JP2023530930A - リガンドおよび受容体の同族ペアを同定する方法 - Google Patents

リガンドおよび受容体の同族ペアを同定する方法 Download PDF

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Abstract

リガンド種および受容体種の同族ペアを同定するための方法が本明細書において提供される。本方法は、(a)リガンド種のセットを提供するステップ(ここで、各リガンド種は少なくとも1回提示される);(b)受容体種のセットを提供するステップ(ここで、各受容体種は少なくとも1回提示される);(c)リガンド種のセットを受容体種のセットとマイクロリアクター内で接触させるステップ(ここで、受容体種とリガンド種の選択的結合の際に増強シグナルが産生される);(d)リガンド種と受容体種の同族ペアを増強シグナルの産生によって検出するステップ;および(a)リガンド種と受容体種の同族ペアを同定するステップを含む。【選択図】 図1

Description

[出願の相互参照]
本出願は、2020年6月24日に出願された米国仮出願番号62/705,383の優先権を主張するものであり、その開示はその全体で参照により本明細書中に援用される。
[本発明の分野]
本発明は、リガンドと受容体の同族(cognate)ペア、特にT細胞受容体とT細胞抗原の同族ペアまたはB細胞受容体とB細胞受容体抗原の同族ペアを同定する方法に関する。
免疫療法は、がんの画期的かつ魅力的な治療的モダリティとなっており、従来の治療法と比べてより少ない副作用で潜在的な標的化療法を提供する。免疫療法の1つのタイプは、CTL抗原4(CTLA-4)、プログラム細胞死-1(PD-1)、またはそのリガンドPD-L1に特異的なヒト化mAbを用いるチェックポイント阻害療法である。この治療法は、黒色腫、肺がん、腎臓がん、および膀胱がんを有する患者において顕著かつ恒久性の臨床応答を誘導した。しかしながら、そのような免疫チェックポイント療法に応答するのは患者のほんのサブセットのみであり(20~30%)、特定のタイプのがんに罹患している患者のみである。
したがって、ワクチン手法を用いるがんの免疫療法は、そのような治療法に反応しない患者において関連があり得る。
しかしながら、がん患者において効果的かつ安全なT細胞介在型抗腫瘍免疫を誘発することができる腫瘍抗原は非常に少ししか知られていない。実際に、そのような効果的な腫瘍抗原は、正常組織では発現されずにがん組織において過剰発現される必要があり、腫瘍抗原特異的なT細胞応答を誘導することが可能である必要がある。
したがって、T細胞抗原の信頼性のある同定は、がん免疫学の分野における未だ対処されていない必要性を対処する。
さらに、免疫療法手法は、自己免疫疾患、炎症性および自己免疫性疾患、感染性疾患および代謝疾患を処置するために適用する可能性もあり得、この場合も同様に、効率的かつ信頼性のあるT細胞抗原の同定が非常に重要である。
自己免疫疾患は、細胞に基づく治療法または寛容化アプローチによっても処置され得、これもまた、目的抗原の信頼性のある同定を必要とする。
残念なことに、この潜在的な有用性にもかかわらず、T細胞抗原の知見および特性化は非常にゆっくり前進しており、これは特に、T細胞レパートリーの多さおよび大量の潜在的T細胞抗原の両方が原因である。
T細胞エピトープを同定するための現在の方法は一般に、T細胞を単離し、個々のT細胞クローンを作製し、自家腫瘍細胞由来の腫瘍細胞株または発現ライブラリー(新鮮または確立された細胞株由来)のパネルをスクリーニングするステップを含む(Boon et al.(1994)Annu Rev Immunol.12:337-65)。このプロセスは、T細胞クローンおよび腫瘍細胞株の両方を確立しなければならず、それは時間がかかり全ての腫瘍タイプについて可能なものではないため、労働集約的かつ非効率である。
最近では、RNA分析とともに腫瘍DNAのディープシーケンシングによって、腫瘍細胞株を確立する必要なく、特定のMHC対立遺伝子に対するペプチド結合予測アルゴリズムを用いた候補エピトープの定義およびランク付けが可能になった(Gubin et al.(2015)J.Clin.Invest.125:3413-3421)。しかしながら、CD4 T細胞によって認識されるMHCクラスII制限エピトープについては、予測アルゴリズムの信頼性はあまり高くはない。エピトープは、腫瘍細胞から得られたMHCクラスI分子の免疫沈殿物由来の酸溶出液のプロテオミクス分析によっても同定することができ、プロセスの予測能力をさらに洗練することができる。両方の場合において、最も可能性の高い抗原候補を負荷したMHC四量体が合成され、潜在的な反応性T細胞を蛍光標識および単離するために用いられる(Yadav et al.(2014)Nature 515:572-576およびAndersen et al.(2012)Nat.Protoc.7:891-902)。
しかしながら、MHCクラスII四量体の作製は、多くのエピトープについて未だチャレンジングである。
あるいは、T細胞クローンまたはクローン化されたT細胞受容体(TCR)を発現する細胞株が、合成ペプチドを負荷した抗原提示細胞(APC)(発現ライブラリー)(Gaugler et al.(1994)J.Exp.Med.179:921-930)または候補エピトープをコードするmRNAが形質導入された抗原提示細胞(APC)(Holtkamp et al.(2006)Blood 108:4009-4017)に対して機能的に試験される。DNAタグ化MHCオリゴマー技術(Bentzen et al.(2016)Nat.Biotechnol.34:1037-1045)は、候補抗原に関する事前の知識を要し、現在のところMHC-I制限エピトープにのみ適用可能である。
しかしながら、それぞれの方法は以下の不利な点がある:T細胞クローンの作製は、生じるクローンを抗原特異性についてスクリーニングするので非常に労働集約的であり;デコンボリューション法による混合集団からの細胞増殖を用いずに反復性(recurrent)のTCRおよび/または腫瘍応答性TCRを同定することは、目的TCRのうちのいくつかの頻度が増大し、かつ十分な細胞が利用可能である場合にのみ適用可能であり;腫瘍MHC分子からのペプチドの溶出は、多くの腫瘍細胞を必要とし;ゲノムデータによるMHCエピトープの生物情報学分析は、エピトープの性質について強力な仮説を必要とする。
合わせると、これらの方法は低スループットであり、特定の試薬(クローン、腫瘍細胞株、MHC四量体、mRNA、ペプチド)の作製をしばしば要する多重ステップのプロセスに基づいており、したがって、突然変異または過剰発現(例えば、翻訳後修飾[とりわけリン酸化、ユビキチン化、SUMO化]、スプライシング、挿入/欠失による)以外のメカニズムによって生産され得るMHCクラスIおよびクラスIIエピトープの偏見のない発見に適用されない。
したがって、特に、がん、炎症性および自己免疫疾患、感染性疾患、または代謝疾患に罹患している対象由来の、T細胞およびT細胞抗原の同族ペアを同定する効率的な方法に対する重要な必要性が存在する。
さらに、B細胞レパートリー(BCRおよび抗体)は、治療的産物の由来であり得、免疫応答モニタリングとして使用され得る。そのような治療的産物は、抗体(および二重特異性抗体およびナノボディを含む全てのその変異体)および操作された細胞(とりわけCAR-TおよびNK細胞を含む)であり得、天然フォーマットにおいて特異的な抗原に優先的に結合する抗体の能力を用いる。そのような抗原は、がん細胞において潜在的に過剰発現される天然抗原、がん細胞または正常細胞において発現される外来抗原であり得る。抗原ライブラリーおよび/またはB細胞レパートリーは通常、抗原/B細胞レパートリーのペアを同定するためにスクリーニングされる。抗原の同定は、潜在的なワクチン、バイオマーカー、および標的の同定を導き得る。特異的な抗原に対応するB細胞レパートリーの同定は、ハイスループットな方法からの利益を受け、強力かつ特異的な治療学を急速に同定する。
T細胞表現型応答の理解は、処置前および/または処置後の患者からの免疫応答をモニタリングするために使用され得る。したがって、外来抗原(例えば、T細胞抗原、B細胞抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、寄生虫抗原など)に応答するT細胞および/またはB細胞を定義することは、外来抗原に起因する疾患の処置を導くことができ、同族ワクチンエピトープの同定をもたらす。さらに、外来抗原応答性T細胞受容体(抗腫瘍T細胞受容体に匹敵し得る)の同定は、高親和性および特異性を有するT細胞受容体の選択を導くことができる。
T細胞レパートリー、抗原、および経時的表現型を関連付けることは、経時的に表現型およびトランスクリプトームレベルの両方で免疫原性抗原の多様性および異種性ならびにレスポンダーT細胞を理解するために必要である。これは、患者を異なる段階での免疫原性応答に基づいて階層化し、予防および処置ワクチンを開発するのを効果的に助ける。
細胞療法(例えば、T細胞、CAR T細胞、Treg、幹細胞)は、治癒および有益な臨床転帰を示す別の有望な治療法であり、特異的なリガンドに応答する受容体配列の同定ならびにこの相互作用およびそれらの下流効果の特性化を必要とする。実際に、表現型-遺伝子型およびリガンド-受容体を関連付けることは、これらの未だ対処されていない必要性を対処し、適切な表現型およびトランスクリプトームプロファイルを示す最適な反応細胞の選択を改善することができる。この関連付け(linkage)およびマッチング(matching)は、選択を微調整し、最も高い特異的活性を示す最適な細胞を(TCRのような正しい受容体とともに)選択するのに有用である。
本発明は、いかなる先験的選択もなく、無制限の抗原のセットを含む数千もの腫瘍抗原のT細胞に結合および活性化する能力を急速かつ簡単にスクリーニングすること、および、T細胞抗原とT細胞受容体のそのような同族ペアを低いエラー率で、同定のさらなる確認なしに、信頼性高く同定することが可能であるという予期されない知見によるものである。さらに、設計された同定方法は、リガンドと受容体の任意のタイプの結合ペア、例えば、ウイルス抗原とT細胞受容体、細菌抗原とT細胞受容体、寄生虫抗原とT細胞受容体、およびB細胞抗原とB細胞受容体に適用することができる。
したがって、リガンド種と受容体種の同族ペアを同定する方法が本明細書において提供される。本方法は、(a)リガンド種のセットを提供するステップ(ここで、各リガンド種は少なくとも1回提示される);(b)受容体種のセットを提供するステップ(ここで、各受容体種は少なくとも1回提示される);(c)リガンド種のセットを受容体種のセットとマイクロリアクター内で接触させるステップ(ここで、受容体種とリガンド種の選択的結合の際に増強シグナルが産生される);(d)リガンド種と受容体種の同族ペアを増強シグナルの産生によって検出するステップ;および(a)リガンド種と受容体種の同族ペアを同定するステップを含む。
ある特定の実施形態では、各リガンド種はバーコード配列を含む。ある特定の実施形態では、各受容体種はバーコード配列を含む。ある特定の実施形態では、各リガンド種および/または各受容体種はバーコード配列を含む。
ある特定の実施形態では、各リガンド種は、細胞またはビーズの表面に発現されるか表面上に提示され、または無細胞抽出物内または溶液内に発現されるか存在する。リガンド種は、例えば、抗原提示細胞の表面に発現されるか表面上に提示され得る。抗原提示細胞は、例えば、マクロファージ、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、B細胞、単球由来樹状細胞、またはMHCクラスIまたはII分子を発現する別の細胞から選択することができる。
ある特定の実施形態では、各受容体種は、細胞またはビーズの表面に発現されるか表面上に提示され、または無細胞抽出物内または溶液内に発現されるか存在する。
ある特定の実施形態では、マイクロリアクターは、水性液滴、マイクロカプセル、マイクロビーズ、マイクロ流体チップの区画、またはウェル(例えば、組織培養プレートのウェル)から選択される。
ある特定の実施形態では、シグナルは、細胞、リガンド、または受容体のいずれか1つの形態学的変化;蛍光シグナル増強;ケージド化合物を用いる、またはクエンチング反応による蛍光シグナルの改変;光吸収;可視構造の改変/生成;またはそれらのシグナルの組み合わせから選択される。シグナルは、動的(オン/オフ;対オン;対オフ)および空間-時間変化であり得る。クエンチング反応による蛍光シグナルの改変は、例えば、FRET、FLIP、FRAP、FLAP、BRET、またはFLIMクエンチング反応を含み得る。形態学的変化は、細胞間相互作用(例えば免疫学的シナプス様)、細胞サイズの変化、細胞粒度の変化、ペプチド/タンパク質局在の極性化、または細胞間からの物質移動(例えば、タンパク質、核酸、脂質、および/または炭水化物)であり得る。
ある特定の実施形態では、リガンド種と受容体種の同族ペアを同定するステップは、リガンド種と受容体種を増幅するステップを含み、増幅されたリガンド種および受容体種の少なくとも1つは、同定のためにシーケンシングされる。
ある特定の実施形態では、リガンド種のセットは、例えば、T細胞抗原、B細胞抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、寄生虫抗原、新生抗原、腫瘍関連抗原(TAA)、腫瘍特異的抗原、免疫チェックポイント分子、サイトカイン、炭水化物、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー、セレクチン、ケモカイン、ホルモン、増殖因子、Gタンパク質共役型受容体リガンド、または酵素基質から選択され得る。
ある特定の実施形態では、受容体種のセットは、例えば、T細胞受容体、B細胞受容体、免疫チェックポイント受容体、サイトカイン受容体、セレクチン、インテグリン、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー、カドヘリン、ケモカイン受容体、ホルモン受容体、増殖因子受容体、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)、または酵素から選択され得る。
ある特定の実施形態では、リガンド種はT細胞抗原であって受容体種はT細胞受容体であり、T細胞受容体とT細胞抗原の選択的結合の際に、増強シグナルが産生され、ここで、産生された増強シグナルはT細胞活性化の結果である。
ある特定の実施形態では、リガンド種はウイルス抗原であって受容体種はT細胞受容体であり、T細胞受容体とウイルス抗原の選択的結合の際に、増強シグナルが産生され、ここで、産生された増強シグナルはT細胞活性化の結果である。
ある特定の実施形態では、リガンド種のセットを受容体種のセットとマイクロリアクター内で接触させるステップは、約0.001時間~約8時間生じる。ある特定の実施形態では、リガンド種のセットを受容体種のセットとマイクロリアクター内で接触させるステップは、少なくとも約8時間、例えば、約8時間~約48時間生じる。
ある特定の実施形態では、接触させるステップが約0.1時間~約8時間生じ、リガンド種と受容体種が高親和性で結合する場合、産生される増強シグナルはT細胞活性化の早期マーカーである。ある特定の実施形態では、接触させるステップが約0.1時間~約8時間生じ、リガンド種と受容体種が高親和性で結合する場合、産生される増強シグナルはT細胞活性化の後期マーカーである。
ある特定の実施形態では、接触させるステップが少なくとも約8時間生じ、リガンド種と受容体種が高親和性で結合する場合、産生される増強シグナルは、T細胞活性化の早期マーカーまたは後期マーカーであり得る。
ある特定の実施形態では、接触させるステップが少なくとも約8時間生じ、リガンド種と受容体種が低親和性で結合する場合、産生される増強シグナルはT細胞活性化の早期マーカーである。低親和性で結合するリガンド種と受容体種に関する接触させるステップを延長することは、T細胞活性化の後期マーカーにより産生される増強シグナルを最終的にもたらし得る。
ある特定の実施形態では、T細胞活性化の早期マーカーは、制限されないが、CD69、CD107a、またはトランスフェリン受容体であり得る。
ある特定の実施形態では、T細胞活性化の後期マーカーは、制限されないが、CD137、HLA-DR、VLA1、PTA1、CD71、CD27、PD-1、TIM3、LAG3、またはCTLA4であり得る。
ある特定の実施形態では、シグナルは、抗CD69抗体、抗CD107a抗体、抗トランスフェリン受容体抗体、抗CD137抗体、抗HLA-DR抗体、抗VLA1抗体、抗PTA1抗体、抗CD71抗体、抗CD27抗体、抗PD1抗体、抗TIM3抗体、抗LAG3抗体、または抗CTLA4抗体によって検出される。
ある特定の実施形態では、リガンド種はB細胞抗原であって受容体種はB細胞受容体であり、B細胞受容体とB細胞抗原の選択的結合の際に増強シグナルが産生される。産生される増強シグナルは、例えば、B細胞活性化、B細胞(受容体)特異的な抗原検出、または標的細胞活性化の結果であり得る。
ある特定の実施形態では、シグナルは、抗CD138抗体、抗CD19抗体、抗CD45R抗体、抗CD45抗体、蛍光レポーター発現の活性化、または蛍光レポーター発現の阻害によって検出される。
前述の要約、ならびに以下の本発明の詳細な説明は、添付の図面とともに読むと、よりよく理解されるであろう。本発明は図面に示される明確な実施形態に制限されないことが理解されるべきである。
液滴中の抗CD137抗体の滴定を示す。異なる濃度の抗体を並行流させ(co-flowed)、液滴中でポリクローナル事前活性化T細胞とともに一晩インキュベートした。 液滴ワークフローにおける抗原提示細胞(APC)によるT細胞活性化の概略を示す。ペプチドをパルスした(pulsed with)K562抗原提示細胞を、抗CD137抗体を含む並行流(co-flow)中に再懸濁し、次いで、EBVペプチドに特異的なT細胞クローンを含む第2の入口とは異なる入口に並行流させた。 液滴中のT細胞活性化を示す。ペプチドをパルスしたK562を、抗CD137抗体を含む並行流中に再懸濁し、次いで、EBVペプチドに特異的なT細胞クローンと別々に並行流させた。 液滴における抗原提示細胞(APC、K562)とT細胞の相互作用の画像を示す。上の列は、T細胞およびペプチドを負荷したK562を共封入する液滴の37℃での一晩のインキュベーション後の顕微鏡写真を示す。他のものは、示されたとおりの関連する蛍光シグナルである。これらの結合イベントは、赤色蛍光シグナルをもたらし;抗CD137抗体は、液滴の体積または抗原提示細胞(紫色)の全体にわたって均一に分布するのではなく、T細胞(黄色)に濃縮された(矢印で示す)。 液滴中のIFN-γ分泌物の代表的な蛍光プロットを示す。T細胞を、液滴中でmRNAをトランスフェクトした抗原提示細胞(APC;K562細胞)とともに抗IFN-γコンジュゲート抗体(例示されるように、PE蛍光色素が抗体に連結される)の存在下で一晩共培養した。IFN-γ放出を、液滴において、T細胞に予め負荷した抗CD45二重特異性抗体および並行流させたPE連結抗IFN-γ二次抗体を用いた間接ELISAアッセイで検出した。 Cell-Capシステムを用いたAPCによる活性化されたT細胞の配列回収のための代表的なワークフローを示す。濃縮液滴(目的の表現型を有する細胞を含むソーティングされた液滴由来)を個々のマイクロウェル内に収集し(顕微鏡下で確認してもよい)、次いで、細胞バーコードおよび遺伝子特異的プライマーとコンジュゲートさせたヒドロゲルビーズを含む液滴と融合した。遺伝子特異的プライマーは、TCR、抗原情報、および任意に追加の遺伝子セットを捕捉するように設計した。次いで、同一の細胞バーコードを有する回収配列を適切なペアT細胞-APCに対応する同一の液滴から得て、したがって、TCRおよび同族抗原について配列が回収された。 TCR配列と抗原の関連付け(linking):同一の細胞バーコードおよびTCRと抗原の両方を示す同一液滴から回収された配列(TMGと呼ばれる)を示す。一例として、細胞バーコードは、4マーのリンカーによって分離された11マーのインデックスの一連の4つの特定のセットで構成される)。これらの配列は、公共または私的データベースに対してブラストされており、TCRα(配列番号1)およびβ(配列番号2)配列およびTMGの配列(配列番号3)と適合する(タンデムのミニ遺伝子は、APC内にトランスフェクトされた抗原に対応する)。細胞あたり産生される転写産物を定量化するためにUMI(固有の分子識別子)を用い、それは任意である(and is optional)。
様々な刊行物、記事および特許が背景技術および本明細書全体に引用または記載されており;これらの参考文献は各々がその全体で参照により本明細書中に援用される。本明細書中に含められている文献、行為、材料、デバイス、記事などの開示は、本発明のコンテキストを提供する目的のためである。そのような議論は、これらのいずれかまたは全てが、開示されるまたは特許請求の範囲に記載される任意の発明に関する従来技術の部分を形成することを認めるものではない。
別段の定義がない限り、本明細書において用いられる全ての技術的および科学的用語は、本発明が関連する当業者が一般に理解するのと同一の意味を有する。それ以外では、本明細書において用いられる特定の用語は、明細書において定められる意味を有する。本明細書において引用される全ての特許、公開された特許出願、および刊行物は、本明細書においてあたかも全体が示されたかのように参照によって援用される。
一般に、本明細書に記載される、細胞および組織培養、分子生物学、ならびにタンパク質およびオリゴ-またはポリヌクレオチド化学およびハイブリダイゼーションとの関連で使用される命名法およびそれらの技術は周知のものであり、当該分野において一般に用いられるものである。
標準的な技術が、組み換えDNA、オリゴヌクレオチド合成および組織培養に用いられる。酵素反応および精製技術は、製造元の仕様書に従って、または当該分野において一般に達成されるように、または本明細書において記載されるように、行われる。
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、複数形の言及を含むことに留意しなければならない。
特に記載のない限り、本明細書において記載される濃度または濃度範囲などの任意の数値は、全ての場合において用語「約」によって修飾されることが理解されるべきである。したがって、数値は典型的に、列挙された値の±10%を含む。例えば、濃度1mg/mLは、0.9mg/mL~1.1mg/mLを含む。同様に、濃度範囲1%~10%(w/v)は、0.9%(w/v)~11%(w/v)を含む。本明細書において用いられる数値範囲の使用は、文脈が明確のその他のものを示さない限り、全てのあり得るサブ範囲、その範囲内の全ての個々の数値を明示的に含み、そのような範囲内の整数およびその値の分数を含む。
本明細書において用いられる用語「核酸」は一般に、DNAまたはRNAの少なくとも1つの分子または鎖を指し、少なくとも1つの核酸塩基、例えば、DNAに見られる天然起源のプリンまたはピリミジン塩基(例えば、アデニン「A」、グアニン「G」、チミン「T」、およびシトシン「C」)またはRNA(例えば、A、G、ウラシル「U」、およびC)を含む。
「RNA」は、本明細書において、mRNA、tRNA、ncRNA、lncRNA、miRNA、siRNA、piRNA、gRNA、テロメラーゼRNA構成要素、RNAi、CRISPR RNA、環状RNA、エンハンサーRNA、snoRNA、snRNAおよびrRNAなどの機能性RNAを指す。
当業者によって理解されるように、一本鎖の表示は、相補鎖の配列も定義する。したがって、核酸はまた、表示された一本鎖の相補鎖も包含する。したがって、用語「核酸」は、相補DNAを包含する。また、当業者によって認識されるように、核酸の多くの変異体が、所与の核酸と同一の目的のために用いられ得る。したがって、核酸はまた、実質的に同一の核酸およびその相補体も包含する。また、当業者によって理解されるように、プライマーなどの一本鎖核酸は、ハイブリダイゼーション条件、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイズし得る。したがって、核酸は、ハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイズするプライマーも包含する。
用語「バーコード化プライマー」は、核酸合成をプライミングする機能を発揮することのできる約20~約200核酸塩基の長さの少なくとも1つの分子を指す。具体的には、バーコード化プライマーは、約30~約150核酸塩基の長さ、約40~約100核酸塩基の長さ、約50~約90核酸塩基の長さ、約60~約80または70核酸塩基の長さであり得る。より具体的には、本発明の文脈において、バーコード化プライマーは、バーコード配列またはバーコード配列のセットおよびプライマー配列を含むオリゴヌクレオチドであり、ここで、それぞれの異なるプライマー配列は、バーコード化プライマーの異なる特異性を規定する。1つの実施形態では、バーコード化プライマーは、5’から3’に、ユニバーサルプライマー配列、バーコード配列またはバーコード配列のセットおよびプライマー配列を含む。
これらの定義は、少なくとも1つの一本鎖分子を指すが、一部の実施形態では、少なくとも1つの一本鎖分子に対して部分的に、実質的に、または完全に相補である少なくとも1つの追加の鎖も包含する。したがって、一部の実施形態では前記定義は、二本鎖分子を指す。
したがって、1つの実施形態では、核酸は、分子の鎖を含む特定の配列の1つまたは複数の相補鎖または「相補体(complement)」を含む少なくとも1つの二本鎖分子を指す。
本明細書において「バーコード配列」は、その配列によって別の核酸配列から区別することができ、したがって、別のバーコード配列を保有する別の核酸から区別することができるように核酸配列を固有に標識することを可能にする、固有の核酸配列を指す。
1つの実施形態では、バーコード配列は、特定のマイクロリアクター内に含まれる核酸を、他のマイクロリアクター内に含まれる核酸から、例えば核酸が一緒にプールされた後でさえも固有に同定する。
一部の実施形態では、バーコード配列を用いて、例えば、異なるマイクロリアクター内に含まれる細胞に起因する数十、数百、または数千の核酸でさえも区別し得る。
1つの実施形態では、バーコード配列は、任意の適切な長さであり得る。バーコード配列は、好ましくは、そのバーコード配列を他のバーコード配列から区別するのに十分な長さである。1つの実施形態では、バーコード配列は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、72、74、76、78、80、85、90またはそれよりも多くのヌクレオチド、例えば50~85、60~80、70~80ヌクレオチドの長さを有する。
1つの実施形態では、バーコード配列は1つよりも多いバーコード配列からなり、ここで、バーコード配列は異なる。そのようなバーコード配列は、本明細書において「バーコード配列のセット」と呼ばれる。
関連する一実施形態において、異なるバーコード配列は、潜在的バーコード配列の「プール」から取得され得る。バーコード配列が1つよりも多いバーコード配列からなる場合、バーコード配列は、潜在的バーコード配列の同一プールまたは異なるプールから取得され得る。配列のプールは、任意の適切な技術を用いて、例えばランダムに、または例えば、特定の距離(例えばハミング距離)によって離れていることによって配列がエラー検出および/または補正するのを可能にするように選択されてもよく、それにより、バーコード配列のリーディング内のエラーが検出され得、場合によっては補正され得る。プールは、任意の数の潜在的バーコード配列、例えば、少なくとも100、少なくとも300、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも3,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも30,000、少なくとも50,000、少なくとも100,000、少なくとも300,000、少なくとも500,000、少なくとも1,000,000、少なくとも10,000,000、または少なくとも100,000,000のバーコード配列を有し得る。
1つの「プール」または1つよりも多い「プール」から取得した異なるバーコード配列を結合させる方法は当業者に知られており、限定されないが、リガーゼの使用および/またはアニーリングもしくはプライマー伸長方法の使用を含む。
1つの実施形態では、バーコード配列は、二本鎖もしくは一本鎖核酸であるか、または部分的に一本鎖および二本鎖核酸である。
「プライマー配列」は典型的に、10~50ヌクレオチド長の短い一本鎖核酸であり、捕捉される目的の核酸と完全またはほぼ完全に合うように設計され、次いで増幅され(例えばPCRによって)、または逆転写される(例えばRTによって)。プライマー配列は、それらがハイブリダイズする核酸に対して「特異的」であり、すなわち、プライマー配列は、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、より好ましくは非常にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし、かつ、それらがハイブリダイズする核酸(標的配列とも呼ばれる)に対して相補、または、ほぼ相補である。
典型的に、プライマー配列は、核酸合成のための開始点としての役割を果たし、核酸ポリメラーゼなどのポリメラーゼ酵素がプライマー配列を伸長させて相補鎖を複製するのを可能にする。プライマー配列は、標的核酸と相補であり得、それにハイブリダイズし得る。一部の実施形態では、プライマー配列は、合成プライマー配列である。一部の実施形態では、プライマー配列は、非天然起源プライマー配列である。プライマー配列は典型的に、10~50ヌクレオチドの長さを有する。例えば、プライマー配列は、10~40、10~30、10~20、25~50、15~40、15~30、20~50、20~40、または20~30ヌクレオチドの長さを有し得る。一部の実施形態では、プライマー配列は、18~24ヌクレオチドの長さを有する。
1つの実施形態では、プライマー配列は、本発明のコンテキストにおいて用いられるバーコード化プライマーの3’側に位置する(すなわち、プライマーは、バーコード配列に対して3’位にある)。
本明細書において用いられる「遺伝子」は、転写および/または転写調節配列および/またはコード領域および/または非翻訳配列(例えば、イントロン、5’-および3’-非翻訳配列)を含むゲノム遺伝子を指すことができる。遺伝子のコード領域は、アミノ酸配列または機能性RNA、例えばtRNA、rRNA、触媒RNA、siRNA、miRNA、アンチセンスRNA、lncRNAおよびpiRNAをコードするヌクレオチド配列であることができる。遺伝子はまた、コード領域(例えば、エクソンおよびmiRNA)に対応するmRNAまたはcDNAであることもでき、それに連結された5’-または3’-非翻訳配列を含んでもよい。遺伝子はまた、コード領域の全部もしくは一部および/またはそれに連結された5’-または3’-非翻訳配列を含むインビトロで生産された増幅核酸分子であってもよい。
本明細書において用いられる用語「ストリンジェントな条件」または「高ストリンジェンシー条件」は、決定されたレベルの相補性を有する核酸間で結合ペアを生じるのに適切であり、一方で、前記決定されたレベルに劣る相補性を示す核酸間の結合ペアの形成には適さない条件に対応する。ストリンジェントな条件は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件の両方の組合せであり、配列依存性である。これらの条件は、当業者に知られている方法に従って改変することができる(Tijssen,1993,Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes,Part I,Chapter 2「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays」,Elsevier,New York)。一般に、高ストリンジェンシー条件は、融点(Tm)よりも約5°C低くなるように選択され、好ましくは、完全に塩基対合した二重鎖のTmに近い温度である(Anderson,M.L.M.(1999)Nucleic acid hybridization.New York:Bios Scientific Publisher p.54)。ハイブリダイゼーション手順は当技術分野でよく知られており、例えばAusubel,F.M.、Brent,R.,Kingston,R.E.,Moore,D.D.,Seidman,J.G.,Smith,J.A.,Struhl,K.eds.(1998)Current protocols in molecular biology.V.B.Chanda,series ed.New York:John Wiley&Sonsに記載されている。
高ストリンジェンシー条件は典型的に、約40°C~約68°Cでのハイブリダイズを含み、ここで、前記温度は典型的に、例えば、5×SSC/5×デンハルト溶液/1.0%SDS中、および0.2×SSC/0.1%SDS中で約60°C~約68°Cの洗浄において、標的配列とハイブリダイズされる核酸の最も高い融解温度Tに相当する。
本明細書において用いられる用語「組織」は、細胞の集団を指し、一般に、同一または同様の機能を発揮する同種細胞からなる。組織は、臓器または骨の一部であってよく、または、細胞、例えば免疫系の細胞の緩やかな会合であり得る。組織は健常組織または病変組織であり得る。特に、組織は、がん性組織または腫瘍周辺組織であり得る。
本明細書において用いられる「対象」は、ヒトなどの哺乳類であるが、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、サル、ラット、マウス、ウサギ、モルモットなどの別の動物であってもよい。好ましくは、対象はヒトである。
特定の一実施形態では、対象は、疾患、特に、がん、炎症性および自己免疫疾患、感染性疾患または代謝疾患に罹患している。
「がん」とは、本明細書において、固形腫瘍を伴うがん、および固形腫瘍を伴わないがん(例えば、白血病)の両方を含む、異常増殖を伴う疾患のクラスを意味する。
「自己免疫疾患」とは、本明細書において、自己の細胞を攻撃する免疫系によって引き起こされる広範な変性疾患を意味する。
「炎症性および自己免疫性疾患」とは、本明細書において、炎症過程によって最初に誘導される疾患を意味し、抗原提示細胞によるT細胞の活性化によって始まり、その後、他の炎症性細胞の活性化を導き、その結果、炎症促進性サイトカイン、走化性作用物質およびマトリックス分解酵素が放出されるものである。炎症性および自己免疫性疾患の例は当業者によく知られており、関節リウマチ、変形性関節症、骨粗鬆症、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、歯周炎、歯肉炎、移植片対宿主反応、乾癬、強皮症、円形脱毛症(allopeicia)、シェーグレン症候群、多発性筋炎(polymyosititis)、天疱瘡(pempligus)、ぶどう膜炎(uveititis)、アジソン疾患、アトピー性皮膚炎、喘息、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、腎障害および慢性閉塞性肺疾患(COPD)、糖尿病性網膜症、および加齢黄斑変性を含む。
「感染性疾患」とは、本明細書において、微生物の感染によって引き起こされる疾患を意味する。本発明の文脈において、用語「微生物」は同等にウイルスを指し、具体的には、脂質エンベロープを有するウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、細菌、寄生虫、および菌類を指す。
「代謝疾患」とは、本明細書において、代謝のエラーおよび不均衡が生じ、代謝プロセスが最適以下の様式で起こる任意のタイプの障害を意味する。好ましい実施形態では、代謝疾患は、高血糖症、糖尿病、特に2型糖尿病、肥満、脂質異常症および高コレステロール血症からなる群から選択される。特定の一実施形態では、前記代謝疾患は糖尿病であり、より具体的には2型糖尿病である。
本発明の文脈において、リガンドおよび受容体の「同族ペア」という用語は、リガンド種と、それが選択的に結合する受容体種とのペアを指す。
「選択的に結合する」とは、本明細書において、ペアの一方のメンバーが、ペアの他方のメンバーを認識して、別のペアのメンバーよりも高い親和性で結合することを意味する。
「特異的に結合する」とは、本明細書において、ペアの一方のメンバーが、ペアの他方のメンバーを認識して結合し、かつ、別のペアのメンバーに対して検出可能な結合活性を有さないことを意味する。
本明細書において用いられる用語「高親和性」とは、結合が3μM以下のレベルである受容体種へのリガンド種の選択的または特異的な結合を指す。
本明細書において用いられる用語「低親和性」とは、結合が3μM以上のレベルである受容体種へのリガンド種の選択的または特異的な結合を指す。
本明細書において用いられる用語「リガンド種」とは、特定の認識ペアのメンバーであって、前記特定の認識ペア(または同族ペア)の第2のメンバーに選択的に結合する、好ましくは特異的に結合するメンバーを指す。
本明細書において用いられる用語「受容体種」とは、特定の認識ペアのメンバーであって、前記特定の認識ペア(または同族ペア)の第2のメンバーによって選択的に結合される、好ましくは特異的に結合されるメンバーを指す。
したがって、リガンドおよび受容体は結合パートナーとして定義されるので、リガンドである分子は受容体であってもよく、反対に、受容体である分子はリガンドであってもよい。
本明細書において用いられる用語「リガンドのセット」は、少なくとも1つのリガンド種、好ましくは複数のリガンド種、特に複数のリガンド種を指し、ここで、複数のリガンド種の少なくとも2つは、別個の認識ペアの一部である。好ましくは、本発明の文脈において用いられるリガンドのセットは、余分のリガンド種、すなわち、複数コピーでセット内に存在するリガンド種を含む。
本明細書において用いられる用語「受容体のセット」は、少なくとも1つの受容体種、好ましくは複数の受容体種、特に複数の受容体種を指し、ここで、複数の受容体種の少なくとも2つは、別個の認識ペアの一部である。好ましくは、本発明の文脈において用いられる受容体のセットは、余分の受容体種、すなわち、複数コピーでセット内に存在する受容体種を含む。
ある特定の実施形態では、受容体のセットは、細胞(または複数の細胞)、ビーズ、特に、Neal et al.(2017)J.Immunol.Res.Ther.2:68-79に開示されるように改変されたAPC様のビーズの表面に発現されるか、もしくは表面上に提示され、または、Grubaugh et al.(2013)Vaccine 31:3805-3810に開示されるようにインビトロでコードされる(すなわち、無細胞抽出物または溶液中に発現または存在する)。好ましくは、受容体のセットは、受容体のセット由来の固有の受容体種を発現または提示する細胞(または複数の細胞)、1つの細胞またはビーズの表面に発現されるか、または表面上に提示される。
別の特定の実施形態では、リガンドのセットは、細胞(または複数の細胞)、ビーズ、特に、Neal et al.(2017)J.Immunol.Res.Ther.2:68-79に開示されるように改変されたAPC様のビーズの表面に発現されるか、もしくは表面上に提示され、または、Grubaugh et al.(2013)Vaccine 31:3805-3810に開示されるようにインビトロでコードされる(すなわち、無細胞抽出物または溶液中に発現または存在する)。好ましくは、リガンドのセットは、リガンドのセット由来の1つのリガンド種またはリガンドのセット由来の複数の別個のリガンド種、好ましくは、リガンドのセット由来の2~1000、5~900、10~800、20~700、30~600、40~500、50~400の別個のリガンド種、特に、リガンドのセット由来の100~350、150~300、または200~250の別個のリガンド種を発現または提示する細胞(または複数の細胞)、1つの細胞の表面に発現されるか、または表面上に提示される。
特に好ましい一実施形態では、受容体のセットは、細胞(または複数の細胞)の表面に発現されるか、または表面上に提示され、リガンドのセットは、別の細胞(または別の複数の細胞)の表面に発現されるか、または表面上に提示される。さらに好ましくは、受容体のセットは、細胞(または複数の細胞)の表面に発現されるか、または表面上に提示され、それぞれの細胞は、受容体のセット由来の固有の受容体種を発現または提示し、リガンドのセットは、別の細胞(または別の複数の細胞)の表面に発現されるか、または表面上に提示され、それぞれの細胞は、リガンドのセット由来の複数の別個のリガンド種を発現または提示する。
ある特定の実施形態では、受容体は、例えば、T細胞受容体(TCR/ウイルス抗原認識ペア由来のTCRを含む、TCR/T細胞抗原認識ペア由来のTCR)、B細胞受容体(B細胞受容体/B細胞抗原認識ペア由来)、刺激性免疫チェックポイント分子のための受容体(例えばOX40L/OX40ペア由来のOX40L)、阻害性免疫チェックポイント分子のための受容体(例えばPD-L1/PD-1ペア由来のPD-L1)、サイトカイン受容体(サイトカイン/サイトカイン受容体ペア由来)、セレクチン(セレクチン/炭水化物ペア由来)、インテグリン(インテグリン/免疫グロブリンスーパーファミリーペアのメンバー由来)、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー(免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー/セレクチンペア由来、または免疫グロブリンスーパーファミリーの2つのメンバーを含むペア由来)、カドヘリン(2つのカドヘリンを含むペア由来)、ケモカイン受容体(ケモカイン/ケモカイン受容体ペア由来)、ホルモン受容体(ホルモン/ホルモン受容体ペア由来)、増殖因子受容体(増殖因子/増殖因子受容体ペア由来)、Gタンパク質共役型受容体(GPCR、GPCR/対応するリガンドペア由来)または酵素(酵素/対応する基質ペア由来)であり得る。
好ましい一実施形態では、受容体のペアは、T細胞受容体のセットである。
ある特定の実施形態では、リガンドは、例えば、T細胞抗原(TCR/T細胞抗原認識ペア由来)、B細胞抗原(B細胞受容体/B細胞抗原認識ペア由来)、ウイルス抗原、細菌抗原、寄生虫抗原、新生抗原(すなわち、遺伝子突然変異または腫瘍細胞における異常な発現であって腫瘍細胞において固有に見られる発現に起因する抗原)、腫瘍関連抗原(TAA)、腫瘍特異的抗原、刺激性免疫チェックポイント分子(例えばOX40L/OX40ペア由来のOX40)、阻害性免疫チェックポイント分子(例えばPD-L1/PD-1ペア由来のPD-1)、サイトカイン(サイトカイン/サイトカイン受容体ペア由来)、炭水化物(セレクチン/炭水化物ペア由来)、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー(免疫グロブリンスーパーファミリーの2つのメンバーを含むペア由来)、セレクチン(免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー/セレクチンペア由来)、ケモカイン(ケモカイン/ケモカイン受容体ペア由来)、ホルモン(ホルモン/ホルモン受容体ペア由来)、増殖因子(増殖因子/増殖因子受容体ペア由来)、GPCRのリガンド(GPCR/対応するリガンドペア由来)または基質(酵素/対応する基質ペア由来)であり得る。好ましい一実施形態では、リガンドのセットは、T細胞抗原(ペプチド、糖脂質または小さな代謝物、例えば5-A-RU誘導体)のセットであり、好ましくは主要組織適合複合体(クラスI、クラスIIまたはMR1であり得るMHC分子)またはCD1a、b、c、またはd分子に結合している。
外来抗原、例えば、ウイルス抗原、細菌抗原、または寄生虫抗原は、例えば、限定されないが、以下の生物の少なくとも1つから選択されるウイルス抗原、細菌抗原、または寄生虫抗原を含むことができる:ボレリア細菌(例えば、Borrelia burgdorferi)、チクングニヤウイルス(CHIKV)、クラミジア細菌(例えば、Chlamydia trachomatis)、サイトメガロウイルス(CMV)、デングウイルス(DENV)、エボラウイルス(EVD)、大腸菌(例えば、志賀様毒素)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ネコ白血病ウイルス、ハンタウイルス、肝炎ウイルス(例えば、肝炎A、B、C、D、および/またはEウイルス)、ヘルペスウイルス、ヘリコバクターピロリ、ヒト内因性レトロウイルスK(HERV-K)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)、インフルエンザウイルス、ラッサウイルス、プラスモディウム寄生虫(例えば、マラリアを引き起こすもの)、ムンプスウイルス(例えば、Mumps orthorubulavirus)、マイコプラズマ細菌、ノロウイルス、乳頭腫ウイルス(HPV)、パルボウイルス、ライノウイルス、ロタウイルス、風疹ウイルス、サルモネラ細菌(例えば、Salmonella typhi)、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)、トキソプラズマ寄生虫(例えば、Toxoplasma gondii)、トレポネーマ細菌(例えば、Treponema pallidum、Treponema carateum)、トリパノソーマ寄生虫(例えば、シャーガス病を引き起こすTrypanosoma cruzi)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、痘瘡ウイルス、西ナイルウイルス(WNV)、および/またはジカウイルス(ZIKV)。ウイルス抗原は、より強いTCR親和性を有することが知られており(例えば、Aleksic et al.,Eur.J.Immunol.42(12):3174-9(2012)を参照)、本明細書に開示される方法において、より高い増強シグナルの検出をもたらすことができる。外来抗原は当業者に知られており、例えば、Medical Microbiology,4thedition,Chapter 6:Normal Flora;Baron S.,editor;Galveston,TX;University of Texas Medical Branch at Galveston(1996);Laufer et al.,「Microbial communities of the upper respiratory tract and otitis media in children」,mBio 2(1):e00245-10(2011)を参照されたい。
T細胞抗原/T細胞受容体
特定の一実施形態では、受容体のセットはT細胞受容体のセットであり、好ましくはT細胞の表面上に提示されており、それぞれのT細胞は、好ましくは固有のT細胞受容体を有しており、リガンドのセットは、T細胞抗原のセットであり、好ましくは、典型的に抗原提示細胞(APC)の表面上に提示された主要組織適合複合体(MHC)に結合しており、それぞれのAPCは、好ましくは複数の抗原種を提示する。
「T細胞抗原」とは、本明細書において、CD4T細胞抗原またはCD8T細胞抗原を意味する。「CD4T細胞抗原」は、CD4T細胞によって認識されて免疫応答をトリガーする任意の抗原、例えば、クラスII主要組織適合複合体分子(MHC)に結合した抗原またはその一部の提示を介してCD4T細胞上のT細胞受容体によって特異的に認識される抗原を指す。「CD8T細胞抗原」は、CD8T細胞によって認識されて免疫応答をトリガーする任意の抗原、例えば、クラスI主要組織適合複合体分子(MHC)に結合した抗原またはその一部の提示を介してCD8T細胞上のT細胞受容体によって特異的に認識される抗原を指す。T細胞抗原は一般に、タンパク質またはペプチドであるが、脂質および糖脂質のような他の分子ならびに任意のそれらの誘導体であってもよい。
抗原特異性がバーコードによって、または遺伝子によって保有される四量体、多量体、およびその誘導体も想定される。四量体、または任意の誘導体は、抗原および対応するベクターを含むインビトロ転写翻訳(IVTT)によって液滴内で合成することができる。そのようなベクターは、可溶性TCRの発現をコードする遺伝子を含むことができる。
好ましくは、リガンドのセットは、抗原提示細胞(APC)の表面上に提示された主要組織適合複合体(MHC)に結合したT細胞抗原のセットである。
本発明の文脈において、用語「抗原提示細胞」または「APC」は、抗原をプロセッシングしてT細胞に提示することによって細胞の免疫応答を媒介する免疫担当細胞の異種グループを包含する。抗原提示細胞は、限定されないがマクロファージ、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、B細胞、単球由来樹状細胞、人工APC、改変されたAPC、またはMHCクラスI分子もしくはMHCクラスII分子を発現する他の細胞を含む。
APCは、B細胞であることができ、具体的には不死化B細胞、例えばエプスタイン・バーウイルス(EBV)-不死化B細胞であることができる。
特定の一実施形態では、APCは、上記に定義されるような、目的対象由来の自己由来不死化B細胞、または上記に定義されるような、目的対象と同一のMHCを保有する異種不死化B細胞である。
「目的対象と同一のMHCを保有する異種B細胞」とは、本明細書において、目的対象に由来しないが、目的対象と同一のMHCを保有するB細胞を意味する。
「MHC」または「主要組織適合複合体」とは、本明細書において、T細胞に対する抗原提示および迅速な移植片拒絶に必要な細胞表面分子をコードする遺伝子の複合体(およびそれによってコードされる分子)を意味する。ヒトでは、MHC複合体は、HLA複合体としても知られている。MHC複合体によってコードされるタンパク質は「MHC分子」として知られており、クラスIおよびクラスII MHC分子に分類される。クラスI MHC分子は、β2ミクログロブリンと非共有結合した、MHCにおいてコードされるα鎖からなる膜ヘテロ二量体タンパク質を含む。クラスI MHC分子は、ほぼ全ての有核細胞によって発現され、CD8T細胞に対する抗原提示における機能が示されている。ヒトにおいてクラスI分子は、HLA-A、-B、および-Cを含む。クラスII MHC分子もまた、非共有結合したα鎖およびβ鎖からなる膜ヘテロ二量体タンパク質を含む。クラスII MHCは、CD4T細胞と相互作用することが知られており、ヒトにおいて、HLA-DP、-DQ、およびDRを含む。用語「MHC制限」は、プロセッシングされて生じた抗原性ペプチドがクラスIまたはクラスII MHC分子のいずれかと関連して提示された後にのみ抗原を認識することが可能になるT細胞の特徴を指す。MHCを同定および比較する方法は当技術分野でよく知られており、Allen et al.(1994)Human Imm.40:25-32;またはSantamaria et al.(1993)Human Imm.37:39-50に記載されている。
特定の一実施形態では、それぞれのAPCは、T細胞抗原のセット由来の少なくとも1つのT細胞抗原、好ましくは複数の別個のT細胞抗原、好ましくは、T細胞抗原のセット由来の2~1000、5~900、10~800、20~700、30~600、40~500、50~400の別個のT細胞抗原、具体的には、T細胞抗原のセット由来の60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、または500の別個のT細胞抗原を発現または提示する。特定の一実施形態では、それぞれのAPCは、10~1000、より好ましくは、300の別個のT細胞抗原種を発現または提示する。
特定の一実施形態では、少なくとも1つのT細胞抗原、特に複数の別個のT細胞抗原を提示するAPCのセットは、上記に定義されるように目的対象の組織から得られたT細胞抗原をコードする核酸のライブラリーを、上記に定義されるように目的対象由来の自己由来APC内または目的対象と同一のMHCを保有する異種APC内に導入することによって得られる。
別の特定の一実施形態では、少なくとも1つのT細胞抗原、特に複数の別個のT細胞抗原を提示するAPCのセットは、APC内に、抗原をコードする合成mRNAのライブラリーを(タンデム遺伝子または単一遺伝子のいずれかとして)導入することによって得られ、前記mRNAは、腫瘍のゲノム、エクソーム、またはトランスクリプトームをシーケンシングすることによって同定され、インビトロ転写によって生産される。
別の特定の一実施形態では、少なくとも1つのT細胞抗原、特に複数の別個のT細胞抗原を提示するAPCのセットは、APC内に、抗原をコードする合成mRNAのライブラリーを(タンデム遺伝子または単一遺伝子のいずれかとして)導入することによって得られ、前記mRNAは、腫瘍のゲノム、エクソーム、またはトランスクリプトームをシーケンシングすることによって同定され、個々のmRNAで分割およびプールすることによって生産される。
別の特定の実施形態では、少なくとも1つのT細胞抗原、特に複数の別個のT細胞抗原を提示するAPCのセットは、APC内に、抗原をコードする合成mRNAのライブラリーを(タンデム遺伝子または単一遺伝子のいずれかとして)導入することによって得られ、前記mRNAは、腫瘍のゲノム、エクソーム、またはトランスクリプトームをシーケンシングすることによって同定され、mRNA翻訳を可能にする透過性に基づくDNA送達を用いて生産される。
別の特定の実施形態では、少なくとも1つのT細胞抗原、特に複数の別個のT細胞抗原を提示するAPCのセットは、APC内に、ビーズ上に作製されてmRNAに転写された個々のDNAを導入し、液滴においてトランスフェクトすることによって得られる(抗原をコードするタンデム遺伝子または単一遺伝子のいずれかとして、前記抗原は、腫瘍のゲノム、エクソーム、またはトランスクリプトームをシーケンシングすることによって同定される)。
別の特定の実施形態では、少なくとも1つのT細胞抗原、特に複数の別個のT細胞抗原を提示するAPCのセットは、APC内に、ビーズ上に作製されてmRNAに転写された個々のDNAを導入し、APC内にトランスフェクトまたは形質導入することによって得られる(抗原をコードするタンデム遺伝子または単一遺伝子のいずれかとして、前記抗原は、腫瘍のゲノム、エクソーム、またはトランスクリプトームをシーケンシングすることによって同定される)。
別の特定の実施形態では、少なくとも1つのT細胞抗原、特に複数の別個のT細胞抗原を提示するAPCのセットは、既知のタグ化T細胞抗原および/またはT細胞抗原をコードする既知のタグ化核酸をAPC内に導入することによって得られる。
「タグ化」とは、本明細書において、既知配列の核酸、蛍光色素またはラベルなどのタグを保有することを意味する。典型的に、タグは、上記に定義されるようなバーコード配列であり得る。
特定の一実施形態では、T細胞抗原をコードする核酸のライブラリーは、患者または病原体RNAまたはDNAのシーケンシングに基づいて化学的に合成される。
別の特定の実施形態では、T細胞抗原をコードする核酸のライブラリーは、上記に定義されるように目的対象の組織由来の核酸の増幅(例えばPCRによる)によって得られる。
特定の一実施形態では、T細胞抗原をコードする核酸のライブラリーは、cDNAライブラリーである。別の実施形態では、T細胞抗原をコードする核酸のライブラリーは、mRNAライブラリーである。
目的対象の組織から得られたT細胞抗原をコードする核酸のライブラリーは、当業者によく知られた方法によって取得され得る。特に、細胞、例えば、MHC-IまたはMHC-II発現細胞または腫瘍細胞は、DNase、プロテアーゼ(例えばコラゲナーゼ)および機械的消化などの公知技術によって目的対象の組織から抽出することができる。RNAは、シリカカラムまたは酸フェノール技術などの当業者によく知られた技術によって前記細胞から単離することができる。これらのRNAを次いで、よく知られた技術を用いて逆転写してcDNAライブラリーを得ることができる。好ましくは、cDNAライブラリーは、RNAとハイブリダイズするプライマーを用いて逆転写によって得られる。プライマーは、ポリ(A)テールに対するハイブリダイズによって全てのmRNAに対してプライムすることができ(アンカーオリゴdTプライマー)、または、RNAの特定のサブセットに対してのみプライムするように設計されるか、もしくは、任意のRNAに対してランダムにプライムするように設計される。
特定の一実施形態では、前記ライブラリーは、mRNA濃度の違いに起因するライブラリー内のバイアスを減少させるように正規化される。
正規化技術の範囲は当業者によく知られており、例えば、二重鎖特異的ヌクレアーゼ(DSN)に基づくcDNAライブラリーの正規化(Bogdanov et al.(2010).Curr.Protoc.Mol.Biol.Chapter 5:Unit 5.12.1-27)、およびmRNA-cDNAハイブリダイゼーションおよびサブトラクションによるcDNAライブラリーの正規化(Chen(2003)In S.-Y.Ying(Ed.),Generation of cDNA Libraries:Methods and Protocols(pp.33-40)Totowa,NJ:Humana Press)がある。
特定の一実施形態では、T細胞抗原をコードする核酸のライブラリーは、以下に定義されるように、特異的な増幅および本発明の同定方法の後続するステップにおけるシーケンシングを可能にするユニバーサル配列を含む。
本明細書において用いられる用語「ユニバーサル配列」は、例えばライゲーションまたは任意の他の適切な方法(オーバーラップ伸長PCR、PCR、プライマー伸長またはダイレクトDNA合成など)によって、特に核酸分子のライブラリー内の核酸配列に付着させることができる配列を指し、それにより、同一配列が複数の異なる核酸分子に付着される。そのようなユニバーサル配列は、複数のサンプルを同時に分析するのに特に有用である。ユニバーサル配列の例は、ユニバーサルプライマーおよびユニバーサルプライミング部位である。ユニバーサルプライミング部位は、適切なプライマーが結合することができ、ユニバーサルプライマーに付着した核酸配列に対して相補の核酸配列の合成のためのプライミング部位として使用することのできる「共通プライミング部位」を含む。
T細胞抗原をコードする核酸のライブラリーのAPC内への導入は、当業者によく知られている任意の方法によって、例えば、ウイルスベクターを用いた形質導入によって、エレクトロポレーションによって、またはトランスフェクションによって(例えば、リポ-、ヌクレオ-フェクション、ナノ粒子に基づく、または細胞透過性ペプチドを用いる)、行なうことができる。
特定の一実施形態では、T細胞抗原をコードする核酸のライブラリーの、特に、T細胞抗原をコードする核酸のcDNAライブラリーの、前記APC内への導入は、前記ライブラリーを保有するウイルスベクターを用いた前記APCの形質導入によって行なわれる。
「ウイルスベクター」とは、本明細書において、望ましい遺伝物質を封入することができ、望ましい遺伝物質を標的細胞内にトランスフェクトおよび組み込むことができ、したがって、効果的かつ標的化された遺伝物質の送達をエクスビボでおよびインビボの両方で可能にすることができるウイルス、またはその組み換え体を意味する。ウイルスベクターの例は、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、セムリキ森林ウイルスベクター、シンドビスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、鶏痘ウイルスベクター、バキュロウイルスベクターおよびセンダイウイルスベクターを含む。好ましくは、前記ウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。
当業者によって理解されるように、T細胞抗原をコードする核酸のAPC内への導入がウイルスベクターを用いた形質導入によって行なわれる場合、前記APCによって発現または提示される別個のT細胞抗原の数は、前記APCを形質導入するために用いた前記ウイルスベクターの感染多重度(MOI)に依存する。
したがって、特定の一実施形態では、T細胞抗原をコードする核酸のライブラリーの前記APC内への導入は、0.01~1000、0.05~900、0.1~800、0.5~700、1~600、2~500、3~450、4~400、5~350、6~300、7~250、8~200、9~150、または10~100の感染多重度、具体的には、20、30、40、50、60、70、8090、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、または500の感染多重度で、前記ライブラリーを保有するウイルスベクターを用いて前記APCを形質導入することによって行なわれ、それにより、少なくとも1つの抗原から複数の抗原までを発現するAPCが生成される。
別の実施形態では、T細胞抗原をコードする核酸のライブラリー、特に、T細胞抗原をコードする核酸のRNAライブラリーの、前記APC内への導入は、前記mRNAまたは対応するDNAを用いたAPCのトランスフェクションによって行なわれる。そのようなトランスフェクションは、典型的に、リポフェクション、ヌクレオ-フェクション、ナノ粒子に基づくトランスフェクションによって、または、RNAに共有結合した細胞透過性ペプチド(Radis-Baptista et al.(2017)Journal of Biotechnology 252:15-26)、例えば、ペネトラチンを用いて行なわれ得る。同じ原理が、抗原/MHC複合体に対するTCR特異性および/または親和性/結合性をスクリーニングするための自己由来または異種T細胞、またはT細胞株によるTCRの発現に適用される。
用語「T細胞受容体」または「TCR」は、本明細書において、T細胞(すなわち、Tリンパ球)の表面上に存在する抗原認識分子を指す。この定義は、当技術分野で知られている用語の理解を明示的に含み、例えば、不変CD3鎖との複合体として細胞膜において発現される非常に可変のαまたはβ鎖のジスルフィド結合ヘテロ二量体を含むもしくはそれからなる受容体、または、T細胞のサブセット上のCD3との複合体として細胞膜において発現される可変のγおよびδ鎖を含むもしくはそれからなる受容体を含む。TCRの抗原認識ドメインは典型的に、別個の遺伝子によってコードされるα鎖とβ鎖、またはγ鎖およびδ鎖からなる。
T細胞受容体遺伝子は、V(D)J組換えと呼ばれる遺伝子組換えの固有のメカニズムを受け、それはT細胞成熟の初期の間に発生するリンパ球においてのみ生じる。それは、T細胞上に見られる非常に様々なレパートリーのT細胞受容体(TCR)をもたらす。
好ましくは、受容体のセットは、T細胞の表面上に提示されるTCRのセットである。
本明細書において一般的に用いられる用語「T細胞」または「Tリンパ球」は、例えば、CD4ヘルパーT細胞(例えば、TH1、TH2、TH9およびTH17細胞)、CD8細胞傷害性T細胞、抗原経験T細胞、ナイーブT細胞、セントラルT細胞、エフェクターT細胞、CD4制御性/抑制性T細胞(Treg細胞)、ナチュラルキラーT細胞、γδT細胞、および/または自己侵襲的T細胞(例えば、TH40細胞)、粘膜関連不変T細胞(MAIT)、疲弊T細胞、メモリーT細胞、セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞、組織常在性T細胞を指し得る。
好ましくは、TCRを提示するT細胞のセットにおいて、それぞれのT細胞は、固有のT細胞受容体(TCR)を発現または提示する。
特定の一実施形態では、TCRを提示するT細胞のセットのT細胞は、T細胞抗原を提示するAPCのセットを得るために用いた上記に定義されるようなT細胞抗原をコードする核酸のライブラリーと同一の目的対象に由来する。特に、この実施形態は、私的T細胞抗原の検出を容易にする。
「私的抗原(private antigen)」とは、本明細書において、1つまたは数個の個体に制限された抗原性の特異性を意味する。
別の特定の実施形態では、TCRを提示するT細胞のセットのT細胞は、T細胞抗原を提示するAPCのセットを得るために用いた上記に定義されるようなT細胞抗原をコードする核酸のライブラリーと同一の目的対象に由来しない。特に、この実施形態は、公衆T細胞抗原の検出を容易にする。
「公衆抗原(public antigen)」とは、本明細書において、集団の5%超、より具体的には10%超において存在する抗原を意味する。
特定の一実施形態では、TCRを提示するT細胞のセットのT細胞は、対象から収集された後の増殖を可能にするために活性化される。
B細胞受容体/B細胞抗原
別の特定の実施形態では、受容体のセットはB細胞受容体(BCRまたは抗体)のセットであり、およびリガンドのセットはB細胞抗原のセットである。
本明細書において用いられる用語「BCR」は、B細胞の外面に位置する膜貫通受容体タンパク質を指す。受容体の結合部分は、ほとんどの抗体のように、固有かつランダムに決定された抗原結合部位を有する膜結合型抗体からなる(V(D)J組換えを参照)。B細胞が、その受容体に結合する抗原(その「同族抗原」)と最初に遭遇することによって活性化されると、細胞が増殖および分化して、抗体分泌血漿B細胞およびメモリーB細胞の集団が産生される。
用語「抗体」は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性の部分、すなわち、抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子を指す。したがって、用語「抗体」は、抗体分子全体だけでなく、抗体フラグメントならびにヒト化抗体などの誘導体を含む抗体の変異体も包含する。特定の従来の抗体では、2つの重鎖は、ジスルフィド結合によって互いに連結され、各重鎖はジスルフィド結合によって軽鎖に連結される。2つのタイプの軽鎖、ラムダ(λ)およびカッパ(κ)が存在する。抗体分子の機能性活性を決定する5つの主要な重鎖クラス(またはアイソタイプ):IgM、IgD、IgG、IgA、IgEおよびIgYが存在する。それぞれの鎖は、別個の定常領域配列を含む。軽鎖は、2つのドメイン:可変ドメイン(VL)および定常ドメイン(CL)を含む。重鎖は、4つのドメイン:可変ドメイン(VH)および3つの定常ドメイン(CH1、CH2およびCH3、CHと総称される)を含む。軽鎖(VL)および重鎖(VH)の両方の可変領域は、抗原に対する結合認識および特異性を決定する。軽鎖(CL)および重鎖(CH)の定常領域ドメインは、抗体鎖の関連、分泌、胎盤通過性、補体結合、およびFc受容体(FcR)への結合などの重要な生物学的特性を与える。Fvフラグメントは、免疫グロブリンのFabフラグメントのN末部分であり、1つの軽鎖および1つの重鎖の可変部分からなる。抗体の特異性は、抗体結合部位と抗原性決定因子との間の構造相補性にある。抗体結合部位は、主に高頻度可変性または相補性決定領域(CDR)由来の残基で構成される。時折、非高頻度可変性またはフレームワーク領域(FR)由来の残基は、ドメイン構造全体に影響を及ぼし、したがって結合部位に影響を及ぼす。相補性決定領域(CDR)はともにネイティブ免疫グロブリン結合部位の天然Fv領域の結合親和性および特異性を規定するアミノ酸配列を指す。免疫グロブリンの軽鎖および重鎖は、それぞれ3つのCDRを有しており、それぞれLCDR1、LCDR2、LCDR3、およびHCDR1、HCDR2、HCDR3とそれぞれ指定される。したがって、抗原結合部位は、重鎖および軽鎖V領域のそれぞれ由来のCDRセットを含む6つのCDRを含む。フレームワーク領域(FR)は、CDRの間に置かれたアミノ酸配列、すなわち、Kabatら(Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)によって定義されるように、単一種における異なる免疫グロブリンの間で相対的に保存されている免疫グロブリン軽鎖および重鎖可変領域の部分を指す。
用語「抗体」はさらに、単鎖抗体、例えば、ラクダ科抗体、またはナノボディもしくはVHHを表わす。
抗体遺伝子は一般に、V(D)J組換えと呼ばれる遺伝子組換えの固有のメカニズムを受け、それはB細胞成熟の初期の間に発生するリンパ球においてのみ生じる。抗体遺伝子は、さらに体細胞高頻度突然変異を受けることがあり、V(D)J組換えと体細胞高頻度突然変異の組み合わせは、B細胞上に見られる非常に様々なレパートリーの抗体/免疫グロブリン(Ig)をもたらす。
特定の一実施形態では、受容体のセットがB細胞受容体のセットである場合、前記B細胞受容体はB細胞によって提示される。
マイクロリアクターおよび共区画化
リガンド種および受容体種を「共区画化する(co-compartmentalizing)」とは、本明細書において、複数のマイクロリアクターを形成し、各マイクロリアクターが、リガンド種および/または受容体種のグループ、好ましくは少なくとも1つのリガンド種および任意に少なくとも1つの受容体種のグループを、リガンドおよび受容体のセットによって提供される残りのリガンド種および受容体種から分離することを意味する。
本発明の文脈において、共区画化/マイクロリアクターステップは、任意の適切な方法によって、例えば、マイクロ流体、フローサイトメトリー細胞に基づくソーティング、および/または限界希釈によって行なわれ得る。
特定の一実施形態では、マイクロリアクターは、ウェルまたは微細加工ウェルである。
別の特定の実施形態では、マイクロリアクターは、水性液滴であり、特に、連続的な非混和相中である。
「液滴」は通常、体積の尺度を指し、さらに、本発明の文脈において、第二の流体によって取り囲まれた第一の流体の分離された部分を指す。液滴は必ずしも球状ではないが、例えば外的環境に応じて他の形状も想定され得ることに留意しなければならない。
好ましくは、それぞれの液滴は、2つの哺乳類細胞の体積と少なくとも等しい体積を有する。
別の特定の実施形態では、マイクロリアクターはマイクロカプセルである。マイクロカプセルは、体積の尺度を指すことができ、さらに、本発明の文脈において、第二の材料によって取り囲まれた第一のコーティング材料の分離された部分を指す。マイクロカプセルは必ずしも球状ではないが、例えば外的環境に応じて他の形状も想定され得ることに留意しなければならない。「マイクロカプセル」は一般に、永久的または一時的に封入された物質を利用できるコアを形成する空間を取り囲む固形シェルからなる中空の微粒子を指す。物質は、薬物、農薬、色素、細胞、それらの組み合わせおよび同様の材料であり得る。固形シェルは、例えば、硬質または軟質の可溶性フィルムで作られたマイクロメートルの壁の内側に固体、液体、または気体を封入することができる。コーティングのために一般的に用いられるコーティング材料は、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アルギン酸ナトリウムである。
好ましくは、各マイクロカプセルは、2つの哺乳類細胞の体積と少なくとも等しい体積を有する。
別の特定の実施形態では、マイクロリアクターはマイクロビーズである。マイクロビーズは、体積の尺度を指すことができ、さらに、半固体ビーズに対して浸透性またはそうでない流体によって取り囲まれた第一の半固体材料の分離された部分を指す。マイクロビーズは必ずしも球状ではないが、例えば外的環境に応じて他の形状も想定され得ることに留意しなければならない。「マイクロビーズ」は一般に、永久的または一時的に封入された物質を利用できる全体積を占める半固体の多孔質性またはそうでない構造を指す。物質は、薬物、農薬、色素、細胞、それらの組み合わせおよび同様の材料であることができる。半固体多孔質性構造は、例えば、硬質または軟質の可溶性フィルムで作られたマイクロメートルの壁の内側に固体、液体、または気体を封入することができる。マイクロビーズを形成するために一般的に用いられる材料は、アガロース、アクリルアミド、アルギン酸ナトリウムのようなポリマーを含む。
好ましくは、各マイクロビーズは、2つの哺乳類細胞の体積と少なくとも等しい体積を有する。
細胞をマイクロカプセルまたはマイクロビーズ内に封入した後に、細胞は、マイクロカプセルまたはマイクロビーズ内への液滴の形質転換を達成することができることが理解される。
哺乳類細胞の平均体積は当業者によく知られており、典型的に約0.002nLである。
特定の一実施形態では、各液滴またはマイクロカプセルまたはマイクロビーズは、20nL未満の体積を有する。1つの実施形態では、各液滴は、15nL未満、10nL未満、9nL未満、8nL未満、7nL未満、6nL未満、5nL未満、3nL未満、2.5nL未満、2nL未満、1.5nL未満、1nL未満、0.5nL未満、0.2nL未満、0.1nL未満、0.05nL未満、例えば20pL~3nL、30pL~1nL、40pL~500pL、50pL、~250pL、60pL~100pL、または0.1nL~3nL、0.5nL~3nL、1nL~3nL、典型的に、0.1nL、0.5nL、1nL、1.2nL、1.4nL、1.6nL、1.8nL、2.0nL、2.2nL、2.4nL、2.6nL、2.8nL、3nLの体積を有する。
そのような液滴またはマイクロカプセルまたはマイクロビーズは、当業者によく知られた任意の技術によって、具体的にはマイクロ流体技術によって調製され得る。
当業者によって理解されるように、および、以下にさらに説明するように、1つのマイクロリアクター、例えば液滴内に共区画化されるリガンドおよび受容体の数、具体的にはT細胞抗原を提示するAPCおよびTCRを提示するT細胞の数は、確率分布、例えばポアソン分布に従い、例えば、第一の流体中の第一のタイプの細胞の濃度、第二の流体中の第二のタイプの細胞の濃度、主チャネルと副チャネルの形状、用いられる第一の流体、第二の流体および担体流体の注入パラメーターに依存する。
リガンドおよび/または受容体が細胞または粒子上に提示される場合、細胞または粒子の分布は、したがってリガンドおよび/または受容体の分布もまた、典型的にポアソン分布に従う。しかしながら、マイクロリアクターが液滴である場合、当業者に馴染みのある様々なマイクロ流体技術は、ポアソン分布以外の分布、特に、液滴のより多くの画分が単一細胞/粒子を含む分布を可能にする。これらの技術は、液滴内への区画化の前に慣性力を用いて粒子/細胞を整えることからなる方法であってディーンフローのような二次的フローによって媒介される方法(Edd et al.(2008)Lab Chip 8:1262-1264;Kemna et al.Lab Chip(2012)12:2881-2887,Lagus and Edd(2013)RSC Advances 3:20512-20522,Schoeman et al.(2014)Electrophoresis 35:385-392,Schoeman et al.(2018)Scientific Reports 8:3714、US2013/011210、US2010/021984およびUS2011/0223314を参照)、分析/測定する液滴の数を減少させるための単一細胞/粒子または細胞/粒子のペアを含む液滴の単離/ソーティングからなる方法(Hu et al.(2015)Lab Chip 15:3989-3993;Chung et al.(2017)Lab Chip 17:3664-3671およびShembekar et al.(2018)Cell Reports 22:2206-2215を参照)、細胞/粒子を狭いボトルネック内に流して同一サンプルの複数の細胞/粒子を封入する可能性を減少させることからなる方法(Ramji et al.(2014)Biomicrofluidics 8:034104を参照)、細胞/粒子がノズルの前を通過するときの要求に応じた液滴の生産からなる方法(Schoendube et al.(2015)Biomicrofluidics 9:014117;Leibacher et al.(2015)Biomicrofluidics 9:024109およびYusof et al.(2011)Lab.Chip11:2447-2454を参照)を含む。
したがって、特定の一実施形態では、複数の受容体種、具体的には水性組成物内に含まれるTCR提示T細胞の複数の受容体種は、複数のリガンド、具体的には抗原提示APCの複数のリガンドとともに、複数のマイクロリアクター内に、具体的には複数のマイクロ流体液滴内に共区画化され、1つのマイクロリアクター内に共区画化される、具体的には1つの液滴内に共区画化される受容体種の数、具体的にはTCR提示T細胞の数は、用いられるパラメーターに応じて、確率分布、具体的にはポアソン分布に従う。パラメーターは、例えば、ほとんどのマイクロリアクターが1または0個の受容体、具体的にはTCR提示T細胞を有するように適合させることができ、したがって、数個の受容体を含む区画の数を最小限にさせる。
受容体種、具体的にはTCR提示T細胞を、リガンド種、具体的には抗原提示APCとともに共区画化するために用いられるパラメーターは、少なくともいくつかのマイクロリアクターが、単一の受容体種、具体的には単一のTCR提示T細胞を含むように適合させることができる。
同様に、受容体種、具体的にはTCR提示T細胞を、リガンド種、具体的には抗原提示APCとともに共区画化するために用いられるパラメーターは、少なくともいくつかのマイクロリアクターが、単一のリガンド種、具体的には単一の抗原提示APCを含むように適合させることができる。
特定の好ましい一実施形態では、少なくとも1つのリガンド種、具体的には少なくとも1つのT細胞抗原、より具体的には少なくとも1つのT細胞抗原提示APCと、少なくとも1つの受容体種、具体的には少なくとも1つのTCR、より具体的には少なくとも1つのTCR提示T細胞とをそれぞれが含むマイクロリアクターのセットが作製される。
しかしながら、当業者によって理解されるように、任意の受容体種を含まないいくつかのマイクロリアクターを作製してもよい。
好ましくは、、少なくとも1つのリガンド種、具体的には少なくとも1つのT細胞抗原、より具体的には少なくとも1つのT細胞抗原提示APCと、1つまたは少数の受容体種、具体的には1つまたは少数のTCR、より具体的には1つのまたは少数のTCR提示T細胞とをそれぞれが含むマイクロリアクターのセットが作製される。
「少数」とは、本明細書において、10未満、例えば10、9、8、7、6、5、4、3、2または1を意味する。
別の好ましい実施形態では、1つまたは少数のリガンド種、具体的には1つまたは少数のT細胞抗原、より具体的には1つまたは少数のT細胞抗原提示APCと、少なくとも1つの受容体種、特に少なくとも1つのTCR、より具体的には少なくとも1つのTCR提示T細胞とをそれぞれが含むマイクロリアクターのセットが作製される。
さらに好ましい一実施形態では、1つまたは少数のリガンド種、具体的には1つまたは少数のT細胞抗原、より具体的には1つまたは少数のT細胞抗原提示APCと、1つまたは少数の受容体種、具体的には1つまたは少数のTCR、より具体的には1つまたは少数のTCR提示T細胞とをそれぞれが含むマイクロリアクターのセットが作製される。
好ましい一実施形態では、1つのリガンド種、具体的には1つのT細胞抗原、より具体的には1つのT細胞抗原提示APCと、1つの受容体種、具体的には1つのTCR、より具体的には1つのTCR提示T細胞とをそれぞれが含むマイクロリアクターのセットが作製される。
特に好ましい一実施形態では、複数のリガンド種、具体的には複数のT細胞抗原、より具体的には複数のT細胞抗原を提示する1つのAPCまたは単一(または複数)のT細胞抗原を提示する複数のAPCと、1つの受容体種、具体的には1つのTCR、より具体的には1つのTCR提示T細胞とをそれぞれが含むマイクロリアクターのセットが作製される。
したがって1つの実施形態では、マイクロリアクターのセットは、1~20,000マイクロリアクター/秒、例えば、1~15,000マイクロリアクター/秒、1~10,000マイクロリアクター/秒、1~9000マイクロリアクター/秒、1~8000マイクロリアクター/秒、1~7000マイクロリアクター/秒、1~6000マイクロリアクター/秒、1~5000マイクロリアクター/秒、1~4000マイクロリアクター/秒、1~3000マイクロリアクター/秒、1~2000マイクロリアクター/秒、1~1000マイクロリアクター/秒、1~800マイクロリアクター/秒、1~700マイクロリアクター/秒、1~600マイクロリアクター/秒、1~500マイクロリアクター/秒、1~400マイクロリアクター/秒、1~300マイクロリアクター/秒、1~200マイクロリアクター/秒、1~100マイクロリアクター/秒、1~80マイクロリアクター/秒、1~70マイクロリアクター/秒、1~50マイクロリアクター/秒、例えば10~300マイクロリアクター/秒、50~300マイクロリアクター/秒、100~300マイクロリアクター/秒、150~300マイクロリアクター/秒、150~250マイクロリアクター/秒、175~250マイクロリアクター/秒、典型的に、1~1000マイクロリアクター/秒、好ましくは175~250マイクロリアクター/秒の頻度でのリガンド種、具体的には抗原提示APCと、受容体種、具体的にはTCR提示T細胞との共区画化によって形成される。
マイクロリアクターのセット、具体的にはマイクロ流体液滴のセットは、任意の適切な技術によって得ることができる。具体的には、マイクロリアクターのセットは、(a)第一の流体源を提供するステップ(ここで第一の流体は、上記に定義される受容体のセットの懸濁液を含む)、(b)第二の流体源を提供するステップ(ここで第二の流体は、上記に定義されるリガンドのセットの懸濁液を含む);(c)担体流体を提供するステップ(ここで担体流体は、第一の流体および第二の流体と非混和性である)、(d)担体流体をチップの主チャネル内に注入するステップ、(e)チップの少なくとも副チャネルにおいて第二の流体および第一の流体を注入することによって、担体流体において、マイクロリアクター、具体的には液滴の流れを生成するステップによって形成することができ、副チャネルは主チャネルにおいて開口しており、それぞれの生産されたマイクロリアクター、具体的には液滴は、第一の流体および第二の流体の混合物を含んでおり、ここで第一の流体内の受容体の濃度、第二の流体内のリガンドの濃度、主チャネルおよび副チャネルの形状、第一の流体、第二の流体および担体流体の注入パラメーターは、それぞれのマイクロリアクター、具体的には液滴が、少なくとも1つの受容体種(好ましくは単一の受容体種のみ)と、少なくとも1つのリガンド種とを含み、好ましくは20nL未満の体積を提供するように適合される。
あるいは、マイクロリアクターのセットは、(a)第一の流体源を提供するステップ(ここで第一の流体は上記に定義されるような予め形成された受容体およびリガンドのセットの懸濁液を含む)、(b)任意に、第二の流体源を提供するステップ(ここで第二の流体は、上記に定義されるような検出のための試薬を含む)、(c)担体流体を提供するステップ(ここで担体流体は、第一の流体および第二の流体と非混和性である)によって形成され得る。
1つの実施形態では、第一の流体源および第二の流体源は、接合部(junction)の形態で編成される。
接合部は、例えば、T接合部、Y接合部、チャネル内チャネル接合部(例えば同軸配置、または内側チャネルと内側チャネルの少なくとも一部を取り囲む外側チャネルとを含む)、クロス(または「X」)接合部、フローフォーカシング接合部、または液滴を作製するための任意の他の適切な接合部であり得る。例えば、2004年4月9日に出願された国際特許出願番号PCT/US2004/010903、表題「Formation and Control of Fluidic Species」(Link,et ah,2004年10月28日にWO2004/091763として公開)、または2003年6月30日に出願された国際特許出願番号PCT/US2003/020542、表題「Method and Apparatus for Fluid Dispersion」(Stone,et ah,2004年1月8日にWO2004/002627として公開)を参照。
一部の実施形態では、接合部は、実質的に単分散の液滴を生産するように構成および配置され得る。
受容体種/液滴の量は、負荷率(loading rate)とも呼ばれ得る。例えば、平均負荷率は、約1未満の受容体種/液滴、約0.9未満の受容体種/液滴、約0.8未満の受容体種/液滴、約0.7未満の受容体種/液滴、約0.6未満の受容体種/液滴、約0.5未満の受容体種/液滴、約0.4未満の受容体種/液滴、約0.3未満の受容体種/液滴、約0.2未満の受容体種/液滴、約0.1未満の受容体種/液滴、約0.05未満の受容体種/液滴、約0.03未満の受容体種/液滴、約0.02未満の受容体種/液滴、または約0.01未満の受容体種/液滴であり得る。場合によっては、2以上の受容体種を中に有する液滴が生産される可能性を最小限にするために、より少ない受容体種の負荷率が選択され得る。したがって、例えば、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の液滴は、受容体種を含まないか、または1つの受容体種のみを含んでよい。
少なくともいくつかのマイクロリアクターは、本発明の文脈において、本明細書において以下にさらに定義されるような逆転写酵素およびバーコード化プライマーをさらに含んでよい。
認識アッセイおよび分類
「認識」とは、本明細書において、好ましくはリガンド種および/または受容体種による特定の反応を誘導する、リガンド種と受容体種との間の結合を意味する。
当業者によって理解されるように、リガンド種と受容体種との間の認識によって誘導される反応は、考慮される特定のリガンドおよび受容体に依存する。例えば、T細胞抗原とT細胞によって提示されるその対応するTCRとの間の認識は、前記T細胞の活性化を誘導する。同様に、B細胞抗原とB細胞によって提示されるその対応するB細胞受容体との間の認識は、前記B細胞の活性化を誘導する。
したがって、リガンド種と受容体種との間の認識を決定するために用いられるアッセイは、考慮される特定のリガンドおよび受容体に依存する。
特定の一実施形態では、受容体のセットの受容体種が細胞によって提示される場合、それぞれのマイクロリアクターにおけるリガンドと受容体との間の認識は、細胞の応答が前記マイクロリアクターにおいて誘導されるかどうか決定することによってアッセイされ、誘導された細胞の応答が前記マイクロリアクターにおいて決定される場合に、マイクロリアクターは陽性(マイクロリアクターにおけるリガンド種と受容体種との間の認識)として分類され、誘導された細胞の応答が前記マイクロリアクターにおいて決定されない場合に、マイクロリアクターは陰性(マイクロリアクターにおけるリガンド種と受容体種との間の認識なし)として分類される。
より具体的には、受容体のセットがTCR提示T細胞であり、リガンドのセットがT細胞抗原提示APCである場合、リガンドと受容体との間の認識は、T細胞活性化が前記マイクロリアクターにおいて誘導されるかどうか決定することによってアッセイされ、誘導されたT細胞活性化が前記マイクロリアクターにおいて決定される場合に、マイクロリアクターは陽性(マイクロリアクターにおけるリガンド種と受容体種との間の認識)として分類され、誘導されたT細胞活性化が前記マイクロリアクターにおいて決定されない場合に、マイクロリアクターは陰性(マイクロリアクターにおけるリガンド種と受容体種との間の認識なし)として分類される。
「T細胞活性化」とは、本明細書において、その化学的性質が何であれTCRによる抗原の認識によって誘導される調節された一連のイベントであって、それにより、TCR提示T細胞による、活性化、分化、増殖およびT細胞の免疫性の機能の獲得がもたらされるものを意味する。当業者によく知られているように、TCR活性化によって開始されるシグナル伝達カスケードは、イノシトール三リン酸/Ca2+、ジアシルグリセロール/タンパク質キナーゼC、Ras/分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ、およびPI 3-K経路を含む。これらの経路の構成要素は、情報を核に伝達し、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-10、TNF-α、およびインターフェロン-γなどの様々な分泌因子をコードする遺伝子を活性化し、CD137、CD40LおよびCD69などの様々な細胞表面発現活性化マーカーをコードする遺伝子を活性化し、免疫系の細胞構成要素の増殖、成熟、および機能と関連するカスパーゼ3/7経路を誘導する。
ある特定の実施形態では、マイクロリアクターにおいてリガンド種のセットを受容体種のセットと接触させるステップは、短いインキュベーション時間、例えば、約0.001時間~約8時間生じる。ある特定の実施形態では、接触させるステップは、約0.001時間~約8時間、約0.001時間~約7時間、約0.001時間~約6時間、約0.001時間~約5時間、約0.001時間~約4時間、約0.001時間~約3時間、約0.001時間~約2時間、約0.001時間~約1時間、約0.01時間~約8時間、約0.01時間~約7時間、約0.01時間~約6時間、約0.01時間~約5時間、約0.01時間~約4時間、約0.01時間~約3時間、約0.01時間~約2時間、約0.01時間~約1時間、約0.1時間~約8時間、約0.1時間~約7時間、約0.1時間~約6時間、約0.1時間~約5時間、約0.1時間~約4時間、約0.1時間~約3時間、約0.1時間~約2時間、約0.1時間~約1時間、約1時間~約8時間、約1時間~約7時間、約1時間~約6時間、約1時間~約5時間、約1時間~約4時間、約1時間~約3時間、または約1時間~約2時間生じる。
ある特定の実施形態では、マイクロリアクターにおいてリガンド種のセットを受容体種のセットと接触させるステップは、長いインキュベーション時間、例えば、少なくとも約8時間、好ましくは約8時間~約48時間生じる。ある特定の実施形態では、接触させるステップは、約8時間~約48時間、約8時間~約40時間、約8時間~約32時間、約8時間~約24時間、約8時間~約16時間、約16時間~約48時間、約16時間~約40時間、約16時間~約32時間、約16時間~約24時間、約24時間~約48時間、約24時間~約40時間、約24時間~約32時間、約32時間~約48時間、約32時間~約40時間、または約40時間~約48時間生じる。
ある特定の実施形態では、接触させるステップが、より短いインキュベーション時間(例えば、約0.001時間~約8時間)であり、リガンド種と受容体種が高親和性で結合する場合、産生される増強シグナルは、T細胞活性化の早期マーカーまたは後期マーカーである。リガンド種および受容体種が互いに高親和性を有する場合、選択的または特異的な結合は直ちに生じることができ、それにより、T細胞の即時の活性化をもたらすことができる(例えば、リガンド種がT細胞抗原であり受容体種がT細胞受容体である場合)。T細胞の即時の活性化は、早期マーカーの即時の発現をもたらすことができ、これには、限定されないが、CD69、CD107a、およびトランスフェリン受容体が含まれ得る。T細胞の即時の活性化はまた、継続的に発現されるマーカーの即時の発現をもたらすこともでき、これには、限定されないが、IFNγ、CD25、CD154、TNF、IL-10、IL-2、およびIL-1bが含まれ得る。T細胞の即時の活性化はまた、より短いインキュベーション時間中に後期マーカーの発現をもたらすこともでき、これには、限定されないがCD137、HLA-DR、VLA1、PTA1、CD71、CD27、PD-1、TIM3、LAG3、またはCTLA4が含まれ得る。
ある特定の実施形態では、接触させるステップがより長いインキュベーション時間(例えば、少なくとも約8時間、好ましくは約8~約48時間)であり、リガンド種と受容体種が高親和性で結合する場合、産生される増強シグナルは、T細胞活性化の早期マーカーまたは後期マーカーであり得る。インキュベーション時間がより長いので、T細胞の即時の活性化は、前述の早期または後期マーカーのいずれかの産生をもたらすことができる。さらに、インキュベーション時間がより長いので、継続的に発現されるマーカーも産生され得る。
ある特定の実施形態では、接触させるステップがより長いインキュベーション時間(例えば、少なくとも約8時間、好ましくは約8~約48時間)であり、リガンド種と受容体種が低親和性で結合する場合、産生される増強シグナルは、T細胞活性化の早期マーカーである。より低い親和性を有するので、T細胞を活性化するためにより長いインキュベーション時間がかかる可能性があり、したがって、インキュベーション時間に応じてT細胞活性化の早期マーカーまたは後期マーカーのいずれかが観察され得る。低親和性を有するリガンド種および受容体種のための接触させるステップを延長することにより、産生される増強シグナルは最終的にT細胞活性化の後期マーカーとなり得る。
ある特定の実施形態では、T細胞活性化の早期マーカーは、制限されないが、CD69、CD107a、またはトランスフェリン受容体であり得る。
ある特定の実施形態では、継続的に発現されるT細胞活性化のマーカーは、制限されないが、IFNγ、CD25、CD154、TNF、IL-10、IL-2、およびIL-1bであり得る。
ある特定の実施形態では、T細胞活性化の後期マーカーは、制限されないが、CD137、HLA-DR、VLA1、PTA1、CD71、CD27、PD-1、TIM3、LAG3、またはCTLA4であり得る。
ある特定の実施形態では、シグナルは、抗CD69抗体、抗CD107a抗体、抗トランスフェリン受容体抗体、抗CD137抗体、抗HLA-DR抗体、抗VLA1抗体、抗PTA1抗体、抗CD71抗体、抗CD27抗体、抗PD1抗体、抗TIM3抗体、抗LAG3抗体、または抗CTLA4抗体によって検出される。
T細胞活性化を決定するアッセイは、当業者によく知られており、とりわけ、CD69、CD137、CD134(OX40)またはCD40Lの上方制御の検出、サイトカイン分泌の検出、カスパーゼ3/7経路の誘導、ならびにパーフォリンもしくはグランザイムの分泌、またはTNF-α、およびインターフェロン-γの検出が含まれる。
受容体種に対するリガンド種の選択的および/または特異的な結合は、約1nM~約100nM、約1nM~約75nM、約1nM~約50nM、約1nM~約25nM、約10nM~約100nM、約10nM~約75nM、約10nM~約50nM、約10nM~約25nM、約20nM~約100nM、約20nM~約75nM、約20nM~約50nM、約30nM~約100nM、約30nM~約75nM、約30nM~約50nM、約40nM~約100nM、約40nM~約75nM、約40nM~約50nM、約50nM~約100nM、約50nM~約75nM、約60nM~約100nM、約60nM~約75nM、約70nM~約100nM、約80nM~約100nM、または約90nM~約100nMの範囲内で、蛍光抗体を用いた蛍光アッセイにおいて検出され得る。受容体種に対するリガンド種の選択的な結合は、約1nM、約5nM、約10nM、約15nM、約20nM、約25nM、約30nM、約35nM、約40nM、約45nM、約50nM、約55nM、約60nM、約65nM、約70nM、約75nM、約80nM、約85nM、約90nM、約95nM、または約100nMであり得る。
T細胞活性化はまた、活性化されたT細胞の特徴的な特異的mRNA発現パターンを検出するためのバーコード化cDNAプライマーを用いたT細胞mRNAのシーケンシングによっても検出され得る。これらのcDNAプライマーは典型的に、同一マイクロリアクター内のリガンド特異的および受容体特異的cDNAバーコード化プライマーと同一のバーコード配列を含んでおり、したがって、cDNAは、リガンドおよび受容体cDNAに含まれるものと同一のバーコード配列を含んでおり、陽性液滴(活性化されたT細胞を含む)中のリガンドおよび受容体がシーケンシングにより同定されるのを可能にする。cDNAプライマーは、mRNA発現の定量化および正規化を容易にするために、固有の分子識別子(UMI)を含んでもよい(Kivioja et al.(2012).Nat.Methods,9,72-74;Islam et al.(2014).Nat.Methods,11、163-166)。ビーズの数、または任意にUMIの数は、mRNA発現を定量化および正規化するために用いられる。
同様に、受容体のセットがB細胞受容体提示B細胞であり、リガンドのセットがB細胞抗原である場合、リガンドと受容体との間の認識は、B細胞活性化が前記マイクロリアクターにおいて誘導されるかどうか決定することによってアッセイされ、誘導されたB細胞活性化が前記マイクロリアクターにおいて決定される場合に、マイクロリアクターは陽性(マイクロリアクターにおけるリガンド種と受容体種との間の認識)として分類され、前記マイクロリアクターにおいて誘導されたB細胞活性化が決定されない場合に、マイクロリアクターは陰性(マイクロリアクターにおけるリガンド種と受容体種との間の認識なし)として分類される。
「B細胞活性化」とは、本明細書において、B細胞に、活性化されたB細胞の表現型を示させるプロセスまたは活性を意味し、「活性化されたB細胞」は、以下の表現型のいくつかを示すことのできるB細胞を指す:B細胞活性化は、抗体産生(>50倍の発現増加の誘導、300倍まで)、表面発現対分泌、抗原特異性、CD138/CD38の発現、高い小胞体の網状組織または存在量、抗原介在性活性化、T細胞依存性活性化、T細胞非依存性活性化(Blood.2003;102:592-600,Blood.2002;99:2905-2912、およびBlood.2010;116(18):3445-3455を参照)などを同定するために当該分野で知られている任意の方法によって測定され得る。
B細胞活性化を決定するためのアッセイは当業者によく知られている。
B細胞活性化はまた、活性化されたB細胞の特徴的な特異的mRNA発現パターンを検出するためのバーコード化cDNAプライマーを用いたB細胞mRNAのシーケンシングによっても同定され得る。これらのcDNAプライマーは典型的に、同一マイクロリアクター内のリガンド特異的および受容体特異的バーコード化cDNAプライマーと同一のバーコード配列を含んでおり、したがって、cDNAは、リガンドおよび受容体cDNA内に含まれるものと同一のバーコード配列を含んでおり、陽性液滴(活性化されたB細胞を含む)中のリガンドおよび受容体がシーケンシングによって同定されるのを可能にする。cDNAプライマーは、mRNA発現の定量化を容易にするために固有の分子識別子(UMI)を含んでもよい。ビーズの数、または任意にUMIの数は、mRNA発現を定量化するために用いられる。
特定の一実施形態では、アッセイ試薬がマイクロリアクターに添加される。好ましくは、前記アッセイ試薬は、共区画化ステップ中に前記リガンド種および前記受容体種と共区画化される。
例えば、マイクロリアクターがマイクロ流体液滴である場合、前記アッセイ試薬は、前記液滴の形成に用いられる第一の流体および/または第二の流体中に含まれ得る。あるいは、前記アッセイ試薬は、第三の流体を通して提供され得る。
試薬はまた、受動性の液滴合体(Mazutis et al.(2009).Lab Chip,9(18),2665-2672;Mazutis&Griffiths(2012)Lab Chip,12:1800-1806を参照)、集束レーザーによる局所加熱によって駆動される液滴合体(Baroud et al.(2007).Lab Chip7:1029-1033)を含む当業者に知られている様々な方法によって、または電気力を用いて(Chabert et al.(2005)Electrophoresis,26:3706-3715;Ahn et al.(2006)Appl.Phys.Lett.,88:264105;Link et al.(2006)Angew.Chem.,Int.Ed.、45:2556-2560;Priest et al.(2006)Appl.Phys.Lett.,89:134101)、または、例えば電気による力を用いた予め形成された液滴内への液体の注入によって(ピコ注入(picoinjection))(Abate et al.(2010)Proc.Nat.Acad.Sci.USA,107:19163-19166)、予め形成された液滴に添加することもできる。
当業者によって理解されるように、前記アッセイ試薬は、行なわれる特定の認識アッセイに依存する。
特定の一実施形態では、前記アッセイ試薬は、以下に定義されるような検出技術による陽性マイクロリアクターの直接ソーティングを可能にするレポーター試薬を含む。
各マイクロリアクター内で行なわれるアッセイの結果に基づき、各マイクロリアクターを陽性または陰性として分類することができる。
特定の一実施形態では、陽性マイクロリアクターを陰性マイクロリアクターから分離することができ、それにより陽性マイクロリアクターのグループが形成される。
前記分離は、当業者によく知られた任意の技術によって行なうことができ、用いられるマイクロリアクターのタイプに依存する。特に、前記分離は、マイクロリアクター、具体的にはマイクロ流体液滴を、例えばレポーター試薬の検出によってソーティングすることによって行なわれ得る。前記分離はまた、フローサイトメトリーによるマイクロリアクターのソーティングによっても行なわれ得る。
好ましい一実施形態では、マイクロリアクターが液滴である場合、液滴は、マイクロ流体デバイスにおいて、誘電泳動によって(Ahn et al.(2006)Appl.Phys.Lett.88:024104)またはトリガーされる表面弾性波を用いて(Franke et al.(2009)Lab Chip 9:2625-2627)、例えば、液滴内の蛍光シグナルを検出することによって(Baret et al.(2009)Lab Chip,9:1850-1858)または磁気泳動力を用いて、もしくは空気制御器を用いて(Xi et al.(2017)Lab Chip 17:751-771を参照)ソーティングされる。
あるいは、陽性または陰性としてのマイクロリアクターの分類に基づいて、陽性マイクロリアクターのサブセットを、陽性マイクロリアクターのグループを物理的に形成せずに知的にのみ実証することができる。
任意の追加の試薬およびマイクロリアクターの処理
特定の一実施形態では、前記マイクロリアクター、具体的には前記陽性マイクロリアクターは、追加の試薬を含む。
追加の試薬は典型的に、以下に定義されるように、逆転写酵素(RT)、細胞溶解バッファー、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、ならびに、リガンドまたはリガンド候補をコードする核酸配列に特異的な複数のバーコード化プライマーおよび受容体をコードする核酸配列に特異的な複数のバーコード化プライマーを含む。
リガンドが上記に定義されるようなタグ化リガンドである場合、リガンドをコードする核酸配列に特異的なバーコード化プライマーは、前記リガンドのタグをコードする核酸配列に特異的なバーコード化プライマーであり得る。同様に、受容体が上記に定義されるようなタグ化受容体である場合、受容体をコードする核酸配列に特異的なバーコード化プライマーは、前記受容体のタグをコードする核酸配列に特異的なバーコード化プライマーであり得る。
したがって、特定の一実施形態では、追加の試薬が、マイクロリアクターに、具体的には陽性マイクロリアクターに添加され、前記追加の試薬は、少なくとも、逆転写酵素(RT)、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、およびリガンド(またはリガンドのタグ)をコードする核酸配列に特異的な複数のバーコード化プライマーおよび受容体(または受容体のタグ)をコードする核酸配列に特異的な複数のバーコード化プライマーを含み、細胞溶解バッファーを含んでもよく、ここで、リガンド(またはリガンドのタグ)をコードする核酸配列に特異的なバーコード化プライマーは、リガンド(またはリガンドのタグ)をコードする核酸配列に特異的なプライマー配列およびバーコード配列またはバーコード配列のセットを含み、ここで、受容体(または受容体のタグ)をコードする核酸配列に特異的なバーコード化プライマーは、受容体(または受容体のタグ)をコードする核酸配列に特異的なプライマー配列およびバーコード配列またはバーコード配列のセットを含み、ここで、マイクロリアクター内に含まれるバーコード配列またはバーコード配列のセットは、他のマイクロリアクター内に含まれるバーコード配列またはバーコード配列のセットから区別可能であるが、所与のマイクロリアクター内に含まれるリガンド(またはリガンドのタグ)をコードする核酸配列および受容体(または受容体のタグ)をコードする核酸配列に特異的なバーコード化プライマーは、共通のバーコード配列またはバーコード配列のセットを保有する。
したがって、特定の一実施形態では、追加の試薬が、マイクロリアクターに、具体的には陽性マイクロリアクターに添加され、前記追加の試薬は、少なくとも、逆転写酵素(RT)、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、および複数のプライマー(バーコード化であってもよく、テンプレートスイッチ反応(US5,962,272に記載)のためのテンプレートとしての役割を果たす)を含み、ここで、リガンド(またはリガンドのタグ)をコードする核酸配列のための自由に動く(free floating)特異的プライマーおよび受容体(または受容体のタグ)をコードする核酸配列に特異的なバーコード化プライマーのいずれかが添加され、および/または、ポリdTプライマーおよび/またはランダムプライマーが添加されてもよく、細胞溶解バッファーが添加されてもよく、ここで、テンプレートスイッチ反応に特異的なプライマー(バーコード化されていてもよい)は、cDNAの3’末端において逆転写酵素によってRT中に生じる非テンプレートのヌクレオチド、典型的にトリプルシトシンと会合することが当業者に知られているプライマー配列を含み(Zajac et al.(2013)PLoS ONE 8:e85270を参照)、ここで、非テンプレートのヌクレオチド(典型的に3つのシトシン)に特異的なプライマー(バーコード化されていてもよい)は、非テンプレートのヌクレオチドに特異的なプライマー配列およびバーコード配列またはバーコード配列のセットを含み、ここで、マイクロリアクター内に含まれるバーコード配列またはバーコード配列のセットは、他のマイクロリアクター内に含まれるバーコード配列またはバーコード配列のセットから区別可能であるが、所与のマイクロリアクター内に含まれる非テンプレートのヌクレオチドに特異的なバーコード化プライマーは、共通のバーコード配列またはバーコード配列のセットを保有する。
受容体がTCRである場合、受容体をコードする核酸配列は、好ましくは、αT細胞受容体、βT細胞受容体、γT細胞受容体またはδT細胞受容体をコードする核酸配列である。
受容体がB細胞を提示する抗体である場合、受容体をコードする核酸は、好ましくは、抗体重鎖可変ドメインまたは抗体軽鎖可変ドメインをコードする核酸配列である。
受容体が、別個の遺伝子によってそれぞれコードされるいくつかのポリペプチドで構成される場合、前記ポリペプチドの1つをコードする核酸配列にそれぞれ特異的ないくつかの別個のバーコード化プライマーが好ましくは加えられる。換言すれば、受容体が、別個の遺伝子によってそれぞれコードされる数nのポリペプチドで構成される場合、前記受容体の第一のポリペプチドをコードする核酸配列に特異的なプライマー配列を含む第一のバーコード化プライマーが加えられ、前記受容体の第二のポリペプチドをコードする核酸配列に特異的なプライマー配列を含む第二のバーコード化プライマーが加えられ、・・・そして、前記受容体の第nのポリペプチドをコードする核酸に特異的なプライマー配列を含む第nのバーコード化プライマーが加えられる。
同様に、リガンドが、別個の遺伝子によってそれぞれコードされるいくつかのポリペプチドで構成される場合、前記ポリペプチドの1つをコードする核酸配列にそれぞれ特異的ないくつかの別個のバーコード化プライマーが好ましくは加えられる。換言すれば、リガンドが、別個の遺伝子によってそれぞれコードされる数nのポリペプチドで構成される場合、前記リガンドの第一のポリペプチドをコードする核酸配列に特異的なプライマー配列を含む第一のバーコード化プライマーが加えられ、前記リガンドの第二のポリペプチドをコードする核酸配列に特異的なプライマー配列を含む第二のバーコード化プライマーが加えられ、・・・そして前記リガンドの第nのポリペプチドをコードする核酸配列に特異的なプライマー配列を含む第nのバーコード化プライマーが加えられる。
特定の一実施形態では、典型的に、受容体が2つのポリペプチド、具体的には2つの別個の遺伝子によってコードされる2つの鎖で構成される場合、受容体をコードする核酸配列に特異的なバーコード化プライマーは、2つのポリペプチド、具体的には受容体を構成する鎖の一方をコードする核酸配列にそれぞれ特異的な、2つの異なるバーコード化プライマーである。
典型的に、受容体がTCRである場合、TCRをコードする核酸配列に特異的なバーコード化プライマーは、2つの異なるバーコード化プライマーであり、ここで、一方のバーコード化プライマーは、αT細胞受容体をコードする核酸配列に特異的であり、第二のバーコード化プライマーは、βT細胞受容体をコードする核酸配列に特異的である。
あるいは、受容体がTCRである場合、TCRをコードする核酸配列に特異的なバーコード化プライマーは、2つの異なるバーコード化プライマーであり、ここで、一方のバーコード化プライマーは、γT細胞受容体をコードする核酸配列に特異的であり、第二のバーコード化プライマーは、δT細胞受容体をコードする核酸配列に特異的である。
典型的に、受容体がBCRおよび/または抗体(上記に定義)である場合、BCRおよび/または抗体(上記に定義)をコードする核酸配列に特異的なバーコード化プライマーは、2つの異なるバーコード化プライマーであり、ここで、一方のバーコード化プライマーは、BCRおよび/または抗体のλまたはκ鎖をコードする核酸配列に特異的であり、第二のバーコード化プライマーは、BCRおよび/または抗体のγ、δ、ε、α、またはμ鎖をコードする核酸配列に特異的である。
本発明の文脈において、リガンド(またはリガンドのタグ)または受容体(または受容体のタグ)「をコードする核酸配列」は、上記のセクション「定義」に定義される任意のタイプの核酸であり得る。特に、DNA分子またはRNA分子であることができる。特定の一実施形態では、リガンド(またはリガンドのタグ)または受容体(または受容体のタグ)をコードする前記核酸配列は、前記リガンド(または前記リガンドのタグ)または前記受容体(または前記受容体のタグ)をコードするmRNA配列、そのフラグメントまたはその相補配列からなるか、またはそれを含む。別の特定の実施形態では、リガンド(またはリガンドのタグ)または受容体(または受容体のタグ)をコードする前記核酸配列は、前記リガンド(または前記リガンドのタグ)または前記受容体(または前記受容体のタグ)をコードするcDNA配列、またはそのフラグメントからなるか、またはそれを含む。さらに別の実施形態では、リガンド(またはリガンドのタグ)または受容体(または受容体のタグ)をコードする前記核酸配列は、前記リガンド(または前記リガンドのタグ)または前記受容体(または前記受容体のタグ)をコードする遺伝子、またはそのフラグメントからなるか、またはそれを含む。
上記に定義されるように、マイクロリアクター内に含まれるバーコード配列またはバーコード配列のセットは、他のマイクロリアクター内に含まれるバーコード配列またはバーコード配列のセットから区別可能であるが、所与のマイクロリアクター内に含まれるリガンド(またはリガンドのタグ)をコードする核酸配列および受容体(または受容体のタグ)をコードする核酸配列に特異的なバーコード化プライマーは、共通のバーコード配列またはバーコード配列のセットを保有する。換言すれば、各マイクロリアクターは、固有のタイプのバーコード配列またはバーコード配列のセットを含み、好ましくは異なるプライマー配列と関連したいくつかのバーコード化プライマーを含んでもよいが、特定のバーコード配列またはバーコード配列のセットは、好ましくは、2つの異なるマイクロリアクター内には決して含まれない。
一部の実施形態では、前記バーコード化プライマーは粒子上で送達される。特に、好ましい一実施形態では、前記バーコード化プライマーは、はじめに粒子に結合される。実際に、前記バーコード化プライマーがはじめに粒子に結合することは、1つのタイプのバーコード化プライマーのみを各マイクロリアクター内に送達するのを容易にさせる。
本明細書において用いられる用語「粒子」および「ビーズ」は相互交換可能に用いられる。
「粒子」は、本発明の文脈において微粒子を指す。
1つの実施形態では、粒子は、ヒドロゲル粒子、ポリマー粒子または磁気粒子である。
粒子は、不規則または規則的な形状を有してよい。例えば、粒子は球状、楕円体、または立方体であり得る。
「ヒドロゲル粒子」は、例えば、国際特許出願番号WO2008/109176、表題「Assay and other reactions involving droplets」に記載されている。ヒドロゲルの例は、限定されないがアガロース、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、またはアクリルアミド系ゲル、例えば、ビス-アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ストレプトアビジンアクリルアミド、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド、またはポリN-イソプロピルポリアクリルアミドまたはそれらの混合物を含む。1つの例において、ヒドロゲル粒子は、アクリルアミド、ビス-アクリルアミドおよびストレプトアビジンアクリルアミドを含む。
例えば、モノマーの水溶液が、マイクロリアクター、例えば液滴中に分散されてよく、次いで、重合されて、例えばゲルが形成される。別の例は、ヒドロゲル、例えばカルシウムイオンの添加によってゲル化され得るアルギン酸である。場合によっては、ゲル化イニシエーター(アクリルアミドについては過硫酸アンモニウムおよびTEMED、またはアルギン酸についてはCa2+)を、例えば、2006年2月23日に出願された米国特許出願番号11/360,845、表題「Electronic Control of Fluidic Species」(Link,et ah、米国特許出願公開番号2007/000342として2007年1月4日に公表;または2007年1月24日に出願された米国特許出願番号11/698,298、表題「Fluidic Droplet Coalescence」(Ahnら)に開示されるように、例えば、水相との並行流、油相を通した拡散および/または並行流、または2つの異なる液滴の合体によって、マイクロリアクター、例えば液滴に添加することができる。
実施形態の別のセットでは、粒子は、1つまたは複数のポリマーを含んでよく、したがって、本明細書において、「ポリマー粒子」と呼ばれる。例示的なポリマーは、限定されないが、ポリスチレン(PS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリイソプレン(PIP)、ポリ(乳酸)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、および/またはこれらおよび/または他のポリマーの混合物および/またはコポリマーを含む。
さらに、一部の実施形態では、粒子は磁気であってよく、したがって「磁気粒子」と呼ばれ、粒子の磁気操作を可能にし得る。例えば、粒子は、鉄または他の磁気材料を含んでよい。粒子はまた、タンパク質、核酸または小分子などの他の分子が付着され得るように官能化され得る。
一部の実施形態では、粒子は蛍光であり得る。
一部の実施形態では、粒子は、特に、例えばヒスチジン、Flag、HA、ストレプトアビジン、アクリダイトDNAまたはビオチンを用いたその同定および/またはそのソーティングを容易にするように官能化され得る。
1つの実施形態では、粒子はストレプトアビジンを含む。ストレプトアビジンは、上記に定義される粒子の表面に連結されてもよく、または前記粒子の内側であってもよい。
1つの実施形態では、ヒドロゲル粒子は、1pL~1000pL、例えば1pL~500pL、1pL~400pL、1pL~400pL、1pL~300pL、例えば5pL~300pL、5pL~250pL、5pL~200pL、10pL~250pL、10pL~200pL、20pL~150pL、30pL~100pL、40pL~90pL、50pL~60pL、好ましくは60pL~100pLのサイズを有する。
バーコード化プライマーを一時的に粒子に結合させることは、大量のバーコード化プライマーを有する粒子を提供するのを可能にすることが当業者によって理解されよう。さらに、バーコード化プライマーをはじめに粒子に結合させることは、各マイクロリアクター、具体的には各液滴内へのバーコード化プライマーの導入を容易にし、ここで、バーコード化プライマーは同一のバーコード配列を有する。
したがって、1つの実施形態では、バーコード化プライマーは、粒子に共有結合または非共有結合される。
本明細書において「非共有結合」は、例えば、ストレプトアビジン-ビオチン結合を指す。アビジンビオチン結合またはヒスタグとニッケルの結合などの他の非共有結合が当業者に知られている。
本明細書において「共有結合」は、例えば、アミノ結合またはアクリダイト・ホスホラミダイト結合を指す。
「ストレプトアビジン」は一般に、細菌Streptomyces avidiniiから精製された52.8kDaのタンパク質を指す。ストレプトアビジンホモ-四量体は、ビオチンに対して非常に高親和性(解離定数(Kd)約10-14mol/L)を有しており、ストレプトアビジンに対するビオチンの結合は、天然に知られている最も強い非共有相互作用の1つである。
好ましい一実施形態では、非共有結合は、ストレプトアビジン・ビオチン結合である。
ストレプトアビジン・ビオチン結合は当業者に知られている。したがって、1つの実施形態では、本明細書において定義される粒子はストレプトアビジンを含む。したがって、同じ実施形態において、本明細書において定義されるバーコード化プライマーはビオチンを含む。換言すれば、バーコード化プライマーはビオチンによって官能化される。
バーコード化プライマーを粒子に連結するために用いられる結合のタイプとは独立に、バーコード化プライマーは、少なくとも1つのリンカー配列をさらに含んでよい。
したがって、さらなる一実施形態では、バーコード化プライマーは、少なくとも1つのリンカー配列をさらに含み、前記リンカー配列は好ましくは5’末端に含まれる。したがって、1つの実施形態では、バーコード化プライマーは、5’から3’に、リンカー配列、バーコード配列、およびプライマー配列を含む。
1つの実施形態では、「リンカー配列」は、それによってバーコード化プライマーが粒子に任意に結合される配列である。
本明細書において「任意に結合される」とは、粒子に結合されたバーコード化プライマーがマイクロリアクターまたは複数のマイクロリアクター内にロードされた時点で、バーコード化プライマーが粒子から放出される可能性があり、それにより、マイクロリアクターが粒子およびバーコード化プライマーを含み前記バーコード化プライマーが前記粒子から分離される可能性を指す。
好ましくは、リンカー配列は、例えば酵素および/または光切断のような適切な刺激の適用の際に切断され得る切断可能なリンカー配列である。
「切断可能なリンカー」は当業者によく知られており、Leriche et al.(2012)Bioorg.Med.Chem.20:571-582においてさらに記載されている。それらには、限定されないが、TEV、トリプシン、トロンビン、カテプシンB、カテプシン(cathespin)D、カテプシンK、カスパーゼ・ルマトリクス(lumatrix)メタロプロテイナーゼ配列、ホスホジエステル、リン脂質、エステル、ガラクトース、ジアルキルジアルコキシシラン、シアノエチル基、スルホン、エチレングリコリルジスクシネート、2-N-アシルニトロベンゼンスルホンアミド、a-チオフェニルエステル、不飽和ビニルスルフィド、活性化後スルホンアミド、マロンジアルデヒド(MDA)インドール誘導体、レブリノイルエステル、ヒドラゾン、アシルヒドラゾン、アルキルチオエステル、ジスルフィド架橋、アゾ化合物、2-ニトロベンジル誘導体、フェナシルエステル、8-キノリニルベンゼンスルホン酸、クマリン、ホスホトリエステル、ビス-アリールヒドラゾン、ビマン・ビチオプロピオン酸(bimane bi-thiopropionic acid)誘導体、パラメトキシベンジル誘導体、tert-ブチルカルバメート類似体、ジアルキルまたはジアリールジアルコキシシラン、オルトエステル、アセタール、アコニチル(aconityl)、ヒドラゾン、b-チオプロピオン酸、ホスホロアミデート、イミン、トリチル、ビニルエーテル、ポリケタル、アルキル2-(ジフェニルホスフィノ)安息香酸誘導体、アリルエステル、8-ヒドロキシキノリンエステル、ピコリン酸エステル、ビシナルジオール、およびセレニウム化合物が含まれ得る。切断条件および試薬は、限定されないが、酵素、求核/塩基性試薬、還元剤、光照射、求電子/酸性試薬、有機金属および金属試薬、および酸化試薬を含む。
好ましい一実施形態では、切断可能なリンカーは、光切断可能な部分であり、例えば感光性化学基の後に1~30個の炭素原子の鎖、典型的には6~10個の炭素原子の鎖が続く。
さらに好ましい一実施形態では、切断可能なリンカーは、特異的な制限エンドヌクレアーゼのための標的部位を含む二本鎖DNA分子である。
特定の一実施形態では、粒子に結合したバーコード化プライマーは、特に、以下に開示するように細胞を溶解させる前または後に、マイクロリアクターにおいて粒子から放出される。
少なくともいくつかのバーコード化プライマーの放出は、細胞を溶解した後かつ前記バーコード化プライマーにハイブリダイズした放出された核酸を逆転写する前、または、細胞を溶解した後かつ前記バーコード化プライマーにハイブリダイズした放出された核酸を逆転写した後にさらに生じ得る。
当業者は、バーコード化プライマーの放出について選択される時点に応じて、用語「少なくともいくつかのバーコード化プライマー」は、例えば、細胞によって放出された核酸またはDNA/RNA二重鎖にハイブリダイズしたバーコード化プライマーの少なくとも一部を指すことがあると理解している。
1つの実施形態では、バーコード化プライマーの少なくとも一部は、任意の手段、例えば、酵素、求核/塩基性試薬、還元剤、光照射、求電子/酸性試薬、有機金属および金属試薬、および酸化試薬を用いて放出され得る。
1つの実施形態では、バーコード化プライマーの少なくとも一部は、酵素および/または光切断を用いて放出され得る。例えば、エンドヌクレアーゼを用いて、リンカー配列または任意の他の配列を切断し、バーコード化プライマーの少なくとも一部を粒子から放出することができる。
さらなる一実施形態では、バーコード化プライマーの放出は、ストレプトアビジン・ビオチンなどの結合の破壊を指す。ストレプトアビジン・ビオチン結合を破壊する方法は当業者に知られており、ストレプトアビジンの酵素消化および/またはストレプトアビジンの変性を含む。
1つの実施形態では、バーコード化プライマーは、ストレプトアビジンの酵素消化によって放出される。
好ましくは、各粒子は、他のビーズが保有するバーコード配列またはバーコード配列のセットから区別可能なバーコード配列またはバーコード配列のセットを保有する。換言すれば、各粒子は、固有の大多数のタイプのバーコード配列またはバーコード配列のセットを保有し、好ましくは少なくとも一部が異なるプライマー配列と関連しているいくつかのバーコード化プライマーを含んでもよいが、2つの異なる粒子は、好ましくは、同一の大多数のバーコード配列またはバーコード配列のセットを保有しない。
好ましい一実施形態では、各マイクロリアクターは、バーコード化プライマーを保有する単一粒子、または、バーコード化プライマーを保有する10個未満の粒子、具体的には、9、8、7、6、5、4、3、または2個未満の粒子を含む。特に好ましい一実施形態では、各マイクロリアクターは、バーコード化プライマーを保有する単一粒子を保有する。
「逆転写酵素(RT)」は、本発明の文脈において、逆転写と呼ばれるプロセスにおいて、RNAテンプレートから相補DNA(cDNA)を産生するために用いられる酵素である。
1つの実施形態では、逆転写酵素は、Superscriptase I、Superscriptase II、Superscriptase III、Superscriptase IV、マウス白血病RT、SmartScribe RT、Maxima H RT、またはMultiScribe RTからなる群から選択される。
1つの実施形態では、逆転写酵素は、1~50U/μL、好ましくは5~25U/μL、例えば12.5U/μLの濃度である。
本発明の文脈において、「細胞溶解バッファー」は、好ましくはマイクロリアクター(具体的には液滴)を破壊せずに細胞溶解を可能にする組成物である。
好ましくは、細胞溶解バッファーは、RT活性および/または認識アッセイに用いられる試薬と適合する。
1つの実施形態では、溶解バッファーは、リゾチーム、リゾスタフィン、ザイモラーゼ(zymolase)、ムタノリシン、グリカナーゼ、プロテアーゼ、およびマンノースからなる群から選択される酵素を含む。
1つの好ましい実施形態では、溶解バッファーは、塩化マグネシウム、洗浄剤、緩衝化溶液およびRNase阻害剤を含む。
1つの実施形態では、塩化マグネシウムは、1mM~20mMの濃度で用いられる。
1つの実施形態では、洗浄剤は、トリトン-X-100、NP-40、ノニデットP40、およびTween-20およびIGEPAL CA 630からなる群から選択される。
1つの実施形態では、洗浄剤は、0.1%~10%の濃度である。
緩衝化溶液の非限定的な例は、Tris-HCl、Hepes-KOH、Pipes-NaOH、マレイン酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、ギ酸、乳酸、コハク酸、酢酸、ピバル酸(トリメチル酢酸)、ピリジン、ピペラジン、ピコリン酸、L-ヒスチジン、MES、ビス-トリス、ビス-トリスプロパン、ADA、ACES、MOPSO、PIPES、イミダゾール、MOPS、BES、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、TEA(トリエタノールアミン)、N-エチルモルホリニウム、POPSO、EPPS、HEPPS、HEPPSO、トリス、トリシン、グリシルグリシン、ビシン、TAPS、モルホリン、N-メチルジエタノールアミン、AMPD(2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール)、ジエタノールアミン、AMPSO、ホウ酸、CHES、グリシン、CAPSO、エタノールアミン、AMP(2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール)、ピペラジン、CAPS、1,3-ジアミノプロパン、CABS、またはピペリジンを含む(www.reachdevices.com/Protein/BiologicalBuffers.htmlも参照のこと)。
RNase阻害剤の非限定的な例は、RNase OUT、IN、SuperIN Rnase、および広範なRNAse(例えば、A、B、C、1およびT1)を標的化する阻害剤を含む。
1つの例において、溶解バッファーは、典型的に0.36% Igepal CA 630,50mM Tris-HCl(pH8)である。
特定の一実施形態では、前記追加の試薬は、マイクロリアクター内に、具体的にはマイクロ流体液滴内に、リザーバーからの注入により、例えば電気による力を用いて添加される(ピコ注入)(Abate et al.(2010)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 107:19163-19166)。
別の特定の実施形態では、前記追加の試薬は、マイクロリアクター内に、具体的にはマイクロ流体液滴内に、前記追加の試薬を含むがいかなるリガンドまたは受容体も含まない第二のマイクロリアクター、具体的には第二のマイクロ流体液滴との合体によって添加される。液滴は、受動性の液滴合体液滴合体(Mazutis et al.(2009)Lab on a Chip,9(18):2665-2672;Mazutis et al.(2012)Lab Chip,12:1800-1806を参照)、集束レーザーによる局所加熱によって駆動される液滴合体(Baroud et al.(2007)Lab Chip 7:1029-1033)を含む当業者に知られている様々な方法によって、または電気力を用いて(Chabert et al.(2005)Electrophoresis 26:3706-3715;Ahn et al.(2006)Appl.Phys.Lett.,88:264105;Link et al.(2006)Angew.Chem.,Int.Ed.,45:2556-2560;Priest et al.(2006)Appl.Phys.Lett.89:134101)または磁気泳動力を用いて、または空気制御器を用いて(Xi et al.(2017)Lab Chip 17:751-771を参照)、合体され得る。
前記第二のマイクロリアクター、具体的には前記第二のマイクロ流体液滴は、リガンドおよび受容体を含むマイクロリアクターについて上記に開示したものと同一の技術によって調製され得る。
「合体」とは、本明細書において、2つ以上の液滴または粒子が接触中にマージして単一の娘液滴または娘粒子を形成するプロセスを意味する。
好ましくは、前記追加の試薬は、陽性マイクロリアクターに、具体的には、陰性マイクロリアクターからの陽性マイクロリアクターの分離ステップ後に、選択的に添加される。
特定の一実施形態では、それぞれのマイクロリアクターにおいて、具体的には上記の追加の試薬が添加されるそれぞれの陽性マイクロリアクターにおいて、バーコード化cDNAは、(a)受容体を発現または提示している細胞およびリガンドを発現または提示している細胞を溶解させて、細胞からmRNAを放出させ、(b)少なくともいくつかのマイクロリアクターにおいて、受容体(または受容体のタグ)をコードする少なくとも一部の放出されたmRNAを、受容体(または受容体のタグ)をコードする核酸配列特異的プライマー(バーコード化されていてもよい)にハイブリダイズさせ、リガンド(またはリガンドのタグ)をコードする少なくとも一部の放出されたmRNAを、リガンド(またはリガンドのタグ)をコードする核酸配列特異的バーコード化プライマーにハイブリダイズさせ、および(c)バーコード化されていてもよいプライマーにハイブリダイズした放出されたmRNAを逆転写して、それによりバーコード化cDNAを得ることによって調製される。
当業者によって理解されるように、リガンドのタグまたは受容体のタグがバーコード配列である場合、リガンドまたは受容体のnt配列はそれら自体の同定を可能にするので、上記に詳述したようにバーコード化cDNAを調製する必要はない。
本明細書における「バーコード化」は、遺伝子配列(本明細書において上記にさらに定義される、いわゆるバーコード配列)を核酸に付加し、それにより、前記バーコード化核酸を、別の加えられた遺伝子配列、すなわち、別の固有のバーコード配列を有する核酸から区別するのを可能にすることを指す。
本発明の文脈における用語「細胞溶解」は、酵素的、物理的、および/または化学的手段、または、それら(具体的には酵素的、物理的、および/または化学的手段)の任意の組み合わせによって達成され得る。他の細胞破壊方法を用いてもよい。
したがって、1つの実施形態では、細胞は、酵素的、物理的、および/または化学的な細胞溶解を用いて溶解される。
細胞壁を除去するための「酵素的方法」は、当該分野において十分に実証されている。酵素は一般に市販され、ほとんどの場合において、元来、生物学的由来から単離されたものである。一般に用いられる酵素は、リゾチーム、リゾスタフィン、ザイモラーゼ、ムタノリシン、グリカナーゼ、プロテアーゼ、およびマンノースを含む。
当業者によって知られているように、「化学的細胞溶解」は、脂質-脂質間、脂質-タンパク質間、およびタンパク質-タンパク質間相互作用を破壊することによって細胞を取り囲んでいる脂質バリアを破壊する洗浄剤などの化学物質を用いて達成される。細胞溶解のための理想的な洗浄剤は、細胞のタイプおよび由来に依存する。非イオン性および双性イオン性の洗浄剤は、より穏やかな洗浄剤である。非イオン洗剤のトリトンXシリーズ、IGEPAL CA 630非イオン洗剤、および3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート(CHAPS)、双性イオン性洗浄剤が、これらの目的のために一般に用いられる。対照的に、イオン性洗浄剤は強力な可溶化剤であり、タンパク質を変性させる傾向があり、それによりタンパク質の活性および機能を壊す。タンパク質に結合して変性させるイオン性洗浄剤であるSDSが、細胞を破壊するために当該分野において広く用いられる。
「物理的細胞溶解」は、超音波処理、温度ショック(40°Cより上、10°Cより下)、エレクトロポレーション、またはレーザー誘導性キャビテーションの使用を指す。
1つの例において、細胞は氷上で溶解される。
1つの好ましい実施形態では、細胞溶解は、マイクロリアクター、具体的には本発明の文脈において液滴を、破壊せず、または壊さない。
本明細書において記載される用語「ハイブリダイゼーション」は、バーコード化プライマー内に存在するプライマー配列が、放出された核酸の相補核酸配列にアニーリングする現象を指す。したがって、当業者によって知られるように、用いる温度は、用いられるプライマー配列および/またはポリメラーゼ酵素に依存する。
上記に定義される逆転写のステップは、少なくともいくつかのマイクロリアクターにおいて、プライマー配列を用いて、前記バーコード化プライマーにハイブリダイズした放出された核酸を逆転写することを指す。逆転写は、少なくともいくつかのマイクロリアクター内に含められた逆転写酵素(RT)を用いて行なわれる。
「逆転写」または「RT反応」は、全細胞RNAまたはポリ(A)RNA、逆転写酵素酵素、プライマー、dNTPおよびRNase阻害剤を用いることにより、一本鎖RNAが一本鎖相補DNA(cDNA)に逆転写されるプロセスである。逆転写の産物は、そのテンプレートRNAにハイブリダイズした一本鎖cDNAを含むRNA/DNA二重鎖であることが当業者によって理解されよう。さらに理解されるように、前記RNA/DNA二重鎖は、逆転写に用いたプライマー配列を含むバーコード化プライマーにさらに連結されている。
「テンプレートスイッチ」は、元は2001年に説明された技術を指し、「SMART」(RNA転写産物の5’におけるスイッチメカニズム)技術と呼ばれることが多い(Takara Bio USA,Inc)。この技術は、単細胞由来RNAサンプルからでさえも全長cDNAライブラリーを生成する見込みが示されている(Zhu et al.(2001)Biotechniques 30:892-897)。この戦略は、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)逆転写酵素の内在性の特性および固有のテンプレートスイッチオリゴヌクレオチド(TSオリゴ、すなわちTSO)の使用に依拠する。第1の鎖の合成中に、RNAテンプレートの5’末端に到達した際、MMLV逆転写酵素のターミナルトランスフェラーゼ活性が、数個の追加のヌクレオチド(たいていはデオキシシチジン)を新たに合成されたcDNA鎖の3’末端に付加する。これらの塩基は、TSオリゴ-アンカー部位として作用する。TSオリゴと付加されたデオキシシチジンのストレッチとの間の塩基対合の際に、逆転写酵素は、テンプレート鎖を、細胞RNAからTSオリゴに「スイッチ」し、TSオリゴの5’まで複製を続ける。そうすることによって、生じるcDNAは、転写産物の完全な5’末端を含み、選択のユニバーサル配列が逆転写産物に付加される。オリゴdTプライマーによるcDNAの3’末端のタグ化と合わせて、このアプローチは、完全に配列非依存性の様式で全長転写産物プール全体を効率的に増幅することを可能にさせる(Shapiro et al.(2013)Nat.Rev.Genet.14:618-630)。
したがって、核酸を逆転写した後、マイクロリアクターはcDNAをさらに含むことが当業者によって理解されよう。
したがって、1つの実施形態では、少なくとも一部のマイクロリアクターは、前記マイクロリアクター内に含まれる細胞由来の核酸の逆転写によって産生されたcDNAをさらに含む。
1つの実施形態では、前記cDNAは、一本鎖相補DNAを指す。
さらなる一実施形態では、前記cDNAは、RNA/DNA二重鎖内に含まれる。
1つの実施形態では、RNA/DNA二重鎖は、逆転写されたRNAであってマイクロリアクター内に含まれるバーコード化されていてもよい少なくとも1つのプライマーのプライマー配列にハイブリダイズしたRNAを指す。
当業者によって理解されるように、1つの実施形態では、RNA/DNA二重鎖は、核酸(好ましくはmRNA)がハイブリダイズしたプライマー配列であって逆転写に用いられたプライマー配列を含むバーコード化されていてもよいプライマーに対して結合されている。
1つの例において、ハイブリダイゼーションおよび逆転写は、マイクロリアクターを例えば1時間または2時間、55°Cまたは50°Cで、典型的にはマイクロリアクターを例えば550rpmで混合させながらインキュベートすることによって行なわれる。
リガンド種および受容体種の同定
それぞれのマイクロリアクター、具体的にはそれぞれの陽性マイクロリアクター内に含まれるリガンド種および受容体種の同定は、当業者によく知られている任意の技術によって行なうことができる。具体的には、それぞれのマイクロリアクター、具体的にはそれぞれの陽性マイクロリアクター内に含まれるリガンド種および受容体種の同定は、シーケンシングすることによって、具体的には、DNA、上記に詳述したように得られたバーコード化cDNA、またはタグをシーケンシングすることによって行なうことができる。
1つの実施形態では、上記に定義したように逆転写によって産生されたバーコード化cDNAを回収して、典型的に、後の増幅およびライブラリー調製物のシーケンシングによる同定のためにさらに用いられる。
したがって、1つの実施形態では、本発明の方法は、少なくともいくつかのマイクロリアクターにおいて、好ましくは陽性マイクロリアクターにおいて、逆転写によって産生された細胞cDNAを回収するステップをさらに含む。
本明細書において「回収するステップ」は、前記複数のマイクロリアクターからの少なくともいくつかのマイクロリアクターにおいて逆転写によって産生されたバーコード化cDNAを単離することを指す。
1つの実施形態では、本明細書において「回収するステップ」は、逆転写によって産生されたバーコード化cDNAを含むマイクロリアクターを収集するステップ、または、前記バーコード化cDNAを含む前記マイクロリアクター内に含まれる水性組成物を収集して、水性組成物内に含まれるバーコード化cDNAを分離するステップを指す。
1つの特定の実施形態では、本明細書において「回収するステップ」は、逆転写によって産生されたバーコード化cDNAを含むマイクロ流体液滴を収集し、マイクロ流体液滴を破壊し、水性組成物内に含まれるバーコード化cDNAを前記マイクロ流体液滴の油相から分離するステップを指す。
核酸を、具体的にはcDNAを、マイクロ流体液滴から単離する方法は当業者に知られており、例えば、マイクロ流体液滴を収集するステップ、および、例えば電場を適用することにより(エレクトロコアレッセンス)、または化学的エマルション破壊剤(例えば、フッ素化担体油中の液滴の場合はペルフルオロ-オクタノール)を添加することにより、エマルションを破壊するステップを含む。1つの例において、破壊されたエマルションは典型的に、例えば10分間10,000gで4°Cにて遠心分離され、水相中のバーコード化cDNAを含む上清が回収される。
1つの実施形態では、本方法は、取り込まれなかったバーコード化プライマーをマイクロリアクターの水性組成物から除去するステップをさらに含む。1つの好ましい実施形態では、取り込まれなかったバーコード化プライマーを少なくともいくつかのマイクロリアクターの水性組成物から除去するステップは、本明細書において上記に定義される逆転写によって産生されたバーコード化cDNAを回収するステップの後に行なわれる。
好ましくは、取り込まれなかったバーコード化プライマーを除去するステップは、本明細書において以下に定義される増幅ステップおよび/またはシーケンシングステップに先行する。
1つの実施形態では、取り込まれなかったバーコード化プライマーを除去するステップは、少なくともいくつかのマイクロリアクターの水性組成物を精製基質と接触させるステップを含み、ここで、精製基質は、取り込まれなかったバーコード化プライマーを除去する。1つの実施形態では、精製基質はビーズまたは粒子を含み、カラムを形成してもよい。さらなる一例において、取り込まれなかったバーコード化プライマーは、例えばアクリルアミドまたはアガロースゲルを用いたサイズ選択によって除去される。
1つの実施形態では、取り込まれなかったバーコード化プライマーを除去するステップは、少なくともいくつかのマイクロリアクターの水性組成物をエキソヌクレアーゼ、例えばエキソヌクレアーゼExo1と接触させて、少なくともいくつかのマイクロリアクターの水性組成物内の取り込まれなかったバーコード化プライマーを分解するステップを含む。
このステップのある特定の実施形態では、エキソヌクレアーゼは、cDNAを含む水性組成物から一本鎖核酸配列を分解する。
逆転写後に得られるバーコード化cDNAは、典型的にRNA/DNA複合体の形態で存在し、したがって、前記エキソヌクレアーゼから保護されることが当業者によって理解されよう。
1つの実施形態では、バーコード化cDNAは、例えばバーコード化cDNA配列または分子の精製を容易にするために、1つまたは複数の修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体を含む。
例えば、ヌクレオチドは、ヌクレアーゼ消化に対する耐性が高められたホスホロチオエート誘導体(硫黄原子による非架橋ホスホリル酸素原子の置換)として用いられ得る。2’-メトキシエチル(MOE)修飾(例えば、ISIS Pharmaceuticalsによって市販される修飾主鎖)も効果的である。
修飾ヌクレオチドの他の例は、糖の2’位における置換、具体的には以下の化学修飾によるヌクレオチドの誘導体を含む:O-メチル基(2’-O-Me)置換、2-メトキシエチル基(2’-O-MOE)置換、フルオロ基(2’-フルオロ)置換、クロロ基(2’-Cl)置換、ブロモ基(2’-Br)置換、シアン化基(2’-CN)置換、トリフルオロメチル基(2’-CF)置換、OCF基(2’-OCF)置換、OCN基(2’-OCN)置換、O-アルキル基(2’-O-アルキル)置換、S-アルキル基(2’-S-アルキル)置換、N-アルキル基(2’-N-akyl)置換、O-アルケニル基(2’-O-アルケニル)置換、S-アルケニル基(2’-S-アルケニル)置換、N-アルケニル基(2’-N-アルケニル)置換、SOCH基(2’-SOCH)置換、SOCH基(2’-SOCH)置換、ONO基(2’-ONO)置換、NO基(2’-NO)置換、N基(2’-N)置換および/またはNH基(2’-NH)置換。修飾ヌクレオチドの他の例は、ビオチン標識ヌクレオチドを含む。
修飾ヌクレオチドの他の例は、リボースの2’酸素と4’炭素との間に共有架橋が形成されて3’エンド構成に固定されたロックド核酸(LNA)を産生するためにリボース部分が用いられるヌクレオチドを含む。
ヌクレオチド類似体の他の例は、デオキシイノシンを含む。
ヌクレオチド類似体の他の例は、ビオチン化、蛍光標識ヌクレオチドを含む。例えば、ビオチン-11-dCTPは、重合中にビオチンをcDNA内に取り込んで、ストレプトアビジンまたはアビジンを用いた親和性精製を可能にするために、逆転写酵素のための基質として用いられ得る。
1つの実施形態では、バーコード化cDNAは、RNAse Aおよび/またはRNAse Hでさらに処理される。
「RNAse A」は、一本鎖RNAをCおよびU残基において特異的に分解するエンドリボヌクレアーゼである。1つの実施形態では、RNAse Aは、10~1000μg/μL、好ましくは50~200μg/μL、例えば100μg/μLの濃度である。
「RNAse H」は、加水分解性のメカニズムを介してRNAの切断を触媒する非特異的エンドヌクレアーゼのファミリーである。RNase Hリボヌクレアーゼ活性は、DNA/RNA二重鎖基質におけるRNAの3’-O-P結合を切断して、3’-ヒドロキシルおよび5’-リン酸末端の産物を産生する。1つの実施形態では、RNAse Hは、10~1000μg/μL、好ましくは50~200μg/μL、例えば100μg/μLの濃度である。
1つの実施形態では、バーコード化cDNAは、プロテイナーゼKでさらに処理される。「プロテイナーゼK」は、広範囲に使用されるセリンプロテアーゼであり、タンパク質を、優先的に疎水性アミノ酸の後ろで消化する。1つの実施形態では、プロテイナーゼKは、0.1~5mg/mL、好ましくは0.1~1mg/mL、例えば0.8mg/mLの濃度である。
1つの実施形態では、逆転写後に得られるバーコード化cDNAがシーケンシングされて、同じマイクロリアクター内に含まれる受容体およびリガンドの同定を可能にする。
1つの実施形態では、バーコード化cDNAをシーケンシングするステップは、シーケンシングライブラリーに対して次世代シーケンシング(NGS)プロトコルを行なうステップを含んでよい。MiSeq Systems(illumina(登録商標))、HiSeq Systems(illumina(登録商標))、NextSeq Systems(illumina(登録商標))、NovaSeq Systems(illumina(登録商標))、IonTorrentシステム(Thermo Fisher)、IonProtonシステム(Thermo Fisher)、またはPacific BiosciencesもしくはNanoporeによって生産されるシーケンシングシステムのような任意のタイプのNGSプロトコルを用いることができる。
ある特定の実施形態では、NGSプロトコルは、試薬キットのフローセルあたり、1pM~20pM、具体的には1.5pM~20pMのシーケンスライブラリーの量を負荷するステップを含む。
1つの実施形態では、NGSシーケンシングプロトコルは、5~60%PhiXを、シーケンスライブラリーの量または試薬キットのフローセルに添加するステップをさらに含む。
1つの実施形態では、シーケンシングの前に、バーコード化cDNAはさらに増幅される。
1つの実施形態では、増幅ステップは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、および/または線形増幅によって行なわれる。
1つの実施形態では、線形増幅はPCR反応に先行する。
1つの実施形態では、線形増幅はインビトロ転写である。
1つの実施形態では、線形増幅は等温増幅である。
1つの実施形態では、前記増幅ステップは、取り込まれなかったバーコード化プライマーを除去した後に行なわれる。1つの実施形態では、前記増幅ステップは、本明細書において上記に定義されるシーケンシングステップの前に行なわれる。
1つの実施形態では、逆転写後に産生されるバーコード化cDNAは、qPCRを用いて定量化される。
1つの実施形態では、シーケンシングのために必要な特定の配列が、増幅中に、またはアダプターのライゲーションによって付加され、それにより、シーケンシングライブラリーが生成される。
当業者によって理解されように、特定のマイクロリアクター由来のバーコード化cDNAは、他のマイクロリアクター内に含まれる大多数のバーコード配列またはバーコード配列のセットとは異なる同一の特異的な大多数のバーコード配列またはバーコード配列のセットを保有するので、どの同定リガンド種が、特定の同定リガンド受容体と同一マイクロリアクター内に、具体的には陽性マイクロリアクター内に含まれていたか決定することが可能である。
[実施形態]
本発明はまた、以下の非限定的な実施形態も提供する。
実施形態1は、リガンド種と受容体種の同族ペアを同定する方法であって、該方法は、
a.リガンド種のセットを提供するステップ(ここで、各リガンド種は少なくとも1回提示される);
b.受容体種のセットを提供するステップ(ここで、各受容体種は少なくとも1回提示される);
c.リガンド種のセットを受容体種のセットとマイクロリアクター内で接触させるステップ(ここで、受容体種とリガンド種の選択的結合の際に増強シグナルが産生される);
d.リガンド種および受容体種の同族ペアをシグナルの産生によって検出するステップ;および
e.リガンド種と受容体種の同族ペアを同定するステップを含む。
実施形態2は、実施形態1の方法であって、各リガンド種は、バーコード配列を含む。
実施形態3は、実施形態1または2の方法であって、各受容体種は、バーコード配列を含む。
実施形態4は、実施形態1~3のいずれか一つの方法であって、各リガンド種は、細胞またはビーズの表面に発現されるか表面上に提示され、または無細胞抽出物内または溶液内に発現されるか存在する。
実施形態5は、実施形態4の方法であって、リガンド種は、抗原提示細胞の表面に発現されるか、または表面上に提示される。
実施形態6は、実施形態5の方法であって、抗原提示細胞は、マクロファージ、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、B細胞、単球由来樹状細胞、またはMHCクラスIまたはII分子を発現する別の細胞から選択される。
実施形態7は、実施形態1~6のいずれか一つの方法であって、各受容体種は、細胞またはビーズの表面に発現されるか表面上に提示され、または無細胞抽出物内または溶液内に発現されるか存在する。
実施形態8は、実施形態1~7のいずれか一つの方法であって、マイクロリアクターは、水性液滴、マイクロカプセル、マイクロビーズ、マイクロ流体チップの区画、またはウェルから選択される。
実施形態9は、実施形態1~8のいずれか一つの方法であって、シグナルは、細胞、リガンド、または受容体のいずれか1つの形態学的変化;蛍光シグナル増強;ケージド化合物を用いる、またはクエンチング反応による蛍光シグナルの改変;光吸収;可視構造の改変/生成;またはそれらのシグナルの組み合わせから選択される。
実施形態10は、実施形態2~9のいずれか一つの方法であって、リガンド種と受容体種の同族ペアを同定するステップは、リガンド種および/または受容体種を増幅するステップを含み、増幅されたリガンド種および受容体種の少なくとも1つが、同定のためにシーケンシングされる。
実施形態11は、実施形態1~10のいずれか一つの方法であって、リガンド種のセットは、T細胞抗原、B細胞抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、寄生虫抗原、新生抗原、腫瘍関連抗原(TAA)、腫瘍特異的抗原、免疫チェックポイント分子、サイトカイン、炭水化物、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー、セレクチン、ケモカイン、ホルモン、増殖因子、Gタンパク質共役型受容体リガンド、または酵素基質から選択される。
実施形態12は、実施形態1~11のいずれか一つの方法であって、受容体種のセットは、T細胞受容体、B細胞受容体、免疫チェックポイント受容体、サイトカイン受容体、セレクチン、インテグリン、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー、カドヘリン、ケモカイン受容体、ホルモン受容体、増殖因子受容体、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)、または酵素から選択される。
実施形態13は、実施形態1~12のいずれか一つの方法であって、リガンド種はT細胞抗原であり、受容体種はT細胞受容体であり、T細胞受容体とT細胞抗原の選択的結合の際に増強シグナルが産生され、産生された増強シグナルは、T細胞活性化の結果である。
実施形態14は、実施形態1~12のいずれか一つの方法であって、リガンド種はウイルス抗原であり、受容体種はT細胞受容体であり、T細胞受容体とウイルス抗原の選択的結合の際に増強シグナルが産生され、産生された増強シグナルは、T細胞活性化の結果である。
実施形態15は、実施形態13または14の方法であって、マイクロリアクターにおいてリガンド種のセットを受容体種のセットと接触させるステップは、約0.001時間~約8時間生じる。
実施形態16は、実施形態13または14の方法であって、マイクロリアクターにおいてリガンド種のセットを受容体種のセットと接触させるステップは、少なくとも約8時間生じる。
実施形態17は、実施形態15または16の方法であって、リガンド種および受容体種は高親和性で結合し、産生された増強シグナルは、T細胞活性化の早期マーカーまたは後期マーカーである。
実施形態18は、実施形態16の方法であって、リガンド種および受容体種は、低親和性で結合し、産生された増強シグナルは、T細胞活性化の早期マーカーまたは後期マーカーである。
実施形態19は、実施形態17または18の方法であって、T細胞活性化の早期マーカーは、CD69、CD107a、またはトランスフェリン受容体から選択される。
実施形態20は、実施形態17または18の方法であって、T細胞活性化の後期マーカーは、CD137、HLA-DR、VLA1、PTA1、CD71、CD27、PD-1、TIM3、LAG3、またはCTLA4から選択される。
実施形態21は、実施形態19または20の方法であって、増強シグナルは、抗CD69抗体、抗CD107a抗体、抗トランスフェリン受容体抗体、抗CD137抗体、抗HLA-DR抗体、抗VLA1抗体、抗PTA1抗体、抗CD71抗体、抗CD27抗体、抗PD1抗体、抗TIM3抗体、抗LAG3抗体、または抗CTLA4抗体によって検出される。
実施形態22は、実施形態1~12のいずれか一つの方法であって、リガンド種はB細胞抗原であり、受容体種はB細胞受容体であり、B細胞受容体とB細胞抗原の選択的結合の際に増強シグナルが産生される。
実施形態23は、実施形態22の方法であって、シグナルは、抗CD138抗体、抗CD19抗体、抗CD45R抗体、抗CD45抗体、蛍光レポーター発現の活性化、または蛍光レポーター発現の阻害によって検出される。
本発明の以下の実施例は、本発明の性質をさらに説明するためのものである。以下の実施例は本発明を限定しないこと、および、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって決定されるべきであることが理解されるべきである。
[材料および方法]
細胞調製:T細胞を、1%ペニシリン、ストレプトマイシン、1%ピルビン酸ナトリウムおよび非必須アミノ酸(GIBCO)で補充された5%ヒト血清とともにX vivo中で培養した。細胞をカウントし、PBSで洗浄し、450gで5分間、4℃でスピンダウンした。細胞ペレットをPBS中に2M/mlで再懸濁し、DMSO中に5μMで既に溶解された細胞トレース(細胞トレース(赤色)は例外で1μM)を用いて、37℃にて20分間染色した。タンパク質を含むバッファー(完全培地)を少なくともさらに5回添加し、室温で5分間インキュベートして、反応を止めた。細胞を450gで3分間4℃にてスピンダウンし、MACSバッファー中に再懸濁した(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.2、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)、および2mM EDTA(MACS(登録商標)BSAストック溶液(#130-091-376)1:20をauto MACSRリンス溶液(#130-091-222)で希釈することによる)。
T細胞精製:T細胞を、製造元(Miltenyi;Bergisch Gladbach,Germany)によって推奨されるとおりに、陰性選択を用いて精製した。PBMCをMACsバッファー中に250M/mlで再懸濁した。別のサブセットを標的化する抗体カクテルを1/5希釈で添加し、4℃で5分間インキュベートした。細胞濃度をMACsバッファーで125M/mlに調節し、マイクロビーズカクテルを1/5希釈で添加した。T細胞を、MACSセパレーターの磁場においてLSカラムを用いて抽出した。
K562のペプチド負荷:K562細胞をカウントし、PBSで洗浄し、450gで5分間スピンダウンした。細胞ペレットをPBS中に2M/mlで再懸濁し、推奨される濃度で細胞トレースを用いて染色した。X vivo5%ヒト血清を用いて5分間室温で染色反応を止めた。次いで、細胞を洗浄し、5%ヒト血清を含むx vivo中に1M/mlで再懸濁した。次いで、ペプチドを細胞懸濁液に10μg/mlで添加し、37℃、5%COで90分間インキュベートして、HLA0201によるペプチド提示を可能にした。
mRNAトランスフェクション:K562細胞のための培地を2~3日ごとに交換した。K562細胞は、mRNAトランスフェクションのためには、増殖期かつ継代培養10未満(1M:mlに到達後の継代培養細胞)でなければならない。K562細胞を1×10細胞/mlで播種し、細胞を、ヌクレオフェクション(商標)の前に2日間、3×10細胞/mlの密度で培養した。実験的パラメーターファイルのアップロード後、適切なNucleofector(商標)Program(FF-120)を選択した。細胞培養プレートを、適切な数のウェルに所望の容量の推奨される培養培地を満たすことにより調製し、湿潤37℃5%COインキュベーター中で事前インキュベート/平衡化した。K562細胞をカウントし、必要な細胞数を90gで10分間室温にて遠心分離した。上清を完全に除去し、細胞を4D Nucleofector溶液中に適切な濃度(10M/ml)で再懸濁した。1Mの細胞を必要な量のmRNA基質(10μg)と混合し、4D-Nucleofector(商標)Xユニットのリテーナー内に蓋を閉じて置かれているNucleocuvette(商標)容器に移した。パルスによるトランスフェクション後、Nucleocuvette(商標)容器をリテーナーから注意深く取り出し、室温で10分間インキュベートした。次いで、細胞を、事前に温めた培地(1Mの細胞あたり500μl)中に再懸濁し、2~3回ピペットで上下させることによって細胞を穏やかに混合させてプレーティングした。次いで、プレーティングした細胞を、湿潤37℃5%COインキュベーター内で分析までインキュベートした。
液滴におけるIFN-γのための細胞調製:エフェクター細胞のために、T細胞を細胞トレース(黄色)で標識し、次いで、CD45およびIFNγを標的化する二重特異性抗体(冷却培地中1/10希釈、5分間4℃、10M/mlの細胞濃度)で標識した。次いで、T細胞を洗浄し、プルロニックF68(0.1%)、23.6%のNycodenz、6%のDNAマーカー(Nucgreen)で補充された5%ヒト血清を含有するX vivo培地を含む並行流中に再懸濁した。
ペプチド負荷のために、K562細胞を、示された細胞トレースを用いて5μMで標識し、次いで、ペプチドを10μMで負荷し、または負荷しなかった。次いで、冷却バッファーを添加することによって細胞を洗浄し、細胞を10分間4℃でスピンダウンし、次いで、上述のとおりに並行流中に再懸濁した。mRNAがトランスフェクトされたK562細胞については、トランスフェクトされたmRNAが蛍光レポーターをコードするので、細胞を標識しなかった。
検出抗体を細胞懸濁液に添加した。最後に、これらの細胞をマイクロ流体デバイス中に別々に並行流させ、したがって、100ピコリットルの液滴が産生され、次いで、37℃5%COで一晩インキュベートした。
液滴産生
水相I:液滴における区画化のための細胞の調製。細胞懸濁液を、液滴における区画化のために記載されるとおりに4℃で調製し、液滴におけるT細胞活性化アッセイにおいて、K562およびT細胞についてそれぞれ約0.9および0.45のλ(液滴当たりの細胞の平均数)を達成すべく、0.1%プルロニックF68(LifeTechnologies;Carlsbad,CA)、25mM HEPES(pH7.4)(LifeTechnologies)、1%Pen/Strep(ThermoFisher;Waltham,MA)、23.6%のNycodenz(Fisher Scientifique)および6%DNAマーカー(Nucgreen-Thermofisher)で補充されたX vivo中に細胞を再懸濁した。
水相II:液滴における区画化のためのバイオアッセイ試薬およびレポーター細胞の調製。同族抗原のために、細胞トレースで染色してペプチドを負荷したK562細胞を、Fcブロック(1/5に希釈)(Miltenyi)および示された濃度の2倍の抗CD137抗体(それぞれ示されたとおりの最終液滴濃度をもたらす)または1/25希釈のIFN-γのいずれかを含む作業バッファー中に再懸濁した。細胞表面にペプチドを提示しているK562細胞を図に示される細胞トレースで事前標識して、細胞に基づくアッセイにおいて、レポーター細胞について約0.9のλ(液滴あたりの細胞の平均数)を達成すべく、5%ヒト血清を含み23.6%(vol/vol))Nycodenzで補充されたX vivoを含む培地中に上記に定義されるように再懸濁した。示された細胞トレースで事前標識されたT細胞を、上述した同一培地中にλ約0.45で、必要な濃度のドロップコードDY754とともに再懸濁する。
マイクロ流体チップ:別個のマイクロ流体チップを用いた。デバイス1は、バイオアッセイ試薬と単一細胞を液滴中に区画化するために、または、抗原を提示しているK562細胞とT細胞およびバイオアッセイ試薬を液滴中に区画化するために用いた;デバイス2は、蛍光活性化誘電泳動によって液滴をソーティングするために用いた;デバイス3はヒドロゲルビーズを産生し、デバイス4(CellCap)は、単一のヒドロゲルビーズと単一のソーティングされた細胞を区画化した。全てのチップは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)中のソフトリソグラフィによって製造した(Sylgard)。マスターは、設計に応じて1層または2層のSU-8フォトレジストを用いて作製した(MicroChem;Bear,DE)。デバイス1および2のフォトレジスト層のリスト深さ(list depth)は40μm±1μmであり、デバイス3については55μm±1μmであった。デバイス4については、第1の層(70~75μmの深さ)をヒドロゲルビーズの入口に用い、第2の層(130~145μmの深さ)を細胞の入口、逆転写酵素の入口および出口に用いた。電極は、51In 32.5Bi 16.5Sn合金(Indium Corporation of America)を電極チャネル内に溶融することによって調製した。
液滴の産生、収集、およびインキュベーション:水相IおよびIIを並行流させ、15μmの幅、40μmの深さ、および10μmの長さのノズルを備えるマイクロ流体チップ上で、ドリッピングモードで流体力学フローフォーカシングを用いて液滴中に区画した。連続相は、Novec HFE7500フッ素化油(3M;Saint Paul,MN)中、2~3%(wt/wt)の008-FluoroSurfactant(RAN Biotechnologies;Beverly,MA)で構成されていた。流速を、80pl±8plの単分散液滴を産生するように調節した(膜結合型抗原を用いた細胞に基づくアッセイについて)。産生直後に、0.1%(wt/wt)008-FluoroSurfactantを含む5mlのNovec HFE7500フッ素化油で満たされた5ml溶血チューブ中に液滴を収集した。
液滴アッセイにおいて用いたリードアウトに応じて、示された濃度(20nM)の抗CD137抗体または液滴中1/50の抗IFNγ検出試薬のいずれかを含む少なくとも2つのエマルションを産生した。これらのエマルションを、Dy754(Dyomics)を用いて、陽性および陰性コントロールのエマルションにおいて液滴を光学的にコードするように区別し、条件をスクリーニングした。ペプチドを提示しているK562(パルスまたはトランスフェクトした)とともにT細胞を液滴内に共区画化した。特定の状況において、陽性エマルション内に封入されたT細胞は、陰性エマルション内のT細胞標識とは異なる色で標識され得る。これは主に、特定の細胞の濃縮のフローサイトメトリーpost-QC中に、細胞を含む陰性エマルションから陽性エマルションを区別するために用いられる。
マイクロ流体プラットフォーム:液滴蛍光分析およびソーティングは、蛍光分析のためにビードラインに対して平行に配向された固定焦点レーザーライン(波長405nm、488nm、561nmまたは635nmの固体レーザー、Omicron)を備える専用の液滴マイクロ流体ステーション上で、440/40-25nm、525/40-25nm、593/46-25nmおよび708/75-25nmの光電子増倍管バンドパスフィルター(Hamamatsu;Shizuoka,Japan)を用いて行なった。
液滴ソーティングのためのゲーティング戦略:液滴を最初に、合体した液滴を除去するためにゲーティングし、所望のサイズの液滴のみを保持した。光学的な液滴のバーコード化を用いて、陰性コントロール液滴、陽性コントロール液滴、および試験対象細胞を含む液滴を検出した。T細胞への蛍光再局在化を、液滴からの積算蛍光シグナル(Fi)に対して液滴内の最大ピーク蛍光シグナル(Fp)をプロットすることによって測定した。T細胞への蛍光再局在化は、比Fp/Fiの増加をもたらす。T細胞およびK562細胞を含む合体していない液滴を、以下の基準の全てを満たす場合にソーティングした:1)液滴がK562細胞を含む、2)T細胞を含む、3)液滴内の細胞上のリードアウトマーカー(IFN-γおよびCD137)の再局在化、および4)T細胞上のマーカー蛍光ピークの共局在。したがって、共局在値(c)は0~1を境界とし、1は、2つのピークの完全な共局在である。液滴を、c>0.95の場合にソーティングした。全ての抗原について、共局在パラメーター(c)を、活性化マーカーの蛍光におけるピークとT細胞の蛍光との間の時間間隔(tp)、および、液滴の始まりから終わりまでの時間間隔(td)から計算した:c=1-(tp/td)。したがって、cの値は0~1を境界とし、1は、2つのピークの完全な共局在である。
液滴ソーティングおよび細胞回収:液滴を、SAWソーターによって、または誘電泳動によってソーティングした。この機器は、チャネルの上または下の電極の活性化によって、液滴を最大2つのビンまでソーティングすることができるが、一方のビンのみをこの試験で用いた。入口フロー(エマルションについてQemおよび油についてQoil)を、600s-1で液滴をソーティングするように調節した;ソーティングのための典型的なパラメーターは、Qem=50μlh-1(180mbar)、Qoil=50μlh-1(180mbar)、F(ソーティングパルスの周波数)=1.5kHz、τsort(ソーティングパルスの持続時間)=2,000μsおよびUsort(電極にわたって適用されるピーク間電圧)=400kVp-pであった。ソーティングされた液滴を、4℃に冷却した1.5mlチューブ内に収集した。5%ヒト血清で補充された100μlのX vivoの添加の後に、100μlの1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ-1-オクタノール(Sigma,370533;Sigma,St.Louis,MO)を添加することによって細胞を回収し;次いで、細胞を穏やかに混合して、300gで10分間4℃にて遠心分離して完全な相分離を行なった。次いで、400μlの0.1%プルロニックF-68非イオン性界面活性剤(Thermo Fisher Scientific,24040032)、25mM Hepes、5%(vol/vol)ヒト血清(X vivo中)において細胞を洗浄し、5分間400gで4℃にて遠心分離し、次いで、21.82%(vol/vol)Optiprep密度勾配溶液(Sigma)および0.01mgml-1BSAを含む50μlの1×PBS中に再懸濁した。
バーコード化ヒドロゲルビーズの生産:60μm直径のポリアクリルアミドヒドロゲルビーズを、マイクロ流体デバイスによって作製した液滴中で重合により生産した。しかしながら、次いで、プライマー伸長ではなくライゲーションを用いて、バーコード化プライマーを分割およびプールの合成によってビーズに付加した。100万ビーズ-それぞれ、5’オーバーハング(第一のインデックス5’オーバーハング配列に対して相補)、光切断可能部位およびT7-SBS12配列を有する約10コピーの二本鎖DNAオリゴヌクレオチド保有する-を、マイクロタイタープレートの96ウェル中に分配した。各ウェルは、異なる第一のインデックス(インデックスA)、一方の末端の第一のDNAに対する相補5’オーバーハング、および他方の末端の異なる5’オーバーハングを有する10μlの5μM二本鎖DNAを含んでおり、これらを、製造元の説明書に従ってT7 DNAリガーゼ(New England Biolabs)を用いて23℃で15分間ライゲーションさせた。次いで、ヒドロゲルビーズをプールし、記載されるとおりに洗浄し、第二のマイクロタイタープレートのウェルに上記のとおりに再分配した。第二のマイクロタイタープレートのウェルはそれぞれ、異なる第二のインデックス(インデックスB)、一方の末端のインデックスAに対する相補5’オーバーハング、および他方の末端の異なる5’オーバーハングを有する二本鎖DNAを含んでおり、これをインデックスAにライゲーションした。この分割およびプールの工程を合計3~4回繰り返すと(3つのインデックスを付加する)、96の組み合わせを生じ、約10の異なるバーコードを生じる。最後のインデックスの付加後、ビーズをプールし、インデックスCに対する相補5’オーバーハングを有しておりミニ遺伝子TCRαおよびβならびに選択された20個の遺伝子をコードする領域に相補の遺伝子特異的プライマー領域を含む二本鎖DNA分子の混合物を、ビーズ上のバーコードにライゲーションした。次いで、プライマーの第二の鎖を、2分間22℃で300mM NaOHとともにインキュベートすることによって除去した。プロセスの完了後、各ヒドロゲルビーズは、同一のビーズ特異的バーコードを保有する合計約10のプライマーを有する。
単一細胞のバーコード化相補DNA合成:個々のソーティングした細胞を、マイクロ流体デバイスを用いて、個々のバーコード化ヒドロゲルビーズおよび溶解および逆転写試薬とともに液滴内に共区画化した。約1nlの体積の液滴を250s-1で形成した。溶媒HFE-7500(Fluorochem;Derbyshire,United Kingdom)および0.1%界面活性剤を含む1.5mlチューブ内に液滴を収集し、90秒間、紫外線光によって光切断し(OmniCure,AC475;365nm)、次いで、細胞溶解およびcDNA合成のために50℃でインキュベートした。
シーケンシングライブラリーの調製:バーコード化cDNAを含むエマルションを、1体積の1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ-1-オクタノールを添加することによって破壊した。プールしたバーコード化cDNAを、RNA CleanXPビーズ(Beckman,A63987;Beckman Coulter;Brea,CA)を1:1比(vol/vol)でさらに精製し、40μlのDNase-およびRNase-フリーHO中に溶出させた。シーケンシングライブラリーを、GoTaqポリメラーゼ(Promega)、外側(PCR1)および内側(PCR2)リバースプライマー(SBS12プライマーの後にIllumina TruSeqインデックス化プライマー-P7)および外側(PCR1)および内側(PCR2)フォワードプライマー(TCRαおよびβ、TMGおよび選択遺伝子に特異的)を用いて二段階のネステッドPCRによって生産した。
シーケンシング:最終産物を、αおよびβTCRのCDR3ドメイン全体、TMGおよび20遺伝子の抗原、ならびにバーコード配列のシーケンシングを可能にするIllumina(MiSeq/Nextseq)上でシーケンシングした。
実施例1:液滴中の抗CD137抗体の滴定
液滴におけるCD137活性化マーカー発現に基づく免疫応答のシグナル検出感度およびダイナミックレンジを評価するために、液滴における抗CD137抗体滴定を行なった。T細胞を、Transact(1/100)を用いて48時間、37℃、5%COで活性化し、次いで、PBS中5μMの細胞トレース(黄色)で染色した。次いで、細胞を450gで5分間スピンダウンし、プルロニックF68(0.1%)、23.6%のNycodenzおよび6%のDNAマーカー(Nucgreen)で補充された5%ヒト血清を有する完全X vivo培地を含む並行流中に再懸濁した。
第二の並行流は、異なるドロップコード濃度DY754に割り当てられたいくつかのエマルションにおいて試験された異なる抗体濃度のそれぞれを含んでいた(Gerard et al.,「High-throughput single-cell activity-based screening and sequencing of antibodies using droplet microfluidics」,Nat.Biotechnology 38:715-21(2020)を参照)。抗CD137 BV421抗体を並行流の2倍の濃度で添加して、産生された液滴において、示された濃度(例えば、5nM、10nM、および20nM)に到達させた。細胞および抗CD137抗体を、2つの異なる入口からの2つの異なる並行流とは別に注入した。実験の結果を図1に示す。
UserIntシグナルにわたる最大ピーク検出の変化によって例示されるように、100pL液滴中に最低20nMの抗CD137抗体濃度が、T細胞の表面における抗体の再局在を効率的に検出するのに必要であった。したがって、アッセイの感度は、T細胞の表面に発現されて十分な抗体再局在化および蛍光シグナルの検出を導く分子の最小数として計算した。このアッセイにおける計算された分子の数は、活性化されたT細胞あたり120,460分子のCD137であり、80%の活性化T細胞の検出を導いた。そのようなアッセイフォーマットにおいて、より低いCD137発現は、活性化T細胞の検出を妨げるであろう。
実施例2:液滴におけるT細胞活性化
液滴におけるT細胞活性化の効率およびシグナル検出感度を液滴におけるCD137活性化マーカー発現に基づき評価するために、抗原提示細胞によるT細胞刺激を行ない、抗CD137抗体を用いた活性化を、効率的なCD137検出を導く条件でモニターした(上記に定義)。
K562細胞を、1μMの細胞トレース(赤色)で染色して、次いで、10μMのウイルスペプチド(エプスタイン・バーウイルス抗原BMLF1)を負荷した。(他の実験では、ペプチドは、任意のT細胞抗原であることができ、ウイルス抗原、細菌抗原、または寄生虫抗原を含むことができる)。これらの細胞を、プルロニックF68(0.1%)、23.6%のNycodenzおよび6%のDNAマーカー(Nucgreen)で補充された5%ヒト血清を有する完全X vivo培地を含む並行流中に再懸濁した。他方で、BMLF1抗原に特異的なT細胞クローンを5μMの細胞トレース(黄色)で標識して、上述したものと同様の並行流組成物中に懸濁した。抗CD137 BV421抗体を40nMでK562細胞懸濁液に添加し、2つの細胞懸濁液を別々に2つの異なる入口において並行流させた後に20nMの液滴濃度をもたらし、したがって、HFE2%界面活性剤を用いて100ピコリットル(pl)の液滴を産生した。これらの液滴を、37℃および5%COでのインキュベーション後に目的のマーカーの発現および目的のマーカーのT細胞内/上の局在に基づきソーティングした。図2は、液滴におけるT細胞活性化の概要を示す。
図3は、図2に記載した概略アプローチによって集めたデータを示す。簡単に説明すると、100ピコリットル(pl)の液滴を、2つの細胞型(すなわち、K562細胞およびT細胞)を同時に封入するために生産した。これらの液滴を、HFE0.1%の界面活性剤を含む5mlチューブ内に収集した。このチューブを37℃で一晩インキュベートした。次いで、これらの液滴をマイクロ流体デバイス内に注入し、異なる色で標識された生存可能K562およびT細胞を同時に含む液滴におけるCD137発現について液滴を調べた。ユーザー・インテグレーション(user integration)、マイクロ流体デバイスにおける特徴により、ピーク下面積の推定が可能になり、これを用いて、任意の潜在的なバックグラウンドおよび非特異シグナルを除去した(図3)。
最小限の非特異検出(0%~0.1%)で、効率的な(約94%)T細胞活性化が、高親和性抗原およびT細胞クローンを用いた液滴における20nMのCD137抗体により検出されることが確認された。
実施例3:異なるリードアウトを用いた抗原提示細胞(APC)-T細胞相互作用
アッセイが、単一細胞レベルでの液滴フォーマットにおけるT細胞とAPC細胞の会合/相互作用に特異的であることを確証するために、T細胞刺激を液滴において抗原提示細胞によって行ない、明視野において細胞間相互作用をモニターした。抗CD137抗体を用いた活性化、T細胞の死滅化活性(NucGreenリードアウトを用いる)、および制御された特異的局在を、各リードアウトについてモニターした。
この実験のために、細胞を、蛍光顕微鏡下でチェックされる特異的な蛍光定量的構成で染色した。PBS中5μMの細胞トレース(紫色)を用いてK562細胞を標識し、次いで、10μMペプチドを負荷し、一方で、T細胞をPBS中5μMの細胞トレース(黄色)で標識した。両方の細胞を、プルロニックF68(0.1%)、23.6%のNycodenzおよび6%のDNAマーカー(Nucgreen)で補充された5%ヒト血清を有するX vivo培地を含む並行流中に再懸濁させた。液滴産生を開始する前に、40nMの抗体CD137 APCをK562細胞の並行流に添加し、一方で、ドロップコードをT細胞の並行流に所望の濃度で添加した。37℃、5%COでの一晩のインキュベーション後、液滴を蛍光顕微鏡下でチェックした。これらの画像は、生存可能T細胞(黄色)上の赤色シグナル(CD137)の明らかな局在を示し、紫色(T細胞)は示さなかった(図4)。Nucgreenは、活性化マーカー共発現によりT細胞死滅化活性(または無し:or not)の同時発生(coincidence)(およびカイネティクス)を制御するために用いることができる生存可能マーカーである。
T-APC細胞が会合して液滴内で相互作用すること、T細胞の表面におけるCD137抗体の再局在化によって可視化されるように活性化されたT細胞が検出可能なCD137タンパク質を産生/発現すること、および、死滅化活性が実験の過程で検出されず、CD137抗体の再局在化は死滅した/死滅しているT細胞に起因するものではないことが確認された。
実施例4:活性化された細胞の検出のための抗IFN-γ抗体の使用
TおよびAPCによる関連のある生理学的条件において(APCはCMV pp65ウイルス抗原を提示する)、液滴におけるT細胞活性化の効率、およびサイトカイン分泌物に基づくシグナル検出感度を評価するために、IFNγ活性化マーカー発現をリードアウトとして用いた。T細胞刺激を抗原提示細胞によって行ない、効率的なIFNγ検出をもたらす条件下で抗IFNγ抗体を用いて活性化をモニターした(図示せず)。
K562細胞を5μMの細胞トレース(紫色)で標識し、次いで、10μMのペプチドを負荷した(または負荷しなかった)。次いで、冷却バッファーを添加することによってK562細胞を洗浄し、4℃で10分間スピンダウンし、次いで、細胞を、プルロニックF68(0.1%)、23.6%のNycodenz、6%のDNAマーカー(Nucgreen)で補充された5%ヒト血清を有するX vivo培地からなる並行流中に再懸濁した。抗IFN-γ検出抗体をこの細胞懸濁液に1/25希釈で添加した。エフェクター細胞については、T細胞を細胞トレース(黄色)で標識し、次いで、CD45およびIFNγを標的化する二重特異性抗体(冷却培地中1/10希釈、5分間4℃、10M/mlの細胞濃度)で標識した。次いで、T細胞を洗浄し、プルロニックF68(0.1%)、23.6%のNycodenz、6%のDNAマーカー(Nucgreen)で補充された5%ヒト血清を有するX vivo培地および適切な濃度のドロップコードを含む並行流中に再懸濁した。最後に、これらの細胞を別々にマイクロ流体デバイス中に並行流させ、したがって、100plの液滴が産生され、次いで、37℃、5%COで一晩インキュベートした。蛍光レポーターとウイルスペプチドCMV pp65をコードする10μgのmRNAをトランスフェクトしたK562細胞を用いて同様の実験を行なった。実験の結果を図5に示す。
高親和性抗原およびT細胞クローンを用いた液滴におけるリードアウトとしてサイトカイン分泌物(例えば、IFNg)を用いて、特異的なT細胞活性化が、最小限の非特異検出で検出された。
実施例5:CellCapデバイスを使用した、濃縮細胞からのTCRおよび抗原リンケージ配列の回収
抗原および/またはTCR配列の両方またはいずれかを回収するために、目的の表現型を有する細胞を、CellCapと呼ばれるマイクロ流体チップ内にソーティングした。表現型の目視検査後、TCRおよび抗原のペアの情報を、抗原を発現しているAPCおよびT細胞を有する濃縮液滴を含む液滴においてバーコード化ビーズを用いて単一細胞のバーコード化を行なうことによって回収した。代替の液滴回収および配列回収が可能であった。
細胞キャップ内への細胞ソーティング中、調製されたバーコード化ビーズのライブラリーを、5mlの1×BWバッファー(20mM Tris-HCl(Ph8.0)、50mM NaCl、0.1% Tween20)中で5回洗浄し、次いで、ヒドロゲルビーズを3200gで2分間4℃にてスピンダウンした後に、1mlの変性溶液(970μl H2O+30μl 10M NaOH、300mM最終)を用いて2分間室温(RT)で変性させた。次いで、バーコード化ビーズを5mlのBWバッファーで3回洗浄してから、バーコード化ビーズを室温で10分間、ビオチン化FITC(5μM最終濃度)で標識した。1回洗浄し、バーコード化ビーズを1mlのライブラリーバッファー(Tris(pH8)、10mM、EDTA 0,1mM、Tween20 0.1%)中に再懸濁し、70℃で2分間加熱し、3200gで2分間4℃にてスピンダウンした。ペレットを、第1の鎖バッファー、Igepal CA_630、スルホローダミンBおよびヌクレアーゼフリー水)を含むバッファー中に再懸濁し、異なる入口において逆転写(RT)ミックスと別々に並行流させた。
CellCapを、細胞を含む100plの液滴で満たした時点で、CellCapリザーバーを逆さにしながら、入口に接続したシリンジ(チャンバーなし)を用いて空気をチップの外に除去した。HFEを2000μl/hrでフラッシュして、システム内の気泡を完全に取り除いた。次いで、フローを150μl/hrまで低減させ、バーコード化ビーズエマルションを含むチューブを各ウェルが1nlの液滴で満たされるまで元に戻し、残存液滴および浮遊液滴のすべてをチップの外に流した。次いで、液滴を55sと融合し、両側(入口および出口)をクランプして、サーモミキサーを用いて逆転写(RT)を開始して、液滴を50℃で2時間インキュベートし、次いで4℃に維持した後にRTを不活性化し、ライブラリー調製物を処理してシーケンシングした。図6は、代表的なワークフローである概要を示す。
図7は、受容体およびリガンドの同族ペアを同定するために、TCRαおよびβならびに抗原を回収した予測シーケンシングデータの代表的な図を示す。
本発明を詳細に、その特定の実施形態に関して説明したが、本発明の主旨および範囲を逸脱せずに様々な変更および改変が本明細書においてなされ得ることが当業者に明らかであろう。

Claims (14)

  1. リガンド種と受容体種の同族ペアを同定する方法であって、
    a.リガンド種のセットを提供するステップ、
    ここで、各リガンド種は少なくとも1回提示される;
    b.受容体種のセットを提供するステップ、
    ここで、各受容体種は少なくとも1回提示される;
    c.前記リガンド種のセットを前記受容体種のセットとマイクロリアクター内で接触させるステップ、
    ここで、受容体種とリガンド種の選択的結合の際に増強シグナルが産生される;
    d.リガンド種および受容体種の同族ペアを前記シグナルの産生によって検出するステップ;および
    e.リガンド種と受容体種の前記同族ペアを同定するステップ
    を含む、
    方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    各リガンド種および/または各受容体種がバーコード配列を含む、
    方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法であって、
    各リガンド種および/または各受容体種は、細胞またはビーズの表面に発現されるか表面上に提示され、または無細胞抽出物内または溶液内に発現されるか存在する、
    方法。
  4. 請求項3に記載の方法であって、
    前記抗原提示細胞が、マクロファージ、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、B細胞、単球由来樹状細胞、またはMHCクラスIまたはII分子を発現する別の細胞から選択される、
    方法。
  5. 請求項1または2に記載の方法であって、
    前記マイクロリアクターが、水性液滴、マイクロカプセル、マイクロビーズ、マイクロ流体チップの区画、またはウェルから選択され;および/または、前記シグナルが、細胞、リガンド、または受容体のいずれか1つの形態学的変化;蛍光シグナル増強;ケージド化合物を用いる、またはクエンチング反応による蛍光シグナルの改変;光吸収;可視構造の改変/生成;またはそれらのシグナルの組み合わせから選択される、
    方法。
  6. 請求項2に記載の方法であって、
    リガンド種と受容体種の同族ペアを同定するステップが、前記リガンド種および/または前記受容体種を増幅するステップを含み、増幅されたリガンド種および受容体種の少なくとも1つが、同定のためにシーケンシングされる、
    方法。
  7. 請求項1または2に記載の方法であって、
    (a)前記リガンド種のセットが、T細胞抗原、B細胞抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、寄生虫抗原、新生抗原、腫瘍関連抗原(TAA)、腫瘍特異的抗原、免疫チェックポイント分子、サイトカイン、炭水化物、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー、セレクチン、ケモカイン、ホルモン、増殖因子、Gタンパク質共役型受容体リガンド、または酵素基質から選択され;および/または(b)前記受容体種のセットが、T細胞受容体、B細胞受容体、免疫チェックポイント受容体、サイトカイン受容体、セレクチン、インテグリン、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー、カドヘリン、ケモカイン受容体、ホルモン受容体、増殖因子受容体、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)、または酵素から選択される、
    方法。
  8. 請求項1または2のいずれかの方法であって、
    a)前記リガンド種がT細胞抗原であって前記受容体種がT細胞受容体であり、前記T細胞受容体と前記T細胞抗原の選択的結合の際に前記増強シグナルが産生され、前記産生された増強シグナルはT細胞活性化の結果である;
    b)前記リガンド種がウイルス抗原であって前記受容体種がT細胞受容体であり、前記T細胞受容体と前記ウイルス抗原の選択的結合の際に前記増強シグナルが産生され、前記産生された増強シグナルはT細胞活性化の結果である;または
    c)前記リガンド種がB細胞抗原であって前記受容体種がB細胞受容体であり、前記B細胞受容体とB細胞抗原の選択的結合の際に前記増強シグナルが産生される、
    方法。
  9. 請求項8に記載の方法であって、
    前記リガンド種のセットを前記受容体種のセットとマイクロリアクター内で接触させるステップは、
    a)約0.001時間~約8時間;または
    b)少なくとも約8時間生じる、
    方法。
  10. 請求項9に記載の方法であって、
    前記リガンド種および前記受容体種が、高親和性で結合し、
    前記産生された増強シグナルが、T細胞活性化の早期マーカーまたは後期マーカーである、
    方法。
  11. 請求項9に記載の方法であって、
    前記リガンド種および前記受容体種が、低親和性で結合し、
    前記産生された増強シグナルが、T細胞活性化の早期マーカーまたは後期マーカーである、
    方法。
  12. 請求項10または11に記載の方法であって、
    (a)T細胞活性化の前記早期マーカーが、CD69、CD107a、またはトランスフェリン受容体から選択され;および/または(b)T細胞活性化の前記後期マーカーが、CD137、HLA-DR、VLA1、PTA1、CD71、CD27、PD-1、TIM3、LAG3、またはCTLA4から選択される、
    方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、
    前記増強シグナルが、抗CD69抗体、抗CD107a抗体、抗トランスフェリン受容体抗体、抗CD137抗体、抗HLA-DR抗体、抗VLA1抗体、抗PTA1抗体、抗CD71抗体、抗CD27抗体、抗PD1抗体、抗TIM3抗体、抗LAG3抗体、または抗CTLA4抗体によって検出される、
    方法。
  14. 請求項13に記載の方法であって、
    前記シグナルが、抗CD138抗体、抗CD19抗体、抗CD45R抗体、抗CD45抗体、蛍光レポーター発現の活性化、または蛍光レポーター発現の阻害によって検出される、
    方法。
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