JP2023520054A - 注意逸散機構を有する注射デバイス - Google Patents

注意逸散機構を有する注射デバイス Download PDF

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Abstract

本開示は、皮膚内への針の挿入の間ユーザに感覚的注意逸散をもたらすように配置される注射デバイスの機能に関する。第1の態様によれば、本明細書は、注射デバイスであって:近位端および遠位端を有し、薬剤の容器を受けるように構成される、細長いハウジングと;細長いハウジングの遠位端における位置で針を保持するための針ハウジングと;ハウジング内に取り付けられる針スリーブとを含み、ここで、針スリーブおよび針ハウジングは、針スリーブが針ホルダ内に保持される針を包囲する第1の構成と、針ハウジング内に保持される針が針スリーブから遠位方向に延びる第2の構成との間で、ユーザ操作によって互いに対して移動可能であり、針スリーブは、第1の構成と第2の構成との間での運動の間、ユーザ操作からのエネルギーを使用して振動および/または回転するように構成される部分を含む、注射デバイスを開示する。【選択図】図2

Description

本開示は、皮膚内への針の挿入の間ユーザに感覚的注意逸散をもたらすように配置される注射デバイスの機能に関する。
自動注射器などの注射デバイスが、患者の注射部位へ薬剤を投薬するための技術分野において知られている。そのような注射デバイスは、多くの場合、本体部およびキャップを含み、針シリンジは、本体部の中に位置し、キャップは、針シリンジの針を遮蔽するために本体部に除去可能に取り付けられる。薬剤を投薬するために、キャップがまず本体部から除去されて、針を露出させる。次いで針が、薬剤を投薬するために注射部位において患者の身体内へ挿入される。
ユーザの身体内への針の挿入は、多くの場合、ユーザに対する痛みおよび不快感と関連付けられる。加えて、ユーザは、針挿入の間、不安になり緊張する場合があり、結果としてさらなる痛みを生じる。
第1の態様によれば、本明細書は、注射デバイスであって:近位端および遠位端を有し、薬剤の容器を受けるように構成される、細長いハウジングと;細長いハウジングの遠位端における位置で針を保持するための針ハウジングと;ハウジング内に取り付けられる針スリーブとを含み、ここで、針スリーブおよび針ハウジングは、針スリーブが針ホルダ内に保持される針を包囲する第1の構成と、針ハウジング内に保持される針が針スリーブから遠位方向に延びる第2の構成との間で、ユーザ操作によって互いに対して移動可能であり、針スリーブは、第1の構成と第2の構成との間での運動の間、ユーザ操作からのエネルギーを使用して振動および/または回転するように構成される部分を含む、注射デバイスを開示する。
第1の構成において、針スリーブは、針スリーブがハウジングの遠位端から少なくとも部分的に延びる伸長位置にあり得る。第2の構成において、針スリーブは、針スリーブがハウジング内で伸長位置よりも奥で受けられる後退位置にあり得る。針ハウジングは、針スリーブが伸長位置にあるとき、針が覆い隠され、針スリーブが後退位置にあるとき、針が露出されるように、細長いハウジングに対して実質的に固定される。
針スリーブは、外側スリーブおよび内側スリーブを含み、内側スリーブは、振動および/または回転するように構成される部分を含む。外側スリーブは、内側スリーブを越えて遠位方向に延び得る。
内側スリーブは、1つまたはそれ以上の凹んだ軌道を含み得る。ハウジングは、伸長位置と後退位置との間での針スリーブの運動の間、内側スリーブの振動および/または回転を引き起こすために、1つまたはそれ以上の軌道と連結するように配置される1つまたはそれ以上の係合部分を含み得る。1つまたはそれ以上の軌道は、内側スリーブの周りにらせん状に延び、ここで、内側スリーブは、細長いハウジングに対して自由に回転することができる。1つまたはそれ以上の軌道は、内側スリーブの表面上にジグザグの形態にあり、以て、内側スリーブを第1の構成と第2の構成との間での運動の間に振動させる。1つまたはそれ以上の係合部分は、第1および第2の構成の間での動きに抵抗するように、ならびに第2および第1の構成の間での動きに抵抗しないように構成されるラチェット装置を含み得る。
ユーザ操作は、細長いハウジングを側方に遠位方向に手動で押し下げることを含み得る。
振動および/または回転するように構成される針スリーブの部分は、遠位方向に延びる1つもしくはそれ以上のブラシを含み得る。振動および/または回転するように構成される針スリーブの部分は、代替的または追加的に、遠位方向に延びる1つまたはそれ以上の突起および/または頂部を含み得る。振動および/または回転するように構成される針スリーブの部分は、代替的または追加的に、1つまたはそれ以上の圧電デバイスを含み得る。
注射デバイスは:ハウジング内で長手方向に移動可能なピストンロッドと;ピストンロッドを、ハウジング内に受けられるときの薬剤の容器に係合するためにハウジングの遠位端の方へ付勢するように構成されるピストンばねとをさらに含み、ここで、針スリーブは、遠位方向におけるピストンロッドの長手方向運動の間、部分の振動および/または回転を抑制するように構成される。
注射デバイスは:ハウジング内で長手方向に移動可能なピストンロッドと;ピストンロッドを、ハウジング内に受けられるときの薬剤の容器に係合するためにハウジングの遠位端の方へ付勢するように構成されるピストンばねとをさらに含み、ここで、振動および/または回転するように構成される針スリーブの部分は、遠位方向におけるピストンロッドの長手方向運動の間、振動および/または回転するようにさらに構成される。
針スリーブは、細長いハウジングに対して固定される。第1の構成において、針ハウジングは、針ハウジング内に保持される針が針スリーブによって覆い隠される後退位置にある。第2の構成において、針ハウジングは、針ハウジング内の針が針スリーブを越えて遠位方向に延びる伸長位置にある。
注射デバイスは、注射デバイスから薬剤を排出するための針をさらに含み、針は、針スリーブが伸長位置にあるとき、針が覆い隠され、針スリーブが後退位置にあるとき、針が露出されるように、細長いハウジングに対して実質的に固定される、細長いハウジングの遠位端における位置で保持される。
注射デバイスは、ハウジング内に受けられる薬剤の容器をさらに含み得る。
さらなる態様によれば、本明細書は、注射デバイスを使用する方法を開示し、本方法は:注射デバイスを第1の構成で準備することと;ユーザデバイスの構成を第1の構成から第2の構成へ変更するためにユーザ操作を適用することとを含む。
さらなる態様によれば、本明細書は、注射デバイスの一部分の振動および/または回転を引き起こすための方法を開示し、注射デバイスは、遠位端および近位端を有し、遠位端は、針スリーブおよび針を含み、本方法は:ユーザ操作の下、針スリーブが針を包囲する第1の構成と、針が針スリーブを越えて遠位方向に延びる第2の構成との間で注射デバイスを動かすことと;ユーザ操作からのエネルギーを使用して、第1の構成と第2の構成との間での運動の間、注射デバイスの遠位端の一部分を振動および/または回転させることとを含む。
実施形態は、これより、添付の図面を参照して非限定的な例を用いて説明される。
例示的な薬物送達デバイスを示す図である。 例示的な薬物送達デバイスを示す図である。 注射デバイスの遠位端の例を示す図である。 注射デバイスの実施形態の断面図である。 注射デバイスの注意逸散部分の遠位端における表面パターンの例を示す図である。 注射デバイスの注意逸散部分の遠位端における表面パターンの例を示す図である。 注射デバイスの注意逸散部分の遠位端における表面パターンの例を示す図である。 注射デバイスの実施形態の破断図である。 針ハウジングの内側スリーブ上での使用のための軌道の例を示す図である。 針ハウジングの内側スリーブ上での使用のための軌道の例を示す図である。 針ハウジングの内側スリーブ上での使用のための軌道の例を示す図である。
本明細書に説明されるような薬物送達デバイスは、薬剤を患者内へ注射するように構成される。たとえば、送達は、皮下、筋肉内、または静脈内である。そのようなデバイスは、患者または看護師もしくは医師などの介護者によって操作され、様々なタイプの安全シリンジ、ペン型注射器、または自動注射器を含むことができる。デバイスは、封止されたアンプルを使用前に穿孔することを必要とするカートリッジベースのシステムを含むことができる。これらの様々なデバイスを用いて送達される薬剤の量は、約0.5ml~約3mlの範囲に及ぶことができる。別のデバイスは、「大」容量の薬剤(典型的には、約2ml~約50ml)を送達するためにある時間期間(たとえば、約5、15、30、60、または120分)にわたって患者の皮膚に接着するように構成される、大容量デバイス(「LVD」)またはパッチポンプを含むことができる。さらに別のデバイスは、デバイスのハウジング内に充填済みシリンジを含み得る。シリンジは、ハウジング内に固定されるか、または、たとえば後退位置から動作伸長位置へ、ハウジング内で移動可能である。
特定の薬剤と組み合わせて、ここに説明されるデバイスはまた、必要な仕様範囲内で動作するようにカスタマイズされる。たとえば、デバイスは、特定の時間期間(たとえば、自動注射器の場合は約3秒~約20秒、LVDの場合は約10分~約60分)以内に薬剤を注射するようにカスタマイズされる。他の仕様は、低もしくは最小レベルの不快感、または人的要因、貯蔵寿命、有効期限、生物的適合性、環境配慮などに関する特定の条件を含むことができる。そのような変動は、たとえば、約3cP~約50cPの粘度の範囲にある薬物など、様々な因子に起因して生じることがある。結果的に、薬物送達デバイスは、多くの場合、サイズが約25~約31ゲージの範囲にある中空針を含む。一般的なサイズは、17および29ゲージである。
本明細書に説明される送達デバイスはまた、1つまたはそれ以上の自動機能を含むことができる。たとえば、針およびカートリッジの結合、針挿入、薬剤注射、ならびに針後退のうちの1つまたはそれ以上を自動化することができる。1つまたはそれ以上の自動工程のためのエネルギーは、1つまたはそれ以上のエネルギー源によって提供される。エネルギー源は、たとえば、機械、空気、化学、または電気エネルギーを含むことができる。たとえば、機械エネルギー源は、エネルギーを収納または放出するために、ばね、てこ、エラストマー、または他の機械機構を含むことができる。1つまたはそれ以上のエネルギー源を単一のデバイスに組み合わせることができる。デバイスは、エネルギーをデバイスの1つまたはそれ以上の構成要素の動きへ変換するために、ギア、バルブ、または他の機構をさらに含むことができる。
自動注射器の1つまたはそれ以上の自動機能は、各々、起動機構により起動される。そのような起動機構は、アクチュエータ、たとえば、ボタン、レバー、針スリーブ、または他の起動構成要素のうちの1つまたはそれ以上を含むことができる。自動機能の起動は、一工程または複数工程プロセスである。すなわち、ユーザは、自動機能を引き起こすために1つまたはそれ以上の起動構成要素を起動させる必要があり得る。たとえば、一工程プロセスでは、ユーザは、薬剤の注射を引き起こすために針スリーブをユーザの身体に対して押し下げ得る。他のデバイスは、自動機能の複数工程起動を必要とし得る。たとえば、ユーザは、注射を引き起こすために、ボタンを押し下げ、ニードルシールドを後退させることが必要とされる。
加えて、1つの自動機能の起動が、1つまたはそれ以上の後続の自動機能を起動し、以て、起動シーケンスを形成する。たとえば、第1の自動機能の起動は、針およびカートリッジの結合、針挿入、薬剤注射、ならびに針後退の少なくとも2つを起動し得る。いくつかのデバイスはまた、1つまたはそれ以上の自動機能を行わせるために特定の工程シーケンスを必要とし得る。他のデバイスは、独立した工程シーケンスで動作し得る。
いくつかの送達デバイスは、安全シリンジ、ペン型注射器、または自動注射器の1つまたはそれ以上の機能を含むことができる。たとえば、送達デバイスは、薬剤を自動的に注射するように構成される機械エネルギー源(典型的には、自動注射器において見られるような)、および投与量設定機構(典型的には、ペン型注射器において見られるような)を含み得る。
本開示のいくつかの実施形態によれば、例示的な薬物送達デバイス10が、図1Aおよび図1Bに示される。上に説明されるようなデバイス10は、患者の身体内に薬剤を注射するように構成される。デバイス10は、注射されるべき薬剤を含む貯蔵器を画成するカートリッジまたは充填済みシリンジを典型的には含むハウジング11、および送達プロセスの1つまたはそれ以上の工程を促進するために必要とされる構成要素を含む。
デバイス10はまた、ハウジング11に取り外し可能に取り付けられるキャップ12を含むことができる。典型的には、ユーザは、デバイス10が動作される前に、キャップ12をハウジング11から除去しなければならない。
示されるように、ハウジング11は、実質的に円筒形であり、長手方向軸A-Aに沿って実質的に一定の直径を有する。ハウジング11は、遠位領域Dおよび近位領域Pを有する。「遠位」という用語は、注射の部位に相対的により近い場所を指し、「近位」という用語は、注射部位から相対的に離れている場所を指す。
デバイス10はまた、ハウジング11に対するスリーブ19の動きを許すためにハウジング11に連結される針スリーブ19を含むことができる。たとえば、スリーブ19は、長手方向軸A-Aと平行の長手方向に移動することができる。具体的には、近位方向におけるスリーブ19の動きは、針17がハウジング11の遠位領域Dから延びることを許すことができる。いくつかの実施形態において、針スリーブ19は、代替的に、ハウジング11に対して固定されるか、またはハウジング11の一部として形成される。
針17の挿入は、いくつかの機構を介して発生することができる。たとえば、針17は、ハウジング11に対して、たとえば、針ハウジング(図示せず)内に、固定的に位置し、最初は、伸長した針スリーブ19内に位置し得る。スリーブ19の遠位端を患者の身体に対して置いて、ハウジング11を遠位方向に動かすことによる、スリーブ19の近位の動きは、針17の遠位端から覆いを取ることになる。そのような相対的な動きは、針17の遠位端が患者の身体内へ延びることを可能にする。そのような挿入は、針17がスリーブ19に対するハウジング11の患者の手動の動きにより手動で挿入されるため、「手動」挿入と呼ばれる。
別の形態の挿入が、「自動化」され、これにより、針17は、ハウジング11に対して移動する。そのような挿入は、スリーブ19の動きによって、または、たとえば、ボタン13など、別の形態の起動によって、トリガされる。図1Aおよび図1Bに示されるように、ボタン13は、ハウジング11の近位端に位置する。しかしながら、他の実施形態において、ボタン13は、ハウジング11の側面に位置する。
他の手動または自動機能は、薬物注射もしくは針挿入、または両方を含むことができる。注射は、栓またはピストン14が、針17を通じてカートリッジ18から薬剤を押し出すために、カートリッジ18の貯蔵器内で近位の場所からより遠位の場所へ移動されるプロセスである。いくつかの実施形態において、駆動ばね(図示せず)は、デバイス10が起動される前、圧縮下にある。駆動ばねの近位端は、ハウジング11の近位領域P内に固定され、駆動ばねの遠位端は、ピストン14(「プランジャ」とも称される)の近位表面に圧縮力を印加するように構成される。起動後、駆動ばねに収納されるエネルギーの少なくとも一部は、ピストン14の近位表面に印加される。この圧縮力は、ピストン14が遠位方向に移動するようにピストン14に対して作用する。そのような遠位の動きは、カートリッジ18内の液体薬剤を圧縮し、それを針17の外に押し出すように作用する。そのような遠位の動きは、ピストン14の「押し下げ」と称される。
注射後、針17は、スリーブ19またはハウジング11内で後退される。後退は、ユーザがデバイス10を患者の身体から除去する際にスリーブ19が遠位に移動するときに発生し得る。これは、針17がハウジング11に対して固定的に位置したままであるために発生し得る。一旦スリーブ19の遠位端が針17の遠位端を通り過ぎ、針17が被覆されると、スリーブ19は、ロックされる。そのようなロッキングは、ハウジング11に対するスリーブ19のいかなる近位の動きもロックすることを含み得る。
別の形態の針後退は、針17がハウジング11に対して移動される場合に発生し得る。そのような動きは、ハウジング11内のカートリッジ18がハウジング11に対して近位方向に移動される場合に発生し得る。この近位の動きは、遠位領域Dに位置する引戻しばね(図示せず)を使用して達成される。圧縮した引戻しばねは、起動されると、カートリッジ18に十分な力を供給してそれを近位方向に移動させることができる。十分な後退の後、針17とハウジング11との間の相対的な動きは、ロッキング機構によりロックされる。加えて、ボタン13またはデバイス10の他の構成要素が、必要に応じてロックされる。
いくつかの実施形態において、注射デバイスは、ジェット注射器などの無針デバイスである。このタイプのデバイスでは、針は存在しない。薬剤は、受容者の皮膚に浸透する高圧流の液体として注射デバイスから薬剤を排出することによって投与される。
図2は、注射デバイスの遠位端の例の図を示す。注射デバイスの遠位端20は、伸長位置と後退位置との間での針スリーブ19の動きの間、振動および/または回転するように構成される部分21(本明細書では「注意逸散部分」とも称される)を含む針スリーブ19を含む。針スリーブ19は、伸長位置にあるとき針17を覆い隠し(すなわち、被覆する)、後退位置にあるとき針17を露出するように配置される。針スリーブ19が針を覆い隠す構成は、本明細書では「第1の構成」と称され、針が露出される構成は、「第2の構成」と称される。図2では、針スリーブ19は、伸長位置(すなわち、第1の構成)にある。
ユーザ作動/操作は、針スリーブ19を伸長位置と後退位置との間で移動させる。針スリーブ19は、注意逸散部分21の振動および/または回転を引き起こし、以て、皮膚内への針17の侵入からの感覚的注意逸散をもたらすために、ユーザ作動/操作からのエネルギーを使用するように構成される。
たとえば、注射を実施するとき、ユーザは、伸長位置にあるときの針スリーブ19の遠位端を皮膚上の標的注射部位に置き得る。ユーザは、ハウジング11を把持してそれを注射部位へ向けて押すことによって、遠位方向にハウジング11に力を印加し、ハウジング11を注射部位へ向けて横方向に移動させる。この操作は、本明細書ではハウジングの「押し下げ」と称される。針スリーブ19は、ハウジング11が横方向に移動すると、ハウジング11内へ後退する。針17がハウジングに対して固定されるため、針17は、針スリーブ19から延び、ハウジングのこの運動の間、注射部位において皮膚を穿孔する。
ハウジング内への針スリーブ19の後退の間、注意逸散部分21は、振動および/または回転することによって注射部位の領域に感覚刺激を提供する。そのような振動/回転を提供するために必要とされるエネルギーは、ハウジング11の押し下げから抽出される。たとえば、針スリーブ19/注意逸散部分21内の頂部は、押し下げの間振動感覚を作り出して針17挿入の痛みを紛らわすために、ハウジング11の内表面に対して擦りつけ/振動し得る。注意逸散部分21の振動/回転がどのように提供されるかの他の例は、以下に説明される。
図2に示されるものなどのいくつかの実施形態において、注意逸散部分21は、ハウジング11の押し下げの間回転および/または発振するように構成される針スリーブ19の遠位端において1つまたはそれ以上のリングによって提供される。1つまたはそれ以上のリング/注意逸散部分21は、それらがハウジング11の押し下げの間圧力下にないように、すなわち、それらが、高圧下でさえも、注射部位において皮膚に直接接触しないように位置し得る。
針ハウジング19の後退の間の振動/回転に加えて、注意逸散部分21はまた、いくつかの実施形態において、注射自体の間、すなわち、薬剤カートリッジ内へのプランジャ/栓/ピストンの押し下げの間、振動および/または回転し得る。プランジャ/ピストンは、プランジャ押し下げからのエネルギーを使用して針スリーブ19の振動/回転を引き起こすために、針スリーブ19と係合し得る。針スリーブ19は、振動/回転をもたらすためにプランジャ/ピストンと係合する内部機能を備え得る。たとえば、針スリーブ19の内側は、起伏があり、ピストン/プランジャと接触状態にあり、そのため、ピストン/プランジャの運動が針スリーブ19の振動を引き起こす。代替的に、針スリーブは、ハウジング11上の機能と類似した方法でピストン/プランジャ上の機能と係合する内部軌道を有し得る。これは、注射の全過程を通して、すなわち、針挿入から薬剤送達の終わりまで、ユーザに注意逸散をもたらすことができる。
他の実施形態において、針スリーブ19は、薬剤カートリッジ内へのピストンの押し下げの間回転/振動しないように構成される。これにより、さらなる痛みを引き起こし得る、針17が薬剤の放出の間に動かされることを防ぐことができる。
いくつかの実施形態において、針スリーブ19は、針ハウジングが、針ハウジング内に保持される針17が針スリーブ19によって覆い隠される位置(すなわち、第1の構成)と、針ハウジング内に保持される針17が針スリーブ19を越えて遠位方向に延びる位置(すなわち、第2の構成)との間でハウジング11に対して移動可能である状態で、ハウジング11に対して固定される。振動および/または回転するように構成される針スリーブ19の部分は、第1の構成と第2の構成との間での運動の間、ユーザ操作からのエネルギーを使用する。
一般に、針スリーブ19と針ハウジングとの相対運動は、針ハウジングによって保持される針17が針スリーブによって覆い隠される第1の構成と、針ハウジングによって保持される針17が針スリーブ19を越えて遠位方向に延びる第2の構成との間で移動するために使用される。この相対運動からのエネルギーは、注意逸散をもたらすために針スリーブ19の一部分を振動および/または回転させるために使用される。針スリーブ19および針ハウジングのうちの一方が、ハウジング11に対して固定される。代替的に、針スリーブ19および針ハウジングの両方が、ハウジング11に対して移動可能である。
無針注射デバイスでは、振動および/または回転部分は、高圧薬剤流による皮膚浸透の間注意逸散をもたらすために、ハウジングの遠位端(すなわち、無針注射の間患者の皮膚に接触する注射デバイスの部分)に存在し得る。薬剤の高圧流を生成するために使用される機構はまた、振動および/または回転部分の振動および/または回転のためのエネルギーを提供するために使用される。代替的に、振動および/または回転部分は、別個に動力供給される。
図3は、注射デバイス30の実施形態の断面図を示す。ここに示される実施形態などのいくつかの実施形態において、針スリーブ19は、内側スリーブ22および外側スリーブ23を含む。内側スリーブ22は、注意逸散部分21-すなわち、ハウジング11の押し下げの間振動および/または回転するように構成される部分を含む。外側スリーブ23は、外側スリーブ23が使用中ユーザの皮膚に接触し、内側スリーブ22がユーザの皮膚に直接接触することを防ぐ/ユーザの皮膚に軽い圧力のみを加えるように、内側スリーブ22よりもさらに遠位方向に延び得る。この方法では、内側スリーブの運動は、さらなる痛みを引き起こし得る、針挿入の間ユーザの皮膚を把握してそれを針17に対して動かす、ということがない。
内側スリーブ22は、外側スリーブ23に対して完全にまたは部分的に(すなわち、いくらかの制限を伴って)回転することができる。内側スリーブ22は、垂直に外側スリーブ23に対して制約される。そのような自由および/または制約は、使用中にハウジング11を押し下げるために必要とされる任意の追加の力を制限するように作用し得る。
ハウジング11は、注意逸散部分21を回転および/または振動させるためにエネルギーをハウジング11の運動から内側スリーブ22へ転送するため、内側スリーブ22の表面上の機能と係合するように配置される1つまたはそれ以上の係合機能24(本明細書では「強制機能」とも称される)を含む。たとえば、内側スリーブ22の表面は、起伏があり得、ならびに/または複数の隆起および/もしくは頂部を含み得る。1つまたはそれ以上の係合機能24がこれらの機能を通過する際、1つまたはそれ以上の係合機能24と内側スリーブ22の表面機能との間の摩擦が、内側スリーブ22を振動させ、以て、針スリーブ19の注意逸散部分21を振動させる。
代替的または追加的に、1つまたはそれ以上の係合機能24は、針ハウジング19の表面上の1つまたはそれ以上の軌道と係合し得る。軌道は、針スリーブ19が内側スリーブ22および外側スリーブ23を含む実施形態においては、内側スリーブ22上にある。軌道は、ハウジングの押し下げの間ハウジング11に対する内側スリーブ22の運動を案内するように作用する。係合部分が内側スリーブ22上の軌道に連結される実施形態は、図5~図6を参照して以下にさらに詳細に説明される。針スリーブ19が単一片である実施形態において、軌道は、針スリーブ19の表面上にあり、ハウジング11の押し下げの間針スリーブ19全体を回転または振動させ得る。
複数の係合部分24が存在する実施形態において、係合部分24は、ハウジング11の内側の周りに対称に配置される。そのような配置は、内側スリーブを中央位置に維持することを支援し得る。たとえば、示される実施形態において、係合部分24は、ハウジング11の内側で半径方向に対向する位置に配置される。しかしながら、係合部分24は、係合部分24がハウジング11の内側の周りで120度の角度オフセットで配置される3倍回転対称を有する構成、または係合部分24がハウジング11の内側の周りで90度の角度オフセットで配置される4倍回転対称を有する構成など、他の対称構成で配置される。係合部分24の他の通常角度オフセットを代替的に使用してもよい。
いくつかの実施形態において、係合部分24は、ハウジングの長手方向軸に対してハウジング11の内側の周りに対称角距離を有するが、横/長手方向にオフセットされる。そのような配置は、係合部分24に離散したねじ様の対称をもたらす。たとえば、第2の係合部分は、第1の係合部分に対して120度の角度オフセットで配置されるが、横方向にオフセットされる。第3の係合部分は、第2の係合部分に対して120度の角度オフセットで配置されるが、横方向にオフセットされる。故に、係合部分24は、それらの角度座標において対称に配置されるが、長手方向において変位される。そのような配置は、針ハウジングがその表面上に単一の軌道を有するとき、針ハウジング19を中央に保つのに有益である。
図4a~図4cは、注射デバイスの注意逸散部分の遠位端における表面パターンの例を示す。いくつかの実施形態において、針スリーブ19の注意逸散部分21は、注意逸散部分が振動および/または回転するとき注射部位の周りの領域に感覚刺激を提供するように配置される1つまたはそれ以上の表面機能25a-cを含み得る。突起25a-cは、ユーザに注意逸散感覚をもたらすために、注意逸散部分21の振動/回転の間ユーザの皮膚に接触し得る。
いくつかの実施形態において、表面機能25a-cは、針スリーブ19の外側スリーブ23がわずかに表面機能25a-cを越えて延びるように配置される。使用中、表面機能25a-cは、次いで、注射の領域においてユーザの皮膚に軽く接触し、以て、使用中ハウジング11の押し下げに悪影響を及ぼすことなく、または針17挿入の間ユーザの皮膚を把持することもしくは動かすことなく、注意逸散感覚をもたらす。言い換えると、表面機能25a-cは、注意逸散部分21の振動および/または回転の間ユーザの皮膚に軽い圧力のみを加える。
表面機能は、注意逸散部分21の表面からの1つまたはそれ以上の突起を含み得る。突起は、たとえば、図4aに示されるように、注意逸散部分21の表面上に複数の隆起25aを含み得る。隆起25aは、注意逸散部分21の表面上に規則的または不規則に離間される。複数の隆起25aは、規則的または不規則な形状を有し得る。突起は、代替的または追加的に、注意逸散部分21の表面上に頂部25b、25cを含み得る。頂部25bは、図4bに示されるように、注意逸散部分の回転の方向に向かって、またはこれから離れる方へ傾斜している。代替的に、頂部25cは、図4cに示されるように、径方向に整列される。
いくつかの実施形態において(図示せず)、注意逸散部分21は、遠位方向に延びる1つまたはそれ以上のブラシを含む。ブラシは、針スリーブ19の外側スリーブ23をわずかに越えて延び、圧力下にあるとき屈曲し得る。注意逸散部分21の回転および/または振動の間、ブラシは、皮膚に進入する針17の痛みからユーザの気をそらすために「くすぐったい」感覚をもたらす。
図5は、注射デバイス50の実施形態の破断図を示す。いくつかの実施形態において、ハウジング11上の1つまたはそれ以上の係合機能は、針ハウジングの内側スリーブ22の表面上の1つまたはそれ以上の凹んだ軌道26と係合するように配置される。遠位方向におけるハウジング11の押し下げの間、1つまたはそれ以上の係合部分24は、内側スリーブ26上の軌道26内を進み、力/エネルギーをハウジング11から内側スリーブ22へ転送して、注意逸散部分を振動および/または回転させる。
1つまたはそれ以上の軌道26の特性は、内側スリーブ22/注意逸散部分21の運動に対して異なる効果をもたらすように調整される。いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上の軌道26は、らせん状で内側スリーブ22の周りに延び得る。係合機能24は、次いで、ハウジング11が押し下げられると、内側スリーブ22を回転させる。いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上の軌道26は、内側スリーブ22の表面上にジグザグの形態にある。係合機能24は、次いで、ハウジング11が押し下げられると、内側スリーブ22を発振/振動させる。1つまたはそれ以上の軌道26は、ハウジング11が押し下げられる際、回転運動および振動運動の両方を内側スリーブ22/注意逸散部分21にもたらすために、らせんおよびジグザグの組合せである。
いくつかの実施形態において、複数の係合部分24が、軌道26に受けられる。複数の軌道26は、内側スリーブ22の表面に存在し得、各々が1つまたはそれ以上の異なる係合部分24に連結される。これらの機能は、使用中注射デバイス50を安定させるのを支援することができる。
いくつかの実施形態において、係合部分は、伸長位置と後退位置との間での針スリーブの動きに抵抗するように、および後退位置と伸長位置との間での針スリーブの動きに抵抗しないように構成されるラチェット装置を含む。係合部分24は、ハウジング11が近位方向に針ハウジング19に対して変位されるとき(すなわち、針ハウジング19が後退位置と伸長位置との間で移動しているとき)、折り曲がるが、ハウジング11が遠位方向に針ハウジング19に対して変位されるとき(すなわち、針ハウジング19が伸長位置と後退位置との間で移動しているとき)、伸長されて針スリーブ19と係合したままであるように、ヒンジ連結される。これにより、身体からの針17の後退の間の抵抗を低減することができる。
図6a~図6cは、針ハウジング19上での使用のための軌道26a-cの例を示す。軌道26の形状を変更することによって、異なる感覚が、ユーザの皮膚上で達成される。示される例において、針スリーブ19は、軌道26a-cを有する内側スリーブ22および外側スリーブ23を含む。しかしながら、軌道は、代替的に、単一の針スリーブ19の一部を形成し得る。
図6aは、内側スリーブ22の表面上の発振軌道26aを示す。発振軌道26aは、内側スリーブ22上に実質的に滑らかな「波状」軌道を提供する。ハウジング11が押し下げられるとき、軌道26aに連結されるハウジング11の係合機能24(図示せず)は、内側スリーブ22を長手方向軸A-Aの周りで発振させる。いくつかの実施形態において、単一の発振軌道26aが提供される。代替的に、2つ以上の発振軌道26aが、長手方向軸A-Aの周りでオフセットされて提供される。
図6bは、内側スリーブ22の表面上のらせん軌道26bを示す。らせん軌道26bは、内側スリーブ22の周りに延びる。ハウジング11が押し下げられるとき、軌道26bに連結されるハウジング11の係合機能24(図示せず)は、内側スリーブ22の回転を引き起こす。いくつかの実施形態において、単一のらせん軌道26bが提供される。代替的に、2つ以上のオフセットされたらせん軌道26bが提供される。
図6cは、内側スリーブ22の表面上のジグザグ軌道26cを示す。ジグザグ軌道26cは、内側スリーブ22上に急な段付き軌道を提供する。ハウジング11が押し下げられるとき、軌道26cに連結されるハウジング11の係合機能24(図示せず)は、内側スリーブ22を長手方向軸A-Aの周りで敏速に振動/発振させる。いくつかの実施形態において、単一のジグザグ式軌道26cが提供される。代替的に、2つ以上のジグザグ式軌道26cが、長手方向軸A-Aの周りでオフセットされて提供される。
いくつかの実施形態において、振動および/または回転部分は、1つまたはそれ以上の圧電デバイスを含み得る。第1の構成と第2の構成との間での注射デバイスの運動は、圧電デバイスに、振動および/または回転部分の振動および/または回転を引き起こす電気を生成させ得る。代替的または追加的に、生成された電気は、皮膚に進入している針の感覚から患者の気をそらすために患者の皮膚に弱いショックを与えるために使用される。
本明細書に説明される注射デバイスの実施形態は、薬剤のカートリッジまたは薬剤で充填済みのシリンジのいずれかを受けるように構成される。本明細書では、「薬剤容器」という用語は、薬剤のカートリッジおよび充填済みシリンジの両方を包含することが意図される。
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物を記述するために使用される。以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つの低分子もしくは高分子またはそれらの組合せを含み得る。例示的な薬学的に活性な化合物としては、低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、ならびにオリゴヌクレオチドが挙げられ得る。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。これらの薬物の1つまたはそれ以上の混合物も企図される。
「薬物送達デバイス」という用語は、薬物が人体または動物体に投薬されるように構成されたあらゆるタイプのデバイスまたはシステムを包含するものである。限定されることなく、薬物送達デバイスは、注射デバイス(たとえば、シリンジ、ペン型注射器、自動注射器、大容量デバイス、ポンプ、かん流システム、または眼内送達、皮下送達、筋肉内送達、もしくは血管内送達用に構成された他のデバイス)、皮膚パッチ(たとえば、浸透圧性、化学的、マイクロニードル)、吸入器(たとえば、鼻用または肺用)、埋め込み物(たとえば、コーティングされたステント、カプセル)、または胃腸管用の供給システムであり得る。ここに記載される薬物は、針、たとえば小ゲージ針を含む注射デバイスで特に有用であり得る。
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬学的に活性な化合物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他のベッセルであり得る。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、薬物製剤の2つ以上の成分(たとえば、薬物と希釈剤、または2つの異なるタイプの薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジであり得るか、またはそれを含み得る。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に薬物もしくは薬剤の2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
本発明に記載の薬物送達デバイスおよび薬物は、多くの異なるタイプの障害の治療および/または予防のために使用可能である。例示的な障害としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。さらなる例示的な障害は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。
糖尿病または糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のための例示的な薬物としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、もしくはそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、もしくはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「誘導体」という用語は、元の物質と実質的に同様の機能性または活性(たとえば、治療効果)を有するように、構造的に十分同様である任意の物質を指す。
例示的なインスリンアナログは、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
例示的なインスリン誘導体は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。例示的なGLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストは、たとえば、リキシセナチド/AVE0010/ZP10/リキスミア、エキセナチド/エキセンジン-4/バイエッタ/ビデュリオン/ITCA650/AC-2993(ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド/ビクトーザ、セマグルチド、タスポグルチド、シンクリア/アルビグルチド、デュラグルチド、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
例示的なオリゴヌクレオチドは、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセン/キナムロである。
例示的なDPP4阻害剤は、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
例示的なホルモンとしては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
例示的な多糖としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20/シンビスク、ヒアルロン酸ナトリウムである。
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体であり得る。
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含み得るが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与し得るか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼし得る。
例示的な抗体は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
本明細書に記載の化合物は、(a)化合物またはその薬学的に許容可能な塩、および(b)薬学的に許容可能な担体を含む医薬製剤に使用可能である。化合物は、1つもしくはそれ以上の他の活性医薬成分を含む医薬製剤、または本化合物もしくはそれらの薬学的に許容可能な塩が唯一の活性成分である医薬製剤にも使用可能である。したがって、本開示の医薬製剤は、本明細書に記載の化合物と薬学的に許容可能な担体を混合することによって作られる任意の製剤を包含する。
本明細書に記載のいずれの薬物の薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、たとえば、HClまたはHBr塩である。塩基性塩は、たとえば、アルカリもしくはアルカリ土類金属、たとえば、Na+、もしくはK+、またはCa2+、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)、(式中、R1からR4は互いに独立して:水素、場合により置換されたC1~C6-アルキル基、場合により置換されたC2~C6-アルケニル基、場合により置換されたC6~C10-アリール基、または場合により置換されたC6~C10-ヘテロアリール基を意味する)から選択されるカチオンを有する塩である。薬学的に許容可能な塩のさらなる例は当業者には公知である。
薬学的に許容可能な溶媒和物は、たとえば、水和物またはメタノラート(methanolate)もしくはエタノラート(ethanolate)などのアルカノラート(alkanolate)である。
当業者は、本明細書に説明される物質、製剤、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素の修正(追加および/または除去)が、そのような修正ならびにそれらの任意およびすべての等価物を包含する本発明の全範囲および趣旨から逸脱することなく、なされることを理解するものとする。

Claims (15)

  1. 注射デバイスであって:
    近位端および遠位端を有し、薬剤の容器を受けるように構成される、細長いハウジングと;
    該細長いハウジングの遠位端における位置で針を保持するための針ハウジングと;
    該ハウジング内に取り付けられる針スリーブと
    を含み、
    ここで、針スリーブおよび針ハウジングは、針スリーブが針ホルダ内に保持される針を包囲する第1の構成と、針ハウジング内に保持される針が針スリーブから遠位方向に延びる第2の構成との間で、ユーザ操作によって互いに対して移動可能であり、
    針スリーブは、第1の構成と第2の構成との間での運動の間、ユーザ操作からのエネルギーを使用して振動および/または回転するように構成される部分を含む、前記注射デバイス。
  2. 第1の構成において、針スリーブは、該針スリーブがハウジングの遠位端から少なくとも部分的に延びる伸長位置にあり;
    第2の構成において、針スリーブは、該針スリーブがハウジング内で伸長位置よりも奥で受けられる後退位置にある、請求項1に記載の注射デバイス。
  3. 針ハウジングは、針スリーブが伸長位置にあるとき、針が覆い隠され、針スリーブが後退位置にあるとき、針が露出されるように、細長いハウジングに対して実質的に固定される、請求項2に記載の注射デバイス。
  4. 針スリーブは、外側スリーブおよび内側スリーブを含み、内側スリーブは、振動および/または回転するように構成される部分を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の注射デバイス。
  5. 外側スリーブは、内側スリーブを越えて遠位方向に延びる、請求項4に記載の注射デバイス。
  6. 内側スリーブは、1つまたはそれ以上の凹んだ軌道を含み;
    ハウジングは、伸長位置と後退位置との間での針スリーブの運動の間、内側スリーブの振動および/または回転を引き起こすために、1つまたはそれ以上の軌道と連結するように配置される1つまたはそれ以上の係合部分を含む、請求項4または5に記載の注射デバイス。
  7. 1つまたはそれ以上の軌道は、内側スリーブの周りにらせん状に延び、内側スリーブは、細長いハウジングに対して自由に回転することができ、好ましくは、1つまたはそれ以上の軌道は、内側スリーブの表面上にジグザグの形態にあり、以て、内側スリーブを第1の構成と第2の構成との間での運動の間に振動させる、請求項6に記載の注射デバイス。
  8. 1つまたはそれ以上の係合部分は、第1および第2の構成の間での動きに抵抗するように、ならびに第2および第1の構成の間での動きに抵抗しないように構成されるラチェット装置を含む、請求項6または7に記載の注射デバイス。
  9. 振動および/または回転するように構成される針スリーブの部分は、遠位方向に延びる1つもしくはそれ以上のブラシ、遠位方向に延びる1つもしくはそれ以上の突起および/もしくは頂部、ならびに/または1つもしくはそれ以上の圧電デバイスを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の注射デバイス。
  10. ハウジング内で長手方向に移動可能なピストンロッドと;
    該ピストンロッドを、ハウジング内に受けられるときの薬剤の容器に係合するためにハウジングの遠位端の方へ付勢するように構成されるピストンばねと
    をさらに含み、
    ここで、針スリーブは、遠位方向におけるピストンロッドの長手方向運動の間、部分の振動および/または回転を抑制するように構成される、請求項1~9のいずれか1項に記載の注射デバイス。
  11. ハウジング内で長手方向に移動可能なピストンロッドと;
    該ピストンロッドを、ハウジング内に受けられるときの薬剤の容器に係合するためにハウジングの遠位端の方へ付勢するように構成されるピストンばねと
    をさらに含み、
    ここで、振動および/または回転するように構成される針スリーブの部分は、遠位方向におけるピストンロッドの長手方向運動の間、振動および/または回転するようにさらに構成される、請求項1~9のいずれか1項に記載の注射デバイス。
  12. 針スリーブは、細長いハウジングに対して固定され:
    第1の構成において、針ハウジングは、針ハウジング内に保持される針が針スリーブによって覆い隠される後退位置にあり;
    第2の構成において、針ハウジングは、針ハウジング内の針が針スリーブを越えて遠位方向に延びる伸長位置にある、請求項4~11のいずれか1項に記載の注射デバイス。
  13. 注射デバイスから薬剤を排出するための針をさらに含み、該針は、針スリーブが伸長位置にあるとき、針が覆い隠され、針スリーブが後退位置にあるとき、針が露出されるように、細長いハウジングに対して実質的に固定される、細長いハウジングの遠位端における位置で保持される、請求項1~12のいずれか1項に記載の注射デバイス。
  14. 請求項1~13のいずれか1項に記載の注射デバイスを使用する方法であって:
    注射デバイスを第1の構成で準備することと;
    ユーザデバイスの構成を第1の構成から第2の構成へ変更するためにユーザ操作を適用することとを含む前記方法。
  15. 注射デバイスの一部分の振動および/または回転を引き起こすための方法であって、注射デバイスは、遠位端および近位端を有し、該遠位端は、針スリーブおよび針を含み、該方法は:
    ユーザ操作の下、針スリーブが針を包囲する第1の構成と、針が針スリーブを越えて遠位方向に延びる第2の構成との間で注射デバイスを動かすことと;
    ユーザ操作からのエネルギーを使用して、第1の構成と第2の構成との間での運動の間、注射デバイスの遠位端の一部分を振動および/または回転させることとを含む前記方法。
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