JP2023524730A - 耐衝撃性が改良されたポリアミド組成物 - Google Patents

耐衝撃性が改良されたポリアミド組成物 Download PDF

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Abstract

本明細書では、ポリアミド(PA)と反応性耐衝撃性改良剤とを含むポリマー組成物(PC)が説明される。以下に詳細に説明されているように、ポリアミド(PA)は、脂肪族ジアミンと、ビス(アミノアルキル)シクロヘキサンと、テレフタル酸と、任意選択的にシクロヘキサンジカルボン酸との重縮合から誘導される半芳香族ポリアミドである。驚くべきことに、脂環式ジアミンビス(アミノアルキル)シクロヘキサン、又は脂環式ジアミンビス(アミノアルキル)シクロヘキサンと脂環式ジカルボン酸シクロヘキサンジカルボン酸との特定の組み合わせから誘導された半芳香族ポリアミドが、水溶液中でのエージング後に、ビス(アミノアルキル)シクロヘキサン及びシクロヘキサンジカルボン酸を含まない類似のポリアミドと比較して、機械的特性(例えば引張強さ及び曲げ強さ)の保持が改善されたポリマー組成物(PC)を提供することが発見された。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年5月7日に出願された米国仮特許出願第63/021,107号及び2020年7月14日に出願された欧州特許出願第20185587.1号に基づく優先権を主張するものであり、これらは共に参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、エージング後に優れた機械的特性を保持する、ポリアミドと反応性耐衝撃性改良剤とを含むポリマー組成物に関する。本発明は、ポリマー組成物の製造方法、及びポリマー組成物が配合された物品にも関する。
従来の半芳香族ポリアミドは、エンジン冷却液や食塩水溶液にさらされる部品の製造に使用されている。これらの伝統的な半芳香族ポリアミドの高い耐薬品性及び望ましい機械的性能は、エンジン冷却液や食塩水溶液環境に特に適している。しかしながら、そのような物品は一般的に高温環境に置かれるため、物品は高温にさらされる。時間の経過に伴い、そのような物品の機械的性能は望ましくないレベルまで低下する可能性がある。
一態様では、本発明は、ポリアミド(PA)と反応性耐衝撃性改良剤(IM)とを含むポリマー組成物(PC)に関する。ポリアミド(PA)は、20モル%~95モル%のC~C12の脂肪族ジアミンと5モル%~80モル%のビス(アミノアルキル)シクロヘキサンとを含有するジアミン成分(A)であって、これらのモル%がジアミン成分中の各ジアミンの総モル数に対するものである、ジアミン成分(A)と;30モル%~100モル%のテレフタル酸と0モル%~70モル%のシクロヘキサンジカルボン酸とを含有するジカルボン酸成分(B)であって、これらのモル%がジカルボン酸成分中の各ジカルボン酸の総モル数に対するものである、ジカルボン酸成分(B)と;を含む反応混合物中のモノマーの重縮合により誘導される。いくつかの実施形態では、ビス(アミノアルキル)シクロヘキサンは、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン又は1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンである。いくつかの実施形態では、ジカルボン酸成分(B)は、ジカルボン酸成分中の各ジカルボン酸の総モル数に対して1モル%~70モル%のシクロヘキサンジカルボン酸、好ましくは1,4-シクロヘキサンジカルボン酸を含む。
いくつかの実施形態では、反応性耐衝撃性改良剤(IM)は、無水マレイン酸で官能化された耐衝撃性改良剤である。いくつかの実施形態では、反応性耐衝撃性改良剤(IM)の濃度は1重量%~20重量%である。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)は、ポリマー組成物の総重量に対して、5重量%~70重量%の補強剤を更に含む。いくつかの実施形態では、補強剤はガラス繊維又は炭素繊維、好ましくはガラス繊維である。
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)は、130℃の50:50のエチレングリコール:水の溶液中で1000時間エージングした後に、少なくとも60%の引張強さ保持率を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)は、130℃の26重量%NaCl水溶液中で1000時間熱的エージングを行った後に、少なくとも85%の曲げ強さ保持率を有する。
別の態様では、本発明は、ポリマー組成物(PC)を含む物品であって、自動車部品又は地下若しくは海中の石油及びガス用の構成要素である物品に関する。
本明細書では、ポリアミド(PA)と反応性耐衝撃性改良剤とを含むポリマー組成物(PC)が説明される。以下に詳細に説明されているように、ポリアミド(PA)は、脂肪族ジアミンと、ビス(アミノアルキル)シクロヘキサンと、テレフタル酸と、任意選択的なシクロヘキサンジカルボン酸との重縮合から誘導される半芳香族ポリアミドである。驚くべきことに、脂環式ジアミンビス(アミノアルキル)シクロヘキサン、又は脂環式ジアミンビス(アミノアルキル)シクロヘキサンと脂環式ジカルボン酸シクロヘキサンジカルボン酸との特定の組み合わせから誘導された半芳香族ポリアミドが、水溶液中でのエージング後に、ビス(アミノアルキル)シクロヘキサン及びシクロヘキサンジカルボン酸を含まない類似のポリアミドと比較して、機械的特性(例えば引張強さ及び曲げ強さ)の保持が改善されたポリマー組成物(PC)を提供することが発見された。明確にするために明記しておくと、本明細書における「エージング」への言及は、水溶液中での熱的エージングを暗に指す。一部にはエージング後の機械的特性の改善された保持のため、ポリマー組成物(PC)は、望ましくは、使用中に高温にさらされ、水溶液(限定するものではないが、エンジン冷却液や食塩水溶液など)を搬送又は貯蔵するように設計された物品に配合することができる。更に、ポリマー組成物(PC)は、望ましくは、地下の石油回収用の構成要素における使用のために設計されており食塩水溶液にさらされる物品に配合することができる。
本出願において、任意の説明は、特定の実施形態に関連して記載されているとしても、本開示の他の実施形態に適用可能であり、またそれらと交換可能である。要素又は成分が、列挙された要素又は成分のリストに含まれ、且つ/又はそのリストから選択されるとされる場合、本出願で明確に企図される関連実施形態では、要素又は成分は、個別の列挙された要素若しくは成分のいずれか1つでもあり得るか、又は明確に列挙された要素若しくは成分の任意の2つ以上からなる群からも選択され得;要素又は成分のリストに列挙されたいかなる要素又は成分も、そのようなリストから省略され得;終点による数値範囲の本明細書におけるあらゆる列挙は、列挙された範囲内に含まれる全ての数値、並びに範囲の終点及び同等のものが含まれることが理解されるべきである。
特に具体的に限定しない限り、用語「アルキル」並びに「アルコキシ」、「アシル」及び「アルキルチオ」などの派生用語は、本明細書で用いる場合、それらの範囲内に直鎖、分岐鎖、及び環状部分を含む。アルキル基の例は、メチル、エチル、1-メチルエチル、プロピル、1,1-ジメチルエチル、及びシクロプロピルである。特に具体的に記述しない限り、各アルキル及びアリール基は、無置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、スルホ、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ、C~Cアシル、ホルミル、シアノ、C~C15アリールオキシ若しくはC~C15アリールから選択されるが、それらに限定されない1つ以上の置換基で置換され得、ただし、置換基が立体的に適合性であり、化学結合及び歪みエネルギーの規則が満たされていることを条件とする。用語「ハロゲン」又は「ハロ」には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれ、フッ素が好ましい。
用語「アリール」は、フェニル、インダニル又はナフチル基を指す。アリール基は、1つ以上のアルキル基を含み得、この場合、「アルキルアリール」と呼ばれることもあり;例えばシクロ芳香族基及び2つのC~C基(例えば、メチル又はエチル)から構成され得る。アリール基は、1つ以上のヘテロ原子、例えばN、O又はSも含み得、この場合、「ヘテロアリール」基と呼ばれることもあり;これらのヘテロ芳香環は、他の芳香族系に縮合され得る。そのようなヘテロ芳香環には、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジル、ピリミジル、ピラジニル及びトリアジニル環構造が含まれるが、それらに限定されない。アリール又はヘテロアリール置換基は、無置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、スルホ、C~Cアルキルチオ、C~Cアシル、ホルミル、シアノ、C~C15アリールオキシ若しくはC~C15アリールから選択されるが、それらに限定されない1つ以上の置換基で置換され得、ただし、置換基が立体的に適合性を有し、化学結合及び歪みエネルギーの規則が満たされていることを条件とする。
上述したように、驚くべきことに、ポリマー組成物(PC)は、高温で水溶液中でエージングした後、機械的特性の保持が改善されていることが発見された。いくつかの実施形態では、水溶液はポリオール水溶液又は食塩水溶液である。ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む有機化合物である。ここで対象となるポリオールとしては、限定するものではないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びジエチレングリコールが挙げられる。一般に、エンジン冷却液は、99.9/0.1~50:50の水対ポリオール(例えばエチレングリコール)の重量比を有するポリオール水溶液を利用する。食塩水溶液とは、水と、水及びNaClの総重量に対して少なくとも3.5重量%のNaClとを含む溶液を指す。いくつかの実施形態では、食塩水溶液は、水及びNaClの総重量に対して最大26重量%のNaCl濃度を有する。機械的特性の保持は、次の式に従って決定することができる:100*(X/X)(式中、Xはエージング後の所定の機械的特性の値であり、Xはエージング前(例えば成形時)の機械的特性の値である)。別段の明示的な記載がない限り、本明細書で使用されるポリオール水溶液中でのエージングとは、ポリマー組成物(PC)を130℃の50:50のエチレングリコール:水の溶液に1000時間浸漬することを指す。同様に、別段の明示的な記載がない限り、本明細書で使用される食塩水溶液中でのエージングとは、ポリマー組成物(PC)を130℃の26重量%NaCl水溶液に1000時間浸漬することを指す。
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)は、ポリオール水溶液中でエージングした後に、少なくとも60%、少なくとも70%の引張強さ保持率を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)は、ポリオール水溶液中でエージングした後に、100%以下、95%以下、90%以下、85%以下、又は80%以下の引張強さ保持率を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)は、ポリオール水溶液中でエージングした後に、60%~100%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、70%~100%、70%~95%、70%~90%、70%~85%、又は70%~80%の引張強さ保持率を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)は、ポリオール水溶液中でエージングした後に、少なくとも120MPa、少なくとも130MPa、少なくとも140MPa、又は少なくとも150MPaの引張強さを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)は、ポリオール水溶液中でエージングした後に、190MPa以下、180MPa以下、170MPa以下、又は160MPa以下の引張強さを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)は、ポリオール水溶液中でエージングした後に、120MPa~190MPa、130MPa~180MPa、150MPa~170MPa、又は150MPa~160MPaの引張強さを有する。引張強さは、実施例の項に記載の通りに測定することができる。
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)は、食塩水溶液中でエージングした後に、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の曲げ強さ保持率を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)は、食塩水溶液中でエージングした後に、105%以下、100%以下、又は99%以下の曲げ強さ保持率を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)は、食塩水溶液中でエージングした後に、85%~105%、90%~105%、95%~105%、85%~100%、90%~100%、95%~100%、85%~99%、90%~99%、又は95%~99%の曲げ強さ保持率を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)は、食塩水溶液中でエージングした後に、少なくとも120MPa、少なくとも130MPa、少なくとも140、又は少なくとも150MPaの曲げ強さを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)は、食塩水溶液中でエージングした後に、180MPa以下、170MPa以下、又は160MPa以下の曲げ強さを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)は、食塩水溶液中でエージングした後に、120MPa~180MPa、130MPa~180MPa、140MPa~180MPa、150MPa~180MPa、120MPa~170MPa、130MPa~170MPa、140MPa~170MPa、150~170MPa、120MPa~160MPa、130MPa~160MPa、140MPa~160MPa、又は150~160MPaの曲げ強さを有する。曲げ強さは、実施例の項に記載の通りに測定することができる。
ポリアミド(PA)
ポリマー組成物(PC)はポリアミド(PA)を含む。ポリアミド(PA)は、(1)20モル%~95モル%のC~C12脂肪族ジアミンと5モル%~80モル%のビス(アミノアルキル)シクロヘキサンとを含有するジアミン成分(A)であって、これらのモル%がジアミン成分中の各ジアミンモノマーの総モル数に対するものであるジアミン成分(A)と;(2)30モル%~100モル%のテレフタル酸と0モル%~70モル%、好ましくは1モル%~70モル%のシクロヘキサンジカルボン酸とを含有するジカルボン酸成分(B)であって、これらのモル%がジカルボン酸成分中の各ジカルボン酸モノマーの総モル数に対するものであるジカルボン酸成分(B)と;を含有する反応混合物中のモノマーの重縮合により誘導される。しかしながら、驚くべきことに、ビス(アミノアルキル)シクロヘキサン、又はビス(アミノアルキル)シクロヘキサンとシクロヘキサンジカルボン酸との特定の組み合わせを半芳香族ポリアミドに配合することにより、エージング後の機械的特性(例えば引張強さや曲げ強さ)の保持が改善された、耐衝撃性が改善されたポリマー組成物(PC)が得られることが発見された。本明細書に記載のポリアミドは、少なくとも145℃のガラス転移温度(「Tg」)、少なくとも295℃の溶融温度(「Tm」)、及び少なくとも30J/gの溶融熱(「ΔH」)を有する。
ジアミン成分(A)
ジアミン成分(A)には、20モル%~95モル%のC~C12脂肪族ジアミンと5モル%~80モル%のビス(アミノアルキル)シクロヘキサンとを含む、反応混合物中の全てのジアミンが含まれる。ジアミン成分(A)中のモノマーの濃度に言及する場合、濃度は、別段の明記がない限り、ジアミン成分(A)中の全てのジアミンの総モル数に対するものであることが理解される。
いくつかの実施形態では、C~C12脂肪族ジアミンは、下記式で表される:
N-R-NH (1)
(式中、R’は、C~C12アルキル基、好ましくはC~C10アルキル基である)。いくつかの実施形態では、C~C12脂肪族ジアミンは、1,4-ジアミノブタン(プトレシン)、1,5-ジアミノペンタン(カダベリン)、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン(又は1,6-ジアミノヘキサン)、3-メチルヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、2,2,7,7-テトラメチルオクタメチレンジアミン、1,9-ジアミノノナン、2-メチル-1,8-ジアミノオクタン、5-メチル-1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、及び1,12-ジアミノドデカンからなる群から選択される。好ましくは、C~C12脂肪族ジアミンは、1,6-ジアミノヘキサン、3-メチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、1,9-ジアミノノナン、2-メチル-1,8-ジアミノオクタン、5-メチル-1,9-ジアミノノナン、及び1,10-ジアミノデカンからなる群から選択される。好ましくは、C~C12脂肪族ジアミンは、C~C10脂肪族ジアミン又はC~C脂肪族ジアミンである。最も好ましくは、C~C12脂肪族ジアミンは1,6-ジアミノヘキサンである。
いくつかの実施形態では、C~C12脂肪族ジアミンの濃度は、25モル%~95モル%、30モル%~95モル%、35モル%~95モル%、40モル%~95モル%、45モル%~95モル%、又は50モル%~95モル%である。いくつかの実施形態では、C~C12ジアミンの濃度は、20モル%~90モル%、25モル%~90モル%、30モル%~90モル%、35モル%~90モル%、40モル%~90モル%、45モル%~90モル%、又は50モル%~90モル%である。
ビス(アミノアルキル)シクロヘキサンは、下記式で表される:
Figure 2023524730000001
(式中、R及びRはC~C10アルキルから独立して選択され;Rは、各位置において、アルキル、アリール、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、及び四級アンモニウムからなる群から選択され;iは0~10の整数である)。-R-NH基は、メタ位(1,3-)又はパラ位(1,4-)に相対的に配置される。好ましくは、iは0であり、R及びRは共に-CH-である。最も好ましくは、ビス(アミノアルキル)シクロヘキサンは、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(「1,3-BAC」)及び1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(「1,4-BAC」)から選択される。当然、ビス(アミノアルキル)シクロヘキサンはシス配座であってもトランス配座であってもよい。したがって、ジアミン成分(A)は、シス-ビス(アミノアルキル)シクロヘキサンのみ、トランス-ビス(アミノアルキル)シクロヘキサンのみ、又はシス-とトランス-のビス(アミノアルキル)シクロヘキサンの混合物を含むことができる。
いくつかの実施形態では、ビス(アミノアルキル)シクロヘキサンの濃度は、5モル%~75モル%、5モル%~70モル%、5モル%~65モル%、5モル%~60モル%、5モル%~55モル%、又は5モル%~50モル%である。いくつかの実施形態では、ビス(アミノアルキル)シクロヘキサンの濃度は、10モル%~75モル%、10モル%~70モル%、10モル%~65モル%、10モル%~60モル%、10モル%~55モル%、又は10モル%~50モル%、又は20モル%~40モル%である。
上で述べたように、いくつかの実施形態において、ジアミン成分(A)は、1種以上の追加のジアミンを含む。追加のジアミンは、C~C12脂肪族ジアミンとは異なり、且つビス(アミノアルキル)シクロヘキサンとは異なる。いくつかの実施形態では、1種、複数種、又は全ての追加のジアミンは、式(1)によって表され、それぞれ互いに異なり、且つC~C12脂肪族ジアミンとは異なる。いくつかの実施形態では、それぞれの追加のジアミンは、1,2ジアミノエタン、1,2-ジアミノプロパン、プロピレン-1,3-ジアミン、1,3ジアミノブタン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、3-メチルヘキサメチレンジアミン、2,5ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、2,2,7,7テトラメチルオクタメチレンジアミン、1,9-ジアミノノナン、2-メチル-1,8-ジアミノオクタン、5-メチル-1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1,13-ジアミノトリデカン、2,5-ビス(アミノメチル)テトラヒドロフラン、及びN,N-ビス(3-アミノプロピル)メチルアミンからなる群から選択される。このカテゴリーには、イソホロンジアミン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス-p-アミノシクロヘキシルメタンなどの脂環式ジアミンも含まれる。いくつかの実施形態では、ジアミン成分は、ビス(アミノアルキル)シクロヘキサン以外の脂環式ジアミンを含まない。本明細書において、モノマー(例えばビス(アミノアルキル)シクロヘキサン)を含まないということは、対応する成分(例えばジアミン成分(A))中のモノマーの濃度が1モル%未満、好ましくは0.5モル%未満、より好ましくは0.1モル%未満、更に好ましくは0.05モル%未満、最も好ましくは0.01モル%未満であることを意味する。
ジカルボン酸成分(B)
ジカルボン酸成分(B)には、30モル%~100モル%のテレフタル酸と0モル%~70モル%、好ましくは1モル%~70モル%のシクロヘキサンジカルボン酸とを含む、反応混合物中の全てのジカルボン酸が含まれる。ジカルボン酸成分(B)中のモノマーの濃度に言及される場合、濃度は、別段の明記がない限り、ジカルボン酸成分(A)中の全てのジカルボン酸のモル数に対するものであることが理解されるであろう。
いくつかの実施形態では、テレフタル酸の濃度は、35モル%~100モル%、35モル%~100モル%、40モル%~100モル%、45モル%~100モル%、又は50モル%~100モルである。いくつかの実施形態では、テレフタル酸の濃度は、30モル%~99モル%、35モル%~99モル%、40モル%~99モル%、45モル%~99モル%、又は50モル%~99モルである。いくつかの実施形態では、テレフタル酸の濃度は、30モル%~95モル、35モル%~97モル%、40モル%~97モル%、45モル%~97モル%、又は50モル%~97モルである。
シクロヘキサンジカルボン酸は、下記式で表される:
Figure 2023524730000002
(式中、Rは、アルキル、アリール、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、及び四級アンモニウムからなる群から選択され;jは0~10の整数である)。明示的な-COOH基は、メタ位(1,3-)又はパラ位(1,4-)、好ましくはパラ位に相対的に配置される。好ましくは、シクロヘキサンジカルボン酸は、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(「CHDA」)(jは0である)である。当然、シクロヘキサンジカルボン酸は、シス配座であってもトランス配座であってもよい。したがって、ジカルボン酸成分(B)は、シス-シクロヘキサンジカルボン酸のみ、トランス-シクロヘキサンジカルボン酸のみ、又はシス-とトランス-のシクロヘキサンジカルボン酸の混合物を含むことができる。
いくつかの実施形態では、シクロヘキサンジカルボン酸の濃度は、1モル%~70モル%、1モル%~65モル%、1モル%~60モル%、1モル%~55モル%、又は1モル%~50モル%である。
上で述べたように、いくつかの実施形態において、ジカルボン酸成分(B)は、1種以上の追加のジカルボン酸を含む。それぞれの追加のジカルボン酸は互いに異なり、テレフタル酸及びシクロヘキサンジカルボン酸とは異なる。いくつかの実施形態では、1種、複数種、又は全ての追加のジカルボン酸が式(3)で表され、それぞれ互いに異なり、シクロヘキサンジカルボン酸とは異なる。
いくつかの実施形態では、1以上の追加のジカルボン酸は、C~C12の脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、及び脂環式ジカルボン酸からなる群から独立して選択される。望ましいC~C10脂肪族ジカルボン酸の例としては、限定するものではないが、コハク酸[HOOC-(CH-COOH]、グルタル酸[HOOC-(CH-COOH]、2,2-ジメチル-グルタル酸[HOOC-C(CH-(CH-COOH]、アジピン酸[HOOC-(CH-COOH]、2,4,4-トリメチル-アジピン酸[HOOC-CH(CH)-CH-C(CH-CH-COOH]、ピメリン酸[HOOC-(CH-COOH]、スベリン酸[HOOC-(CH-COOH]、アゼライン酸[HOOC-(CH-COOH]、セバシン酸[HOOC-(CH-COOH]、1,12-ドデカン二酸[HOOC-(CH10-COOH]が挙げられる。
望ましい芳香族ジカルボン酸の例としては、限定するものではないが、イソフタル酸(IA)などのフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(例えばナフタレン-2,6-ジカルボン酸)、4,4’ビ安息香酸、2,5-ピリジンジカルボン酸、2,4-ピリジンジカルボン酸、3,5-ピリジンジカルボン酸、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)ケトン、4,4’-ビス(4-カルボキシフェニル)スルホン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)ケトン、ビス(3-カルボキシフェノキシ)ベンゼンが挙げられる。
望ましい脂環式ジカルボン酸の例としては、限定するものではないが、シクロプロパン-1,2-ジカルボン酸、1-メチルシクロプロパン-1,2-ジカルボン酸、シクロブタン-1,2-ジカルボン酸、テトラヒドロフラン-2,5-ジカルボン酸、1,3-アダマンタンジカルボン酸が挙げられる。
ポリアミド(PA)が1種以上の追加のジカルボン酸を含むいくつかの実施形態では、1種以上の追加のジカルボン酸の総濃度は20モル%以下である。
ポリアミド(PA)の繰り返し単位
上述したジアミン成分とジカルボン酸成分とにおけるモノマーの重縮合から形成されるポリアミド(PA)は、それぞれ以下の式で表される繰り返し単位RPA1及びRPA2
Figure 2023524730000003
を含み、更に、ジカルボン酸成分(B)中にシクロヘキサンジカルボン酸が存在する場合には、それぞれ以下の式で表される繰り返し単位RPA3及びRPA4
Figure 2023524730000004
(式中、R~R、R、R、i、及びjは、上で定義した通りである)を含む。当業者であれば、繰り返し単位RPA1がC~C12脂肪族ジアミンとテレフタル酸との重縮合から形成され、繰り返し単位RPA3がC~C12脂肪族ジアミンとシクロヘキサンジカルボン酸との重縮合から形成され、繰り返し単位RPA2がビス(アミノアルキル)シクロヘキサンとテレフタル酸との重縮合から形成され、繰り返し単位RPA4がビス(アミノアルキル)シクロヘキサンとシクロヘキサンジカルボン酸との重縮合から形成されることを認識するであろう。いくつかの実施形態では、Rは-(CH)-であり、式中のmは5~10、好ましくは5~9、最も好ましくは6である。加えて、又は代わりに、いくつかの実施形態では、R及びRは共に-CH-であり、i及びjは共にゼロである。いくつかの実施形態では、ビス(アミンアルキル)シクロヘキサンは1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであり、シクロヘキサンジカルボン酸は1,4-シクロヘキサンジカルボン酸である。
いくつかの実施形態では、繰り返し単位RPA1とRPA2の合計濃度は、少なくとも50モル%、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも97モル%、少なくとも98モル%、少なくとも99モル%、又は少なくとも99.5モル%である。任意選択的なシクロヘキサンジカルボン酸がジカルボン酸成分(B)中に存在するいくつかの実施形態では、繰り返し単位RPA1~RPA4の合計濃度は、少なくとも50モル%、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも97モル%、少なくとも98モル%、少なくとも99モル%、又は少なくとも99.5モル%である。繰り返し単位のモル%に言及される場合、濃度は、別段の明記がない限り、示されたポリマー中の繰り返し単位の総数に対するものであることが理解されるであろう。
ポリアミド(PA)は半結晶性のポリアミドである。本明細書において、半結晶性ポリアミドは、少なくとも5ジュール毎グラム(「J/g」)の融解熱(「ΔH」)を有するポリアミドである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリアミド(PA)は、少なくとも30J/g、又は少なくとも35J/gのΔHを有する。追加的又は代わりに、いくつかの実施形態では、ポリアミド(PA)は、60J/g以下又は55J/g以下のΔHを有する。いくつかの実施形態では、ポリアミド(PA)は、30J/g~60J/g又は35J/g~60J/g、30J/g~55J/g、又は35J/g~55J/gのΔHを有する。ΔHは、20℃/分の加熱速度を使用してASTM D3418に従って測定することができる。
ポリアミド(PA)は、少なくとも145℃、好ましくは少なくとも150℃のTgを有する。いくつかの実施形態では、ポリアミド(PA)は、190℃以下、180℃以下、又は170℃以下のTgを有する。いくつかの実施形態では、ポリアミド(PA)は、145℃~190℃、145℃~180℃、145℃~170℃、150℃~190℃、150℃~180℃、又は150℃~170℃のTgを有する。Tgは、ASTM D3418に従って測定することができる。
ポリアミド(PA)は、少なくとも295℃、好ましくは少なくとも300℃のTmを有する。いくつかの実施形態では、ポリアミド(PA)は、360℃以下、350℃以下、又は340℃以下のTmを有する。いくつかの実施形態では、ポリアミド(PA)は、295℃~360℃、295℃~350℃、295℃~340℃、300℃~360℃、300℃~350℃、又は300℃~340℃のTmを有する。Tmは、ASTM D3418に従って測定することができる。
いくつかの実施形態では、ポリアミド(PA)は、1,000g/モル~40,000g/モル、例えば2,000g/モル~35,000g/モル、4,000~30,000g/モル、又は5,000g/モル~20,000g/モルの範囲の数平均分子量(「Mn」)を有する。数平均分子量Mnは、ポリスチレン標準物質を用いて、ASTM D5296を使用してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。
本明細書で記載されるポリアミド(PA)は、ポリアミド及びポリフタルアミドの合成に適応した任意の従来法によって調製することができる。好ましくは、ポリアミド(PA)は、60重量%未満、優先的には50重量%未満の水の存在下で、少なくともTm+10℃の温度(Tmはポリアミド(PA)の融解温度である)までモノマーを反応させることによって(加熱することによって)調製され、ここでの重量%は反応混合物の総重量に対するものである。
本明細書で記載されるポリアミド(PA)は、例えば、モノマー及びコモノマーの水溶液の熱重縮合(重縮合又は縮合とも言われる)によって調製することができる。一実施形態では、ポリアミド(PA)は、反応混合物中で、少なくともC~C12脂肪族ジアミンと、ビス(アミノアルキル)シクロヘキサンと、テレフタル酸と、ジカルボン酸成分(B)中に存在する場合にはシクロヘキサンジカルボン酸とを反応させることによって形成される。いくつかの実施形態では、反応混合物中のジアミンの総モル数は、反応混合物中のジカルボン酸の総モル数と実質的に等モルである。本明細書で用いるところでは、実質的に等モルは、示されたモル数の±15%である値を意味する。例えば、反応混合物中のジアミン及びジカルボン酸の濃度との関係において、反応混合物中のジアミンの総モル数は、反応混合物中のジカルボン酸の総モル数の±15%である。ポリアミド(PA)は、アミン部分又はカルボン酸部分と反応することができる一官能性分子であり、及びポリアミド(PA)の分子量を制御するために使用される、鎖制限剤を含有し得る。例えば、鎖制限剤は、酢酸、プロピオン酸、安息香酸及び/又はベンジルアミンであることができる。触媒も使用することができる。触媒の例は、亜リン酸、オルト-リン酸、メタ-リン酸、次亜リン酸ナトリウムなどのアルカリ金属次亜リン酸塩及びフェニルホスフィン酸である。ホスファイトなどの安定剤も使用され得る。
ポリマー組成(PC)
ポリマー組成物(PC)は、ポリアミド(PA)と反応性耐衝撃性改良剤とを含む。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、補強剤及び添加剤からなる群から選択される1種以上の任意選択的な成分を含むことができる。添加剤としては、限定するものではないが、耐衝撃性改良剤、可塑剤、着色剤、顔料(例えばカーボンブラックやニグロシンなどの黒色顔料)、帯電防止剤、染料、潤滑剤(例えば直鎖低密度ポリエチレン、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、又はモンタン酸ナトリウム)、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、造核剤、酸化防止剤、酸捕捉剤、及びその他の加工助剤が挙げられる。
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)中のポリアミド(PA)濃度は、少なくとも5重量%又は少なくとも10重量%である。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)中のポリアミド(PA)濃度は、80重量%以下又は70重量%以下である。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)中のポリアミド(PA)濃度は、5重量%~80重量%、又は10重量%~70重量%である。
ポリマー組成物(PC)は、反応性耐衝撃性改良剤(IM)を含む。耐衝撃性改良剤は一般的に低Tgであり、例えば室温未満、0℃未満、更には-25℃未満のTgを有する。その低いTgの結果として、強化剤は典型的には室温でエラストマーである。耐衝撃性改良剤のポリマー主鎖は、ポリエチレン及びそのコポリマーを含むエラストマー主鎖、例えばエチレンとアクリル酸エステルとグリシジルメタクリレートとのターポリマー;エチレンとブチルエステルアクリレートとのコポリマー;エチレンとブチルエステルアクリレートとグリシジルメタクリレートとのコポリマー;エチレン-無水マレイン酸コポリマー;エチレン-ブテン;エチレン-ヘキセン;エチレン-オクテン;ポリプロピレン及びそのコポリマー;ポリブテン;ポリイソプレン;エチレン-プロピレン-ゴム(EPR);エチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM);エチレン-アクリレートゴム;ブタジエン-アクリロニトリルゴム、エチレン-アクリル酸(EAA)、エチレン-酢酸ビニル(EVA);アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンゴム(ABS)、ブロックコポリマースチレンエチレンブタジエンスチレン(SEBS);ブロックコポリマースチレンブタジエンスチレン(SBS);メタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)タイプのコア-シェルエラストマー、又は上の1種以上の混合物から選択することができる。
反応性耐衝撃性改良剤(IM)は、官能化された耐衝撃性改良剤である。耐衝撃性改良剤を官能化する分子には、ポリアミドと反応して共有結合を形成する基が含まれる。いくつかの実施形態では、この基はポリアミド上のアミン基と反応する。反応性耐衝撃性改良剤(IM)は、官能化を含むモノマーの共重合によって、又は耐衝撃性改良剤の骨格を官能化分子でグラフトすることによって、形成することができる。いくつかの実施形態では、耐衝撃性改良剤は、酸無水物、カルボキシル、アクリレート、エポキシ、アミノ、又はビニルで官能化されている。
いくつかの実施形態では、反応性耐衝撃性改良剤(IM)は、エチレンとアクリルエステルとグリシジルメタクリレートとのターポリマー;エチレンとブチルエステルアクリレートとのコポリマー;エチレンとブチルエステルアクリレートとグリシジルメタクリレートとのコポリマー;エチレン-無水マレイン酸コポリマー;無水マレイン酸で官能化されたEPR;無水マレイン酸で官能化されたスチレンコポリマー;無水マレイン酸で官能化されたEPDM、無水マレイン酸で官能化されたSEBSコポリマー;無水マレイン酸で官能化されたスチレン-アクリロニトリルコポリマー;無水マレイン酸で官能化されたABSコポリマーからなる群から選択される。あるいは、反応性耐衝撃性改良剤は、無水マレイン酸の代わりにエポキシドで官能化された前述したリストのいずれかから選択することができる。無水マレイン酸がグラフトされたSEBSコポリマーで優れた結果が得られた。
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)中の強化剤濃度は、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、又は少なくとも3重量%である。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)中の強化剤濃度は、20重量%以下、15重量%以下、又は10重量%以下である。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)中の強化剤の濃度は、1重量%~20重量%、2重量%~15重量%、又は3重量%10重量%である。
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)は補強剤を含む。補強繊維又は充填剤とも呼ばれる、幅広い選択肢の補強剤が、ポリマー組成物(PC)に添加され得る。いくつかの実施形態では、補強剤は、鉱物充填剤(限定するものではないが、タルク、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウムなど)、ガラス繊維、炭素繊維、合成ポリマー繊維、アラミド繊維、アルミニウム繊維、チタン繊維、マグネシウム繊維、炭化ホウ素繊維、ロックウール繊維、スチール繊維、及びウォラストナイトから選択される。
一般に、補強剤は繊維状補強剤又は粒状補強剤である。繊維状補強剤は、平均長さが、幅及び厚さの両方よりもかなり大きい、長さ、幅、及び厚さを有する材料を指す。一般に、そのような材料は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20又は少なくとも50の、長さと幅及び厚さの最大のものとの間の平均比として定義される、アスペクト比を有する。いくつかの実施形態では、繊維状補強剤(例えばガラス繊維又は炭素繊維)は、3mm~50mmの平均長さを有する。いくつかのそのような実施形態では、繊維状補強剤は、3mm~10mm、3mm~8mm、3mm~6mm、又は3mm~5mmの平均長さを有する。代わりの実施形態では、繊維状補強剤は、10mm~50mm、10mm~45mm、10mm~35mm、10mm~30mm、10mm~25mm又は15mm~25mmの平均長さを有する。繊維状補強剤の平均長さは、ポリマー組成物(PC)中への組み入れ前の繊維状補強剤の平均長さと解釈することができ、或いはポリマー組成物(PC)中の繊維状補強剤の平均長さと解釈することができる。
繊維状補強剤の中で、ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維は、様々なタイプのガラスをもたらように調整することができるいくつかの金属酸化物を含むシリカ系ガラス化合物である。主な酸化物は、ケイ砂の形態のシリカであり、カルシウム、ナトリウム及びアルミニウムなどの他の酸化物は、溶融温度を低下させ、結晶化を妨げるために組み込まれる。ガラス繊維は、エンドレス繊維又はチョップドガラス繊維として添加され得る。ガラス繊維は、一般に、5~20、好ましくは5~15μm、より好ましくは5~10μmの相当直径を有する。ガラス繊維タイプの全て、例えばA、C、D、E、M、S、R、Tガラス繊維(Additives for Plastics Handbook,2nd ed, John Murphyのchapter 5.2.3,pages 43-48に記載される通り)又はそれらの任意の混合物若しくはそれらの混合物が使用され得る。
E、R、S及びTガラス繊維は、当技術分野で周知である。それらは、特に、Fiberglass and Glass Technology,Wallenberger,Frederick T.;Bingham,Paul A.(Eds.),2010,XIV,chapter 5,pages 197-225に記載されている。R、S及びTガラス繊維は、ケイ素、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物から本質的に構成される。特に、それらのガラス繊維は、典型的には、62~75重量%のSiO2、16~28重量%のAl2O3及び5~14重量%のMgOを含む。一方、R、S及びTガラス繊維は、10重量%未満のCaOを含む。
いくつかの実施形態では、ガラス繊維は、高弾性ガラス繊維である。高弾性ガラス繊維の弾性率は、ASTM D2343に従って測定して少なくとも76、好ましくは少なくとも78、より好ましくは少なくとも80、最も好ましくは少なくとも82GPaである。高弾性ガラス繊維の例には、これらに限定されないが、S、R及びTガラス繊維が含まれる。高弾性ガラス繊維の市販の供給源は、それぞれTaishan及びAGYから提供されるS-1及びS-2ガラス繊維である。
ガラス繊維のモルフォロジーは、特に限定されない。上述したように、ガラス繊維は、円形断面(「ラウンドガラス繊維」)又は非円形断面(「扁平ガラス繊維」)を有し得る。限定されないが、好適な扁平ガラス繊維の例には、長円形、楕円形及び長方形の断面を有するガラス繊維が含まれる。ポリマー組成物が扁平ガラス繊維を含むいくつかの実施形態では、扁平ガラス繊維の断面最長径は、少なくとも15μm、好ましくは少なくとも20μm、より好ましくは少なくとも22μm、更により好ましくは少なくとも25μmである。追加的に又は代わりに、いくつかの実施形態では、扁平ガラス繊維の断面最長径は、最大で40μm、好ましくは最大で35μm、より好ましくは最大で32μm、更により好ましくは最大で30μmである。いくつかの実施形態では、扁平ガラス繊維の断面直径は、15~35μmの、好ましくは20~30μmの、より好ましくは25~29μmの範囲である。いくつかの実施形態では、扁平ガラス繊維の断面最短径は、少なくとも4μm、好ましくは少なくとも5μm、より好ましくは少なくとも6μm、更により好ましくは少なくとも7μmである。追加的に又は代わりに、いくつかの実施形態では、扁平ガラス繊維の断面最短径は、最大で25μm、好ましくは最大で20μm、より好ましくは最大で17μm、更により好ましくは最大で15μmである。いくつかの実施形態では、扁平ガラス繊維の断面最短径は、5~20μmの、好ましくは5~15μmの、より好ましくは7~11μmの範囲である。
いくつかの実施形態では、扁平ガラス繊維のアスペクト比は、少なくとも2、好ましくは少なくとも2.2、より好ましくは少なくとも2.4、更により好ましくは少なくとも3である。アスペクト比は、ガラス繊維の断面における最長径の、同じ断面における最短径に対する比として定義される。追加的に又は代わりに、いくつかの実施形態では、扁平ガラス繊維のアスペクト比は、最大で8、好ましくは最大で6、より好ましくは最大で4である。いくつかの実施形態では、扁平ガラス繊維のアスペクト比は、2~6、好ましくは2.2~4である。ガラス繊維がラウンドガラス繊維であるいくつかの実施形態では、ガラス繊維のアスペクト比は、2未満、好ましくは1.5未満、より好ましくは1.2未満、更により好ましくは1.1未満、最も好ましくは1.05未満である。当然のことながら、当業者であれば、ガラス繊維のモルフォロジー(例えば、円形又は平坦)に関わらず、定義により、アスペクト比が1未満になり得ないことを理解するであろう。
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)中の補強剤(例えばガラス又は炭素繊維)の濃度は、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、又は少なくとも20重量%である。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)中の補強剤の濃度は、70重量%以下、65重量%以下、又は60重量%以下である。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)中の補強剤の濃度は、5重量%~70重量%、10重量%~70重量%、10重量%~65重量%、10重量%~60重量%、15重量%~60重量%、又は20重量%~60重量%である。
いくつかの実施形態では、ハロゲンを含まない難燃剤は、ホスフィン塩(ホスフィネート)、ジホスフィン塩(ジホスフィネート)、及びそれらの縮合生成物からなる群から選択される有機リン化合物である。好ましくは、有機リン化合物は、式(I)のホスフィン酸塩(ホスフィネート)、式(II)のジホスフィン酸塩(ジホスフィネート)及びそれらの縮合生成物からなる群から選択される:
Figure 2023524730000005
(式中、R、Rは、同一であるか若しくは異なり、R及びRのそれぞれは、水素又は直鎖若しくは分岐C~Cアルキル基若しくはアリール基であり;Rは、直鎖若しくは分岐C~C10アルキレン基、C~C10アリーレン基、アルキル-アリーレン基、又はアリール-アルキレン基であり;Mは、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、チタンイオン、及びそれらの組み合わせから選択され;mは、2又は3の整数であり;nは、1又は3の整数であり;xは、1又は2の整数である)。
好ましくは、R及びRは、独立して、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、及びフェニルから選択され;R3は、メチレン、エチレン、n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、tert-ブチレン、n-ペンチレン、n-オクチレン、n-ドデシレン、フェニレン、ナフチレン、メチルフェニレン、エチルフェニレン、tert-ブチルフェニレン、メチルナフチレン、エチルナフチレン、tert-ブチルナフチレン、フェニルメチレン、フェニルエチレン、フェニルプロピレン、及びフェニルブチレンから選択され;Mは、アルミニウムイオン及び亜鉛イオンから選択される。
ホスフィネートが有機リン化合物として好ましい。適切なホスフィネートは、米国特許第6,365,071号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。特に好ましいホスフィネートは、アルミニウムホスフィネート、カルシウムホスフィネート、及び亜鉛ホスフィネートである。優れた結果は、アルミニウムホスフィネートで得られた。アルミニウムホスフィネートの中でも、アルミニウムエチルメチルホスフィネート及びアルミニウムジエチルホスフィネート、並びにこれらの組み合わせが好ましい。
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)は、最も望ましくはハロゲンを含まない難燃剤が配合される実施形態において、酸捕捉剤を更に含む。酸捕捉剤としては、限定するものではないが、シリコーン;シリカ;ベーマイト;酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニッケル、酸化銅、及び酸化タングステンなどの金属酸化物;アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、スズ、アンチモン、ニッケル、銅、及びタングステンなどの金属粉;並びにメタホウ酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、及び炭酸バリウムなどの金属塩が挙げられる。ポリマー組成物(PC)が酸捕捉剤を含むいくつかの実施形態では、酸捕捉剤の濃度は、0.01重量%~5重量%、0.05重量%~4重量%、0.08重量%~3重量%、0.1重量%~2重量%、0.1重量%~1重量%、0.1重量%~0.5重量%、又は0.1重量%~0.3重量%である。
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)中の総添加剤濃度は、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.2重量%、又は少なくとも0.3重量%である。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)中の総添加剤濃度は、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、7重量%以下、又は5重量%以下である。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)中の総添加剤濃度は、0.1重量%~20重量%、0.1重量%~15重量%、0.1重量%~10重量%、0.2重量%~7重量%、又は0.3重量%~5重量%である。
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物(PC)は、1種以上の追加のポリマーを更に含む。いくつかのそのような実施形態では、追加のポリマーのうちの少なくとも1種は、脂肪族ポリアミドや半芳香族ポリアミドなどの半結晶性又はアモルファスのポリアミド、より一般的には芳香族又は脂肪族飽和二酸と脂肪族飽和又は芳香族一級ジアミンとの間の重縮合、ラクタム、アミノ酸又はこれらの異なるモノマーの混合物の重縮合によって得られるポリアミドである。
ポリマー組成物(PC)の調製
本発明は、更に、ポリマー組成物(PC)を製造する方法に関する。方法は、ポリアミド(PA)反応性耐衝撃性改良剤(IM)、及び任意の任意選択的な成分(例えば補強剤)を溶融ブレンドすることを含む。
本発明に関連するポリマー成分と非ポリマー成分とを混合するために任意の溶融ブレンド法が用いられ得る。例えば、ポリマー成分及び非ポリマー成分は、一軸スクリュー押出機若しくは二軸スクリュー押出機、撹拌機、一軸スクリュー若しくは二軸スクリューニーダー、又はバンバリーミキサー等の溶融ミキサーに供給することができ、添加する工程は、全ての成分の同時添加又はバッチ式の段階的添加であり得る。ポリマー原料及び非ポリマー原料がバッチ式で徐々に添加される場合、ポリマー原料及び/又は非ポリマー原料の一部が先ず添加され、次いで、十分に混合された組成物が得られるまで、その後に添加される残りのポリマー原料及び非ポリマー原料と溶融混合される。補強剤が長い物理的形状(例えば、長いガラス繊維及び連続繊維)を示す場合、補強された組成物を調製するために延伸押出成形又は引抜成形が用いられ得る。
物品及び用途
本発明は、ポリマー組成物(PC)を含む物品にも関する。少なくとも一部にはポリオール水溶液又は食塩水溶液中でエージングした後の改善された機械的保持のため、ポリマー組成物(PC)は、望ましくは、それらの意図された使用中に高温及びポリオール水溶液又は食塩水溶液にさらされる任意の物品に配合される。
いくつかの実施形態では、物品は、自動車部品、船舶部品、及び航空宇宙部品からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、物品は、流体入口/出口ポート、流体入口/出口バルブ、流体ポンプハウジング、流体ポンプインペラ、流体ホースコネクタ、流体ホース、流体リザーバー、及び流体バルブからなる群から選択され、流体は、ポリオール水溶液、好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、又はジエチレングリコールの水溶液である。ポリマー組成物(PC)は、そのような物品がエンジンルーム内で使用される場合(例えば高温にさらされる場合)、そのような物品に更に有利に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、物品は、地下及び海中の石油及びガスの構成要素から選択される。いくつかの実施形態では、物品は、人工リフトシステムにおけるサッカーロッドガイド又は他のポリマー系構成要素から選択される。サッカーロッドガイドは、サッカーロッド上にオーバーモールドするか、サッカーロッドに接着するか、又は現場で取り付けるスナップオン設計にすることができる。
いくつかの実施形態では、物品は、ポリマー組成物(PC)から、熱可塑性樹脂に適した任意のプロセス、例えば押出、射出成形、ブロー成形、回転成形又は圧縮成形によって成形される。ポリマー組成物(C)は、ハイブリッド構造を構築するために予め形成された形状をオーバーモールドする際にも使用することができる。
いくつかの実施形態では、物品は、ポリマー組成物(PC)から、例えばフィラメントの形態にある、ポリマー組成物(PC)の押出の工程を含むプロセスによって、又はこの場合には粉末の形態にあるポリマー組成物(PC)のレーザー焼結の工程を含むプロセスによって印刷される。
本発明は、付加製造システムで3次元(3D)物体を製造する方法であって、ポリマー組成物(PC)を含む部品材料を提供する工程と、部品材料から3次元物体の層を印刷する工程とを含む方法にも関する。
したがって、ポリマー組成物(PC)は、3D印刷のプロセス、例えば熱溶融積層法(「FDM」)としても知られる溶融フィラメント製造法に使用される糸又はフィラメントの形態にあることができる。
ポリマー組成物(PC)は、また、3D印刷のプロセス、例えば選択的レーザー焼結(「SLS」)に使用される、粉末形態の、例えば実質的に球状の粉末の形態にあることもできる。
ポリマー組成物(PC)及び物品の使用
本発明は、上述した自動車部品、船舶部品、又は航空宇宙部品を製造するためのポリマー組成物(PC)又は物品の使用に関する。本発明は、上述した石油及びガスの回収に使用される物品を製造するためのポリマー組成物(PC)又は物品の使用にも関する。本発明は、物体を3D印刷するためのポリマー組成物(PC)の使用にも関する。
本実施例は、ポリアミドの合成、熱的性能、及び機械的性能を実証する。
サンプルを形成するために使用した原材料は以下に示す通りである:
・ポリアミド1(「PA1」):PA 6,T/1,3-BAC,T/6,CHDA/1,3-BAC,CHDA(Tg=165℃及びTm=330℃)、以下のものから合成:
- ヘキサメチレンジアミン(70重量%、Ascend Performance Materialsより)
- 1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(Mitsubishi Gas Chemical Companyより)
- テレフタル酸(Flint Hills Resourcesより)
- 1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(Eastman Chemical Companyより)
・ポリアミド2(「PA2」):PA 6T/66(65/35)(Solvay Specialty Polymers USA,L.L.C.より);Tg 100C
・ポリアミド3(「PA3」):PA 6T/6I(70/30)(Solvay Specialty Polymers USA,L.L.C.より);Tg 135C
・ポリアミド4(「PA4」):PA 6T/6I/66(65/25/10)(Solvay Specialty Polymers USA,L.L.C.より);Tg 125C
・反応性耐衝撃性改良剤(「IM」):無水マレイン酸官能化SEBSコポリマー(KratonのKratonTM FG 1901 GT)
・安定剤パッケージ:CuI/KIと有機酸化防止剤(熱安定剤)との混合物
・造核剤:タルク(Mistron Vapor、Imerysより)
・顔料:黒色顔料。カーボンブラック
・離型剤/潤滑剤:ポリエチレン系離型剤/潤滑剤
・ガラス繊維1(「GF1」):チョップド-Eガラス繊維(OCVTM983、Owens Corningより)
・ガラス繊維2(「GF2」):チョップド-Eガラス繊維(NEG HP 3610、Nippon Electric Glass Co.より)
・ガラス繊維3(「GF3」):チョップド-Eガラス繊維(NEG HP 3540、Nippon Electric Glass Co.より)。
実施例1-PA1の合成
この実施例は、ポリアミド1の合成を実証する。
PA1は、圧力制御バルブが取り付けられた蒸留ラインを備えたオートクレーブ反応器内で調製した。反応器に、498gの70%ヘキサメチレンジアミン、165gの1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、635gのテレフタル酸、20gの1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、355gの脱イオン水、7.2gの氷酢酸、及び0.32gのリン酸を入れた。反応器を密封し、窒素でパージし、260℃に加熱した。内圧を120psigに保つために、発生した水蒸気をゆっくりと放出した。温度を335℃に上げた。反応混合物を335℃に60分間保ちながら、反応器圧力を大気圧まで低下させた。ポリマーを反応器から取り出し、コンパウンド配合物の調製に使用した。
実施例2-機械的性能
この実施例は、ポリマー組成物の機械的性能を実証する。
機械的性能を実証するために、押出機でポリマー樹脂を様々な添加剤と溶融ブレンドすることにより、ポリマー組成物を形成した。次いで、ポリマー組成物を試験サンプルへと成形し、試験サンプルをポリオール水溶液中でのエージング(130℃の50:50エチレングリコール:水の溶液に1000時間試験サンプルを浸漬)、又は食塩水溶液中でのエージング(130℃の26%NaCl水溶液に1000時間試験サンプルを浸漬)の前(「成形時」)及び後(「エージング後」)に、機械的特性(引張特性及び曲げ特性)を試験した。引張強さは、ISO 527-2に従って、以下の公称寸法を有するダンベル型のISOタイプ1A引張試験片で測定した:全長170mm、ゲージ長75mm、平行部分の長さ80mm、平行部分の幅10mm、グリップ部分の幅20mm、厚さ4mm。曲げ強さは、ISO 178に従って、以下の公称寸法を有する標準的なISO曲げ試験片で測定した:長さ80mm、幅10mm、厚さ4mm。表1はサンプルパラメータを示し、表2はポリオール水溶液中でエージングした後の引張強さ測定の結果を示し、表3は食塩水溶液中でエージングした後の曲げ強さ測定の結果を示している。表において、「E」は実施例を表し、「CE」は反例を表す。表1中の全ての値は重量%で報告されている。
Figure 2023524730000006
Figure 2023524730000007
表2を参照すると、PA1を含むサンプルは、驚くべきことに、PA2及びPA4を含むサンプルと比較して、エージング後に引張強さの保持率が増加したのみならず、引張強さの値も増加した。例えば、E1は、CE1及びCE2と比較して引張強さ保持率が大幅に改善された(エージング後の引張強さも改善された)。
Figure 2023524730000008
表3を参照すると、PAを含むサンプルは、驚くべきことに、熱的エージング後に、曲げ強さの保持が増加し、曲げ強さが同等であるか又は改善された。引張強さと同様に、E1はCE3~CE7と比較して曲げ強さの保持率が改善された。更に、熱的エージング後、E1はCE-1と比較して同等の曲げ強さを有し、CE4~CE7と比較して曲げ強さが改善された。
上記の実施形態は、例示的であり、限定的ではないことが意図されている。追加の実施形態は、本発明のコンセプト内にある。加えて、本発明は、特定の実施形態に関連して記載されているが、当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく形態及び詳細において変更が行われ得ることを認めるであろう。上記の文書の参照によるいかなる援用も、本明細書での明白な開示に反する主題は援用されないように限定される。

Claims (15)

  1. - ポリアミド(PA)と、
    - 反応性耐衝撃性改良剤(IM)と、
    を含むポリマー組成物(PC)であって、
    前記ポリアミド(PA)が、
    - 20モル%~95モル%のC~C12脂肪族ジアミンと、
    - 5モル%~80モル%のビス(アミノアルキル)シクロヘキサンと、
    を含むジアミン成分(A)であって、これらのモル%が前記ジアミン成分中の各ジアミンの総モル数に対するものである、ジアミン成分(A);
    - 30モル%~100モル%のテレフタル酸と、
    - 0モル%~70モル%のシクロヘキサンジカルボン酸と、
    を含むジカルボン酸成分(B)であって、これらのモル%が前記ジカルボン酸成分中の各ジカルボン酸の総モル数に対するものである、ジカルボン酸成分(B)
    を含む反応混合物中のモノマーの重縮合により誘導される、ポリマー組成物(PC)。
  2. 前記C~C12脂肪族ジアミンが、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、3-メチルヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、2,2,7,7-テトラメチルオクタメチレンジアミン、1,9-ジアミノノナン、2-メチル-1,8-ジアミノオクタン、5-メチル-1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、及び1,12-ジアミノドデカンからなる群から選択され;好ましくは前記C~C12脂肪族ジアミンが1,6-ジアミノヘキサンである、請求項1に記載のポリマー組成物(PC)。
  3. 前記ビス(アミノアルキル)シクロヘキサンが、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン又は1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンである、請求項1又は2に記載のポリマー組成物(PC)。
  4. 前記ジカルボン酸成分(B)が、前記カルボン酸成分中の各ジカルボン酸の総モル数に対して、シクロヘキサンジカルボン酸、好ましくは1,4-シクロヘキサンジカルボン酸を1モル%~70モル%含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリマー組成物(PC)。
  5. 前記ポリアミド(PA)の濃度が、前記ポリマー組成物(PC)の総重量を基準として5重量%~80重量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリマー組成物(PC)。
  6. 前記反応性耐衝撃性改良剤(IM)が無水マレイン酸官能化耐衝撃性改良剤である、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマー組成物(PA)。
  7. 前記反応性耐衝撃性改良剤(IM)の濃度が1重量%~20重量%である、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマー組成物(PA)。
  8. ハロゲンを含まない難燃剤を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリマー組成物(PC)。
  9. 前記ポリマー組成物の総重量に対して5重量%~70重量%の補強剤を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリマー組成物(PC)。
  10. 前記補強剤がガラス繊維又は炭素繊維、好ましくはガラス繊維である、請求項9に記載のポリマー組成物(PC)。
  11. 前記ポリマー組成物(PC)が、130℃の50:50のエチレングリコール:水の溶液中で1000時間エージングした後に、少なくとも60%の引張強さ保持率を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のポリマー組成物(PC)。
  12. 前記ポリマー組成物(PC)が、130℃の26重量%NaCl水溶液中で1000時間熱的エージングした後に少なくとも85%の曲げ強さ保持率を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリマー組成物(PC)。
  13. 自動車部品である、請求項1~12のいずれか一項に記載のポリマー組成物(PC)を含む物品。
  14. 地下又は海中の石油及びガスの構成要素である、請求項1~13のいずれか一項に記載のポリマー組成物(PC)を含む物品。
  15. 前記ポリマー組成物(PC)がポリオール水溶液又は食塩水溶液と接触する、請求項1~12のいずれか一項に記載のポリマー組成物又は請求項13若しくは14に記載の物品。
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