JP2023532951A - タンパク質発現を改善する方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、免疫グロブリン重鎖中の1つ又は2つのイントロンの位置のヌクレオチド配列が欠失している、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸に関する。このような核酸は、免疫グロブリン発現を増加させるのに有用である。

Description

本開示は、目的のポリペプチドを発現する改善型の方法に関する。免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列と、イントロン欠失とを含む核酸は、免疫グロブリンの細胞比生産性を向上させるのに有用である。
DNAは、イントロン及びエクソンの配列で構成され、イントロンはスプライシングによるmRNAプロセシング中に除去される。このプロセスは、核膜孔複合体を通過するmRNA核外輸送と密接に関連している。この輸送は発現の基本であり、文献に詳細に記載されている。非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3を参照されたい。
発現ベクター中にコードされたコドン最適化重鎖定常領域内にイントロンが存在すると、この領域にイントロンが存在しない同じヌクレオチド配列と比較して、回収力価(harvest titer)が向上することが認められている。しかしながら、イントロンを含有する発現ベクターを使用することに伴うリスクは、抗体又は免疫グロブリンなどの目的のタンパク質の発現中に、イントロン保持(intron-retention)現象及びミススプライシング現象が発生し、精製中に除去する必要のある不所望な異常型タンパク質種が得られる可能性があることである。これは精製プロセスに余分な複雑性を追加し、下流プロセスの間にこれらの別の種を除去することができない場合、バッチ間変動が生じる可能性がある。
重鎖定常領域のイントロンを含有する非コドン最適化配列を使用すると、重鎖定常領域中のスプライスバリアントの発生を排除することができることが示されている。コドン最適化から発生するヌクレオチド配列の変化は、隠れたスプライシングを誘導してこのような別の種をもたらすと考えられる。また、イントロンの各々を個別に除去すると(それにより、3つのイントロンのうち2つを残したままにする)、回収力価における驚くべき向上が見られることが示されている。
免疫グロブリン重鎖定常領域から1つ又は2つのイントロンを除去すると、イントロン保持現象及びミススプライシング現象のリスクを低減し、一方で免疫グロブリン発現を増加させることができる。これは結果として発現ベクターの新規な生成につながり、抗体ベースの又は免疫グロブリンベースの組換えタンパク質の産生中に異常型タンパク質種が生成されるリスクを低く抑える。
Kohler A.et al.,Nature Review Molecular Cell Biology 8:761-773(2007) Bjork,P.et al.,Seminars in Cell & Developmental Biology 32:47-54(2014) Reed,R.Current Opinion in Cell Biology,15:326-331(2003)
本開示は、全般的に、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2及びイントロン3のヌクレオチド配列が欠失している、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離されている核酸を対象とする。
本開示はまた、免疫グロブリン重鎖定常領域の1つのイントロンのヌクレオチド配列が欠失している、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離されている核酸も対象とする。一態様では、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のヌクレオチド配列が欠失している。別の態様では、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のヌクレオチド配列が欠失している。別の態様では、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のヌクレオチド配列が欠失している。
本開示はまた、免疫グロブリン重鎖定常領域の2つのイントロンのヌクレオチド配列が欠失している、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離されている核酸も対象とする。一態様では、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1及びイントロン2のヌクレオチド配列が欠失している。別の態様では、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1及びイントロン3のヌクレオチド配列が欠失している。
本開示はまた、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のヌクレオチド配列が欠失しており、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2及び/又はイントロン3のヌクレオチド配列が欠失しており、イントロン2及び/又はイントロン3のヌクレオチド配列がイントロン1のヌクレオチド配列で置換されている、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離されている核酸も対象とする。一態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のヌクレオチド配列が、イントロン1のヌクレオチド配列で置換されている。一態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のヌクレオチド配列が、イントロン1のヌクレオチド配列で置換されている。
本開示はまた、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2及び/又はイントロン3のヌクレオチド配列がイントロン1のヌクレオチド配列で置き換えられている、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離されている核酸も対象とする。一態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のヌクレオチド配列が、イントロン1のヌクレオチド配列で置き換えられている。一態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のヌクレオチド配列が、イントロン1のヌクレオチド配列で置き換えられている。
本開示はまた、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のヌクレオチド配列が、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のヌクレオチド配列とほぼ同じ数のヌクレオチドを含むイントロンのヌクレオチド配列で置き換えられている、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離されている核酸も対象とする。
本開示はまた、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のヌクレオチド配列が、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のヌクレオチド配列とほぼ同じ数のヌクレオチドを含むイントロンのヌクレオチド配列で置き換えられている、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離されている核酸も対象とする。一態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のヌクレオチド配列が欠失している。
一態様において、核酸は、当該核酸を、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸と一緒に発現させた場合、免疫グロブリン重鎖定常領域の全てのイントロン配列を含有する核酸よりも高力価で免疫グロブリンを発現する。別の態様において、核酸は、当該核酸を、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸と一緒に発現させた場合、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン配列を含有しない核酸よりも高力価で免疫グロブリンを発現する。別の態様において、免疫グロブリン軽鎖はカッパ軽鎖又はラムダ軽鎖である。別の態様において、核酸はコドン最適化されている。別の態様において、発現した免疫グロブリンは、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4のアイソタイプを有する。別の態様において、発現した免疫グロブリンは、ヒト、ヒト化、キメラ、又は表面再構成(resurfaced)の免疫グロブリンである。別の態様において、免疫グロブリン重鎖をコードする核酸は、デオキシリボ核酸(DNA)である。
別の態様において、本開示は、本開示の核酸を含むベクター又は発現ベクターを対象とする。別の態様において、本開示は、本開示のベクター又は発現ベクターを含む宿主細胞を対象とする。一態様において、宿主細胞は、真核細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
本開示はまた、全般的に、免疫グロブリンを産生する方法であって、当該方法は、細胞が免疫グロブリンを発現する条件下において、培地中で宿主細胞を培養するステップを含み、当該宿主細胞は、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2及びイントロン3のヌクレオチド配列が欠失している免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含み、当該宿主細胞は、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1~3の全てが存在するか、又はそのいずれも存在しない免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含む宿主細胞よりも高力価で免疫グロブリンを発現する、方法も対象とする。
本開示はまた、全般的に、免疫グロブリンを産生する方法であって、当該方法は、細胞が免疫グロブリンを発現する条件下において、培地中で宿主細胞を培養するステップを含み、当該宿主細胞は、免疫グロブリン重鎖定常領域の1つのイントロンのヌクレオチド配列が欠失している免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含み、当該宿主細胞は、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1~3の全てが存在するか、又はそのいずれも存在しない免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含む宿主細胞よりも高力価で免疫グロブリンを発現する、方法も対象とする。一態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のヌクレオチド配列が欠失している。別の態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のヌクレオチド配列が欠失している。別の態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のヌクレオチド配列が欠失している。
本開示はまた、全般的に、免疫グロブリンを産生する方法であって、当該方法は、細胞が免疫グロブリンを発現する条件下において、培地中で宿主細胞を培養するステップを含み、当該宿主細胞は、免疫グロブリン重鎖定常領域の2つのイントロンのヌクレオチド配列が欠失している免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含み、当該宿主細胞は、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1~3の全てが存在するか、又はそのいずれも存在しない免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含む宿主細胞よりも高力価で免疫グロブリンを発現する、方法も対象とする。一態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1及び2が欠失している。別の態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1及び3が欠失している。
本開示はまた、全般的に、免疫グロブリンを産生する方法であって、当該方法は、細胞が免疫グロブリンを発現する条件下において、培地中で宿主細胞を培養するステップを含み、当該宿主細胞は、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のヌクレオチド配列が欠失し、免疫グロブリン重鎖のイントロン2及び/又はイントロン3のヌクレオチド配列が欠失し、イントロン2及び/又はイントロン3のヌクレオチド配列が、イントロン1のヌクレオチド配列で置換されている免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含み、当該宿主細胞は、イントロン1~3免疫グロブリン重鎖定常領域の全てが存在するか、又はそのいずれも存在しない免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含む宿主細胞よりも高力価で免疫グロブリンを発現する、方法も対象とする。一態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のヌクレオチド配列が、イントロン1のヌクレオチド配列で置換されている。別の態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のヌクレオチド配列が、イントロン1のヌクレオチド配列で置換されている。
本開示はまた、全般的に、免疫グロブリンを産生する方法であって、当該方法は、細胞が免疫グロブリンを発現する条件下において、培地中で宿主細胞を培養するステップを含み、当該宿主細胞は、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2及び/又はイントロン3のヌクレオチド配列が、イントロン1のヌクレオチド配列で置き換えられている免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含み、当該宿主細胞は、イントロン1~3免疫グロブリン重鎖定常領域の全てが存在するか、又はそのいずれも存在しない免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含む宿主細胞よりも高力価で免疫グロブリンを発現する、方法も対象とする。一態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のヌクレオチド配列が、イントロン1のヌクレオチド配列で置き換えられている。別の態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のヌクレオチド配列が、イントロン1のヌクレオチド配列で置き換えられている。
本開示はまた、全般的に、免疫グロブリンを産生する方法であって、当該方法は、細胞が免疫グロブリンを発現する条件下において、培地中で宿主細胞を培養するステップを含み、当該宿主細胞は、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のヌクレオチド配列が、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のヌクレオチド配列とほぼ同じ数のヌクレオチドを含むイントロンのヌクレオチド配列で置き換えられている免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含み、当該宿主細胞は、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1~3の全てが存在するか、又はそのいずれも存在しない免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含む宿主細胞よりも高力価で免疫グロブリンを発現する、方法も対象とする。一態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のヌクレオチド配列が欠失している。
本開示はまた、全般的に、免疫グロブリンを産生する方法であって、当該方法は、細胞が免疫グロブリンを発現する条件下において、培地中で宿主細胞を培養するステップを含み、当該宿主細胞は、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のヌクレオチド配列が、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のヌクレオチド配列とほぼ同じ数のヌクロエチド(nucloetides)を含むイントロンのヌクレオチド配列で置き換えられている免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含み、当該宿主細胞は、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1~3の全てが存在するか、又はそのいずれも存在しない免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含む宿主細胞よりも高力価で免疫グロブリンを発現する、方法も対象とする。一態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のヌクレオチド配列が欠失している。
一態様において、発現した免疫グロブリンは、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4のアイソタイプを有する。別の態様において、発現した免疫グロブリンは、ヒト、ヒト化、キメラ、又は表面再構成の免疫グロブリンである。
一態様において、クローンのプールから産生された、発現した免疫グロブリンは、少なくとも1,000mg/L、少なくとも1,500mg/L、少なくとも2,000mg/L、少なくとも2,500mg/L、又は少なくとも3,000mg/Lの回収力価を有する。別の態様において、最高発現クローンから産生された、発現した免疫グロブリンは、少なくとも1,000mg/L、少なくとも1,500mg/L、少なくとも2,000mg/L、少なくとも3,000mg/L、少なくとも4,000mg/L、少なくとも5,000mg/L、少なくとも6,000mg/L、少なくとも7,000mg/L、少なくとも8,000mg/L、少なくとも9,000mg/L、少なくとも10,000mg/L、少なくとも11,000mg/L、又は少なくとも12,000mg/Lの回収力価を有する。
一態様において、宿主細胞は真核細胞である。別の態様において、真核細胞はCHO細胞である。
MAb1の高速サイズ排除クロマトグラフ及び産生された免疫グロブリンバリアントの描写図を示す。 図2Aは、MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域の非コドン最適化ゲノムDNA(gDNA)及びコドン最適化相補的DNA(cDNA)の略図を示す。図2Bは、gDNAヌクレオチド配列又はcDNAヌクレオチド配列のいずれかを用いたMAb2産生の14日目の免疫グロブリン力価(mg/L)を示す。 図3Aは、免疫グロブリン重鎖定常領域の非コドン最適化ゲノムDNA(gDNA)、MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のコドン最適化相補的DNA(cDNA)、MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のないgDNA、MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のないgDNA、MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のないgDNA、及びMAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロンが一切ないgDNAの略図を示す。図3Bは、次のコンストラクト:(1)免疫グロブリン重鎖定常領域の非コドン最適化ゲノムDNA(gDNA)、(2)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のコドン最適化相補的DNA(cDNA)、(3)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のないgDNA、(4)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のないgDNA、(5)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のないgDNA、及び(6)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロンが一切ないgDNAの各々を使用したMAb2産生の13日目の免疫グロブリン力価(mg/L)を示す。 図4Aは、次のコンストラクト:(1)免疫グロブリン重鎖定常領域の非コドン最適化ゲノムDNA(gDNA)、(2)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のコドン最適化相補的DNA(cDNA)、(3)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のないgDNA、(4)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のないgDNA、(5)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のないgDNA、及び(6)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロンが一切ないgDNAの各々について平均生細胞数(VCN)(×10/mL)を表すグラフを示す。図4Bは、次のコンストラクト:(1)免疫グロブリン重鎖定常領域の非コドン最適化ゲノムDNA(gDNA)、(2)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のコドン最適化相補的DNA(cDNA)、(3)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のないgDNA、(4)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のないgDNA、(5)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のないgDNA、及び(6)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロンが一切ないgDNAの各々について細胞生存率(%)を表すグラフを示す。図4Cは、次のコンストラクト:(1)免疫グロブリン重鎖定常領域の非コドン最適化ゲノムDNA(gDNA)、(2)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のコドン最適化相補的DNA(cDNA)、(3)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のないgDNA、(4)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のないgDNA、(5)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のないgDNA、及び(6)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロンが一切ないgDNAの各々について生細胞濃度積分値(IVC)(10細胞 日/L)を表すグラフを示す。図4Dは、次のコンストラクト:(1)免疫グロブリン重鎖定常領域の非コドン最適化ゲノムDNA(gDNA)、(2)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のコドン最適化相補的DNA(cDNA)、(3)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のないgDNA、(4)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のないgDNA、(5)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のないgDNA、及び(6)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロンが一切ないgDNAの各々について細胞生産性(qP)(pg/(細胞 日))を表すグラフを示す。 図5Aは、次のコンストラクト:(1)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン2を除去したgDNA(非コドン最適化)、(2)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン1及び2を除去したgDNA(非コドン最適化)、(3)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン2及び3を除去したgDNA(非コドン最適化)、(4)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域にイントロンが一切ないgDNA(非コドン最適化)、(5)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン2を除去したgDNA(コドン最適化)、(6)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン1及び2を除去したgDNA(コドン最適化)、(7)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン2及び3を除去したgDNA(コドン最適化)、及び(8)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域にイントロンが一切ないgDNA(コドン最適化)の各々を用いたMAb2産生の11日目の免疫グロブリン力価(mg/L)を示す。図5Bは、次のコンストラクト:(1)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン2を除去したgDNA(非コドン最適化)、(2)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン1及び2を除去したgDNA(非コドン最適化)、(3)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン2及び3を除去したgDNA(非コドン最適化)、(4)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域にイントロンが一切ないgDNA(非コドン最適化)、(5)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン2を除去したgDNA(コドン最適化)、(6)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン1及び2を除去したgDNA(コドン最適化)、(7)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン2及び3を除去したgDNA(コドン最適化)、(8)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域にイントロンが一切ないgDNA(コドン最適化)、及び(9)MAb3(陽性対照)の各々について平均生細胞数(VCN)(×10/ml)を表すグラフを示す。図5Cは、次のコンストラクト:(1)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン2を除去したgDNA(非コドン最適化)、(2)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン1及び2を除去したgDNA(非コドン最適化)、(3)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン2及び3を除去したgDNA(非コドン最適化)、(4)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域にイントロンが一切ないgDNA(非コドン最適化)、(5)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン2を除去したgDNA(コドン最適化)、(6)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン1及び2を除去したgDNA(コドン最適化)、(7)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン2及び3を除去したgDNA(コドン最適化)、(8)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域にイントロンが一切ないgDNA(コドン最適化)、及び(9)MAb3(陽性対照)の各々の各々について生細胞濃度積分値(IVC)(10細胞 時/L)を表すグラフを示す。図5Dは、次のコンストラクト:(1)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン2を除去したgDNA(非コドン最適化)、(2)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン1及び2を除去したgDNA(非コドン最適化)、(3)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン2及び3を除去したgDNA(非コドン最適化)、(4)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域にイントロンが一切ないgDNA(非コドン最適化)、(5)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン2を除去したgDNA(コドン最適化)、(6)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン1及び2を除去したgDNA(コドン最適化)、(7)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域からイントロン2及び3を除去したgDNA(コドン最適化)、及び(8)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域にイントロンが一切ないgDNA(コドン最適化)の各々について細胞生産性(qP)(pg/(細胞 日))を表すグラフを示す。 図6Aは、次のコンストラクト:(1)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域の非コドン最適化ゲノムDNA(gDNA)、(2)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のない非コドン最適化gDNA、(3)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2及び3のない非コドン最適化gDNA、(4)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1及び2のない非コドン最適化gDNA、(5)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1の位置にイントロン3を有する非コドン最適化gDNA、(6)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1の位置に、修飾されたイントロン3ヌクレオチド配列を有する非コドン最適化gDNA、(7)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3の位置にイントロン1を有する非コドン最適化gDNA、(8)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域にイントロンが一切ない非コドン最適化gDNA、(9)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域の全てのイントロン及び野生型IgG1を有する非コドン最適化ゲノムDNA(gDNA)、(10)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2及び3がなく野生型IgG1である非コドン最適化gDNA、(11)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1及び2がなく野生型IgG1である非コドン最適化gDNA、及び(12)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域の非コドン最適化gDNA及び野生型IgG1の略図を示す。図6Bは、次のコンストラクト:(1)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域の非コドン最適化ゲノムDNA(gDNA)、(2)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のない非コドン最適化gDNA、(3)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2及び3のない非コドン最適化gDNA、(4)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1及び2のない非コドン最適化gDNA、(5)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1の位置にイントロン3を有する非コドン最適化gDNA、(6)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1の位置に、修飾されたイントロン3ヌクレオチド配列を有する非コドン最適化gDNA、(7)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3の位置にイントロン1を有する非コドン最適化gDNA、(8)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域にイントロンが一切ない非コドン最適化gDNA、(9)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域の全てのイントロン及び野生型IgG1を有する非コドン最適化ゲノムDNA(gDNA)、(10)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2及び3がなく野生型IgG1である非コドン最適化gDNA、(11)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1及び2がなく野生型IgG1である非コドン最適化gDNA、及び(12)MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域の非コドン最適化gDNA及び野生型IgG1を用いたMAb2産生の11日目の免疫グロブリン力価(mg/L)を示す。 MAb2、MAb1、MAb3、及びMAb4の免疫グロブリン重鎖定常領域の非コドン最適化ゲノムDNA(gDNA)、MAb2、MAb1、MAb3、及びMAb4の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2及び3のない非コドン最適化gDNA、及びMAb2、MAb1、MAb3、及びMAb4の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロンが一切ない非コドン最適化gDNAの略図を示す。 MAb2、MAb1、MAb3、及びMAb4の免疫グロブリン重鎖定常領域の非コドン最適化ゲノムDNA(gDNA)、MAb2、MAb1、MAb3、及びMAb4の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2及び3のない非コドン最適化gDNA、及びMAb2、MAb1、MAb3、及びMAb4の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロンが一切ない非コドン最適化gDNAの11日目の免疫グロブリン力価(mg/L)を示す。 MAb2、MAb1、MAb3、及びMAb4の免疫グロブリン重鎖定常領域の非コドン最適化ゲノムDNA(gDNA)、MAb2、MAb1、MAb3、及びMAb4の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2及び3のない非コドン最適化gDNA、及びMAb2、MAb1、MAb3、及びMAb4の免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロンが一切ない非コドン最適化gDNAの力価レベルの経時変化を表すグラフを示す。 免疫グロブリン重鎖定常領域のゲノムDNA配列の略図を示す。
本開示の理解を促進するために、複数の用語及び表現が以下に定義される。
I.定義
本明細書で使用する場合、「免疫グロブリン」、「抗体」及び「複数の抗体」という用語は専門用語であり、本明細書において互換的に使用することができ、抗原に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位を有する分子又は分子の複合体を指す。
抗体としては、例えば、モノクローナル抗体、組換えで産生される抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、表面再構成抗体、キメラ抗体、免疫グロブリン、合成抗体、2つの重鎖分子及び2つの軽鎖分子を含む四量体抗体、抗体軽鎖単量体、抗体重鎖単量体、抗体軽鎖二量体、抗体重鎖二量体、抗体軽鎖-抗体重鎖のペア、細胞内抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、単一ドメイン抗体、一価抗体、一本鎖抗体又は一本鎖Fv(scFv)、ラクダ科抗体、アフィボディ、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗-抗Id抗体を含む)、二重特異性抗体、及び多特異性抗体を挙げることができる。ある特定の態様において、本明細書に記載される抗体は、ポリクローナル抗体集団を指す。抗体は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、又はIgY)、任意のクラス(例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、又はIgA)、又は任意のサブクラス(例えば、IgG2a又はIgG2b)のものとすることができる。ある特定の態様において、本明細書に記載される抗体は、IgG抗体、又はそのクラス(例えば、ヒトIgG、IgG、又はIgG)又はそのサブクラスである。特定の態様において、抗体はヒト化モノクローナル抗体である。別の特定の態様において、抗体はヒトモノクローナル抗体であり、例えば、それは免疫グロブリンである。ある特定の態様において、本明細書に記載される抗体は、IgG、IgG、又はIgG抗体である。
本明細書で使用する場合、「抗原結合ドメイン」、「抗原結合領域」、「抗原結合部位」という用語及び類似の用語は、抗原に対する特異性を抗体分子に付与するアミノ酸残基を含む抗体分子の部分(例えば相補性決定領域(CDR))を指す。抗原結合領域は、齧歯動物(例えば、マウス、ラット、又はハムスター)及びヒトなどの任意の動物種に由来し得る。
「モノクローナル」抗体は、単一の抗原決定基又はエピトープの、高度に特異的な認識及び結合に関与する、均質な抗体集団を指す。これは、典型的には異なる抗原決定基に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体と対照的である。「モノクローナル」抗体という用語は、インタクトな免疫グロブリン分子及び完全長免疫グロブリン分子の両方、並びにFab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、一本鎖(scFv)、抗体部分を含む融合タンパク質、並びに抗原認識部位を含む任意の他の修飾免疫グロブリン分子を包含する。さらに、「モノクローナル」抗体は、以下に限定されないが、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、及びトランスジェニック動物によるものを含むいくつもの方法で作製されるような抗体を指す。
「キメラ」抗体という用語は、アミノ酸配列が2種以上の種に由来する抗体を指す。典型的には、軽鎖及び重鎖双方の可変領域は、所望される特異性、親和性、及び能力を有する哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギなど)の1つの種に由来する抗体の可変領域に相当する一方、定常領域は、その種における免疫応答を誘発することを回避するために、別の種(通常ヒト)に由来する抗体中の配列に相同である。
「ヒト化」抗体という用語は、最小限の非ヒト(例えばマウスの)配列を含有する非ヒト(例えばマウスの)抗体の形態を指す。典型的には、ヒト化抗体は、相補性決定領域(CDR)の残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター)のCDRの残基によって置き換えられている(「CDRグラフト化」)ヒト免疫グロブリンである(Jones et al.,Nature 321:522-525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323-327(1988);Verhoeyen et al.,Science 239:1534-1536(1988))。場合により、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、所望の特異性、親和性、及び能力を有する非ヒト種由来の抗体中の対応する残基で置き換えられている。そのヒト化抗体は、Fvフレームワーク領域内での、及び/又は置き換えられた非ヒト残基内でのさらなる残基の置換によってさらに修飾されて、抗体の特異性、親和性、及び/又は能力を精密化し、最適化することができる。概して、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンに相当するCDR領域の全て又は実質的に全てを含有する一方、FR領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つ若しくは3つの可変ドメインの実質的に全てを含むことになる。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域又はドメイン(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれの少なくとも一部分も含み得る。ヒト化抗体を生成するために使用される方法の例は、米国特許第5,225,539号明細書、Roguska et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,91(3):969-973(1994)、及びRoguska et al.,Protein Eng.9(10):895-904(1996)に記載されている。
「表面再構成抗体」又は「複数の表面再構成抗体」という用語は、組換えFVの可変領域の表面で利用可能なアミノ酸のみをヒト化することによってヒト抗体に似るように再設計されているマウス抗体を意味する。マウスのモノクローナル抗体を表面再構成してその免疫原性を低減すると、天然のフレームワーク-CDRの相互作用は保持されるため、元のモノクローナル抗体の結合力を再構成型において維持するのに有益であり得る。
「ヒト抗体」という用語は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座に由来するアミノ酸配列を有する抗体を意味し、そのような抗体は、当技術分野において公知の任意の技術を使用して作製される。
可変領域は、典型的には抗体の一部分、一般に、軽鎖又は重鎖の一部分、典型的には成熟重鎖中のアミノ末端の約110~125アミノ酸、及び成熟軽鎖中の約90~115アミノ酸を指し、これらは抗体間で配列が広範囲に異なり、その特定の抗原に対する特定の抗体の結合及び特異性において使用される。配列の可変性は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる領域中に集中しており、一方、可変ドメイン中のより高度に保存された領域はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。いかなる特定の機序にも理論にも縛られることを望むものではないが、軽鎖及び重鎖のCDRは、主に抗体と抗原との相互作用及び特異性を担うものと考えられる。ある特定の態様において、可変領域はヒト可変領域である。ある特定の態様において、可変領域は、齧歯動物又はマウスのCDR、及びヒトフレームワーク領域(FR)を含む。特定の態様において、可変領域は霊長類(例えば非ヒト霊長類)の可変領域である。ある特定の態様において、可変領域は、齧歯動物又はマウスのCDR、及び霊長類(例えば非ヒト霊長類)のフレームワーク領域(FR)を含む。
本明細書で使用する場合、「定常領域」又は「定常ドメイン」という用語は、互換性があり、当技術分野で一般的な意味を有する。定常領域は、抗原への抗体の結合には直接関与しないが、Fc受容体との相互作用などの様々なエフェクター機能を発揮し得る抗体部分(例えば、軽鎖及び/又は重鎖のカルボキシル末端部分)である。免疫グロブリン分子の定常領域は、一般に、免疫グロブリン可変ドメインと比較してより保存されたアミノ酸配列を有する。免疫グロブリンの「定常領域」又は「定常ドメイン」は、CH1ドメイン、ヒンジ、CH2ドメイン、及びCH3ドメイン、又はこれらのドメインのサブセット、例えば、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含有することができる。本明細書で提供されるある特定の態様において、免疫グロブリン定常領域は、CH1ドメインを含有しない。本明細書で提供されるある特定の態様において、免疫グロブリン定常領域は、ヒンジを含有しない。本明細書で提供されるある特定の態様において、免疫グロブリン定常領域は、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含有しない。
「Fc領域」又は「Fcドメイン」は、細胞の抗体受容体及び補体のC1q成分への結合を担う、供給源抗体の部分に相当する、又はそれに由来するポリペプチド配列を指す。Fcとは「結晶性断片」を意味し、タンパク質結晶を容易に形成する抗体の断片を指す。元来タンパク質消化によって説明された異なるタンパク質断片は、免疫グロブリンタンパク質の全体的な一般構造を規定することができる。「Fc領域」又は「Fcドメイン」は、CH2ドメイン、CH3ドメイン、及び任意選択によりヒンジの全て又はその一部を含有する。「Fc領域」又は「Fcドメイン」は、単一のポリペプチド又は2つのジスルフィド結合したポリペプチドを指すことができる。免疫グロブリンの構造及び機能のレビューについては、Putnam,The Plasma Proteins,Vol.V(Academic Press,Inc.,1987),pp.49-140;及びPadlan,Mol.Immunol.31:169-217,1994を参照されたい。本明細書で使用する場合、Fcという用語は、天然の配列のバリアントを含む。
「野生型免疫グロブリンヒンジ領域」は、天然の抗体の重鎖中に見られるCH1ドメインとCH2ドメインの間に入り、それらを連結する(IgG、IgA、及びIgDの場合)、又はCH1ドメインとCH3ドメインの間に入り、それらを連結する(IgE及びIgMの場合)天然の上部及び中間部のヒンジアミノ酸配列を指す。ある特定の態様において、野生型免疫グロブリンヒンジ領域配列はヒトのものであり、ヒトIgGヒンジ領域を含むことができる。「改変野生型免疫グロブリンヒンジ領域」又は「改変免疫グロブリンヒンジ領域」は、(a)30%までのアミノ酸変化(例えば、25%、20%、15%、10%、又は5%までのアミノ酸置換又は欠失)を有する野生型免疫グロブリンヒンジ領域、又は(b)約5アミノ酸長から(例えば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20アミノ酸)約120アミノ酸長までを有する(例えば、約10~約40アミノ酸長又は約15~約30アミノ酸長又は約15~約20アミノ酸長又は約20~約25アミノ酸長を有する)野生型免疫グロブリンヒンジ領域の部分を指し、約30%までのアミノ酸変化(例えば、約25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、又は1%までのアミノ酸置換若しくは欠失又はそれらの組み合わせ)を有し、米国特許出願公開第2013/0129723号明細書及び米国特許出願公開第2013/0095097号明細書に開示されているIgGコアヒンジ領域を有する。
本明細書で使用する場合、抗体に関して使用する場合の「重鎖」という用語は、定常領域のアミノ酸配列に基づいて、任意の別個のタイプ、例えば、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、及びミュー(μ)を指すことができ、これらはそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMの抗体のクラスを生じ、IgGのサブクラス、例えば、IgG、IgG、IgG、及びIgGを含む。
本明細書で使用する場合、抗体に関して使用する場合の「軽鎖」という用語は、定常領域のアミノ酸配列に基づいて、任意の別個のタイプ、例えば、カッパ(κ)又はラムダ(λ)を指すことができる。軽鎖アミノ酸配列は、当技術分野において周知である。特定の態様において、軽鎖はヒト軽鎖である。
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」という用語は、本明細書において互換的に使用され、任意の長さのアミノ酸の多量体を指す。多量体は直鎖でも分岐鎖でもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸によって中断されていてもよい。この用語はまた、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、又は任意の他の操作若しくは修飾、例えば標識成分とのコンジュゲーションによって、天然に又は介在により修飾されているアミノ酸多量体も包含する。また、例えばアミノ酸の1つ又は複数の類似体(例えば、非天然アミノ酸などを含む)及び当技術分野において公知の他の修飾を含有するポリペプチドも定義の範囲に含まれる。当然のことながら、本発明のポリペプチドは抗体をベースとしているため、ある特定の態様において、ポリペプチドは一本鎖又は会合鎖として存在することができる。
本明細書で使用する場合、「核酸」、「核酸分子」又は「ポリヌクレオチド」という用語は、デオキシリボヌクレオチド若しくはリボヌクレオチド、又は一本鎖形態若しくは二本鎖形態のそれらの多量体を指す。特に限定しない限り、これらの用語は、基準の核酸と類似の結合特性を有し、天然ヌクレオチドと同様に代謝される天然ヌクレオチドの類似体を含有する核酸を包含する。他に指示がない限り、特定の核酸配列はまた、明確に指定された配列と同様に、その保存的に修飾されたバリアント(例えば、縮重コドン置換体)及び相補的配列も暗黙のうちに包含する。具体的には、縮重コドン置換体は、1つ又は複数の選択された(又は全ての)コドンの3番目の位置が混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基で置換されている配列を生成することによって実現することができる(Batzer et al.(1991)Nucleic Acid Res.19:5081;Ohtsuka et al.(1985)J.Biol.Chem.260:2605-2608;Cassol et al.(1992);Rossolini et al.(1994)Mol.Cell.Probes 8:91-98)。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、及び遺伝子によってコードされているmRNAと互換的に使用される。本明細書で使用する場合、「核酸」、「核酸分子」又は「ポリヌクレオチド」という用語は、DNA分子(例えば、cDNA又はゲノムDNA)、RNA分子(例えばmRNA)、ヌクレオチド類似体を使用して生成されるDNA又はRNAの類似体、並びにそれらの誘導体、断片及び相同体を含むものとする。
「イントロン」という用語は、本明細書で使用する場合、RNAに転写され、その後、典型的にはスプライシングによってRNAから除去されて、成熟型のRNA、例えばmRNAを作るヌクレオチドの配列を指す。典型的には、イントロンのヌクレオチド配列は、成熟RNAには組み入れられず、イントロン配列もその部分も、典型的にはポリペプチドに翻訳も組み入れもされない。スプライス供与体及びスプライス受容体などのスプライスシグナル配列が、細胞のスプライシング機構によって使用されて、イントロンをRNAから除去する。
「ベクター」という用語は、本明細書で使用する場合、目的の核酸によるセグメントを含む直鎖状又は環状の核酸を指す。
「発現ベクター」という用語は、本明細書で使用する場合、1つ又は複数の発現単位を含む直鎖状又は環状の核酸分子を指す。1つ又は複数の発現単位に加えて、発現ベクターはまた、~などの追加の核酸セグメントを含むこともできる。発現ベクターは、一般に、プラスミド又はウイルスのDNAに由来し、又は両方の要素を含有することができる。
本明細書で使用する場合、「宿主細胞」という用語は、任意の種類の細胞、例えば、一次細胞、培養細胞、又は細胞株由来細胞とすることができる。特定の態様において、「宿主細胞」という用語は、核酸分子をトランスフェクトした細胞、及びそのような細胞の後代又は潜在的後代を指す。そのような細胞の後代は、例えば、後続世代において、又は宿主細胞ゲノムへの核酸分子の組み込みにおいて生じ得る変異又は環境の影響のため、核酸分子をトランスフェクトした親細胞と同一でない場合がある。
「生細胞数」という用語は、本明細書で使用する場合、培養中に存在する生(生存)細胞の数を指す。
「細胞生存率」という用語は、本明細書で使用する場合、培養細胞がある一定の培養条件一式又は実験変動の下で生存する能力を指す。この用語はまた、本明細書で使用する場合、培養中のある特定の時間の生存細胞及び死滅細胞の全数に対して、その時間に生存している細胞の一部も指す。
「回収力価」又は「力価」という用語は、本明細書で使用する場合、細胞培養物中で産生された、発現したポリペプチド又は免疫グロブリンの総量を所定の量の培地体積で除したものを指す。
「qP」という用語は、本明細書で使用する場合、細胞比生産性を指し、産生された総免疫グロブリンを生細胞濃度積分値で除したものから決定される。
「IVC」という用語は、本明細書で使用する場合、生細胞濃度積分値を指し、
Figure 2023532951000002
によって計算され、式中、Xは生細胞濃度であり、Vは培養物の体積であり、tは時間である。
「単離されている」ポリペプチド、抗体、核酸、ベクター、細胞、又は組成物は、天然には見出されない形態のポリペプチド、抗体、核酸、ベクター、細胞、又は組成物である。単離されているポリペプチド、抗体、核酸、ベクター、細胞又は組成物は、もはや天然に見出される形態ではなくなる程度まで精製されているものが含まれる。一部の態様において、単離されている抗体、核酸、ベクター、細胞、又は組成物は実質的に純粋である。本明細書で使用する場合、「実質的に純粋」とは、少なくとも50%純粋な(即ち夾雑物がない)材料を指す。一部の例では、材料は少なくとも90%純粋、少なくとも95%純粋、少なくとも98%純粋、又は少なくとも99%純粋である。
当然のことながら、「ある(a)」及び「ある(an)」という用語は、本明細書で使用する場合、他に指示がない限り、「1つ又は複数」の挙げられた構成要素を指す。
特に指定がなく、又は文脈から明らかでない限り、本明細書で使用する場合、「又は」という用語は、包括的であると理解される。「及び/又は」という用語は、本明細書において「A及び/又はB」などの語句で使用される場合、「A及びB」、「A又はB」の両方、「A」及び「B」を含むものとする。同様に、「及び/又は」という用語は、「A、B及び/又はC」などの語句で使用される場合、以下の態様の各々を包含するものとする:A、B及びC;A、B又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);並びにC(単独)。
当然のことながら、「含む」という語とともに態様が本明細書中に記載される場合は常に、「からなる」及び/又は「から実質的になる」という用語で記載される、他の点では類似の態様も提供され、それらは本願の開示の一部である。本開示において、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含有する」及び「有する」などは、米国及び欧州の特許法においてそれらがもつ意味を有することができ、「含む(includes)」、「含む(including)」などを意味することができる。「から実質的になる」又は「実質的になる」は、同様に、米国及び欧州の特許法に基づく意味を有する。当然のことながら、米国特許法に関する限り、その用語はオープンエンドであり、言及されていることの基本的又は新規な特徴が、言及されていることを超える存在によって変化させられない限り、言及されていることを超える存在が許容されるが、従来技術の態様は除外される。以下もまた当然のことながら、欧州特許法に関する限り、「から実質的になる」又は「実質的に含む」の使用は、特定のさらなる構成要素、即ち、化合物又は組成物の本質的特徴に実質的に影響しないものが存在することができることを意味する。
本明細書で使用する場合、「約」及び「およそ」という用語は、数値又は数範囲を修飾するために使用される場合、その値又は範囲の5%上まで又は5%下までの偏差が、記載された値又は範囲の意図される意味の内に留まることを示す。
II.免疫グロブリンをコードする核酸
ヒト免疫グロブリンG(IgG)は、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドを含有し、それらは一緒になって免疫グロブリンを形成する。免疫グロブリン軽鎖は可変軽鎖を有し、これはエピトープへの結合を助ける可変軽鎖領域相補性決定領域(CDR)を含む。免疫グロブリン軽鎖はまた、軽鎖定常領域も含有する。IgG軽鎖は、カッパ軽鎖又はラムダ軽鎖のいずれかとすることができる。
免疫グロブリン重鎖は、可変重鎖を有し、これはエピトープへの結合を助ける可変重鎖領域相補性決定領域(CDR)を含む。免疫グロブリン重鎖はまた、重鎖定常領域も含有する。IgG重鎖定常領域中に、3つの定常ドメイン(CH1、CH2、及びCH3)及びヒンジ領域がある。
ヒトIgG重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列は、3つのイントロンを含有する(図10を参照)。ヒトIgG重鎖定常領域中のイントロン1は、CH1領域をコードするエクソンとヒンジ領域をコードするエクソンとの間に位置している。ヒトIgG重鎖定常領域中のイントロン2は、ヒンジ領域をコードするエクソンとCH2領域をコードするエクソンとの間に位置している。ヒトIgG重鎖定常領域中のイントロン3は、CH2領域をコードするエクソンとCH3領域をコードするエクソンとの間に位置している。
イントロンは、核膜孔複合体を通過するmRNA核外輸送に関連していることが知られている。概括的には、Kohler A.et al.,Nature Review Molecular Cell Biology 8:761-773(2007);Bjork,P.et al.,Seminars in Cell & Developmental Biology 32:47-54(2014);Reed,R.Current Opinion in Cell Biology,15:326-331(2003)を参照されたい。したがって、組換え免疫グロブリン産生のための核酸を調製する場合、内因性イントロンは通常切除されない。なぜなら、イントロンを有する核酸は、通常、対応するcDNAバージョンと比較して免疫グロブリン産生力価を増加させるからである。例えば、図2を参照されたい。
ヒトIgG重鎖中に内因性イントロンを含有する核酸を用いる免疫グロブリン産生は、免疫グロブリン力価を増加させるが、イントロンは、免疫グロブリンの断片又はバリアントをもたらし得る不正確なスプライス部位を導入する可能性があり、このため産物の純度を低下させる。免疫グロブリンプール中に免疫グロブリンの断片又はバリアントが導入されると、これらの断片及びバリアントの精製において困難さが増す可能性があり、このため、精製プロセスに不当な負担がかかり、産物の純度の低下の一因となる。
一態様において、IgG重鎖定常領域中の1つ又は2つのイントロンのヌクレオチド配列が欠失していると、免疫グロブリンの断片又はバリアントの産生が減少し、IgG軽鎖をコードする適切な核酸と一緒に発現させる場合、免疫グロブリン力価の上昇が得られる。
ある特定の態様において、本開示は、免疫グロブリン重鎖定常領域の第2及び第3のイントロンのヌクレオチド配列が欠失している、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。ある特定の態様において、本開示は、ヌクレオチド配列が第1のイントロンの配列を含み、免疫グロブリン重鎖定常領域の第2及び第3のイントロンの配列が欠失している、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。ある特定の態様において、本開示は、ヌクレオチド配列が免疫グロブリン重鎖定常領域の第1のイントロンのみを含む、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。ある特定の態様において、本開示は、ヌクレオチド配列が免疫グロブリン重鎖定常領域の第2のイントロンのみを含む、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。ある特定の態様において、本開示は、ヌクレオチド配列が免疫グロブリン重鎖定常領域の第3のイントロンのみを含む、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。
ある特定の態様において、本開示は、免疫グロブリン重鎖定常領域の3つの内因性イントロンのうち1つのイントロンのヌクレオチド配列が欠失している、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。一部の例では、第1のイントロンが欠失している。一部の例では、第2のイントロンが欠失している。一部の例では、第3のイントロンが欠失している。ある特定の態様において、本開示は、ヌクレオチド配列が第2及び第3のイントロンの配列を含むが、免疫グロブリン重鎖定常領域の第1のイントロンの配列が欠失している、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。ある特定の態様において、本開示は、ヌクレオチド配列が第1及び第3のイントロンの配列を含むが、免疫グロブリン重鎖定常領域の第2のイントロンの配列が欠失している、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。ある特定の態様において、本開示は、ヌクレオチド配列が第1及び第2のイントロンの配列を含むが、免疫グロブリン重鎖定常領域の第3のイントロンの配列が欠失している、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。
ある特定の態様において、本開示は、免疫グロブリン重鎖定常領域中の3つの内因性イントロンのうち2つのイントロンのヌクレオチド配列が欠失している、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。一部の例では、第1及び第2のイントロンが欠失している。一部の例では、第1及び第3のイントロンが欠失している。一部の例では、第2及び第3のイントロンが欠失している。ある特定の態様において、本開示は、ヌクレオチド配列が第1のイントロンの配列を含むが、免疫グロブリン重鎖定常領域の第2及び第3のイントロンの配列が欠失している、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。ある特定の態様において、本開示は、ヌクレオチド配列が第2のイントロンの配列を含むが、免疫グロブリン重鎖定常領域の第1及び第3のイントロンの配列が欠失している、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。ある特定の態様において、本開示は、ヌクレオチド配列が第3のイントロンの配列を含むが、免疫グロブリン重鎖定常領域の第1及び第2のイントロンの配列が欠失している、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。
ある特定の態様において、本開示は、第1のイントロンのヌクレオチド配列が欠失し、免疫グロブリン重鎖定常領域の第2及び/又は第3のイントロンのヌクレオチド配列が欠失し、第2及び/又は第3のイントロンのヌクレオチド配列が第1のイントロンのヌクレオチド配列で置換されている、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。一部の例では、第2のイントロンのヌクレオチド配列が、第1のイントロンのヌクレオチド配列で置換されている。一部の例では、第3のイントロンのヌクレオチド配列が、第1のイントロンのヌクレオチド配列で置換されている。ある特定の態様において、本開示は、第1及び第2のイントロンのヌクレオチド配列が免疫グロブリン重鎖定常領域から欠失しており、第2のイントロンのヌクレオチド配列が第1のイントロンのヌクレオチド配列で置換されている、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。ある特定の態様において、本開示は、第1及び第3のイントロンのヌクレオチド配列が免疫グロブリン重鎖定常領域から欠失しており、第3のイントロンのヌクレオチド配列が第1のイントロンのヌクレオチド配列で置換されている、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。ある特定の態様において、本開示は、第1のイントロンのヌクレオチド配列が欠失し、免疫グロブリン重鎖定常領域の第2及び第3のイントロンのヌクレオチド配列が欠失し、第2及び第3のイントロンのヌクレオチド配列が、第1のイントロンのヌクレオチド配列で各々置換されている、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。
ある特定の態様において、本開示は、免疫グロブリン重鎖定常領域中の第2及び/又は第3のイントロンのヌクレオチド配列が、第1のイントロンのヌクレオチド配列で置換されている、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。一部の例では、第2のイントロンのヌクレオチド配列が、第1のイントロンのヌクレオチド配列で置換されている。一部の例では、第3のイントロンのヌクレオチド配列が、第1のイントロンのヌクレオチド配列で置換されている。ある特定の態様において、本開示は、免疫グロブリン重鎖定常領域中の第2のイントロンのヌクレオチド配列が第1のイントロンのヌクレオチド配列で置換されており、第1及び第3のイントロンの配列が欠失していない、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。ある特定の態様において、本開示は、免疫グロブリン重鎖定常領域中の第3のイントロンのヌクレオチド配列が第1のイントロンのヌクレオチド配列で置換されており、第1及び第2のイントロンの配列が欠失していない、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。ある特定の態様において、本開示は、免疫グロブリン重鎖定常領域中の第2及び第3のイントロンのヌクレオチド配列が第1のイントロンのヌクレオチド配列で置換されており、第1のイントロンの配列が欠失していない、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。
ある特定の態様において、本開示は、免疫グロブリン重鎖定常領域中の第3のイントロンのヌクレオチド配列が、免疫グロブリン重鎖定常領域の第1のイントロンのヌクレオチド配列とほぼ同じ数のヌクレオチドを含むイントロンのヌクレオチド配列で置き換えられている、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。一部の例では、免疫グロブリン重鎖定常領域中の第1のイントロンのヌクレオチド配列が欠失している。ある特定の態様において、本開示は、免疫グロブリン重鎖定常領域中の第3のイントロンのヌクレオチド配列が、免疫グロブリン重鎖定常領域の第1のイントロンのヌクレオチド配列とほぼ同じ数のヌクレオチドを含むイントロンのヌクレオチド配列で置き換えられており、第1及び/又は第2のイントロンの配列が欠失している、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。
ある特定の態様において、本開示は、免疫グロブリン重鎖定常領域中の第2のイントロンのヌクレオチド配列が、免疫グロブリン重鎖定常領域の第1のイントロンのヌクレオチド配列とほぼ同じ数のヌクレオチドを含むイントロンのヌクレオチド配列で置き換えられている、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。一部の例では、免疫グロブリン重鎖定常領域中の第1のイントロンのヌクレオチド配列が欠失している。ある特定の態様において、本開示は、免疫グロブリン重鎖定常領域中の第2のイントロンのヌクレオチド配列が、免疫グロブリン重鎖定常領域の第1のイントロンのヌクレオチド配列とほぼ同じ数のヌクレオチドを含むイントロンのヌクレオチド配列で置き換えられており、第1及び/又は第3のイントロンの配列が欠失している、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を包含する。
上記の態様のいずれかにおいて、免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸と一緒に発現させることもできる。一部の例では、免疫グロブリン軽鎖はカッパ軽鎖である。一部の例では、免疫グロブリン軽鎖はラムダ軽鎖である。
上記の態様のいずれかにおいて、核酸は、当該核酸を、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸と一緒に発現させた場合、重鎖定常領域中の全てのイントロン配列を含有する核酸よりも高力価で免疫グロブリンを発現する。
上記の態様のいずれかにおいて、核酸は、当該核酸を、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸と一緒に発現させた場合、重鎖定常領域にイントロン配列を含有しない核酸よりも高力価で免疫グロブリンを発現する。
上記の態様のいずれかにおいて、核酸はコドン最適化されていない。上記の態様のいずれかにおいて、核酸はコドン最適化されている。
上記の態様のいずれかにおいて、発現された免疫グロブリンは、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4のアイソタイプを有する。
上記の態様のいずれかにおいて、発現された免疫グロブリンは、ヒト、ヒト化、キメラ、又は表面再構成の免疫グロブリンである。
本開示の核酸は、RNAの形態又はDNAの形態とすることができる。DNAはゲノムDNA又は合成DNAを含み、二本鎖又は一本鎖とすることができ、一本鎖の場合、コード鎖又は非コード(アンチセンス)鎖とすることができる。一部の態様において、核酸はもう1つの内因性イントロンを欠くDNAである。
一部の態様において、核酸は非天然のヌクレオチドを含む。一部の態様において、核酸は組換えで産生される。
ある特定の態様において、核酸は単離されている。
III.細胞及びベクター
本明細書に記載される核酸を含むベクター及び細胞もまた提供される。
ある特定の態様において、免疫グロブリンをコードする本明細書に記載される核酸を発現する(例えば、組換えにより)発現ベクターを含む細胞(例えば宿主細胞)が、本明細書において提供される。宿主細胞、例えば哺乳動物の宿主細胞中での組換え発現のための免疫グロブリン重鎖及び軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含むベクター(例えば発現ベクター)が、本明細書において提供される。免疫グロブリンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を組換えにより発現するためのそのようなベクターを含む宿主細胞もまた、本明細書において提供される。
免疫グロブリンの組換え発現は、本明細書に記載される免疫グロブリン(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含有する発現ベクターを必要とする。一部の態様において、ベクターは、免疫グロブリンをコードするヌクレオチド配列を含有する、本明細書に記載される核酸を含む。一部の態様において、宿主細胞はベクターを含む。本開示はまた、本明細書に記載される核酸を含むプラスミド、ベクター、転写カセット又は発現カセットの形態のコンストラクトも提供する。一部の態様において、ベクターは、発現ベクター、宿主細胞中で組換え免疫グロブリン産生を助けるための追加のヌクレオチド配列(例えばプロモーター)である。
発現ベクターは、従来技術によって細胞(例えば宿主細胞)に導入することができ、その後、得られた細胞は、従来技術によって培養されて、本明細書に記載される免疫グロブリンを産生することができる。したがって、宿主細胞中でのそのような配列の発現のためのプロモーターに操作可能に連結される、本明細書に記載される免疫グロブリン又はそのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞が、本明細書において提供される。
ある特定の態様において、宿主細胞は、本明細書に記載される免疫グロブリンの免疫グロブリン重鎖及び軽鎖ポリペプチドをコードする核酸を含むベクターを含有する。ある特定の態様において、宿主細胞は、本明細書に記載される免疫グロブリンのポリペプチドの全てをコードする核酸を含む複数の異なるベクターを含有する。
ベクター又はベクターの組み合わせは、相互作用して本明細書に記載される免疫グロブリンを形成する2つ以上のポリペプチドをコードする核酸:例えば、重鎖をコードする第1の核酸及び軽鎖をコードする第2の核酸を含むことができる。2つの別個のベクター中で2つのポリペプチドが核酸によってコードされている場合、それらのベクターは同じ宿主細胞中にトランスフェクトすることができる。
種々の宿主-発現ベクター系が、本明細書に記載される免疫グロブリン又はそのポリペプチド(例えば、免疫グロブリン定常領域;重鎖又は軽鎖)を発現するために利用され得る。そのような宿主-発現系は、目的のコード配列を産生し、続いて精製することができるビヒクルであるか、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換された場合、又はそれをトランスフェクトされた場合に、本明細書に記載される免疫グロブリン又はそのポリペプチドを原位置で発現することができる細胞でもある。これらには、抗体コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA若しくはコスミドDNA発現ベクターをトランスフェクトされた細菌(例えば、大腸菌(E.coli)及び枯草菌(B.subtilis))などの微生物;抗体コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターをトランスフェクトされた酵母(例えば、サッカロミセス・ピキア(Saccharomyces Pichia));抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染した、若しくは抗体コード配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系(例えばコナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)などの緑藻類);又は哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)若しくは哺乳動物のウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現コンストラクトを保持する哺乳動物細胞系(例えば、COS(例えば、COS1又はCOS)、CHO、BHK、MDCK、HEK293、NS0、PER.C6、VERO、CRL7O3O、HsS78Bst、HeLa、及びNIH3T3、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20、及びBMT10の各細胞)が含まれるが、それらに限定されない。
本明細書に記載される免疫グロブリン又はそのポリペプチド(例えば、免疫グロブリン定常領域;重鎖又は軽鎖)が、組換え発現によって産生されると、それは、当技術分野において公知の任意の抗体の精製方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、特にプロテインAの後の特定の抗原に対する親和性によるアフィニティークロマトグラフィー、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解性差により、又は任意の他の標準的なタンパク質の精製技術により、精製することができる。さらに、本明細書に記載される抗体は、精製を容易にするための、本明細書に記載される、又はそれ以外では当技術分野において公知の、異種ポリペプチド配列(例えば、FLAGタグ、hisタグ、又はアビジン)に融合することができる。
IV.免疫グロブリンの産生
免疫グロブリンは、当技術分野において公知の任意の免疫グロブリンの合成方法によって、例えば、組換え発現技術によって、産生することができる。本明細書に記載される方法は、他に指示がない限り、分子生物学、微生物学、遺伝分析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成及び修飾、核酸ハイブリダイゼーション、並びに当技術分野の技能の範囲内の関連分野における従来技術を使用する。これらの技術は、例えば、本明細書に引用されている参考文献に記載されており、文献に詳細に説明されている。例えば、Maniatis T et al.,(1982)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Sambrook J et al.,(1989),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Sambrook J et al.,(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY; Ausubel FM et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons(1987及び年次改訂版);Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons(1987及び年次改訂版)Gait(ed.)(1984)Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press;Eckstein(ed.)(1991)Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,IRL Press;Birren B et al.,(eds.)(1999)Genome Analysis:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。
一部の態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域のいずれかをコードするヌクレオチド配列を有する、単離されている核酸、及び任意選択により、本開示の免疫グロブリン重鎖可変領域及び/又は免疫グロブリン軽鎖をコードするヌクレオチド配列を有する、単離されている核酸が提供される。そのような核酸は、免疫グロブリンのCを含むアミノ酸配列及び/又はCを含むアミノ酸配列(例えば、免疫グロブリンの軽定常鎖及び/又は重定常鎖)をコードし得る。そのような核酸は、免疫グロブリンのVを含むアミノ酸配列及び/又はVを含むアミノ酸配列(例えば、免疫グロブリンの軽可変鎖及び/又は重可変鎖)をコードし得る。一部の態様において、そのような核酸を含む1つ又は複数のベクター(例えば発現ベクター)が提供される。一部の態様において、そのような核酸を含む宿主細胞もまた提供される。一部の態様において、宿主細胞は、(1)免疫グロブリンの軽鎖を含むアミノ酸配列及び免疫グロブリンの重鎖を含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、又は(2)免疫グロブリンの軽鎖を含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター、及び免疫グロブリンの重鎖を含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、これらをトランスフェクトされている)。
一部の態様において、免疫グロブリンをコードする本開示の核酸を含む宿主細胞は、抗体の発現に適した条件下で培養される。本開示の核酸を使用する免疫グロブリンの組換え産生については、重鎖及び/又は軽鎖をコードする1つ又は複数の核酸が単離され、本明細書に記載される宿主細胞中でのさらなるクローニング及び/又は発現のため、1つ又は複数のベクターの中に挿入される。
ある特定の態様において、宿主細胞は、免疫グロブリン重鎖定常領域の第2及び第3のイントロンのヌクレオチド配列が欠失している免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含み、当該宿主細胞は、全てのイントロン配列を含むか又はイントロン配列を含まない免疫グロブリン重鎖定常領域をコードする核酸を含む宿主細胞よりも高力価で免疫グロブリンを発現する。特定の態様において、細胞は単離されている細胞である。一部の態様において、第1のイントロンの核配列が欠失している。一部の態様において、第2のイントロンの核配列が欠失している。一部の態様において、第3のイントロンの核配列が欠失している。一部の態様において、第1及び第2のイントロンのヌクレオチド配列が欠失している。一部の態様において、第1及び第3のイントロンのヌクレオチド配列が欠失している。一部の態様において、第2のイントロンのヌクレオチド配列は、第1のイントロンのヌクレオチド配列で置換されている。一部の態様において、第3のイントロンのヌクレオチド配列は、第1のイントロンのヌクレオチド配列で置換されている。一部の態様において、第2のイントロンのヌクレオチド配列は、第1のイントロンのヌクレオチド配列で置き換えられている。一部の態様において、第3のイントロンのヌクレオチド配列は、第1のイントロンのヌクレオチド配列で置き換えられている。ある特定の態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域中の第3のイントロンのヌクレオチド配列は、免疫グロブリン重鎖定常領域の第1のイントロンのヌクレオチド配列とほぼ同じ数のヌクレオチドを含むイントロンのヌクレオチド配列で置き換えられている。ある特定の態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域中の第2のイントロンのヌクレオチド配列は、免疫グロブリン重鎖定常領域の第1のイントロンのヌクレオチド配列とほぼ同じ数のヌクレオチドを含むイントロンのヌクレオチド配列で置き換えられている。一部の態様において、免疫グロブリン重鎖定常領域中の第1のイントロンのヌクレオチド配列が欠失してもいる。
上記の態様のいずれかにおいて、免疫グロブリン軽鎖は、カッパ軽鎖又はラムダ軽鎖である。
上記の態様のいずれかにおいて、核酸はコドン最適化されている。上記の態様のいずれかにおいて、核酸はコドン最適化されていない。
上記の態様のいずれかにおいて、免疫グロブリンは、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4のアイソタイプを有する。
上記の態様のいずれかにおいて、免疫グロブリンは、ヒト、ヒト化、キメラ、又は表面再構成の免疫グロブリンである。
上記の態様のいずれかにおいて、クローンのプールから産生された免疫グロブリンは、少なくとも1,000mg/Lの回収力価を有する。上記の態様のいずれかにおいて、クローンのプールから産生された免疫グロブリンは、少なくとも1,500mg/Lの回収力価を有する。上記の態様のいずれかにおいて、クローンのプールから産生された免疫グロブリンは、少なくとも2,000mg/Lの回収力価を有する。上記の態様のいずれかにおいて、クローンのプールから産生された免疫グロブリンは、少なくとも2,500mg/Lの回収力価を有する。上記の態様のいずれかにおいて、クローンのプールから産生された免疫グロブリンは、少なくとも3,000mg/Lの回収力価を有する。
上記の態様のいずれかにおいて、最高発現クローンから産生された免疫グロブリンは、少なくとも1,000mg/Lの回収力価を有する。上記の態様のいずれかにおいて、最高発現クローンから産生された免疫グロブリンは、少なくとも1,500mg/Lの回収力価を有する。上記の態様のいずれかにおいて、最高発現クローンから産生された免疫グロブリンは、少なくとも2,000mg/Lの回収力価を有する。上記の態様のいずれかにおいて、最高発現クローンから産生された免疫グロブリンは、少なくとも3,000mg/Lの回収力価を有する。上記の態様のいずれかにおいて、最高発現クローンから産生された免疫グロブリンは、少なくとも4,000mg/Lの回収力価を有する。上記の態様のいずれかにおいて、最高発現クローンから産生された免疫グロブリンは、少なくとも5,000mg/Lの回収力価を有する。上記の態様のいずれかにおいて、最高発現クローンから産生された免疫グロブリンは、少なくとも6,000mg/Lの回収力価を有する。上記の態様のいずれかにおいて、最高発現クローンから産生された免疫グロブリンは、少なくとも7,000mg/Lの回収力価を有する。上記の態様のいずれかにおいて、最高発現クローンから産生された免疫グロブリンは、少なくとも8,000mg/Lの回収力価を有する。上記の態様のいずれかにおいて、最高発現クローンから産生された免疫グロブリンは、少なくとも9,000mg/Lの回収力価を有する。上記の態様のいずれかにおいて、最高発現クローンから産生された免疫グロブリンは、少なくとも10,000mg/Lの回収力価を有する。上記の態様のいずれかにおいて、最高発現クローンから産生された免疫グロブリンは、少なくとも11,000mg/Lの回収力価を有する。上記の態様のいずれかにおいて、最高発現クローンから産生された免疫グロブリンは、少なくとも12,000mg/Lの回収力価を有する。
上記の態様のいずれかにおいて、宿主細胞は真核細胞である。上記の態様のいずれかにおいて、真核細胞はCHO細胞である。
一部の態様において、外因性核酸が細胞中に導入されている。
一部の態様において、本方法は、細胞又は宿主細胞からの免疫グロブリンを精製するステップをさらに含む。
本開示の態様は、以下の非限定的な例を参照することによってさらに規定され得る。これらの例は、本開示のある特定の抗体の調製及び本開示の抗体の使用方法を詳細に記載するものである。材料及び方法の両方に対する多くの変更が、本開示の範囲を逸脱することなくなされ得ることは、当業者には明らかであるだろう。
当然のことながら、本明細書に記載される例及び態様は、例示のみを目的とし、それに照らして様々な変形又は変更が当業者に対して示唆され、それらは本願の趣旨及び範囲に含まれることになる。
実施例1.ミススプライシングされた免疫グロブリンバリアントの特性決定
イントロンは、選択的スプライシングの調整、遺伝子発現の増強、及びmRNAの核からの輸送の制御を含む複数の分野で重要である。このため、内因性イントロンを含有する、免疫グロブリンを産生するための発現ベクター中に使用される核酸。しかしながら、これは、ミススプライシングされた免疫グロブリンバリアントをもたらす可能性があり、それは精製が困難であり得、及び/又は免疫グロブリン産物の回収力価を減少させ得る。
MAb1の細胞培養産生は、イントロンのスプライスバリアントが原因で、3つの免疫グロブリンバリアントをもたらした。重鎖定常領域中に内因性イントロン配列を含む、各免疫グロブリンの軽鎖配列及び重鎖配列を含有する発現ベクターを、線形化し、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞中にトランスフェクトした。線形化した発現ベクターのトランスフェクションは、ヌクレオフェクションによって行い、細胞のプールを生成した。線形化した発現ベクターを、ランダムな組み込みによってCHOゲノム中に組み込んだ。MAb1を発現する細胞のプールをクローン化して、その時点で適切な細胞株開発プロセスを使用してクローンを製造する細胞株を生成した。
CHO細胞を増殖させ、MAb1の産生を開始するように誘導した。免疫グロブリンを回収し、高速サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)を使用して免疫グロブリンを精製した。HPSEC分画については、MAb1を、TSK-ゲルG3000SW×Lカラム(7.8mm×30cm;Tosoh Bioscience、King of Prussia、PA、USA)にカラム周囲温度で注入した。試料を、0.1Mリン酸ナトリウム、0.1M硫酸ナトリウムから構成される移動相、pH6.8、流速1.0mL/分で、均一濃度で溶離した。複数回の注入から回収した画分をプールし、濃縮した後で特性決定及び分析をした。Harris,C.et al.,MABS,11:1452-1463(2019)を参照されたい。
図1に示すように、HPSECは、3つのスプライスバリアント、即ち、伸長を有する単量体免疫グロブリン、及び2つの断片を明らかにしている。伸長を有する免疫グロブリンバリアントは、免疫グロブリンのC末端に追加のラムダ軽鎖定常ドメインを有することが確認された。これは、重鎖のC末端に追加のラムダ軽鎖定常ドメインを有する選択的重鎖転写物によってもたらされた。2つの断片は、ヒンジとCH2領域との間のイントロン2に関連するスプライスバリアントであると判定された。具体的には、1つの断片は、インフレームの終止コドンが原因で切断型重鎖になり、他方は、フレームシフトが起こって終止コドンを作り、切断型重鎖になる、ミススプライシング現象である。このように、免疫グロブリン断片バリアントは、免疫グロブリン重鎖定常領域中のイントロンによって産生される。
実施例2.免疫グロブリンスプライスバリアントを減少させるための核酸の操作
実施例1において産生される免疫グロブリン断片を排除するため、コドン最適化したcDNAヌクレオチド配列を、MAb2の免疫グロブリン重鎖定常領域中のイントロンを一切なくして作製した。cDNAバージョンは、免疫グロブリン重鎖定常領域中のイントロン2を除去し、2つの断片の産生を防止した。
しかしながら、イントロンは、CHO細胞中でタンパク質発現を増強するために必要であることがよく知られている。したがって、CHO細胞に、ヌクレオフェクションによって、非コドン最適化gDNA又はコドン最適化cDNAをトランスフェクトしてプールを生成し、増殖させ、振盪フラスコ中で、プール流加プロセスにおけるように、免疫グロブリンを産生するように誘導した。図2Aを参照されたい。図2Bは、回収力価によって示されているように、MAb2のcDNAバージョンは、ゲノムDNA(gDNA)バージョンと比較して、免疫グロブリンの産生が有意に少ないことを示す。
2つの免疫グロブリン断片バリアントは、イントロン2におけるミススプライシングの結果として生じるため、個々のイントロンを免疫グロブリン重鎖定常領域から除去し、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロンが一切ないcDNAバージョン又はgDNAバージョンと比較した。次のコンストラクトを作製し、試験した:(1)重鎖定常領域中の3つ全てのイントロンを含有するgDNA(非コドン最適化)、(2)cDNA(コドン最適化)、(3)イントロン1を除去したgDNA(非コドン最適化)、(4)イントロン2を除去したgDNA(非コドン最適化)、(5)イントロン3を除去したgDNA(非コドン最適化)、及び(6)全てのイントロンを除去したgDNA(非コドン最適化)。図3Aを参照されたい。
実施例1に記載されているように、核酸を調製し、CHO細胞にトランスフェクトして、プール段階にした。Single Cell Printer(商標)(Cytena)を使用して、単一細胞クローンを得るためにプールをスクリーニングした。これは単一細胞を含有する液滴を384ウェルプレートのウェルに沈着させるものである。単一細胞沈着は、Cellavista(登録商標)プレートリーダー(Synentec)を使用して確認される。さらなる特性決定のために最高発現クローンを選択した。最高クローンを増殖させ、各コンストラクトについて、MAb2を産生するように誘導した。MAb2を13日目に回収した。図3Bは、cDNA及びgDNA(イントロンを含まない)の回収力価が最低の回収力価であったことを示す。一方、イントロン1、イントロン2、又はイントロン3のいずれかのうち1つがないgDNAのコンストラクトは、3つ全てのイントロンを含有するgDNA、gDNA(イントロンを含まない)、及びcDNAの各コンストラクトと比較して、回収力価が増加した。
図4A~Cは、平均生細胞数(VCN)、細胞生存率、及び生細胞濃度積分値(IVC)が、全コンストラクト間でほぼ同じであったことを示すが、図4Dは、力価の増加が細胞生産性(qP)の増加に由来することを明らかにしている。イントロンが免疫グロブリン発現を増加させることが知られていたため、1つのイントロンを除去すると回収力価が増加したのは意外であった。
実施例3.回収力価を増加させるための核酸の操作
CHO細胞が免疫グロブリンを産生する能力に対する各イントロンの重要性をさらに判定するために、次のMAb2コンストラクトを作製した:(1)イントロン2を除去したgDNA(非コドン最適化)、(2)イントロン1及び2を除去したgDNA(非コドン最適化)、(3)イントロン2及び3を除去したgDNA(非コドン最適化)、及び(4)イントロンが一切ないgDNA(非コドン最適化)。コドン最適化したヌクレオチド配列を使用することの重要性を判定するために、コドン最適化した配列を使用すること以外は同じのコンストラクトの一式を作製した。
実施例2のように、コンストラクトをCHO細胞中にトランスフェクトした。同様に、実施例2のように、CHO細胞を増殖させ、次いで免疫グロブリン産生の誘導を行った。11日目に免疫グロブリン産物を回収し、回収力価、qP、VCN、及びIVCを全て決定した。図5Aは、ヌクレオチド配列がコドン最適化されたか否かにかかわらず、イントロン2のないgDNA並びにイントロン2及び3のないgDNAから産生された免疫グロブリンの回収力価が最も高かったことを明らかにしている。しかし、イントロン1及び2のないgDNAは、イントロンが一切ないgDNAと力価レベルが類似していた。図5B及び5Cは、各々についてVCN及びIVCがほぼ同じであることを示す。しかし、細胞生産性(qP)は、イントロン2のないgDNA並びにイントロン2及び3のないgDNAが、最も生産性が高かったことを明らかにした。図5Dを参照されたい。これは、イントロン1が、免疫グロブリンの産生の増加に重要であることを示唆する。
免疫グロブリンの産生の増加に対するイントロン1の重要性をさらに理解するために、複数の新規なMAb2コンストラクトを作製した。上記で作製した非コドン最適化コンストラクト(即ち、全てのイントロンを有するgDNA(非コドン最適化)、イントロン2のないgDNA(非コドン最適化)、イントロン2及び3のないgDNA(非コドン最適化)、及びイントロン1及び2のないgDNA(非コドン最適化))に加えて、次のコンストラクトを作製した:(1)イントロン1の位置に移動したイントロン3を有し、イントロン1及び2が欠失しているgDNA(非コドン最適化)、(2)イントロン1の位置に移動したイントロン3を有し、イントロン3のヌクレオチド配列は、イントロン配列に1ヌクレオチドの変化を作ることによって5’スプライス供与部位の強度を増すように修飾されており、イントロン1及び2が欠失している、gDNA(非コドン最適化)、(3)イントロン3の位置に移動したイントロン1を有し、イントロン2及び3が欠失している、gDNA(非コドン最適化)、(4)イントロンが一切ないgDNA(非コドン最適化)、(5)野生型IgG1及び全てのイントロンを有するgDNA(非コドン最適化)、(6)野生型IgG1を有し、イントロン2及び3がないgDNA(非コドン最適化)、(7)野生型IgG1を有し、イントロン1及び2がないgDNA(非コドン最適化)、及び(8)野生型IgG1を有し、イントロンが一切ないgDNA(非コドン最適化)。図6Aを参照されたい。
実施例1に記載されているように、これらのコンストラクトをCHO細胞中にトランスフェクトした。実施例1に記載されているように、CHO細胞を増殖させ、免疫グロブリンを産生するように誘導した。免疫グロブリンを11日目に回収し、回収力価を決定した。図6Bは、イントロン1をイントロン3の位置に移動させると、全てのイントロンを有するgDNA及びイントロン1のみを有するgDNAと類似の回収力価をもたらすことを示す。図6Bはまた、3つ全てのイントロンを含有するコンストラクトと類似の力価を維持することにおけるイントロン1の効果は、型が野生型IgG1であるか半減期延長IgG1であるかには影響されないことも確証している。
実施例4.回収力価の増加があるかどうかを判定するための、追加の免疫グロブリンにおける核酸の操作
MAb2において見られる結果が、当該免疫グロブリンに特異的であるのかどうかを判定するために、追加の免疫グロブリン分子が試験される。図7は、MAb2、MAb1、MAb3、及びMAb4について作製された異なるコンストラクトを示す。各免疫グロブリンについて、次のコンストラクトを作製した:(1)全てのイントロンを有するgDNA(非コドン最適化)、(2)イントロン1のみを有するgDNA(非コドン最適化)、及び(3)イントロンが一切ないgDNA(非コドン最適化)。MAb2及びMAb3は、カッパ軽鎖を含有し、MAb1及びMAb4はラムダ軽鎖を含有する。ラムダ軽鎖は、可変軽鎖と定常軽鎖との間に異なるイントロンを有し、異なるpolyA尾部を有する。実施例1に既に記載されているようにこれらのコンストラクトを作製した。実施例2に記載されているように、これらのコンストラクトをCHO細胞中にトランスフェクトしてプールを生成した。実施例2に記載されているように、CHO細胞を増殖させ、免疫グロブリンを産生するように誘導した。免疫グロブリンを11日目に回収し、回収力価を決定した。
図8は、MAb2、MAb3、MAb1、及びMAb4の重鎖定常領域にイントロン1のみが存在すると、重鎖定常領域の全てのイントロンを有する各コンストラクトと比較して、類似の免疫グロブリン力価をもたらすことを示す。加えて、イントロン1のみを有するコンストラクトは、免疫グロブリン重鎖定常領域中にイントロンが一切ないgDNAと比較して、力価を増加させた。さらに、図9は、MAb2、MAb3、MAb1、及びMAb4について、重鎖定常領域の全てのイントロンを有するコンストラクト間では、重鎖定常領域中にイントロン1のみを有するコンストラクトと比較して、7日目~11日目の免疫グロブリン力価が類似していることを示す。試験した全ての分子について、イントロンが一切ないgDNAは、重鎖定常領域中に全てのイントロンを有するコンストラクト及びイントロン1のみのコンストラクトより免疫グロブリン力価が有意に低かった。
これらのデータは、重鎖定常領域のイントロン1が、より高い免疫グロブリン力価レベルの維持において重要であることのさらなるエビデンスを提供する。さらに、このデータは、力価レベルの増加がMAb2に限定されないことを示す。さらに、免疫グロブリンのカッパ軽鎖又はラムダ軽鎖の存在は、力価レベルに影響しない。
実施例5.イントロン3をイントロン1と同じサイズのイントロンで置き換えるための核酸の操作
なぜイントロン1は回収力価を増加させることができるのかを特定するために、この実施例は、その理由がイントロン1のヌクレオチド配列自体よりむしろそのサイズであることを実証することになる。MAb2中のイントロン1は391ヌクレオチドであり、一方イントロン3は97ヌクレオチドである。次のコンストラクトを作製することになる:(1)全てのイントロンを有するMAb2 gDNA(非コドン最適化)、(2)イントロン2及び3がないMAb2(非コドン最適化)、(3)イントロン1及び2がないが、イントロン3中のヌクレオチドの数を、イントロン1とほぼ同じサイズに増加させているMAb2(非コドン最適化)、(4)MAb2(非コドン最適化)であるが、イントロン1のサイズをほぼイントロン3のサイズに縮小させ、イントロン2及び3が欠失している、及び(5)イントロンが一切ないMAb2 gDNA(非コドン最適化)。
実施例2に既に記載されているように、これらのコンストラクトを作製することになる。実施例2に記載されているように、これらのコンストラクトをCHO細胞中にトランスフェクトすることになる。実施例1に記載されているように、CHO細胞を増殖させ、免疫グロブリンを産生するように誘導することになる。免疫グロブリンを11日目に回収し、回収力価を決定することになる。その結果は、イントロン3のサイズを増大すると、回収力価の増加をもたらし、イントロン2及び3のないMAb2と同等になることを示すであろう。しかしながら、イントロン1のサイズを縮小すると、イントロン1及び2のないMAb2と同等の結果になるであろう。この実施例は、イントロン1のサイズが、そのヌクレオチド配列自体より重要であることを明らかにするであろう。
本発明は、本明細書に記載される特定の態様によってその範囲を限定されるものではない。実際、記載されたものだけではなく、本発明の様々な変更形態が、前述の説明及び添付の図面から当業者に明らかとなるであろう。このような変更形態は、添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。
本明細書で引用されている全ての参考文献(例えば、刊行物、又は特許若しくは特許出願)は、個々の参考文献(例えば、刊行物、又は特許若しくは特許出願)があらゆる目的からその全体が参照により組み込まれると具体的且つ個別に示されているかのような場合と同程度に、あらゆる目的からその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
他の態様は以下の特許請求の範囲内にある。

Claims (56)

  1. 免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2及びイントロン3のヌクレオチド配列が欠失している、前記免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離されている核酸。
  2. 免疫グロブリン重鎖定常領域の1つのイントロンのヌクレオチド配列が欠失している、前記免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離されている核酸。
  3. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のヌクレオチド配列が欠失している、請求項2に記載の核酸。
  4. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のヌクレオチド配列が欠失している、請求項2に記載の核酸。
  5. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のヌクレオチド配列が欠失している、請求項2に記載の核酸。
  6. 免疫グロブリン重鎖定常領域の2つのイントロンのヌクレオチド配列が欠失している、前記免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離されている核酸。
  7. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1及びイントロン2のヌクレオチド配列が欠失している、請求項6に記載の核酸。
  8. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1及びイントロン3のヌクレオチド配列が欠失している、請求項6に記載の核酸。
  9. 免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のヌクレオチド配列が欠失しており、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2及び/又はイントロン3のヌクレオチド配列が欠失しており、前記イントロン2及び/又はイントロン3のヌクレオチド配列が前記イントロン1のヌクレオチド配列で置換されている、前記免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離されている核酸。
  10. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のヌクレオチド配列が、イントロン1のヌクレオチド配列で置換されている、請求項9に記載の核酸。
  11. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のヌクレオチド配列が、イントロン1のヌクレオチド配列で置換されている、請求項9に記載の核酸。
  12. 免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2及び/又はイントロン3のヌクレオチド配列が、イントロン1のヌクレオチド配列で置き換えられている、前記免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離されている核酸。
  13. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のヌクレオチド配列が、イントロン1のヌクレオチド配列で置き換えられている、請求項12に記載の核酸。
  14. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のヌクレオチド配列が、イントロン1のヌクレオチド配列で置き換えられている、請求項12に記載の核酸。
  15. 免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のヌクレオチド配列が、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のヌクレオチド配列とほぼ同じ数のヌクレオチドを含むイントロンのヌクレオチド配列で置き換えられている、前記免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離されている核酸。
  16. 免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のヌクレオチド配列が、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のヌクレオチド配列とほぼ同じ数のヌクレオチドを含むイントロンのヌクレオチド配列で置き換えられている、前記免疫グロブリン重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離されている核酸。
  17. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のヌクレオチド配列が欠失している、請求項15又は16に記載の核酸。
  18. 前記核酸は、前記核酸を、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸と一緒に発現させた場合、前記免疫グロブリン重鎖定常領域の全てのイントロン配列を含有する核酸よりも高力価で免疫グロブリンを発現する、請求項1~17のいずれか一項に記載の核酸。
  19. 前記核酸は、前記核酸を、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸と一緒に発現させた場合、前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン配列を含有しない核酸よりも高力価で免疫グロブリンを発現する、請求項1~17のいずれか一項に記載の核酸。
  20. 前記免疫グロブリン軽鎖がカッパ軽鎖又はラムダ軽鎖である、請求項18又は19に記載の核酸。
  21. コドン最適化されている、請求項1~20のいずれか一項に記載の核酸。
  22. 前記発現した免疫グロブリンが、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4のアイソタイプを有する、請求項18~21のいずれか一項に記載の核酸。
  23. 前記免疫グロブリンが、ヒト、ヒト化、キメラ、又は表面再構成の免疫グロブリンである、請求項22に記載の核酸。
  24. デオキシリボ核酸(DNA)である、請求項1~23のいずれか一項に記載の核酸。
  25. 請求項1~24のいずれか一項に記載の核酸を含むベクター。
  26. 請求項1~25のいずれか一項に記載の核酸を含む発現ベクター。
  27. 請求項25に記載のベクターを含む宿主細胞。
  28. 請求項26に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  29. 真核細胞である、請求項27又は28に記載の宿主細胞。
  30. 前記真核細胞がチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項29に記載の宿主細胞。
  31. 免疫グロブリンを産生する方法であって、前記方法は、細胞が前記免疫グロブリンを発現する条件下において、培地中で宿主細胞を培養するステップを含み、前記宿主細胞は、請求項1に記載の免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含み、前記宿主細胞は、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1~3の全てが存在するか、又はそのいずれも存在しない免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含む宿主細胞よりも高力価で前記免疫グロブリンを発現する、方法。
  32. 免疫グロブリンを産生する方法であって、前記方法は、細胞が前記免疫グロブリンを発現する条件下において、培地中で宿主細胞を培養するステップを含み、前記宿主細胞は、請求項2に記載の免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含み、前記宿主細胞は、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1~3の全てが存在するか、又はそのいずれも存在しない免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含む宿主細胞よりも高力価で前記免疫グロブリンを発現する、方法。
  33. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のヌクレオチド配列が欠失している、請求項32に記載の方法。
  34. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のヌクレオチド配列が欠失している、請求項32に記載の方法。
  35. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のヌクレオチド配列が欠失している、請求項32に記載の方法。
  36. 免疫グロブリンを産生する方法であって、前記方法は、細胞が前記免疫グロブリンを発現する条件下において、培地中で宿主細胞を培養するステップを含み、前記宿主細胞は、請求項6に記載の免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含み、前記宿主細胞は、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1~3の全てが存在するか、又はそのいずれも存在しない免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含む宿主細胞よりも高力価で前記免疫グロブリンを発現する、方法。
  37. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1及び2が欠失している、請求項36に記載の方法。
  38. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1及び3が欠失している、請求項36に記載の方法。
  39. 免疫グロブリンを産生する方法であって、前記方法は、細胞が前記免疫グロブリンを発現する条件下において、培地中で宿主細胞を培養するステップを含み、前記宿主細胞は、請求項9に記載の免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含み、前記宿主細胞は、イントロン1~3免疫グロブリン重鎖定常領域の全てが存在するか、又はそのいずれも存在しない免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含む宿主細胞よりも高力価で前記免疫グロブリンを発現する、方法。
  40. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のヌクレオチド配列が、イントロン1のヌクレオチド配列で置換されている、請求項39に記載の方法。
  41. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のヌクレオチド配列が、イントロン1のヌクレオチド配列で置換されている、請求項39に記載の方法。
  42. 免疫グロブリンを産生する方法であって、前記方法は、細胞が前記免疫グロブリンを発現する条件下において、培地中で宿主細胞を培養するステップを含み、前記宿主細胞は、請求項12に記載の免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含み、前記宿主細胞は、イントロン1~3免疫グロブリン重鎖定常領域の全てが存在するか、又はそのいずれも存在しない免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含む宿主細胞よりも高力価で前記免疫グロブリンを発現する、方法。
  43. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン2のヌクレオチド配列が、イントロン1のヌクレオチド配列で置き換えられている、請求項42に記載の方法。
  44. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン3のヌクレオチド配列が、イントロン1のヌクレオチド配列で置き換えられている、請求項42に記載の方法。
  45. 免疫グロブリンを産生する方法であって、前記方法は、細胞が前記免疫グロブリンを発現する条件下において、培地中で宿主細胞を培養するステップを含み、前記宿主細胞は、請求項15に記載の免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含み、前記宿主細胞は、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1~3の全てが存在するか、又はそのいずれも存在しない免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含む宿主細胞よりも高力価で前記免疫グロブリンを発現する、方法。
  46. 免疫グロブリンを産生する方法であって、前記方法は、細胞が前記免疫グロブリンを発現する条件下において、培地中で宿主細胞を培養するステップを含み、前記宿主細胞は、請求項16に記載の免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含み、前記宿主細胞は、免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1~3の全てが存在するか、又はそのいずれも存在しない免疫グロブリン重鎖をコードする核酸と、免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸とを含む宿主細胞よりも高力価で前記免疫グロブリンを発現する、方法。
  47. 前記免疫グロブリン重鎖定常領域のイントロン1のヌクレオチド配列が欠失している、請求項45又は46に記載の方法。
  48. 前記免疫グロブリン重鎖をコードする核酸がデオキシリボ核酸(DNA)である、請求項31~47のいずれか一項に記載の方法。
  49. 前記免疫グロブリン軽鎖がカッパ軽鎖又はラムダ軽鎖である、請求項31~47のいずれか一項に記載の方法。
  50. 前記免疫グロブリン重鎖をコードする核酸がコドン最適化されている、請求項31~49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 前記発現した免疫グロブリンが、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4のアイソタイプを有する、請求項31~50のいずれか一項に記載の方法。
  52. 前記発現した免疫グロブリンが、ヒト、ヒト化、キメラ、又は表面再構成の免疫グロブリンである、請求項51に記載の方法。
  53. クローンのプールから産生された、前記発現した免疫グロブリンが、少なくとも1,000mg/L、少なくとも1,500mg/L、少なくとも2,000mg/L、少なくとも2,500mg/L、又は少なくとも3,000mg/Lの回収力価を有する、請求項31~52のいずれか一項に記載の方法。
  54. 最高発現クローンから産生された、前記免疫グロブリンが、少なくとも1,000mg/L、少なくとも1,500mg/L、少なくとも2,000mg/L、少なくとも3,000mg/L、少なくとも4,000mg/L、少なくとも5,000mg/L、少なくとも6,000mg/L、少なくとも7,000mg/L、少なくとも8,000mg/L、少なくとも9,000mg/L、少なくとも10,000mg/L、少なくとも11,000mg/L、又は少なくとも12,000mg/Lの回収力価を有する、請求項31~53のいずれか一項に記載の方法。
  55. 前記宿主細胞が真核細胞である、請求項31~54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 前記真核細胞がCHO細胞である、請求項55に記載の方法。
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