JP2023526977A - Cd40結合タンパク質 - Google Patents

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Abstract

CD40と結合し、そのアゴニストである結合タンパク質を提供する。特定の実施形態では、本発明は、アゴニスト抗CD40抗体を提供する。また、免疫細胞への抗原送達のための、結合タンパク質を含む二重特異性コンジュゲートと、抗原を含むタグ構築物に非共有結合した二重特異性コンジュゲートを含む複合体、も提供される。本発明の結合タンパク質、コンジュゲート及び複合体の医学的用途もまた、提供される。【選択図】図13

Description

本発明は、CD40に結合し、CD40のアゴニストである結合タンパク質を提供する。特定の実施形態では、本発明は、アゴニスト抗CD40抗体を提供する。また、免疫細胞への抗原送達のための、結合タンパク質を含む二重特異性コンジュゲートと、抗原を含むタグ構築物に非共有結合した二重特異性コンジュゲートを含む複合体と、が提供される。本発明の結合タンパク質、コンジュゲート及び複合体の医学的用途もまた、提供される。
免疫応答を調節するモノクローナル抗体(mAb)は、このような応答を利用して腫瘍の持続的な根絶を提供することができるという証拠が増えると共に、がん治療において非常に有効であることが証明されている。例えば、免疫チェックポイントであるCTLA-4及びPD-1を標的とした、異なる標的に対する様々な抗体が開発されており、T細胞免疫が、がんへの効果的な治療を提供できるという見解が支持されている。また、抗原提示細胞(APC)上の共刺激受容体CD40にアゴニスト的に結合する免疫刺激性mAbの有望な臨床データが得られている。
CD40は、TNF受容体スーパーファミリーのメンバーであり(TNF受容体スーパーファミリーメンバー5;TNFRSF5としても知られる)、B細胞、樹状細胞(DC)、マクロファージ及び単球などの抗原提示細胞(APC)、並びに上皮細胞及び内皮細胞及び特定の腫瘍細胞に発現している。主に成熟T細胞に発現するリガンド(CD40リガンド;CD40L、CD154としても知られる)によって活性化されると、CD40は、APCを活性化し、自然免疫応答及び適応免疫応答の両方を誘導する。抗CD40抗体などのアゴニストCD40剤を使用して、免疫系を誘導してがん細胞の増殖を防ぐ、及び/又はがん細胞を殺し、したがって、がんに対する有効な治療法を提供することができる。特に、アゴニストCD40剤によって活性化されたAPCは、エフェクターT細胞、特にCD8+細胞傷害性T細胞を含むT細胞を刺激し、がん細胞(例えば、腫瘍)のT細胞媒介破壊をもたらす可能性がある。また、APCがマクロファージであれば、直接的にがん細胞を殺すことができ、抗CD40抗体の腫瘍細胞への結合がアポトーシスを誘導する場合、直接的な抗腫瘍メカニズムがCD40陽性の腫瘍に対して観察される可能性がある。ウイルス感染に関連して、T細胞の活性化が感染細胞の死滅を促進する可能性がある。
抗体ADC-1013、CP-870,893、Chi Lob 7/4、SEA-CD40及びAPX005Mを含む様々な抗CD40抗体が、前臨床又は臨床開発段階にある。抗体ADC-1013は、WO2016/023960に記述されており、様々な他の抗CD40抗体は、WO2015/091853及びUS2017/0342159に抗がん剤としての使用が提案されている。Chi Lob 7/4は、US2009/0074711に記述され、SEA-CD40は、US2017/0137528に記述され、CP-870,893は、US2017/0342159に記述され、APX005M(単にAPX005として代替表記する場合もある)は、WO2014/070934に記述されている。
本出願は、CD40に対する更なるアゴニスト抗体(又は関連する結合タンパク質)を提供する。結合タンパク質は、高い親和性でCD40と結合し、強力なアゴニスト活性を示し、したがって、上記のように、単独のがん治療薬として使用できることが示されている。また、この結合タンパク質は、治療上の二重特異性コンジュゲートに関連する使用に特に適しており、同様にがん治療、あるいは、感染症に対する治療又はワクチン接種に使用することができる。
T細胞の効果的な刺激(又はプライミング)には、APCへのCD40刺激の適用だけでなく、T細胞受容体(TCR)による認識及び結合のためのAPCによる(MHCとの関連において)抗原の提示が必要である。したがって、APCが、T細胞刺激のために抗原をT細胞に交差提示すること、言い換えれば、T細胞に(細胞外由来の)抗原を取り込み、処理し、提示することは有利である。しかしながら、抗原物質が(例えば、腫瘍が切除された場合、又は感染症に対するワクチンとの関連において)常に存在するとは限らず、CD40アゴニストは、このような状況において有効なT細胞刺激を促進する効果が乏しい場合がある。また、CD40刺激は、(例えば、輸液製品としてのCD40アゴニストの用量制限毒性がある場合)T細胞の活性化には不十分な可能性がある。
これらの理由から、APCに抗原を送達すると同時に、アゴニストでAPC表面のCD40を活性化することが有利である。この目的のための二重特異性コンジュゲートは、WO2020/104690に記述されている。そこに記述されている二重特異性コンジュゲートは、共有結合された2つの結合タンパク質を含む。第1の結合タンパク質は、CD40に特異的であり、第2の結合タンパク質は、抗原に直接特異的ではなく、代わりにタグに特異的である。タグが抗原と共有結合したタグ構築物が提供され、タグ構築物は二重特異性コンジュゲートと複合体を形成する。したがって、タグに結合することにより、第2の結合タンパク質は、間接的に抗原に結合し、抗原と抗体との間に化学結合が存在しないため、抗原を変化させることができる柔軟なモジュラー法を提供する。
したがって、WO2020/104690は、二重特異性コンジュゲートとタグ構築物との間で形成される複合体を提供し、この複合体は、(APCの活性化のための)CD40アゴニスト及び(APCによる提示のための)抗原の両方を提供する。これにより確実に、CD40アゴニストによるAPCの活性化が、標的抗原に特異的なT細胞の活性化をもたらし、個別化医療に使用するためのコンジュゲート及び複合体の調製の柔軟性、及び有効な抗病原体免疫応答を開始するためにCD40経路を使用する個体のワクチン接種用のワクチン開発のための、この柔軟なプラットフォームの使用を有利に実現する。
WO2020/104690の複合体は、抗原に対するB細胞応答を刺激することもできる。複合体は、B細胞と2つの相互作用を形成することができる、すなわち、抗CD40結合タンパク質がB細胞表面のCD40と結合でき、タグ構築物中の抗原が特定のB細胞受容体と結合できる。これら2つの相互作用の組み合わせにより、抗原を認識するB細胞が活性化される。実際に、WO2020/104690に記述されているような複合体を使用するこの方法で活性化されたB細胞は、完全な活性化のためにヘルパーT細胞による共刺激を必要としない可能性がある。
患者ごと(又は少なくとも異なる腫瘍抗原ごと)又は病原性血清型ごとに別々のコンジュゲートを大変な労力で合成かつ製造しなければならないであろう、CD40アゴニストに直接融合した抗原、又はアゴニストに融合した抗原特異的結合剤を含むコンジュゲートを調製せずに、二重特異性コンジュゲートは、特定の個々の患者の必要性に応じて、異なる抗原を含むが同じタグを持つ異なるタグ構築物に結合することによって、個々の個人使用に調整することが可能である。二重特異性コンジュゲートは、この戦略によって、高い抗原ドリフトを伴う病原体に対するワクチン接種のための個別化戦略にも適応し、柔軟なワクチン接種戦略を確保するように調整される。このようにして、タグ構築物を別々に用意すればよく、患者/病原体特異的治療薬の調製の容易さ及びコスト面で利益がもたらされる。さらに、抗原とCD40アゴニストの非共有結合は、CD40アゴニストに直接かつ共有結合で融合した抗原を含むコンジュゲートと比較して、又はCD40アゴニスト及び抗原を別々に提供する場合と比較して、複合体の有効性に有利な場合があると考えられている。
本発明者らは、現在、全てのアゴニストCD40抗体が、WO2020/104690の二重特異性コンジュゲートにおける使用に等しく適切だとは限らないことを発見している。多くのアゴニストCD40抗体は、このような二重特異性コンジュゲートに関連して使用した場合、アゴニスト活性が低下することが見出されている。理論に拘束されることなく、二重特異性コンジュゲートに関連するアゴニスト活性の保持は、抗体によって認識されるエピトープのCD40内の位置に依存する場合がある。CD40と膜の遠位で結合する抗体は、二重特異性コンジュゲートに関連するアゴニスト活性を維持するが、CD40と膜の近位で結合する抗体は、抗CD40抗体と共有結合した嵩高い第2の結合タンパク質がエピトープへの接近を立体的に阻害するため、二重特異性コンジュゲートに関連する活性を失うという仮説が立てられる。
本発明のCD40結合タンパク質(多くの場合、A9として知られる抗体の形態)は、膜から離れたCD40のN末端に近いエピトープでCD40と結合し、上記のような二重特異性コンジュゲートに関連して使用した場合、高いレベルのアゴニスト活性を保持することが見出されている。したがって、本発明の抗体は、二重特異性コンジュゲートに関連して有利に使用され得る。
したがって、第1の態様では、本発明は、CD40に特異的に結合する結合タンパク質を提供し、前記結合タンパク質は、CD40のアゴニストであり、抗体の結合ドメインを含み、当該結合ドメインは、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、それぞれが3つの相補性決定ドメイン(CDR)を含み、
VLCDR1は、SEQ ID NO:1に記載された配列を有し、
VLCDR2は、SEQ ID NO:2に記載された配列を有し、
VLCDR3は、SEQ ID NO:3に記載された配列を有し、
VHCDR1は、SEQ ID NO:4に記載された配列を有し、
VHCDR2は、SEQ ID NO:5に記載された配列を有し、
VHCDR3は、SEQ ID NO:6に記載された配列を有する。
第2の態様では、本発明は、
(i)請求項1~8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの第1の結合タンパク質と、
(ii)抗体の結合ドメインを含み、ペプチド部分を結合する、少なくとも1つの第2の結合タンパク質と、
を含む、二重特異性コンジュゲートを提供し、
第1の結合タンパク質及び第2の結合タンパク質は、共有結合している。
第3の態様では、本発明は、本発明の二重特異性コンジュゲート及びタグ構築物を含む複合体を提供し、当該タグ構築物は、抗原に共有結合した当該コンジュゲートの当該第2の結合タンパク質によって認識されるペプチド部分を含み、
前記タグ構築物のペプチド部分は、二重特異性コンジュゲートの当該第2の結合タンパク質に非共有結合している。
第4の態様では、本発明は、
(i)本発明の結合タンパク質
(ii)本発明の二重特異性コンジュゲート、又は
(iii)本発明の複合体
を含む医薬組成物を提供し、
少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は賦形剤である。
第5の態様では、本発明は、本発明の二重特異性コンジュゲートと、治療における別々の、同時の又は連続した使用のための結合製剤として上記に記載のタグ構築物と、を含む生成物を提供する。
第6の態様では、本発明は、本発明の二重特異性コンジュゲート及び上記に記載のタグ構築物を含むキットを提供する。
第7の態様では、本発明は、治療における使用のための、本発明の結合タンパク質、本発明の二重特異性コンジュゲート、本発明の複合体、本発明の組成物又は本発明のキットを提供する。
第8の態様では、本発明は、がんの治療又は予防に使用するための、本発明の結合タンパク質、本発明の二重特異性コンジュゲート、本発明の複合体、本発明の組成物又は本発明のキットを提供する。
同様に、本発明は、本発明の結合タンパク質、本発明の二重特異性コンジュゲート、本発明の複合体又は本発明の組成物を被験体に投与することを含む、がんを治療又は予防する方法を提供する。
また、がんの治療又は予防のための薬剤の製造における、本発明の結合タンパク質、本発明の二重特異性コンジュゲート又は本発明の複合体の使用も提供される。
第9の態様では、本発明は、感染症の治療又は予防に使用するための、本発明の結合タンパク質、本発明の二重特異性コンジュゲート、本発明の複合体、本発明の組成物又は本発明のキットを提供する。
同様に、本発明は、本発明の結合タンパク質、本発明の二重特異性コンジュゲート、本発明の複合体又は本発明の組成物を被験体に投与することを含む、感染症を治療又は予防する方法を提供する。
また、感染症の治療又は予防のための薬剤の製造における、本発明の結合タンパク質、本発明の二重特異性コンジュゲート又は本発明の複合体の使用も提供される。
第10の態様では、本発明は、本発明の結合タンパク質をコード化するヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。
第11の態様では、本発明は、本発明の核酸分子を含む組換え構築物を提供する。
第12の態様では、本発明は、本発明の核酸分子又は本発明の組換え構築物を含むベクターを提供する。
第13の態様では、本発明は、本発明の核酸分子、本発明の組換え構築物又は本発明のベクターを含む細胞を提供する。
第14の態様では、本発明は、抗原を認識するTCRを発現するT細胞を活性化するin vitro又はex vivo方法を提供し、前記方法は、抗原提示細胞を、
i)本発明の二重特異性コンジュゲート及び上記に記載のタグ構築物であって、前記タグ構築物が、前記TCRによって認識される抗原を含む、二重特異性コンジュゲート及びタグ構築物又は
ii)本発明の複合体であって、前記複合体のタグ構築物が、前記TCRによって認識される抗原を含む、複合体
と接触させることを含む。
当業者に知られているように、抗体は、2本の重鎖及び2本の軽鎖の計4本のポリペプチド鎖を含むタンパク質である。典型的には、重鎖は互いに同一であり、軽鎖は互いに同一である。軽鎖は、重鎖より短い(したがって、より軽い)。重鎖は、4つ又は5つのドメインを含み、N末端には可変(V)ドメインが位置し、3つ又は4つの定常ドメイン(N末端からC末端までそれぞれC1、C2、C3及び、存在する場合はC4)が続いている。軽鎖は、2つのドメインを含み、N末端には可変(V)ドメインが、C末端には定常(C)ドメインが位置する。重鎖では、C1ドメインとC2ドメインとの間に非構造化ヒンジ領域が位置する。抗体の2本の重鎖は、ヒンジ領域に存在するシステイン残基の間に形成されるジスルフィド結合によって結合し、それぞれの重鎖は、C1及びCドメインにそれぞれ存在するシステイン残基の間のジスルフィド結合によって1本の軽鎖と結合している。
哺乳類では、ラムダ(λ)及びカッパ(κ)として知られる2種類の軽鎖が産生される。κ軽鎖の場合、可変ドメイン及び定常ドメインは、それぞれVドメイン及びCドメインと呼ばれる場合がある。軽鎖がλ軽鎖であるかκ軽鎖であるかは、その定常領域によって決定し、λ軽鎖とκ軽鎖の定常領域は異なるが、任意の種の同じ種類の軽鎖では、全て同じである。
重鎖の定常領域は、ある種の任意のアイソタイプの全ての抗体で同じであるが、アイソタイプ間では異なる(抗体のアイソタイプの例としては、クラスIgG、IgE、IgM、IgA及びIgDがあり、また多くの抗体のサブタイプがある、例えば、IgG抗体には、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4という4つのサブタイプがある)。抗体の特異性は、その可変領域の配列によって決定される。可変領域の配列は、どの個体においても、同じ種類の抗体間で異なる。特に、抗体の軽鎖及び重鎖の両方は、3つの超可変相補性決定領域(CDR)を含む。一組の軽鎖及び重鎖では、2本の鎖のCDRは、抗原結合部位を形成する。CDRの配列は、抗体の特異性を決定する。抗原結合部位を含む、一組の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、(抗原)結合ドメインとして知られている。
重鎖の3つのCDRは、N末端からC末端まで、VHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3として知られ、軽鎖の3つのCDRは、N末端からC末端まで、VLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3として知られている。
本発明は、CD40と特異的に結合し、CD40のアゴニストである新規の結合タンパク質を提供する。用語「結合タンパク質」は、抗体の結合ドメインを含む結合タンパク質(すなわち、抗体から得られた若しくは由来する、又は抗体の結合ドメインに基づく結合ドメイン)を示すために本明細書で使用される。したがって、結合タンパク質は、抗体の結合部位、又は抗体由来の結合部位を含む、抗体ベースの、又は抗体類似の分子である。したがって、それは免疫学的結合剤である。
上記のように、抗体の結合ドメインは、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインからなる(したがって、古典的な二価抗体は、2つの結合ドメインを有する)。したがって、結合タンパク質は、天然抗体若しくはそのフラグメント、又は人工抗体若しくは合成抗体、又は抗体構築物、又は誘導体(例えば、更に後述するように、単鎖抗体)であってもよい。要約すると、本発明の結合タンパク質は、抗体の結合ドメインを含み、抗体の前記結合ドメインは、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含む。
本発明の結合タンパク質は、CD40と特異的に結合する。「特異的」とは、結合タンパク質が、非標的分子への結合と区別できる方法で、その標的(すなわち、CD40)に結合すること、より具体的には、結合タンパク質が他の分子と結合するよりも大きな結合親和性でその標的(CD40)と結合することを意味する。すなわち、結合タンパク質は、他の非標的分子には結合しない、又は評価できる程度若しくは有意な程度には結合しない、又はCD40と結合するよりも低い親和性でこのような他の分子に結合する。CD40と「特異的に結合する」結合タンパク質は、代替的に、CD40に「対して向けられる」又はCD40を「認識する」と言及される場合がある。言い換えれば、CD40は、本発明の結合タンパク質の抗原であり、したがって、結合タンパク質は、CD40を抗原として結合するという意味で、「抗原結合タンパク質」である。
「CD40」という用語は、任意の種からのCD40を言及する。したがって、それは、ヒトCD40又は他の種、特に他の哺乳類におけるその等価物若しくは対応する分子であってもよい。好ましくは、CD40は、本発明の結合タンパク質がヒトCD40と特異的に結合し、ヒトCD40のアゴニストであるような、ヒトCD40である。ヒトCD40は、UniProt受託番号P25942、及びSEQ ID NO:17に示されるアミノ酸配列を有する。特に、本発明の第1の結合タンパク質は、天然状態、すなわち、細胞表面で発現しているときのCD40(特にヒトCD40)に結合する。
本発明の結合タンパク質は、CD40のアゴニストである。すなわち、この分子は、CD40をアゴニスト化(agonising)、又は活性化することができる(すなわち、本発明の結合タンパク質がCD40と結合すると、CD40を活性化する)。これは、本発明の結合タンパク質が、CD40のシグナル伝達を増強できることを意味する。したがって、結合タンパク質は、CD40を発現する細胞、特に、樹状細胞、又はB細胞、マクロファージ、単球若しくは任意のミエロイド細胞などのCD40を発現するAPCの活性を高める(すなわち、活性化又は刺激する)ことができる。当該細胞は、CD11b陽性又はCD11c陽性であってよい。特定の実施形態では、結合タンパク質は、DCを活性化することができる。
DCなどのプロフェッショナルAPCは、CD40を介したシグナル伝達が起こると活性化され、免疫細胞の活性化、増殖、並びにサイトカイン及びケモカインの産生を含む幾つかの生物学的事象を引き起こす。CD40によるDC、又は他のAPCの活性化を決定する方法は、当該技術分野(例えば、Schonbeckら、2001,Cell Mol Life Sci.,58:40-43、並びにWO2015/091853及びUS2017/0342159を参照)で知られており、以下の実施例に記述されている。
DCのなどのAPCの活性を調節(又は増加)する特定の抗CD40結合分子の能力を、例えば、CD86及びCD80などの細胞表面マーカーのレベルを測定すること、サイトカイン放出を測定すること(例えば、DCによるIL-12放出)、及び/又は抗CD40結合分子誘導T細胞活性(例えば、IFNγの分泌)を測定することによって決定する方法が、当該技術分野において知られ、報告されている。in vitro DC活性化アッセイは、以下の実施例に記述されており、活性化マーカーとしてIL-12放出を利用する。
当該技術分野でよく知られているように、CD40は、細胞表面タンパク質である。リガンド又はアゴニストと結合すると、CD40は、内在化される可能性がある。TNFRの内在化は、免疫活性化を制御する方法となり得る。CD40への抗体は、異なる内在化特性を有する可能性がある。抗体結合後のCD40の内在化は、抗体の内在化をもたらし、したがって、その抗体に(非共有結合又は共有結合で)結合したカーゴは、CD40を介した抗体の取り込みによる細胞によって取り込まれることが可能である。次に、CD40受容体は、細胞表面に再利用して戻ることができ、理論に束縛されることなく、CD40の内在化及び再利用が、抗CD40抗体のアゴニスト活性に影響を及ぼす可能性がある。現在の発明では、結合タンパク質がCD40に結合すると、CD40の内在化を誘発し、その後、アゴニスト活性化が、表面上のCD40クラスター化によって引き起こされ得る場合に、CD40が細胞表面へ再利用されることが好ましい。しかしながら、アンタゴニスト抗体は再利用を誘発せず、それによって、受容体(CD40)の内在化が免疫活性化を阻害する可能性がある。
詳細に述べたように、本発明の特異的結合分子は、6つのCDR配列を含む。軽鎖及び重鎖可変ドメインは、それぞれ3つのCDRを含む、すなわち、軽鎖可変ドメインは、VLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3を含み、重鎖可変ドメインは、VHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3を含む。6つのCDRは、以下のアミノ酸配列を有する。
VLCDR1は、SEQ ID NO:1に記載された配列を有する
VLCDR2は、SEQ ID NO:2に記載された配列を有する
VLCDR3は、SEQ ID NO:3に記載された配列を有する
VHCDR1は、SEQ ID NO:4に記載された配列を有する
VHCDR2は、SEQ ID NO:5に記載された配列を有する;及び
VHCDR3は、SEQ ID NO:6に記載された配列を有する。
本発明の結合タンパク質は、当該技術分野において知られている方法によって合成することができる。好ましくは、結合タンパク質は、原核生物(例えば、細菌)細胞又は真核生物(例えば、酵母、真菌、昆虫又は哺乳類)細胞を使用した細胞発現系などのタンパク質発現系を使用して合成される。代替的なタンパク質発現系は、in vitro発現系における無細胞であり、結合タンパク質をコード化するヌクレオチド配列が、mRNAに転写され、mRNAが、タンパク質に翻訳される、in vitroのものである。無細胞発現系キットは広く入手可能であり、Thermo Fisher Scientific社から購入することができる。あるいは、結合タンパク質は、非生物学的系で化学的に合成されてもよい。液相合成又は固相合成を使用して、本発明の結合タンパク質を形成し得る又は結合タンパク質内に含まれ得るポリペプチドを生成することができる。
当業者は、当該技術分野で一般的な適切な方法論を用いて、結合タンパク質を容易に製造することができる。特に、結合タンパク質は、CHO細胞などの哺乳類細胞で組換え発現されてもよい。タンパク質発現系で合成された結合タンパク質は、当該技術分野の標準的な技術を使用して精製することができ、例えば、アフィニティータグを用いて合成し、アフィニティークロマトグラフィーで精製することができる。結合タンパク質が抗体である場合、プロテインG、プロテインA、プロテインA/G又はプロテインLなどの1つ以上の抗体結合タンパク質を使用して、アフィニティークロマトグラフィーを用いて精製することができる。
上述したように、結合タンパク質は、抗体ベースの、又は抗体類似の分子である。したがって、結合タンパク質は、天然抗体若しくはそのフラグメント、又は人工抗体若しくは合成抗体、又は抗体構築物、又は誘導体(例えば、単鎖抗体)であってもよい。
好ましい実施形態では、結合タンパク質は、抗体、特にモノクローナル抗体である。「モノクローナル抗体」とは、単一の抗体種からなる抗体製剤、すなわち、製剤中の全ての抗体が、同一のCDRを含む同一のアミノ酸配列を有し、したがって、標的抗原上の同一のエピトープ(「標的抗原」とは、特定の抗体によって結合されるエピトープを含む抗原を意味し、すなわち、本発明の結合タンパク質の標的抗原は、CD40である。)と結合して同一の効果を発揮するものを意味する。言い換えれば、本発明の抗体は、ポリクローナル混合物抗体の一部でないことが好ましい。
上記のような抗体では、CDR配列は、重鎖及び軽鎖の可変ドメインに配置される。CDR配列は、抗原結合のためにCDRを適切に配置するポリペプチドのフレームワーク内に位置する。したがって、可変ドメインの残りの部分(すなわち、CDRのいずれかの部分を形成しない可変ドメイン配列の部分)は、フレームワーク領域を構成する。成熟可変ドメインのN末端は、フレームワーク領域1(FR1)を形成し;CDR1とCDR2の間のポリペプチド配列は、FR2を形成し;CDR2とCDR3の間のポリペプチド配列は、FR3を形成し;CDR3を定常ドメインと結合するポリペプチド配列は、FR4を形成する。本発明の結合タンパク質では、可変領域のフレームワーク領域は、結合タンパク質が、そのCDRを介してCD40に結合するように、適切なアミノ酸配列を有してもよい。
結合タンパク質が抗体である場合、抗体は、任意のアイソタイプ及びサブタイプであってよい。したがって、その抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG、又はIgM抗体であってもよい。免疫グロブリンの異なるアイソタイプに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、μと呼ばれている。異なるアイソタイプの免疫グロブリンのサブユニット構造及び三次元構造は、よく知られている。好ましくは、抗体は、IgG抗体である。上記のように、IgG抗体には、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4という4つのサブタイプが存在する。本発明のIgG抗CD40抗体は、いずれかのIgGサブタイプであってもよく、すなわち、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4抗体であってもよい。
しかしながら、本発明者らは、IgG2サブタイプのIgG抗体(すなわち、IgG2抗体)がCD40に対して特に強力なアゴニスト効果を有し、また効果的なCD40の内在化及び再利用を誘発することを証明した。アゴニストIgG2抗体のCD40への結合は、CD40(及びそれに結合したカーゴ)の内在化を促進することにおいて、特に効果的である。重要なことに、アゴニストIgG2抗体は、WO2020/104690で実証されているように、IgG1抗体よりも、CD40の内在化を促進し、それによって、結合したペプチドカーゴ分子に対するT細胞活性化を刺激することにおいてより効果的である。これは、本実施例に示されるように、IgG2抗体は、一般に、同じ可変ドメインを有するIgG1抗体よりも高いアゴニスト効果を有することを意味する。したがって、一実施形態では、本発明の結合タンパク質は、IgG2抗体(特に、IgG2モノクローナル抗体)である。しかしながら、他の実施形態では、結合タンパク質は、IgG1抗体である。さらに他の実施形態では、結合タンパク質は、ヒンジ領域がIgG2サブタイプであり、一方で定常領域の残りの部分がIgG1サブタイプである、ハイブリッド定常領域などの、IgG1とIgG2の間のハイブリッドである定常領域を有している。
上述のように、抗体軽鎖は、κ(カッパ)型及びλ(ラムダ)型のいずれかに属している。本発明の結合タンパク質は、κ軽鎖又はλ軽鎖を含むことができる。特定の実施形態では、本発明の結合タンパク質は、κ軽鎖を含む。
あるいは、結合タンパク質は、抗体の結合フラグメント(すなわち、抗体フラグメント)、すなわち、CD40に特異的に結合する抗体の能力を保持するフラグメントであってもよい。このようなフラグメントは、よく知られており、例としては、Fab’、Fab、F(ab’)、Fv、Fd、又はdAbフラグメントが挙げられ、これらは、当技術分野でよく知られた技術に従って調製することができる。
Fabフラグメントは、抗体の抗原結合ドメインからなり、すなわち、個々の抗体は、軽鎖及びその結合した重鎖のN末端部分からそれぞれなる、2つのFabフラグメントを含むものと見なすことができる。したがって、Fabフラグメントは、軽鎖全体並びにそれが結合している重鎖のVドメイン及びC1ドメインを含む。Fabフラグメントは、抗体をパパインで消化することにより得ることができる。
F(ab’)フラグメントは、抗体の2つのFabフラグメント、加えて2つの重鎖を結合するジスルフィド結合を含む重ドメインのヒンジ領域からなる。言い換えれば、F(ab’)フラグメントは、2つの共有結合したFabフラグメントとして見なすことができる。F(ab’)2フラグメントは、抗体をペプシンで消化することにより得ることができる。F(ab’)フラグメントを還元すると、フラグメントを他の分子に結合させるために有用である追加のスルフヒドリル基を有するFabフラグメントと見なすことができる、2つのFab’フラグメントが得られる。
あるいは、結合タンパク質は、合成構築物又は人工構築物、すなわち、結合ドメインを含むが、遺伝子操作又は人工的に構築された抗体様分子であってもよい。これには、キメラ又はCDRグラフト化抗体、並びに単鎖抗体及び他の構築物、例えば、scFv、dsFv、ds-scFv、二量体、ミニボディ、ダイアボディ、単一ドメイン抗体(DAB)、TandAbsダイマー及びVHなどの重鎖抗体などが含まれる。特定の実施形態では、人工構築物は、単鎖可変フラグメント(scFv)である。scFvは、単一のポリペプチドが抗体のVドメイン及びVドメインの両方を含む融合タンパク質である。scFvフラグメントは、一般に、V領域及びV領域を共有結合で結合し、分子の安定性に寄与するペプチドリンカーを含む。リンカーは、例えば、1、2、3若しくは4個のアミノ酸、5、10若しくは15個のアミノ酸、又は1~20個の範囲の都合の良い他の中間数などの1~20個のアミノ酸を含んでよい。ペプチドリンカーは、グリシン及び/又はセリンなどの、一般に便利なアミノ酸残基から形成されてもよい。適切なリンカーの一例は、GlySer(SEQ ID NO:21)である。このようなリンカーの多量体、例えば、二量体、三量体、四量体又は五量体、例えば(GlySer)(SEQ ID NO:22)、(GlySer)(SEQ ID NO:82)、(GlySer)(SEQ ID NO:83)若しくは(GlySer)(SEQ ID NO:84)などが使用されてもよい。しかしながら、リンカーが存在することは必須ではなく、Vドメインは、Vドメインとペプチド結合で結合してもよい。scFvは、典型的に、N-末端からC-末端まで、リンカー配列によってV領域に結合したV領域を含む。scFv分子の調製は、当該技術分野でよく知られている。
好ましい実施形態では、結合タンパク質は、ヒトタンパク質、特にヒトモノクローナル抗体、抗体フラグメント又はscFvである。ヒト結合タンパク質は、フレームワーク領域及びCDR領域の両方が、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来するV及びV領域、並びに定常領域がタンパク質に含まれる場合には、ヒト定常領域も含んでもよい。しかしながら、このようなタンパク質は、例えば、無作為又は部位特異的な変異誘発によって導入された変異のように、ヒト生殖細胞系Ig配列によってコード化されていないアミノ酸を含んでもよい。
上述のように、本発明の結合タンパク質は、抗体の結合ドメインを含み、結合ドメインは、重鎖可変ドメイン(又は可変領域)及び軽鎖可変ドメインを含む。特定の実施形態では、結合タンパク質は、A9抗体の重鎖及び軽鎖可変ドメイン、又はその変種を含む。A9抗体は、SEQ ID NO:7に記載のアミノ酸配列を有する可変ドメインを有する軽鎖、及びSEQ ID NO:8に記載のアミノ酸配列を有する可変ドメインを有する重鎖を有する。したがって、特定の実施形態では、本発明の結合タンパク質は、
(i)SEQ ID NO:7に記載のアミノ酸配列、又はその変異体を含む(又はそれらからなる)軽鎖可変ドメイン、及び
(ii)SEQ ID NO:8に記載のアミノ酸配列、又はその変異体を含む(又はそれらからなる)重鎖可変ドメイン
を含む。
本開示では、SEQ ID NO:7の変異体は、SEQ ID NO:7に対して少なくとも80%の配列同一性、例えば、SEQ ID NO:7に対して少なくとも80%、85%、90%又は95%の配列同一性を有するアミノ酸配列として定義される。これは当然ながら、SEQ ID NO:7の変異体のCDR配列が、SEQ ID NO:1~3に記載のA9抗体の天然VLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3配列に対して変化していない、という但し書き付きである。同様に、SEQ ID NO:8の変異体は、SEQ ID NO:8に対して少なくとも80%の配列同一性、例えば、SEQ ID NO:8に対して少なくとも80%、85%、90%又は95%の配列同一性を有するアミノ酸配列として定義される。これは当然ながら、SEQ ID NO:8の変異体のCDR配列が、SEQ ID NO:4~6に記載のA9抗体の天然VHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3配列に対して変化していない、という但し書き付きである。
上述のように、本発明の好ましい実施形態では、結合タンパク質は、モノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、SEQ ID NO:7に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む可変領域を有する軽鎖、及びSEQ ID NO:8に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む可変領域を有する重鎖を有してもよい。
上述のように、モノクローナル抗体は、好ましくはヒトであり、モノクローナル抗体は任意のアイソタイプであってもよいが、例えば、IgG1抗体、IgG2抗体及びIgG1/2定常領域を持つハイブリッド抗体を有する抗体から選ばれるIgG抗体であることが好ましく、最も好ましくはIgG2抗体である。
ヒトIgG2定常領域配列は、SEQ ID NO:18に記載されている(UniProt受託番号P01859)。全長A9重鎖配列は、SEQ ID NO:10に記載され、SEQ ID NO:8の可変領域及びSEQ ID NO:18の定常領域を含む。全長A9軽鎖配列は、SEQ ID NO:9に記載のアミノ酸配列を有するκ軽鎖であり、SEQ ID NO:7の可変領域及びSEQ ID NO:19の定常領域(ヒトκ軽鎖定常領域、UniProt受託番号P01834)を含む。
本発明の実施形態では、結合タンパク質は、
(i)
(a)SEQ ID NO:7に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む(又はこれらからなる)可変ドメイン、及び
(b)SEQ ID NO:19に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む(又はこれらからなる)定常ドメイン、
を含む(又はこれらからなる)軽鎖、並びに、
(ii)
(a)SEQ ID NO:8に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む(又はこれからなる)可変ドメイン、及び
(b)SEQ ID NO:18に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む(又はこれらからなる)定常ドメイン、
を含む(又はこれらからなる)重鎖、
を含む(又はこれらからなる)モノクローナル抗体である。
SEQ ID NO:7及び8の変異体は、上記で定義されている。本開示では、SEQ ID NO:19の変異体は、SEQ ID NO:19に対して少なくとも80%の配列同一性、例えば、SEQ ID NO:19に対して少なくとも80%、85%、90%又は95%の配列同一性を有するアミノ酸配列として定義される。同様に、SEQ ID NO:18の変異体は、SEQ ID NO:18に対して少なくとも80%の配列同一性、例えば、SEQ ID NO:18に対して少なくとも80%、85%、90%又は95%の配列同一性を有するアミノ酸配列として定義される。
天然IgG2定常領域の変異体は、例えば、修飾(変異)定常領域を含む抗体又は抗体構築物の特性を変更又は影響するものが知られている。このような変異体(又は突然変異体)IgG2定常領域の1つは、IgG2 C127Sであり、その使用については、WO2020/104690において実証されている。この突然変異体は、IgG2抗体が免疫応答を開始する能力を高めることが見出されているIgG2B立体構造に固定されている。IgG2 C127S変異体のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:20に示される。配列の比較から明らかなように、天然IgG2定常配列(SEQ ID NO:18に記載)の14位のシステイン残基は、C127S変異体(SEQ ID NO:20に記載)においてセリンに置換される。IgG2 C127S定常領域は、本発明の結合タンパク質に使用することができる。IgG2形式が、アンタゴニストCD40抗体をスーパーアゴニスト抗体に変化させることができ、その効果が、IgG2Bヒンジ-CH1領域に依存することが、最近Yuら(Cancer Cell 37(6):850-866,2020)により示された。
したがって、本発明の他の実施形態では、結合タンパク質は、
(i)
(a)SEQ ID NO:7に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む(又はこれらからなる)可変ドメイン、及び
(b)SEQ ID NO:19に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む(又はこれらからなる)定常ドメイン、
を含む(又はこれらからなる)軽鎖、並びに、
(ii)
(a)SEQ ID NO:8に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む(又はこれからなる)可変ドメイン、及び
(b)SEQ ID NO:20に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む(又はこれらからなる)定常ドメイン、
を含む(又はこれらからなる)重鎖、
を含む(又はこれらからなる)モノクローナル抗体である。
同様に、IgG1定常領域は、本発明の結合タンパク質に使用することもでき、後述の実施例においてアゴニスト活性を有することが示されている。したがって、本発明の他の実施形態では、結合タンパク質は、
(i)
(a)SEQ ID NO:7に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む(又はこれらからなる)可変ドメイン、及び
(b)SEQ ID NO:19に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む(又はこれらからなる)定常ドメイン、
を含む(又はこれらからなる)軽鎖、並びに、
(ii)
(a)SEQ ID NO:8に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む(又はこれからなる)可変ドメイン、及び
(b)SEQ ID NO:78に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む(又はこれらからなる)定常ドメイン、
を含む(又はこれらからなる)重鎖、
を含む(又はこれらからなる)モノクローナル抗体である。
同様に、サブクラスIgG1とIgG2との間のハイブリッドである定常領域は、本発明の結合タンパク質に使用することもでき、後述の実施例でアゴニスト活性を有することが示されている。したがって、本発明の他の実施形態では、結合タンパク質は、
(i)
(a)SEQ ID NO:7に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む(又はこれらからなる)可変ドメイン、及び
(b)SEQ ID NO:19に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む(又はこれらからなる)定常ドメイン
を含む(又はこれらからなる)軽鎖、並びに
(ii)
(a)SEQ ID NO:8に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む(又はこれからなる)可変ドメイン、及び
(b)SEQ ID NO:77に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む(又はこれらからなる)定常ドメイン、
を含む(又はこれらからなる)重鎖
を含む(又はこれらからなる)モノクローナル抗体である。
本発明の特定の実施形態では、結合タンパク質は、
(i)SEQ ID NO:9に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む(又はこれらからなる)軽鎖、及び
(ii)SEQ ID NO:10に記載のアミノ酸配列又はその変異体を含む(又はこれからなる)重鎖、
を含む(又はこれらからなる)モノクローナル抗体である。
特定の実施形態では、結合タンパク質は、SEQ ID NO:9の軽鎖及びSEQ ID NO:10の重鎖を含む、A9抗体である。
本開示では、SEQ ID NO:9の変異体は、SEQ ID NO:9に対して少なくとも80%の配列同一性、例えば、SEQ ID NO:9に対して少なくとも80%、85%、90%又は95%の配列同一性を有するアミノ酸配列として定義される。これは当然ながら、SEQ ID NO:9の変異体のCDR配列が、SEQ ID NO:1~3に記載のA9抗体の天然VLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3配列に対して変化していない、という但し書き付きである。同様に、SEQ ID NO:10の変異体は、SEQ ID NO:10に対して少なくとも80%の配列同一性、例えば、SEQ ID NO:10に対して少なくとも80%、85%、90%又は95%の配列同一性を有するアミノ酸配列として定義される。これは当然ながら、SEQ ID NO:10の変異体のCDR配列が、SEQ ID NO:4~6に記載のA9抗体の天然VLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3配列に対して変化していない、という但し書き付きである。
A9 Vドメイン及びIgG2 C127S定常ドメインからなる抗体重鎖は、SEQ ID NO:74に記載のアミノ酸配列を有する。したがって、特定の実施形態では、結合タンパク質は、SEQ ID NO:9の軽鎖及びSEQ ID NO:74の重鎖を含む。
A9 Vドメイン及びIgG1定常ドメインからなる抗体重鎖は、SEQ ID NO:86に記載のアミノ酸配列を有する。したがって、特定の実施形態では、結合タンパク質は、SEQ ID NO:9の軽鎖及びSEQ ID NO:86の重鎖を含む。
A9 Vドメイン及びハイブリッドIgG1/IgG2定常ドメインからなる抗体重鎖は、SEQ ID NO:85に記載のアミノ酸配列を有する。したがって、特定の実施形態では、結合タンパク質は、SEQ ID NO:9の軽鎖及びSEQ ID NO:85の重鎖を含む。
A9可変ドメイン及び/又は定常ドメインの配列の変異体を有する結合タンパク質は、上記の活性(すなわち、CD40、特にヒトCD40と特異的に結合し、そのアゴニストである)を有する、機能的変異体である。変異体配列は、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入及び/又は欠失により、天然A9配列に対して修飾されてもよい。
天然A9配列に対するアミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換であってもよい。本明細書で使用する「保存的アミノ酸置換」という用語は、あるアミノ酸残基が、類似の側鎖を有する別のアミノ酸残基に置換されているアミノ酸置換に言及する。類似の側鎖を有するアミノ酸は、類似の性質を持つ傾向があるため、ポリペプチドの構造又は機能に重要なアミノ酸の保存的置換は、同じ位置の非保存的アミノ酸置換よりもポリペプチドの構造/機能への影響が少ないことが予想される。塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非電荷極性側鎖(例えば、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン)、非極性側鎖(例えば、グリシン、システイン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義されている。したがって、保存的アミノ酸置換とは、特定のアミノ酸残基が、同じファミリーにおける異なるアミノ酸に置換される置換と考えることができる。しかしながら、アミノ酸置換は同様に、あるアミノ酸が、異なるファミリーに属する側鎖を有する別のアミノ酸に置換される、非保存的置換であってもよい。
上述のように、本開示によれば、天然A9配列の変異体は、天然配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有する。配列同一性は、任意の便利な方法によって評価され得る。しかしながら、配列間の配列同一性の程度を決定するために、配列のペアワイズアライメント又はマルチプルアライメントを行うコンピュータプログラムが有用であり、例えば、EMBOSS Needle又はEMBOSS stretcher(共にRice,P.ら、Trends Genet.16,(6)pp276-277,2000)は、ペアワイズ配列アライメントに使用でき、一方でClustal Omega(Sievers Fら、Mol.Syst.Biol.7:539,2011)又はMUSCLE(Edgar,R.C.,Nucleic Acids Res.32(5):1792-1797,2004)は、マルチプル配列アライメントに使用できるが、任意の他の適切なプログラムを使用することもできる。アライメントがペアワイズであろうとマルチプルであろうと、局所的よりむしろ全体的に(すなわち、参照配列の全体にわたって)実行されなければならない。
配列のアライメント及び%同一性の計算は、例えば、標準的なClustal Omegaパラメータである、Gonnet、gap opening penalty 6、gap extension penalty 1を使用して決定できる。あるいは、標準的な EMBOSS Needleパラメータである、matrix BLOSUM62、gap opening penalty 10、gap extension penalty 0.5を使用することもできる。他の適切なパラメータを使用することもできる。
本出願の目的では、異なる方法で得られた配列同一性値間に論争がある場合、EMBOSS Needleを使用して、デフォルトパラメータで全般的ペアワイズアライメントによって得られた値が有効であるとみなされる。
上記のように、本発明の更なる態様は、
上記のような本発明の少なくとも1つの第1の結合タンパク質、及び
抗体の結合ドメインを含み、ペプチド部分を結合する、少なくとも1つの第2の結合タンパク質、
を含む二重特異性コンジュゲートであり、
第1の結合タンパク質及び第2の結合タンパク質は、共有結合している。
上記のように、本発明の二重特異性コンジュゲートは、モジュールシステムの構成要素である。二重特異性コンジュゲートは、(1)CD40;及び(2)ペプチドタグ、又はタグ部分とも呼ばれる、ペプチド部分を認識する(すなわち、特異的に結合する)。以下に更に説明するように、ペプチドタグは、本質的に任意のペプチド又はアミノ酸配列であってもよい。本発明の二重特異性コンジュゲートを、ペプチド部分及び抗原の両方を含むタグ構築物と組み合わせることにより、抗原に対する特異的な免疫応答を誘発できるワクチン複合体が形成される。上記のように、ワクチン複合体は、樹状細胞などの標的抗原提示細胞(APC)の表面のCD40と結合してアゴニスト化することにより、標的抗原提示細胞を活性化し、複合体の内在化に続いてAPCの内部に抗原を送達し、その結果、抗原提示及び抗原を認識するT細胞の活性化が生じる。
本発明の二重特異性コンジュゲートは、少なくとも1つの第1の結合タンパク質及び少なくとも1つの第2の結合タンパク質を含む。上記のように、第1の結合タンパク質及び第2の結合タンパク質は、異なる標的を認識し、したがって、異なるタンパク質である。少なくとも1つの第1の結合タンパク質及び少なくとも1つの第2の結合タンパク質を含む二重特異性コンジュゲートは、2つ以上の第1の結合タンパク質及び/又は第2の結合タンパク質を含んでもよい。一実施形態では、コンジュゲートは、1つの第1の結合タンパク質及び2つ以上、例えば、2~4の第2の結合タンパク質を含む。このような実施形態では、第1の結合タンパク質は、2価であってもよく、又は2以上の結合価を有してもよい。このような実施形態では、第2の結合タンパク質は、1価であってもよい。
いずれにせよ、コンジュゲートは、2つの標的のそれぞれ、すなわちCD40及びタグ部分のそれぞれについて、2つ以上の結合ドメインを有することが好ましい。言い換えれば、コンジュゲートは、各標的に対して少なくとも2価の結合価を有することが好ましい。これに関連して、結合価は、特定の標的を認識する結合ドメインの数と等価であると見なすことができる。したがって、第1の結合タンパク質及び/又は第2の結合タンパク質は、それぞれ2つ以上の結合ドメインを有していてもよく、及び/又はコンジュゲートは、2つ以上の第1の結合タンパク質及び/又は第2の結合タンパク質を含んでもよい。したがって、二重特異性コンジュゲートに使用される結合タンパク質は、1価であってもよく、又は2価以上であってもよい、すなわち、1つ又は2つ以上の結合ドメイン、例えば、2~6、又は2~4の結合ドメインを含んでもよい。
さらに、二重特異性コンジュゲートは、1つの第1の結合タンパク質又は第2の結合タンパク質を含んでもよく、又は2つ以上の第1の結合タンパク質及び/又は第2の結合タンパク質、例えば、2~6つ、又は2~4つの第1の結合タンパク質及び/又は第2の結合タンパク質を含んでもよい。結合タンパク質が1より大きい結合価を有する場合、一実施形態では、二重特異性コンジュゲートは、その結合タンパク質の1つ、例えば、2以上の結合価を有する1つの第1の結合タンパク質を含んでもよい。結合タンパク質が1の結合価を有する場合、一実施形態では、二重特異性コンジュゲートは、その結合タンパク質の2つ以上、例えば、2つ以上、例えば2~4つの1価の第2の結合タンパク質を含んでもよい。複数の第2の結合タンパク質が存在する場合、第2の結合タンパク質は、同じ標的ペプチド部分に特異的であることが理解される。コンジュゲート中に複数の第1の結合タンパク質又は第2の結合タンパク質が存在する場合、各第1の結合タンパク質及び各第2の結合タンパク質は、一般に同じであるが、異なっていてもよい(例えば、各コンジュゲートは、CD40と結合する単一の2価の第1の結合タンパク質、及び2つの異なる1価の第2の結合タンパク質を含むことができ、各々が異なるタグ部分と結合するか、又は各々が同じタグ部分に向けられているが、例えば、その中の異なる部分に結合するか、又は異なるCDRを使用して同じエピトープを認識する)。
好ましい一実施形態では、二重特異性コンジュゲートは、1つの2価の第1の結合タンパク質、及び2つの1価の第2の結合タンパク質を含む。上記のように、2つの1価の第2の結合タンパク質が同一であることが好ましい。したがって、このような実施形態では、コンジュゲートは、4価である。
用語「結合親和性」は、結合分子が結合相手若しくはターゲットと結合する、又は結合しない能力に言及する。結合親和性は、結合相手に対する親和定数(K)を決定することによって定量化することができる。同様に、結合分子のその標的への結合の特異性は、結合分子及び非標的分子に関する親和定数と比較した、その標的に対する結合分子の親和定数の観点から定義されてもよい。典型的には、その標的に対する結合分子のKは、別の非標的分子に関するKよりも少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5、10、15、20、30、40、50、100又は200倍小さくなる。結合親和力及び解離定数は、以下の実施例で実証されるように、よく知られた方法を使用して容易に決定することができる。第1の結合タンパク質及び第2の結合タンパク質は、他の非標的分子への結合に対する親和性よりも少なくとも2、5、10、50、100又は200倍高い親和性でそれらの標的に結合することが可能であってよい。
第1の結合タンパク質及び第2の結合タンパク質は、10、5、4、3、2若しくは1μM、又は1000nM以下の親和定数でそれぞれの標的と結合し得るが、より高い親和性を示すこともでき、例えば、約900、800、700、600、500、400、300、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、25、20、15、10、7、5、4、3、2、1、0.5、0.2、0.1、0.05、0.01nM以下である。親和性は、例えば、ELISA、等温滴定カロリメトリー(ITC)、表面プラズモン共鳴(例えば、BIAcore)又は蛍光偏光アッセイを使用して決定することができる。以下に実証するように、A9抗体は、約5nMの親和定数でヒトCD40と結合する。
上述のように、本発明の二重特異性コンジュゲートの第1の結合タンパク質は、CD40と特異的に結合し、アゴニスト化する、本発明の第1の態様の結合タンパク質である。好ましい実施形態では、第1の結合タンパク質は、モノクローナル抗体である。上記のように、本発明者らは、IgG2アイソタイプの抗体が、CD40及び受容体に結合したカーゴの内在化の促進において、特に効果的であることを見出した。受容体は、その後、細胞表面へ再循環することができる。これは、本発明の二重特異性コンジュゲートに関連して特に重要であり、(上記のように)ワクチン複合体として投与される場合、CD40によるコンジュゲートの内在化は、タグ構築物の内在化、ひいては抗原の処理及び提示に必要である。したがって、第1の結合タンパク質が、IgG2アイソタイプのモノクローナル抗体(又はIgG2 C127S変異体などの変異体)であることが好ましい。特定の好ましい実施形態では、第1の結合タンパク質は、A9抗体である。
第2の結合タンパク質は、抗体の結合ドメインを含む。上述のように、このようなドメインは、抗体から得られる若しくは抗体に由来する、又は抗体の抗原結合ドメインに基づく。したがって、第2の結合タンパク質はまた、抗体の結合部位、又は抗体由来の結合部位を含む、抗体ベースの、又は抗体類似の分子である。それは結合ドメインを含むため、第2の結合タンパク質はまた、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、それぞれ3つのCDRを含む。
第2の結合タンパク質は、上記に示したような任意の種類の結合タンパク質であってもよい。しかしながら、ある特定の実施形態では、それは合成抗体構築物であり、特に一本鎖抗体である。好ましい実施形態では、第2の結合タンパク質は、scFvである。好ましくは、第1の結合タンパク質は、モノクローナル抗体(最も好ましくはIgG2アイソタイプの)であり、第2の結合タンパク質は、scFvである。特定の実施形態では、二重特異性コンジュゲートは、第1の結合タンパク質として、1つのモノクローナル抗体、及び第2の結合タンパク質として、2つのscFvを含む。
第1の結合タンパク質及び第2の結合タンパク質は、共有結合している。上述のように、第2の結合タンパク質が単鎖抗体誘導体(例えば、scFv)であり、第1の結合タンパク質は、モノクローナル抗体であることが好ましい。この例では、第2の結合タンパク質(scFv)は、第1の結合タンパク質(モノクローナル抗体)の軽鎖又は重鎖に共有結合していてもよい。第2の結合タンパク質は、モノクローナル抗体のいずれかの鎖のいずれかの末端、すなわち、モノクローナル抗体の重鎖又は軽鎖のN末端又はC末端に結合されてもよい。特定の実施形態では、第2の結合タンパク質は、第1の結合タンパク質(モノクローナル抗体)の重鎖又は軽鎖のC末端に結合される。したがって、第2の結合タンパク質は、軽鎖の定常領域(C)又は重鎖の定常領域の定常ドメイン(Cドメイン)、例えばC3ドメインに結合され得る。
特定の実施形態では、第1の結合タンパク質は、モノクローナル抗体であり、第2の結合タンパク質は、scFvであり、scFvは、抗体の重鎖のC3ドメイン、又は抗体の軽鎖のCドメインのいずれかと共有結合している。第1の結合タンパク質がモノクローナル抗体であり、第2の結合タンパク質がscFvである場合、二重特異性コンジュゲートは、1つのモノクローナル抗体及び2つのscFvを含むことが特に好ましい。この場合、2つのscFvが抗体の別々の鎖に結合していること(すなわち、2つのscFvが抗体の同じ鎖に結合していないこと)が好ましい。2つのscFvが抗体の対応する鎖に結合していること、すなわち、1つのscFvが抗体の2つの重鎖のそれぞれに結合していること、又は1つのscFvが抗体の2つの軽鎖のそれぞれに結合していることが特に好ましい。しかしながら、これは必ずしもそうではなく、すなわち、1つのscFvが重鎖に、1つが軽鎖に結合していてもよい。
2つのscFvは、抗体の対応する鎖に同等の位置で結合していることが特に好ましい。特定の実施形態では、(i)1つのscFvが抗体の各重鎖のC3ドメインに結合している、又は(ii)1つのscFvが抗体の各軽鎖のCドメインに結合している、のいずれかである。
前述のように、第2の結合タンパク質(例えば、scFv)が、コンジュゲートの第1の結合タンパク質を構成するモノクローナル抗体の重鎖又は軽鎖のN末端に結合されることも代替的に可能である。第1の結合タンパク質が単鎖抗体誘導体である、本発明の実施形態では、第2の結合タンパク質は、第1の結合タンパク質のN末端又はC末端に結合されてもよい。上記とは逆に、第2の結合タンパク質が重鎖及び軽鎖を含み、第1の結合タンパク質が単鎖のみを含む場合、第1の結合タンパク質は、上記の説明と同等に、第2の結合タンパク質の重鎖又は軽鎖のいずれかのN末端又はC末端に結合してもよい。
第2の結合タンパク質のいずれかの末端は、第1の結合タンパク質に結合されてもよく、例えば、第2の結合タンパク質のN末端又はC末端は、上記の位置で、第1の結合タンパク質に結合されてもよい。特定の実施形態では、第2の結合タンパク質のN末端又はC末端は、第1の結合タンパク質のN末端又はC末端に結合している。好ましい実施形態では、第1の結合タンパク質がモノクローナル抗体であり、第2の結合タンパク質がscFvである場合、scFvのN末端は、抗体の重鎖のC末端に結合される。他の好ましい実施形態では、scFvのN末端は、抗体の軽鎖のC末端に結合している。あるいは、scFvのC末端は、抗体の重鎖又は軽鎖のN末端に結合されてもよい。他の代替案では、scFvのC末端は、リンカー分子を介して抗体の重鎖又は軽鎖のC末端に結合されてもよい。
第1の結合タンパク質及び第2の結合タンパク質の末端による結合の上記の議論では、C末端への結合は、C末端のカルボキシル基を介した結合を意味し、N末端への結合は、N末端のアミノ基を介した結合を意味している。あるいは、それらの末端で結合されるのではなく、第2の結合タンパク質は、第1の結合タンパク質内のアミノ酸の側鎖に結合されてもよく、及び/又は第1の結合タンパク質は、第2の結合タンパク質内のアミノ酸の側鎖に結合されてもよい。この例では、アミノ酸は、第1の結合タンパク質及び/又は第2の結合タンパク質内の任意の場所、すなわち、N末端又はその付近、C末端又はその付近、又はポリペプチド鎖内の中央の位置に配置されてもよい。
適切な種類の共有結合を使用して、第1の結合タンパク質及び第2の結合タンパク質を結合することができる。例えば、2つのタンパク質は、システイン残基の側鎖の間のジスルフィド結合によって結合されてもよい。あるいは、2つのタンパク質は、例えば、アミノ酸側鎖間(例えば、一方の抗原結合タンパク質のリシン残基の側鎖と、他方の抗原結合タンパク質のグルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基の側鎖との間)、又は側鎖と末端との間(例えば、一方の結合タンパク質のC-末端と、他方の結合タンパク質のリシン残基の側鎖との間)のイソペプチド結合によって結合されてもよい。好ましい実施形態では、第1の結合タンパク質及び第2の結合タンパク質は、ペプチド結合によって結合されており、すなわち、第2の結合タンパク質(又は第2の結合タンパク質の少なくとも1つの鎖)は、第1の結合タンパク質の鎖の少なくとも1つと同じポリペプチド鎖内に位置している。
上述のように、第2の結合タンパク質は、好ましくは単鎖抗体誘導体、例えば、scFvであり、第1の結合タンパク質は、好ましくはモノクローナル抗体である。第2の結合タンパク質が単鎖抗体誘導体(好ましくはscFv)であり、第1の結合タンパク質がモノクローナル抗体である例では、第2の結合タンパク質は、抗体の軽鎖又は重鎖と同じポリペプチド鎖内に位置してもよい。
第2の結合タンパク質及び第1の結合タンパク質の1つの鎖が、単一のポリペプチド鎖内に位置する場合、第1の結合タンパク質の鎖は、第2の結合タンパク質に対してN末端に位置することが好ましいが、第2の結合タンパク質は、第1の結合タンパク質の鎖に対して代替的にN末端に位置してもよい。
特定の実施形態では、二重特異性コンジュゲートは、モノクローナル抗体である第1の結合タンパク質と、scFvである第2の結合タンパク質と、を含み、scFvは、抗体の重鎖と同じポリペプチド鎖内に位置している。好ましくは、scFvは、抗体のC3ドメインに結合するように、抗体重鎖のC末端に位置する(ただし、scFvは、抗体重鎖のN末端に位置してもよい)。あるいは、scFvは、抗体の軽鎖と同じポリペプチド鎖内に位置してもよい。好ましくは、scFvは、抗体のCドメインに結合するように、抗体軽鎖のC末端に位置する(ただし、scFvは、抗体軽鎖のN末端に位置してもよい)。
第1の結合分子及び第2の結合分子は、互いに直接結合していてもよく、又はリンカーを介して結合してもよい(すなわち、互いに間接的に結合してもよい)。リンカーによって2つのタンパク質を結合させる方法は、当技術分野でよく知られており、文献に広く記載されている。例えば、2つのチオール基と反応可能な二官能性薬剤、例えば、ヨード酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHIA)又はN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)をタンパク質と反応させることによって、2つのシステイン残基のチオール基間のリンカーを介して2つのタンパク質を互いに結合することも可能である。アミド及びチオエーテル結合は、例えば、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)を用いて達成することができ、したがって、システイン残基のチオール基間及び/又はアミン基間のリンカーとして使用することができる。したがって、リンカーは、第1の結合タンパク質及び第2の結合タンパク質中の官能基と反応して、2つの鎖の間に共有結合を形成する化学試薬、すなわち、架橋剤であってもよい。多くのリンカー分子が知られており、抗体構築物の分野を含む、コンジュゲートの構成部分を一緒に連結するための当該技術分野において標準であり、任意のこのようなリンカーを使用することができる。
代替的かつ好ましい実施形態では、上記のように、第2の結合タンパク質(又はその鎖)は、第1の結合タンパク質(又はその鎖)と同じポリペプチドに位置する。本実施形態では、第1の結合タンパク質及び第2の結合タンパク質は、ペプチドリンカーによって結合されてもよい。例示的なペプチドリンカーは、潜在的に繰り返されるGSモチーフ(SEQ ID NO:21)を含む。このモチーフは、(GS)リンカーにおいて使用されてもよく、nは、典型的には1~10、例えば、2~6である。代表的なリンカー(n=2、すなわち、当該リンカーは、(GS)リンカーである)は、SEQ ID NO:22に示される。適切なリンカーの他の例は、リジッドリンカーEAK(SEQ ID NO:80)である。このリンカーモチーフはまた、例えば、二量体(EAK)(SEQ ID NO:81)の形態で、繰り返されてもよい。リンカーペプチドは、2つの結合タンパク質(又はその鎖)を一緒に連結すること以外には、機能的又はエフェクター的な役割を果たさない。リンカーは、2つの結合タンパク質を空間的に分離し、どちらかのタンパク質の機能が他方によって立体的に阻害されることを回避するために機能することができる。
特定の実施形態では、二重特異性コンジュゲートは、モノクローナル抗体である第1の結合タンパク質と、scFvである第2の結合タンパク質と、を含み、scFvは、(i)N末端からC末端まで、抗体重鎖、リンカー(特に、SEQ ID NO.22のリンカー)及びscFvを含むポリペプチド鎖中に位置する;又は(ii)N末端からC末端まで、抗体軽鎖、リンカー(特に、SEQ ID NO.22のリンカー)及びscFvを含むポリペプチド鎖中に位置する。
上記のように、二重特異性コンジュゲートの第2の結合タンパク質は、本質的に任意のペプチド又はアミノ酸配列であってもよいペプチド部分(すなわち、ペプチド配列)を認識する。ペプチド部分は、ヒト細胞の表面で発現していないペプチドであってもよい。好ましくは、ペプチド部分は、非ヒトアミノ酸配列を有する(すなわち、非ヒトアミノ酸配列からなる)。「非ヒトアミノ酸配列」とは、ヒトゲノムにコード化されるポリペプチドのアミノ酸配列から若しくはポリペプチド中のアミノ酸配列から得られない、又は由来しないアミノ酸配列を意味する。したがって、本実施形態では、第2の結合タンパク質によって認識されるエピトープは、非ヒトエピトープ、すなわち、非ヒト配列を有するエピトープであり、第2の結合タンパク質は、ヒトタンパク質と特異的に結合又は認識しない。
ペプチド部分は、天然ペプチド、すなわち、天然のタンパク質配列に由来する配列を有するペプチドであってもよい。この場合、ペプチド配列は、非ヒト由来のタンパク質に由来することが好ましく、例えば、ペプチド配列は、微生物に由来していてもよい。微生物由来のペプチド配列は、原核生物(すなわち、細菌又は古細菌)又は微生物真核生物(例えば、酵母)から得られるものであってもよい。したがって、特定の実施形態では、ペプチド部分は、細菌に由来するアミノ酸配列、すなわち、細菌アミノ酸配列(細菌タンパク質に由来するアミノ酸配列)を有する。細菌アミノ酸配列は、任意の適切な細菌、例えば、グラム陽性菌又はグラム陰性菌に由来してもよい。他の実施形態では、ペプチド部分の配列は、ウイルスに由来する。すなわち、第2の結合タンパク質は、微生物タンパク質、例えば、細菌タンパク質、又はウイルスタンパク質からのエピトープを認識してもよい。
特定の実施形態では、ペプチド部分は、微生物毒素に由来する(すなわち、微生物によって産生される毒素に由来する)アミノ酸配列を有する。好ましくは、アミノ酸配列は、細菌毒素に由来する(すなわち、第2の結合タンパク質が、細菌毒素に由来する配列を認識することが好ましい)。有利には、アミノ酸配列は、標準的なワクチン接種スケジュールにおいて(トキソイドの形態で)使用される細菌毒素に由来する。これらのトキソイドに対するヒトの免疫学的応答は既知であり、このようなトキソイドは、負の(すなわち損傷を与える)免疫応答を誘発することなくヒトに投与することができることが知られている。したがって、本発明のワクチン複合体に関連するペプチドタグとしてのこのような配列の使用は、安全であると合理的に仮定することができる。好ましくは、同定された配列は、内因性抗体と高い親和性で結合しないか、又は内因性抗体が結合しても、二重特異性コンジュゲートのscFv結合を上回らない(do not out-compete)。
現在のトキソイドワクチンとしては、破傷風ワクチン及びジフテリアワクチンが挙げられ、それぞれ破傷風トキソイド(Ttd、破傷風毒素の不活性型、Ttx)及びジフテリアトキソイドが使用されている。したがって、第2の結合タンパク質によって認識されるペプチド部分は、Clostridium tetani(破傷風の原因物質)又はCorynebacterium diphtheria(ジフテリアの原因物質)由来のものであってもよい。特に、第2の結合タンパク質によって認識されるペプチド部分は、破傷風毒素(SEQ ID NO:23、UniProt受託番号C4PD05)又はジフテリア毒素(SEQ ID NO:24、UniProtエントリーP00588)由来であってよい。ジフテリア毒素は、技術的にはC.diphtheria細菌ゲノムではなく、プロファージCorynephage betaによってコード化されることが当業者には知られているが、本開示の目的では、ジフテリア毒素は、C.diphtheria由来であると定義される。好ましい実施形態では、第2の結合タンパク質によって認識されるペプチド部分は、破傷風毒素に由来する(すなわち、第2の結合タンパク質は、破傷風毒素内のエピトープを認識する)。「破傷風毒素に由来する」とは、第2の結合タンパク質によって認識されるペプチド部分が、破傷風毒素中に存在するアミノ酸配列を含む、又はアミノ酸配列からなることを意味する。
あるいは、タグペプチドは、人工的な配列、すなわち、第2の結合タンパク質が、天然に存在するいかなるタンパク質とも特異的に結合しないような、自然界に存在しないアミノ酸配列を有してもよい。
一実施形態では、タグペプチドは、αらせん構造を有する。他の実施形態では、タグペプチドは非構造化であり、すなわち、特定の二次構造を採用しない。ペプチドの二次構造は、一般に公開されているソフトウェア(例えば、Jpred4(http://www.compbio.dundee.ac.uk/jpred/,Drozdetskiy et al.,Nucl.Acids Res.43(W1):W389-W394,2015)及びPASTA2.0(http://protein.bio.unipd.it/pasta2/,Walsh et al.,Nucl.Acids Res.42(W):W301-W307,2014)を使用して予測することができる。ペプチド二次構造は、当該技術分野でよく知られているように、円偏光二色性分光法によって実験的に決定することができる(例えば、Greenfield,N.,Nat Protoc.1(6):2876-2890,2006を参照)。
タグペプチドを選択する際の一つの考慮点は、当該ペプチドが可変構造を有するべきではないことである。言い換えれば、理論に拘束されることなく、タグペプチドの構造が状況によって変化しない、又は変更されないことが望ましい可能性がある。例えば、タグペプチドが溶液中で「裸」である場合(すなわち、未修飾)、支持体に結合している場合(すなわち、固定化)、並びにN末端及び/又はC末端が修飾されている場合、例えば、ペプチドが(例えば、抗原との)融合タンパク質に関連して合成されている場合、又は化学標識されている場合などに、タグペプチドの構造が同一であることが望ましいと思われる。ペプチドが変化しやすい構造を持つ場合、幾つかの状況では第2の結合タンパク質と高い親和性で結合しない可能性がある。例えば、円偏光二色性分光法を使用して、タグペプチドの構造が状況間で変化するかどうかを決定することができる。
上記のように、好ましい実施形態では、タグペプチドは、破傷風毒素に由来する。破傷風毒素に由来する適切なタグペプチド配列の例には、以下でさらに議論するMTTE(SEQ ID NO:25、WO2011/115483)、及びSEQ ID NO:11~15のペプチド(P001~P005、WO2020/104690)が含まれる。
MTTEは、既知の破傷風毒素由来の配列であり、殆どの個体が内因性抗体を発達させている普遍的なB細胞エピトープである。本発明者らは、MTTE配列をトリミングした(SEQ ID NO:25のMTTEのアミノ酸1~12に対応する、SEQ ID NO:16に説明されるペプチドを得る)場合、このより短いペプチドに対するscFvの結合が保持されることを発見した。したがって、特定の実施形態では、タグペプチドは、SEQ ID NO:16に記載されるアミノ酸配列を含む、又はそれからなる。他の実施形態では、タグペプチドは、SEQ ID NO:26~29に説明されるもののいずれか1つなどのMTTEのより長いフラグメント、又はSEQ ID NO:25に記載される全長MTTEを含む、又はそれらからなることができる。
あるいは、タグペプチドは、SEQ ID NO:16に対して最大2つのアミノ酸置換を含むSEQ ID NO:16の最小MTTEエピトープの変異体を含んでもよい。したがって、タグペプチドは、SEQ ID NO:16に対して1つのアミノ酸置換を含むSEQ ID NO:16の変異体、又はSEQ ID NO:16に対して2つのアミノ酸置換を含むSEQ ID NO:16の変異体を含んでもよい。SEQ ID NO:16のこのような変異体の数は、SEQ ID NO:30~41に記載されており、したがって、タグペプチドは、SEQ ID NO:30~41に記載されたアミノ酸配列のいずれか1つを含んでもよい。したがって、第2の結合タンパク質は、SEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含むエピトープ、又はSEQ ID NO:16に対して最大2つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を認識してもよい。
P001~P005ペプチド(SEQ ID NO:11~15)は、WO2020/104690に記述されている。そこに詳述されているように、P001~P004(SEQ ID NO:11~14)は、破傷風毒素に由来し、一方で、P005(SEQ ID NO:15)は、N末端のAsp残基及びC末端のArg残基でキャップされたP001に相当する。N-ビオチン化P001(SEQ ID NO:11)、P004(SEQ ID NO:14)及びP005(SEQ ID NO:15)は、αらせん二次構造を示すことを見出したが、P002~P003は構造化されていなかった。予想通り、MTTEは、最近破傷風に対してワクチン接種をした被験体からの血清からの抗体と結合することが明らかとなり、P002は、同じ被験体の少数からの血清からの抗体と結合し、P001及びP003~P005は、どの被験体からの血清からの抗体とも結合しなかった。
したがって、特定の実施形態では、タグペプチドは、SEQ ID NO:11~15のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、又はそれらからなる。タグペプチドは、SEQ ID NO:11~15のいずれか1つの変異体、すなわち、SEQ ID NO:11~15のいずれか1つに対して最大2つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列(例えば、SEQ ID NO:11~15のいずれか1つに対して1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列、又はSEQ ID NO:11~15のいずれか1つに対して2つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列)を代替的に含む、又はそれらからなってもよい。更なる代替案では、タグペプチドは、例えば、少なくとも5、6、7又は8アミノ酸のフラグメント(例えば、8~15、10~15、8~12又は10~12アミノ酸のフラグメント)のSEQ ID NO:11~15の破傷風毒素由来のペプチドのいずれかの一部を含む、又はそれからなってもよい。例えば、タグペプチドは、(P003、SEQ ID NO:13のフラグメントである)SEQ ID NO:42の破傷風毒素由来ペプチド、又は(P004、SEQ ID NO:14のフラグメントである)SEQ ID NO:43、44、45及び46の破傷風毒素由来ペプチドのいずれか1つを含む、又はそれらからなってもよい。タグペプチドは、SEQ ID NO:42~46のいずれか1つに対して最大2つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列(例えば、SEQ ID NO:42~46のいずれか1つに対して1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列又はSEQ ID NO:42~46のいずれか1つに対して2つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列)を代替的に含む、又はそれらからなってもよい。したがって、第2の結合タンパク質は、SEQ ID NO:11~16又は25~46のいずれか1つのアミノ酸配列を有するエピトープを認識し、したがって、SEQ ID NO:11~16、25又は42~46のいずれか1つの配列を有するエピトープで破傷風毒素を結合してもよい。
SEQ ID NO:16のMTTEフラグメント(及び実施例で示されるSEQ ID NO:25の全長MTTE)を結合するscFvの例には、14GIIICII-b(SEQ ID NO:47)及び1BIIICI-b(SEQ ID NO:48) が含まれる。14GIIICII-b scFvのCDRは、SEQ ID NO:49~54に記載されている。14GIIICII-bのVHCDR1、2及び3は、それぞれSEQ ID NO:49~51に記載のアミノ酸配列を有し、14GIIICII-bのVLCDR1、2及び3は、それぞれSEQ ID NO:52~54に記載のアミノ酸配列を有する。1BIIICI-b scFvのCDRは、SEQ ID NO:55~60に記載されている。1BIIIICI-bのVHCDR1、2及び3は、それぞれSEQ ID NO:55~57に記載のアミノ酸配列を有し、1BIIIICI-bのVLCDR1、2及び3は、それぞれSEQ ID NO:58~60に記載のアミノ酸配列を有する。特定の実施形態では、第2の結合タンパク質は、SEQ ID NO:49~54に記載のアミノ酸配列を有する6つのCDRを含むscFvである。他の実施形態では、第2の結合タンパク質は、SEQ ID NO:55~60に記載のアミノ酸配列を有する6つのCDRを含むscFvである。更に他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、SEQ ID NO:47に記載のアミノ酸配列又はSEQ ID NO:48に記載のアミノ酸配列、又はそれらに少なくとも80、90又は95%の配列同一性を有するアミノ酸配列(CDRは、それぞれSEQ ID NO:49~54又は55~60に記載のとおりであるという但し書き)を含むscFvである。
SEQ ID NO:13及び14のP003及びP004ペプチドに結合するscFvの例としては、scFvのY-SM083-p03-C06(SEQ ID NO:68)、Y-SM083-p04-C04(SEQ ID NO:69)、Y-SM083-p04-D04(SEQ ID NO:70)、Y-SM083-p04-F04(SEQ ID NO:71)、Y-SM083-p04-G04(SEQ ID NO:72)及びY-SM083-p04-H04(SEQ ID NO:73)が挙げられる。これらのscFvは、全てWO2020/104690に記載されている。Y-SM083-p03-C06は、P003(SEQ ID NO:13)と結合し、Y-SM083-p04-C04、Y-SM083-p04-D04、Y-SM083-p04-F04、Y-SM083-p04-G04及びY-SM083-p04-H04は、全てP004(SEQ ID NO:14)に結合する。一実施形態では、第2の結合タンパク質は、したがって、P003と結合するscFvであってもよく、SEQ ID NO:68に記載のアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも80、90又は95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、又はそれからなる。他の実施形態では、第2の結合タンパク質は、P004と結合するscFvであってもよく、SEQ ID NO:69~73のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも80、90又は95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、又はそれらからなる。
本発明の二重特異性コンジュゲートは、当該技術分野において知られている方法によって合成することができる。特に、上記のように、コンジュゲートの第1の結合タンパク質及び第2の結合タンパク質は、融合タンパク質(特に、抗体の重鎖(第1の結合タンパク質)及びscFv(第2の結合タンパク質)を含む融合タンパク質であり、軽鎖は別のポリペプチドとして提供される)として関連して提供されることが好ましい。この例では、コンジュゲートは、本発明の結合タンパク質の産生に関して上述したように、タンパク質発現系を使用して合成することができる。
他の態様では、本発明は、本発明の結合タンパク質又は二重特異性コンジュゲートをコード化するヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。A9軽鎖可変ドメインのヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:75に記載され、A9重鎖可変ドメインのヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:76に記載される。この態様の実施形態による核酸分子は、DNA又はRNAであってもよい。核酸分子は、1つ以上のポリペプチド鎖をコード化してもよい。例えば、本発明のポリヌクレオチドは、軽鎖、重鎖、又はその両方をコード化してもよい。2つの核酸分子が提供されてもよく、その中の1つは、軽鎖をコードし、その中のもう1つは、対応する重鎖をコード化している。このような核酸分子又は一対の核酸分子は、コンジュゲートが生成されるように一緒に発現されてもよい。軽鎖及び重鎖をコード化するポリヌクレオチドは、2つの鎖を別々に(すなわち、2つの別々のプロモーター及び他の発現制御要素の制御下にある別々の遺伝子として)コード化してもよく、又はそれらをポリシストロン的(polycistronically)にコード化してもよい。あるいは、2つの鎖は、自己スプライシングリンカー(2Aリンカーなど、Lewisら、2015,J Neurosci Methods 256:22-29を参照)により分離された単一のポリペプチドとしてコード化されてもよい。
本発明の核酸分子は、例えば、Sambrookら(1989,Molecular Cloning-a laboratory manual;Cold Spring Harbor Press)によって記載されているように、当技術分野でよく知られている方法に従って合成することができる。
核酸分子は、コード化ヌクレオチド配列に作動可能に連結された制御配列を含む発現カセットの形態で提供されてもよく、したがって、タンパク質発現系でのコンジュゲートの発現を可能にする。これらの発現カセットは、今度は、典型的には、ベクター(例えば、プラスミド又は組換えウイルスベクター)内に提供される。適切なベクターは、十分な量の遺伝情報を運ぶことができ、コンジュゲート又はその鎖を発現させることができるベクターであってもよい。
したがって、本開示及び本発明はまた、本明細書に定義される核酸分子を含む組換え構築物も含み、好ましくは、核酸分子は、異種核酸配列に連結されている。本明細書で使用される「異種」とは、本明細書に記載の核酸分子に天然に連結されていない核酸配列、すなわち、本明細書に記載の核酸分子に自然界で連結されていない核酸配列を意味する。当該構築物では、本明細書に記載の核酸分子は、本発明の核酸分子の容易なクローニングを可能にするために、制限部位(すなわち、1つ以上の制限酵素によって認識されるヌクレオチド配列)によって隣接されてもよい。「組換え」構築物は、組換え技術、例えば、分子クローニングを使用して合成された核酸構築物である。
構築物に関して本明細書で使用される用語「連結され(linked)」は、核酸分子が異種核酸配列に直接結合されることを単に意味する場合がある。好ましい実施形態では、組換え構築物において、本明細書に開示される核酸分子は、発現制御配列が核酸分子の発現を制御するように、異種発現制御配列に作動可能に連結される。
したがって、本明細書で定義される核酸分子を含む発現カセット、又は本明細書で定義される核酸分子若しくは組換え構築物を含むベクターもまた提供される。発現ベクターは、分子生物学の技術分野において日常的に構築されており、例えば、プラスミドDNA、適切なイニシエーター、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、及び、コンジュゲート又はその鎖の発現を可能にするために必要であり、正しい方向に配置されているポリアデニル化シグナルなどの他の要素、の使用を含むことができる。他の適切なベクターは当業者には明らかであり、例えば、クローニングベクターを含む。
本発明はまた、本発明の核酸分子、組換え構築物、又はベクターを含む細胞を提供する。このような細胞は、このような分子、構築物、又はベクターが導入された細胞である。細胞は、宿主細胞、例えば、クローニング宿主細胞(核酸分子、組換え構築物又はベクターの合成及び/又は産生内で使用)又は生産宿主細胞(核酸分子、組換え構築物又はベクターによってコード化されるタンパク質の発現に使用)として定義され得る。
このような細胞としては、哺乳類細胞若しくは昆虫細胞などの一過性の、若しくは好ましくは安定した高等真核生物細胞株、酵母などの低級真核生物細胞、又は細菌細胞などの原核生物細胞が挙げられる。細胞の特定の例としては、哺乳類HEK293T、CHO、HeLa、NSO及びCOS細胞が挙げられる。好ましくは、選択される細胞株は、安定であるだけでなく、ポリペプチドの成熟グリコシル化及び細胞表面発現を可能にするものである。
上記のように、更なる態様では、本発明は、本発明の第2の態様の二重特異性コンジュゲートと、抗原に共有結合したコンジュゲートの第2の結合タンパク質によって認識されるペプチド部分を含むタグ構築物と、を含む複合体を提供し、タグ構築物のペプチド部分は、コンジュゲートの第2の結合タンパク質に非共有結合している。このような複合体は、タグ構築物がコンジュゲートの第2の結合タンパク質に結合するように、二重特異性コンジュゲートをタグ構築物と接触させることによって形成することができる。
第2の結合タンパク質によって認識されるペプチド部分は、上述したとおりである。記載のように、本質的に任意の配列であってよいが、好ましくは非ヒト配列、好ましくは細菌配列、最も好ましくは破傷風毒素に由来する配列である。
WO2020/104690に記述されているように、ペプチドライブラリーをスクリーニングして、可能性のあるタグペプチドを同定してもよい。例えば、非ヒトタンパク質配列、例えば細菌タンパク質、例えば破傷風毒素(TTX)からの、又はそれらに由来するペプチドのライブラリーを得て、適切な特性を有するペプチドを同定するためにスクリーニングしてもよい。このような特性には、例えば、良好な水溶性、及びα-らせん構造又は二次構造の欠如が含まれ得る。ペプチドライブラリーは、合成ペプチドの調製を含む様々な方法で作成することができる。スクリーニングは、様々な利用可能なソフトウェアプログラムを使用してin silicoで行われてもよく、及び/又は構造解析若しくは他の解析によって行われてもよい。
上述のように、タグ構築物は、抗原に共有結合したタグペプチドを含む。共有結合は、コンジュゲート中の第1の結合タンパク質及び第2の結合タンパク質の共有結合に関して、上述したとおりであってもよい。連結は、直接的であっても間接的であってもよく、すなわち、タグペプチドは、上記のように、リンカーを介して抗原に結合されてもよい。
特定の実施形態では、タグ構築物は、すなわち融合ポリペプチドとして、抗原ペプチドに連結されたタグペプチドを含むポリペプチドである。融合は、(リンカーペプチドを介して)直接的であっても間接的であってもよい。タグペプチド及び抗原ペプチドは、いずれの順序で連結されてもよく、すなわち、タグペプチドは、抗原ペプチドのN-末端又はC-末端に位置していてもよい。他の実施形態では、抗原はタグ構築物に埋め込まれている、すなわち、抗原のN-末端及びC-末端の両方にタグ部分がある。したがって、タグ構築物は、タグペプチドが構築物のN-末端及びC-末端に位置するような、タグペプチドと隣接する抗原を含んでもよい。
上記のように、タグペプチドは本質的に任意のペプチドであってもよいが、特定のペプチドが特に好ましい。抗原は、同様に、被験体において免疫応答を生じさせることが望まれることに対するペプチドであってもよい。しかしながら、特に、タグ構築物は、天然に存在するペプチドではない。好ましくは、タグペプチド及び抗原は、異なるタンパク質に由来し、より好ましくは異なる種に由来する。したがって、タグ構築物は、自然界に存在する配列ではなく、その一方の部分がタグ部分として機能し、そのもう一方の部分が抗原として機能する。むしろ、タグ構築物は、人工的な配列を有している。
抗原は、CD40を保有する細胞、及び特にAPC、例えば、DCに送達することが望まれる抗原であってよい。したがって、抗原は、APCが提示することが望まれる抗原であってもよい。したがって、抗原は、APCによって提示されたときに、活性化することが望まれるT細胞によって認識される抗原であってよい。治療との関連で、治療若しくは予防が望まれる疾患又は状態に関連する抗原を認識するT細胞を活性化することが望ましい。したがって、抗原は、切除することが望まれる、又はより詳細には切除のために標的化することが望まれる細胞によって(例えば、その表面上に)発現される抗原であってもよい。したがって、抗原は、がん抗原(すなわち、がん細胞の発現を示す配列)又は感染に関連する抗原、例えば、病原体の抗原又は病原体に由来する抗原であってもよい。したがって、T細胞の標的細胞は、がん細胞であってもよいし、病原体に感染した細胞であってもよい。病原体は、ウイルスであってもよいし、細胞内細菌(例えば、chlamydia種)又は原虫(例えば、plasmodiumなどのアピコンプレキサン)などの細胞内病原体であってもよい。
したがって、抗原は、1つ以上の抗原性エピトープを含むペプチドである。エピトープは、CD4+及び/若しくはCD8+T細胞エピトープ、並びに/又はB細胞エピトープであってもよい。抗原は、がん細胞又は病原体によって発現されるタンパク質又はポリペプチド、若しくはその一部であってもよい。特に、抗原は、がん細胞によって発現されるネオ抗原、すなわち、がん細胞における体細胞突然変異によって生じた抗原であり、非がん細胞によって発現されない抗原であってもよい。したがって、抗原ペプチドは、1つ以上のネオエピトープを含んでもよい。このようなネオエピトープは、例えば、フレームシフト変異によって生成される場合がある。このような変異は、マイクロサテライト不安定性(MSI)を示すがんにおいて生じる可能性がある。様々なネオ抗原及びネオエピトープが知られており、様々な異なるがんに関連して、文献に記述されている。ネオアンチゲンは、代替的にがん特異的抗原と呼ばれることがある。代替的又は追加で、抗原ペプチドは、腫瘍関連抗原又はオンコウイルスからの抗原からの1つ以上のエピトープであってもよいし、それらを含んでもよい。さらに、腫瘍関連抗原は、当該技術分野でよく知られており、例えば、がん精巣抗原及びhTERT抗原を含む文献に広く記述されている。例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)及びエプスタインバーウイルス(EBV)由来の抗原を含む、腫瘍ウイルス抗原はまた、よく知られ、記述されている。既知の有効ながん抗原(腫瘍特異的ネオエピトープ及び腫瘍関連抗原の両方)の包括的な一覧は、オンラインで公開されており、「Cancer Antigenic Peptide Database」は 、https://caped.icp.ucl.ac.be/Peptide/listでアクセス可能である。腫瘍抗原の広範な一覧はまた、Wang&Wang,Cell Research 27:11-37,2017に提供されている。ネオ抗原、がん関連抗原、及びオンコウイルス抗原は、本明細書においてがん抗原として定義される。
ウイルス抗原及び他の細胞内病原体によって発現される抗原はまた、当該技術分野でよく知られている。抗原は、所定の病原体の1つ以上の血清型からの1つ以上のエピトープであるか、又はそれらを含むことができ、CD4及びCD8エピトープ、及び/又は線形若しくは立体構造的B細胞エピトープを含むこともできる。
したがって、抗原は天然に存在するペプチド分子、又は天然に存在するタンパク質のフラグメント若しくはその一部であってもよい。あるいは、合成ペプチド、例えば、1つ以上の異なるエピトープ、例えば、天然には一緒に存在しないエピトープを含むように設計されかつ調製されたペプチドであってもよい。このような合成ペプチドは、直接的に、又はリンカー若しくはスペーサー配列によって間接的に連結された2つ以上のエピトープを含んでもよい。このような合成エピトープ含有ペプチド(例えば、合成ロングペプチド、SLP)の合成は、当該技術分野で知られており、既知のSLPペプチドが使用され得る。
更なる態様では、本発明は、(i)上述のような本発明の結合タンパク質、(ii)上述のような本発明の二重特異性コンジュゲート、又は(iii)上述のような本発明の複合体を含む、医薬組成物を提供する。結合タンパク質、二重特異性コンジュゲート又は複合体に加えて、医薬組成物はまた、少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は賦形剤も含んでいる。
また、本発明によって提供されるものは、上記で定義したように、二重特異性コンジュゲート及びタグ構築物を別々に含む、キット及び製品である。このようなキット及び製品では、コンジュゲート及びタグ構築物は、薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む組成物中に別々に提供され得る。
本明細書で使用する「薬学的に許容される担体又は賦形剤」には、生理学的に適合するあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤並びに吸収遅延剤などが含まれる。
好ましくは、担体又は賦形剤は、非経口、例えば、皮内、静脈内、筋肉内若しくは皮下投与(例えば、注射又は注入による)に適している。投与経路に応じて、結合タンパク質、二重特異性コンジュゲート、複合体又はその構成成分は、それを不活性化若しくは変性させる可能性のある酸及び他の自然条件の作用からそれらを保護する材料でコーティングされてもよい。
好ましい薬学的に許容される担体は、水性担体又は希釈剤を含む。医薬組成物、キット及び製品に採用され得る適切な水性担体の例としては、水、緩衝水及び生理食塩水が挙げられる。他の担体の例としては、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、並びにこれらの適切な混合物、オレイン酸エチルなどの植物油及び注射用有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散液の場合の必要な粒子径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖類、マンニトールなどの多価アルコール、ソルビトール、塩化ナトリウムなどを含むことが好ましいであろう。
医薬組成物、製品又はキットはまた、薬学的に許容される抗酸化剤を含んでもよい。また、防腐剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤などのアジュバントを含んでもよい。微生物の存在の防止は、滅菌手順によって、及び様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの含有によって、確保され得る。さらに、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を含有させることにより、注射用医薬品の吸収を延長させることができる。
治療用組成物は通常、無菌であり、かつ製造及び保管の条件下で安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、又は高い薬物濃度に適した他の秩序構造として製剤化することができる。
無菌注射液は、必要な量の活性剤(例えば、複合体)を、必要に応じて上記に列挙した成分の1つ又は組み合わせで適切な溶媒中に取り込み、その後、滅菌精密濾過を行うことにより調製することができる。一般に、分散液は、活性剤を、基本的な分散媒体と、上記に列挙した成分の中から必要な他の成分と、を含む無菌媒体(vehicle)に組み込むことによって調製される。無菌注射液の調製のための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性剤の粉末、加えてそのあらかじめ無菌濾過した溶液から追加の所望の成分、を得る真空乾燥及び凍結乾燥(凍結乾燥(lyophilization))である。
医薬組成物、製品及びキットは、結合タンパク質、二重特異性コンジュゲート、複合体又はその成分と同様に、追加の活性成分を含んでいてもよく、例えば、それらは、追加の治療剤又は予防剤を含んでもよい。したがって、複合体は、例えば、がんの治療において、単剤療法として、又は併用療法の一部として使用することができる。本明細書に記述されるようなキット又は組み合わせ製品は、使用説明書を追加で含んでもよい。
本発明の結合タンパク質、本発明の二重特異性コンジュゲート、本発明の複合体、本発明の医薬組成物、本発明のキット、及び本発明の組み合わせ製品は、治療において使用することができる。したがって、本発明は、治療に使用するための本発明の結合タンパク質、二重特異性コンジュゲート、複合体、医薬組成物又はキットを提供する。治療とは、被験体の治療を意味する。本明細書で使用する「治療」とは、あらゆる医学的状態の治療を意味する。このような治療は、予防的(prophylactic)(すなわち、予防的(preventative))、治癒的(又は治癒を意図した治療)、又は緩和的(すなわち、単に状態の症状を制限、緩和又は改善することを目的とした治療)であってよい。治癒的及び緩和的な適用において、複合体又は組成物は、既に障害又は状態に苦しんでいる対象に、その状態又はその症状の1つ以上を治癒、緩和若しくは部分的に停止させるために十分な量で投与される。このような治療的処置は、疾患症状の重症度の減少、又は無症状期間の頻度若しくは持続時間の増加をもたらす可能性がある。これを達成するための十分な量は、「治療的有効量」と定義される。ある目的に対する有効量は、治療される疾患又は状態、その重症度、並びに被験体の大きさ/体重及び一般的な状態に依存する。
予防的治療には、症状の予防、又は症状の進展若しくは発症の遅延が含まれる場合がある。例えば、複合体を使用して、感染症を予防する、又は感染症が進展する程度を低減する、又はがんの進展又は再発を予防、遅延若しくは低減する、例えば、転移の程度を予防又は低減することができる。
本明細書で定義される被験体とは、哺乳類、例えば、牛、馬、羊、豚若しくはヤギなどの家畜、ウサギ、猫若しくは犬などのペット動物、又はサル、チンパンジー、ゴリラ若しくはヒトなどの霊長類のことに言及する。最も好ましくは、被験体は、ヒトである。
本発明の組み合わせ製品は、本明細書に定義される二重特異性コンジュゲート及び本明細書に定義されるタグ構築物を、治療における同時又は逐次使用のための結合製剤として含む。すなわち、本明細書に開示された組み合わせ製品が、本発明に従って使用される場合、すなわち、治療において、コンジュゲート及びタグ構築物は、被験体に同時に又は逐次的に投与される。同様に、本発明のキットが治療において使用される場合、二重特異性コンジュゲート及びタグ構築物は、被験体に同時に又は逐次的に投与される。本明細書で使用される「同時」投与とは、2つの成分が、同じ投与経路によって、かつ実質的に同じ場所で、同時に、又は少なくとも実質的に同時に、被験体に投与されることを意味する。本明細書で使用される「逐次」投与とは、2つの成分が異なる時間に被験体に投与されることを意味する。特に、第1の成分の投与は、第2の成分の投与が開始される前に完了する。
本発明の性質上、二重特異性コンジュゲート及びタグ構築物を逐次投与するためには、両方を同じ経路で、実質的に同じ場所に投与することが必要である。さらに、コンジュゲート及びタグ構築物の投与は、時間的に間隔があってもよいが、投与の間隔は、両方の成分が投与されたときに、複合体が形成されるような間隔であるべきである。したがって、例えば、両成分は、互いに1時間以内、より詳細には、互いに40、30、20、15、10、8、7、6、5、4、3、2若しくは1分以内、又は1分未満で投与されてもよい。
本発明の複合体(又はこのような複合体を含む医薬組成物)が治療目的で被験体に投与されるという言及は、複合体の両方の成分(すなわち、本発明の二重特異性コンジュゲート及び上記のようなタグ構築物)を含む予備混合組成物(例えば、溶液)を指すものとして理解され、この成分は、複合体及びその二つの個々の成分を含む動的平衡状態に存在し得る。
特に、本発明の結合タンパク質、二重特異性コンジュゲート、複合体、組成物、キット、又は複合製品は、がんの治療又は予防に使用することができる。がんとは、悪性又は前悪性の新生物状態を意味する。したがって、がんは、臓器、組織又は細胞型のいずれかのがんであってもよい。固形腫瘍として現れるがん、及び固形腫瘍を示さないがんが含まれる。したがって、造血器系のがんが含まれる。
がんは、前立腺がん、乳がん、大腸がん、膵臓がん、卵巣がん、肺がん、子宮頸がん、横紋筋肉腫、神経芽腫、多発性骨髄腫、白血病、急性リンパ性白血病、メラノーマ、膀胱がん、頭頸部がん、リンパ腫、グリオブラストーマ又は皮膚がんであってもよい。また、副腎がん、骨がん、脳腫瘍、上食道がん、眼がん、胃がん、口腔がん、陰茎がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、及び膣がんであってもよい。肥満細胞腫及び血管肉腫はまた、本発明に従って治療され得る。がんは、新たに診断され、治療に対してナイーブであってもよいし、再発又は難治性であってもよいし、再発及び難治性、原発性又は転移性であってもよい。
以上説明したように、本発明のCD40特異的結合タンパク質は、APC、特に樹状細胞上のCD40をアゴニスト化又は刺激することにより、免疫系を活性化させる。特に、これは、T細胞の活性化をもたらすと考えられる。その後の免疫応答は、腫瘍によるCD40の発現に関係なく、隣接する又はアクセス可能な腫瘍細胞に対して抗がん効果を発揮する。したがって、本発明の結合タンパク質、又はそれを含む複合体は、CD40陽性及びCD40陰性の両方のがんに対して有効であると考えられる。結合タンパク質はまた、病原体に対するワクチン接種レジメン内のアジュバントとしてその効果を発揮することができる。ワクチンプラットフォーム(例えば、弱毒化ウイルス又はDNA/RNAベースのワクチン)がそれ自体では十分な免疫応答を刺激しない場合、中和抗体又はT細胞応答をもたらす有効な抗病原体免疫応答を刺激するために、CD40活性化が必要な場合がある。
CD40特異的結合タンパク質によって提供されるアゴニスト的な免疫活性化効果に加えて、本発明の複合体はまた、処理されて活性化されたT細胞に提示される可能性がある抗原を提供し、したがって、T細胞は、抗原を発現するがん細胞又はウイルス感染細胞に刺激される可能性がある。これは、例えば、腫瘍が外科的に切除された場合など、がん抗原の存在が低い若しくは減少している状況、又は抗CD40治療薬を腫瘍内に送達できない場合に、特に有益であると考えられる。複合体は、アゴニスト活性化シグナルの近傍にがん抗原を提供するための手段を提供する。
複合体によって送達されるがん抗原は、被験体及び特定のがんに基づいて選択される場合があり、その結果、個別化医療が可能になる。例えば、被験体のがんは、遺伝子プロファイリングに供され、適切な抗原を選択することが可能である。抗原のバンク若しくはライブラリー、又は抗原を含むタグ構築物が提供され、そこから被験体のがんの種類に応じて、適切なタグ構築物を調製又は選択することができる。
本発明の結合タンパク質、複合体(並びにキット及び組み合わせ製品)はまた、感染症の治療又は予防に有用である。本発明は、ウイルス感染症、特にRNAウイルスによって引き起こされる感染症に対する治療(例えば、ワクチン接種に対して)において、特に使用され得る。本発明に従って(ワクチン接種によって)治療又は予防され得るRNAウイルスによって引き起こされる感染症としては、コロナウイルス(SARS-CoV-1(SARSの原因物質)、SARS-CoV-2(COVID19の原因物質)及びMERS-CoVなど)、インフルエンザウイルス、エボラウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)、E型肝炎ウイルス(HEV)、狂犬病ウイルス、ポリオウイルス、ロス川ウイルス及び麻疹ウイルスによる感染症が挙げられる。
本発明はまた、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス(例えば、HHV-6)、パルボウイルスB19及びヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こる感染症に対する治療又はワクチン接種に使用できるが、原則として、あらゆるウイルス感染を、本発明に従い治療又は予防することができる。
細胞内細菌感染症はまた、例えば、ブルセラ症(Brucella属の細菌種によって引き起こされる)、Q熱(Coxiella burnetiiによって引き起こされる)、クラミジア(Chlamydia trachomatisによって引き起こされる)及び肺炎(Chlamydia pneumoniaeによって引き起こされる)などの、クラミジアの種によって引き起こされる疾患、ハンセン病(Mycobacterium leprae及びMycobacterium lepromatosisによって引き起こされる)、並びに、(Mycobacterium tuberculosisによって引き起こされる)播種性結核を含む結核、はまた、本発明に従って治療され得る。リーシュマニア症(Leishmania属のトリパノソーマによって引き起こされる)及びトキソプラズマ症(アピコンプレキサンToxoplasma gondiiによって引き起こされる)を含む、細胞内真菌又は原虫感染症はまた、本発明によって治療され得る。したがって、抗原はまた、前述の病原体のいずれかに由来するものであってもよい。
CD40特異的結合タンパク質の場合、CD40のアゴニズムは、免疫系を活性化して、(がんの治療における結合タンパク質の使用と同様の原理で)感染と闘うことができる。本発明の複合体の場合、上述のように、これは、標的病原体に由来する抗原が提供されてもよく、したがって、病原体に対する特異的な免疫応答を誘導することができる。ワクチンプラットフォームは、例えば、パンデミック状況に対して有益に適応可能である。この適応性は、ウイルスの多様性及び抗原ドリフトに対して改変可能な抗原を含むタグ構築物を使用することによって、特に提供され得る。ウイルス抗原は、ウイルスの血清型決定因子と共に、特定の地域におけるHLA有病率に基づいて選択することができる。
抗原(例えば、がん抗原又は病原体由来抗原)は、治療される被験体におけるT細胞の特定のサブセットによって認識されるように選択されてもよく、T細胞は、選択された抗原を認識することが知られているTCRを発現する。特に、抗原は、治療される被験体の養子細胞療法に使用されるT細胞によって認識されることに基づいて選択することができる。
例えば、養子細胞療法では、被験体からT細胞を入手し、関心のある抗原を認識するT細胞を分離することができる。単離されたT細胞は、その後、エフェクター機能を刺激するために膨張及び/又はその他の処理が施され、その後、治療される被験体に再注入される可能性がある。これに関連して、再注入されたT細胞によって認識される抗原は、タグ構築物において使用されてもよい。その後、抗原が、再注入されたT細胞を活性化させるように、本発明の複合体を被験体に投与してもよい。
あるいは、T細胞は、治療される被験者又はドナーから入手し、遺伝子改変して標的抗原を認識するTCRを発現することができる。その後、遺伝子改変T細胞は、そのエフェクター機能を刺激するために膨張及び/又はその他の処理が施され、治療される被験者に注入(又は再注入)される可能性がある。これに関連して、遺伝子改変T細胞によって認識される抗原は、タグ構築物において使用され得る。その後、抗原が、注入されたT細胞を活性化させるように、本発明の複合体を被験者に投与してもよい。本発明の複合体の投与が養子細胞療法と組み合わされる方法は、タグ構築物において使用される抗原が、がん抗原である場合において、がんの治療において特に有用である。
したがって、本発明は、本発明の結合タンパク質、本発明の二重特異性コンジュゲート、本発明の複合体又は本発明の医薬組成物を被験体に投与することを含む、がんを治療又は予防する方法を提供する。
同様に、本発明は、本発明の結合タンパク質、本発明の二重特異性コンジュゲート、本発明の複合体又は本発明の医薬組成物を被験体に投与することを含む、感染症を治療又は予防する方法を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、被験体においてがんを治療する方法を提供し、当該方法は、
(i)被験体からT細胞を得る工程、
(ii)標的がん抗原を認識するT細胞を単離し、任意選択で、単離されたT細胞を膨張させる工程、
(iii)単離されたT細胞を被験体に再注入する工程、及び
(iv)被験体に本発明の複合体を投与することであって、タグ構築物が標的がん抗原を含む工程、を含む。同様に、工程(iv)では、被験体は、代替的に、本発明の二重特異性コンジュゲートと、標的がん抗原を含むタグ構築物とを別々に投与され得る。
他の実施形態では、本発明は、被験体においてがんを治療する方法を提供し、当該方法は、
(i)被験体又はドナーからT細胞を得る工程、
(ii)T細胞を遺伝子改変して標的がん抗原を認識するTCRを発現させ、任意選択で、遺伝子改変前又は遺伝子改変後にT細胞を拡大する工程、
(iii)遺伝子改変T細胞を被験体に注入する工程、及び
(iv)被験体に本発明の複合体を投与することであって、タグ構築物が、標的がん抗原を含む工程、を含む。同様に、工程(iv)では、被験体は、代替的に、本発明のコンジュゲートと、標的がん抗原を含むタグ構築物とを別々に投与され得る。
本発明は、同様に、がんを予防する治療のための薬剤の製造における、本発明の結合タンパク質、本発明の二重特異性コンジュゲート又は本発明の複合体の使用を提供する。
本発明はまた、感染症を予防する治療のための薬剤の製造における、本発明の結合タンパク質、本発明の二重特異性コンジュゲート又は本発明の複合体の使用を提供する。
上記の実施形態を通じて、本発明の複合体の使用への言及は、別々に又は逐次投与される、本発明の二重特異性コンジュゲート及びタグ構築物の複合的な使用を含む。
代替の実施形態では、本発明の複合体は、遺伝子療法において使用され得る。本実施形態では、本発明の二重特異性コンジュゲート及び対応するタグ構築物の両方をコード化する遺伝子治療ベクター又は送達システムが、被験体に投与されてもよい。被験体の細胞によって取り込まれると、コンジュゲート及びタグは、発現及び分泌され、in vivoで複合体を形成する。
上述のように、本発明の結合タンパク質、本発明の二重特異性コンジュゲート又は本発明の複合体は、単剤療法として、若しくは他の治療剤と併用して使用することができる。したがって、がんの治療において、他の治療剤は、当該技術分野で多数の種類が知られている化学療法剤などの抗がん剤、又は例えば、インターフェロン、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1、-PD-L1又は-CTLA4抗体)及び他の免疫増強剤(例えば抗OX40作動性抗体)などの免疫学的薬剤であってもよい。他の治療剤は、がん又は実際には感染症の治療において有益であり、例えば、抗増殖性又は抗炎症性サイトカイン、及び抗増殖性、免疫調節性又は血液凝固に影響を及ぼす因子、又は血管新生の阻害剤である。感染症の治療の場合、他の(又は第2の)治療剤は、抗菌剤、例えば、抗生物質、抗真菌剤又は抗ウイルス剤であってもよい。
結合タンパク質、二重特異性コンジュゲート又は複合体(若しくはそのコンジュゲート及びタグ構築物成分)を含む、結合タンパク質、二重特異性コンジュゲート、複合体、又は医薬組成物は、当該技術分野において知られている様々な方法の1つ以上を使用して、1つ以上の投与経路で投与することができる。同様に、コンジュゲート及びタグ構築物は、これらの同じ方法によって個別に投与されてもよい。当業者には理解されるように、投与の経路及び/又は様式は、所望の結果に応じて変化する。好ましい投与経路としては、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、脊髄又は他の非経口投与経路、例えば、注射又は注入による、例えば、腫瘍の部位への直接投与が挙げられる。
本明細書で使用する「非経口投与」という語句は、経腸投与及び局所投与以外の投与様式を意味し、通常は注射による投与である。あるいは、局所投与、表皮投与又は粘膜投与経路などの非経口投与経路が、使用されてもよい。腫瘍周辺投与、腫瘍近接投与、腫瘍内投与、病巣内投与、病巣周囲投与、腔内注入、小胞内投与、及び吸入を含む局所投与が、好ましい。しかしながら、抗原結合タンパク質、複合体又は組成物は、全身的に投与することもできる。
二重特異性コンジュゲート及びタグ構築物が個別に投与される、すなわち、複合体を形成するためにこれらが最初に予備混合されることはない実施形態では、コンジュゲート及びタグ構築物は、同じ経路で投与されなければならない。好ましくは、二重特異性コンジュゲート及びタグ構築物は、投与後速やかに2つの成分が混合し、したがって複合体を形成するように、局所的に、例えば皮内に、同じ(又は実質的に同じ)部位に投与される。これらの実施形態では、2つの成分は、第1の成分の投与と第2の成分の投与との間の遅延を避けて、同時に又は急速で順々に被験者に投与されなければならない。これにより、第1の成分が劣化するか、又は投与部位から過剰に拡散する前に、第2の成分が投与され、複合体形成が可能になることが保証される。
本発明の特異的結合タンパク質、二重特異性コンジュゲート又は複合体の適切な投与量は、熟練した医療従事者によって決定され得る。本発明の医薬組成物及び製品中の有効成分の実際の投与量レベルは、特定の被験体、すなわち、患者に対して、患者への毒性がなく、所望の治療反応を達成するために有効な有効成分の量を得るように、変化させることができる。選択された投与量は、採用された特定の複合体/コンジュゲートの活性と、投与経路と、投与時間と、複合体の排泄速度と、治療の期間と、採用された特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬剤、化合物及び/又は材料と、治療を受ける患者の年齢、性別、体重、状態、全身状態及び以前の病歴と、医学分野で良く知られている同様の要因とを含む、様々な薬物動態的要因に依存する。
本発明の結合タンパク質又は複合体の適切な投与量は、例えば、治療される患者の約0.1μg/kg~約100mg/kg体重の範囲内であってよい。例えば、適切な投与量は、1日当たり約0.1μg/kg~約10mg/kg体重、又は1日当たり約10μg/kg~約5mg/kg体重であってもよい。
投与レジメンは、最適な所望の反応(例えば、治療反応)を提供するために、調整することができる。例えば、単一のボーラスを投与してもよいし、数回に分けて経時的に投与してもよいし、治療状況の緊急性に適応して、投与量を相対的に減少又は増加させてもよい。投与の容易さ及び投与量の均一性のために、非経口組成物を投与単位形態で製剤化することが特に有利である。本明細書で使用される投与単位形態は、治療される被験体への単位投与量として適した物理的に離散した単位に言及し、各単位は、必要な医薬担体と関連して所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性化合物を含んでいる。
結合タンパク質又は複合体(若しくはコンジュゲート及びタグ構築物)は、単回投与又は複数回に分けて投与することができる。複数回の投与は、同じ又は異なる経路で、同じ又は異なる部位に投与することができる。あるいは、複合体は、徐放性製剤として投与することができ、この場合、より少ない頻度での投与が必要とされる。投与量及び頻度は、患者における投与種の半減期及び所望する治療期間に応じて変化し得る。投与量及び頻度はまた、治療が予防的であるか治療的であるかに応じて変化させることができる。予防的な用途では、比較的低い投与量を長期間にわたって比較的不定期間隔で投与することができる。治療的な用途では、例えば、患者が疾患の症状の部分的又は完全な改善を示すまで、比較的高い投与量が投与され得る。例示的な投与体制では、複合体(又はコンジュゲート及びタグ構築物の組み合わせ)は、1週間に1回、2週間に1回又は3週間に1回、2~10回繰り返される周期で、被験体に投与される。
2つ以上の薬剤の複合投与は、多くの異なる方法で達成することができる。一実施形態では、複合体及び他の薬剤は、単一の組成物中で一緒に投与されてもよい。他の実施形態では、複合体及び他の薬剤は、複合療法の一部として別々の組成物で投与されてもよい。例えば、複合体は、他の薬剤の前、後、又は同時に投与されてもよい。本発明の複合体は、例えば、PD-1、PD-L1、CD137、GITR、OX40、CTLA-4、CD27、HVEM、LTβR、及びLAG3を標的とする、腫瘍標的抗体、標的治療、経路阻害剤又は他の免疫調節抗体と組み合わせて又はこれらに連続して投与されてもよい。さらに、複合体はまた、局所放射線照射と組み合わせてもよい。同様に、コンジュゲート及びタグ構築物が被験体に個別に投与される場合、このような追加の治療が共投与されてもよい。
上述のように、本発明はまた、抗原を認識するTCRを発現するT細胞を活性化するin vitro又はex vivo方法を提供し、前記方法は、抗原提示細胞を、
i)本発明の二重特異性コンジュゲート及び上記で定義されたタグ構築物であって、前記タグ構築物が、前記TCRによって認識される抗原を含むもの、又は
ii)本発明の複合体であって、前記複合体のタグ構築物が、前記TCRによって認識される抗原を含むもの、
と接触させることを含む。
したがって、本発明の複合体又は二重特異性コンジュゲートを使用して、上記のようなin vitroと同様に、in vitro又はex vivoでAPCを活性化することができる。(タグペプチドとの組み合わせにおける)複合体及び二重特異性コンジュゲートは、したがって、医学的及び非医学的用途の両方を有し、全てのこのような用途は、本明細書に包含される。例えば、単離された又は培養されたAPCは、例えば、研究、開発又は試験の目的のために、例えば、実験室環境において、複合体と接触させることができる。これは、コンジュゲート及びタグ構築物を予め混合して、複合体を形成し、次いで複合体をAPCに適用することによって達成することができる。あるいは、複合体をAPC培養物内で形成するように、コンジュゲート及びタグ構築物を個別にAPCに適用することができる。
上述のように、複合体を使用して、タグ構築物に存在する抗原を認識するTCRを発現するT細胞を活性化することができる。具体的には、TCRは、APCによって提示されたときに(すなわち、MHCに関連して)抗原を認識する。したがって、複合体によって活性化されたAPC、又は複合体による活性化のためのAPCを、T細胞と接触させることができる。したがって、例えば、APCは、複合体(又はその構成部分)の存在下で、培養又はインキュベートされてもよく、その後にAPCをT細胞と接触させてもよく、例えば、共培養してもよく、T細胞の存在下で更にインキュベートすることも可能である。あるいは、複合体(又はその構成部分)、APC及びT細胞は、一緒にインキュベート又は共培養されてもよい。したがって、抗原は、APCに送達され、T細胞に提示され、T細胞の活性化をもたらす。
本発明は、以下の非限定的な図及び例によって、更に説明される。
図1では、CD40Lの存在下及び非存在下における、(SPRで測定された)11種類の抗CD40抗体のCD40への結合を示している。CD40L存在下でのCD40への結合の減少は、CD40とCD40Lとの間の相互作用が、その抗体のCD40への結合を妨害していることを示す。 図2では、様々な抗CD40抗体で48時間刺激した後の、CD14、CD1a、CD40、HLA-DR、CD86及びCD83の表面発現に対する集計データのt-SNE FACS分析を示している。試験した抗体は、3つのクラスター、すなわち、IgG2アイソタイプコントロールを含む非拮抗薬、Ab1(すなわち、IgG1アイソタイプの1150/1151)を含む中間アゴニスト、並びにAb2(すなわち、IgG2アイソタイプの1150/1151)及びLPSコントロールを含む強力アゴニスト、に分けることができる。本明細書に開示された新規抗体のうち、A9抗体及びF4抗体のみが、強力なアゴニストとしての可能性を示した。 図3では、ELISA法により測定した、(凡例に記載した)様々な濃度での様々な抗CD40抗体で刺激した樹状細胞によるIL-12産生を示している。 図4は、抗CD40-FITC抗体5C3による染色の検出を示す、一対のFACSヒストグラムである。薄い灰色のヒストグラムは、CD19+細胞上の5C3のみによる染色を表示する。濃い灰色のヒストグラムは、非標識CD40結合抗体Ab-5(A)又はA9(B)とプレインキュベーションした後の、5C3染色を表示する。点線の灰色のヒストグラムは、ネガティブコントロールのバックグラウンド基準として、染色されていないCD19+細胞を表示する。 図5は、ヒト単球由来樹状細胞を使用して、5分から4時間にわたるA9抗体(黒丸)及びAb-2抗体(1150;白丸)の内在化パターンを示す図である。 図6は、高濃度(200nM)又は低濃度(1.6nM)のA9抗体(D)並びにA9ベースの二重特異性コンジュゲートBi-21(A)、Bi-22(B)及びBi-23(C)で刺激した樹状細胞の顕微鏡写真である。非刺激ネガティブコントロール(F)及びLPS刺激ポジティブコントロール(E)も示す。 図7は、高濃度(200nM)又は低濃度(1.6nM)のB8抗体(A)並びにB8ベースの二重特異性コンジュゲートBi-24(B)、Bi-25(C)及びBi-26(D)で刺激した樹状細胞の顕微鏡写真である。 図8では、ELISAによって測定された、抗CD40抗体A9及びB8、A9ベースの二重特異性コンジュゲートBi-21、Bi-22及びBi-23、並びにB8ベースの二重特異性コンジュゲートBi-24、Bi-25及びBi-26で刺激した樹状細胞の上清中のIL-12のpg/mlにおける濃度(y軸)を示している。凡例に示すように、様々な抗体/コンジュゲート濃度で試験を行った。 図9では、200nMのA9並びにB8抗体、Bi-21、Bi-22、Bi-23、Bi-24、Bi-25及びBi-26二重特異性コンジュゲートによる樹状細胞刺激後の、フローサイトメトリーによって測定した樹状細胞活性化マーカーHLA-DR(「MHC-II」と表示される;A)、CD83(B)及びCD86(C)の発現を示している。LPSをポジティブコントロールとして使用した。倍率変化(Fold change)は、ネガティブコントロール(培地)の値との関係で定義されている。 図9では、200nMのA9並びにB8抗体、Bi-21、Bi-22、Bi-23、Bi-24、Bi-25及びBi-26二重特異性コンジュゲートによる樹状細胞刺激後の、フローサイトメトリーによって測定した樹状細胞活性化マーカーHLA-DR(「MHC-II」と表示される;A)、CD83(B)及びCD86(C)の発現を示している。LPSをポジティブコントロールとして使用した。倍率変化(Fold change)は、ネガティブコントロール(培地)の値との関係で定義されている。 図9では、200nMのA9並びにB8抗体、Bi-21、Bi-22、Bi-23、Bi-24、Bi-25及びBi-26二重特異性コンジュゲートによる樹状細胞刺激後の、フローサイトメトリーによって測定した樹状細胞活性化マーカーHLA-DR(「MHC-II」と表示される;A)、CD83(B)及びCD86(C)の発現を示している。LPSをポジティブコントロールとして使用した。倍率変化(Fold change)は、ネガティブコントロール(培地)の値との関係で定義されている。 図10では、抗CD40抗体A9(IgG2又はIgG2 C127Sとして)及び示した二重特異性コンジュゲートで刺激した樹状細胞からのpg/ml(y軸)でのIL-12産生を示している。LPS:ポジティブコントロール。培地:ネガティブコントロール。 図11では、実施例15に記載のように、タグペプチドUU01又はペプチド単独(ネガティブコントロール基準)の存在下で構築物SP-7及びSP-9で樹状細胞を刺激した後の、フローサイトメトリーによって測定した、樹状細胞活性化マーカーCD86(A)及びHLA-DR(「MHC-II」と表示される;B)の発現を示している。LPSをポジティブコントロールとして使用した。 図12では、実施例15に記載のように、タグペプチドUU01又はペプチド単独と複合した構築物SP-7及びSP-9で刺激された樹状細胞からのIL-12産生を示している。LPSをポジティブコントロールとして使用した。 図13では、2つの二重特異性コンジュゲートのいずれか単独(それぞれ「Bi-23」及び「Bi-17」)、又はペプチドUU44との複合体(それぞれ「Bi-23+UU44」及び「Bi-17+UU44」)、又はUU44ペプチド単独で刺激したMoDC:sによる、実施例16に記載のCMV特異的CD8T細胞の拡張を示している。 図14では、SPRによって測定された、様々な短縮型MTTEペプチドに対するscFvのIBIIICI(灰色の棒)及び14GIIICII(白色の棒)の正規化された結合応答を示している。結合反応値は、ペプチドUU24へのscFvの結合について得られたシグナルに正規化されている。また、値は、scFvの捕捉レベル及び標的ペプチドの分子量の違いについて正規化されている。各サンプルの結合反応は、解離段階の開始時に取得された。
実施例1
ヒトscFvライブラリーを使用するヒトCD40のファージディスプレイ選択
ファージディスプレイ選択を行い、ヒトCD40に特異的なscFvフラグメントの単離を可能にした。
材料及び方法
ファージディスプレイ選択
バイオパニングは、2つのヒト合成scFvファージライブラリー、SciLifeLib1及びSciLifeLib2(SciLifeLab、ストックホルム、スウェーデン)を採用した4回の選択ラウンドの濃縮を使用して実施した。SciLifeLib1及び2は、ナイーブなヒト合成scFvライブラリーであり、以前に報告されたもの(Sallら、Protein Eng Des Sel(2016)29:427-437)と同様の設計及び構造である。簡単に言えば、ヒト生殖細胞遺伝子IGHV3-23及びIGKV1-39をライブラリーの足場として使用し、Kunkel突然変異誘発を使用して6つのCDRのうち4つ、すなわち、VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3及びVLCDR3への多様性を導入した。ストレプトアビジンをコーティングした磁気ビーズ(Dynabeads M-280、ThermoFisher Scientific、#11206D)、及びhCD40-aviと称するAviタグ付きヒトCD40細胞外ドメイン(AcroBiosystems、#CD0-H82E8、アミノ酸21-193)を使用して選択を行った。Aviタグは、ビオチンの部位特異的な組み込みを可能にする。抗原量を徐々に(327nMから35nMに)減らし、異なるラウンドの間の洗浄の回数及び強度を増やすことによって、選択圧力を増加させた。
非特異的結合剤又はストレプトアビジン結合剤を除去するために、ラウンド1及び2の前に空のストレプトアビジンをコーティングした磁気ビーズに対してファージストックをインキュベートすることによって、予備選択を実施した。また、ブロッキング剤として1%のウシ血清アルブミン(BSA)を選択手順の間中含んでいた。抗原結合ファージの溶出は、トリプシン-アプロチニン法を使用して実施した。ファージ-標的タンパク質のインキュベーション工程を除く選択プロセス全体は、Kingfisher Flexロボットを用いて自動化され、実施された。回収したファージをXL1 blue E.coliで、37℃で一晩寒天培地上(ラウンド1及び2)、又は30℃で一晩溶液中(ラウンド3及び4)のいずれかで増殖させた。ファージストックは、過剰のM13K07ヘルパーファージ(New England Biolabs、#N0315S)に感染させ、IPTGの添加によりscFv発現を誘導することにより作製した。一晩培養したものをPEG/NaCl沈殿させ、選択バッファーに再懸濁し、次のラウンドの選択に使用した。
scFvの再クローニングと発現
可溶性scFvの産生を可能にするため、各選択トラックの第3ラウンド及び第4ラウンドのファージミドDNAを単離した。プールでは、scFvフラグメントをコード化する遺伝子を制限酵素消化し、スクリーニングベクターにサブクローニングし、C末端にトリプルFlagタグ及びヘキサヒスチジン(His)タグと共に、scFvの分泌のためのシグナルを提供した。続いて、この構築物をTOP10 E.coliに形質転換した。96ウェルフォーマットで可溶性scFvを発現させるため、シングルコロニーを摘出し、培養し、IPTG誘導した。合計で、細菌上清に存在する940個のscFvクローンが、一次ELISAスクリーニングのために調製された。
ELISAスクリーニング
ストレプトアビジンを1μg/mlのPBSで384ウェルELISAプレート上にコーティングし、4℃で一晩、洗浄後、ブロッキングバッファー(0.5%BSA+0.05%Tween(登録商標)20を添加したPBS)で0.1μg/mlに希釈したhCD40-aviを添加した。ストレプトアビジン及びBSAの2種類のネガティブコントロールタンパク質もプレート上にコーティングした。細菌上清中に存在するFlagタグscFvクローンをブロッキングバッファーで1:3に希釈し、コーティングされたタンパク質に結合するようにした。結合の検出は、HRP結合α-Flag M2抗体(Sigma-Aldrich #A8592)に続いて、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)ELISA基材(Thermo Fisher Scientific #34029)とのインキュベーションによって可能になった。1M硫酸を加えることで発色を停止し、450nmで測定した。全てのサンプルは、二重にアッセイした。
DNAシークエンシング
hCD40-aviに結合する157個の陽性scFvクローンをGATC Biotech社(Ebergsberg、ドイツ、)に送り、Sanger DNAシークエンシングが行われた。
結果
SciLifeLib1及び2を使用して、ヒトCD40について2つの選択トラックを並行して実施した。選択されたscFvクローンの再クローニング後、合計940個のコロニーが選択ラウンド3及び4から選ばれた。一次ELISAスクリーニングの結果、159件のヒット候補が得られた。これらのDNAシークエンシングの結果、59の配列特異的なクローンが同定された。
実施例2
SPRによる59の配列特異的scFvの速度論的スクリーン(Kinetic Screen)
実施例1からの59の配列特異的scFvクローンを、異なるクローンのランク付けを可能にするために、速度論的スクリーンベースの方法で表面プラズモン共鳴(SPR)による更に特性評価のために選択した。
材料と方法
速度論的スクリーニングは、Biacore T200装置(GE Healthcare)で実施した。捕捉リガンドとして機能するα-Flag M2抗体(Sigma-Aldrich #F1804)を、製造元の推奨に従ってCM5-Sアミンセンサーチップの4面全てに固定化した。
細菌上清中に存在する59のFlagタグ付きscFvクローンを注入し、チップ表面に捕捉した後、25nMのヒトCD40細胞外ドメイン-Fc融合構築物(R&D Systems、#1493-CDB、CD40アミノ酸 21-193;hCD40-Fc)を注入した。表面は、10mMグリシン-HCl、pH2.2で再生された。全ての実験は、ランニングバッファー(0.05%Tween(登録商標)20を添加したHBS、pH7.5)中、25℃で行った。
基準面(α-Flag M2抗体固定化表面)の応答曲線を差し引くことにより、応答曲線センサーグラム(sensorgrams)が得られた。データは、Biacore T200 Evaluation3.1ソフトウェアを使用して解析した。
結果
α-Flag M2抗体をCM5-Sチップの4つの表面全てに固定化し、同様のRUレベルの捕捉scFvクローンを得た。25nMのhCD40-Fcを注入後、低pHの酸溶液を使用して各表面の再生に成功した。
データの分析は、センサーグラムの目視検査によって行った(図示されていない)。試験したscFvのうち15個は、hCD40への結合に基づき有望であると考えられた。特に、高い結合反応及び好ましいスローオフレート(slow off-rate)が考慮された。
実施例3
完全抗体フォーマットへの変換
ファージ選択から最も有望な12個のscFvが、完全長ヒトIgG2抗体フォーマットへの変換のために選択された。これらの特定のクローンを含む根拠は、結合アッセイのパネルにおける性能(実施例1及び2を参照)及び配列分析であった。2つのネガティブコントロールは同様に、ヒトIgG2に変換された:G-Strep-1(GS1、社内の抗ストレプトアビジンscFv)及びB1-8(抗4-ヒドロキシ-3-ニトロフェニルアセチル(NP)scFv、Rethら、European Journal of Immunology 8(6):393-400,1978)、並びに文献で見出された2つのアゴニスト抗CD40抗体、すなわち、1150/1151(WO2015/091853)及びCP-870,893(US2017/0342159)。比較として、後者の2つもヒトIgG1フォーマットに変換された。hIgG1及びhIgG2としての1150/1151は、本明細書においてそれぞれX-SM083-Ab-1及びX-SM083-Ab-2と呼ばれ、hIgG1及びhIgG2としてのCP-870,893は、本明細書においてそれぞれX-SM083-Ab-4及びX-SM083-Ab-5(略して、それぞれAb-1、Ab-2、Ab-4及びAb-5)と呼ばれる。ファージ選択によるscFvから産生された12個のIgG2抗体を、Y-SM083-A1、Y-SM083-A6、Y-SM083-A9、Y-SM083-B1、Y-SM083-B3、Y-SM083-B8、Y-SM083-C6、Y-SM083-E7、Y-SM083-E8、Y-SM083-F4、Y-SM083-F7及びY-SM083-G2(略して、それぞれA1、A6、A9、B1、B3、B8、C6、E7、E8、F4、F7及びG2)と呼ぶ。
材料及び方法
In-Fusionクローニング、HEK293への遺伝子導入、発現及び精製
選択したscFvのVH及びVL領域をPCR増幅し、In-Fusion HD Plus Cloning Kit(Clontech #638909)を使用して、社内で構築したベクターpHAT-hIgG2に挿入した。ExpiFectamineTM 293 Transfection Kit(Thermo Fisher Scientific #A14525)を使用して、80ml培養でプラスミドDNAのexpiHEK293細胞への遺伝子導入を実施した。培養物を5日後に採取し、HiTrap(登録商標)プロテインA HPカラム(GEヘルスケア)を使用したアフィニティークロマトグラフィーと、続いてHiTrap(登録商標)Desaltingカラム(GEヘルスケア)を使用したPBSへのバッファー交換によって抗体を精製した。エンドトキシンレベルは、LAL発色エンドトキシンアッセイにより決定され、<1EU/mgであった。SDS-PAGEを行って精製IgGの純度及び完全性を決定し、濃度はImplen NP80 UV-Vis分光光度計を使用して決定した。さらに、サイズ排除クロマトグラフィーを各精製抗体に対して実行した(Agilent Bio SEC-3)。
ELISA
ビオチン化抗原は、hCD40-avi(AcroBiosystems、#CD0-H82E8)では0.1μg/mlの濃度で、NP及びニトロヒドロキシヨードフェニルアセテート(NIP、B1-8 scFvによっても認識される)では1μg/mlの濃度で、ストレプトアビジン(1μg/ml)を通じて384ウェルELISAプレートのウェルに固定化された。精製した抗体をブロッキングバッファー(PBS+0.5%BSA+0.05%Tween(登録商標)20)で希釈し、最終濃度を1、0.2、0.04μg/mlとし、ウェルに添加した。結合したIgGの検出は、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)標識抗ヒトIgGκ抗体を使用し、次に発色剤ウルトラTMB-ELISA(Thermo Scientific Pierce,Rockford,IL,米国)をインキュベートすることにより行った。シグナル発現は、1M硫酸の添加により停止され、450nmで吸光度を測定した。
結果
全てのCD40結合抗体及びコントロールは、ヒトIgGフォーマットに再クローニングされ、HEK293細胞で発現し、Kingfisher Flex装置でプロテインA結合磁気ビーズにより精製された。全ての抗体は、予想される分子量であり、SDS-PAGEで評価して、許容可能なレベルの純度を示していた。ELISAでは、Y-SM083-C6を除いて、変換後も全てのクローンの抗原結合が維持されていることが確認された(データは示されていない)。したがって、このクローンは、更なる分析から除外された。
Y-SM083-A9のVL及びVH配列は、それぞれSEQ ID NO:7及び8に記載されており、Y-SM083-B8のVL及びVH配列は、それぞれSEQ ID NO:61及び62に記載されている。1150/1151及びCP-870,893のVL及びVH配列は、先行技術から知られている(上記を参照)。IgG2フォーマットに変換された他のscFvクローンの配列は、示されていない。
実施例4
11個の抗CD40 hIgG2抗体の速度論的測定
ヒトCD40に対するIgG2抗体(実施例3で作製された)のうち11の速度定数を、シングルサイクルカイネティック(SCK)法を使用して、表面プラズモン共鳴(SPR)により決定した。また、マウスCD40(mCD40)及びカニクイザルCD40(cCD40)の両方に対する異種間結合を評価した。
材料及び方法
シングルサイクルカイネティック(SCK)又はシングルインジェクション法を使用して、BIAcore T200装置(GEヘルスケア)におけるSPRにより、速度定数を決定した。
捕捉リガンドとして機能するα-κ抗体(GE Healthcare #28958325)を、製造元の推奨に従って、CM5-Sアミンセンサーチップの4面全てにEDC/NHSケミストリーによって固定化した。プロテインA精製IgG2抗体(実施例3)を注入し、クローン間の応答単位(RU)が等しくなるように、チップ表面に捕捉させた。
それぞれ100nM~1.2nM及び80nM~0.31nMの範囲の5つの濃度からなる、hCD40-aviの3倍希釈系列、並びにhCD40-Fc及びcCD40-Fcの4倍希釈系列を、ランニングバッファー(HBSに0.05%Tween(登録商標)20添加、pH7.5)に調製し、チップ表面上に逐次注入した。解離段階の後、10mMグリシン-HCl、pH2.1で表面を再生した。80nMの単濃度注入も、mCD40で行われた。本研究で使用したCD40タンパク質の詳細を表1に示す。
基準面(α-κ抗体固定化表面)の応答曲線を差し引くことで、全ての抗体の応答単位センサーグラムを得た。反応速度定数は、Biacore T200評価用ソフトウェア3.1及び1:1 Langmuir結合モデルを使用して計算した。
Figure 2023526977000002
結果
全ての抗体について、等しい捕捉レベル(RU)が得られた。分析対象物の注入後、チップ表面は正常に再生され、次の抗体捕捉サイクルに備えて活性表面が残された。決定された速度定数及び親和性の概要については、表2を参照されたい。
ここで使用した抗原のうち2つは、Fc融合型であり、したがってこれらは、結合してホモダイマーを形成することを覚えることが重要である。結合の強さは、従来から親和定数(K)で報告されている。しかしながら、この定数は、一価の相互作用の強さを表すのに使用され、Fc融合抗原は、抗体表面と二価で相互作用し、それによって相乗効果及び親和性の見かけ上の増加をもたらす可能性があることを考慮して、筆者らは、代わりに見かけの親和性(appと表記する)を報告した。
相互作用のアビディティの寄与は、抗原が単量体又は二量体であることだけでなく、抗体自体にも依存する。同一の抗原に特異的な結合剤は、結合速度論が異なるため、親和性効果が大きく異なる場合がある。幾つかの結合剤には潜在的なアビディティの寄与があるものの、筆者らは、hCD40-fc及びcCD40-Fcの両方との相互作用について、appの計算にはLangmuir 1:1結合モデルを選択した。これは、実用的な方法で、前進するために最良の結合剤を選択することができる平均的な画像を提供するために考えられた。
予想通り、全ての抗体がヒトCD40タンパク質と結合することが示された。しかしながら、幾つかのクローンは、hCD40-Fcに対する結合のみを示し、hCD40-aviに対する結合は示さなかった(又は結合反応が低すぎて速度論的測定に適さなかった)。hCD40-Fcに対する結合のappは、全てのY-SM083抗体で5~20nMの範囲であったが、hCD40-aviに対する対応値はかなり高いものであった。この相違は、hCD40-Fcが二量体であり、アビディティ効果(複数の親和性の蓄積された強さ)を引き起こす可能性がある、という事実によって説明できる可能性が最も高い。Y-SM083-B1及び-G2を除く全ての抗体は、カニクイザルCD40-Fcとの交差結合も示した。マウスCD40との結合は、いずれの抗体も検出できなかったが、これはヒトとマウスCD40との間の配列相同性が比較的低い(58%)ことから、ある程度予想されたことである。
Figure 2023526977000003
実施例5
表面プラズモン共鳴によるイヌCD40との結合の評価
実施例4では、新規抗CD40抗体のセットについて、マウスCD40(mCD40)及びカニクイザルCD40(cCD40)の両方に対する異種間結合を評価した。本実施例では、同じ抗体のサブセットを、表面プラズモン共鳴(SPR)により、イヌCD40(caCD40)への結合について分析した。
材料及び方法
SPR実験は、シングルサイクルカイネティック(SCK)法を使用して、BIAcore T200装置(GEヘルスケア)で実施された。捕捉リガンドとして機能するα-Fab抗体(GE Healthcare #28958325)を、製造業者の推奨に従って、CM5-Sアミンセンサーチップの4面全てにEDC/NHSケミストリーを通して固定化させた。実施例3の7つのプロテインA精製IgG2抗体(Y-SM083-A1、Y-SM083-A9、Y-SM083-B1、Y-SM083-B8、Y-SM083-F7、X-SM083-Ab-2、X-SM083-Ab-5)を注入して、クローン間の応答単位(RU)が等しくなるように(400-500RU)チップ表面に捕捉させた。hCD40-Fc(Sino Biological,#10774-H38H)及びcaCD40-Fc(Sino Biological,#70105-D02H)を0.16~100nMの範囲で5倍に希釈したものをランニングバッファー(HBS+0.05%Tween(登録商標)-20、pH7.5)中で調製し、120秒の会合時間(association time)を使用してチップ表面上に逐次注入した。600秒間の解離段階の後、10mMグリシン-HCl、pH2.1で表面を再生した。
CP-870,893(X-SM083-Ab-5)の速度定数をより確実に決定するために、フォローアップ実験で実験パラメータを最適化した。ここでは、抗体捕捉レベルを約400から200RUに減らし、抗原濃度範囲を0.62~50nM(5濃度、3倍希釈系列)に減らし、会合時間及び解離時間をそれぞれ240秒及び1200秒に増加させた。α-κ抗体を固定化した基準面の応答曲線を差し引くことで、全ての抗体の応答単位センサーグラムを得た。データの解析には、ソフトウェアBIAeval v.3.1(GE Healthcare)を使用した。
結果
予想通り、分析された全ての抗体は、ヒトCD40に対する結合を示した。得られたセンサーグラム(データは示されていない)は、以前に得られたものと類似しており、速度論的パラメータは、表2に報告されているものと同様であった。一方、1つの抗体のみ、すなわちX-SM083-Ab-5(CP-870,893)は、イヌのCD40にも結合することが示された。しかしながら、イヌCD40に対するAb-5の親和性は、ヒト相同分子種に対して約10倍低く(0.2nM対2.5nM)、これは主に前者の相互作用の解離時間がより速いことに起因している。表3では、ヒト及びイヌCD40に対するAb-5(CP-870,893)の得られた速度論的パラメータを示す。両抗原は、Fc融合体であるため二量体であり、アビディティ効果の寄与を含む速度定数が得られる可能性が高い。したがって、Kではなくappが与えられている。アビディティ効果の寄与が考えられるにもかかわらず、ヒトCD40及びイヌCD40の両方との相互作用のために、appの計算に対してLangmuir 1:1結合モデルを選択した。
Figure 2023526977000004
結論
異なる抗CD40抗体間の異種結合の差は、エピトープの違いによって説明できる可能性が高い。実施例6で以下に示すCD40リガンド阻害実験では、X-SM083-Ab-5及びY-SM083-A9CD40リガンドの存在に影響されないと思われる唯一の2つの抗体候補であったため、X-SM083-Ab-5及びY-SM083-A9を一緒にグループ化している。それにもかかわらず、ここで提示するデータは、Ab-5(CP-870,893)のみが、イヌCD40と結合することを示しており、これらの抗体は、CD40上の異なるエピトープに結合することが示唆される。驚くべきことに、ここでの発見とは矛盾するが、US2006-0093600の発明者は、CP-870,893がイヌ(犬)CD40に結合しないと述べている。US2006-0093600で報告されていることと、今回のSPR試験の結果との間の相違がある理由は、現在のところ不明である。
実施例6
CD40リガンド阻害
本実験では、11種類の抗CD40抗体によるCD40リガンド(CD40L)とヒトCD40との間の相互作用の遮断/阻害を、SPRベースの方法で説明する。
材料及び方法
捕捉リガンドとして機能するα-ヒトFab抗体(GE Healthcare #28958325)を、製造者の推奨に従ってCM5-Sアミンチップの4面全てに固定化した。11種の抗CD40抗体(実施例4の表2に記載)を、クローン間で等しい応答単位(RU)を目指して、注入し、チップ表面に捕捉させた。ヒトCD40-Fc(RnD Systems#1493-CDB)をランニングバッファー(0.05% Tween(登録商標)20を添加したHBS)で20nMに希釈し、単独又は10倍モル過剰のヒトCD40リガンド(RnD Systems#6420-CL)とプレインキュベートのいずれかで注入した。200nMのCD40リガンド単独での注入も行った。解離段階の後、チップ表面を10mMグリシン-HCl、pH2.1で再生した。ネガティブコントロールとして、抗NP抗体B1-8(実施例3)を含んだ。
基準面(α-ヒトFab抗体固定化表面)の応答曲線を差し引くことにより、hCD40-Fc単独又はCD40Lとプレインキュベーションされた各抗体の応答センサーグラム及び結合レベル(応答単位(RU))を取得することができた。データは、ソフトウェアBIAeval v.3.1(GE Healthcare)を使用して解析された。
結果
α-ヒトFab抗体ミックスは、チップの4つの表面全てに固定化することができ、全ての抗体クローンで同様の捕捉レベルを得ることができた。分析対象物の注入後、チップ表面は再生され、次の抗体捕捉サイクルに備えて活性表面を残すことに成功した。
得られた各抗体のCD40-Fcに対する結合単位(RU)を、CD40リガンドとプレインキュベーションしたCD40-Fcに対する結合単位と比較した(図1)。その結果、9つのクローンは、CD40リガンドが存在するとCD40-Fcに対する結合の減少が示されたが、2つの抗体(X-SM083-ab-5及びY-SM083-A9)は、CD40リガンドの存在に影響されないようであった。結合の減少を示したクローンのうち、5つは多かれ少なかれ完全に阻害され(Y-SM083-A1、-B1、-B3、-E7及び-G2)、4つはリガンドの存在によって部分的に阻害されたに過ぎなかった(Y-SM083-F7、-B8、-F4及びX-SM083-ab-2)。
予想どおり、BI-8 hIgG2は、CD40-Fcに対する結合を示さず、CD40リガンドとプレインキュベーションしたCD40-Fc又はCD40リガンド単独に対する結合も示さなかった。
結論
ここで得られたデータは、文献に記載されているものとほぼ一致する。Yuら(Cancer Cell 33(4):664-675,2018)は、アゴニスト抗体CP-870,893、すなわちここでX-SM083-ab-5と呼ばれる抗体が、CD40リガンド相互作用を阻害せずにCD40の膜遠位システインリッチドメイン1(CRD1)に結合することを証明した。同様に、X-SM083-ab-2のエピトープ(1150/1151)は、このドメインに位置することが報告されている。以前の研究では、この抗体とCD40リガンドとの間の競合は観察されなかった(WO2015/091853)。一方、ここでは、リガンドが存在する場合、抗体結合への小さな影響が観察される。この不一致は、使用した方法の違いによって説明できる可能性がある。
実施例7
新規結合剤のアゴニスト活性
継続研究のために選択された11個のCD40結合剤のアゴニスト活性が、樹状細胞を活性化する能力によって決定され、試験された。樹状細胞の活性化は、抗体結合に反応した活性化マーカーのアップレギュレーション及びIL-12の発現に基づいて評価された。
材料及び方法
ヒト単球由来DC(MoDC)の分化誘導
末梢血単核細胞(PBMC)は、健康なボランティアから提供されたバフィーコートから、SepMate(85450,Stemcell Technologies)と細胞密度勾配Ficoll(登録商標)-Paque Premium(17-5442-02,GE Healthcare)を使用して、製造業者のプロトコルに従ってFicoll分離により単離された。CD14Pos(CD14)単球の更なる分離は、製造業者のプロトコルに従って、MACS細胞分離CD14+ビーズを使用したポジティブセレクションにより行った。
溶液及び細胞は、PBS(0.5%BSA、2mM EDTA)で洗浄工程を行い、分離の間、氷上に保たれた。単離したCD14細胞画分の純度は、(CD14発現に対する)フローサイトメトリーで評価した。単離したCD14+単球をφ10cm組織処理培養プレートで4×10cells/mlの密度で培養した。10%FBS、1%Pen-Strep、1%HEPES及び0.2%β-メルカプトエタノール添加のRPMI培地に150ng/mlのhGM-CSF(PreProtech)及び50ng/mlのIL-4(PreProtech)を添加し、37℃、5%COで6日間培養を行った。培地の半分は、3日目及び5日目に、hGM-CSF(150ng/ml)及びIL-4(50ng/ml)を添加した完全培地に交換された。
MoDCの活性化
上記に続き、6日目に培養単球を採取し、CD14及びCD1aの染色によりフローサイトメトリーで分化状態を評価した。DC活性化は、96ウェルTCTプレート(Standard F、Sarsted)において、異なる抗CD40抗体のパネルを使用して、hGM-CSF及びIL-4(前述のように使用した濃度)を補充した完全培地中にウェル当たり1×10個の未熟MoDCを播種して行った。1:2連続希釈を500nMから開始した。上清は、IL-12 ELISA用に48時間培養後に採取され、細胞は表面マーカー発現用にフローサイトメトリーで分析された。
フローサイトメトリー解析は、CD14-APC-Cy7(HCD14)、HLA-DR-PE-Cy5(L243)、CD86-BV421(IT2.2)、CD40-FITC(5C3)、CD1a-PE(HI149)及びCD83-APC(HB15e)の細胞外発現染色により行われた。全ての抗体は、BioLegendから購入した。細胞を抗体とともに4℃で20分間インキュベートし、その後、3mMのEDTAを含むPBSで洗浄し、1500rpmで5分間遠心分離を行った。
tSNE分析
t分布型確率的近傍埋め込み法(t-SNE)をフローサイトメトリーデータ(Rtnse package in R,https://github.com/jkrijthe/Rtsne;van der Maaten and Hinton(2008),J Mach Learn Res 9:2579-2605;van der Maaten (2014),J Mach Learn Res 15:3221-3245)に対して行い、以前に検証したAb1(X-SM083-Ab-1)及びAb2(X-SM083-Ab-2)と同様の特性を持つ抗体の同定を行った。LPSは、追加のポジティブコントロールとして使用した。CD14-APC-Cy7(HCD14)、HLA-DR-PE-Cy5(L243)、 CD86-BV421(IT2.2)、CD40-FITC(5C3)、CD1a-PE(HI149)及びCD83-APC(HB15e)パネルからのMFI(平均蛍光強度)値を、分析実行時に変数として使用した。スケーリングは、t-SNE分析の前に各マーカーに対して行われた。パープレキシティ(perplexity)は、全ての分析で2に設定された。
IL-12 ELISA
ELISAは、ヒトIL-12p40 ELISA Maxiキット(430704,BioLegend)を使用して行った。Costar高結合96-ウェルプレート(Sarstedt)にヒトIL-12p40捕捉抗体をコーティングした。プレートは、1×Assay Diluent Aで1時間、振盪台(500rpm)で遮断した。全てのインキュベーションは、常温で振盪しながら行った。0.05%Tween(登録商標)-20(Sigma-Aldrich)を含む300μl/ウェルのPBSで4回洗浄を行った。特に断りのない限り、各工程の後に洗浄手順を繰り返した。サンプルは、標準品と同様に、1×Assay Diluent Aで希釈した。IL-12標準品は、1:1で希釈し、開始濃度は、4000pg/mlとした。サンプル及び標準品をプレートに加え、2時間インキュベートした。その後、1×検出抗体(100μl/ウェル)を加え、1時間インキュベートした。最後に、1×Avidin-HRP溶液(100μl/ウェル)を全てのウェルに加え、30分間室温で振盪しながらインキュベートした。プレートは、5回洗浄し、1回につき30~60秒浸漬した。同量の1MのHSOで反応を停止させる前に、TMB溶液(100μl/ウェル)を加え、15分間インキュベートした。FLUOstar Omega(BMG Labtech)を用いて450nMで吸光度を測定した。
結果
tSNE分析の結果は、刺激抗体の濃度が125nMの場合、図2に示されている。48時間の刺激後のCD14、CD1a、CD40、HLA-DR、CD86及びCD83の表面発現に関するデータを集約すると、3つのクラスター、すなわち、刺激を受けていない細胞の1つのクラスター、中間活性化プロファイル(Ab1とのクラスター化、すなわちIgG1アイソタイプの1150/1151)、及び強力な作動性プロファイル(LPS及びAb2とのクラスター化、すなわちIgG2アイソタイプの1150/1151)を有する1つのクラスターが得られる。A9抗体及びF4抗体は、強力なアゴニストとしての可能性を示す。幾つかの抗体は、中間的なアゴニストであり、多くの抗体はアゴニスト活性を示さない。
IL-12 ELISAの結果も同様である(図3)。この測定では、A9及びE7が、新しい抗体の中で最も高いアゴニスト活性を有するように見えた。試験した他の新しい抗体は、低レベル又は中レベルのアゴニスト活性を示した。2つの実験で最も高いレベルのアゴニスト活性を示した抗体として、A9がリード候補に選ばれた。
実施例8
HDX-MSによるエピトープマッピング
本実施例では、ヒトCD40のエピトープをマッピングするために、ヒトCD40と共にY-SM083-A9抗体で水素-重水素交換質量分析(HDX-MS)を行った。
タンパク質を、重水(DO)を含むバッファーに溶かすと、ヘテロ原子に結合した水素原子(例えば、-OH、-NH、又は-SH基に関連して)は、重水素で置換される。各重水素原子は、水素原子より1質量単位重いため、重水素の取り込みの程度は、MSで測定することができる。さらに、重水素標識と酵素によるタンパク質分解を組み合わせると、タンパク質内の異なる領域の重水素化プロファイルを測定することができる。リガンドがタンパク質に結合すると、水素結合に局所的な変化、例えば構造の安定化又は不安定化などが生じ、したがってHDX-MS法を使用して、タンパク質複合体の結合界面を同定することができる。
材料及び方法
0.92mg/mlのhCD40-Fc(RnD Systems,#1493-CDB)のPBS溶液4μlを、1mg/ml Y-SM083-A9の105.7μlとモル比で1:1になるように混合した。CD40/抗体複合体は、10K遠心フィルターユニット(Amicon Ultra,Merck)を使用して36μlに濃縮された。並行して、抗体を添加せず、hCD40-Fcのみを含むサンプルを同様に調製した。サンプルは、自動HDX-MSシステム(CTC PAL/Biomotif HDX)で分析され、サンプルは、自動的に標識化、クエンチ、消化、洗浄及び分離が2℃で行われた。具体的には、4μlのhCD40-Fc(又はhCD40-Fc/抗体複合体)を24μlの重水素化PBSと混合することによって標識化し、4℃で3点の標識化時間、すなわち10分、25分及び60分でインキュベートされた。
6M尿素、417mMのTCEP及び0.5%TFAを含む溶液を25μl添加し、pHを~2.3、温度を~4℃に下げることで標識反応を停止/クエンチした。サンプルは、固定化ペプシンカラム(2.1カラム(2.1×30mm))を使用して60μl/分で2分間消化した後、2mm I.D×10mm長さのC-18プレカラム(ACE HPLCカラム,Aberdeen,UK)を使用して0.2%ギ酸で400μl/分、1分間オンライン脱塩を行った。次に、2mm I.D×50mm長さのHALO C18/1.8μm分析カラムを使用し、0.1%ギ酸中のACNの18分間の8~55%直線グラジエントでペプチドを分離し、60μl/minで操作した。分析には、m/z 400で70,000の分解能で動作するOrbitrap Q Exactive質量分析計(Thermo Fisher Scientific)を使用した。ペプチドの同定には、ソフトウェアMascotを使用し、HDExaminer(Sierra Analytics USA)を使用して、全てのHDX-MSデータを処理した。統計解析は、95信頼区間を使用して行った。
結果
25個のペプチドの重水素化速度論を、タンパク質構築物の50%をカバーするHDX-MSで追跡した。CD40単独とY-SM083-A9存在下との間の重水素標識(10分、25分及び60分)及び重水素取り込み速度論を計算した。N末端に近いペプチドは、Y-SM083-A9抗体存在下で統計的に低い重水素取り込みを示し、エピトープをこの領域にマッピングした(表4)。
Figure 2023526977000005
ペプチド1及び2は、重複して、CD40のCRD1のN末端に位置し、ペプチド3は、CRD2のN末端(又はどのように規定されるかに応じて、CRD1とCRD2との間の橋渡し配列)に位置している。これらは、A9によって認識される立体構造エピトープの2つの部分を構成する可能性がある。
実施例9
抗CD40抗体5C3との比較によるエピトープマッピング
本実施例では、フローサイトメトリー及び競合結合を使用して、参照として蛍光標識を持つ既知のCD40結合抗体5C3を使用し、新規抗体A9が結合するCD40エピトープと既知の抗体CP-870,893(Ab-5)を比較する。A9又はAb-5抗体で細胞を処理した後に5C3染色が行われない場合、同時結合を妨げる立体障害が存在することを意味する。言い換えれば、もし被検候補抗体への曝露後に5C3染色が起こらなければ、被検抗体及び5C3が、CD40受容体の類似したエピトープを共有していることを示すことになる。
材料及び方法
PBMCは、実施例7と同様に単離した。本実施例では、CD14ネガティブ細胞画分を、25nM~50nMの抗体A9及びAb-5と氷上で30分間インキュベートして、抗体が内在化せずにその標的に結合するようにしたものを使用した。インキュベーションを終了した後、細胞を冷PBSで1回洗浄し、実施例7に記載したようにCD3-BV510(クローン:UCHT1)、CD19-APC(クローン:HI149)及びCD40-FITC(クローン:5C3)で染色した。細胞をCytoflexフローサイトメーター(Beckman Coulter)で分析し、その後CD19+細胞をゲートアウトして(were gated out)CD40発現を調査した。実験は、2人の別々のドナーで行い、双方とも同じ標識抗CD40クローン(5C3)で染色し、同じ実験装置を使用した。
結果
図4では、薄い灰色のヒストグラムは、染色されていないCD19細胞と比較して、抗CD40抗体(5C3)の検出を表示する。図4Aでは、濃い灰色のヒストグラムは、Ab-5抗体とのプレインキュベーション後の5C3による染色を示す。図4Bでは、濃い灰色のヒストグラムは、代わりにA9抗体でプレインキュベーションした後の5C3による染色を示す。図4Aで見られるように、Ab-5での前染色は、FITCシグナルの損失をもたらす(ネガティブコントロールに類似するヒストグラム)。逆に、図4Bは、A9とのプレインキュベーションが5C3からのFITCシグナルを保持することを示す。Ab-5クローンで見られるシグナルの損失は、染色された5C3抗体との共有されたエピトープ結合に起因すると考えられ、Ab-5の結合時の競合をもたらす。しかしながら、A9抗体とのプレインキュベーションでは、5C3抗体の結合を阻害することはなく、このことは、A9及び5C3がCD40の同じ結合エピトープを共有していないことを示している。
結論
その結果は、Ab-5は標識5C3抗体の結合を阻害するが、A9は阻害しないため、既知抗体Ab-5(CP-870,893)及び新規抗体A9は、同じCD40結合エピトープを共有しないことを示す。
実施例10
A9抗体の内在化
本発明との関連で、アゴニストCD40抗体の内在化は、二重特異性フォーマットでカーゴを送達するその能力にとって非常に重要である。本実施例では、新規A9抗体が樹状細胞(DC)に内在化される能力を研究する。
材料及び方法
MoDCを実施例7に記載したように単離し、培養した。6日目に、細胞を採取し、2つの96ウェル組織処理プレートに再プレートし、37℃、5%COで2時間インキュベートした。次に、試験抗体Ab-2及びA9を125nMの濃度で添加し、氷上で30分間インキュベートして受容体結合を可能にした。その後、細胞を冷たい無血清RMPIで3回洗浄し、250gで5分間、4℃で遠心分離を行った。上清は、洗浄の間に廃棄した。細胞は、内在化用には温めた完全培地に、コントロールプレートでの使用には冷えた培地に再懸濁させた。1枚のプレートは、4℃で終始インキュベートされ、1枚のプレートは、37℃、5%COでインキュベートされた。インキュベーションは、5分から4時間までの異なる時点で、冷PBSの添加により終了させた。次に、細胞表面に結合した抗体は、フローサイトメトリー(Cytoflex)で分析する前に、抗κAPC(cat no:9230-11,Biolegend)抗体で4℃、30分間染色することで検出された。内在化の程度は、以下のように計算された。
Figure 2023526977000006
結果
A9(モノクローナルIgG2)抗体の内在化を、Ab-2抗体(モノクローナルIgG2として1150)と比較した。図5に示されるように、2つの抗体の内在化パターンは、類似しており、時間の経過とともにゆっくりと内在化し、60分後には50%の内在化に達した。4時間培養後、約30%の抗体が細胞外に残存していた。結論として、新規A9抗体の内在化は、数時間かけてゆっくりと起こり、既知のAb-2抗体(1150)の内在化と同程度である。
実施例11
二重特異性抗体(コンジュゲート)の設計及び作製
A9に基づく二重特異性抗体(二重特異性コンジュゲート)を多数作製した。比較のために、中程度のアゴニスト活性を示すB8に基づく二重特異性抗体も作製した。作製した二重特異性抗体の詳細は、表5に記載される。
Figure 2023526977000007
14GIIICII-b scFvは、上記に記載されており、破傷風毒素に由来する既知のB細胞エピトープと結合し、MTTEと表記される。FITC8 scFvは、FITCを結合し、SEQ ID NO:66に示されるアミノ酸配列を有する(当初、Soderlindら、Nature Biotechnology 18(8):852-856,2000に記載された。)。上記のように、scFvは、抗CD40抗体の重鎖又は軽鎖のいずれかと単一のポリペプチド鎖としてコード化されたものであった。表に記載されるように、各二重特異性抗体において、scFvは、関連する抗体鎖のC末端に融合され、したがって、示されるように、重鎖C3ドメインのC末端又は軽鎖Cドメインのいずれかに位置した。前述のように、各二重特異性抗体において、scFvは、表5に示されるように、リンカーによって抗体に結合されていた。
前述のように、二重特異性抗体は、HEK293細胞で発現させ、プロテインAを使用したアフィニティークロマトグラフィーと続く分取サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により精製した。hCD40及びMTTE又はFITCとの結合が保持されていることは、ELISAによって確認された。
実施例12
二重特異性抗体による樹状細胞の活性化
材料及び方法
樹状細胞顕微鏡
培養したヒトmoDCの写真は、Moticam 1080カメラを搭載したVisiscope顕微鏡を使用して、10倍の倍率で撮影された。
IL-12 ELISA
ELISA実験は、1:2連続希釈を200nMから開始したことを除いて、実施例7で上述したように行った。
フローサイトメトリー
抗体HLA-DR-PE-Cy5(L243)、CD86-BV421(IT2.2)及びCD83-APC(HB15e)を使用して、上記の実施例7のようにフローサイトメトリーを行い、その標的細胞表面活性化マーカーの発現量を測定した。
結果
活性化すると、樹状細胞は、LPSで活性化した樹状細胞(図6E)と比較して、活性化されていない樹状細胞(図6F)の発言によって示されるように、特徴的なクラスターを形成する。樹状細胞をA9抗体及びB8抗体、並びにそれらに由来する二重特異性抗体で処理し、その後可視化し、クラスター化によって決定される活性化を評価した。予想どおり、A9抗体は、高濃度(200nM)及び低濃度(1.6nM)の両方で有意なクラスター化(樹状細胞の活性化を示す)を誘導した(図6D)。(A9 CドメインのC末端に付加した14GIIICII-b scFvを有する)A9二重特異性抗体Bi-22及び(A9 C3ドメインのC末端に付加したFITC8 scFvを有する)Bi-23は、同程度のクラスター化を誘発することが分かり(図6B、6C)、同じレベルのアゴニスト活性であることが示された。(A9 C3ドメインのC末端に付加した14GIIICII-b scFvを有する)Bi-21二重特異性抗体は、より低いレベルのクラスター化を引き起こすことが分かり(図6A)、このことは、A9親抗体と比較してアゴニスト活性が低下していることを示す可能性があるが、Bi-21はまた、製造が難しいことも分かり、この二重特異性抗体は使用することに一般的に問題があることを示すこともできた。
中程度のCD40アゴニストとして予想されるように、B8抗体は、特に200nMで、樹状細胞の活性化の程度を示す幾つかのクラスター化を誘導した(図7D)。しかしながら、二重特異性抗体Bi-24、Bi-25及びBi-26は、いずれもB8抗体よりも有意に低いレベルのアゴニスト活性を示した(図7A~C)。実際に、Bi-25及びBi-26は、最高濃度の200nMでも殆どクラスター化を誘発せず(図7B、C)、一方でBi-24は、最高濃度で低レベルのクラスター化を誘発した(図7A)。このことから、B8抗体は、A9抗体には見られない、二重特異性フォーマットへの変換により、アゴニスト活性における相当な損失を被ることが示唆された。
IL-12産生による樹状細胞の活性化を分析すると、A9クローンは、相当のサイトカイン放出を誘導した一方で、A9ベースの二重特異性抗体もサイトカイン放出を誘導したが、同じレベルには達しなかった。Bi-23は、A9クローン由来の二重特異性抗体の中で最も高いレベルのIL-12を誘導し、Bi-21は最も低いレベルであった(図8)。予想どおり、B8は、A9よりも低いレベルのIL-12産生を誘導したが、Bi-24、Bi-25及びBi-26抗体は、予想外に、いずれの抗体濃度でも検出可能なレベルのIL-12産生を誘導しなかった。
同様に、A9及びB8の両方は、樹状細胞表面活性化マーカーであるHLA-DR(MHC-II構成要素、図9A)、CD83(図9B)及びCD86(図9C)の発現を誘導した。A9ベースの二重特異性抗体Bi-23は、殆どのA9のアゴニスト活性を保持し、3つの表面マーカー全ての発現を誘導したが、Bi-22及びBi-21(特に)は、アゴニスト活性が低下していた。B8ベースの二重特異性抗体Bi-24、Bi-25及びBi-26は、IL-12のデータと一致するように、最小レベルのHLA-DRの発現、並びに検出できない又は殆ど検出できないレベルのCD83及びCD86の発現を誘導した。
結論
これらの結果は、B8が、標準的なモノクローナル抗体に関連して中程度のアゴニスト活性を示すにも拘らず、二重特異性に関連して全てのアゴニスト活性を失っていることを予想外に示すものであった。このことは、全ての抗CD40抗体が、本発明の二重特異性抗体への使用に適しているわけではないことを示している。A9抗体は、高いアゴニスト活性を有し、A9を二重特異性フォーマットに変換するときに、ある程度のアゴニズムは失われるが、一般に有効性については十分な活性が保持される。したがって、A9は、本発明の二重特異性コンジュゲートにおける使用に特に適切な抗体であることが明らかである。
二重特異性フォーマットでアゴニズムが完全に消失することは、我々の知る限り、これまで観察されたことのない現象である。B8エピトープの位置は、確立されていないが、CD40とCD40Lの相互作用により抗体の結合が阻害されるため、CD40Lの結合部位に近い、又は重なる部位に結合することが知られている(図1)。一方、A9抗体は、CD40L結合部位から離れたCD40のN末端領域に結合することが知られている(実施例8、図1参照)。このことから、本発明の二重特異性抗体において活性化させるためには、抗CD40抗体は、嵩高いscFv分子がエピトープへのアクセスを立体的に阻害しないように、膜から遠位で、アクセスの良い場所でCD40に結合しなければならないという仮説が導かれた。エピトープの位置によっては、嵩高いscFv分子が活性化中に起こるCD40の三量体化を阻害する、又は活性化時にCD40で起こる構造変化を阻害する、という可能性もある。現在のところ、アゴニズムの損失が、二重特異性フォーマットにおけるCD40との結合の損失に起因するのか、又は二重特異性フォーマットにおいてCD40とは依然として結合するが、受容体を介したシグナル伝達を活性化する能力を損失したのかは、明らかではない。
実施例13
追加の二重特異性コンジュゲートによる樹状細胞の活性化
本実施例では、A9クローンに由来し、実施例11に記載したように調製した追加の二重特異性構築物を使用して、IgG2定常領域におけるC127S変異とともにリンカーの長さの影響を評価した。試験した二重特異性コンジュゲート中のscFvは、表5に示すように、CH3又はCLのいずれかに位置するヒト抗FITC scFvであった。実施例は、リンカー長に起因するscFvによる潜在的な立体障害と、それが二重特異性コンジュゲートのアゴニスト能力にどのように影響するかを調べるために行われた。
材料及び方法
CD14+細胞の単離及び分化は、75ng/mlのGM-CSFを使用したことを除いて、実施例7及び12に記載したように行った。100~12.5nMの間の濃度のIgG2若しくはIgG2 C127S定常領域を有する抗体A9又は二重特異性試験コンジュゲートBi-23、Bi-28、Bi-29、Bi-30、Bi-31、Bi-32、Bi-33、又はポジティブコントロールとして1μg/mlのLPSを用いて、上清を採取する前に48時間MoDCを処理し、実施例7で説明されるようにIL-12p40 ELISAを使用してIL-12の産生を測定した。
結果
A9及びA9をベースにした二重特異性抗体(Bi23、Bi28)及びA9 C127S及びA9 C127S二重特異性抗体(Bi29、Bi30、Bi31、Bi32及びBi33)の滴定においてMoDCからのIL-12産生量を測定し、その結果を図10に示す。親抗体A9及びA9 C127Sには用量依存的なアゴニスト能が見られた。実施例12において先に試験した二重特異性コンジュゲートについて観察されたように、二重特異性コンジュゲートBi-23、Bi-28、Bi-29、Bi-30、Bi-31、Bi-32及びBi-33は、これらの二重特異性コンジュゲートからのIL-12産生は、これらの親の対応物よりも低いレベルであるけれども、これらのそれぞれの作動能を用量に依存して保持していた。結論として、リンカー長及びリンカーの位置は、試験した二重特異性コンジュゲートのアゴニスト活性に悪影響を及ぼすことはなかった。
実施例14
更なる二重特異性コンジュゲートの設計及び生成
材料及び方法
CHO細胞における設計及びタンパク質発現
本開示による抗体及び二重特異性コンジュゲートの更なる変異体が設計された。簡潔には、3つの異なる抗体アイソタイプ、すなわちIgG1、IgG2、及びヒトIgG2ヒンジ及びCH1配列をIgG1構造に移植した前記IgG1配列からなるハイブリッド、を使用した。二重特異性コンジュゲートにおいて、ヒト化タグ結合scFv配列は、可動性の(GS)又は強固な(EAK)リンカーのいずれかによって、3つのアイソタイプ変異体のいずれかのCH3ドメインにC末端に連結された。各変異体をコード化するDNAは、ExpiCHOTM遺伝子導入システム(ThermoFisher)を使用して、24個のディープウェルプレートで細胞に遺伝子導入された。遺伝子導入は、2.5mlの培養液に合計2μgのプラスミドDNAを入れ、2回に分けて行った。スケールアップ産生には、ExpiCHOTM細胞を製造者の指示に従い、25ml培養液で各構築物の遺伝子導入あたり合計20μgのプラスミドDNAで遺伝子導入を行った。
IgGの定量化
遺伝子導入したCHO細胞の上清中のIgG濃度は、Dip and ReadTMプロテインAバイオセンサー(Fortebio Biologics by Molecular Devices)を備えたOctet(登録商標)RED96eシステム(Fortebio Biologics by Molecular Devices,米国)で、製造者の指示に従ってバイオレイヤー干渉測定により測定した。培養5日目の上清を、20mMクエン酸、pH4.0、0.1%BSA(w/v)、0.1%Tween(登録商標)-20、0.5MのNaClで1:1に希釈した。標準曲線は、700~1μg/mlのサンプルIgGから作製した。
IgG精製
サイズ排除クロマトグラフィー分析のため、発現した構築物は、mAbSelect SuReカラム(GEヘルスケア)を用いたAktaSTARTシステム(GEヘルスケア)でのプロテインA促進精製で精製した。20mMリン酸ナトリウム、0.15M塩化ナトリウム(pH7.3)バッファーを結合及び洗浄バッファーとして、0.1Mグリシン(pH2.5)を溶出バッファーとして、1M Tris-HCl(pH8.5)を中和バッファーとして使用した。エンドトキシンレベルは、LALカートリッジ及びEndosafe Nextgen-PTSシステム(Charles River,MA,米国)を用いて、メーカーの説明書に従って測定した。
SDS-PAGE
上記のように精製した各サンプル合計4μgを、非還元条件では3×ローディングバッファー(0.1MのTris-HCl、45%グリセロール、0.03%ブロモフェノールブルー、0.3%SDS)と混合し、還元分析では0.15MのTris2-カルボキシエチル-ホスフィン塩酸塩を含む3×ローディングバッファーと混合して、95℃で7分インキュベートした。サンプルは、4~20%のCriterionTMTGX Stain-FreeTMタンパク質ゲル(Bio-Rad Laboratories)上で、同社のプロトコルに従って測定した。ゲルをGelCodeTMBlue Safeタンパク質染料(Thermo Fisher Scientific)で、室温で穏やかに振盪しながら1時間染色することにより、バンドを可視化した。
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
合計で、100μl中の25μgの各発現コンジュゲートを、Agilent 1200シリーズHPLCシステム(Agilent Technologies)に結合した Superdex Increase 200 10/30 GLゲル濾過カラム(GE Healthcare)に注入した。SECは、PBSをランニングバッファーとして用い、0.5ml/minの流速で行った。溶出したタンパク質フラグメントは、オンラインの280nm吸収測定によって検出された。データ解析及びピーク積分は、GraphPad prism 8.0(GraphPad Software)を使用して行った。
結果
新規抗体及び二重特異性コンジュゲートの発現及び特性評価
設計した構築物(表6)は、エンドトキシンレベルが閾値の0.5EU/mlを下回る状態で発現かつ精製することに成功した。精製したサンプルの還元型SDS-PAGEでは、抗体重鎖及び軽鎖それぞれについて期待されるサイズのバンドが見られた。
サイズ排除クロマトグラフィー
SEC分析では、精製された構築物に有意な量の高分子凝集体の兆候は見られなかった。低分子量種の形態における非ネイティブ集団は、程度の差こそあるものの、試験した構築物全体で観察された。
発現抗体及び二重特異性コンジュゲートの概要
表6に示す抗体及び二重特異性コンジュゲートの設計、発現及び精製に成功した。全ての二重特異性コンジュゲートにおいて、以前に試験したscFv:sの変異体を、第2の結合タンパク質として使用した。
Figure 2023526977000008
実施例15
本実施例では、実施例14に記述したように調製した構築物を、そのアゴニスト活性について分析した。
材料及び方法
CD14+細胞の分離及び分化は、75ng/mlのGM-CSF及び50ng/mlのIL-4を使用して、実施例7、12及び13に記述されるように行った。タグペプチドUU01(SEQ ID NO:79)を含む又は含まない抗体又は二重特異性コンジュゲートを用い、上清を採取する前に24時間又は48時間MoDCを処理し、IL-12p40 ELISAを使用してIL-12産生を測定した。24時間のインキュベーションについては、細胞を、以前に説明した活性化マーカーについて追加で染色した。
結果
測定されたIL-12産生は、A9(本明細書ではSP9と呼ぶ)抗体と比較して、48時間後の相対%活性を与えて、以下の表7に要約される。
Figure 2023526977000009
表7は、SP9(A9)抗体と比較して、試験した構築物SP2-SP8のアゴニスト活性を纏めたものである。IgG1ベースの抗体、すなわち親抗体SP8及び二重特異性バージョンSP2及びSP3は、参照よりも低いアゴニスト活性を有していた。IgG1/2ハイブリッド抗体、すなわち親抗体SP4並びに二重特異性抗体SP5及びSP6は、IgG1ベースのクローンと比較して、アゴニスト活性が向上した。SP5(フレキシブルリンカー)は、SP6(リジッドリンカー)よりも優れたアゴニスト活性を保持していた。さらに、参照のA9 IgG2抗体の二重特異性バージョンであるSP7は、同様のアゴニスト活性を保持していた。
また、親抗体(Ab5)及びCP-870,893抗体(Bi2)(WO2020/104690を参照)の二重特異性バージョンは、異なるA9ベースの構築物と並べて評価された。Bi2は、scFvとしてネズミ14GIIICII-bクローンを保有する。このバージョンでは、Bi2のアゴニスト活性は、親抗体Ab-5(CP-870,893)の43%であった。FITC8 scFvを保有するA9ベースの二重特異性抗体Bi23は、SP9(A9)親バージョンと比較して、92%のアゴニスト活性を保持していた。
さらに二重特異性コンジュゲートSP7及び親抗体SP9(A9)のアゴニスト活性を、UU01ペプチド(SEQ ID NO:79)の存在下で評価した。二重特異性抗体へのペプチドの結合は、親SP9(A9)抗体と比較して、24時間後の活性化マーカーのアップレギュレーション(図11)又はIL-12分泌(図12)に関してアゴニスト活性に影響を及ぼさなかった。
実施例16
CMV特異的T細胞増殖のin vitroアッセイ
T細胞の効率的な活性化には、活性化された樹状細胞(DC)との相互作用が必要である。T細胞受容体(TCR)は、DC上のMHC分子に担持されたペプチドを認識し、CD28受容体を介して共刺激分子CD83/CD86と相互作用する。IL-12のようなサイトカインは、T細胞に作用する活性化されたDCによって産生される。この実施例は、本質的に、新規のA9抗体に基づく二重特異性コンジュゲートがT細胞の病原体特異的集団の拡大を刺激する能力を、公知のCD40結合抗体CP-870,893に基づくWO2020/104690においてBi-17と示される二重特異性コンジュゲートと比較しても行うために、WO2020/104690の64、65ページの実施例4を繰り返したものである。A9抗体に基づく二重特異性コンジュゲートは、CD40結合を介して活性化を誘導し、第2の結合タンパク質(scFv)とタグとの間の相互作用を介してタグ/抗原ペプチドを細胞内に輸送することが示された。タグの蛍光は、検出可能なシグナルを提供する。
材料及び方法
HLA2A及びCMV陽性のドナーを使用した。CD14+細胞の単離及び分化は、本質的に実施例7、12、13及び15に記述したように行った。6日目に、MoDCを、それぞれの二重特異性コンジュゲートのscFv部分及びサイトメガロウイルス(CMV)からのエピトープと相互作用するためのFITCタグを含むUU-44(SEQ ID NO:87)と名付けられたペプチドの単独及び複合体の両方で試験した二重特異性コンジュゲートBi-23(表5)及びBi-17(53ページの表1又はWO2020/104690)で刺激した。複合体では、コンジュゲートとペプチドの間の比率は、コンジュゲート50nMの濃度で1:2であった。二重特異性コンジュゲート及び複合体は、37℃、5%COで24時間インキュベートされた。刺激されたDCは、6ウェルプレートで2つの複製に分けられた。同じドナーからのCD14陰性集団を解凍し、刺激されたDCと1:10の割合で混合した。特異的CMV CD8T細胞を測定する前に、共培養をさらに11日間インキュベートした。細胞を、CMV四量体-PE(MBL International;カタログ番号TB-0010-1)、CD3-BV510(クローン:UCHT1)及びCD8-FITC(クローン:SK1)で実施例7に記述されるように染色した。サンプルは、抗体で染色する前に、CMVテトラマーと、室温で10分間プレインキュベーションした。
結果
その結果を図13に示す。UU-44ペプチド単独でも、二重特異性コンジュゲート単独でも、特異的なT細胞の膨張は誘導されなかった。しかしながら、二重特異性コンジュゲートとCMV抗原配列を含むタグペプチドとの複合体は、CMV集団を0.6%から平均9~10%に増加させた。結論として、二重特異性抗体とUU44ペプチドとの複合体は、ペプチドのみ、又は抗体のみと比較して、CMV特異的CD8T細胞の拡大をもたらした。
実施例17
14GIIICII及びIBIIICIが認識する最小エピトープの決定
マウスモノクローナル抗体14GIIICII及びIBIIICIは、当初は18-mer MTTEペプチド(FIGITELKKLESKINKVF、SEQ ID NO:25)でマウスを免疫することによって飼育されたものである。これら2つの抗体のscFv-フォーマットへの変換、及びその後のMTTEへの結合のSPRによる結合特性評価は、WO2020/104690の実施例10に記述されている。
以下の例では、MTTE配列のC末端短縮は、scFv結合を損失することなく実施できることを実証している。ペプチドの短縮は、例えばプロテアーゼによる分解からタグ構築物(タグペプチドと腫瘍/病原体抗原)をより効率的に保護し、より効率的に製造できることを含む、産生目的の幾つかの利点をもたらす可能性がある。
材料及び方法
本実施例で使用したペプチド(Capra Science,Lund,スウェーデン)を表8に示す。
Figure 2023526977000010
14GIIICII及びIBIIICI scFvクローンの親和性測定は、Biacore T200プラットフォーム(GE Healthcare)及びシングルサイクルカイネティック(SCK)法を使用してSPRで行われた。α-FLAG M2抗体(Sigma-Aldrich)は、NHS-EDC化学を使用した一次アミンカップリングによってCM5-Sチップに固定化され、そのFLAGタグを介してscFvの捕捉が可能となった。5種類の異なる濃度(0.16nM~100nM)の異なるペプチド(表8)を含む5倍希釈系列をフローセル上に逐次注入し、捕捉したscFvと結合させた。解離段階の後、10mMグリシン-塩酸、pH2.2を使用して酸性条件下で表面を再生させた。基準面(α-FLAG抗体固定化表面)の応答曲線を差し引くことで、全てのペプチドに対する応答単位のセンサーグラムが得られた。データは、ソフトウェアBIAeval v.3.1(GE Healthcare)を使用して解析した。
結果
全てのサイクルで同様の捕捉レベル(RU)を得ることができた。分析物の注入後、チップ表面を次の抗体捕捉サイクルに備えて活性表面を残して再生することに成功できた。
驚くべきことに、IBIIICI scFvの結合は、ペプチドを18アミノ酸から12アミノ酸に短縮しても一見影響がないように見える。センサーグラムの目視検査(図示されていない)では、試験したペプチドの全てに対して非常に類似した結合パターンを示している。このことは、異なるペプチドの速度論的パラメータが示されている表9、及び図14に説明されている。14GIIICII scFvはまた、試験したペプチドの全てに対して明確な結合を示す。しかしながら、IBIIICIとは対照的に、親和性(K)は、ペプチドの短縮に伴って幾分増加する。これは、表9に示されるように、主にオフレート(解離速度定数(k))の増加の結果である。
ここで示された結果は、MTTEタグペプチドは、IBIIICI又は14GIIICIIへの結合を相当損失することはなく、それぞれ12又は13アミノ酸に短縮できることを示唆している。ここで報告された速度論的パラメータは、同じscFvクローンについて以前に報告されたものといくらか異なっている。この相違は、異なるペプチド設計を含む実験装置の違いによって説明される可能性がある。また、得られたk値は、装置の検出限界に非常に近い値であった(<10-5)。これは、特にIBIIICIに結合する異なるペプチドに当てはまる。オフレートをより正確に推定するためには、解離時間をかなり長くすることが推奨される。したがって、報告された速度論的パラメータは、正確な絶対的速度論的パラメータを提供することよりもむしろ、2つのscFvへの異なるペプチドの結合を比較するために主に使用されるべきであると注意深く見るべきである。
Figure 2023526977000011
配列一覧
大文字で書かれた配列はタンパク質配列、小文字で書かれた配列は核酸配列である。
SEQ ID NO:1
QSISSY

SEQ ID NO:2
AAS

SEQ ID NO:3
QQGYPYPFT

SEQ ID NO:4
GFTFSSYA

SEQ ID NO:5
ISGYSGST

SEQ ID NO:6
ARYYSYYGYYYFDY

SEQ ID NO:7
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGYPYPFTFGQGTKLEIK

SEQ ID NO:8
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSGISGYSGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARYYSYYGYYYFDYWGQGTLVTVSS

SEQ ID NO:9
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGYPYPFTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

SEQ ID NO:10
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSGISGYSGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARYYSYYGYYYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

SEQ ID NO:11
GILFLQWVRDIIDDFTNESSQK

SEQ ID NO:12
DSDKDRFLQTMVKLFNRIKNN

SEQ ID NO:13
IDIKNDLYEKTLNDYKAIANKLSQV

SEQ ID NO:14
QDPALLLMHELIHVLHGLYGM

SEQ ID NO:15
DGILFLQWVRDIIDDFTNESSQKR

SEQ ID NO:16
FIGITELKKLES

SEQ ID NO:17
MVRLPLQCVLWGCLLTAVHPEPPTACREKQYLINSQCCSLCQPGQKLVSDCTEFTETECLPCGESEFLDTWNRETHCHQHKYCDPNLGLRVQQKGTSETDTICTCEEGWHCTSEACESCVLHRSCSPGFGVKQIATGVSDTICEPCPVGFFSNVSSAFEKCHPWTSCETKDLVVQQAGTNKTDVVCGPQDRLRALVVIPIIFGILFAILLVLVFIKKVAKKPTNKAPHPKQEPQEINFPDDLPGSNTAAPVQETLHGCQPVTQEDGKESRISVQERQ

SEQ ID NO:18
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

SEQ ID NO:19
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

SEQ ID NO:20
ASTKGPSVFPLAPSSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

SEQ ID NO:21
GGGGS

SEQ ID NO:22
GGGGSGGGGS

SEQ ID NO:23
MPITINNFRYSDPVNNDTIIMMEPPYCKGLDIYYKAFKITDRIWIVPERYEFGTKPEDFNPPSSLIEGASEYYDPNYLRTDSDKDRFLQTMVKLFNRIKNNVAGEALLDKIINAIPYLGNSYSLLDKFDTNSNSVSFNLLEQDPSGATTKSAMLTNLIIFGPGPVLNKNEVRGIVLRVDNKNYFPCRDGFGSIMQMAFCPEYVPTFDNVIENITSLTIGKSKYFQDPALLLMHELIHVLHGLYGMQVSSHEIIPSKQEIYMQHTYPISAEELFTFGGQDANLISIDIKNDLYEKTLNDYKAIANKLSQVTSCNDPNIDIDSYKQIYQQKYQFDKDSNGQYIVNEDKFQILYNSIMYGFTEIELGKKFNIKTRLSYFSMNHDPVKIPNLLDDTIYNDTEGFNIESKDLKSEYKGQNMRVNTNAFRNVDGSGLVSKLIGLCKKIIPPTNIRENLYNRTASLTDLGGELCIKIKNEDLTFIAEKNSFSEEPFQDEIVSYNTKNKPLNFNYSLDKIIVDYNLQSKITLPNDRTTPVTKGIPYAPEYKSNAASTIEIHNIDDNTIYQYLYAQKSPTTLQRITMTNSVDDALINSTKIYSYFPSVISKVNQGAQGILFLQWVRDIIDDFTNESSQKTTIDKISDVSTIVPYIGPALNIVKQGYEGNFIGALETTGVVLLLEYIPEITLPVIAALSIAESSTQKEKIIKTIDNFLEKRYEKWIEVYKLVKAKWLGTVNTQFQKRSYQMYRSLEYQVDAIKKIIDYEYKIYSGPDKEQIADEINNLKNKLEEKANKAMININIFMRESSRSFLVNQMINEAKKQLLEFDTQSKNILMQYIKANSKFIGITELKKLESKINKVFSTPIPFSYSKNLDCWVDNEEDIDVILKKSTILNLDINNDIISDISGFNSSVITYPDAQLVPGINGKAIHLVNNESSEVIVHKAMDIEYNDMFNNFTVSFWLRVPKVSASHLEQYGTNEYSIISSMKKHSLSIGSGWSVSLKGNNLIWTLKDSAGEVRQITFRDLPDKFNAYLANKWVFITITNDRLSSANLYINGVLMGSAEITGLGAIREDNNITLKLDRCNNNNQYVSIDKFRIFCKALNPKEIEKLYTSYLSITFLRDFWGNPLRYDTEYYLIPVASSSKDVQLKNITDYMYLTNAPSYTNGKLNIYYRRLYNGLKFIIKRYTPNNEIDSFVKSGDFIKLYVSYNNNEHIVGYPKDGNAFNNLDRILRVGYNAPGIPLYKKMEAVKLRDLKTYSVQLKLYDDKNASLGLVGTHNGQIGNDPNRDILIASNWYFNHLKDKILGCDWYFVPTDEGWTND

SEQ ID NO:24
MLVRGYVVSRKLFASILIGALLGIGAPPSAHAGADDVVDSSKSFVMENFSSYHGTKPGYVDSIQKGIQKPKSGTQGNYDDDWKGFYSTDNKYDAAGYSVDNENPLSGKAGGVVKVTYPGLTKVLALKVDNAETIKKELGLSLTEPLMEQVGTEEFIKRFGDGASRVVLSLPFAEGSSSVEYINNWEQAKALSVELEINFETRGKRGQDAMYEYMAQACAGNRVRRSVGSSLSCINLDWDVIRDKTKTKIESLKEHGPIKNKMSESPNKTVSEEKAKQYLEEFHQTALEHPELSELKTVTGTNPVFAGANYAAWAVNVAQVIDSETADNLEKTTAALSILPGIGSVMGIADGAVHHNTEEIVAQSIALSSLMVAQAIPLVGELVDIGFAAYNFVESIINLFQVVHNSYNRPAYSPGHKTQPFLHDGYAVSWNTVEDSIIRTGFQGESGHDIKITAENTPLPIAGVLLPTIPGKLDVNKSKTHISVNGRKIRMRCRAIDGDVTFCRPKSPVYVGNGVHANLHVAFHRSSSEKIHSNEISSDSIGVLGYQKTVDHTKVNSKLSLFFEIKS

SEQ ID NO:25
FIGITELKKLESKINKVF

SEQ ID NO:26
FIGITELKKLESK

SEQ ID NO:27
FIGITELKKLESKI

SEQ ID NO:28
FIGITELKKLESKIN

SEQ ID NO:29
FIGITELKKLESKINK

SEQ ID NO:30
YIGITELKKLES

SEQ ID NO:31
FVGITELKKLES

SEQ ID NO:32
FIVITELKKLES

SEQ ID NO:33
FIGVTELKKLES

SEQ ID NO:34
FIGISELKKLES

SEQ ID NO:35
FIGITDLKKLES

SEQ ID NO:36
FIGITEVKKLES

SEQ ID NO:37
FIGITELVKLES

SEQ ID NO:38
FIGITELKVLES

SEQ ID NO:39
FIGITELKKVES

SEQ ID NO:40
FIGITELKKLDS

SEQ ID NO:41
FIGITELKKLET

SEQ ID NO:42
NDYKAIANKLS

SEQ ID NO:43
LMHELIHVLHGLY

SEQ ID NO:44
LMHELIHVLHGLYGM

SEQ ID NO:45
LIHVLHGLY

SEQ ID NO:46
PALLLMHELIHVLH

SEQ ID NO:47
QVQLQQPGAELVMPGASVNLSCKASGYTFTDYWMHWVKQRPGQGLEWIGEIDPSDNFSNLNQNFRGKATLTVDKSSRTAFLQLSSLTSEDSAVYYCAVEDYWGQGTTLTVSSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSDIVMTQATPSVLVTPGEAVSISCRASRSLLHSNGITYLYWFLQRPGQSPQVLIYRMSNLVSGVPDRFSGSGSGTAFTLRISRVEAEDVGVYYCMQHLEFPYTFGGGTKLEIK

SEQ ID NO:48
EVRLLQSGAALVRPGASVKLSCTASGFNIKDFNIHWVKQRPEQGLEWIGRIDPENGDAEYVPKFQVRATMTTDTSSNTVYLHLSSLTSGDTAVYYCTTGSYDLDVEYWGQGTTLTVSSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSELQMTQSPSSLSASLGDTVTITCHASQNINVWLSWYQQRPGNIPKLLIYKASTLHTGVPSRFRGSGSGTGFTLTISSLQPEDIATYYCQQGQSYPLTFGAGTKLELK

SEQ ID NO:49
GYTFTDYW

SEQ ID NO:50
IDPSDNFS

SEQ ID NO:51
AVEDY

SEQ ID NO:52
RSLLHSNGITY

SEQ ID NO:53
RMS

SEQ ID NO:54
MQHLEFPYT

SEQ ID NO:55
GFNIKDFN

SEQ ID NO:56
IDPENGDA

SEQ ID NO:57
TTGSYDLDVEY

SEQ ID NO:58
QNINVW

SEQ ID NO:59
KAS

SEQ ID NO:60
QQGQSYPLT

SEQ ID NO:61
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGYGYPPFTFGQGTKLEIK

SEQ ID NO:62
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARYVWGIDYWGQGTLVTVSS

SEQ ID NO:63
EPPTACREKQ

SEQ ID NO:64
EPPTACREKQYL

SEQ ID NO:65
ECLPCGESEF

SEQ ID NO:66
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYWMSWVRQAPGKGLEWVSGISGNGGYTYFADSVKDRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGGDGSGWSFWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSQSVLTQPPSASGTPGQRVTISCTGSSSNIGAGYDVHWYQQLPGTAPKLLIYGNNNRPSGVPDRFSGSKSGTSASLAISGLRSEDEADYYCAAWDDSLSGRVFGGGTKLTVL

SEQ ID NO:67
FIGITELKKLESKINKVFAVGALKVPRNQDWLGVPRQL

SEQ ID NO:68
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSISSSSGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARHGRWGYYFDYWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQISGPFTFGQGTKLEIK

SEQ ID NO:69
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARTPPPSSSRSYLDYWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYYPLFTFGQGTKL
EIK

SEQ ID NO:70
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSGYYMYWVRQAPGKGLEWVSYIGYSGGGTGYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARVPFGAFDYWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYYGFPYTFGQGTKLEIK

SEQ ID NO:71
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARYPRPYSIFISIDYWGQGTLVTV
SSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQTYGTPFTFGQGTKLEIK

SEQ ID NO:72
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARYSVPYSPYYSFDYWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQTYSPPTFGQGTKLEIK

SEQ ID NO:73
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARYTYGGFPFSSFDYWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYRFLSTFGQGTKLEIK

SEQ ID NO:74
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSGISGYSGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARYYSYYGYYYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

SEQ ID NO:75
gacatccagatgacccagtctccatcctccctgagcgcatctgtaggagaccgcgtcaccatcacctgcagggcaagtcagagcattagcagctatttaaattggtatcagcagaaaccagggaaagcccctaagctcctgatctatgctgcatccagtttgcaaagtggggtcccatcacgtttcagtggcagtggaagcgggacagatttcactctcaccatcagcagtctgcaacctgaagattttgcaacttattactgtcaacagggttacccgtacccgttcacttttggccaggggaccaagctggagatcaaa

SEQ ID NO:76
gaggtgcaattgttggagagcgggggaggcttggtacagcctggggggtccctgcgcctctcctgtgcagccagcggattcacctttagcagctatgccatgagctgggtccgccaggctccagggaaggggctggagtgggtctcaggtatttctggttacagtggttctacatactatgcagactccgtgaagggccggttcaccatctcccgtgacaattccaagaacacgctgtatctgcaaatgaacagcctgcgtgccgaggacacggctgtatattattgtgcgcgctactactcttactacggttactactactttgactattggggccaaggaaccctggtcaccgtctcctca

SEQ ID NO:77
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVERKCCVECPPCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

SEQ ID NO:78
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

SEQ ID NO:79
FIGITELKKLESKINKVFAGILARNLVPMVATVQGQNLKY

SEQ ID NO:80
EAAAK

SEQ ID NO:81
EAAAKEAAAK

SEQ ID NO:82
GGGSGGGSGGGS

SEQ ID NO:83
GGGSGGGSGGGSGGGS

SEQ ID NO:84
GGGSGGGSGGGSGGGSGGGS

SEQ ID NO:85
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSGISGYSGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARYYSYYGYYYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVERKCCVECPPCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK


SEQ ID NO:86
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSGISGYSGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARYYSYYGYYYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

SEQ ID NO:87
AGILARNLVPMVATVQ

Claims (25)

  1. CD40と特異的に結合する結合タンパク質であって、前記結合タンパク質が、CD40のアゴニストであり、抗体の結合ドメインを含み、前記結合ドメインが、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、それぞれが、3つの相補性決定ドメイン(CDR)を含み、
    VLCDR1が、SEQ ID NO:1に記載された配列を有し、
    VLCDR2が、SEQ ID NO:2に記載された配列を有し、
    VLCDR3が、SEQ ID NO:3に記載された配列を有し、
    VHCDR1が、SEQ ID NO:4に記載された配列を有し、
    VHCDR2が、SEQ ID NO:5に記載された配列を有し、及び
    VHCDR3が、SEQ ID NO:6に記載された配列を有する、
    結合タンパク質。
  2. 前記結合タンパク質が、ヒトCD40と結合し、ヒトCD40のアゴニストである、請求項1に記載の結合タンパク質。
  3. 前記結合タンパク質が、モノクローナル抗体、抗体フラグメント又はscFvである、請求項1又は2に記載の結合タンパク質。
  4. 前記抗体、前記抗体フラグメント又は前記scFvが、ヒトのものである、請求項3に記載の結合タンパク質。
  5. 前記抗体フラグメントが、Fab又はF(ab’)抗体フラグメントである、請求項3又は4に記載の結合タンパク質。
  6. 前記軽鎖可変ドメインが、SEQ ID NO:7に記載のアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、
    前記重鎖可変ドメインが、SEQ ID NO:8に記載のアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、
    請求項3~5のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  7. 前記特異的結合分子が、IgG2アイソタイプのモノクローナル抗体である、請求項3~6のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  8. 前記抗体が、SEQ ID NO:9に記載のアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖と、
    SEQ ID NO:10に記載のアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖と、
    を含む、請求項7に記載の結合タンパク質。
  9. (i)請求項1~8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの第1の結合タンパク質と、
    (ii)抗体の結合ドメインを含み、ペプチド部分と結合する、少なくとも1つの第2の結合タンパク質と、
    を含む、二重特異性コンジュゲートであって、
    前記第1の結合タンパク質及び前記第2の結合タンパク質が、共有結合している、
    二重特異性コンジュゲート。
  10. 前記第1の結合タンパク質が、モノクローナル抗体であり、前記第2の結合タンパク質が、scFvであり、好ましくは前記モノクローナル抗体が、IgG2アイソタイプである、請求項9に記載の二重特異性コンジュゲート。
  11. 前記scFvが、
    (i)前記抗体のC3ドメイン、又は
    (ii)前記抗体のCドメイン、
    と共有結合している、請求項10に記載の二重特異性コンジュゲート。
  12. 前記二重特異性コンジュゲートが、1つのモノクローナル抗体及び2つのscFvを含み、
    (i)1つのscFvが、前記抗体の各重鎖の前記C3ドメインに結合している、又は
    (ii)1つのscFvが、前記抗体の各軽鎖の前記Cドメインに結合している、
    請求項11に記載の二重特異性コンジュゲート。
  13. 前記ペプチド部分が、非ヒトアミノ酸配列を有し、好ましくは前記ペプチド部分が、微生物由来のアミノ酸配列を有する、請求項9~12のいずれか一項に記載の二重特異性コンジュゲート。
  14. 前記ペプチド部分が、細菌毒素由来のアミノ酸配列を有し、好ましくは前記ペプチド部分が、破傷風毒素由来のアミノ酸配列を有する、請求項13に記載の二重特異性コンジュゲート。
  15. 前記ペプチド部分が、SEQ ID NO:11~16若しくは42~46のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、又はSEQ ID NO:11~16若しくは42~46のいずれか1つに対して最大2つのアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の二重特異性コンジュゲート。
  16. 請求項9~15のいずれか一項に記載の二重特異性コンジュゲートと、タグ構築物と、を含み、前記タグ構築物が、抗原に共有結合した請求項9又は13~15のいずれか一項に記載のペプチド部分を含む、複合体であって、
    前記タグ構築物の前記ペプチド部分が、前記二重特異性コンジュゲートの前記第2の結合タンパク質に非共有結合している、複合体。
  17. 前記抗原が、がん抗原である、請求項16に記載の複合体。
  18. 前記がん抗原が、ネオ抗原、腫瘍関連抗原、又はオンコウイルス由来の抗原である、請求項17に記載の複合体。
  19. 前記抗原が、病原体由来である、請求項16に記載の複合体。
  20. (i)請求項1~8のいずれか一項に記載の結合タンパク質、
    (ii)請求項9~15のいずれか一項に記載の二重特異性コンジュゲート、又は
    (iii)請求項16~19のいずれか一項に記載の複合体、
    と、
    少なくとも1種の薬学的に許容される担体又は賦形剤と、を含む、医薬組成物。
  21. 請求項9~15のいずれか一項に記載の二重特異性コンジュゲートと、請求項16~19のいずれか一項に記載のタグ構築物と、を含む、キット。
  22. 治療に使用するための、請求項1~8のいずれか一項に記載の結合タンパク質、請求項9~15のいずれか一項に記載の二重特異性コンジュゲート、請求項16~19のいずれか一項に記載の複合体、請求項20に記載の組成物、又は請求項21に記載のキット。
  23. がん若しくは感染症の治療又は予防に使用するための、請求項1~8のいずれか一項に記載の結合タンパク質、請求項9~15のいずれか一項に記載の二重特異性コンジュゲート、請求項16~19のいずれか一項に記載の複合体、請求項20に記載の組成物、又は請求項21に記載のキット。
  24. 請求項1~8のいずれか一項に記載の結合タンパク質、請求項9~15のいずれか一項に記載の二重特異性コンジュゲート、請求項16~19のいずれか一項に記載の複合体、又は請求項20に記載の組成物を、被験体に投与することを含む、がん若しくは感染症を治療又は予防する方法。
  25. がん若しくは感染症の治療又は予防のための薬剤の製造における、請求項1~8のいずれか一項に記載の結合タンパク質、請求項9~15のいずれか一項に記載の二重特異性コンジュゲート、又は請求項16~19のいずれか一項に記載の複合体、の使用。
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