JP2023527107A - シスチンを生体触媒還元するための酵素的触媒酸化還元系のコア構成成分としての生体触媒 - Google Patents

シスチンを生体触媒還元するための酵素的触媒酸化還元系のコア構成成分としての生体触媒 Download PDF

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Abstract

本発明は、シスチンをシステインへ還元するための酵素に関し、この酵素が、KEGGデータベース番号EC1.8.4.8又はEC1.8.4.10を有するチオレドキシン(タンパク質i)及びKEGGデータベース番号EC1.8.1.9を有するチオレドキシンレダクターゼ(タンパク質ii)のタンパク質活性を備える融合タンパク質であり、この融合タンパク質の活性が、上記タンパク質i及びiiと同じであるが融合していない個々のタンパク質の混合の活性の少なくとも100%であることを特徴とする。本発明はまた、上記融合タンパク質を用いる補因子の存在下で、シスチンをシステインへ酵素的に還元するための方法にも関する。

Description

本発明は、シスチンをシステインへ還元するための酵素に関し、この酵素が、KEGGデータベース番号EC1.8.4.8又はEC1.8.4.10を有するチオレドキシン(タンパク質i)及びKEGGデータベース番号EC1.8.1.9を有するチオレドキシンレダクターゼ(タンパク質ii)のタンパク質活性を備える融合タンパク質であり、ここで、この融合タンパク質の活性が、上記タンパク質i及びiiと同じであるが融合していない個々のタンパク質の混合物の活性の少なくとも100%であることを特徴とする。本発明はさらに、上記融合タンパク質を用いる補因子の存在下で、シスチンをシステインへ酵素的に還元するための方法に関する。
システインは、Cys又はCと略されるが、側鎖-CH-SHを有するα-アミノ酸である。天然に存在するエナンチオマー形態は、L-システインであり、そしてこれのみがタンパク質を構成するアミノ酸であるので、本発明の文脈においては、システインが記述子なしで用いられる場合、L-システインを意味する。スルフヒドリル基の酸化は、一緒にジスルフィド結合を形成する2つのシステイン残基を生じ、その結果として、シスチンの形成をもたらし得る。シスチンについては、上記と同じことがいえ、すなわち記述子のない場合、本発明においてL-エナンチオマー(又はR,R-シスチン)を意味する。L-システインは、アミノ酸メチオニンから形成できるため、ヒトにとって半必須アミノ酸である。
アミノ酸L-システインは、例えば、(詳細には製パン業界における)食品添加物として、化粧品における原材料として、及び活性医薬成分(詳細にはN-アセチルシステイン及びS-カルボキシメチルシステイン)の製造のための開始物質として使用されており、したがって、経済的に重要である。食品産業界における香味添加(例えば鶏肉又は食肉の香味添加)物質としてのシステインの使用が、特に重要であるとみられる。L-システインはまた、こね粉のレオロジーを改変するためにも使用され、及び例えば果汁における抗酸化剤としても使用される。
全ての生物において、L-システインは、硫黄代謝における重要な役割を果たす。これは、タンパク質、メチオニン、ビオチン、リポ酸、グルタチオン及び他の硫黄含有代謝物の合成のために使用される。L-システインはまた、補酵素Aの生合成においても使用される。酵素において、チオール基は、しばしば、反応の触媒において重要な役割を果たすか、又は分子内又は分子間のジスルフィド結合を通してタンパク質を安定化させる。
L-システインは、髪、毛、爪、ひづめ、羽根及び角などのケラチン含有物質から、加水分解によって得られ得る。しかし、このような方法は、常に生物安全性及び環境保護に関する問題を提起する。これらはまた、生産性が低い。代替法として、前駆体からの生体内変換による生成のための方法及びL-システインの発酵生産のための方法が、開発されている(US6218168B1、US5972663A、US2004-038352A、CA2386539A2、EP2138585、EP1769080、及びEP2726625B1)。
発酵生産の不利益は、L-システインの(発酵制御を最適化した後であってさえ)低い収率であり、これはまた、システインが、大気中の酸素の存在下で酸化することによって主にジスルフィドL-シスチンとして存在し、この形態で得られ得るためでもある。
酸化反応は、可逆的であり、したがって、L-シスチンは、選択的還元によって変換されて、L-システインに戻され得る。しかし、L-シスチンが、(例えば傾瀉器を用いて)細胞から分離された後の電気分解によって、L-システインへと還元されて戻った場合、この化学変換は、このようなL-システインが、香味添加剤の規則(Regulation on Flavorings)にしたがって天然であるとは申告できないことを意味する。
香味添加剤に対するEU規則(EU Regulation on Flavorings、1334/2008 食品のラベル表示規則の再編に対する規則第22項)にしたがって、天然の香味料は、以下のように規定されている:「天然」香味添加剤は、天然に存在しそして天然において検出されている、香味添加特性を有する化学的に定義された物質である。これらは、好適な物理的、酵素的又は微生物的プロセスによって、植物、動物又は微生物起源の開始物質から得られ、そのまま使用される、又は1以上の従来の食品製造方法によってヒトが消費するために調製される。
用語「天然」は、本出願においてもこの意味で使用される。風味添加剤の製造における天然の原材料の使用には、関心が高い。
酵素的開裂は、高い発酵性シスチン収量を利用して、天然のシステインの製造を可能にする。このような酵素的プロセスの実施のために、好適な酸化還元酵素カスケード系が、必要である。文献公知のジスルフィド開裂酵素の例としては、チオレドキシン、グルタレドキシン、及びジスルフィドイソメラーゼが挙げられる。しかし、これらの酵素は、多くの場合、ポリペプチドの中又はタンパク質の2つのサブユニットの間に形成されているジスルフィドに対して作用する。遊離のシスチンの開裂は、少数のタンパク質について(例えば、細菌のチオレドキシンについて、これは、次いでチオレドキシンレダクターゼによって再生成され、そのためにNADPHが補因子として必要とされる)しか文献に記載されていない。このような酸化還元酵素又は酵素カスケードは、多くの場合、対応する電子を還元反応のために提供するNADH又はNADPHを、補因子として必要とする。
したがって、シスチンレダクターゼは、NADPH又はNADHなどの補因子の補助によって基質シスチンを使用し、2つの電子を移動させて、最終生成物として2つのシステインを形成することを、特徴とする。
よって、このことは、補因子がこの反応に等モル量加えられなければならないことを意味し、費用がかさむので、経済的に望ましくない。これは、補因子を再生成する第2反応と組み合わせることによって、回避することができる。再生成系として、アルコールデヒドロゲナーゼ又はグルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼなどのデヒドロゲナーゼを使用することができる。経済的な視点からは、相応する高収率で、発酵によってこれらの酵素を生成することをもできなければならない。
必要な酵素の生成に関する労力は、酵素の数と共に増大するので、遺伝子操作によって個別の酵素を融合することに、経済的な意義がある。これは、空間的に近接していることによって1つの酵素から次の酵素へとより容易に基質が移動できるという、さらなる利点を有する。しかし、このような酵素融合は、多くの場合、発酵生産性の減衰をもたらすか、又はさもなければ、この融合タンパク質が、低減した活性を有するかもしくは全く活性を有さない。2つの酵素が融合タンパク質において相互阻害効果を有することを避けるために、代わりに、この2つのタンパク質を接続し/隔てる、より長いリンカー配列が、しばしば使用される。非常に短いリンカー配列が使用されているか、又は全くリンカー配列が使用されていない場合、開始タンパク質の混合物と比較して同等の活性を示す融合タンパク質は、稀である。
らい菌(Mycobacterium leprae)において(Wieles B.et al.1995,J.Biol.Chem.270,pp.25604-25606)、N末端がチオレドキシンレダクターゼと相同でありかつC末端がチオレドキシンと相同であるタンパク質が、チオレドキシン及びチオレドキシンレダクターゼとして活性であることが見出されている。この2つのタンパク質単位を大腸菌(E.coli)由来の相同なタンパク質と比較すると、これらは、らい菌(M.leprae)において、22アミノ酸スペーサー/リンカーを介して連結されている。
米国特許第6218168号明細書 米国特許第5972663号明細書 米国特許出願公開第2004-038352号明細書 カナダ国特許第2386539号明細書 欧州特許第2138585号明細書 欧州特許第1769080号明細書 欧州特許第2726625号明細書
Wieles B.et al.1995,J.Biol.Chem.270,pp.25604-25606
本発明の目的は、安価に生産され得、そして先行技術において公知のチオレドキシン及びチオレドキシンレダクターゼタンパク質の混合物と少なくとも同程度に高い活性を有する、シスチンをシステインへ生体触媒還元するためのタンパク質を提供することである。シスチンをシステインへ酵素的に還元するための方法におけるこのタンパク質の使用により、特に効率的かつ経済的な方法を提供する。
この目的は、シスチンをシステインへ還元するための酵素を提供することによって達成され、この酵素は、KEGGデータベース番号EC1.8.4.8又はEC1.8.4.10を有するチオレドキシン(タンパク質i)及びKEGGデータベース番号EC1.8.1.9を有するチオレドキシンレダクターゼ(タンパク質ii)のタンパク質活性を備える融合タンパク質であり、融合タンパク質の活性が、チオレドキシン及びチオレドキシンレダクターゼと同じであるが融合していない個々のタンパク質の混合物の活性の少なくとも100%であることを特徴とする。
pGJ3477のプラスミドマップを示す。 シスチンレダクターゼによって触媒された、補因子NADPHからNADP+への酸化を伴うシスチンからシステインへの還元のためのスキームを示す。 シスチンレダクターゼによって触媒された、Cys-TNB及びTNBの放出を伴う、システイン(Cys-SH)とDTNB(5,5-ジチオビス-2-ニトロ安息香酸;Ellman’s試薬)との組み合わせの還元のためのスキームを示す。 種々の酵素の相対的シスチンレダクターゼ活性示す。 DTNBアッセイを用いる、TrxBA及びTrxABによるシステイン形成のクロマトグラフィー検出を示す。 再生系を用いるか又は用いない、TrxBAによるシステイン形成-DTNBアッセイを用いた測定を示す。
本発明にしたがい、シスチンをシステインへ還元するための酵素は、タンパク質i及びiiのタンパク質活性を備える融合タンパク質である。これは、タンパク質i(KEGGデータベース番号EC1.8.4.8又はEC1.8.4.10に記載されるTrx)の活性及びタンパク質ii(KEGGデータベース番号EC1.8.1.9に記載されるTR)の活性に寄与するコード配列(cds)が、融合していることを意味する。第1のcdsの後ろに存在する停止コドンを除去することにより、2つのcdsが、1つのcdsとして一緒に発現する。
Trxのタンパク質活性は、活性部位にジスルフィド結合を有するオキシドレダクターゼであり、還元状態又は酸化状態で存在し得る。
この反応において、2つの電子が、2つのスルフヒドリル基からジスルフィド結合へと(分子内または分子間で)移された。ここで、Trx内において、分子内ジスルフィド結合が形成される。次いで、Trxの還元状態は、オキシドレダクターゼTRの触媒活性によって戻される。これは、電子を必要とし、この電子は、Trxに移されて、ジスルフィド結合を開裂する。
タンパク質が、シスチンに対して、Trx及び/又はTR(本明細書中以後、タンパク質が両方の活性を有する場合にシスチンレダクターゼ/CR活性と呼ぶ)のどちらとして活性であるかは、以下の試験によって確認され得る:
まず、NADPHの消費が、340nmにて測光法により測定され得る。融合タンパク質、基質シスチン及び補因子NADPHを含む混合物において、電子は、NADPHからシスチンへと移され、システインを形成する。次いで、NADPHの消費は、測光法によりモニタリングされ得る。
あるいは、形成されたシステインもまた、このような混合物(融合タンパク質、シスチン及びNADPHを含む)中で測定されてもよい。これは、システインの遊離のSH基がDTNB(5,5’-ジチオビス-2-ニトロ安息香酸;Ellman’s試薬)と反応して色素を形成する能力を用いる。この着色化合物Cys-TNBは、412nmにて測定することができる。したがって、時間経過にわたるこの反応の過程は、シスチンに対する融合タンパク質の酵素活性を測定することを可能にする。
タンパク質i及びタンパク質iiは、好ましくは微生物配列である。
チオレドキシン(タンパク質i)は、好ましくは、大腸菌由来のチオレドキシン1のタンパク質活性(本発明の文脈においてTrxAと略す)である。
チオレドキシンレダクターゼ(タンパク質ii)は、好ましくは、大腸菌由来のチオレドキシンレダクターゼのタンパク質活性(本発明の文脈においてTrxBと略す)である。
2つのアミノ酸配列を含む融合タンパク質が特に好ましく、ここで、これらのアミノ酸配列の1つは、少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、及び特に好ましくは少なくとも90%、配列番号7と同一であり、そして他方のアミノ酸配列は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、及び特に好ましくは少なくとも90%、配列番号8と同一であり、そしてここで、この融合タンパク質は、CR活性を有する。
したがって、融合タンパク質は、TrxAB又はTrxBA/TrxB5A(融合タンパク質TrxABにおいてタンパク質TrxAがTrxBに対してN末端側に配置された場合)と呼ばれる。反対に、融合タンパク質TrxBA又はTrxB5Aにおいて、タンパク質TrxBは、TrxAに対してN末端側に配置されている。融合タンパク質は、TrxAB、TrxBA又はTrxB5Aであることが好ましい。融合タンパク質は、大腸菌由来のチオレドキシンA及びチオレドキシンBのアミノ酸配列の融合であることが特に好ましく、特別に好ましくは、アミノ酸配列番号9、配列番号10、及び配列番号28からなる群より選択される1つである。
特に好ましい実施形態において、融合タンパク質はTrxBAであり、特別に好ましくは、配列番号10を有するアミノ酸配列である。
DNA同一性の程度は、http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/において見出され、blastnアルゴリズムに基づく、「ヌクレオチドblast」プログラムによって決定される。デフォルトのパラメータを、2以上のヌクレオチド配列のアラインメントについてのアルゴリズムパラメータとして使用した。デフォルトの一般的パラメータは、以下である:最大標的配列=100;短クエリ=「短入力配列についての自動補正パラメータ」;予測閾値=10;ワードサイズ=28;短入力配列についての自動補正パラメータ=0。対応のデフォルトスコアリングパラメータは、マッチ/ミスマッチスコア=1、-2;ギャップコスト=線形である。
タンパク質配列は、http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/における「タンパク質blast」プログラムを用いて比較される。このプログラムは、blastpアルゴリズムを使用する。デフォルトのパラメータを、2以上のタンパク質配列のアラインメントについてのアルゴリズムパラメータとして使用した。デフォルトの一般的パラメータは、以下である:最大標的配列=100;短クエリ=「短入力配列についての自動補正パラメータ」;予測閾値=10;ワードサイズ=28;短入力配列についての自動補正パラメータ=0。対応のデフォルトスコアリングパラメータは、:マトリックス=BLOSUM62;ギャップコスト=存在:11伸長:1;組成補正=暫定補正スコアマトリックス補正。
本発明の文脈において、TrxA、TrxB、TrxAB、TrxBA、TrxB5A又はMl-TrxBAなどのタンパク質は大文字で書き始め、他方で、これらのタンパク質をコードする配列(cdsとも略される)は、小文字によって識別される(trxA、trxB、trxAB、trxBA、trxB5A又はMl-trxBA)。
本発明の文脈において、融合タンパク質という用語は、2つの別個のタンパク質であるチオレドキシン(Trx)及びチオレドキシンレダクターゼ(TR)を含むタンパク質を意味する。これは、遺伝子によってコードされ、そのコード領域は、Trxコード領域とTRコード領域とを含み、結果として、これらが一緒に1つの単位として転写されそしてポリペプチドへと翻訳される。
2つの個々のタンパク質であるTrx及びTRを用いることと比較してTrx及びTRを含む融合タンパク質を用いる詳細な利点は、空間における2つのタンパク質の位置からもたらされる:TRは電子をTrxへと移すが、ここで、TrxとTRとが、3次元的な拡散の過程において最初から互いに対面している必要はないが、融合タンパク質においては互いに連結している。言い換えると、空間的に近接であることは、電子が、酵素から他方へとより容易に受け渡され得ることを意味する。
個々のタンパク質は、別個に精製されなければならないが、融合タンパク質における酵素活性は共に単離されており、このこともまた、大きな経済的利点である。
好ましくは、融合タンパク質は、精製を補助するために、特に好ましくはポリヒスチジンタグ(Hisタグ)などの配列を、さらに含む。Hisタグは、タンパク質精製及び標的化したタンパク質を検出するために使用され得る、タンパク質タグである。ポリヒスチジンタグのアミノ酸配列は、少なくとも6つのヒスチジン(6HIS)の配列であり、その遺伝子配列は、開始メチオニンコドンの後のN末端に又は停止コドンの前のC末端にて、cds中にクローニングされる。これは、ポリヒスチジンタグを有する融合タンパク質をもたらす。ただ1つのHisタグのクローニングは、Trx及びTRのタンパク質から構成される融合タンパク質を精製することを可能にする。このことは、精製に必要な反応工程をより少なくするだけでなく、クローニング戦略をも簡易化する意味がある。
加えて、ポリペプチド配列とHisタグとの間にプロテアーゼ又はインテインについての開裂部位を挿入することが可能であり、それによって、タンパク質精製の後にHisタグを切断して除くことが可能となる。
融合タンパク質において、N末端側に配置されたタンパク質のアミノ酸配列は、C末端側が1から最大5のアミノ酸によって短縮されることが好ましい。融合タンパク質において、N末端側に配置されたタンパク質のアミノ酸配列は、C末端側が1つのアミノ酸によって短縮されることが特に好ましい。
融合タンパク質において、C末端に位置するタンパク質のアミノ酸配列は、N末端側が、好ましくは1から最大5のアミノ酸、特に好ましくは1つのアミノ酸によって短縮される。特に好ましくは、融合タンパク質において、C末端に位置するタンパク質において、開始コドンが存在しない。この後者の特徴は、この点において翻訳し直すことがないという利点を有する。
さらに、チオレドキシン(タンパク質i)及びチオレドキシンレダクターゼ(タンパク質ii)の融合タンパク質活性のアミノ酸配列は、融合タンパク質において、1から最大5のアミノ酸、特に好ましくは1つのアミノ酸のリンカー配列によって連結されていることが好ましい。
チオレドキシン(タンパク質i)及びチオレドキシンレダクターゼ(タンパク質ii)融合タンパク質のアミノ酸配列は、融合タンパク質において互いに直接続くこと、すなわちリンカー配列が存在しないことが、特に好ましい。
上述したように、呼応して作用することによってそのクローニング、精製及び活性を改善するタンパク質を融合タンパク質中で一緒にすることは、有益である。しかし、2つの融合タンパク質の折り畳み又はこの場合に必須であるこれらの間の相互作用を妨げないために、長いリンカー配列が望ましいと考えられる。しかし、この場合、2つのタンパク質(Trx、TR)の直接融合が機能的酵素対をもたらすことが、驚くべきことに見出された。この事実は、融合タンパク質の活性が、融合の順序に依存するという知見により、より強調される。したがって、融合タンパク質TrxABは、個々のタンパク質の混合物に匹敵する活性を示した。
融合タンパク質TrxAB(配列番号9)において、TrxA配列(配列番号7)における停止コドンは存在せず、TrxB(配列番号8)における最初のアミノ酸(メチオニン、M)は欠失している。さらに、このタンパク質は、Hisタグ(配列番号9におけるアミノ酸1~12)を有する。TrxAの最後のアミノ酸(Ala)とTrxBの開始コドンを除去したあとの最初のアミノ酸(Gly)との間には、リンカー配列が存在しない。
融合タンパク質TrxBA(配列番号10)において、TrxB配列(配列番号8)における最後のアミノ酸(リシン)及び停止コドンは存在せず、他方で、TrxA(配列番号7)における最初のアミノ酸(メチオニン、M)は欠失している。さらに、このタンパク質は、Hisタグ(配列番号10におけるアミノ酸1~12)を有する。1アミノ酸(Gly)のリンカー配列が、TrxBの最後から2番目のアミノ酸(Ala)とTrxAの最初のアミノ酸(Ser)との間に存在している。
融合タンパク質TrxB5A(配列番号28)については、TrxBとTrxAとの間に5アミノ酸のリンカー配列(Gly-Pro-Ala-Pro-Gly)が存在することを除いて、TrxBAについて記載したことと同じことが適用される。
開始コドンと終止コドンとの間に位置する、融合タンパク質のアミノ酸配列をコードする領域は、コード配列(cds)と呼ばれる。cdsは、非コード領域に取り囲まれている。遺伝子と呼ばれるものは、生物学的に機能するタンパク質を生成するための基本情報の全てを含むDNAの部分である。遺伝子は、転写によって一本鎖RNAコピーが生成される元となるDNAの部分、及びさらに、この複製方法の調節に関与する発現シグナルを、含む。発現シグナルは、例えば少なくとも1つのプロモーター、転写開始部位、翻訳開始部位及びリボソーム結合部位を含む。さらに、ターミネーター及び1つ以上のオペレーターによる発現調節が、可能である。
機能的プロモーターについて、このプロモーターの調節下にあるcdsは、RNAへと転写される。
融合タンパク質のタンパク質i(チオレドキシン)をコードするDNAの部分は、プライマーとしてのオリゴヌクレオチドと、チオレドキシンをコードするDNAマトリックス、例えば大腸菌から単離されたゲノムとを用いるPCRによって最初に増幅されて、次いで、それぞれの場合において、同様の様式で生成された融合タンパク質のタンパク質ii(チオレドキシンレダクターゼ)配列を含むDNA分子と、標準的分子生物学技術によって、インフレーム融合が起こるように結合され得る。融合タンパク質においてタンパク質iとiiとの間に存在する、C末端に位置する融合パートナーの第2の開始コドンは、代替の読み取り枠を回避するために、削除されてもよい。2つの融合パートナーの転移点において、種々の長さのリンカー配列が、挿入されてもよい。
クローニング部位を介した融合の代わりに、DNA分子全体を、遺伝子合成によって生成してもよい。次いで、このDNA分子は、公知の方法により、ベクター、例えばプラスミド内に導入されてもよく、又は細菌株の染色体内に直接組み込まれてもよい。好ましくは、DNA分子は、プラスミド、例えばpJF118EH、pKK223-3、pUC18、pBR322、pACYC184、pASK-IBA3、pGJ3477又はpETなどの公知の発現ベクターの誘導体内に、導入される。
このDNA分子は、まず、融合タンパク質のコード配列及びわずかな他のヌクレオチドを担い、プロモーター及びターミネーターからの所定の距離においてクローニングが起こるようにプラスミド内にクローニングされること、すなわち、このDNA分子が、プロモーターをコードする領域の3’及びターミネーターをコードする領域の5’にてプラスミド内にクローニングされることが好ましい。
好適なプロモーターは、構成的プロモーター、例えばGAPDHプロモーター、又は誘導性プロモーター、例えばlac、tac、trc、ラムダPL、araB、cumateもしくはtetプロモーター又はこれらに由来する配列などの、当業者に公知の全てのプロモーターである。融合タンパク質は、特に好ましくは、アラビノース誘導型araBプロモーター(PBAD)の制御下で発現される。
使用されるプラスミドは、選択マーカーを担ってもよい。好適な選択マーカーは、アンピシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、その他などの抗生物質に対する耐性をコードする遺伝子である。プラスミドは、好ましくは、発現によりアンピシリン耐性を付与する遺伝子を含む。また、選択マーカーとして好適には、栄養要求性マーカーであり、これは、プラスミドを含むそれぞれの細菌株において欠失している、代謝において必須な遺伝子をコードするからである。
プラスミドは、当業者に公知の方法を用いて、細菌株の細胞に導入されてもよい(形質転換)。この細菌株は、好ましくは、グラム陰性菌、特に好ましくは腸内細菌科属の細菌株、特別に好ましくはEscherichia coli(大腸菌)種の株である。
プラスミドを含む細菌株は、発酵プロセスにおいて使用されてもよく、すなわち、細菌細胞は、培地中、好ましくは選択的LB培地(プラスミド内に存在する選択マーカーに対応する)中で増殖されて、培養後に上澄みを捨てることを伴う沈殿法によって培地から分離され、溶解されてもよい。発現された融合タンパク質は、次いで、例えばアフィニティークロマトグラフィー(例えばHisタグを介して、上記参照)によって、単離されてもよい。
本発明の酵素は、高収率で、よって安価で、発酵によって生成され得るという利点を有する。その生成は、特に経済的に有効であり、そしてまた、2種の別個のタンパク質を単離する代わりに、1種の融合タンパク質のみを生成し、精製し、そして単離する必要があるだけであるので、有益である。
酵素が、NADPH又はNADHなどの電子供与体として、すなわち還元剤としての補因子によって再生成され得るということは、NADPH又はNADHを再生成するための系は既に存在しているので、有益である。
Trx及びTRの酵素活性は、補因子の変換を介して、例えば340nmにて光化学的に決定され得る。これは、還元状態(NADPH/NADH)から酸化状態(NADP/NAD)になる際に、340nmでの吸光計数が有意に変化するから可能なのである。
種々の構築物(融合タンパク質)又は種々の混合比率の別個のタンパク質の酵素活性の測定の際、驚くべき、そして当業者に予測できなかったことに、この融合タンパク質の活性が、同じであるが融合していない、チオレドキシン及びチオレドキシンレダクターゼの別個のタンパク質の混合物の活性の、少なくとも100%、好ましくは少なくとも150%、そして特に好ましくは少なくとも200%であることを見出した。このことは、この融合タンパク質の活性が、同じであるが融合していない別々のタンパク質i及びiiの混合物の活性と同程度に高いか、又はより高くすらあるということを意味する。
より正確には、このことは、補因子又は基質を含まない陰性対照の場合を除き、各々の場合において、基質、補因子及び緩衝系からなる同じ反応混合物を、最初に入れたことを意味する。同量の融合タンパク質を混合物に加えた後、又は個々のタンパク質i(Trx)及びii(TR)を別の混合物に加えた後、同じ反応条件下で同じ時間に、補因子転換が測定された。又は、基質の量における減少又は生成物の量における増大を検出することも、同様に可能である。
この酵素は、好ましくは、融合タンパク質の遺伝子が、配列番号2と少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、及び特に好ましくは少なくとも90%同一である1つのDNA配列、ならびに配列番号3と少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、及び特に好ましくは少なくとも90%同一である別のDNA配列を含むことを特徴とする。
特に好ましい実施形態において、融合タンパク質をコードするDNA配列は、配列番号5である。
本発明は、シスチンをシステインへ酵素的に還元するための方法をさらに提供し、この方法は、システインが補因子の存在下で本発明の酵素によって還元されることによって特徴づけられる。
シスチンからシステインへの酵素的還元において、ジスルフィド(-S-S-)は、2つのスルフヒドリル(-SH)基に変換され、すなわち、2分子のL-システインが、1分子の化学化合物シスチンから形成される。本発明の融合タンパク質は、還元を触媒し、そして電子をシスチンのジスルフィドに移す。
ここで驚いたことには、融合タンパク質TrxBAの活性は、同じであるが融合していない個々のタンパク質TrxA及びTrxBの混合物の活性よりも特に顕著に高かった(実施例4、図4を参照されたい)。
本発明の方法の特定の利点は、この方法を用いて生成されたシステインが、香味添加剤に対する規則(Regulation on Flavorings)にしたがう天然のシステインとして、申請され得ることである。
経済的なプロセスのためのさらなる挑戦は、中性pH範囲(又は生理学的pH範囲、すなわちおよそpH7.4)内の緩衝系における、シスチンの低い溶解性であった。
このプロセスは、好ましくは4~11、特に好ましくは5~10、そして特別に好ましくは6~9のpH範囲内で起こる。
生理学的pHでのシスチンをシステインへ酵素的に還元するための方法において本発明の酵素が使用される場合が特別に有益であり、したがってさらには特に好ましい。
このプロセスは、好ましくは20~40℃、特に好ましくは25~30℃の温度で起こる。
このプロセスは、好ましくは、補因子が、NADPH及びNADHからなる群より選択される物質であることを特徴とする。この補因子は、特に好ましくはNADPHである。
このプロセスは、好ましくは、還元後、形成されたシステインが単離されることによって、特徴づけられる。標的生成物のさらなる精製のために、以下の工程/手順が用いられ得る:
イオン交換吸着によるL-システインの単離
析出結晶化。
このようなプロセスは、先行技術から公知である(例えば、WO2013/000864を参照されたい)。
シスチンからシステインへの還元において、本発明の酵素は、酸化され、すなわち、電子をシスチンへと移してジスルフィド結合を形成する。存在するNADPH又はNADH補因子の電子が、融合タンパク質(TR部分)の活性により融合タンパク質(Trx部分)へと移るので、NADP又はNADが、それぞれ形成される。それゆえに、本方法は、補因子再生成酵素を含むことが好ましい。特に好ましくは、この補因子再生成酵素は、デヒドロゲナーゼであり、さらに、還元は、さらなる電子供与体の存在下で起こる。
補因子再生成酵素は、グルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ及び/又はアルコールデヒドロゲナーゼであってもよい。特に好ましい実施形態において、デヒドロゲナーゼは、アルコールデヒドロゲナーゼであり、イソプロパノールが、電子供与体として使用される。
本発明は、本明細書中以下で、例示的な実施形態を参照するがそれらに制限されることなく、より詳細に説明される。
実施例1:シスチンレダクターゼ系TrxA、TrxB、TrxBA、及びTrxABの生成
発現ベクターの調製:
対応する候補タンパク質TrxA、TrxB、TrxAB、TrxBA、TrxB5A又はMl-TrxBAについてコードするDNA配列の発現のためのベクターとして、発現プラスミドpGJ3477を選択した。これは、ColE1複製起源に基づく、中~高コピープラスミド(細胞あたり50~60コピー)である。プラスミドマップを図1に示すが、このプラスミドマップ上に、共通の1カ所切断制限酵素の位置(6塩基の認識配列を有する)を示す。この配列を、配列番号11に特定する。
このプラスミドにおいて、それぞれの候補のコード配列を、アラビノース誘導型プロモーターPBADの制御下に置いた。
まず、発現プラスミド全体を、逆PCRによって増幅した:
50ngのpGJ3477 DNA、それぞれ0.5pmolのプライマー 3477-fwrd(配列番号12)及び3477-rev(配列番号13)、Q5(R)反応緩衝液(New England Biolabs、NEB)、1単位のQ5(R)DNAポリメラーゼ(NEB)、最終容量50μl中。
PCRプログラム:98℃にて1分間、次いで98℃にて30秒間、65℃にて30秒間(アニーリング)、及び72℃にて2分間(合成)の30サイクル。
反応の最後に、制限酵素DpnI(10単位、NEB)を反応混合物に加え、そしてこの混合物を、37℃にて1時間にわたってインキュベートした。その後、DNAのクロマトグラフィー精製(Macherey & Nagel:NucleoSpin(R)Gel and PCR Clean-up-Kit)を行った。
trxA及びtrxBのクローニング:
タンパク質-コード配列trxA(配列番号2)及びtrxB(配列番号3)のクローニングのために、オリゴヌクレオチドプライマーを決め、その標的遺伝子特異的配列を、少なくとも15ヌクレオチド伸ばした。これは、ベクターDNAの末端における配列と重なる。この遺伝子を、PCRによってBL21の大腸菌ゲノムから増幅した(コロニーPCR)。
以下の混合物を、PCRによる増幅のために選択した:
50ngのゲノム大腸菌BL21 DNA(NEB)、それぞれ0.5pmolのプライマーtrxA-fwrd(配列番号14)及びtrxA-rev(配列番号15)又はtrxB-fwrd(配列番号16)及びtrxB-rev(配列番号17)、Q5(R)反応緩衝液(NEB)、1単位のQ5(R)DNAポリメラーゼ(NEB)、最終容量50μl中。
PCRプログラム:98℃にて1分間、次いで98℃にて30秒間、60℃にて30秒間(アニーリング)、及び72℃にて15秒間(trxA)又は30秒間(trxB)(合成)の30サイクル。
反応の最後に、制限酵素DpnI(10単位、NEB)を反応混合物に加え、そしてこの混合物を、37℃にて1時間にわたってインキュベートした。その後、DNAのクロマトグラフィー精製(Macherey & Nagel:NucleoSpin(R)Gel and PCR Clean-up-Kit)を行った。
LIC-PCR:
一般に、タンパク質をコードするDNA配列を、LIC-PCR(PCR生成物のライゲーション依存型クローニング)を介して、Aslanidis C. and de Jong P.J.、Nucleic Acids Res.18、pp.6069-6074に記載の通りに、基本発現ベクターpGJ3477内に正確な塩基で導入した。
この目的のために、それぞれの候補タンパク質の50ngの精製したコードDNAを、50ngの調製したベクターDNAと共に、LIC-PCR反応において使用した。
次いで、LIC-PCR混合物を、標準的方法を用いて、大腸菌XL1 Blue細胞内に形質転換させ、そして選択的LB培地(LB+100mg/L アンピシリン)上にプレート播種し、そして37℃にて18時間にわたりインキュベートした。正しいクローンの同定のために、プラスミドDNAを得られたコロニーから単離し、そして発現カセットを完全に配列決定した。
発現ベクターpGJ3477及びコードDNA配列trxA又はtrxBからなる得られたプラスミドを本明細書中以後、trxA又はtrxB発現ベクターと呼ぶ。
trxAB及びtrxBAのクローニング:
対応する融合タンパク質TrxAB又はTrxBAをそれぞれコードするDNAであるtrxAB又はtrxBAのクローニングを、上述のtrxA及びtrxBのクローニングと同様の様式で、trxA配列をtrxB発現ベクター内にN末端Hisタグとタンパク質TrxBをコードする配列trxBとの間にLIC-PCRによって挿入すること、又はtrxB配列をtrxA発現ベクター内にHisタグとタンパク質TrxAをコードする配列trxAとの間にLIC-PCRによって挿入することにより、行った:
以下の混合物を、PCRによる増幅のために選択した:
ベクターDNA(trxA又はtrxB発現ベクター)を、プライマー vtrxA-fwrd(配列番号18)及び3477-rev(配列番号13)又はvtrxB-fwrd(配列番号21)及び3477-rev(配列番号13)を用いて、逆PCRによって増幅した。そのために、以下のPCRプログラムを選択した:98℃にて2分間、次いで、98℃にて45秒間/60℃にて30秒間/72℃にて2.5分間を30サイクル。
融合タンパク質についてのtrxA又はtrxB遺伝子セグメントを、プライマー ftrxA-fwrd(配列番号22)及びftrxA-rev(配列番号23)又はftrxB-fwrd(配列番号19)及びftrxB-rev(配列番号20)を用いてPCRによって増幅した。そのために、以下のPCRプログラムを、選択した:98℃にて2分間、次いで98℃にて45秒間/60℃にて30秒間/72℃にて15秒間を30サイクル。BL21ゲノムDNAを、テンプレートとして用いた。
PCR反応の最後に、制限酵素DpnI(10単位、NEB)をそれぞれの反応混合物に加え、そしてこの混合物を、37℃にて1時間にわたってインキュベートした。その後、DNA挿入物のクロマトグラフィー精製(Macherey & Nagel:NucleoSpin(R)Gel and PCR Clean-up-Kit)を行った。
LIC-PCR反応を、50ngのtrxA又はtrxB発現ベクターの増幅したベクターDNA及び75ngのDNA挿入物(trxB又はtrxA)を用いて実施した。
次いで、LIC-PCR混合物を、標準的方法を用いて、大腸菌XL1 Blue細胞内に形質転換させ、そして選択的LB培地(LB+100mg/L アンピシリン)上にプレート播種し、そして37℃にて18時間にわたりインキュベートした。正しいクローンの同定のために、プラスミドDNAを得られたコロニーから単離し、そして発現カセットを完全に配列決定した。
配列番号9及び配列番号10を、それぞれ配列番号4及び配列番号5の配列の発現から得られる融合タンパク質TrxBA及びTrxABのアミノ酸配列と特定した。
実施例2:シスチンレダクターゼMl-TrxBAのクローニング
序章で説明した通り、らい菌は、チオレドキシン(Trx)及びチオレドキシンレダクターゼ(TR)に相同性を有するタンパク質をコードする遺伝子セグメントを保有している(Wieles B.et al.1995、J.Biol.Chem.270、pp.25604-25606)。この配列は、公共のデータベースから取得可能である(NCBI参照配列:WP_010909042.1)。
公共のデータベースから得られた配列を、宿主大腸菌のコドン使用頻度についてコンピューターでカスタマイズした。これを、IDTウェブサーバー(www.idtdna.com)を用いて行った。標的ベクターpGJ3477内へのクローニングのために、コード領域を、ベクター配列と重なる配列によって5’及び3’末端にて伸長した(trxA及びtrxBのクローニングも参照されたい)。得られたDNA配列全体(配列番号24に示す)を、Geneart(www.thermofisher.com)によって合成的に生成し、Ml-trxBAと呼んだ(ml-trxBAとも呼ぶ)。
合成Ml-trxBA配列を、trxA及びtrxB発現ベクターのLIC-PCRによるクローニングと同様に、ベクターpGJ3477内にクローニングした。
タンパク質コード配列Ml-trxBA(配列番号24)のクローニングのために、オリゴヌクレオチドプライマーを決定し、この標的遺伝子特異的配列を、ベクターDNAの末端にて配列が重なる少なくとも15ヌクレオチド伸長した。合成遺伝子は、テンプレートとして役立った。
以下の混合物を、PCRによる増幅のために選択した:
20ngのテンプレート(Geneart)、それぞれ0.5pmolのプライマーMl-trxBA-fwrd(配列番号25)及びMl-trxBA-rev(配列番号26)、Q5(R)反応緩衝液、1単位のQ5(R)DNAポリメラーゼ(NEB)、最終容量50μl中。
PCRプログラム:98℃にて1分間、次いで98℃にて30秒間、60℃にて30秒間(アニーリング)、及び72℃にて60秒間(合成)の30サイクル。
反応の最後に、制限酵素DpnI(10単位、NEB)を反応混合物に加え、そしてこの混合物を、37℃にて1時間にわたってインキュベートした。その後、DNAのクロマトグラフィー精製(Macherey & Nagel:NucleoSpin(R)Gel and PCR Clean-up-Kit)を行った。
LIC-PCR:
タンパク質をコードするDNA配列を、LIC-PCR(PCR生成物のライゲーション依存型クローニング)を介して、Aslanidis C. and de Jong P.J.、Nucleic Acids Res.18、pp.6069-6074に記載の通りに、基本発現ベクターpGJ3477内に正確な塩基で導入した。
この目的のために、50ngの精製したコードDNAを、60ngの調製したベクターDNAと共に、LIC-PCR反応において使用した。
次いで、LIC-PCR混合物を、標準的方法を用いて、大腸菌XL1 Blue細胞内に形質転換させ、そして選択的LB培地(LB+100mg/L アンピシリン)上にプレート播種し、そして37℃にて18時間にわたりインキュベートした。正しいクローンの同定のために、プラスミドDNAを得られたコロニーから単離し、そして発現カセットを完全に配列決定した。
発現ベクターpGJ3477及びコードDNA配列Ml-trxBAからなる得られたプラスミドを、本明細書中以後、Ml-trxBA発現ベクターと呼んだ。
実施例3:シスチンレダクターゼTrxB5A(リンカー配列を含む)のクローニング
trxB5Aのクローニング:
対応する融合タンパク質TrxB5AをコードするDNAであるtrxB5Aのクローニングを、上述のtrxBAのクローニングと同様の様式で、C末端を5アミノ酸伸長したTrxB配列(本明細書中以後TrxB5と呼び、cdsをtrxB5と呼ぶ)をtrxA発現ベクター内にHisタグとタンパク質TrxAをコードする配列trxAとの間にLIC-PCRによって挿入することにより、行った:
以下の混合物を、PCRによる増幅のために選択した:
ベクターDNA(trxA発現ベクター)を、プライマーvtrxA5-fwrd(配列番号29)及び3477-rev(配列番号13)を用いる逆PCRによって増幅し、そのために、以下のPCRプログラムを選択した:98℃にて2分間、次いで98℃にて45秒間/60℃にて30秒間/72℃にて2.5分間の30サイクル。
trxB5を、プライマーftrxB-fwrd(配列番号19)及びftrxB5-rev(配列番号30)を用いるPCRによって増幅し、そのために、以下のPCRプログラムを選択した:98℃にて2分間、次いで98℃にて45秒間/60℃にて30秒間/72℃にて15秒間の30サイクル。BL21ゲノムDNAを、テンプレートとして用いた。
PCR反応の最後に、制限酵素DpnI(10単位、NEB)をそれぞれの反応混合物に加え、そしてこの混合物を、37℃にて1時間にわたってインキュベートした。その後、DNA挿入物のクロマトグラフィー精製(Macherey & Nagel:NucleoSpin(R)Gel and PCR Clean-up-Kit)を行った。
LIC-PCR反応を、50ngのtrxA発現ベクターの増幅したベクターDNA及び75ngのDNA挿入物(trxB5)を用いて実施した。
次いで、LIC-PCR混合物を、標準的方法を用いて、大腸菌XL1 Blue細胞内に形質転換させ、そして選択的LB培地(LB+100mg/L アンピシリン)上にプレート播種し、そして37℃にて18時間にわたりインキュベートした。正しいクローンの同定のために、プラスミドDNAを得られたコロニーから単離し、そして発現カセットを完全に配列決定した。
配列番号28は、配列番号27の配列の発現によって得られる融合タンパク質TrxB5Aのアミノ酸配列を特定する。
実施例4:シスチンレダクターゼの酵素活性
タンパク質TrxA、TrxB、TrxBA、TrxB5A、TrxAB、及びMl-TrxBAの組換え発現のために、対応するタンパク質をコードする実験中の発現プラスミドを、大腸菌TOP10株(Thermo Fisher Scientific、MA/USA)内に導入した。この細菌細胞を、100mg/Lアンピシリン含有のLB培地上にプレート播種した。次いで、100mg/Lアンピシリン及び0.2%アラビノース(w/v)を含む25mlのLB培地に、1つのコロニーを接種し、28℃にて培養シェーカーキャビネット内で19時間にわたってインキュベートした。
発現したタンパク質の単離のため、細胞を、遠心分離(4000gにて10分間)によって沈殿させ、培地上清を除去し、そして菌体を溶解緩衝液(PBS+10%BugBuster(Sigma))中に再懸濁した。BugBusterキット(Sigma)のマニュアルにおける製造業者の指示にしたがって、細胞を、15分間RTにて完全に溶解させ、次いで、不溶性の物質を遠心分離(9500rpmにて20分間、製造業者の指示通り)によって除去した。アフィニティークロマトグラフィーによる上清(すなわち細胞溶解物)の精製のために、得られた細胞溶解物を、PBS平衡化Protino IDA2000カラム(Macherey & Nagel)上にロードした。洗浄工程(7mlのPBS)の後、サンプルを、5mlの溶出緩衝液(PBS+200mMイミダゾール)で溶出した。得られたタンパク質濃縮物を、Bradfordアッセイ(Thermo Fisher)によって決定した。
種々の酵素TrxA、TrxB、TrxBA、TrxB5A、TrxAB又はMl-TrxBAのシスチンレダクターゼ活性を、以下で詳細に記載する2つの分析方法を用いて決定した。
1.第1の方法は、測光検出方法からなり、これは、NADPHの消費及び還元反応の間に生じる340nmにおける吸光値の低下に基づく。図2に模式的に示すように、還元におけるシスチンのシステインへの酵素的変換は、補因子NADPHの消費によって達成される。
以下のアッセイ混合物を、測光測定のために使用した。サンプルの最終容量は1mlである:
100mMリン酸緩衝液pH7.4
2mM EDTA
0.2mM NADPH(Sigma)
1mM シスチン(Wacker Chemie AG)
酵素を除く全てのアッセイ構成成分を混合後、反応を、酵素の添加によって開始する:
10μgの酵素TrxA、TrxB、TrxAとTrxBとの混合物、TrxBA、TrxB5A、TrxAB又はMl-TrxBA。アッセイ混合物を、室温(およそ25℃)で、以下の測定までインキュベートした。
種々の1mlアッセイ混合物におけるNADPH濃度を、、種々の時間において、分光光度計(Evolution 201 UV-vis分光光度計、Thermo Fisher Scientific)を用いて、340nmでの吸光値の形で測定した。340nmでの吸光値を、種々のサンプルの酵素活性を、製造業者Thermo Fisher ScientificからのThermo INSIGHTソフトウェアを用いて計算するために用いた。それぞれの場合において、熱不活性化酵素を含むか、酵素を含まないか、基質としてシスチンを含まないか、又は補因子としてNADPHを含まないかのいずれかのサンプルを、陰性対照として並行して測定した。
時間経過にわたる吸光度における変化(減少)を用い、酵素活性を、記録曲線の開始点での線形勾配から決定した。これは、NADPH消費速度を示す。常に同量の酵素を使用するので、速度を比較することができる。
2. 第2の方法において、図3で模式的に示すように、シスチンレダクターゼ活性によりシスチンから形成されたシステインを、化合物DTNB(5,5’-ジチオビス-2-ニトロ安息香酸;Ellman’s試薬)との反応により、遊離のSH基を介して直接決定した。本発明の文脈において、DTNBアッセイとも呼ぶ。
以下のアッセイ混合物を、測光測定のために使用した。サンプルの最終容量は1mlである:
100mMリン酸緩衝液pH7.4
2mM EDTA
0.2mM NADPH(Sigma)
1mMシスチン(Wacker Chemie AG)
酵素を除く全ての構成成分を混合後、反応を、酵素の添加によって開始する:
10μgの酵素TrxA、TrxB、TrxAとTrxBとの混合物、TrxBA、TrxB5A、TrxAB又はMl-TrxBA。アッセイ混合物を、室温(およそ25℃)で、以下の測定までインキュベートした。
L-システインを、Lee S.-H.et al.1995(Biochemical and Biophysical Research Communications 213、pp.837-844)に記載の試験によって、5,5’-ジチオビス-2-ニトロ安息香酸(DTNB)を用いて定量した。Cys-TNBの定量は、DTNBを介した412nmでの吸光度の測定によるものであった。HPLCの分析もまた、可能である。
それぞれの場合において、熱不活性化酵素を含むか、酵素を含まないか、基質としてシスチンを含まないか、又は補因子としてNADPHを含まないかのいずれかのサンプルを、陰性対照として並行して測定した。
図4は、1で上記した通り、酵素TrxBA、TrxB5A、TrxAB、及びMl-TrxならびにTrxA及びTrxBの(9:1)混合物の相対的シスチンレダクターゼ活性を、測光決定にしたがって示す。TrxA及びTrxBの(9:1)混合物の活性を1に正規化し、そして全ての他の活性セットをそれに相対化する。TrxA及びTrxBの(9:1)混合物は、比較試験が最も活性な混合比であることを示した、個々の酵素の混合比と推測される。
図5は、2で上記した通り、TrxBA及びTrxABによるシステイン形成の、DTNBアッセイ及びHPLCにしたがう検出を示す。
TrxA及びTrxBについてのcdsの間の60ヌクレオチド以上の領域で、TrxB5Aより長いリンカー配列を含むクローンを使用することは、融合タンパク質における活性を驚くほど低下させた。
実施例5:シスチンレダクターゼ及びADHの酵素組み合わせの活性
補因子NADPH及びNADPに対する酵素特異性の比較は、シスチンレダクターゼTrxBA及びTrxABが、補因子NADPHに対して非常に特異的であることを見出した。この試験において、NADPにより、シスチンに対する酵素活性は検出されなかった。
この反応について、酵素アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)がNADPをNADPHに変換し戻すことができる程度を、組み合わせ実験で調べた。
この目的のために、以下の条件を使用した:
100mMリン酸緩衝液pH7.4
5μlのイソプロパノール
2mM EDTA
15~50μM NADPH又はNADP
1mMシスチン
5μgの酵素TrxBA
50μlの細胞溶解物粗抽出物、又は陰性対照として50μlのリン酸緩衝液(1.5mlの4×リン酸緩衝液pH7.4中0.5mlの細胞のFast Prep消化。細胞の精製は、EP1832658B1に記載される)
この反応物を、30℃にて60分間にわたりインキュベートした。サンプルを、5分間隔で採取し、放出されたシステインを、WO2013/000864A1に記載されるように、DTNBで誘導体化した。定量は、DTNBを介した412nmでの吸光度の測定であった。
図6は、再生成系としてのADHの存在下(用いる)又は非存在下(用いない)の、TrxBAによるシステイン形成の、DTNBアッセイを用いる測定の結果を示す。
図面において使用される略号
AraC:AraC遺伝子(リプレッサー遺伝子)
pAraC:AraC遺伝子(リプレッサー遺伝子;PBADに対してrev方向)のプロモーター
pBAD(本発明の文脈において、PBADとも呼ぶ):挿入された標的タンパク質配列の(下流の)発現のためのアラビノース誘導型プロモーター
6HIS:Hisタグについてのコード領域
term:転写ターミネーター
Amp:アンピシリン耐性マーカー
CR:シスチンレダクターゼ
rel.:相対
bps:塩基対
t:時間

Claims (15)

  1. シスチンをシステインへ還元するための酵素であって、ここで、前記酵素は、
    i) KEGGデータベース番号EC1.8.4.8又はEC1.8.4.10を有するチオレドキシン(タンパク質i)及び
    ii) KEGGデータベース番号EC1.8.1.9を有するチオレドキシンレダクターゼ(タンパク質ii)
    のタンパク質活性を備える融合タンパク質であり、
    前記融合タンパク質の前記活性は、前記タンパク質i及びiiと同じであるが融合していない個々のタンパク質の混合物の活性の少なくとも100%であることを特徴とする、前記酵素。
  2. タンパク質i及びタンパク質iiが、微生物配列であることを特徴とする、請求項1に記載の酵素。
  3. チオレドキシン(タンパク質i)が、大腸菌由来のチオレドキシン1のタンパク質活性であることを特徴とする、請求項2に記載の酵素。
  4. チオレドキシンレダクターゼ(タンパク質ii)が、大腸菌由来のチオレドキシンレダクターゼのタンパク質活性であることを特徴とする、請求項2に記載の酵素。
  5. 前記融合タンパク質が、2つのアミノ酸配列を含み、ここで、
    前記アミノ酸配列のうちの1つが配列番号7と少なくとも50%同一であり、及び前記アミノ酸配列の他方が配列番号8と少なくとも50%同一であって、及び
    前記融合タンパク質が、CR活性を有することを特徴とする、請求項1~4の1項以上に記載の酵素。
  6. 融合タンパク質において、N末端側に配置されたタンパク質のアミノ酸配列のC末端が1から最大5のアミノ酸、短縮されていることを特徴とする、請求項1~5の1項以上に記載の酵素。
  7. C末端側に配置されたタンパク質のアミノ酸配列が、融合タンパク質においてN末端が1から最大5のアミノ酸、短縮されていることを特徴とする、請求項1~6の1項以上に記載の酵素。
  8. チオレドキシン(タンパク質i)とチオレドキシンレダクターゼ(タンパク質ii)との融合タンパク質活性のアミノ酸配列が、前記融合タンパク質において1から最大5のアミノ酸のリンカー配列によって連結していることを特徴とする、請求項1~7の1項以上に記載の酵素。
  9. 前記融合タンパク質が、配列番号9、配列番号10、及び配列番号28からなる群より選択されるアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項1~8の1項以上に記載の酵素。
  10. シスチンからシステインへ酵素的に還元するための方法であって、システインが、請求項1~9のいずれか1項に記載の酵素によって補因子の存在下で還元されることを特徴とする、前記方法。
  11. 前記還元が、6~9のpHにおいて起こる、請求項10に記載の方法。
  12. 補因子が、NADPH及びNADHからなる群より選択される物質である、請求項10及び11のうち1項又はその両方において記載の方法。
  13. 補因子再生成酵素を含むことを特徴とする、請求項10~12のうち1項以上において記載の方法。
  14. 前記補因子再生成酵素が、デヒドロゲナーゼであり、還元が電子供与体の存在下でさらに起こることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
  15. 前記デヒドロゲナーゼが、アルコールデヒドロゲナーゼであり、イソプロパノールが電子供与体として使用されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
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