JP2023524872A - がんの治療のためのatr阻害剤 - Google Patents

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Abstract

本明細書は、これまでに免疫療法を受けたことのある患者の特定のサブセットにおける、がんを治療するためのATR阻害剤の使用、好ましくはタキサンを併用した使用について開示する。

Description

本明細書は、これまでに免疫療法を受けたことのある患者にATR阻害剤を投与することを特徴とする、がんの治療における4-{4-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-6-[1-((R)-S-メチルスルホンイミドイル)シクロプロピル]ピリミジン-2-イル}-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(AZD6738、セララセルチブ、下記の化合物(I)又はその薬学的に許容される塩)などのATR阻害剤の使用に関する。本明細書はまた、これまでに免疫療法を受けたことのある患者へのATR阻害剤の投与、これまでに免疫療法を受けたことのある患者のがんの治療用の医薬を製造するためのATR阻害剤の使用、がん療法における一定量のATR阻害剤を含む医薬組成物の使用、並びにそのような医薬組成物を含むキットを含む治療方法に関する。
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ATRは、セリン/スレオニンプロテインキナーゼであり、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ関連キナーゼ(PIKK)ファミリーのメンバーである。ATRは、通常のDNA複製時に、不対のままであれば二重鎖切断に進行する可能性がある停止した複製フォークにおいてリクルートされる。ATRはまた、複製タンパク質A(RPA)に覆われた一本鎖DNAにリクルートされ、その後一本鎖DNAを損傷させ、又は二重鎖切断を切除する。ATRのリクルート及び活性化により、S期において細胞周期の停止が生じる一方、DNAが修復され、停止した複製フォークが分解するか、又は核の断片化及びプログラム細胞死(アポトーシス)に移行する。
結果として、ATR阻害剤は、DNA修復をATRに依存する腫瘍細胞、例えばATM欠損腫瘍において増殖を阻害することが期待されている。ATR阻害剤は、そのような単剤療法における活性に加えて、併用して使用した場合に細胞傷害性のDNA傷害剤及び放射線療法の活性を(ATR依存性DNA修復プロセスを阻害することによって)増強することも予測されている。
例示的なATR阻害剤としては、特許文献1に最初に開示されている、他のPIKKファミリーメンバーに対して良好な選択性を有するATRの強力な阻害剤、AZD6738が挙げられる。この化合物は、DNA修復をATRの機能に依存する疾患、例えば、セリン/スレオニン特異タンパク質キナーゼであるATMを欠損した腫瘍を有する患者における経口抗腫瘍剤として開発されている。
ATR阻害剤は、悪性黒色腫を含む様々な形態のがんに対して研究されている。黒色腫は、皮膚のメラノサイトとして知られている色素産生細胞から発症するものであり、皮膚がんの最も危険な形態である。2015年には、310万人の人々が活動性黒色腫であり、59,800名の死亡例がもたらされた(非特許文献1)が、アメリカがん協会は、2020年に約100,000名の新たな症例が局所的に診断され、約7,000名の死亡例を伴うであろうと推定している。
現在の黒色腫の標準治療は、例えば、ニボルマブ又はペムブロリズマブなどの免疫チェックポイント阻害剤を用いた一次免疫療法を基準としたものである。BRAF変異などのような対応可能な変異を有する患者は、標的剤を受けることができる。患者は、いくつかの異なる系統の免疫療法を受けることができるが、この療法がもはや有効でなくなれば、二剤のカルボプラチン及びパクリタキセル又は単剤のパクリタキセルなどの標準的な化学療法を用いて治療を継続することができる。しかしながら、化学療法に対する奏効は不十分なものであることが多く、二重化学療法に対して約20%が奏効し、タキサンに対して奏効する患者は約5%しかいなかった。従って、免疫療法ではもはや対応することができない、黒色腫などの抵抗性のがんの治療に使用することができる、更なるアプローチが早急に求められている。
国際公開第2011/154737号パンフレット
Vos et al.,Lancet 388,1545-1602
驚くべきことに、AZD6738などのATR阻害剤が、これまでに免疫療法による治療を受けたことがあるがん患者(黒色腫患者を含む)に特に有効であり、そのような個体が高い割合で後続のATR阻害に奏効することが判明した。従って、AZD6738などのATR阻害剤による治療の標的集団として、以前に免疫療法を受けたことのある患者が特定されている。更に、ATRの阻害はまた、パクリタキセルなどのタキサンによる化学療法に対し、免疫療法に抵抗性のがんの奏効率を増大させるものと思われる。
理論に束縛されるものではないが、免疫療法によって治療したがんは、免疫療法それ自体が疾患の処置に有効でなくなった後であっても、ATR阻害剤治療に感作されるようになる可能性があると考えられる。
本明細書の目的は、特にがんの治療における、AZD6738などのATR阻害剤の新規の使用を提供することである。
本明細書の一態様では、がんの治療における使用のためのATR阻害剤が提供され、これまでに免疫療法を受けたことのある患者にATR阻害剤が投与される。
本明細書の更なる態様では、これまでに免疫療法を受けたことのある患者にATR阻害剤を投与することを含む、このような治療を必要とするヒト又は動物患者のがんを治療する方法が提供される。
本明細書の更なる態様では、がんの治療用の医薬の製造におけるATR阻害剤の使用が提供され、これまでに免疫療法を受けたことのある患者に医薬が投与される。
本明細書の更なる態様では、がんの治療における使用のためのATR阻害剤及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が提供され、これまでに免疫療法を受けたことのある患者に医薬組成物が投与される。
本明細書の更なる態様では、これまでに免疫療法を受けたことのある患者に投与されるATR阻害剤及び少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物と、がんの治療において医薬組成物を使用するための指示書とを含むキットが提供される。
AZD6738の治療上の可能性を評価するように設計された臨床試験の試験デザイン。 AZD6738及びパクリタキセルによる治療を受けた患者の最大の解析対象集団における、標的病変の合計の最良変化率のウォーターフォールプロット。Y軸はRECIST v1.1基準に従って評価された最大腫瘍縮小率を表している。M=黒色腫。棒は、最良総合効果によって分けられている。 AZD6738及びパクリタキセルを併用した治療に奏効する黒色腫患者を示す棒グラフ。 患者の奏効及びATM変異状態と共に、黒色腫患者のAZD6738及びパクリタキセルによる治療期間を示すスイマープロット。 最良奏効として非進行性疾患(CR、PR又はSD)を有する黒色腫患者のAZD6738及びパクリタキセルによる治療期間を示す、更新されたスイマープロット。棒は、最良奏効によって分けられている。
本明細書に詳述される発明は、引用される実施形態又は実施例のいずれかに限定されるものと解釈すべきではない。当業者には、他の実施形態が容易に明らかとなるであろう。
「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、「少なくとも1つの」を意味する。所与の要素を指すために「1つの(a)」又は「1つの(an)」が用いられる任意の実施形態では、「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、1つを意味し得る。所与の要素を指すために「1つの(a)」又は「1つの(an)」が用いられる任意の実施形態では、「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10を意味し得る。
一実施形態が「1つの(a)」又は「1つの(an)」要素Xを含む場合、後続の「その(the)」要素Xに対する言及は、その要素の1つのみが存在することを意味しない。むしろ、上記の「1つの(a)」又は「1つの(an)」の解釈は、「その(the)」が「少なくとも1つの」も意味するように引き続き適用される。換言すれば、「要素Xであって、要素Xが…」を含む実施形態は、「少なくとも1つの要素Xであって、少なくとも1つの要素Xが…」と解釈すべきである。
「を含む(comprising)」は、所与の材料又は要素が、他の材料又は要素を含有し得ることを意味する。「を含む(comprising)」が言及される任意の実施形態では、所与の材料又は要素は、材料若しくは要素(又は材料若しくは要素の組み合わせ)の少なくとも10%w/w、少なくとも20%w/w、少なくとも30%w/w、又は少なくとも40%w/wで形成され得る。「を含む(comprising)」が言及される任意の実施形態では、「を含む(comprising)」は、所与の材料又は要素「からなる(consisting of)」(若しくは「からなる(consists of)」)又は「から本質的になる(consisting essentially of)」(若しくは「から本質的になる(consists essentially of)」)も意味し得る。
「からなる(consisting of)」又は「からなる(consists of)」は、所与の材料又は要素が、材料若しくは要素(又は材料若しくは要素の組み合わせ)で完全に形成されていることを意味する。「からなる(consisting of)」又は「からなる(consists of)」が言及される任意の実施形態では、所与の材料又は要素は、材料又は要素の100%w/wで形成され得る。
「から本質的になる(consisting essentially of)」又は「から本質的になる(consists essentially of)」は、所与の材料又は要素が、その材料若しくは要素(又は材料若しくは要素の組み合わせ)でほとんど完全に構成されていることを意味する。「から本質的になる(consisting essentially of)」又は「から本質的になる(consists essentially of)」が言及される任意の実施形態では、所与の材料又は要素は、材料又は要素の少なくとも50%w/w、少なくとも60%w/w、少なくとも70%w/w、少なくとも80%w/w、少なくとも90%w/w、少なくとも95%w/w又は少なくとも99%w/wで形成され得る。
「である(is)」又は「であり得る(may be)」を用いて材料又は要素を定義する任意の実施形態では、「である(is)」又は「であり得る(may be)」は、材料又は要素が、材料又は要素「からなる(consists of)」又は「から本質的になる(consists essentially of)」ことを意味し得る。
特定の要素が存在する可能性のある「いくつかの実施形態では…」が言及される場合、要素は、本明細書の同じ項又はテキスト領域内の好適な実施形態だけでなく、本明細書のいずれかの部分の好適な実施形態に存在し得る。
特徴が特定のリスト「から選択される」場合、特徴は明記された代替形態からなるリストから選択され得る(即ち、それらの代替形態のリストであり、他の代替形態はない)。
特許請求の範囲が実施形態である。
治療的使用
一実施形態では、がんの治療における使用のためのATR阻害剤が提供され、これまでに免疫療法を受けたことのある患者にATR阻害剤が投与される。
一実施形態では、これまでに免疫療法を受けたことのある患者にATR阻害剤を投与することを含む、そのような治療を必要とするヒト又は動物患者のがんを治療する方法が提供される。
一実施形態では、がんの治療用の医薬の製造におけるATR阻害剤の使用が提供され、これまでに免疫療法を受けたことのある患者に医薬が投与される。
一実施形態では、がんの治療における使用のためのATR阻害剤及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が提供され、これまでに免疫療法を受けたことのある患者に医薬組成物が投与される。
免疫療法
患者が「これまでに免疫療法を受けた」ことがある場合、患者のがんがそれぞれ治療に奏効したか、又は奏効しなかったような、免疫療法による治療に成功したか、又は成功しなかった患者が含まれる。これまでに免疫療法を受けたことのある患者は、免疫療法によってがんの増殖又は疾患の健康への影響が良好に対処されないか、又はもはや良好に対処されなくなった場合、治療が無効であったことによってこれまでの治療を中止している場合がある。そのような治療が無効であった場合、このがんは免疫療法に対して抵抗性であると述べることができる。一次抵抗性は、がんの何らかの固有の特徴が免疫療法の作用を妨げる場合に生じるが、二次抵抗性としても知られている獲得抵抗性は、がんが免疫療法の治療中に抵抗性となる場合に生じる。何名かの患者は、アジュバント療法として免疫療法を受けてもよい。アジュバント免疫療法において再発する患者も同様に、免疫療法に対して一次抵抗性を持つものとみなされ得る。
いくつかの実施形態では、患者のがんは、免疫療法に対して抵抗性であり得る。
いくつかの実施形態では、患者は、免疫療法に対して一次抵抗性を有する。一実施形態では、一次抵抗性は、≧6週間の免疫療法剤の暴露及び進行後6ヶ月未満の進行性疾患又は安定疾患の最良奏効を有するものとして、米国がん免疫療法学会(SITC)の推奨事項に従って定義される。
いくつかの実施形態では、患者は、免疫療法に対して獲得抵抗性を有する。一実施形態では、獲得抵抗性は、≧6週間の免疫療法剤の暴露及び進行後6ヶ月超の完全奏効、進行性疾患又は安定疾患の最良奏効を有するものとして、SITCの推奨事項に従って定義される。
「免疫療法」は、疾患、例えばがんを治療するために患者自身の免疫系を用いるものである。免疫治療としては、体内の有害種(例えば、がん細胞)を発見して攻撃する際に免疫系が改善されるように、患者の免疫系の自然防御能を刺激すること、並びに、免疫系成分のように作用して、免疫系が身体を防御するための(例えば、がん細胞を発見して攻撃するための)機能を回復又は向上させる薬剤を投与することが挙げられる。
いくつかの実施形態では、免疫療法は、免疫チェックポイント阻害剤、キメラ抗原受容体T細胞療法による治療、サイトカインによる治療、免疫調節薬による治療、がんワクチンによる治療、モノクローナル抗体による治療及び/又は腫瘍溶解性ウイルスによる治療を含み得る。
「チェックポイント阻害剤」としては、免疫チェックポイントを遮断する任意の物質、つまり、刺激されたときに免疫刺激に対する免疫応答を弱めることが可能な免疫系の主要な調節因子が挙げられる。一部のがんは、免疫チェックポイントの標的を刺激することによって攻撃から自身を守ることができるため、阻害性チェックポイントを遮断し、免疫系の機能を回復させることが可能なチェックポイント療法が用いられる。
例示的なチェックポイント阻害剤としては、PD-1阻害剤(例えば、ペムブロリズマブ[Keytruda(登録商標)]、ニボルマブ[Opdivo(登録商標)]、セミプリマブ[Libtayo(登録商標)]、スパルタリズマブ[PDR001]、カムレリズマブ[SHR1210]、シンチリマブ[IBI308]、チスレリズマブ[BGB-A317]、トリパリマブ[JS 001]、AMP-224又はAMP-514)、PD-L1阻害剤(例えば、アテゾリズマブ[Tecentriq(登録商標)]、アベルマブ[Bavencio(登録商標)]、デュルバルマブ[Imfinzi(登録商標)]、KN035、CK-301、AUNP12、CA-170又はBMS-986189)、及びCTLA-4阻害剤(例えば、イピリムマブ[Yervoy(登録商標)]、又はトレメリムマブ)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、免疫療法は、免疫チェックポイント阻害剤による治療を含み得る。
いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤及びCTLA-4阻害剤から選択される免疫チェックポイント阻害剤による治療を含み得る。
いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1阻害剤である免疫チェックポイント阻害剤による治療を含み得る。
いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-L1阻害剤である免疫チェックポイント阻害剤による治療を含み得る。
いくつかの実施形態では、免疫療法は、CTLA-4阻害剤である免疫チェックポイント阻害剤による治療を含み得る。
いくつかの実施形態では、免疫療法は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、AMP-224、AMP-514、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、KN035、CK-301、AUNP12、CA-170、BMS-986189、イピリムマブ又はトレメリムマブから選択される免疫チェックポイント阻害剤による治療を含み得る。
いくつかの実施形態では、免疫療法は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ及びイピリムマブから選択される免疫チェックポイント阻害剤による治療を含み得る。
いくつかの実施形態では、免疫療法は、ペムブロリズマブ及びニボルマブから選択される免疫チェックポイント阻害剤による治療を含み得る。
いくつかの実施形態では、免疫療法は、キメラ抗原受容体T細胞療法を含み得る。
「キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法」は、患者の血液からいくらかのT細胞を取り出し、T細胞に腫瘍細胞を攻撃する方法を学ばせる特別なウイルスと混合し、次いで患者にこの細胞を戻すことで、がんを見つけ出して攻撃し、死滅させることができるものである。
いくつかの実施形態では、免疫療法は、サイトカインによる治療を含み得る。
「サイトカイン」は、細胞間のメッセージを伝達し、がんを攻撃するように免疫細胞を刺激する低分子タンパク質である。
いくつかの実施形態では、免疫療法は、免疫調節薬による治療を含み得る。
「免疫調節薬」は、一般に、特定の種類のがんを治療するために、免疫系の一部を増強させる薬剤である。
いくつかの実施形態では、免疫療法は、がんワクチンによる治療を含み得る。
「がんワクチン」は、がんに対する免疫応答を開始させるために体内に入れられる物質である。がんワクチンは、予防的に使用することができるか、又は身体の免疫応答を増大させ、より効果的な治療を可能にするために使用することができる。
いくつかの実施形態では、免疫療法は、モノクローナル抗体による治療を含み得る。
「モノクローナル抗体(mAb又はMoAb)」は、免疫系タンパク質の人工バージョンである。モノクローナル抗体は、がん細胞の極めて特異的な部分を攻撃するように設計することができる。
いくつかの実施形態では、免疫療法は、腫瘍溶解性ウイルスによる治療を含み得る。
「腫瘍溶解性ウイルス」治療では、特定の腫瘍細胞を感染させて死滅させるように研究室で改変されているウイルスを使用する。
いくつかの実施形態では、免疫療法は、1つの免疫療法剤による治療を含み得る。
いくつかの実施形態では、免疫療法は、2つ以上の免疫療法剤、例えば、CTLA-4抗体を併用したPD-L1抗体又はPD-1抗体による治療を含み得る。
ATR阻害
「ATR阻害剤」は、ATR酵素の活性をインビトロ又はインビボで減弱させる任意の化合物である。ATR阻害剤は、選択的であっても又は非選択的であってもよく、小分子であっても又は生体分子であってもよい。
例示的なATR阻害剤としては、AZD6738、M6620、BAY-1895344、EPT-46464、VE-821及びVX-970が挙げられる。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤は、AZD6738、M6620、BAY-1895344、EPT-46464、VE-821及びVX-970から選択されてもよい。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤は、AZD6738であってよい。
いくつかの実施形態では、AZD6738は、化合物(I)又はその薬学的に許容される塩であってよい。
用語「薬学的に許容される」は、対象物(例えば、塩、剤形又は賦形剤)が、患者に使用するのに好適であるか、及び/又は臨床的若しくは商業的に優先されることを明示するのに使用される。薬学的に許容される塩の例示的なリストは、“Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use“,P.H.Stahl and C.G.Wermuth,editors,Weinheim/Zurich:Wiley-VCH/VFiCA,2002又は後続版に見出すことができる。
いくつかの実施形態では、AZD6738は、塩遊離形態(例えば、中性若しくは双性イオン形態、又は、例えば、遊離塩基若しくは遊離酸形態)の化合物(I)であってよい。
いくつかの実施形態では、AZD6738は、化合物(I)の薬学的に許容される塩であってよい。
化合物(I)の好適な薬学的に許容される塩は、例えば酸付加塩である。化合物(I)の酸付加塩は、化合物を当業者に公知の条件下で好適な無機酸又は有機酸と接触させることによって形成してもよい。
酸付加塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸及びリン酸から選択される無機酸を用いて形成してもよい。酸付加塩はまた、クエン酸、フマル酸、マレイン酸及びメタンスルホン酸から選択される有機酸を用いて形成してもよい。
化合物(I)の更なる好適な薬学的に許容される塩は、例えば、化合物(I)をヒト又は動物の体に投与した後に、前記ヒト又は動物の体内で形成される塩である。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤はAZD6738であってよく、28日サイクルの1~21日目に投与される。
「28日サイクル」は、所与の患者のために連続的に反復され得る、又は個々のサイクル間における(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、30又は60日間の)治療と治療の隔たりを伴って反復され得る単一の治療期間である。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤はAZD6738であってよく、28日サイクルの1~14日目に投与される。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤はAZD6738であってよく、28日サイクルの1~7日目に投与される。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤はAZD6738であってよく、28日サイクル内で2週間の投薬/2週間の休薬(14日間の投薬/14日間の休薬)スケジュールに従って投与される。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤はAZD6738であってよく、28日サイクル内で7日間連続して投与される。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤はAZD6738であってよく、28日サイクル内で14日間連続して投与される。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤はAZD6738であってよく、30mg~500mgの1日総用量で投与される。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤はAZD6738であってよく、40mg、60mg、80mg、160mg、240mg、320mg又は480mgの1日総用量で投与される。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤はAZD6738であってよく、480mgの1日総用量で投与される。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤はAZD6738であってよく、240mgの用量で1日2回投与される(即ち、480mgの1日総用量で、それぞれ1日総用量の50%からなる2つに分割した部分で投与される)。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤はAZD6738であってよく、28日サイクルの1~21日目に240mgの用量で1日2回投与される。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤はAZD6738であってよく、28日サイクル内で7日間連続して240mgの用量で1日2回投与される。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤はAZD6738であってよく、28日サイクルの1~7日目に240mgの用量で1日2回投与される。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤はAZD6738であってよく、28日サイクル内の2週間の投薬/2週間の休薬スケジュールで1日2回投与される。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤はAZD6738であってよく、28日サイクル内で14日間連続して240mgの用量で1日2回投与される。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤はAZD6738であってよく、28日サイクルの1~14日目に240mgの用量で1日2回投与される。
がん
「がん」は、本明細書において腫瘍及び病変との同意語として使用される。がんは、原発性がんだけでなく、二次がん及び転移も含み得る。腫瘍は、検出可能なものであっても、又は検出不能なものであってもよく、例えば微小転移であってもよい。
「がんの治療」、「がんを治療すること」及び類似の用語は、既存のがんを治療すること、及び/又はがんを防止することを包含する。いくつかの実施形態では、治療は、1つ以上の症状が発症した後に実施してもよい。他の実施形態では、治療は、症状がない場合に実施してもよい。例えば、感受性の個体の治療は、(例えば、病歴によるか、及び/又は遺伝的若しくは他の感受性因子を考慮して)症状が発症する前に開始してもよい。治療はまた、例えば、症状の再発を提示するか又は遅らせるために、症状が回復した後に継続してもよい。
いくつかの実施形態では、がんの治療又はがんを治療することは、がんを治療することと、がんを予防することとを意味し得る。
いくつかの実施形態では、がんの治療又はがんを治療することは、がんを治療することを意味し得る。
いくつかの実施形態では、がんの治療又はがんを治療することは、がんを予防することを意味し得る。
いくつかの実施形態では、がんは、黒色腫、胃がん、肉腫、大腸がん、神経内分泌がん、肝細胞がん、非小細胞肺がん、及び扁平上皮頭頸部がんから選択され得る。
いくつかの実施形態では、がんは、黒色腫、胃がん、肉腫、大腸がん、神経内分泌がん及び肝細胞がんから選択され得る。
いくつかの実施形態では、がんは、黒色腫、胃がん、非小細胞肺がん及び扁平上皮頭頸部がんから選択され得る。
いくつかの実施形態では、がんは、黒色腫及び胃がんから選択され得る。
いくつかの実施形態では、がんは、黒色腫であり得る。粘膜黒色腫及び末端黒色腫は、特に治療するのが困難な黒色腫の組織学的サブタイプとして知られている。しかしながら、本明細書に記載される治療によって治療された患者において、これらのサブタイプにおける奏効が観察された。
いくつかの実施形態では、がんは、皮膚黒色腫であり得る。
いくつかの実施形態では、がんは、皮膚肛門黒色腫であり得る。
いくつかの実施形態では、がんは、末端黒色腫であり得る。
いくつかの実施形態では、がんは、粘膜黒色腫であり得る。
いくつかの実施形態では、がんは、初期段階のがん、活動的に進行中のがん、進行(例えば、局所進行)がん、湿潤がん、転移がん及び/又は薬剤耐性がんであり得る。
いくつかの実施形態では、がんは、局所進行がんであり得る。
いくつかの実施形態では、がんは、進行がん及び/又は転移がんであり得る。
いくつかの実施形態では、がんは、局所進行がん及び/又は転移がんであり得る。
いくつかの実施形態では、がんは、転移がんであり得る。
いくつかの実施形態では、がんは、転移性黒色腫であり得る。
いくつかの実施形態では、がんは、湿潤がんであり得る。
いくつかの実施形態では、がんは、ステージIVの黒色腫であり得る。
いくつかの実施形態では、がんは、ステージIIIの切除不能黒色腫であり得る。
患者の選定
いくつかの実施形態では、がんは、ATMを欠損していてもよい。
がんが「ATMを欠損」している場合、がん細胞は、同一の種類の通常の非がん性細胞よりもATMタンパク質を少なく発現する。例えば、IHCタンパク質染色によって分析したときに、同一の種類の正常細胞によって典型的に発現される総ATMタンパク質のIHCタンパク質染色によって分析したときに、がん細胞が、同一の種類の正常細胞によって発現される総ATMタンパク質の≦5%、≦10%、≦20%、≦30%、≦40%、≦50%、≦60%、≦70%、≦80%、≦90%又は≦100%を発現し得る。ATM欠損がん細胞はまた、ATM遺伝子に両アレルの有害突然変異を含み得る。
いくつかの実施形態では、がんは、ARID1Aを欠損していてもよい。
がんが「ARID1Aを欠損」している場合、がん細胞は、同一の種類の通常の非がん性細胞よりもARID1Aタンパク質を少なく発現する。例えば、IHCタンパク質染色によって分析したときに、がん細胞が、同一の種類の正常細胞によって典型的に発現される総ARID1Aタンパク質の≦5%、≦10%、≦20%、≦30%、≦40%、≦50%、≦60%、≦70%、≦80%、≦90%又は≦100%を発現し得る。ARID1A欠損がん細胞はまた、ARID1A遺伝子に変異(例えば、ナンセンス変異などの機能変異の喪失)を含み得る。
いくつかの実施形態では、がんは、ATM欠損黒色腫であってよい。
いくつかの実施形態では、がんは、ARID1A欠損黒色腫であってよい。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤は、二次療法として、即ち、患者が免疫療法に無効であった後に患者に投与される。
いくつかの実施形態では、ATR阻害剤は、三次療法として患者に投与される。ATR阻害剤を三次療法として受ける患者は、免疫療法による治療の前に、ダブラフェニブ及びトラメチニブなどのBRAF及びMEK阻害剤による治療を受けていてもよい。
臨床的特性
一実施形態では、がんの治療における使用のためのATR阻害剤が提供され、これまでに免疫療法を受けたことのある患者にATR阻害剤が投与され、ATR阻害剤による治療によって、10%~50%、10%~40%、10%~35%、20%~35%、25%~40%、30%~35%、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超又は70%超の奏効率が達成される。
「奏効率」は、ベースライン時点で測定可能な疾患を有し、少なくとも1つの奏効を達成した患者の割合である。
「RECIST基準」(例えば、RECIST 1.1基準)は、以下のサイト、https://recist.eortc.org/において詳述されており、Eur.J.Cancer 2016,62,Pages 132-137に記載されている。
一実施形態では、がんの治療における使用のためのATR阻害剤が提供され、これまでに免疫療法を受けたことのある患者にATR阻害剤が投与され、ATR阻害剤による治療によって、25%~100%、25%~90%、40%~80%、又は50%~70%の臨床的有用率が達成される。
「臨床的有用率」は、最初のスキャンで最良奏効が安定疾患であった、即ち、最初のスキャンで疾患進行のなかった患者の割合を加算した奏効率である(完全奏効+部分奏効+安定疾患)。
一実施形態では、がんの治療における使用のためのATR阻害剤が提供され、これまでに免疫療法を受けたことのある患者にATR阻害剤が投与され、ATR阻害剤による治療によって、6ヶ月超、7ヶ月超、8ヶ月超、好ましくは9ヶ月超の無増悪生存期間が達成される。一実施形態では、ATR阻害剤による治療によって、3~24ヶ月の無増悪生存期間が達成される。
「無増悪生存期間」又は「PFS」は、疾患が悪化せずに患者が生存している、治療中及び治療後の時間の長さである。PFSは、カプランマイヤー法を用いて測定され得る。
一実施形態では、がんの治療における使用のためのATR阻害剤が提供され、これまでに免疫療法を受けたことのある患者にATR阻害剤が投与され、ATR阻害剤による治療によって、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、好ましくは少なくとも5ヶ月の奏効期間が達成される。一実施形態では、ATR阻害剤による治療によって、2~6ヶ月の奏効期間が達成される。
「奏効期間」又は「DoR」は、がんが増殖又は蔓延せずに腫瘍が治療に奏効し続けている時間の長さである。
「全生存期間」又は「OS」は、患者がまだ生存している、治療を開始してからの時間の長さである。
一実施形態では、がんの治療における使用のためのATR阻害剤が提供され、これまでに免疫療法を受けたことのある患者にATR阻害剤が投与され、ATR阻害剤による治療は、がん患者にいかなる重篤な副作用も引き起こさない。
いくつかの実施形態では、重篤な副作用は、グレード4又は5の有害事象として定義され得る。
「グレード4又は5の有害事象」は、有害事象共通用語規準(CTCAE)に従って分類することができる。
併用治療
一実施形態では、がんの治療における使用のためのATR阻害剤が提供され、これまでに免疫療法を受けたことのある患者にタキサンと併用してATR阻害剤が投与される。
用語「併用」が使用される場合、同時投与、個別投与又は連続投与を指すことが理解されよう。
いくつかの実施形態では、併用は、同時に、個別に及び/又は連続的に投与され得る。
いくつかの実施形態では、併用は、同時に投与され得る。
いくつかの実施形態では、併用は、個別に投与され得る。
いくつかの実施形態では、併用は、連続的に投与され得る。
併用の投与が連続的又は個別である場合、第2の成分の投与を遅らせることで、併用による有益な効果が損なわれるようなものであるべきではない。
「タキサン」は、タキサジエンのコアを有するジテルペン化合物である。タキサンは、天然物として単離することができるか、又は合成若しくは半合成によって作製することができる。
いくつかの実施形態では、タキサンは、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール(クレモフォール EL-パクリタキセル)、アブラキサン(nab-パクリタキセル)及びカバジタキセルから選択され得る。
いくつかの実施形態では、タキサンは、パクリタキセルであり得る。
いくつかの実施形態では、タキサンはパクリタキセルであってよく、28日サイクルの1、8及び15日目に投与される。
いくつかの実施形態では、タキサンはパクリタキセルであってよく、28日サイクルの1、8及び15日目に1日1回投与される。
いくつかの実施形態では、タキサンはパクリタキセルであってよく、80mg/mの量で投与される。
いくつかの実施形態では、タキサンはパクリタキセルであってよく、28日サイクルの1、8及び15日目に80mg/mの量で投与される。
いくつかの実施形態では、タキサンはパクリタキセルであってよく、28日サイクルの1、8及び15日目に80mg/mの量で1日1回投与される。
キット
一実施形態では、ATR阻害剤及び少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物と、がんの治療において医薬組成物を使用するための指示書とを含むキットが提供され、これまでに免疫療法を受けたことのある患者にATR阻害剤が投与される。
具体的な実施形態
一実施形態では、がんの治療における使用のためのATR阻害剤が提供され、ATR阻害剤はAZD6738であり、免疫チェックポイント阻害剤による療法をこれまでに受けたことのある患者にタキサンと併用して投与される。
一実施形態では、黒色腫、胃がん、肉腫、大腸がん、神経内分泌がん、肝細胞がん、非小細胞肺がん及び扁平上皮頭頸部がんから選択されるがんの治療における使用のためのATR阻害剤が提供され、ATR阻害剤はAZD6738であり、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、AMP-224、AMP-514、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、KN035、CK-301、AUNP12、CA-170、BMS-986189、イピリムマブ又はトレメリムマブから選択される免疫チェックポイント阻害剤による療法をこれまでに受けたことのある患者にパクリタキセルと併用して投与される。
一実施形態では、黒色腫の治療における使用のためのATR阻害剤が提供され、ATR阻害剤はAZD6738であり、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、AMP-224、AMP-514、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、KN035、CK-301、AUNP12、CA-170、BMS-986189、イピリムマブ又はトレメリムマブから選択される免疫チェックポイント阻害剤による療法をこれまでに受けたことのある患者にパクリタキセルと併用して投与される。
一実施形態では、黒色腫の治療における使用のためのATR阻害剤が提供され、ATR阻害剤はAZD6738であり、ペムブロリズマブ及びニボルマブから選択される免疫チェックポイント阻害剤による療法をこれまでに受けたことのある患者にパクリタキセルと併用して投与される。
略語
AE-有害事象
AGC-進行胃がん
ATM-血管拡張性失調症変異
ATR-血管拡張性失調症及びRad3関連タンパク質
CRF-症例報告書(電子/紙)
CSA-臨床試験同意書
CSR-臨床試験報告書
CTCAE-有害事象共通用語規準
CtDNA-循環腫瘍DNA
DAE-有害事象による試験薬の中断
DNA-デオキシリボ核酸
EC-倫理委員会、施設内審査委員会(IRB)及び独立倫理委員会(IEC)と同義
ECG-心電図
GCP-優良臨床試験基準
ICH-医薬品規制調和国際会議
IP-試験薬
LSLV-最後の被験者の最終来院
OAE-他の重大な有害事象
PI-首席臨床試験医師
SAE-重篤な有害事象
臨床試験プロトコル
序論:AZD6783の有効性及び用量を決定するため、標準的な化学療法が無効であった転移がん患者におけるパクリタキセルを併用したAZD6738の単施設非盲検第I相試験を、以下の基本的なプロトコルに従って実施した。
主要目的及び評価項目:
Figure 2023524872000002
副次的目的及び評価項目:
Figure 2023524872000003
第三の目的及び評価項目:
Figure 2023524872000004
全体的な試験デザイン:試験は2つのパートから構成され、それぞれでパクリタキセルを併用して与えられた場合のAZD6738の安全性及び忍容性を評価した。AZD6738の経口製剤を使用した。第1のパート(パートA)では、パクリタキセルを併用した;開始用量の40mgのAZD6738 ODを、進行した固形悪性腫瘍患者において用量制限毒性で定義される最大耐量に達するまで漸増した。連続生検を実施して、明らかになったPKとPD間の関係に基づいて選択した用量でのAZD6738の生物活性を更に調査した。第2のパート(パートB)は、D1においてサイクル0のAZD6738(AZD6738の7日間の休薬)、D8~D21の単剤療法(パクリタキセルを併用する前)、その後サイクル1から毎週のパクリタキセルによる併用療法を伴う、並行PK拡大コホートであった。PKデータが明らかになったときに調整することができるように、これらのコホートの数及び用量を柔軟に変化させた。第1のパートが主要な臨床試験であった。AZD6738を用いた進行中の他の試験から生じたデータに応じて、患者の最少又は最大人数の募集を変更した。各コホートで独立して用量漸増を実施したが、しかしながら、コホートの数及び用量は、PKデータが明らかになったときに変更するように適用させた。
パートA:難治性がん患者に固定用量のパクリタキセルを併用して与えた場合のAZD6738の最大耐量(MTD)を決定するために、第1相試験を実施した。本パートAでは、ローリング6デザインを使用した。治療スケジュールは以下の通りであった。開始レジメン(4週間毎):40mg ODの用量のAZD6738、3週間の投薬/1週間の休薬;1、8、15日目に80mg/m2のパクリタキセル。本パートは、標準的な用量のパクリタキセルを併用した;開始用量の40mgのAZD6738 ODを、転移性固形がん患者において最大耐量に達するまで漸増した。各サイクルは4週間で構成された。サイクル2の1日目において、試験薬が投与される時間までに収集された安全性及び忍容性データを評価した時点で、用量漸増の判断を行った。このDLT評価期間は、そのような試験において用量漸増の中止につながる主な毒性(血液、胃腸、肝臓酵素)が、この期間の範囲内に存在することが見込まれるために選択されている。AZD6738の用量及び/又はスケジュールは、SRCによって規定されるものであった。少なくとも3名~最大6名の患者(「ローリング6デザイン」)のコホートサイズは、安全性データの収集が損なわれることなく、DLT評価期間中に評価不能となった患者を後に入れ替える必要性を低減することによって、推定された治療量に近いコホートへの患者の募集率を向上させるために採用されている。患者の総人数は、必要とされる用量調節の回数に応じて決められた。これらの患者は、関連する薬力学的バイオマーカーについて腫瘍を評価し、且つこれらの用量における忍容性、安全性及び薬物動態活性を更に調査するために、任意の対応する生検を有していた。最大で10名の患者のコホートサイズ(最少で2名の患者)が採用された。この対応する生検を、ベースライン、D7、及び(任意で本試験のための)疾患の進行後の試料として定義した。
パートB:薬物動態を評価するために、並行PK拡大パートBを行った。パートBのサイクル1(4週間)を開始する前に、単回用量のAZD6738について、4週間のサイクル0で薬物動態評価を実施した。パートBは、標準的な用量のパクリタキセルを併用した;開始用量の40mgのAZD6738 ODを、パートAによる最大耐量が得られるまで漸増した。治療スケジュールは以下の通りであった。開始レジメン(4週間毎):40mg ODの用量のAZD6738、3週間の投薬/1週間の休薬;1、8、15日目に80mg/m2のパクリタキセル。
組み入れ基準:以下の組み入れ基準の全てがあてはまり、且つ除外基準のいずれもあてはまらない場合に限り、患者は試験に組み入れられるのに適格であった。
1.任意の試験に特有の手順に先立ち、十分なインフォームドコンセントが提供されていること。
2.年齢が少なくとも19歳であること。
3.標準治療の化学療法が無効であった難治性がん患者。
4.腫瘍試料(切除又は生検のいずれかによる)が提供されていること。この基準は、本試験では任意であった(即ち、利用可能な生検試料がない場合に除外基準としなかった)。
5.患者は、試験期間の間に、治療並びに予定された来院及び検査を受けることを含むプロトコルに従う意思があり、またそれが可能であった。特に、患者は、全ての用量で、服用の少なくとも2時間前から投与後の少なくとも1時間までは、絶食していなければならない(飲水のみ)。臨床的有用性が得られることが知られている既存の療法に対して難治性又は不耐性であった、転移性疾患又は局所領域の再発性疾患があること。
6.ECOGの一般状態が0~1であること。
7.患者は、平均余命が提示された初回投与日から≧3ヶ月でなければならない。
8.ベースライン及び追跡調査来院時に、画像診断で正確に評価することができる少なくとも1つの測定可能な病変があること。
9.治療前に確認された、試験治療の28日以内の尿又は血清妊娠検査が陰性であること。妊娠可能な患者は、適切な避妊手段(2つの形式の信頼性の極めて高い方法)を用いなければならず、授乳してはならず、投与を開始する前に妊娠検査が陰性でなければならないか、又は、患者は、スクリーニング時に以下の基準の1つに該当することによる妊娠の可能性がないという証拠がなければならない:
(a)閉経後であること-年齢が50歳を超えていること、及び外因性ホルモン治療を全て中止した後に、少なくとも12ヶ月間無月経であることとして定義される。
(b)子宮摘出術、両側卵巣摘出術、又は両側卵管切除術(但し卵管結紮ではない)による不可逆的な不妊手術の記録があること。
(c)12ヶ月間無月経であり、閉経後の血清卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)及び血漿エストラジオール濃度が施設の範囲であること。
10.男性患者は、性的パートナーが妊娠可能でなかった場合、試験期間の間及び試験薬の最終投与後の1週間、バリア避妊法を使用する意思がなければならない。
除外基準:患者は、以下の除外基準のいずれかに該当した場合、試験に参加しなかった:
1.がんの治療のための、4種類以上の化学療法レジメンによる前治療(アジュバント化学療法を除く)。
2.ATR阻害剤(小分子)による任意の前治療。
3.パクリタキセルによる任意の前治療(医師の判断で、腫瘍がタキサンに完全に難治性でなかった場合はドセタキセルが許容された)。
4.二次原発がん患者であり、以下を除く:適切に治療された非黒色腫皮膚がん、根治治療を受けた子宮頸部の上皮内がん、又は≦5年間の疾患のエビデンスのない、根治治療を受けた他の固形腫瘍。
5.経口投与された薬物を嚥下することができない患者。
6.組み入れの直近で14日間の間(又は、使用した薬剤の規定された特性に応じて更に長い期間)の任意の試験薬による治療。
7.試験治療の前の最終投与から3週間以内(又は、使用した薬剤の規定された特性に応じて更に長い期間)の任意の全身化学療法、放射線療法(対症療法的理由を除く)を受けた患者。患者は、骨移転のための一定用量のビスホスホネート又はデヌソマブ(denusomab)を、治療の少なくとも4週間前に開始した場合、試験前及び試験中に受けてもよい。
8.ケトコナゾール、イトラコナゾール、リトナビル、インジナビル、サキナビル、テリスロマイシン、クラリスロマイシン及びネルフィナビルなどの、公知の強力なCYP3A4阻害剤の併用。CYP3A4又はPgp活性を大幅に調節する併用薬、ハーブ系サプリメント及び/又は食品を受けているか、又は受けたことがある(休薬期間は2週間であるが、セントジョーンズワートの場合は3週間)。これらには、一般的なアゾール系抗真菌薬及びマクロライド系抗生物質が含まれることに留意されたい。
9.脱毛症を除く、これまでに受けたがん療法によって引き起こされた任意の進行中の毒性(>CTCAEグレード1)。
10.組み入れ前の4週間以内の腸閉塞又はCTCAEグレード3又はグレード4の上部消化管出血。
11.24時間以内の2つ以上の時点における測定可能なQTcFが>470ミリ秒である安静時のECG、又はQT延長症候群の家族歴。
12.以下の心臓障害を有する患者:治療開始前の6ヶ月以内における、コントロール不良な高血圧症又は低血圧症(BP≧150/95mmHg(内科的療法に関わらない)、BP<100/60mmHg又は起立性低血圧はBP>20mmHgに該当する)、心エコーによって測定された<55%の左室駆出分画、安静時のECGの心拍数が>100bpmの心房細動、症候性心不全(NYHAグレードII~IV)、以前に心筋症であったか、又は現在心筋症である患者、重篤な心臓弁膜症、コントロール不良な狭心症(内科的療法に関わらないカナダ心臓血管学会のグレードII~IV)、急性冠症候群。
13.授乳中又は妊娠中であった女性患者。
14.B型肝炎、C型肝炎又はヒト免疫不全ウイルス(HIV)であることが分かっている任意の患者を含む、重度又はコントロール不良な全身性疾患、活動性感染症、活動性の出血性素因又は腎移植のあらゆるエビデンス。
15.血管拡張性失調症と診断されている。
16.以下の検査室値のいずれかで示される、不十分な骨髄機能、及び低下した肝臓機能又は腎機能:
(a)ヘモグロビン<9.0g/dL(輸血が許容される)
(b)好中球絶対数(ANC)<1.5×10 9/L
(c)白血球(WBC)≦3×10 9/L
(d)血小板数<100×10 9/L(輸血が許容される)
(e)アルブミン<33g/L
(f)総ビリルビン<1.5×施設正常値上限(ULN)
(g)肝臓転移が存在しなければAST(SGOT)/ALT(SGPT)>2.5×施設正常値上限、存在する場合は>5×ULNである必要がある
(h)血清クレアチニン>1.5×施設ULN
(i)調査施設で標準的な手法を使用して評価した場合の糸球体濾過率(GFR)<45mL/分(即ち、コッククロフト・ゴールト式、MDRD式若しくはCKD-EPI式、EDTAクリアランス又は24時間の採尿)
(j)血尿:顕微鏡検査又は尿試験紙で+++
(k)INR≧1.5又は肝臓における合成機能の低下についての他のエビデンス
加えて、以下を任意の探索的宿主遺伝子研究から除外するための基準とみなした:
17.同種骨髄移植をこれまでに受けている
18.遺伝子試料を採取した日の120日以内に、白血球が除去されていない全血輸血を受けている。
試験治療:AZD6738を、パクリタキセルを併用して経口錠剤により投与した。患者は、全ての用量で、服用の少なくとも2時間前から投与後の少なくとも1時間までは絶食していなければならない(飲水のみ)。AZD6738は、個別の錠剤のボトルとしてAstraZeneca R&Dにより供給されたものであった。併用薬剤は、現地調達(直接供給又は払い戻しによる現地供給のいずれか)により供給されたものであった。ラベルは、優良医薬品製造基準及び現地規制ガイドラインに従って、AstraZeneca R&Dによって作製された。全ての試験薬は、適切な保存条件下で安全な場所で保管した。AZD6738及び併用薬剤のボトル上の製品ラベルには、適切な保存法が明記されていた。
AZD6738の開始用量/スケジュールは、4週間(28日間)のサイクルにおいて、40mg ODを毎日21日間、その後7日の休薬であった。試験をパートA(パクリタキセルを併用)で開始し、開始用量が1日1回の40mgである選択されたAZD6738を使用した。患者は、全ての用量で、服用の少なくとも2時間前から投与後の少なくとも1時間までは絶食していなければならない(飲水のみ)。最初のサイクルの前に、患者は、PKを評価するため、投与の初日(サイクル0の1日目)に単回用量を受け、次いで試験薬を6日間受けなかった。次いで、パクリタキセルをサイクル1の1日目、8日目、15日目に投与し、各28日サイクルの1日目~21日目に1日1回のAZD6738の投与を再開した。更なるパートの開始用量/スケジュールを、明らかになった安全性及び忍容性データを基準として決定した。
後続のコホートの1日用量、投薬回数及び投与スケジュールを、安全性、忍容性、薬物動態及び明らかになった非臨床データに対応させて増加又は減少させた。用量漸増及び用量漸減は、以下の論理による下記のスキームに従った:
(a)3名の評価可能患者のコホートで用量制限毒性(DLT)が観察されない場合、用量漸増を行ってもよい。最少で3名の評価可能患者のデータを精査した後に、用量の増加が許可される。
(b)3名以上の評価可能患者の群において1名の患者がDLTを示す場合は、6名の評価可能患者を含むようにコホートを拡大する。完全な6名の評価可能患者のコホート内で1つのDLTしか観察されない場合は、用量漸増を行ってもよい。
(c)最大で6名の評価可能患者の群において2名以上の患者がDLTを示す場合、組み入れられた患者の人数に関係なく、用量は忍容性が良好でないとみなされ、コホートの募集及び用量漸増を停止する。MTDをより明確にするために、より低い中間用量(漸減)が考慮され得る。
あるコホートの最後の評価可能患者における投与の完了と、後続のコホートにおける投与の開始との間で必要とされる、最低限の期間が存在しなかった。患者内の用量漸増はなかった。試験の用量漸増期の間の各用量レベルの後に、治験責任医師がAZD6738の安全性及び忍容性並びに薬物動態を評価し、次の用量及び/又はスケジュールを決定した。
明らかになったデータに基づき、次のコホートを変更するためにSRCによって行われた任意の決断は、以下の通りであった:
(a)明らかになった忍容性データに対応して、所与のサイクルにわたってAZD6738の暴露を増大、維持、若しくは減少させるように、AZD6738の用量、1日の投薬回数若しくはスケジュールを修正する:
(b)治験責任医師によって用量が忍容性良好であるとみなされる場合は、AZD6738の用量を漸増する;又は
(c)治験責任医師によって用量が忍容性不良であるとみなされる場合は、特定のスケジュールにおいて、これまでのより低い用量レベルに(最大で6名の評価可能患者まで)、若しくは中間のより低い用量レベルのいずれかにAZD6738の用量を漸減する(20mg超の用量の場合);又は
(d)治験責任医師によって現行のスケジュールが忍容性不良であるとみなされる場合は、AZD6738、その後のパクリタキセルの投与による治療の休薬期間に更なる日数を追加し、AZD6738による治療日数の減少を対応させる;又は
(e)明らかになったデータに基づき、パクリタキセルの最初のサイクルの前にAZD6738による治療の休薬期間を増加させる;
(f)明らかになったデータに応じて、AZD6738の1日の投薬回数を増加させる;又は
(g)明らかになったデータに応じて、AZD6738の1日の投薬回数を減少させる。
連続するコホート間で、以下のパラメータのうちの2つのみを変化させてもよい。
(h)AZD6738の用量。
(i)AZD6738の1日の投薬回数。
(j)AZD6738のスケジュール。
しかしながら、以前の最大耐容総サイクル用量と比較して、全サイクル用量又は予想されるCmaxの2倍以下の増加とすべきである。パクリタキセルのスケジュール及び用量は固定されていた。
用量制限毒性(DLT):最大で6名の評価可能患者のうち2名以上がある用量レベルでDLTを示した場合、用量は忍容性不良であるとみなし、用量漸増を停止した。忍容性不良の用量が定義された時点で、忍容性不良の用量に満たないこれまでの用量レベルでMTDを確認すべきであるか、又は忍容性不良の用量から最後に忍容性良好であった用量の間の用量を調査すべきである。MTDを決定するのに6名の評価可能患者が必要であった。
DLTを、サイクル0(単剤療法)及びサイクル1(併用)の期間中(即ち、サイクル0の1日目における投薬からサイクル1における投薬の最終日まで)のあらゆる毒性として定義し、以下が含まれた:
(a)以下の通りの血液毒性:
- 連続して4日以上継続する、グレード4の好中球減少症(ANC<500細胞/mm3)
- ≧38.5℃の発熱又は全身性感染症を伴う、任意の期間のグレード3の好中球減少症(ANC≧500~<1000細胞/mm3)。
- 出血を伴う、グレード3の血小板減少症(25,000~<50,000/mm3)。
- ≧CTCAEv4グレード4の、任意の他の確認された血液毒性(臨床徴候、症状又は他の異常検査、即ち、疑わしい偽性値がない場合における単独の異常を確認するために反復が必要とされる場合がある)。
(b)以下を含む、≧CTCAEv4グレード3の非血液毒性:
- 検査所見の異常(臨床徴候、症状又は他の異常検査、即ち、疑わしい偽性値がない場合における単独の異常を確認するために反復が必要とされる場合がある)。
- QTc延長(>500ミリ秒)。
(c)ベースライン時の毒性を超過し、臨床的に重大及び/又は容認できず、支持療法に奏効しなかった任意の他の毒性。
(d)SRCによってDLTであると判断される、大幅な用量減量又は省略を含むあらゆる事象。
(e)以下を除外したDLT:
- あらゆるグレードの脱毛症。
- 不十分な治療を受けたグレード3の悪心及び/又は嘔吐、並びにグレード3の下痢(任意のそのような患者は、最適な制吐及び/又は止瀉予防及び/又は治療を受けている必要がある)。
- AZD6738/カルボプラチン併用に明らかに関連しない、例えば、試験下で疾患又は疾患関連プロセスに単独で関連するあらゆる毒性。
有効性評価:本試験では、転移性固形がん患者にパクリタキセルを併用して与えた場合のAZD6738の有効性を評価した。RECIST1.1基準を用いて、PFS及びORRを決定することによって治療に対する患者の奏効を評価した。RECIST1.1ガイドラインは、測定可能、測定不能の標的病変及び非標的病変、並びに客観的な腫瘍奏効基準(完全奏効、部分奏効、安定疾患又は疾患の進行)のためのものである。ベースライン時に使用された腫瘍負荷を評価する方法である、胸、腹部及び骨盤のCT又はMRIスキャンを、それぞれの後続の追跡調査を評価するときに使用することとした。ベースライン評価後に、全ての患者の有効性を、客観的な腫瘍評価によって初回投与の日付と比較して8週間毎に40週目まで評価することとし、その時点でRECIST1.1で定義されるような客観的な疾患進行となるまで12週間毎に評価を実施することとした。
進行する前に患者が治療を中断した(及び/又は後続のがん療法を受けた)場合は、RECIST1.1で定義されるような客観的な疾患進行となるまで患者を引き続き追跡することとした。
客観的な腫瘍奏効評価の分類は、以下の奏効のRECIST1.1基準に基づくものであった:CR(完全奏効)、PR(部分奏効)、SD(安定疾患)及びPD(疾患の進行)。標的病変(TL)の進行は、腫瘍負荷が最小(即ち、試験においてこれまでに記録された最も小さい径和)であった時点と比較して算出した。進行がない場合、腫瘍奏効(CR、PR、SD)を、治療開始前に得られたベースラインの腫瘍測定値と比較して算出した。
ベースライン時にのみ測定不能な疾患を有する任意の患者の場合、客観的な腫瘍奏効評価の分類は、以下の奏効のRECIST1.1基準に基づくものであった:CR、PD、及び非CR/非PD。特にNTL(非標的病変)に対する奏効又は新病変の出現によって、進行が起こったかどうかを治験責任医師が疑わしく思う場合、次に予定されている評価まで治療を続けることが望ましく、又は臨床的に必要であれば、すぐに患者の状態を再評価すべきである。反復スキャンによって進行が確認された場合は、最初のスキャンの日付を進行の日付として公表することとした。
新たな疾患が疑われた任意の他の部位も適切に画像化することとした。予定外の評価が実施された場合、且つ患者が進行していなかった場合、患者の予定された来院時に、あらゆる努力をして後続の評価を実施することとした。非標的疾患を基準にして「明らかな進行」を達成するためには、標的疾患にSD又はPRが存在したとしても、療法を中断するに値するほど十分に全体的な腫瘍負荷が増加するような、非標的疾患に全体レベルの実質的な悪化が存在していなければならなかった。1つ以上の非標的病変のサイズの控えめな「増加」は通常、明確な進行状態の性質として十分なものではない。
進行後、試験スケジュール(表1を参照されたい)に概説されるように、患者を生存週で引き続き追跡調査することとした。可能な限り詳細に評価スケジュールを追跡することが重要であった。
安全性及び臨床評価:AZD6783の安全性及び忍容性は、本試験の主要目的であった。関連する評価項目は、DLT、AE/SAE、生命徴候、臨床化学検査/血液学的検査、及びECGであった。検査機関の安全性評価には、以下のものが含まれた。
完全な血液学的評価:
(a)ヘモグロビン。
(b)赤血球(RBC)。
(c)血小板。
(d)平均赤血球容積(MCV)。
(e)平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)。
(f)平均赤血球ヘモグロビン(MCH)。
(g)WBC。
(h)絶対白血球分画数(好中球、リンパ球、単球、好酸球及び好塩基球)並びに絶対好中球数又は分葉核好中球数であり、桿状核球は、各来院時及び臨床的に必要である場合に実施することとした。絶対分画数が入手可能でない場合は、分画率を提供することとした。
(i)凝固:
- ベースライン時、及び臨床的に必要であれば、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を実施することとした。
- 患者がワルファリンを受けていない場合に限り、ベースライン時、及び臨床的に必要であれば、国際標準化比(INR)を実施することとした。ワルファリンを服用している患者は本試験に参加することができたが、しかしながら、プロトロンビン時間(INR及びAPTT)を最初の月は1週間につき少なくとも1回注意深く経過観察し、次いでINRが安定しているかどうかを毎月経過観察することが推奨された。
(j)安全性に関する生化学的評価;
- ナトリウム
- カリウム
- カルシウム
- マグネシウム
- クレアチニン
- 総ビリルビン
- γグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)
- ALP
- AST
- ALT
- 尿素又は血中尿素窒素(BUN)
- 総タンパク質
- アルブミン
- 乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)。
尿検査:スクリーニング時、及び臨床的に必要であれば尿検査を実施することとした。必要であれば、病院の現地検査機関によって顕微鏡分析を実施することとした。初回投与前の7日以内に評価され、指定された適格基準を満たす場合(該当する場合)、著しく変化した可能性があったと治験責任医師が考えない限り、サイクル1の1日目に反復する必要はない。
身体検査:以下の評価を含む、完全な身体検査を実施した:一般的外見、呼吸器、心血管、腹部、皮膚、頭頸部(耳、目、鼻及び喉を含む)、リンパ節、甲状腺、腹部、筋骨格(脊椎及び四肢を含む)、並びに神経系。試験スケジュールに概説されるように、スクリーニング時にECOGスケールを用いて一般状態を評価した。同一の観察者が一般状態を毎回評価することとした。初回投与前の7日以内に評価され、指定された適格基準を満たす場合(該当する場合)、著しく変化した可能性があったと治験責任医師が考えない限り、サイクル1の1日目に反復する必要はなかった。
ECG:試験治療の開始前の7日以内、臨床的に必要である場合、及び患者が試験薬を中断した後の追跡調査来院時にECGが必要とされた。いずれの場合にも、患者が少なくとも5分間仰臥位で安静にした後に、12誘導ECGを取得した。患者が仰臥位であった間に、全ての12誘導ECGを記録することとした。治験責任医師又は指定医師は、それぞれの試験日の設定時間の12誘導ECGの各々のコピーを、それらが収集されたときに精査することとした。ECGは、25mm/秒で記録することとした。全てのECGは、それらが臨床的に重大な異常である/臨床的に重大な異常でないかどうかについて治験責任医師によって評価されなければならなかった。臨床的に重大な異常所見が存在した場合、治験責任医師は、CRFにAEとして記録しなければならなかった。試験ファイルには、試験番号及びEコードを示すECGのコピーが含まれていなければならなかった。
生命徴候:身長は、スクリーニング時にだけ評価することとした。体重は、スクリーニング時、及び臨床的に必要であれば任意の他の時間に評価することとした。該当する場合、生命徴候におけるあらゆる変化をAEとして記録しなければならなかった。臥位BP及び脈拍数を、患者が少なくとも10分間安静にした後に、適切なカフサイズを有する半自動BP記録装置を用いて測定することとし、サイクル0の1日目、サイクル1のD1、D8、D15に評価し、次いでサイクル毎に(予定されている日付の+/-7日の枠内で)実施することとした。起立性低血圧を経過観察した。採取及び測定日時を適切なCRFに記録した。体温は、スクリーニング時、及び臨床的に必要であれば任意の他の時間に、自動体温計を用いて摂氏度で測定した。採取及び測定日を適切なCRFに記録することとした。
他の安全性評価:任意の閉経期前の妊娠可能な女性に血液又は尿試料で2回の妊娠検査を実行することとし、一方は、試験治療を開始する前の28日以内に、他方は治療開始前の試験の1日目に実行した。病院の現地検査機関によって検査を実施することとした。結果が陽性であった場合、患者を試験より不適格/中断とした。
併用薬:被験者の福祉に必要であるとみなされ、試験薬と干渉することのない任意の薬物(臨床試験プロトコルによって除外されたものを除く)を治験責任医師の裁量で与えることとした。治験責任医師は、CRFの適切な項に、試験中にインフォームドコンセントを署名した日付から被験者によって服用された全ての併用薬を記録しなければならなかった。
試験中は、以下のことが許容されなかった:
(a)予防的顆粒球コロニー刺激因子又は顆粒球マクロファージコロニー刺激因子。
(b)ケトコナゾール、イトラコナゾール、リトナビル、インジナビル、サキナビル、テリスロマイシン、クラリスロマイシン及びネルフィナビルなどの、公知の強力なCYP3A4阻害剤の併用。
(c)薬物相互作用による暴露の減少の可能性を回避するため、以下のCYP3A4誘導剤を避けなければならなかった:フェニトイン、リファンピシン、リファペンチン、リファブチン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、ネビラピン、モダフィニル及びセントジョーンズワート。
(d)承認された抗がん指標を有する、中国伝統医薬。
薬物動態:パートA、Bのサイクル0において、血漿中のAZD6738及び関連する活性代謝物の濃度を測定するため、静脈血試料(2mL)を採取した。各試料の採取日時を記録した。パートAのサイクル0、並行PK拡大試験では、指定されたPK施設でコホート毎に募集された最少6名の患者が存在することとなった。パートA、Bのサイクル1において、AZD6738及びAZ13368982(活性代謝物)又はパクリタキセルの濃度を測定し、血漿中の代謝物を特性決定するために、静脈血試料(4mL)を提示された時間で採取した。各試料の採取日時を記録することとした。試料を、一方はAZD6738及び関連する活性代謝物用に、一方は代謝物の同定作業用に分割することとした。
AZD6738及び活性代謝物の血漿中の濃度、並びにAZD6738の尿中の濃度、並びにパクリタキセルの血漿中の濃度を測定するための試料を、適切な生物学的分析法を用いて分析した。生物学的分析検査機関から受け取った時点で、なお目的の分析物(即ち、AZD6738又はパクリタキセル)の公知の安定性の範囲にあった全ての試料を分析した。加えて、薬剤代謝物の存在及び/又は同定について更に調査するため、薬物動態試料を更なる分析に適用してもよい。そのような分析のあらゆる結果は、臨床試験報告書とは別に報告することとした。
薬力学:薬力学的(PDc)バイオマーカーは、本試験の主要な副次的目的であり、AGC患者におけるAZD6738による治療後のATR標的阻害の程度及び持続時間を知らせるために用いられた。また、患者のAZD6738のPK-PD関係の予備的評価を得、ATM状態とのあらゆるレトロスペクティブな相関関係及びAZD6738による治療に対する奏効を測定するために、PDcバイオマーカー分析が用いられた。
バイオマーカー:この第1相試験には、血液ベースのPDcバイオマーカー試料の採取が義務づけられていた。精製末梢血単核細胞(PBMC)試料中の、γ-H2AX、pCHK、pATRを挙げてもよいがこれらに限定されないATR経路バイオマーカーの下流分析のために、末梢血試料を採取して分析した。末梢血(10mL)を、試験計画に詳細に述べられているように、週末に来院を行っていれば+/-1日で採取した。バイオマーカーアッセイ用の血液、保存組織及び新鮮凍結組織の採取、試料の出荷及び保管についての更なる詳細は、臨床検査マニュアルに見出すことができる。
パラフィンブロックに包埋されたホルマリン固定腫瘍組織を全患者用に依頼する必要がある。ベースラインの生検試料を採取することも可能である場合、診断以降に腫瘍が発達したことを示すデータを提供するために、保存用の診断用腫瘍材料の回収も同様に強く推奨された。原発性腫瘍又は転移性腫瘍のいずれかに由来する保存試料が許容されるが、原発性腫瘍由来の組織が好ましかった。患者に複数の時点の保存組織試料がある場合は、直近の生検由来の組織が好ましかった。腫瘍ブロックを提出することができない場合、新たに調製された未染色のスライド(最少で10個、好ましくは20個)の、保存腫瘍ブロックからの4つの顕微鏡用切片が許容されるが、しかしながら、腫瘍組織ブロックが好ましかった。
予測バイオマーカーを分析するために、10mLの末梢血試料を採取して循環腫瘍DNA用の血漿を得、遺伝子変異の変化及びAZD6738による治療に対する抵抗性の潜在的な機序を調べた。ctDNA用の血液試料を以下の時点で採取しなければならなかった:治療前のサイクル0の1日目、サイクル1の1日目、及び各サイクルの1日目、並びに療法の中断時。
臨床試験結果
患者をDLT評価について評価可能とするため、患者は、少なくとも75%の特定の用量のセララセルチブをサイクル1の間に受けているか、又は同時期にDLTを経験している必要があった。RECIST1.1基準に従い、コンピューター断層撮影を用いて、最初の10サイクルの間は2サイクル毎に、その後は進行するまで3サイクル毎に腫瘍奏効を評価した。
57名の患者(黒色腫33名、胃がん(GC)15名、肉腫4名、大腸がん3名、神経内分泌がん1名、及び肝細胞がん1名)を、40mg OD~240mg BIDの範囲の7用量コホートから構成される上記のプロトコルに従って臨床試験に組み入れた。1~14日目の160mg BD及び240mg BDのAZD6738でのn=6の評価可能患者の各コホートにおいて、1例の好中球減少性発熱の用量制限毒性(DLT)が発生した。プロトコルに従い、AZD6738の最大耐量は1~14日目の240mg BIDであった。
初期のデータセットより、最も多く見られた毒性(全ての因果関係、全てのグレード)は食欲不振(n=15、26%)、悪心(n=15、26%)、白血球減少症(n=12、21%)及び貧血(n=11、19%)であった。51名の患者が有効性について評価可能であり、以下の結果が観察された:完全奏効1名(1.9%、黒色腫)、確定部分奏効12名(23.5%;胃がん2名、黒色腫10名であり、全員が免疫療法後であった)、安定疾患18名(35.3%)及び疾患進行20名(39.2%)。用量漸増からの全体的な確定奏効率は25.5%であった。特に、黒色腫の被験者で観察された確定奏効率(臨床試験責任医師の評価に基づく)は10/30名の患者、即ち33.3%であった。
更新されたデータセットより、最も多く見られた治療下で発現した有害事象(全ての因果関係、全てのグレード)は、貧血(n=27、47%)及び減少した好中球数を含む好中球減少症(n=24、42%)であった。有害事象の概要を表3に示す。(少なくとも1回のセララセルチブ又はパクリタキセルの投与を受けた57名の患者の)有効性セットでは、完全奏効(CR)1名(1.8%、黒色腫)、確定部分奏効(PR)12名(12/57名[21.1%];胃がん2名、黒色腫10名であり、黒色腫の症例の全てが免疫療法による前治療を受けていた)、最良奏効の安定疾患(SD)を有する患者18名(31.6%)、進行性疾患(PD)を有する患者22名であり、4名が評価不能であった。データカットオフ時点で、依然として3名の患者が試験薬を受けていた。黒色腫患者(n=33)のサブグループでは、ORRは33.3%(95%CI、18.0~51.8)であり、DCRは60.6%(95%CI 42.1~77.1%)であった。黒色腫患者の平均PFSは3.60ヶ月(95%CI 2.00~5.78)であり、平均奏効期間は9.9ヶ月(95%CI 3.7~23.2)であり、mOSは7.4ヶ月(95%CI 5.7~11.9)であった。奏効は、黒色腫におけるネガティブな予後指標である、LDHのベースラインが高い患者で奏効が観察されるため、LDHのベースラインレベルと関連するようには見えず、このことは、この治療結果が十分でない群であっても有用であることを示唆している(LDH>ULNの28名から8名のレスポンダーが存在した)。奏効は、PD-L1発現に関連するようには見えなかった(PD-L1発現が≦5%の12名から6名のレスポンダーが存在した)。更に、全ての黒色腫の組織学的サブタイプにわたって奏効を観察し、皮膚黒色腫11名のうち3名、末端黒色腫10名のうち3名、及び粘膜黒色腫11名のうち5名が含まれた。試験治療に奏効した黒色腫患者のうち2名はPD-1免疫療法による前治療に奏効していた;6名が最良奏効としてSDを有し、3名が最良奏効としてPDを有していた。
ベースラインの血漿のゲノム分析(27名の患者)により、NF1体細胞変異の促進及びNRAS変異の活性が黒色腫患者間で明らかとなった(それぞれ6/18名及び4/18名)。免疫学的成分が奏効の機序に反映されている可能性がある病勢コントロールを伴う3名の患者において、インターロイキン12レベルの周期的な変化が観察された。
図2、3、4及び5は、臨床試験データを選択したものをグラフ形式で示している。
Figure 2023524872000005
Figure 2023524872000006
IO:免疫療法;SD:安定疾患;PD:進行性疾患;PR:部分奏効;LDH:乳酸デヒドロゲナーゼ;ULN:正常値上限;一次及び二次抵抗性はSITC推奨事項に従って定義した。
Figure 2023524872000007
Figure 2023524872000008

Claims (28)

  1. これまでに免疫療法を受けたことのある患者に投与される、がんの治療における使用のためのATR阻害剤。
  2. 前記ATR阻害剤がAZD6738である、請求項1に記載の使用のためのATR阻害剤。
  3. 前記AZD6738が、28日サイクルの1~14日目に投与される、請求項2に記載の使用のためのATR阻害剤。
  4. 前記AZD6738の1日総用量が、30mg~500mgである、請求項2又は請求項3に記載の使用のためのATR阻害剤。
  5. 前記AZD6738が、240mg用量で1日2回投与される、請求項2~4のいずれか一項に記載の使用のためのATR阻害剤。
  6. 前記ATR阻害剤が、タキサンと併用して投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のためのATR阻害剤。
  7. 前記タキサンがパクリタキセルである、請求項6に記載の使用のためのATR阻害剤。
  8. 前記タキサンが、28日サイクルの1、8及び15日目に投与される、請求項6又は請求項7に記載の使用のためのATR阻害剤。
  9. 前記がんが、黒色腫、胃がん、肉腫、大腸がん、神経内分泌がん、肝細胞がん、非小細胞肺がん、及び扁平上皮頭頸部がんから選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のためのATR阻害剤。
  10. 前記がんが、黒色腫及び胃がんから選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のためのATR阻害剤。
  11. 前記がんが黒色腫である、請求項10に記載の使用のためのATR阻害剤。
  12. 前記がんが皮膚黒色腫である、請求項11に記載の使用のためのATR阻害剤。
  13. 前記がんが末端黒色腫である、請求項11に記載の使用のためのATR阻害剤。
  14. 前記がんが粘膜黒色腫である、請求項11に記載の使用のためのATR阻害剤。
  15. 前記がんが、ATMを欠損している、請求項1~14のいずれか一項に記載の使用のためのATR阻害剤。
  16. 前記がんが、ARID1Aを欠損している、請求項1~15のいずれか一項に記載の使用のためのATR阻害剤。
  17. 前記免疫療法が、免疫チェックポイント阻害剤による治療を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の使用のためのATR阻害剤。
  18. 前記免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤及びCTLA-4阻害剤から選択される、請求項17に記載の使用のためのATR阻害剤。
  19. 前記免疫チェックポイント阻害剤が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、AMP-224、AMP-514、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、KN035、CK-301、AUNP12、CA-170、BMS-986189、イピリムマブ又はトレメリムマブから選択される、請求項17に記載の使用のためのATR阻害剤。
  20. 前記患者が、免疫療法に対して一次抵抗性を有する、請求項1~19のいずれか一項に記載の使用のためのATR阻害剤。
  21. 前記患者が、免疫療法に対して耐性を獲得している、請求項1~19のいずれか一項に記載の使用のためのATR阻害剤。
  22. 前記治療が、30%超の奏効率を達成する、請求項1~21のいずれか一項に記載の使用のためのATR阻害剤。
  23. 前記ATR阻害剤がAZD6738であり、免疫チェックポイント阻害剤による療法をこれまでに受けたことのある患者にタキサンと併用して投与される、請求項1に記載のがんの治療における使用のためのATR阻害剤。
  24. 前記ATR阻害剤がAZD6738であり、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、AMP-224、AMP-514、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、KN035、CK-301、AUNP12、CA-170、BMS-986189、イピリムマブ又はトレメリムマブから選択される免疫チェックポイント阻害剤による療法をこれまでに受けたことのある黒色腫患者にパクリタキセルと併用して投与される、請求項23に記載のがんの治療における使用のためのATR阻害剤。
  25. これまでに免疫療法を受けたことのある患者にATR阻害剤を投与することを含む、そのような治療を必要とするヒト又は動物患者のがんを治療する方法。
  26. がんの治療用の医薬の製造におけるATR阻害剤の使用であって、これまでに免疫療法を受けたことのある患者に前記医薬が投与される、ATR阻害剤の使用。
  27. がんの治療における使用のためのATR阻害剤及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物であって、これまでに免疫療法を受けたことのある患者に投与される、医薬組成物。
  28. ATR阻害剤及び少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物と、がんの治療において前記医薬組成物を使用するための指示書とを含むキットであって、これまでに免疫療法を受けたことのある患者に前記ATR阻害剤が投与される、キット。
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