の順序を示しているが、本開示の主題の実施形態において、この順序に限定されるものではない。実際、特定の実施形態において、ブロックは、図に示すものとは異なる順序で、または他のブロックと同時に実施されてもよい。
[自然なパターンを有する透明な木材複合材の実施例]
天然木材の細胞壁は、主に、セルロース(40wt%~50wt%)、ヘミセルロース(20wt%~30wt%)、およびリグニン(硬材では20wt%~30wt%、軟材では25wt%~35wt%)からなり、この3成分が互いに絡み合うことで強固で剛性のある壁構造を形成する。図2Bの例示的なセクション212に示すように、天然硬材は、特有の3次元多孔質構造を有し、木材成長方向210に延在する(例えば、その長さに垂直な平面における最大断面寸法、すなわち直径が40μm~80μm(両端含む)である)導管214と、(例えば、その長さに垂直な平面における最大断面寸法、すなわち直径が10μm~30μm(両端含む)である)繊維216と、を含む縦方向細胞によって形成された複数のチャネルまたは内腔を有する。硬材とは対照的に、軟材は、水を輸送するために、木材成長方向210に沿って延在する放射組織および仮導管215に依存する。仮導管は、木材断面内の仮導管の位置に応じて変化し得る最大断面寸法、すなわち直径を有することができる。
軟材は、マツ(イースタンホワイトパイン、ロッジポールパイン、パラナパイン、スコットパイン、サザンイエローパインなど)、スギ(スリアンなど)、トウヒ(ヨーロピアンスプルース、シトカスプルースなど)、カラマツ、およびモミ(ダグラスファーなど)などの裸子植物からなる木材である。天然軟材は、巨視的および微視的規模で交互に変化する構造を有する年輪という固有の美的外観が優れたパターンを示す。図2Cおよび図2Dに示すように、マクロな視点から、年輪は、春のEW218と夏のLW220の交互の形成に起因している。EW領域218の各々は、一般に、LW領域220よりも広く、弱く、より多孔質であり、色が薄い。微細構造に関して、EW領域218内の細胞は、図2Eに示すように、LW領域220内の内腔215bと比較して、比較的大きな内腔215aの直径と薄い細胞壁とを有する。
天然木材の断片は、その縦方向の成長方向210に対してどの方向にも切断され得る。仮導管が成長方向に自然に整列しているので、切断方向は、最終的な構造における細胞の内腔の方向を決定する。この方向は、最終的な透明な木材複合材の光学特性または機械的特性に影響を与える可能性がある。例えば、一部の実施形態において、天然木材の断片は、縦方向細胞の内腔が縦方向に切断された木材断片206の主面(例えば最大表面積)と実質的に平行に向けられるように、木200の幹202から垂直または縦方向(例えば、縦方向の木材成長方向210と平行)に切断され得る。代替的に、一部の実施形態において、天然木材の断片は、縦方向細胞の内腔が半径方向に切断された木材断片204の主面に対して実質的に垂直に向けられるように、水平または半径方向(例えば、縦方向の木材成長方向210に垂直で横方向切断とも呼ぶ)に切断され得る。代替的に、一部の実施形態において、天然木材の断片は、縦方向細胞の内腔が回転切断された木材の断片208の主面と実質的に平行に向けられるように、回転方向(例えば、縦方向の木材成長方向210に対して垂直且つ幹202の周方向に沿った方向)に切断され得る。一部の実施形態において、天然木材の断片は、縦方向、半径方向、および回転方向の切断中の任意の他の方向で切断され得る。いずれの切断方向についても、天然木材の断片の厚さは、主面に対して垂直な方向で測定することができ、10mm以下であってもよい。
図2C~図2Eに示すEW領域218とLW領域220とが交互になっている天然に存在するパターンを用いて、天然に存在するパターンを継承し、且つ好ましい光学特性および機械的特性を有する透明な木材複合材を形成することができる。例えば、軟材は、図1Aおよび図1Bに関して上述したように、空間選択的な脱リグニンおよびその後のポリマー浸透に供され得る。空間選択的な脱リグニン後に、EW領域218は、光の散乱および光吸収体(例えば、リグニンおよび一部の抽出物)の除去により、ほぼ完全に白色になり得るが、LW領域220は、部分的にリグニンを保存する。その後、屈折率整合ポリマーを用いた浸透により、図3A~図3Cに示すように、異なる光学特性を有する隣接するセクション、特に、実質的に透明(例えば、600nmの波長を有する光に対して少なくとも80%の透過率)である元のEW領域218に基づくセクション318と、実質的に半透明または不透明(例えば、600nmの波長を有する光に対して70%未満の透過率透過率)である元のLW領域220に基づくセクション320とを有する連続した断片304が得られた。異なる光透過率値(EW領域218の脱リグニンに基づくもの対LW領域220のリグニンのみの部分的除去)に加えて、LW領域220内のリグニンの保持は、天然パターンの透明な木材複合材に、強化された機械的強度と好ましいUV吸収特性を付与し得る。
一部の実施形態において、天然パターンを有する透明な木材複合材は、バッチ製造プロセスを用いて作製され得る。例えば、図4Aは、バッチ操作を採用した例示的な製造セットアップ400を示している。第1の段階402において、明確に定義されたEWセクション410およびLWセクション412を有する軟材の連続した断片408は、所定の期間、またはEWセクション410が白色化するまで、流体チャンバ404内の脱リグニン溶液406(例えば、NaClO)に浸漬され得る。このようにして得られた連続した修飾断片420は、非白色リグニンを保持するLWセクション424と交互に並ぶ実質的に脱リグニンされたEWセクション422を含む。その後の第2の段階414において、連続した修飾断片420がチャンバ416(例えば、真空チャンバ)内で液体ポリマーまたはポリマー前駆体418に浸漬されて、修飾EWセクション422およびLWセクション424のセルロース系微細構造への浸透を可能にする。これにより、半透明または不透明なセクション436と交互に並ぶ完全に透明なセクション434を有する透明な木材複合材432を形成する。
一部の実施形態において、連続した断片は、第1の段階402の流体チャンバ404から除去され、第2の段階414のチャンバ416に挿入される。代替的に、一部の実施形態において、流体チャンバ404とチャンバ416は同一であり、第1の段階402から第2の段階414への移行は、脱リグニン溶液406を液体ポリマーまたは前駆体418と交換することによってもたらされる。上記では特に説明しなかったが、バッチ製造セットアップ400は、1つまたは複数のすすぎ段階(図示せず)を含むことができることに留意されたい。
一部の実施形態において、バッチ製造セットアップは、任意選択で、プレスセットアップ(例えば、油圧プレス)を採用する乾燥または重合段階426を含むことができる。例えば、プレスセットアップは、上部取り付け盤430と下部取り付け盤428とを有することができ、取り付け盤の一方または両方は、その間に保持された木材複合材432に圧力を加えるために他方に向けて移動することができる。例えば、プレスセットアップは、その中のポリマーが硬化するにつれて、複合材432の上部表面および下部表面の厚さおよび/または平面性を維持するために、公称圧力を加えることができる。一部の実施形態において、プレス段階426は、例えば、取り付け盤428および430の一方または両方の加熱による、プレスされている間の複合材432の加熱を含むことができる。
一部の実施形態において、天然パターンを有する透明な木材複合材は、半連続的な製造プロセスを用いて作製され得る。例えば、図4Bは、半連続的な操作を採用する例示的な製造セットアップ450を示している。天然軟材452は、丸太または円筒形の棒の形態であってもよく、その内腔は、方向454に沿って延在する。天然木材452は、例えば、図4Cの四つ切りアプローチを用いて、縦方向のブレード456によって繰り返し切断されて、EW領域482およびLW領域484の両方を有する長いスライス458を生成することができる。スライスされた層458は、製造プロセスにおける次のステップのために、例えば、サブルーチン104aのプロセスブロック112に関して上述したように、木材458を化学溶液462に浸漬して、EWセクションを脱リグニンし、LWセクションからリグニンを部分的にのみ除去するように、脱リグニンステーション460へ搬送され得る。一部の実施形態において、ステーション460のサイズおよびステーション460を通る木材層458の搬送速度は、化学処理のための所望の浸漬時間に対応してもよい。したがって、層458の一部がステーション460に入るときからすすぎステーション464を出るときまでの時間は、EWセクションからの所望のリグニン除去量のための浸漬時間に対応することになる。
脱リグニンステーション460の後に、修飾スライス層458は、例えばすすぎステーション464などの次のステーションへ搬送され続け得る。すすぎステーションは、1種または複数の溶媒466(水、アルコールなど)と、修飾層内の脱リグニン化学物質462の残りを除去するように構成された1つまたは複数の撹拌子を含んでもよい。図4Bには単一のすすぎステーションのみが示されているが、ポリマー浸透前の溶媒交換を可能にするために複数のステーションを設けることもできる。
すすぎステーション464後に、修飾スライス層458は、例えばポリマーステーション468などの次のステーションへ搬送され続け得る。これは、チャンバ(例えば、真空チャンバ)内の液体ポリマーまたはポリマー前駆体472を含む。修飾されたEWセクションおよびLWセクションのセルロース系微細構造への浸透によって、半透明または不透明セクションと交互に並ぶ完全に透明なセクションを有する透明な木材複合材480が形成される。
一部の実施形態において、製造セットアップ450は、任意選択で、相補的なローラ476および478を採用する乾燥または重合ステーション474を含むことができる。一部の実施形態において、上部ローラ476および下部ローラ478は、複合木材480の厚さに実質的に等しいかそれよりもわずかに小さい固定距離をおいて互いから離間している。これにより、乾燥または重合中に反りを抑止する公称押圧力を適用することができる。一部の実施形態において、ローラ476および478のうちの一方または両方を加熱して、複合材480の温度を室温よりも高くすることができる。これにより、例えば、ポリマーの固化または重合が促される。代替的または追加的に、ローラ476および478は加熱されてなくてもよいが、別個の加熱機構が設けられてもよく、ステーション474を含む、またはそれに続く環境が加熱されてもよい。
[In Situリグニン修飾の実施例]
図5Aに示すように、硬材または軟材におけるIn Situリグニン修飾は、リグニンの天然に存在する形態503を酸化剤505(例えば、過酸化水素)とUV放射線507の両方に同時に曝露501することで生じる光触媒酸化機構によって達成される。特定の理論にとらわれることなく、UV光507は、光触媒として機能し、共役二重結合を切断してリグニンから発色団(Lig・)を生成させるとともに、Hの酸素/ペロキシ基(O・/HOO・)の分解を促進させる。光励起されたLig・およびO・/HOO・は、光触媒による酸化反応に参加して非共役カルボキシル基509を形成し、材料の脱色および修飾木材の形成につながる。また、ごく少量のリグニン中の芳香環構造が開環反応を起こし、Hの可溶な低分子を形成する小さい反応がおきる。これは、処理後の木材のリグニン含有量をわずかに減少(例えば、20%以下に低減)させる場合があるこの反応にはUV光507と酸化剤505の両方が必要であるため、修飾が望まれるセクションには両方が適用され、修飾が望ましくないセクションには両方ではなくUVと酸化剤のいずれかが適用されて、木材のパターンを得ることができる。一部の実施形態において、in situリグニン修飾木材は、さらなる処理を行うことなくそれ自体で使用される。代替的に、一部の実施形態において、修飾木材は、ポリマーを浸透させることによってさらに処理されて、透明な木材複合材が形成される。
一部の実施形態において、パターンを有する透明な木材複合材は、バッチ製造プロセスを用いて作製され得る。例えば、図5Bは、例示的なバッチ製造法の動作を示している。初期段階500において、任意のカット(例えば、Rカット、Lカット、Tカットなど)および任意の木材タイプ(例えば、軟材または硬材)の木材の連続した断片502が提供される。連続した断片502は、第2の段階506において酸化剤が塗布される上部表面504を有することができる。一部の実施形態において、第2のセクション512から第1のセクション510を区画するために、所定のパターン輪郭508がまず上部表面504に形成される。例えば、パターン輪郭508は、ワセリンなどの疎水性材料を用いて形成され得る。代替的に、一部の実施形態において、物理的な輪郭508は提供されない。その代わりに、上部表面504の特定の部分への酸化剤(および任意選択で酸化剤の前または酸化剤と同時のアルカリ)の物理的な塗布が、所定のパターン508を画定することができる。例えば、刷毛514を使用して、第2のセクション512に塗布することなく、第1のセクション510に制御された量の酸化剤を塗装、コーティング、印刷、または他の方法で塗布することができる。制御された量を表面に塗布する他の機構も、1つまたは複数の企図された実施形態に従って可能である。
第3の段階516において、上部表面504全体が自然光源または人工光源からのUV照射518に曝露され得る。代替的に、一部の実施形態において、第1のセクション510のみがUV照射518に曝露され得る(例えば、図5CにおけるUV曝露段階540と同様の方法で)。いずれの場合も、第2のセクション512ではなく第1のセクション510における酸化剤とUV照射の組み合わせは、第1のセクション510でのみ光触媒酸化を生じさせる。このようにして段階520で得られた修飾木材522(例えば、フォトニック木材)は、in situでリグニン修飾されて実質的に白色化した第1のセクション524と、その天然リグニンを保持して、実質的に非白色(例えば、天然木材の色)である第2のセクション526と、を有する。一部の実施形態において、段階520における修飾木材522は、そのままの状態で、例えば、断熱材または光学的反射材として使用することができる。
代替的に、一部の実施形態において、修飾木材522は、最終段階528においてさらなる処理に供される。例えば、木材522に屈折率整合ポリマーを浸透させて、透明な第1のセクション532と、隣接する半透明または不透明な第2のセクション534とを有する、パターンを有する透明な木材複合材530を形成することができる。例えば、図1Aについて上述したように、修飾木材522の微細構造に液体ポリマーまたはポリマー前駆体を浸漬させ、一定期間真空を適用することで、微細構造にポリマーを浸透させることができる。
図5Cは、パターンを有する透明な木材複合材を作製するための別の例示的なバッチ操作を示している。第2の段階536において、酸化剤538が木材の連続した断片502の上部表面504全体に塗布され得る。一部の実施形態において、刷毛またはその他の機構を用いて、例えば図5Bにおける第2の段階506について上述したのと同様の方法で、上部表面504全体に制御された量の酸化剤を塗布することができる。代替的に、酸化剤の塗布は、表面504または連続した断片502全体を酸化剤の浴に浸漬することで実施され得る。第3の段階540において、所定のパターンに対応する上部表面504の一部のみがUV照射に曝露される。例えば、均一なUV照射フィールド542は、第1のセクション548の上部表面を曝露させるために光を通過させる開放または透明領域546を有し、且つ第2のセクション550の上部表面を曝露させるために光を遮断するフォトマスク544に入射することができる。
第2のセクション550ではなく第1のセクション548における酸化剤とUV照射の組み合わせは、第1のセクション548でのみ光触媒酸化を生じさせる。このようにして段階552で得られた修飾木材553(例えば、フォトニック木材)は、in situでリグニン修飾されて実質的に白色化した第1のセクション554と、その天然リグニンを保持して、実質的に非白色(例えば、天然木材の色)である第2のセクション556と、を有する。一部の実施形態において、段階552における修飾木材553は、そのままの状態で、例えば、断熱材または光学的反射材として使用することができる。
代替的に、一部の実施形態において、修飾木材553は、最終段階558においてさらなる処理に供される。例えば、木材553に屈折率整合ポリマーを浸透させて、透明な第1のセクション562と、隣接する半透明または不透明な第2のセクション564とを有する、パターンを有する透明な木材複合材560を形成することができる。例えば、図1Aについて上述したように、修飾木材553の微細構造に液体ポリマーまたはポリマー前駆体を浸漬させ、一定期間真空を適用することで、微細構造にポリマーを浸透させることができる。
図5Dは、透明な木材複合材を作製するための例示的なバッチ操作を示している。第2の段階566において、例えば図5Cにおける第2の段階536と同様の方法で、および/または図5Bにおける第2の段階506について上述したのと同様の方法で刷毛514またはその他の機構を用いた制御された量の酸化剤の塗布を介して、酸化剤が木材の連続した断片502の上部表面504全体に塗布され得る。代替的に酸化剤の塗布は、表面504または連続した断片502全体を酸化剤の浴に浸漬することで実施され得る。第3の段階568において、上部表面504全体が自然光源または人工光源からのUV照射518に曝露され得る。連続した断片502全体における酸化剤とUV照射の組み合わせは、(例えば、パターンなしに)すべての部分に光触媒酸化を生じさせる。このようにして段階570で得られた修飾木材572(例えば、フォトニック木材)は、全体としてin situでリグニン修飾されて、実質的に白色化している。一部の実施形態において、段階570における修飾木材572は、そのままの状態で、例えば、断熱材または光学的反射材として使用することができる。代替的に、一部の実施形態において、修飾木材572は、最終段階574においてさらなる処理に供される。例えば、木材572に屈折率整合ポリマーを浸透させて、透明な木材複合材576を形成することができる。例えば、図1Aについて上述したように、修飾木材572の微細構造に液体ポリマーまたはポリマー前駆体を浸漬させ、一定期間真空を適用することで、微細構造にポリマーを浸透させることができる。
一部の実施形態において、透明な木材複合材(パターンありなしに関わらず)は、半連続的または連続的な製造プロセスを用いて作製され得る。例えば、図6は、連続的な操作を採用する例示的な製造セットアップ600を示している。天然木材602は、丸太または円筒形の棒の形態であってもよく、その内腔は、紙面に垂直な方向に延在する。天然木材602は、回転旋盤604によって連続的に切断されて、例えば、その後の処理のために天然木材の連続的な薄い層606が分離され得る。天然木材層606は、製造プロセスの次のステップ、例えば、刷毛610またはその他の機構を用いた、制御された量の液体酸化剤612の表面塗布のためのステーション608へ搬送され得る。
ステーション608後に、木材層606は、例えば、UV曝露ステーション614などの次のステーションへ搬送され得る。UV曝露ステーション614は、人工光源616と、実質的に均一な光ビーム618で木材を照射するように設計された1つまたは複数の光学要素620(例えば、反射体)とを含むことができる。代替的に、一部の実施形態において、UV曝露ステーション614は、人工光源を使用するのではなく、自然日射を利用する。上述した実施例と同様に、木材内のUV曝露と酸化剤の組み合わせは、リグニン含有量を実質的に減少させることなく、リグニンをin situで修飾する、特にその発色団を除去する光触媒酸化をもたらす。一部の実施形態において、ステーション614のサイズおよびステーション614を通る木材層606の搬送速度は、所望のUV曝露時間(例えば、1~2時間)に対応してもよい。したがって、層606の一部がステーション614に入るときからポリマー浸透ステーション624を出るときまでの時間は、in situリグニン修飾のための曝露時間に対応することになる。
一部の実施形態において、ステーション614で得られた修飾木材622は、さらなる処理に供されることなく使用することができる。代替的に、一部の実施形態において、修飾木材622は、例えばポリマーステーション624などの次のステーションへさらに搬送され得る。これは、チャンバ628(例えば、真空チャンバ)内の液体ポリマーまたはポリマー前駆体626を含む。修飾木材622のセルロース系微細構造への浸透によって、透明な木材複合材630が形成される。
[製造例と実験結果]
[[第1の実施例:自然なパターンを有する透明な木材複合材]]
特に、セルロース系微細構造の整列したチャネルが主表面(例えば、透過する入射光に曝される表面)に対して垂直な方向に延在する半径方向(R)カットと、セルロース系微細構造の整列したチャネルが主表面と平行な方向に延在する縦方向(L)カットとを含む木材の2つの異なるカットに基づいて、自然なパターンを有する透明な木材複合材(美的外観が優れた木材とも呼ぶ)を作製した。早材(EW)セクションと晩材(LW)セクションとの間の色と密度のコントラストが顕著であるという観点から、ダグラスファーを選択した。図7Aに示すように、ダグラスファーのセルロース系微細構造は、EWセクションとLWセクションとの間の明確な境界を示していた。微細構造は、(図7Aおよび図7Cに示すような)LWセクションにおける側壁(例えば、厚さ15.7μm以下)および内腔と比較して、(図7Aおよび図7Bに示すように)EWセクションは、より薄い側壁(例えば、木材の半径方向と実質的に平行な平面における厚さが3.8μm以下)と、より大きい内腔(例えば、木材の半径方向と実質的に平行な平面における断面寸法を有する)とを有していた。木材の仮導管(例えば、図7Dに示す中空管状構造)の分布は、特定の木材セクションによって異なり、EWセクションは、約20μm~80μmの内腔直径範囲を有し(図7E参照)、LWセクションは、約5μm~35μmの内腔直径範囲を有していた(図7F)。したがって、異なる孔径分布は、EWおよびLWにおける異なる密度を示している。
脱リグニン効果の分析には、60mm×60mm×2mmのダグラスファーをRカットした連続した木材ブロックを使用した。酸性のNaClO(80%)溶液を使用して、バルク木材から着色成分(主にリグニンと抽出物)を除去した。NaClO粉末を脱イオン(DI)水に溶かし、酢酸を加えてpH値(4.6以下)を調整して、溶液を準備した。各木材の試料を沸騰したNaClO溶液に入れて、EWセクションが白色化するまで一定期間(例えば、2時間)待機した。その後、脱リグニンした木材の試料をDI水で少なくとも3回すすぎ、さらなる処理までエタノール中に保存した。自然なパターンを有する木材複合材を形成するために、エポキシ樹脂(例えば、Aeromarine Products社(カリフォルニア州サンディエゴ)による、透明で低粘度のシクロ脂肪族エポキシ系であるAeroMarine300/21エポキシ)を処理済み木材の試料に浸透させた。エポキシ樹脂を約24時間かけて固化させ、自然なパターンを有する木材複合材を得た。
沸騰したNaClO溶液に2時間程度浸漬することで、(例えば、EWとLWとの密度差に少なくとも部分的に基づく)EWセクションとLWセクションとの間で異なる(例えば、空間選択的な)脱リグニンを得ることができた。2時間の処理後に、EWセクションは、ほぼ完全に白色となり、LWセクションは、残存リグニンおよびその他の着色成分により色が保持された。空間選択的な脱リグニンの主な要因は、EWセクションとLWセクションの固有の構造の違いであり、これは、EWセクションにおいて隣接するLWセクションよりも溶液の拡散を速くさせた。沸騰したNaClO溶液に2時間浸漬した後に、各木材の試料の重量が約13.5%減少していた。しかしながら、天然木材のナノスケールおよびマクロスケールの特徴(例えば、セルロース系微細構造)は、実質的に維持されていた。LWセクションを完全に白色化するために、より長い処理時間(例えば、約10時間)が必要であり、これに伴って失われる重量も増加した(例えば、重量が約35%減少した)。より長い処理時間では、脱リグニンした木材の構造の完全性が十分に維持されず、EWセクション(例えば、284.6kg・m-3以下)とLWセクション(例えば、846kg・m-3)の明確な密度差、ならびにEWセクションおよびLWセクションの両方にリグニンがないことにより、機械的特性の悪化につながっていた。
空間選択的な脱リグニン後の軟材の骨格におけるリグニンの分布を評価するために、ラマン分光イメージングと頂点成分分析(VCA)とを組み合わせて使用した。図7Gは、天然木材および空間選択的な脱リグニンした木材の両方のEWおよびLWセクションについて得られたラマンスペクトルを示している。特に、図7Gは、芳香族C=C伸縮、コニフェリルアルコールC=C、C=O伸縮、およびC=C、芳香族C=C伸縮のC-Hバンドにそれぞれ帰属する、1598cm-1、1656cm-1、および1269cm-1(リグニン中のグアヤシル(G)単位のアリールOHおよびアリールOCH3のマーカーバンド)に位置するリグニン成分の特性バンドを示している。天然木材内のEWおよびLWセクションと比較すると、空間選択的に脱リグニンした木材のEWセクションの細胞壁の代表的なリグニンバンドはほとんど消失し、空間選択的に脱リグニンした木材のLWセクションの細胞壁の代表的なリグニンバンドは残存した。その一方で、それぞれのセルロースピーク(例えば、1095cm-1(C-O-C伸縮振動))は、NaClOによる処理後も比較的変化しないままであった。これらの結果から、空間選択的に脱リグニンした木材において、EWセクションのリグニンの大部分が除去され、LWセクションのリグニンがわずかに残ることで、連続した木材ブロックに自然なパターンが形成されることが分かる。
上述したものと同じ手順で、ダグラスファーを、環状のパターンではなく、直線状のパターンを有するようにLカットした連続した木材ブロック(図4Cの4分の1スライス切断を使用)を作製した。効率的な空間選択的な脱リグニンプロセスにより、優れた構造的完全性が付与され、また、Lカットした自然なパターンを有する透明な木材複合材の大規模生産が容易になった。例えば、320mm×170mm×0.6mmのLカットした自然なパターンを有する透明な木材複合材の連続した木材ブロックを作製したが、これは、脱リグニンした木材をフレームワークとする従来の透明木材の作製に比べて著しく大きい。Lカットした自然なパターンを有する透明な木材複合材は、光学的に透明であり、600nmにおける全透過率(例えば、EWセクションとLWセクションの両方から)は87%、光学ヘイズは65%であった。
Lカットした自然なパターンを有する透明な木材複合材は、浸透成功後には木材成長方向に沿って多量の整列したマイクロチャネルを示した。断面図において、LWセクションにおける内腔はEWセクションにおける内腔よりもはるかに小さいが、内腔は、すべて密になっていた。また、各セクションのチャネルおよび開口部は、ポリマー(例えば、エポキシ樹脂)で完全に満たされた。これは、セルロース系細胞壁とポリマー自体との間に強固な相互作用を生み出す接着剤の役割を果たしている。ラマン分光イメージングをさらに実施して、細胞の角(CC)、複合中間薄膜(CML)、細胞壁(CW)、および内腔を含む得られた木材の細胞における含浸ポリマーの分布を特定した。図7Hにおける対応するラマンスペクトルによれば、内腔内の強い信号のピークは、エポキシの結合伸縮、特に、640cm-1(芳香族C-H面外変形)、1001cm-1(ポリアミドアミン付加物、アミノ基)、および1608cm-1(芳香環呼吸様式)を示していた。CML/CCおよびCWでもポリマーの信号が検出されたことから、ポリマーが木材の細胞内に十分に浸透し、脱リグニン木材の骨格においてセルロースと強固な界面を形成していたと考えられる。
空間的に脱リグニンした木材の回想的な細胞構造は、固有の異方性機械的特徴をもたらした。例えば、Rカットした木材から形成された自然なパターンを有する透明な木材複合材は、Rカットした天然木材の引張強度(例えば、6.24MPa)と比較して著しく向上した引張強度(例えば、21.56MPa)を示し、Lカットした木材から形成された自然なパターンを有する透明な木材複合材は、さらに高い引張強度(例えば、91.95MPa)を示していた。Rカットした木材およびLカットした木材から形成された自然なパターンを有する透明な木材複合材の靭性は、それぞれ0.523MJ m-3および2.733MJ m-3であった。
また、自然なパターンを有する透明な木材複合材におけるEWセクションとLWセクションとの間のリグニン分布および細胞構造が不均一であるため、不均一な透過率になることがある。図7Iに示すように、Rカットした木材から形成された自然なパターンを有する透明な木材複合材のEWセクション(1~8)およびLWセクション(1’~8’)内の8か所を選択し、600nmにおける光透過率を測定した。LWセクションは、EWセクション(例えば、平均約86%)よりも低い透過率(例えば、平均約68%)を示していた。LWセクションにおけるより低い透過率値にもかかわらず、LWセクションは、可視光スペクトル(例えば、少なくとも600nm~700nm(両端含む)の波長)の光に関して、自然なパターンを有する透明な木材複合材の平均透過率をわずかに低下させるだけであった。
また、LWセクションにリグニンを保持することで、自然なパターンを有する透明な木材複合材に(例えば、200nm~400nm(両端含む)の範囲の波長に対して)独自のUV遮断能力を付与することができる。これは、脱リグニン処理のタイミングによって調整することができる。例えば、厚さ2mmの連続した木材ブロックを2時間未満の脱リグニン処理に供した場合、その後の透明な木材複合材は、UVC(200nm~275nm)およびUVB(275nm~320nm)スペクトルをほぼ100%、ならびにUVA(320nm~400nm)スペクトルをほとんど遮断することができた。しかしながら、脱リグニン処理時間を例えば9時間と長くすると図7Kに示すように、得られた透明な木材複合材のUVA遮断能力が著しく低下した。このような優れたUV遮断特性は、UV吸収能力を有するリグニン分子中にフェニルプロパン構造およびフェノール性水酸基が存在することに起因している。その結果、2時間の脱リグニン処理に供した連続した木材ブロックから形成された自然なパターンを有する透明な木材複合材は、200nm~400nmの範囲において良好なUV吸収率(例えば、80%以上)、600nmにおいて高い平均透明性(例えば、80%以上)、および可視波長に対する低い反射率(例えば、20%以下)という独自の組み合わせの特徴を示した。
また、自然なパターンを有する透明な木材複合材は、ぎらつき防止能力および導光能力を発揮していた。例えば、図7Lに示すように、自然なパターンを有する透明な木材複合材は、光を前方に大きく散乱させ、93%以下という光学的ヘイズをもたらしていた。透明な木材複合材は、天然木材の整列した微細構造を受け継いでいるので、屈折率整合ポリマー(例えば、エポキシ)が木材内腔を満たすと、光はマイクロチャネルに沿って伝播することができた。マイクロチャネルは、損失性導波路として機能し、これは、透明な木材複合材に上述したような特性を与える。
透明な木材複合材のパターンは、元の木材の連続した断片におけるEWおよびLWセクションの自然なパターンによって画定される。しかしながら、他のタイプのパターンは、透明な木材複合材の複数の層700を一緒に積み重ねることによって実現することができる。それらの層の各々は、同じ木から、同じ木材種(例えば、両方ともダグラスファーであるが異なる木)から、または異なる軟材(例えば、一方がモミで、他方がマツ)からのものであってよい。例えば、図7Mに示すように、アセンブリ704における格子パターンは、互いに対して回転したパターンを有する2つの(または3つ以上の)層700aおよび700bをスタック702に配置することによって形成することができる。高い透過率および本質的に優れた美的外観に基づき、この能力は、パターンを有する天井における潜在的な適用を可能にすることができる。
同時に、美的外観が優れた木材は、ガラスに比べて断熱性に優れているため、エネルギー効率も向上させることができる。例えば、天然パターンを有する透明な木材複合材は、半径方向(例えば、縦方向の成長方向に対して垂直な方向)に0.24W・m-1-1の熱伝導率を示す。これは、縦方向の成長方向の場合よりも低く(例えば、0.41W・m-1-1以下)、一般的な窓ガラスの等方的熱伝導率(例えば、1W・m-1-1以下)よりも低くなっている。このような低い熱伝導率と組み合わせた透明な木材複合材の異方性熱輸送は、エネルギー効率の高い建物でガラスを置き換えるのに有用である。
自然なパターンを有する透明な木材複合材を、透明度が高くヘイズの高い建材として使用することを実証するため、ガラスと透明な木材複合材を天窓とするモデルハウスを建設した。天窓に向けた外部白色光源を用いて、各モデルハウス内の各点における光強度を検出および比較した。ガラス天窓を採用したモデルハウスでは、最大光量(例えば56.8mW・cm-2)が最小光量(例えば、3.4mW・cm-2)の約17倍となり、照度が不均一になった。対照的に、透明な木材複合材天窓を採用したモデルハウスでは、最大光量が48.2mW・cm-2、最小光量が20.9mW・cm-2となり、より均一な拡散光分布となっていた。
また、自然なパターンを有する透明な木材複合材の耐候性については,3週間屋外に曝露し、光学特性および機械的特性を測定することで評価した。Rカットした木材から形成された透明な木材複合材では、曝露後の透過率は曝露前に比べてわずかに低下し、ヘイズは400nm~800nmの範囲の波長で94%~98%に増加した。Lカットした木材から形成された透明な木材複合材は、曝露後に透過率およびヘイズ特性が同様に変化した。美的外観が優れた木材-Lでも同様に、透過率とヘイズに同様の傾向が生じた。しかしながら、曝露は、透明な木材複合材のいずれのカット材の機械的特性にも影響を与えなかった。むしろ、透明な木材複合材の強度には、曝露による有意な劣化は認められず、この複合材が短期間の耐候性を有することが示された。
上述した実施例において、連続した木材の断片内の元の部分に基づく空間選択的な脱リグニンを利用するために軟材を使用した。硬材も軟材も基本的には適切であるが、硬材は導管と繊維からなる構造であり、軟材は主に仮導管からなる構造であるため、大きく異なる構造を有している。例えば、硬材の一種であるバスウッドは、細胞壁の厚さが5.8μmと実質的に均一であり、ダグラスファーのLWセクションの細胞壁の厚さに比べてはるかに薄い。また、バスウッド内の導管チャネルは、ダグラスファーの比較的狭い仮導管よりも内径が大きく、導管チャネルは、二峰性の細孔径分布を示す。その結果、バスウッドのEWおよびLWセクションの反応は実質的に同調して進行し、2時間の処理でほとんど見かけの木材パターンが保持されない。バルサ材(別のタイプの硬材であり、二峰性の細孔を持つため、溶液の拡散が実質的に均一)でも同様の結果が得られた。しかしながら、密度、気孔率、細胞壁の厚さ、内腔面寸法、またはこれらの任意の組み合わせにおいて実質的な差異を示し、その中の異なる天然に存在するセクション間で異なる溶液拡散または反応効率をもたらす硬材は、本開示の主題の実施形態に従って自然なパターンを有する透明な木材複合材を形成するために使用され得る。
[[第2の実施例:IN SITUリグニン修飾木材]]
連続した木材ブロック内の天然リグニンをUVアシスト光触媒酸化法によってin situで化学修飾し、修飾木材(in situリグニン修飾木材、リグニン修飾木材、またはフォトニック木材とも呼ぶ)を作製した。UVアシスト光触媒酸化プロセス中に、共役二重結合を切断し、リグニンの発色団を除去し、リグニンのバルク芳香族骨格を保持させた。これは、機械的強度を提供する。このように、修飾木材では、元の木材の大部分(例えば、80%以上)が保持されながら、発色団の除去により、固有の光学特性が付与された。特に、木材の光学特性を生成するために使用される先行技術における脱リグニン技術と比較して、修飾木材は、光学白色度(例えば、400nm~800nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対する反射率90%以上)、無傷のセルロース系微細構造、向上した機械的強度(例えば、20MPa以下の湿潤引張強度)、優れた水安定、および改善されたスケーラビリティ(例えば、最大2メートル)を示していた。
天然木材において、垂直方向に整列した木材チャネルにより、HとUV光が木材構造内に効率よく浸透し、7時間未満(例えば、UV光が入射する木材の断片の表面に垂直な方向の木材の連続した断片の厚みに応じて、1時間~6.5時間)で達成できる高速且つ綿密な脱色が実現できた。さらに、UV光照射と組み合わせたH印刷木材によって(例えば、Hを木材表面に塗布するための型として紙板彫刻を使用することで)、木材を選択的に脱色することができた。これにより、木材の連続した断片内にカスタムで所定のパターンと異なる光学特性を有する領域を直接生成することができた。
密度が低く、階層的な多孔質微細構造を有するため、修飾木材を準備するためにバルサ材を使用したが、その他の硬材または軟材を使用することもできる。まず、特に、連続した木材ブロックの試料を、10%NaOH溶液を添加した30%H溶液に浸漬して、バルサ材の試料をHで含浸させた。少量のアルカリは、バルサ材からの実質的なリグニンの除去を引き起こすことなく、Hの分解を加速させる役割を果たすことができた。次いで、H含浸したバルサ材の各試料を、人工光源(UVAバンド、20Wパワー)を用いて、試料が完全に白色化するまでUV照射に曝露した。例えば、天然バルサ材は、約2時間のUV曝露(H曝露との組み合わせ)により、茶色から完全に白色に変化した。対照的に、UV光なしにHを使用した場合、木材の色は黄色に変化した。なお、リグニンには、光に弱い発色団(キノン基や共役二重結合など)が多く、UV光のエネルギー的な光子を吸収して発色団ラジカルを生成しやすくなっている。そのため、光励起された発色団ラジカルは、の光触媒酸化分解を可能にし、天然木材の茶色い部分を除去することができる。その一方で、リグニンがUV照射に弱いにもかかわらず、UV光のみを照射しても木材の色は大きく変化しなかった。また、H処理とUV曝露を併用した場合、10時間のH曝露でも、天然バルサ材をHとUV曝露の組み合わせで達成できるほどの白色に修飾するには不十分であった。このことから、化学酸化剤だけでは木材を完全に漂白することはできないか、少なくとも化学酸化剤とUV曝露の組み合わせと同じ時間スケールでは漂白できないことがわかった。
また、HとUV曝露の組み合わせにより、木材のリグニンを大幅に除去することなく光学特性を修飾することができた。これにより、従来技術の脱リグニンと比較して、機械的強度を向上させることができた。修飾木材の成分含有量を酸加水分解法で測定し、酸不溶性リグニン(クラソンリグニン)を酸加水分解法で求めた。図8Aから、UVアシスト光触媒酸化処理において、処理時間の増加に伴い、正規化リグニン含有量がわずかに減少するのみであることがわかる。例えば、UVアシスト光触媒酸化の2時間後(試料を完全に白色化するのに十分な時間)に、修飾木材内のリグニン含有量は、19.29wt%であった。これは、天然バルサ材の出発材料内の元のリグニン含有量(例えば、23.5wt%)の82%以下に相当する。また、図8Bのフーリエ変換赤外線分光法(FTIR)スペクトルが示すように、修飾木材(フォトニック)は、1592cm-1、1505cm-1、および1430cm-1で吸光ピークを示していた。これにより、芳香族骨格リグニン構造が良好に保持されたことがわかる。
さらに、X線回析分光法(XDS)およびX線光電子分光法(XPS)を用いて、修飾木材の化学構造を分析した。X線回析法(XRD)パターンは、Rigaku Americas社による湾曲検出器を備えたRigaku Ultima III(動作管電圧40kV、管電流30mA、Cu Kα、λ=1.5406Å)を使用して収集した。図8Cに示すように、修飾木材内のセルロース結晶構造のXRDパターンは、16°と22.6°において回析ピークを示していた。これは、元のセルロースの結晶格子タイプI構造(CrI)を表し、UVアシスト光触媒酸化プロセスによって元の木材から結晶構造が変化していないことが確認できた。XPS実験では、ピーク位置をC1sの結合エネルギー284.6eVを基準として較正した。図8Dは、天然木材と修飾木材のC1sスペクトルを示している。フォトニック木材のXPSスペクトルは、出発材料と比較して、高いエネルギーシフトを有していた。計算された酸素/炭素(O/C)比は、UVアシスト光触媒酸化処理後に0.26から0.42に変化しており、修飾木材が酸素原子の割合が高く、炭素原子の割合が低いことが示された。これは、リグニン表面での酸化反応の発生によるO-C=OおよびC=O基の量が増加したためと考えられる。このことから、発色団の共役二重結合(C=C)が開き、非共役のカルボキシル基が形成されたと考えられる。
このような結果から、UVアシスト光触媒酸化が、リグニンの骨格をほとんど保持したまま、木材の白色化に加えて、リグニンをin situで発色団に修飾する効果を持つことが確認された。他の非in situリグニン修飾技術とは異なり、開示されている技術によって、天然リグニンのin situ修飾が可能になる。これは、フェニル骨格と酸素を含む枝からなり、一連のC-OおよびC-C結合によって結合している。このような無傷のリグニン構造は、光触媒酸化プロセス中のリグニン骨格構造を可能な限り保存しながら、その発色団を除去することを容易にする。
上述したように、天然木材は、直径数百マイクロメートル(100μm~300μm)の大きな導管チャネルと、直径数重マイクロメートル(20μm~50μm)の小さな繊維内腔を有することができる。これは、異なる範囲のサイズのピット(0.8μm~10μm)で修飾され得る。これらの階層的で相互接続された微細構造は、光触媒による酸化プロセスのための効率的な経路として機能し、Hの浸透とUV光の捕獲を促進し、効率的な相乗反応によって修飾木材を得ることができた。さらに、光触媒酸化プロセス後も、階層的な細孔を有する木材骨格構造を維持することができた。特に、修飾木材の細胞壁の厚さ(2.06μm以下)は、天然バルサ材の出発材料(2.09μm)と同様であった。比較のため、天然バルサ材を沸騰した化学溶液(例えば、酢酸を加えてpHを4.6以下に調整した5wt%NaClO水溶液)に完全に白色化するまで浸漬して、脱リグニンした木材を作製した。図8Fに示すように、このような脱リグニンした木材の細胞壁は、処理後に著しく薄くなり(1.46μm以下)、基礎となるセルロース系微細構造の微細構造に大きな変化を伴っていた。
修飾木材の厚さに対する処理の均一性を調べるため、修飾木材の連続した木材ブロック(38mm×30mm×9mm)の断面を縦方向の成長方向でとり、3つのセクション(UV曝露に供した木材ブロックの上面に隣接する3mm厚の部分に対応するセクション「I」、上面とは反対側の木材ブロックの下面に隣接する3mm厚の部分に対応するセクション「III」、およびセクションIとIIIとの間の3mm厚の部分に対応するセクション「II」)に分けた。3つのセクションの間に明らかな視覚的な違いは認められなかった。いずれも同じレベルの白色度を示し、木材がUVアシスト光触媒酸化によって一貫して脱色されたことが示された。また、3つのセクションの微視的構造も同様であり、無傷の木材の微細構造であることが示された。また、FTIR分析により、3つのセクションが同じ成分を持ち、リグニンのバルク構造を保持していることが示された。また、図8Eに示す反射率スペクトルは、3つのセクションがすべて可視光の高い反射率(90%~96%)を示したことを示している。特定の理論にとらわれることなく、修飾木材の均一な特性は、天然木材のチャネル構造によって可能となったO・/HOO・・の迅速な浸透と、木材の内部深くへのUV光の効率的な移動に起因すると考えられる。
脱リグニン化法と比較して、開示されている光触媒酸化技術は、多くの優れた特性を示した。まず、有毒なガスや液体を発生させずに水と酸素に分解する環境に優しい酸化剤であるHの使用は、(例えば、有害な塩素ガスを多量に発生する可能性のあるNaClO溶液を使用する)脱リグニン法よりも環境に優しいと考えられる。また、光触媒酸化に必要な処理時間が脱リグニンよりも実質的に短い場合がある。例えば、開示されている光触媒酸化は、厚さ5mmの木材ブロックを最短3.8時間で脱色(木材を白色化する)できるが、脱リグニン法では同様の脱色を得るには少なくとも6時間必要な場合がある。また、光触媒酸化プロセスは、リグニンのバルク芳香族構造を保持したまま選択的に発色団を除去することにより、脱リグニンに比べてリグニン含有量をより良好に保持することができる(82%対1.4%)。実際、処理後にリグニンの大部分を保持することで、図8Fに示すように、修飾木材は木材の元のセルロース系微細構造を保持することができる。対照的に、脱リグニンした木材の細胞壁は、大きな隙間と部分的なキンクを特徴とし、構造的な形態が損なわれる。
修飾木材の保存されたリグニンは、機械的強度を与える機械的バインダとして機能し、木材の解体を防止する。木材の試料を超純水に20分間浸漬し、試料表面の過剰な水分を除去した後、機械的試験を実施した。Tinius Olsen H5KT試験機を用いて天然木材、修飾木材、および脱リグニンした木材の試料の引張特性を測定した。引張試料の寸法は、約50mm×5mm×1.5mmであった。試料の長さ方向に沿って毎分5mmの試験速度で破断するまで試料を引き伸ばした。この湿潤条件下での修飾木材は、20MPaの引張強度(縦方向の成長方向に沿って)を示していた。これは、完全に脱リグニンした木材の引張強度(1MPa)の20倍であり、未修飾の天然木材の引張強度と本質的に同じである。この場合、修飾木材のin situ修飾リグニンがセルロース繊維をつなぎ合わせて、脱リグニンした木材に比べて木材の引張特性を向上させることができた。
Tinius Olsen H5KT試験機を用いてフォトニック木材と脱リグニンした木材の試料の圧縮特性を測定した。引張試料の寸法は、約20mm×10mm×10mmであった。木の成長方向に垂直な方向と平行な方向に沿って、毎分5mmの一定の試験速度で試料を圧縮した。修飾木材は、硬いリグニンに支えられて高い圧縮強度を示したが、脱リグニンした木材に圧力が加わると細胞壁が不可逆的に崩壊した。加圧解除後に、修飾木材は明らかな変形を起こすことなく回復した(圧縮後の厚さ変化Δh=1.5mm)。対照的に、脱リグニンした木材は回復することができず、高い圧縮変形が生じた(Δh=8.4mm)。また、木の成長方向と平行な方向に沿って、良好な状態で木材の試料に圧縮試験を実施した。同じ圧縮変位(1.6mm)で、脱リグニンした木材は細胞壁の崩壊を示したが、修飾木材は構造的な損傷を示さず、また、圧縮強度の著しい低下も見られなかった。
in situ修飾リグニンは、リグニンの芳香環の疎水性により、水に対するバリアとして機能し、修飾木材の水安定性を向上させることができた。天然木材ブロック、修飾木材ブロック、および脱リグニンされた木材ブロックを水中に入れ、水安定性試験を行った。この実験での木材の寸法は、4.5cm×4.5cm×0.45cmであった。天然木材、フォトニック木材、および脱リグニンした木材を同時に水に入れ、1分ごとに厚さを記録した。脱リグニンした木材にはより多くの水が吸収され、修飾木材よりも質量の変化が大きくなった。この場合、疎水性リグニンの遮蔽がないと、親水性の脱リグニンした木材の緩いセルロース繊維が水に対して敏感になった。その一方で、脱リグニンした木材による高い吸水率は、材料の厚さの変化をより明確にさせた。また、木材の一端をメチレンブルー(MB)溶液に入れた試料の吸水率を測定した。MBの吸水量は、脱リグニンした木材が最も高く、次いで修飾木材が高かった。これは、疎水性のリグニンがないため、脱リグニンした木材では水が浸透しやすいことを改めて示している。
水安定性を調べるために、試料を3週間水に浸したところ、脱リグニンした木材は完全に短繊維に分解したのに対し、修飾木材は明らかな変化なく形状を維持していた。リグニンを含まないため、水は脱リグニンした木材浸透し、アクセス可能で緩いセルロースの水素結合を破壊し、機械的性能を弱めた。その一方で、ミクロ繊維を架橋するリグニンの疎水性と結合性の役割により、水はセルロースの水素結合構造を壊すことができず、フォトニック木材の優れた水安定性とともに、機械的特性が改善された。
上述した作製例では、連続した木材ブロック全体を修飾したが、光触媒酸化技術を用いて、例えば、木材の自然なパターンとは無関係な所定の2次元または3次元パターンに従って、異なる特性を有する連続した木材ブロック内の隣接するセクションを形成することができる。特に、UV光と化学酸化剤(H)の両方が特定の処理時間内に脱色を達成するために使用されるので、木材の特定の部分への両者の制御された適用は、その結果として得られる特性を画定することができる。例えば、Hを、(例えば、彫刻された板紙型を使用して)特定のパターンで天然木材の表面に印刷(例えば、刷毛塗り、塗装、噴霧、または連続した木材ブロック全体を浸漬することなく表面に塗布)することができる。次いで、この表面をUV照射する。UVとHの両方を受けた木材のセクションが修飾され、一方のみを受けたかまたはどちらも受けなかった木材のセクションが未修飾となる。例えば、30%Hを用いて連続した木材ブロックの表面にパターンを印刷し、その後、表面をUV光に曝してパターンを有する修飾木材を形成した。図8Gおよび図8Hは、この技術を用いてそれぞれの連続した木材ブロックに形成されたチャイニーズノットパターンおよび星形パターンを示していた。ここで、セクション804、808、および812内のリグニンは、in situで修飾されて、そこから発色団が除去されて白色となり、セクション802、806、810mおよび814内のリグニンは、実質的に未修飾(例えば、リグニンの元の形態)であった。代替的に、Hを木材ブロック全体に適用し、その後、天然木材の表面を特定のパターンでUV照射することができる。したがって、天然木材は、この容易で持続可能な、大規模で低コストの相乗的光触媒酸化処理によって、オンデマンドパターニングでその表面を選択的に脱色することができる。
[[第3の実施例:透明な木材複合材]]
連続した木材ブロック内の天然リグニンをUVアシスト光触媒酸化法によってin situで化学修飾し、修飾木材を作製した。次いで、修飾木材に屈折率整合ポリマーを浸透させ、透明な木材複合材(in situリグニン修飾した透明な木材複合材、人工パターンを有する透明な木材複合材、または透明木材とも呼ぶ)を形成した。バルサ材の丸太を横方向および縦方向に切断して、木材スライス(0.6mm~3.5mm(両端含む)の厚さを有する)。各バルサ材スライスについて、Hの酸化効率を向上させるために、Hの刷毛塗り前に、微量のNaOH(10wt%の濃度で2ml~3ml)を上面(厚さ方向に対して垂直方向)に塗布(例えば、刷毛塗り)することができた。次いで、各木材スライスの上面にHを刷毛塗りし(30wt%の濃度で15ml以上、量は木材の厚さに依存)、その後、試料が完全に白色化するまで上面に光を照射した。修飾木材へのUV照射には、380nm~395nmの波長を発するUVランプを使用した。例えば、200mm×10mm×0.6mmの天然バルサ材の試料に15mlのH(濃度30wt%)を刷毛塗りし、その後、天然木材の色が完全に白色化するまで1時間UV光に曝した。このプロセスは、リグニン内の発色団を除去して、木材の色を茶色から白色に変化させた。次いで、処理済の木材の断片を5時間エタノールに浸漬して、残りの化学物質を除去し、その断片をトルエンに移動して木材内のエタノールを交換させた。続いて、処理済の木材の断片の各々を1.5時間真空で、エポキシ樹脂(例えば、Aeromarine Products社(カリフォルニア州サンディエゴ)による、透明で低粘度のシクロ脂肪族エポキシ系であるAeroMarine300/21エポキシ)に含浸した。最後に、エポキシ含浸した木材の試料を室温で保管し、エポキシを完全に硬化させた。
図9Aは、天然木材と比較した、リグニン修飾木材のFTIRスペクトルと、その後形成された透明木材を示している。約1595cm-1、1505cm-1、および1435cm-1の吸収率ピークは、リグニンの芳香族振動に起因するものである。これにより、in situリグニン修飾とその後のポリマー浸透により、リグニンの発色団が劣化しても芳香族骨格が維持されることが確認された。FTIRスペクトルにおける1734cm-1のピークは、ヘミセルロース(キシラン/グルコマンナン)のカルボキシル基に帰属し、1235cm-1のピークは、ヘミセルロースのウロン酸基またはリグニンとヘミセルロースのカルボキシル基のエステル結合に帰属することができる。天然木材と比較して、リグニン修飾木材の1734cm-1ピークの消失と1235cm-1のピーク強度の低下は、光触媒酸化処理によって天然木材のヘミセルロースが部分的に溶解/除去されたことを示している。
図9Bは、リグニン修飾木材およびその後形成された透明木材のリグニン含有量を、天然木材と比較したものである。天然木材およびリグニン修飾木材の試料のリグニン含有量は、それぞれ、23.5%以下および19.9%以下であった。このことから、光触媒による酸化処理後、リグニンの構造がほとんど保存されていることが確認された。保存されたリグニンは、リグニン修飾木材の機械的特性を強化するバインダとして機能し、透明な木材複合材を形成する際に、その後のポリマー浸透のための強固な木材骨格を提供することができる。
図9C~図9Eは、天然木材、リグニン修飾木材、および透明木材の走査型電子顕微鏡検査(SEM)による画像を示している。図9Cに示すように、天然木材は、3D階層的且つ相互接続された多孔質微細構造を示し、断面寸法(例えば、直径)が15μm~300μmの範囲のマイクロチャネル(例えば、内腔)を特徴とする。この独特の多孔質微細構造は、高速のH溶液の浸透/拡散と、木材のマイクロチャネル内の効率的なUV光の捕捉に有益であり、光触媒酸化プロセス中に光吸収性発色団を効率的に除去することができた。図9Dに示すように、リグニン修飾木材は、木材の多孔質微細構造を実質的に保持しており、リグニン修飾木材内のマイクロチャネルの断面寸法(例えば、直径)は、10μm~270μmの範囲である。図9Eに示すように、エポキシ樹脂は、リグニン修飾木材の孔に浸透することができる。これにより、光の産卵が抑制され、光透過率を向上させるのに役立つ、緻密でコンパクトな複合構造を形成することができる。
特に、半径方向/横方向(T)切断された木材(例えば、70mm×30mm×1.5mmのサイズを有する)から形成された透明木材と、縦方向(L)切断された木材(例えば、400mm×110mm×1mmのサイズを有する)から形成された透明木材は、いずれも優れた光学特性を示していた。図9Fは、天然木材および透明木材の200nm~2000nmの光透過率を示している。L方向およびT方向に沿った透明木材は、400nm~800nm(両端含む)の範囲の波長に対して90%以下の高い光透過率を有していた。対照的に、同じ範囲の天然木材は、より小さい光透過率を示していた(例えば、L方向で6%未満、T方向で36%未満)。光触媒酸化でリグニンの光吸収性発色団が除去されるため、透明木材にはほとんどすべての可視光が透過する。したがって、透明木材の吸収率は、図9Gに示すように、400nm~800nm(両端含む)の範囲の波長に対して0%に近づき、同範囲の天然木材の吸収率よりもはるかに低くなる。その一方で、セルロース系微細構造の保存により、透明木材は、高い透明性とともにヘイズ特性が向上した。例えば、図9Hは、L方向およびT方向に沿った透明木材の透過率ヘイズ値を示している。ここで、透明木材の各切断は、400nm~800nm(両端含む)の範囲の波長に対して、60%~80%の範囲のヘイズ値を示していた。
上述した実施例において、バルサ材を使用したが、あらゆるタイプの硬材または軟材から透明木材を作製することができる。実際、優れた光学透明性を有する透明木材が、異なる密度を有する他の木材種、特にオークやポプラからも作製できた。これは、このアプローチの普遍性を示唆している。また、透明木材は、元の木材の微細構造の整列したチャンネルを保持し、光の伝播をチャンネル方向に沿って導き、異方性光透過率を提供することができる。
上述したように、透明な木材複合材内のリグニンの保持は、その機械的特性を向上させることができる。天然木材と透明木材の引張方向を変えたときの機械的特性を測定した。天然木材のL方向およびT方向に沿った引張強度は、それぞれ、24.5MPaおよび0.7MPaであり、L透明木材およびT透明木材の試料の引張強度は、それぞれ、46.2MPaおよび31.4MPaであった(これは、それぞれの天然木材切断時の1.8倍および44.8倍の強度向上に対応する)。また、L透明木材およびT透明木材は、天然木材(L:0.263MJ m-3、T:0.033MJ m-3)と比較して、0.933MJ m-3および1.643MJ m-3という有意な靭性の向上を示した。L透明木材の靭性は、T透明木材の靭性よりも低く、これは、L試料の破断伸度が小さいためである(3.4%<7.4%)。高い機械的強度の恩恵を受けて、透明木材は非常に柔軟であり、90o超の角度(例えば、最大180o)で曲げても破断することはなかった。
従来の溶液ベースの脱リグニン法では、木材ブロック全体を化学溶液に浸漬させるため、材料の選択的な領域を漂泊することは困難であった。対照的に、液体酸化剤の表面塗布(例えば、木材へのHの刷毛塗り)とUV光照射を組み合わせることにより、木材の試料の指定された領域の選択的なin situリグニン修飾が可能になる。これにより、木材の下にある自然なパターンとは無関係に、固有の所定のパターンを有する透明な木材複合材の準備が可能になる。特に、連続した木材ブロックにおいて、リグニン修飾領域および未修飾(例えば、天然リグニン)領域を画定するために選択的且つ正確にパターンを形成し、次いで、連続した木材ブロックにポリマーを浸透させることで、パターンを有する透明な木材複合材を形成することができる。ポリマー浸透した連続した木材ブロックにおいて、リグニン修飾領域は、比較的高い光透過率(例えば、可視波長で90%以下)を示し、未修飾領域は、天然木材と同様の光透過率(例えば、可視波長で6%~36%)を示していた。
パターンを有する透明な木材複合材を形成するために、まず、「インク」として天然木材の試料の表面に刷毛で所望のパターンを描いた。次いで、木材の表面にUV光を照射して、刷毛塗りされた表面の下の領域を白色化した。次いで、リグニン修飾木材のマイクロチャネルにエポキシ樹脂を浸透させて、所望のパターンを有する透明な木材複合材を得た。例えば、図9Iは、上述した方法で陰陽記号の形のパターンを有する透明なL木材複合材900を示している。セクション902内のリグニンは、in situで修飾されてその中から発色団が除去されて白色となり、セクション904は、実質的に未修飾(例えば、リグニンの元の形態)であった。ポリマーを浸透させることで、セクション902を透明にし、セクション904を実質的に不透明のままとすることができる。
上述した実施例において、人工UV光源を採用しているが、UV光源として太陽光を使用することもできる。太陽から放射されるUV光(100nm~400nm)のうち、地表に到達する波長の95%以上はUVA領域(例えば、315nm~400nm)であり、この波長は所望の光触媒効果を発揮するのに有効である。例えば、太陽光線(グローバル太陽UVインデックス:7~8)を用いると、バルサ材の3つの大きな断片(長さ1m)がわずか1時間の曝露でin situリグニン修飾された。その後、ポリマーを浸透させることで、白色化した修飾木材セクションを透明度の高い木材複合材セクションにした。
[開示されている技術の追加の実施例]
本開示の主題の上述した実装例を鑑みて、本願は、以下の付記において追加の実施例を開示する。なお、単独の付記の1つの特徴、または付記を組み合わせて2つ以上の特徴、および任意選択で、1つまたは複数のさらなる付記の1つまたは複数の特徴との組み合わせも、本願の開示に含まれる実施例であることに留意されたい。
[付記1]
ポリマーが浸透した化学修飾された連続した木材ブロックを含む材料であって、
化学修飾された木材は、自然な状態の木材のセルロース系微細構造を保持し、ポリマーは、セルロースの屈折率と実質的に一致する屈折率を有し、微細構造内の空きスペースを埋め、
連続した木材ブロックは、第1のセクションと、第1のセクションに隣接する第2のセクションと、を有し、
第1のセクションおよび第2のセクションのうちの少なくとも一方は、第1のセクションのリグニン特性が第2のセクションのリグニン特性と異なるように、化学修飾され、
第1のセクションは、600nmの波長を有する光に対して実質的に透明であり、
第2のセクションは、600nmの波長を有する光に対して半透明または不透明である、
材料。
[付記2]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1に記載の材料であって、リグニン特性は、リグニン含有量を意味し、第1のセクションは、第2のセクションよりも低いリグニン含有量を有する、材料。
[付記3]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1または2に記載の材料であって、自然な状態の木材は、軟材である、材料。
[付記4]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1~3のいずれか1項に記載の材料であって、第1のセクションは、可視光スペクトル(例えば、380nm~750nm)内で一部の波長またはすべての波長に対して実質的に透明であり、第2のセクションは、可視光スペクトル(例えば、380nm~750nm)内一部の波長またはすべての波長に対して半透明または不透明である、材料。
[付記5]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1~4のいずれか1項に記載の材料であって、第1のセクションは、600nmの波長を有する光に対して少なくとも85%の透過率を有し、第1のセクションは、可視光スペクトル(例えば、380nm~750nm)内で一部またはすべての波長に対して少なくとも80%の透過率を有し、第2のセクションは、可視光スペクトル(例えば、380nm~750nm)内で一部またはすべての波長に対して70%以下の透過率を有し、第2のセクションは、600nmの波長を有する光に対して60%以下の透過率を有し、またはこれらの任意の組み合わせを含む、材料。
[付記6]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1~5のいずれか1項に記載の材料であって、第1のセクションにおけるリグニン除去量は、第2のセクションにおけるリグニン除去量よりも大きい、材料。
[付記7]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1~7のいずれか1項に記載の材料であって、第1のセクションは、自然な状態の木材のリグニンを10%以下有し、第2のセクションは、自然な状態の木材のリグニンを少なくとも25%(例えば、少なくとも35%、または少なくとも50%)有する、材料。
[付記8]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1~7のいずれか1項に記載の材料であって、第1のセクションのリグニン含有量は、3wt%以下である、材料。
[付記9]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1~8のいずれか1項に記載の材料であって、第1のセクションのリグニン含有量は、1wt%以下である、材料。
[付記10]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1~9のいずれか1項に記載の材料であって、第2のセクションのリグニン含有量は、7.5wt%以上である、材料。
[付記11]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1~10のいずれか1項に記載の材料であって、第2のセクションのリグニン含有量は、12.5wt%以上である、材料。
[付記12]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1~11のいずれか1項に記載の材料であって、第1のセクションは、化学修飾によって自然な状態の木材のリグニンの90%以上が除去され、第2のセクションは、化学修飾によって自然な状態の木材のリグニンの75%以下が除去される、材料。
[付記13]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1~12のいずれか1項に記載の材料であって、第2のセクションは、化学修飾によって自然な状態の木材のリグニンの65%以下(例えば、50%以下)が除去される、材料。
[付記14]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1~13のいずれか1項に記載の材料であって、連続した木材ブロックは、200nm~400nm(両端含む)の範囲の波長を有する光の一部またはすべてに対して20%以下の透過率を有する、材料。
[付記15]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1~14のいずれか1項に記載の材料であって、連続した木材ブロックは、600nmの波長を有する光に対して少なくとも50%のヘイズを示す、材料。
[付記16]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1~15のいずれか1項に記載の材料であって、連続した木材ブロックは、400nm~600nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して少なくとも65%のヘイズを示し、または連続した木材ブロックは、400nm~600nm(両端含む)の範囲の波長の一部またはすべてに対して少なくとも65%のヘイズを示す、材料。
[付記17]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1~16のいずれか1項に記載の材料であって、第1のセクションは、自然な状態の木材の早材領域に対応し、第2のセクションは、自然な状態の木材の晩材領域に対応する、材料。
[付記18]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1~17のいずれか1項に記載の材料であって、
第1のセクションは、第1の密度を有し、第1のセクション内のセルロース系微細構造は、第1の細胞壁によって画定される第1の内腔を有し、第1の内腔は、第1の平均断面寸法を有し、第1の細胞壁は、第1の平均厚さを有し、
第2のセクションは、第2の密度を有し、第2のセクション内のセルロース系微細構造は、第2の細胞壁によって画定される第2の内腔を有し、第2の内腔は、第2の平均断面寸法を有し、第2の細胞壁は、第2の平均厚さを有し、
第2の密度は、第1の密度よりも大きく、第1の平均断面寸法は、第2の平均断面寸法よりも大きく、第1の平均厚さは、第2の平均厚さよりも小さく、または
これらの任意の組み合わせである、材料。
[付記19]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1~18のいずれか1項に記載の材料であって、セルロース系微細構造は、細胞壁によって画定された内腔を有し、内腔は、自然な状態の木材の縦方向の成長方向に沿って延在し、細胞壁を形成するセルロースナノ繊維は、自然な状態の木材の縦方向の成長方向および半径方向に対して実質的に垂直な方向に延在する、材料。
[付記20]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記19に記載の材料であって、連続した木材ブロックの半径方向に実質的に沿った引張強度は、自然な状態の木材の引張強度の少なくとも3倍である、材料。
[付記21]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記19または20に記載の材料であって、連続した木材ブロックの半径方向に実質的に沿った引張強度は、少なくとも20MPaである、材料。
[付記22]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記19~21のいずれか1項に記載の材料であって、連続した木材ブロックの縦方向の成長方向に実質的に沿った引張強度は、少なくとも60MPaである、材料。
[付記23]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記19~22のいずれか1項に記載の材料であって、連続した木材ブロックの縦方向の成長方向に実質的に沿った引張強度は、少なくとも80MPaである、材料。
[付記24]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1に記載の材料であって、リグニン特性は、リグニンの発色団状態を含み、第1のセクションの発色団状態は、自然な状態の木材の発色団状態から変化しており、第2のセクションにおけるリグニンは、自然な状態の木材の発色団状態を保持する、材料。
[付記25]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記24に記載の材料であって、変化した発色団状態は、酸化を介してリグニンから発色団を除去することを含む、材料。
[付記26]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記24または25に記載の材料であって、自然な状態の木材は、硬材または軟材である、材料。
[付記27]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記24~26のいずれか1項に記載の材料であって、第1のセクションは、可視光スペクトル(例えば、380nm~750nm)内で一部の波長またはすべての波長に対して実質的に透明であり、第2のセクションは、可視光スペクトル(例えば、380nm~750nm)内で一部の波長またはすべての波長に対して不透明である、材料。
[付記28]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記24~27のいずれか1項に記載の材料であって、第1のセクションは、600nmの波長を有する光に対して少なくとも85%の透過率を有し、第1のセクションは、可視光スペクトル(例えば、380nm~750nm)内で一部の波長またはすべての波長に対して少なくとも80%の透過率を有し、第2のセクションは、可視光スペクトル(例えば、380nm~750nm)内で一部の波長またはすべての波長に対して60%以下の透過率を有し、第2のセクションは、600nmの波長を有する光に対して50%以下の透過率を有し、またはこれらの任意の組み合わせである、材料。
[付記29]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記24~28のいずれか1項に記載の材料であって、第1のセクションは、400nm~800nm(両端含む)の範囲の波長の一部またはすべてに対して90%以上の透過率を有する、材料。
[付記30]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記24~29のいずれか1項に記載の材料であって、第1のセクションおよび第2のセクションの両方は、自然な状態の木材のリグニンの少なくとも70%を有する、材料。
[付記31]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記24~30のいずれか1項に記載の材料であって、第2のセクションのリグニン含有量は、第1のセクションのリグニン含有量よりも大きい、材料。
[付記32]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記24~31のいずれか1項に記載の材料であって、第1のセクションのリグニン含有量、第2のセクションのリグニン含有量、または第1のセクションおよび第2のセクションの両方のリグニン含有量は、少なくとも15wt%である、材料。
[付記33]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記24~32のいずれか1項に記載の材料であって、第1のセクションおよび第2のセクションは、化学修飾によって自然な状態の木材のリグニンの30%以下が除去される、材料。
[付記34]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記24~33のいずれか1項に記載の材料であって、連続した木材ブロックは、200nm~350nm(両端含む)の範囲の波長の一部またはすべてに対して20%以下の透過率を有する、材料。
[付記35]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記24~34のいずれか1項に記載の材料であって、連続した木材ブロックは、200nm~350nm(両端含む)の範囲の光の波長の一部またはすべてに対して少なくとも80%の吸収率を有する、材料。
[付記36]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記24~35のいずれか1項に記載の材料であって、連続した木材ブロックは、600nmの波長を有する光に対して少なくとも50%のヘイズを示す、材料。
[付記37]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記24~36のいずれか1項に記載の材料であって、連続した木材ブロックは、400nm~800nm(両端含む)の範囲の光の波長の一部またはすべてに対して少なくとも60%のヘイズを示し、または連続した木材ブロックは、400nm~800nm(両端含む)の範囲の光の波長の一部またはすべてに対して少なくとも65%のヘイズを示す、材料。
[付記38]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記24~37のいずれか1項に記載の材料であって、第1のセクションおよび第2のセクションは、自然な状態の木材の下にあるセルロース系微細構造とは独立した所定のパターンを有する、材料。
[付記39]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記24~38のいずれか1項に記載の材料であって、セルロース系微細構造は、細胞壁によって画定される内腔を有し、内腔は、自然な状態の木材の縦方向の成長方向に沿って延在し、細胞壁を形成するセルロースナノ繊維は、自然な状態の木材の縦方向の成長方向および半径方向に対して実質的に垂直な方向に延在する、
[付記40]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記39に記載の材料であって、
連続した木材ブロックの半径方向に実質的に沿った引張強度は、自然な状態の木材の引張強度の少なくとも40倍であり、
連続した木材ブロックの縦方向の成長方向に実質的に沿った引張強度は、自然な状態の木材の引張強度の少なくとも1.5倍であり、
連続した木材ブロックの半径方向に実質的に沿った引張強度は、少なくとも25MPaであり、
連続した木材ブロックの縦方向の成長方向に実質的に沿った引張強度は、少なくとも40MPaであり、または
これらの任意の組み合わせである、
材料
[付記41]
自然な状態の木材内のリグニンの発色団が変化または除去されるように化学修飾された木材のセクションを含む材料であって、
セクションは、自然な状態の木材のリグニンの少なくとも70%と、自然な状態の木材のセルロース系微細構造を保持する、
材料。
[付記42]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記41に記載の材料であって、セクションのリグニン含有量は、少なくとも15wt%である、材料。
[付記43]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記41または42に記載の材料であって、セクションは、自然な状態の木材のリグニンの少なくとも80%を有する、材料。
[付記44]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記41~43のいずれか1項に記載の材料であって、
セクションの直交する3つの寸法の各々は、0.5mm以上であり、
セクションの直交する3つの寸法の各々は、1cm以上であり、
セクションの直交する3つの寸法のうちの少なくとも2つは、10cm以上であり、
セクションの直交する3つの寸法のうちの少なくとも1つは、20cm以上であり、または
これらの任意の組み合わせである、
材料。
[付記45]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記41~44のいずれか1項に記載の材料であって、セクションは、連続した木材ブロック全体を含む、材料。
[付記46]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記41~44のいずれか1項に記載の材料であって、
セクションは、連続した木材ブロックの第1のセクションを含み、
材料は、第1のセクションに隣接する連続した木材ブロックの第2のセクションを含み、
第2のセクション内のリグニンは、自然な状態の木材の発色団状態を保持する、
材料。
[付記47]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記45または46に記載の材料であって、連続した木材ブロックは、本質的に木材からなる、材料。
[付記48]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記41~47のいずれか1項に記載の材料であって、セクションは、400nm~800nm(両端含む)の範囲の光の波長の一部またはすべてに対して90%以上の反射率を有する、材料
[付記49]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記41~48のいずれか1項に記載の材料であって、セクションは、実質的に白色である、材料。
[付記50]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記41~48のいずれか1項に記載の材料であって、セクションは、セルロース系微細構造に浸透するポリマーをさらに含み、ポリマーは、セルロースの屈折率と実質的に一致する屈折率を有し、微細構造内の空きスペースを埋め、セクションは、600nmの波長を有する光に対して実質的に透明である、材料。
[付記51]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記50に記載の材料であって、セクションは、可視光スペクトル(例えば、380nm~750nm)内で一部またはすべての波長に対して実質的に透明である、材料。
[付記52]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記50または51に記載の材料であって、セクションは、
600nmの波長を有する光に対して少なくとも80%の透過率、
400nm~800nm(両端含む)の範囲の光の波長の一部またはすべてに対して90%以上の透過率、
200nm~350nm(両端含む)の範囲の光の波長の一部またはすべてに対して20%以下の透過率、
200nm~350nm(両端含む)の範囲の光の波長の一部またはすべてに対して少なくとも80%の吸収率、
600nmの波長を有する光に対して少なくとも65%のヘイズ、
400nm~800nm(両端含む)の範囲の光の波長の一部またはすべてに対して少なくとも50%(例えば、少なくとも60%または少なくとも65%)のヘイズ、または
これらの任意の組み合わせである、
材料。
[付記53]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記50~52のいずれか1項に記載の材料であって、セクションは、本質的に木材と浸透ポリマーからなる、材料。
[付記54]
連続した木材ブロックを第1の時間化学処理に供し、木材のセルロース系微細構造を実質的に保持しながら、連続した木材ブロック内の第1のセクションおよび第2のセクションからリグニンを除去するステップであって、第1のセクションは、第2のセクションに隣接し、第1の時間は、第1のセクション内の木材のリグニンの少なくとも90%が除去され、第2のセクション内のリグニンの75%以下(例えば、65%以下、または50%以下)が除去されるように選択される、ステップと、
連続した木材ブロックにポリマーを浸透させて、第1のセクションおよび第2のセクションの保持されたセルロース系微細構造内の空きスペースを埋めるステップであって、ポリマーは、セルロースの屈折率と実質的に一致する屈折率を有する、ステップと、
を含む方法であって、
浸透のステップの後に、第1のセクションは、600nmの波長を有する光に対して実質的に透明であり、第2のセクションは、600nmの波長を有する光に対して半透明である、
方法。
[付記55]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記54に記載の方法であって、木材は、軟材である、方法。
[付記56]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記54または55に記載の方法であって、浸透のステップの後に、第1のセクションは、600nmの波長を有する光に対して少なくとも85%の透過率を有し、第1のセクションは、可視光スペクトル(例えば、380nm~750nm)内で波長の一部またはすべてに対して少なくとも80%の透過率を有し、第2のセクションは、可視光スペクトル(例えば、380nm~750nm)内で波長の一部またはすべてに対して70%以下の透過率を有し、第2のセクションは、600nmの波長を有する光に対して60%以下の透過率を有し、またはこれらの任意の組み合わせである、方法。
[付記57]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記54~56のいずれか1項に記載の方法であって、供するステップの後に、第1のセクションのリグニン含有量は、3wt%以下である、方法。
[付記58]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記54~57のいずれか1項に記載の方法であって、供するステップの後に、第1のセクションのリグニン含有量は、1wt%以下である、方法。
[付記59]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記54~58のいずれか1項に記載の方法であって、供するステップの後に、第2のセクションのリグニン含有量は、7.5wt%以上である、方法。
[付記60]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記54~59のいずれか1項に記載の方法であって、供するステップの後に、第2のセクションのリグニン含有量は、12.5wt%以上である、方法。
[付記61]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記54~60のいずれか1項に記載の方法であって、第1のセクション、自然な状態の木材の早材領域に対応し、第2のセクションは、自然な状態の木材の晩材領域に対応する、方法。
[付記62]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記54~61のいずれか1項に記載の方法であって、化学処理は、亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の溶液を含む、方法。
[付記63]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記54~62のいずれか1項に記載の方法であって、化学処理は、亜塩素酸ナトリウム(NaClO)と酢酸の溶液を含む、方法。
[付記64]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記63に記載の方法であって、溶液は、供している間は沸騰している、方法。
[付記65]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記54~64のいずれか1項に記載の方法であって、第1の時間は、5時間未満であるか、実質的に5時間に等しい、方法。
[付記66]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記54~65のいずれか1項に記載の方法であって、第1の時間は、2時間以下である、方法。
[付記67]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記54~66のいずれか1項に記載の方法であって、浸透のステップは、
連続した木材ブロックを液体ポリマーまたはポリマー前駆体に浸漬させるステップと、
真空を適用して、液体ポリマーまたはポリマー前駆体をセルロース系微細構造内に流すステップと、
液体ポリマーを乾燥させるか前駆体を重合させて、連続した木材ブロックの微細構造内に固体ポリマーをin situで形成するステップと、
を含む、方法。
[付記68]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記67に記載の方法であって、浸透のステップは、乾燥中または重合中に、連続した木材ブロックをプレスするステップをさらに含む、方法。
[付記69]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記54~68のいずれか1項に記載の方法であって、ポリマーは、エポキシ樹脂を含む、方法。
[付記70]
連続した木材ブロックのセクションの外面に第1の量の液体酸化剤を塗布するステップと、
塗布のステップ中またはその後に、連続した木材ブロックのセクションを紫外線(UV)に曝露するステップと、
を含む方法であって、
セクション内のリグニンの発色団は、液体酸化剤の存在下でのUV曝露により、in situで化学酸化および除去され、
曝露のステップの後に、木材のセルロース系微細構造および前記塗布のステップの前のセクション内のリグニンの少なくとも70%が保持される、
方法。
[付記71]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記70に記載の方法であって、液体酸化剤は、過酸化水素(H)の溶液を含む、方法。
[付記72]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記71に記載の方法であって、溶液中の過酸化水素の濃度は、少なくとも30wt%である、方法。
[付記73]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記70~72のいずれか1項に記載の方法であって、曝露のステップの後に、セクションのリグニン含有量は、少なくとも15wt%である、方法。
[付記74]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記70~73のいずれか1項に記載の方法であって、セクションの外面は、表面領域を有し、第1の量は、表面領域の少なくとも800ml/mである、方法。
[付記75]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記70~74のいずれか1項に記載の方法であって、セクションは、外面に対して垂直な方向に厚さを有し、第1の量は、厚さ0.1mmあたりの表面積1平方メートルあたり少なくとも125mlである、方法。
[付記76]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記70~75のいずれか1項に記載の方法であって、第1の量は、セクションの体積の1.5倍よりも少なく、または第1の量は、1倍~5倍(両端含む)の範囲である、方法。
[付記77]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記70~76のいずれか1項に記載の方法であって、塗布のステップの前またはそれと同時に、連続した木材ブロックのセクションの外面に第2の量のアルカリを塗布するステップを含む、方法。
[付記78]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記77に記載の方法であって、第2の量は、第1の量の20%以下である、方法。
[付記79]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記77または78に記載の方法であって、第2の量は、3ml以下である、方法。
[付記80]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記77~79のいずれか1項に記載の方法であって、アルカリは、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化アンモニウム(NHOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、またはこれらの任意の組み合わせを含む、方法。
[付記81]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記77~80のいずれか1項に記載の方法であって、溶液中のアルカリの濃度は、少なくとも10wt%である、方法。
[付記82]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記70~81のいずれか1項に記載の方法であって、塗布のステップは、第1の量の液体酸化剤に連続した木材ブロックを浸漬するステップを含む、方法。
[付記83]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記70~81のいずれか1項に記載の方法であって、塗布のステップは、連続した木材ブロックを浸漬することなく、外面への直接塗布を含む、方法。
[付記84]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記83に記載の方法であって、塗布のステップは、第1の量を達成するために複数回の分割塗布を含む、方法。
[付記85]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記83または84に記載の方法であって、直接塗布は、刷毛塗り、噴霧、圧延、またはこれらの任意の組み合わせを含む、方法。
[付記86]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記83~85のいずれか1項に記載の方法であって、塗布のステップは、セクションに隣接する連続した木材ブロックの第2のセクションに液体酸化剤を塗布することなく、所定のパターンで外面に第1の量を塗布するステップを含む、方法。
[付記87]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記86に記載の方法であって、曝露のステップの後に、第2のセクションは、セクションのリグニン含有量よりも大きいリグニン含有量を有する、方法。
[付記88]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記86または87に記載の方法であって、曝露のステップの後に、セクションは、実質的に白色であり、第2のセクションは、非白色である、方法。
[付記89]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記86~88のいずれか1項に記載の方法であって、塗布のステップの前に、外面に疎水性材料を配置して、所定のパターンの境界を画定するステップをさらに含む、方法。
[付記90]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記89に記載の方法であって、疎水性材料は、ワセリンを含む、方法。
[付記91]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記70~90のいずれか1項に記載の方法であって、曝露のステップは、所定のパターンを有するマスクを使用して、セクションに隣接する連続した木材ブロックの第2のセクションを照射することなく、セクションを照射するステップを含む、方法。
[付記92]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記91に記載の方法であって、曝露のステップの後に、第2のセクションは、セクションのリグニン含有量よりも大きいリグニン含有量を有する、方法。
[付記93]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記91または92に記載の方法であって、曝露のステップの後に、セクションは、実質的に白色であり、第2のセクションは、非白色である、方法。
[付記94]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記70~93のいずれか1項に記載の方法であって、
曝露のステップの後に、連続した木材ブロックにポリマーを浸透させて、セクションの保持されたセルロース系微細構造内の空きスペースを埋めるステップであって、ポリマーは、セルロースの屈折率と実質的に一致する屈折率を有する、ステップ
をさらに含み、
浸透のステップの後に、セクションは、600nmの波長を有する光に対して実質的に透明である、
方法。
[付記95]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記94に記載の方法であって、浸透のステップは、
連続した木材ブロックを液体ポリマーまたはポリマー前駆体中に浸漬するステップと、
真空を適用して、液体ポリマーまたはポリマー前駆体をセルロース系微細構造内に流すステップと、
液体ポリマーを乾燥させるか前駆体を重合させて、連続した木材ブロックの微細構造内に固体ポリマーをin situで形成するステップと、
を含む、方法。
[付記96]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記94~95に記載の方法であって、ポリマーは、エポキシ樹脂を含む、方法。
[付記97]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記94~96のいずれか1項に記載の方法であって、浸透のステップの後に、セクションは、
600nmの波長を有する光に対して少なくとも90%の透過率、
400nm~800nm(両端含む)の範囲の光の波長の一部またはすべてに対して少なくとも80%の透過率、
400nm~800nm(両端含む)の範囲の光の波長の一部またはすべてに対して少なくとも90%の透過率、
光の波長の一部またはすべてに対して少なくとも80%の透過率、
200nm~350nm(両端含む)の範囲の光の波長の一部またはすべてに対して20%以下の透過率、
200nm~350nm(両端含む)の範囲の光の波長の一部またはすべてに対して少なくとも80%の吸収率、
600nmの波長を有する光に対して少なくとも50%のヘイズ、
400nm~800nm(両端含む)の範囲の光の波長の一部またはすべてに対して少なくとも65%のヘイズ、または
これらの任意の組み合わせを含む、
方法。
[付記98]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記70~97のいずれか1項に記載の方法であって、UV照射は、少なくとも20WのUVA帯の放射線を発生する人工光源からのものである、方法。
[付記99]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記70~97のいずれか1項に記載の方法であって、UV照射は、少なくとも5のUVインデックス(UVI)での太陽光である、方法。
[付記100]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記70~99のいずれか1項に記載の方法であって、曝露の時間は、2時間以下である、方法。
[付記101]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記70~99のいずれか1項に記載の方法であって、曝露の時間は、1時間以下である、方法。
[付記102]
(a)連続した木材ブロックのセクションを光触媒で酸化させて、セクション内の天然リグニンをin situで化学修飾し、そのバルク芳香族骨格を維持しながら、その発色団を除去するステップ含む、
方法。
[付記103]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記102に記載の方法であって、
(a)の前に、セクションは、第1のリグニン含有量を有し、
(a)の後に、セクションは、第2のリグニン含有量を有し、
第2の含有量は、第1の含有量の少なくとも70%であり、
(a)の前に、セクションは、第1のリグニン含有量を有し、
(a)の後に、セクションは、第2のリグニン含有量を有し、
第2の含有量は、第1の含有量の少なくとも70%である、
方法。
[付記104]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記103に記載の方法であって、第2のリグニン含有量は、少なくとも15wt%である、方法。
[付記105]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記102~104のいずれか1項に記載の方法であって、(a)の後に、セクションが実質的に白色になる、方法。
[付記106]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記102~105のいずれか1項に記載の方法であって、(a)の後に、セクションは、400nm~800nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して少なくとも85%の反射率を有する、方法。
[付記107]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記102~106のいずれか1項に記載の方法であって、
(b)(a)の後に、連続した木材ブロックを屈折率整合ポリマーに浸透して、セクションを実質的に透明にするステップ
をさらに含む、方法。
[付記108]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記107に記載の方法であって、(b)の後に、
セクションは、400nm~800nm(両端含む)の範囲の光の波長の一部またはすべてに対して少なくとも85%の透過率を有し、または
セクションは、400nm~800nm(両端含む)の範囲の光の波長の一部またはすべてに対応して少なくとも65%のヘイズを有し、または
これらの両方である、
方法。
[付記109]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記102~108のいずれか1項に記載の方法であって、光触媒酸化は、過酸化水素と紫外線照射の組み合わせを含む、方法。
[付記110]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記109に記載の方法であって、過酸化水素は、連続した木材ブロックの溶液への浸漬なしに、セクションの外面に塗布される、方法。
[付記111]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記102~110のいずれか1項に記載の方法であって、(a)中に、連続した木材ブロックの別のセクションは光触媒酸化に供されず、セクションおよび別のセクションは、所定のパターンを構成する、方法。
[付記112]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の方法、特に付記111に記載の方法であって、(a)中に、過酸化水素と紫外線のうちの一方が別のセクションに適用される、方法。
[付記113]
本明細書に記載の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記54~112のいずれか1項に記載の材料。
[付記114]
本明細書の付記または実施例のいずれかに記載の材料、特に付記1~53および113のいずれか1項に記載の材料であって、建材または構造的材料として使用されるように適合される、材料。
[結論]
図1A~図9I、および付記1~114について図示または説明した上記特徴は、いずれも図1A~9Iおよび付記1~114について図示または説明した他の特徴と組み合わせることができ、本明細書で図示していない、または具体的に説明していない材料、構造、方法、装置、および実施形態を提供することができる。本明細書に記載の特徴のすべては、互いに独立しており、構造的に不可能な場合を除いて、本明細書に記載の他の特徴と組み合わせて使用され得る。
開示されている技術の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を考慮して、図示された実施形態は、開示されている技術の好ましい例に過ぎず、本明細書に記載の技術を限定するものではないことに留意されたい。むしろ、本発明の技術の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。したがって、本出願人は、これらの請求項の範囲および精神の範囲内にあるすべてのものが本発明であると主張することができる。

Claims (114)

  1. ポリマーが浸透した化学修飾された連続した木材ブロックを含む材料であって、
    前記化学修飾された木材は、自然な状態の前記木材のセルロース系微細構造を保持し、前記ポリマーは、セルロースの屈折率と実質的に一致する屈折率を有し、前記微細構造内の空きスペースを埋め、
    前記連続した木材ブロックは、第1のセクションと、前記第1のセクションに隣接する第2のセクションと、を有し、
    前記第1のセクションおよび前記第2のセクションのうちの少なくとも一方は、前記第1のセクションのリグニン特性が前記第2のセクションのリグニン特性と異なるように化学修飾され、
    前記第1のセクションは、600nmの波長を有する光に対して実質的に透明であり、
    前記第2のセクションは、600nmの波長を有する光に対して半透明または不透明である、
    材料。
  2. 前記リグニン特性は、リグニン含有量を意味し、前記第1のセクションは、前記第2のセクションよりも低いリグニン含有量を有する、請求項1に記載の材料。
  3. 自然な状態の前記木材は、軟材である、請求項1に記載の材料。
  4. 前記第1のセクションは、可視光スペクトル内で光に対して実質的に透明であり、前記第2のセクションは、前記可視光スペクトル内で光に対して半透明または不透明である、請求項1に記載の材料。
  5. 前記第1のセクションは、600nmの波長を有する光に対して少なくとも85%の透過率を有し、前記第2のセクションは、600nmの波長を有する光に対して60%以下の透過率を有する、請求項1に記載の材料。
  6. 前記第1のセクションにおけるリグニン除去量は、前記第2のセクションにおけるリグニン除去量よりも大きい、請求項1に記載の材料。
  7. 前記第1のセクションは、前記自然な状態の木材のリグニンを10%以下有し、前記第2のセクションは、前記自然な状態の木材のリグニンを少なくとも25%有する、請求項6に記載の材料。
  8. 前記第1のセクションのリグニン含有量は、3wt%以下である、請求項6に記載の材料。
  9. 前記第1のセクションのリグニン含有量は、1wt%以下である、請求項6に記載の材料。
  10. 前記第2のセクションのリグニン含有量は、7.5wt%以上である、請求項6に記載の材料。
  11. 前記第2のセクションのリグニン含有量は、12.5wt%以上である、請求項6に記載の材料。
  12. 前記第1のセクションは、化学修飾によって前記自然な状態の木材のリグニンの少なくとも90%が除去され、前記第2のセクションは、化学修飾によって前記自然な状態の木材のリグニンの75%以下が除去される、請求項1に記載の材料。
  13. 前記第2のセクションは、化学修飾によって前記自然な状態の木材のリグニンの65%以下が除去される、請求項12に記載の材料。
  14. 前記連続した木材ブロックは、200nm~400nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して20%以下の透過率を有する、請求項1に記載の材料。
  15. 前記連続した木材ブロックは、600nmの波長を有する光に対して少なくとも50%のヘイズを示す、請求項1に記載の材料。
  16. 前記連続した木材ブロックは、400nm~600nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して少なくとも65%のヘイズを示す、請求項15に記載の材料。
  17. 前記第1のセクションは、前記自然な状態の木材の早材領域に対応し、前記第2のセクションは、前記自然な状態の木材の晩材領域に対応する、請求項1に記載の材料。
  18. 前記第1のセクションは、第1の密度を有し、前記第1のセクション内のセルロース系微細構造は、第1の細胞壁によって画定される第1の内腔を有し、前記第1の内腔は、第1の平均断面寸法を有し、前記第1の細胞壁は、第1の平均厚さを有し、
    前記第2のセクションは、第2の密度を有し、前記第2のセクション内のセルロース系微細構造は、第2の細胞壁によって画定される第2の内腔を有し、前記第2の内腔は、第2の平均断面寸法を有し、前記第2の細胞壁は、第2の平均厚さを有し、
    前記第2の密度は、前記第1の密度よりも大きく、前記第1の平均断面寸法は、前記第2の平均断面寸法よりも大きく、前記第1の平均厚さは、前記第2の平均厚さよりも小さく、または
    これらの任意の組み合わせである、
    請求項1に記載の材料。
  19. 前記セルロース系微細構造は、細胞壁によって画定された内腔を有し、前記内腔は、前記自然な状態の木材の縦方向の成長方向に沿って延在し、前記細胞壁を形成するセルロースナノ繊維は、前記自然な状態の木材の前記縦方向の成長方向および半径方向に対して実質的に垂直な方向に沿って延在する、請求項1に記載の材料。
  20. 前記連続した木材ブロックの前記半径方向に実質的に沿った引張強度は、前記自然な状態の木材の引張強度の少なくとも3倍である、請求項19に記載の材料。
  21. 前記連続した木材ブロックの前記半径方向に実質的に沿った引張強度は、少なくとも20MPaである、請求項19に記載の材料。
  22. 前記連続した木材ブロックの前記縦方向の成長方向に実質的に沿った引張強度は、少なくとも60MPaである、請求項19に記載の材料。
  23. 前記連続した木材ブロックの前記縦方向の成長方向に実質的に沿った引張強度は、少なくとも80MPaである、請求項19に記載の材料。
  24. 前記リグニン特性は、前記リグニンの発色団状態を含み、前記第1のセクションの発色団状態は、前記自然な状態の木材の発色団状態から変化しており、前記第2のセクションにおけるリグニンは、前記自然な状態の木材の発色団状態を保持する、請求項1に記載の材料。
  25. 変化した前記発色団状態は、酸化を介して前記リグニンからの発色団の除去を含む、請求項24に記載の材料。
  26. 前記自然な状態の木材は、硬材または軟材である、請求項24に記載の材料。
  27. 前記第1のセクションは、可視光スペクトル内で光に対して実質的に透明であり、前記第2のセクションは、可視光スペクトル内で光に対して不透明である、請求項24に記載の材料。
  28. 前記第1のセクションは、600nmの波長を有する光に対して少なくとも80%の透過率を有し、前記第2のセクションは、600nmの波長を有する光に対して50%以下の透過率を有する、請求項27に記載の材料。
  29. 前記第1のセクションは、400nm~800nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して90%以上の透過率を有する、請求項27に記載の材料。
  30. 前記第1のセクションおよび前記第2のセクションの両方は、前記自然な状態の木材のリグニンの少なくとも70%を有する、請求項24に記載の材料。
  31. 前記第2のセクションのリグニン含有量は、前記第1のセクションのリグニン含有量よりも大きい、請求項24に記載の材料。
  32. 前記第1のセクションのリグニン含有量、前記第2のセクションのリグニン含有量、または前記第1のセクションおよび前記第2のセクションの両方のリグニン含有量は、少なくとも15wt%である、請求項24に記載の材料。
  33. 前記第1のセクションおよび前記第2のセクションは、化学修飾によって前記自然な状態の木材のリグニンの30%以下が除去される、請求項24に記載の材料。
  34. 前記連続した木材ブロックは、200nm~350nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して20%以下の透過率を有する、請求項24に記載の材料。
  35. 前記連続した木材ブロックは、200nm~350nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して少なくとも80%の吸収率を有する、請求項24に記載の材料。
  36. 前記連続した木材ブロックは、600nmの波長を有する光に対して少なくとも50%のヘイズを示す、請求項24に記載の材料。
  37. 前記連続した木材ブロックは、400nm~800nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して少なくとも65%のヘイズを示す、請求項24に記載の材料。
  38. 前記第1のセクションおよび前記第2のセクションは、前記自然な状態の木材の下にあるセルロース系微細構造とは独立した所定のパターンを形成する、請求項24に記載の材料。
  39. 前記セルロース系微細構造は、細胞壁によって画定される内腔を有し、前記内腔は、前記自然な状態の木材の縦方向の成長方向に沿って延在し、前記細胞壁を形成するセルロースナノ繊維は、前記自然な状態の木材の前記縦方向の成長方向および半径方向に対して実質的に垂直な方向に沿って延在する、請求項24に記載の材料。
  40. 前記連続した木材ブロックの前記半径方向に実質的に沿った引張強度は、前記自然な状態の木材の引張強度の少なくとも40倍であり、
    前記連続した木材ブロックの前記縦方向の成長方向に実質的に沿った引張強度は、前記自然な状態の木材の引張強度の少なくとも1.5倍であり、
    前記連続した木材ブロックの前記半径方向に実質的に沿った引張強度は、少なくとも25MPaであり、
    前記連続した木材ブロックの前記縦方向の成長方向に実質的に沿った引張強度は、少なくとも40MPaであり、または
    これらの任意の組み合わせである、
    請求項39に記載の材料。
  41. 自然な状態の木材内のリグニンの発色団が変化または除去されるように化学修飾された木材のセクションを含む材料であって、
    前記セクションは、前記自然な状態の木材のリグニンの少なくとも70%と、前記自然な状態の木材のセルロース系微細構造を保持する、
    材料。
  42. 前記セクションのリグニン含有量は、少なくとも15wt%である、請求項41に記載の材料。
  43. 前記セクションは、前記自然な状態の木材のリグニンの少なくとも80%を有する、請求項41に記載の材料。
  44. 前記セクションの直交する3つの寸法の各々は、0.5mm以上であり、
    前記セクションの直交する3つの寸法の各々は、1cm以上であり、
    前記セクションの直交する3つの寸法のうちの少なくとも2つは、10cm以上であり、
    前記セクションの直交する3つの寸法のうちの少なくとも1つは、20cm以上であり、または
    これらの任意の組み合わせである、
    請求項41に記載の材料。
  45. 前記セクションは、連続した木材ブロック全体を含む、請求項41に記載の材料。
  46. 前記セクションは、連続した木材ブロックの第1のセクションを含み、
    前記材料は、前記第1のセクションに隣接する前記連続した木材ブロックの第2のセクションを含み、
    前記第2のセクション内のリグニンは、前記自然な状態の木材の発色団状態を保持する、
    請求項41に記載の材料。
  47. 前記連続した木材ブロックは、本質的に木材からなる、請求項46に記載の材料。
  48. 前記セクションは、400nm~800nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して90%以上の反射率を有する、請求項41に記載の材料。
  49. 前記セクションは、実質的に白色である、請求項41に記載の材料。
  50. 前記セクションは、前記セルロース系微細構造に浸透するポリマーをさらに含み、前記ポリマーは、セルロースの屈折率と実質的に一致する屈折率を有し、前記微細構造内の空きスペースを埋め、前記セクションは、600nmの波長を有する光に対して実質的に透明である、請求項41に記載の材料。
  51. 前記セクションは、可視光スペクトル内で光に対して実質的に透明である、請求項50に記載の材料。
  52. 前記セクションは、
    600nmの波長を有する光に対して少なくとも80%の透過率、
    400nm~800nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して90%以上の透過率、
    200nm~350nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して20%以下の透過率、
    200nm~350nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して少なくとも80%の吸収率、
    600nmの波長を有する光に対して少なくとも50%のヘイズ、
    400nm~800nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して少なくとも65%のヘイズ、または
    これらの任意の組み合わせを含む、
    請求項50に記載の材料。
  53. 前記セクションは、本質的に木材と浸透ポリマーからなる、請求項50に記載の材料。
  54. 連続した木材ブロックを第1の時間化学処理に供して、前記木材のセルロース系微細構造を実質的に保持しながら、前記連続した木材ブロック内の第1のセクションおよび第2のセクションからリグニンを除去するステップであって、前記第1のセクションは、前記第2のセクションに隣接し、前記第1の時間は、前記第1のセクション内の木材のリグニンの少なくとも90%が除去され、前記第2のセクション内のリグニンの75%以下が除去されるように選択される、ステップと、
    前記連続した木材ブロックにポリマーを浸透させて、前記第1のセクションおよび前記第2のセクションの保持された前記セルロース系微細構造内の空きスペースを埋めるステップであって、前記ポリマーは、セルロースの屈折率と実質的に一致する屈折率を有する、ステップと、
    を含み、
    前記浸透のステップの後に、前記第1のセクションは、600nmの波長を有する光に対して実質的に透明であり、前記第2のセクションは、600nmの波長を有する光に対して半透明である、
    方法。
  55. 前記木材は、軟材である、請求項54に記載の方法。
  56. 前記浸透のステップの後に、前記第1のセクションは、600nmの波長を有する光に対して少なくとも85%の透過率を有し、前記第2のセクションは、600nmの波長を有する光に対して60%以下の透過率を有する、請求項54に記載の方法。
  57. 前記供するステップの後に、前記第1のセクションのリグニン含有量は、3wt%以下である、請求項54に記載の方法。
  58. 前記供するステップの後に、前記第1のセクションのリグニン含有量は、1wt%以下である、請求項54に記載の方法。
  59. 前記供するステップの後に、前記第2のセクションのリグニン含有量は、7.5wt%以上である、請求項54に記載の方法。
  60. 前記供するステップの後に、前記第2のセクションのリグニン含有量は、12.5wt%以上である、請求項54に記載の方法。
  61. 前記第1のセクションは、自然な状態の前記木材の早材領域に対応し、前記第2のセクションは、前記自然な状態の木材の晩材領域に対応する、請求項54に記載の方法。
  62. 前記化学処理は、亜塩素酸ナトリウム(NaClO)と酢酸の溶液を含む、請求項54に記載の方法。
  63. 前記化学処理は、亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の溶液を含む、請求項54に記載の方法。
  64. 前記溶液は、前記供するステップ中に沸騰している、請求項63に記載の方法。
  65. 前記第1の時間は、5時間未満であるか、実質的に5時間に等しい、請求項54に記載の方法。
  66. 前記第1の時間は、2時間以下である、請求項65に記載の方法。
  67. 前記浸透のステップは、
    前記連続した木材ブロックを液体ポリマーまたはポリマー前駆体に浸漬させるステップと、
    真空を適用して、前記液体ポリマーまたは前記ポリマー前駆体を前記セルロース系微細構造内に流すステップと、
    前記液体ポリマーを乾燥させるか前記前駆体を重合させて、前記連続した木材ブロックの微細構造内に固体ポリマーをin situで形成するステップと、
    を含む、請求項54に記載の方法。
  68. 前記浸透のステップは、前記乾燥中または前記重合中に、前記連続した木材ブロックをプレスするステップをさらに含む、請求項67に記載の方法。
  69. 前記ポリマーは、エポキシ樹脂を含む、請求項54に記載の方法。
  70. 連続した木材ブロックのセクションの外面に第1の量の液体酸化剤を塗布するステップと、
    前記塗布のステップ中またはその後に、前記連続した木材ブロックのセクションを紫外線(UV)に曝露するステップと、
    を含む方法であって、
    前記セクション内のリグニンの発色団は、前記液体酸化剤の存在下でのUV曝露により、in situで化学酸化および除去され、
    前記曝露のステップの後に、前記木材のセルロース系微細構造および前記塗布のステップの前の前記セクション内のリグニンの少なくとも70%が保持される、
    方法。
  71. 前記液体酸化剤は、過酸化水素(H)の溶液を含む、請求項70に記載の方法。
  72. 前記溶液中の過酸化水素の濃度は、少なくとも30wt%である、請求項71に記載の方法。
  73. 前記曝露のステップの後に、前記セクションのリグニン含有量は、少なくとも15wt%である、請求項70に記載の方法。
  74. 前記セクションの外面は、表面領域を有し、前記第1の量は、前記表面領域の少なくとも800ml/mである、請求項70に記載の方法。
  75. 前記セクションは、前記外面に対して垂直な方向に厚さを有し、前記第1の量は、前記厚さ0.1mmあたりの表面積1平方メートルあたり少なくとも125mlである、請求項70に記載の方法。
  76. 前記第1の量は、前記セクションの体積の1倍~5倍(両端含む)の範囲である、請求項70に記載の方法。
  77. 前記塗布のステップの前またはそれと同時に、前記連続した木材ブロックのセクションの外面に第2の量のアルカリを塗布するステップを含む、請求項70に記載の方法。
  78. 前記第2の量は、前記第1の量の20%以下である、請求項77に記載の方法。
  79. 前記第2の量は、3ml以下である、請求項77に記載の方法。
  80. 前記アルカリは、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化アンモニウム(NHOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項77に記載の方法。
  81. 前記溶液中のアルカリの濃度は、少なくとも10wt%である、請求項80に記載の方法。
  82. 前記塗布のステップは、前記第1の量の前記液体酸化剤に前記連続した木材ブロックを浸漬するステップを含む、請求項70に記載の方法。
  83. 前記塗布のステップは、前記連続した木材ブロックを浸漬することなく、前記外面への直接塗布を含む、請求項70に記載の方法。
  84. 前記塗布のステップは、前記第1の量を達成するために複数回の分割塗布を含む、請求項83に記載の方法。
  85. 前記直接塗布は、刷毛塗り、噴霧、圧延、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項83に記載の方法。
  86. 前記塗布のステップは、前記セクションに隣接する前記連続した木材ブロックの第2のセクションに液体酸化剤を塗布することなく、所定のパターンで前記外面に前記第1の量を塗布するステップを含む、請求項83に記載の方法。
  87. 前記曝露のステップの後に、前記第2のセクションは、前記セクションのリグニン含有量よりも大きいリグニン含有量を有する、請求項86に記載の方法。
  88. 前記曝露のステップの後に、前記セクションは、実質的に白色であり、前記第2のセクションは、非白色である、請求項86に記載の方法。
  89. 前記塗布のステップの前に、前記外面に疎水性材料を配置して、前記所定のパターンの境界を画定するステップをさらに含む、請求項86に記載の方法。
  90. 前記疎水性材料は、ワセリンを含む、請求項89に記載の方法。
  91. 前記曝露のステップは、所定のパターンを有するマスクを使用して、前記セクションに隣接する前記連続した木材ブロックの第2のセクションを照射することなく、前記セクションを照射するステップを含む、請求項70に記載の方法。
  92. 前記曝露のステップの後に、前記第2のセクションは、前記セクションのリグニン含有量よりも大きいリグニン含有量を有する、請求項91に記載の方法。
  93. 前記曝露のステップの後に、前記セクションは、実質的に白色であり、前記第2のセクションは、非白色である、請求項91に記載の方法。
  94. 前記曝露のステップの後に、前記連続した木材ブロックにポリマーを浸透させて、前記セクションの保持されたセルロース系微細構造内の空きスペースを埋めるステップであって、前記ポリマーは、セルロースの屈折率と実質的に一致する屈折率を有するステップをさらに含み、
    前記浸透のステップの後に、前記セクションは、600nmの波長を有する光に対して実質的に透明である、
    請求項70に記載の方法。
  95. 前記浸透のステップは、
    前記連続した木材ブロックを液体ポリマーまたはポリマー前駆体中に浸漬するステップと、
    真空を適用して、前記液体ポリマーまたは前記ポリマー前駆体を前記セルロース系微細構造内に流すステップと、
    前記液体ポリマーを乾燥させるか前記前駆体を重合させて、前記連続した木材ブロックの微細構造内に固体ポリマーをin situで形成するステップと、
    を含む、請求項94に記載の方法。
  96. 前記ポリマーは、エポキシ樹脂を含む、請求項94に記載の方法。
  97. 前記浸透のステップの後に、前記セクションは、
    600nmの波長を有する光に対して少なくとも80%の透過率、
    400nm~800nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して少なくとも90%の透過率、
    200nm~350nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して20%以下の透過率、
    200nm~350nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して少なくとも80%の吸収率、
    600nmの波長を有する光に対して少なくとも50%のヘイズ、
    400nm~800nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して少なくとも65%のヘイズ、または
    これらの任意の組み合わせを含む、
    請求項94に記載の方法。
  98. 前記UV照射は、少なくとも20WのUVA帯の放射線を発生する人工光源からのものである、請求項70に記載の方法。
  99. 前記曝露の時間は、2時間以下である、請求項98に記載の方法。
  100. 前記UV照射は、少なくとも5のUVインデックス(UVI)での太陽光である、請求項70に記載の方法。
  101. 前記曝露の時間は、1時間以下である、請求項100に記載の方法。
  102. (a)連続した木材ブロックのセクションを光触媒で酸化させて、前記セクション内の天然リグニンをin situで化学修飾し、そのバルク芳香族骨格を維持しながら、その発色団を除去するステップ含む、
    方法。
  103. 前記(a)の前に、前記セクションは、第1のリグニン含有量を有し、
    前記(a)の後に、前記セクションは、第2のリグニン含有量を有し、
    前記第2の含有量は、前記第1の含有量の少なくとも70%である、
    請求項102に記載の方法。
  104. 前記第2の含有量は、少なくとも15wt%である、請求項103に記載の方法。
  105. 前記(a)の後に、前記セクションは、実質的に白色である、請求項102に記載の方法。
  106. 前記(a)の後に、前記セクションは、400nm~800nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して少なくとも85%の反射率を有する、請求項102に記載の方法。
  107. (b)前記(a)の後に、前記連続した木材ブロックを屈折率整合ポリマーに浸透して、前記セクションを可視光に対して実質的に透明にするステップ
    をさらに含む、請求項102に記載の方法。
  108. 前記(b)の後に、
    前記セクションは、400nm~800nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して少なくとも85%の透過率を有し、または
    前記セクションは、400nm~800nm(両端含む)の範囲の波長を有する光に対して少なくとも65%のヘイズを有し、または
    これらの両方である、請求項107に記載の方法。
  109. 前記光触媒酸化は、過酸化水素と紫外線照射の組み合わせを含む、請求項102に記載の方法。
  110. 前記過酸化水素は、前記連続した木材ブロックの溶液への浸漬なしに、前記セクションの外面に塗布される、請求項109に記載の方法。
  111. 前記(a)中に、前記連続した木材ブロックの別のセクションは光触媒酸化に供されず、前記セクションおよび前記別のセクションは、所定のパターンを構成する、請求項109に記載の方法。
  112. 前記(a)中に、前記過酸化水素と前記紫外線照射のうちの一方が前記別のセクションに適用される、請求項111に記載の方法。
  113. 請求項54~112のいずれか1項に記載の方法によって形成された材料。
  114. 建材または構造的材料として使用されるように適合される、請求項113に記載の材料。
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